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1978-04-18 第84回国会 参議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十八日(火曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  四月十四日     辞任       補欠選任      神谷信之助君     渡辺  武君  四月十八日     辞任       補欠選任      竹田 四郎君     丸谷 金保君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         嶋崎  均君     理 事                 藤田 正明君                 細川 護煕君                 福間 知之君                 塩出 啓典君                 中村 利次君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 戸塚 進也君                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                 藤井 裕久君                 宮田  輝君                 穐山  篤君                 竹田 四郎君                 丸谷 金保君                 矢田部 理君                 吉田忠三郎君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 渡辺  武君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君    政府委員        大蔵政務次官   井上 吉夫君        大蔵大臣官房審        議官       福田 幸弘君        大蔵省主計局次        長        山口 光秀君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省関税局長  戸塚 岩夫君        国税庁税部長  水口  昭君        国税庁間税部長  矢島錦一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        公正取引委員会        事務局経済部調        査課産業調査室        長        関根 芳郎君        公正取引委員会        事務局取引部景        品表示指導課長  土原 陽美君        厚生省公衆衛生        局精神衛住課長  目黒 克己君        農林省農蚕園芸        局果樹花き課長  畑中 孝晴君        食糧庁総務部長  小野 重和君    参考人        日本酒造組合中        央会会長    桃井 直造君        金露酒造株式会        社代表取締役社        長        大塚和三郎君        金升酒造株式会        社代表取締役社        長        高橋  篤君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○各種手数料等の改定に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十四日、神谷信之助君が委員辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。     —————————————
  3. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、日本酒造組合中央会会長桃井直造君、金露酒造株式会社代表取締役社長大塚和三郎君及び金升酒造株式会社代表取締役社長商橋篤君の三名の方々参考人として御出席をいただいております。  この際、参考人方々に一言御あいさつを申し上げます。  参考人方々には、御多忙中にもかかわりませず、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げる次第でございます。  皆さまから忌輝のない御意見を拝聴し、今後の本案審査参考にいたしたいと存じます。  これより参考人方々に順次御意見をお述べ願うことになっておりますが、議事の進行上、お一人十ないし十五分程度でお述べを願い、参考人方々の御意見陳述が全部終わりました後、委員の質疑にお答えいただくという方法で進めてまいりたいと存じますので、各位の御協力をお願いいたします。  それでは、まず桃井参考人お願いいたします。
  4. 桃井直造

    参考人桃井直造君) 酒造組合中央会桃井でございます。  清酒製造業の概況を御説明を申し上げたいと思います。  清酒製造業中小企業集団でございまして、全体の業者数三千百の中で、いわゆる資本金一億円を超え従業員三百人超という大手業者は十三社にとどまるわけであります。すなわち九九・六%、これが中小企業でございます。そして、この中小企業集団が大体おおむね毎年九百万石、百六十万キロリットルの酒をつくって販売をいたしておりまして、全酒類の中で占める販売量は、最近の統計では二八%弱になっておるわけであります。  この製造業販売の類型と申しますか、主として卸売販売業者に売る型、あるいは直接小売業者に売る型、あるいはさらに主としておけ売りで仲間取引で売られる型と、こういう型を分けてみますというと、主として卸売に売られる型は全体の二〇%、それから小売に主として売られる型は二七%、仲間取引でおけで仲間に売られる型が四四%ということで、この仲間取引のおけ売りの型が一番多い、こういうような形になっております。  また、これを製造規模別に見ますというと、製造数量年間三百キロリットル以下の方、これが全体の企業数の中で六七%、約七割弱でございまするが占めておるわけでございます。  そして、この中小企業と、先ほど申しました十三社の大手業者シェアを申し上げますというと、中小企業製成数量では八七%、大手企業はその残りの一三%でございます。また、ボトルに入れまして自分の銘柄をつけて売りまする要するに販売数量では中小が七二%、それから大手企業が二八%になっております。そして、特に二級酒につきましては九四%がこれは中小企業、こういうような内容になっております。  清酒製造業者は各県に広く散布しておりまして、位置しておりまして、それぞれの地域自分販売数量に見合うようなマーケットをしっかり握るように一生懸命に努力をしている業者でございまして、したがいまして非常に地域的な性格が強いわけであります。ほとんどの県も全部清酒製造業者があるわけでございまするが、その中でどの地域一等分布が多いかと申しますというと、まず近畿地域業者数の一八%が近畿地域にあります。近畿地域製造数量は三分の一を超えておりまして、販売数量は約半分ということで、圧倒的に近畿地域清酒製造業者が存在しておるわけであります。その次に多いのは中国地方の一六%、同じパーセントでございまするが関東信越地区が一六%でございまして、東北は業者数から申しますというと一三%ということになっております。  現在の製造能力、これはどのぐらいになっているかと申し上げますというと、製造能力はこれは推計でございまして、大体百八十八万キロリットルというぐあいにわれわれは推定いたしておりまして、石数に直しますというと一千二百万石ちょっとでございます。そして、製造方法は主として寒づくり、十二月から三月にわたって酒をつくっております。したがって、春夏秋冬つくる四季醸造というのは一割に満たないというようなことで、ほとんどがやはりこれは寒づくりでございます。そして、大体稼働率はいまのわれわれの推計では七五%ぐらいの稼働率になっておるだろうと。ただ製成数量百キロリットル以下の方は、これは五割を切る稼働率になっておると、こういうような実は状況になっております。  それなら清酒製造業経営状況はどうなっているかと申し上げますというと、経営不振の業者が多くてまことに実は残念に思っておるわけでございまするが、年間税引き利益五十万円未満の方が二二%、それから欠損業者の方が二九%、約三割でございます。合わせて五一%、こういうのが私ども過小利益あるいは欠損業者でございまして、大いに私どもはこういう点を反省して、奮起しなければならないいろいろな問題点を抱えておるわけであります。  欠損業者のうち、内容を調べてみますというと、その中で製成数量製造数量三百キロリットル以下の方が七八%を占めておる。また、おけ売りの方がかなり多くこの欠損業者の中に占めておるわけであります。欠損内容を私ども業界は私ども業界なりにいろいろ分析をいたしておりまするが、いろいろ原因がございます。もちろん売り上げ不振もございますし、規模関係コスト高という問題がございまするが、共通一つの大きな問題点といたしまして、酒はまとめて寒づくりである、十二月から三月につくってそれを一年三カ月にわたって売ると。こういうようなことで、米代を中心とする酒造資金酒づくりのときに一時に必要になる。そして回収がしかも長期にわたる。こういうような特徴を持っておりまして、ほかの企業と比較いたしますというと、総資本の中で借入金の占める比率が大変高いわけでございます。五九%、約六割近く占めております。ほかの食品産業と比べますというと十数%多い、こういうような金利負担の重圧が経営上の赤字あるいは過小利益原因となっているという共通の問題が一つあるわけであります。  それから、その次は経営状況の中で製造原価の問題でございまするが、製造原価、それから詰め口費用、これは私どもびんに詰める過程の費用詰め口費用と呼んでおります。それから販売及び管理費、こういうぐあいに三つに分けまして生産の段階のコストを点検してみますというと、製造原価の中で原材料費が八〇%を占めております。その中で約七割を占めるのは米代でございます。酒造米代金でございます。したがって、この酒造米代金価格がどのぐらいになるかということは、清酒製造業の死命を制する重要な問題であるわけであります。  それから、詰め口費用材料費が七五%、これも材料費の方がかなりかかります。ナショナルブランドの方は主に新びん新箱を使いますので、その他の方々はその新びん新箱の二回目を使う。こういうようなことで、ナショナルブランドの方がわりあいこの容器、包装費においてはかなりコスト割り高になっておる、こういう問題がございます。  次は販売管理費の問題でございまするが、販売管理費はやはり人件費が主たる部分になりますので、販売数量の多い方ほど、要するに規模の多い方ほどメリットがあるという状況になっておるわけであります。最近の清酒消費動向を見ますというと、ここ数年門の年平均伸び率でございまするが、全体の酒が三%伸びております。しかし清酒は一%を切るところの消費需要であります。ビールが四%、ウイスキーが一三%、非常に伸び悩みの状況、むしろ停滞ぎみ状況、こういうものを示しておるわけであります。この消費需要不振の理由は何かというと、最近の十数作間における生活洋風化、特にアメリカ風生活洋風化というのが大きな影響をしておるのではないかと私どもは考えております。したがって食生活が違う、消費生活が違う、こういう問題も一つ大きな影響かと思っております。  それから第三番目は中小企業集団でございますので、各企業にとりましては販売数量というものはしれております。したがいまして、テレビを使うとかいうような有効なマスコミ手段に訴える力がございません。したがって広告宣伝ウイスキービールに比して弱い。消費者把握消費者アピールがそれだけ弱いと、こういうような点が私は消費不振の第二の問題と思っております。  第三の問題は、お酒の原料の米が毎年毎年実はコストアップで上がって、これがコストアップになりまして酒が割り高になる。四十四年から見ますというと酒米は倍に上がっております。ところがほかの酒類、麦芽とかホップとか原料モルトを使うほかの酒類におきましてはこれがそう上がっておらない。こういう問題、特に最近そういうようなものは主として輸入物資に仰いでおりまするから、最近の円高でさらにそれが下がる、こういうような問題もございます。したがいまして、こういうようなコスト面で大変大きなハンディキャップをいただきながら、実は一生懸命に何とかこの日本伝統酒を守っていこう、こういって業界努力をいたしているわけであります。また、政府におかれましてもいろいろ御配慮をいただいております。自主流通米につきましては主食と向様の助成をいただいておりますし、それから一俵約三千円安い酒米を昨年も全体六十万トンを使ううち一割をいただいております。ところが一割、すなわち六万トンをいただいたのでありまするが、実は全部それを消化ができない。約四万五千トンしか消化ができない。というのは、いただくのが低温古米である。古米というのは古米臭があっていい酒をつくるのにはこれはまことに困るのであります。したがいまして、これからは新米をぜひいただいて、いい酒をつくって、少しでも米の消費拡大努力をしていきたいと、こういう強い実は願望を持っておるわけであります。  以上申しましたように、非常に厳しい環境にありまする清酒業界でありまするが、このままではいけない、何とかしてやはり立ち直らなければいかぬ、こういうことで、現在第三次の近代化ということで構造改善推進をいたしております。それは販売力の増進を目標に、流通業界と提携いたしまして協同化して新製品、新市場の開発あるいは新技術開発、こういうことで多様化してまいりまする消費者ニーズに応じて、一歩でも二歩でもひとつ消費需要の振興と、こういうことで努力をしております。昨年はこの構造改善計画の第一年目に当たりまして、主として人材養成あるいは需要開発、こういうような点に重点を置いて実施しておるわけであります。  今回御審議をいただいておりまする清酒業安定法におかれましては、清酒業経営基盤に関する事業の問題、構造改善給付金の問題、特に構造改善給付金では合併の際に給付金を出す、転廃の際に給付金を出すと、こういうような制度を御審議をいただいております。これは私どもの第三次近代化推進に当たりまして、側面的に大きな有力な御援助をいただくことになると認識をいたしておるわけであります。ただし、この給付金の総額が二十九億円ということで予定されておりまして、半額残存業者負担残り半額信用基金運用益から出すと、こういうことになっております。果たして最近の低金利運用益で十分賄えるのかどうか、二十九億以上の転廃業者あるいは合併給付金を必要とする業者が出た場合には一体どうなるのか、こういう点につきまして大変業界としては心配しております。また、その際にはぜひ政府の御善処をお願いをいたしたい、こういうぐあいに考えておるわけであります。  次は、今回の増税の問題でございまするが、増税は結局それだけ末端価格が上がります、それだけ業界としては売りにくくなります。また、末端価格を上げなければ業者負担をしなければなりません。したがって業界としては反対ではありまするが、特に今回の増税に当たりましては食管会計のもとにおける最近の原料米の値上がり、また、酒の消費の態様を御配慮をいただきまして、負担引き上げ幅について所要の調整をお考えいただいておる点は、まことに業界の基本問題について深く御認識をいただいている、こういうようなことと存じまして感謝を申し上げている次第でございまするが、今後のまた税制改正に当たりまして、この物の考え方、基本的認識をさらに御推進いただいて、特に国民酒である清酒について育成の観点から税率の御検討をお願いをいたしたい、こういうぐあいに考えておるわけであります。  最後に、表示問題でございまするが、原材料表示製造方法表示、こういうような表示につきましては、関係官庁の御指導もありまして、実はいち早くほかの酒類より先駆けて製造年月日原材料名比較表示製造方法表示産地表示、こういうようなものを五十年一月からは製造年月日、その他は五十年四月から実施してまいりましたが、やはり同じマーケットで競合する他酒類との関係からまいりますというと、非常にアンバランスでいろいろな問題点業界内部としては包蔵をいたしておりますので、他酒類業界が動き出すまで、今後公正規約をどうするかという問題は慎重に実は考えておるわけであります。やはりこのアンバランスも何とかバランスがとれるようにと念願をいたしておるわけであります。  以上申し上げまして私の意見陳述といたします。ありがとうございました。
  5. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) どうもありがとうございました。  次に、大塚参考人お願いいたします。
  6. 大塚和三郎

    参考人大塚和三郎君) 私、兵庫県の灘正郷の中に常業いたしております金露酒造株式会社社長大塚でございます。  ただいま桃井さんから業界全般状況の御報告がございまして、私といたしましては主産地の灘の立場から、業界現況等につきましてお話しをさしていただきたいと思います。  ただいま灘五郷といわれる主産地でございますが、その企業の数は六十六企業でございます。六十六企業の中に常識的には非常に大きな酒屋が多いということになっておりますが、先ほど桃井会長が大企業十三とおっしゃいましたが、そのうちの七が私たちの灘の地にあるわけでございまして、したがいまして、残り五十九という約九〇%のものは中小企業でございまして、私の企業ども年間蔵出し数量が約六千キロリットル、大体業界の中間の業者でございます。中には主産地の灘といいましても三百キロ以下の非常に小さい企業も数社あるわけでございます。  灘といたしましては、年間蔵出し数量、いわゆる販売数量でございますが、ほぼ五十五万キロリッターでございまして、それは全国移出数量の大体三分の一に相当いたしますので、それなりに清酒業界に対するウエートは相当高いというふうに考えなければならぬと思うわけでございます。特に御承知のように特級酒一級酒、二級酒とございますが、特級酒課税移出蔵出し数量の中で約九%を占めておりますので、全国の五・一%に比べますと相当倍近く多いわけでございまして、全国特級酒の六一%に相当する数量でございます。約六割は灘五郷で蔵出しさせていただいているわけでございます。それからいま一番売れております一級酒につきましては、全国では全体の酒の中の五六%となっておりますけれども、私たちの方は七九・二%、灘五郷の中の酒の出荷のうち約八〇%を占めるわけでございます。残るは二級でございますが、全国では三九%のシェアでございますけれども灘五郷の場合はわずかに一二%、言いかえれば特級一級と合わせましてほとんど九割、灘五郷の売っておる酒というのは九割が特、一級なのでございます。その全体で先ほど申しました大手企業、大企業七社が占めるのは大体七五%、いわゆる四分の三は大手が占めておりますから、相当上位集中しているというふうに御解釈願いたいと思うんでございます。  最近の営業の状態でございますけれども、大体全国と同じ環境のもとでございまして、残念ながらオイルショック以来伸び悩んでおります。その理由としては幾つか挙げ得るわけでございまして、基本的には企業努力の不足も反省しなければなりませんけれども、先ほど桃井さんのお話にありましたように、主原料である米の代金が上がるということが引き金になりまして、昭和四十八年から、もっとも五十一年は税金でございましたが、五年間連続して値上げをしておるというようなことがやはり消費の伸び悩みにつながっておる一つの大きな要因であろうかと思うわけでございまして、この原料米価格の問題につきましては、われわれ灘といたしましてもぜひ先生方の御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それで、今回の増税の問題でございますが、先ほど申しましたように、われわれ灘といたしましては販売数量の九〇%が特級一級でございますので、九割の商品が今回の増税関係をしてくるわけでございまして、そういう意味におきまして非常に重大な関心を持っておるわけでございまして、今後の影響を心配しておるわけでございます。  それに関しまして、承りますところ、今回の増税後の予算で百六十億の増徴と承っておるわけでございますけれども、ちょっと先ほどの試算ではじいてみますと、兵庫県、いわゆる灘五郷特級酒で三十一億、一級酒で六十一億、ざっと九十二億、これは非常に概数でございますけれども、今回御計画になっております百六十億円の中で九十二億円はわれわれが負担させていただくことになる。大体六〇%近いということで、今回の増税に関します六割はわれわれの方にはね返ってくるという受けとめ方をいたしておるわけでございます。  桃井会長の話にありましたように、清酒ビールや洋酒との競合に非常におくれをとっておるということは否めないのでございまして、清酒の主産地であります灘の立場といたしまして、この清酒の不振というのは、灘の責任というのは非常におこがましゅうございますが、あるいは灘のプライドとしても何とかこれをはね返すといいますか、打開をしていかなきゃならぬということで、現に昨年度から始まっております第三次の近代化構造改善事業にも参加いたしておりまして、まず具体的には人材養成事業といたしましては、近畿六府県の主導権をとりまして人材養成に努めており、今年も計画をいたしております。  それからもう一つは、灘酒需要開発でございます。これにつきましては、灘酒展覧会を東京、大阪、名古屋の百貨店を借りまして昨年も開催いたしまして、本年も正月の二日、三日、四日というような正月返上委員の者は努力をしたような事情でございます。  特に灘といたしまして申し上げたいことは、最近不況のせいか特級酒消費が減少いたしておる傾向がございます。とにかく先ほど申しましたように、全国の六割の特級酒をわれわれが引き受けておるわけでございます。何とかこの特級酒の減退というものを食いとめ、さらに伸ばすということが清酒全体のイメージアップにもつながるわけでございますので、小型の卓上ボトルとか、あるいは陶器のつぼとか、いろいろ努力をいたしております。また、米ばかりでつくります純米酒というのは非常に原価が高くなるわけでございますが、そういったものも努力いたしておりますが、現在の税のシステムにおきまして、少し高くなりますと特級酒従価税になりまして、一般の一升びん税率負担が三十数%に対しまして、従価税となりますと四十数%になるということで、小売価格が急にはね上がってまいりまして消費につなぎにくい。したがって、なるべく末端価格を抑えた点にもっていくということになりますと、手取りが悪くなって、たとえ材料費ぐらいは賄えましても、そういったものをつくります技術料とか、それからあるいは非常に手間がかかりますが、そういう手間料というようなものはあきらめなきゃならぬ。  すなわち、知識集約化荷付加価値商品をつくれということは、何も酒だけでなく、わが国の産業として一つのポイントでございましょうが、そういった点でせっかくやっても、いわゆる高収益の付加価値の高いものを編み出すことができないというようなことでございます。何とかこの辺も今回の増税に連動いたしまして、特級酒従価税の非課税限度額というものをもう少し上げていただくようなお考えをしていただけないかということは、かねて大蔵御当局にもお願いしておる次第でございます。そういうふうなことで、特級酒の沈滞というものは、量的には非常に少ないシェアでございますけれども、イメージにおきましては、やはりこれがなければ清酒が洋酒やビールに対抗するということで非常に旗印が悪いというふうにお受けとめ願いたいと思うわけでございます。  それから、われわれ主産地販売市場といいますものは、東京とか大阪を中心としまして大市場、名古屋あるいは博多、福岡方面とかというふうに都市部でございます。ビールとかウィスキー、ワイン、こういうふうなものも非常に流通する地域でございまして、特に最近は輸入のウイスキー等も大変量がふえてまいりました。過当競争になっております。ワインまたしかりでございます。業界清酒とか洋酒とかいろいろ分かれておるといいながら、流通業界は一本でございます。われわれはそういったような洋酒の過当競争と対抗しつつ、これらと激しい競争をしていかなきゃならぬわけでございます。特に先ほど申しましたように、灘の大手以外の中小メーカーというものは数十社あるわけでございますけれども、これもやはり過去の実績で大都市部に市場を持っております。こういったところは、片やビールウイスキーとの競合に巻き込まれますし、また片や業界の中で、最近これは近代化の方向でもございますが、地酒の振興ということで各地で非常に熱心におやりになっておりまして、こういったいわゆる地酒ブームとも闘わなきゃならないということで、非常に両面から苦しい闘いをしておるというような現状も、灘といえば強い酒屋がおるんだという御認識を若干改めていただきたいと思うわけでございます。  そういうようなことでございまして、一番大きな問題はやはり原料米価格の問題で悩んでおります。しかし、その他流通等でいろいろ問題があるのでございますけれども、時間が参りましたようでございますので、これで御報告を終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  7. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) どうもありがとうございました。  次に、高橋参考人お願いいたします。
  8. 高橋篤

    参考人(高橋篤君) 私は、新潟県に所在いたします金升酒造の高橋でございます。  私どもは、企業経営の根底は自助努力にあるということは十分認識しているつもりでございます。そのために、中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業は、今般第二年度の計画が去る三月末に大蔵大臣の認可を受けまして、これから四年間努力で何とか成果あるものにいたしまして、私ども中小企業の安定という状態に到達いたしたいということを念願いたしておる次第でございます。  私の所属いたしております新潟県といたしましても、百十五社の酒造組合のメンバーが全員協力いたしまして構造改善事業と取り組んでおります。需要開発のための県産酒の振興事業、あるいは新潟県内で発見いたしました酵母、特殊なこうじ菌、これを利用いたしまして独特の新商品開発努力をいたしております。また、知識集約化事業のために人材養成事業ということで、それらのために委員会とかあるいはプロジェクトチームを編成いたしまして鋭意取り組んでおる次第でございます。  しかしながら、これらの事業推進するに当たりまして最も問題となる点はたくさんございますけれども、二つ取り上げますと、原料米問題ともう一つは市場における過当競争問題でございます。これらの要因が需要の伸び悩みと相関連いたしまして、構造改善事業推進するために必要な人と金を投入するのに年々収益性が低下いたしておりますので、なかなか事業推進に困難な点があるわけでございます。  増税に関しましては、業界の現状から基本的には反対ではございますけれども、先ほどからの桃井さんの陳述にもございましたように、清酒に関しましては他の酒類に比較いたしまして、特に原料事情あるいは消費事情を考慮して、しかもなおかつ構造改善事業等の関係清酒の安定法の改正等の御提案をしていただいたということに関しましては、これらの特別な御配慮に関しましては感謝いたしておる次第でございます。なお、これからの問題といたしまして、先ほど申し上げました二点につきまして特段の御配慮をいただきたい。  そこで、まず原料米問題でございますが、引き続き政府管理米の払い下げ措置をお願いいたしたいということでございます。それにつきましては新米を安い価格で、しかもこの計画の決定はできるだけ早くお願いをいたしたい。八月末ぐらいまでには決定をお願いいたしたいということをお願いする次第でございます。  新米でなければならない理由というのはたくさんございますが、低温古米であっては製品としての清酒にどうしても品質的に欠陥があらわれてくるのでございます。技術的に欠陥を取り除く研究は行われておりますけれども、まだこれを具体的に実用化する域には達していないと私どもは考えております。  もう一つは、品質を懸念いたしましておけ売り企業がおけ買い企業の購入選別をやはり有利にしたい、買ってもらいたいという気持ちがあるために、どうしても低温米であっても古米は使わないということになっております。  それからもう一つは、私どもの使命といたしまして日本古来の国民酒である清酒需要を何としても振興していかなければならない。この場合に、よりよい品質の清酒を御提供申し上げるということのためにはどうしても新米が欲しい。やはり消費者の方々のイメージの中には、古米でつくった酒ということと新米でつくった酒ということではどうしてもイメージ的に大きな差があるはずでございます。以上のような理由で新米がどうしてもお願いいたしたい。  それから、価格を安くすることにつきまして、私ども消費者ニーズに対応いたしまして、各企業とも米の使用率を上げたいということは日ごろ念願をいたし、また年々その努力をいたしまして、継続的に米の使用率は高まっておるのでございます。しかし、現在の政府米の価格によっても急激に原料アルコール、現在使用しております原料アルコールを全部代替して一〇〇%米にするということになりますと、まあ約百十円以上のコストアップ原料費だけでなってまいり戻す。これを価格に転嫁するということになりますとなかなか売れない。実際に純米酒を出しておるんでございますが、価格関係でなかなかどんどん売れていくという状態ではございません。また、売れ行きを拡大するためにこれを原価吸収をいたしましてやってまいりますと、これは企業採算上、売れれば売れるほど現在の米の価格では企業採算が成り立たないという二律背反の問題があるわけでございますので、どうしても消費者ニーズに対応して品質の多様化を進めていくためには、米価がもっと安くなることが私どもの念願でございます。私ども原料問題につきましては、清酒業界が困るから何とかして新米を安くというだけ申し上げている後ろ向きの姿勢ではございません。先ほども申し上げましたように、前向きの姿勢で何としても日本古来の伝統国民酒を維持育成をして、そうして国民の皆様にこれを支持していただくという前向きの姿勢でやろうとするならば、いまの米の問題は何とかして解決していただかなければならない、こう考えている次第でございます。  また中小企業対策といたしましても、いわゆる三増酒で、薄めた画一的な清酒ではどうしても競争上、大と中小との競争では中小が負けるに決まっております。米一〇〇%というような形で個性を出すことによって地方地方に特色を、個性のある特色のある酒ができていると、これがまた地方の中小企業の前向きの企業努力につながることでございますので、私どもは前向きの需要開発努力のためにも米の問題はぜひお願いいたしたい、価格の問題でございます。  それから計画決定の件でございますが、これを早期にやっていただきたいというのは、過去二カ年間政府米をちょうだいいたしたわけでございますけれども、これが九月、十月に決まるということになりますと、この計画のおくれが、各企業自主流通米をすでに計画をいたしまして購入計画をつくっているわけでございます。地元のいわゆる系統農業関係の購入計画というのは、いまの農業生産関係計画とも非常に絡んでおりますので、自主流通米をことしは私はこれだけ買いますと言っておるんでございますが、この政府米の払い下げの数字が決まりますと、それの入れかえがございます。こういうことは円滑な自主流通米の自主流通を阻害することになりますので、農業関係の方からもいろいろと苦情がまいります。特に米産地の新潟県の実情からしますとこの現象が顕著でございますので、遅くともひとつ政府米の払い下げの計画決定は八月の末までにお願いして、農業関係の方と十分に円滑な了解のもとにこの政府米と自主流通米との調整ができるようにしていただきたいということがお願いの筋でございます。  次に、先ほど申し上げました第二の点の酒類の市場競争、過当競争の問題でございますが、先ほどからも前述者が申し上げましたように、酒類の市場は多数の中小企業から成ります競争的な構造の清酒と、それから大企業の寡占構造の、ビールウイスキー等が同一の市場で競争をいたしているわけでございます。その中でおのおのの企業が他の競争相手との関連でそれぞれの市場行動をとつております。弱小企業でございます清酒中小企業とあるいは卸、小売業界にどうしてもその競争のしわが寄せられまして、非効率、非能率な過当競争となってその現象があらわれております。  さらに、ここでまた円高とかあるいは関税の引き下げ等の影響で輸入酒類を迎え撃つ国産洋酒は、一層この競争の関係というものが強くあらわれてまいりまして、これらが流通段階にあらわれてまいりますと、その余波も清酒中小企業にやはり間接的にあらわれてまいります。  もう一つは、大企業の、いわゆる寡占産業の膨大な広告宣伝、これに対抗するすべもない私ども清酒中小企業は、どうしてもそのしわ寄せが価格競争という姿であらわれてまいりまして、先ほど申し上げました構造改善努力を一生懸命でやっておりますが、これは中長期的に時間がかかります。それが安定の域に達するまでに、現在の過当な市場競争の中で多くの犠牲者が出る可能性が今日あるのでございまして、この点に関しましては、私どもはもちろん現在の市場機構の中で、いわゆる競争という原理を否定をしたいということではございません。有効な競争、正常な競争、そして非有効的な、非能率的な競争の過当な部分を、ひとつ何とか行政の公的な介入のお力によって過当な部分を是正していただきたい、こういう考え方でございます。酒税保全の目的の理念からは、現行の基準がいろいろとございますが、しかしこれは酒税が保全できるということが限界でございまして、先ほど申し上げましたいろいろな観点から、幅広い酒類産業政策的な指導理念に基づきましてこの公的な介入、行政指導の基準というものが、いろいろと独禁政策との関連性はあると思います、その辺を再調整された上でひとつ制度的に今後設定していただきまして、構造改善計画がスムーズにいき、そして、長期安定的な清酒中小企業の姿に到達する家ではその辺のお力添えを願いたいということが私ども清酒中小企業の今日の願望でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  9. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) どうもありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見陳述を終わりました。  それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 福間知之

    ○福間知之君 参考人お三方のいまのお話で、ほぼ清酒業界の現況といいますか、が判明しているわけでございます。すでに御承知のとおり、今次の引き上げも一昨年に続いて酒税の改正ということで、わりあい早いピッチで問題がいま議論されるに至っているわけでありまして、特に清酒については桃井参考人が要約的に申されたように、消費が伸び悩んでおるということの理由に、生活洋風化だとか、あるいはまた中小企業が多いために広告宣伝力が非常にひ弱であるというふうなこと、あるいは参考人お三方それぞれ共通して原料米価格が問いということを御指摘になったわけであります。これはかねがね問題になってきたことでありまするし、早急にそれが改善されないままに、再びまたいま増税という問題を迎えるに至っていると私は思うわけであります。  そこで、今回の政府提案によりますと、確かにいまおっしゃったように増税清酒業界影響があるとは言われるものの、たとえばビールウイスキーあるいは果実酒ですか、ワインですか、これに比べれば低くなっておりますね。もともと桃井さんのところの中央会にいたしましても、あるいはまた大塚さんの酒税制度研究委員会にしましても、委員長である大塚さんの名前で、昨年の暮れ近くに増税についての一応反対という態度で見解が表明されております。しかし、ただいまのお話を聞いていますと、ある程度これはもうやむを得ぬだろうというふうなお気持ちに受け取れるんですが、しからばそれでやっていけるという御自信がおありなのかどうかですね。どうも先ほど来のお話を聞いていますと、基本的には反対なんだけどもうやむを得ないんだという気持ちが感じ取れるんでございますが、果たしてそれで今後、先ほど来指摘されたような問題を改善、克服しながら、他の酒類といわば競争的に一定の企業の維持を図り得るのかどうなのか。またその場合にはいわゆる価格の修正というもの、いわゆる値上げを考慮されようとしておるのかどうか、この点をお聞きをしたいわけであります。  それから、原料米の問題をめぐりまして、当委員会でも先日もかなり時間をかけて議論が行われれた中で、先ほどお話しのように、低温古米と新米との関係についてもやりとりがあったわけであります。私は新米を極力回すということがベターだと思いまするし、いやこれは酒だけじゃなくて、私たち全体が古々米を食べさせられたりしているわけでございまして、何かそこに割り切れない矛盾を感じているわけですから、より問題は根深いところにあるわけでございますが、しかしおけ売りをする、あるいはおけ買いをしてもらうという立場からいえば、やっぱり新米でつくって買ってもらえるということ、そういう弱味がどうしても業界にはあると思うんですね。そういう立場からいっても、新米が必要だということはよくわかるわけでありますけれども、しからば、その点をどの程度の数量、どの程度の価格で入手をするということにすればいいんだろうか。またそれが業界と当局で、かなりいままで基本的な問題のようですから、詰められた経過があると思うんですが、どうなのか。これは当委員会で後刻また当局とも、政府側とも話し合いをせにゃいかぬ問題ですが、業界としてはその点をどのようにやってこられたかということであります。  それから、三つ目は近代化の問題でございます。特に桃井さん、中央会立場で若干の補足をしていただきたいんですが、ここ数年、一次近代化計画ですか、その過程でどの程度のいわば企業合併などが行われたのか、あるいはその他構造改善ということが具体化されたんだろうか。今後のこの五十六年度京での近代化計画で、現在三千百社余りあるとおっしゃるこの企業数、特に九九・六%が中小企業だと、それはそのままではやっていけないだろうという前提で、どういう展望のもとに近代化計画を進められようとしているのかということであります。時間がありませんので、三つ要約してそれぞれお答えをいただければ幸いだと思います。
  11. 桃井直造

    参考人桃井直造君) 私からお答えを申し上げたいと思います。  現段階で大変なやはり厳しい環境にありますので、いまの増税というものが清酒業界にとってはやはり問題であるとうい点は十分意識をいたしておるわけでございます。しかし、同時にまた原料米の問題、コスト高の問題、こういうものを十分御調整をいただいて、ほかの酒熱と違った税負担という問題を考えていただいておるわけでございますので、ここら辺の問題を踏まえて、さらに将来十分またお考えいただくと、こういうことで、私どもはいまの業界の現状を踏まえて一歩でも実は前進をいたしまして、企業体質の強化とほかの酒類との競合に少しでもやはり努力をしていきたいと、こういうぐあいに考えておるわけでございます。  それから増税に伴いまして、当然これは増税部分だけはいまの業界がとても負担できませんので、末端の小売価格は改定さしていただきたいと、こういうぐあいに考えておるわけであります。  それから原料米の問題でございまするが、これは本年に入りましてはいろいろ御当局とまだ積極的にお話はいたしておりませんが、前年の低温古米をいただいたものが実は全部消化ができないと、こういうような実情を申し上げました。本年については十分そういう点をお考えいただいて、何とか新米を昨年より——昨年は六万トンいただいておりますから、昨年より量多くまあできればまた特別価格でいただきたい、こういうような希望を実は申し述べておりますが、すべてこれからのまた具体的なお願いの折衝になるのではないかと、ただ希望を述べて.いる段階でございます。  それから前回の近代化、この段階では約六百社ぐらい廃業を予定しておりましたが、大体三分の一ぐらいに実はとまってしまったというような問題、また企業合同その他でかなり企業合同が行われておりまするけれども、やはり企業合同が行われた観点を振り返ってみますというと、一の販売力のものが三社集まるというと実は三の販売力にならないと、こういうようないろいろな問題点がございまして、成功した事例、成功しない事例がかなりございます。そういうようなことで、特にまた前回の近代化は、御承知のように経済成長期でございますので、できるだけ少しでも原価を安くするというような点に重点を置きました。したがいまして、設備の充実強化、こういうような点に重点を置きましたが、その後石油ショックと不況、こういうような問題が訪れてまいりまして、残念ながらその前回の近代化というのが設備強化という点に重点を置きました結果、先ほど申しましたような、業界全体としては過剰設備をあちこちに見ておる、こういうような結論になっておりまするが、この過剰設備を少しでも解消するために、今度の第三次近代化におきましては構造改善構造改善の中で特に販売力の増進、こういうようなことで、流通業界と提携して諸施策を講じていく。そして、これは各県ごとにいろいろ流通業界と目下提携をしている事例が幾つかございます。しかし、まだまだこれは第一年目を経過して第二年目を迎えている段階でございので、全体としてはまだまだこれからです。こういうぐあいな状況になっておるということでございます。  以上でございます。
  12. 大塚和三郎

    参考人大塚和三郎君) 桃井さんと重複するのを避けてお答えをいたしたいと思いますが、先生の御質問のあります増税を是認しておるのかどうかということは非常に微妙でございますが、桃井さんのおっしゃったように、環境の厳しさということはすでに御承知願ったわけでございまして、当然私たち増税に対しましては反対の立場であることには間違いでございません。ただ、先ほど福岡先生のおっしゃったように、委員会でいろいろ反対があって、その後どうだというふうな感じでございます。  たしか十一月であったと思いますが、増税計画が新聞に出たわけでございまして、そのときは三〇%と出京した。それから後に二十数%と変わったようで、その理由はわかりませんが、委員会におきましても大蔵御当局の担当官にもいろいろお話を伺いまして、今日のわが国の国家財政の非常なピンチといいますか、歳入不足といいますか、そういうふうな状態もるる承りました。その結果、先ほど出ておりますように、清酒につきましては特別の税率配慮がなされて原案ができてきたというような関係でございますので、さらにこれに真っ向反対をするかということになると非常にむずかしい。何だか心情的にもこちらが弱くならざるを得ない。大体清酒業者というものはそういう体質でございますので、ひとつ御理解を願いたいと思います。  それから低温古米、新米の問題をどのくらいにしよう、私もこれは非常に悩んでおりまして、私たち灘の方でも特に大量に消費いたしますので、専門の委員会をつくりまして、国税御当局は当然でございますが、農林御当局にも格別の御配慮を願ったり折衝をいたしております。しかしどうも一般国民の皆様が召し上がる米、新米よりもさらに安くということをどこまで貫けるかということについては非常に疑問を持っております。したがいまして、福間先生の、おまえたちはどの程度まですれば気に入るんだという御質問には、実は数字でお答えすることができないのをお許し願いたいと思いますが、とにかく現状は刻々上がってまいりますのに対しまして、それを商品価格に転嫁できない環境に到達しているということで御返事にかえたいと思うわけでございます。  それから近代化のことでございますが、桃井さん全幅的におっしゃいました。確かに近代化というものは、もう少し合併でもして企業数を集約していくということが当然であろうかと思うのでございますけれども、非常にこの辺がくつの上からかくような感じがあるというのは、やはり御承知のように中小企業庁でやっておられますこの近代化、何も清酒だけじゃなくてあらゆるいろんな産業に関連いたしまして、一つの基本路線というのがございまして、それにのっとって計画をして認可を受ければ近代化指定業種になるというような形で、そういった大きな枠の中でそれを拾っていくといいますか、あるいはそういう中で個々のたとえば清酒業界、特に清酒業界は固有な事情がございます。それにぴたりとこないところも多々出てくるわけでございますが、この辺もそう清酒だけの気まま勝手なこともできないということでございまして、ただおけ売りなどの点につきまして、われわれの地方は買い側でございまして、先ほど申しました大きな七つの会社あたりは大量に買うわけでございますが、これは三十年代から続いておりますけれども、十年前あたりを見ますともう三百社ぐらいから買っておったのが現在は百社ぐらいに、三分の一ぐらいに集約されておる。これは何も売り手側を切っていったわけじゃなくて、買い手側の方もいろいろ協力をいたしまして、売り手側の方の規模の拡大とか集約とかいうふうなものに努力をしてきたわけでございまして、その最たるものは買い手側も出資をいたしまして新しい会社をつくる、そこに数社の売り手側が参加をいたしまして新しい能率的な工場にいたしまして、これなどはコストダウンに成功いたしておる事例と承っております。そういうようなことで努力をいたしておるわけでございます。  今回の安定基金に関する特別措置法の改正、いわゆるずばり申しまして転廃業者に対する給付制度というようなもの、これをもっておまえたちやめろとか、あなたやめろとかいうふうなことを考えておるのじゃございません。もっと民主的にこれを運営されていくということは間違いないことでございますけれども、万が一そういうふうなことでおけ売り企業あたりの集約化が行われるときに、ある意味において業界を去る方も出てくる場合に、こういった制度で受けとめていただければまことにありがたいことだと大変評価しておるわけでございます。たしか御質問はそういうようなことであったと思いますが……。
  13. 高橋篤

    参考人(高橋篤君) 私は、増税の問題につきましては私どもの所属と申しますか、業界内の位置から申し上げますと、新潟県あるいは東北六県、こういう東日本関係の各県の状況から申し上げましても、地方中小生産者は二級酒の比率が非常に高い、今回の増税につきまして二級酒を増税しないで据え置いていただいたということにつきましては、私ども清酒中小業者に対する特段の御配慮があったということから、全般をながめますれば基本的には反対と申し上げましたが、その点で私どもは今回の増税につきましては最後まで反対をするという気持ちはございません。  それから米の問題でございますが、新米の量の問題は先ほど桃井会長からも申し上げましたように、昨年以上にということができれば一番好ましいと、昨年は受配率一〇〇%いかなかったというのは、先ほど申し上げましたように、まず低温でも古米であったということと、計画決定の時期のおくれているのが非常に影響しておる。特に新潟県等で申し上げますと、米の出盛りの真っ最中、いわゆる農協関係ではどんどん出てくる米をいかにして倉庫に入れ、また出していくかという真っ最中でございます。しょっちゅう口説かれるのでございますが、そんなときに一たんしまった米を要らないと、政府米をもらうことになったから要らない、その数量が後から決まってきて、そしていわゆる飯米に向かない酒米用の、これは好適米ではございません、新潟県でいえば品種はフジミノリと、これは飯米に向かないいわゆる酒造用に使われるところの一般雑米でございますが、そういうもののやり場がないじゃないか、春先の話ではもっと自主流通米を使うと、これは政府米がもらえるかもらえないかわからないから、私どもはそういうふうに一応経済連あたりとの予約と申しますか予定を申し上げるのでございますが、これが狂ってくるというようなことで、昨年はせっかくもらったところの、これは政府米ではございませんで、いわゆるマル超米の割り当てが一部ございましたが、これさえも地元農協の関係で、これは酒を買っていただく関係というのは、新潟県百十五社はいわゆる農村地帯に点在しているわけでございまして、周りを見ればみんな農家はお得意様でございますので、それの要請を受けるとこの計画変更を後から入れ直すというのは大変つらい立場だと、また従業員もその農家から来ているわけでございまして、そういう持ちつ持たれつの米の関係と酒の関係は、私どもがいわゆる伝統的な国民酒と申し上げておる、特に農村地帯では非常につながりが強いわけでございます。そういう点で政府米が後から決まってきて、自主流通米はやめた、政府米は安いからもらうと言い切れないその心情をひとつ御勘考いただきまして、計画の決定を早くお願いをいたしたい。せっかくもらったものを結局もらえないような状態が出てくるわけでございまして、これは事務上の手続というより、意思決定がどういうふうに行われるかわかりません、それはわかりませんが、よろしくお願いいたしたいという希望でございます。  もう一つ価格の点でございますが、価格は私は安ければ安いほど米一〇〇%に近づき得るということでございますが、いろいろな関係で、飯米との関係政府米の売却価格より安くということは、また財政上のいろいろな御措置もあることかと思いますので、できるだけ安くというお願いでございまして、幾ら幾らでなければならないという数字は私どもも申し上げかねるわけでございます。  それから近代化の問題でございますが、この中で私重複しないように申し上げたいのは、今度の安定法の関係で転廃給付金の問題でございます。私どももいわゆる肩たたき、積極的にやめてもらうというようなことを酒造組合では毛頭考えもしないし、またそんなことはできるわけはございません。ただ申し上げたいのは、いまの三千余の業者の中で迷っている人がございます。先ほど申し上げましたように、いわゆる私ども経営の根底は自助努力に始まるわけでございますが、やめようか続けた方がいいのか迷っている方がございます。私ども酒造組合でそういう現実に触れているわけでございますが、しかしこれは同業者で相談ができません。あるいは隣の競争相手の同業者と相談ができないわけでございます。意思決定する前にそれがうわさに飛んでかえってつぶされてしまうということがあります。相談相手がいないのでございます。この相談相手を本当に親切な、構造改善事業で親身になって、しかも秘密を守ってコンサルティングをしてくださるコンサルティング事業が、今度の安定法改正の中にそういうものも事業ができるということで含まれているということは、私はそういうことで自分がみずから意思決定をして、跡継ぎもうまくいかないし、それからいわゆる立地条件もだんだん水の関係とか、あるいは農村過疎あるいは都市との関係いろいろございまして迷っている方の誘導、インセンティブになるというような形では、ただ倒産までがんばっていくよりは、意思決定のための、どちらがいいかという意思決定のための誘導剤としては、この給付金制度ができる安定法というのは大変私はありがたいことではないかというふうに、私ども中小企業の新潟県あたりのいろいろな懇談の中でそういう話が出ていることを申し上げる次第でございます。
  14. 穐山篤

    ○穐山篤君 どうもきょうは御苦労様です。  最初に、大塚さんと高橋さんにお伺いするんですが、低温古米と新米とどちらがいいかと言えば、それは新米がいいことは決定的だと思うんです。しかし、現実には低温古米原料になっているわけですが、これが欠陥もあるし評判も悪い。ですから、当然欠陥の解消に乗り出されていることは十分わかるわけです。  さて、これは現実に欠陥を除去して実用化をするという事業は大変だと思いますね。仮にこれが実用化ができたという場合に、ある特定の地域だけでそれを御披露したり活用するんじゃなくて、日本全体の酒造業界に対してその技術を十分に広げていくということにならざるを得ないと思いますけれども、いまその点についての御計画あるいは御研究が進んでいるかどうかということについてお伺いします。  それから、過去の統計を見ておりますと、先ほどもお話があったわけですが、隔年ごとに数量がダウンをし、また一時回復をしながら、総体的にはスローペースで下がりぎみになっているわけですね。まあ今回それぞれ税率は違いますけれども清酒に対します課税が正月一日から実施をされるということになりますと、消費あるいは売り上げに重大な影響を持つものと思います。原料が高いために結果的にはこういうことになるわけですけれども、このまま推移をしていきますと、たとえば灘というふうな有名なところは残りますけれども日本全体、各地各所で酒づくりが行われるかどうかというのは非常に疑問に思ってきたわけです。業界に、これだけの値上げが行われるということを考えてみて、果たして酒造業というものが成り立っていくかどうか、日本国内において成り立っていくかどうかということを非常に憂えるわけですが、そのことについてまあ過去の実績、統計なぞ踏まえて将来展望、どういうふうにお考えになっているのかというのを二つ目にお伺いします。  それから、先ほど桃井さんの方からも流通の各段階と十分に協力し合って販売体制、販売強化に努力したいというお話があります。たまたま私、きょうの日本経済新聞を持ってきているわけですが、ここにキリンビールのホップの宣伝があるわけです。これは通称、まあ私の計算でいきますと一千万円であります、広告代一千万円。ですから、全国紙で五大紙あるいは地方紙を使いますと約七千万円から八千万円の金が、この大手企業の場合には宣伝費として出されるわけです。これはホップだけを宣伝をしているわけですが、実はキリンビール飲んでくれということなんですね。そういう意味ではその宣伝力というのは非常に大きいわけです。それで、私も気をつけて新聞あるいはテレビのコマーシャル見ておりますけれども、酒については余り見当たらないんですね。したがってまあ御苦労されていると思うわけですが、この宣伝あるいはまあ啓蒙と言っちゃ語弊がありますけれども、宣伝力、広報力、広告、こういうものについて先ほど流通段階と相談をしたいと言うんですけれども、たとえば酒のもとは米ですから、たとえば農協というものもあるだろうし、あるいは一歩突っ込んで農林省ということも理屈の上からはあり得ると思うのですね。そういう点についてアイデアといいますか、こうしてほしい、こうありたいというお話があればぜひお伺いをしておきたいと思います。  それから、少しいやらしい質問になりますけれども、やっぱり日本文化としての酒がある。新しい飲み物としてビールがある。それからウイスキー、ブランデー、大要三つぐらいの種類があるわけですね。売れ行きからいいますとビールがいま圧倒的で、伸び率からいうとその次にウイスキーという調子になっているわけですね。それだけ皆さんのシェアは縮まっているわけです。相当ビールウイスキーについて敵がい心は持っておらぬでしょうけれども、商売がたきとして内心じくじたるものを持っているだろうと思うのですね。この際共存共栄をしていくためにこうしたい、お互いにこの種アルコール屋さんの立場から考えてみて共存共栄するためにこういう施策があってしかるべきだというのも、しばしば私は業界の人あるいは小売販売方々からお伺いをしているわけです。ぜひきょう責任者の皆さんから、それらのことについて御注文は当然あると思いますので、お伺いしたいと思います。  以上です。
  15. 桃井直造

    参考人桃井直造君) 私から穐山先生の御質疑に対してお答えを申し上げますが、米の問題は国税庁の醸造試験所及び各メーカーの、特に大手メーカーの技術研究員によってかなり研究はされてまいっておりまするが、まだ古米臭の問題、この問題については本質的な解決を実は見ておりません。やはり古米というのは、これは古米を使いますというと殺菌貯蔵の段階で古米臭ができて、この除去は非常に困難である。それから古米使用の酒は新しい酒の香りがない、色が濃い、貯蔵によって香りも味もどんどん落ちていく、こういうようなことがわかっておるだけで、それをいかにどうするかという問題については、これ材料の本質的な問題でございまして、なかなか現段階では中小企業までも一般に使えるような技術の革新といいますか、そういう手段を実は発見していない、こういうのが現状でございます。  それから、清酒消費がむしろ下がりぎみである、この増税がさらに足を引っ張るであろう、これはこの増税がやはり無影響だということは全然ありません。やはりそれだけ高くなっておりまするから、消費には大きな抑制の問題が出てくる。したがって増税には賛成いたしがたい、反対でございますというような基本的なやはり立場は考えておりまするが、先ほど申し上げましたように、税率調整を積極的にやっていただいておる、今後もこれをまたお願いをいたしたい、こういう願望を常に持っておるわけであります。また、増税負担がふえることによって業者のこれからの存否はどうなるであろうかと。これは厳しい環境に置かれるだけに、業者それぞれがそれぞれの地域で、やはり自分マーケットをしっかり握って、がんばっていかなければならない、私はそう考えております。  それから流通との提携の問題、宣伝力の問題、実はある酒は、テレビのスイッチを入れればある酒の宣伝がぱっと出てくる。これはもうこんなによく宣伝ができるなあというほど宣伝がテレビのスイッチをひねるたんびに出てくる。私の方はせいぜいナショナルブランドが、ブランド名は忘れられちゃ困るから、ブランド名だけ一生懸命言うだけで、日本酒の宣伝はやらないわけです。ブランドの宣伝をやってしまうわけです。そういうところが非常に実は弱い。しかしまた、他面私どもは三千の業者がおりますので、各村、町あるいは市における父祖伝来のマーケット、こういうものについてはやはり何とかしてそれを守り通していこう、こういう努力をいたしております。したがってそれぞれの地域で、なるほどマスコミ、テレビの広告の段階では劣っておりまするが、何とかやっぱり積極的な商法を展開して自分の町のマーケット自分の村のマーケットを少しでも拡大していって、しっかり自分製造数量に見合った販売数量を確保するような何か中央と共同歩調のパブリシティー、PR、こういうものをひとつ積極的に展開していきたい、こういうぐあいに考えておるわけであります。  この間も、先般閣議で米の消費拡大が非常に重要な問題になった。したがって、酒もこれは消費拡大をあわせてやることによって米の消費拡大に持っていく、したがって十一月の閣議でございましたか、政府の公の行事、会議、こういう場合に酒を使う場合には清酒を使う、こういうようなお話になりました。われわれもかねがねこれはお願いをしてきた願望でございますので、ぜひこういう問題とか県庁の問題、市町村の問題、農協の会議、こういうような問題から一つ一つやはりこういうようなことで清酒消費の拡大をひとつ図っていきたい、こういうことで、私どもが独自に開発いたしました清酒グラスというのを各県組合を通じまして、このグラスで日本酒を飲んでいただきたい、こういうことで県庁、市町村、農協あるいは商工会議所あるいは商工会、こういうようなところへどんどん寄贈いたしまして、少しでも足でかせいで、個々に面接してお願いして、テレビには乗り得ないけれども、何とか一人一人の消費者を清酒党に確保していく、獲得していく、特に若い人を獲得していく、こういうぐあいに現在努力しております。昨年、酒造組合中央会にPRセンターというのができましたのも実はそのゆえんでございます。  しかし、そうは言いましたけれども、やはりマスコミのテレビを何か使える方法、新聞を使える方法、こういう問題もやはり考えていかなくちゃいけない。実は農林省の方にも、これは米の消費拡大になるんだから、清酒広告宣伝にやはり少し広告宣伝の助成がいただけなかろうか、こういうようなこともサウンドしたこともございます。まだまだそれは熟しておりません。今回清酒業安定法が通りますというと、信用保証事業の基金のうちの一億の一部がその広告宣伝に使える、こういうような内容と承っております。したがいまして、それが通りますというと、その部分だけでもやはり広告宣伝に使えるということで、業界としては期待をいたしておるわけであります。  それから、酒類間のマーケットの競争でビールウイスキー、こういうような問題の共存共栄の問題、これは自由主義の現代の中でいろいろまた非常にむずかしい問題を抱えていることだと考えまするが、少なくとも私どもがよく話に出します業者団体間の話の中では、とにかくあるキャバレーができた、あるゴルフ場ができた、そうなりますとめちゃくちゃに安いビールが入ってくる、めちゃくちゃに安いウイスキーが入ってくる、こういうようなことがあったんではなかなかやはり酒類業間のフェアな競争ができない。したがって、やはりフェアな競争をするためには公正競争秩序を守る、公正競争の取引秩序を守る、こういうようなことができないかということで、流通業界を込めていろいろ協議をいたしております。  先ほども高橋参考人からお話がありましたように、円高、関税の引き下げということで外国輸入の洋酒が安くなりますというと、それに関連いたしまして日本の国内洋酒がまた安く乱売に出てくる。そうなりますとどうしてもやはり日本酒もそれに引きずられてまいる。たださえ日本酒の弱さがまたさらに引きずられる、こういうような問題になりますので、何かしらここら辺あたりでこの公正競争秩序の維持ができますように行政的な研究問題、立法的な研究問題、そういうものはないんだろうか、こういうようなことで業団内では寄り寄り研究をいたしておる、こういう現状でございます。
  16. 大塚和三郎

    参考人大塚和三郎君) まず古米の使用、利用の研究の問題でございますが、私どもの灘では技術者が百名以上も各社合計おるわけでございまして、技術研究会という任意団体でございますが、六十年の歴史を持っております。この団体であらゆる清酒に関する研究をいたしておりますが、この技術者の団体は大蔵省の滝野川の醸造試験所とも深いかかわりがございます。また、大阪大学工学部等ほかの大学ともかかわり合いがございまして、相当高度な研究をいたしております。古米の問題につきましても、今日に始まったことではございません。御承知のように十年余り前でございますが、蓬莱米——台湾米でございますとか、あるいは中共から参りました紹興米というようなものも一部使いましたときにもこれらの研究、またそのときでございましたが、カリフォルニア米も一部参りまして、これらは少しどういうわけか変な香りがするわけでございますが、こういつた問題の研究もいたしました。こういったところから、古米も当然研究の対象になっておるわけでございますけれども、まだ完成といいますか、完全な結論を得るに至っていないわけでございますが、先生御指摘のように、各一部にその技術開発が何といいますか、独占されてしまうというような御心配かと思いましたが、私の見るところ——私、技術者ではございませんのでその団体に入っておりませんが、見るところ、必ず過去の実績におきましてもオープンでございまして、決してたとえば灘なら灘だけでほかに技術をオープンにしないというようなことにはならないと思っておる次第でございます。  それから、蔵出しの伸び悩みによって各地の昔からある清酒業者、これが維持できるのかという御質問でございますが、二つの考え方があろうかと思うんでございます。先ほど冒頭陳述で述べました常識的には灘、これはもう全国じゅう網羅してほかの酒屋全部食いつぶすんじゃないかというふうな、これはちょっと極端な言い方でございますが、そういう常識論もあろうかと思いますが、なかなかどういたしまして、東北を初めといたしまして北海道から九州まで各地に歴史を持った、しかも規模も相当な大きさの規模で有力な、また優秀な製品をお出しになり、また安定した消費者をつかんでおられる酒屋さんがおられまして、なおその中には今日全国的な伸び悩みをしり目に伸びていらっしゃる業者もある。こういう形で各地に昔からの伝統で、いろんな企業努力で、紆余曲折はいたしておりますけれども、各地に各地の酒が残るということは私は間違いないと思いますが、ただ問題は、その場合に各地で残れない酒屋さんが出るということも必ずあり得るというわけでございまして、ですからそういうふうな受けとめ方でこの問題は対処していかなければならぬ、こういうふうに思います。  それから、需要開発の宣伝方法でございますが、マスコミ等につきましては桃井さんがおっしゃいました。先ほど農協の関係のお話が出ましたので、まだ具体的にどうするこうするではございませんが、今日の米穀需給事情の関係から、食糧庁におかせられましても、全農との何で米の消費拡大に一部清酒需要拡大の面を織り込んでおられまして、われわれ兵庫県におきましても農協、経済連と話し合っておるわけでございますが、まだ具体的にはいたしておりませんが、マスコミなどを使って、新聞等を使って、農協と清酒組合との間の協力した清酒消費の拡大というようなPRをできないものかと言っております。今日の時点ではとにかく農協の会合には必ず酒を飲んでいただくと、このくらいのことでございますが、これをもっと発展させていくべきであろうかというふうな動きは具体的にございます。  それから次に、ビールウイスキー清酒の共同の問題でございます。一応表面には、われわれ灘の場合には卸特約店を経由して市場へ流通させておりまして、いわゆる卸売型ということになるわけでございますが、したがいまして卸屋さんで必ずビール会社やウィスキー会社の人と会うわけです。商品が競合しておりますが、人間的には会って話し合っておるわけでございまして、これはもろ刃の剣でございまして、ともに携えていけるときもあり、あるいはしてやられる場合もあるわけでございますが、こういった点は大変むずかしい問題で、明確なお答えができないような気がいたしております。  以上でございます。
  17. 高橋篤

    参考人(高橋篤君) 第一の古米の使用技術研究が進んでいるかどうかという点につきましては、前二者がお答え申し上げましたので、それができたとして実用化ができる場合どうかと、こういうことでございますが、特に収益性の低い中小企業事業を営んでいる場合は、一日一日のつくったものがいいもので、何とかして売れるという望みを兼ねてやっているわけでございまして、そういう技術が完成をしたと、これを取り入れて実用化するということは、試験研究とそれから実用化という間には、まだまだ中小企業が全般的にこれを利用して間違いなくできるということはなかなか困難であると考えております。さなきだに、そうでなくとも中小企業の酒は二級酒だ、二級酒屋だと言われ、そしてイメージ的にも悪い酒だと、悪い酒だと言うと語弊がございますが、ほとんど二級酒で出している、こう言われるものでございます。ところが、最近のいわゆる地酒の再評価ということで、みんながある程度明るい希望を持って努力をしようということでございますので、ここにイメージ的にも、また使えると言っても古米が使われたということは、なかなかこれ取り入れることは困難でございます。お答えにならないかもしれませんが、そういう考えを持っております。  それから第二番目の、こういうような増税が行われ売り上げに影響すると、地方の中小零細企業がどうも存在し切れないんじゃないか。これにつきましては、私はもういわゆる自助努力が根底であるという考え方からすると、必ずしも税だけが、税の増減だけが経常と絡むというふうには考え切れないと思います。むしろその税が確保されると、いま価格の中には、私どもいわゆるコスト計算からくるところの生産者の価格の中には、酒税が確かに入っております。これが競争で、税の確保までできないような競争状態になっているものが何とか是正されませんと、なかなか、税の分までも負担して倒産をするような状況が起きるということになりますと、地方の中小零細は回復できないという考え、したがいまして今度の増税だけではございませんで、いわゆる税を、担税物資と申しますか財政物資と申しますか、そういう特殊な商品でございますので、これの酒税保全というのは、免許も与え、そしていろいろと酒団法その他で制限行為もあるじゃないかということでございますけれども、現実の市場の競争はそれを超えて行き過ぎているという点を、何とか過当な部分、私どもはもうその競争を全くやめるようなことをしていただきたいということを申し上げるわけではございません。いわゆる自助努力根底で、それに立脚して、やはりみずから企業努力をしないものがやっていくのが、これは税が増税であろうと、あるいは税を含んでいようといなかろうと、現実にたくさんの例はほかの企業、ほかの業界にもあるわけでございますので、その点では私どもは、いわゆる市場の競争の税を含んでいる、特殊な商品のこの酒税保全をも含んだ市場の過当競争が何とか是正できるというのが地方零細の一番大きな願望でございます。  そういうことで将来展望につきましては、私どもはこの税が低い、しかも今度増税にならない二級酒が、じゃ増税にならないから伸びるのかと、こういうふうに言われますとはなはだ疑問があるのでございまして、これはやはりその酒の品質、たとえ二級酒であってもいいもの、評価されるもの、あるいはさらに二級酒がいいから一級酒を買ってやろうというような、やはり企業努力の結果商品の売れる企業になっていくという企業は残るでございましょうし、いろいろ他力本願で企業努力が乏しいものは、やはりこの競争の激しき中では残り切れない。ただ、私ども自分たちだけの力でいかに企業努力しても解決できない条件を申し上げたのは、さっきの米の問題と、それから市場の過当競争の問題をそういう意味で申し上げたわけでございます。  それから、宣伝広告の問題でございますが、新潟県では二、三年前から県の経済連と共同いたしまして、ささやかではございますが、酒造組合と経済連とで、これは新潟県の酒の振興と米の宣伝でございますけれども、共同広告を週刊誌にやっております。お互いに持ちつ持たれつであるから、新潟県の米の評価のようにひとつ新潟清酒の評価も高めようということで、そのかわりに新潟の米を安定的に使っていこうということで数年前からやっているわけでございますが、先生の御指摘のとおり、これが全国的に農協とか農林省で、しかもいわゆる米の消費需要拡大のために清酒需要拡大がなされるという形での共同行動というものが予算的にも解決されてやれるということは、私は非常に重要なことではないかと願望いたしております。戦後、米が足らないのでパンを食えと、そして余り米食うと頭が悪くなると、どうも最近は清酒も、いや体に悪いとか、いや血圧が高くなるとか、糖尿病に悪いとかという、どこから出てきたのかわかりませんが、清酒だけがどうも酒類の中では健康の敵のごとく言われているのは、まさに米の需要低下と同じような感じを私ども持っておりまして、そういう清酒と健康上のいわゆる誤った理解というようなものも、ひとつ米と関連いたしまして農協あるいは農林省等の米の需要拡大の予算の中に——私どもも手ぶらでお願いするということではございませんで、われわれの業界の中でもこの需要開発のためにそういう予算を共同してもっと効果的に拡大されれば大変いいんじゃないかと、こういうふうに先生のお話を伺って考えておった次第でございます。  それから最後の、共存共栄のためにどんな施策がほしいかということでございますが、これは大変私どもとしてはいろいろな願望がございます。もちろん私どもも、ビールウイスキーすべてその企業が敵であって、そしてもう憎くてしようがないというわけではございません。これは何といっても消費者の選択でお上がりになる酒類でございますので、それが伸びることをただ後ろ向きに見て嫉視しているわけではございませんが、私ども中小企業立場でいきますと、余りにも力の相違があり過ぎる、余りにも巨大であり過ぎると、そういうところが、かつては私ども清酒の中だけの競争という認識をしておったわけでございますが、先ほどからもいろいろ三人で申し上げているわけでございますが、今日の競争というのはやっぱり酒類全体の種類間の競争でございますので、こういうものに対して共存共栄をして公正な競争ということになると一体どういう手段方法があるのかということにつきましては、私どももなかなかむずかしいのでございますが、具体的にはたとえば公正競争規約を清酒は結んでおる。まだ結ばれてない業界がある。同じ競争業界の中でそういう問題が指摘できるわけでございます。広告宣伝の量が大きいから、それをわれわれができないから制限をしろというようなことを私どもは端的に申し上げる何はございませんが、しかし、最近の新しい社会政策、いわゆる経済的な福祉ではございません、公共福祉ではございませんで、いわゆる経済的にはかられない公共福祉というような問題も、社会的には酒類に関して、酒類の特性に関して指摘されつつあるようでございます。アルコール中毒とかそういう問題でございません。これらだって広告の表現の仕方、あるいは量によって必ずしも関係がないと私どもは考えておらないわけで、ただ、どの程度どのような表現が必要であるかということにつきましては、専門家でもございませんし、それから特に勉強いたしておりませんでわかりませんが、何となく私どもは、中小企業立場を余り強調しては何でございますが、何となく素朴な考えといたしまして、われわれの考えからすればどっか行き過ぎている点もあるんじゃないか。その辺を全体の酒類の中で調整する、いわゆる幅広い産業政策と申し上げましたのは、そういう社会的な要請も組み入れてやるような一つの目的理念が立てられ、それに対しての行政が動けるようなひとつ基準が将来考えられていくべきではないかということを、おぼろげながら感じておる次第でございます。
  18. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 参考人の皆さん、きょうは本当に御苦労様でございました。  桃井さんにまずお尋ねしたいわけですけれども表示問題でありますが、清酒業界は非常に業界が数が多いにもかかわらず真っ先に公正競争規約を実施したと。そういう点で私たちも非常に清瀬業界の誠意ある、また消費者本位の姿勢は高く評価をしておるわけでありますが、ところがウイスキー業界などは全くやっていないわけで、お話によりますと、公正取引委員会清酒業界にその実施を迫ったときに、必ずほかの業界にもちゃんとやらせますと、こういうように公取は言ったんだと、政府は約束違反じゃないかということを、この前灘、伏見の業界の皆さんとの会合にそういう意見が出たわけでありますが、実際に公取はそう言っておったのかどうか。  それからウイスキー業界等が言うのは、品質劣化が蒸留酒はないから表示はする必要はないんだと、それから輸入が多いものだから、外国のウイスキーはそういうのはないから、そういうことが必要ないんだと、こういう意見が強いようでありますが、私はやはりウイスキーにしても蒸留酒にしても、びん詰めをしてしまえばあとは劣化することは間違いないわけでありまして、やはり公平な競争という点からは同じようにすべきではないかと思うんでありますが、その点についての、いわゆる洋酒業界等の意見についての御意見、それからやはり同じ条件で競争していくという点が必要であると思いますし、そういう点からどういう表示がいい、どういう表示を望まれるのか、この点についてお尋ねをいたします。  もう一点はおけ買いの実態でありますが、これは私たちもやはりいろいろ今日のいきさつから考えておけ買い、おけ売りというものはやはりある程度定着をし、このもの自体はもう認めざるを得ないんではないかと、こういうような感じを持っておりますが、ただ価格が、どうしてもおけを買う方は大きな会社であり、おけを売る方は小さい会社がたくさんおるわけで、その間に非常に値段が不当に決定されていくという心配がありはしないかと思うわけでありますが、現在のおけ買いあるいはおけ売り価格というものは大体適正であると考えているのかどうか、この点できるだけ簡単で結構ですから、まずお尋ねします。
  19. 桃井直造

    参考人桃井直造君) 塩出先生の御質疑にお答えをいたしたいと思います。  まず表示問題でございまするが、これは四十九年、私ども会長と一緒に公取に呼ばれまして、いろいろお話を受けたわけでございますが、やはり私どもといたしましては、いろいろな表示の問題が常に同じマーケットにおけるところの他の酒類との競争の条件になる。こういうような観点から、ほかの酒類はどういうことになりますかと、こういうお話を申し上げましたら、順次やはりこの表示問題は解決していくんだというような御趣旨を承った記憶はございます。しかし、いまお話にありましたように、ウイスキーは蒸留酒だから品質が劣化がない。したがって表示については例外だと、あるいは外国製品だからこれは表示について例外だと、こういうようなことになりますというと、同じマーケットで公正な条件、平等の条件でやはり商売ができなくなる。たまたま内地産の清酒であるから手かせ足かせ、いろいろな条件表示をしなくちゃいかぬと、こういうようなことになりますというと、やはりそこでいろいろなハンディがつく。たださえ伸び悩みの業界が、やはりこの問題も解決をしなければ、今後の問題としてはわが業界の大きな問題になるんじゃないかと、こういうぐあいに認識をいたしておるわけであります。  それからおけ買いの実態の問題でございます。おけ買いにつきましては、先生のおっしゃるとおり、いろいろ実は業界内部で問題がないといったらうそでございます。問題はございます。特におけ売り側が多くておけ買い側が少ない。したがっておけ売りが競争になる、こういう問題は一つ基本的にあります。しかし、競争にはなりますけれども、やはりおけ取引は現在は酒づくりをする前に注文契約をする、どういう条件でどういう酒をどのぐらいつくる、こういうような細かい契約をあらかじめいたしまして、おけ買い側の品質に合ったものを買う。しかし、現実にはやはりおけ取引というのは、おけ買い側とおけ売り側の人と人との関係で長く続いております。きのうやきょう始まったおけ取引というのはほとんどございません。もう十年も前からおけで売ったり買ったりしている。こういうような意味においては、かなり現実には継続性が非常にあるわけであります。しかしおけ買い価格になりますというと、おけ買い側の立場から申しますというと、自分のところでつくった酒の原価、これが一つの目安になります。その目安をはるかに超えて高く買うというようなことはなかなかこれはできない。こういうようなところでおけ売り側が中小でございますので、そこでやはりペイをする方とペイをされない方が出てまいります。特に、先ほど申し上げましたような金利負担の条件なんかが、この場合に大きく作用する。原価は大体カバーしてもらったんだけれども金利まで実はカバーがしてもらえなかったのだと、こんなような事例があるやに聞いております。しかしこれもお互いに、おけ売りがなくなりますというとおけ買い業者販売数量が著しく減少して困ってしまう問題でございますので、お互いに持ちつ持たれつの問題でございます。何とか業界といたしましては、お互いの信頼関係をもっと高めてこのおけ取引が将来うまくいくように、特にその中ではおけ買い側の傘下の集約製造というようなものが、集約して製造すればそれだけやはり原価が安くなる、こういう問題も考えられますので、そういうような問題も踏まえて今後一歩ずつでもよくなるように努力をしていきたいと、そう考えておるわけであります。  以上でございます。
  20. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大塚さん、高橋さんもおけ買いの問題について、大体問題はないことはないと思うんですが、大体大筋、どちらも立場違うわけですから、いまのお話ではまあまあうまくいっているんじゃないかと、こういう認識でございますので、特にお尋ねしませんが、どうしてもこのことは言っておきたいということございましたらおっしゃっていただきたいと思うんですが。  それで、大塚参考人にお尋ねしたいのは、やっぱり酒の消費拡大で、きのうも西ドイツの大統領が来て、宮中の宴がありまして初めて日本酒が出たと、先般の閣議決定が結果が出たんじゃないかと思うんでありますが、しかし考えてみればまことに奇異な話で、なぜ初めて出たのかと。まあソ連のウォッカとかあるいはイギリスの洋酒とか日本にはどんどん来ているし、まあ中国の酒とか朝鮮ニンジンとか、そういうように日本にもいろいろな国の酒が出ているわけでありまして、やっぱり私どももっと、灘というのは日本の灘ではなしに世界の灘というか、どんどんこれは世界にPRをして世界の灘として、世界の人が日本へ来て帰るときに非常に珍しいみやげ物になるようになるとか、こういうような点、灘あたりはやはり日本の一番の有名な主産地ですから、もっと努力すれば有望なんじゃないかなという感じがするんですけれども、こういう点については現状と今後の将来性についてどう考えていらっしゃるか、これをお尋ねしたいと思うんであります。  それと、ついでに高橋参考人にお尋ねしたいのは、過当競争の問題につきましては先ほど御意見もありましたのでもう重複してお尋ねいたしませんが、原料米の確保の問題について、いま減反がすでに行われておるわけで、私のふるさとの広島等ではいわゆる好適米ですね、酒米は減反しないでほしいと、こういうように要望したけれども、そういう差別できないということで、なかなかそういう好適米の確保に心配をしておったわけでありますが、そういう点は心配があるかないか、何とかいけそうであるのか、そのあたり簡単で結構ですから。  それともう一つは地酒ブームという、私はまあ非常に地酒ブームということは、いまの日本の方向としてもこれはどんどん伸ばしていかなければいけないんじゃないか。全国どこへ行っても同じ酒もいいですけれども、その土地にしかない本当にその酒という、こういう点が非常に今後一方においては必要ではないかと思うんでありますが、そういう地酒ブームの将来性についてはどうなのか。これは非常に有望であると、いけると、こういう感じなのか。この二点について、非常に時間もおくれておりますので、簡単な答弁で結構ですからお願いしたいと思います。
  21. 大塚和三郎

    参考人大塚和三郎君) 昨日宮中で日本酒が使われたということ、まことに喜ばしいことだと思っております。公式行事につきまして日本酒を御使用願いたいということが、三年ぐらい前だと思いますが、宮内庁の方へもお願いにまいったわけでございますけれども、私深い事情はわかりませんが、何といいますか儀式の作法もちゃんと決まっておりましたようでございまして、使いますカップなども決まっておるようでございまして、なかなかそう簡単に話が進まなかったというような実績がございますが、今回の政府の何というか御決定といいますか、御通達といいますか、米の消費拡大に絡みまして公式行事に日本酒を使っていただけると、使うべしということになったということ、まことにこのことに甘んじることなく、われわれはさらに業界としてあるいは企業として努力すべきだと思います。  その努力でございますが、先生御指摘の輸出の問題、少し古い話を持ち出して恐縮なんでございますが、非常に米の少なかった時代でございましたが、また日本の財政状態も悪くて、輸出を特に強くやられた昭和二十年代の話でございますが、清酒を輸出した場合に、一キロリッター輸出をいたしますと三キロリッター使える程度のお米を特配をいただいたわけであります。これは大変いい制度であったと思うのでございますが、そこは業者の方として反省をいたしておるのでございますけれども、輸出をすればいわゆる二キロリッター分これは内地で売れるわけでございます。非常に酒が少なくてもう困っているときですから、輸出はどうでもいい、内地で売る酒の米がいただきたいというような変な連動が起こりまして、どうも輸出に対して価格維持とかあるいはPR宣伝とかというふうなことがだんだん手抜かりになってきたというふうな気がいたしておるわけで、少し古い話なんでいまさらでございますが、何かそういうふうなことから、気持ちとしては輸出を望んでおりながら実際としてはなかなかうまくいかない。さらにまた、幸か不幸か戦前からの歴史がございまして、戦前のやはり商権が残っておる。したがいまして、非常に細い流通がいわゆる商権のルートで流れなきゃならぬと、そういうようなことでまとめて大量に大きく宣伝する、あるいは日本業界全体として、あるいは灘全体として一つのパイプでロットを太めでいって、そして日本酒自体あるいは灘酒自体をアメリカとかヨーロッパで宣伝していくということがどうもできなかったというようなのも非常に輸出にうまくいかなかったと、現実的に御承知のようにしょうゆの半分ぐらいしか輸出がないわけでございますから、まことに遺憾だということは事実でございます。  ただ、将来性でございますけれども、そういうような市場を立て面し、さらに海外での消費を伸ばしていくということにつきまして、最近私たちの組合から輸出検査法というものを制定していただきまして、まあ陶器などではあるわけでございますが、真の日本酒のしっかりした品質の物をきちんと輸出していく、そして消費の確実な拡大を図っていくというねらいでございまして、聞くところによりますと、それに研究する予算の計上もあったやに聞きました。今後この問題は具体的になっていくんじゃないかと、そういたしませんと、いまのままでいきますと非常に乱売の傾向が出たりいたしまして、現に先生方も御承知でございましょうが、アメリカあたりでは非常に安い清酒が売られておるというような現実でございます。  ただ、関連問題として蛇足でございますが、カリフォルニアで二千キロリッター程度の工場ができる、こうなりますと、カリフォルニアの安い米で労働賃金も現在のところアメリカと日本とそう格差がございません。そこで、二千キロリッターのものがアメリカで流れますと、われわれの輸出というものはまたさらに大きな障害にぶつかるのではないかというふうに懸念をいたしておるわけでございますけれども、そういうふうなことを懸念だけではいけないわけでございます。さらに努力をしたいと思っておるわけでございます。
  22. 高橋篤

    参考人(高橋篤君) 先生のお尋ねの原料米の確保の問題でございますが、新潟県の実情から申し上げますと、酒の好適米は毎年契約栽培をいたしておりますので、これは予約金を払って相互予約の場合の条項を入れてやっておりますので、好適米の方は問題ございません。それから、一般のいわゆる雑米と申しますか、いわゆる好適米以外の酒米原料でございますが、これは飯米との関係が大変ございまして、先ほど申し上げましたように、いわゆる飯米に向かない、ただ、収穫量とかあるいは同じ新潟県の中でも産地関係でフジミノリというようなものがつくられておりまして、これはむしろ酒には向くけれども余り飯米としては好まれないというようなものが、果たして、増産にはなりませんでしょうけれども、極端に減るのかどうかというあたりについては、ちょっといまのところは私どももはっきり、まあ福島潟問題とか、いろいろ新潟県も減反に際しましては各町村の削り当て、町村への何が決まりまして、各々の農家への細分化されたものが全部が全部決まったのかどうか、私どもまだはっきりいたしておりませんが、しかし、いずれにしましても大体酒米の一般雑米は新潟県全域にわたってつくられておりますので、従来の量的な関係からいけば、減反ございましても、いわゆる自主流通米として酒米に使用するものが不適であるというようなものはございません。ただ飯米を使用いたしますと、自主流通米でも新潟県の米は品位的に高いものでございますから、どうしても原料米としては自主流通米の中でもいわゆる飯米との比較で商いと、こういうことで大変米としては新潟県の米の評価が高いものだから、評価されていてありがたいんでございますが、飯米の方をそのまま酒米に持ってくるとどうしても高くなるという一つ難点があるわけでございます。全国的にどうかという点につきましては、私ちょっとまだいまの段階ではわかりません。  それから、地酒ブームの将来性についてということでございますが、私どもこの地酒ブームと申しますか、地酒の再評価という点では、フランスのワインとかあるいはドイツのビールとか、こういういわゆる国民酒的なものを一応想起するわけでございまして、フランスのように、全く農業とそれからワインづくり、醸造とが渾然一体というか表裏一体になって、そしてその土地その土地に適したブドウの品種の改良も大いにやっているそうでございますが、独特のワインをつくっていくと。それによって何地方の何産地のさらに細かいエリアの何々というふうに非常に高く評価をされるものが出てくるというふうに将来持っていければ、大変地酒の本当の意味での評価というものが地位を確立してくると思うんでございますが、ただ残念ながら、私どもも新潟県の農業試験場やいろいろ醸造技術者と話し合っておりますが、いわゆる米の独特の品種、いわゆる醸造用米の独特の品種で独特の酒をつくると、その地方の独特の酒をつくるというような米の品種改良はいままでのところは全然行われておりません——全然行われておらないじゃなくて、特殊な新潟県の、たとえば農事試験所ではそういう交配等をやって研究をいたしております。研究をいたしておりますが、まだ一、二回の試醸で、それが独特の風味の、新潟県独特の風味の酒ができるというようなところにいっておりません。米からいくのは大変むずかしいかと思うんでございますが、先ほど申し上げましたように、私はやはり各地方で努力をいたしまして、独特といってもなかなかそう簡単にまいりませんが、たとえば特殊な酵母であるとかあるいはこうじであるとか、そうしてその地方で特性を出せるようなやはり差別化のある商品をお互いに、これはなかなか単独の中小企業ではできませんので、県の試験場であるとか、あるいは県内の技術者同士が集まって相協力して共同でやるという形で地方独特のものをつくり上げていくというのが本当の地酒ブームを定着をさせて、地方の酒の本当の意味での評価、そうなった場合には二級酒メーカーから脱却をして特級酒メーカーにもなるでございましょうし一級酒メーカーにもなれるであろう、こういう願望を持って努力をしてまいりたいという、現在の段階では願望的な将来展望でございます。
  23. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 どうもありがとうございました。
  24. 渡辺武

    渡辺武君 質問に先立って、委員長に一言お願いがあるんです。  それは、きょうのこの委員会の開会に先立って、国税庁参考人方々を呼びつけていろいろ注意を与えたということを私聞いております。どういう注意なのか、内容のいかんによっては委員会審議に対する干渉にもなりかねないと私は思うんですが、事実をお調べいただいて、もしそういうことがあれば厳重に注意をしていただきたいと思います。  それから、参考人の方には、こういうことを申し上げてはかえって失礼かとも思いますが、どうぞ御忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと思います。  まず桃井参考人に伺いたいと思いますが、先ほど、清酒業界中小企業集団だというお言葉がございました。全くそのとおりだと思います。ところが、他方でウイスキーそれからビールなどの業界では巨大企業がいわば独占的な地位を持っておると。資本力から経営力から宣伝力からいってとうてい比べものにならないほどの力を持っているという状況だと思うんです。特に私サントリーのやり方などにはいろいろな問題があるというふうに考えておりますが、いま清酒業界がそういう点に対処する意味も含めて構造改善事業を進めていらっしゃるわけですが、限界があるんじゃないかという感じが非常に強いんです。ですからウイスキー、とりわけサントリーなどについて、あるいはビールなどについてどのようなことをやってほしいとお考えなのか、これをまず一つ伺いたいと思います。  それからもう一点は、今回の税制改正ですけれども、これが実施されますと増税率は清酒特級で一七・五一%上がります。ところがウイスキー特級の場合を見てみますと、サントリーオールドで一六・二四%、G&Gの黒びんで一一・一八%、それからロバートブラウン一一・一八%。いずれにしても清酒特級の方が税の引き上げ率が大きいということで不利になってくるんじゃなかろうかという点を非常に気遣っているわけですけれども、この点で、業界として大蔵省当局にどういうような要望を考えていらっしゃるか、これもお聞かせいただきたいと思います。  それから、もう一点やはり税の問題ですが、先ほどお話もありましたが、外国のワインとかビールとか、これの販売価格に占める税の割合と、それからわが国の清酒販売価格に占める税の割合、これ比較してみて、どうもわが国の方が比率が高過ぎるんじゃないかと、そんなふうに思われますが、そういう点についての御意見もお聞かせいただきたい。  それから最後に、おけ取引の問題ですが、私おけ売りをやっておられる地方のメーカーにいろいろ実情を伺いますと、いろいろの要望がありましたが、中でもおけ取引の契約がいわば単年度契約で、したがって数量価格などについて非常に不安定な立場にあるという意見が非常に強うございました。したがいまして、おけ売り、おけ買い両メーカーが長期契約が結べるようにしたらいいんじゃなかろうかというふうにも思いますし、同時に、価格決定に当たってやはり業界が主導をして合理的な価格決定が行われるようになさるべきじゃなかろうかというふうに思いますが、その点についてのお考えを承りたいと思います。  なお、続いて大塚参考人と高橋参考人に伺いたいと思いますが、先ほど原料が非常に高いという御意見がございました。ごもっともな御意見だと思います。  端的に伺いますが、自主流通米酒米として使っておられるというところにその一つの重要な原因があるんじゃないかと思います。これを政府管理米に切りかえるということになれば、相当原料価格は低目に抑えることができると思いますが、もちろん好適米などは約十万トン使っておられると思いますが、それは政府管理米にすべきかどうかという点は私よくわかりませんが、少なくともそれを除いた残りの約五十万トンは政府管理米にするというようなことはどうだろうかと思いますが、その点についての御意見伺いたいと思います。  それからもう一点、業界方々に伺いますと、国税庁の行政は酒税行政はあっても産業政策はないんだということをよく言われるわけです。税収を上げんがために比較的大きな企業を中心としての大量生産ということを大蔵省が推し進めてきたというところに現在の酒の味の画一性というような原因があるんじゃなかろうかというふうに思っておりますが、そういう点でどんなふうに業界としてはお考えなのか。  それから、先ほど地酒ブームのお話もありましたけれども中小企業集団というような業界の実情からしますと、やはりその中小企業としての特質を生かして、そして各地方の味を育てていくということが非常に重要じゃなかろうかというふうに考えるわけですが、その点どんなふうに考えていらっしゃるか。  それからそれに関連しまして、最近純米酒あるいは本醸造酒などがわりあいに評判がいいということで、まじめにやはり味も考慮しながら酒づくりに励んでいくというその効果が上がってきているんじゃないかというふうに思いますが、私こういう方向をさらに発展させる必要があると思いますけれども業界として大蔵省等にその点でどんなふうな御要望があるのか、伺いたいと思います。  以上です。
  25. 桃井直造

    参考人桃井直造君) 渡辺先生の御質疑にお答えをいたしたいと思います。  まず、同じマーケットで競合いたしておりまするウイスキービール業界近代化の装備をされた大企業であるし、私どもは各地域に分布いたしました三千の中小企業集団である。したがって対抗には限界があるんじゃないか、こういうような御質問の御趣旨かと承っております。やはり同じようなことで同じような戦いをいどむということになりますというと、われわれの方はとてもそれは資本力、それから広告宣伝の資金、こういうような問題からはなかなかそれは太刀打ちという問題はいろいろ問題があろうかと思います。しかし、何といいましても私ども全国各地に三千の業者が分布いたしまして、それぞれ見ると小さなマーケットでございますけれども、しっかりそのマーケット一つずつ握って確保していく、こういうようなことで従来も商売をやってまいりましたけれども、これからもやっぱりそういう形で商売をやっていく。やはり何といっても地酒あるいは地域廃業としての特徴を生かしていく。なるほどある意味におきましてはテレビのようなマスコミをはでにできない地酒業者があっても、しっかりしたその自分の銘柄の愛好者を品質の向上ということで獲得していく、こういうようなことで努力をしていくことが三千の中小企業集団のやはり何としても対抗していく基本的な姿勢ではないか、こういうぐあいに考えておるわけでございます。  しかしながら、まず先ほどもちょっと触れた問題でございますが、酒類間のやはり競争にもおのずから公正な取引秩序があるべきである、私はそういうぐあいに考えています。特にやはりアルコール飲料というもので健康問題にも関係するこれは飲料でございます。税金だけの問題でなくて、酒類全体はこれは三兆円産業と言われておりまして、この酒類産業全体に通ずるところの産業の行政組織があってしかるべきじゃないか。銀行に対して銀行局があるし、証券に対して証券局があるし、保険に対して大蔵省の保険部がある。こういうのと同じように、やはり酒類についての専門部局が大蔵省にあって常に産業全体をどうかじをとっていくか、こういうような組織が私は必要である。そういうような場合には酒類というものの特質からどういう措置を考えるべきであるか、こういうような問題で、おのずから広告についてもある程度たばこと同じように何かやはり考えるべき問題もこれはあるんじゃなかろうか、こんなような考え方も実はいたしております。  それから、その次に御質問にありましたように、今回の増税特級が一七%余、一番売れるウイスキーのオールドが一六%、こういうようないろいろなことの、G&Gのお話もありまして、なるほど私どもはその点については非常に実は理解しがたいものを一つ持っております、率直に申し上げますと。しかし基本的に言いますというと国際問題、こういう問題、それから従価税がかなり高いといういままでの問題、こういうようないろいろな問題のしわ寄せがこういうようなことになったと。しかし、それで果たしていいのかどうかという問題はまた別な立場でひとつ考える問題がございますが、いろいろな環境の結果そういうようなことになったんだというお話も実は承っておるわけで、しかしこれも将来の展望といたしましては、今後どうするかという問題はやはりこういう問題を踏まえてまた考え直していく問題が私はあるのじゃないか、こういうぐあいに将来の問題としてはあるような感じがいたします。  それから、外国のワイン、ビールに比し税率が高いではないか。これは実はまだ余り外国のものを少し勉強不足でございまして十分お答えができませんが、やはり何としても日本酒というのは日本民族がこの日本列島に残した世界にない唯一の酒でございますので、この酒が佐渡のトキのようにもう何とも保護しなければ滅亡していくのだと、こんなようなことになっては大変でございます。やはりそれぞれ日本国民の嗜好品として、現実の社会において消費需要に応ずる嗜好品としてその企業責任を果たしていくような企業でありたい、また企業として進んでいきたい、こういうぐあいに考えておりますので、いろいろな角度で米の問題、税制の問題あるいは産業行政の問題、こういうようないろいろな問題で国民酒を十分ひとつ、われわれも努力いたしますので、その環境整備に御協力、御援助をいただきたい、こういうぐあいに考えておるわけであります。  おけ取引の問題について、毎年毎年の契約では非常に不安だ、先生のこれはおっしゃるとおりだと思います。おけ売り側にとってはそういうような感じを持つことは十分ありまするが、それならおけ買い側におれはおまえの酒を五年間買ってやるよというようなしっかりした経営基盤があるかというとなるとこれまた実は問題でございます。非常に激しい市場競争をやっておりますので、来年の発注量をどうしようかという問題も、ふやす方もあるというし恐らく半分に減らす方もありましょうし、しかしできるだけいままでの人のつながりで、清酒業界というのは長いことの人のつながりをわりあい大事にするところでございます。恐らくおけ買い業者の側から切るという問題は、これは数量が減る場合ありましても、なかなかケースとしてはわりあいにまれなケースのような、事実上のこれは問題でございますので、そういうような事実上の問題がございますわけでございます。しかし、やはり現実には人と人との関係で、もう注文契約を十年もやっている十五年もやっているという事例がほとんどでございます。きのうきょうおけ取引を始めたという者、こういうような者はほとんどございません。したがって、事実上の継続はしておりますが、まさに法律上、契約上の債務としての長期契約ではないというのは問題点ではございますが、おけ買い側にまたすべてそういう強い力があるかというと、これもまた非常に浮沈の具体例が実はございましていろいろございますものですから、その辺はやはり長年の信義誠実の原則で何とかしてこのお互いのメリットが出るように努力をしていきたい、そういうぐあいに考えております。
  26. 大塚和三郎

    参考人大塚和三郎君) 渡辺先生のお尋ねでございますが、原料米が高いから自主流通米を使うことをやめて政府米に切りかえてはどうかという御提言でございます。私たち政府米を使わしていただいたのはついこの間、昭和四十四年に自主流通米ができるまでは全量政府米をちょうだいしておったんでございますが、そのときは、いわゆる平易にコスト主義と言いまして、御承知だと思いますが、食糧米になります方の米は、経費は政府が持っておりましたかどうか、いわゆる逆ざや的な経費が食管会計から出まして、それなりに安い価格で皆さんの食糧として配給されていくということでございますが、酒の場合は、いわゆる工業原料と申しますか、そういうような形でございますから、農家から買い上げた価格、それにコストを上積みいたしましていわゆるコスト価格、そういう価格で私たちに払い下げをちょうだいしていた、これは一貫しておりましたので、そうなりますと、もし今日政府管理米を無条件でいただきたいというふうに切りかえるということだけでは、先生の御指摘になりましたような、そうなればおまえたちの米が安くなるんじゃないかという御配慮が、うまくいかないおそれがあるのでございます。この点はこの場でどう保証がされるわけではないんで、こういう事実だけを御考慮願いたいと思うんです。あるいはまた、方向を変えますと、そういって政府米を現在の食糧米と同じ価格で酒屋に五十万トンいただけるならば、自主流通米の現在の補助制度でやっぱり二百数十億ちょうだいしておるわけでございますから、これがもっともっとふえるわけでございますが、結果、政府全体の食管会計負担は同じことになりますので、現在は食糧にはこうこうで補助は出るけれども、どちらかというと酒造米にはそこまで補助をしなくてもいいんじゃないかというのが、政治の流れといいますか、行政の流れがございますけれども、われわれはそれでは困るので、ぜひ少なくとも食糧米と同じだけの補助をちょうだいしたいとお願いして、今日まで一〇〇%いただいておる、非常に感謝しておるわけでございますけれども、さらにそれ以上突っ込むとなれば、酒米は食糧米以上の補助をしてやれと、こういうふうになれば、結果は同じになって、われわれもかえって米の品質の選別とかいうような問題ではメリットがあるんじゃないか、あるいは産地とかというような問題でも、まあそういうことにならないと思いますけれども、払い下げ米であると、兵庫県の米はもう要るんだから富山まで取りに行けとか、福岡で取ってこいというような遠方からの輸送というようなものもこれは全国計画で起こってまいるわけでございますが、そういう点も避けられて、地元の米、先ほど高橋さんのおっしゃったように、新潟は新潟の米で酒をつくろうというふうなこともスムーズにいくのではないかというような気がいたしますので、お答えといたさしていただきたいと思います。  それから、庁の行政のあり方が徴税中心で産業行政に欠けるということは桃井さんから御返答がございましたので、私たち、ただいま中央会の方で酒税制度研究委員会というものをやらされております。そのときにも同様のお話が出まして、少し酒税制度じゃなくて大蔵省設置法の問題にも返りますのでいかがかと思ったんでございますけれども、基本的な問題でございますので、研究をさしていただいておるわけでございまして、いま桃井会長からおっしゃったとおりの方向で進んでおるので、同様の意見ということになっております。  それからもう一つは、中小企業集団であるから各地独特の味はどうかということで、仰せのとおりでございまして、まあとかく原料のいわゆる米不足という時代から、ある程度どうしても日本全体としての消費に見合う酒をつくるためにはアルコールも使わなきゃならぬわけでございまして、そういうふうな形で特色が薄められておったのは事実でございますけれども、そのアルコールの使用量もどんどん減りまして、また承認基準と申しますと専門的になりますけれども、大蔵省の通達でこうやれと、この範囲内と言われておるよりもさらに少なくなっておりまして、だんだん米の使用率のウエートが高まってまいっておりますだけに、現在でもたとえば灘の酒、伏見の酒、秋田の酒、広島の酒等有名な産地の酒でございますが、これら四つ並べて専門家にきかせれば、相当な特色が出ておるんじゃないかと思うわけでございます。常識論的には、町で言われるのは、このごろの酒は特色が全くないと、こういうふうにおっしゃいますけれども、なかなか一般消費者の方というのは、この鑑定には非常にふなれでいらっしゃいますので、なかなかうまくいかないし、また酔っているうちになかなかわからなくなってしまうということも——われわれも同様でございますけれども、確かに特色は出つつあるというので、この方向でやっていきたいというつもりでおります。  純米醸造、本醸造につきましては、私何度もここで申し上げているのでございますけれども、とかく地酒は純米で灘酒はそうじゃないというふうな何かそんなことがあって、まことに心外に思っております。お調べ願えば灘でも純米もございますし、本醸造もつくっております。ただそれだということじゃなくて、よりよき製品としてこれらを扱っているわけでございまして、その辺もお含み願って、先生おいでになるまでに私立場説明したのですけれども、きょうは大体灘ということで、私自身は中小企業でございますけれども、主産地立場で発言をさせていただいておるわけでございますけれども、純米、本醸造、大いに研究して開発していきたい。ただ、また茂りますけれども、米が高いのでこの研究がうまくいかないということになります。さような次第でございます。
  27. 高橋篤

    参考人(高橋篤君) 原料の問題につきましては、先ほど大塚さんから申し上げましたので、同意見でございますので、特に私ども食糧管理法とその運用の中身の問題については全く素人でございますので、果たしてそういうふうになった場合に、コスト主義でそうなるのかどうかというような予測が全く立ちません。とにかく政府管理米にして安くなるのであれば、政府管理米に全量なることも一つの考え方ということで、とにかく新米で安くなるということが望ましいということでございます。  それから、酒類行政に産業行政がないということも、桃井会長から申し上げたそういう意見で、私ども酒税制度研究委員会でも議論をいたしておりまして、やはり酒税の賦課徴収という行政の遂行と、それからもう一つは幅広い産業行政的ないわゆる政策に基づく行政を遂行する組織とは、これは長い間、明治の初年以来こうやってまいりました、いわゆる酒税徴収と、いろいろなすべての仕事を含んだ賦課徴収とそれから産業行政的なものが一元化されて行われているわけでございますが、そういう点で、組織の分離ができれば大変私どもの要望する点がさらに進んでいくのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。  それから、純米酒と本醸造のことでございますが、先生の御指摘のとおり、だんだんその評価が認められるようになってまいりましたけれども、何しろ純米酒、本醸造の量というのが、先ほどから申し上げましたように、どうしてもコスト的には高くなるので、これを価格に転嫁いたしますと、やはり経済的な価値判断からいくと、そうどんどん買われないということで伸びてまいりません。したがいまして、やはり米の問題に絡んでまいりますが、たとえば純米とかあるいは本醸造に対しては米で優遇する方法はないかというようなことも私ども議論をして衣いったわけでございますが、米で優遇ということになりますと、純米酒、本醸造のこの定義で区分してまいりますのは、現在は自主的な規制で表示をしているわけでございます。したがいまして、法的にこれは確実に純米酒である、本醸造酒であると。これは実際やっている者はそういう間違いはございませんけれども、やはりそれに対して特別の米の割り当て等をやるということになりますれば、法的な判定がなければ実行できないんじゃないか。そういたしますと、現在の自主規制のこの表示関係、純米酒、本醸造というようなものが、いわゆる法的な判定に、制度的な判定にかかるのかどうか。これは公正競争規約に移行する場合にあるいはなるのか。いずれにいたしましても、いまの税法の関係では、これは公正競争規約の方に進む方の自主的な規制の表示の問題でございますので、米の特別な措置をするというようなことになると、どうもかかわり合いが直接には出てこないという点で、なかなかそういう要望が現在の段階ではしにくいというような議論をしている段階でございますので、その辺がもう少し詰めてまいりませんと、要望してもそれは自分たち表示をしている問題じゃないかと、こういうことでございますので、まあいずれやはり純米酒とか本醸造酒というのは米の消費需要拡大、米の使用率を高めるという意味からいけば何らかの法的な審査制度の中に入っていくということも、権威づけるためにはいまの級別制度と同じように必要なのではないかと、こういうふうに考えているわけです。そうなった場合には、そうなるとすれば特別な米の配分等とのかかわり合いも持てるのではないか。そういう奨励の方向、米の需要拡大とつながりを持つ奨励の方向とするならば、そういう点を私どもはこれから要望していってもいいんじゃないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  28. 中村利次

    ○中村利次君 酒税を審議するに当たりまして、お三方に参考人としておいでをいただきましていろいろ御意見等承るほど、私ども清酒に非常に強い関心を持ちますのは、清酒日本古来のものであるということ、それからいま需要と供給の面で大変問題になっております米を原料とするものであるということ。それから、皆さんからも御意見としてございました酒造業が中小企業集団であるということ。  そこで、日本古来の清酒酒類の競争の中で果たして相当の正当な国の助成を受けておるのであろうか。税法上、行政上果たして相当であろうかということを十分に承知をしたい。これは過剰の助成は誤りであると思いますけれども、やはり冒頭に申し上げましたようないろんな理由からしますと、相当の保護助成は当然これはウイスキービール等に比較して受けるべきであると思うからです。  まあ時間もございませんから、質問はお三方に一問ずつ御意見を伺って、後は十分にそういう立場から誤りのない審議を続けていきたいと思います。  まず、桃井参考人に初めに、これは近代化構造改善にもかかわりがあるんではないかと思われますが、これは私が素人で認識不足ならお許しをいただきたいと思いますが、たる取引がございますね。単年度の契約ではあるけれども、しかし十数年という実績が非常に多いという御意見でございます。これはまあ系列化、それから構造近代化とどういうかかわりがあるのか。まあこれは酒づくりというのは古来からの芸術品みたいなもんだから、なかなかそこまでの進展はないんだよということなのか。あるいはそういうことを特に若い当主なんかをお持ちの酒造業者なんかではあるいはお考えになっているものがあるのかどうか、そういう点についてお伺いをしたいと存じます。これは将来構想等も含めてですね。  それから大塚参考人にお伺いをします。  私は、かなり酒造業界でも努力をされてきたとは思いますが、やっぱり日本古来のものであって、ある意味ではわれわれの作品は芸術品であるという誇りもある程度というか、かなりといいますかあったんではないかと思いますし、また私はある意味ではそれは当然である。そういうものがあって初めてこの日本古来の酒であるという値打ちがあるわけです。ところが、ずうっと酒類需要の動向等を見てみますと、まずウイスキーがものすごい急ピッチで需要最がふえました。最近では、これはこういう表現がよろしいのかどうか知りませんが、昔は余りどうも飲むものではないという印象が強かったんではないかと思われるしょうちゅうが、このままでいくとブームになりかねないような様相ではないかと思うのです。ビールはその割合からいいますときわめて高い割合を、大体ちょぼちょぼぐらいで維持をしておるんではないかと思うのです。そういう中で清酒の伸び、これは非常にまだ割合も少ないですけれども、しかし先ほど大塚参考人がおっしゃったように、加州米を使ってカリフォルニヤに清酒製造工場ができるという、あるいはハワイにもすでにあるというような、やはり日本酒、清酒の私は嗜好者というものはある。これはかなりある。そういう意味では、まあ外で酒を飲む場合でも畳の上で飲む場合には日本酒相当飲んでいます。私なんかこれは日本酒が一番うまいと、酒の中では思っていますけれども、しかしいすに座って飲むときにはほとんど日本酒というのは聞きませんね。特殊ですよ。そういう点について業界としてそういう需要の開拓、どういうぐあいにお考えになっておるのか。これは過去、現在、将来にわたってそういう御努力、まあウイスキーなんてものは、ビールは栓抜けばそのままですけれどもウイスキーなんかでも氷があってロックで飲むとか水割りにするとか実に簡単に飲める。日本酒は冷酒、冷用酒なんてのもないわけではないようですけれども、非常に少ない。そういう何というのですか、アイデアを売るという点についてどうお考えになっておるのか、お伺いをしたいと思います。  それから高橋参考人には、これは品質についてある意味で日本酒は芸術品であるという誇りに対しては冷水を浴びせるような言い方になるかもしれませんが、加州米を使って清酒をつくって需要が結構あるということになりますと、私どもが聞くのは一〇%や二〇%の加州米を使っても味はそれほど違うものではないんだということをよく聞くんですが、これはもうとんでもないことかもしれませんが、そうなりますと古米を一割や二割ぐらい、低温古米使っても、それほど味の上で問題にするほどのことはないんじゃないかという気がするんですけれども、そういう点はどうでしょうか。あるいはこれは、しかしたる取引なんかの影響がございましょうか。低温古米を使うことについての条件としてですね。そういう点についてお伺いをします。
  29. 桃井直造

    参考人桃井直造君) お答えを申し上げます。  最近の業界近代化について、特に若い二代目の業者は一体どう考えているだろうかと、こういうような御趣旨の御質疑かと承っております。特におけ取引も関連する問題かとも思いまするが、現在の若い世代のメーカーの人々は、やはり一体どうなるんだろうかと、こういうようなことで大変実は心配しております。何とかやっぱり現状を打開しなければならないという点については、若い人はいまもう真っすぐそれのみを考えている。先般もアンケートをとりましたときに、現状を打開するという人が圧倒的に多かったわけであります。やっぱりその場合一体何で打開していくのか、ここでは売れる商品をつくっていくか、あるいは売れるような販売方法を講じていく、こういうようなところに重点が置かれております。最近私どもが行います人材養成事業には若い方々がたくさん参加していただいております。したがいまして、今後こういうような若い人々が自分環境、条件、経営条件といいますか、商売の条件に合った一等効率的な、一等有効な近代化方法を考えていただけるものだと、実はこう信じております。寄り寄りいろんなことが、情報が入ってまいっております。あるところでは、おけ取引ももうそう長く続かないから、われわれだけでひとつ県内の独特の皆に好まれる酒を開発しようじゃないかと、こういうようなことで共同設備をつくろうじゃないかとか、こういうようないろいろな話が入っているんです。おいおいそういうようなものが実を結んで、それが第三次近代化で低金利融資を受けて成功するようになってまいりますというと、一歩一歩でございますが、やはり清酒業界の体質が強化されていくと、こういうぐあいに考えております。  以上のようなことで、漸次ではありまするが一歩ずつ前進をさせたいと、さように考えております。
  30. 大塚和三郎

    参考人大塚和三郎君) 清酒需要動向が非常に伸び悩んでおるのに対しまして、ウイスキー、最近にはしょうちゅうが非常に伸びてきた。この辺のところで清酒業界努力はあったとは認められるけれども、ある意味において誇りのようなものがあったんではないか。おしかりをいただいた、誇りを持っていることにおしかりをいただいたと解釈しておるんでございますが、確かに現実がそのとおりでございます。  ただ、われわれとして一応御理解願いたいのは、現在の清酒約九百万石でございますけれども、実は細かい数字を持ち合わせておりませんが、約二十年前の昭和三十四年になりますか、三十三年、そのころは四百万石程度の消費でございますので、人口の増加よりはるかに伸びておるわけでございますが、それ以上に経済の成長率が高かったといいますか、消費が伸びたというようなことで、そのほかにビールは格段に伸びましたし、御指摘のようにほかの酒類が伸びておるわけでございますので、その間における清酒企業努力あるいは需要開拓に対する努力というものが不足しておったという御指摘を、おしかりを受けました場合に、まことにそのとおりであるとわれわれも反省をするわけでございます。ただオイルショック以来、経済成長も変わりましたし、これからわれわれもまた違う経済環境の中で将来を開拓していかなきゃなりません。特にウイスキー等の問題は、実はこういう昔議論もありました。御承知のようにウイスキーはいわゆる蒸留酒でございます。ブランディー、あるいは御指摘のしょうちゅう、ウォッカ、ジンなどと同じような性格のものでございますが、清酒は一番近いのがワインとか中国の紹興酒とか、譲造でございます。ですから蒸留と譲造とは飲み方の世界が違うんだというふうな議論をした時代もございましたが、いまやなかなかそういうことを言っておられないほどにウイスキーの伸びというのが、御指摘のように畳の上にまで入ってきておるわけでございますので、全くわれわれは奥座敷まで入り込まれたような感覚で、先ほどお話出ましたが、憎しみ合うということじゃなくて、党々の競争をやって巻き返さなきゃならぬというふうに考えております。  それから、そのことは気持ちだけじゃなくて具体的にどういうことをやっているかということを申し上げますと、先ほど申し上げましたが、やはり先生御指摘のようにテーブル、いすでも飲めるように、テーブルの上に置けるようなボトルに入れて、しかもそのまま冷やでも、あるいはオンザロックにするなり、そういうようなことで飲んでいただくように、特に灘あたりの大メーカーがこの方に相当力を入れております。従来は、この二十年間、私なりに申し上げれば、大メーカーさんは合成酒のシェアを食ったり二級酒のシェアを食ったりして自然的に伸びてきたわけで、私申しましたように、二十年前に四百万石が現在九百万石。ですけれども、大メーカーさんはその間に大体五倍か七倍かぐらいの成長を遂げておられるわけでございます。したがいまして、どうしても戦いが安易になっておったんじゃないかというふうに、われわれの仲間でございますから同じ同業組合で議論をしておるわけでございます。そういうふうなことで、今日に侮りますればそういう安易な成長は望めないのでございますので、きめの細かい作戦、先行投資を含めましてやっていきつつあり、まあ遅まきながらかもしれませんけれども、私は非常に真剣な着実な努力がスタートしたというふうに解釈をしておりますので、しばらくお時間をおかし願ってお見守り願いたいと思いますわけでございます。  それからしょうちゅうにつきましては、大変ブームと言われますが、確かに仰せのとおりでございます。ただこのしょうちゅうのことにつきましては、これは桃井会長におっしゃっていただきたいんですけれども、たまたまお話出ましたので、御承知のようにしょうちゅう甲類と乙類とございまして、甲類の方は連続蒸留をやりました大企業のものでございます。乙類の方は鹿児島とか熊本を中心といたします中小、御承知のとおりです。これはわれわれ酒造組合の仲間でございます。ですからこの乙類しょうちゅうと甲類しょうちゅうとの競争は、われわれのビール清酒の競争と形は、表現は違いますけれども内容は似たようなものがあろうかと思いまして、われわれの同じ酒造組合の仲間でございますが、つい清酒の方が話が先に出まして乙類しょうちゅうはほんの刺身のつまになるということで、この点、先生方にもその辺をさらに再御認識を願いまして、しょうちゅう乙類の将来についてもよりよき御配慮を願いたいと思うわけでございます。  翻って申しますと、さようなことで清酒は大変いろいろな政治、行政上の御支援といいますか御指導をいただきまして、非常にいい環境をつくっていただいておる中でかような不振を続けておるということで、さらに反省を強めまして努力をいたしたいと思う次第でございます。
  31. 高橋篤

    参考人(高橋篤君) 中村先生の御指摘の、加州米を使った清酒でも需要がある、古米の一割ないし二割ぐらいを使ったんでは問題ないじゃないか、どうだと、こういうお話でございますが、加州米にもいろいろございまして、最近アメリカのバークレーで清酒をつくる工場ができ、新潟県から技術者が最近参ることになっております。使う米というのは、やはり日本の種もみから行きました品種改良をした、清酒をつくるに適した米をいろいろ品種改良をしてやっているものでございまして、気候風土は違うかもしれませんけれども日本の内地米と同じようなものを、品種改良によってそれを選んで使っているということから、加州米と一概に言えないものでございまして、いわゆるロングライスというような一般的な加州米を使った場合には全く日本酒の風味にはならない、こういうふうに私どもは理解いたしております。そういう意味でございますので、古米を一割ないし二割使ったらどうかということでございますが、たびたび申し上げておりますように、いろいろ技術問題がございます。そういう技術開発をやって何とか無理してというか、その技術を駆使して使うといたしましても、たとえばいままでの段階でいろいろ聞いておりましても、非常に精白度をもっとより以上高めるとか、あるいは保管関係の特別になされたものとか、もともと筋のいい品種の、しかも産地のいわゆる低温古米、低温貯蔵したものであるとかということと同時に、つくっていくものの場合には、逆に低温販蔵した古米で安くということでございますが、いわゆるそれが影響のないようにつくっていくとすると、結果的には非常にコストアップするというような可能性、その懸念も私どもがいま承知している段階ではいろいろな技術上の操作で結果的には新米を使う、商い新米を使うのと変わらないようなコストになってしまうというようなこともいろいろございまして、検討はいたしておりますが、現在の段階では全く無理である。  それから、おけ取引の関係は非常に強い拒否反応があるわけでございます。これは先ほどからたびたびおけの契約問題が出ておりますが、何としてもいまのような清酒の伸び悩みの時期におきましては、おけ買い側の方も需要予測は大変困難でございます。したがいまして、しかも売り側の方の売り希望が多いということになりますと、競争市場の関係ではいわゆる買い手市場になっておりますから、買い手市場の選別のいわゆるリストに挙がる条項として、新米を使ったものと古米を使ったものとどちらを選ぶかということになれば、同価格ではどうしても新米のものということになりますので、特に古米を使ってうんと安くなら買ってもらえるということになれば、古米を使っても赤字でまた取引をするというようなことになりますので、おけ取引においては非常に低温米でも古米は全くの障害になるというふうに理解いたしておる次第でございます。
  32. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 参考人の方には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてありがとうございました。重ねて厚くお礼を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。  午前の審査はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      —————・—————    午後二時七分開会
  33. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、竹田四郎君が委員辞任され、その補欠として丸谷金保君が選任されました。     —————————————
  34. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 各種手数料等の改定に関する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。村山大蔵大臣。
  35. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) ただいま議題となりました各種手数料等の改定に関する法律案につきまして、その提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  名称の行政事務に係る発録手数料、許可手数料、特許料等のうち、その手数料等の金額または金額の限度額が法律で定められているものにつきましては、経済情勢の変化等にもかかわらず、長らく据え置かれていること等により、当該専務に要する経費の増高等の観点から見て、費用負担が著しく低くなっているものがあり、また、これまで適宜に改定が行われている手数料等の金額と比べ不均衡を免じているものもあります。  このような実情にかんがみ、今般、昭和五十三年度予算の編成に当たって、行政コスト等を勘案して統一的な観点から各種手数料等の金額について法律に規定されているものも含め、全般的な見直しを行い、費用負担の適正化を図ることとした次第であります。  この法律案内容は、不動産の鑑定評価に関する法律等三十七法律に規定されております各種手数料等の金額または金額の限度額につきまして、行政コスト等を勘案して、各々所要の引き上げを行おうとするものであります。  なお、この法律案に基づく各種手数料等の改定は昭和五十三年五月一日から実施することを予定しております。また、との改定に伴う昭和五十三年度の国の歳入の増加額は約百十億円と見込んでおります。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  36. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) それでは、これより酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び各種手数料等の改定に関する法律案を便宜一括議題とし、両案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  37. 丸谷金保

    丸谷金保君 最初に、今次酒税法の改正によりましてそれぞれ予定の税収が見込まれております。しかし、これによりますと細かい算定の基礎になる数字がわからないわけです。たとえば清酒清酒として出ておりますし、ウイスキーウイスキー類と、この中にはウイスキーとブランデーというふうに分かれるんですが、それぞれの積算の基礎になった消費の見通し額等について御説明をいただきたいと思います。
  38. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 今回の改正をお願いしております案によります増収額は、平年度千九百七十億円、初年度千七百七十億円というふうに推計いたしておりますが、これを清酒ビールウイスキー類、その他ということに区分して申し上げますと、まず清酒は現行法によります課税数量見込み額を百六十一万四千キロリッターと見込んでおります。増収額は平年度百八十億円、初年度百六十億円と見込んでおります。それから、ビールは課税数量を四百二十九万一千キロリッターと見込んでおりまして、増収額は平年度一千三百五十億円、初年度一千二百十億円と見込んでおります。ウイスキー類は数最を三十二万六千キロリッターと見込んでおりますが、増収額は平年度四百二十億円、初年度三百八十億円と見込んでおります。その他と申しますと、結局ただいま申し上げましたもの以外全部になりますので、合成酒、しょうちゅう、みりん、スピリッツ、リキュール、雑酒、それに果実酒類ということになりますけれども、これら合わせまして三十七万九千キロリッター、増収額は平年度二十億円、初年度二十億円、いずれも端数が若干ございますが、増収見込みとしては十億単位にまとめて処理いたしております。
  39. 丸谷金保

    丸谷金保君 私のお聞きしているのは、その中身をもう少し詳しく御説明願いたい。と申しますのは、たとえば清酒でも一級特級のそれぞれ数量が積算の基礎としてございましょう。それからまた、たとえばウイスキー類やあるいはその他の種類というふうな中には、国内産と国外産の輸入ボトルに対してかける税というのはそれぞれ違ってきているはずです、おわかりになりますね。輸入でも税率が、税が違ってきますでしょう、数量にすぐぶっ掛けても出てこないので分けないと出ないはずなんです。その積算の基礎を御質問申し上げているんで、いま御答弁いただいた分につきましては、これは書いてあるんでよくわかっているんです。書いてあることは答弁要りませんので、どうぞひとつ……。
  40. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) まず、課税数量見込みを先に申し上げます。  清酒特級が七万九千四百キロリッター、一級が九十三万六千工百キロリッター、二級が三十九万七千六百キロリッター、合計が百六十一万三千五百でございますが、これを切り上げまして先ほど百六十一万四千と申し上げました。合成清酒が一万九千八百でございます。いずれも単位は、以下キロリッターです。  それからしょうちゅう甲類はちょっと後ほどもう一度申し上げます。乙類が八万一千六百で、しょうちゅう合計が二十万三千、みりんが五万九千九十、ビールが四百二十九万一千百、果実酒類が六万二千三百、ウイスキー特級が十八万五百、一級が四万四千八百、二級が九万三日、ウイスキー合計で三十一万五千六百、ブランデーが一万七百、ウィスキー合計とブランデーを足しましてウイスキー類が三十二万六千でございます。それからスピリッツ類が六千、リキュール類が二万六千五百、雑酒が千四百でございます。  それに見合います増収額を初年度で申し上げますと清酒特級で四十億、一級で百十七億、二級は据え置きでございます。両者合わせまして百五十七億、これを端数整理いたしまして百六十億と御説明しております。合成は据え置きで増収ございません。しょうちゅう甲類の増収額が七億、乙類据え置きで増収ございません。しょうちゅう計で七億でございます。みりんは据え置きで増収ございません。ビールの増収が一千二百十四億、これを一千二百十億ということで端数整理して御説明してございます。果実酒類が五億、ウイスキー特級が二百九十六億、一級が四十五億、二級が三十三億、ウイスキー合計で三百七十四億、ブランデーは三億、ウィスキー合計とブランデーを足しましてウイスキー類で三百七十七億、これを便宜三百八十億と御説明しております。スピリッツ類が三億、リキュール類が六億、雑酒はゼロでございます。合計いたしまして千七百六十九億、これを千七百七十という御説明をしております。  なお、ウイスキー及びブランデーの国内分と輸入分の区分は増収計算上区分いたしておりません。
  41. 丸谷金保

    丸谷金保君 特にウイスキー類を挙げたのはいろいろここに問題があるからなんで、 そうすると、積算の基礎としても輸入ウイスキーとそれから国内産ウイスキーと区別して積算はしておらないということでよろしゅうございますか。ちょっと腑に落ちないんですが。
  42. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 従価税率適用分と従量税率適用分は区分して推計いたしておりますが、それぞれを国産、輸入に分けての推計はいたしておりません。
  43. 丸谷金保

    丸谷金保君 今度の酒税の改正について、特に輸入酒の関係については先般関税が下げられております。そうして関税が下げられたことによりまして非常に国内産のウイスキーあるいはブランデー、それからワイン類についてはいろいろな問題点が出てきておるというふうに実は思うわけでございます。  それで、ひとつこれはどういうことかお聞き申し上げたいんですが、たとえば外国産のワイン、これは関税が下がりまして、私、大体千五百円のそれぞれ国外ワインと国産ワインで試算をしてみました。大体千五百円といいますと、CIFで四百五十円ぐらいが最高だろう、もっと安いのが多うございますけれども。それで関税が二百一円六十銭と酒税が二十六円六銭、これは七百二十ミリリットルで計算しております、いわゆるボトル一本として。それが千五百円。ところが、国内でボトル千五百円のものの酒税というのは三百四十円かかります。ですからここで約百円の差が、関税を加えても百円の差が出てくるわけです。酒税だけで言いますと、同じ値段に売っている原価から計算して片方は二十六円六銭、ですし片方は三百四十円、ずいぶん違いが出ているんです。これは結局従量税と従価税との取り合いが国内産と輸入のワインとでは違うというところに問題があるわけですが、これはしかし税の公平ということから言いますと、大変税制の全体的な立て方から考えましても問題があるんじゃなかろうか、この点についてはいかがお考えでございましょうか。
  44. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) いまびん詰め輸入ワインの酒税の計算どうなるかというような御質問でございますが、先生御専門でいらっしゃるので釈迦に説法でございますが、CIFプラス関税額が一リットル四百五十円以下の場合には、従量下位税率というようなことになっております。一リットル当たり四百五十円を超えまして七百七十円以下という場合には従量上位税率、それから一リットル当たり七百七十円を超える場合は、従価税率ということになっております。この場合には、一応百分の五十という税率になるわけでございます。  びん詰め輸入ワインがどのぐらいになるだろうかというようなお話でございますが、これは容量がドイツ、フランスいろいろさまざまでございまして、七百ミルリットル、七百三十、七百五十といろいろございますので一概に言えないわけでございますが、仮に七百ミリリットル詰めの場合で申し上げますと、従価税率の適用になりますのはCIFプラス関税額が五百三十九円というような金額を超えるものでございまして、関税がこの場合百九十六円ということになろうかと思います。CIF価格では三百四十三円を超える場合に百分の五十の税率が適用されるということになろうかと思います。  市販されている千五百円の輸入ワインの価格構成がどういうふうになっているかということにつきましては、ちょっと明らかでございませんが、先ほど先生のお話では二十六円というお話がございましたが、これは恐らく従量税率ではなかろうかと思います。従量税率ということになりますと、従量税率の適用の場合の最高の水切り価格から申し上げますと、七百二十ミリリットルの場合で従価税の非課税最高限度が五百五十四円四十銭ということになりますので、CIFが三百五十二円八十銭、それから関税が二百一円六十銭、酒税が二十六円九銭、そんな感じになりまして、水切り価格が五百七十五円というようなところが従量税適用の最高水切り価格ということになろうかと思います。  これに比べまして、今度国産ワインの価格構成はどうなっているかということでございますが、千五百円のものが仮に売られるということになりますと、仮に流通マージンを二六%ぐらいとりますと三百九十円、税金が三百四十円、生産者の税抜き販売価格が七百七十円。最初に申し上げましたように、市販価格の四五%前後が輸入諸経費及び流通マージンというふうに言われておりますので、仮にこの四五%のマージンということで試算いたしますと、CIFが仮に三百五十四円ということになりますと、関税引き下げ後で関税額が百九十六円、酒税額が二百七十五円、輸入諸経費及び流通マージンが四五%といたしまして六百七十五円、これで小売価格が一千五百円というような数字が出てくるわけでございます。全くの仮定計算でございますが、いま申し上げましたようにCIF価格と国産の場合の生産者の税引きの販売価格が若干違ってくるということになろうかと思います。
  45. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと、いまの私の申し上げているのは、税のかける基準のとり方が違うというところが問題じゃないか。たとえば国内産のワインの場合には小売価格を基準にしておりますわね、小売価格を基準に。いまのお話の中にも出てきているのですが、この場合には一定率の適用酒類という申請をする場合に初めて流通経費というふうなものが算定されます。これ申請しないと算定されないわけです。そして輸入ワインの場合には、そういうものはもう自動的にいまお話しのあったように計算の中へ入っていくということが一つこれ矛盾だと思います、違う立て方。それからもう一つ小売基準価格というのは国内産のワイン類、ワインだけでなくて日本酒その他にもございますけれど、外国から入ってくるボトルワイン等については、これは全く、たとえば仮定計算で千五百円を二千円にしても二千五百円にしても、要するに小売基準価格というものが算定されておりませんので、税はあくまでもCIFを中心にして関税プラス、掛ける酒税ということになってくるわけですね、これはもう同じ酒類ですよ。それに酒税をかける課税方式の違うというのはどういうわけだということをお聞きしたい。そのためにこういう具体的に税が違ってきている。
  46. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 丸谷委員よく御承知のことなので、なるべく簡単に申し上げたいと思いますが、御質問の中にございました一定率というのは従価税適用対象酒類について認められております。それは従価税適用対象酒類について蔵出し価格を基礎にする従価税をより簡素な、手続的に簡単な方法で適用するという便法でございますので、メーカーの方から申請がございましたときに、国税庁で調査をいたしました現実の流通マージンを概算で政令で決めました率を小売基準価格に掛けてそれを課税標準とするという便法でございます。したがいまして、便法を用いるかあるいは実際の蔵出し価格によるかということは、メーカーの判断によるわけでございます。  ところで、現在の酒税は従量税はもとより従価税適用の酒類につきましても、課税標準は、ただいまの便法の前提になっております課税標準は国内産は蔵出し価格でございます。その考え方は、国内産は国内の流通過程に入る段階での価格を基礎にすると、そういたしますと輸入品が国内の流通過程に入る段階の価格というのは、これは蔵出し価格に相当するものとしてやはり保税地域からの引き取り価格、つまりCIFプフス関税ということで構成されておる。その結果が輸入品と国産品では、いまワインの例をお引きになりましたが、ウイスキーの場合でも小売価格に対する酒税負担率がむしろ低いという点が出てまいります、現実に。  それを非常に不公平であるという御指摘がかねてから一部にあるわけでございますが、税がそれだけ比率で変わってくる原因は結局流通マージンの大きさでございます。輸入酒についてはいろいろな事情から流通過程でのマージンが非常に高くてもなおかつ売れておるというところからそういう現象が出るわけでございます。これを基本的に変えようといたしますと、小売価格を基準にしてすべて課税をするという方法しかないんではないか、輸入マージンそのものは、それはやはり各外国酒につきましても国内酒につきましても、メーカーの一種の販売政策によってかなり大きく左右されるものでございますので、基本的にそこを直してしまおうというふうに考える限りは、まず小売課税ということでないと恐らく基本的には片づかない。しかし、現実問題として小売課税が酒類についてできるであろうかと考えますと、これは将来の研究課題ではございますけれども、いま直ちに小売課税という踏み切りはとうていできないのが現状でございます。したがって、蔵出し課税というもので考えます限りは流通マージンの大きさいかんで、輸入ということもございますが、同時に国内産品でもいろいろに負担率が小売価格対比では変わり得ることがある。そこはやむを得ないんではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。
  47. 丸谷金保

    丸谷金保君 やむを得ないと言ってしまえばそれまでなんですが、税の公平ということから言いますと、どうも、それじゃ国内のワインあるいはウイスキー類につきましても同じように蔵出しを中心にして、これは税務署へちゃんと出していますからね、原価を。びんが幾ら、何が幾らと税務署長の承認求め、毎年出しているんですから、蔵出し価格というのは出ているんです。それを国内産の物だけはわざわざ小売標準価格というものを決めて、小売価格から逆算して従量税と従価税との区別をしておるわけです。そして輸入の物につきましては、明らかに蔵出し価格等に匹敵する到着価格プラス関税というふうなことを基準にして税の計算がなされている。これはやむを得ないということで税の公平という点から許されていいことでしょうか。
  48. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) ちょっと先ほどの説明が舌足らずであったのかもしれませんが、従価税適用酒類を国内メーカーがつくられるときには、蔵出し価格による課税ももちろんできるわけです。そちらが有利ならばそちらを選んでおられるはずでございます。一定率適用を選ぶか実際の歳出し価格を選ぶか、それは選択できるわけでございます。それが一点。  それから公平の問題とおっしゃいますのは、小売価格に対する負担率が同じである方がいいという角度からおっしゃいますと、私もそれをあえて否定いたしませんけれども、しかし蔵出し価格を基礎にしている場合にはただいまの制度で公平なんだ、そう申し上げておるわけで、蔵出し価格を基礎にした場合と小売価格を基礎にした場合で先ほど来のお話のように物によって負担率が変わる。それはなぜかというと、流通マージンの大きさで変わる。流通マージンというものは、しかしメーカーの販売政策に大きく左右されて現実の市場で動いているものでございますから、蔵出し価格を基準にする限りは、流通マージンというものを法定の枠の中に押し込んでしまうということはまた必ずしも適当じゃないというふうに私ども考えておるわけでございます。
  49. 丸谷金保

    丸谷金保君 ようやく問題が焦点に触れてきたんです。なぜ国内のメーカーが蔵出し価格よりも小売標準価格から、先ほど間税部長さんが二六%と言われましたけれども、いま大体控除額は三二%です。三二%なんで、引かれているのが。ですから三二%のマージン率を、というよりも流通経費です、これは。大卸、小卸、小売、それぞれにおけるところの利潤、こういうものがおおむね三二%だろうということで、この分を引いた価格で課税をする。この方が蔵出し価格よりも有利なことが多いのはなぜか、これは原料が高いからなんです。いいですか。原料が商いから三二%の控除でもって従量税でもって課税してもらった方が、原料価格から蔵出し価格を計算していった方が高くなるんですよ。農林省おいでになっておりますね。——いま国内の、山梨を基準にしても結構でございますが、大体ワイン原料用に一番多く使われている甲州、あれが昨年あたりの原料価格としてどれぐらいで取引されておるか御存じでしょうか。
  50. 畑中孝晴

    説明員(畑中孝晴君) ただいま先生が例に挙げられました甲州種の場合ですと、五十二年に二百五円ということでございまして、これは糖度によってもいろいろ違いますので、多少上下が……。そのほか、ワイン用のブドウの場合ですと百五十円前後ぐらいで普通は取引をされておりますが、あとデラウエアとか、そういうワイン用ではない物をワインに転用している物もございますので、そういった物では非常に安い、四十円とか五十円とかいう数字になっております。ワイン専用種の場合には大体百五十円から二百円、こういうふうになっております。
  51. 丸谷金保

    丸谷金保君 甲州をワイン専用種と言うのは間違いですので、これは兼用種でございますので、その点大事な間違いをしないようにしてください。  それでフランス、ドイツ、いわゆるこちらへCIFで三百円前後、いま計算は四百円でしましたけれども、三百円前後で到着する外国におけるいわゆるテーブルワインの原料価格、細かくはこれは出ないでしょうけれど、おおよそどの程度とおつかみになっておりますか。
  52. 畑中孝晴

    説明員(畑中孝晴君) これは農務省の統計といいますか、公式にきちっと統計が出ておりますのはアメリカだけでございまして、アメリカの例で申し上げますと、ワインの品種で大体トン当たり、これ五十二年産でございますが、百五十四ドルということでございますので、キログラムで円価に概算で直しますと三十五円程度になるかと思います。ヨーロッパも大体その程度ではないかというふうに理解をしています。
  53. 丸谷金保

    丸谷金保君 主税局長、原料いま二百五円と言いましたけれども、五十一年度の甲州種の実勢取引は二百三十五円です。このように約八倍から十倍近く高い原料を使っているんです。ですから蔵出しで計算するとべらぼうに高い価格になるんですよ。それでどうしても標準小売価格から控除をしてもらった方が得だという計算しか出てこないんです、日本国内のワインは。ところが外国のはいまおっしゃったように非常に安い。キロ三十円程度の原料でしぼりますと、これはもう七十円程度でもってできるわけです、七十円から百円以内です。国内に持ってきましても、それに運賃、保険、向こうにおけるところの原料というふうなものを持ってきましても、恐らく到着価格というのはもう千五百円、日本のあれと比べますと三百円前後で入ってくるんです。これはもう向こうの経費全部見ているんですよ、CIFというのは。産地の取引価格と保険と運賃と入れてこちらに着いたときの価格ですわね。そうすると、もうそこで原料価格が違うんですから、選択の自由があるのに小売標準価格から逆算した方をみんなが申請するんだと言うのは問題のやっぱりすりかえだと思う。違うんです。にもかかわらずワインの関税下げましたね、関税の方を。これについて農林省は、国内の生産農家を保護するという立場で大蔵省とはどういう詰めしましたか、ちょっと農林省の方から。
  54. 畑中孝晴

    説明員(畑中孝晴君) 私どもとしては、先生おっしゃいましたように国内のワイン原料ブドウをつくっております生産者、そういったものに今回の引き下げが非常に大きな影響があってはならないという、そういう観点に立って大蔵省との問でもいろいろお話し合いをしたわけでございます。  それで、従来から国税庁と私どもの方でワイン原料の安定的な取引というようなことを、ワイナリーあるいは生産者両方を指導してまいっておりますので、今後もこういうようなことを続けることによって国内的に大きな影響が回避できるんではないかというふうに考え、またいろいろな面で制度的な問題もあろうかと思いまして、そういう検討会も大蔵省で中心になっておつくりをいただいているということでございます。
  55. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、ひとつ御質問申し上げますが、非常に原料価格が違う国から入ってくる安いワインに対して、関税を下げたなら、課税の客体のとり方を同じようにするということでなければ税の公平は図れないと思います。しかし、実際にはその程度の酒で従量税、従価税との絡みでいいますと、千五百円程度の酒でもう十倍の税金が違うんです。そしていま主税局長は、それは選択の余地があるのに同じ方法をとらないんだとおっしゃいますけれども、同じ方法とれないんです、原料価格高いから。いいですか、このことを認識しないで選択の余地があるのに同じ方法とらないんだから仕方がないということにはならない。この点をひとつ大臣十分踏まえて、酒税の改正の面についてひとつ御検討をいただきたいと思います。
  56. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 私が申し上げたのは、ちょっと丸谷委員誤解されたように思いますけれども、選択の余地云々ということもさることながら、ただいまの酒税の基本的な組み立てが蔵出し価格を基礎にしており、一定率というものは蔵出し価格を基礎にした課税の簡素化のための一つの便宜に過ぎないというふうに申し上げたわけで、小売価格に対する負担率で対比されますと、それはおっしゃるようにばらつきが出てくる。それを片づけるためには小売課税をしないと片づかない。しかし、小売課税にそう急に移れないので蔵出し課税にとどまらざるを得ない。蔵出し課税としてはいまの制度は公平であると考えておると、そう申し上げたわけです。そこはひとつぜひ私どもの言っておることはそのこととしてお聞き取り願いたいと思います。  蔵出し価格を基礎にしております限り、蔵出し価格の安いものの負担は安くなる、高いものは高くなる、従価税である限りは。そこはいたし方ない。しかしそれをまた国産、外国産を比較する場合には、その間の格差を保護するために関税というものがある。その関税が幾らが妥当であるかということは全体の関税政策の中で別途検討されて決まる、そういう仕組みでございますので、その点だけくどくて恐縮ですが、もう一度申し上げた上でお答えといたしたいと思います。
  57. 丸谷金保

    丸谷金保君 いま主税局長が言われたように、国内のそういうことの絡みを十分考えた上で輸入関税の減税に踏み切ったというふうに理解してよろしゅうございますか。
  58. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 先般成立さしていただきました関税の改正におきまして、御承知のように、輸入の酒類につきまして一二・五%の関税率の引き下げを行ったわけでございます。特定な酒類は除きまして、諸外国に比べましてわが国の関税率が高いというものにつきまして、農林省とも国税庁ともよく話をしまして引き下げを行ったわけであります。  ワインについて申し上げますと、先ほど先生からお話がありましたように、国産のブドウを原料としてつくっておりますのは諸外国に比べて大変割り高になっております。砂糖も若干割り高になっております。そういう翻り高のものを原料としてつくっております国産のブドウ酒が十分引き合うかどうかという点を考慮いたしまして一二・五%引き下げた結果、いまの輸入のワインにつきましての従価換算で税率を見ますと、五五%ぐらいの関税率を張っているという結果になっております。これは五十二年の平均CIF価格で計算しているわけ、でございます。  これに対しまして、先ほどお話しのありました諸外国でブドウは大変安いというところでの関税率をアメリカとECについて申し上げますと、これも従量税になっておりますので、従量換算で申しますと、アメリカは一リッター当たり二十二円、四・三%、それからECが三十九円で七・七%というような関税率でございまして、日本の正五%という関税率はそういうところと比べて非常に高い。その分だけ割り高であるから、原料割り高であるから国内産業を保護するために商い関税率を張ってあるというのが現状でございます。
  59. 丸谷金保

    丸谷金保君 関税を下げても、関税を下げて税の方の課税客体の取り方が同じにできないというふうな中で非常に圧迫が多いというふうなことについて、農林省ともよく相談したと言われるんですが、どうなんですか、農林省はそれでも大丈夫だというふうにオーケー出したんですか。
  60. 畑中孝晴

    説明員(畑中孝晴君) 私どもは、関税を下げるあるいは酒税のかけ方について私ども意見を申し上げるということではございませんけれども、いま申し上げましたように、生産者が原料用のブドウが安心をして取り引きができると、そういう点がやはりきちっとしなければなかなか私どもとしても賛成するわけにいかないわけですけれども、その原料取引の安定というようなことについては、大蔵省といいますか、国税庁がワイナリーを御担当でございますので、十分に相談をして、今後ともそういう取引ができるようにという、私どもとの接点の部分については十分に協議をし相談をしてきたわけでございます。
  61. 丸谷金保

    丸谷金保君 その接点というのはどこなんです。
  62. 畑中孝晴

    説明員(畑中孝晴君) 要するに、私どもの方は原料ブドウの生産農家というものを所管をしている立場でございます。それから大蔵省、国税庁の方はワイナリー、そういうブドウ酒をつくる方を御所管になっておりますので、ですから、その両方で常に安定的な取り引きをやっていかなければいけないわけですので、そこの部分を、言葉は悪いかもしれませんが、私ども国税庁の接点と申し上げたわけでございますが。
  63. 丸谷金保

    丸谷金保君 はっきり言うと、山梨と相談しただけでオーケー出したということなんでしょう。
  64. 畑中孝晴

    説明員(畑中孝晴君) 山梨県が一番大きな、ワインの原料ブドウについては一番大きな産地でございますので、山梨県のことを無視するわけにはまいり出せんけれども、私どもは昨年来いろいろブドウの話をするときには、山梨だけではなくて、ほかの主産県もお集まりをいただいて会議を開いたりしておりますし、また、ことしの問題についても、実は来週主産県にお集まりをいただいていろいろ御相談をする予定でございます。
  65. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、それらの相談の過程の中でこういう話が出てきておるのです。山梨県の農務部長が、知事と大蔵大臣とで原料ブドウのつぶす、特に醸造用の品種をつぶす量に応じて関税の割り当てをすると、そういうことの約束がなされたという話が巷間伝わっております。そうして、このことは日本ワイナリー協会の、日にちは一月ころだと思います、ちょっといま書類を持ってきているんですけれども、ワイナリー協会の第四十四回の理事会で、ワイン原料問題に関する山梨県当局との意見交換についてということで話があったときに、県の農務部長が、甲州やデラその他醸造用品種、いま訂正して兼用種と言いましたけれども、この醸造用品種としてそれらのつぶしている、ブドウ酒の原料としてつぶしているのを醸造用品種の量に応じて割り当てをすることに約束ができたかのごとく、実はこの会合に来て県の農務部長が説明しているんです。これは全国サイドでやらなければならない問題を、一県の農務部長が、いやうちの知事が——大蔵大臣とですよ、そういう事実がございますか、約束したというような。ひとつその点をはっきりしていただきたいと思います。
  66. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) いま御質問の点でございますが、私ども先ほど農林省の方から御答弁もございましたように、ブドウの安定取引という問題について国税庁が関税局あるいは主税局あるいは農林省を交えましていろいろ検討会のようなことを……
  67. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと待って、大臣にぼくは約束した記憶がありますかと聞いているんで、約束があるかないかだけ大臣に聞けばいいんです。
  68. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) その点について……
  69. 丸谷金保

    丸谷金保君 いや、大臣に聞いているんだから。
  70. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) ワインのボトルの方の関税率を引き下げまして、そしてたるの方は据え置いたのは御承知のとおりでございます。そのとき問題になりましたのは、そこを差別いたしましたのは、たるの方のブドウ液は日本のワイナリーの方のやはり原料になる、その点を考慮いたしまして、それで計算いたしましてびんの方の税率を調整いたしたわけでございます。それに関連いたしまして、実はワイナリーの方でなくて山梨の方の農民の方が少し問題になりまして、安定取引をできるだけやるようにというお話はやりましたけれども、割り当てをやるというようなことは一切考えていない、約束はいたしておりません。
  71. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで結構です。そのお約束を大臣がしていないと言うので、実はこの山梨を除く他の県のワインのメーカーは安心すると思います。非常にその点について、これは原料ブドウの規制、要するに何が原料ブドウだと。たとえばいま山梨ではデラとか甲州種も原料ブドウだと言っていますけれども、これは食べる方にも使っておりますので、純粋な意味におけるワインの原料用のブドウということになるとまた全然角度が違ってくるんです。そういう点で、これは全国的な問題でございますので、その点十分御留意をいただきたい。大臣の明快なお言葉をいただいたので、ワインの問題はここら辺でひとつ下げさしていただいて、別な問題に入っていきたいと思います。  清酒のアルコール添加と表示義務の関係についてでございます。一つ表示義務についてですが、これは何も張ってないんですけれども、大蔵省、酒税法で決めておる表示というのはこれだけですね。
  72. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 清酒につきましては酒団法で表示がございまして、酒団法……
  73. 丸谷金保

    丸谷金保君 酒団法でなくて酒税法でと聞いているのです。酒税法でどういうことをしなければならぬということは……。
  74. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 表示の義務につきましてはございません。酒団法におきまして製造者の氏名または名称、製造場の所在地、容器の容量、酒類の種類、品目及び級別、酒類の種類に応じアルコール分及びエキス分等を表示することになっております。
  75. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、実は日本酒に、きょう午前中も業界の方から説明ありましたように、われわれのところは自主的に相当厳しい規制をやっておると。事実日本酒の方が自主規制をきちんとやっております。ほかの業界はまだ悪いのですが、その一番大蔵省で言えば優等生でございますね。その優等生の実は日本酒の表示、アルコール添加書いてあるのです。あるのですけれどもこれは見えないんですよ。こうやると見えるのです。ひとつ大臣以下ここに書いてあるのが読めるかどうか、ちょっと……ほとんどの消費者に聞いても、へえ、そんなもの書いてあるの、アルコールなんか入っているのと言いますよ。  公取は来ておりますね。公取はやっぱり消費者を保護しなければならぬ義務を負っていますね。こういうことを業界が自主規制しているからということで、こういうのでなかったら見えないようたそんな小さな表示しかしない、そういうことをいつまでもほうっておいていいんですか、どうですか。
  76. 土原陽美

    説明員(土原陽美君) 公正取引委長会は景表法というのを運用しておりまして、そこで不当表示を規制しておりまして、特に表示義務を付するということは規定しておりませんけれども、不当表示を予防するという観点から公正競争規約というのを業界につくっていただいて、そこで表示義務をするということをやっております。  清酒の場合には、日本酒造組合中央会が中心となりまして、公正競争規約ではございませんが、その過渡的な措置として自主基準で表示をやっておりまして、いまお話しの原材料表示あるいは製造年月日表示は、その自主基準によりますと八ポイント以上の字でゴシック体で書くということになっております。この八ポイントという文字はほかの食品、特に公正競争規約ができておるもの、あるいはJAS法に基づきまして農林省の方で基準をつくっておるものもございますが、それと大体同じでございまして、そちらの方も八ポイント以上の肉太の文字で書くということになっております。そういうようなことで、そういうところと比べた場合には、いま清酒の自主基準でやっておりますのが特に小さいとは私どもは思っておりません。
  77. 丸谷金保

    丸谷金保君 見えない程度でいいというふうに言うのですが、あなた見えますか、これ。大臣これ全部こうなんですよ。ここにみんなほかの持ってきたんですが、全部この程度なんです。いいと言っているのですから、公取の方は。これなんかでも全部そうなんです。恐らくよっぽど目のいい人でなかったらこれちょっと見えないと思う。こういう形の中で実はいま酒税行政が行われているわけなんです。しかも日本酒なんかのことは三倍増しているときょうも午前中言いましたね。アルコールで三倍にしているなんていうこと国民は知っていますか。しているのだということをもう少し言わなかったら。しかしこれ日本酒だけでないんですよ。ワインなんかでもいろいろそういう問題があります。  そこで、大蔵省にお聞きしたいのですが、諸外国におけるワインにアルコールを添加するのを禁止した法律、それらについての調査がございましたら御説明願いたい。
  78. 福田幸弘

    政府委員(福田幸弘君) 資料が限られておりますので正確かどうか自信がございませんが、とりあえずまとめましたものを申し上げますと、フランスではフランス・ブドウ酒法というものにブドウ酒の定義がございまして、「いかなる飲料も、それが生ぶどうあるいは生ぶどう搾汁を発酵させたもののみからなるものでない限り、ぶどう酒の名の下に、かかる飲料を販売あるいは販売の目的を持って製造、保有、輸送、移出してはならない。」という規定がございます。まあアルコールを添加したものをブドウ酒として販売した場合の罰則、これはちょっと探しましたが見当たりません。しかし、ブドウ酒という名はつけてはいけないと。  それから西ドイツでございますが、ほぼ似ておりまして、西ドイツ・ブドウ酒法というのによりますと、「ぶどう酒とは醸造用ぶどう果を発酵させることによってのみ得られる産物をいう」ということになっています。ただこの場合、アルコール分を上昇させる必要がある場合には、糖分を加えまして、それをアルコール発酵させる方法に限られた場合には、原則としてその方法が認められるということが書いてございます。この場合も、アルコール添加を行った場合も罰則の規定はございません。  イタリアは、資料の入手ができませんでした。  あと、業法その他の周辺の規定が手に入りませんので、先生の方がお詳しいと思うんですが。
  79. 丸谷金保

    丸谷金保君 大体東欧圏でもやっておりません。それから、いまイタリーの資料あるんですが、やっぱり禁止する法律があります。この段階での罰則規定というのは、ちょっと私もきのう探してみたんですが、時間がなかったのでそこまで調べがつきませんでした。  しかし、先年イタリーでワインにアルコールを添加して売ったということで罰則受けた新聞報道がなされたことを、酒に関係する大蔵関係の方は御存じだと思うんです。にせものの、要するにワインにアルコールを添加してふやして売ったということがあって、刑罰なんか、そういうことの新聞をごらんになったことございませんか、五、六年前だと思います。
  80. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 大変不勉強でございますが、どうも済みません。
  81. 丸谷金保

    丸谷金保君 たしか五、六年前に、私はそれはっきり幾つもの新聞に出ていたと思います、国内の。それで、ああイタリーには相当厳しい罰則規定あるんだなと。これアルコールを添加をすることさえも諸外国で許されてないんです。ですから私は、これはどうしてアルコール添加するようになったかということは、昭和十七年米が非常に足りなくなってきたんで、清酒にアルコールを入れてもいいと、こういう緩和規定ができてアルコールを入れることになったのが病みつきでアルコール添加を清酒がするようになったと。午前中にも日本酒の消費が非常に減退しているという話がございました。私はこれやはり自縄自縛で、アルコールの添加というふうなことは一度始めるとだんだんこれは深みにはまるものです。それはなるたけ薄めて売っても同じ値段で売れるなら薄めますよ。そういうことが何となく日本酒が水っぽい、昔と違う、いろんな形で日本酒の売り上げが減るということにも一つ原因としてはあるんではなかろうかと。  そういう点からこの税収見まして、細かくお聞きしたのは、非常に大きく特級酒の税額の伸びを見ております。実際にはしかしいま日本業界、どちらかといいますと、二級酒というのでおいしいの出しても、値段さえ高くしないで大蔵省に申請しなければ、税務署に申請して検定を受けなければ二級酒なら幾らでも売れるんですから、二級酒にしてどんどん売っています。こういう中で果たしてこの税収を五十三年度確保するという御自信が主税局あるんですか。
  82. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 先ほど御説明しました五十三年度の課税数量は、私どもが従来の実績を基礎にしまして、なお酒の種類ごとにメーカーの組合などの意見も十分聞きまして推計いたしておりますので、よほど大きな事情の変化がない限りは、これくらいの課税数量の蔵出しを見込んでもいいんではないかどいうふうに考えているわけでございます。もちろん、今回の増税案を念頭に入れた上での見込み数量でございます。
  83. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生からアルコール添加のお話がございますのですが、くどいようでございますがちょっと説明さしていただきたいと思うのですが、アルコールにつきましては昔から、江戸時代から柱じょうちゅうといいまして、そういうものを醸造方法一つとして入れるという習慣がございます。いまさら釈迦に説法でございますが、確かに明治時代からそういうことでしょうちゅう、あるいはアルコールというものを入れてもいいというふうになってきておりまして、特に昭和十八年の改正によりまして、しょうちゅうのほかアルコールが清酒原料として認められるというふうになってきたわけでございます。  アルコールを入れるのはおかしいというお話でございますが、お言葉を返すようでございますが、アルコールを添加した場合にはやはり酒質が非常に淡麗になるとか、あるいは製造とか貯蔵時におきますアルコール分を高めることができるとか、あるいは細菌汚染から守ることができるといったような、非常にメリットの面もございます。もちろんデメリットの面も全くないわけじゃございません。たとえば純米酒がつくられて特免のある酒というものがアルコール添加のために薄められるというのでしょうか、欠点が出る、香味が薄められるというような問題はあるにいたしましても、アルコールにつきましては非常にいま精製されたアルコールを使っておりまして、清酒づくりに使った場合に必ずしも弊害というよりも、むしろ醸造技術一つの進歩であるというような役割りを果たしておりまして、やはり清酒消費量に対しましてもそれなりの貢献をしているというふうに私どもは考えているわけでございます。
  84. 丸谷金保

    丸谷金保君 その問題また——先に主税局長さん、いまの答弁であれですか、売り上げ心配ないと、税の方は任しておけということでございますね。
  85. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 先ほどの繰り返しになりますが、過去の、実績を基礎にしまして、今回の増税案を念頭に置いた上で、最近の消費状況を見て課税数量推計いたしておりますので、たとえば清酒特級一級はほぼ横ばい、二級は五%減、ビールは三%増、ウイスキー特級一二%増……。
  86. 丸谷金保

    丸谷金保君 日本酒の特級だけでいいです。
  87. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) というふうに見ておりまして、まずまずこれくらのい数量の移出を考えることはそんなに無理ではないというふうに私どもは考えております。
  88. 丸谷金保

    丸谷金保君 いまアルコールの問題について、これはいろいろこれだけ議論していると、それで日が暮れてしまいますので簡単に申し上げます。  アルコールをいまの段階で全部禁止するということは大変むずかしいとしても、公取さんひとつ聞いておいてください。消費者保護という立場から、これは酒団法でいうところの規制、そのポイントよりも大きな字使うことはだめだといってないのですよね。なぜ天眼鏡でなければ見えないような小さな字しか書かないかと。これはいま部長さんの言っていることとは逆なんですよ。いいですか。アルコールを入れることが、いまおたくが言われるようにそれほどいいことで、おいしくなるし質もよくなるというなら、でっかくこれはアルコール入れたおいしい酒ですといって、みんな書くはずです。  それからもう一つそういう点でいくと、いまの酒税法で大変不可解なのは、あとここにはどんな表示してもいいのですね、レッテルに。酒団法なり何なりで、よく果実酒とか、あるいは清酒とかということを法的なことを入れておけば、あとは何をやってもいいんですよ。いいですか。いまここを消してきましたけれども、これは酒税法ではここに清酒と書いてあるのです。清酒一級です。いいですか、清酒一級なんです。裏の方に今度これはちゃんと見えるように書いてあるのです。私でも見えるんですから。これはね、こうなんですよ。「当社の特殊技術によって、これまでの清酒とは全く異なったもの」ですというのですよ。清酒と異なったもの。そしてここにはワインと書いてあるのです。米でつくったワインなんです。ところが、日本の酒の関係の法律ではそういうことがだめだという規制何にもないんです。ビールと書いてもいいんですね。——ビールはだめか、ビールというあれがあるから。日本酒、清酒と書いておいて清酒でないといううたい文句なんですよ。こんなこと一体許されますか。ちょっとこれひとつ見ておいてください。
  89. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生からおしかりのお言葉でございますが、アルコール添加の問題につきましては、これは公正秩序を維持する、あるいは消費者の消費生活に資するということによりまして、公正競争規約を締結し表示するか、また任意に表示するところであると考えられるわけでございますが、原材料につきましては五十年四月から御案内のように表示してございますが、醸造用のアルコールというのは確かに先ほど公取の方からお話がありましたように、八ポイント以上のゴシック体で表示されているというふうになっておりますが、酒団法上で表示されているのは、先ほど申し上げましたように清酒であるという表示、それから特級一級といったような表示を必要としておるわけでございますが、それ以外につきましては任意の表示ということになるわけでございます。  ただ、醸造用アルコールとかあるいは醸造用糖類とかあるいは米こうじといったような表示につきましては、清酒の中央会が公取の御指導、私ども意見も入れまして自主基準として表示しておるわけでございます。  それから、先ほどおっしゃいました恐らくライスワイン等のことだろうと思うんでございますが、最近ブドウ酒酵母を使いましてライスワインというものをつくっておりますが、これはあくまでも清酒でございまして、酒税法上の分類から申し上げますと、これは清酒という分類に属するものでございます。したがいまして、恐らく清酒という表示があるだろうと思うんでございますが……。
  90. 丸谷金保

    丸谷金保君 ええ、小さくあるんですよ。
  91. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 別に違法なことはないと思っておる次第でございます。
  92. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはいまの確かに法律で違法でないということで、こういう法律でいいですかということを私は聞いているんです。どうなんでしょうか。
  93. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 法律で悪いという点につきましては、清酒の範疇に属するものを清酒というふうに書いている分には差し支えないのではないかというように実は思うわけでございますが、それから、酒団法上必要な事項を表示しておれば、後は任意にやられる分については、これは自主的な表示ということに相なろうかと思いますんで、特に私どもで、非常に問題があることであれば別でございますが、商品を少しでも売ろうというようなつもりからつくっておられるものについて、あえてとめるほどの理由もないのではないかと、かように考えているところでございます。
  94. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、大変これは表示の問題では酒の場合に混乱が起きてきても、現行法では違法ではないということになりますね。これワインと書かなくたって、別なことを書いてもいいんです。たとえばこれは全部お米でつくった濁り酒なんですが、この場合でも濁り酒だけれども、これは甘酒と書いてもいいわけですわね。そういうことになりますでしょう、酒税法上は。清酒なんです、これも。
  95. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生御専門でございますんでちょっと答えに窮するわけでございますが、そのワインという言葉は必ずしもブドウ酒からつくられたものだけをワインというふうに私どもは理解していないんでございまして、英和辞典を引いてみましても、ワインという場合に醸造酒とかそういう意味で使われている場合もあろうかと思います。恐らくこの会社はそういう意味で米からつくったワイン、醸造酒という意味でライスワインという言葉を使ったんではないかというふうに、これは全く個人的な意見でございますが、そういうふうに思っている次第でございます。
  96. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと、きょう余り時間もうないようでございますから、そんな論議してもおられないんですが、お酒の関係の方たちがその程度の認識では非常に私困ると思うんですよ。たとえばヨーロッパに行けば——日本では酒と言う場合には代名詞としては日本酒ですね、酒と言います。しかし、本来酒にはビールウイスキーもみんな入りますわね。同じように代名詞としてワインと言う場合あります。これは日本語に訳せば酒ということです。そのことと、いわゆる果実酒としてのワインとは違うんです。日本の税法では果実酒というものは一本の柱を立てているんでしょう、清酒とは別に。そうすると、当然どんな翻訳をしても少なくともワインというのは果実酒というふうな範疇に入るんじゃないですか、どうなんです。
  97. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 私どもは、ちょっと英語の訳語として、ワインというのは通常は確かに先生のおっしゃるとおりブドウ酒というふうに訳されておりますけれども、たとえば日本から輸出されております清酒なんかにジャパニーズワイン、酒というような表現をして輸出しておる酒もございまして、これは英語の内容でございますんで、ちょっとコメントするのもいかがかと思うのでございますが、私どもはライスワインという言葉を使うことについてそれほど抵抗は感じられないように思っておるのでございますが、あるいは間違いがあるならまた御指摘いただきたいと思います。
  98. 丸谷金保

    丸谷金保君 誤解ないように、私はライスワインという言葉を使ってけしからぬと言っているんじゃないんです。こういうふうにレッテルに対する統一的な見解が大蔵当局の方にないんじゃないかと、日本酒に甘酒って書いたっていいわけですからね。そういう点はやはり一般世間の常識として使われている言葉をきちんと使えるようなことにしていかないと、実はいろんな混乱が起こってくるんでないかという点について御注意申し上げておきます。  それから、今度はウイスキーの問題でございますけれどもウイスキーやブランデーの混和率、これについていま日本では特級が二三%ですか、以下それぞれの基準がございます。これは外国に比べると非常にそういう点ではこれも規定が厳しくないんです。したがいまして、少なくとも原酒の混和率を五〇%程度に上げていかないと、国際的な面でも大変日本のそうした酒に対する不信感を持たれるんじゃないかということが一つ。  それから、今度は逆にワインと違って、ウイスキー、ブランデー等のボトルの輸入関税、これはまたどういうわけでこういうふうに高いんです。勘ぐれば、国内のウイスキー産業を保護するためというふうにしか思えないんですよ、ワインとは逆に。いかがなんです、これ。
  99. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 最初に、ウイスキーの原酒の混和率の問題でございますが、現在、級別制度というのはたしか昭和十八年以来できていると思いますが、特級一級、二級というふうに御案内のとおり分かれておりまして、これにはウイスキー原酒を混和するということになっておりまして、現行酒税法におきましては、ウイスキー特級については二三%以上原酒を入れる、それから一級につきましては一三%以上、二級については特に基準がございませんが、国税庁の運用基準におきまして品質が余り悪いものではない、原酒が一滴も入ってないようなものでは困るということで七%以上ということに一応なっているわけでございます。  級別制度、こういうものによって級別が本当に品質を表現しているかどうかということでございますが、ウイスキーにおきましては清酒と違いまして、やはり原酒の混和割合というのは品質と非常に高い相関関係を持つ因子ではないかというような観点から、原酒の混和率というものをもって品質のよさ、級別の上下ということを決めておるわけでございます。  ところで、級別制度にかかわりまして、原酒の混和率をもっと上げたらどうかというような御意見でございますが、こういうような原酒の混和率がここまできたということにはいろいろ過去に歴史がございます。詳しく申し上げるのは失礼でございますので省略さしていただきますが、全体の原酒混和率を五〇%以上にするということになりますと、現在の現行制度をもとにいたしますと、ウイスキー一級とか二級の存在を否定するということにもなりますし、現行の基準によりますと全部特級というようなことに相なろうかと思うわけでございます。こういうことによりまして、やはり直ちにこういうものをやりますとウイスキー消費の実態から見てもなかなか一挙にやることはむずかしい。それから企業経営という面から見ましても、一挙に五〇%以上はウイスキーは持つべきだ、原液の混和率を含むべきだというようなことについてはやはり困難ではないかというふうに思うわけでございます。  ただ、一言ちょっと申し添えさしていただきますと、国産各社とも品質の向上というのは相当の努力を払っております。特に特級の原酒混和率というものは相当高い、二三%と書いてございますけれども、実際にはもう一〇〇%近い原酒の混和率ということになっておりまして、かなりの高い水準の原酒の混和率になっていることを申し添えたいと思うのでございます。私どもといたしましても、現在業界と折衝いたしまして少しでもウイスキーの原酒の混和率を高めるようにということで協議しておる次第でございます。この点ひとつ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  100. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 輸入のウイスキーボトルの関税が高過ぎるのじゃないかという御指摘でございますが、ことしの三月からの改正も含めまして、三十六年の六月に五百五十円一リッター当たりのものを三百四十三円というようにだんだん下げてまいってきております。まあ下げてきておりまするが、アメリカの一リッター当たり三十円とか、ECの百十円から見まするとまだまだ商いというのが現状でございます。これは当然国内の産業をある程度の関税率でもって保護していかなきゃならないという現状に着目いたしまして、現在はこういうように高い税率を張っているわけでございます。  しかし、高い税率を張っているから外国からどんどん入ってこないんじゃないかという点につきましては、御承知のように五十二年の移出実績を見ますると、五年前の四十七年と比較しましてウイスキー特級は国産は二・八倍伸びておりますが、輸入のウイスキーは五・五倍伸びているという現状でございまして、国産の方は余り強過ぎて輸入が入ってこないのではないかということはないと思っております。
  101. 丸谷金保

    丸谷金保君 この問題、非常にいろいろな重要な問題を含んでいると思いますが、一応そういう御答弁で、消費は伸びている。ただ一番大事なことは、いま言葉の端にも出るんですが、なぜ国内の保護をしなきゃならぬか。それじゃ実際に原料つくって非常に原料の度合いの大きいワイン、これはもう一キログラムの原料から七百二十ccしかとれないんですよ。ところが、日本酒にしてもビールにしても原料そのものよりも水をうんと入れますでしょう。原料の持っている一本の酒に対する価格というものはずいぶん違うんです。原料をたくさん使う産業、それはやっぱり農民がそれだけプラスになる産業なんです、原料をたくさん使うのですから。それの方は関税引き下げていまのような不平等な税制で、一方ウイスキー類、これらについては希釈されて、一体農民がどれだけプラスになっているかということははかれないでしょう。あるいは極端に言うと原料も全部輸入しているかもしれぬですね。そういうところは保護しなきゃならないから関税を下げられないというのは一体どういうわけなんですか。
  102. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) さきの関税の前倒しにおきましては、御承知のようにワインのボトルも下げましたし、ウイスキーのバルク及びボトルも一二・五%下げております。先ほど、ウイスキーはまだ国内の産業をある程度保護していかなければならないと申し上げましたのは、御承知のように、わずかではありますが国産の麦芽も使っております。  それからもう一つ、御承知のように輸入のたるの原酒を使って国内で生産しているという実態がございます。輸入のウイスキーのモルトにつきましては、御案内のようにいま四百十三円一リッター当たりの関税がかかっておりますので、それだけの高いものを使っていくという実態にかんがみまして、ウイスキー税率ボトルに張っていかなきゃならないというのが実態でございます。
  103. 丸谷金保

    丸谷金保君 最後に、大臣ひとつお願いしますが、いまの酒税法というのは、われわれはできるだけ安い酒を、おいしいものを国民に飲んでもらう、こういう立場で、特に国内の酒の産業全体を高めていかなきゃならぬ。しかしいまの酒税法の立て方というのは、あくまでどうして税金をとるかということが基準でございます。これは国家財政でもちろんそういうことになろうかと思いますが、その谷間を酒税行政の中でできるだけ埋めていただかなきやならぬ。特に酒税法というのは、徴税する役所が即指導もするというきわめて珍しい形の、というふうに大蔵省の出している本に書いてあるんです。珍しい形の法律なんだと。  とすれば、いまのずっと一連の答弁のようなことでなくて、もっと積極的においしい酒飲ませるためにモルトももっとふやしていくべきだし、あるいはまた酒税も輸入の酒税をそういう安くするんなら、国内の産業を保護するという立場で国産ワインの税金というのも、いまでも少ないじゃないかというけれども、これは原料が高いんですから、原価の計算をして利益率を見れば、ほかの酒類から比べると非常にマージン率の低い、そういうことと、それから表示の法律、きわめて不完全な拡大鏡で見なきゃ見えないようなことで、それでいいんだ、しかもそれでも日本酒なんていうのは、まだそれでもいい方なんです、やっているから。ワインなんかもっとはっきりアルコール添加したのをきちっとつけさせる、そういうことを前向きに一つ一つ解決していくということをお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。御見解をひとつ……。
  104. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) 一般的に申しまして、この酒類は致酔飲料であり嗜好品であり、同時にまた、現在もまた昔からも財政物資であるわけでございます。したがいまして、相当の負担を求めざるを得ないのでございますが、同時にまた、それだけに各種の酒類がやはり弊害を生ずることなく、広く国民に愛されて健康的に飲まれるということ、そのためには品質のいいものをできるだけ安くつくっていただくということはもとより望むところであるわけでございます。そういう意味で私たち努力いたしておるつもりでございますが、丸谷先生は特別の専門家のようでございますので、ただいまお話のありました点も十分踏まえまして今後とも検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  105. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は、最初ちょっと例の源泉徴収票の偽造の問題、このことを伺って、それから酒の質問に入りたいと思います。  東京国税局、これは——じゃあ、最初にお酒の方から入りましょう。  中央酒類審議会で、「清酒業界に対する当面の対応について」ということで五十一年十二月一日付で発表されておりますが、その報告書の中で、ずっとこれ読んでまいりまして、一つは、「今後の方向としては、自由競争を基本路線としつつ、経済合理主義に耐え得るよう、業界及び企業の体質強化を図っていく必要があり、行政もかかる方向を指向すべきであると考えられる。」と、こういうようにございまして、業界に対する今後の行政の方向を示している、示唆しておりますけれども、この点から、最初に業界に対する行政のあり方、これについてどういうような見解を持っているのか、その辺からまず聞きたいと思うんです。
  106. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 清酒製造業につきましては、先生御存じのように需要がなかなか伸び悩んでいる。それから伝統産業であるがゆえに非常に零細型性があるということ。それからコストの上昇圧力が非常に大きい、お米代を中心といたしましていろんな上昇圧力があるというような、こういうような点からいきまして、やはり低成長下におきましても好況を持続しております他のお酒屋さんといいますか、ウイスキーとかビールとかに比べますと、その経営状況がやや低調であるということも事実でございます。  しかし、私どもといたしましても、民族の酒ということで、やはり国産のお米を使ってやっておる日本酒につきましては、何とかこれを保護育成していかなきゃいけないという見地に立ちまして、たとえば昭和三十九年八月から中小企業近代化計画も発足さしております。  第二に、四十五年から四十八年にかけまして、清酒業の安定法による転廃給付金事業も実施しております。それからまた、同法によります信用保証事業も軌道に乗せまして、お米の代金を中心といたしまして何とか信用保証事業を円滑にする必要があるという見地に立ちまして、そういうような行政もやってます。それから、原料米に関する助成につきましても、ここら辺のところも毎年のようにやっておるわけでございまして、五十二年におきましても二百億円以上の助成を受けておるわけでございます。  その他、やはり過度にわたります乱売、そういったもののないように市場の安定にも力を用いる。あるいは今回の増税におきましても、他の種類の税率はかなり上がった中におきまして、清酒税率の改正については引き上げの幅を極力抑制するというような見地に立って実施しております。  さらに、五十二年度から発足いたしました構造改善計画の円滑な実施を支援するために補助金等の予算措置、それから清酒業の安定法の改正によります構造改善給付事業を実施するといったようなことを、本国会にも御提案申し上げておるわけでございまして、こういう点から申し上げましで、ビールとかウイスキーといったような清酒以外の酒類とは違った特別の措置をいろいろ講じておるわけでございます。清酒製造業の発展のためには、私どもといたしましても今後ともそういう線に沿いましてできるだけの支援を行っていきたいというふうに考えておるわけでございますが、基本的にはやはり清酒製造業におきましても、こういうような施策を生かすための格段の自助努力が必要だということもあわせて申し上げておきたいと思うわけでございます。  以上でございます。
  107. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 大蔵省から提出をしていただきました酒類行政の目的についての資料、それによると六項目の共通事項があります。  その第一点として、酒類業の安定的発展のための施策というのを挙げておりますが、この点と関連して先ほどの審議会の報告書では、「多数の中小企業音が、大手中小の格差拡大の傾向のなかで、今後も存続し得るかどうかという問題がある。たしかに、三千の業者がすべて今後存続すると期待することは困難であり、」云々と、こうなっておりますが、この安定的発展のための施策というのはこういう両点の方から見ると、存続することは困難であるということと両方あわせて考えますと、効果はどういうようにあらわしていくのか、いまもいわゆるスクラップとビルドのようなお話があったんでありますけれども、この法案ができたときもここで審議をいたしたことがあります。しかし、十分な効果が上がっているかどうかも私はどうも疑わしいような気がするので、どういうように、いま言われた安定的発展のための施策というのを、効果的な方法はどうするかということは残ると思うんですね、施策は施策として。それはどうやるのかということをちょっと聞きたいのですが。
  108. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 安定化ということでございますが、清酒製造業を取り巻きます厳しい環境のもとにおきまして、清酒製造業がいかに耐え得るような経営基盤を安定さしていくかということは非常にむずかしい問題だと思います。やはり先生おっしゃったように、大手中小というお話ございますが、やはり経営基盤の安定化を図る武器は、問題といたしまして大手とか中小ということは問わないことはもとよりでございますし、それからまた、現在中小企業近代化促進法によります近代化計画を策定しておるわけでございます。中小企業者を中心といたしまして清酒造造業の近代化を促進しているところでございます。  この場合の近代化と申しますのは、中小企業がこれをめぐります経済事情の変化に対処いたしまして成長発展を図り得るような、個々の中小企業企業内部におきます設備あるいは経営等の近代化ということだけではございませんで、企業間さらには業種間における諸関係も含めまして、全体としての中小企業近代化をいかに図っていくかという問題であろうかと思うわけでございます。
  109. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまの認識からすると、この報告書にあるように、幾つかの企業は倒産するあるいは吸収合併をする、そういうこともやむを得ないという認識の上に立って行政をやれというふうに聞こえるわけですけれども、そういうことですか。
  110. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 中央酒類審議会の中間答中の中には、確かにこのままで三千の業種の方がそのまま存続できるかどうかということについては、一つの疑問の言葉を投げかけておることは事実でございます。しかし、私どもが考えておりますのは、何とかその三千の業種の方が必しずも、皆さんまあ中小の方から大手の方までおられるわけでございますが、それぞれ皆さん一生懸命努力をしておられるわけです。しかしながら、いろんな環境が非常に厳しくなってきております。たくさんの酒の種類の間の競争の中でいかに中小企業性の高い清酒が生き残っていくかというような問題も含めまして、私どもといたしましては、何とかそれを存続できるようにしていきたいというふうに思っているわけでございます。  ただ清酒業の方の中には、やはり家業的な色彩が強くて本当の企業努力をしておられない方もおられます。それから一生懸命やってきたんだけれども、万策尽きてやはり廃業される方もおるわけでございます。そういう方についてはやむを得ないといたしましても、私どもといたしましては、少しでも清酒製造業全体としての発展を行っていくためにはどうしたらいいかという見方に立ってこれからの行政をやっていかなければならぬ、また、現在の行政もそういうような見地に立ってやっておるわけでございまして、決して業者の方を廃業に追い込むというようなつもりでやっていることでは毛頭ございませんことをひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  111. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 同じく酒類行政の目的の中で、個別的事項として、清洲については原料米価格安定ということが載っていますね。現状としては、税制調査会の答申でも指摘されているように市場では競合しなきゃいけない。ウイスキービール等食管法の拘束を受けない原料を材料としている、原料として使用している酒類とは比較にならないほどどうしても原料高になる。したがって、原料米価格安定を行政目的として掲げる以上は、他の酒類との競争が平等に行われるような、そういう競争力を付与する必要があるだろうと思うんですけれども、そういうような原料価格を国際相場で入手できるような道を講じなきゃならないだろうというふうにも思われるし、一体そういう競争力の問題についてはどういうように大蔵省は作業していくつもりですか。
  112. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 他酒類との競争という問題でございますが、一つは、基本的にウイスキービールのような寡占的なあるいは装置産業的な大企業的なそういうような産業と、いま先生がおっしゃっておられますような清酒のような元来古くからございまして、三千の非常に小さな方が中心となった中小企業性の非常に高いそういうようなお酒の業者の集団と、幾つかの集団に分かれるわけでございます。そういうことでございまして、私どもの対応といたしましても、こういうものをどうやって持っていくかということは、実は非常に苦慮しているわけでございます。しかし、他酒類との競争という点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、何とか国際的な競争力をつけるというような意味におきまして、輸出の振興についても図っておりますが、さらに基本的には原料米の問題がございます。原料米価格安定が酒類行政の一つの大きな柱であるというようなことで、原料米の大部分は現在御案内のように自主流通米に依存しておるわけでございますが、生産者米価が毎年上がっておるわけでございます。  こういうような原料米価格の安定につきましては、午前中参考人の方からいろいろ意見の表明があったわけでございますが、私どもといたしましても、その点は当面する重要な課題であるというふうに考えておるわけでございまして、何とかこの原料米価格安定を図るという点につきまして、自主流通米に対する助成もお願いすると、一部につきましては政府管理米の払い下げにつきまして、その実現にまた努力するというような方向でいままで努力してきたわけでございまして、五十二年度におきましても約二百四十億円程度の業界メリットが実現しているわけでございます。  そのほか、御提案申し上げておりますような信用保証事業あるいは近代化事業といったようなものを通じまして、何とか業界の体質を少しでも改善できるようにということで、私どものサイドにおきましてできるだけのベストを尽くしているというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  113. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 まあ、いまの原料米についていろいろ配慮をしたいということですから、これは実現をしていただきたいと思うんですね。  それから、いまの御答弁でもわかりますように、ほかに例を見ない製造業ですしね、それだけにまた手法も全く違った手法でつくられている。こういう点から、日本人のわれわれにとれば民族的な財産のようなものだろうと思います。まあ最近は消費者の方の要求もいろいろ変わってきています。そういうニーズが多様化していくにつれて手づくりの酒であるとか、あるいは地酒に対する新たな評価とか、こういうことがいまうたわれております、確かにそのとおりです。そういうようになってくれば、いま片方は大企業だけれどもという話がありましたけれども、比較的小規模の伝統を持ったところの企業しか対応できないような世の中にもなるんじゃないかという感じがする、これは全面的じゃないと思いますね。そういうような要求を拡大するような傾向にあるんではないかと考えられるんです。そういう意味からも、近代化というものを否定するわけじゃないけれども、一方でそういう要求があるとすればこれに対応するにはどうするかということも考えなきゃならない。一体そういう傾向はどういう傾向にあるのかということが一つと——消費者のニーズの傾向ですね。それから、その対応の仕方はどう考えていらっしゃるかという点をお聞きしたいと思います。
  114. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) その近代化という問題でございますが、私ども業界の方でつくりました、五十一年度を初年度といたします第三次近代化計画というものがございます。この中におきまして、各種の新規な事業を行っておるわけでございますが、この第三次近代化事業の中におきましては、五十六年度を近代化の目標といたしまして、製品の品質あるいは原価あるいは供給の見通しというものを三つの柱といたしまして、その近代化の目標を達成するために必要な事項というようなことで、一つは新商品及び新技術開発といったような知識集約化に関する事項を中心に進めております。  内容的に申し上げますと、ちょっとくどいようで恐縮でございますが、新商品、新技術開発ということが一つございます。それから流通システム等の開発研究という問題がございます。それから経営者の方々あるいは従業員方々がなかなかそういうような対応がいままで下手だったわけでございまして、経営管理能力とか販売能力の向上を図るために人材の養成事業ということもやっております。さらには設備の近代化に関する事項ということで、その経営規模の適正化に関する事項を一つ取り上げております。これは広域卸売型の企業あるいは狭域卸売型の企業あるいは直売型の企業、おけ売り型企業というふうに幾つかの分類に分けまして、こういうものについて共同事業を行っていく、共同組合を設立していく、業務提携による共同事業を行っていくというようなことによりまして経営規模の適正化に努める。共同びん詰めあるいは共同銘柄あるいは共同販売、共同配送といったような問題もこの一環でございます。  さらには、需要開発に関する事項といたしまして、販売業界とも協調して積極的に清酒需要開発を行っていくということがございます。さらには、取引関係の改善に関する事項ということで、取引関係を何とか改善していくというようなことも考えておるわけでございますが、まあその他近代化の目標を達成するためには、集約化事業とかあるいはコンサルティング活動といったような問題もございますが、そのほかに、少しでも地酒を振興していこうと、手づくりのお酒をつくっていこうというような、やはりナショナルブランドというものだけが清酒ではない、全国的に見て隠れたお酒屋さんが、小さなお酒屋さんであっても一生懸命技術をみがいていいお酒をつくっていこうというような動きがございます。  こういうような地酒の振興というものにつきましても、国といたしましてできるだけの援助をするということで、実際に中小のメーカーからの御要望があれば鑑定宮室の方も出かけて指導を行う、あるいは東京の辛口酒とかあるいは丹沢誉と、特定の名前を言って恐縮でございますが、そういうようないわば小さいメーカーの方々が集まって一つの銘柄でやっていこうというような動きに対して私たちもできるだけの御援助をすると、あるいは県産酒のお酒祭りといったようなものも通じまして、地酒を、何とかその地区地区の独特のお酒を少しでも育てていくという見地に立ちまして大いに努力しているわけでございます。今後ともこういうような方向で私どもが実施することによって、全体としてのやはり清酒業の安定的な発展あるいは特色のある地域的な還元ということもできていくのではないかと、かように考えておる次第でございます。
  115. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これも資料いただいたので見ていきまして、私ちょっと感じたのでぜひお伺いしたいと思うんですけれども、西ドイツではワインは非課税になっていますね。
  116. 福田幸弘

    政府委員(福田幸弘君) 西ドイツでは非課税でございます。
  117. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は各国のずっと見ていまして思ったんですけれども、自国産の特産品というものについては、税が少ないなりあるいは非課税にするという方法を考えるのは本当だろうという感じがするんです。その点は今後の税の体系として酒税の中でどういうふうに考えていくか、これは本当に伺いたいと思っているんですが。
  118. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 衆議院大蔵委員会でも同様の御趣旨の御質問が出ておりました。一つの考え方であろうと思いますけれども、やはり長年の歴史をしょっておりまして、各種類ごとに一生懸命企業努力をしながらほかの種類との競争をまたやっておられるわけでございまして、一気に競争条件を大きく変えてしまうというような大胆な措置はなかなか取りにくい。しかし、清酒に関しましては原料米の特殊事情も考えまして今回税率の上げ幅に特別の調整をし、また二級酒を据え置くというようなことで御提案しておりますし、十年ぐらいのオーダーでごらんいただきますと、ウイスキービールなどに比べまして清酒負担率が漸次低下をしてきております。なかなか一挙に全部切りかえるというわけには現実問題としてまいりませんけれども、先ほど来御指摘の原料米に対する配慮、あるいはメーカーが特に中小企業が多いということに対する配慮などに合わせまして、今後とも改正の機会にはおっしゃったような角度からの吟味もひとつ必要な要素になろうかというふうに感じておることをお答えいたしたいと思います。
  119. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 じゃここで、ちょっとまた別の話に移ります。  先ほどの直税についての問題でありますが、東京国税局は源泉徴収票を偽造して税金の払い戻しを受けようとした不正申告者を警視庁に告発した、こういうふうに新聞に出ておるんですけれども、これについて事情はどうなんでございましょうか、ちょっと説明していただきたい。
  120. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 先生ただいま御指摘のように、ことしの確定申告におきまして東京国税局管内におきまして非常に不審な還付申告書が出てまいったわけでございます。税務署でいろいろ調べました結果、これは不正の疑いがきわめて濃厚であるということで、ことしの二月二十四日でございますが、警視庁の方へ告発をいたしたわけでございます。昨日警視庁から発表があったようでございますが、まだこの本人の名前等は、本当の名前かどうかということはわかっておりませんが、いずれにいたしましても、数多くの税務署に対しまして五百件ばかりの不正の還付申告書を出している、その総額は約四億円と、こういう事実を把握しております。
  121. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 新聞によれば、実在しない会社名の源泉徴収票を偽造して、そして架空の氏名、所得を記入して各税務署へ送ったというのですね、何カ所ぐらいの税務署へ送ったんですか。
  122. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 東京局管内の五十一の税務署でございます。
  123. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いままでにこういうのと同じような事件があったですか、やり口も今回のは大分おかしくて銀行振込というようなやり方のようですけれども、いかがですか。
  124. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 最近数年におきましては、こういう不正還付の申告があることはございますが、たとえば昨年、一昨年あたりを見てみますと、事件数にいたしまして年に一、二件程度である、その金額も比較的少額である、こういうふうになっておりますが、十年ほど前にやはりこういったような不正申告の大きいのがございまして、四十二年でございますが、その当時も二件こういった大きな事件がございまして警察に逮捕された。またその後昭和四十五年でございますが、このときも二件ばかり不正の事件が警察に逮捕された、こういった事実はございます。
  125. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 同一人物が五百件以上のにせの申告をする、そして金額が四億円という御答弁から承りますと異常な大がかりなものです。たまたまこれは発見できた。しかし、そうでなかったら発見できなかったということも十分考えられるわけですね。その辺は、タイプで打ってあったとか何とか特殊なことがあったようなふうに伝わっているのですけれども、不審な還付申告書だからつかまったので、不審でないようなふうにやってやられたらさっぱりわからなかったのかどうかですね、その辺はどうなんでしょうか。
  126. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 最近は税務署に対する還付申告書の数が非常にふえております。たとえばことしの確定申告でございますが、三百五十万件を超えたのではないかと、こういうふうに思われます。したがって、その数は非常に膨大でございますから、しかも税務署では納税者に対するサービスといたしましてなるべく早く還付をする、早期還付ということを奨励いたしております。しかし、まあそれが一つの政策でございますけれども、先ほどから御指摘のあったような不正還付、これは数としてはきわめてまれであると思いますが、そういうのをうっかり見逃しては大変であるということで、特に還付申告書の中でも新規のもの、また金額が比較的大きいもの、こういったものにつきましては特に重点を置きまして窓口においてよくチェックをする。場合によっては記載されている住所が本当のものであるかどうか、あるいは源泉に書かれてある事実が正しいかどうかといったようなことをチェックするように指導をいたしております。
  127. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 この新規なものというのは、例のコードナンバーがわれわれのはついていますけれども、そういうものがないというようなものは全部やるということですか。
  128. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 毎年税務署に申告を出しておられるような方はそういった不正をやる場合が少ないと思われるわけでございます。したがって、税務署にチェックされていないで、今回初めて申告を出されたというふうな方につきましては特に念を入れて審査をするように、こういう趣旨でございます。
  129. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 源泉徴収による税金のいまの還付の申告書、その郵送による分についてのチェック、これはどういうふうにやってきたのか。申告者が本人であるかどうかとか、あるいはどういう人であるかとか、源泉徴収を確認するとか、そういったようなことはどういうふうにしていままで行われてきたんですか。
  130. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 最近は税務署に数多くの方が申告をなさいますが、直接税務署に来られて申告書をお出しになる方もございますが、しかし、郵送によって申告書を提出される方が多いわけでございます。したがって、税務署といたしましては還付申告書が出てまいりました際に、税務署へ来られてお出しになった方あるいは郵送された方、そういうことは区別いたしませんで、いろいろ内部的に審査をいたしまして不審のあるものについては、場合によってはいろいろその名前が本当であるかどうか、たとえば住民登録等を調べるというふうなこともいたしておるわけでございます。
  131. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまのこの事件の原因について、先ほどのように三百五十万件ですか、還付の申告書があるということで事務量が非常に大きい、激増している、よくわかります、その件は。しかし、それによるチェックの甘さということも考えられるけれども、申告者あるいはその代理人が全く税務署員と接触をしないでお金が受け取れる仕組みですよ、これはね。そういう仕組みに問題があるんじゃないかというふうにも考えられるんですけれども、その点はどうですかね。何かうまい方法ないものですか。
  132. 水口昭

    政府委員(水口昭君) これはやはり納税者の便宜を考えての制度でございまして、たとえば、申告をする場合にすべて漏れなく税務署に来ていただきたいということは納税者にとっても御不便であろうかと思いますし、またお返しする場合も、現在は郵便局を通じてお返しする場合と銀行を通じてお返しする場合とございますが、いずれも多数の納税者の便宜を考えてのことでございますので、ごくまれな不正者のためにそれを全部不便なふうに改めるということはいかがであろうかというふうに考えております。
  133. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いま受け取るときの場合だけが何か振込みたいな話ですが、そうじゃなくて、これは払うときだって取られているんですからね、実際的には。これは納税者の便宜というより税務署の便宜を考えているみたいなものもあるんですよ。  この事件は非常に悪質だと私は思ったんですけれども、これを二度と繰り返してはならないわけですが、だからといって善良な申告者の方に迷惑がいっては困ると。どういうふうにこれ二度と起こさないための対策を考えているのか、その検討はどういま立てようとしているか、ちょっと聞かせていただきたいんですが。
  134. 水口昭

    政府委員(水口昭君) やはり還付申告書が出てまいりました際に、それを審査するのは税務署における所得税部門の職員でございますが、長年手なれた仕事でもございますので、内部審査をいたしまして、先ほど申しましたように新規のものあるいは比校内還付全額の大きいもの、そういうものを中心にいたしましてチェックをするわけでございます。  そこで、これは少し怪しいなと思われたものにつきましては、添付されている源泉徴収票、そういったものの関係を調べたり、あるいは、まあそういった不正なことをされる方はえてして名前が仮名である、住所も架空のものである、こういうものが多うございますから、住民登録とかそういったことで果たしてそこに住所があるのかどうかというふうなことも場合によっては調べると、いろんなチェックの方法をしておるわけでございます。
  135. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 この事件について、何か内部的な通達等やられたんでしょうか。
  136. 水口昭

    政府委員(水口昭君) ことしのこの不正還付は非常に四億というふうな巨額でございますので、そういう事実のあることを国税庁としても一々にキャッチをいたしまして、各国税局に対しても間違いのないよう注意するように指導をいたしております。
  137. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 その件はこれで終わりますから、結構です。こういうことはぜひ二度と起こさないように——起こさないようにと言っても犯罪者がいるわけですからね、今回は未然に防止できたのでよかったと思いますけれども、鋭意この点は今後とも注意をしていただきたいと思います。  次は、またお酒に戻りたいと思いますが、昭和四十五年この場所でも審議をしましたけれども清酒製造業の安定に関する特別措置法が制定されて、当時の自主流通米制度の発足に伴った清酒製造業者転廃業者への給付制度がつくられた。私は政府から出す金が少ないということでこのとき反対をしたんですけれども、いまだに覚えておりますが、その当時の国税庁転廃業者の見込み、それが大きく狂っております。大きく狂っておった事実がありましたけれども、今回の改正案による昭和五十六年十一月までの転廃業者の見込みはどの程度と見ているのか、これから伺いたい。
  138. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) お答えいたします。  今回の安定法の改正につきましては、転廃業者が四百社、それから合併によりまして免許が消滅するもの百社といたしまして、計五百社が清酒製造業を廃止するものとして一応見込んでございます。これはあくまでも積算上の数値でございまして、まあ、これがすぐにできるかどうかというようなことはまた別個の問題でございます。  それから実績との相違でございますが、前回の場合に当初見込んでおりましたのは、六百三十社を見込んでおりましたのでございますが、実際には給付金の受給社二百二十一社というふうに狂っております。これはいろんな事情がございますが、転廃給付金の支給方法も違いまして、後になるほど金額が小さくなってくるといったような問題がございまして、初年度に比べましてだんだん転廃をされる方が少なくなってきたというような問題もございますし、私どもといたしましても決して強制したりしているものでございませんものですから、自発的におやめになる方ということが前提でございますので、こういうような数値の相違になったものではないかというふうに考えておる次第でございます。
  139. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 ですから、六百三十社の予定でいたのが二百二十一社だと。あのときには、とにかく転廃業を急がなきゃならないということで一番最初のときに多く出そうというお話になっていたと。ところが、実際はその効果も少なく、見込みの三分の一ですわね。今回はこれで今度は五百社です。五百社ですけれども、五百社実際できるかどうかということになると、三分の一というと百四、五十社しかいかないじゃないかということになります。いまこの四百社、合併百社、合計して五百社という見込み、これについての根拠は、もうこれは積算の基礎でございますという程度で終わっちゃっているんですけれども、こういう見通しを立てた根拠は何ですか、本当は。ただ、前回六百だったから今回五百にしようぐらいなものなんですか。
  140. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) この見込みでございますが、私どもといたしましては、転廃給付金はどのぐらい出せるだろうかというものも一応比べたわけでございますが、給付金の一件当たりの支給金額につきまして、四十五年から四十八年度の転廃給付金平均支給額に物価上昇率を乗じまして算出したものが一キロリットル当たり五万円ということになるのでございますが、これに対しまして、近年におきます実勢を加味いたしますと、基準といたしまして、原規制数量一キロリットル三万円、移出数量一キロリットル二万円というような計算でもってまいりまして、それを年度別に割り振ってみますと、転廃業者が四百社、それから合併によるものは百社というふうに見込まれたわけでございます。  その年度別の転廃業者の数につきましては、五十三年につきましては日六十社、五十四年については百二十社、五十五年は八十社、五十六年は四十社ということで、これは四十の等差級数ということで一応計画を立てておるわけでございます。別にこれが、この計画どおり転廃が行われるということを前提としておりませんし、またあくまでも、中央会がつくっております近代化計画の中にも転廃給付金というものがあるわけでございますが、この中央会の行っております近代化に基づく計画におきましては、お見舞金として百万、最近においては二百万に増額したわけでございます。これでは非常に少ない数にならざるを符ないということでございまして、最近におきます実勢も加味いたしまして、今度御提案申し上げております安定法の中におきましては、転廃給付金につきましては最高二千万円と、平均で七百万円支給するということを前提といたしますと、この程度の数は出るのではないかというようなことを一応積算してみたわけでございます。
  141. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 先ほどの答弁でもあったんですけれども、ごく一つの特殊の銘柄等についてはいろいろ考えたいというのがあったんですが、業界近代化とか合理化という大きいネットをかけますと、どうしても一部の有力なメーカーだけが伸びてくると、年間醸造ができるようなところが伸びてくるとか、いろいろなことが出てくるわけですから、そういう支配力は強まるけれども、逆に零細中小メーカーの方の存在が苦しくなる、そういうことが考えられるわけですけれども、その点はいかがでございますか。
  142. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 清酒製造業者の格差という問題だろうと思うのでございますが、清酒につきましては、確かに自由化というようなことを前提といたしますと、やはり清酒製造業の中にも灘、伏見のような大手企業から地方の零細企業に至るまでたくさんの企業格差があることも事実でございます。しかし、この企業格差につきましては、中小企業近代化計画によりまして、中小企業の育成によりまして可能な限り格差解消策をやろうということで現在やっておるわけでございます。こういうような面からいきましても、一つの適正花事業ということもやっておるわけでございますが、格差の縮小というのは実際問題としてなかなか、自由競争というものを前提といたしまして行っております以上はなかなかむずかしいという情勢にございますことは御存じのとおりでございますが、先般来申し上げておりますような、たとえば中小企業につきましては地酒の振興といったようなことも図りますし、あるいは従業員人材養成とかというような、いわば近代化のためのいろんな施策を講ずるということによって、その企業規模に合いました活躍の場を開拓していくということによりまして、中小企業中小企業なりの今後の発展を図っていけるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  143. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 実際製造の過程からいけば、近代化といったって、現実問題あれよりほかの醸造方法が何か出てくるかということは、そんな簡単にいくわけじゃないと思いますね。そんな、また新しく発見されることはまずないだろうと。いわゆる技術革新というようなことは急激にはできない、せいぜい年間醸造をやるぐらいのところですけれども、これだって小さいところではできないだろうということが考えられますね。そういうことになると、いま言われたような地酒の振興とか従業員の問題とか、こういったことが近代化であるというふうになっていっちゃうんですけれども、何かそれじゃ本当のパンチの力はないですね。中小のところはそれだけじゃどうしようもないだろうというふうに考えざるを得ない。その点は、そういうことで近代化、合理化ということを言うのか、あるいは販売面まで含めてやっていくのか、いわゆる自分のところでは売れますけれどもほかへ売れませんからね、いま。そういう小売の方の免許までずっと含めてやらせるというルートを考えるのか、そういう新しい展開はどうなんですか、考えてないんですか。
  144. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生御指摘の点、まことにごもっともでございます。確かに地酒の振興だけじゃだめじゃないかとかいうようなお話でございますが、先般来るる申し上げておりますようないろいろな振興策——これは大手に対する振興策もございますし、中小に対する振興策もまたあろうかと思うのでございますが、こういうようなさまざまな振興策が総合的にやはり効果を持ちまして、清酒業全体のやはり振興が図られていく、その中におきます中小企業としての清酒業というものをまた安定していくのではないかというふうに私どもは考えております。  それから販売面の問題でございますが、第三次近代化計画におきましては業種関連型の近代化計画ということでございまして、従来第一次近代化及び第二次近代化がややもすれば生産面だけ、製造者面だけに偏り過ぎていたというような一つの反省がございます。この反省の上に立ちまして、第三次の近代化計画と申しますのは製造面だけでなくて流通面、販売業者の方と関連いたしました一つ近代化計画をやっていこうというような見地に立ちましてやっておるわけでございます。あわせまして、私ども現在中央酒類審議会に諮問しておりますのは、流通業界というものを今後どう持っていったらいいだろうかというような問題も諮問しておるわけでございますが、これも一つの一環でございまして、そういう清酒だけではございませんけれども、メーカーというものと販売業の方々とが一体となって、一体どういうふうにして清酒製造業近代化を図っていったらいいだろうかと、かような点に立ちましていろいろ検討しているわけでございます。
  145. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そういうことになるとリベートの問題等があるしということで、実際言うと流通業界云々というより、私が聞いているのは直売りのそういう流通というのは考えられないのかということですよ。そうでなければいままでと同じように必ずなるんじゃないですか。リベートがついていて、安くしなければならないということになってくるんじゃないかという感じがするんですが、その点どうですか。
  146. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生御指摘のように、清酒製造業いろいろな形態があろうかと思います。卸売業といいますか、卸売タイプの形、しかもそれが広域にわたる卸売タイプの形、これはいわゆる大手メーカーでございます。それから狭域的な卸売メーカーの型、それからおけ売り型のメーカーの形、さらには直売型のメーカーの形というふうな幾つかの分数があるわけでございますが、経営条件その他を見ますと、おっしゃるようにおけ売りというのは比較的どちらかと言えば余りよくないということが言えるわけでございます。この中におきまして、やはり中小のメーカーがどうやって空き残っていくかということでございますが、一つ方法としては、確かに先生のおっしゃるように直売型の形で全き残っていくということが一つの確かに考え方としてあり得ると思います。現実に企業規模の問題でなくて、小さな規模の方でも直売型によりましてかなり特色のあるお酒をつくり、また特色のある販売方法をとりますことによりまして、相当の収益を上げているという企業もあることも付言さしていただきたいと思うわけでございます。
  147. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 じゃあ、いまのはそういうのもあると思うということで、そういう方向も近代化の中に入るんですね。
  148. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 近代化内容といたしましてはいろいろな方法があると思いますが、そういう形による近代化方法一つあろうかと思います。
  149. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 次に、日本酒造組合中央会の信用保証事業で保証金額は五十年度、五十一年度に四十九年度に比べてぐっと増加していますけれども、件数については四十九年度とほぼ横ばいになっております。四十九年度件数と五十一年度の件数とほとんど余り変わらないような感じなんですけれども、その理由はどういうわけですか、金額は伸びているんですね。
  150. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) ちょっと手もとに資料がございませんので大変申しわけございませんが、四十九年度におきましては保証件数は二千百五十一件でございます。五十一年におきましては二千二百八十八件でありまして、大して変わっておりません。それに対しまして貸付実行額でございますが、四十九年度は三百九十五億円、それから五十一年度は六百七十六億円というふうになっております。これがどういうふうにしてこういうふうに増加したんだろうかというようなことでございますが、五十年度に信州保証基金が増額されまして、またさらに信用保証金の保証倍率がアップされましたものですから、こういうような事情によりまして保証極度額が従来の四百二十億円という金額から七百二十億円に増額されたことが大きな理由ではないかと思うわけでございます。  それから次でございますが、保証極度額を増額いたしましたのは、保証にかかります資金が酒造資金というふうに定められているわけでございますが、やはり酒造資金は、米代とか人件費といったようなものが毎年上昇しております。酒造資金の融通の円滑化を図るためには、やはり酒造資金の増高に比例しまして保証極度額を増額させる必要がある、こういうような事情から恐らく上がったであろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  151. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 四十五年度から四十九年度までは限度額は四百二十億円と動かなかったわけですね。それが五十年に七百二十億、五十一年九百億、まあ今度は五十三年から一千四十四億というふうになるわけですが、そういうことから保証の件数は変わらないけれども実績が上がってきた、そういうふうに言えると思いますが、限度額が五年間も据え置きだったのがここのところへ来てどんどん毎年のように上がっていく。上がるのは結構でありますけれども、実際に実績が五十年、五十一年と見ていると、保証実績の金額の方は一割増、保証の限度額の方は二〇%か三〇%まで上がっていますね。こういうので、五十三年あたりになったら保証実績は一体どのぐらいになるだろうというふうな見込みをお持ちでございますか。
  152. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) ちょっと、先生の御質問は保証限度額でございますか。
  153. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いや保証実績をどのぐらいに見ているか。
  154. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 保証実績、見込みでございますね。ちょっとわかりませんので、後ほど調べましてお答えいたします。
  155. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 先ほどおけ買いの話があったんでありますけれども、こういうおけ買いの、おけ取引の実態、清酒全体の製造量のうちどのぐらいがおけ売りに回っているんでしょうか。
  156. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) ちょっと記憶違いがあるといけないと思いますが、おけ売り企業が場数で約七割、数量で約四割というふうに記憶しております。
  157. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 大手の酒造メーカーの中で、おけ買いの比率は一体どの程度になっておりますか。
  158. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 大手十社を見ますと、おけ買い数量が六五・四%、上位十二社で比較いたしますと六六・三%という数字になっております。
  159. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは銘柄を言うと差しさわりがあると思うので申しませんけれども、あるところは蔵出しに占めるおけ買いの比率が七七・六%、あるいは第二位が七三・九%、第三位が六七・二%、こういうようになっておりますが、十二位までのを見ていきますと、一番大きいのがあるメーカーの八一%蔵出しに占めるおけ買いの比率というのがあります。また七〇%を超えているのがそのほかにあと二つもある。こういう例から見ると、これは昭和五十年度の蔵出し量の多い順でちょっといま申し上げてみたんですけれども、蔵出し量の多い順で十二番目のが全蔵出し量の八一%までがおけ買いの酒で、自製酒はわずか一九%という状況でございますけれども、そのために味は落ちたけれども、またしかし売り上げが伸びたと、こういう皮肉な現象になっている。こういう実態については、今後どういうようにお考えになっていきますか。ある会社の酒は灘であるけれども、そのうちの八一%のいわゆるおけ買いをしたものは埼玉でつくられている酒だなんという灘の銘酒があるわけですね。埼玉の銘酒と言った方がよっぽどいいぐらいの感じなんですけれども、こういう点ではいかがお考えですか。
  160. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生御指摘のように、確かに大手の場合にはおけ買いというのはかなり多いことは事実でございます。しかしながら、おけ買いというのは非常に長い間の商習慣でございまして、古くからございます。いわば小さいメーカーの方たち一つの意味で救済している面もございまして、必ずしもおけ買いが悪いということは私どもは言えないのではないかというふうに思っております。  それと、おけ買いにつきましては自製酒と同じような品質のものをなるべくつくる、おけ買いはおけ買いなりに品質がやはり重要でございまして、自分のところのお酒についてクレームがついたらいけないわけでございまして、やはり自製酒と同じような品質のものを何とかしておけ買いするというような方向にございます。したがいまして、おけ取引の都度、やはり品質をチェックするとか、あるいは技術者を途中で指導に派遣いたしまして管理する。それからおけ買いの事前取引契約を行います前に、どういうような品質のおけの酒を買うかというようなところまで厳重にチェックしておけ買いしているというのが事実でございます。したがいまして、おけ買いしたお酒が必ずしも悪いということは決して言えないのでございまして、あくまでもいまのおけ買いメーカーは、それぞれの御自分のところのお酒にマッチした品質のものをつくらせ、かつ、それを引き取ってブレンドして売っているというのが実情でございまして、この点ひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  161. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 生一本というのがありますね、お酒の中に。生一本というのは、一体どういうことが生一本と言うのでしょうか。
  162. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 最近までよく生一本という言葉が使われておりましたが、その生一本というのは、中央会が先ほど来申し上げております自主基準というものに基づきまして、本醸造とはこういうものだ、あるいは生一本はこういうものだということをそれぞれ決めまして表示をしているわけでございますが、生一本と申しますのは、米及び米こうじのみを原料とし、自醸酒、おけ買いをしないお酒でございます、自分のところでつくったお酒であって、かつ原酒であるものに限るというふうに一応なっております。したがいまして、現在こういうような自主基準に従いまして、これ以外の品質のものについては生一本という表示はしていないというのが現実でございます。
  163. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そうすると、いまのおけ買いで大手がやっていて、生一本で出すことはできないということですね。それははっきりしているんですね。
  164. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) ですから、いま申し上げたような基準に従いましてつくっているものについては、生一本という名前で売っておるものは実際ございます。しかし一ころに比べますと、非常にそういう意味で少なくなってきたということも事実でございます。
  165. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 しかし、そういう生一本のレッテルを張るのが減ってきたといっても、伏見とか灘とかの大きい超大手の銘柄、そういう大手でつくっているところの特級一級のレッテルは、これは変わりませんね。そうすると、いわばおけ買いした酒、そういうのが超特級というふうなことで出てくる。買う方にとってはそんなふうに思ってないけれども、売る方は完全にそういうものを混和して出て——出るのかどうか知りませんが、おけ買いして出てくるわけですから、これは消費者ははっきり言えばごまかされている、そのごまかされているのを承知でお買いになっているんでしょうと言うけれども、これはどこどこでつくったところの灘の何でございますというのは入ってないわけですよ。どこどこのおけを買ってそしてやったんだという表示がないんですからね。灘と書いてあるところは灘で醸造されたものだと思うと実際はほかで醸造されているということになりかねないし、また実際そうなっているわけでしょう。日本じゅうから一つのところに集まっていくということになっているんですから、いま言われたように醸造方法等を同じような、自家製と同じようなふうにやらせるようにしてという、自醸酒と同じようにということで条件をつけてやるわけですけれども、しかし必ずしも同じ品物ができるわけじゃありませんね。そういう点でこれは消費者に対する私はごまかしじゃないかという感じがするんです。この点ひとつ、せっかく公取も来ていることですから、時間が最後ですので公取からも伺っておきたいと思うんです。
  166. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 買い酒をしているお酒がインチキではないかというような御質問でございますが、お酒のうち清酒だけを取り上げて云々されるのは非常に私どもも残念な気持ちはするわけでございますが、現在でも、たとえばよそのものをどこどこのお茶と売っておるとか、たとえば浜名湖のウナギを江戸前のウナギと言って売っているとか、いろんなものがございまして、お酒だけが特にこういうような表現を使われるというのは、清酒メーカーのためにも少し弁護をさしていただきたいと思うわけでございますが、おけ買い一につきましては、確かに表示がないという問題がございます。しかし、先ほど来くどくど申し上げておりますように、メーカーの方がやはりおけ売りメーカーに対して品質まで非常に厳密な指示をしまして、また検査もして、自分のところのある特定の銘柄に合うようなお酒をつくらせて、それをブレンドして売っている。またブレンドすることによってお酒が必ずしも悪くなるわけじゃございません。ブレンドすることによって微妙なやはりお酒の変化というものが出てきまして、いいお酒ができる場合もあるわけでございます。さらにはまた、級別という問題を通じまして必ずおけ売りメーカーの、ちょっと私は記憶でございますので、あるいは間違いましたら後で訂正さしていただきますが、六割以上の方がやはりおけ売りするときに級別審査を受けまして、一級とか特級という審査を受けまして、それでそういう品質のものをおけ買いメーカーに出すということをしておりますので、決して先生お話しのようにインチキ物であるというような表現は、私は適当ではないのではないかというふうに思うわけでございます。
  167. 関根芳郎

    説明員(関根芳郎君) ただいま先生の御指摘になりました清酒表示の問題につきまして、現在業界の方で基準というものをつくるということで、公正取引委員会の方では景品表示法に基づく公正競争規約ということに関連しまして指導を行っておりますので、消費者の方がそういう表示でいろいろ適正な備品の選択が妨げられるということのないように、その指導を通じて十分配慮してまいりたいと考えております。
  168. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先ほどちょっと答弁漏れがございましたので追加させていただきますが、五十三年度における信用保証の関係でございますが、極度額が千四十億円、それから平均保証残高で五百二十億円という数字でございます。
  169. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 ちょっと、一つは品質の問題で、ちゃんとおけで売るときに特級一級というふうにやっているからというけれども、これはもう毎回質問しているのですが、特級は品質が優良である、一級は品質が佳良である、二級は特級一級に該当しないもの、そんなあいまいなのは初めてなんです。だからそういうことで、そのときのきき酒をする人のあれいかんによってもすっかり変わってしまうだろうということが考えられるわけですから、こういう点はもう少し実際は純米清酒とか本醸造とか三倍増とかとかありますから、そういうことははっきりとしておいた方がいいんじゃないかということです。これが一つの質問です。  いま一つは、先ほど私は表示の問題ちょっと申し上げましたけれども清酒については成分の表示がかなり詳しい、製造年月日もはっきりしている。ビールはようやく製造年月が入るようになりましたけれどもいまだかつて何%がアルコール分であるとか度数の表示もなければ何もない。ギネスあたりは入っていますけれども、あと見たことがありません。成分についての表示もない。またそのほかのウイスキー類についてはどうか、こういう点全部考えていきますと、清酒だけがばかに厳しいような感じがするのですよね。これは全面的に改めるべきじゃないですか。この二点をお伺いして終わりたいと思います、きょうのところはこれで。
  170. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 級別の問題でございますが、確かに級別は税負担の多寡を決めるための一つの制度でございますが、あくまでもそれは品質の良否ということによって行っておるわけでございまして、この級別というのはやはり酒類審議会では熟練した多数の専門官によって厳密な官能審査に基づいて行っておるわけでございます。その結果、さっきおっしゃったような品質上の欠陥がなく香味色沢が優良なものが特級酒、それから佳良なものが一級酒というふうになるわけでございますが、最近の酒類の動向需要調査によりましても、清酒の級別表示というものは品質の一つの目安になるというのが一般消費者の一つの御意見でございます。  それから、先ほど先生から御質問のございましたいろいろな特色のあるお酒、たとえば純米酒というようなことについてはもっときめの細かい配慮をしたらいいじゃないかというような御意見でございますが、まことにごもっとものことでございまして、現実には官能ということによって清酒の品質は決めておるわけでございますが、実際の運用といたしましては、その純米酒の場合には純米酒あるいは赤いお酒とかいろいろございますが、それぞれの表示をさせることによりまして、官能審査のときにそれを参考にさしていただいているという意味におきまして、特色のあるお酒であるがゆえに二級酒になるとかあるいは不利な扱いを受けるというようなことは絶対ないわけでございます。  最後に表示の問題でございますが、確かに先生のおっしゃるとおり、清酒に比べたら別のものが緩いじゃないかというようなお話でございます。先ほど来公取の方からもいろいろお話がございましたわけでございますが、私どもといたしましても、公正取委員会の方にはなるべく早い機会に、そういうものについてできる限りの方法によりましてアンバランスを解消していただくようにということでお願いしているわけでございます。なお、各業界につきましても、そういうような方向に従ってやるようにということで指導もしておるわけでございますが、どういうような表示をするかということにつきましては、やはりお酒の種類によって違うかと思います。そこら辺のところにつきましては、公正取引委費会の方で御答弁いただいた方が適当ではないかと思う次第でございます。
  171. 関根芳郎

    説明員(関根芳郎君) 表示の点につきましては、先ほども御答弁したわけでございますけれども、現在業界指導いたしまして、十分品質なりあるいは内容について需要軒が誤認なり何かを生じないようにということで、業界表示の基準なんかを統一した形で公正競争規約ということで指導してまいっておりますので、この辺の指導を十分適切に行っていきたいというふうに考えております。
  172. 渡辺武

    渡辺武君 私は、清酒原料の問題について若干伺いたいと思います。  まず最初に伺いたいことは、酒造業界の製品ですね、清酒特級、それからビールウイスキー特級、この辺で製造費のうちに占める原料費の割合ですね、これをちょっとおっしゃっていただきたい。
  173. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 清酒原料は御承知のようにお米でございますが、原価の問題につきましてはひとつお許しをいただきたいと思うんでございますが、清酒ビールにつきましては全体としての原料消費量、原料価格といったようなものもある程度は把握できますし、製品価格もかなりはっきりしているということでございますので、こういうものをベースにいたしまして当庁の方で推計した数字がございますが、これによりますと、清酒の場合には製造者の税抜き移出価格に対し約三五%、末端小売価格に対して一七%。ビールの場合につきましては製造者の税抜き移出価格に対して約二〇%、末端小売価格に対して七%というふうになっております。あくまでも、ただし、これは平均的なものでございまして、製造者とかあるいは級別あるいは銘柄別ということによりましてそれぞれ差があるということはひとつお含みおきいただきたいと思います。  ウイスキーにつきましては、その原料としてモルトウイスキーとかあるいはグレンウイスキー、グレンスピリット、原料用アルコールといったようなさまざまなものがございますし、またさまざまな割合で使用されておりますんで、その価格もまちまちでございます。加えまして、製品価格も銘柄が非常に多いために推定が非常にむずかしいという問題がございますが、仮に二千二百円物につきましてモルトウイスキーの原酒を仮に五〇%、国産と輸入のものを二五%ずつというふうに仮定いたしまして、それからグレンウイスキー原酒を五〇%というような仮定で仮に計算してみますと、製造者の移出格価に対して二四%、末端小売価格に対して九%程度、かようなことになろうかと思うわけでございます。
  174. 渡辺武

    渡辺武君 どうも伺っている数字がばかに低いですね。私ども調べましたところによりますと、製造費のうち原料の占める割合ですね、清酒特級の場合ですと八二・九%が原料費と、そのうちの米は七四%という数字になっております。それからビールはいろんな種類がありますが、これをほぼ一緒にして平均してみますと二七・四%が原料費と、そのうち麦芽代は一八・九%。それからウイスキー特級ですとモルトのほかアルコールなども含めて六〇・二%という数字なんですけれども、余り食い違い過ぎますね。
  175. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) その根拠の数字がちょっと私どもわかりませんのですが、先先の御質問、あるいはおっしゃっておられる数字は液体の費用ではないかと思うわけでございます。私どもの申し上げておりますのは液体の費用ではございませんので、その点が食い違いがあるのではないかと思うわけでございます。
  176. 渡辺武

    渡辺武君 佐藤議員が大蔵省に要求しまして、「清酒及びビール製造原価(容器抜き)において原料費の占める割合」ということで資料要求しまして、あなた方からいただいた資料でも、清酒の、市販のお酒ですね、一・八リットル、このうちの約八一%は原料だと、こういうことになっております。それからビールは六百三十三ミリリットル、これで原料は約七四%だと、こういうことになっているんですよ。余り数字が違い過ぎるですな、公式にあなた方から来た答弁ですよ、これは。
  177. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 佐藤先生から御質問ございましてお答え申し上げたものにつきましては、これは容器抜きという御説明でございまして、いわゆる液体の費用でございます。これによりますと、一・八リットル清酒の場合でございますが八一%という数字になります。それからビール六百三十三ミリリットルの場合で約七四%という数字になろうかと思います。
  178. 渡辺武

    渡辺武君 そんな、容器を入れて製造原価、そんなこと常識からしたってわかることでしょう。つまり容器を除いて液体で計算しますと、非常に製造原価の中で原料費の占める比率が高い。特に清酒の場合、ほかに比べても非常に高い。しかも清酒の中で米代ですね。これが圧倒的な比率を占めるということは明らかだと思うんですけれども、それに関連して伺いたいんですが、酒造用の宙主流通米ですね、それからビール用の麦芽と、それからウイスキーに使うモルトと、これがここ五年ばかりの間でどんな値動きを示しているのか、四十四年を一〇〇としての数字で答えていただけば非常にはっきりすると思うんですがね。
  179. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) お答えいたします。  原料代でございますが、四十四年、清酒でございますが、ウルチの自流米三等六十キロで八千六百六十九円でございます。これに対しまして五十二年、これは見込みでございますが一万七千四百円でございます。  それからビールウイスキーの輸入麦芽につきましては、CIFプラス関税額で五万六千四百四十一円という数字が、五十二年におきましては十万七百二十三円という数字になっております。
  180. 渡辺武

    渡辺武君 モルトはどうですか。
  181. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 輸入ウイスキーの原酒、アルコール分を仮に五十度以上ということで一リットルの価格を求めますと、CIF価格と関税と足したものでございますが、四十四年が一千九十七円でございまして、五十二年が八百一円、かような数字になっております。
  182. 渡辺武

    渡辺武君 私も計算してみたんです、あなた方からいただいた資料でね。原料米、四十四年のいまおっしゃった値段と五十二年度のやつを比較してみますと、四十四年を一〇〇として五十二年には二〇一になるんですね。それからウイスキーの場合ですと、四十四年を一〇〇にしまして七三・〇と値段は下がっているんです。それから麦芽の場合ですけれども、大体いまの数字でいきますと四十四年を一〇〇にして五十二年が一八八、八八%の値上がり、こういう計算になるんですね。これは五十二年ですから、その後ことしに入って円の値上がりなども一層急速に進んでおりますから、輸入にかかる分については国内価格で計算すればあるいはもっと下がるという状態もあり得ると思うんです。いずれにしましても、清酒原料——自主流通米が主ですけれども、これの値上がりが最も激しいという実情は明らかだと思うんですね。  それで、午前中に業界の方三名が参考人としてお見えになって、共通して言われましたことは、原料価格が非常に高いと、これが清酒の競争力について大きなマイナス点なんだという趣旨のことを言っておられました。この原料価格の問題だけではなくて、私は清酒業界はいみじくも参考人の方も言われましたけれども中小企業の集団だということを雷っておられましたが、他方でビールそれからウイスキーなどは、これはいわば巨大独占企業が制覇している業界だと言って差し支えないと思うんです。資本力、組織力、宣伝力、格段の相違があるという状況だと思うんですね。もちろん国民の嗜好の変化ということもあろうかと思いますけれども、しかし、最近の清酒業界の非常な窮状というのは、一つにはいま誓った力関係の相違に加えて特別に原料の問題が鋭い問題となっているというふうに見なきゃならぬと思うんです。  それで、政府の方も清酒業界の振興ということをかねがね言っておられるわけですけれども、この原料の問題についてどんなふうな対策をこれから先講じようとするのか、これを伺いたいと思うんです。
  183. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 原料米の問題につきましては、五十一年と五十二年におきまして政府管理米の売却を受けたわけでございます。御承知のとおりだと思います。この政府管理米につきましては、自主流通米に比べまして約二千九百円ほど安いというような状況になっておりまして、こういう数量をやはり増加させるということは、午前中の参考人のお話にもございましたように、清酒業界にとっては原料費の負担の軽減になるという意味では必要であろうかというふうに思うわけでございますが、ただ問題は、清酒需要が比較的伸び悩んでおるということも含めまして、清酒用の原料米の総量というものは限られておるわけでございます。  さらに、これを自主流通米を切りまして政府米を増加させるということは、相対的には先ほど申し上げましたように自主流通米の縮減につながっていくわけでございまして、結局それが自主流通米をつくっております生産農家のメリットの削減につながるということもございます。したがいまして、そういう面から言って政府管理米をどんどんふやすということについてはかなりの制約があるということでございます。これは私どもの方で本山はお答えすべきことではないのかもしれませんが、そういうような制約があることもまた事実でございます。  そういうような、ただ困難、制約があるとしても、産業所管官庁というような立場からいたしまして、今後ともしかし関係当局とは折衝を重ねてまいりたいというふうには考えております。
  184. 渡辺武

    渡辺武君 結局のところ、いままでやってきた原料対策、これから一歩もいまのところは出ようとしないと。これから相談をするということで大いに相談してもらいたいんですけれども、私はこういう事態を放置しておいたら、もういまの清酒業界の窮状はこれは打開は困難だろうと。  時間がないから余り数字について申しませんが、私ども調べたところによりますと、いま清酒メーカー三千余ある中で欠損企業、これの割合を見てみましたら、四十五年度で二一・九%が欠損企業、五十年度になりますとこれが二八・八%にふえている、こういうような深刻な状態なんですね。もうどんどんやめざるを得ない企業が生まれているという状態だと思うんです。しかもそれだけではなくて、午前中にも話が出ておりましたけれども、アメリカで加州米を原料としてヌマノ・サケ・カンパニーという清酒製造会社が年間約一千キロリットルの清酒の生産を始めたという話を聞いております。加州米といいますと自主流通米に比べて三分の一程度の値段だろうと思うんですね。味に問題もあろうかと思いますけれども業界の方のお話を伺いますと、日本から種もみを持っていって、そうして清酒に適したようなお米をつくってそれを原料にしているんだと、こういうことですから、これはもう軽視できない状態だと思うんです。これ以上国内で清酒価格が上がった場合に、あるいはアメリカから清酒日本に逆輸入されるという可能性さえ私はあると思うんですよ。これは台湾や朝鮮でも恐らくその可能性全然ないとは言えない状態だと思うんです。  もうすでに、たとえば繊維産業の中でも奄美大島の大島つむぎなんというのは、もう三百年の伝統的な技術の上に乗かってつくられているいわば伝統的工芸品です。ところが、これがあなた、いま韓国でつくられてどんどん逆輸入されておる。品質の点ではいまのところ多少劣っておりますけれども、しかしどんどん向こうも技術を上げて、そうして品質の面でも日本の本場大島つむぎに十分対抗できるようなものが止まれてきているという実情だと思うんです。私、このままでいったら清酒業界も同じような事態になるんじゃなかろうか、そう思うんです。これはもう大変なことだろうと、清酒業界の存立の基礎が根本から覆されるような事態が生まれてくる可能性があると思うんです。その点なども考え合わせまして、やはりこの原料の問題、これについて大蔵省としてもっと本腰を据えたやはり対策を講ずべきじゃないかと思いますが、重ねて伺いたい。これは大蔵大臣どう思っておられますか。大きな税収源なんですよ。金の卵を産む鳥もどんどんやせていっている。これはそのまま放置するわけにいかぬでしょう。
  185. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) 最近、酒類の種類ごとの消費の消長を見ておりますと、御承知のように清酒の伸びがほかより悪い。私は、一番大きな原因はやはりいまの生活の風習の方ではないかと実は思っておるのでございますが、しかし原料価格がやはり大きく響いていることも多分間違いないであろうと思っておるのでございます。それで、しかし原料の米につきましては、御案内のように生産者価格の問題、あるいはそれと主食との関係がございまして、農林省にも非常に御協力願っておるわけでございまして、その酒造米に対する払い下げあるいはいろんな点での手当てでございますが、年々拡大していただいておるのでございます。ほとんど主食と同様に今日はやっていただいているわけでございます。これは一つは食管制度の一つの枠の問題だなという感じがいたしておるのでございまして、今後とも農林省と十分協議いたしまして、なおこの上にいい知恵が出るかどうか、真剣に検討してまいりたいと思っているところでございます。  いま委員が御心配になりました向こうで製造してくるというのは、ちょっと私にはまだ、なかなかこれは非常に微妙なものでございますから、味が非常にむずかしいものでございますから、それはなかなかむずかしかろうと思うのでございます。私も戦争中に南方におりまして、日本酒をつくろうということで一生懸命いたしたのでございますが、とてもできません。あらゆる技術者を呼びましてあの地でつくってみようというのでやったのでございますが、とうとうできませんでした。まあ味は全くだめでございます。やはりこれは気候風土、そういったものに非常に関係の深い、それから原料米にも非常に深い関係にあるわけでございまして、それであればこそ、先ほどから味に関する問題がいろんな議論が出るわけでございますが、それほど微妙なものだと思っておるのでございます。しかし、御指摘になりました原料米の問題は確かに重要な問題でございますので、今後われわれも一層の勉強をして何とか清酒業界の少しでも助けになるように、かように考えておるわけでございます。
  186. 渡辺武

    渡辺武君 せっかくの大蔵大臣の前向きの御答弁いただきましたので、これ以上突っ込むのはちょっと失礼かなと思いながら、なお重ねて一、二点伺いたいんですが、そのいまの政府管理米の払い下げですね、約六万トンと言われておりますが、低温古米ということでなかなか評判よくないんですよ。特におけ売りの方々は、これはもうすぐに味に関係するということで、おけ売りの人たちは一番この点でしり込みしているという状況で、ぜひ新米にしてほしいという強い要求があるんです。この点はひとつ、いまの業界の窮状をせっかく打開するために打った政策ですから、それが実効あるものにするように一層御努力いただきたい、これが一点。  それからもう一点は、六万トンですね、これだけでなくて、この六万トンが手に入るというそういう条件を基礎にして、なおかつ原料価格が高いんだということを言っているわけですから、その点も十分考慮して、もっと政府払い下げ米をふやすことはできないかということです。この点どうでしょう。
  187. 小野重和

    説明員(小野重和君) 政府米の品質の問題でございますが、私ども酒造用米を考えます場合に、いつも主食用との関係というのを考えざるを得ないいわけでございます。そこで、主食用につきましては、新米と並びまして、古米といいましても低温古米でございますが、これを配給しているということがございます。そういうこともございますので、酒造用の一部につきまして低温古米を供給するということにいたしておるわけでございます。主食用については味は変わらないというふうに私ども見ておりますが、酒については一体どうなのか、品質について不安があるとかという御議論もございます。したがいまして、品質問題を含めまして今後この取り扱いにつきまして検討いたしてまいりたい、かように存じております。  それから、六万トンの枠をもっとふやせないかということでございますが、これは先ほども国税庁の間税部長がお答えいたしておりましたが、主食用とのやはりバランスということと、そういうこともございますが、もう一つ自主流通米がその分だけ減るということで、そうなりますと生産者の手取りがまた減るということがございます。その兼ね合いもまたむずかしい問題がございますわけでございますが、これも今後の検討課題ということにさしていただきたいと思います。
  188. 渡辺武

    渡辺武君 私ども実は素人計算ですから、あるいは専門家の目から見たら数字上疑点があるというようなことがあるかもわからぬ、それはひとつ遠慮なく言っていただきたいんですが、政府保有米、この新米をこれをなお十万トン払い下げをふやしたというふうに仮にしまして計算してみますと、どのくらいの出費になるかというと約五十億円ですね。それで、従来政府自主流通米に対して、約五十万トンについていろいろ助成措置を講じておりますね、その総額が二百十八億円。それから、いま話題になっているその政府米の六万トンの売却、これが約二十九億円の出費と、こういうことになっていますね。ですから、約二百四、五十億円の出資がいまあるわけですが、これにさらに五十万トンの追加支出、三百億月と、こういうことになろうかと思うんですね。  他方で、これは五十一年度の数字しかはっきりしたこと私調べられなかったのですが、清酒業界からの酒税の納税額ですよね、これは二千六百九十億円、約二千七百億円と、こういうことで、かなり大きな税収があるわけです。ですから、国の負担ということから考えてみましても、私は原料価格を安くして、そして清酒販売価格もそれに応じて低くなれば清酒の蔵出し量もふえてくるのじゃないか、税収もそういう面からすれば上がってくるという点もそろばんはじいてみて、さらに五十億円の追加支出というのはそう大きく国の財政の負担にはならないだろうというふうに考えるんです。  同時に、他面から言いますと食管会計で毎年毎年大変な売れ残り米があるわけですね。これ簡単に申しておりますと何ですから、たとえば五十米穀年度と五十一米穀年度と比べますと約百五十万トンの古米の増加になっているわけですね。五十二年度と五十三年度を加えてみますと約七十万トンの古米の増加、そういう予想になるわけです。そうしますと、その分は売れないで管理費もかかるし金利もかかるし、それからまた品質もだんだん低下しますから価格も落ちてくるという損失があるわけですね。ですから、そういう点も十分に考慮してみれば、国の負担という面からすればかなり緩和した形で考えなきゃならぬ。他方で、もし仮に十万トン追加払い下げをやるということになりますと、これは酒造業界にとっては非常に原料価格という点で大きなメリットになってくるのじゃないかと思います。  もう一点申し上げさしていただきますと、確かにいままで清酒業界に売っていた自主流通米が、単純計算すれば十万トン売れなくなるという形にもなろうかと思いますが、他面で原料価格が全体として下がれば、同時にまた自主流通米の購入量というのも私はふえていくという面も無視できないと思うんです。自主流通米のUターン米というのがあって、売れなかったものについて再び食管会計で買い上げるという制度もあるわけで、差し引きずればそう大きなマイナスにはならぬのじゃないかという感じもするわけです。ですから、大蔵大臣その点も十分にひとつ勘案の上、六万トンの枠はさらに広げるという方向で検討していただきたいというふうに思いますが、どうですか。
  189. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) いま渡辺委員が御指摘された点は、全部われわれはしょっちゅうその問題を、毎年毎年それらの問題の相関関係をいま詰めているところでございます。そして年々改善を見ているところでございますが、渡辺委員の御指摘になった問題いずれも相関関係にある問題でございます。先ほど申しましたとおり、今後とも農林御当局と十分相談いたしまして、そしてできるだけ一歩前進したい、このように考えているところでございます。
  190. 渡辺武

    渡辺武君 それに関連しますけれども、添加用アルコールですね、これを使っている清酒がありますね。しかし、漸次たとえば純米清酒などという形で添加用アルコールは減らしていこうという方向で努力している酒造業者がふえてきていることもこれは明らかだと思うんですね。そういう方向を奨励していくならば、いま米余っている余っているというけれども、米の消費の拡大ということにもつながっていくんじゃないかという感じもしまして、だから添加用アルコールを縮減した分について一定の比率で新米を払い下げるというような仕組みはとれないものかどうか、この点はどうでしょうか。
  191. 小野重和

    説明員(小野重和君) 先ほど御説明いたさなかったわけでございますが、いま政府米を私ども売っておりますが、これはいま御指摘のありましたアルコール添加を減らす、米に切りかえる、そのための一種の助成ということで政府米を主食用価格で売っている、こういうことでございます。私どもといたしましては、そういうアルコール添加を減らし米に切りかえるということは米の消費拡大にも当然つながるわけでございまして、そういう意味で、そういう傾向が進むことによって、それにあわせて政府米をさらに売っていくということは、これはそういう方向で検討していくべきものであろうというふうに私ども考えております。
  192. 渡辺武

    渡辺武君 残された時間もわずかですが、おけ売りの問題について若干伺いたいと思います。  私、現実におけ売りで営業を支えている業者にいろいろお話を伺いました。いろんな要求がありましたけれども、その中で特に強調しておりました点は、一つは契約の問題なんです。大体十一月におけ売りの契約をやる。しかし年間契約でその先がどうなるのか、来年はどうなるのかという点についてまことに不確かだという状況なんですね。特に季節労働者を雇わなきゃならぬという場合に、その年は契約できても来年について継続的に契約をしていいものか悪いものか、この辺もまことに不安定だ。結局継続して雇う場合には、自分の計算で大体来年も来てくれよということを頼まざるを得ないというような実情にあるわけですね。したがって、この契約はできるだけ安定的な長期のものにできないだろうかということが強い要望の中の第一点です。  それから、第二点は価格ですね、値決めです。これは慣例的に協議をして当初契約書には書かないことになっているそうであります。ところが、コストが上がっているからおけ価格を上げてくれと言っても、昨年の価格より下回ることはないというような口約束で、いわば親会社の一方的な暫定価格で毎月の取引代金が支払われて、ずうっと後になって本価格で精算をすると、こういうやり方になっているそうであります。ですから、この価格の決め方についても売る方の側のやはり要望ですね、これが十分に買う方に反映できると、そうして協議によって取引価格が成立できるようにしてほしいという強い要望があるんです。この点について大蔵省としてはどんな改善を考えていらっしゃるか伺いたい。
  193. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生御指摘のおけの問題、非常にむずかしい問題でございまして、実際清酒需要が必ずしも伸びない中で、大手中小のおけ売り、おけ買いのメーカーの方がどうやって契約をしていくかという問題でございまして、非常に私どももどういうふうに持っていったらいいかということについて苦慮しているわけでございますが、御案内のように、何とかおけ取引を安定さしていかなくちゃいけないというようなことでございまして、四十八年十一月から生産開始前におけ売り企業とおけ買い企業との間におきまして、その年度において取引する数量とか品質それから価格、取引時期というものについて契約して、事前取引的な注文生産制度というのを導入しているわけでございます。この制度自体がいま現在かなり定着しつつあるわけでございまして、まあ長い間のつき合いでございまして、実際は単年度契約になっているわけでございますが、古いおつき合いでございまして、現実にはかなり継続性を持っているということが現実ではないかと思うわけでございます。  御指摘のとおり、おけ取引を安定させるためにはなるべく、長期契約の方向をとるということは、理論的には確かにそのとおりであろうかと思うんでございますが、しかし実際清酒業界の現状を見ますと、大なり小なりおけ売りに関係している企業というのは全体の七二%ございます。大半がおけ売りであるということでございます。この中では、やはり中にはコストの面で効率の悪い企業がたくさんあることも事実でございます。また、おけ買い企業の中には自製酒を何とか増加したい、自製酒の方がそれは比較的には自分の思いどおりになるという意味におきまして、自製酒を増加さして自製酒割合を高めようというような機運もあることも事実でございます。こういうような中でそういうような長期契約といったような方向をとっていきますと、やはりおけ買いの選別といいますか、おけ買いから見ましたおけ売り企業の選別というような問題にもつながっていくというような問題もあろうかと思うんでございますが、現在のおけ売り、おけ買い、清酒業全体の立場を見ますと、やはり注文生産制度の単年度の契約が、直ちに三年とか五年という長期契約に義務づけていくといったようなことについてはいろいろ問題があろうかというふうに思うわけでございます。やはりそういうことによりまして一つの効果といたしましては、清酒製造業全体の競争条件を一つは悪くしていくという問題につながりかねないという問題もございますし、一方でまた、おけ売りだけに有利な方法ということを行うことについてもおのずから限度があろうかというふうに思うわけでございます。もちろんおけ売りの経営安定のための施策は行っていかなければならないというふうに考えておるわけでございますが、まあくどくどと申し上げましたけれども、こういう問題も踏まえまして、業界ともどもどういうように持っていったらいいかということを長期的に研究していかなければならないというふうに思っておるわけでございます。  それから第二の質問でございますが、おけ価格を安定させるべきじゃないかというような御質問でございます。おけ物取引の価格は現在のところあくまでも自由価格でございまして、おけ物取引というのは業者方々の相互間の取引でございまして、国税庁が基本的にはその価格にどうしなさいということについて介入する根拠には乏しいということが言えるんではないかと思います。そういうこともございまして、国税庁としましては、基本的にはやはり当事者相互間の自由な価格形成にゆだねるべきではないかというふうに考えておるわけでございますが、最近清酒業界におきましておけ物取引の数量はややもすれば、どちらかと言えば横ばい傾向に推移しておるわけでございますが、依然としてウエートは高いという現状にございますし、やはりおけ物取引をどうやって安定していくかということは国税庁業界にとって非常に重要な課題でございます。また、そのおけ物価格清酒の需給関係を反映いたしまして、一般的にどちらかといいますと買い手側に有利なところで形成される傾向も多いということもまた事実でございまして、おけ物取引を全く自由にしておくということ自体についてはまたいろいろ問題があろうかと思うわけでございます。したがいまして、大手のおけ買い業者の方に対しましては、私ども常々長期的な観点に立って合理的な価格で購入してくださいというようなことで、従来から啓蒙的な指導を行っておるわけでございます。  まあこういうような業界の現状からいたしますと、一方でやっぱりおけ物取引、おけ買いということとおけ売り企業という、いわば共存共栄といったような問題もございまして、おけ売り企業があることによっておけ買い企業が発展するという面もございますわけでございまして、やはり適正な価格におきますおけ物、取引というのは、良質な清酒の安定供給という問題を通じましておけ買い企業にも長い目ではいい結果をもたらすというふうに考えておるわけでございます。今後もこういう問題につきましては啓蒙的な指導を重ねてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  194. 渡辺武

    渡辺武君 どうも伺っていて、どこがポイントの御答弁なのかさっぱりよくわからなかったですがね。まあ、いろいろるる現状の御説明はありました。ありましたけれども、おけ売り、おけ買いというものの事の是非は別としまして、現実の問題としてそういう制度があり、そしていわば零細中小のおけ売り業者が、これがその頂点になっておけ買いを支えているような状況にあるわけですね。しかも力関係は違うんですよ、買う方と売る方と。それから比較的大きな会社と小さな会社と、力関係違うんですね。ですから、古きよき慣行なるものも確かにあると思います。否定はできませんけれども、しかし私が当初申しましたようなおけ売りの人たちの切実な要求ということもこれは十分に見ていっていただかなきゃならぬことだと思うんです。  特に、こういうことなんです。おけ売り業者方々の間でお互いに話し合って、そして買う方の会社にいわば共通の要望などを提出できないのかと言ったら、そんなことやったらにらまれてとてもしようがない、こういう話なんです。ですから、どうしても私は行政指導ということで、強く要求している業者がその次には切られてしまって買ってもらえないというような事態のないようにしなきゃならぬというふうに思うんですね。  時間が来ましたので、改めて次回にやりますけれども、そういう点での大蔵省の前向きの姿勢、これが非常に重要だと思うんですが、改めてひとつ大臣、この点は非常に強い要望なんですが、お答えをいただきたいと思います。
  195. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) まあおけ売り、おけ買いの問題は、言ってみますと元請と下請の関係にあるわけでございまして、私たち率直に見ておりまして他の業界よりはかなりうまくいっているんじゃないかと思うわけでございます。これは見方でございます。私の郷里あたりでも、もうおけ売りにしたいからひとつそっちを捜してくれとこう言うんですけれども、なかなかこれが捜しきらぬのでございます。そういうやはり酒というのは非常に個性のあるものでございますから、どこのおけ買いはどこから買うという個性の非常にはっきりしたというところが一番違う点であろうと思うのでございます。それだけにまたおけ買いの方もそう自分勝手なことを、まあほかの業界がやっているというわけじゃございませんけれども、余りひどいことはやれませんし、やってないということは私も見ているわけでございます。ただ自分の自製酒をふやしたいという気持ちは当然あるわけでございます。これは全体の業界の合理化の中でやっぱり解決すべき問題でございまして、さっき言った清酒業界全体の盛衰と深くかかわり合っている問題であろうと思っておるのでございます。したがいまして、私たちもいま渡辺委員のおっしゃった点もわからないことはございませんけれども、その点にも留意しつつ、しかし全体としての清酒業界が伸びるという中でその問題もあわせて解決していきたい、かように念じているところでございます。
  196. 中村利次

    ○中村利次君 今度の酒税の増税案の中で、これを見てみますとビールウイスキー、それに果実酒はこれは増税の率がほぼ同じですね。清酒特級一級、二級、これは税調の答申にもあるわけでありますけれども配慮の跡が見られるわけです。特に二級は増税をしない、あるいはしょうちゅうの甲類、乙類、こういうのが配慮の跡があるわけです。まあ私はこれは決して間違いだとは思わない。いままでの議論もございましたように、税の上で配慮をするのか、あるいは日本酒の場合には非常に原料商であるという意味からすると原料の上で何らかの措置を講ずるのか、いずれが正しいのかはこれは大いに議論のあるところでしょう。  しかし、そういう増税案が出ておるわけでありますけれども、もちろんこれは政府としても角をためて牛を殺すようなお考えは全くないと思うんです。総体的な酒類消費量はかなりこれはふえていると思うんですが、その中でもビールウイスキー、最近の傾向としてはまだまだ率の上で目立ったものにはなっていないにしても、しょうちゅうの消費がこれはひょっとしたらブームを呼ぶんじゃないかと思われるぐらいではないかと思われますが、非常に消費の伸び、酒によって、しょうちゅうの消費の伸びがわかりやすいような、そういう数字のお答えをお願いできませんか。
  197. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 最近におきます種類別のお酒の消費動向でございますが、伸び率——国産のお酒について伸び率を申し上げますと、この四十二年から五十二年の伸び率を申し上げますと、合計で一五〇・九%でございます。清酒が一一八・一%、二級は下がりまして六九・一%、しょうちゅうは全体として九八・一%でございますが、そのうちしょうちゅう乙類は一九一・七%というふうに非常に伸びております。それからビールは一七二・〇%というふうで、これもまた大いに伸びております。果実酒類は一〇五・三%、そのうち果実酒−本格的な果実酒でございますが、これが六一一・六%というふうにかなり伸びております。ウイスキー類につきましては二.五七・九%、そのうちウイスキーでございますが、これが二六〇・六%、スピリッツでございますが二八・一、リキュールが一六五・六、その他が九八・八%。  もう一つ申し上げますと、平均伸び率、年どのぐらいあったかということでございますが、最近十年間について申し上げますと、合計で四・二%でございます。そのうち清酒が一・七%、二級は下がりましてマイナスの三・六でございます。しょうちゅうがマイナスの〇・二、乙類しょうちゅうでございますが六・七%の伸びでございます。ビールが五・六、それから果実酒類が〇・五、そのうち果実酒が一九・九、ウイスキー類が九・九、うちウイスキーが一〇・一、スピリッツが一・七、リキュール類が五・二、その他がマイナスの〇・一、かような数字になっております。
  198. 中村利次

    ○中村利次君 ありがとうございました。これは実によくわかりますよ。果実酒の六一一なんていうのも、これは異常だと思いますが、やっぱりこれはブドウ酒——ワインなんかをかなり飲むようになったんでしょうね。大体国民的に、想像されておりますようにウイスキーの伸びが約二六〇、ビールが一七二、しょうちゅうの乙類一九一、大体まあこれは想像にぴたっとしておると私思うのです。清酒が非常に不振であるというのもそのとおり。これはいままで非常に伸びたウイスキーですが、原料においては四十四年、五十二年の比較で、清酒と比較をしますと三分の一程度の原料高というんですか、条件も非常によかったと思う。ところが、いま騒がれておりますように円高問題等を含めて、輸入の洋酒がかなりこれは市販では安売りをされておりますけれども、この円高による影響というのはどうでしょう、どういうぐあいに想定されますか。
  199. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 輸入洋酒につきましての円高差益はどのぐらいあるかという……
  200. 中村利次

    ○中村利次君 いや、差益ではなくて影響です。国産ウイスキーあるいはその他の酒類に対する影響
  201. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 影響でございますか。数量に対する影響でございますと、五十二年と四十二年のCYでございますが、輸入数量、引き取り数量でございますが、これで見ますと合計で一〇七・五%でございますが……失礼いたしました、数量でいきまして、その伸びが合計で十倍でございます。ビールが五倍でございます。それから果実酒類が十二倍でございます。ウイスキー類が二十四倍、リキュール類が一〇〇ということでございますから全然伸びていない、かような数字になると思います。どうも失礼いたしました。
  202. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 数字に対して的確にお答え願いたいと思います。
  203. 中村利次

    ○中村利次君 そのことも伺って大変足しになります。私が質問をしましたのは、これはやっぱりこれからどう対応するか、対応を誤ってはならない課題だと思いますから、重ねての御答弁はもう結構です。  これはやっぱり、これほど露骨な円筒になりますとかなり輸入洋酒と国産ウイスキーあるいはその他の、これは何もウイスキーだけではありませんね、果実酒なんかでもいまおっしゃるようにかなりの伸び率で輸入されておるわけでありますから、円高影響がやっぱり国産物と輸入物との間にかなりこれは影響が出ると考えなければならない。その場合に、私は当然これは酒税の収入を含めた正しい対応というものを誤ってはならないと思うんです。そういう点については対策を、これはちょっとやっぱり答えにくいですか、いかがですか。
  204. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 先ほど間税部長がお答えしましたのは過去十年の輸入の酒類の伸びであったと思いますが、その間に自由化が進展したとかいろいろな事情がございます。  ただいま中村委員おっしゃいますのは、昨年秋以降の非常に急激なピッチでの円満というものをむしろ念頭においておられたかと思うんでございますが、これは端的に申しまして非常に複雑でございまして、ウイスキーで申しますと、確かに従来どおりのFOBであればCIFが下がる、そこに関税前倒しがかかる、それをべースに従価税がかかる、したがって先方の販売力は強化されるということになります。ところが、国内の小売値段というものが必ずしもそういうCIFプラス関税及び酒税というものに左右されないという非常に特殊な面がございます。ある時期にいわゆるスコッチ、スタンダードスコッチの酒税を下げましたところが、贈答品に使われる量が減ってしまって、むしろ贈答品は国内のかなりいい物の方に移っていったとか、そういう非常に特殊な嗜好品であるという面がございまして、円筒即小売価格の引き下げというふうになかなか素直にまいらない。それがゆえに、実は現状では、どうしてもっと差益還元ができないのかというふうに逆にいろいろ批判が出ておるというような複雑な面がございますのと、それから競争力で申しますと、実はその国産ウイスキー原料の中にかなり輸入のバルクがあって、輸入バルクは輸入のボトルと同じように円高で好影響をもたらしておるというふうに非常に複雑でございます。  ただ、おっしゃいましたその税の方から申しますと、これは業界で苦労しておられる方からはおしかりを受けるかもしれませんが、輸入と国産のシェアが多少動くということで税収に深刻な影響が出てくるという問題では実はないわけでございます。やはり国内産業企業努力とか、国内産業が圧迫されてしまっては困るというような、つまり税収以外の面での問題であろうかと。しかし長い目で見ますと、やはり円高というものは急ピッチで大幅では困りますけれども、基調としては決してとても困ったことというふうには私どもは実は考えていない。むしろ日本経済の力を示すものであるし、また関税率という保護障壁を漸次引き下げるということも、いま日本の置かれた国際的情勢のもとではむしろ積極的に取り組んでいくことではなかろうか。やはりそういう状況を踏まえて、ウイスキーであれワインであれ、外国品と競争しなければならない国内産業はそれなりの企業努力を長期的に積み重ねていただきたいということを希望する立場に私どもはおります。  また、清酒につきましても、実は輸入ウイスキーが強くなり、それとの抵抗上国内ウイスキーが懸命な販売努力をするということになるということは、ウイスキーにとどまらずに清酒の方に食い込まれてくるというふうにつながって京いるわけでございますが、これもやはり先ほどの伸び率でお受け取りいただけますように、基本的には、大臣さっき申し上げました嗜好の変化、食生活の変化というものがかなり大きい。もちろん原料米の特殊性につきましては別途私どもとしてできるだけの努力をいたしたいと思いますが、やはり、これからお酒を飲むということで入ってくる若い人たち清酒を飲んでいただくというための企業側の努力というものもこれはぜひお願いをしたい。やはり若い人はウイスキーを飲むかワインを飲むかで、清酒に余り目が向かないというところをひとつどうやって新しい需要を開拓していくか、そこに業界として最大の努力を傾けていただきたいなと。  私どもがその税率の上げ幅調整とか原料米価格とか、そういう面でできるだけのことはいたすつもりでございますけれども、やはり基本的に長い目で見た需要動向というものから申しますと、私、少なくとも個人的には、若い人に洋風の料理でも日本酒はやはりうまいなというような需要開拓が一番大事なことではなかろうかなというふうに感じておるわけでございます。
  205. 中村利次

    ○中村利次君 確かにおっしゃるとおり、この円高の問題が輸入酒類あるいは国内の酒類、そういう酒税の収入に深刻な影響を与えるということはないと私も思いますし、それから流通を含めて、確かにこれは関税から酒税、輸入先に対するいろいろな価格構成なんというものは非常に複雑だと思います。私は、一面では円高の問題が、企業努力をしなきゃいかぬが、日本ウイスキー業界あるいは果実酒業界なんかにかなりの影響を与えはしないかという心配が一つと、また、これは全くその裏腹に、先ほどの御答弁でお伺いをしましたが、この八年間原料費の値上がりが清酒ウイスキーでは三分の一にすぎない。  ところが、八年間ウイスキー清酒価格がどういう推移をたどっておるかという実績を見ますと、これはやっぱり清酒の方がかなりきつそうだということになるわけですよ。そしてなおかつ、ビールにしてもウイスキーにしても円周差益をかなり受ける側、清酒なんかに比べればかなり受ける側ということになると、まるで裏腹のようですけれども、反面に、ウイスキー特級で約二百円、それから一級で九十二円ですか、これくらいの酒税の増加分というのは現状からして吸収できないものだろうかという、企業努力それから需要の伸び、円周問題等を総合して吸収できないものだろうかという気もするんですね。輸入洋酒に対する一面と、それからまた別の面で清酒なんかに比べてみるとまだまだかなりの努力をして、こういう御時勢だから増税分は一〇〇%吸収できないにしても、幾らかは吸収できるだろうという気がするんですが、そういう指導をされるおつもりがございますか、どうですか。
  206. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 円高によりまして輸入原料とか原酒が下がってきているというお話、確かにございます。これがどの程度の影響があるかということでございますが、ちょっと時間を拝借したいと思うのでございますが、ビールウイスキー業界が輸入しております酒類用の原料は、ビールでは麦芽がございます。それからホップ。ウイスキー用では麦芽、これはピーテッドの麦芽でございますが、トウモロコシとウイスキー原酒がございます。こういうような輸入原料というのはほとんど商社を通じまして、直接製造者が外貨建て、つまり米ドルとか英ポンドという形で輸入しておりますので、円満による為替差益というのは面接ビールなどの製造者に帰属することは事実でございます。しかし実際の輸入価格、CIF価格を通関統計から見ますと、ビール用につきましては、麦芽につきましては五十一年と五十二年の間に一〇一%という数字で若干上がっております。ホップにつきましては一〇六・二%ということでさらに上がっておるわけでございます。ウイスキー用につきましては、麦芽については一〇一・八%、トウモロコシにつきましては八一.四%ということで若干下がっております。ウイスキー原酒については九一・一ということで、先生御指摘のように下がっておるわけでございます。そういうことで、麦芽とホップにつきましてはむしろ若干値上がりになっておるということで、これはFOB価格の値上がりを示しておるわけでございます。一方で、トウモロコシとかウイスキー原酒につきましては逆に値下がりになっておるということでございまして、特にトウモロコシにつきましては円高による値下がりとFOB価格の値下がり、こういうものがあろうかと思うわけでございます。  しかし、全体的に見ましてビール用の原料につきましては、輸入原料価格が上昇しておりますことに加えまして、国産ビールの大麦の価格、これは生産者麦価の算定方式の変更によりまして大幅に上昇しておるわけでございまして、原料面からする製品の価格要因というのはむしろないんではないかというふうに思います。それから一方で、ウイスキー原料についてでございますが、その麦芽の価格は上昇はしておりますけれども、トウモロコシとかウイスキー原酒の輸入価格は逆に価下がりしておると、御指摘のとおりでございますのですが、仮にこれを計算いたしまして、五十二年に通関したウイスキー用の原料の全数量を五十一年のCIFの単価で通関したというふうに仮に仮定いたしまして、五十二年の通関価格との差額を業界のメリット額だというふうに仮定いたしますと、国産麦芽の値上がりを引きますと、十三億円ほどのメリットということになろうかと思うわけでございます。しかし、メリット額を逆に課税移出数星をもとに製品の七百二十ミリリッター一本当たりに試算してみますと、製造原価で約四円、末端の小売価格で五円程度ということになるわけでございます。  以上ちょっとくどくどと御説明申し上げましたんですが、円高メリットというのが若干のものについてはあることはあるわけでございますが、いま申し上げたような観点から申しまして、値下げを指導する、増税と相殺して値下げを指導するほどの額にはなっていないのではないかと、かように考えておるわけでございます。
  207. 中村利次

    ○中村利次君 これは仮にウイスキーについて、私は理屈を言うつもりはありません。しかし原料値下がりをしておると、その上にプラスして円高差益は単純計算でいって二十数%円が高くなっているわけですよね。これはドル建てでしょう。そうなりますと、よくまあ各省庁、たとえば何かを値上げをする場合でも、消費者米価の値上げでも家計に響く影響は丁何%でありますとか、これは数字を正確にお出しになるのは結構ですが、なかなか生活実態はそうはいかないんですよ。また、これは国民感覚から言ってもどうも余り今度の酒税の増税分をカバーできるようなものではございませんというのは、これは数字を示されてもどうもやっぱりまゆつばという感じが私は国民感情だと思いますよ。  ですから、これはたとえば清酒ビールウイスキーと比べてみても、清酒の場合にはそういうメリットは何もないんですよ、これは。確かに二四・二三%と一七・五%という税率の上での幾らかの配慮はある。しかし片方は、農林省お見えになっていますね——どうですか、これは。生産者価格の、生産者米価の値上げはしないというわけにはいかぬでしょう、ことしも。もう先のことは政府は慎重で答弁されないけれども、毎年これはやっているわけですから、だから間違いなく清酒原料というのは値下がりもしないし、値上がりすると私は質問者として断定して一向差し支えないと思う。  それから、為替差益も全くこれは関係ないわけでありますから、それは比較をしますと二四・二と一七・五というのはそんな数字上の比較ではない。ですから、これは清酒税率の引き上げが適正かどうかという議論もありましょうが、そのほかにやっぱり比較して、国民が大体まあ細かい数字はわからなくてもこれくらいはいいのではないかと思うのは、増税に当たってストレートで、ウイスキー特級なら二百円増税するのは当然であるという、そういう指導と、やっぱり値上げは努力で、あるいはいろいろな条件で吸収をしなさい、できるだけ吸収しなさいという、そういう指導とはこれはまるで違うわけですから、それはそういう指導をすべきじゃないですか。
  208. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生のおっしゃるように、確かに若干の円高メリットが種類を異にするに従ってございますことは事実でございます。御承知のように、清酒につきましては原料米とかいろいろな問題がございまして、かなり最近の小売価格が上がっていることもまた事実でございます。逆に相対価格で申し上げますと、ウイスキーとかあるいはビールというものにつきましては、清酒との関係におきましては逆に余り値上がりしていないということも一方ではあるわけでございます。  最近におきます特に円高の差益というものを還元したらどうかという点については、先ほど来申し上げておりますように、それほど大きなメリットではないということをくどくどと申し上げたわけでございますが、価格の設定自体につきましてはあくまでも自由価格でございます。その税額が増税になるにしても、それを吸収して企業が税額相当分を上げないか上げるか、あるいは清酒のようにむしろ上げざるを得ないかというような問題につきましては、商品設計の問題といたしましてやはり企業に任されているわけでございます。私ども幾らにしろというようなことを強制する権限はもちろんございませんわけでございますが、いま申し上げましたような自由価格というのを基本にいたしまして、各企業におきましてもそれぞれのそういう事情も考えて価格を設定していくのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  209. 中村利次

    ○中村利次君 どうもそういうのを失礼だけれども官僚の答弁と言うのですよ。しゃくし定規で、失礼だけれども。これは私は円高差益をどうのこうのというそういう議論をするつもりはありません。それはそういう議論が国会の中でもあるけれども、それが目的ではない。たまたま酒税が増税をされるから、その場合増税率をずっと見てみるとやっぱりいろいろな配慮がある、これは私はもっともだと思いますよ。そしてこれが正しいかどうか、あるいは現在の税額が正しいかどうかにもこれは議論はあるでしょう。しかし、そういう配慮等を含んで、清酒あるいはしょうちゅう、ビール、果実酒、ウイスキーと、こういうように見ていくと、やっぱり現在の情勢の中で増税分をストレートに小売価格に上乗せをしなくてもいいような、努力をすれば何とかなるというようなものを、これは自由経済、自由価格であっても、政府が行政の、国民の生活を預かっていて何でも指導をしているんでしょう。だって、IEAなんかからの勧告を受けたって、灯油は値上げをしなさい、エネルギー対策としてもと言われても、なかなかそうはいかぬでしょう。これは価格に対する命令権だとか、こうしろああしろというんじゃなくて、やっぱりこういうことはできるんじゃないか、こういう努力をしなさいくらいな指導ぐらいなきゃ、国民に対する責任ある立場とは言えないでしょう。自由価格でございますから、これはウイスキー業者が決めればそれでしょうがないんです、そんなものじゃないでしょう。どうですか。
  210. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生おっしゃるように、確かに形式的なお答えで大変申しわけないんでございますが、お酒というのは嗜好品でございますし、増税率がどの程度いくかということを、吸収するのか転嫁するのかというのは、あくまでもやはりその企業の判断に任せられておることではないかと思うのでございます。その場合どういうような、まあ増税額を吸収しますといいますか、要するに転嫁しないで、企業努力によってそれを負担していくか、あるいはそれを転嫁していくかということにつきましては、やはり売れるか売れないか、あるいは自分のところで円筒差益があるからこのぐらいは上げないでおこうかというような、やはり各社の商品設計という問題に帰着するのではないかと思うわけでございます。非常に円周メリットが高ければ、私どもとしてはそういうことも申し上げたいと思うんでございますが、いま申し上げたような事情から見まして、やはりそれにはおのずから限度があるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  211. 中村利次

    ○中村利次君 それは納得できません。大蔵大臣、こういう状態だから円面対策だって政府はいいかげんなものなんですよ。それは私は円高日本の産業界なんというものは大変な打撃を受けている。しかし、主税局長が先ほど言われたように、やっぱり円高を、どう災い変じて——これは災いかどうかは別にして、福となす、福と考えるべき面もあるんですから、それを何か数字いじりで、こうしなさいああしなさいというんじゃなく、国民の生活を預かる政府の姿勢として、やっぱりできるだけそういうものをあらゆる機会に生かしていこう、そういう姿勢を政府はとりますよというのがこれは当然じゃないかと思うんですよ、ところが、いやいやそれは大したメリットはございませんって、それはあなた議論をしてみれば……、そういう議論を私はやりたくない、数字を突き詰めてね。しかし姿勢としてはどうですか、大蔵大臣。
  212. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) われわれは酒類行政を預かっておる者といたしまして、酒類業界がやはり自由活発な自由競争をやりまして、そしてできるだけ経営を合理化し、そのことによりまして消費者にその利益を還元していく、またそれによって伸びていくということは、もう当然であろうと思うのでございます。従来からも、一々指図はいたしませんけれども、基本的にはそういう自由競争の中で、結果的に消費者に不利を与えないように指導しているところでございます。  今度の円高の問題は、先ほど主税局長からちょっとお答えしたと思うのでございますが、たとえばウイスキーなんか、もう逆に向こうのFOB価格を上げてきておるのでございます。この辺が日本人の考え方とかなり違いまして、向こうで為替相場が下がりますと、逆にこれじゃたまらぬというわけでございまして上げております。また、間税部長からちょっとお話がありましたけれども、トウモロコシとかその他については確かに円高のメリットありますけれども、麦芽の方は逆に上がっているというぐあいのことでございまして、全体として見ますと、洋酒その他は円高のメリットというものはそんなには私はないように思っております。  そういう意味で、今度税負担のある種の増加を求めておるわけでございます。これは税の性質としましてはもちろん転嫁されてもやむを得ないということを考えておりますけれども、現在の酒類業界の需給の関係から申しますと、便乗値上げはもちろん抑えていかなくちゃなりませんけれども、私はとても普通の業者はそんな状況にはない。むしろ衆議院でも問題になりましたように、飲み屋さんで上げるとか、そういったところはあるいはよほど抑えていかなくちゃいかぬのでございまして、普通の生産者あるいは販売者、こういったものはとてもそれによりまして便乗値上げなんかできる状況にはないと思っておりますが、先ほど申しましたように、私たちが監督しているわけでございますから、さらに一層自由なる競争を通じまして、いやしくも不当な価格形成がないように今後とも努力してまいりたいと、かように思っているわけでございます。
  213. 中村利次

    ○中村利次君 だんだん私は、もうこんなものでおしまいになるつもりじゃなかったんですよ。何ですかね、大臣、大変に答弁技術としては優秀かもしれませんが、さっぱりわかりませんよ、何をおっしゃっているんだか。憎まれ口をたたくわけじゃありませんよ。それは比較をしまして、この酒税の値上げというものが、いままで本委員会でいろいろ参考人まで呼んで審議をしてみたけれども清酒の場合には、これはやっぱり増税分はダイレクトに値上げにならざるを得ないんじゃないかという、もし増税された場合ね、そういう感じというものはこれは関係者は持つと思いますよ。しかしそうなれば、果たしてこの税制上の配慮がほかと比べてこれでいいのかどうか。あるいはまた関連をして、何も大蔵省だけではなくて農林省の関係でも、それは政府米を一〇%ですか放出をされるんでも、六万トンのやつが四万五千トンしか去年は使っていないというような話ですけれども、これはやっぱり十二月からあれは何というんですか、仕込みというんですか、入るのに、放出決定が非常に遅い、その上に低温古米である。これだって私は税制上どうするか、そういう原料米でどうするかということは相関性がありますから、関連を持たしていろいろ質問もしたがったんですが、時間がすでに、全くこれはつまらないことで時間食っちゃったんです。ですから、いま私が申し上げたようなことをひとつ総合して大蔵省からと農林省からと答弁してくださいよ。これは全く舌足らずで、何か御答弁もむずかしいかもしれませんが、私はやっぱりこの酒税の対象となる種類が清酒ウイスキービール、果実酒、しょうちゅう、こういうものが何というんですか、相当な競争条件のもとに自由競争をやるのは大いに結構、しかしその前提条件が相当でない場合には、場合によっては、皆さんからの意見もございましたけれども日本古来のある意味では芸術品かもしれない清酒がだんだん衰退をするということにもなりかねない。それは無形文化財だとかいろいろな芸術にしろ、いろいろな一本古来のものはそれなりの保護助成もしているでしょう。嗜好品なんかそんなのは対象にならないよと言ったって、たとえば陶器だとか漆器類だとか、ああいうものだってある意味での私はやっぱり趣味の日本伝統のものだと思う。ですからそういうことをいろいろ総合して考えますと、もっと私は突っ込んだ政府の総合的な検討があってしかるべきである、こういうぐあいに思うんです。これからのひとつ対応についてお伺いをして、私の質問を終わります。
  214. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) ただいま中村委員が御質問の中でおっしゃいましたように、異なる種類の中での競争条件を撹乱しないで、しかも一方では国民酒と言われる日本酒メーカーに中小企業が多く、原料米に特殊性があるということも十分に考えながら、異なる種類がフェアな競争条件のもとで競争していけるようにしたいというのが私ども基本的な考え方でございまして、今回の税制面での税率引き上げの調整につきましても、率直に申し上げまして政府案をつくるまでにはずいぶん時間をかけて、それぞれの業界と十分意見を闘わせまして、それぞれの相対的な関係からして、基本的には皆さん増税というのは決して賛成なさらないのですが、増税されるとすればこういう姿ならやむを得ないだろうというところまでは持ってきたつもりでございます。私、きょう報告を受けましたが、きょう来られた参考人の方も、上げ率についての配慮についてはそれなりに感謝するというふうな意見も言っておられたように報告を受けておるわけです。しかし同時に、たびたび当委員会で御指摘を受けております清酒の特殊性というものも私どもも十分に認識しておるつもりでございまして、中小企業が多いという面に即して、構造改善を初めとしまして需要開拓、品質改良その他に国税庁としてできるだけの努力を引き続きやってまいりたい。同時に、原料米対策につきましては、非常に本当は食糧政策、総合的な目で非常にまた別の角度からむずかしい面があるということを重々承知しながら、しかしやはり産業政策の面からの要望はひとつできるだけ食糧庁にも聞いていただいて、局面に応じた妥当な解決を図るように引き続き大いに努力をしてまいりたいというふうに私ども考えております。
  215. 小野重和

    説明員(小野重和君) 私どもも、清酒業界経営問題ということも十分に頭にあるわけでございます。そういう意味におきまして、酒米につきましては、かつては主食用の政府売り渡し価格よりも高い価格で売っていたことがあるわけでございますが、自主流通米制度が四十四年に発足して以降、最初は主食用並みの助成はなかったのでございますが、逐次そういう点を十分に配慮しながら、現在では主食用並みの助成をいたしておると、こういうことでございます。  なお、アルコール添加を少なくして米に切りかえるということを促進するために政府米を売却していると、主食用並みで売っているということなんでございますが、いま御質問のありました放出時期とそれから低温古米の問題でございますが、放出時期につきましては、私どもといたしましては特に御迷惑をかけているということはないんじゃないかというふうに考えておりますが、そういう問題点があれば今後改善することはやぶさかではございません。  それから低温古米でございますが、要は新米と品質がほんとに違うのかどうかというところでございます。その点につきましては、今後も国税庁当局とも十分に御相談しながら、その問題を含めまして、品質問題を含めて今後十分に検討いたしてまいりたいと、かように存じております。
  216. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は、アルコールの入ったものはいただかないことにしていますけれども、しかし禁酒論者ではございません。疲れをいやしたり元気を出したりするためのお酒には賛成ですが、飲み過ぎて体を壊したり他人に迷惑をかけるお酒には反対をしてきております。  その立場で、三十六年に酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律というのを、自民党の紅露みつさんを中心に婦人議員が超党派で提案をいたしまして、男子の議員の方々の御賛成を得て成立し、今日に至っております。  この立場で、まず大蔵当局に二、三お伺いしたいと思いますが、酒税は今度の値上げで一兆四千百六十億円ですか、収入があるはずですが、もしお酒を飲む人が少なく取ると税収入が減りますね、だから大蔵当局としてはもっと国民に対して酒飲め飲めとむしろ奨励したい立場じゃないんでしょうか、それについてのお考えをひとつ伺いたい。
  217. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 同趣旨の御質問、たびたび衆議院でも当委員会でも受けておりますが、やはり私どもとしましては、先ほど市川委員がおっしゃいましたところの、酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律、そこですべて国民は飲酒についての節度を保つように努めなければならない、これは立法府の確たる御意思であるというふうに受けとめておりまするし、税収が上がるんだから幾らでも飲んでくださいというふうには考えておりませんが、やはり同時に、その百薬の長と言われ、適度な飲酒であればそれなりの効用があるという面もございましょうので、長年積み重ねられてきました歴史の上で、やはり節度を持っての飲酒というものは決して排撃すべきものではないだろうと。しかし、どの方がどれくらいお飲みになるかということは、それはやはり嗜好品のことでございますから、私どもが一々干渉するようなことではない。酒税というものは、そういう国民の皆様全体の嗜好なりお考えなりを受けて受け身に入ってくる税収であると、そういうふうに考えております。
  218. 市川房枝

    ○市川房枝君 最近は、アル中の患者がどんどんふえていると、まあ青少年もふえてきているんだけど、それから夫が、あるいは父親がアル中で困っている家庭もずいぶんふえてきております。大蔵省はそういう酒の飲み過ぎからくる被害といいますか、そういうものを調査なすったことがありますか。それから、そういうものに対する対策というものをお考えになったことがありますか。伺いたい。
  219. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 厚生省からお答えする問題であろうかと思いますが、予算措置を講じております、厚生省に対しまして。アル中対策は、国会でも最近いろいろ議論がなされるようになってまいりまして、世の中の認識も高ってきておりますので、私どもも厚生省の御要求に対応いたしまして、重要性を十分認識しながら、それなりの配慮をしてまいってきておるところでございます。
  220. 市川房枝

    ○市川房枝君 厚生省の調べたのを、それによって考えるとか何か言いますが、私は、厚生省は当然それは調べてなさるべきだけど、大蔵省も私はもうける方というか、税収の方ばっかりでなくて、やっぱりそれによってどれだけ被害者が出るということを直接に私は何らかの方法でなさるべきじゃないかと、まあこう私どもは思うんですが、実はさっき申しました法律で、私どもはアル中患者が治療するように、あるいはアル中患者の施設に紹介するようにというようなことを法律で義務づけたわけですけれども、救済のための、治療のための施設に、実はその当時私どもはお酒の税金、一%ぐらいでもいいからそれを救済に使ってほしいと、一%といいますと百四十一億六千万円ぐらいになりますか、五十三年度で言えば、ということをその当時も主張したんですけれども、それは実現せず、久里浜にこれは厚生省の方の所管で、たった四十床の治療所をつくっただけで終わりました。だから、このとき厚生省はもっとたくさん要求したのか、いや厚生省は、私どもが厚生省の治療の方まで含めたということでずいぶん厚生省から反対されたんです。されたけれども、私どもはやっぱり治療の方までということでやったわけなんで、あんまり治療のことは、附帯決議で実はつけたんですが、それで四十床実現はしたんですけれども、その後もう少しふえてはいるらしいけれども、しかし大蔵省自身として私はやっぱり考えてほしいと思うんですが、もっとこの方面へ予算を出すことをお考えいただけないんでしょうか。
  221. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 大蔵省がアルコール中毒対策を自分でやるということにはなっておりませんで、それは厚生省が担当なさっているわけでございますんで、厚生省から当然のことでございますけれども、要求を受けまして、私どもも御相談に応じて予算に盛り込むということをやっているわけでございます。ただいまお話しの酒税収入が一兆四千億ある、それに対しまして何%か……
  222. 市川房枝

    ○市川房枝君 一%と言ったんですが。
  223. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 割り戻したらどうかという御議論は、それはちょっと、酒税収入は一般財源でございますから、アルコール中毒対策と直接結びつけて論ずるというような筋合いのものではない。アルコール中毒対策は、それはそれなりに重要性を考えて予算に盛り込むべき筋合いのものであろうと考えます。  具体的には厚生省からお答えするのが適当かと思います。
  224. 市川房枝

    ○市川房枝君 後で厚生省から聞くつもりですけれども、たばこは健康のためによくないというので、たばこの横のところに、「健康のため吸いすぎに注意しましょう」と書いてあるんですね。酒の方がもっと私被害が大きいと思うんだけれども、何らかそういう注意を喚起するようなことをお考えになりませんか。酒びんに印刷でちょっと同じようなことを書いて張っていただいたらどうかと思うんですが、いかがですか。
  225. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 突然の御質問でございますので、あるいは十分なお答えができるかわかりませんけれども、お酒を飲まないようにしようというような、健康に注意してというようなことを書く点につきましては、たばこの場合には確かにそういう問題がございますが、お酒自体がやはりいい面もございますし、それから悪い面もございます。それからやはり個人差が非常にございまして、ある人にとっては非常に薬になる程度のものが、ある人にとっては非常に害になるという場合もございましょうし、一概に酒が害になるというふうには決めつけられないのではないかと思います。  それから、やはりお酒というのはムードで飲む商品でございまして、実際に、余り飲むなということが書いてあるような状態でございますと、なかなか抵抗を感ずるといいますか、そういう面から申しましても、やはりちょっと、私もお酒を飲む者でございますので、そういうようなお答えを申し上げて大変失礼でございますけれども、そういうような問題もございまして、そこまで至らなくても、それぞれが自覚して飲めばいいのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  226. 市川房枝

    ○市川房枝君 たばこだって同じじゃないですか。たばこにちゃんと書いてある、それで酒だけはいけないと。ちょっと納得できないんですけれども、それはまた別な機会に伺うことにしましょう。  大蔵省は、未成年者飲酒禁止法というのがあることを御存じですね。酒の小売店の前にある自動機械ですね、あの中に酒が入っているのですね。たばこも入っているのかな。そうしてそれを未成年者が利用して酒を飲むということが方々であるみたいですけれども、あれは大蔵省が許可をなさるんでしょう。その許可をむしろ禁止をしていただいたらいいんじゃないか。そうすれば、未成年の方のその法律にもかなうわけですけれども、大蔵省は、未成年者飲酒禁止法のことをお考えになったことあるんですか。
  227. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 先生の御質問、大変ごもっともでございます。ただ、自動販売機の問題につきましては、労働力の不足の問題を背景といたしまして、零細な方々の省力化とかあるいは消費者の利便という点から、時代の趨勢でかなり普及してきたわけでございますが、確かに先生のおっしゃるように、自動販売機を置いておきますと未成年者が飲むじゃないかと、あるいは飲酒運転の原因になるじゃないかという御指摘はごもっともでございます。  そういうようなこともございまして、私どもといたしましては、四十八年から自動販売機による酒類小売業免許は原則として免許しないということにしております。ただ、既存の酒屋さんがもうすでに設置しております、あるいは店頭にいろんな、ジュースとかそういうものと一緒に設置しておりますものにつきましては、やはりこれは新しい免許問題というものは生じないで、規制できないというのが現実でございます。  しかし、私どもといたしましても、関係業界に対して、こういうことがあってはならないということで、機会のあるごとに、未成年者の飲酒防止ということにつきましての配慮、それから呼びかけということを行っておるわけでございます。たとえば私どもとしてお願いしてやっておりますのは、「未成年者飲酒禁止」というステッカーと「飲酒運転防止」というステッカーを自動販売機に張りつけていただくというようなこと、それから、自動販売機の故障とか苦情につきまして管理責任をはっきりさせるようなステッカーをつけていただくこと、それから、夜の十一時から朝の五時までというのはやはりなかなか管理が行き届かないと、その間に飲まれてしまうという問題もございますので、自動販売機による酒類販売は自粛してくださいということもお願いしておるわけでございます。ここ数年来たびたびお願いしておりまして、そういうようないわば未成年者が飲酒、あるいは飲酒運転という点からいきまして、自動販売機による販売というのはかなり自粛されてきたのではないかと、こう思っておるわけでございます。
  228. 市川房枝

    ○市川房枝君 自動販売機少し調べて、そういうのが張ってあるかどうかを見てみます。  厚生省の方来ていただいておりますが、アルコール中毒患者の状況ですね。数だとか状況だとか、あるいはそれに対する治療施設というもの、簡単にちょっとおっしゃってください。
  229. 目黒克己

    説明員(目黒克己君) 厚生省の方の患者調査によりますれば、現在まで通院及び入院のアルコール中毒の患者の数は、昭和五十年度で約一万八千人というふうになっているわけでございます。また、これに対する医療施設といたしまして、国立の久里浜病院以下施設がございまして、総計千二百九十一床分の施設が医療施設としてあるわけでございます。
  230. 市川房枝

    ○市川房枝君 大蔵省に、五十三年度済んじゃったんですが、五十四年度でももう少しこれを拡張するような要求を少ししていただくというか、そういうことを特に家庭の婦人は望んでいるのですけれども、それをひとつお考えおきをいただきたいと思うんです。  それから最後に、これは酒税ではありませんけれども、最近新聞をにぎわわせている国会議員の励ます会、励ますパーティーというのが盛んに出ておりますが、私のところへもパーティーへの出席の勧誘が二、三参っておりますけれども、会費は二万円と書いてあります。新聞の報ずるところによると一回で一千万円、二千万円、三千万円ぐらいもうかるというんですけれども、ところがそれに対しては全く課税はない、これは国税庁がそうおっしゃっているということで、毎日新聞の四月の初めのにそうちょっと書いてあるのですけれども、大蔵省、これはどう考えておいでになるか。この問題については、本当は私はもっと時間をとって伺いたいと思うのですが、簡単に伺っておきます。
  231. 水口昭

    政府委員(水口昭君) ただいま国税庁の話が出ましたが、国会議員の先生方が励ます会を開催されておるということは私もよく承知をしております。  そこで、その場合の課税関係でございますが、一つは、励ます会というのは税の執行から考えますと一体何であろうかということがあるわけでございますが、簡単に申しますと、われわれはこの励ます会というのは税法上の人格のない社団等である場合が多いのではないかと考えております。そうだとすれば、これが収益事業に該当いたしませんと課税の対象にならない。したがって、励ます会そのものは課税の対象にならない、こう考えます。  そこで、実質的には励ます会でもって収益が上がったといたしますと、それが政治家の先生に帰属する。それでは政治家の先生の課税関係はどうなるか、こういうことでございますが、その場合は、政治家の先生が一般に法人、個人からいろいろの政治献金を受けられます。それが政治資金収入になるわけでございますが、それと全く同じであるというふうにお考えいただければいいんではないか。したがいまして、税法上はその励ます会の収益は先生の雑所得の収入金額になるわけでございます。したがって、その他の政治資金と合計をいたしまして、それから政治家の先生でございますからいろいろ政治活動上の経費が必要かと思います、そういうのをさっ引いて残りがあれば課税の対象になる、残りがなければ課税の対象にならない、こういうことでございます。
  232. 市川房枝

    ○市川房枝君 いまの御説明はよく存じ上げておるんですが、一般国民からいうと、そんなに一千万も二千万ももうかって、そして全然課税の対象にならないということはどうしても納得がいかないといいますか、いや、いままでの政治資金に対する政治家の収入、雑所得として、そして政治活動に使って残りがあったら課税すると言うんでしょう。ところがそれもどうも事実上は全然課税をしてないということになって、それ自身納得のいかない問題があるんですが、それはまた改めて伺いたいと思います。ありがとうございました。
  233. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 両案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  次回は四月二十日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十五分散会      —————・—————