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1980-03-07 第91回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月七日(金曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 河村  勝君    理事 越智 通雄君 理事 國場 幸昌君    理事 村上 茂利君 理事 上原 康助君    理事 安井 吉典君 理事 玉城 栄一君    理事 部谷 孝之君       上草 義輝君    大城 眞順君       佐藤 信二君    中川 一郎君       村田敬次郎君    山下 元利君       佐藤  誼君    新井 彬之君       斎藤  実君    榊  利夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      小渕 恵三君  出席政府委員         総理府総務副長         官       愛野興一郎君         沖縄開発政務次         官       伊江 朝雄君         沖繩開発庁総務         局長      美野輪俊三君         沖繩開発庁振興         局長      海原 公輝君         外務政務次官  松本 十郎君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  佐野 国臣君         防衛施設庁総務         部施設調査官  岩見 秀男君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       千秋  健君         環境庁自然保護         局企画調整課長 高峯 一世君         法務省民事局第         五課長     田中 康久君         外務省北米局北         米第一課長   福田  博君         外務省北米局安         全保障課長   丹波  実君         外務省欧亜局東         欧第一課長   兵藤 長雄君         外務省条約局法         規課長     鈴木 勝也君         厚生省医務局医         事課長     斎藤 治美君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   熊野 英昭君         資源エネルギー         庁公益事業部計         画課長     矢橋 有彦君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件  北方領土問題の解決促進に関する件      ————◇—————
  2. 河村勝

    河村委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  この際、北方領土問題の解決促進に関する件について決議をいたしたいと存じます。  本件に関しましては、各党代表者間におきまして御協議願っておりましたが、協議が調い、案文がまとまりました。  まず、案文の朗読をいたします。     北方領土問題の解決促進に関する件(案)   本委員会は、第八十七回国会において北方領土におけるソ連軍事的措置の速やかな撤回と北方領土問題の早期解決を求める決議を行ったが、事態は一向に改善を見ないばかりでなく、ソ連は、日本国民の総意を無視して、わが国固有領土たる国後択捉両島における軍備強化を続け、更に色丹島にも新たな軍事力を配備した。   ソ連のかかる行動は、日ソ両国平和友好関係促進にとって誠に遺憾なことである。   よって政府は、北方領土問題の平和的解決精神に逆行するこのようなソ連軍事的措置が速やかに撤回されるよう重ねてソ連政府に対し要求するとともに、北方領土問題の早期解決を図り、平和条約を締結して、日ソ間の安定的平和友好関係を確立するよう特段努力をすべきである。   右決議する。 以上であります。  趣旨説明をいたします。  わが国固有領土である北方領土が、長年にわたる日本国民要望にもかかわらず、いまなおその返還が実現せず、ソ連不法占拠のままに置かれていることはきわめて遺憾なことであります。  しかもソ連は一昨年、国後択捉両島において軍事施設構築等を行ったばかりでなく、第八十七回国会における本委員会決議を無視して、色丹島にも新たな軍事力を配備するとともに、国後択捉両島において軍備強化を続けております。  このようなソ連行動は、みずからが強調している善隣友好精神に反する措置であると断ぜざるを得ません。  政府は、この際、かかるソ連軍事的措置が速やかに撤回されるよう重ねてソ連政府に対し要求するとともに、北方領土早期返還を実現し、平和条約を締結して、日ソ間の安定的平和友好関係を確立するよう特段努力をすべきであります。  以上をもって、本決議案趣旨説明といたします。  何とぞ御賛同あらんことをお願いいたします。  なお、本件案文作成に当たりましては、お手元に参考資料として配付した案文についても各党間において熱心な協議を重ねてまいったのでありますが、本案については意見の一致が見られなかったことを御報告いたします。  採決いたします。  北方領土問題の解決促進に関する件を本委員会決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  3. 河村勝

    河村委員長 起立総員。よって、本件は本委員会決議とするに決しました。  この際、ただいまの決議に対しまして政府から発言を求められておりますので、これを許します。小渕総理府総務長官
  4. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ただいまの御決議に対しまして所信を申し述べます。  政府といたしましては、ただいま採択されました御決議趣旨を十分体しまして、今後とも引き続き最大限の努力を払う所存であります。
  5. 河村勝

    河村委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 河村勝

    河村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  7. 河村勝

    河村委員長 沖縄及び北方問題に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  8. 國場幸昌

    國場委員 時間が十五分しか与えられておりませんので、単刀直入で用件に入ります。  嘉手納米軍沖縄県に支払うべき下水道料金が一年余りにわたって支払われておらない。五十三年度までにおける未払い金は四千四百五十二万三千円、五十四年度一億五千五百万円、合計いたしまして一億九千九百六十万円の未収となり、県の財政をはなはだしく圧迫しております。  米軍契約締結時の五十一年度から復帰後六年間、県が契約したとおり上水道メーターに従って汚水料金を支払ってきましたが、昨年一月から汚水メーターによる料金でなくては払わないというようなことで今日まで嘉手納航空隊県側といたしましてもいろいろと折衝調整をしてきましたが、平行線に至り今日までいまだ解決しておりません。このため沖縄県財政ははなはだしくそれに圧迫を受け、県会におきましては西銘県政保守県政であるので、対米姿勢が弱いからこういうことになるのだという県会においての突き上げはなはだしくして、いま窮地に追い込まれておるというのが現状であります。  そこで、そのとおり平行するのであれば、施設庁外務省に至ってもたびたびの折衝をしたといえども、しかしいまだに決着していない。県内の当アメリカ軍の問題だということで、これに対しては双方において解決をというようなこと等の返事があったということで、やむを得なければこれは日米間におけるところの安保協定によるものであるので、それでは県側としては、かようなる責任を県に負わすということになると、水をとめるよりほか仕方ないのだ。よって、本最高機関であるところの国会においてこれを問題化してその解決を、国の姿勢を正すと同時に、直ちにこれが解決なくしては、意図するところではないといえども給水をとめる、こういう姿勢に出ておりますので、その点に対しまして施設庁から最初聞かしていただきたいと思います。
  9. 岩見秀男

    岩見説明員 お答えいたします。  ただいまの先生お話につきましては、県から今月当初施設庁の方に陳情がございまして、私ども承知しております。また、以前におきましても現地の局におきまして調停に当たっておるというふうに聞いております。米軍と県とが円滑に関係を保つということはわれわれ非常に期待しておりますので、この問題が、契約の問題ではございますけれども当事者間で何らかの解決措置がとられたらよろしいというふうに考えております。また、われわれといたしましても援助の要請を受けましたので、何かうまい方法考えたいというふうに考えております。
  10. 國場幸昌

    國場委員 しかし、これはやはり水問題は飲み水に対する生活問題でありますが、県といたしましても、何も横車を要求しておるわけでもない。他の駐とん部隊は全部そのとおり今日まで払ってきておるのです。しかも、その契約そのものによっての給水契約条件に従って今日まで嘉手納航空隊においてでも支払ってきた。ところが、保守県政になると間もなくして、それが給水量に対して七〇%というのが大体計算の基礎で、いままで払ってきておるにもかかわらず、下水処理に対するメーター、これは施設庁がつけたそうですね。その施設庁がつけたというのは、汚水に対しての水の所要量がどうあるかということを試すためにつけたというのですね。ところが、給水というのは御承知のとおり飲料水にもなれば、あるいはまた用水にもなるでありましょう。その用水になって流れたものに対しての測量器があるのだから、そのとおりしか払わないんだ、こういうようなことでその差が一億九千万余り、約二億。沖縄貧弱財政の中でそれだけの滞納があるということになると、勢い他の事業にも支障を来すというようなことと、一方、政治的においては保守県政になったから対米姿勢が弱いから、こういうことになるんだというような、これは政治的影響まことに大であるということ。そういうような実情にかんがみて県と今日まで約二カ年間、一カ年半ですか、やっちゃもっちゃやってきたのですが、解決がつかないというようなことで、施設庁外務省にお願いしたといえども、それに対するところの答えは、県と嘉手納航空隊の問題であるので、双方においてその問題を解決すべく詰めてくれ。嘉手納航空隊といたしましては、日米協議においてこれが決まるのであれば、それに従うということを言っておるのですよ。にもかかわらず、今日まで放任して、参議院選挙も控えておる。ことに沖縄においては県会議員選挙も控えておる。そのさなかにおいて、これが政治的に悪影響を来すということに対しては国としても余り責任ではないか。県側としては怒って、きょうのこの委員会においてろくな返事がなかった場合には水をとめるというのですよ。水をとめたら、これは一体だれの責任になりますか。かようなることでありますので、私はきょうは大臣に出ていただきたい、あるいはまた政務次官に出ていただきたい、責任ある答弁を、ということでありますが、政府側委員はそれに対して大臣と同等なる、わが国を代表する責任者としてのいわゆる発言と−私はきょうの政府側答弁に対しては、返事をしなければいかぬのですが、その資格は——十分に責任を負うのでしょうね。
  11. 岩見秀男

    岩見説明員 本件に関しましては、先ほど申し上げましたように今月当初、県からの御陳情を受けまして、ただいま検討中でございます。したがいまして、その検討の結果によりましてできる限りのことをしてまいりたい、かように考えております。  ただいまの責任、権限の件でございますが、その限りにおきまして、私、施設庁を代表してまいりましたので、責任を負いたいと思っております。
  12. 國場幸昌

    國場委員 余りぱっとしないですね。これは皆さん、水をとめたらどうなるかということは、それが政府のいままでの答弁からすると——答弁からするとというのは、いままでの折衝の結果の答弁ですね。相互間における問題なんだから現地軍とよく話して県の方で処理してもらうべくというようなことですが、しかし現地の方で再三にわたって一年余にわたって折衝してきた結果そのものがどうにもできないというようなことで、安保協議会によるところの解決を得たい、国家間においての解決を得たい、こういうような切なることに対して、いまだに何らそれに対しての解決を見ないということは、私はこれは政府のこの基地に対しての−県側において今日まで負わされたところの、この県民の心境というのでしょうか、これは余りにも政府としてもその責任を感じておらないじゃないか。基地は重要である、国防に対しては絶対的に安保条約は必要であるということをわれわれは堅持してまいりました。ところが、その趣旨に反して政府としていいかげんのそんなことでどうするのであるか。それでは水は一きょうの結果は、いまだ解決を見ないのでこれがどうなるかということは保証できないから、というようなことをしておると、沖縄県は水をとめますよ。とめたら、その責任を感じますか。だから、それだけに重要な問題でありますので、その点は大臣でもない私がそれに対しての責任があるという——しかし、私はきょうの政府側委員としての説明を、大臣もしくは外務大臣総理大臣、あなた方は国防ですからなんですが、外務省はどなたか来られておりますか。
  13. 河村勝

    河村委員長 安全保障課長が来ています。
  14. 國場幸昌

    國場委員 では、外務省見解を聞きましょう。
  15. 丹波実

    丹波説明員 お答えいたします。  本件沖縄県議会で非常に大きな問題になっておるということは、私承知しております。二月二十二日と三月一日、二回にわたりまして座喜味副知事がわざわざ遠路東京に参りまして、施設庁外務省、私応接いたしましたけれども、よくお話をお伺いいたしました。  本件は、契約の中で、下水道メーターでもいいし、それから上水道メーターでもいいし、どっちを使ってもいいというようなことが書かれてあるわけで、その契約の解釈をめぐって沖縄当局アメリカ考え方の間にどうも対立がある。私、と申しますか外務省の方から、今日までのところ二回にわたりまして、外務省としても側面的に口添えをするという考え方で、横田の司令部の方に、ぜひ沖縄県とよく話し合ってほしい、アメリカ側にもアメリカ側考えがあるかもしれないけれども沖縄当局にも沖縄当局考えがあるので、そこは話し合いでやってほしい、アメリカはいろいろな理論はあるかもしれませんけれども、現実に水がとまったらどうするのだということで申し入れをしておるわけです。一義的には、施設庁の方がいろいろ中に入ってあっせんするという話も聞いておりますので、私たちとしては当面その推移を見守りつつ、今後施設庁とも協議の上、どういうふうに対処するかということを考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  16. 國場幸昌

    國場委員 それでは、その契約というのがあったと仮定しますと、どうして昨年の九月までは払ったのですか。その契約は昨年保守県政にかわってやったものじゃないというようなことを言っておりますが、それでは契約がそうであるというようなことであったとした場合、革新県政のときには払うが、保守県政のときにはまあまあいいかげんでいいやというようなことであるのかどうか。これは聞くところによると、革新県政のときにこの契約があった、にもかかわらずずっと払ってきたのだ、払ってきたにもかかわらずこれを払わぬということは、保守県政になったらそれぐらいに軽視しておるのか、ばかにしておるのか、こういうことしか考えられないじゃないですか、同じ契約のもとで給水をやっているにもかかわらず。それで、全地域における駐留軍給水は、給水に対しての七〇%が汚水量としての計算からしていままで全部やっておる。それが嘉手納航空隊だけに限って払わないというのですよ。そういうようなことで、言い方はどうあろうとも、これにはこうするが、あれにはこうする、同じ契約のもとでどうしてそんなことができますか。  それで、私が言いたいことは、かようなる問題でルーズではなくしてけじめをつけてもらいたいというのです、国の責任でもって。遠慮することも何もありませんよ。いまのこの段階になってこれが噴き上げて県会ではなにするし、時期が時期だけにこちらとしては怒らざるを得ないのですよ、この立場は。どうぞひとつ……。
  17. 岩見秀男

    岩見説明員 お答えいたします。  ただいま外務省からも御説明がございましたように、下水道料金支払いにつきましては、先生からたびたびお話がございますように、水道のメーターによる方法汚水メーターによる方法と、二つの内容契約書に記載されてございます。ところが、たまたま五十三年八月に、嘉手納下水道につきましては、県の下水管に入るところに、県の御要望によりまして汚水メーター施設庁が設置いたしました。それを米軍の方が察知いたしまして、そのメーターによって料金を要求してまいった。その料金を要求してまいった時期が五十三年十一月でございまして、現場滞納になっております料金が五十四年の一月からの分というふうに理解しております。
  18. 國場幸昌

    國場委員 県の要求で汚水メーターをつけた、それがいつですか。
  19. 岩見秀男

    岩見説明員 五十三年八月。
  20. 國場幸昌

    國場委員 それは何の目的ですか。
  21. 岩見秀男

    岩見説明員 県の御説明によりますと、下水処理に当たりまして、しばしば雨水等が大量に入るような、要するに不明の水がある、そのような不明水が一体どこから出るものであるかというものを確認したいというふうな要望汚水メーターをつけたということであります。
  22. 國場幸昌

    國場委員 どうもそこにちょっとひっかかりますね。  それじゃ、県の管理経営するそれに施設庁がその汚水メーターをつけるのはどういう意味ですか。それがために軍に誤解を生じて汚水メーターでしか払わないというようなことになると、なおさらまた施設庁責任が重いですよ。
  23. 岩見秀男

    岩見説明員 その間の事情を説明申し上げますと、那覇におきます空海補助施設、それから牧港住宅の数百戸の建物を嘉手納の市内に移設をいたしました。その際に下水量がふえましたものでございますので、新たに県の管理する下水管に接触をする、接続をするという必要が生じまして、その申請を県の方にいたしました。そのときに県の方からお出しになりました条件が、汚水メーター計をその際には設置してくれというお話であったわけでございます。この申請が五十二年十一月でございまして、五十三年の二月に申請の許可がおりまして、五十三年八月に完成したということでございます。
  24. 國場幸昌

    國場委員 それではもう時間がないですから、最後に念を押しておきます。  これは沖縄県としては、県会においてそれだけの問題化をしておる。突き上げもあるし、これでもしよき結果の答弁が得られない場合には水をとめます、こういうようなことでありますから、これは直ちにこの二、三日以内に解決を見て、県の方に通知してください。それから私の方にも一言連絡してください。  終わります。
  25. 河村勝

  26. 大城眞順

    大城委員 まず、ただいま國場委員が提起いたしました米軍下水道負担金利子払いの問題について一、二点お伺いいたしたいと思います。  これはそもそも一九七六年四月一日の発効となっております契約の問題、中身の問題それと施設庁汚水メーターをつけた段階上水ではかるべきなのか、汚水ではかるべきなのか、その辺が非常にあいまいであったというところから出発しておると思います。そして結果として昨年の四月から軍と県とボールの投げ合いなのです。全然前に進みません。それで軍といたしましては、とにかく送っている小切手はとってくれ、それに対して不服があったら日米調停委員会に持ち込めということになっておりまして、県でらちが明かないでいま中央政府に問題が提起された、このようないきさつがあろうかと思います。したがいまして、この契約内容を見ましても、きわめてアメリカの勝手なオプションになっておりまして、双務契約というよりも片務契約事態がもたらしたものだ、このように考えております。決して保守県政になったからそうなったというあれでなくて、革新県政の時代に契約の仕方がまずかったと言い切っても私はしようがないのではないか。そういうことで、今後契約内容について検討し、これを改善する意思、そのようなアドバイスをする意思がおありかどうか。そしてまた汚水ではかるべきか、上水ではかるべきか、その点についての見解を承りたいと思います。
  27. 岩見秀男

    岩見説明員 契約につきましては必ずしも私ども所管ではございませんが、県から御相談がありますれば、他の市町村等におきましても、給水あるいは汚水処理契約の書式もございます。このようなものを参照しながら御援助申し上げたいと思います。  それから汚水ではかるか上水ではかるかいずれであるべきかというお話でありますが、これは主として下水道上水道を管理する所管の官庁の問題でございまして一概には言えないと思いますが、私どものいま調べておりますところでは、おおむね上水道の量で払われているようでございます。
  28. 大城眞順

    大城委員 県側としては給水しているわけです。給水というのは金でなにしているわけですからそこで調停すべきであって、末端処理汚水ではかるということは県側として納得がいかないわけです。だから県の調停米軍側支払いの決定というものがまさしく毎月ごとに違ってきますけれども、概して申し上げますと三分の一なのです。だからそこに一億九千万、約二億の減収が生じたわけです。契約内容自体が非常にあいまいですから一応払ってもらって、それから契約内容改善とかはっきりした方向を打ち出すべきではないか、これしか解決方法はない、このように考えておりますけれども、御見解を賜りたいと思います。
  29. 岩見秀男

    岩見説明員 契約の片方が市町村米軍という特別な地位にございますけれども、いずれにいたしましても汚水処理のサービスの契約問題でございますので、基本的には両当事者間で納得できるような解決ということに相なろうかと思います。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましても、何らかの解決方向というものを考えておりますので、その中で両者がこれならばというふうなことがあれば仲介に入りたい、こういうふうに思っております。
  30. 大城眞順

    大城委員 それでは質問をかえます。  御承知のとおり、いま核燃料処理工場建設の問題に関連いたしまして、奄美大島沖縄が大変な騒ぎを起こしている状態でございます。この核燃料処理工場を設置する場合に、その適地条件はどういうふうに考えておられるのか、まず資源エネルギー庁にお伺いいたします。
  31. 熊野英昭

    熊野説明員 お答え申し上げます。  第二再処理工場についての立地条件につきましては、基本的には今後建設とか運転の主体となります民間再処理会社技術的観点を中心に設定することになろうかと思っております。一般的に申し上げますと、地質とか地形等土地条件あるいは港湾条件気象条件労働力確保等社会的条件、電力や用水入手条件等が考慮される必要があると考えております。
  32. 大城眞順

    大城委員 いまお話しされておりました立地条件港湾そして土地の広さ、水、いろいろあると思うのですけれども、そのほかには考えられませんか。報道によりますと、将来の政府エネルギー政策あるいはアメリカエネルギー政策と関連いたしまして、日本アメリカが現在の経済の落ち込みから脱却していくために、ASEAN諸国あるいは環太平洋諸国に対して原発を売り込む、そのためには日本処理しなくてはならない、そういったことで、そういったものとの関連で便利であるという地域的要素はないのですか。
  33. 熊野英昭

    熊野説明員 ただいま御指摘のようなことは全くございません。再処理工場と申しますのは、原子力発電所から出ます使用済み燃料を再処理するわけでございます。原子力発電所は御案内のように日本じゅうにあるわけでございます。それからもう一つは大体臨海部にございます。したがいまして、使用済み燃料の輸送は海上輸送で行われることになろうかと思います。そういう意味におきましては、再処理工場も先ほど申し上げましたように臨海部としての港湾条件は必要かと考えられますけれども、他の国とかどうとかいうことは考えられないと思います。  また御指摘の新聞報道の点につきましては、再処理技術というものにつきまして、いわゆる核不拡散という観点から国際的にいろいろな議論が行われておりまして、再処理施設の保有国が、原子力発電規模の小さな国に対してはサービスを提供することが核不拡散上メリットがあるという考え方も国際的に提示されていることは事実でございます。しかしながら、わが国のこれから進めてまいろうとしております第二再処理工場につきましては、今後のわが国の再処理需要等を考えてまいりますと、もっぱら国内の原子力発電所から発生いたします使用済み燃料処理でいっぱいになろうかと思います。
  34. 大城眞順

    大城委員 私がお聞きしたいことは、もちろん国内から出てきますところの核燃料の再処理、これでありますけれども日本アメリカが、ASEAN諸国あるいは環太平洋諸国に対して将来原発を売り込むために、その残りかすは日本でやってもらう、そうでないと売れないということで、そういったところに関連して便利性のある地域というものも設置の条件の中に入っておるのかということなんです。
  35. 熊野英昭

    熊野説明員 ただいま先生が御指摘のような意味では、立地の観点には全く入ってこないと思います。
  36. 大城眞順

    大城委員 それじゃ、先ほど提示されました条件がかなえば、日本国内で、北であろうが南であろうがどっちでもいいということですね。
  37. 熊野英昭

    熊野説明員 基本的にはそのように考えております。ただ、もちろん地元の御理解ということが最終的には何より大事でございますから、先ほどは一般的な立地因子的な要素だけ申し上げましたけれども、地元の御理解を得た上で立地選定をする必要はあろうかと思います。
  38. 大城眞順

    大城委員 そうしますと、御承知のように、四十九年に徳之島が調査されておりますね。日本工業立地センターの委託を受けまして、徳之島興業というところが調査をして、その結果はちゃんと通産省に適地であるということの報告がなされているわけなんです。これは資源エネルギー庁、もちろん知っておられると思います。  それで、徳之島を真っ先に調査さした理由は何ですか。
  39. 熊野英昭

    熊野説明員 ただいま御指摘の徳之島に関します再処理工場の立地に関する報告書でございますけれども、これは財団法人日本工業立地センターが、不動産業を主としております株式会社徳之島興業の委託を受けまして、いわば私契約でお金を受け取りまして委託調査として昭和四十九年度に実施したものと聞いております。したがいまして、調査内容につきましても、私どもは概要につきましては関係者から聴取いたしておりますけれども、通産省自身がかかわった調査では全くございません。それからまた、先ほど申し上げましたように、民間の一業者が徳之島の地域振興という観点から行ったものでございますので、今般設立されました民間再処理会社日本原燃サービスとも全く無関係である、こういうふうに聞いております。
  40. 大城眞順

    大城委員 あくまでも報道の範囲内において私は御質問申し上げておりますけれども、皆さんのところに、エネルギー庁にちゃんとその調査結果を報告されております。  それじゃ、日本工業立地センターというものは、何を前提に徳之島興業に調査を委託したか。これは報道によりますと、CTSとこの再処理工場、それで調査の結果、再処理工場がいいんだという報告がなされております。資源エネルギー庁は関与していないとおっしゃいますけれども、同センターと資源エネルギー庁は報告する義務があるのか、その辺私全然わかりませんので、あるいは皆さんが呼んで聴取したのか。聴取したとなれば調査しているということは皆さんおわかりですが、その辺がどういった関係になっているのかさっぱりわからない。
  41. 熊野英昭

    熊野説明員 日本工業立地センターは、一般的に、いろんなところから委託を受けまして、要するにこれはお金を払っていただきまして、受託調査として各種の立地調査はやっております。その事業の一つとしてやったわけでございます。  新聞等でこの問題が報道されました際に、私どもの方から概要については聴取しているわけでございます。しかし、あくまでも私契約として徳之島興業という株式会社と立地センターが行ったものでございまして、私どもが頼んでやったとか、あるいは今般設立されました日本原燃サービス株式会社あるいはその準備をやってまいりましたところが関与してこれをやってもらったとか、そういうことではございません。
  42. 大城眞順

    大城委員 この日本原燃サービスKK、これが発表したところのスケジュールによりますと、すでにタイムリミットからいたしまして、敷地の選定と申しましょうか、その分についてはほとんど決まってなくちゃなりませんけれども、これは決まってないのですか。
  43. 熊野英昭

    熊野説明員 先ほどもちょっと申し上げましたように、原子力発電所から発生する使用済み燃料につきましては、今後の原子力発電の伸び等を考慮いたしますと、昭和六十五年を目途に商業規模の再処理工場の運転が必要であるというふうにまず考えております。再処理工場建設あるいは試運転に要する期間等を考えますと五、六年程度と見込まれますので、立地点の選定については、その後の安全審査とかいろいろな立地上の諸手続もございますので、そういう期間を考慮してまいりますと今後一、二年の間に立地選定作業を進めていく必要はあろうと思っております。現時点におきましては、会社もまだ三月一日に設立されたばかりでございまして、全く白紙の状態で、どこがどうとかそういうことについては、会社においてこれから詳細にかつ慎重に検討していくことになろうかと思います。
  44. 大城眞順

    大城委員 六十五年操業目標でございます。これはいまイギリス、フランスに再処理を委託している契約が切れる年次でございまして、それ以後、日本核燃料の再処理についてはどうしても六十五年に間に合わせなければならぬという情勢でございます。それから逆算いたしまして、敷地の選定というものが五十四年初頭から五十五年中期、もう終わっておるわけです。だから、結局報道を見る限りでは、騒いでいる大島あるいはまた沖縄側の立場からすると、決まっているけれども隠してあるのじゃないかというふうに疑われてもしようがないことだと思います。  それで、西表についても話が出たことがありますか。二月の七日から三日間にわたる関係者の秘密会議において、いろいろこの会社の設立等を中心にいたしましてこれからどうするんだという会議が持たれておりますが、その中で西表という話も出たのかどうか、これが一点ですね。  時間がございませんので、最後の質問も一緒にさせていただきまして、終わりたいと思います。  私は、エネルギー問題というものはやはりこれから、単に原発のみならず、地熱発電あるいはソーラーシステムによる発電、いろいろあろうかと思います。沖縄はむしろ振興上の立場から、豊富なソーラーエネルギーを利用いたすところのいわゆる太陽エネルギーの確保が一番適当じゃない・か、このように考えておりますけれども、国の方の考え方をお聞きいたしたいと思います。
  45. 熊野英昭

    熊野説明員 西表島につきまして、本年の二月二十日付の琉球新報等の新聞報道で再処理工場の立地問題に関する報道がございましたことは、私ども承知しております。しかしながら、通産省としては、本件につきかかる事実があるということは全く聞いておりません。したがって、先ほどから申し上げておりますように、西表にしろあるいは徳之島にしろ全く私どもの関与しておらないところでございますし、現時点におきましては、本件の立地問題はいまだ日本全国を対象にしてこれから詳細にやっていく段階でございます。  それから、ただいま御指摘がございました二月七日から九日までの会合ということでございますけれども、これは秘密会合といったようなものは何もないわけでございます。新聞報道等から私どもが類推をいたしますと、どうも言っておられるのは、社団法人日本原子力産業会議が主催をいたしまして、日独の原子力専門家会合を本年二月七日から九日まで開催したことは事実でございます。ここにおきましては、原子力開発に関するいわゆる核不拡散問題とか国際問題等一般的な討議が行われたことは事実でございます。これは双方から十数人あるいは二十人、全部で二、三十人の会合でございますが、ごく一般的に意見交換が行われたことは事実でございますけれども、そこで特定の地点とかといったことは全く話しておりません。
  46. 大城眞順

    大城委員 この問題、すなわち核燃料の再処理工場奄美大島沖縄の西表に持ってくることは沖縄県知事初め絶対の反対でございますので、県民を挙げて反対しなければならない立場にございます。したがって、今後この種のいかなる会合におきましても西表の名前を皆さんの頭の中から消していただきたいことを要望いたしまして、終わります。
  47. 河村勝

    河村委員長 玉城栄一君。
  48. 玉城栄一

    ○玉城委員 最初に長官の方にお伺いしたいのですが、長官の所信表明の最後の方に、沖縄振興開発計画は、昭和五十六年度で計画期間を終了し、その後の沖縄振興開発のあり方については十分に検討してまいりたいということで、第二次沖縄振興開発計画の必要性を示唆していると受けとめ、私も同感でありますが、改めてもう少し長官の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  49. 小渕恵三

    小渕国務大臣 沖縄の本土復帰以来今日まで、振興開発計画に基づきまして、社会資本の整備を初めとして格差是正に努力してきたところでございまして、沖縄の自立的発展に必要な基礎の整備のために鋭意努力を続けてきた結果、道路、空港、上下水道、公立学校などの公共施設の整備の分野ではほぼ順調に成果を挙げてきたと考えております。しかし、一方では、産業の振興を初めといたしまして、雇用問題、まだまだ残されたものが多々ありまして、こうした問題は今次開発計画の中ですべて処理をしたいということで全力を傾注いたしておるところでございます。  そこで、御質問のありましたように、第二次振興計画をどうするかということですが、いまの段階で確たる答弁はできませんが、もうわずかで終わるわけでございますので、現在までの計画の達成状況あるいは沖縄県の経済的、社会的諸情勢、いままで実行してきた施策、事業の効果や問題点、こういうものを十分踏まえながらいま検討を進めておるところでございます。この問題は政府全体の問題でもございますが、沖縄開発庁といたしましては、以上の調査結果の検討を踏まえながら、また沖縄県の実情、県民の意思等を踏まえながら、前向きに処理をしていきたいと考えておりまして、現在事務次官を頭として部内に検討委員会を設置いたしまして、何とか調査結果を五十五年の早い機会にまとめ上げたい、そうでなければ、あと一年有半しか残っておりませんので、可能な限りいろいろなセンサスをまとめ上げて一つの方向性を考えてみたい、こういうふうにいま考えておる次第でございます。
  50. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官のいまの御説明はよくわかるわけです。所信表明の中にもありますからね。したがって、前向きに検討していきたいという方向性としまして端的にわかりやすくおっしゃっていただきたいことは、私は第二次沖縄振興開発計画は現在の振興開発計画目標達成状況等踏まえまして必要性があると思うわけですが、長官の率直な御意見として必要があるのかないのか、その辺を簡単にお答えいただきたいわけですよ。
  51. 小渕恵三

    小渕国務大臣 いま御答弁申し上げましたように、調査結果を待ちませんと最終的な判断はできかねる点でございますので……(玉城委員「長官の見通し」と呼ぶ)いま実施しております計画そのものも、これをつくりましたときは経済成長の非常に高いところでしたね、したがってその達成目標自体そのままでいいかどうかというような問題もこれありまして、その後のことにつきましてはいまのいろいろな達成率その他を考えないとできませんが、先ほど申し上げましたように第二次をつくらなければならないかなという感じはしておりますけれども、現在の段階で明言することはひとつお許しいただきたいと思います。
  52. 玉城栄一

    ○玉城委員 第二次沖縄振興開発計画をつくらなくてはいかないかなという感じはしているが明言はできない。私は、第二次沖縄振興計画は当然必要である、長官もそういう御意思があるというふうに受けとめていきたいと思いますが、よろしいですか。——いや、時間がありませんから結構です。そのように受け取っていいわけですね、そういう感じでおっしゃったわけですから。聞きたいところをはっきりおっしゃらないからこういう回りくどいことになってしまうわけです。  それでは次の質問に移ります。  長官もよく御存じのとおり六十二年沖縄国体開催が予定されているわけです。沖縄開発庁長官とされて、これは沖縄振興開発あるいは今後の沖縄のいろいろな面に重大なかかわりのある大事な問題だと思っておりますので、どのように受けとめておられるのか御意見を承りたいと思います。
  53. 小渕恵三

    小渕国務大臣 六十二年沖縄国体の開催が内定しておるようでございまして、私としても大変楽しみにいたし、その成功を心から期待し、念願いたしておるところでございます。現在県当局が具体的な準備にも入っておるようでございますので、われわれとしてもそれに十分協力を申し上げて、大成功のうちに六十二年国体が開催されることを心から念願いたしておる次第でございます。
  54. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官は六十二年の沖縄国体については楽しみにし成功も期待し、具体的に県の準備体制に協力もしていきたい、総論的にそういうことをおっしゃった。今度は具体論としまして、一点は、沖縄の交通問題解決の一つの問題としてのモノレール構想ですね。これは六十二年国体等にも大きなかかわりのある問題でございます。現在那覇市あるいは県でいろいろ検討が進められておりまして、大分煮詰まってきつつありますので、開発庁長官とされてどのように考えていらっしゃるか。
  55. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御指摘にありましたモノレールの導入につきましては私も承知をいたしておりますが、沖縄特に那覇におきましては交通渋滞が大変ひどい状況になっておりまして、これを打開する方策としてモノレール導入が適当かどうか、現在、開発庁としての立場は、県が実施をしましたパーソントリップ調査、御案内のようにアメリカで開発された人と交通機関との流れを有機的にとらえていこうという調査がされたようですが、その解析結果がそろそろ出てくるのではないか、あわせて補完的な調査もいまいたしておる、こう聞いておりますので、したがいまして、その結果を十分見まして、また同時に経営主体の問題やあるいは地元のコンセンサスなどまだ未解決の問題もあるようでございますので、そうしたことを総合的に勘案いたしまして開発庁としては対応していきたい、このように考えております。
  56. 玉城栄一

    ○玉城委員 次の問題をお伺いしたいのですが、先ほど質疑が交わされましたけれども核燃料の再処理工場建設の問題なんですが、先ほどの通産省の御説明また質疑の中でも、長官も現状についてはおよそ御理解がされていると思うわけであります。あくまでも現段階では、先ほどの御説明にもありましたとおり再処理工場建設候補予定地は白紙である、これからやりたいということで、具体的に西表であるとかあるいは徳之島であるとか、そういう白紙であるという御説明があったわけです。ところが沖縄ではこの問題が大分にわかにクローズアップされまして大変問題になっているわけです。それで私たちも心配をしてあるいは西表にそれが建設されるのではないかという疑いも持っておるわけであります。ところが通産省の御説明は、先ほどの課長さんの御説明にもありましたとおりあくまでも地元の御理解が前提である、そういう工場を設立される地域住民の理解と合意がなくてはこれはできないし、もちろんそういう所在地域市町村長とかあるいは県知事の理解あるいは合意というものがないとこれはやらない、あるいはできるものでもない、そういう御説明もされておるわけですね。  そこで、これが問題になりまして沖縄県議会が開かれておりまして、知事は、そういう話は聞いてない、しかしこれは相談があっても反対したいということを明確に公の場で表明しているわけですね。そこで、沖縄振興開発計画等の精神からいきましても、地元の知事の意向というものはやはりこれは当然開発庁長官とされても尊重されるのではないかと思うのですが、どんなものですか。
  57. 小渕恵三

    小渕国務大臣 所管外のことでございますので責任ある答弁する立場ではなかろうかと思いますが、一般論的に言えば地元の意思を十分踏まえなくてこうしたものが設置されるというケースはあり得ないと存じております。
  58. 玉城栄一

    ○玉城委員 問題が問題で、先ほども大城委員沖縄選出の先生でもいらっしゃいますし、反対だ、知事もこれは反対だ、われわれも反対だ、反対ばかりそろうわけですけれども、白紙とおっしゃっていますから西表であるかどうかもわからないわけです。ですからいまのうちにそういうふうに知事が表明されているということは当然長官としては尊重されるというふうに受けとめていいわけですね。そういうことですね。
  59. 小渕恵三

    小渕国務大臣 そのとおりです。
  60. 玉城栄一

    ○玉城委員 わかりました。  それでは次にお伺いしたいのですが、これは通産省の方にお伺いしたいのです。沖縄電力の民営移管の問題についてなんですが、この問題はここで時間もありませんので私の意見は申し上げませんが、通産省はどこら辺までこれを検討していらっしゃるのですか。その状況を御説明いただきたいと思います。
  61. 矢橋有彦

    ○矢橋説明員 御答弁申し上げます。  この問題につきましては、現在現地に学識経験者から成る沖縄電気事業協議会というものを設置いたしまして、そこで具体的な詰めを昨年の五月以降行っているという状況でございます。詰めの内容といたしまして、まず前提といたしまして沖縄が離島における電力供給を多く行わなければならないという実態を踏まえながらという前提がかかるわけでございますが、そういう前提のもとに電力会社の今後の収支及び累積赤字の見通し、累積赤字の解消策、全体としての良質安定な電力の供給の確保策、地域住民の意向、それから民間移行の方法、その時期といった問題を中心に検討を進めていただいております。
  62. 玉城栄一

    ○玉城委員 大体いまのような御説明は私も伺っておるわけです。その後どれくらい検討が進んでいるのかということなんですけれども、電力供給を安定的にするということは基本的な大事な問題ですが、民営化されますと沖縄のこれまでの経過からしまして県民生活あるいは県産業に与える影響というものが非常に心配されるわけです。大きなショックを与えるのではないか。もういまから非常に心配がされているわけですが、もちろん現在の沖電が健全経営がされていない、累積赤字等もある、こういう中でこれが民営化されますと非常に大きな問題を県民生活の上に与えてくるということなんです。それで恐らく通産省の方もこれから検討していこう、そういう方向に沿ってやっていこうということでしょうが、これは長官、いまの沖電の民営化の問題についてやはり県民生活を守るのだという立場からどういうふうに考えていらっしゃいますか、お伺いします。
  63. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 若干経緯等もございますので、私の方から答弁をさせていただきたいと思いますが、先生御指摘のように、昨年末に五十五年度以降の行政改革計画が決められたわけでございます。その中にやはり先生御心配のような問題にも配慮されておりまして、「沖縄電力株式会社については、離島を多く抱えている沖縄の実態に配意しつつ、諸般の措置を講じ、昭和五十六年度末を目途に民営移行する。」こういう形での決定になってございます。これらの現在の沖縄におけるそういった事情を踏まえながら、電力の安定的かつ適正な供給を確保しようということで沖縄電力は設置をされておるわけでございます。私どももその重要性を十分認識しておるところでございまして、私どもといたしましてはこの辺の実情も踏まえながら、沖縄電力株式会社の安定的な経営基盤の確保、民営移行の円滑化のための配慮等の諸条件の整備が十分行われるように今後関係機関とも協議をしていきたい、このように考えておるところでございます。
  64. 玉城栄一

    ○玉城委員 こういうエネルギー問題といいますのは当然民営移管というのが私も望ましいと思うのですが、現在の沖縄の状況、沖縄のこれまでの経緯、それから現在の沖電のあり方等踏まえましたときには、やはり民営化というものはまだ差し控えるべきである、こういう要望だけ申し上げまして、次の質問に移ります。  次は防衛施設庁の方に伺いたいのでありますが、今月の四日に嘉手納米空軍基地で離陸直後のジェット戦闘機の燃料補助タンク二本が滑走路上に落下、炎上した事故がありました。その事故の概要を御報告いただきたいと思います。
  65. 岩見秀男

    岩見説明員 御報告いたします。  三月四日午後三時五十分ごろ、米空軍嘉手納基地において通常の訓練に向かうため発進中のF4Dファントム機から燃料補助タンク二基が滑走路に落下し炎上しました。直ちに基地の消防隊が出動し、間も一なく鎮火いたしました。  やや余分になりますが、幸い住民に被害を及ぼしませんでしたが、施設周辺の方々に大変な不安感を及ぼしまして、きわめて遺憾に存じております。
  66. 玉城栄一

    ○玉城委員 施設庁とされて、その事故に対してどういう対応をされたのか。
  67. 岩見秀男

    岩見説明員 事故が発生いたしまして、県警から現地の那覇局に情報が入りました。約一時間後ぐらいと思いますが、直ちに現地へ赴きまして、米軍に実態調査を依頼しました。それから、その情報が本庁へ入りましたものでございますから、本庁からは在日米軍司令部の方に同じく事故の実態調査と遺憾の意を表明いたしております。翌六日に至りまして、本庁からは文書でもって在日米軍司令部の方に、事故の調査とそれから今後の措置、遺憾の意を表明いたしております。  それで、五日に至りまして、現地の局から担当官が嘉手納基地司令官に面会をいたしまして、本件事故が補助タンクの切り離し装置の電気系統の接触不良によるものであるという内容を口頭で受けております。また、本庁におきましても、口頭によりまして同種の中間報告ということで報告が参っております。近く正式に文書の回答があるものと考えております。
  68. 玉城栄一

    ○玉城委員 はっきり聞き取れない部分があったのですが、遺憾という言葉はよく聞こえたのですが、外務省はこの事故についてどのように対応されましたですか。
  69. 丹波実

    丹波説明員 お答えいたします。  ただいま施設庁の方から御説明がありましたとおり、本件事故は施設、区域内で起こったものでございますけれども、まかり間違えば周辺の沖縄県民の生命、安全にも重大な影響を与える事故であったという観点から、外務省としてはきわめて遺憾であるということで、五日、在京米大使館及び横田の司令部に対し、外務省としては非常に遺憾である、このような事故が起きないように今後十分くれぐれも気をつけてほしい、その前提として、どのような原因でこのような事故が起こったのかを究明してほしいということを申し入れております。
  70. 玉城栄一

    ○玉城委員 両方とも、遺憾だ遺憾だと連発していますけれども、そういうことでは事故はなくならないのですよ。そういう通り一遍の申し入れをしているのだ、事故の原因はどうなのだ、そんなことでは、いままで何回も聞いていますけれども、もう事故はどんどん出てくるわけですね。ですから、これはもう本当に遺憾なことです。  それでは、もう時間もありませんので、読谷補助飛行場について外務省の方に伺いたいのですが、その前に、防衛施設庁の方に読谷補助飛行場問題についてですが、あの読谷補助飛行場は、提供施設当時と現在とでは周辺の環境の変化等これあって、移設を検討すべきであるというようなことが言われているわけですが、その辺、防衛施設庁としてはどのような経緯になっているのか伺いたいと思います。
  71. 千秋健

    ○千秋説明員 お答え申し上げます。  読谷の補助飛行場におきます落下傘降下訓練場の移設につきましては、昨年の夜間訓練の際における事故に端を発しまして、読谷村長から那覇施設局を経由しまして、現在私どもの方に移設の要望が出ております。これにつきましては、私どもも、局等の意見等も十分踏まえまして真剣に受けとめておりまして、現在手元で検討しておりますが、近々これを米側に提案していきたいというふうに思っております。
  72. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまの防衛施設局の御説明を承りましたが、外務省はこの件についてはどのように考えていらっしゃいますか。
  73. 丹波実

    丹波説明員 お答えいたします。  最近の沖縄の問題としては、先生がただいまお触れになられた事故の件と、それから先ほど来問題になっております水道料金の問題と、それからこの読谷の飛行場の問題が、実は私としては非常に頭の痛い問題であるということで、現地の施設局長から施設本庁に対して移設の要請が届いておるわけで、ただいま施設庁の方からお答えいたしましたように、施設庁本件をどう処理するかということを現在検討中の模様でありますので、私たちとしては、今後その検討の模様を見ながら、施設庁とも相談してどう対処していくかということを研究させてもらいたい、こういうふうに考えております。
  74. 玉城栄一

    ○玉城委員 それは外務省としては防衛施設庁検討待ちだということで、なぜ検討しなくちゃならないのかという検討内容、それについては外務省は御存じでないわけですね。
  75. 丹波実

    丹波説明員 その問題が現地でどういうところから起こってきているかということは、私、十分承知しております。移設に伴ういろいろな影響の問題がございまして、その辺は現地の状況を最もよく承知しておる施設庁検討していただきまして、それを受けて外務省としても施設庁と密接な協議の上、今後この問題に対処したい、こういうふうに考えております。
  76. 玉城栄一

    ○玉城委員 この間の日米安保協議委員会はいつ行われましたか。そのときにはこの問題はもちろん議題にならなかったわけですね。
  77. 千秋健

    ○千秋説明員 お答え申し上げます。  つい最近開かれましたのは安全保障協議委員会でございませんで、合同委員会でございます。これは地位協定に基づきまして設置せられておりますもので、定期的に行っております。それで、この合同委員会のもとにこういう個々の施設の取り扱いを協議します施設分科委員会というのが設置されておりまして、これは私ども施設庁長官が代表しておりまして、本件は、まずこの施設分科委員会に提案して、そこで協議するのが至当でないかと考えておりますので、まだ合同委員会の議題に提案するには至っておりません。また、私どもとしましてもそういうことで十分検討して、施設委員会協議していきたいと思っておりますので、まだ具体的に外務省の方にもそこまで協議しておりません。いずれまた協議してまいりたいと思っております。
  78. 玉城栄一

    ○玉城委員 いつごろの分科委員会に提起されるわけですか、先ほどは近々とおっしゃいましたけれども
  79. 千秋健

    ○千秋説明員 昨日も上原先生から私どもの長官に御質問がありましたのですが、ごく近いうちということで御返事申し上げておりますが、私ども、事務的には一番最近開かれる施設委員会ぐらいにこの問題、その移設についての条件等について米側に照会するという形で話を始めたいというふうに考えております。
  80. 玉城栄一

    ○玉城委員 外務省の方は、先ほど防衛施設庁検討を待ってということがありましたけれども施設庁のそういう検討の結果については、外務省はどう対応されるのですか。
  81. 丹波実

    丹波説明員 お答えいたします。  外務省といたしましては、施設庁検討の結果を尊重してまいりたい、こういうふうに考えます。
  82. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上で終わります。
  83. 河村勝

    河村委員長 榊利夫君。
  84. 榊利夫

    ○榊委員 米軍人の麻薬持ち込みの問題で質問を行います。  去る二月八日、沖縄アメリカ海兵隊員が麻薬のLSD、これを二百錠持ち込んだ事件を御存じでございましょうか。
  85. 佐野国臣

    ○佐野説明員 お答え申し上げます。御指摘のような事件を警察は検挙いたしてございます。
  86. 榊利夫

    ○榊委員 現地では、沖縄タイムスとか琉球新報とかがそれぞれトップで掲げまして、大きくこれを報道しておりますが、LSD二百錠と申しますと、昨年一年間に日本で摘発された量が二百四十四錠でございますので、その八割に当たるのではないかと思います。そういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  87. 佐野国臣

    ○佐野説明員 麻薬、覚せい剤、いわゆる薬物問題で申し上げますと、日本の場合には圧倒的に覚せい剤が多うございまして、いま御指摘がございましたような麻薬関係は相対的と申しますか、あるいは数としては非常に少のうございます。したがいまして、四百錠あるいはいま申し上げましたような二百錠とかという数字も、何と申しましょうか、外国での市場の状況だとか、そういったものから比べますと、日本におきましては、いわゆる麻薬そのものの件数なり使用の実態は非常に少ないという感じはいたしております。
  88. 榊利夫

    ○榊委員 私も麻薬の専門家じゃありませんけれども、LSDにつきましていささか調べさせていただいたのですが、これは二十五マイクログラム程度で幻覚が起こったり、妄想を起こして転落死したり、そういう事故が多発する点で、殺人麻薬とも言われているようでございます。何よりも青少年をむしばむ麻薬という点ではまさに社会悪でありまして、この殺人麻薬LSDの経路、これはどういう経路をたどって摘発されたものでございましょうか。
  89. 佐野国臣

    ○佐野説明員 わが国におきます密輸の経路と申しますと、必然的に米国とかあるいはフィリピン、韓国というふうな関係国から入ってくるというのが通常の例かと思います。昨年の沖縄関係だけで申し上げてみますと、米軍人軍属によります麻薬事犯は百五件検挙いたしておりますが、その密輸ルートも米国、フィリピン、韓国というふうなことになってございます。また、搬入の方法でございますが、携帯持ち込みないしは郵便小包というふうな形で持ち込まれているというのが通例のように考えております。
  90. 榊利夫

    ○榊委員 いまの御答弁の中でも、経路として携帯あるいは郵便小包、こういったことが答弁されましたけれども、郵便小包の場合、軍人ですから軍事郵便だろうと思うのですが、なぜそれが麻薬持ち込みに使われた、こういうふうにお考えでしょうか。
  91. 佐野国臣

    ○佐野説明員 ちょっと原因、理由について格別分析したものはございませんが、一般的には自分の携帯荷物という形で持ち運びするのが一番多いようでございます。ただ、自分がそう頻繁に出入りできない、そういう事情がございます場合には、別送便だとかあるいは郵便の中に入れて、そういう場面が当然出てこようか、かように考えております。
  92. 榊利夫

    ○榊委員 米軍人の麻薬の持ち込みルート、携帯または小包を使う、軍事郵便を使う。安保条約に基づく地位協定、その第十一条では税関検査から除外するものを規定していると思いますが、その点どういう除外規定があるか、お答え願います。
  93. 佐野国臣

    ○佐野説明員 直接その関係について携わっておる者ではございませんので、承知した範囲で申し上げますと、軍事郵便の場合でございましても、公用のものについては税関ではタッチはいたしておらないように聞いておりますが、それ以外の各人に送られる品物につきましては、税関当局といたしましてはやはり一般の荷物と同様なチェックは行っておるということを聞いておりますし、私どももそのチェック機能に期待して実際検挙活動あるいは情報をいただくとかそういう形での連携に努めております。
  94. 榊利夫

    ○榊委員 地位協定の第十一条第五項に、こういうことが書かれております。「税関検査は、次のものの場合には行なわないものとする。」一つは、(a)とありまして、「日本国に入国し、又は日本国から出国する合衆国軍隊の部隊」つまり兵隊さん、それから(b)の場合には、「公用の封印がある公文書及び合衆国軍事郵便路線上にある公用郵便物」、小包を含めまして郵便物ですね、これが税関検査を受けない、つまりノーチェックだ、フリーパスだ、こういうふうになっているわけであります。この盲点と申しますか、特権と申しますか、これを利用した麻薬の持ち込み、これが基地がたくさんあります沖縄県を初め、大きな麻薬のルートの一つを形成している、こういうふうに私どもも思いますし、また世上そういうふうに言われておるわけでありますけれども、そういう協定上の盲点ですね、実際にそれが使われている、このことについてはどういう御認識をお持ちでしょうか。
  95. 佐野国臣

    ○佐野説明員 ただいま御指摘がございました通関なり税関の問題になりますと、税関当局の問題かと思いますが、私ども平素連携していろいろ事情を聞いております範囲では、一応体制なり制度的にはそういったチェックの中に、一般の隊員あたりの荷物、軍事郵便とはいいましても、隊員のところに届く荷物については、あくまで検査対象になっておるということで、それなりの対応はしておられる。ただこれは軍事郵便だけの問題でなしに、一般の民間郵便あるいは航空機からでの別送品あたりもそうでございますが、問題は品物がごく微量なものでございますので、それの隠匿方法が巧妙であるとか、あるいはたくさんの荷物の中に紛れ込むということで、いわば徹底した検査機能といいますか、そういったものが果たして十分かどうかという問題は、今後の課題としては十分考えておかなければならないんじゃないか。これはいささか他の所管の問題に絡みますので、あるいは当を得ていない面がございましたらお許しいただきたいと思いますが、私自身はかように考えております。
  96. 榊利夫

    ○榊委員 確かにいまの御答弁は、ちょっと私の方の質問と食い違っているように思いますが、要するにアメリカの軍人、それからその軍事郵便、これもノーチェックである、言いかえますと、日本の主権外に置かれているわけですね。だから取り調べ当局もそこには及ばない、こういう実際の重要な問題があるわけでございます。これまでにも米軍人の麻薬持ち込みはいろいろなケースで繰り返されてきております。先ほど申しましたように、それが麻薬ルートの一つになっておる。  それでお尋ねいたしますが、過去一年で結構です、二年でも三年でもいいですが、なければ、過去一年間で結構ですが、在日米軍人の犯罪件数及びその犯罪の中で麻薬の割合はどれぐらいの率を占めているかお尋ねいたします。
  97. 佐野国臣

    ○佐野説明員 昨年一年だけのことについて申し上げますと、米軍人軍属による犯罪でいわゆる刑法犯関係だけでございますが、全刑法犯が三百八十二人でございます。それから麻薬事犯が二百七十一人、計六百五十三名ということで検挙されております。したがいまして、その割合は約一対〇・七という状況でございます。
  98. 榊利夫

    ○榊委員 と申しますと、いまの答弁でも大変な高い比重を占めている。米軍犯罪の七割が麻薬であるということ、これは恐ろしい状態でありまして、これは軍人犯罪そのものというよりも、アメリカで起こされる犯罪じゃありませんので、日本を舞台にして行われる犯罪ですから、これはやはり非常にゆゆしい問題だと思うのであります。私どもいろいろこう調べた範囲内でもいまお答えになったと同様のあれがあるわけでございますけれども沖縄だけじゃなくて本土でも、たとえばここに朝日新聞の報道でございますけれども、昨年横浜地裁横須賀支部に、これは大麻ですが、取締法違反で起訴された米兵やその家族は三十七名だ、横須賀支部だけでこれだけの量があるわけでございます。いまのものは全国的な米軍犯罪ですけれども、その中で沖縄の占める比重と申しますか、これはどういうふうになりますか。
  99. 佐野国臣

    ○佐野説明員 沖縄だけで申し上げますと、全刑法犯が二百四十一人、麻薬事犯は九十二人、割合で申し上げますと一対〇・三八というふうな状況になろうかと思います。
  100. 榊利夫

    ○榊委員 大体沖縄でも約四割、米軍犯罪の四割が麻薬である、傾向としては同じような傾向を示していると思います。  ところでこの事態について、私はとりわけ沖縄が大きいという点では幸いここに小渕長官もおられますし、沖縄開発庁長官としていままでの質疑の中で明らかになってまいりましたように、沖縄がたくさんの米軍基地を持っておる。そこが麻薬ルートの一つになっている、こういう事態についてどういう御所感をお持ちなのか。たとえばこういう問題についてはアメリカ側に歯どめを求める意思がおありかどうか。たとえば開発庁が独自と必ずしもそのことを意味しませんので、この問題で所轄の外務省なら外務省、そういうところにも要望するとかいろいろな方法があり得ると思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
  101. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御指摘のような麻薬等にかかわる犯罪が発生をいたしておるということ、まことに残念なことだと思います。麻薬関係につきましては、これはそれぞれの所管におきまして徹底的にこれをなくすように努力をいたしておるわけでございますので、それぞれの機関の格段の努力を期待いたしておりますが、沖縄県におきましてそういうような事犯が多いというような御指摘もありますので、関係省庁と十分連絡をとってその撲滅のために努力を払ってまいりたいと存じます。
  102. 榊利夫

    ○榊委員 私はこの際、地位協定そのものがそういうフリーパスで麻薬を自由に入れるような仕組みになっているのだ、チェックできないのだというこのことは、やはりこうした安保条約日本国民にとっての有害性、こういったことを改めて示すものでありまして、安保条約はなくなることが望ましい、このことの裏づけにもなるのじゃないか、こう思っているわけであります。  ところで、ここでお尋ねいたしますが、この麻薬ルート、とりわけ米軍ルートについての調査と申しますか、これは見てみますと若干甘いのじゃないかという感じがするわけであります。マスコミをしばしば引いて申しわけありませんけれども、先ほどの横須賀支部のことを報道しました新聞も、軽いのじゃないかということでいろいろ不満もあるというようなことをちょっと書かれています。どうなんでしょうか、そのあたり、警察だけというよりもアメリカとの関係がありますので、なかなか答えにくい面もあると思いますけれども、警察としてはどういうお考えなのか、御所見をお願いします。
  103. 佐野国臣

    ○佐野説明員 警察といたしましては、この種の事案に対しては米軍人であるかあるいは一般人であるかを問わず、厳しい姿勢で取り締まりに当たっているわけでございますが、聞くところによりますと、米軍側におきましても最近のこういった事象にかんがみまして、取り締まりの強化ということをお図りになっておるという状況でございます。  そこでいまお話も出ました沖縄の例で申し上げてみますと、警察としても四半期ごとに警察の方と米軍担当者の間でこの種犯罪に対する定期会議とでも申しますか、そういう会議を開いて情報交換をやるというふうなこともやっております。それから昨年三月では沖縄県薬物乱用対策推進中央本部、これは各府県に皆知事さんをキャップにいたしまして薬物乱用対策本部というふうなものをつくっておるわけでございますが、沖縄におきましてもこの本部から沖縄駐留米軍に対して大麻犯罪の防止等の申し入れを行うという措置もとってございます。それからあと警察独自の問題といたしましては、ICPOといいます国際刑事警察機構というもの、これは国際的な警察の情報犯罪捜査の協力機構でございますが、こういったものを活用するというふうなことも十分考えておりますし、あるいはそういうところからの情報もございますが、なおさらに重ねて申し上げますれば、それは外務省ルートあたりをも通じまして在外公館の活動の活発化あるいは情報をそういう面からいただければという点は、私どもも今後期待いたしておる次第でございます。
  104. 榊利夫

    ○榊委員 いま外務省という言葉がはしなくも出てまいりましたけれども外務省としては、今回の事件でアメリカ側に何か言われましたか。
  105. 丹波実

    丹波説明員 お答え申し上げます。  その前に、先ほどから御議論になっておられるところの地位協定の考え方について若干御説明させていただきたいと思います。  確かに先生言われるとおり、この十一条の五項では、米軍米軍隊の公の機関として行動する場合には税関検査を受けないということになっております。他方同じ条文の第八項におきましては、米軍隊は、日本国の当局と協力して、この条の規定に従って合衆国軍隊及びその構成員、家族に与えられる特権の乱用を防止するため必要な措置をとらなければならない。こういうふうに書いてありまして、この条文を受けました合意議事録におきましては「合衆国軍隊は、日本国への搬入が日本国の関税に関する法令に違反するような物品が合衆国軍隊の構成員若しくは軍属若しくはそれらの家族によって、又はそれらの者のために輸入されないことを確保するために実行可能なすべての措置を執る。」こういうふうにあるわけでございまして、ここに言うところの関税に違反するもの、たとえば関税定率法第二十一条に規定されている麻薬はまさにこれに当たるわけでして、そういう意味でこのような物品が搬入されることを米軍当局が完全には阻止していないというのは、米軍当局の怠慢であろうということは言えるのではないかと思います。そういう観点から、外務省といたしましては、この麻薬の問題については常々重大な関心を持っておりまして、たとえば昨年の五月十七日の合同委員会の席上において、アメリカ軍当局がきちっと取り締まりをしてくれなければ困るという厳重な申し入れを行っております。  本件につきましては、ただいまの先生の御議論も念頭に置きながら今後ともアメリカに厳しい措置を求めていきたい、こういうように考えております。
  106. 榊利夫

    ○榊委員 つまり、今回の事件についてはまだ言っていない、出していない、昨年五月に、もっと防止策をとるようにということを申し入れたという趣旨だろうと思いますけれども、実際見てみますと、去年の五月以降ずっとまだ起こっている、減っていないわけであります。ある意味では、月によりますけれども、むしろ傾向といたしまして若干ふえる傾向にございます。それから、ミッドウェーが横須賀に戻ってきたことによって、また麻薬騒動が大きくなるんじゃないかということが公然と取りざたされている状態であります。したがいまして、チェックの保証、これはやはりはっきりすると同時に、正式に日本政府として日米合同委員会なりあるいは安保協議会などに持ち出して歯どめをかけるべきである。この点はきっちりとした態度をとってもらいたい。いかがでございましょうか。
  107. 丹波実

    丹波説明員 ただいま御答弁申し上げましたとおり、本件米軍当局の怠慢からくるものであるという厳しい認識は外務省としても持っておるつもりでございますので、最近の事態につきましては、警察当局とも密接に連絡の上、日米合同委員会等その他の場で、米軍に対してどのようなことを申し入れるかということを検討してまいりたいと思います。
  108. 榊利夫

    ○榊委員 検討というよりも、事はもうきわめて単純明快であります。日本の青少年をむしばむ、また退廃の源でもある、人命にもかかわる、健康にもかかわる、こういう問題でありますので、しっかりと持ち出して歯どめをかけてもらいたい、そのことを重ねて要望したいと思います。領土問題につきまして質問を予定しておりましたけれども、きょうは予算委員会の方へ大臣も行かれて、来られないということですし、残った時間、その一部分だけ質問さしていただきたいと思います。また、機会を改めまして詳しく質問したいと思います。  第一点は、御承知のように、日本政府は、一九五一年のサンフランシスコ平和条約の中で、千島列島の領土権、つまり、権利、権原、請求権を一切放棄をしております。日米政府はなぜこのときに千島列島の領土権を放棄したのか、お尋ねいたします。
  109. 鈴木勝也

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  サンフランシスコ平和条約の二条(c)項に、ただいま御指摘のございましたように、千島列島及び樺太南半の権利、権原及び請求権を放棄すると規定されてございます。  なぜかという御質問でございますけれども、これは先生よく御承知のとおりでございますが、わが国は敗戦国といたしまして、連合国との平和条約の交渉に臨んだわけでございまして、これはきわめて困難な交渉であったことは申すまでもないことでございます。そういたしまして、ポツダム宣言の原則に照らせば、いろいろ御議論もあるところだとは思いますが、千島列島を放棄するということは連合国側からの強い要求でございまして、これを放棄することは真にやむを得なかったというのが従来からの政府の御答弁申し上げているところだというふうに承知しております。
  110. 榊利夫

    ○榊委員 いまの答弁でも天変明快になった点がございます。それは連合国側からの要求で放棄した、その当時結んでいるのはアメリカ等々でございますので、そういうことだ。大変困難でやむを得なかった、こう言われますけれども、そのことはやはりこの問題については日本政府が一つの歴史的な過誤を犯したということであろうと私は思うのであります。だから、政府としてはそのことをそうだと言いにくいでしょうけれども、いまの説明もそういうことになると思うのであります。  そこで、次ですが、時間がありませんので、これまでの日本とロシア両国間の領土問題を扱った歴史上の国際条約、たとえばこれにはきわめて具体的な規定があるわけです。御承知の一八五五年の下田条約、ここでも領土規定というのが、択捉とかウルップとか島名を挙げまして、クリール諸島のウルップ以北の島々はロシア領土、こちらは日本だ。それから一八七五年のペテルブルグ条約、いわゆる樺太千島交換条約、このことにも島名を一々挙げまして、大変細かい規定をしているわけであります、詳しくはいま挙げませんけれども。近年日本政府は、サンフランシスコ条約で放棄した千島の中には国後択捉は含まれていない、こういうふうに説明をなさっておられます。いわゆる四島返還の立場からそういうことをおっしゃっているわけでありますけれども、本当にそのつもりだったら、なぜ一九五一年のそのときに国後択捉を除く千島列島云々、こういうことが明記できなかったのか、どうして明記しなかったのかという疑問が当然出てくるわけであります。この点、どういうお考えでございましょう。
  111. 鈴木勝也

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  先ほどもちょっと触れた点でございますけれども、サンフランシスコ平和条約と申しますのは、これはまさに敗戦国が主権国家たる地位を回復するための平和条約に敗戦国として参加したというのがわが国の立場でございます。そこで、わが国北方領土問題に対する立場というものを十分な形で打ち出し、これを連合国に認めてもらうということはもともときわめて困難な交渉だったことは申し上げるまでもないと存じます。サンフランシスコ講和会議のときの吉田全権の演説にも若干触れられておりますけれども、あの程度の立場留保と申しますか、わが国の立場の表明というのが、敗戦国の代表としてサンフランシスコ講和会議に参加したわが国の代表のなし得たぎりぎりのところだった、こういうふうに考えております。  なお、そういうことではございますけれども、サンフランンシスコ講和条約によりまして、ようやく主権国家としての地位を回復して、今日国際社会の一員として名誉ある地位を得るに至った、そういう経緯があるわけでございまして、結局は、当時の敗戦国としての地位をそのまま続けるか、あるいは非常に困難な条件ではあるけれども、それを受諾することによりまして、主権国家としての地位を回復し、将来に道を開くかという、そのむずかしい選択の問題があったということだろうと存じております。
  112. 榊利夫

    ○榊委員 むずかしい選択であったという御説明ですけれども、そのむずかしい選択の中でただ一つはっきりしているのは、要するに千島列島に関して、南部の二島、択捉国後、このことを千島に含めて、その当時、いまおっしゃいました吉田全権の発言もここに持ってきておりますけれども日本政府はこの国後択捉を南千島として、そして、南千島である千島列島の一部として認めた上で、千島列島全体を放棄されているわけであります。この点では、やはり結局は、歴史をいまから振り返ってみますと、むずかしい選択とはおっしゃいますけれども日本の立場から見るならば、きわめて屈辱的であり、やはり今日に至るまで重大な禍根を残している。ということはやはりこれからの、千島列島を含めました歯舞、色丹だけではなくて、国後択捉を含めた千島列島全体の日本への返還を期していくという点でも避けては通れない問題になるだろうと思うのであります。時間が参りましたのでこれ以上の質問はきょうはできませんけれども、また機会を改めてさしていただきますが、この問題の解決というものはそういう歴史上の一つの負を背負っている。だから、それをどう打開していくかということでは避けられないのだという御認識は政府としてもお持ちだろうと思いますけれども、御答弁願えますか。
  113. 兵藤長雄

    ○兵藤説明員 お答え申し上げます。  一九五六年の国交回復のときに平和条約がなぜできなかったか。これはひとえに国後択捉両島の帰属をめぐって日ソ間の意見がどうしても調整できなかった。以来政府は四島一括返還という不動の立場に立ちましてソ連との間の折衝に当たってまいった次第でございます。私どもは、異なった御見解に立たれる立場もあることは重々承知いたしておりますけれども、この四島一括返還というものに国民の御支持を賜って今後とも対ソ折衝を図ってまいりたいというのが政府の不動の方針でございます。
  114. 榊利夫

    ○榊委員 いまの四島返還という点を見ましても、吉田さんが国後択捉は捨ててしまっているわけですから、それを返しなさいと言うためには、国際法上も自由にならなければいけません。つまり、捨てたことは誤っておりましたということを国際的にも明らかにして、その上で強固な外交交渉を行っていくことがこの問題妥結の基本的な方向だろうと思いますし、それから、国後択捉だけではなくて、千島列島全体は日本が略取したものでございませんので当然全面返還を目指していく、これが日本の悲願であろうと思うのであります。いろいろ立場は異なるけれども、こういう方向政府も御努力を願いたいし、また改めるところは改めて、前向きで打開策を研究もしていただきたい。これは答弁要りません。このことを最後に申し上げまして、質問を終わらしていただきます。
  115. 河村勝

    河村委員長 部谷孝之君。
  116. 部谷孝之

    部谷委員 総務長官の所信表明に対しまして、核燃料の再処理工場の問題だとかあるいは米軍基地下水道料金の歳入欠陥の問題だとかあるいは燃料タンクの落下事件等々具体的な問題につきましてはすでにお尋ねがありましたので、私は、振興計画に関する幾つかの点についてお尋ねをしてまいりたいと思います。沖縄振興開発計画は計画の目標を次のように掲げております。すなわち「この計画においては、沖縄の各面にわたる本土との格差を早急に是正し、全域にわたって国民的標準を確保するとともに、そのすぐれた地域特性を生かすことによって、自立的発展の基礎条件を整備し、平和で明るい豊かな沖縄県を実現することを目標とする。」こうした目標を持ちまして八年間計画が進められてまいったわけでございますが、まず、社会資本の面において格差の是正はどのように進んでおるのか、また本土との格差が解消しておらないところはどういう点であるのか御答弁をいただきたいと思います。
  117. 小渕恵三

    小渕国務大臣 この振興開発計画はまさにお読みになられました目標を定めて現在努力しておるところでございますが、この計画に基づきまして大幅な投資を継続してまいり、社会資本を整備充実してまいりました結果、ストック面におきましては本土との格差がかなり縮小したと考えております。すなわち、道路、空港、上下水道、公立学校施設等につきましてはおおむね本土水準に達したと思われております。しかしながら、公園、医療施設、屎尿処理施設等ではまだ若干格差が残っておりますので、引き続きその整備に相努めておるところでございます。細かい数字はもし御要請があれば指摘をいたしますが、道路などでは全国平均より上回っておるというような面もございますが、いま申し上げましたように、同じ社会資本関係におきましてもまだ差異があるということでございますので、目標の達成しておらないところにさらに重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
  118. 部谷孝之

    部谷委員 いま医療問題等についてはいまだしの感があるという意味の御答弁があったのですが、厚生省の方へ医療面につきましてちょっとお尋ねをしたいと思います。  先般、厚生大臣沖縄を視察されたようでありますが、医療面におきます本土との格差はどういう状況になっておるか御説明を願います。
  119. 斎藤治美

    斎藤説明員 お答え申し上げます。  沖縄の医療供給体制は復帰後逐次整備をされてまいりまして、たとえば医師の数で見ますと、復帰前の四十六年末で四百八十三名であったものが五十三年末には七百六十六名、約二百八十名ふえております。また医療機関を病床で見てまいりますと、四十六年末に五千六百四十四ベッドであったものが五十三年末には八千四百四十一、約二千八百床ふえております。  しかしながら、これを本土と比べますと確かに先生御指摘のように格差がございます。本土と比較いたしますために、人口十万に対してどのくらいであるかという数字で見てまいりますと、医師の数が、全国が人口十万に対して百二十四人、これに対して沖縄県は七〇・七人、約六割という水準でございます。それから病院病床で見ますと、全国平均が人口十万対千七十、これに対して沖縄県が七百七十九・四、比率で見ますと約七割という状況になっております。
  120. 部谷孝之

    部谷委員 沖縄は申し上げるまでもなく三十幾つの離島があるわけでありますが、離島における医療制度の整備状況はどのような進捗状況になっておるのか、また医師の充足数、これもあわせてどのようになっておるか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  121. 斎藤治美

    斎藤説明員 お答え申し上げます。  沖縄県には三十九の人の住んでいる離島がございます。これは日本離島センターの調べでございますが、そこに医療機関といたしましては病院が三カ所、診療所が六十三カ所、歯科診療所が十七カ所でございます。病院、診療所が全くない離島の数が十カ所となっております。  医療従事者の面で見ますと、三十九の離島に常勤医師が七十八名、それから常勤の歯科医師が十九名という状況でございます。
  122. 部谷孝之

    部谷委員 いま沖縄全体の立場から見ましても、また離島の特殊な事情をお聞きいたしましても、沖縄に対する医療機関の充足不足というものがきわめて大きいことをいまお示しいただいたわけでございますが、こうした医師の確保を初めといたしまして、医療の確保のためには今後どのような施策を推進していこうとせられるのか、お尋ねいたします。
  123. 斎藤治美

    斎藤説明員 お答え申し上げます。  まず人の面でございますが、沖縄県の医師不足対策といたしまして、四十七年度以降本土から医師その他の医療従事者を派遣するという制度が運営されております。五十四年度、まだ若干日にちが残っておりますが、予定を含めまして医師を二百二名派遣するということになっております。歯科医師を四十九名派遣いたします。五十五年度も引き続きましてこの事業を継続いたすこととしておりまして、これに必要な経費を今年度予算に一億七千七百万を計上させていただいております。そのほか、国費をもちまして本土の医科大学に医学生を送る制度がございますし、自治医科大学への医学生の送り出しというような方法で医師の確保が図られております。それから、昨年の十月に琉球大学に医学部が開設されまして、五十六年四月から学生を受け入れるという予定になっております。厚生省といたしましても、この琉球大学医学部の開設によりまして、沖縄の医師不足解消が大いに進むのではないかというふうに期待を寄せております。  それから、施設面の整備でございますが、五十五年度予算案におきまして、沖縄県立の南部病院、三百床の規模の病院を新設するための経費を計上させていただいております。また、県立中部病院に成人病対策として特殊診療棟を増設することとして所要の予算を計上しております。それから、僻地診療所の整備及び運営費につきましては、本土の僻地対策の場合は三分の二の補助率でございますが、沖縄につきましては四分の三の高率補助を行っております。  さらに、無医地区対策に対しまして、医師派遣費としまして特別の予算措置を講じております。このような各種の施策によりまして、沖縄県の医療が確保されるように厚生省としても努力をしてまいりたい、かように存じております。
  124. 部谷孝之

    部谷委員 厚生省はこれでやめようと思ったのですが、どうも御答弁で納得いかないというか、もう少しお尋ねしたい面が出てきたのですが、いま国費の制度が利用されておることも承知しておりますが、同時にまた、国費の沖縄学生制度によって本土の医学部へ入学して、そして本来ならば沖縄へ帰って診療に従事しなければならないわけでありますけれども、その人たちの中で一体何%ぐらいの方が帰還しておられるか、それはおわかりでしょうか。
  125. 斎藤治美

    斎藤説明員 お答え申し上げます。  この制度は文部省の施策として行われておるものでございますが、私どもがいただいている数字でただいまの御質問にお答え申し上げますと、帰還すべき人の中で実際に帰った人の比率は六一・六%という数字になっております。
  126. 部谷孝之

    部谷委員 私の持っておる資料は五十四年でございますからもう一つ古いかと思いますが、これで六〇・八%という数字を私も持っておるわけなんですが、きわめて効率の悪い制度の運用がなされておるということが一つ指摘されなければならないと思います。  それから、医師歯科医師派遣費、いまお示しのように一億七千百万を挙げられたわけでございますが、これは前年度に比べまして九五・一%、つまり減額されておるわけですね。それから沖縄県保健衛生対策費が本年度十一億九千八百万、昨年度が十二億二千一百万でございますので、これも九八・一%、いわば前年度に比べて減額になっておるわけでございますが、こうした数字をもっていたしましても、あるいはいまの僻地診療につきましても、前年度三千五百万であったものが本年度は二千一百万というふうに減額されておるわけでございまして、そういう状態で一体果たして沖縄における医療の問題というものが積極的に取り組まれておるという姿勢があるのかどうか、私は疑問に思うのでございます。これはむしろ施策の推進は開発庁の方からお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
  127. 海原公輝

    ○海原政府委員 お答え申し上げます。  施設費につきまして減額になっておりますのは、前年度完成したそのものの工事費に比べまして、本年度計上いたしたものが規模等から申しまして少なくなっているという実態が一つございます。  それと同時に、ちょっと申し上げておきたいことは、沖縄におきまして病院を同時に新築、改築予算上いたしましたのは今回が初めてでございます。従来は、大体一年一回、こういうことでございます。事務費系統につきましての若干の減額のお尋ねがございましたが、これは実態に合わせまして調整を行ったということでございまして、必ずしも前年度に対しまして後ろ向きになったというふうに御理解いただかないようにお願いいたしたいと思います。
  128. 部谷孝之

    部谷委員 どうも時間を少し取ったようでございますが、続きまして沖縄公庫の問題につきましてお尋ねしたいと思いますので、ひとつ簡明なる御答弁を願います。  沖縄振興開発金融公庫は一銀行六公庫の出資によって業務がなされておるわけでございますが、この沖縄公庫は沖縄の経済社会発展のためにどのような機能を果たしてまいりましたか、まずお尋ねいたします。
  129. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  いま先生御指摘のように沖縄振興開発金融公庫、これは本土の一銀行六公庫の事業活動を沖縄におきまして総合的に実施をいたしておるわけでございますが、この公庫の設置、これは沖縄の振興開発につきまして振興開発事業費と並びまして沖縄の経済振興の施策として策定されておるものでございます。  本土に復帰いたしまして約八年近くを経過いたしましけれども、まだそれぞれの企業等々につきまして体質合理化、その他本土に比べますとかなりおくれた状態にあるわけでございまして、これは今後とも財政金融等の面におきましてもかなりの努力を続けていく必要があるのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。公庫設置以来これまでに貸し付けの残高もかなり増加をいたしておりまして、沖縄における金融機関貸付残高の約三分の一に達しております。これらによりまして沖縄の振興開発のために大いに貢献しておると考えておりますが、さらに五十三年からは沖縄振興開発金融公庫に民間企業への出資の機能を付与しまして、これによります出資等を行っておるという状況にございます。
  130. 部谷孝之

    部谷委員 大体沖縄の金融機関の貸付残高の約三分の一をこの公庫で賄っておるということでございますが、資金量はそれで十分なのかどうか、これが一点。それから、五十三年度から出資業務をあわせてやられるようになったわけでございまして、五十五年度は三億計上してございますが、この三億の使い方、どういった企業への出資を予定しておられるのか。あるいはまだ年度当初でございますので決まっておらないとすれば、どういうふうな運用方針を持ってやられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  131. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  まず、資金量についてのお尋ねでございますが、貸付計画の方から申し上げますと、昭和五十五年度におきまして一千三百九十五億円の貸し付け及び出資を予定いたしてございます。この貸付計画につきましては、およそこれまでの沖縄におきます資金需要の伸びあるいは現在の貸し付けの実態等から見まして十分賄い得る額ではなかろうか、このように考えております。これに対します資金所要額は、五十四年度以前に貸付契約をしましたものでその資金交付が五十五年度に繰り越されるものも含めまして一千三百七億円を予定をいたしております。これに必要な原資としましては産投特別会計からの出資金が三億円、これは公庫からの出資見合いでございます。資金運用部資金等からの借入金一千四十億円、そのほか貸付回収金等の自己資金二百六十四億円を予定しておりまして、資金面の手当ても私どもとしてはこれで十分賄えるのではなかろうか、このように考えておるところでございます。  それから、お尋ねのもう一点の、来年度の出資三億についてどういう事業を予定をしておるかということでございますが、これは現在の時点におきましては、具体的な出資対象企業はまだ未定でございます。現地におきましては、沖縄の天然ガス開発株式会社等幾つかの候補プロジェクトがございまして、関係者間において種々協議をいたしておりますし、公庫等もこれに相談にあずかっておるところでございますが、現在の時点ではまだ出資することが決定したわけではございませんで、今後の検討にまっておるという状況にございます。
  132. 部谷孝之

    部谷委員 振興開発計画の一つの大きな目標は本土との格差を是正すること、それから自立的な発展を図る、これがもう一つの大きな目標になっておるようであります。  そこで、自立発展という点から考えまして、経済、特に産業構造などの面で、復帰時と比較をしてどのような進展が見られておるか。  もう一つ、振興計画では、県民一人当たりの所得につきましては本土平均水準との格差は縮小に向かうと述べられておるのでありますが、県民所得の面で所期の目的を達せられたかどうか、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
  133. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 沖縄の産業構造につきまして、復帰時と比較して現在どのようになっておるかというお尋ねの点でございますが、これを純生産のベースで見てまいりますと、復帰時におきましては、第一次産業が七・六%、第二次産業が二一・二%、第三次産業が七四・五%、御案内のとおり第三次産業に著しく偏重した形になっておるわけでございますが、このような特異な産業構造が実は八年近く経過した今日におきましてもほとんど変化がございませんで、昭和五十三年度の県内純生産の産業別構成比は、第一次産業が七・一%、第二次産業が二〇・八%、第三次産業が七五・三%となっておるわけでございます。このような産業構造とも関連いたしまして、県経済は、現在財政支出やあるいは県外からの移入への依存度が高いというような、言うなれば消費的色彩の強い経済体質、こういう形になっておるわけでございます。  それからもう一つ、振興開発計画で目標値を出しております県民所得の問題でございますが、一人当たりの県民所得の対国民所得格差は、復帰時におきましては五六%でございました。その後公共事業の大幅な増大あるいは産業活動面における県民の努力等も加わりまして、この本土との格差は次第に縮小をしておりまして、昭和五十年度には一時七一・六%まで格差が縮まったわけでございますが、実はその後五十一年度、これは海洋博終了の影響によりまして沖縄経済の低迷等もございまして、対国民所得格差で六八・三%、若干格差が拡大をいたしました。しかし五十二年度にはこれが六八・八%、さらに五十三年度で見ますと七〇・三%と、再びこの格差が縮小する傾向になってございます。
  134. 部谷孝之

    部谷委員 いまの県民所得にいたしましても、大体目標を本土の八〇%に置かれたものが現在七〇%前後を行ったり来たりしておる。このことはまた復帰時と大した変わりはない、こういうことになるわけでございますので、振興計画のそうした面での目標はいまだ達成されていない、このような判断がされると思うわけであります。  そこで、そうした現在の沖縄の経済を支えておりますものは公共事業と観光、こういうものが主な柱になっておると思います。公共事業というのは、施設の整備が進んでまいりますと、これは未来永劫あるものじゃございません。そういうものが進んでくればやがてなくなる時期がやってまいります。また、観光につきましては、大変いろんな観光資源のあるところでございますから、この振興をさらに発展させていくことは大事なことでございますけれども、特にやはりここで一つ考え直さなければならないことは、第二次産業、これの進展、推進を図っていかなければならぬ、こういうことだろうと思うわけであります。漸次厳しさを増しております。地場産業の育成、振興を図ることもまた大事でありますが、同時にまた本土からの新規企業の導入、こういうものもいたしまして、自給率の向上や、また移出、輸出の増大、こういうものに努めていくことが沖縄経済の発展のために必要であることは申すまでもないところであります。いま本土からの企業進出の話もあるようでございますが、沖縄の労賃は必ずしも安くない、それからまた用地、用水、これも安いとは申せない状況にあるようでありますし、また必要な集積と申しますか、こういうものに対応しがたいような、そういう場合もあるようでありますが、こうしたせっかくの進出の計画に対しまして、基礎条件の整備や制度融資、こういうものに対しましても政府のさらに積極的な姿勢が望まれる、こういうふうに思うわけでございますが、こうした諸点につきまして、最後にひとつ長官の御見解をいただきたいと思います。
  135. 小渕恵三

    小渕国務大臣 総論として全く委員御指摘のとおりであろうと存じております。二次産業がしっかりしなければならぬという御指摘でございますが、ただ、沖縄の置かれた地理的条件等もありまして、消費地をすぐ後背地として近いところに持っておらないというような意味もございまして、なかなか目標達成というような形に相なっておらないことはまことに残念でございます。  しかし、御指摘にありましたように、やはり一次、二次、三次産業それぞれのバランスのとれた形というものが望まれることは言うまでもないことでございます。ちなみに、開発計画当初の目標が、一次産業五%、二次産業三〇%、三次産業六五%ということに相なっておりますが、まだ先ほど局長答弁をいたしましたような達成状況でございまして、そこでお話にありましたように、それぞれの諸条件を整備をいたしまして、企業等が誘致されるような体制を整えていき、環境を整備していかなければならないことは当然でございます。したがいまして、産業基盤の整備のために公庫の出資あるいは融資の充実等にさらに努めてまいりますとともに、諸般の施策を講じながら、バランスのとれた産業構造をつくるために最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
  136. 部谷孝之

    部谷委員 終わります。
  137. 河村勝

    河村委員長 上原康助君。
  138. 上原康助

    ○上原委員 私は分科会の時間ともちょっとかち合った面もありましたので、これからわずかな時間ですが質問をさせていただきますが、きょうは、主として沖縄における国際児の国籍問題について、法務省、また関連して外務省にお尋ねをして、後ほど各委員取り上げました使用済み核燃料第二再処理工場設置の問題、あるいは若干時間があれば基地問題等についてもお尋ねをさせていただきたいと思います。  そこで、これまでも外務委員会などでわが党の土井先生あたりも取り上げて法務大臣外務大臣の御回答もあるわけですが、国際児の国籍問題、いわゆる無国籍の児童、この国際児問題について政府としてはどういう実態を掌握をしておられるのか、そこいらの点からひとつお示しをいただきたいと思います。
  139. 田中康久

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  私どもの方は法務省の国籍の担当でございまして、確実な数の把握はしておりませんけれども、大体沖縄に無国籍の人が入管の統計上八十人ぐらいいらっしゃるというふうに聞いております。ただ、その中で問題になっております無国籍児と言われるのは、アメリカ人男性と日本人女性との間にできた子供が国籍を持っていないという点の子供のことが普通問題になっておるわけですが、その人たちの数がそのうちの何人であるかということは把握しておりません。私どもの推測するところでは大体三、四十人ぐらいではないかという感じでおりますが、具体的に調査をしているわけじゃございませんので、正確な数は把握しておりません。
  140. 上原康助

    ○上原委員 これは具体的に調査をする省はどこになるのですか。県ですか、市町村ですか。法務省は全然関係ないのですか。
  141. 田中康久

    ○田中説明員 私からお答えするのがいいのかどうかわかりませんけれども、それは多分、無国籍者というか、外人登録の票を全部くくっていきまして探せばできるのかもしれませんけれども、膨大な数になるのでいまのところは把握できてないのだろうというふうに思います。
  142. 上原康助

    ○上原委員 どうもいまのような御答弁じゃよく納得できかねますが、そうしますと、その前に一つだけ、国籍問題というのは重要な基本的人権の問題であるという御認識は法務省はあるのですか。
  143. 田中康久

    ○田中説明員 この人が日本人かどうかということは当然私どもの一番の関心事でございますので、日本人であるかどうかについては私どもの方が調査する義務があることは私どもも十分承知しております。ただ、外国人がどういう状態にあるかということは、それは入管の方では統計上この人がどういう国の人であるかということは多分把握しているはずでございますが、無国籍の場合にその無国籍がどういう事由によって無国籍になっているかということまでは入管事務の上では把握されているのかどうか、私どもの方ではちょっと私が担当でないものですからお答えしかねます。
  144. 上原康助

    ○上原委員 私のお尋ねしていることに対するお答えになっていないわけですね。人権問題という御認識があるかということを聞いているのであって、手続面とかだれがやるという仕事の分野を聞いているのじゃないのです。  そこで、沖縄には約三千五百名近くの国際児がおって、いまもお答えがあったのですが、そのうち約百名近くが無国籍。大体掌握されているのは八十名前後のようですが、まだまだふえる可能性は十分あるわけです。御答弁ありましたように、その大部分が日本人女性と米国人男性との間にできた子供である。そこでなぜ無国籍の子供がおるかということを政府としては考えなければいけないのじゃないですか。その原因は申し上げるまでもなく、いまの日本の国籍法は父系優先血統主義をとっているわけでしょう。母親が日本人でも、父が外国人なら子供が日本国籍をとることができない、こういういまの国籍法を改正することなくしてこの問題の解決はわれわれはできないと思うのです。だからわが党はすでに国籍法の改正について先国会から提出をしております。今回も出してある。法務省はこの国籍法の改正問題についてどういうお考えを持っておるのですか。これはこれまでも議論されておりますので、国際人権規約を持ち出すまでもない、憲法を持ち出すまでもない。国籍法の改正をしないでも十分無国籍の児童というものを救済というか、国籍を有することができるのかどうか。いま私が申し上げたこと等についてどういう御見解を持っていらっしゃるのですか。
  145. 田中康久

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  私どもの国籍法は、先生御指摘のように父系主義をとっておりますために、日本人女性とアメリカ人男性の間に生まれた子供につきましては日本国籍を与えないというシステムになっているわけでございます。そのときにたまたまアメリカの方がアメリカ国籍を与えないと子供が無国籍になるという状態が生ずるわけでございます。それはわが国の法制とアメリカの法制が違っているものですから、一つにはアメリカの方が国籍を与えるというシステムになりますれば私どもの方も無国籍の状態がなくなるという状態になります。ただ先生の御指摘のように、日本人女性の子供についても日本国籍を与えるということにしますれば、いまのような無国籍状態はなくなるわけでございます。世界的に見まして、私どもの把握しているところでは、現在私どもと同じような血統主義をとっている国の中で、男女同権という観点から父母両系主義をとっております国は五カ国ございます。そのほかの諸国、私どもの方でいま調べておりますが、調べたところでは両血、いま言った男女同権主義にしますと重国籍の子供がたくさんできるということからやはりちゅうちょしている国もたくさんございます。わが国でもその点については現在検討はしておりますけれども、いま言ったように、一番問題になりますのは重国籍の問題でございますので、果たして簡単に改正ができるかどうかいろいろ検討しなければいけない問題点がたくさんございます。  そこで私どもの方では、現在無国籍の子供につきましては気の毒な面は確かにございますので、なるべく早く救済したいということから、帰化の関係で申しますと、いまのような子供さんは日本人の子供でございますので、簡易手続で帰化できるというたてまえになっております。私どもの方は、そういう子供さんたちの帰化申請がございますれば、なるべく特別な配慮をして早く処理してほしいというふうに沖縄の法務局の方には連絡してございます。
  146. 上原康助

    ○上原委員 私もこれまでの議論の会議録もちょっと読ましていただいたのですが、国籍法を改正すると重国籍、いわゆる二重国籍者がふえることになるので問題だ。政府が、法務省が渋っておられる大きな原因はそれを言っておられるようです。そこで現在二重国籍を持っているのは、国際児はどのくらいいるのですか。
  147. 田中康久

    ○田中説明員 すみませんが、私どもの方では、そこの点の資料を持ち合わせておりません。ただ推測するところでは、数はたくさんいるだろうという推測はつきますが、正確な数はまだ承知しておりません。
  148. 上原康助

    ○上原委員 そうすると、いまの国籍法でもたくさんいるということなら、逆にいうと二重国籍はいるということ、二重国籍者がふえるということにならぬのじゃないですか。それは条件の問題でしょう。環境の問題でしょう。私が調べたのでは、六八年から七七年の十年間で、国籍法九条によって二重国籍になった方は二万四千六十九名、いまでもこれだけいるのですよ。そこでさっきお話しがありましたように、手続を簡素化してやりたい、それで無国籍の児童をなくすることができるということを言っているわけですが、私はやはり基本的人権の問題だと思うのです。生まれた子供には罪はないですよ。戸籍がない、登録もできない、国籍がない、入学もできない、外国にも行けない、成長して成年になっても就職もできない、これは明らかに問題じゃないですか。これをどうするかということを考えなければいけないということなんです。これは戦後の沖縄社会から生まれてきた大きな社会問題なんですよ。政治や行政がこの問題を解決すべきだと思うのです。まさに人権問題そういう立場で私たちは八十七国会から今国会にかけて国籍法の改正を提案しているわけですが、依然として改正の御意思が法務省にはない、大変遺憾です。  そこで国際人権規約を持ち出すまでもないですが、皆さんは国籍法との関連についてはどういう解釈をとるのですか。B規約、つまり市民的及び政治的権利に関する国際規約第二十四条第三項には、「すべての児童は、国籍を取得する権利を有する。」とはっきり明記してあるわけでしょう。しかもこの規約は八十七国会で承認されていますよ。もう効力を生じています。そこでもちろん皆さんはそのときに、この条約の承認に当たってはいわゆる留保条件をつけた。その中には公の休日についての報酬、あるいは同盟罷業をする権利、団結権等の制限、このことについてはわが国の法律との関係、実情に合わない面もあるので留保する措置をとった。だが二十四条の私が引用したことについては、政府は留保条件をつけていない。つけていないとすれば、明らかに二十四条を含めてこの規約を遵守し、尊重しなければいけない義務が生まれてくると思うのです。その点どうなんですか。
  149. 田中康久

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  その点につきましては、私どもは国際人権規約の規定が、当然子供に国籍を与えなければいけない義務を課しているものという規定ではないという理解をしていたわけでございます。確かに今度のような子供が無国籍になる事態があることは当然批准の際から承知しておりまして、私ども検討したときには、無国籍につきましては簡単な帰化手続で日本人になれるという道がありますので、それらを使えば無国籍児の解消は図れるだろうという考え方でおったわけでございます。
  150. 上原康助

    ○上原委員 あの当時はそういう考え方でおられたが、いま現実にこういう問題が起きて、帰化手続とかそういう面では解決しない点があるということになると、この条約との関係、いまの国籍法との関係、あるいは憲法十四条の平等の原則、そういう面から関連して、法務省、政府全体として考えなければいけない問題ではないのですか。あなたにそこまでお尋ねするのはどうかとは思うのですが、しかし御専門だからお答えください。
  151. 田中康久

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  私どもの方も、確かに無国籍の問題が生ずること自体避けたいというつもりで当然検討しておる点でございますが、その無国籍の解消策として、現在社会党から出されておりますような、男女同権というようなかっこうの国籍法の改正をするのがいいのかどうか。というのは、実はこの無国籍児の解消策としては一つの方法であることは間違いございませんが、それのもたらす影響というのはもっと大きい点があるわけでございます。特に先ほどから申し上げておりますように、男女同権主義というかっこうで父母両系主義、父親か母親が日本人であれば子供に国籍を与えるというシステムをとりますと、わが国の近隣諸国の場合はわが国と同じような血統主義をとっております。そうなりますと、わが国の女性とわが国の周辺の男性とが婚姻した場合には、わが国と周辺諸国との二重国籍になるわけでございます。  二重国籍になるとどうしていけないかといいますと、一応問題点としては三つございます。  一つは、国際私法の準拠法というのがございまして、その国際私法の準拠法はもっぱら夫の本国法によるという方向で立法されているのが多うございます。そうなりますと、夫というのはどこの国の人かということになります。その夫が二重国籍になっていますと、どこの国の法律を適用していいかというのがわからなくなるという点が一つございます。  それからもう一点は、外交保護権の問題でございます。国民については、外国で不利な処遇を受けた場合には、国として外交保護権を行使しなければいけないということになりますと、その外交保護権を行使すべき国というのが重国籍の場合には多数出てくるわけでございます。そうすると、外交保護権の衝突ということが生ずる可能性があるわけでございます。  それからもう一点は、忠誠義務の問題でございます。忠誠義務というのは、国に対して忠誠を尽くす義務。その中で一番問題になりますのは兵役義務でございますが、わが国は幸いなことに現在兵役の問題はございませんけれども、周辺諸国はどこでも兵役の問題がございます。そうなりますと、兵役義務との関係で当然衝突が生ずるわけでございます。たとえば、いま言った重国籍の状態をわが国で認めるとしますと、わが国の国民でありながらほかの国から兵役にとられるという問題が生ずることがあり得るわけです。そういうことは将来の国際紛争の種になるということから、現在は重国籍の防止が国籍法の立法の一番基本原則に世界的にもなっておる点でございまして、そこの点をどういうふうな解消をするか、重国籍の解消策がうまく図れないと将来の国際紛議の種になるということから、やはりどこの国でも消極論が残っているし、わが国でもやはりその点の検討を十分しないと改正には踏み切れないという考えでおります。
  152. 上原康助

    ○上原委員 理屈を言えば確かにそうでしょう。しかし、あなたがいま御答弁なさっているのは非常に典型的な例ですよ。何もそうめちゃくちゃに日本人と結婚したからみんな日本の国籍になるということじゃないわけでしょう、本人たちのオプションもあるわけでしょう。問題は、そういう一般論を言っているのじゃなくして、一応正規な結婚はしたけれども離婚をする、あるいは母親の親権をとろうとしたって、夫が行方不明であるとか、打つ手がないものがいま問題になっているのですよ。母親の保護で生活をしているんだが——沖縄の場合はほとんどが母子家庭だ。いまあなたがおっしゃったようなそういう問題はあるかもしらないんだが、それは入国管理法とか別途の法律のいろんな面での規制もあるわけでしょう。問題は、無国籍になっている国際児の人権をどうするかという観点からこの問題に焦点を当てていかないと、そういう理屈理論、法理論だけでは問題解決できませんよ。それはあなたがおっしゃることも一理はある、理屈でもある、御見解でもあるでしょうが、私はそういう問題を言っているのじゃないのです。しかし、最近そういった、いまあったような父系主義をとっている国だって、だんだん国籍法を改正されようとしているわけでしょう。  そこで、それは法律論だけではなかなか解決できない問題はあるんだと思うが、ただ、この国籍法の改正問題についてはわれわれ社会党も、何も男女同権、これは当然ですが、そういう観点から言っているのじゃないのです。さっき引用した国際人権規約の文言からしても、また前内閣法制局長官の真田氏も、七九年一月のジュリストで国籍問題についてちょっと書いておられるのですが、いまの国籍法の父系主義の原則は、憲法第十四条、法のもとの平等や、第二十四条、婚姻の男女平等権に照らして、全く問題がないと言えるかどうかは疑問である。「各国の国籍法の内容などをも勘案し、二重国籍というような事態が生じないように留意しつつ、検討してみるに値する問題でなかろうかと思う」と述べておられる。私は前法制局長官とは安保問題をいろいろやったが、必ずしも彼氏の言うことがすんなり受け入れられる問題でもなかったのですよ。しかし、国籍法の点についてはこういう御見解を持っているのですね。なぜ法務省だけがかたくなに理屈をこね回して、と言うとオーバーかもしれませんが、やるのか。この問題は少し考えなければいけないのじゃないですか。
  153. 田中康久

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  確かに先生御指摘のように、わが国でも現在、わが国の国籍法がやはり問題があるのではないかという指摘は、学者の先生方の中でもされておる例がございます。そこで、私どもの方も、諸外国の改正というのをある程度入手しましたので、その各国の改正の、なぜそういう改正をしたか、それから改正に至ったいわば一番の動機はどこにあったのか、そういう点を踏まえながら、それがわが国の置かれた実情と同じ状況であるのかないのか、仮に同じ状況でないとしても、わが国で果たしてそれを男女同権主義に踏み切るのがいいのかどうかという点を当然検討しなくちゃいけないと考えてはおります。  ただ、先ほどから申し上げておりますように、わが国の国籍法を改正するということになりますと、先ほど言ったような問題点をわが国でもどう解決するかというところを一応考えておかなければ、今後の問題としては将来禍根を残すということになろうかと思っております。そのためにはやはり慎重な検討を要するのではないかという考え方でおります。
  154. 上原康助

    ○上原委員 各国の国籍法も御調査の上で御検討はなさる。そこでそれは、検討するという国会用語は何も改正しないということにもなるようなんだが、やはり検討するには、改正案も出ているわけだから、改正を前提としての検討じゃないといけませんよ。どのくらいの期間かけて御検討なさるのですか。
  155. 田中康久

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  ただ、私から申し上げるのはちょっと問題かと思いますが、一応検討はしておりますけれども、その検討には各国の置かれた実情も当然ある程度把握しないと改正の動機というのがわかりませんので、やはり慎重な検討を要するということになりますし、わが国の場合には、わが国の周辺諸国との関係を当然考慮に入れなければいけないということから、わが国だけで簡単にやるというわけには当然いかないだろうと思います。御承知のようにわが国の周辺諸国も大体国籍唯一主義の原則をとっております。そのためには周辺諸国がその点についてどう考えていくかということも私どもである程度見込みがつかないと改正できないということになりますので、時間的にはそう簡単にできるというわけにはいかないだろうというふうに考えております。
  156. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、そう簡単にいかない問題であるとすると、それまでこの無国籍の児童をほっておくわけにはいきませんね。この点については否定しませんね。同感ですね。その措置はどうなさるのですか。
  157. 田中康久

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  その点につきましては、先ほどお話ししましたように、現在のところは日本人の子であるということから簡単に帰化手続ができますので、その簡単な帰化手続というかっこうで日本人になっていただきたいということを考えております。私どもの方も、先ほどから申し上げておりますように、那覇の地方法務局の方にはそういう児童についての帰化申請があった場合には特別な配慮をしてほしいという御連絡をしております。その連絡を受けて、沖縄の方でも那覇国際福祉事務所と協議会を開いたりそれから帰化相談の説明会に出席をして説明をしたりということをやっておるようですし、そのほかに那覇の法務局からは個別的にこの事件ならどうするかという打ち合わせが私どもの本省の方に来ておりまして、私どもの方からもこの場合にはこうした方がいいという特別な指示を与えております。
  158. 上原康助

    ○上原委員 この特別な指示の中身が聞きたいわけですが、国籍法第六条ですか、帰化することももちろんできるようにはなっているようですね・できるようにはなっている。しかしそれにはいろんな条件があるわけでしょう。条件として、公的機関で、いわゆるアメリカ人との場合ですと出先機関である総領事館あるいは領事館の発行する証明書を添付しなければならないわけですね。ところがそこでも外国人の子であるという書類なりその証明書が得にくい。無国籍児童が帰化するといってもそう簡単にいかないというのが実態なんですよね。あなた、簡単な手続で帰化できますと言う、それほど簡単な問題じゃないですよ。財政的な問題もあるのです。中には二十五万ドルも使ってアメリカ本国をあちこち夫を探し回ってようやく母親の親権をもらったという例だってあるわけですよ。こういう深刻な問題に対して、あなたがおっしゃるように何か役所に紙一枚持って日本人になりたいから日本国籍を与えてくださいと言えばできるような、そういう感覚だから困るのだよ。そういう問題じゃないですよ、これは。  じゃ、どういう帰化条件であるのか。どういう手続が必要なのか。どういう指示を具体的にアメリカ側なりあるいは那覇法務局にやっておられるのか。ここをひとつ明らかにしてください。
  159. 田中康久

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  日本人の子でありますると、帰化条件としましては日本にいることとそれから素行が善良なことというのが要件になってございます。ただ調査の前提としましては、この人が要するに日本人であるのか外国人であるのかということが当然判断しなくてはいけないことになりますので、そこの資料がどうしても要ります。それから、帰化されますとその人の戸籍をつくることになりますので、その戸籍をつくるためにはその人の身分、親との関係がどういう関係にあるのかということを戸籍に書かなければいけませんので、そのための資料をどうしても添付してもらう必要がございます。そのためにある程度の資料がどうしても要るということはやむを得ないことだろうと思います。どうしても資料がない場合につきましては、私どもでも便宜処理するということももちろんございます。  先生の御指摘の、私どもがいま沖縄から連絡が来ておるところで一番問題になっておりますのは、子供の帰化申請をする場合には親権者から帰化申請をしてもらわなければいけないということになりますが、その親権者がだれかという点が一番問題だろうと思っております。確かに、たとえば離婚されてこちらに帰ってこられて、子供さんと一緒にいられる。ところがだんなさんのアメリカ人はアメリカ本国のどこにいらっしゃるかわからないというような場合をどうするか。特に、そのときにたとえば離婚の判決の中で親権者は母親と決めていただければ私どもの方はその親権者、母親から申請していただければいいわけですけれども、離婚判決の中に親権を決めていないということになりますと、私ども考え方としては、親権が決まっていない状態でもし親権者でない者から帰化申請がありますと、その帰化申請自体が無効になり、帰化の結果日本国籍をとったと言いながら実は日本国籍がないということに場合によってはなるわけでございますので、どうしても申請の際の代理権というのははっきりさせてもらわなければいけないということから、確かにこういう場合どうするかといういろいろ細かい連絡が那覇の局から来ておりまして、私どもの方からも、その場合にはこうなるだろうという細かいお話をしてございます。特にいま言ったような場合には、家庭裁判所で親権者の指定をしていただければ問題がないということになりますので、私どもの方から、そうすべきでないだろうかという御連絡を那覇の方にはしてございます。
  160. 上原康助

    ○上原委員 そういうことはすでに私も、国際沖縄福祉事務所のレポートも見てみましたし、また関係者からも一若干意向も聞いてみたのです。  そこで、これは基本的には人権問題ですから、国籍法の改正はあくまでやるべきだということ。いろいろ問題があってそれに時間がかかるというならば、当面この国際児の無国籍問題を解決をする方法として、いま那覇の法務局ともいろいろ連絡をとって、ようやく法的にはこういう問題がある、帰化するにはこういうことをしなければいけないということを、沖縄弁護士会も対策委員会を設けて対策に乗り出していらっしゃる。同時に法務局もようやくそういうことになった。そこで具体的に、こういう面を完備をすれば帰化ができる、無国籍にならないというものを皆さんの方で整理をしていただいて、那覇の法務局あるいは沖縄県と連絡をとってやっていくということが一つ。これはできますね。  それと外務省、これはアメリカとの関係が多いわけですから、土井先生の質問に対しては園田前外務大臣は、いわゆる国籍法の改正問題も前向きに検討したい、同時にアメリカとのことであるから、これは日米関係であるので合同委員会なりしかるべき筋に話して解決をしていきたいということを言ったのだ。カーターさんも人権外交を打ち出している手前、こんなことをアメリカの方に大使館を通すなりしかるべきルートを通して協議をすれば、ぼくはもっと解決する方途は出てくると思うのです。この二点は少なくとも直ちに政府としてやっていただきたい。そしてその結果については御報告をいただきたい。いいですね。——お答えくださいよ、そんなしょんぼりせぬで。
  161. 福田博

    ○福田説明員 お答えいたします。  第二点の方について申し上げますと、従来からそういうケースがございますので、具体的には先生承知のとおり一方の親が米国人であってもう一人の親が外国人である場合、米国国籍法の規定によれば出生と同時に米国籍を取得するわけでございますが、その後一定の期間において米国に戻って居住をしないと米国籍を喪失するという規定が米国移民国籍法に二カ所ございます。一カ所につきましては従来から解釈規定をもってそういう規定について不利がないようにしているわけで問題がないわけでございますが、もう一方の部分につきましては従来から現に沖縄でそういう問題が生じておったということは事実でございます。ただし一昨年の十月十日、たしかアメリカの議会の会期の最終日であったと思いますが、移民国籍法の修正が行われまして、結局その国籍を喪失する該当要件というものは削除されまして、結局アメリカ側に戻って居住をしなくても米国籍を引き続き保持することができるということになりました。したがいまして、一般論といたしましては、要式行為さえ整えばアメリカ人の父親と母親が日本人である沖縄におられる方々が現実にアメリカ国籍を取得しないままでかつ日本側の国籍もないままで無国籍になるということは今後なくなるのではないかと思っております。  ただこれは一般論でございまして、個々の具体的なケースにつきましては沖縄にあるアメリカ総領事館なり何なりにいろいろ申請をしていただくとか打ち合わせをしていただくということがまた必要でございましょうし、いまのアメリカの法律改正が行われましたので、これによって問題は大分片づくはずでございますが、具体的なケースごとにおいて、アメリカ総領事館等との間で大きな問題が生ずるというような場合にはまた御相談にあずからしでいただきたいと思っております。
  162. 田中康久

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  私どもの方も、先ほど来申し上げておりますように無国籍の子供ができること自体をなるべく避けたい、このこと自体はわが国の国籍法もそれを前提としておるわけでございますので、無国籍が生じないように特段の配意をする、もし生じた場合にはその場合の救済措置について特段の配意をするように那覇地方法務局の方には今後ともその点の指導をしたいというように思っております。
  163. 上原康助

    ○上原委員 それでは法務省は、この件で、いま改めて沖縄の国際児の無国籍問題を解決するためにどういう手だてをすれば解決できるというような指示文書なり何なり公式に出してください。内容を含めてですよ、いいですね。
  164. 田中康久

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  現在のところ、先ほど来申し上げておりますように、わが国の国籍法からいきますと一たん無国籍になった人は帰化をしなければ日本国籍は取れないわけでございますので、もし無国籍の子供につきましてはその帰化手続を簡便にするようということは、前から私どもの方から那覇地方法局長あてに連絡している点でございます。  その内容は、先ほど来申し上げましたけれども、個別的にいろいろな事情があろうかと思いますので、その個別事案に応じ私どもの方で相談に十分乗りたいと考えております。
  165. 上原康助

    ○上原委員 これは総務長官、開発庁長官だ、どっちでもいいでしょうが、いま申し上げたようにこれは政治の問題でもあるのです。あなたは沖縄の長官としてやはり外務大臣なり法務大臣ともお話しになって、事務当局だけに任すんじゃなくして早急に解決するように特段の御配慮をいただきたいのですが、いいですね。
  166. 小渕恵三

    小渕国務大臣 担当いたしております沖縄県の中にそのような事態が生じておること、まことに残念のきわみだと思います。  先ほど来法務当局、外務当局から十分御説明がありましたが、私といたしましてもその長たる外務大臣あるいは法務大臣とも十分相談いたしてまいりたいと思います。
  167. 上原康助

    ○上原委員 時間がたってあと三分くらいしかないですが、少し延ばしてもらって。ちょっとだけ、できるだけ簡単にしますから。  先ほど来お話があったのですが、例の使用済み核燃料処理工場建設問題ですが、さすがの西銘知事も核再処理工場は反対だという表明をなさったようでほっとしているのですが、先ほども同僚議員から御質問がありましたように、これは政党とかなんとかという問題じゃないですね・こういう話が出てくるとは一体沖縄を何と思っているのか。いまの無国籍問題も社会問題としてある、全国の五三%の米軍基地はある、ジェット機からはガソリンタンクがおっこちる、弾は飛んでくる、パラシュート訓練は夜間も昼もどんどんエスカレートしてやっている。こういう状況の中にまた核再処理工場まで沖縄に持っていくなんて、一体政府沖縄をごみためと思っているの。われわれはこれだけは絶対だめ。  そこで、この間の分科会でもお聞きしたのですが、原燃サービス株式会社が建設していくんだから場所の選定なども向こうの方だというわけなんだが、やはりこれは国策会社でしょう。国策でしょう。原発問題も再処理工場設置の問題も国策であるとするなら、エネルギー庁、通産省、政府全体の問題。そこで仮に原燃サービス株式会社で西表がいい、あるいはそのほかの沖縄の離島がいいというような方向が出た場合には、一体政府はどうなさるのですか。われわれは断じてだめだ。これに対してはここではっきりお答えくださいよ。沖縄、西表も対象にした調査を皆さんは考えているのか、いま言ったような状況もあるので、そこは遠慮した方がいいというようなお気持ちがあるのか。こそこそやっては困るのだ。
  168. 熊野英昭

    熊野説明員 お答えいたします。  けさほども天城先生の御質問に対しまして御答弁申し上げましたように、原子力の開発利用の推進のためには再処理事業が緊要の課題であるというふうに考えております。このためわが国といたしましては、六十五年度運転開始を目標に商業プラントでございます第二再処理工場建設を行うこととしているわけでございます。このため先般、関連業界百社によりまして日本原燃サービス株式会社が設立されたことは御高承のとおりでございます。  この立地点の問題に関しましては、同社が自然環境、社会環境、地元の意向等に十分配慮しながら具体的立地点を選定していっていただきたいと考えております。したがいまして、現時点におきます立地問題に対する国の立場は白紙の状態でございまして、今後の同社によります立地調査の進展を待って検討を行い、所要の指導助言をやっていくことになろうかと思います。  なお、立地地点の選定が地元の意向を無視した形で進められるようなことは実際問題としても考えにくいことであろうかと存じますけれども、国といたしましてもそのことがないよう、また地元の理解を十分得る努力をしながら立地選定を進めていくよう十二分な配慮と適切な指導をやっていく所存でございます。
  169. 上原康助

    ○上原委員 それは地元の意向を無視してできないでしょう。もう地元ははっきりしているのだ。竹富町長もだめ、西銘さんもだめ、自民党の議員もだめ、社会党もだめ、公明党もだめ、共産党もだめ、民社党も恐らくだめでしょう。あとだれが賛成しているのですか。それは国策といっても、そこまでは皆さん少し——いや、笑い話ではないですよ、それは。深刻な問題ですから、お考えになっていただかないと。そこで、いま地元の意思を無視してはできない、尊重するということ、これはひとつ政府の統一見解として持っていただいて、いろいろ原発問題では賛否両論あるでしょう。エネルギー資源確保の問題もわれわれもそれは否定はしません。しかし、何で沖縄だけにそういうあれを持っていくの。  環境庁来ていると思いますが、ぼくは環境庁からいろいろ資料を取り寄せてみたのです。この地図まで見せる必要はないと思うのですが、西表というのは申し上げるまでもなく宮古、八重山、台湾、こういう中間に位置しておって、一面においては豊富な漁場ですよ。同時に、国立、国定公園に半分以上指定されている。そういう自然環境保全という面からしても、原発問題はあなた、スリーマイル島の問題を持ち出すまでもなくどんどん事故が起きているでしょう。それよりもなお、核燃料処理というのは高度の、濃縮ウランとかいろいろと出る、可能性はありますよ、あなた方も知っているが。事故が起きたらどうする。そういう意味でああいうところに核燃料工場を立地させるということは私は不適正だと思うのですが、環境庁はこれからの西表の環境保全という面、そういう立場から考えてどういう御見解を持っているのか、ちょっとお聞かせください。
  170. 高峯一世

    ○高峯説明員 いまお話がございましたように、西表の地域には西表国立公園がございます。そういった意味で自然環境保全上重要な地域がございますので、そういった地域について自然破壊それから環境破壊といったことが起こることは望ましくないわけでございますが、何分具体的な立地場所その他まだ承知いたしておりませんので、いま申し上げましたような基本姿勢のもとに、具体的な計画を承知いたしました際に、具体的な対処策を明らかにしていきたいと考えております。
  171. 上原康助

    ○上原委員 そこで、開発庁長官、先ほども担当大臣でないとか担当省でないとかいうことで、ちょっと逃げの御答弁だったのですが、まずは、この種の問題は地元の意思を無視してはいけないということははっきりしていますよね。あなたも沖縄の事情についてはわからぬお方じゃないと思う。私が申し上げたことも、まるまる否定はできないでしょう。そういう立場で、沖縄振興開発、西表の環境保全その他という面からしても、このことについては御一考願いたい。その基本姿勢で、これから通産省なり関係省庁とも話し合って、県民の期待を裏切らない対応をとっていただけますね。
  172. 小渕恵三

    小渕国務大臣 処理工場沖縄建設するという話自体まだ聞いておりませんので、何とも申し上げられませんが、いずれにいたしましても、地元の意思を無視してそうしたものが立地できるということはありませんので、開発庁長官としては、沖縄の事情を十分踏まえて対処してまいりたいと思います。
  173. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつわれわれがきょう指摘をしたことを踏まえてエネルギー庁も科学技術庁もやってもらいたいと思います。  施設庁来ていただいたのですが、時間の都合でもう後日にしますので、御了解をいただきたいと思います。  以上で終わります。
  174. 河村勝

    河村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十二分散会