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1976-10-14 第78回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十一年九月十六日)(木曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 小山 省二君    理事 左藤  恵君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 山崎  拓君    理事 渡辺 紘三君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       愛野興一郎君    伊能繁次郎君       大西 正男君    片岡 清一君       亀山 孝一君    木村武千代君       篠田 弘作君    島田 安夫君       渡海元三郎君    永山 忠則君       古屋  亨君    井岡 大治君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山田 芳治君       多田 光雄君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十一年十月十四日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 小山 省二君    理事 愛野興一郎君 理事 奧田 敬和君    理事 片岡 清一君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       伊能繁次郎君    大西 正男君       渡海元三郎君    古屋  亨君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       安井 吉典君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     天野 公義君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       鈴木 貞敏君         自治政務次官  木村武千代君         自治大臣官房長 近藤 隆之君         自治省行政局長 山本  悟君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省財政局長 首藤  堯君         自治省税務局長 森岡  敞君         消防庁長官   林  忠雄君  委員外出席者         国土庁土地局土         地政策課長   川合 宏之君         大蔵省主計局主         計官      矢崎 新二君         大蔵省主計局主         計官      古橋源六郎君         大蔵省主税局税         制第一課長   矢澤富太郎君         大蔵省主税局税         制第三課長   亀井 敬之君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       倉地 克次君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   森下 忠幸君         厚生省保険局国         民健康保険課長 舘山不二夫君         社会保険庁医療         保険部健康保険         課長      坂本 龍彦君         農林大臣官房予         算課長     石川  弘君         農林省農林経済         局金融課長   若林 正俊君         食糧庁総務部企         画課長     野明 宏至君         食糧庁経理部主         計課長     古賀 正浩君         労働省労働基準         局監督課長   倉橋 義定君         建設省計画局宅         地企画室長   牧野  徹君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     高秀 秀信君         建設省河川局水         政課長     吉沢 奎介君         自治省行政局公         務員部福利課長 桑名 靖典君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員異動 九月二十日  辞任         補欠選任   木村武千代君     地崎宇三郎君   左藤  恵君     奧田 敬和君   高鳥  修君     近藤 鉄雄君   中村 弘海君     塩川正十郎君 同月二十一日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     松野 頼三君 同月三十日  辞任         補欠選任   折小野良一君     稲富 稜人君 十月六日  辞任         補欠選任   塩川正十郎君     中山 利生君   稲富 稜人君     折小野良一君 同月十四日  辞任         補欠選任   井岡 大治君     安井 吉典君 同日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     井岡 大治君 同日  理事左藤恵君、高鳥修君及び中村弘海君九月二  十日委員辞任につき、その補欠として奧田敬和  君、愛野興一郎君及び片岡清一君が理事に当選  した。     ――――――――――――― 九月三十日  地方自治体財政危機打開に関する請願中路  雅弘紹介)(第一号)  地方自治体財政危機打開に関する請願石母  田達紹介)(第二号)  同外七件(大出俊紹介)(第三号)  同(中路雅弘紹介)(第四号)  同(林百郎君紹介)(第五号)  同(増本一彦紹介)(第六号)  同(三谷秀治紹介)(第七号)  同外七件(岩垂寿喜男紹介)(第三四号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第五五号)  同外一件(大出俊紹介)(第九八号)  都行政確立に関する請願多田光雄紹介)  (第八号)  同(林百郎君紹介)(第九号)  同(三谷秀治紹介)(第一〇号)  同(青柳盛雄紹介)(第一〇三号)  同(荒木宏紹介)(第一〇四号)  同(諫山博紹介)(第一〇五号)  同(浦井洋紹介)(第一〇六号)  同(神崎敏雄紹介)(第一〇七号)  同(木下元二紹介)(第一〇八号)  同(紺野与治郎紹介)(第一〇九号)  同(柴田睦夫紹介)(第一一〇号)  同(庄司幸助紹介)(第一一一号)  同(瀬崎博義紹介)(第一一二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一一三号)  同(田代文久紹介)(第一一四号)  同(田中美智子紹介)(第一一五号)  同(多田光雄紹介)(第一一六号)  同外一件(津金佑近君紹介)(第一一七号)  同(津川武一紹介)(第一一八号)  同(中川利三郎紹介)(第一一九号)  同(野間友一紹介)(第一二〇号)  同(東中光雄紹介)(第一二一号)  同(平田藤吉紹介)(第一二二号)  同(正森成二君紹介)(第一二三号)  同(松本善明紹介)(第一二四号)  同(小林政子紹介)(第一二五号)  同(三浦久紹介)(第一二六号)  同(三谷秀治紹介)(第一二七号)  同(山原健二郎紹介)(第一二八号)  同(米原昶紹介)(第一二九号)  地方財政危機突破に関する請願中村茂君紹  介)(第三二号)  固定資産評価替え反対等に関する請願小林  進君紹介)(第三三号)  同(佐野進紹介)(第九九号)  同(田中武夫紹介)(第一〇〇号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一〇一号)  同(堀昌雄紹介)(第一〇二号)  非常勤消防団員退職年金制度化に関する請願  (赤城宗徳紹介)(第五〇号)  病院に対する電気税ガス税の非課税に関する  請願橋本龍太郎紹介)(第五一号)  地方財政危機打開に関する請願堂森芳夫君  紹介)(第五二号)  地方財政危機突破に関する請願河上民雄君紹  介)(第五三号)  同(下平正一紹介)(第五四号)  退職地方公務員年金改定等に関する請願(井  岡大治紹介)(第九六号)  東京都財政確立に関する請願加藤清政君紹  介)(第九七号) 十月五日  地方財政危機突破に関する請願瀬野栄次郎君  紹介)(第一八九号)  都行政確立に関する請願井岡大治紹介)  (第一九〇号)  同外四件(長谷川正三紹介)(第二四三号)  地方議会議員半数改選並びに選挙日の統一反  対に関する請願天野光晴紹介)(第三五九  号) 同月七日  地方議会議員半数改選制反対に関する請願(  鈴木善幸紹介)(第四五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十三日  地方財政確立に関する陳情書外八件  (第  六号)  地方財政危機打開に関する陳情書外四件  (第七号)  地方超過負担解消等に関する陳情書  (第八号)  都道府県の行政機構新設等に関する陳情書  (第九号)  地方公社等に対する地方議会監視機能強化に  関する陳情書  (第一〇号)  地方税法の改正に関する陳情書外一件  (第一一号)  地方公務員共済制度改善に関する陳情書  (第一二号)  地方公務員共済年金恩給改善に関する陳情  書  (第一三号)  地方事務官制度廃止等に関する陳情書  (第一四号)  暴走族取り締まり強化に関する陳情書外一件  (第一五号)  身体障害者等駐車禁止除外標章の全国共通取  り扱い措置に関する陳情書  (  第一六号)  自治体病院財政確立等に関する陳情書外五件  (第一七号)  人口急増過密都市対策改善に関する陳情書  (第一八号)  石油コンビナート等災害防止法の施行に伴う地  方負担経費助成措置に関する陳情書外一件  (第一九号)  地方議会議員半数改選制反対に関する陳情書  外百七十二件  (第二〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 小山省二

    小山委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。委員異動に伴い、ただいま理事が三名欠員となっております。この際、その補欠選任を行うのでありますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小山省二

    小山委員長 御異議なしと認めます。  それでは、委員長は、       愛野興一郎君    奧田 敬和君    及び 片岡 清一君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――
  4. 小山省二

    小山委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、本会期中、地方行政の実情を調査し、その健全なる発展に資するため、小委員会設置関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等方法により、  地方自治に関する事項  地方財政に関する事項  警察に関する事項  消防に関する事項以上の各事項について、国政に関する調査を行うため、衆議院規則第九十四条により、議長に対し承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小山省二

    小山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  6. 小山省二

    小山委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  地方税制度全般について検討を図るため、小委員十一名から成る地方税に関する小委員会消防関係法令整備及び消防施設整備強化を図るため、小委員十一名から成る消防に関する小委員会及び地方公営企業制度全般調査並びに都市圏交通公営交通事業対策樹立を図るため、小委員十一名から成る地方公営企業等に関する小委員会をそれぞれ設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小山省二

    小山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、小委員及び小委員長選任についてお諮りいたします。  しかし、私ども現地をいろいろ調査して歩いておりまして、いま農家が何が一番困って、何を真っ先にやってもらいたいか、この問題についていま御質問したいと思います。  緊急に農家が望んでいるのは、いま借り入れしている借金、この借金をどうして返すか、このことが何よりもまず一番の緊急の問題でありまして、一番先にこれを何とかしてくれという要請が非常に強いわけであります。  その第一は、政府売り渡し米概算予約金、これを大体一俵当たり三千円でもって借りております。秋田県の例をとりますと、約二百八十億円が予約概算金として支払われております。しかし、実際には約五千四百トンぐらいがこれは実際の売り渡し量から下回ってくるという現状でありまして、金額にして約三億円ぐらいのものがこれは返納しなければいけないという状態になっておるわけでございます。また岩手県では予約金総額が百六十八億であります。東北最大冷害地と見られておりますこの岩手県でありますから、この返納割合というものは秋田県よりももっともっと深刻な状態にある、こういうふうに考えられます。  ここに一つの例がありますけれども冷害で、この米の前渡金を払おうと思って、前渡金返納するため牛を売ろうとしておりましたが、この牛を二頭盗まれてしまって首をつりかけている、こういうふうに深刻な状態まで起きているようなありさまであります。この問題につきまして、ひとつ特にこれは農林省食糧庁関係方々から、対策がありましたらお答えを願いたいと思います。
  8. 古賀正浩

    古賀説明員 米の予約概算金返納期限の問題でございますが、概算金返納期限延長、これは農家に対する一種の金融的な性質を持つものであると思いますけれども一般被災農家に対しましては農作物共済金が支払われますほか、天災資金あるいは自作農維持資金等の必要な経営資金についての措置がございます。そのような資金面での条件を考え合わせますと、返納期限延長はその性質上非常にむずかしいという点がございます。今回の災害に関しましても、その災害実態を今後まだ十分見きわめていくという必要がございますけれども、現段階におきましては従来同様、指定集荷業者、これは主として農協等でございますが、それが代位弁済をする仕組みがございますが、その仕組みを適切に運用することによりまして対処していきたい、かように考えておるところでございます。
  9. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これはいままでの状態では確かにそうかもしれません。だけれども、非常に現在の状態はいままでにないような深刻な状態なんです。岩手県の葛巻町、これは有名な災害地になって、ときどき新聞等に出てきておりますけれども、全体の作付面積四百二十ヘクタールのうち収穫ゼロが八〇%を超す。大変な状態になっている。これは村全体が何もとれないという状態です。それから私の方の秋田県でも、ある村は一つ部落が三十ヘクタールの作付面積のうち二十ヘクタールがやはり収穫ゼロだ。去年大水害を食らった私の方の鷹巣という町では、百二十ヘクタールが青刈りされている。一つ部落が全滅するというような、あるいは一つの町が全滅するというような例が至るところにあるわけです。それで、ただ、いまあなたが言ったような自作農創設資金だとか共済保険金だとか、そういうのはわかりますけれども、それだけではとても足りない。とてもそれだけでは間に合わない。たとえば共済金も全部払ってくれれば間に合うでしょう。しかし全部払われない。  それからもう一つは、農協自体が非常に困っておって、果たしてこの能力があるかどうかわかりません。例を一つ申し上げますと、いま申し上げました秋田鷹巣という町、これは去年も、後で質問しますけれども、大水害を食らってほとんど半分ぐらいは収穫皆無みたいな状態になって、ことしもまたこの冷害でほとんど皆無だ。七日市という農協が、農協自体がつぶれるか生きるかという存亡危機に立っているというようなところがあるわけです。恐らく私は、こういうような小さい農協ですと、一つ農協全体が収穫がほとんど皆無みたいなところがあちこちにあると思うのです。そういう状態になってきますと、いままでのような手法でこれを救済することができるかどうかということは私は非常に問題だと思う。だからその点を、単にいままでの手法だけではなくて、これに対して、たとえばいま概算予約金を分割して支払うとか、利子はまけてやるとか、あるいはまた一年間支払いを延ばして来年の収穫から分割してやるとか、何か直接的な救済の方法を講じてやりませんと、とてもこれはただ共済金を払う、自作農創設資金だ、これだけではやっていけない、こう思いますけれども、どうですか。
  10. 古賀正浩

    古賀説明員 概算金返納期限延長の問題、これは非常に措置としてむずかしいということはただいま申し上げましたとおりでございますけれども、今後被害実態、これをよく見きわめて、必要な措置をとるべきかどうか、あるいはとるとしたらどういう措置をとるのかということは検討してまいることになると思います。  なお概算金返納金利につきましては、天災融資法に定めます天災によりまして著しい被害を受けた農業者につきましては、一定の基準に従いまして金利を免除あるいは軽減するという道がございますので、それに従いまして措置してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  11. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いまはっきりした答弁でなかったのですけれども、いま申し上げましたように、もう一遍重ねて申し上げますけれども、いままでのような状態でもってあれを救済できない場所が非常に多い。特に山際のところでは御承知のようにほとんど全滅の地域がたくさんあるのです。これをただ共済金をやるとか天災融資法で何とかしてやるとか、こういうことでは何ともやりようがないところがあるのです。こういうところをひとつ真剣に考えていただきたい。食糧庁自体が考えるかどうかわかりませんけれども農協なり県なり地方自治体なり、こういうのが一体になってこれを救済する方法を強力に打ってもらわなければ、この文明の世の中に、すでに二、三出ておりますが、首をつる人が出てくる。本当に現実にそうなんです。このために首をつって死んでいる人がいるのです。こういうような状態を直視しまして、単に法律があるからその法律だけを適用してやればおれたちの責任は終わりだ、こういうようなことのないようにひとつ考えていただきたい、こう思います。  それから借金の第二は、いまのこの概算金の次に大きいのは農協からの借入金であります。農家は年間の肥料代農機具代あるいは家畜飼料代、こういうものを農協から借り入れて、出来秋に払うという仕組みになっておりますが、ことしは秋になってもできないという状態で、出来秋じゃない、こういう状態になって非常に困っておるわけです。肥料家畜飼料、こういうものを合わせただけで、調べてみますと農協からの借入金は小さいので百万、大きいので三百万を超している、こういうのがざらにある。さらに機械化の進行によって農機具代が大変なことになっている。コンバインとセットになっている乾燥機、これを二つ合わせますと大体二百万前後になるわけですけれども、ある町では、調べてみましたならば、一つの地区で百台もコンバインが入っている。大変な例があるのです。これが全然米がとれない、こういうところがありますので、この問題も非常に大きな問題になってくる、こういうふうに考えます。  そこで、農家はいまの予約概算金支払い金、それから農協からの借入金、さらに機械店農機具店、こういうのから三重に借金を責め立てられるという状態になってくるわけです。これに対して何らかの処置を考えていると思うけれども政府資金なりあるいは農協の系統資金なり、あるいはまたいままで五百万で、それに満杯になればあと借りられない、返さなければ借りられないといます。  しかし、私ども現地をいろいろ調査して歩いておりまして、いま農家が何が一番困って、何を真っ先にやってもらいたいか、この問題についていま御質問したいと思います。  緊急に農家が望んでいるのは、いま借り入れしている借金、この借金をどうして返すか、このことが何よりもまず一番の緊急の問題でありまして、一番先にこれを何とかしてくれという要請が非常に強いわけであります。  その第一は、政府売り渡し米概算予約金、これを大体一俵当たり三千円でもって借りております。秋田県の例をとりますと、約二百八十億円が予約概算金として支払われております。しかし、実際には約五千四百トンぐらいがこれは実際の売り渡し量から下回ってくるという現状でありまして、金額にして約三億円ぐらいのものがこれは返納しなければいけないという状態になっておるわけでございます。また岩手県では予約金総額が百六十八億であります。東北最大冷害地と見られておりますこの岩手県でありますから、この返納割合というものは秋田県よりももっともっと深刻な状態にある、こういうふうに考えられます。  ここに一つの例がありますけれども冷害で、この米の前渡金を払おうと思って、前渡金返納するため牛を売ろうとしておりましたが、この牛を二頭盗まれてしまって首をつりかけている、こういうふうに深刻な状態まで起きているようなありさまであります。この問題につきまして、ひとつ特にこれは農林省食糧庁関係方々から、対策がありましたらお答えを願いたいと思います。
  12. 古賀正浩

    古賀説明員 米の予約概算金返納期限の問題でございますが、概算金返納期限延長、これは農家に対する一種の金融的な性質を持つものであると思いますけれども一般被災農家に対しましては農作物共済金が支払われますほか、天災資金あるいは自作農維持資金等の必要な経営資金についての措置がございます。そのような資金面での条件を考え合わせますと、返納期限延長はその性質上非常にむずかしいという点がございます。今回の災害に関しましても、その災害実態を今後まだ十分見きわめていくという必要がございますけれども、現段階におきましては従来同様、指定集荷業者、これは主として農協等でございますが、それが代位弁済をする仕組みがございますが、その仕組みを適切に運用することによりまして対処していきたい、かように考えておるところでございます。
  13. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これはいままでの状態では確かにそうかもしれません。だけれども、非常に現在の状態はいままでにないような深刻な状態なんです。岩手県の葛巻町、これは有名な災害地になって、ときどき新聞等に出てきておりますけれども、全体の作付面積四百二十ヘクタールのうち収穫ゼロが八〇%を超す。大変な状態になっている。これは村全体が何もとれないという状態です。それから私の方の秋田県でも、ある村は一つ部落が三十ヘクタールの作付面積のうち二十ヘクタールがやはり収穫ゼロだ。去年大水害を食らった私の方の鷹巣という町では、百二十ヘクタールが青刈りされている。一つ部落が全滅するというような、あるいは一つの町が全滅するというような例が至るところにあるわけです。それで、ただ、いまあなたが言ったような自作農創設資金だとか共済保険金だとか、そういうのはわかりますけれども、それだけではとても足りない。とてもそれだけでは間に合わない。たとえば共済金も全部払ってくれれば間に合うでしょう。しかし全部払われない。  それからもう一つは、農協自体が非常に困っておって、果たしてこの能力があるかどうかわかりません。例を一つ申し上げますと、いま申し上げました秋田鷹巣という町、これは去年も、後で質問しますけれども、大水害を食らってほとんど半分ぐらいは収穫皆無みたいな状態になって、ことしもまたこの冷害でほとんど皆無だ。七日市という農協が、農協自体がつぶれるか生きるかという存亡危機に立っているというようなところがあるわけです。恐らく私は、こういうような小さい農協ですと、一つ農協全体が収穫がほとんど皆無みたいなところがあちこちにあると思うのです。そういう状態になってきますと、いままでのような手法でこれを救済することができるかどうかということは私は非常に問題だと思う。だからその点を、単にいままでの手法だけではなくて、これに対して、たとえばいま概算予約金を分割して支払うとか、利子はまけてやるとか、あるいはまた一年間支払いを延ばして来年の収穫から分割してやるとか、何か直接的な救済の方法を講じてやりませんと、とてもこれはただ共済金を払う、自作農創設資金だ、これだけではやっていけない、こう思いますけれども、どうですか。
  14. 古賀正浩

    古賀説明員 概算金返納期限延長の問題、これは非常に措置としてむずかしいということはただいま申し上げましたとおりでございますけれども、今後被害実態、これをよく見きわめて、必要な措置をとるべきかどうか、あるいはとるとしたらどういう措置をとるのかということは検討してまいることになると思います。  なお概算金返納金利につきましては、天災融資法に定めます天災によりまして著しい被害を受けた農業者につきましては、一定の基準に従いまして金利を免除あるいは軽減するという道がございますので、それに従いまして措置してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  15. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いまはっきりした答弁でなかったのですけれども、いま申し上げましたように、もう一遍重ねて申し上げますけれども、いままでのような状態でもってあれを救済できない場所が非常に多い。特に山際のところでは御承知のようにほとんど全滅の地域がたくさんあるのです。これをただ共済金をやるとか天災融資法で何とかしてやるとか、こういうことでは何ともやりようがないところがあるのです。こういうところをひとつ真剣に考えていただきたい。食糧庁自体が考えるかどうかわかりませんけれども農協なり県なり地方自治体なり、こういうのが一体になってこれを救済する方法を強力に打ってもらわなければ、この文明の世の中に、すでに二、三出ておりますが、首をつる人が出てくる。本当に現実にそうなんです。このために首をつって死んでいる人がいるのです。こういうような状態を直視しまして、単に法律があるからその法律だけを適用してやればおれたちの責任は終わりだ、こういうようなことのないようにひとつ考えていただきたい、こう思います。  それから借金の第二は、いまのこの概算金の次に大きいのは農協からの借入金であります。農家は年間の肥料代農機具代あるいは家畜飼料代、こういうものを農協から借り入れて、出来秋に払うという仕組みになっておりますが、ことしは秋になってもできないという状態で、出来秋じゃない、こういう状態になって非常に困っておるわけです。肥料家畜飼料、こういうものを合わせただけで、調べてみますと農協からの借入金は小さいので百万、大きいので三百万を超している、こういうのがざらにある。さらに機械化の進行によって農機具代が大変なことになっている。コンバインとセットになっている乾燥機、これを二つ合わせますと大体二百万前後になるわけですけれども、ある町では、調べてみましたならば、一つの地区で百台もコンバインが入っている。大変な例があるのです。これが全然米がとれない、こういうところがありますので、この問題も非常に大きな問題になってくる、こういうふうに考えます。  そこで、農家はいまの予約概算金支払い金、それから農協からの借入金、さらに機械店農機具店、こういうのから三重に借金を責め立てられるという状態になってくるわけです。これに対して何らかの処置を考えていると思うけれども政府資金なりあるいは農協の系統資金なり、あるいはまたいままで五百万で、それに満杯になればあと借りられない、返さなければ借りられないという枠の締めつけ、この締めつけを緩めるなり、何かそういう方法を考えていると思いますが、あったらひとつ御答弁願いたいと思います。
  16. 若林正俊

    ○若林説明員 お答えいたします。  被害を受けました農家がすでに借り入れた負債を償還する力がない、こういう場合についての御質問であろうかと思いますが、農林漁業金融公庫の財政資金、また農協等の原資を利用いたしまして国、県が利子補給をいたしております農業近代化資金、あるいはすでに過去に災害を受けて天災資金を融通することになっております天災資金などの制度資金につきましては、それぞれ所要の償還条件緩和の措置が講じ得るような規定がございまして、これらを被災農家の実情と被害の程度等に応じて弾力的に措置するように指導いたしております。具体的には、今月の五日付をもちまして関係金融機関及び行政庁に対してこれら償還条件の緩和措置を行いますよう通達を出しております。
  17. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 もう一度重ねてお願いしておきますけれども、さっき言いましたように、ただ制度がある、それを適用する、それだけで済まない問題がたくさんあると思いますから、どうかひとつその点を十分お考えになって、制度を運用すればそれでいいんだということじゃなくて、もう少し積極的に考えていただきたい、こういうふうに思います。  それから自治省にお尋ねしますけれども被害農家に対して国税は所得税の減免等の措置を講ずるようにすると思いますけれども地方税についてはどういうことを考えていますか。
  18. 森岡敞

    ○森岡政府委員 災害がありました場合の被災者の減免につきましては、風水害等の一般的な災害のほかに冷害も含めまして昭和三十九年に一般的な基本減免通達を出しております。その内容は、納期限の延長、徴収の猶予及び実態的な税負担額の減免、三つの方法を規定いたしておるわけでございますが、いわゆる実態に応じて実情に即するように、その運用を適切に行うように私どもも指導いたしてまいっておるつもりでございます。
  19. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 地方税はそれでわかります。  そこで、納める税金は住民税だけじゃないわけですね。固定資産税もある。特に固定資産税は、生産性が全然ないわけなんで、これの税金がありますけれども、この点はどうですか。
  20. 森岡敞

    ○森岡政府委員 この基本的な通達におきましては、固定資産税の場合には、一般的に冷害の場合には資産の価値が落ちるということではないというふうなことから、徴収猶予が適当だという指示をしておるわけでございます。しかし、冷害の場合に、その冷害によります減収の程度がきわめて大きい場合には、地方税法の三百六十七条の減免規定がございますので、固定資産税につきましても実態に応じて適切な減免措置を講じ得る、こういうことに相なっておるわけでございます。
  21. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それからもう一つ、非常にこれは問題のあるのが国保税です。国民健康保険。この国保税の滞納が非常に多くなるのではないかという心配を市町村長は非常に強く持っております。この国保税が非常に高い。たとえば秋田県におきましては、農村地域では国保税の一世帯当たりの平均、軒並みに十万円を超えているのです。これは大変な額になってきて、これ自体がすでに非常に大きな問題であります。しかし、特に今度の災害を受けている地域は、これは冷害ですから農村地帯。一番大きな被害を受けている農村地帯が一番国保税が高い、こういうような状態になっておるわけです。この冷害がなくても国保税というものはいまや市町村財政に対する大変な重荷になっているし、加入者については過酷な重税に化してきているわけです。そこにこういうような大きな災害をこうむっておりますので、これに対して何かしらの措置を講じてもらわないことには、これは国保財政がまいってしまう、こういうことになりますけれども、これに対して厚生省なり自治省なりの御意見をお伺いします。
  22. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 冷害による被災農家に対しましては、市町村の条例によりまして住民税と同じように減税を行うということにいたしております。問題は、減税を行った場合に市町村の国民健康保険財政がさなきだに苦しくなるのではないかということでございますが、これは特別調整交付金を交付することによって国民健康保険財政の運営に遺憾のないように努めてまいりたい、かように考えております。
  23. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 自治省はどうです。
  24. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま厚生省からお話がありましたとおりでございます。私どもといたしましても国民健康保険税、保険料、二つの方式の賦課の形ではございますが、両方通じまして必要な減免は指導してまいります。またその補てんにつきましては、特別調整交付金によって適切な措置をやっていただくことを厚生省に強く要請してまいる、かように考えております。
  25. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 わかりましたが、この冷害によって、一番先に申し上げましたように、貧弱な市町村財政というものが非常にまたさらに収入が落ち込むことが考えられる。それのほかにいまのような手当てをいろいろしていくと、非常に大きな財源が必要なわけです。これに対する一つの考え方、さらにいま県や市町村で考えている例の救農土木、何かしら農家に金が入るような方法を講じてやらなければいけないというので、かなり大きな金を出して救農土木事業をやろうとしておるわけです。これによって、収入が入ってこないほかに、逆に出費がかさんでくる、こういうことになります。総じてこういうような県や市町村に対する収入財源を一体どういうふうにするのか。これは自治省、それから大蔵省の方だれか来ていますか。――まだ来ていませんか。自治省からひとつ……。
  26. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘のように冷害に伴いまして地方自治体にいろんな負担が生じてまいります。その中でも特にただいま御指摘がございましたように、農民に所得を与えます目的での救農土木事業の実施、そのほかのもろもろの経費が要ろうかと思います。  まず救農土木事業につきましては、ただいま各省庁集まっていただきまして、これを国庫補助事業として実施をしていただくように、地方団体が単独事業で完全にこれを実施することは財政力の面からも非常に問題がございますので、公共事業として実施をしてもらうように折衝いたしております。  その事業はもちろんのこと、できるだけ労賃の分町の多い、直接に農民の所得になりますような事業を選ぶ、まあ簡易な事業ということになろうかと思いますが、そのような公共事業が実施をされます場合の地方の裏負担、これにつきましては地方債をもちまして完全に措置をいたしまして、財源措置に困るようなことのないように措置をしたいと思います。  それからそのほかもろもろ冷害に伴いまして収入減、そのほかの経費が必要になるわけでございますが、これにつきましては災害復旧事業、災害関係と全く同じように、冷害に対しましても特別交付税の配分を考慮いたしておるわけでございまして、ことしは先生御案内のように、災害分に関しましては十二月に特別交付税の配分ができると思っておりますので、それまでに被害額等の事態がわかり次第、これに対応する特別交付税を一定のルールをもって配分したい、こういうことをもって市町村、県の財政に遺憾のないように措置をしたいと考えております。
  27. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 財源がこれで、いまある財源で間に合いますか。
  28. 首藤堯

    ○首藤政府委員 先ほど申し上げました救農土木の裏負担等に対します地方債、これにつきましては他の災害復旧事業の裏負担と同様に、地方債の追加措置をいたしまして対応いたしたいと思っております。  それから特別交付税につきましては、御承知のように本年度総額で三千億余りの特別交付税がございますが、そのうちの三分の一の範囲内で災害対応策をとることができますので、約一千億見当のものは十二月に支出ができると思います。したがいまして、従前の実例等に照らしましても、これをもって対処をする場合に、地方団体がひどくお困りになるような事態は起こらないように措置ができるだろう、またぜひそのように措置をしたい、こう考えております。
  29. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それからこれをひとつ特別に考えていただきたいというのは、去年秋田県の北の方で局部的な大水害がありました。さっき言いました鷹巣町だとか比内町、小猿部川、犀川という川の流域が大はんらんをいたしまして、ここもほとんど去年は収穫ゼロになっておるわけです。ところが山間部などでことしも同じようにほとんど収穫ゼロ、二年続けて収穫皆無という問題が出てきておるわけです。こういうところ、ひとつ特別に何か考えていただきたい、こういうふうに思うのです。さっきも言いましたように、非常に小さい農協農協がつぶれる、そういうような騒ぎまでいま発展しそうなので、それと同時に市町村に対しても、非常に財政的に困っているので、何かしらこういうものに対する対策がないか、ひとつお伺いします。
  30. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘のような事態がございますので、いままでの特別交付税におきましても、過年度におきます災害冷害、こういうものにつきまして連年災といったような取り扱いをいたしておりますので、そういったことも考慮して、災害冷害対応の特別交付税等の配分に際しては十分その実態が反映いたしますように、特別の増加についての運用をいたしてまいりたいと考えております。
  31. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 大蔵省にお伺いしますけれども、いまだれか来ていますか。亀井さんいますか。これはあなたに聞いてどうかわかりませんけれども、いまの北の方の六十三年ぶりの災害、さらに西の方の大水害、こういうふうな両方の被害が合わせて大体四千億近くなる、こういうふうに推定されております。この災害に対して、政府一般予備費と公共事業予備費、これを合わせてやるというようなことを言っておるようですけれども災害だけではなくて、人勧であるとかあるいはまた電電公社の問題であるとか国鉄の問題であるとか、いろいろな問題が出てきそうに思われます。これで補正予算を組まなくても済むのか、あるいは組むつもりであるのか。ここのところをひとつ御説明願いたい。
  32. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 さっき先生のお話しの問題でございますけれども、第一の水害関係につきましては、現在被害報告を受けておりまして、それに伴いまして今後の必要額というものを計算しておるという段階でございます。したがいまして、その被害額がわかりましても、五十一年度中に必要な金額はどの程度かといいますと、それはいろいろ今後考えましても千八百億程度、しかしそのうち二百億程度はすでに措置しておりますので、千六百億程度になると思います。  そのほか救農土木事業につきましては、現在農林省においてその規模等について検討中でございます。したがいまして、これにつきましても、私ども要求あり次第これについての検討をいろいろ加えていくということになります。  いまも言われましたように、予備費につきましては公共聖業予備費が千五百億、それから一般予備費が三千億ございまして、四千五百億ございますので、もしその他の給与改定等行ったとしても十分その予備費の範囲内で賄えるということでございまして、現在、大蔵省といたしまして、補正予算を組むということは考えておりません。
  33. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それから冷害の問題で最後にお聞きしたいのですけれども災害復旧事業、冷害だけじゃないですが、災害復旧事業を三年間でやるとすれば大体年に三百億から四百億ぐらい地方負担があると思いますね。これを一体どういうふうにして処置されるのか、この問題をちょっとお聞きしたい。
  34. 首藤堯

    ○首藤政府委員 災害復旧事業のうち、いわゆる公共災害と申しますか国の補助負担金の出ます災害復旧事業の裏負担につきましては、御承知のように地方債をもって措置をいたしております。その地方債も、原資としてはできる限りそのほとんど大部分を政府資金をもって融通してもらうようなかっこうで地方債を充当する、これで当該年度の裏負担については心配がないわけでございます。  この償還費につきましては、これも先生御承知のように、その後の交付税の配分の際に、基準財政需要額の中に、公共災害復旧の地方債の償還費は九五%、ほとんど全額近く、こういうことになりますが、これを算入いたしまして、交付税を通じて償還財源を生む、こういうかっこうになっておりますので、直接その事業についての地方団体の財政の苦しさ、こういうものは回避ができるように仕組んでおるつもりでございます。
  35. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 冷害の問題はこれで終わります。  時間がありませんので、次に移りたいと思います。いま盛んに問題にされております例の土地税制についてお伺いいたしたいと思います。  建設省と国土庁は来年から土地税制を緩和する方針を決めて、大蔵省、自治省の両省と折衝を始めるというようなことが新聞に報道されております。一体どういう意図から、つい二、三年前に決められた土地税制をいま改正するというのか、この趣旨をひとつ御説明願いたい。
  36. 川合宏之

    ○川合説明員 お答え申し上げます。  今回、国土庁から自治省に要望いたしました特別土地保有税の制度の修正につきまして申し上げます。  要望の事項といたしましては、宅地供給事業の用に供する土地にかかる特別土地保有税について徴収猶予の始期を操り上げるとともに、徴収猶予期間を延長するという要望内容でございます。その理由といたしましては、特別土地保有税の徴収猶予の始期が一般的に開発許可の時点となっております。しかし、開発許可を得るまでに長時間を要しておりますので、事業者は宅地供給を行う意思を持ちながら相当の期間にわたって特別土地保有税を負担いたしております。特別土地保有税の趣旨から見まして、この点は改正していただく価値があると存じまして、徴収猶予の始期を繰り上げていただきたいという要望であります。また、宅地供給については、販売までの期間が長期化いたしておりますので、先ほど申し上げた点に関連いたしまして、徴収猶予期間を延長する要望を出した次第でございます。  なお、特別土地保有税につきましては、このほか緑地とか汚水処理施設用地等につきまして、その公益性にかんがみまして非課税扱いにしていただきたいという要望もあわせて出しております。
  37. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 土地税制というのは、例の土地インフレの原因になったので、これを抑えてできるだけ住宅供給を円滑にしようということでやったのですけれども、いまそれに対して状況が変わった、こういうふうなあれをお持ちですか。
  38. 川合宏之

    ○川合説明員 先生御指摘のように、地価はここ二年数ヶ月鎮静いたしております。これは総需要抑制とかあるいは国土利用計画法の施行などのほかに、土地税制の果たした役割りも非常に大きいであろうと私ども考えております。したがって、地価の鎮静化をこのまま持続させるためには、土地税制の基本的な枠組みはあくまで堅持してまいりたいと存じております。  今回、国土庁が出しました要望は、かような土地税制の枠組みを堅持しつつ、宅地供給の促進のために、優良な宅地供給をすべき土地につきまして合理的な範囲で特別土地保有税を軽減していきたいという趣旨でありまして、先生御指摘のとおり、土地税制の枠組みは堅持してまいりたいと考えております。
  39. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 あなたが地価が鎮静したと――なるほど地価が鎮静したようにも見えますけれども、たとえば本年度の前半の地価の上昇率は、発表によりますと〇・五%の上昇率になっています。しかしこの〇・五%というのは、昨年一年の地価の上昇率と同じなんですよ。だから、決してこれは鎮静したということは言えないと思う。  それから、特にこの地価の問題は非常に心理的な問題が強い。列島改造だというと、ばあっと地価が上がる。今度は列島改造でないと下がる。こういうふうに非常に心理的な要素によって、思惑でもって上がる率が多い。いまのこういう決して安心できないような状態のときにこれを緩和するということは、ますます地価が高騰すると私どもは考えるわけです。現に国土庁がこの七月にこの傾向を発表したとき、国土庁自身がこれはとてもまだ楽観できる状態ではないということを言っているのです。七月に楽観できないと言って、なぜいまはこれを緩和するという状態にあるのか。この点はいまのあなたの答弁でもどうしても納得できないのですがね。
  40. 川合宏之

    ○川合説明員 現在の特別土地保有税の仕組みから考えまして、私どもとしては優良な宅地供給につきましては特別土地保有税を免除するという仕組みになっているというふうに考えております。その免除の仕組みにつきまして合理的な範囲で改善をお願いしている次第でありまして、先ほど申し上げましたように土地税制の枠組みを変えようという趣旨ではないのであります。
  41. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 あなたの話は、何を言っているのか、私には全然わからないのだ。これはあなたじゃだめだよ。何を言っているのか、何もわからぬよ。枠組みを変えないとさつきから言っているけれども、この枠組みがなぜ変わらないのか、もう一遍、そこのところをはっきり言ってもらいたい。
  42. 川合宏之

    ○川合説明員 今回の改正の要望は、企業の保有いたします未利用地全般につきまして特別土地保有税をどうかしてくれという要望を出しているのではないのでありまして、宅地供給に直接結びつくような土地について特別土地保有税を軽減いたしまして、安価で優良な宅地の供給に資したいという趣旨でありまして、その意味で、土地税制の枠組みを堅持しつつ必要な手直しを行いたいという趣旨で申し上げたわけであります。
  43. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 結局、手直しの理由として考えられるのは、税金が重い、だからこの重い税金が業者の開発意欲を阻害している、こういうことですね。税金が重過ぎるから、これを軽くすれば宅地の供給が円滑にできる。宅地供給を円滑にするというのが今回の建設省なり国土庁の意図でしょう。なぜこれをやれば宅地供給が円滑になるのか、そこのところをちょっと説明していただきたい。
  44. 川合宏之

    ○川合説明員 先ほど申し上げましたように、現実に開発許可を受けるまでに相当な時間がかかります。そういたしますと、それまでの間の経費はもちろん宅地の供給価格に影響することになります。他方におきまして、特別土地保有税の趣旨にかんがみまして、かような優良な宅地開発につきましては特別土地保有税を軽減するという趣旨が法律上あらわれているというふうに私ども考えまして、現在の不合理を合理化するための手直しを要望いたした次第です。
  45. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは時間がないので言いますけれども、たとえばここにある全国農業会議所で調べたものによりますと、四十四年以後に法人が取得した土地が三十六都道府県で二十七万ヘクタール以上に達している。その半数がゴルフ場であるとか、いろいろな開発の見込みがない、こういうものなんですよ。いまここに数字がありますけれども、ほとんど半数以上が山林原野、そして先先の使用の目的というものがゴルフ場であるとかレジャーであるとか、そういう住宅にならないものばかりがほとんど半分以上を占めている。そこでいまこれを緩和しますと、住宅用地としてこれを供給する見込みはほとんどないのです。むしろ名のある不動産業者というものはこういうようなものを持って困っているような状態ではない。一番困っているのは宅地を本当に供給しようという人でない人が困っている。こういう状態があるのですよ。それをいまこれをやったからといって、私は住宅供給がこれで円滑になるとは思えないのです。それはほとんどの人がみんなそう思っている。なぜ国土庁と建設省が一そういうような実態を私は十分にわかっていると思うけれども、わかっておりながらなおかつこれを――つい最近、二、三年前でしょう、私の任期の間にこれはできたのですから。そのついたったいまできたものを、無理にこれを変えなければいけないか。そこに何かしら裏の意図があるように私には思えて仕方がない。中間のものはみんなわかっていますから、いまあなた方と議論する必要はない。なぜこれをいまやらなければいけないのか。ここのところをお聞きしたい。
  46. 川合宏之

    ○川合説明員 私どもの要望の内容は、企業が保有いたしております俗に言う使いものにならないような土地について税金をどうこうしようという趣旨ではないのでありまして、市町村がなるほどこれは優良な宅地開発になるという心証を得ましたものにつきまして、その徴収猶予の始期を操り上げようという趣旨の要望であります。したがって一般的な企業が買い占めた土地につきまして特別土地保有税を免除してくれという要望は出しておりません。
  47. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それは区別がつかないのですよ。書類でもって開発の意思がありますよと言って出せば、形式上断われない。必ずなりますよ。出してくる人はそっちの方が多い。私は結論的に申し上げますけれども、土地税制というものが宅地供給を阻害しているのではないのですよ。こんなような土地税制をつくらなければならない、こういうような土地業者がいるから、すなわち宅地供給を阻害するような悪い土地業者がいるからこんな税制をつくらなければいけない。あなた方と発想が逆なんですよ。悪い業者がいるからそれを取り締まるためにやらなければいけない。それでなければ土地が円滑に供給できないのです。そのためにこういう税制をつくっている。それが何も解消されないのに税制を緩めれば、かえって彼らに有利な手段を与える。しばらく土地を持っていても大丈夫だ、こういうことになれば、かえって土地の供給が阻害されるのですよ。それは十分わかっているはずだと思う。わかっているのになぜこういうことをやるかということ。これをやったら、税制を緩めたら土地業者を助ける、そして宅地の供給を阻害する、こういうことになって、あなた方は逆に大変批判をこうむると私は思う。法律があるから宅地供給が阻害されているんじゃないのです。宅地供給が阻害されているからこういうような法律をつくらなければいかぬのです。どう思いますか。
  48. 川合宏之

    ○川合説明員 私どもの要望の趣旨は、先ほど申し上げましたように優良な宅地供給につながるものにつきましてのみ特別土地保有税の軽減措置をお願いしているものでありまして、その徴収猶予は、市町村がなるほど開発の意思と能力があるというふうに考えました土地につきましてのみ徴収猶予が図られることになりまして、一般的な企業救済には結びつかないと存じてはおりますが、しかし先生の御指摘もありますので、まだ私ども要望を正式に出しましたのが、十月四日に説明を終わったばかりです。今後とも自治省さん初め関係各省というふうに協議いたしまして、さような趣旨にならないように努力いたしたいと存じます。
  49. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 自治大臣はこれをどう思いますか。自治省はかねて反対の意向を持っておるようですが、どう思いますか。
  50. 森岡敞

    ○森岡政府委員 土地税制は御案内のように、税制としては土地対策を補完するものでございますから、土地対策の目標に即応し、合致するような制度でなければならない、これは申し上げるまでもないところでございます。現在の譲渡益に対する重課制度、それから土地の保有なり取得に対します特別土地保有税という形での課税、この二つが、一つには土地の価格の安定、一つには宅地供給の促進ということをねらって設けられておる税制であります。その根本、基本は私は変えるべきでない、自治省といたしましてはそのように考えております。  先ほど来お話がありましたように、一つにはたとえば地価の問題は多分に心理的な問題がありますから、土地税制が緩和されるというふうな印象になりますと、それはまた火をつける結果にもなりかねませんし、そういう意味合いにおきまして、今後特別土地保有税のあり方につきましては、基本のたてまえというものは私はなお当分の間堅持すべきだと思います。ただ先ほど来いろいろ国土庁からお話がございましたが、現行制度でも優良宅地造成事業、これは土地譲渡益重課の対象にならない、業者の造成いたしますいわゆる良心的な宅地造成でございますが、これにつきましては、特別土地保有税はその分譲の時点で免除する。ただその時点までの間、一定の期間徴収猶予をする、こういう仕組みがあるわけであります。市町村はその徴収猶予の時期を現在大部分開発許可の時期からという形でとっておるわけであります。中には、市町村によりましては、一律的に開発許可のときにしぼってしまわないで、もう少し前の段階から実施しておるところも実はあるわけであります。その辺のところは土地税制の緩和という誤解を生ずるといけませんが、私どもとしては何らかのもう少し実態に合った方法が国土庁の言われるような方式であるとすれば、それは一つの検討課題ではないかと思っております。それは、先ほど来しばしば御指摘がありましたように、すべての遊休地あるいはすべての買い占め土地について負担を緩和するというものではもちろんございません。優良宅地造成として庶民に譲り渡されるものについては、やはり保有課税の累積はそれが地価に上乗せになりますから、その辺のところを実態に応じた時期の繰り上げ方ができるのかどうか、その辺は一つの検討課題として考えていく問題ではないか、かように思っております。ただなかなか、いま御指摘ありましたように、非常にむずかしい問題でございます。いまのところ結論を持っておるわけではございません。
  51. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 最後にこの問題で要望しておきますけれども、いま盛んに新聞に出ている、これは国土庁、建設省が乗り出しているから緩和されるものだ、こういうあれが流れてくることになりますと、やはり大変なことになると思うのです。決して土地問題は楽観できない。インフレの最大の元凶は土地ですから、土地税制をいま手直しするなどということは、これはまさしく時期尚早もいいところだ、私はこういうふうに思います。これをやったら、業者への救済にだけ終わる、こういうふうに思うので、ひとつこの点を十分考えてこの問題を取り扱っていただきたい、こう思います。大臣の所見をちょっとお伺いしたい。
  52. 天野公義

    天野(公)国務大臣 土地税制はなかなかむずかしい問題があるわけでございまして、いま政府委員から答弁を申し上げましたように、いろいろと検討をしていく問題であろうかと思っております。
  53. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 自治省は、私は新聞でしかわかりませんけれども、これに対しては真っ向から反対している、こういうことを言っているのです。それで自治省が一体この問題を、これは自治省の管轄の法律ですから、どういうふうに考えるのか、この点をはっきり明言していただきたい。
  54. 天野公義

    天野(公)国務大臣 先ほど税務局長から申し上げましたように、一般的に土地税制の緩和にならないようにやっていく所存であります。
  55. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 わかりました。それはそれで終わりますから、どうかひとつ十分に考えてください。  公家公安委員長としての大臣にお伺いしますが、最近新聞によりますと、暴力団のピストルの乱射事件があちこちである。もうこっちの千葉の茂原でもあるし大阪では御承知のように四人も五人も死んでいるというような大変な状態があって、私ども新聞、ジャーナリズムで見る限りにおいては、一体このピストルはどこから出て、白昼堂々と繁華街の真ん中で発射されているというようなちょっと法治国に考えられないような感じがするのです。一体こういうことはどういう状態になって今後どういうように対処していくのか、時間がありませんのでこの点大臣から直接ひとつお話しを願いたい。
  56. 天野公義

    天野(公)国務大臣 最近千葉であるとかあるいは大阪であるとか、そういうところで暴力団同士のピストル乱射事件が出ておりまして、非常に遺憾に思っておるところでございます。そこで使用されておりますピストル等は一時は改造銃が非常に多かったのでございますが、それらに対する取り締まりが非常に強くなっておりますので、最近では密輸の銃が相当入っているのではないかというふうに見られております。したがいまして、この密輸銃の取り締まり対策等につきまして、これはいろいろと強力な措置をしなければならないことは言うまでもないところであります。したがいまして、税関等に対しまして今後協力を要請することが必要でありますし、また要請しつつあるところでございます。  それからもう一つは、ピストル等を所持していることがわかりましても、麻薬等を持っている場合との刑の開きが非常に多うございますので、できるならばこれらの点をよく検討をいたしまして、麻薬と並んだような刑罰ができるような処置をしたいということで準備をいたしておるような次第でございます。  また暴力団等の取り締り等につきましてはこれはもう非常に問題があるところでございますので、今後ともその取り締りにつきましては十分な措置を講じていく所存でございます。
  57. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 拳銃が一体どこから出てきてこんなに大量にあるのか。ちょっと報道を見ますと昨年九月から第三次頂上作戦でもって押収したピストルが千七百十丁というようなあれが出ているのですね。これはどのくらい何千丁ピストルがあるのかわからない状態で、とにかく暴力団まがいの人がいれば必ずピストルを持っているというような状態としか思われないですね。この拳銃というのは、いま密輸だあるいは改造だと言うのだけれども、そんなに改造したり密輸したりほとんど何かざるから水が漏れるようにどんどん国内にピストルが入ってくる、こういう状態にあるのですか、どうもそこいらが納得いかないのですが。
  58. 天野公義

    天野(公)国務大臣 どうも最近では密輸が非常に多いようでございます。聞くところによりますと、ゴルフバッグの下の方に入れてみたりあるいは縫いぐるみの人形の中に入れて持ってきたりというような実例があるわけでございます。したがいまして、税関等にも相当協力を求めなければなりませんし、その他いろいろな措置を講じていかなければならないわけでございますが、これまた密輸で入りますと非常にいい値で取引をされているようでございます。ですから根幹にメスを加えるということと、入るルートのところできちんと水際作戦をやるということが大切なことではないかと思います。最終的にはやはり、拳銃を持っているということについての法規の改正まで必要ではないかというふうに考えております。
  59. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 あと一分しかありませんので、例の国費職員の問題について大臣の所見をお伺いしますけれども、この問題について大臣御承知でしょうが、田中内閣時代から私ども身分を地方に移管することを強く主張してまいりまして、しかも政府側からも、三木総理からも本会議で、あるいはここで福田自治大臣等からもいろいろこの問題について、ぜひともそれをやらなければいけない、国費の職員の身分の問題についてはこれを実行しなければいけないということを何遍も、再四にわたって答弁しておるのです。ところが私どもの任期、いま最長不倒距離をあれしまして四年満期の除隊になるところでありますけれども、それでもなお何らのめどもつかない。一回や二回じゃなくて、三回も四回もこれに対する言明を私どもは得ているけれどもさっぱりやらない。私どもはいまの段階になってみますと、政府の食言ではないか、こういうふうにさえ考えざるを得ないわけなんです。こういうような状態では、政府自体が政府の合理化さえできないようでは私どもは非常に心細い。というのは、これは別に国会にかけなくても内閣なり政府がやろうと思えばできることなんです。それをやるやると言いながら、しかも総理が本会議で言明しながらいまだかつて何にもやらない。こういう状態では、いま自治省が地方財政の財源難を理由にして盛んに地方自治体を締めつけておるけれども、自分のところのこういう問題さえ何遍やってもできないような状態でおって、地方自治体を指導するなどということは口幅ったくて言えない、こういうふうに思うのです。この問題を一体どういうふうに考えているのか、大臣からしっかりと考え方、所信をひとつ表明していただきたいと思います。
  60. 天野公義

    天野(公)国務大臣 地方事務官の問題につきましては、政府は廃止を実現するために関係省庁で鋭意調整を進めてきたところでございます。特に昨年十月から本年三月末までの間関係省庁の政務次官による調整会議を十数回にわたり開きまして、そこでこの問題の検討を重ねてまいりましたが、遺憾ながらまだ結論に達しないわけでございます。自治省といたしましては国会の附帯決議等の趣旨に沿いまして今後とも関係省庁との協議の促進を図り、できるだけ早期に結論の出るように努力を重ねていく所存でございます。
  61. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 政務次官が何十回これをやっても決まらないのですよ。政務次官が決める問題じゃないのですもの。総理なり大臣なり直接の人が会って決めなければ、政務次官の会議を何十遍開いても決まりっこありませんよ。いいですか。その点を新しい自治大臣として、これを政務次官に任せないで総理とどういうふうな折衝をして決めるつもりか、この覚悟のほどをひとつお聞きしたい。
  62. 天野公義

    天野(公)国務大臣 各省庁とよく連絡をとりまして結論の出るように努力してまいりたいと思っております。
  63. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 終わります。
  64. 小山省二

    小山委員長 この際、一言申し上げます。  先ほどの木村政務次官の発言中、「当委員会災害地視察の部分につきましては、事実と相違いたしておりますので訂正をいたしたい」との申し出が本人からありましたので、これを了承することといたします。御了承願います。  小川省吾君。
  65. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣就任おめでとうございました。地方財政危機の折から本当に御苦労さまでございます。  私は社会党の小川ですが、まず、前自治大臣の福田さんが、私ども委員会における追及の中で、一貫をして、昭和五十二年度からは地方交付税率の引き上げを含めて抜本的な見直しに努力すると言及をされてまいりました。しかし最近における大蔵省の態度は、地方交付税率の引き上げについてあるいは外形課税の問題等について非常にかたいようであります。大臣は就任をされて大蔵との財政戦争が始まるわけでありますが、地方財政の抜本的な確立についてどのような決意で大蔵との間に臨まれていくのか、まず決意のほどを伺いたいと思います。
  66. 天野公義

    天野(公)国務大臣 お説のように、いま地方財政はなかなか苦しい場面に立っているわけでございます。来年度におきましても、若干景気が回復したとはいいながら、まだ地方財政が黒字を出す状況ではないというふうに聞いております。したがいまして、これからの推移も見ていかなければならないわけでございますが、来年度の財源措置等につきましては、行財政制度の改革とかあるいはまた交付税率の引き上げ等も含めまして十分検討を加えてまいりたいというふうに考えております。
  67. 小川省吾

    小川(省)委員 十分検討を加えるだけでは困るのでありまして、地方財政確立に向かって努力をしていかれるのかどうか、その辺のところをひとつ伺っておきたいと思います。
  68. 天野公義

    天野(公)国務大臣 地方財政の充実に向かって努力をするということは前提の話でございまして、当然のことでございます。
  69. 小川省吾

    小川(省)委員 同僚の佐藤委員の方からかなり触れられておりますから簡潔にお伺いをしたいと思います。  最近、土地保有税をめぐる論議が大変かまびすしくなっております。私どもの任期中に決めた税金でありますから承知をいたしておりますけれども、自治省として、土地保有税が地方財政に対してどのような効用を果たしてきているのか、いわば地方財政についてどのような効果を上げているのか、まずその点について伺いたいと存じます。
  70. 森岡敞

    ○森岡政府委員 特別土地保有税を中心といたします地方税における土地税制は、収入目的と申しますよりはやはり土地対策、国民に安定した価格で優良な宅地を供給していく、そういう土地対策を補完するための税制ということで設けられたものと考えております。なお、ただ税収入は創設後かなりふえてまいりました。昭和五十一年度の収入見込みでは約七百九十七億円になっております。一番ピークは四十九年度でございまして、一千七十六億円でございますから、それに比べますと漸次収入額は減ってきております。これは国土利用計画その他の土地対策あるいはこの特別土地保有税等の各種の税制も相まちまして、土地のいわば投機的な売買というものがだんだん抑制されてまいった、それに伴って土地の取得分に対します特別土地保有税の収入が漸次減ってきておる、こういうことからそういう姿に相なっておるわけでございます。なお、七百九十七億円という収入額は地方税全体では約〇・九%、一%未満の割合を占めております。
  71. 小川省吾

    小川(省)委員 苦しい地方財政についてかなりの効用を果たしているということがわかるわけであります。土地が列島改造ブームの時期に投機の対象として買い占めが行われて、石油ショック以降鎮静をして土地が動かなくなって、先ほどの国土庁のようなわけのわからぬ、幾ら説明を聞いてもわけのわからないような実は論議が出てきているわけですが、国土庁や建設省の動きというのは、何といいますか、まさに企業寄りの、企業べったりの、従来の田中内閣の時代と同じ発想だというふうに思うわけです。そういう都合のいいときには投機の対象として大きくもうけて、いま動かないようになって泣きついているというふうな状態はまさに筋違いだと思っておるわけであります。およそ資本主義の経済の中では、利潤があったりあるいは損失があったりするのは当然のはずであります。こういう業者の要望をそのまま通していくようなことがあってはまさにこれは内閣の姿勢として困るわけであります。  所管の自治省として、自治省の言い分は先ほど聞きましたけれども、まさに自治省の言い分どおり貫いていかなければならないというふうに実は思っているわけであります。これは自治省と国土庁、建設省という各省庁にわたる問題でありますから、私は総理大臣と官房長官を実は呼んだわけでありますが、党務多忙のためか、どうしても来られないという話でやむを得ないのですけれども、大臣ぜひひとつ、いまちょっと若干あいまいな決意であったわけでありますが、自治省税務局で言われるような正しい、これは全国民が支持しているような主張を貫いて、いやしくも業者や不動産業者の言い分にあるような方向に行かないようにぜひやってもらいたいというふうに思っておりますけれども、大臣いかがですか。
  72. 天野公義

    天野(公)国務大臣 先ほど申し上げましたとおりでございまして、従来の自治省の方針を堅持してまいる所存でございます。
  73. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつそういう決意で臨んでほしいと思っております。  それから近々のうちに実は公務員給与の閣議決定がなされるはずであります。従来自治省は閣議決定が行われる際に、当然地方公務員の給与を預かる担当省としていろいろ発言をされてきたわけですが、ややもすれば私どもの受けとめ方としては、いわゆる合理化を進めたりあるいは賃金の抑制をするような発言を閣議決定の際にされたやの記憶を実は持っているわけでありますが、公務員給与が一日も早く決定をされるように、閣議決定に当たっては積極的に国家公務員と同様に同じベースで地方公務員の給与改定が行われるように、自治大臣にその公務員給与決定の閣議には臨んでもらいたいというふうに要望をするわけでありますが、いかがでございますか。
  74. 天野公義

    天野(公)国務大臣 そのとおりでございます。
  75. 小川省吾

    小川(省)委員 わかりました。ぜひそういう形で臨んでいただきたいと思っております。  それから自治省は例によって、給与改定について閣議決定が行われますと、これに沿って次官通達を出してくるのが例であります。これは大体従来賃金合理化であるとかあるいは抑制の面をかなりうたったような次官通達になっているわけであります。本年は国に準じて足並みをそろえて早期に改定が実施をされるような通達にして締めくくっていただきたいというふうに思っているわけでありますが、特に閣議決定があれば、地方は当然同時に、この公務員給与はこの臨時国会中に決定をされるはずでありますから、ぜひ足並みをそろえて同時に進行されるような形で措置がされるように指導をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  76. 植弘親民

    植弘政府委員 若干通達等の事務的な問題でございますので、私からお答えさせていただきます。  国家公務員の給与改定につきまして閣議決定が行われました場合には、当然地方公務員につきましてもこれに準じて給与改定をお願いするということは先ほど大臣からお答えしたとおりでございますが、その際、従来のとおりにやはり次官通牒をもちまして閣議決定を行われた旨、それから同時にまた地方公共団体が給与改定を行うについての心構えといったようなものにつきましての通達を出す予定にいたしております。
  77. 小川省吾

    小川(省)委員 心構えその他の通達を出すことはわかるのです。しかし私の言ったのは、当然従来ややもすれば地方公務員の給与改定はおくれるわけですから、いわば同時に行われてよろしいわけですから、足並みをそろえて早急に実施できるようにぜひひとつ、そういう意味で合理化抑制の項を除いてそういう通達を出してほしいというふうに言ったわけなんですけれども、いかがですか。
  78. 植弘親民

    植弘政府委員 もちろん閣議決定が行われましても、法案が国会に提案され、そして一般職の給与法等が可決されるという段階になってまいりませんと、地方団体の方の改定はちょっと困るわけ一でございますので、その点につきましては、基本的には国家公務員に対して行われます場合には地方公務員にも改定をという基本方針は変わりございませんが、やはり国会の審議状況等も考えながら適宜、適切に地方団体には連絡をさせていただきたいと思っております。  また、いまお言葉でございましたが、国家公務員より水準の高いところは昨年どおりやはりこの際適正化の努力もあわせてお願いしたい、こういうふうに思っております。
  79. 小川省吾

    小川(省)委員 その辺のところは後で言いますからいいですが、足並みをそろえて、中央の動向を見ながらやれという指導をするということですね。わかりました。  そこで、私は自治省公務員部に少し発想の転換をしてもらいたいと思っているのです。並行して早くやってもらいたい、そういう指導通達を出してほしいわけですが、従来適正化だとか何だとかという名目をつけて賃金の合理化をやるような、公務員の給与を切り下げるような方向ばかりを自治省公務員部は指導してきたわけですね。恐らくラスパイレスは、昨年の強引な指導でかなり国並みに下がったと思うのです。恐らく一〇八か一〇九ぐらいまで下がってきたと思うのです。これは大体国家公務員ベースと同じだというふうに私どもは理解をいたしておるわけであります。五十一年度のラスパイレスを九月末には発表しますよというふうに通常国会の中でお約束をしてきたわけなんですが、早急に出してほしいと思うのです。最近、官庁速報などで若干漏れているようでありますが、漏れていてまた問題になってもしようがないので、ひとつ早急に出してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  80. 植弘親民

    植弘政府委員 ラスパイレス指数の問題でありますが、九月末にというお約束はしていないと思います。いま五十一年四月一日現在のを精査中でございます。先般、御指摘のニュースが出ましたのは、実は私の方から出たのでございませんで、ある県の人事委員会が当該県の給与改定についての報告を行います際の資料として、それぞれ各県と資料交換をやったものをつけたようでございます。私どもがいまそれを点検してみましても、すべてが正確ではないようであります。大体の傾向はそんなようなところだろうと私ども思います。いま精査中でございますので、ラスパイレス指数につきましては早い機会にと思っておりますが、例年大体一月ごろにしかなっておりません。一遍出しましたのは、あれは前々年のものでございますので、毎年は、精査の結果は大体一月ごろに出してございます。できるだけ早い機会にと思っております。いまのところはまだ、非常に変動のあったりするところについてはどうしてそういう変動があるのかといったような調査もしてございます。一般的に、マクロで見ますと、先生御指摘のように、都道府県では大体二%程度落ちているのではないかと思います。指定都市で一%程度ではないだろうかというふうに見ております。しかし、それでも、昨年非常に努力していただきましたところにつきましては相当適正化が進んでおりますけれども、ほとんどやっていないところもございますし、その意味では、先生にお言葉を返して恐縮でございますけれども、私どもはまだまだそれほど適正化の効果が上がったとは見ておりません。県によっては非常に効果が上がったところもございますけれども、ほとんどやっていないところもございます。したがって、そういったなお適正化を必要とするところは当然にことしもまた適正化をお願いしなければならぬ、こういうふうに考えております。
  81. 小川省吾

    小川(省)委員 言葉を返されては困るのですよ。義務教育国庫負担も大体一〇八ぐらいですよ。そうなりますと、大体国並みになったというふうに私どもは理解をしております。  それから、ラスパイレスの問題は、一月末なんと言わずに、新しい給与課長が張り切ってやっているのですから、ひとつ早急に出してもらいたいと思っております。  それから、一つ再確認なんですが、私は人事院勧告が出る直前、八月六日に公務員部長に賃金問題でいろいろ質問しましたね。そのときの再確認なんですが、特に自治省が渡りを規制をしている。この渡りの論議の中で公務員部長は、だれでも一等級まで行けるような通し号俸的な渡りについては規制をしたい、しかし、私は国の例を挙げて言ったのですが、四、三、二であるとか五、四、三であるとかというふうな複数格づけ、国と同じようなものについて規制するつもりはない、通し号俸的な渡りについては規制をしたいんだということを言われたわけですが、そうですね。
  82. 植弘親民

    植弘政府委員 私はそのようにお答えしたつもりはございませんで、実はこういうような非常にひどい例がある、これでも先生、渡りはよろしいのでしょうかということで申し上げたのでございまして、やはり原則は職務給の原則によりまして一職務一等級というのが原則でございます。ただ、たとえば農業改良普及員といったような特殊な専門職につきましては、一等級だけでは困るので、二等級といったものを認めた例もございます。したがって、本来であれば一職務一等級ということが原則でございます。私がこの前申し上げましたのは、渡りがいかに給与制度の運用を乱しているかという意味で例として申し上げたのでございまして、あれだけがいかぬというつもりで申し上げたのではございませんで、もしそういう意味でございましたら訂正させていただきたいと思います。
  83. 小川省吾

    小川(省)委員 訂正しては困るよ。議事録をよく読んでみなさいよ。私は、国の例で、国の係長が五、四、三だとかあるいは四、三、二だとかというふうに、理事官とかいろいろな名称も使っておるけれども、そういうことでちゃんと人事院と総理府も認め、自治省もそういうふうにやっているということを認めて言ったのですからね、そんなその場限りの答弁をされては困る。ですから、そういうことで当時はいわゆる通し号俸という言葉を使わないで、あなたは青天井と言ったけれども、青天井のようなのでは困るので、こういうのは規制をしたいのだと言ったのです。その点は議事録をよく読み直してください。自分で言った言葉ですから、責任を持ってくださいよ。  そこで、私は発想の転換を求めたいというのは、あなた方は何が何でも規制をするとか抑制をするというような方向をとるから、職員団体との間に無用な混乱が起きるけれども、そういう方法ではなくして、たとえば市町村の課長であれば国の二等級までは行けるとか、係長であれば国の三等級まではいいとか、あるいは平職員でも国の四等級まではいいんだとかというような形で、規制をするとかあるいは禁止をするということじゃな くて、そういうような方向での指導をやっていくことによって、かなりトラブルも解決をされるというふうに私は思っているんですが、そういうような方向に実は発想の転換をしてもらいたいと思っているんです。  ところが弱った問題があるんですよ、部長。あなた、一等級まで通し号俸でだれでも行けるような渡りじゃ困るのだと言われたけれども、実は給料表自体が耐用年数が来ているわけですよ。昔のままの給料表を使っているところがありますから、町村などでは四等級で国の五等級やそこらを一等級に使っていますと、三十五年も勤めた総務課長が三十五年たっても国の平職員くらいの給料しかないなんという県もあるのですから、こういうところは困るので、そういう点についてはやはり給料表等についても当然、抑制なり禁止をするならば、そういうふうな点も含めて指導してもらわないと非常に困る問題でありますので、これは私の方からも適正化という言葉を使おう、あなたの方はつまらない禁止や抑制の指導ではなくて、そういう意味での適正化の指導もやってもらわぬと実際の各地方公共団体の機構は死んでしまいますからね。そういうような生きた指導も今後やってくれますか。
  84. 植弘親民

    植弘政府委員 いま先生がおっしゃっていますのは、各地方団体における給与構造といいましょうか、等級制の決め方だと思います。  これにつきましては原則的に、四十七年の研究会の結果を待ちまして通達を流しまして、県の場合では大体七等級制を原則とし、必要な場合には八等級にしてもよい、それから市の場合には五等級制を原則として、その地方団体の状況によってやってよろしい、こういったような趣旨の通達で指導いたしてございます。したがって、いまの先生のおっしゃるような場合でもしそういうようなのがございますれば、それは何か等級表のつくり方の問題ではないかと思いますが、具体の問題だったらばまた調査をして指導さしていただいても結構だと思っております。
  85. 小川省吾

    小川(省)委員 きょうは十分時間が与えられていませんので大変苦しいのですが、どうですか、抑制や禁止の発想を転換する気はありませんかね。いたずらな労使の紛争や、いたずらな地方自治体と自治省が紛争ばかりしていてもしようがないので、地方自治の実は上がりませんので、特にそういう点で発想の転換を少しする気はないかどうか、ひとつお聞きしたいと思います。
  86. 植弘親民

    植弘政府委員 やはり制度なり運用は、乱れておりますものは常に従来から私どもとしてお願いしてきたところでございますし、適正化の方向で進んでいただきたいということはお願いせざるを得ないと思っております。
  87. 小川省吾

    小川(省)委員 大きく乱れているものについては、私は特別な例外について言っているわけじゃないので、自治省の字引は何を使われているのか知らぬけれども、自治省の適正化という言葉は実にあいまいもこに使われるわけですよ。そういう点では、本当の意味で普通の辞書に書いてあるような適正化の指導をしてもらわぬと困りますので、ぜひひとつ、私が言った趣旨はよくわかるはずなので、そういう点を踏まえながら今度の給与改定については対処をしてほしいと思います。  それから最後に、要望を一つ申し上げておきたいのですが、従来、労使が交渉をして話し合いをして予算を付して議会へ出します。こういう場合に、議会で修正になったり通らなかったりという、まるで仲裁裁定よりも―仲裁裁定の処理にも見られないような状態が間々地方で起こる場合があるわけであります。こういう点が今後起こらないように、ぜひひとつ全自治体や各議長会等に指導をお願いしたいと思っておるわけでありますが、いかがですか。
  88. 植弘親民

    植弘政府委員 先生よく御承知いただいたと存じますが、地方公務員の給与につきましては条例主義でございます。条例で決めることになってございます。したがいまして、条例の審議に当たりまして、議会が本来の議会の審議権を行使されることにつきまして私どもがとやかく言うわけにまいらぬと思います。やはり、なるほど先生がおっしゃいますように、労使の交渉によってある程度話がまとまったものを尊重しなければならないということは地方公務員法にもその精神はうたってございます。したがって、そういった労使交渉の結果というものを尊重するということと、議会が本来の審議権に基づいて審議するということの調和の問題であろうかと思います。その意味では、労使交渉が正常な形、正常な姿で行われることを期待いたしますし、議会の審議権も当然法律に基づいた形で正常な審議を行われることを期待するということしか言えないと思います。
  89. 小川省吾

    小川(省)委員 あなた、それは優等生の答弁だよ。あなたにしては上できな答弁だけれども、そうじゃなくて、ちゃんと予算提案権を持つ理事者が労使交渉の結果に基づいて予算を付して出すわけですからね。それを否決をされるなんということはあり得ないはずなので、そういうことがしょっちゅうあるわけじゃないのだけれども間々ありますから、そういうことのないように指導をしてもらいたいということです。わかりますね。
  90. 植弘親民

    植弘政府委員 当然、議会はその審議権に基づいて正当な行使をしていると思うのでございますが、私は、そんなに審議権が乱用されたというようなことは聞いたことございませんので、そういうことがないように期待いたします。
  91. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひ乱用されないように。最近でもあったでしょう。百条調査権の乱用などがあったわけですから、そういうふうなばかなことがないような議会の良識をとるような指導も、自治省大変だろうが、ぜひやってもらいたいと思います。  それから次に、共済組合問題について伺います。細かい問題に入りますので、これは公務員部長若干無理な点があるだろうと思っていますから、福利課長さんの方にお願いをします。公務員部長は、必要だと思ったら答えてください。  実は、共済組合の短期の経理がかなりピンチな状況にあるようです。五十年度決算や五十一年度の事業計画の状況についてはどんなふうになっているのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  92. 桑名靖典

    ○桑名説明員 事務的な問題でございますので、 私からお答え申し上げます。  地方公務員の共済組合の短期給付経理につきましてその収支の状況は、四十九年度の決算では、収入額が二千八吾二十億、それに対しまして支出額が二千五百六十億となっておりまして、差し引き二百六十億の黒字になっていたわけでございます。しかしながら、各共済組合の短期給付の財政状況は、四十九年を境といたしまして五十年度から急速に悪化をいたしまして、年度当初の事業計画によりますれば、収入額が三千二百六十三億、それに対する支出額が三千三百四億、差し引き四十一億の赤字を見込んでおるような状況でございます。決算では、医療費の自然増の伸びが大きかったのに対しまして、給与改定も小幅であったこと等からいたしまして三百四十三億の赤字を生じているわけでございます。  ちなみに地方職員共済組合の場合を申し上げますれば、収入額が四百四十億に対しまして支出額が五百五億でございまして、差し引き六十五億の単年度赤字が生じているわけでございます。  そこで、ただいまお尋ねの五十一年度の短期経理の状況につきましては、医療費の引き上げ幅、給与のベア幅等いまだ確定しない未確定要素がございますために、その収支の見込みをいまの段階で積算することは非常にむずかしいわけでございますけれども、各共済組合の事業計画を集計したところによりますと、支出額が三千五百七十億、収入額が三千三百九十一億、差し引き百七十九億の赤字を計上せざるを得なくなっている状況でございます。  地方職員共済組合におきましても、五十年度単年度で六十五億ばかりの赤字を生じまして、前年度からの繰越剰余金が五十億あったために差し引き十億の赤字を五十一年度に繰り越す結果になっておるわけでございます。五十一年度は、単年度で五十億近い赤字が予想され、前年度からの繰越赤字を加えますと、累積赤字は六十億を超す赤字になるのではなかろうかというふうに私どもは考えているわけでございます。
  93. 小川省吾

    小川(省)委員 きょうは余り時間をもらってないので、福利課長、余り微に入り細に入り答弁しなくてもいいから、簡潔に答えてください。  それから、最近どうも掛金率がかなり上昇をしてきているようですが、通常国会の中で、一定率以上になった場合には何らかの救済措置をとるというふうに約束をされたわけですが、どうなっているでしょうか。
  94. 桑名靖典

    ○桑名説明員 各共済組合の短期給付の財政状況は、ただいま申し上げましたように、四十九年度を境といたしまして五十年度から急速に悪化いたしているわけでございまして、五十一年度の財源率を算定いたします際も相当の高率を余儀なくされているわけでございます。一部の市町村職員共済組合におきましては、法定給付に要する費用の財源率だけで千分の百を超える組合もございまして、何らかの救済措置が必要となってきていることは御指摘のとおりでございます。  これらの状況にかんがみまして、私どもといたしましては、昭和五十一年度における短期給付の所要財源を設定いたします段階におきまして、法定給付に要する所要財源が千分の百を超える組合につきましては、組合員の負担の過重を考慮いたしまして財源率を千分の百にとどめることといたしました。このことから生ずる不足金につきましては地方公共団体の負担において処理することをただいま検討している段階でございます。
  95. 小川省吾

    小川(省)委員 まだ検討中なんですが、ぜひひとつ早急にやってもらいたいと思うのです。大分掛金が上昇をしてかなりの声が聞かれていますから。  それから、短期がいま言われたように、赤字が予想される場合に、同じ共済組合員の中なのですから、私は長期の資金の中から借り入れをしたらよろしいと思うのですが、その点はまさか不可能ではないと思うのです。確かに長期と短期の経理は違うわけでありますが、長期の方からの借り入れということは可能ですか、どうですか。
  96. 桑名靖典

    ○桑名説明員 共済組合の短期経理の収支は、御案内のように当該年度に予想される支出額を当該年度の掛金と負担金の収入で賄うことが原則とされておるわけでございます。したがいまして、短期給付の所要財源を算定いたします際に、当初から赤字を出すことを前提とした財源率の設定は許されないものでございます。  また、当該年度に予想される支出の一部を、いま御指摘がありましたように、長期経理からの借入金等で賄うことにつきましては、長期経理からの借り入れについては年五分五厘の利息を付して返さなければならないという問題もございますし、その支払い利息の発生、あるいは借入金の返済資金の捻出のためにさらに財源率を引き上げるという波及も出てくるわけでございます。さらには借入金の償還と利息の支払いを次年度以降の掛金、負担金収入によって賄うということにつきましては、先ほど申し上げました短期経理の収支が単年度収支均衡のたてまえをとっていることから考えまして、そのたてまえを崩すことは適当でない、こう考えているわけでございます。
  97. 小川省吾

    小川(省)委員 単年度主義をなぜとるのか、私はわからないのですが、長期経理から借り入れることは不可能なのですか、可能なのですか。どちらですか。
  98. 桑名靖典

    ○桑名説明員 当該年度におきまして、支払い基金等に対する支払いのために一時的にその資金を借りることは、これはやむを得ない措置ではなかろうかと思いますけれども、年度をまたがるような借り入れ、あるいは支払い準備金の額を超えるような多額の借り入れを認めることは制度のたてまえから適当でない、こう考えているわけでございます。
  99. 小川省吾

    小川(省)委員 私は、単年度主義をとることについても異論があるのですが、ぜひひとつ、これについては長期からの借り入れということを検討してほしい。強く要望をいたしておきます。  それから、常々主張しているのですが、政管健保のように公的負担を導入をしていくべきだということを常に言っているわけでありますけれども、その点はどうなのか。  また、掛金について費用の折半負担にも――現在、折半負担ですけれども、私どもは民間のあるところが実施をしているように、使用者が七〇%、労働者である被保険者は三〇%というような形に負担の区分を改めて組合員負担を軽減すべきだというふうに思っていますが、この点についてはいかがですか。
  100. 桑名靖典

    ○桑名説明員 第一点の公的負担の導入の問題でございますが、政管健保における公的負担の導入は、御案内のとおり四十八年の健康保険制度の改正の際に、政管健保につきまして、財政の健全化を図りますために、公的負担の導入が図られたわけでございます。その際は保険料率を千分の七十から七十二に引き上げると同時に、保険料率を、健保財政の状況に応じまして社会保険庁長官が上下〇・八%の範囲内で引き上げるいわゆる弾力条項の規定が設けられ、さらには標準報酬の等級階層あるいは標準報酬の上下限が引き上げられたことに伴いまして、取り入れられた措置であると私どもは理解いたしているわけでございます。  さらには、いま御指摘の労使七〇、三〇の比率という御質問でございますが、共済組合における短期給付は社会保険制度の一環として行われているわけでございまして、これに要する費用は、本来使用者たる地方公共団体と被用者たる組合員とが折半で負担すべきものでございまして、地方公務員等共済組合法におきましてもこのことを明定しているわけでございます。特に、社会保障制度審議会等におきましても、三十七年の社会保障制度審議会の勧告にも、労使折半の原則を貫くべきだということを言っているわけでございます。特に、共済組合につきましては、仮に事業主負担ということにいたしましても、それは一般の納税者の負担で賄われるものでございまして、安易に労使折半の原則を改めますことは、国民のコンセンサスを得る上においても非常にむずかしい問題ではなかろうかという感じがいたしておるわけでございます。
  101. 小川省吾

    小川(省)委員 言い分はわかりました。むずかしい問題ではあろうけれども、大分被保険者の負担がふえてきておる折ですから、ぜひ検討をしてみてください。やってみれば意外と国民のコンセンサスも得られるかもしらぬから、ぜひ検討してみてもらいたいと思うのです。  それから、ことしの短期の財源率の計算についてどう指導されたのか。いやに問題が多いようであります。  それからあわせて、悪化をしてきている短期経理を、今後組合員の負担を大幅に上げることのないよう、どんなふうに指導をしていかれようとしているのか。今後の指導方針、ことしの財源率の決定についての指導の仕方、この点について伺いたいと思います。かなり問題が多いようです。
  102. 桑名靖典

    ○桑名説明員 本年度の短期財源率の決定に当たりまして、医療費の高騰であるとか、あるいは掛金、負担金の伸び率の鈍化などの理由によりまして、各共済組合の短期経理が非常に窮屈になっておりますために、私どもといたしましては、緊急の措置といたしまして、法定給付にかかる財源率が千分の百を超えることが見込まれる組合につきましては、千分の百に調整することができることにいたしたわけでございます。その措置に合わせまして、医療費の適正化を図りますために、レセプト審査の励行であるとか、あるいは短期給付の実態の組合員へのPRその他の各般の努力を尽くすことを各共済組合に指導しているわけでございます。  このような緊急措置に該当しない組合につきましては、単年度において収支の均衡が得られるよう必要な財源率を設定すべきものとして、いろいろ指導してまいったわけでございます。  先ほど御指摘がありましたように、短期給付について地共済法で単年度主義をうたっているわけでございますけれども、これは医療給付を初めとする短期給付というものは、長期給付と違いまして、疾病等の給付事由が発生いたしました際に給付を行うことといたしている性格のものでございまして、その給付の性格上短期間において収支の均衡を図ることが公平であるというふうに考えているわけでございます。  さらに、もし仮に短期給付について長期間に収支の均衡をとることを制度的に認めると仮定いたしますならば、当該年度に生じた赤字を後代の組合員が負担することになりまして、短期経理における当代負担の原則が崩れることになりますし、組合員の世代間の負担の均衡が図られなくなるおそれがあるわけでございます。  そこで、本年度の短期経理の状況が悪化していることに対処いたしまして、私どもといたしましては、千分の百を超える組合につきましては千分の百にとめることにいたしておるわけでございますが、法定給付の費用の見込み額が千分の百を超えるような組合につきましては、組合員の負担の限界を考慮いたしまして、何らかの財政措置を講ずることにいたしているわけでございます。しかし、その財源率が千分の百を超えない組合につきましては、健康保険組合における保険料との負担の均衡をも考慮いたしまして、組合員の負担はそれほど過重でもないというふうに考えられますので、地共済法の規定によりまして、単年度収支の原則によりまして、五十一年度において収支の均衡をとるために、年度中途におきましても短期の財源率の引き上げを行うよう指導しているわけでございます。  なお、地方職員共済組合におきましては、先ほども申し上げましたように、五十一年末に予想される赤字額が六十億を超えるわけでございますので、下半期においてこれを調整いたしますとすれば、財源率を千分の十八以上上げなければならないような事態になっておりまして、もし引き上げ時期がおくれればおくれるほど、上げ幅は大きくなってくるわけでございまして、昭和五十二年度にこれを措置しようといたしますならば、千分の二十一以上財源率を上げなければ収支の均衡が賄えないという事態が予想されますので、地方職員共済組合につきましては、年度中途においても財源率の改定を行うことを期待いたしているわけでございます。
  103. 小川省吾

    小川(省)委員 わかりましたが、いずれにしても問題が多過ぎます。ですから、こういう時期ですから、組合員が負担をすべきものは負担をするというのはよくわかるんですが、ぜひひとつ大幅引き上げにならないような適正な指導をお願いをいたしたいと思います。これは要望いたしておきます。  そこで、労働省に若干伺いたいわけなんですが、全国のギャンブル産業に働いている労働者の問題でありますが、大体全国的にはどのくらいの数がおるんですか。
  104. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 いま先生おっしゃいました、いわゆる公営ギャンブルに働いている労働者の方々でございますが、競馬、競輪、競艇、オートレースと四種類ございます。中央競馬会を含めまして競馬関係で八万二千、競輪で六万、競艇で二万四千、オートレースで四千、合わせまして十八万人程度の方々が働いているというように承知しております。
  105. 小川省吾

    小川(省)委員 全部で十八万ですよね。実に膨大な人数だろうと思うんです。この種の職群の労働者がギャンブル産業で働いているわけですけれども、これらの人たちの労働条件というのは非常にまちまちで整備がおくれているというふうに、前近代的な状態になっているんではないかというふうに実は恐れているわけであります。  それで、緊急に整備をしていかなきゃならぬと思うのですが、きょうは労働問題は別として、時間がありませんから、特にこの人たちの福祉施策といいますか、社会保険等の状態についてはどんなふうになっているのか、若干労働省の方で直接おわかりにならない点もあるのだろうと思いますが、大体月間十四、五日ぐらい開催日に働いている労働者なんですね。しかし、給料がいいとか悪いとかというのは別として、大体民間の中小零細企業の月間働いているぐらいの、大入り手当とかいろんな手当を含めてそのくらいの収入を取っている方が多いわけです。中にはパートの人も多いわけですが、実際には未亡人などでこれを生活の主にしている人もいるわけですね。当然そういう人たちは健康保険などにも加入できる状態にあろうと思うのですけれども、こういう人たちの福祉施策についてはどんなふうになっておられるのか、若干お尋ねをしたいと思います。
  106. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 中央競馬会を除きまして、これらの方々が働く場合には、地方公共団体主催の事業で雇われるわけでございまして、その施行主体であります地方公共団体がこれらのギャンブルを実施する開催期間につきましては、いろいろな形がございます。したがいまして、その雇用される労働者につきましての就労日数等につきましても、極端な場合にはアルバイトのようなその日限り、一日限りというのもございますし、半ばこれを本業といたしておりまして、開催の都度雇われるというような方もおられるわけでございます。いずれにいたしましても、開催日または開催日の前日等を含めまして、臨時的な雇用形態をとっているのが例でございます。  ただ、多くの方々は登録制または登録に準ずるような制度になっておりまして、一定の固定した層、主として主婦の方が多いそうでございますが、固定した層の方々が断続的に雇用されるという雇用形態をとっているわけでございます。  賃金についてでございますが、これもピンからキリまでございまして、日給で三千円弱のものから、人によりまして、また業種によりましては、一万円余というような方もあるわけでございます。  労働時間につきましては、労基法では九時間までこの種の事業は許されるわけでございますが、おおむね八時間程度になっております。  もちろん、これらの方々が業務上負傷、疾病等にかかった場合につきましては、共済保険の適用があることはもちろんでございます。
  107. 小川省吾

    小川(省)委員 厚生省にもおいでをいただいておりますので、主管は厚生省なんでしょうが、現状と方向をお答えいただきたいわけです。そうするとこれらの人たちは、パートの人なんかは別ですけれども、生活の主体として勤めておられるような人の場合、施行団体と話し合いをしていけば、当然社会保険の適用を受けられるはずだろうと思うのですが、そういう道があるのかどうか、一言だけお伺いをいたしたいと思います。
  108. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 こういう競輪、競馬、競艇などの職場で働いておられる方につきまして、社会保険の適用がどうなるかというお尋ねでございます。  社会保険と申しますと、大きく分けまして医療保険それから年金保険というような制度が私ども関係でございますけれども、さらに医療保険につきましても健康保険、日雇い労働者健康保険、国民健康保険といったように幾つか種類が分かれるわけでございます。健康保険につきましては、一定の事業所におきまして常時勤務する職員の方について適用がございますが、こういった雇用の形態が日雇いと申しますか、日々雇い入れられる形態あるいは臨時に雇用されるという、そういう方につきましては健康保険の適用はできないことになっておりますけれども、日雇労働者健康保険という制度がございまして、これの適用対象になるわけでございます。  ただ、日雇健康保険の場合には、実際に給付を受ける場合、すなわち病気になって病院に行って診療を受けるとか、その他各種の手当金を受けるというような場合には、そういった給付を受ける以前の二ヵ月の間に二十八日以上あるいは前六カ月の間に七十八日以上という一定の就労日数というものが必要になってまいりますので、一月の間に就労日数が非常に少ない場合には、この給付が実際上受けられないという問題も出てまいります。しかしながら、一月に平均して十四日以上程度の就労実績が大体確保されるような方であれば、日雇労働者健康保険の適用が可能でございます。なお、そういった健康保険、日雇労働者健康保険についても適用がない場合には、当然国民健康保険の適用がございます。
  109. 小川省吾

    小川(省)委員 わかりました。日雇労働健保の適用があるということですね。いずれにしても、これだけ十八万近い職群の労働者がいるのですから、労働条件を近代的に整備をし得るような状態についてぜひ検討してほしいと思っています。  最後に、農林省にお尋ねをいたします。先ほど、同僚の佐藤委員の方から御質問がありましたから、簡単にお伺いをいたします。  遠くの山に初雪の便りが聞こえるようになってまいりました。またことしは例年よりも早く、近いところにも初霜の訪れを聞くころでございます。新聞報道によれば東日本の冷害が先ほどの佐藤委員の質問のように非常に深刻であります。私の住む群馬あたりでも平地でも平年作の半分というような状態、ちょっと二、三百メートルの高地になれば収穫にならぬようなところが続出をしているわけであります。八月の平均気温は平年より三・二度低く第一次の低温で、日照時間は平年の四五%、大正十二年の気象台開設以来だ、これは盛岡気象台の発表であります。まさに全国、全世界的な、グローバルな異常気象だというふうに思っています。農林省の公表をしている作況指数がいかがであろうとも、いずれにしても夏の低温あるいは出穂の時期の異常気象、必要な時期における日照時間の不足、こういうもので深刻な冷害農家をまさに思案投げ首、危機に陥れておののかせておるわけであります。食糧自給政策をとるべき農林省がちょっとした冷害、異常気象ぐらいであわてふためくこと自体が、近代農業を総合的に進める農林省としては、まさにこれこそ異常だと言わなければならぬと思うわけであります。  そこで伺いたいのは、冷害をどう受けとめて対策をどう進めていかれるのかという点であります。先ほどの佐藤委員への説明でおおよそわかりましたが、実際に補正予算は組んでいかなければならぬというふうに思っていますけれども、ぜひひとつ簡潔に聞きたい。  それと関連をして、自治省は給与改定予算もあり、冷害、十七号関連の予算もあり、そういう点では従来言ってきた三千万円の予備費では足りないと思うけれども、何としても補正予算を組まなければならないのじゃないかと思いますが、その辺のところ財政の見通しについてはどうなのか、伺いたいと思います。
  110. 石川弘

    ○石川説明員 四年間豊作が続きました後の冷害でございますので、私ども大変深刻に受けとめております。  対策といたしましては、まず何よりも農業共済金の早期支払いを行う必要があると思っております。損害評価等も事務を進めておりまして、年内に農家の方に共済金が必ず渡るように準備をいたしております。  その次に経営資金でございますが、御承知の天災融資法あるいはそれをさらに強化いたします激甚災法の適用をいたすことにいたしております。実施の時期は、数量その他を確認する必要がございますので、十一月になりますけれども、これを必ず適用するということをすでに決めております。その間つなぎの資金が必要でございますので、つなぎ資金につきましても、すでに十月五日でございますが、農林省から関係金融機関あるいは都道府県等についてお願いの文書を出してございます。  それから特に激甚な方につきましては、既存の融資その他を借りかえる、その他いろいろな措置が必要でございますので、先生御承知でございましょうが自作農維持資金という特に低利、長期の資金がございますが、これの枠を確保しますし、さらにその貸し付け限度等についても特例を設けなければならないと考えております。  それからそのほかに必要なものといたしまして、たとえば次期作の種子の確保等が必要でございますが、これも前例等にも従いまして転換調整その他もいたしますほか、所要の購入資金につきまして助成することも検討いたしております。  それから、先ほどもお話がございました雇用確保ということがございまして、これも既存の各種公共事業等につきましても災害を受けられた方の雇用を極力確保するようにということにいたしますけれども、それのみでは不十分と考えておりますので、現在各県からいろいろなデータ等をいただいておりますので、新たに救農土木といいますか、どちらかというと賃金比率の高い事業でできるだけ冷害にも恒久的に対応できるような土地改良事業等を中心としました事業を追加すべく、現在検討し、計数整理をいたしておる段階でございます。これはそう時間がかからないことでございますので近日中にやることにいたしております。  もう一つ、規格外米の買い入れ等、これも何度かお話ししていると思いますが、食糧として配給可能なものにつきましては自主流通に回して販売する努力はいたしますけれども、どうしても政府が買い入れなければいかぬようなものについては所要の措置を考えているわけでございます。  財源でございますが、融資等につきましてはほとんどが財源はむしろ次年度以降のことでございます。直接問題となりますのは農業災害補償制度なり、あるいは先ほど申しました雇用確保のための土地改良事業の追加といったようなものが新たな財源を必要とするかと思いますが、これらにつきましてはすでに財政当局ともいろいろ話をしておりまして、所要のものは予備費で支出するということを財政当局も言っておりますので、われわれは必要な額につきまして要求をするつもりでございます。
  111. 小川省吾

    小川(省)委員 いろいろこれからお聞きをしていきたいような点についても対策をほぼとられているようですから、ぜひ万全の対策をとっていただいて、農民が困らぬような方法、困っている農民に対する救いの手を存分に伸していただきたいということを要請いたしておきます。  そこで、米をつくる農民が、売りたくとも米がとれない、そして配給を受けるにも銭がないということですから、当然いま言われたように救農土木を起こしていかなければならぬわけですが、先ほど自治省の説明では裏負担については大蔵はめんどうを見るんだということでありますが、こういう救農土木の起債については要求があれば認めていくという方針をおとりになるわけですか。
  112. 首藤堯

    ○首藤政府委員 救農土木事業の実施が必要であろうと私どもも考えておるわけでございます。この救農土木事業につきましては、現在の地方財政の状況でございますから、これを国庫補助事業、国庫負担事業として実施していただきたい、ぜひ国庫補助負担をつけていただきたい、こういうことで各省にもお願いをいたしまして、各省ともそういった方針で総枠の設定等の作業をやっていただいておるわけであります。したがいまして、国庫補助事業として実施をされますならば、これに裏負担がつきますが、これについては地方債をもって万全の措置をとりたい、こう考えておるわけであります。
  113. 小川省吾

    小川(省)委員 こういう時期こそ、私は思うのですが、いわば、米の買い上げ限度数量ということで実際につくった米をある一定量しか買い上げないという制度をとっておられるようですけれども、全量買い上げを実施して対策を立てていかなければならぬと思いますが、その点はどうか。  それから、西日本の水害どもあるわけですから、作付制限を米作に対してはやっているわけですけれども、この際米作に対する考え方というのを食糧自給の見地からも抜本的に見直していくべき時期だというふうに思っておりますけれども、その点についてはいかがですか。
  114. 野明宏至

    ○野明説明員 お答えいたします。  災害により発生する低品位米につきましては、被害の著しい特定の地域のものにつきまして、主食用として配給可能なものは特例的に政府買い入れを行う方針で現在準備を進めておるわけでございますが、その場合、この買い入れにつきましても当然政府買い入れ基準数量の範囲内で行うことになります。ただ、本年の場合災害により全国的にはかなりの減収が予想されますが、政府買い入れ基準数量につきましては出来秋に過不足を地域間あるいは県間で調整するというふうな措置をとれるようになっております。そこで本年の場合、地域間さらには県間の出来秋調整の措置を講じますれば、買い入れの限度枠が不足するというふうな事態は生じないのではないかというふうに考えております。  それから第二の生産調整等の問題でございます。ことしはかなりの減収が予想されるわけでございますが、基本的には米の需給はなお過剰基調にございます。政府が本年十月末に所有いたします持ち越し在庫も二百五十万トン程度に達すると見られております。それから、ことしも作付面積なんかふえておりますが、稲作への復帰志望も強いということで、やはり百万トン程度の過剰というものが基調としてあることは否定できないわけでございます。したがいまして、やはり需給の均衡というものも回復しながら米作をしていかなければならないだろうと考えておりますので、現在、水田に需要の強い農産物を植えるというふうな水田総合利用対策というふうなものもいたしておりますが、こういうものは、やはりそういう事態にあります状態のもとでは継続していかざるを得ないのではないかというふうに思います。
  115. 小川省吾

    小川(省)委員 最後に要望をいたしておきます。  確かに地域間の買い上げ限度数量等について調整をやらなければ間に合わぬのではないかというふうなお話でございますが、ぜひひとつ調整を存分にやって、足りない部分については買い上げをふやしていくというふうな観点に立って検討をしてもらいたい。  それから、全体的に過剰米が全国的にあるんだというようなお話でございますが、全量買い上げしても過剰米が出れば、隣近所の国では飢えている人があるのですから、これはおたくの所管とは違いますが、いわゆる海外援助物資として使ったって構わぬのですから、全量買い上げについては農民の現状をも考えて、農林省自体としてもぜひひとつ検討をしていただくことを特にお願いをして、質問を終わります。
  116. 小山省二

    小山委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩をいたします。     午後零時四十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十八分開議
  117. 小山省二

    小山委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について質疑を続行いたします。三谷秀治君。
  118. 三谷秀治

    三谷委員 首都圏及び近畿圏等のいわゆる人口急増地域におきまして、公債費比率が起債制限処置に該当するところまで膨張してきております。この実情について、政府はどのように把握されておりますか。あるいはこれについての対策などについてはどうお考えになっておりますか。
  119. 天野公義

    天野(公)国務大臣 公債費比率による起債の制限は、地方公共団体の財政の健全性を確保し、将来の地方債の償還を確実ならしめるために必要でありますが、現実に今年度適用されることとなる団体につきましては、関係都道府県とも十分連絡をとり、財政状況などを勘案して弾力的に対処してまいる所存であります。  また今後におきまして義務教育施設整備事業債などの元利償還金で地方交付税の基準財政需要額に算入される部分につきましては、公債費比率による起債の制限の取り扱いとしてはその算定の基礎から除外するなどの措置を現在検討しているところでございます。
  120. 三谷秀治

    三谷委員 実情をどう把握されておりますかとお尋ねしたのですが、大変おざなりなお答えです。  私どもが調べました実情を少し述べますと、大阪府下の市町村の四十九年度の公債費は三百六十二億三千四百万円で、四十年度の十四・四倍になっております。五十年度には四百六十九億円で、四十年度と比較しまして十八・七倍という大幅な増加を示しております。一方、大都市を除きます全国都市を例にとってみますと、四十九年度で四十年度の六・八倍、地財計画でも公債費の伸びは四十九年度の場合で四十年度の五・八倍にすぎないことになっております。ところが実際には、いま申しましたように、二十倍近い増加を示しておるわけであります。いかに人口急増市町村が借金財政に苦労しておるかがうかがわれます。これは住民一人当たりに置きかえてみますと、大阪では四十九年度の場合公債費は六千八百三円です。全国都市平均の三千九百十円の一・七四倍となっております。ですから、府下市町村の公債費比率は、財政運営上の限界と言われております一五%ラインを五十年度におきまして突破すると見込まれております。全国都市平均は七%ラインでありますが、大阪府下の場合ですと、五十年度におきまして、府下三十市のうち一五%を上回る市が十七市と見込まれております。  これは四十八年度から五十年度の三年間の平均で公債比率が高いところを見てみますと、一八%台が池田市、寝屋川市、羽曳野市、八尾市の四市になっております。一九%台が、摂津市、枚方市、四條畷市の三市、そして高槻市が二〇%となって、新聞でも大きく報道されております。このため高槻市は、一般単独事業、厚生福祉事業の起債が認められないというので、五十一年度は予算化しておらないと言っております。これ自体が高槻市民にとりましては大変重大なことでありますが、高槻市は今後さらに毎年小中学校を五校ずつ建設しなければならないと言っております。そうなった場合に、公債比率は二五%を超え三〇%を突破する。ついに学校を建てるための起債も認められないという事態を迎えることになるわけであります。現に羽曳野市は、五十三年には公債費比率が三五%に達すると見込まれております。このような事態に対してどう処置をされますのか、これをお尋ねをしたいと思います。
  121. 首藤堯

    ○首藤政府委員 人口急増市町村では、学校そのほかの財政需要がかさみますので、これに対応いたしまして地方債の発行額も多くなりまして、そのために公債比率が高くなってきておる、こういう事態が御指摘のとおりございます。  これに対しましては、やはり人口急増市町村に対します基本的な財源対策の増強といったようなことを根っこでは考えていく必要があろうと思っております。先生も御案内のように、従前から、四十六年度以降公立小中学校の用地取得に対します補助金だとか校舎建築費や幼稚園の建設費、消防施設補助金、こういったものの国庫負担率の引き上げとか、それから五省協定に基づきます住宅公団の建てかえ施工の改善だとか、いろいろな措置を逐次とってまいりましたし、今後もまたこういったことを基本的に強化していくべきだろうと考えております。  それからまた、地方団体に対する財源措置といたしましても、そのような措置が行われましても地元負担が大きゅうございますので、これに対しては地方債の高率充当といったことをやっていく必要がございますし、かつまた、そういったための地方債の償還費が多額に上ってくるということもございますので、費目によりましてはこの地方債の償還額を交付税上、いま事業費補正というやり方で一部算入をしてまいっておりますが、こういった措置を続けるないしは強化をしていく、こういったことを考えていかなければならぬと思っております。  それから別に、現在、地方債につきまして一般的に公債比率による地方債許可の制限があるわけでございますが、こういった点につきましても、ただいままで現実の状況としてそれにひっかけて制限をした実例はございませんけれども、今後、御指摘のように二〇%、三〇%という高率になってまいりますとそのような事態が起こり得ますので、こういった場合には、たとえば事業費補正様式によって交付税等によって元利償還の行われます地方債、こういったようなものは地方債比率から除外をしていくといったような考え方もあわせ用いながら、市の財政運営に支障がこないようにここは弾力的に運用していく必要があるだろう、こう考えておるわけであります。
  122. 三谷秀治

    三谷委員 市町村が要求しておりますのは、義務教育費などの起債は起債比率から除外してもらいたいということなんです。これは必要不可欠のものであって、つくらないわけにいかない性質のものでありますから、これが起債比率の中に入りますために制限という問題が起きてくる。このことは各市長が口をそろえて要望しておるのであります。しかも、全体の起債の中で義務教育関係の元利償還金が非常に高いということです。これがほとんどの部分を占めております。たとえばいま言いました高槻市などは、公債費の総額が四十二億六千万円でありますが、義務教育関係の元利償還金が二十一億六千万円でありますから、全体の五〇%を超しておるのです。このうち義務教育用地に関する償還金が十九億五千万円で、義務教育関係の九〇%が土地、用地に関する起債の償還に充てられて、全体から言いますと四五・七%が用地になっている。ですから、義務教育といいますと、当然これは放任できないものでありますから、小学校中学校の用地及び建設費に充てるために起こされました地方債の償還費、これをいわゆる起債比率から除外をするという処置を求めておるのであります。これは単に高槻市だけではありません。償還費中の義務教育関係費を見ますと、たとえば五十年度でありますが、交野市が五〇・四%、四條畷市が五九・一%、羽曳野市が五三・三%、摂津市が四二・八%、八尾市が四六・一%になっております。また、五十一年度の見込みで見ますと、寝屋川市が四七・一%、枚方市が四一・一%、羽曳野市が五一・二%、摂津市が五七%、交野市が四四・六%、四條畷市が五三・七%となっております。この起債の中で義務教育費がいかに大きな比重を占めておるかこの一例でも明らかでありますが、これに対して一般の起債と同じような扱いをしていいのかどうかということなんですが、これは起債比率から除外するという処置をとって、義務教育の施設などは十分に完備できるような体制をとることが当然必要ではないかと私は思っておりますが、これにつきましては自治省と文部省の見解をお尋ねしたいと思います。
  123. 首藤堯

    ○首藤政府委員 人口急増団体で義務教育施設整備の必要性が非常に高い、そのために非常に財源が要る、こういうことは御指摘のとおり事実でございます。そこで、先ほども申し上げましたように、基本的にはそういった団体の国庫負担率を高めていく、地元負担を減らす、こういうことを第一義にして努力をしてまいりまして、またそれ相応の実効を上げておりますことは御案内のとおりでございます。  それからまた、それにしてもなお地方負担に充てます  これは地方債によるよりほかにさしあたり手がございませんので地方債によりますが、その償還費がかなりのウエートを占めて財政を苦しくする、これも御指摘のとおりであります。そこでことしあたりから、従前からとっておりましたが、特に本年度からは小中学校の建設費とかあるいは学校用地に関する起債、これの交付税におきます需要算入率、これをかなり高めてまいりました。そのことによって地方債の償還に対する財源充当、これを高めていこうという考え方をとっておるわけであります。  なお、御指摘のようにいままでは公債比率による起債制限は現実に行われている実績はございませんけれども、今後そのような事態の発生が起こり得るという可能性がございますので、ただいま御指摘がありましたように、義務教育施設整備費などの起債についてはこの元利償還金が地方交付税の基準財政需要額に算入されておる、こういう実績にかんがみて、そういった部分を公債費比率から除いていくというような措置について今後検討してみたい、できるだけ無理がいかないように措置をしてあげたい、こう思っておるわけであります。
  124. 三谷秀治

    三谷委員 検討するというよりも実行してもらいたいのです。この問題はいまに始まったことではなしに、この義務教育関係の起債比率が年々増高してきて問題になってきましたのはきのうきょうのことではありませんから、早急にその改善のための基本的な態度を示してほしいと思います。  もう一つの問題を申し上げますと、これは義務教育関係の用地費が非常に膨張しておりますが、これが公債費の中の大きな部分を占めておりますが、国の用地補助制度に問題がありはしないかというふうに考えられます。義務教育用地補助は人口急増市の学校建設用地に限られて、それ自体が特別な配慮のように文部省ではおっしゃっておりますが、自治省はすでに五十二年度予算編成に向けまして、各省あての通達の中でも用地を補助の対象とするということを求めておりますが、これに対して文部省はどう対応されるおつもりか、お尋ねしたいと思います。
  125. 倉地克次

    ○倉地説明員 お尋ねの用地の件でございますが、私どもといたしましても年々地方公共団体からの御要望を見ますと、予算の方が不足しているのは事実でございますので、五十二年度の概算要求におきましては事業量の拡大を図っておりまして、五十二年度の国庫補助金の債務負担限度額で申し上げますと、約五〇%増の三百九十七億円を要求しておるわけでございます。これから予算の査定があるわけでございますけれども、できるだけ努力してまいりたいと思っておる次第でございます。またもう一つ、五十一年度からは市町村の指定要件の緩和ということを行いまして、五十二年度からはその五十一年度の緩和した分につきましても用地の補助をしてまいりたい、このように考えております。
  126. 三谷秀治

    三谷委員 現状の補助方式に非常に問題があるわけですが、たとえば用地の補助をしますときに、補助対象の価格は何を基準になさっておりますか。
  127. 倉地克次

    ○倉地説明員 お尋ねの用地の価格でございますが、私どもがやっておりますのは、買収価格または地価の公示価格を規準として地方公共団体が定めた価格のいずれか低い方を基準として補助しているわけでございまして、この価格に基準面積を乗じましてその金額を補助基本額としている次第でございます。
  128. 三谷秀治

    三谷委員 いまの説明が果たして実情なのかどうかという点から見ますと、実情を見ますと大変な疑問が起きてきます。たとえば埼玉県の桶川という市がありますが、ここの東小学校の用地を確保するために昨年十月に地主と交渉しまして公示価格で話を始めましたが、これは全く話になりませんでした。文部省からは公示価格を補助対象にするということを市では聞いております。したがって公示価格で話になりませんので、一・三倍の十五万円で詰めたが、地主が承知しない。十七万、十八万と積んでいきましたが、ついに破談となって、いまもってこれは振り出しに戻ったままになっておるのであります。仮に十八万で契約が成立したとしましても、公示価格しか補助を認めてもらえないから、あとは起債に頼らざるを得ない。これが市の述べておる実情です。桶川市長は、学校用地を買うのにも公示価格を上回る値段で大変だ、縁故債がこのためにふえて他の事業ができなくなると言っておりますが、つまり起債が膨張する原因がここに一つ存在している。  契約が成立しました実例で言いますと、東大阪市の大蓮南小学校の用地ですと、これは五千九百三十六平米でありますが、国の補助基本額、つまり公示価格は七万六千三百円でありますが、買収価格は十一万九千六百四十五円でありました。公示価格の五六%増しでやっと話し合いがついた。ですから、補助の対象にならなかった単価の差が平米当たり四万三千円、五千九百平米でありますから、金額にして二億四千万円、これは初めから補助対象になっていない、別の意味の超過負担になってきている。こういう状態ですから起債が累増する一方になってくる。ですから、いまおっしゃいましたように、実勢価格を採用されますならばこれは問題がありませんけれども、実際の指導におきましては公示価格を適用されてきておる、そこに問題がある。この点についてはどうお考えでしょうか。
  129. 倉地克次

    ○倉地説明員 いま御指摘があったわけでございますが、地価公示法によりまして地方公共団体がいろいろ公共用地を定める場合にも地価公示価格を規準として定めるようにという規定もあるわけでございますので、私どもといたしましては、買収の実額の単価と、その規定によりまして地方公共団体が規準として定めた公示価格によりまして、いずれか低い方を補助するということをとっておるわけでございますので、ひとつその辺はよろしく御了承のほどお願いします。
  130. 三谷秀治

    三谷委員 行政処置の中にしばしばたてまえと実態が違うことが起きてくる。たとえば超過負担などが起きてくるはずがないたてまえでありますのに、超過負担が累増してくるという事態などから見ましても、たてまえと実態が違ってきている。ですから、いまおっしゃいますように、実勢価格、公示価格の低い方を採用するとおっしゃるのであれば、それでは、今後実勢価格で取引したものに対しては、それによって補助額の算定をするということは確認しても間違いありませんか。
  131. 倉地克次

    ○倉地説明員 先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましては、買収価格と、地価公示法に基づきましてそれを規準として定めました価格のいずれか低い方ということでございますので、必ずしも実勢価格そのものが補助の基本額になるわけではないわけでございますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  132. 三谷秀治

    三谷委員 どちらか低い方なんですね。実勢価格が低ければ実勢価格を採用する。公示価格が低ければ公示価格を採用する。そうしますと、公示価格というのは、実勢価格より高い公示価格なんというものはほとんど存在しない。そうしますと、そこで実勢との差ができてくる。それが新しい起債の条件になってくる。ここは改善してもらいませんといかぬじゃないでしょうか。
  133. 倉地克次

    ○倉地説明員 私どもの指導といたしましては、地価公示法を規準として定めるということを言っておるわけでございますけれども、その当該市町村に不動産鑑定委員会などを設けまして、そこで地価公示法の価格を規準としていろいろな評価を行いそれを修正して適正な価格を定めるようにという指導もしているわけでございまして、その辺の運用を適正にしていただきましてそういう事態に対処してまいりたい、このように考えております。
  134. 三谷秀治

    三谷委員 観念的なことを言っておったのでは実際の行政は進まぬのですよ。どうしても学校を建てなくちゃいけない、土地を買わなくちゃいけない。ところが相手があるものですから市が勝手に決めた値段では取引はできない。そうしますとどうしても相手方との話し合いに入っていくわけですけれども、それは公示価格以下では取引ができない。人口急増都市におきましては一般的な現象なんですよ。ところがおたくの方では低い方、実勢価格と公示価格の低い方を採用するというわけですから、実勢価格が公示より低いということはまず人口急増都市においてはないのです。そうしますと、実勢を離れた公示価格で算定をする、こうなってくる。そうしますと金が足りなくなってきて起債に頼らざるを得ない。そこで起債比率がどんどんふえてくる、こうなってくるわけです。ですから市町村にしたって高い土地を好んで買うわけじゃありませんけれども、それを買わなければどうにも義務教育関係の施設ができない、子供が収容できないという状態に追い込まれますから、やむを得ず買ってくるわけです。ですから市長はこう言っておりますでしょう。文部省がそんなにおっしゃるのでしたら文部省の方で土地を買ってそれを市町村に貸してもらいたい、そうすれば問題は少しも市としてはないのだ、こうおっしゃっているのです。あなた方は土地を買うそういう実態について全く承知なさっていないままで、ごく観念的に一定の基準をおつけになっておりますが、それでは人口急増市町村は実際の行政はやっていけません。これについては改善の処置をとっていただきたい。実際にやっていけるようにやってもらわないと、無理していま市町村がやりますから全部これは起債に頼ってしまう。そこで起債比率がどんどん膨張していく、利子の支払いで大変な負担がかかってくるという状態になってきておるわけでありますから、これの改善処置を考えてもらいたいと思う。
  135. 倉地克次

    ○倉地説明員 私どもといたしましては先ほども御説明申し上げたわけでございますが、地価公示法に定める公示価格を規準として地方公共団体が定めた価格によりまして補助基準額を定めるわけでございますけれども、その定める際におきましてなかなか地価公示法に定める規準自体ということではむずかしい点もあるわけでございますので、市町村におきまして不動産鑑定委員会というようなものを設けまして、不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果をいろいろ審査して、必要な調整を行って、正常な価格を定めた上でやってほしいという指導もしているわけでございますので、その不動産鑑定委員会の必要な調整ということを適正にしていただくことによりまして、そういう事態に対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  136. 三谷秀治

    三谷委員 公共団体が土地の売買をしますときには不動産鑑定委員会の評価を受けるということは慣例的に行っております。ただその評価が公示価格より高いわけなんです。おたくの方は公示価格というものが基準になっているのです。その違いをどうしてくれるかということなんです。あなたの方でその公示価格で取引ができるとお考えならばそれは政府の方で公示価格で土地を買っていただいてそれを地方自治体にあっせんをしてもらうなり、あるいは政府が買い取っていただいて地方団体に貸与していただく。こうすれば問題はありませんけれども、実際にはできない基準をもって補助額の算定などされますからどうしても足りなくなってくる。つまり別の意味の超過負担が生まれてくるわけです。これは検討して改善してもらわないとあきません。不合理なことは修正してもらう、当然のことじゃありませんか。
  137. 倉地克次

    ○倉地説明員 先ほど来御説明申し上げておるわけでございますが、公示価格そのものということを私ども申し上げているわけでございませんでして、公示価格を規準とするわけでございますが、その際不動産評価委員会などで適正に評価していただきまして、適正な調整を行った上で価格を定めていただきたいというように指導しているわけでございまして、その必要な調整を適正にしていただくことによりましてそういう事態に対処してまいりたいというふうにお答えしているわけでございますので、ひとつよろしく御了承のほどお願いいたします。
  138. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、さっきおっしゃった実勢価格かあるいは公示価格の低い方を補助基準単価とするというのでなしに、公示価格が低くても不動産鑑定委員会などで鑑定を行って、そこで適当な評価が出た場合にはそれを補助の基準単価とするということをおっしゃっているわけなんですか。
  139. 倉地克次

    ○倉地説明員 これはもっと正確に申し上げますと、都市計画区域内と区域外という問題もあるわけでございますけれども、区域内につきましては地価公示法に、地方公共団体はいろいろそういう不動産について措置する場合には公示価格を規準として定めるという規定がございますので、その規定どおりに私どもやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。これは公示価格そのものではございませんけれども、規準として地方公共団体が定めるわけでございます。それから都市計画区域外につきましては不動産鑑定委員会などにおいて不動産鑑定士の評価を求め、その結果をいろいろ調整されまして、その調整された結果の価格によってやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  140. 三谷秀治

    三谷委員 あなたがおっしゃいますような基準で話をして土地がどうしても手に入らない、いかに地価公示法によってやれとおっしゃってもそれでは実際には土地の入手ができない、学校が建たない、そういう場合にはどうされるわけですか。
  141. 倉地克次

    ○倉地説明員 仮定の問題の御質問でございますので私どもにわかにそれに対してお答えできないわけでございますが、地価公示法にはそういう事業をやる場合には公示価格を規準としなければならないという規定もあるわけでございますので、これは公示価格そのものではございませんけれども、規準としてやってまいりたいというふうにお答えしているわけでございます。その際におきましても不動産鑑定評価委員会などの適正な調整もあるわけでございますので、そういう適正な調整を待ちまして措置してまいりたい、そのようにお答えしているわけでございます。
  142. 三谷秀治

    三谷委員 あなた仮定の問題とおっしゃいましたが、仮定じゃないのです。さっき東大阪市の例も申し上げましたし桶川市の例も申し上げました。なお必要があれば幾らでも引例させてもらいます。それが実際の問題なんです。補助額の不足分を起債に求めるものですから起債額がどんどん膨張してきておる。そしてさっき申しましたような大変な起債比率になってきておる。この状態の中でどうされますかと言っているのですよ。何も仮定じゃありませんよ、実際の状態なんです。ですからそういう実態に合わした処置をとってもらわぬと行政が進みやしません。地方自治体は全く破産してしまいます。義務教育費によって半分の公債費を負担しているわけです。これは明らかに補助制度に問題がある。それを改善してもらいたい。仮定ではありません、現実の問題です。
  143. 倉地克次

    ○倉地説明員 先ほど来御説明しているわけでございますが、公示価格を規準とするわけでございますけれども、その際不動産評価委員会などの適正な調整もございますので、その調整を適正に運用することによって対処してまいりたい、このようにお答えしているわけでございますので、ひとつよろしく御了承のほどお願いします。
  144. 三谷秀治

    三谷委員 どういうことなんです。不動産鑑定委員会が公示価格以上の鑑定をした場合にはそれに準じてやるとおっしゃるわけですか。ひとつ具体的におっしゃってください。
  145. 倉地克次

    ○倉地説明員 そのとおりでございます。
  146. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、当該地域の不動産鑑定委員会が義務教育用地の買収に当たりましては鑑定を行って、その鑑定価格までは補助基準額として認めていくということなんですか。
  147. 倉地克次

    ○倉地説明員 不動産評価委員会が適正な調整をやりまして、その定めた価格までは補助基準額として見ていくということです。
  148. 三谷秀治

    三谷委員 そこにまだ少し問題がありますが、きょうは時間が余りありませんからこれ以上はお尋ねしませんが、この問題はよく研究なさって、そこで矛盾や不合理が残らないような処置をとってほしいと思います。  それから、このようにしまして、公債比率が非常に増加しておりますが、この公債、地方債というものが非常に利子が高い。たとえば豊中市では、金利が六・五%以下の起債は二九%、それ以上が七一%もあります。仮に金利を六・五%としましても、年内の利払いが四億八千万円になっております。桶川市長はこう言っているのです。九・三%、九・五%などという利率は自治体が仕事をする利率ではない、こういう述懐をしております。  さきの人口急増都市協の調べによりましても、五十年度における人口急増都市の公債費決算の元利内訳が、元金が四一・五%、利子が五八・五%になっている。つまり、利子が非常に多いわけなんです。ですから、年々元金の比率が低下して利子の比率が増大するという推移をたどってきておる。つまり、利子で市町村が追い回されておる、こういう状態になっておるのであります。人口急増都市協の調査によりますと、四十九年度で金利七・五%を超える起債が全市町村で三五・四%であります。急増都市では三九%を占めております。しかも、五十年度には四三・三%、五十一年度で四五・八%、五十二年度で四八・一%、五十三年度五〇・七%というふうに、年を追うごとに高利の起債が増加している。これらの事実を見ますと、――この事実というものは用地債についての資金別分析によっても裏づけされております。それをここで一つ一つ説明はしませんが。  そこで、五十年度の用地に係る政府資金は全体の二八・二%なんですね。残り七一・八%が政府資金以外の資金、民間資金が六六%となっております。この実態に対してもう少し国として改善処置をとる必要がありはしないかというふうに考えますが、大臣の所見はいかがでしょうか。
  149. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘のように、義務教育施設につきましては本来できる限り政府資金をもって充当していくということが本旨であろう、私どももそう思っております。事実、建物等につきましては、先生も御案内のように、高率の政府資金を充当いたしているわけでございますが、実は最近、御案内のように、政府資金の地方債全般に対する充当率も、他の資金需要あるいは交付税会計等の問題もございまして、実質上かなり低下をせざるを得ない事態になってきております。この義務教育施設の場合も、建物分につきましてはできるだけ高率の政府資金を充てておりますが、用地費につきましては御指摘のようにかなり民間資金が増加をしてきておる。好むところでございませんが、やむを得ずそのようなかっこうに設定をされてきておる状況でございます。  私どもといたしましては、今後地方債計画全般に占めます政府資金のシェアをできるだけ高めていきたい、こういう悲願を持っておりますし、そのようにも大蔵省にもお願いをいたしておるところでございますが、そういう措置を通じて、できるだけ義務教育の関係につきましては政府資金の充当率を上げていきたい、こう考えておるわけでございます。  いままで現実に、用地費につきまして、御指摘のようにかなり利率の高い民間資金が増加をしてきておりますが、そのことも兼ね備えまして、先ほど御説明申し上げましたように、用地費の償還費、これの一定部分を交付税の基準財政需要額に算入する、こういった措置を逐次強化をしてまいっておりますが、そのような事態に対処する具体的な財源対策一つとして考えておるところであるという点を御理解いただきたいと思います。
  150. 三谷秀治

    三谷委員 交付税の財政需要額に算入されるとおっしゃいますけれども、交付税率をいじらずに、算入額だけをふやしてもだめなんですよ、薄まきになってしまうのだっだから交付税に算入されますときには、算入した分は交付税額をふやすというふうな措置が伴っていきませんと、結局これは共食いになってしまうわけですから。交付税の問題、税率をどうされるかという問題はありますが、これは先般参議院の予算委員会などで論議されまして、論議の結果を聞いておりますし、これはいまきょうお尋ねいたしておりますと、時間がなくなりますから、きょうは控えておきます。  ただ、申し上げておきたいのは、自治省が地方団体中央金融公庫の設立を目指していろいろ研究をなさっておりますが、これに対して先日も金融界から提言があったようであります。これは安い利率をつけていたのでは地方債は流通しませんよというのですね。つまり公社債引受協会は最優良社債並みに九・二%以上に引き上げなさいということを言っているわけであります。そうしますと、中央金庫案で地方債問題が真に解決するかと申しますと、これはなかなか解決をしない。むしろ高利の融資に依存をするということにならざるを得ませんが、これについて大蔵と自治の見解をお尋ねしたいと思います。
  151. 首藤堯

    ○首藤政府委員 私ども、御指摘のように、それからまた当委員会においてもことしの年度当初からいろいろ御議論がございましたように、民間資金を多額に活用しなければならないような事態に立ち至っております現実に照らし、民間資金の募集がなかなかむずかしい地方団体の共同代替発行機関というかっこうで、公営企業金融公庫が資金を代表して集めまして、これを弱小の団体に配分をするという措置をぜひとらせてもらいたいと希望をいたしております。その場合に、ただいま御指摘のように、公営企業金融公庫が公庫債を発行いたします場合に、実勢金利というものをそう無視をした発行ということはなかなかむずかしい事態があろうと思います。必ずしも実勢金利のままでなければならぬかどうかについてはいろいろ問題がございますが、ある程度金利の問題はございましょう。そうであればか去りコストのかかる資金に相なるわけでありますが、これも先生御案内のように、公営企業金融公庫にはギャンブル納付金の制度がございまして、これも地方財政均てん化の措置の観点から、逐次これを増強していくという措置を考慮いたしておるわけでありますが、こういうものを用いますと、そのような高率の資金コストもかなり薄め得ることができる、薄める可能性ができるわけでございまして、そのような手段を通じて、公庫資金になりますればもちろん安定はいたします、政府資金ほど低利にはなりませんけれども、ある程度民間資金よりも低利にそのような資金を使って薄める、こういう措置をあわせ講じながら、弱小団体のための資金を確保していきたい、このようなことを考えておりますのが私どもの悲願でございます。
  152. 三谷秀治

    三谷委員 その悲願が果たして悲願どおり達成できるものかどうか。大蔵省はどうなんですか。
  153. 矢崎新二

    ○矢崎説明員 私、地方財政担当の主計官をやっている矢崎でございますが、地方債の問題は直接私の担当ではございませんけれども、私ども聞いております限りにおきましては、地方債の円滑な消化につきましては、五十一年度予算の編成の際に、大蔵大臣と自治大臣との間で、円滑な消化を図るという覚書が交わされておりまして、その線に沿いまして、担当の者がいろいろな努力を払っておるというふうに聞いておるわけでございます。  それから、ただいま御言及のございました公庫の改組の問題につきましては、これは五十二年度予算の要求の中の一つの柱といたしまして自治省の方から御要求が出ておるわけでございます。この問題についてはまだ結論の出せる状態ではございませんけれども、今後地方債の円滑な消化を図るために一体どういった措置をとればいいかということは、当然五十二年度予算編成の問題の一つにはなるわけでございますが、慎重に検討をしていきたいということでございまして、ただいまこの問題について具体的なお答えをお述べする段階にはまだなってないわけでございます。
  154. 三谷秀治

    三谷委員 時間がありませんからこの財政の問題はこれで終わっておきます。  あと、建設省がお見えになっていると思いますが、ちょっと時間の関係で取りまとめてお尋ねしますが、大阪、堺、松原三市にまたがります大和川の左岸の河川敷約一キロにわたりまして、やみのごみ焼却業者が七ヵ所の焼却場をつくって、野積みの廃材や樹脂製品を燃やし続けております。一日トラック約二百台の廃材や産業廃棄物、樹脂等が搬入されております。このために周辺の約一千戸で灰が降ってきたり洗たく物が黒くすすけるなどの被害が続出するに至りまして、付近の住民や行政関係者が管理者の近畿地建に対して取り締まりの要望を行っております。建設省にも陳情しておりますが、これに対する建設省の対応策をお尋ねしたい。  それからまたこの河川敷には二業者が豚小屋を建設して、約三百頭の豚を飼育しておる。屎尿その他を大和川にたれ流しておりますが、この下流五百メートルには堺市の上水道の取水口があって、衛生上からもきわめて重大視されております。このような行為は河川法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に違反すると思いますけれども、建設省の見解をお尋ねしたい。
  155. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 河川局の水政課長でございます。  いま先生から御指摘のございました、大和川の左岸一キロメートル付近におきまして七名――一名はたしかやめたというふうに報告を受けておりますが、六、七名の業者といいますか、人間が河川敷、と申しましてもこれは民地でございますが、いわゆる堤外民地である河川敷を利用いたしまして産業廃棄物であるとかあるいは建築の廃材等の投棄あるいは焼却の行為を行っております。御指摘のとおりでございます。また御指摘のように豚小屋をつくっておるということも聞いております。  これが法律違反になるかどうかというお話でございますが、豚小屋を建てていることにつきましては、これは河川法の二十六条、工作物の設置の許可をとっておりませんので、違法工作物ということになろうかと思います。  それからあとごみを焼いている件でございますが、この件につきましては、これは焼くことそれ自体は民地でやっておることでございまして違反とはならないと思いますが、焼きますためにしばらく堆積させておくというような状態がございますと、これは河川法二十九条と政令の十六条を受けまして違反になるというふうに考えております。  また、これは私どもの所管でございませんが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の廃棄物処理業者としての免許を取っておりませんので、その面からの違反もあろうかと思います。
  156. 三谷秀治

    三谷委員 その違反行為に対して告発等の処置をとりて取り締まるという態度をおとりにならぬのはなぜか。これもきのうきょうの問題ではない。関係市町村あるいは住民が繰り返し近畿地建大和工事事務所というのですか、ここに取り締まりを求めておりますが、この大和地建というのが業者の脅迫や威圧におびえておるというのが付近の市町村行政関係者や住民の見方なんです。そういう判断をしておる。ですから無法行為が黙認されております。どう言っておるかといいますと、これはもっとも新聞で見たものですから、直接私は聞いたわけでありません、お断わりしておきます。「住民の訴えは十分わかるが、関係機関と対策を検討しており、いますぐ告発するのは不適当」こう言っているのですね。これは本年の五月に地元「七郷地区環境を守る会」、約八百名の人たちがこれに入っておりますが、これが申し入れましたのに対してそう答えておる。あるいは「野焼き場は河川敷でも民有地で、進出自体はとやかく言えない面がある。灰などを高く積んだり、建物を建てたりしているのは河川法違反の疑いがある。基本的には用地買上げの方針で、府、市などとともに話を進めているが、はかばかしくないというのが実情だ。」こう述べておる。これが建設省の見解なんですか。河川法違反あるいは廃棄物処理法違反の業者に対して、告発は不適当であるとかあるいはとやかく言えない面がある、そういうことを述べていらっしゃいますが、これは建設省の見解でしょうか。それから、私有地であれば河川法の適用はありませんか。あるいは私有地であれば廃棄物の処理及び清掃に関する法律は適用されませんか。いますぐ告発は不適当とおっしゃるのはどういう根拠なんでしょうか。
  157. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 先ほども申し上げましたように、民有地でございましても、先ほど私が申し上げましたような点におきましては河川法違反でございます。また所管は違いますが、恐らく廃棄物処理法の違反にもなろうかと思います。現地の事務所長がいますぐ告発などは不適当だという発言があったと新聞に報道されておるようでございますが、私どもその実態は存じておりません。しかし事務所長が申し上げておりますように、私どもの河川法違反という面ではかなり是正命令というものを出しまして反省を促し、特に七名のうち一件については命令を聞いてもらって片づけたという事例もございます。しかし、河川法違反もございますが、廃棄物処理法の違反とかあるいは大阪府の公害防止条例違反、こういうのもあるようでございまして、監督する立場にある行政機関がみんな一体となってこれに当たろうではないかということで現地対策協議会というものを設けまして、全員合同の立入調査を行ったりあるいは全員合同で取り締まりを行ったりということを現在繰り返しておるわけでございますが、そういった点で従来やっておりませんでした大阪府、大阪市、堺市、松原市、こういったところが廃棄物処理法違反という面でこれまた是正命令を最近出したようでございます。そしてこういうところと平仄を合わせまして、一緒になりまして是正の指示を行い、相手方に是正の態度が見られないときは警察への告発ということもやっていきたい、こういうふうに考えております。
  158. 三谷秀治

    三谷委員 大変御処置が御緩慢ですね。何を合同調査されるか知りませんが、事態は明白なんですよ。河川敷で産業廃棄物あるいは一般廃棄物を野積みにしてどんどん燃やしておる。豚小屋を建てて豚を飼っておる。市町村長に言わせますと、市がくい一本打つについても河川敷については建設省はやかましく言っておる。豚小屋を建てるのは放置してある。これは一体どういうわけだ。いまあなたは府や市の問題をおっしゃっていますけれども、これは第一の管理者は建設省なんでしょう。その建設省が明確な態度をとらなければ、市町村や府が管理者の権限を越えた行為ができるものじゃありません。廃棄物法違反につきましては、これは認可を受けてない業者でありますから、これはこれとして取り締まりができますけれども、とにかく河川敷でそういう行為をしている。その河川敷の管理は建設省なんでしょう。その建設省が、なぜこれをじんぜんとして放置されておるのか。まことにこれは奇怪きわまることなんだ。私どもが直接建設省に言いますと、取り締まりしますと、こう言っている。実際には一向にやろうとしないじゃないですか。私どもが視察などに行きますと、警察を呼んですぐに護衛をするというような状態、つまり手が出せないというような状態、そういう状態になっているでしょう。そういう状態というものが、建設省をして違法行為を黙認さしている要因になっているのかどうか、これをお尋ねしたい。  それから、廃棄物法につきましては、厚生省からお見えになっておりますからお答えいただきたい。  そこで、私は、ついでに触れておきますけれども、大阪府下におきましても、このような、私有地でありましても空き地を使って無断で廃棄物の処理をする場合におきましては、次々告発をしている。たとえば、ことしの五月十八日には矢田、矢田といいますと東住吉区でありますが、阪南興業というのが産業廃棄物法、消防法違反で取り締まりを受けている。これは、美原町というところで借地をして、そこで五回にわたって古布団や廃材を燃やしたというだけのことなんだ。それでも取り締まりの対象になっている。あるいは七月十一日には八尾市の上之島の鈴建興業あるいは旭区赤川町の飯田土木総業、生野区の新今里町の葛城興業などが、いずれも八尾市の休耕田を借りて、そこで廃棄物を処理した。そのために警察の手入れを受けている。あるいは五十一年六月、ことしでありますが、東淀川区の西大道三丁目の一土建、阿倍野区阪南町の高橋ビル内の第一土木興業あるいは加美南一町目の金城建設などが、いずれもこれはごみや廃材などの野焼きによって捜査を受けておる。あるいは九月二日に至りますと、摂津市の新在家の中島宝一という人、大阪市鶴見区緑三丁目の鄭沢一という人などが、いずれも建設廃材やブロック片などを借地によって燃焼したというので逮捕されている。  こうして他の方面におきましては、廃棄物法違反によって次々と取り締まり、逮捕がなされておる。ところが、建設省が管理しております河川敷におきまして、単に廃棄物法違反だけではなしに河川法に違反をする、つまり重複して違反する業者に対して、何一つ取り締まりしていない。何を根拠にしてそうなっているのか、明らかにしてもらいたい。
  159. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 先ほどお話し申し上げましたように、取り締まりを何一つやっていないわけではございませんで、たびたび是正命令その他を出してやっております。河川法違反の事態というのは、そのときどきによって若干変わってまいりまして、たとえば豚小屋については経常的に確かに違反がございますが、物の堆積というのは、取り締まりに行くとたまたま堆積の状態がなかったりというようなこともあるやに聞いております。しかしながら、たび重なる是正命令を出しております。  ただ、先生お話しございましたように、法律違反が非常に多面にわたっておりまして、他の監督権を持つものと同一歩調によってこれに対処してまいりたいという地元の管理者の判断がございまして、そういう面で対策を進めているという状態でございます。
  160. 三谷秀治

    三谷委員 いつ、それは取り締まりするんだ。河川法は建設省が告発しなければいけない。廃棄物法違反については、これは市が告発しなければいけないわけだ。それを、お互いにしり込みして、相手がやればこちらがやる、こちらがやればこちらもやるというふうな態度で、どうして解決しますか。しかも、これは第一義的に解決の責任を持つのは、これは河川法によって河川を管理している建設省ではないですか。いつそれをやりますか。  それから先般の集中豪雨によりまして、たとえば長良川の堤防などが決壊をしまして、甚大な被害を岐阜県下に及ぼしましたが、――この大和川の左岸に毎日二百台を超す車が廃棄物を積んで入ってくるために土手がずっと低下してしまっている、そして土手肩が崩壊をして、そして一般の土手の高さと比べますと三十センチ以上も下がってきてしまっている、押しひしがれてきてしまっている。こういう状態をほっておいて、一体これは災害対策から見てもいいのかどうか、まことに疑問を持たざるを得ない。そういう状態がもうすでにこれは何年になるのですか。最初この問題が提起されましたのは、四十九年五月なんですね。五十年、五十一年でしょう、二年以上経過している。二年以上経過していまだにこれの取り締まりができない。それはどこに原因があるのですか。  それから、消防庁お越しになっているでしょうが、この野焼きによりまして飛び火をしまして、付近の小屋がぼやを起こすというような事態が起きておりますが、消防庁はこれに対してどのような指導をされているのですか。
  161. 林忠雄

    ○林政府委員 消防の立場から申し上げますと、一般的に市町村の火災予防条例によれば、「火災とまぎらわしい煙又は火炎を発するおそれのある行為」については、当該行為者から事前に消防署長に届け出をさせ、火災予防上必要な指導を行う、こういうことになっております。関係市町村の条例も恐らく同様の規定があると存じます。  そこで、御質問の点につきまして、実は急でございましたので、十分調査が行き届いているとは言えないかもしれませんが、とりあえず電話照会をいたしましたところでは、この大和川の河川敷における焼却につきましては、事前の届け出、これはちゃんとなされておるということでございますし、それからそれに対する火災予防上の必要な指導、たとえば一定量の水を常に用意しておくこととか、そういうようなことについての指導もなされておりまして、現在のところ、消防の面からは特に問題がない、こういう答えが実は返ってきております。なお、十分よく調査しようと思いますが、もし御質問のようにこれが飛び火をしてどこかにぼやが起きたというようなことであれば、現実の指導がなお足りないのではないかという気もいたします。十分注意をし、調査を続けたいと存じます。
  162. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 先ほど申し上げましたとおりでございますが、警察の告発等含めました強力な措置というものを協議会自身十分考えておるわけでございます。ただ、おっしゃるように、ちょっと遅いではないかという御指摘は、ごもっともかもしれませんが、一府三市の方の進み方というのが若干立ちおくれた面もございまして、共同歩調をとってやっていきたいというふうに考えております。
  163. 森下忠幸

    ○森下説明員 廃棄物処理法の違反につきましては、一般廃棄物の方は市、それから産業廃棄物違反につきましては府の方から、すでに文書による勧告をしておりますけれども、できるだけ早く実態を把握いたしまして、告発するように指導いたしたいと思います。  それから、先生、こういった野焼きを禁止いたしますと、結局そこの廃棄物がどこへ行くかということでございまして、それについて私どもやはり検討しなければならぬということで、今後ここで焼却できなかった場合どうするかということについて三つほど考えておりますので、もしよろしければ御説明いたしたいと思います。
  164. 三谷秀治

    三谷委員 それはよろしい。  い津の問題ですが、消防庁に申し上げておきたいのは、飛び火のために民家でぼや騒ぎが起きたという事件、それから、それは夜昼なしに燃やしておりますから、夜間も炎が絶えずその辺に立ち込めておる、不安感を絶えず与えておるという事態もあることを申し上げておきます。  それから近畿地建でありますが、いつ取り締まりされますか。いつこれは告発されるのですか。この間建設省がおっしゃいますのは、土地の買い上げをしたいとおっしゃっていますが、不法行為を認めておる限り土地の買い上げは容易ではないんだ。これは違法行為を取り締まってしまえばあとの土地の買収は決して困難ではありませんが、あなた方は土地の買収自体を促進するための態度をおとりになっていない。事件が起きてからすでに二年以上たっておりますから、いつまでも住民が被害に泣くなんということは許されぬことです。法はだれ人に対しても公平、平等なものであって、一方におきましては産廃法で次々検挙される、一方においては公然と野放しにされる。そういうことではこれは法の権威というものがみずから失墜するわけでありますから、厳格な取り締まりをやってもらいたい。いつごろやられますのか、これをお尋ねしておきたい。  それから大臣にお願いしておきたいのは、これは公安委員長にもお願いしておきたいのですが、この取り締まりについては、警察の方も積極的にこれに対する取り締まり処置に当たるような努力をしてほしいと思います。
  165. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 いつやるかというお尋ねでございますが、私、いまここで、いつごろやるというふうに申し上げかねますが、とにかく協議会においても告発を十分考えておるということでございますので、なおこちらの方からも強力に指導いたしまして促進させるようにしたいと思っております。
  166. 天野公義

    天野(公)国務大臣 この件は原則として所管行政官庁の措置が先行する問題だろうと思います。したがいまして、その推移を見ながら対処をしていきたいと思っております。
  167. 三谷秀治

    三谷委員 時間ですから、これで終わらしていただきます。
  168. 小山省二

    小山委員長 小濱新次君。
  169. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣、御就任おめでとうございます。まあ、おめでとうと申し上げていいのかどうかわかりません。いや、地方財政危機、大変な財政難時代に御就任になったということは大変な御苦労を私どももよくわかりますので、そういう点でどうかなという気持ちを持っているわけですが、どうかひとつ、皆さん方から期待をもって迎えられた大臣でありますので、、ぜひひとつ一層の御努力を心からお願い申し上げたい、こういうふうに思っております。  まず、そういうわけで自治大臣に基本的な問題を伺っていきたい、こう思います。  福祉の増強が大きな課題になっております。一方では地方財政危機という困難な壁にぶつかっているわけでございます。私たちは「生きがいとバイタリティーのある福祉社会トータルプラン」という政策を発表いたしました。そして地方自治については、福祉の現場であるとともに民主主義の基盤と私どもはとらえておるわけでございますが、こうした立場から行財政の抜本改革は特に重要課題である、こういうように考えております。そこで、自治大臣に就任されまして現在の地方財政危機をどう受けとめておられるのか、この点についてのお考えをまずお伺いをしておきたい、こう思います。
  170. 天野公義

    天野(公)国務大臣 ただいまお話がありましたように、地方財政が非常に逼迫をいたしておりますし、また本年度も大分赤字を出しているような次第でございます。こういう財政危機のときに所管大臣となったわけでございまして、今後とも地方財政の充実のために一生懸命努力をしていきたいと考えている次第でございます。  従来は高度成長の路線に乗りまして自然増収というありがたい配当がどんどん来て、それによっていろいろなものが充実された面もありますけれども、少しふくれ過ぎたような面もなきにしもあらずだろう、かように思っているわけでありますが、経済情勢が変わりましてゼロ成長から幾らか明るい見通しの出てくるような現段階に来ているわけでございます。したがいまして、現段階から言いますと、過去のように高度成長をまた夢見るということはできないわけでございますから、これからの厳しい経済情勢、あるいは低成長時代、いい言葉で言えば安定成長時代、そういう時代に対処した財政運営というものを頭に置いて、これからはやっていかなければならないわけでございます。したがいまして、その基盤の上に立って考えてみますと、来年度もやはり赤字が出るだろうということが想定されるわけでありまして、そういう事態にあります地方自治体に対しまして、財源の面でできるだけごめんどうの見られるように、財政需要を満たすことができるように、そういう配慮をしながら進んでいかなければならないことは言うまでもないところでございます。  また、地方自治体の側におかれましても、これからの厳しい財政状態というものをよく自覚をしていただきまして、節約すべきところは節約をしていただき、住民の期待にこたえられるような行政をやっていってもらいたいものである、かように考えているわけであります。
  171. 小濱新次

    ○小濱委員 決意をお伺いいたしまして、一層の御努力をお願いするわけでございます。  次は、局長にお尋ねしていきたいと思いますが、地方行財政の抜本的な改革についてでありますが、政府も五十二年度から行うと言っていたわけですが、五十一年の現段階で、この検討はどの程度進んでいるのか、また取り組みの状況はどうなのか、お聞かせをいただきたい、こう思います。
  172. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいまの状況が地方行財政制度の抜本的改正を含めました改革の必要な事態に差しかかっておるという認識を私ども十分持っておることは、申し上げておるとおりでございます。いま、その具体的な方向なり方針なりにつきましては、先生も御案内のように地方制度調査会に諮問がされておりまして、鋭意御審議を賜っておる最中でございます。ただいま起草委員会といった段階で御議論を賜っておるところでございます。  しかしこの結論が出ました場合、もちろんそれに基づきまして、それを尊重いたしまして逐次改革を行ってまいりたいと考えておるわけでありますが、ただいまの段階では、私どもといたしましては、明年度の経済見通しないしは税制改正の見通し、こういったようなものが必ずしも現時点では明らかでございませんので、明年度どの程度の歳入不足が生ずるか、そういうことについてはもう少し時間をかけて詰める必要があろうかと思っております。しかし、いずれにいたしましても、生じました財源不足に対しましては適正な財源措置ができますように、これをまず第一に、基礎に考えていきたいと思っております。  そのほか、制度改正面の具体的な考え方といたしましては、一つはやはり地方税をできるだけ充実強化をしていく、こういうことが第一点であろうと思っておりまして、これは税務局におきまして税制調査会等の御審議もいただきながら各税目につきまして地方税の充実といった方策について検討を重ねております。  それから第二には地方債問題でございますが、地方債につきましては、今後いずれにいたしましてもかなり大幅な地方債の活用といったことを考えなければならないと思いますし、そういった場合に民間資金の活用という点について大いに意を用いなければならぬ事態が生じようと思います。したがいまして、民間資金を円滑に消化し得る方策、民間資金による地方債でもって財政運営を円滑にやっていく方策、こういうことについていろいろ検討を進めておるわけであります。  それから第三点には国庫補助負担金関係の問題でございますが、現在の国庫補助負担金につきまして、その不合理な分あるいは強化すべき分、こういった点を各省を通じまして予算編成を通じてお願いをいたしておりますとともに、御案内の超過負担の解消、こういう点にも大いに力を入れていきたいと思っております。そのような制度改正の歩を進めますとともに、所要財源につきましては交付税率の引き上げ等も含めました一般財源の確保、こういう点について検討を重ねたい、こう存じておる段階でございます。
  173. 小濱新次

    ○小濱委員 さらに局長にお尋ねをしておきたいのですが、上月に発表したこの中期展望によっても、地方財政はここ数年一兆円を超える財源不足を生じることが政府の試算でも明らかになった、歳入構造をどのように変えていくのか、今後の見通しと対策について、これも局長からお答えをいただきたい、こう思います。
  174. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘をいただきましたように、この前提出をいたしました地方財政の中期見通しでは、当時の状況のままでございますと五十二年度に一兆九千億、五十三年度に約一兆、五十五年度になりますとやっと回復をいたしますが、そのように歳入不足が生ずるであろうという見通しを立てております。ただこの点はその後の経済状況の変動でございますとか、それからこの見通しでは国税、地方税を通じましての三%程度の租税負担の引き上げ、こういったような前提がございましたので、そういったものの成り行きいかんによっては若干数字の変動が出るかもしれない。なおその数字の変動については今後詰めてまいりたい、こう考えておるわけであります。  これに対しまして、やはり考えますことは、このような財源不足の生ずる事態でございますので、基本的には何とかして一般財源を強化していきたい、こういう基本的な考え方を持っております。そのためには具体的にはやはり地方税制を充実をしていく、そしてその足らず前は交付税等の一般財源の充実、こういうことをもって考えていきたいと思っておりますし、なお現行の負担区分制度等における国庫補助負担金等の制度の合理化、改正、こういう点についても意を用いたいと思っているわけでございます。  ただ何分にも現在の情勢では、国と地方を通じまして財政需要に対します財政収入の総量が、先生御案内のように非常に大きく足りないという事態でございますので、この一般財源の強化策が、どういったやり方でどのようなテンポで国民のコンセンサスを求めて実施をされてまいりますか、こういう点については地方制度調査会、税制調査会その他いろいろの御意見なり御審議なりが必要かと思っておりますが、基本的方向としては地方での一般財源の充実、こういう面に向かって進みたい、こう考えておるわけであります。
  175. 小濱新次

    ○小濱委員 ただいま御答弁にも出ておりました交付税の引き上げについてでありますが、五十年、五十一年と地方財政の不足が生じて、五十二年度については、九月決算が明らかになっていないわけですが、恐らく来年度も地方財政の不足は深刻さが続くと思う。これはだれしもが言っていることでございまして、そのことについて政府はこれまでもたびたび、五十年、五十一年度と連続赤字となり、さらに五十二年度も赤字となる場合においては、地方交付税法六条の三の二項を適用して税率の引き上げを行うと言明しているわけですが、来年度の交付税引き上げについてはどうです、どういうお考えを持っておられましょうか。これも局長でしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  176. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、五十年、五十一年と大きな歳入不足がございましたし、五十二年度以降も、現在の時点としては、やはり歳入不足が続くだろう、こういう事態であろうと思いますので、六条の三の二項の適用がある事態に来年度はなるものだ、こういうように私どもも考えております。そういった立場に立ちまして明年度以降の財源措置というものの基本線を考えていかなければならぬと思っております。先生御案内のように、そういった事態には地方行財政制度の改正または交付税率の引き上げ、こういうことをやれ、こういう法の趣旨になっておりますので、そのいずれもの方法、制度の改正、率の引き上げ、こういうものも含めまして明年度以降の財源補充対策というものの基本を組んでいくべきだ、こういう考え方に立って努力しておるところでございます。
  177. 小濱新次

    ○小濱委員 最近の大蔵大臣の御発言を伺いましても、交付税の引き上げはやらない、いわゆる地方財政てこ入れ論に反対という態度を示している記事が載っております。大蔵省は難色を示しているわけですけれども、この自治省と大蔵省との意見の食い違い一まあ情勢はよくわかっているわけですけれども、そこに食い違いという問題が生じているわけですね。まあこれからの対策ということでこれは真剣に取り組んでいかなければならない当委員会の責務でもあると考えているわけですが、この点について局長からお聞かせいただきたいと思います。
  178. 首藤堯

    ○首藤政府委員 地方財政が大変な危機に陥っておりまして、五十年、五十一年度多額の不足を生じましたし、明年度も大変な事態だ、こういうところがら地方財政のあり方について基本的な検討を行うべき時期が来ている、こういう認識についてはいままで大蔵省ともよくお話し合いをしてまいっておりますが、その基本的な認識そのものに食い違いがあるわけでは決してないわけでございます。もちろん両省の間で今後具体的にそういった考え方、つまり制度改正なり交付税率の扱いなりをどう考えていくのか、こういう点につきましてはやはり大蔵省側は、国の方の財政も大変な危機でございますので、そういったところからいろいろな御意見を今後お持ちになるだろうし、またおっしゃるだろう、こういうように考えておるわけでございます。いずれにいたしましても今後の経済情勢の推移とか国、地方を通じます税制改正の動向とか、そういったこともあわせ考えながら制度の基本的な改革といったようなものについて十分論議を尽くし、相談をし、いい方向に持っていくように相談を重ねなければならない、こう考えておるわけであります。ただいまの時点におきまして、たとえば大蔵省の側で交付税の率のことはもう頭から問題にならない、検討もしない、こういうような態勢であるわけではございません。
  179. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣、お聞きのとおりであります。この交付税率の引き上げ問題につきましては大きな課題でございますが、ぜひひとついろいろの経緯からしてもやらなければならない当委員会の問題であるとわれわれは考えております。ひとつこの点についての御意見、御所見がございますればお伺いをしておきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  180. 天野公義

    天野(公)国務大臣 ただいま政府委員から御答弁申し上げたような筋合いでございますが、私といたしましても、来年度の財政状態を見ますると非常に重大な問題を抱えていると認識をいたしております。したがいまして、これからの問題ではございますけれども、行財政制度の改正や交付税率の引き上げ等を含めまして問題の処理に当たってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  181. 小濱新次

    ○小濱委員 ひとつ真剣に取り組んでいただきたいことを特に要望しておきたい、こう思います。  これは大臣にお答えいただきたいと思うわけですが、一昨年、地方事務官制度の廃止については五十一年三月までに廃止をするよう決議された。政府も決議を尊重すると言明しているわけでございますが、これは当委員会で五党が附帯決議をつくったわけでございます。以来、半年以上になりますが、いまだに実施されていないわけであります。地方事務官は事務配分を行う立場からも当然廃止しなければならないわけでございますが、現在の状況及び実施されない理由は何か。先ほどどなたか御質問があったようでございますが、重複するかもしれませんが、ひとつ党の立場から承っておきたい、こういうふうに思います。
  182. 天野公義

    天野(公)国務大臣 地方事務官の問題につきましては、各省間の調整を鋭意進めていたところでございます。特に昨年十月から本年三月末まで、関係省庁の政務次官による調整会議を十数回にわたって開き、問題の検討を重ねてまいりましたが、遺憾ながら結論を得ることができなかった次第であります。  自治省といたしましては、国会の附帯決議や特別決議等の趣旨に沿って今後とも関係省庁との協議の促進を図り、できるだけこの問題の処理に当たっていきたい、かように考えておる次第でございます。  しかし率直に申し上げますと、各省のいろいろな歴史的な流れや問題が絡んでおりまして、直ちにこれがうまくいくというような段階にはまだ至っておらないと思うのでありまして、これからなお一瞬努力を重ねてまいらなければならないと思っております。
  183. 小濱新次

    ○小濱委員 今後一層の努力をお誓いいただいたわけでございますが、各省の抵抗が激しいということ、われわれもよく承知をしております。そういうわけで結論に至っていないわけですし、次官会議で協議中ということもよく承知をいたしておりますが、この問題については、ひとつ各省と大いに交渉を続けてもらわなければなりません。これは三木総理大臣も約束をしているわけです。そういうわけで、この問題を進めるについては、出先とかあるいは関係者のそういう話し合いでは結論は出ないであろうという難問になっているわけですから、そういう点で閣僚レベルでの折衝が最も大事になると私ども見ているわけであります。そういう立場から、いままでも努力していただいてまいりましたけれども、新しく就任をされた立場からこの問題についてはひとつぜひとも、五党が全会一致で附帯決議をつけた、そういう内容でもありますので、実現のために一層の御努力をお願いしたい、こう思うわけでございますが、もう一度決意をひとつ聞かせていただきたい、こう思います。
  184. 天野公義

    天野(公)国務大臣 いままで一生懸命努力をしてまだ結論の出ない問題でございますから、なかなかむずかしい、根の深い問題であると思っております。したがいまして、今後とも鋭意努力をいたしまして結論を得るようにしたいと思っておる次第でございます。
  185. 小濱新次

    ○小濱委員 私は余り自治大臣とは接触しておりませんが、その業績、手腕というものはいろいろとお伺いしております。そういう立場から私どもは非常に期待を持っているわけです。天野自治大臣が生まれたということで、これからいろんな問題を当委員会で大いに提起して御努力をお願いしよう、こういう決意での御質問でございますから、これは自治省の方々も言いたいところだろうと思いますが、なかなか遠慮しているようですが、私どもが言わなければならない立場にありますので、ぜひひとつ一層の御努力を心から期待を申し上げる次第でございます。  次に、また財政局長にお尋ねしていきたいと思いますが、本年は東北、北海道の冷害、それに追い打ちをかけるように伊勢湾以来の水害という惨事に見舞われたわけでございます。政府はもちろんのこと、各自治体も救済対策、復旧対策を行っておりますが、特に地方は財源不足も絡んで財政運営が非常に厳しいわけでございます。災害対策に対する財政措置についてどういうお考え方をお持ちになっておられましょうか、まずこの点をお尋ねしておきたい、こう思います。
  186. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御摘摘のとおりことしは水害がございまして、さらに冷害がございまして大変な年に相なりまして、地方団体もその処理に苦慮していらっしゃることに対して、私どもできるだけのことをして差し上げなければならぬと思っておるわけでございます。  具体的なやり方でございますが、まず災害復旧事業に対しましては、災害を復旧する事業の施行が必要でございます。この災害復旧事業の施行につきましては、先生御案内のように、国庫補助負担金が出ます公共災害と、それからそれの出ませんちっぽけな被災地域にかかわる単独災害、こういったものがあるわけでございますが、この災害復旧事業につきましては、国の方の予算が支出をされますと、それに伴います地方負担が生じてまいります。その地方負担につきましては、公共の地方負担、それから単独災害復旧事業の負担それもろとも地方債をもちましてその財源措置をやる。したがって、そのことによって復旧事業の財源に困ることがないように措置をしたい、まずそう考えておるわけでございます。こういった災害復旧事業に起こしました地方債の元利償還につきましては、後々交付税で手当てがあるという点も、先生御案内のとおりでございます。  それから二番目は災害の場合でございますが、やはりそういった復旧事業だけでございませんで、救助費の負担でございますとか、そのほかもろもろの地方団体の財政負担が当然生じてまいります。これに対しましては従前とも特別交付税を配分いたしておりますが、ことしもその特別交付税の配分を十分いたしたいと思っております。ことしは、先生御案内のように、この前の法改正で、災害復旧対策分を従前の二月交付と分けまして、十二月に交付ができる仕組みにしていただきましたので、去年よりも早い時期に交付ができると思います。いろいろ算定の基準がございますが、災害の事業量とかあるいは被災の農地の面積であるとかあるいは浸水家屋の数であるとか、そういった各種の要素に応じました算定をいたしまして、特別交付税を配りたいと思っております。  それから冷害でございますが、近年にない大冷害でございますので、まず第一にこの冷害のためにいろいろな農林省措置がとられますけれども、それでもなおかつ農民の方の所得に非常に問題がございまして、やはり救農土木事業の実施が必要でないか、こう言われておるわけでございます。私どもといたしましてもぜひその実施をしていただきたいと思っておるわけでありますが、こういった地方の財政状況でございますので、救農土木事業の執行も国庫補助負担金を伴います公共事業、こういうかっこうでぜひ実施をしてもらいたい、こういうことでいま各省寄り寄り相談をいただいております。このことが決まりますれば、この裏負担がまた出てまいりますから、その裏負担に対しまして地方債でもって十分な措置をいたしたいと思います。  それから冷害に伴いますもろもろのその他の出費がございますが、これも冷害被害額を基準にいたしまして従前から特別交付税の配分もいたしておりますが、ことしも状況を十分勘案しながらその配分について遺漏がないように努めてまいりたい。そういった措置を通じまして地方団体がこの災害冷害によってごくひどい財政的なダメージを受けるということのないように措置をしたいと思っておりますし、またそれができると考えております。
  187. 小濱新次

    ○小濱委員 交付税の先渡しとか特交で考えているとか、いろいろ御意見が出ました。大変な災害の後始末に追われている実態を、私どももこの目で見ながら、はだで感じながらこの質問をしているわけでございまして、どうか、何とか心温かい施策をぜひひとつ施してやっていただきたい、こう思うわけでございます。  さらにお尋ねをしておきたいことは、水害で激甚災害に指定されないが非常な被害を受けている、そういうところがあるわけですね。いまお話しのとおりです。国からの補助もない、また、自治体独自でやらなければならない、そういう被害対策が多いということです。神奈川県の相模原市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬町がこれに該当するわけでございますが、このようなところに対して特別交付税が当然交付されるべきであるとわれわれは考えております。内容にもよりましょうけれども、いま申し上げたような内容の地域に対して当然交付されるべきであると考えておるわけですが、この点いかがでございましょう。御答弁いただきたいと思います。
  188. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘のとおり当然措置をいたします。災害を受けた地方団体の中で特にひどいところは激甚地指定を受けまして、それで国庫補助率のかさ上げ等、いろいろ処置がございますけれども、それほどの災害がなくて補助率かさ上げ等の特別の処置がない市町村でも、災害によってこうむりました財政負担があることは当然でございますから、公共事業等の裏負担、これについては起債措置をいたしますし、それから特別交付税も、その地域の受けました災害の状況に応じまして特別交付税を必ず配分をして財政負担の緩和を図る、こういう措置は必ずとってまいります。
  189. 小濱新次

    ○小濱委員 自治体としては自治省に足を運ぶことは何か懸念をしているような感じもあるわけですが、そういう機会にはぜひひとつ心温かい処置をされますように心から要望しておきたい、こう思います。  次に、自治省を終わりまして、厚生省にお尋ねしておきたいと思います。  森下環境整備課長さんに生活環境の整備について伺いたいわけでございますが、市町村は、ごみ、屎尿処理、なかんずくその施設の整備が非常に大きな問題となっておるわけでございます。施設整備については、財政問題と用地の問題が絡んでおります。こういうことでますます困難になっている、そういうところが非常に多いということであります。そうした場合住民の了解のもとにつくるわけでございますけれども、公害の出ない施設にしなければならないし、また、その付帯施設もつくらなければならないわけでございますが、これらの施設について厚生省の基本的な見解をぜひひとつお伺いしておきたい、こう思います。
  190. 森下忠幸

    ○森下説明員 ごみ処理施設や屎尿処理施設のような生活環境施設の建設に当たりましては、まず公害を出さないということ、それから周辺の環境を整備するということに特に配慮しなければならないことは先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、従来から公害対策に十分配慮できるように補助基本額を上げて毎年努力してきたところであります。  たとえばごみ処理施設をつくりますのに、五十年度には一日一トン処理できます施設について六百三十万円というものを基本に考えまして補助しておったわけでございますが、本年度はこれを平均で八百五十万円、四一%アップいたしまして、実際の運用でさらに公害防止に費用がかかりますものは、トン当たり一千七十二万円まで補助できるというふうな制度にしたわけでございますが、今後ともこういったものの内容を充実してまいりたい、このように考えております。
  191. 小濱新次

    ○小濱委員 厚生省といたしましては、いろいろな実態はもうよく御存じのとおりであると思いますが、このごみと屎尿処理の対策についてはどのくらい頭を痛めているかわからない、そういう立場からいろいろと御意見をお伺いするわけでございます。  一つの例を話をいたしてみたいと思いますが、これは神奈川県の相模原市の場合でございます。現在、六百トンの施設をつくろうとしておりますが、政府基準では、ごみを燃やす施設だけでございます。公害の出ない施設にするためには、百億円以上がかかるという内容になっております。しかも、住民が納得しないために施設自体をつくることができない、こういう障害が出ているわけですね。用地費の補助がついていると言いますけれども、実質的にはほとんどないのも同然だという、私ども具体的な内容をお伺いいたしますとそういう形になってしまう。こうしたことから、補助率は二分の一と言っておりますけれども、実質補助率は用地費を含めるとわずか一二、三%程度にしかならない。これは単に相模原市だけの問題ではないと思いますよ。全国的な問題であるとわれわれは見ておるわけです。  現在のごみ、屎尿処理施設は、ごみを焼くだけではいけない。ごみ焼却炉及び公害防止のための建物、あるいは緑地帯、福祉施設、これらがワンセットになっているわけです。しかし、補助基準対象が実際に即していないため、全部市町村の超過負担になっているわけでございますが、こういう実態からして、厚生省の今後の方針というものをぜひとも伺っておきたいわけです。さらに、ごみを焼けば灰が出るわけですね。この対策についてもひとつ一緒にお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  192. 森下忠幸

    ○森下説明員 相模原市の御計画は五十二年度以降だと思いますが、詳細承知いたしておりません。  六百トンで百億というのは、用地費とか付帯施設を入れるとそんなふうになるのかもしれません。いずれにいたしましても、こういう周辺の施設、付置施設等を一体的に整備するということで、これを新しい補助の体系に入れるかどうかということにつきましては、今後研究してまいりたいと思いますけれども、たとえば老人ホームなどにつきましては、すでに個別の補助制度がございますから、市町村から個別にこういった具体的御要望がありましたときには、その担当の方にお取り継ぎするということで対処してまいりたいと思います。いずれにいたしましても、その補助の基本となる単価といいましょうか、これをまず上げる、そして補助率をよくしていくということで、五十二年度もそういう方向で予算要求しておりますし、今後この改善に努めてまいりたいと考えております。  それから、焼却灰の埋め立てのことでございますが、埋立処分地等について取得がなかなかむずかしい、それは一つには、必ずしも適正な埋め立てが行われていなかったということもあったと思います。そういうことで、この前の国会で六月に、廃棄物処理法を改正させていただきまして、埋立処分地につきましては、設置する前にこれを届け出しまして、一定の構造基準に合致したものをつくる、それから埋立処分地から出てまいります廃水、汚ない水等についても、これをきちんとして処理するという管理基準も今後つくるつもりでおりますけれども、埋立処分地は、これを適正に管理いたしますとその跡が土地として有効に使えるというふうなことから、埋立処分地の関連施設、たとえば堰堤とか、そこから水を取り出します集水管とか、出てきた水をきれいにいたします処理装置とか、こういったものについて本年度から国庫補助の制度ができまして、五十一年度は初年度ということで予算は全国十ヵ所しか入っていないわけでございますが、来年度は四十ヵ所計画を持っておりまして、再来年度は百三十ヵ所、今後五年間に七百ヵ所以上の処分地に関係いたします施設をつくってまいりたい。これにつきまして、たとえば相模原地区でこれをおつくりいただきますと、二分の一の補助ができるというふうなことで対処してまいりたいと考えております。
  193. 小濱新次

    ○小濱委員 この付帯設備を行った地域での評判は非常にいいわけです。したがって、そういう好評で、今度はつくるについてはぜひともこの地域にもという要望がぐっと出てくるわけです。ところが自治体は、やりたいけれどもいわゆる持ち出し分がない、やらなければ施設はできない、そのうちに住宅密集地域になっていく、そういう見通しがある、非常に頭を痛めているわけです。そういうことで、相模原の場合は非常に膨大な地域がありまして、もう本当に人家のないようなところにつくるのですけれども、それでもいまのような要望が多く出てくるわけです。灰の捨て場ももう間もなく埋立地がなくなってしまうということで、どうなるのだろう、どうするのだろう、早くこれをつくらなければならぬ、こういう要望から、ぜひひとつ厚生省、いろいろと付帯設備についての補助問題については御努力を願っているようですが、なお一層御努力をお願いをしたいと思います。人口急増地域、こういう地域を重点的にモデルケースとして行うことの考え方はどうでしょう。厚生省、御意見を聞かしていただきたい、こう思います。
  194. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  私どもがそういう補助を市町村にお出しします際には、そういった人口急増地区はもちろん最優先に考えますが、都道府県から都道府県の中のどの市町村に今年度優先的にやらなければならないかという意見を求めまして、それに沿って補助しておるわけでございます。先生おっしゃるような人口急増地区には優先的に補助ができると考えております。
  195. 小濱新次

    ○小濱委員 地方財政が非常に緊迫をしているという立場から、どうしてもつくらなければならない施設ですから、その担当である厚生省といたしまして、ぜひとも一層の御努力を心から要望しておきたい、こう思います。厚生省、結構でございます。  あと、建設省に最後に一点だけお尋ねをして質問を終わりたいと思います。  相模川流域下水道の進行状況について、高秀流城下水道課長・御答弁をいただきたいと思います。
  196. 高秀秀信

    ○高秀説明員 先生いまお話のありました相模川の流域下水道は、昭和四十四年から野業に着手しております。予定といたしましては、平塚市等八市四町で処理区域を左岸と右岸、二処理区に分けまして、鋭意県当局が努力しているわけでございます。事業の進捗状況は昭和四十八年に、御承知のように右岸の処理区、処理能力が約十一万八千人分でございますが、これが処理開始をいたしております。  しかし、先ほど厚生省の方にもお話がありましたように、人口急増地区でございまして、もう少し流域下水道の進歩を図れというようなお話もございまして、私ども茅ヶ崎の地先に計画しております左岸の処理区、これも御承知のように、第四次の下水道五ヵ年計画が閣議決定されておりますので、これを受けて、その年度内にはぜひ処理開始をいたしたい。なお、管路等につきましても、上流に向かってさらに進めてまいりたい、相模原までには五ヵ年計画中にはぜひ達成をいたしたい、こういうふうに考えております。
  197. 小濱新次

    ○小濱委員 右岸の方の平塚四之宮の浄化装置、これを拡張いたしましたが、その事業は全部終わったのか、これからまた後の仕上げを、大体いつごろをめどにして完成をされるのか。  それから左津の方は、四次計画の閣議決定を見ておりますということでございましたけれども、これからの見通しについて具体的にもう少し話をしていただきたいと思います。
  198. 高秀秀信

    ○高秀説明員 まず右岸でございますが、これは厚木、伊勢原、平塚を受けるところでございまして、先ほど申し上げました処理場ができて、現在十一万八千人分の能力を持っております。これは、全体計画は二十年後ということでございますので、非常に大きい計画になっているわけでございますが、私ども、いま先生お話しのように、第四次下水道整備五ヵ年計画ではこれを倍増いたしまして、二十三万六千人分の処理場にしたい。なお、引き続きさらに五ヵ年計画以後も用地を確保しておりますので、さらに整備を進めることにいたしております。  なお、左岸でございますが、これにつきましては十八万六千人分の処理人口を五ヵ年計画内につくりたい。なお、これも若干用地拡幅のところについては問題点がございますけれども、引き続き五ヵ年以後もやりたい、こういうふうに思っております。
  199. 小濱新次

    ○小濱委員 もう八年ぐらい前になりましょうか、この流域下水道の問題については、私も建設委員会で取り上げて、その進捗を非常に期待をしながら今日まで見守ってきたわけでございますが、この左岸の方の流域下水道ができませんと、十八万六千人分の受けざらができないわけです。一生懸命関係市町では下水道工事を努力しているわけですけれども、受けざらがないのです。早く流域下水道をつくってくれませんと、どこへこの汚水を流せばいいのか、こういうことになるわけです。しかも、右岸の方はほとんど支障のないようにできました。それは四之宮の処理場があったからこそできたわけですが、茅ヶ崎の処理場がようやくできた。さて、今度は左岸の流域下水道が全然やられていない。ところが、下水道工事はどんどんと自治体では進めておる、こういうことで、これはまた相模原の例になるわけですけれども、応急に浸透横穴式、別名相模原方式と言われるわけですが、こういうものを十ヵ所つくっているわけです。そこへみんな落として、その汚水を処理しているわけです。そんな余分なこともやらなければならない。建設省、全くれるのですか。どうせくれないのですからね。だから、流域下水道を早くつくってもらいませんと、こんなに余分なことを自治体はやっているわけですよ。ですから、最初は四百五十億ぐらいで始まったわけですが、どうも見通しとしては二千億ぐらいこれから完成までにはかかるらしいですね。けれども、あそこまで進んだ工事ですから、これはやっぱり完成をしてもらわなければなりません。自治体がかわいそうです。  そういう点できょうはひとつこういう自治体の悩みというもの、苦しみというものをよく御理解いただきたいと思いますし、それがための促進というものを実は図ってもらわなければならないわけです。もう少し具体的にひとつこれからの見通しなり、計画をお持ちになっていればその計画なりをお示しいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  200. 高秀秀信

    ○高秀説明員 先生から再度前向きの答弁をしろということでございますが、いまお話しのように左岸につきましては、私どもとすれば基本的にはいまの計画の処理人口を昭和五十五年までの第四次の五ヵ年計画でやるということにいたしておりますが、なお県当局と私ども相協議して、できるだけ早い年度で処理開始をいたしたい。  なお、パイプにつきましては、先生お話しのようにいろいろな道路整備との関連もございます。しかし下水道は通水をして処理を開始いたしませんと投資効果といいますか、効力がゼロでございます。極力これにつきましても早い年度に相模原の方へ出していきたい、こういうふうに思います。
  201. 小濱新次

    ○小濱委員 この流域下水道工事の補助率ですが、最初は三分の二だったのかな、それから四分の三になったわけですね、国庫補助が。あと残った一つを県とあと関係市町村、こうなっていますね。八分の一だからという、それが関係町村でということですから幾らでもないようだけれども、これが自治体にすれば負担が大変に重くのしかかってくるわけです。本当は一〇〇%ぐらい国で当然やってくれてもいいんじゃないかと私ども見ているわけですよ。そういう点で、県も大変でしょう、これは関係市町村もそうですけれども、やはり積極的な建設省の御意見があれば、どんなことをしたって――これはもう住まいを持って第一の悩みは、持つまでは感じないのです、家へ入ってみて感ずるのは下水処理なんです。しまった、こういうものでみんな住民の方々はこの問題を訴えてまいります。最終的には流域下水道を急げ、早くやってくれ、こういうことなんですよ。ぜひひとつやっていただきたいと思います。  それからもう一つ、境川という、これは流域下水道の問題についても、私、当時の建設大臣、環境庁長官と御了解をいただいておりますし、やることになっておりますが、なかなかやっぱり地域の財源難で持ち出し分がないということで全然進まない、やれない、こういう状態になっております。したがって、建設省の積極的な御意見がやはり自治体を動かしていくわけですから、ぜひそういう方向で住民本位の政治が実現できますように心から強くこの点を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。大変ありがとうございました。
  202. 小山省二

  203. 安井吉典

    安井委員 ことしの十七号台風を初めとする災害、さらに東日本の冷害、まさに日本列島は災害列島になってしまったという感じの一年で、それが自治体の住民にも、もとより自治体自体にも大変な打撃になっていることは間違いありません。きょうも、けさから佐藤委員を初め多くの皆さんも問題点をほとんど出されているわけですが、その各論をやるようなつもりで若干の時間、問題点についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  自治大臣は北海道開発庁長官でもあり、その資格で冷害現地もごらんになって、たんぼの中で実らぬ稲を手に取って被害のひどさというものを身にしみてお感じになっているわけで、さっき政務次官のちょっと妙な発言が問題になりましたけれども、それとは違って大臣自身はそういう実感を持っておられるわけでありますので、ひとつお答えをいただきたいと思うわけであります。  先ほど来の質問に対して財政局長は、自治体の負担については特別交付税と起債で全部措置するから心配するなという、それが結論の言葉のようであります。  そこでまず伺いたいのは、ことしの災害及び冷害に対し、その復旧専業やその他国の支出もいろいろ言われておりますけれども、それが自治体でどれぐらいの支出増になるのか。冷害の方はまだわからない面もあると思うのですが、いまわかっている限りにおいて自治体負担はどれぐらいになるのか、あるいはわからないものについては見通しはどうなるのか、まずそれから伺っておきたいと思います。
  204. 天野公義

    天野(公)国務大臣 安井先生御承知のように、就任早々北海道の冷害が非常に激しいということを聞きまして、急速冷害地を視察をさせていただいたわけでございます。  私は東京生まれでございますので、大体稲の穂というものは黄色く豊かにたれるものだと思っておりましたところが、現場に行ってまいりますと、黒い穂やまだらの穂がたくさんありまして、黒い穂には全然中身は入っておりません。また、まだらの穂におきましても黒いところには入っておりませんし、ちょっと色のついているところのものをむいてみますと青っぽい米でありますし、あるいはまたぎゅっとつぶしますと牛乳のような汁がしゅっと飛び出すというようなぐあいでございまして、しかも総じて稲の穂は天井を向いたままになっているわけでございまして、私といたしましては、あのような冷害によるひどい稲作地帯を見たことは初めてでございます。  承るところによりますと、当時道庁の平均的な指数が七〇%ぐらいということを承っておりましたけれども、もっと下回るであろうという推測が示されました。ひどいところでは二、三〇%ぐらいまで低下をするのではないかという話も承りましたが、現場に行って、ひどいところはまさにそうであろうということを感じた次第でございます。小豆等にも影響が出ているわけでございまして、この冷害に対する対策というものは真剣に取り組んでいかなければならない問題であると考えまして、閣議にも報告もし、また、持ってまいりました稲穂を三木総理にもお見せをいたしたような次第でございます。  災害につきましては、冷害災害それぞれ各関係閣僚が見てまいりまして、閣議におきましても再三この災害冷害に対する対策が論じられたわけでございます。その結果といたしまして、現行法規上できる範囲のものは全力を挙げて速やかにその対策に処するようにやっていこうということが一つ、あるいは救農土木のような問題におきましては関係官庁が集まって、そしてこれに対する対処の仕方を協議をして、基本方針がもうできているわけでございます。  自治省といたしましては、これらの諸対策を行う上におきまして、地方自治体の裏負担になるような問題につきましては万全を期してその裏打ちをする方針で進んでいるわけでございます。災害の数字につきましてはまだ正確な集計ができていないわけでございますので、災害冷害の具体的な対処の仕方につきましては、被害総額がわかり、具体的な措置の仕方が判明いたすに従いまして措置を講じ、万全の方策をとっていきたい、かように考えておるような次第でございます。
  205. 首藤堯

    ○首藤政府委員 災害被害額でございますが、もちろんまだ的確な数字は出ておりませんが、十七号台風にかかわりましては、九月の末の数字で各種施設関係災害被害額は約七千五百億ぐらいに達しておるだろうと言われております。いままでの災害と皆合わせますと一兆を少し上回るような被害額になるのではなかろうか、こう言われております。  これに対しまして、被害査定が終わりました後、三、五、二という原則的な比率がございますが、初年度三割を下らざる復旧事業、これが着手をされることになろうかと思っておりますが、ただいま承っておりますところでは、そういった面に必要な復旧事業費に対する国費の所要額は千八百億前後ではなかろうかと言われておるのでありまして、これは激甚災害のあり方次第によりまして補助率がずいぶん違ってまいりますので、地方負担ははっきりと申し上げられませんが、それに対応いたしました地方負担についてはこれを地方債でもって措置をする、このようなつもりで地方債の追加をいたしまして措置をする、このような体制でおるわけでございます。  冷害につきましては、まだ被害総額が出ておりませんので、復旧の土木の事業費がどれだけ要るか各省庁でいま検討中でございます。
  206. 安井吉典

    安井委員 まず大臣から調査の実感をもとにしてきめ細かな対策を講ずるとのお考えの開陳がありましたので、ぜひとも最後までその線でお進めをいただきたいと思います。  災害対策特別委員会等の資料によれば、五十一年災の被害額、それに対する災害復旧対策予算、これは一月以降分も含めて七千五百九十三億円、今後漏れて追加のものも入れて大体八千三百億円、それに過去五年間の災害復旧費にかかる国費のパーセンテージを入れれば――これは二二%にしています、それでも千八百億円という数字になるという発表がございましたが、これはいまの財政局長のお話と同じですね。そのうち五十一年度計上分が災害復旧費予算二百億円あるので、それを引けば今後の必要費は千六百億円ぐらいであろうという話のようであります。だから、これは公共事業等予備費とその他の予備費で十分賄いができるということで、予算委員会でも私たちはこの公共事業等予備費そのものをそのまま流用するということに問題があるのではないかという追及もしたわけでありますが、一応こういう考え方が出されているわけです。なるほど激甚災の指定等がどう行われるかにもよるわけでありますが、大体普通常識があるのですが、常識的な場面でこの千六百億円が国の支出だとすれば、自治体支出はおおよそこれぐらいだろうという見積もりぐらいはあるのじゃないかと思いますが、どうですか。
  207. 首藤堯

    ○首藤政府委員 大きな災害が起こりました場合の公共災害復旧の平均補助率は八割前後に達するかと思いますので、これははっきりしたことを申し上げかねますけれども、八、二の比率であるということであれば、ことしの事業実施分では三百億か四百億、そういった程度のものじゃなかろうかと思います。もちろんまだこの数字は全く架空のものでございます。
  208. 安井吉典

    安井委員 何か少し額が少な過ぎるような気もするわけですが、これはことしの事業費の自治体の裏負担分という意味ですか。
  209. 首藤堯

    ○首藤政府委員 そのとおりでございまして、公共災害復旧事業費――冷害は別でございますが、その復旧事業費の国費が千六百億とした場合の裏負担でございます。かなり高率の国庫負担率になりますので、いずれにいたしましてもこの数は補助率が確定をすれば出てまいりますが、その分につきましては現在持っております地方債計画を追加をいたしまして、その分に対する地方債措置は的確に行う、こういうつもりでおります。また、大蔵省にもその旨申し入れをしてございます。
  210. 安井吉典

    安井委員 冷害の方は、これは農林省でいろいろ調査を進めておられる段階だと聞いておりますし、また、稲がまだ立っているわけですから、この全貌が的確につかまれるというにはちょっと時間がかかるのはわかりますが、いま各都道府県からの報告の農作物被害額だけを大ざっぱに累計してみても、この表は東北は岩手県しか載っておりませんが、これで千八百五十九億ですか。一体いまの段階農林省の方ではどれぐらいに考えておられるのか、それを伺います。
  211. 石川弘

    ○石川説明員 先生御承知のとおり、台風につきましてはすでに農作物減産、水産合わせまして八百億というような数字を公表いたしておりますが、冷害の場合は、いま先生からも御指摘がありましたような状態でございますので、農林省の公的な数字といたしましてはまだ数字を持たない形でございますが、いま先生がおっしゃいました県の報告の集計、しかも県が抜けておりますので正確な意味で全体とは申せませんが、千八百億を超えます数字もございます。たとえば減収量に一定の農産物価格を掛けまして粗っぽく積算するというような手法をとりましても、この千八百億あるいはそれに近いような数字が出るおそれがあるのではないかということは一応言えるわけでございます。ただ、公式なことではございませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
  212. 安井吉典

    安井委員 そういう事態に立って自治体の負担がどれぐらいに初年度なっていくのかというわけですが、このほかに地方の単独事業やその他もあるわけですね。それらはどういうふうに考えておられますか。
  213. 首藤堯

    ○首藤政府委員 地方の負担は、御指摘のようにこういった公共災害の裏負担のみではございません。それに対応いたします小規模災害に対する単独事業がございますとともに、もろもろのそのほかの災害関連の出費がもちろんあるわけでございます。それに対しましては、公共事業の裏負担、それから冷害の場合の救農土木事業の裏負担、それから単独災害復旧事業の負担額、これは地方債の追加措置をやることによりまして財源措置をいたしますし、それから災害復旧事業ないしは冷害関係に伴いますもろもろの財政負担、これに対しては特別交付税で対処をする、こういう二方面に分けましての対処を考えておるわけでございまして、それぞれその両方面の対処の実を上げて、地方団体が特にお困りになることのないように、先ほど心配するなとおっしゃいましたが、そういう気持ちで措置をしてまいりたいと考えております。
  214. 安井吉典

    安井委員 特別交付税十二月配分、それが約一千億円ぐらいですね。これの交付基準ですが、私は後で触れますところの税の減免が幾ら、あるいは応急対策費が幾ら、災害救助等にかかったお金が幾らとか、そういう積算で具体的な数字として計算されるのかと思ったら、先ほどは災害額の総体を含めて丸くした数字で配るというふうなお答えのように聞いたわけであります。具体的な支出増に見合うような的確な配分が果たされるようなことになるのかどうか、その交付基準なり交付のやり方についてひとつ伺います。
  215. 首藤堯

    ○首藤政府委員 特別交付税の災害に対応します配り方といたしましては、ただいま御指摘がありましたようにたとえば災害救助事業費の裏負担とか給付金でございますか、こういうものだとかいうように所要になりました実額、これを基礎にして算定いたしますものももちろんございます。それとともに、そうは申しましても、ともかくいろいろな事情によりまして地方団体独自にいろいろな面で金がかかるものもございますので、そういうものは包括的に配る。たとえば災害の総発生額、これに対しまして県も市町村も総発生額の一%というのはともかく無条件でそれだけ配る、こういう二つの配り方を併用いたしております。そこでたとえば災害救助事業費等でその裏負担が非常に多かったということになれば、的確にそれに対して処置がされますし、もろもろの処置に対してはいま申し上げたように災害の大きさそのものを対象にして配る、こういう配り方をとっておるわけでございます。  なお、市町村の場合は特に府県ごとにそういったものをまとめて配分をいたしますので、また県で各地域内の特殊の事情がありましたときにはそれらを勘案をいたしての増減をいたします。そういう配分の仕方をしますので、いままでの実態、経験からまいりまして特別交付税の災害に対する配分、これに対して実際所要額に比べて極端に困ったというふうな事例が発生したことは聞いておりません。またそのように弾力的に十分配慮しながら配っていきたい、こう考えております。
  216. 安井吉典

    安井委員 それは全部十二月配分ですか。
  217. 首藤堯

    ○首藤政府委員 十二月配分にいたしたいと思っております。ただ、極端な例を申し上げますと、十二月以降に発生をしましたものとか、そういうものについては例外が生ぜざるを得ませんが、十二月算定期日現在で判明をしたものについては十二月末現在で優先的に配分をしたい、こういうふうに思っております。
  218. 安井吉典

    安井委員 とにかく約一千億円の配分があるわけですが、それは災害以外のものも財政需要がふえているものについて措置されなければならぬわけですから、ことしの災害の大きさが、ほかの普通の年なら財政需要として見てもらえるものが見てもらえないような、ほかの方にしわ寄せを生ずるようなおそれがないのかどうかということですね。そのことは災害への交付税の配分額がどれぐらいになるのかというのが私はわからないものですから、そちらはおわかりなのかもしれぬが、だからそういう心配を持つわけなんですが、具体的にいまのお見通しとして、特交は災害に対してどれぐらい配分されるのか、そしてまたそのことが災害以外のほかの財政需要へのしわ寄せがなくて済むのかどうか、そういう心配はないのか、その点ひとつ伺います。
  219. 首藤堯

    ○首藤政府委員 昨年の特別交付税の総額が二千六百八十三億ほどあったのでありますが、去年の実態災害関係に充てまして配りました額が四百六十七億という数字に相なっておるわけでございます。ことしは総額が三千百億余りの特別交付税になりますので、十二月配分できます枠は約一千億ある、これは先ほど先生御指摘のとおりでございます。災害の状況、ことしは非常に大きゅうございますが、こういった総額もふえておりますし、十二月の枠も約一千億見当のものがございますので、いま幾ら災害の特別交付税が要るか、私どもも算定のしようがないわけでありますけれども、全般的な達観から考えますと、それをもって極端に他の経費にしわ寄せを及ぼすというような結果にはならずに済むのではないかと考えております。
  220. 安井吉典

    安井委員 具体的な数字がわからないままの議論ですから、私の方もこれ以上詰めようがないんですが、いずれにしても災害への対策は手いっぱい温かくやるべきだし、そのことによって危機に直面している自治体の他の財政需要にしわ寄せにならないようにという配慮、そのためには補正予算でも組んで地方交付税の総額をふやすというぐらいな措置までいく必要があるのではないか、私なりにそう思うのですが、それはどうですか。
  221. 首藤堯

    ○首藤政府委員 前段はお説のとおりでございまして、私ども災害は何物にもまして優先して手厚く措置をすべきものだと考えております。それからそのことによりまして、さなきだに苦しい事態でございますから、他の特別の要素に対しての割り当てが非常に落ち込むというようなことをできるだけ防ぎたいと考えております。しかし全般的に見ていただきました場合に、去年の二千六百数十億から三千百億ほどの増額分がございますので、そういったことを考え合わせるとほぼ対応できるのではないかと考えております。  それからなお、これは別途のことでございますが、八月に配分をいたしました普通交付税の際に、これは給与改定、そのほかの財源にも一部使われるわけでありますが、三千億ほどの予備費を地方財政計画上準備をいたしておりまして、これに相応した額をすでに普通交付税で配分をしてございます。そのものを引っばがしてこれに充てるということを考えておるわけでは全然ございませんけれども、そういった事態もございますので、今度の災害復旧に伴います地方債の追加増額、これは必要だと思っておりますが、一般財源、交付税関係、それの追加補正、これは必要とせずに処置ができるのではなかろうか、こう考えておるわけであります。
  222. 安井吉典

    安井委員 きょうはその問題には触れませんけれども、給与の増についても毎年なら補正措置があるわけなんですよ。五%分はすでにあるから、残りは例の予備費的なもので処理できるというふうなおっしゃり方で自治省は逃げておられるわけですが、その問題とこの災害と両方あるものですから、私ども心配になるわけです。これは後でもまた質問が出ますので、そこに一応きょうはその点譲っておきます。  次に、地方税の減免の問題とそれから救農土木事業の問題についてそれぞれ伺っていきたいと思います。  その前に、五分作とか七分作とかいうものと所得との関係について一般的に間違いがあると思いますので、ちょっと申し上げておきたいと思うのですが、たとえば北海道などでは五ヘクタール、反収が大体七俵半ぐらいという農家は普通なんです。これで計算しますと、粗収入は一年間大体五百六十万円ぐらいになります。ところが、経費は大体四五%ぐらいいつもかかるわけです。そうしますと、それが大体二百五十万。五百六十万の粗収入から二百五十万円の経費を差し引けば、実際所得額は三百十万円ぐらい、こういうことになるわけです。これが平年作ですね。ところが、これが七分作ということになれば、五百六十万円の粗収入の七〇%ですから三百九十万円ぐらいになっちゃう。しかし経費の方は相変わらず二百五十万円かかるわけです、凶作であろうと、何であろうと同じですから。そうしますと、所得は百四十万円になって、所得の方は、平年作が三百十万円で、七分作になっても百四十万円と半分になっちゃうわけですね。五分作で計算してみますと、これはもう所得の方は三十万円しかなくなってしまいます。つまり、粗収入が七〇%とか五〇%とかということは、所得ということになりましたらもう半分なりそれから零になってしまう、そういうことであります。つまり、収入ということと所得というものが農業経営の場合にはそういう違いであらわれてくるということだけまず明らかにしておかなければならないわけですが、そこで地方税の軽減措置です。先ほどの御答弁でも地方税についても、それからまた特に国民健康保険税についても従来の措置があるのでそのとおりやるということでありますが、今度の災害の、あるいは冷害の特徴に立って、特に改めたり付加したりする対策措置はないのかどうか、そのことをまず伺います。
  223. 森岡敞

    ○森岡政府委員 災害一般に対する地方税の減免、かなりきめ細かく基本的な減免通達で書いておりますが、その中で、冷害につきましては御承知のように、冷害による損失額の合計額が平年作の収入額の三割以上である場合、前年所得が四百万円以下の農業所得に対しまして、二割から一〇〇%に至るまでの住民税の減免を行うということにいたしておるわけでございます。私ども、農業所得を階層別にとってみますと、総所得金額、のベースでおおむね四百万以下といいますのは、農業所得の納税義務者数の九九・九%までがそれに当たっております。そのようなことでございますので、現段階におきます減免の基準といたしましては、いままで用いてまいりましたものによって十分措置し得るものと考えております。  なお、この基準はこれはもう御承知だと思いますが、昭和四十八年にそれまでの基準を改定いたしまして、実態に合うように直したものでございます。その後の期間の推移がまだきわめて短期間でございますので、そういう意味合いにおきましても、十分対応でき、適切な措置が講じられるもの、かように考えております。
  224. 安井吉典

    安井委員 これは、自治省の方の「災害被害者に対する地方税の減免措置等について」という次官通達、それから厚生省保険局長通知「災害による国民健康保険料(税)の減免に伴う特別調整交付金の算定基準について」、それから、これらのいろいろな基準の設定の基礎になっているのが「災害被害者ニ対スル租税ノ減免、徴収猶予等ニ関スル法律」、これは大蔵省の法律ですね。これをずっと通して同じ基準になっているわけです。だから、市町村民税だけを変えろというわけにはこれはいかぬのでしょうね。全部ずっとつながっている、こういうことのようであります。四十八年ですか、これ変えたのは。その後四十九年、五十年、それからいま五十一年とこう来ていて、インフレがやはり進んでいるわけですね。そういう意味からもこの四百万円とか、二百万円以下とか、三百万円以下とかというこの数字そのものも再検討すべきではないかということをひとつ提起したかったわけですし、それからもう一つは収入の見方ですね、この収入の見方において農作物の減収額から農業災害補償法によるいわゆる共済金を控除した額を被害金額ということで計算が行われるわけです。ことし農業災害補償法の改正が行われて、施行はこれは来年なんですけれども、こうなると、ものすごく補てん率が高まってくるわけですね。ですから、私は、収入についての一つ条件と所得についての条件と、こう二つあるわけですけれども、初めの収入についての条件で水田農家はほとんどオミットされるのじゃないか。ほとんどと言うと言い過ぎかもしれませんが、相当程度オミットされる人が出てくるのではなかろうか。これは従来もそういう問題がありました。農業共済金というのは、これはもう当然農家についての補てん所得であることは間違いありません。間違いはないけれども冷害の厳しさの中においてもらったその金はやはりある種の特別な配慮というものが必要ではなかろうか、こうも思うわけであります。この点は最も基礎的な基準をつくったのは大蔵省なんですが、大蔵省の考え方、それからまた自治省や厚生省の見方、この基準の決め方についてもう少し検討する必要がないのかということをひとつ提起してみたいわけです。
  225. 森岡敞

    ○森岡政府委員 災害の減免基準につきましては、いま御指摘のありましたような点もいろいろ考慮をいたしまして、この減免基準をつくった次第でございます。また先ほども申しましたように、三十九年に基本通達を策定いたしたわけでございますが、その後さらに随時見直しを行って、実態に合うような改善も加えてきておるつもりでございます。  なお、特にこの際御理解を得たいと思いますのは、住民税の場合には前年所得課税でございますので、ことしの冷害につきましては、先ほど申しましたような形で五十年所得に基づいて計算いたしました住民税の減税をいたしますとともに、五十二年度におきましてはことしの冷害に伴う減収後の所得によりまして住民税の算定をいたしますから、いわば二年続きで負担の手厚い軽減をやっておる、こういうことに相なっておりますので、そういう意味も含めまして御理解を得たいものだと思います。  それから国民健康保険税のお話がございましたが、国民健康保険税につきましては、先ほど申しました住民税の減免基準と同じような考え方でやりまして、その補てんにつきましては特別調整交付金で補てんをする、こういう措置をとっておりますので、これも国保料、国保税通じまして適切な負担軽減措置が講じられるもの、かように私どもとしては考えておるわけでございます。
  226. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 最初の先生の御質問の災害減免法の所得限度の問題につきましては、昭和四十九年に二百万円以下とされていたものを四百万円以下と大幅に引き上げたところでございます。そうしてこの災害減免法の趣旨は、震災、風水害あるいは火災等で財産に損害を受けた場合に、多数の被災者に対しまして簡便で画一的な方法概算的な控除を与えるという趣旨でございます。したがいまして、所得の少ない人というのがこの制度の対象になるものでございますので、この所得金額を四百万円以上に上げるということは、この制度の趣旨から見ましてひとつ問題があるのではなかろうかと思います。  なお、災害減免法と、それから雑損控除という制度がございますが、これは納税者の有利な方を選択できるようになっておりまして、所得の多い方につきましては雑損控除で御選択いただいた方が有利な場合が多いというような事情もございます。さらに現在四百万円以下というふうに区切りますと、勤労所得者あるいは事業所得者いずれもかなりの部分がこの四百万円以下の線で入ってまいりますので、当面これを引き上げる必要はないのではないかというふうに考えております。  それから農業共済金の問題でございますが、私どもの考え方といたしましては、収入金にかわるものとしてこれを受け取ったというふうに考えておりますので、やはり現行の制度を守っていかざるを得ないのではないかというふうにただいまのところ考えております。
  227. 安井吉典

    安井委員 税務局長からは、二年続けて恩典を受けるじゃないか、こう言われるのですが、私は農業共済金の算入という一つ条件があれば、なるほど見た目では七分作であろうと六分作であろうと、共済金が入ってきてどの程度埋まるかわかりません。この共済金というのはなかなかむずかしい仕組みで、その人の掛金の選択によって来るわけですから一概には言えませんけれども、七分作で立ち毛を見ても、その人は減免の対象にならぬわけですよ、共済金である程度埋まるわけですから。六分作の人でも出ないんじゃないでしょうか。この減免の対象にならぬでしょう。五分作ぐらいならどうでしょうか。ですから、これは所得税法の基本にかかわる問題で、農業共済金の税金をどうするかという点は、たとえば宝くじなどはこれは別な課税になっちゃうわけでしょう。だから、宝くじで当たった人の方がそういうあれをやっておきながら、冷害で苦しむ農家が、いままでずっともらったことがないわけですよ、作がよければね。掛金は掛けても、共済金はもらってないわけですよ。何年ぶりかにやっともらったら、その金は所得と合算してばかっと税金がかけられて、結局災害がなかったというのと同じことになるわけですよ。だから、そういうむごい物の考え方というのはもう少し改めて、さっき自治大臣も冷害の現場を見ての感想を漏らしておられましたけ汝ども共済金については別に考える、全部免除できなくても、これは半額だけ見るとか三分の一だけとかなんとか、私はもう少し何かの配慮や検討があっていいのではないかと思います。きょうここですぐにお答えが出るような問題ではないかもしれませんが、どうでしょう。
  228. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 御要望として承っておきます。
  229. 安井吉典

    安井委員 これは相当基本的な問題ですから、ここですぐ課長から御答弁がでるとは思いませんけれども、私はこの点は、何年に一遍しか来ない、恐らく東北の農家は十年か二十年ぐらいに初めて共済金をもらったが、しかしその共済金を所得の中にぶち込まれれば、所得の減税の恩恵も何もないのですよ。だから税務局長、来年も恩恵を受けるというようなことにならぬわけですよ。それはがっぽり税の対象に入れてしまえばね、所得ということに見てしまえば、免税のこの範囲からも漏れてしまう。こういう問題ですから、これはやはりことし重大な段階に臨んでいる機会でありますだけにさらに検討をしていただきたい、こういうことを申し上げておきます。  それから国保税の財源補てんについては特別調整交付金でやられるということでありますけれども、これもいまのような共済金を収入の中に入れて計算されれば、減免の対象になるという人はごくわずかしかないのじゃなかろうかと思うのですよ。だから、余り減免額がないものだから、特別調整交付金の中で簡単に処理できますというお答えがさっきも出ているのじゃないかと私は思うのだな。基準そのものに問題がありますけれども、どうなんですか、ほかの国保の財政難の現状の中で、本来の国保事業の中で調整交付金の対象にしなければいけないものもずいぶんあると思うのですよ。それにしわ寄せになるというふうなことにはならないのかどうか、その点改めてもう一度お聞きしておきます。
  230. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 特別調整交付金の交付の理由としては、まず第一に低所得者の減免に対する補てんということがございまして、その次に、災害その他特別の事情があるときにこれを交付するということになっておりますので、災害などの場合には最重点的に配慮すべき問題であると、かように考えております。
  231. 安井吉典

    安井委員 まだ議論があるのですけれども、あとの問題の時間がありませんので、次の機会に譲ります。  次に、救農土木事業の問題なんですが、農家の所得減少を補てんするというのが救農土木事業の目的だというふうに先ほど来農林省の方でおっしゃっておられるわけでありますが、そしてまた農林大臣もしばしば救農土木事業はしっかりやる、そういう言明もあります。一体救農土木とは何なのかということですね。そのことが一つ問題があるわけです。  最近は土木事業も機械化されて、いわゆる救農向けの事業というのは少なくなってきたわけです。農家の出かせぎも昔よりはどんどんふえている。かつてこの救農土木が問題になってからもう六、七年経過しているわけですから、農村の事情も変わってきているわけですよ。救農土木というのが非常に不安定な、また余り実りのないものであるならば、より安定的な、継続的な出かせぎの方へ行っちまうということにもなるのではないかと私は思います。ですから、地元でできる限り賃金を得させてあげたいというのが目標であれば、相当高額なお金が農民に渡らなければいけないし、それからまた自治体の方も財政が苦しいわけですから、高率な補助がやはりなければならないと思います。先ほど来のお答えでは、現在地方の方からいろいろな要求等を取りまとめ中だと、こういうことでありますが、その点についてもう一回伺います。
  232. 石川弘

    ○石川説明員 救農土木につきましていま御指摘のございましたように、賃金をなるべく多くの農家の方に取っていただくという趣旨から申しますと、非常に小規模で、かつ機械施工の少ないようなものというようなことになってまいります。  それからもう一つ大事なことは、やはり救農土木をやること自身において、たとえば冷害を克服できるような、圃場整備を進めますとか温水ため池をつくるとか、そういうことにも役立つ、しかもそういうことは地元の労働力を吸収しやすいという、いろいろな要請がございまして、かつて救農土木が大変人件費率の高い、何と申しますか、もっこでなにをしてというようなそういうものは現時点でやることは非常にむずかしいことは御指摘のとおりでございます。そこで私どもやはり事業の中でも比較的人件費率が高いものの選択をまずいたします。私ども農林省関係の土木事業で申しますと、普通労務比率というのは二二、三%でございますけれども、それよりももう少し高い工程、比較的人手を使いまして賃金等が落ちるということ、それから何と申しましてもすぐ実行しなければなりませんので、設計だ何だということに時間がかかりますれば、これ困りますので、たとえば事業継続中のものを追加的にやる。それから先ほどちょっと申しました恒久的にも冷害災害その他の対策に役立つという意味では、やはり基盤整備的な事業、こういうものを大体中心といたしまして、所によりましてはその種の事業はない場合もございますので、もう少し業種は広範にいたしますが、そういうものを現在各県からの御要望その他を見ながら取りまとめ中でございまして、かなり近い段階で大体の方針を設定できると思っております。
  233. 安井吉典

    安井委員 救農土木ということからすれば、賃金になればいいのですから、仕事が農林省関係の事業でなくても、たとえば市町村道だとか市町村費の河川だとか、そういうものもあるし、この間も、片岡さんも御一緒で、私も農林水産委員の方と一緒に冷害調査にも行ったのですが、現地では、農道や林道の整備だけではなしに、河川があって、その中に柳が生えて、それが川をせきとめて洪水の原因にもなっているわけですよ。だから、そういう柳切りなどというのは機械化方法がないわけですから、こういうふうなことに有利ではないかとか、あるいはまた、市町村有林があってやはり金がないものですから枝が伸びほうだいになっている、その枝切り、除間伐、そういうようなものを対象にしてはどうだとか、あるいはまた、ことしの冷害一つの原因は、深水灌漑にすれば助かったかもしれないが、いまの農業基盤整備事業は一定の面積以上でなければ農林省は認めないわけですね、団体営でも。それにも入らない山間の水田の被害が大きかったので、そういうようなところはもう面積を問わず、あぜを高くすることだけでも補助の対象にしてやってはどうかとか、そういったような小規模事業についての希望が市町村長やその他の人からずいぶん出ました。国営や県営などではできないわけですよ。ですから、そういうふうな細かな仕事について、一一計画書を出して、それから設計書を出して、その査定があって何とかなんて言ったって、これはもうそのうちに雪になってしまう、仕事にならないうちに。そのうちにみんな出かせぎなどに行ってしまえば、救農にも何にもならないということになる可能性もあるわけであります。だから、きわめて手っ取り早く、すぐにでも仕事ができるようにしてあげる。余りうるさいことを言わずに、それは補助金適正化の法律もありますけれども、それを一つの丸太で、と言ったらおかしいですが、ワンパッケージでそこの市町村の必要な賃金措置を講ずる、こういうような仕組みはできぬものですかね。
  234. 石川弘

    ○石川説明員 いまおっしゃいましたような趣旨で組んでいるわけでございますけれども農林省だけではございませんで、建設省におきましても、そういう小規模な道路ないし河川で労務比率の非常に高いもの、建設省関係の工事の方はやや労務比率が低くなるという問題はございましょうけれども、そういうところしか事業がないところは、やむを得ませんものですから、そういうこともやるという前提でいま案を詰め合っているわけでございます。  それから、おっしゃいました各種の採択基準等でございますけれども、私どもできるだけ地元の御要請にもこたえたいとは思いますが、いま御発言にもございました、補助事業としてとり得るある種の限界というのがございまして、たとえば維持管理的な事業等につきましてはなかなか助成ができぬということがございます。極力そういう金がかかりますような事業につきましては国の助成事業でとりまして、非常に小規模でかつ非常に維持管理的要素のものを県、市町村が単独事業でおやりになるというような組み合わせを考えまして、できるだけ地元の御要望にはこたえていきたいと思っています。  それから、先ほど基盤整備関係を中心に私申し上げましたけれども、いま御発言のございました幼齢林の除伐とかあるいは間伐作業等につきましても私ども考えておりまして、そういうものも財政当局につないで極力やれるようにいたしたいと思っております。
  235. 安井吉典

    安井委員 税制一課長、もう結構なんですが、先ほどの検討の中に入れていただきたいのは、農家の転作奨励金、これは国会が法律で一時所得扱いにしているわけですね。これは所得に合算されないわけですよ。ですから、この共済金についても一時所得みたいな考え方を、これはそっくりそのままその思想を導入できるかどうかはわかりませんけれども、そういうこともひとつ検討の中に入れて、これからいろいろ研究していただきたい、そういうことを申し上げて、お忙しければ退席して結構です。  そこでいまの救農土木の関係では、いまのところはやはり事業ごとの補助率を決めて、それで補助の対象にして補助指令が出て、それからやると、こういう仕組みを考えておるわけですか。
  236. 石川弘

    ○石川説明員 国の助成事業として採択いたしますものにつきましては、やはり事業別に内示と申しますか、そういうことをやらざるを得ないと思っておりますけれども、これは近々方針を決めましたならば、一斉にそういうことを流しまして、現実的な、たとえば予備費の流用その他についてはもっと時間がかかるものでありますから、大体の物の考え方を早急に流すという考えでございますので、そう時間がかかることではないと思っております。  先生がおっしゃいますワンパッケージで金をつけるから何に使ってもいいという方式は、ちょっと現段階の助成事業の中ではとりにくいかと思います。
  237. 安井吉典

    安井委員 国土庁長官が、これはどこの場所で言っているのだったか、私、ちょっとメモだけ残っていて、その場所を書いてないのですが、救農土木事業に総額約五百億円ほどを公共事業等予備費から支出する必要がある、こういう発言をされていたように読んだのですが、それについての検討はどうなんですか。
  238. 石川弘

    ○石川説明員 そういうことが新聞紙上に出ておりまして、私どもも承知をいたしておりますけれども、私どもの考えております救農土木事業は、従来の積算もそうでございますが、従来国がいろいろと助成をしております補助事業その他が、今度は冷害でございますから、北の方ですから余り残事業量はないわけでございますが、一定の残事業量というのがございます。そういうものにつきまして、極力被災農家の方を雇用していただくように指導しながら、それでもなおかつ不足する部分、ことしの場合は特に時期も時期でございますし、比較的公共事業の施行を早めてございますので、既定経費を流用する分には非常にむずかしい状態でございますけれども、そういうものと新規にプラスします事業を合わせてやろうとしておるわけでございまして、新規の追加額自体といたしましては、現在なおわれわれ集計中でございますので、国土庁長官のおっしゃいました数字その他とは、私どもの方で数字を合わせることはちょっとできないわけでございます。
  239. 安井吉典

    安井委員 公共事業等予備費からの支出を期待しているわけですか。
  240. 石川弘

    ○石川説明員 私どもは、今度の救農土木事業のほとんどの部分は公共事業と理解しておりますので、公共事業等予備費の方を使うか、あるいは公共事業等予備費が、公共土木の負担法あるいは農地及び農業用施設の負担法の方で、もし額が足らぬということであれば、当然その他の一般予備費も使い得るわけでございます。私どもの方は公共事業等予備費も十分使い得る性質の金とは思っておりますが、どちらでなければならないとは考えておりません。
  241. 安井吉典

    安井委員 私、ワンパッケージ論をさっき言ったわけですけれども、これは財政局長、市町村の単独事業風に救農土木事業を一定の枠を認めてあげる、そうすればこれは、会計検査院も何もうるさいことなしに、うまく行くのではないか。ですから、本来の公共事業としての補助率をきちっと決めて、こういうものはいま農林省や建設省がやっているのでしょうから、それをひとつまとめてもらって、その裏負担は当然自治省で起債で認めなければならぬが、それ以外にも、もっと自由に、市町村ができるようなごく細かなやつで、そんなのは補助の対象で申請をして何だという、書類だけでも大変だというふうな、そんなものも考えつくのではなかろうかと思います。そういうようなものについては市町村の自主性に任せてあげる、そしてその一定の枠を決めた単独の救農土木事業、その元利償還については災害と同じように将来地方交付税措置を講じていく。中期計画や何かで頭が痛い時期ではあろうと思うのですが、私はこういう段階では自治体は自治体としての苦労もやはりしなければいかぬのじゃないかと思うのです。とにかくいまのようなことでごちゃごちゃやっていたら、いつになるかわかりません。いままでの役所のやり方を見ていると、三月ごろになるのじゃないでしょうか。もう少し自治省もここで一はだ脱ぐという必要もあるのではないか。そのことは高率の国庫補助の道をふさげという意味じゃありません。それは十分やってもらう。やってもらったそのほかにもそういうような措置があってもいいのじゃないかと思うのですが、どうです。
  242. 首藤堯

    ○首藤政府委員 お気持ちはよくわかるのでございますが、ただいまの地方財政の困窮の事態でございますし、それから、何分にも今回の冷害の被災地域はごく限られた地域ではございませんで、御承知のように東北以北非常に大きな地域、したがって救農土木の所要額もかなり膨大な額に上るだろうと思います。したがいまして、やはり原則的には国庫補助事業としてお取り上げいただき、その手続はできるだけ簡素化していただきたいわけでありますが、その裏負担について完全にこちらが措置をしていくということを骨子として考えていくべきだと考えております。  なおそのほかにも、地方団体が自主的にいろいろお考えになるということはもちろんあろうかと思うわけでありますが、それにつきましては、冷害関係につきましてももろもろの経費が要るということで、冷害被害等を基礎にして特別交付税の配分等もいたしますので、そういった財源措置を通じて地方団体でいろんな処置をお考えいただく、特にこの救農土木事業について、単独の分を別に起債で準備をして、それで云々ということに相なりますと、この資金確保の問題等も問題がございますし、先ほど御指摘のようにその将来償還の問題等も問題がございますので、やはり原則論的には公共事業で取り上げていっていただいて、それに対する裏負担に対して、こちらは、片はだではございません、もろはだを脱ぐ、そのほか特別交付税等でも十分の措置をしていく、こういうことを骨子にしたいと考えておるのであります。
  243. 安井吉典

    安井委員 それは公共事業として進めていくのが原則だと思いますよ。だけれども、もうだんだん雪が降るような状況になってきて、農家の方もお金が欲しいのは、やはりお正月のためのお金なんですよ。私は、いまの公共事業のやり方の普通のルールでやっていたのではとても間に合わないような気がするんだな。もう少し自治体の自主性に立った措置というものをこの際は講じてやるべきではなかろうか。その辺が本当に農民に対して温かい思いやりがあるのかどうかという分かれ道だ、私はそう思うのですよ。大臣、ずっと現地を見てこられた感覚をもう一度呼び起こしていただいて、私の提案に対しても検討の余地があるというふうなお答えを私は期待するのですが、どうですか。
  244. 天野公義

    天野(公)国務大臣 お気持ちはよくわかりますし、また現場の窮迫した事情等も勘案しなければならないわけでございます。したがいまして、これから現場のいろいろなお話を承ることになると思いますから、できるだけ迅速、適切な措置が講ぜられますように努力をしていきたいと思っております。
  245. 安井吉典

    安井委員 これで終わりますけれども、いまの御答弁では私はちょっと心細いと思うのですね。このようなかつてない事態の中で冬を迎えようとする農村の状況にこたえ得るような対策を、自然は冷くてことしの冷害が起きたんだが、対策だけは温かかった、こう言われるような措置をぜひとも期待しておきたいと思います。それだけで終わります。
  246. 小山省二

    小山委員長 次回は、明十五日金曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会