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1980-05-08 第91回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年五月八日(木曜日)     午後三時三十九分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君    理事 愛知 和男君 理事 稲村 利幸君    理事 綿貫 民輔君 理事 佐藤 観樹君    理事 山田 耻目君 理事 坂口  力君    理事 正森 成二君 理事 竹本 孫一君       麻生 太郎君    熊川 次男君       椎名 素夫君    白川 勝彦君       玉生 孝久君    中村正三郎君       林  義郎君    藤井 勝志君       坊  秀男君    村上 茂利君       山口シヅエ君    山崎武三郎君       山本 幸雄君    伊藤  茂君       沢田  広君    島田 琢郎君       柴田  弘君    古川 雅司君       宮地 正介君    多田 光雄君       渡辺  貢君    玉置 一弥君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  小泉純一郎君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         大蔵省銀行局長 米里  恕君         大蔵省銀行局保         険部長     松尾 直良君  委員外出席者         国土庁長官官房         震災対策課長  城野 好樹君         運輸大臣官房技         術安全管理官  片岡 栄夫君         気象庁観測部地         震課長     渡辺 偉夫君         建設省住宅局建         築物防災対策室         長       久保 敏行君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 五月七日  一般消費税新設反対に関する請願伏屋修治  君紹介)(第五四六〇号)  同(有島重武君紹介)(第五五三五号)  同(飯田忠雄紹介)(第五五三六号)  同(古川雅司紹介)(第五五三七号)  同(浅井美幸紹介)(第五五六一号)  同(武田一夫紹介)(第五五六二号)  同(玉城栄一紹介)(第五五六三号)  ハイヤー、タクシーに対する自動車関係諸税減  免等に関する請願外一件(井岡大治紹介)(  第五四六一号)  同(山花貞夫紹介)(第五四六二号)  一般消費税新設反対税制・財政・金融の  民主化等に関する請願外三件(塚田庄平君紹  介)(第五四六三号)  同外一件(正森成二君紹介)(第五四六四号)  医業税制の確立に関する請願安藤巖紹介)  (第五四六五号)  同(中路雅弘紹介)(第五四六六号)  同(渡辺貢紹介)(第五四六七号)  同(坂口力紹介)(第五五三八号)  同(中路雅弘紹介)(第五五三九号)  同(河野洋平紹介)(第五五六四号)  同(高橋高望紹介)(第五五六五号)  同(渡辺武三紹介)(第五五六六号)  一般消費税導入反対及び不公平税制の改善に  関する請願藤原ひろ子紹介)(第五五三四  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地震保険に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第四二号)      ————◇—————
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより会議を開きます。  地震保険に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  3. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま議題となりました地震保険に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  地震保険制度は、昭和四十一年に発足したものでありますが、このたび、政府は、地震等による被災者の生活の安定に寄与するため、てん補される損害範囲を拡大するとともに、附帯される損害保険契約保険金額に対する地震保険金額の割合を引き上げる等の改正を行うこととし、ここにこの法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  第一に、てん補される損害範囲につきまして、現行制度では全損のみをてん補することとしておりますのを政令で定める損害に改めることとし、てん補される損害範囲を拡大することといたしております。  第二に、地震保険金額につきまして、現行制度では附帯される損害保険契約保険金額の百分の三十に相当する額としておりますのを改め、百分の三十以上百分の五十以下の額に相当する金額とすることといたしております。  第三に、大規模地震対策特別措置法に基づく地震災害に関する警戒宣言が発せられたときは、原則として地震保険契約を新たに締結することができないことといたしております。  このほか、所要の規定の整備を図ることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 増岡博之

    増岡委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 増岡博之

    増岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
  6. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ただいま提案されました地震保険法改正案につきまして、若干御質問申し上げます。  経過を振り返りますと、昭和四十一年にこれができたときにも、全損だけではなく分損についてもという御議論が大分あったようでありますし、それから、宮城沖地震分損も扱うように世論が非常に高まった、その経過からしますと、作業として遅いのではないだろうかという感じがいたしますが、せっかく今度できたわけでありますから、若干内容をお伺いいたします。  具体的に幾つかの問題を先に伺いたいと思いますが、第一には、分損を扱うということですが、分損基準、それから査定、これをどういうふうに考えますかということです。  基準については、全損の場合には八〇%以上などあるわけでありますが、分損の場合に、どういうふうな基準でこれをやっていくのか。それから、査定についてだれがどういう方法判定をしていくのか、その仕組み、それから、地震の場合に小規模の場合と大規模の場合といろいろあるわけでありますし、大規模の場合には、審議会答申でも個々損害率に応じた保険金支払いは困難であって、一定率支払いを行う方法以外にはない、公的機関から一般に発給される罹災証明のようなものを参考にしてやらなければならないのではないだろうかということが出ておりますが、まずその基準査定について、どういうやり方でやりますか。
  7. 松尾直良

    松尾政府委員 まず全損、半損の基準いかんという御質問でございますが、今回半損まで地震保険担保することにいたしますに当たりまして、具体的にその範囲をどうするかということは、先生質問の後段にございます査定の問題と絡んでおるわけでございます。全損と申しましても、これは一〇〇%ということでございますけれども、必ずしも家が全部完全に焼けてしまったとか完全につぶれてしまったということではございませんで、具体的には、全損、半損につきまして政令規定をすることを予定いたしておりますが、全損につきましては、建物主要構造部、これは柱とか、はりとか、床とか、屋根、こういった主要構造部損害額当該建物時価の五〇%以上のもの、それからまた、建物焼失または流失いたしました部分床面積当該建物延べ床面積の七〇%以上のもの、第三に、建物自体被害はございませんでも、山崩れ等でそこに居住しておれないというような状況の場合も、これは全損であるというふうに規定をいたすことにいたしておりまよ。  なお、この建物主要構造部が五〇%以上損害を受けた場合になぜ全損であるかと申しますと、建物主要構造部が五〇%も損害を受けるというときには、そのほかの部分にも相当な損害が出ておるのが実情でございまして、建物全体として見ますと、そういう場合には八〇%以上の損害であるというふうに考えられますので、これを全損と考えるということでございます。  半損につきましては、一つ基準といたしまして、建物主要構造部損害額建物時価の二〇%以上五〇%未満の場合、先ほど全損では主要構造部損害が五〇%以上と申し上げましたが、それ未満で二〇%以上の場合、それからもう一つ、全損の場合と同じような床面積基準といたしまして、建物焼失または流失した部分床面積当該建物延べ床面積の二〇%以上七〇%未満のもの、こういうものを半損として定義をいたしたいというふうに考えております。  なお、この基準というものは、現在、国が災害査定につきまして統一的な基準で全壊、半壊の基準を設けておりますが、これとの整合性を図るという見地から、このような基準を考えたわけでございます。  次に、具体的な査定についてのお尋ねでございますが、四十一年にこの制度が発足いたしましたときに、全損だけでこの制度ができましたのは、一つは、この査定の問題が非常に大量かつ迅速、公平に行われなければならない、そういう場合に部分損害については不可能であるということがあったわけでございますが、今回、御指摘のように宮城沖地震契機といたしまして、部分損害についてのてん補要望というのが強く出てまいりまして、どうすれば部分損害短期間に公平に査定できるかということをいろいろ検討いたしました結果、先ほど申しましたように、国の災害査定についての基準との整合性を図ることによって、地方公共団体等の発行する公的な証明書、こういうものにある程度依存することによって大量に迅速に処理ができるのではないかというふうに考えて、分損と申しますか、半損を導入したわけでございます。  なお、地震規模によりまして具体的な査定の仕方というのはいろいろ変わってくると思うのでありますが、いずれにいたしましても、大規模地震でございますと非常に大量な件数短期間にこなさなければならないという要請がございます。また一方におきまして、その査定が公平でなければならないという要請があるわけでございます。そういう点を踏まえまして、大規模地震の場合には、これは個々会社がばらばらに査定をするのではなくて、業界全体といたしまして共同査定をいたすということを考えております。それから、そう大規模でございません場合には個別で査定が行われるわけでございますけれども、この場合も、統一した査定が行われる必要があるということから、これは準共同査定というふうに呼んでおりますが、損害保険協会中心になりまして、いわば全体の統一した方針で査定が行われるような体制を組む、こういうことでただいま準備をいたしておるところでございます。
  8. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、その分損を扱うことは結構なことでありますが、しかし、基準査定というのは、火災の場合とも違って大変むずかしいだろうと思うのです。小規模地震と大規模地震ということでどういう現象が起きるかということもありますし、大規模地震の場合でも、この前の宮城沖地震で、私も現地へ行ってまいりましたが、新しい建物はそう大きな損害がない、古い建物は倒れている、一見してそういう現象があります。大規模の場合に、その地域として一定の公的に認めたものといっても、必ずしもそれは公平であるかどうかということが現実には発生するだろう。火災の場合には焼けてしまうのですから、半分焼けたか全部焼けたか、一見して明らかという状況があるわけですが、地震ですから、家が傾くとか、それから、これは宮城沖地震でございましたが、マンションにひびが入ってドアがあかなくなった、日常の居住にたえ得ない状態になってしまったとか、火災とは非常に違った状況が起きるわけですね。  そういうことを考えますと、いま御説明のありました内容、これは昭和四十三年六月十四日、国の災害被害認定統一基準総審第百十五号みたいなことが基準になっているかわかりませんが、これとは違った詳細な考え方あるいは基準としての数項目というようなことが出ないと、いろいろな問題が出るのではないだろうか。せっかく法案を出されるわけですから、法案を出されるときにその骨格ぐらいのことを参考資料なり何なりでやはり提出をいただいて、そして、審議を経た後、保険会社その他実際に仕事に当たるところが、契約者に、利用者に詳細な、また問題の出ない説明ができるようにするのが当然ではないか。その面では、法案は出ておりますけれども、その中身の運用その他については非常に不備な段階ではないだろうかというふうな気がするわけでありますが、それらのことをどう整備するおつもりですか。
  9. 松尾直良

    松尾政府委員 この地震災害状況というのは、そのときその地震によっていろいろ違いがあろうかと思うのでございます。関東大震災のようなものを考えますと、あの場合は火災による損害というのが非常に大きかったわけでございまして、不幸にしてそういう火災で、ある大きな地域全体が焼けてしまうということを考えますと、これは査定の面から見ますと、ある意味で非常に簡単でございまして、極端な場合には、これは上からたとえば飛行機なりヘリコプターで見た限りで、ある一帯の町が全部損害を受けておるというようなことも判定が可能なわけでございます。  先生指摘の、火災の場合は焼けてしまうので一見明瞭であり、地震の場合はむずかしいのではないかというお尋ねでございますが、先ほど申し上げました基準先生指摘昭和四十三年の六月十四日の国の基準でございますが、この基準を満たしているかどうかということをもっと何か簡易方法で客観的に判定できないか、こういうことであろうかと思うのであります。短期間に大量の査定をやるという観点から、まさにそういう工夫をいろいろいたしておりまして、具体的には、先ほど申しました、たとえば建物主要構造部損害が五〇%以上というのを、それでは建物主要構造部である柱とか何かを一々その損害査定していくかといいますと、そんなことをしておりましてはとても短期間にできないわけでございます。主要構造部中心になりますのは柱でございますので、非常に単純に申しますと、柱だけを数えると申しますか、そういう方法によって簡易に全体の損害額査定をするためのマニュアルと申しますか、そういうものをいまいろいろつくっておりまして、これには建築学者等を大量に動員をいたしまして、標準的な建物の壊れぐあい、たとえばその柱が半分損害を受けた場合には建物全体の損害額がどうなるか、したがって、柱だけを数えることによって簡易査定ができるというようなことをいろいろ勉強いたしまして、そういう査定要綱みたいなものをいまつくっておるところでございます。  そういうものが一般にわかるようにしなければならないという御指摘、まことにそのとおりでございまして、われわれが反省いたしますに、宮城沖地震のときには、やはり募集段階等におきましてこの地震保険中身が正確に消費者と申しますか契約者の皆さんに伝わってなかったという面もあったわけでございます。今度制度改正をいたしますと、担保内容がふえる、制度としてはいままでよりもよい制度にはなりますが、いままで以上にいろいろ分損が出てくるということで複雑でございますので、こういった査定基準を含めまして十分なPRをいたしたい。この辺はただいまいろいろ準備をいたしておるということでございます。
  10. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 なかなか技術的にむずかしい問題だと思いますけれども、市民の関心も高まっている問題でありますから、契約などに当たって、利用者にできるだけ明確に内容を伝えることができるように、誤解など生じないように、何かあった場合には、やはり入っていてよかったという保険、そういう結果が生まれるように、いろいろな手続をぜひ組むように要望したいと思います。  それから、関連をして、さまざまの苦情処理、起きない方がいいわけですが、現実にはどうしてもこういう問題が起きるだろうと思います、苦情処理についてですが、これも審議会答申を見ますと、「災害発生と同時に機を失せず公正な第三者を含めた苦情処理機関地方別設置し得るよう、平常からその準備を進めておくことが望まれる。」とあります。それから、これは再保険その他の関係でしょうか、大蔵省附属機関として必要の都度地震保険審査会設置をされるということがあるわけでありますが、特にその苦情処理に対する対応というのは、もうちょっと具体的に言ってどういう体制になっておりますか。
  11. 松尾直良

    松尾政府委員 御指摘のとおり、この苦情処理についての適切な対応が必要であるということから審議会で「災害発生と同時に機を失せず公正な第三者を含めた苦情処理機関地方別設置し得るよう、平常からその準備を進めておくことが望まれる。」という答申をいただいておるわけでございます。地震はいつ起きるかわからないわけでありますので、災害が発生しました場合に、そういう苦情処理機関がすぐ動けるような体制をあらかじめつくっておかなければならないということで、ただいま準備を進めております。  具体的な中身といたしましては、この機関が中立公正な第三者機関でなければならないとともに、設置の時期というのが「機を失せず」と答申にございますように、災害発生後速やかに機能する必要があるわけでございまして、そのためには、あらかじめこの苦情処理機関の要員と申しますか委員になる人を予定をしておきまして、間髪を入れずこの苦情処理に当たっていただくということが必要なわけでございます。  しからば、どういう人にそういう苦情処理委員をお願いするかということでございますが、これは保険学者であるとか、あるいは不動産の鑑定士であるとか、建築専門家、自治体の関係者、こういった方々の中から委嘱をしたいというふうに考えて、いま準備中でございます。  それから、答申にございますように、これは地方別設置をしなければいけないわけでございまして、全国それぞれあるわけでございますが、とりあえず当面は、地震防災強化地域として指定されております地域、これに優先して設置することを準備しておるわけでございます。  なお、苦情処理につきましては、こうした苦情処理機関のほかに、損害保険会社ベースと申しますか、先ほど申しました査定共同査定に当たるわけでございまして、共同査定本部みたいなものの中に苦情処理専門の人員を配置をいたしまして、その場でいろいろクレームについて対処できるような体制をあわせてしいていくということで、共同査定体制ともども業界でただいまいろいろ準備を進めておるところでございます。
  12. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 それから、限度額を含めて契約方法が変わるわけでありますが、原則自動附帯、そういうことになりますと、現在の契約率が大分高まるという見通しを関係業界、それから皆さん含めてお持ちなのかどうか。それからまた、保険料率の問題にも関連をしてくるであろうというふうに思いますが、今回、この原則自動附帯ということになることによって契約件数の動向がどうなるとお考えになっているのか。それから、限度額百分の三十から百分の五十ということになるわけでありますが、これでいきますと、居住用建物一千万の地震保険に入るためには二千万以上の火災保険に入るということになります。現実には三、四百万程度の加入が現在は多いということのようでありますし、最高額まで契約する人が多いのかどうか、この問題もあると思いますけれども、特に東海南関東など、そういうところでは火災保険地震保険と同額入っておきたいというような御希望の地域もあるかもしれません。そういうことで、予知能力なり、それから観測強化などの体制とも関連をすると思いますが、そういう地震の起こる危険性の高い地域要望なども含めて考えてみますと、均一に三〇%から五〇%でいいのかどうかという現象も起きるのではないだろうかという気もいたしますが、限度額契約方法など、どういうふうにごらんになっておりますか。
  13. 松尾直良

    松尾政府委員 契約引き受け方法の問題でございますけれども、まず、現行制度は三本建てになっておるわけでございます。住宅総合保険とか店舗総合保険と言われますいろいろな危険を全部パッケージにしました保険がございますが、これにつきましては、地震保険がその中に組み入れられておりますので、これは文字どおり自動附帯と申しますか、その保険に入ることによって地震保険に自動的に入っていかれるものであります。それから長期性の、長期総合保険というような弔のにつきましては、これは現在、原則自動附帯という方法をとっております。原則自動附帯と申しますのは、特に自分は入りたくないという意思表示をいたしますと、地震保険というのが付保されないというものでございます。黙っておれば入っていく。それから通常の火災保険につきましては、現在、任意加入と申しますか任意附帯方法をとっておりますので、これは、積極的に自分地震保険に入りたいという方がその火災保険附帯をして入る。現在、こういう三木建て契約方法になっておるわけでございますが、今回はこれを原則自動附帯一木に改める。こういたしますと、原則自動附帯というのはいわば自動附帯任意附帯中間に位置をしておるわけでございまして、入りたくないという方に無理に加入をしていただくというのもいろいろ問題があろうかと思うのでありますし、また、全くの任意附帯ということになりますと、これは地震保険の普及という点から必ずしも好ましくないのではなかろうかということで、そういう中間原則自動附帯ということにいたしたわけでございます。  それによって契約がどうなるかということでございますが、現在の契約というのは、やはり最初に申し上げました自動附帯によるものが相当大きな部分を占めております。原則自動附帯なり任意附帯につきましては、地震保険の性格上非常に地域的なばらつきがございまして、南関東であるとか東海地方とかいうのは比較的任意的に入る率が高いわけでございますが、北海道とか九州とかへ参りますと、任意附帯につきましてはやはり非常に低いというような状況が出ております。  それで、この契約方法の変更ということと、今回分損、半損まで担保をするということ、あるいは付保金額限度が引き上がるというようなことを総合勘案して、一体、地震保険契約が今後どうなっていくかということであろうかと思うのでありますが、いままでの自動附帯というものがなくなります面だけをとらえますと契約は減らざるを得ないわけでございますが、他方、いま申しましたような、内容が改善されるという面では地震保険へ入ろうという選好がより大きくなるのではなかろうか。最近の契約状況を見ておりますと、大変残念なことでございますが、宮城沖地震契機といたしまして、この地震保険契約というのがやはり少しずつ減ってまいりまして、減ってまいったということは、率直に申しまして、現在の地震保険に対する失望と申しますが、そういう点があったのではないかと思うのであります。宮城沖地震以来少しずつ減ってまいりましたのが、今回この改正をお認めいただきまして新制度が発足をすれば、そこは十分回復をしていくのではないか、私どもこういう見方をいたしておるわけでございます。
  14. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 それで、一番関心が出るだろうと思いますのは保険料率の問題だろうと思います。いままで、地域で一等地、二等地、三等地、それから建物種類別で二種類、合計六種類ということで、最高が五円ということだったと思います。私の地元の方も不幸にして地震可能性の一番高い、保険料率の一番高いところでありますけれども、今度分損も認めるとなりますと、どういう計算になりますか、保険料率は必然的に高くならざるを得ないというふうなことではないだろうかと思います。  私はこれも不満なんですけれども、いままで三等地二種類あって、聞くところによりますと、今度は地域種類、合計十種類というふうなことになり、また細かい区分けから都道府県単位にというようなことを考えられているようでありますが、この法案審議をする現段階でそれの一覧表とかいうものはまだ出されておりません。保険のことを審議するのに、保険料率がどうなるのかという資料が出されていないということはいかがなものかと私は思うわけでありますが、いまどんな作業をしているのか、それから、どういう地域種類別の編成になるのか、それから、どれぐらい保険料率が高くなるのか。たとえば、現在三等地木造五円、これが三割ぐらい高くなって七円以上になるとか、一千万円入るというのはそう多くはないと思いますけれども、一千万円入った場合には年七万円、火災保険がその倍入るわけですから、保険料率は低いとしても十万円以上とかいうふうな負担になってまいることになりますし……。保険料率の問題については、農協保険と比べて都市の人が多いという現状があるわけですから、構造的にむずかしい面があると思いますが、四十一年のときの国会審議でも保険料率を一層低率にするように努力するようにという附帯決議もっけられているという経過もあるわけでありまして、どういう計画でその辺をお考えになっているのか、御説明を願いたい。
  15. 松尾直良

    松尾政府委員 まず、今回の改定によりまして地震保険料率につきましても改定の作業を当然いたしておるわけでございまして、その基本的な考え方から申し上げたいと存じます。  先生も御案内のとおり、この保険は、ほかの保険と違いまして、保険会社の利潤部分というものを一切認めない保険でございます。それから、経費につきましても、極力圧縮をするということで組み立てられておりますが、いわゆる純保険料と申しますか、危険に対応する保険部分の考え方でございます。四十一年当時におきまして設定されましたときには、今日と比べますと地震理論というのもまだ未発達と申しますか、この十何年の間に地震理論についてもいろいろな進歩がございました。そういったことを取り入れて今回いろいろな見直しをあわせて行おうということで取り組んできたわけでございます。せっかくてん補内容が改善をされるのに、料率が上がりますと改善の意味が薄まると申しますか、保険料が余り高くなっては魅力のある保険にならないということは御指摘のとおりでございます。  分損担保するときに一番大きな問題は、やはり分損担保することになりますと、どうしても支払い保険金額というものが相当大きくなってくるわけでございまして、全損一に対して半損というのがどのくらいの割合で出るか、これはやはり地震によりまして非常に違いがあるようでございまして、全損の比率が比較的高い型の地震もありましょうし、全損一に対して部分損害が非常に多いという結果になる場合もございましょうが、常識的に申しまして、全損一に対してそれ以上の部分損害というのが出ることは容易に考えられるわけでございます。といたしますと、そのままにいたしますと、やはり現在の保険料率というものが五割も、倍にも上がってしまうではないかということが半損を導入するときの一つの大きな問題でございました。  そこで、私どももこの十何年来のいろいろな経験の積み重ねと申しますか、特に地震理論のいろいろな発展がございますので、端的に申しまして四十一年以来の十四年間というものを考えてみますと、火災の危険というものはやはり都市の不燃構造化というようなことで非常に減ってきております。そういったことを勘案しまして、根本的な料率の見直し作業というものを何回かにわたっていままでやってまいりまして、若干専門的なことの聞きかじりで恐縮でございますが、たとえば地震損害との因果関係というものは、四十一年当時には東大の河角教授の理論を中心に、いわば震源地における震度というものと家屋の倒壊の因果関係というものをつかまえておったわけでございますが、その後、いろいろ理論が進歩いたしましたと申しますか、今回は梅村教授の動的な理論と申しますか、単純な震源地における震度の大きさということだけではございませんで、もう少し精密な計算をする。あるいは先ほど申しましたように、都市の消防能力とか不燃構造化ということで火災の危険というのは四十一年当時に比べますと非常に減っておるわけでございます。現にこの十何年をとってみますと、火災保険料というのはそれを反映してどんどん下がってきております。  そういったことで見直しをいたしてみますと、全損だけについて見ますと、やはりいまより保険料を引き下げることは可能ではないか、そこへ分損、半損というものが入りますことによって増加する。しかし、これが五割も上がるということではやはりいろいろ問題があるのではないかということで、作業を繰り返してまいりまして、この法案の御承認をいただきますれば、料率の具体的な認可ということになるわけでございますが、ただいま私どもが承知をしております限りにおきましては、全体平均をいたしますと、一五%程度の引き上げでとどまるのではないか。  それから、先ほど先生指摘になりました等地区分の問題、これはいま大ざっぱに三区分になっておりますのを五区分に、五等地ということに広げますし、また、現在は建物と家財というものを同じ料率というラフなことでスタートしたわけでございますが、今回は建物、家財、それぞれ担保範囲も違っておることでございますし、これは分けた料率にするということで検討いたしておりまして、少なくとも家財の部分につきましては、分損を導入することによってもある程度の保険料の引き下げが可能ではないかというふうに見積もられております。
  16. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 学識豊かな御説明を伺いましたけれども、要するにそういう五段階、五等地別ですか、二種類、それらの区割りと保険料率ですね、いつできるのですか。それから、その場合に格差がありますね。いま三等地別、今度五等地別、格差というものはいまのあれよりも広げる方向でいくのですか、縮める方向でいくのですか、同じでいくのですか、考え方を……。
  17. 松尾直良

    松尾政府委員 三段階が五段階になるということで、第一番目と第五番目との差というのは、現在の一番目と三番目より若干広がることにはなろうかと思っております。
  18. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いつできるかと申し上げましたのは、四十一年のときにも分損を考えるという御意見があった、宮城沖地震があってから何年かたった、世論はあのときに非難ごうごうという状態であった。有能な大蔵省の皆さんが研究をして少なくとも法案提出のときには、大体こういうあれになりますというようなことを計算をして出されるというのが当然であろうと思うのですが、その辺はまだ現在作業中というようなことなんで、私は、法案を出して審議するにしては大変資料不備ではないだろうか。特に料率なり段階別のこともありますし、いろいろ市民の関心も非常に深いということがありますから、実はそれのことを非常に不満に思っているわけであります。いつそれができるか即答できないならば、とにかく可能な限り早くやって御説明できるようにしていただきたい。  次に移りますが、一つ支払いの方の問題です。  警戒宣言が出たらまず受け付けばストップする。ところが、現実には警戒宣言、内閣総理大臣が宣言をすると、これが優秀な予知能力によってぱっと出る場合もあるだろうし、それから、その前、地震が起こりそうだ起こりそうだといういろいろな話が年じゅうマスコミを通じて報道される場合もあるだろうと思うのです。そうしますと、事実上、警戒宣言が出る前の駆け込み的状況ですね、これが起こる場合も当然想定しなければならない。まあ運用上問題が出ないのかどうかという心配が一つあります。  それから、特に、小規模地震はいいんですけれども、大規模に起こった場合に各損保会社の営業所がどの範囲にあるのか、あるいはもらいに行く場合にどういう形で払ってくれるのかという問題も起こるのではないだろうか。その辺については業界も含めて一体どういう体制を考えているのか、災害時の体制ですね。  あわせまして、銀行局いらっしゃいますからなんですが、何か資料を見ますと、これは普通銀行だけではなくて、農協も同じであろうと思いますが、警戒宣言が出たときにはシャッターを閉めて、それから震災があった後、支払い要望があれば極力順調に払えるように体制をとるということのようでありますが、その辺の問題が現実に起きないようにその辺をどう考えているのか、いかがでしょう。
  19. 松尾直良

    松尾政府委員 地震が起こりそうだから駆け込みがあるのではないかというのは、まさにそのとおりと申しますか、先ほどもちょっと触れましたように、現在の状態でも契約率と申しますか、南関東四県と東海地方におきましては、地震保険への加入率が非常に高いわけでございます。これは地震保険というものの持つある程度宿命と申しますか、ではなかろうかと思っておるのであります。  今回、法律で手当てをすることでお願いをしておりますのは、少なくともそういう警戒宣言が出たという状況においてはお引き受けできないんだということを法律的に明確にしていただくということでございまして、警戒宣言が出ない前の段階においては、契約を拒否をするということは、保険会社の公共性という点から言いましてこれは許されないことだと考えております。  それから、現実災害が発生したときの支払いがどうなるかということでございますが、ただいま先生がおっしゃいましたのは、警戒宣言が出た状態におきまして金融機関の店舗が閉められるということでありますが、これは警戒宣言が発せられた場合に、現実にそういう地震が発生する場合、あるいは空振りと申しますか、幸いにしてと申しますか、そういうものが発生しなかった場合、後者の場合は問題がないわけでございますが、現実に発生をした場合におきまして、できるだけ早い時期に金融機関というのが店を開くということであろうかと思うのでありますが、先ほど申しました損害共同査定本部というものが設けられるわけでございますので、万一、銀行の店舗が開いてないというような状況保険金支払いの必要ができるというような場合がございましても、損害査定本部というところを窓口にいたしまして保険金支払いができるような体制を考えていくということでただいま準備をいたしております。
  20. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 そのほかにもいろいろ聞きたい点があるのですが、地震保険の問題でもう一つだけ。  不幸にして最悪の地震、要するに一兆二千億ぎりぎりいっぱい払わなければならないという事態が早い時期に起こった場合、積立準備とそれから支払わなければならない額との差が出てまいります。一つは民間の方ですが、現在八百億くらいの準備になっておるようですが、最高一兆二千億という段階になったときと比べれば、半分くらい。それから、国の再保険の積み立てもあるわけでありますが、国の措置も非常に多額のものが必要になる。民間に対しては、政府が資金のあっせんまたは融通に努力するものとするということがあります。国の方でも、財政上の需要がそこに急に生まれてくるということになるわけでありますが、その辺の対応、済みませんが、簡単にお願いします。
  21. 松尾直良

    松尾政府委員 御指摘のとおり、現在、国、民間合わせました準備金の残高というものは、とうてい一兆円にほど遠いわけでございます。  この一兆二千億という中で、国、民間と分けて、まず民間から申し上げますと、民間が受け持っております限度は千八百三十七億五千万円でございますが、この三月末で民間に蓄積のされております準備金の残高は約九百五十億円でございます。したがいまして、九百億円弱がその限りでは不足をしておるわけでございますが、民間保険会社は、この準備金のほかにほかの勘定でいろいろ準備金を持っておりますので、それらはそれぞれ通常の火災保険なり自動車保険支払い準備でありますけれども、そういうものを一時流用すると申しますか、ほかの勘定からいわば立てかえ的に金を持ってくる。さらにどうしても必要な場合には、先生おっしゃいましたように、政府が資金のあっせんを行うこともこの法律においては予定をされておるということでございます。  それから、国でございますが、国は、一兆百六十二億五千万というものを限度としてこの特別会計の予算総則でお認めいただいておるわけでございますが、現在国にたまっております準備金というのは、この三月末におきまして七百二十億円ばかりでございますので、とうていそれだけでは足りないわけでございます。  なお、この地震保険特別会計におきましては、毎年度の再保険収入に見合った歳出をお認めいただいておりますが、これと合わせましてもとうてい足りないわけでございますが、その点は、この特別会計法第四条におきまして一般会計からの繰り入れができる、あるいは同法十三条によりまして借入金ができるということで、そういった資金調達をして支払うということになろうかと考えます。
  22. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 国土庁の方にお伺いしたいのですが、地震防災対策強化地域の指定の拡大の問題。御承知のとおりに、南関東が、地震保険に当たっても、東海を含めて半分以上という状態でありますが、昨年東海地方については強化地域の指定があって、事業計画というものが煮詰まってきているわけであります。  ところがまた、神奈川県の場合を見ますと、神奈川県西部の八市十一町が指定された地域に入っている。ところが、これが人口では一七%の部分。今回指定されなかった東部の方に、横浜、川崎を含めて人口の八三%が集中している。東海地震で震度六以上のものが起こった場合でも、この地域は震度五が予想されているということでありますけれども、やはり人口の過密集中地域でありますし、日本有数の石油コンビナートが存在をしている。それからまた、宮城沖地震のときの仙台の例などもありますが、その比ではない状況も生まれる。そういうことで、たとえば神奈川県の場合にも、強化地域に指定をされていない東部の方も含めて総合計画、県の地震計画がつくられているという状況になっているわけでありまして、特にこの強化地域の指定の拡大は強い要望になっているわけであります。これにどう対応されるのかという問題。  私は現実問題としてぜひ考えていただきたいと思うんですが、一つは、この指定に当たって、今後検討されなければならない事項ということで、専門委員会から答申を出されている七項目ですか、長周期の地震波による影響とか、埋立地などの液状化現象被害、コンビナートの問題とか、あるいは急傾斜地域の問題などがあります。専門委員会も鋭意努力をされているようでありますが、私はこの高層ビルの長周期地震波の影響というのは、現在の技術でも相当研究が進んでいる問題だろうと思うのです。こういうものをなるべく早期に結論を出して対応策をとるようにお考えになっているのかどうか。また、一、二年かかるとも言われておりますが、どの程度かかる見込みで作業を進めておられるのかというのが一つです。  もう一つ現実にこの強化地域に指定されれば、財政計画、財政事情というものがあります。相当大きなものになるでしょう。東海地域よりもずっと大きなものであることは想像にかたくないということだろうと思います。大地震特別措置法では、五年をめどとしてということになっておりますし、そういう法定規定もあるわけでありますが、これは財政的な対応現実状況の中でやらなければならないということもあるわけでありまして、金がたくさんかかるからなるべくおくらしておこうということでは、市民の不安を解消するわけにはまいらないということがあるわけであります。  きょうここで、これは国土庁長官でも自治大臣でも、すぐやりましょうというお返事はできないかもしれませんが、どういう姿勢で真剣に努力をされているのか、やはり真剣に前向きに努力をしていきたいということでやっているのかどうか、その点を時間がありませんので、簡単に御説明ください。
  23. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明申し上げます。  地震防災対策強化地域につきましては、いまお話がございましたように、昨年の八月に専門委員会の方の答申を得まして、それに基づきまして関係都道府県知事の意見を聞いて内閣総理大臣の告示として行ったものでございます。  この基本的な考え方は、駿河トラフ沿いの震源域にマグニチュード八程度の大規模地震が発生した場合に、その周りの土地がどのくらい揺れるかということの震動の予測をやっていただきまして、それに基づきまして震度六以上になると予想される市町村をその範囲として指定したものでございます。六県百七十市町村ということになってございます。  神奈川県につきましては、お話しのように西側ということになっております。これは震源の位置とその距離によってその範囲が決められているわけでございますが、専門委員会の方のレポートにもございますように、引き続き液状化現象、長周期の波による影響、それから自然斜面のすべり、崩壊ということにつきましては鋭意検討中でございます。ただ、その三つのものにつきましては、いわゆる表層の地質だけではございませんで、やや深いところの地質、それから地震波の伝わり方ということについての知見が必要でございまして、その分につきましては、人工の地震実験を含めましてその資料の収集に当たっているところでございます。いま、その検討のめどというのはいつごろまでにとはっきり申し上げられない段階でございますが、先生方も可及的速やかにということで勉強を進めていただいておるという段階でございます。その結果によりまして大きな被害が予想されるということでありますれば、地域の指定の拡大を含めて検討をしたいと思っておる次第でございます。  公共団体の百七十市町村の分につきましての財政上の問題でございますが、これはすでに大規模地震法によりまして避難地、避難路、消防用施設、緊急輸送路等を中心に緊急の整備計画を五年間で進めるように基本計画でも定めておるところでございます。これらのものに加えまして、病院、社会福祉施設、学校、さらに津波対策、地崩れ防止対策というようなことについてさらに緊急整備事業の範囲を拡大すべきである、それからそれについて財政的な援助をすべきであるという公共団体の方の強い要望がございます。これらのことにつきましては、公共団体の方の要望と、それから関係各省にわたりますので、これらの事業の実施の可能性、したがいましてどのくらいの事業が実際にやれるのか、また必要な事業の種類、それらを整備する手段としまして各種五カ年計画との整合性ということについて鋭意突き合わせをやっておるところでございまして、それらの結果を踏まえまして必要な措置を講じていきたいということで作業をやっておるところでございます。
  24. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 国土庁の方に要望ですが、地震強化地域の指定、そこから、東海地震でたとえば震度八という地震が起こった場合に、神奈川県東部などがどの程度の被害になるのかということからくる研究というのもあります。それから残されている問題として、液状化あるいは長周期地震波などの研究もあります。都市の中枢部の問題ですし、それから最近大きな問題となっているパニックの問題も含めて、不測の事態が起きる大変な危険性もあるということがございますから、東海地震規模から南関東へという考え方の問題と、同時に南関東という横浜から東京に至るという中で想定されるさまざまな問題に対して、また独自の視点から研究を深めていくということもぜひ強力にやっていただきたいというように思います。  時間も過ぎましたから、もう一つだけお伺いしたいのですが、いま国土庁から話がありましたが、強化地域に指定されたそれぞれの地域から財政特別措置法の要望があります。いま約五千五百億の規模に総工事費が煮詰まっているようでありますが、おおよそ国が二千百六十億、県が千百二十億、市町村が二千百五十億、市町村段階に非常に大きなウエートがかかるというわけでありまして、当初要望の八千億以上の認定はむずかしかったようでありますけれども、市町村の負担をカバーするという意味で、いまもお話がありました病院あるいは小中学校など六項目ですが、特別の措置を講じてもらいたいという要望があるようであります。また、これらについては災害対策特別委員会や地方行政委員会などでもいろいろと議論が行われている。しかし、最終的には大蔵省の姿勢の問題にかかわってくるということになるわけでありまして、これらのことに対して大蔵省として一体どういう姿勢でお考えになっているのか。いずれにしろ、大規模地震立法ができて最初の東海地震関係の強化地域の指定があって、鋭意取り組まなければならないという真剣な取り組みが各地方自治体で行われているという状況でございまして、ぜひ前向きに取り組んでいくようにしていただきたいというように思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  25. 禿河徹映

    禿河政府委員 大規模地震対策に必要な緊急施設整備事業につきまして、関係地方公共団体から国の特別の財政援助措置を講じてもらいたい、こういう御要望があることは私どもも承知いたしております。この点につきましては、ただいま国十庁の方から御答弁がございましたとおり、必要な事業の種類なりその規模なりというふうなものを中心といたしまして、現在関係省庁、国土庁を中心といたしまして検討をいたしておるところでございます。私ども財政当局といたしましては、その検討結果を待ちまして、所要の措置につきまして鋭意関係省庁と十分協議してまいりたい、かように考えております。
  26. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 最後に大臣の御所見を伺いたいのですが、いま言った問題はいままでこの国会でも、たしか四月八日だと思いますが、地方行政委員会で後藤田自治大臣が、大規模地震対策特別措置法による財政措置だけでは不十分であって、何か財政面での新しい立法措置を考えていかなければならないという前向きの答弁をされており言す。それから、何か新聞で伺いますと、与党自民党の地震対策特別委員会でも、この方向での要綱を作成して、これを討議して近く国会に提案したい、先ほど申し上げました病院、小中学校など六項目、補助率引き上げ、地方債の発行などですね、というようなことも議論をされているようであります。また、災害対策特別委員会でも、近く基本問題小委員会の中で近日中にこれを討議するという予定になっているようであります。地震の問題は保守、革新、与党、野党の色彩が違って発生するわけではありませんし、まさにこれは超党派で強力にやらなければならない問題ではないだろうかというふうに思うわけでありまして、特別いま問題となっている軍事費との兼ね合いとか言うわけではありませんけれども、やはり何かあった場合には何十倍、何百倍の被害になってはね返ってくるということになるわけであります。財政事情が厳しい中でありますけれども、国家百年の大計という立場から前向きにこれは取り組まれる問題ではないだろうか。ぜひ前向きにこの問題はやっていくという御所見を伺いたいわけであります。
  27. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題に関しましては、実は予算編成の際から国土庁長官からたびたび私に御要請があっておったところであります。具体的に閣議の席上で公式にも十二月二十七日でございますか国土庁長官から御発言がございまして、私から検討することを了承をいたします、こういうお答えをいたしております。国土庁長官の方では、むしろ予算編成と並行してでも財政措置等についてというぐらいな気持ちがあったようでございますけれども、現実そのことは予算編成をやっておるさなかに、これを大筋でもやるという時間的にも余裕がございませんでした。その後、国土庁中心でいろいろな議論がいま行われております。その結果を待って財政当局としてもこれに対応したいということになっておるわけでありますが、いま伊藤委員が御指摘のように、国会の中でも前向きな動きが今日行われておるやにこれも仄聞いたしておりますので、それらに適切に対応してまいりたいという考え方であります。
  28. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 終わります。
  29. 増岡博之

    増岡委員長 沢田広君。
  30. 沢田広

    ○沢田委員 時間が限られておりますので、簡潔に私の方も申し上げますが、簡潔にお答えいただきたいと思います。  今度の提案に当たりまして、民間の地震保険の案内書というものを見ますると、まず第一にお伺いいたしたいことは、時価の八〇%以上の損害ならば大体保険金は支払う、こういう原則は今後も変わりはないと解釈してよろしいですか。イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
  31. 松尾直良

    松尾政府委員 そのとおりでございます。
  32. 沢田広

    ○沢田委員 次に、法の施行は、非常に不確定要素を含んだ法案なんでありまして、自分の住んでいるところがどういうふうになって幾らの保険料になるのか、料金もきわめてあいまいで、言うならば裏側は全然わからぬ、こういう状況法案提出されているというきらいがあります。五つに分けると言われておりましたが、どこがどういうふうになるのかというのがわからない。一五%ぐらいな程度であろうと言われておりますが、果たしてそのとおり全部五万円が五万七千五百円ですかということになるのかどうか、これも不確実である。そういう法案提出の姿勢そのものに疑問があるのでありますが、これも簡潔に、どうしてこういう不確実な提案をしなければならなかったのか、その点お聞かせいただきたいと思います。
  33. 松尾直良

    松尾政府委員 保険料率の計算というのは大変膨大な時間のかかる作業でございまして、かつ先ほど伊藤委員の御質問にお答えしましたように、最近の地震理論等を見ながら何度か作業のやり直しをいたしておりまして、まず非常に時間がかかるものであるということが一つ。  それから、ほぼ数字が固まりつつございますけれども、私ども諸般の準備法案の御承認をいただいた後でないといろいろ動けないという面もございまして、若干おくれておるということで御了承いただきたいと思います。
  34. 沢田広

    ○沢田委員 了承と言うけれども、金額がわからないで物を買えということ自身が大体不可能なんじゃないですか。今日の政治状況は衆議院の段階では自民党の方が多数なんでありますから、大体の料金がどのぐらいになる、五等地はどういうふうに分かれる、そのぐらい明示して提案するのが法案体制、スタイルとしては当然のことじゃないですか。それを片側は膨大な検討があるから全然出せませんということで審議しろということ自身が少し無理なんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  35. 松尾直良

    松尾政府委員 裏側が全くないという御指摘、まことに私ども申しわけないと思っておりますが、五等地が具体的にどこかということ等でございますが、現在の一等地から三等地というこの数の多い方がいわば危険度の高いところでございまして、南関東、特に東京とか神奈川というのが五等地に入るということは大体過去の統計等から見て間違いないところであろうかと思うのでありますが、その区切り方等も含めまして確定をいたしておりませんので、お出しをしていないという段階でございます。
  36. 沢田広

    ○沢田委員 この法律は、被災者の生活の安定に寄与する、それから損害の程度については建物等の復旧に相当程度寄与する、こういう法律中身になっております。この一千万円が、現在の建物状況の中から見て、言うならば耐用年数を差し引いた残りの評価だと私は解するわけでありますが、新しく建て直します場合にも坪四十万円で二十五坪の家ができます、一千万円ということになれば。四十万円というのは今日の時価でありますから、相当な坪数になると考えられます。この一千万円が出てきた根拠、それからきょうはお答えいただかなくてもいいんですが、五百万の動産というのはきわめて膨大なものだと私は考えます。実際の庶民の生活の中に耐用年数を差し引いて五百万の動産を持っておる方は、それはあなた方はいるかもわかりませんが、一般の庶民ではとてもではないけれども私はいないと断言してもはばからないのです。そういう意味において、どこからそういう数字が出たのか、しかも五万円以上に及ぶ貴金属、象牙、書画骨とうというというものは除くということになっている、そういうことになりますと、何をもってこの五百万という数字が出てきたのかきわめて不審に思うのでありまして、これは後で資料を出していただきたい。五百万になるものは何と何と何を幾らに見て五百万になったのか。それから建物の一千万は、現在の固定資産評価額並びに全国の財政需要額を算定する根拠、それらから換算いたしまして一千万はどこから出した数字なのか、これも明らかにしていただきたい、これは後でいいんですが、明らかにしてくれるかどうか、それだけひとつお答えいただきます。
  37. 松尾直良

    松尾政府委員 それぞれいろいろな調査の結果出ました数字で、根拠等については御報告をいたします。  なお、一言だけお答えさせていただきますと、家財の五百万というのは非常に高いのではないか。これは後ほど資料で御説明をいたしたいと思いますが、俗に家財というのは大体その人の年収分ぐらいあると言われておりまして、五百万という数字は決して高い数字ではないというふうに考えております。
  38. 沢田広

    ○沢田委員 これは議論してもしょうがないですが、皆さんここにおられる人は五百万あると思っておられますか、あなたはあるかもしれませんが、一般の職員はそんなにあるわけじゃないんであります。そのことは大体事実に反する。あなた方がもし五百万収入があるとすれば、まさにこれは給与の問題に関係する、こういうふうに思いますから、これは後でやりたいと思います。  それから「保険料率は、収支の償う範囲内においてできる限り低いものでなければならない。」これも法律規定事項であります。「収支の償う範囲内においてできる限り」というこの収支、これもきょういまここで細かく回答してもらうことも時間的に困難なんでありますが、何をもって収支というか、それだけ一言お聞かせいただきたいと思います。
  39. 松尾直良

    松尾政府委員 この保険の募集あるいは不幸にして災害の発生した場合の支払い、それぞれ紙代でありますとか、保険会社の従業員の人件費、こういったコストがかかるわけでございまして、ここで言っております収支というのは、そのコストを償う、つまり利潤は認めない、こういう意味でございます。
  40. 沢田広

    ○沢田委員 それから、いままでは住宅総合保険長期総合保険自動附帯でありました。今後はこれも全部任意的になる、こう解してよろしいですか。いいですね、そういうことですね。
  41. 松尾直良

    松尾政府委員 そのとおりでございます。
  42. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、火災保険原則的にという、原則的にという言葉は法律用語としてはどちらにウエートがあるんですか。
  43. 松尾直良

    松尾政府委員 原則自動附帯原則の意味は、先ほどもちょっと申し上げましたように、黙っておれば附帯されるものを、自分地震保険については入らないという意思表示をすることによって地震保険を付加しないことができるということでございます。
  44. 沢田広

    ○沢田委員 火災保険一般的に相当膨大な金額になると思うのですね。そうしますと、その三〇%の下限を置いて、三〇%以下を認めないということはいかがなものか。たとえば一億ということはないかと思いますが、五千万なり七千万、こういうふうになった場合に、この三〇%の下限を設定することは、ある意味において強制になるんじゃないですか。実際にもらえない金額契約するということになるんじゃないですか。いかがでしょうか。
  45. 松尾直良

    松尾政府委員 現行制度が御案内のとおり三〇%一本で全く選択の余地がないことになっておりますが、この三〇%がどこから出てきたかと申しますと、四十一年当時におきまして、この地震保険を発足させるのにもう少し三〇より高いところが考えられた場合もございましたけれども、要はこの担保能力と申しますか、国、民間を通じての支払い能力との関係におきまして三〇%というのが決まった。しからば、それより小さいのはなぜいけないかということでございますが、この保険の目的というのが、やはり地震損害に応じまして建物、家屋というものを再建をする、そういう一助になるということでなければ保険の意味がないではないか。そういたしますと、通常の建物を念頭に置きますと、三〇%以下の細かい金額では余り意味がない。そういう意味で三〇を下限というふうに考えておるわけでございます。
  46. 沢田広

    ○沢田委員 現在全国の火災保険契約高は百八十六兆円です。それの三〇%としても五十四兆円ということになりますね。ですから、掛ける客体の金額によって三〇%というものは変わってくるわけですよ。しかし、もらえる金は一千万円でしょう、今度の場合でも。そうすると、一千万円以上のところの火災保険なら火災保険金額は、契約高が高くなれば自動的に上がっていくことになりますね、下限を置けば。だから、それは一千万円に見合うものであっていいんじゃないですか。
  47. 松尾直良

    松尾政府委員 ここでこの保険が対象にしておりますのは、御案内のとおり通常の家計火災保険と申しますか個人の住宅でございますので、そう何億円という邸宅というのはむしろまれな例ではなかろうか。現在火災保険の平均的な価格というのはどのぐらいかと申しますと、大体六百万台ぐらいが全体平均いたしますとなっておるようでございまして、おっしゃるような三〇%で一千万を超えるというような例はきわめて少ない方の例ではないかというふうに思います。
  48. 沢田広

    ○沢田委員 多い場合、やはりそれはよけいに納めろと、こういう意味ですか。
  49. 松尾直良

    松尾政府委員 たとえば、一億の邸宅をお持ちの方が三〇%というと三千万でございますけれども、上の限度を一千万といたしますので、一億の火災保険にお入りになりましても、地震保険については一千万が限度になる。したがいまして、それは当然一千万に対応する保険料でございます。
  50. 沢田広

    ○沢田委員 今後の地震によって、たとえば類焼をしたという場合は、この地震保険の場合には延焼損害を含みます、こういうふうに案内には入っております。これに基づいて申し上げますが、今度の法案審議に当たって、私も損保協会なり、ある会社なりに電話をかけて聞いたのですが、きわめて不親切ですね。まあ大蔵省自身も不親切だと私は思いますよ。とにかくいろいろな材料の提供をことさらに拒否とまでは言わぬけれども、ことさらに渋って、出してこない。審議に当たって大蔵省なりそれぞれ関係団体が、私だったから不親切だったのかもしれない、なめられたのかもわかりませんが、きわめてその点は憤慨にたえない。今後はそういうことのないように、ひとつ御注意を申し上げておきたいと思うのであります。  この法の施行日は、予定として大体いつごろを考えておられますか。
  51. 松尾直良

    松尾政府委員 これはできるだけ早いにこしたことはないというのが一般的な考え方でございますが、法律の御承認をいただきました後、政令、省令で規定すべき事項がございます。それから現実にこの事業方法書あるいは保険約款、それから先ほど来申しております査定体制等整備の問題がございますし、一番大事なことは、改正内容を正確に一般に知らせるという点、その前提といたしまして保険会社の社員なりあるいは代理店というものを十分教育をするということも必要でございますので、そうした時間というものを若干見なければならない。私どもといたしましては、できますならば七月一日ぐらいには何としてでも発足をいたしたいということで、業界等にもいろいろなそういう詰めを急がせておる段階でございます。
  52. 沢田広

    ○沢田委員 七月一日ならば、この国会終了までに料金なり五等地の区分なりを明確にして、継続審議で来議会に決めるということでも十分間に合うのじゃないかというような気もいたしますが、あえてここだけ、表側だけわれわれに承認をさせておいて、後は自分で勝手に色塗りをしようということは若干不信感を招くことになるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  53. 松尾直良

    松尾政府委員 地震というのがいつあるか、これはだれも予測のつかない問題でございまして、宮城沖地震以来の各方面の強い御要望がございますので、私どもといたしましては、一日も早く改正が実施に移されることが望ましいというふうに考えております。
  54. 沢田広

    ○沢田委員 私の方で、協会から出た資料では、現在加入件数五百四十万、ここにもあります五百四十万件。自動附帯住宅総合保険が四百万件、それから原則自動附帯が、いわゆる長期総合の方が五十万件、任意の附帯が、住宅火災等が八十万件、こういうことになっている。それからまた、現在の二等地と三等地の住宅と店舗つき住宅、これの戸数は該当しないのです。これはあなたの方でこの現在の一等地、二等地の居住住宅並びに店舗つき住宅の合計は幾らだと判断されておりますか。——それは後でお答えいただいて、建築基準関係で建設省を呼んでおりますから、その前にお答えをいただくことにいたします。  こういう地震保険ができまして、一等地、二等地というようなものができるわけでありますが、当然、建築基準法の方でも耐震条件というものを加えた建築指導というものが行われなければ整合性がないのではないか、こういうふうに思われます。ですから、耐火構造、簡易耐火構造あるいは不燃構造、防火構造、木造、こういうふうにそれぞれ類別しておりますが、今後どういう料金制度が生まれるかわかりませんけれども、いわゆる建築基準法の方は従前どおりほったらかしで、そして保険料率だけ上げたらいい、こういう発想では整合性がないのじゃないか。少なくとも建設省ではどういう対応をこれに伴ってしようとしているのか、その点ひとつお答えいただきたいと思うのです。
  55. 久保敏行

    ○久保説明員 御説明申し上げます。  地震防災対策につきましては、建設省といたしましても関心が非常にあるわけでございまして、過去の地震被害の例とか、最近の学術研究の進展の成果を取り入れまして近く建築基準法の耐震関係規定改正をすることにいたしております。これは簡単に申し上げますと、耐震関係基準を強化しようというものでございまして、詳細はチェックを従来よりもさらに詳しくする、こういうものでございます。しかし、この政令改正基準法のたてまえから申しまして、新しく建築される建物に適用されますので、既存の建築物に対しましては建物の耐震性を高めるために耐震の診断の基準とか改修する場合の設計の指針、こういうものを私どもは定めておりまして、この普及を図りまして建築物の耐震性を増大してまいりたい、このように考えております。
  56. 沢田広

    ○沢田委員 耐震性を強める場合に、たとえば現在の一等地については震度幾らまでを大体考えておられるわけですか。またこの震度も、縦揺れ、横揺れあるいは津波、それぞれ条件も違います。ですから、耐震条件を考える場合についても、非常に千変万化とまではいかなくても相当なケースを考えないとそれに対応できないだろうという気もいたします。しかし、想定し縛る従来の経験から見て、この程度のものをという一つの線はあるんじゃないかと思うのでありますが、ただいまのような抽象的なものじゃなくて、どの程度の耐震度に一等地なら一等地は条件を具備しなければならないのか、その点についてはどうお考えになっていますか。
  57. 久保敏行

    ○久保説明員 建築基準法の方では地震の強さにつきまして地域係数という考え方がございまして、過去の地震例から見まして耐震的な配慮を強くしなければならない地域とそうでないものというような分類をいたしておりますので、そちらの方で私どもはやっておるわけでございます。直接、この保険の一等地、二等地と基準法のこれとがリンクしておる、こういうものではございません。
  58. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、この地震保険ができても建築基準法の方では連動はしない、こういうことと解釈してよろしいですか。
  59. 久保敏行

    ○久保説明員 直接連動はいたしませんが、私どもは建築基準法の規定の方を守っていただくように行政指導等をするなり、あるいは法令を守っていただくということで耐震的な建築物が建てられるもの、こういうふうに考えておるわけでございます。
  60. 沢田広

    ○沢田委員 ついでに運輸省おいでいただいておりますが、一等地、二等地という危険地帯にありまする交通機関の基盤というもの、たとえば線路であるとかあるいは私鉄、国鉄、そういうものを含めて、あるいは船舶というものを含めて、その震度に耐え得る条件を具備していくということが必要な要件になってくるのではないか、そうでないと、一等地、二等地と決めた一つの意味もなくなってくるというふうな気がいたしますが、その辺、きょうレクチュアで来たときに初めて地震保険で一等地、二等地があるのを知りました、こういうようなことでチンプンカンプンであったことは事実なんであります。そうしますと、これは大蔵省保険業界は先行しているけれども、ほかの省は一向にチンプンカンプンであるということではきわめて一方的な法律体系ということになるわけであって、わざわざ何等地で危ないよと言って料金を国民から取っておきながら、一方はあほっと口をあいて上を見ているということではこれは済まされないのではないか、こういうことに考えます。これはお答をいただかなくてもいいと思うのですが、御注意を申し上げて、やはりそれは連動してそれぞれ対応する措置を講ずるべきである、もしこれ私の意見に御不満があるならお答えをいただきたいと思います。
  61. 片岡栄夫

    ○片岡説明員 ただいま先生指摘のように、運輸省におきましてはまだ十分な検討をいたしておりません。ただ、交通機関の安全性につきましては、路線の耐震力の調査、信号保安施設の信頼性の向上、路盤の強化、こういうような措置を講じておりまして、安全性につきましてはできる限りの対応をいたしております。それから、その他空港、港湾等の施設につきましても逐次整備を行いまして、地震の安全対策の確保に努めてまいるというようなことをいたしております。また、その一等地、二等地につきましては、今後関係省庁と連絡をとりまして検討させていただきたいと思っております。
  62. 沢田広

    ○沢田委員 あと大蔵の方にさっきの御回答をいただきますが、時間の関係でそれにつけ加えまして、一等地、二等地の認定には各省の意見が必ずしも一致していかない。一等地、二等地、この判定は庁内のそれぞれ意見を一致さしていくという仕組みをつくらなければ、一方の気象庁関係ではこう言っている——いまも地震があったようでありますが、どこが震源地かわかりませんけれども。ともかく、それに対する研究者、学者がそれぞれ皆意見が違う、こういう傾向がありますね。その点はどういうふうにお考えになっておられるか、お答えいただきたいと思います。
  63. 松尾直良

    松尾政府委員 先ほどの御質問、ちょっと手元に数字がなくて恐縮なんでございますが、全国の住宅戸数というものを必ずしも把握ができませんで、全国の三千五百万世帯というその世帯数を中心にいたしましてどの程度地震保険が普及しているかというようなことを把握いたしておりますので、その世帯数に応じてどうなっているかというような資料をまた別途御報告させていただきたいと思います。  それから、ただいまの等地区分の問題でございますが、これはどういう危険度でそういう等地区分が出てくるかということでございますが、私ども地震保険の料率の面で等地区分をいたしておりますのは、料率算定をする上におきまして地震保険の料率をどうやって算定をするかと申しますと、大変気の長い話でございますけれども、過去四百八十五年にさかのぼりまして、その間に記録されております地震すべてを取り上げて地震危険というものを全国の市区郡別に把握をするということが基礎になっております。これをまた県別にまとめた上でずっと順番をつけまして、それを現在でございますと三つに切っておりますのを五つに切る、こういう手法をいたしております。したがいまして、たとえば近々五年とか十年以内にどこの地域が一番危険であるとか、そういうことではなくて、より長期のレンジにおいて把握をしておるものでございますので、目的によってそこのところは若干変わってくる面もあるのじゃなかろうか。したがいまして、すべての省庁につきまして同じような区分を使うということが必ずしも適当でない場合もあるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  64. 沢田広

    ○沢田委員 時間がないのでありますが、警戒宣言の発令というのは、法律的にはどういう方法で告示するものをもって警戒宣言というのか、それから法律的に解除するというのはどういう方法左もって解除することをいうのか。同時に、たとえば火災保険の申し込みをした場合には、地震保険は発令後は加入できない、火災保険加入できる、こういうふうに解釈していいのかどうかということ。二点をお答えいただきたいと思います。
  65. 松尾直良

    松尾政府委員 これは私の方の直接の所管でございませんのでなにでございますが、「警戒宣言が発せられたとき」というのが私どもの法律で崇められておりますが、しからばその「とき」というのはどのようにして、客観的に確定されるのか、こういう御趣旨かと思いますが、これは大規模地震対策特別措置法によりまして内閣総理大臣が警戒宣言を発する、それの具体的な国民への周知の方法というものは、私ども伺っておるところによりますと、警戒宣言を発すると、間髪を入れずと申しますか、内閣総理大臣もしくは官房長官が記者会見を行ってそれをラジオ、テレビ、全国の電波に乗せるという方法において客観的に公示されるというふうに承っておりますので、その意味におきまして、「警戒宣言が発せられたとき」というのは、具体的に何時何分ということで明瞭であろうかと考えております。  それからどのような場合に解除されるのかということは、私ども承知しておりますところでは、そういう危険が去ったという判断がありましたときに解除されるものだ思いますが、同様の方法において周知されるものと考えております。  それから、警戒宣言が発せられたときに保険の引き受けができないということをこの法律規定しておりますのは、まさに地震保険についてのみでございます。
  66. 沢田広

    ○沢田委員 時間の関係で最後になりましたが、地震保険というようなものによって、延焼は含まれるけれども、地震の直接の被害によって生命がなくなるというような場合には、これは生命保険だけに依存するという発想であると理解してよろしいですか。
  67. 松尾直良

    松尾政府委員 生命保険の場合、御指摘のとおり、それが地震による死亡が生命保険の対象になることは当然でございますが、なお、その他各種の傷害保険等につきまして、物によりまして地震特約がついておるもの、あるいは地震てん補されないもの、いろいろございますので、生命保険のみであるということではなかろうと思いますが、どれとどれがほかにあり得るかということをいま直ちにお答えする自信がちょっとございませんが、ほかにも地震によっててん補される場合があり得るというふうに考えております。
  68. 沢田広

    ○沢田委員 最後に、これの財政の収支状況、事業報告、それから現在大蔵省が出しております広報の中にも、これは特別会計としてやっておられるそうでありますが、損保協会などにおいてもなかなか資料を提供しないようでありますが、今後は大蔵省で出しております書類の中に、国民に周知し得る条件、そういうものをつくるように別項として起こして、地震保険についての財政の収支状況は次のとおりであるというようなものと、料率その他についても一応それぞれのときに応じて掲載をしていただく、こういうことをまず願ってやみません。  それから、私は民力調査の資料で見たのですが、一等地、二等地の居住者の戸数は六十三万戸なんであります。それがなぜ五百四十万戸にふくれたかということになりますと、言うなれば保険外交のあり方というものも問われる一面があるのではないかという気もいたしますし、あるいは保険外交のあり方等についても十分行政指導に遺憾なきを期せられるよう心から願って、質問を終わりたいと思います。  以上です。
  69. 増岡博之

    増岡委員長 柴田弘君。
  70. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 ただいま提案をされております地震保険法の一部を改正する法律案につきまして質問します。  それで、いまお二方からいろいろとお話が出まして、大要私がお聞きしたいということもほぼ出尽くした感があるわけでありますが、別の角度から数点にわたってお尋ねをしていきたいと思います。  まず第一は、今回の制度改正一定の前進であるというふうに私も承知をいたすわけでありますが、問題は、こういった制度改正がなされて、消費者に対する普及、これは私は一つの大きな問題ではないか、このように思います。特にこの地震保険の普及という問題は、地震による被災者の生活の安定あるいは地震保険制度の安定的な運営を図る、こういった意味においても大事なことではないかということを私は感ずるわけでありますが、その辺の点につきまして、まず大蔵当局としてどうお考えになるか、お尋ねをしておきたいと思います。
  71. 松尾直良

    松尾政府委員 この新しい地震保険、今国会で御承認いただきましたならば、できるだけ早く実施に移したいと考えておるわけでございますが、一番大事なことは、正しいPRと申しますか内容を正確に国民一般と申しますか契約者の皆さんにお知らせをするということが大事であろうかと思うのであります。  そのために考えておりますことは、まず改正内容地震保険内容がどう変わるかということを含めまして、いろいろなルートがあるかと思うのでございますけれども、一つは、全国的な広報媒体であります新聞等を通じての広報ということがございます。それから大事なことは、やはり現実保険契約が結ばれる第一線でありますところの問題であろうかと思うのでありますが、契約は現在損害保険につきましては最も多いのは代理店を通ずる契約でございまして、火災保険に例をとりますと七五%ぐらいが代理店を通ずる契約になっておりますので、保険会社の社員はもちろんのことでありますが、こういった代理店に対しましても制度の仕組みについて十分教育をしていくということが先決であろうかと思っております。
  72. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それで、いまの教育の問題でありますが、私もいろいろ調査をしたわけであります。損害保険特別統計号の五十四年版によりますと、全国のノンマリーン、つまり海上保険、運送保険以外の代理店、火災保険、自動車保険、あるいはその他の新種保険などの代理店の数が、昭和五十四年三月三十一日の統計によりますと、二十四万一千八百八十七店舗あるわけです。その種別を見てまいりますと、一つは特別総合代理店、これは大会社の別働隊というようなものですね。二つ目には総合一種の代理店、これは一般大衆分野を対象とする代理店ですね。第三が総合二種の代理店、これも一般大衆を対象とするのですが、これは火災保険以外を担当する。第四が普通の代理店、これは主に一人でやっている。第五が初級の代理店、これはもう代理店になったばかり。  こういうことで、特別総合代理店あるいは総合一種、二種までは何とかいいと思うわけでありますが、この数が三万七千六百十三店、これの保険料売り上げは全体の一兆五千二百二十七億の七一・五%の一兆八十九億円。それから問題は、第四番目、第五番目の普通代理店、初級代理店の数が全体の八四%の二十万四千二百七十四店で、その売り上げが四千三百三十六億円、一店当たり二百十二万二千九百十三円の売り上げで、収入手数料一八%と見ていった場合に、年間手数料三十八万二千百二十四円、こういう計算になるわけであります。ちなみに昭和五十年度一年間の代理店の廃止の状況を見てまいりますと、二万六千二百六十八店廃止になっておりますが、その五一%は他業多忙の理由である、こういうようなことであります。  こういう点はもちろん大蔵省としてもつかんでおみえになりますが、私はこういった現状を考えてまいった場合に、いま御答弁がありましたように、その教育をやっていくということでありますけれども、七月一日にこれを施行されるということで、二月足らずの間に果たしていま御答弁があったような普及という問題を将来考えていった場合に、十分な対応ができるかどうかということを、正直申しまして非常に憂慮しているわけです。こういった点についてもし納得のできるお考えがあれば、ただ教育をしていきますよということでなくて、こういうふうにやっていくんだ、具体的にはこうやっていくんだというものを、もしお考えがあればお示しをいただきたいというふうに思います。
  73. 松尾直良

    松尾政府委員 御指摘のとおり、現在、代理店の中で多いのは、非常に小規模な、兼業でやっておるものの数が非常に多いわけでございます。  この地震保険火災保険に限りませんで、損害保険というのは、かつては主体は企業保険でございましたけれども、今日は、自動車保険あるいは各種の傷害保険であるとか、損害保険におきましても大衆分野というのがむしろ主流を占めつつあるわけでございまして、そういった中でこの代理店というのが具体的な募集の第一線に立つわけでありますので、この代理店というものが、しっかりした代理店と申しますか、商品内容を十分に知っておって、契約者に対して十分説明のできるような、プロと申しますか、そういう代理店を育成をしていくということがきわめて緊急の課題でございます。  この代理店制度につきましては、四十八年にノンマリーン代理店制度というものをつくりまして、ただいま先生がおっしゃいましたようないろいろな種別を設けて、種別ごとの資格要件、あるいはそれに従事する人につきましていろいろ研修を受けさせた上で試験を受けさせる、これは損害保険協会が行っております試験でございますけれども、試験を行って一定の点数を取った者に初めて資格を与えるというようなことを始めまして、以来数年たっておるわけであります。  これを、もっと代理店の質を向上させることが望ましいということで、昨年来この代理店制度につきましていろいろ検討してまいりまして、逐次いま手をつけつつあるのでございますけれども、代理店の種別の資格要件あるいはそれに従事する人の資格要件、こういうものをだんだん厳しくしていくことによって専業のしっかりした代理店を育成をしていこうということをいたしておるわけでございます。  現実の問題といたしまして、非常に小規模の副業の代理店が多いというのは事実でございまして、そういう中にはいろいろな人がおるわけでございますけれども、地方へ参りますと、やはりある一帯の火災保険だけをとっておる代理店というような方、そういう方はときにはかなり年配の方でありまして、代々この火災保険契約をとっておるというような、いわば小遣い銭程度の営業をしておるというところ、そういう人たちに直ちに代理店をやめろというわけにもいきませんので、漸進的にこの質を高めていくということで今後とも努力をしていきたいと考えております。
  74. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 どうか消費者ニーズに対応できる、そういった対応をひとつお願いをしたい、これを要望しておきます。  次に、てん補される損害範囲ということでいまも議論があったわけでありますが、今回の制度改正によって半損に至らないもの、半損ということは、いまの統一基準を設けて——いまも議論を聞いておりまして私もあいまいだなと思いましたのですが、それはそれといたしまして、しからば、この半損に至らない、いま答弁がありましたように、要するに家の主要構造部分の損害がその二〇%に満たないものについて、これはやはり今後また大きな問題点になるのではないか、これが今回の制度改正によってはてん補の対象にならないわけですが、これはどういうふうにお考えになっているか、この辺をひとつお示しをいただきたいと思います。
  75. 松尾直良

    松尾政府委員 宮城沖地震の後、この部分損害を何とか地震保険制度に乗せるべきであるという声が一般的になってまいりまして、それを受けて私ども保険審議会で十分御討議をいただいたわけですが、その場合に、部分損害をどこまで見るかということが非常に大きな問題の一つでございました。先ほども申しましたように、今回、半損ということを踏み切りましたのは、国の災害査定におきまして半損までは公的な証明が出されておるということに着目をいたしまして、半損までならば大量の査定事務というものが可能であるという前提から、半損までこれをてん補するということを取り入れたわけでございます。     〔委員長退席、稲村(利)委員長代理着席〕 半損まで至らない小規模損害というのは、半損よりもさらに件数が何倍もあるということが考えられるわけでございまして、いろいろ審議会で討議をいただきましたが、この査定能力の問題、こういった点で適当な解決方法がない現在、やはりそういうものを対象とすることは不可能である、まあこういう結論でございまして、私どもも現実に考えますと、やはりそういう半損までしか処理できないというふうに判断をいたしたわけでございます。
  76. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 つまり、現在の時点ではもうだめだ、だけれども今後はやはりそれは検討しなければならないというふうに当局は考えてみえるかどうかということです。  それからもう一つ警戒宣言が発せられた場合に、いわゆる新規契約というのですか、これは締結できない、これは私も理解をするわけです。しからば、既存の契約でたまたま保険期間が満了となったものについて、これは締結できないのかどうか。もしその場合に締結できるとしたならば、その条件はどうか、この辺どうでしょう。
  77. 松尾直良

    松尾政府委員 その小規模部分損害の問題というのが解決できなくて残っておるということは、私どもも十分意識をいたしておるということでございます。  それから、警戒宣言が発せられた場合に既存の契約の期限が来たときにはどうなるのかということでございますが、これは全く新しい契約につきましては引き受けないということでございまして、既存の契約の期限が来たものの更改、更新ということにつきましては、当然これは可能であるということで措置をいたしております。
  78. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それでは次に進みたいと思いますが、きょうは国土庁も気象庁もお見えになっておりますので、お尋ねをしてまいりたいと思います。  私はやはりこういった地震保険制度改正も必要でありますが、まず、何と申しましても地震の対策というのは、今後どのような地震が起きた場合にも、事前に対応策を整えておくということが必要ではないか、こういうふうに思います。  そういった観点でまた数点にわたってお尋ねしていきたいわけでありますが、地震予知の問題であります。この地震予知を事前にすることができれば、地震による被害が大幅に軽減されるのは当然のことであるわけであります。     〔稲村(利)委員長代理退席、委員長着席〕 それで、東海地震の問題がいま大きくクローズアップされておりますが、この予知の可能性というもの、これは率直に言ってどの程度お考えになっているのか、あるいはまた、そういった地震予知の情報がどのような内容で国民や防災機関に伝えられるのか、その可能性と、その伝達の方法について、簡潔で結構ですから、お伺いをしたいと思います。
  79. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 地震予知技術は、現在のところ研究段階でございます。しかしながら、研究段階であっても、非常に大きいいわゆるマグニチュード八クラスを私たちは大規模と申しておりますが、その発生される地域についていろんな種類の観測網を敷きまして、その中には地震計もございますし、それから地殻変動、土地の上下をはかる機械とか、あるいは地磁気をはかる機械とか、いろんな機械をそこに展開いたしまして、そのデータを常時監視いたします。そうしますと、大規模地震になればなるほど前兆があらわれやすいわけでございます。そのあらわれやすい前兆を使いますと、これは地震の予知が可能でございます。しかしながら、現在どの程度の可能性、いわゆる確率のことかもしれませんが、残念ながら私たちは地震予知を実際に経験したことはございません。中国はあると私たちは聞いております。したがって、私たちがどの程度のもので地震がつかめるかということは、ここで数量的に言うことはできません。百発百中ということはできませんけれども、やはり二、三回たとえば空振りといいますか、そういうことがあっても、その次には恐らく成功するだろうという私たちの確信というか、そういう方向で私たちはいろんな整備をしているわけでございます。
  80. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 これはきわめてユニークなことを申してなんでございますが、現在、地震予知のための基礎的な判断というのは、地震防災対策強化地域判定会の六人の専門学者によって行われておるのですね。これはあくまでも初歩段階のものであり、あるいはまた経過措置であるというふうに考えるわけであります。したがって、将来的には天気予報と同じように、気象庁において専門的に地震予報を担当する地震予報官というものを配置するということが私は今後の大きな課題になってくる、このように考えます。この点の基本方針、取り組み、こういった点につきまして、長期的な観点から、もし気象庁としての御見解があれば伺っておきたい、このように思います。
  81. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  現在の技術水準から申しまして、やはり学問研究の段階であることは、先ほども申しましたとおりでございます。したがって、気象庁の中におきましては、現在地震防災対策強化地域判定会というのを学者の先生六人をもって、構成されまして、地震判定を行っておるわけで、現在のところこれが最良、最善の方法であろうと私たちは思っておるわけであります。しかしながら、地震予知技術というのは、将来恐らく日進月歩といいますか、どんどん発展していくだろうと私たちは思っているわけでございます。私たちは現在測地学審議会とかあるいは地震予知推進本部とか、その他地震予知体制全体の中で十分検討した上で、長期的な展望をもって気象庁は独自に短期的な予知、これは大震法の中で短期的な予知を、気象庁が現在大規模地震について全責任を持っておるわけでありますが、そういう短期的な予知について将来気象庁としては責任を持つ方向で考えていきたいと私たちは思っております。
  82. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そうすると、そういった予報官というようなものも将来展望としては考えていく、こういうふうに理解してよろしいわけですね。  それで、続いて大規模地震対策特別措置法の具体的な推進ということについてお尋ねをしたいわけであります。  この中で、地震防災計画の作成状況というものでありますが、これは国がまず防災基本計画を作成する、こういうことになっておりまして、これは五十四年九月に作成をされた。これを受けて各省庁が防災業務計画の修正あるいはまた県や市町村が地震防災強化計画の作成あるいはまた、強化区域内の民間事業所が地震防災応急計画の作成を義務づけられているわけであります。この民間の作成する応急計画の作成期限、これは地域指定から六カ月以内とされている。それで、昨年の八月に地域指定が行われましてすでに半年たちまして、たしかこの二月六日がその期限切れであった、このように思います。  それでお尋ねしたいのは、民間の応急計画の作成状況というのは、きわめてその作成がおくれているのではないか。未作成の事業所というものが相当多いのじゃないか、私はこういうふうに思うわけでありますが、現在どのような進行状況であって、もう期限切れになったわけでありますが、今後どのような形で御指導なさっていくのか、この点をお伺いをしておきたいわけです。
  83. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明を申し上げます。  ただいまお尋ねの、地震防災対策強化地域内におきまして、病院、劇場、百貨店、店舗等、爆発物、危険物等の管理者等につきましては、応急計画の作成義務があるわけでございます。百七十市町村の中でそれらの対象と申しますか、作成義務事業所の数は二万五千でございます。そのうちすでに作成を了し、もしくは届け出をやっておりますものが一万一千強でございます。届け出率といたしましては四四%を少し超えておる状況かと思います。  御指摘のように、強化地域の指定は昨年の八月に行いましたので、ことしの二月がその期限でございまして、なお未提出のものにつきましては、市町村それぞれの監督省庁を通じまして、できるだけ早く提出をされますように督励をしてまいる所存でございます。
  84. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 続きまして、いまも質疑があったわけでありますが、大事なことでありますので、重ねてお尋ねをしてまいりたいと思います。  東海地震の対策に対する財政特例措置の問題であります。実は私も愛知県でありますので、この強化地域の指定の中に入っておるわけであります。それで、要望書の、この資料を見てまいりますと、先ほどもお話がありましたように、総事業費が五千五百十五億円、国の負担分が二千百六十億円から三千百八十億円に改善をしていただきたい、千二十億円の増額、こういうことになるわけであります。それにつれて県、市町村が減るわけでありますが、いまも大臣から、適切な措置をとっていきたい、こういう御答弁をいただいたわけでありますが、これは財政特例措置だけで解決をされる方向であるのか、あるいは法案提出という問題を含めてお考えになっているのか、これは国土庁もお見えになっておりますので、その辺のところもお尋ねしておきたいわけでありますが、いずれにいたしましても、五十五年度予算編成のときに、大臣と国土庁長官の間でそういったお語し合いがあった、こういうことでありますが、その辺の理解についてはどのように考えていったらいいのか、ひとつお伺いをしたい、このように考えております。
  85. 城野好樹

    ○城野説明員 地震防災対策強化地域に係ります緊急整備事業につきましては、先ほども御説明を申し上げましたとおり、すでに指定をされました政令の指定事業、これは避難地、避難路、消防用施設等でございますが、それに加えまして公共団体の方から強い要望のございます学校、病院、社会福祉施設、津波危険の防止施設、地すべり等の防止施設等につきまして事業量の突き合わせを関係各省に行っていただいてようやく五千五百億という数字が上がってきた段階でございます。今後それらの財政負担ということにつきましても検討を進めまして、できるだけ早く検討を了した上適切な措置をとっていただきますように関係省庁に働きかけてまいりたいと思っておる次第でございます。
  86. 竹下登

    竹下国務大臣 先ほどもお答えしたところでございますが、ちょっと私が間違えておりましたので、五十四年十二月二十七日には、これは閣議の席上ではございませんでした。最終的な予算の大臣折衝の席上でございました。  それで、国土庁長官から大規模地震対策として必要な緊急施設整備事業に関する国の特別財政援助措置に係る関係地方公共団体の要望については、早急に関係省庁間において必要な事業の種類及び規模、各種五カ年計画との関係、地方財政に及ぼす影響等について検討を行い、その結論を得た段階で可及的速やかに所要の措置を講ずることとしたい、御協力をお願い申し上げる、概要そのような御発言がございまして、私から、検討することを了承をいたします、こういうふうに正確にお答えをいたしたわけであります。  したがいまして、いま国土庁からお答えがございましたような線で目下まさに鋭意関係省庁で検討が詰められつつある段階でございますので、その検討の結果を踏まえてこれに対しては適切な処置を行う、こういうことはお約束できることであるというふうに考えております。
  87. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 あと時間が少なくなってまいりましたので、法案外の質問でまことに申しわけありませんが、大蔵大臣お越しでございますので、私は、名古屋オリンピックの誘致の問題につきまして大臣の御見解をお尋ねをしていきたい、このように思います。  五月六日の日にこの名古屋オリンピック誘致に関します閣僚会議が行われまして地元の要望を聞いていただいた、こういうことであります。その中で、新聞の報ずるところによりますと、まず招致を決定し、その財源対策を詰める方向が現実的である、こういうふうに政府見解が出されたとのことでございます。それで私がお尋ねしたいのは、一つは、招致の閣僚会議というものが設置をされて第一回の会合を開かれ、地元の要望というものを聞かれたということは、つまり一九八八年の名古屋オリンピックの問題について政府としてゴーサインが出たと理解をしていいのか。これを特に財政当局である大蔵大臣に、この辺の理解をそのようにしていいのかどうかということをまずお尋ねをしていきたい、このように思います。
  88. 竹下登

    竹下国務大臣 一九八八年の第二十四回オリンピック大会を名古屋に招致する問題につきまして、五月六日に関係閣僚会議が開かれました。そして、愛知県知事さん、市長さん、それから三重県、岐阜県、さらに市議会の議長さんといったようなお方からかなり詳しくこの問題についての御要請がございました。それを聴取いたしたわけでございますが、率直に申しまして、公共事業でございますとか、いろいろな点について財政等問題が存在する。したがって、関係省庁の事務レベルで一週問題点を詰めた上で検討を進めることにしようという結論にいたしたわけでございますので、この閣僚会議の結論というものは、これはかみしもを着て申しますならば、事務的な検討を待って出すことになっておりますので、今後の日程がまだ決まっていないという段階でございますので、いわゆるゴーサインが出たという認識をいただける段階にまではまだ途中にある、こういうふうに理解をしていただいた方が正確であろうと思います。
  89. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そうだろうと思います。そうしますと、大臣、事務当局でそういった財政問題等々を煮詰められ、財政的にも非常に大きな負担があるんだ、こういうふうな結論になった場合には、ゴーサインは閣僚会議では出ないということも考えていっていいのかどうか、その辺はどうでしょうか。
  90. 竹下登

    竹下国務大臣 いまオリンピック問題につきまして必ずしも明るい話題ばかりないというようなときに、また私が初めから出ない場合があり得るということを申しましても、これもまた余り明るくなかろうと思いますので、出る場合も出ない場合も含めてまだ途中の段階にある、こういうふうにお答えした方が適切であろうかと思います。
  91. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 よくわかりました。  先日、このようなことを申してなんでございますが、大平総理が名古屋にお見えになりました。そうして、そういった閣僚に検討を指示する、このような意味の発言を、私の記憶に間違いがなければなされたわけであります。そういったことがマスコミに報道されまして、少なくとも愛知県民、名古屋市民あるいはまた岐阜、三重等の三県一市のこのオリンピック誘致に対して非常に熱意を持ってみえる方はそれ相応の評価をしているということは、これまた事実であるということです。ですから、いま大臣の御答弁よくわかりましたので、ただ、ただいまペンディングである、そのいろいろな問題を検討してゴーサインが出ない場合がある、こういうふうに私も理解をしたわけでありますが、ただ言えますことは、大臣、名古屋市と愛知県で世論調査をやりました。大臣もよく御承知かと思いますが、名古屋市の場合は六五%賛成です。それから愛知県の場合は六六%、これが誘致に賛成だ、こういう点も含めてよく考えていただくと同時に、もう一つ、このオリンピックというのはただ名古屋の、あるいは愛知の、東海三県の地域エゴではない。一つの国家的な事業をたまたま名古屋を中心とした三県一市でやるんだ、こういう点も大臣にもよく理解をいただきたいと思います。一番問題は、そういった地元民の皆さん方の意見をよく理解をしていただきまして、財政当局としても今後ともそういった適切な措置、適切な対応というものを私はしていただきたい、これを重ねて強く要望したい、このように思っております。地元のそういった考え方、地元の要望ということについての大臣の御見解を、簡単で結構ですから、お伺いをして、私の質問を終わりたい、このように思います。ひとつよろしくお願いいたします。
  92. 竹下登

    竹下国務大臣 名古屋市、愛知県のみならず岐阜県、三重県、いろいろ自分たちの財政上の工夫も総合して、超党派で取り組んでいらっしゃる課題であるということだけは十分認識しておるつもりであります。
  93. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 終わります。
  94. 増岡博之

    増岡委員長 次回は、明九日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十一分散会      ————◇—————