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江崎国務大臣 きわめて重要な御
質問だと思います。これは
予算委員会でもしばしば問題になったところでありまするが、
イランが
政治的動揺のために
生産がストップして、昨年の十二月から全然船積みをしなくなりました。それから
わが国としては、
イランを除く
OPEC諸国の増産への
依存、要するに積みかえ積み増し、そういったことで当面はしのぐことができたわけであります。一方また在庫の取り崩し、これはどうもいたし方のないことだというふうに思います。
世界各国ともそういう
傾向をたどっております。
そこで、ちょっと時間をとりまして恐縮ですが、
業界それから
政府備蓄の動向、その他全体をひっくるめまして一――三月七千二百万キロリットル、要するに昨年と同量を大体
確保できるという見通しがつきましたのを契機にして、私
ども通産省、
エネルギー庁としても
一つの基本的な
考え方をまとめました。そして一昨日これを公表するとともに、昨日は
大平内閣総理大臣に詳しく実情を御
説明しまして
考え方を確定した、こういう経緯もありまするので、ちょっとその間の消息、
情勢などについても詳しく御
報告をしてみたいというふうに思います。
一月三十日にパリにおいて、これは非公式な
会合ということになっておりまするが、
IEAの
事務局の
会合があったわけです。これには私
どもから
真野国際経済部長を参加させました。そして、いろいろ
会議を通じ、同時にまた
アメリカとかECとかオランダ、それから
IEAの
事務当局などとの
個別会談を通じまして
結論的に言えることは、どうも前の
石油ショックのときには
備蓄の量も少なかったが、大あわてをすることによって、それぞれの国々が
相当混乱を来した。一方ではまた業者が不当な利益を占めるというような
傾向も見られた。したがって、今度の
イラン情勢などについては、やはり前の
石油ショックにこりて
IEAという新しい
相互協力機関もできておることであるし、的確な情報をキャッチして冷静に対応をしようではないか、こういう
結論に達した。まことにもっともな、私
どもが同感できる
結論だと思います。
イランの
石油は
世界消費のおおむね一二%を占めるというふうに言われております。したがって、
わが国の場合は、よく二〇%
依存度ということが言われまするが、一九%
強程度イランに
依存をしておる。ピーク時には三〇%以上を
イランから
輸入しておったようでありまするが、
輸入先の
多国化という原則に基づいてだんだん減らしてはきておるわけですね。端的には、
備蓄も、
公団備蓄、それから民間
備蓄合わせまして九十二日分、これは十二月現在ですがありまするので、さしあたって心配はないが、もとより長期に及べばこれは影響は当然受けるわけでありまするので、一月二十二日に省
エネルギー・省資源
対策推進会議を
政府としても正式に開きまして、まず官庁が節約の模範を示す、そして民間にも
協力を求める。特に民間は、
石油が四倍、五倍というふうに値上がりをいたしました
段階で相当節約をいたしておりまするので、節約余力は十分とはいえませんが、一般国民の電気消費を初めとする
エネルギー消費とというものは、あのピーク時よりも四%近く
アップしておるわけですから、まあそういった節約を大いに求めようということで、国民の皆さん方にも呼びかけをいたしたというわけであります。
さて、そこで
結論的に言いますると、
イランの政治不安が他の中東諸国へ影響して同じような混乱が起こるとすれば、これは大変困るわけでございまして、そういったことを今後の不安定要因として私
ども非常に心配をいたしておるわけであります。ところが、過去の
石油危機の場合と対比いたしまして、安定度が増した条件、それからまた不安定要因、これを分けて
考えてみますると、まず第一に、安定度を増しておる要因としては、たとえば北海油田が
開発された、アラスカ油田の
開発がなされた、それからいまの原子力を初め
石炭利用などを
推進することによって代替
エネルギーが
開発をされたり、また
利用転換が図られてきたということですね、過去五年間において。
それから第二点は、各国の
備蓄水準が高まった。
わが国の五十九日間、あの当時の
石油ショックのとき。これが九十二日になっておる。
それからいまの、前回の危機にこりて
相互協力機関としてできた
IEAという緊急融通の新しい
制度も整っておる、
整備されておる。
それから四番目には、
OPECの
協力的態度。前回のときは売り手側の
OPECと買い手側の消費国等は対立的な関係でありましたが、今度は
イランによって
OPECとしては迷惑をかけてはならないということで、サウジを初めイラクとかクウェートとかナイジェリアといったような国々が増産に向けて
協力をしておってくれる。これなどは非常に前とは違って安定度を増しておる要因だと言えると思います。
それじゃ不安定な点はどうかといいますると、油が高くなって相当省
エネルギーが進められておるだけに、省
エネルギーの余地というものが少なくなっておるということ。
それから二番目には、
OPECの工業化計画が
イランの
情勢にかんがみてどうしてもスローダウンする、
石油供給の増大意欲が減退しないだろうかということが情報に乗ってわれわれの耳にも達しておりますね。こういったことも心配な理由であります。
それから、
イランの政治不安が先ほど申し上げましたように隣接湾岸諸国などへどういう影響を与えるか、こういった点についても度外視できぬ問題があります。
したがって、
わが国といたしましてはどういう
対策をとったらいいのかという点でありまするが、幸い一――三月が前年と同じ量だけ
確保することができたというのは、まあ全くこれは本当に
政府としてもほっとする思いですね。四月からは
需要がだんだん減退する時期に入りまするので、まあこの
状況ならば、本年の十月以降のまた
需要最盛期の問題まではとにかくつなぐことができる。また十月からの
需要最盛期においても、現在の
備蓄をある程度取り崩していくということになれば、そんなに大変な不自由をかけることはないという
考え方ですが、しかし、もともと無資源国の日本ですから、
エネルギーの節約というのは
IEAの大きな
方針でもありまするし、また
わが国としても
エネルギーの節約というものはどうしても
推進していかなければならぬ。そしてまた同時に、ここで御議論いただきまする
石炭の
利用を高度化するように、また
利用を深めるように進めることも緊急の問題である。その他代替
エネルギーを
開発していく。これは申すまでもありませんが、もう時間もかかりますので一々繰り返しません。
そこで、そういうことで今後私
どもが特に国民の皆さんにも
協力を願いたいということは、当面心配は要らない、要らないが節約はお願いしたい。しかし、どうかひとつ事業会社などにおいても、大口
需要者に油削減というような形に出ることはしないから、にわかに買いだめをするとか買いあさりをするとかいうようなことはしていただかないように、やはりこういうときにはお互いが本当に
協力体制に立って危機を克服していく、こういう心がけが大切だというふうに思うわけであります。
したがって、今後ともいろいろな情報がいろいろなルートを伝わってまいります。これはよく言われまするように、思惑を秘めたような、デマに近いような情報が流されることもありまするので、特に今後、私
ども通産省はもとよりでありまするし、外務省などにおいても的確な情報をキャッチして遅滞なくそれに対応するようにしていきたいというふうに
考えておる次舞であります。
重要問題でありますので、ちょっと時間をちょうだいして御
説明した次第でございます。