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1976-11-02 第78回国会 衆議院 懲罰委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十一月二日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 宇田 國榮君    理事 奥田 敬和君 理事 木野 晴夫君    理事 田邊  誠君 理事 東中 光雄君       小島 徹三君    野呂 恭一君       羽田  孜君    葉梨 信行君       松永  光君    山村治郎君       綿貫 民輔君    山口 鶴男君       沖本 泰幸君    折小野良一君       玉置 一徳君  委員外出席者         議     員 紺野与次郎君         議     員 渡部 一郎君         議     員 小沢 貞孝君     ————————————— 委員の異動 十一月二日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     野呂 恭一君   羽田  孜君     山村治郎君   松永  光君     葉梨 信行君   玉置 一徳君     折小野良一君 同日  辞任         補欠選任   野呂 恭一君     片岡 清一君   葉梨 信行君     松永  光君   山村治郎君     羽田  孜君   折小野良一君     玉置 一徳君     ————————————— 本日の会議に付した案件  議員紺野与次郎懲罰事犯の件      ————◇—————
  2. 宇田國榮

    宇田委員長 これより会議を開きます。  議員紺野与次郎懲罰事犯の件を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本人紺野与次郎君に対し、本日の委員会に、衆議院規則第二百四十条により、出席を求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宇田國榮

    宇田委員長 御異議なしと認めます。よって、議長を経由して本人出席を求める手続をとることにいたします。     —————————————
  4. 宇田國榮

    宇田委員長 それでは、動議提出者に対する質疑の申し出がありますので、これを許します。東中光雄君。
  5. 東中光雄

    東中委員 趣旨説明者にお伺いするのですが、この懲罰事案不規則発言を問題にしておるわけでありますが、国会開設以来、不規則発言懲罰委員会に付するの動議を出したものがないわけではありませんけれども、会議録に一切あらわれないような不規則発言について、その不規則発言提案者自身会議場に後日になって再現をして、再現をしたと言われて懲罰動議を出された、こういう例は全くないわけであります。いままで二十数年、三十年近くの日本の国会史の中で全く例のないことをやられた、そのことは御承知の上であえてやられたのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  6. 渡部一郎

    渡部(一)議員 お答えいたします。  不規則発言懲罰につきましては、こうした問題が当委員会提出され、委員皆様方をお悩ませすることに関して、まことに申しわけないことだと議員の一人として思うものであります。  問題は、このような議会品位にかかわる発言をなさったこと自体がまことに異例中の異例なことでございまして、議会三十年の歴史を通してまことに異例な発言であり、その異例な発言に対して懲罰事犯として提起されたということはやむを得ないことと考えるものであります。
  7. 東中光雄

    東中委員 私がお伺いしておるのは、会議録にも一切あらわれなかったものを1会議録にあらわれておったものを削って、そしてその内容は言わないで懲罰動議を出されるというのは、これは吉田元総理の発言についてありますけれども、会議録にあらわれていないものを、不穏当発言だと言うてわざわざそれを今度は会議録に載せるというふうな処置をとった前例は全くないということを御承知の上であえてやられたのか、そういうことは知らぬでやられたのか、そこをお聞きしておるわけであります。
  8. 渡部一郎

    渡部(一)議員 もう御質問者自身が事情をよくおわかりでございますから、あえて私が申し上げる必要もないのでございますが、会議録にその言葉が載っていた、載っていないという論争よりも、むしろ問題は、そうした発言が行われ、多くの議員諸公のまゆをひそめさせたというところに問題があると私は考えているわけでございます。
  9. 東中光雄

    東中委員 答弁がすりかえられておるわけでありますが、私の申し上げていることをはっきりとここで申し上げておきますが、不規則発言があった、それが会議録に載った、しかし、それは不穏当発言だからということで取り消されて、会議録から抹消し棒線を引いた、そういう問題について、その内容は引用しないで、本会議場で出すべきものではないという立場でいままではやっているわけです。ところが、今度の場合は、会議録に載っていない、全然本会議録にあらわれていない、そういうものを不穏当発言だと称して、その不穏当発言自体を、今度は提案者自身が本会議場あるいはこの委員会での発言の中で引用しておられる。これは非常に矛盾なんですね。不穏当発言なら、出したらいかぬのだから削る。ところが、出ていないものをわざわざ出して言うというのは、それが不穏当だと思っておったらそういうことはできないはずだ、そういう筋合いになるのだが、非常に矛盾した、前例のない態度をとっておられるということについてお聞きしておるのでありますが、それについてのそのものずばりのお答えがないのはまことに残念でありますが、次に進みたいと思います。  紺野発言を客観的に証明するもの、たとえば会議録、そういうものはあったのかなかったのか、院として客観的に証明するものがあったのかなかったのか、その点はどうでしょう。
  10. 渡部一郎

    渡部(一)議員 ただいまの御質問は、どうやら紺野議員の御発言が院として証明するものがあるかという御質問でありますから、それは院の方でお決めいただくことでありまして、提案者の限界を超えるものと私は思うわけであります。
  11. 東中光雄

    東中委員 いまの時点では、提案者としては、提案者の主観的なことでいまやっておるのであって、客観的に証明するものがなかったというお答えのようにお聞きしましたが、この点について趣旨説明者渡部一郎君は、「私は、紺野君の暴言を明確にこの耳で聞き、また、その後の同僚正木議員抗議を目の前で詳細に見守っておりました一人として、当時の状況をここで明確にしておきたい」「正木議員は、当初聞き流していたのでありますが、余り執拗に矢野議員を「イヌイヌ」と「イヌ」呼ばわりするために、たまりかねて後ろを振り向き、紺野君に対し、」中略しますが、「抗議し、暴言の取り消しと謝罪を要求したのであります。」こういうふうに趣旨説明で言われておるのでありますが、これは趣旨説明者としての渡部さんの個人行動を言われているわけですね、「私は」ということで。  ところで、このときの状況テレビで放映をされておるわけであります。それによりますと、正木君の行動を終始目前で詳細に見守っておりました一人となっているのですが、正木君が行動を起こしているときに、あなたは全然違う方向、演壇の方を向いて、姿勢正しく座っておられるわけです。後ろにおる紺野さんあるいは正木さん、この行動は前を向いておって見守れるわけがないわけですから、あなたは前を向いて後ろを見守っておったわけですか。いかがですか。
  12. 渡部一郎

    渡部(一)議員 あなたは私が主観的な立場でこの紺野さんの暴言の問題につきましてお話があったように私の答弁をおすりかえになりましておられるにつきましては、私はちょっと異議がございまして、趣旨説明をいたしましたのは私でございますが、この懲罰事犯に対する提案をいたしました提案者一同認識といたしまして、同議員のまことに遺憾な御発言があり、品位を欠く御発言があったことについての認識が一致しておりますので提出をいたしたわけでございます。  テレビの問題につきまして、私は争闘を余り好みませんので終始一貫私は冷静さを堅持いたしておりましたが、私の耳は、同議員の御発言をとらえていたことを申し上げたわけでございます。
  13. 東中光雄

    東中委員 「同僚正木議員抗議を目の前で詳細に見守っておりました一人として、」あなた、そう発言しているんですよ、目の前でと。ところが、あなたは前の方を向いているのです。後ろでやっているのですから、目の後ろでやっておるのを感じておったと言うなら、これは本当でしょうけれども、目の前で詳細に見守っておった、これは堂々と本会議でも言っていらっしゃるわけです。ところが、実際の現場の場面というのは、ここにスチール写真がありますけれども、明白にあなたは前の方を向いているのです。正木君は全く後ろの方を見ておるわけです。耳は聞こえるというのであって、耳で見守るなんということは言いません。「目の前で詳細に見守っておりました一人」ですと、あなたははっきり言うておるのですよ。それは素直に認めなさいよ。
  14. 渡部一郎

    渡部(一)議員 非常に御心配をいただいているようでございますが、私は、あるときは前を向き、あるときは後を向いておったわけでございます。先生のお手持ちのスチール写真には、私が前を向いていた礼儀正しいところが写ったのだろうと思います。また、同様の写真がございまして、私が立ち上がって様子を見守っていた写真もある。終始一貫立ち上がっているような無礼な態度は、私は本会議議場における礼儀作法としてもやるべきではないという立場でございますから、あるときは前を向き、あるときは後ろを見るのは当然でございます。それを指して、あなたは機械的に、全部を見張っていたかとおっしゃるというのは、私はお話としては非常に妙なことではないかと思うわけであります。
  15. 東中光雄

    東中委員 あるときは後ろを見、あるときは前を見ておるという状態を、見守っておるとは普通は言いません。  それから、ここで問題になっておるのは、紺野氏に対して正木氏がまさに肩、胸の辺を突いている、暴力を加えている、そのときにあなたは前を見ておるわけです。あなたが前を見ているときに、後ろ暴力が加えられておるわけです。あるときは後ろを見、あるときは前を見ておった。後ろを見ておったときは、何もないときに見ておった。実際にやっておるときには前の方を向いておった。で、本会議場であるいはここでは、見守っておった者の一人、これは普通に素直に聞けば、だれも公明正大に物を言っておられるとはちょっと言いにくいのじゃないですか。どうでしょう。
  16. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生の御論理を私は非常に遺憾に思っておるわけでありますが、実は公明新聞の方で撮影いたしました写真によりますと、共産党の寺前巌議員でございますが、わが党の石田幸四郎議員に対し、げんこを振り上げ、突きかかっている写真がございまして、パンチが当たっているとしか見えない写真があるわけであります。私どもその情景を知っておりますだけに、まあ、かすめたかもしれないけれども、直接のパンチが来たとは思いませんが、こうした写真を平面的にとらえまして、そうして一つのシーンで何かをおっしゃるということは、問題の本質を変えて、すりかえやすくするものであろうと思うわけであります。  私は、勘どころにつきましては、全部その場の情景心配をしながら非常に見守っておった一人といたしまして、私は、この場の情景についてはほぼ正確にキャッチしておったと思うのでございます。先生自身があの状況をどうごらんになっていたかわかりませんけれども、先生もまた、当時議場内交渉係のお一人として、あるときは前に走り、あるときは後ろに走り、前を向き、後ろを向き、非常にお忙しい御状況でありましたことは、私も横で推測ができたわけでありますし、またそう拝察もしておったわけでございます。機械的に目をどちらに向けていたというようなことは、問題の本質として重要なことではないと私は思っているわけであります。  正木君の問題について御質疑をいただきますならば、私は趣旨弁明の中でも申し上げましたとおり、少なくとも正木君は暴力をふるうような議員でもありませんし、またそうした状況はなかったと私は自信を持ってお話ができると思うのであります。
  17. 東中光雄

    東中委員 いま渡部議員は、平面的な写真をとって言うのはそれは事実を伝えるものではない、こういう発言をされました。私は、平面的なものではなくて、テレビニュースで放映されたそのビデオを持っております。平面的だから事実を伝えるものではないと言われましたから、そのビデオをここで示して明白に——これは連続的な映写ですから、突いている部分がはっきりと出ておるわけであります。  その点について委員長に、いまああいう弁解をされておるわけですので、それについての事実を明らかにするという点で、ビデオを示すことを、これはニュースですからせいぜい一分間くらいのものであります、ぜひ御許可をお願いしたい。
  18. 宇田國榮

    宇田委員長 ただいまの東中君のビデオの件は、先ほどの理事会で話し合いのとおり、後刻理事会において協議いたします。  渡部一郎君。
  19. 渡部一郎

    渡部(一)議員 いま……
  20. 東中光雄

    東中委員 いや、いま私は委員長発言したのです。質問してないよ。
  21. 渡部一郎

    渡部(一)議員 委員長、どちらを御指名になったのですか。
  22. 東中光雄

    東中委員 委員長、よろしいですか。
  23. 宇田國榮

  24. 東中光雄

    東中委員 いまここでビデオを示すことができないのは、はなはだ残念であります。  いま渡部君の答弁では、平面的な写真ということを言われた。あなたの寺前議員に関する写真というのはずっと後のことであります。正木君が現に暴力をふるうたそのときは、あなたは前の方を向き、そして、そのほかの人も皆ほかの方を向いているという段階であります。一番初めにそういうことがあって、そして事態は広がっていくわけであります。私は、議場内交渉係として、矢野質問に対して異議があったから壇上へ行きました。ある程度聞いてから行ったわけです。そして壇上におるときに、こっちの方で紺野さんを取り巻く公明党議員皆さんの立っておられる状態が見えて、一体何事が起こったのだということで帰ってきたのが私自身の体験した事実であります。その時期に副議長は、静粛に願いますということを発言されておるわけです。それは会議録にも載っておる。だからそれは、会議録に載っておるのを見れば、質問が終わってからです。その少し前の段階で一番最初に始まったのがこの暴力なのです。そういう点をすりかえて言われておるのは、まさにあなた方自身だと思う。何万という人の支持を得て国会に送り出された議員の身分に関する問題について、事実関係をごまかすようなことは私は断じて許されぬ、こう思うのであります。  あなたは、何回も「「イヌイヌ」と「イヌ」呼ばわりするために、」ということを言われておるわけであります。あなたは、紺野議員のいわゆる不規則発言矢野質問に対してやった議場からの発言をお聞きになったというふうに言われておりますが、それを聞いてあなた自身はどうされましたか。
  25. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生は私の答弁を待たずに次々論旨を展開されておられますから、ひとつ申し上げておきたいと思いますが、先生はいま正木君の暴力事犯をこの委員会懲罰動議としておられるのか、それとも紺野君の犬問題を言っておられるのか、まずお立場を明確になさらないといけません。  時間的関係は、正木君の云々という部分について私はわざわざ触れないで言いますが、まず最初に起こりましたのは、紺野与次郎議員の聞くにたえない暴言問題であります。その暴言問題について騒動が起こっているにもかかわらず、先生の御発言を聞いていると——その暴言問題をもう仕方のないこと、確定した事実として先生はお認めいただいているならば、私はそれはそれでよかろうと思います。ただ、後ろを向いて正木君が抗議したことをもって犬と言うのは当然だとおっしゃるような論理をもし展開されるとすれば、先生の御発言はとてもではないけれども私は受け取れない。正木君が突いたから犬と言ったのだと言うのだったら、それは時間的関係がまさに逆だと言わなければならない。先生は御賢明でありますから、その辺十分御配慮をいただいての御質疑にしていただきたい、私はこう思っているわけであります。  それから、先生はたびたびいろいろおっしゃっておられますが、公明党議員が取り巻き、かついろいろと抗議をいたしておりましたときに、紺野自体自分発言に対して非常に大きなショックを受けられておった御様子というのは、先生は十分お認めになったことだろうと私は思います。ですから、私は申し上げるのでありますが、御当人が正木君から暴力をふるわれたのだったらその議場で直ちにおっしゃることであり、正木君に暴力をふるわれたことを東中君はどうしてその議場の中で直ちに抗議をし、懲罰動議提出なさらないのか。その明くる日になってからわざわざそういうような意見を開陳され、御弁明をなさった。紺野君のそうした弁明については、私たちはとうてい信じがたいのであります。  この問題は、犬というようなまことに品の悪い問題が懲罰事犯として当委員会提出されているわけであります。その犬の問題の後ろから起こった事件を審査するために開いているわけではないわけであります。事柄のいきさつ上、そうしたことに波及するのを私はとめようとしているのではありませんけれども、なぜ犬と言ったのか、そしてその犬という暴言を言ったのか言わないのか、まさにそこに問題があるわけであります。犬については、当然、周辺の皆さんすべてに響き渡ったお声でありましたし、先生は院としての証拠があるかとおっしゃって、あなたの個人的な証拠しかないという言い方をなさいましたが、少なくとも本件提出者にとっては共通の理解がございましたし、また、一部は社会党席にも、一部は自民党席にも聞こえるような声であったということそれ自体が大きな証拠であったと私は考えるのであります。先生は、私個人しか聞こえなかった特殊な発言のように、先ほどから巧みに弁論をされますが、それは先生弁論技術の確かさを示すものではありましょうけれども、問題の本質を正確に示すものではないと私は思います。
  26. 東中光雄

    東中委員 あなたは、私の質問には全く答えないで、先回りをして盛んに弁解をされておるようでありますが、あなた自身動議提出者を代表して本会議及びここで趣旨説明をされたそのときに、あなた自身が私はこの耳で聞いておるというふうに言っていますから、そのことについて私はいま聞いておるわけであります。  それで、あなた自身が聞いたというのは何を聞いたのか、それから、それを聞いてあなたはどうしたのかということを聞いておるわけであります。それに答えないで正木議員暴力の問題、これは後でゆっくり聞きますよ。いま聞いていることに答えてください。
  27. 渡部一郎

    渡部(一)議員 「私は、」として述べた部分は、私個人のことを述べているわけでありますが、私が個人で言ったことをそこのところで特に述べているわけでありますが、全体の御説明は、提出者を代表いたしまして、私は、正木君がそうした行為をしたわけもないし、した行為を認めた者もいなかったということを申し上げているわけであります。そして、それにつけ加えて、私個人としてもそうしたあなたのおっしゃるようなことはなかったと申し上げた。
  28. 東中光雄

    東中委員 私は、いま正木君の行動について一つも聞いていないのです。行動を聞くわけはないのですから。あなたがこの耳で聞いたと言っている、その聞いた内容についていまお伺いをし、それを聞いてあなたはどうしたのかとお聞きしているのであって、自分が本会議で言うたことについてその内容について聞かれて、別のことばかり答えているじゃないですか。そのものずばりを答えたらどうですか。何と聞いて、どういう行動をとったのかということを聞いているのです。
  29. 渡部一郎

    渡部(一)議員 あなたは正木さんのことをいろいろおっしゃっているのではないですか。私の趣旨説明の問題で私が聞いたというのは、「紺野君の暴言を明確にこの耳で聞き、」と私は言いました。紺野君の問題はまさに耳で聞いたのであります。  あなたはいま正木君の話をされておったのではないのですか。違うのですか。
  30. 東中光雄

    東中委員 そういう答弁をされると時間が幾らでもたって、きょうはなかなか終わらなくなりますけれども、あなたは「紺野君の暴言を明確にこの耳で聞き、」というふうに言うている。だから、何を聞いたのか、そしてあなたはそれを聞いてどうしたのかということを、いまこれを聞いているのはもう三回目ですよ。それ自体に答えて下さい。
  31. 渡部一郎

    渡部(一)議員 私は、紺野君の御発言が、最初異常な声で「イヌ」と発言されたのを聞きました。そこで私は、振り返り、かつその発言を聞こうと首を伸ばしました。正木君の抗議の声もありましたけれども、「反共イヌ」という言葉を明瞭に聞き、かつ「イヌがほえている」と言われたのを私は聞きました。
  32. 東中光雄

    東中委員 あなたは断片的にいま言われたわけですが、あなたがそう聞いたというのは、私はわかりませんけれども、それは本当だとしておきましょう。  しかし、そこであなたはそれを聞いてどうしたのですかと聞いておるのです。ああ、なるほどこう言うのも無理はなかろうというふうに思ったのか、あるいはどうしたのかということを聞いているのです。
  33. 渡部一郎

    渡部(一)議員 その部分につきましては、本件の審査に私は必要ないことだと思いますが、御質問でございますから……。  私はそのときに立ち上がって状況を確かめ、かつ抗議の声を発し、かつは定席に戻り、また様子をときどき見、また座っておりました。
  34. 東中光雄

    東中委員 あなたは何を言われたのですか。
  35. 渡部一郎

    渡部(一)議員 私は、そのときに抗議をいたしましたことは事実ですが、詳細に対しては記憶をいたしておりません。
  36. 東中光雄

    東中委員 自分の言うたことは記憶にないけれども、人の言うたことだけは記憶にある、こういうことになるわけですが、そのときに、この写真によりますと、正木君の右隣に座っておる伏木議員は、立ち上がって前の方を指さして何かを言うているようにこの写真では写っています。伏木氏は何を言うたかあなたは御承知ですか。言われたとすればその内容は何か。どうでしょう。
  37. 渡部一郎

    渡部(一)議員 いま御質問者の御意図がどこにあるのかは存じませんが、そのときの状況全部を私は記憶をいたしているわけではありません。きわめて異常な紺野君の御発言につきましては、記憶に明瞭に残るのでありますけれども、正常な運行あるいは同僚議員行動については、私はそのときにあるがままに受け取り、かつ時日とともにだんだんとその記憶の薄れるのは、私は当然のことだろうと思います。(発言する者あり)
  38. 東中光雄

    東中委員 いま不規則発言でいろいろ言われているようでありますが、初めに一言というようなことをあなたは趣旨説明では言うていないのであります。あなたは、自分が本会議であるいはこの委員会趣旨説明で言われた内容に責任を持たれないわけじゃないと思うのですが、公明党の方からの不規則発言、全くそれと違ったことを言っておられるようでありますが、私がここでお聞きしたいのは、あなたが、紺野与次郎君は「反共イヌイヌがほえている」と再三にわたって言うた、こういうふうに述べています。ところが、このことと先ほどあなた自身が耳で聞いたということを言われたこととは違いますね。これは違うことは速記を見れば明白であります。  そこで、私がお聞きしたいのは、「反共イヌイヌがほえている」と言うたという事実を懲罰にかけようというのですから、事実の認定が非常に重要であります。その事実を認定するについては、あなたの先ほど言われたのとは明らかに違いますから、どういう証拠、だれにだれがどういうことを聞いたかということを確かめてやっておられるのだろうと思うのです。だれに確かめられたのかということをお伺いしたい。
  39. 渡部一郎

    渡部(一)議員 私は、「イヌ」という大声の叫び声を聞いたから振り返ったのであります。そして、そのときには同君がどういう表現をされたかについては、明確でありません。     〔委員長退席木野委員長代理着席〕 その前後に言葉がついていたかもしれない。しかし、ともかく「イヌ」という声が聞こえたわけであります、何回かにわたって。そこで振り返ってみたら、「反共イヌ」と明瞭に発言されているのが聞こえた。また、私の同僚議員あるいは議案提出者皆様方の御意見というのも同様であった。また、「イヌがほえている」という発言があった旨を数人から伺った。この私もそれを聞いた。そこで私は、本会議場でそう説明をしたわけであります。「イヌ」と言った部分についてのみは、最初われわれが何という変な話だろうと思って認識する段階で聞いた言葉であります。
  40. 東中光雄

    東中委員 犬という発言矢野質問の中で二回やっていますね。だから、犬、犬というのは二回出ているわけであります。マイクを通しての矢野質問の中で出ておったのです。それはお聞きになっているのでしょうね。
  41. 渡部一郎

    渡部(一)議員 あなたは問題の意図をすりかえられ、紺野君の暴言と矢野君の正規の発言、しかも公正な品位のある発言とを混乱せしめ弁解されようとするのは、よくない態度だろうと私は思います。
  42. 東中光雄

    東中委員 あなたはいま、「イヌ」の前後はどうなっておったのかは知らぬけれども、「イヌ」ということが聞こえた、そう言ったのですよ。そうするならば、矢野発言も、前後はともかくとして、犬ということを言うたのは二回あるというのも、これまたマイクを通しての事実であります。そのことを私は言うているのであります。  それで、あなたは数人から確かめたと言われましたが、数人というのはだれですか。
  43. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生の御発言を聞いておりますと、私は、先生なるべく御品位のある御質疑にこの委員会をしていただきたいと思うわけであります。そうでありませんと……(発言する者あり)
  44. 木野晴夫

    木野委員長代理 静粛に願います。
  45. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生、問題の本質とちょっとはずれるところに前提がいってしまうのではないかと思うからであります。  それから、「イヌ」という発言があったことについては、私は、わが党の同僚議員あるいは議案提出者一様に確かめましたところ、おおむねこうした事実があったことについてみんなの意見が一致いたしましたので、提案をいたしたわけであります。
  46. 東中光雄

    東中委員 懲罰をするという場合は、意見でやるのではなくて、事実を特定して、それについての意見というのがあるわけです。あなたは数人の人に聞いて事実を確かめたんだと先ほど言われた。いま聞いたら、みんなの意見を聞いた、こういうようにおっしゃった。私が言うのは、数人に聞いたという数人というのは、だれとだれとだれですかと——普通ならは速記を確かめてというふうに言うのです。それは、事実を認定するというのはそういうものでなければいかぬのです。人を処罰しょうというようなことを考えるときには慎重でなければいかぬ、私はそう思います。そういう点で、だれに聞いたのかということを、それが明らかにできないような、そんなあやふやな根拠でやっておったのかというふうに言わざるを得なくなるのです。だれですか。(発言する者あり)
  47. 木野晴夫

    木野委員長代理 傍聴されている議員発言は御遠慮ください。
  48. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生は、あれほどの声で、あれほど議場に聞こえ渡った声を、まさかほんの数人、しかもだれか特定できない人がぼんやり聞いた発言かのごとく印象を与えられるような御質問をなさいましたが、私は非常に遺憾であります。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 もう、あの声はかなりの声でございましたし、私たちは聞こえた。ですから、だれとだれを特定することが必要だというのであれば、何人でも私は指名することができますけれども、とりあえず申し上げれば、私が聞こえ、私の周りにいた諸君たちが聞こえておる。特にこうしたことにつきましては、問題の本質からほど遠いのではないかと私は思っておるわけであります。
  49. 東中光雄

    東中委員 あなたは事実について非常に慎重性を欠くのではないかと私は思います。というのは、周りの人に聞こえたと。周りの人に聞こえたか聞こえないかは、周りの人自身でなければわからぬことなんです。私が聞いているのは、あなたがこの提案を出すについては、事実を認定せなければいかぬのだから、だれに確かめてそのことを聞いたのかということを言っているのであって、そのことを聞いているのですよ。ほかの者にも聞こえたはずだというなら、これはまだいいのですが、ほかの人も聞こえておるというようなことをどうしてあなたが言えるのですか。私のお聞きしているのは、速記録を確かめてというふうに普通は慎重にやるのであります。それを、今度の場合はそういうものはないのだから、そうしたらどういうところで確かめたのかということを聞いておるわけです。数人ということを先ほど言われたから、数人というのは、二、三人でも数人なら、五、六人でも数人ですから、だれとだれですかと、こう具体的に聞いているのじゃないですか。それがなぜそんなに答えられないのですか。
  50. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生何をそうこだわっておられるのか、私わかりませんけれども、じゃ、特定の人間を言えというなら、私が聞こえたわけです。正木君も聞こえたわけです。
  51. 東中光雄

    東中委員 あなたは、確かに前回の委員会で、正木さんは五十センチのところにおり、あなたは二メートルぐらいのところにおったからということを言われておる。あなたがいま言われたのは、正木さんとあなたがそれを聞こえたということを確認してそれでやった、こういうことになるわけですか。
  52. 渡部一郎

    渡部(一)議員 違います。
  53. 東中光雄

    東中委員 それじゃ、だれに確認をしたのですか。
  54. 渡部一郎

    渡部(一)議員 それじゃ、あなたは一人ずつの名前をたくさん挙げろとおっしゃるわけですか、そうすると。(「聞かれたことに答えれば済むじゃないですか」と呼び、その他発言する者あり)
  55. 宇田國榮

    宇田委員長 静粛に願います。
  56. 東中光雄

    東中委員 私は、あなたが数人に聞いたということを言うから、あなたがこれを出すについては事実を確認せなければいかぬのだから、普通は速記録を見てと、こうなるんだけれども、速記にないから確認したはずでしょう。挙げろと言うんじゃなくて、すでに過去にあなたがやったことについて聞いているんであります。これから何ぼでも挙げることができますなんというような、そういうふうにお考えになっているとすれば、およそ真実を特定するということについていかに真剣にやってなかったかということをいま示していると思いますね。  あなたが聞いたのなら、確かめた人を挙げてごらんなさい。
  57. 渡部一郎

    渡部(一)議員 まことに恐縮でございますが、先生のそうした論法は故意に私を傷つけようとなさるものでありまして、それは私はまことにうなずけないものであります。(「何を言っているか」と呼び、その他発言する者あり)
  58. 宇田國榮

    宇田委員長 静粛に願います。
  59. 渡部一郎

    渡部(一)議員 あの際の御発言は、かなり公然たるものでございました。そして、私の周りにおりました議員たちにとりましても、ひとしく十分に聞こえたものであります。先生は、私の……(発言する者あり)
  60. 宇田國榮

    宇田委員長 傍聴されている議員発言は御遠慮ください。
  61. 渡部一郎

    渡部(一)議員 私の前後におりました議員たちは聞こえておった。私がこの懲罰動議提出するに当たりまして、そうした議員たちの意見は伺い、かつ、そうした議員たちの御意見によりまして私は事実を確定した、こういうことであります。  先生がおっしゃっておるのは、「イヌ」と言った覚えはない、こういう意味でおっしゃっておるんでございますか。(「大変な問題だ」と呼び、その他発言する者あり)
  62. 宇田國榮

    宇田委員長 この際、申し上げます。  傍聴人は静粛を旨として、議事の妨害になるような行為は禁止されておりますから、御静粛に願います。(発言する者あり)御静粛に願います。
  63. 東中光雄

    東中委員 提案者の一人であります小沢議員にお伺いしたいのであります。  あなたは、いま渡部議員が言われておるように、周囲の人はよく聞こえたはずだという趣旨の発言渡部議員はされておるわけですが、小沢議員自身は、あなたはどういうふうにお聞きになったのか、どういうことで事実を認定されたのか、それをお伺いしたいと思います。
  64. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)議員 わが民社党の大部分の人も、提案者である渡部議員の本会議場における趣旨説明、あるいは委員会における趣旨説明に盛られている言葉のように受けとめて、私が提案者となったわけであります。だから、渡部議員発言のとおりでございます。
  65. 東中光雄

    東中委員 事実の特定といいますのは、本委員会で前回に紺野議員弁明があった、それについて意見が出ました、聞き取る聞き取り方はそれぞれ皆いろいろ違っておって、速記録を見てということになりました。発言というのはそういうものであります。客観的に証明されなければいかぬわけですが、提出をしてから後のことじゃなくて、事件発生のときにあなたはどういうふうな事実認定をしたのかということをお伺いしておるわけであります。
  66. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)議員 本会議場における渡部議員趣旨説明等についてはあらかじめ相談を受けて、その中に盛られたる渡部議員発言はそのとおりである、こういうように認定をして提案者になったわけであります。
  67. 東中光雄

    東中委員 私は、あなたが提案者になった経過をお聞きしているのではありません。議場における発言をあなたはお聞きになったのか、ならなかったのかということを聞いておるわけであります。
  68. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)議員 くどいようですが、本会議場及びここで発言をする内容、ここは後のことですが、本会議場における渡部議員提案説明の中に盛られたる言葉どおり、こういうようにはっきり提案者の一員として認定をして、提案したわけであります。
  69. 東中光雄

    東中委員 それでは、渡部議員と小沢議員の両方にお伺いしたいのですが、その内容を、委員会でまたは本会議で、趣旨説明の中で、「反共イヌイヌがほえている」というふうに紺野議員発言をしたんだと言われておるわけですが、「反共イヌイヌがほえている」という言葉自体、これは不穏当な発言だとはお考えになっていないからこそ、本会議場でそれを言われ、ここでも言われたのだというふうに私は考えるのですが、ほかの場合は、全部そういうものは繰り返しておりません。本会議場で言うべきものではないというなら、言わないわけです。これを言われておるのは、そういうふうにお考えになったからこそ——言葉自体ですよ。引用されているのは、そういう趣旨でしょうね。そこのところを明らかにしていただきたい。
  70. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)議員 ちょっと、質問者の趣旨がよくわかりません。
  71. 東中光雄

    東中委員 それでは、説明をいたしましょう。  たとえば、有田二郎君の不規則発言が本会議場で問題になったことがあります。発言内容については、どういう内容であったか、その言葉自体は一切あらわれてきません。それは、女性を冒涜するような発言であった、だから今後こういうことをしないようにします、こう言っているのであって、そのとき言われた発言内容は不穏当だから、発言は一切引用されていません。あるいは、吉田茂元総理のあの有名な発言がありました。あれも委員会の速記に載っております。しかし、それは全部棒線で消してあります。懲罰動議を出した人も、それは不穏当な発言だと考えたから、その発言は本会議場では言っておりません。議場で言ったらいかぬような不穏当な発言、それ自体がそうなのなら、だれもそんなものは出していないのです。いままで私ずっと調べてみましたけれども、出していません。あなた方はそれを出しているのです。しかも繰り返して言っているのですから。それはこの発言自体——言葉自体ですよ。言葉自体を不穏当なものだとは考えていないからこそ出したのでしょう。もし、不穏当だと思っておってあえて出したのだったら、あなた方自身が不穏当な発言をやっているということになるわけです。引用する場合でも、いままで院の慣行としては全部そういう形で取り消されております。棒線にされております。その点についてのあなた方の御見解をお聞きしたい、こういうことです。
  72. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)議員 前にあった有田二郎君の発言あるいは吉田総理の発言等の経過については、つまびらかではありません。  ただ、この今回の場合の紺野発言については、不穏当な発言だというようにわれわれは考えて、懲罰動議を出して、大方の方の賛成を得ていま審議をしていただいておるわけであります。
  73. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生の御発言は、ふだんの先生の御様子から見ますと、かなり妙な御発言だと私は思います。少なくとも、吉田君と有田君に関しましては、お二人の懲罰経緯を後でながめてみますと、お二人は恥を知る人であったと私は思います。吉田君は、その場でそれを取り消すようにみずからの口で申告をし、有田君は、みずからの行動あるいは発言がまずいことを直ちに理解して、会議場で謝罪されたということが明瞭であります。紺野君の場合は、御自分みずからがそれを謝罪する意向を示されませんでしたし、何が悪いというような、かえって開き直った御行動が続いたものであります。このようなときに、その内容が、ますますそれを御丁寧に繰り返して説明されるようなことが行われる以上、棒線で消して議論するなどということは不可能であったことを、当然先生も御理解をいただけるだろうと思うのであります。  私は、むしろ懲罰委員会におけるさまざまな懲罰の中で、懲罰になる方の大きな自省と反省が前提となることを期待したいのでありますが、今回の場合にはそうしたことが見受けられないのを非常に遺憾としているわけでありまして、そうした点を深く御考慮をされまして、先生御みずからの御発言についても、私は、先ほどからの御質疑の中でいろいろ感じられるのでありますけれども、むしろ、二度とこうした品性のない発言が行われぬように希望したいのであります。
  74. 東中光雄

    東中委員 二度と言わないようにと言って、あなたは趣旨説明でその内容を言うているわけであります。その言葉を使っておるわけであります。普通はそういうことはしないのだ。だから問題は、内容が問題になっている場合と、言葉自体が問題になっている場合とは明らかに違うのだ。「無礼の言」と国会法にも書いてあります。  穂積七郎さんの発言が問題になったときがあります。それは内容が問題になったのであって、だから言葉は全部引用されております。本会議場でも引用されておるし、言われております。しかし、吉田総理やあるいは有田二郎君の場合は、これは言葉自体が問題になった。だから、本会議場に出すこと自体がいかぬのだということで、一切提案者自身も出していないのですよ。  前回の当委員会において、社会党の山口議員質問をされました。山口議員ははっきりとその言葉は言われていません。あなた方の方は、その言葉を不穏当だと言うて、その不穏当だという言葉を何遍も言うておる。こういう状態になっておるそのお気にお気づきにならないのか。ためにするための懲罰要求としか考えられない、私はそう思うのであります。だから、不穏当なんだったら、あなた方が不穏当だと主張するんだったら、不穏当なものを引用すべきではないわけです。不穏当でないということなら引用して、そして内容について問題なら、内容について論議をすべきであります。その点を聞いておるわけです。
  75. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生、そういうお話しの理屈が成り立つことは成り立つのかもしれませんが、先生の御発言は、私はもうとても理解に苦しむものであります。  先生は、紺野議員が反省の色なくこれを繰り返して公然と主張された事実をすりかえられまして、私どもがそれを何回も繰り返すと申されますが、議場で何回もまず言ったのは紺野議員であり、その紺野議員行動がこの懲罰の事犯として対象になっているのであります。その問題を先生はわざわざすりかえられて、今度は趣旨説明者に対して、何回も言うのはおかしいという議論を展開なさるのは、それは山を登って木を見ずというような御発言と同じだと私は思うのであります。
  76. 東中光雄

    東中委員 あなたの論でいけば、過去に本院で懲罰問題が問題になって、そして言葉自体が問題になった不穏当発言について本院で取り扱ってきた人たちのやっておったことを、そういうふうにやっておられないのはどういうわけかと私は聞いておるのですが、そういうふうに聞くことが山へ登って木を見ないたぐいだと言えば、この三十年間国会でずっとやってきたことは、全部山に登って木を見ないようなことを各党が、先輩の諸氏がやってきたんだというふうにあなたが言っておられることになるのです。それはまさに独断じゃないか、独善じゃないか、こう言わざるを得ないのであります。
  77. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生は罵倒の言葉をたくさん御存じですから、私はとうてい応酬しがたいのでありますが、先生に申し上げておくのですが、吉田君も有田君も、発言自体は非常に問題でございましたけれども、謝罪の意思を持っておられましたし、反省の意思も持っておられたことが前後で明瞭でございます。紺野君と紺野君を支持なさる方方には、反省の意思が見受けられない、ここに問題の紛糾点があったと私は思うのでございます。ですから、御当人も弁明の際に平然として述べられる以上、私どももその品悪き言葉を涙を忍んで説明に用いなければ事態が明瞭にならないという、やむを得ざるものであったわけでございます。ですから、趣旨説明の冒頭において、かかる事態になったということを深く遺憾とする一人として私は発言をいたしておるわけであります。
  78. 東中光雄

    東中委員 第一回国会で叶凸君の不規則発言が問題になりました。第十九国会で川俣清音君の不規則発言が問題になりました。これはいずれも否決され、あるいは撤回されておりますけれども、この内容会議場で全部言われておりません。しかも、これは否決をされておる、あるいは撤回されておる、決して謝罪しているわけではありません。そういう性質のものなんですね。本当不穏当発言だとあなた方がお考えだったら、そういうことは本会議場で言えないはずであります。しかし、いままでそういうふうに扱ってきた。ところが今度は、あなた方はそれを何遍も言っておるということは、言葉自体不穏当だとは考えていないからこそ引用しているのであって、考えておって引用しているのだったら、不穏当な発言をあなた自身がやっておることになる。論理的に明白にそうなります。いままでの扱いはみんなそうであります。その点をはっきりと指摘をしておきたい。その上で、だから問題は内容ということになるわけです。発言内容、考え方、思想ということが問題になっておるわけであります。  穂積さんの関係の事案を調べてみますと、会議場でたとえばうそつきという意味でタヌキ、キツネという発言を、ばり雑言をしている場合があるじゃないか、それは抽象的だということで問題にはならないけれども、具体的な問題は内容が問題になってくるんだという論議がされております。  キツネやタヌキは問題にならぬという論議がされておって、今度は犬は問題になるんだ、こういう立て方をあなた方がされておるのだということに、本件の特殊な異常な懲罰動議、異例の懲罰動議という性格を示しておると思うわけであります。  それで、こういう答弁では何ぼでも時間がかかりますよ。
  79. 宇田國榮

    宇田委員長 なるたけ要約して、お願い申し上げます。
  80. 東中光雄

    東中委員 的確に答えればいいのですけれども、全然違うことを答えられるので、非常に長くかかるわけであります。  それで、正木君の暴力の問題についてということで、先ほどから先回りをして大分渡部議員お答えになりましたけれども、私たちはあのテレビを見て、一平面ではなくて、一断面ではなくて、継続的な行為として暴力を加えている事実は明白だ。しかも、これは全国的に放映されたニュースの中に出ておるのでありますが、そのテレビニュースをあなた方は見られたのですか、見られていないのですか。
  81. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)議員 われわれが動議を出したのは、紺野発言をめぐって動議を出したわけであります。正木先生の行ったことについて、質問者である東中議員は議運の理事会でも再三にわたって取り上げてきたわけでありますが、委員会は取り上げるところとならなかったわけであります。これは国会法、衆議院規則第二百三十四条で議長職権の問題ではないか。「会議及び委員会の外、議院内部において懲罰事犯があるときは、議長は、これを懲罰委員会に付する。」こういうことで、東中質問者も御案内のように、議長も取り上げない、議運でも諮問を受けていない、こういうことで、正木さんの行為については、何もなかった、どこでも問題にならなかった、こういうことでありますので、この委員会においては問題外であろう、こういうように考えておるわけであります。
  82. 東中光雄

    東中委員 渡部議員にお伺いいたしますが、葦場内で演壇を背にして暴力をふるうようなことは、公明党としてはそれはいいことだと思っていらっしゃるのですか、悪いことだと思っていらっしゃるのですか。その点はいかがですか。
  83. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生は問題をわざわざすりかえられて、暴言発言問題を正木君問題にすりかえようとなさっております。紺野議員の言論について、すりかえをせず討議をされるよう希望します。
  84. 東中光雄

    東中委員 私が質問をしていない段階から、あなたは盛んにその内容について言われておりました。そして、本会議場でも事実について言うておられます。しかも、共産党がでっち上げたというふうなことまで言っておられます。この事案について、趣旨説明でそれについて言っておるじゃありませんか。いまになると、言えなくなるのですか。
  85. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生は、そうすると紺野君の懲罰事犯についてはもう当然であって、それは承服する、そして本事犯については賛成をなさる、こういう意味でおっしゃっておられるのですか。だから正木君の問題だけをあと追加で取り上げるという意味でございますか。
  86. 東中光雄

    東中委員 私はそんなことは一つも言うておりません。あなたから質問されるいわれもありません。私のお聞きしているのは、あなた自身趣旨説明の中で、こういう事実はなかったと、この事犯についてわざわざ発言をされておるわけであります。関係があるからこそ発言をされたのだと思うのです。そういうことはなかったとあなたは言うけれども、あなたの持っておる十六ミリとか、関係者の写した写真なんということまで挙げておられる。本会議で堂々とそれを引用したのなら、今度は、全国に放映されたテレビを見たのか見なかったのか、そこになると全く関係がなくなるのですか、いままでは全部関係があって。
  87. 渡部一郎

    渡部(一)議員 私は、本会議趣旨説明で申し上げましたとおり、「意図的にみずから犯した暴言問題をすりかえようとする行為」と、それを指摘をいたしました。というのは、問題は紺野君の問題であります。それを正木問題にすりかえて弁明し、キャンペーンなさる、そういう御態度というものは、少なくとも御反省がきわめて欠けているものではないか、問題をすりかえているものではないかと申し上げているわけであります。正木君の暴力云々について述べられたのはあなたの方でございまして、私の方ではございません。
  88. 東中光雄

    東中委員 あなたの方は趣旨説明を言われて、そして、それに対して紺野議員弁明をしたのであります。院外の行動をとやかくいま言う段階ではないでしょう。院内での、本会議場であなたが先にその問題を言うているじゃありませんか。そして、この委員会においてもあなたが先に言っているじゃないですか。きょうの質問の際にも、事実はなかったということを言っているじゃないですか。あなた自身がこの問題を取り上げているじゃないですか。それは関連があるからであります。だから一あなたは自分の持っている証拠では、ないんだというふうにわざわざ発言をしているから、その証拠にないのだったら、ある証拠が全国に放映されているのだから、それを見たのか見ないのか、見ているけれども見たとは言えないから黙っておるというのか、あるいは、見たけれどもそういうものはなかったというのか、そこまでうそを言われるのか、どういうことなのかということをお聞きしているのであって、あなたは、十六ミリも撮ってある、関係者の写真もあるのだ、こう言われているでしょう。
  89. 渡部一郎

    渡部(一)議員 会期末を迎えましてはなはだ忙しい委員会でございますし、先生に、この委員会の御審議の中核部分に早く御討議を移されるように希望するものであります。先生の御議論というものは、そういう御議論もあるのかもしれませんけれども、それは問題の本質をすりかえる御態度と私は断定せざるを得ません。
  90. 東中光雄

    東中委員 質問に答えていただきたいと思います。あなたは、正木君の暴力についてということで、先ほど来私が聞いてないときに盛んに言ったじゃないですか。そして、いま聞き出したら、今度は関係がないといって言わない。こういう答弁というのがありますか。あなたが趣旨説明で言うたことについて私は聞いているのですよ。
  91. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生の御質問がいろいろな方向に飛んでおりましても私はお答えいたしたのでございますが、こういう調子でやりますと時間がかかり過ぎるものですから、私はなるべく議題の本旨に話が展開するように申し上げたわけであります。  正木君の問題につきましては、先ほどから何回かお答えいたしましたので、十分御事情は御納得いただけたものと私は思います。
  92. 東中光雄

    東中委員 趣旨説明の中で言われておることについて、それについての事実を敷衍して聞いておるわけでありますから、あなたが時間のことを言うのだったら、それならテレビを見たことがあるのかないのか、見たと言っても、ものの二秒もかからぬわけです。あなたが答えないで弁解をしている方がうんと時間がかかっているわけであります。見たのですか、見なかったのですか。  これは小沢議員についても、代表で趣旨弁明が言われたわけでありますから、あなたはこのテレビを見られたか、見られなかったか、いかがでございますか。
  93. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)議員 テレビを見たり見なかったりであります。(発言する者多し)
  94. 宇田國榮

    宇田委員長 静粛に願います。
  95. 東中光雄

    東中委員 あの発言の現場、それから発言した直後の状態、それを放映したテレビを見られたのですか、見ておられないのですか。全国に放映をされたものでありますから、見られたのですか、見られてなかったのですかとお聞きしているのに、見たり見なかったり、そういうことはあり得ないですね。この問題について聞いているのですから、わずか一分ほどのニュースの画面を見たり見なかったりというのは日本語として通用せぬですよ。冷静に、まじめに真実を答えてください。
  96. 渡部一郎

    渡部(一)議員 本動議は重要でありますから、先生はいろいろおっしゃっておられますけれども、私たちが趣旨説明するためにはいろいろな材料を集め、かつ、状況を精査いたしまして本提案になったことを御理解をいただきたいと存ずるわけでございます。趣旨説明にも十分書いてあるところが私どもの認識でございます。
  97. 東中光雄

    東中委員 あなたの趣旨説明によりますと、「正木君が紺野君に対し、指を突きつけて抗議しているのにすぎないものであります。関係者の写真ないし十六ミリフィルム等を点検いたしましても、指さしている映像はありますが、直接的に暴力をふるったというシーンなどは絶対にありませんでした。」こう言っているのです。ないものばかり見たら、ないのはあたりまえであります。実際にあったものが放映されているのだから、それを見たのか見なかったのかということであります。殺人行為をやっている人間の目撃者に、あなたはどういうことを見たのだと聞くのはわかりますけれども、見たことない人に、あなた見なかったかと聞いたら、見なかったと言うのはあたりまえなんです。全くないものばかり集めて、そしてそれには絶対なかったのだと言うているとしかとれないわけです。こういう詐術を弄したような趣旨説明をされておるから、私は、全国に放映されているこの問題のときの、その平面じゃなくて、継続する段階、それを見たのか見なかったのかということをあなたに聞いているのです。事実は一つなんですから。見たか見ないか、どっちかですよ。それはどうなんですか。
  98. 渡部一郎

    渡部(一)議員 あなたは人の問題に対して詐術などという言葉を使われました。そういう険しいお言葉をお使いになるところにおたくの党の体質があるものと私は思います。お慎みください。(発言する者多し)
  99. 宇田國榮

    宇田委員長 静粛に。
  100. 東中光雄

    東中委員 ここに書いてあることは、まさに詐術を弄していることになるのです。
  101. 渡部一郎

    渡部(一)議員 何でなりますか。
  102. 東中光雄

    東中委員 説明しましょう。「日本共産党は、その機関紙等であくまで暴力行為をでっち上げようとして、分解写真なるものを針小棒大に宣伝いたしているのであります。」共産党が分解写真なるものを針小棒大に宣伝しておると書いてある。しかし、われわれが言っているのは、全国にテレビで放映されたそのビデオを見て、そしてその事実を——全国で見た人は何十万とおるでしょう。その事実を覆い隠すような発言をここでしている。だから、「正木君が紺野君に対し、指を突きつけて抗議しているのにすぎないものであります。」そういうことをやった場面もあるでしょう。私たちはそれを否定していません。しかし、暴力をふるったという場面もあることも明白なんです。全国に知られているのですよ。そのことを、「絶対にありません」と、こう書いてある。何ゆえ絶対ないのかといえば、「関係者の写真ないし十六ミリフィルム」と書いてある。関係者の写真というのは一体何か。何かわからぬです。十六ミリフィルムというのは何だ。何を写したフィルムか全然わからない。まさに全然わからぬことを言うて、「絶対にありません」とそういうことを言うのは、これは詐術じゃなくて何でしょうか。これは言論の詐術です。事実、写されて放映されたものを見たのか見ないのかということについての答弁さえできない。なぜ答弁できないのですか。この問題についてあなた方は触れているじゃないですか。しかも、本会議場で堂々と触れているじゃないですか。触れていることなら言いなさい。言えないのだったら、それはまさに詐術を弄して真実を隠している、こう言わざるを得ないのです。見たのですか、見ないのですか、どっちですか。
  103. 渡部一郎

    渡部(一)議員 そうすると、先生はこの委員会を使って紺野議員の問題を議論するのでなく、正木議員の問題を論じておられるから、私は大きなすりかえだと申し上げておるのです。先生こそ詐術です。そういうやり方で当委員会で別の議員の問題を取り上げ、そしてその議員の名誉を棄損するようなことをするということは問題です。(発言する者あり)
  104. 宇田國榮

    宇田委員長 静粛に。
  105. 渡部一郎

    渡部(一)議員 それほど問題ならば、正木議員の問題を別に委員会提出なさるべきであり、ここの問題では紺野議員の問題が問題になっておる。先生方は、少なくとも紺野議員行動を弁護するために、後から起こりました正木議員の問題をもってすりかえようとなさっておる。私はそれはたえがたい議論である、そのような議論を高名な先生がまさか本気で展開されるとは思えない。先生は正気であられるのかとさえ私は思うのです。(発言する者あり)もう少し私はこの問題についてまじめに議論をしていただきたい。私どもがこの委員会に対してこれだけの動議提出するからには、手に入る限りのテレビも、あるいはビデオもその他の資料もことごとく入手した上、点検した上で出しているということも御理解いただきたいと思うのです。(「正気かとは何だ」と呼び、その他発言する者あり)
  106. 宇田國榮

    宇田委員長 御静粛に願います。
  107. 東中光雄

    東中委員 公明党は、いま私どもはという形で言われたわけですが、あなたの趣旨説明はあなた個人じゃなくて、提案者公明党所属の渡部一郎君でありますけれども、公明党としてこういう趣旨を了承して、これでの提案説明をされたのだと私は思うのです。そしてその中に、「日本共産党は、その機関紙等であくまで暴力行為をでっち上げようとして、」ここまで本会議場で言っているのです。でっち上げどころか、テレビにはちゃんと映っているじゃないですか。その映っておることをあなたは見たのか見なかったのか。そのことがなぜ答弁できないのですか。それが答弁できないというのなら、ここでこういうことを言わなければいいじゃないですか。あえてこういうことを言うておいて、そしてその内容について具体的に聞けば、すりかえだとか、何事ですか。ここで議論をしているのはあなたじゃないですか。見たのですか、見なかったのですか、はっきりしてください。
  108. 渡部一郎

    渡部(一)議員 問題をすりかえようと最初に試みられたのは先生の方でございます。先生のせっかくの御意見でありますが、私は意見を異にするものでございます。
  109. 東中光雄

    東中委員 本院において十月十五日、この発言をされたのがこの問題についての最初発言です。この趣旨説明に対して、紺野議員は一身上の弁明をやったのであります。問題を出したのはあなたじゃないですか。事実はあったかなかったかということについて証拠を挙げて、そして絶対になかったなどと言うているのはあなたじゃないですか。その懲罰事案に関連して問題を持ち出したのはあなたじゃないですか。そうでしょう。しかも、公党を名指しで「でっち上げようとして、」ここまであなたは誹謗的な言辞を言うているじゃないですか。それなら、事実を報道した全国に放映されたあのテレビを、あなたは見たか見なかったかということさえも言えないのですか。見たなら見たと言いなさい。引用しておって、そのことについて、自分の方で誹謗中傷をやったということについて——まさにこれは誹謗中傷じゃないですか。それをやった。自分の方ででっち上げておいて、共産党はでっち上げをしようとしておったとは何事ですか。それなら事実をはっきり言いなさい。
  110. 渡部一郎

    渡部(一)議員 正木君に対するさまざまな攻撃をなさったのは先生の方が先ですから、私はこの際に申しあげたわけであります。私の方から申し上げるわけがないではありませんか。先生のせっかくの御議論ですが、それは論理的におかしいと思います。
  111. 東中光雄

    東中委員 あなたはこのことに答えるべき義務があります。国会で持ち出したのはあなたじゃないですか。あなたが自分で言ったことについての責任を、はっきりとここで果たすことすらできないのですか。  もう一つ、先ほどの問題について、私自身に関することだから言っておきますけれども、正木暴力問題については、あのときの本会議場で私自身議長のところにすぐに指摘をして行っております。それを、翌日になるまで言わなかったじゃないか、そういう形であなたは先ほど言いました。うそじゃないですか。大久保理事はこの不規則発言について確かに壇上に言うていった。そのときに私も暴力行為について言うていった。議長の方は、いずれもわからないという態度であった。こういう公式の公然たる行動についてあなたは知らぬで発言しているとすれば、きわめて軽率で、しかも、それを共産党を非難するような形で引用しているとすれば、これは言語道断と言わざるを得ない。知っておって言うているのだったら、ますますもってけしからぬということになります。どっちですか。
  112. 渡部一郎

    渡部(一)議員 もし正木議員暴力をふるったということがあるならば、議長に申し入れするなどというなまやさしい態度では、私はだめだろうと思います。(発言する者あり)私は、先生の御行動を批評するつもりは毛頭ありませんし、この委員会懲罰事案にかかっているのは、先ほどから何回も申し上げますように、紺野君でありますことを御注意したいと思います。
  113. 東中光雄

    東中委員 あなたは自分でみずから先ほど言うたのですよ。翌日まで言わなかったということをあなた自身が言うたのです。あなた自身がそのことを言うておいて、そしてそれは事実と違う、公式に私は議場交渉係として言うていったという事実があったんだが、あなたはそれを知らないでさきの発言をしたのか、知っておってあえてそういう発言をしたのか、どっちかしかないわけですから、どっちにしてもそれは言語道断の行為じゃないか。取り消しなさい。まず取り消しなさい。そして事実をはっきり言いなさい。どうですか。
  114. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生のいろいろ御発言でございますが、いまの先生の御発言は、問題をすりかえようという一連のお話のように聞こえます。先生、どうか本問題の中心部分についての御議論になさっていただきますようお願いいたします。
  115. 宇田國榮

    宇田委員長 東中君に申し上げます。先ほどの理事会で、あなたの動議提出者に対する質疑は午前中に……お願いを申し上げます。
  116. 東中光雄

    東中委員 午前中にということでありますが、午前中の委員会というのは、午前十二時になったら終わりますというような、そんなことをいつも決めているわけではありません。午前中の時間制限はされていないはずであります。  私がいまここで非常におくれているのは、彼は見たか見なかったか、知っておったか知らなかったか、知っておったとか知らなかったとか、どっちかを言えば二秒か三秒で済むことを、これを数十分にわたって言っておるわけであります。  渡部君、いまあなたはすりかえであるというふうに言いました。すりかえをやっておるのはあなた自身じゃないですか。自分で、翌日まで言わなかった、こう言っておいて、そしていまその問題について、それは事実と違うことをあなたは言っているんだから、それは事実を知らぬで言っておったんだろうが、知って、まさかそこまでうそを言われるとは私は思いません。知らぬのだったら知らぬと言ってもらったらいいじゃないですか。そして先ほど言ったことは取り消したらいいじゃないですか。それを逆に、こっちがすりかえだとは何事ですか。あなたは、共産党を代表して議場交渉係が正式にそのときその場で申し入れたことを知らないで、知らないで共産党を非難するような、事実と違うことを言っておるのかどうか。これははっきり質問に答えてください。(発言する者あり)——委員長答弁を求めます。(発言する者あり)——いまの論議で、これは全部速記録に残ることでありますから、いかに詭弁を弄しているかというのは、だれが詭弁を弄しているかというのはきわめて明瞭だと思うのです。国会の権威にかけても——自分で、翌日まで共産党は何も言わなかった、後からつくり上げたんだと言わんばかりの発言をしておいて、それについて私自身が直接公式にそのときその場で申し入れた事実があったのに、そのことを知らぬでやっているのか。知らぬでやったとすればきわめて軽率です。知ってやっておったとすれば、まさにでっち上げをやっていることになるわけです。どっちにしてもそれは許せぬことだから、はっきりと、知ってやったのか、知らぬでやったのか、そして、知らぬでやったんならいま言った発言は取り消しなさい。当然じゃないですか。これに対する答弁を、すりかえだなどと言って……(「午前中は……」と呼ぶ者あり)不規則発言はやめなさいよ。不規則発言を立ってやるということはないですよ。そんなことはないですよ。委員長発言中に立ち上がって、何ですか。  私は、この問題については、現にここで答弁者が、私がまだ質問をしていないことについて先にみずから言ったわけですよ。その言ったことについて、それは事実と違うと、はっきりさせなさい。知らなかったんだったら、知らぬと言えばいいじゃないですか。それを意図的に、逆に今度は共産党がすりかえているというような言辞を弄するとは、これはもってのほかだ。  これはビデオの問題にしてもそうであります。現に本会議でこう言っているじゃないですか、先ほど指摘するように。引用していろいろ言っているじゃないですか。全国に放映されたビテオ——関係者の写真なんというのはどこにあるのか、だれが写したのかわからぬです。全国に放映された国民が知っていることを、それを見たのか見なかったのか、それに対する答弁がなぜできないのですか。責任を持って提案をしたなら、自分提案したことについて、ちゃんとした答えをしなさい。
  117. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先ほど申し上げましたけれども、先生がせっかくのお尋ねでございますから、議題の外側に大分はみ出すような気持ちが私はいたしまして遠慮をいたしているのでございますが、日本共産党・革新共同あるいは日本共産党それ自体のこの問題に対する対応は、翌日に至るまで効果的な、正木暴力問題としての効果的な、そしてまた、非常に重大な意味の態度の御決定というものはなかったやに私は感じておるわけであります。したがいまして、そう申し上げたわけでございます。  先生議場交渉係としてどういうことをなさったかについては、私はつまびらかでありませんが、それは十分先生の御意見も参照させていただきまして、事実を取り調べたいと思っております。
  118. 宇田國榮

    宇田委員長 この際、東中君に申し上げます。最後にまとめていただきたい。
  119. 東中光雄

    東中委員 これはまとめようにも、全く事実と違うことを平気で言っているのですから、まとめようがないですよ。こういう議員の身分に関する問題であります。しかも、事は事実がどうであったかということであります。意見の開陳の問題じゃないのです。意見は意見として言うでしょう。しかし問題は、真実はどうであったのか、人を処分しよう、懲罰しようという場合に、事実がどうであったかということは、きわめて大切な最初の出発点ですよ。その出発点で、みずから本会議場で言い、ここでも言いしたことについて、そのことについて具体的に事実をただしていけば、答弁をしない。私は、いま二つの問題について同時に同じ性質の問題だから聞いておるわけでありますが、議場内の問題について言っても、知らなかったのなら、知らなかったとはっきり言えばいいじゃないですか。共産党が公式に議場内の行為について議場内でやっていることを、院外でどういうふうにやったかというようなそういうことは、公明党ならわあっとどうやるのか知りませんけれども、公明党の思うようにやってなかったからといって、十分有効に取り上げなかったとか取り上げたとか、そんなことを私は聞いているのじゃないのですよ。それはその場で暴力をふるいかねない——現にふるったというふうなことさえやるわけですから、公明党の場合はそれは違った方法をとるでしょう。しかし、私は公式のことを言っているのです。議場内のことについて、議場で公式に議場交渉係というのが、そして議場交渉係でなければできないことをやったわけですよ。それを知らぬとか、あるいはこれから調べますとか、それは何ですか。知らなかったのなら、公明党はその点について調査もなしに先ほどああいう発言をしたのだ、取り消しますと、はっきりそうしなさい。  そうしてもう一つの、本会議場であなたが言った共産党はでっち上げようとしている、その根拠に挙げておる関係者の写真とか十六ミリフィルム、こういうもの、これは一体何物か、われわれは知る由もない。共産党はでっち上げようとしているのだなんということを発言する根拠に使ったものを、われわれの前に明らかにすることもできない。全国に明らかにされておったあのビデオを見たか見なかったかということについてさえ、いまなおあなたは発言できないのじゃないですか。答えてください。
  120. 渡部一郎

    渡部(一)議員 この委員会の席上で正木良明君に対するいわれなき誹謗が続けられていることに対し、私は耐えがたい思いであります。委員長、どうかこうした御発言に対し御注意をいただきますようお願いをいたすものでございます。  また、本日の議題は紺野君の懲罰動議であります。先生は、本日の午前中の時間のほとんどを使って、正木議員懲罰動議提出されたかのごとく振る舞われました。私はそれを遺憾とするものであります。
  121. 東中光雄

    東中委員 私は、渡部議員趣旨説明に対して質問をしておるのであります。懲罰動議案件が出されて本懲罰委員会であなたが述べた趣旨説明について聞いているのです。私が言っているのじゃなくて、あなたが述べたことについて聞いているのです。それについて答えを拒否しているのはあなたじゃないですか。一方的な共産党誹謗の発言をやっておいて、その根拠について聞かれたら、今度は関係がないとは何事ですか。答えてくださいよ。
  122. 宇田國榮

    宇田委員長 この際、午後一時より再開することとし、休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後一時二十六分開議
  123. 宇田國榮

    宇田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  先ほどの本委員会の要求によりまして、本人紺野与次郎君が出席されております。本人紺野君に対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  その前に、懲罰委員長としてちょっとごあいつ申し上げます。  懲罰委員会の権威を重んずるために、各員の言動を重んじ、懲罰委員懲罰に該当するような言行は、細心の注意を払うようお願いを申し上げます。  田邊誠君。
  124. 田邊誠

    ○田邊委員 紺野議員に手短に質問をいたしたいと思いますが、国会議員国会におけるところの発言、演説、討論、表決、この行動については院外で責任を問われないという憲法規定があることは、紺野議員も御承知だろうと思いますが、そのとおりですね。
  125. 紺野与次郎

    紺野議員 そのとおりです。
  126. 田邊誠

    ○田邊委員 したがって、われわれは国会の権威にかけて国会内におけるところの発言は厳正に行わなければならぬことは、御案内のとおりです。そこで、われわれは国会の秩序を保ちながらその運営を図っておるわけでありますけれども、議員自身の身分に関することについては、われわれはきわめて慎重を要すると考えております。私が知る範囲においても、過去において同僚議員懲罰に付するということが間々ありましたけれども、この議員懲罰に関することはより慎重でなければならない、こういうようにわれわれは考えております。ややもしますると、この懲罰事犯というのが多数党によって少数党の言論を封ずる、あるいは議会内におけるところの活動を封ずるような、そういう形で行われるということがしばしば見受けられましたけれども、われわれはそういったことについては断じてくみすることはできない、このように思っております。したがって、そういう意味合いから言っても、いわば少数党であるところの野党としては、こういったいわば多数決原理を振り回す形におけるところの議員懲罰に関しては、原則的にこれにわれわれは反対をするということは理の当然であろうと思うのであります。  今回の紺野君に対するところの懲罰事犯も、われわれはその原則に基づいて、これらの発言に対してこれを容易に懲罰に付することについては、われわれは賛成をしなかった一員であります。それは、私がいま申し上げた観点から御理解をいただけると思うのであります。まして、この懲罰は、いわゆるその発言ないしその行動、これがいわゆる国会法百十九条によるところの「無礼の言」であり、あるいは行動であるというような、そういう立場からなされるわけでありますから、国会のいわば正規の記録、そういったものがまずもって重んじられなければならない、こういうように私は考えております。今回の紺野君のいわゆる不規則発言と言われるものは、そういった面から、議事録に掲載されていないという点から見ましても、われわれとしてはその取り扱いはより慎重でなければならぬということを、実は私は原則に基づき、なおかつ事実問題としてそのように考えておることを、あらかじめ紺野君にも御了承いただいておきたいと思っております。  そこで、いままでいろいろと論議をされておりまするけれども、紺野君が公明党の矢野書記長の質問に対して本会議でもって不規則発言ありと、こういうように言われておるわけでありますけれども、あなたはこの不規則発言というのはどういう発言をされたのか、あなたの一身上の弁明にもありまするけれども、ひとつもう一度お聞かせをいただきたいと思います。
  127. 紺野与次郎

    紺野議員 いま田邊理事から最初お話ありました点は、私たちも全く同感でありまして、その点については私は同じように考えております。少数党に対して多数党が言論を抑圧するというふうなことや、あるいは何の記録も事実上議会の中で存在していないことに対して懲罰に付するというふうなことは、きわめて重大な、議会制民主主義の観点からしてもしてはならないことであるとわれわれも考えております。  さて、九月二十八日の公明党矢野書記長の発言に対して私が不規則発言をしたという事情について、これを正確に、そして今日の時代における国会議員として、政治家としての立場でこの問題についてはっきり申し上げたいと思います。  まず第一に、このときの公明党矢野書記長の発言が、具体的にはリンチ事件があったのかどうか、これは共産党の宮本委員長の四十三年前の事件について持ち出した質問であって、あのときにリンチがあったのかどうか、あるいはそのとき一人の人物がひとりで、自分の内部的な原因によって死んだのかどうか、あるいは外から外傷性ショックを与えることによって死んだのかどうかというふうなことや、あるいは宮本委員長の、三十一年前にすでに解決済みの復権問題について、それがどうかということを蒸し返す質問を展開してきたわけであります。  これは、この一月二十七日の春日民社党委員長が持ち出してきたと同じ質問でありまして、すでに多くの論戦を通じてこの種のものが憲法違反である、三権分立の今日の日本において、このようなことを国会の中で持ち出して論ずることは、司法権に対する国会側の国政調査権の範囲を越えるものであって憲法違反だということが、すでにもう政府関係の当局者によって明らかにされている。それをまた今度は公明党の書記長ともある方がこれを持ち出してくるということは、何という不見識だろうかと私そのとき思いました。そして、このような憲法違反の質問それ自体国会の権威を著しく低める、傷つけるものであるということ。それで、そういう点からして私は、あの本会議における私自身弁明においても、私自身の体験を詳しく述べましたが、四十二年前といえば、それこそ今日考えることもできないような圧制の時代ですから、その時代の治安維持法と特高警察、すでに現憲法で廃棄をされているそういう問題をなぜ取り上げて、いまの時点においてこれを持ち出してくるのか。そういう点においては、当時の専制政治と暗黒政治と戦争ということについて反対してきた私としては、私の体験からしても、まことにこれはとんでもないことだ、これは食いとめなければならない、こういう点で私は、すでに彼がそういうことを言い出したときに反共宣伝をやめなさい、反共宣伝をやめろ、これは何遍も何遍も言いました、彼がこのことを出してきたときに。反共的な個人攻撃をいまやるということはやめなさいということを繰り返し言った。  ところが、今度はそのおしまいの方で、「犬が吠えても、歴史は進む」という有名な論文、これですね。文化評論の中で言われている「犬は吠えても、歴史は進む」という有名な論文の表題、これを取り上げてきまして、そうして全く筋違いの——私たちは政治家としてよく知っていただいているものと考えておりましたこの論文の表題について、共産党を批判する者はみんな犬にするんじゃないかということを言って、そうして自分の憲法に違反するような質問を合理化する、逆に共産党に対して、このことについて反論することに対して、むしろすべての批判者を犬と言うんだろうということで、まさに取り違えたことを言い出した。だから私は、反共宣伝をしなさるな、反共宣伝をやめろということを繰り返し言っておりましたが、矢野書記長がこのことを出してきた途端に、ほうっと私は驚きまして、そうしてその反共宣伝をやめろということと、これはことわざであります。ことわざで言っていることでありますが、それを取り違えている。第一、私もあのとき申し上げましたけれども、「犬は吠えても、歴史は進む」というこの有名な表題は、中央アジアのシルクロード、仏教や何かが伝来してきました日本の歴史と至大な関係のある中央アジアのシルクロードにおいて生まれてきたところのことわざであって、「犬は吠えてもラクダの隊商は進む」、「犬は吠えてもキャラバンは進む」、こういうことわざなんですね。どういう意味かと言えば、ここで言われている「犬」というのは、中傷宣伝、事実にあることじゃなくて、ないことを、偽りの誹謗、中傷宣伝を行うことをこの場合「犬」と言っております。そして、このような非難、いろいろの事実に基づかない中傷宣伝をやることによって歴史というものは狂わない、ちゃんとその方向に行く、暗黒時代は今日の主権在民の時代に進んでくるというようなこと、あるいは中傷宣伝によって真理は曲がらない、真実は決してなくなるものじゃないということを意味しておりまして、だから中傷宣伝はやめるべきだ、やるべきじゃない、愚かなことであるという戒めとして言われているのが、犬がほえてもラクダの隊商は進んでいく、まことに文学的な表現を持ったことわざであります。それを全く理解しない。みずからが反共のいわば宣伝をやりまして、そうして歴史の進行を何か狂わせようとしたり、あるいは真実を曲げてやろうというふうなことは、このことわざで言っているとおりやるべきことじゃないんだという意味におきまして、向こうで犬と言いましたから、犬がほえればと最初に言ったのは矢野書記長であります。そういうことで、私はそのことわざに基づいて言ったのです、彼が言ったことについて。反共の犬がほえるみたいなことを言うな、反共の犬がほえるようなことをするなということを言ったのですね。それはまさに向こうがばっと出したことに対して、そのことわざどおりだ、ことわざで言っているとおりの意味がわかりませんか。このことわざで言っている、ここで犬と言われているのは中傷宣伝です。宮本委員長がリンチ殺人だとかなんとか、そういうものは、この間、私、言いましたが、すでにたくさんの演説会で公明党皆さんが宮本委員長はリンチ殺人者だ、こういう宣伝をしているのですね。だから、そういうことを言いなさるな、ことわざはそこを戒めているのですよという意味で私が言ったわけですね。これを私は親切に申し上げたと思っておりますし、適切であったといまでも思っております。  ところが、受け取った側は犬と聞こえた。さては犬と言ったな、共産党を批判するものはみんな犬と言うあの証拠が出てきたなという、前からそう考えておられるわけだから、反射的に、せっかく文化性の高いいい比喩をもって話してあげたことを、これが院の品位を傷つけると言って、まるで町の暴力団が、いや犬と言った、それならぶん殴ろうというふうな反射をされたということは、私はつくづく残念に思うわけでありまして、事の次第はこのようなことなんですね。  しかも、そのことに反射的に犬とは何だと言って、そうして私はばんばんばんと三回ぐらい胸をやられました。それから御丁寧にここを何遍もたたいてからもう一遍、だんとこういうふうにやって、あれは四回やっているのですね。テレビを見ますと、私が見たのは三遍ほど後ろからどんどんとやっているのを見て、またもう一つテレビでは最後にどんとやったのが出ておりましたけれども、そういうことがあのときの事件なんです。ですから、以上のこと、私が言ったことは院の品位を決して傷つけないと思っているわけなんです。
  128. 田邊誠

    ○田邊委員 前後の事情や、あなたがどういう気持ちや心情でもって発言されたか、それにいわば他の議員がどういう対応をしたかというようなことは逐次お伺いしたいと思ったけれども、あなたずっと述べられましたから、それはそれでもって結構でしょう。私も提案者趣旨説明も聞き、あなたの一身上の弁明も二回聞きましたから、大体の状態はわかっているつもりなんで、実は理事会の申し合わせもありますので、簡潔に、私の質問に対してだけお答えいただくようにお願いいたします。  いまお話を承りまして、あなたの不規則発言があったこと、そしてまたそれは反共宣伝をやめろという言葉に続いて、「反共の犬がほえているみたいなことはやめろ」と言ったことであるということが判明いたしました。これはあなたの一身上の弁明最初に書いてありますように、公明党の矢野君の質問に対する私の抗議の声であるということですね。すなわち、あなたがこの矢野質問に対してあなたの立場あるいはあなたの属する共産党の考え方に基づいてどうしても抗議せざるを得なかった、こういう形でもって発言をなされたという事実は間違いない、こういうふうにわれわれは認識をいたします。したがって、抗議発言ですから、いまいろいろな意見を出されましたけれども、そう人間の、相手が発言をした際においてそれに対する抗議をする、けしからぬあの発言は、こういう中にきわめて上品であったとか、一つの比喩を用いてやったなんという、そういう理屈は余り役立たないと私は思いますね。やはり矢野発言というものがあなたにとってきわめて不可解であり、不当であり、不愉快であるということに対して、あなたは不規則発言したというのが真実だろうと私は思うのです。一番最後に犬の定義についていろいろ御発言がありましたけれども、そういう後からつけ足したような論議というのは、私は余り賛成しません。そういうことよりも、率直に言ってあなたのそのときの感情がむき出しになった発言というもの、そういうものが真実じゃないかと私は思うのですよ。ですから抗議であって、そして上品な何か比喩を用いた発言なんというのはロジックが合わないわけでありまして、率直にその点は、矢野発言がやはり共産党の宮本委員長のリンチ査問事件でしょうか、あれに関してなされたことに対するあなた自身抗議と言われる気持ちの一つのあらわれ、こういうことじゃなかったかと私は思うのですよ。その点はやはりあなた自身がお認めにならぬと、余りにも理屈を持って回ったような形でもって後でつじつまを合わせるということについては、紺野さん、あなたの運動歴から言ってもかえってどうか、こう私は思うのです。ですから、犬論議は別にいたしまして、いま私が申し上げたような気持ちで、自分は矢野発言に対して一つ自分の気持ちを率直に吐露した、これが不規則発言である、こういう認識に私は立ちますけれども、私の認識は誤りでしょうか。
  129. 紺野与次郎

    紺野議員 やはり「犬は吠えても、歴史は進む」という私たちの……(田邊委員「そういうことを聞いてない。ぼくも相当それは知っておるつもりだから、そう余りいろいろなことを……」と呼ぶ)
  130. 宇田國榮

    宇田委員長 紺野君に申し上げます。要約した答弁をお願い申し上げます。
  131. 紺野与次郎

    紺野議員 二点について申し上げます。  一つは、つまり反共宣伝をやめろと言っておるところに突然「犬は吠えても、歴史は進む」ということを言い出したので、つまりそれをわれわれ敏感に、その理由、理屈はちゃんとわれわれわかっているわけだから、それを使ってぽんと切り返したということなんです。これは反共宣伝をやるなということと同じです。ただ、向こうからその機会を与えられたために、そのために私はぴんとそれに反応したということが第一点です。何もないところでそうしたのじゃないということが一つ。  それからもう一つの点は、田邊先生が言われたとおり、あなたもわれわれと同じいろいろな苦労をされた方だと思いますが、実際にわれわれから見れば、本当に私は四十八年の経験というものは何か遠い昔にあるのじゃなくて、私の全体質になっておるわけですね。それをおわかりだと思うのです。私は言いました。昔、拷問をわれわれ自身がやられた。こういうふうに手錠をかけられて、それこそけだものみたいに扱われて、さんざんに殴られて殺されかかったわけですね。それをわれわれは黙否をしながら闘った。そういうふうに生きてきた体験ですよ。それはわれわれから離れて存在していないのです。その歴史的な体験というのは、私の毎日の感情や行動に常に影響のあるものとしてできているわけです。ですから、そういう特高時代のことですから、四十三年前といえばそのころのことですからね。そのころのことを憲法に違反する立場発言を性こりもなくやるということに対して、私はもちろん許せないことだ。怒ったのですね。だからそのことと、向こうの「犬は吠えても、歴史は進む」ということとが一つになって、その瞬間に反共宣伝をやるなということと同意味で、やはり反共の犬がほえるみたいにやるな、それをやめろ、こういうふうに言ったわけで、やはりあなたがおっしゃったように私の抗議です。それは怒りの気持ちで、私の体験を通してこれに対する反発としてやられたことは事実ですけれども、しかし、おまえは犬だというふうなことを言ったのではなくて、もうわれわれは百も知っている歴史は進むのあの表現を敏感にわれわれが受け取って、ばんとやったことは事実であります。
  132. 田邊誠

    ○田邊委員 前後のいきさつは私どもも本会議承知をしておりますから、私はやはりあなたが抗議不規則発言をされたその気持ちに対して、決して私自身が否定的であったり、けしからぬと思って、そういう意味で私はいま実はあなたに質問しているのじゃないのですよ。当然あなたのいままでの運動から言って、一つの主張なり考え方をお持ちなんですから、それと相入れない発言に対してあなたが抗議するという気持ちになることについて、われわれは否定をしてないのです。ただ、これは抗議ですから、やはりかなり厳しいものであっただろうと私は思うのです。それが後でもってきわめて上品な発言のように理屈をつけるところは、私は残念ながらどうにも納得できない。これは率直でいいじゃないですか、その抗議の意味で怒りの言葉が出たということは、これは当然なことなんだから。しかも、これはどういう比喩があったにいたしましても、あなた方の通例の言葉、それからわれわれも運動上の言葉として使っているこの犬という言葉は、決して上品なことでもなければ非常に適切な比喩を用いたことでもないのでして、これはきわめて侮べつ的な、一面においてはきわめて相手を罵倒する立場、そういう立場でもって用いられているのは当然なことなんですよ。私はあなたと院外でもっていろいろな集会において、それぞれの党を代表して顔を合わせたことは多いですね。そういった点から、あなたの日ごろの言動について、私は非常に含蓄のある発言をしている、演説をしているというように実は見ておる一人でありますよ。ですから、そういった点から見て、やはり厳しい抗議というものがあなたの口から出たことについて、われわれは必ずしも真っ向から否定をするという、こういう立場でないことをぜひあなたに御理解をいただいて、率直にやはりこういう発言がなされたことに対しては、日ごろあなた方の党なりわれわれの革新運動の中において使っている回し者とか、こういういわば侮べつ的な言葉であることだけは、これは間違いない事実でして、そういったことでなしに、上品な比喩を用いた発言なんていうのは、抗議じゃありませんよ、それでは。ですから、そういった点はひとつぜひ率直にお認めいただきたいと私は思っておるのです。  それで、いまお答えの中に、矢野質問というのが、共産党宮本委員長のリンチ査問事件というのでしょうか、正確なことをどう言ったらいいかわかりませんが、いわゆるですね。いわゆるその事件を持ち出したことに対して抗議をされるということですね。私も、戦前の治安維持法下におけるところの革新運動をやってきた時代のこと、そういう中でもっていろいろな罪に問われてきたこと、これがいかに現代の世代に比べてみて不幸なことであり、ゆがんだことであり、そしてわれわれが大きな怒りを持っていることであるかということについては、私はやっぱりあなたと同意見であります。ですから、その種のことを今日の国会において取り上げることの是非について、私も意見があります。今日われわれが課せられている国会の任務というものを考えたときに、こういう問題を持ち出すことが一体どうなのかということに対して、今日的な一つの判断を私は持っております。しかし、言論は自由でありますから、これが国会の国政調査権のらち外であるということであれば別でありまするし、また、憲法違反であるということであれば別でありますけれども、あなたのいまの御発言を聞くというと、矢野発言は国政調査権のらち外である、そして政府関係者がすでに明らかにしているとおっしゃいましたけれども、せんだってのわが党の山口君の質問にもありましたように、不幸な事件であったけれども、その事件の事実の有無について問いただすことが憲法違反であるとは、われわれとしては断じがたい。ただ、それの是非について類推できるようなことをわれわれとしては極力排除しなければならないだろう、こういうふうに思っております。そういった面で、私がいま申し上げたような、この発言に対する一定の見解をわれわれは持っておるつもりでありますけれども、しかし、いまも申し上げたように、この問題が直接的な憲法違反でないという衆議院の法制局長の意見もありますから、そういった点で、あなたがこれに対して矢野発言は宮本氏の裁判に対する無批判であるということについて、あなたの党並びにあなた自身一つの見解をお持ちになることは私は結構だと思いますけれども、これはこれなりに、私はやはり国会の議論を通じてそれに対して対応するのが当然だろう、こう思うのです。事実、あなたの党の議員が予算委員会等を通じてこの問題に対するところの一つの見方を示し、政府に対してその対応についての追及をしているわけですから、そういった点でこれは処理すべきものであろう、こう思うのですね。したがって、矢野発言に対してあなたは憲法違反であるというように断定をいたしましたけれども、これは私は当たらないというふうに思いますから、その点に対して、私の発言が誤りであれば、それに限ってひとつお答えをいただきたいと思います。
  133. 紺野与次郎

    紺野議員 前と後ろと二つの点でありますが、どうしてもそこのところは食い違ったようになっているので残念ですが、それはつまり、犬と言ったことは、これは反共の犬がほえるみたいに言うなということでありますから、これはその前に矢野議員が「犬が吠えても、歴史は進む」ということを言い出さなければ、私も考えつかなかった問題です、全然そういうことを考えていなかったから。ただ、向こうがそういうことを言ってきたということで、これは大変な思い違いをしている、本当のことはこうなんだという頭の中の判断が動いて、そうして反共の犬がほえるみたいなことをするなということを言ったのであって、おまえは犬畜生だぞというふうな意味で言ったのじゃ全くないということ、これはそのときの起こってきた発言のあれから見て間違いのないことなんです。だから、それがどうも御理解願えぬようでありますが、もう一つ、私としては、あなたもよく演説会や何かで一緒になってよく知っておる間柄です。私は個人的にはけんかをしたことはないのですよ。大体個人的なけんかをしたことはありません。相手が畜生だとかなんとか、暴言を吐いたことも一つも私はないと思いますね。ただ、公的な場所では私は大いに怒り、大いに論じ、大いに言いますけれども、それは常に公的の場合しか私はやらない。個人的にはきわめて憶病者で、はにかみ屋で、お人よしでと言われているとおり、人とけんかしたことはございません。相手に犬だとか何だとか、卑しい言葉を言ったことはありません。そういう点ですから、私から見れば、これは公的な、特にそこで言われた「犬は吠えても、歴史は進む」に関係してだけ言われたものである。これは断固としてそうだということを、私のいろいろなあれから見てもらえばわかると思います。その点を、誤解をひとつ解いていただきたいということですね。  それから、矢野質問についてですけれども、おっしゃるとおり、今日の時代に四十三年前のことを持ち出すなんていうのは確かに疑問でありまして、驚きなんです。しかもこれは初めてじゃありませんで、一月二十七日に春日民社党委員長がすでにるるこのことを言いまして、国会の中で内閣法制局長官及び安原刑事局長、それから最高裁の事務総長がはっきりとこの問題について、国会で蒸し返して持ち出すことは国政調査権の範囲を越えるものであるということを言われているわけです。もうそのことを私は知っている。ただ今度、衆議院の法制局長が言った、これは渡部議員も持ち出して決して違憲ではないということの論拠にしておりますが、これも全部終わりまで読んでみますと、そういうことを言うのは、スパイリンチはあったかなかったか、殺したのか死んだのか、こういうような言い方は、政府、行政府に対して詳細な説明を求めるということでありますから、もう明らかに当否を論じておるし、またその説明、引き出してくる、予想している説明からするならば、やはり憲法違反になりかねないということをこの局長さん自身が言っているわけですから、われわれもこれを灰色の、そういう点では違憲の質問であるというふうに、後でよく考えてもそうなんですね。でありますから、すでにいままでの国会で言われておったことを、また残念ながら公明党の書記長も言うようになったんだということが、私にとってはやはり抗議の前提にもなり、理由にもなったということを申し上げたいわけなんです。
  134. 田邊誠

    ○田邊委員 あなたの立場ですから、私は別に答弁を制止することもいたしませんけれども、少し広範囲に触れておるものですから、私の持ち時間が実は余りございませんので、非常に残念でありますけれども……。  紺野議員の一身上の弁明は引き続いて、矢野質問においては宮本委員長の復権に関して事実を正しくつかんでいない、戦後の民主化措置を正しく理解していないということがあります。私はこれに対して、これはいろいろな見解があり、実はいろいろな事実認定をしようとすることについては、これはこれなりに一つの意味がありまするから、こういうふうに断定をするのはいかがかと思いまするけれども、これに関して、実は矢野発言は共産党に対する不当な言いがかりであるというふうにあなた言ってらっしゃいますね。     〔委員長退席木野委員長代理着席〕 さっき私が申し上げたように、気持ちの問題として別に理解をしないわけじゃありませんけれども、公明党に対して、公明党の矢野書記長の発言が共産党に対する言いがかりであると言うのは、あなたの側からすればそうであるかもしれませんけれども、しかし、そのことをあげつらってあなたの一身上の弁明に加えることについては、私はこれも賛成できません。そして、そういったことをあなたが批判をしながら、あなたの本委員会における一身上の弁明の中で、公明党は云々という公明党批判をしておるところのくだりがあります。したがって、共産党に対する言いがかりと言って、あなたが声を大にして弁明をされまするその人自身が、この一身上の弁明の中でもって、公明党に対してやはり批判をしているという条項は、これまた私としては賛成をしかねます。やはり相手の自分に対する批判に対して一つの意見をお持ちであるとすれば、相手に対しては私は相当慎重でなければならないんじゃないかと思うのです。みずからを律するに厳しくなければならぬだろうと私は思うのでありまして、その点では、あなたのいわば相手に対するところの批判の厳しさというものは、私はこのくだりから言ってもいかがか、こう思っております。これについては、理事会で後で取り扱いについて御協議があると思いますが、そういったことについてひとつ私は申し上げておきたいと思います。  それから、正木君の暴力の問題についてもあなたは云々しておりますが、これは直接的に本委員会におけるところのいわば審議の対象ではありませんから……。付随して起こった事件だというふうにあなたは言っておりますけれども、しかし、これはわれわれとしてはここでもって論ずることは避けたいと思っております。相関関係があるかもしれませんけれども、われわれとしては避けたいと思っております。  そこで、私も見解は最初に申し上げましたけれども、紺野議員のこの不規則発言というものに対して、私はあなたの気持ちについていろいろとそんたくはいたしますけれども、しかし、議会の中におけるところの発言としては必ずしも穏当であったとは言いがたい、穏当を欠くものではないかと実は首をかしげます。やじは弁論の花でありまするけれども、しかし、それには一定の節度がある、こういうふうにわれわれは思っておりますから、そういった点であなたの発言については、私はどのような言い回しをされようとも、いわば瞬間的にあなたが抗議として発言をされたということを言っている以上、これに対する発言が必ずしも当を得たものとは思いません。しかし、それが国会法百十九条の「無礼の言」であるかどうかについては、私は一番先に申し上げたような考え方でございまして、これをにわかに懲罰に付することについてはわれわれとしては賛成できない、こう思います。したがって、この問題に対するところの対処の仕方について、私どもは当初から、紺野議員発言というものの心情やその背景についてそんたくすることは別として、あなたの発言がやはり穏当を欠くものではないか、こういう観点でもって、その点に対してはひとつ率直に何らかの意思表示があってしかるべきではないか、こういうふうに思って実はそのことを申し上げてきたつもりであります。  それからもう一つ、ここで注意を喚起しておたきたいのは、その後において、この問題を中心として議会内におけるところの政党間の論争がかなりあるようであります。われわれはそういったことについて関知をいたしませんけれども、あなたの前回の一身上の弁明の中にも、その後におけるところの公明党なりの演説会等におけるところの発言を取り上げていわば弁明をされた趣旨がありますけれども、それについては私は、これは必ずしもそれを取り上げることについて賛成できないという形でもって、いわばあなたの再考を求めたいと思います。いま共産党と公明党あるいは民社党との間において、いろんな政党間の論争があります。これはこれなりに、政党でありまするから、われわれもお互いに論争はいたします。しかし、そのことを議会の中で持ち出し、そのことを持ち出したことによっていわば不規則発言があり、それで懲罰に付する、私はこういうような事態の進展についてはまゆをひそめるものであります。したがって、こういったことを懲罰事犯に持ち込むことについては避けるべきである、われわれはこういう考え方に立つものであります。  そこで、最後に一つ紺野議員にお伺いしておきたいのでありまするけれども、あなたはいろんな言い回しをされて正当性を列挙されておりまするけれども、私は、最初に申し上げたように、われわれは、議会内におけるところの発言議会外に責任を問われないという憲法規定によって、いわば議会で論争をやっておるわけでありまするから、そういった点において、議会内におけるところの発言というのはお互いに慎重でなければならない、厳正でなければならない、こういうふうに思います。したがって、これは私の自戒も含めて、やはり議会においては政策論争を中心として堂々たる論陣を張ることが必要だろうと思います。この矢野発言に対して、あなたの不規則発言というのは、あるいは心情的に理解のできる点もありましょうけれども、しかしそれはあなたの長い運動の経歴から言えば、そういった不規則発言でなくて、不規則発言を抑えて、別の機会において、議会の中において堂々たる論争の中でもってこれにこたえるのが私は当然の筋道である、こういうふうに考えていますから、そういった点から見て、あなたの不規則発言そのもの、その心情、その背景はいろいろあろうとも、不規則発言をされたこと自身について、あなたの何らかの遺憾の意思表示なり反省の態度があっていいんではないかというふうに私は思いますけれども、あなたは不規則発言そのものが、中身は別として、そのものが正当である、当然のことである、こういうふうにいまでもお考えでしょうか。不規則発言そのものについて、あなた自身はこれは決してよいものではない、こういうふうにお考えでしょうか。その点に対するあなたのいまのお気持ちを承っておきたいと思います。
  135. 紺野与次郎

    紺野議員 私が不規則発言を行って懲罰委員会にも付されている、この点について私の言ったことがむしろ正しかったのじゃないかというふうに思わせるものがあります。それを率直に申しましよう。  鬼頭発言なんです。鬼頭裁判官なんです。鬼頭裁判官がこの事件と深いかかわりがある。現在の日本の政治情勢はきわめて奇々怪々なほどの様相を呈した深い政治危機にあります。その危機の中で、一方のところにわれわれがまだわからない暗黒の勢力がいる。何かある。それが一国の総理大臣に対して、検事総長の立場で電話をかけて指揮権発動を引き出すように促して政変を促す。こういうふうなことをやる人物がまさにこの事件、執拗に繰り返して日本のいまの政界の一つのがんのようにへばりついて、そうして健康をむしばんでいるところの事件が宮本委員長に対する個人的な反共攻撃であります。系統的で、しかも重要な政党や出版機関やいろいろなものに働きかけて、そうして体系的に推し進めてきているこのような怪物的な反共攻撃というものが、鬼頭裁判官という現役の裁判官によって、それを中心として行われているということが、いまや国会の最大の問題であります。それとストレートに結合しているということなんです。何ということなんだろう。私自身の体験、党の体験を通じてこの危険な反共攻撃に対して歯どめをかける、もうやめなさい、国会でやるべきじゃない、こう思ってわれわれはこれに抗議をしました。しかし、いまやそのことが証明されている。もっとひどい立場からこの問題は仕組まれた長い事件だったんじゃないかという疑惑が濃厚であります。そのときに私が、あのことが間違っていたというふうなことはとても言えません。むしろよくまあやって食いとめたなあ、これである程度この個人反共攻撃の怪物というものが後退しつつあります。それを無制限にやってごらんなさい。まんまと鬼頭裁判官たちの意図するようなことに利用される、また、それは、私が直感的に言いました、過去の四十八年前の特高のあのような時代を目指している勢力があるんだということ、それは、私は率直にそうだと思うのです。政治家ならそう思わなければならない。そのときに、私も間違えました、犬と言ったんです、そんなこと言いますか、言いません。私が言ったのは、率直に言って最高度に、いわばそういう比喩のあれをとっておりますけれども、重要な問題に対する抗議としてこれは行われたのであって、ただ、そこいらにある、言った、やった、こういうけんかのあれじゃないのです。そのことを皆さん懲罰委員会いま開かれておりますけれども、いまの政治情勢の中で非常に特徴的な、象徴的な事件として起こっているこの事件に対して、低次元の考えじゃなくて、日本の運命を操る者に対しても義憤を感じてやったことの一つだというふうに考えてもらいたい、私は痛切にそのことを申し上げます。何で私が普通のやくざ同士のけんかのようなことを——そんなことで言っているんじゃないということなんです。四十八年前にさかのぼっているというのは、私のボーリングされた地下構造というか、そういうものの上に立って発言しているのであって、日常のけんかのあれのようなことじゃない、私はこのことを痛切に考えていただきたいというふうに申し上げたいわけであります。そういうことであります。
  136. 田邊誠

    ○田邊委員 私は、あなたに質問を、きわめて一種の理解者の立場で、また運動の経験とこれから先の発展を考えて、十分その点を認識をしながら実は質問しているつもりでありますが、どうもあなたの答弁を聞いていますと、あなたに対する好意的な気持ちというものが薄らぐことを非常に残念に思います。(紺野議員「それは、私はよくもう一遍申し上げます。社会党の……。」と呼ぶ)いや、社会党じゃありません。私自身発言に対して率直にあなたが認められないということについて、私は非常に残念に思います。また、そういう鬼頭問題も持ち出してのロジック、これは鬼頭問題は鬼頭問題で私どもは大いに危険な成り行きについて国会でもって追及をしなければならぬと考えています。しかし、そういった問題が起これば起こるほど、議会の中におけるところのわれわれのあるべき姿というのは、より議会品位を守り、秩序を保ち、そして正々堂々たるわれわれの論議を通じて事の解明に当たらなければならない。議場におけるところの不規則発言をやったからあなたは反共発言に対する何か歯どめをかけたなんて、あなたがそんな低次元な考え方だとすれば、私は紺野議員自身のいわば品位と、あなたのとうとい運動歴というものに対して傷がつくのじゃないかと思うのです。あなたがそういうお考えであればあるほど、それは許された議会の中における発言として、あなたなりあなたの党がこれに対して追及するのは当然のことだろうと思うのですけれども、それだからといって、これは本会議委員会において、相手の発言に対してやじを飛ばせばそういった反共宣伝なり反共的な思想が食いとめられるなんというのであったら、国会の秩序は保てませんよ。また、そんなことでもって問題が解決するはずがないじゃありませんか。その点が余りにも何か全部を言いくるめようなんて、そういう発言は私は全くいただけません。私は、これはあなたのために非常に不幸なことだ、こう思っております。そのことだけは特に申し上げておきます。  しかし、私は当初申し上げたような原則に基づいて、この問題は冷静に処理すべきである、こういうふうに考えております。その冷静に処理する一つの過程として、あなたがどう言われようとも、不規則発言というものがいいなんという、これは当然だ、いやむしろそのことがあったからこそ、いわばこの事態も悪化を防げたなんという、そういうロジックで対応されるとなれば、われわれもまた考え直さざるを得ませんよ。ですから、そういう形でなくて、あなたの主張されていること、あなたの考えていることについて、私は別に否定をするわけではないのです。それならば、その考え方は正当なルールでもってやられることがもっと望ましいというのが当然のことでしょう。不規則発言でやられることが正当なり、正しいことなりというぐあいにあなたが思っているとすれば、議会人としていかがかと思うのです。どうなんですか、紺野さん。
  137. 紺野与次郎

    紺野議員 第一に、社会党の立場及び田邊さんの御批判点や何かについて私たちは非常に尊敬もし、そしていろいろ善意について私たちよく感じているところでありまして、これについてはとやかく言うものではありません。この際、このことを十分に申し上げたいと思います。  ただ、私もこれから論文とか演説会等において大いにこの問題も論じて、さらにやっていきます。ただ、私は、あの瞬間において、不規則発言ということが一般的には国会の中でまだ一度も懲罰を受けたことがない。聞いてみると、私も国会に来まして何と不規則発言の多いところだろうというふうに思っておりましたが、やはりこれは言う者と批判する者とのかみ合いであって、政治の場として起きているのだ。ずいぶん悪い、こんなことはというものもずいぶんわれわれも受けてきました。しかし、不規則発言というものを懲罰するとか、あるいは不規則発言はすべきでないものとかいうふうなものにまできている問題でありますけれども、これについての懲罰は、不規則発言に対しては撤回をしていただきたいとわれわれ思っております。そして、不規則発言の足らない——なかなか全部そこで言うことはできませんので、その瞬間瞬間において最善のものを選んでお互いにやらなければいけないのだというふうにわれわれは思っておりますが、そういう点で私自身は、あの瞬間においてはちょうどあらゆるタイミング、その他事件の全体の進行からして、あの不規則発言は何ら懲罰に付されるものでもないし、私が申し上げましたような意味におきまして、正当なものであったというふうに思っております。この点について、田邊先生と若干の食い違いがあることを残念に思いますが、私自身としてはあの瞬間にあのことを言ったということは、決して院の品位を下げるものでもなし、また政治情勢全体から見て許される正当なものであった、事実がそれを証明しているというふうに考えているわけであります。
  138. 田邊誠

    ○田邊委員 これで質問を終わりますが、私は最初に申し上げたような考え方でございます。懲罰事犯はより慎重でなければならない。できるだけ議員議員を裁くことについては避けるべきである。まして議事録に残らない不規則発言についてこれを懲罰に付することについては、われわれは賛成できないという原則は私は貫いていきたいと思いますが、紺野議員、いまあなたは繰り返して自分不規則発言についてその正当性を強調されましたけれども、私は議会人として、それが本質ではないと思います。議会の中におけるところの、正規のルールに基づいた弁論を通じて相手方を説得し、自分の主張を貫くということの本旨はぜひ守っていただきたい。したがって、それ以外のいわばこの種の問題については好ましいことでない、できるだけこれは避けるべきことである。そういったことから歓迎をされ、高揚をされるようなそういった立場というものは断じてとるべきでない、こういうことに私は思っておりますから、ひとつ紺野議員並びに日本共産党の方々の、この問題に対するところのお気持ちを整理をされて、自重されることを特に要望しておきたいと思います。  この問題については、その原則に基づいて慎重な取り扱いをすることを私どもの党は意見として持っていることを最後に表明しておきまして、私の質問は一応終わりますけれども、若干実はこの後の紺野議員あるいは渡部議員質疑応答に対して補足することがあれば、改めての機会に発言をさしていただく場合があることを付加しておきまして、私の質問を一応終わりたいと思います。
  139. 木野晴夫

    木野委員長代理 本人紺野君は傍聴席の方でしばらく御待機のほどをお願いいたします。     —————————————
  140. 木野晴夫

    木野委員長代理 動議提出者に対する質疑を続行いたします。東中光雄君。
  141. 東中光雄

    東中委員 定足数が全く欠けておりますので、定足数を充足さして委員会を成立させていただきたいと思います。
  142. 木野晴夫

    木野委員長代理 東中君の御意見につきましては、委員長において善処いたします。  質問続行できますか、すぐ私の方でいたしますから。
  143. 東中光雄

    東中委員 委員会は成立していないんではないですか。出席議員は四名であります。成立していないと思いますので、私は、質問者としては、成立さしていただきたいということを申し上げます。
  144. 木野晴夫

    木野委員長代理 ちょっと速記をやめて。     〔速記中止〕     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕
  145. 宇田國榮

    宇田委員長 速記を始めてください。  東中光雄君。
  146. 東中光雄

    東中委員 午前に引き続いてお伺いします。  午前に伺いました、本件の問題が起こった直後のビデオについては、あなたは見られたとも見られないとも言われていないんですが、それは、関係がないということでそう言われておるわけでありますが、しかし、そのことについては、あなた自身はここで、この委員会で何回も触れておられることでありますから、依然として見たか見ないかの事実についても言えないという態度をおとりなのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  147. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先ほどお答えいたしましたとおり、本会議における趣旨説明の際、いろいろな状況資料等を十分に調べまして、こうした趣旨説明あるいは動議提出を行った、このようにお答えしておりますので、先生が先ほどからいろいろとお尋ねになっております内容につきましては、十分お答えしているものと思うものであります。  先生がそれ以上にいろいろと仰せになるのでございましたら、それは問題の焦点が、先ほどから、紺野自身の問題でございますので、問題の質をむしろ大幅に他の方面に向かって変換するものではなかろうかということも、先ほど何回も申し上げたわけでございます。したがいまして、先生がいま仰せになりました、先ほど中断の前のお話をいま要約されて、改めてお話しになったものであろうと思うのでございますが、一応私も先ほどのお話に沿いまして、私のお答えを申し上げた次第でございます。
  148. 東中光雄

    東中委員 事実を見たか見ないかということについても答えられないという態度をとられたということを確認して、次に進むのでありますが、先ほどの発言で、寺前議員がげんこを振り上げてというふうな趣旨の発言をあなたはここでされましたけれども、あなたの方は懲罰事案と関係のないことであっても、そういうことを言うのは自由だというふうに考えておられるようですが、同時にその事実が全く、それこそ事実と違う、あなた方の言っておるとおりに、写真の指を示して、人さし指を前に出して抗議をしている寺前君を、前から写真を撮って指がわからないからといって、そういうげんこを振り上げてというふうな事実に基づかない虚言で人を侮辱するような、そういう発言をしておられますが、取り消しを求めます。
  149. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先ほどから何回にもわたりまして趣旨説明の問題につきましては敷衍申し上げているとおりであります。  ただいまお取り上げになりました問題は、映像その他の解釈につきましては、同様のケースがありますことを先生に御指摘をいたしたものでございまして、事実に基づかないのではなく、事実そう見えております写真がありますことを先生に御指摘したものでございまして、先生はいま事実に基づかない虚言で人を侮辱していると言われましたが、それは全く当たらない評価であろうと思います。先生は、御自分の場合は寺前さんの問題についてそのように御発言をなさいましたけれども、正木議員に対する御発言もひとつ御慎重に、私のようにお願いをしたい、こう思うわけであります。
  150. 東中光雄

    東中委員 断片的な写真では真実はわからない、寺前議員の問題については、断片的な写真で、写真を見たらそういうふうに見える場合があるけれども、事実はそうであったとあなたは言っておるわけではない、そういう趣旨のことをいま釈明されたと思います。私たちが正木君の暴力について言っておるのは、平面的な、断面的な写真ではなくて、ビデオという、テレビという継続した状態を示すものであるから、それについてあなたはその事実、それに目を開いたか、あるいは見てないのか、そのことについて答弁を拒否されているという点では、見たと言えばさすがにうそは言えなくなる、暴力の事実を認めざるを得なくなる、見ないと言えばこれから見なさいということになる、だからそれについてどっちも答えないという態度をとっておられるものと言わざるを得ないわけであります。はなはだ遺憾でありますが、これで時間ばかりとっておるわけにいきませんので、そういう態度懲罰動議提出された人としては、そして本会議でこのことについて発言した人としては、きわめて因循こそくな、事実、真実を尊重しない立場であるというふうに私たちは考えますので、この点を指摘して次に移りたいと思います。  あなたの方は、公明党は、本会議場における議事の進行についてのトラブルで起こってくる物理的な力の衝突ということとは別に、言論に対して議事の進行と離れて暴力をふるうというふうなことを肯定される立場でおられるのか、あるいはそういうことは許されないという立場でおられるのか。その点について御見解をお伺いしたいと思います。
  151. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生は、いま見たか見ないかの問題を、巧みに私に対する、また動議提出者あるいは賛成者に対する誹謗、中傷の言にすりかえられましたが、これはまことに不穏当だと私は最初に申し上、げておきたいと思います。  といいますのは、一つテレビとか、一つ写真とかで事態が全部解明されることはまことに少ないのでありまして、こうした重大な問題を取り扱う場合には、一つテレビ一つ写真で争うことは当を得ないのでありますから、私どもは十分の資料を集めて検討した上、本動議提出に至ったことを何回も丁寧に、わかりやすくお答えをしたわけであります。ところが、先生はそれを見たか見ないかという問題にすりかえられ、提出者としては因循こそく、事実を曲げるものであるというかのごとき御発言をなさいますことは、それは明らかに論理的にも筋が通りませんし、またそうした御議論の展開ぶりでは、真相に迫るにはほど遠いのではないかと憂慮いたすものであります。  また、ただいま本会議場における進行上に、言論に暴力をふるうことを肯定する立場かどうかというような、きわめてとっぴな御質問があるのでございますが、まことに一般論として申しますならば、本院議員議場内で暴力をふるうことを、事のいきさつはともかくといたしましても、全面的に肯定できるような立場の者は、本院議場内には選挙されてこないであろうということは想像にかたくないのであり、公明党云々がとか、私がとかとしてお答えいたすまでのことではないと思うわけでありまして、東中君におかれましてもそのような非常識なことを現在意図されているものではないと私は思うわけでありまして、当院議員全体の名誉にかけまして、こうした問題につきましては御冷静に御判断をいただきたいと思います。
  152. 東中光雄

    東中委員 議事と関係なしに暴力をふるうことがいいのか悪いのか、どういう御見解かとお伺いしたのに対して、それに対しても答えがまともにされないでほかのことをお答えになっております。それについての態度表明ができないような、そういう提案者態度であるというふうにお聞きをしまして 次にお伺いしますが、紺野発言について、紺野議員は、反共宣伝をやめろということを何回も議席から矢野質問に対して述べていたということが紺野氏からも言われ、私たちも確認をしておる事実でありますが、あなたはそれをお聞きになったことがありますか。都合の悪いことは聞かないということではないと思うのでありますが、いかがでございましょう。
  153. 渡部一郎

    渡部(一)議員 紺野議員懲罰委員会における一身上の釈明の文に、「私は、矢野君が「犬は吠えても」云々に言及したので、このような「反共宣伝はするな」と言い、このことわざでたとえて、すなわち「反共の犬がほえるようなことはやめろ」と抗議し、たしなめたのであります。」と、こう発言されておられます。「反共宣伝はするな」という部分に関しましては、この紺野君の一身上の弁明の際にあらわれてきた文章でございますが、私どもは、反共宣伝はするなと当人がおっしゃったかどうかについては明らかでございません。    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕 当日連呼されましたものは非常に激しいものがありまして、「反共のちょうちん持ち」とか、「自民党の手先」とか、「反共イヌ」とか、「特高」とか、「黙れ」とか、「質問をやめろ」とか、こうした強烈な不規則発言がございました。私どもは、そうした悪罵の中から明瞭に議場の中で認められ、認識をされました紺野君の御発言については、すでに何回か述べましたとおり、「反共イヌイヌがほえている」というような御発言については、認識を一にいたしているわけであります。
  154. 東中光雄

    東中委員 質問にまともに答えないでほかのことを言っておられますが、時間をかせいでおられるように思わざるを得ないわけであります。しかし、残念ながら定足数がまた欠けておるようであります。議事を進めることができませんので、定足数を充足させていただきたい。
  155. 奥田敬和

    ○奥田委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  156. 奥田敬和

    ○奥田委員長代理 速記を始めてください。
  157. 東中光雄

    東中委員 このとき公明党の大野議員が、「人殺し」というような不規則発言、怒号を共産党席に向かってやったことを、あなたはすぐそばにおられたのですが、まさか聞いておられないとは言われないと思うのですけれども、いかがでございますか。
  158. 渡部一郎

    渡部(一)議員 これは、本日の主題とは関係がないものと私は思います。
  159. 東中光雄

    東中委員 あなたは事実を確定するについて、紺野さんの発言は周辺におる者は聞こえた、こういうふうに先ほど言われた。今度は周辺におる公明党の大野君の口汚い発言については聞こえたのか聞こえなかったのか。それが聞こえてないのだったら、紺野議員発言も聞こえるのは非常におかしいのであって、そういう関係になるわけです。問題は、会議録にない、客観的に証明するものがないことについて、あなた方が事実を曲げてこれを出してきているからそういう問題が起こるわけです。だから私は、大野議員発言は聞こえたのか聞こえないのか、事実を認定するについてのそのときの状況を聞いているのです。それについてあなたは答えられないわけですか。
  160. 渡部一郎

    渡部(一)議員 私は当日の激しいやじの応酬について、当院の議員といたしましていろいろな応酬があったことは記憶をいたしておりますけれども、その瑣末の、だれが何を育ったかという点について、長い時間にわたって記憶をいたしておるというわけにはちょっといかないわけでありまして、しかもなおかつその当該議員の名前がここにおいて述べられ、ある意味では当該議員の名誉を傷つけるがごとき内容を含む議論をするのは、私は慎むべきであろうとも思うわけであります。私が申し上げたのは、そのときに余りにもひどいやじがあった、紺野君のやじについては私はメモをしておりましたし、またそのときに問題になった紺野君の発言についてはみんなで語り合うこともありましたし、その状況を見ておりましたマスコミの人々が調査をいたした点もありますから、みんなの記憶は鮮明であります。それ以外の問題についてだれだれが何を言ったというようなことは、ほとんど人の記憶にも明瞭ではないのではないか、むしろそちらの方が本当の御説明だろうと思うわけであります。  先生はいま、会議録にないから客観的に証明するものがないと言われましたけれども、先生会議録になければ何でも客観的に証明されないというふうにおっしゃるとすれば、それは妙な御議論ではなかろうかと思うわけであります。会議録にないことだったから事実を曲げたのではなく、会議録にはなかったけれども、その場におりまする数十人の人々が聞き、また明瞭に聞いた人々がおったということが事実でありまして、その事実を、会議録にないという言葉でもって曲げようとするのは当を得ていない。むしろ、会議録を速記されている諸君は、遠い距離の地点におられたのでありますから、むしろ聞きにくかったことが当然であります。紺野君の御発言というものを時々刻々聞くことのできた多くの議員発言というものを無視いたしまして、会議録にないからといってそれを否定し、逆にかえって事実を曲げるものであると、証言をする本院議員、少なくともこの議案の提案者あるいは賛同者になっている諸君たちに対して評価を試みることは、いささか表現の過大なことを私は感ずるわけでございまして、せっかくの先生の御意見ではありまするけれども、その先生の御議論は全く当を得ないものと思うのでございます。
  161. 東中光雄

    東中委員 非常なすりかえをやっておられるようであります。議場の中で「人殺し」などというような発言をするのが耳に残らないぐらいに口汚いことをいつも言うておるから耳に残っていないんだと言うのなら、それはそれとしてわかります。しかし「人殺し」なんというような発言をするのは、自民党の浜田幸一君がそういう発言をやりました。皆さんも、あれは大きい声で何遍も言うたからお聞きになったろうと思う。同じようなそういう発言をやっておるのがあなたのすぐ近くのところにおった人だ。それが全く記憶に残っていない。あるいは紺野議員最初にいろいろ言うておった、反共宣伝をやめろということを言うておったこともよく記憶に残ってない、わからない、こういうふうにあなたはいま言っています。午前の質疑では、数人ということを言われましたが、今度は数十人というふうに、いま人数がふえました。前回のときは、正木君は五十センチのところで、私は二メートルのところにおったから聞こえた、こう言いました。どんどんどんどん広がっていくのですね。こういう形での事実の認定というのは、これは懲罰というものの取り上げ方、事実は何か、真実は何かということについて忠実でない態度を示しておるものだ、私たちはそう言わざるを得ません。  時間がありませんので次に移りますが、矢野質問の問題について、提案者は、本会議場において、公党を代表して、議員が虚偽や中傷を一切交えず、事実に基づいて冷静な質問を行ったのだ、これに対して最大級の暴言を繰り返したのだというふうにあなたは言っておられます。紺野議員は、矢野質問は不当で違憲の反共質問だ、反共演説だった、だからそれに対して抗議発言をしたのだ、こういうように言っています。ここが、どっちがどうなのかということが、今度の懲罰動議が不当であるかそうでないかの重要なポイントになると思うのであります。  それでお伺いしますけれども、矢野質問は、初めに、いままでの論旨からごろっと変わって、「いわゆる共産党のスパイリンチ事件、これは前国会で論議されまして、」中略しますが、「私もこれに絡みまして一言言及をし、」質問をしたい、こういうふうに言っているのでありますが、共産党のスパイリンチ事件というのは一体何なのか。  法務省の安原刑事局長は、去る十月八日、衆議院法務委員会で、これについては「国会のような公の席では、」宮本顕治氏らの治安維持法等の事件と私は言ってきました、「無意識にでもさように申しております。」こういう答弁をして、「公式には私の言ったのが一番妥当な表現であろうと思います。」こう言っているのであります。公の場で、公党を代表して言うのなら、なぜ宮本顕治氏の治安維持法等の事件というふうに言わないで、スパイリンチ事件、こういうふうに言われたのか。「いわゆる」とついていますけれども、だれがどこで言っておる「いわゆる」なんですか。その点についてまずお聞きをしたい。
  162. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生がこの表題に非常に御関心が深い御事情はわからないでもございませんのですけれども、本件主題とは私は余り関係のあるように思えませんし、この本院の議員でもないお方の問題がこの懲罰委員会の席上で声高に語られることを、先生がお望みならまた別ですが、恐らくそうでないと思いますし、私は控えた方がよかろうと存じます。     〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
  163. 東中光雄

    東中委員 公党の委員長に関することを本会議公明党の代表質問で取り上げておいて、その取り上げた呼び名が、こういうふうな公式の場所ではそういうふうに言うべきではないと法務当局が言っておるような言い方をした、そういうことについて、公式の発言に、公明党を代表しての発言に、冷静な質問に、事実に基づいてとあなたが言っているその演説の中で言うていることについて説明ができないのですか。
  164. 渡部一郎

    渡部(一)議員 いろいろ御発言があるのでございますが、先生と私と立場がちょっと交錯しているように私は思っているわけであります。それは、先生は先ほどから大野議員の名前を出され、いまは矢野議員の名前を出され、今度は御自分の宮本委員長の名前を出され、先ほどは自民党の浜田議員の名前まで出されました。不穏当な御発言の問題を審査しているときだから申し上げるのでありますが、不穏当な発言があると確定されるならば、私は本院の名誉を守るために、懲罰事犯としてこれは正式に議題に提起されるのがまともであろうと思うわけであります。ここの場所で明らかに問題になっておりますのは、再三重ねて申して恐縮ではございますが、紺野君の御発言である、それを先生がこの問題を弁明なさるのに、他の方々の名前を多く、次から次へとお出しになって御議論をなさるのはまことにいかがなものかと思いますので、御注意を喚起いたしたわけでございます。そこへもってまいりまして、いま矢野書記長の御発言に対しまして、「公党を代表して、議員が虚偽や中傷を一切交えず、事実に基づいて冷静な質問を行っている最中に、」という部分をとらえられまして、紺野議員がそれを反共発言お話しになっていることも先生はおとりになりまして、どちらが本当なのかという観点からいま御質問にかかっておられるわけであります。そうすると、それらの政治的な御見解、御見識につきましては、本院議場において国会議員として十分の御審議を賜ることが私は妥当だと思いますし、先ほど社会党の本院懲罰委員お話にもございましたけれども、それを犬と表現するようなことをするのをやめまして、冷静にしかるべき委員会において御発言をいただき、弁明されるのがよかろうとのお勧めがございましたけれども、私はそうした非常に穏当な御発言に敬意を表するものでございまして、私はそうした意味では、先生紺野先生のいろいろな御発言についてはまだ明瞭な御認識をいただいてないのではないか、こう思うわけであります。
  165. 東中光雄

    東中委員 あなたは、矢野質問が公党を代表した党の書記長の公式の発言だ、こういうふうに言うておるわけであります。それに対して抗議発言があったのだ、こういう構造になっておるわけですが、公党の書記長が公式の場所で「いわゆる」などと言って、どこでも使ってない、私はこんなこと聞いたことがない。共産党のスパイリンチ事件という名前は春日一幸氏も言わなかったし、自民党の秦野君も言うてない。そういう呼称を「いわゆる」という形で出してきている、そういう質問なんだということについて、あなたはどうも認識がなかったようです。そして法務省が、人権という立場から見ても、裁判問題という点から言うても、宮本顕治氏の治安維持法等の事件というふうに言うのが公式には最も妥当だ、こういう見解を示しておるのに、あえてこういうことを言ったということについて、今度は「共産党の」と言われているのですから、共産党の側から抗議をするのは当然じゃないですか。しかもリンチ事件という呼び名は、これはだれが言い出したことかということについてあなたは知っておりますか。公明党としてはそれは知っておって使っておるのか、知らないで何とはなしに使うておるのか、その点はどうでしょう。
  166. 渡部一郎

    渡部(一)議員 共産党の宮本さんのリンチ事件という言葉に「いわゆる」と矢野さんが御発言になっているという問題については、私は本件主題とも関係がないと思います。ただ、当時、新聞各紙の御報道におきましては、この問題が取り上げられて以来、こういうリンチ事件という見出しがあったように私は記憶をいたしているのでありまして、かなり敷衍した国民の意識といたしまして、この問題の呼称としてこういう俗称が冠せられておったのだろうと思うのであります。法務大臣が正確におっしゃいましたことについては、私は注目をし、かつ、敬意を表するのにやぶさかではございませんけれども、それはあくまでも当院における正規委員会におきまして、正式呼称として何が妥当かについて、非常に御丁寧な応酬のあった際に出されたものでありましょうし、私はそうした呼称が新聞の見出し等において当初から使われたというふうには記憶をいたしておらないのであります。したがって、この問題を理解させる際に、矢野議員が少なくともリンチ事件と表現され、それに「いわゆる」とつけられて、わざわざ御自分立場を「いわゆる」という言葉であらわされましたように、この事件に関する名称に対してこういう表現をとられたことは、私は問題を指摘する意味で当然であったろうと思うのであります。しかも、矢野議員の御質問が、るるとして裁判においてあらわされたその事実認定に限って質問をいたしているわけでありますから、その意味では反共発言とかそうしたようなけばけばしい御発言とは私は違うと理解をいたしているものであります。  リンチ事件とだれが言い出したのか、私はそれについては確かに御質問のように余り明瞭でございません。相当前からあったのかないのかは存じませんけれども、ごく最近、私といたしましては新聞紙上で拝見したような記憶でございます。
  167. 東中光雄

    東中委員 当委員会の審議の中で安原刑事局長は、宮本顕治氏の治安維持法等の事件について、その判決にはリンチなどというような言葉は一切出てまいりませんということも答弁をしております。また一般のマスコミ、新聞がこの問題を取り上げるときにも、一番多く使われておるのは共産党スパイ調査事件あるいはスパイ査問事件あるいはスパイ調査問題というふうに取り上げております。それをリンチ事件と言うのは、民社党の春日委員長が本会議場で言い出したのが最初であります。それを一番最初に言い出したのは、この事件が起こって特高警察が手を入れた、スパイが警察側へ行って言うたのが昭和九年の一月十五日です。十六日に、したがって何の調査も進んでいない段階で、当時の特高警察が新聞に共産党のリンチ事件ということで発表し、反共宣伝をやった、共産党に対する攻撃を共産党をつぶすためにやった、特高警察が使った言葉、それを「いわゆる」ということを上へつけるだけで公明党の書記長が公式の場で言っているのですよ。特高警察の言ったことの蒸し返しを四十数年たって本会議場でやったということであります。特別の反共雑誌やら反共論客は別ですが、一般のマスコミはスパイ調査事件と言っているじゃないですか。スパイ査問事件と報道しているじゃないですか。それをあえて公明党の書記長が公の場で特高警察の口移しのことを言うた。これが反共演説でなくて何でしょう。私たちはそう考えている。だからそれに対して抗議をしているのです。そのことがよくわからないのですか。一番初め特高警察が昭和九年一月の十六日に記者会見か何かで発表した、そのときの言葉だ、そのときの呼称なんだ、そのときの反共攻撃なんだということについて、あなた方はいま事実を知らないとおっしゃったけれども、知らぬで特高警察そのままのことを呼称についてやっておるというものだということを、紺野さんが抗議をするもとになった一つの原因ということを、あなた方は全然理解してなかったということになると思うのですが、いかがですか。
  168. 渡部一郎

    渡部(一)議員 少し丁寧に私申し上げますよ。それは、こうした懲罰事犯紺野さんが抵触されたということ、国会法第百十九条に示された「無礼の言」であるということを余り御認識なかったようだというのは、私は悲劇だったと思います。先ほども御当人が弁明されたのを私は傍聴席で伺っておりましたが、国会では不規則発言懲罰されないかのごとくに理解されておったようなことを、御当人が説明されておられたのです。それで、私は相当の方だとは思っておりましたけれども、議会民主主義のルール、この品格を守るための国会における御発言については、まだ御理解が薄かったのだなという悲しみを持って私は見ておったわけであります。ですから、どうしてああも激しく反応なさるのかという点は、私らにとりましても大きな疑問の点ではあったわけでありますが、いま先生からるるお話をいただきましたので、その一部が判明したと思うのでございます。リンチ事件というような言い方はずっと古い昔に日本の特高から出てきた言葉だ、それを悪夢のごとく思い出したのだということであるならば、それはずいぶんと深い傷を負われているものであろうと、私はお気の毒に存ずるものでございます。その傷を持たれておるがゆえに特別に反応され、対処されたのではなかろうかと思うのでございます。  ただ、われわれは過去いろいろ苦しい思い出や何かを背負っているのは、日本民族だれでもそういう点はあるのでございまして、それで過去にそういう履歴が自分にあるからといって、「イヌ」と言うことが正しかったという論理にはなり得ないと私どもは思うわけであります。紺野先生のように古い戦前の政治経歴を経た方と私たちは違います。少なくとも公明党は戦後民主主義の中で誕生し、発展してまいった政党であります。戦前のそうしたいろいろな問題について、私たちは認識として薄い点もあるかもしれません。しかしながら私たちは学ぼうといたしているわけであります。少なくとも私たちが政党を立党したとき以来、平和を守り、民主主義を擁護し、ファッショと闘う基本的姿勢を貫いてまいって今日までがんばってきたのであるのにかかわらず、頭からまるで戦前の特高と同じような反応を示し、罵倒されるということは、過剰反応であるというしかないのであり、その意味では先生のただいまの御発言に対して、私は恐縮でございますけれども、そのような紺野さんの内的な背景の一つであろうかとは理解ができますけれども、依然としてそれを種として本院において不規則発言を繰り返されるということはお慎みになるべきだし、少なくとも他の論争をされる人々に対して、「イヌ」とか特高とかお話しになることは慎まなければならないだろう、私はこう申し上げているわけであります。
  169. 東中光雄

    東中委員 リンチ事件という言い方を、春日民社党委員長公明党の矢野書記長がこの国会の本会議場で、特高警察が戦前に治安維持法下で、あの侵略戦争をやっていくために使った言葉を、「いわゆる」という形で、特高警察のいわゆると言うのだったらまた別ですが、「いわゆる」という形で言うてきているというところが、この問題、この質問のそもそもの入り口からの反共性と、特高警察と同じ立場に立っておることを示しておるのだということをはっきり指摘をして、次に、矢野君の質問では、「前国会、私は余り関心を持っておりませんでした。」こういうふうに言うています。しかし——委員長、定足数が欠けております。審議ができません。審議をやっておらぬじゃないですか。定足数を欠いていて時間ばかり言ってくるというのは何ですか。そんなことは許されませんよ。
  170. 宇田國榮

    宇田委員長 継続の時間を言うただけです。
  171. 東中光雄

    東中委員 国会法の最低限度のことぐらいは守りなさいよ。議員懲罰にかけようという態度でおった公明党、そして民社党と自民党が定足数にも満たぬ状態で、一体審議ができるのですか。しかも居眠りしておって、それで審議できるのですか。もっとまじめに考えたらどうですか。国会の権威にかかわります。
  172. 宇田國榮

    宇田委員長 続行。東中君。
  173. 東中光雄

    東中委員 関心がなかったと言っておりますけれども、この関心のないというのは、公明党の代表質問でありますから、矢野君個人個人的なことを言っているのではなくて、公明党としての立場を言っておられるものだととるのは当然であります。その点については個人的なことを言っておるのですか、いかがですか。  委員長提案者提案者席に着いていただくようにお願いをします。
  174. 宇田國榮

    宇田委員長 小沢貞孝君、席に着いて。
  175. 渡部一郎

    渡部(一)議員 私の提示しておりますのは、矢野絢也君の質疑でありますが、「戦前のこの事件がリンチであったのか、あるいは殺人であったのか、こういったことには、過去のことは過去をして葬らしめるべきであるという意味で、前国会、私は余り関心を持っておりませんでした。」と表現されております矢野君の部分につきましては、矢野君の明らかな意思として、こうした問題についてむしろ御当人が余り関心を持っておられなかったという意味に率直に解してよろしいのではないかと私は思います。と言いますのは、その後に、「戦前の治安維持法など、暗黒政治における共産党への弾圧という意味で、これはむしろ不幸な出来事であった」と、明瞭に述べられているからであります。私ども公明党といたしましては、戦前の治安維持法、またそれに伴う大きな被害に関して、このようなことは二度とあってはならないと考えておりますし、わが党が、少なくとも日本国憲法を厳しく擁護することを党綱領にうたい上げている唯一の政党といたしましても、これらの諸点についての合意は全員にでき上がっているものと確信をいたしておるわけでございます。
  176. 東中光雄

    東中委員 党としてそういう関心を持っていなかったというふうに答弁されたと思うのでありますが、しかし、実際には、この問題については民社党の大内啓伍教宣局長が八月二十七日、東京大田区の区民センターで、「春日リンチ質問に当たって、私どもは竹入委員長、矢野書記長と会った。この問題はだれか取り上げなかったら、取り上げる人はだれもいないと話したら、公明党は、民社党が取り上げてくれたら後続部隊として続いていくと約束した。しかし、公明党が取り上げたのは実際わずか一分間の質問で終わらせた。後でもう一度竹入委員長、矢野書記長と会って話したところ、本店から言われた」、こういうふうに大内教宣局長が、これは院内ではありませんが、公の場で言っておる。明白に、前の段階で関心を持っていなかったというようなものではない。関心を持ってそういうことをやっておったということであると思うのでありますが、こういう大内啓伍教宣局長の国民に対する演説、提案者自身はその演説自体を知っておられるかどうか、あるいは演説で言っている事実を知っておられかどうか。これは民社党の提案者であります小沢さんにもお伺いをしたいと思います。
  177. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)議員 いま東中委員の御質問の、大内教宣局長が八月二十七日に矢野、竹入さんらと会って云々という御発言でありますが、提案者の私はそれをつまびらかにしておりません。それとまた、いまのそういうお話は、紺野議員の不穏当な発言でいまここで議題となっていることと直接は関係ない、こういうふうに考えるわけであります。
  178. 東中光雄

    東中委員 矢野質問で、私は関心がなかった、こう言っているわけであります。そして提案説明の中では、事実に基づいて冷静に公党の代表が質問をしているのだ、こういうふうに渡部議員は言われたわけです。ところが、一方、同じ提案者である民社党の所属の教宣局長が国民に向かって、実はそういう話し合いをやっておったのだ、公明党は後続部隊としてやると言うておったのだ、それも春日質問の前である、こういうことを言っておるわけでありますから、それについて知りませんでしただけでは、提案者としては済まないのじゃないでしょうか。事実に基づいているというのに、事実に基づかない発言を矢野さんはやっておるのではないか、このことを聞いているわけです。
  179. 渡部一郎

    渡部(一)議員 私どもがこの問題に対する関心が少なかったという点は確かでございました。私のように当委員会等で東中さんから御丁寧に御質問を浴びせられれば、それは関心もふえてくるわけであります。  それで、矢野さんが御質問になったことは、紛糾をいたしておりまする問題につきまして、前国会以来の問題につきまして事実を確かめたというまことに冷静な御質問であります。大内さんが言っかどうかなどということは確かめるすべもありませんけれども、取り上げたのはまさに一分かそこらでありまして、その点は確かでございましょうが、このように静かに聞いておる者に対して、あなた方が非常に多くの罵倒を寄せられたというのは、私は不当だと思います。  たとえば紺野先生は、「私は本会議で、私の発言が、宮本委員長の復権に関する矢野君の発言が、戦後の民主化措置を正しく理解しないでなされたことに対する抗議であったことを述べました。公明党は、創価学会の初代会長牧口常三郎氏の獄死や二代目戸田会長の入獄などについて何の教訓も感じていないのでしょうか。また私が当時の特高警察による迫害の体験を述べると、公明党の諸君が笑ってそれが何の関係があるかと言っているのを見ると、」こういうお言葉は、少なくとも事実を聞いている党に対して誹謗、中傷もはなはだしいものだと私たちは考えるわけであります。私らはこういうことを言われれば関心を持たざるを得ないのであります。関心を持たすようにしたのはだれなのか、それは少なくとも紺野先生であり、東中先生である。私は逆に申し上げたい。そして皆さんがこれに対して過剰な反応を示される。治安維持法下において特高が言ったという言葉を書記長がそのまま引用したのではない。矢野議員は、少なくとも「いわゆる」と述べて、この問題に対するアプローチがそうした世間のあり方と違う、慎重な御当人の意思表示というものをその単語でお話しになった。それに対して入口から反共姿勢を示しているなどときめつけて討論を続行されるということは、東中先生に恐縮でありますが、東中先生自体矢野議員に対して、議員としての穏当な、品位のある態度で接せられているものとは言いがたい点を私は感ずるのであります。     〔委員長退席木野委員長代理着席〕 したがって、こうした一連の問題に対してかくも冷静に、穏当にお話しをしておりますることを十分御理解をいただいた上で、そうしてこの問題の中心、焦点であります紺野議員の問題に対して御審議を移していただくようにお願いします。そうでなければ、こういう理屈があったんだから犬というのはいいという議論にしかならないのでありまして、それはすなわち論理のすりかえであり、それは問題の焦点をぼかそうとする意図しかないということを、私は再三再四御注意を喚起したわけでありまして、先生の御良識に期待するものでございます。
  180. 東中光雄

    東中委員 「反共の犬がほえているみたいなことは言うな」——イヌイヌイヌ」というふうに言うこと、その言葉自体不穏当発言だとあなた方は考えないからこそ、本会議場でもこの委員会でもみずから使ったんではないですか。いままではそういうものは一切使ってなかったわけであります。それで、そういうことは言ってないけれども、紺野氏が抗議発言をした原因は何かということについていま言っておるわけであります。いまあなたは紺野氏が前回この委員会弁明をしたその内容の一部を読み上げて、私はその内容は当然のことだと思いますけれども、その内容を取り上げてそういうことを言うから、これに関心を持つようになったのだ。関心を持ったというのは、春日質問の前の民社党との打ち合わせのときであり、少なくとも二月十五日徳島で二宮文造副委員長がこの演説をやっていますね。それ以来リンチ殺人事件という形で演説をいっぱいやっています。公明党は関心を持ってなかったと言うが、関心を持っておるからこそ発言をしてきたんではないか。その内容についてわれわれは言っているんじゃないのです。(渡部(一)議員「院外の発言をどうして引用なさるのですか」と呼ぶ)「犬は吠えても、歴史は進む」、これは院外の文書であった。それを引用したのは公明党の矢野書記長じゃないですか。本会議場で引用しているじゃないか。そして、そこで発言したことについて関心がなかったと言うけれども、関心がないのに副委員長が外で演説をするのか、続いて次々に演説をやるのかということを言っておるのであります。私たちは外の言論の内容についていまとやかく言っているんじゃないのです。あなた方は関心を持っておった。それなのに関心を持ってなかったと本会議でしゃあしゃあと言うている。その点を指摘をしておるわけであります。問題を冷静に、正確に、そして評価を的確にしてやるべきだ、私たちはそう思うのであります。  国会外の言論というのは、まさに名誉棄損にならない限り自由であります。裁判の問題について不当な弾圧を受けた。その弾圧を受けた側が、四十三年前に弾圧を受けたときから一貫して主張しているその発言に対して、最近になって、たとえば文藝春秋などでこの暗黒裁判を蒸し返すような、そしてそれを擁護するような言論が出されるようになってきた。それに対して、その当事者がその暗黒裁判に対する批判を言う。これはもう当然国民の言論の自由の範囲内であるだけではなくて、むしろ被害者側の権利でさえある。そういう論議が国会外でなされておるからといって、矢野質問ではそのことを共産党の異常な態度だ、異常なまでの反応ぶり、こういう形で院外での問題を被害者側の当然の権利、言論の自由を異常な反応ぶりだと言って、三権分立に反するような形で国会へ出してきたのは矢野書記長のこの矢野質問じゃないですか。それに対して抗議をしているんだ。あたりまえのことじゃないですか。あなたはどう思いますか。
  181. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生公明党に対して、また民社党に対して異常な御関心があり過ぎるようでございますね。私どもが関心を持とうが持つまいが、こちらの勝手でございましょう。先生は、この問題に対して私らが関心が深いというのを好んでおられるのか、関心がないというのを好んでおられるのか知りませんけれども、それを丁寧に何回も何回もお聞きになって何が言いたいのでございましょうか。全く私は懲罰事犯の討議の範疇を越えた方向外れの議論と思うのであります。  また私はしみじみ申し上げておきたいのでありますが、「イヌ」という御発言につきましては、文藝春秋においてこれを書かれました方に対しても浴びせられた言葉でありますし、また民社党の春日氏に対しても浴びせられた言葉でありますし、公明党の矢野書記長に対しても浴びせられた単語であります。こういうふうに何か気に入らないことを言うと「イヌイヌイヌ」と言うならば、この国会は共産党以外全部「イヌ」の議員をもって占められることでありましょう。そんな暴言を今後も放置することがいいのかどうか、私どもは品位ある発言に切りかえなければならないのであります。懲罰事犯の問題として提起されたのはまさにこれであります。そしてこれらについて三権分立というようなことをおっしゃいましたが、先生の御理解が本質的な点におきまして非常に異なっておることを私は遺憾に存ずるものでございます。少なくとも本案件の審議の本道に戻られまして、再度お話を進められるように希望いたすものであります。
  182. 東中光雄

    東中委員 本会議場公明党を代表して公式に述べた発言のことについて、それに対する抗議発言があるのは当然であるという論拠を、私はいまあなたにただしておるわけであります。関心はなかったと言うて、重大な関心を持って全国で演説をして回っている。そういうふうなうそをなぜ本会議場で公式な発言としてやるのか、そのことに対して抗議発言をされたのだということが第一点。  もう一つは、共産党のこんな当然の院外の発言について、異常な反応ぶりとは何か。被害者が暗黒裁判を蒸し返されて、そして不当な人権侵害をされている、しかも暗黒政治を復活するような形でそれが出されておるときに、それに対して反論をする。しかもそのときになって言うんじゃないのです。四十二年前、そのときから一貫して言うてきておることを言っている。それを異常な反応ぶりというようなとらえ方をして、とらえ方をするのは自由であります。本会議で言うのもそれは自由でしょう。しかし、それは共産党に向かっての反共演説なんであるということを私たちは言っておるわけです。そういう反共演説を、四十八年前から治安維持法の弾圧に屈せずに闘ってきた紺野議員が、そういうことをやめろというのは当然じゃないか、このことを言っておるわけであります。それに対してあなたは全く違う、全然違う、それこそあさっての答弁をしておるわけです。まともに審議をしたらどうですか。
  183. 渡部一郎

    渡部(一)議員 先生、私は冷静にお答えをしておりますよ。興奮なさっているのは先生の方です。先生も応対は静かにしていただきたい。先生の声は大き過ぎますね。  それで、この本会議場で述べた発言に対して抗議発言を行うことは自由でございましょう。それを不規則発言という形でわめき立て、しかもその内容が「イヌ」などという内容を含んでいることには私たちは耐えがたい。だから申し上げているのじゃありませんか。それで、それをあなたは少しずつ少しずつすりかえられた。暗黒裁判を蒸し返そうとしている。私たちは暗黒裁判を蒸し返そうとしているのではなく、事実に基づき、事実を確かめようとしたにすぎないではありませんか。しかも私どもは十分の注意を払って聞いているわずかな質問に対し、もうそれこそ多数のビラあるいは多数の発言をもってきめつけ、応酬をされるということはどういうことなのかと、私は異常な思いをいたすのは当然であります。あなた方が、異常な反応ぶりというのがおかしければ、私は例として一つだけ申し上げたい。先生方は、少なくとも自分に対する攻撃は反共という言葉をもって罵倒される。ほかの党にはそういう言葉はありませんですよ。反共反共反共というのは、それは自分の党がもう絶対であって、他党はみんな悪だときめつける精神から出てくる。議会民主主義というのはそんなものではない。悪い点はあるいはよい点はと議論し合う中に、相互の尊敬の中に発展していくのが議会民主主義であるということを、あなた方は学んでいかれなければならない。少なくとも最近議会民主主義を尊重されるような雰囲気を出そうとされているならば、特にその点は御留意をされて、先ほどから反共反共反共と何回もおっしゃったけれども、私はそれを聞きながら、まだ余りわかっておられないなという気持ちを持たざるを得ない。どうか議論の本題は議会民主主義を中心といたしまして、そして議会民主主義を穏健な形でりっぱに成長させるために、議会のルールとして存在いたしますこの国会法あるいはその他の取り決めを一応守られるために、それをあえて正面から犯された紺野氏の責任に対し深い反省を表明されて、少なくとも何らかの意思を表明されることをお願いする次第でございます。
  184. 木野晴夫

    木野委員長代理 東中君に申し上げますが、申し合わせの時間がすでに過ぎておりますから、質問をまとめていただきます。
  185. 東中光雄

    東中委員 答弁が全く質問に対する答えになっておりませんので、これは論理的に考えればだれもが理解できることだと思います。答弁者、趣旨弁明者側の答弁が私の質問に対して答えていない、そういう状態で時間がおくれておるわけでありまして、質問者の責任では全くありません。したがって私は発言を求めます。
  186. 木野晴夫

    木野委員長代理 東中君に申し上げます。約束の時間がございますから、その時間内にまとめるようにしてください。
  187. 東中光雄

    東中委員 私は時間は約束はしておりません。あの理事会で、私自身はそういう約束はできませんよということははっきり言うてまいりました。
  188. 木野晴夫

    木野委員長代理 東中君に申し上げます。約束の時間が過ぎておりますので、質問をまとめてください。
  189. 東中光雄

    東中委員 趣旨説明者にお伺いをいたしますが、矢野質問は、紺野議員弁明で述べておりますように、公明党を代表して「リンチ的な行為が果たしてあったのでしょうか、なかったのでしょうか」あるいは「異常体質によるショック死なのでしょうか」あるいは「外傷性ショックによる死なのでしょうか」こういうふうに質問をしております。外傷性ショックによる死、これは判決に書いてある言葉であります。判決の認定した事実であります。そして被告側からは、異常体質によるショック死だということを、最近言っておるのではありません。その裁判のときから主張をしておるわけであります。まさに裁判の争点になっておる事実であります。その事実を、どっちが正しいのかということを法務大臣に、国会という国家機関で、裁判所から離れて質問をするということは、これは明白に法務大臣自身答弁しておりますように、あるいは安原刑事局長も答弁しておりますように、あるいは最高裁の寺田事務総長もはっきりと答弁をしておりますように、そして内閣法制局の前長官もはっきり、現長官もはっきり言っておる。まさに裁判の認定事実についてそれがあったのかそうでなかったのか。判決の認定事実についての当否を開いていることは明白です。どのように論弁を弄そうと、裁判の認定事実について、それに関与してなかった行政府の法務大臣にそれを聞いている。これが判決の当否に対する論議でなくて一体どういうのが判決の当否に対する論議と言えるのか。冷静に事実を述べておるこの質問、それの評価をすれば、行政府そして立法府である国会で、戦前の判決の事実の当否について論議をしていることは、これはもう春日一幸議員質問矢野議員の、質問も明白です。それについてあなたはどう考えていますか。
  190. 渡部一郎

    渡部(一)議員 私はただいまの先生の問題提起は、この懲罰事犯の問題とは関係ないという考えでございます。また裁判の当否について論じたとあなたは一生懸命きめつけておられますが、遺憾ながら、先生の御意見と私の意見とは全く種類を異にするものであります。
  191. 東中光雄

    東中委員 まさに意見が違うことはそのとおりです。しかし、論証は何もしてない。私はいまきわめて限られた時間であるけれども、認定された事実について、それと違う被告側の主張、どっちが正しいのか、それを判断し得る立場に法務大臣はないことは明白です。それについて、あなたは何か反論をしましたか。結論が違うと言っているだけじゃないですか。  さらに、矢野質問は、勅令七百三十号のただし書きにより、刑事犯などの併合罪があるものについては適用除外が明確にされておる、宮本氏が復権の対象にされたのはこういう規定があるのにおかしい、こういう論をしておられます。これは宮本共産党現委員長が併合罪で処断をされたかのような認識に立ってなければ、こういう論にはならないわけです。しかし、あの判決自体は、一所為数法、観念的競合、一個の行為にして数個の罪名に触れるものということで、治安維持法によって処断されておる。これは判決自体で明白です。あなた方は、その判決のここさえも読まないで、全く違ったような状態での問題に変えて、別個の犯罪行為をやったかのような印象を与える質問を公式に本会議場でやっておるわけであります。  しかも復権について言えば、当時の法務当局がはっきりと政治犯として釈放する、釈放政治犯のリストの中に宮本顕治氏の名前があるということを、安原刑事局長自身がこの委員会答弁をしております。(発言する者あり)
  192. 木野晴夫

    木野委員長代理 傍聴議員発言は御遠慮願います。
  193. 東中光雄

    東中委員 民主化の措置が、戦後ポツダム宣言の受諾によって軍国主義を払拭する、治安維持法を廃止する、政治犯を釈放する、そういう措置としてとられたものを、現にそのときにそうなったということ、当時の法務当局はリストの中に入れることによって、GHQは七百三十号に該当するもの、恩赦ではないんだということを再確認するようなそういう措置がとられたものについて、あたかもそうでないかのような、そういう立場での質問をしている。なるほど稻葉法務大臣は「奇妙きてれつな」などということを言いました。自民党の議員として法務大臣になった法務大臣が、行政府の長としての発言の枠を越して、当時法務当局はどういう態度をとったのかということを言うべき立場にありながら、そのことをよく自分がわからぬものだから、「奇妙きてれつな」などという不当な、政治犯釈放についてのこの人権に関する問題を茶化して答弁をしておる。その答弁に、今度は公明党も、矢野書記長は一体になって本会議質問をしている。自民党の反共的な立場公明党のこの質問は全く同一の立場に立ってやられておる。一党の委員長に対し、そして暗黒裁判からの復活、民主主義と自由を獲得するためにやったあの民主化措置を、そうでないかのような、そういう質問公明党矢野代表質問は行っているのであります。それに対して抗議をするのは当然のことです。  それだけじゃありません。「犬は吠えても、歴史は進む」、院外の雑誌のタイトル、このタイトルを読んで批判者を犬扱いする、そんなとり方をする人は、まともに見ておる人ならばだれだってそういうとり方はしないと思うのです。犬という言葉を犬扱いという形で本会議場で出したのは矢野君自身じゃありませんか。それが出たから、そのたとえを引いて、「反共の犬がほえるようなことはやめろ」、こう紺野議員が言うた。当然のことじゃないですか。「イヌイヌイヌ」ということを言うのであれば、あなたは趣旨説明では「イヌイヌイヌ」なんて言っていない。本会議場ではそんなことは言っていない。しかし、ここでの自民党三塚君の質問のときに、あなたは初めて「イヌイヌイヌ」と言い出した。そしていま、きょうの質疑でも「イヌイヌイヌ」と言っている。「反共の犬がほえているようなことを言うな」というのは、何が「イヌイヌイヌ」ですか。「イヌイヌイヌ」と言ってもらいたいわけじゃないと思うのです。しかし、そういうふうに何遍もあなたは言われておる。全くそこでのすりかえがやられておる。だから、復権の問題にしましてもあるいは判決の事実を質問することにしましても、どちらも違憲質問であると同時に、非常に悪質な反共質問だ、紺野議員はそうとらえて、反共宣伝をやめろ、矢野議員がみずから言った、犬扱いしている、犬という言葉を二回も出した、それをたとえて言っただけだ。こういう問題について懲罰に付すなどというのは、これはまさに抗議言論に対して数で懲罰を科そうとしているということであります。この審議でも、審議に参加しないで採決だけ参加しようというふうな態度が、現に与党の中に出ておるじゃありませんか。何回も成立しないというふうな状態が起こっておる。これはまさにそういった言論を数の力で抑圧しようとする、そういう懲罰動議である。社会党の委員さんがそういうことはやってはいかぬのだということを言われておるのは、まさにそうだと思います。  あなた方は、公の党を代表した矢野質問内容抗議を受けるような内容であったことについて、事実に基づいて謙虚に反省すべきではないでしょうか。所見を承りたいと思います。
  194. 渡部一郎

    渡部(一)議員 いろいろおっしゃいましたが、先生のおっしゃったことは主題とは全く関係がありません。かえって明瞭になりましたことは、「イヌ」と言ったことを全く反省なく繰り返そうとする姿勢を示されたのみで、まことに遺憾に存じます。また、お答えすべき内容はほとんどありませんで、前から言われたことを繰り返されたにすぎませんので、もう本当お答えする内容になっていないということをちょっと申し上げておこうと思います。今後におきましては十分御反省いただきますようお願いをいたします。
  195. 東中光雄

    東中委員 発言を終わりますが、私は事実に基づき、発言されたことについて理を尽くして言ったつもりであります。しかし、それに対しては、あなたは院外のことを取り上げて国会で言う、あるいは寺前議員のことを出してくる。そういうことを自分のところはやるけれども、共産党が言うたら今度は逆なことを攻撃する。(発言する者あり)
  196. 木野晴夫

    木野委員長代理 御静粛に願います。
  197. 東中光雄

    東中委員 こういう形での言論の抑圧の態勢というものに対して、私たちは、この動議懲罰に名をかりた言論の抑圧だということを申し上げ、そして自民党から本会議場で、自民党のあの加藤六月議場内父渉係が、おい直ちゃん、懲罰出さぬか、賛成するから、ということを公然と私たちの目の前で言うた、そして行ってきた、こういう性質を持っています。革新政党なら、言論を守る、言論への力による抑圧はやめなさいということをやるべきだ、このことを強く要請をして、私の質問を終わります。
  198. 木野晴夫

    木野委員長代理 引き続き本人紺野君に対する質疑を続けます。沖本泰幸君。
  199. 沖本泰幸

    ○沖本委員 本日の午後、社会党の田邊議員から紺野議員に対する御質問がずっと続いたわけでございます。     〔木野委員長代理退席、奥田委員長代理着席〕ただいまは東中議員から動議提出に対する御質問が続いたわけですけれども、きょう質問の順序はばらばらになるかもわかりませんが、できるだけお答えをいただきたいと思います。  きょう紺野さんが御発言になっておったところなんですけれども、鬼頭判事補の問題に関連して、鬼頭判事補の最近の行動なり言動なりそういうものにバックがあるということであり、この鬼頭の内容動議そのものが深い関連があるんだ、こういうことをはっきりおっしゃったわけです。それはどの辺が関連するんでしょうか。何か議論が飛躍しておったり——まあ私たち、筋から言いますと、あの矢野質問に対して紺野さんの不規則発言があって、それが議論を醸して問題になって動議が出てきたわけで、この段階では鬼頭判事補のことは何もなかったわけです。単純にいきますと、そのときの紺野さんの発言が問題になって、そして動議になってきたわけですから、内容を単純、純粋にしていきますれば、おっしゃったかおっしゃってなかったかということが問題なんです。どういうことで飛躍して鬼頭判事補の問題にこの矢野発言なり何なりが関連していくか。関連するから私はこういうふうに言ったんだというふうになってくるわけですが、そういうところに私、なぜ関連するのか全然意味がとれないわけですけれども、その辺はいかがでございますか。
  200. 紺野与次郎

    紺野議員 それは、私が矢野質問に対して抗議をした動機について、田邊議員の方から質問がありましたね。いまでもその当時の動機に基づいて、正しいと思ってやっぱりやっておられるのかどうか、反省しているような、そういうあれがありますかというようなことの質問がありましたので、私が言った。あのときに矢野質問が、四十三年前の宮本委員長の問題について裁判事件があったというものをいまに持ってきまして、いま盛んに大宣伝が行われているわけですよ。すでに文藝春秋の立花氏の論文というところから民社党の春日委員長質問、それからあなた方の国会外における演説会で大宣伝をやる、小集会でも宮本委員長はスパイ殺人者だというふうなことを思い込ませている、そういうふうなことで反共大宣伝が行われている。大久保議員のごときは、もうこの国会で今度いよいよ宮本委員長のスパイリンチ事件というのを出していくよ、皆さんよろしく応援してくれというようなことまで言いまして、そうして反共大合唱というものが大きな流れとなっていま日本の中で行われている。こういうことに対していよいよ公明党の矢野書記長までが、今度は国会の本番の場で堂々とこの問題に触れてくる。困った現象だなあと私は思いましたよ。  そうして、いまロッキード疑獄事件の解明を通じて、そうして自由民主党の政治そのものの体質をこの際徹底的に究明して日本の政治を変えよう、変えなければいけないというふうに言われているとき、こういう問題がどんどこ、どんどこ広がってくる。困ったことだということでいたときに、あなた方の書記長がこの問題に、合唱に参加してくる。これをわれわれが危険な徴候と判断して、待て、それはやっちゃいけない、そういう反共宣伝をやるな、われわれは四十八年間の体験を通じても、この時代は本当にひどい時代なんだ、だからあの時代にもう一遍引き戻すような、そういうものを使った反共宣伝はおよそやるべきじゃないんだという立場から、私は反共宣伝をしてはならぬ。そしてちょうどそのときに、矢野氏が「犬がほえても歴史は進む」というふうに言っている。このことを持ち出してきたから、私はそれを使って、そう言っているそのことわざがおわかりにならぬのか。つまり、反共の合唱宣伝ですね。あれはそういう中傷宣伝をやることの戒めのことわざなんです。だから、そのことをあなたはやっている、大変困ったものだから、だからそういうあれはやるなということを、反共の犬がほえるみたいなことをやるなということで、われわれはそれに批判を加えたわけです。  問題は、そのことを間違っていたかどうかと聞かれたから、いや、その後事態の変化が起こりまして、そして鬼頭裁判官という人物が躍り出まして、そうして一方の手では、日本の総理大臣に対してにせ電話をやって政変をたくらんだのですね、彼のあれによれば。そういうことを一方でやる。そうしてロッキード事件の完全なふたをしてしまうような、それこそ日本におけるいまの状況から言うならば最も危険な策動がたくらまれている。その同じ人のもう一つの手でもってやってきたことは、網走刑務所から、一年半前に彼が行って、そうして見てはならない、見せてはならない身分帳というものを——しかも手練手管だな、あれは。合法的ではないです。そうして、そこで写真を撮ったり、盗み撮りをして、そしてそのことを今度のこの反共大合唱の劇の重要な材料提供をしているのです。重要な材料を出している。たとえば、あの三十一年前に、十月四日のメモランダムによって政治犯が釈放されるというときのあの診断書、こういったもの、これは網走刑務所からそのときの鬼頭裁判官が持ち出さなければ出るはずのないようなものが、つまり春日委員長の手にあるとか、それから反共宣伝のいろいろの雑誌、出版物、そういうものにも同じものがやはり流れている。こういう形で利用されて、そうして実際に鬼頭裁判官自身が、この材料がありますから、これを使ってひとつ共産党をやっつけてくださいということを言ってあっちこっちに回って歩く。そのことがだんだん大きな反共大合唱になったわけで、その現在の危険な反共大合唱をいわば仕組んだ人、少なくともそれに大きな重大な決定的な材料を持ってあちらこちらにこれを持ち出してはこれを広げるようにしてきた、こういう事件が明らかになってきたわけです。  だから、なおさらそういう謀略的なものであるとすれば、これは公明党の書記長ともあろう者がそういった物事の本質、時代の流れの中に大きな運動として出てきている反共個人攻撃というものについて正しく判断して、そうして、これは危険だ、こんなことはかりそめにもやるべきではないというふうに判断してくれれば結構なんだ。それこそあなた方が本当はそうしたいことじゃないのかと思うのだけれども、逆にこの鬼頭裁判官が手のひらの上でもてあそんでいるところのこのような反共大合唱というものにいわば参加する、それこそ自分の意思で参加する。まことに残念。そういう点で、われわれが大きくそのことを、——われわれはお互いに政治家ですから、ああ言った、こう言ったで反論するんじゃなく、その背後に大きな全展望、歴史の進行の中で行われている諸事件をやはり理解しながらやっているわけなんだから、それを全然中傷して、そうしてああでこうで、こういうことを言われた。だから、こうだああだでこうだということでは私はだめだと思うのですね。そういうことで、いまの政治情勢に対してもっと洞察力を持って判断すれば、そういう点での危険というものは明らかだ。だからこそ、鬼頭裁判官問題というのは日本の政界の大きな、それこそ名前がよくあらわしたと思うけれども、珍しい名前で登場したわけですが、そういう不思議な、日本の謀略的な勢力があるということがわかった。それと関連する、この反共攻撃が。それをよく考えていただきたいんだな、私は。それはわれわれそうだと思いますよ。そうでなかったら国会議員のパッジ持って——私はやっぱり持っている関係上、遠くを見、また深くも見、そうして物事が危険になる前に予見し、そうして忠告をし、お互いに歯どめをかけられるものは歯どめをかけて、そうしてやらなければいけないんじゃないかと私は思うのですね。どうでしょうか。(発言する者あり)
  201. 沖本泰幸

    ○沖本委員 黙っていなさいよ。まだおれは発言してないんだよ。
  202. 奥田敬和

    ○奥田委員長代理 傍聴議員発言は御遠慮ください。  質疑を続行します。
  203. 沖本泰幸

    ○沖本委員 反共大合唱というような話がまた出てきて、だんだんといろいろとすりかえのうまい人たちが考えて、だんだんいろいろすりかえられていくわけですけれども……(東中委員委員長、議事進行について。定数に欠けています」と呼ぶ)
  204. 奥田敬和

    ○奥田委員長代理 質疑を続行してください。(東中委員国会法四十九条に明白に違反をしています」と呼ぶ)
  205. 沖本泰幸

    ○沖本委員 紺野さんに伺いますけれども……(紺野議員「ちょっと、東中議員が言われましたように……」と呼ぶ)
  206. 奥田敬和

    ○奥田委員長代理 ちょっと、いま発言中ですから、質疑発言中ですから、これが終わってからまた……。
  207. 沖本泰幸

    ○沖本委員 鬼頭さんの話は、鬼頭さんと、こうつけるのもおかしいわけだけれども、別に私たち、鬼頭さん、鬼頭判事補がいい人間であって、大変りっぱなことをしているとか、そんなことを言っているわけじゃないのですよ。われわれは法務委員会でもほかの委員会でも同じように——裁判官としては考えられないような人物であって、その行動についても大変な問題があるわけであり、おっしゃるとおり、三木総理に電話をかけて日本じゅうひっくり返すようなことを言っているわけですから、この問題は同じように国会の中で取り上げて問題を究明しなければならないという態度をとっているわけです。そういうことなんですね。同じ方向で一緒になってやっているわけです。別のことをやっているということじゃないのですよ。だけれども、公明党の矢野書記長が発言していることとそれと精神的とか、深い底の方に問題がつながっているような、同じ方向で物を言っているんだとかなんとかかんとかいうところに、なぜそんなになるんだということになるわけですがね。  あなたのお話は、最初あなたが御答弁になったときは、鬼頭判事補とストレートに関連してと、こういう表現で、記録をお読みになるとおわかりになるわけです。後からできる記録をお読みになったらおわかりになるのですけれどもね。なぜ、じゃそういう発言と鬼頭判事補の言動とがストレートに関連するのか、われわれは全然理解できないわけです。だから、後になっていま御質問すれば、いろいろずっとうなずけるところもあるし、変だなと思うところもあるし、全くごっちゃにされて、だんごにされて、まぜ飯みたいにされて拾いようがないようなところまで持っていかれて、だんだん反共大合唱にきめつけられるような方向に持っていかれるんで、聞いているうちに化かされてしまうような感じを受けるわけですね。その辺、あなたのお答えになったところにうなずけないところがあったわけです。だから、同じような調子で一方的に物事を決められて言われたんではわれわれはそうなっていく、そういうことですから、当時の議場質問が始まって間もなく、それは紺野さんの心の中では、そういう質問が出れば戦前からの深い傷跡を持ち、いろいろな経験をお持ちになって、そういう経験の上から昔のことが回想されることもあるでしょうし、いろいろなことがある。それは私も理解できます。できるけれども、われわれがまるでそういうものをテレパシーで受け取っているわけでもないし何でもないし、だから、そういうところにわれわれが理解できる内容も何もなかった。ただ、その現場の状況としてわれわれは、自分の党の書記長の発言が始まり出した、発言がだんだんと進んでいき出した、そこでいきなりぽんとこう出てきたわけでしょう。出てくれば、これはどうしたって侮辱されたということになりますよ。それはあなたがそういうふうに過去の回想なり、いろいろなことの歴史の展開なり、いろいろなものをずっとお述べになりながらそれを言われたんなら、われわれだってばかじゃないわけですから理解できないということはないのだけれども、日ごろ温厚な人格者である紺野さんがいきなりびっくりするような話で、短い言葉でぽんとこう出てくるから、こちらにしたら、どういうわけだということですね。そういうことでけしからぬということになった。それがそのままいま問題になってここで議論しているわけです。  そこで、私は長い質問をしようとは思わないわけです。きわめて素朴なことを申し上げているわけですね。そこで社会党さんも、どうだ、公明党の方も何かこのことについて考えないかという御発言もあったわけです。あったわけだから私たちの方も、その点についてはよく考えますということでもあるし、渡部さんも動議提出者として御意見に対して敬意を表するし、十分考慮さしていただきますというお答えをしてきたわけなんですけれども、ところがあなたの方からはそれに対することは全然ないわけです。あなたの後の、本日の渡部さんに対する御発言の中にもお答えとして出てきたのは、おれの方が言っていることは絶対間違いないんだということなんですね。それでは話もかみ合いませんし、われわれが言っていることにも全然耳もかさないしということになるわけですから、そこにわれわれは問題がある。だから、そういう結論に出てくるお話最初お話も終始一貫して同じであるのだということであれば、われわれはやはり自分たちの出した、渡部さんが出した動議を引っ込めるわけにはいかないような事態になっていってしまうということです。いままでいろいろな経過で、東中さんも大熱弁をここでふるわれて、まあ赤旗に大分お書きになるとは思いますけれどもね。(発言する者あり)よけいなことを言われるからよけいなことも言うことになるわけですからね。だけれども、結論としてはそこへ行くわけなんです。  そういう点について、紺野さんは何かお考えになりませんか。温厚な、りっぱな人格者のあなたです。戦前の紺野さんのそういうことは私たち読んでもいますし、承知もしておるわけです。全然知らないでわれわれが鬼頭と同じ精神に立って、同じ方向で同じことを考えているわけじゃないわけです。そういうことなんです。だけど、うなずけないから、どうしても納得できないからやっているわけなんです。好きこのんでやっているわけじゃないのです。多数を頼んでワイワイ言っているわけでもないのです、少数政党なんですから。そういうことなんですね。(「定数がない」と発言する者あり)
  208. 紺野与次郎

    紺野議員 定数がないか。じゃあ、重要なあれだから、ひとつ定数を整えてもらってやりましょう。
  209. 沖本泰幸

    ○沖本委員 あなたは答弁でお越しになっているわけなんです。それで、定数云々というのは院を形成する委員が言うんであり、理事がいろいろと発言するということになっております。紺野さん、きょうはあなたは大臣みたいなものですよ。
  210. 奥田敬和

    ○奥田委員長代理 ちょっと速記をストップしてください。     〔速記中止〕
  211. 奥田敬和

    ○奥田委員長代理 速記を始めて。  紺野与次郎君。
  212. 紺野与次郎

    紺野議員 まず第一番に、われわれの不規則発言の背後にあった大きな意味合いが直ちに理解できなかったようでありますが、その後の趣旨説明に対するわれわれの一身上の弁明、それから本委員会における討議その他によって、この問題の全貌と深い意味というものがお互いに議員の中でだんだんわかってくるという状態が進行しているのではないかと思うのですね、いまの沖本委員のあれから見ても。しかし、そうではありますが、われわれの認識がだんだん深く広く、多くの点でわからなかったところがわかるというふうなことが進行していることは事実だと私は思いますが、なお、この点についてまだ深く究明されなければならない点が残っているというふうに考えます。それでわれわれとしてはもっと努力をしたい。努力をしたいということは、本当に私が心配もし、われわれがお互い議員として理解しなければならない、究明しなければならない点についてまだまだ残っていると思いますので、たとえばこの鬼頭裁判官を中心とした問題が、私が午後の最初に言ったときといま私が十分に話した場合とでだんだん理解が違ってきて、何となくこれは関連があるというふうなこともわかってきていると思います。しかし、まだそこが十分に納得のいっていないという点もありますので、われわれはこの点についてさらに詳しく申し上げたいし、私自身は何かこのことを不明確にしながらただ手を打つとか、そういうふうなことは全然する気もありません。やはりわれわれの考えている、真剣に憂えていることを皆さんに知っていただくということで引き続き努力をしたいと思っておりますので、一応きょうはこれで、ゆっくり時間をかけて次にやるようにしていただきたいと思います。
  213. 沖本泰幸

    ○沖本委員 紺野さん、何か私のかわりにお答えになっていただいているみたいなんですね。これからゆっくり考えて問題をちゃんとつづめて、まだ不十分なところもあるし、まだゆっくり答えたいから次の機会にしてくれ、これは質問者の側から申し上げることで、私の質問はまだ終わっているわけじゃないのですよ。紺野さんの方が私にかわってお答えになってくださって非常にあれですけれども、私がお伺いしているのは、社会党さんもここで、どうだ、共産党も公明党もここらで両方が矛をおさめたらどうだというふうな表現で物をおっしゃったわけです。社会党が中へ入るからということなんです。最初は議運の理事会でお入りになったけれども、結論がつかなかった。うちの方は結構ですと言っておったわけですけれども、それがならないのでこういう結果に至ったわけです。さらにそれが当委員会でも社会党から、いろいろと犬馬の労をとろうという御発言もあるわけです。だから、そのことについては渡部一郎さんは答弁の中で十分敬意を表します、十分考慮させていただきますということを述べているので、私は紺野さんはどうなんですかということを折り返しお伺いしているわけなんです。そのことに関していろいろ議論があったわけですけれども、詰めていけばそこらに結論が行くんじゃないか、こう考えて私は述べておるところです。  これから議論をやれば際限のないことが続いていくわけですし、一々テープをおとりになってわが党の議員発言を、どこでどう言うた、こう言うたということをずっと紺野さんお述べになったわけです。それが積もり積もってここへ来ているんだ、こういう御答弁もあったわけですけれども、私はそうは思わないのです。積もり積もってじゃないのです。いろいろとそういうことで共産党さんはビラでどんどんおやりになるけれども、おまえのところどうなんだという御質問がいろいろありますけれども、紙くずばかり、もったいないことだなというお答えで済ましているわけなんです。これまたよその党のことですから、私が云云することでもないことなんですけれども。大体そういうことを院内に持ち込んで議論することは当を得ていないという御発言がいろいろあるわけですし、私もそういうことだと思います。ですから、私はそういうことで議論はしたくない、的をしぼって、そしてやっていただきたい。  そういうことですから、われわれが動議を出すに至った根本の問題は何かというと、矢野発言の最中にいきなり紺野さんからばんと出てきたということです。犬という言葉が出るのは、矢野の方が先に言ったからつられて犬という言葉になって返ってきたんだという御説明なんですけれども、起こった当時私たちはそういうことが心の中にあったとか、いまになってずっと御説明になるわけですけれども、われわれにわかるわけないわけです。われわれの耳に飛び込んできたのは、全く一党の書記長を侮べつして犬扱いにした言葉として飛び込んできたから、けしからぬということで立ったわけです。  議場の中で不規則発言は絶えずあります。与野党がやっている場合もありますし、野党同士がののしり合っている場合もあるわけです。大抵はお互いに聞き流されていっていることなんですけれども、そういう中にあって一斉に席を立って温厚な紺野さんのところに詰め寄っていくということは、よほどのことでなかったらそういうことはあり得ないということになるわけです。聞き捨てにならなかったから飛び込んでいったわけです。その聞き捨てならないということは、われわれにはそういうふうに受け取られたわけです。ですから、そういうふうに受け取るようなふうにおっしゃった紺野さんにも責任はあるでしょうということになるわけです。それが結局は、全然おれの方は正当なんだ、言うだけの理由はあるのだと理由をいろいろお述べになりましたけれども、議場でそういう理由をお述べになってわれわれにお聞かせになったわけでもなんでもないわけです。いきなり荒い言葉紺野さんとも思えぬ言葉が飛び込んできたから、それで騒然となって抗議をした。抗議をして、紺野さんだからまあまあということでそこらでけりがつくのかと思ったら、そうじゃなかったわけです。けりがつくと思っていたのですが、おれの方には正当性があってむしろ正木の方がけしからぬのだというのも、議場内交渉係東中さんが駆け上がって抗議をしたということをきょうお述べになってはおられましたけれども、何かビールの気が抜けたような時期になってこの問題が起こったので、ビデオを見てこれこれ、これはいいものがあったということで始まったのだ、私たちはそういうふうに理解はしておるわけであります。ビデオの問題を出すということは、ビデオの問題は問題が違うわけで、私たちが問題にしているのは、そのときに矢野発言の最中にいきなり出た言葉自体がこれは許せぬということが動議の発端ですから、そういうふうにわれわれが受け取るような方向でおっしゃったことも事実なんですから、紺野さんはおれは言ったということをお認めになっているし、それから後になって、これから私が言うところの理由はかくかくしかじかだというお答えで返ってきているわけですけれども、それは後になっておっしゃったことであって、われわれは当時そういうことはわかるわけでもなんでもないということになるわけですから、私たちは最初のところへ問題を戻していただいて、おっしゃったことについてどうなんですかということなんです。あくまでそこなんです。社会党の方も犬馬の労をとろうとおっしゃるところも、そこのところへ来てどうなんだということをおっしゃっているわけですから、われわれの方は、社会党さんのおっしゃることは敬意を表するだけのことがあります、十分検討いたしますということを言っているわけですから、紺野さんの方はいかがですかということを問い返しているわけなんです。
  214. 紺野与次郎

    紺野議員 だから、結局よく私が話をして御理解なすったわけですね。ですから、それを聞けば納得されたと私は思うのです。実際上そういうお話だったと思う。結局、懲罰動議をやはり撤回してもらう、こういうことは撤回するということを委員会で決めるのが、これがいまの日本の国会の良識というものである、これは撤回するということですね。そしてそのことについて、私が懲罰に値するかどうかを検討された本委員会皆さん方に敬意を表して、ぜひそういうふうにしてもらいたい。撤回していただきたい。  それからもう一つは、この際正木議員暴力事件ということも大分明らかになりましたので、これはよく調べて、そうして議長の方で討議に付してもらうということを私の方ではお願い申し上げたい、こういうことであります。
  215. 沖本泰幸

    ○沖本委員 きわめて単純な物の言い方をさせていただくわけですけれども、初めと同じように、われわれはいきなりおっしゃったことが聞き捨てならないということだったのだ。今度、それから後いろいろ理由はこう述べたのだろう、わかったのだろう、わかったから動議を引っ込めろ。そのわかっただろう、いろいろ述べたというのは、それはおまえさんの方がそういうふうに受け取るだけのことはあるだろう、おれの方も言い方がまずかったというのが出てくれば、これは話がわかってくるのですね。ところが、そうじゃないのですよ。そうでなくて、出てくる問題は、反共大合唱だとか、外でこう言っているとかああ言っているとか、まるで火に油を注ぐような言い方でがんがん言いたくって、それで新聞にでかでか書いて、あげくの果てに動議を引っ込めろ。それは聞こえませぬ伝兵衛さんということになるわけなんで、その辺のところを私は聞いているわけなんです。おまえさんらの言い分もわかった、それは無理もない、それはおれの言い方もまずかった、だからそこらはちょっと私らも反省しよう、だけれども、そこでかっかするのもどうだこうだ。折衷案なりなんなり、そちらも幾らかの反省なりなんなりというものが出てきて、今後はこうしようとかああしようとかというのなら話は別なんですけれども、そうではないわけです。おまえの方は全くけしからぬのだ、何もかもけしからぬのであって、みんな悪いのであって、いいのはおれのところなんだということで、あげくの果て、動議を引っ込めろ。それは動議を引っ込められるわけはないですよ。だから社会党さんが入ってきて、どうだ、反省するところはないかという誘い水もあるわけです。そのことを私は申し上げているわけです。  以上で質問を終わります。     〔奥田委員長代理退席、木野委員長代理着席
  216. 木野晴夫

    木野委員長代理 東中光雄君。
  217. 東中光雄

    東中委員 定足数を欠いておりますので、先ほど委員長との話し合いで四日に続行するということになっておりますので、さように扱っていただきたい。委員長席に座っておられる人が委員長なんで、その委員長と先ほどそういう話し合いをして、委員部で原稿まで書かれて、そうなっておるのですから、そう扱っていただきたい。
  218. 木野晴夫

    木野委員長代理 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  219. 木野晴夫

    木野委員長代理 それでは、速記を始めて。  東中君の、本人紺野君に対する質疑は、来る四日の理事会においてその取り扱いを協議いたすこととしたいと存じます。     —————————————
  220. 木野晴夫

    木野委員長代理 この際、お諮りいたします。  本人紺野与次郎君に対し、来る四日、必要ある場合には本委員会衆議院規則第二百四十条により出席を求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 木野晴夫

    木野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、議長を経由して、本人出席を求める手続をとることといたします。  次回は、来る四日、木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十二分散会