○滝澤参考人
お答えいたします。
何よりも
国民的なサービスの視点から
考えまするに、何度も申し上げますが、やはり官僚的な
運営というものは避けてほしいし、そこを改めてほしいという点が
利用者の側からの第一の声であります。このことはやはり
文部省直轄化ということによって解決するとは思っておりませんし、たとえば愛知文部
大臣の答弁も、当時それは単なる危惧ではなかったというふうにわれわれとしては率直に思っておるのであります。最近の事例を
一つだけ御
紹介をいたしておきますと、すでに使用者側、つまり
理事者側でございますが、当局は
センターの
直轄化をすでに頭に置きまして、着々と
センターの機構の改革、
運営の改革に着手しているのが昨今でございます。その中で、たとえば今年の五月より合同オリエンテーションという形で、多少
説明させていただきますと、いままでは
利用団体はその
利用の当日に代表がオリエンテーションを受ければよかったという形のものを、五月以降は一月前に、
利用団体の代表者に毎週水曜日の四時にお集まりいただく、そこでオリエンテーションをやるという形に実は変わったわけであります。その背景は、恐らく全体の人員の削減の中で何とかそこら辺の省力化を図ろうということからではないかと思いますけれ
ども、ある面におきまして
利用者本位でないという点が、今度は
利用団体の側から強い不満となって今日出てきているのが現状なのであります。つまり、その発想の中には依然として、使っていただくというよりも使わしてやっているというような発想が当然その中にあるのであろうと思いますし、省力化の問題につきましても、
国民的サービスを下げて省力化するというのではだれでもできることでありまして、問題は、そういった点のむだを省きながらも
行政のサービスの低下を招かない、そういう施策を検討することが今日課せられた課題だろうと思うわけであります。
そういう
意味から、このような合同オリエンテーションによって確かに少ない人員で職員全体を働かすことについてそれは可能になるかもしれませんが、肝心な
利用者団体に不満があり、
利用者本位でない、こういう角度のこれからの
運営という点についてはやはり厳しく批判されなければならないのではなかろうかと思うのであります。ことにわれわれ非常に気になるのは、現在の
センターの
施設は貸し席業である、こういう形は好ましくないという発想の中に、おのずとその次に訪れるものは、いろいろ言われておりますが、
青少年団体優先という形の中でのその他の
団体に対する
利用制限でなかろうかというふうにわれわれとしては危惧をいたしておるところであります。
それから第二点として、職員の立場で一番の危惧は、今回の国家公務員化という問題を
考えたときに、そこに労働
基本権の剥奪という問題が出てまいります。私
ども、今日の
センターを
直轄化しても開かれた
施設としてさらに
運営を強化する、こういう政府の御答弁を聞いておるわけでございますが、そこに働く労働者の労働
基本権を剥奪する形の中で開かれた
センターの
運営というものがあるのであろうか。私
どもとしては、言葉の上での
意味としてはわかりますが、実態としては決してそういう方向にない、もっとほかに意図があるのではないかと、率直にわれわれとしては疑わざるを得ないというふうに思います。労働組合に対するいろいろな評価がございますけれ
ども、やはり、
センターの
運営を民主的にするためにはそこに働く労働者が
協力しなければならないと思います。また一面において、
文部省の恣意的な
運営が今後起きた場合に、それを外からだけでなくて
内部からもチェックするという点について、それのできるのはやはり、使用者との関係においては独立しております労働組合をおいてないと私は思うのであります。そういう労働組合をないがしろにするか、あるいは弱体化するような方向の中での今回の
直轄化、この点について、われわれとしては強い疑惑と不満を持っているということを率直に申し上げます。
それからもう
一つの問題として、今日でもそこに働く職員に対する労務管理の問題でありますが、先ほど統廃合問題の件について労使の合意が必要だと申し上げてまいりました。単にそれは理想ではなくて、現実に私は政労協の議長といたしまして十七年の間に何回か統廃合問題を手がけてきておるわけでありますが、その間、いずれにいたしましても労使の一定の合意のもとに統廃合問題を処理してきたことは事実なんであります。先ほど御案内をいたしました北海道地下資源の問題につきましても、いろいろ議論の結果、よって行きついたところが廃止という形で、国に最終的に責任を持ってもらって再就職でいこう、これが労使の一致したところであります。あるいはごく最近のケースにおきましては、愛知用水公団という農林省所管の
特殊法人が、十年ごとに
事業が終わりまして、そのたびごとに統廃合問題を抱えるので、これはいかぬということで、その後につくられました水資源開発公団との関係の中で、これへの統合という点で労使が
基本的に合意をいたしまして、それがその後実現し、今日安定した仕事に従事しているというのも現状であります。いずれにしても、われわれ労働組合として、そこに働く労働者の意思を尊重し、全体の経済、政治の流れの中でかくあるべしという点の中で労使で
話し合い、少なくとも一定の合意の上に立って事を運んできたという点からすれば、今回の
センターの
理事者側のとりました態度はきわめて一方的、労働者無視の経過、これに対してわれわれは率直な強い疑惑と不満を持っておるところであります。
この点、もう少し具体的に申し上げますと、この問題が起きましたのは、五十年十二月に
国立競技場との統合という形で初め問題が起きたわけであります。使用者側といたしましては、その際、
国立競技場とは仕事の種類が違うというかっこうで、労働組合側に対しても
反対の
協力をしてほしいということすら働きかけがありました。この種の問題についてわれわれは態度を保留しましたが、そういう経過の中で突如として、五十二年三月には今度は
文部省への
直轄化という事態になったわけです。この間、私
どもとしては、
センターの将来性に不安がありますから、事前通知の
話し合いをきちりと確認をしたわけであります。当然のように、
文部省なり自民党サイドからの
話し合いがあれば、その知り得た段階において即刻組合側に通知する義務が使用者側にあったわけでありますが、何らの通知もなしに突如として五十二年三月に
文部省の
直轄化方針が決まったということで、いわば職員としては寝耳に水、動転をしたわけであります。早速、当時の
理事者側との
話し合いの中でこの問題を詰めたのでありますが、職員のことについては心配ないということを言われておりました。しからばそのかたがずっとその責任を持って進めるのかと見ておりますと、二週間も
たちますと、私は今回退職しますというかっこうで、
理事長の交代ということでいわば投げ出されてしまったと、労働者側としては率直に強い怒りをそのとき持ったわけであります。交代をいたしました現安養寺
理事長も、この種の問題については労働組合との
話し合いになじまないとか、あるいは政府の決めることであるからいま
理事としてこの問題について発言を避けるべきだということで、何と六ヵ月以上もこの種の問題について
話し合いすら持たなかったわけであります。この間、労働者としては不安の毎日を過ごしたと率直に言わしていただきたいと思います。ようやく閣議決定がございまして労使交渉が再開されましたのは五十三年二月であります。この交渉が初めて開かれました冒頭に出てきましたのは、退職金についての
話し合いを持ちたい、こういうふうにのっけから解雇、そして退職金の
話し合いと出たときに、労働者の怒りは爆発したわけであります。こういうふうに
考えてきますと、われわれとしては、あのまじめなおとなしい
センターの労働者が今日激しい怒りを持って
理事者なりあるいは政府に対する不信の念を持つというのは、これまた当然であろうかと思うわけであります。そういうふうに
考えて、われわれとしては、この問題を進めるに当たっては何といっても労働者の意思というものを尊重してほしいし、ぜひともその上に立ってこれからどうあるべきか、こういうふうに事を運んでいただきたいと思います。
最後に、全体をまたがる問題として、何といっても雇用不安の問題があります。これは今日の時点におきましても、五十四年の
予算確定まで
センターの労働者の身の振り方について具体的に決められないという問題を含めまして、あるいは労働条件の切り下げという問題を含めまして、われわれとしては、今日
センターが
直轄化することによって労働者の利益になる、プラスになることは何
一つない。そういう点の中で、われわれとしては、現在いろいろと政府の側から
センター直轄化の理由を挙げられていますが、このどれ
一つとっても、
特殊法人で絶対できないという理由はない。われわれも
センターの改革案というのを示しているように、
センターを
特殊法人のままに存続する過程の中で、今度いろいろと政府の側が諸策を
センターに施そうという問題も
特殊法人の中でできると私
どもとしては確信をいたしておるところであります。そういった点で、労働者いじめになるこのような
文部省直轄化については、ぜひとも思いとどまってほしいというふうに率直に思うところであります。
なお、
特殊法人の場合については、雇用関係は国家公務員のようにきちりと横断的に保障はございません。Aという法人が統廃合されまして、仮にBという法人に再就職しても、再就職の問題についてはそれが引き続き
継続雇用になるかどうかという点について、最近でこそようやくこの種の問題に改善の道が開かれつつありますけれ
ども、現実いまの時点ですべてきちりとその辺の問題の横断的な保障があるとは、われわれとしては現状見ておりません。かかる問題は単に
センター問題だけではなく、これから起こるであろう
特殊法人関係の整理統廃合を
考えたときに、まず国が第一になすべきことは、そこに働く労働者の不安を払拭すること、安心して働くためにまずはそこに働く労働者の
生活と権利を犠牲にしない、
基本的にはそこにおける横断的なしっかりとした雇用保障の問題、これは単なるその場その場のことでなくて、制度的にもきちりと確立することが大事であろうかということを申し上げておきたいと思います。