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1978-05-12 第84回国会 参議院 本会議 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十二日(金曜日)    午後四時八分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十一号   昭和五十三年五月十二日    午後四時開議  第一 社会保険労務士法の一部を改正する法律   案(衆議院提出)  第二 審議会等整理等に関する法律案内閣   提出衆議院送付)  第三 許可認可等整理に関する法律案(内   閣提出衆議院送付)  第四 人質による強要行為等処罰に関する法   律案内閣提出衆議院送付)  第五 道路交通法の一部を改正する法律案(内   閣提出衆議院送付)  第六 昭和五十三年度における財政処理のため   の公債発行及び専売納付金納付特例に   関する法律案内閣提出衆議院送付)  第七 租税特別措置法の一部を改正する法律案   (衆議院提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、国家公務員等任命に関する件  一、日程第一より第七まで  一、女子教育職員出産に際しての補助教育職   員の確保に関する法律の一部を改正する法律   案(本院提出衆議院回付)  一、農業災害補償法及び農業共済基金法の一部   を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  一、新東京国際空港安全確保に関する緊急措   置法案衆議院提出)      ——————————
  2. 安井謙

    議長安井謙君) これより会議を開きます。  この際、国家公務員等任命に関する件についてお諮りいたします。  内閣から、中央更生保護審査会委員長勝田成治君を任命することについて本院の同意を求めてまいりました。  内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  3. 安井謙

    議長安井謙君) 過半数と認めます。よって、これに同意することに決しました。      ——————————
  4. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第一 社会保険労務士法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。社会労働委員長和田静夫君。     ━━━━━━━━━━━━━    〔和田静夫登壇拍手
  5. 和田静夫

    和田静夫君 ただいま議題となりました社会保険労務士法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案の主な内容は、第一に、社会保険労務士業務事業主等提出する申請書などの提出手続代行業務を加えること、第二に、社会保険労務士は、都道府県ごとに一個の社会保険労務士会を、全国社会保険労務士会全国社会保険労務士会連合会を設立することができることとすること、第三に、主務大臣及びその他の行政機関は、広報、調査等について社会保険労務士会または全国社会保険労務士会連合会に協力を求めることができるものとすること、第四に、社会保険労務士試験試験科目国民年金法及び通算年金通則法を加えること、などであります。  なお、本案衆議院社会労働委員長提出によるものであります。  委員会におきましては、採決の結果、本法律案原案どおり全会一致で可決いたしました。  なお、本案に対し、社会保険労務士登録制度への移行、行政書士業務の分離など、制度改善内容とする附帯決議全会一致でつけることに決しました。  以上報告いたします。(拍手
  6. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  7. 安井謙

    議長安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案全会一致をもって可決されました。      ——————————
  8. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第二 審議会等整理等に関する法律案  日程第三 許可認可等整理に関する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員長塚田十一郎君。    〔塚田十一郎登壇拍手
  9. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、内閣委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  まず、審議会等整理等に関する法律案は、行政機構簡素化及び合理化を推進するため、行政機関に置かれた審議会等のうち、社会経済情勢の変化に伴い必要性の低下したもの、活動の不活発なもの、設置目的等が類似するもの等四十七の審議会等について整理統合を行うとともに、二十三審議会等について行政機関職員のうちから委員任命する制度及び大臣または行政機関職員を会長とする制度の廃止、委員定数の縮減、委員構成等改善を行おうとするものであります。  なお、衆議院においては農林水産省の名称を農林省に改める修正が行われております。  次に、許可認可等整理に関する法律案は、行政簡素化及び合理化を図るため、三十一法律改正して九十六事項許可認可等について一括して整理を行おうとするものであります。  委員会におきましては、以上二法律案を便宜一括して審査し、行政改革に対する政府基本姿勢国家行政組織法第八条と政令による審議会設置形式との関連、審議会統廃合に対する妥当性委員構成改善必要性、いわゆる私的諮問機関に対する措置と今後の整理方針、地方自治体の任意団体に対する分担金運用方法改善許認可事項の今後の整理計画等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、審議会等整理等に関する法律案につきましては、日本社会党を代表して野田委員日本共産党を代表して山中委員より、それぞれ反対する旨の発言がありました。  次いで、順次採決の結果、審議会等整理等に関する法律案は多数、許可認可等整理に関する法律案全会一致をもって、いずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  10. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  まず、審議会等整理等に関する法律案採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  11. 安井謙

    議長安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。      ——————————
  12. 安井謙

    議長安井謙君) 次に、許可認可等整理に関する法律案採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  13. 安井謙

    議長安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案全会一致をもって可決されました。      ——————————
  14. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第四 人質による強要行為等処罰に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。法務委員長中尾辰義君。    〔中尾辰義登壇拍手
  15. 中尾辰義

    中尾辰義君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、最近における人質による強要行為の実情にかんがみ、この種の強要行為に対する処罰強化する等の措置を講じようとするものであります。  その主な内容は、第一に、二人以上共同して、かつ、凶器を示して人を逮捕または監禁した者が、これを人質にして、第三者に対し義務のない行為をすることまたは権利を行わないことを要求したときは、無期または五年以上の懲役に処するものとすること、第二に、さきに新設された航空機強取を手段とする人質強要行為処罰規定本法中に取り入れることとすることであります。第三に、人質による強要罪を犯した者が人質にされている者を殺したときは、死刑または無期懲役に処し、その未遂をも処罰すること等であります。  委員会におきましては、人質凶器の意義、さらに本法案運用などについて熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法案に対し、寺田熊雄委員より、政府本法制定の経緯にかんがみ、その本来の目的を逸脱して正当な労働運動等に乱用することのないよう万全の配慮をなすべき旨の各会派共同提案に係る附帯決議案提出され、全会一致をもって本委員会決議とすることに決定をいたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  16. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  17. 安井謙

    議長安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。      ——————————
  18. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第五道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。地方行政委員長金井元彦君。   〔金井元彦登壇拍手
  19. 金井元彦

    金井元彦君 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過と結果を御報告いたします。  この法律案は、身体障害者通行保護自転車横断帯設置など自転車通行安全確保、いわゆる暴走族による共同危険行為等禁止及び高速自動車道等における運転者遵守事項強化等内容とする交通事故防止のための規定整備を図るとともに、副安全運転管理者設置等安全運転管理強化並びに運転免許制度行政処分制度その他罰則及び交通反則通告制度改善合理化等運転者対策推進のための規定整備を図ること等を内容とするものであります。  委員会におきましては、交通安全対策特別委員会連合審査会を開くなど、慎重に審査を進めました。その間、いわゆる車社会における本法あり方交通安全教育あり方暴走族の取り締まりの基準、過積み問題等について質疑がありましたが、詳細は会議録に譲ることを御了承願います。  質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、改正法律周知徹底に努めるとともに、国民免許の段階に即応した健全な運転安全教育あり方を検討し、改善を図ること、暴走族規制立法趣旨徹底を図ること、積載制限違反等をなくするため、根源的かつ総合的対策を推進すること等九項目附帯決議を行っております。  以上御報告いたします。(拍手
  20. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  21. 安井謙

    議長安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案全会一致をもって可決されました。      ——————————
  22. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第六 昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)  日程第七 租税特別措置法の一部を改正する法律案衆議院提出)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長嶋崎均君。    〔嶋崎均登壇拍手
  23. 嶋崎均

    嶋崎均君 ただいま議題となりました両案につきまして、委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案について申し上げます。  本案は、昭和五十三年度租税収入動向等にかんがみ、同年度財政運営に必要な財源を確保し、もって国民生活の安定に資するため、財政法第四条第一項ただし書きの規定によるいわゆる建設国債のほか、予算をもって国会の議決を経ております金額四兆九千三百五十億円の範囲内で特例公債発行ができることとするとともに、日本専売公社に対し、通常の納付金のほか、利益積立金の取り崩しによる特別納付金千五百六十九億円を納付させる等、所要規定を定めようとするものであります。  委員会におきましては、日米首脳会談における両国間の経済問題、景気振興のための財政政策あり方国債大量発行に伴うインフレ発生の懸念、国債個人消化促進具体策公共企業体としての専売公社制度あり方等について、総理大臣を初め政府当局に対し質疑が行われましたほか、参考人より意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して福間知之委員より、公明党を代表して塩出啓典委員より、日本共産党を代表して佐藤昭夫委員よりそれぞれ反対自由民主党自由国民会議を代表して細川護煕委員より賛成する旨の意見が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、財政収支改善に全力を尽くし、早期に特例公債依存財政からの脱却に努めること、国債は後世代の国民負担となることにかんがみ、償還のための万全の措置を講ずること等、七項目にわたる附帯決議が付されました。     —————————————  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案衆議院大蔵委員長提出によるものでありまして、政治活動に関する寄付個人拠出を一層助長するため、指定都市の議会の議員、市長及びこれらの公職の候補者等に対する寄付についても、特定寄付金とみなして、寄付金控除特例を認めようとするものであります。  この改正による本年度租税減収額は約五百万円と見込まれております。  委員会におきましては、質疑討論なく、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  24. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  まず、昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  25. 安井謙

    議長安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。      ——————————
  26. 安井謙

    議長安井謙君) 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  27. 安井謙

    議長安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。      ——————————
  28. 安井謙

    議長安井謙君) お諮りいたします。  本日、衆議院から、本院提出に係る女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案が回付されました。  この際、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 安井謙

    議長安井謙君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  30. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  本案衆議院修正同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  31. 安井謙

    議長安井謙君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもって本案衆議院修正同意することに決しました。(拍手)      ——————————
  32. 安井謙

    議長安井謙君) この際、日程に追加して、  農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 安井謙

    議長安井謙君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。農林水産委員長鈴木省吾君。    〔鈴木省吾登壇拍手
  34. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 ただいま議題となりました法律案について、農林水産委員会における審査経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、昭和四十九年度以降の畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置法による試験実施の実績及び最近における畑作農業振興に関する要請等に対応し、農業者畑作物の栽培及び施設園芸に関し不慮の事故によって受けることのある損失を補てんして、農業経営の安定を図るため、昭和五十四年度から恒久的な畑作物共済制度と、園芸施設共済制度とを創設するとともに、これに関連して、農業共済基金制度について、その業務範囲拡大する等の改正を行おうとするものであります。  委員会におきましては、試験実施経過本格実施に当たっての制度的な改善点共済対象作物等範囲拡大共済掛金国庫負担割合共済責任期間共済金の支払い、損害評価方法農作物共済及び果樹共済制度内容改善家畜共済改善家畜診療施設運用農業共済団体職員共済連絡員損害評価員等の待遇の改善等の諸問題について、五回にわたり慎重な審議を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  続いて、本法律案に対し、自由民主党自由国民会議日本社会党公明党、民社党の各派共同提案に係る、畑作物共済についての可及的に事業実施地域及び対象作物範囲拡大を図るとともに、共済目的の種類の細分化を合理的に行うことなど、九項目附帯決議案が提案され、全会一致をもって、本委員会決議とすることに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  35. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  36. 安井謙

    議長安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案全会一致をもって可決されました。      ——————————
  37. 安井謙

    議長安井謙君) この際、日程に追加して、  新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 安井謙

    議長安井謙君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。運輸委員長三木忠雄君。    〔三木忠雄登壇拍手
  39. 三木忠雄

    三木忠雄君 ただいま議題となりました新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案について、運輸委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、衆議院提出に係るものでありまして、新東京国際空港及びその周辺において暴力主義的破壊活動が行われている最近の異常な事態にかんがみ、当分の間の緊急措置として、工作物使用禁止等措置を講じようとするもので、その主なる内容は、  第一に、「暴力主義的破壊活動等」及び「暴力主義的破壊活動者」について定義するとともに、規制区域について規定しております。  第二に、運輸大臣は、規制区域内に所在する工作物暴力主義的破壊活動者により、その集合の用等に供され、またはそのおそれがあると認められるときは、当該工作物使用禁止を命ずることができることとしております。  第三に、運輸大臣は、禁止命令に違反して当該工作物使用されていると認めるときは、封鎖その他必要な措置を講ずることができ、さらに、一定要件のもとに特に必要があると認められるときに限り、当該工作物除去することができることとしております。  第四に、運輸大臣は、暴力主義的破壊活動者規制区域内において所持し、または使用する物件について、工作物除去の場合に準じて、当該物件を一時保管することができることとしております。  その他、損失補償罰則等所要規定を設けております。  委員会におきましては、地方行政委員会及び法務委員会との連合審査会を開くなど、慎重な審議が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して目黒委員日本共産党を代表して内藤委員より、それぞれ反対意見が述べられました。  次いで、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  40. 安井謙

    議長安井謙君) 本案に対し、討論通告がございます。発言を許します。目黒朝次郎君。    〔目黒朝次郎登壇拍手
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案に対し、反対する立場から討論いたします。  昭和四十一年七月四日、政府は、わが党を初めとする多くの国民反対意思を無視し、しかも地権者である現地農民同意を得ることなく、三里塚に巨大な国際空港設置を決定いたしました。  以来十二年間、政府並びに空港公団は、権力背景に、生活防衛のため反対する農民を排除し、一方的に工事を進め、生活を死守せんとする農民との間に血で血を洗う対立抗争が幾度となく繰り返され、三月二十六日には、空港管制塔の機器が破壊されるというきわめて不幸な事件が発生いたしました。  わが社会党は、空港問題発生以来、内陸部に巨大な国際空港をつくることに反対し、人権と生活権擁護立場から一貫して政府猛省を促してきたところでありますが、政府権力背景とし、一方的に建設を強行し、地元農民、住民の声を無視し、その生活権生存権を脅かし続けてきたのであります、政府空港公団のファッショ的なこのような対応が、結果的に今回の事件を誘発したと言えます。政府空港公団責任は鋭く追及されなければなりません。  本法案の主なる目的は、暴力行為の基地となるおそれのある通称団結小屋の撤去にあると思われますが、その内容を検討した場合、大きな不安を感ぜざるを得ません。新空港開港日を五月二十日と決定して以来、空港周辺に鉄のへいをめぐらし、一万四千名の警官隊を配置し、さらに一般歓送迎者を排除し、加えて、本法案を制定して当たらなければ空港の安全が保たれないという新空港が、日本国民はもちろん、諸外国の利用客に心から祝福される空港となると言えるでしょうか。私は絶対「ノー」と答えざるを得ません。  私は、五月二十日、千葉市における福永運輸大臣戸村反対同盟委員長の二時間余にわたる対話や、地元千葉県知事自民党県連幹部による、いわゆる三・二六事件にかかわる反対同盟北原事務局長ら三幹部釈放促進動向をてこに、政府一定の譲歩を勇気をもって断行し、話し合い、平和裏開港すべきことを粘り強く繰り返し委員会で提案してまいりました。  政府の力の対決による開港猛省を促すとともに、本法案議員立法という形をとることによって、政府責任を回避し、責任国民に転嫁しようとする責任を追及し、本法案政府の無策を助長するばかりか、その運用拡大いかんによっては、市民運動大衆運動、さらには労働運動を根本から否定しかねない重大な危険性を含んでいることを指摘しながら、本法案反対理由を述べたいと考えます。  反対の第一の理由は、本法案が、財産権、住居の不可侵権黙秘権などの基本的権利を保障した憲法に違反する疑いがあると同時に、現行の刑事民事法体系から大きくはみ出し、法秩序を著しく乱す点であります。  第三条は、工作物占有者に命令するだけで、所有者に何らのかかわり合いもなく使用禁止が行われ、必要と認めたときは、令状もなく立ち入り質問させることができるとしています。また、黙秘権についてもこれを否定しています。さらに、使用されるおそれがあると認定しただけで工作物除去を可能としており、憲法の要求する危険の確実性要請を満たさない疑いがあり、国民財産所有権不可侵権黙秘権を侵害し、違反者には告知、弁解、防御、救済の機会を与えることなく、第九条によって刑事罰が課せられることになっております。これは明らかに、憲法第二十九条、第三十一条、第三十五条、第三十八条に違反する疑いのある法案であると言わざるを得ません。  第二の反対理由は、本法案政治的乱用危険性のきわめて高い点であります。  第二条第二項は、「行うおそれがある」と認めただけで暴力主義的活動者とみなされ、要件の縛りはありません。これでは、空港建設反対する意思を持つ主婦、農民市民あるいは労働者は、将来暴力主義的破壊活動を万一行うかもしれないとして暴力主義的破壊活動者と認定されることになります。私たちは、今日まで法の拡大適用をされた苦い歴史的経験を持っております。本法案が、いずれはすべての住民、市民、及び労働者に対し適用される危険性が高いことを指摘しなければなりません。  反対する第三の理由は、規制区域の問題であります。  本法案の「規制区域」は、単に空港周辺にとどまらず、政令によれば、東北から関西まで広範囲にわたる区域の設定が可能であり、また、質疑を通じて明らかになったことは、暫定燃料輸送の国鉄の施設も空港の機能保持という名目で対象にされ、国鉄の労使問題にまで不当介入する危険性が明らかであり、断じて認めるわけにはまいりません。さらに、工事着手の目途も立たない第二期工事を含める点、団結小屋の位置から逆算して出したと勘ぐられても仕方がない合理性を持たない「外側三千メートル」の規制区域など、きわめて不当なものとして、認めるわけにはまいりません。  反対する第四の理由は、運輸大臣への権限集中の問題であります。  本法案において、工作物に対する使用禁止、封鎖、除去等の処分、所持する物件提出等の認定権を運輸大臣に与え、処分命令も、運輸大臣または運輸大臣が命ずる職員が行うことになっております。土地収用法、公共用地の取得に関する特別措置法における収用委員会、あるいは破防法における公安審査委員会のような第三者機関を排除し、運輸大臣に全能の権限を与えております。  このことは、私権の制限を通じて、究極的に集会、結社、表現の自由を制限する重要なものであり、工作物に対する使用制限など行政機関にゆだねることは問題であり、憲法に違反する疑いがあります。また、政権担当者に認定権を与えることは、行政の中立性を失い、固有の政治観に基づいて独善的な認定がなされる危険性がきわめて大と言わざるを得ません。  最後に、反対する第五の理由は、地元農民、住民の政府に対する不信感の増大であります。  新空港は、第二期工事、パイプライン工事についても着手の目途も立たないまま政府はいま開港しようとしていますが、このままでは欠陥空港であり、第二期工事、パイプライン工事の完成には、地元農民、住民の協力なしには不可能であります。  話し合いの機運が高まりつつある今日の情勢のもとで本法案が成立することは、地元農民、住民の政府の力の政策に対する不信感を増大させ、話し合いによる解決の道を絶望に追い込むことは必至であり、開港された新空港の安全と警備に重大な支障を招くものと断言せざるを得ません。  以上、限られた時間から反対理由について述べてまいりましたが、これらは問題点の一部であり、多くの国民は新治安立法の制定と受り取り、警察国家実現を危惧している現実を、提案者と政府は直視すべきであります。  憲法に保障された国民の諸権利を守る立場から、本法案は撤回すべきであると主張して、私の反対討論を終わります。(拍手
  42. 安井謙

    議長安井謙君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  43. 安井謙

    議長安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。(拍手)  本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十六分散会