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1978-05-11 第84回国会 参議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十一日(木曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————    委員異動  五月九日     辞任         補欠選任      浜本 万三君     瀬谷 英行君  五月十日     辞任         補欠選任      赤桐  操君     青木 薪次君  五月十一日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     矢田部 理君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         三木 忠雄君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                目黒朝次郎君                 太田 淳夫君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 石破 二朗君                 江藤  智君                 木村 睦男君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                茜ケ久保重光君                 瀬谷 英行君                 矢田部 理君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    衆議院議員        発  議  者  足立 篤郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  福永 健司君    政府委員        運輸省航空局長  高橋 寿夫君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    衆議院法制局側        法 制 次 長  大竹 清一君        第 一 部 長  上田  章君    説明員        警察庁警備局参        事官       近藤 恭二君        法務省刑事局公        安課長      河上 和雄君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     大塚  茂君        新東京国際空港        公団理事     角坂 仁忠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法  案(衆議院提出) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十日、赤桐操君が委員辞任され、その補欠として青木薪次君が、また本日、青木薪次君が委員辞任され、その補欠として矢田部理君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案審査のため、本日の委員会成田木の根区長小川源君を、また必要に応じ、新東京国際空港公団役職員をそれぞれ参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案を議題といたします。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私はまず運輸大臣に、三月二十九日本会議で、わが党の青木議員緊急質問に立ちまして、今回の成田空港の三・二六事件の問題も含めて、最も基本的な取り組みについて政府は率直に責任の所在を明らかにして反省をすべきだ、また空港公団もしかり、あるいは現地との農民との対話その他についても積極的にやるべきだ、そのことなくして力づくで警察官を動員したり、あるいは新立法をつくってどうのこうの言っても、しょせんは開港後の問題を含めると、その最も基本的な問題の処理がなければ砂上の空論であると、こういう問題提起をして、政府並びに関係者の善処を要望したわけでありますが、あの段階では、抽象的に努力されると、こういうことを言われたわけでありますが、その後中村次官農民五十名と対話をしたという一幕はあったわけでありますが、その三月二十九日の緊急質問以降、大臣なり空港公団なり、どういう具体的なことを緊急質問具体化のために行われておったのか、まず大臣空港公団側から見解なり、経過を聞きたいと、こう思います。
  7. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいま目黒さんお話しのような意味におきまして、この重大な事態に対処いたしまして、政府は、お話にもありましたように、反省すべきところは反省をし、誠意を持って事態に対処してくるということは当然でございまして、具体的にはいろいろの話もございました。経過的にずっと申し上げるということもいかがかと思いますが、たとえばお話の住民の皆さんとの対話等につきましても、私どもは私どもなりに考えてまいったわけでございます。ただ事情事情でございますから、いつでも簡単に会えるというようなわけ等でもございません。昨日も私、反対同盟委員長戸村氏と会いましたが、話は二時間三、四十分にわたったのでありますけれども、これにいたしましても、私はもっと前からとも考えておりまして、ある程度折衝等もございましたが、いろいろの事情でそう簡単にもいかず昨日になったわけでございます。これまた相当な時間に及ぶものでございますから、経過等を申し上げるのはいかがと思いますが、いずれにいたしましても、私は誠意を尽くしてお目にかかっていろいろお話もし、また先方お話も伺った、こういうようなことをいたしております。その他私のみならず公団の諸君その他運輸省の者もできるだけそういう精神で対処をしてまいったわけでございます。また戸村氏の名において声明書という形で私のところへも、また総理大臣のところへも文書が来ておりますが、これらのことに対処いたしましても、声明書でございますから、伺っておけばいいのではございますけれども、私はそれだけでもいけますまいと思いまして、私どもの意の方するところを文書にして、きのうお目にかかる前の方がよかろうというので、その前、前日にお届けをいたしました。ただ、この種の文章でございますと、あらゆる事態に対処するあらゆる表現をということはなかなかむずかしゅうございますので、勢い抽象的なものにならざるを得ない。そのことはきのうお目にかかったときも言うておきましたんでございます。お目にかかって、あれはこういう意味でございますとか、質問があればその点はこうでございますとか、こういうようなことをいろいろ繰り返すことによって意を尽くすのではあるけれども文章、ある程度のものだけではその意を尽くすということはなかなかむずかしいので、ああいうことになりましたということを申しておきました。  いずれにいたしましても、私どもは、いま目黒さんおっしゃるような趣旨においても、できるだけの誠意を尽くすべく努力をしてまいったわけでございまして、全部を尽くしておるわけではございませんが、およそそういう考え方のもとに対処してまいったことを申し上げたいと存じます。
  8. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 空港公団といたしましては、従来から反対農民方々とは主として個別的な話し合いを進めてまいっておりまして、現在までに千六十五ヘクタールの敷地の九四%は合意によって土地の提供をいただいておるわけでございます。反対同盟最初は千戸ぐらいおりましたのが、現在百二十戸程度に減っておるというのは、公団との話し合いの結果、了解、納得を得て次第に減ってきたと、こういう経過でございまして、私どもとしてはやはり個々の農民の方の今後の生活設計、具体的に申し上げますと、どこのどういう代替地をどれだけ差し上げるかというような具体的な話し合いというものが、当然公団としては必要でございます。そういうふうな線で、いままでも話しをいたしておりますし、現在もやっております。これは主として用地部の職員が中心になりまして、それぞれに個人的な接触のルートを持っておりますので、そういうルート中心にお話し合いを進めてきておるというのが現状でございます。  まあ私が表立ってやったということになりますと、四月四日に、五月二十日開港ということが決まりました段階で、たしか七日の日付だと思いましたが、現在第二期工事地域内に土地を持っておられる方々、及び騒音地域内におられる方々で、移転をしていただきたいと思っておる方々、約八十名に対しまして、そういう方々の御了承を得ないでといいますか、お話し合いがまとまらぬうちに二十日開港ということになったということははなはだ遺憾であるけれども、しかし、これで決して皆さんを見捨てるということではないんだから、ぜひ今後の生活設計等について、直接いつでもお話し合いをしたいからということをお手紙で約八十名の方々に差し上げるというのが、まあ最近私が表立ってやった対農民の行動でございます。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ新法審議に入るのですがね。新法審議に入る前に、いわゆる政府なり公団なりとして基本的な問題についての発想の転換といいますか、問題の解決の具体性といいますか、そういう問題が一つ一つ解消されれば、それなりに私は新法に対する議論の問題では克服できると思うのでありますから、抽象的でなくて、具体的にひとつ御答弁願いたいと、こう思うんです。  それで、大臣がきのうテレビで戸村委員長と話したという話がありました。それでこの反対同盟の提案している三条件、この三条件について政府部内でどういう議論をされて、どういう結論になったのか、大臣、お答え願いたいと、こう思うのです。
  10. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いわゆる三条件というのは、申すまでもなく、先方表現しておられる、それをそのまま申し上げますと、  一、国の将来を見通し、無法をいましめ、正当防衛の戦いをもって、身を挺して強行開港に抗議した北原鉱治秋葉哲石井武の三名をはじめ二八八名の逮捕者をただちに釈放すること。  二、ふたたび、一方的に開港日を決定した愚を改め、開港計画一切凍結し、二期工事区域に踏みこまぬこと。  三、砦や団結小屋等に対する治安のための新規立法案を撤回し、治安弾圧をただちに中止し、機動隊を即時撤退させること。  こういうことでございますが、このことにつきましては、成田の問題につきましての関係閣僚会議においてもしばしば相談をいたしました。  この三条件と申しますのは、あえて私が申し上げるまでもなく、五月二十日は開港をやめてしまえと、「一切凍結し、」云々という表現であります。それから逮捕者を全部ただちに釈放せい、それからもう一つは、団結小屋等に対する新規立法を撤回し、機動隊即時撤退云々と、こういうことでございますが、このことにつきましては、余り解説しなくても皆さんの方が国会というお立場で御理解をいただいているところと思うのでありますが、新立法を撤回しろというような話等につきましては、きのうも私申し上げたんですが、これは立法府議員提案の形においていま審議を進めておられるところである、したがって政府に対して撤回せよなどと言われても、そういうことが可能でないことは、これはもう申すまでもないのであります。  また、逮捕者百六十八名の即時釈放ということにつきましては、これまた司法権の発動によっていろいろのことが行われると、これを運輸大臣たる私等が即時釈放しますと、こういうようなことは申せないのは当然でございます。  で、五月二十日の開港につきましては、もう長い間当委員会においてもいろいろ御審議をいただき、それに関連していろいろの御注意等もいただいておるところでありますが、本来ならば物的施設等中心に考えれば、もっと大分前に開港が可能であるということでありましたが、事態をよく考え、問題の性質上できるだけ念には念を入れて対処すべきものである、こういう考えから、先ほど申し上げましたいろいろの物的施設等修復等大分前におおむねいいようになったし、そればかりでなくて、前よりずっと強化するというようなこと等にまで留意されて、日はそれよりもはるかに長く開港予定日を決めまして、その間においてできるだけ諸般の措置をしていく、こういうような手順にいたしました。  世界を相手にああいう事態開港が延びたのでございます。これを凍結して無期限に開港はしないということ等では、この事態に対処して、わが国がとるべき措置として私は大いに考えなければならぬところである、こう思うわけでございます。それらのこと等につきまして鋭意検討いたしました結果、五月二十日になったのでございますから、この時点において五月二十日を延ばすというわけにはまいりませんと、こういうようなことを申しました。  きのうの話の中で第三者的な立場から、言うなればテト休戦のようなことはどうだという表現のもとに——この言葉が適当であるかどうかは別であります。戸村氏や私が使った言葉ではありません。第三者が使った言葉でありますから、そのままこれを借用いたしますと、そういうようなことにして、たとえば一カ月とか三カ月とかという間、双方とも一切手を引いて平穏裏に事を進める、そのときに第三者としては、空港は、いまの事態においていろいろ考えると、これを開港しないというわけにはいかないであろうから、開港しておいてそのテト期間中によく話もしてはどうかというような話がありました。そういうふうにする一方、政府においては第二期工事について、従来の方針は、開港と同時に第二期工事に着手するということではありましたが、このテト期間中は——これまた向こうの言葉第三者言葉でございます。第二期工事を休止して、平和裏に、平穏裏に事を進めるように双方努力してはどうかというようなことでございました。私は、正式の話はともあれ、そういうことについてどうだということでございますから、私は私なりに努力をしましょうと。それについては両者間でさらに話が必要なこともありましょうが、いずれにいたしましても、基本的には私はそういうような意味のことを答えました。  第二期工事を休止してということは、そのテト期間中でありますが、もう一度申し上げますが、テト期間——表現は必ずしも適切ではありませんが、そのときに使われましたので申し上げますが、そういうことで努力をしたいという気持ちはあると。しかし、これも両者が意見が一致して正式にそうしようということになってからの話でございますが、気持ちとしてはそういうようなこと、せっかくのお話だから私はそうはいきませんとは申しませんと、誠意を尽くして私は努力をしましょうと、こういうことを申し上げました。戸村氏の方では、二十日に開港することがまかりならぬのじゃということで、平和にやるということはもう賛成だけれども、どうも二十日に開港してもらっては困る、こういうような話等がございました。  そういうことで話はたくさんございましたけれども一つを拾って申し上げますと、そういうような考え方等につきましても必ずしも一致するには致らなかった。だがしかし、相当時間いろいろ話し合って、終始一貫そこに流れたムードは荒々しい対立の姿ではなく、正確に言うならば、そういうものばかりではなくと申し上げておきましょうか、多少対立したところもございます。そういうことできのうは、またできたら再開しましょうというような意味で、再開を期するような気持ちを相互に表明し合って別れた、こういう次第でございます。  具体的に、とおっしゃいますと、昨日のような話し合いの中では、目黒さんからおっしゃると、十分に具体性を備えたというわけにはいかなかったことも私は残念に思っておりますが、これはしかし考えてみればやむを得ないかと思います。その他いろいろのことにつきまして、公団総裁等からも申し上げましたが、いろいろな折衝等も行われきたっておりますが、具体的にという御表現のもとでは、必ずしも十分に具体的にすべてのことが進行したというわけではないことを残念に思いますが、いずれにいたしましても、その種の努力を一生懸命いたしておりますという次第でございます。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いまちょっと聞いておりますと、三条件——司法権の侵害であるとか立法府に対する介入であるとかいろいろ言っておりますが、ただ、航空局長ちょっとお伺いしますが、これは日経新聞取材した写真入りのこれですが、これはあなたが言ったのか新聞社取材を間違ったのか知りませんが、「高橋航空局長 最初ボタンをかけ違えたまま突走りたため、最後最後までボタンの通らない穴(反対派農民)が残ってしまった。これまでも空港公団用地関係者やコネのきく人を通じて反対派農民とのパイプづくり努力してきたが、政府運輸省部内の思惑もからんで話し合いは進まなかった。」、こういう現状認識をおたくがしゃべっておるわけですが、そして後の方にきて、たとえばいま大臣が言った二期工事問題について「一定期間着工を見合わせ、その間に話し合いテーブルづくりを急ぎたいという意向を打診してみたが、反応は必ずしも芳しくない。」、これは局長談話という形でゴチックで出ておるんですが、この発言内容に間違いあるかないか、時間がやかましいですから、間違いがあるかないか、結論だけで結構です。
  12. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 表現問題等がありまして、私のニュアンスを正確に伝えておりません。これは日本経済新聞でございますが、ニュアンスの問題は別といたしまして、一番違っているところは、私は二期工事凍結等について提案したこともありません。これは二期工事の問題というのは大変大事な問題でございまして、いま大臣お話しになりましたようなことでありまして、私どもの方の側から二期工事凍結というようなことをまだこの段階では提案すべきではないと、そういうことで、その記事はそこの部分は間違っております。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、これは新聞社の名誉にも関するものだと思いますが、「成田出直し開港」というこのシリーズ物でずっと出しているんですよ。これだけ焦点になっておる問題が、これだけ天下の新聞にこう言われたら、それは間違いだと、あるいは記事訂正を求めるというぐらいの慎重さでやらないと、不信不信を呼ぶという渦巻きをつくりかねないんじゃないですか。  私がいま三条件の問題を言っているのは、確かに五月二十日の開港というのは国際的な約束もあるというさっきの大臣お話、それはそれなりに国内だけではどうにもならぬという問題でありますから、それは非常に困難性があるという現状認識をしたとしても、いま大臣が言ったこの二期工事の問題について中止という問題についてはなかなかむずかしいけれども誠意を持って努力してみようという前向きの答弁をきのうされたと、こう私は受け取ったんです。その問題が四月三十日のこの取材から見ると、やはり航空局中心事務レベル段階——二期工事の問題はこの間大分議論しましたから、その必要性とかそれは言いません、二期工事問題等についてはもう議論済みですから言いませんが、この局面打開の手、政治的な局面打開の手として二期工事の若干の着工の引き延ばし、こういう問題についてはある程度政治的に動いているのかなあと、こういう私は問題把握をしたんです、この記事ときのうの戸村委員長との会談の内容を結びつけて。そうすると、この二期工事の問題については依然として現在局面打開の方法では考えていないと。考えておったとしても、いま大臣が答弁した程度のものであって、それ以外の前でも後でもないというふうに現状認識をするしかないと思いますが、私はやっぱりこの辺が一つの具体的な政治的な局面打開ポイントになってくると、こういうふうに思うんですが、どうでしょうか。
  14. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 私の考えておりますことは、二期工事取り扱いの問題は話し合い中身の問題だと思うんであります。ところが反対同盟の話では、二期工事凍結ということをのむならば話し合いに応じようと、こういうことでございまして、そこが食い違っておるわけであります。したがって、私は二期工事取り扱いは、大臣お話しいたしましたように、話し合い中身の問題である、話し合いテーブルに乗っけて議論すべき問題であるというふうに考えているものですから、運輸省といたしましては、二期工事凍結というようなことを先方に申し入れたことはありません。これは大事な問題でございまして、交渉中身のことを交渉が始まる前にすでにもうオーケーというふうなことにすることは、これは適当じゃありませんので、そういうことはありません。したがって、その記事を見まして、私はその取材をした記者に抗議いたしましたけれども、正式にたとえば社長に対して公文で訂正を申し入れるということはしておりませんけれども取材に来た記者には抗議を申し込みまして、その記者はその非を認めております。
  15. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 誤解を生ずるといけませんので、私からもちょっと申させていただきますが、いま航空局長が申しましたような、二期工事について確定的に、ないしはほぼそれに近いような意味でどうしましょうというようなことなどを航空局長が申せるはずはありません。断じて私はそういうことを言ったら許しません。そういうつもりでないことを、彼はいまも誤解のないようにというふうに言っておるわけでございまして、目黒さんが御指摘になりましたように、私がきのうああいうように申すことも、せっかくの機会にあんまり抽象的なことだけではと思いまして、私はかなりの決意をもって申したわけでありまして、どうぞそういう意味に御理解をいただきたいのであります。私等が何らかの指図をしたり、いろいろ話を進めていって後に出るか出ないかわからないというような事態で、事前に二期工事はこうしましょうなんと言うような局長は、私はわが運輸省においてはそういう者がおったとしたら、これはもうとんでもないというように考えております。決して彼はそういうことではない、いま申しましたのが真情であります。私はそういう意味において彼を信頼しておるわけでございます。何とぞ御了承をいただきたいと思います。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も信頼しますが、これだけ緊迫した段階で何らかの糸口を探ろうじゃないかと。私はこれは三・二六はいろいろな問題ありますけれども、あのがんこ福田総理が本会議で率直にそれを認めて、大平幹事長京都談話で、いままでの政府の十二年間のやり方については率直に、端的に自己点検責任を痛感せにゃいかぬと  いうことを——あっちこっちで自民党おえら方政府おえら方が私はそういう姿勢になってきたという点は、三・二六の事件の逆の面から出た私は政治のあり方に対する警鐘だと思うんです。ですから、その警鐘にこたえて局面打開をどうするかと、その局面打開ポイントがやっぱりこれは当面するやつが三条件なんですよ。だから、三条件の問題をどこかに穴をあけて、そこから最も根本な本質問題を探るというのがいま政治が一番——立法も必要でしょう、新立法の問題も必要ですけれども、その最も大事な行政府が行う、やっぱりどこか穴があかないかと、糸口がないかと、そのことを私は行政官だけじゃなくて、やっぱり政治の最も大事なポイントだからわれわれは真剣にこれを探索しているのですよ。  それで私は逮捕者釈放の問題について千葉の自民党県本、それから川上県知事、それから前の友納知事、いま代議士の、この方々のこの新聞——私はああいう偉い人に会う機会ありませんから、新聞の報道の公正さを信頼しているのですけれどもね、この方々の一連の動きをずっと見ていますと、やはり政府はもう一回農民に頭を下げるべきだと、それからもう一つ、やっぱり逮捕されている三人の幹部ですね、自民党県連と千葉の県知事も同意して、確かに司法権の介入になる疑いもあるかもしれぬけれども局面打開に何とか善処願えないかと、百六十八名でなくて、当面の三幹部ですね。そういう問題について自民党というところがメンツを抜きにして川上県知事も含めた県庁の幹部と話し合った結果やっていると、これもやっぱり私は局面打開努力だと思うんですよ。そうしますと、こんなことは県でやっていることだといって通り一遍の答弁だけでは、私はなかなか、本会議できれいなことを言っても、具体的な問題など何も出てこない。こういうことでは私はもう国会で、誠意を尽くしますと言っても何にもならないではないかと、だから、この自民党の千葉県の限定された三人の解放と、それから千葉県知事が、企画局長さんですか、企画局長さんだか何だかいう方が農民の関係やパイプをつないでいろいろやったけれども、やっぱり県知事の認識としても、この際三幹部を解放してもらいたいと、そこをきっかけに話し合いをやっていこうじゃないか、こういうことを県知事と自民党千葉県本がやっているわけですね。これらの動きについては政府は前向きに取り組んでいくつもりなのか、それは出過ぎだと、こういう気持ちなのか、大臣の見解を聞きたい、こう思うのです。
  17. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 実はいま目黒さん仰せの点は、昨日のお話の中にも一部出ました。で、いま御指摘のような党の千葉県連あるいは千葉県知事等がお話のような行動に出られたということについては、私も目黒さん同様新聞記事によって承知をし、そのままのとおりに受け取っておるわけでございます。きのう私申しましたんですが、いまもここで申さしていただきますが、運輸大臣司法権と関連する面においてどういうように努力しますとか、どうしますとかという物の言い方はなかなかむずかしんでございます。むずかしゅうございますが、人間福永健司は、いまお話があったようなこと等については私もできる努力はしたいと思いますと、こういうように申しましたし、それが私の本当の気持ちでございます。どうぞひとつ、政府はどうじゃ、運輸大臣はどうじゃと言われますと、運輸大臣はどうしますということはちょっと言いにくいのでございます。人間福永健司はそういう気持ちでおりますということを御理解をいただきたいと思います。気持ちということだと、気持ちだけではということになりますので、そういう気持ちで私なりに善処したいと思っております。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これだけの大きな問題ですからね、だれかがどろをかぶるということも必要だろうし、だれかが決断を下すということも必要だろうし、ただ私は議論を聞いておって、これは警察庁の方とか新法の提案者の足立先生がどう思うか知りませんが、私も大陸で四年間、中国のゲリラ戦に悩まされてきた男です。それからいわゆる北ベトナムの問題等についても太平洋沿岸の車へんの応援ということで、北ベトナムも私もそれなりに知っております。まあ政府の認識は本会議の民社党の和田春生君の質問に対しては、今回の成田闘争は内戦だと、こういうような受けとめ方を政府自身がしているんですから、私も議事録を見てびっくりしたんですが、和田先生の質問に対して三.二六の闘いは内戦だ、質において内戦であるという、こういう受けとめ方をしているわけですね。それとベトコン、これは議事録の十五ページ、これに出ておりますから後で読んでください。そうしますと、内戦とかベトコンとかという受けとめ方をすれば、やっぱりゲリラ、ベトコンという問題がどういう戦略戦術で戦いを配置するのか、どこに一番弱点があるのかという点を、お互いに私は体を張って、兵隊で四年半健闘して、最終的には降参をして、武装解除されて、大日本帝国が負けましたと言って帰ってきた男ですから、それなりに私は経験を持っております。ただ私が言えることは、結局過激派であるとかセクトであるとか、いろんな問題、定義はここで何回も聞きました。あるいは警察庁からも聞きました。しかし、率直に言って、そういう皆さんが攻撃目標にしている方々が、いい悪いは抜きにして、経過は抜きにして、いわゆるそこの農民なりその地域の市民なりその付近の方々が抱えているというと変でありますが、それをかばっているわけですね。この関係をどういうふうにしてほどいていくかという、私はその問題をやらなければ、どんなに新立法をつくって、警察庁が逆立ちしても、しょせんは大東亜戦争なり北ベトナム解放の戦いの二の舞になりかねない可能性があるんじゃないですかと、私は心配しているんです。だから、特に私は福永個人はわかるわけではありますが、やはり大平幹事長が京都の談話で言っているとおり、最も政治が求められている問題点だと言っておることについて、私はやっぱり決断をしてほしいと、こういうことを再三お願いするわけですが、なかなか名案が出てこないと、名案が出てこないとここで堂々めぐりしても時間が痛ましいですから、その点についてはひとつぜひ政治のあり方として考えてほしいし、あるいは警察の方でも、力さえ蓄えれば何でもなるんだという権力盲従主義は、いまの世の中通らぬということだけは、私は自分の経験から言っておきたいと思うのですよ。これは私は言っておきます。  次は警備の関係でちょっとお伺いしますが、もう具体案は何もなかったということですから、警備の関係でお伺いしますが、この前の本会議でいろいろ国家公安委員長、瀬戸山法務大臣あるいは警察庁関係の答弁をしていらっしゃるんですが、その答弁の内容をずっと私も一連で整理をしてみますると、警備全体の責任と、こういうことについては遺憾ながら感じられていない。部分的に管制塔を襲撃食った、その辺のマンホールの点検は手落ちであったと、そういう部分的な、言われてみれば、そこにミスを認めざるを得ませんと、こういう全体では警備は万全であったけれども、部分的にはミスがあったと、こういう全体の警備体制の構成になっているというふうに、本会議の議事録の質問、答弁を分析すると感ぜざるを得ません。したがって、二十日の開港後の問題もあるんですから、この三・二六事件を前後にした警備側の警備体制にやはり基本的に反省すべき点があったのか、基本的にはよかったけれども、部分的にはミスであったのか、その点に対する警備側の見解を、この際、参考までに聞かせておいてもらいたいと、こう思うのです。
  19. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 三月二十六日の事案についての警備全体について、責任をどう感じておるか、あるいはそういう問題を今後の五月二十日の開港警備にどういうふうに生かして対処するかという御質問でございますが、基本的に警備の側といたしましては、申すまでもないことでございますが、与えられた条件のもとで、自分たちの最善を尽くして責任を果たすということでございます。三月二十六日の事案につきましては、先ほど御指摘がありましたように、これまでの答弁でも全体で一生懸命にやりましたけれども、マンホールから潜入してまいりました管制塔に対する攻撃、破壊といった暴徒について、十分なチェックなり対応がその場でおくれたという面について反省をしておるわけでございますが、だから部分的であって、全体に反省をしていないというわけではもちろんございません。全体につきまして、それぞれに細かい検討もいたしました。警備として、そういったものも今後生かすべくいろいろ開港に向かって努力をしているわけでございます。その最も大きなものは、これまでも申しておりますように、公団その他関係の方々にもいろいろお願いをし、またともに真剣に反省、検討いたしまして、最も防護すべき部分につきまして物的な警備体制をさらに強化するということがございますし、また警備自体といたしまして、重点の最たる部面に部隊配備が欠くることのないようにという面で、貴重な体験と申しますか、教訓事項になりましたこの前の事案を生かすように、考えておる次第でございます。
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この本会議で、警備側が答弁しております。これは最高責任者ですね、加藤公安委員長と瀬戸山法務大臣が言っておることについては、たとえばこの段階で破防法なりあるいは警職法なり、そういう問題点の発動といいますか、問題点について、そういうことをしなかったことについてもやっぱり手落ちがあったんではないかと、こういう意味の、現行法制の運用について不備な面なり、不都合な面なりあるいは対応がおくれてしまったと、そういう意味の答弁が三カ所ほど大臣答弁に出ておるわけでありますが、たとえば官報三月二十九日号の一ページ、三ページ、十五ページ、それから四ページ、こういうところに出ておるわけですが、これらの問題については大臣が答弁をされて、内部で検討して今後万遺漏のないようにしますと、こういう答弁になっておるわけですが、これの点については検討されて、そして現在の五月二十日の開港に向かって具体的にどういう動きをしておられるのか、警備上の問題もあるからなかなか言いにくい点もあると思いますが、その大臣の答弁の具体化についてどうなのか、これについて総括的な見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  21. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 大臣が国会で答弁をいたしました問題につきましては、私ども十分にこのことを承知いたしまして、今度の開港警備に生かすようにそれぞれ努力をいたしておるところでございます。  個別的には、おっしゃいましたように、なかなか今後の対策措置に絡みますので、微細にわたっての御答弁はいたしにくいわけでございますけれども、破防法は破防法なりに罰則の適用という問題がございますし、また警職法につきましては、あそこでそれなりに適用しての措置もあったわけでございますが、さらにこうした法律につきまして、現行法を十分に状況に適したように適正に生かして適用するということは当然の私ども責任でございますし、そういうふうに取り計らいをいたしてまいりたいと思います。対応のおくれという面につきましてなかなか完全に事前に予測をして、そこで部隊を集中して対処するということはむずかしい面もございますけれども、できるだけこうしたおくれの幅と申しますか、おくれが小さく済んで早期に対応ができ、措置において責任が果たせるように私ども細かい詰めをいたしておるところでございます。細かい点につきましてはまた特に御指摘がございましたら御答弁申し上げたいと思いますけれども、いまのところは、検討中である問題が多いわけでございますので、こういうことで御了解いただきたいと思います。
  22. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この議事録の四ページ三段目の瀬戸山法務大臣の答弁の中でこういうことがあるんですよ。「現在の法律で一体ああいう場合に対処できないのかどうなのか。」、それから「次は本来ならば対処できるのであるけれども、どこかに欠陥があった、ミスがあった、恐れをなした、そういうところがありはしないかということを」含めて云々と、こういうきわめて一面では割り切り、一面ではずばり答弁していらっしゃるんですよ。そうしますと、前段で、自民党の玉置和郎委員質問した段階で、いわゆる新宿事件がありましたね、新宿事件の対応、そういう点を考えていくならば、現行法で十分やれる法的根拠があるではないか、ただその運用と対応にやっぱり不十分さがあったんではないかという点を、法務大臣みずからが答弁しているんです。この点に対する警備側の見解と、この大臣答弁を足立提案者はどういうふうに受けとめておるか、まず両者から私は聞きたいとこう思うんです。
  23. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 現法律で、ああしたこの前のような事案についての対応ができないのかどうか、恐れをなしてできなかったのかというふうな御指摘でございますが……
  24. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣の答弁なんだ、おれが言っているんじゃなくて、大臣が答弁したんだ。
  25. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) ええ、そういう御指摘を瀬戸山大臣の答弁を引用してただいま御指摘がございましたけれども、現法律を何と申しますか、できるだけ活用をいたしまして、現場的な対処をするように当時の事案につきましても努力をいたしたわけでございますが、完全であったかどうか、これは御批判はまた別かと思います。そういう生かすべく努力を警察はいたしたわけでございます。恐れをなして何かができなかったということは全くございません。新宿事件では騒擾罪が適用されたのはそのとおりでございますけれども、これにつきましても、もちろん現場での判断でございまして、なかなか後で現場で動いている事態に対して論評しにくいわけでございますけれども、こうした面につきましても今後は、この前が適当であったかどうかということは別に、十分に、たとえば最小の構えをして対応するという気持ちを持っております。
  26. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 私がこの新立法を提案しました心境と申しますか、心構えと申しますか、率直に申し上げますと、成田空港視察に参りまして、あのぶち壊された管制塔の上から、あの広々とした周辺をながめますと、御承知の団結小屋と称するものが目と鼻の先に点在をしております。それだけではなくて、今度開港すればすぐ使わなきゃならぬA滑走路の直線上に第一要塞というのが航空法違反すれすれの高さまで建っております。これはアドバルーンでも上げられれば飛行機は離着陸できなくなるという状況にございます。あの現場をながめまして、私はつくづく考えたんでありますが、仮に現行法を駆使して警備の万全を期したとしても、連日連夜あのような状態が続いたんでは、これはもう国際空港としての用をなさない。やはり多数の人命を守ると、航空機の安全を守るという立場からすれば、この周辺の異常な事態は何とか早く解消しなければならないというのが発想の原点でございます。たとえは悪いかもしれませんが、ハチの巣を周辺に三十幾つも置いといて、ハチだけ追っ払っても解決はしないんだと、その前にもっと根本的な話し合いをせよという、いまの目黒先生のお話、ごもっともで、運輸大臣も懸命な努力をなさっているわけでありますが、ともかく私どもが現場を見た感じからいたしますと、これはどうしても捨ておけない。そこで、現行法でどこまでできるのか、ぎりぎりまで、これはもう衆議院法制局、内閣法制局、その他関係者に御検討していただきまして、その結果、いま申し上げた団結小屋等はちょうどあの西部劇に出てくる昔のとりでのようなものでありまして、これが集合の場所になり、火炎びんを製造し、軍事訓練をする場所になっておったんでは、これはもうどうしようもないという感じを受けました。そこで、現行法では使用禁止、封鎖あるいは除去、これはとうてい不可能だという結論になりましたので、立法を決意したような次第でございますので、その辺を御了承いただきたいと思います。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 団結小屋の話が出ましたからね、ちょっとこれは立法者よりも行政担当者にお聞きしますがね、この前の本会議段階で、いま提案者が申し上げた団結小屋は三十四だと、そのうち空港公団空港用地内にある団結小屋は二十四だと、この前政府側答弁していますね。——頭かしげているが議事録読んでください。議事録間違っておれば訂正してください。それから建築許可を受けないで不法建築したやつが四カ所、合計二十八カ所、三十四のうち二十八カ所は空港公団の用地内あるいは不法建築だというふうにおたくの方はとらえておるわけですね。これに対して運輸大臣は、まことに申しわけないと、これは十三ページにありますから、早急に空港公団を指揮をしてそういうことのないように努力します、こういう答弁。加藤公安委員長は、関係者を呼んで調べたけれども、若干手落ちもあった、手抜かりもあった、早急に処理します、こういう答弁なんですよ。そうすると、いま提案者の方が見た何とかかんとかという問題の三十四のうち二十八カ所は現行法で——行政の怠慢と言っては語弊がありますが、そういうものとの兼ね合いでむしろ放任されておった問題ではないのか、あるいは警察当局の方でもいままでいろんな形で、凶器準備集合罪とか、あるいは火薬何とかということを通じて——これは私も何回も現地へ行っていますから、令状を持ってこの団結小屋を何回か強制捜査をして証拠物件を押収している、こういうような経過もあるわけですよ。そしてその公団と、不法建築と、いわゆる証拠物件の凶器準備集合罪の調査、それらをずっと十分やっておれば、あるいは何らかの対策をやっておれば、三十三——業者覧てきた三十三のうち、あるいは三十四とも言われておりますが、そのうち二十八カ所は現行法で十分に対応できる可能性があったにもかかわらず、対応をサボってきたところに今日の問題があるんではないか、こういう気がしてならないんです。本会議における運輸大臣と加藤公安委員長の答弁を吟味すれば吟味するほど私はそうなると。そうすると、新法立法という以前の問題として、政府側として、行政府としてやるべき問題点があったんではないか、悪い言葉で言えば怠慢があったんではないか、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  28. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) まず団結小屋の数と、そのうち違法なものの数でございますが、いま先生の御指摘いただきました中で多少私ども把握している数字と違っていますので、その点だけまず申し上げますと、団結小屋の数え方いろいろございますけれども、いまごく最近のデータで私どもが把握いたしておりますのは、常駐団結小屋三十五カ所というふうに見ております。数え方の問題もございますから、一つ二つのことは多少あれかと思います。  それから、公団の用地の上に……
  29. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  30. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 速記を起こして。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この三月二十九日の本会議——おたくにも議事録あるんでしょうから、この議事録に載っている数字がどこがどう違うか言ってくださいよ。この議事録に載っている数字と違っていなければ釈明の余地なし。この議事録の数字と違っていれば、何ページのどこがどう違っていると言ってくださいよ。
  32. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) いま議事録がございませんので、議事録と一々対応しての御返事はいますぐはできません。すぐに調べて申し上げたいと思います。
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 こんな答弁やられちゃだめだよ。議事録読んでください、議事録。国会だから議事録見ないとだめだよ、あんた。国会だからかみ合わないよ、議事録でないと。
  34. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 公団の用地上のものは三件であります。それから事業認定区域内にありますものは八件、それから建築基準法違反のものは恐らく議事録のとおりの数だと思います。  その場合に、建築基準法違反だからそれでは処理ができるかということにつきまして、建設省が中心になって検討したわけでございますが、建築基準法というのはよりよき住宅にするということがたてまえでございますので、建築基準法によって処理をいたしますと、違反者の方の側は建築基準法に合ったような建物に変えると。たとえば窓がなければ窓をつけるとか、そうすれば、建築基準法はそれ以上何も発動ができないと。したがって、団結小屋等の処理には建築基準法は適用しても無力である、無力に近い、こういう結論になったのでございます。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これだけ速記の方がとって、この製本する際にも、間違いがあるかないかといって全部関係議員に連絡しながらこ議事録というものをつくるんですよ。だから、国会審議段階ではこの議事録がやっぱりただ一つの証拠物件なんですよ、これは証拠物件。ですから、議事録は持っていませんとか、読みませんとかという形で政府委員の方から答弁されたら、何のためにわれわれは議事録を読みながら検討ということになるんですか。やっぱりこの議事録が本当に政府側の答弁であり、それに対する政府委員も、その政府答弁を補強する意味で答弁するでしょう。ですから、国会答弁の際には、議事録の何ページのどこはこう答弁がありますが、政府委員の方で調査の結果、ここはこう直します、これが正当でございます、訂正をお願いしますというふうな議事をしないと、観念論で議論したって何にもならない。  したがって、私は、いまの高橋航空局長の答弁は、もう一回議事録を点検して、どこの何ページ、たとえば不当建築三件であるならば、加藤国家公安委員長はこういう答弁をしているけれども、実際点検した結果こうでありますので、御了解願いますと、こういう御答弁になるのが筋じゃありませんか。  大臣、どうですこれは。加藤国家公安委員長はこう言っているんですよ、十三ページの二段目の中ほど、加藤国家公安委員長、「今日まで関係者を呼びまして調べておりますけれども、まだその実態が十分に把握できておらぬ、かようなことはきわめて残念に思うのでございますから、さらに捜査を進めてまいりまして、早期に結論を得たい」と存じます、時間をおかし願いたいと、こういうふうな加藤国家公安委員長の答弁ですよ、これ。いまの航空局長の答弁じゃないですよ。これはどっちが本当なんですか。そんなでたらめは認めませんよ。もう一回そこ、やり直し。
  36. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これは、実は団結小屋の実態は、運輸省はまだデータを持っておりません。したがって、公団あるいは警察からいただいたデータで御答弁しようとしたわけでございますが、ただいま御指摘の本会議における国家公安委員長答弁の中身の問題につきましては、関係省とすぐ詰めまして、議事録と照合いたした上、改めて御答弁申し上げます。
  37. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 せっかくですから、これは公団側にお願いします。  これは共産党の内藤先生の質問です。十一ページの下段、「私の資料要求に対し、空港公団は、暴力集団による公有地上の不法耕作面積は、五十一年六月現在、実に二十四カ所、八十六・九ヘクタール」、こういう答弁しているんですよ。これは、共産党の資料要求に対しておたくの方が出したんでしょう。これに対して答弁では、運輸大臣の答弁なり公団の答弁では、全然否定していないですよ。そのまま認めているんですよ、これ。  そうすると、いま高橋航空局長の説明と、この内藤先生の質問に対する否定もしてない、こうなりますと、これまた適当なことを言っているなということになるんですがね。国会の権威にかかわりますよ、あんた。どっちが本当なんですか。
  38. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 不法耕作の面積が八十六・何ヘクタールというのは正しいんですが、その個所が二十四カ所というのは、これはちょっと不法耕作の個所ではなくて、ほかの何かと間違っているんじゃないかという感じがいたします。これもよく調べまして御答弁申し上げたいと思います。
  39. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、私はあなたたち、国会の論議というものね、野党なり皆さん質問して、大臣が答える。政府委員が皆上の方にちゃんといて、備えてやっているでしょう。こういう質問で大事な問題だったら、これは違うとか訂正するとか、関係の委員会で、本会議でああいう答弁があったけれども、われわれ政府委員がやった結果こうなりましたと、そういうふうに、問題点が複雑であればあるほど的確な現状認識をやるのが政府側の当然の仕事じゃないですか。  運輸大臣、これは大臣の直轄だから、そういう大事な事実関係の確認になるときわめて、議事録と政府委員、関係公団の取り組みがきわめてちぐはぐだと。こんな状態では、私、議論できませんよ。どれが本当の問題だか、こんなことじゃ議論できません。どうですか、大臣
  40. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 目黒さん、一般論としてその種のものが正確でなければならぬとおっしゃることは、そのとおりだと思います。ただし、そこから先のことでの話は聞いておりましても、若干一方的に怒られるばっかりの話でもなさそうに思うんです。よく調べさしてやってください。ただし、その前におっしゃる一般論は私もあなたのおっしゃるとおりだと思います。
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、その問題それまで私質問を中止します。数字を並べてくださいよ。休憩だ。こんなでたらめな数字で議論できない。
  42. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  43. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 速記つけて。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、加藤国家公安委員長の三十三カ所は修正をして三十五カ所、そのうち公団の用地内にあるやつが三カ所、これはいいですね。それから二期工事区域にあるやつが八カ所。そうしますと、三カ所、八カ所で十一カ所。そうすると、いま提案者が行おうとする三十五カ所のうち残りの二十四カ所、これは民有地ということですね。いわゆる農民の方の手持ちの用地、こういうふうに大体交通整理していってできると、こういうことですね。これ確認しますが、いいですか。
  45. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 数はそのとおりでございますが、ちょっと注釈を加えますと、公団のこれからやろうとする二期工事の区域の中の八カ所、これはやはり民有地にあるわけでございます。まだ公団として未買収の民有地です。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 わかりました。  そうしますと、警察側にお伺いしますが、四月の九日に横堀要塞に対する差し押さえ判決がありまして、千葉地裁の判決では反対同盟の方の言い分を一応取り上げたけれども、おたくの方で異議申し立てをやって、最高裁に特別抗告という申し入れをして、その判断が出るまでは一応現行と、こういう形になったようでありますが、これは裏から見れば、この団結小屋の取り扱いについてはいままで建築法とか土地収用法とかいろいろ言われてきましたけれども、おたくの方の考え方としてはやはりこの団結小屋の取り扱いについて横堀要塞、最たるものですから、現行の刑事訴訟法などを含めてやればできるんだという実績で現在まで取り組んできたし、異議申し立てをしたということは今後もそういう方法で取り組むんだというふうに受けとめて間違いないと思うんですが、いかがでしょうか。
  47. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) ちょっといまの御指摘に問題がございます。といいますのは、横堀要塞を差し押さえましたのは、差し押さえですから、犯罪の証拠物件としてやったわけですけれども、細かいことは別にいたしまして、横堀要塞に特殊な条件と申しますか、差し押さえした理由が三月二十六日中心に、二十五日から二十七日まで殺人未遂とか、公務執行妨害、凶器準備集合、火炎びん処罰等といった非常に凶悪な事件の捜査や、刑事裁判の証拠資料ということであれを差し押さえたわけです。つまり、刑法にもございますけれども、要塞自体が文字どおりとりで的になって、犯罪行為に供されたものであるということで、没収刑の執行を確保するために現状に近い状態で保管する必要がある。第三者といいますか、これにその後で変更を加えられたり、破壊などされますと、検証当時の形状と著しく変わってしまいまして証拠価値が減殺されるということで、刑事訴訟法の手続に従って差し押さえをお願いをしてそういうふうになったわけでございますので、あの横堀要塞の特殊な事情であって、この横堀以外の団結小屋につきまして、これが犯罪の用にそれ自体を供したとか重要な建物、工作物本体が証拠物件であるということでない限り、工作物自体、建物自体を差し押さえの対象というふうにすることはできませんので、横堀要塞の特殊な条件事情であるというふうに御了解をいただきたいと存じます。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ特殊な条件ということは、いま私の方も質問の仕方が悪くて、二百十八条の関係でありますからわかります。そうすると、提案者が言っている団結小屋、先ほど提案者は集合したり火炎びんをつくったり訓練をしたりと、こういう話を言われたんですが、その上げ足を取るわけじゃありませんが、そういう団結小屋で行っているいろんな提案者が言うような行動、行為等については、警備側としては今日まで凶器準備集合罪の容疑であるとかあるいは爆薬、火薬物取り扱いの容疑であるとか、そういう令状を取りながら今日までも捜査をしてきたし、今後もそういう疑いがあるとすれば令状で捜査できるという可能性は十分あると、こう私は考えるんですが、いかがでしょう。
  49. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 御指摘のとおりでございます。今後とも令状をもちまして捜索、差し押さえ等の努力をいたしたいと思っております。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、提案者ね、私も何回かあそこの空港の管制塔に上がらせてもらいましたから私も見ています。そうすると、いま警備側の話によると、そういうことについては現行法でも十分捜査その他については万全を期し得ると、そういう私は受け取り方をしたわけなんですが、それらの問題とのあれについては後ほどわが党の専門家の皆さんからまたお伺いし直して、私も時間が参りましたから、時間がありませんから、この法案を読ませてもらって私のちょっと危惧する点、二、三点だけお伺いしておきます。  この法案を読んでみて、いろんな性格論争とかそういうのはまた別な専門家の方々にやってもらうとして、この何条ですか、第二条の三項などを読んでみますと三キロの範囲内と、こういうふうになっているんですが、三キロの点を打つ場所は、空港の用地というのは三角になったり丸になったりあるんですが、全部空港の用地と一般の用地の境界線がその三キロの点を打つ始まりの点になると、こういうふうに考えていいんですか。
  51. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 空港の敷地はもちろん規制区域になるわけでございまして、その周辺からそれぞれ三キロの範囲内ということになっております。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私が言っているのは空港の用地がありますね、公団が買収している、登録している、その用地は三角もあれば四角もあればいろんな形態があるわけですよ。そのおのおのの個所から三キロ以内と、そういうふうに管轄区域を考えるんですかというんです。
  53. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) おっしゃるとおりでございまして、それを図面にかきますとかっこう悪くなりますが、これはもうやむを得ないと思っております。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、われわれは政府委員から説明を受けたこの図は、必ずしもそうなってないんですよ。この中の実線が空港域でしょう、これ、一期、二期を含めて。これから皆三キロになっていないでしょう、これ。四キロもあれば五キロもあれば六キロもあればあるいは二キロもあれば、こういうずさんな資料では討議できないですよ、われわれは。一体どうなるのか。
  55. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) この図面を作成いたしました運輸省の方から御説明いたしますと、真ん中に太い実線で囲んでございますのが事業認定の告示のありました新東京国際空港の区域でございます。その外側のところからすべて三キロの点を取りますとこういう形になるわけです。これはちょっと真ん中の空港の形は角になっているのに、外側の境界線が何かだんごが二つついたようになっているということで違和感があるわけでございますが、私も実はそういうふうに考えておりまして、担当者に聞きましたらば、たとえば角のところですね、空港敷地の角のところはコンパスで三キロの円を描きまして、それでこう描くと、そうなりますと直線と曲線が合成されたこういう図になるわけでございます。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 やはりこれは正確なものにしてもらいたい。これはわれわれも小学校で類似形習ったんですがね、おのおのから三キロといえば類似形ですよ、これは。そうでしょう。これは数学のいろはのいだ。だから、やっぱりおのおのから三キロということは、当面の二条三項の第一号はおのおのから三キロと、こういう理解ですね。  それから第二号ね、空港の設備という形を言っているのですが、私はこれは法案の一条の、ずっと読んでいくと、これは専門的に申し上げられませんが、列車往来妨害罪とか、転覆罪とか、そういう言葉がぴょんぴょん出てくるんですがね、この設備、航空機能の確保のための法案と列車往来妨害罪とか転覆罪というのはどういう関係があるんだろうか、どういうふうに結びつけようと提案者は考えているのか、私はかいもくわかりません。いま言った三キロの問題、それから航空の施設の問題、それと列車往来妨害罪がどう関係があるのか、この辺の組み合わせをひとつ提案者、具体的に教えてください。
  57. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) いま御指摘の第二条は、実は暴力主義的破壊活動等とは何であるかという定義を羅列しているわけでございまして、現行法に定められている暴力主義的破壊活動とみなされるものを全部例示をしているわけでございます。いまの突っ込んだ御質問については、私もちょっとお答えができませんので、この法制化、法文化を担当してくれた衆議院の法制局の方から答えてもらいます。
  58. 上田章

    ○衆議院法制局参事(上田章君) この議員立法をお手伝いいたしました一人といたしまして、先生の答弁に対して補足さしていただきます。  いま御指摘の「汽車、電車往来危険」、「汽車、電車顛覆等」の刑法犯が二条一項一号に書いてございます。これは実はただ一般的な刑法犯ということではございませんで、そういう行為で、しかも、簡単に言いますと、新東京国際空港を阻害するような行為があった場合という因果関係がついております。さらに個々の刑法犯はそういう刑法に当たるような行為を犯し、そして具体的に起訴され処罰されたというものだけではございませんで、むしろ二条一項一号から各号に掲げましたのは、行政的に定型的な行為を取り上げたということでございます。したがいまして、ただいますぐに、いまお話しのように、「汽車、電車顛覆等」の犯罪が直ちに現在の状態では結びつくものとは考えておりません。
  59. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あんた案外正直に言ったね。現在結びつくものじゃないという、それはそのとおりでしょう。結局あなた方がこの法を立案する際に、パイプラインの失敗で国鉄労使に燃料暫定輸送をやってくれと、それでいろいろな経過があったにしても、私も関係して、いわゆる開港前の備蓄燃料の輸送はそれなりに輸送を完了して、それで開港に備えて労使の方でも話してやっておると、あの暫定輸送とこの二条のおのおのの行為、どういうふうに結びつくのか、私もいろいろ一晩考えたけれども結びつきませんでした。あえて私が言うならば、将来は暫定輸送、パイプラインあるいは公害反対闘争、騒音反対闘争、そういうもろもろの事象についてあなたがいみじくも言った、二条の下の方の「必要な施設のうち政令で定めるものの設置若しくは管理を阻害し、又は新東京国際空港若しくはその周辺における航空機の航行を妨害する」という形で燃料輸送がとまれば、国鉄の労使関係の問題で燃料輸送がとまれば、それはこの法案で新空港の航行を阻害した行為と、いわゆる過激派行為と断定する可能性を十分これは含んでいるんではないですか。そういうふうに解釈する以外に現在ありませんというあなたの言葉と、この法案の仕組みを考えると、結局パイプラインとか、暫定輸送の鉄道の施設等についても新国際空港を機能を管理する云々というふうに政令で指定する可能性を持っているんですか、どうですか。あんたじゃないよ。法律とか何か聞いているんじゃないもの。立法者と運輸大臣だ。立法者だ。
  60. 上田章

    ○衆議院法制局参事(上田章君) 先生ちょっとお待ちください。私ちょっと補足さしていただきます。
  61. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 関係ないよ、要らない。提案者はどう考えているか、提案者は。
  62. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 衆議院で立法を一緒にやったわけでよす。内閣法制局と違うんです。衆議院の法制局ですから。
  63. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は提案者がそれなりのいままでの国会答弁を含めて、現行法で議論をして、どうにもならぬところでこうなりましたということをきのう提案者が提案理由で言ったでしょう。提案理由で言っておる以上は、やっぱり提案者は骨格ぐらいはきちっと持って、その骨格に伴ういろんな立法技術あるいは調整、他の法案との調整、これは私は法制局の仕事であることは否定いたしません。でも考えの骨格だけでは提案者の足立さんね、パイプラインとか国鉄側にお願いした暫定輸送、こういう問題についてもこの法律を適用して石油パイプラインの問題について、そういう問題になった場合、端的に労使関係で若干争議があって燃料輸送がとまったと、あるいは若干おくれたと、こういう場合でも過激派集団という形に認定をして、この法案の適用を考えたのか考えないのか、その点だけ言ってください。
  64. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) いま目黒先生最後に御指摘の、正統な労働運動としてストライキ等があって、輸送がとまったと、これは確かに結果としては航空を阻害する行為には当たるかもしれませんが、私どもはそこまでを暴力行為として考えてはおりません。
  65. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それと、パイプラインとか暫定輸送等については、直接この法案の対象には考えていないというように確認していいですか。
  66. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 引かれたパイプラインがすでに作動しているのに、それを故意に暴力でぶち壊したというような場合とは違うと思います。
  67. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、パイプラインはこの二条の問題、三項の区域ですか、区域の中の二号の施設、こういうふうにパイプラインは考えていると、こういうふうに理解していいわけですね。鉄道施設は対象でないとこういうことですか。
  68. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) それはもちろん考える余地はあると思っておりますが、政令で決められることだと思います。  なおいま御質問の中に、列車をとめるというんですが、これは故意に列車の脱線、転覆を図って、油を輸送する油送車を、そして妨害をするというようなことは、これは明らかに私は暴力行為だと思いますが、さっき申し上げたように、正当な労働権に基づくストライキ等によって阻害されたというものは対象には考えておりません。
  69. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これはやっぱり聞いてよかった。そうすると、おたくの中には先ほど言った列車往来妨害罪ということあるいは列車転覆罪ということは、結局これは運輸大臣の政令事項になるけれども、この法案の趣旨は、パイプラインも暫定輸送の鉄道施設も、それに絡まる関連施設もこの法案の対象である、対象であると、ただし、その法案の対象であるけれども、その内容によって運輸大臣が過激派集団の行為か、そうでない行為か、その行為の内容については運輸大臣が認定権があるんだと、こういう発想ですかどうですか。
  70. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 私もそこまで突き詰めて検討しておりませんでしたが、先ほど申し上げたように、パイプライン等につきまして、政令でまずその区域を定めまして、そしてそれが現に破壌されたような場合については、やはり運輸大臣が禁止命令を出し、その結果、それが暴力主義的破壌活動者の行為であるかどうかということについては運輸大臣が認定をするという段取りになると考えております。
  71. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私はここに二条一項の各号に「刑法(明治四十年法律第四十五号)」からずっとありますわね。水道毒薬混入の問題、水道損壊の問題、それから水道汚染、いろいろあるんですが、私はこれらの問題と新空港の問題が、私も学がありませんからわかりかねたんで、私も自分の一番経験のあるパイプラインとか鉄道の問題で、しかも鉄道の問題、これは空港公団政府の失敗で、国鉄の労使がどうぞお願いしますと頼まれた仕事を一生懸命やっておって、それでちょっぴり間違うとこの法律でばくっとやられると、そんなかけがえのない方法ないなあとこう思って私は読んだんですけれどもね。ところがいまいろいろ聞いてみると、まだはっきりしませんが、パイプラインと鉄道施設はこの対象だと、どうもこんなにとれそうな、とれないようなかっこうなんですが、運輸大臣としてはこれはどうですか。あなたも運輸大臣として、これにはやっぱり与党側として現行法でいろいろ検討したけれども、このような法案はなかったと、こういう答弁ですから、現行法にあるかないかという際に、あなたも運輸大臣として一応提案者の方から質問されたと思いますから、運輸大臣としてこの問題についてはどういう御意見を提案者側に意思表示したのか、大臣の見解を聞かしてもらいたい、こう思うのです。
  72. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 本法案は、私が申し上げるまでもなく、国会の御意思によっておつくりいただくという方法で来ております。初めのころにはいろんな議論はございましたが、私はそれが最も適当であろうと考えておりましたし、また国会の側におかれましても、各党いろいろ御協議の結果、こういうことになったわけです。したがって、私は立法者の御意思を尊重して、すなわち国会でお決めになったその御決定を尊重して、今後忠実に対処していかなきゃならないと、こう考えております。  そこで正直に申しまして、さっきからいろいろお聞きになるんで、つい人がいいからお答えをしておりますけれども、国会でお決めになることについて、余り私どもがどうあるべきだとか、どうとかっていうことはそう積極的に、そういう意味では申していないわけで、ただ途中で国会側の、こういうことは実情はどうなんだとか、実務をやっている者から考えるとどうなんだとかという、要するに参考となるべき意見等を徴されたことに対してはお答えをいたしておるわけでございます。そういう意味で、ただいまの点、私自身は自分で答えてはおりませんが、私の部下が、局長等がいま御質問の点についてお答えしていることにつきましては、ちょっと申さしていただきたいと思います。
  73. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) この法案を拝見いたしますと、新東京国際空港の機能を確保するために必要な施設というふうに書いてございますので、たとえば土屋というところに燃料の中継基地がございます。そういったものでございますとか、パイプライン、これらにつきましては政令で決めるならばこの法案の対象になり得ると思います。ただ、これが成立した場合に運輸省としては当面どうかと、仮定の御質問がありまするならば、当面まだこの土屋の基地とかパイプライン等の周辺に団結小屋がございませんので、直ちに政令をつくる必要はございません。
  74. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 提案者、私も時間が来ましたから、この法律的な問題については後ほど私どもの他の先生から専門的にお話し願えると思うんですが、私みたいな高等小学校を終わった人間で、大衆運動をやってきた者で、幸い国会にこの場を占めさしてもらっておった、そういう経験からずっとはだで感じて読みますと、この法律というのはもう際限なく拡大される可能性を持っている。私もかつて昔の戦時中の法律、大分苦い経験を教わったんですがね、私らの先輩も含めて明治、大正の機関士友愛会の先輩なども含めて、われわれの先輩が治安維持法を、機関車の運転士が何で治安維持法を適用されるんだということまで先輩からこれは聞かされたものです。そういう可能性を十分私はいまの討論を聞いておって持っております、持ちました、率直に言って。本当に団結小屋なら団結小屋に限定するならば、団結小屋を撤去するなら撤去するという形でずっと限定した当面の措置をどうするか、緊急時限立法というような形にもちろんぐっと問題点をしぼって、そこに焦点を合わせる、そういうふうな私は展開をすべきであって、運輸大臣に権限を集中しちゃって、運輸大臣の見解いかんによってはどうにでも拡大されると、これは日本航空の機能を確保する必要な施設と言えば、これは日本列島全部なるんじゃないですか、率直に言って、判断のいかんによっては、航空局長。ですから、私はこういう日本列島全体がこの運輸大臣のさじかげん一つで、航空局長の認識一つでばばっと言われて、逮捕されて、撤去されて、それで質問に答えないやつにも、一番後へいきますと、九条の罰則、一番後の九条の二項へいきますと、質問に答弁しない者は五万円以下の罰金だと、一体憲法の黙秘権とか、現行の警察でも私は何回か証人に立ちましたけれども、言いたくないものは言わないで結構です、宣誓して私は何回か証人に立ちましたよ。その現行の黙秘権とそういう基本的人権からみても、質問に答弁しないと五万円の罰金なんて人をばかにするにもほどがある。こんな法案あなたありますか。私は断じてこの法案は容認できないということを意思表示しまして、時間が来ましたようでありますから、とりあえずの質問を終わります。
  75. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) いまいろいろとお話ございましたが、さっきもお答えしたように、この第二条は、暴力主義的破壊活動等とは何であるかという定義を、これ文章で書きますとね、またこれ非常に議論が出てきますし、書けません、実際問題として。それで、現行法にある暴力主義的破壊活動と目されるものを全部ここに挙げたんでありますが、これが全部この立法の処罰の対象になるわけではございません。それで、この立法はさっきもお話があったとおり、新東京国際空港の周辺から三キロ以内、この規制区域を法律で決めております。実は初め提案者としては、これは政令にゆだねようと思ったんですが、何といいますか、共同提案者になってくれた他党の御意見もございまして、これはもう誤解を招くといかぬから、いまお話しのように、日本列島全部に及ぶんじゃないかというような誤解を招くおそれもあるから、きちっと法律の中で三キロと決めよということで決めたわけでございまして、この第三条以下に規制の内容が書いてあるわけでございまして、第二条は何が起こるか実際これはわかりませんので、暴力主義的破壊活動の定義であるというふうに受け取っていただいて、これがすぐに処罰の対象になるものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  76. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 一問、誤解ですから、私も言っておきます。それは二条の三項の一、それは言えます。提案者の言うとおりです。ところが、三項の二ですよ、三項の二は「航空機の離陸若しくは着陸の安全を確保するために必要な航空保安施設」とありますね。航空保安施設はこの前運輸省からもらったこの資料でも、運輸大臣が認定すれば、銚子でもどこでも、あるいは大阪空港までどうか知りませんが、日本列島全体を管轄するのが空港の安全だという解釈さえ当該者の運輸大臣が下せば政令で施設に指定できるんですよ。だから、提案者の言ったのは二条の三項の一であって、私が言っているのは三項の二なんです。だから、施設の認定は運輸大臣が権限持っているんですから、どこまで範囲を広げるかは運輸大臣の認定一つ。だから、日本列島に発展する可能性を十分持っていると、こう私は言っているんですから、提案者お間違いのないように、これだけ言っておきます。
  77. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 目黒さんと別に議論する気は毛頭ありませんが、いま航空局長がはっきり答えましたとおり、レーダー施設であるとかいろいろありますが、その周辺には現在団結小屋もございませんしね。
  78. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 団結小屋関係ないんだ、この法案は。
  79. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) いやいや、関係あるんですよ。われわれの目的は、さっき申し上げた常時脅やかされるその危険を防止しようという、予防しようというのが第一の目的ですから、いまとりあえず政令で指定する必要のないものは指定をしないと、運輸省は仮定の問題ですが、答えておりますので、いまのような危惧はお捨ていただきたい。そういうことを、私、提案者としては考えておりません。どこまでも幅広く持っていって何でも指定してしまうというようなことは考えておりません。
  80. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 目黒さんのお話だけですと、たとえば最後のところで運輸大臣の考えによっちゃむやみやたらといろんなことができるように——このまま伝わりますと世の誤解を招きますので、私は立法者、まあ一面において議員ではございますけれども運輸大臣という立場ではそういうわけではございませんので、そういうような目黒さん御指摘のような、やたらと権限のあるようなことになることは私としては迷惑でございます。第一、そういうことでなくて趣旨が明らかにされておりますので、いま御指摘のようなことはあり得ないと考えておるわけでございまして、どうぞひとつそういうことになりますと、話が長くなるからなにでございますけれども、われわれは立法された後において命ぜられたことについて国会の御意思を尊重して対処するわけでございます。決して政府側がそういうことなどは考えていないということだけを申し上げさしていただきたいと思います。
  81. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩      —————・—————   午後一時二十五分開会
  82. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  この際、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案について、本日、地方行政委員会及び法務委員会から連合審査会開会の申し出がございましたので、これを受諾することとし、その開会日時は明十二日午前十時とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  84. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 休憩前に引き続き、新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  85. 矢田部理

    矢田部理君 最初運輸大臣に対して質問をし、見解を求めたいと思います。  もともと成田が今日のような事態になった根本の原因は、政府自民党政府の意向だけを先行さして、住民を無視し、頭ごなしに思いつき的な計画決定と力による空港建設を強行してきたことにあると私は思っています。成田の純朴な農民たちが十数年にわたって抵抗をし続けてきたというこの意味を謙虚に受けとめようとしないで、ただ過激派対策を治安立法と警察力の強化によって進めれば事は解決するという態度は、今日の事態を招いた真の原因に対して究明しようとせず、無反省政治責任の回避のそしりを免れないと思いますが、運輸大臣としてどう考えておられますか。
  86. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 矢田部さん、頭ごなしに政府自民党をぼろくそに言われるが、まあお立場上そうかもしれませんけれども、いままでもいろいろ御注意をいただいたり、おしかりをいただいたりしておりますのを私自身文字どおり謙虚に受けとめまして、そういうことを頭に置きつつ対処してまいっておるつもりでございます。しかし、厳しく御批判願うときにはまだまだおしかりを受けるのもこれはやむを得ないと私思っておるわけでございますが、お言葉にありましたように、徹頭徹尾自民党政府が悪いというような御表現、それは多少はいかがかと思いますが、これもそうでないと言えば、またしかられなければいけませんので、まあ本当にそのお言葉を私はいま申しましたような態度で受けとめまして現在までも対処してきたつもりだし、今後もそうなければならぬと思います。ことに五月二十日に改めて開港するという、そういうようなタイミングである現在におきましては、一層そういうことを心がけていかなければならぬと存ずる次第でございまして、お言葉を重々頭に置きつつ今後にも対処していきたいと存ずる次第でございます。
  87. 矢田部理

    矢田部理君 成田問題を治安立法と警察力の強化で対応すると、その政府の姿勢がまさに批判をされているんであって、その重要な一つとして今日いま審議をされております法案が登場してきたわけです。これについて最初に私なりに、恐るべき内容を持っている治安立法であり、治案立法という以上に私はファシズム立法だというふうに思っています。ファシズムというのは、もともと行政権に絶対的な地位を与えて、国会の立法権も司法権も否定ないし軽視をしていくという特質を持っているわけでありますが、その特質を率直に言えば余すところなく備えたのが今度の立法だというふうに言わざるを得ないわけです。たとえばこの立法の主役として登場をしてきますのが運輸大臣です。運輸大臣が全権を掌握をして、司法などの第三者機関の関与を許さないというのが一つの特徴になっています。あるいはまた、かつて悪名高い破防法が大変な反対の中でようやく日の目を見たことがございます。その破防法には三木前総理も反対しました。現内閣の園田外務大臣も反対の投票をしたのであります。その悪名高い破防法をはるかに越える内容と問題点を持ったのが今度の成田立法と言われるものであります。  幾つかの事実を指摘しておきたいと思います。破防法に初めて暴力的破壊活動という言葉が登場をいたしました。今度の立法も同じ言葉が登場をするわけでありますが、破防法よりもはるかに範囲を拡大をしています。暴力的破壊活動というと大変な暴力事件や殺人や列車の転覆というこうを想定をするのが常でありますけれども、この法案の中身を見てみますとどうでしょう。刑法の犯罪事実の列挙の中でも最も軽いとされている住居侵入、器物損壊まで実はこの中に公然と織り込められてきている、これが一つであります。  それから、破防法は団体規制をもともと対象としています。その意味では集会結社の自由等に対する公然たる憲法上の挑戦であると思うわけでありますが、今回は同じ憲法上の基本的な権利であるところの財産権の保障に対して重大な制約、真っ正面からの憲法に対するやっぱり挑戦をしているのが特徴であります。その点で若干の性格は異なるにいたしましても、たとえば破防法では暴力主義的破壊活動を行うおそれがある場合を規制の対象としています。しかし、あの悪名高い破防法では、行うおそれがある場合について三つのしぼりをかけているわけですね。ところが、今回の新立法では、暴力主義的破壊活動を行うおそれがある者に対しては破防法ですらかけたしぼりを一切取り払っている。破防法はどういうしぼりかけたかといえば、行うおそれを規制の対象にするわけであります。それが継続かつ反復して行われるおそれがあるかどうか、単なるおそれではなくて明らかなおそれがあるかどうか、そのおそれを認定するについて十分な理由があるかどうか、少なくとも三つのしぼりをかけてきているにもかかわらず、今度の新立法ではおそれがあると運輸大臣が認定しさえするならば、それだけで法規制の対象になるという、破防法をはるかに越えた希代の悪法だと私は考えるわけです。  同時に、処分も同じです。団体規制と財産権に対する重大な制約という点では、基本権を制限するという点で同じであります。破防法は処分を行うについては一定の手続、しかも第三者機関の判断を求めているわけであります。公安審査会という機関であります。ところが、今度の場合には一切の手続をこれ省略し、運輸大臣みずからがまさに独裁的な権限を持ってこれを判断をするというこの点でも破防法をはるかに越えております。さらには、破防法はそれ自体悪法でありますが、その破防法ですら第二条と第三条で乱用や拡大解釈を抑えるために二つの条項をわざわざ置いているわけであります。ところが、今回はその手の歯どめ措置も全くこの法文の中には見当っておりません。後で幾つか関連して問題にしていきますけれども、その他破防法と比較をしても大変な問題を含んでいる。悪法である破防法をはるかに越えた驚くべき内容を持った法案であるというふうに私は断ぜざるを得ないわけであります。そういう法案を、しかも短時日のうちに十分な審議もしないで通してしまう、あるいは通そうとしていることに対して、私は大変憤激をしているところでありますが、以下、各論をそれぞれの問題点について伺っていきたいと考えております。  その一つでありますが、私は質問を提案者であります足立さんに行いたいと思います。その他に質問が必要なときには特に申し上げますが、申し上げないときには足立さんにぜひお答えをいただきたいと思うのでありますが、こういういま私が指摘したような内容を持つ法案を検討し、提案をされるに当たって、破防法との比較等々を検討されたことがあるでしょうか。
  88. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 先ほど目黒先生の御質問に対して、私冒頭この立法を考えるに至った理由について率直に申し上げました。いま矢田部先生大変けしからぬ法律だというようなおしかりでございますが、これは実は人の行動を直接に規制するという、処罰するとかいう立法の趣旨ではございませんので、おわかりのとおり、成田周辺にある俗称団結小屋とこの工作物に対する規制を規定しているだけでございまして、ただ、さっき第二条でいろいろ議論が行われましたが、あれは「「暴力主義的破壊活動等」とは、」という定義を法律、現行法並べたものですから、あれが全部直ちにこの法律の対象になるかのごとき印象を与えられたと思いますが、そうではございません。  それから破壊活動との比較の問題につきましては、この法文化について直接引き受けてもらった衆議院の法制局の専門家が来ておりますから、私から申し上げるよりも専門家の意見をお聞き取りいただきたいと思います。
  89. 矢田部理

    矢田部理君 個別にはまた伺うことといたしますが、足立さん御自身が提案の責任者として同じような法制、とりわけ暴力的破壊活動という定義を前段にしてそこを基礎にした規制をやっていくわけでありますが、一度でも破壊活動防止法、破防法についてあなたが御検討、御吟味をこの立案に当たってしたことがあられるかどうかということだけをまず伺っておきたいと思います。
  90. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) もちろん私ども四党でこれ共同提案をいたしておりますので、いやしくも憲法違反のそしりを受けたり、いわゆる治安立法だときめつけられることは避けたい。あくまでも新東京国際空港の安全、多数の人命の安全を図る、それから航空機の安全を図るという点にしぼっておりますから、私は破壊活動はその行為そのものを対象にしております。さっき申し上げたようにこの立法は破壊活動防止法とは全く性質を異にしている。その集合の場所になったり、火炎びんを製造したり、保管したり、そういう成田空港の安全に脅威を与える工作物についての規制を規定しているというふうに考えております。
  91. 矢田部理

    矢田部理君 その工作物に対する規制が私が先ほど指摘しておりましたように、憲法上の財産権の保障の規定に真っ正面から挑戦し、これにはやっぱり重大な制約を加える規定だという意味では、破防法は結社の自由に対する問題点であるということと違うかもしれませんけれども、基本的には憲法に対するかかわりの上では同じ質の問題だというふうに私は申し上げているんです。  そういう基調を指摘をした上で、少しく各論的な問題の質疑に入りたいと思っておりますが、たとえば「暴力主義的破壊活動者」ということについての定義がございます。この定義の中には、すでに御承知のように、暴力主義的破壊活動を行うおそれがある者も入るんだというんですね。そのおそれの認定について、破防法は、継続し反覆している……、と。前にもたとえば住居侵入やったと、今後も継続犯としてやる可能性がある——破防法になぞらえて言えばですよ。あるいは単なるおそれではいかなくて、明らかなおそれでなきやならぬ、そのおそれを認定するについて十分な理由と根拠がなきやならぬ。破防法ですらこれだけのしぼりを実はかけているわけです。ところが今度はどうですか、ただ運輸大臣が「行うおそれがある」と認定できればそれで「暴力主義的破壊活動者」と認定される、そういう規定になっているのは御承知でしょう。それでいいんでしょうか。「おそれ」に対してだれがどういう基準で、まあだれがというのは運輸大臣になるわけでありますが、何を根拠に認定しようとするんですか。提案者として見解を求めたいと思います。
  92. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) くどくなりますが、先ほど来私もお答えしているとおり、今度の立法の目的は、この「暴力主義的破壊活動者」が集合の場所に使う、あるいは火炎びん製造、保管等に使うその工作物を対象にしているわけでございまして、その工作物自体がもう先ほど来、数も点検されたとおりでございまして、これがある限り成田は一日も安閑として飛行機を飛ばすことができないという認識に立って緊急立法として立案をしているわけでございますので、私は、これは破壊活動防止法の場合とは内容がまるっきり違うし、むしろ私は、矢田部さんよりも考え方はもっともっとしぼられた、ごく局限されたものだというふうに実は理解をしているわけであります。
  93. 矢田部理

    矢田部理君 提案者がそういうふうに理解をされるのは御自由でありますが、残念ながら、あるいは遺憾ながらと言った方がいいかもしれませんが、法律は一人歩きをいたします。あなたの御意思とは別個に法律自体が独自の機能、歩き方をするということをひとつ法案を審議するに当たっては十分にやっぱり踏まえておかなきゃならぬと思うわけであります。  足立さんは工作物の規制を対象とするんだということを盛んに強調されますが、工作物それ自体が対象なのではなくて、これまた人とのかかわりにおける工作物の存在が問題にされるわけであります。その人がまさにこの「暴力主義的破壊活動者」と認定されるかどうかが重要なポイントになるわけでありますから、単に物に対する規制だ、工作物に対する立法だという説明だけでは実はきわめて不十分なんです。その工作物が、たとえばわかりやすく言えば、住居侵入をするおそれがある、器物損壊をするおそれがあるという認定を運輸大臣がすれば、その人たちの用に供されるということに発展をして規制の対象になる、これが立法でありますから、工作物論だけでは説明がつかないわけであります。もう一度見解を求めます。
  94. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) いま破防法との比較の問題、いろいろ矢田部先生御専門で私もたじたじしているわけでありますが、これは運輸大臣が一人で認定できるわけのものではないと思いますし、この法案の中にも各関係官庁協力しなければならぬという義務規定も盛り込んでいるわけでございます。最近までの東京国際空港周辺の異常な事態というのは十二年間も続いてきているわけでありまして、反復どころの騒ぎではないと私は思っております。法案についての御指摘はわからぬではございませんけれども、これは、運輸大臣にアドバイスをする関係各官庁の調査、事前の調べ等によりまして、そのおそれのある者というものはきわめて明確になるんじゃないかというふうに私としては考えております。
  95. 矢田部理

    矢田部理君 いまの答弁でますます問題が発展をするわけであります。つまり、運輸大臣に全権を掌握をさせておいて、実はそのおそれを認定をするのは、率直に言えば私は警察が大きな役割りを果たしはせぬかと。この条項の後の方にも関係行政機関の協力条項がございますけれども、そのことがまた治安立法である性格を特徴づける内容になると。いみじくもいま提案者の足立さんがおっしゃったとおりなんであります。そういうことになるとするならば、実質上は警察の恣意的な判断で、いわば「暴力主義的破壊活動者」——破壊活動をするおそれがある者という認定が、もっともっと権力的に治安立場からやられる危険性が高くなってしまう。どうでしょうか。
  96. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 治安的とおっしゃいますが、成田の周辺の異常な事態はもう御理解いただいていると思います。私も現場を見てみまして実はびっくりしたわけでございます。しかも、先ほど来お答えしているとおり、規制区域というのはあの成田空港周辺三キロというふうに法定しているわけでございまして、きわめて限られた範囲内でございますので、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。
  97. 矢田部理

    矢田部理君 足立さんのお話がありましたからさらに話を発展さしたいと思いますが、規制区域が何か成田に限定をされているようなお話し向きでありますが、そうでしょうか。足立さんの頭の中には、なるほど、当面の成田問題をどう足立さんの立場で処理しようかということが中心になっているかもしれません。先ほども申しましたように、立法というのは、あるいは法律は、できてしまえばそういう頭とは別に働くということをもう一つやっぱり重要な問題として考えなきゃならぬということなんであります。  そこで、規制区域の問題が出ましたからそちらの方に話を発展さしていきたいと思いますが、まず、この法律の適用範囲の基礎となりますものに三つの類型を挙げています。二条の「定義等」の中にたしかあったかと思います、が、一つは、成田空港そのもの、それから二番目には、空港内の保安施設は空港そのものとして規制をされるわけでありますが、空港外の保安施設、三番目には、空港の機能確保施設と言ったらいいんでしょうか、こう三つの基礎を冒頭第二条で出しているわけでありますが、まず、その空港外の保安施設というのは特定をされているのでしょうか、あるいはどんなものを考えられているでしょうか。
  98. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) これは実態の問題でございますから、運輸省からひとつ答えさしていただきたいと思います。
  99. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっとお待ちください。足立さん、自分で立法を提案されるわけですから、正確ではないにしても、自分はこういうものを描いていたんだと、あるいはこういうことを検討してきたんだという程度お話は、まず足立さんからしでいただきたいと思います。
  100. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 御承知の管制塔から、あれは方角はどっちになりますか、東北になりますか、レーダー施設が建っておりますが、ああいうものは航空の安全を図るためにどこまでも防護しなきゃならぬというので私の頭には入っておりますが、しかしさっきからお答えしているとおり、ここで規制するのは工作物でございますから、いまのところ、あの周辺三キロ以内にそういう暴力主義的破壊活動者が集合したり、火災びんをつくったり、軍事訓練をするような施設はないようでありますから、先ほどもちょっと航空局長が仮定の問題としてお答えになったんですが、いまのところ規制をするというつもりはないんであります。まあそういうものが将来出てくれば、これは政令に任されておりますから、政令で必要があれば指定をするということに御理解をいただきたいと思います。
  101. 矢田部理

    矢田部理君 どうもやっぱりすぐ議論が振り出しに戻ってしまうのでありますが、足立さんの頭が、あるいは当面この法案で何をねらっているかということは、それはそれで結構ですよ。問題はやっぱり法律ですから、足立さんの頭の中にだけ法律があるのではなくて、この条文そのものが成立をすればひとりで歩くわけですよ。そうすると、制度としてどこまでこれが適用になるのか、政令委任の問題は後で議論しますけれども、どこまで範囲が広げられるのか、ここがやっぱり議論のまないたに乗せられなければならぬ性質のものであります。とりあえず成田周辺だけなんだという説明だけでは、これはあなたの頭の中の説明としてはわかりますが、提案者としての説明としてはちょっと納得できかねるので、再度答弁をお願いいたします。
  102. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 一般論として、私どももうっかり政府提案なんかのみますと、後からひとり歩きして、いわゆる官僚政治だとか言われることをよく承知をいたしております。しかし、これは実は四党で協議しました間に、先ほど来お断りしているように、憲法違反の疑いはないかとか、まあ治安立法的な色彩は省こうとか、いろいろな議論がございまして、しぼりにしぼってきたわけでありまして、その規制の対象というのは、あくまでも暴力主義的破壊活動者の、何といいますか、集合の場所になったり、さっきから申し上げているとおり、こういう工作物に限定しているわけでございますから、しかも法律で成田空港周辺三キロとはっきり明定しているわけでございます。いま矢田部さんのお話は、その他に必要な施設——私はレーダーを挙げたんでありますが、まあ燃料の輸送の積みかえ施設その他もあろうかと思いますが、そういうところを防護するというのは、現行法で警備をやればいいんでありまして、破壊活動者の集合の場所等ができれば、これは政令で指定しなきゃならぬかと思いますが、そういうことのないことを祈っているわけで、一人歩きがこれはできない法律だと私は考えております。
  103. 矢田部理

    矢田部理君 これも重大な問題ですよ。この条項では、保安施設なり機能確保施設は全面的に政令に委任をしているわけですね。国会の手を離れるわけですよ。立法者の手を離れて行政機関にその範囲は白紙委任をされる。とすれば、どこまで委任をするのか、どこまでは委任をしていないのか、それは提案者として明確にすべきじゃないでしょうか。当面の頭の中の話だけを聞かされても困るのでありまして、条項上はっきり出てきている以上は、政令委任の問題はまた別途に議論をしますけれども、いまの説明じゃとても納得できません。
  104. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 話がくどくなりますが、この法律で規制する、つまり使用禁止を命じたり、封鎖したり、どうしようもないときには除去と、それには補償が伴いますが、そういうことをやるのは、さっきから申し上げているとおり工作物に限っているわけでありまして、しかもそれは暴力主義的破壊活動者が集合したりなんかする工作物に限っておりますから、いま仮に運輸省が防護しなけりゃならぬと思う施設が幾つかあると思いますが、ありましても、それを防護するということは本来の警備の問題であって、工作物が建てられなければ、これは指定のしようがないわけでございますから、あるいはそのおそれが非常に強いとかいう場合には、あるいは政令で指定する場合があるかもしれませんが、それは破壊活動者の集合の用に供する工作物についてだけの話でありますから、私は御納得いただけるんじゃないかと、きわめてしぼった法案になっているというふうに御理解をいただけると思うのです。
  105. 矢田部理

    矢田部理君 最後言葉じりをとらえるようですが、きわめてしぼられてない法案なんですよ。どうも成田周辺の工作物だ工作物だという言い方を強調されるんですが、その工作物にかかわる人が問題になるわけでしょう。その人は破壊活動者だと。その破壊活動者はどういうふうにして定義をするかというと、いま私が問題にしております保安施設や機能確保施設に住居侵入をするおそれがある、あるいはその暴力行為をふるうおそれがある、そういうおそれがある人がかかわる場合に初めてその工作物が対象になるわけです。したがって破壊活動者だと認定をするに当たっては、まさにここの二条で規定をされた諸施設の特定が問題だし、その特定施設に対する「管理を阻害し」とかいう条件が問題になってくるわけですね。だから、それは無関係じゃないんですよ。ただ工作物だけの話をしておったんじゃ、どうも提案者である足立さんが、この法案の全体の構造を理解されておられないんじゃないかというような感じにもなるんですがね。  では運輸省に聞きましょう。運輸省はどう受けとめているんですか。政令で保安施設や機能確保施設の認定ができるわけでしょう、政令で決めることが。その決め得る範囲、まず保安施設についてはどういうふうに受けとめているか。
  106. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 保安施設につきましては、ここの三項二号にございますように、「新東京国際空港における航空機の離陸若しくは着陸の安全を確保するために必要な」という限定がついておりますので、おのずからそういった限定の中で保安施設というものが選ばれる場合には選ばれると思うのでありますが、それでは具体的に新東京国際空港の航空機の離着陸をバックアップするどれとどれとどれをいま考えているかということにつきましては、まだいま考えて具体的にはここでは列挙できません。これは法律が成立いたしましたならば、われわれとしてはそういったものを準備したいと思いますけれども、ただ現実問題としましては、成田空港の周辺以外に今日まだ団結小屋等ございませんので、私どもは仮にこの保安施設はどれとどれだろうということを考えても、それを政令にするということはいますぐやる必要はありません。一つの参考でございますが、成田空港の機能をやはり阻害しようという目的を持ちまして、昨年の五月ごろから成田空港関連の保安施設で幾つかのものが破壊されましたり放火されましたりいたしております。たとえば佐倉あるいは守谷、銚子、阿見、大子というふうなところにありまする航行援助のための無線施設が被害を受けております。あるいはまた山田というところにありますレーダーにつきましても被害を受けております。こういった現実の危険が発生いたしておりますので、こういう状況等も勘案いたしまして、保安施設の中身を限定していくことになると思います。
  107. 矢田部理

    矢田部理君 いまの話で外郭をつかむことはできました。概括的に問題点をつかむことはできましたが、つまりここで規定をされている用語に従った——ほかの条件は別にしてですよ——「保安施設」というのは全部特定ができますか、まずそれを伺いましょう。
  108. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これは航行援助施設というものの果たす機能一般論と、それから新東京国際空港に関連しての航行援助施設、保安施設等の一つの何といいますか、システムを技術的に検討いたしてみませんといまここですぐお答えできませんが、これは私は当然限定さるべきものだと思います。たとえば、日本じゅうの航空保安施設がそれからそれへと全部つながっていって、全部管理の対象になってしまうというふうなことは避けるべきであるというふうに考えておりますが、ではどことどこということは今日はまだ材料を持っておりません。当然限定さるべきものだと考えております。
  109. 矢田部理

    矢田部理君 法律の用語としてこの法案が通れば確定をするわけですから、また現に保安施設というのは今日いま存在をするわけですから、この法律用語として確定する、新東京国際空港における航空機の離着陸の安全を確保するために必要な航空保安施設、これは現在の段階でこれとこれとこれだというのを全面的に列挙すべきだというふうに思いますが、ただ限定的に考えますとか、これから検討しますということでは、この法案の言葉意味それ自体が確定しないのではないでしょうか。逆に言えば、政令にそれを法が委任をするたてまえになっているわけですから、どこまで委任したのか、後になってからここまで、これも保安施設ですと言われりゃ無制限にそういう事態が拡大される危険性をはらむわけであります。今日段階で確定できる保安施設について早速やっぱり資料として列挙して出してほしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  110. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 審議の御参考になる資料として出すことはできると思いますけれども、この法律が成立した後におきまして、政令で指定する場合の政令の指定の仕方を具体的に個所ごとに限定してしまうようなことはできないと思うのであります。あくまでも私どもは、法律論としては、ここに云々云々の「安全を確保するために必要な」というところが、法律上の私どもが将来出すとすれば政令をつくる場合の縛りでございまして、その縛りを十分意識しながら政令をつくるというところまででありまして、資料として御提出いたしましても、その御提出いたしました資料に限定して運営されるべきであるというふうにリンクすることはいかがかと考えておりますが、資料といたしましてはお出しいたします。恐らく一般論といたしましては、新東京国際空港をめぐる大体関東地方、一部東北、中部等もかかるかもしれませんが、そういったところに所在しまする施設、もう一つは、やはり日本の空全体を統轄しておりまする東京管制部というのがあります。これは一々の各地にあります航空保安施設をどうこうということではございませんで、日本の空の上を通る航空機の、私どもは航空路管制と言ってますが、これをしておりまする一元的な施設がありますが、そこは対象になり得るというふうに考えておりますが、それ以上に広げるということは恐らくこの「必要な」という範囲を越える場合がありはしないかというふうに考えますが、しかしこれもこの法律案の有権解釈ということであってはならないと思うのでありますが、そういった前置きを置きました上で参考資料としてお出しいたします。
  111. 矢田部理

    矢田部理君 後で幾つかの資料要求もございますが、いまの資料要求は委員会の方でぜひよろしくお願いしたいと思っています。  それから、その資料を見た上でまた質問しなければならぬことが出てくるかもしれませんが、次に、保安施設とは別に、空港の機能確保施設といいましょうか、が法文上出てまいります。これはどのようなものが考えられるのか、あるいは提案者として考えてきたのか、まず提案者の方からお答えをいただきたいと思います。
  112. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 空港の機能に関連する施設ということになりますと、例示的に申し上げればパイプライン等があると思います。これは私どもの方としては、何といいましても世界にデビューする新東京国際空港、日本の顔ともなるべき空港でございますから、この安全を何としても確保しようというのが目的で立案をいたしましたので、その内容等につきましてはむしろ専門家の方からお聞き取りいただいた方が正確かと思っております。
  113. 矢田部理

    矢田部理君 パイプライン程度の例しか挙げられないのでもう少し私の方から詳しく伺いたいと思うんですが、これまた、私もそう専門家じゃありませんけれども、非常に広範囲のものが考えられるわけですね。いま足立さんも例に挙げられた、たとえばパイプライン、ジェット燃料輸送のために鹿島から鉄道輸送していく、この鉄道全体、さらにはこれは鹿島石油が石油を精製、貯蔵するわけでありますが、この石油基地、そういう類型が一つあります。  それから、空港の機能ということになりますれば、当然旅客や貨物の輸送関係にまつわる施設、これも入ってきはしまいか。たとえば京成電鉄なり国鉄なりバスなり道路なり、この辺についてはどういうふうに考えているか。  三点目には、空港機能維持施設としては単に空港の中だけではなく、空港につながるところのたとえば水道であるとか電気であるとか電話であるとか等々もこの中に考えられる危険があるわけでありますが、この点をどういうふうに吟味をしたのか。提案者は、大変、空港だけだ、空港だけだ、その周辺だけだというお話でありますが、無限にこういう問題が広がっていく危険性、可能性を持っている、この点について提案者としての見解を求めたいと思います。
  114. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 先ほど来航空局長からもいろいろお話がございました、それとは違った角度からのいまの御質問でございまして、「国際空港の機能を確保するために必要な施設」の範囲いかんということでございますが、私どもは本当に成田空港を運航するのに絶対欠くべからざる施設にしぼるべきだと実は考えているわけでございまして、これをいまおっしゃるように京成電車のトンネルまで広げますと無限に広がってまいります。で、これはむしろ行政判断にまつべきものだというふうに考えております。ただ、くどく申し上げますが、これで直接特別な何か破壊活動者を退治するような根拠になるわけじゃないんでありまして、それが三千メートルの範囲内で規制区域を決めるということは、さっきから申し上げているような集合の場所になるようなものがあって、常時脅かされるという事態を防ぐための立法でございますから、どうかその辺を御理解をいただきたいと思います。
  115. 矢田部理

    矢田部理君 足立さん、まだその法律の仕組みがわからないことを言う。だめですよ、そんなことばかり何回も、最初と同じことばかり言っておったんでは。
  116. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) いや、あなたの方もひとつ認識していただきたい。
  117. 矢田部理

    矢田部理君 いや、二条の定義がそうであるだけではなくて、この定義はその後の規制区域の中に全部生かされてくるわけでしょう。しかもそれが政令で定めることができることになるわけですよ。足立さんが頭の中でいまどう考えているかだけが問題になっているんじゃなくて、法案全体をまないたに乗せようじゃないかとさっきから言っているんですから、それを前提として答えていただかなければ困るわけですよ。そういう意味では、機能確保施設というのは、いま言われたように無限に広がる危険性、可能性を持っているわけですよ。そういうことについてしぼりもかけもせぬで足立さんの頭の中の考え方で政令に委任していいんですかと、立法者としてどうなんですかということも含めてお聞きしているわけですよ。その前提として機能確保施設というのはどんな程度のものを考えているのか、いま私が言ったものは、当然法案の中で読み取れる問題点にかなりしぼって私は提起をしているわけでありますが、それについての答弁も含めてお答えをいただきたいと思います。
  118. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) またしかられますけれどもね、これはやっぱりこの機能を確保するための施設について非常に危険が迫っている、あるいは暴力主義的破壊活動者が常に集合するような場所を設置するとかいうような事態が起こらない限りは、どこもこれは指定する必要はないわけなんです。しかもその、何と言いますか、本当にこの機能を確保するためにどこが絶対必要で、どこがそれほど必要でないかということは、私は行政判断に任すべきものだというふうに考えてこの法案をつくったわけです。
  119. 矢田部理

    矢田部理君 だから、行政判断に任す範囲はこの言葉表現されていますが、それだけではわからぬから、あなたの考えはどういうことを想定をされて、あるいは吟味をされて任すんですかと、こう言うんですよ。
  120. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) これは何回聞かれても同じ答えを申し上げる以外にないわけでございまして、実際にどうしても必要な機能について危険が迫るという事態が起こらなければ、行政府もむちゃなことをやるはずはないんでありまして、これは世の批判を受けます。国会からも指摘をされます。ですから、私はこの辺はまさに行政府責任に任すべきものだというふうに考えております。
  121. 矢田部理

    矢田部理君 あなたはどうも工作物の撤去の方の頭で問題を考えておられるが、そうじゃないんですよ。破壊活動者認定の前提がこの範囲の問題なんですよ。そう条文がなっているでしょう。工作物の使用禁止命令だとか封鎖だとか撤去だとかという議論の話はまだしていないんですよ。その前提として、人がかかわる、そのかかわった人、かかわるおそれのある人を破壊活動者だと言うんです。その破壊活動者を認定するについては、この二条のいま言ったような保安施設や機能確保施設の設置もしくは管理を阻害するということを一つ条件にして、あるいは規制区域の中でもこの言葉が二条の三項でしたか、それに当然出てくるわけであります。三千メートルの範囲の基礎を決める場所でもあるわけであります。それを政令に任せるというんでありますから、考え方ぐらいは述べておいてしかるべきじゃないでしょうか。ただ行政に、そこはもう行政判断にすべて任せるんだということになれば国会は要らなくなるわけであります。それは足立さん答えられなきゃ法制局でもいいですよ。
  122. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 先ほど来同じことを繰り返して恐縮ですが、もうほかに答えようがないわけでございまして、この法律の本体が、確かにいま矢田部さんおっしゃるように、人間と関係のあることは申すまでもございません。したがって第二条にくどくどと暴力主義的破壊活動者はどういうものかということを定義を書いているわけでございます。だから、そういう行動をとるおそれのない者が集合の場所をつくろうと、これは規制の対象にならぬことは申すまでもございません。ですから、やはりこれはどういう事態が起こるかわれわれにも予想はつかないわけでございますので、やはり現実に新東京国際空港を守り運航をする行政府の判断に任せるのが私は至当だというふうに考えております。
  123. 矢田部理

    矢田部理君 逆の聞き方しましょう。危険が切迫したとすれば、いま私が述べたようなパイプラインやジェット燃料輸送鉄道はもちろん、石油精製基地や電話、水道に至るまで政令で指定することが可能だというふうに考えられますね。
  124. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 先ほど矢田部さんも隣にいる専門家に答えさしてもいいという話でございますから、この法文化につきましては衆議院の法制局を煩わしておりますので、きょうは局長が病気で出れませんで、次長と第一部長、担当者が参っておりますから、そちらの方から正確に答えさしたいと思います。
  125. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) ただいまの御質問に直接的確でないかもしれませんが、補足して御説明申し上げます。  この航空保安施設とそれから機能確保施設、これは先ほど先生がおっしゃるように、この表現だけでは一応非常に広がりそうに読めるではないかと、こういうところがポイントであろうかと存じます。しかしながら、この法文では「機能を確保するため必要な」、こういう限定しかしてない、あとは政令に任しているではないか、こういうことでございますが、技術的にもっと詳しくという要請は当然ございますが、現に、機能を確保するために必要なものは、現在のこの安全確保上危険が迫っているもの、あるいはそうでないもの、いろいろな状況もございますので、機能を確保するために必要であるものはすべてと、こういう考え方でもございませんので、大体この法律の前提が現時点におきましてある種の異常事態であるという前提で、しかも財産権の制限をすると、このことのための一つの前提的な要件のところでもありますので、できるだけそれは厳重に要件をしぼる、こういう意識は当然働いておるわけでございます。そこで、それは具体的に一つ一つを列挙できればそれにこしたことはありませんが、必要でないものまでもこの際直ちにやる必要はないし、それから、機能を確保するために攻撃される危険があるにもかかわらずそれが後で法律の対角にならないという事態も困る、こういうこともありますので、必要に応じてやはり政令で、行政でそれを決めてもらう、そのことのための要件のしぼり方といたしましては、やはり「機能を確保するために必要な」、ここで入れるか入れないか、こういうように判断をしてもらう、こういう立て方以外にちょっとなかなか技術的にむずかしいということを率直に申し上げたい、こう思います。
  126. 矢田部理

    矢田部理君 わきから口出してもろくな答弁になっていないじゃないですか。  この表現では——具体的に聞きましょう。危険が迫りさえすれば、私がさっき言ったようなパイプラインやジェット燃料輸送鉄道は入ると、さっきから出ているんですが、それはそのとおりですか。石油精製基地は入りますか。旅客輸送に必要な道路やバスや汽車、電車等は入りますか。電気、水道、電話等の施設は入りますか。結論だけ答えてください。
  127. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) 第一条の目的にございますように、新東京国際空港における航行の安全、離着陸の安全というものを中心に考えまして、必要であるのかどうか、この判断によってただいま例示されました物がある場合には入るし、ある場合には入らない、このようにお答えするほかはございません。
  128. 矢田部理

    矢田部理君 何ですか、その答えは。ある場合には入るしある場合には入らないと言う。もうあなたには聞かないから。いずれにしても入ることがあり得ることを肯定されているわけです。足立さん、それでいいんですね。
  129. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 私はさっきから申し上げているように、あくまでも新東京国際空港の安全航行といいますか、それと大勢の人たちの人命の安全を保障すると、このために空港の機能は確保しなきゃなりませんから、絶対に必要な機能を持った物についてもし脅かされる事態があれば、三千メートル以内で政令で規制区域を決めるということができると、これは私は政令に任すべきものだというふうに考えております。これを一々法律で規定をするということは不可能でございます。  実は本当のことを申し上げると、私は原案をつくったときには、空港の周辺、どの範囲にするかということも政令に任せようと思って原案をつくったんですが、四党協議の過程で、これはもう三千メートルと明らかにした方が誤解を招かなくていいという意見もございまして、四党共同提案の形ではこの三キロを法定するということに決めたわけでございます。  なお、先ほど来申し上げてしかられていますが、人間との関係のあることは私も認めますが、何といいましても暴力主義的破壊活動者の集合の用に供するような施設だけが対象でございますので、これが無限に広がるから非常に危険だ、治安立法だというような御趣旨の御意見でございますが、私はそうは考えておりません。
  130. 矢田部理

    矢田部理君 提案者が幾ら考えてなくても、いまの答弁の繰り返しのやりとりの中できわめてはっきりしたことは、ここで言う機能確保施設あるいは保安施設——保安施設の方がやや限定的でありますが、いま私が幾つか指摘したような物にまで広がる可能性を持った法案であるということが法制局の答弁でもはっきりいたしました、ある場合にはと、こういう言い方をしておりますけれども。  そうなってきますと、たとえば保安諸施設にしましても、私の地元の大子と守谷がもう二カ所問題になっている。運輸省からさっき指摘がありました。鹿島の石油基地が問題になっておる。あそこからジェット燃料を輸送する。千葉は港があり、そこからパイプラインで石油を入れる。これらの地域が政令で指定をされる可能性は、今後周辺の動きいかんによっては出てくる。しかも、その施設だけではなくて、それから三千メートルの範囲が規制区域になる。これはもう大変な広がり方が実はできてくるわけですよ。当然ながら、それだけ広げますと、いまの成田空港周辺のような状況だけではない、相当一般民家がここに入ってくるし、目黒さんがさつきから心配しておられるように、労働組合の事務所も入ってくる。全部これは工作物でしょう。ここまで全部運輸省に任せてしまうわけでしょう。あるいは政府の政令に任せてしまう。しかも管制とか無線とかということになれば、成田独自だけの問題ではないはずです。いろんな連関関係からそういう面でも広がる危険性、可能性を持ってくる。非常に大きな広がりを持った法律を、提案者は成田の周辺の団結小屋撤去だけに頭があるようでありますが、法律そのものはそういう体裁になっていないというこの危険をもっともっとやはり真剣に認識すべきじゃないのでしょうか。  次の質問に入ります。この法律の最大の眼目は、工作物の使用禁止命令、それに従わなかった場合に封鎖、さらには状況によっては除去と、こういう財産権に重要なかかわりを持つ権利制限なり権利侵害を、裁判所も通さない、土地収用法の手続も経ない、あるいは第三者機関の関与も全くなしに運輸大臣が一方的にやる、運輸大臣独自に判断ができる、こういう骨格、柱を持った、内容を持ったのがこの法案のもう一つの重要な問題点であります。この使用禁止や等々の対象になる工作物というのは、建物のほかにどんな物を考えておるわけでしょうか、提案者にお聞きします。
  131. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) さっき目黒さんの御質問のときに、私、西部劇に出てくるとりでのような物があると申し上げたんですが、建物と、その周辺を防護するためのフェンスといいますか、そこらじゅうから集めてきた丸太を埋め込んで鉄線で縛りつけてちょっとやそっとでは外から入れないような施設がありますが、そういう建物とかフェンスのような物に私は大体限定されると思っておりますがね。まあ大体建物というふうに御理解いただいていいと思います。
  132. 矢田部理

    矢田部理君 建物である以上は、組合事務所も、それから個人の家も、アパートも、公の集会所もすべて入るということになりますね。まず第一にそれが入る。それから工作物というのは必ずしも建物に限定をされませんから、いまフェンスというお話がありましたが、たとえば天幕その他を張った場合とか、あるいはフェンスで囲った駐車場、場合によっては道路、一定の工事をした広場等々も工作物概念の中に入るのでしょうか。その点はいかがでしょうか。
  133. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 工作物でございますから、その暴力主義的破壊活動者が集合の用に供するために工作した物に限ると抽象的にお答えする以外にはないと思います。それではまたおしかりを受けると思いますが、主として建物、実際はプレハブですね、土建業者がつくる二階建ての飯場、その周辺をフェンスで囲っているというのが典型的な例でございますが、どういう形の物が今後あらわれるか知りませんが、そこに常住して、そして軍事訓練をやったり、火炎びんをつくったり、その他の武器を製造して常に新東京国際空港の安全を脅かす、こういう施設、工作物を考えているわけです。
  134. 矢田部理

    矢田部理君 ここも非常に問題なんですね。先ほど申し上げた安全保安施設や機能確保施設がまず相当の広がりを見せる、その三千メートルの範囲内で規制ができる、その規制区域内にある工作物がすべて対象になる、対象としてはですよ。工作物は常識的に言えば建物、典型的に言えば建物でしょう。「建築物その他の工作物」といっていることになると、単なる山や野原は恐らくならないというふうには思いますが、たとえばフェンスでテニスコートを囲った広場がある。これに集まりが持たれる可能性がある、おそれがある、あるいは駐車場が地方にもいまよくありますけれども、こういうところも、広場として一定の工作が加えられているが、利用される可能性がある等々でいきますと、この工作物概念も非常に広範囲に広がる危険性、可能性を秘めているというふうに思っているんですが、その点いかがでしょう。
  135. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) その工作物自体が、先ほど来くどく申し上げているように、新東京国際空港の安全を脅かすいわば拠点になっているというものはやはり使用禁止、封鎖、場合によれば除去という必要があると私どもは判断していますが、その辺は実態によるわけでございますから、ここで抽象論をやってもちょっとお答えのしようがないと思っております。まあ原則としてはやっぱりそこに常住といいますか、住む場所になっておるというところがまず第一の目標だと思っています。
  136. 矢田部理

    矢田部理君 法律ですからね、法律の条文の中で工作物といった場合には、どういうものが入るのか入らないのかというのは必ずこれは問題になるわけですよ。他の条項との関係だけを説明するんじゃなくて、そしてそのすべての条件に当てはまるものは最終的にどういう適用になるか、規制対象になるかということが結論として出てくるんであって、工作物という以上は単に建物だけじゃなくて、一定の施設、さっきフェンスの例を出しましたが、駐車場、公園、これはやっぱり工作物なんじゃないですか、このぐらいは法制局答えられますか。
  137. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) いまさら先生に工作物の定義を申し上げるのも変ですが、おっしゃるように工作物というのはやっぱり土地に定着しているもの、すぐ持ち歩けるものはこれは工作物じゃない、物件である。その限りにおいて、観念の上ではこの規制区域内にある工作物、これはすべて適用の対象になっている、こう言わざるを得ません。問題は……
  138. 矢田部理

    矢田部理君 問題はいいよ、まずこの言葉を聞いているんだから。  したがって、いま私が指摘をしたようなものまで工作物と認定される可能性、危険性を持っている、こうなるわけですね。そうなりますと、運輸大臣、あなたにこれから権力が集中するわけですけれども、いいですか、まずその破壊活動者の認定がなされる、それは破壊活動をするおそれがある者も含む、その認定を運輸大臣がいたします。その破壊活動は、さっき言いましたようにきわめて軽微なもの、住居侵入のおそれがある、器物損壊のおそれがある、こういう人たちがいま言った施設等の三千メートル周辺、広大なもの、ここで集会等に使うかもしらぬ、使うような状態が、これもおそれになるわけですね。集会の用に供される、あるいは集会の用に供されるおそれがあると判断をすれば、その工作物なり場所なりについての全面的な使用禁止命令が出せる。言うことを聞かなければその工作物を撤去、除去することまでできる。これはその例で私なりに幾つかの事例を考えてみますれば、鹿島のジェット燃料輸送鉄道があります。鹿島から成田に至るこの沿線、これが機能確保施設だということはさっき運輸省も言った。その三千メートル範囲の人たちが、地域が規制の対象になる、鉄道沿線全部ですよ。そこにたとえば民間のアパートが一軒あったとします。その中に何か住居侵入をするおそれのあるのが何人か集まる可能性があるということになりますとね、直ちに禁止命令が出せるわけです。言うことを聞かなきゃそのアパートをぶち壊すことまでできる、これがこの法案じゃありませんか。少なくともこの法案はそこまでできることを規定している。大変なことですよ。提案者は成田周辺の団結小屋だけが頭に当面はあるようでありますが、法律はそんなものじゃありません。こうなったら労働運動だって危ないし、住民運動だってたまには企業に押しかけることもあるかもしれぬし、まして成田の騒音規制というか、騒音のような状況のもとでは、周辺の農民がけしからぬといって押しかけることもあるかもしらぬ。入っちゃいかぬのを入ればすぐ住居侵入なんですよ。非常に広範な運動や住民の組織、さらには広大な地域がこの法の運用いかんによっては弾圧と権利侵害の対象にさらされる危険を持った法律なんです。立法者がそんな運用をするはずはありません。幾ら言ったって、権力とか、一たん成立した法律のひとり歩きというのはそうでないことを過去の歴史がわれわれに教えてくれているわけであります。立法者、とりわけ提案者としてそういう危険、そういう運用の問題、本当に真剣に考えてきたんでしょうか。足立さんに見解を求めたいと思います。
  139. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 申すまでもなく、いま御指摘の点は私ども真剣に考えてまいりましたし、四党共同提案になります過程におきましても熱心な議論が行われたわけであります。  で、言葉じりをとるわけじゃありませんが、いま矢田部先生集会の用というふうにおっしゃいましたが、法案には「集合の用」と書いてあります。集会と集合とはどう違うかと、別に法的にはっきりしたものはないと思いますが、私の個人的な解釈を申し上げれば、集会というのはそこに集まるのが目的であって、集まって討議をしたり会議をやったり、あるいは懇親会をやったり、それでお開きになるというの、が集会だと思います。で、ここでいう集合というのは、次の行動を予定してその準備行為として集合するという場合を私どもは頭に描いて「集合の用」という言葉を選択をいたしたわけでございまして、したがいまして、暴力主義的破壊活動者が集合をして次の暴力主義的破壊活動に行動を起こすという危険のあるような工作物、これを対象にしていますから、一般の公会堂やアパートやそういうものは、私どもは想定をいたしておりません。
  140. 矢田部理

    矢田部理君 私は、集会と集合の意味はまだ厳密にはわかりませんけれども、ただ、提案者の言うように限定的に解釈されるものかどうかも、これまたそうはいかないのではないかと。集会は集会であって集合でないということは、そう確立された定義のようにも必ずしも思われていませんが、それはそれとして、とにかくそういう危険をはらんだ立法だということなんでありまして、その次の問題をさらに出していきたいと思います。  いま工作物の問題から話を発展させたわけでありますが、明日、寺田議員がいろいろ問題を提起されると思いますが、通常、ある財産の制限とか撤去とかいう場合については、これは一定の憲法上の根拠、法律上の根拠を当然必要とすることはもちろんでありますが、いまの民事法秩序では、任意にこれを買い取る、どうしてもそれが必要だということであるなら。さらに公共性その他を理由にして土地収用で賄う。他人の建物なり土地なりを強制的に権力が使うという方法はこれしかないわけですよね。任意でだめなら土地収用と。それをこれはどうでしょうか、裁判所による救済の道も大方閉ざされている。運輸大臣の一方的な命令で自分の建物の使用禁止がなされてしまう、こういうことになるんですよ。それもたとえば所有者自身に責任があるという場合だけではなくて、たとえば、だれかが間借りをしている、そこが集合の用に供された、そのだれかが、さっき言ったような意味で破壊活動者だと認定をされた。こういうことになりますと、所有者は、それは全然その建物がどういうふうに使用されている——まあ貸してはいるにしても、知らないまま使用禁止、つまり財産権の機能のうちの利用ができなくたる。それに、その破壊活動者と認定された人たちが従わないで集合をしていたとすると、場合によっては壊されてしまう、封鎖されてしまう。その範囲も、さっき言ったように、鉄道沿線三千メートルの範囲に及ぶ、こういうことができていいんでしょうか。憲法は二十九条で財産権の保障を非常に強くうたっている。しかも、その制限に対しても「正当な補償」その他の規定を置いておるし、手続的に言えば土地収用——建物を含む収用ということにならなければ、それはできないはずなんです。そういう日本の憲法秩序、それを基礎にした民事法秩序というものに対して、根本的に違う、これを崩すような内容のものを国会が立法という名において天下にやっぱり提示をするということになります。これは大変なことになる。この点をどういうふうに足立さんお考えになっていますか。
  141. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 先ほどの御質問でも私お答えしたんでありますが、憲法違反になるというそしりを受けないようにと、これはもうずいぶん私どももこの立案に当たっては配慮をしたわけでございます。矢田部さんに申し上げるのは釈迦に説法でございますが、憲法は財産権を保障していることは申すまでもございませんが、しかしやはり公共の福祉に適合するようにという条件も定めているわけでございまして、成田の今日の事態はまさに異常な事態でございます。しかも、先ほど来申し上げている団結小屋なんというものは、一体だれが、いつ建てたのか、所有者も恐らく管理者も明確でないものが大部分じゃなかろうかと、これは私の推察でございますが、思っております。そういう場合に、やはり成田の安全を守るためには、これはどうしてもああした集合の用に供されるものについてはこの際規制を加えなければ安全が保障できない。現行法では仮にできても非常な長期にわたる手続、裁判まで経なければできないということでございまして、これはもう大ぜいの人命と航空の安全を図るという大局的な見地、社会公共の福祉の立場からこういう非常立法を考えざるを得ないという決断をいたしたような次第でございます。
  142. 矢田部理

    矢田部理君 民主主義というのは長い時間がかかっても、そしてまた手続が大変であっても、そういう手続なりルールなりを踏むことが非常に大事なんじゃないでしょうか。空港公団も来ておるようですが、そういう手順なり段取りなりを今日まで着実に踏んで来なかったことにもう一つ問題があるんじゃないでしょうか。十数年間もこれはもうすでに経過をしているわけですよ。いまさらここへ来て時間がない、一方的に開港日を設定して、時間がない、だから臨時異例の立法だというようなことで憲法秩序や民事法秩序を根本的に破壊するような、人権を徹底的に否定するような法律をつくっていいんでしょうか。空港公団に、いままでのやり方について問題はあなた方にそういう責任一つあったんじゃありませんか。いま足立さんが私から怒られていると言うとあれでありますが、いろいろ意見を言われているわけでありますが、あなたはどういう反省をしておりますか。そういう一連の経過について公団としての考え方を伺います。
  143. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 公団の発足といいますか、成田空港の位置、規模等が決まる段階、それから公団がスタートしての段階等に、今日から振り返りまして、必ずしも十分な手順、手続等踏んで行われたと言えない点が指摘されることは、これは私もある程度認めざるを得ないというふうに思っております。しかし、それだからといって、この成田空港の価値、必要性、そうしたものが決して損なわれるものではございませんので、私どもはそうした反省の上に立ちながら、この空港の早期完成と安全な運営というものを一日も早く図っていかなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。
  144. 矢田部理

    矢田部理君 国際空港の設置は国策だと、国策だから何をやってもいいんだと、民主的な手続もルールも侵して、憲法を崩してまでも、国会の多数派さえ形成されれば立法が可能なんだというところに私は問題があるし、その前提をつくり出してきた空港公団の姿勢に厳しくやっぱり批判を加えておきたいと思うわけであります。  もう一度問題を戻しまして足立さんに伺います。工作物の使用禁止命令を出します。そして、その種行政命令に従わなかったときには——禁止命令そのものにさっき言った憲法上の問題があるわけでありますが、その命令に従わなかった場合には、行政上の代執行の措置が行政代執行法によって規定をされておりますが、それは御検討なさいましたか。
  145. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 通常の場合では、当然いま矢田部先生が御指摘のとおりだと思います。また、私ども代執行法をずいぶん検討しました。あの三条の三あたりでできないかということも検討いたしましたが、やはり現行法ではどうしても無理があるということで、特別緊急立法に踏み切ったわけでございます。
  146. 矢田部理

    矢田部理君 この行政代執行法それ自体も私は問題があると思うんでありますが、それにしても行政代執行をするに当たっては、各般の手続を中間にはさんでいるわけですね。御承知かもしれませんが、行政命令が出た、この行政命令自身がいいというわけじゃないですよ、憲法違反の内容を十分に含んでいるけれども、この行政命令が出た、その命令が履行されなかった場合に行政代執行法はどうなるか。代執行のこれは大原則です。「他の手段によってその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ」ることができるとなっている。しかし、これをやるに当たって「相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは、代執行をなすべき旨を、予め文書で戒告しなければならない。」、その「戒告を受けて、」さらに「指定の期限までにその義務の履行をしないとき」に初めて行政上の強制措置がとれる、これが行政代執行の原則なんですよね。なぜこの原則までをも否定しなきゃならなかったのか。十二年間もすでに期間があったのに、あるいはその後もいろんな経過があったにもかかわらず、ここでまた二十日の開港、これを動かすべからざるものという前提に立って、驚くべき内容、だれが見たってとうてい許しがたいようなこの立法をやっぱり強行しようとしているんじゃありませんか。この行政代執行ですらいろんな批判や問題を含んでいるにかかわらず、この程度の手続すらとるいとまもなく、使用禁止命令の次には封鎖、封鎖がやられなければ今度は除去だと、全面的に所有権を否定するような権力を運輸大臣に与えようとしている。これはどう見たって行き過ぎじゃありませんか。過激派対策ということが余りにも感情的に高ぶり過ぎて、あなた方の頭では、相手が悪けりゃ国家は何をやってもいいんだという議論にもしなっているとしたら、私は実は大変なことだというふうに思っているわけであります。もう一度提案者の見解と御意見を求めたいと思います。
  147. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 行政代執行を否定するわけではございません。いろいろと専門家にも検討してもらいました。私自身も立案者として責任がありますから、及ばずながら若干の勉強をさしていただきました。しかし三月二十六日に起こったあの事態を前提とし、その後私ども成田周辺を視察しました自分の体験からいたしまして、このまま放置しておけば、とても新東京国際空港の安全運航は保証できない、これは現行法でできる限りのことはもちろんやりますが、もう一歩出て、緊急立法をする以外にないという決断をしたのはその辺にあるわけでございまして、それがけしからぬとおっしゃればもうそれまででございますが、少なくとも私ども四党で協議をしまして、この社会不安を除去するためにも、どうしてもこの程度のことはやらなきゃならぬということで、憲法違反の点については十分配慮をしたつもりでございまして、たとえば衆議院の運輸委員会におきまして共産党の小林さんから、暴力集団が暴力の目的で建てたこの団結小屋等をぶち壊して、何で補償をするのだという意味の御質問がございました。しかし目的はそうであっても、やはり憲法に定める財産権の補償ということはやるべきだという私は答弁をしたわけであります。気持ちとしては小林さんと同じ気持ちだが、これは憲法違反のそしりは受けたくないということで、十分な配慮をして、こういう案にいたしましたということをお答えしたわけで、余分なことまで申し上げて恐縮ですが、こうした私ども気持ちもおくみ取りをいただきたいと思っております。
  148. 矢田部理

    矢田部理君 国家は感情の動物であってはならぬというふうに私は思っておるわけです。その感情を露骨にあらわしたのがこの立法であるし、しかもその前提として、さっきから申し上げているように、二十日開港というこのことを動かしがたいものとし、前提としている。この二つの組み合わせの中から、さっき私が指摘したように、非常に多くの危険と問題をはらんだ法案をつくり上げていると思うわけでありますが、次の幾つかの問題点をもう少し指摘をしておきたいと思います。  その一つは、法律専門家などから民事上の財産権制限、使用禁止その他を含むところの財産権保障の規定に対する否定的法案だと。その意味でも憲法上の問題が大きくあるだけではなく、一番末尾九条には、御承知のように、懲役、罰金等の刑罰の定めがあります。この刑罰を定めるに当たっては、当然前提となる犯罪の構成要件を明確にしなきゃならぬ。単に明確にするだけではなくて、法律をもって明らかにしなけりゃならぬというのが憲法三十一条の基本の原則です。罪刑法定主義と言われるものであります。ところが、この犯罪構成要件の幾つかの要件のうち非常に不明確な部分がある。つまり、犯罪となりますのは、運輸大臣の工作物の使用禁止命令に違反をして、集合の用などに供した場合、六月以下の懲役というふうになっているわけでありますが、その前提として、さっき申し上げたように、保安施設や、あるいは空港機能確保施設、さらにはそれを基礎にした規制区域の指定等々が、すべて運輸大臣に抽象条項で白紙委任をしている。しかも、その破壊活動者の認定には、繰り返しになりますが、おそれのある者まで含むということになりますれば、罰は決まっているが、罪の方が確定していない。その確定は委任された運輸大臣あるいは政令、この行政機関の恣意的認定が可能だという構造、仕組みになっているわけです。その意味でも憲法違反性が問われる、あるいは問われなければならぬ性格の法律なんでありますが、この点、提案者はどうお考えでしょうか。
  149. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 実は、この立法に当たりまして、罰則の問題につきましては非常に、何といいますか、横並びといいますか、専門的な知識を要しますので、実は衆議院法制局に依頼をしまして、こういう規定を設けてもらったわけです。立案者の私としては、もっと重くできないかということを法制局に要求したんでありますが、法制局としては、これは行政措置に対する処罰であるから、この程度が限度であると、こういうことで、やむを得ずこういうことにいたしました。私としては実は不満があるわけでありますが、その点は法制局も参っておりますから、説明をさしたいと思います。
  150. 矢田部理

    矢田部理君 いや、私が質問したのは、罰が重いか軽いかという質問じゃないんです。罰は決まっているようであるが、罪の内容が法律上確定していないんじゃないか。この構成要件を明確にするのが罪刑法定主義の基本原則の一つだと。これについて足立さんはどう検討されてきたのか、考えられておるのかということを伺っているんです。足立さんはどう考えているかということ。
  151. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) その辺も含めまして、ひとつ専門家の方から答弁さしていただきます。
  152. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) ただいまの御質問ですが、問題はこの第三条の第一項の禁止命令を出した、禁止命令はもちろん恣意的に出せるわけではございませんので、その第三条の一項の各号の用に供されておるあるいは供されるおそれがあって、それにその供することのないようにということで禁止命令が出るわけでありますが、もちろんこの判断は運輸大臣がせざるを得ません。しかしながら、実際にこういう用に供していないにもかかわらず供したということで罰則をかけようとしているかどうか、この点は争いになろうかと思いますが、したがいまして、この法文の立て方といたしまして、この禁止命令が出た限りにおいて、しかも、この禁止命令はこの命令を出す、この法律で定められております要件に合致しているという限りにおいては罰則は適用になる。その限りにおいて構成要件について私どもそれほど不明確だと、こういうようには思っておりません。
  153. 矢田部理

    矢田部理君 あなたも法律の勉強をしてきたとするならば、とりわけ立法者の側に立つとするならば、法律というのは素直にだけ読むんじゃなくて、その法律の是非というのは、権力者がこれを任せられたときに、この法律をどこまで拡大解釈可能なのか、どういう乱用の危険が想定をされるのか、そこを定規の一番基本にしてその巧拙、是非を論ずべきだというのがこれはもう法律家の常識じゃありませんか。恣意的乱用はされない、しない、恣意的乱用をしない歯どめは全然ないんでありますから。これが法学を学んだ者のABCですよ。恣意的乱用をしないであろう、公正な運用をするであろうということを前提とした法律の審議というのは、私は率直に言って正しい態度じゃない。あなたの説明にもかかわらず、禁止命令を出す前提がことごとく運輸大臣等の、場合によっては政令等の白紙委任の中でのやっぱり操作にゆだねられている、ここはきわめて重大な事実である。この辺で運輸大臣としてこの種憲法問題、それから全体が運輸大臣に権力が集中する、あなたの判断がすべてに優先することになるいろんな問題点を指摘してきたわけでありますが、ひとつ所見を伺っておきたいと思います。
  154. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 先ほどからずいぶん何回も運輸大臣がこう、運輸大臣がこうというようにおっしゃいました。もとより本法案においてその種の表現がされているという意味においておっしゃったのでありますが、私の方では運輸大臣にそういう権力ないしそういう権能をお与えくださいなどとは別に思っているわけじゃございませんので、先ほどから足立さんが何回か言われますように、こういうような事態になって何とかしなけりゃならぬという意味で、国会において皆さんが御研究いただいておりまして、特に矢田部さんはいろいろ運輸大臣が悪いことをするんじゃないかというような、悪い意味ではないが、そういうことがあってはならぬぞよという警告的な意味も加えつついろいろの御所見がございました。私は一々拝聴をいたしておりましたわけでございます。私といたしますと、法律ができれば国会の御意思によって決定されたことについて、われわれはそれに対して忠実に対処していかなければならない、これは当然でございます。しかし、現在の段階のようにいろいろの点から御検討をくださいまして結論を得ていただく、また、その結論を得る前にいろいろと注意すべきことのお話等をいただいておることは大変結構だと、こう思うわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもはできました結果については、先ほどからいろいろお話がございましたようなことを十分心して対処しなければならない、こういうように考えております。  なお、現在まで十数年の聞こういうことを抜かっておったからこうじゃないかというおしかりがたくさんございます。これはこれでありがたくちょうだいし、それについてわれわれは今後もより一層気をつけていかなければならぬと思うのでございます。おしかりを受けるように長く年月が経たということはそのとおりではございましょうが、また同時にこういうように非常に長い間いろいろやってもなかなかうまくいっていない、そしてしかも三月二十六日はああいう事態があった、ここでどうあるべきかということで国会がいろいろ御心配をいただいておることに対しては、私は大いに敬意を表する次第でございます。だから、いままで政府側において足らざりしこと等については、私は心からおわびもしばしばしているところであります。でございますが、同時にそういう困難なる事態のもとにおいて何とかして打開をしていかなければならないということについては、まあおしかりは受けつつもそれぞれ一生懸命にやっておる次第でございます。まだしかし、これをもって足れりとすべきではもちろんございません。さらに一層精進をすべきだと思います。この法案との関連におきましては、先ほどからいろいろ伺っておりますが、どうぞひとつ国会においていろいろの点を御審議、御検討をいただきまして、その結果、結論を得ていただきまするならば、それに対して私どもは先ほどからお話があったように、こんなことで法案が通ってしまうと運輸大臣が何するかもわからぬというようなことで、運輸大臣は、運輸大臣はと何回かおっしゃいました。そのたびに気の小さい私は身が縮む思いをしておったわけでありますが、ことほどさようにこの法案がどうなるかということについても関心を持っておりますし、結論を得たならば、それに対して徹頭徹尾忠実でなければならない、こういうように考えておる次第でございます。
  155. 矢田部理

    矢田部理君 運輸大臣の答弁を基礎にして運輸省にお尋ねをしたいと思うんですが、運輸省はこの法案が通ることを一刻も早くそうしてほしいと望んでいるだけではなくて、すでに諸準備を重ねてきて、直ちに政令を策定し、二十日前にも団結小屋等の使用禁止、撤去等にかかるという報道もなされているわけでありますが、先ほどから足立さんが言われているように、保安施設や機能確保施設の当面この政令なりで決める範囲というもの、いまどことどこを考えておられるのか、どこまでしか考えていないのか、その点だけ確認的に伺っておきたい。
  156. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) この法案成立直後の事態といたしましては、ただいまお尋ねのような保安施設、機能施設の政令を定めるつもりはございません。
  157. 矢田部理

    矢田部理君 直後という限定をつけておりますが、足立さんの方のお話はこの法案自体がもう空港とその周辺だけなんだ、これは法律の意味とは別にですよ、立法者、提案者の意思として非常に強調された発言を何度か繰り返しておるわけでありますが、直後だけでなくて、運輸省としても仮にこの法案が成立したところではそれ以上拡大をする気持ちはいま持っていない、空港及びその周辺だけだというふうに伺ってよろしゅうございますか。
  158. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 直後という言葉は言い直せば当面ということでございますが、足立先生の先ほどからの御認識も当面の事態によっての認識だと思います。したがいまして、当面の事態にして変わらなければ、先ほど御答弁申し上げましたことは変わらないと思いますけれども事態にして変わってくる場合には、先ほどの答弁の申し上げましたことも変わる可能性はあり得ると思います。しかしながら先ほどからるるお示しいただいておりますような、この法律を乱用すると大変な危険が起きるということは、私たち自身も行政官の一人として十分認識いたしております。したがいまして、成立の暁におきまして、運輸大臣がこれを執行する立場になりましたときには、十分そういったことにならないように注意をしていくつもりでございます。
  159. 矢田部理

    矢田部理君 一応これは確認的な質問ですから、そう伺っておきますが、乱用すると大変なことになるというだけではなくて、乱用しなくてもこれ自体が本質的に非常に大きな問題、憲法上の問題を含む問題点を持っているということを認識しておいてほしいわけであります。  そろそろ時間が来ました。それから国鉄においでいただいていたんですが、時間がなくなって大変申しわけありません。あと一、二点憲法上の問題点に限ってだけ伺っておきたいと思います。  憲法上の問題点といたしましては、この罰則に絡んで、とりわけ九条二項でありますが、三条の三項でたしか使用禁止命令を出した、その履行が確保されているかどうかということを調査するために関係者が立ち入って——関係者というか、運輸大臣の方で立ち入って関係者質問をすることができるという規定がございます。この質問に対して答弁をしないということ、あるいは虚偽の答弁をしたという場合にこの罰則の規定が置かれている。その前項では命令に違反して工作物を使っているという場合には、それ自体にも罰則がある、その使っているかどうかを確かめに行って質問に答えなかったとか、虚偽の答弁をしたということに、これも罰則、つまり、すべて一項を起こして刑事事件の捜査とは違うんだという妙な確認規定みたいなものを置いておりますけれども、にもかかわらず、実体的には刑事調査的な内容を含む刑事捜査的な色を、性格を持っている。とすれば、当然のことながら憲法上の保障の黙秘権の規定が、保障が当然にここで働かなければならぬわけであります。その黙秘権の保障を、答弁拒否者に対して処罰をするということは否定するものではないか、黙秘権規定に対する違反ではないかということで、ここでも憲法上の問題が出てくるわけでありますが、足立さんいかがお考えでしょうか。
  160. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 私はこれは刑事被告人に対する尋問ではない、行政上の目的による尋問でございますから、憲法上の黙秘権の問題は関係がないと思っておりますが、先ほど来申し上げておるとおり隣に専門家がおりますから、法制局の方から答えさしていただきます。
  161. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) また先生からおしかりを受けるかもしれませんが、いまちょっと足立議員が申し上げましたように、この立ち入り調査権といいますのは、一般的にこの法律で申しますと命令の履行を確保するための行政上の必要に基づく立ち入り質問の権限でございます。それから、先ほど黙秘権の問題に関連して先生がおっしゃいましたことは、要するに刑事の場合における自分に不利益な供述を強制されない、要するに黙秘の権利がある、そういう場でございまして、基本的に場が違う、こういう認識をいたしております。したがいまして、この法律で三項から五項までにこういう規定がございますが、これは特にこの法律で設けたわけでございませんので、通常一般に行政法規にはこの種の規定はございます。そこで問題は、そうであったとしても、先ほど来先生は、これは非常にこう治安立法に関連しているからもう刑事捜査と紙一重だ、あるいはそれに踏み込んでいるんじゃないか、そういう危惧をお持ちだろうと思いますが、私どもまた考え方が違うとおっしゃるかもしれませんが、行政法規の場における行政の効果の確保のための質問、立ち入り、そういう問題である、こういう理解をいたしておりますので、直接的に憲法三十八条ですか、黙秘権の規定との関連はない、こういうように理解いたしております。
  162. 矢田部理

    矢田部理君 行政目的だから憲法上の保障は受けられない一これは二つの効果を持つわけですね。命令に従っているかどうかの調査でありますから、命令に従っていないということになれば、一方では行政上禁止命令を越えて今度はたしか封鎖、除去という次の処分に移行する内容。従ってないことにかかわる、答弁いかんによって罰則にかかわってくる。つまりここは刑事と行政が交錯しているんですよ。だから、観念的に行政目的の調査だからという説明だけでは実態的な説明にはならぬというふうに思います。  以上幾つか出してきましたが、もう一点だけまとめて伺っておきたいと思うんですが、足立さんは先ほどから空港周辺の状況に対してこの法案をもって報いるんだ、処置をするんだということを盛んに強調されました。それ以外の地域については逆に頭の中では考えておられなかった。少なくとも現時点では余り重視をされておらないように思われるわけですが、そうだとすればなおさらこれは憲法九十五条ですか、一つの地方公共団体——成田中心にしたですね——に適用にされる特別法だという考え方のようにも聞こえる。一地方公共団体のみに適用される特別法なんだという理解に立つとすれば、当然のことながら、これは住民投票が必要になってくる、この辺のところはどうお考えになってきたのかが第一点です。  それから最初の問題に戻るわけでありますが、法律の条文としては異例というのですか、珍しいというのでしょうか、目的のところできわめて抽象的に「最近の異常な事態にかんがみ、当分の間、」こういう法律をつくると、こう言っているんですね。提案理由の説明にはこういうことはあるかもしらぬが、法文の説明としてはきわめて用語として珍しい用語法です。「当分の間」というのはどの程度のことを頭に描かれておられるのか、普通は臨時立法にして一年にするとか三年にするとか、あるいは時限法にするとかという立法の仕方が普通なんでありますが、どうも大変短いようでもあり、当分の間と称して明治時代からいままで続いている法律もないわけではありませんからね。ここら辺のところはどういう議論だったのか、考えなのか、この二点を伺っておきたい。
  163. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 私、先ほど来御答弁申し上げております成田空港周辺が問題だということを申し上げたんですが、その他に全く問題が将来起こらないとは申し上げていないわけです。それも先ほど来何回もおしかりを受けましたが、暴力集団が集合の用に供するような工作物をつくりさえしなければこの法律は全く適用されないわけなんですね、それが目的なんですから。ですからどこにどういうものが将来出てくるのか予測もつきませんから、これがきわめて限られた立法だというふうに断定するわけにはいきません。それにこれは法制局の方、それから内閣法制局にもいろいろ協議をしたんでありますが、地方自治とは全く関係のない全く限定された立法だということで、住民投票の必要はないという判断をもらっているわけでございます。  それからもう一つ、「当分の間」というのは、いまもおっしゃるとおりたくさん法律はあると思います。で、本来ならば五年なら五年というような時限立法も考えられるわけでございますが、結局国民が安心して成田空港を利用できるような、国際的にも信用を回復するようなときがいつ来るかちょっと見通しがつきません。しかし緊急立法であることはもう間違いない。したがってこういう異例と申しますか、当分の間ということにしたわけでありますから、廃止措置がとられなければ恒久立法にもなるというふうに御理解いただきたいと思います。
  164. 矢田部理

    矢田部理君 もう一点だけ伺います。  いまのお話でも非常に危惧を持つわけでありますが、状況によっては永久立法にもなるんだというようなお話を聞けば、なおさら私は冒頭に申し上げましたように、この法律の治安立法的性格、いろんな方面に地域的にも拡大される可能性、いろんな運動や闘争に適用される危険性を持つ立法だというふうに、私はますますきょうの答弁を聞いて感じたわけであります。とりわけこの立法をする周辺では、空港の次には原発だというような議論も実はささやかれているわけであります。しかもそれが治安的問題を色濃く秘めている内容議員提案の形で出る。これも率直に言っていかがなものだろうかということを国会のあり方として実は私は心配をしている、そういう点で私が幾つかの点を指摘をしました。率直に申し上げて十分な回答が得られませんでした。おしかりを受けたという受けとめ方はあるかもしれませんが、しかられたから別にこれを改めるという話にはなっておりません。おしかりを受けたら率直にこれをやっぱり撤回すべきだというふうに思います。少なくとも時間をかけてもう少し論議の用に供すべきだ。その点でいろんな答弁をいただきましたが、率直に言って私は納得できません。そのことを申し添えて私の質問を終わりたいと思います。
  165. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 矢田部さん、私どもは三月二十六日のあの忌まわしい体験から、衆参両院で全党一致の決議が行われました。その要点は申すまでもなく二点ございますが、その第一点は、政府は断固として暴力を排除せよと。その暴力を排除するために必要最小限度の緊急立法を考えたわけでございまして、本来全党一致でこれは提案をしたいと思いまして、自民党の、私は政調会でございますが、国会対策委員会の方は全党に呼びかけて熱心にお話を申し上げたんでありますが、遺憾ながら社会党、共産党の御賛成を得られなかったと、こういう経過でございますので、その辺もひとつおくみ取りをいただきまして、できれば社会党、共産党にも御賛成をいただきたいと、こういう提案者としては切なる希望を持っております。
  166. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まず、私は国際空港というのがこれから先ますます重要な役割りをわれわれの社会の中で果たすようになってくるであろうというふうに思いますから、この国際空港というものの存在を否定するわけにいかないと思うんです。ただし、この成田空港開港すると仮定をいたしますと、利用者が非常に多くの不安を持っていると思う。要するにびくびくしながらこの国際空港を使わなきゃならぬ、こういう事態になる可能性があると。そこで少なくとも空港を使う場合にびくびくしないで使えるということは最低条件でなけりゃいかぬと思うんでありますが、安全に開港ができるかどうかということがまず問題であろうと思うんです。そこで警察関係に念のためにお伺いいたしますけれども、警備の点について心配はないというふうに言えるのかどうか。これから先、年がら年じゅう一万人もの警官でもって周辺を警備するなどということはできない相談じゃないかと思う。したがって、今後の警備体制はどのようにやるお考えなのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  167. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 警察は、これまでも運輸省空港公団その他関係機関と協力をいたしまして、警察としての必要な措置を講じてまいったわけでありますけれども、今後、当面は開港時の警備という重要な警備がございますが、これについて全力を挙げて、これまでも申しておりますような、いままでの教訓を踏まえて、責任を持った警備をいたしたい。これについては自信を持っております。さらにその後の、空港が供用されました後の恒常的な状態について、これがどのような情勢が展開してくるかということは非常に見通しはむずかしい要素がございますけれども、それぞれの情勢に応じて警察は必要な体制をとりたいというふうに考えております。ただ、空港開港されました後はそれなり空港としての機能を持って、国民も付近の住民の方もそういう受け取り方をされていけば、ある程度開港までの緊迫した情勢というものがいつまでも続くというふうなことではないんじゃないかというふうにも思っています。ただ、私どもはそういうふうに思って、ではいいということではなりませんので、常に情勢を見つめながらそれに応じた体制を責任を持ってとっていきたいというふうに考えております。
  168. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 開港までは万全を尽くしておる、開港後はある程度、これは何とかなるんじゃないのかというふうに聞き取れるわけですよ。しかし、いままでのこの反対同盟責任者の言動からするとそう甘く見ているわけにはいかないのじゃないかという気がしますね。三月二十六日のあの管制塔襲撃事件は、私はこれは立法上の不備じゃないと思うんですね。警備上のミスであり、油断であり、手抜かりだったんじゃないかと、こういう気がいたします。その点はどうですか。
  169. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 三月二十六日の事件が警備上のミス、油断、手抜かりではないかということでございますが、御指摘のような点が全般的にはあったかと思います。ただ、私どもはやっぱりあの事件を非常に小さく評価するわけではありませんけれども、管制塔の破壊といった犯罪行為というものがやっぱりマンホールから抜け出てきたという一つの道があったわけでありますので、あれさえなければという気持ちは強いのでございますけれども、しかしそれだけということではなく、全般的に十分な教訓としてこれは受けとめて、今後はそういうことは絶対に起こさないというふうな決意と自信を持っております。  なお、先ほど開港後は何とかなるんじゃないかというふうな御印象をお持たせしたようで大変恐縮でございますけれども開港後につきましても私どもいろいろ問題がまだ残っておるというふうに考えておりますので、たとえば空港警備隊の体制という恒常的な体制につきましても、警察としてそれなりに対策措置を講じていくという姿勢でおりますので、この点も御了解いただきたいと思っております。
  170. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私ども運輸委員会でこの空港の視察をいたしましたときに、一様に感じましたことは、この管制塔に過激派の諸君が入ってきた場合にはどういうことになるだろう、ということを心配をしたわけです。それは行った人の言葉として異口同音に出たわけですよ、大丈夫なんだろうかと。エレベーターもなるほど直通しないような仕掛けにはなっておる。しかしそのエレベーターだって乗り継ぎをしていけば何てことはないわけで、関所の方を幾ら固めたつもりでも、その関所が門があけっ放しになっていて警備の人がうっかりしておってだれでも通れるようになっていれば、関所の役は果たさないわけですよ。だからそういう意味であの三月二十六日の事件というものを、ああいうことがあったからだからこんな法律をつくらなきゃならないんだというふうに思われたんでは、これはまことに遺憾なことだと思うんです。いままでの審議を通じて聞き取れることは、非常に、まあ法律としてはこれはこういう法律は類がないと思うんですね。まことにあいまいと言いますか、解釈の幅が広過ぎる。で、内容的には大幅帳的な治安立法と、こういった感じがするんですよ。だから、近代的な法律としてはちょっと例がない、十手捕りなわ時代の法律のような感じがするわけです。しかも、手続的には全く拙速、即席ラーメン的な拙速主義でもってきているわけです。そこで、私はこういう法律ができれば役に立たないことを政治家としては考えるべきではないかと思うんです。この法律を有効に生かそうということになりますと、大変に問題が残ると思うんです。だから、この法律が仮に成立をしたとしても、何とかしてこのような法律が発動しないでいいような状態をつくり出すということが大臣としての責任ではないかと、こういう気がいたします。その意味福永運輸大臣反対同盟委員長とお会いになったということは、成果があったかなかったかは別といたしまして、そういう試みが行われたということは私は評価をしていいことではないかと思うんです。そこで、今後も地域の農民あるいは地権者、これらの人たちと話し合いをされるという御用意があるのかどうか、それから、大臣としてその点今後どういう方針でもって地元の説得に当たられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  171. 福永健司

    国務大臣福永健司君) まず、この法律案と関連いたしまして、瀬谷さんが、これが立法化されて発動することがないようなことが望ましいと、こういうお話でございました。まあ、この法案と限らず、予防的効果を上げるために用意されて、実際にはそれが効果を発揮して、いろいろ適用されて、その結果いろんなことが行われたということがなくても済むというようなことがより望ましい場合もあると思うし、日本の長い歴史の中でもそのようなこともあったかと思います。私は、私自身とも関連するこの法案でございますから、いろいろのことが言われますが、国会においていろいろ御心配になって何とかうまくいくようにということで立法していただく、そのことに対しましては深く敬意を表したいのでありますが、願わくはその御心配が、心配はしたけれどもそう心配するほどのことはなかったということで終われば大変ありがたいと、それを強く望んでおる次第でございます。かといって、そういうことであれということでいろんなことを怠るようなことではもちろんいけませんので、彼此いろいろ考え合わせまして対処していかなければならぬと思います。  お話のように、昨日も私は反対同盟委員長と相当時間話し合いをいたしましたし、その他いろんなことを、まあ何とかうまくいかぬかというので、病気になったときに、私も大変重い病気をしたんで経験がございますが、どの薬がきいたかわからぬが、後でよくなりゃこれはありがたいと、こういうように思うんでございますが、いろんな手段を講じて、何とか事態の打開を図るということは、これはどうしてもしなきゃならぬと、こういうように思います。したがって、昨日はああいう次第でございましたが、今後も誠意を持って対処していきたい。いろいろ話し合い等の方途はいろいろございますけれども誠意を尽くし、手を尽くしてその努力を続けてまいりたいと思います。  この空港にいたしましても、現在までに進行しているいろいろのことと、これからいよいよいろいろやっていかなきゃならないという事情、そういうことをよく考えますと、いよいよもってそういうことに意を注いでいかなければならぬ、こういうように考えておる次第でございます。道は険しくかつ遠いけれども、一生懸命にやっていかなければならぬと、そういう考えでございます。
  172. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣から薬の話をされましたが、この法律が特効薬になるかどうかということなんですけれども、薬は薬でも麻薬か覚せい剤のようなそういうおそれがこの法律はあると思うんですな。第一、たとえば暴力主義的破壊活動者、こういう認定の方法でありますけれども運輸大臣がそういう認定をすればということになっておりますけれども、じゃ運輸省のどの部局が暴力主義的破壊活動者の認定に当たるのかということですね。これは大変むずかしいんじゃないかという気がしますよ。それはヘルメットをかぶって鉄パイプを持ってのし歩いているのばかりが暴力主義的破壊活動者というふうにいかないと思うんです。年がら年じゅうそういうかっこうしていればわかりますけれども、それが着物着て角帯でも締められりゃわからないだろうし、団結小屋だって、団結小屋がけしからぬからこれをつぶそうと言ったって、じゃ団結小屋の看板を外しちゃって、料亭成田だとかあるいはレストラン三里塚だとか、こういうふうになったら、これはどうしますか。中で三味線の音でも聞こえるようになったら、これはちょっと踏み込めないでしょう。こういうふうに、工作物にしたところで、あるいは暴力主義的破壊活動者というふうにきめつけてみたところで、実態をじゃどうやって確かめるかという問題が出てきますよ。大変むずかしいと思うのです。それはもはや運輸省の仕事としてはちょっと無理じゃないか、むしろ警察の仕事に入ってくるんじゃないかという気がするんですね。それらのことを具体的に運輸省ができるのかと、やるとすればどこの部局がどういうふうにしてやるんだと、自信がおありになるのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  173. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 立法はすべてある程度いまお話があったようなことで問題があるわけでございますが、特に、この立法の場合におきましては、実は私ども求めて運輸省でこういう仕事をやらしてくれとか、やりたいなどと言った覚えは全然ないのでございまして、ただし、国会で先般のような事態があった、そのことにかんがみて、これから後こうあるべきだということで御審議を願って御決定を願えれば、その後はその法律、できた立法に忠実に従っていかなければならない、これは当然のことでございます。  そこで、実は正直申し上げますと、瀬谷さんいまおっしゃった、いろんな認定をしたり、その他いろいろのことをどこでやるのかという話でございまして、もともと政府がいろいろ用意をして、ぜひこれをやってくださいというようなことで臨んでおりますのなら、かなり前広にいろんな対策を講じていくわけでございます。正直に申しまして、私どもはまだそういう仕事をどこでやるか、これしょせんはやっぱり航空関係のところが主になってやるということではございましょうが、瀬谷さんお話しのごとく、紺屋の白ばかまみたいなところがあり得ると私は思います。いままでの専門とちと違うところがございます。と申しましても、先ほどから足立さんが何回か説明されたように、異例のこういう事態に対処して行うことでございますので、国会でお決めになった結果、このままいくと大部分私どもがかぶることになりますが、これからどうなるかわかりませんけれども、大体いきそうな空気に思うわけでございますけれども、いずれにしてもそういうことではございますが、法律ができた暁において、できたがこれに対処する受けざらが行政の方においてないということでは申しわけない。一夜にしてでも一時間のうちにしてでもそれに対処するように私はせなきゃならない、こういうように考えておる次第でございまして、目下悩みの一つであることには間違いはございませんが、悩みがあるからというのでどうもうまくいかぬというようなことではないように、皆さんからまあまあだと言っていただけるようにいたしたい、そういうように考えております。したがって、こういうことになるが用意はどうじゃと言われますと、現時点においては必ずしもすでに用意はできてお待ちしておりますということではございません。ございませんが、法律ができる暁において受けざらがないというようなことであってはなりませんので、これに対しましてはなるほどという対処をしていきたい、こういうように考えております。
  174. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 提案者にお伺いいたしますがね、これは運用はきわめてむずかしいと思うんですよ。団結小屋がけしからぬと言ったところで、その団結小屋というのがそもそもはっきりしたものじゃないんですな。じゃ三千一メートルのところに団結小屋が移っちゃうといった場合にどうなるのか。それからまた団結小屋そのものが姿、形を変えてしまう。小屋じゃなくてマンションかアパートに変わってしまう、あるいは料理屋かレストランに書きかえをしてしまう、こういうことになると、これは運輸省航空局の方で認定をしようたって認定のしょうがないでしょう。そういうことはお考えになっていらっしゃるんですか、どうなんでしょうか。
  175. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 俗称団結小屋でございまして、先ほど矢田部さんからも、アパートみたいなものに暴力集団が集まったらどうするんだと、それもぶち壊すのかというようなお話がございました。これは事態の推移を見まして対処すべきものはさらに対処しなきゃならぬと思いますが、現状においては、現在差し迫っている成田のあの全くの異常事態、これを何とか解決して国際線を利用する内外のお客さんに安心してもらう。同時に、これは国の何といいますか、安全を守ることにもなるわけであります。そういう意味ですから、これからの事態の推移によってはいまおっしゃるような点が確かに考えられます。しかし、この法案では、現在俗称団結小屋と言われているこれを規定しているわけでございまして、この規定にはまるようなものがあれば多少形は変わりましても、これは運輸大臣がどういう決断をするか私は知りませんが、その段階でどうしてもこれを使用禁止なり封鎖なり、場合によれば除去しなければ航空の安全が期せられないということになれば法律の範囲内で処置をされるでしょう。しかし三千一メートルということになりますと、これは法律では規制ができません。それはまたそういう事態に備えてそのときに考えなきゃならぬ問題だと。これはさっきからくどく申し上げているように、実は私自身はこれ立案者なんですが、最初はもっと勇敢なもう明らかに憲法違反と言われるような案を平気で考えたんですが、四党共同提案になる過程で、ともかく憲法違反は避けなきゃならぬということと、なるべく限定してそしていろいろなそしりを免れたい、そして目的だけは達したい、こういうことでやりましたので、三千一メートルは規制の対象にならないということは、この際は、はっきり申し上げておきます。
  176. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 非常に恐ろしい法律のようであってあるいはまた大変に抜け道もあるような法律でもあると、こういう感じがするわけですよ。だから、薬で言えば麻薬か覚せい剤というふうに私は言ったんですけどね。しかし、そういういまの成田における反対派の動きあるいは過激派集団の動きというのは、そんなに表面的にしっぽをつかまれるような動きをしていないわけですね。だからこれはやろうとしても非常にむずかしいんじゃないかと。モグラ退治みたいなもので、畑の上を走り回ってこん棒でもって探し回ったってなかなか思うようにいかないのじゃないかという気がするのです。果たしてこの法律でやれる自信がおありになるのかどうか。自信がないというならなぜ出したのだと言われるから、これは自信があるんだというふうにお答えになるかもしれませんがね。やっぱり問題は問題を本質的に解決をするということにあるんじゃないかという気がするのですよ。  まず、この成田問題の失敗の第一は、場所の選定を誤ったことじゃないかなと、こういう気が私はいたします。われわれは内陸空港には反対してまいりました。むしろ飛行場をつくるならば海洋の埋め立てをやるべきではないかということを主張した記憶があるのです。  昔の議事録をいろいろ調べてみましたけれども、一番最初にこの国際空港の問題が出てきたのが昭和四十年で、このときは運輸大臣が松浦周太郎さんでした。そして富里空港が問題になっております。一番この富里空港に早く目をつけて国会でもって追及したのが現在の副議長の加瀬完さんです。これが議事録を見ると載っているわけでありますが、その次に昭和四十一年に中村寅太さんが運輸大臣のときにやはりこれがかなり具体的に提案をされております。  昭和四十一年の六月の議事録を見ますと、岡三郎議員から質問がありまして、佐藤総理大臣並びに友納千葉県知事とが会って、三里塚の牧場を中心としたところの敷地を推進したいという話を聞いておるんだが、大臣の方から説明をしてほしいと、こういう要望がありました。それに対して中村寅太大臣の方から、「できるだけ地元の方々に御迷惑のかからない方法で検討いたしました結果、三里塚の一帯、あるいは県有地とか、ゴルフ場というような、そういう反対の方々の御迷惑をできるだけ少なくするという方針でいろいろ検討いたしました結果、三里塚中心の三百二十万坪くらいに、四千メートルくらいの滑走路と二千五百メートルないし三千メートルくらいの滑走路一本、これで空港をつくろう、こういうことに大体の方向が一致いたしまして、きのう総理が知事にも協力を要請しまして、知事も検討を約して、地元で検討するということになったという情勢でございます。」というふうに会議録に載っているわけです。ところがここで、佐藤総理と友納知事との間で話がこのようにまとまったけれども、「地元で検討するということになったという情勢でございます。」というけれども、「地元で検討」というのがその後十分に行われなかったということがはっきりいたしております。その後の議事録を見ますと、反対気運というか、ついに反対同盟というはっきりした形が出てきたのはその後なんでありまして、それからいろいろと賛否両論が出てきた、こういう経過をたどっております。  そうすると、一番最初に決めたときにきわめて手軽に決めてしまった。三里塚の御料牧場をどいてもらえばあらかたの土地が確保できるんだから、その周辺のところは同意を得なくとも後で相談をすればそれで納得をするだろう、こういう判断で決めたということが、議事録を見るというとはっきりうかがえるんですけれども、そもそもの出発点において誤りがなかったかどうか、その点をまず大臣にお伺いしたいと思います。
  177. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私もいまお話があったころには党役員の一人で、たしか河野一郎氏や川島正次郎氏と一緒にこの前後のことについて党でも協議をしたことを記憶いたしておるわけでございますが、いまお読みになりましたようなことについて、必ずしも正確に記憶しているわけではございませんが、あの当時いろいろの経過がございまして今日に及んでおるわけでございますが、今日いろいろなことがまだ各方面から御批判をいただくような事態であるということ等からいたしますと、初めあれでよかったかということについては、そのこと自体にも反省をしなければならぬと思いますが、失敗じゃなかったかとおっしゃると、これなかなか答え方がむずかしいんで、見方によっては必ずしも大成功とは言えないということではございましょうが、当時は当時としてみんなが一生懸命に考えて、まあこれならうまくいきそうなものだというように思ったことは事実でございます。問題はそう簡単なものでなくて非常に複雑したものであるということは、いまになって、ないしはしばらく前になるとはっきりしておるわけでございますが、最初のときにはそうまでみんなが考えていなかったということは確かにございます。そういう意味において、失敗とまでは申しませんが、認識必ずしも十分ではなかったということは言えるのじゃないか、こういうように思いますが、しかし当時としては私といたしますと、思い起こしながら感じますことは、まああのときはあんなことでやむを得なかったんじゃないかなというような気がいたします。率直に申し上げて恐縮でございますが、そういうような次第でございます。
  178. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いま私が取り上げました参議院の運輸委員会は、委員長が江藤さんのときでした。それで、この江藤委員長のころは、まだ委員会での審議はけしからぬとかけしかるという話じゃなくて、どうだどうだという話が中心になっております。それが私はそのころまだ運輸委員になっておりませんでしたので、私はやっておりませんが、自分自身で初めてこの成田空港の問題について質問したのはいつごろかと思って調べてみましたら、昭和四十四年にやっておるんです。昭和四十四年、手塚航空局長と原田運輸大臣のころでしたが、その質問の中で、なぜ成田空港を決めたのかということの質問をしておるんでありますが、米軍の基地があるんだけれども、米軍の基地を返してもらったら何とかなるんじゃないのか、それからまたブルー14という軍用航空路があるんだが、この成田空港を求めるということの理由の中に、ブルー14というのがあって、軍用飛行場がこのブルー14の西の方にある。したがって、この民間航空の問題としていろいろどうするかということを考えても解決がむずかしかろうということで、新空港の予定地をそのブルー14の西に求めることはできない、したがって現在の予定地の方向に探さざるを得なかった、こういう事実があるわけだということを手塚航空局長が答弁をいたしております。そうすると、この答弁から推定できますことは、成田が適地だったというわけではない、米軍の空域等を考えて成田に下がらざるを得なかった、こういう意味のことが述べられておるわけですね。  そこで、それならば何で米軍の基地を一つぐらい返してもらえないのか、それからブルー14についても検討してみないのかといったようなやりとりが出てくるわけなんでありますが、私が質問をしたころは、成田に決まってからかなりたっている時点で質問をしております。それまでなかなか決まらなかったということもありますけれども、その当時から地元の意向の尊重ということを強調されているんでありますが、事実上は少しも行われてなかった。まず間違いとしては、場所の選定を誤ったということと、それからその地域についての説得がおろそかにされておったということ、これが二つ続くわけであります。そして反対同盟の力がだんだん強化をされてきておるということが、これらの昔の議事録を調べてみるとうかがえるわけなんです。病気はやはり早いうちに治せばいいけれども、こじらしてくるとなかなか治らなくなってくる。今日は最大限にこじらせてしまったという状況ではないかという気がいたしますが、果たしてこのような状況のもとに安心できる国際空港として成田空港が機能できるかどうか、その点は大変問題だと思うんです。だからこれ以上事態をこじらさないうちに決断をするところは決断をするということが必要になってくるんじゃないかという気がいたします。その点、地元との話し合いでもってどこまで話を詰められるのか、これを私は非常に関心を持っておるんでありますけれども、まず戸村反対同盟委員長との最初大臣話し合いはどうもまとまらなかったようであります。まとまらないのは当然だと思うんでありますが、今後の問題として、私はこれでこりてもうさじを投げるということをすべきじゃないという気がするんですが、どうでしょうか、これからも打開をすることは可能性ありとお考えになるか。大臣としてはあきらめずにやれると、やれば打開ができるというふうにお考えになっておりますか。その点どうですか。
  179. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いろいろ御指摘のあった点についてはそれぞれ深く考えなければならぬわけでございますが、地元との話し合い等について今後いかに対処するかというような意味におきましては、まあ昨日の話は、時間はかなりかけたのであり、戸村氏にしても、十二時から話し合いをして、二時には用がありますのでと最初に言ってみえたのを、二時四十分まで向こうの都合を繰り合わせて延ばして、かなりきのうとしての話としてはいろんなやりとりがあったわけでございまして、結論において、まあ話がまとまったということではないという意味においては残念と言えば残念ではございますが、経過はかなり友好的なムードの中に進行したと私は見ておるわけでございます。  そこで瀬谷さんが、まあきのうはああいう程度だが、こりてはいかぬと、この上とももっと努力するようにというような御示唆を加えてのお話でございますが、私自身もそれから戸村氏も、最後に別れるときにはその種の言葉を交わしつつ別れたわけでございまして、いわば再会を約するとか、再会を期するような表現をいたしておりますし、またそういうことばかりでなく、三里塚も福永さん私が案内するから二人で見て回ろうよというような話で、ぜひそういうことにお願いしますというようなこと等も言っておったわけでございます。それはまあいま三里塚のことをおっしゃいましたんで、そういうような気持ちでございましたという意味で申し上げるわけでございます。  そこで、いろいろこれからのことを考えますと時間はきわめて乏しいのでございますから、それなり考え方でいかなければならぬわけでございますが、なかなか双方に、双方と申しましても戸村氏の方にもいろいろ事情があるようで、けさほどの新聞を拝見いたしますと、向こうでみんなと相談せずに勝手に福永健司に会ったのは何じゃというので問題が起こっているというようなこと、まああれはしかし手順としてはそういう議論があるかもしれませんが、会ったことそれ自体が無意味であるという御批判ではないと思います、一部の人が何か——そこいらのあたりはよくわからないんでございますが、いずれにいたしましてもそういうことだけから見ますと、後なかなかその次が容易じゃなさそうな話にも聞こえますが、私はそういう事情は、これからもさらにいろいろ検討の上しかるべく対処していかなければならないと思いますけれども、いずれにいたしましても、さらに話を続けるなり、それから五月二十日という日は迫っておりますけれども、それから後にまだいろいろあるという、こういうことを考えますときに、私はいまのお話のとおり、さじを投げずに大いに努力を続けろというお話、そういう御趣旨のとおりに対処してまいりたいと思います。病がこじれてえらい悪くなったところへきたとおっしゃいますが、昔われわれ若いときには、肺病なんというものはひどい病気だと思っておりましたが、その後療法等が進歩いたしまして、いまやそういう病気で死ぬ人はないというようなことでございますんで、それとこれとは幾らか違います、幾らかじゃない、大いに違いますけれども、まあ瀬谷さんが病気の例をお使いになりましたので申し上げますが、まあいろいろめんどうはございましょう。良薬は口に苦いだろうと思いますが、いずれにいたしましてもあらゆる努力を今後とも傾倒してまいりたい、そういうように考えております。
  180. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣反対同盟委員長と二時間四十分話をされたということは、私は決して無意味じゃないと思うんですよ。それだけの時間をかければ、これは時間的には福田総理大臣とカーター大統領の会談と同じぐらいですから、それだけ話をすれば大したもんだと思うんです。それでしかしまあ第一回目は仕切り直しになるでしょう。これはしょうがないですよ、相撲だって何回も仕切り直しするんですから。しかし、内容としては、私は反対同盟にしたところで余り意固地なことを言って一切話し合いに応じないということになれば、今度は反対同盟そのものが批判をされることになると思うんで、実はきょうの委員会でも私は参考人として地権者農民の代表の方に出てもらいたいと思いました。それから千葉県知事にも出てもらいたいと思いました。ところがなかなかうまくいかないで、まあ千葉県知事の話も立ち消えになりましたし、それからせっかく委員会でお決めをいただいた地元の農民の方の出席も話がつぶれてしまいました。これはどうもやはり福永大臣反対同盟委員長との話というものが地元にいろんな影響を及ぼして、その飛ばっちりでもってせっかくきょう参考人に出てもらおうと思った地元の人の意見まで聞きはぐれてしまうということにたったんではないかと思います。その辺の事情よくわかりませんけれども、これはやはりかなり地元の姿勢というのが硬直化しているというふうに考えられるわけです。それだけにこのまま政府があくまでも既定方針どおりで開港を推進する、二期工事も進める、しゃにむに突っ走るんだと、こういう姿勢をとると、何が起きるかわからないという気がするんですよ。そういう心配があるんですよ。こういう法律ができようとできまいと、京成電鉄に火をつけて、これは一車両焼けてしまったという事実がありましたね。ああいうことは、この法律ができなくたってやれるわけですね。それを考えると、お互いが硬直した姿勢でもって突っ走って激突をするということは、われわれ何とかして避けなければならぬと思うんですね。まごまごして、また流血の惨事が生ずるということになれば、その犠牲者が警察官であれ、反対同盟であれ、農民であれ、だれであってもよくないと思うんです。だから、何とか犠牲を出さない方法を考えるというのが、ここまでくるとお互いに配慮しなければならぬことじゃないかと思うんです。  そこでどうでしょうか、やはり政府としてもこれはここまで来て成田をあきらめますということは言えないと思うのでありますけれども、しかし、たとえば二期工事については、先ほど大臣お話がありましたけれども、休止をする、この二期工事の方はしばらく手をつけない、休止をするというくらいのことを打ち出して、それから懸案事項については積極的にこれは具体的に解決をする、ということをとりあえず打ち出して、そして地元との話し合いをとにかく詰めようじゃないかということで、胸襟を開いてみたらどうでしょうか。それでも地元の反対同盟大臣と会ってはいけないと抑えるようならば、これはむしろ反対同盟の方の責任になってくるわけです。大臣の方でおれは会わない、断固既定方針を遂行するんだということだけでいけば、これは政府の方の責任になってくる。お互いにやはり多少は譲歩をするようにしないというと、話し合い糸口はつかないと思うんですよ。だから、事はめんどうかもしれない、立場もあるし、メンツもあるだろう。しかし、いま非常に重要な時期だと思うんです。だから、私はあらゆる努力を費やしてこの話し合いに持っていく。そして流血の惨事は避けるということのための合意を求めるべきではないだろうか。そのためには、やはりできる限りの譲歩を政府側としても用意しなければいかぬという気がするんですが、その点は具体的にどうこうということはあえて詰めませんけれども、そのくらいの配慮があってしかるべきだと思うのでありますが、どうでしょうか。
  181. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 大変いろいろお考えをいただいての御発言でございます。私もそれをありがたく拝聴しつつお答えをしなければならぬと思います。激突はあくまで避けなければならぬと思います。きのうも別れますときに、平和的に、平穏裏に問題の解決をしたいもんですねということでは実は一致をいたしておるわけでございます。まあそのために途中で話が出たんでございますが、いわゆる三条件を地元反対同盟側では引っ込める。そこで二期工事を、いろいろ後なごやかに進めるために——いままでの方針は開港とともにすぐに二期工事にかかるということでございました。ございましたが、それを休止して平和裏にあとのことを進めるようにしてはどうかという一つの話が出たわけでございます。私は、先ほどもちょっと触れましたが、これは確かに二期工事をどうするかということは政府部内で相談をいたしておりません。ではございますが、私はそういうことでありまするならば、先方で三条件も引っ込めると、そして平和裏開港を迎えると、こういうことでありまするならば、私の方はいかなる努力をしてもそういうことにするように私は一生懸命の努力をいたしますと、このあたりまでは実はお答えをしたのでございます。しかし、戸村氏の方では、二十日に開港するということでは、それではどうもこっちはそういうわけにいかぬと、こういうような話でございました。だがしかし、そういうこともあったけれども、そういうことだから話が決裂して別れたということでなくて、なお話し合いましょうよということなんです。ですから、私は私なりの解釈をしておりますし、向こうでの事情はよくわかりませんが、新聞にはいろいろなことが伝わっておる、そういうことで問題はこれから大いにあろうと思います。懸案事項という表現瀬谷さんがおっしゃったことのうちにもいろいろなことがあるわけでございます。約束したことは誠意を持って解決しなければならぬと思います。私も、実は運輸大臣になりましていろいろ聞いて、こうもいろいろ約束しておるのかなあということがたくさんございます。しかし、幾らたくさんあろうと、過去の責任者諸君が約束したことは私は当然に責任を帯びて実行すべきものである、こういうように考えておるわけでございますし、早い話がいままで約束したことばかりでなくて、お互いに話し合ってこれはこうすべきだなということについては、今後も考えていかなければならない、こういうように考えております。  そういうような次第で、いまのところはまだそれじゃということで両者一つ結論に到達してすっかり話がついたという状況ではございません。はなはだ残念です。残念でございますが、私は今日以後も、きょうはこうしてこちらへ伺っておりますが、実は昨日も参議院の委員会——先にこういうことで出かけますからと申し上げると、ちょっといろいろ向こうとの約束上、困ること等もございまして、いまここにはおいでになりませんが、皆さんのお仲間の方にもきのうはそういうわけでということを、向こうで会う時間に次官をよこしまして、その時間になったら言ってもいいから、そう言って御了解をしてもらってくれと言っておきましたら、後千葉へ連絡が参りまして快く御了承いただいたというので私もやっと安心しまして、時間をいただけたので、二時間四十分というのも、そのおかげで向こうで話ができたわけなんでございます。  そういうような次第でございますので、きょうはまた有益なお話等も伺いました。そういうことも頭に置きつつ、私は今晩以後もさらに努力をしたい、こういうように考えております。
  182. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私はできれば千葉県知事にも出てもらいたかったのでありますけれども、それはなぜかというと、そういったような話し合いの仲介を県側がやらなければいかぬと思うんですよ。一切合財これは地元と政府の間の問題だというので、県だとか市だとか、こういう地元が人ごとみたいな顔をしているというのは間違いだと思うんです。特にこれまた、昔の議事録をいろいろ読んでみますと、参考人とのやりとりの中で現地視察もやってもらいたい、行こうと思うと、千葉県側が、行くととんだ目に遭うからやめた方がいいと言って、県の方が抑えたといったようなやりとりが議事録の中にあるんですよ。だから、これは昔の話なんでありますけれども、県がそんな姿勢をとっておったならば、この重要な問題を解決をするということはできないと思うんですね。したがって、特に県が話し合いのための必要なその下準備を率先してやるべきではないかと思うのでありますけれども、県側に対してそのような行動をやってきたという気配があるのかどうか。また、これは県知事等はどういうような意向を持っておるのか、これは大臣に聞くのは本筋じゃない、県側に聞かなければならぬことなんでありますが、政府側でどの程度の感触を得ておるのか、あるいは行政指導等が行われているのか、その点もあえてお伺いしたいと思うんです。
  183. 福永健司

    国務大臣福永健司君) お話ごもっともに拝聴いたします。県、市、町等は、市、町と申しますのは成田市とかあるいは現地の芝山町——向こうからは知事もしばしば私のところへ来てくれております。それから成田市の市長及び市の議員、芝山町の町長及び町の議員、こういう人たちもしばしば私のところへおいでいただいております。もちろん私も伺っております。私の方はそう余り何回もお伺いはできなくていて残念に思いますが、しばしば電話等でもごあいさつ申し上げたり、お願いを申し上げたりしておるわけでございます。この知事、市長及び町長、また、議員の皆さん、それからことに国会の議員の皆さんも千葉県選出の人は与野党ともいろいろ御心配をしていただいております。心配をしていただく人もありますし、ずいぶんしかる人もございまして、まあ結構なんでございますけれども、いろいろそういう意味で接触を保っておるわけでございます。  そこで知事は、もうある程度申し上げた方がいいかと思いますが、私も行って具体的に相談したこと等もございますしするんでございますが、たとえばきのうのことと関連いたしますと、私は場合によったら知事に立ち会ってもらうというか、一緒に聞いててもらうことがいいと実は思いました。もう済んだことですから申し上げます。しましたが、当時知事は、知事として知事の立場でいろいろ実はやってくれておりましたから、それを続けたいと思うのでということでありました。したがって、私は知事を交えてという会い方は知事と相談の結果やめにしておいたわけでございますが、知事としてやれることについては、大いにいま瀬谷さんの言われるような意味において協力しましょうという心境で対処してくれております。ですから、今後もそうであろうと私は確信いたします。同様のことが成田の市長だとか芝山の町長についても言えるわけでございまして、ただ、そういう方々はそれぞれお立場があるので、必ずしもほかの動きと一緒にというわけにはいっておりませんが、実はいろいろやってくれております。その内容をただいまここで申しますことはある程度の成果を得た時点でないと、そのことのために事が壊れてはと思いますので、私はこの際は伏せさせておいていただきますが、いずれも何とかしなければ、成田をこのままでおいといたんじゃという気持ちで、皆さんが心配していてくれているということは事実でありますし、この席でもそういう方々にも私は敬意を表しておきたい、お礼を申しておきたいと思っているような気持ちでございます。なお今後も一層そういうことに私の方も心得て対処していかなきゃならぬ、そういうように考えております。
  184. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この法律は団結小屋の撤去ということを考えているのかもしれませんけれども、団結小屋を撤去すれば問題が解決をするという性格のものじゃない、これは大臣もよく御存じだろうと思うんです。提案者も恐らく団結小屋を撤去すれば成田問題は円満に解決をするというふうにはお考えになっておらぬと思うんです。問題は、それ以前の問題にあるわけです。したがって、私はこのままこの法律を強引に成立をさせてこれを発動をして、しかも力でもってその反対派の動きを制圧をして、無理やり一番機を飛ばせるというようなことはこれは余り得策ではない、少なくとも大人の知恵としてはどうかという気がするんです。やはりある程度政府としても譲歩をするんだから、最大限に譲歩をするんだから、だから話し合いによって円満なしかも安全な開港ができるようにするといったような道を求めるべきだと思うんですね。しかしそのためには地元とすれば非常に政府にとって無理難題と思われるような条件が出てくるでありましょう。それをそのまま生でぶっつけ合ったんでは妥協はなかなかできないと思うんでありますけれども、その中にもやはり最大限の合意を見出す努力というものはすべきだと思うんです。その合意を見出す努力というものは私はとことんまで続けてほしいという気がいたします。それはこのままで行きますとどんなことが起こるかわからぬという心配があるからなんです。そういう心配をあくまでもなくすためにそれらの努力を継続をしてもらいたいということを強調をいたします。法律としては私はこれはまことに問題が多過ぎる、できればこのような法律は成立させたくないというふうに思います。しかし、もし成立をさせざるを得ないならば発動をしないで済ませる方法を選びたい、こういう気がいたします。その点を特に強調をいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  185. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 速記をとめて。   〔午後四時三十四分速記中止〕   〔午後四時四十四分速記開始〕
  186. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 速記を始めて。
  187. 内藤功

    ○内藤功君 この法案はまさに空港公団に関する法案なんですね。その法案の御審議を願うという立場にある方が、しかも参考人として理事会でも決定されておる方がおられないために、さっきの話だと役所に帰ったというお話、十五分間の中断をしましたね。ひとつあなたの方からその点の釈明をまず求めたい。私はそれをいただけなければ入りません。
  188. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 貴重な先生方のお時間をむだにお過ごしさせましてまことに申しわけございません。実は瀬谷先生の持ち時間がもっと長いというふうに実は承っておりましたし、私自身の公団での仕事もたまっておりますので帰りまして仕事の整理をしておるということで、大変御迷惑をかけたことは深くおわびを申し上げます。
  189. 内藤功

    ○内藤功君 冗談じゃないですよ。こういう空港公団に関する法律が審議されているときは、そう長い時間じゃないんですから、ずっとやはりここに座っていて、自分に質問がなくてもどういう審議がなされているかということを虚心坦懐に聞くのがあなた方の務めだと思います。終わってから帰って仕事をすればいいんです。その点はやっぱりぼくは間違っていると思いますね、その点はどうですか。
  190. 大塚茂

    参考人大塚茂君) まことにおっしゃられるとおりでございます。
  191. 内藤功

    ○内藤功君 総裁は午前中答弁の中で——私は参議院本会議三月二十九日の質疑の中でこういうふうに言っているんですね。「私の資料要求に対し、空港公団は、暴力集団による公有地上の不法耕作面積は、五十二年六月現在、実に二十四カ所、八十六・九ヘクタールに達し」ていますというところについての答弁の中で、八十六・九ヘクタールについての面積はそのとおりだが、二十四カ所というのは何かの間違いじゃないか、こういう答弁をされている。私ここに代表質問のときに使った資料を持っている。ちょっとここへ来てごらんください。いずれもあなたの資料どおり述べています。(資料を示す)  いまごらんになったように私の手元に出ているおたくの方からの資料に基づいて私は代表質問の数字を述べております。さっきの答弁は取り消してもらいたい。取り消して陳謝してもらいたい。
  192. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 先ほど私ああいうふうなことを申し上げましたが、いま先生から私の方から提出した資料をお見せをいただきましてわかりましたが、不法耕作地というのはまあほとんど無数にあるんですが、その主なやつをグループにして、グループ別にして囲んであるのが数えると二十四ということでございまして、まことに私どもの方の資料の出し方がまずかったというわけでございますが、謹んでおわびを申し上げ、また訂正をさせていただきます。
  193. 内藤功

    ○内藤功君 私は限られた時間でありますので、本法案につきまして、一つは本法案の必要性の問題、もう一つは本法案の解釈、運用上の疑義の問題、大きく二点に分けまして提案者並びに関係各大臣並びに政府委員にお尋ねをしたいと思います。  まず、イタリアでモロ前首相の暗殺という事件が起きた。いま民主主義とこのテロ、暴力という問題が改めて問題とされているときに、私どもは民主主義政治を破壊するいかなるテロ、暴力というものに対しても厳しくこれは対処をしなければならぬという立場に立っているということをはっきり前提として申し上げたいと思います。また先ほど来国会両院の全党一致の決議ということがこの場で言われておりますが、しからばこの全党一致の決議があるからといって直ちにこの新立法というものの必要性に短絡的に結びつけるということについては私は大いに疑問を持ち、賛成できないという立場もあわせて表明をしておきたいと思うのであります。  まず、現状についての認識を私どもはしたいと思うのですが、現在いわゆる団結小屋と呼ばれている建物、工作物、これは何カ所あるのか、またこの団結小屋と言われる工作物で三月二十六日のあの一連の暴力事件にかかわりを持っていると認められるものが何カ所あるというふうに政府は考えておられるのか、御答弁を願いたいと思う。
  194. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 現在、常駐団結小屋と言われておりますのが三十五カ所ございまして、このほかに非常駐二カ所、さらにそのほかに要塞と言われるものが二カ所ございますが、これらの施設と三・二六事件とのかかわり合いにつきましては警察の方からお答えいただきます。
  195. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 団結小屋と三・二六事件とのかかわりにつきましてはただいま捜査中でございますけれども、一般的に申しまして、被疑者いずれも黙秘でございまして、その辺のかかわり合いについてははっきりいたしておりません。  なお、私がここで申し上げるのもどうかと思いますけれども、団結小屋の個所数につきまして警察の方で確認をいたしました。きのう現在で一カ所減りまして、団結小屋の数がいま常駐が三十四カ所となっております。これは団結小屋の数はしょっちゅう変わるわけでございまして、三月二十六日ごろ現在では三十三カ所でございましたが、四月中に二カ所ふえて四月末では三十五カ所ということになっておりましたが、昨日までまた確認をしたところで一つ減って三十四カ所と、かようにしょっちゅう変わっておるというのも一つの団結小屋の状況でございますので、あわせて御報告いたします。
  196. 内藤功

    ○内藤功君 この法案が提案されている理由は、こういう団結小屋が暴力事件の集合の用に供されたり、あるいは火炎びん等の製造の用に供されたり、あるいは提案者の申されるように軍事訓練、これが何を意味するか私は必ずしも定かでありませんが、軍事訓練の用に供されることがある、そのためにこの法案を出すのであると、こう承っております。ところが、そのためには現状の団結小屋が何カ所あるかということと同時に、これがどのように三月二十六日の暴力行為にかかわりを持っているのかということがこの場で説明されなければ、われわれ委員会に属する人間としてこれは審議のしょうがないのであります。運輸大臣、この点を政府としてどういうふうに明らかにしてわれわれに説明なさいますか。これが審議のまず前提だと思います。わからないということではこれは済まされない問題だと思います。
  197. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 御趣旨はごもっともに伺います。私の方では警察等から資料を提供されて、それによって何カ所とかなんとかということを言っておるわけでございますが、この点につきましては、警察の方の調査を私どもは伺って対処している立場でございますので、警察の方から申し上げさしていただきたいと思います。
  198. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 三・二六事件につきましては、いままでわかっておりますところでは、第四インター日本支部と共産同のグループ、プロ青同につきましては、団結小屋から出てこの当日の犯行に参加しているということが判明をいたしております。
  199. 内藤功

    ○内藤功君 それは特定した場合にはどこの団結小屋ですか。それからもう一つ、要塞の方はかかわり合いがないのですか。
  200. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 要塞につきましては、横堀要塞の状況、御存じのようなことで全員つかまっておりますが、これは管理棟等、いわゆる三・二六のその日の管理棟乱入というふうな事態とはかかわりはございません。あるいはその周辺における犯行ともかかわりはございません。第四インターにつきましては、出撃した拠点が大体判明いたしております。その他はちょっと不明確でございます。
  201. 内藤功

    ○内藤功君 こういう点が国会で明らかにされなければならないんですね。ところがいま程度のことしか出てこない。黙秘権を行使しているというのを理由にしておりますが、警察当局としてこの三十五あるいは三十四ある団結小屋のうち、どことどこが暴力集団のかかわり合いのあるところなのかということをここに説明しなければ、この法案の審議の前提を私は欠くだろうと思います。警察自体の判断としてどういうふうな認定を持っているのか、これしか資料がないのか、あるいは国会に言うことができないのか、その点をもう一回伺いたいと思うんです。
  202. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 三十四カ所全体がやはり極左暴力集団の集結の場所であり、出撃の拠点ということでございます。また、闘争時に使用される火炎ぴんとか鉄パイプその他凶器類の隠匿あるいは保管場所として利用される状況につきましても、たび重なる捜索で明確になっております。
  203. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、三十四カ所全体があなた方は火炎びんの集積場所あるいは出撃の根拠地と、こういうふうに認定しているわけですね。さっきの答弁はそういう意味に正確にされたというふうに伺っていいかどうか。これは議論の前提ですから。
  204. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) いずれもそれはそうした、法案に申しております暴力主義的破壊活動にかかわりがある場所であるというふうに考えております。
  205. 内藤功

    ○内藤功君 そのように認定するのであれば、いままで公有地上の不動産侵奪罪の適用の問題について警察がどのような措置を現行制度のもとでやってきたか、この経過を報告願います。
  206. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 不動産侵奪につきましては告訴が二つ出ておるわけでございますが、一つは、空港公団用地に四十八年の九月から十月にかけましていわゆる野戦病院という——これは私どもは中核派というふうに見ておりますが——工作物が建設された事案につきまして、四十九年の二月に空港公団の方から不動産侵奪罪で告訴が出されております。これにつきまして、これまで関係者十一人から事情聴取を行いますとともに、地籍の確認や被疑者の特定その他の捜査を引き続き実施をいたしておるところでございます。  なお、このいわゆる野戦病院と称します物は、一部この野戦病院自体の棟が四月の十二日に自主的に彼らのグループによって撤去をされております。これにつきましては、私どもそれなりに、撤去の状況というものの捜査措置といいますか、採証的な措置を含めて、それを含めて現在も捜査をしているという状況でございます。  このほか朝倉の団結小屋と称します物もあるわけでございます。また朝倉のテント村という地区もこれは公団の用地でございますので、これらにつきましても不動産侵奪罪で所要の捜査を進めているところでございます。この告訴がありましたのはいま申しました現地、野戦病院と称します中核のものと第四インター朝倉の団結小屋ということでございますが、それぞれ捜査を進めておるという状況でございます。
  207. 内藤功

    ○内藤功君 十一人も事情聴取をやり、そして日にちは四十九年の告訴から約四年たっておる、四年三カ月たっておる。そうしてわれわれの常識を絶する長期間これが処分いまだになされないまま放置されている。私は新立法を提案者が出される前に、こういう警察のやはりやり方というもの、国会の決議から見たって非常にこれはおくれていると言わざるを得ない。地籍の確定なんというのはこれは現場に行って、妨害があればそれに対して適切な対処をしながら地籍をはかるということはこれは当然じゃありませんか。これがなぜできないのか。非常な私は怠慢で、現行制度自体のぎりぎりいっぱいまで来ていない。つまり新立法を新たにわれわれがオーケーを言うような段階にまだ来ていない、こう見ざるを得ません。どういうわけでしょうか。
  208. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 理由を一言に申しますと、被疑者の特定ができかねておるということでございますので、その辺を確認すべくいろいろな形でこれまで努力をして捜査を続けておるわけでございます。
  209. 内藤功

    ○内藤功君 これはもう全然私ども納得できませんね。地籍の確定はどうしてできないんです。
  210. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 地籍の確認もいろいろな形で、地籍これ自体は空港公団の所有地でございますので、その面では公団自体からの告訴ということで一面はっきりはしておるわけでございますけれども、被疑者の特定を含めてその他の捜査、なすべきことを続けておるわけでございます。
  211. 内藤功

    ○内藤功君 これはもうやる気がないと私ども感じざるを得ないんです。こういう公有地上の不法占拠工作物は、これは犯罪を組成した物件として没収の対象にもなり得るし、また裁判所の別の見解もあるにせよ、差し押さえの対象にもなり得ると思いますが、御見解はいかがですか。それを実行してないのはどういう理由か、お答え願いたい。
  212. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 確かにこれは犯罪の証拠物ではございますけれども、もともと不法に権利のないところに建てた工作物でございますから、それを自主的に撤去すること自体はそうなすべきと申しますか、望ましいことであろうと思います。しかしおっしゃるような点もございますので、犯罪の捜査という面からは、すでに不法に他人の土地に工作物を建設したということ自体で既遂の状態でそれなりの採証はいたしておりますし、また撤去の事態につきましても捜査をいたしておりますので、犯罪の証明には工作物が撤去されたからといって要件を欠くということはないのではないか、というふうに思っております。
  213. 内藤功

    ○内藤功君 これは差し押さえの方法をとる一つの案件だと私は思うんですね。それでこの問題に関連して、この間の千葉の地裁で一つの即時抗告に対する裁判所の決定が出ましたが、これに対して法務省、特別抗告をやって、そういういま不服の申し立て手続をやっているように私は読んでいますが、一体どういう理由でこの特別抗告を行ったのか、その要点を簡単に述べていただきたい。地裁の決定に対する見解を述べてもらいたい。
  214. 河上和雄

    説明員(河上和雄君) 御指摘のとおり、ことしの五月八日に千葉地裁におきまして本件の、いわゆる横堀要塞の差し押さえ処分の取り消し決定がございました。即日、千葉地検において、右決定を不服といたしまして最高裁に対して特別抗告をいたしました。また同日付、千葉地裁に対しても執行の停止を申し立てましたところ、千葉地裁は執行停止の決定を即日やはり出してくれました。特別抗告の理由は、まあ憲法違反あるいは最高裁の判例違反といった刑訴法四百五条あるいは四百十一条に規定する事項を中心にしていると、こう聞いております。
  215. 内藤功

    ○内藤功君 地裁の判断について、その特別抗告の中で最も力点を置いているのはどういう点ですか。
  216. 河上和雄

    説明員(河上和雄君) 現在最高裁で御審理中のことでございますので、細かなことについては差し控えさせていただきたいと思います。
  217. 内藤功

    ○内藤功君 とにかく特別抗告を検察側がやるということは、一般の人民がやる場合と違って憲法違反を理由としますね。相当なやはり確信と理論的な裏づけというものがあってなされたと思いますが、その点はそう伺ってよろしいか。
  218. 河上和雄

    説明員(河上和雄君) おっしゃるとおり、それ相応の確信と理論づけがあって特別抗告をしていると、そう信じております。
  219. 内藤功

    ○内藤功君 警察に伺いますが、法務省はいまああいう答弁をしております。したがって、まず公有地上の不法占拠物に対しては差し押さえのような方法も一法でありましょうし、それから被疑者の特定のためには関係人を徹底的にやはり調べてこれを追及することが大事ですし、そういう捜査の諸法をやはり行使してこれの捜査を続けることがまず常道であります。私は、そのほかに公有地上の不法占拠物を現実に暴力集団に使用させないための方法は、新法をまたないでも現行法であり得ると思うんです。どういう方法があり得るのか、お答え願いたい。
  220. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 新法をまたないで暴力集団にこうした工作物を使用させない方法があるではないかということでございますけれども、その辺がむずかしいわけでございまして、不動産侵奪罪の捜査はそれなりにいたすといたしまして、やはりこれが封鎖とか排除というふうな方法での措置は一般的にはとりがたいということで新法の成立が検討されているというふうに思っております。なかなか、何かほかの警察のとるべき措置によってこれを封鎖、撤去できるのではないかということにつきましては、いろいろ検討した結果やはりそれはむずかしい。警察としては暴力集団の制圧という面では、それぞれにあらわれて犯行に至った場合に現場的な措置を繰り返してやるということの取り締まり、検挙でこうした不法行為の制圧に努力をしているわけでございます。それと、先ほど申しましたように、たび重なる捜索というふうな形でこうした拠点についての一つの取り締まり効果を上げるというふうにいたしておるわけでございます。
  221. 内藤功

    ○内藤功君 これは現行法と現行制度のぎりぎりまでやっているかどうかという問題で私は非常に疑問を持っているんです。たとえば、公有地上であれ民有地上であれ、あなたが言ったように三十四カ所が全部出撃ないし製造の用に供されたという、さっきそういう答えが出ているんですから、そうだとすれば、この警職法にはこれは現行法でも犯罪の制止だとか、立ち入りだとか、あるいは異常な行動の者に対する不審尋問の規定だとかいうものがあるわけです。そういうものを緊急の場合にやはり使って、そうして現在の工作物の中でそういう不当な準備行為がなされないように規制をするという努力が私はなされていない、こう言わざるを得ないのです。すなわち新法を提案するに熟していないというのが私の見るところであります。こういう警職法の使用についてはどういうお考えであり、どのようにいままでやってきたのか。この三十四カ所の、あるいは三十五カ所と言われるいわゆる団結小屋についてどういうふうにやってきたのか、この点を伺いたいと思うんです。
  222. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 警職法の犯罪の予防制止等につきましては、非常に厳格な要件がございますけれども、いずれにしても警職法にいたしましても、それから職務質問、警職法の中にある職務質問あるいは捜索というふうな形で三十四カ所、数がずっと変わっておりますけれども、こうした団結小屋等に対して繰り返し警察としても取り締まりの手を緩めることなく措置をいたしてきておるわけでございます。しかし、最後にはどうしてもそれでは賄い切れないと申しますか、取り締まりの効果の及ばない状況が現状としてございますので、こうしたそういう事情をおくみ取りで法律が検討されているというふうに承知をいたしております。
  223. 内藤功

    ○内藤功君 私は特に今度三月二十六日の事件について、これが国会両院での決議の直接の出発点になった問題であります。私どもは新立法は必要ない、中身に入っても問題がある。しかし、暴力集団の行為は、これは現行法で最大限規制をせよという明確な立場でありますから、その立場で申し上げるのですけれども、三月二十六日の事件について、この中から責任と教訓、これを引き出して、そうして二度と再びそういうことを繰り返さない方策を打ち出して実行する、このことがやはり最良の方策だと、民主主義を守る、また暴力集団を根絶する方策で、それを尽くさないでおいて、いかにもいまの法律が悪いんだという方向に持ってきて新立法に持っていくという行き方には大きな疑問を持っておるのであります。  そこで伺いたい。まず三月二十六日の事件については、私どもの党も延べ十八名の議員を九つの委員会と本会議質疑に立てまして、そうして非常に詳しく聞いたつもりでございます。しかし、いまなお国民の中にはこの事件における政府、特に警察側の対応について大きな疑問を持っている人が多く、現行法で手を尽くしたととうてい思えない幾つかの点があるので伺っておきたい。  まず第一点ですが、この種事犯については事前共謀と実行行為、この二つが重要な要素であります。外見的な実行行為だけではなくて、事前の共謀、計画がいつ、どこで、いかなる動機のもとに、いかなる背景のもとに行われ、それがどのように進捗し、事前準備行為に発展し、直前の謀議に発展をしたかという過程が多面的にまた時期を追うて明らかにされなければならないと思います。この点でいままで新聞紙上を含めまして若干のものは出ておりますが、警察当局から国会に対する正式な報告というものをいまだ私は聞いておりませんので、警察当局の事前共謀、計画についての現段階における認識を国会を通して国民に明らかにしてもらいたい、こう思います。
  224. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 捜査の具体的内容に入っておりますので、やはりこれ事件がただいま公判に係属をいたしております。また現在捜査中でもございますので、ただいまのような御質問の点につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思っております。
  225. 内藤功

    ○内藤功君 これはあなた方の捜査といいますけれども、国会に対して、この立法をいま審議をしてくれということでこの運輸委員会にかかっているわけです。私どもはこれに対して、いまの現行の法律と現行の警察制度で最善を尽くしているかどうかということがまず疑問である、こう問題を提起しております。いわばこれが本委員会の争点にかかわる問題であります。これが明らかにされなければ、この法案の必要性というものは明らかにされないまま、永久に国会で明らかにされないままこれが国民を拘束する立法として法律の効力を発揮していくのであります。私はかかることは、国会、最高機関、立法機関としてこれは看過することはできないんです。ですからあなた方が捜査の秘密という、それは何もかにもこれを言つちまったらば捜査に支障があるというごくごく少数の個所は除いて、大綱においてどういうような共謀がいつごろなされたのか、共謀なくしてこの実行行為はないんです。そういう意味で、立法の判断をする上に必要なことなんですね。これを明らかにしてもらいたい、あなたの許せる範囲のものがあるでしょうから。全部言えないなんてことはないと思うんです。これは国会の審議権を私は軽視したものだと思うのです。いかがですか。これは勾留理由開示なんかの席上では、裁判官からもう言っているはずなんであります。裁判官が裁判所で被疑者や関係人に言えることがなぜこの国会で言えないのですか。
  226. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 御指摘の事前の共謀とか、共謀と実行行為の関係というふうな面につきましては、まさにいま捜査中でございます。で、それが公判にかかってもおりますので、御質問のそれをつまびらかにしたいというお気持ちは非常にわかりますんですけれども、やはり捜査中ということで答弁は御容赦を賜りたいと思います。
  227. 内藤功

    ○内藤功君 提案者の足立先生に伺います。  足立先生は提案者の代表としてここにわれわれに立法を提示されて、共産党にも賛成してくれなどということをおっしゃった。共産党は賛成するわけにはいきません。いきませんが、論議をする上においては必要なやはり資料を出さなければ、私は論議できないと思うのです。どういうようなことを現行法のもとで三月二十六日の事件に対して警察が尽くしてきたのか、万全であるのか、どうであるのか、こういう資料がわれわれに提供されないままで、なおこの法案を通してくれというふうにおっしゃるんですか。これはどういうふうに、あなたも国会議員としてどういうふうにお考えになりますか。これでは立法審議はできませんよ。
  228. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 先ほど来繰り返し申し上げておりますが、私どもも現地を見まして、本当にこの空港の周辺、目と鼻の先に暴力主義的破壊者の集団が常に常駐をし、しかも、必要があればにわかに人がふえ、火炎びんも用意し、そしていつでも突撃してこれるような態勢にありましては、これはとても国際空港としての用をなさないということを痛感いたしました。かたがたいまあなたもおっしゃったとおり、国会の御決議もございました。そこで私ども与党という立場で、政府、警察はもちろん関係機関を呼びまして、与党の最高決議機関である総務会でも慎重に検討が行われました。おっしゃるように、自民党の中にも警察が最善を尽くしているとは言いがたいというような批判もありました。しかし、この俗に言う団結小屋ですね、これが存在する限り、これが機能を発揮している限り、とうてい今日の状況では成田空港の安全は期せられないということは、また一致した結論でございまして、これを解決するために緊急立法、これもやむを得ないという党議の決定をしたわけであります。もうおおよその案ができまして野党にも御相談をした結果、四党共同提案ということになったいきさつは先ほど来申し上げたとおりでございまして、いま参事官の答弁を私横で聞いておりまして、捜査中であるし、公判中であるからこれは言えないというのはもっともだと思いますが、やはり過激派集団というのは実に巧妙といいますか、緻密といいますか、なかなかいまあなたが御指摘になるような、いつ、どこで、どういう謀議、協議が行われて、どこから行動を起こしたかということは、これはなかなかっかみにくいのが実態ではなかろうか。それほどこの団結小屋というのが成田空港に対して脅威を与えているというふうに実は私どもは思い詰めまして、これはぜひひとつ御賛成をいただきたいということを先ほども申し上げたわけでございます。
  229. 内藤功

    ○内藤功君 足立さんの方から、参事官はああ言うけれども、許す範囲においてこの国会の当委員会に事前の計画はどこでやったのかということをここに明らかにする、そういうことをあなた提案者として審議を進める上において参事官に言うてくださいよ。資料をここへ出すように言ってください。
  230. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) これはいま私がずっと申し上げたとおり、現に捜査中、なお公判中ということで、警察は警察の立場がございますから、私の方からどうも命令——命令というと語弊がありますが、督促せよと言うのは御無理なことじゃないかというふうに思っております。
  231. 内藤功

    ○内藤功君 そういうことであれば、これはもう国会の決議があるから立法をとにかくお願いすると、こういう短絡したお話というふうに私も承らざるを得ない。御無理な話はそちらの方であると思います。そうじゃないですか。
  232. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 委員長、ちょっと答えさしてください。  あなたは短絡、短絡と言いますが、これはもう相当慎重に協議をし、それから現行法で一体どこまでできるんだと。さっきもお答えしましたが、仮にできても非常に時間がかかり、手間暇がかかり、それでは成田空港の安全は期せられないということで、必要最小限度ぎりぎりにしぼって今度の内容は提案をしたわけでございますから、そう簡単に短絡をして、感情的にぱっとこういつてこの案をつくったと、こういうふうにはおっしゃらないでいただきたいと思います。
  233. 内藤功

    ○内藤功君 私はもう聞けば聞くほどそういう感じがいたしますね。それでは具体的に警察に伺いたいと思うんです。  まず私は、この三月二十六日の事件のいろんな新聞の報道、国会での論戦を通じてみまして、おおむね六つに分けて非常に疑問な点が多いんであります。  第一は、警察が三月二十六日に通報があったのに出動しなかったと、これは一体なぜかという問題であります。これはまず、法務省おられますが、この空港の近くに多古町に法務省所有の旧少年院星華学園というのがありますね。
  234. 河上和雄

    説明員(河上和雄君) ございます。
  235. 内藤功

    ○内藤功君 警察に伺いたいんですが、この星華学園に暴力集団が当日集結していた。そのことを法務省の職員の人から警察に通報をしたのに出動の時間が非常におくれたと、この問題は国会でも論議されたことであります。この点について私は、この出動がおくれた問題、さらに、この結果第八ゲートあるいは第九ゲートが突破をされたというこれとの関連、こういった問題について警察の御認識をまず伺っておきたい。この対処の方法はおおむねどういうふうに対処されたのか。なぜおくれたのか。おくれたという批判に対してどう答えられるかをここで明らかにしていただきたい。
  236. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 三月二十六日の星華学園からの通報に対して警察の対応がおくれたという御指摘でございます。それが結果して八ゲート、九ゲートの事案が生じたのではないかということでございますが、通報がありましたのはもちろん事実でございますし、これによって対応の措置をとったのもまた当然とったわけでございますけれども、何分当日の現場の状況というものは、御承知のように、非常に広大なところで、一方で八千名のデモがすでに動かんとしておりまするし、一方では千五百名のこれは本当にゲリラ的な極左暴力集団が小学校跡に集まって、三方あるいは三六からまたさらに枝葉を分けてゲリラ的に行動を起こしているときでございました。そういう中で少年院の方からの通報がございましたので、これはやはり措置をおくらすわけではございませんけれども、その状況を重ねて確認しながら全体の対応をいたしたわけでございます。いずれにいたしましても、非常にすぐに措置ができたというわけにはまいりませんでしたが、そこからさらに空港の方に向かって動き出しました段階でそれぞれに検挙措置をとっておりまするし、また、九ゲート、八ゲートの突入の場面につきましては、いろいろと私ども自体として検討すべき条件は多いのでありますけれども、いずれにしても、時間を多少要しましたけれども空港内に入った者につきましては検挙をし、あるいは規制をし、排除をし、警察としての措置を何とかとってきたというふうに思っております。  通報があったのにおくれたという面につきましては、そういった面が若干ございますけれども、それはその当日の平常時、ただいまでは少しちょっと想像しにくいような現場の騒然とした状況と広さということを御理解を賜わりたいと思います。
  237. 内藤功

    ○内藤功君 それはもうあなたの方が国会で答えているように、午前八時に第一報をかけたんですね。これはバリケードを持ち込みましたよという第一報です。正午ごろに今度は七百人の集団がやってきて、それと火炎びんを積んだトラック四台がやってきた。そのときまた、来ましたよと言って電話した。そうして、今度は午後の二時半、十四時半に第三報をやったと、こういうふうに午前八時から午後二時半まで三度にわたって職員の人がやっているんですね。かけてきているのは法務省の職員ですから、これはもう官庁の人がやっているわけですね。これがおくれたということはあなたは軽く見ておられるのですか。小さなことだと思っているのですか。多少のおくれであると思っているのですか。ここが無傷のまま出動すると第八、第九ゲートに次は行くだろうことは、これはあの地形から想像されることなんです。第八、第九ゲートには、こういう部隊が星華学園にいてこの方面に来ることが考えられるということで、そこの警備を厳重にするというふうな手も恐らく打っていないと、いろんなこれは問題がありますよ。これはどういうような程度の誤りだと、軽い誤りだと思っているのか、重い誤りだと思っているのか。原因はどこにあると思っているのか。責任はどこにあると思っているのか。どうしてここから教訓を引き出そうとしているのか、こういう点をお答え願いたい。こういうことがしつかりしないと、いかにりっぱな、まありっぱではなくても、新法できてもこれは何にもならないですよ。そこを私は言いたいのです。どうですか。
  238. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 軽く見ておるわけでもございませんし、それなり措置をとってきたわけでございます。機動隊がこれに、通報等に基づき、あるいはみずから現認をして、途中の地点にこれを迎え撃って数十名の逮捕をいたしております。しかし、そこから八ゲート、九ゲートに至ったということもございますので、ゲートにおける警備の問題につきましては、これを教訓といたしまして、今度の五月二十日の開港時警備につきましては、十分こうした私どもの体験、教訓、反省事項というものを生かして責任を果たしたいというふうに考えております。
  239. 内藤功

    ○内藤功君 これはやっぱり、機動隊の中の文書を見ると前進警備という言葉がよく出てきていますよ。積極警備。もうこういう初歩に反しているんですね。私はもう、これはそういう暴力集団をかわいがって甘く見てやるというんならまた話は別ですよ。しかし、これが違法行為やっている人たちだと、規制する立場に立てば考えられないことなんですね。  もっと細かいこと私言いたいけれども、二番目です。六個あるからね。二番目は、今度は、その部隊が第九ゲートに行ったわけですね。その部隊も含めて第九に行ったわけです。私もこの間、五月の四日の日に実はあの付近の地形をずっと改めて見てまいりました。われわれの調査では、第九ゲートの場合は、パトカー及び機動隊のバス、あの大型のバスをもって事件当時は警備に当たっていたはずなんです。事件当日は当然こういう特別警戒体制を組んで、平時と比べて多数の隊員をその第九ゲートには配置をしていたはず。実際ここに何十名いたのか、またどこの所属の部隊か、それからバスを含む警備車両は何台置いていたのか、この点がいままでの国会の審議で必ずしもはっきりしないんで、ここではっきりさせておいてもらいたい。
  240. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 第九ゲートにつきましては、当日、交代のパトカーが戻ってまいりましたが、このパトカーがゲートを通過いたしましたのに引き続いて小型トラック二台がゲートを閉めようとしたときに突入をしたという事案でございますし、第八の二ゲートという場面では、バリケードを突破して空港内に侵入をしてきたわけでございます。したがって、それぞれゲートにおける物的な防護設備とやはり機動隊の配備に問題があったというふうに考えております。九ゲートには一個小隊、八の二ゲートには一個小隊をそれぞれ配備をしておったわけでございますけれども事態の緊迫化に伴って、ややこのゲートをバリケードで閉鎖した上でほかの地点の違法集団の阻止のために移動転進をしているという状況がございます。
  241. 内藤功

    ○内藤功君 ふだんよりも強化したということは今の話では認められないわけですよね。手薄になっていたと。それから第九ゲートで、これも非常に疑問に思っているところです。パトカーが、暴力集団の装甲トラックとも言うべきああいう前に出っ張った部分をつけたトラックに跡を追われる形で中に入って、空港内の管制塔まで移動していったと。私はこれは常識で考えられないことだと思うんです。当委員会運輸委員会でありますが、パトカーは特別発注であります。この車両は特注品であります。一般のマイカーと外観は同じでもエンジンはこれは全く違っております。そうでしょう。大体こういうエンジンのパトカーが、武装した人間を積んでそうしてドラムかんを積んだ重いトラックに追いかけ回されていると。スピードと馬力が違うんだから、それがほとんどくっついて追っかけ回されているというようなことは、通常これは、私は運輸委員会だから特に強調したいんだけれども、これはあり得ないんだ。通常あり得ない。案内をして離れないように行ったとしかぼくは見れないんですが、振り切って行くことができるはずなんです。この点はどうなんです。いままで国会審議で出てないから、この際総ざらいに聞きますよ。どうです。
  242. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 九ゲートという御指摘でございましたら、九ゲートでパトカーに追随をしてまいりましたのは、武装トラックではなくて通常のトラックでございます。
  243. 内藤功

    ○内藤功君 だからいわゆる武装トラックと言ったでしょう。それは、そのトラックといういまの質問はどうですか。
  244. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) これはパトカーがゲートを通過した後に追随するように入ってきたわけでございまして、必ずしも逃げ込んだとかパトカーが追っかけられたというふうな形ではないわけでございます。まあ、強いて言いますならば、ゲートをあけたところにつけ込まれたという形で入られた形でございます。
  245. 内藤功

    ○内藤功君 これは本会議でも私は聞いたときに、加藤さんですね、国家公安委員長の御答弁にもあったんだが、この装甲トラックは第九ゲートのすぐ手前で忽然とあらわれた、第九ゲートの直前で発見したと、警察の最高責任者がこういう答弁です。私はとんでもないことだと思う。大体、上にヘリコプターが飛んでおったでしょう、ヘリコプターが。ヘリコプターはその現認をしてあらかじめ第九ゲートの警備を厳にするように言わなかったのか。聞きたいのは、その点と、もう一つは、この忽然とあらわれた、直前で発見したという答弁は、現在でも同じと伺っていいかどうか。
  246. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、第九ゲートでパトカーに追随して突入をしてまいりましたのは通常のトラックでございます。したがって、ヘリコプターが上空から観察、偵察をいたしておりますけれども、通常のトラックということで、その辺は第八ゲートの状況とはかなり違いますので、第八ゲートの場合には、たくさんの暴徒と申しますか、暴徒がたくさん一緒に参っておったわけでございますが、九ゲートのトラックにつきましては通常のトラックで、暴徒もいないというふうなことで、ややその辺の状況が違うのではないかというふうに思います。  なお、担当の私ども大臣が忽然とあらわれたというのは、やはりそういう状況がございまして、その付近の民家から突然あらわれたというのはそのとおりでございます。
  247. 内藤功

    ○内藤功君 突然とあらわれたにしても、第九ゲートのところでこのゲートを開いたらば、空港署のパトカーが入るのにくっついて入ったと。そのときには分断するのがあたりまえでしょう。捜査の基本的なものです。後ろに警察のものでない、皆さん方が許可してない車両があったならば、その間に割って入って分断をして、どういう車か、どこへ行くのか、だれが乗っているのかというのを確めなきゃならぬ。このことも初歩的なミスですな。ごく初歩的なまた重大なミスですよ。どうです。
  248. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 突入をされたのは——もちろんそこで阻止をすべきであったわけでございますけれども、いずれにしても入られたことは入られたのですけれども、そのゲート周辺で全員を検挙いたしておりますので、警察としての措置は果たしたというふうに思っております。
  249. 内藤功

    ○内藤功君 それはこの前も私が言ったんですけれども、将棋で言うと、相手の飛車が成り込んでこっちの角がただで取られた、そしてその後で取りましたという理屈と同じなんですね。それで味方の陣形はぐっと壊されたというふうな例と同じなんですよ。私は、まずこの中を突破されないということが大事だ、バリケードを突破されないということが大事だと。突破されて後でつかまえましたというんじゃだめだ。突破されて混乱させられた。私はこの点はもう重大な警備の基本というか、初歩を忘れたミスだと。これだけであったら小さなミスかもしれませんけれども、ずっとつながっているんですね。そして私はさらに不思議に思うのは、あの三月二十六日の時点で、第九ゲートのところに——この国会の周りにもありますが、機動隊の装甲車やバスその他の車両を普通は横に並べて、こう車両のバリケードというか、をつくって、そして侵入を阻止する方法がとられる。いろいろな場面でぼくは見たことがある。この方法をあのときとらなかったのはこれはどういうわけなんですか。
  250. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 当日の警備につきましては、それなりの判断と状況、情勢の推移を見ながらの配置でございまして、当日の情勢の展開が必ずしも第九ゲートに車両閉塞と申しますか、車両を横づけにしての警備を要するというふうな判断には立っていなかったわけでございます。いずれにいたしましてもこうしたいろいろな教訓がございますので、今度におきましては、こうした面の私どもの体験、また御指摘のような点を生かしてまいりたいというふうに考えております。
  251. 内藤功

    ○内藤功君 まああなたも答弁をしていて恥ずかしい思いをしているんだろうと思うけれども、ずいぶんとこれは問題がある。というのは、この第九ゲートまで警備の手が回らなかったと、こうおっしゃりたいような答弁なんだけれども、この第九ゲートというのはまあ天下の険ですね、ここは管制塔に行く。ここを押さえれば万夫も開くなしというか、これはそういうところなんです。第九ゲートにはそう大群は必要ない、大部隊は必要ない。細いところでありまして、これを突破すると一挙に管制塔に行くんです。ここに地図がありますが、一挙に管制塔へ行く。ここを押さえれば食いとめられる。ですから、私はこの間空港公団のここに勤めている人からも二、三非公式に話を聞いたけれども、上から見ておって大丈夫だと、来たけどあそこの第九ゲートで押さえてくれると思っておったら、あっという間に突破されてきた。第八ゲートの方もそうですが、ゲートのことについてそういうことを言っておりますよ。私は、ですからこれはいずれにしましてもそういう教訓をというが、このミスは私は小さいものではない、重大なものだと思うんです。これは警察の内部ではどういうふうにこの問題の責任というものは問われておりますか。
  252. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) この第九ゲートからの事態の展開につきましては、それなりの警察措置をとって十五人を検挙いたしておるわけでございます。したがいまして、それは責任をこういうときに議論するという段階ではなく、むしろやはりそれは今後において生かすべき教訓として私どもは受けとめるべきであるということで、今後の措置を検討しておるわけでございます。
  253. 内藤功

    ○内藤功君 次の第三番目は、さっきから話が出ています第八の二ゲートですね、第八ゲートの問題です。ここから約三百人の暴力集団が入ってきた。この集団はたしか機動隊の宿舎の横を通ってきたんだけれども、そのついでに機動隊の宿舎の中に火炎びんを投げ込んで、悠々と行列をなして空港空港へと歩いてきたわけですね。これはテレビにも一部出ているし、新聞の報道写真にも実に余裕たっぷりの歩き方で歩いてきているわけです。これが空港の建物の至近距離に来るまで全く規制をされておりません。しかも第八の二ゲート付近の空港駐車場の横を通るときに、機動隊員がそこに待機しながらこれに対して規制を加えないでやり過ごしておるんですね、やり過ごしておる。これもまあ私空港職員の方から聞いたんですが、ビルの中から見ていると、まあ警官の数の方がこの暴力集団の数より多いから、あの駐車場のところへ来たらつかまえてくれるだろうと思って待っておった。そうしたらその場はもうすうっと通ってしまった。機動隊が動き出したのは京成の成田駅から上った空港内の十字路で火炎びんを投げ出して初めて出動していると。これは結果的には出動したけれどももう非常に遅く、空港ビルのもう本当に近くになって出てきている。これまた警察の運用から言って大変消極的な、われわれ絶対納得のできない規制のやり方であります。私はこういうようなことが根本的に改められなければ、どんな法律をほかにここでつくったって、ここが改まらなきゃ、暴力集団の規制だとか、それから成田の安全だとか、あるいは成田に限らず、全国の大学の安全、われわれもこれ強く主張しています。こういう暴力集団の規制はできないと思うのですよ。これはどういうふうに説明しますか、また反省をしているのか、教訓を導き出しているのか、伺いたいと思うのですね。これもまた警察の重大な責任問題ですね。これはどうですか。
  254. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 八の二ゲートの問題についての御指摘でございますが、この付近に配備いたしておりました部隊は、違法集団の接近を阻止するためにB地区と言われるところに転進をして阻止の態勢をとっていたのでございます。そのときに八の二ゲート付近の第三駐車場に多数の機動隊がおったわけですが、これが侵入をしてきた違法集団に措置がとられなかったんじゃないかという御指摘でございますが、この部隊は次の任務につくためにこの場所で集結しつつあった部隊でございまして、まだ態勢が整わない時点でこの八の二ゲートが突破されましたためにすぐには対応ができなかったわけでございますけれども、その後態勢を速やかに整えまして、違法集団に対応して規制、排除に当たったということでございます。  いずれにいたしましても、これからの教訓ということでございますが、こうした状況判断というものにつきまして、やはり指揮官なり現場に即した指揮をとる者のなすべきことはそれなりにございますので、十分こうした体験というものは今後に生かしたいというふうに思っております。
  255. 内藤功

    ○内藤功君 これも情けない話だと思うのですよ。実際はこの部隊の横を通り抜けるまでこれ黙って見ておった。火炎びんを十字路のところで投げつけられて初めて動き出したというような状況ですね。その前に近くに三百人の部隊が歩いてやってくるのはもうわかるはずなんですから、なぜ態勢がとれなかったか。ほかへ行く任務があるからにわかに態勢がとれなかった。ほかへ行くような支度をしておれば、すぐ臨機応変に動けるじゃありませんか。こういった点が非常にこれまた初歩的な私は重大な誤りを犯していると思うんですね。  それから四番目はマンホールの問題です。これは具体的にお聞きしますが、まず空港からもらった地図の中にあのマンホールの記載がなかったと。あのマンホールというのは第四インターがひそみ、そこから管制塔に突入をしたそのマンホールの図示が空港公団からもらった図面にはなかったと。したがって、直前においてチェックをしなかったんだと、こういうふうに警察は言っておりますが、この考え方はいまでも同じなんですか。こういう認識なんですか。また、これからどういうようなあなた方は教訓を導き出しているのか。もう地図の上でないものは、現実に現場にあってもマンホールなんか見ないというようなのが警察かと、世の中ではこの話を聞くとみんな非常にあきれ返っていて、これで一体本気でもって治安の維持に当たっているんだろうかという声も聞こえますよ。これはどういうふうにお答えになるのか、ということですね。
  256. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) マンホールについての御指摘でございますが、警察といたしましてはこうした図面を根拠にして措置をいたしますと同時に、当然警察としての職責上周辺の十分な徹底した検索をいたしまして、必要な措置がとり得るようになさなくてはならないわけでございます。その面で私ども十分な反省をいたしております。
  257. 内藤功

    ○内藤功君 五番目の問題が管制塔の玄関の問題です。これは管制塔への侵入経路についてはいろいろ言われておりますが、その侵入経路はどういう経路から来たというふうにいまの段階で見ておられるのか、これを明らかにしてもらいたい。
  258. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 侵入経路はいまの段階でまだ必ずしも全部が明らかになっておりませんのですが、京成の成田駅のそばのマンホールからあらわれた暴徒が管制塔に入ったというふうに承知をいたしております。
  259. 内藤功

    ○内藤功君 正面から入ったのか裏から入ったのか、これはどうなんですか。建物の正面からか、裏からか、どういう認定なんです。
  260. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 建物の正面玄関でございます。
  261. 内藤功

    ○内藤功君 正面玄関のドアがロックされていたんだけれども、警察官が、私服が二人、制服が二人あけろと激しくドアをノックしたんでガードマンがやむなくかぎをあけた。そのときに警察官について暴力集団が入った、こういう報道がなされております。これはまだ当委員会では質問になっておりませんので、私がここで疑問に思って聞きます。四月七日の新聞です。つまり暴力集団が近づいてきた、しかし、正面玄関のロックがしてなかったので、ガードマンが中から締めた、締めておったところが警官が表からたたいた、そこで、警官がたたくんですから、あけろと言うのですから、後ろに暴力集団がいても警官があけろと言うのであけた、そこで警官が入った、それについて暴力集団が入った、こういう報道がされている。これは私重大なことだと思うんです。重大な問題だ。これは、私関係者に何人か聞いてみた。この記事は千葉地検の調べによるとと書いてあります。そして、私関係者に聞いてみたらそうなんだと。警察官があけろということであけたんだと、警察官があけろと言ったら後ろにだれがいてもあけざるを得ないのが公団立場ですと、こう言っております。重大な問題です。これはどうなんですか。
  262. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) ただいまのロックの問題ですが、暴力集団が近づいてきたためにガードマンがロックをしたというところまでは御指摘のとおりでございます。その後警察官が外から来てあけろと言ったというのは間違いでございます。そのときの状況は、ロックしたところ外の方に火炎びんで暴徒が、みずからの火炎びんでみずから火だるまになっている者がおりまして、それを見て警察官が中からあけろと言って外へ飛び出しまして、これを逮捕いたしますと同時に保護をして管理棟の中に連れ込んだというのがそのときのロックを解除した理由と状況でございます。
  263. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、中からガードマンがかぎをかけたと、それからどうなったんですか、それからどうしてそれがあいたんですか。
  264. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 中で警備をしておりました警察官が外を見ますと、外の方に火だるまになった暴徒がおりますので、これを救護しかつ所要の措置、まあ逮捕するという必要がございますので、あけるように指示をしてガードマンにあけてもらって外に出て逮捕いたしまして確保したということですが、保護兼逮捕でございますが、確保して中に連れ込んでおります。そういう次第でございます。
  265. 内藤功

    ○内藤功君 なぜその火だるまになった暴力集団を中から飛び出して警察官が助けなきゃならぬのですか。
  266. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 暴徒につきましては、可能な限り警察としては逮捕することにいたしておりますし、火だるまになった人がおりますればこれは人命の救助という措置をとることにいたしております。
  267. 内藤功

    ○内藤功君 そこらあたりが腑に落ちないんですね、そういうところの態度が。そうして中に連れ込んでそれからどうしたんです。その火を消してやって、警察官が中へ連れ込んで、そのときはあけろと言ったんですか。連れ込んでどうしたんです。
  268. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 管理棟の中へ連れ込みまして、管理棟の中で通じております空港警察署の方に引致をいたしております。
  269. 内藤功

    ○内藤功君 これは四月七日の——新聞名は朝日新聞ですね、これに地検の調べによってガードマンがガラスドアのかぎを締めて「緊急サイレンを鳴らしに走ろうとした時、玄関外で私服警官と制服警察四人が「開けろ、開けろ」とドアを激しくたたいた。このためガードマンがやむなく外側のドアのカギを開けたところ、すぐその後に過激派がくっついてきた。ガードマンは内側ドアのカギをかけ直そうとし、ドア越しに乱入組と押し合って阻止しようとしたが、内部に入った警官四人はそのままどこかへ逃げ込んでしまった」こういう記事であります。地検の調べをもとに述べているんですね。私はこういった点も非常に警察官の当日の態度として疑問を投げかける問題だと思うのです。これはあなた方の方はこれが事実だとしたらば重大問題ですから、なかなかお認めにならないだろうことは私も想像できるけれども、きわめてこれは重大な問題だ。いまの御答弁でも非常に腑に落ちない。中からあけろと言って飛び出して、火を消して連れてきてというようなことも、なかなか私理解に苦しむところです。  もう一つ、六点目は、管制塔の玄関の問題と、それから内部の問題を最後にお聞きしておきたいと思うんです。それは、例の暴力集団がエレベーターを使って十四階に行って、そして警察官もそれよりややおくれて十六階に先に上ったと、この十六階に上る途中に十四階で火炎びんの投げられた跡を確認しておるわけです。ここに私入手をした写真がありますが、火炎びんがぶつけられた跡が非常に歴然とした写真があります。これは警察官のような専門家であれば一見してはっきりわかる火炎びんの跡があるのですね。しかも、においも立ち込めておるし、煙もあるし、われわれの素人なら別ですが、警察官が見れば、機動隊が見れば、これはもう火炎びんがいままさに十四階で炸裂して、そのにおいと、それからその煙があるということは、これはもうわかるはずです。ここを通過して、そして十六階にすうっと行ってしまった。私はこれは他の同僚議員が質問しておりますが、その答弁も読みましたけれども、それはもう理解に苦しむので、そしてその場での、その場の付近の捜査をなぜしないで十六階にそのまま上がっていったのか。さらに、この十六階に行って、いわゆるキャッツウォークという、幅八十センチと言われておりますが、その八十センチのキャッツウォークのところまで達しながら、すぐ下に暴力集団がすでに上がっておりながら、それを見ないで帰ってきた。まあ重装備で回れなかったとか、それから表側にこういうふうにガラス窓が突き出ているから回れなかったとか、レンジャーの訓練を受けてないからできなかったとか、それじゃレンジャーはいつ来たのかというと、ずっと後になって来ているわけでしょう。こういうような警察官のやり方、これはこの一つだけなら弁解ききますよ。だけどさっきから私が言っているのは、重なっているんですよ。私はこれについてのいろんな弁解がありますけれども、参事官どういうふうにこれは警察としての責任を感じておりますか。またどういうふうなミスが根本の底にあるというふうに考えていますか。こういった点について伺いたいと思うのです。
  270. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 事実関係についての御質問でございますが、管制塔に暴徒を追って上がってまいりました警察官は、十四階のところで御指摘のように火炎びんが投げられた跡を見ておるわけでございます。そこでそこから、細かく言いますと、北側の非常口が外からロックされておる。南側のマイクロ通信室と南側の非常口があいているというふうなことで、そこから十六階に上がったわけでございますけれども、管制室には、のぞいてみますと若干の煙が見えたが、室内にはだれもいない、異状がないという状況でございましたので、これは十六階で暴徒たちが火炎びんを投げてろうぜきをいたしました後、すぐに下の方に逃走をしたというふうに判断をいたしまして——十六階にもおりませんし、したがって下の方の検索に直ちに移行をいたしたわけでございます。  なお、十六階に上がります際の外側のキャッツウォークと申されましたけれども、確かに八十センチの本当に狭い突き出しがあるわけでございますが、ここの場面では、やはり非常に狭い御指摘のような状況でもございまするし、また警察部隊がここに上っておりました際には反対側の状況は全く見えないということでございましたので、いま言った十六階の管制室内にもだれもいない、早く暴徒の逮捕に移らなくちゃならないということで下におりたために、最初の時間のそごが生じたわけでございます。その後時間が若干かかりましたのは、電子ロックをあけようという努力を実はいたしたわけでございまして、これは厳重でございまして、警察の機動隊の装備をもっていたしましても簡単にあくようなものでございませんでしたので、それをやめて、また先ほどのキャッツウォークと言われました状態のところを通って、窓から突入をして犯人全部を逮捕したという状況でございますので、御指摘のように時間がかかっております。いずれにいたしましても、全体としての教訓事項と申しますか、マンホールから出てきての彼らの動きにつきまして、やはり警察というものは生じた事態に対応するというふうなことにどうしてもなりがちでございますので、今後はもう少し一つの見逃しがありましてももう一つ実は対策が講ぜられておったというふうなことになりまするように、いろんな面で施設の方の防護も含めて対応いたしていく、そういう形で教訓といたしたいというふうに思っております。
  271. 内藤功

    ○内藤功君 重大な問題なんですね。特にこの機動隊は、十六階まで行った人たちは切断機のような機器を持って入った人たちじゃありませんか。
  272. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 十六階に参りました機動隊は、そうした装備も持っていっておりますけれども、いま申しましたような次第で、中の状況を現認をして、判断をして、そこから離れてほかの警察活動に移ったということでございます。
  273. 内藤功

    ○内藤功君 切断機のような装備まで持った部隊でありますから、十六階に行ってガラス窓の中からこういう管制室をのぞいたら、人がいないわけですね、人がいない。つまり職員もいないというのであればそこから帰ってくるのじゃなくて、そこにやっぱりガラスを破壊するなりして中に入って、そこで待機をしている、そうすれば下から上がってくる人は一人ずつくるわけですからそこで始末をすることができるわけなんです、一挙にみんなでわっとくるわけじゃないんですから。そういうこともこれは大きなやはり重大な手落ちである、ミスだ。それから切断機は持っているけれども命綱を持っていなかった。それからこの間公団に聞いたところでは、あの八十センチのキャッツウォークというのは窓ガラスをふくためにつくってあるものだ。つまり窓ガラスふきの人は命綱を恐らく使うでしょうけれども、あそこでもってちゃんと窓ガラスを外からふく方がいるわけですね、そういう職員の方が。そういう点からいくと私は警察官があの場でもって下がってしまった。これは警察官はそういうふうにいろいろ後でもって弁解することは、これは許されないわけですよね。結果的には、もうすぐに下にいた者を見逃してしまったわけですから、これはもう相当深刻な責任問題だと思うんです。以上の六つの問題の最後の問題であり、かつ、これは国民に新聞の写真なんかでも広く知られている問題ですからね、これはあなた方の方で、いまぼくの言ったことに対してはこういうような理由でできなかったんだというふうな返答ができますか、どうですか、これ。
  274. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 先ほどの私の御答弁で誤っておりましたので訂正をさせていただきたいと思いますが、切断機につきましては持っていっておりません。ただ、重装備でございますので、体を動かしにくかったということはありますけれども最初あのキャッツウォークから姿をあらわした機動隊は切断機がないということでございますので、いま指摘を後ろの方から受けましたので、おわびして訂正をいたします。  なお、現場に機動隊が姿をあらわして、すぐに対応ができなかったといういろいろな御指摘につきましては、私ども今後に教訓として生かしてまいりたいというふうに思っております。現場の状況としては、中に姿が見えず、そうして向こう側の状況もわからないということで、犯人を逮捕するために犯人の姿を求めるということが先にたってそういう行動をとったわけでございますので、この辺も今後に教訓として生かしたいと思っております。
  275. 内藤功

    ○内藤功君 以上六点、私は繰り返しませんが、これは偶然のミスが六つ重なったんじゃなくて、警察全体のやはり姿勢というのが真剣に現行制度、現行法をぎりぎりいっぱい行使をして、そうしてその任務に当たるという状況にいまだ至っていないと、私はいまの答弁で判断せざるを得ないです。したがって、私はこの新法をやはりこれを可決するに熟していない、まず警察のこの態度というものを改めるようにわが政府はこれを改めること、そして現行法でもってぎりぎりいっぱいやることを尽くすことだと、私はそういう感じを強くするわけなんです。しかも、この三月二十六日以降本日まで一カ月半という中にいろんな事件起きていますが、この中でも反省するといま警察は言われるけれども、そうも見えないですね。たとえばあのトラックですね、第八、第九ゲートを突破してきたトラックは押収したわけでしょう。これはいまどういうふうにしていますか。まだ空き地に野ざらしになったままですか、大事な証拠物。
  276. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) トラックは御指摘のように押収をいたしておりまして、別に野ざらしということではなく、シートをかぶせて保管の措置をとっております。
  277. 内藤功

    ○内藤功君 そういうのを野ざらしと言うわけなんです。シートをかぶせるのはあたりまえのことであって、それ野ざらしですね。  それで、このナンバーは消してあったんですね。だとすれば、この消したナンバーは、警察庁の科学研究所に行けば、これはもとどおり復活してナンバーを読むことができると思うんだけど、これはナンバー及び所有者を確認したんですか。それから、このトラックは恐らくぼくは盗難車だと思うんですよ。そういった点は調べたんですか。
  278. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) これは盗難車でございます。ナンバーはまだ判明いたしておりません。
  279. 内藤功

    ○内藤功君 ナンバーはまだ判明してないと、これはさっき言ったように、おたくの科学研究所、ぼくが行ったときにそういうことを聞いたことがありますよ。これはもうきちんとナンバーをはっきりさして、所有者を明らかにすればその車がどこから来たかということを明らかにすることができる、こういうこともやってないんだね。  それから最近、少し細かい話になるが、食料品屋さんだとか建築現場だとかからの窃盗事件が非常に多い。どういうものか。いわく空きびんだ、あるいは鉄パイプだと、こういうものが盗まれる事件が頻発しているけれども、これはどういうふうな対処をしているのか、こういう問題ですね。
  280. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) それぞれの府県の警察本部から各署の活動を通じまして防犯的な措置と申しますか、こういう際に空きびん等の盗難が極左暴力集団の火炎びん等に使われるおそれがあるというふうなことで注意を促がし、またそういう結果によって、こういう盗難と申しますか、空きびん等がなくなりました、盗難に遭いましたということの届け出が頻繁に来るようになったわけでございます。いままではほとんどなかった届け出がたくさん出てきたというのも、やはり私ども防犯的にそうした措置をしPRをしている結果であるというふうに一面では考えております。
  281. 内藤功

    ○内藤功君 それじゃ今度はあれはどうです。その後反省をしていろいろ工夫をこらしていると言うけれども、このところ京成電車の例の放火事件、それから今度は、空港に勤めている方のお宅だというが、民家に放火をしたということが出ておった。これはどういう方かわかりませんが、そういうような事件が行われている。警備は依然として、新しい法律がそのうちできるのだからということで前と同じようなこういう警備を行っているのじゃないのかとわれわれには思われてならない。こういう事件が頻発する。一体三月二十六日以後に、事件を未然に防止するための真剣な態勢を尽くしているのかどうかという点が疑問に思えてなりません。この二件はどうですか。
  282. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 三月二十六日の事件以降におきましても、各所におきまして御指摘のようないわゆる放火ゲリラと申しますか、非常に危険な事案が生じております。こうした面につきましては、警察といたしまして地域の責任があるわけでございますので、十分防犯的な措置を講じてまいっておるわけでございますけれども、何分どこを目標にしてゲリラが生じるということはなかなか想定できにくいわけでございますが、その中でも幾らかでも空港施設に関連があるというふうなことが考えられます向きにおきましては、警察としても十分なパトロールその他の警戒をし、またそれぞれの事業所あるいはねらわれやすいと思われるようなところの自主的な防犯の措置を促しながら、こうした事案の未然防止に努めている次第でございます。いずれにしても、こうしたものは何とか検挙をし、今後類似の事案が生じませんように警察を挙げていま努力をいたしているところでございます。
  283. 内藤功

    ○内藤功君 私は先日の予算委員会でも、本当に真剣に対処すればいろんな知恵が出てくるのであると、一万何千という大軍というか、大部隊を結集してそれが役に立たないのじゃなくて、ちゃんと頭を使って計画を緻密に立てて、警察官の訓練もやる、そういうことの方がこの事態に対処する根本的な方法だということを指摘しておきましたが、本日に至るも警察側として私は最善を尽くしたというふうに思えない。はなはだ遺憾であるがこう言わざるを得ない。したがって私は、本法案について、かような法案を出す前に警察を中心とした政府の現行制度におけるぎりぎりいっぱいの措置を講ずべきもので、その努力は足りない、こう断言せざるを得ないということを申し上げたいと思うのです。  次の質問に移りたいと思います。  運輸省にお伺いいたしますが、この法案がわれわれの反対にもかかわらず多数でもし可決された場合には、これがいよいよひとり歩きするわけなんですが、その場合に、この除去命令だとか建物の使用禁止だとかあるいは禁止命令だとか封鎖だとかいうような処分、それから暴力主義的破壊活動者ですか、破壊活動者の認定だとかいうのは、運輸省設置法の中で運輸省というお役所のどういう任務権限にかかわるんですか。これは運輸省という役所のする仕事ですか。
  284. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 運輸省は航空機の運航の安全及び空港の機能の正常な運営の確保、こういうことをする仕事をいたしておりまして、直轄の二種空港はもちろんでございますが、都道府県でやっております三種空港あるいは成田のような公団建設、管理の空港、これにつきましてもそのような運輸省は仕事をしているわけでございます。そういった観点から、成田空港に離着陸する航空機の航行の安全及び成田空港の機能の正常な運航の確保ということは運輸省の所管でありまして、そのようなことを確保するために特に緊急にしなきゃならない措置があるということになりますならば、運輸省の所管とされてもやぶさかではない、こういう結論に立ったわけであります。
  285. 内藤功

    ○内藤功君 私は細かい法律の条文一々挙げませんけれども、この第三条に任務、権限がありますがね、これはどこを見ても運輸省の仕事じゃないです。空港の建物の中に入ってきた人に出てもらう、出ていってもらうというような空港内の規律は、これは確かに運輸省の仕事でしょう。しかし、空港または航空保安施設あるいは機能を全うするための施設から三千メーターの範囲内で人が現に住んでいるとこも含めて家を壊すということは、これはいい悪いは別として、本来運輸省の仕事じゃない、私はそう言いたい。こういう疑問を私はこの部分は指摘をしておきたいと思います。運輸省設置法のいまの法律の解釈では、とてもこれは無理な解釈で、やはり役所というのはそれぞれ分限があって成り立っているわけですから、余りに自分の仕事に合わないことをやるのはこれはいかがかと。たとえば海上保安庁に魚雷をつけてそれで相手の船にぶつ放すというような物騒なことは、これは海上保安庁の仕事から見て許されない、合わない。消防自動車に大砲を据えつけてタンクを撃てと言ったってそれはできないのと同じなんだ。こういうもので非常に法律的に無理があるということを、これは答えは要りません、私は指摘しておきたい。  次は、暴力主義的破壊活動者ですよ。暴力主義的破壊活動者というような概念ですがね、これは法制局に伺いますかな。法制局次長さん、こういうような概念はほかの法律にありますですか。
  286. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) 暴力主義的破壊活動というのが御承知のように破防法にはございますが、他の法令にはないと、こう考えております。
  287. 内藤功

    ○内藤功君 私の聞いたのは、似たような概念、つまりあなたが足立さんの手伝いをするときに、こういう似た法律もありますよというようなことを言って助言をしただろうと思う。そういう似たような概念はあるんですか。
  288. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) やはり一般品にはないと、こういうように、調べた結果、承知しております。
  289. 内藤功

    ○内藤功君 前代未聞の本邦初公開の概念です、こういうものは。ですから、こういうものを使うときは非常に厳格でなくちゃいけないですね。  常習者というのが刑法及び暴力行為等処罰二関スル法律にありますが、これは参考にしましたか、参考になりませんか、どっちですか。
  290. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) 一応は繰り返し反復する者というような形においてとらえようかと、こういう点の検討はいたしましたが、諸般の事情からそれは採用いたしませんでした。
  291. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、一番近い常習者という概念をいま試みにこっちから出してみたんだが、それも参考にならぬと。恐らく類似のものはわが国にない、わが国の法体系にないという問題がはっきりした。  次に、他の同僚委員も関連してお聞きになりましたが、暴力主義的破壊活動者の中のおそれのある者というものを認定する資料は、役所はどこが保管をし整理をしますか。
  292. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) その点につきましては、認定をするのは運輸大臣の権限でございます。それから、本日来各省庁からいろいろ御質問があり答弁がございましたように、運輸大臣だけで、運輸省だけでこの法律の施行が完璧にできるわけじゃございませんので、関係各省庁の協力を得て、しかし、決定権は運輸大臣が持っている、こういう仕組みで立法したわけでございます。
  293. 内藤功

    ○内藤功君 航空局長、伺いますが、さっき運輸大臣航空局あたりにと言っておりますが、航空局のどういう部課でこれは取り扱われますか、もし法案ができた場合に。
  294. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 航空局の中に新東京国際空港課というのがあります。これが新東京国際空港全般についての仕事をしておる課でございますので、所管としては組織令上そこの課の所管になると思いますけれども、まあかなり運輸省としてはなれない仕事でもございますので、この法案でもその点は担保をしてございまして、三条の十六項に、運輸大臣は権限の行使をする場合には要件、事実につきまして関係行政機関に対し必要な資料の提供及び意見の提出を求めるものとする、——ものとするという言葉で書いておりまして、その意味では、運輸大臣はもともと暴力主義的破壊活動者に関する資料、あるいはその用に供せられるおそれのある各種の工作物等に関する資料等につきまして、本来的にはデータを持ち合わせておりませんので、関係行政機関に対しまして必要な資料の提供をお願いする、そして、認定業務は運輸大臣がするわけでございますが、認定をするに当たりましてはもう一遍関係行政機関に意見を聞きまして、それでよしと、こうなった上で認定するということで、私どもの手元に資料がない、あるいは経験が不足等の点は十六項の規定を活用いたしまして、関係行政機関の間の協力によりまして埋めていくと、こういうふうな運営を考えているところでございます。
  295. 内藤功

    ○内藤功君 もう初めっから、局長、十六項に逃げ腰なんです。十六項っていうのは最後に逃げるときの条文なんですね。それはまた、反面、これはどういう行政庁ですか。結局ずばり言って警察でしょう、警察の警備、公安課の資料、あるいはその他の治安関係官庁の資料、公安調査庁だとかあるいは内閣調査室——これはちょっと性格が違うかもしれませんが内閣調査室、あるいは防衛庁関係の調査の部課などなど、そういういわゆる治安関係の役所、警察その他ということでしょう、ずばり言って。局長、どうですか。
  296. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) いま御指摘になりましたところのほかにも、たとえば電波妨害等の場合には郵政省とかいろいろございますが、主としてやはり警察であろうと思います丁法務省、内調、防衛庁等に行く場合よりも、やはり警察がとりあえず関係資料は一番持っていらっしゃると考えております。
  297. 内藤功

    ○内藤功君 局長、その場合ね、資料が警察から来た、その他治安関係の役所から来たという場合に、その見方ですね、まあ頭のいい人がそろってるから、警察から来た資料でもすぐ判読できるかもしれないけれども、結局警察の人を出向させてその人にやらせることになりませんか。
  298. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) やり方につきましては、まだ具体的にどういうスタッフでやるかは決定いたしておりませんが、私どもは原則としてやはり運輸省の職員が判断をすることにしたいと思いますが、場合によりまして連絡調整のために警察と併任者を置くというふうなことはあり得るかもしれませんが、主としては運輸省の職員でやりたいと思っております。
  299. 内藤功

    ○内藤功君 結局、運輸省の仕事といっても、その部分だけは警察や治安関係の役所に資料も人間も占拠されて、占められて、そこに結局左右されてしまうと、要するにひさしを貸し母屋も貸したことになりませんか。その部分に関してはそういうことになりませんか。
  300. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 実態的に、判断に至るまでの資料につきましては協力を得るわけでありますけれども、最終的に認定をするのは運輸大臣でございますから、形の上、たてまえの上では運輸大臣の権限が完全に行使される。しかしながら、実質的にはかなりのお手伝いをしていただく、こういうことになると思います。
  301. 内藤功

    ○内藤功君 運輸大臣申しわけないですが、そういう話です。結局、実務上のいろんな仕事は警察にとられてしまうんじゃないかという心配がこれ国民の中にあると思うんですね。暴力集団の方からじゃないですよ、一般国民の側から。もし間違えられて自分が暴力主義的破壊者に入れられたらどうしようという疑問は起きてくると思うんですよ。そこらあたりは結局、ぼくはいまのあなたについてどうこうというんじゃなくて、運輸大臣運輸大臣と言っていることは福永さんのことをぼくは言っているというふうにはとらないでください。しかし、運輸大臣は相当、どういう考え方——警察の不当なこの何というか、運輸行政に対する介入というものがあっちゃならぬのじゃないかとぼくは思うんですね。そこらあたりの運輸大臣としてのあんばいですね、これをどういうふうに考えるかという問題です。これは聞く必要がないのかもしれないけれども、やっぱりこれは聞いておきたいと思うんです。
  302. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私もこの仕事をだれがやるかということにつきましては、相当頭を痛くした次第でございまして、私ばかりではなくて、内閣全体がどうするのかということで考えた問題でございます。まあそこで私どもは、いずれにしても国会がお決めになるその御決定に従わなければならないということで、確かに私に対して運輸大臣がしょい込んでもらわなきゃしようがないじゃないかというようなことを言う人たちもいましたが、私は進んでそういうのをしょい込まされたんじゃ困りますので、しかし、大事なことでございますから、しかも、新しく始まる仕事でございますから、国権の最高機関たる国会でお決めになることに対しては、私は忠実に従わなきゃならない。その結果私にということになりゃ、これは私もあきらめるというとちょっとまずいんでございますが、観念をいたしまして、私がやらなきゃならないと。これはもう意を決しているところでございますが、まあ平たい話が普通役所間ではいろんな権限をおれの方へよこせという話はあるけれども、どうもやり切れないからそっちでやれというような話はめったにないと、こう思うわけです。現実に、いまそういうことをどうするかということでございます。したがって、私は先ほども申し上げたように、運輸省でということは、新東京国際空港の管理運営等について運輸大臣は当然責任がありますから、これと関連して国会においてこの種のことはそういうこともこれあり、運輸大臣がやれとお決めになりまするならば、これはもう一生懸命にやらにゃいかぬ、こういうように考えております。  そこで福永健司しょせんそんなに長く運輸大臣をやっている男じゃないだろうと思いますが、首になったら後違う者が来て運輸大臣になるでありましょうが、先ほどから内藤さんいろいろおっしゃいますように、こういうことを考えますと、この新しい情勢のもとにおいて運輸大臣はいままでと違った非常に大事な仕事の一部を担当するということでございますから、それにふさわしい者がならなければいかぬということであろうと思います。果たして、私がそれにふさわしいかどうかについても私自身よく考えてみなければならぬことと思うのであります。当面まあそういうことになりまするならば、私は先ほどからもいろいろお話がありましたようなこと等を十分念頭に置いて、なるほど新しい法律で新しい制度ができたが、あいつはその新しい事態に即応するようなことをやったと言っていただけるようにやらなきゃならない。実は、それをもうずいぶん頭を痛くしておるところでございます。まあこれからどうなるかは先のことではございますが、余り長くなくて法律も通るかもしれぬというところまで来ておりますだけに、私はこの点につきましてはよく考えて、そしてまたどういうようにして仕事が円滑にいくようにやっていくかということについては、私はまだ法律が通っておりませんので何にも具体的に航空局長等にも指示もしておりませんけれども、現実に法律ができましたならば速やかにそれに応ずる措置を講じていかなきゃならない、こういうように考えております。  その際に、いま内藤さんおっしゃったように、よそから来た者が、名前はともあれ仕事はとってしまうことになりゃせぬかとおっしゃいますが、その点はまあそんなことはないと思いますし、福永健司というやつもそうぼやぼやしているとも思わないのでございまして、一生懸命にそれはやって、こういう新しい事態だがまあまあだと言っていただけるようにしたいと、ひたすらそれを念じておる次第でございます。
  303. 内藤功

    ○内藤功君 提案者にこれはまず伺いますが、順次ほかの方にも伺いますが、「暴力主義的破壊活動者」というのは結局どんな認定基準でいくのかという問題ですね。これはあれですか、たとえば十八のセクトが成田にはいるというんですね。その十八のセクトに所属していると見られる人はみんな「暴力主義的破壊活動者」と見るのか、あるいはその人のお友だちだとか、その人とつき合っている人もおそれがあるということでおっしゃるのか。いやそれは大事な問題なんです。一般の何にも関係のない人に及んだらこれは大変な問題ですからね。そこのところはきちんとしておかなければ、一番大事な問題、この法律でね。  それから、過去に一遍もそういう第二条所定の暴力主義的破壊活動なるものをやったことがないが、どうもやりそうだという人も入るのか。その、どうもやりそうだというのは何で判断をするのか。それから、過去一回やったけれども、もう非常に反省をして、もうこれはやらないでいるという人も、やっぱり過去一回やれば入るのかというような問題があるんですよ。当然御見解あってしかるべきと思いますので、お伺いしたい。
  304. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 先ほど矢田部さんの御質問でもこの第二条の問題、大変熱心というか、しつこく質問されました。これは「暴力主義的破壊活動等」ということで定義をここに列挙してございます。これはまあそれぞれの法律によって犯罪を構成するものでございまして、さっきも正直に申し上げたんですが、まあ私どもも……
  305. 内藤功

    ○内藤功君 それはわかっているから、何で認定するかずばり答えていただきゃいい。
  306. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) それは、法文化につきましては、これはやっぱり専門家の法制局に依頼をしませんと、なかなかこれ文章でいまおっしゃるような点があるものですから、文章で書くというと、これ非常に紛らわしい議論を呼ぶから……
  307. 内藤功

    ○内藤功君 それはわかります。それじゃ隣に答えさしてくださいよ。
  308. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) こういう書き方をしましたので、ただし、いまの疑わしきはどうかということになりますと、これは認定の問題だということを申し上げる以外にないと思います。
  309. 内藤功

    ○内藤功君 じゃちょっと法制局、あなたの方はどういう認定基準か。
  310. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) まあ私どもが考えておりまするのは、この「暴力主義的破壊活動等」を「行うおそれがあると認められる者」、これはどういう認定基準かということになるわけでありますが、それにつきましては、まず「暴力主義的破壊活動等」を行って検挙されたことがあると、これが一つであります。それから「暴力主義的破壊活動等」を主張する集団とかかわりを持っているような人、いわゆる団結小屋等に現に居住、宿泊、出入あるいは居住、宿泊、出入したことのあるような方、その他日常の言動などから判断いたしまして、「暴力主義的破壊活動等」を行う蓋然性が高いと、こういうことが認定できるような人、こういう人を一応おそれのある者というような形で考えて立法したわけでございます。
  311. 内藤功

    ○内藤功君 それ歯どめが必要ですね。いまので言うと、非常にこれは私どもは、いま私どもの言っている第二点、つまり立法必要性がないだけじゃなくて、この立法はこれは本当にねらいを定めている暴力集団だけじゃなくて表にいく危険がありますよ、いまのあなたの言いっ放しだったら、これで言いっ放しだったらね。蓋然性なんて言葉はこれはいかようにでも解釈できますね。それから、出入なんというのはどうですか。牛乳屋さんだとか新聞屋さんだとかこれは出入する人いますよ、人が住んでいれば。そういう問題もあるんですよ。どうですか。それから、居住している人の中で家族がA、B、C、D四人おって、Aさんは暴力集団の一貝なんだけれども、Bさん、Cさん、Dさんは同じ同居しておるが、わしゃ反対だと、住宅事情で一緒に住んでいるという人だっておるんです、これも新聞に出ておった。そういう家庭もあるんですね。人の家庭のことだから詳しく言うことはできないが、そういうことだってあるわけですね。宿泊だってどういう用事で宿泊するか、何か物を売りに来てたまたま遅くなって泊めてくれというときもあるでしょうよ。かかわりを持っているということだって、これ重大です。きょうの答弁でいまのが一番重大じゃないですか。検挙された者、検挙されたって、反省してもうやらないと、一切手を切った人もこれ亡くなるまでずっとあれですか、一回検挙されれば亡くなるまで暴力主義的破壊活動者になるんですか。いまの点どうですか、まとめて。
  312. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) 私がいま列挙した者がすべておそれがある者というわけじゃございませんので……
  313. 内藤功

    ○内藤功君 じゃ歯どめをつけなさい、歯どめを。
  314. 大竹清一

    ○衆議院法制局参事(大竹清一君) こういう、たとえばこれまで暴力主義的破壊活動を行って検挙されたことがありますと今後もやるのではないかと、こう一応は推定できる。推定できるから直ちにというわけじゃございませんので、やっぱり継続してやりそうだと、やったという事実を押さえるよりも、やりそうだというところでやはり押さえませんとこの法律の目的を達成できないとこう判断いたしておりますので、それは先生がおっしゃいますように、客観的にだれが見てもそうだというように書ければそれにこしたことはないし、それに近づけるべきではございますが、この点につきましては、いま申し上げましたように、蓋然性が高いということをしょせんだれかが認定せざるを得ないと、しかしながら、かってやったからといって直ちにその認定ができるというようには理解していないという点を御了承をお願いしたいと思います。
  315. 内藤功

    ○内藤功君 航空局長ね。出入りした人、居住した人、宿泊した人、かかわりを持っている人、前に一遍検挙された人、こういう人の中で蓋然性、つまりやりそうだという判断があなたなりあなたの部下の職員にできますか。できるんでしょうね。できるなら、どういうふうに判断するんです。
  316. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これはやはり具体的な一人一人につきましてのデータが来ませんと、どういうふうに判断するかということもお答えできないわけでありますが、運輸省といたしましては、というと私の立場では大げさにというか、少し越権になるかもしれませんけれども、私ども運輸大臣がこの法律案の実施を任された限りにおきましては、この衆参両院の運輸委員会で御議論のございましたようなことは十分踏まえまして、やはり後刻問題が起こらないように十分これは裁判等にもたえるものじゃないといけませんので、その点はもちろん警察の方々もそういった点ではいままで数々の苦労をしてきていらっしゃいますし、何といいますか、現在の民主主義的法体制のもとでそう過剰防衛的な運用をすることはあり得ないし、また、あってはならないと考えておりますけれども、その点につきましては民主警察の職員の方々と私ども十分意見を交換いたしまして、誤りないように運用することができると思います。
  317. 内藤功

    ○内藤功君 民主警察と言われましたが、警察どうですか。いま法制局が言った、検挙が一度でもあった者、かかわりを持っている者、宿泊した者、居住した者、出入りした者、その中でやりそうだという者、警察の方が本法の十六項で協力を求められた場合に、いまのおたくの情報量、情報能力で大体判断できるんですか。運輸省はなかなかむずかしいそうだ。結局あんたのところへいくわけです、やりそうだと。どうです。
  318. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 御質問でございますが、警察の立場はもう御承知と思いますけれども、関係行政機関の一員として資料の提供や意見の提出という形で運輸省運輸大臣に協力すべき立場で、全面的な協力の立場でございますが、いま御指摘の暴力主義的破壊活動者というふうな問題について警察でしっかり認定ができるのかということでございますが、その前提といたしまして、これは蛇足で申しわけありませんけれども、この暴力主義的破壊活動者等が問題になりますのも、この規制区域内の工作物について禁止命令をかける際に、暴力主義的破壊活動者が集まったとき、あるいはそれらが火炎びん等製造保管の場所にしたとき、航行妨害の用に工作物等を供したときに、そのときに初めてこういう問題が出てくるわけでございまして、暴力主義的破壊活動者というふうによし認定をいたしましても、それ自体、たとえば何か規制取り締まりの対象になるというものではもちろんないわけでございまして、こういう問題の地域の、いままさに措置を要する工作物について、だれが集まっているか、それを認定するための定義であるわけでございます。そういう立場からいたしますと、私ども別に、先ほど法制局の方からございました御説明と何ら変わることはないわけでございますけれども、やはり前歴者、当該セクトの所属者、シンパとか現地行動をともにしている者、その中で、もういま活動から離れているとかいうふうな者は、当然その辺の蓋然性の高いと認められる者というふうな御説明ございましたけれども、そういう点で判断をいたしまして、やはり問題のまさに空港で暴力主義的破壊活動が行われる場合に問題になるところで、集合——だれが集まれば問題であるかというふうなことに着目をして認定をいたすわけでございます。そういう認定につきましては、現場の状況を十分私ども責任を持って認識をし、認定をして、資料の提供をしていけるというふうに思っております。
  319. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると警察庁ね、暴力主義的破壊活動者というもののリストですね、文書の標目は別として、そういうリスト、これを本法がもし仮に施行された場合に、そういうものを用意する、あるいは運輸省が用意することに協力をするということはしますか、しませんか。
  320. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 三条の十六項にございますように、運輸大臣の方で関係行政機関の一員であります私どもに対して必要な資料の提供が求められ、あるいは認定の際の意見の提出が求められました際には、それなりの具体的な資料とともに意見を申し上げたいというふうに思っております。
  321. 内藤功

    ○内藤功君 いや、つくるのかつくらないのかというのはどうですか。
  322. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) リストと申しますか、工作物についての認定でございますので、工作物がどのような——ちょっといまの御質問から少し脱線するかもしれませんが……
  323. 内藤功

    ○内藤功君 脱線しちゃまずいんだ。つくるかつくらぬかで、イエスかノーかで答えてもらいたい。
  324. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 工作物についてのあくまでの認定について問題になるところでございますので、脱線と申しましたのはむしろ不適当で、脱線ではございませんから、御説明しております。必要によって必要な名前を出してまいります。
  325. 内藤功

    ○内藤功君 航空局に聞きますが、航空局はこの法律が施行された場合に、暴力主義的破壊活動者のリストを用意しておくという考えを持つか持たないか、その点。
  326. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これは、暴力主義的破壊活動者をとらえますのはその破壊活動者が集まる工作物等を認定する場合の基礎資料ということであると思いますので、そういった工作物につきましては常に一覧表などを備えておく必要があると思いますけれども、人につきましてはやはりバックデータとして使った後はこれは一回ずつやはり更新していくべきものじゃないかと思いますので、何といいますか、常に破壊活動者のリストを戸籍みたいにしてそろえているということとは、この本法の趣旨は少し違うと思います。私はあくまでも工作物としてのリストはきちんととっておきたいと思っております。
  327. 内藤功

    ○内藤功君 つくらないということですね、はっきりと……。
  328. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 工作物の認定のときに使ってしまいますれば、それはもう何と申しますか、認定材料ということで金庫にしまっちゃえばいいんじゃないかと思っております。
  329. 内藤功

    ○内藤功君 警察はどうですか、つくらないんですか。運輸省はこういう答弁。つくるのかつくらないのか。
  330. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 問題になります当該工作物について必要な資料としての氏名等でありますならば、必要に応じて作成をいたします。
  331. 内藤功

    ○内藤功君 常備的にそういうリストをつくるかつくらないか。
  332. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 必要な場合に私ども必要な資料を提供いたします、そういう法的な義務がございますので、法的な義務を履行できるように必要な場合には氏名等を明らかにした、ある場合にはそれがリスト的表になっていることもあるかと思いますけれども、必要もないのにつくるというふうなことはもちろんございません。
  333. 内藤功

    ○内藤功君 運輸省からそういうリストの要求もないのに常備的なリストをつくることはないと、こういうことなんですか。
  334. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 警察が警察の本来の仕事としてするのは別といたしまして、この法律に関してそういうことはございません。
  335. 内藤功

    ○内藤功君 じゃ最後に、私はなおいまの質問について非常に危険をやはり感じる。つまり、非常立法的な色彩ですね。なぜかと言うと、暴力主義的破壊活動者というのはわが国の法体系の中に類似の概念を見出せない概念である。これが一点。  それから二番目は、提案者、足立先生自身が中身を具体的に説明できず、法制局の説明があったわけだが、この説明によるというと、検挙が暴力主義的破壊活動で一回でもあった者、暴力主義的破壊活動者とかかわりを持った者、それと宿泊、居住、出入りをした者と非常に広くて、それをしぼる歯どめはないかと聞いたんだが、蓋然性だと、やりそうだということ。これはぼくは非常に広い。なお広いと思います。ですから、無関係な人が間違ってこの疑いを受ける危険が一般的にこの法文では去っていない。  三点目は、それを認定する人が、まあ運輸大臣最後でありますが、一時的事務的にはその判断は運輸大臣といえども相当程度尊重をせざるを得ないと思うんですが、その事務的な判断は航空局の担当である。航空局自身がこういうものに余りいままで打ち込んで仕事をしている役所じゃないんだ。それで警察の資料に左右されるという問題。ここらあたりの問題は、われわれ総合して考えてみて、非常にこれの乱用のおそれというのが先ほどから強調されておるが、いまの問答を通じて、率直に言いましてその感を持つのであります。  私は、どうしてもこの法律は賛成できないんです。したがって反対の立場をとりますが、もし、これが多数をもって可決された場合に、これはやはり歯どめをする必要がある。国民の基本的人権や自由というものに対して不当な侵害をしないように運用するということ。それからさっきからの答弁聞いていると、行政がむちゃなことをやるはずはないとか、むちゃをやることはあり得ないと言うけれども、それを条文上やはり明確にすべきだったと思うんですよ。明確にすべきだった。歯どめというものは、この答弁では足りないんであって、条項の中にやはり歯どめの条項をいまからでもいいから入れて、憲法に定めた国民の自由や人権を不当に侵害するようなことをしないと。これはもう皆さん方わかり切っていると言うかもしれないけれども、念には念を入れて、そういう法律だってあるんだから、仮にあなた方がここで国会の審議に任す、憲法に違反しないようにやっているとか言うならば、せめてそのくらいの、ぼくはそれだから賛成するということを言うんじゃないですよ。せめてそれくらいのやっぱりものをなぜ出さなかったのかと思いますね。それだけの立法ですよ、やっぱりこれは。もうあした通るんだからと、もうさっきはいろいろ一部にだれた空気もあって私は厳しく言うたんだ。あした通るからもういいだろうというんじゃなくて、いまからでもそういう国の将来、民主主義の将来、それから一方暴力集団は規制するが一般の人には乱用はしないというために提案者に私は伺いたいんですが、そういう歯どめをやっぱり法文上すべきじゃないかと思うんですね。どうですか、そういうような考え方はあなたは持たぬのですか。
  336. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 先ほど来内藤先生からの各関係者にこの暴力主義的破壊活動者というものの認定について御追及がありました。私も実は質問を受けておりませんが、発言させていただこうと思ったんです。内藤先生の追及のしぶりから言いますとね、正直に申し上げて、この暴力主義的破壊活動者と認定されれば直ちに逮捕されて処罰でも受けるかのごとき印象を受けるような御追及になったわけです。
  337. 内藤功

    ○内藤功君 そんなことはありませんよ。
  338. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 御追及になった。私はそう受け取った。そうじゃなくて、この法文にありますとおり、多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用あるいは火炎びんその他爆発物、これを規制するわけでございまして、ですからその前提として人間が問題になることはもちろんわかります。わかりますが、それは認定でございますけれども、規制するのはその不法ないわゆる工作物、これを対象にしているわけでございまして、いま歯どめをせよという御意見でございますが、私どもはこの法律を通していただくことが本当に日本の民主主義、それで安全を守るゆえんだというふうに考えています。言うならば、この団結小屋が集中しています地域はいままで治外法権と言われておったんです。法治国家の日本におきまして、いかなる理由がありといえども治外法権的な、警察官もうっかり一人じゃ入れないというような地区があっていいとは私どもは考えません。ですから、これを何とか処置をつけない限りは、先ほど六項目にわたって内藤さん詳しく三月二十六日当日の警察のへまといいますか、手落ちといいますか、御追及になりました。私も現場へ行ってみて、あなたの御追及になる点はわからぬではないんです。確かに手落ちもあったと私も認めます。しかし、ああいう状態はどっから起こったかと言えば、全国から一万人あるいはそれ以上の人間が集まってきてこの団結小屋に宿泊し、火炎びんを多数製造し、用意をし、そして突撃態勢をとって押し寄せてくる。警察の対応が悪かったという御指摘があったが、仮に警察の対応がよくても、毎日こんなことを繰り返しておって、これが法治国家と言えましょうか。私は基本的に、反対農民運輸大臣はもう熱心に話をしておりますし、そういう御要求もずいぶん強かったわけですが、反対農民がいま百二十人とか四十人とかまだ反対者として残っていると言われておりますが、その中には相当の数の人が内々は政府の話を聞いてもいいという人もあるといううわさも聞いております。これはうわさの範囲を出ませんからここで確言はできませんが、ところがうっかり承知をすれば火をつけられるという……
  339. 内藤功

    ○内藤功君 質問外のことを言っちゃいかぬな。
  340. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) いや、私は意見として申し上げている。
  341. 内藤功

    ○内藤功君 意見はまた後で聞きますよ、質問に答えてください。
  342. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 答弁簡単にしてください。時間超過しております。
  343. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) ですから、こういう事態を何とか防がなきゃならぬので、いま内藤さんが御指摘になった警察の手落ちも一部あったことは私どもも現場を見て認めますが、これは仮に万全を期したとしても、毎日こういう争いを繰り返したんじゃどうしようもない。そこで、少なくとも治外法権と言われるような団結小屋を何とか使用禁止なり封鎖なり、場合によってやむを得ぬ場合には除去すると、この法的根拠がどうしても欲しい。そうでなければ安全が守られないと、かように考えて提案したので、私は、もっと自由を保障するために規制をしたらどうかと言うが、もう精いっぱい最小限度にしぼった立法をしたと、立法案を出したということを御理解いただきたいと思います。
  344. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 内藤君、時間が来ておりますので。
  345. 内藤功

    ○内藤功君 いまそういうことを言われるからやめようと思ったが、聞きます。  そうすると、警察の警備の六点にわたるいろんな問題点をあなたは認めると言ったですね。そうするとこの新立法をつくったって、こういう根本の警察の態度が改まらなければ、これは幾ら新立法つくったって新立法だけじゃこれは暴力集団の抑制にはなりませんな。これはわかるでしょう。
  346. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 私は全部をあなたのおっしゃるとおり警察のへまを認めるとは申しません。一部は確かに御指摘のような点が、私も現場見てあったと思います。ただ、いま申し上げたように三十幾つの、まあ私はたとえは悪いかもしらぬが、ハチの巣をそのままにしておいてハチだけ追っ払ってもこれ解決はしないと。もちろん反対農民の了解を得るような努力は必要です。ですが、やっぱりこの際国民全体の安寧と秩序、福祉、そして航空の安全を守るために一万数千人も毎日警官を動員して守るなんていうことは不可能でございますから、これはやっぱりできる限りの処置をとりたいと、こういう意味立法でございます。
  347. 内藤功

    ○内藤功君 委員長
  348. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 内藤君、時間が来ました。
  349. 内藤功

    ○内藤功君 新立法だけじゃこれはもうだめでしょう。新立法だけじゃだめだ。
  350. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  351. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 速記を起こして。
  352. 内藤功

    ○内藤功君 新立法だけじゃだめだ。もうこれけ警察の基本的姿勢を変えなきゃならぬということであります。これが一つ。  もう一つは、私は暴力主義的破壊活動者の範囲を拡大しているのがどうのこうの、それから暴力主義的活動者がすぐ処罰されるからどうのというふうに言ったんじゃないんですよ。これは暴力主義的破壊活動者が集合の用に供したり何かするうちは除去される、あるいは使用禁止される、そういう使用禁止や除去というものの処置についても基本的人権を侵害しないように注意しなきゃならぬと、慎まなくちゃいかぬという歯どめが必要じゃないかと、こういう質問をしたんですよ。あなたのは全然答えがすり変わっている。大分長く言って委員長から御注意受けたけれども、そっちの方に対する御注意なんだ。私、誤解のないようにこれ一つ言っておきます。また答弁すれば私やりますが。
  353. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時五十八分散会