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1977-04-07 第80回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月七日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 大西 正男君 理事 木村武千代君    理事 高村 坂彦君 理事 中村 弘海君    理事 佐藤 敬治君 理事 小川新一郎君    理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       谷  洋一君    中村喜四郎君       中村  直君    堀之内久男君       与謝野 馨君    加藤 万吉君       新村 勝雄君    山田 芳治君       権藤 恒夫君    斎藤  実君       和田 一郎君    三谷 秀治君       川合  武君  出席国務大臣         自 治 大 臣 小川 平二君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局審査部長 野上 正人君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君         自治政務次官  中山 利生君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      塩田  章君         自治省行政局長 山本  悟君         自治省財政局長 首藤  堯君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         議     員 山田 芳治君         議     員 小川新一郎君         大蔵省主計局主         計企画官    新藤 恒男君         大蔵省主計局主         計官      矢崎 新二君         大蔵省理財局地         方資金課長   鈴木 達郎君         文部省初等中等         教育局幼稚園教         育課長     鈴木 博司君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       倉地 克次君         厚生省社会局老         人福祉課長   坂本 佶三君         資源エネルギー         庁石油部精製課         長       山中 正美君         建設省計画局建         設労務資材調査         室長      浪岡 洋一君         自治大臣官房審         議官      大橋茂二郎君         自治省財政局交         付税課長    今井  実君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     小沢 辰男君   井上  裕君     古屋  亨君   石川 要三君     安倍晋太郎君   堀之内久男君     林  義郎君   与謝野 馨君     前田治一郎君   川合  武君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   安倍晋太郎君     石川 要三君   小沢 辰男君     相沢 英之君   林  義郎君     堀之内久男君   古屋  亨君     井上  裕君   前田治一郎君     与謝野 馨君   山口 敏夫君     川合  武君 同日七日  辞任         補欠選任   川合  武君     刀祢館正也君 同日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     川合  武君     ————————————— 四月六日  人口急増地域対策等特別措置法案小川新一郎  君外一名提出衆法第二二号)  地方公営交通事業特別措置法案細谷治嘉君外  六名提出衆法第二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 四月七日  行政書士法の一部改正に関する請願愛野興一  郎君紹介)(第一号)  同(木村武千代紹介)(第六七五号)  同(松野幸泰紹介)(第六七八号)  同(萩原幸雄紹介)(第八八四号)  同(増岡博之紹介)(第八八五号)  同(中井洽紹介)(第一〇一三号)  同(増岡博之紹介)(第一二三二号) は委員会の許可を得て取り下げられた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三四号)  地方公営交通事業特別措置法案細谷治嘉君外  六名提出衆法第二三号)  人口急増地域対策等特別措置法案小川新一郎  君外一名提出衆法第二二号)  行政書士法の一部改正に関する請願愛野興一  郎君紹介)(第一号)、同(木村武千代君紹  介)(第六七五号)、同(松野幸泰紹介)(  第六七八号)、同(萩原幸雄紹介)(第八八  四号)、同(増岡博之紹介)(第八八五号)、  同(中井洽紹介)(第一〇一三号)及び同(  増岡博之紹介)(第一二三二号)の取り下げ  の件      ————◇—————
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  この際、請願取り下げの件についてお諮りいたします。  本委員会に付託になっております請願中、行政書士法の一部改正に関する請願第一号、同六七五号、同六七八号、同八八四号、同八八五号、同一〇一三号及び同一二三二号につきまして、紹介議員であります愛野興一郎君、木村武千代君、松野幸泰君、萩原幸雄君、増岡博之君及び中井洽君から、それぞれ取り下げ願提出されております。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 地崎宇三郎

    地崎委員長 内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、参考人の人選、出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 地崎宇三郎

    地崎委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。山田芳治君。
  8. 山田芳治

    山田(芳)委員 地方行政委員会の最も大事な法案である地方交付税法の一部を改正する法律案審議が当委員会において本日から始まるわけでありますが、一番最初質問を承ったわけでございます。  すでに予算委員会あるいは当委員会を含めまして、地方交付税法の今回の昭和五十二年度措置というのは、地方交付税法の第六条の三第二項の規定に違反しているかどうかという問題について累次話があり、小川国務大臣からも答弁をされているところでありますけれども、地方交付税法最初質問でありますから、この点について若干触れておきたいと思うのであります。  地方交付税法の第六条の三第二項におきましては、著しく不足をする場合においては、これはおおむね一〇%程度と言われているわけですけれども、「引き続き」という趣旨もおおむね二年ないし三年ということで、すでに当委員会を含めて国会におきましてそれぞれ自治大臣答弁をされているわけであります。そこで、今回は交付税率を上げなかったけれども、地方財政もしくは地方行政に係る制度改正を行っているのであるという答弁がなされているわけであります。その内容とするところは、昭和五十二年度措置として四千二百二十五億を将来特例交付金という形で国の一般会計から交付税会計へ繰り入れるということが法律に書かれたから、これは制度改正であるというふうに答弁をされているところでありますが、そう承ってよろしいですか。
  9. 小川平二

    小川国務大臣 この点に関しましてはお言葉にありますようにすでに何回か私の考えをお耳に入れておるわけでございますが、ただいまの制度改正の点について繰り返して申しますれば、法律は単純に「制度改正」と規定をいたしておるわけで、格別限定的な字句を上にかぶせておるわけでございませんから、必ずしもこれは恒久的な制度たることを必要としない、こう理解をしておるわけでございます。こういう経済の変動期財政見通しも的確につけにくい時期において、さしあたって当該年度対策として交付税を大幅に増額するという特別の措置をとることもまた制度と言い得る、どういう制度をとるかということについては法律は相当広い選択の余地を残しておるもの、このように理解をいたしておるわけでございます。また、お言葉にございましたように、この償還の始まりまする五十五年度以降八年間にわたってその都度臨時特例交付金を繰り入れる、これをあらかじめ法律で明定するわけでございますから、これは一つの制度であると理解して差し支えない、このように考えておるわけでございます。
  10. 山田芳治

    山田(芳)委員 法律で書いたから制度改正である。もし単年度予算主義に立って毎年度、すなわち五十五年から八年間、六十二年までというのを、たとえば大蔵省自治省で覚書を交換してその都度予算措置をしているというような形でこの措置がされた場合は、制度改正と言わないのですか言うのですか。
  11. 小川平二

    小川国務大臣 法律に書いたから書かないからということでは必ずしもございません。ただいま六条の三の二項が問題になっておるわけで、これは制度改正要求しておるわけでございまするから、法律要求にこたえて制度改正をしたというわけでございまして、格別法律に書いたから書かないからということを強調するつもりはございません。内容がこれは制度改正というものである、こう理解しておるわけでございます。
  12. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、法律によろうとよるまいと制度改正だとおっしゃるのならば、こういう特例交付金措置というのは何も今回に限ったことではございません。五十年においても五十一年においてもそれぞれ特例交付金というのは当該年度予算措置の中で交付税においては利子補給その他を含めて措置がなされている。特例交付金というものが予算に計上され交付税会計に入っている。そうするとそれはやはり制度改正と言うのか。もしそうでないとおっしゃるならば、どこが制度改正であって、どこが制度改正でないか、説得力のある説明をひとつお願いをしたいと思います。
  13. 小川平二

    小川国務大臣 実質的に制度改正をしたことは従来も何度かあると存じます。ただ、今回はかような状況下で、今日の事態はまさしくこの六条三の二項に該当する事態でございまするが、制度改正をすべしということを法律要求しておるわけでございますから、今回の措置制度改正である、こういうことを申しておるわけでございます。いままで制度改正というものが特に問題になりませんでしたのは、六条の三の二項が問題になっておらなかったからである、こう理解をいたしております。
  14. 山田芳治

    山田(芳)委員 六条の三の二というものの、交付税率を上げたときなら確かに胸を張ってやりましたと言うけれども、それ以外の制度改正だというのであるとするならば、いまのお話だと二年間か三年間とにかく財政が苦しくなって特例交付金一定のものを入れたならば、この額の多少も問題ではないようでありますから、それは制度改正で毎年やっていることだ、そういうことであれば六条の三の二の制度改正、引き続いて交付税総額不足をする、そういう事態というものに対して制度改正というのはまるきり空文になるのではないかというふうに思います。これは第六条の三をわざわざ改正をして新設をしているというゆえんのものは、少なくとも両三年にわたって交付税総額が著しく不足をしているというときには交付税率が上げられないならば、通常の形としてはたとえば機関委任事務を廃止することによって地方財政負担というものを軽減したというようなことをこの法律は少なくとも予定をしているのであって、特例交付金を若干入れていれば、毎年それをやっているけれどもたまたま三年になったから制度改正というものによるのだというような言い方にするならば、まさにそれは六条の三の制度改正という意味をまるきり空文に等しくしている。また逆に言うならば、交付税率を上げるという事態はほとんどあり得ないというような読み方にこの六条の三という規定が読めるわけです。そういう意味では六条の三というものを置いた趣旨が没却をされるというふうに思うのですがどうですか。
  15. 小川平二

    小川国務大臣 法律要求しなくとも、状況に応じて制度改正ということは実行すべきものでございましょうから、今日までもさような例に乏しくないと考えております。今回は法律要求にこたえて今度もまた制度改正をいたした、そう理解をいたしております。
  16. 山田芳治

    山田(芳)委員 幾ら説明をいただいてもこの点については残念だけれども、私たち法律を読みあるいは常識的にものを判断して、六条の三の規定というのは私がいま申し上げたように、著しく交付税総額不足するならば、交付税率を上げるなりあるいは地方団体に対する機関委任事務を全部廃止するなどして、財収負担を軽減するということを意味するのであって、いま大臣の言われたように、恒久的な措置というような形容詞がついていないから何らかの措置をすればそれはすべて制度改正であるというのは、私は普通の法律読み方として無理だというふうに思います。政府としてこれを提案された以上おかしいと思いますという答弁はできないと思いますけれども、大臣自身答弁をされておっても私は内心にじくじたるものがあるだろうと思います。これは常識的な考えとしてそうだと思います。だからいまここでこれ以上申しません。私たちとしては法律等に書いたとか書かぬとかは別として、こういう特例交付金を入れたことが制度改正だとおっしゃるのだったら、六条の三というものは本当に何の意味もない規定であるというふうに考えるわけであります。そういう意味ではまさに大臣の苦しい答弁理解をいたしますけれども納得しないということを申し上げて次へ移りたいと思います。  次に、先日昭和五十年度地方団体決算いわゆる財政白書というものがこれでありますが出されました。五十年度は御承知のように非常に厳しい財政の年の初年度であったわけでありますが、途中で税収が入らない、地方財政対策債臨時に発行する等々の措置をいたした年であります。したがって財政規模が非常に縮小しておる年であります。この地方財政白書によりますと、決算は府県、市町村を合わせまして二十五兆ないし二十六兆という数字が出ております。ところがその当時の地方財政計画は二十一兆五千億であります。決算が二十五兆ないし二十六兆、これは歳入歳出で違いますからあえてそう言うわけでありますが、大体二〇%以上の財政規模決算というものとはギャップがある。もっとも財政的に厳しい年でありますから、五十年度決算というものは、財政的には地方財政全体の規模が縮小した年であるにもかかわらず、地方財政計画決算との間はやはり二〇%のギャップがあるわけであります。しばしば当委員会においても質問をされ、また政府側お話がありましたように、この地方財政計画と実際の決算とのギャップというものを何とかして埋めていく努力は累年行われたというふうに聞いておるわけでありますが、とりわけこのギャップの多いものを計算いたしますと何と言っても人件費であります。地方財政計画というのは、政府側が三千三百余の地方団体の翌年度歳入歳出見通しを立てて、地方団体予算編成の指標、目標にするのだとおっしゃるわけでありますが、ある意味においては統制的な意味を持っている、地方団体を規制する意味を持っているという部分のあることを見逃せないと思うのであります。とりわけこの二〇%を超える決算地方財政計画とのギャップ乖離というものの最たるものは何といいましても人件費であるからであります。昭和五十年の決算を見てみますと、人件費決算は九兆四千六百四十七億一千万円になっております。そのときの地方財政計画は七兆四千八百十三億になっておるのであります。その間におけるギャップは約二兆円であります。要するに昭和五十年の段階において、地方財政計画現実に支出されたところの人件費との間は二六・五%、二割六分五厘もはみ出して、しかもそれは二兆円に及んでいるというのが、全体として四億ないし五億のギャップのあるうちの約半分近いものが人件費ギャップがある、こういうかっこうになっている。  では、具体的に何によってあるのかというと、もちろん自治省の言われるラスパイレスが八%程度高いのだということが書かれておりますが、それにも増して問題なのは人員算定だと思うのです。昭和五十年の決算を見ますと、地方公務員の総数は警察官も学校の先生も入れて大体二百六十万人だという数字が出ております。ところが地方財政計画上において算定をされた数字というのは二百二十万人程度である。すなわち四十万人もギャップがあるということが資料によって示されているわけであります。幾ら何でも地方公務員の数というものについて実態計画上において四十万人も差があるというような実態というものは、果たして地方財政計画意味をどういうふうに考えたらよいのかという疑問を感ぜざるを得ないのであります。二百六十万人と二百二十万人であります。四十万人もギャップがあるということが果たして地方財政計画意味するもの、あるいは地方財政計画地方の指針として示される以上、もう少し実態に合いながら一定目標をたとえ統制的に示されるにしても、こうギャップがあるということでは、私は地方財政計画それ自身権威を失わしめるのではないか、このように思うのでありますが、この四十万人も人員算定ギャップがあるという点について、大臣はいかにお考えになりますか。
  17. 首藤堯

    首藤政府委員 計画算入における人員の差でございますが、五十一年度地方財政計画給与費に計上してあります人員は約二百三十万人、実態先生指摘のように約二百六十万、二百五十九万六千人ほどで、差が二十九万余りございます。ただ、このほかに先生承知のように、給与費以外のところに計上されておる職員、単金職員でありますとか事業費支弁職員臨時職員、こういうものが約二十万七千人ほどでございますので、ネットの差は八万三千人、これがネットの差になっておると思います。この人員の差は御指摘のようにできるだけ詰める必要がございますので、いままでも、昭和四十八年には、五年に一遍ずつやります例の指定統計、これに基づきまして分析をし、十三万八千人ほどの規模是正をやりましたし、去年もまた臨時に七万五千人ほどの規模是正をやったのでありますが、いまだに最終的に残っております数字が、いま申し上げましたように約八万人余り、こういった数字が出てまいっております。この八万人の内容でございますが、できるだけまた精査をして詰めたいと思っておるわけでありますけれども、内容分析をいたしてみますと、義務教育関係地方単独職員でございますとか、それから非義務教育関係のやはり職員でありますとか、それから警察官等単独設置職員でありますとかが若干ありますとともに、いままで地方財政計画上、国の計画に基づいて定員削減をやってまいりました、それが必ずしも完全に実行されていないというものの差が五万人余りあるわけでありまして、こういった実態につきましては、なお今後指定統計あり方等とも関連をいたしまして、細かに分析をしていって、直すべきものは直したい、このように考えております。
  18. 山田芳治

    山田(芳)委員 ここらあたりが、自治省主張財政計画上の定数と実態の差が食い違っております。八万三千人であるという主張と、現実に四十万人というものが入り組んでおるという問題については、いずれ別途他の委員から詰めてもらう話があろうかと思いますけれども、私の申し上げたいのは、少なくともここで人件費として計上をされている中には、このギャップである四十万人が入っている。だから、二兆円もの乖離があるということが、現実として地方財政計画決算との間にあるということですね。だから昭和五十二年のいま審議をしているところの地方財政計画のいわゆる給与関係経費というのは、九兆円の台であります。ほぼこの五十年の決算と見合った数字になっているわけですね。ですからもう昭和五十二年の給与費の、給与関係経費地方財政計画は、すでに五十年の決算ですらその数字になっているという実態であります。だから、そこに私は地方財政計画それ自身権威というものが失われているのではないかということを質問をしているのですが、大臣いかがですか、その点は。
  19. 小川平二

    小川国務大臣 御質疑の前提になっておりまする数字自治省の挙げておりまする数字との間に食い違いが、いま質疑応答の過程を通じてあるわけでございますが、局長答弁いたしましたように、しさい分析をいたしまして、是正すべきは是正をいたしてまいります。
  20. 首藤堯

    首藤政府委員 先生いま御引用いただきました計画上の給与関係経費と実際の決算上の給与関係経費関連でございますが、先生御案内のように、先ほど申し上げた事業費支弁職員そのほかの職員がございますので、このやりくりをいたしますと、精算をいたしますと、先ほど二兆円ほど差があるという御指摘がございましたが、実態的には、五十年度決算計画の差は一兆三千八百億、このぐらいの額になります。そういう入り組みがあるということだけを申し上げておきます。
  21. 山田芳治

    山田(芳)委員 それなら、そういうふうな形で事業費支弁のところの職員なら事業費の中にはうり込んでいくとかなんとかというふうにしていかないと、何か人件費だけが非常に計画からはみ出している、そのことがすなわち人件費を抑制をしていかなければならないという主張にすりかえられるという議論があると思うのですが、そういう点はどうですか。
  22. 首藤堯

    首藤政府委員 これは決算計画との乖離、これをしさい分析をいたしまして、公表いたします際には、必ずそこが修正をして出すことにいたしておりますので、それで御了承をいただきたいと思います。
  23. 山田芳治

    山田(芳)委員 そういう意味で、単に人件費だけですと、私はいま一兆九千八百億、約二兆円と申しましたが、一兆九千八百三十四億一千万円のギャップ、二六・五%あるというわけでありますが、しさいに検討すると一兆三千億だ、こういうお話であります。それにしても、一兆三千億の人件費のはみ出しがあるということ自身が、私は地方財政計画というものが実態をあらわしていないのではないか、そのことが、これから質問をいたしますけれども、地方財政計画規模圧縮に通じているのではないかということを申し上げたいのであります。  次に移りまして、これも今度で最後にいたしますけれども、先日いただきました地方財政収支試算の中で、これは改定をされていま出されているわけでありますが、昭和五十二年に限って見ましても、昨年の予算委員会において出されたところの収支試算を先般改定をされたわけでありますが、それを一つ見ましても、その当時は二十九兆の台であったものが、今度改定することによって二十八兆台に圧縮をしておる、こういうかっこうになっているわけです。  それで、しさいに検討をいたしてみますと、五十三年、五十四年等においては、これはこの前も申し上げたのでありますが、地方財政計画というものはおおむね国の財政を上回っているというそういう実態が過去の決算等においてもあるわけであります。地方財政計画においてあるわけであります。いま申し上げましたように、地方財政計画を二〇%からオーバーした決算というものが毎年出されているわけですから、地方財政計画というのは、国の予算規模に比べれば地方財政計画でも常にオーバーしているだけでなく、決算においてはその地方財政計画を二割以上もオーバーをしているという財政規模地方財政全体としては持っているということはお認めになるわけであります。しかるに、この地方財政収支試算を見ますと、五十二年においても、すでに出されたところの、改定をされたところの二十八兆八千四百億というものが、改定前から言えば圧縮をされている。しかもこれはこの前も申し上げましたが、五十三年度に至っては国の財政収支試算を下回っているというような試算をお出しになっている。こういう点、どうも意図的に地方財政計画圧縮というものを図りながら、人件費圧縮を図っていくというような意図が感ぜられて仕方がない。何か意図的ではないのだろうかという感じがするわけでありますが、むしろこういう際にこそ思い切って、財政の非常に苦しいときですから、現実に合ったところの地方財政計画というものを規模是正をすべきではないかというふうに思うのですが、この点いかがですか。
  24. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘地方財政収支試算でございますが、これは先生御案内のように、一定の前提を置きました昭和五十五年までの見通しを単純に推計をしていく、こういうかっこうをとっておるわけでありまして、その間に規模是正という意図もあらわしておりませんし、また特にこれを削減をするという意図もあらわしておるわけではございません。国と比べて若干伸び率が低いではないかという御指摘がございます。これは事実そのとおりでございますが、主たる原因は、国の国債費の増加、これに対しまして地方の公債費の増加、こういうものが大きな差がございます。  それから、先ほど御指摘がございました、五十二年度に見込んでおりましたその他の支出、つまり人件費等を含みました一般行政関係の支出でございますが、これは、先生御案内のように、GNPの伸び率、つまり一三%余り、これを想定をしておったわけでありますが、五十二年度には、五十一年度人件費のベースアップ率、これが御承知のように一〇%を割り込みましたものですから、ここの数字が落ちた、こういう単純な理由でございまして、今後五十五年度までの見通しは、その五十二年度数字を基礎にして、また一三%余りずつ伸ばしていっている、こういう単純な方式をとっているためでございます。  特に、この人件費のウエートが、先生承知のように、国の財政の場合と地方財政の場合とかなり違いますので、そういった面で伸び率の差が出ておる。こういう単純な理由でございまして、政策的に増加もいたしておりませんし、また減少もいたしていない。こういう単純な見通しでございます。
  25. 山田芳治

    山田(芳)委員 いや、五十二年についてはよくわかりますが、五十三年が国の収支計算を下回っているなどということは、これはこの間も質問を申し上げたわけですが、国の場合は五十三年は三十三兆四千五百億、地方の場合の五十三年度は三十三兆四千二百億という形で、五十三年も国の財政収支試算に比べれば地方財政収支試算の方が下回っているというようなことは、これはどう見ても納得ができない。こういうことであれば、恐らくこれは五十三年も相当改定をせねばならぬだろうと思うし、また、この伸び率が余りにも高いのでこういうふうな形に変えたのかどうか知りませんけれども、何か意図的に地方財政計画をもう少し伸ばす方向に収支試算等もやっていく必要があるのではないか。国の予算よりも低いなんていう地方財政計画が急に五十二年から五十三年の段階で起こるなどということは、とうてい考えられないというふうに思うんでありますが、この点はどうですか。
  26. 首藤堯

    首藤政府委員 実態的に五十三年度財政規模がどうなるか、これはそのときに所要の経費を皆私どもとしては計上したいと思っておりますので、おわかりかねるかと思いますが、先ほど申し上げましたように、この単純な五十五年までの推計が、伸び率において差が出まして、金額的にも逆転をするという事態になりましたのは、国債費、公債費、これの伸びの関係と、その他、行政費、人件費を含みましたところの五十二年度の基礎数字が落ちた、こういう理由でありまして、なお、具体的に財政計画を組むときには、それぞれ精査をしながら適正な規模を保っていきたい、こう考えております。
  27. 山田芳治

    山田(芳)委員 私は、国債費の点もあろうと思いますけれども、私の言うのは、要調整額の一兆一千八百億が低いのではないかと。これをもっとふくらませれば、もっとこれは財政計画がふくらむわけであります。何か、一兆一千八百億で来年度は間に合いそうだ、そういう考え方が前提に立っているとしか思えないわけであって、その点、私はこの収支試算は非常に不満であるというふうに思います。  これからも収支試算の問題に入るわけでありますが、この間、昭和五十三年度収支試算のうちの一般財源が十九兆二千億であります、これの内訳をいただいたところが、交付税は五兆七千六百億程度であるというお話がありました。その五兆七千六百億が交付税といたしますと、これの三二%が国税三税に当たる、こういうことになりますね。そうなると国税三税の伸びというものが非常に高くなるのでございます。十八兆台になろうかと思うのでございますが、そういうふうに十四兆から十八兆、四兆円も伸びるというようなことは一体どうかということでございますが、先般質問をいたしましたら、大蔵省の総務課長は、マクロ的に計算したので税の積算はございません、こういう答弁でありました。しかし、少なくとも交付税をはじく以上は三税というものを基礎にして三二%で割らない限り——割れば三税の総額は出てまいりますね。これはまあ五十三年に限りましょう、五兆七千六百億、これを三二%で割れば三税の総額が出てまいりますね。その場合に、本年でも酒税は減っておりますから、酒税なんというものは伸びはありません。それから問題は所得税でございますが、この伸びその他は給与改定、春闘ベースその他を見れば大体わかってくるわけですね。そうなると、三税で三〇%近い伸びがある。国の収支計算と交付税との関連を見るとある。そうなれば、国は一体国税三税の中では何が一番伸びるというふうに計算をされているのか、伺いたいのであります。  きょうの日本経済新聞を見ますと、法人税を二ないし三%上げるのだというような、法人税課税を強化する、このことによって交付税全体もふえる、したがって法人税等が相当伸びるのだ。こういうことであるのかないのか。そういうことを想定して、三〇%近い国税三税の伸びを計算し、交付税を計算しているのかどうか、この点をひとつ大蔵省並びに自治省にお伺いしたい。こういうふうに考えます。
  28. 首藤堯

    首藤政府委員 大蔵省の方からも御答弁があろうと思いますが、国の収支試算の基礎になりました国税総額、これは先生御案内のように、国民租税負担率の国税における二%アップ、こういう前提を立てながら計算をされておりますので、大変大きな伸び率になって設定をされておるわけでございます。地方交付税は、この収支試算におきましては、そのような国の税の伸び、それを前提にいたしまして、そのままそれに追随をいたしております。もっと具体的に申し上げますと、国税の総額の中でいわゆる国税三税が幾らになるか、これは細かな試算がございませんので、おおむね国税総額の七五%相当のものが国税三税であろうという、これも単純な前提に立ちまして、それを国税の見込額に乗じ、それを得ましたものの三二%の額を計算をする。それから、例の臨特等の増減、これを立てる。こういう形式で単純に計算をしておるわけでございます。  したがいまして、根っ子は、国税全体がこういった大きな伸び率、全く大きな伸び率でございますが、これで五十五年度まで伸びるかどうか、ここが一番問題になるわけでございますが、これはいわゆる自然増だけではなく、相当程度の税制度改正、こういうことを前提にしなければ到達しにくい額であろうというようなことは大蔵省も申しておりますとおりでございまして、一応三%の負担率のアップというものが前提にされた場合の歳入の見込み試算、こういうように理解いただきたいと思うわけでございます。
  29. 新藤恒男

    ○新藤説明員 財政収支試算の国の税収の試算の方法でございますけれども、これは経済計画で、五十五年度までに四十八−五十の国民所得に対する税収の割合を三%引き上げるということが書かれておるわけです。想定といたしましては、国と地方で税収構成を勘案いたしまして、国で二%受け持つ、地方で一%受け持つということで、まず五十五年度の国税の方の水準を押えまして、それは三十八兆五千八百億でございます。その数字を去年も今年も変えておりませんけれども、それと、五十二年度の水準をGNPに結果として合わせて一定となるような方法で結んだというようなことで、かなり機械的な計算でございまして、中身について積算があるという性格のものではございませんので、その点はそういうものとして御理解いただきたいというふうに考えております。
  30. 山田芳治

    山田(芳)委員 その点はこの間梅澤主税局総務課長から話を伺って、マクロ的にやったので積算の基礎はございませんという、こういう話だったわけです。しかし、それを受けて交付税収支試算を出す場合には、三税というものをやはり前提にしない限りにおいては交付税収支試算が出てこないわけです。したがって、いま首藤財政局長は、三税の占めるシェアは大体七割五分程度ないし八割でしょう、だからそれで計算をすると五兆七千六百億になるんです、こういう説明だけれども、なぜ私がこの質問をするかというと、前提として少なくとも一ないし三%程度の国民所得に対する負担率の増を求める、いわゆる国民に税の総額の増加の負担を求めるんだということが前提になっておりますよと、こういうことでこの収支試算ができているんだが、それならば、これは国税三税になるのかそれ以外なのかということがこの収支試算を見ると全然明らかになっていないというところに一つ問題点があるというふうに思う。税総額をふやすのを、たとえば大蔵省等がいま考えておられると言われる付加価値税であれば、これは三税と関係ないんだから交付税はそんなにはふえないはずなんです。しかし、マクロ的に大蔵省が計算したとおっしゃるから、三税との関連は全然わからないままに、何か国税総体がふえるからどうやら三税もふえるんだという、これは失礼だけれども錯覚じゃないか、あるいは前提に狂いが出てくるんじゃないかと思うけれども、そういうことを前提にした地方財政収支試算というものをお出しになると、じゃあ一体法人税で伸びるのか所得税で伸びるのか酒税で伸びるのか。私がいま言いましたように、酒税や所得税の伸びというのは若干いいわけですが、特に法人税に至ってはこれは景気に左右されて非常に不安定な税目であり、非常にアンバランスがあるからそれの見方はきわめてむずかしい。だが、この三税でふやしたものだと見て、交付税にリンクをさして計算をした地方財政の収支計算というものは非常に問題がありはせぬか。少なくとも三%の国民所得に対する負担増を求めるとするならば、三税で求めるというのか求めないというのか、そういう点が明らかにならないまま、税総額を大蔵の方がふやしたものを受けて、自治省がそのうちの何%のシェアが三税だからという形で交付税を試算されると誤るのではないかということをひとつ聞きたいのですが、その点どうですか。
  31. 首藤堯

    首藤政府委員 先生御案内のように、国の方の中期見通しも基本的には五十五年度までに赤字国債から脱却をする、こういう見込みで、五十五年度の時点でどうあるかということを主たる目標に置いて計算をしております。そのような前提に基づいて地方財政収支試算もいたしておるわけでありますが、国税地方税合わして三%の租税負担率のアップですが、その前提に立っております場合の、その国税総額の七五%の三二%は少なくとも地方交付税で確保をするという前提に立って、われわれの方の五十五年度の収支見通しも、いわゆる要措置額がなくなりまして公債に対する依存率等も従前のように復せる、こういう見通しを述べておるわけでございます。したがいまして、国税が伸びましたうちのその増加が、国税三税で伸びるのかあるいは消費税で伸びるのかこれはいま決まっておりませんのであらわしようもないのですが、裏から申しますと、伸びた結果の国税総額の少なくとも七五%の三二%、これだけの分は地方交付税として確保されないと地方財政はもうもちませんよ、こういうふうにお読み取りいただければリンクをした意味が御理解いただけるかと思うわけであります。
  32. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、この地方財政収支試算のメリットと申しますか、自治省が出されている実質的な意味というものは、昭和五十五年においては、建設国債は別として、いわゆる赤字国債を出さないというところの大蔵省の国の財政に基づくならば、地方はいままでの地方の財源というものの率というものを変えないでいくとこういうことになりますということなのか。そういう考え方に立つと、私は、ちょっと一面で自治省としてはそれは絶対に許さないんだという一線を持っているように見えるけれども、逆に言うと、交付税率等を上げるという問題について、ここで何かそういう主張を放棄しているんじゃないかとさえ思う場合がある。むしろ国に余りリンクしないで、自治省としては地方財政計画上こうあるべきだという方がいいのではないかとも思うけれども、整合性がないものを政府から出したということになると、これは困るという問題もある。こういう点もわからぬわけでもないが、その点について、いま言われた七五%の三二%というような形でのみ計算をするのではなくて、やはり交付税率は上げられるべきものであるという自治省主張というものが少なくとも予算編成の時点においてなされたのですから、そういうものの主張というものは、この財政収支試算の中ではどうなっておるのか、その点を——いわゆる収支試算を出したメリットというか実質的な意味というものは逆に没却されてしまいやせぬかということを恐れるのですが、その点どうですか。
  33. 首藤堯

    首藤政府委員 国の方も地方の方もそうですが、収支試算そのものにいわゆる政策的な意図いわゆる技術的な意図、これが新たに加えられておるという事態は両方ともないわけでありまして、国の方が五十五年度までに赤字国債から脱却をする。それから、そのためには国地方を通じての租税負担率が三%程度アップをする必要がある。そうなれば赤字国債から脱却をし得るという単純な見込み算定でございます。その場合に、三%の租税負担のアップがあった場合に、現行のいわゆる国と地方との一般財源の配分率、これが一応確保をされるならば地方財政はどうなるかというのが地方財政のこの収支試算でございまして、税及び交付税を入れまして、先生御案内のように国と地方との一般財源配分がほぼ半々になっておりますが、三%のアップがあれば地方財政の方もこうなる、こういうだけのことでございます。したがいまして、交付税の率そのほかの問題になりますと、先生先ほど御指摘のように、租税負担率のアップに伴います制度改正の税が果たして何税で行われるのか、こういうことにも全く関連をするわけでありまして、もし国税三税で行われるならば、いまの三二%は非常に効果をあらわすでしょうし、もしそうでないならば、三二%という率ではなかなかやっていけなくなるから、この率を上げなければならぬ事態も起こりましょう。あるいはまた起こされた税収入を新たに交付税の対象税目に取り入れるというような措置考えられるかもしれません。それは今後、国税地方税を通じての税収入のアップの具体的なあり方がどうなってくるのか、これに対応してやっていく。ただ、いずれにいたしましても、国地方を通じてほぼこの財源が確保される、つまり三%のアップが確保されるという事態に——現在のようなこの半々という配分割合、これでなった場合に地方財政がどうなるのか、こういうことをこれはあらわしておるものでございます。したがいまして、先ほど申し上げたように、いまの配分率が、そういったテクニカルなことによって地方が落ちてしまうということがあればこのとおりになりませんから、それは最低線ということになるでありましょうが、あと交付税の率のあり方、税目のあり方等は今後の政策として検討をしていくべきものである、このように観念をしておるわけであります。
  34. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、この財政収支試算というものは政策的意図は全然ない、三%程度——まあ地方で一%になるのかどうか知りませんが、三%程度の国民所得の負担を求めるならばこうなりますという資料だったら、この財政収支試算というのはまさに国民に対して三%の税負担を求めるための資料であるとしか認められないのであって、地方財政としてはこうあるべきだとか、地方財政の動向というものは、われわれとしてはこういう政策の中でどうあるべきだということのものが、口には言わないが隠されているのというのならまだ一定の評価はできるけれども、収支試算を出した意図というのは三%程度の税の総額を国民の負担で——それは消費税であるのかあるいは法人税であるのか所得税であるのかは別として、何らかの形で三%の負担をしてもらえばこうでございますという、これは私は政策的意図なしと言うけれども、逆に非常に政策的意図がある。すなわち、三%の税総額をふやさなければ国も地方もやっていけないんだという、そこに非常な政策の意図があるのでございます、ただ、その税目はまだはっきりいたしません、税調その他の問題もあるし国会の問題もございます、こういう資料であるとするならば、私は、三%の税負担を求めるための資料であるというのが財政収支試算であるのかということを聞きたい。そういう意味で、その違った意味の積極的、実質的な意義があるとすればそれをお聞かせいただきたいというのが私の質問趣旨なんで、ひとつその点をお答えいただきたい。
  35. 首藤堯

    首藤政府委員 国の方の収支試算は、五十五年度までにいわゆる特例債から脱却をしたい、これは一つの願いとして込められておると思います。特例債をなくす、そういう事態にしたいという願いを込めてつくられておる。その場合に、国、地方を通じて三%の租税負担のアップ、こういうものがあれば、国の方の試算にありますように、赤字国債から脱却できる体制になるだろう、こういう見通しであろうと思っております。そういう同じ前提に立ちました場合に、地方財政の収支の試算がどうなるのかということを単純に、これは地方財政収支試算としては推計がしてある。したがって三%のアップがあれば地方財政の方も五十五年度には一応要措置額から脱却ができます、こういう見込みになるわけでありますが、こういう推計、収支見通し、これを手がかりにして今後どういう制度改正をやっていくのか、今後制度改正をやっていく際の一つの手がかりといいますか、そういうものとして単純な推計が加えられておる、こういうことであろうと考えておるのであります。
  36. 新藤恒男

    ○新藤説明員 国の財政収支試算の性格でございますけれども、これは昨年閣議決定されました昭和五十年代前期経済計画というのがございまして、そこで国の全体の姿あるいは国、地方を通じます財政の姿が、大まかな姿でございますけれども描かれているわけでございます。その中で、その手がかりを基礎といたしまして、国の一般会計の姿を描いたのがこの財政収支試算ということになっておるわけであります。たとえば歳入の面の税収のみならず、歳出面の公共投資あるいは振替支出というものにつきましても、マクロの政府部門の全体の伸びが何%程度ということがございますから、それに合わせまして歳入歳出の五十五年度の姿を描いて、それを現在の予算とかなり機械的な方式で結んだということで、格段政策的意図というものがあるというわけではありません。ただ将来、そういう経済計画の公共投資なり社会福祉なりを実施していく、一方ではそれに伴う租税負担が必要である、なおかつ昭和五十年代前半には特例公債から脱却するという要請を満たすためには、国の一般会計の姿がこうなることが必要であろうということで描いたものでございます。したがいまして、途中年次の具体的な中身をこうなるであろうという予定とか、あるいは見通しを示したような財政計画というわけではございませんで、これから財政を運営していく場合の一つの手がかりというふうな性格としてわれわれは受けとめておるわけでございます。
  37. 山田芳治

    山田(芳)委員 財政を判断する手がかりならば、三%の税負担等というようなものは捨象してというか、ネグレクトして出していくというならわかるのですけれども、公債を五十五年にゼロにするといういわゆる公債政策にかかる政策判断を前提に出してやっておられるというところに、政策判断を抜きながら、きわめて政策的意図があるというふうに見ざるを得ないということを私は申し上げたかったわけで、いまの説明でわかったとは申しません。やはりそういう考え方に立っているんだ。しかし、このことは非常に政策的な問題を含んでいるということだけを一つ指摘をして次の質問に移りたいと思います。大蔵省の新藤企画官はもう結構でございますからお帰りください。  先般、「都道府県別行政投資の長期的動向分析」という、こういう資料を自治省はお出しになりました。これを見ますと、「都道府県別一人当たり行政投資累積額」三十八ページにございます。一番から四十六番まで、全国平均を一〇〇として数字を出しております。私の地元の京都などは終わりから数えて何番目、こういうわけであります。一体これを出される趣旨は、われわれから見れば自分のところはどうなんだろうと見る。非常に低い。それなら自治省はこれを発表された以上、各省に対して、こういう低いところはもっと全国ベースまで上げてやれとおっしゃるのか。なぜこれが低くなっているのかという分析、これは「動向分析」と書いてあるのですから分析されるべきものだと思うのですが、幾ら読んでもそういうことは書いてない。ただ、こうでございます、こうでございます、こういうふうに書いてある。そこで、これを出された意味は、そういう低いところは上へ上げてやるために各省に対して注文をされるのか、そういう低いところはどういうわけで低いのかという分析はお出しになるのか、この点をひとつお伺いしたい。
  38. 大橋茂二郎

    ○大橋説明員 先般、「都道府県別行政投資の長期的動向分析」というものを発表いたしました。その中に、御指摘のように三十三年から四十九年までの行政投資の累積の一人当たりということが出ておりまして、その中に京都府が全国平均で約八〇%というような数字がございます。  それについてどういう理由でなったのかという話でございますが、実はそれぞれ面積当たりであるとか一人当たりであるとかさまざまなアプローチから一応数字を挙げたわけでありまして、さらにこれを都道府県別に、一体それぞれがどういう状態になっているかという原因の究明というまでには実は至っておりませんので、その点はいまおっしゃったように舌足らずであるというようなことは確かに私どもも痛感しております。  ただ問題は、むしろ私どもといたしましては、国土の均衡ある発展ということのためには行政投資というものが地域的に適正に配分されるべきではないか、そのためには一体現状がどうなっているかということを、いま言ったように長期的な展望において、しかもそれぞれさらに生活基盤であるとか産業基盤であるとか農林水産基盤であるとか国土保全であるとか、そのようないろいろな立場から一応分析してみたということでございます。したがいまして、これがそれぞれがそういうポジションにあるということは、それぞれの地域の社会的、経済的あるいは地理的な状態、あるいはそのときの国の施策、さらにはそれと対応するそれぞれの都道府県の姿勢、そういうものとの総合的なものから出ておりますので、必ずしもこういう状態であるからいい悪いというようなことは一概には言えないのではないかと思います。ちなみに京都の場合におきましては、いま御指摘のように過去の累積では大変低いことになっておりますが、最近の四十八年度につきまして、もう御存じだと思いますが、生活基盤の投資というものが京都は非常に伸びておりますので、四十八年度におきましては全国水準を上回るような伸び率を示しておるということでございまして、必ずしも現状だけで一律的に評価できるというものではないかと思います。したがいまして、私どもはむしろこの資料というものを前提としまして、さらにそれぞれの地域的な実情あるいはこういう数字が出た原因というものを、それぞれの関係機関というものが十分に参考にしていただきたいということが一つ。それから、先ほど申しました地方公共団体の施策というものもこれに非常に絡んでおりますので、地方公共団体自身がこれらの資料に示された現状というものを自分の実情と比較考量いたしまして、どういうふうにするかという施策の参考にしていただきたい、そういう趣旨から発表した次第でございます。
  39. 山田芳治

    山田(芳)委員 まあ出される以上は、一定の提言なり各省に対する要請なりを当然すべきだと私は思うのであります。とりわけ本年度中には、いわゆる三全総と言われるものの作業を行うというようなことが言われているわけでありますから、こういう資料の中で三全総の中に、自治省としての特定の意見を反映させるというぐらいの心意気と分析とをやっていただきたいという意味で私は質問したわけでありますから、単に実態分析だけではいかぬのであって、やはり自治省としてはいま大橋さんのおっしゃったように、均衡ある発展のためにはこういう提言をいたします、こういうふうにすべきではないか、公共投資はどうあるべきだというところまで自治省もひとつがんばってやってもらいたいということの激励のための質問だということでやめますから、どうかひとつ、今後そういう点でがんばってもらいたいということを申し上げておきます。  いまのはちょっと異質な話を申し上げたわけでございますが、次に、五十二年のいわゆる大蔵省自治省との間におけるいろいろの地方財政対策の折衝の中で、公営企業金融公庫を改編いたしまして地方団体の金融公庫をつくろうとする自治省に対して、大蔵省は金融の体系を乱すということで反対をされたのでありますが、とどのつまりは、自民党の三役の調停の中で、引き続いてこの問題は検討するという覚書が交わされて一応本年度は終わったというふうに聞いておるところでありますが、この点について、引き続いて今後協議をして来年度の段階において結論を出すのだ、こういうふうに理解してよろしいかどうか、この際、ひとつ五十二年度予算編成並びに地方財政対策にかかわる問題としてお伺いをいたしたい。
  40. 首藤堯

    首藤政府委員 地方債における民間資金の消化促進、こういう目的のためにぜひ金融公庫を改組をして地方団体一般会計にも融資ができるようにしてほしい、こういう要求を持ち出したのでありますが、話がつきませんで引き続き検討ということになったのは先生ただいま御指摘になったとおりでございます。したがいまして、地方債の消化問題、こういうことは重大な問題であることに変わりはございませんので、今後も引き続き折衝を重ねて検討を続けてまいりたい。できるだけ早い機会に結論を得て所要の措置が講ぜられるように、私どもとしては努力をしたい、このように考えておる次第であります。
  41. 鈴木達郎

    鈴木(達)説明員 いま財政局長の御答弁のとおりでございますが、ちょっと敷衍させていただきますと、公営公庫の改組のねらいというものが政府資金以外の地方債の円滑な消化ということであったわけでございます。それで五十二年度におきましては、五十一年度に比べまして、いわゆる銀行縁故債を減らしたり、あるいはその縁故債につきましても完全な消化を自治、大蔵大臣で努めるという約束をするということで、その消化面につきましていろいろ手当てをいたしました結果、縁故債の消化についておよその見通しが立ったという前提で五十二年度を見送っているわけでございます。  五十三年度以降につきましても、問題はいかにして縁故債を含めます地方債資金が確保されるかということでございますから、それの見通し、現在金融が非常に緩和状況にございまして比較的楽な状況にありますけれども、そういう消化全体の見通し、それからそういう消化対策としてまた別途新たに何か考える必要があるのかないのか、その際に新たな方策として公庫の改組というのが有効な手段であるのかないのか、そういう全般的な問題も含めまして今後検討していくというふうに理解しております。
  42. 山田芳治

    山田(芳)委員 大蔵省自治省のやりとりの内容については私は触れません。ただ問題は、いま財政局長が言われたような地方団体の金融公庫に公営企業金融公庫を改編をして、公営企業だけでなくて、一般資金の調達その他のために地方団体金融公庫を創設したいという問題について、自民党三役の調停ということでこれは引き続いて検討され、五十三年の段階において結論を出されるのですかということをお伺いしているので、主張はそれぞれあることについて私は別にお伺いしているわけでもないし、それぞれの主張がおありになるということも十分わかっておりますが、この問題についての決着はどうなんでございましょうかということを——金融公庫の創設というか改編というか、その問題についての考え方にそごがあるというふうに聞いておりますから、きちっと同意見であるというなら私は別に聞く必要はないのでありますが、若干の意見の食い違いがいまだにあるというふうに聞いておりますから、国会としてこの点を明確にしておきたい、こういうことでありますので、もう一度答弁をお願いしたい。
  43. 小川平二

    小川国務大臣 この問題につきましては、大蔵、自治両省の間で引き続いて検討をする、こういう申し合わせになっておるわけでございます。
  44. 山田芳治

    山田(芳)委員 それでは大臣、公庫の創設というか公営企業金融公庫を改編して、地方団体の一般金融を取り扱う機関としての地方団体金融公庫の創設については、引き続き検討するということで理解してよろしいですね。
  45. 小川平二

    小川国務大臣 仰せのとおりでございます。
  46. 山田芳治

    山田(芳)委員 それならば結構で、内容の問題についてまたすりかえられることは残念だと思いますので、この点を明確に伺っておいたわけであります。  次に、三月三十一日付で約一千億円近い減収補てん債というものを認められましたね。減収補てん債というものは地方計画の上にないのであります。だから資金区分も恐らく縁故債だろうと思いますが、五十二年も恐らく個々の団体において——もちろんこれから交付税において、昨年のように各府県及び企業の立地上の条件によって、現段階においては法人事業税等の収入にアンバランスがありますから、それぞれの団体個々に基準財政収入額の計算を行っていかなければならないというふうに思うわけでありますけれども、そういう意味で若干食い違ってくると、減収補てん債でいくのか翌年度精算でいくのかという問題があるわけですが、そういう基本方針が地方計画にないままに減収補てん債を出したり、精算にやったりすることを地方団体の任意として認めていくというやり方は、私は悪いとは申しませんけれども、少なくとも地方計画の上におけるどういう位置を占めるのかという点についてひとつお伺いをしたい。
  47. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のとおり三月三十一日付で約千億減収補てん債の発行を許可いたしました。交付税算定の際に、先生御案内のように、基準財政収入額を算定するわけでありますが、御指摘のように法人関係の景気の回復のあり方、これが地域的に非常にばらつきがございますものですから、必ずしも基準財政収入額で想定をいたしました標準税収だけ確保できないという地域が地域によっては出てくる、こういうことでございます。  こういう場合には、先ほど御指摘がありましたように、翌年度交付税で精算をする、翌年度の基準財政収入額をその分だけ減らすなりふやすなり、こういうかっこうで精算をするということがもう原則でございます。通常の場合であればこれで十分事が足りるわけでありますが、ただいまのような非常に跛行的な景気の状況、それからもう一つは、ただいまのような地方団体がぎりぎりの非常に苦しい財政運営をしておる、こういう状況を前提にいたしますと、翌年度精算では間に合わない、本年度何とか精算をしてくれないと決算が打てない、こういう団体が出てき得るわけでございますので、そのような団体につきましては、翌印度精算のかわりに、その年度に減収補てん債をお認めをして決算が円滑に打てますような措置を講ずる、これは地方団体の自主的な希望に応じてそのような措置を講ずる、こういう措置をとっておるわけでございます。  したがいまして、これは交付税のいわゆる精算の前払い措置、こんなかっこうになりますので、この減収補てん債につきましては、その償還について将来財政需要額に算入をしていく、当然これはそういう措置をとるわけであります。  したがいまして、これは年度当初から想定をされます、いわゆる地方計画におきます地方計画の算入内容に入ってくるという性格のものではございませんので、やむを得ず枠外債、こういうことで措置をさせていただいておる、こういう実情でございます。
  48. 山田芳治

    山田(芳)委員 このこと自身は私は悪いと言っているんじゃなくて、非常に弾力的運用だから結構だと思うのですが、問題は、これは将来元利補給をしていかざるを得ませんね。普通ならば精算をするべきものを、何年かに割って、十年なら十年に割っていくわけですから、後で交付税で精算をしていく、こういうかっこうになるわけですね。そうすると交付税の単位費用その他はどこへどう入ってくるのですか。
  49. 首藤堯

    首藤政府委員 減収補てん債償還費という費目をつくりまして、そこで的確に措置をしていく、こういうことになります。
  50. 山田芳治

    山田(芳)委員 それはいつ、どこでおつくりになっておるのですか。
  51. 首藤堯

    首藤政府委員 昨年度の法改正で、経費の種類に地方税減収補てん債償還費という費目を新設させていただいております。したがって、そこに算入をいたします。
  52. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、いわゆる健全化債というのを累年やっておりますが、それはどういうふうになっておりますか。
  53. 首藤堯

    首藤政府委員 健全化債は、当該団体が健全化計画を立てることによって、その健全化計画の効果として償還費に相当する財政力を蓄積する、こういう前提に立っておりますので、健全化債に対する償還費は交付税では措置をいたしません。
  54. 山田芳治

    山田(芳)委員 健全化債もやはり枠外債で、当初から見込みがつかないから地方計画の外である、内容は縁故債である、こういうかっこうですか。
  55. 首藤堯

    首藤政府委員 お説のとおりでございます。
  56. 山田芳治

    山田(芳)委員 健全化債というものについて、どういう使途なのか、現実を追及するという話も聞いておりますが、大体この健全化債は内容的にもいろいろ問題があると私は思います。しかも、健全化をしなければならぬというほど財政が苦しいのに、縁故債を認めるということはいかがなものかと思うのですが、この点はどうですか。
  57. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げましたように、財政健全化のために措置を講ずることの財政的な効果は、将来にわたって出てくるわけであります。この健全化債というのは、そのように健全化措置をとると将来その効果が出てまいりますが、ただいますぐ効果が出てくるというわけにはまいりませんので、その間の苦しさを救う、こういう意味で許可をいたしておる枠外債でございます。したがいまして、この償還費は、健全化の措置に伴う財政的な効果として将来償還財源が出てくることが前提でございますので、それでよろしいのではないかと思っておるわけであります。
  58. 山田芳治

    山田(芳)委員 いや、縁故債ですと利率が高いから、非常に困りはしませんかという質問をしたわけでありますが、当初から見込めないからということであろうと思いますので、一応、次に移ります。  いまの一千億の減収補てん債を認められたわけでありますが、こういう方式は五十二年、五十三年、ずっと継続されるのですか。それとも五十一年でやめて精算方式に移るのですか。財政窮迫のときだけこういうものを認めるのか。この方針も何もわれわれよくわからぬのですが、その点はどうですか。
  59. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、交付税の精算でやっていくのが原則だと思います。ところが、経済の変動が非常に激しくて地域によって跛行的であるということ、それから財政運営が非常に苦しいということ、こういう実態のために精算の前取り制度を減収補てん債でやるということでございますから、五十二年度もまた大きな変動が出てまいりまして、その額が当該団体決算を結ぶ上に非常に大きな障害になるということであれば、五十二年度ももちろん継続をいたしたいと思います。いわゆる原則的に、交付税の精算で賄うことができる事態にいつ立ち至るかということが判断の基準になろうかと思います。
  60. 山田芳治

    山田(芳)委員 その場合、標準税収入を基準にするのですか、基準税収入を基準にするのですか。五十年は標準税収入のようですが、五十一年は基準税収入ではないかと思うのですが、そういうものの区分、基準はあるのですか。
  61. 首藤堯

    首藤政府委員 いままでも標準税収入を下回る団体を対象にしてまいりましたので、今後とも標準税収入を基準にしながら額を算定していく、こういうことでいいのではないかと思っております。
  62. 山田芳治

    山田(芳)委員 そういう財政運営が質問をしてやっとわかるという形では非常に残念なので、そういう方針が出たらわれわれにも十分知らせていただきたいと思います。  さて、五千万未満の場合は減収補てん債の発行を認めないと言われているのですけれども、そういう基準というのはどこから出ているのか。認めてやったらどうですか。
  63. 首藤堯

    首藤政府委員 減収補てん債は、先ほど申し上げましたような性格のものでございますので、当該団体財政にとって金額的に非常に小さいというものであれば、これは翌年度の精算に回して結構やっていける、そういう意味でございます。したがいまして、五千万という御指摘がございましたが、小さな市等でありますれば五千万でも大きいという事態がありますので、必ずしも、五千万というのを金科玉条にして、それ以下は絶対いかぬという考え方ではございません。
  64. 山田芳治

    山田(芳)委員 地方団体では、五千万未満が認められないのはどうしたことかと、われわれに言うてまいるわけですから、それは弾力的にやられることならば結構ですが、ひとつ地方団体財政運営に資するように配意を願いたいと思います。  次に、相当時間が経過いたしましたから、細かい各論的な面に入っていきたいと思います。  まず、税務局長に税の関係で少し伺いたい。  法人事業税を超過課税でかけますと、確かに県に税収は入るけれども、法人住民税が減収をしてくるということになりますね。それで、最近非常に都道府県側が超過課税をやり出したものだから、市町村の住民税の法人税割が減少してくることによっていろいろ問題点があるのですが、そういうことについての調整なり何なりはどういうふうにお考えになっておられるか、ちょっとお伺いしたい。
  65. 森岡敞

    ○森岡政府委員 御承知のように、法人事業税は、法人税あるいはそれにつながっている法人住民税の課税標準であります所得の計算上損金に算入されます。そのようなことから、いま御指摘のように、超過課税をいたしますとそれに見合った分だけ課税所得が減少してまいる。そのことは、確かに法人税、法人住民税の減収につながるだけでなくて、交付税の減少にもつながってまいるわけでございますので、地方財政といたしましては、法人事業税の超過課税が率直に申して余り乱に流れますと、地方団体間の財源配分に大きな変動を生ずるという問題があると思います。  そこで、私どもといたしましては、先般の税制改正の際に、従来制限税率の定めがなかった法人事業税について制限税率の規定を設けまして、団体相互間の財源配分に大変な混乱が出てくるような事態を避けたい、こういう制度改正も行ったわけでございます。そのような措置を講じましたので、現実の問題としては若干の影響が出てまいりますけれども、いまの制限税率の範囲内でありますれば、おおむね各団体間の財源付与としては許容し得る範囲内にとどまるのではないか、かように思っておるわけでございます。
  66. 山田芳治

    山田(芳)委員 具体的な例ですが、愛知県が法人事業税の超過課税をやったので、愛知県の豊田市においては約一億減っているというのです。許容されるべき額かもしれませんけれども、一億といったら大きいですよ。これは調べていただいたらわかります。豊田は不交付団体ですから、いまお話があったように交付税にリンクしておりません。だから、一億ぐらいどうでもいいとおっしゃるかもしれませんが、本来ならばそういう場合には起債などを認めてやるという方向なりなんなりしていかないと、むしろ市町村が財源的にマイナスになる形になる。もちろん事業所税が法人税に及ぼすと同じことが市町村と府県との間にあるということですから、その意味はわかるのですけれども、しかし最も財源を強化してやらなければならぬ市町村において影響を受けるというところに問題があるというふうに思いますので、この点についてはいま私が申し上げましたように、交付税にリンクしているところはいいのでありますが、そうでないところは困るわけでありますから、起債なりなんなりの措置をしてやるべきだというふうに考えるわけであります。この点ひとつ財政局長よろしくお願いをしておきます。  次に、いま非常に財政が苦しいものだから、法定外普通税の要請というのが相当多いと思うのです。これも愛知、岐阜のあたりでは、いわゆる地下水くみ取り税というようなものを起こしてはどうかということを言うのでありますが、自治省はさっぱり認めてくれぬという不満がございます。もちろん財政的な理由というものがなければ法定外普通税は設けさせないという基本方針があるかどうか知りませんけれども、しかし非常に財政的に苦しいわけであります。なかなかこの法定外普通税を認めないということでいろいろ言われておりますが、この点についてどう考えておりますか。
  67. 森岡敞

    ○森岡政府委員 地下水の採取税を法定外普通税として起こしたいというお話はちらほら伺いますけれども、具体的な案としては私どもまだ関係市町村からいただいておりません。地下水の採取に伴う地盤沈下の問題でありますとかいろんな行政面での問題もありますし、伺うところによりますと、地下水採取税を取れば当然その地下水の採取を認めちゃうことになるから、かえってその面での問題があるというふうないろいろな検討もなされているようでございます。その辺のところもございますので、私どもといたしましては具体案が出てまいりました段階で検討してまいりたい。  ただ、法定外普通税につきまして私どもも、地域の特性に応じた、地方税として適切なものでありますれば積極的に御相談に応じてまいりたい、かように思っております。
  68. 山田芳治

    山田(芳)委員 次に具体的な問題を少し質問を申し上げたいと思うのであります。  まず交付税の補正でありますが、いわゆる人口急増補正Iにおいて全国平均増加率の控除をやめてもらいたいということは一昨年の当委員会において私が質問をいたしたわけであります。この点は相当の経費がかかるということで見送りになっているわけでありますけれども、御承知のように経常経費における人口急増補正というものの算定については、国調時点における住民基本台帳人口と、算定年度の前年度末の住民基本台帳人口の増加率によって国調人口を補正しておるわけですけれども、この算定に当たっては国調後の期間における全国平均増加率を控除する、大体一%ぐらいですね、これを控除をして計算をしておる。なぜ控除するのだというと、それは単位費用の中に含まれているんだという説明であります。徴税費等については単位費用を伸ばしませんが、徴税費はそんなものは関係ないんだというお話でありますけれども、とにもかくにも一%を控除している。また、それじゃ減った団体はどうなんだというと、それは控除しないというような矛盾があるわけであります。  たとえば、国調人口十万人の団体では、全国平均増加率を一%とすると、千人の人口が現に居住していながら交付税から除外をされておる。千人おるのでありますので、それに対する基準財政の需要があるわけですね。だけれども交付税には算定されていない、それは単位費用の中に含まれているからだ、こういうふうに言うわけですけれども、千人おって一人五万円なら五万円かかるとすれば、五千万円が削除されるということになりますから、これは何とかして控除を廃止してもらいたいというふうに考えるわけであります。そういう点について一昨年の四月十六日に私も質問をしましたけれども、この措置がとられないわけであります。この点について重ねてお伺いをいたします。
  69. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 ただいまのお尋ねは、交付税の単位費用のつくり方と深くかかわっていると思います。     〔委員長退席、木村(武千代)委員長代理着席〕 人口を測定単位とする経費につきましては、各年度、その年度に使い得る国調人口をベースにいたしまして、当該年度財政需要を全体として把握して単位費用をつくる。したがいまして、いま先生が御指摘になりましたように、言うなれば国調時点からその年度までの全国的な人口増に対応する財政需要は全体として盛り込む、こういう形で単位費用をつくっておるわけであります。したがいまして、理論的に申しますと人口急増補正のうちの急増I、すなわち数値第I部分につきましては、その年度までの全国平均の増加分は差し引かないと理論的には過大算入になってしまう、こういうことでございます。  そういうことで、現在も数値第Iにつきましては、全国平均の増加率を上回る部分について割り増し算入をするという計算方式をとっております。  そういった平均分を引くのをやめるべきだ、これは一つの議論としてはあり得ると思います。そうするのであれば、人口統計、国勢調査人口時点からその年度までの増加分は初めから全国平均の単位費用をつくる場合には除いておいて、そのかわり増加部分だけを上乗せしていくというやり方も方法論としてはあり得ると思いますけれども、現在までのやり方は、全国平均の伸びをそのまま単位費用の基礎に使う、この方がマクロ的には妥当ではないか。人口がふえている団体にしてみますと、ふえない団体あるいは人口の減っている団体分を、いわばそれだけお手伝いするという結果になるじゃないかという議論があり得るわけですけれども、いまの交付税計算全体の中で、いま各団体それぞれの状況においていろいろな財政需要を抱えておりますから、現在の人口急増補正につきましては、平均値を控除することで御納得いただきたいというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  70. 山田芳治

    山田(芳)委員 御納得いただきたいということですが、ちょっと制度的に……。メリット、デメリットあるわけですから、余り強く主張いたしませんが、関係市町村からは相当強い要請があるということでありますから、これはまた一遍お互いに研究をして、私の方も勉強して新しい提案をしたいと思いますので、次に移ります。  都市計画区域の人口を、都市計画費、それから下水道費における人口集中地区人口というものをとっておるわけですが、五十年度の国調数値を何らかの形で捕捉して基礎数値とすべきではないかということであります。捕捉ができないとするなら、四十五年数値に急増補正をしたものを現在数にすべきではないかというふうに思うのですが、本年度、何らかの形で捕捉をされるような話も聞いておるのです。     〔木村(武千代)委員長代理退席、委員長着席〕 この点についてはどうなっておるか、ちょっと伺いたいと思います。
  71. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 五十二年度におきましては、五十年度国調人口を使用できる見通しでございます。
  72. 山田芳治

    山田(芳)委員 先ほどちょっと触れました徴税費ですね、徴税費における世帯数について、これは徴税費の算定は世帯数がきわめて重要な要素でありますが、国調数で五年間固定をされておるわけでありますが、これではちょっと問題があると思うのですが、当該年度の数値を常に採用するか、人口急増補正をすべきではないかと思うのですが、この点はどうですか。
  73. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 五十二年度の徴税費の算定から住民基本台帳上の世帯数を採用したい、このように考えております。したがいまして人口急増団体等におきましては最新のデータが反映するようになると考えております。
  74. 山田芳治

    山田(芳)委員 実態に沿ってこれは相当ふえることだというふうに思います。  それから次に態容補正の問題なんですが、国調集計がコンピューターでやったかっこうでかえっておくれているというきわめておかしな事態の中で、態容補正の基礎となる数値が四十五年度数値でいまだに固定をされておる。たとえば人口密度とか宅地の価格というようなものでありますが、五十二年度では五十年度数値に置きかえてやってもらえるかどうか、できないとするならば、人口急増で都市としての要素が大きく変化している団体については、急増補正率の見直し等によって実態に即応した財源を付与すべきではないかという意見があるわけでありますが、この点はどうですか。
  75. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 態容補正の種地計算の基礎に用います経済構造につきましては、国勢調査の結果の公表が本年の十二月ごろになると聞いております。したがいまして五十二年度の種地計算には残念ながら採用できません。五十三年度は必ずこれを用いて態容補正係数全体の合理化を図ってまいりたい、このように考えております。  そういう事情で、五十二年度はなお五十年度国調の結果が反映いたしませんけれども、係数の算定あるいは人口急増補正その他の補正の内容につきましてはできるだけ各団体財政実態を反映するように改善を図ってまいりたい、こう考えております。
  76. 山田芳治

    山田(芳)委員 十二月にわかるなら、いわゆる十二月の特交のルール分の中で何らかの形の措置ができないのかどうか、その点はどうですか。
  77. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 態容補正係数の基礎に用います種地計算というのは、各地域の都市化の程度等による財政需要の増減状況を、経済構造あるいは宅地の平均価格指数とか昼夜間の流出人口とか、一定の指標で点数計算して行うという一種の理論計算であり、ある意味では一つの財政需要の擬制であります。したがいまして、これについて仮に十二月になって新しい数値がとれるようになって再計算したならば、恐らく団体ごとに数値の移動はあると思います。しかしそれは計策上の移動であります。したがって、特別交付税におきましては普通交付税算定の画一性からくる現実財政需要との乖離等を是正する、こういった面に重点が置かれておりますので、交付税計算の一つの数値の置きかえによる理論的な移動という面まで、特別交付税で全団体について置きかえることが妥当なのかどうかという点もいろいろまた検討を要する点があると思います。したがいまして、私どもは態容補正の問題につきましては、統計数値の時間的なずれと計算期間との乖離の問題はこの交付税制度においては常にある問題でありますから、その数値が使えるまでの間は、いわば計数の積算その他の面でできるだけの改善を図ることによって対処してまいりたい。したがいまして、五十二年度において特別交付税算定段階で種地の再計算をしてその差を措置するというようなことは困難ではないかと考えております。
  78. 山田芳治

    山田(芳)委員 そのとおりであろうと思いますが、とにかく国調がまだ出ない、コンピューターを使ってかえっておくれて実態に合わないなんて、こういう事態というのはかえっておかしいと思うのです。だからできるだけ実態に合ったような、密度補正のウエートは非常に高いわけですから、これはひとつ十分配慮していただきたいということを要望しておきます。  次に、当委員会においてもしばしば質問をして、またそれについて一定の前進があったのは同和対策事業債の償還年限が十二年から十五年に延伸をされました。これは結構なことで一定の評価をいたしますが、取り残されたのがあるので、公営住宅債である住宅改修資金等の貸し付け事業債の償還年限は、従来同和債と同様十二年とされているわけです。今回も、十五年と同和債がされたのだけれども、この貸し付け事業は十五年に延伸をされると理解してよろしいですか。
  79. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 五十二年度も十二年の予定でございます。
  80. 山田芳治

    山田(芳)委員 この貸し付け事業の回収金は十五年ないし十八年で返すことになっているのに、地方債の借金の方が早く返さなければならないということは赤字発生を見る事情にあるということで、年限の延長が強く望まれているわけであります。また、制度発足当時は地方債の利率は六・五%、六分五厘だったのが、現在では七・五%、七分五厘に上昇しているわけですから、両方赤字が出る原因になる。きわめて重要な同和事業の内容を含む問題でありますから、当然これは延伸をさせるかあるいは国庫補助率を引き上げるかの措置が望まれるわけでありますが、この点についてどうお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  81. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 住宅改修資金につきましては、制度発足当時においていろいろ理論計算をいたしまして、貸付金の回収年限と地方債の償還年限については、確かに貸付金の回収年限は十五年あるいは十八年であり、地方債の方は十二年ということでありますが、ただ貸付金の回収は据え置き期間がありませんで直ちに返済が始まりますし、地方債の方は二年の据え置き期間があります。そういったこと、それからさらに貸付金について四分の一の国庫補助金を初めに入れるという、ようなことで、理論的には償還金と補助金と地方債で回っていくというようにできているわけです。その点は現在も大きな矛盾はないのじゃないかと考えております。ただし、先生指摘のように、利率につきましては、貸付金の利率は二%で制度発足以来続いておりますが、地方債の政府資金の利率は当時六・五%であったものが現在は七・五%でありますから、その分金利負担の面では確かに自治体にネットの負担増がある、これは事実であります。ただこの点につきましても、現在各団体の一団体当たりで、平均で見ましてそれによるネットの金利負担の増は十万円程度と聞いております。いま財政苦しい中でありますから、十万円といえども決して無視できない問題ではありますけれども、政府資金の金利体系というような問題もありますので、直ちにこれを改めるというのはなかなか困難ではないかと思います。しかしこの貸付金制度の将来のあり方とも関連して今後の検討課題ではないかと考えております。
  82. 山田芳治

    山田(芳)委員 次に、地方財政対策債の問題について若干質問をしたいと思いますが、五十一年度に発行された地方財政対策債は四千五百億と八千億とあるわけですが、四千五百億分については元利償還を一〇〇%見る、しかし八千億については、物によって一〇〇%ないし八〇%を下らざる程度というふうになっておるのですが、この八〇%であるという理由を説明を願いたいということとともに、本年度、五十二年度の一兆三百五十億のいわゆる建設債といわれるか、地方財政対策債といいますか、いわゆる一兆三百五十億の分に  ついても去年の八千億と同様に扱われるというふうに言われておるわけでありますが、これの八〇%であるもの、一〇〇%であるもの、それの理論的な根拠についてお伺いをしたいと思います。
  83. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 財源対策債につきましては、従来交付税計算では一般財源で措置されていたものが地方債に振りかえられたわけでありますから、従来どおりの財源措置でありせば各自治体としてどれだけの財政需要になるか、逆に言うと、どれだけのネット財政負担になるか、こういう見地でその元利償還金の算入率を計算しておるわけであります。具体的に申しますと、義務教育債でありますとかあるいは廃棄物処理事業債につきましては、振りかえられたものは従来の七五%の充当率に対して九五、この二〇の部分については従来は全額事業費補正という形で交付税に算入されておったわけでありますから、地方債に振りかえられた場合も全額算入すべきであるということで、これらについては一〇〇%の算入を予定いたしております。また、たとえば港湾整備事業費でありますとかあるいは河川改修事業費につきましては、従来は起債の充当率は二〇%だったもの、それを九五に上げたわけでありますから、七五%だけ起債に振りかえられたわけであります。その七五%相当部分については、従来は交付税計算上は、事業費補正として六〇%が算入されておったわけであります。そこで七十五分の六十イコール八〇ということで、従来交付税算入と同じ財源措置をするとするならば、地方債の元利償還金について八〇%の算入を行えば従来と同じである、こういう考え方で、八〇%と算入率を決めたわけでございます。  それから補正予算による増加事業につきましては、事業のいろいろな種類によって、いま申し上げましたように算入率がそれぞれ異なってまいります。そこで、これらにつきまして一々また追加分の小さな額について別途の測定単位を立てるということは、交付税算定を非常に複雑にするということから、補正部分については一括その元利償還金をその他の土木費で算入することにしたい。その場合におきましては、算入率はいわば根っこの部分と、それから財源対策債として振りかえられる部分とが観念的にはあり得るわけですけれども、それを分けて算定するということは非常に複雑になりますので、いわば根っこからの分と振りかえ部分を加重平均いたしまして、都道府県の場合には全体の元利償還金の六五%、それから市町村の場合には五〇%を算入いたしますと、従来の当初から計算されておりました事業と全く均衡を失しないことになるという考え方で、補正部分については一括、いま申し上げましたような算入率で計算をしてまいりたい、このように考えております。
  84. 山田芳治

    山田(芳)委員 補正予算の分がかえって当初から組まれておるならば、財政対策債の元利補給がどうも有利であった。補正予算でされたものは、従来から補正予算分は当初からそういうものの計算がなかったということで、いま承りますと、都道府県分六五、市町村五〇という計算がされているのは、どうもそうであるけれども、やはり財政が苦しい時期におけるものですから、当初予算と同じ考え方でいくのが当然であるというふうに思いますが、その部分についてもう一遍ひとつ伺いたいと思います。
  85. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 いま申し上げました補正予算による増加事業分の算入率というのは、その事業が当初から組まれておった場合に、交付税法上の扱いとしてどうなるかと、こういう想定に立って理論計算しますと、県分は六五、市町村分は五〇でちょうどバランスがとれるということでございます。と申しますのは、いろいろな事業につきましてこの上乗せ分といいましょうか、財源対策債に振りかえられた分は、先ほど申しましたように一〇〇%ないし八〇%の元利償還の算入になりますが、振りかえられない部分があるわけです。振りかえられない部分につきましては、物によって、人口とか面積とかその他の客観的な数値によって財政需要が計算されておる。いわば単位費用的に一律に算入されておる部分があるわけであります。それから事業補正の場合でも、それぞれ事業の種類によって算入率が決まっておりまして、必ずしもそれは一〇〇%ではないわけです。  そこで、いま申し上げました率というのは、いろいろ複雑な計算過程を経て出てきた結論でありますけれども、要するに、これらの事業が当初からその事業を受け入れた場合と、それから補正予算によって受け入れた場合との間に不公平を生じないようにするためにはどういう率であるべきかという計算した結果でございます。私どもはこのいまの率がバランスがとれている、この率が一番均衡を得ている、このように考えております。
  86. 山田芳治

    山田(芳)委員 若干まだ議論がありますが、時間がございませんので、次へ移ります。  次に、特別土地保有税の問題なんですが、特別土地保有税の場合に、調定はした。ところが、最近御承知のようにあちこちで倒産騒ぎもあり、また土地ブームのときには非常に土地を取得したけれども、実際の支払い能力がない。銀行等で借金をして土地を買っているというような企業が多いわけであります。ところが土地保有税は、一件当たりの税額が非常に多い。ですから、調定をしたものについては、これは全部交付税の基準収入に含まれるのだけれども、現実に入ることになると、いま言ったような事情で入らない。しかも大都市の周辺部分のいわゆる住宅地その他においてこの特別土地保有税の問題が多いわけでありますが、それは大きな都市ではありませんから、一件三千万や四千万というのも非常に大きいわけです。そういう例を報告されていないかどうか知りませんが、私が調査をしたところでも、私の地元でも相当多いということでありますが、この特別土地保有税が調定をすれば、入らなくても直ちに交付税の基準財政収入に入れられるということは、現在の地方財政の厳しいときに非常に酷ではないかという要求があるのでありますが、この点についてどうですか。
  87. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 特別土地保有税につきましては、現在の基準財政収入額の計算上は、前年度の課税実績を参考にしながら翌年度の計算をしております。その場合の基礎に用いるデータは、御指摘のように調定額であります。したがいまして、調定いたしますと、現実に収入がなくても、それは収入されるものということで計算しておる。これは特別土地保有税に限らず、ほかの税目でも理論的にはそういう扱いになるわけであります。しかし、経験的に、調定したもののうち、現実には収入できない部分が常にあるわけでありますので、現在の基準財政収入額の計算におきましては、一定の分は調定されないであろうという意味で、徴収割合、一定の徴収率を適用して計算をいたしております。したがって、ある程度規模の大きい団体におきましては、一部その徴収できないようなものがありましても、いまの基準財政収入額の計算上のアローアンスの中で対処していただいていると思いますし、またそうしていただきたいわけであります。  ただ、御指摘のように、非常に規模の小さい団体において大きな税額について調定したけれども、実際には収入ができないというような事態が起こりますというと、確かに財政運営上は非常に大きな影響を受けると思います。これらにつきましては、そのケースによりまして特別交付税算定の際に、現実に収入の算定が過大になるというような状況であれば考慮してまいりたい、このように考えております。
  88. 山田芳治

    山田(芳)委員 次に、文部省の助成課長さんにお願いをしたいと思いますが、いわゆる小学校文教施設の改築の場合の基準面積について、現行基準はたとえば六学級の場合は千五百二十六平米、教室が六教室で一教室七十四平米で四百四十四、特別教室が五教室で八十平米で四百一、廊下、便所、職員室等で六百八十一、合わせて千五百二十六。それが七学級になれば千六百九十九、八学級千八百七十二、九学級二千四十五、十学級二千二百十八、十一学級二千三百九十一、十二学級二千七百七十、こうなっておるのですが、六学級と十二学級との間が、当然、必要な廊下、便所、職員室等は面積の差はあっても、これは共通に必要なわけであります。六ないし七学級の方が一クラス当たりの生徒数が多く、十二学級の方が少ないという部分があるので、実際建築する場合は放送室をつくりたいとかそういう場合に、学級数の少ないところほど、小規模学校の基準面積というものほど厳しいという現実にあるわけであります。こういう点について、もう少し基準面積、これは超過負担の対象差の問題とも兼ね合わせて、本年わずか四百九十五億、知事会が調べた六千三百億というものの一割にも満たない状態の中にこういう問題がやはり含まれておると思うのですが、この点は超過負担との関連ですけれども、助成課長はいかにお考えになるか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  89. 倉地克次

    ○倉地説明員 従来からいま先生が御指摘のような問題があったわけでございますので、昭和四十八年度の校舎の基準改定に当たりましては、主として特別教室を中心にして改定したわけでございますけれども、小規模学校につきましては、標準規模の学校に比較しまして相当大幅な改善を行った次第でございます。  それで、その結果私ども実態を見てまいりますと、その後普通教室につきましては、その不足率は、標準規模の学校に比べまして小規模学校におきましては非常にいいわけでございますけれども、特別教室などについて見ますと、若干標準規模の学校より小規模の学校が悪いような状況にあるわけでございますので、当面は、私どもといたしましては、この特別教室などの不足の問題の解消に努力してまいりたい、さように考えておるわけでございます。ただ、いま先生指摘のような問題もあるわけでございますので、こうした点については将来の課題として十分検討さしていただきたい、さように考えている次第でございます。
  90. 山田芳治

    山田(芳)委員 公立文教施設については、比較的単価は実勢単価に近くなっておるわけですが、いわゆる対象差、数量差の問題がやはり残っておるわけですから、この面についての超過負担の問題については引き続いて努力をしていただきたいということを文部省当局にお願いをしておきます。もう文部省の倉地さん結構でございます。  次に、超過負担の問題として、やはり一、二例を申し上げて答弁を求めたいと思うのであります。  老人クラブの助成補助というのがあるわけであります。法律、政令等を読みますと、都道府県と市町村と国とで三分の一ずつ持ち合うということで、五十一年度は四千五百円を三分の一ずつ持ち合うというかっこうになっております。五十二年は単価が上がって四千七百円ということになっておりますが、これまた超過負担である。そういうふうな計算に対して五十一年度は約八七%であるというふうに言われておるわけであります。したがって、老人福祉法並びにそれに基づくところの政令並びに通牒その他によって読んでみますと、予算の範囲内とかあるいはそれ以内というふうにはなっておらないのでありますから、三分の一ずつ持つのが当然だというふうになっているけれども、現実にはそういったものの八七%しかないという形であるわけであります。これは適当な援助をすることができるという形だから減らしてもいいという解釈になるのですか。それとも、どういう規定でこの八七%になっているのか、ちょっと規定読み方を教えていただきたいのですが。
  91. 坂本佶三

    ○坂本説明員 厚生省社会局の老人福祉課長の坂本でございます。  老人クラブにつきましての御質問でございますが、現在六十歳以上のお年寄りの約半分が老人クラブに入っておられます。生きがいなりあるいはレクリエーションなり、お年寄りに非常に貢献をしておる制度でございます。  先生指摘のように、実は五十一年度を見ますと、この補助額が各市町村の要望に対しまして若干下回っておる、こういう実態が見られるわけでございます。これは昨年、実は補助対象クラブ数は五十年度と同じ対象数ということで抑えられまして九万五千クラブということになりました。ところが、現実に老人クラブの数が各市町村ともふえておりまして、補助対象の申請数は十万九千クラブでございましたが、現実には九万五千クラブのクラブしかわれわれお金がないということで、実はそういうふうな割合になっておるわけでございます。ただ、五十二年度におきましては九万五千クラブを五千クラブふやしまして十万クラブにする予定にしておりますので、五十二年度におきましてはそういう問題は相当解消されるものと考えております。  以上でございます。
  92. 山田芳治

    山田(芳)委員 実情はいまの説明のとおりであればそのとおりでしょうが、こういうものは三分の一ずつ持てば——持たないとまた減らしますよと書いてあるけれども、三分の一ずつ持ちます、こういうかっこうに書いてあるのです。予算の範囲内とも別に書いておらぬと思うのですが、ぴしっとやるべきだというふうにこれは老人福祉法並びにその他の関係政令を見ますと読めるのですけれども、その三分の一以内でいいという規定はどこかにありますか、ちょっとそれを教えていただきたい、第何条か。あるいは普通なら、予算の範囲内でと言うんだったらそれなりにわかるのですけれども。
  93. 坂本佶三

    ○坂本説明員 老人クラブにつきましての経費は、実は予算措置でやっておるわけでございます。予算措置でございますので、その補助金の交付要綱というものがございますが、そこでは一応予算の範囲内でということに実はなっておるわけでございます。
  94. 山田芳治

    山田(芳)委員 老人福祉法第二十六条(国の負担及び補助)の第二項「国は、前項に規定するもののほか、都道府県又は市町村に対し、この法律に定める老人の福祉のための事業に要する費用の一部を補助することができる。」というのが規定だろうと思うのですが、その費用の一部というのは三分の一であるというふうに解釈すべきではないのですか。
  95. 坂本佶三

    ○坂本説明員 先生指摘の二十六条の二項によりまして補助をする権限があるわけでございますけれども、この二項の規定によりまして、たとえばホームヘルパーさんとかその他いろいろな予算補助の措置がとられておるわけでございます。それで、具体的な補助金の交付要綱によりまして予算の範囲内で三分の一の補助をする、こういうふうなたてまえになっておるわけでございます。
  96. 山田芳治

    山田(芳)委員 非常に多くなってきておるのでありますから、これも地方から言えば超過負担である、国が落とせば府県も結局落とします、だから両方で落とされる、こういうかっこうになりますから、ひとつ努力をしていただきたいと思います。  次に、幼稚園の就園奨励費です。就園奨励費につきましては、実は昨年もたしかお尋ねをしたわけでありますが、三分の一以内になっているのだからということでありますが、時間がありませんから具体的数字は申しません。各市町村から幼稚園の就園奨励費の補助金がどうも超過負担というか、要望額よりも三分の一までしか確保ができない、こういうことが言われておるのでありますが、この点どうですか。
  97. 鈴木博司

    鈴木(博)説明員 就園奨励費の補助につきましては、幼児を上げております父母の経済的な負担を軽減するという観点から市町村が実施をしております。それで、その市町村が実施します事業の財源につきまして予算の範囲内で三分の一以内を国が補助する、こういうことで昭和四十七年度から実施してございます。当初は予算の消化が困難なような状況でございましたが、たまたま昭和五十年度におきましては、当時の経済事情等も反映しまして、この制度趣旨が徹底をいたし、そのために申請額が補助額を相当に上回る、こういう事態が生じたわけでございます。しかしながら、五十一年度につきましては、五十年度予算は三十五億でございますけれども四十四億ということで大幅に増額をいたしましたので事態は相当に改善されてございます。さらに、五十二年度につきましては前年度比二五%増の五十五億円を計上してございますので、事態はさらに改善できるものというふうに考えております。
  98. 山田芳治

    山田(芳)委員 大臣、二、三の例をいろいろこう挙げたのですが、現実に三分の一とかなんとかなっておっても、奨励的補助金だからというのかどうか知りませんが、少ないわけですね。こういうのはみんな超過負担になっているわけですね。なぜなら、交付税ではやはり総額を収入に挙げておりますね。いまのたとえば幼稚園の就園であるとすれば、昭和五十一年ならこれは標準団体で九百五十三万二千円というような数字をそのまま挙げておるわけですが、実際は数が多いということを理由に足切りが行われているわけですね、結局減らされているわけです。これはみんな超過負担の形になっているし、交付税もそれを前提にして計算をされておりますから、地方財政の方の一般財源負担も減っているという形で超過負担分が出ているということが、二、三いま私が具体的な問題について各省にお尋ねしたのを見てもわかるとおりであります。六千三百億が正しいかどうか、知事会の数字が正しいかどうかは別として、ことしの超過負担について四百九十億の事業費ベース、国の事業費ベースで四百九十五億というのは一割にも満たない余りにも少ない額であるというふうに思います。具体的にいま二、三挙げたように、まだまだ超過負担の問題については大きな問題があちこちにあるということの一端を申し上げたわけでありますが、超過負担問題について自治大臣のこれの解消についての考え方をひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  99. 小川平二

    小川国務大臣 超過負担の解消には逐年努力を続けてまいっておるわけでございまして、本年度の、五十二年度の問題といたしましても、長年の懸案でありましたいわゆる門、さく、へいというような対象差の解消ということにも手をつけておるわけでございますが、まだまだ十分だとは申せませんから、絶えず関係省と実態の調査にも当たって改善に努めてきておるところでございます。いま幾つかの例を御指摘いただいたわけでございますが、そういう点につきましても各省と十分研究をいたしまして、補助基準の明確化あるいは改善に努力をしてまいるつもりでございます。
  100. 山田芳治

    山田(芳)委員 最後になりますが、いまるる約二時間にわたって質問をいたしたわけでありますが、いずれにいたしましても地方財政全体がまだまだ不十分な点もあるし、改善されなければならない点が多々あるというふうに思っております。特に地方財政制度の基本的な、根本的な改革というものが今日ほど必要だというときはないというふうに考えております。七対三の税源配分をせめて五対五まで努力をしていくということが何よりも必要だというふうに私どもは考えておるわけであります。いま非常に財政状況が厳しい不況のときであるということを大臣は口ぐせに言われるわけでありますが、こういうときにこそまさに地方財政制度を根本的に直して、地方財源の充実のためにひとつ力をふるっていただきたい。また、そういう絶好の機会であるということであります。そういうことによって、自治大臣の政治的な手腕というものが後世においても評価されるというふうに思います。  最後に一言。こういう非常に厳しい財政状況でありますけれども、将来にわたっていまやまさに国、地方を通じた行財政制度の基本的な、抜本的な改革、地方分権というものを目指してひとつがんばってもらわなければならぬという時期にあるわけでありますが、最後にその所信について一言大臣にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  101. 小川平二

    小川国務大臣 地方の自主財源の強化ということにつきましては、今後も努力を重ねてまいりたいと存じます。ただいまの時期は文、字どおりの抜本的改正を実行するのには適当な時期でございませんけれども、この状況下におきましても、微力でございますが、あとう限りの努力をいたしたつもりでございます。遠からざる将来にその時期が参りましたならば、税、財政の抜本的な改正を検討し、かつ、これを実行に移さなければならない、このように考えておる次第でございます。
  102. 地崎宇三郎

    地崎委員長 本会議終了後再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後三時二十四分開議
  103. 地崎宇三郎

    地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  細谷治嘉君外六名提出に係る地方公営交通事業特別措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。山田芳治君。     —————————————  地方公営交通事業特別措置法案    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  104. 山田芳治

    山田(芳)議員 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました地方公営交通事業特別措置法案につきまして、その提案理由と概要を御説明申し上げます。  地方公営交通事業は、昭和四十八年の第二次財政再建以来、依然として赤字を重ね、五十年度末の不良債務は、千八百五十一億円となっております。公営交通事業のこうした財政状態は、当時の公営交通経営健全化促進法制定時においても、十分予測されていたことであり、そのようなことを十分承知しながら、第一次財政再建に加え第二次財政再建を強要した政府の態度は、無責任きわまりないと言わなければなりません。  第二次財政再建の明らかな失敗の原因は、第一に、自民党政府の高度成長政策による都市環境なかんずく交通環境の著しい悪化によるためでありますが、こうした外的要因に加え、公営交通はもとより自治体財政に十分な財源が保障されていないことも第二の原因として強く指摘しておかなければなりません。若干の利子補給をもって不良債務のたな上げを図っても、償還財源を何ら保障していない第二次財政再建対策では、赤字が累積することは自明のことであります。  今日、不況とインフレが同時進行し、そのために地方財政が危機的状況に立ち至っている実態のもとで、公営交通が、住民の足として十分その機能を発揮するためには、これまで自民党政府が進めてきた道路投資中心の公共事業を大量大衆輸送機関中心の公共投資に転換するとともに、地下鉄を初めとする交通整備のための国・自治体の責任と負担区分を確立する必要があります。インフレによる整備費の高騰をすべて料金収入に頼るやり方が、すでに破産していることは、昨今の国鉄の実態からしても明らかであります。  日本社会党は、こうした現状認識のもとに地下鉄、バス等の建設、整備に対する国・自治体の責任を定めるとともに、不良債務の償還及び交通環境整備のための財源を保障する必要があるとの理由から、本法律案を提案いたしたわけでありますが、本法律は、道路財源をこれら公営交通の基盤強化のために充当し、もって自主再建を図ることを基本としたものであることを重ねて申し上げたいと存じます。  次に、法律案の概要を御説明申し上げます。  第一は、目的及び国・自治体の責務でありますが、ともすれば事業の効率性のみが追及されがちな公営交通事業について、住民の福祉向上を目的とし、国は、そのために必要な財政上の措置並びに交通環境の整備に努め、自治体においても同様の責務を負うことを重ねて明らかにしているわけであります。  第二は、交通事業健全化計画についてであります。昭和五十三年三月三十一日現在の不良債務及び第二次財政再建計画に基づく未償還額について、経営の健全化を行うとする自治体は、経営の健全化の基本方針等を内容とする交通事業健全化計画を議会の議を経て策定し、自治大臣に届けることといたしております。  第三は、交通事業健全化債の発行についてであります。交通事業健全化団体は、前記の不良債務及び未償還金の範囲内において交通事業健全化債を発行することができることとし、その償還については一般会計から繰り入れることができることといたしております。なお交通事業健全化債の引き受けについては、公営企業金融公庫は、一般金融機関からの融資が困難なものについては配慮することといたしております。  第四は、国の補助についてでありますが、国は、地下高速度交通事業、地方鉄道事業の施設整備または改良については、四分の三補助することとし、バス事業を行うすべての団体に対し、バス購入費及び身体障害者の利用のためのバスの改造について十分の八を補助することといたしております。  第五は、交通環境整備審議会の設置であります。都道府県及び市は、交通環境の整備に資するため条例で交通環境整備審議会を設置することといたしております。  第六は、国の財政措置等についてであります。第二次財政再建計画に基づく未償還金の再たな上げにともない、国はこの未償還金に対する利子補給額を一括繰り上げ交付するとともに、交通事業健全化債の償還に対する一般会計の繰り入れについては、その六割を地方交付税の基準財政需要額に算入することといたしております。  第七は、地方道路税の配分割合の引き上げと交通事業健全化債の償還に対する充当についてであります。  前述のように公営交通整備のための財源を保障することなくして公営交通の確立はあり得ないとの立場から、現行一キロリットル当たり六千六百円の地方道路税を倍増し、交通事業健全化債の償還及び交通環境の整備に充てることができるといたしております。この措置によって公営交通を有しない自治体においても、交通環境整備の財源を保障されることとなり、住民の足の確保は大きく前進するものと考えられます。なお勤労国民の税負担の増大を抑制するとの立場から地方道路税の引き上げ額と同額を揮発油税においては引き下げることといたしておりますことを申し添えておきたいと存じます。  以上が本法律案の提案理由及びその概要であります。慎重審議の上、速かに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  105. 地崎宇三郎

    地崎委員長 以上で本案の提案理由の説明は終わりました。      ————◇—————
  106. 地崎宇三郎

    地崎委員長 次に、小川新一郎君外一名提出に係る人口急増地域対策等特別措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。小川新一郎君。     —————————————  人口急増地域対策等特別措置法案    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  107. 小川新一郎

    小川(新)議員 私は公明党・国民会議を代表しまして、ただいま議題となりました人口急増地域対策等特別措置法案につきまして、提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  人口急増市町村におきましては、短期間にかつ急激に増加する人口に対応して、義務教育施設、廃棄物処理施設を初め、良好なる市街地の形成を確保するために都市計画街路、公共下水道の整備等が緊急に必要となっており、この解決が現在地方公共団体の最も緊要な課題となっております。  しかしながら、これらの課題に対して政府は従来から若干の予算措置で対処しているだけであり、そのため地方財政を圧迫し、加えて昨今のインフレと不況の併存という異常な経済状況の中で、これら人口急増市町村等の財政は破綻に瀕しております。  このような現状にかんがみ、大都市近郊における急激な人口増加を防止する基本的な対策及び国・地方を通ずる行財政制度の抜本的な改革が必要でありますが、当面、人口急増によって生じたひずみを国の責任において是正することがきわめて緊要であります。  以上の理由によって本法律案を提案いたした次第であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、人口急増市町村、児童生徒急増市町村の範囲につきまして、この法律案では、人口、児童生徒の増加数及びその率をとることとし、人口急増市町村とは、住民基本台帳による人口が五年間で一〇%以上で、五千人以上の市町村及び一定規模以上の団地の建設により、二年間で人口が六%以上、かつ三千人以上が確実に増加することが見込まれる市町村としております。また、児童生徒急増市町村とは、学校基本調査による児童が三年間に六%以上で五百人以上、もしくは生徒が三年間に六%以上で二百五十人以上増加した市町村としております。  第二は、人口急増市町村の施設整備計画、義務教育施設整備計画の策定についてであります。市町村は、良好な生活環境を確保するため、都道府県と協議するとともに、当該市町村議会の議決を経て、人口急増市町村の施設整備計画等を定め、それぞれ自治大臣提出することとしております。  自治大臣は、その計画内容を関係行政機関の長に通知し、所要の協力を得て必要な施策が講ぜられるようにしております。  第三は、財政上の特別措置についてであります。  まず、施設整備計画に基づいて行う義務教育施設、公民館、下水道、保育所、一般廃棄物処理施設、道路、公園等の整備に要する経費につきまして、国の負担割合の特例を設けることとしております。  さらに、施設整備計画に基づいて行う事業の経費につきましては、地方債をもってその財源とすることができることとし、また地方債の元利償還に要する経費については、五〇%を交付税措置することとしております。  第四は、この他の特別措置として国は、施設整備計画に基づく事業用の用地として国の普通財産が地方公共団体において必要なときは、それらの財産を時価より低い価額で譲渡し、また貸し付けることとしております。  第五は、宅地開発等に係る調整措置についてであります。  まずその一は、一ヘクタールもしくは五十区画以上、五十戸以上の規模の宅地開発、住宅の建築を行おうとする者は、当該宅地開発等の計画の概要を工事開始の三十日以前に市町村に届け出なければならないこととしており、この届け出を受けた市町村長は、その写しを関係市町村の長に送付するものとしております。さらにそれぞれの市町村の事情に応じて条例で、これらの規模以下の宅地開発等についてその二分の一を下らない範囲で届け出させることができることとしております。  なお、この届け出をせず、または虚偽の届け出をした者は、一万円以下の過料に処すこととしております。また、宅地開発等を行っている者に対して市町村長は、その宅地開発等の変更を求めることができることとしております。  その二は、関連公共施設等の用地の確保及び立てかえ施行についてでありますが、関連公共施設等を設置すべき地方公共団体財政事情その他の事情により、みずから適時に整備することができない場合は、宅地開発を行う者と協議し、施設整備事業を委託するいわゆる立てかえ施行を行うものとしております。なお、立てかえ施行された関連公共施設等の買い取りの期間については最高三十年としております。  最後に本法律案の施行でありますが、公布の日からとしております。ただし、宅地開発等の届け出に係る規定につきましては、公布の日から六十日を経過した日から施行することとしております。  また、この法律は十年間の時限立法としております。  なお、これに要する経費は、初年度四千億円を見込んでおります。  以上がこの法律案の立案の趣旨及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  108. 地崎宇三郎

    地崎委員長 以上で本案の提案理由の説明は終わりました。      ————◇—————
  109. 地崎宇三郎

    地崎委員長 地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。加藤万吉君。
  110. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 先般地方税法の改正の折にも、地方財政の危機的状況について、また地方行政の自主的なあり方について政府側質問をいたしました。私は今日の地方財政の危機を脱出する手段は三つあるというふうに考えるわけであります。  一つは、自主的財源、一般財源の拡大と強化であります。同時に、財源の裏づけを持つ地方自治権の拡大は申し上げるまでもありません。この第一の課題にかかわる問題の最大の問題は、何といっても交付税の処理の仕方にあろうかというように思います。  そこで私はまず第一に、今日の地方団体に対する交付税が国税三税に対する三二%という割合で交付をされているわけでありますが、五十年、五十一年、そして今年度地方財政計画、これに検討、調査を加えてみますと、借入金等を含めて総体の額は、もし私の数字が間違いでなければ、五十年四三・二%、五十一年四二・九%、五十二年が四〇・一%であります。この積算の基礎は先ほど申しましたように国税三税に地方交付税率を掛け、その額、精算分、臨時地方特例交付金、借入金、返還金、特例措置分、借入金の返済分、五十年度の場合には沖繩特別交付金も入っているわけですが、この数字におおむね間違いはないでしょうか。
  111. 首藤堯

    首藤政府委員 大体そのような数字になろうかと思います。
  112. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと、午前中にも質疑がありましたが、五十年、五十一年、五十二年通して、いわば地方財政は総体として交付税率が四〇%以上にならなければその行政需要を満たすことができない、こういうように見るのが正しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  113. 首藤堯

    首藤政府委員 これは財政計画を策定しました際の所要財源としてその程度の金額が必要である、こういうことの証左であろうと思います。
  114. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 結果的にはそれだけの、これは五十年度しか決算規模が出ておりませんから、五十一年、五十二年についてはいまのところ推定の域を出ませんが、結果的にはやはり四〇%以上の歳入がなければ今日の財政需要を賄うことができない、このことを明らかに示しているものだというように実は思うわけです。  そこで、五十年度については、御承知のように四十九年度の石油ショック以来の日本の経済の落ち込み、それからくる税源の不足、この課題がありました。五十一年は引き続く日本の不況、こういう状況でありました。恐らくこの段階で、日本の経済界はいまや高度成長というもの、国際的な経済環境からいってもこの成長の度合いを続けることは困難であろう、いわば日本の高度成長は、石油を中心としたコンビナート地帯を中心として内陸工業の発展、同時に、生産される製品の海外への輸出、このパターンはもうほとんど不可能である。結果的には、言葉はいろいろ使っておりますが、いわばアブノーマルの時代からノーマルの時代、安定成長という段階に入ったと、恐らく政府もまた日本の多くの人もそういう立場でこの条件を見ておったというように私は思うわけです。  したがって、五十二年度になりますと、これはもうアブノーマルな状態、いわゆる不況が冷え込んだその延長という見方ではなくして、五十二年度自身の経済のあり方がこれから何年かを律する日本の経済のパターンである、こういうように多くの人が見ていられるのではないかというふうに実は思うわけです。地方税法の際に私もこの点を指摘をいたしました。特に政府側の経済の成長率は、いま民間の各調査リサーチで求めている数値よりもむしろ高目である。地方税においてもまた国税においても、それほどの伸びを見ることは、結果として不可能な条件になるのではなかろうか。したがって、いま見込んでいる地方税にいたしましてもあるいは国税の収入にいたしましても、そこに大きな見込み違いが起きるのではないか。したがって、地方税法の改正の際にも、また今日の交付税改正の際にも、この際、今日の条件を、いわばこれから続くであろう日本の経済の安定的な条件としてとらえて、この五十年、五十一年、五十二年度地方行政が需要額として必要な額は、安定的な条件として地方団体に交付をする、こういう形を整えなければいけないのではないか、こういうように私は基本的に思うのですが、これはきょうは大臣がおりませんから、次官にひとつ、その条件、安定的な条件という中で、地方行政需要を満たす財源の措置政府は行うべきではないか、この見解に対するお答えをいただきたいというように思います。
  115. 中山利生

    ○中山政府委員 先生指摘のとおりの経済の推移であろうと思いますし、国、地方を通じまして御指摘のような財源の不足ということは十分に配慮をしていかなければならないと思っております。確かに安定成長といいますか、いままでのようなパターンでない低成長時代に入るということは間違いのない事実であろうと思いますし、ことしの財政計画、また予算等につきましても、そういうことを踏まえて努力をしてまいったつもりでございます。
  116. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうなってまいりますと、一方では行政需要としての四〇%以上の財源が必要である、交付税が今日国税三税に対する三二%、その差をいろいろな形ではありますけれども、財源措置を行って今日までは埋めてまいりました。当然のことですが、制度改正という問題がここで提起をされ、今年度は九千四百億のうちの四千二百二十五億、この措置法律上行う。くどいようですが、今度は次官に対してもう一遍聞きますが、これは制度改正と言われるものでございましょうか。
  117. 中山利生

    ○中山政府委員 いろいろ議論のあるところと思いますが、私どもはこれをもって今回は制度改正というふうに考えております。
  118. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 どう見ても制度改正ではないですよ。私はやはり当面の地方行政が必要な財源の手当て、その域を出ないと思うのです。手当てをするために若干の法律上の措置が必要であるというのが今回の交付税法律改正案として出ているのではないか、しかも、先ほど質問応答いたしましたように、この条件はここ三年続いているわけですね。しかも経済の条件が、安定的なものでこれから続くであろう、地方の行政需要に伴う財源は四〇%以上が必要である、となれば、これは一時的な借り入れ措置によって行うという条件ではもうない。まさに私は税法そのものの改正を行うという条件の中に来ているのではないかと実は思うのです。これはもう何回かやりとりをしておりますから、お互いの見解の違いとしてしか私は受けとめることができません。  そこで、午前中に山田委員の方から新しく当委員会に提起をされました地方財政収支試算、いわゆる中期見通しについてのやりとり、応答がございました。私はあの質疑を聞いておりまして二つの大きな疑問点を持ったのであります。  一つは、山田委員指摘をしておりましたように、あれは今後国税の中における三%の税のアップを前提としての試算、したがって、結果的には国民にこの間日本の税金は三%引き上げますよ、その中でなければ地方の今日の不均衡財政を直すことができない、そういういわば押しつけ的なものがその試算の中に含まれているのではなかろうか、租税全体のアップをしなければ日本の地方財政の赤字の危機は克服できない、ですから租税全体のアップについて国民が了承しなさい、これが一つです。  いま一つは、三二%の交付税率をもってして地方財政の均衡が保たれる、そのことの押しつけであります。先ほど言いましたように、前提となる行政需要に対応する財源は四〇%以上、それを一方では租税のアップに求め、一方では、交付税率は三二%を上げなくてもそのまま地方財政は均衡財政が保たれるのだという、そういうものをマスコミを通して政府の見解として、国民の中に押しつけていられるのではないかという感を強く抱いたのでありますけれども、この地方財政の中期見通し、試算についての御見解を次官からお聞きいたしたいというように思います。
  119. 首藤堯

    首藤政府委員 国の方の財政収支試算でございますが、これは一定の公共投資、振りかえ経費あるいはその他の行政費が現状において見込まれます程度の増加があるものとすればという前提に立ち、しかも五十年代前期経済計画のような経済成長があるものという前提に立ちました場合に、五十五年度に赤字特例債から脱却をするためには、あの程度の税収入が必要である、こういうことを試算の形式で申し述べておるものだと思うわけであります。したがいまして、これは三%のアップを国民に強いると申しますか、そういう意図ではなかろうと思うのでありまして、そういう状況であるが、それに対してどういう対策をとっていくかは、今後政策として決まってくる問題だと思いますが、そういう政策を議論をする場合の一つの手がかりになるものではなかろうかと思うわけであります。  それから、地方財政収支試算でございますが、国がそのような試算を一応出しておりますので、それと全く同じ前提に立てば、地方財政の収支見通しはどうなるかという前提で試算をしたものでございまして、もし三%の租税負担のアップがあって、しかもその租税の配分が現行の制度のように交付税、税収入を通じてほぼ半々、そういう配分があったとすれば、地方財政の方は五十五年にどういうかっこうになるか、つまり、いままでのような赤字を出さずに済むという試算を出しただけのことでございます。したがいまして、その実際の租税の取得の方法あるいは交付税の決め方の方法、これは今後のやり方によっていろいろ変わってこようかと思うわけでありまして、何も交付税率が現在の国税三税の三二%でなければならぬ、こういうようなことをちっとも考えているわけではございません。交付税、税収入合わせましてあのような財源配分というものが行われれば、国、地方を通じて一応財政の収支の均衡がとれるだろう、こういう意味の単純な見通しになるのではなかろうかと私どもは考えております。
  120. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 試算は字のとおり試みの算ですから、ここでの一致点はなかなか求められないと私は思うのです。ただ、幾つか不確定要因を前提に置くわけですね。不確定要因を前提に置いて、そしてその結果、五十五年度における財政収支の均衡はこうとれます、こういう結果を見ると、不確定要因ということは国民の目の前には見えません。しかし、結果だけは国民の目の前に見えてくるわけですよ。租税の段階においても、経済の成長の段階においてもこれは不確定要因です。しかし、そういう不確定要因の中でも、結果としては三二%の交付税率で五十五年度には収支均衡がとれるようになりますよというその結果だけは国民の目に映るわけです。私はそういう形というのは、人間の錯覚といいましょうか、あるいは不確定要因の中に人間の状況を追い込んでしまうようなアピールの仕方ではないか、こう強く感じます。特に経済の成長の動向についての問題は、もう先般の税法の段階でも私は指摘をしましたが、経済の成長も私どもの見方とはおのずと変わってくる、当然のことですが法人税に対する税収入も変わってくる、こう見てまいりますと、そういういまの日本の経済の動向というものに対するきわめて違った意見の中で算出をされるもの、ないしはそこで手がかりとして試みに算出をされるもの、それを出して、結果としてはそれの三%アップによることによって、それに三二%を掛けることによって、地方財政は均衡財政を保っていくのだという印象を強く与えることになるのではないでしょうか。私どもが基本的に言っているいまの経済情勢、五十年、五十一年、五十二年がもうアブノーマルからノーマルの段階に入ったとするならば、いわゆる交付税法の改正の中でなければ地方財政の収支均衡はとれていかないのだという物の見方と、いやそうではない、日本の経済はまだまだこういう発展の要素もある、あるいは税収の面においても三%の税のアップと、同時にそれがどこの租税になるかわかりませんけれども、国税三税にかかった場合には、こうこうこういう形で地方財政は収支が均衡化されていくから心配がない、こういう意見と、それに誘導するような政策のアピールではないか、このことを強く思うのですが、いま一遍、これは財政局長でもいいですがお答えいただきたいと思うのです。
  121. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、歳出一定規模で伸びるならば、五十五年度において、国、地方を通じまして収支の均衡がとれる状況歳入、これを確保するためにはこれこれの一般財源が要る、こういう意味での試算だとお考えいただいてもよろしいわけでございますが、それであります場合の地方財政状況がどのようになるかという試算をしただけのことであります。したがいまして、所要の総額として考えられております財源は、一般財源としてあの程度のものが確保されるならば、五十五年度地方財政の収支の均衡が一応とれるだろう、こういうことになるわけでございますから、これは一般財源の確保の仕方として、まず第一に税制がどうあるべきか、これが第一の問題だろうと思います。  どの面で税の増収を図っていくのか、これは国税、地方税を通じてのこれからの細かい検討があろうかと思いますが、その場合に、できるだけ地方税にウエートを置いていくということになりまして、租税の配分が地方税に偏ってきますならば、その分交付税の方は少なくても済む、こういう事態になりましょうし、もし事態が逆であれば、交付税率の三二%ではとても持ちこたえられない、もっと交付税の方に回す額を多くしなければならないのじゃないか、こういうことに相関関係で出てこようと思うわけであります。要するに、五十五年度までにあの程度の一般財源が確保されなければ、地方財政としても収支のつじつまの合わせようがない、こういうようにお考えをいただきますならば、それから先の政策的な判断はこれからの議論になるわけでございまして、そのような事態だという手がかりでの試算、こうお考えをいただきたいのでございます。
  122. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 言っていることはよくわかるのですが、言っていることを活字に直していくと誘導政策になっていくのですよ。私はここが問題だと思うのですね。こうこうこういう目標を置かなければ均衡財政はとれないということと、こうこうこういう目標を置かなければ、その目標自身が、いわば国全体の誘導政策という形で国民に押しつけられるという観点というものは、何回か私どもは苦々しく感じてきている事実があります。  この問題は午前中も討論があったところですから質問をおきますが、いずれにしても経済の伸び、そこに求めたいという気持ちと、実績としてそこに生まれてくるという問題とは違います。その生まれてくるであろうという実績になるべく近いものをもって国民にアピールしていくという姿勢をとらなければ、私は、何かそこに問題のすりかえが起きて、国民の目をごまかしていくのではなかろうかということを強く感じます。  そこで、質問内容を変えてまいりますが、いま借入金を含めて四〇%の地方への交付税率がある。しかも、それは国税三税の中で求めていくことは困難でありますから、結果として借入金という措置ないしは税収の補てんという形の措置を講じておられるわけですね。どうでしょうね、この際交付税率の引き上げという課題と同時に、国税三税に対する三二%ではなくして、比較的安定した国税の他の課目を対象として交付税率を掛けることはできないでしょうか。たとえば、これはお聞きしなければわかりませんので大蔵省の方にお聞きをしますが、物品税ですね。五十年度は大変経済が落ち込んで税収入が弱くて問題があった年でありますが、四十九年、五十年、五十一年の物品税はどのぐらい国税としてはあったものでしょうか。
  123. 矢崎新二

    ○矢崎説明員 お答え申し上げます。  四十九年度の物品税の決算収入額は六千百八十二億円、それから五十年度決算が六千八百二十五億円でございます。その後の五十一年度はまだ決算がございませんので、予算額で申し上げますと七千六十億円、五十二年度が七千七百七十億円ということになっております。
  124. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 いわゆる税の落ち込んだ五十年度でも前年度に比してそう落ち込んでないですね。他の税が落ち込んだのに比べれば比較的落ち込みが少なかった。いわゆる商品の市場というものはそれほど落ち込まなかったというふうに見ていいのでしょう。五十一年、五十二年度になりますと、日本の経済の実質成長の度合いに応じて伸びている、このように数字としては出てくるわけですね。  そこで、このように国税の中で景気、不景気に比較的安定した税課目に対して、この際、交付税率にかける財源措置として国税三税に加えていく、そういう方向というものは検討されておるのでしょうか。また、今後そういう形での検討課目ということで考えておられるのでしょうか。これは自治省側に聞きたいと思います。
  125. 首藤堯

    首藤政府委員 物品税等の消費税を交付税のリンク税目にしろという御意見でございますが、もちろんそういう御意見もあるわけでございまして、いろいろ検討もいたしております。去年でございましたか、地方制度調査会でもこの議論を表向きに出しまして、十分議論をしていただいたのでありますが、ただいまのところでは交付税のリンク税目は、やはり相当大きな税収を持つあるいは安定度が高い、伸長度も高い、こういったような税目であるとともに、地方財源に回すのに適当な税目、こういう性格的なことも考えなければならぬ、そういったいきさつもあって、従前から国税三税ということにリンクをされておる。そういう観点から考えますと、ただいまの個別物品税というかっこうの物品税、これでございますと、伸長性そのほかの問題についてもいろいろ問題があるだろう。だからさしあたっての問題として、このリンク税目をここまで広げるということについては、余り適当だとは考えられない。しかし、将来の問題として、たとえば一般消費税といったようなものが全般的に考えられる、こういうような事態になってくれば、リンク税目にするかあるいは何らかの方法でその税源を地方に回す、こういう方法について十分論議をする必要があるだろう、こういったようなことがただいままでの地方制度調査会で検討されました議論の経過でございます。
  126. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 中期経済見通しの面から見ても、交付税率の問題を含めて、新しい税課目というものを対象にして国税全体の中で検討を加えていく、当然のことですが、交付税のリンク税目としても、大変安定した税課目としてこの問題をとらえていく、ひとつ一層検討を進めていただきたいというふうに思うのです。交付税率全体が非常な大幅なアップができるという条件ならば私はそれなりに問題は消化できると思いますけれども、同時に税課目についても、安定した税課目として検討を加えていく、このことをぜひお願いをしておきたいと思います。  次に、これまた多少午前中の議論にもありましたが、地方財政計画決算との差、すなわち乖離の問題です。五十年度決算に基づいていろいろ試算をして見ますと、人件費における乖離もさることながら、社会福祉関係の乖離が非常に大きいのですね。私はまだ正確にそれぞれ数字をはじくだけの時間がありませんでしたが、四十九年度財政計画決算課目の比較をしてみました。五十年度も推計値としてはおおむね同じような数字が出ているような感じがしますが、この乖離の差というのは一体一番の原因はどこにあるのでしょうか。一つは午前中に人件費の問題について出ました。あるいは今度は視点を少し変えてみて、厚生福祉関係、この面でも大変な差が起きてくるのですね。いわば実態にそぐわない地方財政計画というものが自治省の手元でつくられ、それと決算との差、実績との差——どうなんでしょう、地方財政計画をつくるときには、私どもの聞き及んでおるところでは、それぞれの地方自治体における必要な財源、必要な施策、その類型として、それを図りながら地方財政計画がつくられる、こういうように聞いておるのですが、この大幅な乖離が起きるという一番の原因は私はそこにあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  127. 首藤堯

    首藤政府委員 五十年度におきます決算財政計画との乖離の問題でございますが、単純に財政計画決算とを比較をいたしますと、歳出の場合に約四兆余り、四兆一千億ぐらいの乖離があるわけでありますが、先ほども申し上げたところでございますけれども、これについてしさいに検討を加えまして重複等を差し引き、あるいは計画策定後に補正予算措置が行われたもの等の加味もする、こういうような措置をとりますと、実質的な乖離は二兆九千億ぐらいだろうと思っております。  それで、この二兆九千億の主な内容考えてみますと、給与費人件費関係が一兆三千八百億見当、それから一般行政費関係が一兆四千億見当、投資的経費が三千二百億見当、こういったような歳出面の差が主な内容になっておると思います。  そこで、この一般行政経費でございますが、一兆四千億の差がございますけれども、この実質的な差の一番大きいのは、年度内貸付金の回収金、たとえば年末等に中小企業等に金融をやる、こういった対策のものは年末に歳出として出て、年度末には歳入として入ってまいりますので、これはもともと財政計画に財源措置を必要とする理由として計上する必要がないと申しますか、そういう性格のものでございまして、ここはなかなか見通しもむずかしゅうございますので、かなり大きな乖離が出ております。この点は、いま申し上げたように、一般行政費で一兆四千億ほどの乖離がありますが、逆に歳入の面では、使用料及び雑収入、この中で分析をしますと、一兆九千億ぐらい財政計画以上の増収がございます。これが充てられて賄われておる、まあ、若干おつりがあるわけでありますが、そういうふうに考えられると思います。  それから投資的経費は三千二百億ほど歳出がオーバーしておりますが、これは実は地方債の方で、地方計画を超えます枠外債の発行を弾力的に許可をいたしております。これが歳入面で六千七百億ぐらいの乖離、つまりよけい歳入されておりますが、こういうものが財源として充てられて増加をしておる、そういうことではなかろうかと思います。  そういたしますと、こういった両費目は、つまり財政規模そのものでは違ってまいりますが、実質的な財源措置の要、不要という問題点からつかまえますと議論する必要のない分野である。残りになりますのが人件費の一兆三千億余りでございますが、この点については、その他税収等の若干の自然増とか、いま申し上げました使用料、雑収入、こういった系統の自然増であるとか、あるいは地方債関係の若干の財源の振りかえであるとか、こういうようなものが集まって実質上の歳出を支えておる、こういうかっこうではなかろうかと思っております。  なお、昭和五十年の実態計画との乖離、これは近ごろ計画のできるだけの規模修正をやってまいっておりますので、いままでの乖離額から比べれば大変改善をされておりまして、乖離額そのもの、見せかけそのものの乖離額も昭和四十九年よりは減ってきておる、こういう状況でございます。
  128. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 それでも二兆九千億といいますと大きいですよ。私は民間の人間ですから、私どもで言う収支のバランスシート、予算をつくるときに予備費というのは三%前後ですね。いわゆる予算と執行条件との差は三ないしは五%前後で抑えていくというのが予算執行の一番ノーマルな状態です。たとえば五十年度地方税、確かに歳入の面が多かったから、一方の歳出の面がふくらんでも財政としては均衡がとれた、それはそうですね。総体を通して収支の見込みというものが余りにも違い過ぎる。地方財政計画と実績である決算との差が余りにも違い過ぎるところを実は私は問題にしているわけです。収支のバランスがそこでとれたからということの問題ではないのです。たとえば当初計画で、地方税ですと七兆八千二百十八億、決算では八兆一千五百四十八億、差が三千三百三十億、税が入ったからいいですよ。入らなければ、結果的には減収補てん債の分をさらに拡大しなければならない条件が起きたわけでしょう。地方税が伸びたと言われればそれまでの話ですけれども、たとえばいまの減収補てん債にしてもそうですね。計画では一兆六百三十二億、決算では八千四百七十四億ですか、これは私どもの説明を受けたところでは、事業経費を次年度に繰り越して減収補てん債が総体としては減った、こう聞いておるのですが、いずれにしましてもいわゆる計画というもの、民間で言えば予算というものでしょう。それに対する収支の決算状況の差が一〇%を超えるというのは、やはりどこかに間違いがある、私はこう思うのです。  そこで、その間違いの基礎は基準財政需要額のとり方に問題があるのではなかろうか。午前中、人件費、給与の面についての差というのは人員の増加ということに問題があるのだという御指摘がありまして、賃金が国家公務員の賃金より高いという問題ではなくて、その地域における行政需要が必要な人員の確保をしなければならないという条件の中に給与の差が非常に大きく出てくる。そういう意味では、地方団体の必要とする需要と、国が基準財政需要額に抑え込んでいる算出の基礎との差、これが今日のこれほどの全体としての乖離を生んでいるのではなかろうか、こういうふうに判断するのですが、間違いでしょうか。
  129. 首藤堯

    首藤政府委員 お説でございますが、若干私ども見解を異にしておるわけでございまして、地方財政計画がどういう性格を持つのかというところからと思いますが、御説のようにこの地方財政計画はいわば地方財政予算書、こういうものとは考えていないのでありまして、これは地方財政が標準的な水準における行政運営をやった場合の収入支出の均衡状況がどうなっておるのか、こういうことをあらわしますために試算をし国会にも御提出を申し上げる、こういうことでございます。したがいまして、この計画の標準的な水準における行政執行の場合に財源が不足をするのかしないのか、不足をするとすれば幾ら不足をするのか。それに対しては完全な財源措置をしていかなければならぬ。こういう使命を私どもとしては感じておるわけでございます。したがいまして、財政計画に算入をされますいわゆる歳出歳入も、いわば標準的な事務を執行し、標準的な歳入のやり方をやった場合にどうなるか、こういう意味算定がされておるわけでございます。したがいまして、実際上の地方財政の運営は生き物でございますから、それに対していろいろな地元の実情、実態、こういうものを反映して運営をされてまいります。個々の分に乖離が出てくることは、その性格が収支の状況をひどくゆがめて財源措置額を違えてしまった、こういう性格のものでなければ、あえてそれほど異とするには足りない。もちろんなるたけ近い方がよろしゅうございますから、それは規模是正という点をわれわれも努めておるわけでございますが、そういう性格のものであろうと考えております。したがいまして、たとえば年度末の民間に対する年末融資とかなんとかこういうたぐいのものでございますね、こういうものは歳入歳出ともそろって両建てに計上されるものでありますから差し支えない、こう考えております。  それから人件費関係でございますが、人員数におきます理論的に詰めるべき乖離、こういうものについては、私どもも四十八年それから去年を通じまして努力をしてまいったところは先生御案内のとおりでありまして、結論的にはこの二年間で約二十四万人、こういう人員の修正をやっております。残りが若干差がございますが、これは義務教育における単独職員であるとか、警察官における単独職員であるとか、あるいは国と同様の立場でいわゆる人員整理、合理化、これを立てておるわけでありますが、それがなかなか実施しにくいとか、こういうような面の乖離につきましては、いわゆる財源不足額、国として財源措置をしなければならぬ額、こういうものを算定する場合としてはなかなか算入しにくい、こういうことになろうと思います。またその給与単価の問題も、標準的な状況での収支を試算して、そこまでは国が財源補てんの責任を持つのだ、こういう立場から考えますと、ラスパイレスの一〇〇を超えた分、それが実態でありますけれども、それを歳出に掲げてこれだけ金が足りませんという計画にはなかなかなりがたいわけでございます。
  130. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 揚げ足をとる意味ではございませんけれども、標準という言葉、いろいろ差はあるのでしょうけれども、地方財政計画に対する決算が何%くらいだった場合には標準という言葉になるのでしょうか、聞き返すようで申しわけありませんけれども。
  131. 首藤堯

    首藤政府委員 そういう意味ではございませんで、標準的な行政活動をした場合の所要経費ないしは収入、こういう意味でございますから、いわば歳出面におきましては、たとえば人件費等においては、通常の給与改定率プラス通常の昇給率、それから事務の増大に見合う人員増、こういうものを標準的に算定をいたしまして計算をした額ということになりましょうし、投資的経費の場合には、公共事業の場合は国の予算の伸び率、こういうものに応じて伸びた状況、単独事業もまた同様にそれを下らない伸び率で算定をした場合、こういうような財政規模になるわけでございまして、それが実際の決算に比べて何%ということにはならないと思います。
  132. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そのとらえ方が私の考えと違うのです。というのは、たとえば医療給付、六十七歳以上の老人の医療を無料にする。もし求めるとすれば七十歳、国がそうだから。私はもし各地方自治体が自主的な能力として、今日、日本の社会条件としては六十七歳以上の老人の医療なら医療を無料にした方がよろしい、多くの都市がそういう条件になってきたときには、国が仮に七十歳の老人医療無料の線を引いておった場合には、それを自治省側が地方団体実態の上に立つ地方財政への組み入れといいましょうか、こういうものをとっていいんじゃないでしょうか。賃金についても同じことが言われると思うのです。賃金についても、いま国が標準として定めているものに対して一〇〇を超えた場合、それが実態ならばその実態に合わせて地方財政計画をつくっていく、いわば基準財政需要額の基礎になるべき数字を、そういう把握の仕方をしながら乖離の差を詰めていく、このことが必要じゃないかということを実は思っているわけですよ。いかがでしょうか。
  133. 首藤堯

    首藤政府委員 一般行政費におきます単独事業それから投資的経費における単独事業、これはまあ地方財政状況から言えば、それは多々ますます弁ずるということにもちろんなるのかと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、国、地方を通じましての財源の支えと申しますか、枠と申しますか、こういうものの制約があることは、もう当然のことであるわけでありまして、したがいまして、たとえば五十二年度の例で申し上げますならば、一般行政費における単独事業、つまり国の補助金に縛られないで地方団体が独自にやれます事業は約三兆円、こういう額が設定してあるわけであります。この中で、まあこの中でと申しましても、これに完全に制約されるわけじゃございませんが、こういった程度の範囲内で何の行政に地方団体が重点を置いておやりになるのか。いまおっしゃいましたように、老人医療に力を入れるのか、乳幼児に力を入れるのか、そのほかのものに力を入れるのか、これはセレクションをされて活動をされて結構だと思います。投資的経費の単独事業においても、同様な意味で四兆四千八百億ほどの総額が計画に計上してございます。この中で身の回り道路をお選びになるのか、あるいは会館そのほかをお選びになるのか、これはいろいろな実情があると思いますが、そういう動きはしていただいてもちろん差し支えがないわけでありますが、そういうものを含めましての全体の規模までは国としても財源措置をする責任がある、そこまでは何としても的確な財源を付与する、こういう目の子での収支の均衡をとって立ててある計画でございますから、そのような立て方に相なるわけでございます。したがいまして、ここを、実情もっと伸ばしたいからうんと伸ばしたらいいじゃないか、それはそのとおりでございますが、おのずと制約があろうかと思っております。
  134. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 財源の押さえ方とか標準のとり方、これはいろいろの視点があるとは思うのです。しかし、私は、地方団体がいま条件として大体均一的にとらえられているものがあるとするならば、それはやはり財政基準の基準そのものを引き上げるという方向をとるべきだというふうに思います。でなければ、乖離の差はますます拡大するだけだというふうに実は思うのです。全体の国の財政があるわけですから、私はその財政の制約を全然見ずに地方財政計画をつくれとまでは申しません。しかし、地方団体が大体平均してこういう条件になってきた、たとえばいまの老人医療の問題にいたしましても、あるいは公務員の賃金にいたしましても、そういう条件になってきたときには、それなりに自主性を地方財政計画の中に取り入れていく、そういう姿勢がない限り、地方自治団体の自主的な活動というものは、国全体の財政規模の上でということで拘束をされ、削減をされていくわけですね。この壁を取っ払わなければ、私が当初申し上げましたように、自主財源の裏づけを持つ自治権の拡大ということになっていかない、私はこういうように思います。そういう意味ではこの乖離の差、四十九年度から五十二年度に向かっては少し詰まったようですけれども、できる限り縮小し、実態に沿う地方財政計画が、五十三年度ないし五十四年度はだんだんととられていく、その方向にぜひ進んでいただきたいというふうに思います。  次に、基準財政需要額の交付税に算入される単価差、対象差についてお聞きしたいというふうに思います。  まあたくさんありますが、教育関係の義務教育関係に少ししぼってお聞きをいたしますが、学校用地の取得経費、この用地取得経費については、人口急増市町村についてはその元利償還金の交付税算入を行う、そういう方向になったというように聞いておりますが、現在対象になっている都市はどういうところで、この制度は何年から取り入れたのでございましょうか、
  135. 今井実

    ○今井説明員 お尋ねの義務教育学校の用地の起債に対します元利償還につきましては、急増市町村に限りまして、現在交付税におきましてその四割を算入いたしております。  この仕組みが始められましたのは、国庫補助制度が創設されましたことに関連いたしまして、昭和四十七年度からこの算入をすることにいたして現在まで至っておる状態でございます。
  136. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 人口急増都市といいますと、どこで線引きといいましょうか、枠を決められておるのですか。
  137. 今井実

    ○今井説明員 小中学校の児童生徒の三年間の期間をとりまして、この期間におきまする増加数が一〇%でかつ五百人、小中学校でございますが、中学校の場合には五百人が二百五十人になりますが、以上であること、あるいは五%以上でかつ千人以上であること、この場合にも中学校の場合には五百人以上とそのいずれか、それからもう一つ、一五%以上でかつ三百人、この場合にも中学校の場合には百五十人以上というような基準で急増市町村であるかないかということを判断いたしましてこの措置を行うということになっておるわけでございます。
  138. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 学校用地の取得は、それぞれの市町村においては、人口急増の場合には財政負担が非常に大きい、これは事実ですが、今日はこの制度ができて以来、四十七年ですから、もう五年以上たつわけですね。どうでしょう。この際私は、人口急増都市に対する元利償還金の交付税算入は全市町村にわたって認められるべきではないかというように思いますが、財政局長いかがでしょう。
  139. 首藤堯

    首藤政府委員 通常の事態におきます義務教育施設、これに対しましては普通交付税算定の際に平均的な所要額、こういうものを単位費用の中に積算をして、通常の団体に交付するというかっこうに相なります。特にその場合に、用地を取得しなければならないといったような事態には一時にたくさんの金が要りますので、こういったものに対しては地方債を許可して地方債でもって賄う、その償還費は将来長年にわたって支払われる、こういうかっこうになるわけでありまして、そういう意味では均衡化をされた将来の償還費、こういうものも含めまして、通常の単位費用の策定はそういう考え方でやってあるわけでございます。ところが、人口急増地域の場合はそのような措置では足りませんで、一遍に何校もつくらなければならぬというかっこうになりますので、これは通常の交付税措置でやっていくだけではとても足りない。したがって、もちろんこの取得に対しては地方債の許可をいたしますが、その地方債の償還額もならした単位費用で賄えられるようなかっこうにならずに、こぶつきになりますので、その地方債の償還費そのものを特に四割取り上げて交付税に算入する、こういう特別の措置をとってあるわけでございます。したがいまして、何もかも、この土地の償還費等を交付税に算入するというやり方もあるのかもしれませんが、そうやるとすれば、今度は根っこの方の単位費用を、そういったものを除いた額で設定をする、こういうかっこうに相なろうかと思います。通常の事態では、ただいまの交付税措置、特に人口急増のように事業が集中するという場合に対して、ただいまとっておりますような事業費補正の措置、これが妥当ではないかと思っているわけであります。
  140. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 学校用地取得経費の算入単価についてどうなっているんでしょうか。これは文部省の補助金の中で出てくるわけですから、学校用地取得の算入単価並びに補助金の算出の基礎、これについてひとつ、文部省の倉地さんですか。
  141. 倉地克次

    ○倉地説明員 補助金の執行に当たりましてどのような単価をとるかという問題でございますけれども、私どもの要綱で定めておりますのは、各市町村がお買いになった買収単価または地価公示法にございます公示価格のいずれか低い方を用いまして、補助金の基準額を算定しているわけでございます。なお、公示価格がないようなところ、またはそれによりがたいようなところにつきましては、市町村に地価評価委員会などを設けてございますので、そういったところで評価した価格によりまして措置している次第でございます。
  142. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 それに対する補助金の率は何ぼですか。
  143. 倉地克次

    ○倉地説明員 補助金の計算方法を概略申し上げますと、そのようなことによりまして算出された単価につきまして、まず補助対象となりました面積を掛けるわけでございますが、それに対して交付率の七〇%を乗じまして、さらに補助率の三分の一を掛ける、そういうことになる次第でございます。
  144. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 七〇%ということは、三〇%足切りがされているわけですね。それの三分の一ですね。実勢単価と公示単価、これは大蔵省の方で指示されるわけですが、私どもの推定ですけれども、大体実質単価と公示単価との差は恐らく三分の二ぐらいではないかというふうに推定をされるわけです。そして、その低い方でやるわけですから、公示単価でやられる。その上に三〇%の足切りがあって、それに対する三分の一の補助金、こうなりますと、実質的には、学校用地取得のための補助金というのは実際に求める金額の何分の一になるんでしょうか。実際にこの土地が、たとえば坪十万なら十万で買い、小学校ですと大体六千坪程度でしょうか、六億。それに対して補助金は一体幾らになるんでしょうか。いまのような足切りの条件、あるいは公示価格、さらには三分の一ということになりますと、先ほど学校用地の取得経費について、急増地域に対する手当ては行ったけれども、一般的には、標準的なもので、この学校用地の取得が地方団体でなされるということは大変な負担ですね。私は人口急増地域に対してもこれはより一層の圧力がかかっているというふうに思うんですが、どこかこれを改定をして、義務教育のための用地取得についてはどういう形で地方団体に援助をし、その財政負担から免れさせてやるかということが問題だと思いますが、義務教育ですからね、逃れることができない地方財政地方行政の中の需要ですよ。これに対してこういう形では、余りにも地方団体に負担をかけ過ぎるのではないかというふうに実は思うんです。  そういう意味では、まず第一に算入単価の引き上げの処置、このことを第一に考えられてはいかがでしょう。これは文部省側の補助金ですから、当然自治省としては、そういう実態にあるという前提の上で、地方団体の負担を軽くする意味でも、補助金の算入単価の算出の際には、大蔵省に対し、文部省側とその面の引き上げを行うために協力をさるべきではなかったかと実は思うのですが、五十二年度予算編成の段階ではこの辺は文部省側とどういう連携のもとに作業をされたのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
  145. 倉地克次

    ○倉地説明員 先ほど補助金の補助単価の問題につきまして御説明をしたわけでございますが、やや説明不足していた点がありますので、補足させていただきたいと思う次第でございます。  先ほど、実際の買収価格と、公示価格とを基準として市町村が定めた価格のいずれか低い方によって補助単価とすると申し上げた次第でございますけれども、これは地価公示法第九条というような規定がございまして、土地収用法によりまして、市町村がいろいろな土地を収用できるような事業をする場合の取得価格については、地価公示法に定める公示価格を規準として取得価格を定めるというような規定もあるわけでございますので、制度といたしましては、このように買収価格と公示価格を基準とした市町村が定めた価格のいずれか低い方ということで私どもやっているわけでございますが、実態といたしましては、五十一年度の例で申し上げますと、高いのは一平米当たり十五万二千四百円、低いのは最低ですと千四百円ということでございまして、実際に私ども調べてみますと、関東近県のある例によりますと、おおよそ九〇%以上が買収価格によって私ども補助しているということでございますので、執行に当たります単価の取り方につきましては、私どもできる限り実態に即するような措置をしているというふうに考えておる次第でございます。
  146. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと、前段の説明が間違っていたと言っては失礼ですが、法律上の規定よりも、実質的には買収単価の九〇%で単価算入している、こういうふうに見ていいのですね。
  147. 倉地克次

    ○倉地説明員 ただいま申し上げました九〇%というのは、買収単価の九〇%という意味ではございませんで、実際の補助件数から見てみますと、その件数のうちの九〇%ぐらいが大体買収価格によって補助対象になっておる、そういうことでございます。あとの一〇%程度につきましては、公示価格を基準として市町村が定めた価格、またはそういうものがなくて、土地評価委員会が評価した価格、そういうものが補助単価になっている、そういう意味でございます。
  148. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 結果的には同じだと思うのですね。いわゆる補助対象になった九〇%ぐらいが実質単価の九〇%ぐらいの割合で単価を決めているということですから、八割前後はそういう形で行っているということになるわけでしょう。
  149. 倉地克次

    ○倉地説明員 大変恐縮でございますが、ある市町村につきましては買収単価でまるまる補助をするわけでございます。その市町村の中にもいろいろ学校があるわけでございますけれども、その中のAという学校につきますとそれは買収価格でまるまる補助をするわけでございますので、単価の取り方については買収価格そのものということでございます。  ただ、場合によりましては地価評価委員会などが評価した価格、これもその市町村が評価されるわけでございますので、できるだけ合理的に評価されるわけでございますが、どうしてもその評価が買収価格まで到達しないというところもあるわけでございますので、そういうところについてはその評価価格によって補助をしているということでございます。そうした評価価格で評価したような学校、それから買収価格で評価したような学校、いろいろあるわけでございますが、買収価格で補助したものが関東近県の場合ですと九〇%を超えているということでございますので、九〇%が補助単価になる、そういうことではないわけでございます。
  150. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 わかりますよ。九〇%が補助単価でないということはわかるのですが、しかし、買収価格で求めているのが九〇%近くあるということは結果的にはほとんど買収価格に近くなってきた。もちろん市町村によって違いますよ。土地評価委員会の査定もありましょう、あるいは公示価格を算入単価にしているところもあるでしょうけれども、関東近辺という例を挙げられましたが、全体としては買収価格で買い入れているところが大体九〇%前後ある、こういうことですから、そうなってくると、先ほどのいわゆる実質買収単価と公示価格とのいずれか低い方のものをもって云々という、これは通達になるんでしょうかあるいは施行令になるんでしょうか、この辺が事実上は空文化しているんですね。私はいまのお話を聞いて、算入単価の問題はできる限り買収価格に近づける、その中でもなお三割の足切りがあるわけですから、さらに加えて補助率は三分の一なんですから、このことを念頭に置きながら、最初質問の学校用地取得経費の元利償還金は、全市町村にわたって交付税算入にするようにこれからの方向としてぜひ取り入れていただきたい、こういうように思います。  その次に市町村病院についてであります。御承知のように、市町村病院は独立採算制という形でやっておりますが、実際は一般財源からほとんど繰り出しですね。しかも今日の市町村病院は非常に公益性が強いわけですから、いわば公立病院の肩がわり的条件というのを幾つかやっているわけですよ。いま市町村立病院の議題が地方議会で問題にならないところはないですね。特に一般財源からの繰り入れが非常に大きいものですから、そして指摘をされるのはいわゆる国保収入、診療収入、それと実質収入との差ですね。特にいわゆる人件費の問題に絡んで看護婦が多いあるいは医師が多い、こういう指摘が非常に多いんですね。しかし、振り返ってみれば、私は市町村立病院があればこそ、いまの日本の医療体制の欠陥を各面で補っているというふうに思うわけです。特にたとえば付添看護婦、完全看護という状態がなかなかとれないのが今日の日本の病院の体制ですから、仮にとったとしてもそれがほとんど自前の費用、家族が付き添いした場合には家族もろとも病気になってしまうというような状況、しかもその家族が看護体制に入ったときにはその看護料は一銭もおりません。これは健康保険法でもおりませんし、国保の中でもおりないわけですね。そうなってくると、完全看護ができ得るような条件をつくっておる市町村立病院に頼る依存度というのは非常に強くなってくるわけですよ。しかもそういう状態ですから、勢い市町村の病院の病院収入だけではとても足りないから、一般財源から繰り入れをしてこの赤字を埋めているというのが現実の状態ではないでしょうか。私は、この公益性から見て、市町村立病院に対する普通交付税による財政援助の処置をこの際強化をすべきではないかというふうに実は思うのですが、財政局長いかがでしょう。
  151. 塩田章

    ○塩田政府委員 いま市町村立病院のお尋ねでございましたが、私ども、都道府県立の場合と市町村立の場合と制度的には区別しておりませんので、便宜一括して申し上げますと、すでに御承知と思いますが、四つの財政上の大きな柱で対処しております。一つは建設改良あるいは医療機器の整備につきます起債措置というのが第一点でございます。それから第二点は、いまお話もございましたが、いわゆる診療収入等をもって充てることが適当でないとか、あるいは効率的な経営を行ってもなおかつ不足するという場合の一般財源からの繰り入れの問題、これにつきまして地方財政計画上あるいは特別交付税上の措置というのが第二の柱。第三は、いわゆる厚生省の方面で行っております病院関係の国庫補助というもの。それから第四は、四十九年度に行いました病院の特例債の措置という、現在その四つの柱で対処をいたしておりますが、いまお話しの、たとえば看護体制が十分であるところの市町村立病院にウエートがかかってくる、こういう場合の問題でございますが、具体的には、恐らく特別交付税措置しておりますところの市町村立病院の場合は、僻地でありますとかあるいは不採算地区でありますとか、そういったような観点から見ますところの繰り入れ措置というのは一番問題であろう。これは市町村立病院の区別せずに全体で申し上げますと、大体千百億円くらいの繰り入れを一般会計から行っております。それに対しまして五十一年度の特別交付税で申し上げますと、約二百五十七億ばかりを措置しております。この場合に特別交付税算定の仕方としまして、いわゆる不採算地区病院に重点を置く、あるいは病床割りによりまして段階を設けまして、かつそれに当該団体財政力指数によるランクをつけて、財政力の弱いところに多く配分するという形をとっておりますので、全体的に二百五十七億でございますが、結果的には市町村の方にウエートを置くような配分をしておるというような措置をとっております。
  152. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 不採算性でない病院というのは市町村立でありますか。いわゆる病院の診療収入と病院の支出とがバランスシートがとれているというところはありますか。現実にはないんじゃないですか、どうですか。
  153. 塩田章

    ○塩田政府委員 いろいろ繰り入れをやっておりますので、繰り入れ後の状況で見ますと、市町村立の場合約半数が黒字で経営を行っております。
  154. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 繰り入れ財源が非常に多いですよ。いま国で措置されておるのは二百五十七億。しかし、一般会計から地方団体が繰り入れしておる額を総計しましたら、先ほどの一千二百億ですか、前後になるんじゃないでしょうか。ということは、市町村立病院を持っていればいるほど一般財源の方が食われてまいりますから、結果的には病院をやめてしまえというそういう意見が出てくるわけですね。私は、これは日本の健康と命を守る最低の手段だと思うのです。この財政の面から、そういう公的病院をやめてしまえ、こういう意見が起きることはまさに嘆かわしい事態だと思うのです。どうなんでしょうね、そういう面も含めて、この際市町村立病院に対する財政援助の措置を拡大するという方向に施策がとれないんでしょうか。
  155. 塩田章

    ○塩田政府委員 市町村立病院の今後の財政措置の強化の問題でございますが、いま申し上げました繰り入れ措置は、全体の地方財政計画の中で、見通した中で、たとえば来年で申し上げますと千三百七十八億円の繰り入れということを五十二年度地方財政計画上計上いたしております。これに対します交付税措置、あるいはさらにまた特別交付税措置は、五十二年度の場合は未定でございますが、五十一年度につきますと普通交付税で約二百億、特別交付税で先ほど申し上げましたように二百五十七億というようなことで、これも逐次強化してまいっております。こういう点は、実績を見ながら今後とも強化してまいりたいというふうに考えております。
  156. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 一遍に大幅な拡大ということは困難でしょうけれども、それによって議会で病院をなくしてしまえというような状況が起きないように、私は理屈的にはわかりませんが、五〇%ぐらいはやはり交付税措置ができる、そういう方向でぜひ今後は指導体制を強めていただきたい、あるいは財政措置を強化をしていただきたい。このことをひとつお願いをしておきます。  第二に私は、当初地方財源の強化ということを、この財政危機、地方自治体の危機を突破するために申し上げました。これは本来地方税法の際に質問をし、御意見を伺うべき課題ではあろうかとは思いますが、この際、一つだけお聞きをしておきたいというふうに思うのです。  地方税法のときに外形課税の問題について大変討論が行われ、自治省側も大変前向きにこの問題を処理し、これからも検討を加えていくというお話でありました。いわゆる自主財源、比較的安定した財源を確保し、同時にそれを地方の自治行政の裏づけになる財源として拡大をしてもらいたいというように思うのですが、私はその際に、三公社について納付金がつかみ金ではおかしいのではないかという質問を実はしたわけです。三公社に対する固定資産税、この固定資産の評価というものが地方自治体には全然わかっていない。したがって国としては納付金という形で地方に交付をするのであるけれども、その積算の基礎について地方団体が全然わからないのはおかしいのではないかというお話をしまして、答えとしては、今後できる限り、地方団体にどういう積算の基礎で納付金が渡っているかをひとつ知らせましょうというお答えでした。  そこで、同じ三公社ですが、県税についてちょっとお聞きをしておきたいというように思うのです。いま、法人事業税は、一般的には従業員割によって各県に事業税として徴収をする、こういうことになっておりますね。これは間違いございませんでしょうか。
  157. 森岡敞

    ○森岡政府委員 事業のうちで二以上の都道府県にまたがって事務所、事業所が所在するものにつきましては、全体の課税標準、これは所得を課税標準にいたしますものは所得でございますが、それを原則として従業員数、金融機関その他につきましては資産価額などを一部用いるものもございますけれども、そういうふうな案分基準を用いまして課税標準額を分割をして課税をする、こういう形をとっておるわけでございます。
  158. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 銀行、保険業に対する法人事業税は、店舗と従業員の併用、こういうように聞いておりますが、これは間違いないでしょうか。同時に、軌道関係、鉄道関係については延長のキロ数によって法人事業税を徴収している。いま一つ聞きますが、倉庫については固定資産額をもって法人事業税の基礎にしている、こういうように伺っておりますが、この三つ、間違いないでしょうか。
  159. 森岡敞

    ○森岡政府委員 銀行業、保険業につきましては二分の一を事務所、事業所の数に、それから他の二分の一を従業者数によって案分しております。それから地方鉄道事業、軌道事業につきましては、軌道の延長キロメートル数によって案分しております。それから倉庫につきましては、事務所または事業所の固定資産の価額によって案分いたしております。御指摘のとおりでございます。
  160. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 私はいま四つについて聞いたわけです。一般的には二都道府県にまたがる法人については従業員割、銀行、保険については店舗数と従業員の併用、軌道については延長キロ、倉庫については固定資産。そこで市町村の場合にも私はお聞きしましたが、三公社は県に対する事業税としての税はどういう形で払っているのでしょうか。軌道をお聞きいたしましたのは、国鉄はそれに相当するかを実は聞いたわけであります。銀行、保険については、電電公社といわゆる店舗の数が——店舗という名前はおかしいですが、事業所の形態がやや似ているものですからお聞きしたわけです。倉庫については、専売公社が持っているたとえばあの葉たばこの倉庫等を対象にして実はお聞きしたのですが、三公社については県税についてはどういう形で税の徴収が行われているのでしょうか。
  161. 森岡敞

    ○森岡政府委員 御指摘の国鉄、電電、専売の三公社につきましては、法人事業税は非課税ということに相なっております。
  162. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 たとえば市町村の場合には納付金という形でおりていますけれども、そういうものとしてこの三公社に対する非課税分を補っているという点はあるのでしょうか。
  163. 森岡敞

    ○森岡政府委員 納付金の制度につきましては、固定資産税という税金が非課税とされておるこの三公社につきまして、たとえば国鉄について申しますと私鉄とのバランスというふうなこともございますし、また地元でいろいろな財政需要もそれに伴って生じておりますので、納付金という形で固定資産税にかわるべき負担をしていただく、こういう仕組みをとっているわけでございます。  事業税の場合にはどちらかと申しますと、法人税、法人事業税、同じような考え方に立っておりますが、事業の中で全く公共性の強いもの、これにつきましては法人税も法人事業税も非課税法人にしておるわけでございます。この三公社について考えますと、まず第一に昔は国営事業でやっておったものでございますが、本来国が行うべき事業を他の法人を特別法によって設立いたしましてそれに行わせている、したがってまた出資も、全額国が出資している、こういういわゆる税法上の公共法人でございますので、これにつきましては、法人税と同様に法人事業税も非課税法人という取り扱いをしておるのでございます。そこのところは固定資産税にかわるべき納付金を求めておる仕組みとはやや性格を異にした取り扱いをしておるわけでございますし、また制度としてそれはやむを得ないことではないか、かように考えておるわけであります。
  164. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 前段の、公共性を持っているから別の形で、たとえば市町村民税の場合には納付金という形で納めています——わかるのですよ。課税が少なくなっていることも、公共性という立場から見て、あってもいいことだと私は思うのです。しかし私は、市町村民税にそういう形で納付されているものがどうして県の場合にはないのか。もちろん税の性格が違いますが、しかし市町村民税は払っていて、県の法人事業税はいかような形であれ、三公社がこれを納付しないというのはどうも合点がいきません。いま一遍、ひとつその差、その理由をお示しください
  165. 森岡敞

    ○森岡政府委員 三公社も市町村民税は納めておりません。固定資産税にかわるものとして納付金というものを納めておるわけでございます。固定資産税と申しますのは結局、土地、建物、工作物、税法上は土地、家屋、償却資産でございますが、そういうものがあればこれはもう原則としてだれでも納めていただきたい、こういう種類の税として私ども観念しておるわけでございます。  しかし事業税につきましては、事業活動を行う、それがやはり営利的な事業活動であり、一定の収益を生むということを前提にして求める負担でございますので、課税標準を所得にとるか、外形標準にとるかという議論は別にございますけれども、しかしそれにいたしましても、課税対象とするかどうかということになりますと、全くの公共法人についてまで課税対象にするのは無理だろうということでございます。
  166. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 事業を行っているわけですから——確かに公共性がありますよ、しかし事業を行っている限りにおいて、そこに事業に対する行政需要があることは事実ですよね。三公社についての市町村の場合にはおっしゃるように納付金という形で、いわゆる固定資産税にかわるものとして、その市町村のそれだけの行政的なサービスに対する納付金という形での見返りがあるわけですね。三公社についても、事業を営んでおるわけですから、それが公共性があって云々という問題は確かにあります、ありますけれども、仮にそれが公共性があって減額されるにしても、事業を行っている者に対する行政サービスへの見返りのものは当然納付をされるべきが至当ではないかというふうに実は思うのですが、いかがでしょう。
  167. 森岡敞

    ○森岡政府委員 法人事業税の非課税法人は、御承知と思いますが二種類あるわけでございます。  第一が、先ほど来申しております三公社のような公共法人でございます。これは単に三公社だけではございませんで、水資源開発公団もありますれば中小企業金融公庫もございますし、国民金融公庫、医療金融公庫、その他いろいろな公庫、公団、公社が公共法人として公共性のゆえに全体的な非課税法人になっております。  そのほかに、たとえば日赤でありますとか中央労働災害防止協会でありますとか、これはいわゆる公益法人と言っておりますが、これらにつきましては、収益事業を行いますればその収益事業部分には課税するが、収益事業以外の部分には課税しないという仕組みになっておるわけでございます。事業に対する課税ではありますが、他と申しましても、やはり営利を目的とし収益を生む事業を行うというところに着目して税負担を求める税でございますので、やはりそこは限界があるのではないか、固定資産税とは違った考え方で対処しなければならないのではないか、かように私としては思うわけでございます。
  168. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 固定資産についても公共性という立場でいけば同じでしょう。私はそう思うのですよ。市町村にたとえば電報局がありあるいは鉄道の駅舎がある、公共性だからこれに課税するのはおかしいという理屈は成り立ちますよね。がしかし、そこにある以上は、市町村ではそれだけの行政需要がある、だから納付金という形であるわけですよ。一方いま言った、三公社にしぼりましたけれども、それぞれの公益性のある事業体がそこで事業を営んでおる。収益はないかもしれませんよ。それは国民とのかかわり合いがあるわけですから、収益の面で見るのではなくて、事業がそこに存在する限り県としてはその事業に対する行政需要、サービスというものは当然あるわけですね。したがって私は、何らかの形でここに課税をするのが筋ではないかと思うのです、市町村におけるそういう条件からいっても。これは税法の違い、税法がそうなっているのだと言われてしまえばそれまでの話ですが、どうでしょう、これを対象にしての検討するという条項は生まれてまいりませんでしょうか。
  169. 森岡敞

    ○森岡政府委員 御意見ではございますが、固定資産税の場合には、非常に素朴な言い方でございますが、そのものに本来、もう負担がついておるという考え方、したがって、たとえば国鉄の場合には利用料金とか運賃とか、それから電信電話の場合には電話料金とか、その中に当然織り込まれて固定資産税という物税の負担がついておるもの、こういう観念でこの税金はできておると思うのであります。  しかし、事業に対する課税というのは、先ほど来繰り返して申しておりますように、現実の収益あるいは収益を生む力というものをとらえてまいりまして負担を求めるわけですから、本来収益を目的としない公社、公庫、公団につきまして負担を求める検討をするのは、これはいささかむずかしい問題ではないかという感じは、私は基本的に持っておりますので、御了解願いたいと思います。
  170. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ちょっと納得ができませんね。私はどうしても、収益ではない、しかしそこで事業を営んでいる限りにおいては、行政需要との関係で見ればやはり何らかの地方団体に対する負担があっていい、この感がどうしても抜け切れないのです。これはいずれ、私ども検討を加えて、いまの税法のあり方に対する私どもの意見を述べさせていただきたい、こう思います。  次に、第三番目の問題として、実は私は、地方財政の危機を乗り切るには受益者負担というものをこの際再検討すべきではないかと考えておる一人なんです。これは、いうところの今日の日本の政治体制あるいは構造の中で受益者負担という問題を提起をいたしますと、いわゆる住民へのしわ寄せという形に展開をされてまいりますから、そういう意味で受益者負担という問題を申し上げているのではないということを実は最初にお断りしておきたいと思うのです。  というのは、本来、地方団体というものは住民の自主的な機能である、したがって、今日のように中央政権の出先的な機能、私どもの細谷議員の言葉をかりて言えば、大蔵省の特別会計的な地方財政計画ないしは条件ではなくして、本来あるべき自主的な機能として地方自治団体が行政サービスを行い、同時に、住民の側の意見を取り入れる場ということになれば、必然的にそこには本来その恩恵を受けるべき受益者のそれぞれの分担、責任の分担というものがあってしかるべきではないか、こう思うのです。  そこで、私は先般、自治省がまとめられましたコミュニティーの研究という本を読みまして、この中に新しい地方自治のあり方というものが各所に芽生えていることを実は知ったわけです。その一つとしてコミュニティーボンドという言葉に非常に興味を持ちました。この中に新しい日本の地方団体のあり方というものをかいま見ることができる、こういうふうに思ったのです。  そこで次官にお聞きしますが、コミュニティーボンドという言葉を次官は御存じでしょうか。
  171. 中山利生

    ○中山政府委員 余り詳しくは存じませんが、一応聞いております。
  172. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 それだけ知っておられても大変りっぱなものだと私は思うのです。虫めがねで見なければこの言葉はわからないのです。私もあの研究の結果を見て初めて、こんなところに新しい地方自治体の芽生えがあるのかということを実は知りました。  コミュニティーボンドというのは市民債ですね、いわゆる市民にその債券を買ってもらう。自分たちの町づくりのために必要な自分たちのものを、自分たちが借金をしてつくっていこう、こういう考え方なんですね。ですから地域コミュニティーという問題を取り上げるときに、従来の自治会だとか町内会だとかあるいは既往の機構の中で自分たちの自主的な機能をつくり上げるのじゃなくて、市民委員会的な組織をその場に設けて、その市民委員会がたとえばスポーツについて、環境の整備について、娯楽について、あるいは自分たちの権利の主張について、そういうものをまとめ上げていく場所として地域コミュニティーをつくっていこう。そのセンターとなるべきたとえば集会所、あるいはそのセンターとなるべきスポーツ公園、そういうものを自分たちの借金でつくっていこうという発想と実行の計画なのですよ。それを自治省が裏づけをして市町村に行わしめるというふうになってきたのですね。これは、私は日本の新しい自治機能の一つの芽だというふうに実は見ているわけです。したがって、虫めがねで見なければわからないようなコミュニティーボンドという言葉なのですけれども、これを拡大することによって、従来の地方自治体のあり方、行財政のあり方というものを変えていくことが可能ではないかと実はこの中から私は見てとったわけですね。  これは例としては余りぴったりする例ではございませんけれども、横浜でいま横浜スタジアムの建設をやっているわけですね。御承知でしょうが、これは市が直接は関与はいたしていません。しかし、市が相当誘導政策をとりながら債券の発行をしているわけですね。いわゆる株の募集をしているわけです。債券という言葉は悪いですね。株の募集と言った方が正確でしょうか。出資金の募集ですね。その募集額に対して、またたく間に埋まっているのですね。やはり市民が、自分が必要とするもの、それはある条件が整えば市民がそれを負担する、責任を分担するという力を日本の地域住民は持っている。そういう意味では、このコミュニティーボンドというのをずっと引き出すことが必要だというふうに実は痛感をしたわけです。  先ほど交付税の問題あるいは減収補てん債の問題等がありました。もちろんあの膨大な金をそういう中で補うなどということはできないでしょう。しかし、私はそういう日本の政治機構というものをつくり変えていきますならば、意外とそこに市民が自己責任で負担をすべきだという問題をみずから考えて積極的に参加をしていく、こういう体制がつくられるのではないか、こういうように思っているのですよ。どうでしょう、本来なら大臣にお聞きすべきところですが、この芽を発展をさせることによって、従来の行財政の抜本的改革とよく言いますけれども、改革の次の土俵をつくり上げることができると私は思いますが、次官いかがお考えでしょうか。
  173. 中山利生

    ○中山政府委員 先生お話しのとおり、やはり本当の自治というのは、自治の精神、住民一人一人がみずからの住んでいる地域また自治団体といったものを、自分たちが参加をして発展させ、また充実をさせていくという姿であろうかと思います。国の方の政治もやはりそういうところから発展をしていかなければ、本当の民主主義的な国というものはできないのではなかろうかと思うわけでございます。  コミュニティーというものを自治省が、いまのところまだささやかでございますが、推し進めておりますのも、そういう住民の意識の面での啓発、また自治意識の伸長、そういうものを目的としていると思うわけでございますが、その中でのコミュニティーボンド、これも一つの具体的な参加の形式として、先生のおっしゃるように、これからももっともっと推し進め、また制度的にも強化をしていくことが必要であろうというふうに私は考えております。
  174. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そういう立場にもし立っていただけるならば、私はその一つの手がかりとして、このコミュニティーボンドをできる限り積極的に自治省内部で採用する、あるいは政策的に誘導する、そういう方向をとっていただきたいと思うのです。  そこで、財政局長にお聞きしますが、このコミュニティーボンド、残念ながら余り発展をしていないのですね。私が調べたところでは、神戸市において一カ所、それから栃木県の高根沢で、この場合いま借金証書という形ですが、一種のコミュニティーボンドです。どうしてこれだけの制度が拡大をしないのでしょうか。どこにネックがあるというようにお思いでしょうか。
  175. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、コミュニティーボンド、これは現在までのところでまだ数例というような段階にとどまっていると存じます。ただいま先生も御発言のございましたように、やはりこれを引き受けるという住民自体の意識、それとその気持ちの盛り上がりというものを、どう市町村当局とうまくタイアップしながら導き出していけるか、こういうところにこのコミュニティーボンドが成功するかしないかということがかかってくることであろうと思います。官庁側が宣伝をしたからといって、それに乗ってくるようなものではない。やはりそのコミュニティーを育て上げるという住民自体の気持ちの高まりがこういうかっこうであらわれてきている、非常に成功した例が数例ある、こういうことでございまして、こういったような実例を踏まえて、そういう高まりを住民の方に持っていただけば可能なんだということを私どもとしては市町村当局等にも宣伝をいたしている段階でございまして、さらにこの方向は進めていく必要があると存じているところでございます。
  176. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 住民の盛り上がりは、やはり行政機構の問題に関係するわけですね。当初申し上げましたように、行政区分の問題、そしてそういう自発的なものが発展しやすいような機構、これは市役所も県の地方団体も含めてですが、そういうものがなければ、積極的に参加をするという意思が生まれてこないと思うのですね。これは自治体の基本にかかわる問題ですから、ここで論議をするのもどうかと思いますけれども、地方自治体というものがお上の押しつけなんだ、産業政策の面では国の、中央の政策がそのまま地域では高速道路にはね返ってくる、産業道路にはね返ってくる、公害が生まれてくる、そういうものに対する市民の気持ちとして抵抗がある限りは成功しないと思うのですね。そういう意味では、地方自治体の側がどのように味方の側として上に向いていったのか、言うところのお上に向いていったのか、そういう姿勢が出たときに、それに積極的に参加をしようという気持ちが生まれてくると思うのですね。こういう意味では、私はこの一つの事例の中から引き出すのはなかなか困難だと思いますけれども、私が調べた範囲では、これが一つの手がかりじゃないか。これをもって、いま集権化されている中央機能に、その前面に自治省が立っていただく、このことがあれば、このある一つのことを通して、私は、住民の側の新しい政治基盤、機能というものができてくる可能性は十分あると思うのです。  これは非常に基本的な問題ですからこれ以上言いませんが、そこで当面は、このコミュニティーボンドが発展しやすいような条件を何とかつくってもらえないだろうか。たとえば、神戸の場合には五年据え置きの五年償還ですね。一千円と一万円です。そして利子が六分五厘。市民がつくり上げていったものに対して、十年で返還というのはむずかしい、こう言うのです。少なくとも十五年あるいは十八年、こういう体制に持っていければ説得がしやすい条件が生まれる、こう言うのですね。金利は六分五厘ですから、いまの物価の上昇からいけば少し問題が残るといたしましても、このコミュニティーボンドを発行してつくるものに対して、特別に、そういう償還年限も含めて、たとえば施設、付帯設備に対する一般財源での補強とかなんとかを行っていけば、私はこのコミュニティーボンドが意外と拡大をする素地を持つのではなかろうか、こういうように思うのです。具体的にこのコミュニティーボンドを発行しやすい条件を整えることにひとつ検討を加えていただけないでしょうか。
  177. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘の点、確かにいろいろと条件はむずかしい問題も現在あろうと思います。ただ、現在、住民の方々に引き受けていただく一つの地方債というかっこうでございますので、引き受けていただくにつきまして、長いのがいいのか、短いのがいいのか、もちろん利子は高い方がより有利であろうという気はいたします。また同時に、例のマル優といったような問題にも、あるいは起債でございますから関係があるかと存じます。やはり地方債を住民の方が引き受けるというためには、税上の優遇措置というのもあった方が非常にやりやすいじゃないかというようなことから、また本年度措置も検討されているというぐあいに聞いておるわけでございますが、そういったもろもろの条件というのがいろいろあろうと思います。そういう意味で、よりこういうことがしやすいようにという意味での検討は加えさせていただきたいと存じますが、現在具体的にどういう段階ということはちょっと申し上げる自信もございませんけれども、やりやすいようにというかっこうに持っていくこと自体については、私もそうした方がいいのじゃないかというふうに存じます。
  178. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 以上で質問は終わりますが、そういうことを通しても、結果的には地方財源の不足、いわば地方住民が求めている行政サービスに対応できる財源措置、あるいはいま言ったコミュニティーボンドを含めて、そういう新しい芽が次の地方行政のあり方だというふうに実は私は思うのです。その新しい地方自治のあり方に向かっていまの状況をどう脱皮していくのか、あるいは、いま個々の問題をずっと詰めてやりとりいたしましたが、学校教育についても一歩出ていく、あるいは総体の財源確保のためには地方交付税法改正していくという形、同時に、次の地方行政地方自治のあり方としてのフレームをしっかりと持ちながら、その中にある芽をひとつ育てていくという総体の形をぜひともとっていただきたいと思うのです。でなければ、地方財政の抜本的な改革とか日本の民主化とかいったって、前には進まないと私は思いますので、この点を強く要望して、質問を終わりたいと思います。
  179. 地崎宇三郎

    地崎委員長 権藤恒夫君。
  180. 権藤恒夫

    ○権藤委員 私は、四点にわたってお伺いしたいと思います。この中で先の二名の方と重複している部分もございますので、そういうところはごく簡単にお聞きいたしまして、時間も遅いようでございますので、なるべく早く終わるように質問をしてみたいと思っております。  今回の地方財政でございますが、二兆七百億円の不足が見込まれております。これに対しまして二分の一を地方債、二分の一を交付税の増額ということでございますが、この交付税の増額措置につきましても、九百五十億円の臨時特例交付金、九千四百億円の借り入れでございます。しかも九千四百億円の中を見ますと、一般会計の負担四千二百二十五億円、交付税会計の負担五千百七十五億円というように、今回の措置は私どもから見ますとまことに複雑怪奇と言わざるを得ない。そして国民には全くわかりにくいものとなっております。いろいろとあったでございましょうけれども、このような措置をした理由について、自治省の方と、それから大蔵省から来ていただいておりますので、矢崎主計官にお答えをしていただきたいと思います。
  181. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、明年度地方財政の収支を地方財政計画の手法によって試算をいたしましたところ、財源が二兆七百億円どうしても足りないということがはっきりいたしたわけで、この額は何としてでも完全に確保しなければ地方財政の運営がきわめて困難になる、こういう大前提に立ったわけでございます。  それからもう一点は、ここのところ、昭和五十年、五十一年、五十二年、地方財政の困窮が続いておりますので、地方交付税法六条の三の規定の精神、趣旨にものっとりまして、制度改正もしくは交付税率のアップというやり方でもって財源措置をしたいという希望も持っておったわけでございます。  そこで、最初は、われわれといたしましては、交付税率の引き上げも含めた財源措置要求をいたして、大蔵省ともいろいろ相談をいたしたのでございますが、一つには、何分にもいまの事態国、地方を通じて非常に財源が困窮をしておるという事実があること、もう一つは、交付税率の変更をいたしますのには、現在の経済情勢が高度成長から安定成長への変動の過程で非常に浮動的である、したがいまして、このような状況の中で長期的にわたります制度としての率の変更は、私どもとしては非常に希望したのでありますが、実質上これを設定するにはきわめて困難があるということに相なったわけでありまして、そういった前提を踏まえながら、二兆七百億円という財源措置をともかく完全に行っていこうという体制をとったわけでございます。  そこで、二兆七百億円の財源措置をいたします場合、このような国、地方を通じての財源危機の事態でございますので、一つにはできるだけ地方債を活用するということもまたやむを得ない、ただし、これは去年までとりましたようないわゆる赤字地方債の発行ということはぜひお断りをしたいけれども、建設地方債である限り、地方債をある程度活用することはやむを得ない。こういう観点に立ちまして、その結果、一兆三百五十億円でございますか、これは財源振りかえ地方措置をいたしたわけでございます。残りの額は交付税によって措置をいたすことにいたしたわけでございますが、国に現ナマもございませんので、やむを得ず九千四百億円というのは政府資金からの借り入れに頼った。しかし、この借り入れも含めまして一兆三百五十億円は、国にも将来の償還について負担をしてもらう必要があるというように考えまして、その半額に当たります分を臨時特例交付金及び将来の償還に対する臨時特例交付金の交付という法定の規定を設けてしのぐことにした、こういういきさつをたどったわけでございます。
  182. 矢崎新二

    ○矢崎説明員 お答え申し上げます。  ただいま自治省財政局長からお答え申し上げましたことと同じようなことでございますけれども、私ども、地方財政につきましては、国とともに国民経済におきます公経済の主体といたしまして非常に重要な役割りを担っておるものでありまして、車の両輪の一端をなすものというふうに考えておりますので、地方財政の問題を考えるに当たりましては、その適正な運営に支障を生じないように十分配慮しなければいけないというふうに考えておるわけでございます。こういった考え方に立ちまして、五十二年度地方財政対策を講ずるに当たりましては、地方財政状況とかあるいは地方交付税法六条の三第二項との関係等につきまして種々検討を加えたわけでございます。しかしながら、ただいま話にもございましたように、石油ショックを契機といたします経済の激変に伴いまして、国及び地方財政は非常に困難な状況に立ち至っております。これは経済の激変に伴います租税収入等の経常収入の全体が国、地方を通じまして著しく落ち込みまして、財政需要に比べまして非常に不足をするという状況に立ち至ったことに起因するものでありまして、こういった異例、異常の事態のもとにおきまして、交付税率のような、国と地方の財源配分に関します抜本的あるいは長期的な変更を行うということは適当ではないのじゃないかというふうに考えたわけでございます。そういったような考え方から、交付税率の引き上げということはいたさなかったわけでございますけれども、交付税法六条の三、二項の趣旨に照らしまして、地方財政の運営に支障が生じないように配慮をすることといたしまして、交付税につきましては一兆三百五十億円の特例措置を講じておりますし、そのうち九百五十億円は臨時地方特例交付金として一般会計予算措置をする、それからさらに四千二百二十五億円の臨時地方特例交付金を五十五年度から六十二年度までの間に計画的に繰り入れるというような制度改正を行うこととしたわけでございまして、私どもといたしましては、五十二年度地方財政の運営に支障の生じないようにできるだけの配慮をいたしたというふうに考えておる次第でございます。
  183. 権藤恒夫

    ○権藤委員 とにかく二兆七百億だけは何とかしたということでございますけれども、結局、これが地方債の大量発行というようなことで地方団体に借金政策を押しつけるという結果になってきておるわけであります。早急に地方財政が回復するという見込みが立たない中でこういうことが毎年毎年続いている、来年は一体どうなるのだ、こういうことが心配されるわけですし、二年以上引き続いて財政窮迫したときには交付税率のアップはしなければならない、こういうように言ってきているわけですから、やはりここでは、こういうような何とかしてということではなくして、地方公共団体が円滑に運営できるように、経済的な面からのはっきりとした裏づけをしておかなければならない、こういうふうに私は思うわけでございます。そういう意味で、とにかく過去に地方交付税の税率の改正はすると言ってきておるわけですから、このあたりで思い切って税率の引き上げを行うべきである、こういうふうに思うわけですが、それに対してどういうお考えを持っていらっしゃるか、それをお聞きしておきたいと思います。
  184. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のように地方財政は大変困窮をいたしております。国の財政もまた大変困窮をいたしておるわけでございますが、ただいまのところでは、国も地方も、少なくとも中期試算に示しておりますように、五十年代の前半、五十五年ごろまでには何とか税制改正を含みます抜本的な制度改正を行って、このような借金財政から脱却をいたしたいという念願は持っておるわけでございます。このように全般的な財政困難な事態、それからまた景気の変動も激しい事態であり、かつまた、将来の抜本的な税財政改正、こういう問題も目の前にぶら下がっておる事態でございますので、なるたけそういった事態の変遷に応じまして地方財政としては確固たる基盤を確保していきたい、こういう念願を持って対処をしておるところでございます。
  185. 権藤恒夫

    ○権藤委員 もう一問だけお伺いしておきたいと思います。  交付税率改正も早急にはやらない、五十五年ということでございますけれども、変動期だからできないのだとかいうようなことではなくして、やはり早急に結論を出すようなひとつ前向きの姿勢で検討をしていく必要がある、こういうふうに思いますので、強くそれは要望しておきます。  次に、態容補正の地域区分のことについてお伺いしたいと思います。  種地について甲、乙、丙と三種類に分かれておりますが、甲、乙、丙に分けた理由、それについてひとつお聞きしておきたいと思います。
  186. 首藤堯

    首藤政府委員 市町村の態容補正におきます種地でございますが、個々の市町村の財政需要が社会的な条件とか経済的な条件によって異なりますので、人口集中地区の人口であるとか経済構造であるとか、そういったような統計指標を用いて財政需要を的確に反映をするように種地区分をしておるといううのが基本的な考え方でございます。  甲地、乙地を区分をしております基本的な考え方は、いわゆる中核都市と申しますか、そういうものを一応甲地、それからその周辺の市町村を乙地、こういうような考え方でございまして、中核都市とその周辺市町村では若干その行政に質的な差異ないしは量的な差異というものが必然的に生じてくるのではなかろうか、こういうように考えておるわけでありまして、そのような趣旨で甲地と乙地が分けられております。
  187. 権藤恒夫

    ○権藤委員 甲、乙で種に一から八まであるようでありますね。それから丙が四までですか。ところが、各地方団体ですけれども、この種地を決定する場合、たとえば一番近い都市から距離をはかって甲にするとかあるい中小の都市からはかって乙にするとかというふうにいろいろとやって、とにかくいい方に決めているようですけれども、これは今日、甲とか乙とか丙とかというふうに分ける必要はあるのですかね。それをひとつお伺いを  しておきたいと思います。
  188. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げましたように、通常の場合の市町村の形態で、やはり中核的な使命、機能を背負っておりますところとその周辺の市町村、これはやつ。はり行政に若干質的な差があるのじゃないか、こう考えますし、また、こういった制度にみんななれてきておりますので、やはり種地の区分はある程度必要なのではないか、そのように思っております。ただ、いままでのように、たとえば種地の区分が一階級違いますと階段的にがくがくっと需要の算定額が違ってまいる、余りに極端に違い過ぎて、ちょっと点数が違うだけでうんと差が出てくる、こういうのは適当ではないのではないかと御批判も実は去年あたりいただいたのでありまして、去年、五十一年度から三年がかりでそういった階段的な差をある程度なだらかな曲線カーブに直していく、こういうようなことはいま試みておる最中でございます。  それからもう一点、大都市圏域等で群がっております市町村と申しますか隣接しておる市町村、こういったようなものにつきましても、ただいま御指摘のように、一定のところからの距離とか昼間流出人口等で差異をつけておりますけれども、それほど大きな差異は要らないのじゃないか、こういうような御主張もあるわけでございます。こういう点は、態容補正だけでなしに他に段階補正といったような問題点もございますが、今後なお行政の実態を細かに分析をしながら、激変が来ないようなかっこうでいろいろ客観的に修正をしていきたい、そういう努力はしてみたいと思っております。
  189. 権藤恒夫

    ○権藤委員 首藤さんもよく知っておられるように、朝倉郡の杷木町、それと朝倉町、これはもうほとんど変わらないです。町の規模も変わらないし、むしろ杷木町の方が財政規模は大きい。ところが、福岡からはかってまいりますので、朝倉町が手前ですからね、ここが乙の二、杷木町は乙の一になっているわけです。同じ生活圏ですね。経済も生活するのも全く同じ。そういうところでランクが一つ違いますのでかなりこれが交付税に影響してきているわけです。そういうことでいろんな計算基準の矛盾があるわけでございます。だから、いまおっしゃったように階段式になりまして、以前は二十幾つかランクされておったのが最近は八ランクということで一段階落ちるということで非常に困っておりますので、これは滑らかにする必要があると思うのですね。話によりますと、五十一年、五十二年、五十三年とこの三年間で是正をするというような計画であるようでありまして、五十一年で若干手直しをされておると思うのですが、その手直しをされた結果どういうようになったかということを何か例がありましたらひとつ聞かせてほしいと思うのです。
  190. 今井実

    ○今井説明員 五十一年度からただいまの階段状を連続線に改めるということを始めたわけですが、この結果の各市町村のこれに対する受けとめ方でございますけれども、私ども接しておる範囲では非常に喜んでいただいておりまして、異口同音に、この方針には賛成であるというふうに承っております。  ただ、具体的な団体の例を挙げて説明せよというお話でしたが、これにつきましては、ただいま具体の資料を持ち合わせておりませんので、別途資料等を調えましてお知らせさせていただきたい、かように考えます。
  191. 権藤恒夫

    ○権藤委員 大変喜んでおりますということで喜んでおりますというのじゃなくて、喜ぶようにやりなさいということであなたやっているわけですから、喜んでもらわなければ困るわけです。  こういうやり方になれてきているということで、これを早急に変えることはいろいろと問題もありましょうけれども、現在は、この甲、乙、丙が制定されたときと、経済、社会情勢というものは大きく変わっておるわけです。たとえ大都市でありましょうが、中小都市でありましょうが、あるいは郡部の市町村にいきましょうが、通信網でありますとか道路網の整備、それからいろんな流通体制というものが、都市、農村を問わずもう一元化してきておる。そういう中で、あえて地方交付税算定をする基準に差をつけるということは、これは非常におかしい、格差がつき過ぎる。そのような状態の中で、この需要というものが全く変わらないようになっているわけですから、もう早急に、これは改正をする必要がある、こういうふうに思うわけです。  そこで、いま財政局長が申されましたように、たとえば大都市を中心とした衛星都市、これをひっくるめてやはり考えていくべきである、こういうふうに思うわけですね。ぜひともひとつそれを実施してほしいと思うのです。  といいますのは、福岡市を中心に最近市が制定されました。大野城市とか春日市あるいは筑紫野市、これあたりは福岡市に住むよりも、都市に住むよりもその周辺に住んでおる方が環境がよろしいわけなんです。ですから、都市はもうほとんどドーナツ化現象、直ん中はぽっかりあいて周囲にびっしり、そういう都市が交付税算定基準ではがたっと落ちるわけなんですね。需要はどんどんどんどん急増している、それに算定の基準というのはがったり落ちている。だから、きわめて不合理であるわけです。  ちょっと私は計算してみましたけれども、人口約四万七、八千の大野城市が現在は乙の三ですけれども、これを乙の四にいたしますと、消防費だけで約六百万円違う、消防費だけですよ。全体合わせましたら何億と違うわけですね。だから、客観情勢の変化というものに対応せずに従来のあり方どおりにやっているところに、富裕な団体と、それから自主税源を持たない団体、こういうものがどんどん格差がついていくということにもうなってきておるわけですから、これを五十三年までにというのじゃなくして、早急に私は手当てをする必要があると思いますけれども、この心構えについてもう一回ひとつお聞きしておきたいと思います。
  192. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、態容によりまして格差が少し開き過ぎる、あるいは激変をし過ぎる、こういう御批判は十分承っておりますので、できるだけなだらかな、しかも極端に差がないようなかっこうに修正をしていく、こういう方針はとらしていただきたいと思っておるわけであります。  いま三年がかりでやっておりますが、何分にも財源措置のあり方でございますので、ひどく激変をいたしますと、やはりふえる団体はよろしゅうございますけれども、もし逆の現象が起こった場合にはその団体は大変困るという事態もございますので、ここはなるたけ急いでやりたいと思っておりますが、そう一遍にはできない、できるだけ早くそのようなかっこうに進んでまいりたい、こう考えておるわけであります。
  193. 権藤恒夫

    ○権藤委員 ふえる団体はいいけれども減る団体は困るとおっしゃいますけれども、やはりそのような中で、減ってもやっていけるところというのは何とか都合がつくものです。そうでしょうが……。ところが、ないところから出せというような、これはもうどうしようもないわけなのです、交付税に頼らざるを得ないわけなのですから。やはり早急にひとつ——首藤さん、あなたも四年間一緒にやってきまして、攻守所を変えるとこんなにまで変わるかというふうに私はいまちょっとびっくりしておるわけなのですけれども、皆さん方、実情をよくおわかりになっていらっしゃるわけでございますので、これも強く要望しておきたいと思います。  次に、直轄事業の負担金制度のあり方につきましてお伺いをいたしたいと思います。  初めに建設省にお伺いしたいのですが、会計課長が来ていらっしゃいますので、会計課長にお伺いします。  この直轄事業の運用において、事業の計画、それから事業の変更、こういうことにつきましては、地方公共団体と一体どういう合い議をなさっておるのか、そういう点についてお聞きをしたいと思います。
  194. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 お答え申し上げます。  地方公共団体とは、最近におきます公共事業の執行の客観情勢、社会環境等いろいろ考えますと、直轄事業といえども綿密な打ち合わせをしながら進めてまいりませんと執行ができない、こういう現状にございますので、たとえば五十一年度事業につきましては、五十二年度の概算要求の時点におきまして、少なくとも私どもの出先と地方公共団体の土木部サイドとの間でお打ち合わせをしながら進めておるというのが実情と心得ております。
  195. 権藤恒夫

    ○権藤委員 たてまえはそのようなものであろうと思います。ですけれども、本当の声は、この直轄事業の計画なり、あるいは変更というものがその間際になって通知をされる、そのために財政措置をするのに非常に困惑しておるわけです。ですから、一時はこの直轄事業返上論まで出たことがあります。まあ、他県にわたって行われる事業でございますので勝手なことも言えないというようなことで、それこそもう負担金の捻出というものには大変な苦労をしておるわけでございますけれども、やはりもっと、この地方公共団体財政秩序を乱すことのないような、そういう計画、事前の打ち合わせをやるべきであると思うのです。その点についてもう一回お伺いしておきます。
  196. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 確かに御指摘のように、地域におきまして連絡に非常にそごがあるというような点がございますれば、私どもとしても私どもの出先に、単に土木部に対する連絡調整のみでなく、必ずそれが財政当局、知事さんの耳にまで達するような実のある調整をするように指導していきたいと思います。
  197. 権藤恒夫

    ○権藤委員 政務次官、このことについてはどういうふうにお考えになりますか。
  198. 中山利生

    ○中山政府委員 直轄事業が、おっしゃるように地方の裏負担の調達について非常に大きな影響を与えているということは大変残念なことでございまして、これはちょっとしたお互いの努力を重ねることによってこういう影響をできるだけ少なくできるのではなかろうかと思いますので、今後とも努力を続けるように各省庁と連携をとってまいりたいと思っております。
  199. 権藤恒夫

    ○権藤委員 大臣でいらっしゃいませんのでこれ以上はあれしませんが、ひとつ大臣にも、閣議のときなんかには、よく建設省と相談をして、そうして地方公共団体が困らないような、そういう措置をとるように強く要望しておきたいと思います。  それから負担金の分担金の問題でございますけれども、この直轄事業の分担金というものは、やはり今後なくしていくべきじゃないか、こういうような結論の上から私は質問を重ねていきたいと思います。  と申し上げますのは、事業主体が、これは国であります。この国が事業をやるわけでありますから、この財源は当然国が負担しなければならない、負担するのがもうあたりまえである、こういうふうに思うわけでございます。ところが、実際そうではないわけでありまして、この中にもございますように、二千九百九十一億八千万、これが分担金となっております。ところが、先ほどから申しておりますように、事業計画が遅いあるいは変更等が遅いというようなことで金の捻出に困っている。だから、この分担金の納付というものがかなりおくれてきているんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、会計課長さん、この分担金の納付状況はどういうことでありますか、御答弁いただきたいと思います。
  200. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 昭和五十一年度地方分担金の納入につきましては、大体年度末までに一〇〇%納入されるというふうに報告を受けております。
  201. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この分担金の中で管理費、これはどういう割合になっておりますか。この分担金の中の管理費、そういうものについて区分がわかっておれば、御答弁ください
  202. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 私どもの直轄事業で大きいものは、道路あるいは河川でございますので、五十一年度の河川事業につきまして、管理費とおっしゃいます中には、いわゆる維持費的なものも含まれるわけでございますが、河川については、維持修繕費で九十四億一千六百万ほどでございます。その中でいわゆる人件費的、事務質的なものが百二十八億ございます。それから道路関係では、事務費的なものにつきましては、五十一年度で百九十億六千八百万ほどでございます。
  203. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そこで、大臣がお見えになりましたのでお伺いしますけれども、この直轄事業が、このように地方財政が緊迫した折に、一方的に地方自治体の方に指示をされる。ところが、これが国策の上でありますから、何とかひとつ協力をしなければならぬという考え方には変わりない。けれども、その分担金を出すのに精いっぱいであるというようなところから、単独事業がずっと縛られてくる。そこで、いわゆる地方団体におきましては、もう国策をとるか、あるいはローカル色を出すかというところまで来ているのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。そうして、この分担金にいたしましても、多額なものが要求されるわけであります。当然、この直轄の河川の改修で申し上げますと、河川環境整備事業費あるいは調査費、維持補修費、それから建設機械等の費用、それから多目的ダム建設事業につきましては、水資源開発公団の事務費であるとか、あるいは直轄堰堤の維持費であるとかというような、要するに管理行政経費までも持たされておるわけです。これは知事会でありますとか、そういう団体から、もう何とかしろというようなことで再三要望もあっておるわけでございますけれども、これが一向に解消されないということであるわけです。国と地方はもう車の両輪のごとくであると先ほど建設省はおっしゃいました。けれども、この両輪であるべき国と地方が、このような一方的な直轄事業の押しつけというようなことの中から、国と地方が行き違いになっておる、これが真実であるわけです。そういうようなことから考えまして、これを早急に、大臣が理想とするような、本当に車の両輪のような体制でもって、この国と地方行政が運営されていくような体制をとるべきである、こういうように思うわけでございますけれども、大臣、このことについてどういうお考えであるか、その点についてお聞きしておきたいと思います。
  204. 小川平二

    小川国務大臣 国道等の維持管理にかかわりまする直轄事業の負担金につきましては、地方公共団体が管理する維持管理経費に対しては国庫補助、負担の制度がないということとのつり合い、均衡の問題もございますので、地方団体に対しまする負担金との関係をも考慮しつつ、今後ひとつ研究をさせていただきたいと存じております。
  205. 権藤恒夫

    ○権藤委員 これは知事会から提言が出されておりますけれども、もう数回にわたって提言されているわけです。その都度善処するということで今日まで来ているわけですね。また、いま大臣もそのようなことをおっしゃっておりますけれども、もう善処するというような、考える時期じゃない。即刻実施すべきである。いま申し上げましたように、当然事業主体が持たなければならないような経費までも地方団体が持たされているわけでありますから、これは即刻、私は、考えるのじゃなくして、即刻実施すべきである、これは本年度からでもひとつやってほしい、こういうふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。もう一回念を押して聞いておきたいと思います。
  206. 小川平二

    小川国務大臣 ただいま申し上げましたような関係がございますので、ひとつそういう関係を念頭に置きつつ、鋭意研究をいたしまして結論を得たいと存じます。
  207. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それでは加瀬課長にお聞きしますけれども、河川改修あるいは維持補修の事業の環境整備事業費それから維持補修費、河川事業調査費あるいは建設機械費、こういうものにつきまして、また多目的ダムにつきましては水資源開発公団の事務費、それから直轄堰堤の維持費、こういうものを国が負担するような計画がおありかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  208. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 御承知のように、国の直轄の事業あるいは直轄の維持管理に要する費用の一部を都道府県に御負担いただいていることにつきましては、それぞれの法律に根拠があることでございまして、申し上げるまでもなく、これらの管理が国家的見地に立って、国土保全上あるいは国民経済上必要であるということで行われるものでございますので、これによって生ずる利益が地元の公共団体等にも当然帰するわけでございまして、そういう観点から、現在負担の公平ということで、もろもろの関係の負担割合が決められておるわけでございますので、そういう観点から、私どもがこの制度を直ちに廃止するということをここで申し上げるわけにはいかないということを御理解いただきたいと思います。
  209. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そうですか。この維持管理費等につきましては、管理行政経費というものは、これは地方公共団体が持つように決まっておりますか。
  210. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 そのとおりでございます。
  211. 権藤恒夫

    ○権藤委員 その根拠をちょっと教えてください
  212. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 河川法第六十条の第一項に「都道府県は、その区域内における一級河川の管理に要する費用(指定区間内における管理で第九条第二項の規定により都道府県知事が行なうものとされたものに係る費用を除く。)については、政令で定めるところにより、その二分の一を負担する。」このような規定がございまして、これに基づいて負担をお願いしておるわけでございます。
  213. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そうですか。これは自治省の石原さんの逐条解釈の中でございますけれども、まあこの負担金についてのいろいろな問題、諸点、複雑なことがあるので、あらかじめここで説明しておきたいというような意見が申し出されておるようでございますね。その中で「道路や河川の維持管理に要する費用は第十条の二に含まれないので、道路、河川の維持管理についての地方団体の負担は本法に基づく負担金でないことに留意する必要がある。これは地方財政法においては、公共施設の維持管理費は原則として管理者が負担すべきであるという建前をとっていることによるものである。したがって、道路法、河川法における維持管理に要する経費にかかる地方団体の負担金については、立法論としては、これを廃止すべきものと考える。」というような私案が出ておるわけでございますけれども、大臣この私案について何か……。
  214. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘ありましたように、地方財政法の考え方からまいりますと、建設事業費の分につきましては、いわゆる補助事業、つまり府県がやりますものに対して国が負担金を持つ、同様な建設事業を府県ではなくて国がやる場合には、率は下がりますけれども、その分の負担分を府県が持つ、これは地方財政法の考え方でございますが、その維持管理の面につきましては、これは地方財政法の考え方としては地方の維持管理費に国が負担金を持つという制度になっておりませんので、したがって、その十条の二に、こういう面から見ても地方財政法的な考え方からすれば、国のやる維持管理に対して地方が負担する必要がない、まあ立法論としてはそういう理論が成り立ち得るわけであります。しかし、現実法律としては、先ほど建設省が言われましたように、河川法そのほかに負担の規定がありますものですからそれが動いておる、こういうことでありまして、したがいまして、たとえば地方制度調査会等におかれましても、負担区分の修正等が議論になります場合には、将来建設事業に対する負担金も、両方とも自分のやる仕事は全部自分が持つという原則に徹するならそれはやめるべきであるが、その分がすぐいかないにしても、維持管理費の分はできるだけ早急に廃止をすべきである、こういうような意見が出されておるわけであります。私どもとしてはそのような考え方を持っておるわけでありますが、いずれにしても現行制度が現存をしておりますものですから、この改正についてなかなか話が難航しておるというのが現状でございます。
  215. 権藤恒夫

    ○権藤委員 もう一回繰り返しますけれども、加瀬会計課長にお聞きいたします。  いまここにありましたように例を引いて申し上げました。また私どもも地方財政が今日厳しい折に、やはりどうしても地域住民の要望にこたえていくためには自主財源が欲しいわけなんですね。そういう意味から、何とかしてこういうような分担金、その分担金の中でも特に維持管理費等については、これはもう事業主体が持って欲しいというきわめて強い要望であるわけであります。また地方財政法の中でも、地方公共団体は国の行う事業に対しては全くかけ離れたことをしてはならない、このように地方公共団体は国の国策上のその事業遂行に当たっては全面的に協力しなさい、こう言っておる。そのかわりに国は地方公共団体に対しましてはその財政の主権を侵しちゃならない、本来国の事業であるべきものに対して地方公共団体にその財政負担をかけちゃならない。こういうふうにお互いに車の両輪のように立ち行くようにしなければならぬということをうたっているわけです。ですから、ここで私どもが言いたいのは、地方公共団体が苦しいのですから、少しでも事業主体がそういう管理費等は負担をして、そうして地方公共団体に負担をかけないようにすべきである、抜本的に改正する抜本的に改正すると今日まで言うてきておりますけれども、これだけの膨大なもの、また今日までの歴史のあるものを一挙に変えるということはむずかしいでしょう。しかしながら、当然これはだれが見ても改正すべきである、国の事業を地方公共団体に押しつける、その維持管理費まで押しつけるということはだれが見ても妥当でない、というようなことにつきましては、私は早急に変えるべきである、これはもう常識であると思う。そういう立場から、もう一回会計課長さんにお伺いしておきたいと思います。
  216. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 どうも非常に重要な問題でありますので、私がお答えできる立場にないような御質問かと思いますが、地方制度調査会の御提言とかあるいは自治省からのお申し出ということは前々から承知しておりますので、引き続き検討させていただきたいと思います。
  217. 権藤恒夫

    ○権藤委員 大臣お聞きのとおりでございます。とにかく会計課長さんがここで云々するということは無理でしょうから、大臣の方から閣議等におきまして十分にひとついままで申し上げましたことの趣旨を尊重していただいて、地方公共団体で、当然国が負担すべきようなものについてはもう国が負担しなさい、そうして一つ一つ変えていって、そこから積み重ねて抜本的な改正に連なるようにすべきである、こういうふうに私ども思いますので、強く閣議等で発議をしていただきたいと思うのです。その決意をひとつお聞きしておきたいと思います。
  218. 小川平二

    小川国務大臣 御論旨は十分理解をいたしております。何分にも法律を改める問題でございますので、今後関係省等とも鋭意問題を煮詰めまして結論を得たい、こう考えております。
  219. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に移ります。  建設省から資材調査室長さんお見えいただいておりますので、浪岡さんにお伺いをいたしたいと思います。  大きな経済の変動、景気の低迷といいますかこういうものが問題になりまして、五十二年度は公共事業によって何とか景気を浮揚しようというようなことで、この大型公共事業というものが柱となっておるわけであります。その中で特に生活関連公共事業、これにウエートが置かれております。このような政府考え方から考え合わせまして、地方公共団体の行う公共事業の果たす役割りは非常に大きなものであるわけであります。  そこでお伺いしたいのでありますが、地方の生活関連公共事業の中でも特に重要な部分を占めております道路の舗装工事、これに使うアスファルトの件でございます。  最近の新聞の報道によりますと、このアスファルトを値上げしようということで価格交渉が行われておる、こういうふうに聞いております。しかしながら、この交渉がうまくいかずに、なかなか難航しているようであります。ところが、この値上げ交渉に応じなければもう出荷を停止する、こういう動きがあるように聞いておりますけれども、このようなことについてどう認識していらっしゃいますか、お聞きしておきたいと思います。
  220. 浪岡洋一

    ○浪岡説明員 ただいま御指摘のアスファルトの値上げの件でございますが、石油精製メーカー並びに石油の流通業者がOPECの値上げ等を受けましてアスファルトの値上げをしたいということは事実でございます。私ども公共事業を執行する立場からいたしますと、大幅な値上げは好ましくないという立場に立っておりまして、通産省とも連絡の上、値上げ幅の圧縮等についていろいろと検討を重ねてまいっております。
  221. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この新聞によりますと、トン当たり一八%、四千三百円ですか値上げするということですね。ところが、いまこの値上げをされると、需要契約をしておるとかというようなことで困るわけです。そこで、いま申し上げましたように、買わなければ、じゃ出荷を停止してしまうぞというようなことになっているわけですが、こういう問題について認識をしておられるだけではなく——認識はしておられるようですが、何かいろいろとこれらの問題が解決するように中に入って工作をしていらっしゃるかどうか、その点についてお伺いします。
  222. 浪岡洋一

    ○浪岡説明員 ただいま先生指摘のように、アスファルトの値段を四千三百円上げよう、かなり大幅な値上げでございます。私どもは、公共事業執行の立場から、先ほど申し上げましたように好ましくないということでございますので、両業界、アスファルト業界並びにユーザー側の建設業界を招きまして事情聴取をいたしました。私どもといたしましては、値上げ幅の圧縮についてそれぞれ要望いたしましたし、出荷拒否等の事態の起こらないように要望はいたしております。
  223. 権藤恒夫

    ○権藤委員 その結果はどういうことになりましたか。
  224. 浪岡洋一

    ○浪岡説明員 一部の地方におきましては、残念ながら一日二日程度の出荷拒否を行ったところがあるようでございますが、私どもの公共事業全般にはそれほど大きな影響は与えていないというふうに見ております。
  225. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そこで大臣にお伺いしますが、このような問題について自治省は、地方公共団体の先ほど申し上げました事業遂行上やはり重要な問題と思うわけでございますので、これについて何か対策を講じられておるかどうかお伺いします。
  226. 小川平二

    小川国務大臣 これは主管省に対して私どもから善処を要望する、こういう問題だろうと存じておりまするので、さようにひとつ要請をいたすつもりでございます。
  227. 権藤恒夫

    ○権藤委員 やはり公共事業の決算の時期でもございますし、かなり影響がある、こういうふうに考えられますので、これは団体が困らないように強く善処方を要請していただきたい、こういうふうに思います。  次に、資源エネルギー庁にお伺いをいたしたいわけでございますが、このストレートアスファルトの需給の動向は一体どういう状態でしょうか、これについてお聞きしたいと思います。
  228. 山中正美

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  現在、アスファルトの需給状況というのは大体四十六年当時の需要となっておりまして、私ども一応石油業法に基づきまして、燃料油等につきましては供給計画というのをつくりまして需給のバランスをとっているわけでございますけれども、アスファルトにつきましては石油業法の対象外ということに一応なっております。ただ、これに準拠いたしまして、一応アスファルトにつきましてもガイドライン的な需給バランスをつくりまして、供給の不足を来さないように業界を指導しているところでございます。  以上でございます。
  229. 権藤恒夫

    ○権藤委員 これは公共事業のピーク時に対応できるような需給の体制がとれておるのでしょうか、それについてお伺いします。
  230. 山中正美

    ○山中説明員 一応建設省等とも御相談いたしまして、四半期別に大体生産量というのを建設省の方からお聞きいたしまして、それに合わせるように努力しております。
  231. 権藤恒夫

    ○権藤委員 実際、これは私どもが調査してまいりました。ところが、だれからどういう話があったというようなことはなかなか業者としては言えないということで、発表してもらったら困るということでございますから申し上げませんけれども、かなり業者は困っておるわけでございます。そういうことも大分に知っていただいて、しかるべき指導なり示唆等をしていただきたい、これは強く要望しておきたいと思います。  それから、続けて通産省にお伺いしますが、OPECが一月一日に一〇%の原油値上げを実施しております。この一〇%の値上げを実施したのが、この一月一日値上げをした以降に買い付けた油が日本に着くのは大体いつごろでしょうか。
  232. 山中正美

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  大体、ガルフ沿岸から来るのが大部分でございますけれども、約二十日間でございますから、一月一日以降OPECの方で値上げ通告がございましたので、一月二十日以降値上げされる分は大体上がっていく、こう考えて間違いないと思います。
  233. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そのような中で元売り値上げ声明を三月十六日に発表いたしておりますけれども、この三月十六日に発表した理由はどういうことでしょうか、おわかりであればお聞かせ願いたいと思います。
  234. 山中正美

    ○山中説明員 先生も御承知のとおり、現在の石油の価格の八割強が原油の値段ということになっているわけでございまして、そういう意味で合理化による価格の吸収力というのは非常に少ないわけでございます。一応私ども石油業界から聞いておるのは若干の備蓄がございましたものですから、それを踏まえまして、高いのが使われるのが大体三月の半ば以降ではないか、こういうことであると考えております。
  235. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この値上げ声明をしました先発組六社、これは日本石油、出光あたりでございます。いま備蓄の状態をお話しになったけれども、ちょっと聞きにくかったのですが、それではこの備蓄状況、各社別に言いますと大変でございましょうから、これは大手メーカーとかあるいは弱小企業、そういうものに分類して、現在の備蓄状況がどういうものであるか、お聞かせいただきたいと思います。
  236. 山中正美

    ○山中説明員 各社の備蓄状況でございますけれども、これは石油備蓄法によりまして備蓄する義務がかけられております。三月末現在、大体七十五日分、こういうふうに一般的に考えております。
  237. 権藤恒夫

    ○権藤委員 これは各社別はわかりませんか。
  238. 山中正美

    ○山中説明員 大体普通の営業といいますか営業活動を続けるためには四十五日分があれば至当でございまして、それ以上の分というのはよけいなものといいますか、いわゆる緊急時対策として、法律で石油業界に義務づけているわけでございまして、だから、大体義務量七十五日分というのが各社のぎりぎりいっぱいのところと考えていただいてほぼ間違いない。一、二の企業では若干多いところもございますけれども、大体平均してといいますか、最低限七十五日、これは法律で義務づけられておりまして、それを割ると罰則がかかる、こういう仕組みになっております。
  239. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この備蓄は、法律で決められておるのは七十五日分ですか。間違いありませんか。
  240. 山中正美

    ○山中説明員 備蓄法によりますと、五十四年度末九十日を目標といたしまして、五十年度から五日づつ積み増していくということになっておりまして、五十一年度末、つまり三月三十一日でございますけれども、そのときに七十五日分を持つ、こういうふうになっております。
  241. 権藤恒夫

    ○権藤委員 私どもの調査した範囲でわかっておりますのは、平均はおっしゃったとおり七十五日でございます。けれども、優秀な企業では、すでに九十日分の備蓄がある、弱小な企業でも七十日分はある、こういうふうに見ておるわけです。これには間違いございませんか。
  242. 山中正美

    ○山中説明員 石油の備蓄量自身は、各社によって、いわゆる販売の形態によりまして非常に変わっておりまして、たとえば十二月末現在は平均して八十五日から九十日近くあったわけでございますけれども、灯油の需要が冬季に集中いたすものですから、十二月からだんだん備蓄量が下がってきまして、大体例年三月末に一番最低になるというパターンでございまして、多いところは確かに八十日近くあるところもあると思いますけれども、きついところは七十五日ぎりぎりいっぱい、こういうかっこうになっていると思います。
  243. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いまおっしゃるように、九十日分あるということは確認されておるわけです。たとえば日石に例をとりますと、先ほど、買いつけてタンカーでこちらへ持ってくるのに約一カ月を要するということですね。そうすると、この九十日分の備蓄量と輸送期間三十日を合わせますと、大体百二十日分は十分にあると考えられるわけです。いまあなたは三月の十六日あたりが大体そうじゃないか、元売りの値上げ声明をしたのが三月十六日でございますから、そうだろうとおっしゃっておりますけれども、私どもの計算をするところによりますと、優秀な企業で備蓄量が九十日あるところは、値上げするのは五月初めになってちょうどいいんじゃないかというふうに考えるわけです。なぜこう申し上げるかと申しますと、いわゆるあの石油パニック当時、とにかく値上げをした、産油国から油を出さないということだけで、その翌日から物価が急騰したというようなことを二度と起こしてはならないということでこの備蓄法というものが制定されて、これには多額な助成措置というものがなされておるじゃありませんか。ということは、原油の値上がりというものがすぐ国民に反映しないように、転嫁されないようにという歯どめのためのものであるわけです。そういうようなことから考えますと、これは五月初めに値上げしても十分に採算がとれる、こういうふうに私どもは試算をすることができると思うわけです。それが三月十六日にもう値上げの声明をするということにつきましては、これははなはだ不合理であるというふうに思わざるを得ないわけであります。この考えが間違っておりましょうかどうか。
  244. 山中正美

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  石油の価格の問題につきましては、通産省としましても特に価格問題については介入しないという原則に立っておりまして、ユーザー業界との折衝の問題でございまして、ユーザー業界がノーと言えば当然受け入れられるわけはございませんので、その辺通産省として三月十六日が至当かどうかという判断は差し控えたい、こういうように考えております。
  245. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それはそうでしょう。けれども、いま申し上げましたような考え方からすれば、この元売り値上げ声明というものは私どもはきわめて納得がいかない、こういうふうに思うわけですね。また逆に申し上げますと、弱小の企業でも七十日間の備蓄がある、そうして輸送期間が三十日、合わせますと百日分は十分にあるわけです。このような弱小な企業においてすら、三月十六日の値上げというものじゃなくて、四月中旬までは値上げをする必要はないというふうに考えられるわけですね。ですから、この点については私は、通産省は介入しないということでございますけれども、これは原油が値上がりしたというだけで国民にずっと転嫁されていくわけでございますので、ある程度は、行政介入じゃないけれども、指導はすべきじゃないかと思います。その点についていかがでございますか。
  246. 山中正美

    ○山中説明員 通産省としましては、国民生活に非常に影響がございます民生用灯油につきましては、価格の据え置きというのを行政指導しておりますけれども、大口需要家との交渉によりまして価格が決定いたしますその他の油種につきましては、一応ユーザー業界、個別企業とのネゴシエーションによりまして価格を決定する問題でございますから、特に介入はしない、こういう立場でございます。
  247. 権藤恒夫

    ○権藤委員 三月十六日に値上げ声明というものが発表されておりますけれども、実際は三月一日以降出荷分については値上げ交渉がどんどん行われておるわけであります。三月一日といいますと、その三月一日という時期と実際に値上げされた製品が出荷される時期、その間の差というものはきわめて大きいというふうに思いますね。これは不労所得になるのじゃないかというふうに思う。国民生活に直接影響すると言いますけれども、いま石油を使わないものというのはないじゃありませんか。それこそどこにいきましても油を使わないというようなものはありません。一番国民に影響が大きいというふうにわれわれは思うわけです。そういう観点から、何らかのこういうような措置というものはなされないものかどうか、もう一回、くどいようでございますけれども、お聞きしておきたいと思います。
  248. 山中正美

    ○山中説明員 御承知のように、石油の価格というのは公共料金ではないものですから、三月十六日に値上げを石油業界が一方的に宣言いたしましても、金を払ってくれる方がなかなか払ってくれなければ、あるいは三月十六日がもっとおくれるかもわかりませんし、その交渉相手によりまして日がまちまちになってくるわけでございますので、われわれとしては、どの業界に幾ら、何日からというのは非常にむずかしいわけでございますので、いまのところ各ユーザーとの折衝にまっている、こういうことになっているわけでございます。
  249. 権藤恒夫

    ○権藤委員 まあいいでしょう、このような石油業界の体質というものは、石油パニック当時とその姿勢というものは何ら変わっておらない、こういうふうに見受けるわけです。先発組の日石、出光等は、業界内では大きなシェアを持っております。また、備蓄能力も十分にあるわけであります。このような企業が先に値上げをするということは、大手がプライスリーダーとなっておる、こういうふうに私どもは見受けるわけです。本来は備蓄能力の少ない企業から値上げをしていくのがあたりまえじゃないかというふうに考えられるわけですが、大手企業が先発組として値上げを発表したということは、本末を転倒した値上げ交渉である、こういうふうにわれわれは思うわけであります。この理由というものは、大手は、先に値上げしましても、そのシェアが決まっておりますので、影響はない。これが逆に弱小の企業が先に値上げをしますとシェアを食われてしまうというようなことで、弱小企業というものは大手企業が先発して値上げをする、そういうものにカバーされている、寄りかかっておるというような業界内での紳士協定があったのではないか、こういうふうに私どもは考えるわけなんです。そこで、このようなことについて公取はどういうふうにお考えになっておるか、このような現象というものはまさにわれわれが従来から指摘をしてきておりますところの同調的値上げそのものである、こういうふうに考えられて仕方がないわけであります。このようなことがもしあるとするならば、これはもう競争制限をしておることになるというふうに思わざるを得ないわけであります。したがって、このようなことについて、公正取引委員会にきょう来ていただいておりますけれども、御意見を承りたいと思います。
  250. 野上正人

    ○野上政府委員 御質問の石油価格につきましては、われわれも十分監視しております。今後とも十分監視していきたい、こういうふうに考えておりますが、ただ同調的値上げにつきまして、これが直ちに現在の独禁法に違反するかどうかということにつきましては問題があるかとも思います。
  251. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いろいろといままで申し上げてきましたけれども、もう一回公取の方にお伺いしたいのですが、このような動きについて調査対象としておられると思うわけでございますが、これから先十分に調査をされるかどうか、その点について再度お伺いしておきたいと思います。
  252. 野上正人

    ○野上政府委員 業界の動向につきましては十分今後とも監視を続けていきたい、こういうふうに考えております。
  253. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いままで通産省、それから公取に質問をしてまいりましたように、年度末に当たりまして公共事業でありますところの道路整備事業が  一斉になされていくわけであります。このような中で、原油の値上がりからこのアスファルトの値上げというものがいま交渉されておるわけであります。したがいまして、この公共事業がスムーズにいくように自治大臣も十分にひとつ対処をしていかれますように強く要望しておきたいと思います。これについて一言御見解を承りたいと思います。
  254. 小川平二

    小川国務大臣 いろいろ承らせていただきましたので、念頭に置きまして十分配慮をするつもりでございます。
  255. 権藤恒夫

    ○権藤委員 以上で終わります。
  256. 地崎宇三郎

    地崎委員長 次回は、明八日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十四分散会