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1979-02-10 第87回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月十日(土曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 古川 喜一君    理事 愛野興一郎君 理事 楢橋  進君    理事 山崎平八郎君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 利春君 理事 中西 績介君    理事 野村 光雄君       篠田 弘作君    藤田 義光君       三池  信君    岡田 春夫君       鍛冶  清君    米沢  隆君       安田 純治君    甘利  正君  出席国務大臣         通商産業大臣  江崎 真澄君         労 働 大 臣 栗原 祐幸君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     天谷 直弘君         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 豊島  格君         労働省労働基準         局安全衛生部長 野原 石松君         労働省職業安定         局失業対策部長 北村 孝生君  委員外出席者         北海道開発庁港         政課長     岡田 稔秋君         通商産業省大臣         官房参事官   石川  丘君         労働省労働基準         局労災管理課長 中岡 靖忠君     ───────────── 委員の異動 二月八日  辞任         補欠選任   森田 欽二君     増岡 博之君   中川 秀直君     菊池福治郎君 同日  辞任         補欠選任   菊池福治郎君     中川 秀直君 同月十日  辞任         補欠選任   稲富 稜人君     米沢  隆君   中川 秀直君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   米沢  隆君     稲富 稜人君   甘利  正君     中川 秀直君 同日  理事稲富稜人君同日委員辞任につき、その補欠  として稲富稜人君が理事に当選した。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  石炭対策に関する件      ────◇─────
  2. 古川喜一

    古川委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  石炭対策基本施策について、江崎通商産業大臣及び栗原労働大臣より、それぞれ発言の申し出がありますので、これを許します。通商産業大臣江崎真澄君。
  3. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ごろ、大平内閣の発足に当たりまして通産大臣に任ぜられました。その後鋭意努力をいたしておる次第でございます。  第八十七国会における衆議院石炭対策特別委員会の御審議に先立ち、石炭政策につきまして私の所信一端を申し述べさせていただきます。  御承知のように、政府は、昭和五十年七月の石炭鉱業審議会答申を受け、目下、第六次石炭政策推進しているところでありますが、この間、昭和五十三年十月には総合エネルギー調査会基本問題懇談会報告において、石油代替エネルギー開発導入促進の重要な柱として、石炭利用推進につき御指導をいただきました。また最近OPEC原油価格引き上げを初め、イラン中心とする国際的な石油情勢流動化国際エネルギー機関IEAにおける検討の進展等を背景に、世界的に石炭の見直しがいよいよ本格的な潮流となろうとしております。このような状況にかんがみまして、政府としましても、総合エネルギー政策一環として、石炭利用推進を目指して、第六次石炭政策を意を新たにし、鋭意推進してまいる考えであります。  具体的には、まず石炭が貴重な国内資源であり、石油への過度の依存を低減させる上で重要なエネルギーであるとの基本認識のもとに立ち、現下石炭需給状況等も勘案し、国内炭生産を長期的に維持するよう努めてまいることといたします。このため需要業界等協力により、石炭火力建設促進国内炭引き取り円滑化等需要確保に努めますとともに、各般にわたる助成措置実施により、石炭鉱業経営の安定を図りながら、生産体制改善を一層図ってまいる考えであります。  その際、保安確保国内生産維持のため不可欠の前提条件であります。したがって、今後とも保安確保対策を一層充実してまいる考えであります。  また、今後の石炭需要拡大に応じて、国内炭利用とあわせ、長期的に海外炭開発輸入を計画的に拡大していくため、探鉱資金融資制度等を活用しながら着実に施策を展開してまいりたいと考えております。  さらに今後の石炭利用拡大させる決め手技術研究開発であることにかんがみ、当面のNOx防除技術等開発とともに、石炭ガス化液化技術等石炭利用技術開発につき、必要に応じまして国際協力も図りながら、積極的に推進する考えであります。  なお、鉱害対策及び産炭地域振興対策につきましても、従来から国土の保全及び民生の安定並びに産炭地域における鉱工業の計画的発展等を目的として実施されてきたものでありますが、今後ともその重要性にかんがみ、引き続き所要措置を講じてまいる考えであります。  これら施策実施につきましては、昭和五十三年度に引き続き、昭和五十四年度の石炭及び石油対策特別会計予算案においてそれぞれ所要財政措置を講じております。  衆議院石炭対策特別委員会の皆様におかれましては、こういう方針を御理解の上、今後とも石炭対策に御支援と御協力をいただきますようよろしくお願い申し上げまして私の所信表明といたします。(拍手
  4. 古川喜一

  5. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 石炭対策特別委員会の御審議に先立ちまして、石炭鉱業における当面の労働問題について、一言所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を得たいと思います。  わが国が、安定した経済成長維持し、国民福祉向上を図っていくためには、エネルギー安定的供給確保が不可欠の前提要件であることは申すまでもありませんが、近年、エネルギーをめぐる国際環境が一段と厳しくなり、この問題の重要性はとみに高まっているところであります。  政府におきましては、総合エネルギー政策一環として、国内炭生産維持等を柱とする新石炭政策推進に努めているところでありますが、これを円滑に推進するためには、石炭鉱業経営の安定を図るとともに、石炭鉱業における保安確保労働生活環境整備等により、炭鉱労働者の就業の安全と雇用の安定、福祉向上を図ることが必要であると考えております。  このため、労働省といたしましては、通商産業省との十分な連携のもとに、炭鉱災害防止に努めるとともに、じん肺等に関する健康診断の徹底、労災保険制度の的確な運用等により炭鉱労働者の保護に努めてまいります。  また、労働生活環境改善整備につきましては、雇用促進事業団融資制度等を活用し、労働者住宅福祉施設整備拡充等を図る所存であります。  さらに、離職者対策につきましては、現下雇用情勢にはまことに厳しいものがありますが、石炭鉱業合理化によりやむなく炭鉱を離職された方々に対しましては、炭鉱離職者臨時措置法に基づく各般就職援護措置中高年齢者に対する雇用対策を積極的に推進し、早期に安定した職場に再就職できるよう鋭意努力してまいる所存であります。  以上、石炭鉱業における当面の労働問題について、所信一端を申し上げました。  今後とも委員各位の御意見を十分拝聴して行政の推進に努めてまいりたいと思いますので、何とぞ御支援、御指導をいただきますようお願いを申し上げる次第であります。(拍手
  6. 古川喜一

    古川委員長 次に、昭和五十四年度通商産業省所管石炭関係予算概要について、政府から説明を聴取いたします。資源エネルギー庁高瀬石炭部長
  7. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 それでは、昭和五十四年度石炭対策予算について御説明申し上げます。  お手元にお配りしてございます資料につきまして御説明申し上げます。  昭和五十四年度石炭対策予算案はその資料のとおりでございます。  昭和五十四年度石炭対策予算予定額は、石炭及び石油対策特別会計のうち、石炭勘定分千二百九十三億三千五百万円となっております。  なお、石炭利用推進を図るために、このほかに同特別会計石油勘定石炭液化技術開発関係十四億六千九百万円、電源開発促進対策特別会計石炭火力発電所ばい煙処理技術信頼性実証試験等委託費十一億五千七百万円等が計上されております。  昭和五十四年度石炭勘定においても、前年度に引き続き、昭和五十年七月の石炭鉱業審議会答申の趣旨に即し、かつ、現下石炭をめぐる環境状況を踏まえて、石炭需要確保石炭鉱業生産体制改善石炭鉱業保安確保等の諸施策実施するとともに、鉱害復旧産炭地域振興炭鉱離職者援護等施策を引き続き推進することとしております。  昭和五十四年度の石炭勘定予算予定額は、歳入歳出いずれも千二百九十三億三千五百万円であり、前年度当初予算額に比べ十億三千五百万円、一%弱の増となっております。しかし、昭和五十四年度は、石炭鉱業元利補給金石炭鉱業再建交付金の一部、及び炭鉱整理促進費補助金の一部が予算措置を講じないで済む当然減となり、これらの合計約百十億円を考慮しますと対前年度比一〇%強の実質の伸び率となるものと考えられます。  まず、歳入につきましては、原重油関税収入千五百四十億円のうち、千分の八百十八に相当する千二百六十億円を石炭勘定に組み入れることとし、これに前年度剰余金受け入れ等三十三億三千五百万円を加えたものでございます。  次に、歳出主要内容につきまして、石炭鉱業合理化安定対策鉱害対策産炭地域振興対策及び炭鉱離職者対策の四本の柱に沿って御説明申し上げます。  第一に、石炭鉱業合理化安定対策につきましては、国内炭二千万トン体制維持石炭利用技術開発推進等を目指して各般施策を引き続き推進していくこととしております。特に、最近の国内炭需給状況を踏まえ、石炭需要確保石炭鉱業生産体制改善等施策に特段の意を用いるつもりでございます。  初めに、炭鉱整理促進費でございます。いわゆる閉山交付金及び離職金原資でございますが、新規閉山が予定されておらず、従来からの特別交付金三億一千三百万円のみを計上いたしております。  次に、石炭鉱業生産体制改善対策費でございます。石炭ガス化技術開発委託費等技術開発関係予算及び坑内骨格構造整備拡充事業費補助金拡充重点を置いております。また、将来の炭量維持拡大に資するため、引き続き国内炭開発可能性調査炭鉱周辺石炭資源開発調査実施することといたしております。  石炭鉱山における坑内骨格構造整備拡充は、保安確保しつつ長期安定出炭を図っていく上できわめて重要であります。坑内骨格構造整備拡充事業費補助金につきましては、深部化に伴う工事単価増高を考慮し、従来据え置かれていた補助金限度額アップを図るとともに、所要工事量に対応して九十億三千五百万円の予算を計上しております。  また、石炭利用推進していく上で技術開発決め手になることにかんがみ、従来一般会計措置していた高カロリーガス化技術につき研究開発段階進展を考慮し、昭和五十四年度は石炭勘定措置するとともに、低カロリーガス化発電技術につき研究開発の一層の促進を図るため、石炭ガス化技術開発委託費として十六億九千三百万円計上しております。また、石炭火力用乾式脱硝技術等、短中期に実用可能な石炭利用技術開発を引き続き推進するとともに、本委員会での決議において重要課題として取り上げられました急傾斜採炭機械化研究開発新規に取り組むこととし、石炭技術振興費補助金七億円を計上しております。  次に、石炭鉱業合理化事業団出資金でございます。これは、同事業団石炭企業に対して行う近代化のための設備資金融資経営改善のための運転資金融資等原資に充てるものでございますが、近代化設備のための貸し付け規模を百三十億八千万円及び経営改善資金貸し付け残高規模を当面二百四十億円に拡大するなど石炭企業資金調達円滑化に万遺漏なきを期するつもりでございます。  次に、石炭鉱業経理改善対策費でございます。本件項目には、石炭企業累積債務財政による肩がわり措置等を計上しておりますが、第一次肩がわり終了及び第二次肩がわり市中金融機関分終了に伴い八十億円を超える当然減が予定され、その結果百八十一億六千四百万円となっております。  次に、石炭需要確保対策でございます。現下内外炭価格差油炭価格差等に起因する石炭需給状況を勘案するとともに、長期的に国内炭二千万トン体制維持していくためにも需要確保が最大の課題であります。このため石炭火力発電所建設促進と割高な国内炭引き取り円滑化が必要であります。このため、北海道電力株式会社苫東厚真発電所建設計画どおり推進のため、産炭地石炭火力発電所建設費補助金十九億五千九百万円を計上するとともに、電源開発株式会社排煙脱硫装置設置交付金四十二億九千四百万円を計上しております。また、石炭増加引き取り交付金については、近時の内外炭価格差及び油炭価格差のもとでの国内炭引き取り維持拡大を図るため、従来の電源開発株式会社向けに加えて北海道電力株式会社向け及び鉄鉱業向けにも交付することとし、前年度比二十七億三千二百万円増の四十億八千百万円を計上しております。  次に、石炭鉱業保安確保対策費でございます。石炭対策上、保安確保を最重点項目一つとして昭和五十四年度には、深部化に伴う保安工事単価増高にかんがみ、また、急傾斜炭鉱における保安工事推進の観点かち、充てん工事及び仕繰り拡大工事に対する補助金限度額アップを図るなど、鉱山保安確保事業費補助金を六十二億二千五百万円に増額することを中心保安確保対策費として対前年度比八億二千二百万円増の七十八億七千九百万円を計上しております。地方公共団体の行うボタ山災害防止工事を計画的かつ早急に推進するため、ボ夕山災害防止工事費補助金補助率を、主要なものにつき四分の三に引き上げる等の制度改善を図るとともに、必要工事量に対応し十三億一千九百万円の予算を計上しております。  次に、石炭鉱業合理化事業団補給金及び海外炭開発調査等に必要な経費につきましても、それぞれ所要資金確保しております。  第二に鉱害対策費でございます。  昭和四十七年に策定された鉱害復旧長期計画に基づき年々着実に鉱害復旧がなされてきておりますが、現在なおかなりの鉱害が残存しており、その計画的復旧が重要な課題となっております。このため、昭和五十四年度の鉱害対策費として四百五十六億百万円を計上しておりますが、これは前年度予算額に比べ二十七億七千九百万円の増となっております。  このうち鉱害復旧事業資金補助金は、前年度に比べ四十億円増の四百億九百万円を計上し、これによる復旧事業費を五百四十一億七千四百万円に引き上げ残存鉱害早期完全処理を目指し最大限の努力を払うこととしております。  なお、石炭鉱害事業団出資金でございますが、鉱害賠償資金等貸し付け規模を四十億四千二百万円とし、自己資金等の増加を勘案し、これに必要な原資として三億円出資することとしております。  第三に、産炭地域振興対策費でございます。  昭和五十二年十一月に改定された産炭地域振興実施計画推進を図るため、前年度予算所要制度改正等を図ったところでありますが、昭和五十四年度は六十四億六千二百万円の予算を計上し、一層の推進を図ることとしております。  産炭地域振興臨時交付金は、石炭鉱業閉山による財政的疲弊の著しい産炭地域六条市町村に対し交付金を交付するものでございますが、昭和五十四年度におきましても、特定公共事業に対する調整額増額を図り、生活環境施設等整備円滑化に資することとしております。  次に、地域振興整備公団出資でございますが、近時大型団地造成も増加していることをも考慮し、工業団地造成事業円滑化のため十億円を計上いたしております。  第四に、炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費でございます。これらは労働省所管でございますので、後ほど労働省から説明させていただきたいと思います。  最後に、国債整理基金特別会計への繰り入れ、予備費等でございますが、ほぼ例年どおり計上しております。  予算説明は以上でございます。
  8. 古川喜一

    古川委員長 次に、昭和五十四年度労働省所管石炭関係予算概要について、政府から説明を聴取いたします。労働省北村失業対策部長
  9. 北村孝生

    北村政府委員 労働省所管分について御説明申し上げます。  昭和五十四年度石炭及び石油対策特別会計石炭勘定における労働省所管分合計額は、資料最後の欄にあります百七十三億二千百万円でございまして、前年度当初予算額に比べて金額で五億七百万円、率にして三%の増額となっております。  労働省といたしましては、五十四年度においても、炭鉱を離職された方々に対しまして、就職促進手当支給を初めとする各般援護業務職業訓練などを実施し、その再就職促進を図るほか、炭鉱離職者緊急就労対策事業及び産炭地開発就労事業実施などの対策を引き続き推進いたしてまいりたいと考えております。  次に、予算額の主要な内容について御説明申し上げます。  まず、炭鉱離職者援護対策費でございますが、八十六億二千八百万円を計上いたしております。  本件項目には、第一に、炭鉱離職者援護対策事務費がございます。石炭鉱業合理化に伴いやむなく炭鉱を離職された方々に対しましては、専任の就職促進指導官により濃密な職業相談職業紹介あるいは職業指導実施いたしておりますが、これに要する経費として五億七千五百万円を計上いたしたものでございます。  第二は、炭鉱離職者緊急就労対策事業費補助金でございます。これは、緊急就労対策事業実施いたしております地方公共団体に対しまして、その事業費の一部を補助いたすものであります。緊急就労対策事業につきましては、産炭地域での現下雇用失業情勢事業就労者生活の実態などにかんがみ、五十四年度におきましても引き続き実施いたすべく、五十八億八千九百万円を計上いたしたものでありまして、対象人員は二千六百人、事業費単価は前毎度比七・七%アップの八千七百二十円を予定いたしております。  第三は、炭鉱離職者援護事業費補助金でございます。これは、雇用促進事業団に対する補助金でございまして、移住資金広域求職活動費、再就職奨励金などの炭鉱離職者に対する援護事業に要する経費で、六億八千二百万円を計上いたしておりまして、再就職奨励金などの支給額引き上げを図るなど、制度の充実に努めることといたしております。  第四は、炭鉱離職者職業訓練費補助金でございます。職業訓練につきましては、炭鉱離職者対策の主要な柱として、その推進に努めているところでございますが、これを実施いたしております都道府県の訓練経費補助として一億四千万円を計上いたしたものであります。  第五は、炭鉱離職者就職促進手当経費でございまして、手当最高日額は前年度比七・四%アップの三千三百円に増額を予定いたし、十三億四千万円を計上いたしております。  なお、これらの炭鉱離職者援護対策費のうち、対前年比較で減になっている事項につきましては、要対策人員減少見込みによるものでございます。  次に、産炭地域開発雇用対策費でございますが、八十六億九千三百万円を計上いたしておりまして、前年度に比べまして六億三千百万円の増額となっております。このうち産炭地域開発就労事業費補助金につきましては、対象人員三千二百人、事業費単価は前年度に比べまして七・八%アップの一万二千四百円を予定いたしております。  簡単でございますが、以上が労働省関係石炭及び石油対策特別会計予算案概要でございます。     ─────────────
  10. 古川喜一

    古川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。
  11. 愛野興一郎

    愛野委員 大臣施政方針につきまして若干御質問をいたしたいと思います。  わが国国外エネルギー依存原油依存しておるということから、ただいまの御方針もいろいろと御苦心がなされておるというふうにお聞きをいたしたわけであります。最近のイラン情勢につきましては、外務省のみならず、米ソ両国もまさにいろいろな手だてをいたしておると申しますか、要すれば非常に混迷をいたしておるわけであります。先般アメリカシュレジンジャー資源エネルギー長官も、このイラン情勢に関連をして今回の石油情勢というものはきわめて深刻なものであるというふうなことを言われておるわけであります。わが国石油ショックの体験から、今日の段階では非常に的確な施策をしていただいておるというふうに私は思っておるわけでありますが、イラン情勢中心として世界石油情勢について、なお産業界やあるいは国民全般現状並びに将来に対する危機感があることはまた否めない事実であります。  そこで、現状をどういうふうに判断をされ、どういうふうに対処していかれるのか、また世界イラン中心とした石油情勢わが国への影響が今後どう展開をしていくのか、その御判断と対処の御方針についてお伺いをいたしたいと思います。
  12. 江崎真澄

    江崎国務大臣 きわめて重要な御質問だと思います。これは予算委員会でもしばしば問題になったところでありまするが、イラン政治的動揺のために生産がストップして、昨年の十二月から全然船積みをしなくなりました。それからわが国としては、イランを除くOPEC諸国の増産への依存、要するに積みかえ積み増し、そういったことで当面はしのぐことができたわけであります。一方また在庫の取り崩し、これはどうもいたし方のないことだというふうに思います。世界各国ともそういう傾向をたどっております。  そこで、ちょっと時間をとりまして恐縮ですが、業界それから政府備蓄の動向、その他全体をひっくるめまして一――三月七千二百万キロリットル、要するに昨年と同量を大体確保できるという見通しがつきましたのを契機にして、私ども通産省エネルギー庁としても一つの基本的な考え方をまとめました。そして一昨日これを公表するとともに、昨日は大平内閣総理大臣に詳しく実情を御説明しまして考え方を確定した、こういう経緯もありまするので、ちょっとその間の消息、情勢などについても詳しく御報告をしてみたいというふうに思います。  一月三十日にパリにおいて、これは非公式な会合ということになっておりまするが、IEA事務局会合があったわけです。これには私どもから真野国際経済部長を参加させました。そして、いろいろ会議を通じ、同時にまたアメリカとかECとかオランダ、それからIEA事務当局などとの個別会談を通じまして結論的に言えることは、どうも前の石油ショックのときには備蓄の量も少なかったが、大あわてをすることによって、それぞれの国々が相当混乱を来した。一方ではまた業者が不当な利益を占めるというような傾向も見られた。したがって、今度のイラン情勢などについては、やはり前の石油ショックにこりてIEAという新しい相互協力機関もできておることであるし、的確な情報をキャッチして冷静に対応をしようではないか、こういう結論に達した。まことにもっともな、私どもが同感できる結論だと思います。  イラン石油世界消費のおおむね一二%を占めるというふうに言われております。したがって、わが国の場合は、よく二〇%依存度ということが言われまするが、一九%強程度イラン依存をしておる。ピーク時には三〇%以上をイランから輸入しておったようでありまするが、輸入先多国化という原則に基づいてだんだん減らしてはきておるわけですね。端的には、備蓄も、公団備蓄、それから民間備蓄合わせまして九十二日分、これは十二月現在ですがありまするので、さしあたって心配はないが、もとより長期に及べばこれは影響は当然受けるわけでありまするので、一月二十二日に省エネルギー・省資源対策推進会議政府としても正式に開きまして、まず官庁が節約の模範を示す、そして民間にも協力を求める。特に民間は、石油が四倍、五倍というふうに値上がりをいたしました段階で相当節約をいたしておりまするので、節約余力は十分とはいえませんが、一般国民の電気消費を初めとするエネルギー消費とというものは、あのピーク時よりも四%近くアップしておるわけですから、まあそういった節約を大いに求めようということで、国民の皆さん方にも呼びかけをいたしたというわけであります。  さて、そこで結論的に言いますると、イランの政治不安が他の中東諸国へ影響して同じような混乱が起こるとすれば、これは大変困るわけでございまして、そういったことを今後の不安定要因として私ども非常に心配をいたしておるわけであります。ところが、過去の石油危機の場合と対比いたしまして、安定度が増した条件、それからまた不安定要因、これを分けて考えてみますると、まず第一に、安定度を増しておる要因としては、たとえば北海油田が開発された、アラスカ油田の開発がなされた、それからいまの原子力を初め石炭利用などを推進することによって代替エネルギー開発をされたり、また利用転換が図られてきたということですね、過去五年間において。  それから第二点は、各国の備蓄水準が高まった。わが国の五十九日間、あの当時の石油ショックのとき。これが九十二日になっておる。  それからいまの、前回の危機にこりて相互協力機関としてできたIEAという緊急融通の新しい制度も整っておる、整備されておる。  それから四番目には、OPEC協力的態度。前回のときは売り手側のOPECと買い手側の消費国等は対立的な関係でありましたが、今度はイランによってOPECとしては迷惑をかけてはならないということで、サウジを初めイラクとかクウェートとかナイジェリアといったような国々が増産に向けて協力をしておってくれる。これなどは非常に前とは違って安定度を増しておる要因だと言えると思います。  それじゃ不安定な点はどうかといいますると、油が高くなって相当省エネルギーが進められておるだけに、省エネルギーの余地というものが少なくなっておるということ。  それから二番目には、OPECの工業化計画がイラン情勢にかんがみてどうしてもスローダウンする、石油供給の増大意欲が減退しないだろうかということが情報に乗ってわれわれの耳にも達しておりますね。こういったことも心配な理由であります。  それから、イランの政治不安が先ほど申し上げましたように隣接湾岸諸国などへどういう影響を与えるか、こういった点についても度外視できぬ問題があります。  したがって、わが国といたしましてはどういう対策をとったらいいのかという点でありまするが、幸い一――三月が前年と同じ量だけ確保することができたというのは、まあ全くこれは本当に政府としてもほっとする思いですね。四月からは需要がだんだん減退する時期に入りまするので、まあこの状況ならば、本年の十月以降のまた需要最盛期の問題まではとにかくつなぐことができる。また十月からの需要最盛期においても、現在の備蓄をある程度取り崩していくということになれば、そんなに大変な不自由をかけることはないという考え方ですが、しかし、もともと無資源国の日本ですから、エネルギーの節約というのはIEAの大きな方針でもありまするし、またわが国としてもエネルギーの節約というものはどうしても推進していかなければならぬ。そしてまた同時に、ここで御議論いただきまする石炭利用を高度化するように、また利用を深めるように進めることも緊急の問題である。その他代替エネルギー開発していく。これは申すまでもありませんが、もう時間もかかりますので一々繰り返しません。  そこで、そういうことで今後私どもが特に国民の皆さんにも協力を願いたいということは、当面心配は要らない、要らないが節約はお願いしたい。しかし、どうかひとつ事業会社などにおいても、大口需要者に油削減というような形に出ることはしないから、にわかに買いだめをするとか買いあさりをするとかいうようなことはしていただかないように、やはりこういうときにはお互いが本当に協力体制に立って危機を克服していく、こういう心がけが大切だというふうに思うわけであります。  したがって、今後ともいろいろな情報がいろいろなルートを伝わってまいります。これはよく言われまするように、思惑を秘めたような、デマに近いような情報が流されることもありまするので、特に今後、私ども通産省はもとよりでありまするし、外務省などにおいても的確な情報をキャッチして遅滞なくそれに対応するようにしていきたいというふうに考えておる次舞であります。  重要問題でありますので、ちょっと時間をちょうだいして御説明した次第でございます。
  13. 愛野興一郎

    愛野委員 ただいまの大臣のお話で、前回の石油ショックの経験にもかんがみて、熱心な備蓄対策、あるいはまたパニック状態にならないようなための対策、あるいはまた関連していろいろ値上がり等々を引き起こさないような対策、こういったことに非常に腐心をしておられることに敬意を表する次第であります。  いずれにいたしましても、長期的展望に立てば、石油依存から脱却をしていく方向に行かざるを得ない、こういうふうにも思うわけでありますが、このエネルギーの安定供給のための総合エネルギー政策を長期的に実効性のある政策として確立するためのどういう御方針があられるのか、このことをお伺いをしておきたいと思います。
  14. 江崎真澄

    江崎国務大臣 一昨年八月の総合エネルギー調査会の中間報告によりますと、昭和五十年代においては年率六%程度の経済成長維持する、こういう前提のもとに、世界石油需給の展望から昭和六十年度においては五億キロリットルを超える石油輸入確保することは困難だ、そういう観点から、省エネルギーというものは、やはり積極的に推進しなければならぬ。それがいわゆる原子力の開発である、LNGの導入である、そしていまの問題の石炭の積極的な活用というわけで、エネルギー源を多様化していくことが先決で、輸入量も四億三千万キロリットル程度に抑える、こういう計画が示されております。これを目指しまして、今後この目標をどう達成するか。これは予算委員会などでも議論が出ましたが、資金手当てはどうするんだという問題があります。それからまた、原子力を初め発電所をつくるにしましても、環境整備については国民の十分な合意と納得を求めなければなりません。これはやはり私ども政治に関係する者の重要な任務だというふうに思っております。そして、実効性のある総合エネルギー政策の確立が必要である。今後とも昨年十月の総合エネルギー調査会の方向の線に沿ってひとつこの新しいエネルギー対策の充実に十分努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  15. 愛野興一郎

    愛野委員 ただいまのお話にもございましたように、石油にかわる代替エネルギー一環として石炭が非常に重要なウエートを占めてきた、まことに同感でありますが、OECDのIEAが一九八〇年代の戦略として、加盟十九カ国は石油火力発電所の建設を今後禁止するという方針を決定いたしておるわけであります。これは、一つエネルギーの需給の問題もありましょうが、一つ石油の値上げに対応して、十九カ国が団結をしてできるだけ石油の価格を安定しようというねらいもあるわけでありましょうけれども、しかし、現実問題として、イラン情勢等々を見ておりますと、この石油火力発電所の今後の建設を禁止していくという方向が整合性があるものになってくるということになりますと、わが国はこれにどのように対応していくのか。あるいはまた、今後の電力のエネルギー石油以外に求めるとするならば、原子力もありましょうし、水力あるいは風力、あるいはまた太陽熱、いろいろありましょうけれども、いずれにいたしましても、この石炭依存していかなければならぬわけであります。  そこで、加盟十九カ国の、このいわゆる石油火力発電所の建設を禁止するという方針わが国はどう対処していくのか、また電力のエネルギーとして一番ウエートを置こうとしておられるのは石炭であるのかあるいは原子力であるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  16. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 お答え申し上げます。  石炭わが国における非常に数少ない資源でございます。またわが国をめぐる環太平洋地域におきましては、中国、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ブラジル等々豊富な石炭の埋蔵量がございます。また全世界的に見ますと、石炭の可採埋蔵量は六千四百億トンという膨大な数量でございまして、ハイドロカーボン資源としては最大の賦存量があるわけでございます。従来、石油が中東から大量豊富に供給されましたために、やや石炭が市場から駆逐されるということでございましたが、最近、短期的にはイラン情勢、長期的に見ましても一九九〇年代に石油の増産限界が来るのではないかというおそれがございまして、石炭に対する見直しの機運が国際的に非常に高まっておるわけでございます。  その一環といたしまして、IEAにおきましては、御指摘のとおりベースロードとしての石油火力の増設を原則として禁止してはどうかという案が現在検討されておりまして、五月の閣僚理事会を目途に検討が進められておるところでございます。それで、わが国の基本的なエネルギー政策といたしましては、石油火力の増設を原則として禁止するということには賛成でございます。わが国といたしましても、先ほど来申し上げておりますように、石炭の有効利用ということは今後大いに推進しなければならないというふうに考えておるところでございます。ただ、わが国の場合、環境規制の問題あるいは場合によっては経済性の問題等もございまして、例外なしの全面的禁止ということでございますと、やはり困る場面が出てまいります。これから昭和六十年度にかけましては、やはり若干の石油火力発電所の新設ということは認めていただかないと困る場合もあり得ると思っております。IEAにおきましては、こういう例外を認めないわけではございません。原則として石油火力の新設を禁止しよう、こう言っているわけでございます。以上がIEA関係でございます。  次に、今後の電力のエネルギーソースを何に求めていくかという御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、石油火力の増設は昭和六十年くらいまででございまして、六十年までにこれから数百万キロワットの増はあると思いますけれども昭和六十年以降はむしろ石油火力は減少に向かうというふうに考えております。他方、原子力それから石炭、LNG、こういうところに新しいエネルギーソースを見つけていかなければならない、こういうふうに考えております。原子力は一たん燃料を挿入いたしますと三年間動くというようなことで、それ自体エネルギー備蓄でございますし、わが国エネルギーの安全保障から考えても重要なエネルギーソースである。ただ、安全性の問題につきましては、今後ともますます安全性を高めるよう努力をしていかなければならないと考えておるわけでございます。石炭につきましては、国内におきましては石炭二千万トン体制維持すると同時に、環太平洋地域からの石炭輸入、その活用ということを考えなければならないと思います。LNGは非常にクリーンなエネルギーでございますし、なお世界的にまだ利用度が余り高くございませんので、今後とも大いに活用していきたいと考えております。
  17. 愛野興一郎

    愛野委員 いずれにいたしましても、石炭の見直しの重要性というものが認識をされたわけであります。ところが一方で、わが国は大幅な需給ギャップで三百万トンを超す貯炭に業界は苦しんでおる。したがって、この需要が限定されているわけでありますが、一時的には仕方がないといたしましても、いま言われた二千万トン体制を堅持するということは容易ならざることであるというふうに思うわけであります。  そこで、この二千万トン体制を堅持するためにどういうルートと申しますか、方針で堅持する方向に持っていかれるのか。あるいはまた、これは石炭火力建設促進するというようなことはもちろんでありますけれども、具体的に二千万トン体制を堅持するためにどういう大筋を考えておられるか。  それからもう一つは、企業自体の自主的な経営計画、資金調達計画等から見て、貯炭対策のために現行制度の枠内で機敏な対応をしていただかないと、石炭産業が非常な危機に陥る、こういうようなことについてどういうふうな対応をしていこうとしておられるのか、この辺をお伺いしておきたいと思います。
  18. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  いまのところ、私どもは二千万トン体制維持という方針は変えるつもりはございません。しかしながら、現在御案内のように需給ギャップが一〇%程度ございますし、しかも現在の見通しによりますと、今年度末には三百七十万トン程度の貯炭になるのではないかと考えております。しかしながら、貯炭のストックヤードも物理的限界に来ておりますので、これ以上の貯炭をしますと、資金面それから物理的限界にぶつかって、経営基盤が根っこから崩れるという問題がございますので、一時的に生産水準を調整しなければならない事態になっているかと思います。  現在三カ年のローリングプランということで、関係の各社からヒヤリングをしている段階でございます。その辺の数字を若干ながめてみますと、五十八年ごろから順次需要拡大してまいります。その拡大する原因は、いま計画中の石炭火力が順次建設されておりますので、その結果五十八年から拡大し、二千万トンの需要体制ができるという運びになっております。  しかし、一方生産の方は、現在設備投資を約五百億程度やりまして、人員も約二万人程度ということで、これを維持していきますと、供給面でも不安がないということでございますので、この二ないし三年間企業努力によってそれを耐え忍ばなければならないということになるかと思います。  そこで問題になりますのは、貯炭対策資金問題でございます。先生御指摘のとおり、貯炭増に伴います資金対策は、まず企業が自己努力によりまして市中機関等から調達するというのが私企業の原則であるかと思います。しかしながら、石炭企業はかなり経営の苦しいところがございますので、現在われわれが持っております経営改善資金制度を弾力的に運用いたしまして、五十三年度は資金手当てはほとんど済んでおります。したがいまして、五十四年度以降の資金対策をどうするかということになるわけでございますが、先ほど御説明いたしましたように、いま諸計画をヒヤリング中でございまして、その辺の集計を待った上で、どういう対策が必要か、必要ならばどういうものをやるかということを検討したいというように考えております。  なお、五十四年度の予算につきましては、炭鉱経営が悪化するということを予想いたしまして、坑道補助金限度額アップ並びに近代化資金の貸付枠の拡大経営改善資金の枠の拡大等をいまお願いしているわけでございまして、これらの予算が通りますと、いまの第一次の集計段階では、五十四年度における資金不足にはほぼ十分に対処できるのではないかという見通しでございます。しかしながら、まだ完全な集計でございませんので、明確なお答えができないというのは残念だと思います。
  19. 愛野興一郎

    愛野委員 あと二問ばかりありましたが、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  20. 古川喜一

    古川委員長 岡田春夫君。
  21. 岡田春夫

    岡田(春)委員 石炭問題、エネルギー問題を中心にして若干御質問いたします。  先ほど江崎通産大臣石油問題に対する見通しなどをいろいろ伺ってまいりました。御尽力には大変敬意を表するのですが、どうも情勢の見通しが甘いのではないか、そういう印象を受けるわけです。そういう点は後でいろいろ御質問いたしてまいりますけれども、いま愛野さんからも御質問のあったように、やはり原油の値上がりというのは今後ますます進んでいくだろう。イラン情勢などを考えた場合、先ほどイランのこういう情勢に対応して肩がわりをして何とかやっていける、一――三月の場合においては去年と余り変わらない、こういうようなお話であったのだが、しかし、それにもかかわらず、長期の展望を見ると、代替エネルギーというものに重点を置くということはきわめて重要になってきている。先ほどエネルギー庁長官の答弁を聞いておりましても、その代替エネルギーという問題については、石炭と原子力の問題、こういうことが答弁としてあったのですが、やはりここで代替エネルギー中心石炭に置くべきではないか、原子力と石炭を比べて石炭重点を置くべきではないかというのが私の考え方なんです。これは基本問題でございますから、通産大臣からぜひ伺っておきたいのですが、石炭に最重点を置いて今後の代替エネルギーの政策をおとりになるのかどうか、その点が一つ。  ただ、石炭と言いましても、これは一般論として外炭と国内炭と二つあるわけです。私は、石炭重点を置く場合にも、なかんずく国内の石炭に最重点を置いていくということが重要ではないか。そのことは、これは私が言うまでもないのだが、いわゆる経済のセキュリティーの問題から言っても、国内産業を重視して育成するということが一番重要な問題なので、こういう点から言っても、まず国内の石炭重点を置いて、生産の量においては限度はあっても、それを第一として、それを補うものとして外炭を考えていくという方針をとるべきだというのが基本の方針だと思う。これがまた第六次政策の基本にもなっていると思う。そういう点からいって、まず国内炭の育成、発展という点に重点を置いてやっていかれるのかどうか。代替エネルギーの問題として、この点についてまず大臣の見解を伺いたい。
  22. 江崎真澄

    江崎国務大臣 イラン問題は私も決して楽観はしていないつもりなんです。さっきも申し上げましたように、やはり的確な情報を確保しながら対処していく。ただ、当面心配は要らぬ。大口需要者の石油使用量を削減するなどという心配は要らない。これはことしの景気を持続させ、雇用の安定に資するという上からいっても大問題でありまして、そういう決断を総理を交えてしたわけでありまするが、その決断をするまでには細心の検討の上いたしておることでありまして、当分迷惑をかけるようなことにならないよう万全の手配をしたいと思います。  そこで、いま御質問の、石炭利用ということが一番当面の急務ではないか。同感でございます。そういうことで、埋蔵量も多い石炭依存をしていくということは当然でありまするが、これも環境の問題もありまするし、産業の使用量、今後の電力供給の増加に伴って、どうピッチを合わせていくかという問題等々ありまするが、やはりおっしゃるように、できるだけそういう条件を整えていく努力政府が図っていくことは、先ほど来私も申し上げましたし、政府委員からも御答弁申し上げたところであります。  したがって、今後とも、国内炭につきましては二千万トンの出炭維持を図っていきまするとともに、お説のように、エネルギーの供給源の多様化を図る。それからわが国の埋蔵量も相当ありまするものの、やはり海外一般炭の導入ということも積極的に進めていかなければなりません。現在の一般炭の輸入見通しとしては、昭和六十年度に千六百万トン、昭和六十五年度には四千万トン計画で進めておる、これは御承知のとおりでございます。
  23. 岡田春夫

    岡田(春)委員 イラン問題も慎重にお考えだということはよくわかるのですが、ここら辺が若干見解の相違と言われればそうかもしれないけれども、民族運動の評価の問題に若干私はあなたの御意見と違うというか、懸念を感ずるわけです。イランの問題だけではなくて、肩がわりをしているサウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、これらの国々にもこれから民族運動というのはますます発展していくと思うのですよ。そういう場合に、イラン情勢だけに限定をしてしまうとこの問題の評価が間違うことになりはしないか、私の言うのはそういう意味なんです。  そこで、こればかり言っておりますと問題を進められませんから、若干御質問いたしますが、先ほどもちょっとお話があったのですが、IEA石炭利用拡大という方向が出て、五月に閣僚理事会もやるというところまで来ているようですが、具体的にはこれはどういうような経過になって、日本政府としての態度はどういうことになっているのか、ここら辺をひとつ伺っておきたいと思います。
  24. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 IEAにおきましては、イラン問題が重大化する以前からOECD全体として輸入石油に対する依存度というものを下げていかなければならない、大体一九八五年、昭和六十年で見てOECDが輸入可能な石油量というものを二千六百万バレル・パー・デーくらいに抑えなければいけないというふうに考えておったわけでございます。  そういたしますと、石油が伸びないといたしますと、一体何に肩がわりするかという問題が当然出てまいります。原子力も非常に有力なソースでございますけれども、これまで特に日本などは石油だけに頼ったことの結果、非常に大きな問題に遭遇しておるということもありますので、やはり代替エネルギーも分散することが必要である。ですから、原子力も大切である、石炭も大切である、LNGも大切である、こういう考え方でございます。  石炭につきましては、IEAの有力加盟国、アメリカ、イギリス、西ドイツというところは、御承知のとおり石炭資源を非常に豊富に持っておる国でございまして、現に火力発電の熱源として石炭を大量に消費している国でございますから、これらの国々としましては、石炭火力の増大というのは、大体既定の方針でございますし、そんなにむずかしいことでもないわけでございます。  そういうわけで、IEAの中におきましては、石油火力を原則として禁止するというような考えは比較的受け入れられやすい考えであったわけでございます。しかしながら、それらの国の中で、日本、イタリアあるいはフランス等は、若干立場が違っておる。そういうわけで、環境問題もございますし、また石油火力じゃなければ経済性その他で立地できないというようなところもありますから、例外は認めてほしい、しかし、原則としては石油火力禁止、そしてそれを石炭とか原子力とかにだんだん代替していくということは日本も賛成であるということで対処をしてきておるわけでございます。
  25. 岡田春夫

    岡田(春)委員 五月の閣僚理事会には、通産大臣は出席される予定ですか、どうなんですか。
  26. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いままだ検討中でございます。
  27. 岡田春夫

    岡田(春)委員 長官の御答弁を伺っておると、何とかなるだろうという御答弁だが、私はちょっと甘いと思う。これは後でもいろいろ伺いますが、ECとかアメリカの場合においては、石炭に切りかえるというのはいまどんどん進めておるわけですし、それは石炭があるからというのじゃ、少なくとも日本だって量は少なくたってあるので、そのことだけで説得をしようといったって、私、簡単にいかないと思うのですよ。五月に決まった場合に、日本だけは特殊な除外例を求めてもできなかった場合、一体どうするのですか、長官。
  28. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 現在IEA等でいろいろ検討しているわけでございますが、除外例は日本だけになるということではなくて、一般的な除外例になると思います。環境上の理由がある場合、経済上特に問題がある場合、あるいは技術的に問題がある場合、こういうような場合には例外を認めるというようなことに、日本だけ特殊ということではなくて、一般的な例外が設けられることになる見通しでございます。
  29. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私はそれが甘いと思うのだが、見通しとおっしゃってそれがそのとおりならなかった場合、やはり問題ですよ。その場合はどうなんですかと言っている。
  30. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは国際機関の一つの方向を示した権威ある提言であるというふうにもちろん受け取っております。受け取っておりまするが、いまエネルギー庁長官が言いまするように、経済性の問題もありましょう、環境整備の問題もありましょう。これはどこの国にも同じようなことがあるわけです。技術の問題もありますね。ですから、そういう理解、納得が得られないのに、いついつ全部打ち切りとかいうことは、現実の議論としてあり得ないのじゃないでしょうか。しかし、そのあたりについてはよく議論をしたり合意をする必要がやはりあるというふうに考えます。
  31. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ先ほど大臣の御答弁にもあったように、備蓄問題でも、これはIEAの問題と非常に関係が出てくるわけですよ。先ほどちょっと私聞き漏らしちゃったのだが、この三月の末に、いままで決まっているのでは八十五日分という備蓄をすることになっていましたね。それは切れるのですか、どうなのですか。
  32. 江崎真澄

    江崎国務大臣 年度末、いわゆる四月一日には民間備蓄八十五日、こういう予定で来ておりまするが、いまこの実情から言いますると、ちょっとむずかしくなってきたなということが言えると思います。やはり八十二日とか八十一日とかいうように削り込む場合もあり得るという見通しであります。
  33. 岡田春夫

    岡田(春)委員 現在は、一月末はどれくらいですか、長官。
  34. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 いま十二月末の数字が手元にあるのでございますが、これで申し上げますと、民間備蓄が八十四・五日くらい、それから公団備蓄が七日分ぐらい、したがいまして九十一と二の間ぐらいということでございます。
  35. 岡田春夫

    岡田(春)委員 十二月の末でそれぐらいになっていても、いまちょうど需要期ですからね。どんどん減っていって三月の末に八十一日か八十日。これは自然の趨勢ではなくて、備蓄を緩和するという基本の方向から来て、そういう政策をとろうというのが政府の政策なのでしょう。
  36. 江崎真澄

    江崎国務大臣 こういう段階で予定どおりの積み増しというのは言うべくして実際困難だ。しかし、備蓄というのは、こういう場面に備えての備蓄でありまするから、やはり今後の情勢いかんによってはこの備蓄を取り崩して需給に支障のないようにしたい。しかし、さっきも申し上げましたように、全般としての節約は今後とも続けていく。ただ大口需要の削減とか、そういったことにはしなくていいという見通しについて申し上げたわけであります。
  37. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ということになると、石油備蓄法に基づいて、今日を緊急事態という認識に立っているわけですか。
  38. 江崎真澄

    江崎国務大臣 まだ緊急事態というふうには見ておりません。
  39. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、一応そこら辺はその程度にして、八十五日という計算の基礎に基づいて前の審議会で決まったことで、これは閣議の決定もあるはずだが、五十五年の三月の末で九十日になる、そういうようになりますね。それは、八十五日というものが四月一日を基礎にしてその中をずっと積み上げていくわけですから、四月以降十月まではわりあいに使わないとき、その後の状態を計算すると五十五年の三月末九十日、そういうようになるのでしょう。長官どうです。
  40. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そのとおりであります。
  41. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それは結局IEA方針である五十五年に九十日、その方針に従っているわけでしょう。
  42. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そういうことですね。そういうことで努力しておる。そこへいまのイラン情勢が出てきた。したがって、IEAにおいても正式に三月一日、二日また会議が開かれまするから、この備蓄問題の今後についていろいろ意見の交換があったり、いろいろ見通しについての修正とか申し合わせとか、そういうものがあるというふうに予想しております。
  43. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ですから、IEAの九十日というのを五十五年の一月までに、五十五年というのは、一九八〇年の一月までにIEAは九十日にする。ところが日本はいろいろな事情があるからというので、一九八〇年の三月末までに九十日にする。ところが、その基礎になるべきものは一九七九年の四月の一日に八十五日分なければならない。そういう積算からいってこうなるのだが、この八十五日をすでに取り崩すとするならば、少なくともわれわれの考え方で、今日の国際情勢から言うならば、一九八〇年の三月末の段階では九十日にはどうしてもならない、こういうように見ざるを得ないわけです。そうすると、IEAに対してその約束を守った九十日との関係が問題になってくる。だから、私がさっき長官にIEAとの関係は甘いのじゃないかと言うのはその意味でもあるわけなのです。それは全体として、あなたは先ほど答弁の中で、イラン情勢もあって、だからこれは九十日でいいかどうかというようなことを含めてIEAの閣僚会議で相談するのだというお話らしいが、しかし、それならそれでこの八十五日分を取り崩す問題については、当然日本としてはIEAに対して、この点はこうならざるを得ないですよという話を事前に煮詰めた上でこれは決めなければならないのであって、何かそういう点は全然無視して、新聞の報道によると省令で出してしまう、そういうようなことまで報道されているということになると、ますますIEAからの不信感を買うことになるという心配がある。
  44. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御心配をされる意味はよく理解されますが、しかし、イランのこの政情不安、それから輸出絶無というこの事態は緊急の勃発事態、緊急というか、にわかの事件ですね。ですから、ここでお約束どおりの四月一日八十五日分の民間備蓄はどうもむずかしくなりました、したがって、九十日の先行きについても、これはイランの政情が安定して生産が旧に復することはそう簡単には考えられませんね。したがって、これは当然IEAの重要な議題になる。これは何もわが国だけじゃないと思います。各国とも同じような悩み、問題をやはり抱えておるわけですから、したがって、三月の会議においても話し合いがなされましょうし、この間の非公式な一月三十日の事務レベルのパリにおける会合においても、そういう意見交換などは当然行われておるわけですから、これをどうするかという問題は、今後の問題としてわれわれも十分心得て対処したいというふうに考えております。
  45. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私の言いたいことをあなたが言われたのですが、イランの問題というのは日本だけの問題じゃないのですよ。そうすれば、各国ともに備蓄をいじっているかどうかという問題ですよ。ところが、いまのところ日本だけしかいじっていないのでしょう。そこに問題があるぞ、こういう問題を言っているのです。それが一つ。  それから、時間がないからもう一点だけ申し上げますが、こういうようになってくると、やはりエネルギー需給計画を根本的に再見直ししなければならないのじゃないですか、イランの問題も含めて。そうして代替エネルギーに、ずっと石炭に切りかえていくのでしょう。そうすると、先ほどあなたが言われたいわゆる審議会で決めた方針をもう一度見直す必要があるのじゃないですか。そういう点、いま通産省で作業をやっているでしょう。やっているはずですよ。そこら辺の点が一体どうなのか。長官、両方答えてください。
  46. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 備蓄の取り崩しにつきましては、現在、日本のほかにたとえばスウェーデン、オランダ等が需給が非常に厳しい状況にありまして、取り崩しが行われているものと承知をいたしております。ただし、それの詳しい数字等については、われわれはまだ情報をキャッチしておりません。  それから、このIEAの――形式論を申し上げますと、現在日本が合意しておるIEA備蓄義務量は七十日でございます。これは民間、政府含めて七十日でございます。  それから、将来に関しましては、先生御指摘のとおり一九八〇年一月一日から政府、民間合わせて九十日でございます。  それから、念のため申し上げますが、十二月末に九十二日ほどあったものが三月末あるいは四月初めに八十日ぐらいまで下がるというわけではございません。八十七、八日まで下がるだろうということでございます。  それから、全体的にエネルギー需給計画を見直すのかどうかという御質問でございますが、昨年秋にエネルギー調査会の基本問題懇談会からの報告をいただいたばかりでございます。ただ、その当時はイラン問題が今日のように深刻化しておりませんでしたので、その問題に関する考慮はきわめて不十分でございます。現在イラン問題がこのようなことになりましたから、イラン情勢の推移をもう少し見た上でエネルギー需給について基本的な見直しをする必要があるかどうか、よく検討いたしたいと存じます。
  47. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほど私が申し上げた意味は、明らかに民間備蓄として八十五日分は八十一、二日にならざるを得ない。御承知のように、公団備蓄の分はタンカー備蓄でいま硫黄島の遠い場所に備蓄しておるわけでございまして、これの取り崩しということは、これはやはり民間がまず需要者の要求にこたえて、それからさてという話でございますので、それは加えていなかった話ですから、御了解を願いたいと思います。
  48. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは石炭問題に入ります。余り時間をとっていると石炭やれませんから。  さっきから二千万トン体制を堅持し、堅持しとおっしゃるのだが、これは本当に堅持するのですか、どうなんですか。しかも二千万トン体制というのは、あなたは今度新たに大臣になられたから前のことは余り御存じないかもしれないが、第六次政策という、いままで五次まであったのですね。第六次政策に基づいて二千万トン体制というのを堅持する、これは政府の責任の問題なんですよね。本当にこれは堅持されるのですか、どうなんですか。
  49. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはやはり堅持する方向に変更はもちろんございません。国内炭をめぐる情勢は、国内炭の価格差、それから鉄鋼の業績の影響、こういったこともありまして国内炭の需給ギャップができた。先ほどからお話がありまするように一〇%にも達して、貯炭量が本年度末までにはどうも三百七十万トンに達しそうだという見通しであります。したがって、こういう厳しい状況に対処しながら二千万トン体制をどう維持していくか。これはやはり産炭地火力の建設促進を今後とも続けなければならぬと思います。それからユーザーに対して不断に引き取り要請等いたしまして需要確保を図っていく。それからまた供給面では、これは石炭業界もひとつ適切な自主的対応が必要だというふうに考えます。したがって、今後政府及び業界協力体制ということで、この体制の根本方針は崩したくないというのが私ども考え方です。
  50. 岡田春夫

    岡田(春)委員 御趣旨はわかりますけれども、さっき高瀬石炭部長はこういう答弁をしてますよ。一〇%需給ギャップがあるから生産調整せざるを得ないのだ、こう言っている。そうすると、われわれ数字で聞いている千七百五十万トンくらいの状態に五十四年度はなるだろう。六次政策というのは五十一年から六十年までですよね。その中でいままでに二千万トンを超えたことがありますか。ないですよね。高瀬さんに悪いけれども、さっきのあなたの御答弁では、五十八年になったらいろいろな条件がよくなって初めて二千万トンになる、こういうお話だったね。そうすると五十八、五十九、六十、十年の中で三年しか二千万トシにならないじゃないか。そうしたら残り七年は二千万トン以下でしょう。これが二千万トン体制ですか、どうなりますか。
  51. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃるように、国内産炭の価格差の問題が大きいわけですし、政府もあらゆる手当てをしておるわけでありまするが、どうしても需給ギャップが出る。したがっていま申し上げたように、これはやはり生産者にも御協力願わなければなりませんし、われわれも需要が進められるように、助成措置とともに絶えず引き取りを勧めていくという努力、これが粘り強く続けられることが必要だというふうに思います。
  52. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そういうお話ですが、事実問題として数字の上に出ているのだもの。七年間は二千万トンにならない。残り三年だけが――私はこれは高瀬さんに悪いけれども、余り信用できないのだ。五十八、五十九、六十年が二千万トンになるより前に、千七百万トンよりダウンする危険性がある。そういう点を考えると、二千万トン維持というのは言葉の上だけであって、実際に守られてないじゃないか。しかも第六次政策というのは閣議の決定なんだ。そういう形でやっているのに、政府の責任上守らなければならない、それにもかかわらず、そういう点で現在のところ全くびほう策だけしかやってないじゃないか、こういう感じがしてしょうがない。どうですか。
  53. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  二千万トン体制というのは、われわれの感じとしましては、供給の側面と需要の側面、二つあるかと思います。前半の五十年の答申以降は、幌内炭鉱の事故それから有明炭鉱での鉱害の問題等で供給がむしろ需要を下回っていたという形でありまして、その供給が下回ったことが現在の大幅な需要減につながっているわけでございます。特に一般炭につきましては、幌内の事故のために暖房用市場がLPとかそれから都市ガス、灯油等にとられまして、それの復元ができなかったことが原因になっているわけでございまして、したがって、むしろ前半の方は供給不足のために二千万トン体制維持できなかった。しかし、最近の円高傾向によりまして需要が減りまして、両面で二千万トン生産ができなかった。したがって、二千万トン体制というのは両方の側面で考えていかなければいけないという形でございまして、生産だけの側面で先生おっしゃっているのかと思いますが、需要の側面でそういうことがあったということを御理解いただきたいと思います。
  54. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それは高瀬さんの言うとおり理由はいろいろあると思いますよ。しかし、皆さんが二千万トン体制と言ってお話しになる限り、新聞で見た限り、だれも二千万トンになってないのだもの。理由についてはいろいろあるでしょう。供給の面からもあるでしょう、需要の面からもあるでしょう。しかし、そういう点は当然政策立案のときにあらかじめ計算の中に入ってなければならないはずだ。私は二千万トンをあくまでも堅持するためには生産調整なんか絶対反対ですよ。このままの状態だったら、江崎さん、私は閉山につながる危険性があると思う。政府の責任で閉山は絶対させないとここで公約できますか。
  55. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いま石炭部長がお答えしましたように、やはり諸般の事情、これはやはり自由経済下ですから、政府がどんなに計画しましても、需給の原則が乱れたり、不況があったりするというと、いろいろなひずみが出てくるわけです。それを、助成をしたり、需要者に対して引き取りを要請したり、あらゆる努力をする。今後もやはり二千万トン体制というものは崩さないで最善の努力をする、こういうことで進めていきたいというふうに考えております。
  56. 岡田春夫

    岡田(春)委員 閉山は絶対させない、それも言明できなかったら閉山させることになるのですよ。私のいま江崎さんに質問したのは――いや、これは高瀬さんより江崎さんに聞きましょう、大臣に聞きましょう。閉山は絶対させないという大臣の明確な言明が欲しいのです。石炭部長だったら、いや、あのときはなんて言われても困るのです。いや、補足の答弁を彼がやったらいい。大臣答弁してください。
  57. 江崎真澄

    江崎国務大臣 六十年計画の線に基づいて十分対応していきたいというように考えます。詳しいことは部長からお答え……(岡田(森)委員閉山は」と呼ぶ)今日までの経緯がありますから、これはまず部長からお聞き取りいただいて、そしてまた私が補足する必要があれば補足する、こういうことで御了承願いたいと思います。
  58. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ高瀬さんの答弁の前に、高瀬さんの答弁は大臣の答弁と見てもいいですね。
  59. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それは一体です。
  60. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 昭和五十年七月に出ました第六次の答申のところで閉山についての考え方がございまして、資源が枯渇した場合、保安上いろいろな問題があった場合、それから限界という言葉を使っていますが、限界炭鉱的なもの以外は閉山はしないという答申になっておりますので、その答申の線で今後とも考えていきたいと思います。
  61. 岡田春夫

    岡田(春)委員 しかし、限界炭鉱というのはそのときそのとき変わってきますからね。そうするとあなた、閉山もあり得るということですか。政府の意気込みは、閉山もあり得るという点で取り組むのと、閉山は絶対しませんよ、しかし――これは私が言うのはちょっとあれだけれども、山の場合は大災害など起こって閉山せざるを得ない場合もあるのです。それはあるのです。しかし、それは大災害が起こった場合という前提なんであって、だから政府方針としては閉山はさせないという方針を明確にしてもらわないと、限界炭鉱の中ではと言ったら、限界炭鉱は、いつも経営計算してあれすれば限界になる場合があるのですよ。しかし、政府方針としてはどうなんだということを伺っている。
  62. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いま私も過去の経緯を聞いてよく理解できたわけです。それは原則としては閉山はしない、これはそういうことですね。しかし企業ですから、やはり企業努力ということがなくて絶対閉山はしないなどということはあり得ないので、労使ともに十分な努力をしてもらうということが根本で、政府としては原則的には閉山をしない形であらゆる協力をいたしましょう。しかし、企業努力が根本にあることは忘れていただいてはいけないと思います。
  63. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そこで、いま若干企業努力の問題が出たから、最近の動きを見ていると、生産調整は結局私は労働者に犠牲を転嫁していく危険性が非常にあると思います。そういうことは認めないとおっしゃるんなら、高瀬さんで結構ですから、ぜひそれは御答弁をいただきたいのだが、たとえば具体的に言いましょう。人員の事実上の削減をやる、これはいわゆる減耗無補充の政策ですよ。定年になったらみんなやめていくんだ、そうしたらその後ふやさない、こういうやり方。もう一つは事実上の労働強化ですよ。というのは、たとえば超過勤務というのを切ってしまう。超過勤務を切っていくというのは表面から見るといいですよ。しかし、事実上賃金の単価を切り下げるんだよ。そういう形に持っていく、労働強化ですよ。もう一つは福利厚生費の削減ですよ。この三つが必ず来ますよ。これに対してどういう指導をなさるのですか、どうですか。
  64. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 私どもとしましては、これはやはり私企業での労使の問題というふうに理解しておりまして、直接的な指導はしておりません。現在三年間のローリングプランということで各社がいろいろな数字は出しておりますが、会社によってその辺の取り扱い方について若干の差があるようでございます。まだ全部集計――きのうそのヒヤリングが終わったばかりで内容がわかりませんが、若干その辺の取り扱いについて個別企業別には考え方の差があるようでございます。
  65. 岡田春夫

    岡田(春)委員 労働者に犠牲をしわ寄せしていくいまのような方向。栗原さん、今度は労働大臣になって御活躍を期待しておりますが、これは労働省としてはそういう形の処理の仕方はやめさせてもらいたい、こういう点についてぜひ新労働大臣から抱負のあるところをお聞かせいただきたいと思います。
  66. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 大変御期待のあるお言葉をいただきまして、感謝申し上げます。  ただ、いまの問題は岡田先生もおっしゃったとおり、時間外短縮などということは、一般的に言うと非常に好ましいことだと言われておりますけれども、こういう炭鉱等において厳しい状況下においては、それが一つの問題になると思います。ただ、これは通産省側からもお話がありましたとおり、どこまでも自由企業でございまして、労使の問で労働条件として十分に話し合いをしなければならぬ。十分に話し合いをして納得のある合意ができることを期待しておりますし、私どももそういう状況ができるために行政として何ができるか、さらに検討を重ね、善処いたしたい、こう考えております。
  67. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もう一つお答えいただきたいのですが、減耗無補充という方針ですね。定年でやめていく、その後補充しない。結局それだけ労働強化になるわけです。これもやめてもらわないと、いま栗原さんおっしゃったように、特殊な坑内労働の問題の中では無補充ということでは災害につながりますよ。そういう点から言っても、ぜひともこれはやめてもらいたい。
  68. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 減耗無補充、それが労働者の災害につながるということになりますれば、これは労働基準法上大変な問題でございます。その点については重大な関心を持っております。  なお、私は御案内のとおりまだ就任早々でございまして、一度現地を見せていただきまして事情を聞きたい、こう考えております。
  69. 岡田春夫

    岡田(春)委員 大変いい御答弁いただいて、ひとつここでお約束いただきたいのですが、労働大臣はぜひ現地をごらんになって、――通産大臣もぜひ現地を見ましょうや。どうですか、通産大臣。いま石炭産業の現地を栗原労働大臣は見る。それなら石炭政策をやっている通産大臣も現地を見るという約束をしてもらいたい、どうですか。
  70. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは見れるものならばぜひ見たいわけですが、これはいろいろな諸般の事情もありますので、いまここですぐ見ましょう、行きましょうというわけにもいきませんが、よく承って検討します。
  71. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私はまだあるのですが、そんなのは見に行った方がいいですよ。私、質問する前にも栗原さんは見に行くと言っているのです。派閥でお忙しいのだろうけれども……。
  72. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 視察に行きたいと思っておるので、視察に行きます、いついつという意味ではございませんので、北海道の方を一遍視察したいと思いますから、これは炭鉱だけでなしに、そのときにできるならば見せていただきたい、そういうことでございますので、通産大臣の方と違いまして、私の方はそういうつもりでおりますので、どうぞ。
  73. 岡田春夫

    岡田(春)委員 しかし、その御熱意には敬意を表します。  それで、第六次の政策で賃金についての具体的な規定があるのです。これはあるいは御存じないかもしれません。「賃金等の労働条件については、本来、労使間の話し合いで決めるべきものであるが、坑内労働者の労働条件については、以下に述べる労働時間、職場環境、生活環境等の要素を総合し、かつ他産業とのバランスを考慮して地下労働の特殊性が十分配慮された適正な水準とすべきである。」バランスの問題と十分配慮された適正な水準というのは、この石特の中で意見を出してこれが入ったのです。そういう点から言っても、さつき申し上げた賃金のダウンというのは、われわれとしては絶対に認めるわけにいかないのです。こういう点は労働大臣としても十分御理解の上で、今後、先ほどの御趣旨に基づいてやっていただきたいことを希望しておきます。  それで、時間もあれですから進んでまいりますが、今度の生産調整なるものは、私は調整だと思っていない。生産制限だと思っている。高瀬さん、これはユーザーの要求でやったのじゃないですか。ユーザーの要求で一割削減したのじゃないですか。というのは、電力用炭の価格交渉の中で四つの条件をつけられて、その中で二千万トン体制を見直すという条件をのんで、それによって、あなたのおっしゃるいわゆる調整というものをやり始めたのじゃありませんか。
  74. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 ちょっと訂正させていただきたいところがありますが、電力の炭価交渉の際に、新聞に四つの条件ということで出ておりましたけれども、あれは見込み記事でございまして、ああいうようには私どもには正確に伝わっておりません。ただ、北電の方に若干そういう感じの内容があったやには聞いておりますが、業界を取り仕切っている電気事業連合会からは正式に文書でも口頭でもいただいておりません。したがいまして、そういう形で生産調整を行ったということはありませんで、われわれが昨年の八月ころから石炭全体の動きを勉強を開始したわけでございます。その間、どうしても需要確保対策が後手に回っているという実情を把握いたしまして、それの対応をどうするかということが内部で議論されたわけです。  しかし、一番問題なのは、三百七十万トンの貯炭対策につきましての資金は、民間と政府経営改善資金で現在ほとんどついております。したがって、今後貯炭を増加しますと、貯炭の資金からくる経営圧迫というのが相当ひどくなって、それが経営の崩壊につながり、二千万トン体制の崩壊につながるということが予見されましたものですから、予算ではコスト面の補助、それから需要確保対策等々のことを考えて、苦しいけれども、この二、三年間をしのぐ。そのための資金対策につきましては、先ほど御説明いたしましたように、いま三年間のローリングプランのヒアリングをしておりますので、その集計結果を見て、必要とあらぱ何らかの方法を考えていかなければならないということにいま相なっておるわけでございます。
  75. 岡田春夫

    岡田(春)委員 実は貯炭問題に若干入りたかったので、いま貯炭の話が出たわけですが、まず貯炭は三月の末で大体どれぐらいになって、原料炭と一般炭の内訳はどうなっているのか。われわれ一般的にはわかっていますけれども、この際、政府から公式に御答弁をいただいておきたい。
  76. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  いま私の記憶しているのは、原料炭が約百九十万トン、それから一般炭が約百八十万トンということでございます。それで三百七十万トン……。
  77. 岡田春夫

    岡田(春)委員 違うのじゃないの。この間ちょっと理事会のあれでは原料炭が二百五十万トン、それで一般炭が百三十万トンでしょう。
  78. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 私の数字が逆転しておりました。一般炭は百九十万トンで原料炭が百八十万トンでございます。
  79. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そこら辺は、それじゃもう少し具体的にあれしますが、通産大臣、やはり当面最大の課題は三百七十万トンに対する貯炭の融資の問題ですよ。これは一体具体的にどういうようにされますか。やはり二千万トン体制を守るためには、このことなしにはやっていけないですよ。こういう点をひとつ伺いたい。
  80. 江崎真澄

    江崎国務大臣 やはり第一義的には市中銀行と企業経営者との折衝、これが第一ですね。そしてあと政府機関におけるいろいろな対策を縦横に駆使して金融に資する、こういうことだと思います。
  81. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 それではちょっとお答えいたします。補足させていただきます。  先ほど御説明した三百七十万トンの資金対策はもうすでについておるわけでございます。その資金の内訳を御説明いたしますと、民間資金からの調達が二百八十億。これはもうついております。それから私ども合理化事業団で出します経営改善資金が約八十億。三百六十億の資金はもうすでについておりまして、これについては現在のところ別途の資金対策は要らないわけでございまして、五十四年度以降増加するであろうものについての資金をどうするかという問題が残っているわけでございます。したがいまして、この二百八十億の民間資金を二、三年間、関係金融機関とお話しくださいまして転がしていただきますと、貯炭融資についての圧迫はほとんどないという形で、仮に私どもきのう集計を、資金だけちょっと洗ってみたのですが、五十四年度の資金対策ということでいろいろ計算をしてみますと、特定の一社以外は現行の制度、先ほどお願いしております経営改善資金二百四十億の貸出限度額を御承認いただければ、大体回るのではないかというふうに考えております。
  82. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは私は大臣に伺っておきたいのだが、さっきの生産調整の問題、これでも結局コストアップするのですよ。なぜならば、炭鉱の場合は固定費というのが非常に大きいから、その比率の関係からいってもコストアップになるのですよ。そうすると、そのコストアップをどうやって減らすかというと、さっき労働大臣が言ったように、労務費に対する削減という形で来るのです。そういうことになると、企業形態というのは非常に苦境に入ってしまう。そういう点が一つある。  それからもう一つは、いまの貯炭問題について、来年度以降の問題については今後どうこうといま話があったが、これは生産調整というものを前提にしてもそういうようになるという意味ですよ。ところが、その生産調整などをやるよりも、出た石炭は国がこれを扱っていく、国が補償していく。扱っていくというのは補償という意味です。融資なり何なりをしていく。そういう方法でやらないと石炭産業は続きませんよ。そういう政策をむしろとるべきであって、私は生産制限は絶対反対だ。これは閉山につながる危険性がある。もう一つは、直ちに閉山にならなくとも、栗原さんに先ほど申し上げたように、重大災害につながる危険性がある。これは私、いまから警告しておきますよ。この二つがもし起こった場合、あなた方責任をとってもらわなくちゃならない。それは私企業ですからわれわれは知りませんなんて言われたって困りますよ。六次政策というので二千万トン体制を守っているのに、それもできないでこうなっているのだから、そういう点では、私はやはり思い切ったドラスチックな政策がいま必要だと思う。  そこで当面、金融面から言うならば、やはりいままで、御存じだと思いますが、各企業の融資の肩がわりというのを一次、二次、三次とやってきているのです。今度の場合、やはり貯炭問題まで含めていわゆる肩がわりの問題を検討する必要があると思うのです。生産調整などをやるよりも、そういう面でひとつ御尽力をいただくことを通産大臣に御意見を伺っておきたいが、どうでしょう。
  83. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 ちょっとお答えさせていただきます。  貯炭融資の肩がわりという議論はちょっと私も理解しかねますが、先ほど御説明しましたように、これから出る貯炭資金対策については、今後政府なり民間との協調で考えていかなければならない。その手法としてどういうことを考えるかということについては、これから検討したいということで、肩がわりと貯炭融資が直に結びつくかどうかについては少し事務的に検討させていただきたいと思います。
  84. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私、再三申し上げておりますが、大臣閉山は絶対やらしてはいけない、それから重大災害を起こさしてはいけない、そういう意味では生産制限をやってはいけません。私は絶対これは反対です。その危険性が非常に出てくることをいまから私は警告をしておきます。  そこで、続いて言いますが、さっきお話しの貯炭問題で、原料炭が百八十万トン、一般炭が百九十万トンですね。その場合、原料炭が貯炭にこれだけなっているというのは、鉄鋼が昨年当初七百三十万トン買うと言っていたのを、実際には六百三十万トンしか買っていないからでしょう。そこに原因があるのでしょう。その点が一つ。  それから、外炭の貯炭があるでしょう。外炭の貯炭はどれくらいあるのですか。
  85. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 海外炭の貯炭は、長期契約を大幅に切っております。その切り率が、むしろ引き取り率と言った方がいいかと思いますが、たしか長期契約で七三%の引き取りに落として、その上に六百四十万トンの海外炭の貯炭がございます。
  86. 岡田春夫

    岡田(春)委員 鉄鋼が七百三十万を六百三十万しか引き取らなかった。その点もあるのだが、これは私の言っているのが間違いないと思うから申し上げるが、その百万トン。貯炭解決のためにも七三%まで外炭をチェックした、これはIQ制度だからできるわけですよ。高瀬さん、どうですか、IQ制度でもう二%削減してごらんなさいよ。二%で百万トンだ。そうしたら、あなた、その分貯炭が解決できるじゃないか、価格差の問題は別としてですよ。いま五十三年度で、外炭は大体四千八百万トン入るでしょう。それは七三%の場合ですよ。七三%を七一%にしたならば、百万トンの外炭のそれをチェックして、その分国内の炭を使えるじゃないですか。価格差の問題はまた後でやりましょう。数字的にはそういうことになるじゃないですか。
  87. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  数字的には確かに単純な形になる。数字でございますから、計算するとたしかそういう数字になるかと思います。しかしながら、海外の原料炭の引き取りというのは、投融資買鉱とか開発輸入とかという方式のもとでの長期契約ということで進められておりまして、そのペースが五十年当時の経済成長を見通しまして、その高炉生産を一億三千万トンということで原料手当てをした。そのときに国内炭が約七百五十万トンであったわけでございます。その後、鉄鋼生産が停滞いたしまして、現在は一億一千万近くなってまいりましたが、まだまだこの在庫調整が原料炭までに至っておらない状況でございます。  このように長期契約でやっているものでございますから、わが国への輸出をたてまえにして成立しています豪州とかアメリカの輸出業者の経営、それから輸出国の経済へのインパクトはかなり大きいものでございまして、現に、この間アメリカの使節団が来たときも、日本はアメリカの原料炭引き取りを非常にカットし過ぎるというような意見が相当出てまいっております。したがって、単にIQを国内需要だけの観点からするのは、国際的環境から見て若干問題でございまして、やはり国際的配慮を十分した上で考えていかなければならないというふうにわれわれは考えているわけでございます。  しかし、数字的に御説明しますと、長期契約に対して鉄鋼の方は七三%の引き取り率になりますが、七百五十万トンの引き取りに対しまして六百五十万トンというのは、たしか八三%か四%ということで、国内炭の引き取りについてはかなり御協力をいただいているというふうにわれわれ理解しているわけでございます。
  88. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いろいろ問題点がある御答弁だけれども、私はこれ以上ここら辺は言いませんが、原料炭は七百五十万トン取るべきはずだったものがまだ百万トン取ってない、そこに問題がある。その分は、外炭が六百万トンも貯炭があるのだから、それで国内炭は圧迫を受けているのですよ。それはチェックすべきですよ、あなた。そういうチェックをして国内炭を使うようにするのが六次政策の基本方針じゃありませんか。そこの点、通産大臣、あなたからぜひ答弁をいただいておきたいのですが、外炭をチェックして国内炭を使う、そういうやり方に方針を転換しなければだめですよ。それが一点。  第二点は、外炭を入れるのは、やはり一手買い入れしなければだめですよ、備蓄も。政府がやらなければだめですよ。あなた御存じでしょう。九電力の会社が民間会社で開発輸入を一手にやるなんて言っているが、こういうやり方では国内産業は守れませんよ。やはり政府が一手買い入れをして、国の金によってそれをやっていく。それはできないことじゃないのですよ、あなた。だって米の食管制度見てごらんなさい、やっているじゃないですか。そして国内石炭の価格とのいわゆるバランスをとるのです。そういうやり方以外にないと思いますよ。あなた、どう思われますか。
  89. 江崎真澄

    江崎国務大臣 まあ食管制度は、例としては失敗の歴史で余りよくはない面もありますが、これは技術的な面ですから、事務当局からお答えをさせます。
  90. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  われわれの事務的な整理でございますが、海外の良質な石炭を安定的に確保するという観点に立ちますと、やはり国際貿易商品に近いものでございますから、複数企業の間での友好な競争による輸入の方が安定的でかつ供給面の分散になるということで好ましい対応と考えております。これは一般炭でございますが、現在のところ、一般炭は必ずしも、石油より著しく安いという状態ではございませんので、いま、一元的輸入をして割り高な国内炭とプールするという結論を直ちに出せるかどうかということには、現段階ではかなり問題があると思います。  他方、国内炭の引き取りの確保については、特に今後の一般炭につきましては、やはりIQ制度の活用とか増加引き取り交付金等の措置考えまして、引き取りの要請を強化するということが当面の方策ではないかというふうに考えております。
  91. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたは現在の原油価格と比較するから一般炭は必ずしもあれでない、こういうお話だ。原油はまだまだ上がりますよ。もうすでに御承知のOPECで年度内一五%ですね。それで終わらないですよ、これは。二年、三年、あなたのおっしゃる五十八年まで見たらずっと上がりますよ。その見通しを考えた場合においては、むしろ政府が一手買い入れをして、国内炭とのプールをやっていった方が、日本のエネルギー問題としては安定供給ができます。そういう点は御検討になりませんか。どうですか大臣、そういう点を検討してみることは。エネルギー政策としてお答え願いたい。
  92. 江崎真澄

    江崎国務大臣 当然検討いたしましょうね。あらゆる面を検討することは大切なことだと思います。
  93. 岡田春夫

    岡田(春)委員 形だけの検討じゃ困りますよ。私がいまここで言っているのは速記録に残っていますからね。私はこのとき原油は上がっていくと言った。二年なら二年たった後で、ああ岡田の言ったとおりだなということになりますよ。そのときに、形だけの検討で、あとはもう忘れちまったというんじゃ、あなたの政治家の責任は大きいですよ。十分あなたもお考えください。
  94. 江崎真澄

    江崎国務大臣 産炭地選出の議員でおられますし、議員歴三十年に近いのでしょう。あなたのおっしゃることは十分尊重して検討いたします。
  95. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それから、これは若干外炭に関係することで、一般炭ですが、コールセンターの構想が進んでましたね。五十二年から調査を始めたんですか、そして来年度どういう調査の見通しをつけるのですか、コールセンターについて概略聞かせてください。
  96. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  コールセンターにつきましては、先生御指摘の時期から開始しておりまして、西の方、九州を中心調査、それから東北、北海道を中心調査、この二つに分けてやっております。現在までのところ、両地区とも、ほぼ概念設計的なものは、これは技術的なものでございますが、詰められておりまして、北海道の方面では三カ所程度がやるとすれば技術的に好ましいのではないかというところがしぼられております。それから西の方も同様に三カ所ほど、技術的にここならばやれるのではないのかというところがしぼられておりますが、いまのこれはすべて電力立地との関係、それから輸入炭の供給ソースとの関係を考えなければできませんので、どこの場所にするかということはまだ決定しておりません。
  97. 岡田春夫

    岡田(春)委員 部長でなくて課長で結構ですから、三カ所の場所も大体決まっているんじゃないかと思うので、この機会に名前を出してもらった方がいいと思うし、それから五十四年度の計画もあるはずだから、その五十四年度の計画も具体的にちょっとお話しいただきたい。
  98. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 私の記憶しているのは、北海道は、東の方からいきますと釧路近辺、それから苫東の方、苫小牧です。それからもう一つはむつ小川原ということになっております。西の方は、たしか崎戸と、いまちょっと名前は覚えておりませんが、二カ所ほど考えております。概念設計がほぼできてきましたので、環境調査的なことを来年度の予算でしてみたいということで、いま予算要求をしておるわけでございます。
  99. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ちょっと違う点もあるんだが、もう一つあるんだけれども、来年は東の方だけ具体的なプランをつくるんですよ。そうでしょう。
  100. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  来年度は、いまのところは西地区、東地区とも詳細設計をしたいということで考えておりますが、詳細設計になるとかなり具体的個所をしぼることになると思いますので、まだ個所については全然予定はございません。
  101. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そこで、もう一つは、一般炭が百九十万トンということになると、ますます火力発電の必要が急がれるわけですね。リードタイムがかかるけれども、そういう点が必要なんですが、そうなると、当面の国内における火力発電の計画、そしてそれに対する石炭の使用量、そういう点を具体的にお答えいただきたい。
  102. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いま具体的な数字をちょっと手元に……。これはまだ公益と調整をしておりませんが、まず火力別にいきますと、五十二年度は石炭火力は四百四十万キロワットございます。それから六十年度にはこの計画では九百八十万キロワット、六十五年度には二千万キロワットに拡大をするということを目標でいま鋭意電力会社の方で詰めておりまして、このうち具体的なスケジュールにのっているのが苫東の火力三十五万キロ、石炭にして多分八十六万トン程度だったかと思います。それから具体的スケジュールにのっているものとして松島火力一号百万キロ、それから二号がやはり百万キロでございます。したがって二百万キロワットになります。それから竹原の火力が七十万キロワットでございます。いずれも六千カロリー程度でございますから、このキロワット数に二を掛けていただければ大体石炭の使用量になります。――松島は五十万二基でございます。したがいまして、石炭にしますと二百五十万トン、それから、竹原七十万キロワットとしますと大体百五十万トン程度ということになります。
  103. 岡田春夫

    岡田(春)委員 砂川四号。
  104. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 砂川四号が十二万五千キロでございまして、使用量として三十万トンということになります。
  105. 岡田春夫

    岡田(春)委員 時間がだんだんなくなってまいりましたので進めますが、私はこういう意見なんですが、高瀬さんどう思いますか。一般炭の処理はいまの計画以外にもっと急ぐ必要があるんだが、ここにも岡田利春さん、釧路の人がいるけれども、釧路を急ぐ必要がある。ところが北電はなかなかその気になっていない。私企業だから仕方がないと言っているんじゃなくて、これは国家的な政策だから、この際北海道に電源開発でやったらどうですか。北海道はまだ電源開発の本格的なものはないんだ。北海道で火力発電を電源開発が釧路でやったらどうですか。検討してみませんか。
  106. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 電発は、たしか火力については北海道にございません。この電源立地の問題、それから北海道電力を指導するという仕事は私の所管でございませんので、陰ながらいつもお願いベースではしておりますが、直接行政指導する対象でございませんので、先生の御意見のあったことを北電と公益事業部の方に申し入れたいと思います。
  107. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これはぜひお伝えいただきたい。  最後に、これは利用技術の場合に、やはり石炭の液化技術の促進というのは非常に重要だと思うのですね。そこで、アメリカとドイツとの協力開発が進められるという状況を聞いているんだが、これについてはもう少し具体的に伺いたい。その場合に必要な石炭量その他を含めて、長官、しばらく退屈だったから、あなたから。
  108. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 石炭液化の日米独協力に関しましては、前福田総理がカトター大統領との問で、日米科学技術協力をやろう、その際核融合をやるべきであるというふうに言われましたところ、先方もそれは同意したわけでありますが、核融合というのは二十一世紀の問題である。ところが二十一世紀に至るまでに、今世紀中においてエネルギーの谷間といいますか、むずかしい問題が生ずるから、それに対処するためには石炭液化技術の開発が重要であるということで、それにつきましては日本の方も合意いたしましたので、日米科学技術協力の二つの柱といたしまして、石炭液化それから核融合、これが取り上げられたわけでございます。石炭液化はSRCⅡと言われておる技術開発でございますが、これはアメリカが五〇%、日本が二五%、西ドイツが二五%の資金分担をいたしまして、六千トン・パー・デーの実証プラントをウェストバージニア州につくりまして、七年間ぐらい動かしましていろいろ技術開発をしていこう、こういう計画でございます。
  109. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これはもう少し聞きたいのですが、時間がなくなってきたので、最後に重要な問題があるのです。北炭の問題なんです。これは、きのうの北海道新聞をごらんに入れますが、北海道としては大変な問題になってきている。北炭の経営それ自体が問題になっている。もちろんその基礎には、高瀬さんに言わせれば、生産が思うようにならないから、こういうことをきっと答弁すると思うのだが、これは生産の問題もさりながら、やはり政府があらゆる方法を講じて努力をしてもらわなければ困る。御承知のように、これは北炭全体で約四百万トンですよ。千七百五十万トンと言われている中で四百万トン。たとえばパアになったらどうしますか、千三百万トンでしょう。それは財政問題もいろいろあります。自主的な努力もいろいろあると思います。しかし、これは通産大臣にぜひ伺っておきたいんだが、あらゆる方法で努力をして、北炭という企業、それはいろいろ意見もあるようです。あるようだけれども、あらゆる努力政府指導をし、そして守っていくという体制をつくってやらないと、二千万トン体制などととても言えなくなってしまう。そういう点でも、ひとつ責任のある御答弁をいただきたい。
  110. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私も赴任直後この問題は詳しく聞きまして、重要な問題だというふうに認識をいたしております。ところが、結論的に言うと、特に夕張新炭鉱の場合は、生き残る道は北炭労使双方全員が最大限の努力をして、もう少し労使双方が理解を深め、軌道修正をしてもらわねばならぬというのが結論だというふうに聞いておりますが、従来、政府及び市中の民間各社から異例の特別資金対策を行ってきた。こういうのを背景にして修正再建計画というものができ、いわゆる会社の分離が執行されたわけですね。ところが夕張新炭鉱生産体制というものが、計画に対して大変なおくれを示しておる。三つに分離した中で、特にこの夕張が悪いですね。これはあなた御存じのとおりです。こういう状況下で経営再建をどう図っていくのか。これは石炭鉱業審議会経理審査小委員会で指摘された趣旨を体して、北炭の労使が、さっき申し上げたように十分協議して、まず自己努力をしてもらわなければならぬ。このおくれを取り戻すための具体的な処理を図ることが何よりも基本であるというふうに考えます。政府としては、北炭労便の協議、それから自己努力、こういったものの現況及び行く末を十分児ながら、現行制度の枠内でできるだけの資金対策にも協力するということで経営指導を深めていきたいというふうに考えまするが、結論は先ほど申し上げたとおりでございます。
  111. 岡田春夫

    岡田(春)委員 江崎さん、まだ物足りないですよ。あらゆる努力をしないと大変なことになりますよ。  しかも、これは栗原さんに伺いたいのだが、そういうことにあれして賃金カットをやろうとしておるのですよ。二月、三月、一般鉱員二〇%、それから職員二五%、四分の一賃金カットするんですよ。こんなことになったら食えないですよ。こういう状態になってくると、労使関係としても非常にまずい結果になると思う。私は、労働者の方はなかなか承知できないと思う。ほかの面においての協力関係なら別として、賃金カットなどというようなことで二月、三月切られてしまったら、やっていけないですよ。そうなれば山からやめていきますよ。そうなったら経営続かないですよ。逆の結果になりますよ。江崎さん、さっき自主的に云々とおっしゃったけれども、逆にそういうことで、労働者のそういう点から言っても経営が非常に危険な状態になってきていると思う。こういう点は、賃金カットの問題は労働省として指導してもらわなければ困ると思うんですよ。これ、実情をお調べいただいているかどうかわかりませんが、もしお調べになっているならお答えいただきたいし、お調べになっていないならば早急に調べていただいて、こういう形での解決方法は絶対とるべきでないと思いますので、善処していただきたいのですが、いかがですか。
  112. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 まだ第一報が入っているだけで詳しい内容は承知しておりません。ただ、いまのお話の中で、北炭が非常に経営危機といいますか、そういう状況にあることは私どもも承知をしております。そして労働省といたしますれば、もうすでに発生しております退職金の支払いを含めまして、賃金の支払いについては重大な関心を持っております。しかし、そのためには、やはり先ほど来通産大臣もお述べになっておりますが、これは北炭が再建計画を本当につくって、そしてそれが軌道に乗る、経営が安定する、経営安定ということが最大ですね。ですから、経営安定のために労使の方々が虚心に話し合いを続けてもらう。また、先ほど来申し上げておりますとおり、政府としてもできるだけの援助をしておりますし、また今後もやらなければならぬものは続けていくという方針でございますから、私どもはそれに期待をいたしまして、ぜひ労使の間で話し合いが決着できるように、労働省としてできることはお手伝いをいたしたい、こう考えております。
  113. 岡田春夫

    岡田(春)委員 栗原さん、実態としては、情報は入っているかもしれないが、江崎さんの言うように、夕張の新炭鉱が出炭が思うようにいかない、それがいわゆる北炭の経営が非常に苦しくなっている点です。ところが、この賃金カットは新炭鉱だけではないのです。北炭の関係の幌内も真谷地も登川、清水沢、新炭鉱、全部がカットを受けるのです。それじゃ、たとえば出炭が順調にいっている真谷地炭鉱労働者は、おれは何のために賃金カットをされなければならないのだ、これは納得できないですよ。働いているのにカットされる。だから、高瀬さんは答弁、さっき余りはっきり言わなかったけれども、第三次の肩がわりの次に第四次に、北炭の問題、貯炭融資の問題、全体を含めて画期的ないわゆる金融政策を政府としてはこの際考えた方がいいですよ、それはたとえば肩がわりのような方法もあるじゃありませんかということを私はさっきから言っているのです。ですから、これは江崎さん、この点についてひとつ前向きに検討してみてください。いかがですか。
  114. 江崎真澄

    江崎国務大臣 石油備蓄というものに政府が非常な熱意を燃やして、今日イラン危機にもあわてることなく対応することができるという例から言うならば、貯炭を国家が考えていくという一つの御意見は、私はやはり傾聴すべき御意見だと思うのです。したがって、この問題をいま早急に私がここでそうしましょうとは言い切りませんが、十分御提案を体しながら政府としても検討をいたします。
  115. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ちょっとすれ違った答弁なんだけれども、いまの御答弁はそれで結構なんです。  私の言うのは、結局貯炭融資の問題なんですよ。それから北炭のこういういわゆる金融上の問題があるでしょう。そういう問題全部の借金ですね。あるいは赤字になっているその利子の問題を含めて、やはり肩がわりの問題をちょっと検討する必要があるということを申し上げたのです。
  116. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはそう簡単じゃないですね。特に、これはさっき申し上げたように、夕張新炭鉱の場合などは、やはり労使関係をよく修復してもらう努力もしてもらわにゃいけませんですな。労使双方が本当に努力してもらいませんと、いままで異常なくらい市中金融を初め政府としてもあらゆる協力をしてきた結果がここへ来ているわけでしょう。ですから、政府ももとよりなおなお粘り強く協力はしますが、やはり結論はとさっき申し上げたように、労使双方がここでしっかり汗を流して、本当に深刻に責任を双方が感じ合って、路線修復してもらわにゃいけませんですな。そういう努力の結果や行く末も見ないで、政府が安易にわかりましたとは、これは岡田さん、幾らあなたの御質問でもちょっとお答えしかねます。
  117. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなた、努力しているんですよ。坑内条件が悪いんですよ。労働者は本当に大変な努力をしているんですよ。そこの点を、私が口で言うよりも、あなたさっき言明を避けられたけれども、新炭坑へ入って見てください。そういう努力をあなたにひとつぜひお願いしたいと思います。それが一つ。  それから、もうこれで私終わりますが、最後に二問だけ。  産炭地域の疲弊というのは大変な状態なんですね。これについて、やはり財政上の特別優遇の措置が必要になっているんです。これは具体的には高瀬さんの方で答弁していただいていいですから、これの問題を具体的にどういうことで今後やっていくかというのが一つ。  もう一つは、これはおととし決まって去年予算に計上したのですが、おととしというと私が石特の委員長をやっていたときに現地調査をして、北海道の炭鉱地帯にお医者さんがいなくて大変なんです。それで、炭鉱の総合病院をつくろうという非常に強い要望が道と労使、三者から出て、去年調査費を出したのです。ところが、去年、五十三年度一年で調査できたかどうかわからないのだが、その後五十四年度にこれをどうするつもりなのか、ここら辺の見通しなども含めて、これは労働省の関係ですから、労働管の栗原さんからこの点はお答えをいただいて、初め産炭地域の振興の問題と、それから一番最初はそういう点であることをひとつお答えいただいて、私の質問を終わらせてもらいます。
  118. 江崎真澄

    江崎国務大臣 現場を見ろ、これは私も熱意を持っておるつもりです。さっきあなたからお話があったときもその意向を申し上げたわけですが、要するに、予算がまだ成立しないうちに、はあ、参りましょうと言っても、これはなかなか現実になりにくい。予算でも本当に成立する、あるいはまたその合間を縫ってでもぜひ機会をつくってみたいなというふうに思います。私も四十七年ごろ北海道開発庁の長官をやった経験もございますし、実情は一応理解しておるつもりなんです。ですが、最近の状況というものは、やはり百聞は一見にしかずということもありますから、今後の重要課題として検討させていただきます。
  119. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 病院の問題については事務当局から答えさせます。
  120. 中岡靖忠

    ○中岡説明員 お答えいたします。  御指摘の炭鉱総合病院の問題につきまして、私どももちろんかつて聞いておりますし、承知しておるつもりでございますが、いまの段階では通産省所管予算からある公益法人に実態を調査してもらうという段階になっておると私どもは聞いております。
  121. 岡田春夫

    岡田(春)委員 新年度は。
  122. 中岡靖忠

    ○中岡説明員 労働省の関係では、その調査の結果もまだ出ておらないようですし、労災勘定という特別会計がございますが、そこで五十四年度何か措置をするということは考えておりません。
  123. 岡田春夫

    岡田(春)委員 高瀬さん、産炭地域は。――それではもういいです。時間がないから、これで終わりますが、最後にもう一度私は念を押しておきますが、江崎さん、お聞きください。生産調整と称する生産制限は絶対にやってはいけません。これは再検討を願いたいと思います。これはさっき申し上げたような幾つかの問題が起こってきます。ですから、心配なのは閉山の問題、重大災害の問題、賃金や労働条件の悪化、こういう状態で、ぜひ再検討願いたい。  それから、先ほど前向きに御答弁いただきましたが、いわゆる政府の一手買い入れ、そして備蓄問題、その他を含めて前向きに検討するというお話でしたので、そこら辺はぜひ取り急いでやっていただきたい。そしてお二人の大臣にはぜひ現地入りをしていただくことを改めて要望いたしまして、私は質問を終わります。
  124. 古川喜一

    古川委員長 この際、午後零時五十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ────◇─────     午後零時五十一分開議
  125. 古川喜一

    古川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野村光雄君。
  126. 野村光雄

    ○野村委員 先ほど通産大臣並びに労働大臣から、それぞれ就任なさいましての通産省並びに労働省に関する所信の表明をお聞きいたしたわけでございますが、特に、最初に江崎通産大臣にお尋ねをいたしたいと思うのでございます。  先ほど各党の委員の方も触れられておりましたけれどもわが国エネルギー資源の九〇%を海外に依存をしている。こういう事態の中で最近のイランの政変、こういうことによりまして石油の見通しというものに対して国民が非常な大きな不安を抱いているわけでございます。この問題に対しましてあらあら通産大臣から、一応の最近の見通しにつきましての御見解は示されたわけでございますけれども、しかし、果たしてこれがどこまで確認されて、将来展望に立って、この九〇%以上に及ぶところのエネルギー資源というものをこのまま依存していって本当に間違いないのだろうか、不安がないのだろうか、こういうことにまだまだ国民は不安をぬぐい去れない、こう思うわけでございますが、これに対する具体的な長期的な、そして総合的なエネルギーの総合対策というものを見直す必要があるのじゃないか、こういう点につきまして、いま一度具体的な将来展望というものをまず示していただきたいと思います。お尋ねいたします。
  127. 江崎真澄

    江崎国務大臣 現在、エネルギーの一次源としての石油は七〇%を占めておるわけです。その七〇%の八〇%近いものを中東地区から輸入いたしております。約二二%がインドネシア、それから中国を含むアジア地域からの供給、こういうふうに相なっておるわけでありまして、先ほど、イラン情勢の推移とともにイラン石油輸出が全面ストップをした、この対策いかんということについては詳しく申し上げましたので繰り返しません。そういった事情を前提にして今後、中期、長期的に見て対策いかんというのが御質問の趣旨だというふうに思います。  全く重要な御指摘でありまして、これは昭和六十五年ごろにはやはり三〇%強ぐらいアジア地域から原油輸入するというように、アジア地域を含んでまず供給国の多様化を図っていくことが目下の急務である。そのためには自主開発をやる、共同開発をやる、技術の開発研究をやる、これはもう言うまでもないことでございます。  一面、原子力、電源開発促進するとか、先ほど来議論になっておりまする重要な、しかも量もたくさんある石炭利用に踏み切るとか、いろいろやり方はあると思いまするが、まず第一には、石油依存度を低減するエネルギー源の多様化、それから先ほど申し上げたように、三割はアジア地域に分散させるというような形で石油の安定的確保を図る。それから消極的と言われますが、やはり何と言っても省エネルギー推進、これは一億一千万の大国でありまするし、産業の盛んないわゆる経済大国と言われる日本においては、今後とも長くとらなければならぬ大問題であるという認識に立っております。それから四番目には、新エネルギー技術の研究開発促進というわけでありまして、これが大きな柱ということになって、代替エネルギーをどう開発していくか。  一方石炭については、わが国の埋蔵量というものは世界的に比べますというと比較的少量、限界もありまするが、国内炭については二千万トンの生産維持する、昭和六十年度には千六百万トンの一般炭の導入も図る。これはエネルギーの中長期的な多様化の大きな柱として認識をし、これを推進したいというふうに考えます。
  128. 野村光雄

    ○野村委員 もう一つ大臣は、アジア地域等を含めた石油輸入というものに対してはさほど心配はないのではないかという見通し、こういうことを先ほどもただいまも触れられたわけでございますが、いずれにいたしましても、石油というのは大半外国に依存をする以外にないわが国の実態、こういう中からいって、やはりその関係諸国のもたらす内紛でありますとか政変、こういう予期せざる諸問題が将来ともに絶対起きないという保証はない。そういう中にわが国の大きな不安というものがあるわけでありまして、そういう点からいきますと、こういうエネルギー危機というような時代に就任なさいました江崎大臣に課せられました責任は非常に重大だと私はお察しを申し上げているわけでございます。そういう点から、私はもう一歩突っ込んで、これらの関係諸国と長期的な取り決めなり契約なりというものを具体的に講じていく必要があるのではないかという考えをするのですが、この点に対してはいかがでございましょうか。
  129. 江崎真澄

    江崎国務大臣 産油国と国交関係を一層親密なものにして、中長期的に供給が安定確保されるような努力、これはもう全く御提案のとおりだと思います。私どもも今後、これら産油国に対しましては積極的な接触を図りまして、ひとつ十分努力してまいりたいと思います。  御指摘のように、私自身いまこの時期に通産大臣になったということは非常に重大な責任があるということを痛感いたしております。特にアラブ関係の情報が多岐にわたりますね。的確な情報をどうキャッチするか。これは政府の出先機関である外務省の情報が第一でしょう。それから取引をしておる業者の情報も相当確実性の高いものと見ていいと思います。そういう中に、今度はいろいろな国際的な業者、必ずしもメジャーとは申しませんが、そういった思惑が入り乱れてデマが飛ばされる、そしてこういう供給源が支障を来したときに不当な値段のつり上げがあるなんというようなことも当然考えられますね。特に自由主義経済下においてはそういう策動も度外視できません。この真偽をどう見分けるか、今後非常に重大な問題だと私は思います。  それから、イランの国情が早く安定するように、これが近隣諸国に影響を与えることのないように、私は戦争の生き残りですから案外運命論者的なところがあってあきらめがいい方ですが、実際、ここ一カ月前後というものは、本当にアラーの神を含めまして神さんに祈るような気持ちでこのアラブ情勢の変化を注視してまいったわけです。今後といえども、御指摘になりまするように、十分ひとつ的確に情報を把握して、そして国内需給に支障を来さない最大限の努力を、協力者のスタッフとともに責任を持って取り計らってまいりたいというふうに考えます。
  130. 野村光雄

    ○野村委員 石油問題でもう一点だけ、石炭問題に入る前にぜひお尋ねをいたしておきたいと思うのです。  アラブの問題、イランの問題等、これは国民全体が非常に心配いたしておりまして、特にまたその中で、報道機関等を通じて流れてきております新たなニュースの中では、石油備蓄に対しての輸出はしないというような産油国からの一部の報道が流れておりまして、これらに対する不安も一つの大きな種になっておるわけであります。  そこで、御存じのとおり北海道苫小牧東部開発地域におきまして、一昨年来石油備蓄基地の構想が練られてまいりまして、幸い昨年の暮れ、現地の道並びに関係市町村は、この建設に対して前向きな議会の決議もなされてきておるようでございますけれども、聞くところによりますと、五百万キロリットル余の備蓄ということでございますが、これらの建設の規模と建設予算建設着工の見通しというものが相当具体化されてきておると思いますが、現況についてまずお聞きをいたしたいと思います。
  131. 江崎真澄

    江崎国務大臣 消費国の石油備蓄OPEC諸国協力しない、これは私どもそういうふうには聞いておりません。むしろ、昨日もサウジアラビアのあるジャーナリストが私を訪ねてこられました。そして、この人が言うのには、サウジはOPECが消費国に輸出を約束した量というものはどうしても責任量として果たさなければならないという責任に燃えておる。その方が言われるのには、自分はヤマニ石油担当相ともごくじっこんの間柄であるが、いまは日産一千万バレル以上を産しておる、これをもとの八百万バレルに戻すとか戻そうとかいう議がサウジアラビアにおいてなされたというような情報が日本に伝わっておるが、そういうことはない。それじゃあなたが、あの相当確たる情報というのでマスコミに報道せられた情報を打ち消されたのですか、いや、そうですよ、ですから、私どもは、もちろんその一千万バレル以上も生産を永久に続けるということは、労働力の限界その他から言って無理があるかもしれませんが、こういう危急の場合にはあらゆる努力をして協力するという姿勢に変わりはありません。大変力強い話を聞かせてくれたわけです。ですから、今後とも私ども的確な報道をキャッチして不安なからしめるような対策を講じていきたいと思います。  苫東の石油備蓄につきましては、ちょうど私も北海道開発庁長官をやっておりまするころに、民間備蓄一環として出光石油があそこに大きな貯油場を設ける、備蓄場を設けるという話を聞いておりまするが、その後の推移につきましては事務当局からお答えをさせます。
  132. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 お答え申し上げます。  苫小牧東B地区の約二百ヘクタールの用地、ここに五百万キロリットルの石油共同備蓄基地を建設いたすべく準備を進めてきたところでございますが、昨年末に道及び関係市町村等の了承を得まして、年度内に出光興産外五社による北海道石油共同備蓄株式会社、これは仮称でございますが、を設立する運びとなっております。会社設立後、苫東開発株式会社の用地買収交渉及び同社による土地造成を経まして、五十四年度には石油備蓄基地建設工事に着手する予定となっております。  なお、事業費はおおむね千三百億円程度というふうに聞いております。
  133. 野村光雄

    ○野村委員 完成のめどはいつですか。
  134. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 一期が五十五年、あと二期が五十七年ごろというふうに承知しております。
  135. 野村光雄

    ○野村委員 当時、備蓄基地の建設に伴って石油タンカーの苫東に対する接岸が、設計変、更しなければできない、こういう現況であったのですが、これは計画どおりいっているのですか。
  136. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 新しい港湾建設が行われる予定になっていると承知いたしております。
  137. 野村光雄

    ○野村委員 担当でないようでございますから、これ以上余り……。これで質問を差しおきます。  次に、石炭問題に移ってまいりますが、先ほど大臣所信表明をお伺いいたしておりました。その中で、特に大臣は、石炭需要に対しては業界協力を得ていく、こういう御方針がございますが、具体的にどのような方法で協力を得ていくのか、この方針についてお答えをいただきたい。  次に、この所信表明の中に「石炭火力建設促進、」こういうことで、先ほど岡田委員からも触れられておりますので、重複を避けまして基本的な構想をもう一度――火力発電所の設置、これは促進を図るという大臣方針がすでに出ているわけでございますから、もう一度ひとつ具体的にこれを御説明賜りたいと思います。  それからもう一つ、先ほど問題になっておりましたが、所信表明の中で、特に私は気にかかっておりますのは、生産体制改善を一層図る、こういうくだりがございます。この石炭生産体制改善ということは、先ほど石炭部長がちょっと触れられておりましたけれども、あくまでも過剰生産の調整というものは、どこまでも生産の調整を図る、こういうことを大臣は示唆なさっていらっしゃるのか、この点をひとつ確認をしておきたいのです。
  138. 江崎真澄

    江崎国務大臣 石炭需要につきましては、鉄鋼業界中心として石炭の引き取りを増加するように、通産省としてはしきりに勧めておるところです。また、発電所等に対しても、ぜひ計画量を引き取るようにということで、そのために、引き取り増加のための助成金もあるわけですから、フルに活用して努力をしておるわけであります。  今後の計画等につきましては、政府委員から答弁をいたさせます。
  139. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  石炭火力建設計画、先ほども若干御説明いたしましたが、いまのところの具体的な計画、見通しでは、五十二年度、石炭火力が四百四十万キロワットございます。これを六十年度には九百八十万キロワット、六十五年度には二千万キロワットとすることで、いろいろな対策をやっておりますが、特に問題になりますのは、環境対策の充実強化、それから地元福祉対策等の立地対策が問題でございます。  それから、建設のコストの軽減措置につきましては、現に苦衷火力につきましては建設費の一五%を補助しておりまして、計画的に進めていくということを考えております。  それから、第三点目の生産体制の問題でございますが、あそこで使われている言葉は、むしろ生産体制の技術的な強化といいますか、といいますのは、今回の予算でお願いしておりますのは坑道掘進補助金拡充保安確保補助金拡充考えておりまして、生産体制深部化に伴う強化を意味しておるわけでございます。
  140. 野村光雄

    ○野村委員 大臣に基本的なことをもう一つここでぜひお尋ねをいたしたいのでありますが、いずれにいたしましても、大臣みずからも申し上げておりますとおり、先ほど来各委員からも、現在の置かれております石炭産業の実態というのは、三百七十万トンからの貯炭を抱えた国内炭をどうこれを二千万トン体制の中で一応供給をバランスをとっていくか、ここに大きな焦点が置かれているわけでございます。  そこで、端的に申しますと、現在、国民がこういう目で見ている。申し上げるまでもなく、わが国の国内石炭は二千万トン体制、こういうことはきのう、きょう言い出したのではなくて、この第六次石炭新政策をば叫ばれまして以来の長年の国自身の責任持って遂行する体制であったはずでございます。その二千万トンが満度に出炭されていないのにもかかわらず、三百数十万トンという大幅な貯炭が年々日月とともにふえていく。一体、国は二千万トン体制ということで需給計画というものを立てておきながら、こういう実態に対してどうこれを受けとめているのか。二千万トン体制だけ掘れなくて、なおかつこれだけ貯炭が出るということに対しては、これは国自身の需給計画の見誤りなりずさんさがしわ寄せとなってここに出てきたんじゃないか。こういう通産省に対する、石炭産業に対する基本的な国の姿勢に対して大きな不満と不信を抱いているわけですけれども大臣は、この現況に対して、率直に言ってどのように認識していらっしゃるのか、まずお聞きをいたしたい。
  141. 江崎真澄

    江崎国務大臣 例の昭和四十八年の石油ショック以来、これは日本ばかりではなくて、世界的に景気がスローダウンいたしましたね。そういったことが鉄鋼需要というものをこれまた非常に鈍化させたということが、やはり一面においては鉄鋼業者の石炭の引き取り計画にそごを来した。これは大きな、日本だけでない世界的な一つの経済的な大変動の影響ということもあるわけで、ただ、政府の見通しが間違ったというていのものではないという点はひとつ御理解を願いたいというふうに思います。  そこで、結局、しからば、いまの需給アンバランスをどう効果的に解消していくのかということになりますると、これはやはり午前中来繰り返しておりまするように、産炭地火力の建設促進する、それから鉄鋼の景気回復に伴って、これも一億四千万トン体制を一億トン体制で黒字が出るような合理化努力を鉄鋼業界もしておるわけですね。これをひとつどういうふうに今後石炭引き取りを願うか、なかなかむずかしい問題がありまするが、御承知のように、火力発電所の建設にはリードタイムの問題もございます。それからまた鉄鋼生産、これも世界的に石油ショック後、景気が停滞したという影響を受けて、業績が上がらなくなった。まだ日本の鉄鋼業界などというものは、合理化努力という点では優等生だと思いますね。そういった不確定な状況を背景にしておりまするので、当分の間、やはり引き取り要請の強化を業界に向かって行うわけでありまするが、なかなか需要は伸びない。実際には千七百五十万トン前後で推移するというふうに考えられるわけです。  そこで、さっき石炭部長からお答えいたしましたように、中長期的には苫東火力であるとか松島火力であるとか竹原火力というような石炭火力発電所が当初計画どおりに運行し、国内炭が消費されるように、そうしてまた、二面では、鉄鋼業界が早くもとの生産量に戻って完全にペイするような経済環境をつくること、これが必要だと思うわけですね。ですから、今後とも、政府としてはそういう面にあらゆる努力を傾注して、石炭問題解決に力を入れてまいりたいと思います。
  142. 野村光雄

    ○野村委員 大臣は、これは政府には責任がないんだ、社会の経済変動がこうもたらしたのだ、こういうふうに何かかっこよくすらっと責任逃れみたいですが、ただ、国民の立場から私は申し上げると、さっき言っているのですが、かつての石油ショック、あの時期、一時石炭の見直しというものは、国自身も真剣になって、国民もそういう自覚に立った。しかしまた、のどもと過ぐれば熱さを忘る、結局はエネルギー石油一辺倒、こう言ってもいいようなことになってきて、また昨年暮れ以来、イラン等の問題で、石油危機というものをはだで感じ出したときに、先ほど来出ておりますように、いよいよ今度は世界的にも石炭というものを見直さなければならないという機運がまた出てきた。同じことを繰り返しているわけですね。ですから、少なくとも前回のあれだけの深刻な事態を国民自身が、電力の節減ですか、熱源の節減をしながら、石油ショックというものがどんなにわが国にとってこわいものかということははだで感じたわけですから、あの時点からもうすでに石炭対策というものをもっともっと抜本的に見直してきているならば、いまここに立ってわずか二千万トンさえも出炭できないものでさえも余ってしょうがないなんということは、これは経済変動だから政府に責任ないんだとだけは、どうも国民は納得できないのですが、率直にどうですか。
  143. 江崎真澄

    江崎国務大臣 政府に責任がないとは申しておりません。これは、やはり政府としては当然どういう場面にも責任があるわけですが、たとえば、私が言う意味は、あの二千万トン計画を立てておいても千七百五十万トン程度しか需要がない。これは、たとえば鉄鋼の場合ですね、一億四千万トン体制で完全にペイをして利潤を上げる最優秀企業、日本を代表する最優秀企業であったが、これが一億トンベースに切り下げをし、合理化をしなければペイしない。また、これはペイするように企業努力経営努力をやった鉄鋼業界というものはみごとだと言わざるを得ないと思うのですね。そういう意味から言って、石炭の場合も、あの石油ショックの影響なしといたしません。これはほかの業界にも同じことが言えるわけですということを申し上げたわけであります。  さて、しかし今後の石炭をどうするかということについては、午前中来いろいろ議論をされてきたところでありまして、ああいった諸施策をフルに活用しながら、特に石炭業界というものは非常に大事な業界ですね。これは国家にとってのエネルギー源ですから、特に石油をだんだん他のエネルギーに転換していこうという場面ですからね。そうすると、石油そのものは、いまはコストは安いし、石炭石油に比べればコスト高というわけですが、石油は、それじゃこのままの値段で永久に推移するか、そんな保証はどこにもありません。むしろイランの混乱等をめぐりましてだんだん値上がり傾向にあるとするならば、石炭の、いまは高いが、このエネルギー資源をどうつなげていくかということは、これは重大問題です。ですから、今朝来車ね重ねの議論があるように、私どもも十分重視して、あらゆる限り、でき得る限りの対策をとってこの産業が存続できるように努力をしてまいりたい、こう申し上げておるわけです。
  144. 野村光雄

    ○野村委員 大臣、答弁が非常にお上手でございまして、責任を感じたのか感じないのか、終わって、ほかの論題で長々御答弁がございまして、国民に対する率直な大臣なり政府の見解というのは不明確になってしまっている。後からひとつ、お感じになるならもう一回つけ足していただきたいのです。  そこで、午前中の中でちょっと私としても重要な、聞き捨てにならないといったらちょっと語弊があるのかもしれませんが、二千万トン体制堅持については、一時的にも現在の貯炭量からいって生産調整をせざるを得ないというような御意見がちょっと出たようでございますが、これを確認をいたしたい。
  145. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 生産調整といいますよりも、いまの貯炭三百七十万トン、見込みでございますが、現在のストックヤード等の物理的限界を考えますと、大体四百万トンがいまのところ限界でございます。したがって、結果的に、これ以上貯炭がたまらない方法を考えませんと、物理的に処理が不可能になりますので、それが一点と、それから相当の資金負担が出てまいります。これは現在の民間資金調達、それから政府経営改善資金等ではとうてい処理できる金額ではございませんので、その辺の事情を考えた上で、貯炭のふえないような対策考えるという意味でございます。
  146. 野村光雄

    ○野村委員 大臣、ぜひよく聞いておいていただきたい。生産過剰といいますか、貯炭増によりまして、一時的生産調整というものがすでに具体的に始まっている。いいですか。どういうところにいま生産調整のしわ寄せがきておりますかというと、最も零細な露天炭の業者、こういうところにすでに通産省の出先機関から生産ストップの調整が具体的に行われてきている、こういうことでございまして、確かに露天炭というのは、地下から掘り出すのと違いまして、非常に設備投資も軽微でできているといいながら、しかし、こういう露天炭というのは、大臣御存じのとおり、非常に中零細の企業が本当に一般炭としてわずかな生産を上げながら、五千か七千ぐらい月産で生産しながらやっている。こういうところに一方的にしわ寄せがきていることに対しては、どうもいただけないのでございますが、こういう問題に対して、率直にひとつ大臣としてのお考えをお聞きしたいのでありますが、御存じないですか。
  147. 江崎真澄

    江崎国務大臣 やはり零細なところほど、こういう景気の落ち込みの場合、特に消費が思うように進まないという場合には、影響を受けがちなものです。やはりそういうところに対しては十分配慮をしていく必要があるというふうに思います。よく実情を把握して対応したいと思います。
  148. 野村光雄

    ○野村委員 ぜひこの点は実態をひとつ確認しながら、やっぱり零細企業というものを守るという基本的な姿勢の中で十分ひとつ対応していただきたいことを要望いたしておきます。  次に、この貯炭解消対策として私は幾つかの提案なり考えを持っておるわけでございますけれども、まず第一番に、需要確保につきましては、私はこの際、やはりこれだけの貯炭がどんどん山積みされているわけですから、国内炭優先の使用原則、こういうことでやっていくべきだと思うのでありますけれども、これに対してどんなお考えをお持ちになるか、ひとつお伺いをいたしたい。  次に、もう一つこの際お伺いいたしたいことは、どうしても需要計画というものは、先ほどの大臣所信表明にもございましたとおり、民間企業にこれを依存する形態で企業の協力を得る、こういうことに主体が置かれております。私はこの際、国をまず先頭として、道府県なり公共施設に順次、これは一遍にいかないとしても、やはり今後の需要計画というものを国みずからが示していくべきだ、こう考えるのでありますが、この二点につきましてのお考えをひとつ示していただきたい。
  149. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  一般炭の、特に北海道の貯炭の原因でございますが、苫東の運開が二年ほどおくれまして、その反面、暖房炭の需要が北海道ですら激減したわけでございまして、それがほとんど貯炭になっているわけでございます。したがいまして、われわれも公共施設優先ということでいろいろな指導を道を通じてお願いしているわけでございますが、逆に公共施設の方が、北海道ですら灯油に転換するという奇異な現象がございまして、それが北海道における需給ギャップの大宗になっているかと思います。  原料炭の割り当てのお考えがございましたが、これは先ほど御説明いたしましたように、諸外国との国際関係とか国際収支との問題もありまして、それを一方的に日本の国情だけからでIQを強化するというわけにはまいらないわけでございまして、その点で、鉄鋼の全体の景気回復を待つ以外に方法はないというふうに考えております。
  150. 野村光雄

    ○野村委員 石炭部長、私も産炭地出身なものですから、関係市町村長さんのいろいろな陳情なり実態をお聞きする機会が多いわけでございますが、せめて産炭地の市町村だけでも自発的に公共施設に石炭を暖房用として使いたい、こういう計画を持っても、実質的にボイラーそのものがまず現在できているのは一つもないのだ、いざ契約しようとしてもボイラーを新たにつくるということに対しては膨大な金がかかる、こういうお話がございまして、これらの問題は、一つの実例ですけれども、やはり国自体がそういう消費拡大一環として今後検討をしていく必要があるのではないか、こういう考えをいたしております。
  151. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、やはり北海道では暖房炭が落ちておりまして、これの需要対策決め手は一般家庭ではなかなかむずかしいと思います。したがって、ある程度のビルの大きさになった市町村庁舎とか、そういうところで使っていただけるのが最高いいわけでございますが、これは産炭地のある市であったわけですが、特に名前は挙げられませんけれども、北海道でも産炭都市として有数の都市の市庁舎を建てかえるに際しまして、われわれいろいろ言ってはいたのですが、やはり灯油にかわったという例があるようなのが実情でございます。その理由として、適当なボイラーがないという御説でございますが、石炭ボイラーというのは非常に古くからある技術のものでございまして、オーダーさえすれば、というのはむしろ設置するという心構えがあればすぐ設置できる機具でございますので、それはわれわれとしては意欲がないというふうに認識しているわけでございます。
  152. 野村光雄

    ○野村委員 それでは具体的にそういう問題がありましたらひとつ相談に乗っていただきたいと思うのです。  次に、ここでぜひ貯炭対策一環としてさらに二点ほどお伺いをいたしたいわけであります。  先ほど、この問題は岡田議員からも触れておりましたけれども、貯炭増に伴うところの資金事情、こういうものに対しての打開策として、私は、むしろ一定量以上ぐらいは政府がこれを買い上げていく、こういうような積極的な措置を講ずるべきでないか、こういう考えを持っておる一人でありますけれども、これらに対する考えにつきましてひとつお答えをしていただきたいということと、さらに現在の状態の中から、これ以上貯炭がふえてまいりますと、貯炭場の増設なり新設なり拡大、さらにまた貯炭のための移送費、さらに貯炭をしていくための炭質の低下、品質の低下、こういうものが直に関係産炭企業に対して大きな負担となってきているわけでございますけれども、これらに対するところの助成措置というものをまず積極的に講じてやるべきでないか、こう思うのですが、これらに対するお考えをひとつ明らかにしていただきたい。
  153. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  貯炭融資の件でございますが、五十三年度の末で言いますと、先ほど若干御説明しましたが、民間資金二百八十億、政府の金八十億、計三百六十億の資金手当てがついておるわけでございまして、したがいまして、政府資金をここで主体的に導入していきますと、政府資金が単に市中資金にかわっていくという状況が五十三年に出てくるわけでございます。ただし、五十四年度につきましては、民間資金からの調達というのはかなり困難の度を加えてまいると思いますので、これについては、ある程度政府の方が中心となって、民間から協調を受けるというようなことでいかなければ資金調達ができないのではないかと考えております。  現在のところ貯炭の見通しはそう大きい数字になっておりませんので、現在のヒヤリングの結果を前提とし、今回の御予算審議いただけるような予算内容がつくならば、事務的な整理といたしましてはほぼめどがつくのではないかと考えております。  貯炭場の新設、移送費の問題に対することでございますが、貯炭場の新設をする場合、お金の問題ということよりもむしろ環境の問題でなかなか容易に入れないという問題がございます。それから貯炭をやりますと、資金コストが横持ち費用まで入れまして大体千三百円から千四、五百円になるということでございますので、むしろそれは坑外よりも坑内に貯炭するという考え方の方が、さっきも言った炭質の劣化等を考えると、総体的な資金としては合理的ではないかと考えて、貯炭をふやさない方向での生産ということを考えたわけでございます。
  154. 野村光雄

    ○野村委員 次に大臣、これはぜひお聞きをいただきたいのです。  わが国国内炭の流通体系の問題です。大臣御存じとは思いますけれどもわが国石炭流通機構というものは、遠く戦前時代から長い間、結局一部限られた商社等によるところの納炭枠というものがございまして、それを通じなければ生産者としては需要者に直接納炭できないというようなシステムになっている。そういうことで、特に一般炭等、長期間にわたって一定枠納炭しながらも、その生産者なり労働者の直接の納炭枠というものがないために、こういう非常にむだな流通機構の一つの枠から、労働賃金として見合わないような中間的手数料といいますか、こういうものによって生産者が苦しんでいるという実態が非常に多いわけでございますけれども、私は、この際、この流通体系、機構というものを一回総点検していただいて、なるべくむだな経費というものを省いて、そして生産者も喜び、また需要者も直接安い石炭が手に入る、消費者も喜ぶ、こういうような流通機構の改善というものを再検討する必要があるのじゃないかというふうに考えるのでございますが、それが第一点。  それからもう一つは、私が申し上げるまでもなく、国内炭輸入炭との価格の大きな開きがございます。この際、これは私の提案でございますけれども、将来展望に立って、この石炭の流通形態というものを外炭を含めた一元化を図っていくということも必要でないのだろうか、こういうふうに考えますけれども、この基本的な流通の二点について、ひとつ大臣の率直なお考えをお聞きしたいと思います。
  155. 江崎真澄

    江崎国務大臣 商社などが介在することについては、これはどの業界も同じだろうと思いまするが、いわゆる納炭実績に基づいてそこに商権が確立する、特に炭の場合は、集炭能力がどうであるかとかあるいは混炭の技術が適正であるかどうかということで、安定的な供給がなされる。そういうことで商権が確立されておるというふうに私、理解しておるわけですが、まあ日本というのは近代と前近代的ないろいろな長い間の習慣が入りまじっておりまして、不合理なものがあればもとより十分合理化しなければならぬ。そのために通産省があるわけですからね。よく実情を把握するようにいたしたいと思います。  それから、輸入炭、国内炭を一元化したらどうだ、これは一つの御提案だと思いまするので、御趣旨の点を十分検討いたしたいと思います。
  156. 野村光雄

    ○野村委員 大臣、まあ実態を知っていらっしゃって、なおかつはぐらかしていらっしゃるのだろうと私は善意に解釈するわけですけれども、集炭も混炭も納炭も、その生産者が所定のカロリーに全部つくり上げて、所定の場所まで運んでいるわけです。商社がみずから買い集めて所定のカロリーに混炭をし、運んでいるというのじゃないのですね。それであるならば、やはり私はそれだけの責任があって、需要と供給のバランスの中で、大きな商社としてでなければできないということはわかるのですが、一切合財下で仕事をやっている。これでは何のための――納炭枠というものは必要なのか。私は枠は必要だと思う。しかし、もっと現実のその人に枠を分け与えてやればいいのではないか。これは私の実態論から言っての感想でございます。しかし、ただいま大臣がおっしゃるように、これは一朝一夕にそう簡単に――やはり長い伝統と歴史を持ってした納炭の一つの商社の枠でございますから、野村の野郎が言ったためにおれはえらい損をしたという商社もできるでしょうから、そう簡単にいかないだろうと思うけれども、しかし私は、現在の状況から言って、これは勇断をふるって検討だけはしていただきたい。これをさらにひとつ要望いたしておきます。  次に、時間がございませんので、北炭夕張の問題で先ほどございましたので、一点確認をいたしておきますけれども、これは経営が非常に危険な状態になってきているという中で取りざたをされているわけでございますけれども、当初、日産五千トンという規模から、この北炭夕張の大きな危機状態の最大の原因は、出炭計画が現在三千四百トン前後に後退をせざるを得なくなってきた。これは私は、那辺に最大の原因があるのか、技術指導なりそういう専門的な通産省の立場からしても、現在の機械力なり技術力によって三千四百トンという現況はもうやむを得ない現況なのか、技術の開発なり何かによって、さらにこれがせめて目標の四千五、六百トンまでの出炭というものが可能な状態であるのか、この点についての技術指導と現況と内容についてひとつ御答弁をいただきたいと思う。  もう一つ。時間がなくなってまいりましたので、労働大臣にぜひこの際お尋ねをいたしたいのでございまするが、石炭労働者に対する認識というものを、大臣就任早々ですから、先ほど一回現地を見に行くと言いましたから、見に行ってくだされば一番それにこしたことはないのですが、これは御存じのように、非常に日の目の当たらない地下労働者である。そういうことによって、常に高温で湿気も多い。労働環境というものは他産業に比較して非常に恵まれていない。さらに、特に昭和五十二年の災害実態なんかを見ますと、石炭労働者の中で五十八名の方々が殉職をいたしております。重軽傷者を含めまして二千百八十六名の犠牲者が出ている。炭鉱労働者の十人に一人の割りでこういう犠牲者がいるということでございますけれども、こういう炭鉱労働者の実態というものをどのように認識し、新大臣として、これらの恵まれない環境の中で努力している労働者の安全対策なり労働条件改善のために、どのような対策と決意で改善をなさろうとしているのか、ひとつこの点について大臣の所見を承りたいと思います。
  157. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 北炭新鉱の技術指導等について御説明をいたします。  北炭の新鉱は、地上から約千メーター弱でございますが、かなり日本の炭鉱としては深いところにございます。したがいまして、盤圧といいまして、土の重さで坑道がつぶれるという、自然的条件からくる弱点を若干持っております。  それから第二点が、新しく深いところで開坑された炭鉱でございますので、ガスの湧出が他に比べて多いというような問題がございますが、技術的には開発が可能なところでございます。  しかし、その点を踏まえまして、われわれとしては、五千トン・パ一・デーの生産体制から四千三百の現計画に至るまでの間に、技術調査団的な形を数度つくりまして指導しているわけでございます。特に保安の問題が、ガスが多いということでございますので、ここにつきましては特別のプロジェクトチームを札幌の監督局につくっておりまして、最近は月三度ほど巡回をいたしまして、保安点検をして事故の防止に努めているという一面の技術指導をしております。  そのほかに、生産体制の面の技術指導といたしましては、やはり私の方に財団法人で石炭技研というのがございまして、そこでは生産体制の管理問題をかなり議論しているグループがございまして、その辺のグループを使っていろいろ技術的アドバイスをするという運びをしておるわけであります。  そのほか、最近とみに北炭の新鉱の出炭が不調になりましたので、ことしの一月の十日、十一日に、東京大学の名誉教授の伊木先生と、それから北海道大学の磯部先生が、たまたま北海道で会合がございましたので、ついでに行って御意見をいただいております。  そのほか、最近やはり技術面、それから技術管理面等々において他炭鉱に学ぶべきものがあるような気がいたしまして、石炭業界としても何らかの技術的アドバイスをするというようなお考え石炭業界にも出てまいりまして、先月の末に、石炭業界から現状をいま見に行っておりまして、その結果を踏まえて技術的アドバイザーを選択したいというようなことをいま考えておるわけでございます。
  158. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私も現地を見させていただきまして、適切な処置をとるべきものはとっていきたいと考えておりますが、私がいま聞いておるところでは、炭鉱における災害は減少傾向にあるとは言いながら、最も危険率が高いと言われている建設業よりもはるかに多い、こういう実態を聞いております。これは非常に重大な問題でございまして、われわれとしては、炭鉱労働者方々保安、それから安全衛生というものについて積極的に関心を持たなければなりません。ただ、一義的に言いますと、保安の問題については通産省ということになっておりますので、通産省のそういう行政指導というものに期待をしておりますけれども労働省といたしましても重大な関心を持って今後やっていきたい。すべては、すべてはと言うとおかしいのでありますが、先ほど申し上げましたとおり、現地を見さしていただきまして適切な処置をとりたい、こう考えております。
  159. 野村光雄

    ○野村委員 もう時間が参りましたが、労働大直、炭鉱災害が減少傾向にあると言う。大臣就任したばかりですから、大臣が就任したことしは確かに減少傾向にあると思うが、それは去年に対比して減少しているというので、五十一年と五十二年を比較すると五十二年が増高の一途をたどっている。こういうことで、たまたま五十二年よりか五十三年が少なかったということであって、それが減少傾向をどんどんと将来ともにたどっていくのだという傾向ではないのです。たまたま一年ちょっと少なかったということで、忘れたころには災害はやってくるということわざもございますから、安易な考えで減少傾向、減少傾向だということで認識していらっしゃるとどえらいことになるのではないか。ただ一町的な、若干時間が遠ざかったというだけで、ゆめゆめ保安対策等、こういうことを怠るということには非常に警告を発しておかなければならない、私はこういうことで申し上げておる次第であります。  最後通産大臣、念を押して御所見を承りたい。  これはどの方が大臣になろうとも、エネルギー問題は容易ならないわが国全体の一つの運命であろうかと思います。悲しいかな島国でありますわが国エネルギー資源というのはない。必然的に外国に依存をせざるを得ないというのが一つの宿命であり、運命ではありますけれども、しかし、国民の全生命を預かる政府として、原油国がこうだったからこういうパニックが起きたんだ、経済が予想外に低迷したからエネルギーが行き詰まったんだ、こういう言いわけだけでは済まされないくらいエネルギーというものは死活にかかわる重大な問題でございますので、ぜひその点ひとつ万々そういう禍根の残らない対策と決意で臨んでいただきたいと思いますが、最後の率直な、責任の立場に立ったお考えを明示していただきたい。
  160. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃる点はまことに重大だと考えております。万遺漏なきように最善の努力をいたします。
  161. 古川喜一

    古川委員長 岡田利春君。
  162. 岡田利春

    岡田(利)委員 前の質問者と重複をしないように、ひとつ御質問をいたしたいと思います。  今年度予算一千二百九十三億の予算が決まったわけですが、これを分析をしますと、石炭鉱業にかかわるものは四四%、ボタ山を除くとまだ比率が下がるわけです。それ以外の鉱害対策、産炭地振興対策炭鉱離職者の関係、合計五四%、その他二%という数字になります。従来、石特会計は、石炭鉱業と、いわば石炭鉱業閉山に伴う後始末、大体フィフティー・フィフティーの原則でずっときたわけですが、今年石炭関係で政策が終わったという関係もございましてこういう比率になっておるわけです。今後の石炭特別会計の伸びは、今日の石油情勢等を考えると余り大きく期待はできないのではないか。今年度の場合にも六十一億程度、いわば十分の八を上回っている、こういう予算が組まれておるわけです。そういう意味で、今後の石炭予算の配分という点については大きな工夫を必要とするだろう、私はこう思うわけです。そういう点について、この際所見を承っておきたいと思います。
  163. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 石炭特別会計には四つの柱があるわけでございますが、そのうちの一つ石炭鉱業の安定対策、これは先生御指摘のとおりことしは四四%、他が五六%ぐらいになったと思います。  今後予算編成の中心というのは、鉱害が大体天井といいますか高原に来たので、これは大体ふえる方向は余りないのではないかと考えられますが、まだ鉱害復旧もおくれておりますので、その辺の配慮をどうしていくかということとのバランスで考えていかなければならないと考えております。しかしながら、今後需要対策がかなり大きいウエートを持ってくるわけでございまして、五十五年度以降の予算編成については、その辺を踏まえていまから勉強しておかなければいけないというように考えています。
  164. 岡田利春

    岡田(利)委員 この数字が示すように、石炭産業の歴史百年間、その後遺症を修復するのにまだまだ相当の期間を必要とするわけであります。しかし、現行のわが国の産炭構造は、いわば海底と陸上部門に分ければフィフティー・フィフティー、しかも陸上部門はほとんど山岳部を掘っておりますから、陥没鉱害というものはほとんど起きない。そういう炭鉱に今日限定されておると言っても言い過ぎではないのであります。そういう面から考えますと、現在の炭鉱というものを維持をして、できるだけ既存の炭鉱で最終フィルドを掘り尽くすということが最も経済的かつ合理的な考え方であると言わざるを得ないと思いますので、私はこの点の認識をまず賜っておきたいと思うわけです。  同時にまた、先般予算委員会で私は指摘をいたしましたけれども、今日、石炭問題はヨーロッパにおいても同様の動向にございまして、西ドイツでは一九七八年度の予算わが国の邦貨に直して三千百十三億円、フランスでは一千六百五十億円、この支出内容は大体石炭産業の維持にかかわるそれぞれの予算支出の内容でありますが、トン当たりに直すと西ドイツは四千円、フランスは七千七百円、わが国は大体三千円弱、こういう予算比較になるだろうと私は思うのです。こういう点について大臣の御認識は私と変わりがありませんかどうか、承っておきたいと思います。
  165. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いまお示しのような数字だと理解をいたしております。
  166. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国石炭政策の歴史を振り返ってみますと、第一次から第三次政策までは、石油石炭の価格をできるだけ差を詰めていく、そのための合理化、すなわちスクラップ・アンド・ビルドがとられてまいったわけであります。同時にまた、この政策が一応終わって第四次政策に至りまして、特にわが国の鉄鋼の将来展望をも考えながら、国内炭は原料炭重点政策、したがって、いままでの石炭の歴史の中で新鉱が開発されましたのが三菱大夕張、そして三井三池のいまの有明炭鉱、そしていま問題の北炭新鉱、いずれも原料炭の山であります。そのことが如実にわが国石炭政策の歴史を実は証明いたしているわけです。このときには永野さんも本委員会に御出席を願って、国内原料炭の一定規模というものはどうしても必要であり、これは優先引き取りをするという前提に立って、原料炭の確保は、特に本委員会としても政府としても十分関心を持って進められるように、こういう御意見もございまして、いわゆる原料炭重点政策に四次政策以降転換して今日まで至っておるわけです。したがって、わが国の原料炭の消費動向は年々上回ってまいりますから、優先引き取りの原則がその機会に確立された。これが鉄鋼業界そして石炭業界政府との合意であった、こう私は思うのでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  167. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、第四次答申では、鉄鋼生産が非常に急激に上昇してまいりまして、世界的に新鉱の開発が追いつかない、アメリカの供給が少ないということで原料炭が世界的に不足したことは事実であります。したがって、国内炭の原料炭の長期確保のために、やはり国内石炭についても原料炭に生産構造をシフトしたという事実はあるわけでございます。しかし、現在の状況下で考えますと、先ほど御説明いたしましたように、一億四千万トンの粗鋼生産で原料手当てをした後、現在では一億一千万弱の生産でございますので、その辺の配慮を鉄鋼業界でもしてくださいまして、引き取り率については海外炭より高目にしていただいておりますので、その辺の考え方をまだ持っていただいていると考えております。
  168. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣、最近の鉄鋼業界の動向でありますが、七割操業ということが定説になっておりますが、十二月末の動向から判断しますと、鉄鋼のいわゆる在庫率は一を割って〇・九七になっています。同時にまた、三月末までの鉄鋼生産の動向は、大体粗鋼で一億二百四、五十万トンまで行くだろう、こう見られておるだろうと思うのです。いわば在庫調整は確実に終わった。そして一億四千万トンのうち一千五百万トンの高炉は、いわば最近できた高炉なわけです。しかも高炉は補修のために巻くという一つの休む期間がございますから、これが年間大体七百万トンぐらいになるでしょうか。そして来年の動向をずっと私なりに計算してみますと、中国の動向等も判断しますと、昭和五十四年度は大体一億七、八百万トン近くの段階に達するだろう。そうしますと、大体七百万トンと置いて計算をしますと、来年度は確実に八〇%若干強いぐらいの操業率になる、稼働率になる、こう私は見通しておるのでありますけれども通産大臣はどういう見解を持たれていますか。
  169. 江崎真澄

    江崎国務大臣 お示しのとおりだと思います。一億四千万トン体制というのは、新しい高炉、したがって一億二千五百万トン体制とも言われますね。それを一億トンにして徐々に徐々に増大してきたというわけですが、多少、順調にいけばふえる。そんなところにも、先ほど午前中来申し上げておりまする油の苦悩があるわけでございまして、そういう大口需要者の削減などをしないという前提に立てば、需要は確かに強くなっておるというふうに私も見ております。
  170. 岡田利春

    岡田(利)委員 ガス会社においても、外国輸入の原料炭と国内炭をミックスにして、そこでガスを取っているんですね。ガスを売る。残ったのはコークスであるわけです。このコークスは鉄鋼の高炉の中に入っていくわけです。この国内炭輸入炭の比率はどうなっていますか。
  171. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 ガス会社の方は内外の比率が、内が二〇でございます。鉄鋼の場合、これは平均してみますと一一・一、一一%でございます。しかし、これは企業でかなり差がございます。
  172. 岡田利春

    岡田(利)委員 大体ガス会社の場合には国内炭を二〇%まぜて、コークスが最後に残って、これが鉄鋼で使われる。そして鉄鋼の場合には、いまの六百四十万トン程度の引き取り率が一一%。これを大体一四%まで高めると需給ギャップは消えるわけです。そして大体いまの二百円で計算しますと、七千円程度の値差――九千円程度ありますけれども、従来から値差がありますから、大体七千円ぐらいになるだろう、こういうのが私の見方です。百万トンでこれは七十億になりますから、一億トンで割ると七十円ということになるわけですね。そういう面から見ますと、確かに鉄鋼も苦労してまいりましたけれども、来年の動向を考えれば、来年も百万トンの需給ギャップをそのまま置かなければならぬということは政策上どうかと思うのですね。そうしますと、やはりそういう展望の上に立って諸般の状況判断する場合に、私はここに引き取り増の展望というものが必ずある、こう見るわけです。ここをどう見るかということが来年の需給関係にとっては非常に重大だと思うのです。そういう意味で、この調整は石炭政策の歴史的な経過から考えても、またコークスをつくる技術的な面から考えても、それと、いま言った粗鋼生産に占めるコストから考えても、いままでの政策を強化するなら強化するという展望を持ちながら知恵を出せば、ある程度の解決は私はできると思うのはきわめて当然じゃないかと思うのです。御所見いかがでしょうか。
  173. 江崎真澄

    江崎国務大臣 岡田さんの実情に即せられた貴重な御提案だと思います。十分検討したいと思います。
  174. 岡田利春

    岡田(利)委員 原料炭の場合には、消費の客体が厳然としてあるわけでありますから、そういう意味で、この点は今日の石炭産業の死活問題にかかわる重大ポイントでありますので、特に来年度四月一日まではまだ時間もございますから、この点について、私は鉄鋼がけしからぬと決して言わないのです。鉄鋼も相当減量経営で苦労もされているわけですから、これも理解するけれども、歴史的な流れも考え、諸般の条件等も踏んまえた上で、なおかっこの解決の道はあるのではないか、こう思いますので、そういう前向きでひとつこの問題の解決を強く要望いたしておきます。  第二に、一般炭の需給ギャップも百万トンあるわけです。そこでいま電力会社は円高差益の還元を行っていますが、来年度を展望して、円高差益の還元はどうなってまいりますか。どういう見込みでしょうか。
  175. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 北海道電力を除く八電力会社及び三つの大手ガス会社が現在実施しております割引措置は、御承知のとおり五十四年度まで現行料金を据え置くことが可能な範囲で五十三年度の十月から三月に至る暫定的措置として行っているものでございます。これら各社の料金は、この方針によりますと、五十四年四月からは割引前の料金に戻るということになるわけでございます。今後OPEC原油価格引き上げ等もございますし、為替レートも当時想定したようなところの動き方をしておるわけでございますし、それからまた資本費その他の諸コストも上昇傾向にございますので、できる限りこの料金を長期にわたって据え置くということを基本方針として、従来の方針で進んでまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  176. 岡田利春

    岡田(利)委員 この問題は議論する時間がありませんから、承っておきたいと思います。  そこで、一般炭の場合にも大体百万トン程度の輸入が現在あるわけです。機械的に言うと、これをストップすれば国内の一般炭の需給バランスはとれるということになるわけです。もちろんそう機械的にはまいりません。油から石炭に切りかえたセメントのキルンの問題もございますから、私がずっと計算してまいりますと、いま九電力で四万七千トンの外国一般炭の輸入見通し、電発で二十五万トン、その他電力で三十九万一千トン、これで五十八万八千トンであります。その他一般産業用が五十五万一千トン、こういう数字でありますから、内容をずっと検討すると、四、五十万トンはこの中からある程度ここ二、三年間だけ抑制すれば、いまの一般炭の需給バランスも相当改善されると思うわけです。いままでの石炭政策は油との価格ということでスクラップ・アンド・ビルドをやってきたわけですね。今度は油が上がってきた、もちろんまだ格差がありますけれども。今度は外炭と国内炭だということになりますと、油でスクラップ・アンド・ビルドをやって縮小してきたのが、今度は外炭との関係でまた国内炭が、炭鉱が倒れていく、こういうことになるわけですね。そういう面からいっても、この点については当然ある程度の、IQ品目でありますし、ずっとということではありませんから、客体ができるまでの二、三年間は最小限度に抑える、こういう点が配慮されて当然だと私は思いますが、いかがでしょうか。
  177. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  海外一般炭はIQ品目でございまして、これについては、国内炭優先引き取りの立場からかなり厳格に運用しているつもりでございます。本年の需給計画では百十九万の計画でございましたが、落ち着きとして百万ちょっとの水準になるわけでございます。  使用目的は、主としてこれから新たに海外炭用の火力発電所が建設されるわけでございますが、それに伴う試験用炭が半分以上でございます。そのほか、国内炭需要に非常に貢献してくれてますセメント焼成用の需要が多うございます。セメント焼成用については、国内炭海外炭とで一定のバランスを持った上で輸入を認めているという形にしております。
  178. 岡田利春

    岡田(利)委員 電発が水力開発をするために発足して、その後石炭政策の中で、石炭が割り高である、しかし卸売り電力の中では料金で調整する、こういう意味で特別会計から出資もし、そして火力発電所をつくってきたわけです。ところがつくった火力発電所でも油をたいているのは若松の一号、二号、それからもう一つは竹原がそうですね。これが油をたいているわけです。したがって、そういう状況の中でもいま二十五万トンの試験輸入ということで始まって、電発は一般炭、外炭を輸入しているわけです。電発の使命というものは、国内炭対策として火力発電所をつくったわけですね。需給のバランスが崩れた、あるいは幌内の休止があった、いろいろな情勢で油もたく火力に転換された、こういう実情にあるわけです。したがって、電発が石炭火発を行うようになった経緯とその使命からいって、まず国内炭を引き取って、余力があれば当然海外から一般炭を入れて発電をする、こう考えるのがきわめて常識的、だと私は思うのですが、大臣はいかがでしょうか。
  179. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃる点は私も理解できます。ただ、コスト高ということでいろいろそこに計画どおりにはまいらない一つの矛盾も出ておるわけですが、御趣旨の点は、当然国策ですから、その線に沿っていかなければならぬと考えます。
  180. 岡田利春

    岡田(利)委員 今年度の予算の中でも、電発の既存の石炭火力に対する脱硝装置、この予算が計上されているわけですし、いま大臣の答弁がございましたけれども、いま石炭火力が予定されておるのは、来年の三月運開予定されておる北電の苫小牧、五十六年の一月、七月運開の松島の一号、二号、そして五十七年の竹原、同時に砂川火力、これしかいま予定されていないわけですね。しかし、松島、竹原は一応外国炭をたく火力発電所です。これはいずれも電発であります。北竜の場合は国内炭をたく火力。砂川も同様であります。  ですから、いまの輸入の関係を若干抑える。しかし、すぐまた一年ちょっとたつと火力が動くわけですから、外炭はどんどん入れなければならぬわけですよ。それをある程度抑えて、次にまた石炭火力ができてきます、六十年展望をしてありますから。時間を三年ぐらいずつずらしていけば、いずれ目的の原料炭は、松島は外炭の一般炭を一〇〇%たけるわけですね。わずか二、三年間そういう調整をやっていけば、一般炭の需給のバランスをとるのはそうむずかしくないわけです。ある程度いま言った輸入炭を抑える、そして二年後からそういう調整をしていく。そういう客体ができていけば、質を考えて外国の一般炭をたけばいいわけですから、ずっと五年も十年も抱き合わせということじゃないわけです。二、三年間なんですよ。そうしますと、松島は百万キロで二百万トンと言いますけれども、六千カロリーに直すと二百四十万トンになるわけですから、これをたとえば五、六十万トンたいてやる。その次に発電所ができたら減らしていく、こうなれば二、三年間もやればいいわけです。  しかも、電発の場合は九電力にみなおろすわけでしょう。コストと言っても、初めから国内炭をたくという前提に立っているわけですから、九電力でこれを受けた場合にはコストの問題なんというものは微々たるものですよ。ましていま差益の問題があるわけでしょう。電発自身だって差益があるわけでしょう。油の火力があるわけですから差益があるわけでしょう。そういう点を考えますと、政策のポイントからいって、これはそうぎしぎし厳しく言うよりも、もうちょっとなだらかにしていけば、そうぎくしゃくしない需給バランスがとれるではないか。電発の使命からいっても、短期間ですから、九電力だって二、三年間くらいのところ多少高くなるものを待てないなんという状況では今日ないと思うのです。私がそう考えることは無理なんでしょうか。きわめて常識的な考えだと思うのですが、いかがでしょうか。
  181. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生のおっしゃる御趣旨はよくわかるわけでございまして、現在電発竹原でたいておりますのも、いずれにいたしましても石炭火力は脱石油ということでどんどんふやしていく、将来は国内炭だけでは足らないから外国炭を使うということで試験的にやっておるということでございます。  それから、その間どうかという後のお話でございますが、この点につきまして当然いろいろのやり方があると思うのですが、地元との関係で輸入炭でたくことになるという条件で納得をしてもらったり、それから石炭を揚げる港の関係とか質の問題とかいろいろあるようでございますが、それはそれとして、可能な範囲で国内炭をたいていくということは、われわれとしても勧めていきたいと思っております。
  182. 岡田利春

    岡田(利)委員 しかし、輸入一般炭をできる限り抑えることは、現時点でやらなければいかぬでしょう。しかもずっと中期的に続くという問題じゃないですから。そこは試験、試験と言っても相当終わったと思うのです。できるじゃないか。  それから、松島については五千トンバースがあるわけですから、近代化船が着くわけですね。先般も言いましたけれども、北海道内で釧路から空知に五千カロリーの炭を持っていくのに三千三百円かかるのですよ。九州の三池まで釧路から持っていくのにこれは二千円しかかからない。二千円弱ですよ。だからそういう意味で、多少の期間ですから、大体三年くらいの期間ゆすればいけるわけですよ。それくらいのことが協力体制がとれないということはあり得ないのじゃないかと思うのです。この点一つのポイントなんですよ。だから単におざなりで詰めるのじゃなく、そういう方向で話し合いをして努力をする、需給関係も見出していこう、こういう姿勢がにじみ出ていいのじゃないかと思うのですがね。
  183. 豊島格

    ○豊島政府委員 われわれといたしましても、イラン情勢その他を考えて、国内炭が非常に重要であることはさらにさらに再認識をしておるわけでございまして、決しておざなりでなくて、可能であればそういうことは十分考えていきたい。必ずしも国内炭が高いとかそういうことではなくて、具体的にやれるものがあればやっていくという気持ちは全く先生と変わっておりません。
  184. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭火力で一番先にできるのは、北電のいわゆる苫小牧東でありますけれども、きょう開発庁から来ておりますが、今年度そのための、五メーターですか、水深を掘り下げるための予算が二億円についておるわけです。私は、北海道の気象状況から言えば、大体十一月いっぱいぐらいでこの作業は完了するのが常識だ、こう思うわけです。同時にまた、この水深を下げる作業と、北竜が受益者負担で三千トンですかのバースをつくるということも同時並行的にできる仕事だと思うのです。北海道で一月、二月、三月仕事をするというようなことはないわけでありますから、きょう開発庁来ているはずですが、この点いかがですか。
  185. 岡田稔秋

    岡田説明員 その点につきましては、先生のおっしゃるとおりでございまして、今年度の現在御審議中の予算案に組み込まれておりますので、予算が成立すれば、北竜の運開に間に合うように工事が実施できる、そういうふうに考えております。
  186. 岡田利春

    岡田(利)委員 本委員会でもしばしば問題になって、三月運開というのは答弁されているわけですが、北電の社長さんは至るところで、これらの港の関係のしゅんせつができないから、おくれるから三月に運開できない、九月か十月からやらなければならぬのだ、こう電力懇談会等で物を申しておるわけですね。この点、一体通産省どうなんですか。外に出るといや十月運開になると言うし、委員会で聞くと三月運開はできる条件にある、どうなっているのですか、これは。
  187. 豊島格

    ○豊島政府委員 われわれは三月ということを期待しておるのですが、先生御指摘のような事情も何かあるように聞いておりますが、その点はっきりいたしません。
  188. 岡田利春

    岡田(利)委員 港の方は十一月にもできるという。だから三月でしょう、運開は。しかもバースも一緒に工事ができると言っているのですよ。そうすると、年内にやる気なら、今年十二月までに終われば三月運開は問題ないわけでしょう。何が問題あるわけですか。
  189. 豊島格

    ○豊島政府委員 いま先生御指摘の点、ちょっとよくはっきりしてないところがございますので、会社の方に確かめてみたいと思います。
  190. 岡田利春

    岡田(利)委員 前の部長さんからも、これは三月運開間違いないと何回も答弁をもらっているのですよ。だから国会軽視じゃないかという感じがするのですね。今年の下期の需給に入る問題なんですから、昭和五十四年の。この点は、いま港の関係は確認したように間に合うと言っているのですから、それを港の関係がおくれるからおくれるんだなんということは、言語道断だと私は思うのですね。この点強く指摘をしておきたいと思います。  時間がございませんから……。やはり一般炭の場合、何といっても外国一般炭の火力発電所のメーカーは電発ですね、五十七年まで三百五十万トンの外炭をたく火力をつくるわけですから。あと北電の場合、これからやるといったって港に火力がない限りは外国一般炭をたいてメリットがあるなんということにはなかなかならないとぼくは思うのですね。そうしてまいりますと、どうしても石炭になじみのある九北に石炭火力が配置されていくことは間違いがないと思いますね。東電も最近計画しておりますけれども、やはり主力は九州、四国、中国、北海道、まあ東北もスペースがありますね。やはり日本列島、九北に重点的に石炭火力が配置されていく傾向は、IEAの勧告を消化する場合でも、そういう傾向が続いていくのだろうと私は思うのです。そうしますと、どうしても偏るわけですね。したがって、燃料の面についてプールをするとか、何かやはり措置をしなければいかぬのではないか。この点はこれからのIEA勧告等を消化する場合の重要なポイントだと思うので、この点せっかく検討されておるのかどうか、第一点承っておきたいと思うのです。  それから第二点は、北電はいま円高メリットの還元がない状態の料金水準は総合で四位、電力で六位、電灯料金で三位というのです。九州電力が一番離島を抱えていて高いわけです。私が調べてみましたら、キロ平方メートル当たりの口数でいきますと八電力平均は百六十二、これに対して北電は二十九。それから需要当たりで見ますと八電力は百二十四万キロワットアワー、北電は十六万キロワットアワー。配電線で見ますと、一戸当たり八電力は十二メートル、北電は二十三メートル、こういう数字が出てまいるわけですね。いま北電は百五十億の今年度赤字になる。私は、このうち急激な円高によってもなおかつ油炭格差で見て計算しますと、大体五十億程度だろう、あとの百億は別の要因による赤字ではないか、こう思うのですが、これが五十四年を展望する場合、レートが二百円で、そして今度一四%上がるという計算をすれば油炭格差というのは大体ないのですね。私はそういうふうな見方をしているのですが、こういう見方についてはいかがですか。
  191. 豊島格

    ○豊島政府委員 第一の、油炭格差があるので、石炭を使っていく場合に何か燃料プールをしたらどうか、こういうお話でございますが、昨年末からことしにかけまして予算折衝の時期、過程におきまして十億円というものを増加引き取り交付金ということで北電に出すことになったわけでございますが、いずれにしましても、そういう程度の金ではこの油炭格差は埋まらないということでございまして、今後OPECの値上がりの情勢とかあるいは石炭需給がどうなるかということはございますが、これらを含めて一体どうしたらいいかということを目下検討いたしております。  それから、第二の点でございまして、油炭格差がいまどのくらいあるかというお話でございますが、計算によっていろいろあるのですが、大体五十億あるいは七十億といいますか、まあその程度のものではないかと思います。  それから、現在炭価当たりどのくらいになっているかということでございまして、実は裸のカロリー当たりの価格で計算しますと、まだ石炭が安いとか、何かそういう計算もございますが、いろいろ灰捨ての問題とか取り扱い上の問題を含めますと千五百円前後はあるのじゃないか、このように考えております。  今後OPECの値上げがどの程度にいくかということはわかりませんが、五十四年、もう少し上がると思いますが、大体一〇%ぐらいと考えてそんなものではないかと思います。
  192. 岡田利春

    岡田(利)委員 まあいまの部長の答弁は納得できないですね。もう一回計算して答弁してもらいたいと思うのです。それはそうじゃないですよ。そういうデメリットを計算してですよ。ですから、カロリー当たり大体二四%デメリット分を上乗せして私は比較しているのです。決してデメリット分を除いて裸のいわゆるカロリー当たりの価格を比較しているのじゃないですよ。そこが間違うと北電対策というのはできないわけですよ。いや、国内石炭をたいているのだから何とかやっていればいいじゃないかと簡単に言うのですが、そんな単純なものじゃない。これは九電力の体制そのものにかかわる問題なんです。私はそういう認識をしているのですが、間違いないですか。
  193. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生の御質問を取り違えたのかもわかりませんので、それはおわびいたしますが、現在OPECの値上げが五十四年一〇%行われるとすると、私どもの計算で一応千四百円というのが予算を決めるときの大体の数字になっております。それだけ石炭が高いということです。計算のしようによってまたいろいろあると思いますが……。
  194. 岡田利春

    岡田(利)委員 揚げ地炭価といわゆる産炭地の炭価とは違いがあるわけですから、そういう厳密な計算をすると、大体私の言っていることは間違いないのだろうと思うのです。そういう点でやはり認識をもう少しぴしっと詰めてこれから考えてもらわなければならぬということをまず指摘をしておきたいと思うのです。  そこで貯炭が累増しておるわけですが、減量経営というか石炭生産制限、これも始まっているのです。なかったらこれは四百万トンになったと私は思うのです。やっているから三百七十万トンじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  195. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  われわれがこの需給問題の検討に入ったのが九月ごろだったと思います。そのときの一番大きい数字がたしか三百九十万トンと見ておったわけでございます。その後、特に太平洋炭の、これは切り羽条件が悪かったと聞いておりますが、出炭減。それから先ほど議論になりました北炭の減等がございまして、これは意識的に生産を減らしたということなのか、それとも坑内の状況が悪かったのか、いまのところははっきりつかみ得ません。しかし、いまのところの数字では大体三百七十万トンということで、当初見た下限の数字に近づいていることは確かでございます。
  196. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はやはり静かなる生産制限を――一遍にできませんからね。やはり話が出ると徐々にやっていくわけですよ。だから始まっているという認識の方が正しいのじゃないかと思うのです。  それから、貯炭対策の問題ですが、これは詳しく詰めませんけれども、三百七十万トンの貯炭のうち約七割近くが三井鉱山の貯炭、三百七十万トンのうちの二百万トンを若干超える分が三池炭鉱炭鉱の貯炭、内容分析をすると、またこういう問題点があるわけです。したがって、貯炭対策というのはいろいろあって、三井の場合にはそういう異常に多いわけです。しかも三池炭鉱というのはサルファがいずれも多い、こういう弱点を持っているという面もあって、これをさばくのはなかなかむずかしいと思うのです。  そういう面から考えて、やはり貯炭対策については経営改善資金の運用もありますけれども、三井鉱山の対策をどうするかということも側面的に考えていけば、これがぼっと除かれると二百万トンも、六割以上解決できるわけですから、そこに一つのポイントがあると思うのですが、そういう点については特に検討されておるかどうか、伺っておきたいと思うのです。
  197. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  いま貯炭の細部にわたりまして岡田先生がおっしゃった数字は大体事実でございます。したがって、われわれとしても三井、特に三池の貯炭対策をどうしていくかということが最大の決め手でございますが、三池につきましては親会社の三井鉱山が三井石炭へかなりの資金供与をしております。したがいまして、この資金が三井鉱山からある一定の期間転がしていただけますと資金対策は可能になってくるわけでございます。しかしながら、いずれにしてもこれはいつかの日現金化しなければならないわけでございます。  もう一つ構造的な問題としては、サルファがきわめて高いわけでございまして、環境問題等々考えますと、これをサルファの薄い石炭とブレンドして消費しなければならないという事情もございまして、別途固有の需要対策考えにゃいかぬということで、目下三井石炭鉱業と具体策について話し合いをしているという段階でございます。
  198. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから、当面の現実的な政策のポイントを私は申し上げたわけです。もう少し中期的に見るといろいろまた政策上検討しなければならない課題があると思いますので、時間がございませんからこの点について特段の、来年度、四月一日、新年度に向けて鋭意この問題の解決に努力をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  同時に、先ほど北炭問題が出ましたけれども、北炭はいまベースアップは他の炭鉱の二分の一、ボーナスも半分なんですよ。それが二年間も続いてきているわけです。その上になおかつ二〇%なり三〇%の賃金カットを今度はやるという考え方があるようですから、そういう意味で非常に大変なんです。いままで各社同じであって、特にあれだというなら、ほかでもないこともないわけですから、言えるでしょうけれども、そうではなくして、すでにそういう経過があってなおかつ二〇%ダウンというのですから、ダウンというかカットをして後から払うということらしいですけれども、非常に問題なわけですね。  この点、特に労働省においても、先ほども議論がありましたから、その点申し上げておいて、十分対策を立てていただきたいと思いますし、もう一つは、北炭の現状から考えれば、何といってもこの山がひっくり返ったのでは対策は立たないわけですね。やはり最低の条件で保っておいて労使で議論するという状況でなければいかぬわけです。そういう意味で、三月、今年度ですね、一応そういう土俵の上でこれらの議論ができるようになっているのかどうか、この点の見通しについて聞いておきたいと思います。
  199. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、いま労使が協議をするさなかに資金問題等でトラブルが起きることは回避すべきであるということで、私どもも、昨年の暮れの越年資金の一部としまして、北海道庁さんの非常なお世話になりまして、約六億ほどお借りいたしまして年を越したということでございます。一月も同様な事態がございましたが、これも需要家の東京瓦斯さんの御協力によってしのげたわけですが、要は二月、三月かなりの資金不足になっておることは事実でございます。しかし、政府といたしましても、金融機関といたしましても、相当の資金援助をすでにしておりまして、現在のところ金融筋からの手段というのは見当たらないのが現状でございます。しかし、若干期待が持てますのは、北炭にもやはり若干在庫がございますので、その在庫を何かの形で現金化できないだろうかということで日夜走り回っておりますが、現段階では二月の資金の半分以上についてはめどがつきつつあるということでありますので、この辺について今後も努力をして、先ほど先生がおっしゃいましたように、二――三月間に資金上の問題を起こさないように努力していきたいというように考えております。
  200. 岡田利春

    岡田(利)委員 これで終わりますが、労働大臣、緊就、開就もずいぶん歴史的に長い時間が経過しているわけですね。緊急就労、開発就労ですね。これらも大体もう年金受給者が相当多いと思うのですよ。こういう割合は一体どうなっているのか。それと、現在黒い手帳を依然として持っている人はどのくらいおるのか。これはやはり時間もたっておりますので、一度総括しておく必要があるのじゃないか、こう思います。  その点についてどういうことになっているかということが一点と、先般予算委員会で申し上げましたように、石炭政策には、産炭地振興事業団というのがありまして、大体いままで、三十七年から発足をして、三十九年ぐらいから腰が入って、大体七万人ぐらいの雇用ができている。依然として問題点は、団地その他の問題点があるのですが、そういう状況にあるわけです。したがって、やはり滞留するところには雇用促進事業団を使うのか、あるいは地域振興整備公団を活用していくのか。滞留している不況地域には、もしそこに雇用力を増すという企業に対する援助をするとすれば、石炭政策の中でこういう先例があるわけですね。こういう点を十分参考に中高年齢層の雇用創出の政策展開、これはいま各党から要求されているのですが、そういう点について労働大臣はどう考えておられるのか承って、私は終わりたいと思います。
  201. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 求職手帳その他事務的なことにつきましては事務当局からお答えさせます。  産炭地の振興につきまして、いま岡田さんからいろいろ御提案になったことにつきましては、貴重な意見として私どもも活用していきたいと思っています。ただ、朝からずっと聞いておりますと、産炭地の振興というのは、やはり二千万トン生産体制と深いかかわり合いがあると思いますね。ここら辺について、通産省を中心としていろいろ熱心にやっておられます。われわれ労働省としてそれにどのように協力できるか、参加できるか。いま一つは、いわゆる産炭地域の振興計画ですね。これについて中核企業というものはいろいろ誘致をしておりますけれども、この誘致についてわれわれの側から努力することがあるのかどうか、こういった問題も考え、なおかつ、いろいろの中高年齢層の雇用のための開発給付金など今度設けておりますから、そういったものをどのように使えるか、鋭意検討して期待にこたえるように努力いたしたい、こう考えております。
  202. 北村孝生

    北村政府委員 お尋ねの厚生年金の問題でございますが、炭鉱離職者緊急就労対策事業の就労者について、厚生年金の受給者がどのくらいいるかという調査を特別にいたしておりませんので、詳しいことはわかりかねますが、ただ、昨年福岡県が緊急就労対策事業から自立した者の状況について一部調査したものがございまして、それによりますと、その中の半数が厚生年金の受給権を持っておるという調査がございます。  それから、炭鉱離職者求職手帳の発給状況でございますが、これは三十七年度以降五十二年度末までに全体で二十一万六千九百五十発給をいたしておりまして、現在有効な求職手帳を所持している者の数は五十三年十二月末日現在で千百九十人、こういうふうになっております。
  203. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  204. 古川喜一

    古川委員長 米沢隆君。
  205. 米沢隆

    米沢委員 私に与えられた時間は三十分間、それから午前中からるる質問が続いておりますから、ひょっとしたらダブるかもしれませんが、御了承いただいて、基本的な問題だけお尋ねを申し上げたいと思います。  御案内のとおり、五十年の七月に、国内石炭見直しのためにつくられました第六次石炭政策の骨子は、五十一年度を初年度として向こう十年間に国内炭生産二千万トンを維持し、その優先使用を図るため需要確保していく、そういうことでございました。また昨年も、河木通産大臣あるいは政府当事者等の答弁の中には、引き続きこのことを維持するという考え方が、見解が表明されております。しかし、そういう政府方針とはうらはらに、先ほどから問題になっておりますように、今日の実態を見ておりますと、全国の国内炭の貯炭量が限界に近づきつつあります。そうした理由によって、たとえば国内炭生産を制限する動きが出始めておる、あるいはまた生産をしたくてもできない方向に動きつつある、こういうことが言われておるのでありますが、当局が把握しておられる実態はいかがなものか、あるいはどういうようにそのことを認識しておられるのか。国内炭生産二千万トンの体制を堅持するというこの方針との関連で御見解をお示しいただきたいと思います。
  206. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  国内炭二千万トンの生産体制維持につきましては、五十年七月の答申の線に沿って、政府としては現在何ら変える気持ちはないわけでございます。しかしながら、現実の経済から見た国内炭の事情は、内外炭の炭価の格差、それから世界的な鉄鋼の不況の影響等によりまして、需給ギャップは約一〇%に達しております。貯炭は、御案内のとおり、本年度末では三再七十万トンに達するという、きわめて現実的には厳しい環境下にあるわけでございます。将来ともこの二千万トン体制維持するためには需要確保対策をやっていかなければいけないのでございますが、その決め手は、やはりかなりリードタイムのある産炭地火力の促進を計画的に進めていくということをやると同時に、原料炭の引き取りにつきましてユーザーと相当のお話し合いをしながら、引き取りの増加に努めていくということをやっていかなければいけないと考えております。しかし、中長期的には、ここ二、三年後には需要規模といいますのは大体二千万トンに近づいてまいりますので、その間やはり石炭業界としましても何らかの対応をする必要があるというふうに考えておりまして、業界は私的企業の立場で、自己の経営判断のもとでいろいろな対策を立てているようでございます。現在のところ、今週の月曜から各社の計画を聞いている段階でございますが、生産はことしより下回る数字になる模様でございます。
  207. 米沢隆

    米沢委員 いま考えておられること、あるいはこれから先の問題点については御説明いただきましたが、現実にいま生産を縮小したりあるいは何らかの形で生産が制限されるという方向にあることは事実なんですね。
  208. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 私ども制限をするという形じゃなくて、貯炭という形で外で石炭をためるか、坑内にいつでも掘れる体制で残すか、どちらが経営にとってプラスかということをお願いしているわけでして、いまのわれわれの方のいろいろな試算によりますと、坑内にすぐ掘れる体制で残す方が経理的にはいいというふうに判断しております。
  209. 米沢隆

    米沢委員 しかし、そういう需要あるいは価格差等の関係で生産が縮小する方向にいまある、そういう意味では生産調整そのものが一体いつまでこんな調子で続くのか、皆さんが打たれるいろいろな政策の効果いかんにもこれはかかわってくるわけでありますが、当局としてこの生産調整が、いつまでこんな状態が続くと考えておられるのか、あるいはいろいろな政策をやられて打開の道を図られて生産調整がストップする、そういうめど、時期について御説明いただきたいと思います。
  210. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先ほど御説明いたしましたように、鉄鋼の需要、鉄鋼の生産が若干回復してくるという明るい材料が一つあります。それから石炭火力建設はすでに軌道に乗っているものがかなりありまして、その軌道に乗っているものが計画どおりいった場合に三年後、五十七年ころには約二千万トンの需要の水準に達するということであります。しかし、その間やはり石炭企業はどちらかというと零弱でございますので、何かのコスト補助なり資金対策をしなければならないと考えておりまして、五十四年度でお願いしている予算におきましては、坑道補助金それから保安補助金限度額を上げてコストの補てんをするということを考えております。それから近代化資金経営改善資金という融資制度がございまして、それの貸付枠の増額を図りまして、なおかつ企業に対しましては民間金融機関からの借り入れ等の努力もしていただくことをお願いしているわけでございますが、それらの数字を概算ではございますが整理してみますと、五十四年度における資金不足はほぼできるんではないかと考えられます。特に先ほど岡田先生が御指摘のありました某社につきましては、これは別途ということで会社といま鋭意対策を詰めている段階でございます。
  211. 米沢隆

    米沢委員 もともと日本国内の石炭需要というのは約七千六百万トン、国内生産量の約三倍の需要があるわけです。貯炭量がふえるということは確かにそれだけ需要が少なくなった、特に鉄鋼等の不振等によって需要が少なくなったということでありますが、少なくとも国内生産量の約三倍の需要があるにもかかわらず貯炭量が伸びておるということは、やはり海外から入ってくる外国炭との価格差そのものに大きな問題がある。確かに需要の動向によって影響されるのはあたりまえの話でありますけれども、しかし、三倍以上の需要が実際はありながら貯炭量がふえていくというのは、やはり外国炭との価格差だ、そういうふうに思うわけです。  年間二千万トン以上の国内炭生産維持する、こういう政策というものは、一定の国内炭生産維持しながら、内外炭を一体化していろいろな手段を講じて、そういう生産維持を図ろうというのがその趣旨でありますから、当然需要家側が引き取ってくれるような有効な対策があるということが最低の保証でなければならぬ、そう思うわけでございます。そういう意味で、需要家側としては特に外国炭が安いというのが最終的には魅力になる。そういう意味では、そういう価格の問題が需要をふやさない、あるいは貯炭量がふえていく大きな原因であるとするならば、やはり外国等のやっておりますような助成策等を講じてでも国内のエネルギー確保する、そういう前提でそれぞれの政策が用意されねばならぬ、そう思うのでありますけれども、具体的にはどういう対策が打たれておるのか、その点をちょっと御説明願いたいと思います。
  212. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。いまの御質問は主として原料炭の問題だというふうに解してお答えいたします。  われわれ、原料炭の引き取りが減った最大の原因というのは、やはり粗鋼生産量が落ちたことが一番大きい原因だと考えております。むしろ海外炭との格差というのは、鉄鋼の方では、現実には言いますけれども、鉄鋼が引き取っていただいている引き取り実績の内容を見てみますと、価格問題よりも量的問題ではないかとわれわれ理解しております。といいますのは、鉄鋼の生産目標は当時一億三千万トンの規模で、それに対する原料手当てを世界、日本も含めまして手当てしたわけでございますが、その後粗鋼生産が一億に落ちたために、鉄鋼の方といたしましても長期契約でしておりました海外炭をかなり引き取り減にしております。その減は、引き取り量が大体七三%と記憶しておりますが、それだけの引き取りをし、かつなお六百四、五十万トンの貯炭を現にストックヤードに持っておるわけでございます。それに対しまして国内炭の方はどちらかといいますと、七百五十万トンお願いしていたのが六百五十万トン程度ということで、かなりの引き取り率になっておりまして、これが八〇をちょっと超えた数字でございます。その点を考えますと、やはりある程度国内炭の引き取りに努力していただいておるというふうにわれわれ考えております。しかしながら、それを超える量につきましては、何らかの政策を用意しなければいけないということで、従来ありました石炭増加引き取り交付金という制度の復活をお願いしておるわけでございまして、それによって、量的問題という制約がありますけれども、極力お引き取りを願うというふうにしていきたいというふうに考えております。
  213. 米沢隆

    米沢委員 それから、現状の貯炭量が物理的に限界に来ておるということで、格差では先ほどから申し上げますように、生産調整の一環として人員の減耗の不補充あるいは残業規制等が行われておると聞いておるのです。炭鉱の場合、御案内のとおり平均年齢が大変高い。定年退職者がかなりのパーセントで増加しておりますから、この減員を補充しなければ相当数の減耗ということになっていくと思います。この一年間特にこういう傾向が強くなったそうでありますけれども、そうなりますと、労働集約型の産業であります炭鉱にとりまして、保安確保というものに大変大きな影響を与えると思うのであります。そういう意味で、この人員削減と保安確保の問題について当局はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
  214. 石川丘

    ○石川説明員 お答えいたします。  炭鉱保安確保は、生産水準の変更にも影響を及ぼすような重大な問題でございます。そこで国といたしましては、従来から保安確保を最重点といたしまして、その上に立って生産を行うように指導してまいりました。この結果、労使が一体となりまして自主保安の確立を強化いたしまして、幸い災害率も減少をいたしております。  それで、ただいま御指摘の人員の減に伴う保安確保はどうなるかという点でございますけれども、ただいま申し上げましたとおり、保安確保を最重点にいたしますので、人員の配置等につきまして十分指導をし保安確保を図ってまいりたい、このように考えております。
  215. 米沢隆

    米沢委員 じゃ現に人が減っていって保安に影響があるであろうという認識のもとに各社を具体的に指導なさっておるということですね。
  216. 石川丘

    ○石川説明員 そのとおりでございます。
  217. 米沢隆

    米沢委員 最後大臣にお尋ねしたいと思います。  やはり石炭産業のこれからの問題は、一つ石炭石油のコストがどういうふうな動きになっていくのかという問題。それから貯炭対策。特に、いま石油備蓄が花盛りでありますが、今後の問題としては、石炭が必要なものであるならば、やはり備蓄政策というものを国家的な立場で推進していくという方向に展開せざるを得ない。そうなった場合、貯炭技術みたいなものが大変むずかしいと聞いておりますけれども、少なくともそのあとの技術の開発、あるいは石炭備蓄される場合にコークスという形で備蓄をするという方法はあるわけです。あるいはまた液化ガス等の技術が発達しますとSRCという形で備蓄をする、そういうことも考えられるわけですね。そういう貯炭対策、それからあとは炭価の決定、このあたりが、需要と供給の側との話し合いに応じてつくられておるのでありますが、特に炭価そのものが割り高であるという意味において需要が伸びないという面もあるわけですから、その意味では何らかの形で政策指導をなされながら炭価が決定されるルールというものができ上がっていかねばならぬであろう。それから四番目には今後の、需要開拓、特に国内はもうほとんど鉄鋼、電力等の需要にすべてかかっておるということであるならば、海外の需要開拓みたいなものも今後は考えていかねばならぬのじゃないか。特に中進国、後進国等で製鉄所等をつくろうという動きもありますし、コークスも質的には日本は大変高いということでありますから、海外にも輸出するということで、そこに一つ需要が今後できてくるわけでありまして、そういう後ろから押し上げていくという方針も必要なんではないか、そういう感じがするわけでございます。  そういう意味でお尋ねしたいことは、貯炭対策、特に技術の開発、あるいはコークスあるいはSRCという形において石炭備蓄を図っていくという方法論についてどういう御見解をお持ちなのか。それから需要開拓について、海外の需要開拓をしていくということが結果的には国内の石炭産業を守っていく一面でもあるという観点から、そのあたりの需要開拓についてどういうお考えを持っておられるのか。その点をお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
  218. 江崎真澄

    江崎国務大臣 油炭格差が大き過ぎる現状が非常に石炭産業というものを衰退させております。これはいかにも残念なことでありまするが、そうかといって、際限のある石油がいつまで低価格で維持されるかということについては、いろいろな機関を通じて今後とも強調したり、監視はしていくとはいいましても、限界のある問題だと思います。そのつなぎをどうするかというわけですから、十分わが国としても現行法を充実しながら、石炭産業というものが絶滅しないようにあらゆる施策をとっていく必要は、今朝から述べておるとおりでございます。  貯炭を国家としてどうするか。これはまあ民間を含めまして、貯炭技術については、けさほども岡田議員からの提案もありましたが、いまここヘメモが参りまして、現段階では技術が十分でない、以前は空気が入って、ある程度気温が上がると自然発火するというふうな大変な災害につながるような事態もあった、最近ではブルドーザーで押さえて空気が入らないように配慮をしておるが、どうしても地上に出すと酸化して品質も悪くなる、これが大変な難点であるということを報告してきております。これらの技術については、やはりもっともっと開拓の余地がありまするし、仰せのように、タンカーでまで石油備蓄しておる時代でありまするから、同じエネルギー源である石炭をもっと高度な技術を躯使することによって備蓄することはできないのか、これは一つの御提案ですから、今後の重大な問題として十分検討、研究をしてまいりたいというふうに考えます。  それから、火力発電を伴う、液化したりあるいはコークス化したりしながら海外にその消費を求めるということはどうなのかという御提案、これも新しい御提案でありまするから、もとより検討するにやぶさかでありませんが、日本の場合ちょっと簡単に、常識的に考えてみましても非常に労賃が高いわけですね。その労賃が高いという基礎の上に立つ日本の石炭を、また加工して、そして果たして海外に進出させて競争するだけの実力があるかどうか、このあたりは十分検討の余地があるように考えます。御提案はよく承りました。
  219. 米沢隆

    米沢委員 終わります。
  220. 古川喜一

    古川委員長 安田純治君。
  221. 安田純治

    ○安田委員 午前中からずっと同僚委員がいろいろお伺いいたしておりますので、いろんな角度から石炭の需給の問題を論ぜられましたけれども、私がまず伺いたいのは、今年度の炭価改定について石炭業界側では、電力向け一般炭を積み地五百五十円、揚げ地で六百六十円と磁力側に提示したけれども、電力側が拒否して、通産省がこの石炭側の値上げ案から三百円引きの調停案で調整を進めた結果、この線で決まったと聞いておりますが、経過の事実はこのとおりでよろしいのでしょうか。
  222. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  いま先生御指摘のとおりでございます。ただし、通産省が調停案を出したということではなくて、賃金程度のものは見てもらわないと石炭鉱業の体質上困るというお願いをしたということで、調停案を出したということではございません。
  223. 安田純治

    ○安田委員 まあ調停案という言葉はともかくといたしまして、そうしますと、この約三百円引きといいますか、石炭側の方の要求から三百円引きくらいのところが適当だということにやはり通産省の方でもお考えだったのでしょうか。
  224. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 本来の炭鉱経営考えますと、業界の要望した金額を全額取りたいという形でございました。しかし、これはあくまでも炭価というのは業界同士の自主的交渉が前提でございますので、いろいろな情報を念頭に置きながら論理を詰めまして、賃金程度はということでお願いをしたということなんであります。
  225. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、積み地で五百五十円、それが三百円引きというと二百五十円になるわけですが、この二百五十円というのは賃金アップの相当分ぴたりということになりますか。
  226. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  その原価計算の内訳を見ますと、大体それに見合っております。一銭一厘という感じじゃございません。大体見合っておるということでございます。
  227. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、この改定によって積み地でトン当たり二百五十円というアップになって、北海道電力の場合の負担増分ですね、これが約九億二千万円程度であるという報道がなされておりますが、北電の負担増分はこの金額くらいになりましょうか。
  228. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  引き取り量との函数になりますけれども、いま先生お示しになった数字程度になるはずでございます。
  229. 安田純治

    ○安田委員 いままでの引き取りの実績をいろいろ見ますと、大体こんな程度が常識的なところだろうと思うのですがね。九億二千万円程度というか、そのくらいの負担増になる。  ところで問題を変えまして、今度北電に対する一石炭増加引き取り交付金、これを復活したといいますか、先ほどの午前中の予算説明でもございましたね。この増加引き取り交付金の計算方法はどういう計算方法になるのでしょうか。
  230. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  基本的な考え方は、油炭格差がある結果、油火力の利用率を高めて電力を供給することになる結果、したがって、石炭火力利用率が下がるわけでございます。それをいろいろ計算をしていきますと約八十万トンほど減少するということでございまして、その八十万トンをたいていだだかなければいけませんので、その負担増分を掛けた数字が十億八百万になっているわけでございます。
  231. 安田純治

    ○安田委員 そういう計算を一応されたのでしょうけれども、まあ偶然の一致と言われるかもしれませんが、北電に対する石炭増加引き取り交付金の総額と、今度の炭価改定によって北電が負担増する部分とは、総額としてはやや一致しているといいますか、片っ方は十億ですね、増加引き取り金の場合は。それから負担増は、先ほど確認されましたように約九億二千万程度であろう、大体総額は似たようなものだということになるわけで、つまり炭価改定によって実質負担増は北電の場合にはないということになりますか。今度増加引き取り交付金を復活するわけでしょう、いままでやってなかったのを。炭価は改定されて九億二千万くらいの増になる、十億くらい大体増加引き取り交付金は出るということになりますと、実質上の負担増は北電の場合ないということになりましょうかね。
  232. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 結局、この炭価の計算は得べかりし利益の議論でございまして、もしも北電が炭価を上げてこの量をたくならば同じことでございます。しかし、逆にそれをもらわない場合には下げますから、まるまる八十万トン減った分だけ石炭の入荷も少なくなるという形になります。
  233. 安田純治

    ○安田委員 そういうことでしょうが、実際の実績、いままでのあれから見まして多分とんとんになるのじゃないか、結論としてはそうなるのじゃないかと思うのですよ。それで、結局トン三百円引いて二百五十円で決まるということは、負担増を生じない限度で計算して出した、たまたま労賃の部分が二百五十円だからぴったりという計算をあなた方はおっしゃいますけれども、逆にこの総額から見ますと、実質上負担増を生じないという点で計算したというふうに疑っても疑われないことはないわけですが、それはともかくといたしまして、少なくとも北電側といいますか電力側は、こうした計算をやってみて、これは、その積み地二百五十円案は実質上余り損はないということでのんだとも思われるわけですね。その点どうですか。
  234. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  結局、北電は八十万トン減った分だけは負担増になっているわけでございまして、数を合わせたということではなく、たまたま計算の数字がそうなったということで、値上げの負担増は二百九十万トンの方に発生しておるはずでございます。
  235. 安田純治

    ○安田委員 たまたま数字は一緒になるということで、大体予想される量を使えば増加引き取り交付金と炭価改定による負担増がツーペイになって、これはたまたま一致したんだということになるのかもしれませんけれども、私どもから言わせれば、少なくとも電力側はこういう計算をやってみると損はないということになったのではなかろうかというふうに思うわけです。  ところでこの電力側が、この炭価アップ了承の条件として――先ほど岡田春夫委員から同じ質問がありまして、これは条件ではないというような話がありましたけれども石炭業界の希望である四月実施を十月へと下期に繰り下げるということ、来年度については炭価改定を行わないこと、現行年産二千万トン体制を含めて石炭政策を抜本的に見直すということ、それから海外炭の使用を北電に対して認めるというような四つを条件として了承したんだというように新聞などには報道されておるようです。ただし、先ほどの岡田春夫委員に対するお答えでは、文章でそういうことを言われたこともないし正式にはない、こういうお答えでしたが、少なくともこの四つの事項、これを条件というか、希望というか、要望というか、これはお耳にはされているわけでしょう。全く耳に入っていないというわけじゃないでしょう。
  236. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  炭価改定につきましては、業界業界の話し合いでございまして、北電との話し合いでございません。電事連で業界として意見をまとめて石炭業界へ出すということになっております。その過程では、業界業界の話として正式な文書でも口頭でもわれわれのところにはありません。ただ、炭価アップの最終段階に、たしか日刊工業新聞だと思います、あれにああいう条件であるということが出たことは存じております。最近そのようなことを北電の社長が北海道新聞で言っているという事情は知っております。
  237. 安田純治

    ○安田委員 いや、業界業界の話であっても、二千万トン体制だの石炭政策を抜本的に見直すなどということを業界から業界へ言ってみたって話にならぬわけで、そうでしょう、いわば政策の主体は国だから。だから国の方にも言わなければならない。四つの条件のうちにはそういうものも含まれているわけですわな。ただ、これは国に直接言ったんではないということかもしらぬけれども、そういう希望というか意思はある。しかもそれは、あなたは北電と言われるけれども、実際電力側で使っているのは大部分は北電でしょう。四百五十三万トンくらいのうち四百万トンくらい北電じゃないですか、そうじゃないですか。――とにかく北竜の意思というものは相当電力側の方では強いと思うのですが、これも新聞の報道ですけれども、一月三十一日付の日刊工業新聞に「電力など国内炭の大口ユーザーから二千万トン体制を含めて検討してほしいといわれれば、見直さざるを得ない」とエネ庁の首脳が言ったというふうに報道されていますが、いかがですか。
  238. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  一つは事実の関係でございますが、一般炭の需要家は北竜、電発その他ということになりまして、北電は約三百七十万、電発その他三百五十万、電発は卸売業者でございまして、これの収支じりは全部九電力に参りますので、結局電力用炭の値上げ問題というのは、そういう意味で業界全体の問題と理解していただきたいと思います。  それから、業界同士の話し合いでそういう条件がついたということも聞いておりませんし、電力業界から正式にとかそういうことで二千万トン体制を見直すという申し入れ等々はございません。仮に、先ほどからも大臣いろいろおっしゃっておりますが、二千万トン体制維持するためにという目標をおろしておりませんので、そのようなことがあった場合には、通産省としてかなりの意見の開陳があったと思います。
  239. 安田純治

    ○安田委員 正式なということを一々言われるのですが、それでは正式じゃない要望はお聞きになっているのですかね、先ほどから正式な要請はなかったというようなことを言いますけれども。全く聞いてないということなのか、そいういう要望があるということを聞いておるのか、それだけ答えてください。
  240. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 要望を新聞等で見たということでございます。
  241. 安田純治

    ○安田委員 通産の事務当局が聞いているかどうか、直接聞いたかどうかは別として、新聞報道がうそを書いてない限り、やはり電力側としてはこういう二千万トン体制の見直しをしてもらいたい、それで海外炭を使わしてもらいたいという意思がどうもあるのじゃないかというふうに思わざるを得ないわけです。少なくともそういう意図のもとに新聞にそういう記事を流した側があるに違いないので、新聞記者がでっち上げるはずはないですからね。何かそういう電力側の方からニュースソースは出ているには違いないと思うのですよ。社長会の話とかいろいろなものが出ていますけれども、そういう機関で出されたかどうかは別として、そういう意思が大口ユーザー側にあるというふうなことはうかがえると思うのですよ。  そこで、これは北電だけのことで、ちょっと電力業界全部のことを言うと、また先ほどあなたのおっしゃるように、いや、電力業界全体と北竜は違うとおっしゃるかもしらぬが、増加引き取り交付金で先ほど言ったように、まあまあ計画どおりといいますか、予想どおりのツーペイになるという炭価改定のアップですね。それでこの条件をいわば奇貨としてというか、便乗してと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんけれども、電力業界側が打って出て、そうして二千万トシ体制の見直しをしろなどということを流すということになりますと、どうもけしからぬことであると私は思うわけですよ。というのは、もちろんこの増加引き取り交付金というのはまさに二千万トン体制維持するということで、需要確保するために考えたもの。そして国内炭優先引き取りの当委員会の決議も何回もあるわけです。そこで、つまりそういう国内炭二千万トン体制維持のために増加引き取り交付金がある。国民の税金でこれを払っている。これを今度北電に対して復活するわけですね。そういう炭価アップの交渉の際に、今度は二千万トン体制を見直せというのを条件と言うと語弊があるのだけれども、そういうことを電力業界側が言い出すとすれば、これはまことに奇妙な話でして、炭価改定のいわば弱みといいますか、あなた方は引き取ってもらう方の立場でもみ手をせざるを得ないような部分もあるとは思うのですけれども、そういうときに一方において増加引き取り交付金を復活させ、実質上の負担増は余りない。そこで二千万トン体制を見直して、海外炭を使わせろというようなことを言うようでは、まことにこれは当委員会の決議にも反しますし、許すべからざる態度であると思うのですが、いかがですか。
  242. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  二千万トン体制の議論はすでに五十年の七月からありますが、去年の、五十三年十月当省のエネルギー調査会の基本問題懇談会というところでも、再確認された決定事項でございますので、エネ庁全体としてはこれを変更するということはないと思います。
  243. 安田純治

    ○安田委員 その決意を伺っておきたいのですが、ところで大臣にぜひ申し上げたいのです。炭価が海外炭国内炭で安い高いというようないわば資本主義経済の市場論理といいますか、これだけから考えることは石炭政策の分野では許されないものだと私は考えるわけです。いままで、昭和五十二年度まででも一兆四千九百億円もの国費を投入してきたのは何のためか。こういうことを考えて、改めてこのことを確認して、石炭政策に関与する者は不退転の決意を固めるべきときであるというふうに私は強調したいわけであります。私も、現時点において資本主義体制、いわゆる自由主義経済の枠にとどまらざるを得ないことを全く否定するわけではございません。しかし、石炭需要拡大政府の姿勢によって変わるはずである。これは新しい利用技術の開発ども一つの例ですが、そのほかにも政府の姿勢によってこうした需要拡大は変わるはずであるという信念を持っております。  たとえば、同じ資本主義国であるイギリス、西ドイツなど、いろいろな要素があるので単純に比較にならないかもしれませんけれども、たとえばイギリスは一九七〇年に入ってもずっと年産一億三千万トンぐらいですか、西ドイツが約一億トン前後の生産維持して、使いこなしているわけであります。それはイギリスでは石炭の引き取りを義務づけておるとか、いろいろな制度の違いがございますけれども、つまり自由経済でございますのでという最後の切り札が答弁のときにすぐ出てくるわけでありますが、そういう枠内でも西ドイツやイギリスでも結構これだけの石炭を国内で生産しておる、そして結構使いこなしておるわけですね。  また、イギリスや西ドイツでは、原価計算は非常にいろいろむずかしいと思うのでありますが、海外炭との炭価の格差がないかというと、あるはずであります。日本ほど多いかどうかは別として、あることは明らかだと思うのですね。ですから、単純に比較はできませんけれども、イギリスが一億三千万トンで日本が二千万トンも維持できないのはなぜかということは簡単には言えないけれども、これは余りにも開き過ぎているのではないか。だから自由主義経済という枠の中でも、西ドイツやイギリスを見れば、政府の姿勢によって二千万トン体制を貫いていける需要拡大といいますか、これは結構可能なのではないか。この利用技術の開発など、こういう問題はまだドイツでもイギリスでもあって、それでドイツやイギリスは一億何千万トンを使いこなしているわけじゃないですから、その条件は日本と大して変わらないと思いますが、そういう中でやっておるわけですから、ぜひそういう意味で、先ほど申し上げましたような不退転の決意でこの二千万トン体制維持を図っていただきたい。  先ほどから貯炭の問題がどうとか、いろいろ最後の方にいくと、自由主義経済だからユーザーの方の意思もいろいろあるでしょうし、企業の計算もあるでしょうということになりますけれども、イギリスや西ドイツを考えますときに、これだけの石炭を国内で生産をして使いこなしているという事実が厳然としてあるわけです。そういうことを考えてひとつ御決意のほどを改めて伺いたいと思います。
  244. 江崎真澄

    江崎国務大臣 エネルギー源の多様化を図らなければならないことは、もう今朝来しきりにお答え申し上げてきたとおりであります。しかも、国内産のエネルギー源の一つである石炭をどう今後使っていくか、これは国策に関するきわめて根本的な、重要な問題であります。したがって、この生産確保ということについては、やはり審議会の答申にまって、公正妥当な、まあいいところであろうという結果がこの数字でありますので、これが軽々に変えられるということはもとよりありません。これは政府委員から御答弁したとおりでございます。  ただ、いまお話しのとおりに、確かにここにあります資料で見ましても、一九七六年に西ドイツでは九千六百万トン、イギリスでは一億二千二百万トン、日本は千八百三十三万トンの生産、こういうことになっておりますね。ただ、格差は非常なものがあります。これがユーザーの側からすれば、つい輸入炭に切りかえてくれという声になりがちなわけですが、しかし、そういう声と二千万トン生産ということとは別途に考え、そしてまた政府としてもそれなりの助成方途を講じておることは、これは申し上げるまでもないところです。  一九七七年の内外炭価格差について、西ドイツはおおむね千四百円から四千円、イギリスはとんとんから一二千二百円までの格差、円の場合は円レートが大幅な上昇を来しましたことなどもありまして、日本の場合は最も大きくて、原料炭の場合は五千八百七十円、一般炭の場合は七千二百円、けたはずれに大きくなっておる、このことは申し添えておきたいと思います。
  245. 安田純治

    ○安田委員 時間が来ましたのであれですが、ただ大臣の御答弁の中で、西ドイツの場合ですと原料炭が千四百円の格差があるというふうに言われているようですが、一般炭は四千円の格差があるのじゃないか。それに対して日本は、一般炭は五千八百七十円、まあレートの計算、いろいろ細かいことはありましょうけれども、そうすると千八百七十円しか違わないのですよ。ですから、原料炭と一般炭の御答弁、いまのはちょっと取り違えられたのだと思うのですが、日本の場合は一般炭が五千八百七十円で原料炭が七千二百円というふうな数字になっているように思います。その点はいいのですけれども、とにかく西ドイツと比べますと、そんなに一般炭は変わりないのですよ。イギリスは原料炭では格差なしで一般炭では三千二百円、日本が五千八百七十円だ、こんなところじゃないかと思うのですよ。それはトン当たり千円でも違えば違うのですけれども、全く格差がないわけじゃございませんので、そういう点もお考えいただいて、自由主義経済だから限界があってどうしようもないということではないのだということだけはひとつ頭に置いて貫いていただきたいということを改めてお願い申し上げておきます。
  246. 江崎真澄

    江崎国務大臣 お示しのように、ちょっとこれは資料が間違っておりまして、一般炭の場合が五千八百七十円、それから原料炭の場合が七千二百円で、これは訂正いたしておきます。
  247. 安田純治

    ○安田委員 そういうわけで、いろいろまたほかに伺いたいことはありますが、同僚委員も午前中以来いろいろな角度から、需要拡大問題、二千万トン体制維持の問題、いろいろ提案なりされておりますので、私どももそういうことも踏まえてぜひこれをやっていただきたい。  産炭地振興の問題についても質問があったのですが、時間がございませんので、これで質問を終わりたいと思います。      ────◇─────
  248. 古川喜一

    古川委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  本日、理事稲富稜人君委員辞任され、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 古川喜一

    古川委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事稲富稜人君を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十八分散会