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1980-04-24 第91回国会 衆議院 大蔵委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月二十四日(木曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君    理事 愛知 和男君 理事 稲村 利幸君    理事 高鳥  修君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 坂口  力君 理事 正森 成二君    理事 竹本 孫一君       麻生 太郎君    越智 伊平君       大村 襄治君    瓦   力君       工藤  巖君    熊川 次男君       椎名 素夫君    白川 勝彦君       谷  洋一君    玉生 孝久君       中村正三郎君    林  義郎君       藤井 勝志君    坊  秀男君       村上 茂利君    毛利 松平君       山口シヅエ君    山崎武三郎君       山本 幸雄君    伊藤  茂君       川口 大助君    沢田  広君       山田 芳治君    柴田  弘君       古川 雅司君    宮地 正介君       山田 英介君    多田 光雄君       渡辺  貢君    玉置 一弥君  出席国務大臣         大蔵大臣臨時代         理       正示啓次郎君         通商産業大臣  佐々木義武君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房審議官   高岡 敬展君         大蔵政務次官  小泉純一郎君         大蔵大臣官房審         議官      福田 幸弘君         大蔵省主計局次         長       西垣  昭君         大蔵省主税局長 高橋  元君         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君         工業技術院長  石坂 誠一君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁次長     古田 徳昌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 安田 佳三君  委員外出席者         環境庁自然保護         局保護管理課長 田村久仁夫君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   熊川 次男君     谷  洋一君   白川 勝彦君     瓦   力君   山口シヅエ君     工藤  巖君   山中 貞則君     越智 伊平君   柴田  弘君     山田 英介君 同日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     山中 貞則君   瓦   力君     白川 勝彦君   工藤  巖君     山口シヅエ君   谷  洋一君     熊川 次男君   山田 英介君     柴田  弘君     ————————————— 四月二十三日  金融機関週休二日制実施に関する請願(岡田  利春君紹介)(第四五四二号)  一般消費税導入反対及び不公平税制の改善に  関する請願瀬野栄次郎紹介)(第四五四三  号)  金融機関等週休二日制実施に関する請願(中  村茂紹介)(第四五四四号)  一般消費税新設反対に関する請願外一件(池  田克也紹介)(第四五四五号)  同(石田幸四郎紹介)(第四五四六号)  同(柴田弘紹介)(第四五四七号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四五四八号)  同(中村茂紹介)(第四五四九号)  同外一件(伏木和雄紹介)(第四五五〇号)  同(堀昌雄紹介)(第四五五一号)  同(沖本泰幸紹介)(第四六五三号)  同(鍛冶清紹介)(第四六五四号)  同(金子みつ紹介)(第四六五五号)  同(沢田広紹介)(第四六五六号)  同(薮仲義彦紹介)(第四六五七号)  重度重複身体障害者使用自動車に対する地方道  路税免除等に関する請願小野信一紹介)(  第四六五八号)  サラリーマン金融業規制法制定促進に関する  請願多田光雄紹介)(第四六五九号)  同(中林佳子紹介)(第四六六〇号)  同(正森成二君紹介)(第四六六一号)  同(渡辺貢紹介)(第四六六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電源開発促進税法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四〇号)  電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油  対策特別会計法の一部を改正する法律案(内閣  提出第四一号)      ————◇—————
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより会議を開きます。  電源開発促進税法の一部を改正する法律案及び電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  3. 沢田広

    沢田委員 非常に日程が詰まっているようでありますから、私の方もかいつまんだ質問にしてまいりますが、回答の方は適切にひとつお答えをいただくよう、まずもってお願いをいたします。  最初に、昭和四十五年、高度成長のころから石炭をやめまして、言うならば石油の一辺倒的な、原子力は別といたしまして、石油に依存を非常に強めてまいったわけでありますが、その当時から石油に対する資源見通しというものは多くの学者から言われておったわけでありますので、当然承知を、いま大臣承知をしておったとは言い切れませんけれども、少なくとも機関としては当時から予測し得た事情であったのではないか、こういうふうに思われますが、いかがでしょうか。     〔委員長退席稲村(利)委員長代理着席
  4. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いわゆる資源有限時代というものを唱えましたのはローマ・クラブからだったと思いますけれども、その当時から資源問題が大変識者の注目を引くようになりまして、通産省といたしましても資源エネルギー担当省でございますので、将来等も考えて真剣に対策をせなければいかぬということで、第一次ショック以前からも研究を進めておったところでございます。
  5. 沢田広

    沢田委員 とすれば、当時からこの代替エネルギー対応の仕方、それから当時の見通しというものを具体的に国民の前に今日に至る前に提案をし、あるいはコンセンサスを得る、こういう措置を講じなければならなかったのではないか、こういうふうに思われますが、いかがですか。
  6. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもも、先ほど大臣お答え申し上げましたとおりに資源有限時代ということに備えまして、特に第一次の石油ショックのございました昭和四十八年以降、そういう考え方のもとに政策を進めてまいったつもりでございます。  たとえて申し上げますと、太陽エネルギーあるいは地熱エネルギーあるいは石炭エネルギー等につきましての新エネルギーとしての技術開発、これは通称サンシャイン計画と申しておりますけれども、そういった計画を発足させまして鋭意研究開発を進めてまいったわけでございますが、御指摘のございましたように、必ずしも万全の効果があらわれたというわけにはいかないわけでございますので、そういうことも踏まえまして今後飛躍的な代替エネルギー開発に取り組みたいということで、現在御審議お願いいたしております二法を上程させていただいた次第でございます。
  7. 沢田広

    沢田委員 飛躍的な充実ということでありますが、そうしますと、いままでの立地環境整備の費用を別にいたしますと、二十一銭幾ら、これはコンスタントに今後この値段でずっと十年なりを経過するということで、これ以上膨張する考えはない、こういうふうに判断をしてよろしいでしょうか。
  8. 森山信吾

    森山(信)政府委員 エネルギー政策を担当いたしております私ども立場から申し上げますと、昭和五十五年度から昭和六十五年度までの十一年間に三兆円の財源お願いしたいというふうに考えておるわけでございまして、ただいま先生の御指摘になりました電源開発促進税関係につきましては、その半分の一兆五千億ということを期待いたしておるわけでございまして、この法案が成立させていただきました暁には、それを財源といたしまして、先ほど申し上げました飛躍的な代替エネルギー開発に取り組みをいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 沢田広

    沢田委員 そうしますと、三兆円の残りの一兆五千億はどこから出すのかということが一つ。それから電源開発株式会社等あるいは電力会社等が行っておりまするこの開発計画、そういうものについてはどういうような対応の仕方をするのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
  10. 森山信吾

    森山(信)政府委員 三兆円の残りの一兆五千億につきましては、石油税使途拡大で賄いたいというふうに私どもお願いをしておるわけでございます。  それから二番目に御指摘のございました電源開発株式会社あるいは九電力等研究開発との関係はどうなるかという御質問に対しましては、そもそも代替エネルギー開発は基礎的な研究段階から実用化段階までいろいろなプロセスがあるわけでございます。私どもが今回代替エネルギー開発に取り組みたいと思っておりますのは、基礎的な研究が進みまして実用化を急速に促進する必要があると思われるものにつきまして、新エネルギー開発機構でその加速をするという役割りを果たさせていただきたいというわけでありまして、代替エネルギー開発全部を分担するというわけではないわけでございまして、あくまでも基礎的な研究あるいは具体的に実用化をするものは大学あるいは民間研究機関、それから企業化は具体的に各企業ベース分担をしていただく、こういう関係になろうかというふうに考えます。
  11. 沢田広

    沢田委員 政府はどうなのですか。
  12. 森山信吾

    森山(信)政府委員 政府につきましては、いま御審議お願いいたしております財源ベースにいたしまして、代替エネルギー開発のための新エネルギー開発機構というものをつくらせていただきまして、それをベースにいたしまして代替エネルギー開発の飛躍的な推進を図らせていただきたいということでございますが、別途基礎的な研究につきましては、従来工業技術院等その他の政府関係機関試験研究所等で行っておりました研究は今後とも継続させていただきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  13. 沢田広

    沢田委員 これは大臣の方にお伺いしますが、いま通過をいたしました法律案に基づいて今後の石油代替エネルギー開発をやるということになるわけでありますが、財源の問題はさておいて、こういうふうに民間ばらばら開発計画を立てている、あるいはそれぞれがばらばらでやっている。そして政府政府でまたこれも別のベースでやっていく。これが効率的な代替エネルギー開発効果があると思われますか。
  14. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 おっしゃるように、従来は中心になってこれを推進する機関というものはなかったわけでございまして、官、民、学ともそれぞれそれぞれの分野で進めておったわけでございますが、これを大々的に大きく育てようとしますと、どうしても財源の問題あるいは機構問題等中心の課題になってまいりますので、この法律で定めたような機構をつくりまして、そして学、民の活力ある応援も得まして、中枢機関としてこの問題に取り組んでいくという体制を初めて今度つくったわけでございます。
  15. 沢田広

    沢田委員 そうすると、確認をしますと、今後はこの法律による資本金四十七億を持つ総合開発機構、こういうものが民間ばらばらになっている開発計画とかそういうものをすべて吸収といいますか統合といいますか、あるいは組織的に一緒にするという言葉が適切かどうかわかりませんが、そういうものを集約して、一本化の中でそれぞれの分担に応じて、まあプロジェクトをつくるつくらないは別としまして、その中ですべて代替エネルギーの問題は処理していく。ただし、原子力の問題は一応分離して私も質問しているつもりですから、それは分離して行っていく、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
  16. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 純粋な基礎研究等はこの機関の予期するところではございませんので、ある程度開発段階に入りまして実用化に至るまでの間の開発というものは、この機関分野だと存じます。したがいまして、対象は何々かということは、私から申し上げるまでもなしに長官からさっきお話があったようでございますが、その扱う段階はいつかと申しますと、基礎研究じゃなしに、それがさらに進んで、しかも実用化に至る段階までの過程がこの機関分野だと考えております。
  17. 沢田広

    沢田委員 そこで、こういうものを考え出したのはすでに早かった。これを通産省として国民負担に求めるということがどういう意味を持っているとお考えになったのか。言うならば四十五年ごろから、あるいはきのうの事業会公述人の話ではもう十五年前から代替エネルギーということについては考えていた、こういうふうに言われていたわけでありますが、十五年前からある意味においては備蓄をするとか積み立てをするとか、そういうことの指導をやって、あえて総額千三百億見当の金はわざわざ国民負担を求めなくとも、その程度は捻出できたのではないかというふうに私たち理解をするわけなんです。あえて国民にこの段階において負担を求めなくともいいのじゃないか。十年間でですから、千四百億程度金額を捻出するために、国民に新たな負担を求めなくとも十分対応できたのではないか。この場になったからこういうふうになったので、もっと事前に予期でき得れば、当然経営者責任としてはそれが考えられるべきでなかったか。その点はどのようにお考えになりますか。
  18. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この種の研究開発大変リスクを伴う問題が多うございまして、民間だけにこれを任せておくわけにはまいりません。と申しまして、また一般会計にだけ、年度会計でございますし、緊縮財政等の折からでもございますから、これにのみ頼るというのもいかがかと思います。長期にわたって安定した財源を持って初めて腰を落ちつけた、じっくりした開発が進み得るわけでございますから、まず財源考え、そして機構考え、また目標等のつくり方を考えまして本格的に取り組んだということでございます。
  19. 沢田広

    沢田委員 十年で三兆円、この金額サンシャインと言われておりまする地熱中小電力、それから石炭ガス化太陽エネルギー、こういうような部分について、一応目標としている六十年、六十五年、十年というと六十五年を標準にしてもいいですが、六十五年のエネルギー総合需給計画を一〇〇%実現できる、こういうことは約束できるものですか。
  20. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いままでできております供給計画と申しますか長期計画は、民間側でもこれに積極的な協力を払い、政府側でも真剣に、継続的にこれに全精力を注いでいくという官民合同の結晶がこういう結果を生むであろう、また生ますべきだということで、いわば努力目標として決まっておるわけでございまして、それが確実にそのとおりいくかと申しますと、必ずしもそう思えないものも中にはございます。ございますけれども、国全体のエネルギー供給といたしましては、あるものが若干目標から外れましても、それ以外のものを伸ばしてカバーすれば、それで経済成長には差し支えないわけでございますから、そういう総合的な一つ供給力をそれぞれブレークダウンするとこういうかっこうになります、それが一つ努力目標でございます、こういうことになっておる次第でございます。
  21. 沢田広

    沢田委員 私たちはいま税金を、言うなれば目的税として国民負担を求めようとしているわけです。ですから、その国民に求めようとしている負担がどういう効果をあらわし、どういう結果を招来するか。やはりわれわれ政治に携わる者としてはある程度の予見と決断と、そして国民が納得できる材料を提供する義務があるのだと思うのであります。  いまおっしゃられたように、三兆円で十年間、そして六十五年のそれぞれのエネルギー目標値、その何割が達成できるのか。多少でこぼこが起きましても、全体的な計画はおおむね確保できるというものなのか、あるいは不十分だと思ってこの提案をしているのか。提案する以上は不十分だとは口が裂けても言えないだろうと思うのでありますが、そういうことになると、六十五年の需給計画はおおむねこれによって賄う、政治責任において賄っていかなければならない、そういう至上命令があなたに、あなたにというか機関に課せられているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  22. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この法律によりまして新しい供給計画ができまして、それを閣議決定をとって、言うなれば従来以上に政府としての責任計画に対して感ずるわけでございますから、掲げた目標に対しましては、政治責任を持って必ずこれを遂行しなければいかぬという覚悟のほどは必要でございます。ただ、問題によりましては、立地問題とか環境問題とか、いろいろ予測し得ざることがあるいは発生するかもわかりませんので、そういう点の解決に時間を要すれば、おのずから具現するのが延びるという結果にも相なるわけでございます。確実に、自信を持ってこれを掲げたからには遂行できるかと申しますと、もちろんそのつもりで責任を持ってやりますけれども、一〇〇%そうなるかということは、物によっては必ずしも言えないかとも思います、こういうことを申し上げているのでございます。
  23. 沢田広

    沢田委員 そういうことでは非常に不確実な要素を持って国民に提示をすることになる。たとえば原子力に例をとりますと、八百万キロワットから五千三百万キロワット、地熱は十五万キロリットルから七百三十万キロリットルにする、あるいは新燃料油、新エネルギーは三十一万キロリットルから三千八百五十万キロリットルにする、こういうふうに一応目標値を設定しているわけであります。また一般水力においても千八百十万キロワットから二千六百万キロワットにすると言っています。しかし、抽象的に若干のでこぼこはある程度許容されるとしても、六十五年に示されている——省エネルギーもこの中には含まれているわけでありますけれども供給計画の七億一千六百万キロリットルですか、この分はある程度これによって満足されますから、国民の皆さん御負担お願いいたしますということでなければ話は通らないのじゃないかと思います。その点はどういうふうになるのだかわからぬということで、金だけは取りますけれども、あとのことはかいもく見当がつきませんということでは、税金を取るたてまえというものが、政治家としても政府としても、あるいはわれわれ国民立場にとっても納得できないというふうに感じますが、その点をひとつお答えいただきたいと思います。
  24. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたエネルギー長期見通し長期エネルギー需給暫定見通しと申しておりますが、これは昨年の八月に総合エネルギー調査会から答申をいただいたものでございまして、昭和六十年度、六十五年度あるいは七十年度の見通しをつくったわけでございます。  いまお話のございました点につきましては、私どもはこういうふうに考えております。つまり、八月の時点で立てました暫定見通し、これに何らかの推進剤を注入することによりまして初めてこの目標は達成されるということでございます。従来のパターンどおり実施ではとうていこの見通しは達成できないという懸念がございますので、この際、この見通しを具体的に達成するための強力な手段を講ずる必要がある。その一つ石油代替エネルギー開発導入促進法という法律をつくらせていただくことであり、その一つはいま御審議をいただいております財源手当てをしていただくことである、こういうふうに考えます。  そこで、この二つの柱を中心に、従来のパターンと違った強力な政策手段を講ずることによって長期エネルギー見通しを達成する、こういうことでございますので、先ほどから三兆円とお答え申し上げております財源手当てを講じさせていただくならば、いま申し上げました暫定見通しの達成はほぼ可能ではないかというふうに私どもは期待いたしておりまして、それを達成するためにもぜひともこの際財源措置お願いしたいということで法案を提出させたゆえんでございますので、よろしく御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  25. 沢田広

    沢田委員 いまの答弁は、大臣じゃないのですが、大臣にかわって答えたものと理解してよろしゅうございますね。  では、続いて、これは大臣の方からお答えをいただきたいのですが、いま一般国民から見て、産業用電力料金一般消費者電力料金に差があるということできわめて不信感が強い。これは御承知だろうと思う。知っておりますね。十四円十五銭と十二円六十五銭、十八円七十銭と十二円二十五銭、二十一円三十銭と十一円八十五銭、こういうように料金に格差があるわけであります。確かに、原価方式をとるという言葉——原価の問題について議論をしたいのですが、これは時間の関係がありますからしませんけれども、いずれにしてもこれを分けるということは、国民不信感をより一層増すだけである、こういうふうに考えます。こういう新税をつくり出す場合においては、その前提である料金統一化、ある意味においては大口需要小口需要とは差があるかもわかりませんが、産業用と少なくとも民生用というものとの差は圧縮をする、統一を図る、こういう努力前提として必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  26. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 お話のように家庭向けを主にしたのが電灯料金でありまして、産業用を主としたのが電力料金であることはそのとおりでございます。そこで、電灯料金の方がなぜ高いんだという御質問でございますけれども、これは送電線あるいは配電線等が細かく張りめぐらされるわけですから、産業用とは違いまして相当ロスが多いと申しますか、あるいは検針、集金等のいわゆる需要家費というものがかさばるわけでございますし、どうしても電灯料金の方が原価主義でまいりますとその分だけ高くなるように出てくるわけでございます。さればといって、その電灯料金電力料金の差をいつまでも縮めずに当然のこととしてよろしいかと申しますと、そうはまいりませんので、なるべく近い方がお話のように公平の原則にかなうわけでございますから、なるべくこれを接近するようにということで、改定ごとにこれがだんだん差が縮まりつつございます。
  27. 沢田広

    沢田委員 原価の中の浪費率も大変、漏電といいますか、浪費といいますか、経費といいますか、送電にかかわるマイナス分、それも大分少なくなってきておりますけれどもシェアとして考えてみますと、現在の電灯、いわゆる民生用使用率と、いわゆる大口需要と言われている産業用利用率から比べますと、五割も片方が多いわけですね。だから、原価計算の面でいきますと、あるいはそういう若干の分がありますけれども、日本がこれでこの電力をつくっていかなければならないといって、その利益を受ける割合は一対一・五、こういう比率によって利益を得てくる、こういうことにもなるわけですから、その辺のシェアによる比率マイナスプラス面料金の中に当然電源開発をしていく場合には考えなければならぬことだと思う。それを二十一銭幾らのものの中に差をつけるということもあるいは困難かもわかりませんから、それはもとの料金をまず一定にすることが前提ではないか。だから、原価主義をとると言いながら、やはりそれを一定化した上で上積みしていくということが必要なのではないか、こういうふうに考えますけれども、この点は再度お答えいただいて、われわれとしては、質問というよりも主張ということになりますが、一本化を図っていただきたい、それについてお答えをいただきたい、こういうことです。
  28. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 先ほど大臣からも答弁がございましたように、やはり電気料金というものは電気事業法に基づきまして原価主義により定められることになっております。したがいまして、電灯料金電力料金につきまして原価を算定いたしました上で、それぞれの原価に基づいて料金を定めるわけでございますので、できるだけ双方の料金を低減させるように今後とも最大限の経営努力を求めなければなりませんが、料金自体は結果といたしまして原価を反映するようになっておりますので、その点は御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
  29. 沢田広

    沢田委員 理解するわけにいかないけれども、これはとにかく統一の方向に努力をしてもらいたいと思いますが、大臣、それはいかがですか。
  30. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほども申しましたように、だんだんその差は縮まってきてございまして、努力してございます。
  31. 沢田広

    沢田委員 続いて、三つのことでちょっとお伺いしますが、この代替エネルギー法案が通りまして、いわゆる鉱山権といいますか、採鉱権、それから鉱泉権、特許権、企業がそれぞれやっておりますけれども、そういうものとの関係はどう調整されるのか、この際、承っておきたいと思います。
  32. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、採鉱権という御指摘、これは私どもの専門用語では鉱業権と言っておるわけでございますが、この新エネルギー開発機構におきまして、直接、たとえば石炭等につきまして採掘をするということは考えていないわけでございまして、民間の企業がそういった実務的な仕事をするにつきましての裏づけをして差し上げたいということでございますから、その限りにおきましての鉱業権の所有は当機構には参らないということがまず第一点でございます。  片や技術開発につきましては、この新エネルギー開発機構で実際に担当さしていただきたいと思っておるわけでございますので、そこで発生いたします特許権その他のいわゆる工業所有権関係の権利はこの新エネルギー開発機構へ帰属するというふうに考えております。ただ、例外といたしまして、研究開発に従事されます具体的な技術者の方が一身専属的に開発されましたものにつきましても全部機構が取り上げるということになりますと、なかなかりっぱな人材も集まらないということもございますので、そういう場合には例外的に開発をされました技術者の方に一身専属的に権利が所有される、そういうケースもあり得ようかというふうに考えております。
  33. 沢田広

    沢田委員 続いて、もとの八銭五厘のいわゆる環境整備勘定ですか、それに加えて今度の電源開発勘定、さらに原子力の勘定、こういうものを一緒くたにして整理をしていくという方法には非常に問題があると思いますけれども、その点はどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
  34. 森山信吾

    森山(信)政府委員 特別会計といたしますれば一本でございますけれども、その中に電源立地勘定と電源多様化勘定という二つの勘定に区分いたしまして、従来八銭五厘で運営をさせていただいておりました電源立地関係はいま申しました電源立地勘定、それから新たに追徴をお願いいたしております二十一銭五厘につきましては電源多様化勘定という勘定区分を設けさせていただきまして、それをベースにいたします電源開発関係代替エネルギーに実際の支出を行うようにいたしたい、経理区分をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  35. 沢田広

    沢田委員 法律は、原子力の方は原子力として別の法律ができていますね。ところが、今年度の八百二十七億の予算の中の大半でありますものはこの原子力の四百五十一億ということになっています。そうすると、原子力関係原子力法律に基づいて行われていくわけですから、これも勘定が分離しなければ、言うならば原子力の四百五十一億が導入促進対策に変わったり技術開発に変わったり、あるいは供給確保対策に変わったり、こういうことになるのかならないのかということが問題があると思うのですね。あるいは八百二十七億が全部原子力になってしまうことも起こり得るのかもわかりません。だから、私たちとして考えるならば、もう一勘定起こして、原子力原子力勘定というものが当然起きてこなければ、法律の適用上問題が起きるのではないか、こういうような懸念を持つわけでありますが、いかがでしょうか。
  36. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私ども考え方は、原子力はあくまでも電源多様化の一方法であるという認識を持っておるわけでございます。したがいまして、先ほどお答えいたしました電源多様化勘定の中で原子力以外の代替エネルギーと同じような扱いをしていくということが必要ではないか。原子力勘定だけ別個に設けますと、どうしても硬直的な運用にならざるを得ないということで、あくまでも電源多様化の一つパターンであるという認識のもとに勘定としては一本化する必要があるのではないか、こういう認識でおります。
  37. 沢田広

    沢田委員 もう一つは、きのう参考人の方にお伺いをいたしたのですが、電源開発株式会社で行っておりまするサンシャイン計画事業本部直轄というのがありまして、香川県で太陽熱発電研究開発、それから福島県で石炭ガス化研究開発、あるいはまた神奈川県で水電解水素製造研究開発、それぞれ行われております。私も若干電話をかけて聞いてみたわけです。ところが、そこの技術者の発言によりますと、いわき市の方の石炭ガス化研究所では当面二千五百軒分に相当するものをして、将来これの七倍にしていきたい。どの程度かかりますかというふうに聞きましたらば、現在七名でやっているのだそうでありますが、十年、八〇年代にはとても終わらないでしょう。こういうふうなお答えがはね返ってまいりました。だからといって、その人を怒らないでください。私が直接ちょっと電話をかけちゃっただけですから。だからといって、おまえけしからぬこと言ったなんて後でその人が左遷されたりなんかしたのではかわいそうですから、念のため申し添えておきますが、正直に答えてくれたのですから、これは非常に貴重な存在だと私は思っておりますから、栄転ぐらいさせてやっていただいた方がいいのではないか。そういうことで真実を語っていただいたわけです。香川県の方にも、ここは十三人だそうですね。十三人でいま基礎工事で、来年か再来年ようやく鏡がつくかどうかまだわからぬ。タワー方式でいま基礎工事をやっている。こういうことで、行ってみてきたようなことを言っておりますけれども、私は聞いたとおり言っているわけであります。これを見ますと、いま政府考えているこの十年三兆円というものははかない夢のまた夢ということになりかねないという危惧を非常に持ったわけです。特に石炭ども、きのうも事業会に言ったけれども、どの石を見ても同じ真っ黒だから同じだと思うと、そうではないです。やはり副産物もあれば、あるいは新しい違った物も出てくる、あるいは新しい公害も生まれてくる、そういう状況なんだから、必ずしもどこから掘った石炭も同じだというわけにはいかないでしょうと言ったら、その通りです、だから、それだけにむずかしいのですということを向こうはお答えになっておられました。そういうような状況で、実用化は八〇年代にはとても無理だ。このお答えでは、将来八〇年を一応目標に百億を予算にして、七千万立方ですか、これを目標にしているのですが、これはとても実現可能はない、むずかしい、こういうお答えのようでありました。  そういうことでありますから、このいま政府が言っているバラ色のあれで国民から金を取ってみても、結果的には、どうも何か土の中に埋めてしまうのと同じような結果になりかねない危惧が非常に強いのでありますが、時間の関係で以上で大体終わらせていきたいと思うのでありますが、その点お答えをいただいて、こういう実態の中でこの税金を新たに取ることよりも、まず政府は基盤をつくって、そしてこういうことになりますから、どうですか国民の皆さん、負担お願いいたします。こういうことで、若干これをおくらかして、とりあえず一兆五千億で進めていって、そしてその後段に国民負担を求める、こういうことが正しいのではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  38. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどのお答えとも関連するわけでございますけれども、従来のパターンどおりでございますと、御指摘のとおり十年間ではできないという懸念も出てくるようなものを、今後のエネルギー情勢を考えましてこれを加速させる必要があるというのがいま私どもが御審議をいただいているゆえんでございまして、一般会計で賄うものは特定の受益者がわからない、いわゆる全くの基礎研究的なものは特定の受益者がわかりませんから、一般会計で賄うべき性格のものと思いますけれども、ある程度実用化のめどがついたものを加速させるということは、それによりまして受益者が特定されてくるわけでございます。たとえば電気関係で言いますと、電気をお使いになる方が安定した電気の供給を受けられるというメリットがございますので、そういった段階のものを私どもは取り上げさしていただきたいというふうに考えておりますので、目的税として使わしていただきたい、そういう考え方でございまして、その目的税としてちょうだいいたしましたお金を実用化に向けて推進することによりまして、供給目標供給計画を達成したいというのが私どもの念願であるということを、くどいようでございますが、重ねて答弁さしていただきたいと思う次第でございます。
  39. 沢田広

    沢田委員 そうすると、さっきの話と違ってくるのですが、いまやっているこういうものを加速させるだけで国民負担を求めるということしか当面は言えない、十年の目標についても若干不明確性はあるということになるわけですか。いまの答弁では、では結果的にはこれを加速させてそれを十年で全うする、こういうことで約束できるわけですね。
  40. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私ども目的税お願いしていますものは、あくまでも特定の方にそれなりの受益を享受していただくという趣旨でお願いしているわけでございまして、いままでのパターンではそういう期待性の少ないものを、この際実用化に向けて加速させる必要がある。その加速させることによりまして、私どもが十年後に計画いたしております、見通しをいたしておりますエネルギーの安定供給を達成したい、こういう考え方のもとに現在御審議お願いしているわけでございます。
  41. 沢田広

    沢田委員 また、したいになって、期待になっちゃったのですが、こういう目的税というものは、やはり目的の成果の結果を国民に保証することが必要なんですよ。その結果を保証しないで、何とはなしに取りますということは許されないですよ、目的税というものは。当然、目的税はこれだけの実現を果たします、これは政府責任において何とかやります、だから、これだけの負担お願いいたしますというのがやはり目的税たるゆえんのものですね。何か語尾がみな濁ってきてしまう。というふうに考えたいとか、というふうに努力したいとか。それは目的税として努力しなければならぬものはあるでしょう。しかし、やはり国民に安定供給をしていくこの目標は少なくとも公約にならなければ、これだけの金を取っていくという理由には該当しないじゃないですか。あなた自身がどこの飲み屋へ行っても、幾らになるかわからないで、後になってただ取られたという感じを持ったら、やはり不満でしょう。あなた自身だってそういうことを感じるでしょう、そういうところで。べらぼうに取られたな、なんて思うでしょう。それと同じようなことを国民に今度は法律という名において押しつけるということは許されない。これはやはり権力の乱用になりますから。ですから、それはあなたが責任を持って腹を切る。そのころあなたは死んじゃっているかもわからぬけれども、とにかく腹を切るというぐらいな気持ちを持って答弁してもらわなければ国民は納得しないですよ。大臣も年齢的に私らとそう変わらないですから、そのころはわからないですから、墓の下かもわかりませんけれども、しかし、そのぐらいの気持ちで提案するのでなければ、これは国民は納得しないだろうと思いますね。特に二十一世紀を支える若い人たちがそれで了解するとは思えません。これはもう一回明確にお答えをいただきたいと思います。
  42. 稲村利幸

    稲村(利)委員長代理 エネルギー庁長官、明確に答えてください。
  43. 森山信吾

    森山(信)政府委員 需給暫定見通しで私ども昭和七十年度までのエネルギーの需給見通しを立てているわけでございまして、それを達成するということが私どもの課題だというふうに認識いたしております。そこで、その達成するための手段といたしまして、先ほどもお答えいたしましたとおり、石油代替エネルギー開発等の促進に関する法律と、いま御審議いただいております財源措置を講じていただきたいということでございまして、これはあくまでもその目標を達成するための手段でございますから、そういう手段をおつくりいただくことによりまして目的を達成したい、こういうふうに考えます。
  44. 沢田広

    沢田委員 あと一分であります。科学技術庁、原子力は一番大きな予算をもらうのでありますが、特にこの廃棄物の処理、それから日本の頭脳の結集あるいはこれの安全、立地条件、長い回答は商工委員会でやられていると思いますから必要ありません、短く、ひとつあと三十秒ぐらいでお答えをいただきたい。
  45. 高岡敬展

    ○高岡政府委員 問題がたくさんございますが、放射性廃棄物の処理処分の現状から簡単に申し上げます。三十秒ではちょっと無理だと思いますが……。  原子力発電所では大量の廃棄物が出ておることは御承知のとおりでございますが、一言で申しますと、これは処理処分を余りやらずに、できるだけ容量を小さくしてためておるというような現状でございます。近い将来、現在研究中でございますけれども、海洋その他の最終処分ができるように持っていきたいということで、研究開発その他の措置を進めておるということでございます。  それから、新しく設けていただくことを御提案申し上げております電源多様化勘定の中で、大半と申しますか半分ぐらいが、五十五年度で申し上げますと、約四百億円のお金を高速増殖炉その他の開発に向けるわけでございますけれども、これにつきましては、大体十年ぐらいの間に高速増殖炉というものが実用炉として経済性その他を含めまして実効の上がるものであるということを確信をするという意味で、開発に使いたいという計画でございます。
  46. 沢田広

    沢田委員 残念ながら以上で終わります。
  47. 稲村利幸

    稲村(利)委員長代理 坂口力君。
  48. 坂口力

    ○坂口委員 通産大臣、どうも御苦労さまでございます。  電源三法の中で通産省関係の方は、きょうの本会議で通過をいたしました。残りの大蔵省関係の二法案が現在審議をされているわけでございますが、春一番も吹きましてなかなかスムーズにいっていないところでございます。いろいろ異論の出ておりますのは、財源として目的税からそれを出すかあるいは一般会計からこれを出すかという、そこに議論が集中していると思うわけでございます。この仕事をやらなければならないということについては意見の一致を見ているわけでございますが、その財源のあり方についていろいろの議論が出ているわけでございます。通産大臣としてこの仕事をこれから進められるに当たって、目的税としての財源からの方がいいか、それとも一般会計からの財源供給の方がいいか、その点はどのようにお考えになりますか。
  49. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 一般会計の歳出は、毎年度、年度会計でございますから、その年々によりまして、継続予算であってもいろいろ査定の結果思うようにいかなかったということも生ずるわけでございますけれども、この種の開発というのは、さっきも申しましたように、非常に息の長い計画で、しかも、その間、計画の年度間におきましては、目的どおり必要な資金を必要なときに必ず利用できるというふうな体制になっていることが一番望ましい。いわば長期資金計画というものが必要なわけでございまして、それなしにはリスクの多いこういう仕事はなかなか取っ組みにくいわけでございますから、できますれば、安定したそういう資金が望ましい。それにはどうすればよろしいかと申しますと、やはり目的税的なものがあって、そしてその資金はこういう財源から確実に長きにわたって出ますよという方策の方が一番よろしいと私は思います。  ただ、それでは財源をどうするかと申しますと、やはりそういう趣旨でございますから、電気等できました果実の一番恩恵にあずかるその利害関係者がその資金の一部を負担をするというのがこれまた一番望ましいことだと思いますので、今度の研究は主として電力が一番主になってまいるわけでございますから、電力会社の方にその負担お願いしたいというふうになっているものと考えております。
  50. 坂口力

    ○坂口委員 大臣が商工委員会におきまして私の方の木内委員質問お答えになった部分がございます。ちょっと長うございますが、こういうことを言っておみえになるんですね。   海外の計画はどちらかといいますと達成する手段、財政とかあるいは税制とかあるいは金融あるいは価格あるいは法律、いろいろな手段をまず集結して必要な物を集めた結果、この開発というものがこの程度までいくのじゃなかろうかという組み立て方が大体アメリカでもヨーロッパでも資本主義経済の進め方でございますけれども、日本は残念ながらそうなっていないのでありまして、どちらかというと目標をまず決めて、それに対して、年度予算でございますから毎年の予算をどういうふうにアジャストしていくかというやり方、あるいは税制その他も年度でついていくわけです。そういう従来のような行き方だけで一体いいものかどうか。今後のエネルギー政策が国の経済の一番根本であるならば、もう少しそういう組み立て方等も、そういう実践的な手段等もかみ合わせ、可能性等を見出していく。立地問題、先ほど盛んに出ましたけれども、立地などに対してももっとしっかりした見通しを持って、こういう見通しでは原子力発電はとてもここまで行かないぞというふうに、可能性のあるものを着実に出していくべきじゃないかという感じもするので、そういう問題等をあわせて考えますと、恐らく一定の時が来れば、たとえばこの法案が通って来年度の予算期が迫ってくるということでありますれば、その際目標等ももう一遍見直すという必要性が出てくるのじゃないかという感じがいたします。したがって、計画自体いままでの計画のままでよろしいかということになると、そうではなくて、新しい時代に応じて変えるものは変えていく必要があるのじゃなかろうかと考えています。 こう御答弁になっているわけであります。非常に丁重に詳しく述べておみえになりますので、真意、少しわかりかねるところもありますけれども言わんとしておみえになるところは私の考えているのと余り違わないのではないか、そういう気持ちで私、これを読ませていただいたわけでございます。やはり大臣のお気持ちの中にも、もう少し本当に自分たちの立てた計画に沿った予算措置ができればそれにこしたことはないんだがなあという願望がここに含まれているような気がしてならないのでございますが、何かっけ加えていただくことがございましたらひとつ。
  51. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 このごろの計画が突如としてそうなっているというわけじゃないのですけれども、やはり国民経済成長あるいは国民生活を向上させる、成長させるということになりますと、それにどれほどのエネルギーが必要か、その必要なエネルギーをどういう種類で賄っていくか、そういうものがある程度できまして、それでそれに必要な資金その他方法等いろいろ考え計画としたのが従来の例かと存じます。したがいまして、そういう計画がまず立って、そして、お話しでございました資本主義でございますから、毎年度ごとにそれに対するいろいろな達成のための諸手段を講じておるわけでございますけれども、そういう従来の行き方と違って、アメリカとかあるいはヨーロッパの一部ではそういう可能性と申しますか条件を吟味した上で、このものはこれほど伸びる、こうしなければいかぬ、こうすればこうなる。たとえば節約をするためにはむしろ価格政策でいったらよろしいとか、物によってはそういうものをあんばいしながら、一つ一つの達成の可能性というものを吟味して、そしてその上に組み立てていくというやり方もとっているところもございますので、やはりそういう点もよく考えて今後の計画というものは進めるべきではないか。少なくとも今度私どものつくろうとする供給計画というものはそういう組み立て方の方が望ましい。その一環といたしまして、一番木流である所要資金に関しまする財源の問題は少なくとも安定したものとして確保しておくべきだというふうに考えましてそういう発言をしたのだと思います。
  52. 坂口力

    ○坂口委員 これはきのうわが党の宮地議員がこの委員会で実は指摘したところでございますが、この電源開発促進対策特別会計におきます剰余金というのが年々出ておりますね。これを見てみますと、いわゆる歳出予算現額に対する歳出額ですね、予算の中で実際使われた額というのは、昭和四十九年が一・三%、これはできた年でございますからやむを得ないといたしましても、五十年が三三・一%、五十一年が三五・七彩、五十二年が三二・五%、五十三年が二九・一%、平均いたしまして三一・四%でございます。四割に達したことがないわけでございますね。たとえば昭和五十二年は三二・五%しか歳出していないわけでありますが、五十三年度は予算は四八%アップしておるわけですね。それで、そこで使われたのはまた実際に二九%しか使われていないわけですね。せっかくの財源でありながら、使われております額というのは非常に少ないわけですね。そのほかには一部これは繰入金として、翌々年でございますか、回っておりますし、一部は国債等の関係の方に回っているのであろうと思いますが、そういうふうにいま申しましたような数字でこのパーセントが出ておりまして、この電源開発促進対策特別会計全体で見ますると、それぞれの当該年度の新規発生剰余金を四十九年から五十三年まで合計いたしますと千五百四十二億円になるわけであります。大体昭和五十五年度の予算額を上回るぐらいの額の合計になると思います。このうちから翌年度への繰り越し歳出予算として控除する額が引かれまして、その残り、すなわち財政法六条のいわゆる純剰余金というのが、合計いたしましてこの五年間で六百二十五億円、こういうふうになっているわけであります。これだけ毎年毎年多くの剰余金が出るというのは、目的税であるがゆえにこれは年々歳々入ってくる。しかし、それに対する計画がなかなか伴わない。その計画について年度初めに、皆さん方の側とすれば初めからそれはもう使われないことはわかっているのだけれども、それに合わせた作文をせざるを得ないということが今日まで続いてきたのではないか、こう思うわけでございます。     〔稲村(利)委員長代理退席、委員長着席〕 この税制上の性格からいたしまして、当然こういう結果にならざるを得ないと思うわけでございますが、私は先ほど大臣が商工委員会で発言されている内容を読みましたけれども、その大臣が発言されております内容は、このことが何となく心の中にひっかかるところがある、もう少し実質的な計画に沿った予算措置がとれればということを言っておみえになるのではないか、こう理解をしたものですから、先ほど読ましていただいたわけでございます。何かお誓えすることがございましたら。
  53. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いまの電源開発三法の費用は何が目的だったかと申しますと、私の記憶では、電源立地が反対が多くてどうしても進まぬものですから、このままでは日本のエネルギーの将来は大変なことになるぞという苦労の余り、立地を何とかして促進したいというための手段としてこの税が生まれたものと考えております。したがいまして、その税を使おうとする電源開発の対象で使えないような状況がいろいろ発生していまのような余剰金が出たのじゃなかろうかと想像しているわけでございまして、詳しい話は長官からいたしてもらいたいと思います。  その問題と、私の申しますのは、これからの開発の問題の使途を若干今度詰めるわけでありますから、同じ財源であっても、その使途に対して開発の方の進め方と申しますか、計画の立て方等を私は答えたのでございまして、おのずからその目的が違っておるであろうし、これは相互関係はもちろんでございますけれども、片方は立地の促進ということであり、片方はそういうものを踏んまえての開発計画の進め方という二つの計画がございまして、私はその計画の立て方といたしましての進め方は、今後の供給計画で算定する仕方にはこういうやり方の方が望ましいのではないかというお話をしたわけでございます。
  54. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 電源の立地には非常に長期間かかるのは先生承知のとおりでございまして、たとえますと、原子力発電所でございましたら、最近では十年ぐらいはどうしてもかかってしまいますし、石炭発電所あるいは石油を使います発電所におきましても相当長年月がかかるわけでございます。しかし、それらの電源立地についてはどうしても安定供給を図るために確保、促進していかなければなりません。そこでこの交付金制度が設けられておるわけでございますが、その現実の使用状況を見ますと、ただいま先生指摘のように、その執行率というものは余り高い数字ではございません。  それでは、これが予算に合わした数字になっているのではないかという御指摘でございますが、それはそうではございませんで、電源立地促進対策交付金の予算要求におきましては、電気事業法第二十九条に基づきまして毎年度電気事業者から届け出られます施設計画、これをもとといたしましてその個別地点の積み上げをベースに算定いたしまして、それにさらに単価引き上げなどの制度改善とかそういうものを勘案いたしまして所要の調整を行ってこの数字を出しておるわけでございまして、実需に即した交付金額というふうに考えておるわけでございます。  しからば、なぜこの交付金の執行率が低いのかということは、この特別会計が発足いたしました当時におきましては、制度自体が地元や関係者に十分浸透しなかったというような事情もございました。しかし、最近におきましては、環境の保全問題あるいは安全問題という問題につきまして地元調整に非常に長い時間を要しているということのために電源立地が計画どおり進捗しないというのが大きな理由でございます。また自治体側の要因といたしましても、交付金の交付の基礎となります整備計画がその作成に若干時間がかかったとかあるいは整備事業の執行がおくれがちであるというようなこともございます。  しかし、いずれにいたしましても、執行率が非常に低いわけでございますが、今後におきましては、環境対策、安全対策に万全を期しまして、そして国民的な合意の形成を図りまして、できるだけ電源立地の推進を図りまして御指摘のような事態の改善を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  55. 坂口力

    ○坂口委員 中で一年ぐらい非常に違う年があるというのならこれは私も理解ができます。しかし、始まりましてから今日まで五年間、そして五十四年度がこれに入りますが、五十四年度がどういう結果かわかりませんけれども、五十四年度も多分同じような結果が出ているのじゃないかと思うのですが、どの年を見ても、大体三五・七%を頂上としてそれ以下であるというのは、いま事実に即した予算額を組んでいるとおっしゃいますけれども、もしもそういうふうに言われるのであるならば、その見方というものが毎年多分にこれは雑なものであるということになるわけでありまして、皆さん方が、いやそうではない、本当は、現実問題としては電源立地の状態はそこまでいっていないんだ、しかし、これは目的税という税制上こういう収入があるからこういう予算案をつくらざるを得なかったんだと本当にそう言われるのならば、私はそれはそれとして理解できるわけですけれども、あなたのように、そうではなくて、実際に下から積み上げたらこうなっております、こう言われますと、それじゃ何年も何年も、五年も六年も、毎年わずかに三分の一にしか満たない使い方で繰り越しや、あるいはまた財政法六条の純剰余金として残さなければならないというのは、ちょっと私はどうかと思いますね。ですから、もしも、それならば、あなたがおっしゃるようなことであるならば、これはそんなに要らないんだから、一時税率を下げなければいかぬ。毎年毎年、こんなに要ると思ってこれだけの税率にしてもらったけれども、しかし、それまでは要りません、だから一時これは税率を下げてください、これは普通だと私は思う。そうでなくて、毎年五年も六年もずっと余りっ放しで、それで、いえ毎年きちっとした積み上げをいたしておりますけれども、しかし、積み上げているけれどもこういう結果になりました。これはちょっと通産省もそれからまたそれを見ている大蔵省としても、これは余りにも雑過ぎやしませんか、こう私は言いたいですね。時間余りありませんので、簡単にひとつ。
  56. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 私どもとしましては電源立地の推進を図りたいところでございますが、これは交付金の交付とは直接結びついておりませんが、一例として申し上げますならば、昭和五十四年度に電源開発調整審議会におきまして電源開発として決定いたしたいという希望が当初は九百万キロワットでございました。これが実際に地元との調整その他問題点を解決した上で決定を見たのは二百万キロワット強でございます。  もちろん、これは交付金の予算とは直接的な関係はございませんが、一例として申し上げますならば、そういう状況でございまして、電源立地が非常に困難であるということを御理解いただけるのではないかと思います。年度当初におきましては、私どもは、当初計画に掲げましたものを実現すべく、最大限の精密さをもって積算し、そしてそれに向かって最大限の努力を払うわけでございますが、結果としましては、われわれとしてもいろいろ反省すべき点はあろうかとも思いますが、結果としてはそれが御指摘のような執行率になっておるというのが実情でございます。
  57. 坂口力

    ○坂口委員 精密な計画が立てておればこういうことにならないわけなんです。それは精密さを欠いているからこういう結果になっているわけなんです。精密にいたしておりますが、こうなっておりますというのはおかしいですよ。精密でないからこういう結果になっているわけです。  だけれども、私はただ皆さん方だけを責めているのではなくて、この入ってまいります収入源としての税制そのものが目的税という性格上こうならざるを得ないんだと皆さん方がおっしゃるのならば、私はそれでひとつ納得もできると思うわけです。そうではない、きちっと私たちは毎年毎年積み上げているんだ、そして確かにこれだけが予算として要るんだということを立てながら、毎年三分の一以下で終わっているんだと言われるのであれば、まことにずさんきわまりないと言わざるを得ない。それならば、いままでのこの税率を下げて、そして国民の方に還元をしてもらいたいと私は言いたいわけであります。  それで、もう時間がありませんが、大蔵省に一つお聞きをしますけれども、五十四年度のこの翌年度繰越額及び不用額、これは大ざっぱにいきまして大体どのぐらいになりますか。
  58. 西垣昭

    ○西垣政府委員 五十四年度から五十五年度への繰越金の額でございますが、これは現在決算中でございまして、決算手続が済みませんと判明いたしませんので、現段階では、大体の感じということでもむずかしゅうございます。概数が出ますのが恐らく七月末になるかと思います。  かわりに、五十三年度決算で剰余金がどれだけ出たかということにつきまして申し上げますと——よろしゅうございましょうか。——五十三年度中に発生いたしまして五十五年度の歳入に計上しております剰余金が二百六億円ございます。それから、五十三年度歳出で年度中には支出されなかったものの、繰り越しをいたしまして、五十四年度には支出が見込まれるということで繰り越しとして処理されているものに見合う財源、これはまだ歳出権とともに五十四年度に引き継がれておりますが、これが二百十二億円、それから五十二年度の発生剰余金でございまして、五十四年度の歳入に繰り入れられるために五十三年度中は余裕金として滞留しているもの、これが百九十四億円ございまして、合わせますと六百十四億円でございます。  それで、そういうことから、七月末まで概数はわかりませんけれども、具体的計数なしに感じを申し上げますと、これはそういうことでございますので、後で訂正をお許しいただくという前提で感じを申し上げますと、五十四年度には、米国のスリーマイルアイランド原子力発電所の事故問題等がございまして、新規立地がきわめて難航したというふうな事情もございますので、あるいは五十三年度を上回る剰余金が発生しないだろうかな、こんな感じでございます。
  59. 坂口力

    ○坂口委員 したがいまして、その四十九年から五十四年度の当該年度新規発生剰余金の合計は約二千億円になろうかと思います。  そこで、もう時間ありませんので、もう一つだけお聞きをして、後刻大蔵省の方にはもう一遍お聞きをしたいと思いますが、この一部は資金運用部の方に出ておるわけですね。これは、もしもこの特別会計が必要だと思うときにはいつでもバックをされるわけですか。
  60. 西垣昭

    ○西垣政府委員 電発特会の余裕金につきましては、資金繰り状況を見ながら当面手元に保有する必要のある額は日本銀行の口座に預け金として保有しておりまして、そのほかが資金運用部資金に預託されております。それで、いまの御質問の預託金はいつでも引き出せるかという御質問でございますが、資金運用部への預託金は一応約定期間が定められておりますけれども、必要な場合には十日前に通知するということで払い戻しを受けることができるようになっておりますので、必要な場合には出して使えるという状態になっております。
  61. 坂口力

    ○坂口委員 時間が参りましたので一応これで切らせていただきますが、通産省の方に非常に厳しいことを言って申しわけございませんでしたけれども、皆さん方が言うに言えないお立場にあることも十分存じ上げておるわけでありまして、そういう点のあることをひとつ考慮して今後運営に当たっていただきたいと思います。ありがとうございました。
  62. 増岡博之

  63. 多田光雄

    多田委員 短時間ですけれども、先般も連合審査でイランの問題について伺いましたが、新しい局面ができましたので、きょうまたイランの問題についてお伺いしたいと思います。  当面するエネルギー問題でやっぱり最大の焦点はイラン問題であろうと思うわけですが、バレル当たり三十五ドルの価格交渉に伴ってイランの日本向け原油供給の全面ストップになったわけですが、昨日の参議院本会議で大平総理はこういう答弁をしております。今後イランに再考を強く求めるが、供給停止になってもある程度やむを得ない、こういうことを述べております。政府は三十五ドル原油の購入を拒否したのは純経済上の問題だからというふうに説明しておられるわけですが、そこで伺うのですが、日本の商社や石油会社が現在イランとの間で合計一日当たり約五十二万バレルの直接取引の契約を結んで輸入しているわけですが、この契約では価格についてはイラン側が一方的に決められるというようになっていると私どもは聞いております。イラン国営石油会社と日本側の原油供給契約では、イランの値上げ通告に対して買い入れ企業が拒否できない、こういう条項があるというふうに聞いているわけです。きょう、私、幾つかの会社に電話してみたのですが、これを否定なさいませんでした。しかしながら、詳しい資料は見せられませんということでございました。もともとは日本側が油が欲しいために結んだ契約という性格が強いわけですから、私は一概に否定するわけじゃありません。ただ、問題は、十六、十七日の価格交渉で日本側は二ドル五十セントの値上げを拒否したわけですね。だから、イランは値上げ拒否を契約不履行と見て違約金請求の措置に出るおそれがある、そういう見方がいま日本の業界内にあるということは一部の新聞にも報道されて、あるいは大臣もごらんになったかもわかりませんが、こういうことをはっきり言うということは決して一部の方が言うように国益に反するという問題ではないのじゃないか、まさにここにいま当面する日本のエネルギー問題のいわば根本的な問題が問われているというふうに私は考えてあえてこの問題をきょう大臣に伺うわけです。  そこで、こうした事実と、それから値上げ拒否を指導した政府——と私ども考えるのですが、いままでの経過を見るとどうも私どもはそう確信するのですが、政府が三十五ドルは高過ぎるという経済的な理由を繰り返し強調している現状から見て、基本的にはやっぱりアメリカのイラン制裁に日本が同調しながらイランに徐々に圧力を、今度はまたEC諸国と共同して圧力を加えていくという方向のように見えるのですが、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  64. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず契約のことからお答え申し上げますと、多田先生いま御指摘のとおり、契約上は、産油国の一方的な通告によって値上げをすることができる、こういう契約になっているわけでございます。ところが、この契約が有効に働く際は、今回の例で申し上げますと、二ドル五十の値上げをするという通告をイラン側はするわけでございまして、その通告だけでは契約はそのまま実行されるわけじゃなくて、通告を受けました買い手の方、日本側の企業がそれをアクセプトするという返事を出したときに初めてその契約が有効に働く、こういう仕組みになっているわけでございます。したがいまして、現在日本の企業がとっております措置は、イラン側の通告をアクセプトできない、こういう態度をとっているわけでございますから、そういう考え方をイラン側に申し出をいたしましたら、イラン側の方で、アクセプトできない理由は何かということで、その辺の話し合いをしようじゃないかということから、現在二グループに分けて交渉が行われているわけでございまして、第一グループはすでに一回目の話し合いを終わりまして、第二グループは二十二日からきょうまで五社が契約をめぐりましてアクセプトするかどうかの話し合いをしているということでございます。三十五ドルは余りにも高過ぎる、同じような性状のアラビアン・ライトが二十六ドルでございますから、それに比べまして九ドルも高い、性質が同じような油を九ドルも高く買うのは日本としても問題でございますし、国内へ持ってまいりましても製品価格になかなか転嫁できないという問題から日本側の企業がこれをアクセプトできないという主張をしているわけでございまして、その点はイラン側も理解いたしまして価格交渉に臨んでいるわけでございますけれども、残念ながら第一ラウンドの価格交渉は不調に終わりそうだ、最終的には、二十四日の分が残っておりますので結論を申し上げるわけにいきませんけれども、これまでの段階では不調に終わっているということでございます。これは価格交渉の問題でございますから、一回だけで終わるものではなくて、根気強く契約交渉に当たりたいということでございます。この発端は四月一日付をもって値上げをすると言ってきたことからこの交渉が行われているわけでございまして、いま御指摘のアメリカのイランに対する経済制裁とは全くかけ離れた次元の問題でございまして、タイミングから見ましても私ども日本側のイラン交渉の方が先行しておるというふうに理解しておりますので、全く経済制裁措置とは別個の次元で行われているというふうに認識をいたしている次第でございます。
  65. 多田光雄

    多田委員 次に伺いますが、イランの原油カット、こういう非常に不幸な状況になったわけですが、また、イランと今日の日本の複雑な関係、これは今後さらに長期化すると大臣はお考えでございましょうか。きのうも関係の閣僚会議を開かれたということが写真も入って大臣も御出席されて出ているわけですが、やはり情勢判断が非常に大事だと思うのです。また、国民関係者は非常に重大な関心を持って見ているわけですが、こういう事態が今後も相当長期化するのかどうか、これをひとつ伺いたいと思います。
  66. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように、問題は人質の解放をどうするかというところにポイントがあるわけでございまして、その人質の解放のために米国がああいう措置をとったわけですが、さらに進んだ軍事的な措置等はとらないでしばらくがまんしてもらいたい、事を平和裏に解決したいというのが私どもの念願でもあり、またEC側の念願でもございまして、同時に、イラン政府に対しましても、大使がそれぞれイランに帰るわけでございますから、EC側の大使、日本の大使等もイランにおきましていろいろ相談の上、早期に人質の解放を考慮してもらいたいという、いろいろな現時点を踏まえての話し合いをしているのじゃないか。話し合いと申しますとあれでございますけれども、申し入れと申しますか。ですから、念願といたしましては平和裏に何としても早くひとつ人質を解放してもらえないかという点がポイントでございまして、EC側の態度といたしましては十七日ぐらいをめどにしているようでございまして、それまで早期解決を私ども期待し希望して最大の努力を払うのがいま一番重要なことだと思っています。
  67. 多田光雄

    多田委員 こういう事態はなるべく平和的にきちんと早く解決されてほしいという念願は私も大臣と同じでございます。ただ、非常に心配しますのは、早く解決するかどうかということはイラン側もさることながら、日本やEC、最終的にはアメリカ政府の態度にかかっているんじゃないかなというふうに考えるわけです。ちょっといま大臣もポイントは人質解放と言われました。確かにアメリカはこの人道に反する人質の問題を最大の争点として取り上げているわけです。こういう国際法違反の行動については私ども容認することはできないと思います。しかしながら、この人質解放に焦点を合わせたアメリカのいわばこの制裁措置というのが続く限り、なかなかこの問題の解決はむずかしいのではないかというふうに私は考えているものです。なぜなら、イランの国民がこれだけアメリカに抵抗するというのはやはり歴史的な事情があることであって、近い例で言えば、昭和二十八年に当時のモサデク政権が、皆さん御存じのとおりアメリカのクーデターによって、追われているパーレビ王政にかわったわけですね。これがいわば中近東の憲兵のような役割りを担って非常に国民を抑圧する。それからアメリカの石油支配が非常に強まっていった。そういう中でパーレビ王政に対する国民の批判、同時にやはりアメリカの支配に対する非常に強い国民の怒りが伸びていって一昨年の暮れから去年という事態になったというふうに私は考えているわけですね。ですから、やはりアメリカがそこまで考えて、そして平和的な解決というふうに乗り出さない限り、人質問題だけ取り上げてやっていたのではイラン国民の本当の納得を得ることはできないのではないか。しかもカーター大統領自身がアメリカの名誉のためには人質の命も云々、こういうことまで一方では言ってきている段階で、イラン国民の信をかちとることはできないのじゃないかと私は思うわけです。そういう意味で非常に根が深いということ。  それからいま一つは、大平総理が日本とヨーロッパが協力してイランに説得を続けるという、この説得を続けるということはイランの国民はどういうふうに受け取るかということです。たとえそれが善意であったとしても、すでに制裁という言葉が使われて、いままでの日本やヨーロッパの経過を見ていても、それはやはりイランにとっては強圧とか、あるいは制裁の一部、われわれがそう考えなくともイランの国民はそう受け取らなければ不思議なくらいだというふうに思います。そういう意味では、ECの今回の態度から見て、制裁のエスカレーションというのがどうも続きそうだ。イランの態度によっては次から次へと続けていく。もしECが五月十七日の外相会議でもって、イランがECの納得できないような態度であるならばさらに次の強力な経済措置をとるということは、ECプラス日本の十カ国がこの間そういう話し合いをしてきているわけですね。こういう何の歯どめもない状況にいまあるのじゃないかというふうに思うわけです。ですから、こういう状況の中で果たす日本政府の態度というのは、この間ECに行って、ああいうECの意思統一を組織される上で大来外相はなかなか大きな力を果たした、それにアメリカも感謝しているというようなことが出ていますけれども、もしその力が本当に平和的な解決に使われるならば、この不幸な問題の解決に大きな力になるというふうに私は考えているわけです。この点で五月二日アメリカで日米首脳会談が開かれる予定になって、それからまた佐々木通産大臣も月末でございますか、中国にいらっしゃるというのは。そういう過程にあるわけですね。ですから、そういう国の指導者が海外に行かれる場合、日本が本格的に平和的に解決するイニシアチブをとるということが、先ほど大臣が述べられた平和的に早期に解決するということに一役を果たすのではないか。それはもちろんイランの顔も立つだろうし、アメリカもそういう行動によって深刻な事態に至らないで済むということになるんじゃないかというふうに私は思うのです。それがない限り、どんなに純経済的な態度と言ってみたって、経過からいって、これを純経済的な態度ととるほどイランの人たちが、イランの指導者が目が曇っているとは私は全然考えないわけです。私は皆さんの努力を過小評価するわけじゃありませんけれども、そういう措置をこの際思い切って関係閣僚会議でも通産大臣から主張していただくということが非常に大事ではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
  68. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そういうことでございますので、事態を平和裏に解決したいというのが私どもの最大の望みでございますから、わが国の態度が、ヨーロッパ側でも同じ態度でございますし、そういう態度を踏まえまして各大使が帰りましてさらにイラン側にも要望するわけでございまして、その成果を待ちたいと思っております。
  69. 多田光雄

    多田委員 次にもう一つ大きな問題は、これが国民生活にどうはね返るかという問題です。  昨年、御承知のとおり原油が非常に値上がりをして、その値上がり以上に国内の石油製品も値上がりしていくという状況です。十日ほど前ですが、需要期を過ぎたこの春先でも、北海道では灯油が一リッター八十円を超しておるというのが新聞に出ておりました。まさに昨年の六月から三倍です。ですから、こういう諸物価の高騰する中で灯油を最も必要とする地域では公共料金の値上げよりもこの灯油の値上げの方が一層深刻だ。しかも去年は夏場どんどん上がっていったわけですから。そういう経験を持っています。しかもその間に品物がない。政府の発表では、去年はおととしよりも幾らか原油がたくさん入っている、国内生産もふえている、あるいは備蓄もあると言われながら、どこにどう雲隠れしたのか現物がない。その現物がないことが一つてこになって価格がどんどんつり上がった。そうしていまになって残ってみたら、いや備蓄は九十日ありました、昨年は一昨年より油が入りました。国民に残ったのは異常な高値ですよ。残ったものはそれだけです。これを体験を通じて国民は知っているわけです。しかも政府は、それを言うと、これは売り惜しみじゃない、買い占めではない、便乗値上げではない、価格の上がったのは海外から上がったからあたりまえだ、こういう説明が行われているような状況なんです。ですから、私はこのことから、ことしまた国民に向かって冷静であれとお説教しても、一体どれだけ国民が聞くのだろうかという疑問を持つ者の一人です。現にもうきのうの毎日新聞には、イラン原油が停止して二カ月続けば、石油製品も五%減、こういう記事も出て、中にいろいろ備蓄の状況やアメリカが果たして油を回してくれるのか、アメリカの議会がうんと言うのかというようなことも含めて、いわばわれわれにとっては大変悲観的なことを述べているわけです、こういうようになるかどうかは別問題にして。国民の暮らしが一体どうなるかという点が一番問題だというように思いますが、この点について、この間大臣が私に、この間の段階で最終的にカットされたときの対応考えている、しかし、中身はおっしゃいませんでした。しかし、いまの段階ではある程度国民に安心をしてもらうような対応策というものを発表されるということが国民に対する責任だ。なぜならば、こういうイランと日本との関係というのは、業界もそれは責任がないとは言いませんけれども、一番根本は政治の問題なんですから、その為政者がそれに対して国民に納得いく態度を示すということが何よりもいま緊急の問題であり、またこれからの物価その他に対しても好影響を与えていくのじゃないかと私は思いますが、大臣、どういう態度でこれから臨まれるわけですか。国民が安心できるような措置をひとつ伝えていただきたいと思うのです。
  70. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私どもエネルギー政策推進する上におきまして、国民の皆様方に安心して対応していただくことが政策の根本であることはもう御指摘のとおりでございます。  そこで、イランからの原油の購入も含めまして、いかに安定的に必要とする原油を確保するかということでいろいろな対策を私どもは講じているわけでございますが、いまここでイランの油が完全にストップしたという前提計画を組みますことはかえって逆効果ではないか。という意味は、先ほどもお答えいたしましたとおり、イランとの間には現在価格交渉が進んでおるわけでありまして、確かに第一ラウンドは価格交渉が必ずしもうまくいってないということでございますけれども、第一ラウンドだけで価格交渉を終わらせるのではなくて、粘り強く交渉を行うことによってイランの油を確保するのが私どもに課せられた課題ではないかと考えます。  そこで、イランの原油がとまったらこうしますということは、イラン側に対してどういう影響を与えるかということを考えますと、いまそういう事態には立ち至ってない。あくまでイランの油を適正価格で買うことに主眼を置くべき段階ではないかということでございますから、もちろんエネルギー政策当局といたしましては、平素からいろいろなケースを想定いたしました対策を講じておりますけれども、現段階におきましてイランの油がなくなったときの対応策を考えるのはちょっと早計ではないか。イランに対しても交渉している最中に、おまえのところから油がこなくなったらこうしますよということも交渉上のテクニックとしてはまことにおかしなことになる、こういう考え方から最悪の場合のことを云々できない立場にあることをぜひ御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  71. 多田光雄

    多田委員 長官の言う気持ちも私はよくわかります。いま視点は国民の暮らしという点が非常に大事で、そこにポイントを置いているのです。繰り返し申し上げますが、私どもから見て、昨年明らかに現象的には買い占め、それから便乗値上げと思われるものが数多くあったわけです。いまだにどこに油が行ったのかわからないのです。行管も調査するということを国会で言っておりますけれども政府が大いに力を上げて調査してその災いのもとを明らかにすることは民心の安定の上にも非常に大事だし、政府の信用を回復する上でも非常に大事だと思いますが、この経験を持っているということです。ですから、あえて具体的な例を挙げれば、イランの油がとまったという表現がまずければ、仮にいまのような状況が一カ月、二カ月続いていくとした場合、そういう可能性はなきにしもあらずだと私は思っているのです。そうなった場合に、イランに依存する企業は、イランへの依存の度合いはいろいろ違います。たとえば、九州石油はかなり高いとか、丸善は高いとか、そういうところは打撃が大きいわけです。少ないところはそれなりに打撃が少ない。そうなると、国内での油の融通は商売人が必ずいるわけですから、そこにさまざまな手練手管が入ってくるわけです。また、それに便乗して一もうけをやろうという者が出てくるのは当然のことだと思うのです。去年の例からいえば否定できないと思うのです。そうした段階で一番困るのは国民だということです。これはおわかりだろうと思うのです。そういう事態になった場合に、政府はそれを抑える段平を持っているのです。それは石油二法です。買い占め、売り惜しみを禁止する法律だとか需給調整法だとかを持っているわけです。これを昨年発動しろと言ったところが発動しない、発動する段階でない、こう言って一年過ぎてしまったわけです。今回重要なことは、もし昨年のような状況が予想される事態になったならば、政府は断固として石油二法を発動して、業者やメーカーその他の反国民的な措置国民の名において抑える措置をはっきりされることは、イランに対して何ら交渉の手を縛ることではないのではないか。国民に対する政府の約束ごとですから、そういう措置を思い切っていまとられることが大事ではないか。昨年とらなかっただけにそのことが私は非常に大事だと考えています。そういう二法の発動について、大臣ひとつどうでしょうか。これはぜひやった方が私はよろしいと思うのですが、いかがでしょう。
  72. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ちょうど一年前、昨年のいまごろは大変な石油の先行き不安感があったわけでございまして、イランの原油の生産が全面的にストップしたわけでございますけれども、そのときにおっしゃるように大変な混乱があったわけでございます。私どもがとりました政策は、まず量の確保を図ることが先決だという政策をとったわけでございまして、量を確保することがひいては価格の安定にもつながっていくという考え方のもとに鋭意その努力を続けまして、年度を終わってみますと、その政策は功を奏したと私どもは思っております。計画どおりその量が入ってきたわけでございます。確かに原油価格は上がりまして、総体的に消費者価格も上がったわけでございますけれども、バランスはとれたと考えております。  そこで、いま御指摘石油二法を発動するという考え方、これは一つ考え方ではなかろうかと私は思います。ただ、ことしも全く量の確保ということでは同じような課題があるのではないかということでございまして、石油二法を発動いたしました場合に、果たして原油の量の確保がうまくできるかどうかという問題になりますと、二法の発動によって原油の調達がスムーズにいくというふうには私どもは必ずしも考えてないわけでございます。と申しますのは、価格がフィックスされることになりまして、原油は御承知のとおりイランからだけではなくてあらゆるところから入ってくるわけでございますが、私どもが言っております玉は、日本の価格政策によってよそへ回っていく危険性が多分にある、こういうことから石油二法の発動につきましては大変慎重な態度をとらざるを得ないということでございまして、全く去年のいまごろと同じような考え方で、量の確保を図ることによりまして国民の皆様方に御安心をいただく、それから価格政策をその裏づけとしてやっていく政策をことしも続けさせていただきたいと考えております。確かに二法の発動の必要性は、別の次元で見ますと御指摘のような御意見もあろうかと思いますけれども、私どもはいまのような考え方でございまして、原油の量の確保を図ることが、ひいては国民の皆様方に御安心いただける最大の近道ではないかということを政策の基本といたしておるわけでございますから、どうしても二法の発動につきましては慎重にならざるを得ない、こういう考え方を持っている次第でございます。
  73. 多田光雄

    多田委員 もう時間も参りました。  私は量の確保が結果としてどこにプラスになったかということ、確かに量の確保は皆さんの努力の結果でもあるだろうと思うのです。そのころ私も主張しましたけれども、量の確保と価格の安定、これが両方できないのかという問題です。しかもその価格の安定というのは、国内における正当な価格を維持するならいいですよ。ともかくべらぼうな値上げなんです。それを抑えることができないのか。だから、結果としては、先ほど言ったように量を大量に確保した業界は大変な利益を上げたでしょう。肝心かなめの国民は、一時は量もなかったし、価格はつり上がったのです。だから、国民立場に立つならば、量の確保とあわせて価格の安定も期す必要がある。それが政治の一番むずかしいところだろうと思うのです。しかし、法は持っているのです。いま言った二法です。ですから、それだけの決意を持っていかないと、これだけの大きな海外からの供給カットがされているというのは、いろいろ備蓄があるとかなんとか言っておりますけれども、備蓄を割ること自体が異常な事態なんですから、そういう点を考えますと、決して油断がならないという意味で、二法の発動をさらに——きょうここでやるという御回答は私は困難だろうと思いますが、そのことをやることを前提にしてひとつ諸条件を考えていただきたい、こういうふうに思います。  最後に大臣に、これは前にもお話ししたとおりですけれども、アメリカの制裁措置は事態を一層複雑にするばかりで、困難をふやすものだと私は思っております。ぜひアメリカのああいう一方的な制裁措置をやめさせることを日本政府として主張する、そしてイランとは話し合いで解決することを首脳会談でも首相が述べられるように、通産大臣の方からもぜひ主張していただきたいというのが私の要望でございます。  これだけ申し上げまして私の質問を終わります。
  74. 増岡博之

    増岡委員長 玉置一弥君。
  75. 玉置一弥

    ○玉置委員 新しいエネルギー源、そういう意味で非常にこれからいろいろな局面を迎えてくると考えておりますし、またわれわれとしてもいろいろな場面で協力をしてまいりたいと考えておりますけれども、今回、電発二法と言われております法律、そして新エネ機構、それに対しまして多少の疑問というか、かなりの疑問があるわけでございます。  まず、そこで通産省、そしてエネルギー庁の考え方というものを確認をいたしたいと思います。  まず一つは、新エネルギーに対する主導権がどちらにあるかということでございます。言い方は悪いですけれども、主管ですね、主管部署はどちらなのか。と申しますのは、通産省で二兆九千億円という試算をなさいましたけれども、これはあくまでもこういう内容についてやっていきたいというところから出てきた数字だ、そういうふうに思っているわけでございます。そしていろいろな国々の技術、あるいは日本のいままでの開発状況、そういうものから、これからのエネルギーというものを電源の多様化でありますとか、あるいはその他の方面に向けていかなければならない、これもわれわれそのように感じているわけでございますけれども、しかし、いままでの動きを見ていますと、通産省が決めるのか、大蔵省が決めるのかというところに非常に疑問を持っているわけでございます。  そこで、まずお答えをいただきたいのは、これからのエネルギー対応していくために、どちらが主管としてやっていけば一番理想的な形になるのかということについて、通産大臣、そして森山長官にお聞きをいたしたいと思います。
  76. 森山信吾

    森山(信)政府委員 大蔵委員会でございますので、なかなか言い方が微妙な言い方にならざるを得ないかもしれませんが、私どもは、エネルギー政策を担当いたしておりますのは通産省、こういうふうに考えておりまして、今後長期にわたりましてエネルギー政策推進していくという観点から、私ども責任を持ってその政策推進したい、こういう基本的な考え方を持っております。  しかしながら、その供給目標に対しましていろいろな対策を講じていく上におきましては、当然のことながら財源手当てというものが必要になってくるわけでございます。目的税として現在お願いしておるわけでございますので、目的税である以上は、ある一定期間、ある程度はっきりいたしました財源見通しが立てられるということから、大蔵省とも御相談いたしまして目的税にさせていただいているわけでございまして、要求をそういう要求にさせていただいているわけでございまして、もちろん国の財政の総合的な判断というものはおありだと思いますけれども、私ども立場からはエネルギー政策の遂行の責任官庁は通商産業省である、こういうふうに理解をしておるつもりでございます。
  77. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 それは官制で決まっておりまして、通産省の設置法にはエネルギー対策あるいは政策の遂行等は通産省であることは間違いございません。
  78. 玉置一弥

    ○玉置委員 時間がございませんので、なるべくいまの発言を受けて、後で質問していきたいと思いますので、思いつくままにどんどんと言っていただきたいと思います。  まずそこで、通産省が、そしてエネルギー庁が一応主体となって進めていくということでございまして、そこで、六十年あるいは六十五年という長期見通し、それについてまずお答えをいただきたい。そして一つは、現在のイラン問題、そういうものがございますけれども、イラン以外にも中東情勢、非常に不安があります。そういう意味で、五年先、十年先中東がどうなっているか、その結論を予測としてお願いをいたしたいと思います。
  79. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私ども代替エネルギー開発をさせていただく場合に、法案上は閣議で決めるという考え方をとっておるわけでございまして、通商産業大臣が原案をつくりまして閣議の議を経た上で公表するという仕組みになっておりますので、そこで内閣としての整合性は保たれるという基本的な考え方が一つございます。  それから中長期エネルギー対策考えていく場合に、中近東の情勢がどうなっていくかという御指摘だろうと思いますが、これは政治上の変化あるいは外交上の問題、経済上の問題等々いろいろあろうかと思いますけれども、私どもは端的にいま計算のベースにいたしておりますのは、中近東の中でその大宗を占めますOPECの生産能力をどう見るかということではなかろうかと思います。この数年間、OPECは一日当たり三千万バレル程度の生産規模を維持しているわけでございますが、どう多く見積もりましても三千三百万程度が頭打ちではないかという考え方がございますので、余り過大にOPECの生産量を期待することは無理があろう。現在、七五%以上のシェアで中近東に石油を依存いたしておりますけれども、これをできるだけ分散していくという基本政策が次の課題として上がってくるのではないかということでございまして、そういうものをベースにいたしまして中長期目標をつくっていきたい、こういう基本的な考え方を持っている次第でございます。
  80. 玉置一弥

    ○玉置委員 具体的に、現在の石油エネルギーに対して、大体五年先、十年先何%くらいになりますか、供給量とそれから使用量ですね、両方。
  81. 森山信吾

    森山(信)政府委員 昨年とことしの日本の輸入量が一日当たり五百四十万バレルでございまして、これを五年先、十年先には大体六百三十万バレル・パー・デーぐらいに引き上げたいというふうに考えております。キロリッターで申し上げますと、大体三億一千万キロリッターぐらいが去年及びことし、それから五年先、十年先は三億六千万キロリッター程度になるというふうに予測いたしております。
  82. 玉置一弥

    ○玉置委員 またイラン問題に戻りますけれども、現在、出荷停止という状態になっておりますけれども、いつからイランが日本に対して輸出を再開するかという見通し、そしてその後どうなっていくかという見通し、それをお伺いしたいと思います。
  83. 森山信吾

    森山(信)政府委員 四月二十一日から船積みがとまっておるわけでございますけれども、これは第一グループと申します七社の交渉がうまくいきませんでしたので、その分がとまったわけでございまして、一昨日からきょうにかけまして第二グループが値段の交渉をやっておるわけでございます。その結果につきましては明日にならないとよくわからないわけでございますが、総じて言えますことは、価格交渉が円満に妥結しない限りはイラン側は船積みを停止するだろう、こういう予測をいたしております。  そこで、いつから再開かということになりますと、具体的な日取りは何とも申し上げようがないわけでございますけれども、価格の交渉が円満に妥結いたしますれば、イラン側も再開の意思があると思いますし、日本側もこれに応ずる気持ちは持っておるわけでございまして、あくまでも価格交渉次第というふうに考えております。
  84. 玉置一弥

    ○玉置委員 ということは、石油の輸入に関しては民間ベースでやっているということでよろしゅうございますか。
  85. 森山信吾

    森山(信)政府委員 現在、十二社がイランの国営石油会社と長期契約を結んでいるわけでございますから、その十二社を主体にいたします民間ベースでの取引が今後も行われていくというふうに考えております。
  86. 玉置一弥

    ○玉置委員 現在、民間ベースでやられてまして、今度の新エネ機構、そして新しいエネルギー源を求めていろいろやられるわけでございますけれども、いままでやってなかったことが果たして構構をつくっただけでできるかどうか、そういう心配が非常にあるわけです。それと、民間ベースに頼っていながら計画通産省あるいはエネルギー庁でつくるということに何となくしっくりいかないような気持ちがするわけです。見通しについては、一応閣議というお話でございましたけれども、たとえばイランの石化の問題で、政府は協調融資をするという閣議決定をなさいました。見通し、そして閣議決定その他、責任分散という形になると思います。たとえばイラン石化の問題についても、今回もし最悪の場合、イランと日本が悪い状態になったというふうに考えた場合、それまで投資を決断された方々の責任——この前大蔵省の方にお聞きをしたのですけれども、要するに責任はどこにあるのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  87. 森山信吾

    森山(信)政府委員 イランは現在日本にとりまして一一%から一三%程度石油供給先でございますから、大変重要な国だという認識はございます。したがいまして、いま御指摘のございましたイラン石化問題、これは直接原油の確保とは関係ないわけでございますけれども、日本とイラン両国の緊密さと申しましょうか連帯感と申しましょうか、そういったものをより強めるためのプロジェクトとして遂行したわけでございまして、現に遂行しようとしているわけでございます。これは全く日イ双方の友好関係の確立のためにとられた手段でございまして、それなりの評価をすべきだろうと思いますし、それを日本側から放棄する必要性はないというふうに考えているわけでございます。あくまでもイランを日本のパートナーとして見ていくという見方からそういう政策を遂行したわけでございまして、これは私はそれなりの評価をすべきだと思います。  それからいま御指摘のございました最悪の場合、これを回避するというのが私どもの最大の政策課題ではないかというふうに考えておりまして、先ほどもいろいろ御質問があったわけでございますけれども、最悪の事態にならないように日本がせっかく努力するという方向で進んでおりますので、最悪の場合の想定をいま申し上げるということはちょっといかがなものであろうか、こういう考え方でございますので、御容赦いただきたいと思います。
  88. 玉置一弥

    ○玉置委員 最悪の場合の想定というものは必ずやっておかなければいけないと思うのですね。それと、非常に先行投資の意味もあるし、交際費的な要素もあるという気持ちもするのですけれども、経過から見て比較的安易に決められたような気もするわけです。非常に大きい金額でございまして、今回のエネルギー対策費用、従来出しておりますいろいろな費用から考えてもその四分の一あるいは五分の一近くに相当する金額を充当している、そういう事態もございますし、本当にむだ金を思い切って出す、そういう決断がなされるのが再々あるわけでございます。そういう決断ができるのだったら何でもっといい方へ向かないのか、そういう気持ちがするわけです。やはりこれは責任が非常に不明確になるということだと思いますね。通常考えますと、閣議で決定されて、責任を負うというのは当然閣議に参加をされている方々で、そういう方々が責任をとるということは総辞職しかないんじゃないかというふうに考えるのです。これはうちの党が言っていることではなくて、ほかの党で話があっただけでございますから特に言いませんけれども、実際のところそのくらいの腹構えでやっていただきたいということです。特に財政再建という非常に財源が縛られている中で何が重要なのかということが大蔵省、要するに予算を握っている当局を納得させるだけの発言、そして行動、そういうものが伴わない限り、お金はつけたけれども非常にむだな使い方をされているというふうにとられると、後々縮小せざるを得ないし、また本当に重要なときに予算がつかないという状態になると思うのです。  そこで、本当に時間が参りましたので、お願いという形でございますけれども、あくまでも通産省、そしてエネルギー庁が主体になって進めるということでございますから、今回予定をされております金額にとらわれないで、本当に緊急課題から、重要度、優先順位をつけて、要るときは要る、要らないときは要らないということを明確にして進めていただきたいと思います。  細かいことにつきましては後ほどまたお時間をいただいて、そちらの時間の中で質問をしてまいりたいと思いますけれども、これからの通産省、そしてエネルギー庁の決意といいますか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  89. 森山信吾

    森山(信)政府委員 代替エネルギー開発考えますと、大体十年間で六十兆円あるいは八十兆円ぐらいかかるのではないか、こういう指摘がされるわけでございまして、現在私どもお願いいたしておりますのはそのうちの三兆円ということでございます。  と申しますのは、代替エネルギー開発は幾つかの段階がございます。基礎的な研究からこれをパイロットプラント的に実験していく、さらにそれを実用化していくという幾つかのプロセスがあるわけでございまして、従来でございますと基礎的な研究が行われまして、それがある程度採算に乗るというところまで企業はなかなか実用化しない、したがって、代替エネルギー開発そのものがテンポがおくれる、こういう弊害があったわけでございます。そこの、いかにすれば基礎的に研究されたものを早く実用化に結びつけることができるか、その必要性を私どもは一番痛感いたしておりまして、今回法案の御審議をいただいたわけでございます。そのいわば代替エネルギーの本当の中核、実用化に至るまでの中核になるようなことをぜひやらしていただきたい。実際はその実用化というのは民間がおやりになるわけでございますけれども、これは時としてテンポがスローになる危険性がございますから、現下の石油情勢を考えますと、従来どおりのテンポではとうてい日本のエネルギーを賄うだけの力に乏しいということから、代替エネルギー開発に取り組みたいという宿願的なものを感じておるわけでございまして、あえて税金に期待いたしましてそういう方策をやらしていただきたいと思っているゆえんはいま申し上げたところにあるわけでございます。  幸いにいたしまして法案を成立させていただきました暁には、全力を挙げて代替エネルギー開発に取り組む、日本の国民生活あるいは経済活動のために支障のないような代替エネルギー開発に取り組みたいと切望をいたしておりますので、よろしく御支援を賜りたいと思う次第でございます。
  90. 玉置一弥

    ○玉置委員 時間が参りましたので、また後ほどの時間に続きをお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
  91. 増岡博之

  92. 多田光雄

    多田委員 代替エネルギー財源問題でちょっとお伺いしたいと思うのですが、きょうの衆議院本会議代替エネルギー法案が通過しまして、私どもとしてはこれに反対の態度をとったわけであります。もと法が通った後にまたエネルギーの基本的な立場をお伺いするのもどうかなと思いましたけれども大臣はやはり閣僚の一人でございますし、これからのエネルギー政策的な運用の面でも大きな責任を持っておられる立場のお一人ですから、あえてきょうは少しエネルギーの基本的な問題で幾つかお伺いしたいというふうに思っています。  そこで、日本のエネルギーが、よくこれは政府民間からも非常に脆弱であるということを指摘されるのですが、大臣としては、日本のエネルギーのどこに脆弱性があるとお考えになっておられるか、お考えになっていなければいいのですけれども、お考えになっているとすれば、どこに問題点あるいはウイークポイントがあるのか、それをまず一つお伺いしたいと思います。
  93. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 エネルギーの日本の一番のウイークポイントとでも申しましょうか、これは、いままでかえって恵まれ過ぎておった点が逆に一番のウイークポイントになったと申し上げた方が正しいと思うのですが、とにかく石油を非常に安く、また豊富に確保できた、そういう事態にだんだんなれておりましたのが、第一次石油ショック、第二次石油ショックにおいてさま変わりの情勢になってきた。これに対応して、いままでは省エネルギー、これで当面を切り抜けて、これから脱石油、こういう方面にエネルギー政策の基本的な方向を向けまして、あらゆる努力をそれに傾倒せざるを得ない事態になったものと私は認識をいたしております。
  94. 多田光雄

    多田委員 いま、日本のエネルギーのウイークポイントが、石油に恵まれ過ぎたというようなお話でしたけれども、それがウイークポイントになるわけでございましょうか、もう一度お伺いしたいのですが。なぜ恵まれ過ぎたことがウイークポイントになったのでしょう。
  95. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 恵まれ過ぎ、それになれてきておりましたのが、最近の事態において、多田委員も御承知のように、OPECその他の産油国が一方的に価格をつり上げたり供給を制限したりするという事態に直面をいたしまして、そこからいま申し上げたような省エネルギーあるいは脱石油ということが必要な事態に追い込まれておるのが今日の状態だと認識をしております。
  96. 多田光雄

    多田委員 大臣のお言葉をさらに私なりに敷衍させていただきますと、石油が多ければ大変結構なことなんですが、それに依存し過ぎたということは、石油の大半を外国から購入している。日本では生産は微々たるものですね。ですから、海外からの石油に余りにも甘え過ぎたというか、依存し過ぎたというか、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  97. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 そのとおり御理解をいただいて結構です。
  98. 多田光雄

    多田委員 日本のエネルギーの大宗を外国に依存し過ぎたということには、私は二つの意味があるんじゃないかというように思っているのです。これは私の考えですけれども大臣の御意見を伺いたいのですが、一つは、やはり外国依存であるために安定供給が非常に不安定になるということです。ですから、それが産業や国民生活にも至大の影響を与えているということが、海外の資源依存というもののもたらす一つの弊害ではないかと思います。  もう一つとしては、相手の都合や事情によってそれが来たり来なかったり、価格が一方的に上がっていく。これは、ないからそういうものをやむを得ず承認せざるを得ないという弱みがあるわけですけれども、そういうことから、言うならば、日本としてエネルギーを操作する、政府としての自主的なかじ取りがなかなかむずかしい。いま、国民のためにこうしてやりたいと思っても、イランのような問題が起きますとなかなかそれが思うようにならない。ひいては、それは日本のよく言われるエネルギー事情のナショナルセキュリティーが、やはり自分を守り切れないというような二つの問題が私は外国依存にはあるというふうに思うのですが、この外国依存の弊害について、大臣なお御意見があれば伺いたいと思います。
  99. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 まさにいままでは、外国に依存しておりましても、非常に有利な日本の地理的条件というものもあろうと思います。四面環海、大型タンカーによって輸送費も安く運んでこられたこと、いろいろの点で恵まれておったと思うのでありますが、それが事情が変わりまして、いま仰せのとおり、日本でどうしようこうしようと思っても、結局産油国の意向によって左右される、また、安定供給のいわゆるセキュリティーの面においても、大変な不確実性といいますか、不安が起こっておる。そういう点が今日の一番大きな問題ではなかろうか、それを克服していくような対策がどうしても必要である、こういうふうに考えております。
  100. 多田光雄

    多田委員 そこで、きょう本会議を通過しました石油代替エネルギー法案ですが、これは政府エネルギー政策のいわば中心的な施策だというふうにわれわれは理解をし、また政府もそうおっしゃっているのですが、これでいきまして本当に日本のエネルギーのナショナルセキュリティーが守られ、あるいは維持されていくというふうに大臣はかたく信じておられましょうか。
  101. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 通産当局その他からもお聞き取りをいただいたと思うのですが、いわゆる中長期的なエネルギー需給見通し、そういうふうなものを立てまして、これに向かって、現在ほとんど石油に依存しておる日本の産業あるいは国民生活、そういうものをできる限り早く石油依存に対する割合を低めていく、そのために代替エネルギー開発していく、これにあらゆる政策を集中的に講じていく、私は、これがわれわれとしてなし得る最善の道であり、それによって何とか、まあ国際的な関係もどこまでも平和でなければ、維持していかなければならぬということが前提でございますけれども、そういう自主的な努力を積み重ねることによってエネルギーのセキュリティーの問題も、万全と言えるかどうかという点についてはいろいろ見方があろうかと思いますが、私は、それが最善の道である、こういう認識のもとにいろいろ法案等をお願いいたしておる次第でございます。
  102. 多田光雄

    多田委員 通産省からもらった資料を見ますと、きょうは連絡が悪くて担当が来ておりませんので、これを見ますと、大臣昭和五十二年と昭和六十五年ですね、これから十年後を比較しまして、エネルギー総体の中でのいわゆる国産エネルギー率、それの比率は余り変わらないのですね。というのは、昭和五十二年を見ますと、国産エネルギー、というのは、内容は、水力と国内炭と地熱その他ということです。いわば、この国土で原料もとれるし、国内でまたいろいろ電力その他にしているという、いわば本当に純国産ですが、これが構成比は九・〇%なんです。ところが、これから十年後なんですが、六十五年になりまして、いま言った水力、国内炭、地熱、これの総計はわずかに一〇・二%なんですね。そして、このころは石油の構成比がぐっと下がるわけです。エネルギーの大宗である外国輸入の石油の構成比が下がりながら、なおかつ国内のエネルギーの自給度合いというのはせいぜい一〇%をちょっと超えるか超えないかというところであるわけですね。私は、エネルギー源の比較的少ない日本ですから、日本の純国産エネルギーで五〇%になるとか六〇%になるなんということは、これだけ膨大な消費をする日本ではなかなか大変なことだろうということは重々承知ですけれども、こういう状況なんですね。ですから、依然として九割ぐらいが海外からのエネルギー源に依存するという事態になるわけなんです。こういう実情とあわせて、私もう一つ大臣に聞いていただきたいと思うのですが、今回の代替エネルギー中心になるのは、原子力、それから石炭石炭でも特に海外石炭ということになっておりますが、それから地熱等々、これらのものなんですが、この石炭自身大半が外国からの輸入の石炭ということになっているんですね。そして一方、国内の石炭というのは二千万トン体制ということを言っておりますけれども、もう二千万トンを割ってしまっているんです。ことしは千七百七十万トンぐらいという状況なんですね。つまり、依然として外国資源に依存するエネルギー構造になっているというふうに私は思うのですね。この意味で、量的に言っても、先ほど申し上げました海外依存から脱却しているものではないと私は思うのですが、こういう事態について、大臣はどうお考えでございましょうか。
  103. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 御指摘のように、国産エネルギーというものにだけ依存して、いわゆるエネルギーのナショナルセキュリティーを図っていくという考え方もあろうかと思いますが、私は、やはりグローバルな需給関係、改めて申し上げるまでもございませんように、石油の問題についてもいろいろな見解があると思うのでございますが、いずれにいたしましても、政治的な情勢その他から、先ほど来多田委員が御指摘のような状態になりつつありますので、とりあえず脱石油、これが一番大事な政策ではないか。したがって、いま御指摘のような原子力とかあるいは外国炭に依存した体制というものについてもなおかついろいろ問題があるんじゃなかろうかとおっしゃるお気持ちも私はわかりますけれども、とりあえず脱石油エネルギー体制というものをできるだけ早く整備していく、こういうことが大事な政策として打ち出されておるものと私は理解をいたしておるわけでございます。
  104. 多田光雄

    多田委員 脱石油が、何年後かに日本が今度は脱海外石炭というようなことになってきたら、石油と同じ道を歩むことになるんじゃないかと私は思います。いま私は量の話をしましたけれども、これも実はこの前の連合審査でいろいろ問題になったことですが、日本の外国炭の輸入は、主としてカナダ、オーストラリア、その他若干ですが、中国、アメリカその他があります。これから、主として発電に使う一般炭などは主にそういうところになるのは御承知だろうというふうに思うのですが、実は、日本側がいま一番買っている、これからも買おうとしているオーストラリアの状況はどうなるかと言いますと、通産省エネルギー庁の出している「コール・ノート」という資料を見ますと、これは私何度も引用しているんですが、ぜひ大臣に聞いていただきたいと私は思うのですが、こういうことなんです。つまり、日本がこれから海外石炭開発するのに進出しようとするところの有力鉱区はほとんどメジャーに押さえられているんです。そして、ここにこういうことが書いてあるんですね。オーストラリアの場合、この結果、一九八五年のオーストラリアの生産の七六%にメジャーが影響を与え、それから、出資比率分だけでも四二%になる。そして、輸出量の六八%に影響を与え得るまでになっていると推定される。これはエネ庁の資料なんです。つまり、日本が海外石炭開発に一番出向こうとするオーストラリアにおいてしかりなんですね。  それから、私、政府から資料をもらっているんですが、これから日本の企業が行ってジョイントして石炭山を開発しようとするところは、オーストラリアに八カ所、それからカナダに二カ所、その八カ所のうちの四カ所までが実はメジャーとの抱き合わせなんです。もちろん資本力はメジャーの方がずっと大きいですね。それからその他、カナダなんかは、アメリカのインデペンデント、これらがやっているんですね。つまり、石油にかわって石炭と言うが、その石炭の大半は海外炭であって、その海外炭が、すでにメジャーのつばのついたようなところにわれわれが入っていくというような仕組みになってきているわけであります。これも私はぜひひとつ大臣に御承知いただきたい。こういう実態というものが、果たして本当に日本のエネルギーの自主性の回復というものになるんだろうかという疑問を私は持って、通産大臣にもいろいろお伺いしたわけです。非常に危険な内容を持っているわけです。しかも、価格は差があると言われながら、一般炭については価格差がどんどん縮まってきている。そういう状況なんですね。ですから、先ほど大臣も言われた、日本のウイークポイントの一つは、海外に非常に過度に依存していることだ。しかも、その依存というものが、メジャーやその他に一緒になっていって、そして価格から量からいろいろ規制されるというような状況が続くならば、石油と同じ二の舞を日本は演じていくのじゃないかという懸念を私は持っているわけです。これが今度のエネルギー政策一つの特徴じゃないかと私は思います。  それからいま一つお伺いしたいのは、鳴り物入りで宣伝されている地熱の問題です。実は石炭液化の問題をお伺いすればいいのですが、これはすでに当委員会でわが党の議員も、他の同僚議員もやりましたので省くこととしまして、地熱問題についてちょっと伺いたいのです。  地熱開発で一番の問題はどういう点でしょうか。
  105. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 地熱開発につきましてはいろいろな問題があろうかとも思います。賦存量がどの程度あろうか、あるいは地熱開発するためにどういうような技術で行うか等々いろいろございますが、やはり一番大きな問題といたしましては、どうしても地熱は自然公園と申しますか、火山性のところに多くあります関係上、国立公園、国定公園の中にある割合が多うございます。したがいまして、そういうところにおきまして開発する際の、たとえば自然景観との調和とか、その他の環境問題が非常に大きな問題となっているところでございます。
  106. 多田光雄

    多田委員 この間連合審査のときに、参考人の陳述を聞いたのですが、そのとき地熱の問題について日本重化学工業の森専務が答弁しておられたのですが、この地熱開発の優良なところがほとんど国立公園にかかっているわけです。あるいはその周辺にかかっているわけです。そういう状態に地熱開発一つあるということです。  そこで、昨年八月に立てた長期エネルギーの需給見通しによりますと、この地熱開発の状況はこういうことなんです。これは石油換算でいきますと、昭和五十二年度の十五万キロリッターが七十年にはそれの九十倍以上の千四百二十万キロリッターという、飛躍的に地熱を伸ばさなければなりません。これだけの地熱を伸ばすとしますと、環境問題の整備なしにはできないのです。  そこで、環境庁に伺いたいのですが、ほとんどこれは公園にひっかかるわけですけれども、これだけの膨大な開発をやる上で現在環境上の問題になっているのはどういう点ですか。
  107. 田村久仁夫

    ○田村説明員 お答えいたします。  国立公園等自然公園におきます地熱開発につきましては、その開発の対象地域の多くが国立公園等の景観の中核をなし、かつ利用上も重要な地域に位置しているものと考えております。また開発には、大規模な工場的な外観を呈する非常に高い発電所とか、冷却塔、それから蒸気配管等のほかに取りつけ道路とか、年々更新のためのボーリング等を伴うわけでございまして、自然景観との調和がきわめて困難な問題であろうかと存じます。
  108. 多田光雄

    多田委員 環境庁に伺いますが、昭和四十七年三月に環境庁の自然保護局長と通産省の公益事業局長とが取り結んだ了解事項というのがありますね。このころは環境問題が非常にうるさかったときですけれども、それはどういう中身ですか。
  109. 田村久仁夫

    ○田村説明員 お答えいたします。  先生指摘の覚書の中身でございますが、四十七年三月の覚書でございます。国立、国定公園内の地熱発電に関しましては、当面実施個所を既設の六地点に限るとともに、景観及び風致維持上支障があると認められる地域におきましては、開発、調査は当面は行わないという内容でございます。
  110. 多田光雄

    多田委員 大臣、お聞きのとおり、両局長の間にこういうのがあるのですね。「当分の間、国立公園及び国定公園内の景観及び風致維持上支障があると認められる地域においては、新規の調査工事及び開発推進しない」、このとおりでいきますと、地熱の発電は進まないのです。いまの法を変えない限り、これは進まないのです。  そこで環境庁に聞きますが、これから五年間に、地熱が六十年には二百二十万キロリッター、これは石油換算ですが、電力に換算しますと百万キロワットになるのです。これだけでも相当なものですが、これを五年間で現状で進めることができますか。その自然公園の法律やその他温泉法もございますね。そういうものを変えないで、現状でこれだけの地熱開発することができるでしょうか。
  111. 田村久仁夫

    ○田村説明員 お答えいたします。  具体的に開発その他につきましては、私の方は通産省の方から具体的な場所についてはお聞きしておりませんので、その点について御意見を差しはさむのはどうかと思いますが、環境庁といたしましては、地熱開発につきましての必要性その他については十分認識しておるところでございますけれども、先ほど申しましたように、国立公園の自然景観と地熱開発の工場的景観というのは非常に調整が困難な問題があろうかと思います。今後におきましても、地熱開発につきましては、環境庁といたしましても昨年の十二月十二日の自然環境保全審議会からの意見にもございますように、自然環境保全上重要な地域は避けることを基本として、今後地熱発電と自然保護との調整を図ってまいりたい、かように考えるわけでございます。
  112. 多田光雄

    多田委員 そうしますと、環境庁、通産省からこれだけの新エネルギー代替エネルギー開発の構想、それから巨額の予算を組んで出されるのですが、今年になってから通産省との間にこういう問題について打ち合わせを行われましたか。
  113. 田村久仁夫

    ○田村説明員 お答えいたします。  具体的にはいたしておりません。
  114. 多田光雄

    多田委員 大臣、こういう調子なのです。つまり、このごろはエネルギーがないので、エネルギーの拡大なら少々環境破壊してもいいというような風潮が出てきているのですね。アセスメントなんか私はその最たる問題じゃないかと思うのです。しかし、これは具体的なのですよ。こういうものの処置を抜きにして五年後に膨大な地熱開発するといっても、それは不可能なことですから、これで住民が怒ったからといって通産省が文句を言うのは筋違いと言わざるを得ないと私は思うのです。そして、しかも地熱は、この間参考人から聞きましたけれども基礎研究がひどくおくれているのですよ。私どもは新しいエネルギー代替エネルギー開発には反対ではありません、原子力を除いては。すでに四十年の初めから私ども地熱や太陽熱を主張してまいりましたし、そしてまた第二次石油ショックのときは総合エネルギー政策というのを私ども発表しまして、新エネルギー開発に全力を挙げるべきであるということも主張してまいりました。ですから、今度の代替エネルギー法案で新エネルギー開発について相当な力を入れるということについては、私どもは賛成なのです。ところが、どろなわなところがたくさんあるのですよ。これが予算もつかないというのであれば余り文句も言いませんでしょうけれども、これほど財政が大変なとき、後で申し上げますが、電源開発税金が一・四%ぽんと上がる、今度の電気料金が上がった面後に。そして国民の生活に多大の影響を与えていくわけです。しかも、その目標は過大と言われる目標です。日本エネルギー研究所ですらも、なかなかこれはいくのは大変だと言っておるものなのです。大きければいいというものじゃないのです。過大に非科学的に大きくすればするほど、これが目標だというのでますます大きな財源を組んで無理をせざるを得ないという状況があるわけですね。この地熱なんか私は典型だと思うのですよ。一番担当の環境庁ともことしに入ってから話し合いもしてないという状況で、果たして地熱がこれだけ開発できるのだろうかという疑問を私は持つわけです。こういう意味でも、私は今度の代替エネルギーは重大な弱点を一つ持っておるというふうに思うのです。  それから基礎研究ですけれども、聞いて驚いたことに、二千メートルくらいの浅いところはある程度調査しているけれども、一番肝心な四千メートル、五千メートルは十分調査もやられてないというのが参考人の専門家の意見なのです。これは基礎研究をやってないからです。  ついでに申し上げますと、石炭液化にしても、工業技術院の北海道、九州のいろいろな出先はやっておりますけれども、十分基礎研究の素地がないということで非常に困っている面があるのです。たとえば、工業技術院は来ていますか。お伺いしますが、学会の出張旅費は一人幾らですか。——通告行ってなかったですか。
  115. 増岡博之

    増岡委員長 ないですね。
  116. 多田光雄

    多田委員 それではよろしいです。大変今度は手違いがありまして……。  大臣研究者の学会出張旅費は、十年前から一人二万四千三百九十円、それに掛ける研究者一人、二人なら二人、それに掛ける二分の一なのです。これは通産局から聞いたのですが、こういう状況なのです。どうして基礎研究ができると思いますか。そしてこの研究の成果を急がされるわけですね。やむを得ず大きな企業の出向者と一緒にやっちゃう。ノーハウは全部そっちに行っちゃうのです。こういう状況が続いているのですよ。ですから、これらの問題にいまから多大の税金をかけるわけですけれども、本来であればもっと国民の意見を聞いて、この代替エネルギー法案を本当は再検討すべきだったと私は思いますけれども、残念ながら通過してしまったから後の祭りです。しかしながら運用に当たっては十分な注意を払っていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  117. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほど来お話しの地熱は、多田委員も北海道で温泉がたくさんございます。私も和歌山県でございまして、紀南には温泉地がありまして、やはり国立公園になっておるのです。できるものならひとつ例外的に地熱開発もということでずいぶん熱心に調査をしてもらったのですが、残念ながら企業化には適しない、こういう結論になっております。  私は先ほど来多田委員と環境庁の政府委員との間の応答をお聞きしておりまして、やはりこういう必要な資源開発エネルギーの確保について、環境を破壊しないでやれる工夫をするのが日本人の偉いところだ、こういうふうに思っているのですよ。それは天与のりっぱな景観を大事にしなければならぬということは当然のことでありますけれども、それを保全しながら、しかも必要なエネルギーを確保していく、こういう努力をしないでおるということは私は許されない、こういうふうに思います。  それからもう一つは、これは最近の体験でございますので申し上げますが、実はこの間大分県へ参りましたら、地熱熱、地熱熱なんと言ったらおかしいですが、もう大分県は地熱に沸いているのですよ。たしかいま山形でございますか、非常に熱心だけれども、そっちよりもこっちの方が先に行くのだというくらいの熱に浮かされているのです。そういうところもございますので、環境庁にも大いに努力をしていただきながら、この環境保全ということについてはみんなで力を合わせてやりながら、しかも必要なエネルギーを確保する、こういうことをやっていただかなければならぬ。  石炭液化についていま科学技術庁ですか、そういう方面の旅費が足らぬ。まあ財政再建で庁費、旅費については厳しく査定をしております。しかし、そこは必要なものをチェックすることによってエネルギーの確保対策をおくらせるほど大蔵省もやぼな者ばかりがそろっているとは私は考えません。必要に応じては最小限度のものを確保するような道もなくはないと考えますので、多田委員が段々御指摘の点は貴重な教訓といたしまして、私どもは今後のエネルギー確保の上でさらに一層の努力をしていきたいと考える次第でございます。
  118. 多田光雄

    多田委員 かぜ熱よりは地熱熱の方が結構だろうと思います。ただ、私心配しますのは、たとえば石炭の液化にしましても、大臣はよく御存じだと思いますけれども、あの石油業法がつくられる前のまだ石炭が非常に盛んなころは日本と西ドイツの石炭の液化は国際的にも技術が最高水準だったのです。ところが、急速に石炭から石油にかわる中で、西ドイツやイギリスなんかに比べてもはるかに石炭を投げ捨てていきました。これは投げ捨てたといった言葉が適当だろうと私は思います。そのひずみは大きいですよ。たとえばヨーロッパなんかですと、農村から都市、都市から農村という人口の流れは、大体二十五年とか半世紀ぐらいかかって余りひずみが起きないでいくのですが、日本の過去は十五年か二十年ぐらいの間に本当に民族が移動するぐらいの大変大きな変動がありましたから、そのひずみが非常に大きいということはよく言われているところです。そういう貴重な、資源がないないと言いながら、当時理論埋蔵量で約二百億トン、この間通産省に聞きましたら、採算性のある石炭がまだ十億トンあるというのです。ですから、二千万トン掘れば、算術計算でいっても、まだ五十年間悠々掘れるだけの石炭がある。これは二十年以上総合調査をやっていないのです。昭和三十年の初めごろの総合調査でまだそれだけあると言っているのです。ところが、そういう石炭を投げて石油に行ったら、今度は大学から石炭液化の専門家がいなくなる、石炭採掘の専門家がいなくなる、全部石油の方に行ってしまったわけですね。だから、終わっちゃった。ちょうどそのころアメリカは政府石炭局を設けて、膨大な金を入れて石炭液化の研究を始める。それから、その後メジャーは世界の石炭を買いあさる。そういう意味でも、単に国民性というのではなくて、非常に短見であったと私は思うのです。前回の第一次石油ショックのときに、当時の総理の田中角榮が、これは非常にまずかったということを予算委員会で言っているのですね。そういうことを二度とやっては、何党がやっても国民に大きなしわ寄せがいくし、日本の経済に大きな影響を与えますから、私はあえてこのことを申し上げているわけです。基礎研究がそういう状況なんです。私は、いまでもその基本は変わっていないと思うのです。それがさっき言った出張旅費なんですよ。大臣、実際に回ってごらんなさいな。早く油を出せということは言われるけれども、本当に基礎研究のための十分な予算が来ない。これは大学も同じです。私はここに非常に日本の、プラグマティズムと言ったらいいのか経済主義と言ったらいいのか、ともかくもうけのため、当面のためには環境破壊もよろしい。必ずこれが後にまた出てくるということは、目をぐっと開いて五年、十年を見れば、だれでもわかることなんです。そういうことがまた復活してきています。それは日本の経済やあるいは国民生活にとって決してプラスになるものじゃないと思います。これは大臣政治判断でなければ規制できないのです。そういうふうに思いますので、あえてこれを主張したわけであります。  そういう意味で、私ちょっと申し上げますが、大臣、正式の大臣のいないときに、鬼のいない間に洗たくじゃ悪いですけれども、この基礎研究に向かって少し予算をふやしていただく措置などを竹下大臣来ましたらバトンタッチしていただけませんか。改めて竹下大臣にこの研究費の問題でお伺いしたいと思いますので、これはお約束していただきたいと思うのです。あなたに上げてくれと言うのじゃない。そういう質問があったから努力してほしいということをお伝え願いたい。反対でないようですから、安心して次の質問に移ります。  そこで、税金のことですけれども、主税局長、今度電源開発促進税をこれほど大きく上げたのですが、これ以外に本当に財源の道はなかったのでしょうか。
  119. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 代替エネルギー対策が最近の石油情勢等から非常に重要性を帯びてきた、それに対する財源措置を御審議願うという意味で税制調査会で御検討いただいたわけです。それは昨年の秋でございますが、相当長い間、各省からも御意見を伺ってやってきたわけでございますけれども、先ほど通産省からもお答えがありましたように、かなり長期かつ安定的な財源ということが一番の主眼になるという意味で、当初御提案になりました代替エネルギー新税は、私の記憶ですと、たしか電源多様化税というような税目だったかと思います。  その内容は、電源及び石油に課税する、それは、受益負担の相当関係を重視してその二つから財源を得て十年またはそれよりも長い見通しのもとに安定的に代替エネルギー対策を進めたい、こういう御提案でございました。  御案内のような当今の財政事情でございますから、一般財源をもってこれに充てるということになりますと、施策の優先性ということはあるにいたしましても、安定的な財源を見通すことはかなりむずかしい。それが昨年の秋に税制調査会で御議論になったときの基本的な考え方でございました。
  120. 多田光雄

    多田委員 きのう当委員会へ参考人の方に来てもらいまして、わが党の正森委員が税制調査会の会長代理の阪大の木下和夫さんに質問しました。木下先生は会長代理ですから、それ以外になかったということをおっしゃっていましたけれども、正森委員が木下先生の個人論文をここに出されまして、この論文の中にはいまの機会が一番いい、それで石油税その他を見直すべきであるということを言っておられるわけですよ。そのときも先生は私論はいまも同じであるということを言っておられましたから、そういう論があったということは事実であります。  石油税目的税として道路その他に使われておるわけですけれども、道路といっても国道もあれば高速自動車道路もあるし、あるいは地方道路もあるわけですが、少なくともインフレを抑えるという意味も含めて国が率先して道路建設を抑制して一定の金をこちらの方に回すという算段があってもよかったろう。そのためには、石油税一般予算の方に組み入れるということをわれわれも前々から主張しているわけですが、そういう論議は、主税局長、なかったのですか。
  121. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 税制調査会の昨年の五十五年度税制改正に関する答申の中にも書いてございますけれども代替エネルギー対策財源を揮発油税道路特定財源を回すことによって生み出すべしという議論は確かにございました。しかし、昨日もこの席で木下会長代理からお答えがありましたように、まず道路費、つまり五カ年間にわたって二十八兆五千億の道路投資をするという第八次道路五カ年計画の規模を圧縮するということがなければ、仮に建設公債を発行してその財源を道路につぎ込んでも、その分を特例公債から四条公債に振りかえるというだけのことでございますから、何も新しい財源が生まれてまいるわけではない。そういうこともございまして、道路建設の必要性と申しますか、道路整備の必要性について税制調査会の中でも公共団体等の方々からはこれは削減することはむずかしいという御意見がかなりありまして、これを一般財源化する方法について長期的に検討はするけれども、当面の代替エネルギー財源に充てることはむずかしいというのが税制調査会での御審議の結果でございます。
  122. 多田光雄

    多田委員 むずかしいということは不可能だということではないと私は思うのです。財源を生むに当たって、通産省は当初新しい税を創設したらという意見があったと聞いております。それから、大蔵省の中ではエネルギー関係の税あるいは石油税を大幅に見直してみたらどうだという意見もあったやに私は聞いているのですが、そういう論議はあったわけですか。
  123. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 現在エネルギーには九つの税金がかかっておるわけでございます。九種の税金は主として石油製品または原油であるかどうか、製品の種類に従ってかけられておるわけですが、これはまた、一方で税収の使途について特定財源化されているものがかなりある、この整理が必要であるという問題意識はかなり長期的に税制調査会ではございます。  そういうことでございますけれども、当面の代替エネルギー対策財源措置として通商産業省から代替エネルギー導入促進税というようなものを石油及び電気を課税標準として新しく創設をしたいという御要望があったわけでございますけれども、これに対して私ども考えは、いま申し上げたように九税目が課せられている上に十番目の税金をかける、しかもその課税客体は恐らく石油及び電気いずれもすでに課税されているものでございますから競合いたしますということで、それは相当でない、受益者負担の原則の中で財源を安定的、長期的に調達するとしても、やはり現在の石油税及び電源開発促進税について代替エネルギー対策長期的な財源見通しも踏まえた上で国民にその税の引き上げまたはその使途の変更、使途の拡大という形で御負担を願うという結論に達したわけであります。
  124. 多田光雄

    多田委員 いまの局長の御答弁の中で受益者負担ということがあったのですが、何事も結論としては国民利益にいくわけですけれども代替エネルギー開発が最初に利用されるのは企業以外にないのですよ。つまり、石炭の液化はすぐそのまま使えるわけではないのです。これはやはり発電所に行って電力にする以外ないのですよ。地熱もそうなんです。原子力もそうですね。そうしますと、この受益者負担、しかもそれはすぐ国民というのは、これはちょっとこの代替エネルギーについては当たらないのではないかというふうに私は思うのですが、どうですか。
  125. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 現在輸入される原油、石油の中で二五%くらいがたしか発電用に使われておると思います。石油供給が将来に向かって非常に心細い状態になっているというところから代替エネルギー対策というものが発足をするわけでございますから、したがいまして、発電用の石油と申しますかそういうものの確保が不十分になってまいって電力の安定供給ができなくなる、それを避けるためにどうするのかということで申し上げておりますように、一般電気事業者が受益者という形で電源開発促進税を増税をしてそれで新しい代替エネルギー財源負担していただくという形になっておるわけであります。現在、たしか全体の販売されておる電気の中で二割くらいが家庭用でございましょうか、電灯でございます。八割が電力でございます。そういうことからいたしますと、電灯電力いずれも販売電力量に応じて電源開発促進税を新しく御負担を願うわけですけれども電力の安定供給が電気事業者としては可能であるし、需要家としては供給を受けることが可能になるという意味でこれはそれぞれ等しく利益を受けられるのではないかというのが私ども考えであります。
  126. 多田光雄

    多田委員 それからもう一つ代替エネルギー開発で、いろいろ長期的に三兆円とかという予算が組まれていますけれども、さっきの地熱の話のとおり、私はこれはもっと膨大になるのではないかというふうに思っています。恐らく当初の見込みよりは出費がふえていくんではないかというふうに私は思うのです。なぜなら、基礎的な研究も不十分な中でこれから五年、六年でこれだけの膨大なものをもし強行しようとすればどこかにひずみが来る、そのどこかのひずみというのは、一番最初に財政あるいは自然破壊、そういうものだろうと私は思うのです。しかも、それは絶体絶命、代替エネルギー開発はしなければならないという段階で、今後費用の増高に従っていろいろ税制の見直しも必要になると思うのですが、局長、そういう石油関係税あるいは石油税を含めて今後もっと公正、合理的に検討する余地があると思うのですが、いかがでしょうか。
  127. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 電気の代替エネルギー、電源の多様化のために約一兆五千億、まあ一兆四千五百億という数字でお答えいたしました。それから一次エネルギーとしての石油代替エネルギーという意味でやはり同じように一兆五千億弱、こういう資金が今後十一年間にわたって必要である、こういうお見通しにつきましては通商産業省なり科学技術庁で学界、民間の有識者の意見も十分聞いてお決めになったことであります。現在の段階でこれに従って長期財源計画を立てておる、そのために御提案申し上げておる電源開発促進税の税率の引き上げをお願いするわけですけれども、一兆四千五百億の代替エネルギー対策のために電源開発促進税の引き上げ分二十一銭五厘、これをお認め願いましたならば、今後十一年間に一兆四千五百億円の歳入になるようであります。それから石油税につきましては、税制調査会でも言われておりますように、五十五年度、相当な税収が見込まれるところから税率を現行のまま据え置きとしておるわけでございますけれども、今後とも現行税率のままでよいかどうか、今後十一年間に大体六兆六千億ぐらい石油税が入ってくる、いまのところそういう計算を立てておりますけれども、これはいろいろ不確定要因もございまして、原油事情も変わりますし、原油価格も変わりますので、どういうふうになっていくかははっきりした見通しが立たないわけでございますから、この段階で何とも申し上げられないというお答えでございますけれども、やはり一次エネルギーとしての石油代替エネルギーというものについても多くを期待しなければなりませんので、今後石油税負担についてはそのときの情勢に応じてまた検討してまいりたいというふうに考えます。
  128. 多田光雄

    多田委員 もう終わりますが、例の自家発電というのがありますね。この自家発電については、いまの電源開発促進税が創設されるときにこの自家発電に対する課税についてもいろいろ論議の対象になったということですが、それは事実でしょうか。
  129. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 電源の立地を促進いたしますために、昭和四十九年でございますか、当時の急変したエネルギー情勢のもとで八銭五厘の改正前の電源開発促進税が設けられたわけであります。そのときに販売電力量に応じて課税をするというたてまえで、それによって受益者負担ということを測定をいたすという考え方をとったわけであります。それで八銭五厘で平年度約三百億という税収を上げることを予定したわけでございますが、その三百億という税収をもって行うべきものは、一般電気事業者の電源立地を促進するための交付金の支出または安全対策推進というようなことであったわけであります。一般電気事業者は電力の安定供給義務を負っておりますから、したがって相当の電源施設の増設をしなければならない。そのために地元の協力を得て電源立地促進交付金等の形で設置計画を進めなければならない。そうなりますと、これは一般電気事業者が需要家のために全国統一をとってそういう施設を周辺の地域にやられるわけでございますが、これと変わりまして、自家発電をしておられる方はもっぱら自分の計算と責任で自分のために使う電気をつくっておられるわけですから、その電源立地を電源開発促進税または電源立地促進交付金という形で公共の手を通じて促進をする必要はない。もし必要があれば自家発電の施設につきましての立地コストの中に自分で織り込んでおやりになればいいわけで、これを公共の手で調整をする必要はないという考えで、これにつきましては電源開発促進税を課さないかわりに電源立地促進交付金も出さない、こういう形で落ちついたわけであります。
  130. 多田光雄

    多田委員 自家発、これは私は数年前ですけれども四日市へ行きまして、それであそこの三菱油化その他の自家発電を見たのですけれども、公害を流して市民からいろいろと反発される点については電気事業者の発電所と何も変わらないのです。特に、自家発電の場合は火力発電が多いですね。水力と違って空気の汚染その他が多いわけです。そういう意味では地方自治体が困っている分についてはこれは同じことなんですね。ですから、私は、こういう問題についても、いろいろの課税の名目や何かは要るでしょうけれども、一定の課税措置が必要ではないのか。  そういう意味では、自家発電については、一定の産業について言えば電気税も免税されておりますね。自治省に聞きましたらこの免税額も約一千億近いものです。しかも、今度の電源開発促進税については、当然、これは売電業者じゃありませんから、すぐそこで税金をかけるということは無理だと思いますけれども、今後の課税の対象としては相当検討すべき内容を持っておるのじゃないか。もし三百円の電源開発促進税を当てはめますと、これは私の計算なのですが、いまの自家発電だけでも約二百億円近い税収になるわけですよ。そういう意味で、やはり自家発電も今後の課税対象として考えるべきだというように私は思いますが、いかがでしょうか。
  131. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 先ほども申し上げましたように、一兆四千五百億円のこれから六十五年までに必要な対策費がございまして、電源開発促進税の引き上げをお認めいただきますならば、電源多様化勘定の十一年間の収入というのはおおむねその程度になる、そういう意味で税率についてはいまのところこれをどうこうするという考え方を持っておりません。ただ、いまお話のございました事柄につきましては、今後、長期的な検討課題にさせていただくということにしたいと思います。  なお、電気税は地方税でございますし、消費税でございます。したがいまして、原料には課税しないというルールで、自家発電、これは当然産業用の原材料でございますから、課税の対象から外れておる、こういうふうに承知しております。
  132. 多田光雄

    多田委員 終わります。
  133. 増岡博之

    増岡委員長 玉置一弥君。
  134. 玉置一弥

    ○玉置委員 電源多様化のニードについては、先ほども申しましたように、これから非常に必要であるという考えを持っておりますけれども、やはり再三われわれが主張しておりますように、これから本当にどちらの方向に向かっていくかわからない、あるいは進み方の進度、そして、これからどういう技術が開発されるかわからない、そういう状態を考えますと、財源を固定化するということに非常に疑問を感じるわけでございます。お話がございましたように、従来石炭を動力源、エネルギー源としてやってまいりました。それが急遽石油に取りかわってきた、そしてまたまた違う方向に向きつつある、いろいろなものがその都度エネルギー源としてふえてきていることは事実でございますけれども、そのときどきにその長期を展望するということが非常にむずかしいと思うわけでございます。それと、先ほど通産省あるいはエネルギー庁の方のお話を聞きますと、やはり新しいエネルギーに対する取り組みというものはエネルギー庁、通産省が主体になるということでございまして、やはり開発についても、開発長期的な計画でありますとか進捗状況のチェック、どこにどういうふうに費用をかけていこうということについても通産省あるいはエネルギー庁が中心になる、全体の方々がそういうふうに感じておられると思います。  そういう点から見て、その財源、非常に重要な財源でございますが、財源がなければ事業は進まない、そういうこともありまして、電発税という目的税だけで財源を補うということはきわめて疑問であるというふうに感じておりますので、それについて大蔵省の御見解をお聞きいたしたいと思います。
  135. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほど通産当局と玉置委員エネルギーの基本的な問題についていろいろと質疑応答されたのを私拝聴しておりました。これから日本が脱石油の基本的な方向に沿うて電源多様化を進めていく、これは並み大抵のことじゃないと思うのです。玉置委員もすでに御承知のように、今度の電気料金の改定のときに、関西電力は比較的原子力発電をやっておるものですから、電灯電力料はわりあい安く済んでおるのです。私はしみじみやはり早くやらなければいかぬな、しかし、一方では、安全性というものは非常に大事だ、こういうふうに痛感したのです。そこで、そういうふうに推し進めていく一方においては、計画が予定よりもうんとおくれておるわけです。おくれてもおくれてもこれを取り返しつつ長期にわたって基本的な方針のもとに政策を進めていく、それにはやはり財源の安定を確保していくということがどうしても必要になってくる。そのときどきの財政の事情に応じて増減をしていくというふうな財源では、非常に長期にわたって一つ目標に向かって政策を進める場合には必ずしも適当ではないというふうな反省のもとに、今回のこの電源開発促進税、これを増税して多様化をしていこう、こういう構想が打ち出されたものと私は考えておりますので、ひとつそれなりに御理解を賜り、御協力を願いたいと考えておるわけでございます。
  136. 玉置一弥

    ○玉置委員 いまお話の中に財源の安定を求めるというお話がございましたけれども、われわれが今回修正案を出そうということで予定をしておりますのは、一つ財源だけではなくて、もっとほかに財源を広く求められるような状態にしようということでございます。と申しますのは、現在の時点で将来を予測することは非常にむずかしいわけでございますし、また経済情勢の変革というものもございます、そして、新しい技術に取り組んでいこう、そういういろいろな要素が絡まっておりまして、先ほども五年先、十年先というものをお伺いいたしましても明確な御意見が返ってこなくて、姿勢論といいますか、取り組みに対する姿勢ということしか返ってこなかった。そういうことも考えますと、特に技術屋さんの専門家が集まっておられるということで、決断される方が技術屋さんの専門家で自分もやって予測もされるということではなくて、やはりそういう方々をこれからいろいろな分野で使っていって、そしてそういう方々がさらに新しい人たちを養成してやっていかなければならない、だから、すべてがこれからのことであるというふうに考えるわけです。と申しますのは、国立大学でありますとか国の研究所、そういうところの方々の御意見を聞いても、ともかく人材養成、そしてそれに対する裏づけの費用ということがございますし、ある程度進むと人材よりも工数、人材が工数になりますけれども、要するに頭よりも体力といいますか工数である、そういうこともあるようでございます。そういうことを考えますと、やはり初期に人材を養成していかなければならないし、ある程度いきますと、今度は設備関係の充実ということも必要になってくるし、実験設備を何種類かつくってみてその中でいいものを選び出していく、そういう方向になっていくと思うのです。     〔委員長退席稲村(利)委員長代理著席〕 そこで非常に心配しておりますのは、財源を一本にしぼるということでありますと、たとえば今回のように、そのときどきの電気の需要量によって逆に予算が縛られてくることになるわけでございます。ところが、通産省あるいはエネルギー庁にお聞きをしますと、計画の主体は通産省エネルギー庁である。ところが、大蔵省にしてみれば、裏づけの財源がないし、また、たとえば今回の法律で決められて将来絶対変更しないというかたい決意があるような気もするんで、その辺を心配するわけでございます。  そこでお聞きをしたいのは、大蔵省として科学技術に対する、あるいは今回の新エネルギーに限定をしても結構でございますけれども、どれだけの判断力があるかということです。というのは、要するに予算で縛られるということは、どの事業を落としていくかということになるわけでございますけれども、それに対してどれだけの判断力があるか、どういうふうにお考えになっているか、お聞きをしたいと思います。
  137. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いまお話の中に、エネルギーの多様化というふうな政策については、通産省なりあるいは資源エネルギー庁が元締めというか、これをやっていくんだ、これはそのとおり。しかし、この問題は非常に重要でございますので、総合エネルギー対策推進閣僚会議というものを実はつくっておるのです。それで、先ほど玉置委員の御質問がありましたような問題については、閣議決定をする前にこの関係閣僚会議にかけます。関係閣僚会議にかけるときには、もちろん大蔵省は財政的な裏づけをしなければなりませんので、事前に十分資源エネルギー庁あるいは通産省当局かちこれらについて協議を受けまして、それをいまの関係閣僚会議に出し、そしてみんなの意見が一致したところで閣議決定をする、こういう段取りをいたしておりまして、私は、大蔵省というところはそういうふうに総合的にいろいろな方面に関係がございますので、判断力がどの程度あるかということになりますと、これはちょっとなかなかむずかしい表現になりますが、あらゆる場合に、国会においても皆様からの、委員の各位からの御質問にも御答弁をしておるような次第でございますので、一通りの知識は持って、少なくとも資源エネルギー庁なり通産省から協議があればこれを判断するだけの能力は備えて、そして財政的な措置についてはイエス、ノーという判断をやっておるもの、かように申し上げることは差し支えないかと思っております。
  138. 玉置一弥

    ○玉置委員 通産省の方から今後のエネルギー関係への対応ということで約二兆九千億円という費用が算出されておりますけれども、これを当然大蔵省の方もごらんになっていると思いますし、また、その中で大蔵省としてどのようにお考えになっていて、その中の主な原子力でありますとかあるいは石炭液化、そういうもの、あるいはこれから出てまいります、特にプラズマまでいかないと思いますけれども、核融合でありますとか、そういうものに対して、十年先はどうなっているかという見通しをお聞きしたいと思います。
  139. 西垣昭

    ○西垣政府委員 先生の御質問は、電発税という単一の財源に頼って本当にやっていけるかどうか、二兆九千億ということについて通産省はこれだけあればやれると言っているけれども、大蔵省としてはどう判断をしているのか、こういう問題だと思いますが、私どもといたしましては、代替エネルギー対策ということにつきましては、これは考えてみますと、現下の最も大事な施策ではないか。そのためにはある程度長期的に見通された安定的な財源を確保する必要がある。しかも、それはいまの一般財政の状況からいきますと、それに頼るわけにいかない。そういった意味で、別にその財源を確保する必要があるという意味で受益者負担的な財源を用意する。で、電源特会におきます電源多様化勘定の財源としては、目的税である電発税という仕組みで対応するしかない。  その税率をどうするかということにつきましては、これは何と言っても専門は科学技術庁であり、通産省でありますので、科学技術庁、通産省の見積もりを一応尊重いたしまして、今後約十年間にわたりまして、この程度の国費を投入すれば目標年次に石油依存度を五対五にする程度代替エネルギー開発ができる、こういう見込みを立てまして現在御審議をいただいておる制度を提案している次第でございます。
  140. 玉置一弥

    ○玉置委員 一応いまの予測では、電力が大体平均五%近くの伸びを示しているということでございますけれども、たとえば順調にいけばその程度は伸びていく、そういうふうに思います。ところが、現在省エネルギー対策というものが極端に進んだ場合、あるいは先ほどお話がございましたように、石油の二五%を電力に引き当てておりますけれども、それが二五%の調達が不可能になったという事態が発生をした場合に、緊急なときほど代替エネルギー開発財源が細くなる、そういうふうな感じがするわけでございます。ここ一つがんばらなければいけないというときに、本来であれば一時期集中して投資をすることになりますけれども、そういう財源がないという場合にはどういう処置をとられますか。
  141. 西垣昭

    ○西垣政府委員 ただいま申し上げましたように、今回の税率の引き上げは、今後十年間程度に見込まれます歳出需要を十分勘案いたしまして、税率の引き上げ幅を決定したわけでございます。したがいまして、現在見通し得る限りにおきましては、中長期的観点に立った必要にして十分な財源措置を講じたものというふうに考えております。もちろん、いま御意見のございましたように、将来において現在見通し得ないような諸情勢の変化によりまして、電源多様化対策の財政需要あるいは歳入の増減があり得るということは否定できないだろうと思いますけれども、仮にそのような事態が生じるような場合には、その時点におきまして、そのときの財源事情や財政需要の内容などを改めて慎重に検討した上でどんな対応がとれるかということを判断するより仕方がないのではないだろうかな、かように考えております。
  142. 玉置一弥

    ○玉置委員 どんな対応がとれるかという具体的な例を二、三お願いしたいと思います。
  143. 西垣昭

    ○西垣政府委員 いま申し上げましたように、現在見通し得る最善の見通しのもとで考えておるわけでございまして、私どもとしては、そのような事態はまず起こることはあるまいというふうに考えておりますので、せっかく御質問でございますけれども、どんな対応をとり得るか、ちょっと用意はいたしておりません。
  144. 玉置一弥

    ○玉置委員 通常、仕事をする場合でございますけれども、自分たちがこういうふうにしたいという方向を決めまして、その場合はこうするというお話が必ず——それは自分たちでやるわけです。しかし、通常やる場合には、必ず違った場合どうするかという対応考えてやっているはずでございます。また、人間である限りねらった通りいくとは限らない、そう思うわけでございまして、先ほど午前中からいろいろ話を聞いておりますと、どうも一つ考え方しかないという気がするわけでございます。  そういう例が、たとえば今回エネルギー関係の資料ということで予測が出されておりますのが総合エネルギー調査会の資料だと思います。これを見ていただきますと、五十二年六月に総合エネルギー調査会から長期エネルギー需給暫定見通しというものが出されておりまして、そして五十四年の八月に、六十五年までの見通しを七十年に延ばして中身の改定を行っております。これを見てみますと、本当にわずか二年間にすでに大幅な狂いが出てきているということでございまして、過去二年間でさえもこれだけの大きな開きが出てきているわけでございますから、当然毎年毎年見直すぐらいのつもりで計画を立てていかなければならないと考えるわけでございます。  ところが、今回七十年までというふうに見通しを出されました。一応六十五年までの計画でございますけれども、その中で特に新エネルギーに対する考え方が大きく変わってきている、この辺を考えても、やはり一つの方向だけではなくて、絶えず二つ、三つの対応というものを考えなければならないと思うのでございます。ところが、事情はわかりますけれども、なかなかむずかしいということでございまして、これからぜひ頭の切りかえをやっていただきたいと思います。そういう観点から、また次の質問に移りたいと思います。  たとえば、現在八百二十七億ということで試算をされております多様化勘定、これは当初五月から実施という計画がございました。ところが、実際、もし仮に今回通ったとしても、実施が六月以降になるということでございまして、その比率で換算をいたしますと、約八十億近い財源不足になるということでございます。先ほどのお話で、技術的なある程度のヒヤリングを終えているということでございますし、十分な判断力をお持ちだということでございますから、八十億というものが削られた場合にどういうふうな影響が出るのか、そして今後の長期エネルギーの十年先、五年先、それぞれどう変わっていくのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  145. 西垣昭

    ○西垣政府委員 本年度の電源多様化勘定の歳入は、電源開発促進税法の改正を五月一日から実施するということを前提といたしておりますので、改正法の成立がおくれますと、その分だけ歳入が減るということになります。したがいまして、私どもといたしましては、こういった事態を生じないように、ぜひとも早期に成立させていただきたいということをお願いしているわけでございます。
  146. 玉置一弥

    ○玉置委員 たとえば本日成立したという場合に、歳入はいつからになるわけですか。
  147. 西垣昭

    ○西垣政府委員 仮に本日成立いたしますと、四月中でございますので、予定どおりに五月一日から施行になりますので、歳入欠陥は生じません。
  148. 玉置一弥

    ○玉置委員 そうですか、参議院がまだあるんです。だから、五月一日からはできないと思うのですが、いかがですか。
  149. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 玉置委員の御心配、よくわかります。初年度から、もう成立の時期からいって歳入欠陥になるではないか、そういうときに対する備えをやっておくべきではないか、そこまでこのエネルギー問題について真剣にお考えいただいておるお気持ちはよくわかるのです。  それで、本年度は若干おくれることはあるかもしれませんが、私はこう考えていただいたらどうかと思うのですが、ひとつ私の考えもお聞きいただきたいのです。一定の安定した財源をこれから長期にわたって確保しておいて、そして、それでもなおどうしても足りないような場合にどうするのだ、こういうことも先ほど来お話がございましたが、やはり基本的な安定した財源を確保しておくということは、それなりに一種のセキュリティーといいますか、最小限度の保障になるのではなかろうか。しかもそれは相当長期にわたって関係エネルギー庁等とも合理的に相談をいたしましての財源の確保でございますから、大体において狂いないもの、こう大蔵省も判断しておるようでございます。そういうものをまず確保しておくということは、この際必要最小限度のセキュリティーとしてお認めをいただいたらいかがであろうか。しかも、その上になお、いまのような時期的なずれ等もあるから備えをしておくことは必要だよという御注意は、十分関係者は肝に銘じてそういう点についても配慮していかなければならぬことはお示しのとおりであろうかと思うわけであります。     〔稲村(利)委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 玉置一弥

    ○玉置委員 財源一つに頼ることが財源の安定になるというふうには思えないのでございまして、逆に一つで不足するときに二つも三つもできるような体制をとる方がより安定するのではないか、そう思うわけでございまして、後で提出をいたしますけれども、そういう意味で修正案ということでお出しをしたいと思います。  それと、これからいろいろな情勢によって歳出が左右されるということは、通産省からいただきました資料にも明示をされておりますし、たとえば先ほど申し上げましたように、総合調査会の資料で、約二年間にかなりの開きが出ているし、また大蔵省としてそれをもとにいろいろな計画を算定されているということでございます。そういう意味からいきまして、過去二年間で情勢が変わってきたということでございまして、これから先どうなるかわからない。見通しとしてこれから五年先、十年先どうなるか、わかっていればお答え願いたい。だから、そういうものもあの時点では、二年前には一いまからですと三年前ですが、五十二年の六月に立てられました見通し見通しですから、先行きいろいろなことを読んで織り込まれてつくられている、それが二年たってもうすでに大きく変わってきている。こういうことを考えますと、将来新しい技術、あるいは中近東の政治情勢、そういうものを含めて大きく変化する可能性があるではないか、そういうように思うわけでございます。それについてどういうふうにお感じになりますか。
  151. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 玉置委員、二年間の情勢をごらんいただいて痛感されたのは、やはり予定どおりに代替エネルギー開発が進んでいないという点だろうと思うのです。これが一番大きな悩みでして、私の方でも、たとえば電源開発計画というものをつくるのでございますが、さて原子力をやってもらおうということで実行に移そうといたしますと、地元の方でなかなか受け入れていただけない。立地の問題で非常に時間がかかる。そこにディレー、遅延が起こってくるわけでございます。しかしながら、長期エネルギーを確保するためには何としてもこのおくれを取り戻さなければいかぬわけでございます。取り戻すには、やはりそのための財源が必要なんでございます。  ところが、いまのように一つ目的税といたしまして特別会計に直接入るような財源がございますと、これはほかの方から手がつけられないわけでございますから、おくれてもその会計で、ある年度においては不用に至っても翌年度で早速それはまた予算に計上されて、今度は取り返すために使うんだ、こういう体制がつくられるわけでございますから、そこにさっき私が申し上げた最小限度のセキュリティーを確保する、こういう一つ措置ができるということを申し上げたわけでございます。そういうものがないと、財政需要は各方面から非常に熾烈にございますので、なかなか特定の財源をいつまでも確保しておくということはむずかしいわけでございますので、この長期エネルギー対策のような財源があちらこちらからむしり取られるように食われてしまったのでは、それこそエネルギー対策に最優先的に充てるという方針もなかなか貫くことができない。それのための一つの最小限度の保証、そしてその上に玉置委員がいま御指摘になったような不測の場合は、これはまたプラスアルファとしてその上で考えていくべきではなかろうか、そういうふうな考え方をとっておるということを御理解を願いたいと思っております。
  152. 玉置一弥

    ○玉置委員 そのときにならないとわからないような動きが非常に多いのでございますけれども、やはり予想できることについてはそれなりの対応策あるいは対応できる方向を、窓口を設けておくということが必要ではないかと思うわけでございまして、何かあるごとに集まっていたのでは、非常にいろいろな経費のむだになると思いますし、またいろいろな業務の重複ということがありまして、現在叫ばれております行政改革という面から見ても大変むだになると考えるのでございます。  そういうところで、どっちにしてもぜひ考え方を改めていただかなければ、これから早い対応ができないと思います。先ほどイランの問題に対してもエネルギー庁長官がおっしゃっておられましたけれども、現在のイラン情勢、非常に微妙な影響が出るからそういう態勢を公表できない、当然公表はできないと思いますけれども、中では、イランという話ではなくて、たとえば石油が一〇%減った場合どうなるのか、二〇%減ったらどうなるのか、あるいはゼロになったらどうなのかということは当然考えておかなければならないことではないかと思います。石油だけではなくて、いろいろな問題にしても多面的な要素を持っておりますので、そういう点からぜひお考え直しをいただきたいと思います。  そこで、目的税に戻りますけれども目的税はやはりあくまでも受益者負担が原則であると思っております。しかし、今回の代替エネルギー対策というところから見て、従来の目的税目的税の性格が変わってきたのではないか、そういうように思うのでございます。一つは、電力そのものがいろいろな産業に使われ、家庭でも使われ、そして日本の国民である限り電力利益を享受していない人はないと思うわけでございますし、また逆に言えば、国鉄あるいは健保、食管制度、道路財源、そういうものが受益者とのつながりが非常に濃いということでございますけれども、従来から一般会計からの繰り入れを行っている。そういう点を見ても、今回目的税というふうに大蔵省当局が主張されておりますけれども、その性格が従来と違うのではないか、そういうように思うわけでございます。そういう点で、国鉄、健保、食管等々と比較して、何で今回だけ一本にしなければいけないのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  153. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 特定財源目的税、こういうものは非常に長い間税制の面からも議論がございまして、かつて昭和四十六年に税制調査会で長期答申というものをつくりましたときに、これについて相当突っ込んだ議論をしていただいたわけであります。公共活動とその受益者というもののグループが対応関係が認められる、関連性が認められるという場合に、これを受益者負担目的税としてどう整理していくかということについての当時の議論を申し上げますと、一つは、国または地方公共団体が企業として事業を行う場合には、これは料金または対価ということになるであろう心いま仰せのあります国鉄はまさにこれだと思います。それから第二に、企業という形ではないけれども、国または地方公共団体が施設ないし営造物をつくっておって、それを利用する者について費用を負担させるという場合には、これは使用料、利用料ということになるであろう。たとえば図書館の入場料というものはそうだと思います。それから戸籍謄本のようなことでございますが、特定の者の請求によって公共サービスに追加的な費用がかかっていく。こういう行政コストは手数料という形で取るべきであろう。  いま三つ申し上げましたのは、いずれもその提供される公共サービスが可分性があると申しますか、排他性があると申しますか、ある人があるサービスを国から買うという形で排他性がある場合であります。  これに対して、特定の集団が特別の公共サービスの提供を必要とする原因をつくり出しておる、または公共サービスの提供によって特定の集団が特別の利益を受ける、こういう場合には、これは可分性がないわけでございます。専門的に申しますと、これは外部経済が非常に大きいわけでございますから、一人一人相手との間で対応関係を決めていくわけにいかない。そういう場合にはやはり租税または負担金という形になるであろう。負担金となる場合というのは、集団に属する個々の者ごとに受益の程度がかなり明確に評価できる、たとえば下水道の負担金のようなものでございます。そういう場合は負担金でいいけれども、受益と負担とそれぞれ対応関係はあるとしても、受益者または原因者の範囲がかなり広範で、しかも受益の程度が厳格に評価しがたい、こういう場合には目的税または特定財源という形でそれぞれ受益者負担関係を確定するのが、租税の理論としてもそういうことになるであろうというのが当時の考え方でございます。いまお話のありますように、健康保険とか国鉄とか食管とかというものは、それぞれ可分性のあると申しますか、排他原則の働く公共サービスでございますし、代替エネルギーによって国民が、将来たとえば電源の多様化が図られる、そうすると、石油以外のエネルギーによって一次エネルギーを調達することができる、こういう利益は恐らく可分性がないというふうに思いまして、これはやはり税という形でお願いをする。一般に税と申しますと、応能原則というものをまず考えるわけでございますけれども、こういう場合には受益者負担諸税ということで応益原則ということで考えてしかるべきではないか、これが私どもが税制調査会での長い検討の結果ただいま持っております税制論からの答えでございます。
  154. 西垣昭

    ○西垣政府委員 ちょっと補足して御説明申し上げます。  この特会と国鉄、健保、食管、道路、そういったものと比較して言われたわけでございますが、これは全く違うわけでございます。電源開発促進税は受益と負担との関係に着目した目的税、そういうことでございますから、この税金による歳出も、この税を財源として充当するにふさわしい受益と負担関係が明確なもの、これに限定いたしまして、税率も中長期的観点での歳出需要に見合ったものということで設定されているわけです。このような電源開発促進税による歳入と歳出、すなわち負担と受益との対応関係を明確にほかと区分して経理することを目的として設けられているのがこの電源開発促進対策特別会計でございます。これに対しまして、国鉄、健保、食管、道路などは特定の事業を実施するために設けられました政府関係機関あるいは特別会計でございまして、その事業を実施するために先ほど主税局長も申しましたような受益の要素のある収入のほかに、それぞれの必要に応じまして一般会計からの繰り入れ等を財源としているということで、全く別の話ということでございます。
  155. 玉置一弥

    ○玉置委員 国鉄、健保、食管、道路、これは受益者とのつながりが非常に濃いわけでございます。  受益者負担というものの原則をちょっと確認いたしたいのでございますけれども、受益者負担というのは、特定人に対して便宜を供与する特定の行政行為に応ずる一定の負担、また別の言い方をしますと、原価主義の原則が貫かれ、選択の自由が保障される、要するに利益を受ける方が選択できるということに大きな差があると思います。  ところが、今回の電発税を見て、電力というものを考えますと、日本の中で現在電力に頼らないで生活をされている方、各事業場において電力を使用されていないところがどのくらいありますか。ほとんどないと思うのですね。そういうことを考えますと、いわゆる大衆課税ということになり得るのではないか、そういうふうに思うわけでございます。そういうことを見ますと、国民ほとんどに行き渡るということで、当然、目的税というよりも、逆に財源を一本にしぼるという方がおかしいのではないかというふうな気持ちがするわけでございます、まあ財源と目的と違いますけれども。だから、やはり目的税ということに設定をされたこと、そして一般会計から従来国鉄あるいは健保、そういうものが大衆の消費生活に大きな利益をもたらすということで負担を軽減しようということでやっておられますそういう内容から見ても、今回だけ除外するのはおかしいのではないかというふうに思うわけでございます。  今回除外されたものが、先ほどの説明ではいままでのは事業であって、今回はちょっと違うんだというお話でございますけれども、たとえば五十三年度あるいは五十四年度予算の中に新エネルギー開発技術ですか、それに対する予算が組まれておりました。五十五年度もありましたね。しかし内容的には今回の新エネ機構に吸収される、そういう内容と変わらないというふうに思うわけでございますけれども、従来一般会計エネルギー対策という項目で組まれておりました費用がなぜ新エネ機構に移ったら特会に限定をしなければいけないのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  156. 西垣昭

    ○西垣政府委員 二、三点あったかと思いますので、一々お答え申し上げます。  最初に、電気の消費者は全国民なんだから受益者負担と言っても一般財源負担するのと変わらないじゃないか、こういうような御趣旨だったかと思うのですが、受益負担の制度と申しますのは、受益者が負担するのと同時に受益に応じて負担するという点に意味があるわけでございます。したがいまして、電源多様化対策の場合も、受益の程度は電気の消費量に応じて変化いたしますので、負担も消費量に応じてお願いしておるというものでございまして、消費量と無関係一般財源負担することはちょっと意味が違うということでございます。  それから、代替エネルギー対策の中で一般会計でやっているものと、今回この特別会計でやろうとしているものとの違いでございますが、受益と負担関係がはっきりしていまして、この目的税負担するのにふさわしい事業だけがこの特別会計で歳出の内容として経理されているわけでございまして、広い意味代替エネルギー対策でございましても、そういった関係がないものにつきましては引き続き一般会計でやることにいたしております。たとえば現在の受益者に負担させるのには必ずしもふさわしくないような基礎的な研究でございますとか非常に長期にわたって成果が期待できないような、いわば二十一世紀の技術的なもの、こういったものにつきましては一般会計負担する、こういうことにいたしております。
  157. 玉置一弥

    ○玉置委員 先ほどの話にちょっと戻りますけれども、たとえば、今回五%の伸びで将来を見ておられるということでございます。しかし、当初、当初といいますか五十五年度、十月が一応立ち上がりでございまして、立ち上がり時点から八百二十七億という数字で事業が開始されるわけでございますけれども、通常の場合、新規に物事をやる場合に立ち上がりが細くて次第に太くなってくるというふうになると思いますし、また成熟期といいますか、ある程度、たとえば技術開発で五年、十年したら、先ほども話をしましたように、実験をやったりトライアル的な小さな設備を設置したりということがかなり出てくると思いますけれども、現在、当初決めて、逆に省エネを奨励しているということでございまして、そういう観点からいきますと、先細りになるのではないか。要するに、事業の進行状況に比例して事業費はふえるはずでございますけれどもエネルギー対策費としては伸びても五%だということでございまして、その辺を考えると非常に先行きの不安がありまして、たとえば先ほども大きな変化があったときにどうするのかというお話を申し上げましたけれども、全部費用で抑えてしまうのか、あるいは変動があったたびに増税をやるとか、縮小というのはまずないと思いますけれども、縮小するのか、その辺について明確にお答えをいただきたいと思います。
  158. 西垣昭

    ○西垣政府委員 最初に、十月からと言われましたが、十月発足といいますのは新エネルギー機構でございまして、電源多様化勘定を通ずる多様化対策は六月からということでございます。  それで、初年度から五%ずつの伸びであるから伸びが小さ過ぎる、つまり途中から足りなくなってしまいやしないだろうか、こういう御趣旨だったかと思うのでありますが、先ほども申し上げましたように、一兆四千五百億の資金需要というのは科学技術庁、通産省の見込みを尊重して、これからの十年間程度でこの程度のものを投入すれば一応の成果が上げられるということではじいたものでございまして、それを各年度配分すれば十分に達成できるのではないか、こんな感じを持っております。それから、むしろ逆に言いますと、効果といたしましては、始まりの数年間はこれだけのものを消化してそれだけの成果を上げるというのは大変なことだという意味で、むしろ前倒し的な効果がある、こんな感じも持っております。
  159. 玉置一弥

    ○玉置委員 通産省の方は見えておられますか——今回新エネ機構ができまして、それに石炭鉱業合理化事業団の業務を引き継ぐということになっておりますけれども、従来石炭合理化事業団の動きを見てみますと、八割以上ですか、ほとんどが海外の石炭の探索であるということでございまして、国内に対してはほとんど進んでいない。これは一つは消費拡大じゃなくて消費縮小になってきているということもいままであったわけでございますけれども、二百六十名前後の人がおられて、そして業務がない割りには人が減ってないという気持ちがするわけでございます。今回新エネ機構ができまして、三百三十名前後だったと思いますけれども、そういう機構になりますけれども、それがそっくりそのまま移られますと約八割を占める、七十七、八%だと思いますけれども、そのぐらいの人数になるということでございます。そこで非常に心配なのは、人だけ移せば仕事ができるのかどうか、それと、新エネ機構という、どちらかというと技術屋さんのおしりをたたいていくような仕事をやっていかなければ対応ができないはずでございますけれども、そういうものに対してどういうふうにお考えになっているのか、時間の関係で早目に終わる予定でございますので、石炭を吸収してこれから新エネ機構をどのように運営していくのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  160. 古田徳昌

    ○古田政府委員 新しい機構の設立に当たりましては、石炭鉱業合理化事業団の機能を吸収して実施していくわけでございますが、この際私どもといたしましては、この機構の組織としましては現在のところ石炭鉱業合理化事業本部というものを設けまして、そこで従来からの石炭鉱業合理化の事業は一元的に行わせたいと考えております。これを事業本部としまして、本体としましては新エネルギー開発のために、たとえば企画業務の関係の部とか、あるいは地熱調査の部とか、あるいは技術開発本部とかいうふうなものを設けまして、組織的かつ機動的に運営していきたいと考えているわけでございます。さらにこの新エネルギー対策の一環をなします海外炭開発業務につきましては、地質調査とか技術者の養成等につきまして、国内炭対策を通じて培われました知識の活用が期待されるというような面もございますので、国内炭対策事業をあわせ行うことが新機構にとってのメリットになるというふうな考え方を持っているわけでございます。
  161. 玉置一弥

    ○玉置委員 時間がございませんので、本当はこの辺を一番突っ込みたかったのでございますけれども、結論に参りたいと思います。  閣議、あるいは物特等で物価対策に対する政府の方針というものを再三聞いておりますけれども、一応物価のピークが五月、六月ぐらいで大体終わるだろうというふうに言われております。今回、もしこの電発税が通りますと、六月から値上げをされることになりますけれども、物価を抑える方向で政府がやっておられるものに対して一部では上げようという動きがありまして、そして一番ピークで、むしろ下がるかなというときにまだ上げるということになるわけでございまして、その辺について特に一番よく御存じだと思うので、どういうふうにお考えになっているかお聞きをしたいと思います。
  162. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 大変大事な点を御指摘いただきまして、物価問題、これはもう本当に国を挙げての大問題で、国会の各方面からもいろいろ御批判をいただくと同時に、絶大な御鞭撻と御支援をいただいておるわけでございます。  そこで、今回の電源開発促進税を上げることは、確かにこれは物価引き上げの一つの要因になるではないかという御指摘の点でございますが、きのうも実はこの委員会で申し上げたのでございますが、私どもとしては、消費者物価をできるだけ抑制するという基本的な方針、すなわち物価対策を何よりも重要視するという方針においては、これはもう予算の編成のとき、国会の御審議の過程、予算成立後の今日一つも変わっておりません。  ただ、それじゃ物価を引き上げるような原因になるものは一切抑えるのか、こういうことになりますと、これはまたできないことでございますので、たとえば財政再建のために必要最小限度の公共料金の引き上げもお認めをいただかなければならぬということでお願いしておるわけでございます。エネルギー対策のために、長期安定的な電源多様化の財源を確保していくというための最小限度必要なものをこの際やるということも、また、これは省エネルギーから脱石油に向かって一九八〇年は本当に第一歩を踏み出す画期的な年である、そういうときであるからこういう対策をやることは非常に大切な問題だという認識のもとに、ぎりぎりいっぱいの判断をいたしまして、そういうものも取り入れて来年度の消費者物価の見通しというもの、これをつくったわけでございます。したがって、こういう政策をとることによって物価政策の困難性といいますか、重要性というものがますます加重されておることは御指摘のとおりでございます。私はそういう必要最小限度のいろいろの政策を実行しつつ、消費者物価については、まあ卸売物価は相当上がっておりますが、これはひとつ政府見通しの範囲内にとどめるべく、国会を初め各方面の御協力をいただいて今後とも全力を尽くしてまいりたい、こういう判断のもとに御提案を申し上げておる次第でございますので、御理解を賜りたいと考えます。
  163. 玉置一弥

    ○玉置委員 時間が参りましたので、一言だけお願いをして終わりたいと思います。  われわれとしては今回の電発税につきましては、前回五〇%の電力料の値上げがあったすぐ直後であるということ、それと五月、六月が物価のピークになる、実際工業製品についてはもうちょっとずれ込むと思うのです。六月、七月に電力料金がはね返ってきて、その辺で今度は鉄鋼の値上げでありますとか、あるいはアルミ地金、そういう非鉄金属も含めていろいろまだまだ上がってくると思われます。それが六月に上がれば、当然製品としては八月に消費者にはね返ってくるということで、上期いっぱいは続いてくるんじゃないか、そういうふうに感じております。そういう意味で、もし上げるのがだめだというならば、何とか下期にずれ込ませるような方策がないのかということをぜひお考えいただきたいということと、値上げ幅についていいか悪いかというのは、これは非常に判断がむずかしいと思うのです。増減に対してどういう対処をするかということも当然考えながら、そして将来にわたっては、一つ財源だけではなくて、二つなりあるいは三つなり、いろいろな方面からのことで緊急時に対応できるような財源を確保しておくということをぜひお考えをいただきたい、そういうふうに思うのでございます。  本当にいろいろ聞いていきたいのがあるのですけれども、聞いても返ってくる答えが同じでございますから、今回これで終わりますけれども、ぜひ頭の切りかえをやっていただきたいと思います。  何せこのエネルギーが出てくるころはわれわれの年代だと思いますので、そういう意味で、先輩の皆さん方にがんばっていただいて、次の世代に何とかつなげるようにお願いをしておきたいと思います。どうもありがとうございました。
  164. 増岡博之

    増岡委員長 坂口力君。
  165. 坂口力

    ○坂口委員 昨日からきょうにかけまして、私の方、宮地議員と私と続きまして、大蔵省、それから通産省質問してまいりましたのは、いままでの財源の使い方でございます。  四十九年から五十四年までの六年間、それぞれの年の剰余金の合計は、昭和五十四年度の剰余金がまだ完全でございませんのでよくわかりませんが、約二千億に達するであろうと思われます。五十三年まで合計いたしまして千五百四十二億でございますので、五十三年をやや上回るであろうという予測が先ほど述べられましたので、四百数十億の剰余金が出るというふうに仮定をいたしますと、約二千億ということになります。  その中で繰越金というものを引いた財政法六条の純剰余金というのは、五十三年までで累計が六百二十五億でございますので、今度もし二百億ほどこれに加わるといたしますと、八百三十億ほどの資金運用部行きの財産になるはずでございます。そういたしますと、かなり財源としてはあるわけであります。  先ほど通産省の方は、毎年綿密な計画を立てた、こうおっしゃるわけでございますけれども、その綿密な計画の結果が毎年約三割の事業量でしがなかった、こういうことでございます。したがって、綿密な計画であったとは思えないわけでございますが、そこはこの目的税のいたすところであるわけでありまして、使う使わないは別にして、それだけこの税金が出てくる。その税金に合わせて計画を立てようと思うものですから、毎年この余る金がふえてくる、現実はそういうことであろうかと思います。  そういたしますと、この五十四年度から五十五年度への繰越金というのは、約二百四十億ぐらいはあるはずでございます。そういたしますと、一カ月おくれると八十億円足りないということでございますが、二百四十億繰り越してくるということになれば、三月間は大丈夫ということになるわけであります。しかし大蔵省の方は、一日おくれると天下がひっくり返るようなお話でございまして、もうあす食べるお米もないような話を言われるわけでございます。われわれ議員は純真なものでございますから、本当かしらんと思ってよく見ますと、繰越金は二百四十億もある。しかも、資金運用部に対しましては、五十四年度を含めますと八百三十億前後の預け金がある。ですから、三カ月どころじゃなくて、これは合計いたしますと一千億を超えるわけでございますので、まるまる一年おくれましても十分やっていけるという財源があるわけでございます。そういうふうな中であるにもかかわらず、今回、しかも税率をアップをしていこうというお話でございます。電源多様化勘定という新しい勘定もできましたので、その分は私も認めますけれども、しかし、ことしのこの計画の中にも、多分また余る分がかなり多く含まれているのであろうと思うわけでありまして、そう思いますと、これはまた五十五年度もかなり剰余金というのが出るのではないか、こう思います。  大臣に、もし二、三カ月なりあるいは半年なり延ばされるのであるならば、最後のチャンスでございますので、一言お答えをいただきたいと思います。
  166. 西垣昭

    ○西垣政府委員 まことに恐縮なんですけれども、ちょっと誤解があるようでございまして、その点をまず御説明申し上げたいと思います。  毎年かなりの剰余金が出ていることは事実なんでございますが、それは実は転がっている金でございまして、それを累計するというものではないわけです。先ほど引用されました、その支出の割合ということで、一二%、三三%、三五%、三二%、二九・一%、こういうふうにおっしゃいましたが、この分母になっておりますのは当年度の予算額と前年度からの繰越額でございまして、その中で支出されたものの割合が先ほどのようなわけです。あと残ったものを余ったものとしてお考えになっておられるわけですが、その内訳といたしましては、歳出がおくれたために財源としても翌年度に繰り越されるもの、それから、翌年度に繰り越されないで不用となるものがございますが、この不用となるものは翌々年度の歳入に再計上されまして、予算としても再計上されるわけでございまして、転がっているものをずっと累計するという性質のものではございません。  それで、五十四年度から五十五年度への繰り試しにつきましては、不用額がどの程度出たかということで、これは決算してみないとわからないわけでございますが、余裕として残っております資金運用部の預け金と国庫余裕金の額を合計してみますと、それは約七百六十八億円でございまして、この中には、当然のことながら、歳出権が繰り越されましてそのための見合い財源として留保しておかなくてはならないものと、翌々年度の歳入に上げるべく残しておかなくてはならないものと両方入っているわけでございます。  それから、先ほど、特定財源だから必要もないのに予算計上しているような意味で私は伺ったのでございますが、これはそうでございませんで、先ほど通産省の公益事業部長が申しましたように、それぞれの施設の計画に従って積み上げているわけでございます。五十五年度の場合について申し上げますと、百十六カ所の電源開発地点、施設計画がございまして、総計が四千四百九万キロワットという計画でございます。それを原子力、火力、水力ごとに積み上げたものが計上されているわけでございますが、確かに、御指摘のように、これも使い残しが出る、つまり翌年度に繰り越されたり、また翌々年度の歳入に不用としてもう一回上げなければならないものが出るかもしれません。しかし、これはたまたま電源開発がおくれているためでございまして、もしわれわれが願っておりますように電源開発が進みますとたちどころに使われてしまう金、これを要らない金というふうに考えるわけにはまいらないわけでございます。  それからもう一つ、こちらの勘定に余裕金があるから多様化勘定の方に使えるというものではございませんので、これは仕切りがはっきりしておりまして、これをあちらに持っていくというわけには制度上まいらないようになっております。この点だけちょっとつけ加えさせていただきます。
  167. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 坂口委員から、一日二日どうだこうだと言って、大蔵省は大変だけれどもと、こういうようなことですが、しかし、きのうも実は私申し上げたように、電源の開発の遅延によるエネルギー供給の見込みというものを、またつぶさに先ほど来いろいろ通産省からお聞きいただいたと思うのですが、これはまた気が気でないのです。そこで、何とかしておくれを取り戻して夏のピーク時に備える電力の予備率といいますか、これはもう坂口委員非常によく御承知のとおりでございますので、これを心配のないように確保するためにはまた大変な努力が必要でございます。そういう努力をやるための財源が今度の電源多様化でございますので、一方において非常に余裕しゃくしゃくであれば、こういう財政非常のときに新しい増税ということ、あるいは新機構をつくったり、特別会計の中に新しい勘定を設けたりということはとてもとても物価の問題からいっても、先ほど玉置委員にもお答えしたとおり、われわれとしてもなかなか認められないことなのでございますけれども、しかし、一たびエネルギーがショートする、停電が起こる、これまた大変なことでございますので、そういうことのないようにやはり安定した財源を確保いたしまして、おくれておるならばそれをできるだけ早くリカバーしてそういうエネルギーのピンチに差しかからぬような手当てをしたい、こういう気持ちでございますので、御了解を賜りたいと思っております。
  168. 坂口力

    ○坂口委員 先ほど言われましたように、新規発生剰余金はそれぞれ転がっている部分もございますので、累計して二千億と申しましたけれども、この中には重複しておるものもあると私も存じております。しかし、これを除いたあとの新規発生剰余金はそうではないはずであります。いま大臣が御指摘になりましたように、重要なことも私どもよく存じているわけで、ぜひ私たちもやらなければならないという立場をとっているわけでございます。また主計局の次長さんがおっしゃったように、電源開発というもの、これはどうしても計画を立てて綿密にやっていかなければならないこともまたよく存じているわけでありまして、しかし、現実問題としてはそういう計画を立てておみえになるけれども、それがそのようにいっていない。それができないからいけないのだ、こうおっしゃるけれども、それができる、できないの判断をして予算を立てるところにこの予算の意味があるのであって、できないものをできるかのごとくにこの予算を立てておみえになってはぐあいが悪い。それではいけないじゃないですか。特に四十九年から五十四年まで六年間、その中で一年か二年、三割しか使わないとか四割しか使わないというときがあるのならばまだ話はわかりますけれども、この六年の間四割を超えたことがないというこの現実を見たときに、この目的税という税制のあり方と、そしてこの予算の立て方の間に問題がありはしないかということを指摘しているわけでございまして、これ以上お答えをいただいても無理かと思いますので、これだけにとどめますが、先ほど民社党さんからも出ましたように、税率あるいは時期等について考えられるならばそれが国民のためである、こう思っておりますことをつけ加えまして、終わりにいたします。ありがとうございました。
  169. 増岡博之

    増岡委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  170. 増岡博之

    増岡委員長 ただいま電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党を代表して、高鳥修君外三名より、また日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して、佐藤観樹君外二名より、それぞれ修正案が提出されております。  この際、順次提出者より趣旨の説明を求めます。高鳥修君。
  171. 高鳥修

    ○高鳥委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  この修正案は、法律の施行日については原案では「昭和五十五年四月一日」と定められておりますが、申し上げるまでもなく、すでにその期日を経過いたしておりますので、施行日を「公布の日」に改めるとともに、これに伴いまして、この法律の施行前の昭和五十五年度における旧電源開発促進対策特別会計及び旧石炭及び石油対策特別会計に係る収入等は、それぞれ改正後の特別会計の所定の勘定の歳入とみなす等所要の規定の整備を行うこととするものであります。  以上が修正案の趣旨及び内容であります。  なお、案文は、お手元に配付されておりますので、朗読は省略させていただきます。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  172. 増岡博之

    増岡委員長 竹本孫一君。
  173. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、日本社会党、公明党・国民会議並びに民社党・国民連合を代表しまして、ただいま議題となりました電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  現在わが国は、一次エネルギーの九割近くを海外からの輸入に頼り、さらにその八割以上を石油に依存いたしております。このような石油偏重のわが国経済が、昭和四十八年の第一次石油危機並びに今回の第二次石油危機によって、物価高に不況といういわゆるスタグフレーションにさらされたことは御承知のとおりであります。今後の石油の動向を見ましても、価格、供給の両面からますます状況は厳しくなることは必至であります。わが国はこのような事態に対処して、一刻も早く石油依存の体質から抜け切らなければなりません。  そのためには、省エネルギー対策を徹底することがまず先決でありますが、同時に石油にかわろ代替エネルギー、新エネルギーを積極的に開発することが全国民的な緊急の課題であります。この観点から、ただいま提案されております特会法の改正案を見ますと、電源多様化勘定の財源はすべてこれを電源開発促進税という目的税だけによって措置しようというのでありますが、これはきわめて不当かつ不十分なことと言わなければなりません。  第一に、電源多様化勘定に計上されておる事業は、わが国の代替エネルギー対策の一環をなすものでありますが、その事業が限定的かつ一律に受益者負担が原則で行われるというようなことは、きわめて根拠の薄いものであり、むしろ一般会計財源措置すべき性格のものと思うのであります。したがって、一般会計からは一切この勘定には繰り入ればやらない、というような改正案は本質的に納得のできない問題であります。  第二に、今後の代替エネルギー開発は、わが国を取り巻く客観情勢の変化によっては、その開発テンポを早めなければならない事態が到来することも十分に考えられる問題であります。ところが歳入面ではきわめて硬直的な目的税、特に石油供給政治的に制限される危険性も大きく、また、電源開発が立地問題等で意のごとく進まず、したがって、また発電量が減少して、その結果は目的税たる促進税の収入が不足する心配の多い税収入によってすべての緊要な事業が支えられ、賄われるということには大きな矛盾を考えるのであります。  政府改正案ではその場合に電源開発促進税の増税を図ることになるのかもしれませんが、典型的な大衆課税である電源開発促進税をさらにさらに増税することには断固反対であります。  以上申し述べましたような主な理由によりまして、電源多様化勘定の歳入については、電源開発促進税の収入だけに限定することなく、一般会計からの繰り入れをも行えるようにすることが必要であろうと思うのであります。  以下、修正案の概要を御説明申し上げます。  第一は、電源特会の現行第一条につき、「電源開発促進税の収入を財源として行う」という部分を削除することによりまして、電源特会の財源電源開発促進税に限定しないこととすることであります。  第二は、電源多様化勘定については、一般会計からの繰入金ができるように所要の措置を講じていることであります。  第三に本改正が昭和五十五年四月一日を経過したことに伴いまして、施行期日を公布の日とする等所要の修正を行おうとすることであります。  以上が本修正案の提案理由及びその内容であります。  なお、案文はお手元に配付されておりますので、朗読は省略させていただきたいと思います。  何とぞ慎重御審議の上各位の御賛同をお願いいたしまして、提案説明を終わります。(拍手)
  174. 増岡博之

    増岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
  175. 増岡博之

    増岡委員長 これより両原案及び電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案に対する各修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。稲村利幸君。
  176. 稲村利幸

    稲村(利)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております電源開発促進税法の一部を改正する法律案及び電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案及び同法案に対し自由民主党から提出いたしました修正案に賛成、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合から提出されました修正案に反対の立場から討論を行いたいと存じます。  石油依存度がきわめて高いわが国において石油代替するエネルギー開発、導入を推進することはきわめて大きな政策課題となっております。政府昭和五十五年度を石油代替エネルギー元年と位置づけ、エネルギーの安定的供給を確保するため、各般の施策を講ずることといたしておりますが、この両法律案石油代替エネルギー対策に関する財政上の措置を格段に拡充強化することを目的として提出されたものであります。  すなわち、電源開発促進税の税率を一千キロワット時につき現行の八十五円から三百円に引き上げ、この増税分の税収を電源多様化対策財源に充てるとともに、石油税の税収の使途を拡大し、石油代替エネルギー対策財源に充てることといたしております。  今後の代替エネルギー対策を進めるに当たっては、中長期にわたって多額の資金を安定的に確保していくことが必要とされておりますが、現下の厳しい財政事情を考慮いたしますと、このような長期的に必要な資金を一般財源ですべて賄うことはきわめて困難であることは御承知のとおりであります。  したがいまして、代替エネルギー開発、導入はエネルギーの安定供給を可能にすることを通じて一般電気事業者、ひいては電気の消費者や石油の消費者にも受益関係を生ずるものであるところから、これらの対策のための財源を受益者負担的な特定財源の形で電気及び石油に求めることは理由のあることと認められるとともに、現下の不安定な石油事情を考えますならば、安定的な財源を確保して、代替エネルギー対策総合的かつ長期計画的に行うことは、まさに時宜を得た措置と認められるのであります。  なお、わが党から提出いたしました特別会計関係法案に対する修正案は、政府原案において昭和五十五年四月一日とされております施行期日がすでに経過いたしておりますので、これを公布の日に改めることを主な内容としており、妥当な措置と認めるものであります。  さらに、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合から提出されました修正案につきましては、現下の厳しい財政事情を考慮いたしますと、一般会計から電源特会への繰り入れ規定を設けることは適当でないと認めざるを得ず、反対であります。  以上であります。(拍手)
  177. 増岡博之

    増岡委員長 山田芳治君。
  178. 山田芳治

    山田(芳)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま採決に付されようとしております電源開発促進税法の一部を改正する法律案及び電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案について、社会党、公明党、民社党提出の修正案に賛成、原案及び自民党提出の修正案に反対の立場から討論をいたします。  わが国のエネルギー政策は、従来からその脆弱性が明白な状況にありながら、その対応は大幅に立ちおくれ、かつ政府の果たすべき役割りがきわめて少なかったと言わざるを得ないのであります。  すなわち、わが国の一次エネルギーのうち石油に依存する率が七〇%を超えており、先進諸国平均の五〇%を大幅に上回り、また、石油の対外依存率は九九・七%と際立った高さであり、その約七五%を政治的不安定な中東に依存しておるのであります。  このような状況にもかかわらず、従来からわが国のエネルギー政策は私的企業に依存し、政府役割りは私的対応に対する補助的機能を果たすにとどまったのであります。私的企業に依存するため、コスト原理が先に立ち、短期的視野に陥りがちでありました。  具体的な例を挙げれば、電力は高度経済成長政策に寄与するため安価な石油を利用した臨海型大規模発電に主力を置き、従来からの石炭等による中小規模の発電を整理統合していったし、技術開発においても、原子力に見られるように、全面的に外国からの輸入に依存をし、政府は単に動燃事業団を通じての補助的役割りを演ずるにすぎなかったのであります。これをドイツに比べれば、西ドイツでは石油による火力発電は全電力供給量のわずか一〇%程度で、中小規模の発電を温存してまいっております。  以上のようなわが国のエネルギー政策への反省は、おくればせながら今回の提案に見られるように徐々に多様化して、政府も太陽熱、地熱、風力、波力、ごみなどのいろいろな発電の研究開発に着手したことはわが党年来の主張に沿っており、理解できるところであります。  とは申すものの、次の諸点について多くの疑問が存しているのであります。  その一は、ハードエネルギー、特に原子力中心とした研究開発に重点を置き、予算の大部分をこれに充当し、ソフトエネルギーに対する経費が少ないことはまことに遺憾と言わざるを得ません。  ここで基本的な問題は、従来のエネルギー政策の根底に流れているエネルギー需要追随型の発想の転換が必要であるということであります。とりわけ、エネルギーの需要不足を原子力発電で充足しようとする発想であります。原子力発電開始以来十年、今日でも未解決の多数の問題や事故の頻発、一九八五年においてもわずか六・七%のシェアにしかすぎない原子力に重点を置くというような態度を改め、安全性の進みぐあいに応じて、最終的には国民の選択にゆだねるべきであると私ども考えております。  第二の問題点は、財源対策であります。  わが党初め、公明党、民社党の修正案で見られるように、一般会計からの繰り入れや道路目的財源一般財源化によるエネルギー対策費への振り向けなどに十分検討が行われていないということであります。  第三には、国民生活安定のためのエネルギー政策の観点に欠けていることであります。  すなわち、わが党が従来から主張しているように、現在の九電力会社の再編成により一元化を進める、多様化、分権化を基礎としての地域エネルギーの活用、第三番目に、価格の安い輸入炭によって国内炭の生産が縮小しないよう輸入の一元化を図る等の措置が必要であるにもかかわらず、これらの視点がきわめて不十分な点であります。  以上、エネルギー政策には、計画性と総合政策推進が求められているわけでありますが、今回の措置を見る限りにおいては、これはきわめて不十分なものと言わざるを得ません。  以上が、わが党が政府原案及び修正案に反対をし、社会党、公明党、民社党が提案をした修正案に賛成する討論であります。(拍手)
  179. 増岡博之

    増岡委員長 古川雅司君。
  180. 古川雅司

    ○古川委員 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま議題となっております電源開発促進税法の一部を改正する法律案並びに電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案並びに自由民主党提出の修正案に対し.反対し、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合が共同提案する電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成の態度を明らかにし、討論を行うものであります。  われわれが反対する理由の第一は、政府が、わが国の経済動向及び国民生活にとってきわめて重要な課題であるエネルギー問題、とりわけ石油代替エネルギー対策目的税と特別会計のみで処置していることであります。  政府は、わが国が直面する財政事情から石油代替エネルギー対策目的税の引き上げと特別会計に固定したものと考えられますが、こうした措置は財政再建を推進する立場から見ても問題を残すものと言わざるを得ないのであります。  すなわち、特別会計のみで行うことは、エネルギー問題が他の政策と比較できず、限られた財源の中で歳出の優先順位をつけ、切るべきものは切り、ふやすべきものはふやすという歳出の効率化を妨げるものであります。また、財政の中で特別会計を拡大することはますます財政の硬直化を招くことからも、とうてい認めがたいのであります。  反対理由の第二は、電源多様化勘定の財源電源開発促進税の収入のみに固定していることであります。  この財源の固定化は、電源開発促進税の最終負担者が一般家庭などであることから、今後、電源多様化勘定の需要が増すごとに、電源開発促進税の引き上げ、すなわち、大衆課税の拡大につながるものであります。したがって、少なくとも財源対策について、一般会計からの繰り入れが可能とする措置は、国民の合意を得るためにも必要なことであったのであります。  特に、五十五年度のように、石炭及び石油対策の主要財源である石油税の多額の自然増収が見込まれるときは、できるだけ電源開発促進税の引き上げ等を見送るべきであります。  また、電源開発促進税が直接消費者の負担となるのに比べて、石油税は原油に課税されることから、最終商品に至る過程では、経営努力等によって課税分を吸収する可能性が十分に残っております。したがって、石油代替エネルギー対策財源をいかなる税で措置するかについても、慎重かつ十分に論議する必要があります。しかし、今回の電源開発促進税の引き上げは、そうした経緯が見られず、余りにも安易に強行されることからも納得できないのであります。  反対する理由の第三は、電源立地勘定が毎年度多額の不用額を発生させ、かつ使途の見込みが明確でないままで剰余金となっていることであります。  政府は、四十九年度にわれわれの強い反対を押し切って、原子力発電を推進する理由から、電源開発促進税並びに電源開発促進特別会計を創設したのであります。  特に、特別会計においては、発電所の周辺地域に対する電源立地促進対策交付金をその主たる項目にしていたのであります。この交付金については、当初から財源さえつければ原子力発電が推進できると考えることは、住民感情を無視する安易なものであると指摘されたものであります。  事実、特別会計が創設された四十九年度以降、交付金は毎年度多額の不用額を発生させ、五十三年度決算では二百七億円にも及ぶ剰余金となっております。また、原子力発電所の設備利用率の低下傾向とあわせて考えると、政府原子力発電に対する政策を抜本的に見直す必要があります。  しかし、政府は電源立地勘定の見直しを全く行わず、新たに三倍強の税の引き上げを図ることは断じて容認できません。  最後に、われわれは、日本社会党並びに民社党・国民連合と共同して、五十五年予算に対する修正を求める中で、物価抑制の見地から電源開発促進税の引き上げの中止を強く主張してきました。また、特別会計についても、さきに述べた反対理由等に基づき、一般会計からの繰り入れを可能とする修正案を提出しております。  こうした必要最小限度の要求にさえ政府が全く応じないことは、国民生活の防衛、財政運営、石油代替エネルギー対策推進などで国民の合意が得られないことを主張して、私の討論を終了いたします。(拍手)
  181. 増岡博之

  182. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました電源開発促進税法並びに同特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法に関し、政府提出の改正二法案、自民党提案の修正案並びに社会、公明、民社三党共同提案の修正案について、反対の討論を行います。  反対する第一の理由は、代替エネルギー開発、導入をすべて新たな国民負担によって賄おうとする不当性であります。  電源開発促進税は、納税義務者は一般電気事業者でありますが、企業会計上は電力会社の原価を構成し、電力料金として消費者に転嫁されているものであります。  今回、この税率を大幅に引き上げ、電源多様化対策財源に充てることとしておりますが、これは代替エネルギー開発、導入のための財源をすべて新たな国民負担によって賄おうとするものであり、しかも、今回の電気料金の大幅引き上げに加えて一層の負担国民に強いるものであります。  代替エネルギー開発は、国が責任を持って進めることは必要であります。しかし、受益者負担を口実にこのような形で国民負担と犠牲を強いることは断じて容認できないものであります。  代替エネルギー財源を確保するには、安全無視、対米依存の原子力を重視した現在のエネルギー予算の組み替えや他の石油関係諸税の使用目的の抜本的見直しなどによるのが本筋なのであります。  反対の第二の理由は、政府代替エネルギー対策では、真に国民立場に立って進めるものにはならない点であります。まず、電源開発促進特別会計法の改正についてであります。  原子力開発技術は、昨年アメリカのスリーマイルアイランドで起きた原子力発電所の事故で如実に示されているように、まだ未確立な技術であります。しかも、現在進められている原子力発電計画は、安全性、自主性などの面で重大な欠陥を持つものであり、技術開発についても自主的、民主的に行われるものとはなっていません。  電源多様化対策は、このような問題点についての対策を十分講じないまま、安全無視、対米依存の原子力開発促進が中心となっており、とうてい賛成できないものであります。  さらに、石炭及び石油対策特別会計法の改正についても、この対策は、海外石炭、LNG、石炭液化などのメジャー依存や日米科学技術協定などの対米従属を新たに繰り返したり、国内炭無視、全面的な海外炭依存主義に見られるように、極度の海外資源依存をさらに続けるものにほかならず、しかも代替エネルギー技術開発が大企業に私物化されるおそれさえあるものとなっているのであります。  最後に、社会、公明、民社三党共同提案の修正案についてであります。  本修正案は、電源多様化対策財源として電源開発促進税の収入のほか、一般会計からも充当しようとするものでありますが、これは安全性、自主性において問題点のある原子力技術開発をそのままにして、これをさらに進める道を開こうとするものであり、容認できないところです。しかも本修正案は、政府案が持つ問題点について何らその内容を変えるものではなく、とうてい賛成できないものであります。  以上の諸点を指摘し、反対の討論といたします。(拍手)
  183. 増岡博之

    増岡委員長 竹本孫一君。
  184. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま政府提案に係る両法案並びに自民党のこれに関する修正案、これに反対をいたし、日本社会党、公明党・国民会議及びわが民社党・国民連合の提出に係る修正案に賛成の討論を行いたいと思います。  まず第一に、電源開発促進税でございますけれども、これは予算修正のときにもわれわれがいろいろ指摘いたしましたように、インフレというのは本来心理的な問題が一番大きい。心理学の現象だと私は思っておりますが、電力料金が五〇・八%も上がった、そして公共料金が一斉に上げられた、そういうインフレの危機が一番鋭く感ぜられるこの際に、さらに追い打ちをかけて一・四三%か何かは別としまして、これに電源開発促進税を引き上げるということはタイミングが最も悪い。政治的考慮が最も足らない。一遍に千キロワット三百円に上げるというその上げ幅自体も問題でありますけれども、これは代替エネルギー開発の緊急性と重要性にかんがみまして一応忍ぶといたしましても、タイミングが悪い。そういう意味においてこの税には反対であります。  第二は、特別会計の問題でございますけれども、これにも四点問題を指摘したいと思います。  第一は、受益者負担目的税ということでございますけれども、電気の問題はすぐれて全国民的な課題である。そして代替エネルギーをつくっていこうという問題はきわめて基本的な問題でございまして、これこそ一部の受益者負担というような問題ではなくて、一般会計において当然措置すべきものである。本質的な税の性格からいってもここに問題があるし、会計のあり方にも問題があると思います。  次には、特別会計の問題の御承知の勘定の方で、電源多様化勘定の問題でございますけれども、これは通産省並びに科学技術庁において十二分に検討をされて、これだけのことは絶対必要であるということで六項目、七項目の問題を拾い上げて、そしてそれに財源的にどう措置するかということに取り組まれた問題だと思います。通産省並びに科学技術庁が取り上げられた問題は、どれを見ましても非常に重要なあるいは緊切ないま取り組まなければならない問題を拾っております。たとえば一番大事な高速増殖炉の問題にいたしましても、あるいはウランの濃縮の問題にいたしましても、あるいは再処理の問題にいたしましても、これは現下の最大の課題でありまして、一カ月予算が狂ったから後へ繰り延べてもよろしいなんというようなのんきな問題ではありません。あるいは中小の水力の開発にいたしましても、地熱開発にいたしましても、石炭火力の施設の問題にいたしましても、それぞれ六項目、七項目拾ってありますけれども、いずれも緊急な課題であって、ゆるがせにすることはできない。先ほど大臣お話がありましたけれども、われわれがいま電気の問題、エネルギーの問題について真剣に考えれば考えるほどやきもきせざるを得ない情勢であります。その解決に役立つ六項目、七項目の緊急の課題を省いたり延ばしたりすることはできない。むしろ現下の情勢から言うならば、あるいは繰り上げて実施をしなければならない、あるいは拡大して実行することを考えなければならない。そういう重要な問題を、後で申しますように、一本の目的税にすべてを依存してやっていこう。とてもできる相談ではありません。私はそういう意味において、この事業が緊要で重大な課題であればあるだけ、そのいずれをもおろそかにできない、あるいは省いたりあるいは繰り延べをしたりすることはできない問題であるということが一つの大きな問題であります。  特にいま問題にいたしました財源の問題は、中長期の安定財源を確保しようという熱意は私どももむしろ高く評価をいたしております。しかし、果たして中長期の安定財源になるかならないかというところが問題であります。  第一の問題は、すべてがこれは電源の開発あるいは販売の電力量というものにかかっておるわけでございますけれども、そのもとである油の供給ということ、油の確保ということが、先ほど来いろいろの議論になりましたように大変重大な問題であります。今年度三億一千万キロリッターの石油が果たして確保できるか。クウェート等から十一万バレルとることができたというので新聞はずいぶん書いておりますけれども、五百四十万バレル、やがては六百三十万バレル必要なときに、十一万バレルがどれだけのウエートを持ち得るか。そのほかすぐれて油というのは今日は戦略商品、政治商品になっておる。政治情勢の転換、変化でどう変わってくるかわかりません。三億一千六百方、そのうちには三億六千万キロリッターの石油を確保しなければならぬという大前提があるわけですけれども、確保できるという保証はない。先ほど来大臣お話しでありましたように、不確実性の時代です。その不確実のうちで一番不確実なのは石油の確保なんです。今日、確実なものはほとんどない。すべてが不確実だ。確実なものは、日本の財政が破綻するということぐらいだ。あとはほとんど不確実。この不確実なうちの最たるものが油の確保でございますが、その油の確保、したがって電力供給量あるいは販売量、それが不確実なんですから、この最も必要な財源があるいは拡大をされていかなければならぬときに、むしろこの財源を縮小する心配がある、あるいはじり貧になる心配がある。仮にお説のように固定的であると考えましても、仕事をなおやらなければならぬ、仕事の方が拡大をされなければならぬときに固定的な財源であるということは大きな矛盾を来す。いわんやその財源自体が以下申し述べますような理由によって、油の確保から来てもむしろ縮小される、財源が減っていく可能性がある。  もう一つは、先ほど来御指摘のありましたように、立地問題がなかなか深刻であります。それが行き過ぎたものがあるかないかということも一つの問題でしょうけれども、とにかく四百七十三億円も立地勘定においては金が余る、使わないでおるのだということからもわかりますように、この問題は大変重大な問題でありますから、立地問題で電力供給あるいは販売量が減ることも考えなければならぬ。  さらに、不況になってくる。これからは景気は、インフレでありますから・世界じゅうのインフレが今度は世界じゅうのデフレに転換する可能性も非常に多い。不景気になれば電力の販売量は落ちるでしょう。そうすれば、また収入が減るわけです。一番大事なアメリカの景気だって、カーターが先日演説しましたように、予算を百五十億ドル削ろう、そして失業者は現在の六・二%がやがて七・二五%になることを覚悟してでも引き締めをやる、こう言っている。そうすれば、アメリカの景気はプラスの成長がマイナスの成長に逆転するかもしれない。そういうような、世界じゅうがスタグフレーションの過程に入ろうとしている。その不況が日本においても響いてまいりますと、いま百貨店の売れ行きが一一%あると言って喜んでおりますけれども、これがいつ減るかもわからない。あらゆる意味において、インフレーションはやがてデフレーションになるんだ。そのスタグフレーションのいまの過程において、消費が伸び、電力の販売量が常に伸びるということを考えることも大きな無理があると思います。特に、今回のような一カ月おくれて八十億円、これはわかりやすいから私は言うのでございますけれども、私ども財源措置を真剣に考えなければならぬということを言っているのは、一カ月おくれの八十億円の問題だけではない。むしろこの財源は、油の問題から、立地問題の立場から考え、さらに不況になるということも考えると、しり細りといいますか、だんだんに減っていく、そういう財源ではないか。安定的にいくかあるいは拡大されていくか、その二つではなくて、逆に減っていく可能性のある、その上に安定的な中長期財源を確保してあるということになるのですから、このくらい大きな矛盾はない。そういう意味において、真剣に現下の内外の情勢を考えるならば、しり細りの心配のある財源を中長期の安定財源であるということに限定されるということは大きな間違いであるということを強く指摘しておきたいと思うのであります。  なお、私どもが修正案で申しましたのは、格別変わったことを言っているのではありません。念のため申し上げておきますけれども、たとえば、原重油関税を石炭石油の特別会計に入れておる、あるいは石油税からも入れておる、そういうようなあり方で、しかも一般会計からも必要に応じて繰り入れることができる道を開いておく。先ほど来、御討論の中にもいろいろ御意見がありましたけれども、われわれは、代替エネルギーを確保するという重要使命にかんがみて、それが円滑に行われるようにする財源的基礎をどうするかということを特に問題にしているわけでございますから、政府におかれましても、ひとつ速やかに財源の本当の意味での安定的確保のための構想をもう一遍再検討されることを強く要望いたしたいと思います。  以上をもって討論を終わります。(拍手)
  185. 増岡博之

    増岡委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  186. 増岡博之

    増岡委員長 これより採決に入ります。  まず、電源開発促進税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  187. 増岡博之

    増岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、佐藤観樹君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  188. 増岡博之

    増岡委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。  次に、高鳥修君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  189. 増岡博之

    増岡委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  190. 増岡博之

    増岡委員長 起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。     —————————————
  191. 増岡博之

    増岡委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して、愛知和男君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。愛知和男君。
  192. 愛知和男

    ○愛知委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。  石油依存度がきわめて高いわが国におきまして、石油代替エネルギー対策推進することは緊急な政策課題でありますが、これに要する費用はきわめて多額なものとされております。  この費用の負担は、今後、長期にわたって国民お願いしなければならないわけでございますが、本附帯決議案は、エネルギー関係諸税のより合理的なあり方、石油代替エネルギー対策推進のため、それに必要な財源の安定的確保、費用負担のあり方、特別会計と一般会計施策との関係電源開発促進税の目的に合致した使用とその効率的な活用等について、政府に検討を求めようとするものであります。  以下、案文を朗読いたします。     電源開発促進税法の一部を改正する法律案及び電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、左記の事項について、留意すべきである。  一、エネルギー関係諸税については、制度が複雑になっているので、その合理的なあり方について十分検討すること。  一、石油代替エネルギー対策計画的かつ総合的な推進のために必要な財源の安定的確保に努め、費用負担のあり方、電源開発促進対策特別会計の仕組み、一般会計施策との関係等について今後とも実情に即して検討を加えること。  一、電源開発促進税の目的税としての性格にかんがみ、電源開発促進対策特別会計の歳出内容については、負担と受益の関係が明確なものに限定するとともに、その効率的な活用に努めること。  一、電源開発促進税の電源立地勘定及び電源多様化勘定への配分にあたっては、それぞれの歳出需要の必要性を十分考慮して措置すること。 以上であります。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  193. 増岡博之

    増岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  お諮りいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  194. 増岡博之

    増岡委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。正示大蔵大臣臨時代理。
  195. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。     —————————————
  196. 増岡博之

    増岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 増岡博之

    増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  198. 増岡博之

    増岡委員長 次回は、五月七日水曜日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十七分散会      ————◇—————