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1980-04-01 第91回国会 衆議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月一日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君    理事 稲村 利幸君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 坂口  力君 理事 正森 成二君    理事 竹本 孫一君       麻生 太郎君    大村 襄治君       熊川 次男君    椎名 素夫君       玉生 孝久君    中村正三郎君       林  義郎君    藤井 勝志君       坊  秀男君    村上 茂利君       毛利 松平君    山口シヅエ君       山崎武三郎君    山中 貞則君       伊藤  茂君    川口 大助君       塚田 庄平君    堀  昌雄君       山田 芳治君    柴田  弘君       古川 雅司君    宮地 正介君       多田 光雄君    渡辺  貢君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         経済企画庁総合         計画局審議官  戸田 博愛君         大蔵政務次官  小泉純一郎君         大蔵大臣官房審         議官      梅澤 節男君         大蔵省主計局次         長       吉野 良彦君         大蔵省理財局長 渡辺 喜一君         大蔵省証券局長 吉本  宏君         大蔵省銀行局長 米里  恕君  委員外出席者         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 三月二十八日  電源開発促進税法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十五年度公債発行特例に関する法  律案内閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより会議を開きます。  昭和五十五年度公債発行特例に関する法律案議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を求めます。竹下大蔵大臣
  3. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十五年度公債発行特例に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  昭和五十五年度予算編成に当たりましては、公債発行額を前年度当初予算よりも一兆円減額して財政再建の第一歩を踏み出すとともに、国民生活の安定と着実な経済発展のための基盤強化を図ることを基本といたしました。  まず、歳出面では、各省庁の経常事務費を初めとする一般行政経費を極力抑制するとともに、政策的経費についても根底から見直しを行った上、各種施策優先順位を十分考慮し、財源の重点的、効率的配分に努めたところであり、この結果、一般歳出伸び率昭和三十一年度以来の低率となっております。  また、歳入面では、租税特別措置整理等をさらに推進するとともに、給与所得控除見直し退職給与引当金累積限度額適正化を図ることとしております。  しかしながら、このような歳出歳入両面にわたる見直しにもかかわらず、昭和五十五年度においても、前年度に引き続き、財政法規定により発行する公債のほかに、特例公債発行によらざるを得ない状況にあります。  このため、昭和五十五年度特例措置として、国会議決を経た金額範囲内で、特例公債発行できることとする法律案提案するものであります。  しかし、このような措置はあくまで特例的な措置であり、特例公債に依存する財政からできるだけ速やかに脱却することが財政運営の要諦であることは申すまでもありません。政府としては、引き続き、財政健全化を図るため全力を尽くす決意であります。  以下、この法律案内容について御説明申し上げます。  まず、昭和五十五年度一般会計歳出財源に充てるため、予算をもって国会議決を経た金額範囲内で、特例公債発行することができることといたしております。  次に、租税収入実績等に従って、特例公債発行額の調整を図るため、昭和五十六年六月三十日まで特例公債発行を行うことができることとし、あわせて、同年四月一日以後発行される特例公債に係る収入は、昭和五十五年度所属の歳入とすることといたしております。  また、この法律規定に基づき、特例公債発行限度額について国会議決を経ようとするときは、その公債償還計画国会に提出しなければならないこととしております。  なお、この法律に基づいて発行される公債については、償還のための起債は、行わないものとしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 増岡博之

    増岡委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 増岡博之

    増岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、ただいま議題となっております本案について、参考人出席を求め、その意見を聴取することとし、その日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 増岡博之

    増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  7. 増岡博之

    増岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。塚田庄平君。
  8. 塚田庄平

    塚田委員 いよいよきょうから新年度に入りました。エイプリルフールで何を言ってもいいということで後で訂正しなければならぬようなことにならぬよう十分用意して御答弁願いたい、このように思います。  いまの特例債に入る前に、最近のホットな問題について、余り時間のたたないうちに聞いておきたいと思います。  きょう実は長岡事務次官を呼んだのですけれども、何か事務次官というのは予算委員会あるいは当該委員会出席しないのが慣例になっておるようで、私としては大変不満なんです。こういう慣例はこれから打破するように、何か日本官僚制度の象徴のような気がいたしますので、この点あらかじめ大臣に要望しておきたい、このように考えております。  次官が出ないので大臣にと、これもまた逆の話なんです。大臣が出ないから次官にという話だといいのですけれども、残念ながら……。恐らく大臣報告を聞いておられることと思いますから、大臣に御質問いたしたいと思います。  まず第一点は、長岡事務次官がごく最近アメリカへ行ってまいりまして、俗に財政サミットと言われておる会議出席いたしまして二十九日か三十日かに帰ってまいりました。たしかきのうのNHKだと思いますが、もうすでにテレビに出て向こう会議模様国民に放送しておるというような情勢でございますが、直近の委員会でもございますので、アメリカで行われたこの財政サミットは一体何の目的で、どういう議論をして、また日本としてどういう主張をしてきたのか、これは大臣には大変失礼な言い分なんですけれども、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  9. 竹下登

    竹下国務大臣 長岡事務次官は三月二十四、二十五日にワシントンで開かれました予算担当者会議出席をいたしました。これは主計局長会議とも呼んでおるわけでございますが、主計局長予算審議中でもございますので、事務次官はいま塚田委員指摘のとおり政府委員ではございませんので、前主計局長でもありますがゆえに適当であると考えまして出席をいたしたわけであります。  第一次石油ショック以来各国とも財政赤字に悩まされていること、また社会高齢化に対応するための財政問題が大きな課題となっているという事情を踏まえて各国での経験等をもとに種々意見交換しようということがこれの目的であります。  私はきのう大ざっぱに報告を受けましたが、詳しくは事務当局から御答弁を申し上げるといたしまして、まずどこもいわゆるインフレに大変な関心を持っておるということ、それから高齢化社会への移行ということで、他の国はおおむねそれに対応しつつあるが、アメリカ日本高齢人口の比率がまだ少し少ないという意味においてアメリカ以外の国の発言は大いに参考になった。それから、予算は、日本とかドイツのように歳入歳出あるいは金融全般大蔵省で抱えられておるところが予算編成、執行は機敏であって、アメリカ等が若干べらやましがっておったのは、ホワイトハウスの予算局みたいな感じでございますので、歳入歳出に対する機動性に欠けておるというようなことも漏らしておったとかいうようなこと等々の報告を受けたわけであります。  いずれにしても、これによってベネチア・サミット議題が論じられるとか、そういう性格のものではございませんけれども実務者同士でございますだけに、大変益するところが多かったという報告を大筋として受けております。
  10. 塚田庄平

    塚田委員 いま、ほんの骨格だけ報告を得たのですが、私は時間もございませんので、ひとつ大臣財政サミットとわれわれは言っているのですけれども予算担当次官級会議模様と、特に日本主張等につきまし、できれば概略報告をいただきたいと思うのですよ。それで委員長報告書を提出してもらうようにひとつ理事会でお諮りを願いたい、このように考えております。ここで答弁していると時間がなくなってしまいますから、報告書をもらいたいと思うのですが。
  11. 増岡博之

    増岡委員長 理事会で協議します。
  12. 塚田庄平

    塚田委員 それでは、ホットな問題として第二ですが、きのう三十一日、いわゆる銀行大口規制期限が切れたわけなんですけれども、前から大口規制については三井銀行、これは名前を言っては大変申しわけないのですが、これは公知の事実ですから言います。非常に問題になっておりまして、他の銀行はほとんど大蔵省通達指導によって、大変苦しい中、国債が大量に発行されておるという中で大口規制をやってまいりました。残った三井はどうなのかということで、私ども注目をしておりました。東京電力につきましては、これは御存じのとおり設備投資が非常に多いんで特別な例外措置をとっておりますが、その中でとうとう三井は三十一日までには解消できない、三百数十億、結局三百億を超えるということになりました。通達オーバーということになったわけですが、これに対して銀行局は、最終段階一体どういう態度で臨み、また指導したか、今回の三十一日の三井措置についてどう考えておられるかということについてひとつ答弁願いたいと思います。
  13. 米里恕

    米里政府委員 先生承知のように、大口融資規制は四十九年の十二月に通達を出しまして、ことしの三月三十一日を最終期限といたしまして五年間経過期間を置きまして、その間にすべて規制を守るようにという通達指導してまいったわけであります。いまお話のございました東京電力、これは公益事業といたしまして特別扱いということをすでに認めておりますので、結局きのうの段階三井銀行三井物産に対する融資だけがクリアできないことになった、その他はすべて解消されるということになりました。すべてその他の金融機関の非常な努力によりましてこの規制が守られるということになりましたことは、非常に努力のたまものということで敬意を表したいと思っております。  三井銀行につきましては、昨日三井銀行から、残念ながら通達規制基準におさまり得なかったという旨の報告及び陳謝を受けたわけであります。私どもといたしましては、他の金融機関がすべてこれをクリアした、しかも大口融資規制という銀行健全経営あるいは資金適正配分という趣旨から見て、これが規制基準におさまり得なかった点についてはまことに遺憾であるというように考えております。  三井銀行からは、規制を遵守できなかったことに対しましてはなはだ遺憾であるという意をあらわすために、一つは、改善計画書を提出する、それから二番目に、始末書を提出する、三番目に、すでに内示になった店舗五カ店を返上する、四番目に、役員賞与全額、これは会長と社長でございますが、全額返上というような措置を自発的に講じたいという申し出があったわけでございます。今回の措置につきまして、同行の遺憾の意の表明ということで、私どもは、同行が一日も早く大口融資を解消するということを前提にいたしまして、今回の措置は適切なものと考えられるので、これを了承することにしたわけでございます。  ただ一番の問題は、すでに四月一日から三井銀行三井物産に対する融資通達違反という状態が続いているわけでございますので、今後、同行に対しまして、できるだけ早期に解消するように一層の努力を要請していくという態度指導してまいりたいと思っております。  三井銀行は、この改善計画、これはまだこれからつくるわけでございますけれども、遅くとも二年内に、つまり五十七年三月末までの二年間で解消したいというような意思表示をしておりますが、私どもは、この二年間というものを認めたわけでは決してない。これは猶予期間を与えるという性質のものではございませんので、ともかく通達違反であるから一日も早く解消するという指導を今後ともに続けてまいりたいというふうに考えております。
  14. 塚田庄平

    塚田委員 これまた時間がないので、後で同僚議員の方からいろいろ質問があろうかと思いますが、私は二年間を認めたものではないんだと。ところが、あなたの談話で、これは日経新聞ですが、事実を伝えているかどうかは別にしまして、どんなに遅くても二年間で解消する、守ってもらいたいと。二年間、認めているのですよ。あなたは認めたんじゃないんだ、こう言っていますけれども、どんなに遅くても二年間でやってくれとなったら、これは二年後をめどにしての解消になる。おっしゃるとおり、銀行法改正というのは恐らく来年は必至の状況だ。ことしだっていろいろ予定されておる改正内容の詰めがなかなか進まぬためにこうなったのです。そういう点について、あなた自体がそう言っているのですから、こういうことでは指導にならぬじゃないかということが一点。  余り時間がないので、これは言いっ放しであれします。もっと腹の立つことは、当該関さんの社長談話なんですよ。はっきり言いますと、おれは法律違反したわけでもないんだ。あるいは、おれは銀行経営を悪くするような経営上の責任を負う必要はない。まあ悪くなってないということなんですね。その次、日本的風土の中で、行政指導の持つ重みや資金配分について責任感じておる。日本的風土の中でなどという前置きですね。これは人を小ばかにしているんじゃないですか。どうですか、これ。こういう言葉について大臣は一体どう考えますか。あたかもこういうのは日本独得のあれであって、日本的風土ですから、これはおれは本当は余り責任はないんだが、そういう意味責任感じておきましょうと言わんばかりの発言じゃないですか。他の行はみんな苦労してやっている。三井だけはこうだ。しかも、イタチのへみたいなことを言う。こんなばかなことはないと思うのですけれども、これは大臣答弁してください。
  15. 竹下登

    竹下国務大臣 きのうお見えになりまして、銀行局長通達違反ということになりますので、したがって、あなたのところは自発的な措置をいつ発表するかと申しましたら、六時に発表する、こう申しましたので、わが方も同時に銀行局長の会見で発表したわけであります。私、その向こう談話を読んでおりませんが、お越しになりましたときには、かなり雄弁な方でございますが、私は座っておりましたのに立ったままで遺憾の意を表されましたので、それじゃ私も立ちましょうか、こう申したような状態でありまして、大変つつましい姿勢でお見えになったことは事実であります。  日本的風土というのはどういう意味でおっしゃったか、これはよくわかりません。
  16. 塚田庄平

    塚田委員 いま言った、私が座っておるのに立って非常にいんぎんにと、この辺もどうも日本的風土らしいですね。そういう中でこういうやりとりがされておるといううとについて、私は大変不満を持っております。  局長、もう一遍念を押しますけれども、二年ということは言ってない、できるだけ早くということで強力に指導する——私は、二年というのは恐らくこうだと思うのですね、銀行法が来年通る、実施はさらにその一年後になってくる、そこで二年をとる。だけれども銀行法が通ったときにはそういう三百数十億もオーバーするような銀行は全然ないというような体制に指導していくべきだと思うので、もう一遍決意を簡単に言ってください。
  17. 米里恕

    米里政府委員 向こうが二年間で解消したい、こういうものを持ってまいりましたので、私の方は二年間というものを認めるわけではない、一日も早く解消してほしい、こういう言い方をしたわけです。二年間という期限は最終的には、いろいろな金融情勢もございましょうし、資金需要の態様その他いろいろ変化があり得ると思いますので、そういった観点から、どんなに遅くとも、少なくとも銀行法ができてそれに違反しているという状態になることは絶対に好ましくないというふうに考えておるわけでございます。そういった意味で、今後ともにできるだけ早く解消するように指導してまいりたいというように考えております。
  18. 塚田庄平

    塚田委員 それじゃ、善処を求めまして本題に移りたいと思います。  今度国債については一兆円減額ということで大キャンペーンをやっております。しかし、考えてみますと、一兆円減額はやりましたが、五十四年度では一兆二千二百億ということですから、五十四年度補正に比べますとわずかに二千二百億プラスになっておるということで、これは補正後と比べますと、一兆円、一兆円と言っておりますけれども、たとえば国債依存率で比べますと五十五年度は三三・五%、ところが補正後五十四年度は三三・九に、厳密には三三・九六ですけれども、下がっております。したがって、一兆円減額と言っておりますが、前年度に比べて実態はさほどに減額しておらない、こう私ども計算上考えております。比較するなら当初対当初だといった意見もありますけれども、しかし、実態はこういう実態であるということを大臣はお認めになりますかどうですか。
  19. 竹下登

    竹下国務大臣 比較をするのは当初対当初、そしてまた一兆円以上というつもりで予算のフレームを出して御協力をいただいたわけでございますが、一兆円以上にならなくて、結果としては一兆ということになりました。したがって、五十四年度でとられた措置等々の、とにかく年度中途であろうと減額すべき客観情勢ができたら減額していかなければならぬという精神は、そのまま今後とも貫くべきものであるというふうに理解をいたしております。
  20. 塚田庄平

    塚田委員 そこで、担当局長である渡辺理財局長がごく最近、二月だと思いますが、ある雑誌の編集長とこの国債についてやりとりをやっております。局長とかあるいは大臣のこういう種類の発言というものについてはそう興味を持たないのですが、これは素直に私は読み取りました。大変画期的な、何らのあれもない、本音をすっかり出した記事だと、こういうように私は考えております。  その中で渡辺局長は、きょうは局長は出ておりませんが、次長ですが、数字の上では五十九年度までに赤字国債をゼロにするという一応の目標がある。国債減債目標というのは一応赤字国債、つまり特例国債がとりあえずいま目標だ。まあ特例国債建設国債とどう違うかという議論はしばらくおいて、そういった目標がある。五十四年度赤字国債は約八兆円。これは特例国債ですね。したがって、五十九年度まで五年間しかない。五十九年度というのは、試算によりますとゼロになるときですね。したがって、本当を言えば二兆円ぐらい減らさなければならない計算だと、そしてこの文面全部は二兆円減債に向かって一生懸命努力したそのあとを振り返っております。こういう理財局長努力がずっとあるのですけれども、この点については一体大臣どう思いますか。吉野さんでもいいです。
  21. 吉野良彦

    吉野政府委員 先生指摘のように、でき得ますことでございますれば、私どもともかく五十九年度には特例公債をゼロにいたしたいという悲願を持っているわけでございますし、それから特例公債だけではなくて建設公債をも含めました公債依存度が異常に高いという現在の状態からいたしますと、全体として公債発行額を極力減らしていくということが私ども目標でございます。そこで、御指摘のように、でき得ますならば、もちろん二兆円でも三兆円でも減らし得ることができますならば、それはその角度からはまさに望ましいことであるわけでございます。  しかし、現実の五十五年度予算編成の過程におきましては、やはり予算全体といたしまして歳出面についての各般のいろいろな行政的な需要社会保障、文教その他、エネルギー対策、もろもろの財政需要があることもまた事実でございますし、それなりに財政としては対応していくべき課題もあるわけでございます。一方、歳入の面につきましても、五十五年度におきましては、多額の自然増収があったわけでございますが、それに加えまして、主税当局におきまして租税収入のかなりの見直し、思い切った見直しを加えまして、歳出歳入両面にわたりましてできる限りの努力をいたしたわけでございますが、それらの歳出歳入全体のしりといたしまして、公債発行額はやはり一兆円の減額にとどまらざるを得ないという結論になったわけでございます。  恐らく先生の御指摘趣旨は、それにしても歳出面についての節減あるいは合理化努力がなお足りないのではないかというような御趣旨かとも存じます。これも先生承知のように、五十五年度予算におきましては、いわゆる一般会計全体の歳出伸び率は過去二十年以来最低の一〇・三%というような低い伸び率にまで抑えておりますし、中でも国債費あるいは交付税を除きますいわゆる一般歳出につきましては五・一%、私どもといたしましてはかなり低い伸び率にとどめ得たというふうな感じも持っております。もちろん、これで百点満点というわけにはなかなかまいらぬかと思いますけれども、やはり公債をできるだけ減らしていくという方向に向かいまして来年度以降もさらに努力を積み重ねていく必要があるだろう、かように考えている次第でございます。
  22. 塚田庄平

    塚田委員 いまの答弁ですけれども、一兆円でも二兆円でも三兆円でも財源があればやりたいのだ、こういう答弁では、私が少なくとも渡辺理財局長のこの文章から得た印象とははるかにかけ離れている。三兆円なんかやれるはずないでしょう。一兆円でも二兆円でも三兆円でも、もっと現実的に、もっとまじめに、たとえば渡辺さんは、せめてことしは一兆二千ないし一兆三千やりたかった、ぼくはこの点にやっぱり彼のまじめさがあると思うのです。これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、こういう答弁が欲しいのですよ。一兆円でも二兆円でも三兆円でも——もっとも三兆円なんというのは根拠がないわけじゃありませんね。五十九年ゼロにするためには、最終年度は三兆一千九百億という減債をしなければならぬという試算になります。大体この試算なんですよ、私がこれから質問したいのは。いいですか。五十九年で特例債ゼロ、どういうことになっているかというと、五十六年では七千四百億、五十五年度の約一〇%、これは五十六年度において減債、五十七年度は一兆四千億、約二〇%、五十八年度は二兆一千五百億、この辺からいま吉野君の言った二兆が出てくるのですね。二兆一千五百億。五十九年、こうなりますと、これもまた吉野君の言った三兆台が出てくるわけです。三兆一千九百億、そうしなければゼロにならないのですよ。いいですか。ゼロにならない。つまり、五十六年度は一〇%、五十七年度は二〇%、五十八年度は三〇%、五十九年度は四〇%、計一〇〇%、ゼロ、こういう計算なんです。もっともこの試算は機械的に引き伸ばしたのだと言えばそれまでですけれども、一体こういうことができるのかどうか、やろうとする場合にはどうしたらいいのか、また、やらなければならぬという意気込みがあるのかどうか、この点ひとつ大臣に聞きたいと思います。
  23. 竹下登

    竹下国務大臣 これは五十九年に特例債ゼロという目的に向かって全知全能を傾けなければならない。本院の決議にもございますように、財政再建に関する決議でございますが、まさに、歳入歳出両面にわたって各界の意見を聞き、これに当たれ、こういう御趣旨に沿って全力投球をする覚悟であります。
  24. 塚田庄平

    塚田委員 これは数字ですからあとは局の方で答えてもらいたいのですが、それでは、五十四年度当初の特例債、これは八兆五百五十億、これは認めますね。さらに、これは一兆一千三百八十億が減債されておりますから、五十四年度は結局特例債というものを見る場合には六兆九千百七十億ということになる。これはいいですね。さて、それを押さえながら五十五年度を見てまります。そうしますと、十四兆二千七百億のうち特例債は七兆四千八百五十億。これを認めますね。どっちが多いですか。こんなことは子供に聞くようですけれども。五十五年の方が特例債は多いでしょう。これも私は当初対当初じゃおさまらぬと思うのですよ。五十四年度で六兆九千百七十億、どんどんどんどん減らしていきたいと言っていながら、特例債は五十五年度になりますと七兆四千八百五十億。一体、これでまず特例債を減らしていきたいという意思が数字的にあらわれていますか。御答弁願いたいと思います。
  25. 吉野良彦

    吉野政府委員 ただいまの御指摘は、五十五年度当初予算と五十四年度補正予算との比較においての御指摘でございますが、計数は先生指摘のとおりでございます。ただ、私ども、五十五年度予算編成いたします場合に、先ほど御言及もございましたが、やはり公債の消化の環境等もにらみまして、ともかくも公債発行総額を少なくとも一兆円は減額をする、これをいわば最優先の課題として受けとめたわけでございます。それで、この公債を全体として一兆円減額をするという方針のもとに、経常部門、つまり特例公債にかかわりを持ってまいる部門でございますが、経常部門につきましても、五十四年度の当初予算に比べまして、先ほど申しましたように一般行政経費はもちろんのこと、あらゆる経費全般にわたりましてできるだけの節減あるいは合理化努力をしたわけでございますが、結果といたしましては、御指摘のように七兆四千八百五十億円の特例公債発行をせざるを得ないというような結果に相なったわけでございます。
  26. 塚田庄平

    塚田委員 私は弁明を聞いているのじゃなくて、結局、国債からの脱却ということのまず第一の目標は、大臣特例債からの脱却をまずやらなければならぬ。これはもう審議会あたりでいろいろと指摘されておる点なんです。特例債からの脱却、その次に建設国債と、こういくのですけれども、どう違うのだといえば、理論的に何時間もやらなければなりません。しかし、少なくとも法律のたてまえ、財政法四条のたてまえからいっても、特例債は不健全なものであり、何としてもこれからは脱却しなければならぬというのが五十九年度ゼロという数字になって出てきていると思うのです。そうしますと、去年よりもことしは多い、絶対的に減債されておるにかかわらず特例債は多い、これじゃ傾向は逆じゃないですか。大臣答えてください。
  27. 吉野良彦

    吉野政府委員 五十四年度補正予算と比較いたしますと、特例公債につきましては御指摘のようにふえている結果になっているわけでございますが、私どもは、予算編成、特に予算の性格というものはやはり当初予算同士において比較をし議論をすることの方がむしろ適当ではないかというふうに考えるわけでございますが、五十四年度の当初予算と比べます場合には、特例公債も昨年の八兆五百五十億円に比べまして五千七百億円減の七兆四千八百五十億ということで、私ども特例公債の縮減という目標に向かって一歩を進め得たというふうに考えておる次第でございます。
  28. 塚田庄平

    塚田委員 これも渡辺理財局長の方がはるかに素直なんです。五十五年度はたまたま五十四年度自然増収を土台に四兆数千億の自然増を見込んだ、だから、本当は半分にしたいのだ、だけれども、いろいろと歳出要求が強い、そういう中でも一兆二千億ないし一兆三千億は確保したかった、しかし、そうなれば、必ずまた、二千、三千という端数と言ってはおかしいのですが、それは削られる、それだったら一兆はやむを得なかったと理財局長が言っているのです。私はこの方が正直だと思うのです。この点はこれ以上の答弁は要りません。  そこで、理財局長はこの本の表題で「はじめに一兆円減額ありき」と、まさにその言はいいのです。「はじめに一兆円減額ありき」私はこれはいろいろな意味があると思いますけれども国債を削るときには、初めに何々ありき。いままで国債というのは、歳入歳出いろいろやってみて、どうもこれは足りない、国債でひとつやっていこうと、後から国債は出ていったのです。しかし、削るときには、初めに何々ありき。つまり、ことしは何としても一兆五千億を削らなければならぬ、何としても二兆円やらなければならぬという、そこから始まって予算編成が行われるべきだ、こういうことを私は言っているのではないかと思うのです。この点について、大臣、どうですか。
  29. 竹下登

    竹下国務大臣 理財局長と私どもがその点議論しておりましたところは、本当のところは、発行懇などへ出ますと、十三兆円台にしろ、そうすると、三千億をプラスいたしますと確かに十二兆円台になるわけでございます。それが一兆円以上という形で、予算のAとBのフレームを出しながら、心の中で大変に悲願に思っておった数字であることは事実でございます。  しかしながら、結論から言いますと、財政需要というもので一兆円以上までいかなかった、需要が強いだけに一兆円にとどまったわけでございます。しかし、われわれの構えといたしましては、初めに一兆円ありきということで、フレームをA、Bに分けて、閣議でも了解をしていただいて、また国会の場でも、そのものを議論の対象にしていただいて、キャンペーンをやったという表現はおかしいのでありますが、理解を深める努力をしたということであります。
  30. 塚田庄平

    塚田委員 それでは、これからも初めに一兆円ありきという精神で——これは精神ですよ。一兆円じゃないです。一兆円ではこれは大変なんです、いま言ったとおり、五十九年度ではゼロにならないのですから。五十九年度で一遍に五兆円くらいやるんだったら、これは話は別ですよ。そういうことはできないのですから、だから、そういう決意でやってもらう、これはいいですね。  さすれば、私は、私ども委員長が代表質問の中でこれは大蔵大臣にも迫りましたが、つまり減債の年次計画——これは長期のものは無理です。ここは、この四年間、五年間の試算となっているんですね。これをもとにしても構いません。だけれども、初めに何々ありきという精神であるならば、減債計画をやはりこの際年次別に立てるべきじゃないか、こう思うのですが、これはどうでしょうか。
  31. 吉野良彦

    吉野政府委員 御指摘の精神は、私どももそのようにありたいというふうに考えるわけでございますが、申し上げるまでもなく、毎年度予算において予定をいたします公債発行額は、その年々の歳出需要、それから一方におきましての税収その他の歳入の動向、それらを総合的に勘案をいたしまして公債発行額を最終的に決めていくという性質のものでございます。  したがいまして、将来の年度にわたりまして、A年度、B年度はそれぞれ公債発行額を何兆円にするというふうに具体的な公債発行額までも計画的に決めてしまうということは、予算編成の実情から申しましても、それからまた、そのときどきの経済情勢に最も適応した予算をつくるという予算編成のあり方から見ましても、必ずしも適当なやり方ではないのではないか、かように考えます。
  32. 塚田庄平

    塚田委員 それでは「はじめに一兆円減額ありき」という言葉の精神とは全然別なんですね。相変わらず諸般の情勢を考え、歳入歳出を考えて、そして国債をどのぐらい発行するかを決めると。そうじゃなくて、この際、発想を転換しなさいと言うのですよ。もうそうしなければ財政再建なんてできない事態になっていますよ。あるいは、五十九年ゼロに一体どうしてやるのですか。こんな国民をばかにした数字を出すのか、こう詰め寄らざるを得ないのですよ。  これは大臣答弁をいただきたいと思うのです。少なくとも、そういう精神でこれから減債に当たっていく。非常に困難な事業ですけれども、これに当たるという決意がありますかどうか、御答弁願いたいと思います。
  33. 竹下登

    竹下国務大臣 御趣旨は私どもも理解できるところであります。  それに先立っていま御議論いただいておりますこの試算にしても、あくまでも財政収支試算というものの持つ性格からして、さらに進んで財政計画をつくれというような御要請をいただいておるわけでございます。これは各省の協力を得ていかなければなりません。後年度負担に関するいろいろな作業は、協力を得ないことにはできない問題がたくさんございますので、時間としては、いま申し上げられるのは、五十五年末までに何とか御報告できるようなことにしたいといまは言っております。それがその後年度負担というものを考慮した中期の、五十五年度予算をベースにするそれが立たないと、やはりこの減債計画というものもきちっとしたものにはならないじゃないか。  ただ、私は、いまだこの財政計画について、努力目標として五十五年の終わりまでに、こういうことを言っておるのでありますが、本当にときには、何月何日までに出せるものだろうかというぐらいな感じがいたすこともございます。現実に、長岡次官がこの間行きましたときにおきましても、それはドイツとフランスがやるのにやはり十数年かかった、こう言っておるわけですから、これは大変な作業だなという感じを持ちながら国会でそういうお答えをしておりますので、少なくとも五十五年末までには何らか御報告ができるようなものをつくり上げていかなきゃならぬということで鋭意作業を進めておる。まず各省の協力を得るという立場から行っておるわけであります。
  34. 塚田庄平

    塚田委員 時間もありませんので、あとは国債の運用の問題、発行条件の問題等について若干御質問をしたいと思います。  ことしの発行状況をずっと見てまいりますと、これは一般的な現象ですけれども、これが決め手だと思っていた中期国債、これもなかなか公募がうまくいかない、あるいは十年ものもどんどんと値が下がってくるという情勢の中で、どっちかというと発行を、非常に安直なやり方といいますか、運用部に引き受けさせておる。これは五十三年度は当初は運用部はゼロという予算でありましたけれども、結局は三千億引き受けさせました。それにかんがみて五十四年度は一兆五千億、当初に予算を立てております。結局、最終的には二兆五千億、そして最後には二兆六千六百四十一億というふうに順次上がってきております。運用部引き受けに安易に逃げ込むということは私は国債の歯どめ感というか、そういったものを崩すんじゃないか、こう思いますが、一体どういう考えでしょう。
  35. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 おっしゃるとおり、運用部の引き受けは年度間を通じまして順次引き上げられてまいったわけでございます。最終的には、いまおっしゃいましたように二兆六千六百四十一億を運用部は引き受けることに相なったわけでございます。運用部が一体国債をどこまで引き受けるのかという問題でございますが、基本的にはやはり運用部の原資の事情、それからまた財政融資に対する必要性、そういうものが当然基本にあるわけでございます。それに加えまして、昨今のように国債の大量発行というものがある意味では市中の負担能力を超えるほどの状況になっておるという状況下におきましては、市中からの運片割引き受けに対する要望というのも非常に強くなってまいっておるわけでございます。したがいまして、国債発行の量、それに対応する市中の引き受け能力、そういうふうなものが当然運用部がどこまで引き受けるかということについての判断の要素に入ってくるわけでございます。それらもろもろを総合勘案いたしまして運用部の引き受け負担額を決めていく、こういう態度で決めてまいった次第でございます。  これからも大量発行が続くわけでございます。一方、市中金融機関等の新しい預金等の原資の増加というものも金融の引き締め下でかなり制約されてまいっておる、こういう状況でございますので、運用部といたしましても、財政融資等の重要な任務を一方で担っておるわけですから、そういうものに対する需要も十分勘案しながら、できる範囲でやはり国債の引き受けもやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、原資についてはかなり制約がございますので、おっしゃるように無限に運用部がどんどん引き受けていって歯どめがなくなる、こういう事態にならない、かように考えておる次第でございます。
  36. 塚田庄平

    塚田委員 ならないばかりじゃなくて、これはしてはいけないのですね。私も運用部引き受けということについては、ちょっとまだ考えがまとまっておりません。いいことなのか悪いことなのかということについては、これは学者もいろいろと議論が分かれております。ただ、言えることは、いま答弁の中にもありましたが、これは財投へ回っていく金です。その中で運用部資金の中でやはり大きいのは郵便貯金だと思うのですね。ところが、郵貯は最近下がってきております。これからどうなるかわかりませんけれども、恐らくグリーンカードの実施なんというと、そっちへ集中していくかもしれない。それは余談ですけれども、いずれにせよ下がってきている。運用部の金を使う場合、そういった金なんですから、一つは安全確実、国債は安全確実という面についてはまず適格だと思うのですね。  もう一つは、預貯金者に対する還元、これが精神だと思うのですよ。つまり福祉で還元するとか、あるいは住宅で還元するとか、これが運用部資金のやはり使命だと思うのです。この点を国債は侵してくるのじゃないかという考えを私は持っておるのですけれども、これはどうですか。
  37. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 おっしゃるとおり、運用部資金の大宗を占めるのは郵便貯金でございます。したがって、国民の大切な金をお預かりしておるわけでございますから、安全確実な運用に努めなければいけない。同時に、できるだけ有利な運用にも努めなければいけない。また国民の福祉等に役立つ、そういう運用についても心がけていかなければいけないと考えるわけでございます。運用部資金法におきましても、そういう意味で運用範囲法律で限定をいたしておるわけでございまして、国債もその中の一つに入っておるわけでございます。要は、運用のバランスを十分とってやっていく。ある方面に偏るということではなくて、全般のバランスを十分とりながら勘案した運用を行っていく、こういうことではなかろうかと思うわけでございます。国債というものは、やはり基本は市中消化、市中消化の意味するところは国民の貯蓄で国債を引き受けてもらう、こういうことでございます。郵便貯金はやはり国民の貯蓄の非常に大きな分野を占めておるわけでございますので、国債に対しましても何がしかの引き受けをしていただくということは許されるのではないか、かように考えるわけでございます。
  38. 塚田庄平

    塚田委員 私はやはりこういうふうに安易に運用部資金に逃げ込む——逃げ込むというとなんですが、これはやはり市中消化の原則というものを侵していきますし、国債発行の歯どめというもの、こういうものがなくなっていくという関係から、その点を十分考慮し、いま言われた安全確実もさることながら、還元について一体どういう工夫をしていくかということについて、私はいま時間がありませんから、意見はありますけれども、またいずれかの機会にこの点はひとつあれしていきたいと思います。  そこで、国債がそのくらいで運用部資金に頼らなければならぬ。つまり市中消化がなかなかできない。公募入札をしてもだめ、シ団の引き受けもなかなか渋い。こういう民間消化が大変だ。これは数字が示しておりますから、私は言いません。そうして本年度はまだ五千七百八十億の未消化分があるわけですね。これはどうするのか、六月末までかかって一体発行するのかどうかについても、ひとつ答弁をいただきたいと思います。  それと、さすれば発行条件を、あるいは引き受ける条件といいますか、そういった条件をいろいろと工夫して変えていかなければこれから非常に困難ではないか、こう思います。その条件の一つに金利の問題があります。御存じのとおり、指標銘柄六・一にしましても、あるいは八%国債にしましても、どんどん下がってきております。それから公募もそれに応じてなかなか思うような値段が出ないというのが現況で、巷間には足切り、肩たたきなんという言葉があるのですよ。私は、こういう肩たたきというのは労働組合でよく使う言葉ですけれども、足切りというのはハイヤーの運転手が給料の中で足切りされるからいやだ。あるいは最近、例の入学試験の問題で足切りなんというのもありますね。国債の販売で足切りなんかあるのかと思ったら、こういうことなんですね。結局、大蔵省で考えている価格を利子が超える、あるいは価格に達しないという場合には切っちゃうのですよ、ぽんと。たとえば一千五百億とこうやっても、実際は一千二百三十億の公募しかできない、こういう事例がついありましたね、三月の五日ですかの入札の場合。そこで、金利をやはり実勢に応じた金利に変えるべきではないかというのがいま巷間言われておるところなんですが、この点についてはどうですか。
  39. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 中期債は公募入札ですから、実勢に応じた設定という問題は特にないわけでございます。  おっしゃる問題は、シ団引き受けの十年国債の問題だろうと思いますが、これにつきましては、私ども基本的な姿勢としては、できるだけ市場の状況というものに十分応じた消化の円滑化ということに配慮した条件を設定していくということでやってまいっておるわけでございます。現に五十四年は、三月、四月、それから七月と三回条件改定を行っておりますし、ことしになりましても、この二月に条件改定を行ったばかりでございます。  そういうことで、市場の実勢等の変動に応じた条件設定を、これは毎月発行していくわけでございますから、その都度条件設定に心がけていきたい、かように考えておるわけでございます。
  40. 塚田庄平

    塚田委員 じゃ、変えるということですか。いつごろ変えるか、どういうめどかというのはちょっと無理だと思いますが、大蔵省の考えておることと、あるいは要求する方がありますからね、売る方は要求するのですから。大体そういった情勢を見合ってその中ごろと考えていいのか、その辺について答弁を願いたいと思います。
  41. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 これから発行いたしますのは四月債でございます。四月に入ってからでございますが、これは予算が成立いたしませんと発行はできないわけでございます、発行権限が付与されませんから。したがいまして、予算が成立いたしますれば直ちに引き受けシ団と発行の問題の協議に入りたいと考えておるわけでございます。  昨今の市況の状況等を見ますと、私ども発行当局といたしましては、この四月債の発行につきましては、やはり発行条件を改定して利回りを上げていかざるを得ない、現在こういう判断に立っておるわけでございます。一体どの程度の発行条件にするかという問題は、これは引き受けシ団側とのいろいろな協議を通じて決められていく問題でございますので、現段階で幾らというふうなことはまだ申し上げる立場にないわけでございます。  いずれにいたしましても、市場の基調というものを十分勘案いたしまして、今後ずっと発行は続くわけでございます、四月で終わるわけではございませんので、今後の発行について円滑な発行が続けられるようなそういう条件をできるだけ設定したい。同時に、国債は単独にあるものではございませんで、やはりもろもろの他の金利とのバランスが非常に重要でございます。国債だけ他の金利を全く無視して設定するということにはまいらないわけでございますから、他の金利とのバランスでございますとか、あるいはまた、これだけ大量発行でございますので、当然のことながら財政負担に与える影響というふうなものも十分考慮しまして、シ団とこれから詰めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  42. 塚田庄平

    塚田委員 じゃ、それはひとつできるだけ詰めて——これは上げるということは間違いないと思うのです、下げることはできないのですから。現状維持もむずかしいということになれば、上げるということで御答弁いただいたことにします。  さて、きょうの新聞を見ますと、また国債大口は取引がゼロです。というのは、きょうの新聞ということはきのうですね、これはゼロ。それから、私の記憶で間違いなければ二十九日、これも大口はゼロ。それから三月十六日ですか、これもゼロ。今回これは三回目です。つまり、いかに国債というのは市場で売れないか、決算期ですからいろいろこれを見ているというような、あるいはまた、いま言った金利の状況とか、あるいはこれから発行していく状況等も見ておるということだろうと思いますけれども、しかし、それにしましても、国債発行してから三度も、しかも三月に入ってから商いがない、大口の取引がないということだから、大変な情勢だと私は考えております。  この間、ここでいろいろと問題になりました低価法とか原価法の問題も触れたいのですが、もう時間がありませんから、ただ一つ、こういうことじゃ将来大変なんで、いま窓販問題が長い間いろいろ議論されておりますが、結論的に言いますと、理財局長は、この市中消化を進めるという面において窓販についてはこう言っております。局長が言っているのですから、次長はこれは賛成だと思うのです。だから、次長の答弁は要りません。いいですか。「できるだけ国債発行しやすいシステムは歓迎することになる。国債を売る窓口がふえればそれだけ個人消化はなにがしかふえることになり、そういう意味では歓迎すべき」である、こう言っております。これはもう理財局としての正式の意思表示だと思っております。  さて、銀行局長、証券局長、それぞれこの問題についての御意見を承りたいと思います。
  43. 米里恕

    米里政府委員 国債の窓口販売の問題でございますが、金融制度調査会でも、証券取引審議会でも、それぞれこの問題を検討いたしまして、昨年の夏にそれぞれの答申をいただいております。金融制度調査会は、主として銀行業務を中心にした考え方でございますし、証券取引審議会は、公社債市場のあり方という観点から御意見を述べられておりますが、先生承知のとおり、この問題は非常に長い間議論が行われておるところでございまして、国債管理政策という面もございますし、金融制度あるいは公社債市場という面もございます。さらにはまた、金融界及び証券界の業務分野というような問題も絡んでおりまして、非常に複雑な多面的に検討すべき問題であるというように考えておりますので、今後ともさらに窓口販売を実施するのが適当であるかどうかということにつきましては、引き続き検討してまいりたいというように私どもは考えております。
  44. 吉本宏

    ○吉本(宏)政府委員 基本的にはただいま銀行局長からお答えしたとおりでございますけれども、この国債の窓販と申しますのは、ただ国債を窓口で売ればいいというだけではございませんで、この売ったものがはね返ってくる、たとえば換金の需要等によりまして売ったものが窓口にはね返ってくる、こういう場合に、銀行がこれを買い取らなければいかぬという問題がございます。買い取りの際に一体どういう価格で買うのか、仮にこれが理論価格というようなことになれば、二重価格の問題が生ずることもございます。結局、窓販の問題と申しますのは、全体的に銀行に有価証券のディーリングを認めるかどうかという問題にかかわってくるわけでございまして、そういった広範な立場で公社債市場のあり方等についてさらに検討を加える必要があるのではないか、このように考えております。
  45. 塚田庄平

    塚田委員 最後です。  それぞれ三局長意見は、まあ理財局は発行する立場ですからきわめて明確だと思いますが、ニュアンスがみんな違います。そこで、こういったニュアンスの違う意見をいろいろといま開陳されましたが、総括する大蔵大臣としては、この窓販の問題について、答申にもありますから、一体どう進める決意かということを、ひとつ決意を伺って終わりたいと思います。
  46. 竹下登

    竹下国務大臣 お聞きになってニュアンスが違う、このようにおっしゃいました。御案内のように、大蔵省といたしましては、このことに対する窓口は理財局長ということにしておるわけでございます。したがいまして、各般の御答申等を参考にしながらこれは慎重に検討していこうと、こういうことになっております。
  47. 塚田庄平

    塚田委員 じゃ、終わります。
  48. 増岡博之

    増岡委員長 椎名素夫君。
  49. 椎名素夫

    ○椎名委員 昭和五十五年度公債発行特例に関する法律案ということで、私はこの特例という言葉は大変に重い意味を持っておるというふうに思うわけです。  先ほどの提案趣旨説明でも、あくまでも特例的な措置であって、そこから速やかに脱却することが財政運営の要諦であることは申すまでもないということを大臣申されましたけれども、ですから、ことしはことし限りの特例であるというのがこの趣旨なんでしょうが、しかし、昨年も同じ文句でやはり特例であったし、だれしもが承知しておることは、来年になってもやはり同じ文句で特例ということがどうも出てくるんじゃないかというふうに考えているわけです。  そこで、財政再建ということが言われているわけですが、やはりこの特例というものはあくまでも特例である限りどこかでなくしていかなければいかぬ、一体どういう姿で収斂していくのかということが当面の非常に大きな問題になっているかと思いますが、それには何らかのよりどころなしに、ことしとりあえずはこれということでは、なかなか見当がつきにくい。先ほどの御議論にもありましたが、一兆円にするのか二兆円にするのかというようなことも、そういう文脈の中でつかまえていかなければならぬ問題ではないかと思うのです。この問題に関して、先のことをどういうふうに見るか、日本の経済の状態がどういう姿になっていくんだろうかということをある程度見込みを立てない限りは、その中から税収にしてもあるいは公債発行、消化という問題も日本の経済の中でしかできないわけでありますから、そういう計画というかあるいは見通しというようなものがぜひとも必要であろうというふうに考えるわけです。  それの下敷きになっているのが例の経済社会七カ年計画というものだろうと思うのですが、昨年以来非常に環境が変わってきて、その見直しというようなことも言われている。しかし、まだまだすっかり死んでしまったわけじゃなくて、これは生きているんじゃないかというふうに思うわけです。いろいろな計画があの七カ年計画を下敷きにして表裏一体のような感じで出ていることを見ますと、一応七カ年計画というものについての考え方を伺っておかないわけにはいかぬという気がいたします。  実は、私は科学技術振興の特別委員会にもおりますが、せんだって参考人を呼んでエネルギー需給の見通しというようなものを学識者から意見を聞いたわけですが、あれはとても無理だ、これはたとえばあそこに載っております年々一四・何%かの節約率を達成するというようなことも、現状いままでのしぼり方から考えてもとても無理であるし、一般炭をあれだけ輸入をしてたくということも無理であるし、あるいは原子力のキロワット数をこれだけふやすんだということも、ここ五年、十年非常な無理がある、しかし、あれはやはり七カ年計画を下敷きにしてやるとああいうことにしなければいけないということになってしまうというのが御説明でございましたけれども、この七カ年計画というのは一体いまどういうものとして考えておられるのか、きょうはたしか経済企画庁の方がお見えになっているかと思いますが、その点をまず伺いたいと思います。
  50. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 お答えいたします。  新経済社会七カ年計画におきましては、内外の情勢は非常に流動的であるということを頭に入れまして、毎年毎年新しい情勢に基づいてフォローアップを行っていくということにいたしておるわけでございます。先般二月の二十二日だと記憶しておりますが、経済審議会からフォローアップ報告が出されまして、その中で、新しい情勢を入れて経済成長率とかあるいは卸売物価の上昇率等に若干の修正を施されたわけであります。それと同時に、その経済審議会の御報告におきましては、内外の情勢はきわめて流動的でありますので、計画の基本的な考え方というものを指針としながら、起きてまいります事態に弾力的、機動的に対応できるような経済運営を行うべきであるという、政府に対してそういう御報告があったわけでございます。したがいまして、政府といたしましても、経済審議会からいただきましたそのフォローアップ報告趣旨を踏まえまして対処をしてまいりたいということでございます。  現在の七カ年計画状況、そして今年行いましたフォローアップ報告内容というのは以上の状況でございます。
  51. 椎名素夫

    ○椎名委員 フォローアップというお話があるのですが、最初に計画が発表されてから、ついせんだってもその改定したものが出たわけです。私は、大蔵省のこの財政収支試算というのは非常に不評判でお気の毒だと思いますが、しかし、これはやはり七カ年計画を下敷きにすると、どうしてもこういうことになってしまう。先ほど五十九年で特例公債を全部なくすのだというお話でございましたけれども、そこらあたりを一体毎年どれだけ減らしていかなければいかぬかというような御質疑が先ほどありましたが、そのほかに上の方の欄を見ますと、たとえば税収が見直したやつで一七・八%ずつ毎年伸びていくということにならないと下の数字はこういうふうにやってこないということだろうと私は思うのです。実際にそういうことをやりますと、これは全くおしまいだけを合わせて間を直線でつないだというお話ですが、税収の伸びがこの約五年間で倍になるということになっているわけです。これは実際の経済運営あるいは財政、税制ということから見て無理なことだとすると、ほかの欄を全部このとおりに、まあこれに似た形で達成しようとすると、これが入らない限りはまた下の方に移ってきて、この公債依存度というのがふえないことには全体の整合性が全然出てこないということになりますね。これはずいぶん無理な話じゃないかというふうに思うのですが、その七カ年計画から派生して、それに合わせてやったものがこういう非常に無理な形になっているということについては、経済企画庁どういうふうにお思いでしょうか。
  52. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 恐らく税収は一定の成長率ということを前提にして御推定されたものだというふうに理解をいたしておりますが、確かにいろいろ七カ年計画につきましては、計画策定後の石油情勢の変化等、計画実態との間の乖離が若干生じているという面も否定できないことだというふうにも思っております。また各方面で、いま先生の御指摘もございましたように、計画を見直す必要もあるのではないかという御意見のあることも十分承知をいたしておるわけでございます。しかしながら、現在、石油情勢等をめぐる先行きというものはきわめて流動的でございまして、計画見直しを行い得るような客観的な情勢が整っているかどうかという点については、われわれ非常に疑問に感じているわけでございます。  また計画では、先ほども申し上げましたように、毎年フォローアップを行うことになっておりますので、新しい情勢に基づいてまたフォローアップを行わなければならぬと思っておりますが、そういう状況の中で、現時点におきましては、経済企画庁としては内外の諸情勢を見守っているというのが現在の考え方でございます。
  53. 椎名素夫

    ○椎名委員 そこで、大臣に伺いたいのですが、先ほど、公債発行減額の問題に関連して、減債計画を立てる、あるいは、それは無理だとしても、財政計画というようなことを後年度負担を勘案しながらことしの末ぐらいまでには何とか報告できるようにしたいというお話でございましたが、このお考えのあり方というのは、私の聞いているニュアンスでは、もうこの前のは一応忘れて新たにそういう計画をこれから積み上げていこうというふうに聞こえましたが、いかがでございましょうか。
  54. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、椎名委員御指摘のとおり、新経済社会七カ年計画につきましては、いま経済企画庁からお答えがありましたように、各方面いろいろな意見がございます。わが方といたしましては、財政収支試算というのをここ五年出してきました。これがぽしゃってしまうと出す基礎がなくなるということで、いま御指摘がございましたように、成長率の問題と鉱工業生産指数と卸売物価、それだけのフォローアップ作業でお出しいただいたものを基礎にしてこの財政収支試算をつくったことは事実であります。したがって、最終的に変わっていませんのが、五十四年から六十年までに公共投資をおおむね二百四十兆、そのままになっておるわけです。六十年、社会保障移転一対国民所得比一を十四カ二分の一、租税負担を二十六カニ分の一、それらは残っておるわけであります。したがって、これにつきましてこれから経済企画庁が中心になられましてフォローアップは毎年やっていただくわけでありますが、これそのものの議論も、いまの御答弁を聞いておりましても恐らく行われるであろうと私ども推察しております。  一方、財政計画というのは、経済社会七カ年計画が一応の下敷きにあるべきものであろうとは私どもは考えますが、先ほど来お答えいたしておりますように、後年度負担というものを予測いたしますと、各省で見れば、後年度にわたると自分の省の予算がそれによって拘束されるのじゃないかというようなことがあって、理解を得るための時間がかかるわけでございますので、とにかくその作業を濃密にやっていきまして、先ほどお話し申し上げましたように、どんなものが提出されるかというようなお答えまでまだできなくて、少なくとも作業の報告は五十五年末までには行いましょう、こう言っているわけでございます。したがって、これは経済社会七カ年計画を全くネグったものではないというふうに理解していただいて結構ではなかろうかと思っております。
  55. 椎名素夫

    ○椎名委員 いまのお話で大体その方向はわかったように思いますが、もう少しこだわりますと、話は少し先になりますが、日本のこれからの適正な財政規模はいかにあるべきかということにも関連するのじゃないかと思うわけです。  五十四年度にお出しになった財政収支試算では社会保障移転費の伸び率は一〇・九だったのが今度はそれがさらに伸びて一一・七%になっておりますし、公共投資も一〇・一から一二・九とさらに伸びている。これは頭を抑えるとおしまいの数字を合わせるためには当然そういうふうになってしまうのでしょうけれども、これは単に数字だけの問題じゃなくて、これからの財政をどういうふうに考えていくかということに非常に大きな関連があると私は思っています。日本財政規模は一体どこあたりが適正か、いろいろな議論があることは承知しておりますけれども、現在はとにかくいわゆる先進国と言われる中では相当に低目である。しかし、いまの制度そのままでもほっておくと七十五年度あたりになると相当高くなってくるというようなことを申しておりますが、私、ちょっと気になるのは、先進国ではこうなんだからということで、そこに日本が到達するのが一つの目標であるというようなニュアンスでそういう発言がなされることがあるように思います。そこで、ある意味では、公共投資も合わせられるような社会のインフラストラクチュアの完熟度、あるいは社会保障関係の制度あるいはその実績における完熟度というようなものが相当先に進んでしまっているということからこの財政規模の違いが出てきているのじゃないかとい気がするわけですけれども、そうしますと、いまわれわれからながめて先進国と言われる財政規模の大きなところの状態を一体われわれはうらやましいと思うべきなのか、あるいはそうでないと考えるべきなのか、その点についての御見解を伺えればと思います。
  56. 竹下登

    竹下国務大臣 御指摘のように、確かに財政規模は主要国の中では小さい方でございます。ちなみに一般政府支出の比率を名目GNP対比で見ますと、日本は二八・八で、イギリス、フランス、西ドイツの約四五、アメリカの三四、これを下回っておるわけでございます。で、どちらがいいかどちらが悪いかということでございますが、基本的には、椎名委員の御議論の背景にあるように、いまやいわゆるターゲットを失ったと申しましょうか、どこに追いつけ追い越せではなくして、みずからがそのターゲットを設定していかなければならぬような状態にまでこれは国民の英知と努力の中で今日に至ったと思うのであります。したがって、基本的には民間の活力に重点を置くわけでございますけれども、かなり成熟いたしてまいりました社会保障とか社会福祉とかいうものが高齢化社会に至って財政規模を大いにふくらましていく要因にはなり得ることで、そういう方向で動くであろう。しかし、どちらが好ましいかということはにわかに判断のできにくいところではなかろうか。特にイギリスのように国営企業が非常に多いというような点については別に見習うべきものではないと思いますけれども、私は、財政規模は今後そういう社会福祉関係等々の拡大によって広がっていくものではあろうと思いますが、やはり財政の過度の支出によって民間の活力を減殺するようなことであってはならぬというふうに基本的には考えております。
  57. 椎名素夫

    ○椎名委員 先ほど、少なくとも財政計画の作業の報告は今年度末くらいまでには上げたいというお話でございましたけれども、その前に、現実の問題としては今度五十六年度のことを考える作業が始まらなければいかぬと考えるわけです。去年はサマーレビューというのをおやりになって、いろいろな意味での御検討の結果、とにかく当初においては公債発行額を減らしたということは、小さな曲がり角であっても曲がったということはそれなりに一つ評価すべきだと思いますが、今度はまた五十六年度をどうするかというあたりは、この計画ができ上がるまで待っているわけにはいかない。そこで、今度はスプリングレビューからお始めになってサマーレビューをみっちりやって先に進もうという御覚悟かと思いますけれども、特に重点を置く目玉と申しますか、どういうような姿勢あるいは手法でスプリングレビューあるいはサマーレビューにお臨みになるかというあたりについてお聞かせ願えればと思います。
  58. 竹下登

    竹下国務大臣 予算が通過いたします際の四党の合意事項の中にも、なかんずく補助金の削減計画を推進するためにサマーレビューをやるべし、こういうことが書かれておりますので、当面考えられるのは、確かに補助金の整理削減計画等は早目に始めていかなければならぬ一つの問題だというふうに思っておるところでございます。  そうなりますと、三千八百もございます補助金の中にはまさに法律補助もあれば予算補助もあるし、そうして当然増的経費を含むものもあるし、それらを整理しながらサマーレビューをやっていこう。スプリングレビューということも申しておりましたが、紺屋高尾が三月の春にはやってくるという言葉もありまして、三月はもうスプリングに入ってしまっているし、四月、五月は国会だものでございますから、結局はスプリングレビューのような構えでやって本格的なものはやはりサマーレビューにならざるを得ぬなという感じが最近いたしております。私もちょっと計算を違えておりまして、一月から三月までが冬のような気がしておりましたが、確かに十二月、一月、二月がいわゆるウインターでございますので、スプリングレビューというような気構えで臨むが、結果としてはいろいろな国会の日程等を考えるとサマーレビューにならざるを得ない。その場合に、まず最初に手をつけなければならぬのは四党の合意事項等の中にありますところの補助金の整理削減というようなことから手をつけて、そして今度は国会の御決議をいただいております財政再建に関する歳入歳出両面にわたって広く各界各層の意見を聞いてというところに入っていくという手順になるのではなかろうかというふうに考えております。
  59. 椎名素夫

    ○椎名委員 その中で、特に先ほどの数ですが、社会保障移転支出が年々二・七%で伸びていく、あるいは公共投資の伸びは一二・九%、数そのものにこだわるわけではございませんけれども、そういうことにすると、さっき申しましたように、税収の足りないところはまた特例を何年も何年も積み重ねなければならなくなるのじゃないかということからいって、そういう数にあらわされた方向に対して、ことしはサマーレビューですか、努力を始められるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  60. 竹下登

    竹下国務大臣 経済社会七カ年計画に基づきますところの最終年度におきます税収の二十六カ二分の一でありますとか、社会保障移転費の十四カニ分の一でありますとか、それから公共投資の二百四十兆であるとか、そういうものは念頭に置いていなければならぬ課題ではあると思っております。
  61. 椎名素夫

    ○椎名委員 時間がなくなりましたので、もう一つ伺いたいのですが、この法案ですが、最後のところに「この法律に基づいて発行される公債については、償還のための起債は、行わない」ということになっておりますが、これは聞くところによりますと、五十一年から入ってきたという話である。確かに特例で、いわば消費的借金でありますから、時借りをしたものはこれは全部きちっと返さなければいかぬというそのお心構えは非常にりっぱだと思うのですけれども、年々積み重なってきて本当にこれはできるのかどうかということが私は非常に心配になるわけです。実際、無理してもう約束したのだからやらなければいかぬことだということのしわ寄せがどこかで来て、経済全体への非常に大きな混乱を与えないかという危惧を持っておりますが、その点はいかがでありましょうか。
  62. 吉野良彦

    吉野政府委員 委員御指摘のとおり、最初の五十年度特例公債法にはこの規定は入っていなかったわけでございます。ただ、この法案審議の過程で、これも御承知かと存じますが、特例公債から一日も早く脱却をするという基本姿勢からいって、やはり法律上にも借りかえをしないということを明記すべきではないかという非常に熱心な当委員会での御議論もあったわけでございまして、そういった議論等も踏まえまして財政制度審議会にもお諮りをいたしましたところ、法律で明記をする法律的な必然性はない、ないけれども政府として一刻も早く特例公債依存財政から脱却をしたいという財政の節度と申しますか、そういう政府決意を示すものとして法律規定をするということであればそれなりの意味があるであろうというような御答申もいただきまして、自来この特例公債法に明記をするようにいたしているわけでございます。  ただ、ただいま椎名委員も御指摘になりましたように、特例公債であるというそのことだけの理由でおよそいかなる場合にも借りかえをしないというのはいかにもおかしいではないかというお考えは、私どももそれはそれで一つのそれなりの御意見かと存じます。昨年の暮れ財政制度審議会におきましても公債の問題についてかなり広範な御討議をいただいたわけでございますが、その財政制度審議会の御議論の中には、これは統一した意見ではございませんが、特例公債について法律的に特例公債であるという理由であくまでも借りかえをしないということにこだわるのはいかがなものかという批判的な御意見をお持ちの方もあったわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、私どもは、五十五年度の現に御審議いただいております特例公債法までは法律上借りかえをしないということを法律の形でお約束をいたしているわけでございますから、これはこういう方針でお約束は果たしていくべきものと考えておりますが、一般的な問題としていかがかという御指摘でございますれば、これはやはり一つの検討に値する課題ではないかというふうにも考えております。
  63. 椎名素夫

    ○椎名委員 この点はぜひ検討していただいた方がいいのではないかと思います。最初のときは、まだまだこのぐらいなら返せるという状態だったろうと思いますが、大分金額も大きくなってきている。これは実際的ないろいろ困難を招くおそれがあるということを私は指摘しておきたいと思います。  これで最後にいたしますが、私、最初に申しましたように、この特例という言葉の重みというものを私は特にここで確認をしておきたいと思うのです。とにかく、もう数年間特例で、ことしも特例で、来年も恐らく特例で、再来年も特例だろうということで、だんだんその特例という言葉に対する免疫ができてしまって、その重みがなくなってきてしまうということを私は非常に恐れるわけです。これから日本の経済全体を健全に運営して、その中でできるだけ国民の生活をよくしていくということは非常に大事ではありますけれども、そしてもちろんそれが目的ですが、乗っかっている船がひっくり返ってしまうと、その乗組員である社会保障関係の制度もあるいはその他のもろもろのものも全部一緒に沈んでしまう、そういう大きな問題をこの財政再建という問題は抱えているというふうに私は考えております。どうしても、ブキャナン、ワグナーの言ったように、代議制民主主義ではこういう非対称性が出て、なるのだからしようがないのだというようなことを偉い先生が言ってくれたからそうなるのは仕方がないということで日を暮らしていると、われわれは五年ぐらい先になって大変なつらい目を見なければいかぬということを私は恐れるわけであります。  最初は、とにかく昭和五十五年には特例公債から脱却するという計画があったように私、記憶しておりますが、それが今度は五十九年に延びている。私の民間における経営の記憶から申しますと、融通手形の期日が延びたような気持ちでのんびりしているべき問題ではない。財政再建については国民の合意を求めることが非常に必要であるということはどなたも口になさいます。しかし、それは大蔵省にとどまらずわれわれ政治家全体がそのことに本当に真剣にならない限り、この部屋の中から外にそういう真剣さが伝わるということはあり得ないわけでありまして、私は最後にその点を特に強調しておきたいと思います。この点についての大臣の御所感を一言いただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
  64. 竹下登

    竹下国務大臣 椎名委員と同じ気持ちで当たるべきである、このように考えます。
  65. 増岡博之

    増岡委員長 次回は、明二日水曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十三分散会      ————◇—————