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1978-02-22 第84回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十二日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 大坪健一郎君 理事 奥田 敬和君    理事 塩崎  潤君 理事 井上 一成君    理事 土井たか子君 理事 渡部 一郎君    理事 渡辺  朗君       稲垣 実男君    川田 正則君       佐野 嘉吉君    竹内 黎一君       河上 民雄君    久保  等君       美濃 政市君    中川 嘉美君       寺前  巖君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         外 務 大 臣 園田  直君  出席政府委員         防衛庁長官官房         防衛審議官   上野 隆史君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         外務政務次官  愛野興一郎君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アメリカ         局長      中島敏次郎君         外務省欧亜局長 宮澤  泰君         外務省中近東ア         フリカ局長   千葉 一夫君         外務省経済局次         長       溝口 道郎君         外務省経済協力         局長      武藤 利昭君         外務省条約局長 大森 誠一君         外務省条約局外         務参事官    村田 良平君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君         外務省情報文化         局長      加賀美秀夫君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課長    中戸 弘之君         外務大臣官房外         務参事官    枝村 純郎君         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ————————————— 委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   松本 善明君     不破 哲三君 同月二十日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     松本 善明君 同月二十一日  辞任         補欠選任   川崎 秀二君     小坂善太郎君 同月二十二日  辞任         補欠選任   松本 善明君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     松本 善明君     ————————————— 二月二十一日  看護職員条約批准等に関する請願(山田太郎  君紹介)(第一四二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告を申し上げます。  本委員会委員として国際問題に深い関心を寄せられ、御活躍をいただいておりました川崎秀二君が、けさ順天堂病院において逝去せられました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。  ここに、委員各位とともに、故川崎秀二君の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。  御起立を求めます。——黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 永田亮一

    永田委員長 黙祷を終わります。ありがとうございました。御着席を願います。      ————◇—————
  4. 永田亮一

    永田委員長 この際、委員長より申し上げます。  最近の国際情勢複雑化に伴い、国会提出条約が増加していく傾向の打開について、数日来理事会で協議してまいりましたが、本日協議が整いました。よって、委員長から理事会の申し合わせに沿って政府に要望いたします。     条約提出促進に関する件   近年、国際関係緊密化を反映して、多数の国際条約が作成されており、このため国会提出条約が増加しつつある。よって、政府は未提出条約を速やかに検討、選別の上、国会提出し、作業の遅延、渋滞による状況の解消に努めるべきである。 以上であります。  外務大臣は、未提出条約の処理について、右の趣旨を勘案されて早急に善処されるよう望むものであります。  本件について、外務大臣の所見を求めます。外務大臣園田直君。
  5. 園田直

    園田国務大臣 ただいま委員長から御指摘をいただきましたとおり、近年条約作成件数は増加しつつあり、このような趨勢は今後一層強まるものと考えられます。すでに作成された多数国間条約で、わが国として締結することが適当と考えられながら、国内法制との調整の必要性、限られた事務体制から来る制約等理由によって、国会への提出に至らないまま推移しているものが少なくありません。しかしながら、今後一層緊密化する国際関係わが国が効果的に対応していくために、理由のいかんを問わず、未締結条約山積の現状をこのまま放置しておくことは許されません。  政府としては、ただいまの委員長の御発言趣旨を踏まえ、関係条約についての検討をさらに促進し、その締結が適当と考えられる条約については、新規の条約及びすでに採択済み条約の双方につき、今後逐次、できる限り速やかに国会の御承認を求める手続をとるべく努力してまいる所存でございます。  なお、申すまでもなく、条約締結促進に当たり、立法府及び行政府が果たすべき役割りはあたかも車の両輪のごときものでありますので、条約締結促進のためにも、今後とも当委員会の御理解ある御協力を、この機会をおかりしてあわせてお願いする次第でございます。(拍手)      ————◇—————
  6. 永田亮一

    永田委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  7. 土井たか子

    土井委員 防衛庁の方の防衛局長、御出席でいらっしゃいますね。  それでは、まず防衛局長お尋ねをさせていただきます。  日本国憲法から考えまして核兵器というのは保持できるようになっておりますか、いかがでございますか。
  8. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 憲法からいたしますと、攻撃的兵器というようなものは持てないということになっております。したがいまして、その核兵器そのものが攻撃的か防御的かという問題になろうかと思います。しかしながら、従来から核兵器というものはきわめて破壊的な、大きな破壊力を持っておりますし、また通常戦略核兵器のように、これは防御するというよりは相手に大きな破壊を与えるということによって抑止力となっている兵器でございますので、戦略核兵器は持てない。しかしながら、これは国会でもかつて御答弁がありましたように、純粋に防御的な核兵器というものがあるとするならば、それは憲法に違反するものではない、しかしながらわが国非核原則の政策をとっておりますので、核兵器は持てないというふうに考えております。
  9. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁からするともう一つあいまいなところが残るわけでありますが、もう一度お尋ねいたします。憲法から考えまして核兵器というのが持てるか持てないか。つまり憲法から考えて、法理的にどうなのかという点をもう一度確かめたいと思います。
  10. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは憲法の問題でございますから、法制局から御答弁いただくのが適当かと思いますけれども、従来の国会の御答弁におきまして、また政府解釈といたしまして、憲法はすべての核兵器を否定するものではないというふうに申し上げているわけでございます。
  11. 土井たか子

    土井委員 すべての核兵器を否定するものではない。  その次に、それじゃ否定されていない核兵器というのはどういうことになるのですか。
  12. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 核兵器が開発されましてから非常に小型化されてきた時代がございます。そのころの答弁でございますが、純粋に防御的な核兵器というものが仮に存在するとするならば、それは必要最小限自衛力の範囲に入ると解釈されるという御答弁を、これは防衛庁からか法制局からかちょっと記憶いたしておりませんが、国会で御答弁申し上げたことがあります。
  13. 土井たか子

    土井委員 そういたしますと、防衛庁とされては、従来から憲法第九条のもとで戦術核兵器ならばこれは合憲である、憲法から考え戦術核兵器の場合は持てるんだ、憲法違反ではないというふうなお考えで今日まで来られておるわけでありますね。
  14. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それはそうではございませんで、戦術核兵器の中にもきわめて大きな破壊力を持った戦術核兵器があるわけでございます。その中でもさらに純粋な防御的な兵器であれば憲法の否定するものではないということでございますので、いま先生がおっしゃいましたように戦術核というものを総合して述べているわけではないわけでございます。
  15. 土井たか子

    土井委員 私はどの程度の兵器がどういうことかということをお尋ねしているわけではないので、憲法法理上、従来から戦術核兵器については、憲法第九条のもとでこれを持てるというふうに理解してよろしいという法理的な解釈というのが、今日までこの国会答弁の上で出てきている。このことを先ほど局長はお確かめになったわけでありますから、防衛庁もそのお考えですねということを私は確かめさせていただいているわけです。よろしゅうございますね。
  16. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 戦術核の中でも、純粋に防御的なものであれば憲法の禁止するところではないというふうに申し上げているわけでございます。
  17. 土井たか子

    土井委員 要するに、戦術核であることには変わりがないわけであります。防御的であるか攻撃的であるかということはいずれといたしましても、戦術核そのものについて、これを持つことを憲法は禁止していないという理解は従来どおりで間違いのないところですね、そうでしょう。ふんふんとうなずくばかりでなくて、はいとおっしゃってください。
  18. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 核兵器を大きく分けまして、戦略核兵器戦術核兵器というふうに分けますならば、戦術核兵器ということになります。
  19. 土井たか子

    土井委員 そこで、外務省の方にそれではお尋ねをいたしたいと思いますが、核拡散防止条約について非核保有国締結いたしまして、そして非核保有国についてこの核防条約締結いたしましてから後、戦術核兵器というものを持ってよろしい、持つことができるようになっているかどうか、この点はいかがでございますか。
  20. 大川美雄

    大川政府委員 核拡散防止条約締約国である非核兵器国が、いまのように核兵器を持ってよろしいということではございません。
  21. 土井たか子

    土井委員 日本はこの核防条約締結している国でありますか、どうでありますか。
  22. 大川美雄

    大川政府委員 日本核防条約締結国でございます。
  23. 土井たか子

    土井委員 そういたしますと、わが日本としてはこの核防条約締結後は、法理論上から申し上げましても、この核兵器というものを一切持つことができなくなったというふうに考えなければならないし、今後も持つことはできないと考えなければならないと思いますが、外務大臣、いかがでございますか。
  24. 園田直

    園田国務大臣 お答えをいたします。  憲法上の議論からすれば、なかなか議論のあるところでありますが、いま御指摘核条約及び非核原則という二重に制約をされておりますから、私としては、核兵器小型であろうと大型であろうと持ってはならぬ、このように解釈をいたします。
  25. 土井たか子

    土井委員 いま外務大臣がおっしゃったのは、非核原則核防条約立場からすると、大型であろうと小型であろうと、核兵器を持つことは日本としてできないというお立場を鮮明にされているわけでありますけれども、これはただいま憲法の第九条からしたら、戦術核兵器は持てるという法理論も、実は核防条約の上から考えて、非核原則の上から考えて持てないということとオーバーラップしまして、法理論上持てないというふうに考えなければいけないのじゃないかと私自身は思います。いかがです。憲法九十八条では、締結した条約というのは日本は遵守する義務がございます。これは憲法上の法理です。憲法上の法理ということから考えれば、核防条約締結した日本としては、どういう核であるにしろ核兵器を保有することはできないとなっているわけでありますから、それからすれば、憲法第九条の法理から考え戦術核というのはいまだに持てるんだというお考えというのは、まさに矛盾している、おかしいと言わざるを得ないのでありますが、この点いかがでございます
  26. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 従来憲法九条の解釈上の問題として、私ども法制局とその解釈について話し合ってきておりますが、いまのお話でございますと、条約締結している限りは持てないというふうに考えております。
  27. 土井たか子

    土井委員 条約締結した以上は持てないというのは、憲法の九条から考えて持てないとなっているというふうに御確認をいただいたことになりますか、いかがですか。
  28. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 九条の解釈からするならば、いかなる核兵器も排除するものではないという解釈であろうと思います。
  29. 土井たか子

    土井委員 九十八条の憲法条文をお読みになると、この憲法の条規に反した処分というのは一切無効になるわけでございますよ。しかもその次、九十八条の二項では、日本締結した条約は誠実に遵守する義務というものを日本日本国憲法がきちっと明定しているわけでありますよ。それからすると、核防条約日本締結した、核は一切持てない、核兵器は大小問わず一切持てない、このことを条約の内容がきちんと明記しているわけですよ。これは非核保有国である日本義務なんです。これを誠実に遵守すべきであるということを憲法が決めている九十八条に従って、第九条でも持てないということを法理上言わざるを得ないんじゃないですか、どうです。
  30. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 そのことにつきましては法制局からお答え申し上げるのが適当だと思いますけれども、いずれにいたしましても私どもは、核兵器を持つという考えは一切持っておりませんので、法制局の方ともその点につきまして確かめてみたいと思っております。
  31. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁はまたあいまいでございまして、これひとつ、それじゃ法制局ときちっと詰めていただいて、政府統一見解というのをこの節明らかにしておいていただかないと、私は、大変これは意味が大きいと思うのです、重大だと思うのです。  外務大臣お尋ねをいたしますが、この節各国から、八〇年になると日本核兵器を持つのではないかという大変な疑義を日本は受けているわけであります。御承知のとおりだと思います。  いままでジュネーブ会議を初めとして、軍縮会議の席で、日本攻撃用核兵器は持たないけれども防御用戦術核兵器というのは持てるのだというふうな説明を、核兵器についてなすってきたのでありますか。核軍縮については徹底的に日本としては、これは核を廃棄するという方向での提唱をなすってきたはずであるとわれわれは理解しております。ですから、こういうことについていかがなんです。国際会議においては、日本は、戦術核兵器日本国憲法法理上は持てる国なんだという説明を核についてはなさるわけでありますか。核について、戦術核戦略核を区別して、攻撃用防御用を区別してこの問題に対処をいままで国際会議ではなさったわけでありますか、またこれからもなさるわけでありますか。
  32. 園田直

    園田国務大臣 お答えいたします。  国際会議でいまのような発言をしたこともありませんし、これから発言する意思もございません。  いまの御指摘のことについて申し上げますならば、憲法九条だけ限定して見ると、法制的、法理論的な問題はあるかもわかりませんが、いまおっしゃいました結んだ条約は遵守しなければならぬ、それから憲法各所に、日本国民の生命と財産を守るということが書いてあるわけでありますから、この精神からいっても、小型大型であろうと、条約を結び、非核原則の今日、憲法からいっても私は大型小型は持てない。この前の大戦の末期に、危急存亡のときに、江田島にイペリット、ルイサイト、ホスゲン、こういう毒ガスがございました。これを使うか使わぬかという議論があったわけでありますが、そういう際にさえも日本は使わなかったわけでありまして、まして小型であろうとも、日本国民に被害を与えるおそれのあるようなものは、憲法精神からいっても、いまおっしゃいました憲法各所条文からいっても私は持てない、このように申し上げておきたいと思います。
  33. 土井たか子

    土井委員 憲法趣旨からいっても持てないというふうに外務大臣としてはお考えになっているわけでありますが、これは再度防衛局長の方に確認をして、ひとつはっきりさせておいていただきたいのは、憲法第九条の法理的な解釈とおっしゃいますが、憲法法理というのは、憲法全体から見てその条文法理的解釈というのは出てくるわけであります。第九条の文言解釈という点から、従来は防衛庁とされても法制局と詰めの上、戦術核兵器というのは第九条の文言解釈の上で持てるのではないかという見解で、今回までこの国会答弁を続けてこられました。でも、第九条それ自身の、第九条に対する法理的な解釈というのは、憲法九十八条や、あるいはいまの外務大臣の御答弁憲法十三条という問題とも関連して考えなければいけないわけであります。憲法全体から考えなければいけないわけであります。そういう立場からしても、日本国国内法最高法規である日本国憲法は、この戦術核兵器というものを持つことを許してない、戦術核兵器というものを持つことを禁止している。持てないように憲法の第九条は法理上これを定めているというふうに解釈しなければならないのじゃないか、このように思います。  ひとつこれはもう一度、先ほど法制局と詰めるというふうなお話をされましたが、よろしゅうございますね、これ、きっちり詰めていただきたい。いまここで実は憲法に対しての法理的な認識をきちっと持っていただけるならば、防衛局長からはっきりした御答弁が得られてあたりまえでありますが、いかがです、局長、もう一度その点についての答弁をしていただきたいと思います。
  34. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま外務大臣から御答弁がありましたとおりに、私ども考えております。
  35. 園田直

    園田国務大臣 ちょっと先ほどの御質問に落としたことがありますので、お答えをいたします。  世界のある国々で、日本が核を持つのではなかろうかという不安があるという話でありましたが、実際にそう思われまして、そういう質問を受けたことが二、三回ございます。総理質問を受けたことがございます。そこで、総理、私は、その際、日本国憲法によってそういう核は絶対に持ちません、その証拠は日本国憲法であります、こういうふうにお答えをしておることを御報告いたします。
  36. 土井たか子

    土井委員 大変園田外務大臣ははっきりその点はなさっているのでありますが、園田外務大臣がはっきりその点をわきまえておられればおられるほど、防衛庁法制局見解とにずれが出てくるわけであります。法制局防衛庁はいままで、戦術核兵器は持てる、憲法第九条のもとで持てるというお立場で臨んでこられたわけでありますから、この節、防衛庁、さらには法制局見解を変更させていただかなければ困るわけであります。どうです、防衛庁としては、いままでの見解と違ってまいっておりますね。
  37. 園田直

    園田国務大臣 私が弁解する立場でありませんが、防衛庁から答弁しましたのは、最初に土井委員から憲法論議を吹っかけられて、九条だけだということで、九条にはどこにも書いてありません、こういう意味で、実際は防衛庁の方も、大型小型にかかわらず持てない、こういう解釈には間違いないということでございますので、御了解を願いたい。
  38. 土井たか子

    土井委員 せっかくの外務大臣のお言葉でございますけれども外務大臣防衛庁長官じゃないので、その点は、防衛庁法制局見解というのは、今日に至るまで、国会答弁では、憲法戦術核兵器は持てるという御見解を持ち続けてこられたわけでありますから、このただいまのいろいろな質疑で、この点が改めて変更されるというかっこうになります。この点をはっきり御確認をしておいていただかないと、外務大臣からのいろいろな注釈は、もうすでに私は外務大臣答弁をはっきりいただいておりますので、不要であろうかと思います。防衛庁、よろしゅうございますね。
  39. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先ほど来外務大臣が御答弁申し上げたとおりに、私ども考えております。
  40. 土井たか子

    土井委員 そうすると、その点は、従来とはこの解釈が違ってきたということをはっきり確認せざるを得ないわけであります。ひとつ法制局とも詰めて、統一見解というのを改めてはっきり出していただけませんか。よろしゅうございますね。
  41. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 法制局とも打ち合わせてみたいと思っております。
  42. 土井たか子

    土井委員 従来、この核防条約趣旨からいたしますと、核保有国核軍縮を、手をこまねいて待っているわけにはいかないということで、非核保有国核保有国を引き込むような核軍縮提案をすべきである、そういう提案こそ大変大切である、また、そういう時期に来ているのだという認識が非常に強くこの背後にはあるということを、私たちとしては知っておかなければならないのじゃないかと思うわけであります。  そこで、わが国は、先日来、予算委員会の席を通じましても、福田総理の御答弁の中に、非核原則というのは憲法に準ずる国是であるということをはっきり御答弁されてまいっております。そういうことからすれば、過去、日本としてはこれは国是国是だと、非核原則に対して国内ではこの認識は非常にはっきりしておりますし、このことに対する認識は非常に高いということを言わなければならないわけでありますが、さて、国際会議の席で、国際的に日本という国は非核原則の国であるということが十分に認識され尽くしているかというと、私はまだこれからの感があると言わざるを得ないのじゃないかと思うのですが、いままで国際会議の席で、特に軍縮会議なんというのは卑近な会議だと思いますが、そういう席で日本としては非核原則の国であるということを鮮明にされた、そのことを提唱されたという例がございますか、いかがでございますか。
  43. 園田直

    園田国務大臣 私の記憶に間違いがなければ、いままでも国連演説の中でそういうことに触れたことはあると思いますが、しかし明確ではございませんので、今度の軍縮総会では、総理がお出になるか私が出るかわかりませんけれども、いまのような御意見は、世界各国のいろいろな質問に対してもこれは鮮明にすべきチャンスではないかと考えますので、十分検討して、やりたいと思います。
  44. 土井たか子

    土井委員 もう外務大臣から、近く開かれる軍縮会議の席ではその点をはっきり鮮明にさせたいという御答弁をいただいておりますので、蛇足になるかもしれませんが、外務省担当局長が御出席であるかどうかよくわかりませんが、——いらっしゃいますね。いままで国連の席であるとか各国のこういう会議の席で、日本としては非核原則というものを国是として持っているというふうな意味を鮮明にされ、これを国際的にはっきり提唱されたという例がございますか。
  45. 大川美雄

    大川政府委員 昨年の国連総会、第三十二回総会でございますけれども、その際におきます日本鳩山外務大臣一般討論演説の中で、こういうことを申しております。「わが国は、自ら、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずとの非核原則を堅持しておりますが、さらに、核戦争防止に貢献すべく、核拡散防止条約締約国となったのであります。」こういうことを申しております。  なお、ジュネーブ軍縮会議におきましても、この趣旨発言をしたことがございます。
  46. 土井たか子

    土井委員 その二回限りだと思いますが、いろいろな提案が外国からあればそれにこたえてという意味ではなくて、やはりわが国世界に先駆けて、特に非核保有国の中でも憲法第九条を中心にした平和憲法を保持している国であり、先ほど来外務大臣が鮮明にされたとおり、大小を問わずあらゆる核兵器というものを日本憲法上保持できないという国であり、非核三一原則の国であるという立場から、核はつくらず、持ち込ませず、そして持たずというこの非核原則の内容というものをひとつ徹底的に鮮明にさせていただきたい、このように思っておりますが、外務大臣、よろしゅうございますね。
  47. 園田直

    園田国務大臣 お答えいたします。  このたびの国連軍縮総会では、日本は三つ、一つは、核の洗礼を受けた悲惨な唯一の国であること。一つ、憲法。一つ、非核原則。この三つを柱として核廃絶ということを訴える舞台である、私はこのように考えておりますので、そういう方針のもとに大体検討するつもりでおります。
  48. 土井たか子

    土井委員 ひとつそのことをはっきりと軍縮会議の席でも鮮明にしていただくことが、日本にとっては大変に大事な問題であろうと思います。それを一つは確認をさせていただきます。  さて、きょうブレジネフ書簡というものがもたらされているやにわれわれはニュースで聞き知っておりますが、このブレジネフ書簡は、すでにもう政府に手渡されたわけでありますか。いかがでございますか、外務大臣
  49. 園田直

    園田国務大臣 きょうの十一時から、在京のポリャンスキー大使が書簡を持ってくるはずでありますから、ただいま会っておる最中であると思います。  その結果は、直ちに当委員会に報告するように言ってありますから、参りましたら、また改めていまの御質問お答えをしたいと思います。
  50. 土井たか子

    土井委員 そういたしますと、少しここで私はこの質問を保留にさせていただいたまま、あと、御報告を受けてさらにその部分の質問を続行させていただくということにお願いを申し上げたいと思います。委員長、よろしゅうございますか。
  51. 永田亮一

    永田委員長 はい、わかりました。  井上一成君。
  52. 井上一成

    ○井上(一)委員 総理大臣は、二十日の予算委員会において、日中平和友好条約締結交渉について、再開するための段取りを中国側と詰めるように、佐藤大使に十八日新たな指示をした、こういうふうに述べられていらっしゃるわけでありますが、この日中の条約交渉は旬日を待たずして再開されるものと期待してよろしゅうございますか。
  53. 園田直

    園田国務大臣 御期待に沿うごとく最善の努力をいたしておりますが、指令の内容は申し上げるわけにはまいりませんけれども、佐藤大使が韓念竜氏ともう一回か二回会えば大体見通しはつき、交渉再開の方向に向かっていくのではないかと思っております。
  54. 井上一成

    ○井上(一)委員 佐藤大使と韓念竜外務次官との会談は、今週にも開かれるというふうに聞き及んでいるわけでありますけれども、大体のめどがついているのかどうか、あるいはこの会談で条約交渉の再開のめどがつくとお考えでいらっしゃるのかどうか。
  55. 園田直

    園田国務大臣 両氏の会談が今週じゅうになるか来週になるかは、相手のあることでありますからちょっと見当はつきませんが、そう遠くはないと存じます。  なお、ここで会談ができますれば、うまくいけばこれで最後の詰めが終わるのではなかろうか。これでできなければもう一回ぐらい、こういうふうに見当をつけておるところでございます。
  56. 井上一成

    ○井上(一)委員 外務大臣はこの日中平和友好条約については大変御熱心に、かつまた真剣に取り組んでいらっしゃるということについては、私も一定の評価をいたしておるわけであります。でき得る限り早い時期にその成立を、成功を見たい、こういう考えはもう毎回申し上げるとおりでありますけれども、ここで最終の詰めに入り、そして条約の調印という段取りになりましたら、ひとつ中国側の政府代表を日本に招いて、東京でその条約の調印をぜひ実現することが、両国の友好をあかす意味でも非常にいいのではないだろうかという、私は私なりの考え方を持っているのですけれども外務大臣の御所見を承りたい、こういうふうに思うわけであります。
  57. 園田直

    園田国務大臣 ただいま井上委員の言われましたことは、そのようなことが実現をすれば両国にとって、特に日本国民の中国に対する理解が深まると思って、私もその方がいいと思いますものの、これは相手のあることでありますから、両方の相談で決まることでございますが、しかしいまおっしゃいましたようなことが実現できればいい、こう思っております。
  58. 井上一成

    ○井上(一)委員 ひとつぜひそういうことが実現して、日中両国の友好を深く示していただくように期待をいたします。  さて、私は南アフリカに対する貿易の問題で二、三質問をいたします。  昨日の新聞で伝えられるところによりますと、電源開発株式会社が南アフリカ共和国との間で年間約百万トンの一般炭の輸入の商談を進めているということでございます。このことについて政府は承知をしているのかどうか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  59. 園田直

    園田国務大臣 先般アフリカを訪問いたしました河野ミッションのことで新聞報道されましたので、私非常に心配をしておりましたところ、現地からの電報がその後到達をいたしまして、新聞の報道はそのとおりではなくて、大統領以下向こうのタンザニアの要人と友好な雰囲気の中で会談ができた、こういうことでありますから、非常にほっとしたところでございます。しかし向こうの方では、大蔵大臣かだれかちょっと記憶しておりませんが、ミッションは何回も来るが政府の方は一つも手を出さんじゃないか、こういうことが言われたようでございます。  ただいまの石炭の問題につきましては、いま局長がすぐ参りますので、局長が参りましたら局長から報告をいたさせます。
  60. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、私がお尋ねをしているのは、南アフリカに対して、政府が七二%ですかの出資をしておる、いわば国策会社である電発が、南アとの貿易を試みようとしておるという、電源開発の総裁の記者会見での意向を申し上げてお尋ねをいたしておるわけでありまして、いまのお答えはいわゆるタンザニアに対する使節団のお答えだと思います。  それで、このお答えは後でいただくとして、河野文彦三菱重工業の相談役を団長とする経済使節団がアフリカ諸国を訪問し、そしていま少しお触れになられましたけれども、タンザニアでは非常に冷たい歓迎でというような形で報道されておる。しかし若干ニュアンスは違うんだということでございますが、まずそれでは、この使節団は政府の使節団なのかあるいは経団連の使節団として行かれたのか、そして、もし政府の使節団であるとするならば、この使節団の目的は何なのか、ひとつお尋ねをいたします。
  61. 園田直

    園田国務大臣 この使節団は、外務省の外交官もつけてやっております政府派遣の経済使節団でございます。
  62. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 お答えいたします。  ただいま行っております使節団は、先生御高承のとおりこれは政府の派遣しているものでございます。一部報道には経団連の御派遣となっていますが、これは政府でございます。  その目的は、アフリカ諸国におけるいろんな経済協力案件、あるいは日本との貿易その他、そういった関係につきまして種々先方と意見を交換し、また先方の要望を承り、もってわが国のこれらに対します政策に資するということであります。  先ほど御質問の電源開発の石炭の問題についてお答えさせていただきます。  これは、実は私ども外務省としましても大体の話は前から承っておりますが、詳しいことはよくまだ存じておりません。何分商談がいまだに進行中という状態だそうであります。外務省といたしましては、こういう南アから物を買うということについては、いろいろ外交上の問題もあり得べしということは関係の方面に申し上げております。いまだに、ただいま申し上げましたように進行中の事態でありますので、結論等は出ておりません。
  63. 井上一成

    ○井上(一)委員 二つの質問に一度に答えていただいたのですけれども、ちょっと私は質問を分けていたしますから、そちらの方も、南アの問題とタンザニアの今回の使節団という問題と切り離してお答えをいただくように。  今回の河野代表のミッションは、いわゆる経済協力関係をより推進していくんだという目的を持った使節団である。こういう南北問題が国際情勢の中で非常に重要な、あるいは外交の中で中核の位置を占める今日、私はその目的それ自身には何ら異議がないわけでありますけれども、そのような使節団が、伝えられるところによると、われわれからすれば、いわゆる大変好ましからざる処遇を受けた。そういうことの原因が何にあるのか。これは私が毎回申し上げるように、日本のいまの国際経済協力のあり方が基本的に誤っているのじゃないか。本当の相手国の立場に立った気持ちというものを十分理解をしてないのではないだろうかというふうに考えるわけです。そういう意味で、これまた報道の中で、日本は使節団を数多く送ってくるが、いわゆる日本の経済力に見合っただけの援助は一向にしないではないか、日本の誠意のなさに愛想が尽きたんだ、タンザニア側としては、外国の使節団に対しては常識外の強い意思を表明しているわけであります。こういうことについて、大臣、私はこれまでの、とりわけアフリカ諸国に対する経済協力の貧困さを指摘してきたわけでありますが、まさにここにその最たるものが証明された、こういうふうに思うわけであります。そういう現実の問題を、いまここにわれわれは謙虚にその事実を確認をした中で、外務大臣として対アフリカ経済協力政策というものについての御所見をひとつ承ると同時に、タンザニアに対するこれまでの経済援助というものに誠意を尽くして取り組んできたのかどうか、具体的にこの点についても触れていただきたいと思います。
  64. 園田直

    園田国務大臣 お答えをいたします。  先般、アフリカ代表の各国の在京公使団が私のところにおいでになりました。在日大使が集まって相談をして外務大臣に会うのは今度が初めてだ、こういうことで私にいろいろお話がありましたのは、言葉は丁寧でありますが、いま井上委員から指摘されたような話があって、ひとつアフリカに対する目をもっと開いてくれ、そしてアフリカに対する実質的な協力をやってくれ、われわれは待っているんだ、こういう趣旨の話がございました。まさにいまの御質問と同じ趣旨の、しかも初めての、各国代表団が相談をして、発言等もそれぞれ受け持ちながら発言をしたようなかっこうでありまして、一生懸命やっておりますが、アフリカに対することは手薄であったということを私は考えておりますので、今後は、今度の河野ミッションの帰った報告等ももとにして、政府がみずから乗り出して、いままでの問題、タンザニア、アフリカ、そういうことに対する問題ももう一遍最初から具体的にやらなければならぬ。そしてASEANその他ばかりでなくて、アフリカの国々も、人道的な見地からもひとつこれに対する協力を真剣にやるべきだ、このように考えております。
  65. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私は、タンザニアに対して政府として約束をしながら、あるいは経済使節団として現地での約束事を十分果たしていない部分について、早急に善処をされる意思がおありなのかどうか、念のためにひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  66. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 今回の使節団がタンザニアで具体的な約束はしておらないと思うわけでございますが、タンザニアに対しましては最近いろいろやっておりまして、たとえば、キリマンジャロの総合開発計画などというものに調査団を派遣いたしまして、総合開発計画をつくるということのお手伝いをいたしまして、またその部分的に、無償資金協力で実際のプロジェクトの方のお手伝いもするというたぐいのことを考えているわけでございます。ただいま大臣からのお話もございましたとおり、いままでのわが国の経済協力が比較的アジアに偏っていたということは事実でございまして、今後はアフリカに対しましても、もっとわが国の経済協力の比重を高めていくということを考えている次第でございます。
  67. 園田直

    園田国務大臣 タンザニアと具体的な約束をしながら実行されていないという御注意をいただきましたが、これは結局、経済ミッションが向こうへ参りましていろいろ向こうと話し合いをした、それと日本政府がうまくつながっていない、こういうところから出てきた現地の批判であると思います。そこで、これは率直に反省をして、向こうの大蔵大臣の、ミッションは何回も来るけれども政府はなかなか出てこないじゃないかという言葉に、いまの御注意の点が露骨に出ている、私はこう思いますので、いまの御注意は十分守って、今後事務当局と検討をし、速やかにそういう批判がなくなるようにしたい。アフリカはきわめて重大である、こう考えております。
  68. 井上一成

    ○井上(一)委員 もう一点、私は南アの問題について触れておきたいと思うのです。  南アに対する貿易については、国際的に非常に問題を抱えておるわけであります。いまのタンザニアでの地元記者との会見の中で使節団に対してタンザニア側は、日本は南アフリカ、ローデシアと貿易をしているという非難に終始したということが報道されておるわけであります。もちろんそういうことも踏まえた中で、さっき質問をいたしましたいわゆる南アフリカ共和国との、電発との年間約百万トンの一般炭輸入の商談について、政府は、今後の対アフリカ外交の展開等も踏まえた中でどういうふうに対処していかれるのか、今度は南アフリカとの貿易問題の基本的な問題に触れてひとつお考えを承りたいわけであります。
  69. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 お答え申し上げます。  政府の対南アフリカ経済関係につきましては、まず直接投資はしない、こういう原則がございます。ただし、正常なる貿易はいたす、そういう方針をとっております。
  70. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは、ここ数年間、対南ア貿易の動向というものについてはいかがでございますか。
  71. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 お答え申し上げます。  対南ア貿易指数をとりますと、一九六九年を基準年として一〇〇といたしました場合に、一九七三年は二〇二となっております。それが一九七四年は三一二、一九七五年は三一六とふえておったのでございますが、一九七六年に至りまして二六五と落ち、一九七七年には二九九となっております。これは指数でございますが、実数について申し上げますと、十六億四千九百万ドルというのが一九七七年の実数であります。
  72. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は南アフリカのアパルトヘイト政策というものについて、毎回ここで一定の意見を申し上げてきたわけであります。第二十二回国連総会においていわゆる南アに対する貿易関係の断絶要請が採択されてから、三十回には「南アとの主要貿易国を非難し、主要貿易国特に英、米、仏、西独、日本及び伊に南アとの協力を中止するよう要請する。」という決議がなされているわけであります。あるいは三十一回国連総会では、いわゆる「南ア政権と経済協力、貿易を行なう諸国に対し、かかる協力等を止めることを要請。」というこれらの決議が行われているわけであります。     〔委員長退席、大坪委員長代理着席〕 ただ単に日本が棄権をしたとか、あるいはこの決議に加わらなかったということであっては、私はいけないと思うのですね。やはり国連の決議というものをどうしても尊重していかなければならないし、毎回申し上げるように、尊重することが世界平和を目指しての日本の基本的な姿勢を示していくことになるわけでありますから、これらの決議がすでに再三行われておる今日の状態、そういう中で政府は、このいま私が少し読み上げた決議をどのように受けとめ、どのようなお考えでいらっしゃるのか、ひとつお伺いをいたします。
  73. 大川美雄

    大川政府委員 国連におきましては、南アフリカ共和国に関連しまして数々の決議が採択されております。そのときそのときの具体的な決議の内容に応じまして投票態度を決めておりますけれどもわが国は、基本的には南アフリカにおけるいわゆるアパルトヘイト政策、人種差別政策をきわめて好ましからざるものとして、いわば嫌悪の気持ちを持って見てまいっておりますので、これをなくすために、国連加盟以来、と申しますか、実は戦前の国際連盟の時代からでございますけれども、一貫していわゆる人種差別政策には強い反対の態度を示してきております。今後ともそのような態度を国連におきまして続けて維持するつもりでございます。  他方、ただいま担当地域局長からも御説明申し上げましたように、国連総会で採択されます決議は、御承知のとおり勧告的な性質のものでございますので、それを尊重しつつも、貿易の完全なる断絶は、必ずしも南アフリカ問題を解決するために最良の策ではないのではないかという考え方を維持して、通常貿易についてはこれを継続しております。  他方、安全保障理事会におきまして、昨年の十一月に初めて、国連の加盟国である国に対して強制的な制裁決議が採択されています。これは南アフリカに対する武器の禁輸に関する決議でございます。この問題につきましては、これを遵守することが国連加盟国としての義務でございます。日本は従来から武器は南アには輸出しておりません。今度の決議を踏まえて、なお一層、その態度をもちろん継続して、南アフリカに対する武器の輸出は一切行わないという態度を堅持することになろうかと思います。
  74. 井上一成

    ○井上(一)委員 いまのお答えの中で、武器については輸出をしないんだ、それに関連する普通貿易については、もちろん国連決議を尊重しながらもという一定の枠をはめた中で、すべてを禁止する、それをとめていくということについては、いまの段階では、お答えの中で若干の留保をされているわけなんです。  そこで、そういう人種差別政策を歴然ととる国に対する一つの経済的な制裁というか、反省を強く求めるということも踏まえた中で国連決議がなされて、その国連決議を尊重するんだということになるならば、今回の電発は、少なくとも七二%の資本金が政府資金でありますから、政府の方針を強く打ち出せる一つの要因がそこにあります、民間会社じゃありませんから。そういう国策会社があえて南アフリカからなぜ輸入をする必要があるのか。あるいは聞き及ぶところによると、電発が南アから一般炭を輸入する理由としては、ほかの国より条件がいいのだということを挙げているように言われているのですけれども、そういうことも事実なのかどうか。そして基本的には、政府関係のそういう会社が、電発が南アから輸入をするというその姿勢が、国連決議を尊重しているというお答えとうらはらではないだろうか。外務大臣、これはひとつそういう姿勢を本当に外務省としてとるべきなのかどうか、あるいは真っ当な形でそういうことが言えるのかどうか。私自身は誤っておる、国連決議を十分尊重するならば、こういうことについても最大の配慮をすべきであるというふうに考えるわけでありますが、いかがでございますか。
  75. 園田直

    園田国務大臣 国連の制裁決議を受諾し、かつまた世界各国から非難を浴びておるローデシア、南アフリカに対する態度は、よほど慎重にやらなければならぬ、少なくとも政府は、これに対する直接投資、それから政府協力は行わないという方針でございますが、いまの石炭の問題、電発の問題については、そういう話も聞いておりまするし、通産省では一般貿易ということで内々やっておるのではないかと思いますので、いまの点は十分通産省とも話し合ってみたいと思います。
  76. 井上一成

    ○井上(一)委員 通産の主管ということもあります。がしかし、私は外務省の基本的な姿勢、国連決議を尊重していくのだというその基本的な姿勢、そしてまた先般中国との間で長期貿易の取り決めが行われておるわけなんですが、そういうことも踏まえた中で、ひとつぜひ大臣は、経済ベースのみを考えることであってはいけないというこの基本的な判断を、やはり政府統一見解というくらいのひとつ意思統一をしていただいて、通産省に強く、この電発の輸入炭についてはセーブをするように、働きかけをしていただくお考えがおありであるかどうか、念のためにお聞きしたいと思います。
  77. 園田直

    園田国務大臣 事柄の性質上、通産省は商業ベース、経済ベースを主にして物を考え、わが外務省は国際的な外交上の政治的な面から判断するのは当然でありますから、十分話し合ってみたいと思います。
  78. 井上一成

    ○井上(一)委員 そこで、先般、いま申し上げました中国との長期貿易取り決めが調印をされたわけであります。この中で、すでに一般炭を中国から輸入することになっているのであります。そして日中両国の友好関係をより深く増進をしたいのだ、もうここですべての意見が出尽くしている、まさにそういうさなかに、日中両国の経済関係を発展させるためにも、私はこの取り決めによって中国から輸入をすべきである。だから、さらに追い打ちをかけるようですけれども外務大臣いかがでございますか、中国から輸入をすることによって電発の南アからの輸入を取りやめさせるのだ、そういうお考えをお持ちになられたらいかがでございましょうか。もし南アから輸入をする、そしてこの中国との両国の協定の約束が消化でき得なかった事態が起こった場合に、日中間の友好が損なわれるわけでありますね。まさに私は日中両国のこの取り決めの枠内で十分賄い得られるのだ、そういうことを考えれば、この際中国からの輸入を主にし、南アからの貿易は取りやめるべきであるという私の考えを申し上げておきたいと思うのです。そして、この私の考えについて、そしてまた電発の南アからの輸入を取りやめさせるために、ひとつ外務大臣は最大の御努力を願えるのかどうか、率直にお聞きをいたしたいと思います。
  79. 園田直

    園田国務大臣 先般行われた日中間の長期協定の問題は、私はこれを評価するというお答えを先般いたしておきましたが、高く評価する意味は、単に日本と中国の将来、日中の貿易問題ばかりでなく、その他の国々に対する影響、外交上、政治的な価値から判断してもこれは高く評価すべきであると考えております。そう私が申し上げる意味は、中国と長期協定をすることによって、ある場合には牽制をし、ある場合にはこれに対して多角的な資源の確保ができる、こういう意味でありますから、いまの点も十分考慮の中に入れて通産省と相談をいたします。
  80. 井上一成

    ○井上(一)委員 そこで、私は今度はひとつ、昨日のブラウン米国防長官の発言の中で、東アジアの軍事政策について、今後五カ年間米軍を強化していくのだという発言をされているわけであります。とりわけその発言の中で、トライデント核ミサイルや巡航ミサイルの配置を強化していくのだということが報道されておるわけです。非常にわれわれとしては重大な問題だと思うのです。  核兵器の全廃というものは、いまさらここで私が申し上げる必要はないわけでございますけれども、すべての世界の人々の願いであり、そういう形の中で世界平和の維持を願っていこう。しかし、そういう世界の人々の願いに反するかのごとき、米核戦略においては最先端を行く、いわゆるいま申し上げたそのような兵器をアジア太平洋地域に配備することは、ソ連との核対決がますますエスカレートしていくような情勢になるのではないだろうかというふうにも考えられるわけです。このことについて外務大臣としてはどう受けとめ、どうお考えになっていらっしゃるのか。ブラウン米国国防長官の表明に対しての受けとめ方と、そして大臣の御所見を承りたい、こういうふうに思うわけであります。
  81. 園田直

    園田国務大臣 ただいまのブラウン長官の発言は、一方にはソ連がウラジオストクを中心にする軍備を強化し、また一方にはそれぞれ核兵器の強化をしている。こういう中でこれに対抗して、アジアの力を抜くものではない、向こうが強化をするならばこちらもアジアの軍備は強化するのだ、こういう意味発言されたことだと思っております。  一方には、いま御指摘されたような、両方が軍備を強化することによってエスカレートをするという危険もありますけれども、今日の状態では、両国間に予見される、近き将来に大なる紛争があるということは予想されませんので、それぞれ抑止力による平和を願っている、こういう点においては、米国の長官の発言というものも、ソ連の軍備強化に対して五分五分の発見をしたものだ、このように判断をいたしております。
  82. 井上一成

    ○井上(一)委員 五月に国連軍縮会議が開かれるわけでありまして、世界の人々がすべてその期待をしているというか、そういう方向に願いを込めているわけでありますが、私自身は今回のこの米側の発言は、何か世界の軍縮指向の情勢に、世論に逆らう、逆行するような感があるというふうにも思いますし、平和は兵力による抑止力で維持されるものだけではないわけでありまして、平和を維持するということの意見あるいはその問題については後刻にゆだねますけれども、何としても平和を維持していかなければいけないということには基本的には変わりないわけであります。私は、このトライデント核ミサイルだとか巡航ミサイルは、いずれも核装備であることをまず指摘をしておき、そしてそのような核装備を、いわゆる非核原則を厳守するわが国に持ち込むことは絶対にでき得ないのだという考えに立っているわけです。これはあえてもうお尋ねをしなくても当然のことだと思うのですけれども、念のために外務大臣に、そのようなことは決して持ち込ませない、いわゆる非核原則を、核装備をした兵力というか、そういうものは持ち込ませないのだといういままでの日本の姿勢については変わりはない、そして今後もこの問題について日本に持ち込むことはできないのだということを、私は改めて質問という形でお尋ねをするわけでありますけれども、いかがでございますか、念のためにひとつお答えをいただきたいと思います。
  83. 園田直

    園田国務大臣 御発言のとおりでありまして、これを変更する意思はございません。
  84. 大坪健一郎

    ○大坪委員長代理 土井委員
  85. 土井たか子

    土井委員 午前中の質問で私もう一たび防衛局長確認をさせていただいて、さらに午後の質問に続行させていきたいと思っておりますが、まず条約局長に念押しのために聞いておきたいのですが、核防条約上、法理的に日本核兵器が持てない、こういうことでありますね。この点確認をさせていただきます。
  86. 大森誠一

    ○大森政府委員 核兵器不拡散条約に基づきまして、わが国は、核兵器わが国みずから保有できないというふうに考えます。
  87. 土井たか子

    土井委員 それは法理的にそうでありますね。
  88. 大森誠一

    ○大森政府委員 核兵器不拡散条約第二条に基づくものでございます。
  89. 土井たか子

    土井委員 本日午前中の外務大臣答弁はすでにいただいております。条約上、憲法上、法理的に日本核兵器を持つことができない、これは明確に外務大臣が御答弁になりました。そのようにわれわれは理解をいたしております。いま大臣はうなずいていらっしゃるからそのとおりであります。  そういたしますと、先日十八日の予算委員会の席で、防衛局長みずからは、憲法戦術核兵器は保有することが法理的にできるのだという御答弁をされているわけでありますから、御答弁された局長みずからこのことに対して、きょうは外務大臣との間で御答弁に開きが生じておりますのでどうですかとお尋ねしたところ、外務大臣の御答弁どおりに私思いますとおっしゃるので、そうなってまいりますと、十八日ときょうとの間に防衛局長の御理解が違ってこなければなりません。これは条約上、憲法上、法理核兵器は一切持てないというふうに解釈をお変えになったのか、また法理上持てるというならば、こういうわけで持てるという、はっきりした法理的な根拠というものをひとつお示しいただきたいと思うのです。よろしゅうございますね、局長
  90. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私が予算委員会で御答弁申し上げましたのは、憲法解釈上装備品というもの、兵器というものが区別されるということはないだろうということでございまして、条約上の問題を含めまして憲法上持てないということは当然のことだというふうに考えております。
  91. 土井たか子

    土井委員 いまのは大変おかしな話で、午前中私が申し上げたところ、もう一度これは冷静にひとつ考えていただきたいと思います。  憲法九十八条では日本締結した条約を誠実に遵守する義務というのが日本国にございます。これは憲法上の法理です。したがいまして、九条からしても法理として核兵器は一切持てないということにならざるを得ない。だからこれははっきり、憲法法理上持てないということを、局長としてはきょうここで御答弁になったわけですので、十八日の衆議院の予算委員会での御答弁とは違ってくるわけですよ。この点、確認できますね、局長
  92. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 十八日に御答弁申し上げましたのは、従来憲法九条の関連で持てるもの、持てないものということを御答弁申し上げたわけでございまして、憲法条約を守るというようなことからいたしますと、法理的にも持てないというふうに申し上げたいと思います。
  93. 土井たか子

    土井委員 法理的に持てない。そうすると、ここではっきり防衛局長の御見解は変わった。核兵器について法理上持てない、憲法法理上持てないというふうに認識をされているようになったというふうに確認をしてよろしゅうございますね。
  94. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 再三申し上げますが、十八日の日には、憲法九条の関連においてお答え申し上げたところでございまして、本日は、その他の条約を守る義務というようなのを含めまして持てないというふうに申し上げているわけでございます。
  95. 土井たか子

    土井委員 憲法九条も憲法十三条も憲法九十八条もすべて憲法であります。日本国憲法法理上持てるか持てないかということを明確にしておいていただくことが非常に必要なのであります。いまだに憲法九条というのは憲法外にあるがごとき認識で物を申されているというのは心外の至りです。憲法上、法理上持てないのですね。このことをはっきりしてもらいましょう。
  96. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 そのとおりでございます。
  97. 土井たか子

    土井委員 このことをひとつはっきり確認をしておいていただきたいと思います。  そこで、午後冒頭に、恐らくきょうソビエトから渡されるであろう書簡に対しての御報告がございますから、それを受けての質問をさらに残り時間させていただくということで、午前中の委員会はこれで質問を終わらせていただきます。
  98. 大坪健一郎

    ○大坪委員長代理 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ————◇—————     午後零時五十八分開議
  99. 永田亮一

    永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  園田外務大臣
  100. 園田直

    園田国務大臣 午前の質問にありましたポリャンスキーが持ってきた書簡に関する報告は、それに立ち会いました宮津局長からまず報告をいたさせます。
  101. 宮澤泰

    ○宮澤政府委員 福田総理大臣は、本日午前十一時から十一時五十五分まで、在京ポリャンスキーソ連大使の求めによりまして会談されました。ポリャンスキー大使は、さきに園田外使臣が訪ソされましたときに、福田総理大臣がブレジネフ書記長にあてて発出されました親書に対する同書記長の返簡をもたらしたわけでございます。  右返簡の内容につきましては、日ソ間に善隣友好関係を発展させたいというソ連側の態度を確認する形で書かれたものでございまして、その中で、日ソ間には、平和条約締結のための基礎が異なっているので、両国間の関係を発展させるために善隣協力条約締結したいという希望を表明しております。  またこの中で、日ソ関係の発展を望まない勢力があるので、このような勢力の試みから両国は身を守る必要があるという旨が付言されております。さらに、福田総理大臣の訪ソが実現することについての希望も表明されております。  以上がブレジネフ返簡の大体の内容でございます。
  102. 永田亮一

  103. 土井たか子

    土井委員 それでは、ただいま承りました御報告に従いましてひとつお尋ねをいたしますが、園田外務大臣とされましては、ただいまの御報告の内容につきましてどういう御感想をお持ちでいらっしゃるか、まず御感想のほどを承りたいと思います。
  104. 園田直

    園田国務大臣 お答えをいたします。  大体予測した線に従った書簡でありますが、儀礼上の返書ということが第一。第二番には、この中で特に日中友好条約締結について一言も触れられていない。ポリャンスキーとの会談でもその話は出なかったということは、これに対する私のコメントを言うわけにもまいりませんけれども、一つの非常な参考になる、こう思っております。  手紙の中で、日ソ関係の発展を望まない勢力、こういう言葉がありますが、これは複数になっておりまして、必ずしも、国という意味なのかあるいは日本国内のいろんな団体という意味なのか、これはわかりませんが、その程度でとどめてあるということ、これも着目すべきことである。  それから善隣友好協力条約については、これも当然言うだろうと思っておりましたが、総理は、この点についてははっきり、平和条約締結が先決であってという返答を、総理は領土問題を解決をして平和条約締結することが日ソ間のすべての問題を解決する前提である、したがって、善隣友好協力条約はこれを受け付けられない、こう明確に返答しておられる。  その他については、内容はなかなか穏やかな内容であって、善隣関係を進めていこう、こういうことだと考えております。
  105. 土井たか子

    土井委員 一月の初旬に大臣が訪ソされた節の、その節の一番の問題点というのは一体何でございましたか。そしてその点について、今回のソビエトからもたらされた見解というのは隔たりがあるのでありますか、ないのでありますか、その点はいかがですか。
  106. 園田直

    園田国務大臣 一番大きな問題は、私は四島一括返還、この未解決の問題を解決をして平和条約締結しよう、こういう趣旨。向こうは平和条約締結交渉の継続は同意しながらも、未解決の問題はない、こういうように言っておったわけでありますが、今度は、まあ変わったということは言えませんが、少なくとも両方の言い分に、基礎に相違があるということを向こうから文書にしてきたことは、この前よりも、やや、まあ向きを変えたのかどうかわかりませんけれども、少しニュアンスが違うような感じがしてきたという感じでございます。
  107. 土井たか子

    土井委員 そのニュアンスが少し変わってきたがごとくに大臣が受けとめられている点は、どの点でありますか。
  108. 園田直

    園田国務大臣 いままさに御発言のとおり、かのごとくに私は感じたわけでありまして、少なくともこの前私が行ったときまでは、その問題はもう解決済みだ、そんな話はもう両国の中にない、こう言っておったのが、両国の平和条約締結の基礎に相違がある、違いがあるということは、自分の言い分と日本の言い分と違う、こういうことでありますから、まあまあ紙一枚か何枚か知りませんけれども、少しは変わったとまでは言えませんが、何かちょっと感じが違う、こういう感じであります。
  109. 土井たか子

    土井委員 いまの大臣御発言でございますと、ソビエト側の態度というのは、少し柔軟性を持ってきたのではないかというふうな読みを持ってごらんになっているがごとき感触を、私自身が受けるわけであります。  そういたしますと、この一月の初旬に訪ソされた節、ソビエト側が提示をされました善隣協力条約案、あの協力条約案の中身と、今回ただいま御報告を受けました限りにおいては、善隣友好関係を発展させたいとソビエト側がおっしゃっている中身は必ずしも一致していない、一つのことを言っていない。つまり、かつて一月の初旬に、外務大臣にソビエト側が提示された善隣協力条約案と、今回言われている善隣友好関係ということの中身とは一つのものではないというふうに、大臣はお受けとめになっているわけでありますか。
  110. 園田直

    園田国務大臣 その点は明確でございまして、善隣友好ということは善隣友好であって、この前の善隣協力条約の案とは全然違ったものであります。ただ、善隣友好協力条約を進めていこうということは向こうは発言しておりますが、ただいま報告の中の善隣友好とソ連が出した友好協力条約の案とは全然別個の問題であります。  ソ連が柔軟になったとは思いませんけれども、少なくとも、さすがにソ連は大国であるな、日中友好条約締結について何かあるかと思ったら全然それは触れていない。遠回しな程度で、かすかににおいがする程度だ、こういうことは賢明であって、日本と中国の独自の問題である友好条約締結について重大なる関心を持って見守るというようなことだと考えております。
  111. 宮澤泰

    ○宮澤政府委員 大臣の御答弁の補足をさせていただきます。大臣はまだ先方がよこしました返簡の全文をお読みになっておりませんし、会談の詳細な内容は私から申し上げる余裕かまだございませんでしたので、多少私から補足させていただきます。  先方が述べてまいりました善隣友好関係を発展させたいという中には、先回、園田外務大臣がモスコーを訪問されましたときに先方が出しました、いわゆるソ日善隣協力条約、これをもとにして関係を発展させたい、このような意図を述べたものと解釈いたしておりますので、補足いたします。
  112. 土井たか子

    土井委員 補足でなしに、まるで大臣の御認識とは違っている御意見を、いま現場に立ち会われた局長の方からお出しになったわけですから、これは大臣と局長との間での御認識の相違ということが現実ここであるわけでありますが、ソ連の善隣協力条約案にいたしましても、善隣友好問題にいたしましても、当委員会においては終始一貫、われわれはこの平和条約締結こそが先決であるという姿勢で御質問もさせていただきましたし、御答弁もそのとおりでありました。この一点はどんなことがあってもゆるがせにされてはならないというふうに外務大臣としてはお考えになっていらっしゃるかいかがか、その辺をお伺いいたします。
  113. 園田直

    園田国務大臣 私と局長答弁で若干違いましたのは、局長が立ち会ったわけであるし、全部読んでいるわけでありますから、局長の方が正しいと御理解を願えれば結構でございます。  善隣友好協力条約というのは、平和条約が先であって、この善隣友好協力条約というのはわれわれは全然受け付けておらぬ、この態度は今後一貫して続けます。
  114. 土井たか子

    土井委員 最後にお尋ねをしたいのは、この書簡がソビエトからもたらされたからといって、日中関係についていろいろな影響が出ることはないがごとき御答弁を大臣からすでにいただいておりますから、その辺は大丈夫だとは思いますけれども、その書簡が来たからといって、平和友好条約締結に向けていま日中間で急テンポに動いております問題がいろいろ変わることは絶対ない、このことは確認ができますね。まずそれを確認させていただきます。
  115. 園田直

    園田国務大臣 相手がどう出るかは、私の推察でございますから、これはわかりませんけれども、いかようなことがありましょうとも、この書簡その他によって日中友好条約締結交渉に向かって前進するという方針にいささかの変わりもございません。
  116. 土井たか子

    土井委員 重ねてお尋ねする中身になりますが、そういたしますと、七二年の日中共同声明の線に沿って、日中間のこの平和友好条約についての内容についも種々検討を重ね、お互いの連絡を重ねて、締結に向けていま急テンポに進みつつある、この現実は確認させていただいてようございますね。
  117. 園田直

    園田国務大臣 日中共同声明を、これを条文化するのが今度の交渉だと考えております。条約締結だと思っておりますので、共同声明の線に従って進めていくことに変わりはございません。
  118. 土井たか子

    土井委員 だめ押しになりますが、そういたしますと、一つ大変気にかかるのは、先ほど宮澤欧亜局長の方から、一月の初旬にソビエト側から外務大臣に示された善隣協力条約案というものも含めての、今回の善隣友好関係を発展させたいというソビエト側の認識だという御報告がなされました。あの一月の初旬に園田外務大臣が訪ソされた節、ソビエト側は言うまでもなくこの善隣協力条約案を提示したわけでありますが、それに対しまして日本の方が、平和条約についてこの考え方の骨子を書いた文章をお渡しになったわけであります。ところが、向こう側から出してきた善隣協力条約案そのものに対しては、一片の紙切れとしてこれを受けとめになって今日に及んでいるわけでありますが、それといわば引きかえのようなかっこうで、刺し違えのようなかっこうで出しましたこちら側からの平和条約に関する考え方の骨子も、これは一片の紙切れにしかすぎないということに相なるのでございましょうか、いかがでございますか。
  119. 園田直

    園田国務大臣 こちらが主張いたしております平和条約の案でありますから、向こうも平和条約交渉継続には賛意を表しているわけであります。しかし、両方からの言い分は、私は向こうのやつは一片の紙として受け取った。突っ返しはしないが一片の紙だ。向こうもそのように発言しておりますから、向こうも私の言い分と同じような言い分を言っておると思います。
  120. 土井たか子

    土井委員 あとこの問題についてさらに時を改めまして、日ソ間の平和条約の問題については質問をさせていただきたいと思いますが、本日は、報告を受けましての限られた時間の範囲内での御質問でございますから、これをもって打ち切りたいと思います。  ありがとうございました。
  121. 永田亮一

    永田委員長 中川艦英君。
  122. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 ただいまも、ブレジネフ書記長から福田総理あての書簡について種々大臣から御答弁がございましたけれども、やはり日ソ関係というものは、現在進行しております日中関係、これと切り離して考えるというわけにはいかない、こう思いますし、この立場から私は、まず日中関係そのものについての御質問をしてみたいと思います。  その第一点は、中ソ同盟条約でありますが、この条約の取り扱いについては、中国側の見解、これは死文化しているわけで、延長しないというものであると称しておりますけれども、ソ連側の中ソ同盟条約の取り扱いについては、必ずしも明確にされていないのじゃないか、このように私は思います。外務大臣は、過日訪ソされた際に、この中ソ条約の問題についてのソ連側の見解をただされたのかどうか、まず最初にこの点を伺いたいと思います。
  123. 園田直

    園田国務大臣 お答えをいたします。  私、モスクワでの会談では中ソ同盟条約に触れましたけれども、これを今後どうするかということについてはただしておりません。私が向こうに言いましたのは、向こうが間接的ではありますが中国の話を持ち出しましたから、もともとあなたの国と中国はきょうだいであるべきはずだ、したがって中ソ同盟条約を結んで、かつては日本を敵だときめつけられておるが、そのきょうだいの国が相争われて、日本に向かってとばっちりをかけられては困る、したがって、中ソ同盟条約はあなた方の国の問題であるから、これを破棄しろとかあるいはどうされるかということは言わないが、日本を敵とするという敵視条項だけは、日本としては削除されなければ困る、こういう返答をしておきましたが、これをどうするかについてはソ連は返答はいたしませんでした。
  124. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いまソ連における大臣の意思が、そういう形で先方に伝わったというふうに解しますけれども、やはり私としては、せんだってのこの訪ソの際に、ソ連側の見解というもの、ソ連がそれでは一体どのように考えているのかという明確なソ連の見解というものは、日本側としても引き出すべきではなかっただろうか。中ソ両国間の同盟条約である以上は、やはり一方の当事国である中国側の考えだけで、ソ連側の見解を求めないということになりますと、これはちょっと理解に苦しむわけで、やはり政府としてソ連の見解を求める必要があったのじゃないかと私は思うわけなんですが、この点、ソ連の見解が全く無関係であるというわけにはいかないわけですから、どうかひとつ十分留意していただきたい、こう思うわけです。この点、ソ連側の見解ということに対して今後どのような形で対処されるのか、日本側としては、ソ連の見解というものを当然重視すべき問題ではないかと思いますので、もう一度この点について、今後の対処として伺っておきたい。
  125. 園田直

    園田国務大臣 ソ連は、この条約をどうするかについてはいまは言えない、こういう返答をしておるわけでありますが、今後私どもも注意をして、これはどうなるかということは御意見のとおりに注意したいと思いますけれども、これを特別ソ連側に問いただして、それによってわれわれの日中条約その他が変わるべき筋合いのものではない、私はこう考えておりますので、機がありましたならば時期をとらえて、そういうことはさらに聞いてみたいと思います。
  126. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは次に、政府の基本的な考え方として、これまでの国会等における見解によりますと、日中条約そのものの覇権条項、これはまず本文に共同声明を盛り込むということ、このことに異論はない、これが第一点。それから第二点としては、日中共同行動を意味しないということ。第三点としては、特定の第三国を指すものではないということ。これらの原則に集約されるのではないかと私は思いますが、この点間違いないかどうか、この際、いま一度確認をしておきたいと思います。
  127. 園田直

    園田国務大臣 覇権問題についてはしばしばお答えしておりますとおり、日中共同声明の立場をわれわれは守っていくわけであります。本文で、それを初めただいまおっしゃいましたようなことをどういう取り扱いをするかということは、これは交渉の内容であり、条文の内容でありますから、交渉を始める前にお答えするわけにはまいりません。
  128. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 さらにこの日中問題に関して、二十日の衆議院の予算委員会、この場で福田総理が、佐藤駐中国大使に対して中国側とさらに段取りを詰めるように指示したと、このように聞いておりますけれども、佐藤・韓念竜会談の次の日程はどのようになっておりますか。午前中の御答弁の中にもあったようですけれども、この御答弁に関連をして確認をしておきたいと思います。
  129. 園田直

    園田国務大臣 この会談がいつになりますかということは、相手のあることでありますから、いつになるかという予測はつきませんが、両方ともなるべく早いという気持ちはあるわけでありますから、都合がつけば早い時期にあるのではなかろうかと推察をするだけであります。
  130. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 同日の委員会福田総理が、この問題はなるべく早く決着に持っていくことが日中両国のため、アジアの平和のためにもよいと考えている、このように述べておられますけれども外務大臣として、今国会に日中平和友好条約の承認を求めたいという希望、これを持っておられるのかどうか、この点明らかにしていただきたいと思います。
  131. 園田直

    園田国務大臣 日中両国間、アジアの平和と繁栄、ひいては世界の平和と繁栄に関することでありますから、いろいろ十分討議はしなければならぬものの、なるべく早く交渉再開をして、なるべく早くまとまるように希望いたしております。これはもう当然でありまして、外務大臣としては、今国会中にお願いをできるようにしたいと努力をしているところでございます。ということは、批准の問題ではなくて、私が中国に参りますことを今国会中にお願いしたい、こういう意味でございます。
  132. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 手順とか段取りを中国側に詰めているということは再三表明されているわけで、また再開になれば冒頭にただいま大臣がおっしゃったような訪中という問題、そして訪中をして話し合うということも私も聞いておりますけれども、その時期ですね。これがいろいろ記事で報道されているようにも思うのですが、この三月中にはその時期が来る、このように考えていいかどうか。もうかなり煮詰まっていると思いますから、御答弁をいただきたい。
  133. 園田直

    園田国務大臣 御質問の御意向並びに御好意も十分わかりますけれども、これは交渉再開をして両方が相談をし、総理の指図によって私が行くべきものでございますので、日中友好条約締結のために必要であれば、いついかなるときでも出かける準備はいたしておりますけれども、いま私がその時期を推測をしたり希望を言ったりするとまた何か出てきて困りますので、答弁は御遠慮したいと思います。
  134. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 御答弁がもう締結の寸前までまことに慎重なように響くわけですけれども、日中平和友好条約交渉再開ということになりますと、妥結まではそんなに時間はかからない、こういう見通しを持っておられるかどうか。すなわち、再開されれば日中条約締結への障害というものは双方ともそう多くはない、こういう認識を持っておられるのかどうか。この点はいかがでしょうか。
  135. 園田直

    園田国務大臣 交渉再開のときに、交渉を始めたらすぐ話がつくとは思いませんけれども、両方で忌憚なく話し合えば、そう大した支障なしに妥結の方向へ行くだろうと私は推察をし、希望もいたしております。
  136. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 こういったことにも関連しまして、中国問題についてもう一点だけ伺っておきますが、日中問題に対する自民党としての見解、これが近くまとまるようにも私聞いているのです。本件に関する最終的な、整足した政府の意思というものを表明するときが近づいてきているのじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども政府としていつこれを表明するのか、この点についてまず伺ってみたいと思います。
  137. 園田直

    園田国務大臣 与党に対して御理解を求め、御了解を得る時期はなるべく早くやりたいと思っておりますが、きわめて微妙な時期でございますから、その時期等はまだ推測はできません。
  138. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 どうでしょうか、もうこの辺で、政府・自民党として日中平和友好条約締結に向かって党内の意思統一ができた、締結の機が本当の意味で熟してきたというふうに解していいのかどうか。もうそろそろというふうな感じが私はしてならないわけですけれども、いままでかなり慎重な御答弁に終始しているわけですが、この辺ひとつ大臣の御判断、御見解を伺いたいと思います。
  139. 園田直

    園田国務大臣 佐藤大使と韓念竜氏との会談、これも両方なるべく早くやりたいとやっているときでありますから、与党に対する御理解を願う点もなるべく早くしたいと思っておりますが、いまのところは具体的にはまだ決めておりませんので、この点で御勘弁を願いたいと思います。
  140. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは、私は次にこのたびのソ連原子炉衛星、この墜落事件について伺いたいと思いますけれども政府はこの事件についてどのような教訓を得たのかという問題について伺ってみたい、こう思います。特に原子炉衛星の衝突とかあるいは事故、こういったことによる原子力放射能の危険性について新たな認識を得られたのではないか、こう思いますが、この辺の詳細を伺いたいと思います。
  141. 園田直

    園田国務大臣 人工衛星、特に人工衛星の中でも原子力を動力にした人工衛星というものの危険ははかり知れないものがあるばかりでなく、これが十分計算されて、あるいは事故の場合には自爆する装置であるとか、あるいは大気圏に突入しないで、逆に打ち上げをして消滅するとかいう方法を技術的に講じてあるのかもわかりませんけれども、そのこと自体が故障になるおそれがあるわけでありますから、やはり打ち上げ禁止、規制、こういう点から、特にこれは打ち上げておる国よりも、打ち上げてない多数の国々の重大な関心事でありますから、この点については打ち上げ禁止の可能性を含む規制、その後に技術的な安全その他のことがなされなければならぬと思っております。
  142. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 原子炉衛星そのものは、これは軍事的であれあるいは平和利用であっても、その危険性というものは同じではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  143. 園田直

    園田国務大臣 故障または落下の際にどのような被害を与えるかということが第一であって、目的は第二番目であると思います。
  144. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 原子炉衛星は宇宙科学技術の発展にとって不可欠的に必要である、このように考えておられるかどうか、この点はどうですか。
  145. 園田直

    園田国務大臣 まず第一には、現在人工衛星で行われておる、軍縮のために利用しているという、たとえば核実験その他をこれで監視をするという点では、あると思いますが、将来はやはりもっと平和利用というものに徹して、たとえば、太陽熱を人工衛星で集めて充電をして、これをわれわれに送るとか、あるいは大気圏には無数のちりがあるわけでありまして、このちりは非常にさまざまなものを含む元素でありますから、こういうものから資源を確保するとか、そういう方向に人工衛星の目的が向かっていかなければならぬと考えております。
  146. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと、この安全性の問題に関連してですが、本当にこの安全性というものが保障されるかどうか。言いかえれば、私としてはこの安全性というものが確保されない限りはこれは認めるべきではない、飛ばすべきでもないと思うわけです。特に日本もこういったことを研究すべきではないのじゃないか、私はこのように考えますが、大臣のお考えはいかがでしょう。
  147. 園田直

    園田国務大臣 原子炉を動力にする人工衛星については、私も同様に考えております。
  148. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これは確認のためにまた聞きますけれども、そうしますと、政府は原子炉衛星の利用というものは、軍事的には反対であるが平和的には認めるという立場をとるか。ちょっといままでの御答弁からすると複雑かと思いますけれども、平和的には認める立場をとるのか、あるいは全面的に無差別に反対すべきであって禁止すべきである、こういう立場をとられるか、政府のお立場を明らかにしていただきたい。
  149. 園田直

    園田国務大臣 ただいま答弁しましたのは、人工衛星という言葉で答弁したわけでありまして、原子炉を動力とする人工衛星については、先ほど申し上げましたとおり安全ということが第一であり、目的が第二番目である。まず、危険がないような、打ち上げ禁止の可能性を含む規制、こういうことでございます。
  150. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 当面の問題としまして、現行の宇宙条約の部分的な改正というものを提案することを考えておられるかどうか、この点はいかがでしょうか。
  151. 大川美雄

    大川政府委員 御承知のとおり、ただいまニューヨークで国連の宇宙空間平和利用委員会の科学技術小委員会が開かれております。そこにおきまして、わが国は、この原子力衛星問題全般についての総合的な検討提案いたしました。その検討の第一段階は、主として科学的、技術的な角度から問題を検討すべきであるということで、現在の小委員会においてその作業が始まろうといたしております。  したがいまして、そういったいろいろな技術的、科学的な検討の結果、現行の宇宙条約の特定の条項について何らかの改正を施すべきであるかというような問題が出てまいるかもしれません。現在のところ、まだそこまで具体的に行っておりませんけれども、そういった問題が、あるいは必要性が出てきた場合には、その段階で考えることになるかと思います。
  152. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 ニューヨークで行われている小委員会、いまおっしゃった宇宙空間に関する小委員会ですが、技術的、科学的にという御答弁の内容であったように思いますが、技術的、科学的に討議された結果として、そういうこの条約の改正ということに入っていくかと思う。まあわからないことはないのですけれども、最も大事な、いわば人道的、あるいは生命尊重という立場からということでなければ御答弁はならないのじゃないかと私は思います。  たとえて言えば、条約の第四条。この第四条の中身はもう当然御承知かと思いますが、「条約の当事国は、核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと、これらの兵器を天体に設置しないこと並びに他のいかなる方法によってもこれらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する。」このようにありまして、  物体を軌道に乗せることとか、あるいは天体に設置することを禁止しているのは、核兵器とそれから大量破壊兵器に限定しているわけですけれども、少なくとも、宇宙空間における事故に際して、放射能を無害にする手段、これが開発されるまでは、私は、平和目的のためであっても、放射能物体の軌道への打ち上げというものを禁止するように、この第四条の改正を提案すべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  153. 大川美雄

    大川政府委員 わが国の代表がこの間ニューヨークで、この小委員会発言いたしましたけれども、その際に、今回の事故を契機として、原子力衛星の安全性、さらに広くは宇宙空間の利用の問題そのものについて、たとえばその原子力衛星の打ち上げ禁止あるいは破壊兵器として使用することを目的とする人工衛星の打ち上げ禁止などの措置の可能性をも含めて総合的な検討を行うべきであるということを提案いたしております。したがいまして、この考え方が各国に受け入れられて、具体的なその作業が、もう一つの小委員会でありますところの法律小委員会において取り上げられた場合には、行く行くはあるいはその条約の改定ということに発展するかもしれません。現在、ちょっとそこまで行くかどうか、見通しはついておりません。
  154. 園田直

    園田国務大臣 いま局長が申し上げましたとおりでございますが、そういう方向に向かってこの小委員会は努力すべきだ。ただいまスウェーデン、カナダ、日本が推進国になってやっておりますが、いまのところ、ソ連、東欧諸国が反対しているところでございますので、これを鋭意説得中でございます。
  155. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そういうことであるならば、ただいま私が述べたように、宇宙空間における事故に際して、放射能を無害にする手段が開発されるまでは、平和目的のためであっても放射能物体の軌道への打ち上げを禁止する、こういう考え方、これをこの委員会においても私はこの場で強調しておきたい、このように思います。  また、このことにも関連をして、第七条ですけれども、この第七条には、「条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間に物体を発射し若しくは発射させる場合又はその領域若しくは施設から物体が発射される場合には、その物体又はその構成部分が地球上、大気空間又は月その他の天体を含む宇宙空間において条約の他の当事国又はその自然人若しくは法人に与える損害について国際的に責任を有する。」これは七条でございますが、宇宙空間に発射された物体によって生じたところの損害、これは発射国の責任であることを規定しているだけで、損害補償についての具体的な規定がないわけですけれども、この意味では、この条約そのものの重大な欠陥じゃないだろうか。少なくとも被害国が補償額を決定する、この最終決定権の所在だけは明確にするための、そういった角度からの条約改正というものが必要ではないかと、このように思いますが、政府の御見解はどうか、伺いたいと思います。
  156. 大川美雄

    大川政府委員 御指摘のとおり、宇宙条約の第七条は限られた規定ぶりでございますけれども、これを受けまして、宇宙物体により生ずる損害の国際的賠償責任に関する条約、いわゆる損害賠償条約というのが別にございまして、そこにいろいろ細かい規定がございます。日本はこれにまだ加入いたしておりませんので、問題といたしましては、早く関係国内法の整備が必要であるかどうか結論を出しまして、早急にこれの批准に向かって努力をいたすべきであろうかと考えております。
  157. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いま損害補償条約わが国が入っていないということでございますが、委員長にお願いしたいと思いますが、この資料、これをひとつ当委員会提出していただくことができるかどうか、この点はいかがでしょうか。
  158. 大川美雄

    大川政府委員 ただいま私が申しました損害賠償条約その他の関係条約があと二つございますけれども、その条約のテキストということであれば、いつでもお出しできます。
  159. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと、先ほど来の御答弁から、もう一度ここで整理をしておきたい気がするわけですけれども日本政府としては、原子炉衛星の発射を規制するために現行の宇宙条約の改正を最終的にはやはり行うべきである、こういう考えに立っておられるのか、あるいは原子炉衛星の軌道発射というものを禁止する条約ですね、こういったものを将来締結しようとされるのか、この立場からの質問に対してはこのいずれを選択されるか、この点はいかがでしょうか。
  160. 園田直

    園田国務大臣 先般から開かれておりました宇宙空間利用小委員会で、わが方の小林代表は、第一に打ち上げ禁止可能を含む規制と、こう打ち出しておりますから、各国に対してできるだけそういう努力をするわけでありますけれども、現実問題として多数国の支持を得なければならぬわけでありますから、その結果は多数国の支持がどうなるかによって決まるわけでありますけれども、少なくとも方向は、いま言われたような方向で逐次努力していく考えであります。
  161. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この辺、細かく詰めていくべきかと思います。いまこの時点では、大臣の御答弁を尊重して次に入っていきたいと思います。  先ほど来答弁されております国連宇宙平和利用委員会のいわゆる科学技術小委員会が十三日に開かれて、この墜落事故に関する討議が行われた。十四日には、小林国連局参事官が日本代表として、打ち上げ禁止の可能性の検討と作業部会の設置を呼びかけられたということですけれども、この討議において、演説と言った方がいいかと思いますが、一方、ソ連代表としては、この原子炉衛星の打ち上げを規制することには反対である、したがって、この問題を検討するところの特別作業部会を設ける必要はない、このようにソ連は強硬な態度を示したわけですけれども、このことと関連して、ソ連の最高会議幹部会員である科学者のエフゲニー・フヨードロフ氏がワシントン・ポスト紙で、ソ連では「少なくとも二つの新型の原子力を動力とする衛星が開発されている」このように述べて、問題となっているところの原子炉衛星を今後とも打ち上げるんだということを明らかにしておりますけれども、こういうソ連の態度はきわめて納得できない。そしてまた、大国的なエゴイズムと言わざるを得ないわけですけれども、どうでしょうか、外務大臣はこのソ連の態度に対してどのように考えておられるのか。この際、明快な大臣のお考え、またソ連に対する非難なり抗議なり、重々と御意見を述べていただく場にこの場をしていただければ、私はこのように思いますけれども、いかがでしょう。
  162. 園田直

    園田国務大臣 被爆の洗礼を受けたただ一つの国であります日本国は、ソ連がそのような理屈をつけてこれに反対していることは、まさに不当な理屈である。これは他の国々とも相談をして、何とかして打ち上げ禁止の可能性を含む規制をやるべきだ、こう考えております。
  163. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 御答弁の言葉じりを云々するつもりは毛頭ありませんけれども、他の国々と相談をする、これも非常に大事なことだと私は思います。それと同時に、わが国が唯一の被爆国であるという立場、これはもうたびたび言われてきておりますし、大臣も心しておられることと思いますけれども、その立場というものをあくまでも貫いていくべきである。むしろ相談すべき相手国が多々あるかと思いますが、その国々をリードしていくようでなければならないという、大臣としてもそのような責任と使命に立って、ひとつこの問題をはっきりとさせていかなければならないのじゃなかろうか、このように思いますので、このことをつけ加えておきたいと思います。  最後に、もう一つだけ伺っておきたいわけですが、これは御提案として申し上げたいと思います。  すなわち、原子炉衛星の規制問題を含めた国連軍縮総会ですね。五月に行われる予定ですが、この国連軍縮総会に臨むわが国の総合的な軍縮政策というものを早急にまとめた上で、この国会の審議を経て、そして総会に臨むべきではないか、このように思いますが、この点はいかがでしょうか。
  164. 園田直

    園田国務大臣 軍縮総会では、なるべくならば総理大臣の御出席を願いたいと私考えております。私が出るか、総理大臣が出るかわかりませんけれども軍縮総会においては、唯一の被爆国であるというわが日本の国の立場日本国憲法、そして非核原則、こういうものを三本の柱にして強く訴える所存でございます。
  165. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 関連してもう一つだけ伺いますが、国連の特別総会ですね、いま総理の御出席という話がありましたけれども国連の特別総会福田総理出席をして、日本の軍縮に対する立場というものを明確にすべきじゃないかとも私は思うわけですけれども、これに出席することは確定をしたのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  166. 園田直

    園田国務大臣 御指摘のとおり、今度の国連軍縮総会はきわめて重大な総会であり、わが国としては特に関心を持っているということで、総理の御出馬を願いたいという方向で検討はいたしておりますが、まだ決定はいたしておりません。
  167. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 以上で終わります。
  168. 永田亮一

    永田委員長 渡辺朗君。
  169. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 まず大臣に、ECと日本とのこれからの関係及び対策ということについて、お尋ねを申し上げたいと思います。  先般東京で開かれました日本、ECの通商協議の予備折衝、これは伝えられるところによりますと、物別れに終わった、日本のゼロ回答に対するEC側の不満というのは大変強いものがあるというふうに聞いております。この予備折衝について経過をひとつお知らせいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  170. 溝口道郎

    ○溝口政府委員 二月の十三日より十七日まで、EC側はEC委員会のメイネル北アメリカ大洋州日本局長が参りまして、日本側は私や各省の次長級が出まして、意見交換を行いました。ヨーロッパ側は、特に日、EC貿易バランスが毎年非常に悪化している、日本の黒字が年々ふえているということを理由に、日本はマクロ面でもまたミクロ面でもいろいろ改善を行って、日本のグローバルないし特にECとの貿易不均衡を早急に直すようにしてほしいということを言いまして、広くいろいろな面での関税引き下げ、それから製品輸入の増大、流通機構の改善あるいは検査問題等の非関税障壁、いろいろな問題を述べまして、今度は準備会合であるので三月中旬に行われる本格的な協議に備えたい、そういうことで、両方意見交換ということで今回は終わりまして、次の協議に備えるという段階になっております。
  171. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 今回の交渉について言われるところは、さきの日米協議のときとは打って変わって日本のECに対する態度はきわめて冷淡だった、こういうことが言われますが、このEC側の受けとめ方は、そのように日本側が冷淡であったのかどうなのか、あるいはまた、ECに対して軽視をしているというようなところはなかったのかどうなのか、日本政府の態度に非難されるようなものはなかったのであろうかということについて、大臣いかがお考えでございましょうか。
  172. 園田直

    園田国務大臣 お答えをいたします。  日米通商交渉が始まると同時に、日本は特にECの方にも重大な関心を払い、日本と米国の間で交わされるいろいろな交渉あるいはこちらから出しますいろいろな条件等は、米国に出すと同時に、在京各大使館及びEC本部及び各国に通報いたし、牛場君は御承知のとおりに、米国から帰るときにはECに回って帰ってきたわけでありまして、日本と米国の通商交渉は単に日米二国間の問題ではなくて、この中には内燃機関あるいはウイスキー等もろもろEC関係のものも含んである、こういう連絡は十分とっておったわけでありまして、EC本部でもヨーロッパ各国でもその点については十分理解があったわけでありますけれども、しかし、個々の品目でなかなか意見が合わない点がありますので、難航しておるわけでございます。
  173. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 個々の品目の問題で難航しているといまおっしゃいましたけれども、心配なことは、たとえばEC側の方から、これは二月の八日だったと思いますが、大変強い抗議も来たことがある。牛場対外経済担当相が東京のハーバードクラブで講演された、そういった講演の中でEC委員会に対して何か誤解を受けるようなこともあったというような発言が報道されております。これはやはり日本政府としてECの問題に本腰を入れて取り組んでいなかった、そういうところから出てきたのではあるまいかというような点では、やはり政府としてEC軽視というそしりを免れないような点があったのではないかと心配をいたします。その点、外務大臣はどのように理解しておられますか。
  174. 園田直

    園田国務大臣 いままでも十分関心を払ってECとは連絡を密にしてきたことは先ほど申し上げたとおりでございまして、その経過において意思の疎通または感情的な問題はなかったと思いますけれども、現にその後の問題では相当厳しくなっているわけであります。さらに二月の末にはアンデルセンEC外相理事会の議長、これはデンマークの外務大臣でありますが、三月中旬ごろにはEC委員会のデンマン対外関係局長の訪日が予定されておりまして、具体的にただいま日程等を詰めておるわけであります。  したがいましてEC側が提起しておる具体的な事項としては、たとえば流通機構の改善、製品輸入の増大、EC関心品目の関税引き下げ、輸入検査制度など、非関税障害の軽減、撤廃等がございますが、こういうものについては、今後よく誠意をもって話したい、御指摘の点も十分注意しながらやっていく所存でございます。
  175. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 三月にいま予定される本格的な交渉、これに対しての政府としての心構えといいますか、私はそれをお聞かせいただきたいと思います。  それは、もしもそのときにうまくいかない、不調に終わるというようなことになりますと、かなり心配されるような結果が生じる。たとえばすでにイギリスの貿易相がそのような発言をしております。日英、日欧の関係は、貿易赤字の削減に効果ある変化が日本側に見られなければ、日本経済に打撃を与えるような手段が導入される段階に達している、こういう言葉まで使っている。そうしますと、こちらの方も鋭意折衝に当たるということだけでは済まされない、思い切った対策をここらへんで講じる、その方針を貫いていかれないといけないのではあるまいか、外務大臣、いかがでございましょう。
  176. 溝口道郎

    ○溝口政府委員 わが方といたしましては、もちろん先生御指摘のように、わが国として日本とヨーロッパとの関係は非常に大事である、日本とヨーロッパとアメリカの三者が提携して、世界経済の、いま非常に困難な時期にあるときに、それを安定し発展させるために協力しなければいかぬという観点から、日本としてもできるだけのことをしなければいかぬという立場で臨んでおります。  同時に、日本といたしまして、客年来、予算面あるいは関税前倒し等いろいろな措置を打ち出しておりまして、この点についてはすでにアメリカにも説明しておりますし、また牛場大臣が二回にわたってヨーロッパに参りまして、こういう措置はすべて特定国のためではなくて、日本自身のため、そして世界全体のためにとっているので、何もいままでのことはアメリカ等、特定の国のためにやっているのではない、ヨーロッパもこれに十分均てんしております、たとえば関税前倒し関係でございますれば、自動車とか酒類、化粧品等、ヨーロッパ関心品目も数多く入っております、ただいま国会で審議をいただいております関税前倒し関係でございますが。それと同時に、現在ジュネーブで東京ラウンド交渉が行われておりますが、わが国は、東京ラウンド交渉を通じましても、ヨーロッパの関心品目あるいはヨーロッパが関心を持っている非関税障壁、たとえばセーフガードの問題なんかにつきましても話し合いを行っておりますけれども、こういうふうに基本的には日本はすでに一連の措置をとったことと、それから、東京ラウンドを通じていろいろな措置をとろうとしているということをヨーロッパ側に説明して、その理解を得るように努力しております。  同時に、大臣が申し上げましたように、従来からECとの間でいろいろな検査手続等、二国間で話し合ってきた問題もございますので、そういう問題につきましては、今後とも誠意をもってできるだけ検討する、そういう立場でございます。
  177. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 ECの方では、このたびの対日要求というのは欧州の経済危機を乗り切るための政治的要求だということを明らかにしているわけであります。ですから、この交渉が不調に終わるというような事態が起こってまいりますと、欧州全体での保護貿易主義、これが非常に高まるであろうし、それがアメリカにはね返って、アメリカの産業界からの、あるいは労働界からの対日批判というものに、また火に油を注ぐような結果にもなってくるのではあるまいか、私は実を言いますと大変憂慮をいたしております。  と同時に、総理は、七月に予定されている七カ国首脳会議、これをぜひ成功させたいというふうに言っておられる、保護貿易の広がりに歯どめをかけたいということも、先般記者クラブの発表で言っておられる。こうした七カ国ということを考えてみますと、すでにそのうちの四カ国というのはECのメンバーである、したがってEC諸国との協調が保たれるということ、これが首脳会議の成果ということにもつながってくる、そういう意味で、私は今回のECに対する本格折衝という場合の成否を、外務大臣、日中にもエネルギーを注いでいただかなければいけませんけれども、ひとつ先頭に立って御努力をいただきたいと思います。総理の七カ国首脳会議、これを成功させるためにも、外務大臣としての決意のほどをお願いをいたしたいと思います。
  178. 園田直

    園田国務大臣 事の経過は別として、ECと日本との間に不測の事態が起これば、これは直ちに他の諸地域にも及び、いろいろな問題が出てくるわけでありまして、これまた先進首脳者会議にも非常に響くわけであります。先進首脳者会議というものについての見通しも、なかなか今度の首脳者会議というのは、厳しい困難な問題を控えておると考えております。  そこで、ECと日本との間の協議は何とかしてうまくまとめたいと思いますが、その主なるものはやはりこの品目の問題でございます。こういう問題については、それぞれ具体的にいろいろ苦労しているところでありますけれども、御指摘のとおりに、何とかこの日本とECとの関係をうまく話を進めたいと考えております。
  179. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 外務大臣に期待するところは非常に大きいのですが、いまおっしゃいましたECとの関係もうまく持っていきたい、そのうまく持っていくというのには、私は大変多角的な方法が必要であろうと思うのです。  その点で私、第二の問題を御質問をさせていただきたいと思いますが、先日私は当委員会でも述べさせていただきました。私は決して政府間の交渉あるいは産業界の話し合い、こういったものも否定するものではありません、重要だと思います。しかし、日本の対外政策あるいは外交の展開に欠けているのは、先進工業諸国である欧米と対比いたしまして、同じ先進諸国でありながら、労働運動というものがそういう政策決定のプロセスの中に組み入れられていないという問題でございます。特にいま心配なのは、アメリカなんかでも、すでに米議会には保護貿易主義の法案というものがメジロ押しに出てきていると言われておりますし、あるいはEC諸国においても大変厳しい対日批判というものが出てきている。不況、失業という状態から、勤労者の不安感が大きくなり、それがまた保護貿易主義的な傾向も持つ、こういうような情勢を見るときに、労働運動というものをどのように、日本のこれからの対外政策、この政策プロセスなり、あるいはまた具体的展開に組み入れていくか。私は、外務大臣のこの問題についての前向きな御検討を期待しながら、幾つか質問をさしていただきたいと思います。  第一番目に、私、事務当局で結構でありますからお聞かせいただきたい。外務省の方で出版しておられる海外向けの資料、いろいろございます。日本の文化であるとか、あるいはまた風俗、習慣、こういったものも紹介しておられますが、その中で、私が見るところ、労働問題、賃金の問題であるとか、あるいはまた労働条件、こういったものを書いているものがないのに私は気がつきました。私の誤解であるのか否なのか。そういうような資料というものはつくって、海外に向けて配布されておられるのか、まずこの点をお聞きしたいと思います。なぜなら、多くの国々から日本の労働条件、そういったものについて大変な誤解に基づいた見解が述べられていることが頻繁にございます。それゆえにお尋ねをいたします。
  180. 園田直

    園田国務大臣 御指摘のとおり、このように多様化してまいりますると、政府間交渉ばかりでなく、民間諸団体、あるいは商業ミッション、あるいは特に民間団体ではありませんが、議員の方々の交流等、各層、各界からお互いに相互理解を深めることは非常に大事でありまして、現に労働組合の方に相談をして、話のまとまった例も幾つかあるわけであります。したがいまして、今後そういう方向に持っていかなければ、なかなか政府間だけではうまくいかぬ。こういうことは御指摘のとおりであります。実情については局長からお答えをいたさせます。
  181. 加賀美秀夫

    ○加賀美政府委員 お答え申し上げます。  わが国の労働条件その他労働問題に関します資料といたしましては、「今日の日本」という、わが国の国情一般に触れております資料、これは海外に広く配布いたしておりますが、その中に、経済関係の中の一部として、わが国の労働条件等にも触れております。それから英文の資料で、「ジャパン・エコー」というのがございまして、これはわが国の主要な新聞、雑誌等、これに載っております資料、論文等を英文に翻訳いたしましたのを集めてございますが、この中にも労働問題、労働条件等に関するものは含まれております。
  182. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 これは、ぜひひとつ労働問題あるいは日本における勤労者の状況、こういったものを、私は別に飾る必要はないと思うのです。いいことだけ言う必要はない。むしろ、お互いに苦労しているんだというような点を率直に書いたものを、あるいは紹介したものをよその国の勤労者にも見てもらう、そういう活動をひとつぜひ今後やっていただきたい、これをまず私は要望いたしておきます。  さて、アメリカにしろ、あるいはヨーロッパ諸国にいたしましても、労働運動というものが政府の政策決定に非常に強い影響を持っていることは、大臣も御存じのとおりであります。最近、日本においても、にわかに労働省が労働外交というようなことを言われ始めました。大変結構なことであると思いますけれども、本来ならば、労働省ではなくて外務省が、あるいは外務大臣がイニシアチブをとって、そういう段階における、つまり労組などもこれからの外交の中に大きく取り入れていくんだというような考え方を指導していかれるべきであるまいかと私は思うのです。  それに関連いたしまして、たとえば、外務省でいままでずいぶんたくさん海外から文化人、学者をお呼びになっておられますが、いかがでございましょう、どのような方々——どのような方と言うと時間をとってしまいますから、外務省としての担当で、過去数年間に何百人、何千人ぐらいお呼びになりましたでしょうか。そして、その中で労働組合幹部というのは何人お呼びになりましたか。
  183. 加賀美秀夫

    ○加賀美政府委員 外務省の行っておりますいわゆる招待外交にはいろいろな方がございまして、大臣等の政府関係者、それから報道関係者、それから労働運動代表者、文化人その他いろいろの方がございます。その中で、海外広報の観点から行っております招待と申しますのは、主として報道関係者の招待と、それからいわゆるオピニオンリーダーと申しておりますが、各国の世論形成に影響力のある有力な財界人あり、あるいは労働運動指導者あり、地方有力者ありという関係の人々を、オピニオンリーダーというカテゴリーをつくりまして、呼んでおります。労働運動代表者の招待の実績は、昭和四十六年度に三名、四十七年度に五名、四十八年度三名、四十九年度三名、五十年度五名、五十一年度六名、五十二年度二名でございまして、外務省といたしまして、これまでのところ二十七名の招待が実現しております。このほかに、国際交流基金を通じて、本年度一名、招待が実現いたしております。  今後とも外務省といたしましては、この欧米諸国との貿易摩擦を解消する一環といたしまして、労組幹部の招待を積極的に推進していく方針でございます。
  184. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いま言われました数字の中で、トータルは、お招きになった数は全体で何人でございましょう。
  185. 加賀美秀夫

    ○加賀美政府委員 ただいま申し上げました、いわゆるオピニオンリーダー、労組幹部、それから財界の有力者、地方有力者、議員スタッフ等を含めますと、四十六年の総数は四十一名でございます。そのうち労組幹部が三名。四十七年度は、オピニオンリーダーが総数七十二名、そのうち労組幹部五名。四十八年度は、オピニオンリーダーとして呼びました者が六十七名、そのうち労組幹部三名。四十九年度は、オピニオンリーダー総数が九十六名、労組幹部三名。五十年度は、総数百二十三、そのうち労組幹部五。五十一年度は、百六十名が総数で、そのうち労組幹部六。五十二年度は、総数百二十二、そのうち労組幹部二となっております。そのほかに、先ほど申し上げました報道関係者の数が別にございます。
  186. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私は、数の問題は多いにこしたことはないと思います。特に、いまのように勤労者同士の不安感、これが世界各国で保護貿易主義あるいはナショナリズム、こういったような形のいわば源泉、根源になりつつあるようなそういう不安を感じますので、特にそういった分野における交流計画を進めていただき、日本も十分理解してもらう、こういうような点を考えていただきたいと思います。  ですから、数の方も多くしていただきたいと思いますが、もう一つは、招き方であります。会議屋であるとか、あるいはまたトップのリーダーばかりではなくて、地域の活動家、こういった人を招かないと、本当に末端にまで情報が届かない。それからまた、こちらに来られましても、早い話が、何かいいところを見せて回るというような考え方ではなく、そういうプログラムをつくられる場合でも労働運動側の意見をひとつくみ取ってもらって、助言を聞いてスケジュールをつくっていただきたい、これを要望いたしておきます。  さて、次の問題として同じく労働問題でありますけれども、私、いまみたいな時代というのはレーバーアタッシェを多く世界各国に送るべきではあるまいかと考えております。外務省日本から世界各国にいま派遣しておられるレーバーアタッシェは何人いらっしゃいますでしょうか。
  187. 枝村純郎

    ○枝村説明員 現在十一名でございます。また、五十三年度政府予算原案におきまして、在メルボルン総領事館でございますが、一名の派遣が認められておりますので、それが実現いたしますと十二名ということになるわけでございます。
  188. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 その十一名ないしは十二名のうち、労働組合出身の方は何名いらっしゃいますでしょうか。
  189. 枝村純郎

    ○枝村説明員 在外職員になります場合には、もとより外務省の職員という身分で行くわけでございますが、もともとは労働省の御出身の方でございまして、組合の出身の方はおられないというふうに承知しております。
  190. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私の知るところでは銀行などから大使館に出向しておられる方々もいらっしゃいます。たとえばそういう形で、民間の労働組合からそういうレーバーアタッシェの制度をつくり、そしてまたいい人をピックアップしていくようなことは考えられないであろうか。  たとえば、これはいま外務省の方でお調べいただいておりまして、まだ返事が来ておりませんけれども、私の調べたところでは、イギリスの場合は十二名のレーバーアタッシェがおります。世界各国の工業国を中心に派遣をしております。十二名は全部TUCの出身であります。アメリカの場合には百名以上のレーバーアタッシェとレーバー・レポーティング・オフィサーという制度があります。その三分の一は労働組合AFL・CIOの出身であるか、何らかのかかわりを持っている方方であります。あるいはまたドイツの場合は、十二名の人たちが全世界に、実はドイツは大使館のあるところはレーバーアタッシェを置いているけれども、そのうち十二名は労働組合出身であります。DGBの出身であると聞いております。  私は、いまのような、日本世界各国の経済的なフリクションが起こってきたり、あるいはまた失業の不安というような中でお互いが保護貿易主義になったり、ナショナリズムを強く持つような傾向が出てきたときに、そういうような問題を解決するためにもレーバーアタッシェというものは数をふやし、かつまた労働運動から実際に仕事の面で悩みも持ちあるいは実情も知っている、こういうような人たちを活用するべきではあるまいか、こう思っておりますが、大臣、お考えはいかがでございましょう。
  191. 園田直

    園田国務大臣 そういう必要はだんだん高まってくると思いますので、十分検討したいと考えております。
  192. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 検討していただくということでございますので、ぜひその点は前向きにお願いをしたいと思います。先ほどもお話がちょっと出ました、これからECの代表が来られるようでありますけれども、イエルゲンセンというデンマークの総理は労働運動の出身であります。あるいはまた対日経済政策の責任者をやっておるハフェルカンプにしましてもDGB、ドイツ労働総同盟のIGメタルの出身でございます。そういう意味で、こちらの方でも十分労働運動というものを踏まえての交渉もしていただきたいことを、私重ねて要望さしていただきたいと思います。特に私、先ほども申し上げましたけれども政府間交渉あるいは産業界同士の打ち合わせ、交渉、こういったものはもちろん重要でありますが、民間の労働運動というものをこれからの外交の中にビルトインさせてもらう、有機的にそれを組み入れてもらう、こういうことが非常に重要になってきていると思います。今後、これから三月のECとの折衝に当たりまして事前にぜひとも日本の労働運動の意見、こういったものを聞いて政策をつくっていただきたい。外務大臣、その点についてのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  193. 園田直

    園田国務大臣 御意見のとおりだと思いますので、そういう方面に逐次進めていきたいと思います。
  194. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  195. 永田亮一

    永田委員長 寺前巖君。
  196. 寺前巖

    寺前委員 時間の許す範囲でお聞きをしたいと思いますが、一つは在日米軍が日本の基地を使う問題をめぐる問題です。時間に余裕があれば、問題になっておりました原子力衛星についても聞いてみたいと思います。  在韓米地上軍撤退の条件として、戦力穴埋めは在日米軍が決定的な役割りを負うということはだれもが考えられる点であります。米国防報告を見ても、日本を北のいかりと規定し、西太平洋地域内ですぐに使える米軍主力として攻撃用戦闘機九個中隊、うち韓国に三中隊、沖繩には四個中隊、沖繩の第三海兵師団の二個旅団、空母二隻を持つ第七艦隊を明記しております。まさにその点では在日米軍が主力であって、そしてPRM10を見ても、朝鮮有事の際には朝鮮半島へ空母五、海兵二個水陸両用部隊、陸軍一個師団、空軍十四個中隊を投入するというようなことまで書かれているわけであります。それだけに今日の安保問題の一つの重要な課題というのは、この朝鮮半島に対する在日米軍の日本の基地の使用の態様がどうあるのか、これは重要な位置を占めると思います。それだけに私は、新しく外務大臣におなりになった園田さんに、ぜひともきっちりと日本を危なくないようにしていただきたいというふうに思うわけであります。  そこで最初に外務大臣にお聞きしますが、当然のことながら、アメリカ軍は在日米軍基地を戦闘作戦行動に使う場合には、自分の方から事前協議をするということを言い出すべきだと思いますが、それは当然のことでございますね。改めて大臣にお聞きをしておきたいと思います。
  197. 園田直

    園田国務大臣 当然事前協議をするべきであって、自由に使用することはできない。
  198. 寺前巖

    寺前委員 ところが最近、私はアメリカの上院の軍事委員会の議事録を見ました。一九七五年の二月二十七日の議事録です。ここに国会図書館から写しを持ってきておりますが、この議事録を見ますと、米海兵隊副参謀長サミュエル・ジャスキルカという人が非常に重要な発言をしているわけです。ちょっとその一節を読んでみたいと思うのです。質問者はナンという上院議員です。「私が心配しているのは、沖繩の海兵隊に対する政治的束縛だ」云々、こう言って、「軍事部隊としての海兵隊の機動性を沖繩の部隊は間違いなく持っている。しかし、それが大変限られた条件を除いて、あらゆる種類の政治的要因によって束縛をされるとき」云々、こう言って、その後で「かなりの持てる戦力を有効に使えないと言ったら正しくないだろうか。」要するに、在日米軍はいろいろな能力を持っているけれども、政治的要因によって束縛されておって自由に使えないのじゃないだろうかというのが問題提起であります。この問題提起に対してサミュエル・ジャスキルカという副参謀長がこう言っているのです。「私は、そうでないと思う。私の知る限り、国家当局が指示するあらゆる任務にもこたえるため、海兵隊が日本本土と沖繩から展開するのに何の制約もない」云云と言って、「ベトナム戦争の間、ベトナムにいるわが軍を支援するため、日本を基地とするわが軍を使用することに何の制約もなかった。」こういうふうに言い切っているわけです。さらに、「朝鮮におけるあらゆる作戦への支援基地として日本を利用することには何ら制限はない。」とまで証言をしているわけであります。こういうことになってくると、第一線の重要な幹部が事前協議という認識を持っていないということになってきている。何ら政治的に制約を受けるものはないのだということが起こり始めると、これは重大な問題だと言わなければならないと私は思うのです。外務大臣、いかがなものでございましょうか。第一線に配置される幹部にこのようなことを言わしておいて、外務大臣としてそうかというふうにほっておいていいのだろうか、これはアメリカの議会における証言ですから、私は事はきわめて重大だと思うのですが、いかがなものですか。
  199. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 大臣がお答えになられる前に、事実関係につきましてちょっと私から御答弁申し上げさせていただきます。  先生が御引用のアメリカ上院の軍事委員会兵員分科委員会における議事録につきましては、私どももこれを入手いたしまして調べてみたところでございます。いま先生が御引用になられたようなやりとりがあることは事実でございますが、他方、その海兵隊の副参謀長は、先生がいま御引用になられた以外のところでこのようなことも申しております。すなわち「私は、そのような行動の支援のための基地として日本を使用することに伴うどんな活動も、国務省と日本政府との間の交渉事項であると思っているが、私はこれを論ずる資格がないのでよくわからない」というようなことを述べております。すなわちこの海兵隊の副参謀長は全く軍事的な局面についてその所見を述べているわけでありまして、他方日本を戦闘作戦行動の基地として日本の施設区域を使うという場合には事前協議の対象になるということについても、彼自身も明確な意識を持っているわけでございまして、それが国務省と日本政府との間の交渉事項である、ただ自分は直接の当事者でないのでこれを論ずる資格がないというようなことを申しておるわけでございます。こういう点から申しましても、先生の御心配のような第一線の軍事関係者が事前協議の問題を全く無視して何らかの行動がとり得るということを考えているものではないというふうに私ども考えている次第でございます。
  200. 寺前巖

    寺前委員 私は、大臣にお聞きをしたいと思うのです。  米海兵隊の第一線の副参謀長という大幹部が、いまの局長答弁の中にもありましたように、政府間のことはよく知らない、そういうことを言われたって全然わからないんだということを片一方で言っているわけです。そして、自分の活動については何ら制限を受けない。軍事戦闘というのは瞬間的な行動が重要な役割りを果たすことは当然であります。とすると、第一線の幹部というのが、日本の土地を使わしていただいている限りにおいては何を自覚しておらなければならないかという重要問題としてこのことが意識されていないということを、私は非常に心配するのです。  昨日も、私は沖繩にあります空軍の師団の司令官に約一時間四十五分ほど現地で会ってまいりました。そのときにも、私は、たとえばという例示を言って、板門店で問題が起こる、あなたたちはすぐに出動しなければならぬでしょう。出動命令が出てくる、そのときに無条件に飛んでいくということになるでしょう。日本との関係は、そういう戦闘状態に入ったときにはどういうふうな手続がなされているのですか、御存じですか、と聞いてみたら、私どもはそういう日本政府との関係のことはわかりません、と、こう言うわけです。  また聞いてみたのです。これは別の次元の話ですが、核をめぐるところの事故が発生した場合の演習はどうなんですか。三カ月に一回やっているそうです。年に四回やっている、と、はっきり言っていました。その演習はどうなんだか。そうすると、事故が発生した場合にどういうふうな対応をするのか、すぐ逃げていくのかどうするのかというようなことをやるのだ、それは世界各地に配置している部隊全部やります。だけれども、沖繩という土地柄のところに見合った訓練はやらないのか、と言うたら、それは当然やります、そう言います。そうしたらそこには日本の人との関係問題が生まれるじゃありませんか、日本の人たちが通っている道路もあるでしょう。いや、私の管轄権はここだからということと、事故の発生という問題とは、それは管轄権と関係なしに広がるという様相を持つでしょう。そこで、日本との関係問題は、訓練をやる以上は、この次元にどういうふうに連絡をとるのだとか、こういうふうに対応するのだという具体的計画も考えなければならぬじゃないですか、そこは訓練の計画の中にはあるのですか、こう聞いてみたら、いや、日本のことは全然計画しておりません、考えていません、こういう。第一線のアメリカの基地幹部が日本との関係問題については、それは私の方ではわかりません、では基地を提供している側の日本としてはこんな不安な話はないと思うのです。ですから、こういうようなアメリカの重要な第一線幹部が基地使用についてこの程度の認識だとするならば、外務大臣としてはっきりとこの際、何しろ事前協議というのはアメリカの側が言わなければ問題にならないのだから、改めて日本側としては、第一線幹部の認識を新たにさせるという措置をとってしかるべきではないだろうか。私はこの点に対する外務大臣の所見を聞きたいと思います。
  201. 園田直

    園田国務大臣 お答えをいたします。ジャスキルカ副参謀長の発言は、先ほど局長からも言いましたとおり、国務省と日本政府との協議は自分は知らない、みずから自分は事前協議を語る資格がないということを言明いたしております。  事前協議は、第一線の司令官と日本政府が協議すべき問題ではなくて、日本と米国が協議する問題であり、それが調ってから第一線に命令を下すべきものでありますから、命令が下されるときには、事前協議ができなければ命令は下されないわけであります。この点はいささかも心配要らない、こう思います。
  202. 寺前巖

    寺前委員 私は、昨日アメリカ空軍の司令官とお会いしたときに、仮定の問題として、F4は核装備をしておる、核装備をしているところの飛行機が、どういう事態で沖繩におりてこなければならないかわからないという時点が、瞬間的な問題として起こるでしょう、これは核装備しているかどうかあなたの方はわかるんでしょう、そのときに、日本の上空へ来てここへおろしてくれという事態が発生したときに、あなたはどうするのですか、ここの管轄権はあなたの責任においてそのときにやらなければならぬでしょう、そのときにどうされますか、と私は聞いてみたのです。それはおりなければならぬときはおりてしまうでしょう、こう言う。あたりまえの顔をして言うのです。日本の側にある非核原則上の問題、そんなことについて自分は外交官でないから知らないという立場です。さもあらんと私もある面では思います。だけれども、その地域を管轄するところの第一線の司令官だったら、日本とアメリカとの間にあるところの約束についてはこれこれだということを、認識上において持っていないということは、とんでもないことになるではないかということを私はつくづく感じたのです。  だから、私は改めて外務大臣指摘をするわけです。アメリカの第一線に配置される司令官とかそういう人たちが、事前協議について認識がない、このことに対してアメリカ側にあえて問題を提起すべきではないのかということを私は強く大臣に聞くものなんです。改めてもう一度お答えをいただきたいと思うのです。
  203. 園田直

    園田国務大臣 副参謀長も言っておりますとおりに、国務省と政府の協議は知らない、要するにそういう協議があるということは知っているわけでありますから、当然これは軍の要請からアメリカの国務省にいき、国務省からそれぞれ日本に事前協議があるものであります。故障の場合どうするか、これもジェット機が故障になったら、そんな着陸する余裕なんかないわけであります。作戦上着陸する必要があったら、これは当然事前協議の対象でありますから、米国政府を通じて事前協議をすべき問題でありまして、仮定の事実をつくられて、米軍の兵士がどうこう言ったからといって、それで事前協議が行われないということは私はないと存じます。
  204. 寺前巖

    寺前委員 私はことさら大臣にこだわるのは、いろいろな問題が発生するだけに、第一線の幹部も認識を持っておらなかったら困るではないかということを聞いているのです。持っていないという例示を私はきのう直接感じたし、また議事録からもその点を感ずるから、それこそ第一線の幹部諸君たちにもはっきり認識を持たせなさいよ。私は、日本政府がそういうことについて当然アメリカの方が考えているだろうという甘い考え方を持っておるということは、日本の国民に対する責任を持たないことになるんじゃないだろうか。心配でかないませんので、私は重ねてこのことを大臣に強く要望するものなんです。これは後でもう一度いまの点をお答えいただいたらいいですけれども、次にちょっと聞いてみたいと思います。  今日のカーター戦略によれば、在日米軍の有事即応の行動こそ決定的な条件となっているわけですが、福田総理が去年の三月二十九日でしたか、こういうことを言っておられます。朝鮮半島に対する在日米軍の出動にイエスもあり得るのだと述べておられるわけです。  そこで私は、最近の予算委員会で私ども不破議員が出したパープル・プローズという在日米海兵隊の朝鮮出動演習の概要をめぐって、ちょっと実際的にお聞きしてみたいというふうに思うのです。このパープル・プローズの第四番目にこういうのがあるのです。十二月十五日七時三十五分に発令されて、行動が起こるわけですが、想定は、キムチと言えば当然のことながら朝鮮のことを言うのでしょう。北キムチ軍隊が南キムチの東海岸沖合いの島を二つ奪取したという想定での訓練が始まるわけです。二つ奪取したというたら、直ちに普天間基地の海兵重ヘリコプター部隊に南キムチへの空輸出動を命ずる。第一線にすぐにだっと持っていく活動が展開をされるわけですが、朝鮮半島でこういうふうに二つの島を奪取するという問題が起こったときに、アメリカ軍は直ちに空輸を開始する、そういう事態が生まれるわけです。これは事前協議の対象になるのですかならないのですか。
  205. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のパープル・プローズの概要なるものの第四番目に書かれております事態そのもので、これが事前協議の対象になるかならないかという点を直截にお答えすることは困難であろうというふうに考えます。と申しますのは、ここにあります概要におきましては、一定の事態を仮設いたしまして、そして抽象的な形で事態の進行ぶりを書いているわけでございます。かつこの仮設そのものは事前協議のような日本政府との関係の問題を一切捨象して、そして米軍としての行動だけを書いておるということでございまして、一般的にこのような抽象的な、また限られた与件を並べて、これによって事前協議の有無を論ずるということは適切だとは考えられないのでございます。
  206. 寺前巖

    寺前委員 そんなむずかしいことをあなた一々言うのだったら、朝鮮半島で二つの島を奪取するという事件が発生した、アメリカ軍が出動をするというときには事前協議の対象になりますかと聞いておるのです。
  207. 園田直

    園田国務大臣 これは演習の話でありまして、演習は仮定の想像をして、それに基づく軍の訓練をやるわけであります。したがって、軍で演習計画をつくる場合には、事前協議が終わって出動命令が下った場合のその先のことを考えて演習をやるわけでありますから、この演習の計画または資料に基づいて、事前協議には関係なしに自由に軍がやるということは、それは言えないと存じます。
  208. 寺前巖

    寺前委員 ですから私は、演習で事前協議云々を言いません。こういう事態が発生した場合には、それは事前協議の対象になるのですかということを聞くのです。
  209. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 ただいま申し上げましたように、ここに書かれておる行動が具体的な事態においていかなる形でとられるかということを見きわめなければ、いま先生の御提起のような問題を論ずることができないということを申し上げたわけでございまして、たとえば「空輸出動」というような言葉そのものをとりましても、果たしてこれが戦闘作戦行動の発進を意味するものであるか、または単なる移動であるか、このことからははっきりしたことがわからない。いずれにいたしましても、事前協議の問題は具体的な事態に照らして判断すべき問題でございまして、このような演習という形で抽象的に書かれたことについてお答えを申し上げるのは非常にむずかしいということを申し上げたわけでございます。
  210. 寺前巖

    寺前委員 それじゃ、私も、先ほどから何回も言いますが、演習というのは外しましょうと言うのです。朝鮮の南部の二つの島が占領される、そういう事態が発生する。それで、アメリカ軍が普天間から、それというので、空輸出動という命令を受ける。その場合に、日本としては、事前協議の対象としてアメリカ軍から話はあってしかるべきだと思うのか、思わないのか、そこはどうなるのでしょうかと聞いているわけです。
  211. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 ただいま申し上げましたように、戦闘作戦行動をわが国の施設区域から発進させるということであれば、当然に事前協議になります。これは、他方、わが国の施設区域に駐留しております部隊を韓国地域に移動させるということであれば、事前協議の対象にはなりません。
  212. 寺前巖

    寺前委員 そこで、私はちょっと聞きたいわけですが、二つの島を占領したからといって、これは直接日本にかかわる関係じゃないのですね。直接日本にかかわりないのだったら、基地として出動していくことについては、事前協議としてイエスという話になっていくわけですか、あり得るのですか。そこはどうなんでしょう。
  213. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 まず第一に、大変お答えしにくいのは、先生も御指摘のように、南キムチとか北キムチとかいう仮定の国を仮設した事態でございますので、それがわが国といかなる関連を持つかということは論ずることができないわけでございます。ただ、一般的に申し上げれば、米軍がわが国の施設区域を使用し得るのは、日本国の安全のため、極東における国際の平和及び安全のためにおるわけでございますから、その施設区域の使用が極東における平和、安全のためである場合に、その極東における事態をわが国の安全との関連において検討し、わが国の安全に直接またはきわめて密接に関係がある場合にはイエスを言うというのは、従来から政府お答え申し上げている立場でございます。
  214. 園田直

    園田国務大臣 いまちょっとこんがらかった感じがいたしますが、イエス、ノーの問題と事前協議の問題と二つこんがらかっては誤解を与えますので、事前協議の対象になるかならぬかというのは、日本の安全にどうこうという関係はございません。兵力の移動であるかあるいは作戦行動の基地にするかという観点から、事前協議の対象になるかならぬか決まるわけでございます。それをイエスかノーという場合には、いま局長が言われるような問題に移ってくると存じます。
  215. 寺前巖

    寺前委員 四十六年の十二月十日に、当時の福田外務大臣がこう言っています。ベトナムに出撃については、わが国としては、ああいう遠隔な地域の問題で、わが国に火の粉をかぶる事態にはならないと思う。したがって、そこに対する出撃はノーだと思う。これは、ベトナムの出撃は非常に遠いところなんだ。ですから、日本の土地で相談があったって、火の粉をかぶる事態にはならない。ですから、日本から出撃していくことに対してはノーだ。そうすると、朝鮮の場合は、日米間にも韓国条項、朝鮮条項などという運命共同体のごときあれもあるわけですが、政府が言う、一衣帯水という状況から見て、朝鮮に出撃していくという場合は火の粉をかぶるという事態になるのじゃないだろうかということで、むしろイエスという発言の方が多いということになるのでしょうか。ベトナムのときに言われたから、今度は朝鮮の場合だったら、事前協議がなされる場合に、それは一衣帯水だからイエスという方が多かろうという判断を下すことができるのかどうか、そこは外務大臣どうでしょう。
  216. 園田直

    園田国務大臣 仮定の事実に答えるわけにまいりませんけれども、ただ単にそれだけの要素でイエスかノーかということを決めることは困難でございます。
  217. 寺前巖

    寺前委員 くどいようですが、それだけの要素で要求するわけじゃありませんけれども、前に、現総理の福田さんが、ベトナムは遠いから火の粉をかぶることはないから、ここから出撃どうぞというわけにはいきません、こうおっしゃったのです。とすると、朝鮮の場合はうんと近い、一衣帯水だ。朝鮮条項、韓国条項と言われる内容もある。そこでの問題が発生した場合、重要な判断基準として、イエスというのが重視される発言としてなされるのだろうか、私は、ここが重要な一つの条件だということで、これに対する御答弁を重ねて、しつこいようですが、聞きたいと思う。
  218. 園田直

    園田国務大臣 私も国防会議の一員でありますが、私が総理であるならば、火の粉をかぶるおそれがあればあるほど、イエス、ノーというのは慎重に各要素を考えてやるべきことであって、単に火の粉をかぶる近いことであるからイエスというのが多い、こういうことは仮定の現段階では私は断定はできないと思います。
  219. 寺前巖

    寺前委員 時間が来ましたので、終わります。
  220. 永田亮一

  221. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 防衛庁にお伺いをしますが、かつての陸幕の第二部、特にこれは別室を持っておるわけですが、これは一月三十日に編成がえになって、いまどうなっていますか。
  222. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 編成がえになりまして、調査部の中の第二課の別室という形で残っております。
  223. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 昨日の参議院外務委員会で、公明党の渋谷さんが取り上げた問題ですが、今度陸幕の調査二課、第二班長志摩篤一佐を中国に業務連絡のためにやられる、この問題が取り上げられました。いまお聞き及びのとおり、この陸幕調査二課というのは、かつての悪名高い二部別室、略称二別、ここに志摩さんはおられましたね。経歴を見てみますとそうなっています。五十二年三月十六日付でその二別に行かれた。二別というのは私ども何回か過去に取り上げました。言うならば全くの隠密のスパイ、覆面部隊であります。全貌が明らかになっていない。言われるところは、エリントに対してコミント、つまりコミュニケーション・インテリジェンス、覆面の情報部隊であります。スパイ部隊であります。ここにおった人を、このようなデリケートなときに、中国に、業務連絡とはいえ、しかも、ユニホームとして派遣をされる、そういう点について、その適格性について私は疑問を持ちますが、外務大臣はそういう点をお調べになりましたか。
  224. 園田直

    園田国務大臣 これは先般も答弁いたしましたが、今度の中国に参りまする某一佐、これによって日中関係が誤解を受けたり刺激をされるようなことはないと思っております。
  225. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういう人物をわざわざ、しかもユニホームのまま業務連絡にやられることが、果たしてこのような日中間のデリケートな時期に適格性があると外務大臣は御判断になっていますかということを私は聞いておるのです。この二別というのはどういうところであるか、外務大臣はよく御存じじゃないのじゃないでしょうかね。
  226. 園田直

    園田国務大臣 派遣される一佐の経歴、人物等については防衛庁から御返答願いますが、制服で参りますことは、これは中国の方も了解しておると私は承知しております。
  227. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はどうも適格性に疑問がある、このことを申し上げておきたいと思います。  次に、きょうの冒頭の質問土井たか子委員質問がありましたが、そのことに関連をしてお伺いをしておきたいと思います。  日本が原子力潜水艦を持つことはNPTからいって、これは平和利用の問題で触れますか、触れませんか。
  228. 大川美雄

    大川政府委員 核拡散防止条約の規定からいたしますと、原子力を推進力とする艦船を所有することは、条約自体には違反にはなりません。
  229. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 核を持たず、つくらずということは、午前中の大臣答弁では、まあ土井たか子委員もそうでしたけれども、単に憲法上の法理とNPTから持てないということですか。そのほかにありゃしませんか、大臣。
  230. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 この原子力潜水艦の問題につきましては、かつて科学技術庁の方からの御答弁がございますが、原子力推進というものが一般化していない現状においては認められないということと、さらに原子力基本法第二条のもとで、原子力を自衛艦の推進力として利用することは考えておりませんということを申し上げております。
  231. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 質問を聞いておってくださいね、私、時間がないですから。私が聞いているのは、午前中の土井質問では原潜は出てこなかったのですよ、核をつくらず、持たずというのは憲法法理上とNPTから持てないというやりとりがありましたが、そのほかにありゃしませんかと言っているのですよ。原潜のことをいまは言っているのではない。
  232. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それは非核原則のもとで持てないというふうに考えております。
  233. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それだけですかと聞いているのです、さっきから。
  234. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃいましたのは憲法の法体系のもとでということと、それからNPTとおっしゃいましたから、核防条約関係ということでございまして、そのほかに非核原則というふうにいま申し上げたつもりでございます。
  235. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃもう一遍聞きます。それだけですか。私はこういうことを短い時間の中で言うのは、どうも政府は過去のやりとり、政府答弁について責任を持っていない。そして過去のやりとりを忘れたふりをして新しい解釈を示して、だんだん過去の答弁を訂正して拡大解釈へ持っていっているから、私はあえて確認しているのです。原子力基本法があるじゃありませんか。どうですか、これは。これは関係ないですか。日本が核を持たず、つくらずということについて、原子力基本法は関係ないですか。
  236. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 大変失礼いたしました。いま原子力基本法の問題は原子力を推進力として使うことさえも、二条のもとでは持たないということを申し上げましたので、当然のことながら、殺傷力としての核兵器というものは原子力基本法のもとでは持てないということでございます。
  237. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうでしょう。この原子力基本法というのは、大臣はお古い方ですから御承知でしょうが、これは当時まだ公明党さんなんかもいらっしゃらないときに、自民党と社会党で議員立法でつくった重要な法案ですよ。このときに、この原子力基本法を改廃するには三分の二以上の賛成が要るという主張もなされたのです、実際はそうならなかったけれども。ということは、これは憲法にも匹敵するという法律だということは確認しているのですよ。それをさっきは非核原則の点から言った。これも問題がある。私はかつて佐藤総理大臣に聞いたことがある。非核原則のうちに、持ち込ませずは政策で、つくらず、それから持たず、これは憲法上の問題だという答弁を得ているのですよ。そしていまもあなたがおっしゃったとおり、これは単なる科学技術庁長官の答弁じゃないのですよ。統一見解を出しているのですよ。ちゃんと四十年の四月十四日政府統一見解で出ている。原潜は平和利用の点から持てないのです。一般化していないということは、単に形容詞にしかすぎない。一般化するということは、このやりとりではその辺の漁船までが、いいですか、「むつ」じゃないのですよ、漁船までが原子力を推進力に使うほど一般化した場合にはということですよ。だから、あり得ないんだ、これは。原子力基本法の点からいっても持てないのですよ。戦術核なら憲法上持てるなんて、いままでそんな答弁はない。いいですか。  次に、原子力潜水艦はこの原子力基本法の第二条からいって平和利用に抵触する、こうなっている。ではNPTの平和利用には抵触しないのですか。どうしてそうなるのです。——時間がありませんから、一々とぎれちゃ困るのですよ。これは研究して答弁してくださいよ。原潜が、原子力基本法の二条で言う平和利用には抵触する、しかし、NPT、核防条約の二条の平和利用には抵触しない、どうしてそんなに違うのですか。整理して答弁してください。これは留保しておきますよ。いいですか。
  238. 大森誠一

    ○大森政府委員 核兵器拡散防止条約の面について申し上げれば、その第二条において、単に原子力を推進力とする艦船自体ということについては、これ自体の規定からは禁止されていない、このように解します。
  239. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 原子力基本法の二条では平和利用に抵触するということで、どうして法律の解釈がそんなに違うのですかと私は聞いているのですよ、あなたがそうおっしゃるから。私の質問に対する答えになっていない。同じ平和利用の問題について、日本の法律では抵触する、条約では抵触しない、そういう整合性のない解釈がありましょうか。どうなんですか、これは。大臣は非常に常識のある方ですから、大臣どうでしょうか。
  240. 園田直

    園田国務大臣 時間がかかりますから後で正確に調べて答弁いたしますが、私のただいまの考え方では、平和利用は許されておるが潜水艦そのものが兵器であるからこれはできない、こういうふうに解釈いたします。
  241. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 まことにそのとおりです。まさにそれが常識に合うというものですよ。いまの役人の解釈は、全くこれは三百代言と言う、こういうことを。だからこれは整合性を持った解釈をひとつお示しをいただきたい。これは留保しておきます。委員長よろしゅうございますか。  次に、今度もクレーター海軍長官の証言で、ミッドウェーの核の問題が国会で論議された。その都度、間接話法と申しますか、三段論法の形式論理で否定をしてきましたね。これはいつも問題になっている。核の有無については言えないというアメリカ側の言い方について、日本政府としてはやむを得ないというお考えですか。
  242. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 アメリカ側が一般的には核の有無については言えないという政策をとっていることは、それなりの理由があるものだというふうに理解いたしております。
  243. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、何ともそれに対して対抗し得ないのですかと聞いているのです。やむを得ないとお考えですかと聞いているのですから、質問に適切に、常識的に答えてください、大臣みたいに。
  244. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 米国自身の方針でございますので、日本側として、それに対してとやかく言うべき筋合いではないということでございます。
  245. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなた、いつからいまの職にあるのですか、もう少し勉強してくださいね。われわれは過去何回もやっているから、こうして変なことを言うから、わざわざ時間を割いて確認せざるを得ないのですよ。もしそういうことだったら、向こうが言うてくるわけないじゃないですか、事前協議で核を持ち込みたいと。それは核の有無をはっきりすることだから。アメリカの核の有無は言えないという政策をそのままにしておれば、事前協議なんというのはあり得ない、こう私が言ったときに、外務省は何と答弁しましたか、覚えておられますか。
  246. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 その問題につきましては、過去においてもいろいろ御論議があったことをよく承知しております。そして、過去におきましてアメリカ政府見解を御紹介いたしまして、アメリカ側がその事前協議に関する約束を禁止、妨げるような国内法はないということを言っているということをお答え申し上げておると思います。
  247. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 思い出されましたね、そのとおりですよ。これは私どもが問題にして、昭和四十九年の暮れに、アメリカ側からこういう私の見解に対しての答弁があっておる。その中で「一九六四年十月に合衆国政府が明らかにしたとおり、合衆国の原子力法またはその他のいかなる国内法も、正当に権限を付与された合衆国政府の官吏が事前協議に関する約束を履行することを禁止またはこれを妨げるものではない。」こうなっておる。そこを言っていらっしゃるのでしょう。それはアメリカの原子力法なんです、マクマホン法なんです。これがある以上は事前協議は申し込まぬじゃないかとぼくが聞いたときに、結局条約の方が優先する、それを確認させないとだめだという議論になって確認されたのがいまの見解なんです。そうすると、核の有無は言えないと言ってきたときに、いや困るんだ、安保条約でこうなっておるじゃないか、交換公文でこうなっておるから、あるかないか言ってくれ、明確に言ってくれということを言えるわけでしょう。  では、こういう水かけ論は私はよしますよ。具体的に要望します。いいですか。私はかつてこれを問題にして、いまだに返答がない。一九七一年の例のアメリカ上院外交委員会の小委員会、サイミントン委員会、ここで問題になって、これの付属の文書の中に、いいですか、もう一遍言いましょう、思い出してください。横須賀の基地の機能についてこういう個所がある。  「トランシップ アンド プロバイド イントランシット ストレージ」それで「デリーテッド」つまり削除がその下にありますね。この削除されたものの——船の積みかえあるいは一時的な貯蔵、こういう仕事もやっておる。だからこの削除されたのは何か。アメリカの権威筋から情報が入って、削除されたのはフォー・ニュークリア・ウエポンだ。これも私は問題にした。これは削除したところの文章をはっきりしてくれ。そうしたら、どういうことかというと、これは核の有無は言えない、こういう返事だった。この四十九年暮れの見解では言えるんだから、もう一遍これを問いただしてください。この削除された文章は一体何なのか。
  248. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 当時の御論議のときにも政府側からお答えしたと理解いたしておりますけれども、その削除した部分について米側に照会いたしましても、米側はそれをディスクローズしないということが事実で、遺憾ながらそのとおりでございますので、その点について改めて問い合わせるということはできないというふうに考えております。ただ先生のいま御指摘の点につきましては、もともと核の有無については米側は言わないというのが政策だから事前協議ができないはずだという点でアメリカ側の見解をいま御指摘になりまして、その最後に、いかなるアメリカの国内法も事前協議を妨げないということを言っているのは、まさに先生御指摘のとおりでございますが、その前段におきまして、アメリカ側自身も、合衆国政府核兵器の存在を確認することも否定することもできないとの立場を種々の機会に明らかにしてきているということを言って、しかしながら、にもかかわらず事前協議はきちんとやりますということを言っていることは、先生御承知のとおりでございます。
  249. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、核の有無については言えるはずなんですよね。有無は言えないというその原子力法を盾にとったアメリカの言い方について、それは条約があるから、日本とは交換公文を持っているからはっきりしてくれということは言えるんですよ、このいまおっしゃった点から言えば。だからはっきりしてくださいと私は言っている。これをはっきりできないということは依然として疑問があるということです、はっきり言って。
  250. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 たびたびの繰り返しで恐縮でございますが、事前協議を行う場合に、核の存否に触れて事前協議を行ってくるであろうということは、もし向こう側が事前協議を核についてもやるという場合には当然だろうと思いますが、そのことと事前協議とは関係なしに、一般的に核の有無、所在を明らかにしないというアメリカの政策とは矛盾しないというふうに考えております。
  251. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 全然かみ合わないんですね。もうよしますよ、過去何回もやったから。いろいろな疑問があるんです。たとえば、言っておきますが、核搭載艦の一時寄港とか領海の通過とか、そういうものは事前協議の主題にならないと向こうは解釈している。何回も私はこれをやった。日本に核基地をつくる、そして一定期間、一時でなしに一定期間貯蔵するというようなときしか装備の重要な変更だと向こうは思っていないんですよ。これだけいま私は言っておきますがね。  次に移りたいと思いますけれども、いよいよアメリカの方も核拡散防止法の批准が行われる。そこでちょっとお伺いしておきますけれども、日米核交渉の中で再処理工場を二年間認める、今度は、その抽出されたプルトニウムを核燃料として使用可能な状態に変える転換工場、これもINFCEの結論が出るまでは認められないということになっておりますが、時期が過ぎればこの転換工場はやはり日本国内につくりたいというお考えでしょうか。この点だけ伺っておきます。
  252. 山野正登

    ○山野政府委員 先般の日米原子力交渉におきましては、御指摘のとおり、硝酸プルトニウムを酸化プルトニウムに変えます転換施設につきましては、二年間その建設を見合わせることにしたわけでございますが、これは一つには、今後三年目以降の東海再処理工場の運転方式ということにつきまして、いま先生御指摘のINFCEの検討結果、それからまたわが国におきます関連の研究の成果といったふうなものを見ましてその後の運転方式を決めようとしておるわけでございますので、その将来の運転方式というものも考慮に入れた上で、しかるべき転換施設をつくるべきであるという配慮に基づくものでございます。したがいまして、現在行われております単体抽出法による転換あるいは混合抽出法による転換、いずれの場合であるにせよ、わが国において核燃料を有効に活用するという見地から、将来は転換工場を国内につくりたいというふうに考えております。
  253. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 実はこの転換工場は、やはり何としても、軍事的に見ても核武装の可能性に一歩近づくことになりますよね。これは重要な問題だと思います。これはもう少し見守りたいと思います。  次に、原発の被曝の問題について、特に外人労働者の被曝の問題についてちょっとお伺いしておきます。  すでにいま開かれておる予算委員会の中でも、GEの労働者が福島、それから敦賀両原発に行って働いておる、この事実を明らかにされたのですけれども、外国の労働者が日本の事業所で働く場合には、その安全管理はどういうふうに行われておるのか、御説明をいただきたい。
  254. 中戸弘之

    ○中戸説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘になりました外人労働者が日本の原発で働く場合の安全管理でございますが、これは日本の法令によりまして、日本の従業員に対するのと同じように厳格に実施されております。その間に全く差別はございません。
  255. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いままで作業員は、日本の場合一律百、ミリレムであったのが、昨年のあの炉内の点検以降三百ミリレムに上げられましたね。最低を上げられた。これはどういう理由なんですか。それとGEの作業員は一律何百ミリレムになっていますか、基準は。
  256. 中戸弘之

    ○中戸説明員 外人労働者も日本人労働者も、これが従事者として原子炉作業に従事する場合は年間五レム、すなわち五千ミリレムまで許容をされております。実態について申しますと、たとえば福島の発電所で行われましたGEの作業員につきましては、大体平均被曝線量が一レムないし一・三レム程度でございまして、許容値でございます五レムをはるかに下回っております。こういう状態でございます。
  257. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もうお答え要りませんが、違っておったら言ってください。違ってなかったらお答え要らない。GEの作業員の場合は一律八百ミリレムでしょう。余り差があり過ぎるから、日本の作業員を百ミリから三百ミリに上げたんですよ。調べておってください。いいですか。そこで、昨年GEの労働者が福島、敦賀に来たのは明らかになっていますが、そのうち一番被曝してアメリカへ帰った労働者がいる。一番被曝の多かったGEの労働者は把握していますか。報告があっていますか。
  258. 中戸弘之

    ○中戸説明員 お答えいたします。  私どもの得ております報告では、たとえば福島原発の一号炉につきまして、先ほど平均が一ないし一・三レム、このように申し上げましたが、一番最高どれくらい浴びておるかということにつきまして、一号炉の作業につきましては二・六レム、それから二号炉の作業につきましては二・五レム、大体こういう報告を得ております。
  259. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その人のデータをいただけますか。私が調べたところによりますと、GE労働者は福島から敦賀、敦賀からまた福島へ移動するんですが、昨年の五月ある人が敦賀で二レム、そして六月、七月今度は福島二号で二レム、三カ月で合計四レム近い。これは許容限度を超えておる。ぜひこれは調べてください。もし報告が行っていないならば、これは隠されているわけだ。もしくは、五月に二レムだから五月で一応切って、今度は六、七月は二カ月で二レム、こういう分け方を便宜上しておるんじゃないですか。ぜひそれを調べてください。
  260. 中戸弘之

    ○中戸説明員 いまの点は事実を調査いたしまして、先生の方に御報告いたしたいと思います。
  261. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あと一問にしますが、これは私の方は名前もわかっておりますけれども、人道上の問題があるからおたくの方からひとつ明らかにしていただきたい。よろしゅうございますね。これは今後重大な問題に発展する。つまり、百二十人から百五十人のGEの労働者が働いているんですから、しかも外人労働者といえども日本に来た場合は日本の基準に従うというあなたの御答弁のとおりなんです。明らかにこれは違反している。それで、そのために日本の労働者も許容限度が危険な方向に引き上げられる可能性がある。  最後に、時間がありませんから一問だけお伺いしておきますが、放射線障害防止法ですか、これの原子炉の設置、運転等に関する規則等に基づく許容被曝線量等というのがあるのですが、この八条に「従事者以外の者であって業務上管理区域に立ち入るものの許容被曝線量は、一年間につき一・五レムとする。ただし、皮ふのみに対する被曝については、三レムとする。」こうなっていますね。これは、定期検査のたびごとに労働者が入るわけですけれども、そういう場合に管理区域内で臨時的に働く多くの下請労働者がおります。これは、いま言ったこの条項の適用範囲に入るのじゃないですか。「従事者以外の者」が管理区域内に入るのですから、しかも一時的に入るのじゃなくて、臨時的にある期間入るのですから、そうするとこれは当然いまの条項の適用範囲に入る。ということは、現行はさっきおっしゃったとおり三カ月三レム、年間五レムの基準になっているけれども、それはこういう下請労働者には適用されない、つまりこの八条による年間一・五レムだ、こういうことになるわけですよ。それはそれでいいですね。
  262. 中戸弘之

    ○中戸説明員 先生御指摘の下請労働者につきましては、私どもといたしましては、これは法令上従事者である、このように区分をしております。
  263. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だからあなたたちの解釈が違うと言うのです。そんなことをしているから被曝が多くなるのですよ。あの人たちは臨時的に入っているのですよ。ずっと入っているのじゃないのです。従事しているのじゃないのです。だから私はあなたの方から、昨年私が取り上げた問題について調査の結果が出ている。きょうは時間がありませんが、文書で私は反論をしたいと思うけれども、全くこれはでたらめですよ。これはいま私が指摘した問題とも関連するが、この下請労働者に二・五レム以上の人がどれだけおりますか。それだけ指摘をして、その調査結果を待ってまた次の機会にお願いをしたいと思います。  以上です。
  264. 永田亮一

    永田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十六分散会