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1978-05-31 第84回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月三十一日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 小沢 一郎君 理事 大石 千八君   理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君    理事 石野 久男君 理事 貝沼 次郎君    理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    佐藤 文生君       玉沢徳一郎君    中村 弘海君       萩原 幸雄君    原田昇左右君       与謝野 馨君    渡辺 栄一君       田畑政一郎君    瀬崎 博義君       中馬 弘毅君  出席政府委員         科学技術政務次         官       上條 勝久君         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君  委員外出席者         科学技術庁長官         官房参事官   児玉 勝臣君         参  考  人         (東京電力株式         会社取締役社         長)      平岩 外四君         参  考  人         (中部電力株式         会社取締役社         長)      田中 精一君         参  考  人         (関西電力株式         会社取締役社         長)      小林庄一郎君         参  考  人         (中国電力株式         会社取締役副社         長)      丸山賢三郎君         参  考  人         (四国電力株式         会社常務取締         役)      田中 好雄君         参  考  人         (九州電力株式         会社取締役社         長)      永倉 三郎君     ————————————— 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     萩原 幸雄君 同日  辞任         補欠選任   萩原 幸雄君     宇野 宗佑君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(原子力発電に関  する問題)      ————◇—————
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  去る五月二十五日の決定に基づき、原子力発電に関する問題調査のため、本日は、参考人として、東京電力株式会社取締役社長平岩外四君、中部電力株式会社取締役社長田中精一君、関西電力株式会社取締役社長小林庄一郎君、中国電力株式会社取締役社長丸山賢三郎君、四国電力株式会社常務取締役田中好雄君及び九州電力株式会社取締役社長永倉三郎君、以上六名の方々から御意見を承ることにいたしております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席くださいましてありがとうございました。  それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。  なお、御意見質疑応答の形で承りますので、さよう御承知願います。  質疑の申し出があります。順次これを許します。小宮山重四郎君。
  3. 小宮山重四郎

    小宮山委員 本日は、電力会社の六社の社長さん及び役員の方々に大変御多忙中参考人として御出席をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。  現今、エネルギー問題というのは、昭和四十八年十一月のオイルショック以降大変大きな国家的な問題であります。私は、ぜひきょうはフランクなお答えをいただきたいと思いますけれども昭和六十年代というものを見て、逆算して、われわれはいま何をすべきかというような問題、大変重要なことだろうと思います。そういう観点から考えますと、エネルギーという問題、特に重油、油による発電とあわせて原子力発電というものが大変重要な問題になります。それにはやはり国民理解というものが大変重要になるだろうと思います。  そういう意味において、電気事業者として安全問題についてどのようにお考えになっておるか、関電の小林社長にまずお伺いしておきたいと思います。
  4. 小林庄一郎

    小林参考人 お答えいたします。  先生の御指摘のとおり、原子力開発に当たりまして国民皆様の御理解を得るための基本はまず安全の確保でございます。私ども電力会社は、原子力に限らず、電力供給上人身並びに設備の安全を確保することが企業経営の根幹であると考えております。この基本的課題の達成のために平素から最大限の努力を傾注いたしておるところでございます。御案内のとおりわが国最初原子力発電所が着工されて以来現在までにすでに二十数年の年月がたちまして、この間、十五基、八百七十八万キロワットの原子力設備営業運転に入っておりますけれども、この間、放射能によりまして環境に対し特に悪影響を及ぼしたという事例はございません。私どもは従来、先生方も御高承のとおり幾つかのトラブル経験しておりますが、これらのトラブルによりまして原子力発電所稼働率低下を見たこともまた事実でございます。しかしながら、私ども原子力発電の安全を最優先する立場から、これらのトラブルが生じた際にはその原因の究明対策検討に当たりまして稼働率犠牲にいたしましても慎重に対処してまいりましたし、今後とも安全性の高い原子力開発を進めることを第一義といたしまして、より一層の努力を重ねたいと念願いたしております。
  5. 小宮山重四郎

    小宮山委員 いま安全性の問題が出てまいりました。電気事業連合会会長さんにお伺いいたしますけれども、その安全性ということは大変重要な問題ですが、立地問題で特に安全性討論というものが大変大きな問題になってまいります。たとえばあちこちで故障が起きておる。その稼働率等についても、国民の中には大変不信感不安感というものがある。かつ、国民の中では、立地の問題で、自分のところは反対だ、極端な言い方をすると地域エゴのようなものが出て、非常に立地に反対している。しかし、国全体から見ますと、昭和六十年のエネルギー、特に油の価格というものがバレル二十四ドルないし三十五ドルぐらいを予想せざるを得ない、そういうことから考えますと、原子力そのものについて、今後どのような形で進めていくか、特にまた、安全問題を含めて、立地という問題についてはどのようにお考えになり、国民にどのように理解を求めていくかということについて、電気事業連合会会長であります平岩社長に、その点についてお伺いしたいと思います。
  6. 平岩外四

    平岩参考人 申し上げます。  小宮山先生の御質問、二つあると思います。一つは、原子力開発に対して、電力会社としてどういう取り組みをするつもりであるか、もう一つは、安全を含めまして、立地を今後どういうふうに進めていくつもりか、こういう二つの御質問だと考えます。  最初に、原子力発電に対する電力会社取り組みについてまず申し上げたいと思います。  電気事業者といたしましては、国の総合エネルギー政策に沿いまして、電力安定確保に万全を期することを基本といたしております。御高承のとおり、従来から化石燃料、特に石油に大体八〇%程度を依存しておりますけれども資源の乏しいわが国といたしましては、省エネルギーを推進することは当然でございますが、ウラン資源による原子力を柱として、国内の水力、石炭、さらには輸入する天然ガス等エネルギー多様化を進めて、供給の安定に努める所存でございますが、そのためには、当然軽水炉定着化全力を挙げております。同時に、原子力開発に必要な一連核燃料サイクルの確立を図りまして、将来の高速増殖炉開発を急ぎ、エネルギー確保による電力安定供給を期さなければいけない、こう考えております。申すまでもございませんけれども、これらはすべて、環境の保全とか安全の確保とかということとともに、国民皆様の深い御理解合意のもとに進めなければなりませんけれども、なかんずく政府当局の強い御指導と十分な御援助をいただかなければなりませんので、諸先生方におかれましても、より一層の御理解、御支援をいただきたいとお願い申し上げる次第でございます。  立地の問題については、御指摘がございましたように、なかなか思うようにはまいりませんけれども原子力立地に当たっては、国民皆様合意とともに、地元皆様の御理解、御協力を得るということがあくまで基本であろうかと考えます。このためには、すでに申し上げましたように、安全の確保ということが大前提となりますけれども、私ども、安全に対する考え方や実際に行っております実情を地元皆様方によく知っていただくよう、平素からお話を申し上げておるわけでございます。しかしながら、これが必ずしも十分に御理解をいただけないという点が遺憾な点でございます。私ども今日までいろいろな面で至らない点につきまして諸先生方の御叱正をいただいておりますけれども、反省すべき点は謙虚に反省をいたし、みずからの姿勢を正して、誠意をもって国民皆様方の御理解を得るように万全の努力を重ねていきたいと考えております。幸いにいたしまして、昨年来政府当局におかれましては、この問題について国民的な重要課題であるとして取り上げられまして、閣僚会議を初めといたしまして、電源立地のための推進体制を整備していただきまして、重要電源ごとに積極的に御指導賜っております。この上とも、諸先生を初め関係当局の御指導、御鞭撻をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
  7. 小宮山重四郎

    小宮山委員 私この科学技術特別委員会にはもうずいぶん長いこと関係いたしております。いろいろなことを思い出しますと、動燃事業団をつくるとき、あるいは、皆様方関係ないですけれども、宇宙開発事業団をつくるときの情熱というものが当時と大変違ってきている。あるいは電源三法をつくるときにも私参画をいたしてまいりました。私は、皆様方のやられている仕事というものは大変日本の将来にかかわる問題で、そういう意味でも、ぜひ今後とも情熱を傾け、われわれもそれに呼応して、日本の将来というものを考えて、新しい燃料サイクルの中で、日本が独自に生きていかれる方法を考えるべきだと思っています。  そこで、今回原子力規制法等改正がございます。これについてはいろいろな疑点がございます。使用済み燃料の再処理について電力各社はどのような対策を進めてきたか、また、今後どのような考え方を持っていくかへまた、現在電気事業者としては準備状況はどうなのかというようなことを田中参考人にお伺いしたいと思っております。
  8. 田中精一

    田中(精)参考人 わが国は現在、先ほどもお話がございましたように、十五基、八百七十八万キロワットの原子力が稼働いたしております。今後の原子力発電の規模の拡大に伴いまして、発電に支障を生じないように、ウラン資源並びに濃縮ウラン確保、再処理とか廃棄物処理処分等につきまして、官民総力を挙げまして必要な対策を推進することが肝要だと考えております。特に使用済み燃料の再処理につきましては、電力各社とも、まず動燃事業団東海処理工場への再処理委託を行いまして、同工場の再処理能力が年二百十トンでございます。これを超えるものにつきましては、国内の第二の再処理工場ができますまで、その間つなぎとして海外の再処理工場委託を行うことにいたしております。昭和六十五年までの再処理委託予定量で申しますと、動燃の再処理工場におきまして約二千三百トン処理をいたしまして、海外への委託量といたしまして、そのうち欧州の再処理会社に約千五百トン、さらに英国及びフランス、ごく最近でございますけれども、六十五年度を限度といたしまして、三千二百トンの契約をいたしました。このようにいたしまして、一応昭和六十五年までの再処理というものにつきましては対策が立っておりますけれども、それ以降は、核燃料サイクル国内自立のたてまえからいたしましても、ぜひわが国の再処理工場わが国の再処理の需要を賄っていきたいと考えております。これらの一連核燃料サイクルの問題はすべて国際的なものでございまして、原子力平和利用につきまして世界各国コンセンサスを得なければならぬ、同時に国内体制の整備、充実を図りまして、自主的な核燃料サイクルを確立することがぜひとも必要である、そういうことを考えております。  以上でございます。
  9. 小宮山重四郎

    小宮山委員 イギリス、フランスで六十五年までに三千二百トン、これはコストはどのくらいになるわけですか。
  10. 田中精一

    田中(精)参考人 いまちょっと細かい数字はあれでございますけれどもトン当たり八千万円ぐらいになると思います。——申し上げます。再処理コストの比較でございますけれども、第二再処理工場エスカレーションなしでトン当たり約七千万円、再処理委託いたしますと、いまの英国のBNFLあるいはフランスのCOGEMA、大体平均いたしまして、エスカレーションなしでトン当たり約八千万円、こういうことになっております。
  11. 小宮山重四郎

    小宮山委員 そうすると、六十五年ぐらいまでにどのくらい支払うことになりますか、わかりますか。
  12. 田中精一

    田中(精)参考人 大体三千二百トンでございます。二千四百億円ぐらいになると思います。
  13. 小宮山重四郎

    小宮山委員 そうすると、大変な金額を日本は払わなければいけない。かつ、再処理海外に依存する大変不安定な日本原子力事情になる。そういう意味でも、第二再処理工場をつくらなければいけないということになります。それで、そういう理由だけではなくて、もっとほかに国際情勢の中で再処理事業を早くやらなければならないということもあろうかと思いますけれども、その辺について中国の丸山参考人と、それからもう一つ永倉参考人に第二再処理工場立地についてはお考えになっておるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  14. 丸山賢三郎

    丸山参考人 お答えいたします。第二再処理工場建設につきまして最も大事なポイントと申し上げますと、これは用地取得ということでございます。今日までの私ども原子力発電所用地取得経験から見まして、最低三年から五年、長いものはもっとかかっております。このたびの再処理工場用地取得に当たりましては、従来のあらゆる経験を十分に生かして、地元皆様方の御協力を得た上で進めたいと考えております。さらに、再処理施設設計につきましては、動燃事業団東海処理工場経験技術を十二分に活用しながら、今後の技術開発を考慮し、一層の改良を重ねて設計を進めたいと考えております。したがいまして、実際の建設期間は、従来の原子力発電所建設期間に比べましてある程度長引くのじゃなかろうかと考えますが、用地取得設計には時間をかけたいと思っておりますので、十数年はかかるのじゃなかろうかと考えております。このため、昭和六十五年ごろに完成いたしますためには、いますぐにでも事業に着手させていただきたいと考えておる次第でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  15. 永倉三郎

    永倉参考人 永倉でございます。  ただいま小宮山先生から、第二再処理工場立地をどういうふうに考えておるかというお尋ねであったと思います。ただいまの丸山参考人の申しましたのとダブるところがございますが、第二再処理工場用地面積はおおむね二百万坪程度、そういうふうに見込んでおります。核拡散防止観点から、将来再処理によって回収された核燃料成形加工も同じ用地で行うことができるわけでございます。いわゆる核燃料パーク構想につきましても慎重に検討いたしておるところでございます。用地取得につきましては、地元皆様方の御理解を得て工事を進めるために相当時間がかかると考えます。ただいまお話のございましたように、三年、五年、もっとそれ以上かかるのじゃないかということでございますので、用地取得に当たりまして、従来の経験を十分生かしまして、地元皆様方に事前によくその趣旨を御納得いただきまして、御協力を得た上でこの計画を取り進めたい、そういうふうに考えております。
  16. 小宮山重四郎

    小宮山委員 もう時間が来ましたので、最後に永倉参考人にお伺いしておきますけれども、東電の柏崎の原子炉でさえも何年おかかりになったか御存じだと思います。そうすると、用地確保して、建設期間はどのぐらいになるのか。そうすると、皆様方がお考えになっている十年ぐらいでできるかというと、できない。相当の決意がなければできないと思います。用地についてはアイデアがございますか。それから用地が決まって、建設期間はどのぐらいかかるのですか。その辺のところをまずお伺いします。  それから、電気事業連合会会長にお伺いいたします。最初お伺いしたこととダブりますけれども、第二再処理工場をつくるについての不退転決意が必要だと思います。現行法ではいろいろな問題がございます。しかし、これは国にとっては大変重要な、また大きく言えば日本産業あるいは国民生活にどれだけ影響を与えるかという問題にも関連しております。その決意をもう一度お伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  17. 永倉三郎

    永倉参考人 ただいま御指摘のとおり、十年ででき上がるかということになりますと、これは非常にむずかしい問題だと思います。不退転決意をもってやるのかということでございます。まことに私ども不退転決意をもって、昭和六十五年までにぜひ第二再処理工場を完成させたい、そういうふうに考えております。
  18. 平岩外四

    平岩参考人 昨年、原子力委員会核燃料サイクル問題懇談会並び通産省総合エネルギー調査会原子力部会におきまして、それぞれ第二再処理工場民間で行うという答申がなされております。もとより再処理事業というのは、国際的な面も配慮しつつ官民挙げてのコンセンサスのもとでこれを効率的に推進しなければならないものだと考えております。したがいまして、現在御審議中の規制法改正していただき、動燃事業団並びに原研しか行えないようになっております再処理事業民間にも門戸を開放していただき、その事業化を推進いたしたいと考えておる次第でございます。  民間で再処理事業を推進するに当たりましては、これをわが国産業界全体の問題として取り上げ、電力中心として電機メーカーのエンジニアリングを初め金属鉱業化学等関係業界総力を結集してその企業化全力を傾注してまいりたいと考えております。  私どもといたしましては、動燃事業団で研究開発された技術を十分活用することによってこれを民間企業化することは可能と考えておりますし、事業効率上から見ましても民営とすることが望ましいものと考えております。また、発電所で抽出、排出した使用済み燃料をみずからの処理で行うということは当然のことと考えておる次第でございます。  しかしながら、再処理事業はその成否の影響がきわめて大きいため、単に電力事業だけでなくて、わが国産業界全体の問題としてこれを取り上げ、電力中心として関係業界総力を結集してその企業化全力を傾注することは、先ほど申しましたようにぜひ必要だと考えております。再処理施設建設には多額の資金と長い年月を要しますが、安全確保の面と国の御指導、御援助を賜ることも数多くありますので、何とぞお力添えをいただきたい、こう考えておる次第でございます。
  19. 小宮山重四郎

    小宮山委員 これで終わりますけれども、もっと時間があれば昭和六十年以降の電力事情あるいはウラン供給状況あるいは産業状況、われわれの国民生活に関連しての討論もしたいところでございますけれども会長、いまおっしゃった中で、産業界だけじゃないのですよ。雇用問題にも絡んでいるのです。日本の経済全体、国民生活も絡んでいることも、皆様方がやっていることがそういう影響のあることも御認識いただいて、産業界とおっしゃっておりましたけれども、そういうことではない。労働組合も含んで、やはりそういうことも関連していることも御承知おきいただきたい。  以上でございます。ありがとうございました。
  20. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、石野久男君。
  21. 石野久男

    石野委員 本日は、電力各社社長さん初め関係者方々においでいただきまして、本当にありがとうございます。  私は、きょうおいでいただいたのは、原子力基本法改正に伴って、もうすでに衆議院は通過しておりますけれども、それに関連しての御意見をいろいろ皆さんから承りたいと思っております。  その前に、これは特に電気事業連合会会長さんにお尋ねしますけれども原子力の問題では稼働率が非常によろしくありませんですね。昨年あたり非常によくなかった。こういう状況企業体として原子力が将来採算が十分とれる見通しがあるのかどうかということ、実は私自身素人ですけれども心配するのです。皆さんのところで、というよりも通産省が出しておる稼働率、いわゆる時間稼働率にしても設備利用率にしましても四六とか四一というのが出ております。これを今度は炉自体年次別平均をとってみますと、軽水炉というのは非常に効率が悪いというふうに見受けられるので、このことについて電気事業連合会としての将来に対する見通し、本当に採算がとれるような見通しを持っておられるのかどうか、その点を最初にお聞きしたいのです。資料はいまここで出しませんけれども、まずそれに対する御所見を承りたい。
  22. 平岩外四

    平岩参考人 石野先生から稼働率の問題について御質問がございましたけれども、私どもは従来、先生も御承知のとおり幾つかの原子力発電所についてトラブル経験してまいっております。またこれらのトラブルによりまして原子力発電所稼働率低下を見たことも事実でございます。私ども原子力発電の安全ということを最優先する立場から、これらのトラブルの際にはその原田究明あるいは対策検討に当たって稼働率を従来犠牲にしても慎重に対処してまいっておりますし、今後とも安全性の高い原子力開発を進めるしとを責務として一層の努力を重ねたいと念願しておる次第でございます。特に、稼働率原子力発電信頼性に対する指標の一つでございますので、稼働率向上については今後特段の努力をしていかなければならないし、そういう覚悟で努力をいたしております。このために機器信頼性向上とか定期検査中の作業の効率化等を図りまして稼働率向上を高めてまいりたいと考えております。  具体的には電力独自の検討のほか関係当局の御指導によります軽水炉改良標準化、これを推進することにいたしまして、機器実証につきましては政府の御協力のもとに原子力工学試験センターによりまして各種の実証試験をするように計画を進めて、一部に実施しているような状況でございます。  先生の御指摘がありましたように、年次的に見ましても稼働率が下がっておる数字は出ておりますけれども、ただいま申しましたようなそういうあれで今後稼働率向上させるよう格段の努力をいたしてまいりたい、こう考えております。
  23. 石野久男

    石野委員 普通の事業体でしますと、皆それぞれ業態によって違いましょうが、投下資本の利潤を一定程度経営の面で確保しようとすれば、お互いに一定の確率というものがなければならぬと思うのです。軽水炉皆さん電気事業経営していこうとする場合の稼働率設備利用率、これはおよそどの程度のところまでいけば採算点に達するのか、私どもはちょっとわからないのです。余りに低いのに皆さんはどんどん設備をしていくものですから、どの程度でもうかるのかなというここがわからないのですが、どのくらいのところだったら経営は成り立っていくのですか。会長さんに……。
  24. 平岩外四

    平岩参考人 これは恐らく石野先生の方がよく御存じかと思いますけれども、通常計画しております稼働率の問題は、一般の火力発電所、そういうのに比べまして五〇%の利用率があれば大体バランスがとれていくのじゃないかと考えております。
  25. 石野久男

    石野委員 五〇%が妥当なのかどうかそれはわかりませんけれども会長さんがそうおっしゃるのだからそれで成り立つものという前提で私もお聞きしますけれども、この稼働率が下がる最大の理由というのは、先ほどもちょっと定期検査の作業の問題だとか機器の問題とかいろいろありましたが、一番稼働率の下がっていく大きな原因というのは、現在までのところ、何だったのでございましょうか。これは会長さんだけじゃなしに、あるいは関西電力さんにもひとつお聞きしたいのです。
  26. 平岩外四

    平岩参考人 従来、稼働率が下がってまいりました原因の大きなものは、やはり機器の材質と申しますか、応力腐食あるいは熱腐食とか、そういうもののトラブルによること、及びそれに対して非常に慎重な検査をやり、点検をやり、そしてそれをできるだけ改良、改善を図るために極力分析を行い、慎重に点検をしていく、こういうようなことによるものだと私は信じております。
  27. 小林庄一郎

    小林参考人 申し上げます。  いま平岩参考人からは、B型の場合に非常に応力腐食のトラブルが発生したことを申されましたが、先生よく御承知のとおり、P型の場合はSG、蒸気発生器の細管漏洩のトラブルがしばしばこれまで発生いたしました。たとえば美浜一号ではそのために百七十三日いろいろと検討を加えましたし、また同じように美浜の二号でも三百四十九日間いろいろな事故のクリアのためあるいは対策樹立のために日を費やしました。また、同じように燐酸ソーダを使っておりました、ちょっと最初に使いました高浜一号では四百二日もそのためにがかったわけでございます。P型ではそのSG関係最初に燐酸ソーダを使ったために生じた事故の解析、またこれに対する対策の樹立を確立する間非常な時日を費やしたということは事実でございます。
  28. 石野久男

    石野委員 いままで出たそういう事故の原因等についての改善、克服という問題について、一定程度の自信は出てきておられますか、どうですか。お二方にひとつ。
  29. 平岩外四

    平岩参考人 先ほど申しましたように、応力腐食、熱腐食、そういうものに対して材質が一つの原因であるということが判明いたしておりますので、それを改良する、そういうことで現在進めております。今後できるものについては、逐次過去の分も取りかえておりますし、今後のものはそういう方向で改良をいたしております。
  30. 小林庄一郎

    小林参考人 これも御高承のとおり、美浜一号あるいは美浜二号、高浜一号までは二次系の水に燐酸ソーダを入れておりました。これが災いをいたしましてSGの細管を侵しておりましたが、その後ボラタイル型に変更いたしました。この型以降は同じような事故は全く起こっていません。
  31. 石野久男

    石野委員 私があえてこのことをお聞きしますのはほかでもありませんけれども、ずいぶん前から私は統計をとってみようと思っておりましたけれども、まだ年次が足りないものでしたから統計をとりませんでした。最近、もう相当年数を経ておりますから、十五基のこの各炉につきまして、各炉の初年度から一年、二年、三年度ぐらいにずっと並べた稼働率をとってまいりますと非常に悪いわけですよね。表として示すことはいたしませんが、たとえばPWにしますと、第一年度が七四・五%、第二年度が五三・八%、第三年度になると四二・九%、四年度は二七・一%、五年度になると二五・八%、六年、七年度は美浜ですからこれはゼロになってしまうのですよね。こういうふうにだあっと低下していく。  Bはどうなんだというと、Bの場合は、初年度が六〇・五%が次年度になると五六・三%、三年度で四七%、四年度のものが平均すると五九%、五年度になると三二%、六年度三四、七年度三七、八年度三七。しかし、この六、七、八年度の率がいいのは、これは原発のいわゆる敦賀なんですよね。これであって、九電力皆さんの方の率をとるとものすごく悪くなるわけです。いま通産省が出しておる表によると四〇%とかになりますけれども炉自体でとってきますと、五、六年になるとがたっと落ちてしまうという状態ですよ。設計変更が著しく行われないで、こういう状態を続けていくと、これは大変なことになるんじゃないか。アメリカの五十数基のコメイが出した表を見ましても、五十七基の段階で十二年度ぐらいになると総平均が三四%ぐらいになっているのですよ。  ですから、軽水炉経営の一応合格点というのは五〇%だと平岩さんからお話がありましたが、そこへ行くのにもはるかに遠い。そういうものについてことしあたりは、先ほど小宮山さんからもお話があったように、いわゆる産業界として特に不況対策なり労働対策という面からも考えなければいけませんよという御意見があったのですが、しかし、炉自体設計変更を行わないままに計画がどんどんと大型のものができていきますと、私は同じような事故を重ねていくだろうという心配をするのです。そういう点について皆さんはどういうふうに対応されようとしておられるか、そこのところをひとつ平岩さんから聞かせておいてもらいたいと思います。
  32. 平岩外四

    平岩参考人 ただいま御指摘がございましたように、東京電力の場合特に昨年の稼働率は余りよくなかったわけでございますけれども発電所稼働率低下させておりますトラブルの大きな原因というのは、当社の場合にはやはり配管類の応力腐食割れということが一番大きな問題であると思います。  それの防止対策といたしましては、国内、国外広く調査研究を進めておりますけれども、その結果、材料を取りかえるという問題、それから施工方法を改善するという方法、それから運転中の水質管理をするというようなことによって万全の対策を講ずることといたしておるわけでございますけれども、今後二、三年の定検時に停止期間を延長して対策工事を実施して諸準備を進めていきたい、こう考えております。
  33. 石野久男

    石野委員 私も技術屋ではありませんから、細かいことはこれ以上突っ込むこともできませんけれども皆さんの公表された稼働率数字から見ましてもいまのようなことが言えるし、そしてわれわれの立場からしまして、こういう状態のもとで新規の施設がどんどん着工に入りましても、設計変更が行われたり材質上の大きな変更が行われないままに電調審を通りましても、どの炉も同じような道筋をたどるだろう。これは電力会社にとっても決していいことではありませんし、日本の政治、経済の両側面から見ましてもいいことではないと思うので、私どもそういうような意味で、実を言うといまの炉は実用炉の段階ではなくて、そういう問題はまだ実験研究しなければならぬ段階であるよということを言っているわけです。これはお互いの考え方の違いですから、せめてひとつこの稼働率というものを、平岩さんから言われたように五〇%以上にまで持っていくようになれば、経営の問題では一応われわれは皆さんに対して認証を与えてもいいのです。  あとは安全の問題になりますけれども安全性の問題については先ほどからいろいろ論議があるわけでございます。しかし、その安全の問題に入る前に、設計上の変更というものを加えないままに皆さんは申請をされる、それから原子力委員会あるいは安全審査委員会はそのことに触れないで認可する、許可する、こういう行政的な面でも私たちは問題があると思います。あなた方の方で、設計変更の問題について官庁の指導を受けるというお話が先ほどありましたけれども、もっと積極的にその問題についてやはり各社共同の研究なり何かをして、設備開発という問題を、ストップせよとは言いませんけれども、歩度を弱めて内容の充実したものにする、そういう考え方というのは全然ございませんですか。特にことしは予算の面で河本さんから大分あおり立てられて申請をしなければならぬような状態になっておりますけれども、そういう点についてこれは会長さんはどういうふうにお考えになっておられますか。
  34. 平岩外四

    平岩参考人 ただいまお話がありましたことに対しては、先ほど申し上げましたように対策をしていないのではなくて、われわれといたしましても稼働率向上させるということは私ども自身の問題でもありますので、いろいろな対策をそれは講じております。それから、安全の問題についても当然考えて、同じ炉を同じようにやっているということではなくて、改良を施しております。  そして、先ほど石野先生からまだ実験研究段階じゃないかというお話がちょっとございましたけれども、私ども原子力発電はもうすでにそういう段階を通り越していると考えて進めております。現在までにすでに日本としても十五基、八百七十八万キロワットの運転をいたしておりますし、世界的に見ましても、軽水炉は昨年末で百二十八基、八千七百万キロワットが運転されております。さらに現在二百二十基、約二億一千八百万キロワットのものが建設中であると報告されております。私どもといたしましては軽水炉はすでにもう実用段階であると考えて、それの定着化というものにいま懸命に取り組んでいるところでございます。
  35. 石野久男

    石野委員 これはもう参考人と論争するつもりはございませんが、やはり定着化しているということになれば、会長さんからも言われたように、稼働率五〇%以上を確保しておることが前提でないと、少なくとも私たちが皆さんに非常に同調する形で見ても、それはなかなかそう納得できないものがあります。だから稼働率をもっと採算点に合うようにするための障害は何なのかということが問題になってきます。  そのときに、定検が非常に長過ぎるからとか厳し過ぎるからとかいうようなことをしばしば私たち耳にするわけなんです。現在の規制法に基づくところの定検というのは、皆さんの方からとりますると、よく私たち厳し過ぎるとか長過ぎるというようなことを耳にする、率直に言って皆さんそういうふうにお考えになっているのかどうか、この点ひとつ平岩さんと小林さんの方からお聞きしたい。
  36. 平岩外四

    平岩参考人 定検が長過ぎるということは稼働率一つの要素でもあると思いますけれども、それだけを申し上げているわけじゃございません。確かに定検期間を短くすることは稼働率向上させる一つの要因であるとは考えておりますけれども、それがすべてだとは思っておりません。また、稼働率向上させるための先ほど来申し上げましたようないろいろな取り組みが必要だと考えております。
  37. 小林庄一郎

    小林参考人 私は、経営側の立場から立ちますと、先生指摘のとおり、この稼働率が低いなという心配を大変抱いております。そのうちの第一の要因は、先ほど申し上げましたいろいろなトラブルがあって、そのトラブルの解明、対策の充実には経済性を無視してでも安全第一としてこれに対応しておりますことが主でございますが、率直に申し上げまして、ずいぶん定検が長くかかっております。かかっておりますのは、だれが悪いんじゃなしに、手前どもがそういうトラブルを起こしているからどうしても定検期間が慎重になりまして、先ほど申し上げましたように、欧米では二週間とかあるいは一月とか二月というふうな例がございますけれども、手前どもでは長いのでは三百八十八日というような例がございます。非常に残念でございますが、これはやはり先ほど平岩参考人が申し上げましたように、材質あるいは設計の変更、改良標準化によりましてだんだんとトラブルの発生を少なくいたしまして、それによって定検期間を少しでも短くしたい、さように念願いたしております。
  38. 石野久男

    石野委員 これは皆さんがいろいろおっしゃられても、どうも機器の不備な問題があったり材質の問題があったりいろいろあってそういうことになっているのですから、基本的にまだ手を加えなくちゃならぬものがたくさんあるということだけは認めざるを得ない、こういうふうに思っておりますので、皆さんが安易に定着しているなどというようなことをおっしゃられても、なかなか一般の人はそうかなというふうには見られませんということを申し上げておきます。  コストの問題ですけれども原子力発電というのは水力や火力に比較してコストは非常に安いんだということが原発を受けとめるに当たって言われたことでございます。コスト問題について、先ほどからしばしば言われておる安全性の問題とコスト関係が非常に絡み合ってきます。特にウラン燃料を使って、そこから出てくる放射能障害あるいは放射線障害というようなものを何とか処理しなければならぬということについては、これは国が考えるということよりも皆さん考えてもらわなくてはならぬ問題である。そういうふうになってきました場合に、ただ原子力発電所そのものだけで原子力発電電力コストと見るべきか。再処理の問題あるいは放射性物質の処理の問題、こういうものを含めてコスト考えなければならないのではないかということを私ども考えておる。電気事業家の皆さん方はそういう問題についてどのようにお考えになっているか。この点はひとつ各社の担当者に率直なところをお聞かせいただきたいと思います。
  39. 田中好雄

    田中(好)参考人 お答え申し上げます。  原子力発電は火力発電に比較いたしまして建設費が高いことから資本費が高い一方、燃料費の側から見ますと安いという特徴は持っておることは先生御案内のとおりでございます。特に石油ショック以降でございますが、石油の価格が当時四倍に急騰したこともございますし、現在ではそういう意味におきまして火力に対する原子力の経済性は相対的に有利になっている次第でございます。また今後は環境安全対策の一層の強化に伴う建設費の上昇がございますし、核燃料価格も上昇が予想されておりますことから、将来の原子力発電コストの上昇は避けられない見通しでございますけれども、一方火力発電所におきましても原油価格、これは本年は一応据え置きみたいな感じの話も出ておりますけれども、このアップがいろいろなエコノミストのお話からも考えられますし、案外環境対策費というのは増強しております。そんな関係もございまして、経済的に見まして原子力はなお今後も有利に展開するのではないかと考えております。  さて、先ほどお話ございましたコストの中には当然再処理の問題が出てくるわけでございますが、その費用は今回の英仏と契約をいたしました価格を参考にして考えてこういうことを申し上げておる次第でございます。  放射性廃棄物の最終処分、それから廃止されました原子炉処分等コストにつきましては、現段階では明確な判断は困難でございますけれども、たとえば米国で発表いたしましたGESMO、これは軽水炉でのプルトニウムサイクルに関する一般環境報告書でございまして、先生御存じのとおりでございますが、これによりますと、廃棄物の処分費といたしましてウランキログラム当たり三十ないし七十ドル程度と予想されております。これを仮に数倍程度に試算してみましても、発電コストヘの影響は僅少にございます。  なお、再処理によりまして抽出されます核燃料につきましては、これを再使用できるという強みのあることは御案内のとおりでございます。政府の資料によりますと、百万キロワットの原子力発電所について見ますと一年当たり使用済み燃料が約三十トン発生してまいりますが、その大部分は燃え残りのウランでありまして、約二十八・八トンと試算されます。このほかにプルトニウムが二百五十キログラムないし二百六十キログラムと推定されますが、これを再処理して再使用することができますので、将来のウランの購入量が、これがない場合に比べて非常に有利になってくることは試算され、かつ見通されておるとおりでございます。したがいまして、資源的にも経済的にも再処理を実施することがぜひ必要でございますし、このためにも高速増殖炉開発にあわせて再処理をぜひお願いしたい、こう申し上げている次第でございます。  また、廃炉対策につきましては、小規模ではありますが、海外に実績がございますし、今後より経済的な技術開発も可能かと考えますので、これら廃棄物、廃炉の処分費が原子力発電所の経済に及ぼす影響はそう大したことはない、こう考えておる次第でございます。  いずれにしましても、将来の問題でございますが、われわれといたしましては、コスト低減のための技術開発とその合理化にはなお一層努めてまいる所存であります。
  40. 石野久男

    石野委員 それで各社を代表しているのでしょう。  いま田中さんからきわめてコストが安くつきますというお話ですが、細かい数字の計算は、率直に言って、いまいろいろ話がありましたけれども皆さんのその試算だって、これは全くの試算でして、どこまで当てになるかわからないと思いますが、考え方の問題として、たとえば廃炉の問題一つとりましても、海外にも例がありますがと、こうお話しでございました。しかし、率直に申しまして廃炉の処理というのはまだ技術的に確立はしていないと思うのです。  そこで、電力会社皆さんは、この廃炉の処理の責任の問題について、皆さん自身の力で将来も全部これは責任を持っていくというおつもりでおられるのか、それとも、これはやはり非常に長年月にわたると思うのです。廃炉の処理の問題がもし巧みに短期間に処理ができない場合は、中にある放射能やなんかの問題から言ってちょっと手がつけられないと思いますが、こういう問題については、場合によったら国にめんどうを見てもらわなければいかぬとか地方自治体にめんどうを見てもらわなければならぬとかというような考え方でおられるのか。その考え方の問題を、どなたですか、会長さんですかな、ひとつ聞かしてもらいたい。
  41. 平岩外四

    平岩参考人 廃炉の問題につきましては海外に若干の例はあるようでございますけれども、私どもといたしましては、現在、将来の廃炉に対してどういうふうにするか、検討を進めておるところでございます。
  42. 石野久男

    石野委員 重ねて聞きますが、検討しているのであって、現在まだ策はない、こういうふうに受けとめてよろしいのですね。
  43. 平岩外四

    平岩参考人 結論はまだ出しておりません。
  44. 石野久男

    石野委員 そういう情勢のもとで、このコストは、廃炉処理のことなども考えてもきわめて微少なものであるという先ほどの田中さんの御発言についてもやはりちょっと疑義が出るわけなんです。そんなに微少であるかどうか、なかなか問題が多いと思います。私ども心配しているのは、もし長年月にわたって炉が処理できないままに置かれた場合、やはり外郭になっている建屋もだんだん朽ちてくるでしょうし、炉自体にもやはり鉄のさびとか穴が出てくるとかいうようなことで、放射能の漏洩というようなことが出てきたりしますと、これは手のつけられないような問題が出てくるだろうという心配をしているわけですよ。そういう問題について御心配ないのだろうかということについても皆さんに聞きたいけれども、これは論議ですから……。いずれにしましても田中さんがおっしゃられた廃炉の問題はコスト影響するものは微少であるということについては、私はちょっと納得できないのですが、皆さんはどうなんですか。簡単に考えていらっしゃるのですか。
  45. 田中好雄

    田中(好)参考人 お答え申し上げます。  外国の事例などを参考にし、かつ原研の一号炉——あれは何と申しましたか、最初の一号炉でございますが、これも廃炉に持っていったわけでございますが、いまおっしゃるとおりこういうもののデータがある程度でございまして、それほど明確でないと言われればそのとおりでございます。ただこれによりますと、炉のところの部分を十分にキープしておけばあとのところは切断して処分できるというように聞いておりますので、それをもとにして申し上げたわけでございます。推定だと言われますとそのとおりでございますが、いずれにしましても、そういう考え方で計算をしてみた次第でございます。
  46. 石野久男

    石野委員 コスト問題の論議をするに当たって、発電炉だけの投下資本、それに対する発電量というような計算だけの御意見の発表ということは、その本質について非常に問題がありますから、簡単に発電所だけの投下資本発電量の比較だけでコストを論議するということだけはひとつやめていただきたいと私は思うのです。これは皆さんの、原子力の持っている安全性に対する国民への責任感の上からいきましても、コスト問題はそんなにある一局部だけで考えられるものじゃないので、原子力全体としてのグローバルな考え方考えていただかなければ困るというように私は思いますが、この点についてはひとつ皆さんの御意見を聞いておきたいのですけれども、いかがですか。
  47. 平岩外四

    平岩参考人 先生のおっしゃるとおり、コストについてはそういうふうに全部をひっくるめてカウントしないといけないと思います。私ども一つの試算と申しますか見通し数字でございますけれども、六十年運開ベースで火力発電所原子力発電所を比較した場合、大体コストは、ダウンストリームを含めまして原子力発電所の方が若干安いと、いまのところは計算をいたしております。これも先ほど先生おっしゃいました稼働率の問題とかそういうものが絡んでまいりますけれども、一応データをセットいたしまして計算した場合に、六十年ベースで、大体火力発電よりも原子力の方が若干安くなる、そういうふうにカウントいたしております。
  48. 石野久男

    石野委員 計算の問題はときどきの変更がありますから、御意見だけは承っておきます。  労働者の被曝線量の問題でございますが、人レムがだんだんとふえてきて、原子力人口というものを確保することもなかなか容易でないというのが実情だろうと思うのですが、この労働者の被曝線量をなるべく少なくしようとする策をどのようにおとりになっていらっしゃるのか、どなたでもいいですが、特に経験の多いところで関西電力さん、ひとつお願いします。
  49. 小林庄一郎

    小林参考人 お答えいたします。  確かに原子力人口の増加に伴いまして一人当たりの被曝量に厳重な規制がございますことは、先生も御高承のとおりでございます。たとえば手前どもの会社でございますと、国際的には年五レムの規定がございますが、私どもは年間三レム以内に抑えたいということで、まず社内に原子力健康管理室という組織をつくりまして、コンピューターで日々の線量を各人別にインプットいたしまして、これを監視する。これで大体三ミリレムに近づいてまいりますと、その補修員なり作業員は現場から遠ざけるというふうなこともやっておりますし、また、これを下請の作業員にも及ぼしております。ただ、これは私ども一社のことでございますが、これをさらに日本全体に広げて日本における原子力作業員の被曝量を管理するというセンター、これは国大でつくっていただいております放射線従事者中央登録センターでございますが、ここで全部のデータを集約されまして、その被曝の限度を超過しないように、これは関係当局の御指導によって進めております。また、原子力人口がふえますに従いましてマンレムがふえることを防止するために、遠隔操作による作業とか、あるいは作業者の熟練度を上げまして作業時間を短縮するとか、あるいは放射能遮蔽装置をさらに厳重にして、ともかく作業員が被曝しないように設備上あるいは工程上の対策も研究を進めておりますが、今後とも万全を期したいと考えております。
  50. 石野久男

    石野委員 労働者の被曝線量を監視するという意味で、被曝手帳といいますか労働者に手帳を持たすということが非常に問題になります。これは正社員の場合は余り問題がないと思いますけれども、特に下請の場合、被曝手帳を確実に持っているかどうかということが、やはり被曝線量管理の上からいきまして非常に大きい問題だ。ことに下請で歩いております方々はずいぶん渡り歩いている方が多うございます。この渡り歩いている方々か被曝線量手帳を持っていない場合には、管理の仕方がないという実態があるわけです。これは通産省とか科技庁とかいろいろの担当官庁の責任もありますけれども、主として会社の皆さん方の方でひとつ積極的にその監視をやってもらわないといけないのじゃないか。われわれの見るところでは、どうも下請の方々については十分に管理監督できるようにはなっていないというふうに見受けられるのですが、この際、各社とも、下請の末端の一人一人についても炉に接近する方々についてはこれを持たすようなことを、官庁指導でなくとも積極的に皆さんでやるぐらいにしなければならないのじゃないかと思いますが、この点について会長さん、連合会としてはどのように指導なさっておりますか。
  51. 平岩外四

    平岩参考人 当社の場合を申し上げます。  具体的には、放射線業務の従事者につきましては、その発電所内の就業時におきましてそれ以前の被曝歴を把握することが必要でございまして、それを把握するとともに、就業中は作業管理の徹底とか、日々の被曝線量の監視とかあるいは内部の被曝線量の測定等、放射線安全管理の充実、それには十分意を注いで万全を期しておるつもりでございます。  また、請負業者につきましては、当社の工場を請け負う場合には原子力発電所の社員と同様に管理するというたてまえで、放射線管理手帳を渡して、これによる前歴の把握とか日々の線量の監視、教育研修の徹底、こういうのを現在実施いたしております。これは恐らく各社についても同様で、この放射線安全管理というものは発電所そのものの安全と同時に原子力の安全の基本的な問題だと思います。
  52. 石野久男

    石野委員 いま会長さんからのお話でもおおよそ察知できるのですが、各社とも努力なさっておるけれども、前歴を把握するということでは必ずしも十分でないということになりますと、これはやはり通産指導とかなんとかいう官庁指導が斉一的に行われなければならぬという問題を含んでおるように思うのですが、業界としてはそういうことについて政府なり監督官庁に対して要望するようなことはございませんですか。
  53. 岡本富夫

    岡本委員長 参考人の方に申し上げます。  答える方は、ちょっと手を挙げていただけませんか。
  54. 小林庄一郎

    小林参考人 いま申し上げました放射線従事者中央登録センターというのは、各企業を超えましてそれぞれの下請業者も含めてそれぞれの手帳を交付し、それぞれの被曝量を記録して、どの事業所に来られまして働かれましても、そこで必ず登録するというのをセンターとして、関係官庁の御指導で発足したわけでございます。これは私どももインプットしております個別被曝のカードをいま中央登録センターの方へ移しかえつつございます。したがいまして、お役所は十分その点御指導を賜っておるというのが実態でございます。
  55. 石野久男

    石野委員 中央登録センターがそういう努力をしているにもかかわらずまだそれが徹底しないという問題になると、今度は官庁じゃなくて皆さんのところの責任になるのです。  ここでなぜ私がこういうことを聞くかというと、どこへ行きましても、下請に働いている人たちは、それを持っている人というのはまずないのですよ。あるいは現場に入るときはもらうのだけれども、出てくるときにはそれは持っていない。それで果たして管理できるのかどうかという問題を私たち心配をするので、もしその登録カードというものを持たすのでしたら、どういうふうになっているか、率直に申しますと私もわからない。先般、私は島根へ参りましたときに、実を言うとそういう問題にぶつかっている。ある事故を起こしました作業員が登録カードを持って行ったら取り上げられてしまった、どうにも困ってしまったということを具体的に見ておりますので、この際ひとつあなた方の方で、登録センターで出しておるカードは皆さんも職場に入った労働者には確実に必ず持たす、それはずっと常時その人に持たしておくというようなことに協力していただかないと、これは徹底しないと思うのです。そういう点は会長さん、連合会としてしっかり押さえていただきたいと思いますが、いかがですか。
  56. 平岩外四

    平岩参考人 これはおっしゃるように徹底いたしたいと思います。
  57. 石野久男

    石野委員 安全性の問題について、これはもう論議をいろいろしておっても意見の違いもありますから多くを申しませんが、特にこの再処理問題が先般来問題になっておりますし、また、原子力問題を論ずるときには再処理の問題は当然出てくるわけです。これは再処理だけではなく、安全性問題を論じますときには、炉の設置場所、再処理工場あるいは廃棄物保管場所、こういうものを全部含めまして、その周辺地住民との関係考えなければいけない。  私は、こういう狭い日本列島という中で、現在見ますると、この十五のほかにずいぶんとまた新しいものができますし、各社ともみんな場所を競り合うような形で確保しようと努力なさっておる。炉の設置にしても再処理工場の設置にしても、相当長年月かかるが、特にその中では土地を確保することが非常に問題だ、こういうことは事実でございます。なぜそうなるかというと、安全に対する周辺地住民の皆さんの信頼がないからだ、こういうことになるわけですね。  そこで、私は、炉の安全を確保する、あるいは作業上の安全を確保することもさることながら、敷地の問題についてもうちょっとやはり各社話し合いをして、共同で敷地を確保するとか何かしてできるだけ——私はもともと原子力開発に反対する立場なんですよ。立場なんだけれども、あなた方はどんどんやっちゃうんだから、それで仕方ないから私はこういう話をするのですからね。どこかまとめて……(「反対があるからやれないんだよ」と呼ぶ者あり)やれないと言ったって、やらなければ困る。それをやらなかったら、あなた方進まないだろう。そういうことについてあなた方は考えないのか。それとも各社やはりおれが、おれがということで、まあマーケットを確保するという意味も含めて競り合いしておるのではこれはどうにもならぬじゃないかというふうに私は考えますが、会長さん、連合会ではそんなことは考えたことはないのですか、どうですか。これは各社の御意見でまとまりませんか。
  58. 平岩外四

    平岩参考人 石野先生の御質問は、原子力を九電力個別でやるのじゃなくて全国で組んでやるべきだ、こういうお話だと思いますけれども、私ども現在の九電力体制というのは、電気事業経営の貴重な経験を背景として生み出されたものでございまして、私企業経営のメリットを最大限に生かして、地域別に発送配電を一貫した事業運営を行うことによって、需要家へのサービスの向上とか効率性の追求ということを行ってきておるわけでございます。そしてさらにこの体制を補完する形で電発等を含めた広域運営体制ということによって、全国を総合した効率追求、こういうことを行ってきているわけでございますが、私どもはこのやり方が現在のところでは最善であると確信いたしております。  原子力につきましても、九電力会社が共同出資した日本原子力発電株式会社をパイオニアといたしまして動力炉の開発を進めて以来、各電力会社軽水炉はすでに実用化段階  これは先生から先ほどお話がございましたけれども、実用化段階にあると考えておりますので、現在のわが国電力供給体制の中で、水力、火力と同じように、各電力会社がそれぞれ主体的に開発していくことが当然のことであり、妥当なことだと考えております。  なお、近年、原子力をめぐる動向は、核拡散防止等との関連で国際的な広がりを見せておりまして、わが国としてはこれに官民を挙げて取り組む事態が多くなってまいっております。また、高速増殖炉開発とかあるいは核燃料サイクルの確立、たとえば再処理とか廃棄物処理など、技術開発並びに実用化に当たっては九電力共同で行うような課題も多くあることは事実でございます。このようなことから、原子力に関して電力各社間の協力関係を一層緊密にしていく必要を強く認識しているわけでございますが、また関連する技術開発などについては国の御協力、御指導を各面において賜りたいと考えておる次第でございます。
  59. 石野久男

    石野委員 再処理工場とかあるいは技術開発の問題では協力しましょう、だけれども原発の立地については、これは私企業ですからそれぞれやるのが当然のことです。こういうお話なんですが、これは平岩さん、お考えいただきたいのは、まず北海道から青森県小川原というのですか、あそこの地域、それから宮城県、福島、そして今度は静岡に入りまして、それから近畿、瀬戸内海、それから九州二カ所、こうなっておる。また北の方へ行くと、島根から福井、新潟。日本列島周辺は全部原子力発電所でつながっているのですよ。私はなぜこういうことを言うかというと、エネルギーも必要ですよ。だけれども、食糧問題で水産業界がいわゆる二百海里でだんだん追い詰められてきておる。日本列島の周辺二百海里をどういうふうに水産資源として開発するかという問題が、これからだれが言わなくとも当然やはり重大な課題になってくる。しかし、重要なところは全部原発さんで押さえられている。押さえられているとなぜ言うかというと、漁業権を皆さんが皆買い取るから。漁業権を買い取るというような問題が起きるのは皆漁場としていいところなんですよ。またいいところというのは大体市街地から離れて閑疎なところで魚がたくさん集まるようなところだから、あなた方はそこを敷地に取る。漁業者にとっては一番の漁場をなくすから、賠償、補償ということを要求している。そういうようなことで立地の問題と列島周辺の海域をどう利用するかという問題との兼ね合いというものを当然考えなくちゃならない。そうなってまいりました場合に、皆さんがやはり私企業だからというのでばらばらに思い思いにその立地をやったら、列島周辺の二百海里を有利に開発しようとしてもできにくくなる可能性が出てくる。私はこのことは電力業界の皆さんもやはり思いをいたすべきだと思うのです。あなた方は政治家でなくともわが国におけるところの業界のトップクラスにおられる。政府を動かす力を持っておる。だからそのことをもう少し考えたら、立地の問題は安易に各社ばらばらでというようなことをやっている時期じゃないのじゃないか、こう思います。もちろんあなた方が温排水とか何かの処理を十分して、漁業権買い取りをしなくても十分やっていけるのだとか、あるいは放射能のなにがないから漁業権は買わなくてもいいのだというふうなことになれば、これは結構ですよ。しかし、当分はまだそこまで行かないとすれば、やはり立地の問題をそういう観点からもう少し計画的に、集約的に考える必要があるのじゃないかというふうに私は思うのです。そういう点について平岩さんが、各社ばらばらでやるのが当然のことだ、こういうようにおっしゃられると、ちょっと問題が出てくる、これは政治課題として。ここのところは少しあなた方の中でも論議をしていただく必要があるのじゃないだろうか。私は原発の開発優先には反対ですけれども、あなた方がそういう形でやる以上は、こういうようなことを御注意申し上げなくちゃいけない。これは私企業だからばらばらにやるのは当然だという平岩さんの考え方にはちょっと私は疑義がありますが、いかがでございますか。
  60. 田中精一

    田中(精)参考人 ただいま先生の御質問でございますけれども、一応発電所というものは現在は海岸地帯に立地されるというのが通常でございまして、漁業と大変密接な関係にございます。そういうことを御指摘になったと思いますが、まず私たちといたしましては、発電所立地というものには、取水と放水をいたします設備、または港湾の関係というようなものが当然必要となってくるわけであります。これらの設備というものは地点によっていろいろと相違がございますけれども、多くの場合に共同の漁業権の存在する海面を使用するわけでございますので、この場合物理的にも海面を永久に使用する、占用するという部分、あるいは水を取りましたり放水いたします。それに伴いまして一定の範囲の海を発電所の目的のために使用する場合漁業の権益と調整を必要とする、こういうことになってまいります。多くの場合、私たちは現在漁業権の消滅とかあるいは影響の補償というものをいたしまして、そういう形で当事者間で話し合いまして、総合的に解決を図っておるのが現状でございますけれども、この場合補償、補てんということはいろいろございますけれども、一応資本の還元方式というような場合が一番多いわけでございます。損失の補償でございますけれども、調整がつけばそれでいいというものではございませんので、その前に当事者の双方がそれぞれの立場から、相手に対しまして十分に相互の理解と許容が成立いたしませんと、前に申しましたような調整というものはとうてい望めないというのが現状でございまして、このことによりまして双方の努力というものが各地点とも大変な実態面の仕事となっております。特に生活権の意識というものがしっかりしたものでございまして、このことの調整は非常に長時間をかけてお話し合いをしておるのが通例でございます。  それで電気事業者といたしましては、単に立地上の話し合いということではなくて、事業といたしまして漁業に何とかお役に立ちたい、進んで貢献したい気持ちでございます。各社それぞれいろいろな工夫をいたしております。たとえば温水養魚開発協会によりますところの東海事業所とか、福井県の敦賀の水産試験場、あるいは浜岡の温水利用センター等、あるいは高浜の原子力発電所におきます養魚場の問題、全国各地でいろいろと試みをいたしております。それでそれぞれの成果を得ていると私たちは考えておりますが、先生の御指摘のように、今後日本の漁業というものが二百海里という時代を迎えまして、沿岸漁業の振興というものは関係者はもとより、広く国民の強く要望しているところでございます。漁業の振興とか温排水の利用あるいは栽培漁業の進展にできるだけ寄与いたしたいと考えておる次第でございます。特に発電所と漁業との相互関係につきましては、農林省とか全漁連等の関係方面の御指導のもとに、最近海洋生物研究センターというものを中心にいたしまして今後の研究を推進してまいりまして前進に努めたい、こう考えておる次第でございます。  以上でございます。
  61. 石野久男

    石野委員 お考えはわかりますけれども、それはそういう考え方だけじゃしようがないので、具体的にやはり皆さんの動きがなければいけないだろうと思うのです。  いずれにしましても、原発による電力開発の予定がまだまだ大きいものがあることを承知しておりますから、そうすると、必ずそこにまた立地の問題が出てくるわけです。そうすればその地域で抱え込むことができない限りは、必ず別な場所を選ぶわけです。そうすると列島周辺が全部原発の駅伝ができるようになってしまうのですね、だからこういうような状態は非常に問題がありますから、ひとつあなた方の方でもそれは考えていただく必要があると思いますので、これは会長さん、ひとつ後で皆さん皆さんなりに考えてみてください。私はそういうようなことを心配しますから。  特に、再処理の問題になりますと先ほどからお話しのように皆さんが共同して一つの施設をつくろうということを言われております。再処理問題は、非常にがんじょうな建物をつくっていかにも安全は確保されたように見えますけれども、しかし、何といってもプルトニウムをつくり、使用済み燃料をぶった切るというようなことから出てくる安全に対する不安というものは大きいわけです。率直に申しまして、何か事があったときにはそれは原発よりももっと心配が多い点がございます。  そこで、敷地の問題等について皆さんはどういうような考え方をしているか。私の住んでいるすぐそばに東海の再処理工場ができているものですから、従来からもそのことについていろいろ心配しているのです。率直に言いますと。  新しい第二再処理工場は日産五トンということを予定されておるわけですから、相当大きいものになるわけですよ。これはいま一日〇・七トンということから見ればはるかに大きい。七倍も八倍も大きいものになって膨大なものになると思うのです。こんなものをいまの日本列島の中でつくる場所があるのだろうかということを実は心配するのですよ。いま再処理工場について新しい会社をつくる用意があるように聞いておりますけれども、この会社についてはどういうようなぐあいに進められておりますか。そしてまた、大体それについてどういう構想をお持ちでございますか。この際ちょっと聞かしてもらいたい。
  62. 田中好雄

    田中(好)参考人 第二再処理工場立地の問題でございますが、先ほど御説明いたしましたように用地面積はおおむね二百万坪と一応考えられております。現在まだ会社ができておりませんし、準備中でございまして、濃縮・再処理準備会で大分いろいろと技術的な面は詰めていただきましたし、いろいろ調査をしていただいておりますが、いまだに会社ができているわけではございませんからはっきりはいたしておりませんが、二百万坪は必要である。核不拡散の観点がございますので、将来再処理によって回収されました核燃料の中で特にプルトニウムでございますが、これの成形加工も同じ場所でやるような構想でございます。これはいまドイツの方でやっておるわけでございますが、その構想などを聞かしてもらっております。ドイツの方は、十二社ぐらいの電力会社が共同いたしまして、他の産業界協力を得ていま工場をつくろうという計画でございます。やや二、三年進んでいるのではないかと思われるわけでございますが、そういうことも考えまして、先例もあり、いろいろいたしますので、核燃料、プルトニウムの成形加工も同じ場所でやれば核不拡散に対します問題も非常にうまくいくのではないかということで、いわゆる核燃料パーク構想などについてもいま慎重に検討を進めているところでございます。  用地取得につきましてはまだどこといって決まっておるわけではございません。先生おっしゃるように非常に見つけにくいのかもしれませんが、見つけました場合には地元皆様方の御理解を得まして工事を進めたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  63. 石野久男

    石野委員 第二再処理工場は二百万坪と言っておりますから非常に大きい土地ですよ。土地は求められても周辺地の人口との関係等がありますから、そう簡単にどこにもあるということではないと思います。ことに今度は各発電所から使用済み燃料を運び込んでこなくちゃならないという普通の炉とは違う新しい別な要素もこの中にありますから、そうすると、運搬、交通の問題等、皆これにかかってくるわけです。だから、こういうようなことを考えますと、列島の三つの島の中、あるいは北海道を含めて四つ、なかなかこれは容易なことじゃないだろう。しかも運搬が非常に遠方でもだめなんだということになるとどういうところへ求めるのかなと私はちょっと皆さんの意向をお聞きしたいと思っているわけなんです。どこか別に大きな島でもあってそういうようなところにでもはめ込んでしまえばまた別かもしれませんが、そんなところもそう簡単にはないでしょう。だから、私は新しい会社が敷地を求めるに当たりましてぜひひとつ注意していただきたいことは、二百万坪の土地はどこかで求められるかもしれませんけれども、周辺地人口の問題を十分考慮してこれは考えてもらいたいと思います。皆さんが官庁、自治体なんかと協力して強引に敷地を求めましても、周辺地の人口が多い場合、トラブルがあったとき、あるいはアクシデントが何かあったときに、非常に救いがたいなにを残すだろう。皆さんは炉の問題については安全を非常に強調されますけれども、私は率直に言って一たび事故が起きたらいわゆる日本窒素の水俣における事態を連想するのですよ。会社もつぶれてしまうけれども被害者も救い場所のないような状態が出てくる。結局は会社はめんどうを見切れないので国だとか自治体が世話しなければいかぬというような状態を安易な形ですべきじゃない。エネルギー確保も非常に大事でございますけれども、人類が生きるという上から言って放射能が環境に与える問題をもう少しシビアに考える課題が残されている、こういうように思いますので、再処理工場の設置の新会社ができるときの敷地問題については私は慎重な配慮をしてもらいたいと思う。これは私の希望です。ひとつその点はぜひ配慮してくださるようにお願いしておきたいと思います。しかし、法案はまだできていないのだし、あなた方は仕事をどんどん進めているのだし、問題はたくさんあるのですよ。あるのだけれども、たまたまおえら方がたくさんおいでのところですから、私はこのことを特にひとつ希望しておきます。  それから、時間も余りありませんから最後に、きょうおいでいただいたのは、最初にも申しましたように、原子力基本法改正に伴ういろいろな問題がございますので、それに伴って皆さんの御意見も本来なら法案審議の過程で聞かなくちゃならなかった問題が後になってしまいましたが、私どもこの際原子力基本法問題で二、三皆さんの御意見を聞いておきたいと思うのです。  率直に言いまして、今度の基本法の改正については私どもは若干の修正意見も出しましたが反対しました。その理由はどういうことかといいますと、現行基本法が持っている安全規制の問題についての考え方でやはり改正法案にはいろいろ問題がある、こういう考え方からでございます。安全規制についての監督官庁のあり方で、いままで科学技術庁が大体主管業務をやってこられたわけです。今度は改正法で通産大臣なりあるいは船の場合は運輸省ということでいわゆる認許可の権限を持つようになります。こういう問題について率直に言って私どもとしてはどうも電力業界の強い要求がこういうことになったのじゃないかなというような憶測もしているわけなんです。あなた方は率直に言ってこういう通産大臣なり運輸大臣にそれぞれの許可権が行ったことについてどういうわ考えがあるのかということをちょっと聞きたい。やぼな質問かもしれませんけれども、これをひとつ聞いておきたい。  それからいま一つは、原子力安全委員会ができます。この安全委員会は、「むつ」の問題を契機として、原子力行政の、特に安全規制の問題を厳しくしなくちゃいけないということからできたものなんです。ところが、安全委員会は率直に申しまして私ども、国家行政組織法の第三条機関、いわゆる公取委員会のようなものにして、第三者的な立場で規制問題についての発言をした方がいいという考え方でありました。ところが、これは政府や自民党さんの反対意見もありまして、そうはならなかったんです。結局総理の諮問機関ということになっているわけなんです。しかし、それにもかかわらず本院の場合では、やはりこの重要性にかんがみて、この委員会が持っている権限は、法的には八条委員会なんでございますけれども、しかしその意見が相当程度尊重される、三条委員会と同じように尊重されるべきものだということで修正点も加えましたし、あるいは附帯決議をつけました。十分意見の尊重をするようにというここの意味はいちょうど三条委員会と同じような意味を持っているんですよ、権限を持っているんですよということの合意の上で、修正をし、附帯決議をしたわけです。こういう問題について、安全委員会というものが三条委員会、いわゆる公取委員会のようなものになった場合には、業界の皆さんとしては非常に不便なものでございましょうか、どうですか。この意見をひとつ率直なところを聞かしてもらいたいと思います。
  64. 平岩外四

    平岩参考人 私ども電気事業者は、前から申しましたように、安全は経営の根幹であり、原子力発電安全確保なくして原子力開発の推進というものはあり得ないという基本認識に立っておるわけでございます。したがいまして、今回の法改正によりまして原子力安全委員会が設置されることによりまして、原子力安全性について国民皆様方のより一層の御理解を得られることになるものと期待しておるわけでございます。安全委員会のダブルチェックにより安全はより確保できるものと考えております。また行政の一貫化によりましてその責任体制がより明確になりましたことは、電気事業者といたしましては大変結構なことだと考えております。
  65. 石野久男

    石野委員 御趣旨は非常によくわかりましたが、その御意見が具体的に効果的に出るについて非常に大事なことは、皆さんのところの所内で起きました事故なり故障というようなものについて、率直にそれを公開するということが非常に大切だと思うのです。これは別に小林さんのところへ向けて言うわけじゃございませんが、やはり事故を隠蔽するということは、信頼感を薄くする最大の原因になると思うのです。今後はひとつその点について各社とも強く留意してもらいたいことが一つ。  それからいま一つは、これは別個なことですが、立地の問題で、いわゆる反対派に対するいろいろな手だてを加えて、そして中部さんで起きたような買収工作、これは中部さんだけじゃないと思うのです。各社ともに失礼だけれども、皆あるんだ。そういうことをやらないようにしてもらいたい。もし札束で立地確保するということがあるような場合、これは従来は、みんな商売だからというような点もあったでしょうけれども、今後こういうことがありますというと皆さんのためによろしくありませんし、私たちはやはりそういう事実はもう徹底的にあばき出さないとよろしくないと思っておりますので、そういうことについてひとつ皆さんの方で自粛していただくことを私は特に希望しておきたいと思います。ひとつこれは各社の御意見を聞かしておいてもらいたいと思います。
  66. 平岩外四

    平岩参考人 私どもはあくまで地域住民との対話による納得、理解こそが立地のできる道であると確信しております。
  67. 田中精一

    田中(精)参考人 ただいま先生の御指摘を受けまして大変恐縮しておりますが、関連事件を起こしましてまことに申しわけないと思っております。今日まで種々私どもの至らぬ点につきましては、諸先生方初め皆さん方の御叱正をいただいておりますけれども、今後反省すべき点は十分反省いたしまして、みずからの姿勢を正しまして、皆様の御理解をいただきますよう、一層今後努力いたしたいと存じております。  なお、これに伴いまして、機構の改革とかそういうことすべて見直しをいたしまして、再びそういうことの起こりませんように、皆さん方のあるいは官庁関係の御指導によりましてやっていきたいと考えておりますので、どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。
  68. 小林庄一郎

    小林参考人 ただいまの先生の御注意、ありがたく承りました。本当に地域の理解を得るのは、最後の決め手は札束ではございませんで、真心と粘り強い説得だということを私いま、昨年来立地を手がけまして感じております。今後とも姿勢を正し、粘り強く地元皆様方の御理解を得るように努力をいたしたいと思います。  大変結構な御意見、ありがとうございました。
  69. 丸山賢三郎

    丸山参考人 先生のおっしゃるとおりでございまして、立地問題にいたしましても、最後は地域の住民の方々の御理解を得るというポイントが一番大事だと思います。われわれも今後ともそういう方向で物事を進めてまいりたいと存じております。どうもありがとうございました。
  70. 田中好雄

    田中(好)参考人 先生のおっしゃいますとおり、地域の皆様方と十分に話し合って、特に安全性の問題についての話し合いを詰めてまいりませんことには地元理解は得られない、かように考えておりますし、またそういう体験も何回もしておるわけでございます。そういうわけでございますので、ただいま先生から御示唆のありました点は十分これを取り入れまして、今後の開発を進めたいと思います。どうもありがとうございました。
  71. 永倉三郎

    永倉参考人 御指摘のとおり電源立地、その交渉の過程におきましていささかの御批判も受けないように十分注意するように全員によく申し渡しております。
  72. 石野久男

    石野委員 これで終わります。ありがとうございました。
  73. 岡本富夫

    岡本委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  74. 岡本富夫

    岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田畑政一郎君。
  75. 田畑政一郎

    ○田畑委員 私の持ち時間は三十分でございますので、きょうは電力会社方々に御質問いたしたいと思います。特に指名はいたしませんから、どなたでも結構でございますので、関係の方から御答弁いただきたいと思います。  通産省、科学技術庁に対しましては私どもいろいろ質問の機会がございますので、きょうは業界としてお出ましをいただいておるわけでございますから、官庁と同じお話は余り聞きたくないのでございまして、業界の腹の内をある程度割ったお話を聞かしていただきたいと思います。  まず、わが国原子力発電所発電量でございますが、これの世界的な地位をお伺いしたいと思うのでございます。  現在、昨年までに十四基、七百九十九万キロ発電をいたしておりまして、本年度さらに六基を加えて五百八十五万キロをプラスいたしました。合計いたしますと本年じゅうに一千三百八十五万キロに達する。したがいまして、一千万キロを超えますれば、資本主義社会においてはアメリカに次ぐ第二の原子力発電能力を持った国にわが国がなったというふうに私ども認識しておるわけでございます。そういう意味では、在来言われておりましたように、原子力発電問題においてはわが国は後進性を持っておるというものではなくて、国土の狭さから言えば世界的にも相当密度の高いものになってきているというふうに考えておるわけでございますが、そういう認識でよろしゅうございましょうか。
  76. 平岩外四

    平岩参考人 ただいま田畑先生からお話がございましたように、日本の原発の発電能力の世界の中で占める地位と申しますか、私の方では現時点で十五基運転いたしておりますが、その出力は八百七十八万キロでございます。これは、五十二年度末に世界で運転中のものが二百一基、一億六千万キロでございまして、先生がおっしゃられましたように世界第二の原子力発電国となっております。わが国といたしましては、昭和六十年に三千三百万キロワット、昭和六十五年に六千万キロワットを促進目標として開発を進めておりまして、世界全体の原子力発電力の約一割を占めることになります。したがいまして、これらの発電所から排出される使用済み核燃料昭和六十五年度には約千八百トンとなりますので、国内の実用規模の再処理工場がぜひ必要になるものと考えております。  以上でございます。
  77. 田畑政一郎

    ○田畑委員 ところで、先ほどわが党の石野委員からも御質問がございましたように、わが国昭和五十二年度における原子力発電所稼働率は四一%という数字を示しておるところでございます。五十一年度の各国の稼働率を見ますと、アメリカ五二%、イギリス五七・六%、フランス六〇・一%となっておりまして、年々歳々わが国原子力発電所稼働率低下をしておるところでございます。これに対しまして電力会社におきましては当然でございましょうが、稼働率を引き上げたい、こういう御希望を持っておられるかと思うのでございますが、さて具体的にどういう方法をとって稼働率を引き上げるか、いろいろ方法はあると思います。しかし最重点、最大のものだけ御答弁いただきたいと思います。
  78. 小林庄一郎

    小林参考人 お答えいたします。  いろいろ各般にわたる対策考えておりますが、最重点という御質問でございますので、最重点といたしましては、やはり標準化改良化によりまして自主技術による炉の運転の定着化を図りたい、それ以外にもございますけれども一つだけを選ぶならばここがポイントだと考えております。
  79. 田畑政一郎

    ○田畑委員 そういたしますと、わが国原子力発電所はアメリカ等から購入したものでございますので、自主的な技術開発がなされていない、自前で故障、安全性等に対する十分な処置ができないというところに最大の原因がある、こういうことでございますね。
  80. 小林庄一郎

    小林参考人 先生おっしゃるとおりに、導入の当初におきましてはアメリカの技術をそのまま導入いたしました。しかしながら、すでに二十有余年にわたりまして建設、運転の実績を持っておりまして、その間に国産化率九十数%、ほぼ一〇〇%に近い域まで達しました。またしばしばこれまでトラブルを重ねてまいりまして、トラブルのあるごとに慎重にその内容を検討し、また対策を講ずることについて関係当局の懇切なる御指導を受けております。したがいまして、技術レベルも日に日に上がってまいりました。したがいまして、今日の段階ではほぼ自前の技術が現在の軽水炉については確立していると考えております。
  81. 田畑政一郎

    ○田畑委員 それでは自主技術定着化というのはどういう意味かちょっとわかりませんが、議論している暇はございませんのでこれは割愛いたします。  それではお伺いをしたいと思いますが、わが国原子力発電所定期検査によりまして稼働を停止しておるわけでございますが、大体この定期検査に要するところの日時と申しますか、月数でございますね、平均いたしましてどれくらいに及んでおるかということを御質問いたしたいと思います。
  82. 小林庄一郎

    小林参考人 お答えいたします。私、手元に関西電力の資料しか持っておりませんので、経験によりまして申し上げます。  私どもの社内の目標といたしましては、大体百二十日、トラブルなしに定検を済ますならば非常に現段階では好ましいと考えております。しかしながら、午前中にもちょっと申し上げましたように、実際には定検の過程でいろいろなふぐあい点を発見いたしまして、そのふぐあい点の解析、それに対する対策につきまして手間暇を惜しまず、非常に慎重に対処しておりますために、実際にはそれをはるかに上回っております。百二十日のところが百四十日、はなはだしきは三百八十八日というふうな例もございます。これはやはり私ども技術の未熟さをいまデバックしている段階で、やむを得ないことと考えております。
  83. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これに対しまして、電力会社におきましてはこの定期検査が長期に延びることにつきまして対策を立てる、そして稼働率三〇%の向上を目指していわゆる定検の弾力的運用を図ろうとしておるという意図がございます。これは一体どういうことでございますか、内容を一遍御説明いただきたいと思います。
  84. 小林庄一郎

    小林参考人 まだ原子力の定検の日数の短縮につきましては、具体的にその施策についてお役所等の御指導も受けておりません。ただ、やはり原子力は将来こういう状態では稼働率向上いたしませんので、いま申し上げたような実態を、欧米並みとは申しませんが、少なくとも百二十日、さらに進めば九十日程度まで短縮いたしたいというのがわれわれの悲願でございまして、その前提としまして、現在非常に手の内に入っております火力発電所の定検体制を、相当合理化されておりますけれども、もっとスムーズに行うことができないかということにつきましてすでに通産御当局で種々御検討を加えられまして、この三月の末にはその方針が定められたと聞いております。これをまず成熟させまして、その成果を見て定検の短縮についてこれを原子力にアプライしていただくかどうか、これはまた私どもももちろん望んでおるところでございますけれども関係当局の御判断があろうかと考えております。
  85. 田畑政一郎

    ○田畑委員 いまのお答えでございますが、私、先ほどお断りいたしましたように、いわゆる官庁の話は聞きたくないのです。それは官庁がそういうことを計画をしているにつきましては、これは電力会社がこれを受け入れたい、ないしはこういう程度にしてほしいという希望があってこれは官庁がするのであって、何も電力会社がその必要性を感じないならば、これは官庁はしないんじゃないか、私はこう思うのでございます。だからそういう意味で一体今日電力会社が構想しておるところの三〇%稼働率向上というのは、具体的に定検をどういうふうにしたいというふうに望んでおられるのか、内部のお話をきょうは聞かせていただきたい、こういうのが私の質問の内容でございますので、こういうふうにして定検をやって、次の定検はこういうふうに行うというところまで具体的に一遍話をしてください、大体ここに資料があるのですから。
  86. 小林庄一郎

    小林参考人 では、私ども企業の中で現在検討を加えております点について申し上げます。  まず第一に機器標準化改良化をいたしまして、たとえばかまのふたを開く手間をいかにして簡単にするか、これは設計段階から考える必要がございます。それからまた、今度はいよいよ定検に入りますと、先ほど来石野先生からも御指摘がございましたように被曝という問題がございますので、なるたけ作業時間を短縮して、しかも能率を上げたいと考えております。そのためには、この定検作業に従事いたします従業員あるいは下請の技術者の技量を向上いたしまして、短時間に正確に定検を行えるように訓練をいたしたいと思っております。これはソフトでございますけれども、またハードの面では、実際その作業をする場合の工具あるいは放射線の防具あるいは遠隔操作あるいは自動操作等、実際の工程において被曝量を少なく、しかも工程を正確に早くするということを改良を加えて進めたいと考えております。  以上でございます。
  87. 田畑政一郎

    ○田畑委員 私の漏れ聞くところによりますると、現行検査体制におきましては、定期検査を開始したときから十三カ月以内に次の定期検査を行う。ところで、いまおっしゃったように、定期検査が百二十日が好ましいところ、百六十日あるいは二百日に延びていく。そうすると、定期検査開始時から十三カ月以内に定検を行うということになれば、非常にこれは操業期間が短うございますね。電力会社といたしましては、定期検査終了時から一年以内に定期検査を行いたいという希望を持っておるということを聞いておるのでございますが、これは本当ですか。
  88. 小林庄一郎

    小林参考人 これは公式にお役所の方にまだお願いしてはおりませんけれども、われわれ経営者の立場といたしましては、何とかして原子力稼働率を上げたいと思っております。欧米の各国の定検の周期は、大体燃料サイクルに合わせまして、一年で大体燃え尽きた段階で、したがって燃料取りかえの際にあわせて定検を行うというシステムのように聞いております。私どもいろいろ運転の段階でトラブルを起こしている身でございますので、いまこの段階で定検の期間を長くしてほしいというような大きな口をたたく自信がまだございませんので、政府の方にお願いはしていないと思いますが、ただ私どもの悲願といたしましては、なるたけフュエルサイクルに定検のサイクルを合わせていただきたい。しかし、それを大っぴらにお願いするためには、まずみずからの身を正して、いろいろなトラブルを起こさない、りっぱに運転するという実績を積み重ねることが前提だと考えております。
  89. 田畑政一郎

    ○田畑委員 やっといいところへ来たわけでございます。やはり率直な話をきょうは聞かせていただきまして、私どもも国会でこれからいろいろ議論するわけでございますから、電気会社が何を考えているのかわからないというのではなくて、本当の心の中をきょうは打ち明けてもらわないと、本当のりっぱな原子力行政というのは確立していかぬと思います。結局定期検査の問題がやはり非常に重要な問題になっているわけですね。これはポイントだと私は思います。恐らく本音はそこにあると私は思うのでございます。そういう意味で、この問題については私どもいろいろ見解がございます。しかし、きょうはそれを申し上げる機会ではございませんので、その点だけ明らかになったことを確認をいたしておきたいと思います。  それから、原子力発電所ないしは再処理工場等につきまして、いろいろ新聞あるいはその他の報道によりますると、通産との間に若干いろいろな意見見の相違がある。この件については、私本委員会におきまして、通産省あるいは科学技術庁に質問しているわけでございますが、例の核燃料パーク構想問題がございますね。九電力会社は、プルトニウムの燃料加工工場をいわゆる再処理工場に併設をしてつくる、これに対して難色を示されておるというふうに実は新聞では載っているのです。首をおかしげになるけれども、そうなっておる。ところが、通産当局等は、そんなことはない、これはまことに和気あいあいのうちに進んでいるのだ、こういう御報告でございますが、ここらあたりは、なぜこういう問題が多少見解の相違が生じておるのか、あるいはまたどういうふうになっていくのかといったような問題について、簡単に要領よく御答弁いただきたいと思います。
  90. 永倉三郎

    永倉参考人 永倉でございます。  ただいまの核燃料パークのお話でございますが、昨年原子力委員会核燃料サイクル問題懇談会並び通産省総合エネルギー調査会原子力部会におきまして、それぞれ第二再処理工場民間で行うように答申をされております。もとより、再処理事業は国際的な面も考慮しつつ、官民挙げて、コンセンサスのもとにこれを最も効率的に推進しなければならないと考えております。したがいまして、現在御審議中の規制法改正していただきまして、動燃事業団並びに原研しか行えないようになっております再処理事業民間にも門戸を開放していただく、そしてその事業化を推進したいと考えております。  民間で再処理事業を推進するに当たりましては、これをわが国産業界全体の問題として取り上げまして、電力中心として電機メーカー、エンジニアリングを初め、金属鉱業化学等関係業界総力を結集して、その企業化全力を傾注することといたしております。私どもといたしましては、動燃事業団で研究、開発された技術を十分に活用することによりまして、これを民間企業化することは可能と考えておりますし、事業効率上から見ましても民営が望ましいと考えております。  しかしながら、再処理事業はその成否の影響がきわめて大きいのでございまして、電力事業のみではなく、わが国産業界全体の問題としてこれを取り上げ、電力中心として関係業界総力を結集してその企業化全力を傾注することにいたしたいと思っております。  もとより、再処理施設建設には多額の資金と長年月を要するわけでございまして、何とぞこの点について御援助をお願い申し上げたいと存じます。  大体再処理工場計画用地が約二百万坪…
  91. 田畑政一郎

    ○田畑委員 もういいです。これは長くなりますからもう結構です。  最後に関西電力さんに一つだけ。私がそう言えばおわかりだと思うのでございますが、私の出身地であります福井県は、関西電力さんの原子力発電所が集中いたしております。ともかくカラスの鳴かぬ日がございましても原子力発電所の記事の出ていない日はないというほど毎日記事が出ておるわけでございます。その中で一番問題になりますのは、例の協力金と称する寄付金でございますね。たとえば、電源立法とかあるいは事業税とかあるいは固定資産税とかそういう公式のものは、これはもう当然ちゃんちゃんといただかなければならぬと思うのでございますが、またそれが地元に対して一定の迷惑料といいますか、犠牲に対する報酬となるかと思うのでございますけれども、いわばつかみ金でございますね、原子力発電所をつくるという前提としてつかみ金が出される。その金額もごくわずかなものでございますれば、前に私が通産省へ行ったときには、お祭りに対する寄付、こういうお話がございました。お祭りに対する寄付ぐらいならいいのでございますが、たかだか全部合わせても二、三十億円程度の町財政に対して、ぽんと九億円も御寄付をなさる。そうして、これを受ける側は一軒当たり五百万円とか七百万円とかというようなことが新聞に出る。まことに不明朗でございます。その金が町長個人の帳簿についているとかというようなことも議論になっておる。関西電力にその問題について問い合わせたというのですか抗議に行きまして、領収書があるのかと言ったら幹部はそれに対して一言も答えない。領収書はある。九億円金を与えているのですから。領収書はあります。こう言えばいいのですよ。領収書はあるのですかと聞いたら黙っている。新聞記者がついていっているものですからみんな書きますね。たとえばあなたならあなたが答える。その後ろに係員がいて、メモに書いて、領収書はございませんというメモを与えている。そのメモを横にいた新聞記者が見てそれをまた記事にしている。こういう醜態ですね。領収書なしで金を渡すのですか、九億円からの金を。結局このお金はどうなるかと私は前にも質問したのですが、これは電気料に加算されないのですか。昔、電気会社が政治資金を出したために政治資金の分だけは電気料を払わぬという運動が起こって大変困ったことがおありになると思うのです。いわれのない金であっても出せば、これが消費者の電気料に加算されてくるということははっきりしているわけです。そのゆえにこそ電気事業者に対しては特別の恩典を国家は与えている。そんないわれのない金を出すようなことをして消費者に迷惑をかけないということが前提条件になっている。ところが、現実には四億円とか九億円とかというものが出されている、わずかな小さな町に。高浜町には九億円出されていることは間違いない。九億円以上じゃないですかとこう聞いている。それに対して答えない。黙っている。九億円とわかっているのだから、九億円ですとこう答えればいいのです。それを答えない。なぜそういうことに実際なって、トラブルトラブルを生み、疑惑は疑惑を生んでおるのか。いわゆる再処理工場も今度できることでございますが、こういう不明朗なやり方を会社が続けておられるとするならば、これはだんだんと電気事業に対する不信感というのは募るのではないかと私は思うのです。だから、その辺のことについて、一体これからも  先ほど東電の取締役社長さんがおっしゃったようにだんだん原子力発電所をふやすというなら、それはふやすに対してはもっと明朗な形でのやり方をしていただかなければならないのではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、私はお伺いしたい。一体こういう協力金というようなものをいわばつかみ金のような形で出すことがこれからもいいのかどうか、こういう点、一遍姿勢をお伺いしたいと思うのです。  それから第二点は、高浜町に出された九億円、これはいわゆる原子力発電所の何の費目から出されたか、一遍これは答弁していただきたい。
  92. 小林庄一郎

    小林参考人 ただいま協力金につきましていろいろと御意見があり、また、二点について御質問いただきましたので、それにお答えいたします。今後協力金を出すのか出さぬのかという御質問でございますが、やはりこれから電源開発を進めるに当たりまして地域の住民の御理解と御納得を得るためには、その地域の振興なりその地域にお住みになっている方々の福祉の向上に私どもが応分の御協力をするということが必要となってまいります。先ほど石野先生から札束でどうのということは好ましくないという御意見をいただきました。まさに札束で事を片づけるという姿勢はあるべき姿ではございませんが、しかし、地元説得の段階で、電源三法交付金を補完する措置としての性格を逸脱することのない範囲で、地元の御要望の中から地元と協定を行い、また県御当局の御了解も得て堂々と支払うお金でありますならば、今夜やはりある程度協力金は支払わざるを得ないこ考えております。  二番目の御質問でございますが、現在高浜の三、四号の増設をお願いし、電調審を通過いたしました。したがいまして、高浜三、四号増設の建成仮勘定が立っております。この中からただいまりところ支出をいたしております。
  93. 田畑政一郎

    ○田畑委員 時間が参りましたのでこれ以上は議論いたしませんが、ただ、いま申しましたように、電源三法によってたとえば一号炉、二号炉について金を出される。これは幾らぐらい出されているのですか。私の推定では十五、六億と思いますね。それに対して、片方三号、四号炉の増設問題に対してはいままで出されているだけでも九億円出されている。地域振興対策費ですね。応分といってもこれは非常に抽象的な言葉でございまして、いわゆるまともに出す金の半分以上の金額まで応分という範囲内にとどめるとするならば、これは実際は天井知らずみたいなものですよ。だからそこにはおのずと節度というものがなければいかぬ。それから名分も立たなければいけない。そういう形をやっぱりきちんととってもらわないとこの原子力発電所のこういった問題については住民の疑惑は消えないのではないかというふうに考えておるわけでございます。それからまた、この協力金につきまして建設仮勘定から出されたというお話でございますが、これも、考えてみると、漁業者に対する補償金、それからまた地域振興対策費といっていわゆる町長の行政権に任されるようなお金、これを建設の中に含んで処理されるということも、私ちょっとどうかと思うわけでございます。そういう点を考えますると、この種の問題等につきましては、電力会社もある程度、それ以外の住民がたくさんおるのですから、厳しい態度をもって臨んでいただけるような御処置を今後とも望みたいというふうに考えております。  質問を終わります。
  94. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、貝沼次郎君。
  95. 貝沼次郎

    貝沼委員 朝から参考人皆さんには大変御苦労さまでございます。  いまわが国エネルギー事情は非常に大切なときになっておる。先般衆議院におきましては原子力基本法が通過いたしまして、いま参議院に行っておるわけでありますが、こういうようなときにまず何が一番問題になってくるのかということであります。私は、制度あるいは行政の体制、こういったことはいつも議論になり、またそれはチェックしておるわけでありますが、どのようにりっぱな体制をつくろうとも、それを運用する者、あるいは特に今回の基本法によりまして実用炉につきましては通産省というふうになりまして、また業界の責任も非常に重くなってきておる。そして、現在問題になっております再処理の民営化の問題に至りましては、なおさら業界の責任が重くなってきておるという状況だと思います。したがって、こういうようなときに、業界そのものの姿勢というものは本当に大丈夫なのかどうかということで、いつもそう考えておるだけでなく、お互いにこういう公の場で意見を述べ合って、そして確認をしておく必要があるというようなところから皆さん参考人としてのおいでを願ったわけでございます。     〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕  したがいまして、まず第一に私が皆さん方に伺っておきたいことは、こういうような状況のもとにあって、これから参議院を通過すれば原子力基本法改正案は成立するわけでありますが、そういうときに、いままでのやってきた経験、あるいはいろいろな指摘された点、多々あるわけでありますが、そういったところを反省なり考えて、そして、どういう姿勢でこれから臨もうとなさっておるのか、その決意のほどを伺っておきたいと思うわけであります。  そこで、これは皆さんに伺うのが筋かもしれませんが、そうとばかりいきませんので、代表して東電と関電の方から意見を伺っておきたいと思います。
  96. 平岩外四

    平岩参考人 ただいま貝沼先生からお話がございました原子力基本法改正後における新しい原子力安全行政体制下の業界の決意というものの御質問でございますけれども、私ども電気事業者は、安全という問題があくまで経営の根幹であり、原子力発電安全確保なくしては原子力開発の推進はあり得ない、こういう基本認識に立っているわけでございます。したがいまして、今回の法改正によりまして、原子力安全委員会が設置されることによって、原子力安全性については国民皆様のより一層の御理解を得られることになるものと期待をいたしているわけでございます。そしてまた、もう一つの行政の一貫化によりまして、その責任体制がより明確になることは、われわれ電気事業者といたしましても、大変結構なことだと考えておるわけでございます。  以上お答えいたします。
  97. 小林庄一郎

    小林参考人 いま平岩さんから、安全を第一の柱とされる旨御説明がございましたが、業者といたしましては、第二の柱としまして、国の総合エネルギー政策に沿いまして電力安定確保を期するということを二番目の使命と考えております。——二番目と申しますか、同時に重要な使命と考えております。  したがいまして、当然、先ほど来お話に出ております軽水炉定着化全力を挙げるほか、同時に、原子力開発に必要な一連核燃料サイクルの確立を図りまして、将来の高速増殖炉開発を急ぎ、エネルギー確保による電力安定供給を期したいと念願いたしております。どうか今後とも一層の御理解、御支援をいただきたいと思います。
  98. 貝沼次郎

    貝沼委員 安全の問題、これはもういつも議論しておりますし、当然のことでございます。まあ安全というのはどういうのが安全かという議論があるわけですけれども、これはきょうはいたしません。いずれにしても、その地域住民並びに関心を持っておる方々があれは安全だという条件を整えればよろしいだろうと私は思うわけであります。  そこで、いまエネルギーの、電力だと思いますが、安定確保という問題が出てまいりまして、これはことしの四月十三日、通産省が各電力会社から集計した電力設備計画というものが発表になっておるわけでありますが、この表を見ますと、電調審決定済みの電源しか開発されなかった場合の供給予備率、これが、中国電力がもう五十五年に下回ってしまうわけですね。私はいま岡山に住んでおるわけでありまして、中国電力は非常に関心がありますけれども、これが五十五年で五・二%というふうになってしまいます。そうすると、非常に身につまされて電力不足ということが考えられるわけでございます。それから、その次は東電と関電、これが七・四%ないし五・八%というふうに五十六年度なっておりますね。  こういうような実態を見た場合、今後この計画たけでははっきりいたしませんので、各電力会社はこの電力不足を補うためにどういう計画をもって当たろうとされておるのかということですね。どこどこに何をつくるとか、そこまでは私は要求いたしませんが、少なくともこの電力不足を補うために、たとえば水力とかあるいは火力とか原子力とか、こういうような縦分けをもって今後どういう計画を大ざっぱなところ持っていらっしゃるのか、これを差し支えなければお教え願いたいと思います。  そこで、中国電力丸山参考人、それから東電の平岩参考人、それから関電の小林参考人にお尋ねをしたいと思います。
  99. 丸山賢三郎

    丸山参考人 中国電力が五十五年に五・五%ということでございます。五十五年と、こうまいりますと、私の方はいまから余り手をつけることができませんので、これは広域運営によりましてよそ様から、もし余る電気がございますれば、これをもって五・五%を少しでも上げていこうというふうに考えておりますし、そうしますと、今度は、五十六年度になりますと、これはいま火力をもちましてこの穴埋めをいたしてまいりまして、ここ当分ずっとやはり火力ということになりますが、これは油ばかりではございませんで、やはりガスの併用といったもので進んでまいります。それで、その間に原子力ももちろん期待いたしております。なお、その上は石炭火力といったものも大いに検討をして採用をしていって、需給を満たして大いに万全を期したい、努力をいたしたい、こう考えております。  以上でございます。
  100. 平岩外四

    平岩参考人 ただいま先生からお話がございましたように、いま電気事業界が負っている一つの非常に大きな問題点というのは、やはり将来起きるであろう需給の逼迫をどう回避していくかという問題であろうかと考えます。さしあたっては、需要が若干落ちているために、その時期が若干ずれることがあるといたしましても、将来その問題が非常に緊急な問題になり、同時にそれが現在の問題であるという点に非常に深刻な問題があると考えております。  私ども、その需給の問題について、非常に大きな問題は二つあると思いますが、一つは、日本にほとんどないエネルギーをどういうふうに確保してくるのかという問題、もう一つは、確保したエネルギーを電気エネルギーに変えるための立地の問題をどう解決するか、この二つの問題であろうかと考えております。そして、国内にあるエネルギーといえば、水力とか石炭とか、そういう問題がありますけれども、大部分は外国から持ってこなければならない。そのために現在エネルギーの多角化という問題に取り組んでおりますし、その中で原子力の問題はどうしても避けて通れない、こう考えておるわけでございます。同時にそれが入った場合に、立地がうまく推進されなければ需給の問題に直接絡んでくる問題でありますので、いかに立地を推進していくかという問題、けさほどからいろいろ先生方からもお話がございますし、われわれも努力を尽くしているところでございますけれども、それをどういうふうに達成していくかという問題、この二つに需給の問題は尽きるのじゃないかと考えております。
  101. 小林庄一郎

    小林参考人 ただいま平岩参考人からグローバルな立場からの需給の対策お話がございました。     〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕  まず具体的に関西の方から申し上げますと、うちの方の中国も大変でございますので、五十六年には何とか相生火力、三台を入れたいといませっかく努力をしておりますが、どうか地元先生の御協力をぜひともお願いをいたしたいと思います。また五十八年には大河内の水力、これは揚水でございます。これを入れ、五十九年には御坊を入れまして、六十年までのめどは大体立てておりまして、必要があれば地域内での融通にこたえたいと思っております。  ただ、全体に見まして、これは決して立地あるいは電源開発のおくれからそれが必要だということではございませんで、国の政策として、六十年といいますと例の一〇・五%の省エネルギーという国民的な目標が掲げられております。したがいまして、私どもは、八月ピークを押さえるということでなしに、限りある油、限りあるエネルギーを需要家の皆さんに有効に使っていただく、また私ども発電設備効率よく使っていただく意味からも省エネルギー運動というのをこれからじみちに展開していきたいと考えております。  以上でございます。
  102. 貝沼次郎

    貝沼委員 電力の不足、それに対して石油、石炭あるいはその他の発電、それからさらに原子力発電、これは確かにいまおっしゃっておりますように避けては通れない問題だと私は考えております。したがって、どうしてもやらなければならないものならばなお一層安全性をきちっとしなければなりません、こう私は思っておるわけであります。  そこで、その発電のぐあいをいま見てまいりますと、どうしても原子力発電の場合は立地の問題あるいは稼働率の問題あるいは使用済み燃料の問題、それから海外におけるウランの高騰の問題あるいはアメリカのいろいろな日米原子力協定による圧力といった問題がありますので、非常に不安要素が多いわけであります。それにもかかわらずこの原子力発電、幾らかはやらなければならないだろうと私は思っておりますけれども、その場合に、どのようにして本当に国民理解を得るかということ、またどうしてこたえていくのかということが非常に重大問題であり、これができなければ私は成り立たないだろう、こう思っておるわけであります。したがって、本日皆さんにこうしておいでを願っておる場合でも、国民の側から皆さんの答弁を聞いて、そして納得いくものであるかどうかということが非常に重大な意味を持ってくるだろうと思っておるわけであります。  そこで、まず私は結論から申し上げますと、電力が不足だからもう原子力発電にぽんと飛び込んでいくという安易な姿勢だけはとってもらいたくない。まだまだやれるところを一生懸命やって、そしてなおかつ足りないというときにはいかなければならぬかもしれませんが、安易に原子力発電に飛び込むという姿勢だけは断じてとってもらいたくない、こう私は思うのでありますけれども平岩参考人、この辺いかがでございましょうか。
  103. 平岩外四

    平岩参考人 先生のおっしゃるとおりだと思います。何でも原子力へ突っ込めばいいということではないと思います。現在の想定によりましても、昭和六十年時点においても原子力の比重は全国で大体二〇%程度でございまして、原子力も一環でありますけれども、そのほかに水力、石炭あるいは油、LNG、そういう多角的なエネルギーを同時に開発して進めていくことが必要だと思っております。ただ、非常に将来にわたった場合に、どうしても未来のエネルギーにつなぐつなぎのエネルギーとして、原子力はやはり欠かすことのできないものであるとわれわれは信じておるわけでございます。  と申しますのは、燃料サイクルをやることによって準国産的なエネルギーへの転化ということがやはり再処理によって可能になるから、資源のない日本としてはやはり一つの非常に有効な手段で、どうしてもそこへ行かざるを得ないと現在われわれは考えておる次第でございます。
  104. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、稼働率の話は、もう先ほどずいぶん出ましたので、私、またここでくどくど盛り返すつもりはございません。ございませんけれども、やはり率直なところ、何でこんなに低いのかな、これで一体原子力発電というものは成り立つのかなという率直な考えは恐らくあるだろうと思うのです。大体でき上がったときに七〇%とかいろいろな数字が出ておりまして、それから点検が長くなったとか、いろいろなことが起こりまして、それでもやっておるけれども、あれは赤字なのかというふうに聞いてみると、いや、大体まあ五〇%いけばいいんだとか、四〇%で何とかもつだろうとか、いろいろな数字が出てくるわけですね。そうすると、初め言うことと、それから後になって説明する材料とずいぶん違うじゃないか。この調子でいかれたら、今後いろいろな問題が出てきても、またどんどん数字の修正が行われて、思いもよらぬところへいってしまうのではないかという心配がなきにしもあらずだと思うので  そこで、一言だけ稼働率の問題ではお尋ねしておきたいと思いますが、要するに稼働率というものは、本当に採算の合うのは大体どれぐらいなのか。これは、BWRとPWRと違うかもしれませんが、大体どれぐらいなのか、この点を伺っておきたいと思います。これは、関電の方に……。
  105. 小林庄一郎

    小林参考人 午前中、平岩さんからもお話がございましたが、大体五〇%稼働いたしますれば、現在の火力よりも経済的に運転ができるはずでございます。
  106. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、これは蛇足かもしれませんが、先ほど省エネルギーという話がちょっと出てまいりましたので、一言伺っておきたいと思います。  電力会社から見た省エネルギーというものは、果たしてどういうものなのかということなんですね。たとえば、全体で見た場合には、重油をそのままたけば、公害の対策もやらなければなりませんし、いろいろな面で損をする面が多いわけですけれども、しかし、電力会社の場合の省エネルギーというのは、民間あるいは公共部門で一次エネルギーを省エネルギー化していけば、必然的に電力の量がふえてくると私は思うのですね。そうすると、電力会社における省エネルギーというのは、一次エネルギーと二次エネルギーとの関係においてどういうふうに考えたらいいのか、どう考えておられるのか、この点について一言伺っておきたいと思います。
  107. 小林庄一郎

    小林参考人 省エネルギーにつきまして、単に電力の使用量サイドからこれを縮小させるというのは、非常に簡単な発想でございまして、いまおっしゃるようにエネルギー総体としてどのエネルギー、一次のエネルギーの形態で使用した方が効率がいいのか、あるいは電力に転換して使っていただいた方が全体の総エネルギーの消費量としては効率がいいのか。たとえばお湯を沸かすのに、電熱で沸かすのがいいのか、ガスで沸かすのがいいのか、これは明らかに熱効率四〇%の発電所でつくりました電気でニクロム線を温めていただきますよりも、一万一千カロリーのガスでお沸かしいただいた方がエネルギーの節約としては有効でございます。したがいまして、私ども、お客様に対して、いろいろ省エネルギーの運動を展開するに際しましても、決して電力の消費量を減らすということにこだわらず、たとえば同じ一単位の電気をお使いになるについても、どうすれば効率よくお使いいただけるか。また機器の選択におきましても、ある場合はガスの器具をお使いいただいた方が御家計にもいいし、また、エネルギーの消費の節約にも役に立つという点から、マクロの立場からこれをお勧めしている次第でございます。
  108. 貝沼次郎

    貝沼委員 ということは、エネルギーの需給という問題と、それから省エネルギー、つまりエネルギーを別のエネルギーに転換する転換比率ですね、この辺の率をより効率をよくするというような問題とは本質的には違う。本質的には違うが、しかし電力会社の方としても、その方面までを考え検討なり対策を講じていく、こういうことでございましょうか、もう一度……。
  109. 小林庄一郎

    小林参考人 昨年夏、手前どもの会社の中へ省エネルギー推進本部を設けまして、第一に挙げましたことは、やはり需要家に対する省エネルギー運動の展開、啓蒙でございますが、第二の柱は、いかにして私どもがつくりますエネルギー効率よく使うか、たとえば火力発電所の所内比率をどうやって少なくするか、あるいは各事業所における光熱をどれだけ倹約するか。たとえば冷房温度を二度上げますと、私ども事業所の中で百万キロワットアワー節約したわけでございますが、みずからを正す。あるいは変圧器、送電線を通じて御需要家様に送っておりますので、鉄損、銅損をロスと申しますけれども、ロスをどうやって軽減するかという当社設備内でのエネルギーロスあるいは転換比率を高めるということにつきましては、もちろん委員会の中で検討を加え、その実を上げております。
  110. 貝沼次郎

    貝沼委員 それからもう一点は、さまざまな問題が出ておりますから、再処理の問題で平岩参考人にお尋ねをしたいと思いますが、現在、英仏の方に委託をして再処理をお願いしておるわけでありますが、これがいろいろなアメリカの動きによりまして、非常にややこしくなってきたということで、最終的には、先ほどの答弁を聞いておりますと、だから民営化をという結論があるようでありますけれども、それが、なる、ならないは別といたしまして、こういうようなむずかしい事態に外国に委託する問題、これは今後どういうふうにお考えになっておられるのか。
  111. 平岩外四

    平岩参考人 再処理の問題につきましては、本来、自前でやるべきことが本当であろうかと思いますけれども、現在の事情から言いまして、すでに稼働している発電所の燃料その他のものを詰めまして、どうしても不足する分のつなぎについて、英仏及びヨーロッパの共同会社、そういうものに委託をいたしているわけでございまして、これはコストからいいましても、その他のもろもろの条件を考えましても、やはり国内でやる方がいいのじゃないかと考えております。
  112. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、立地における問題をお尋ねしたいと思います。  先ほどからも出ておりましたが、私は、立地問題と安全性というのは果たしてリニアにいくものかどうかということは非常に疑問があるわけでありまして、やはり安全であろうとも、来てもらいたくない人は反対をするわけでありますから、したがって、その辺は自分の財産とか何かに相当関係があると思います。  そこで、立地における問題でありますが、先ほどお話が出ておりましたように、黒い札束の話ですね。中部電力芦浜原子力発電所あるいは東北電力の新潟県の巻原発の供応、それから四国電力、徳島県の火力発電所におけるものでありますが、これは偽造文書事件で立地部次長が自殺をしたという事件がございましたですね。これらは氷山の一角だ、こう言われておるわけでありまして、こういうこと一つ一つの問題を私はいまとやかく言おうとは思いません。しかし、こういった問題が出てくる、そこにやはり問題となる体質があるめではないか。したがって、その体質が変わらない限り、今後どのような形であるかは知りませんが、また何らかのものが出てくる可能性がある、実はそこのところが私はいま心配なわけであります。したがって率直なところ、まずこういった事件についてその該当する電力会社としてはどのように反省をしておるのか、あるいは反省していないのかということですね。先ほどの答弁でありますと、たとえば札束というものはあるべきではないが、逸脱しない範囲でならば協力金は支払わざるを得ない場合もあるということでありますが、私はどう考えても、いま挙げたようなところはこれは逸脱をしておると考えておるわけであります。したがって、東北電力はおりませんので中部電力、四国電力、両電力側から、どういう反省をしておるのか、そして今後どういう姿勢でいこうとなさるのか、その点について伺っておきたいと思います。
  113. 田中精一

    田中(精)参考人 中部電力田中でございます。  先ほども指摘ございましたのですけれども、当社が関連いたしました事項につきまして世間をお騒がせして、まことに申しわけないと思っております。至らない点が多々ございまして、先生方に御叱責をいただいておりますこと、反省すべきものは十分謙虚に反省いたしまして、皆様方の御理解をいただけるように今後一層の努力をしたいと思っておりますけれども、とりあえず四月一日付で職制を改革いたしまして、各地区に取締役を配備いたしましてそれに責任を持たせまして、それぞれの地点の処理をいたすようにいたしました。それが一番主なことでございますけれども、われわれといたしましてもいままでと同様な気持らではなくて、いままでの悪いところを反省会を持ちまして、環境対策委員会というものを持ちまして、そのつど反省をしながらやっていきたいと考えております。
  114. 田中好雄

    田中(好)参考人 四国電力の場合におきましても全く同様でございまして、このような事件が全くあり得べからざるような形で出てまいりまして、はなはだ遺憾に存じておる次第でございます。そういうことを通じまして社内でも役員以下全員深く自覚をいたしまして、今後一層努力をいたしましてこのようなことが起こらないように対策を講じてまいることといたしたわけでございます。このために組織と業務管理体制の充実、それから管理者教育、立地部門業務の教育の充実、監査機構等の充実をなお一層図りましたような次第でございます。まことにどうも申しわけないことであったと思っております。
  115. 貝沼次郎

    貝沼委員 ただいまのその決意を、決してうそにならないように守っていただきたいと思います。なお、これはいま挙げた三社だけではなく、ほかにも実はあるわけでありまして、たとえば関電の和歌山などはそれに疑わしいものがあったようであります。一々申し上げませんけれども、そういうことがもし起これば、これから原子力発電立地はもうほとんど不可能になるということを肝に銘じておかなければならぬと思います。どんなに一生懸命安全性を主張してみても、結局札束を動かさなければ立地はできないのか、結局説得することができないのかということになってまいりますと、恐らく立地はむずかしくなるだろうと私は思うわけでありますので、この点は非常に大事だと思っているわけであります。  それから、いま中部電力から答えがありましたけれども、これについては三重県警の幹部の記者会見の話では、これ以上の余罪は出しにくいが、中電が無色透明、真っ白ということではない、こういうふうに言っておるようでありまして、これが恐らくその体質を指摘しておるものだろうと私は考えておるわけでございます。  それからもう一点は、今度の基本法において公開ヒヤリングという制度が入っております。この公開ヒヤリングのやり方、従来公聴会のやり方についてとかく批判があったわけでございますが、この公開ヒヤリングの実施という問題についてどういうふうに受けとめておられるのか、この点について平岩参考人小林参考人に伺っておきたいと思います。
  116. 平岩外四

    平岩参考人 今度の基本法の改正によりまして公開ヒヤリングということが行われますが、公開ヒヤリングにつきましては、対話を通じまして国民皆様方の御理解をいただく場ということできわめて望ましいものと考えておりまして、これが実りあるものにいたしたいと存じております。
  117. 小林庄一郎

    小林参考人 私も直接地域住民の方々お話をする機会を与えられるということは大変に望ましいことだと考えておりまして、これを活用いたしたいと思っております。
  118. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから立地の問題で参考までに伺っておきたいのは、先般の中国電力の山口県豊北町の場合、原発の賛成、反対で選挙をやったわけじゃありませんけれども、事実上は賛否両方に分かれてやったと言われておるわけであります。ところが賛成派の方は大敗をしたわけですね。したがって、今後ここの問題については会社側としてはどういうふうにしようとお考えなのか、簡単に感想だけをお尋ねしておきたい。
  119. 丸山賢三郎

    丸山参考人 このたびの豊北町の町長選挙の結果は、私どもとしまして大変厳しいものとして受けとめております。原子力開発といいますものは、これは国民的な課題でもあろうかと思います。したがいまして、当社としてはこの現状を十分認識した上で地元皆さん理解を得るよう、そしてやはり御理解を願うということで、今後とも努力していきたいと考えております。
  120. 貝沼次郎

    貝沼委員 関電の小林参考人にお尋ねいたします。  先ほどから何回も問題になっておりましたし、当委員会でも何十回となく問題になっておりますのは、あの、事故隠しではなかったかという問題であります。この姿勢は実は非常に重大なポイントになってまいりますので、この際はっきりと、今後こういったことはあり得ないということ、またいろいろなトラブルを即時報告をするという謙虚な姿勢、こういったことについてお考えを開陳していただきたいと思います。
  121. 小林庄一郎

    小林参考人 美浜発電所第一号機の定検に当たりまして、燃料棒の損傷について報告を怠りましたことについては、まさに先生指摘のとおり、当社の原子力に対する基本姿勢の問題でございまして、科技庁、通産御当局からも厳しい御指摘を受け、私どもも全社を挙げてこれを反省し、姿勢を正して、あらゆる体制、あらゆる職制を見直して総点検をいたしました。今後再びこのようなことの起こらないようなシステムをつくりまして、これから二度とこのような不祥事を起こさない覚悟でございます。
  122. 貝沼次郎

    貝沼委員 再処理をも含めたコストの問題につきましては、午前中にるるお話がありましたので、ここでは私は申し上げませんが、ああいう意味質問が用意されてあったということは記憶しておいていただきたいと思います。  それから原子炉の解体、廃炉の問題もお話がございました。原子炉解体の問題は私も委員会で一度質問したことがあるのですが、まだ検討している段階であるということですので、これまた質問しても仕方のないことだと思います。しかしながら、現在、非鉄金属とかああいう鉱山が閉山になりまして、その後の維持管理というのは、実際閉山になっておってもそれを管理していかなければならないということを考えたときに、それ以上にこの原子炉の方はむずかしい問題が起こってくるのではないか。したがって、原子炉そのものをつぶしてそこにつくるのか、そのまま残していくのか。残して、新しいところ新しいところと炉をつくっていくとすれば、日本の海岸は原子炉で埋まってしまうのではないかという心配もあるわけでありまして、その辺の大きな方針は早目に立てられて公開なさった方が、安心する上で大事なのではないかと思っておるわけであります。  いずれにいたしましても、今回の基本法の改正の問題にいたしましても「むつ」問題がきっかけになりました。したがって、その「むつ」の問題によってよくなった点もあるし、反対に非常にむずかしくなった点も多いわけでございます。したがって、今後もしも再処理の問題や原子力発電、実用炉という名のもとに通産省の方に行っておるわけでありますが、これらにおいて問題が起こってまいりますと、ただ単にそれはある電力会社のみの問題ではない。むしろそれは日本原子力全体の問題であって、一社だけの問題ではない。そういう意味では連帯責任となるだろうと私は思っております。したがって、そういう覚悟で携わっていただきたい、こういう意見を述べて私の質問を終わりたいと思います。
  123. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、瀬崎博義君。
  124. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほども参考人のお一人が、資源のないわが国としては原子力利用は有効な手段である、こういうふうに言われておるわけですね。これは一応代表して東電の平岩社長に伺いたいのでありますが、その限りにおいては、つまり資源海外依存という点では石油もウランも大差ないと私は思うし、むしろウランはまるまる一〇〇%わが国としては海外依存にならざるを得ないわけでしょう。しかも、実際の資源の埋蔵量とか今後それを利用できる期間等から見て、格別ウランが石油よりも寿命が長いとも言われていないわけですね。それにもかかわらず石油依存は非常に危険で、ウランなら安心だ、こういう根拠はどうしても私たちには納得のできない問題の一つなのです。この点で電力会社が今日原子力に大きく頼ろうとしておる根拠が特別にあるというのなら、それをひとつ説明していただきたいと思うのです。
  125. 平岩外四

    平岩参考人 石油依存が困難であるということよりも、とにかく、いずれにいたしましても現在日本にあるエネルギーというのは水力と石炭の一部で、それ以外のものは全部海外から資源を持ってこなければならない。そして、これはいま大体見通されている通説でございますけれども、一九八五年かあるいは九〇年ぐらいを境にして石油の人手がいろいろな意味で非常に困難になる時期が来るだろう、こういう前提に立った場合に、エネルギー多様化、多角化ということはやはり必然のことになると思います。そうした場合に、ウランも有限ではないかとおっしゃいますけれども、そのとおりだと思います。ウランを再処理してそれを再度使うという方法を考えた場合に、それが資源のない国の最も有効なエネルギーの使い方であるという一つの大きな根拠があるのではないかと考えておるわけでございます。
  126. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、石油資源確保が困難になるであろうという説明はありましたけれども、それに比べてウラン資源確保は特別容易なのだという説明はなかったと私は思うのです。むしろその点では似たり寄ったりだという御説明、したがって、再処理できるかできないかということがウランの将来を決めるようなお話だったと思うのです。その再処理の問題は後に譲るとして、そういう意味では石油同様、わが国ではきわめて貴重なウラン資源ということになるわけですね。そのウラン発電に利用するに当たって、結局わが国でも、当初はやはり自前でやろうということで原子力研究所も設立され、そこでは研究も蓄積されてさた。あるいはまたわが国の第一号の輸入は英国のコールダーホール型であった。それから世界を見渡してもアメリカはともかくとして、そのほかの国では今度電源開発が輸入しようとするCANDU型であるとか、いわゆる重水炉の開発も進んでいるわけですね。非常に原子炉自身も多様なんです。にもかかわらずわが国電力会社は、ここにいらっしゃる電力会社すべてこれは軽水炉で、しかもGE、ウエスチングハウス両社の軽水炉一辺倒でこられたわけですが、それには特別な理由があったわけですか。
  127. 平岩外四

    平岩参考人 現在の原子力政策は五十一年の決定以来軽水炉から一局速増殖炉への路線へ進むということが一応決定を見ておりますので、その立場で現在進んでいるわけでございます。
  128. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし現在この運転中、建設中、それから予定されているもの一つ残らず軽水炉ではないのですか。どなたかこの中で軽水炉以外の炉を準備しているんだ、計画しているんだということがあればお答えいただきたいと思いますが……。
  129. 田中好雄

    田中(好)参考人 四国電力がやっておりますのは、御承知のとおり軽水炉でございます。ただ、九電力といたしまして資金その他の手当てをしながら国の計画に参加をしておることは御承知のとおりでございます。すなわちATRでございますが、これにつきましては国の資金半分、われわれの資金が半分というかっこうで入っておるわけでございます。今後のFBRにつきましてもいま開発努力をしておるところでございます。そういう事情にございます。
  130. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いずれにしても一方では軽水炉が今後原子炉の本命たり得るかどうかはわからないので、新しいそういう原子炉開発はいろいろ参加してとおっしゃるんだけれども、一方では現実の電力会社が直接手がけるものは全部軽水炉だ、こういう矛盾がはっきりしているわけですね。そういう点では本当に日本エネルギー事情、資源確保のむずかしさ、そういうものを考慮して電力会社考えているのかどうか、そろばん本位なのかどうか、私たちは非常に疑問を感ずる点なのであります。しかもこの軽水炉が、それだけですれば天然ウランの〇・七%ほどしか利用できないわけでありますから超浪費型であることは一般に言われているとおりですね。  そういう意味から先ほどの再処理工場ということになるわけでありますが、昭和六十五年ごろに完成させたいという希望が先ほど述べられました。そのためにはいま直ちに建設に着手する必要があるんだ、だから民間に門戸を開く法律を早くつくってほしい、こういうことだったのですね。少なくもいま直ちに建設に着手しなければとおっしゃる以上は、それなりの準備はされていると私は思うのです。でなかったらこういうむずかしい技術に取り組めるわけがないと思うのですね。ところが、世界にはまだ一つとして商業用の再処理工場は運転に入っていない、これも自明のことであります。わが国動燃東海の再処理工場も現在やっとテスト運転に入っている、それもしばしばトラブルを起こしもってであります。本格運転に入れるかどうかというめどは、これは外交上の問題も絡んで定かではない、こういう事態でしょう。われわれは、だからとてもじゃないが民間で、それも実用段階の再処理工場建設しようなどというレベルにはない、このように思っているわけでありますが、しかし、あえていま直ちに建設に着手しなければならないと言われるのですから、一度どの程度技術的準備あるいは基本設計とか詳細設計の準備が進んでいるのか、一体それはどこの機関が担当することにしようとされているのか、こういう点についてどなたからでも結構です。御説明いただきたいのです。
  131. 田中好雄

    田中(好)参考人 お答えいたします。  再処理につきましては御承知のとおり動燃で年間二百十トンの再処理工場がいま運転を開始しておるところでございますが、この技術フランスのサンゴバンの技術が入ってきておりまして、サンゴバンの方におきましては現在商業用のものとしてラアーグの方に八百トンの、これは軽水炉の燃料を処理する工場を、もう建設を終わりまして、昨年の五月からホット運転を開始している、こういう状況にございます。  したがいまして、やや申しにくいのでございますが、東海の再処理工場とラアーグの工場とは相前後して運転に入っている、こういう状況にあるわけでございます。御指摘のようにこれがすぐ商業用であるかどうかということは問題でございましょうけれども、引き続いてイギリスのウィンズケールにおきましては、この間われわれの契約をいたしました再処理の契約に基づきまして、これは千トンの商業用のものをいま建設を開始するところにたどりついているわけでございます。  こういう次第でございますので、われわれの方におきましても濃縮・再処理準備会というのが四年ばかり前にできまして、そこに各社の担当者が集合いたしまして、そしてそこで四年間にわたりましていろいろと再処理の準備、工場のプランを立てていたわけでございます。もっともこれは現在の技術といたしましては、どの国におきましても大体ピューレックス法というのを使ってございますので、これは現在東海村でやっている技術と同様でございますが、これの開発を準備をし、約千五百トン程度工場だったらどのくらいの敷地が要るとか、あるいはどういう配置にしたらいいかとか、そういう勉強はずっと続けてきたわけでございます。したがいまして、技術的な問題についてはこれから立地との関連におきながら順次詳細なものへ入っていける、こういうふうに確信している次第でございます。したがいまして、六十五年というところに限度を置きますと、大体試運転、建設などを考えますと十年くらい、その前に敷地確保に大体二、三年から五年くらいというような感じでスケジュールが組まれている、こういう状況にございます。  なお、天然ウランの再処理工場につきましては、イギリスのウィンズケールでは長い年月運転した経験がございますし、現在も運転しております。また、マルクールにございますフランスの天然ウラン処理工場ももう長い年月動いている次第でございます。
  132. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 確かに軍事用のものとしての経験は外国にはあるでしょう。しかし日本にはもちろんそれはない。同時に先ほど来一般原子力発電所稼働率低下が問題になっていますが、特に日本の初期の軽水炉はほとんど皆これは動かないわけでしょう。そういうことから見て、それよりもさらにはるかに困難なこの再処理技術について、実際まだ技術経験の蓄積もないのにそういう特殊な世界の例を幾つか挙げて、やれるだろう、こういうことは非常に危険なことではないかと私は思うのです。     〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕 たとえば再処理の最終段階では、いやおうなしに使用済み核燃料で一年たった段階でトン当たり四十万キュリー程度の高レベル廃液が出てまいりますね。これなどは事実上永久貯蔵、永久管理をしなければならないわけなんですが、一体この責任とかこの管理はどういう形で行おうとしているのか、その点はどうなんですか。
  133. 田中好雄

    田中(好)参考人 再処理いたしました後に出てくる高レベルのものにつきましては、現在ガラス固化の技術フランス、イギリスで開発中でございます。私も見せていただきましたが、大分進んでおります。マルクールの方の工場につきましては、試運転が開始できる段階にまで来ております。
  134. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は技術的な問題を聞いたのではなくて、どういう技術処理をしようとも、高レベル放射能はそのままなんですから、それを管理する責任体制などはどう考えているのか、こういうことなんです。
  135. 田中好雄

    田中(好)参考人 低レベル、中レベルのものにつきましては、われわれの方で管理の体制をいま、原子力環境センターだと思いますが、そこでやっております。高レベルの方につきましては、政府の方にお願いしよう、こういう考えでございます。
  136. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 政府も来ておりますが、じゃ一体政府はどこでどういう引き継ぎをしながら、また政府自身が責任を持って管理する体制というのはどういうようになるのか、その点はもう見きわめがついているのですか。
  137. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 高放射性廃棄物の保管につきましては、ただいま動燃事業団でそのガラス固化を含めまして、どういう方法で保管すべきかについて研究中でございます。  それで、出てまいります廃棄物は、ある程度タンクに入れまして熱を放散した上でガラス固化するということでございますので、相当時間もかかりますので、第二再処理工場のタイミングまでには十分その技術開発ができるであろう。その体制といいますか、技術的な見通しができた上でどのような体制を組むか検討したいと思っております。
  138. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 われわれの子々孫々のことまで考えれば、最も厳重な監視、管理をしなければならない高レベルの放射能については、現在技術的には開発段階なので、その様子を見ないと法制上の整備も含めた体制考えられない、こういうことなんですね。結局、再処理のある部分だけを民間でやろうということなんですから、そういう点では、これまで原子力発電所がやったけれども、再処理はほったらかしであった。よくトイレなしマンションと言われました。そういうふうなことがやや延長されてまた実行される、こういうことに民間処理への移行というのはなりそうなんですね。そういう意味からも、私どもは、これは事を急ぐべきではない、こういう考えを強く持っているわけであります。  同時に、ここで少し具体的にお聞きしたいのですが、これは関電さんですが、トラブルだらけの美浜の一号機というのは、結局もとどおりの定格運転に戻れるのですか。それとも今後もう事実上役に立たない、オシャカになっていくわけですか、どうなんですか。
  139. 小林庄一郎

    小林参考人 オシャカになっておりません。ただいま政府の厳重なチェックをちょうだいいたしておりますところで、何らかの御指針が出ますれば、それに従いまして、サイクリング運転という、洗浄から始まるわけでございますけれども、そういうところから徐々に立ち上がらせていただきたいと思っております。すべて現在政府の安全委員会でチェックをしていただいております。
  140. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、電力会社が自分で勝手に輸入しておきながら、手に負えないものが出てきたわけですか。政府としては、これは何か方針を持っているのですか。
  141. 服部典徳

    ○服部政府委員 関西電力の美浜一号炉につきましては、昨年六月から折損した燃料棒片の未確認のものについて確認をするということで、随時当省も立入調査をいたしましてその確認を行っておるわけでございまして、その確認と、それから改修作業の結果、これの評価を原子力発電技術顧問会の意見を聞きましてさらに検討をする、その結果を待ちまして原子力委員会にも意見を求めて最終的な判断をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  142. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これはかつて、四十九年のことなんです。当時の森山科学技術庁長官がこういう発言をされておるのですよ。その前に通産の方から、蒸気発生細管の約三分の一近くが使えないような状態では、とうてい定格運転はできないだろう、こういう発言があった。これに対して森山長官が、その悪いところを全部かえちゃえばもとどおりになるじゃないか、こういう話なんですね。つまり傷んだ発生細管のすべてをもとに復すとかあるいは蒸気発生器そのものを全部新しいものにかえる、こういうことは現状で可能なことなんですか。
  143. 小林庄一郎

    小林参考人 ただいまのところは、漏れのございました細管にプラグをいたしまして、それによりまして、残りました生きておる細管で運転を開始しても支障がないと考えまして、いま服部公益部長のおっしゃいましたいろいろな評価を受けている最中でございます。
  144. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、われわれが事実に即して指摘したことに対して、時の科学技術庁長官は、ばかを言え、全部直せばもとどおりになるのだ、こういう発言なんです。結果的にはそうはならないで、二千何百本か傷んだ細管は目詰まりしたままで、定格より少し落として運転しようという、このことの継続にしかならないわけですね。ことさらこういうふうに、政府もぐるという言葉は悪いけれども、一体になって事故を過小評価しようとする、こういう傾向は一貫して強いです。これはある段階でこういう発言を国会でしている以上、そういう政府発言が誤りであったということは、科技庁においてか通産においてか、明確にしてもらいたいと思うのです。いまの答弁からいえばそういうことになるのじゃないかと思うのです。  それからもう一つ。これは関電に伺っておきたいのですが、その近所に大飯原発がありますね。私もこれを見に行っておりますが、百十万キロワット、日本で最大になりますが、高浜の八十万キロワットクラスよりはずっと建屋が小さいです。なぜかと聞けば、何かハイブリッド型アイスコンデンサー方式とかいう新方式なんだということでありまして、ところがこれは、日本では何か関電さんが初めてだそうですね。全くほかには経験がない。アメリカにも、おととしだったと思いますが、当時建設中なんで、まだ実用運転はしていないということなんです。従来型ですらいろいろトラブルがあるときに、工学的な安全性からいえば、できるだけ建屋の大きいものの方がいいと思うけれども、そういう大容量のものを初めてつくるのにできるだけ建屋の小さい方式を選ぶ、こういうことはどうもわれわれには解しかねることなんですが、何かそれにはそれなりの理由があるわけですか。
  145. 小林庄一郎

    小林参考人 まず第一に、建屋が小さいとはいいながら、保守、運転上は支障のない広さは保持しております。  それから第二に、あれだけの容量のものを納める格納容器はやはりおのずから限度がございますので、従来型と同じような大きさでなしに、中にアイスコンデンサーを備えつけることによりまして、容量を小さくした設計でございます。
  146. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 初めての大容量のものをつくるに当たって、全然経験のないものをいきなりやるということの危険性というものについてはお感じになっておりませんか。
  147. 小林庄一郎

    小林参考人 大飯の特徴は、緊急時の場合に作動する氷を用意してあるというところでございまして、炉本体あるいは二次系につきましては格段在来炉と変わったものではございません。したがいまして、不安は持っておりません。
  148. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そこらが私どもは問題だと思うのですよ。よく言われます。緊急冷却装置などの作動が問題になりますね。そういう意味では、緊急時、氷を抱いているから、それが作動して大丈夫なんだと言われるけれども、そういうことの実証がないのに、いきなりそういう大容量のものを持ってくるということについて国民は疑惑を感ずるし、われわれも不安を覚えます。もう少し慎重であってほしいと思うのです。     〔貝沼委員長代理退席、委員長着席〕  時間の関係があるので次に進みますが、今期の電力会社の決算が相次いで発表されているわけであります。東電さんを除きますと、あとの八社全部下期も出ましたね。私が調べたんですから違っているかもしれませんが、東電を除いて五十二年度は実に三千六百三十六億円の経常利益を上げていらっしゃるようであります。東電さんが上期六百九十五億円の利益ですから、これはざっと倍とすれば締めて五千億円。多くの企業が不況で苦しんでいるときに電力会社がこのように大きな利益を上げている。これはだれだって注目するところだと思うのです。その事業の公共性からいって、しかもまた、いままで電力料金を事あるごとに赤字だ、採算がとれないということで上げてきたことを思えば、こういうときにはまずこの利益を消費者に還元すべきではないか。しかもその大きな部分が為替差益でありますから、なおのことではないかと思うのですね。そういう企業の社会的責任を果たすべきではないかという国民の声についてはどうお答えになりますか。代表して東電。
  149. 平岩外四

    平岩参考人 為替差益につきましては国民に還元すべきものだと考えております。そしてその還元の一番いい方法は何かと申しますと、やはり料金を上げたり下げたりしなくて、できるだけ長期にもたせること、そういう努力をしていくことによって還元するのが一番いい方法であろうと考えまして、先般そういう御指示も当局からいただきまして、それによってそういう方針で努力をいたしております。これは非常に努力をしないとできないことだと考えております。
  150. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 こういうよいことは別に何も当局の指示をお待ちにならなくても、電力会社独自で大いに判断して還元を考えればいいと思うのです。私はもう当然下げるべきだと思いますが、いま長期にとおっしゃいましたね。その長期とはどの程度をおっしゃるわけですか。
  151. 平岩外四

    平岩参考人 一社を除きまして今年度と五十四年度、来年度を据え置きにする、そういうことでございます。
  152. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現在の電気料金の算定に当たって原子力発電所稼働率は一体幾らと踏んでいらっしゃるのですか。東電の方でお答えいただきましょうか。
  153. 平岩外四

    平岩参考人 ちょっとこれははっきりいたしませんので後でお答えいたしますけれども、大体六〇と考えております。
  154. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、現行料金六〇%の稼働率だとすれば、けさほど来指摘されております去年の一年間の稼働率四一・八%ですね、この差が出てくるわけなんですが、これをもし金額に直した場合はどのぐらいの計算上の損失ということになるわけですか。これは東電と関電にお答えいただきたいと思うのです。
  155. 小林庄一郎

    小林参考人 私ちょっといま織り込みの数字を持っておりませんのですけれども、会社には青本計画というのがございまして、五十二年度は一体どれくらい原子力発電所発電するかという計画がございます。五十二年度の稼働率は大体四八・八と計画いたしておりましたのが、これに比べまして四三・一だったと思いますが、その程度に終わりました。したがいまして、油といま炉の中へ入っております炉心の燃料の費用との差を仮に六円といたしますと、約七十二億は燃料費をよけいに食ったという一応の試算ができます。
  156. 岡本富夫

    岡本委員長 瀬崎君、いま計算をしているらしいですから。
  157. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ああ、そうですか。  これは、マスコミの論調の中にも、原子力発電所の事故、故障続きで稼働率低下から生まれてくる計算上の損失が電気料金にはね返って、結局国民にツケを回しているんではないか、こういうような批判が出ておりますね。こういうふうな批判についてもやはり電力会社は答えなくちゃいけないと思うのです。そのためにも、もし今後この稼働率は上がるんだ、けさほどもそうおっしゃっています。だとするならばなおのこと、これで電気料金にしわ寄せをしているんじゃないという証明のためにも、むしろ積極的に、原子力発電所稼働率の悪さはあっても利益は出ているわけですから、こういうときにはこれを電気料金に反映させて国民に還元を図るべきだ。わずかに二年ほど据え置いてそれで事足れりというふうな姿勢では国民は納得しないと思うのですね。考え直されるべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  158. 平岩外四

    平岩参考人 二年間据え置くということは容易なことではないと私考えております。
  159. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そこが国民には納得できないわけですね。たとえばいまの状況考えてみましても、一ドル大体二百二十円台でどうも推移していくような状況でしょう。それから原子力発電所稼働率の悪さは、けさほど来のお話からいけばもう五十二年度が最低で、今後上がっていくんだというお話ですから、この面でも電力会社の負担は軽くなるであろう。それは、その他諸経費の多少の引き上げということはあるでしょうけれども、ことしは賃金要求等にも応じられなかったわけですね。そういうふうな状況を勘案すれば、国民はむしろいまおっしゃっているのとは全く逆の見方をしている。もっともっと長期に値上げを抑えられるはずだ、もし値下げしないなら長期間抑えられるはずだ、もし社会的責任を感じているのならもっと積極的に、政府はどう言おうと、この際電力会社が進んで値下げを申し出るべき時期ではないか、こういうふうに考えていると思うのですね。その点も重ねて検討されるように私は要望したいと思うのですが、いかがですか。
  160. 平岩外四

    平岩参考人 現在の状況から近い将来を推定いたしますと、収入の伸びが大体六%ないし七%程度に対して、支出の増加が大体一〇ないし一二%程度だと予想されますので、収支が急速に悪化してくることになるという見通しでございます。
  161. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この点は私は政府にもちょっと要望しておきたいのですが、いまのように、五十二年度の決算そのものはこの不況下、他社とは全く比較にならない好決算を上げたことは事実ですし、その中でとりわけ為替差益などは非常に大きい数字が出ているわけでしょう。九社全部で千二百億円ですね。東電をとれば三百九十億、関電をとれば二百三十億。こういう点では政府自身も一度よくその電力会社の経理内容、経営内容というものを調べて、国民の納得のいくような利益の還元をそれこそ強力に行政指導をすべきだと思いますので、その点ではひとつ政府決意も聞いておきたいと思うのです。
  162. 服部典徳

    ○服部政府委員 御指摘の為替差益につきまして、私どもの試算によりますと、五十二年度で九電力トータルで九百二十五億の為替差益が生じているというふうに推定をいたしているわけでございますが、この額は大体総括原価、全体のコストが約六兆でございますので、一・六%という比率でございます。  それからこれからの見通しでございますが、私ども閣僚会議にお諮り願って、北海道電力を除きまして八電力会社は少なくとも二年間料金を据え置くという行政指導を決めました際に、五十三年、五十四年の収支計算、これをいろいろとはじいてみたわけでございますが、先ほど平岩参考人からもお答えがございましたように、将来の収支というのはなかなか楽観を許さぬと申しますか、どうしてもコスト増がかなり見込まれるということでございますので、いま申し上げた九百二十五億の為替差益というのはむしろ将来の原価増に備えてこの際積み足しておくのが適当ではないか、かような判断で二年間据え置きという決定をしたわけでございます。
  163. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それから、現在農事用電力などのいわゆる特別の割引制度のある電力について、これも台湾などからの輸入との関係もあって、品質の向上を図るために茶畑がほぼ全面的に防霜ファンをつけてきていますね。こういうものも農事用電力として割引の対象にするようにという要望が非常に強く出ていることは、恐らく中部電力や関西電力の方は御存じだと思うのです。少なくもこういう経理内容のよいときに、こういうことは当然応じられるべきだと思う。  それから、一般に農業用などは季節的に使用する場合と使用しない場合がありますね。現在は季節臨時料金制度はなくなっているそうでありますが、一応準用して、使用しない期間について五〇%の電力基本料金にしているようですが、従来はこれは四〇%だったんですね。こういうようなものについても従来の四〇%に戻すべきではないかと私どもは思うんですね。こういうことの検討ぐらいは当然関係電力会社はしてしかるべきだと思うのです。一応これは関電さんにお答え願いたいと思います。
  164. 小林庄一郎

    小林参考人 農事用電力の範囲につきましては、通産御当局の御指導も受けまして、現在の供給規程の中で正確にやっておるつもりでございます。収支と料金の適用範囲と関連づけることは大変困難かと思っております。それから制度につきましては、電気事業審議会の料金制度部会で、諸権威お集まりいただきまして、格段御討議を継続していただいております。
  165. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これも当然そういう要望が出ていることは政府側も重々承知のことなんだし、そういう審議会の意向に従うということなんですが、そういう点では少なくもこういうことぐらいは国民の要望にこたえるべきだと思うんですね。そういう点の政府の見解を聞いておきたいと思います。
  166. 服部典徳

    ○服部政府委員 電力料金は、御案内のように原価主義と公平の原則というこの二原則の上に成り立っているわけでございます。したがいまして、御指摘のございました農事用電力の取り扱いにつきましても、その原価主義あるいは公平の原則の枠の中でどのように検討すべきか、考えるべきかという点について検討いたしてみたい、かように考えているわけでございます。
  167. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その適用範囲の拡大の方向はとっているのですか。とるべきだと私は思うので、その点を聞いているわけなんです。だからその点はっきりしてください。
  168. 服部典徳

    ○服部政府委員 ただいまお答えいたしましたように、原価主義と公平の原則の枠の中でどういうふうに取り扱うべきかという、現在取り扱われている農事用電力とのバランスの問題も当然あろうかと思いますが、その点を含めて検討いたしたい、かように考えるわけでございます。
  169. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それから、先ほど関電の小林社長の御発言の中にも、稼働率の低い原因として、欧米より長い慎重な検査とか改善のための分析等をやっているからだ式のお話があったと思うんですね。また新聞等の御発言を見ても、稼働率の低いのは政府の検査体制にも問題があるのだ、こういうふうなお話のような趣旨が出ておりますね。本心を言えば、もっと簡単な検査でもいいんではないか、こういうことかと受け取れるのですが、その点はどうなんですか。
  170. 小林庄一郎

    小林参考人 本心を言えば、もっと詳しく、しかし早く調べていただきたいと思います。
  171. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、簡単にやれということではないようですから、その点は政府側もひとつきちっとやってもらいたいと思うんですね。とにもかくにも安全審査の実権が通産に移ったことに伴って、片一方はそういうふうにできるだけ早くやってほしいと言う。片一方はとかく電力会社と癒着のうわさの強い通産省ですから、それにこたえて簡単な検査あるいは調査で済ますんじゃないか、そういう心配があるわけですから、そういう点をひとつ厳格にやってもらいたい。  最後に、二点だけ伺って終わりたいと思うのです。  一つは、きょういらっしゃっているのは電力会社のトップの方々であると同時に、原子力産業界のトップと申し上げてもよい方々だし、またそれぞれの財界をも代表する方であります。いろいろな分野に対して発言もしていらっしゃるし、発言権もある方です。同時にまた、電力会社が現在使っていらっしゃる、あるいは建設していらっしゃる原子炉には、三菱原子力工業とかあるいは三菱重工が建設したものもありますね。そういう点からは原子力船「むつ」の問題についてはそれなりに関心はお持ちだと思うのです。もし無関心だと言われるなら、それこそ無責任だと思うんですね。今日、「むつ」が放射線漏れ事故を起こして以来長期間難航してきて、いままた長崎で大変もめているわけですね。核抜きでなら修理をしてあげましょうと長崎の知事が言われたけれども、核を抜く場所がないというふうな現状から、今度は核封印だというようなこと、それに対して熊谷科技庁長官は核封印は核つきと一緒だ、こういう発言をされる。長崎に行けば、いやこれは核抜きに近いんだとか、いやこれは文学的表現だとか、こういうことが言われる。本来厳密な科学の世界であるべき原子力の問題が、きわめて政治的に取り扱われている現状をわれわれは憂えているわけです。こういう点について、これは一番近くにいらっしゃる九州電力が当然関心を持たれていると思うので、お答えをいただきたい。これが一点。  それからもう一つは、原子力利用ということは、私どもはいま直ちに現在の社会体制、資本主義の体制をどうのこうのということで話をするんじゃないのです。現体制のもとにおいてでも、放射能に基づくいろいろな人類への障害等々は一代限りのものではない。われわれの子々孫々に及ぶものであると同時に、その影響がどうあらわれるかということについてはまだ解明されていない部分がなかなか多い問題だ、こういうことが一つ。それから特に再処理工場などの高レベルの廃液などは永久管理を必要とするものである。さらにそういう意味では、使い終わった原子炉等も、電力会社が引き揚げるときに持って帰るものならいいけれども、いやおうなしにそれは現地に残さなければならない。人の近寄れない原子炉の墓場が次々できるというわけですね。そのほか、今後使用すればするほど放射能の汚染は蓄積されるし、また修理その他の困難な場所も生まれてくる。そういう点では従業員、作業員の被曝もいやおうなしにふえざるを得ないということは当然予想されます。そういういろいろなことを総合いたしますと、一企業の営利対象としてこの原子力発電所考えてよいものかどうかという疑問をわれわれは根本的に持っているんです。やはりそのような営利企業の枠を超えた、いわゆる国家的な責任のもとにこの原子力発電所などは当然運営されるべきでないかというふうな考えをわれわれは持ちます。こういう点についての見解を平岩社長に代表してお答えいただいて、私は終わりたいと思います。
  172. 永倉三郎

    永倉参考人 「むつ」のことにつきましては、前々からわれわれは非常に関心を持っているところでございます。これは非常に困った問題だというふうに感じております。ただ、いま佐世保に「むつ」を持ってきて修理をやるというときにおまえはどう考えるかということにつきましては、一つは佐世保重工というのが経営的に非常に困っているという時期、それからまた長崎県の議会でいま相当いろいろ論議されております時期でございますので、九州の電力会社社長がこう言うたということははなはだはばかることでございますので、非常に関心を持っているということで御容赦をお願いしたいと思います。
  173. 平岩外四

    平岩参考人 放射線の人体に対する影響につきましてはいろいろ言われております。それから、従業員の放射線被曝線量を低減することについてもわれわれは懸命な努力をいたしておるわけでございますが、低い線量の人体への影響については必ずしも現在解明されていないと存じます。現在、国際放射線防護委員会でどんな影響があるかということを検討されておると思いますけれども、許容線量がどの程度でいいかというのは現在の許容量で規定をされております。したがいまして、原子炉利用に当たっては許容線量を超えることがないように、しかもできる限り低く保つように努力をすることがとにかく必要なことだろうと考えております。
  174. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、中馬弘毅君。
  175. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 大分時間も経過し、問題もほぼ出尽くしたと思いますので、私は基本的な点三点ばかりをお伺いして終わりたいと思います。  まず第一点は、さきに総合エネルギー調査会の長期エネルギー需給暫定見通しが去年の六月出されたわけですが、その中でも前の四千九百万キロワットから三千三百万キロワットに落としております。しかし現状で見てみますと、この原子力に限らずほとんどの諸元、数字だけでございまして、具体的な絵がかけていない。原子力にしましても、現在は着工中あるいは電調審の認可のものも含めましてまだ二千万キロワット強でございます。そういったことからして、この三千三百万キロワット実現の可能性がどうなのか。この点について、まずは平岩さんの方からお答え願いたいと思います。
  176. 平岩外四

    平岩参考人 六十年、三千三百万キロワットの達成につきましては促進ケースとして出されている数字でございまして、われわれ最大限の努力をいたして達成できる、そういう数字であろうと思います。したがって、われわれはそれに向かって最大限の努力を尽くしていこう、こう考えております。
  177. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 最大限の努力をしていかれる上に当たっての一つの問題点といいますか、これは資金的な問題あるいは安全技術の問題、それから立地の問題等がございます。また、そういったような阻害要因から達成できない場合には、ほかの火力とか何かで十分そのことが補完できるのかどうか、その点についてのお答えもお願いいたします。
  178. 平岩外四

    平岩参考人 これは一つの長期計画に基づくものでございますので、年次展開していく場合には絶えず現実と合わせていくことが必要だと思いますが、現在立てられている目標値は促進ケースとして六十年、三千三百万キロワット、これはわれわれが現在目標としている数字でございます。
  179. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 特に目標とし努力されていることはわかるのですが、現実問題としてなかなかいかないのではないかという危惧があるわけです。  そこで、一番大きな問題は立地の問題、しかも地域住民の理解がなかなか得られないといったことかと思います。さきに伊方原子力発電所での裁判事件もございますが、これは勝訴したということではなくて、もう少し根本には、訴訟に持ち込まれたということ自体が住民の理解を得られなかった点ではないかと思うのです。そういうことも含めまして、あるいは中部電力の芦浜の問題もございます。地域住民に対する対応の仕方、これを今後どう具体的に展開されていくおつもりかといったことを、両田中参考人お答え願いたいと思います。
  180. 田中好雄

    田中(好)参考人 ただいま御指摘のありましたように、伊方につきましては裁判ざたにまでなったわけでございますが、われわれといたしましては、原子力発電所の設置に当たりましては地元皆様理解と御協力を得ることが基本でございますので、この大前提に対しまして私らの考え方、実情を地元皆様によく知っていただくように、平素からお話を申し上げてきたわけでございます。四十七年の五月に電調審を通りましたが、その四年ぐらい前からずいぶんと努力をしてきたものでございます。地元の市町村や県の方におきましても誘致決議をしていただきましたし、周辺の市町村におきましても誘致期成会を発足するなどしていただきました。しかしながら多少PRの不行き届きもありまして、一部の方につきましては発電所に関する根本的な考え方もありまして、最後まで御理解が得られなかったということはまことに遺憾でございます。今後ともこういう点につきましては、地元の人たちとじみちな対話を通じて努力をしていきたいと思います。最近PR館もできたことでございますので、なお一層この辺の努力を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
  181. 田中精一

    田中(精)参考人 芦浜事件の反省のことにつきましては何遍も申し上げておりますけれども、刑事事件を問われることになりまして、各方面に大変御迷惑、御心配をおかけいたしましたことを、まことに申しわけなく思っております。この席におきまして厚くおわび申し上げます。  今後の取り組み方ということでございますけれども電源立地を進めていくという基本方針には変わりはございませんが、今後は地域の方々とのコミュニケーションだとか安全に関する御理解、御納得ということと、地元との共存共栄ということを目指しまして一緒になって推進していきたいと思っております。  それで芦浜の関係につきましては、それぞれ社内的にも処分を行いまして、四月一日から、各方面から寄せられました御忠告と御批判をもとにいたしまして、反省すべきところは十分反省いたしましてえりを正して見直すということにいたしまして、新しい職制に基づきまして現在その業務を遂行しております。それで立地の業務はこの新しい組織によりまして本店の直轄といたしまして、関係方面別に担当の役員を当該地区に配置いたしまして、現在現地に居住しております。そして新しい決意を持って臨んでおる次第でございますが、同時に各方面の会合というものに溶け込みまして、業務に邁進をしていきたい、全く御指摘のとおりでございます。  私の方は数年来「こんにちは運動」と申しまして、春と秋にいろいろそういう現地の方々とのコミュニケーションをつくりますために運動を展開しておりまして、役員、社員それぞれ現地へ出向きまして、いろいろとPR、説明をいたしてやっておるわけでございます。  それでこの基本姿勢でございますけれども、何と申しましても立地に関しましては、その当該市町村のみならずその周辺の地域の住民の皆様方の十分円満なる了解を得ること、それから安全と環境との確保、そして地元方々との共存共栄、そして立地を進めるに当たりまして、いやしくも今後は疑惑を招かないようにということを民主的に進めようということで、現在そういう立地基本姿勢をもってやっております。どうかひとつ今後ともにそういう点で御支援をいただきたい、こう思っております。
  182. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 いまもおっしゃいましたように、これは先ほど小林参考人も対話と粘り強い努力だというお話でございましたが、この対話というのは、ただ反対同盟の委員長と担当部長なり社長が話すのが対話ではないと思っております。これは地域の住民にそれぞれの電力会社の社員が一致してそのことの理解を求めるという、人と人とのつながりからできてくるのじゃないかという気がするのです。ですからお祭りに対する寄付というようなお話もございましたが、お祭りに対する寄付じゃなくて、みこしを地域住民の人たちと一緒に担ぐことによって初めて理解されるのじゃないかと思うのです。役所の人間が役所の窓口だけで公僕であって地域に帰ったら公僕でないということでは信頼が得られないのと同様に、電力会社は非常にすぐれた地域的な企業でございますから、社員はそういう心構えがぜひ必要だという気がいたします。その点について関西電力さんあたりは相当御苦労なさって、何か美浜の方ではそのような体制みたいなものもできておると聞いておりますが、何か御参考になることでもありましたらぜひお聞かせ願いたいと思います。
  183. 小林庄一郎

    小林参考人 仰せのとおりでございまして、立地を進めてまいります際に、やはり本店もしくは支店から現場にそのときだけ参りますことではその地元の住民の方々の御理解なり御同意を得ることはまことに困難でございまして、その地に住み込みまして、ある場合にはその区の区長となりあるいは世話役となり、本当にその地の人となったところでようやく住民の方々の御理解が深められ、そこに誘致運動などが起こったという例も見受けられております。個々に申し上げることは、実際いま進めておりますものが支障を受けてはまた困りますので申し上げることはできませんけれども、その地点にもぐり込んで根気強く立地業務を進めよということを特に命じております。
  184. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 次に、少し技術的な問題になろうかと思いますが、日本原子力発電も含めました体制というものが西ドイツやフランスとほぼ同じ時期に出発したにもかかわらず、西ドイツやフランスでは技術的に海外に輸出するほどまでになっておる。しかし、日本の場合にはかなりアメリカ依存型といいますか海外依存型でございまして、確かにその方がいままでは効率がよかったのかもしれない。しかし今後のことにおいて、これだけ国際的にエネルギーを戦略的に使われるような時期におきまして今後これでいいのかどうかという一つの声も上がっております。今後電力業界ことて、やはり従来どおり外国で開発されたものをそのまま輸入した方が効果的でいいじゃないかというお考えなのか、いや、政府がそういう基礎的なことをやってくれるならばわれわれはそれに従っていくというお姿勢なのか、それとも、あるいは自分たちで金を出してでも将来のことを考えてやっていくということであるのか、このあたりの基本的なことでございますが、電事連の会長であります平岩参考人にでもお答え願いたいと思います。
  185. 平岩外四

    平岩参考人 私よりも、技術的に専門の中国電力さんからお願いいたします。
  186. 丸山賢三郎

    丸山参考人 日本原子力発電はどうも欧米に比べて自主技術という点でおくれているのじゃなかろうかといったような趣旨の御質問かと存じますが、わが国原子力開発は西独とほぼ同じ開発の過程をとってきておるように考えます。したがいまして、当初は技術導入の形をとってまいりましたが、今日ではわが国原子力発電所の国産化率というものはもう九〇%以上、一〇〇%に近くなるといったようなことでございまして、それに軽水炉改良、それから標準化といったものも確立されつつございまして、現状においては技術レベルには大きな差はなくなってきているというふうに考えております。  また、いまのは原子力発電所の話でございますが、核燃料サイクルについて見ますと、再処理につきましては、フランスではすでに実用規模のものが運転をいたしております。西独でも小規模の施設が運転をしております。わが国よりもちょっと先行をしておるというふうに感じますが、わが国におきましても東海村の工場が運転を開始しておりますので、その差はだんだん縮まってきたと思ってよろしいかと存じます。  また濃縮の部門でございますが、フランス、西ドイツには若干のおくれをとっておりましたが、わが国でも自主技術開発の結果パイロットプラントが岡山県の方に建設を始めておるところでございまして、この差もだんだん縮まってきておるようなことかと存じております。  その次は、高速増殖炉について申し上げますと、わが国でも実験炉の「常陽」が運転をしておりますが、すでに大型の実証炉に相当するものを開発するところまで進んでおるフランスには一歩譲らなければならぬと考えますが、今後わが国でもこの開発を積極的に進めることとしておりますので、電力事業者といたしましても応分の協力をしてまいりたい、こう考えております。  以上でございます。
  187. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 重ねてお伺いしますが、増殖炉FBRについてはある程度協力的だが、ATRには余り協力的でないとかいったようなことも漏れ聞いております。電力民間とはいえ、先ほど申しましたようにすぐれた独占的な公共事業です。したがいまして、民間といいますと将来の問題にはどうしても採算上あるいは世論の一部の反対といったことから消極的になりがちだということはよくわかります。それであるならば、電力業界としても国の方にもう少し対策を求める必要があるのではないか。たとえば今度進めます第二再処理工場にしましても、これの土地の取得あるいは対策といったことが電力業界だけで果たしてできるのかどうか。土地の造成とかあるいは先行取得といったようなことは、日本の今後のエネルギー政策上あらかじめ用意しておくといったようなことを国がやっておれば、もう少しスムーズに日本エネルギー政策も進め得るのではないかという気もいたすわけです。そういうことから、電力業界として、こういった技術的な将来のことに対して、あるいは政府に対して要望なり何なりありましたら、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  188. 平岩外四

    平岩参考人 ただいまの中馬先生の御質問は、ATR、FBRについて電力は余り協力的でないという前提のお話がございましたけれども、それは絶対にそういうことはございませんで、第二再処理工場建設についてどういう考え方でおるか、決意でおるかという御意向だと伺ってよろしゅうございましょうか。  私どもは、昨年原子力委員会核燃料サイクル問題懇談会、それから通産省の総合エネルギー調査原子力部会でそれぞれ第二再処理工場民間で行うという答申がされておるわけでございますが、この答申は、わが国産業全体の問題として取り上げるべきであって、電力だけでなくて、電機メーカー、エンジニアリングを初め、金属鉱業とか化学関係業界総力を結集してその企業化全力を挙げるべきだと考えております。私どもといたしましては、動燃東海処理施設で得られました経験とか技術を最大限に活用させていただきまして、これを民間企業化することは十分可能だと考えておりますし、また、これをわが国原子力開発の推進上から早期に実施しなければならないと考えております。  再処理施設建設には多額の資金と長年月を要するほか、特に安全確保の問題等、国の御指導、御援助を仰ぐ点も数多くございますので、何とぞよろしくお力添えをいただきたい、こう考えております。
  189. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 時間も参りましたので、それでは、国民の命運を左右する一つの公共的な企業だということで、ただ国の方針に従うというだけではなくて、一つの自覚を持って、提言するところは提言し、要求するところは要求して、御努力願いたいと思います。
  190. 岡本富夫

    岡本委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり当委員会調査に御協力を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、明六月一日木曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十五分散会