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1978-05-24 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月二十四日(水曜日)     午後一時一分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 鈴木  強君 理事 米田 東吾君    理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    堀之内久男君       渡辺 秀央君    島本 虎三君       古川 喜一君    大野  潔君       竹内 勝彦君    鳥居 一雄君       青山  丘君    藤原ひろ子君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  江上 貞利君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君         郵政省人事局長 守住 有信君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     若田 末人君         運輸省航空局管         制保安部保安企         画課長     秦野  裕君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社施設局長   山口 開生君         日本電信電話公         社保全局長   加藤 秀夫君         日体電信電話公         社データ通信本         部長      輿 寛次郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   堀 四志男君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   橋本 忠正君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     反町 正喜君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 五月十一日  重度身体障害者使用電話料金等半額割引に関  する請願近江巳記夫紹介)(第四七六六  号)  同(北山愛郎紹介)(第四七六七号)  同(野村光雄紹介)(第四七六八号)  同外二件(林義郎紹介)(第四七六九号)  同(古井喜實紹介)(第四七七〇号)  赤電話からの緊急通話に関する請願亀岡高夫  君紹介)(第四七七一号) 同月十二日  重度身体障害者使用電話料金等半額割引に関  する請願安宅常彦紹介)(第五三四五号)  同(愛知和男紹介)(第五三四六号)  同(荒木宏紹介)(第五三四七号)  同(浦井洋紹介)(第五三四八号)  同(枝村要作紹介)(第五三四九号)  同(岡田利春紹介)(第五三五〇号)  同外一件(奥田敬和紹介)(第五三五一号)  同(加藤紘一紹介)(第五三五二号)  同(小林政子紹介)(第五三五三号)  同外一件(上坂昇紹介)(第五三五四号)  同外一件(佐藤守良紹介)(第五三五五号)  同(田中美智子紹介)(第五三五六号)  同(中馬辰猪紹介)(第五三五七号)  同(中尾栄一紹介)(第五三五八号)  同外一件(米沢隆紹介)(第五三五九号)  赤電話からの緊急通話に関する請願小渕恵三  君紹介)(第五三六〇号)  同(志賀節紹介)(第五三六一号)  同(廣瀬正雄紹介)(第五三六二号)  同(渡辺秀央紹介)(第五三六三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 私は、今回の本題に入る前に、理事会申し合わせ等によりまして、最近の東京航空管制部関係回線障害について公社側及び大臣にまず一応お伺いしておきたいと思いますが、公社側もこういう機会でありますからいろいろな点で問題がふくそうしていますので、今後に疑いを残さないようにきちっとしておいた方がよろしいと思います。  五月二十日の午前五時五十五分に、東京航空交通管制部所沢-新宿間の回線障害のために全国の空港の離着陸が不能になり、直ちに迂回ルートへの切りかえ等を開始して、同日午前八時十五分に東京航空管制部-所沢間は回復し、同時に新宿間は八時十二分に回復したという報告が届いておるのであります。  そういうようなことを前提にいたしまして、この問題等につきましては、その障害原因犯人というようなものについてきちっとわかっているだろうか。この点についてまず公社の方の責任者から伺います。
  4. 加藤秀夫

    加藤説明員 お答えいたします。  五月二十日早朝の埼玉県所沢周辺事故でございますが、その概要について御説明申し上げたいと思います。  まず、第一は、東村山から所沢に参りますマンホールの中で同軸ケーブルが一条、市外ケーブルが一条、合計二条が刃物状のもので切断されまして、約三千回線市外回線が不通になったわけでございます。  同軸ケーブルに収容されておりますのは約二千八百回線ございますが、このうちの約千八百回線については八時過ぎまでに自動及び手動によって無線方式等に切りかえまして、十四時過ぎに全回線の回復を見ております。  また、市外ケーブルにつきましては、翌二十一日の二隣四十分に回復しております。
  5. 島本虎三

    島本委員 委員長にちょっと……。  経過についてはわれわれは承知しているのでありますから、その障害原因犯人についてはどういうふうになっておるか、それを聞いているのであります。
  6. 松本七郎

    松本委員長 いまお聞き取りのように、経過は大体承知しておるから、原因犯人がはっきりわかったらという御質問ですから、端的に答えてください。
  7. 加藤秀夫

    加藤説明員 二時間かかった原因でございますが、所沢管制部に参りますケーブル新宿から所沢を経由して管制部に参るわけでございますが、まず、所沢ケーブルが切られまして、それから所沢電話局から管制部に参る回線が二カ所にわたって切断されたわけでございます。  同軸ケーブルにつきましては、アラームが鳴りましてすぐ発見いたしましたので、予備ルートに切りかえたわけでございます。  ところが、所沢から管制部に参ります市外ケーブルについては障害発見がおくれまして、八町過ぎに航空管制関係回線が復旧したわけでございます。  この原因につきましては、同軸ケーブルについては他ルートに切りかえたわけでございますが、市外ケーブル発見が遅くなりましたので二時間に及んだというのが実情でございます。  それから、もう一つは、管制部の方々と回線を一対一で切りかえ作業が必要でございますので、この作業に時間がかかったというのが実情でございます。  それから、切断の事故につきましては、私どもはこの事故がございましてすぐ警備当局に御連絡申し上げまして、現場検証をしていただいたわけでございますが、その内容については、私ども警備当局から状況はまだお知らせを受けていないのが実情でございまして、現時点では不明でございます。
  8. 島本虎三

    島本委員 では、公社内部としては一切警備当局にお願いして、その点に対しては全然手を打っていないということですか。
  9. 加藤秀夫

    加藤説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、私どもではまだわかっておりません。
  10. 島本虎三

    島本委員 この場合は、いろいろと言われているのでありますけれども公社側一つの最近の傾向としては、事業運営考え方にも大分反省すべき点もあるのではないかと思われるのであります。  この点は総裁に伺いたいのでありますが、公社側仕事そのもの請負化が大分進んでいるようであります。もっとも不況対策とて国の政策の要請かもしれぬのでありますが、直営仕事まで請負に回っている。それから電話の架設、これも当然でありますけれども公社自身がしなければならない新しい機械等についての試験というようなものまでも請負に回している。そうなってくると、内部事情は他人でもよくわかるというようなことになってしまいはせぬか。同時に、マンホール等を見ますと、その敷設同軸ケーブル敷設請負業者にやらせておるのでありますが、その通信回線はどういう機能を持っているというようなことは当然承知させているのではないか。そうすると、工事を請け負っている者の責任はきちんとしてあるはずであり、単なる線路の敷設だけではないのではないか。  この辺の管理とともに、秘密性はどの辺まで当局はきちっと保っているのか、その技術水準は、どの辺までの人はやれるのか、これを聞かせてもらいたいと思うのであります。
  11. 山口開生

    山口説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御指摘の、公社電気通信設備工事請負に大量にやられており、その請負業者がいろいろと公社設備を知ることによって、いわゆる公社通信回線事情そのもの外部に漏れるのではないかというような問題、あるいは業界技術水準がどうなのかという御質問でございますが、先生もすでに御承知のように、私どもは第五次五カ年計画を実施するまでに大量の建設工事をやってまいっておりまして、これには直営だけでは不十分でございましたので、請負業者の力をかりまして進めてまいったわけでございますが、実際に請負に出します場合には、その技術内容なりあるいは実施時期なりを考えまして請負に付する工程を決めておるわけでございます。  この場合に請負業者が知り得ます範囲としましては、個々の工事あるいはある部分におけるケーブル工事、それからマンホール工事あるいは局内における機械の据えつけ工事等につきましては技術的に熟知をしておるわけでございますが、その設備を使いましてどういう回線を設定するかというようなこと等につきましては公社の中で決めておりまして、業者の知らないところでございます。したがいまして、今回のような問題に関しましても、たとえばどのケーブルの中にどういう回線が入っているかということまでは請負業者にはわからないことになっておりますので、その辺は私どもから判断しまして、業者関係の中でいろいろと公社回線事情まで知っているというふうには判断しておりません。  なお、業界請負業者公社認定をしておりますが、この認定には技術内容なりあるいは工事能力なりをいろいろ適正に判断をいたしまして、厳重に審査をしておるところでございまして、そういうことから申しまして、私どもから認定業者に対しまして――まだ現在犯行者がわかっておるわけでもございませんのでそういったことを言える立場ではございませんが、公社がみずからの公社の職員に対しましても今後の態度を厳重にとっていくと同様に、請負業者に対しましても、このような事態を十分に踏まえまして、作業者に対する管理指導をしていくように厳重に指導をしているところでございます。
  12. 島本虎三

    島本委員 いま聞いた範囲では、秘密性はきちっとしている、そして技術水準がある程度の技術を持っている人ならそれは行えるということになりますと、どこの局が担当してそれをきちっとやっているのか、この辺までは責任範囲ですから明確になっているだろうと思うのであります。  今回の場合、これを担当しているのはどの部門ですか。
  13. 加藤秀夫

    加藤説明員 お答えいたします。  日常のケーブル等についての保守につきましては私ども保全部門でございまして、具体的に申し上げますと電話局――若干管理段階通信部というのもございますが、主として現場でございます。  それから、設備を建設する部門建設部門でございまして、具体的に申し上げますと通信局、それから通信部工事内容によって違いますが、それぞれ担当をしております。  小工事につきましては、現場でも実施する場合がございます。  以上でございます。
  14. 島本虎三

    島本委員 急に言われるとわからぬのかもしれませんが、所沢新宿というような方面にやられたそのマンホール責任はどこなんだ、その担当はどこなんだと言うのですが、それはもうはっきりしているのでしょう。
  15. 加藤秀夫

    加藤説明員 お答えを申し上げます。  新宿から所沢に参ります区域でございますが、これもそれぞれ区域が分かれておりますが、今回被害を受けました場所につきましては国分寺電報電話局でございます。
  16. 島本虎三

    島本委員 まあ、いろいろとあろうかと思いますが、今後こういうふうな状態にしておいて、やろうと思えばまたやれるような管理の仕方ではだめなのではないかと思います。いま警察の手に渡っていますから、部内なのか請負なのか、事情を知った外部の手引きによるものなのかということはまだ一切わかっておらないのでありまして、これは今後管理そのもの責任が問われるところだと思います。  国家の存亡にかかわるような重要な通信設備管理保全を確保することは最も重要なことだと思いますが、公社郵政省としてはその体制はどうなっているのか。そして、前に言ったような状態だとするともう一回請負化というようなものを見直す必要があるのじゃないか。今後の対策考え方をこの際責任者によって明確にしてもらいたいと思います。
  17. 秋草篤二

    秋草説明員 今度の事件請負の問題を再検討するということはちょっと飛躍し過ぎていると私は思います。  請負業者は、電電公社にかわって確実な的確な内容の正確無比な施設をつくるというために訓練訓練を重ねて各社長もやっておりますし、また、公社訓練を手伝ってまで養成をしております。  それで、請負業者には一級、二級、三級というようなものがいろいろありまして、一級業者などには高級な技術のものもやらせております。電電公社にかわって施設をやるということに対しては、技術者養成についても非常な注意をしております。  それで、今度の問題は、これは悪意を持って計画的に悪いことをしようということでございますから、これによって直ちに請負業者の問題を大反省するということは、私はちょっと考えられないと思います。  また、この防止対策につきましても、平常の国民なり市民、善意国民なり加入者なりを保護することについては私どもは十分注意しておりますけれども悪意を持ってやろうということになれば、これは私どもにはなかなか――この通信施設というのは先生も御案内のようにきわめて脆弱なものでありまして、専門家が手にかけてやろうとすれば、一点をちょっと押さえることによって大変大きな事故まで起きるという施設でございますので、悪意を持ってやろうということを前から計画的に考えておるならば、これはとてもわれわれの手では防止し得ないという限度があると思います。  その点は、今度の問題で、公社施設の故障によって大変御迷惑をかけたことでございますけれども、この防止対策につきましては、公社でやれる限りの防備措置はまた一層注意深くやりますけれども、これを完璧に防遏することができるかと言えば、私にはちょっと――そういう悪意で計画的にやろうとするならば、これは新幹線でも、いかなることでも大きな事故を起こさせることはそうむずかしいことではないと思います。そういう不逞の徒のためにいろいろな対策を考えておくということは、これはなかなか限度があろうと思うのであります。
  18. 島本虎三

    島本委員 私はこれだけで余り時間はとれないのでありますが、しかし、いまの総裁の答弁の中からすると、それでは今後の対策として打つ手はないということですか。善意でやっているのは最高であって、対策としてはもうこれ以上のものはないという意味ですか。その点を明確にしておかないと困ります。
  19. 秋草篤二

    秋草説明員 まず、局舎につきましては、前から成田周辺とそれから重要幹線電話同等にはいろいろと金も使いまして防備対策をしております。  それから、ケーブルルートにつきましては、先般来新聞で相当有名になった接着剤によってつける。これはあけるには相当な力がなければできない。器具を持たなければできない。しかし、パトロールにつきましては、警察にも一層パトロールしていただきたい。できれば公社の人と警官が同乗してそのルートをパトロールすることもやっていただいて――今日は恐らく三十分か一時間おきにはパトロールしておると思います。  この程度のことは、全国的なこういう施設に対しては十分注意深くやっておるつもりでございます。
  20. 島本虎三

    島本委員 国際的に有名になった以上、今後の対策、その考え方、これだけはきちっとしておかないといけないのであえてそれを聞いたのですが、いまの総裁考え方だけで納得していいものかどうか、私はまだ疑問なんですが、こんなことを二度と起こしてはいけませんので、この点は大臣としてもきちっとしておいてもらいたいと思います。
  21. 服部安司

    服部国務大臣 東京国際空港の開港に当たって、一つ間違えば空の大惨事を招くきわめて憂慮すべき事態が発生いたしました。  ちょうど土曜日でありましたが、警察庁長官から直接連絡があって、私は電電公社連絡をするとともに郵政省にも対策本部を設置いたしまして、二十四時間の監視体制強化を図り、この事件を再び繰り返してはならないという強い信念のもとに対策を立てました。  今後の問題についてという御意見でありますが、まず、関係機関と緊密な連携をとりつつこの手口を徹底的に究明せねばならないと思います。世上では、いやこれは電電のOBだとか、電電内部の者であるとか、これは少々の者ではこういう鮮やかな仕事はとてもできないとか、いろいろと一般的な批判の声も聞いておりますが、もちろん私はこういった点にも徹底的にメスを入れる努力を求めておりますし、その他、ただいま御指摘の問題についても、もうこれ以上の対策は立てられないのだということで片づけられないと思います。  何といたしましても、先ほど申し上げたとおりに、これは大惨事につながることであり、しかも総裁がいま言ったとおりにきわめて防護のむずかしい問題でありますが、それだけになお一層の強化を図らなければならないという考え方を持っておりますので、あらゆる角度からあらゆる知識を集中いたしまして、各界の意見も求めて、まずこの原因の究明を図って、それに基づいて真剣に対策を立てるべきであると考えて、郵政省においてはそういった立場目下検討を進めておりますし、また、電電公社とも緊密な連携をとりつつ適切な指導を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  22. 島本虎三

    島本委員 これで終わるわけでありますが、あくまでも責任体制の点だけはきちっとしておいてもらいたい。このことを重ねて要望して、私は本題質問に入らせていただきたいと思います。  まず私はNHKに、この際ですから、前回いろいろ聞いた中でこれはどういうふうなことなのかと思われる点を聞いておきたいのであります。  受信料滞納状態を見る場合には、昭和四十四年、四十五年、四十六年、四十七年までの間は、合計点で見ると大概一万ぐらいずつの滞納者になっておるのでありますが、四十七年、四十八年になりますと急増しておるのであります。そして、四十九年、五十年、五十一年になると、今度は十万単位に急に上がっているのであります。そうすると、四十八年の段階では、旧館を売却して世間の批判を浴びた当時じゃなかったかと思うのでありますが、その後、値上げの時期からまた上がっているのであります。こういうようにして、一つ一つのやっていろ事象がそのまま料金の不納になってあらわれてくる。現在は意図的未契約七万三千を含めて八十二万九千件にも上っている。こうなった以上、今後は大臣の言うとおり内部企業努力はあたりまえでありますけれども、新たな決意でやらなければ一いま電電公社はこの問題に当たろうとする新しい決意を示されたのでありますが、NHK料金滞納状態の解消のためには新たな決意を持って今後やるのでなければ、これが三けた台になった場合には破産宣告と同じじゃないかと思うのであります。  この点に対して会長はどう考えて対処していくつもりでしょうか。
  23. 坂本朝一

    坂本参考人 滞納増加傾向については、御指摘のとおりでございます。  五十一年度につきましては、値上げということもございまして、その御理解をいただくというようなことから、増加の点にもある種の影響を受けたという実態でございます。しかし、御承知のように、滞納対策のための特別の対策員等を設けまして努力をいたしております。  この問題を放置いたしますれば受信料制度そのものにひびが入ることでございますので、何としてもこの問題を第一に片づけようということで、現在、協会といたしましては、営業総局長責任者としてプロジェクトをつくって検討し、かなり精力的にこれに立ち向かっていますので、少なくとも本年度以降の滞納増加につきましては何としても増加させない――増加させないのではなしに減らさなければならないという当然の御指示でございましょうが、そういう方向で現在努力いたしておるつもりでございます。  なお、数字的な点につきましては担当に多少補足させることをお許しいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  24. 島本虎三

    島本委員 数字の補足はいいです。  そういうような傾向ですから、その傾向に対して新たな決意を持って望んでもらいたい。そうでないととんでもないことになるということを覚えておいてもらえればいいのであります。  次に、放送番組の問題についてちょっと会長見解を聞いておきたいのでありますが、この四月から放送番組が大幅に改定されましたし、新しい装いのもとに新しい番組が幾つか生まれたようでありますが、視聴者反響、反応はどうであったか。これは一部に視聴率競争にとらわれたという意見も出ておるようでありますが、しかし、番組改定の意図は十分に生かされていると考えておるのですか。それとも今後まだ問題をはらんでいると考えているのでしょうか。まず、会長見解をお聞きします。
  25. 坂本朝一

    坂本参考人 御質問の御趣旨の、一つ一つ番組のできふできということは多少あろうかと思いますし、その点について甘ったれた言い方をして恐縮でございますけれども、いましばらく御猶予を願いたいと思いますが、全体の改定のねらいと申しますか、特に私が当委員会で申し上げました総会、教育が協会として車の両輪であって、両方とも重要なことで、充実していきたいということで、視聴者対応による編成がえにつきましてはかなりの手ごたえがこの一カ月半ほどの反響ではあったと私自身は自信を持って申し上げられるかと思います。  ただ、一つ一つ番組の巧拙については多少時間をお許しいただきたいと思う次第でございます。
  26. 島本虎三

    島本委員 そこなんですが、将来の放送のあり方というような点を含めて私は聞いているのであります。  最後の番組を見ると何かなかなかやっているようでありまして、一時間以上の長時間番組というようなものもやっているようであります。たとえば「ルーツ」なんかもやっておられたようですし、また、NHK自身を「マネーチェンジャーズ」なんかもやっておられて、これは成績を上げたのではないかと思うのでありますけれども、これをやると当然買い付け競争になりはせぬか。オリンピックの争奪戦をやったようでありますけれども、今度は外国映画の買い付け競争を民放とNHKがやるというようなことになるのではないかと思うのであります。  最近の情勢を見ると、前に言ったようにNHKは余りいい状態ではないが、しかし、民放の方はだんだんよくなる状態になっている。そうなると、ここで民放と競争が激しくなってしまえば、金を持っている者は買えるが金がないやつは買えないということになった場合には、不況知らずの民放に対して財政悪化の一途をたどっているNHKなんかは交渉の中から将来外されて取り残されるおそれがないのかどうか。ちょっと大胆な言い方かもしれませんが、私はそう思うのであります。金の力で競争することが健全な競争だと言えるのでしょうか。これは資本主義社会だから言えると大臣は言うかもしれませんけれども、金の力で競争することが健全な競争だということになるのかどうか。  それから、将来の放送界のあり方ということに対しては、いま言った時点からすると何か危慎がないわけじゃないのでありますが、この点は将来の放送のあり方というような点で会長は十分考えていると思うのでありますが、大臣もこの点なんかは十分考えて対処しないといけないのじゃありませんか。金と金でけんかする、自由社会だからこれでいいんだとお考えでしょうか。将来の放送のあり方に対して少なくとも一つのルールをきちっとした方がいいというお考えでしょうか。大臣の御高見を拝聴させてもらいたいのであります。
  27. 服部安司

    服部国務大臣 金ですべてを解決をするという思想は決して感心したものではないと私は考えております。  先ほどの島本先生の御指摘のとおりに、やはり企業努力である。内容の充実したものを国民向けに提供するならば必ず国民の理解を得られるということは言うをまちません。しかし、一面そういうものをつくるためには金がかかるじゃないかという意見も出てまいりましょう。しかし、それはおのずから限界があることで、私は、やはり一つのルールというものを関係者がお互いに堅持されて、そして正しい意味のいわゆる競争というものを求めたいと考えておる次第であります。  最近特に御指摘の放送権をめぐる放送事業者間の競争が大変問題になっておることは御指摘のとおりでありまして、残念ながら私はこの番組編成権にはタッチすることは許されませんし、また、するべきではないという態度を今日まで堅持してまいりましたが、いろいろな機会に放送事業者間でルールをおつくりになって、それをお互いが守り、より堅実な内容の提供に努力してもらいたいということをお願い申し上げておりますし、昨日もそういった会合がありましたので、いま島本先生の御指摘の問題や内容そのままを放送事業者関係者七十名の会合において特に私はお願いを申し上げているような次第で、私もこの問題には正直申し上げて大変神経を使っております。  幸い放送事業者間でいろいろな機関ができて、絶えず緊密な連携をとられながらいろいろと調整を図っておられるということも聞き及んでおりますので、こういった機関、機能が一層強化されて、よりよい効果か上がるように心から期待を申し上げている次第でございます。
  28. 島本虎三

    島本委員 会長、テレビ開始以来二十五年を経過して、先般は盛大な祝賀会を行いましたが、いままでは発展一途であったわけでありますが、発展が終わって、今度は、言葉で言うといわば健全な競争が主題になる時代に入ったのじゃないか。そうなれば、いたずらに金による競争ばかりしていると何か先が見えるような気がする。邪推かもしれませんが、私はそういう気がする。それにいまうつつを抜かすということは、将来の点として反省してもいいのじゃないか。  二十五年もたったのですから、ここでもう一回振り返って、今後どこにNHKの公共放送としての健全さが保たれるべき点があるのか、焦点があるのか、この点を考えてみる必要が当然あるのじゃないかと私は思うのです。  これは放送ルールの確立の点と合わせて会長の御高見をこの際伺っておきます。
  29. 坂本朝一

    坂本参考人 その点につきましては先生のおっしゃるとおりだと私も認識しております。  ただ、何と言いましても、外国映画の買い付け等の場では自由競争でございますから、金の面ということはかなり重要なエレメントになることは事実でございますが、しかし、売ります方も、ただ金が高ければそっちの方へ売るんだということでもないのではないか、われわれの日常のコンタクトなりあるいはわれわれの放送上の取り扱いなりのことによって、先方にも理解を持ってもらうということも当然あるのではないだろうか、フェアな競争の中で、当然金の部分を無視はできませんけれども、競争していくということではないだろうか、このように思います。  また、民放さんの方もいたずらに金を積んで競争をすることの愚については当然お考えになっているかとも思われますので、いろいろな場を通じてそういうコミュニケーションをお互いによくしながら、愚かな競争をしないで、健全な発展をしていきたいというふうに考えておりますので、その点は御理解を賜りたいと思います。
  30. 島本虎三

    島本委員 それに関連して、プロ野球の中継なんかについても、相撲の中継なんかについても、過去においても現在においてもなおいろいろといきさつがあるようであります。テレビでは後楽園の巨人戦はNTVが独占しているのだということを聞いております。ラジオの場合はラジオ関東が独占しているのだということを聞いているのでありますが、しかしそれはラジオの各社、三社あたりから何か訴訟の問題が起きているというようなことも聞いておるのでありますが、やはり、この問題について独占体制というようなことはどうかなと私は思うのです。  今後の問題として、たとえば地域によっては独占された局のネットワークがないところがあった場合には、見たいのにその地域の方を差別することになってしまうわけです。テレビも見れないしラジオも聞けない地域ができてくるということになれば、これはやはり一つの文化的な格差を与えてしまうことになってしまうではありませんか。そういうような電波を監理する立場にある者として、ことに郵政大臣なんかはきちっと見ていなければならない問題点じゃないかと思うわけであります。一般視聴者としては、独占によって見ることができなくなるということは文化的な格差を押しつけられることにもなるし、結局は商売の犠牲になるわけで、黙ってがまんしなさいというようなことにされたら大変だということになるのであります。日本全国で見たいものは見せるようにするのが電波の持つ公共性であり、それが当然じゃなかろうかと私は思うのです。  地域全域に見えるためにというと、これは東京と同じだけのネットワークを持っておればいいということですが、現在はそうなっておらない。そうすると、結局は全国にそれがないということになると、これはどういうふうなことになるのでしょうか。後楽園の巨人戦の放送を望むとすると、どの放送局にも自由に放送させて、放送の仕方を争うという一つのやり方も生まれてくるのじゃないか。すなわち、全部があるならば全部放送したい者にさせる、NHKならNHKにさせる、これは結構であります。全国にこれは放送網が網羅しているからであります。ところが、網羅していないのに対して放送権を与えるということになると、いたずらに地域的な文化の格差を押しつけることになる。そういうようなことよりも、自由に放送させて放送の仕方を争うというふうにするのが今後の一つ考え方にもつながりはせぬかと思うのであります。  大臣はいつでも国民の側に立って行政を実施されますが、そういうような一つの放送のルールというものに対してはどういうふうに考えておられましょうか。これからその点も問題になる可能性は十分はらんでいると思いますが、この点を聞かせてください。
  31. 服部安司

    服部国務大臣 率直に申し上げて、所管大臣という立場でいかんともしがたい焦慮にかられるときはありますが、島本先生も御承知のとおりに、どのような番組または素材をどのような条件で獲得するかは現行法では放送事業者責任においてやられて、その自主的判断に任せられているわけでありまして、郵政大臣として云々すべき問題ではないという一つの歯どめがあるわけでして、先ほど申し上げたとおりに、話の内容は十二分に理解できるどころか、私自身がずいぶんいろいろな面で焦慮にかられるところがありますが、この放送法ではいかんともいたしがたい。したがって、先ほど来申し上げているとおりに、いろいろな機会をとらえて、いわゆる青少年教育の立場またその他国民的な理解を得るような、共感を得るような内容放送番組編成をお願いいたします。これ以上私はいかんともしがたいという点をひとつ御理解をいただきたい。  私は、法律を変えていただいて、郵政大臣にそういった権限をどんどん与えていただくならば、仰せのとおり、自分の力の持てるすべてを発揮してできる限りの効果を上げたいわけでありますが、私より専門家のあなたが御存じのとおりに、なかなかこれ以上手が出ないという立場も御理解を願っておきたいと存じます。  しかし、再度申し上げますが、ルールの確立は心から念じているところであります。
  32. 島本虎三

    島本委員 その点におきましてももう一歩踏み出してやらぬと、将来の公共放送の立場から私は少し危惧を感ずる。しかし、NHKもそのままにしていつでもぺしゃんとしていることはないではありませんか。  私は三月のN日Kの予算審議で子供のNHK離れは将来の傾向として重大だということを指摘いたしましたが、これはまさにいまでもそのとおりだと私は思っているのであります。しかし、NHKの日曜日にやる「中学生日記」というテレビ番組があるじゃありませんか。有名な俳優や豪華なセットなどはありませんけれども、私も家内に聞いたら、家内も見ていると言っています。それも日曜の娯楽番組の中へ入って二時からぴたっと出るのであります。そういうふうにしてもやはり見られているということであります。私はそれで感心したのであります。中学生のほんの身近な問題であります。それから日常学校等で行っている普通のことです。それを教育的に取り上げてきちっとしてわれわれに納得させるように放映し、また、目を離させないようなリードの仕方をしているわけであります。まさにこれは教育の真髄に触れて番組がつくられている、それが総合番組の中に入っている、こういうことであります。  このような番組があるのですが、最近まで私はこれを知らなかったのであります。自分で言った責任上見ていたら、やはりこういうものが埋もれながらあったのであります。なぜこれをPRしないのですか。これなど多くの人に見てもらえば視聴率が高くなるのはあたりまえであります。日曜日の娯楽番組の中に押されながらもきちっと見ている人も多いのであります。こういうものをもっともっとPRすべきじゃないですか。そして放送だけのPRではなしに、もっともっとあらゆる点からこれもPRさせるべきだと私は思っております。いままで埋もれながらもこういうようなものを皆さんは持っているでしょう。あれも教育放送じゃないでしょう。総合放送でしょう。やはり、新聞でも雑誌でもパンフレットや何かでも、よく考えてPRしてやった方がいいですよ。あれはもう本当にNHKらしい番組ですが、会長、どうしてそれをやらぬのですか。
  33. 坂本朝一

    坂本参考人 半分ほめていただいて、半分おしかりをいただいているような状況でございますけれども、「中学生日記」というのは先生は初めてごらんいただいたそうでございますけれども、確かにかなり歴史が長うございまして、中学生を取り上げたりあるいは高校生を取り上げたりしておる番組でございます。  したがって、そういうPR等についてややマンネリになっているということにつきましては反省しなければいけないというふうに思っておるわけでございますが、新聞や週刊誌のテレビ欄向けの広報等でも一応かなり努力をいたしておりますし、それから中学生の新聞がございますが、その「中学生新聞」というのに番組内容の特集を載せて御理解を得ることあるいはあらかじめのPRの役に立てていたり、「グラフNHK」などでもこの「中学生日記」にかなりページを割くような努力もいたしておりますが、なお一属そういう点については努力したいと思う次第でございます。
  34. 島本虎三

    島本委員 きょう私の手元へ来た「電波タイムス」というのがあるのですが、この中に「郵政省、国際放送の中継放送試行を命令 欧州・中東を対象に六月中旬から一カ月間」ということが見出しに載っているのであります。  それで、この国際放送の点も若干伺いたいのでありますが、国際放送は日本の現状について正しい認識を与えるのも目標の一つでしょう。それと同時に、今度国際親善という一つの目的も入るわけでございましょう。それから、海外に在住する邦人に対しての一つの慰安と情報の提供ということも入るのでしょう。いろいろとそういうようなこともあるものですから、勢いこれは国としても重要な役割りを持っている放送じゃないかと私は思っているのであります。  国際放送は放送法に基づいてNHKの業務として実施されているということになっていますが、政府もこれは十分バックアップしてやらなければならないはずのものであります。国会でも交付金を増額せいということが附帯決議に載っているようでありますが、NHKの業務としての歴史もあり、NHK的な部分もあったりして、政府の交付金とNHKの負担分と混在してこれが現在運用されているというのが実態であると私は思うのであります。  そういうような中から、国際放送の中でどの部分が政府の命令分で、どの部分がNHKの自主部分なのかという点が明確にできておりますかどうか、これを私は伺います。
  35. 橋本忠正

    ○橋本参考人 国際放送につきましては、ただいまの島本先生の御指摘のように大変重要な仕事でございまして、放送法にございますように、NHKとしての必要な業務とそれから政府が実施を命令する部分というものを一体としてよりよい効果を上げなさいということで実施してまいっております。  率直に申し上げて、ここまでが政府の命令分でありここからが自主的分だというふうにきわめて明確に区分することは、いままでのいろいろないきさつからもまいりまして大変むずかしい点でございます。しかしながら、実施命令の中には、主としてニュースなり解説という形で「時事」「国策」等という指定がございますので、全体の中でその部分が実施命令の分に当たるということでいろいろやっているわけでございます。  せっかくの御指摘でございますが、ここまでというふうに截然とできないのが残念でございますが、しかしながら、ここの委員会等でも御指摘がございますので、われわれとしては鋭意研究しながら、そういう点をより明確にできるように努力はいたしております。
  36. 島本虎三

    島本委員 毎年交付金を増額せよといっても、どの部分まで、どこまでというめどが不明確である。命令に関する部分を増額しろといっても、それはどこからどこまでか。ほぼここまでくらいだろうというふうな判断のようですが、そんな判断でいつでもやっているということはまことに不明確じゃありませんか。  しかし、これも放送のためのルールというようなことで――きょうは私は一つのルールつくりというような意味で発言しているのでありますが、国際放送にも内部のルールというものを新たに確立してみてはどうか。全経費の六割を政府負担にするとか、あるいは半分にするとか、残りはNHKにするとか、こういうふうなことは恐らくできるのじゃないかと思うのでありますが、現在見てもなかなか少ないようであります。私どもの方としてもいろいろ聞いてはみましたけれども、この中でもまだまだ少のうございます。  こういうような状態では国際放送をいかに実施しようとしても十分効果を上げることができないと思うのでありますが、この点は検討事項として、国際放送というと日本の一つの象徴でありますから、それを区分もはっきりしないままにしないで、ルールのために、かかった経費に対してどれだけ持つとかいうふうなことにして考えたらどうでしょうか。大臣、検討してみたらいかがでしょうか。
  37. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘のとおりに、国際放送はわが国の文化、産業等の事情紹介して正しく認識してもらうためにきわめて重要な部門であると私は理解をいたしております。  御指摘一つのルールをつくってはいかがかということについて静かに振り返ってみますと、先ほど御指摘のあったとおりに、NHKの経営も、いわゆるカラーテレビがどんどん伸びている時代の感覚というものは現在はもう通用しなくなったことは御指摘のとおりでありまして、現在の比率を見ると、確かにそういった問題も所管大臣として考えねばならないときが来たと思います。在来はそういう立場で政府とNHKが一体となって国際放送を実施しておりましたが、現在の負担の割合はかなり厳しい状況にあることも私は認識をいたしております。  そこで、しからばいまここでどのようにするということもなかなか簡単には申されませんけれどもNHKとも緊密な連携をとりつつ大いに検討を加えてまいりたい。われわれも本年度予算においては二四・五という、もとは低いのですが、かなり思い切った伸び率も示したことは御案内のとおりでありまして、誠意を持って、熱意を持ってこの問題に今後取り組んでまいる決意でございます。
  38. 島本虎三

    島本委員 大臣としては、将来に希望をつなげるようなまことに漠然とした答弁をしてくださいましてありがとうございます。しかし、やはりそのとおりやってもらいたいということです。  それで、国際放送のいろいろな問題ですが、私もかつてフィリピンにおって、戦争中、当時は海外放送と言っておりましたが、最後に山の中で三号発電機、五号発電機を回しながら、これを唯一の頼りにして生き延びてきた経験者です。そして、八月の十一日から十五日に放送されたものを毎晩毎晩聞いて、中のいろいろな騒動の模様もフィリピンの山の中で聞いてきたのであります。  そういうふうにしてみると、海外からいま帰ってきた人が果たしてどういうような感想を持っているか。これはやはり聞いていないのですね。また、聞くような雰囲気でもないようですが、これはどうなんですか。聞けないんですか。PRしていないんですか。こういうような点は外務省なんかと密接な連絡をとっておられるのでしょうかどうか。  聞けない地域に対して受信の改善をするための中継放送の試行を郵政省NHKに命令したというふうなことにいまなっているわけですね。今度試行するのでしょう。そういうふうになると、これは欧州地域及び中東地域ということになっておりますが、地域と言うと広いのでありますが、中東地域とはどこからどこまででしょうか。欧州地域とはどこからどこまでのことなんでしょうか。これはちょっとわかりませんので教えてくださいませんか。
  39. 橋本忠正

    ○橋本参考人 国際放送につきましては、聞こえない、あるいはPRが不足ではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましてはできるだけ聞こえることを考えておりまして、そのうちの一つの、先生の先ほどの御指摘のように、本年度におきましてはヨーロッパ地区に初めてこちらの電波を中継して、そこからヨーロッパ並びに中東向けに強い電波を発射して受信の状況の改善をしようということで、その一つの試みが近々実現しようということが一つの進展でございます。そのために郵政省当局が経費、交付金の増額を実現いたしまして、それをもって実施したいということで、細目につきましては最終的に詰める段階にございますので、いつから行うというふうにはまだ申し上げられませんが、細目が詰まった段階でなるべく早く、できれば六月の下旬ごろかち約一カ月閥試行いたしたい、それによって受信状況そのほかの調査を行いながら、さらにそれ以後の問題を検討していきたいと、こういうことでございます。  それから、現在私どものやっております国際放送の受信状況がほかに比べて悪い。不安定な地域はヨーロッパ、アフリカ、中近東、それからアメリカの大西洋岸という形になりますが、そのうちで今回はヨーロッパと中東を目標にして、いま申し上げた中継を利用することによって受信改善を図りたいというのが今回のねらいでございます。  それから、PR等につきましては、決して何もしていないということではございませんで、パンフレットやらいろいろなリーフレット、カード、ポスターあるいはいろいろな定期刊行物等をつくりまして、それを海外に配布し、また必要なところにはそういうものをばらまく、また、場合によってはその相手の国の新聞にラジオ・ニッポンの活動状況等をPRの形で出す、そういうことをやっておりまして、そういうことを通じてできるだけ聞いていただき、私どものやっておる重要なラジオ・ニッポンの仕事というものを理解していただくということも同時にやっております。
  40. 島本虎三

    島本委員 これがアメリカや中近東だということはわかったのでありますけれども、欧州地域、中東地域というのはどこからどこまでかと言うんです。これは漠然としておるなら一これは郵政省じゃないですか。
  41. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  国際放送の受信改善を考えます場合に、ただいま先生がおっしゃいましたように、世界的に電界強度が低いといいますか、受信しにくい地域があるわけでございますが、その中で、日本から電波を出しました場合に、主として北極圏という、いわゆる電波の減衰が非常に激しい地域を通ってまいります電波がヨーロッパ及びトルコ、アラビア半島地域といったところで電界が非常に落ちまして、季節あるいは時間によりまして受けにくくなるという現象があるわけでございます。  それで、このたび、先ほど来お話がございますようなポルトガルの中継局を利用いたしまして、ヨーロッパ、詳しく申し上げますと北欧三国、デンマーク、イギリス、フランス、ヨーロッパ中部地域、それから東欧、ソ連西部、さらには先ほど申し上げましたトルコ、アラビア半島にも及ぶ地域等に向けまして中継放送をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  42. 島本虎三

    島本委員 中継放送するということはよく理解できますが、時間はどれくらいなのでしょうか。また、番組内容はどういうような番組を中継させるのでしょうか。それから、一年間で全放送時間を中継するとどれくらいの費用がかかるのか、積算してございましょうか。
  43. 橋本忠正

    ○橋本参考人 現在考えております試行のことについて申し上げますと、一応一カ月間で、一日一時間でございますが、三十分ずつ二回ということを現在検討しております。  それから内容は、私どもが毎正時やっておりますGS、ゼネラルサービスを二回にわたって中継するということでございますから、入ってまいります内容は、三十分のうち英語十五分、日本語十五分のニュース並びに解説を二回ということを現在計画しているわけでございまして、その結果、いろいろの調査等を見た上でそれ以後のことをさらに検討するということで、現在はその試行の点について鋭意努力をしているという段階でございます。
  44. 島本虎三

    島本委員 三十分ですか、十五分ですか、何か少ないですね。それくらいで、それだけ聞きたくて待っている人の欲望を満足させることができますか。
  45. 橋本忠正

    ○橋本参考人 とりあえず試行でございますので、三十分ずつを二回、一日一時間ということでやって、その結果をもとにしてさらにその後のことを考えていこうといういまの段階でございます。
  46. 島本虎三

    島本委員 わかりました。  これは日本からの国際放送を中継施設からそのまま放送されるものだと考えていいのですか。こちらからお願いするポルトガルの、その受け持ってくださる中継基地ですか、中継局ですか、そっちの方から何か規制や制限はつけられないのかどうか。  また、本年試行期間ですけれども、試行期間はいつ終わって、本放送になるのはいつというめどがはっきり立っておりますか。この際ですからちょっとそれを聞かせてください。
  47. 橋本忠正

    ○橋本参考人 現在考えておりますのは、日本から発射いたします電波をそのままスルーで出すということを考えております。
  48. 島本虎三

    島本委員 そのままスルーで出すと、それから一年間全放送時間を中継するとどれくらいの費用が積算されるかという計算は無理でしょうか。できますか。
  49. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  もし仮に一日一時間一年間継続して放送するということになりますと、中継局の借料あるいは日本からその地点までの電送料といったものを含めまして、約一億円かかるというふうに推定をいたしております。
  50. 島本虎三

    島本委員 もう私の持ち時間も終わったんだそうでありまして、鈴木先生の時間に食い入って申しわけなのですが、一つにまとめて伺います。  これは大臣になりますが、ラジオの国際放送を放送するのに衛星を利用して世界各国に放送するという構想はできないのですか。それと同時に、今回の中継放送の試行は画期的なものじゃないかと思いますが、国際放送の重要性を考えて、この全放送時間を世界各国どこででも聞けるようにぜひともしてやるべきだと思うのでありますが、ラジオの国際放送で衛星が使えるかどうか、全時間やれるかどうか、こういうような点を含めて大臣決意を聞かせてください。
  51. 服部安司

    服部国務大臣 現時点では、衛星を使って世界各国にラジオ放送をやる計画はありません。  しかし、御承知のとおりに、衛星も打ち上げて順調に停止し、いよいよ本格的な実験に入るわけでございまして、これが成功すれば当然そういったことも考えねばならない、また考えるときが来ると私は確信を持っておる次第であります。
  52. 島本虎三

    島本委員 では、これで一応はやめるのでありますけれども、いままでいろいろな御答弁を承りましたが、国際的に重要な国際放送の場合は、NHKが一生懸命になってやり、また国が中心になってやるわけですが、いろいろな方面にいる日本人に聞かせてやらなければならないような重大な放送である場合には、この制度を拡大こそすれ、いままでと同じような現状に甘んじてはならないと思うのであります。せっかく試行するこれを成果あらしめるようにひとつ万全の措置をやってもらいたい。その点を心から私は要請いたします。  きょうはわりあいにたんたんとして終わりますけれども、この点は答弁がよかったのか、私の質問が不足だったのかわかりませんが、以後十分検討して今後に対処していきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  53. 松本七郎

    松本委員長 鈴木強君。
  54. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 最初に、決算に関連しまして電波行政について若干お尋ねをしたいと思います。  最初にNHKの経営委員の任命について、私は再び大臣に私の悲願を込めてお願いをしておきたいと思いますが、NHKの経営委員の任命につきましては、御承知のように放送法第十六条によって、「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」ということになっております。そして、「その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」となっており、そして委員のうち八人についてはそれぞれの地方区、それから四人については全国区から選ぶことになっております。  そこで、現在、十二名のうち横田信夫委員が先般御逝去になられ、その前には宮脇朝男委員が御逝去になりまして、ここのところ続けて二人の委員が他界をされまして、私ども心から御冥福をお祈りする次第でございますが、このお二人が欠員になっておるわけでありまして、この補充は早急に行わなければなりません。また、この八月には全国区の工藤委員長が三期になります。それから河原委員は九州地区で二期目、春野委員は全国区で一期目、吉武委員が関東甲信越地方区で一期目というふうに、八月には四人の委員が当然交代になるのでございます。  そこで、この委員の任命につきましては、現在まで、不文律ではございますが三期までということになっていると思います。委員の任期は三年でありますから、まるまる三期勤めれば九年間、前任者の残任期間を含めた方もいらっしゃいますが、いずれにしても三期ということが通例でございますから、六名の方のうち宮脇、横田、工藤の三人の方がお亡くなりになられ、また三期目ですから、三人の方を新たに任命されることになります。  そこで、大臣、先般も阿部委員から森官房副長官に対して委員の任命についての御意見がありましたし、私も、昨年の十一月二日に、当時の園田官房長官にここへおいでいただきまして、私どもの長年にわたる切実な願いについてどうしてもやってほしいと、国民が期待をしておる提案をいたしております。  時間がありませんのでここで繰り返しませんけれども、この会議録を十分ごらんいただいていると思いますが、六人もの改選がある時期でございますから、われわれが熱願をいたしております全国民を代表する委員について、だれが見てもなるほどこれこそわれわれのNHKの最高の意思決定機関としての委員会のベストメンバーであるというような委員を選ぶように、一遍にはできませんでしょうけれども、一歩一歩その方向に向かって努力をしてほしいと思います。  もちろんこれは内閣総理大臣の任命でございますが、大臣といたしましては一応所管の大臣としていろいろと御配意をいただいておるわけでございまして、大臣の意向が届かないはずはないと私は思いますし、また、届かなければならないと思うので、そういう意味におきまして、戦後三十年間という長年の間われわれが願ってまいりました考え方を生かしていただくように、ぜひ最善の努力をお願いしたいと思いますので、まずそれから先に伺っておきたいと思います。
  55. 服部安司

    服部国務大臣 近く任期満了となる経営委員及び欠員の経営委員の選任に際しましても、私は、かねがね申し上げておりますとおりに、いま立たされているNHKの経営基盤の立場から言ってもきわめて慎重にこの選任をせねばならないと思っております。  どのような慎重な選任をするのかということは、広く各界の御意見を求め、またそれを尊重しながらきわめて慎重に取り運んでまいる所存でございますし、すばらしい経営委員を選んだと言っていただけるような措置を講じたいと心から念じているところでございます。
  56. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 原則的な御意見はよくわかりました。  そこで、一つは、この前も私はちょっと当時の園田官房長官に質疑をいたしたのでありますが、園田国務大臣は「やや惰性に流れた傾向にもなっております。」と認めておられますし、また、「おしかりを受けるようなことが間々あると存じますので、今後はその精神に基づいて、」とおっしゃって、その精神に基づいてやりたいというふうに言っておられます。また、放送法第十六条に、委員任命について、「その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」となっております。そして、もう一つは欠格条項がございまして、「新聞社、通信社その他ニュース若しくは情報の頒布を業とする事業者又はこれらの事業者が法人であるときはその役員若しくは職員」となっていて、これは経営委員になれないということになっておるわけです。  ところが、現在の経営委員の任命を見ますと、言論界から三人出ています。言論ということはこの表現にはないわけですけれども、三人が出ておる。こういう点も、マスコミの独占集中排除という精神からこの欠格条項が出ておると私は思うのですが、ですから、その辺についても私は疑義を申し立てているわけです。これは十一月二日に申し上げているのですが、それらの点も配慮してほしいということを特にお願いしたいと思います。  それから、残念ながら労働者代表的なものがいままでかつて出ていない。婦人代表も春野さんが一人入っておられますけれども、日本人の過半数は婦人でございますから、そういう点も配慮してほしいということを特に私はこの前提起してあるわけです。ですから、そういう点についても御配慮をいただきたいと思います。  そして、いまの大臣のお考え方について、なるほど服部大臣が歴史に残す経営委員を任命してくれたと言われるように、これはぜひ頼みますよ。具体的にりっぱな人もいるわけですからね。これはいままでこの委員会でもやり、議運委員会でもやり、国対委員長ベースまで上げて何回かやり、われわれ国民NHKなんだからわれわれのNHKの経営委員らしい委員を任命してほしいということを三十年間叫び続けてきたのだけれども、いまだにそれが実っておらないのですが、今回はその突破口をぜひ開いていただきたい。そういうつもりでいまの点も十分心に銘記してやってほしいと思います。これは再度お願いします。(「大胆にやらなければだめだ」と呼ぶ者あり)
  57. 服部安司

    服部国務大臣 私ほど国会を尊重する男はいないと私は自分で認めております。したがって、いま島本先生から大胆にやれという激励の言葉がありましたが、大胆とは委員選考についてどういうふうに理解をすればいいのか、いまちょっと私は迷っておりますが、しかし、真剣にこの問題には取り組みたいと思います。  先ほど申し上げたとおりに、公共放送の存在については私は大いに高く評価をいたしております。しかし、私には憂慮する点がかなりあるわけでして、皆様方とともどもにこの問題の解決を図っていかねばならないと思っておりますが、そういう意味から、先生方の意見を無視するような結果を招くことは決して望ましいことではない。  しかし、限られた人数でありまして、全部で十二名ですか、そのうち六名とももうすでに残任期で、まだ就任日の浅い方もおられるわけでございますが、どのような方法で選任することが皆様方に理解を得られ、今後の協力を願えることかということも十分に頭に置いて、百二十点満点は不可能であるかもしれませんけれども、百点満点に近い方法をとるべく努力を払いたい、かように考えておる次第であります。
  58. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それからもう一つ心配される点がありますのは、八月の十一日に四名の方が任期が切れるわけです。恐らくこの時期は国会は閉会になっておると思います。したがって、放送法に基づいて閉会中は国会の承認を得ないで任命できるが、ただし、その次の国会に事後承認を得なければならない。ですから、精神は変わってないわけでございますね。したがって、前回も休会中に任命されたことがありました。しかも、問題のある者がなったということかありまして、われわれとしては大変遺憾に思っておったところであります。  そこで、念のために申し上げるのですが、開会中でなければならぬということではないですから、私は法律を守ります。それは結構ですから、その際にはわれわれにも十分相談してもらいたいのです。われわれというよりか、各党に十分相談していただきたい。これについては、園田官房長官が十一月の二日にこういうふうに答えている。「今後の人選については、おしかりのことを十分肝に入れながら人選をし、また、各党の御意見等も承ってやりたいと考えております。」というふうに議事録に明確に載っておるわけであります。休会中でありましてもわれわれはどこか選挙区におるわけですし、各党には部会等それぞれのとろがあるわけですから、そういうところと十分打ち合せをして、後から何だというようなことのないように最善の配慮をしてもらいたいが、この点はよろしゅうございますね。
  59. 服部安司

    服部国務大臣 鈴木先生、限られた人員の中で各党に相談しろとおっしゃっても、私がわかりましたと言ったら結果的にうそになると思います。しかし、平素の御発言を十二分に参考にしながら、やはり選任権は政府にあるわけですから、一応閉会中に任命しても、後の、次の国会に必ず両院の承認を得ねばならないというきわめて厳しい法律の中で選考するわけですから……。私がよくわかりましたというふうに言えばきわめて簡単で御満足いただけると思うのでありますが、これはなかなかむずかしい問題である。しかし、平素委員会を通じてのいろいろの御意見は十二分に参考にしながら選考に入りたいと思いますので、この点は御理解を願っておきたいと思います。  各党といっても、各党に言ってしまえばそれこそ私が窮地に陥ってしまって、御激励のとおりにきわめてすばらしい御満足のいただける選考をいたしたいと念願いたしますと言っていることがまたうそになってしまいますので、この点はひとつ御理解を賜れるならば大変幸いだと存じます。
  60. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大臣はちょっと誤解をされているんじゃないでしょうか。この委員会の場で正式に各党がそれぞれの意見を出しておることは大臣も御承知のとおりですし、官房長官のおっしゃっている趣旨も、「今後の人選については、おしかりのことを十分肝に入れながら人選をし、また、各党の御意見等も承ってやりたいと考えております。」ということで、これは議事録にもあるとおり明確に園田国務大臣が答弁しているわけです。  ですから、私はここで意見をあなたに申し上げましたけれども、今度はどなたがなるかということについては具体的に固有名詞が出てくるわけでしょう。そういうものが閉会中はとかく各党への連絡がおろそかになる場合がある。われわれは、閉会中であっても政府からそういう何がしかのお話があれば、部会なら部会を開いてそれについて十分検討もするでしょうし、態度も決めなければなりません。党がそれをいつ決めるかは党の自由ですが、そういう意味において、人選された者を任命する際にこういう人を任命しますということの連絡は議院運営委員会を通じて当然各党にするわけでしょう。議運委員会は閉会中だから活動はしませんよ。しかし、議運委員はいるわけですから、その点は、手続的には、従来も閉会中であっても議院運営委員会の各党委員にこういう委員を任命したいということはやっているわけでしょう。そうじゃないですか。そういう点をもっとわれわれに対して時間を置いてしっかりとやってほしいということでして、われわれの意見に沿ってやりたいというあなたの崇高な考えに対して、個々の人事についてわれわれはとやかく言おうというわけじゃないのです。政府が任命するわけですから、われわれの意見を体して任命していただけるように、こういう方たちにしたいということは十分に連絡をとってくださいということを言っているのです。
  61. 服部安司

    服部国務大臣 私もかつて内閣人事を担当したことがあるのです。大平官房長官、服部副長官のときに私が人事を全部任されておりました。しかし、私は所管大臣意見を十分取り入れて、国会承認のための事務手続その他諸般の手続をやったわけでありますが、もちろん閉会中には私は議運に行って、こういうふうにやりたいからと言ったわけです。議運は御承知のとおり各党の方が集まっておられますが、しかし、こういう人をということは言わなかったわけです。  園田官房長官の、いま議事録をお読みになったような、各党によく相談をしてという真意はちょっと私には理解できないのでありますが、それはこういうことじゃないでしょうか。任命の段階で皆様方の平素のいろいろな機関を通じて賜った意見を十二分に生かしてという考え方じゃなかろうかと思います。  私は決してへ理屈を並べるんじゃないのですが、執行権と審議議決機関のあり方というものについては、私は村長から県議会議員とずっと来たものですから、特に県議会でも私は執行機関と審議議決機関の限界というものをはっきりしてきたわけで、これを余り混同するといろいろな問題も起きることを懸念しますので、私があえて御理解を得たいことは、平素承った意見は決して無にいたしませんが、しかし、神でない限り一〇〇%満足していただこうとすれば収拾がつかなくなることは御経験の深い先生に理解していただけると思うのです。しかし、平素の私の考え方は、ここまで配慮すればまあまあだというのがこういう不完全な社会に存在する一つの利点じゃなかろうかと思うのです。そこで、私が先ほど来申しましたように、十二分に平素の御高見を拝し、特に国会の意見を尊重する服部でありますからおほめいただけるような選考をしたいといま意欲に燃えておりますと申し上げた点で御理解を願うならば大変ありがたいわけです。  いまここで私がそれを了承したら、後で法的にも責任問題につながってくると思うのです。だから、私は決してこだわっておりませんが、要は、でき上がったものがきわめて理想的なと言うとオーバーになりますが、まあまあこれならば了解してもらえるんじゃないかというように努力するということでひとつ御理解を願いたい、かように思います。
  62. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大臣、あなたはまだ私の真意を理解されていないですよ。というのは、私がここで意見を申し上げ、各党も意見を申し上げておるのですから、その意見を体して――少なくとも内閣は個々の経営委員の方を任命する権限は持っておるのですから、それはそのままやっていただいていいのですよ。しかし、その決定したものは国会に承認を求めなければならぬわけでしょう。開会中ですと大抵間違いなく手続がとられるのですよ。そうすると各党が逓信部会を開いて、この委員を承認するかしないか検討する。国会の承認を経なければならないわけですから、そういう意味で手続をしてまいります。  ところが、閉会中はどうかするとそれらの手続が疎んぜられる傾向がある。だから、そこのところをしっかりやっておいてほしいのです。われわれ委員がいよいよ召集で国会へ来てみたら任命されるような手続になっておるということでは困るから、その辺は十分ゆとりをもって、こういう人を任命したいということについての手続的なことをやってほしいと申し上げておるわけで、私の言っておることは決して法的にも問題はないし、私も長いことやっておりますからそんなむちゃなことを言っておるつもりはないのです。  これは誤解の上での論争ですから、その点は改めて……。
  63. 服部安司

    服部国務大臣 よく理解いたしました。それは私が内閣を通じて議運に氏名を提案いたします。議運の方から各党にお持ち帰りになって御検討いただくことは、これは大変結構なことでございますから、そのときに十二分に理解を得られるような努力を払いたい、かように考えております。
  64. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そういうようにしておいていただかないと、後から余り相談しないでやったという不満がいつもあるのです。私はそれを心配しておるわけです。  次に、多重放送の問題で大臣NHKに伺っておきたいことがございますが、御承知のように、昭和二十八年に日本に白黒のテレビ放送が開始されて、四年たちました三十二年にカラーが導入されましたね。そして今日まで大きな発展を遂げてきておるわけですが、一方、オーディオ機械産業を中心にして中波ラジオ放送と、それからテレビ放送、FM放送というものも今日まで躍進的に発展、普及してきていると思うのです。そして、早くFM放送なりあるいは多重放送をやってほしいという国民の期待も大きくなっていると思います。  そこで、多重放送については、映像多重は現在のところ放送の方法についての結論が出ていない。この前も電波・放送小委員会で伺いましたが、技術的には問題ないということでございますから、その放送方法あるいは法制的に問題があるならば、その問題点を整理するということをすれば実用化できる段階に来ていると思います。  それから音声の方につきましては、かつて昭和四十五年に万博が開かれた当時にNHKが実用化実験を行っております。そして具体的にカラーテレビの公開等もされて今日に至っておるわけでございます。  それで、この多重放送の実施についてのいろいろな問題点を含めて電波技術審議会あるいは多重放送に関する調査研究会議といったものも持たれまして、いままで鋭意努力はされてきておるわけですが、いまも申し上げましたように、多重放送については二カ国語放送、それからステレオ放送等については補完的な利用について実施してもよろしい、それから独立的利用についてはとりあえずは災害放送にとどめて、その他については第三者による独立的利用が行えるようにもっと検討しなければならぬという、こういう報告が出ているようですね。  そこで、大臣、映像、音声は別になると思いますが、多重放送は一体いつごろ免許をしようとするのか。それからFMについてもそうでありますが、その時期を明らかにしていただき、もし問題があるとすればどういう点に問題があってもっと延ばさなければならぬのかという点についてまず大臣から伺いたい。  また、NHKとしては、いまも申し上げましたように、もう万博の当時からいろいろと研究をされて優秀な成果をおさめられていると思います。前回も電波・放送小委員会の際に多少慎重論をお述べになっておりましたが、それもわかりますけれども、もし可能であればできるだけ早くスタートした方がよろしいと私は思いますので、NHKとしてはこの多重放送に対してはどういう考え方を持っているのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
  65. 服部安司

    服部国務大臣 多重放送につきましては、多重放送に関する調査研究会議から提出された報告書におきまして多くの検討すべき問題が指摘されているとともに、多重放送の実施に当たっては技術的、法律的問題の少ないものから実験的に行い、逐次実用化を進めていくという基本的な姿勢が提言されていることは御承知のとおりでございます。  したがいまして、技術的問題が解決していると考えられるテレビジョン音声多重放送についての報告書の趣旨に対して、音声放送全体のあり方などの関係等、実施に伴う諸問題をいま鋭意検討を進めている段階でありますが、ただいま御指摘の映像または文字、ファクシミリその他いろいろございますが、私の見解では、いま国民に自信を持って提供できるのは音声多重だけではなかろうか。これは立場立場でいろいろ考え方が違うと思いますが、所管大臣としてはこれこそ一日も早く国民に開放したいと思うほどきわめてすばらしい内容のものでございます。  聞くところによりますと先般小委員会で皆様方に御検討をいただいたようでありますが、新聞紙を通じて皆様方も大変おほめになったということを聞いておりますが、これが検討、結論を得次第早い時期に――いいものは早くやる方がいいということわざがありますので、早い時期に実現をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  FM放送についても、御承知のとおりに、いろいろな事情で、いわゆる隣国との中波の混信で非常に困っている地域もございますので、こういったものも考え合わせて、現在東京、名古屋、大阪、福岡の四局でもうすでに実験放送が終わって実用放送に入っているわけでありますから、実験から実用に入ったということはいいということを証明したわけでありますから、これもできる限り早く、計画ができ上がり次第に広く国民に供用を開始したい、私はかように考えている次第でございます。いつという時期は、いま検討中でございますので、いま申し上げることはちょっと軽率のそしりを免れませんので、あえて避けたいと思います。
  66. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKの場合は現在でも、公共放送として、放送法四十四条第一項の規定にあるように、「豊かで、かつ、よい放送番組」を国民に提供するために放送技術の進歩と発展に伴いまして努力してきた次第でございますが、多重放送につきましては、先生指摘のように、昭和四十五年の万国博のときに、東京並びに大阪でテレビ音声の多重実験局を開設いたしまして実験放送を実施したわけでございます。したがいまして、当然国民の要望や社会の動向を踏まえながら、放送番組をより豊かでかつよいものにするという目的のために実用化を図るということで現在鋭意検討を進めておる次第でございます。  NHKの場合は当然全国普及というようなこともその後段において考えなければなりませんので、慎重ということではございますが、決して消極的であるというふうに御理解賜らないようにお願いしたいと思う次第でございます。
  67. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは電波監理局長でもよろしいし、それからNHKの方で大分研究されておりますからNHKの方からでもいいのですが、この多重放送に関する調査研究会議が報告をいたしました中で、その多重放送の音声については二カ国語放送、それからステレオの補完的利用について実施すると書いてありますね。そして、独立的なものについてはとりあえず緊急災害放送にとどめておきなさい、その他についてはさらに第三者の独立の放送については検討すべきであるというふうに述べてあります。  そこで、具体的に現在各放送局が持っておりますチャンネル、周波数の中で、その空き間を利用してこの多重放送というものが音声においていま直ちにやり得るのかどうなのかということですね。そういう点はどうなんでしょうか。いまの周波数の中でやれるかどうか。
  68. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のステレオ放送及び二カ国語放送に関する限り、現在テレビジョン放送を実施いたしております放送局がしかるべきアダプターと申しますか、ちょうど現在のテレどの絵と音声のスペクトラムのすき間を使用することになりますので、それに適したアダプターをつける必要がございますのと、それからさらにステレオ及び二音声がプラスして通りますので、それに必要な設備関係の準備と申しましょうか調整と申しましょうか、そのようなことが行われるならば送信側については問題はなかろうというふうに考えております。
  69. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 送信側についてはよろしいということですが、そうすると受信の方もいま言ったようなアダプターをつけてやればできる、実際に免許されている現在の既設の放送局がやるならやれる、それもまた聴視者も見えるという段階まで来ているわけですね。
  70. 平野正雄

    ○平野政府委員 ただいまおっしゃいました音声多重放送に限って申し上げますと、先ほど来お話がございましたように、電波技術審議会でも長年検討いたしまして、NHKによる実験結果も含めまして答申が出されておるわけでございますので、関係各メーカー方面におきましてもその点は十分承知をしておるとともに、最近の電子技術、電波技術の進歩は非常に激しいわけでございますので、方針が出れば受信機側につきましても問題はなくフォローできるものというふうに考えております。
  71. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうしますと、あとは残された法制的な面ですね。現在の既設の放送局に対して多重放送を現行法制の中でやれるのかどうなのかということが一つ残りますね。その点はどうなんですか。
  72. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  法制的な面につきましては、実は先ほどもお話に出ておりましたが、省内に多重放送協議会というものを五十二年一月十七日に設置いたしまして検討をしてまいっておるわけでございますが、最近も数回この会合を開いて詰めて検討をいたしております。  それで、ただいまお尋ねのございました現行法制でできるかという問題点につきましては、先ほどお挙げになりました報告書の、技術的法律的に問題の少ないものから実験的に行い、逐次実用化を進めることという範囲におきまして、たとえば補完的利用を実験的に行うという方法があろうかと思います。こういう点にしぼって行う限り、現在のところ法的に特段の問題は出てこないというふうに大体考えてまいっておるわけでございます。
  73. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。  それで、そういう意味からいきますと、いまやろうとすれば直ちにできる面が出ておりますね。したがって、これが将来実験局としての機能を一応果たしていくわけですね。だから、本放送として放送局としてこれを認めるかどうかということになるとちょっと法制的に問題があるというように理解しておりますが、それでいいですね。  したがって、新しく多重放送専門の独立した放送局をつくるということも当然考えなければならないし、マスコミの独占排除ということからすればそういう面も当然配慮していかなければならぬと思いますが、いずれにしてもかなり問題は煮詰まっているわけでありますから、そこのところを電波行政が積極的に推進役になって、そして可能なものから逐次やってまいるというように特段の配慮をしておいていただきたいと思うのです。  それで、大臣、新聞で拝見しますと、五月二十二日ですか、放送受信機メーカーの団体である社団法人日本電子機械工業会の吉山博吉という会長さんが服部郵政大臣に陳情しているようですが、その内容を読みますと、多重やFMなど放送システムの拡充に対する社会の要請が日増しに強くなっている一方、新しい放送の実現は景気刺激にもきわめて大きい効果があるので早く免許をしてほしいと、こういう陳情をしているようでございますが、郵政大臣はこの陳情に対してどういうお答えをしたのですか。
  74. 服部安司

    服部国務大臣 先ほど鈴木先生にお答えしたとおりのお答えをいたしました。
  75. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それでは、大臣、いま監理局長とも質疑を重ねましたが、いまやろうとすればもう法制的にもやれる。ただし、将来に本放送の場合に法制の面で若干問題が起きると思います。ですから、そういう点を早く詰めていただいて、できるだけ早い機会に――大臣のおっしゃったように何日ということは言えないそうでありますけれども、どうかすると電波行政がスローテンポで日本の場合は進んでおるのが通例でして非常に残念に思うのです。私はいつもその点を指摘しておるわけですから、事務当局の方も余り政治的に振り回されないようにしていただきたい。事務当局は、やはりこれは将来の問題ですから悔いを残さないようにしていただいて、そして、慎重にしていただくことは結構ですけれども、慎重慎重でどうも慎重過ぎるところがありますから、そういう点はもう少しわれわれが納得できるような姿で問題の解決をしてほしいということを強く私は思っておりますから、これをお願いして次に移ります。  今度は通信放送コンサルタントのことですけれども、先般コンサルタントができまして、開発途上国に対するわが国の通信放送分野における国際協力の体制というものが一層強化されたと思いまして私は同慶にたえません。しかし、この運用その他については、詳しい業務あるいは将来の展望については不幸にしてその内容を私はまだ伺っておりませんが、特に私はここでNHKにも聞いておきたいし、大臣にも聞いておきたいのですが、会長は永野さん、日本商工会議所の会頭でしょう。それから理事長が電電公社の総務理事をしていた山本さんということを言っているそうですね。あと副会長理事、監事はどうなっているか私はよく知りませんけれども、いずれにしても通信と放送のコンサルタントでございますから、少なくとも電電公社なりあるいは日本の通信機器メーカーなり、それから放送部面においてNHKないし民放も含めまして、特にNHKは公共放送として、この国際的な協力に対しては積極果敢にしていく必要があると私は思うのです。  そこで、協会はこの通信放送コンサルティングに対してどういう役員を送っているか、それから今後この中でどういう使命を果たそうとしているか、その点を会長から承りたいのです。
  76. 沢村吉克

    ○沢村参考人 海外通信放送コンサルティング協力といいますか、この設立に当たりましてNHKにも一緒に協力をしてやってほしいというお申し出がございました。  私どもはかねてから海外特に開発途上国に対しまして、技術的あるいは番組的な御協力を申し上げておったわけでございますが、こういうものができることによって、より一層円滑にまた効率的に行うことができるようになるのではなかろうかという考え方から、この御趣旨に賛成をいたしまして、御協力申し上げることにしたわけでございます。  それで、いま御指摘がございましたように、会長理事長はおっしゃるとおりでございますが、私どもからも、非常勤ではございますけれども理事として私が実は参加をさせていただいておりますし、民放連からは前の会長の小林さんが理事としてお入りになっていらっしゃいます。(鈴木(強)委員「非常勤ですか」と呼ぶ)非常勤でございます。  そういうことで、NHKが基本財産として拠出いたしましたのは三千万円でございまして、現在までのところそういうかっこうで事務的なお手伝いもしながら軌道に乗せるように努力中でございます。
  77. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 NHKの協力体制についてはわかりましたが、大臣、これはいつ軌道に乗って、具体的な活動はいつからやろうとしているのか。それからポイントはどこに置いているのか。  それぞれ開発途上国との間に緊密な連携を保って、わが国が持っている優秀な技術通信放送をあわせて積極的に協力して差し上げますというようにすれば、いまは宣伝の時代ですから、その開発途上国も喜んでくれると思いますから、そういう意味では、これはつくったからにはもっとテンポを速めてやらなければいかぬと私は思うのですけれども、大体どういうふうになっているのですか。もう基本点だけでいいです。
  78. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答え申し上げます。  この海外通信放送コンサルティング協力は、本年三月に御承知のように発足いたしました。  この法人の中に三つ事業がございますが、その一つは開発途上国に対します通信放送プロジェクトに対するコンサルティング事業で、これが一番主たる事業でございます。このほかに、開発途上国等に対してわが国の通信放送技術紹介いたしましたり、あるいは海外から通信放送分野の幹部を招聘いたしましたり、あるいは研修員を受け入れるという国際協力活動事業がございます。それから、第三に、海外諸国におきます通信放送についての調査研究あるいは講演会等を行います調査研究事業がございます。この法人は、昭和五十三年度におきましては、これらの三つの事業につきましてもうすでに積極的に推進する方針で現在諸般の準備を進めております。  特にコンサルティング事業につきまして申し上げますと、具体的なプロジェクトに対しましてコンサルティング協力を行うことにつきましては、中近東の二、三の国、具体的な名前はちょっといま問題がございますので御遠慮させていただきますが、その二、三の国におきます通信プロジェクトについて折衝を行っておりまして、現実にその努力が始まっております。  このほかに、具体的なコンサルティング協力以前の時点におきまして、そのプロジェクトが実際に行われる前の萌芽状態といいますか、まだ芽が出たばかりの状況という段階におきまして、その国のプロジェクトの将来の可能性あるいは成熟度等を調査するために事前調査を行う必要がございます。これは収入にはなりませんけれども、将来収入になる一つの調査でございます。  この調査を行いますために、数カ国を対象といたしまして目下準備取り運び中でございます。もちろん具体的な国名も明確になっておりますが、こういう準備をこの三カ月間において過去からの引き継ぎとしていたしまして、あるいは新たにこれを開始いたしておるというのが現段階でございます。
  79. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 かなり具体的にやる気持ちでやっているようですから、ひとつNHKの方もできるだけ協力し、また民放の方も、きょうはおられませんけれども大臣から協力をさらに要請して、期待にこたえるような活動を今後やっていただきたいと思います。  次に、私から大臣にお願いして、今後ぜひ強力にやってほしいという問題がありますが、きょうは私の意見だけ述べさせていただきたいと思います。  それは、政府調達の国際規約の適用対象の問題でございますが、御承知のように、東京ラウンドの政府調達問題について、新聞報道なんかによりますといろいろと外圧があると言うと失礼になると思いますけれども、いま問題が出てきておるように思います。  そこで、わが国の電気通信事業というのは、御承知のように戦後の荒廃の中からいろいろ努力をされまして、多くの技術改革を経て今日に至っておるわけでありまして、このりっぱな国民の財産とも言うべき電気通信ネットワークの維持、改善については、国民の電気通信に対する期待に常に十分な形でこたえてまいることが必要だと思います。それがわが国の電気通信関係者に課せられた最大の責務であろうかと私は思います。  このような観点に立って見ますと、国内の関連メーカーとの共同開発によってその多くを支えている電気通信ネットワークを構成する電気通信用機器の調達について、国際規約による国際人礼という方法に置きかえることは電気通信ネットワークの信頼性を保持するゆえんのものとならず、まして、その保守について遠方の外国業者にゆだねるようなことになりますと、これを傍観するというようなことにもなりまして、問題があろうかと思います。  そこで、聞くところによりますと、自由貿易の精神にのっとり、各国間の政府調達の自由化を図っているEC九カ国間の取り決めの中においてさえ、この電気通信の分野においてはこれが適用除外になっておるのが実情でございます。したがって、このことは電気通信分野における公開競争の困難性をわが国に限らず容認しているものであると私は思います。  翻ってわが国の電気通信業界に目を転じますと、世界各国との国際競争力を十分に備えていると思える企業グループがある反面、きわめて小規模な企業を初め、とうてい国際競争に耐えることの困難な多くの中小企業を抱えているなど、構造的な問題があることも十分考慮に入れておかなければならないと思います。  本問題は外国との交渉事でありますから、あえて私はここで大臣の御答弁を求めようとはいたしませんが、どうぞひとつ私の趣旨を了とされて今後御努力をしていただきたい。こういうことをお願いしておきます。
  80. 服部安司

    服部国務大臣 私も御指摘の気持ちはよく理解できますし、鈴木先生同様そういう関係筋からも大変な御陳情を受けております。  十分その趣旨を踏まえて今後の行動をとりたい、かように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  81. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 では、次に、会計検査院の方にお忙しいところをおいでいただいておりますが、NHKの決算についての講評ですが、検査結果についてちょっとお尋ねをします。  先般この委員会で第一回目の審査の際に、会計検査院は検査結果について何らの指示事項はない、勧告事項もないというようにおっしゃいましたが、たとえば口頭によってNHKに対してここはこうした方がよろしいとか、ここはこうすべきであるとか、こういうふうな話をしたことはございませんか。それもないのですか。
  82. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私ども日本放送協会に対しましては、約十五、六名の職員で重点的に検査しておりますし、地方の実地検査も十分やっておりまして、検査の際経理の処理に不適切なところがあればもちろん口頭で注意しておりますし、また、中には書面で注意したものもございます。  先般御報告申し上げましたように、検査報告に掲記するほどの問題はございませんでしたが、日ごろ検査の際に発見したものについては直ちに注意申し上げておる次第でございます。
  83. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 いま私ども昭和五十年度のNHKの決算を審議しておるわけでございますが、五十年度の決算に際して何か口頭で御注意をしたということはございますでしょうか。
  84. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答え申し上げます。  放送用施設の建設及び設備の調達という点を中心に検査しておりまして、その際積算、仕様等が現地の状況に即して作成されているかどうかという点を検討いたしまして、一、二小さな問題でございますけれども御注意申し上げたものがあるというふうに担当者から聞いております。  それから、ほかに、非世帯のホテル等における受信料の徴収でございますか、そういうものについても一部御注意申し上げた点がございます。
  85. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 検査院は、国の機関はもちろんですが、政府機関あるいはNHK全部を監査するわけですね。少ない人間でやるわけですから大変だと思います。そして、NHKの場合には実地検査を含めまして膨大な証拠書類もあると思いますけれども、そういうものは十五、六人の人が何日やったかわかりませんが、全部見ているわけですか。その点はどうなんですか。
  86. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  先ほど先生がおっしゃいましたように、少ない人数で膨大な書類及び個所について悉皆的に検査するということはとうてい物理的に困難でございますが、許された予算の範囲内で私どもが重要と考えているところは全部やっていくつもりで検査を計画、執行しております。
  87. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 局長、こういう点がどうなっているかちょっとお伺いしたいのですが、後でまたNHKに伺いますが、未収金というものが年々ふえていますね。この未収金というのはNHKにとりましては絶対的な収入源でございますから、何が何でもこれを回収してもらうというのが課せられた一つの大きな使命だと思うのですよ。  これはいつも委員会でも問題になるのですが、たとえば未収金がだんだんとふえまして、五十一年度はまだわかりませんが、四十三年度から五十年度までの八年間だけで欠損償却したものが百三十四億七千百六万円あるわけです。四十三年度の〇・八%から最近は二・五%と受信料の未収欠損償却というものがずっとふえてきておりまして、三倍以上になっています。したがって、未収料金の方もパーセンテージでいっても四十三年度一・三%が五十一年度は三・五%とふえているわけです。  この未収受信料の回収に対してNHKが適切な方法によってこれをやっておるかどうかというような点について、会計検査院としてはその適否について当然明らかにすべきだと思うのですよ。普通の会計でもそういう点は特に重点的に監査をするところではないでしょうか。そして、もし故意に納めない人があればその人にはやはり納めていただくような方法をとらなければならないでしょうし、いろいろケースはあると思いますから、そういうケースケースごとにこういうふうなところはこうしたらよろしいとかいうようなものについての会計検査院としての考え方というものが出ていないということは私は非常に遺憾に思うのです。その点については五十年度はどうなったのでしょうか。
  88. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  受信料収入というのは日本放送協会における財政の根幹をなすものでございますので、われわれとしては非常に重大な関心を持って検査しているわけでございます。そして、ただいまの先生の御指摘のような受信料の未収債権が最近非常に増加してきたということに対しては私ども非常に憂慮しているところでございますが、これの未収の解消あるいはそれらの抑止策と申しますか、これについては私どもが検査に行きましたときも、この局ではどういうことをやっているのだ、どういう方法でやっているのだ、それでその効果は上がっているのかどうかということは必ず聞くことにしておりまして、NHK当局に対しても、われわれはそれに対して非常に関心を持って検査しているのだということを担当者の方にもよく思い込ませながら検査している次第でございます。  その原因については先ほど先生がおっしゃったようにいろいろの原因がございますが、たとえば共働きの世帯では昼間徴収に行かれてもなかなか徴収されない、こういうものに対してはあるいはまた別途の方法が何らかあるのじゃないかというようなことで、この点に関しましては当局の方とわれわれと一緒になって何かいい知恵がないだろうかということを相談しているというような実情でございます。  この未収債権の解消につきましては、今後ともわれわれは重要な関心事として検査に邁進したい、このように思っております。
  89. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 やっておられるのですから、私は、そういう点が国会に対して、国民に対してやはり一言欲しかったですね。NHKNHKとして一生懸命やっていますよ。私たちそれを知っています。フクロウ部隊までつくってやっておる。だから、そういうようにやっておることを会計検査院の目から見て、やっているならやっているで、一生懸命やっているけれどもなおかつこういう未収が出ているのだというふうに結論づけるか、やっているけれどもなおこういう点はこういうふうにした方がいいじゃないですかという一つのアドバイスをするか、そういう点があってほしいと私は思うのです。他の経営の問題についてつべこべ言うことは問題だと思いますけれども、少なくとも視聴者受信料によって賄っているのであって、これが絶対の収入源ですから、そのことに対して会計検査院が一言も触れないということはちょっと問題があるように私は思うのですよ。  だから、そういうお話をしているのならば、今後この面については、たとえば共働きでいない人に対してNHKはこういうような努力をしているけれどもやむを得なくてこうなったんだ、しかし来年さらに努力してくださいとか、そういうように国民に対して一われわれはNHKの予算というのは大まかに審議しているのです。公共企業体ですから余り細かいところまで国会が介入するのは私も反対なんです。これはもう会長以下にお任せしてやっていただいて、会長の能力がなければ会長をかえてもらえばいいのですから、そのかわり任された以上はその権限の中でやっていただくわけです。交際費を幾ら使うのか、どういうところで直接間接的な経費の節約をしたのか、そういうことはわれわれはタッチできないでしょう。そこまで私はタッチしようと思っていません。だけれども、そういうところをあなた方によく見てもらうわけです。そして国民に対して、NHKの収入源というものについてはこれだけの努力をしたけれども、こういうものがあるから現段階においてはこれはやむを得ないことであるとかいうふうに評価をしてもらわなければならぬわけです。そのことによって国民は安心するわけです。  われわれは多少行き過ぎると思われるくらい、この委員会では熱心に予算の場合でも決算の場合でもやっているわけです。これは国民はわからぬのですから、ここでやるしかない。あなた方が監査するしかないのです。われわれが監査するわけにいかぬのですからね。そういう意味において、努力していればもう少し努力を評価してほしいし、だめであればそこをちゃんと指摘をしてやってほしいというふうに思いますから、ぜひひとつ今年度からわれわれの意見も参考にしてやっていただくようにお願いしたいと思います。
  90. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  国の決算及びNHKの決算につきましては、会計検査院がこれを検査して国会に報告し、国民の皆さんに知らせる責務を持っておるわけでございまして、われわれもせっかくこれに努力しているところでございますが、検査報告が非常に読みにくいとか、あるいは国民の方にお知らせするには必ずしも十分でないという点もございますので、私どもとしましても、検査報告の形式なり表現方法というものをなるたけわかりやすく、国民の皆さんにもよく読んでもらうようにということで常々努力しております。  本年度もそういうことでいろいろ部内で検討しておりますが、先ほど先生がおっしゃったNHKの決算につきましても、できるだけその線に沿って、わかりやすい、しかもNHK実情がはっきりするような決算報告ができるように今後努力してみたい、このように考えております。
  91. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 時間が余りないものですから詳細の審議ができませんが、これはNHKにお伺いしますけれども、五十一年度の受信料収入は千八百七十五億二千二百九十三万一千円、あらかじめ予算的に未収金として計上しておりましたのが六十六億一千八百二十六万一千円で、予算に対して三・五%ですが、実際に翌年度回収された額は幾らになりますでしょうか。  それから、引当金が四十五億で二・四%になっておりますね。実際の引当不足額は五十一年度は幾らだったでしょうか。  その点がわかりましたらちょっとお知らせください。
  92. 川原正人

    ○川原参考人 五十一年度はいま最終決算の段階に今月末入っているところでございますけれども、不足額がやはり四億五千万円ぐらい出てくる見込みでございます。
  93. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それから、受信料の未収金は予算的に落としますね。それで回収については――これは二年たつと帳簿から落とすわけですね。そして、帳簿から落としても債権としてこれを確保して、できるだけ取り上げる努力をしていただいているわけですから、そういう意味において、帳簿外に落ちたものをまた努力して取りますね。そういうものは予算的にはどこへ入るのですか。雑収入としてこれは入ってくるのでしょうか。
  94. 川原正人

    ○川原参考人 一たん償却いたしました後に回収できました受信料は、これは雑収入として予算に計上いたします。
  95. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それから、昭和四十三年から五十一年までの間の受信料の未収金、一応未収金として処理したものは合計したら何千億になりますか。わかりますか。
  96. 川原正人

    ○川原参考人 二年たってどうしても回収できない場合は欠損として償却いたします。そういたしましたものを、これは各年度あるわけでございますが、それを足し上げるという算術をいたしますと、四十三年度から五十年度までですと百三十四億八千万円ぐらいになります。
  97. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうでなくて、四十三年度から五十年度の間で受信料の未収金として予算的に計上をした額は幾らかということです。  受信料の未収金として予算的に落としてしまうわけでしょう。その額です。四十三年度は十億とか、四十四年度、四十五年度、それが五十年度までで合計幾らになるのですか。
  98. 川原正人

    ○川原参考人 いま申し上げましたように、最終的に落としたものですね。
  99. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうじゃなくて、五十三年度に受信料収入が幾らあって、受信料未収金は幾らあるということをおたくでは最初から予算的に組んであるわけでしょう。そのことですよ。
  100. 川原正人

    ○川原参考人 それは、予算には未収金として組むというよりも……
  101. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 落としてあるでしょう。歳出の方から……。
  102. 川原正人

    ○川原参考人 欠損償却額で予算に一度計上いたしますが、その予算に計上した分だけの集計でございますか。
  103. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうです。二千億以上になるでしょう。
  104. 川原正人

    ○川原参考人 それは、予算に計上いたしましたときの集計額は四十三年度から五十年度までで七十五億でございます。  そして、その次に今度は決算の段階で、結局その予算に計上しました額だけではやはり足りませんで欠損額がふえてまいります。一度予算に、毎年度十億とか二十億とか、あるいは最近では三十億ぐらいをあらかじめ予算の際に欠損償却額として見込んで、支出の方に計上いたしております。ただし、それが第一年度が終わりまして、概してどうしてもそこまでいかないわけでございます。したがって、欠損が足りませんので、第一年度の決算のときにまたこの欠損償却額をふやします。そしてさらに二年間私どもとしては回収に努力して、二年目にどうしても取れないときに、最終的にそこで決算額をはっきり確定して、そのときに落とすわけです。それはまた若干ふえてまいります。一番最初予算の審議のときに計上したものよりも、必ず決算で、これは残念なことですがふえてくるのです。  ですから、予算に計上したものは、先ほど言いましたように四十三年度から五十年度までで七十五億八千万でございます。
  105. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうじゃないのだ。たとえば五十年度で受信料収入が千二百八十三億七千五十万二千円でしょう。そのうち未収金としてあなた方が予算に組んだものが四十三億五千九百二十八万一千円ある。それで、回収が十億九千三百八十三万三千円あったわけでしょう。それで引当金が二十五億ですね。そして引当不足額が七億六千五百四十四万八千円となっている。だから、受信料の未収金として予算に計上したものがこの八年間で幾らかということを聞いていたのです。
  106. 川原正人

    ○川原参考人 いま御指摘の数字で申し上げますと、それは第一年度の決算時の償却額でございまして、それを五十年度まで集計したものは百五億になります。  いまの二十五億をさかのぼってまいりますと、四十九年度、十八億、その前が十七億、十三億九千万とずっとございまして、四十三年度までの総額は百五億でございます。
  107. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ちょっと認識が食い違っているのですが、いいです。これは時間がないから後にしまして、一遍これは後で別途川原さんと私とそろえましょう。  そこで、簿外に落とした債権で、翌年度回収額もこれは雑収入に入りますね。それから簿外に落とした額でもってまだ納まらないのは合計して幾らあるのですか。債権として皆さんが持っているものは、ですね。
  108. 川原正人

    ○川原参考人 それは四十三年度から五十年度の決算までの分を集計いたしますと、冒頭に申し上げました百三十四億八千万円という集計になります。
  109. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 だから、その帳簿外として処理をしますね。それで、ここに書いてある翌年度回収額というのは、簿外に落としたそういうものと、それから二年の間に入ってきたものと未収の額と両方集まったものがここへ来るわけでしょう。  二年間まではまだ予算的に債権として、これは予算上帳簿に載っているわけですね。そうですね。それから今度は二年たつと落としますね。落としたものと、それから二年間まだ帳簿にあるものと合わせて、それから一生懸命回収した額がここへ出ている額なんですか。たとえば五十年度だったら十億ですか。
  110. 川原正人

    ○川原参考人 五十年度におきます回収した十億円といいますのは、これは先生のおっしゃる簿外ではございません。  当初予算に計上し、そして第一年度では収入に至りませんでしたけれども二年目に収入になった分、受信料としてきちんと収入になった分が十億でございます。
  111. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうすると、簿外で回収した額はこれと別にあるわけですか。
  112. 川原正人

    ○川原参考人 それとは別でございます。
  113. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それでは、その簿外のやつは幾らですか。
  114. 川原正人

    ○川原参考人 五十年度の決算の段階で雑収入の方へ入ってまいりましたもの、これは七千三百九十万でございます。
  115. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで、簿外に落として債権として持っているのですが、それは何年間持っているのですか。債権として確保しているのですか。  これは民法上の時効の問題とはどういうふうに関連があるのですか。何年間持っているのですか。
  116. 川原正人

    ○川原参考人 もちろん法律上、民法の関係はあるわけでございますけれども、私どもとしましては、現在のところ、少なくとも受信契約者がはっきりしておって受信料が滞っておられる方につきましては、原則としましてほかの方との負担の公平という観点もございますし、放送法上のたてまえもございますので、できるだけとにかく全部それはお払いいただきたいというたてまえで努力をしているわけでございます。
  117. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうすると、簿外にいまたまっている不良債権は合計して幾らですか。
  118. 川原正人

    ○川原参考人 それは先ほど申し上げましたように、一応いま私が持っておりますものでは、四十三年度から五十年度の決算時点までのそういう欠損として落としたものが百三十四億八千万円ということになります。
  119. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 いずれにしても、何十年不良債権として持っておられるのかわかりませんけれども、十年だか、二十年だか、いつまで未来永劫に持っているらしいけれども、まだ見込みがあるから持っているのだと思うが、ちょっとは実績が出てこなければこれも意味がないわけですからね。その辺の兼ね合いというものは、われわれは実態がわかりませんけれども、もう少し配慮して、ある程度処理をしても仕方のないものは処理をなさったらどうですか。いつまでも未練たらしく持っていてみたところで、回収されなければこれは仕方がないわけですからね。気持ちはわかりますけれども、その辺の判断は私がここでどうこうということは言えませんけれども、適切にやられたらどうですかね。百三十何億のうち七千万円ぐらいしか納まってこないでしょう。  それから、通信放送衛星が打ち上げられていま実験段階に入っているのですけれども、これがいよいよ実用化に入っていく場合の特殊法人の持ち方ですが、この前の委員会でも二つ別々につくったらどうかという意見もありましたけれども、それもどうかと思うし、これらの点についても伺いたかったのですが、時間が来ましたからこれは次に譲ります。  それから、五十年度のこの決算については、私ども拝見しまして、時あたかもNHKが財政的には非常にピンチに陥った時代で、その翌年には受信料値上げをしなければならないという段階でした。二百十数億の赤字を抱えた予算でございまして、大変御苦労があったと思います。しかし、決算上から見ると百八十九億ですか、この赤字が若干なり減っておりますので、こういう面から協会の御努力の跡というものは残っておると思いますが、難視聴の解消と、それからいかにしたら省力化できるか、合理化できるか、簡素化できるかというような立場に立って会長としても努力をされたと思います。そういう点も少しお伺いをしておきたかったのですが、これも時間がありません。非常に残念に思います。  そこで、最後に一つお願いをしておきたいのですが、私のところに放送番組に関する諸団体の訴えというものが参りました。一、二回お目にかかっていろいろ意見を聞いてみましたが、無理のないところもあります。  協会放送番組の作成について、下請にまだ余りそうたくさん出していないのでしょう。民放の方はかなり下請へ下請へとやっておるようですが、下請に出してもまたピンはねをされまして、孫請とかなんとかいうことになると、日本でも、その道でそれぞれ勉強されて、余人をもってはかえがたいという芸能を持った方々や技能を持った方々が、自分の納得できないような形で契約されていくというようなことに対して本当に不満があるようですね。  NHKの方にもそういう陳情がいったと思いますが、公共放送ですからそれらの点を十分考えて、下請なんかはできるだけ少なくして自前でやるようにしてほしいと思いますけれども、現実にやっている部門も若干あるのでございましょう。ですから、そういう点の実情がどうなっているのか、私はここでよく内容を聞きたかったのでございますし、それから芸能出演者に対するタレント料といいますか、出演料といいますか、こういうものについても、いまや民放とNHKでは逆になっているような点もあるように聞いておりますが、やはり、NHKとしてはそれ相当の報酬も払っていただかなければいい方も来てくれないでしょう。そういう点は大変御苦心があると思います。  一方におきましては、来年はまた大変な事態を迎えている段階でございますから、やりたいことがあっても財政的に非常に窮屈だということはよくわかりますけれども大臣もこの前言われたように、三カ年の計画も私たちは見せていただきましたし、大変お骨折りが多いと思いますけれども、われわれが来年の予算審議をする場合にも、決算の審議をする場合にも、なるほど協会はこれだけの努力をしてくれたかと思うような顕著な成果の出ますような御苦心を、大変ですけれども会長以下やってほしいということを特に念願します。  出演者のこういう訴えに対して、会長として何か所信があったら述べておいていただいて、私は終わりたいと思います。
  120. 坂本朝一

    坂本参考人 放送を支えますそういう方々に対する協会としての姿勢としては、やはり、できるだけ努力するということが当然の姿勢かと思います。  しかし、かたがた協会の財政そのものも大変厳しい状況の中にございますので、そういうものを御理解いただきながら、なおかつ先方の意見も聞きながら、お互いに合意する線を見つけ合いながら現在は仕事を進めておりますので、無理強いな形での、圧力的な形での合意ということに決してならないような努力をしておるつもりでございます。  下請につきましても、私どもの方はほとんどのものが自主制作をしておりますので、先生の御指摘のような形での下請の方々への問題というものはほとんどないのではないだろうかというふうに思っております。
  121. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 どうもありがとうございました。
  122. 松本七郎

    松本委員長 田中昭二君。
  123. 田中昭二

    田中(昭)委員 NHKの決算についての審議でございますが、その前に緊急事態についての御質問を申し上げます。  まず、今度の電電公社通信回線切断という事件が起こりましたが、この経緯とその後の対応について御説明を承りたい。
  124. 加藤秀夫

    加藤説明員 お答え申し上げます。  被害状況でございますが、去る五月二十日の早朝……(田中(昭)委員「今度の事件に対する経緯と対応」と呼ぶ)  経過はよろしゅうございますか。――障害が起こりましてすぐ復旧にかかりまして、私どもといたしましては八勝ごろに回線の復旧をいたしまして、管制部の方にお渡ししたわけでございます。  今後の対策でございますが、成田空港及びその他の主要空港とその周辺地域につきましては従来から防備をしておりまして、特に航空管制に関係いたします局所、電送ルートにつきましては、局舎の防護、出入り管理等、それからパトロール等の防備対策を実施しておりまして、警備当局と緊密な連携をとりながら実施してまいりましたが、今回の事故にかんがみまして、さらに次の措置を打ちまして強化をしておるところでございます。  まず、第一は、所轄警察署に対しまして、私どもの電報電話局長等が対応いたしまして、重要な局所及びルートの状況を再度御説明申し上げまして、警備の強化を要請いたしますとともに、公社職員によるパトロールの強化を実施しております。  それから、二番目といたしまして、五月二十日から二十三日の八時半まででございますが、重要区域におきます通信設備及び建築工事を中止いたしました。それ以降につきましては工事を再開しておるわけでございますが、特に夜間工事につきましては、警備当局とも十分連携をとりながら警備を強化しておるわけでございます。  第三番目といたしまして、重要回線が万一故障いたしました場合には回線の切りかえ措置が必要でございますが、この措置につきましては、従来から十分措置計画を立てておるところででざいますが、これをさらに点検いたしまして万一の場合に備えておるわけでございます。  それから、第四番目でございますが、局舎の防備、出入り管理は先ほど御説明申し上げましたように強化しておりますが、さらにこれを徹底いたしまして、特に夜間の監視体制強化しておるところでございます。
  125. 田中昭二

    田中(昭)委員 前回の三月二十六日の成田事件と、そして三十一日には電話線を切断されたということで、公社はその対応策として相当の費用もかけて綿密にやっておる。報道によりますと二億円くらいかけて関連施設を守るために十分の処置をとったというふうに報道されておる。しかし、いま報告があったように、また二十日の開港を控えて万全の処置をとっておったはずですけれども、二十日未明にさらにまたより重大な事件が起こったわけであります。  これは重大な問題を含んでおる。航空の安全確保の上からも、航空関係のとうとい人命を失うというような重大な事故にならなかったことは不幸中の幸いですけれども、しかしその関係の不安は一掃されておらないのです。  政府は、また公社は、この現実をどのように受けとめられておりますか。総裁大臣からお答え願いたいと思う。
  126. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘のとおりきわめて重大な問題でございますので、一つ間違えば大変な空の惨事を引き起こすわけでありますから、われわれも二十日のあの事件に際しては、関係機関と緊密な連携をとりながら、原因の究明はもちろん、対応についても鋭意その努力を重ねているところでございます。  大変むずかしい問題ではありますが、この事件の再発を防ぐために私は全精力を傾注いたしたい決意でございます。
  127. 秋草篤二

    秋草説明員 電電公社施設が被害を受けたわけで、言うならば被害者ではございますけれども、私どもの扱っております大事な施設国民また公衆の大きな安全のためにいかに大事であるかということを本当に深刻に感じたことはもう事実でございます。  本当に申しわけなく思っておりますけれども、今後はより一層この事件の発生に対しては万全の措置をとるということと、また、事件の発生があっても直ちに他の手段によってこれをほとんど障害のないように切りかえられる。これは先ほど島本先生の御質問に対して、私は、事件悪意に満ちた、計画的な作為に満ちたもので、人の防止というものは私どもでは限度があるということを申し上げましたけれども、この防止は別として、発生した後の事後処理を速やかに直ちに大々的にほかの用でこれを埋めるということは、まだまだ技術力あるいは金を使っての改善の余地があることを毎日これも会議でやっておりまして、対策の余地はまだいろいろとあると私は思っております。  今後とも一層この問題に対して対策を重ねて万全の処置をとっていきたいと思っております。
  128. 田中昭二

    田中(昭)委員 こう言ってこの場で事件が起こるたびにわれわれは注意をいたしまして、再発しないようにやるというようなお答えが返ってくるわけですけれども、何かやるとしても、やはり人ですからその後再発もしたわけです。そういう人の問題についてのおろそかな点があったのではなかろうかというような気がしてならない。  そこで、この事件の中の一つの問題をもう少し掘り下げながら、再発防止のためにそれをお互いに勉強してみたいと思いますが、きょうは警備当局からもお忙しい中を来てもらっておりますから、その面について先にお伺いしてみます。  問題は、前回起こりましたときにも、この通信回線の切断という事件の再発防止として、まず公社の自己防衛として三つの項目を挙げて取り組んだ。これは報道されているとおりです。その中の一つ監視体制強化があり、そのほか局舎の防備と、重要地下ルートの云々という、こういう三項目があります。  その第一項目の監視体制強化でございますが、この中には局舎の出入りのチェック、そして屋外施設のパトロール、ほかにもあったと思いますが、こういう二項目が挙げてある。問題は、この屋外施設のパトロールということに関連して部分的には問題が起こっておる。  具体的に申し上げますが、この航空管制にかかわる重要回線については、二十日の大体一週間ぐらい前から警備当局と緊密に打ち合わせをしておったということでございますが、特に重要ケーブルのある所轄署とはどのような対応と処置をしておったのか。公社側からの対応をお尋ねします。
  129. 加藤秀夫

    加藤説明員 お答え申し上げます。  三月二十六日及び三月三十一日の事故の経験にかんがみまして、従来から警備当局にはいろいろ緊密な連携をとりましてお願いしておったところでありますが、各重要施設のございます電報電話局長等から地元の所轄警察署に対しまして私ども施設の概要を御説明申し上げまして、どこを防備していただきたいということを具体的に示しましてお願いをさせたわけでございます。  さらに、五月二十日を控えまして、再度私ども全国の部長を集めまして、さらにそれを強調いたしまして、具体的に申し上げますと、各局所によって若干は違いますが、五月十五日前後から各所轄署に対しまして再度お願いしたわけでございます。  一方、私ども本社といたしましても、警察庁に対しまして概要を御説明申し上げまして、さらに警備の協力方をお願いした次第でございます。
  130. 田中昭二

    田中(昭)委員 大体わかりました。  それでは、確認の意味で聞きますが、警備当局はいまの公社のそういう依頼に対してどういう処置をとられたか、お答えください。
  131. 若田末人

    ○若田説明員 ただいまお尋ねの件についての警備当局からのことでございますが、御承知のようにこの前に大変な事件が起きましたので、警察といたしましてはいろいろ警備する場所も多うございますので、重点をしぼりまして重点的に警備をやってきたわけでございますが、成田関係の問題につきましては、成田空港本体と、それからそれを取り巻きますいろいろな空港施設が特に重要でございます。そういうことで、成田空港本体を中心といたしまして、それに関連します空港施設等がございますが、その中で今回の関連いたします所沢管制部は特に重要だということを運輸省から説明を受けております。したがいまして、この管制部につきましては、特に埼玉県の機動隊は全国から動員をしてきておる中で残してこの管制部の警備に当たっておったわけでございます。  それから、それと関連いたしまして、この電電公社の配電塔につきましては、管制施設そのものからすれば、あとはそれに準ずる形で警察庁と電電公社本社、それから所轄の警察署とそれぞれの電報電話局といろいろ打ち合わせをいたしております。  埼玉の方におきましては、所沢の電報電話局警察署の間で警備課長と打ち合わせをいたしまして、そして重要なマンホール等についても防護措置について打ち合わせをし、新聞等にも報じられておりますように、のりづけといいますか、ふたが簡単にあかないように措置をするというようなことでございますので、その報告を受けまして、そして現実にその作業をやっておるところ、あるいはやった後、簡単にあかないかどうかというようなことも点検をいたしまして、その後主として管制部の防護に百五十名前後の警察官を日夜充てておったわけでございますが、その中からパトロールカーを出しまして、管制部から所沢の電報電話局までの間をパトロールしておるというような状況でございました。
  132. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの最後のところは大事なところですが、いまの警備当局のお話では、もちろん空港本体もですが、管制部が大事だから管制部を守っておったのだということですが、ところが、管制部もその重要回線が切られたら何も役に立たないのです。そうでしょう。そういうことは子供でもわかるのです。  問題は、その重要回線については、公社の方はこういうところに埋まっておってこういうところが大事ですということを言っているが、その回線に対してどういう体制をとったかということが問題なんです。これはいままで説明を聞いておりますと、三月三十一日に起こったときからいまのように警備当局と綿密な打ち合わせをして、いま答弁してもらったようなことになっているのですが、現実は公社の方は夜間は一回か、ところによって二回パトロールした。最初に私も申し上げましたが、自己防衛として屋外施設のパトロールをしたとなっておるけれども、現実派夜間にだれか一人か二人かが一回か二回やった。それに対して警備当局は、これは本当は同道してでもよかろうが、警備当局の判断でパトロールをやったかといいますと、そういうことは考えられない。  そこで、問題は、先ほど総裁は、今度の事件にかんがみて一時間か三十分ごとに警備当局と同道してパトロールしているとおっしゃったが、もしもそれをこの二十日以前にやっておったら今度の事件は起こらなかったかもしれない、そこに重大な問題がある、こういうように私は指摘しなければならないのです。ですから、簡単に言えば、公社が言っておった屋外施設のパトロールも不十分であった。警備当局の警備も、報道にはいろいろ書いてありますよ。先ほど最後におっしゃったマンホールのことですけれども、「業者の説明を公社側と県警が二重にうのみにしていたわけだ。警備本部が実際に実験しなかったのはミスではないか」と書いてある。あなたはさっき実験したと言うたけれども、これは問題ですよ。「過激派の攻撃対象が関連施設にまで広がってきて、警備当局がそのすべてを完全にカバーするのは不可能に近い。」と言っているが、これは事実だろうと思いますよ。そして、「こんどの場合、二つのうのみさえなければ盲点にはならなかったようだ。」という報道がなされておる。これが本当じゃないですか。  そういうことをここで聞くと、いや一生懸命やっておりましたというような言葉で濁そうとする。正確な物事に対する対処をなされていないということを私は指摘している。ですから、結果的にはこの事故防止の実効は上がらなかったのです。三十分か一時間ごとにパトロールをやっていると先ほど総裁が言われたことを信用して、仮に警備当局公社が――大体、通信回線はだれが保守するのですか。通信回線はだれが守るのですか。その原点を忘れた話になってしまっておる。ですから、これはやったやったと言うけれども事故防止の本当の実効は上がらなかった、そこに重大な責任がある、こういうように思いますが、総裁、いかがですか。
  133. 秋草篤二

    秋草説明員 通信線路の保守は完全に電電公社責任でございます。ただ、こういう事態悪意に満ちた作為に満ちた計画的な暴徒を未然に防ぎとめることは私どもも完全にできる力を持っておりせんし、マンホールも二百メートル置きにございますし、確かにパトロールという程度のことは電電公社責任だと思いますけれども、これを全部警備していくということは、私どもではそういう人の数もあります。それからまた、そういう点は公社の全責任だと言われても、線路を守るということはわが方の責任でございますけれども、守るという意味が、今回の場合はちょっと少し違うのではなかろうかというふうに思っています。  いずれにしましても、しばらくの間はパトロールを頻繁にしまして――地域も狭うございますし、区間もわずかでございますが、全国的にそういうことでありますと、これは大変な大きな電電公社責任だと思っておりますが、そういう点はやはり限度があろうと思います。これは警察の力をかりなければわれわれはとてもできないし、あるいはまた市民の協力を得なければとてもできないことだと思っています。
  134. 田中昭二

    田中(昭)委員 私もその点はある程度理解しているつもりですよ。  それは全国に電電公社マンホールが五十万もあれば、三十二万の職員が全部かかってもだめじゃないですか。その五十万個のうちに今度ふたをしたものは何万個ですか。そういうことも聞いてはおりますけれども、全国に電話線の電柱が何本ありますか。それは不可能ですよ。  それでは、この事件でもう少し別な面から、実際に被害を受けたところの、いわゆる管制ができなかった航空局の立場を聞いておきたいのですが、この回線が切れて管制が不能になった、その時間はどういうことをやっておったのですか。
  135. 秦野裕

    ○秦野説明員 お答え申し上げます。  私ども、五時三十分に事故が発生しましてから、結論を申しますと、八時過ぎに電電公社さんの回線が復旧をしたという連絡を受けております。したがいまして、その期間は管制が一時ストップいたしております。  それから、八勝過ぎに回線が逐次復旧してまいりました後に、私どもの方で順次それを点検いたしました。たとえば管制部ですとか、あるいは対空の通信施設とか、レーダー施設とか、それぞれにレーダーが通っておるか、あるいは電話が通じているかということを全部チェックいたしまして、チェックできたものから逐次その航空機の離陸を再開したということでございます。そして、一番機が九時二十三分に東京から北海道に向けて飛び立ったということでございます。
  136. 田中昭二

    田中(昭)委員 切断されて、八時過ぎには回線が回復したと言うけれども、その間二時間以上の時間の中においては日本の空には相当な飛行機が飛んでおって、先ほど言うような事故が起こらなかったからよかったものの、これは大変な問題なんです。八時に回復したと言うけれども、八時に回復して、特殊な飛行機は九時二十何分に飛んでいったかもしれぬけれども、現実には十一時ごろまで、お昼まではほとんど飛行機はとめられているのです。いままでエアラインが七時ごろの一番機にお客を乗せて、相当な事故があってもおろしたことはないのです。それが今度は航空局の指示でお客をおろしている。ですから、相当な混乱とかいろいろな問題がこれには起こったはずなんです。  このことについてはまた別な機会にはっきりしてもらいたいと思いますが、この犯行を行った中核派のことですが、前の事件でもやはり公務員とそれから公社職員で逮捕者が出た。それで、そういう公務員などが過激派の中に含まれておるという批判がずっとあったわけですね。そういう中での今度の事件で、公社内部事情に詳しい者の犯行であろうという点が問題であるというように思うのです。  それで、その一つ一つ指摘してみますと、特に今回の事件は、切られたところがいわゆる日本の航空管制の中枢を振る重要なルートであるということを知っておる者で、それは公社の中でもごく限られた者であるはずです。それから、マンホールに入っている多くの回線の中で、管制部との回線ケーブルであるということが容易に見つけられるような状態であったというようにも報道されておるが、こういうところも問題であろうと思います。さらに、マンホールののりづけについては、特別な工具でなければあかないというようなことを言われておりますけれども、これも問題ですね。また、切断に使ったと言われますカッターは電話局電話工事会社でしか使わない特殊な工具である。  このようなことから、公社内部平信に明るくなくてはとうていこの犯行は行われなかっただろうと思うので、大臣総裁から、いま私が指摘したような点についてどのような理解と認識を持っておられるのかを伺いたい。特に大臣は、むずかしいことだから厳重に注意してやっていくというようなことだけでは国民の不安に対してこたえられるとは言えないと思うのですよ。そういう点をもう一回お答え願いたいと思います。警備当局の方は結構ですよ。
  137. 秋草篤二

    秋草説明員 所沢の航空通信管制所の重要な施設があるということは、あの連中は――そこに一個中隊も機動隊がたむろしておりますし、相当な重要な施設であるということは、作為的に考えればもうだれでも気がつくことでありまして、それの通信とのルートをたどるという、そこだけのことは大概の者であれば考えられるところだと思います。そんなに専門的な知識はなくてもこれはわかると思いますが、私は、マンホールをあけて、しかもたくさんある回線の中で運輸省専用の線を選んだということを聞きまして非常にショックだったのであります。これはそう専門的な知識でもないと思いますけれども、それを選べたということはそう素人ではなかろうということで、これはやはり電電公社の関係者あるいは職員、あるいは卒業生、あるいは関連の人、あるいは内通したという事情でもあろうのかということを私も心配しておる次第でございます。  マンホールのふたのあけ方は、これは何と言いましても百四十キロぐらいの重さでありますが、それを接着剤をつけて四百キロぐらいの重さになるわけですけれども、絶対あかないというものではない。道具を持っていけばこれは必ずあくものであります。その程度のものしかやってなかったわけでございますから、絶対あかないというものではございません。  そういう点は、マンホールの装置等につきましては今後もう少し改善の余地があろうと私は思います。とりあえずまたそれをつくるということも時間もかかりますから、いまパトロールを強化して監視しておりますけれども、その二点だけにつきましては今後まだ改善する余地のある問題であるというふうに私は思っております。
  138. 服部安司

    服部国務大臣 内部事情に詳しい者の犯行であったのかどうかは、正直言って現時点では定かではありません。しかし、あの手口から考えて全く無関係の者であったとも考えられない状態でありますので、先ほども申し上げましたとおりに、専門的に徹底的に糾明をするようにいま要求いたしてやっておりますし、今後はまず職員の管理、監督の問題とまた、服務規律の厳正を期すように従前にもまして公社当局を厳しく指導してまいりたいと思います。  なお、先ほど来田中先生から空の悲劇、惨事を招くことについて御指摘がありましたが、私も全く同感でありまして、対応策については十二分に検討もしておりますし、また体制も整えておると思いますので、今後はこの面についても大いに意を用いて、悲劇を招かないように最善の努力を払いたいと思っております。  なお、この使用いたしました器具は電電公社工事関係にのみ使う器具だという御指摘でありましたが、この点についてもよく調査いたしましたが、どうも実態はそのようでないようでございますので、あわせて申し上げておきたいと存じます。
  139. 田中昭二

    田中(昭)委員 国の威信にかけても、国際的にも成田開港ということについては政府は責任がある。本当ならばこれはもう郵政大臣の首の問題だと思うのですよ。これは内閣全体が責任をとらなければならない問題だ。これをひとり私が叫んでみてもどうにもなりませんから、この事件についてはこれで終わりまして、今度はちょっと明るい事件の方に変えていきます。  まず、NHKの方にちょっとお尋ねしますが、コンピューターの機械にネズミが入って、それで通信回線を阻害するということについてNHKは研究なさっているそうですが、これはどういうことになっておりますか。
  140. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  実は、月曜日の午後十時から放送いたしております「科学ドキュメント」という番組がございますが、この中でプロデューサーがネズミが超音波を発射し合ってコミュニケーションしているということを考えまして、そしてNHK技術研究所の方にそういうことの有無について協力を依頼したわけでございます。技研は御承知のとおりの研究機関でございますので、それに協力いたしてやりました。ところが、現在起こっておりますコンピューターの事故の一割以上のものがネズミによるもので、それは主としてコンピューターの下にある電源のところからネズミが交信用に使っている超音波と同じものが来ていて、それにネズミが集まってきて、集まってきたネズミがケーブルをかじるというのが原因だというようなことで、主として超音波によるネズミの交信ということに重点を置いてつくった番組でございます。  そして題名は、先生も御承知のとおり、ドイツのハーメルンという、笛を吹いて町じゅうからネズミを追っ払って連れ出したという童話がございますので、それになぞらえてあの番組を興味深くつくったということでございます。ネズミの超音波について特段の研究をしているわけではございません。
  141. 田中昭二

    田中(昭)委員 笑いが出ておりますが、これは笑い事じゃないと思うのですよ。前から言われますように、テレビの効用といいますか、テレビが音と絵を出すだけの箱になってはならぬというような話もされているときなんです。  そこで、そういうNHKの研究に対して、公社はやはりコンピューターを使って営業しているのですから、そういうことはどういうふうになっておりますかと私がお尋ねしたら知らないということなんです。同じ郵政省の中で、しかもテレビでも放映されているのです。ネズミの超音波というのは、ネズミだけじゃないかもしれませんし、ネズミの出す超音波とコンピューターの超音波が一緒だったということになると、これはただ笑い事で済まされる問題ではない。ビルの中にもネズミが全部集まるそうです。それでネズミは回線を食い切るそうです。そのことは公社はどうですか。ただいまここで初めての話でしょうか。そういうことについて公社自体もたくさんな経費を使って、たくさんないろいろな研究をなさっているはずです。  特に郵政大臣は、大臣になられてから新規製品についてはなかなか興味を持っていられるようでいいことだと思いますけれども公社の中には相当な費用を使ってそういうものを研究しているところがあるはずなんでしょう。この辺はどういうふうになっておったかお聞かせ願いたい。
  142. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  私もそのお話は実は初めて伺ったわけでございます。われわれももちろんコンピューターに対する障害対策をいろいろやっておりますが、いままでのところはそういった問題についてはやっておりませんでしたが、そういうお話については早速検討いたしまして、いろいろまた対策を立てるならば考えてみたいと思っております。
  143. 田中昭二

    田中(昭)委員 郵政省、どうですか。
  144. 服部安司

    服部国務大臣 正直言って私はさっぱりわからぬですね。どうやって答えたらいいか……。答えたら間違うし、だれか知っているかね。――では、だれか知っているそうですから、かわってお答えします。
  145. 神保健二

    ○神保政府委員 大変申しわけございませんが、私も存じません。
  146. 田中昭二

    田中(昭)委員 これですよ。残念なことじゃないですか。  公社は一年間にどのくらい研究費を使っていますか。
  147. 秋草篤二

    秋草説明員 大体大まかに言って収入の二%でありますから、年間六千六百億前後の金を使っております。
  148. 田中昭二

    田中(昭)委員 これは私は素人ですから私もわかりませんが、コンピューターは公社もちゃんと施設をお客さんに提供して、売って収入を上げているんでしょう。先ほど本部長さんは何か知らないということだったが、それは知らないから知らないと正直に言ったんだからよかろうけれども公社が六千数百億円の研究費を使っているのに、ネズミのことでNHKで放送するようなことも知らない。郵政省も知らない。だから、先ほど鈴木先生から言われたように、電波行政というのは格好いいことばかり言っていて何もやっていない。やろうやろうと言いながら、先になっていくとやめなければいかぬということになってしまう。もう少しすっきりした答弁はできませんか。
  149. 沢村吉克

    ○沢村参考人 私の方の研究所でネズミの超音波を研究したことで、ある意味ではえらいおほめのようなお言葉をいただいておりますけれども、実は、私の方のコンピューターがネズミの被害を受けたから研究したのではございません。多分、電電公社さんもコンピューターがネズミの被害を受けていらっしゃらないので、いままでそういうことを余りお考えにならなかったかと思います。  実は、先ほど私の方の堀総局長が申しましたように、番組制作の面から、おとぎ話からヒントを得まして、ネズミが特別な音に感ずるのじゃなかろうかということで、それで、実は、ネズミの駆除をする専門の業界からのヒントだと思いますが、その業界の方に言わせるとコンピューターの電源がネズミによくやられることがありますよというようなことから、たまたま私の方の研究所では、特にスタジオでございますとかホールでございますとか、そういうものの音響研究をいたしますのにモデル実験をいたしますので、実験をするために十分の一とか五十分の一というモデルをつくりまして、超音波を使って――つまり、音の縮尺をそれだけ何分の一かに波長を小さくするために超音波を使う研究を大いにやるわけでございます。その超音波技術を利用いたしましてネズミのそういう習性を探ってみたところが、たまたまネズミがある種の超音波に興味を示すことがわかったわけでございまして、おとぎ話の種明かしの番組をつくるお手伝いを実は私どもの研究所もしたわけでございます。  もともとはネズミの性能を調べるためにやったのじゃございませんけれども、その結果は逆にネズミが非常にきらう超音波もあるはずじゃないだろうか、これを追求すればネズミの駆除に超音波が使えるかもしれないということで、現在引き続きましてその業界の方と協力をいたしまして、その研究の指導を実はしているというのが現在までの実態でございます。  ですから、電電公社さんは御存じなかったし、あるいは私の方もコンピューターを使っておりますけれども、そういう被害を受けていなかったので、実はそういう目的での研究までは気がつかなかったのですけれども、言えば番組のアイデアからの副産物として非常な成果が得られるかもしれないということで、現在なお指導中でございます。
  150. 田中昭二

    田中(昭)委員 技術屋さんの話を聞くとなかなかなごやかなところもありますけれども、私が技師長さんの言うことをいろいろ言うことはありませんけれども、せっかくそういう研究をなさっているんだったら、NHKのコンピューターは回線がやられていなかったかもしれませんが、だからといって電電公社のコンピューターはやられていないという証明にはなりません。やられておって、コンピュターですから、料金だけはどんどんもらえるかもわかりませんよ。これはわかりませんけれどもね。ですから、そういう問題があるから、NHKもそういう研究をなさったら、同じ郵政省の仲間同士ですし、注意を与えられるという最後のお言葉のところが大事なのではないかという気がしてならないわけです。  問題は、郵政省がそういうことも知らなかったということです。郵政省ではテレビをずっと見る係でもつけたらどうですか。それの方がわざわざ出張旅費を出して遠いところに研究などにやるよりいいかもしれませんよ。私は前から言っているのだが、モニターなどは何をやっているのか。郵政省はモニターでNHK番組等を監視していると言うけれども、納得できません。納得できませんと言うとおかしゅうございますが、たくさん質問が残っておりますので、それはそのくらいにしておきます。  次は、もう一つ電波の問題で、これは日本の各地でこういう問題があろうと思いますが、ある地方で強力な電波によってNHKのテレビが何時間と見られないような状態になるというところがある。そういうことが出ているのです。これについてはNHKはどういうふうに把握し、また、電波監理局の方はどういうふうに把握しておられますか。
  151. 沢村吉克

    ○沢村参考人 御指摘のような現象が北九州地区で起こりました。最近の情報によりますと、この五月五日だったと思います。夜の八時から十時ごろにわたりまして一部のチャンネルに混信妨害が出たということでございます。同様なことは五十二年、昨年の六月にも一度起こっております。  これについては、私どもも、相手局、妨害局について明確にはなかなか把握しかねておりますけれども、夏前の五、六月ごろの空間の状況によりまして、異常に強く遠方の電波が入ってくる、いわゆる伝搬の異常現象というのはよく起こり得ることでございますが、毎日連続してずっとそういうことが起こるのでは決してありません。断続的にある時期に起こりやすいという減少はございます。  これに対しましては、もとの発信局を十分つかまえませんとなかなか明確な対策はいたしかねますけれども、われわれとしては関心を持って検討を続けておるという状況でございます。
  152. 平野正雄

    ○平野政府委員 郵政省の方からお答え申し上げます。  大体ただいまNHKの方からお答えになったとおりでございますが、NHKの北九州総合テレビジョン放送局の電波は六チャンネルでございます。約二百メガに近い周波数でございますけれども、五月五日のただいまおっしゃいましたような時刻に断続的に混信を受け、これを受信していたテレビ受信機の映像が流れたり画面にしま模様を生じたりしたということでございます。  混信を受けた範囲は北九州局のフリンジエリアの非常に電界の弱い地域と、北九州局を親局とする中継局で丸山局というのと藤松局のエリア、これはともにUHF局のようでございます。混信地域の広さあるいは受信画像の乱れのぐあい等から判断いたしますと、混信は近隣諸国のテレビ電波によるものではないかと一応想定ができそうだということでございます。  この現象は、先ほどもお話がありましたように特異な気象条件下で生ずる。要するに前線のようなところで回折現象が起きるのではないかというふうに想定されるわけでございますが、いずれにいたしましても異常伝搬でございまして、年間を通じて見ますと、起きるといたしましてもきわめて短時間のものでございますので、現時点ではさらに検討を要する問題であろうというふうに考えておるわけでございます。
  153. 田中昭二

    田中(昭)委員 しかしこの報道によりますと、夜の八時から十時くらいまでは見えないということは、視聴者にとってはいらいらする問題じゃなかろうかと思いますよ。それで季節的にも九月ごろまで続くらしいのですけれども、そういうことがわかっておってどういう処置をとったのですか。自然現象だ、外国の電波が入ってきておるということはわかっておりながらそのままほうっておくということですか。どうするのですか。
  154. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  同じような現象で、スポラディックE層による異常伝搬という現象が実はございまして、これはただいま申し上げましたような二百メガヘルツというような高い周波数ではございませんで、百メガヘルツ以下の周波数の場合に起きるわけでございます。時期は同じような大体六、七月ごろから九月、あるいは十月ごろまででございますけれども、ちょうど中波が伝搬いたしますときにE層という電離層で伝搬いたしますが、そこに突発E層という鏡のような電波をはね返す層ができまして、それによって伝搬をするということになっておるわけでございます。  こういったものは実は大体毎年起きるわけでございまして、非常に問題もあるということでございます。したがいまして、百メガヘルツ以下の周波数帯につきましては従来考慮してきておるということでございます。  ただ、ただいまの二百メガヘルツという非常に高い周波数を、しかも異常な気象状況のときに、普通ならばE層あるいは突発E層を突き抜けて宇宙のかなたへ行ってしまうべき電波がたまたま異常な気象条件のときに返ってくるというような現象でございまして、それに対して一々対策をとっていくということを考えますと、これは実は大変なことにもなるわけでございますので、しばらくさらにデータを集めたいと思います。  ただし、中継局のような場合でございますと、この北九州局から必ずしも放送波中継を行わなくても、ほかの局から番組をとるというような可能性もあるわけでございまして、そのような方法によりましてサービスをより良好になし得る可能性もあるわけでございまして、その点につきましてはNHKとさらに話をしてまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  155. 田中昭二

    田中(昭)委員 ちょっとやっぱり頼りないようですね。そういうことが受信料の未払いにつながらなければいいのですが、ちょっと心配いたします。  あとの質問はまた次回に譲りますが、きょうはせっかく会長も張り切っておられると思いますが、聞くところによりますと、何か、あさってごろから中国にお出かけのようでございまして、大変お忙しいところを御苦労さんでございます。心からお見送りいたします。  今度の訪中はどういうことでおいでになるのか、お聞かせ願えればありがたいと思います。
  156. 坂本朝一

    坂本参考人 大変御丁重な御質問で恐縮でございます。  実は、昨年、先方から日本の放送事情を勉強していろいろと自国のこれからの放送に役立てたいということで、かなりの研修生をNHK並びに民放も含めまして送ってまいりました。それに引き続きまして向こうの広播事業局長であります張香山さんがお見えになりました。実は、これは私どもの方で御招待という形で御一行を受け入れました。それに対しまして今度は張香山さんの方からNHK会長を招きたいということで御招待をいただきましたので、国会開会中まことに恐縮でございますが、お時間をいただいて十日ほど中国の放送事情視察ということで渡航したいと思っておる次第でございます。  ただ、中国側はNHKその他民放も含めまして非常に御熱心に御視察になりまして、自国のこれからのテレビ、特に中国では教育テレビというようなことで非常に御関心が強いようでございますので、私も先方に参りましたらばそういう点でさらにお役に立つことがあれば御助言も申し上げたいと思いますし、また、中国の現状のテレビがどういう状態であるかということも勉強してまいりまして、もし何ならば将来の番組交換というようなことへの手がかり、足がかりができれば幸いだと思っておる次第でございます。
  157. 田中昭二

    田中(昭)委員 御期待申し上げておきます。  もう一つ、きのうの放送でございましたか、会長番組へおいでになって「放送に期待するもの」という放送がありまして、いろいろな御意見があったようでございます。  これはまたきらいなさることを言わなければならないのですが、会長のいろいろなお話が大変丁重で、会長のお言葉が見ておる者には一番好感が持てたと思いますが、ただ一つ、何かちょっと気にかかることがあったのですが、その点は会長は何か自分で、心に思い当たることはございませんか。
  158. 坂本朝一

    坂本参考人 まことに不敏にして、どこが先生の御指摘なのか、ちょっといまここで即答しかねるのでございますが、むしろお教えいただきたいと思う次第でございます。
  159. 田中昭二

    田中(昭)委員 やはり、自分で言ったことはなかなか思い当たらぬこともあるかと思いますからちょっとヒントだけ申し上げますと、NHK国民によって支えられているという点ですが、やはり、聞いている人が間違ったものを持ってはならないと思うのです。第一ヒントでございます。いかがでしょうか。
  160. 坂本朝一

    坂本参考人 おっしゃるとおりだと思います。
  161. 田中昭二

    田中(昭)委員 いや、もう少し内容を言ってもらわぬとわかりませんが、NHK国民の大多数から支えられているということで、その数を会長が分母、分母とおっしゃったことなんですが……。
  162. 坂本朝一

    坂本参考人 私どもは二千七百万以上の世帯と契約申し上げているというふうに申し上げたわけでございます。
  163. 田中昭二

    田中(昭)委員 国民の大部分の受信料NHKを支えている、それが全体の数で二千七百万だということは正確ではないと私は思うのです。  この前から私はいつも問題にしておりまして、これは自分の体験ですが、私は自分の選挙区でも一つ納めておりますし、宿舎でも納めております。会館でも納めておりますと言っておるわけであります。私一人の国民が三つの受信契約料を納めておるわけです。  それから、聞くところによりますと、いままでの議論でも出ていますが、受信料を納めていない人も多数おります。この納めていない人は会長の言われたことを聞いておってどういう感じになるだろうかということです。  この二点についてお聞かせ願いたいと思います。
  164. 坂本朝一

    坂本参考人 その点は私の説明がまことに不十分だったと思います。  正直言って、大多数の国民の皆様方に支えられているというふうに申し上げるつもりが、なまじの数字を出したのでかえって誤解を招いたかと思いますけれども、そういう点は十分心しなければならないと思っておる次第でございます。
  165. 田中昭二

    田中(昭)委員 それは何遍もおっしゃっておったようですね。二千七百万が全国民であるというようなこととと、それからいま申し上げましたように納めていない人もおりますから、その方々がどういうふうな感じを持つのかということを自分で反省しながらのお考えはございませんか。
  166. 坂本朝一

    坂本参考人 未契約、不払いの問題が一番大きな問題でございますので、そういう方々への問題は、説得という点から言えば確かにそこら辺のところはいささか軽率であったかと思いますけれども、真意は、日ごろここで申し上げております私の言葉をひとつお信じ願って、よろしく御理解賜りたいと思う次第でございます。
  167. 田中昭二

    田中(昭)委員 最後に、大臣、先ほどのネズミの被害の件についてはどういうふうに思いますか。それで終わりますから……。
  168. 服部安司

    服部国務大臣 まことに認識不足で恐縮いたしておりますが、ネズミによる被害については、正直申し上げて私は初めて聞いたわけで、田中先生はいろいろな面からお調べになっての御指摘だと思いますので、関係者を集めて、どのような対策を立てるかひとつ研究をさせてもらいたい、かように存じます。
  169. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは、以上で終わります。
  170. 松本七郎

    松本委員長 竹内勝彦君。
  171. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 田中委員の質問に関連しまして、現在問題になっておる点等を含めて二、三質問をさせていただきたいと思います。もうしばらくでございますので、大臣初め会長局長、諸関係の皆さんもしばらくの間しんぼうしていただいて、ぜひ簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。  まず、大臣に若干お伺いしておきたい点がございますが、大臣は昨日共同通信社の放送協議会運営委員会に御出席になられました。その中でちょっとお伺いしたいのでございますが、公職選挙に関連させて、ラジオ、テレビの利用度を引き上げることについて自民党選挙制度調査会に検討を依頼したいというようなニュアンスのことを言われたやに伺っておりますが、一体これはどういうことを言わんとしておるのか、最初にお伺いしたいと思います。
  172. 服部安司

    服部国務大臣 昨日、共同通信社の主催の放送関係者の会合に招かれてお話をいたしました。話が終わって懇談になりまして、もっとテレビ、ラジオを利用した選挙法を取り入れるべきではないか、意見を聞きたいということでしたが、私は、これは自治省の選挙部の所管することであって郵政省の所管行為ではありませんと、第一にこう申し上げたわけです。そして、研究する考えはないかという御指摘でありましたので、私は、それでは選挙制度調査会というのがありますから、そちらの方にひとつお伝えをしておきましょうと言いましたが、この程度の話し合いであったと記憶をいたしております。
  173. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私は、ラジオやテレビといったものを大いに利用されて、政策なり主張するところを国民の皆さん方にわかっていただくということは非常に重要なことだと考えておりますし、そういった面でこれに関してどうこうということで言っておるわけじゃござい載せんが、そのことに関連させてNHKにお伺いしたいのでございます。  放送番組の中で、「総理にきく」とか、あるいは「野党党首にきく」といったもので時間を割いてやられておるわけでございますけれども、この辺は私が聞いておりましても、野党も幾つもございますし、時間的制限もやはり出てくるわけでございます。総理の御意見等々でやっていきますと、そこには政党のいろいろな状況というものがございますので、公平さであるとか、また、その内容という面に関してもいろいろと苦慮されていると思いますけれども、どういう観点においてこの放送をされておるのか、その件からお伺いしたいと思います。
  174. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  「総理にきく」という総理大臣に御出席を願う番組は、これは野党党首の番組とは別に、行政に対する最高責任者ということでお話をお伺いしているわけでございます。  また、野党党首につきましては、当然のことながら、日本の政治に重大な責任をお持ちの野党の党首の方々の御意見を聞く場所もつくるということで、双方は一応切り離して考えております。
  175. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまの件に関して論議を進めていくと大変複雑になってくると思いますので、その辺でとどめておきます。  さらに続けて大臣にお伺いしたいのですが、この運営委員会に出席をされて、FM波開放に関しては、混信対策あるいは県域局か広域局かの選択、難聴地域対策の三点について検討を急いでいる、どんな解決策をとるかきわめて早い時間に結論を出したいと、このように述べておられるわけでございますが、FM波の開放というのは一体これは全国一斉に認めていく考えなのか、それとも部分的にやっていかなければならないと考えておるのか、その辺からお伺いしたいと思います。
  176. 服部安司

    服部国務大臣 それをただいま検討を開始しているところでございます。
  177. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 このFM波開放に伴って、国内の景気刺激といった面の効果を同時に考えておりますか。
  178. 服部安司

    服部国務大臣 景気刺激にかなり効果があるのではなかろうかと私は考えております。
  179. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これは国民の電波という重要な財産でございます。そういった観点からあえてこの点をお伺いしたわけでございますが、こういった認可に当たっても決して一部の利権というようなものになってしまってはならないと考えておりますので、どうか国民の納得のいく形での御検討をいた、だきたいという点を要望しておきます。  続きまして、難視聴対策の一環としてお伺いしたいのですが、現在の難視聴世帯の中で、いわゆる都市難視と言われる人為的な作用によっての障害の世帯数あるいは最近の状況という面を含めて、簡単で結構でございますが、説明をお願いしたいと思います。
  180. 平野正雄

    ○平野政府委員 テレビ難視聴の状況について概要を申し上げたいと思います。  辺地難視聴世帯は、五十一年度末でNHKが約七十三万世帯、民放は約百九十万世帯と考えております。都市における高層建築物等による受信障害世帯数は約四十九万世帯程度というふうに推定をいたしております。  それで、辺地につきましては、NHKは毎年中継局を二百地区、辺地共同受信施設につきましては九百施設を設置いたしまして、現在一施設当たりの平均世帯数はミニサテが約百五十五世帯、辺地共同受信施設は約七十世帯にまで減少いたしております。また、民放につきましても五十年一年間で四百八十九局置局をしておるわけでございます。  都市受信障害につきましては、当事者間協議によりまして、その大部分が解決されてきておるというような実情でございます。
  181. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 過去の障害例から、この難視聴の障害になる悪い方の例を何点かちょっと説明をお願いしたいと思います。
  182. 平野正雄

    ○平野政府委員 受信障害でございますが、テレビジョン放送の良好な受信が本来ならば可能である地域におきまして、高層建築物等の影響によってその受信が困難となる状況のことを一般に受信障害というふうに言っておりますが、このような受信障害原因になります構想建築物等――これは都市受信障害の場合でございますけれども、高層建築物等といたしましては、高層建築物、高速道路、高架鉄道、ゴルフ練習場――これは金網でございますが、それから送電線、鉄塔、橋梁などがございます。  また、受信障害は大別いたしまして、放送電波が高層建築物にさえぎられまして受信電界が低下することによって生じます遮蔽障害とテレビジョン電波が反射されて生ずる反射障害、大きく分けましてこの二つの種類になろうかと存じております。
  183. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その中で、高圧鉄塔の建設に伴って、テレビの難視、二重映り等といったことを聞いておるわけでございますが、全国的な被害がどうなっているか、代表例で結構でございますが、最近のものを掌握していたら教えていただきたいと思います。
  184. 沢村吉克

    ○沢村参考人 送電線障害のいままでの実績と申しましょうか、個々の障害についてはなんでございますけれども、四十四年度から五十一年度まで約七年間に生じまして、また、これを解消いたしました障害世帯数は約三十七万世帯というふうに把握をいたしております。  さらに、最近でございますと五十二年度、当年度中に百十四件ほど私ども協力、指導をいたしまして、それに関連いたします世帯数として七万世帯ほどがございました。
  185. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その中で、私もこの前見てきたわけでございますが、私の住んでいる京都市で、山科あるいは伏見区の醍醐方面といったところで最近電力会社が高圧の鉄塔を建て、送電線のためにテレビの画面が完全に二重になってきている。私が見たものでももう四センチぐらいの差になって全然わからないというような、顔が二つになっているという事態になっておりますし、また、一部報道されておるもので見ておりましても、これは一万五千世帯からの映りが悪くなったと聞いておるのでございますけれども、その件に関しての内容を一体どのように掌握しておるか、概略御説明いただきたいと思います。
  186. 沢村吉克

    ○沢村参考人 御指摘の京都市の山科、伏見地区におきます送電線障害については、私どももつい最近現地の方で申し出を受けまして調査をいたしたわけでございます。  たしか三月ごろに鉄塔、送電線の建設が行われたようでございまして、おっしゃるように山頂に超高圧送電線の鉄塔が新たに設置されて、そのために生駒から参ります電波がこの鉄塔、送電線によりまして反射いたしまして山科、伏見区の受信者に妨害を与えている、生駒から直接受信者の御家庭に届きます電波よりもある程度おくれまして反射した電波がまた受信機に入ってくるということで、先生がおっしゃるようにかなりおくれた位置に同じようなゴーストが出てくるという現象を呈しておるわけでございます。  送電線で起こしました障害といたしましてはかなり規模の大きなものだというふうに私どももつかまえておりますし、現在、関西電力と地元とNHKも入りましてこれの改善策について検討を進めておるところでございますし、いままでの電力会社さんの実績といいましょうか、こういうものに対して処置してこられました実態から申しまして、早急な解決が図られるものだというようにわれわれも期待しながら技術的な面で御協力申し上げている次第でございます。
  187. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私の調査したものでも、三月の中ごろにこの鉄塔ができて、そのころからおかしくなってきて、そのときに同時に、国鉄の方の高圧線がいままで低いものが民家の近くにあってどうも危なくてしょうがないという意味から、それを高くしますというのが、やはり同じように本来なら二月ごろからやろうと言っておったのが三月の中ごろあるいは下旬にかかってそういったことをやった。これは両方のものが関連しておるんじゃないかというようなことも言っておりましたけれども、三月の中旬からもうすでにいま五月の終わりでございますし、二カ月以上もたっておるわけでございますけれども、一体その対応をどのようにするのか。  いまどういうところまで行っていますというはっきりした報告を受けておると思いますが、その辺の内容をもう一度聞かせていただきたいと思います。
  188. 沢村吉克

    ○沢村参考人 対策の原則的な点につきまして、地元の方と関西電力との当事者閥におきまして原則的な話し合いがついたというふうに伺っております。
  189. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私はこの前の日曜日に行ってみたのでございますが、その時点においては二カ月たっていたけれども、一回、その電力会社のビラで、大変御迷惑をおかけしていますが、これに関しては一体どうなっておるのかということの調査を慎重にした上で、これを解決できるように万全の状態に持っていきますというおわびのビラが配られた。その後何にも言っては来ておりませんが、一体いつめどがつくのかという面もわかりませんと――その家にはお年寄りの方もおりましたけれども、いつもテレビを唯一の楽しみにしておるのが野球も見れませんというようなことで、非常に困っておるという事情を私は聞いてまいりました。  同時に、その家の奥さんでございますけれども、この人がその町内会の班長を務めておるということで自発的に調べさせてもらったら、三十九軒調べたら三十七軒まですべて二重映りです。あとの二軒というのはNHKが二重映りです。あるいは民放のテレどの一局だけが二重映りですというようなことです。  同じ町内でもそこのところはほとんど映らないところでございますけれども、映るところも出てきているわけですが、こういった面をどのようにお考えでございますか。
  190. 沢村吉克

    ○沢村参考人 先生のおっしゃいますような実態は、私は必ずしもまだ詳細に報告を受けておりませんから的確な御返事はいたしかねますけれども、いままでこういう反射障害に対しまして私どもが何らかの指導なり対策を講じましたときの経験から申しますと、アンテナの位置がちょっと変わりますとかあるいは向きがちょっと変わるということで、あるチャンネルは被害がないけれどもあるチャンネルはひどくなるとかいうようなことは非常に多うございます。ですから、アンテナの位置なりで、お隣の方はいいけれども私のところはだめだというようなことは、こういう現象の常としてあることだと思います。
  191. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 確かにこれは原因者負担なんだと言ってしまえばそれまででございます。しかし、先ほどもわが党の議員から話もありましたように、国民NHKとして国民に支えられてやってきておる。しかも、国民受信料に支えられて運営をしてきておるわけでございますし、いま現に二カ月以上も映っていないのですよ。映っていないと言ったら語弊があるかもわかりませんが、映っているのだけれども見るにたえない、このまま見ていたのでは目が悪くなるというような事態をこのままほっておいて果たしていいのかどうか。いろいろと事情は聞いておると言いますけれどもNHKとしてもそこにもう一歩の積極的な調査をしていかなければならないと思います。  あるいはその二カ月間、あるいはこれから三カ月になるか四カ月になるかわかりませんが、受信料は一体どうするのか。そういった面からもいろいろ考えなければならないと思いますけれども、この面に関してNHK及び電波監理局の考え方を私はお伺いしたいと思います。
  192. 沢村吉克

    ○沢村参考人 私ども原因者負担の原則ということで放置しているつもりは毛頭ございませんで、受信アンテナの御指導も申し上げますし、あるいは対策の御指導も申し上げておるわけでございますが、先生も御承知のように京都府の中の現象でございまして、私の方の京都のローカル局と申しますか、広域圏内のUの京都の放送局も実は同じところにサービスはされておるわけでございます。  ですから、Uをお受けになっている方は余り問題はなかろうと思いますけれども、従来どおりUをお受けにならないで生駒のVだけに頼っていらっしゃる受信者の方は先生がおっしゃったような問題が残っておるわけでございまして、NHKだけのことでございましたらUの受信アンテナをつけるような御指導を申し上げれば解決しようかと思います。しかし、それだけで大阪の民放を受けぬでもいいとは必ずしもおっしゃらないと思いますし、その辺も含めましてさらに御指導を申し上げていきたいと思う次第でございます。
  193. 平野正雄

    ○平野政府委員 郵政省といたしましては、送電線によるテレビ受信障害の解消につきましても、建築物と同様に原因者負担という考え方を貫いておりまして、各電力会社とも従来からこの線に沿って対応を講じてきておるわけでございます。  電気事業連合会の調査によりますと、全国九電力会社によりまして昭和四十四年度から五十一年度末までに対策世帯の合計が約三十七万というふうに言っておりまして、この期間において問題になったものはほぼ処理が済んだというようなことでもございますし、さらにNHKの協力もあるわけでございますけれども、長年のそういうふうな実績を踏まえまして、各電力会社とも障害の予測が相当程度までできるようになっておるというふうに承知をしておったわけでございますけれども、今回の場合は、関西電力から聞いたところによりますと、発生区域が送電線から斜め方向に生じてしまった、それで並行した部分については実は生じなかったためにちょっと予測が間違った、本来ならばあらかじめ障害の予測をして送電線の建設当初から対策をとるのが普通であるのにまことに申しわけないと、こういうような考え方を述べておるわけでございます。  したがいまして、郵政省といたしましてはせっかく促進方を話しておりますので、もうしばらくひとつ御了承をいただきたいと思っております。
  194. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この問題は何も京都だけの問題ではございません。先ほどのNHKの方の御回答でも京都にはUHFがあるということで、私もUHFも見ておりますが、だが、大阪からのVHFで十分映るわけでございますので、Uに回してそしてまたUの方のものに合わせていくということをやっておるところはほとんど少ないですよ。場合によっては見ておる人もあるわけでございますけれども、しかし、Uの方に合わせていくとなると一回回しただけではならないということで、民放のUもございますからそちらの方に合わせておくと次は回していかなければならないというような事態で、Vの方を利用している率の方が非常に多いことは確かでございます。  同時に、ここにいただいた資料でも、たとえば五百キロボルトの送電線ということでつけたところ、たとえば千葉県の例におきましては一万三千百世帯、あるいはまた埼玉県、群馬県、栃木県等のところで出た問題では二万四千世帯というような莫大な世帯が障害になっている。もちろんそれに対しては共同アンテナなりあるいはアンテナ対策ということで解決をして言うておりますが、しかし、それ以外においても幾つもこういった問題が出てきております。なおかつビルの問題であるとか、あるいは新幹線というような国鉄のものに関連させても、複合的にこういった問題は今後も出てくるおそれのある問題でございます。したがいまして、これは何らかの対策を立てていかなければならないのじゃないかと思うのです。  いますでに二カ月以上もたっているのですが、それでも楽しみにしておるテレビも見られないというような事態では、受信料を取っておるNHKとしても、あるいはまた郵政省としても、国民に奉仕していくという面に関して何らかの措置をとっていかなければならない。こういった面に対して今後どういうふうにやっていくのか。京都のみのことを言っているのじゃなしに、NHK考え方郵政省考え方と両方お伺いしたいと思います。
  195. 坂本朝一

    坂本参考人 これは協会の経営にも非常に大きな影響のあることでございますので、その点につきましては、営業総局の営業技術とそれから技術本部の難視聴対策本部が一体となりまして、仮にこちら側の技術的な面で解決できる面があればそういう点を当然工夫すべきですけれども、現状といたしましては大半が原因責任ということにならざるを得ないので、そこら辺のところを強力に原因者の方に改善方をお願いするということで努力しておるわけでございまして、この姿勢は今後といえども一日も早く具体的に改善できるべく努力するということに尽きるかと思いますので、なお一層努力したいと思っております。
  196. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 映らない間の受信料はどうしますか。
  197. 坂本朝一

    坂本参考人 そこら辺のところは、現状といたしましては御納得いただいてからいただくということもございますし、また、どうしてもぐあいが悪いということになれば、それを何らかの形で補てんしていただくというようなことがたとえば航空障害等の場合にはあるわけでございますけれども、そういうことにならないように努力すべきだろうというふうに思っております。
  198. 服部安司

    服部国務大臣 送電線によるテレビ受信障害につきましては、全国の九電力会社で累積対策世帯数が約三十七万と聞き及んでおりますが、ここで原因者負担だから原因者で措置すればよいという考えは毛頭持っておりません。  ただいま御指摘のとおり大変重大な問題でありますし、国民の日常生活の立場を考えるとこれは急ぎ解決をせねばならないので、私は、電波監理局を通じて関係機関、すなわち電気事業連合会などとも緊密な連携をとらせて、万全の措置を講ずるように強く要請をいたしたいと考えております。  それには、障害の程度に応じて、有線による共同受信施設とか、またいろいろなアンテナ対策などを講じて、きわめて早い時期に解決をつけるように要請をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  199. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひ前向きにこの問題に取り組んでいただきたいと思います。  同時に、今後複合的にこういった問題が出てくるおそれが十分あるという意味から、何らかの法的な措置で検討に入っていかなければならないのじゃないかというようにも私は考えますが、その辺の御検討はぜひよろしくお願いしたいと思います。  同時に、そういった鉄塔を建てるということでも、電波監理局としても十分キャッチしておる問題であるわけでございますし、そういう計画があるという段階でその周辺の人たちにPRしてわからせるとか、そして何らかの障害が出てきた時点で速やかにそれに対応できるというような、そういった情報もつかんでいけるような体制が必要だと思います。あるいはNHKによってそういったPRをしていくとか、何らかのそういった問題があったならばぜひ連絡をいただきたいというような形でやっていくとか、そういうような面を考えていく必要があるのじゃないかと思いますので、そういう面を踏まえて、この問題に関してはぜひ善処をお願いしたいと思います。  同時に、最近、電波ジャックだとか、あるいはまたハム等によって電波に影響が出てきており、テレビだとかステレオや電話にまで障害が出てきているという例もあるわけでございますが、先ほどの論議にもありましたとおり、成田の問題も国民の重要な電波というものと関連して今後いろいろと大変重要な問題になってくるわけでございますので、その辺は今後の検討をぜひお願いしたいと思います。  そういう意味で、最後に御決意郵政省NHKと両方からお伺いして終わりたいと思います。
  200. 坂本朝一

    坂本参考人 受信妨害、障害の問題のみならず、成田に関連するようなことが放送の送信にも必ずしも無縁ではないという認識のもとに、私といたしましては警備体制その他も十分万全を期しておるつもりでございますし、いまおっしゃるような点について将来にわたってさらに一層の努力をしたいと思う次第でございます。
  201. 服部安司

    服部国務大臣 ただいまの御指摘の問題はすべてきわめて重要な国民生活に関係の深い問題でございますので、関係機関を督励いたしまして万全の措置を講じ、御期待にこたえられるように努力をしたい、かように考えておる次第でございます。
  202. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 どうもありがとうございました。
  203. 松本七郎

    松本委員長 次回は、明二十五日木曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会