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1976-11-02 第78回国会 衆議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十一月二日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 大竹 太郎君    理事 小島 徹三君 理事 小平 久雄君    理事 稲葉 誠一君 理事 吉田 法晴君    理事 諫山  博君       木野 晴夫君    小坂徳三郎君       塩崎  潤君    千葉 三郎君       福永 健司君    松浦周太郎君       松永  光君    森  美秀君       青柳 盛雄君    広沢 直樹君  出席政府委員         法務大臣官房長 藤島  昭君         法務省矯正局長 石原 一彦君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     吉田 淳一君         最高裁判所事務         総長      寺田 治郎君         最高裁判所事務         総局人事局長  勝見 嘉美君         法務委員会調査         室長      家弓 吉己君     ――――――――――――― 委員異動 十一月二日  辞任         補欠選任   大久保武雄君     木野 晴夫君   二階堂 進君     塩崎  潤君   濱野 清吾君     松永  光君   宮澤 喜一君     森  美秀君   沖本 泰幸君     正木 良明君   山田 太郎君     広沢 直樹君 同日  辞任         補欠選任   木野 晴夫君     大久保武雄君   塩崎  潤君     二階堂 進君   松永  光君     濱野 清吾君   森  美秀君     宮澤 喜一君   広沢 直樹君     山田 太郎君   正木 良明君     沖本 泰幸君     ――――――――――――― 十月二十九日  高松刑務所移転に関する請願木村武千代君紹  介)(第一九四四号)  戸籍簿出生及び死亡場所登録事務改善に関  する請願沖本泰幸紹介)(第二二一三号)  明治五年式戸籍戸籍事務に関する請願沖本  泰幸紹介)(第二二一四号) 同月三十日  明治五年式戸籍戸籍事務是正に関する請願(  小濱新次紹介)(第二二三八号)  台湾出身者特別在留許可に関する請願外一件  (河上民雄紹介)(第二四〇二号)  同外一件(永末英一紹介)(第二四〇三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月三十日  差別による人権侵害行為に対する法的規制措置  に関する陳情書  (第一一四  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  裁判所司法行政及び法務行政に関する件  請 願   一 特別養子制度法制化促進に関する請願     (小沢貞孝紹介)(第二四四号)   二 同(唐沢俊二郎紹介)(第二四五号)   三 同(吉川久衛紹介)(第二四六号)   四 同(倉石忠雄紹介)(第二四七号)   五 同(羽田孜紹介)(第二四八号)   六 同(下平正一紹介)(第三六三号)   七 同(中澤茂一紹介)(第三六四号)   八 同(中村茂紹介)(第三六五号)   九 同(原茂紹介)(第三六六号)  一〇 人権擁護委員増員等に関する請願(鈴     木善幸紹介)(第四三六号)  一一 特別養子制度法制化促進に関する請願     (小坂善太郎紹介)(第六〇七号)  一二 同(小川平二紹介)(第六二五号)  一三 犯罪被害補償法の制定に関する請願(小     沢辰男紹介)(第七四四号)  一四 戸籍簿出生及び死亡場所登録事務改     善に関する請願田中榮一紹介)(第     九一五号)  一五 明治五年式戸籍戸籍事務是正に関する     請願田中榮一紹介)(第九一六号)  一六 戸籍永世保存制度確立に関する請願(田     中榮一紹介)(第九一七号)  一七 明治五年式戸籍戸籍事務に関する請願     (佐々木良作紹介)(第一一八九号)  一八 戸籍永世保存制度確立に関する請願(佐     々木良作紹介)(第一一九〇号)  一九 高松刑務所移転に関する請願木村武千     代君紹介)(第一九四四号)  二〇 戸籍簿出生及び死亡場所登録事務改     善に関する請願沖本泰幸紹介)(第     二二一三号)  二一 明治五年式戸籍戸籍事務に関する請願     (沖本泰幸紹介)(第二二一四号)  二二 明治五年式戸籍戸籍事務是正に関する     請願(小濱新次紹介)(第二二三八     号)  二三 台湾出身者特別在留許可に関する請願     外一件(河上民雄紹介)(第二四〇二     号)  二四 同外一件(永末英一紹介)(第二四〇     三号)      ――――◇―――――
  2. 大竹太郎

    大竹委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程第一から第二四までを一括して議題といたします。  各請願内容につきましては、文書表ですでに御承知のことと存じますし、また先ほど理事会において検討いたしましたので、この際、紹介議員説明等を省略し、直ちにその採否決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大竹太郎

    大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日の請願日程中、日程第一〇及び第一三の請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大竹太郎

    大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  残余の各請願は、いずれも採否決定を保留いたしたいと存じますので、御了承願います。  なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大竹太郎

    大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕
  6. 大竹太郎

    大竹委員長 今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、差別による人権侵害行為に対する法的規制措置に関する陳情書一件でございます。念のため御報告いたします。      ————◇—————
  7. 大竹太郎

    大竹委員長 閉会審査に関する件についてお諮りいたします。  第七十七回国会稲葉誠一君外二名提出最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案  第七十七回国会横山利秋君外六名提出政治亡命者保護法案及び  青柳盛雄君外四名提出、民法及び戸籍法の一部を改正する法律案  裁判所司法行政に関する件  法務行政及び検察行政に関する件並びに  国内治安及び人権擁護に関する件 以上の案件につきまして、議長に対し、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 大竹太郎

    大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 大竹太郎

    大竹委員長 裁判所司法行政法務行政に関する件について調査を進めます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所寺田事務総長勝見人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 大竹太郎

    大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  11. 大竹太郎

    大竹委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
  12. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 簡単にといいますか、そう長い時間でなくて質問させていただきたい、こう思いますが、実は前から問題になっております鬼頭判事補のいろいろな問題について、きのう最高裁判所の方がホテル・ニューオータニに行かれていろいろ事情聴取をされた、こういうふうなことが報ぜられておりますので、その事実関係、それから行った目的はどういう目的であったのか、こういうことからお尋ねをさせていただきたい、こういうふうに思います。
  13. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 昨日の読売の朝刊に、いわゆる鬼頭判事補告白ということで、相当詳細な記事が掲載されたわけでございます。私どもといたしましては、これを見まして、この内容が本当にそうであるならば、いわばにせ電話事件についての決定的な事実であるというふうに考えまして、鬼頭判事補自身はいわば入院待ちでおりますし、余り長い時間をとって調べるのもどうかと思いましたが、非常に重要なことでありましたので、短時間でございましたが、事情聴取を行った次第でございます。
  14. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 結局、事情聴取の中で、結論的には、いわゆるこの告白と称せられるものですね、進んで何かこう記録してほしいというふうに自分の方から持っていったとか、自分でいろいろ電話をかけたことなんか出ておりますね。その点については御本人はどういうふうに言うんですか。
  15. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 鬼頭判事補の言うところによりますと、あの記事は、読売の方から電話でかけてきて、自分電話答えたものである。あの記事に「私」というのは自分ではない、問題の電話をかけた人のことを言うのである。その人の気持ちを考えて代弁しただけのことであるという趣旨お答えでございました。
  16. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いまの話聞いていますと、ちょっとよくわからないんですよね。それで、「私」というのは自分ではないという意味がよくわかりませんけれども、日本語がよくわからないのですけれども、当然それを聞かれて、率直な話、あなたの方としてはもうこれで大体事情聴取はわかった、これで「私」というのはだれだかというのはわかったとかなんとか、そういう点についてはどういうふうにお考えになったわけですか。いま言った説明を聞かれて、どうも納得がいかない、不審だ、こういうふうに最高裁としてはお考えになったんでしょうか。その点はどういうふうなんでしようか。
  17. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 答え内容先ほど申し上げたとおりでございますし、私どもとして、鬼頭判事補の述べることを全面的に納得したという趣旨で帰ってきたわけではございません。
  18. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、恐らくこの問題を最高裁裁判官会議報告するわけでしょう。それから、報告するのについては、立ち入って話をするのは私も余り好みませんけれども、もう少し十分な事情聴取をしてからでないというと最高裁裁判官会議報告をされない、こういうふうな理解なんでしょうか。もう少しいろいろな形で詰めて事情聴取をまたやるわけですか。
  19. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、なるべく早急に結論を出したいというふうに考えている次第でございます。裁判官会議にどのような形でお諮りするかどうかはこれからの問題でございますが、あるいは中間的にいま御指摘のような報告を申し上げて、さらに機会をつくりまして本人から事情聴取を行って、それで最終的に私ども最高裁判所としての結論を出すということに相なろうかと存じます。
  20. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 きのうの事情聴取で十分は納得していないというふうな答弁だった、こう思うのですが、正確な言葉ははっきりしませんでしたが、それはどういう点がまだ問題というか、疑問が氷解しないというふうに理解をされておられるのでしょうか。
  21. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 すでに御承知のところでございますが、いわば鬼頭判事補が片方の当事者とすれば、読売新聞社の方がもう一方のいわば当事者的な存在であろうかと存じます。前回も申し上げましたとおり、読売新聞社に対しましては協力方を要請してございます。なお、事実上読売の方で協力いただける具体的な内容につきましては、いまだ確定的なお答えをいただいておりませんが、なお読売新聞社側のいわば事情聴取といいますか、資料提供といいますか、このにせ電話事件につきましては、最も重要なものの一つというふうに考えておりまして、なお読売新聞社の方に対しまして、さらに具体的な協力方を要請している段階でございます。
  22. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 前の話で、「私」というのは自分でないということなんですけれども、かけた人のことを考えて代弁したというんですけれども、その動機はどういう動機で、自分の方から電話をかけたのかかかってきたのかよくわかりませんけれども、どういう動機でこういう告白というのをしたんだということを言っておるわけですか。
  23. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、現在の鬼頭判事補状態は、いわば国会の方から証人喚問決定をいただいている状態でございますし、本人も大分疲れておるようでございましたし、三十分ぐらいというような話でありました。そこで、そう詳しいことは聞く時間的な余裕がなかったわけでございまして、その御指摘の点についてまで詳しくは聞きませんでした。冒頭に申し上げましたように、私どもといたしましては、昨日の朝の読売報道に対して、基本的にそのとおりだと言うのか、全然違うと言うのか、最小限度その点を確かめるというのが第一の目的であったわけでございまして、いま御指摘の、先ほど申し上げましたとおり、いわゆるこの告白電話についての動機その他につきましては、詳しい事情聴取を結局は行わないで帰ってまいった次第でございます。
  24. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、話はくどいのですが、本人健康状態は、お会いになったところでは、お医者さんでないからわからないでしょうけれども、どういう状態だったでしょうか。ちゃんと受け答えははっきりしているのですか。時間は短い時間だったのでしょうけれども、そこら辺はどうなんですか。
  25. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 健康状態につきましては、稲葉委員指摘のとおり、私ども素人判断をしましてこの席上で申し上げることは遠慮さしていただきたいと思いますし、ただ相当疲れているという印象は受けた次第でございます。彼の言うところによりますと、ほとんど一歩も外へ出ていないということもあると思いますし、精神的には相当いわば痛手をこうむっているといいますか、という感じを受けました。ただ受け答えにつきましては、前に事情聴取した際の受け答えの態度とそう変わったようには思いませんでした。
  26. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、答えははっきりしているんですね、と考えられるわけですが、そうすると、最高裁としては事情聴取の中で、本人検事総長と名のってにせ電話をかけたのではないか、こういうことの心証は、だんだんそっちの方に形成される方向にいっておる、こういうふうに常識的に考えられると私個人が理解しても間違いじゃないでしょうか。
  27. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 最高裁判所といたしましては、先ほど申し上げましたような手続を踏みまして、最終的な結論を早急に出すつもりでおります。きょうこの席上で私が、心証はどうかというお問いに対しまして、自分としてはこうだと言うことは遠慮さしていただきますが、いままでの経過からいって、私の心証がどうであるかということは、先ほど稲葉委員おっしゃったとおり、常識的なロジックを追っていただきまして、いわば御賢察いただきたいと存じます。
  28. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 今度は別な問題になるのですけれども、御本人が何か法務省訟務部付検事——検事といっても名前だけですけれども、それになりたいということを法務省へ言っていったということが伝えられているわけですね。まず、裁判官法務省へ入る場合のルートは、普通の場合はどういうルートなんですか。
  29. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 法務省とのいわゆる人事交流につきましては、三月、四月の定期異動の際に計画を立てまして、一般人事異動と同じ時期に行っております。
  30. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それはわかるのですけれども、どういうルートで普通やるのですか、こう言っているのですよ。普通、地裁判事なり判事補最高裁を通じて法務省へ話をして、それから法務省へ入る場合がありますね。転官して検事になりますね。それはどういうルートでやるのが筋なのか、こう聞いておるわけですよ。
  31. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 具体的に訟務検事について申し上げますと、大体三年をめどにして交代させております。そうしますと、来年の交代時期に当たる者を交代させてほしいという申し出——当然三年たちますと原則として交代いたしますので、Aという者が法務省におりまして、三年たちますとこちらに、裁判所に戻ってもらう、それのかわりにBという者を向こうにいわば出すという形で、一般人事異動に組み込んで計画を立てるわけでございます。  ルートということでございますが、もちろん本人希望も聞きますが、私どもとしましては、訟務の方に行って全然不適な方が——全然不適な方はいるわけではございませんけれども、より適当な方、いわば外に出て訟務検事を経験してもらってさらにいい裁判官になってもらおうというような方を大体ピックアップいたしましてリストに載せるような作業といいますか、そういうような手続に相なるわけでございます。
  32. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうなんですけれども、僕の言うのは、地裁所長から高裁を通じて、それから最高裁人事局へ上がってきて、最高裁人事局から法務省官房なら官房と折衝して、そういうルートで話が進んでいくのじゃないか、こう思うのです。そうすると、この御本人から法務省へ転官したい、ことに訟務部付検事になりたいという話は最高裁にあったんですか。まずそのことから聞いておきます。
  33. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 鬼頭判事補の点につきましてはさておきまして、本人希望等も十分考えて、所属長の御意見も伺ってやっているわけでございますが、ただいまのお尋ね鬼頭判事補の件は、おっしゃるような人事局の方に法務省の方へ行きたいという形では来なかった——来たという記録はございません。
  34. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 直接本人法務省訟務部長のところへ行って、訟務部に入りたいという話をしたということが伝えられていますね。その点は最高裁としてはいつごろどんな経路でお知りになったのですか。前から大分知っておったような話もあるのですが、そこら辺はどうなんですか。
  35. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 先ほど本人希望と申し上げましたが、あるケースでは法務省からの要請ということも考えられるわけでございます。鬼頭判事補の件につきまして、どうも公式な記録がございませんで不正確になりますが、先日の香川民事局長の談話にありますように、法務省の方に本人訟務部に入りたいという希望を申し述べたようでございまして、当時の香川訟務部長から当時の人事局長の方へ事実上、こういう者が希望しているという話があったのではないかというふうに推察いたします。公式な記録がございませんので、正確なところいつどういう形でそういうことがあったかどうかはちょっとお答えいたしかねるところでございます。
  36. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、本人訟務部付検事になりたいという希望、何で訟務部付検事になりたいというふうに本人は言っておるかということを最高裁としていままでキャッチしたというか、今後も調べたいこと、こう思いますが、そこら辺のところはどういうふうになっているのですか。
  37. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 どういう理由で訟務希望したかにつきましては、ちょっと確答いたしかねます。
  38. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そこら辺のところは私もいろいろ知ってはいるんですが、余りここで立ち入って聞くのは差し控えるようにいたしましょう。  そこで結論的に、今後の裁判官会議——最高裁だから人事の問題の最終決定権裁判官会議ですね、そこへ至る経過はどういうプロセスをたどるのかという大体の見通し、はっきりしたことはまだ言えないでしょうけれども、結果は別として、いつごろどういうふうな裁判官会議になってどうなるかという日時の関係、そこはどうでしょうか。
  39. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 鬼頭判事補は、報道によりますと、けさほど検査のために警察病院に入院したようでございますが、本人のいわば最終的な事情聴取をいつ行えるか、医師の診断を待つほかないと思いますが、私どもといたしましては、当然のことですが医師の許しをもらってできるだけ事情聴取を行いたいというふうに思っております。  裁判官会議の方は、いまの状態ですと、先ほど申し上げましたように、中間的な報告といいますか、現在の時点での資料を申し上げまして裁判官会議を開いていただき、さらに最終的な結論を出していただくための裁判官会議というふうに考えております。その時期につきましては、先ほどから申し上げておりますように、どちらの裁判官会議もなるべく早急に開きたいというふうに考えております。
  40. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 これは事務総長お尋ねした方がいい、こう思うのですが、いま人事局長からもお答えがあったわけですが、これは裁判官会議のことに触れるわけにはいかないのでちょっとあなたとしても答えにくいことだ、こう思うのですが、訴追委員会に対する訴追請求、これはいままでも一、二件あったようですが、裁判官会議結論として訴追委員会に対する請求ということも、今後の事情聴取内容事件の全貌が明らかになるに従ってそういうこともなきにしもあらず、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。これが第一点ですね。  それから第二点は、きのうの事情聴取、恐らく報告を受けたと思うのですが、それについてあなたはどういうふうにお感じになりましたでしょうか。答えとしては第二点が先かもわかりませんね。そこら辺のところをお答え願いたいと思います。
  41. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 まず第二点からお答え申し上げたいと思います。  昨日の事情聴取につきまして、矢口次長勝見人事局長から報告を受けましたが、私としては、鬼頭判事補答弁と申しますか、説明は全然納得できないものである、かように考えております。ただしかし、さればといって、それでは直ちに鬼頭判事補がにせ電話本人であると決めつけるわけにもいかない、さらにもう少し慎重に調査をしなければならない、かように考えております。  それにつきましては、先ほど人事局長が御説明申し上げましたように、読売新聞の方に御協力をお願いしておりまして、まあ昨日の記事もある意味での御回答かと思いますが、もう少し私どもの方にストレートな形での御問答も得たいと思っておりまして、これもそう遠くない時期に得られるのではないかというふうに希望いたしておる次第でございます。  そういうことを踏まえまして、裁判官会議できわめて近い時期に中間的に御報告申し上げ、今後調査をどういう方向に進めるべきか、さらには本人の処遇をどういうふうにすべきかということについて御指示を受けるつもりでおりますが、裁判官皆様方にも私直接いろいろ感触を伺っておりまして、それぞれに御意見をお持ちのようでございまして、稲葉委員のお話のような点をも含めまして十分検討されることであろう、かように考えておる次第でございます。
  42. 大竹太郎

  43. 諫山博

    諫山委員 鬼頭裁判官の問題について、法務省最高裁判所に質問します。  まず法務省ですが、前回網走刑務所の問題について法務省の中間報告的な説明が行われました。その後さらに調査が進んだようですが、その後判明した新しい事実について御説明いただきたいと思います。とりわけ矯正管区の森さんについて事情聴取したということが言われていますから、その問題を中心に新しい事実について御説明ください。
  44. 石原一彦

    石原政府委員 諫山委員指摘のように、程田所長南部課長との間に供述に食い違いはございますが、その点は改めてまた事情聴取を行うことといたしまして、ここ数日矯正管区関係調査いたしました。御指摘の森当時の第二部長から聞きました点につきまして御報告申し上げます。  調査対象者は、御指摘のように、昭和四十八年三月十六日から昭和五十一年四月一日まで札幌管区の第二部長をいたしておりました森律夫、ノリオと読むそうでございますが、森律夫氏でございます。  調査いたしましたのは、本年の十月の二十九日、三十日の両日でございます。  最初に、鬼頭刑事補から電話による依頼の経緯及びその内容について申し上げます。  昭和四十九年夏ごろの朝、自分の記憶では、時刻は午前九時二十分ないし三十分ごろではなかったかと思うが、管区に八王子支部の判事とか言って電話のあったことがある。鬼頭判事補という名前には記憶がないが、八王子支部の判事と言われた記憶はあって、いまから考えると鬼頭判事補でなかったかと思う。その電話内容は、職務上の研究のために刑事政策上の一般的なことについて網走刑務所に行きたいので連絡してほしいという趣旨のものであったので、相手方、すなわち鬼頭判事補でございますが、これには、網走刑務所長には一応来所の旨を連絡だけはしておくということを回答した。  そのとき相手方、すなわち鬼頭判事補は、調査する個人名——後でわかったことでございますが、宮本委員長でございます。その個人名あるいは思想犯であるとか政治犯等については言わなかったと記憶する。  なお、夏には、北海道内の矯正施設、特に網走刑務所への参観についてはいろいろ依頼が多く、またこの年、すなわち昭和四十九年には、九月初めに札幌市において日本刑法学会が開催された年で、その前後に管内施設の参観あるいはその他の連絡、調整のために特に多忙であったため、本件についてはどうも記憶が薄いのであるということでございました。  次に、網走刑務所長に対する連絡の点でございますが、この電話が八王子支部の判事からあった後の午前中であったと記憶するが、電話で、八王子支部の判事があなたのところに行く旨申し出が当管区にあったから連絡しておくという趣旨電話連絡をした。これに対して網走刑務所長の応答は、自分の施設にも直接依頼があったから、よく事情を聞いて調査してしかるべく処理するというふうに答えたと記憶している。  網走刑務所長から、その後同日の夕方近く本件について電話報告があった。その報告内容は、自分の記憶によると、けさほど二部長から電話のあった者が来て調査していった。その際、収容者身分帳の一、二点をメモさせてくれと言うので、自分説明してメモしていった。先方、すなわち鬼頭判事補でございますが、先方は、変な方には使用しないと言っていたということであった。その報告のうちに、宮本委員長の名前とか写真撮影をしたというようなことは全然聞いた記憶がないということでございます。  次に、札幌管区に依頼するに当たりまして、法務省その他の他の機関から何らかの働きかけがあったのではないかという点についても詳しく調査いたしました。その結果、森当時の部長の記憶によりますれば、鬼頭判事補から依頼前に、この件で法務省なり裁判所関係者からの指示であるとか連絡であるとかあるいは部外者からの要請、依頼等を受けた記憶は全くないということでございます。  以上が本人から事情を調査いたしました結果でございます。  程田所長の先般御報告申し上げた内容からいたしますと、やや記憶が薄れている点がございますが、この点は、本人も言っておりますように、当時非常にいろいろな参観についての口添えを頼まれたことがあり、特段の依頼ではなかったので記憶がないということでございますが、おおむね程田所長の供述に相応する本人からの供述が得られたと思い、程田所長の言には間違いがないものとわれわれは判断いたしております。
  45. 諫山博

    諫山委員 いまの説明の中で、職務上の研究のためあるいは一般的な研究のためというようなことが言われているようですが、これは法務省の認識した事実に合いますか。鬼頭判事補説明内容です。
  46. 石原一彦

    石原政府委員 当時の森部長から聞いた点をもう一度申し上げますと、職務上の研究のために刑事政策上の一般的なことについて網走刑務所に行きたいので、連絡してほしいという電話趣旨であったと記憶しているということでございます。これに対しまして、程田所長がわれわれに述べたところによりますと、やや具体化しておりまして、鬼頭判事補が、終戦直後に執行停止した者についての調査につき取り計らってくれというような話であった。それから南部課長が聞いた言葉では、職務上治安維持法の研究のため宮本顕治氏について調査したいので、あすお邪魔するという点でございまして、三者の供述の間には確かに差異がございます。しかしながら、前回も申し上げましたように、われわれといたしましては記憶をできる限り喚起させるようにして調査いたしたのでございますが、その供述が違う中に真実が含まれていると思い、われわれといたしましても虚心坦懐に調査を対照した者の言を聞いているのでございます。  そういたしますと、とにもかくにも、職務上の研究で網走刑務所に行くという点につきましては三者の供述に一致点が見られるのでございまして、御指摘のように、私どもといたしましては、鬼頭判事補電話内容には職務上の研究のために行くんだという趣旨のものが含まれていたということは間違いないと判断いたしております。
  47. 諫山博

    諫山委員 そうすると、この問題については、いま判明している事実から見れば、鬼頭裁判官が明らかにうそを言った。職務上の研究でもないし、一般的な刑事政策の理論上の研究でもないということが明らかですから、この点は、鬼頭判事補の方が矯正管区あるいは刑務所側をペテンにかけた、こういうふうに理解しておりますか。
  48. 石原一彦

    石原政府委員 諫山委員すでに御承知と存じますが、任意捜査につきましては相当な制約もございますし、いろいろ困難な点があることは十分おわかりであろうかと思います。それと、二年前のことでもありますし、特に犯罪めいたことを教唆されたり何かするということであれば本人たちの記憶もはっきりすると思いますが、通常のルートに従った連絡方法を管区がとり、網走の方でも当初のうちはそういうふうに思っていたという点からいたしますと、記憶の点でそうはっきりした事実が現在までは解明できていないのであります。なお、それに対しまして最高裁判所のお調べによりますれば、鬼頭氏は決して私ども調査と相相応することは言っておりませんが、このいずれが正しいかという点につきましては、さらに事情を調べ、また周辺の背景等をも調べまして、その上で確定すべきものであろうかと存じております。
  49. 諫山博

    諫山委員 矯正局長に一月二十九日付の東京新聞を見ていただきます。この中には「刑執行停止ノ件」という春日委員長提供と名づけられた文書が出ているのですが、ちょっと見てください。もう一つ、鬼頭裁判官が参議院に提出した上申書という文書が幾つもの新聞に出ております。いま私のところに東京新聞があるのですが、これもありますから見てください。この一月二十九日の東京新聞に出ている「刑執行停止ノ件」というのは、恐らく網走事件についてのただ一つの物的な証拠ということが言えると思うのですが、この筆跡がだれのものであるかということをいろいろ調査いたしました。ところが、その後、新聞に鬼頭自身の参議院に対する上申書が発表されたわけです。この二つの筆跡を見ると、非常に似通っているというふうに私たちは思います。短い文章ですが、幾つか共通した字が出てきますね。たとえば「九」とか「日」とか、幾つか共通した筆跡があるのですが、東京新聞に出ている「刑執行停止ノ件」というのは鬼頭判事補の筆跡ではないかという疑いを私たちはいま持っているのです。ちょっと見てくれませんか。——ちょっと見て非常に似通っているとは思いませんか。
  50. 石原一彦

    石原政府委員 まことに綿密な御調査でございまして、私どももそこまでは気がつきませんでしたが、そう言われてみますと、似てないとも言えるし、似てるとも言えますし、いずれにいたしましても、私は筆跡鑑定の専門家ではございませんので何ともお答えがしかねますという点でひとつ……。
  51. 諫山博

    諫山委員 私たちは以前から、刑務所の中にしかないはずの宮本顕治氏の身分帳の一部、たとえば診断書とか、いま読み上げました「刑執行停止ノ件」というのがどうして巷間出回っているのかということをいろいろ調査したわけです。その場合に、東京新聞に出ている写真というのは恐らくこの問題に対する唯一の物的な証拠、この筆跡がだれだろうかということをいろいろ調査して、新聞に発表された鬼頭の筆跡によく似ているではないかという推理に到達しているわけです。いま矯正局長も言われましたように、私たち何も筆跡鑑定の専門家ではないし、専門的にこれを鑑定したわけではありません。この点はぜひ調査していただきたい。一月二十九日の東京新聞も手書きの資料の写真であるし、私が対照した読売新聞とか東京新聞の手書きの筆跡も、これは写真にすぎません。この現物は参議院にあるはずですから、この点は、私たちの疑問が的を射ているのかいないのか、法務省の方でもぜひ専門的に検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  52. 石原一彦

    石原政府委員 現在行っております調査はあくまでも任意調査でございまして、この範囲を逸脱することになりますれば、かえって人権侵害のそしりを免れないと思うのでございます。私どもも一月二十九日付の新聞につきましては関心を持っているところでございます。  なお、諫山委員の御質問の中に唯一の証拠というようなお話がございましたが、現在鬼頭判事補はややわれわれの手の届かない病院におられるのでございまして、いまここでいろいろ私どもの持っている証拠といいますか調査結果を申し上げますと、かえって弁解の機会をお教え申し上げているような結果に相なりますものですから、詳しいことは申し上げない方が事案の真相究明にはいいのではないかと思っております。私どもも一月二十九日の分については十分調査いたしたいと思っておりますけれども、とにもかくにも字数がきわめて少ない点でございまして、筆跡鑑定の対象物件として十分であるかどうか、疑問なしとしないと思うのであります。しかのみならず、ただいまは鬼頭判事補の筆跡に似ているというお言葉でございますが、常本委員長が執行停止によって釈放されてから今日まで三十年間あるのでございまして、その間に別な者が記録を見たあるいは写したということがないとも限りませんし、任意調査という点を考えますと、非常にむずかしい点であろうかと思います。しかし、御指摘の点につきましては十分関心を持っており、今後とも考慮いたしたいというふうに御答弁申し上げるのが一番適当かと存じます。
  53. 諫山博

    諫山委員 最高裁人事局長に質問します。  いまの点は最高裁判所にも非常に関係が深いところです。鬼頭判事補が網走刑務所で身分帳の一部を写真に撮った。そしてこの写真を何らかの形で手書きで読みやすいように書き直した。これが出回っているのではないかということが一応推定されるわけです。そしてそういう推定の根拠として、鬼頭裁判官の筆跡によく似ているではないかという常識的な感触があるわけです。最高裁判所だったらこの問題を鬼頭判事補にすぐ聞けるわけですが、ぜひ調査していただきたい。つまり、鬼頭判事補が網走刑務所で、写してはならないものを写して刑務所の外に持ってきた。これが外に出回っているものと同じかどうかということを明らかにするためにきわめて重要だと思いますが、調査していただけますか。
  54. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 第一回目の事情聴取の際に、手元に東京新聞の御指摘の一月二十九日の記事及び写真を見せまして、これはあなたの筆跡ではないかという質問はいたしました。私の筆跡とは全然違うという答えでありましたが、御指摘の彼の筆跡というものとこの新聞の写真との対照が果たして可能かどうかという点について、十分検討さしていただきたいと思います。
  55. 諫山博

    諫山委員 以上は私たちのきわめて常識的な推理を申し上げたわけですが、裁判所にしても法務省にしても、私たちよりかこういう点ではスタッフがそろっているはずですから、ぜひ専門的な検討を加えていただきたいということを要望すると同時に、もう一つ矯正局長に質問します。  一月二十九日付の東京新聞に載っている「刑執行停止ノ件」、この筆跡がだれなのかということに私たちは非常な関心を持っているのです。もう一つの可能性として出てくるのは、刑務所の職員ではなかろうかということです。鬼頭裁判官は身分帳を写真に撮った、ところが一部はよく写真に写らなかったから刑務所側から手書きで書き写してもらった、こうなっております。そして従来の矯正局長の説明では、南部庶務課長は、自分で書いたのではなくしてだれか職員に書かした、こういう説明のようです。そうすると、これが刑務所職員のだれかの筆跡と同じではないのかという点がもう一つの可能性として出てくるわけです。この点についてもぜひ調査していただいて、巷間出回っているこういう文書がだれから流れたのかという点を明らかにしてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  56. 石原一彦

    石原政府委員 前回どもの方から御報告を申し上げました内容では、南部庶務課長は診断書だけを手書きにして送ったという記憶であるということでございました。一方、最高裁判所人事局長の御報告によりますれば、二、三点の資料を手書きにして送ってもらったという点でございまして、この点につきましても供述に食い違いがあるのでございます。そこで、私どもといたしましては、南部課長の依頼により筆写いたしました物件の範囲がまず診断書だけであるかどうかという点につきまして、今後とも調査を続行するつもりでございます。  なお、先ほども申し上げましたように、とにかく対象物件の字数が少ない、しかも昔の文書でございまして、なかなか調査に困難を来す事情にございます。私どもといたしましては、鬼頭判事補であるか、あるいは刑務所の職員であるか、はたまた第三者であるかという幅広い観点から、今後とも鋭意調査はいたしたいと存じております。
  57. 諫山博

    諫山委員 これに関しまして、東京新聞の報道では、この「刑執行停止ノ件」という文書の写真、これは民社党の春日委員長がみずから網走刑務所まで足を運んだりして集めた一件資料の中のものだと説明されております。そこで、民社党の春日一幸氏がこの問題の調査のために網走刑務所に出向いたということがありましたでしょうか。これは法務省調査はどうなっていますか。
  58. 石原一彦

    石原政府委員 ただいまの点につきましては、当委員会におきましては諫山委員から、また参議院の法務委員会におきましては橋本委員から御質問がございまして、現在調査中でございます。これまで網走刑務所に保管されております日誌、それから表門に入るときにつけます表門簿、参観者の名前を書きます参観簿、あるいは電話書きとめ簿等によって調査をいたしておりますが、現在までのところでは、御指摘の方が網走刑務所を訪れた事実は認められておりません。しかし、これはいままでの調査で認められてないということでございまして、今後あらゆる書類、あるいはそういうものに接する職員、転勤した職員も含めまして、そうした者に聞いてみたいと思っておりますので、事実がなかったというふうに私は答弁を申し上げるのではございませんで、これまでの調査では認められていないという答弁でございます。
  59. 諫山博

    諫山委員 最高裁人事局長に質問します。  いま矯正局長から、鬼頭裁判官矯正管区電話したときの矯正管区側の応答が説明されました。これは、鬼頭裁判官調査した最高裁調査結果と違った点がありますか。
  60. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 矯正管区に対する電話内容につきましては、ただ口添えを頼んだという程度でございまして、その際どういう言葉を使って頼んだかということについては私ども聴取しておりません。ただいま法務省の矯正局長からの御報告がございましたので、次の機会の聴取の際は詳しく聞くつもりでおります。
  61. 諫山博

    諫山委員 最高裁としては、網走刑務所の問題、それからにせ電話の問題、いろいろ調査していると思いますが、調査の対象は、鬼頭裁判官、それからさらに協力を求めている読売新聞社という説明がありましたが、それ以外にだれかに当たっている、何らかを調べているという内容がありますか。調査の方法です。
  62. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 網走刑務所の問題につきましては、まず本人の、本人といいますか、鬼頭判事補本人がどういう言い方で頼んだかどうかという点につきましては、詳細に矯正局長の方からの御報告がございました。私どもといたしましては、どういういきさつで結局写真を撮り、またその他の文書を送ってもらったかということについて、さらに矯正局の方からの御報告をお借りいたしまして、十分検討さしていただきたいと思います。  それから問題は、当該問題の文書が、鬼頭判事補が流したか、あるいは写させたかという点だと思いますが、この点につきましては、私どもなりの可能な方法で、それぞれ流したと報道されているところに対して調査をいたしておるところでございます。
  63. 諫山博

    諫山委員 流したと思われるところの調査先は、いままでどういうところがありましたか。
  64. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 民社党関係、それから文春関係、それから松本明重氏関係でございます。
  65. 諫山博

    諫山委員 そこでの調査の結果、あるいは相手方の説明内容は、ここで聞かせていただけますか。
  66. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 いまのところ調査の結果につきまして御報告は遠慮さしていただきたいと思いますが、なるべく早急に調査結果をはっきりいたしたいというふうに考えております。
  67. 諫山博

    諫山委員 にせ電話関係では読売新聞に協力をお願いしたということがありましたが、そのほかにどういうところを調査していますか。
  68. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 冒頭に稲葉委員の御質問に対するお答えで申し上げましたとおり、いわゆるにせ電話事件につきましては、本人読売新聞社関係者といいますか、これが最も重要ないわゆる資料と言って差し支えないと思います。前回の参議院の法務委員会で、総理が電話を聞かれたわけでございますので、鬼頭判事補の声が似ておったかどうかということについて、法務大臣が総理にこちらで録音しましたテープを聞いていただこうというお約束を参議院の法務委員会で申し上げておられたようでございますので、その点の結果といいますかの御報告をお待ちしているようなところでございます。
  69. 諫山博

    諫山委員 最高裁判所に鬼頭が京都で録音機を買ったとか消磁器を買おうとしたとかいうような事実の有無の調査を求めていたと思いますが、調査されましたか。
  70. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 調査させてございます。その結果につきましては一部入っておりますが、まだ終局的にどういうことかということについてはひとつ遠慮さしていただきたいと思います。
  71. 諫山博

    諫山委員 これは新聞でも広く報道されていることで、鬼頭がどういう説明をしているかということは明らかにしてもいい問題だと思うのですが、鬼頭はどう言っているのか、お店の方ではどう説明してあるのか、その点明らかにしていただきたいと思います。
  72. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 その点につきましては、鬼頭判事補については直接現在のところまだただしておりません。昨日の夜参りましたのは、先ほど稲葉委員お答えいたしましたような趣旨で本当に短時間参ったものでございますから、次の機会には、当然のことですが、これも聞かなければならないというふうに考えております。
  73. 諫山博

    諫山委員 お店の方が調査に対してどう答えているかというのは説明していいんじゃないですか。
  74. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、報告は受けておりますが、鬼頭判事補に対する事情聴取の際の資料になりますので、この際遠慮さしていただきたいと思います。
  75. 諫山博

    諫山委員 もう一つ、神田のあるプリント屋で鬼頭が「日共リンチ殺人事件」というような文字の入った原稿を大量に印刷した、こういう事実を指摘して調査を求めておりました。ただそこの印刷屋がどこかという点がまだ明らかにされてなかったと思うのですが、それは神田の中央大学生活協同組合コピーサービス部の印刷です。この点も、鬼頭の背後関係あるいはいままでのさまざまな政治的活動ということと結びつく問題ですから、ぜひここのプリント屋について調査していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  76. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 御指摘の赤旗掲載の記事につきまして、場所がわかりませんでしたので、私どもの方からしかるべき筋を通して共産党の方にお願い申し上げました次第でございますが、ただいまお明かしいただきましたので、早速調査いたします。
  77. 諫山博

    諫山委員 そこで、最高裁はきのう鬼頭判事補について事情聴取したようですが、健康状態はどうでしたか。
  78. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 先ほど稲葉委員に申し上げたわけでございますが、医学的な診断につきましては、この段階で私、素人判断をするのは差し控えさしていただきたいと思います。
  79. 諫山博

    諫山委員 勝見さん、長い間裁判官をしておられるわけで、証人の出頭、不出頭についていろいろ医学的な判断とは違う常識的な判断をしてこられたと思うのです。その常識的な判断から言うと、たとえば裁判所の証人として出頭することができないような健康状態だったのかどうか。これはあなたの長年の職業的な経験から見て判断できると思うのですが、どう思いましたか。
  80. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 国会の方で証人喚問決定されている時点でございますので、この際、国会の方で御判断いただく筋合いになりますので、ただいま御指摘のように職業的裁判官としていかがかということもひとつ遠慮さしていただきたいと思います。
  81. 諫山博

    諫山委員 鬼頭氏が入院したがっているのは検査のためですか、それとも治療のためですか。
  82. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 検査のための入院というふうに報告をもらっています。
  83. 諫山博

    諫山委員 勝見さんも裁判官だし鬼頭さんも裁判官、そうすると、裁判所の証人として呼ばれた証人がどういう場合に不出頭ということが認められるのかという点で刑事訴訟法に規定があります。あるいは刑事訴訟規則の中にも条文があります。それによりますと、「病名及び病状の外、その精神又は身体の病状において、公判期日に出頭することができるかどうか、」これを明らかにする必要がある。さらに、「生命又は健康状態に著しい危険を招くかどうか」という点についても医師の具体的な意見をつけた診断書を出さなければならない。診断書の方式と内容について規定されているわけです。国会の証人と刑事裁判の証人というのは幾らか意味が違うでしょうが、それにしても、こういうことを鬼頭さんは十年にわたって取り扱ってきたわけです。裁判所の証人という点から見ると、どう考えても不出頭を正当づけるような状況はないというふうに判断されます。たとえば、出頭することによって「生命又は健康状態に著しい危険を招く」というような状況ではなさそうに思うのですが、あなたはきのう鬼頭裁判官に会われてこういう病状だという判断をされましたか。
  84. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 出頭して証人として証言できるかどうかということにつきましては、やはり国会証人喚問決定されておられることでございますので、この席上で裁判所の一員としてこうこうであったということを述べるのは、遠慮させていただきたいというふうに考えます。
  85. 諫山博

    諫山委員 最高裁事務総長にお聞きします。  正当な理由がないのに国会証人喚問に応じないというのは犯罪行為ですね。処罰されるわけです。私は、鬼頭裁判官がすでに一回呼び出しに応じなかった、そしてこれからも応じようとする態度を示していない、これは犯罪行為を犯した、新たな犯罪行為を犯そうとしている、こういう事態ではなかろうかと思うのです。確かに、問題は国会に対する証人喚問です。しかし、国会の問題だからといっても、あなたが監督しなければならない裁判官が罪を犯した、さらにまた罪を重ねようとしている、こういう場合は、やはり最高裁判所として適切な助言、適切な指導というのがあってしかるべきだと思うのです。犯罪を犯そうとしているのだ、そういう認識が最高裁判所にあるなら、あれは国会と鬼頭個人の問題だというてとでは済まされないのじゃないかと思うのです。鬼頭の出頭拒否がきわめて不当だということはだれでも認めているわけですが、この問題に対して最高裁判所がわれ関せずというのでは済まないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  86. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 国会に召喚されました証人が出頭しなかった場合に、正当な事由があるかないかということは、第一義的には国会が御判断になる事項であると考えております。さらに、それが何らかの形で訴訟となりますれば、最終的には裁判所が判断することになるわけであろうと思います。そういう意味におきまして、私ども具体的な不出頭について、それが正当であるかどうかということを仮想に意見を述べることは、差し控えるのが相当であろうと考えております。  それから、鬼頭判事補の点につきましては、私どもとしては、本人に対しては国会証人喚問については誠実に対処するようにという助言をさせておるはずでございます。ただ、御承知のとおり、私どもの方の事情聴取に対しましても、一応事情聴取に応じてはおりますけれども、果たしてあれが誠実な対応であるかどうかということには、実は私も若干の疑問を持っておるわけでございます。と申しますのは、先ほど来御質問のありました昨日の事情聴取についての答弁のごときは、果たして誠実なる対応の仕方であるかどうかということに若干疑問を持っておるような次第でございまして、そういう意味におきましては、遺憾ながら、鬼頭判事補は私どもの忠告と申しますか助言にストレートに従うような心境にいまあるのかどうか、その点にさえ若干疑問を持っておる、こういう状況でございまして、このことはまことに遺憾なことではございますが、私どもとしてはただ先ほど申し上げましたような趣旨の助言をいたす以上のことはできない現況にあるわけでございます。
  87. 諫山博

    諫山委員 私、どうも最高裁がいささか無責任といいますか責任を回避している、こういう気がしてなりません。  そこで、鬼頭裁判官が退職願を出すのではなかろうかということがいろいろ言われているわけですが、もし退職願を出したとすればどういう取り扱いになっていくのか、これはまず一般的な問題として勝見人事局長から説明してくれませんか。
  88. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 一般の場合ですと、退職願が出ますと、最高裁判所を経由して内閣に送付することになっておりますが、本件ないし本件に類似するようないわば非常に特殊なケース、たとえば訴追が予想されるようなケースにつきましては、暫時いわゆる受理を差し控えるというようなことも考えられるわけでございます。  本件につきましては、当初の記者会見におきまして、本人自身の口から辞意を漏らしたような口吻があったわけでございますが、きょう現在退職願の提出報告には接しておりません。先ほどから申し上げておりますように、今回のケースにつきまして最高裁判所として決定的にどういうふうにするかという結論をいまだ出していない状態でございますので、本件の場合についてのお答えは、これ以上は遠慮させていただきたいと思います。
  89. 諫山博

    諫山委員 一般的には、現在のように訴追申し立てがなされようとしているというような状況の場合は、退職願の受理を留保する、そして訴追あるいは弾劾裁判の手続を先行させるというようなことが可能だということになりますか。
  90. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 理論的にはそういう考え方もあり得ると考えております。
  91. 諫山博

    諫山委員 そういう考え方もあり得るというんじゃなくて、あなたは最高裁判所人事局長ですから、最高裁判所としてはその点でどういう見解を持っているかということを御説明ください。
  92. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 そういう先例もあったということで、ひとつ御賢察いただきたいと思います。
  93. 諫山博

    諫山委員 真っ正面から答えられなかったのですが、そういう先例もあったんだから、それが現在の最高裁の一応の見解というふうに聞いていいのかどうか。  さらに、この問題について軽々しく退職願を受理しないようにということが日本弁護士連合会から要望されていると思うのですが、この点、寺田事務総長、いかがでしょう。
  94. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 司法行政は最終的には裁判官会議でお決めいただくことでございますので、人事局長答弁もあのようなことになったわけであろうと思いますが、私ども事務当局としては、本件については仮に退職願が出ました場合これを慎重に取り扱うべきものである、かように考えておる次第でございます。
  95. 諫山博

    諫山委員 慎重にというのはいかなる場合にも当てはまるわけですが、やはり日弁連が要望しているように、軽々しく辞職を認めるべきではないというふうに聞いていいですか。
  96. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 日弁連で軽々しくとおっしゃっているということは、私、正確にいま記憶はいたしておりませんが、私、慎重にと申し上げましたが、慎重にと申し上げます以上は軽々しくは取り扱わないということでございます。
  97. 諫山博

    諫山委員 この問題について日本民主法律家協会から、最高裁判所がみずから訴追の申し立てをすべきであるという要請書が出ているはずです。この中には日本の在野法曹のトップクラスといいますか、著名な人たちがたくさん名前を並べております。そして、司法の権威のためにも最高裁判所がみずから訴追申し立てをすべきだという趣旨になっているわけです。  そこで、弾劾によって裁判官が罷免される場合というのは、「職務上の義務に著しく違反」した場合、「裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。」この二つを並べているわけですが、鬼頭裁判官がこの二つの条項にみごとに該当することはもういまさら言うまでもないと思います。こういう場合には最高裁判所としては罷免の訴追を求めなければならないという義務づけになっているわけです。罷免の訴追を求めるか求めないかじゃなくて、求めなければならないんだということが最高裁判所に義務づけられています。当然最高裁判所としては罷免の訴追を求めるだろうと思うし、日本民主法律家協会の人たちもそういう立場から要請をしているわけですが、この点はすでに検討してありますか。そして、検討してあるとすれば、どういう方向が出ているのか御説明ください。
  98. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 条文の内容、意義につきましてはまさに御指摘のとおりでございます。まさに、私ども最高裁判所裁判官会議を補助いたします者といたしまして、この義務を遂行すべきかどうかについて現在鋭意調査中であるわけでございます。先ほど申し上げましたように、現在の段階で訴追をすることにしたとか訴追しないことにしたとかいうことについては、もちろん私がこの段階で、この席上で申し上げる限りではごいませんが、いずれにいたしましても早急にその結論を出したいというふうに考えている次第でございます。
  99. 諫山博

    諫山委員 人事局長にもう一つ。  鬼頭裁判官が問題の日に京都の官舎から夜間長距離電話をかけたかどうかということで調査を求めていたと思いますが、わかりましたか。
  100. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 調査に当たりましたけれども、その点については、かけたかどうかについては現在のところまだわかりません。
  101. 諫山博

    諫山委員 どういう方法で調査されたんでしょうか。
  102. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 調査の方法、具体的な内容につきましては遠慮させていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、当夜長距離電話をある程度かけたかどうかにつきましてはなかなかつかみにくいようでございまして、いまのところ先ほど申し上げましたようなことでございます。
  103. 諫山博

    諫山委員 次に、短時間ですが、ロッキード事件に関して質問します。  全日空の簿外資金に関してです。十月二十二日の参議院のロッキード特別委員会で稻葉法務大臣が、全日空の簿外資金は全部合わせて三億円ばかりと答弁しております。この三億円ばかりというのは、正確に幾らなのか、御説明いただきたいと思います。
  104. 吉田淳一

    吉田説明員 全日空の簿外資金につきましては、中間報告で明らかにいたしましたとおり、いわゆる九十ユニットと言われておる九千万円と、それから四十九年の六月と七月にロッキード社の方から受領しました約五千百万円と、さらに同年の八月に入りました一億一千二百万円、合計約二億五千三百万円の金員を順次この簿外資金に組み入れていったということを明らかにしておるわけでございます。     〔委員長退席、小島委員長代理着席〕  簿外資金自体は、全日空にすでにその当時以前から存在していたものでございますが、その金額がどの程度の簿外資金があったのかどうか、さらにこの簿外資金の額が、もちろんこれは時期によりましてその金額に多寡が生ずるのは、その後その金員の中から金を引き出しておるということも中間報告で明らかにしておりますとおり、その時期をどこでつかまえるかによってもおのずから異なるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、その簿外資金の存在及び簿外資金からさらにその金員が使われていったというその使途、この点については中間報告で明らかにしたとおりでございますが、その簿外資金の額がどれだけのものであったか、時期的にどういう金額になったかということを申し上げますのは、捜査の内容にまさしく関連いたしますので、今後の公判あるいはこの種事件に対する検察に対する協力を得られなくなる等々の事情から、その内容について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  105. 諫山博

    諫山委員 法務大臣の答弁で、三億ばかりとなっていますから、三億ばかりというのをもっと厳格に言うと幾らだろうかという点を明らかにしてくれませんか。
  106. 吉田淳一

    吉田説明員 私、法務大臣が答弁したときにおりませんでしたので、その約三億という趣旨を必ずしも把握しておりませんけれども、恐らく、私の理解いたしますところでは、先ほど申しましたように、合計約二億五千三百万円を総称して約三億の金を簿外資金に組み入れた、そのことを称して三億と言われているのではないかと思っております。
  107. 諫山博

    諫山委員 私の手元には会議録があるのですが、そうじゃなくて、全日空の前から持っていた簿外資金にロッキードからの二億五千三百万円が加わって三億ばかりになった、こういう説明だと思うのです。言葉を変えますと、三億ばかりから二億五千三百万円を差し引いたら、これが以前から全日空にあった簿外資金という趣旨ではなかろうかと理解されるのですが、どうですか。この程度のことは説明できるでしょう。
  108. 吉田淳一

    吉田説明員 同じようなお答えになって恐縮なんでございますが、私どもは簿外資金の内訳、額については先ほどの理由からその内容を申し上げることはできないという立場に立っておりますし、事務当局といたしましては、この点について法務大臣にその具体的な内訳まで一々金額を挙げて御報告してなかったと記憶しております。法務大臣の言われましたのは、順次合計約二億五千三百万円を受け取って、それが簿外資金に組み入れられていったということの経過を申し上げて、それで約三億という数字をその際申し上げたのではないかと思います。私どもとしては、ちょっとそれ以上その中身についてどうであるかということを申し上げるべき立場におりませんし、またそれが正しいかどうかということをお答えできないわけでございます。
  109. 諫山博

    諫山委員 そうすると、あなたの説明では、二億五千三百万円のことを三億ばかりと説明したのではないかと言われるのですか。     〔小島委員長代理退席、委員長着席〕
  110. 吉田淳一

    吉田説明員 先ほど来再三申し上げておりますように、たまたま私はそのとき委員会に一緒におりませんでしたので、大臣の真意がどこにあるのか正確にはお答えできないわけでございます。しかし、先ほど来申し上げているような趣旨から、大臣が仮に約三億ということを申し上げているとすれば、この約二億五千万円の簿外資金に組み入れたというその金額のことを申し上げているのではないかと推測しておるわけでございます。
  111. 諫山博

    諫山委員 全日空がロッキード社と関係なくもともと持っていた簿外資金というのはそのまま残っているのですか、それとも、当時何かに使われましたか。
  112. 吉田淳一

    吉田説明員 中間報告で明らかにいたしましたとおりでございまして、中間報告で、国会議員十三名に金額を提供した、それ以外の金員は簿外資金として留保されております。
  113. 諫山博

    諫山委員 中間報告では、全日空ルート説明の最後のところに、「右金員授受の趣旨は、」云々とあって、「ロツキード社の航空機売込みと関連があるとは認められなかつた。」という言葉で結びになっています。ロッキード社の航空機売り込みと関係があるとは認められなかったというのは、たとえば全日空のいわゆる権益拡大、日中、日台路線を中心とする国際線進出を実現するための権益拡大、こういう問題との関係もなかったという意味でしょうか、それとも、ロッキード社の航空機売り込みと直接関係がなかったというだけの趣旨でしょうか。
  114. 吉田淳一

    吉田説明員 中間報告で明らかにしたとおりでありまして、ロッキード社の航空機の売り込みとはいかなる意味でも関連性が認められなかったということは、事実そのとおりでございます。  それで、ここで明らかにしておりますように、政治献金とかせんべつ等々の趣旨で金員が贈られて、その金員は当該国会議員の職務に関する対価であるとは認められなかったということを申し上げておるわけでありますが、それではその中に御指摘のような全日空という特定の企業のために何らかの利益を期待している、あるいは何らかの利益になるような政治活動を期待して金員を提供しているというようなものが含まれていたのかいないのかという点でございますが、そのような直接または間接に全日空という特定の企業の利益になるような政治活動をしてもらうということを期待して贈られた趣旨のものも政治献金の中には含まれておりますし、その政治献金の中にはそのような多極多様の意味合いが込められているものも含まれていることは事実でございます。
  115. 諫山博

    諫山委員 当時全日空は、日中、日台路線を中心として国際線への進出を実明したいということを願っていた、これはもう明らかなことです。そして、この実現のために役に立つようにという意味の込められた政治献金、せんべつ、中元などもあったということになりますか。
  116. 吉田淳一

    吉田説明員 先ほど申し上げたとおりでありまして、政治献金の中には、面接または間接に全日空という企業の利益になるということの期待も込めて行われたものも含まれると認められます。じゃ、その内容が具体的にはどういうことであるかということにつきましては、私どもとしては、ここまで捜査結果を明らかにしている趣旨は、政治的、道義的責任につきまして国会でどういうものを基準としてお決めになるかという参考のためにぎりぎりの御協力を申し上げているつもりでございまして、全日空についてそのような趣旨のものも含まれているということを申し上げることによって、その基準の参考にしていただくという最大の御協力は申し上げておるつもりでございます。それ以上のことになりますと、それぞれの具体的な捜査の結果の個別的な内容にかかわってくるわけでございまして、私どもがここまで申し上げている趣旨を御参酌いただきまして、その点についての答えは遠慮させていただきたい、こう思います。
  117. 諫山博

    諫山委員 中間報告の全日空ルートの部分ですが、さっき読み上げました「ロツキード社の航空機売込みと関連があるとは認められなかつた。」という言葉の裏は、ロッキード社の航空機売り込みと関連があるとは認められなかったけれども、いわゆる全日空の権益拡大と関連があるものもあったというふうに読み取っていいですか。
  118. 吉田淳一

    吉田説明員 結論的にはいまおっしゃいましたとおりでございますが、私どもがここで明らかにしておりますのは、航空機売り込みと関連はなかった。要するに、本件は、ロッキード社のトライスターの売り込みということに関連いたしましてロッキード社から金員が国内に流れた、その金員の使途を追及し、その真相を解明しようということで捜査が行われたわけでございまして、その過程を明らかにし、その結果を明らかにしたのが——この全日空薄外資金につきましては先ほど言ったとおりでございまして、「ロツキード社の航空機売込みと関連があるとは認められなかつた。」というのはまさしく文字どおりそういうことでございます。  それでは、その際の政治献金等の中にどういうものがあったのかということにつきましては、包括的な限度でございますけれども先ほど明らかにし、直接または間接に全日空の利益になるということの趣旨も、そういう政治活動をしてもらうという趣旨も含まれているものもあったということで、御理解いただきたいと思います。
  119. 諫山博

    諫山委員 その場合の権益拡大というのは、私が何回も指摘したように、日中、日台路線を中心とする国際線進出の実現という目的のものですか。
  120. 吉田淳一

    吉田説明員 先ほど再三申し上げておりますように、このことを明らかにしておるのは、政治的、道義的責任について国会の基準をお決めになるということのぎりぎりの御協力として申し上げておるのでございまして、この政治献金の中身について、包括的に全日空という特定の企業の利益になれかしということも、そういう趣旨も含まれている政治献金があるということを申し上げる限度で、十分その目的は達しておると私どもは思っておるわけでございます。それ以上この内容を個々に明らかにするということは、今度まだこの事件との関連で公判が開かれるわけでございますし、私どもとしては遠慮させていただきたいと思います。
  121. 諫山博

    諫山委員 そこで、きのうの発表との関係ですが、九十ユニット関係で十三名の政治家の役職が出ています。これは秘密のつもりだったのでしょうが、すべての新聞に報道されておりますから、便宜上、私、毎日新聞に基づいて質問します。  これを見ると、十三名の元国務大臣、元政務次官、いろいろ政治家の肩書きが出ています。そして政治献金とかせんべつとか、いろいろ項目別に金の支出が記載されていますね。法務省としてはこういうのが公表されることを予期していなかったかもしれませんが、現に公表されていますから。ここで言う政治献金の中には、たとえばだれそれ先生を支持するからという単純な政治献金じゃなくて、全日空のために権益拡大に力をかしていただくという趣旨の込められた政治献金があったということに結論的にはなりますが、いいですか。
  122. 吉田淳一

    吉田説明員 まず、けさの報道を根拠にしてのお尋ねでございますが、この点については法務省としては全くお答えのしようがございません。法務省といたしましては、国会の秘密理事会ということでそこへ出席いたしたわけでございまして、そこで法務省がどのようなことを行ったかということは、私は国会を御信頼申し上げておるわけでございまして、それを法務省がそういう資料をつくって発表したということを前提に御質問があっても、私どもとしては何ともお答えしようがないということでございます。  なお、肩書き等が抜かれました金額等は、前に国会にぎりぎりの御協力を申し上げるということで御説明をしておるところでございますが、その政治献金の中には先ほど来申し上げておるような趣旨のものも含まれておるということは、再三申し上げたとおりでございます。
  123. 諫山博

    諫山委員 終わります。
  124. 大竹太郎

  125. 青柳盛雄

    青柳委員 私は、諫山議員の関連的な質問を少しくいたしたいと思います。  最初に、石原矯正局長にお尋ねしたいのですが、刑務所で保存している身分帳といわれるものあるいはそれの付属関係文書というのはどういう扱いになっているのでしょうか。
  126. 石原一彦

    石原政府委員 まず、身分帳についてでございますが、刑が確定いたしましてから出所いたしますまでのあらゆる経過が含まれているのでございます。したがいまして、その中には、いろいろな人権にかかわる事項といいますか、人の名香にかかわる事項がまずございます。たとえば、いま問題になっております診断書、あるいは診断経緯ということもまずございます。それから、人相表というのがありまして、いろいろな身体上のことが詳しく書かれておるという点がまず含まれます。それから次に、行刑処遇上必要な事項、すなわち、この者に対しては受刑者の改善更生を図るためにどういうような方針でどういうような処遇を行ったらばいいかという点でございますが、これは主として内部的な事項である反面、それが明らかになりますことは、受刑者が社会に出たときにマイナスになってもいけませんので、これは秘匿しなければならないかと思います。そのほかは、たとえば面会あるいは書信が参りましたときに、現在の憲法下で検閲は禁止されておりますが、行刑処遇に役立つということから御家族の方との話の内容あるいは手紙の内容が含まれておりまして、これは当然外に出すべきものではございません。そういうものを含みますがゆえに、身分帳は秘扱いとなるのでございます。しかしながら、一方におきましては、当然出してもいいもの、出してもいいものと言うと語弊がございますが、正当な機関から御照会等がありますればお答え申し上げる事項も含まれております。たとえば、確定年月日であるとか、いつ入っていつ出たとか、それから、その途中勾留更新の決定が送付されて本人に告知したかどうかという点がございます。かようなものは、裁判所等から御照会がありましたときには、それに基づいてお答えを申し上げるということでございます。そういうことで、すべてを含めまして秘匿事項がございますので、身分帳につきましては外部に対しては秘扱いというたてまえになっているというのがその性格でございます。
  127. 青柳盛雄

    青柳委員 宮本委員長の釈放の問題に絡んで、この身分帳の内容が外部に持ち出されたというのがいま大きな問題になっているのですが、そこで松本明重氏の出したリンチ共産党というような単行本がございますけれども、それを見ますと、診断書のほかに釈放許可書といいますか、刑務所長から検事の方に出した文書のようなものがあります。これはその文書と診断書とが一括されたもののようにも見えるわけでありますけれども、これは検察庁の方で保管しておくべきものなのか、それとも釈放の指揮と同時に身分帳の一部となって刑務所に戻ってきて保管されることになるのか、その辺のところはどうなんですか。
  128. 石原一彦

    石原政府委員 前提といたしまして、先ほど答弁申し上げましたように、身分帳の内容には秘匿すべき事項を含む書類がございますので、具体的な案件につきましてその内容を詳しく申し上げますことは、私自身が本来秘匿すべき身分帳の内容を申し上げることになりますので、抽象的なお答えになることをまず御容赦願いたいと思います。  宮本委員長の釈放につきましては、すでにたびたび国会で御論議もございましたが、昭和二十年の十月九日に執行停止で釈放になっております。その執行停止の権限は検察官が行うのでありますが、その理由によりましては、刑務所の方から職権発動を促すといいますか、検察官に事実を御通報申し上げるといいますか、そういうような書面が出るのが通常でございます。これは現在も行われているところでございまして、私自身地方の検事正をいたしておりましたが、そういう書類が刑務所から回されてまいりまして、その内容について検察官が審査するというたてまえになっているわけでございます。本件の場合は明確に申し上げることはむずかしい点もございますが、当時御病気であったというような点がございまして、刑の執行停止についての職権発動を促すという措置がとられたのであります。したがいまして、それに関する書類は刑務所にございます。なお、検察庁に参りました書類は検察庁が保管するわけでございます。  ところで、身分帳といいますのは、将来再犯が行われた場合には、その入所刑務所に対して前に完結した分が送られていきます。そこで、そういうような必要もありますことから、出所当時には非常に多くの書類が編綴されておりますが、その後は骨子となる書類にだんだん縮まっていく、身分帳の厚さからいいますと、やせていくのでございます。したがいまして、執行指揮書あるいは釈放に当たっての指揮書、これはあくまでも基本的なものでございまして、永久保存になっております。そのほかの点は順次廃棄されていくということでございます。一方、検察庁におき一まず書類は、これはそういう点の必要がございませんので、私の記憶しているところでは、判決原本、これは永久的に保存されますが、その他のものは順次廃棄年限が来るに従いまして廃棄していくということでございます。したがって、現段階におきましてそれらの関係書類は、矯正局といいますか、刑務所で責任を持っている身分帳に残っているというのが実態でございます。
  129. 青柳盛雄

    青柳委員 身分帳はどのくらいの期間だれが保管をするものなのか。たとえば刑務所を移動するというような場合も考えられますので、そういう点も含めてお尋ねいたします。
  130. 石原一彦

    石原政府委員 ある者がたとえば東京拘置所に勾留中で、判決が確定いたしたといたします。そうしますと、現在中野刑務所におきまして分類センターというのが設けられているのでございますが、そこでどういう刑務所に送った方がいいかということを調査いたします。これを分類調査というわけでございますが、たとえば改善更生の可能性がある者はわれわれA級と言い、改善更生の可能性が非常に低いあるいは処遇困難であるという者をB級と称しております。そのほか女子であるとか少年であるとかあるいは交通違反だけであるとかいうことで、刑務所の振り分けをするわけでございます。そうしてたとえば千葉に入ったといたします。そういたしますと、東京拘置所時代につくられた書類は、身柄の移動に従いまして中野刑務所に移り、中野刑務所からまた千葉刑務所に行く。千葉刑務所で釈放になりますと、これは執行停止、仮釈放、満期釈放を問わず、釈放になりますと、千葉刑務所に保管されるのであります。ところで、その者が今度九州に行きまして犯罪を犯し、実刑に処せられて仮に福岡の刑務所に入ったといたしましょう。そういたしますと、福岡の刑務所に千葉刑務所時代の前の書類が送られていくことになります。その送られていくのがわかりますのは、受刑者につきましては指紋をとっておりまして、その指紋原紙がすべて府中刑務所に保管されているわけでございます。したがいまして、新しい受刑者がございますと必ず府中刑務所に聞きます。府中刑務所に聞きますと、千葉刑務所で釈放になったということがわかる。そこで新しく入った福岡刑務所で千葉刑務所に照会をいたしまして、その身分帳を送っていただくということになっております。現在身分帳がどれだけあるかという点につきまして確たる数字を把握するのは困難でございますが、先ほど申し上げました府中刑務所におきましては、いわゆる前科に関する指紋原紙を百二十万枚保管しておりますので、全国刑務所に約百二十万冊の身分帳があると考えられます。
  131. 青柳盛雄

    青柳委員 全体の百二十万冊ということはわかりました。  それではお尋ねいたしますけれども、府中刑務所の指紋原簿というものの保存期間は、特定の被収容者について言うわけでありますが、どのくらいの期間があるものですか。永久ですか、それとも何年かたてばその指紋原簿もなくなる。したがってそれに対応する身分帳もなくなるというような決まりがあるのかどうか。
  132. 石原一彦

    石原政府委員 指紋原紙の保管は永久でございます。ただし非常な枚数になりますので、死亡と判明した場合には別に保管しておく。それからなお、大体七十でございましたか八十でございましたか忘れましたが、そのぐらいになれば犯罪能力がないであろうということで、生きてはおられますがある年以上になった方の指紋原紙も別なところに保管してあるというのが現状でございます。
  133. 青柳盛雄

    青柳委員 もうすでに死亡された者あるいは犯罪能力のなくなった者の分は、したがって身分帳はそれに応じて別に移されるのか消滅するのかという点と、したがって原紙がまだ生きているということによって、あるいは犯罪能力がまだあるということによって、府中にある限りにおいてはその身分帳というものは存続するというか保存され続けるということなのか、いわゆる別に移した者はもう身分帳はなくなるのか、それから移さない者は移すまでの間は存続するのか、その辺のところはどうなんですか。
  134. 石原一彦

    石原政府委員 まず、指紋原紙につきましてはずっと府中刑務所に保管されるのでございます。身分帳は各釈放された刑務所に残されているわけでございますが、重要部分につきましては永久保存となっております。したがいまして、端的に申し上げますと、ぎりぎりの段階になりますと、身分帳の表紙に罪名、確定年月日、入所、出所、それから拘禁中における諸種手続、すなわち勾留更新決定があるかないか、それから受刑になりますれば、順序変更が行われたとか仮釈放、それから執行停止になったという状況が書いてありますが、その表紙と、職権ある者の命令によって入所したという職権の命令をあらわす執行指揮書、それと釈放についての基本書類、執行停止の場合には検察官の釈放指揮書がございます。満期の場合には満期で出たという分の書類が残ります。それから仮釈放の場合には地方委員会決定書が残る。順次やせていきまして、最終的にはただいま申し上げた基本書類だけが残って、これは釈放刑務所において永久に保存されるというたてまえになっております。
  135. 青柳盛雄

    青柳委員 いまのような保存状態だといたしますと、新聞などの報道によりますと、鬼頭判事補は、宮城刑務所にある袴田里見氏の身分帳も閲覧をし謄写をしようと思ったのだけれども、もうなくなっているという返事だったから断念をしたというように伝えられておりますが、なくなっているというのは事実でしょうか。
  136. 石原一彦

    石原政府委員 宮城刑務所にある袴田里見氏の身分帳でございますが、これは現存いたしておりまして、現在当方に取り寄せ、これは刑務所から借りているのでございますが、私の方で責任を持って保管いたしております。宮城刑務所で廃棄したと言って断ったというのも、これも事実でございます。実は私の方でも今度の案件が出ましてから詳細に調べたのでございますが、宮城刑務所の際には、非常にはっきりと釈放時のことを調査したいということで、これは調査に応ずべきではないという判断をいたしました。ところが相手は裁判官でございましてどうも理屈がない、まことに申しわけないが、ないと言えば一番お断りしやすいであろうということで答えたようでございます。一見、虚偽の答えになったのでございますが、相手は鬼頭判事補でございますし、結果的には不祥事態を生じなかったのでございますので、この点につきましてはひとつ御了承のほどをお願いいたします。
  137. 青柳盛雄

    青柳委員 ところで、国家公務員法の百条の規定を見ますと、秘密を漏洩してはならない。したがって、秘匿扱いの文書を権限のない者に、いわば第三者に見せるということは、知り得た秘密を漏洩したということにも私は解釈できると思うのですが、そしてそうなれば、百九条の十二号で、「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金」という刑罰もありますし、また職務上の義務に違背した、法律に違背したということで、八十二条の懲戒の事由にも当たるというふうに考えるのでありますが、法務当局としては、網走刑務所の当時の責任ある地位の国家公務員についてはそういう嫌疑が、もうくどいから言いませんけれども、あれについての話です、宮本委員長の身分帳を鬼頭判事補が閲覧をし、写真に撮っていったとかあるいは後から手書きで送ってやったとかいうようなことを指して言っているわけで、以下もすべてそういうことですから。そういう事犯としての取り扱いはしているのかいないのか、これをお尋ねしたいと思います。
  138. 石原一彦

    石原政府委員 本事案が十月二十一白朝日新聞に報道があり、その後諫山議員から、あそこにある裁判官というのは鬼頭判事補のことである、厳重に調査すべきであるというお話がございました。由来、私どもといたしましては、鋭意調査を続行いたしているところでございます。現在までのところ、すべての全貌が解明されたとはまだ私たちも思っておりません。したがって、その全貌の解明を待ちまして、しかるべく適正な処置をいたしたいと考えてはおります。しかしながら、これは十分おわかり願えると思いますが、われわれが現在調べております職員は、きわめて実直なまじめな刑務職員でございまして、やはり自分たちの鬼頭判事補に対する応接の方法に適切でないところがあったということから、心配はしているのだろうと思います。そういう点をかれこれ考えますと、この段階におきまして明確なことを申し上げるのはまだ早いのではなかろうかと思いますので、調査結果が完了いたしますまで、いましばらくお待ち願いたいと存じます。
  139. 青柳盛雄

    青柳委員 国家公務員の身分にかかわる問題でございます。具体的な人間についての。したがって、これ以上の追及はいたしませんが、いずれにしても、本人が善良な国家公務員として、不注意でそれを見せることが法律違反になるというところまで意識しなかった。つまり故意がなかったというような解釈も成り立たないわけではないわけで、全貌が明らかになった上でどういう処置をとるかというのは、最も慎重な態度で、私も別にあえてここで決めつけるというようなことを言おうと思っているわけではありませんが、仮に鬼頭という判事補が刑務行政を預かっている上部の人の了解も得てやってきたというような形がとられ、そしてそれが違法行為を行うとは思わなかったということで軽率にも見せてしまったということであれば、その職員の刑事責任やあるいは職務上の責任というものを追及する以前に、そういう人たちをあざむいたという責任はまたそれ以上に重いと思うのですね。しかも、裁判官という法の番人と言われる地位の者が、そういう刑務行政に携わる人たちを錯誤に陥れて、そしてまんまと秘密書類を見ることができるというようなことは許さるべくもないと私は思うのですが、この問題について、最高裁当局は、鬼頭判事補の自白があってもうすでに争いのないことなんですが、電話の方は否認をしているようでありますけれども、争いのないこの行為について、どのような態度をもって臨んでいるのか、お尋ねしたいと思います。
  140. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 網走刑務所に関する事件につきまして鬼頭判事補のとった行動、特に書類を入手した経緯の大筋においては青柳委員指摘のとおり、いわば自白といいますか、自分で認めているところでございます。ただ、先ほどから法務省の矯正局長が申し上げておりますどのようなことを申し向けて入手するに至ったか、この点につきましては大分食い違いがあるわけでございまして、私どもといたしましては、矯正局の方の調査の結果をちょうだいいたしまして十分検討さしていただきたいと思っております。  ただ書類の事後処理につきましては、まだまだ調査未了でございまして、先ほど御質問にもございましたけれども、現在のところ、私どもといたしましては、報道されているようなところに流れているという資料はまだいわば手にしておらないような状態でございますので、全体を通じての結論というものは、もう少し慎重に考えさしていただきたいというふうに思っております。
  141. 青柳盛雄

    青柳委員 私が一番懸念するのは、鬼頭判事補が身分帳等を写真に撮ったり、その写しを送ってもらったりして、それをどういうふうに使ったか、またその撮る目的が何であったかということが判明しないと真相が明らかにならない。それは当然そうだと思うのです。精神異常でない限り、何かの動機目的があってやったことであるし、またその目的に沿うような処理の仕方をするであろうことは、常識のある人間なら当然そうなる。ですから、反共謀略の手段として巧妙にそういう資料を不法に入手したということであるならば、これはもうだれが見ても弁明の余地のない不道徳きわまる、また違法な行為でありますけれども、研究のためだというようなことで、あたかも、学者あるいは研究者が研究のためにのみひそかにその情報を手に入れているということであるならば、これは手段は余り芳しくないけれども、大したことはないじゃないか、あえてとがめ立てするほどのことはないじゃないかというような方向でこの問題を流してしまう。恐らく、そういうことで最高裁がこの問題を処理する。にせ電話の方も、ついに本人が言わないからわからなかった。この自白する方も、本人はどこへも出していないと言うからそれを信ずる以外ない。こういうことになると、全く大山鳴動ネズミ一匹のようなものでありまして、調査なるものは本当に真相に迫っていないではないかという非難は当然起こってくると思うのです。私は、使い道について厳重な調査をしてもらわなければならないと同時に、繰り返し申しますけれども調査目的だから、そして外部には出さなかったと本人が言うから、もうそれでこの鬼頭判事補のやったことは、本人が免官願でも出したらこれを受け取って、そしてまだ弾劾訴追という手続が済まない前に内閣の方にその免官を認めるように最高裁として進達するというようなことになったとすると、これは非常な裏切り的な行為を国民に対してやったことに帰着すると断ぜざるを得ないわけです。この点は慎重の上にも慎重であるべきだと思いますが、いかがですか。
  142. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 申し上げるまでもございませんで、私どもといたしましては、慎重の上に慎重な調査を遂げたいというふうに考えておる次第でございまして、もちろん網走刑務所の問題につきましては、動機目的等についても再調査をすべきであると考えておりますし、流れ出たのか出なかったのかという点についても、先ほどお尋ねがございましたが、やはりできるだけの調査はいたすつもりでおりまして、決して御指摘のようなうやむやな形で決着をつけるというつもりは毛頭ないわけでございます。
  143. 青柳盛雄

    青柳委員 これは非常に俗っぽい質問をいたしますけれども鬼頭判事補というのは非常に奇怪な行動を連続して行っている。そして友人、知人、いろいろの人たちの話を総合しても、決して常識のある行動をとり続けているとも思えないような節がありますが、そういう点で、最高裁として彼の異常性格というようなことでこの問題を処理するというような姿勢ではないと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  144. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 ただいま私どもといたしましては、鬼頭判事補の客観的な行為自体を鋭意調査中でございまして、ただいま御指摘のようなことでこの案件を処理するというふうなことを現在考えているわけではございません。
  145. 青柳盛雄

    青柳委員 裁判官の分限法を見ますと、「回復の困難な心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合」には免官になるということになっておりますが、事実上彼は裁判官として適格性がないというふうな疑いを強く一般に認識されておりますが、これをもっと広めれば、回復困難な病気だというような疑いをもって分限裁判にかけて罷免してしまうというような、こういうやり方をやるかやらないかという点でありますが、この点はいかがですか。
  146. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 私どもといたしましては、現在はあくまでも訴追事由があるかないかということについて調査中でございまして、いわば弾劾法の適用を受けるべきかどうかということで鋭意調査している次第でございます。
  147. 青柳盛雄

    青柳委員 私は当然そうあるべきだと思うのです。彼が単なる性格の異常のゆえをもってこのような行為を繰り返しているのではなくて、まさに責任能力を持ち、別に精神に特別な異常があるわけではなくていろいろの行動に出ている。しかも、それは単独ではなくて、必ず協力者といいますか、一つのグループのようなものがあるに違いないとにらんでいるわけであります。  そういう点でお尋ねをいたしたいと思いますが、名前を出された人にとっては迷惑至極なことでありましたが、彼が非常に香川民事局長の名前をあちらこちらで放言をしているという事実が前回の法務委員会でも発言されたわけでありますが、それに関連して、赤旗の記者が香川民事局長にインタビューをしましてお聞きしたところによりますと、香川さんと「鬼頭裁判官との関係については、五年前訟務部長当時に飯守重任氏から「鬼頭君を法務省訟務部検事に採用してほしい」と頼まれたあと、突然、鬼頭裁判官から訪問をうけ、」云々。お断りしたんだそうですか、そのことを「根にもってのこととは思いたくないが、鬼頭裁判官が私の名前を身分帳の事件にからめて出しているのは異常な事態だ」という談話を出しておられます。これは赤旗の記者だけかと思いましたら、毎日新聞の記者に対しても同趣旨のお話があります。ということは、毎日新聞の記事にもあるわけですが、「鬼頭君のことについては、五年前、私が訟務部長のとき、飯守重任氏と平賀健太氏」——これは「健太郎」というふうに善いてありますが、「健太」という字の誤りだろうと思います。「氏から鬼頭君を訟務部検事にとってくれないかという話があり、」「結局は鬼頭君は不採用にし、飯守さん、平賀さんに随分怒られたことがある。」こういうお話をしているようです。  そこで、これは恐らく新聞の聞き違いあるいは書き違いではないと思う。事実そういうお話があったのだろうと思いますが、そうなりますと、訟務部検事に採用してくれという推薦をしたというだけのことからそのつながりを云々するのは、速断に過ぎるとも言えないわけではありませんけれども、飯守重任氏とか平賀健太氏、これはいずれもいま裁判官をやめて大学の教授とかあるいは弁護士、平賀健太氏はことしの七月二十日に東京第一弁護士会に入会されたようでありますが、現在は裁判官ではありませんけれども鬼頭判事補との関係について、最高裁判所としては、一応の重要参考人といいますか、情報を得るに協力してもらえるような人物というふうに見て、この方々から何らかの話を聞くような手続をとっておられるかどうか、それをお尋ねしたいと思う。
  148. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 鬼頭判事補と平賀さんとの関係につきましては、各紙大分報道されているようでございます。私ども事情聴取の際、平賀さんとのおつき合いのことについてお伺いいたしました。しかしながら、この関係については全然もちろん否認しておったわけでございますし、平賀さん自身が、各紙の報道記事を拝見いたしますと、むしろこのようなことを鬼頭君が考えているならば、そんなばかなことはよせというようなことをはっきりおっしゃっておるようでございますし、機会があればお伺いするつもりでおりますけれども、現在のところ飯守さんに対しまして事情を聴取してはおらない状態でございます。
  149. 青柳盛雄

    青柳委員 どうも最高裁では、こういう人たちに接触を持つことを大変に煙ったく思っているというか、慎重に過ぎる傾向があるのではないかと思いますが、任意に調査することはありますから、強制権を発動するわけではないので、どういう答えが返ってくるにせよ、こういう方々が、たとえば福島裁判官の懲戒訴追の問題、あるいは宮本康昭裁判官の再任拒否の問題、みんな飯守さんや平賀さんが関与しておられる。その当時から鬼頭氏とこれらの人たちとのつながりもあったということが推測されるわけでありますから、少なくとも、任意に調査を進めるという立場から、こういう方々から情報を得るということは必要なことではないかと私ども考えるのですが、この点重ねてお尋ねいたしますが、いかがでしょうか。
  150. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 調査につきましての御意見として十分承ります。機会を見まして、私ども必要ということであれば十分調査いたしますというふうに申し上げたいと思います。
  151. 青柳盛雄

    青柳委員 弾劾の訴追に当たるかどうかという観点であれ、あるいは裁判所法四十九条の義務違背があるとして分限で懲戒にすべきものという場合であれ、いずれの場合でも、私は本人にだけ弁明を聞くというようなことでは、非常に裁判所のやる仕事らしくないという感じがするわけです。もちろん本人の弁明を十分聞かないで軽々に措置してはいけないことはもう繰り返すまでもありませんけれども、しかし、本人が自認する、告白をする以外のことは何にも認定できないのだ。それを認定するための何らの資料の収集もやらないのだなどということで処置されたのでは、これは裁判所のやる仕事とはとても思えない。一方的というか、余りにも本人次第といいますか、そういうことになってしまって、法の秩序の維持という点についても非常に欠くるところが出てくるのではないか。人権を尊重しなければならない立場でありますから、本人をただ犯人扱いをするというのが大事だというのではありませんけれども、さりとて、本人が免れて恥なしというような状況で、国民も非常な割り切れない気持ちに陥るようなことのないように、これからも厳重な捜査を続け、そして私は、これだけ問題が大きくなったわけでありますから、当然弾劾訴追申し立てにまで進むべきではないか、そしてすべては訴追委員会手続あるいは弾劾裁判所の裁判、そういうものによってこの鬼頭判事補の身分に関する措置は処理すべきではないかというふうに考えます。  それにしても、判事補の任期は何月何日まであるのでしょうか。
  152. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 来年の四月六日でございます。
  153. 青柳盛雄

    青柳委員 具体的な質問は大体これで終わるのですが、けさもある弁護士がテレビで述べておりましたけれども、裁判の威信を非常に傷つけた出来事である、だから国民の信頼を裁判所が取り戻すためには適切な処置をしなければならないけれども、これをきっかけにして裁判官の身分上の調査というようなものが厳しくなり、裁判官の独立性を侵すようなところまでいくとすればこれまた大変な悪い影響を及ぼすと言って心配しておられたのを聞いて、私も同感であります。すでにしばしば私はこの委員会で、司法修習生に対する心得といったようなものを強調され、そして相当厳しい規制といいますか、教育といいますかが行われ、いささか修習生が自主性を失って、卑屈になって、伸び伸びと自主的に裁判官として当然持つべき素養といいますか、素質といいますか、そういうものまでも殺して、何かだれかに迎合する、権力に迎合するといいましょうか、そういうふうになって、良心と法律に従って裁判をするという独立の気風をもう修習生のうちから摘み取られてしまうような、そういう危険を指摘してまいったわけでありますが、それに今度の鬼頭事件が拍車をかけるがごとくに、これでは大変だ、だから、修習生はもちろんのこと、すでに裁判官になった者の身上調査というものを緻密にやって、そしてそのプライバシーにかかわるような問題までも深入りをするというようなことがあるとするならば、これは裁判の信頼をかち取るゆえんではなくて、むしろ逆に傷つける結果にもならざるを得ない。だから、私は、鬼頭裁判官の出来事というのは非常に不幸な出来事であるというふうに見ておるわけでありまして、ほとんどの裁判官に関してはこのようなことが一般化されているとは思っておりません。国民もそう思いたくないと思うのですが、そういう際であるだけに、鬼頭裁判官の出来事というのは、真相を徹底的に解明するという方向で、であるがゆえに、真相が判明してくればくるほど他の裁判官の信頼度が高まるというような結果になることを私は期待したいのでありますが、いずれにしても、最高裁がそういうことを考えているとは私は思いたくないが、これを一つのてこにして、ちょうど暴力学生などの裁判のときに、被告、弁護人までが法廷を荒らすというようなことで、法廷の秩序を維持するということから非常に法廷の警備やあるいは訴訟指揮が非民主的になってくる、つまり、いい方向へ行くのではなくて、きわめて否定的な方向へ行ってしまっているというような前例を考えると、そういう逆コースに陥らないことを私は心から要請したいと思うのですが、この点はいかがでしょうか。総長からひとつ……。
  154. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 このたびの鬼頭判事補の問題は、私どもとしてまことに遺憾に思っておる次第でございます。具体的な事案の内容、詳細はわかりませんけれども、現在判明いたしております限度でも、これは裁判官としてはきわめてふさわしくない行動であることは間違いないわけでございまして、しかも、こういうふうに、二千数百人の裁判官の中でただ一人の判事補でありましても、かような行動に出る者がありますと、それが一般的には裁判官全体に対する信頼感を世間から失わせるという一つのもとともなるわけでございまして、そういう意味におきまして、私ども裁判官常に相戒めて、一人の不心得者もないようにしなければならない、かように考えておるわけでございます。  鬼頭判事補の行いました行為の中で、にせ電話をかけたかかけないかはともかくといたしまして、にせ電話関係した、こういうような事実をとってみますと、いま青柳委員からもお話がございましたように、これはきわめて特殊な裁判官の特殊な行為だというふうに私どもとしても受けとめたいし、恐らくそうであろうと確信するわけでございますが、しかしながら、今回の問題をきっかけにしてあらわれてまいりましたいろいろな問題点、これは鬼頭裁判官自身の処分等については、あるいは間接的なことになるかもしれませんけれども、たとえば札幌に出張した機会に網走まで許可なく足を延ばしたとか、あるいは海外に旅行する場合に何らの許可を得ないで三回も行っており、しかもそのことが相当長期間、いわば今回の問題が起こりますまで上司等に知られなかったとか、あるいは相当遠隔のところから通勤しており、開廷時間等にもほかの裁判官と違うところがあったのに、それがよくわからなかったとか、その他もろもろ、いわば今回の事件をきっかけとしてあらわれてまいりました問題点は、これは果たして鬼頭判事補の特殊な問題としてそのまま見過ごしていいものであるかどうかという点には、私どもとしてやはり反省しなければならない問題があるのではないかと考えておるわけでございます。  もっとも、そうであるからといって、これを直ちに、どういう方法で裁判官というものが自粛する、正しい行動をとるようにしていくかということにつきましては、いま青柳委員からもお話がございましたとおり、憲法上保障されました裁判官の地位というものとの関連がございまして、私どもも直ちに今回の事件からストレートに何らかの規制をするということを考えるわけでもございませんけれども、しかしながら、また同時に、毎日マスコミで伝えられまするところを国民の皆様方が一体どういうふうにお受け取りになっておられるであろうか、裁判官というものはかくもふしだらなものかともし万一おとりいただくようなことがあるとすれば、これまたゆゆしいことでございます。その辺の兼ね合いは十分慎重に考えながら、すべての裁判官が誤りなく行動できるように十分検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  155. 大竹太郎

    大竹委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時六分散会