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夏目忠雄君
総理は、就任早々、いわゆる田園都市
構想というものを発表されまして、この
指導理念のもとに既存の
政策の配列を見直す、そのために必要な権限と財源は地方に大幅に移譲しよう、こういうことを申された。私はもう非常に――私の自論は、要するに既存の
政策というものは縦割りで金でつる
政策なんだ。これを見直して地方に責任を持たせる。いまのようなやり方をやっていると、地方行政というものは親方日の丸になる、物ごい行政になって結局第二の国鉄になってしまうということを非常に心配しておったから、
総理のその発言に私は非常に感銘し、深い敬意を表しておったんです。ところが、二月一日ですか、この
構想を一歩進めるに当たって、
関係十六省庁の合意を見たという文書が発表された。それを見て私は実に唖然としてしまった。というのは、美辞麗句は並んでおる。しかしながら、いままでの既存の
政策を見直すというものに対する真剣なアプローチが一つも出ておらぬ。あるものは、ただ定着圏
構想というものを進める、こういうことだけだ。定着圏
構想というものは、私に言わせれば新しいただ補助金
政策を一つふやしたというだけなんだ。国土庁は、いやそうじゃないと言うでしょう、恐らく。そうじゃないとおっしゃるけれ
ども、補助金とか補助率のかさ上げなんということは
考えていないとおっしゃるけれ
ども、しかし、そこへ財源的な裏づけ、事業費なり起債なりの重点配分をするということになれば、やっぱり
財政的な裏づけで金でつるということなんだ。だからこそ、各市の市長さんはみんな指定騒ぎを起こして、かつての新産都市の二の舞いを演じようとしている。新しいただ補助金
政策を一つふやすというだけに終わったこの二月一日の十六省庁の合意というのは、
総理のねらっておるところを真正面に取り組まないでやっておる、こういうふうに私は見ざるを得ないのであります。この点、ぜひひとつ走っている方向を私は直してもらいたい。私は
自治大臣に申し上げたいんだが、
自治省は従来から折に触れ時に応じて地方分権の主唱者としてやってきておったんだが、この際、いたずらに受け皿はどうだとかという受け皿論争とか地方債による先行方式だというような小手先のことではなくて、とにかくできないことはやらない、できないことは言わないという
総理のもとに、
総理がはっきり必要な権限と財源は地方に任せようと言っておるんですから、
自治省にとっては千載一遇の好機なはずだ。そういう小手先の論争よりは、真正面から取り組む姿勢はありませんかということを
自治大臣にお聞きしたいのであります。
それからそうは言うても、
大平さんが言うように、私は片っ端からそうはでなことができるものだと私も思わない。思わないけれ
ども、たとえば、私はたとえばで二点だけ挙げまするが、たとえば幼稚園、それから厚生省の保育行政、これなどは
総理が言われておる家庭生活の基盤という上から見れば非常に大事な問題なんです。この二つのセクションを一つのものにまとめてやるというモデルシステムをそういうことから取り組んでいったらどうだ。また、私が調べたところによりますると、農村地帯の集合研修、保健体育、こういったような補助金行政が、要するに農村に鉄筋コンクリートの建物をつくって、集まったり、
指導したりする建物だ。この建物をつくるのに、農林省の中で地域計画課、構造改善課、就業改善課、国土庁では豪雪地帯振興課、厚生省では地域保健課、栄養課、母子福祉課、まだある、十幾つ。農村にコンクリートの
集会施設の建物をつくるのにこういうことをやっているわけだ。これなどは一まとめにして、挙げて地方
自治体に任せるというようなシステムを真正面からお取り組みになったらどうか。モデル地域というものは一県に一つということではなくて、各省に一つずつモデルシステムをおつくりになったらどうか、こういう私の
考え、これに対する
国土庁長官のまとめ役としての御返事をお聞きしたいと思う。