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1976-10-19 第78回国会 衆議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十一年九月十六日)(木曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 村山 達雄君    理事 中尾  宏君 理事 萩原 幸雄君    理事 森下 元晴君 理事 山崎  拓君    理事 吉永 治市君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       赤澤 正道君    宇都宮徳馬君       木村 武雄君    櫻内 義雄君       松澤 雄藏君    水田三喜男君       村上  勇君    高田 富之君       藤田 高敏君    田代 文久君       浅井 美幸君    坂井 弘一君       塚本 三郎君    金瀬 俊雄君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十一年十月十九日(火曜日)     午後一時二分開議  出席委員    委員長 村山 達雄君    理事 中尾  宏君 理事 萩原 幸雄君    理事 森下 元晴君 理事 吉永 治市君    理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       赤澤 正道君    臼井 莊一君       瓦   力君    櫻内 義雄君       塩谷 一夫君    野呂 恭一君       毛利 松平君    森山 欽司君       高田 富之君    田代 文久君       田中美智子君    浅井 美幸君       坂井 弘一君    宮田 早苗君  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君         外 務 大 臣 小坂善太郎君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 永井 道雄君         厚 生 大 臣 早川  崇君         農 林 大 臣 大石 武一君         労 働 大 臣 浦野 幸男君         建 設 大 臣 中馬 辰猪君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       天野 公義君         国 務 大 臣         (内閣官房長官井出一太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      西村 尚治君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒舩清十郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      前田 正男君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 丸茂 重貞君  出席政府委員         内閣法制局長官 真田 秀夫君         内閣総理大臣官         房管理室長   藤井 良二君         行政管理庁長官         官房審議官   川島 鉄男君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         経済企画政務次         官       西銘 順治君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         環境政務次官  今泉 正二君         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         法務政務次官  羽田野忠文君         外務政務次官 小此木彦三郎君         大蔵省主計局次         長       高橋  元君         大蔵省理財局長 岩瀬 義郎君         国税庁次長   山橋敬一郎君         厚生政務次官  中山 正暉君         農林政務次官  片山 正英君         農林大臣官房長 森  整治君         農林大臣官房審         議官      杉山 克己君         農林省農林経済         局長      吉岡  裕君         農林省農蚕園芸         局長      澤邊  守君         通商産業政務次         官       山下 徳夫君         通商産業省機械         情報産業局長  熊谷 善二君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         中小企業庁計画         部長      児玉 清隆君         運輸政務次官  阿部 喜元君         運輸省航空局次         長       松本  操君         郵政政務次官  左藤  恵君         労働政務次官  斉藤滋与史君         建設政務次官  梶山 静六君         自治省行政局選         挙部長     佐藤 順一君  委員外出席者         警察庁長官官房         会計課長    金沢 昭雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  石田  徳君         環境庁長官官房         会計課長    高橋 盛雄君         法務省刑事局刑         事課長     吉田 淳一君         文部大臣官房会         計課長     宮地 貫一君         会計検査院長  佐藤 三郎君         会計検査院事務         総局次長    柴崎 敏郎君         会計検査院事務         総局第一局長  田代 忠博君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ――――――――――――― 委員の異動 九月十六日  辞任         補欠選任   松澤 雄藏君     森山 欽司君 十月一日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     堀  昌雄君 同日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     藤田 高敏君 同月十九日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     毛利 松平君   水田三喜男君     野呂 恭一君   村上  勇君     塩谷 一夫君   森山 欽司君     臼井 莊一君   山崎  拓君     瓦   力君   藤田 高敏君     成田 知巳君   田代 文久君     田中美智子君   塚本 三郎君     宮田 早苗君 同日  辞任         補欠選任   臼井 莊一君     森山 欽司君   瓦   力君     山崎  拓君   塩谷 一夫君     村上  勇君   野呂 恭一君     水田三喜男君   毛利 松平君     木村 武雄君   田中美智子君     田代 文久君   宮田 早苗君     塚本 三郎君     ――――――――――――― 九月十六日  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書  昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十九年度政府関係機関決算書  昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書 同月二十九日  昭和四十八年度一般会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その2)  昭和四十八年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その2)  昭和四十八年度特別会計予算総則  第九条に基づく経費増額調書及  び経費増額調書         (承諾を求  昭和四十八年度特別会計予算総則 めるの件)  第十条に基づく経費増額調書及 (第七十七  び各省庁所管経費増額調書(そ 回国会、内  の2)             閣提出)(参  昭和四十九年度一般会計予備費使 議院送付)  用総調書及び各省庁所管使用調  書  昭和四十九年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書  昭和四十九年度特別会計予算総則  第十一条に基づく経費増額調書  及び各省庁所管経費増額調書  昭和五十年度一般会計予備費使用  総調書及び各省庁所管使用調書  (その1)  昭和五十年度特別会計予備費使用  総調書及び各省庁所管使用調書 (承諾を求  (その1)           めるの件)  昭和五十年度特別会計予算総則第 (第七十七  十一条に基づく経費増額調書及 回国会、内  び各省庁所管経費増額調書(そ 閣提出)(参  の1)             議院送付) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  昭和四十八年度一般会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その2)  昭和四十八年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その2)  昭和四十八年度特別会計予算総則  第九条に基づく経費増額調書及  び経費増額調書  昭和四十八年度特別会計予算総則 (承諾を求  第十条に基づく経費増額調書及 めるの件)  び各省庁所管経費増額調書(そ (第七十七  の2)             回国会、内  昭和四十九年度一般会計予備費使 閣提出)(参  用総調書及び各省庁所管使用調 議院送付)  書  昭和四十九年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書  昭和四十九年度特別会計予算総則  第十一条に基づく経費増額調書  及び各省庁所管経費増額調書  昭和五十年度一般会計予備費使用  総調書及び各省庁所管使用調書  (その1)  昭和五十年度特別会計予備費使用 (承諾を求  総調書及び各省庁所管使用調書 めるの件)  (その1)           (第七十七  昭和五十年度特別会計予算総則第 回国会、内  十一条に基づく経費増額調書及 閣提出)(参  び各省庁所管経費増額調書(そ 議院送付)  の1)  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書  昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書      ――――◇―――――
  2. 村山達雄

    村山委員長 これより会議を開きます。  この際、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、本会期中において、  一、歳入歳出の実況に関する事項  二、国有財産増減及び現況に関する事項  三、政府関係機関経理に関する事項  四、国が資本金を出資している法人の会計に関   する事項  五、国または公社が直接または間接に補助金、   奨励金助成金等を交付しまたは貸付金、   損失補償等財政援助を与えているものの   会計に関する事項以上、各項につきまして、関係各方面からの説明聴取、小委員会の設置及び資料の要求等の方法によりまして国政調査を実施するため、規則の定めるところにより、議長の承認を求めることにいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村山達雄

    村山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 村山達雄

    村山委員長 次に、昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  御承知のごとく、これら各件は第七十五回国会に提出され、本委員会に付託されました。  自来、第七十八回国会の今日まで、長時間にわたり、予算が効率的に使用されたかどうか等を中心として審査を行い、各省庁別所管審査を終了いたしました。  本日は、今日までの審査経過に基づき、各件についての締めくくり総括質疑を行います。  なお、質疑時間は、理事会での申し合わせの範囲内でお願いいたします。  政府におかれましても、答弁は、なるべく簡潔に要点をお願いいたします。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
  5. 森下元晴

    森下委員 昭和四十八年度決算は、四十九年十二月二十七日、本院に提出され、五十年六月二十日、決算委員会に付託されました。そして種々審議されてまいりましたが、本日総括締めくくりをしまして審議を終了する運びとなりました。私は、与党自由民主党を代表して、私見を交えながら、次の事項総理並びに関係閣僚にお尋ねをしたいと思います。  初めに、政治構造の問題について総理に、簡単で結構でございますから、御所見をお伺いしたいと思います。  現在、御承知のように、ロッキード事件とか汚職の問題で国会が空転して、非常に混乱をしております。過去におきましても、数年に一遍とかそういう問題が起こりまして、これがすなわち、構造汚職と言われたわけでございます。決算の任務は、もちろん会計検査院が数字的な国費不当支出の問題についてやっておりますけれども、やはり決算の本来の使命は、政治的に国政がうまくいくように、また予算が十分効率的に執行できるように、こういうことから考えましても、たびたびの汚職問題等につきましても基本的に解明するためには、私どもはやはり政治構造についても考えなくてはいけない。  そこで多少憲法問題にも触れますけれども憲法六十七条に、総理大臣国会議員の中から選ばなくてはいけない、こういうことがございまして、私どもは、法治国でございますから憲法を守ることは当然でございますけれども、この意味でいわゆる議院内閣制の問題、これは英国流にいたしておりますけれども、そのためにはやはり小選挙区の問題とか、二大政党によってときどき政権交代して新風を送り込む、常に国民世論政治に反映する、こういうことで初めて議院内閣制が成り立っておるように私は思います。それが、やはりバッジをつけながら大臣また政務次官という、悪い言葉でいえば二足のわらじを履いているような悪弊が、ややもすれば汚職構造につながるような感じが私はするわけです。そういう意味で、私は個人的には憲法改正の問題については前向きで検討を将来すべきである、いい点は残すべきであると思っておるわけでございます。  そういう点で、議院内閣制という問題と現在の政治の構造的なあり方について、まず総理の御所見をお伺いしたい。これは決算基本方針が、先ほど申しましたように、やはり政治の効率的な運営、国民世論の上にいつも立って、そして国政がうまく運営されるようにという気持ちから、私はあえて申し上げるわけでございます。  以上でございます。
  6. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 憲法の問題は、絶えずよりよい憲法を持つということに対して検討を行うことは当然でございますけれども憲法改正ということは、やはり国民世論といいますか、それの相当の成熟がないのに憲法改正ということを言い出して、これが政治の主たる題目になるということになりますと非常に動揺しますから、したがって世論成熟ということも、やはり改正の場合には頭に入れなければいかぬ。それから議院内閣制と一方においては大統領制のような形ですけれども日本は長い間議院内閣制になじんでまいったわけでございまして、これにはいろいろな欠点もございましょうけれども、非常に長所もあるわけですから、やはりこれを大統領制のような形に政治を持っていくということは、私も考えてはいないわけでございます。  ただ政権交代というものを可能にする議会政治というものが、実際は議会の機能というものが、そういう形ができますれば、非常に好ましい形だと思うのです。そうすることによって、与党としても絶えず野党が、ある時期が来れば政権を担当する、そういう緊迫した状態に議会政治というものを置くことが、議会政治というものに対していろいろなモラルの点から見ても非常に好ましい形であることは、森下君の言われるとおりでございます。日本の場合も、本当に議会政治を安定した軌道に乗せるためには、混乱を起こさないで政権交代が可能である、そういう政治的環境がつくられることが好ましいわけでございますが、いますぐにというわけにはいきませんが、これはやはり日本政治の大きな課題であって、一党が何十年にわたって政権交代なしに政権を継続していくという、一面から見れば安定とも言えますけれども、一面から見れば弊害も出てくる、こういう問題が日本の場合においても真剣に論じられる段階になってまいりました。そういう政権交代を可能にするような議会政治というものを一体どのようにしてつくり上げていくかということは、野党にも大きな課題になっておることは、いろいろな動きを見てもおわかりのとおりでございます。  したがって、この問題というものは、これからの政治の大きな焦点になってまいりますから、だんだんとそういう機運が遠ざかっていくとは私は思っていないのです。そういう機運はできつつあるということでございまして、われわれとしても、国民が非常な混乱という犠牲を払わないで政権交代できるような、そういう議会政治に持っていくことは好ましい、これは森下君と同意見でございます。
  7. 森下元晴

    森下委員 そういう意味で、首相は国民投票で選ぶべきである、こういう持論を私、実は持っておるわけなんです。  そこで、先般新聞で見たわけなんですが、総評の単産でございます自治労で意識調査を実はやっておりまして、非常におもしろい結果が出ておると私は思います。その中で、いまの自民党内閣では、幾らロッキード事件を解明しても、後々また起こるのじゃないだろうかということに対して八一%は起こるであろうというところに、構造汚職政治の仕組みの欠陥があると思います。それと同時に、じゃ野党に天下を渡した場合ではどうだというデータをとっておりますけれども、七〇%は同じように起こるであろう、こういう結果が実は出ておるわけです。  そういうことで、総評という社会主義政権を目指しております方々の意識もかなり変わってきておる、私は当然だと思います。やはり戦後三十年以上たって、政治意識とかまた社会意識国家意識変化があるのが当然でございまして、そういう意味で、そのようなデータが出たことだろうと思いまして、われわれも常に勉強しながら、惰性に流れることなく旧来の陋習を破りながら、常に新しい方向を目指していくべきである。そうしなければ、また何年かに一遍こういう問題が起こりまして、非常に国政が遅滞をするということを決算的な立場から私はまず申し上げたい。  次の問題でございますけれども、ちょうど三年前にオイルショックがありまして、もう大変な恐慌状況になったわけです。幸い物価対策景気対策がうまくいって、おさまりかけておりますけれども、また最近、十二月十五日ですか、カタールのドーハでOPECの総会が行われるであろう、こういうことが言われております。その場合に、恐らくまた二〇%とか三〇%の値上げが行われるのと違うだろうかというようなこともございますし、せっかく物価は安定しかけておるし、また景気も上向きかけておるときに、石油の問題が三年前と同じような状況になった場合に、大変なことになるのじゃないだろうかという心配を私はしております。  その点につきまして、いわゆる石油値上げの問題、また石油の需給の問題等、将来の経済問題、これをひとつ経済企画庁長官でございます副総理にお尋ねする方がいいように思うわけでございますけれども、ちょうど三年前と同じような事態が再び来そうな感じがいたしまして、物価問題と石油問題について、実は持ち時間が余りございませんので、これもひとつ簡潔にお答え願えたら幸いでございます。
  8. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 資源問題は、わが国としては資源小国である、その立場において、世界資源有限時代ということへの変わり方、これを踏まえて、よほど慎重にやっていかなければならぬと思うのです。つまり、自衛隊を持つ、これも一つの安全保障でございますが、資源を安全に入手し得る、これは本当に高度の安全保障という角度でとらうべきほどの問題である、こういうふうに思うのです。そういう中で、石油にいたしましても他の資源にいたしましても、そうむやみに、いままでのようにつくりましょう、使いましょう、捨てましょうというようなわけにはいかぬのです。やはり国民全体が資源有限時代、その中に処して、資源小国のわが日本がどう対処するかという中で節度ある対処をしていかなければならぬだろう、こういうふうに考えます。石油の価格の問題については実は心配しておるのです。まあしかし、これはOPEC諸国が決めることでありまして、われわれの力でどういうふうにもならぬ、遠いところにある問題でありますので、そういう石油産出国の態度に変化がありましても、これにちゃんと対応できるような構え、これを常に整備しておかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  9. 森下元晴

    森下委員 昭和四十八年は、ちょうど三年前で、石油ショックによって政治的にもまた経済的にも非常に混乱をした年度であったわけでございます。石油問題に続いて将来のエネルギー問題は原子力時代に移行しつつある。そこで総理にもお尋ねしたいと思うのですが、その前に、前田科学技術庁長官もおいでになっておりますので、お答え願いたいと思うのです。  わが国軽水炉の開発については非常におくれておるように思います。ちょうど西ドイツと同じ昭和三十二年、この時分に発足いたしまして、六千億に近い国費を投入しながら、少しアメリカ軽水炉に頼り過ぎたものですから、アメリカが故障すると、日本じゅう軽水炉発電所は途端にストップしなければいけない。どうも方針を誤ったのと違うだろうか。  実は決算委員会でも、この夏に敦賀の例の動燃がやっております重水型のふげんという原型炉、この調査に参ったわけでございます。大体二千億くらいの金をかけて、十六万五千キロワット、この程度のものなんです。将来は、燃料ということを考えました場合には、動燃のやっております軽水炉よりも高速増殖炉方向が好ましいと思いますけれども、まだまだ軽水炉時代が続くであろう。ちょうど十年前には軽水炉が三〇%くらい、あとは重水炉とかガス炉とか、いろいろあったようでございますけれども、最近、世界の情勢では八六%が軽水炉である。そして西ドイツなんかは日本より後から発足して、もうすでに商業化してブラジルあたりに五基も出しておる、一兆円の取引をしておる。  残念ながら、まだ日本型の軽水炉が完成していないにもかかわらず、その次の二十年後、三十年後の段階である高速増殖炉の方に進んでおる。だから、森山科学技術庁長官のときに、初めて軽水炉に三百億の金を思い切って出した経過もございます。原子力産業会議有沢会長が、いまにして思えば、どうも方向が間違っておったということの反省の言葉を、ある新聞に出しておるのを私見ましたけれどもドイツ等に比べ、またカナダ等に比べて、やはり原子力平和利用、特に軽水炉商業化という問題は、造船とかまた自動車に続いて知識集約型の産業として海外に出さなくてはいけないし、一番日本に適した輸出産業品でもある。こういうことから考えまして、どうも原子力行政の方向が少しおくれておるのじゃないだろうか、また、方向が少し変わっておるのじゃないだろうか、このように実は思っておるわけです。  そこで、ひとつ科学技術庁長官から、時間がございませんので簡明で結構でございますから、まずお答え願って、後で総理から御答弁をお願いしたいと思います。
  10. 前田正男

    前田国務大臣 おっしゃるとおりに、軽水炉の問題につきましては日本が独自の研究がおくれておることは確かでございます。しかしながら、ドイツの例も、やはりウエスチングハウスの基本特許をもとにして改良型を進めておるのであって、わが国におきましても、軽水炉がすでに技術導入してほとんど国産化していることは間違いないのです。さらに、私たちの方は安全確保ということから安全研究のために相当金を投じておりまして、四十七年が二十五億だったのが、五十一年は百五十四億というふうに、安全研究に力を入れておりますので、これをもとにいたしまして軽水炉の改良、標準化というものを進めていかなければならぬと思っている次第でございます。  新型炉は多少、これも将来の問題でありますけれども、御承知のとおりウランは、日本は海外から仰がなければならぬので、天然ウランの消費という点では、新型炉及び高速増殖炉はともに資源の問題から言って、ぜひ日本としても研究を続けなければならぬ問題である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 石油の価格というものは、やはりだんだんと高くなっていく。どこでも安く買えるという時代は過ぎたわけです。日本でも省石油といいますか、これはやはり進めていかなければなりません。また、国産ばかりとは言えないけれども原子力発電というものの比重は重くなっていく。そうなっていきますと、安全性という問題が問題になって、原子力発電所の立地も容易でないし、今後はやはり開発と同時に安全性という問題に対しても、原子力委員会の機構の改革案等も出ておりますが、こういうものに一段と力を入れて、とにかく原子力発電の立地というものが、今日のような状態では開発しようとしてもなかなかできませんから、こういう面にも力を入れていかなければならない。軽水炉の研究開発というものも一段と力を入れるべきであることは言うまでもないものだと考えております。
  12. 森下元晴

    森下委員 早く日本型の事故のない安全な軽水炉ができるように期待もしたいし、その方向にひとつ全力を挙げていただきたいと思います。  それから次に、福祉の問題について御質問したいと思います。  福祉大国という言葉がございまして、その方向わが国もいくべきであるし、国家予算の二割近くがそれに投入されて、その効果は上がっておると思いますけれども、最近言われておりますのは福祉の見直し、正しい福祉と申しますか、かえって公平が不公平になるような場合がございます。そういう意味で、いわゆる総花的な福祉じゃなくして、やはりある程度の重点主義と申しますか、優先順位をつけた福祉というのもまた公平の原則に合致するのではなかろうか。  たとえば老人医療の無料化。子供が大きな税金を払っておりながら、親が一万三千五百円の老人福祉年金をいただくことが果たしていいかどうか。まだまだ二万円も三万円も差し上げなくてはいけない方がいながら、余りにも数字的に総花的にやるものですから、案外喜ばれない点があるようでございます。病院なんかでも老人医療の無料化によりまして、サロンのようなかっこうになって、三時間待って三分の診察しかしてくれない。したがって、それが保険の赤字につながっておるというような問題も、われわれは御老人の方から聞く場合も実はございます。  そういうことで、何が一番大事であるか。たとえば国家保障の場合、戦争で亡くなった遺族の方とか、また傷ついた傷痍軍人の方、また退職公務員のように、国のために一生懸命に働きながら恩給では食っていけない方、それから社会保障、それから個人保障と三つの段階があると思うのですが、それを一律にやることが果たしていいかどうか。戦死された方々は、いままで合計いたしますと、大体二百五十万円くらいらしいのです。それが最近は交通事故なんかで死亡しますと、お気の毒でございますけれども、そういう方々がホフマン方式とかなんとかで三千万円とか、時によっては一億円の金をいただける。そういう面に比べて、余りにも国家保障のために出すそういう福祉的な考え方が、どうもアンバランスがあるのじゃないだろうか。ここらでやはり福祉の内容について本当に公平な福祉、当然だと言われるような福祉政策に見直す必要が出てきておるというふうに私は思うわけでございますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  13. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 社会経済情勢というものは非常に大きく変化しているわけです。たとえば人口の高齢化といいますか、そういうことで核家族化も進んでいっている。そういうので社会福祉の要請というものは非常に強くなる。ただしかし、高度経済成長でなしに安定成長下における財源というものにも限りがあるわけです。そういうことで、やはり社会保障というものは社会連帯という意識が根底にないと、全部国や地方の団体に依存するという社会保障は行き詰まる。だから、ある一定の最低の基準は保障されるにしても、それ以上は努力次第であるというようなものが日本的な福祉政策というものでないといけないわけです。そういう点で福祉政策というものが、一つの見直さるべき時期に来ておることは事実だと思います。そういう窮屈な財政事情のもとで、どうしても国の援助の手を差し伸べなければならぬ人たちがおる。身体障害者であるとか難病の人たちであるとか母子家庭であるとか、こういう人たちに対しては、森下君の言われるように重点的に選択をして、そしてそういう人たちに対して窮屈な財政事情のもとにおいても、できるだけ国も援助の手を差し伸べるということが必要であることは御指摘のとおりだと思います。
  14. 森下元晴

    森下委員 時間が参りましたので、最後に意見、御要望だけ実は申し上げたいと思います。  災害対策の問題でございますけれども、いま北海道、東北地方は冷害でもう大変な混迷のさなかにございます。お米がとれない。特に国民食糧の大半を北海道、東北、この地域でつくっておるわけでございます。この地域が冷害のために収入の道がない。しかも、いまの農家は農機具の購入また肥料の購入等でかなり借金を抱えております。また、制度金融をかなりお借りしております。その返済時期も迫っておる。しかも農家が非常に不況である、また生活苦であるということは、やはり私は、それがひいては第二次産業、第三次産業まで影響するであろうということで、東北地方の冷害問額はただ農業問題だけではない、大きな社会的な問題、ひいては景気の問題まで影響するような、経済の問題まで影響するような大きな問題を抱えているように思います。そういうことで、ひとつ取り組んでもらいたいと思うわけでございます。  それから十七号台風による被害、四国はずいぶんやられました。いろいろ公共災害の面につきましては、かなり配慮いただいておりますけれども、個人災害の面で、家が流された、家が壊れたという場合の復旧のための金はお借りできますけれども、残念ながらこれに対して、いわゆる補助金とか共済制度がないという点で、実は参議院の予算委員会で国土庁長官天野大臣が御答弁になっておる内容を見まして、また総理の御答弁も見たわけでございますけれども、やはり個人災害について、健康保険とかいわゆる総合保障的な考えに基づいて、困った人をお互いが助けるのだという制度を、私は国が指導して何かつくる必要がある。  これは地震に対してはあるようでございます。また、亡くなった方には百万円までのお見舞い金がございますけれども、自分の住まい、いわゆる家が流れた場合とか壊れた場合には借金以外にない、こういうような非常な心配の種がございまして、この点、参議院の予算委員会でお答えになったような方向で、なおより一層強力に、ひとつこの点に御注目をいただきまして、被災者に対する温かい配慮をいただきますようにお願いをいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  15. 村山達雄

    村山委員長 原茂君。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 時間が余りありませんが、総理以下各大臣に締めくくりの意味の御質問をいたしますが、できるだけひとつ答えの方も要点をびしっとお答えをいただくように、私もよけいなことをつけずに御質問申し上げます。  最初に、宇都宮徳馬さんが議員をおやめになるという決意を表明されました。そのときの理由に二つのことを宇都宮さんは挙げておられました。一つは、いまの自民党の極右的体質というものは救いがたいものだ、これがなかなか改まる状態にない、ある意味ではもう救いがたい体質、これに絶望したというのが第一の理由でした。その極右的な体質というものが理由で議員を辞任なさろうとする宇都宮さんに総理はお会いになって、その翻意を促したわけですが、この宇都宮さんのお考えに、総理はある意味では御意見を言って説得をされたはずですが、やはり宇都宮さんのおっしゃるような極右的体質というものが自民党の体質になっているのだというふうにお認めになった結果、ついに翻意をさせることができなかったということになるのか、その点を先にひとつお伺いしたい。
  17. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 宇都宮徳馬君は純粋な人でありまして、この宇都宮徳馬君に絶望感を抱かせたということはまことに残念だ。ただ、自民党が極右的体質というその批評は、私は自民党という政党は極右的体質というものを持っておるとは思っておらない。そういう点で、宇都宮君の誤解なども私はあると思う。たとえばロッキードの究明問題が派閥次元で妥協した、こういうことも言われておりますが、私はロッキードの究明を派閥次元で妥協する意思は全然持ってない。そういう派閥の問題ではないわけです。ロッキード事件を究明することが日本の民主政治をより健全にし、より強固にする道だと考えているので、これを派閥の次元で取引するなどという考え方は私はない。これからの私の行動を通じて、この誤解は解けるものだと思いますが、そういう誤解もあるという点もあることは事実でございますが、いずれにしても、宇都宮君にこういう絶望感を持たせたということは、まことに残念であると考えております。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 同時に、いま総理がお触れになった、そのロッキード問題に関しても宇都宮さんはこう言っているのですね。ロッキード事件の解明ということから言えば、いまの灰色高官の扱いは単なる決着のつけ方にすぎない、まともな取り組みが見られない、こうして自民党が無反省にいってしまうことをいいとは思わない、これではまた同じ問題が出てくる、国民の間にももう事件解明はここらでいいのじゃないかという考えがあるかもしれないが、それはわれわれの期待とは違う、こう言って、ロッキード事件の解明だけではなくて、もっと韓国なり東南アジアなり、国際的な構造汚職と言われているこの事件を、単にこれだけの事件、灰色高官、証人喚問、それで終わらせるのではなくて、やはり韓国なり東南アジアにまでまたがっているということが、すでに常識的にいろいろと言われている、それも徹底的に解明をするところまで三木首相はやるべきなんだが、それもやらない、こういうことも宇都宮さんの不満の一つのようですが、三木さん、せっかくロッキードをここまで手がけておいて、いま言ったように妥協はしておらないと言われるが、われわれは妥協がありありと見えている、こう実は考えていますが、きょうそれを言う時間はありませんから、そのことには余り触れませんが、少なくともこれだけで終わるのでなくて、国際的な構造汚職と言われてきた、韓国なり東南アジア関係にまたがっているこの種の事件というものを、もっと徹底的にあばき出して、二度とこういった構造汚職の起きないようにするということが、これは本来胸を反らしてロッキードを解明するのだと言った三木さんのやるべき仕事じゃないかと思うのですが、その点はどうでしょう。そこまでおやりにならなければいけないのじゃないかというふうに考えますが、それが一つ。  二つ目に、ついに宇都宮さんを説得できなかったということは、宇都宮さんの言っていることを、いま総理から私にいろいろと御答弁をいただいているばかりでなくて、宇都宮さんにすら納得してもらえないということに終わった。どうも宇都宮さんのおっしゃることが――私はこう信ずる、こう思う、こう言ったそのことを、総理はいまもここで答弁しているような、私も納得しませんが、宇都宮さんも納得しないということは、両者並行線であって、宇都宮さんが間違いだとか総理が正しいとかいうことにはならないと思いますが、その点は宇都宮さんのおっしゃっていることにも一理あるという結論になったと考えてよろしいのか、二つ。
  19. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いま、韓国あるいは東南アジアの問題をお出しになりましたけれども、そういう韓国であろうが、東南アジアであろうが、犯罪になるような不正行為があれば、これはもう当然に――遠慮は要らぬわけですから。しかし、いまのところそういうふうな不正行為というものが、いろいろなうわさはあるにしても表面にいろいろな形で出てきているという段階ではないわけですから、そういう問題が出れば、むろん遠慮はないわけですが、いまロッキード問題というものが表面化してきたわけですから、これは解明されなければならぬとやっておるわけです。  純粋に考える宇都宮君として、いろいろやっておることに御批判もあろうと思いますが、いま言っておるように、私がこれで何か妥協して、そうして内閣の延命を図るという考えは全然ないんですよ、原君。これはやはり解明をして、そして日本の民主政治を健全なものにしないと、やはり腐敗を繰り返して民主主義が育っていくとは私は思ってないわけです。しかし、やることには、おのずから法治国家としての限界はある。そういうことで、そういう点はもし誤解があるとすれば残念で、今後の行動をもって示す以外にはない、こう考えておる。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 やがて、ロッキード、ロッキードと言っている間に、ダブってかあるいは終わってか知りませんが、もうすでに問題が頭を出してくるんですから。韓国に対する経済援助の問題を通じての疑惑、東南アジア、特にインドネシアのLNGの問題等に対する大きな疑惑というようなものを進んで解明する。問題が出てきたら処理すると先ほど答弁があったんですが、そうじゃなくて、もうすでにそういう疑わしきは徹底的に率先して解明に当たっていくという態度をおとりになる必要があると思うのですが、この点どうですか。やはり問題が出てきたら処理する。いま疑わしいといって、いろいろ論議されているそれに対して、率先してこの疑惑の解明をもう一度やってみようということにはなりませんか。
  21. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 政府としては、いろいろな法規に照らして、不正行為というものは摘発もし、処置もしなければならぬわけですけれども、やはりそのためには、それだけの容疑事実といいますか、そういうものが要るわけであります。国会政治的な道義的な責任の追及という場合には、そういう問題も取り上げる課題であるかもしれません。司法当局が取り上げて活動を開始するというのには、それだけの容疑事実があるということがやはり必要だと考えております。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 こだわるようですが、私は、もうこれだけロッキードの、二月四日こちらに飛び込んでくるあの前後の様子から言っても、やはり韓国に対する経済援助なり東南アジアの疑惑というものに対しては、率先、国民の側に早くその疑惑を解いてやるという意味からも、総理は敏速な、しかも徹底的な調査をするようにということを指示することをおやりになってしかるべきだと思う。頭が出てきたらやりますという、そういう問題ではない。ロッキードをいまこれほど国を挙げてやっている最中ですから、これに準ずる、あるいは想像の範囲ですが、非常に大きな額の疑惑がすでに持たれている以上は、率先、これに対する疑惑を晴らしてやろうという意味調査をお命じになるようにするのが私は当然だと思うのですが、どうでしょう。もう一度……。
  23. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 具体的な不正行為の問題が提起されれば、それは捨て置けないですよ。いまは具体的というよりかはいろいろな疑惑がある、そういうふうな報道もあるわけです。しかし、やはり司法当局が乗り出していくということについては相当な根拠が要るんではないかと思います。行政上のことに対して、やはり日常の監督という面では、こういう問題は絶えず注意をしなければならぬわけでございます。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 これはいわゆる捜査当局に命令をするとかという問題ではなくて、行政上の問題として、行政の長たる総理大臣が行政を通じての厳重な調査を進めさせるということをお命じになった方が、私は国民の疑惑を早く晴らしてやるという意味で非常にいいんじゃないかと思うので、問題が必ず起きますが、起きてからいつも受けて立つという態度が、いつまでも第二、第三のロッキードを起こさせる原因になるわけですから、したがって、やはりこれは行政を通じて長たる総理が徹底的な調査をさして、この疑惑を晴らしていくという態度をおとりになるように、これはぜひ三木総理に私から進言をしておきますから……。いまのお答えで、いまはすぐおやりにならないようですが、すぐにおやりになっていただいた方がいいというふうに思いますが、もう一度、そういう調査を行政を通じてやるという決意をお示しいただきたい。
  25. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それは韓国に限らず、あるいは東南アジアに限らず、行政が常に日本の海外における企業、このあり方というものは絶えず注意し、監督をしなければならぬ問題は御指摘のとおりだと思います。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 それから宇都宮さんはもう一つ、金大中氏の問題に触れておられるのですね。金大中氏のいまの韓国における処遇というのは、これはわれわれとしても見逃すことができない。これはもう断じて抗議をしなければいけない、大中氏を助けるという意味では、われわれのできる限りの力をいたさなければいかぬと思うのですが、宇都宮氏も、この金大中事件に対しても三木内閣の対応の仕方に非常に不満を持っておられる。  かつて、金大中夫人から総理あてに親書が届いた。総理はこれを黙殺しちゃって返事も出さなかった。少なくともわれわれと所を変えた場合に、この種の事件が起きたときに、その内容がどうであれ、親書が届いたのに返事を出さないで黙殺をするという態度が国際的に許されるのでしょうか。金大中夫人から総理あてに親書が来たわけでしょう。総理は返事を出さないと言い切って出さなかった。そんなことが儀礼上も慣例上も許されていいはずがないと私は思うのです。金大中氏の現在の状況は、不法不当な監禁に遭っているという意味では、断じて早く救済をしてあげなければいけない。政府としても抗議をすべきだと思うが、この抗議は何ら行われていない。これが宇都宮さんの不満の第三なんです。  同時に、私がそのことに対する総理のお考えを聞くと同時に、かつての、大中氏夫人が親書をよこしたのに返事も出さなかった、黙殺をしたという非礼なこの態度、何の理由でそんなことをしたのか、なぜ韓国政府にそんなに遠慮をして、親書が来たのに返事も出さないで済ませるのか、二つ、御答弁を……。
  27. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 金大中氏の事件については、これはやはり韓国は韓国としての主権を持っているわけですから、そこにおいて国内法――最近では民主救国宣言ですか、こういう問題について国内法との抵触の問題が起こっておるわけです。これに対して、日本は内政に干渉することはできませんから、韓国政府は、金大中氏の国内におけるこういう問題が解決をすれば、やはり韓国人同様に海外に行くことも含めて自由を回復するという約束を日本にしておるわけです。  したがって、われわれとしては、金大中氏に対しては重大な関心を持ち続けておることは事実です、こういう約束を日本政府にしておるわけですから。一日も早くこういう問題が解決されて、韓国人同様の一つの権利を回復することを願って、その間においても、絶えず韓国政府に対しても日本政府は重大な関心を持ち続けておるわけでございます。決して金大中氏に対して政府は無関心な態度ではないということでございます。  また、書面の場合は、やはりわれわれとしても、いま言ったようなこういう問題は一日も早く解決して、金大中氏が自由の身になればいいということを願っているわけですから、結局金大中氏の夫人もそういう日を待ちわびておられるわけでございます。総理に来た手紙に一々返事を書かない場合も多いわけですけれども、そのことが金大中氏に対して無関心だということではない、これは重大な関心を持っているということであります。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 失礼ですが、途中で総理、中断させてもらって、文部大臣に先にちょっとお伺いしておきます。大臣はすぐ帰る都合があるそうです。  教科書の有償化の問題ですね、これはもう憲法に規定されている義務教育の措置なんで、有償化なんてとんでもない、大臣はこうお思いになっていると思うのですが、いよいよ来年度の予算の編成もありますが、この見通しはどうですか。大臣、がんばって無償のままで通すということに見通しをお持ちですか。
  29. 永井道雄

    ○永井国務大臣 教科書を有償化するということにつきまして、一部の新聞に大蔵省にそのような考えがあるということが報道されました。しかし、実は私どもは何らそういうことを聞いていないわけであります。  教科書というものは、義務教育の水準を保持する上から非常に重要な教材であることは申し上げるまでもございません。そこで、憲法二十六条の義務教育無償の精神の実現のために、昭和三十八年から全額国庫負担による無償の教科書ということで今日に至っているものでありますから、これを社会保障ないしは就学奨励というような目的を持って行われるべきものではないと考えております。すでに昭和三十八年から十数年を経た制度でございますから、国民の間にも定着をしているものであり、教科書無償という原則を今後も私どもは考えておりますし、概算要求もさような考えをもって進めている次第でございます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 大蔵大臣、いまの義務教育の教科書有償なんかにしないという文部大臣の答弁に同感ですか。
  31. 大平正芳

    ○大平国務大臣 八月三十一日に概算要求が出されまして、いま大蔵省におきましては各省の要求を聞いておるところでございます。予算の編成に当たりましては、いずれ近く政府予算編成方針が出されると思いますけれども、大変財政が苦しい状況でございますので、既定経費、既定の計画につきましても、その制度面も含めてもう一度見直すというような方針で一遍検討してみるべきであるということで検討はいたしておることと思うのでございますけれども、個々の政策につきまして、まだ国会に御報告するような段階ではございません。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 文部大臣は先ほどのような答弁をして、確信を持って、もう定着したこの義務教育の柱とも言うべきものは維持するんだ、自信を持ってそうしたいと言っているのに、大蔵大臣の方は、やはりこれに対していろいろな意味から一遍見直しをする、ということは、聞きようによって、やはり有償化へ変更していく検討をする、どうもそんな方にウェートが置かれているように思うのですが、総理大臣、どうです、義務教育の教科書の、いま無料のものを有料にするというようなことをお認めになりますか。  そんなことをいまやるべきではないと思うのです。どんなに困っても手をつける範囲というものがある。そういうばかなことを、いまのような答弁のままで聞き逃すわけにはいかない。総理大臣、いかがでございますか。
  33. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いまこれを有料化しようという考えは持っておりません。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 文部大臣、結構です。  それを有料化なんということはいま考えていない、現在予算の編成に手をつけ始めている、総理もそういった決意をいまお示しになったのですが、大蔵大臣もひとつぜひこの有料化に手をつけることはやめていただきたい。いろいろな検討をしたからといって、ついに財政状態が困難なために有料化にするなどという考えは絶対に持たさないように、事務当局にもぴしっと指示をお願いして、ほかの方でいろいろ財政のやりくりをやっていただきたい、こう思いますが、いかがでございますか、大蔵大臣
  35. 大平正芳

    ○大平国務大臣 御意見として承っておきます。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 どうも大臣答弁というものはおもしろいもので、「として」なんというと、まだそこに一つ何かがあるんだなという感じがするのですが、そういうまやかしな「として」と答弁をしても、総理大臣はそういうことを考えていないとおっしゃるのですから、ぜひそういうことのないようにお願いをしておきます。  それから総理にお伺いするのですが、もう解散は間違いない、あるいは十二月九日でわれわれ任期が来ますから、任期切れの改選も間違いない、どちらかなんです。もうあしたの問題であります。これは解散をお考えなのか、任期いっぱいで改選をすることをお考えなのか、これをずばりどちらかお答えいただきたい。
  37. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 原君も御承知のように、いま参議院において歳入の重要な法案である国鉄、電電の運賃や料金の改正案が出ておるわけですから、国会の推移を見なければ、いまどうするんだということは申し上げる段階ではないと私は思います。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 では仮定の問題でお答えをしてもらいますが、今週参議院は電電も国鉄も上がりました、そういった場合、あるいは来週上がる、この場合にいま言った解散か任期切れかの問題は、どうお考えになるのかということが一つ、それから万が一、十一月四日の会期いっぱいには電電、国鉄ともに非常に困難があるという見通しが立ったときには、会期の延長を議会で決めてもらってでも、この二つはどうしても通すのだ。その場合は会期延長も考える必要があるということになるのか、それが二つ目。それから、もし会期延長をして電電なり国鉄の値上げが決まりましたときには、いま第一に質問しましたような、解散とそれから任期いっぱいの改選とのどちらを一体お選びになるのか、三つに分けて。
  39. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私のいま願っていることは、会期内に両法案が成立するということを、ひたすら願っておるわけでございます。仮定の問題については、その段階で考えたい。いまは会期内成立ということを願っているということです。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 自民党の挙党協の皆さんがきょう幹部会をお開きになる。それで今月末の自民党大会では、これは人事大会として三木総裁にやめていただいて、福田総裁というものを選びたいというようなことにほぼ決めつつあるようであります。  やがて二十一日になりますと、両院議員総会に準ずるような大きな挙党協の総会を持って、そのことを本決めに決めるというような報道がされております。そこで、挙党協のその本決めが行われたときには、福田経済企画庁長官辞任というものを、事によると挙党協の全会の一致した意見として決めて、いまどうしたのかおいでにならないのですが、福田さんがおやめになる。そうして本当に態度で示す。先ほどの金大中氏のあれではありませんけれども、重大な関心を持っている、持っていると言いながら、関心を持ったことを態度では何一つ示さない。しかも親書が来たって返事を出さないようなことをしながら、重大な関心を持っています――三木総理に総論あって各論なしとか、口はうまいことを言う。  これは宇都宮さんもおっしゃることなんですが、とにかく口先だけの技術で国民をだます段階ではないよというようなことまで宇都宮さんはこの間おっしゃっていましたが、どうも三木さんの答弁がそれに準じた態度で示していない。同じように今回の福田さんが態度で示したというようなことがあり得るように、ある面では見通されるのですが、そういうときに、やはりそれならそれで結構だから、あと後任を任命して、とにかく月末の自民党大会というのは、三木総裁のおっしゃるように、いわゆる選挙を前にした挙党体制の固持にある。人事はやらないということをそれでも貫いていくという御意思でしょうか。いかがですか。
  41. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 日本は開かれた社会ですから、いろいろなことが新聞記事には出ますけれども、過程ではいろいろなことがあっても、政権担当の政党として良識のある決定を最後に下す政党でありますから、余り原君に御心配をかけないようにせなければならぬと思っております。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 これは私の心配ではなくて、国民の心配ですからね。それから内閣の問題ですから……。  宇都宮さんが、もう一点触れていろいろ言ったこともあるのですが、それらもずっとひっ絡んで、挙党協の問題も一緒に、三木さんの答えの中に、総理総裁の任期があるのに、力ずくでこれを引きおろそうとするようなことは議会制民主主義に反するものだ、こういう三木総理の発言がございました。この議会制民主主義というものは、任期があるうちは総理総裁を引きおろしてはいけないという点にウエートがあるのでしょうか。  私は、議会制民主主義のもとだからこそ、もう政治に統治能力がない、ほとんども国民三木内閣に期待をしていないといったときには、三木総裁、総理がもしどうしてもおやめにならないときには、力ずくでもおろすようなことを考える、議会制民主主義だからそうしてもいいのじゃないかと思いますが、三木総理は、自分の任期のあるうちに力ずくで引きおろそうとすることは、議会制民主主義に反すると一方的に断定されましたが、しかし統治能力の問題、国民の信の問題というようなものから言いますと、議会制民主主義だから、それをいまかえたい、こういういわゆる大勢の意思があったときには、その意思が発動して、それこそ議会制民主主義が貫けるのだと思いますが、どちらでしょうか。
  43. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 議会制民主主義というものは、やはり一つのいろいろな原則を持っているわけですから、そういう原則に基づいた手続を経ないと、それはそのときどきの都合でというわけにはいかない、これは民主主義の原則だろうと思います。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 民主主義の手続、原則というのが、細かく法定され、ぴしっと全部が決まっていない限り、たとえば大会を開く、その大会の議案の一つに、こうだ、ああだというようなことを多数の意思で要求をされたら、それも民主主義的な手続をちゃんと踏んだことにもなるのじゃないか、これは私の党の問題じゃありませんから、そう突っ込んでお伺いしょうと思いません。したがって、三木総理の言われた、力ずくでという考え方が妥当かどうかは私は疑問を持っていますし、それから任期があるのに引きおろそうとすることは、議会制民主主義に反するなどという考え方は過ちですよということを申し上げたい。これは人ごとといいますか、重大な関心事でありますが、自民党内の問題ですから、これ以上のことは申し上げません。  次に、小選挙区制についてちょっとお伺いしたいのですが、しばしば小選挙区制いわゆる比例代表を加味した小選挙区制が論議をされています。やがて年内に選挙の行われることは間違いないですが、この選挙には、自民党総裁として、小選挙区比例代表制というものをいわゆる公約としてお出しになりますか。もしそれに関連して、ほかに現在の中選挙区制度以外、小選挙区比例代表制以外にこういう制度を考えたいというようなお考えがあるなら、それもついでにお聞きしたいのですが、第一の問題にウエートを置いてお答えをいただきたい。
  45. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 原君御承知のように、選挙制度審議会、いつも小選挙区に比例代表制を加味した選挙制度がいいというのは大勢を占めておることは事実ですね。選挙制度というものに対しては、これが絶対に正しいという選挙制度というのは必ずしもない。その国情に照らしていろいろな欠陥があれば、それを補うようなために選挙制度というのは各国が考えられておるわけですから、日本でも選挙制度審議会で絶えず問題を提起されておる。選挙制度というものは、やはり与野党のルールですからね。与野党のある程度の理解がなければ、力で押し切っていくという性質のものでもないわけです。また国民のこれに対しての共感といいますか、それも要るのですからね。自民党が一方的に、これでやるのだということで選挙制度の改正ができるわけのものではない。  選挙制度審議会でたびたび提案されておるし、そういうことで比例代表制も加味すれば、急激な変化野党にも与えない面もある。やはり一つの案だと思いますが、これを自民党が選挙公約に掲げて、そして通常国会ではこれでやるのだ、そういうふうに煮詰まった案ではないということでございます。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 その点は大事な問題ですから、もう一度念を押しますが、本年行われる総選挙に、自民党総裁として小選挙区比例代表制を国民に公約をなさる、公約の一つとして打ち出すというお考えはございませんか。
  47. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 野党もこれに対して、これは一つの検討すべき案だという野党の理解、こういうものもあるし、国民の中からもそういう声が出てくるならば、それは一つの改正の方法だと思いますが、いま言ったように、公約に掲げて自民党の多数でも押し切っていくのだというような意味の公約をする考えはございません。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 明快で結構です。  それから、ちょっとしたことですから簡単にお答えいただきたいのですが、天皇在位五十周年記念が十一月十日に行われます。われわれ日本人の習慣として、そういったおめでたがあったときには、お互いにお祝いを持っていきますね。国、国民立場で天皇陛下に何かお祝いの記念品のようなものを差し上げるのですか、そういう考えは全然ないのですか。
  49. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 記念品を差し上げるということは考えておりません。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 国民が個々に陛下にお祝いの意を込めて何か物を贈ることは許されていいのですね、自由にやってよろしいわけですね。
  51. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それは国民の自由だと思います。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、通産大臣がきょうまだ来られないというので、総理からお答えをいただいて、あと次官がおいでになっているようですから、次官から、あるいは必要があれば事務当局から返事をいただきます。  中小企業の年末対策について、特に現在の経済情勢の中で、非常に多く中小企業の倒産が累積累増という状態になっています。年末融資は特に大事ですが、昨年と比べて本年特別融資のお考えを持っているかどうかが一つ。  それからもう一つ、歩積み両建てに関しては、もう古くから言われているのですが、いまだ実効を上げていない、にらみ預金などが平気で通っているというような、このことも単に年末金融ばかりではなくて、中小企業対策の重要な一つとして考える必要があるのですが、この二つに対してどう処置をなさるか、お答えをいただきたい。
  53. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 第一点を私からお答えをいたしまして、歩積み両建ては政府委員からお答えすることにいたします。  中小企業の年末金融対策でございますが、最近の中小企業の動向は、わが国経済の景気回復傾向を反映いたしまして着実に回復の基調に乗っておるわけでございます。これに対しまして、資金の需要も平静に推移をいたしておりますが、業種別にかなりの跛行性も見られますので、年末金融対策としては、きめ細かな対策が必要かと存じております。  そこで、一応今年度の中小企業に対する金融の第三・四半期の総額は九千三百七十四億円、約一兆円近くでございまして、現在これを取り崩して行っているわけでございまして、これ以外に例年の慣例にならいまして、大体十一月の上旬ぐらいに年末の金融対策を行いたい、その臨時的な措置につきましては、従来の実績を下回らない範囲内で強く要望したい、かように考えておる次第でございます。
  54. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 歩積み両建ての点でございますが、歩積み両建ての自粛につきましては、大蔵省が各金融機関に対しまして自粛の徹底を図るよう通達等によって厳しく指導しておられるところでございます。それを受けまして、各金融機関におきましても、責任体制の明確化と自粛措置についての話し合いが行われているやに聞いております。中小企業庁といたしましても、今後とも歩積み両建ての自粛徹底につきまして大蔵省を通じ厳重に要請してまいりたい、このように考えております。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 大蔵大臣どうですか。
  56. 大平正芳

    ○大平国務大臣 従来、大蔵省は金融機関からデータをとりまして、それをもとにいたしまして、いま仰せになりましたように通達を通じて指導してまいったのでございますけれども、ことしになりまして融資先からのアンケートをとりまして検討をいたしました結果に基づきまして、改めて厳しい指導に移っておるところでございます。また、金融機関が組織する協会におきましても、それぞれ研究会等を設けて、どのようにして実効を上げるかにつきましての技術的な検討も進めておるところでございまして、漸次成果が上がっておるように私ども見ておりますけれども、なお、仰せのようにこの推進には精力的に当たってまいらなければならぬと思っております。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 もう何十年これをやっているのに一つも効果がないんですよ、大臣。実際、厳重な、厳重なと言っていますけれども、何年これをやったら、どういう実効があるのかを何かもっとチェックをされないといけませんね。実効が上がってないですよ、巧妙になるだけですよ、歩積み両建ては。にらみ預金に至っては実際論外な状態で中小企業が困っているのですからね。これはいまおっしゃったように、大臣余り知らないようですけれども、もっと下の方の実際のチェックをして的確な手当てをしないと、年末金融を幾らやって去年を下回らないなんて言っても、本当の意味では助からないと思いますから、これはひとつもう一遍検討をよくやってもらいたいと思います。それから、通産省政務次官あるいは事務当局でもいいのですが、おたくの職員である堺屋太一さんというのが「油断!」という本を出しましたね。これは読んでいるかどうか。読んでいなければ話にならぬのだが……。読んでないような顔をしている。私なんかでも読むものを通産省の親玉がそれを見ないなんというんじゃ話にならない。日本経済新聞社版で出しているのですよ。それはエネルギーについて、石油について、実に的確なことを書いている。  読んでみると、こういうことになるのですね。石油の輸入量が突然現在の三割、つまり昭和三十八年当時の状況となったら、その状態が二百日続くと、コールドチェーンその他の食糧の流通経路が阻害をされて、日本の三百万人もの人が餓死する、これが骨子です。読んでみますと、なかなか科学的な試算を用いて、しかも通産省の職員も何人か一緒にやって書いた、りっぱな労作だと思うのですが、このとおりになるならないじゃない、現実的な問題として、いまの石油の輸入が三割に減ったら、昭和三十八年当時と同じ状況になったら、コールドチェーンその他の流通経路が阻害をされる結果、もしこれが二百日続いたら三百万人の日本人が餓死する。これは聞き捨てにならないし、通産省としてもあるいは政府としても、真剣に石油という問題について考えなきゃいけない問題の提起をされていると思うのです。通産省、これは一体どういうふうに受けとめますかね。
  58. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 まだ次官に就任しまして日が浅いものですから、各庁局の所管事項まで十分に聴取していない段階でございまして、大変どうも「油断!」というものを読んでおりませんので恐縮でございますけれども、ただ石油の備蓄対策につきましては御指摘のとおりでございまして、国民生活の安定の上からもこれはやはりある程度までふやさなきゃならぬということで、昭和五十四年までに大体九十日分という目標を立ててやっておるわけでございまして、毎年大体五日分ずつふやしていって大体その数字に到達するということでございます。  特に、いまから需要期に入りますので、この需要期に何とか国民に不自由を与えないような備蓄体制をするということから、八月末の非需要期にかなり伸ばしまして大体八十五日分ぐらい蓄える。そして十一月からの需要期に入りますと、少しずつ取り崩してまいりまして、三月末の非需要期に入る時点で七十五日分を確保する、現在そういう体制で進んでおるわけでございます。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 こういうものを職員が書いたからといって、ばかにしないで、読まないとやはり通産省全体の油断ですよ。そういう油断があっちゃすき間だらけだ、そんなことでは。いまの七十五日どうしますなんだというような石油備蓄の問題は改めてまた通産省だけのときにお伺いします。備蓄問題は大変な問題が残っているので、それをどう処理する方針なのか、次の機会にこれは譲ります。  それから灯油ですが、いよいよ冬の需要期を控えてこれは九月の値段で大体凍結をしようという、何か今週早々にも指導しようというお考えのようですが、これは幾らぐらいに凍結をして、この冬の需要期を幾らぐらいで灯油を家庭に使わせるようにしようとお考えになっているのか。的確な指導と、むやみに上がらないようにできるかどうか、それをひとつ。
  60. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 家庭用灯油の価格でございますが、十八リットルかんで店頭渡し、モニター調査の結果、九月時点で七百二十四円という数字になっております。ただ、これは全国平均でございまして、地域によりましていろいろ事情もございますので、必ずしも一律になっておりませんので、九月末の元売り仕切り価格をもって、それ以上に値上げさせないということで、昨日付で文書でもって元売り各社に通達をいたしました。それによって、冬場需要期に対しまして値上げをしないように指導する。  それから量の方は、九月末に六百四万キロリットルを目標として備蓄いたしておりますが、これよりも若干多目に備蓄ができるんじゃなかろうかと思っておりますので、供給量の点においても御迷惑をかけることのないように対処いたしております。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 供給量はもちろん迷惑かけちゃいけないのですが、七百二十四円でことしの冬全国平均、需要に応じさせるというふうに見てよろしいですか。
  62. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま申し上げましたように、地域によりまして……(原(茂)委員「全国平均で七百二十四円でしょう」と呼ぶ)平均ではそうなりますが、元売り仕切り価格で申し上げますと、キロリットル当たり三万二千六百円、このベースでございます。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 だから、全国平均で十八リットルで七百二十四円、キロリットルの値段じゃなくて、いまあなたが言った七百二十四円という全国平均を、この冬もずっと正月も通してやってもらえますか。
  64. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 モニター調査の結果がさように出ておりますので、それは元売り仕切り価格を反映した平均値だと思いますので、大体そのようになるだろうと思います。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 結構です。ぜひそうしてもらいたい。  それから、これは総理にお伺いしたいのですが、国の防衛というのは非常に大事なんですが、防衛を考えたときに、先ほど福田長官がちょっと一部答弁を森下さんにしていましたが、戦力による防衛というものも一つの柱。もう一つは、やはりエネルギー問題もこれは相当大事な、国の防衛という広い意味における大きな柱になる。三つ目には、食糧というものも非常に大事な防衛の柱になる。ある意味で言うと、戦力による備蓄防衛力、それからエネルギー、石油などの備蓄を中心にしたいわゆる防衛、食糧備蓄などを考えた防衛、この三つの柱が、防衛というものを考えたときに近代国家にとって非常に大事だろう。日本にとって特に大事だろう、こう思うのです。  細かい石油備蓄、食糧備蓄について、きょうは大臣が適当においでにならない、その他でお伺いしませんが、総理からいまの、私は防衛というものに三本の柱がある、いわゆる戦力の備蓄、エネルギーの備蓄、食糧の備蓄というようなものを、これは相当強い決意で長期の検討を加えて対策々立てていかないと、非常な問題になるだろうと考えますが、この点、どうお考えですか。
  66. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私も国の安全保障といいますか、それについては軍事面だけでとらえるべきではないのだ、もう少しやはり、いま御指摘のようなエネルギーとか食糧とかその他あるでしょう。そういう広い意味安全保障というものをとらえるべきであるという考え方には同意見でございます。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 続いて災害、特に地震等の震災ですね、あの対策についてお伺いしたい。  いまの東海沖地震などというものは、すでに間々三年という見込み、めどを立てて学者から指摘をされたりして、非常な国民的な関心を持っているのですが、ややもすると予知予知と言って地震予知に力を入れ過ぎておりますが、これも入れなければいけませんが、予知がだんだん進んでいくと、いかにも災害までが何となくその陰に隠れて、防災ができるような錯覚を起こす。予知はある程度進んでいるのですが、災害対策においては、日本の行政はおよそおくれ過ぎているのですよ。現在おくれている。このおくれているものを何とか理想的に、この間前田長官が新たな決意でこうする、ああするという、あしたに対する初歩的なあり方というものを急速にやる、こうおっしゃっていましたが、それは結構なんですが、しかし、それができるまでに、やはり何年という時間がかかる。そういう機構いじりをする前に、することも大事ですからやってもらうのですが、その前にいまやれることはどんどんやっていくということをしませんと、とにかく地震の一番恐ろしいのは火災ですから、したがってこれに対する防災というものを徹頭徹尾やれるものからやるということを、ぜひひとつ考えてもらわなければいけないと思います。  たとえば避難場所に決まっている公共施設、学校など特に多いのですが、実際に避難場所になっている施設へ行ってみますと、その建物に一体防災対策が十分できているかというと、ほとんど手が加えられていない。それで避難をしろと言う。避難をしていったら、そこでどんなことになるか。したがって避難場所を決めて避難をする施設を決めた以上は、国の責任でその避難場所、その施設、その周辺の防災対策というものは、建物に対しては耐震性を含めて早期に手を加える必要があると思う。建設大臣、きょういるのかね。―いない。これはいますぐやれるのだから、やっておかないといけない一つなんですよ。やっておかなければいけませんよ。それが第一。  それから第二は、東京なんか特にそうですが、避難場所がここだと決まっている。しかし実際には、避難場所がここだということが知らされているのを住民は知らない場合の方が多い。知った人も知らない人も含めて、一度は避難場所に歩かせるということを、これはぜひ行政指導をしてやっておかないと、非常なパニックが起きてえらい問題になる。これはもう関東大震災の例を見るまでもなく、安政のあの地震のときの記録を見たってすごいものです。したがって、少なくとも近代的な避難場所が設定あるいは決められた以上は、そこに対して住民が歩いて行ってみるということを指導する方法はないか。実際にこれを行わなければだめだと思います。  それから、いま私たちの家庭で使っている、灯油を入れて燃やして暖をとっている小さな器具があります。これには震災対策として、倒れたら消えるとか、あるいは地震時の大きな揺れがあったときには自動閉鎖して、その火が消えるというようなことを義務づけていて、事実いま通産省の指導でこれは的確に規制が行われております。欠陥品もありますけれども、行われているんですが、営業用のこの種の灯油を使う暖房器具に対しては何らの規制も行っていない。  これは通産の問題だろうと思いますが、関東大震災のときも、個人の家庭もともかく火災の源になりましたけれども、営業用の火を扱っている設備に対して調べてみますと、これが火災の発生源になっていることが実際にずっと多いんですね。その事実があるにもかかわらず、経験があるのに、現在まだ営業用のやつに対しては何ら手を加えていないんですね。これが最もこわいので、その営業用のものに対して的確なことをしなければいけないというのが三つ目です。  あんまり一遍に全部言ったって恐らく答えがすぐできないと思うので、いまの三つに対して担当の省庁から御返事をいただいて、最後に総理大臣の決意を聞きます。三つ答えてください。
  68. 梶山静六

    ○梶山政府委員 お答えをいたします。  防災対策については確かに大都市で大変おくれていることは事実でございます。そして、いま早急に公園、避難路、退避路、そういうものの整備を進めつつあります。特に防災建築については助成その他を行いながら鋭意努力をいたしておりますが、複雑多岐にわたりますので、なかなか着実な実効が上がり得ない現況でございますので、さらに努力を進めてまいりたいと思います。  以上でございます。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの程度の答えしかできないのだと思いますが、総理、僕が言うのはおわかりになったでしょうね。  理想的な機構をこれからつくって、どういう防災対策をやるかということで一応防災会議があっても、実際には満足な施設ができていないのです。やれるものから各省が担当してぴしっとやっていかないと、地震はいつ起きるかわかりませんから、大問題ですから、ぜひこの点は真剣に考えなければいけないという意味で、やれるものからという意味で、いま三つの例を取り上げたんですが、私が言った営業用のこの種の暖房器具に対して地震に対する対策を考えて、家庭用の器具と同じような規制をぴしっと盛り込んで実施すべきだと思いますが、できますかどうか、これは建設ばかりじゃなくて、通産からもお答えいただきたい。
  70. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 所管のことを申し上げて恐縮でございますが、実は担当ではございませんので、資源エネルギー庁の方で御趣旨の点を関係部局の方に伝えまして、早急に対策を検討するように連絡いたしたいと思います。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 次官、答えてもらいますが、いまの個人用の暖房器具には規制があって、営業用の器具、これが地震時に最も大きな火災源になるのだが、これに何らの規制もないことは矛盾だから、いま答弁がありましたように、次官の責任においてもきちっとやりますかどうですか、それを答えてください。
  72. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、営業用はいろいろなものがございますから、全般的にそういうふうになっておるかどうか、実は私もよく存じておりません。たとえば都市ガス等のホルダーにつきましては、営業用として非常に厳しいあれがありますけれども、あるいは火薬にいたしましてもそうでございますけれども、いま御指摘の点につきまして、もしもそういうことであるとするならば、これは何らかの措置が行われなければならぬ、かように考えております。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 結構です。ぜひやっていただかないといけないと思います。  細かい防災対策はまた次に申し上げる以外にないのですが、ここで総理に。  この防災対策に関しては今度の予算編成の中でも相当程度、いままでの関東大震災なりその他の細かい実績を見ながら、十分なアセスメントの上に予算を盛り込んでいきませんと、三年先だというふうなことを大半の学者が言っておるのが東海地震ですから、三年先に起きちゃっては困るのですが、もし半年前に起きたときに大変なことになる。いま予算の編成期なんですから、いまやらないと再来年ごろに何かがあっても間に合わないわけですから、この予算編成をやっておる最中にこのことを十分に加味するように考えなければいけないと思いますが、これはそうしていただくように、ひとつ決意のほどを総理からお伺いしたいのが一つ。  もう一つは、東海沖地震というのは、いつというのはわからないのですが、もう場所だけはまあまあ間違いなく起きそうだということになっているのです。いやな言い方ですが、これも地震だからやむを得ないのですが、万が一、来年でも再来年でも起きたときの復旧の労働力としては何を考えるかというと、私は自衛隊以外にないと思う。陸上自衛隊を真っ先に頼る。これはもう絶対に陸上自衛隊を頼らしていただく以外にないだろう。早急に手当てをしようという労働力は、大変ですが自衛隊にしょっていただきたいと思う。  そうすると、これも東海沖地震ということがびしっと確定的なように言われておるのですから、いまから考えて転ばぬ先につえをつくという意味から言うと、私は陸上自衛隊を中部地方へ移駐させておくということをもう準備しなければいけないのじゃないかと思う。いまからそのことを決意して、東海沖地震というものを中心にした対策というものを真剣に考えた、いわゆる訓練なり機材なりですね、本四架橋だとか新幹線なんかの機材なり予算なりも、必要があれば、ことしあたりからきちっと検討をして割いて、そして特別な資材も、移駐した陸上自衛隊に必要があれば、これが使えるというように、きちっと資材その他の手当てもしておくことを前提にした陸上自衛隊の中部地方への移駐というものを実際に考えなければ、万が一起きたときには大変なことになりますからね。  新幹線ももちろんそうですが、あの駿河湾中心に、しかも東京は間違いなく震度五だというのでしょう。しかも真下型になるというのですから、東京だってえらいことになるわけですから、したがって、地震が起きたときには直ちに復旧にかかることが民生の安定に通ずるし、そういう意味ではぜひやらなければいけないと思います。この三年先にあると思えと言われております東海沖地震でございますから、せめて予算の編成期におけるこれに対する対策、予算、それから自衛隊の中部地方への移駐というようなことを、資材も含めて考えておく必要があると思いますが、総理がその決意を持たない限りできないわけですから、これをひとつお答えをいただきたいのです。  それと、時間がもうすぐ来るようですから、お伺いしておきたいのは、実際にこの種の災害が起きるとすれば、どの範囲でどの程度の被害が起きるかという調査を国土庁を中心にもうすでにやっているようですが、この国土庁の調査がいつ出るかお聞きしたいのと、その結果どういう対策をいつごろ立てるのか、その見込みだけ国土庁からも聞いておきたい。  それから最後に、農林大臣来ましたので、農林大臣に、これも時間がありませんから、一点だけお伺いしたいのでありますが、いまの冷害対策、もうこれは非常に悲惨な状態になっておるわけですが、現在われわれも要求し、政府も考えている二十八災を下回らない手当てをすることは前提としてやっていただいて非常に結構ですし、どんどんこれを進めてもらいたいのですが、それに一つつけ加えまして、等外米全量買い上げというのを政府がこの際、やってやれば非常に大きな冷害対策になるんですね。二十八災を下回らない農民に対する手当てをしてもらうことは非常に大事ですから、基本としてやってもらうのですが、それにひとつプラス一切の等外米を全量政府が買い上げてやるということになると、すぐにこれは救済措置の一つになるんですね。これができるかどうかを最後にお伺いしたい。では、総理から先に。
  74. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 いま災害に対しまして、あるいは地震に対しまして、自衛隊はどうしておるかということかと思いますが、私は単なる外国から侵略を受けるために自衛隊が存在するばかりでなくて、やはり国民の生活を脅かす、あるいは生命、財産を脅かすこの天災、地変に対しまして、これを守る、国民の安全を守るという任務も、わが自衛隊にあるという考え方を実は持っておるわけであります。  したがいまして、毎年この東京付近におきましても、災害が起きた場合はどうするかという訓練を実はやっておるわけでございます。関西で、ことし初めて実はやりまして、関係の府県、町村あるいは消防団、警察その他と合同でやりました。ところが、私が就任しました即下行われました東京都の合同訓練に際しましては、東京都は十分に協力関係がございませんでした。こういうことではいけないんだというふうに私は考えておるわけであります。しかし、ことしは御協力をいただきました。特に横須賀等におきましては、市長さんみずから非常に熱心にこの地震に対する対策をやっていただいておりますし、わが自衛隊とも協力をしていただいておるわけでございます。  ただ、いますぐ中部方面に新たな部隊をつくるかどうかということは考えておりませんが、しかし、いま私どもがおります部隊は、いかなるところに地震が起こり、あるいは災害が起きましても、直ちに出動ができる態勢にあるということは、ひとつ御了承を賜りたいと思います。  ただ、その機材等につきまして、まだまだ不十分な点があるということは承知いたしておりますので、今後この点につきましては、整備をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 いま防衛庁長官いるのがわからないで質問したのですが、中部地方に先に前もって移駐をしておけというのは、いつでも移動ができますというけれども、移動ができなくなるのですよ、断ち切られて。寸断されてしまうのです。そんなばかげた考え方では本当の防災対策にならないのです。移駐をもういまからやっておかないと、震度八が起きると言っているのですよ。大きさが震度八。これはかつてない被害が起きるわけでしょう。そんなときに、東京ですら震度五でめちゃくちゃになっているときに、パニックが起きている状態で移動がすぐできますなんて、飛行機で移動するだけではないのですから、大部隊が移動するわけです。直ちに復旧に着手するわけですから、したがって移駐を考えておくということは検討しなければいけないと思いますが、もう一度答えてください。  それから大臣が、先ほどから言っているように決意のほどをお聞かせ願うときに、こういう状態になったときに、東京の機能麻痺、すなわち行政的な機能麻痺は全国の麻痺状態が起きてくるし、パニック状態になるわけですから、したがって副首都みたいなものを仮に考えて、こういう事態が起きたときに、直ちにそこがいわゆる機能を麻痺させないで、すぐに全国に対する行政指導ができるようにするという、副首都のような考え方を同時に考えておかなければいけないと思いますが、この点は総理から答えてください。防衛庁長官、もう一度。
  76. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私どもの考え方は共同防衛という一つの思想といいますか、考え方を実は持っておるわけでございまして、やはりその主体であります地域社会を守る、そのための編成ということは、ポスト四次防で考えておるわけでございます。
  77. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 原君の御指摘になった防災対策というものは、起こってくればやっぱり大変な被害を大都市に与えるわけですから、予算編成の場合にも十分な注意を行います。それからまた自衛隊の問題についても、これは大規模な震災のときには、やっぱり自衛隊の協力を得ることが必要でございますから、こういうことには十分日ごろ自衛隊自身としても準備をしておく必要があるということは、大分前に坂田長官にも私から指示をしたことでございます。
  78. 原茂

    ○原(茂)委員 副首都の問題。
  79. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 首都の問題は、これはまあそういうふうな都市、それは震災のことばかりでなしに、都市政策としてもそういうことは考えなければならぬわけでございましょう。しかし一番大事なことは、防災の中における避難対策、そういう場合に、副都市ばかりでなしに、もう少しやっぱり具体的な対策を立てる必要がある。いまも十八の省庁ですか、関連する官庁において震災対策連絡会議というものを開いて、いま原君の御指摘になったようなものも、この会議の中で取り扱っておるわけでございます。十分にやはり、いま震災が起こってないからといって油断はならぬわけで、その場合を考えて万全の処置は講じなければならぬと考えております。
  80. 原茂

    ○原(茂)委員 これで終わりますが、防災対策に対しては、総理以下ほとんど無関心と言っていいくらいな状態です、答弁を聞いても。これは非常な問題ですから、政府として挙げて防災対策というものを地震予知以上に、いま急速に力を入れないと大変なことになってくると申し上げて、切にひとつ熱意ある対策を立ててもらうようにお願いしておきます。  終わります。
  81. 村山達雄

    村山委員長 ちょっと原君に申し上げます。  先ほど総理の答弁中補足説明したいという法制局長官からの申し出がございますので、これを許します。真田法制局長官。
  82. 真田秀夫

    ○真田政府委員 先ほどの総理の御答弁に対しまして一言補足させていただきます。  それは、天皇陛下御在位五十年記念式典に関連いたしまして、国民の一人一人が皇室にお祝い品を差し上げるのは自由であるという御答弁がございましたが、この点につきまして一言注釈いたしますと、憲法の第八条に「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜興することは、國會の議決に基かなければならない。」という規定がございまして、これを受けまして皇室経済法で、原則はそのとおりであるが、一定の場合には、そのたびごとの国会の議決は要らないという規定がございます。そして、その一定の場合と申しますのは幾つかございますが、最後に、毎年四月一日から翌年三月二十一日までの期間内に、皇室が譲り受けるその財産の額が一定の額に達するまでは、その都度の議決は要らない、こうなっておりますので、そういう制約の範囲内において自由である、こういう趣旨でございます。  一言補足させていただきました。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。  終わります。
  84. 村山達雄

  85. 田中美智子

    ○田中(美)委員 国会議員のモラル、つまり、政治家の道義的問題について質問いたしたいと思います。  たとえばロッキード事件で収賄の事実があった、しかし時効になって起訴されていない国会議員がいます。こういう人たちは刑事上の責任が問われないだけでなくて、氏名さえも公表されずに、政治的、道義的責任というものは問われていないわけです。これはモラルの問題として特に国民にとっては大きな不信感となり、最近この不信感がますます進んでいます。それからまた、田中角榮氏ら三名の起訴されている国会議員が立候補するというようなことが報道されておりますけれども新聞に対する国民の投書を見ましても、国民の怒り、不信を越えた怒りというものが非常によくわかるわけです。こういうものも、刑に触れなくてもモラルの問題として政治不信を招いておりますし、いま、さまざまな国会議員のモラルの問題というものが改めて問われてきているというふうに思います。  それで、まず総理大臣に質問したいことは、国会議員が妻がありながら、妻以外の愛人を国会秘書にするということに関しての質問です。  国権の最高機関を構成しているメンバーである国会議員というものは、国民から尊敬され、また信頼される存在でなければならないと私は思います。その意味で、少なくともそういう努力を怠ってはならないんだと私は思うわけです。それにもかかわらず、妻がありながら愛人を国費が支払われている国会秘書にするようなことがあれば、国民の批判を受けるだけでなく、国会の権威を傷つけ、国民政治不信を深めることになる、このように私は思いますが、総理大臣はどう思われるか、御意見を伺いたいと思います。
  86. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 全く同感でございます。
  87. 田中美智子

    ○田中(美)委員 同感ということは、もう一度三木さん自身から、このようなことは好ましいことであるかどうかということを、はっきりお答え願いたいと思います。
  88. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 アメリカでも問題になっておりましたが、そういうことがあるのかどうか知りませんが、愛人を国費を支弁する秘書にすることは、それはよくないことは申すまでもないということでございます。
  89. 田中美智子

    ○田中(美)委員 次に、文部大臣に伺いたいと思いますが、昨年は国際婦人年でした。それを受けまして、ことしは婦人の十年ということで、その第一年目になりまして、この十年間、国連を中心にしまして世界の婦人が婦人の地位向上を図るということは、よく御存じだと思います。そういう婦人問題の観点から見ましても、いまのような事実があれば、やはり重大な問題だというふうに思うわけです。妻以外の婦人とのよくない関係、こういうものは人としての尊厳を害し、性道徳にも反しますし、社会の善良な風俗を乱すものだと私は思うわけです。ですから、一般国民であっても、これはいいことではないわけですね。まして国会議員が、それも国費を使ってこういう行為をするということは、とりわけもっと悪いのではないかというふうに私は思います。  そういう意味で、社会教育や学校教育などの最高責任者である文部大臣としては、これを教育モラルの点から、また教育的な影響という点から考えまして、どのようにお考えになりますか、御意見をお聞かせください。
  90. 永井道雄

    ○永井国務大臣 国費を用いている議員秘書というものが、実は議員秘書であるよりも愛人のような暮らしをしているということは、アメリカ合衆国で問題になったことに基づいての御質問と思いますが、これは国際婦人年の後であると前とを問わずよろしくないことである。やはり議員の仕事を助けることが国費を出す目的でありますから、その仕事をしなければいけない、かように思っております。
  91. 田中美智子

    ○田中(美)委員 いまのお答えの中で少し不明確なことがございましたので、もう一度質問いたしますが、秘書の仕事をしなければいけない、こういうふうに言われた。私は、いまアメリカの問題をお聞きしたわけではありません。秘書の仕事をしなければいけない、これは当然のことです。問題は、秘書の仕事をしていても、国会議員が特殊の関係のある妻以外の婦人を秘書にして秘書の仕事をさせている、こういう問題を言っているわけですので、その点もう一度明確にお答え願いたいと思います。
  92. 永井道雄

    ○永井国務大臣 愛人は秘書の仕事でないという前提に基づいて私は申したのです。ですから、愛人の仕事をしてはいけない、秘書の仕事をしなければいけない、そう思います。
  93. 田中美智子

    ○田中(美)委員 文部大臣、少し私の質問をよくお聞きください、アメリカの問題を頭に入れないでですね。そういうことではなくて、私は、愛人の仕事をしていいか悪いかということをお聞きしているのではありません。一般の国民でも、めかけとか二号とかと言われる者を持つということは、社会的に道義に反することであるのに、国会議員がそういうことをしている上に、その人に秘書の仕事はさせているわけですけれども、秘書にしていることはどうかということを伺っているわけです。愛人の仕事をするかしないかは別の問題です。そういう人に秘書の仕事をさせているということはどうかということです。
  94. 永井道雄

    ○永井国務大臣 社会全般に現在は核家族でありますから、したがいまして、妻以外の人間と婚姻関係があるということは、まことに不当なことであります。いわんや国会議員は厳粛な、公共的な仕事に携わっている人たちでありますから、したがって、国会議員の秘書の仕事というものはその観点から選ばなければいけないわけでありますから、したがいまして、愛人というようなそうした間柄にある人を秘書にするということは不適当であると考えております。
  95. 田中美智子

    ○田中(美)委員 わかりました。  次に、総理にお伺いしたいと思いますが、まずその前に、今度はアメリカの問題をちょっと触れてみたいと思います。  それでアメリカでは、新聞にも報道されましたが、ヘイズ下院議員が愛人を国費の秘書にしているということが、ことしの五月二十三日にワシントン・ポストで報道されたわけです。これは議員の品性の問題に関係するという問題だけでなくて、大きな問題になりましたのは、愛人を公費で囲っていた、つまり、国費を乱用していた、こういうふうな問題につきまして早速FBIが調査に動き出しました。また、大陪審が起訴するかしないかというようなことを問題にし始めたわけです。  下院では倫理委員会というのがあります。早速この倫理委員会調査に動き始めたわけですけれども、これは五月二十三日に表ざたになってからわずか十日間という早さです。この十日間でこの調査を下院の倫理委員会が始めている。そしてこの委員会でヘイズ議員と秘書のレイさんという方を証人喚問をするということを決定しているわけですね。結局そういうことがきっかけになりまして、九月七日にはこのヘイズ議員は下院議員を辞職している。この点はよく御存じだと思いますが、この倫理委員会というのは、下院に属しています公務員全般と公職についている者だけでなくて、まだ当選していない、これから立候補するという人までも含めて、この倫理の問題というのが問われている。これが対象になっているわけですね。こういうことは日本ではまあ野放し状態という感じですけれども総理はこの倫理委員会について御存じですか。そしてもう一つ、モラルの問題を解決をしていこうというアメリカのこうした手早い姿勢について、どのようにお思いになりますか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  96. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 各国の国会で、イギリスにもやはりこういう式の議院の規律に関する委員会があって、倫理委員会という名前でなかったと思いますが、しかし議員同士の間で議員の規律に関する問題をいろいろ調査したりする委員会が置かれておるわけですね。これは日本の場合においても、やはり議院というものが国権の最高機関であると言われておるのですから、それだけの名誉を国会議員は持っておるわけです。その社会的な名誉を持っておるだけに、一般の社会でいろいろそういうことがあり得ても国会議員のモラルというのはもう少し高いものでなくてはならない。そういうことで、アメリカがこの問題に対して非常に手早い反応をしたということは、アメリカ国会の品位を守っていこうという熱意のあらわれであると、私はやはりそれなりに評価をいたしたわけでございます。
  97. 田中美智子

    ○田中(美)委員 私はいまのアメリカの問題、総理と同じ意見だと思います。そういう点でぜひ関心を深めていただきたいわけですけれども日本では週刊誌などでゴシップとして取りざたされるだけで済まされているわけです。ですから、やはり日本国会の品位というものを守る意味でも、国会議員みずからが国民的なモラルというものを守り、国民の信頼を得るように積極的に努力するように総理みずから、また総理も文部大臣も各閣僚、また国会議員がそういう努力をしていただきたいというふうに私は思うわけです。  こういうことを野放しにしておりますと、いまのような状態でおりますと、国際的にも日本の後進性が厳に問われておりますし、非常に恥ずかしいのではないかというふうに私は思いますので、総理大臣がこういうことにもっと個人的だけに関心を持つのではなくて、国会を構成している一議員としても重大な関心を持って、これを今後とも重視していただきたいということを強調しまして、ちょうど時間になりましたので、質問を終わりたいと思います。
  98. 村山達雄

  99. 庄司幸助

    庄司委員 総理にお伺いしたいわけですが、実はこの十五日にロッキード問題の中間報告がなされたわけです。ロッキード問題は、本来ロッキード特別委員会なり予算委員会審議されてきたものですから、私は、ここで余り立ち入っては論じたくないのですが、やはりこの決算審査に当たって欠かせない問題もありますから、その点でひとつ質問したいと思うのです。  最初、私はひとつ総理の姿勢の問題でお伺いしたいのですが、九月二十八日の衆議院本会議で、わが党の金子議員に対するあなたの答弁があったわけです。その際、金子議員は、三木総理ロッキード事件の本質と性格をどのように認識しているか。金子議員は、わが党の立場からこの性格というものを、金権政治である、それから戦犯政治の性格がある、それから最後に売国的な性格がある、こういう分析をしたわけですが、これに対して三木総理は、お忘れにならないだろうと思いますけれども、金子君の分析は、共産党の立場からなんだということで、あなたの分析はこう述べておられるわけです。ロッキード事件の起こった背景は二つある。一つは、目的のために手段を選ばずという道義心の低下だ。それから二番目は、金がかかり過ぎる政治の問題だ、こういうふうにあなたは御答弁になったのです。これはあなたの御認識が、ロッキード事件の性格というものは、こういう性格なんだという御認識だろうと思うのです。  それでお伺いしますが、政治に金がかかり過ぎる。そうすると、逮捕された田中は、この五億円を一体どういう政治に使ったのか。この分析が実はこの中間報告には全然ないのです。しかも、この中間報告を拝見いたしますと、「田中の収受したと認められる五億円の使途についても鋭意捜査したが、その個別的な使途を明らかにすることはできなかった。」と完了形で言い切っております。さらに別なページ、最後の方になりますと、全日空ルート並びに丸紅ルートについては「九月三〇日をもつておおむねその捜査処理を終了した。」これも「おおむね」という言葉はありますけれども、完了形で述べられております。この点で、田中の五億円の使途が、どういうふうに政治に使われたのか。金がかかり過ぎる政治だとあなたはおっしゃっておりますから、これが未解明のままでは、なぜ一国の総理ともあろう者が政治のため賄賂の金を必要としたのか、この原因となった政治構造、これを不問に付することになるのだと思うのです。  これは毎日新聞の十月十七日号の朝刊の「余録」欄に実はこの点も含めて「口事件の中間報告で、徹底追及派の三木首相もすっかり正体を現した。正義の味方のはずの月光仮面に、大きなキツネのしっぽがついていることを確認し、国民はあっけにとられている」、これは大分手厳しい批判です。あなたは批判は批判として、国民の批判の自由がある、こうおっしゃいますから、これも素直に受け取るべきだろうと思いますけれども、その問題はいいですから、何のため五億円の金を賄賂でもらって政治に使ったのか、どういう政治が行われていったのか、この解明がこれには全然ないのです。その点で、毎日新聞とはまた別な角度で私は非常に中間報告に不満なんです。国民も恐らく不満だろうと思います。この五億円の使途の問題は、後でも申し上げますが、ちょうど四十八年の決算ですから、国税の収納の問題ですから、決算審議にとって非常に重要なかかわり合いを持っているのです。その点で、何のために政治に五億円の賄賂を使って、どういう政治をやろうとしたのか。これをひとつ総理から御答弁願いたいと思うのです。この中間報告ではちっともわかりません。
  100. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、根本は政治家の道義の問題だと思います。国民の疑惑を受けるようなことのないように身を慎まなければならぬということは公人の倫理だ、だから金の受け入れに対しても、ただ政治に金がかかるから、どの金でも受け取っていいというものではないと私は思うのです。そこにやはり公人としての倫理というものが要るわけです。起訴された田中氏の五億円の金の使途については、捜査当局の報告にも、鋭意努力したけれども、それがどこへ使われたかということを追跡することはできなかったということを言っておるわけであります。この問題は、公判廷の立証過程においても論じられると思います。そういうので、捜査当局としても、この問題は鋭意解明しようと思ったに違いない。そして努力をしたけれども、なかなか解明はできなかったということを、ありのままに述べているのだと思います。もう少し説明があってもいいのかもしれませんが、これに対して私はこれをどう思うかということを、私自身がここで意見を申し述べるというわけにもなかなかいかぬです。捜査当局としては解明をしたかったのでしょうから、非常に努力をしたけれども、なかなか解明はできなかったという事実、これ以上できなかったわけですから、事実をそのまま述べたのが中間報告だと思います。これは今後ともいろいろ論議される問題点だと思います。  それからまた、丸紅あるいは全日空のは、「おおむね」というのは、児玉の線の相関関係というものは将来起こる場合も考えられますし、全部終わってしまったというわけにはいかぬから、「おおむね」と言ったものだと思います。
  101. 庄司幸助

    庄司委員 総理の御答弁では、こういうロッキード疑獄事件を起こすような政治の構造がわからないだろうと私は思うのです。五億円の賄賂をもらった、その賄賂で政治の買収を図ったとか、あるいはこういうふうに運輸官僚を手なずけたとか、あるいはこういうふうに航空族を手なずけていく金にしたんだとか、これが明確にならないと国民はちっともわからない。道義心の低下であるとか、金のかかり過ぎる政治であるとか、非常に抽象的なんです。これではロッキード解明にはならないと私は思うのです。  そこで私伺いますが、この中間報告の問題ですが、総理はこれでよろしいという了解を与えて法務省にこの中間報告書を出させたのですか、その点ひとつ……。
  102. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、この段階としては、法務省としても、いままでの捜査経過、また丸紅、ロッキードの金の流れ、性格として、法務省としてぎりぎりの報告だと考えました。法務省からこういう中間報告をしたいということに対して私が了承をいたしたわけでございます。
  103. 庄司幸助

    庄司委員 総理が了承された趣旨は、やはりこれでいいんだということになるわけですね。で、これは後でも触れますが、何か政府筋では、後から、近いうちにこれとは別個に政治報告を出されるというような報道も、きのう以来されているわけですが、これは後から聞きます。  実は、犯罪捜査の面から言っても、この五億円の使途がもし政治資金だとすれば、政治資金に使われたとするならば、これは外国からもらった金ですから、やはり政治資金規正法の二十二条違反の問題につながってきますね。それから、これを選挙に使ったとなれば、やはり外国の金で選挙をやった、こういった公選法違反あるいは政治資金規正法違反の問題にかかわってくるわけです。いま捜査当局は、いわゆる受託収賄罪という観点で田中を取り調べて立件したようでありますが、しかし国民から見ますと、公選法違反あるいは政治資金規正法違反の疑いもあるわけですね。この五億円の使途が解明されないと、この立件がやれなくなるわけです。  それからもう一つは、この四十八年度決算に当たって、この金を田中がもらったのは四十八年八月十日ごろから四十九年三月一日ごろまでにもらったと書いてありますから、まさに四十八年度に収納した金なんですね。そうすると、これは脱税の問題につながってくるわけです。使途が未解明のままですと、どうやって税金を取るんだ。田中から取るのか、あるいは田中から流れた先から取るのか、田中個人の問題で五億円の所得が捕捉できるのかどうかですね。それから脱税事犯としてやれるのかどうか。田中個人が着服したのか、あるいはほかへ流したのか、この点が確定しないと、これは税務当局も取りようがないんじゃないかと思うのです。田中からAとかBとかCに流れたとすれば、その人たちの所得になるわけですね。あるいは政治資金で流れたとすれば、その人たちの政治資金規正法違反の疑いも出てくるわけです。  その点で、まず最初に私は大蔵大臣並びに国税当局に伺っておきたいのですが、この田中の五億円について、税金の問題としてはどのような態度で臨まれるのかですね。この中間報告のままでは、どうやって税金を取るのか、だれから取るのか、この点が全然明確にならない。どうなさるのか、簡単にひとつお伺いしたいと思うのです。
  104. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答え申し上げます。  ロッキード事件に関しまして田中前総理が受け取りました、いわゆる現在起訴をされております賄賂に対する課税の問題でございますけれども、一般的に賄賂ということでございましても、それが経済的な利益を受けたということになりますれば、税法上の利得ということになろうかと思います。ただ、現在のところ金員の授受がどのような経緯で行われたか等の事実関係を十分確認することが必要でございますし、またその金員が税法上どのような種類の所得になるかという税法上の取り扱いの問題もございます。そういうふうな実態確認、それから税法上の取り扱い、こういうふうな問題を含めまして、総合的に現在検討しているところでございます。
  105. 庄司幸助

    庄司委員 総合的に検討しているとおっしゃっていますが、これは捜査当局の解明がないと――あなた方独自でおできになるのですか。その点、できるか、できないか。
  106. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 税務上の調査につきましては、いろいろな手段、方法をわれわれとしては常々講じているわけでございます。本件につきましては、確かに捜査当局の捜査がございまして、いろいろな取り調べが行われたということでございますが、常々検察当局と国税当局とは緊密な連絡もとっておりますし、今後もとってまいりたいというふうに考えているわけでございます。われわれといたしましても、税務上の調査方法というものを駆使いたしまして、両々相まちまして実態解明に努めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  107. 庄司幸助

    庄司委員 総理、これはよく聞いてもらいたいのです。実はこの問題で国民は非常に疑問を持っているんですね。毎年の会計検査院の報告書を見ますと、これは四十八年度検査結果報告ですが、これだって不当事項ですね。五百五十一人から租税徴収に当たって、調査が十分でなかったなどのため、徴収額が不足したものが五百二十二事項、八億四千八百万ほどある、これは毎年指摘されておるのです。不当事項です。こうやって不当事項と指摘されているものが、一人当たりに直しますと、平均で七十万から百六十万ぐらいの間なんです。ところが、こういった五億円などという巨額な金額については、不当事項に出されているのは一つもないのです。きわめて不公平だと国民は言っているわけです。  そういう中で、これは税務署長の名前は言いませんけれども、ある税務署長が、われわれが行ってみたら、麗々しく自分の部屋のソファーの後の方に苛斂誅求なんという書をかけているのです。苛政はトラよりも猛し、下民虐げやすく上天欺きがたし、こんなことまで麗々しく自分の部屋に張っておく税務署長もいるのですよ。これが、農民が会いたいと言っても、会わないと言って門前払いを食わしている。こうやって、この表現だと下民に対しては苛斂誅求を加えながら、こういった田中みたいな五億円については使途がさっぱりわからないなどと言って済ましている状況があるのです。  ここに、この間、法務大臣がわが党の松本善明議員に答えた答弁があるのです。大した答弁です。行きそうなところは全部調べた、入っていなかった、どこへ行ったろうと調べたが、ついにわからなかった、一生懸命やった、どうしてもわからない、あらゆる行きそうなところはすべて調べたが、どこかへ行っちゃったんですよ。最後にどこかへ行っちゃったと歌の文句みたいなことを法務大臣が平気な顔で言っているのです。これでは私は、国民の納税意欲がきわめて阻害される事例だろうと思うのです。だから、この田中の五億円の使途というものを徹底的に解明する、そして国民に発表する、この決意を持ってもらいたいと思うのです。総理、どうですか。もう一遍。するか、しないか。
  108. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私も、この五億円の使途というものは、これはこういうふうな使途に使われたということを明らかにする方がいいと思うのです。これは何も隠す必要はないのですよ。何も隠さなければならない必要はないので、それは解明されることが必要だ、五億円というまとまった金額ですしね。私は、捜査当局もそうだと思いますよ。  したがって、いずれいろいろ説明する場合があるでしょうが、あらゆる可能な捜査はやはりやったんだと思いますよ。しかし、この段階では、やはり追跡するに至らなかった、それが事実だとすれば、それを曲げて言うことは言えませんから、そう言ったんだと思いますが、捜査当局が田中氏にかげんをせんならぬ理由は何も持ってないわけですからね。私もそうですよ。そういうことで、まあしかし捜査当局も、何にも出ないといいますか、すべて何もかも全部それでわかるのだとも言い切れない点があって、それはやはり捜査当局も残念であろうし、私もやはりそうだ。これはやはり明らかになった方がいいと思いますが、いままでのところ、これは残念ながら明らかにされなかった。公判廷の立証の過程においても、この問題というものはやはり論じられるでしょうから、これは明らかにされれば明らかにするということは国民でも非常に関心があると思いますことは、庄司君と私は同じ意見です。  実際問題として、なかなかできなかったという、この中間報告をする……(庄司委員「できなかったことはいいから、これから解明するか」と呼ぶ)それは解明は、できるだけこういう問題は明らかにされるならば明らかにする方がいいですね。私は、そういうことに対して……(庄司委員「そういうことに対して努力するかどうかです」と呼ぶ)それは当然にいろいろと今後においても、一応の捜査はしたけれども、なかなか追跡できなかったということですから、今後もこれで全然無関心であるというわけではないわけですから、できるだけこれは真相が明らかになれば真相を明らかにするように努力するのは当然のことだと思う。
  109. 庄司幸助

    庄司委員 それじゃ、これはもう一遍努力するという意味ですね。答弁をお願いします。
  110. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 やはり捜査当局としても、これは明らかにしたいと思ったでしょうから、いままでできなかったという説明ももう少しよく私も聞かなければならぬですが、これは捜査当局自身が、いままでの捜査の経過から見て、もう一遍捜査してみるということで解明できるかどうかという問題もございましょうから、私は、これが明らかになる方が好ましい、今後とも努力をするようにということは捜査当局に申します。
  111. 庄司幸助

    庄司委員 好ましいと努力するでは、大分語感が違うのです、日本語の語感で。その点で、ひとつ、努力すると私は了解します。いいですか。  もう一つ、私は、この使途の解明をやらないと一ほかの問題もありますけれども、田中の五億円の使途の解明をやらないと、非常に心配な問題があるのです。一つは、田中の性格から見て心配な問題があるのです。きわめて恫喝的な言辞を弄する方ですね。あなたも経験がおありだろうと思うのですよ。わが党の松本善明議員も、まさに、田中の愛人の問題を四十七年の予算委員会で質問したら、すごいけんまくで、あなたの言ったことは覚えておく、こう言われたのを私は記憶しております。  結局これは五億円の使途は田中が知っているわけですから、一番知っているのは田中ですから、田中からこの金をもらった政治家は、今後田中の言いなりになるおそれが十分あるのです。そうすると、汚職が再生産される土壌が温存されるということになります。これが一つです。  それからもう一つは、田中の五億円を含めて、その他のロッキードから何らかのかっこうで金をもらった政治家が、名前が明らかにされないまま温存されると、外交交渉の問題で心配な問題が出てくるのです。アメリカは、御存じのとおり相当部分名前を知っておりますね。そうしたら、たまたまこういう金をもらった政府高官が、もらわないような顔をしてアメリカへ行って外交交渉をやる。領海二百海里、経済水域の二百海里の問題もありますよ。アメリカへ行ってCIAあたりから、あなたはもらったのじゃないか、何言っているのだ、あからさまには言わないにしても、そういった言辞を弄されたら、外交交渉は曲がってしまいますね。そういう点で私は、このロッキードの徹底解明を三木総理、もう一遍心を新たにしてやってもらいたい。  この中間報告は刑事捜査の過程をただつづったような感じですから、総選挙前に国民の審判を問うために、三木総理が決意を持って、これにかわるあなたの決意を込めた報告を、本国会を通じて国民に当然になさるべきだろうと私は思うのです。この御決意があるかどうか。それから、やるとすれば時期はいつごろなのか。  それからもう一つ最後に、三番目ですが、この中間報告には、実は小佐野賢治のオの字も出ていない。これはロッキード特別委員会で言われたわけです。ところが、検察庁の小佐野の取り調べがきのうから始まりました。そうすると、児玉、小佐野と刎頸の友である田中、この関係から見て、新たな容疑が出る可能性が十分生まれます。その場合、田中角榮の五億円の使途の解明も含めて再逮捕があり得るのかどうか、これは総理並びに司法当局にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  112. 吉田淳一

    ○吉田説明員 実務的な問題でございますので、私から御説明させていただきます。  最後の点でございますが、これから再逮捕があり得るのかどうかという問題については、今後のロッキード事件の捜査、すなわち児玉ルートの捜査が鋭意継続されておりますが、それに必要な関係人については、検察当局としては何人といえども捜査をするという方針で臨んでおるわけでございます。しかし、具体的な人につきまして再逮捕の可能性があるかどうかというようなことは、そういう仮定のことについては、お答えいたしかねるというのが私ども捜査当局の立場でございます。
  113. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 道義的あるいは政治的責任、そういうものに対して、何か名前をみな公表したらどうだ、これは行政府というものは法律上の責任というものを追及しておるわけです。行政府政治的、道義的責任というものを裁く立場ではないと私は思う。だからこの問題は、国会の議員の規律に関係する問題ですから、国会の場が道義的、政治的責任を追及する場だと思うのです。したがって、そういう場においていわゆる灰色高官というものの道義的、政治的責任を追及するということの責任があると考えるのです。それはいわゆる灰色高官というものだと思うのです。国会においてそういう範囲というものをお決めになって、必要な資料を出してほしいということならば、最善の御協力をしたいと言っておるわけで、全部不起訴の者ばかり、これは道義的、政治的責任ありということで政府が公表するということは、非常に乱用した場合将来大変なことです。それは国会国政調査権に基づいて調査を願いたいということでございます。  また、私はロッキード事件の捜査がすべて完了した後においては、ロッキード事件の真相あるいは性格を、やはり国民に報告することが必要だと考えておるわけですが、しかし児玉の線の解明というものが、いつ終わるかということはいま予測できませんから、これがいわゆる総選挙の前かどうかということについてはなかなか予測しがたいのですが、児玉ルートの解明が進んでいけば、それはまたやはり中間報告の場合もあり得ると思いますが、いまこれはお約束できるわけではない。(庄司委員「選挙前にどうですか」と呼ぶ)そのルートの解明が進んでいって新しい進展があれば、それはもう選挙前でもそういう場合は考えられると思いますけれども、いま一本の事件がどういうふうに進展するか予測できないから、お約束というわけにはいきませんが、そういう場合もあり得ると考えます。
  114. 庄司幸助

    庄司委員 終わります。
  115. 村山達雄

    村山委員長 この際、先刻の原委員質疑に対する農林大臣の答弁を求めることといたします。大石農林大臣
  116. 大石武一

    ○大石国務大臣 どうもさっきは失礼いたしました。  台風並びに冷害につきましては、皆様の御指導と御協力によりまして、ようやく一応の対策ができ上がりました。これを強力に実行してまいれば、必ず十分にお役に立つと考えまして、完全に実行できるように努力してまいる所存でございます。  それから等外米のお話でございますが、ことしは確かに等外米を含めた低品位米がたくさん出ると思います。このような米につきましては、食糧となるものは全部政府が買い入れます。それ以外の食糧にならないくずの米につきましては、農民に不利にならないように、政府が適当に指導して、責任を持ってこれを処理させたいと考えております。
  117. 村山達雄

  118. 坂井弘一

    坂井委員 去る十五日に、いわゆる中間報告がなされたわけでありますが、私は、この中間報告は真相解明のための中間報告でなければならぬと思う。同時に、これを解明への新しい一つのスタートにしていく、したがって事件そのものを二月四日の出発点に戻って、もう一度解明のためのプロセスというものを考え直し、組み立て直してみる必要があるのじゃないか。同時に、この中間報告にはいわゆる政治モラルというものがその中に貫かれていて、国民がこの報告を聞いた場合に、少なくとも現段階においても納得のでき得る内容を持たなければならぬ。  したがってそういう意味からいいますと、率直にいって、およそ中間報告の名に値しないしろものであった、私は実はそう言わざるを得ない。ところが政府は、いまや中間段階ではないか、したがってぎりぎりのところまでこの報告を行ったのである、こういう言い方があるようでありますが、そうであるならば、果たしてこの事件がやがて終着を見る、そのときには一体いかなる形で結末をつけ、国民に公表するかということを明確に押さえておきませんと、中間公表そのものの位置づけというものが、これまたあやふやになってくるということであろうと思いますので、以下具体的に総理にお尋ねをしていきたいと思います。明確にお答えをいただきたいと思います。  三木総理が全日空、丸紅、児玉の「三ルートの法律的解明がすべて終わった時点において、私は検察当局から事件の全容について報告を受け、それに基づいて、国会に対して政府の報告を行う所存であります。」これは、あなたの所信表明です。非常に気になりましたことは、法律的解明が終わった時点、法律的解明が終わった時点とは一体いかなる状態を指して総理はそうおっしゃったのかということについて、ここで明らかにしておいていただきたいと思います。
  119. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それは、捜査が完了して起訴する者は起訴し、起訴しない者は起訴しないということが明白になった時点ということでございます。
  120. 坂井弘一

    坂井委員 そうしますと、少なくとも児玉ルートの解明が終わって起訴、不起訴がすべて決定した段階ということであって、いわゆる裁判に入ってというようなことは想定しておりませんね。  そういたしますと、いまも総理がお答えになっておりましたが、一体捜査の終結はいつごろになるかという問題なんですがね。あなたは捜査当局に対して、大体いつごろになるかということについてお聞きになりましたか。
  121. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは非常に重大な関心を持つ問題ですから、このロッキード問題が児玉の線も含めて一体いつごろ終了するかということは、私も重大な関心を持っている。しかし捜査当局は、児玉の線というのは坂井君御承知のように、本人がかなりな重い病気の状態という障害があって、なかなかこちらの立てたような予定どおりには捜査は進まないわけですから、したがって、いまの段階でいつということを私に報告する段階には至っていないのだということです。私は重大な関心を持っておるのですけれども、それを大体いつごろまでに終了いたしますという報告はまだ受けてはいないわけでございます。
  122. 坂井弘一

    坂井委員 総選挙の日程がもう目の前なんですね。ですから、そこに一つのポイントをまず置いて、総理から、大変困難ではあろうけれども、捜査当局はそれまでにひとつ解明を鋭意行うように努力してもらいたいという要請を入れるおつもりはございませんか。
  123. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 やはりこういう問題については、総選挙前に解明をできて国民にもいろいろ判断の材料を与えることが一番好ましいことは申すまでもないわけです。しかし、総選挙というものは一応日程が決まっているわけなんですが、こちらの方の捜査の方は日程が決められたというわけでもないわけですから、総選挙の前までにこの捜査が終了いたしますという見通しは、捜査当局もいま私にそういう報告はしていないし、私もこれをここで申し上げることはできないわけです。しかし、好ましいのは、坂井君の言われることが一番好ましいと考えます。
  124. 坂井弘一

    坂井委員 私がなぜそういうことを申し上げるかといいますと、何もこれはことさらに、いま初めて言うわけではありませんし、実は総理御自身も五党首会談あるいは議長裁定等においても、やはり迅速かつ徹底的にと、早いに越したことはないわけですね。しかし捜査は、この児玉ルートがはなはだ山が高いし険しくて難航しておる、そういうことはよくわかるわけです。わかるのですけれども、なおかついまの国民のいらいらの気持ち等からしまして、あるいはまた総選挙において今度の事件の一つの総決算として、国民はその判断材料を提供する意味からしても、これは急がなければならぬ。したがって、総理がその責任ある立場から、捜査に対してそういう督励なり激励なり要請を入れるということは当然のことではなかろうかと私は思いましたので、あなたに対してお聞きしたわけです。  その場合、先ほども児玉ルートの進行状況いかんによって第二次の中間報告がその時点でできるかどうか、これは必ずしも明確な答弁がなかったようでありますけれども、やはりやった方がいいのじゃないですか。もし捜査終結が総選挙までにできないとすれば、少なくとも第二次の中間報告というものは総理みずからの手において、口において、あなたの政治責任、あなたみずからの政治生命を賭するという当初からの出発の決意に変わりなしとするならば、これはおっしゃった方がよろしいと私は思いますが、どうでしょうか。
  125. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは児玉の線の進捗状態によりますね。やはり相当な進捗状態を示すときにはそういう場合もあり得ると思いますけれども、まだ児玉の線の捜査というものは必ずしも予定がつけにくい点がありますから、いま坂井君にお約束はできませんけれども、児玉の線の捜査が非常に進捗してくれば、そういうことはあり得ると考えます。
  126. 坂井弘一

    坂井委員 では再びもとに戻りますが、捜査が終結した段階において総理は、捜査当局から事件の全容について報告を受け、それに基づいて国民に公表する、こうおっしゃっているわけですが、一体いかなる方法で、そしていかなる内容の報告をされるおつもりなんですか。
  127. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、この捜査が全部終了して、いよいよロッキード問題にピリオドが打たれるという場合には、ロッキード事件というものがどういうものであったかという性格、真相というものは、やはり国民に報告することが必要だと考えておりますが、しかし、いまここで内容はどういう内容ということは、まだ捜査の全容というものがわかっておりませんから申し上げられませんが、ロッキード事件というものは、こういう事件であったということを国民にわかりやすく理解してもらう必要がある。  そこで、氏名の公表問題でございますが、起訴した者はそれで明らかになるわけですが、起訴しない者の道義的責任あるいは政治的責任のある範囲というものを、これは政治的責任がある、道義的責任があると行政府自身が、いろいろとそれに対して仕分けをするということは、乱用されるとこれは大変なことになる。やはりそういう道義的、政治的責任というものは、政府が裁く立場ではないわけですから、国会国政調査権によって、いわゆる灰色高官というものは、国会はこういう範囲の者を言うのだ、これに対して必要な資料を出してもらいたいという御要請があれば、これは資料を出しましょうと言っておるわけです。  やはり公表問題は、あくまで国会の判断あるいは責任においてやってもらいたい。政府自身が道義的責任、政治的責任というものに対して、こういうものがあるという判断をしてそれを公にすることは、私は政府としてやはりすべきではないし、できることでもないと考えておるわけでございます。
  128. 坂井弘一

    坂井委員 総理、あなたはそういうお考えに変わってきたのだろう、変わってきたとしか言いようがありませんね、最初の出発点から見れば。そういうことをおっしゃいますと、大変な後退だ、こう言わざるを得なくなるわけなんです。  つまり、私がいま聞いたのは、最終段階においてどうするのかということなんです。そうしますと、あなたはさきの予算委員会におきましても、私の責任と判断において、こうもおっしゃっておる。したがって私は、少なくともその時点においては、つまり、最終段階においては総理みずからの口で灰色高官の名前は公表する、そこまでの御決意はあるのだろう、したがって、いま中間段階だから、まだそこまでは――実のところ、児玉ルートの解明もできていない、丸紅、全日空もおおよその解明はできたと言いながらも、これは相関関係を持つものであるから、ことごとくいま名前を明らかにするということは、今後の捜査への支障あるいは裁判への影響等々の配慮もある、あるいは人権問題も一方にある、したがって、中間段階だからこの程度で御勘弁を、しかし、最終段階においてはことごとく明らかにしますという認識があって言われておるのかな、こう思った。ところが、いま聞いてみると、そうではない。そういうことになりますと、あなたは大変きれいごとをおっしゃいましたけれども国民の方から見たら、だまされたということになる、率直な言い方をしますと。  では聞きますが、それならば最終段階でもやはりその氏名については、あなたがおっしゃるように、国会が定義づけをする、基準を決めるということが前提で、その上で秘密会ならば出しましょうということですか。一言で結構です。
  129. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 その資料の提供は、秘密会でお願いをしたいというのが私の態度でございます。
  130. 坂井弘一

    坂井委員 それならばお伺いしなければなりません。今度の中間報告につきまして、総理はいわゆる灰色高官の名前の報告を受けられましたか。お聞きになりましたか。
  131. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 灰色というのは、政府自身が灰色というものを決める立場にはないわけですから、灰色という一つの仕分けによって私が報告を受けたわけではないわけです。
  132. 坂井弘一

    坂井委員 それならば聞き直しましょう。取り調べを受けました国会議員十七名の名前をお聞きになりましたか。
  133. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 一々詳しくは説明を受けておりませんが、捜査の過程は、こういう過程であったという大体の報告は受けております。
  134. 坂井弘一

    坂井委員 私が聞いておる問いに対しまして率直にお答えいただきたい。名前をお聞きになったのでしょうか、ならないのでしょうか。
  135. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 名前と申しますか、いままで捜査した過程においていろいろと問題になった人の名前は報告を受けております。
  136. 坂井弘一

    坂井委員 大変言いづらいような感じで言われましたが、つまりお聞きになったのでしょう。そうでなければ、また意味をなさないですね。今度の場合は、総理みずからが中間報告の必要ありという判断に立たれて、稻葉法務大臣をして検察から報告を求めさせた。今度初めてですよ。従来は一切聞かなかったのです。しかし、あなたが、この段階に至っては中間報告をしなければならぬ、まずこういう認識に立たれた、これは結構です。したがって、その段階において、いわゆる検察庁法十四条本文の指揮が働いておる。これは先日稻葉法務大臣あるいは安原刑事局長の答弁の中で確認したことでありますけれども、したがって、報告を求めたならば、先般中間報告をせられておりましたその数字の名前、これは当然聞かれておるはずですね。  そうなりますと総理、刑訴法の立法の趣旨を踏まえて、議長裁定です。これは言うまでもなく、ただし書きの適用を含むということは五党首の間において合意されておる。その立場において、その時点においては、あなたは自民党総裁としての責任を負うわけですね。同時に内閣の統括責任者としての総理立場もある。そういたしますと、いわゆる灰色高官の名前を公表するかしないかというこの公益の判断、その公益の判断を求める政治的、道義的責任の究明という立場から言いますと、この公益の判断は、あくまでも第一次的には書類の保管者である検察当局にあるわけです。主体的に判断する。しかし、捜査当局から報告を求めて、三木総理がその名前をいまや知ったわけです。そういう立場にいま総理はある。ということになりますと、総理みずからが四十七条の全文、つまり、ただし書きを含めてその公益の判断をし得る立場にあるわけです。あなたが決断すれば、いつでもその名前は公表できるのです。にもかかわらずなぜ公表しようとしないのでしょうか。
  137. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 公表というのは、いわゆる起訴されたような事実に対しては公表当然ですが、起訴されない、いろいろな取り調べを受けた人の名前を全部私が公表するということは、刑事訴訟法の立法の精神を踏まえて考えてみましても、それは行き過ぎである。
  138. 坂井弘一

    坂井委員 その辺は、総理、慎重であっていいですよ。あっていいですけれども、あなたのお立場というものを、もう一度よく踏まえてお考え直しになった方がいいと思いますよ。つまり、いま私が申し上げておるのは、公益の判断をするのは一次的には検察だ。しかし、いまの段階では、総理はもはや検察から報告を受けて知り得た立場なんです。総理は刑訴法の四十七条の立法の趣旨、精神を踏まえて、この公益の判断をし得る立場にある。灰色高官の定義については、政治的、道義的責任究明の立場から国会がやるのだという国会の主体性は当然ですよ。当然だけれども、いま直ちに国会が四十七条ただし書きを適用するなんというような権限は法律的には持たないですよ。  したがって、私がいま言っておるのは、法律的な問題、それから実際的な効果の問題、あるいは政治論からしましても、総理御自身が、いまやこの公表に対して決定的な、どうするかについての決断ができ得る、またしなければならぬお立場にあるということをしっかり銘記していただきたいと思うのです。  そこで、お答えがありませんようですから、それなら聞きますけれども、じゃたとえば国会で、秘密会で結構ですから十七名の名前をこちらに下さい、こう言ったらお出しになりますか。
  139. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 灰色高官と国会が言っておる、その範囲はこれだけの範囲を言うのだということで国会として基準をお決めになって、そして国会の意思として要求をされるということならば、最善の協力をしたいと考えておるわけです。
  140. 坂井弘一

    坂井委員 そうなりますと総理、逃げになるのですよ。きょうは稻葉さんお見えにならないので私は非常に残念なんだけれども、われわれは報告を受けまして、そして実は最初足し算、引き算をやってみた。そうしたら灰色は十四名だ。ところが、稻葉法務大臣がその後そうじゃないのだ、十三名なんだ、その中の一人は金品の授受がなかった、したがって十四名と言われておるのは間違いだ、こう言っておる。つまり、十三名は灰色であるということをみずから国会の外で証明された。でありますと、なおさらのことですけれども、少なくとも十三名は十三名なりの定義を持っておりますよ。  いま国民があの中間報告を聞いて、十七名、それが三名引いて十四名が灰色だ、そうしたら明くる日に稻葉さんが、いや違うのだ、十三名だ、それはだれだろうか、いろいろな形でうわさをしておる、あるいは非常に関心を持っておる、そういう中でいま申しましたように、十三名は十三名なりの一つの定義を備えておる。それを一つの定義とみなすならば、まさに与野党国会においてこの名前の公表をすべきだという意思が一致した。田中伊三次委員長は公表すべきだというお立場に立っておるわけでありますね、自民党の委員長でありますが……。与野党がそれで合意した。言うならば、それはそれなりの定義を備えておるのだとみなして、総理は、じゃ十三名の名前を、それも秘密会で、秘密会ならば持っていっていいでしょうということは、どうして言えないのでしょうか。
  141. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 稻葉君がどういう発言をしたか知りませんけれども、いわゆる灰色高官というものを、政府自身がその範囲を決める立場にはないと私は思いますね、政府が。だから金の流れというものを追及してくれば、こういう人の名前が出てきたということは、それは政治的、道義的責任というものと必ずしも全部一致するかどうか疑問ですよ。  そういうことですから、国会がいわゆる灰色高官というものについての、国会はどういう基準で、どういう範囲で考えておるのかということに基づいて、そして資料の提供を要求されるならば、これは最善の協力をいたしましょうと言っているのですから、政府自身が灰色というものを決める立場にはない。政府自身は政治的、道義的責任を裁く立場にはない。もしそういうことを裁く立場政府があるとして、みんな公表されるということならば、これを悪用した場合については非常な弊害が起こってくる。したがって、政府は起訴するに足るだけの犯罪容疑があるかどうかということが基準になっても、道義的、政治的責任の有無ということについて政府が裁く立場にはない。国会の方でその範囲というもの、基準というものをお決めになれば、これは政府は最善の協力をいたしましょう、こう言っておるわけであります。
  142. 坂井弘一

    坂井委員 総理、そういうふうにあなたが前々から言われる原則論か何か知りませんけれども、それを私聞いているのと違うのですよ。いま具体的にぼくは申し上げているのです。つまり国会がこの十三名について、これなりの定義を備えております、したがって、この十三名の名前をお出しくださいと言ったときには応ずるのですか応じないのですか、こう聞いているのですよ。それでもだめだとおっしゃるのか、あるいは秘密会ならば応じますというのか、そこのところを聞いているわけです。
  143. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 やはりその場合にどういう基準、範囲ということで、そしてこういうことで資料を出してもらいたいということが本当だと私は思いますね。国会の言う灰色高官というのは、こういう基準でこういう範囲を言うのだと、国会はこういうふうに国会の意思としてお決めになって、この資料を出してくれというような形で資料の請求のあることが、われわれとしてもやはり一番協力しやすい形である、こう考えております。
  144. 坂井弘一

    坂井委員 総理、あなたは実態をよく御存じのはずなんですよ。結論から申しますと、大変残念ながら、あなたがそういうようなお考え方でありますと、灰色高官の名前は出ませんよ。出るはずがない。それは出ないです。であれば、総理御自身が、今度は何らかの形でこれを国民の目の前に明らかにするというようなことをお考えですか、別の形を。
  145. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、国会の秘密会で出ないとは思いませんね。これは与野党が――それは自分一党だけの主張を通そうということなら、なかなかまとまらぬかもしれませんが、しかし、委員長もまとめたいという意向ですし、これを一本化することは不可能だとは思いませんね。そうなれば国政調査権というものは、いつも動かないということになってしまうわけですから、坂井君のように、そういうことが不可能だと私は考えていないんですよ。これは一日も早く真相を解明したいということは、各党の共通した願望ですからね。だから、そこで委員長もそういう立場に立って、あっせんをするでしょうから、私は一本化というものが絶対に不可能だというふうには考えないのです。そうすれば問題の政治的、道義的責任を追及する場合の一つの参考になることは明らかでございますからね。
  146. 坂井弘一

    坂井委員 私は常識的に物を申し上げておるつもりなんですよ。少なくとも稻葉さんだって、十四じゃない、十三名が灰色だ、すでにその員数を発表されているんですよ。そういう段階で、われわれはそこまで、中間段階だから、まずやむを得ないでしょう、じゃあその限りで公表しましょうと野党は言っているんですよ、四党。これほど物わかりのいいあれはないと思いますよ。  本来から言うならば、この段階においてだって真相解明のために何もかもみんな持ってきなさい、こう言いたいわけですよ。しかし事情やむを得ないだろう、最終段階においてはという一つの判断がある。だからそこまで言っているにもかかわらず、総理がそういうような姿勢だったならば、これはまさに国会に名をかりた灰色隠しですよ。真相究明に後ろ向きだ、そういう批判をあなた、もろに受けますよ。私はそう思いますよ。ですから、あしたロッキード委員会がありますから、いまの問題につきまして一遍よく長官とも御検討くださいよ。そうでないと、あしたはとても始まった話じゃないと思いますね。  一つ聞いておきますが、再発防止策、具体的に総理の胸の中には、どういうものが柱ですか。再発防止策はお考えになっていますか。
  147. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは一方においてロッキード事件を究明するとともに、一方においては再発を防止する対策というものが当然に考えられなければならぬわけです。きょうはロッキード問題の閣僚協議会で、第一回の会合ですから、各閣僚がそれぞれ意見を言ったわけでございます。こういう会を何回か重ね、民間の学識経験者の意見も徴したいと思っておりますが、そういうことで実現可能な立法、行政的な措置も考えたいと思いますが、いろんな考え方はございますけれども、まだまとまった、政府の考え方として大体こういう線だというところまでの結論には達していないわけでございます。
  148. 坂井弘一

    坂井委員 少なくとも総選挙までには再発防止策の大綱は示したいという御意向ですか。
  149. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 何らかの線は打ち出したいという考えです。
  150. 坂井弘一

    坂井委員 時間がございませんので、具体的にはきょう申しません。実は各党におきましても、それぞれ再発防止の具体策につきまして、法律の改正あるいは新規立法等も含めて検討しているようでありますが、それはまた後日に譲りたいと思います。  実は新しい問題提起をしておきたいと思います。運輸省、お聞きください。全日空がトライスターに決定したのは四十七年十月三十日です。同日、日本航空におきましてもボーイング747SR四機、これを決定した。そしてその年の十二月二十三日にボーイング町SR四機の発注をした。ところがその後、日本航空ではわずか一年後にダグラスDC10六機の発注をした。これが現在すでに四機就航しております。そこで、わずか一年というこの短期間にボーイング747SRからDC10に、全く別の機種に変わった、そういう客観的な情勢の変化があったかと言いますと、必ずしもそうではない。  では一体、なぜそのようなことが行われたのかということになりますと、実は日航の松尾前社長がすでに四十三年当時からダグラスのDC10、この導入を決めておった。ところが、外部からの圧力、つまり児玉それから政界筋にやられた、つまり断念せざるを得なくなった、こういう大庭社長の証言があったことは御承知のとおりであります。一体なぜこのようなことが行われたのかということについて、運輸省はこういう事情、その辺の背景等について調査をされたかどうかということでございますが、これは後ほど私が次に申し上げる質問に関連してお答えいただくといたしまして、少なくともいま申しますように、日航ではDC10を四十七年前半から導入する計画を持っていたことを運輸省は御存じですか。
  151. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答えいたします。  日本航空が大型機を導入するための検討をしておりましたのは四十四、五年からでございます。その時点においては、B747SR、いま先生おっしゃいましたように、それを四十七年の十月に採用を決定いたしました。したがいまして、その時点でDC10というものは、もちろん議論の中にあったであろうことは想像にかたくございません。しかし、その結論として、747SRというものを日航は選んだわけでございます。私どもといたしましては、その時点で日航がすでにDC10を云々しておった、そういう事実については日航から何らの報告を得ていないわけでございます。
  152. 坂井弘一

    坂井委員 日本航空のマル秘資料、もしあれでしたら後で差し上げます。捜査の方も、役に立つならば差し上げます。もしあれば結構です。なければ差し上げたいと思います。ちゃんと書いてある。これは日本航空の施設調達部の部外秘資料であります。これを見ますと、DC10の引き渡し可能機材といたしまして、まず第一番目、四十六年中の引き渡し可能機はない。二つ目、四十七年前半の引き渡し可能機は当面次のとおり。四十七年一月に一機、二月に一機、三月二機、五月一機、七月二機、八月二機。ダグラス社は上記ポジションを本年十二月まで確保すると約束している。三番、四十七年九月以降の機材は目下のところ余裕がある。こういう内容であります。  つまり、日本航空が四十七年からDC10導入を計画していたことが、この資料によって明白であります。はっきりしておる。そういたしますと、松尾日航前社長が四十四年の七月に、DC10導入を白紙にした理由というのは、先ほど申しましたように、大庭氏の証言によるならば、児玉、政府筋にやられた。このことによって全日空へのトライスター導入をしやすい状況をつくり上げた。そして一方、日本航空に対しては、DC10の肩がわりとしてボーイング初SR、これを納入さした。こういう経緯がきわめて明らかに実は浮き彫りになるわけであります。  一点聞きますが、さきに日航の朝田社長が、六月九日の証言でありますが、製造番号は必ずしも機体の発注順につけるものではなく、むしろ機体番号の方が発注順、組み立て順、引き渡し順である、DC10六機の製造番号から見る四十三年当時のDC10のオプションはなかった、こういうふうに証言したわけでありますが、この証言は正しいですか。
  153. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  現在、私朝田社長の証言そのものを明確に承知しておりませんが、私が承知しております限りにおきましては、いま先生おっしゃいましたように、航空機のいわゆるシリアルナンバーと申しますものと、それから胴体ナンバー、フューズラージナンバーと申すものと、二種類あるのは事実でございます。  シリアルナンバーというものは、航空機メーカーが航空機の製造に当たりまして、ある一定の当該会社の方針に基づいて適宜つけてまいります。例示的に申し上げますならば、たとえば百番台はユナイテッド、二百番はアメリカンとか、あるいは三百番はJALとか、こういうふうに適当につけます。そこで、最初明確な契約でなくて、大体このくらいは売れそうだ、こういうふうなことがわかりましたときに、適宜そういう適当なナンバーをつけてしまいます。つけてしまいますが、必ずしも確定契約に至らなかったような場合には、初め相当大まかにあけておきました番号があいてしまう、こういうことがございます。そういう場合に、後から契約がかなりはっきりしてきたものを、そのシリアルナンバーの中に余った部分を利用してはめ込む、こういうふうなことがしばしば行われておる、こういうふうに私ども聞いておりますので、胴体番号に関します限りは、先生おっしゃったような矛盾は出ていないのではないか、こういうふうに私は考えています。
  154. 坂井弘一

    坂井委員 運輸省は、五十年の十月九日の日本航空の社外秘資料をお持ちですか。
  155. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ちょっといま、私、急におっしゃられても、はっきり記憶がございません。
  156. 坂井弘一

    坂井委員 私、内容を読みます。これは、朝田社長が言った機体番号で押さえたのと違うのです。そうではなくて、あくまでも製造番号だということを明確に書いてある。つまり、マル秘資料の中に、機体番号は製造進行に伴いしばしば変更されます。関係各部署では、動きのある機体番号よりも動きのない製造番号を使用して作業を進めてください。これは注意書きです。そこで、シリアルナンバーが全部入っております。一号機から六号機まで。これを見ますと、四十三年当時に四六六六〇、四六六六一、四六六六二、これが最初に発注されたということが明白であります。  なぜああいう証言をしなければならなかったのか。さっき申しましたように、あくまでも日本航空は松尾社長時代にはDC10、これに決めておった。それを児玉及び政府筋にやられた。そして一方、全日空に対してはトライスターを売りつけた。DC10をやられた日航は、つなぎとして747SRを買わざるを得なかった。また、これを買わせるための工作も行われた。これが事件のあらましであります。  そこで、これらを立証するために、すでに御承知と思いますが、ボーイング社が米上院多国籍企業小委員会に対しまして、昭和四十五年以降、海外の代理業者や政府高官に約二百十億円の手数料を支払ったことをすでに認めた。そこで、その資料を米連邦証券取引委員会に提出しておるわけでありますけれども総理に伺いますが、今度の事件、確かにロッキード疑獄、この真相全貌解明、そのためにいまいろいろな角度から進めているわけでありますけれども、少なくともいま申しましたようなボーイングの問題も絡んでおる、これは事実であります。アメリカ上院多国籍企業小委員会においてもそうでありますし、証券取引委員会においても資料の提出をさした、こういう経緯がありますので、アメリカに交渉して、この資料を日本側に提供を要請したらどうでしょうか。そうするならば、児玉ルートの解明には少なからず役立つと思います。いかがですか。
  157. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 アメリカの資料については、証券取引委員会もやはり捜査を皆完了した後には公表するというような報道もございますし、また最近のアメリカの捜査当局も、捜査が終了すれば、アメリカの資料というものは必ずしも外に出さないわけでもないというような報道もございますので、アメリカ政府に対して、その真意を問い合わせておる次第でございます。
  158. 坂井弘一

    坂井委員 時間が参ったようですから、一問だけ最後に聞いておきますが、捜査終結段階で米側提供の資料、それの公表のための対米再交渉、このことについて、実はきのう五党国対委員長会談の席上、井出官房長官が、まだ捜査継続中だから、それはいまはできない、いまはできないが、捜査終結時点においては十分考慮する必要がある、こういう微妙な発言をしているわけですね。総理の真意はどうですか。
  159. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 新聞アメリカの司法当局の言としていろいろなことが報道されますから、真意に対してアメリカ政府に問い合わせて、それはこういうものが公表されるということは、捜査が全部終われば、これは非常に私自身としても公表されるならば、その資料はもらいたいという考えでございます。
  160. 坂井弘一

    坂井委員 終結時点に再交渉される意思はお持ちですか。
  161. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 再交渉と、いまからそういうことに対して、いますでに司法当局の意向をただしておるわけですから……。
  162. 坂井弘一

    坂井委員 それは総理、こういうことでしょうか。そうしますと、米側提供資料がいままでの司法取り決めによる拘束を解除されるといたしますと、米側の生資料は、これまた国民にすべからく全部知らせるのだという総理の最初の認識がありますね。決意がありますね。そのためにも国会には提出する、こういう腹づもりですか。
  163. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これはアメリカとしてそういう意向が新聞にときどき出ますから、アメリカの真意は何だ、そういう公表するという場合には、どういう形で公表するかということを、今後、向こうが捜査が終了した後には公表する意思があるということならば、その問題でも話し合わなければならぬと思います。
  164. 坂井弘一

    坂井委員 終わります。
  165. 村山達雄

    村山委員長 これにて昭和四十八年度決算外二件についての質疑は終了いたしました。  お約束でございますから、内閣総理大臣には退席を願うことといたします。      ――――◇―――――
  166. 村山達雄

    村山委員長 次に、第七十七回国会、内閣提出、参議院送付昭和四十八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和四十八年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和四十八年度特別会計予算総則第九条に基づく経費増額調書及び経費増額調書昭和四十八年度特別会計予算総則第十条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、昭和四十九年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書昭和四十九年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書昭和四十九年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書、以上七件の承諾を求めるの件、及び昭和五十年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)、昭和五十年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)、昭和五十年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その一)、以上三件の承諾を求めるの件を一括して議題といたします。  各件につきましては、さきの第七十七回国会におきまして、当委員会審議の後、本院において議決し、参議院に送付いたしましたものを参議院で継続審査に付し、去る九月二十九日参議院において議決し、同日本院に送付してきたものであります。  したがいまして、その趣旨はすでに十分御承知のことと存じますので、この際、各件に対する趣旨説明の聴取は省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 村山達雄

    村山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  各件に対し、別に質疑、討論の申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。  まず、内閣提出、参議院送付昭和四十八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和四十八年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和四十八年度特別会計予算総則第十条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、昭和四十九年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書昭和四十九年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書、以上五件について採決いたします。  五件は、それぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 村山達雄

    村山委員長 起立多数。よって、五件は承諾を与えるべきものと決しました。  次に、内閣提出、参議院送付昭和四十八年度特別会計予算総則第九条に基づく経費増額調書及び経費増額調書昭和四十九年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書、以上両件について採決いたします。  両件をそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  169. 村山達雄

    村山委員長 起立多数。よって、両件は承諾を与えるべきものと決しました。  次に、内閣提出、参議院送付昭和五十年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)、昭和五十年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その一)、以上両件について採決いたします。  両件をそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  170. 村山達雄

    村山委員長 起立多数。よって、両件は承諾を与えるべきものと決しました。  次に、内閣提出、参議院送付昭和五十年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)について採決いたします。  本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  171. 村山達雄

    村山委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました各件についての委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 村山達雄

    村山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  173. 村山達雄

    村山委員長 次に、昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  昭和四十八年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、各位のお手元に配付をいたしております。  これより議決案を朗読いたします。    議決案   昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算、同年度特別会計歳入歳出決算、同年度国税収納金整理資金受払計算書及び同年度政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、毎年度決算審議に際し、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実があがっていない点があるのはまことに遺憾である。   昭和四十八年度決算審査の結果、予算の効率的使用等、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。    左の事項は、そのおもな事例であるが、政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会のはじめに、本院にその結果を報告すべきである。   (1) 補助金等の整理合理化については、かねてから政府でも努力してきたところであるが、最近の厳しい財政事情のもとでこれがいっそう緊要な課題となっている。     政府は、零細補助金の整理や類似目的の補助金の統合等を強力に推進するとともに補助金の仕組みなどについても検討を加え、国・地方を通じて財政資金が有効適切に使用されるようつとむべきである。   (2) 一商社が外国航空機メーカーとの間で結んでいた代理店契約の内容が明らかになつたことから、防衛庁が購入した航空機補用部品の価格のなかに同庁の了知しない商社の取扱い報酬が含まれていた疑いが出ている。     政府は、商社の代理店契約の内容の把握につとめ、購入品の予定価格の算定が適正に行われるようにすべきである。   ③科学技術庁の研究委託事業で、事業終了後国の所有となった機械器具類を引続き受託者の保管にまかせ、国としての利活用が十分に行われていない事例がある。また、新技術開発事業団の委託開発事業でも、事業不成功によって事業団の所有となった資産を規定不備のまま無償で民間に貸付けているものがある。    政府は、この種資産の管理を適正にし、その有効な活用をはかるべきである。  (2) 救急、休日夜間医療の整備については、救命救急センター設置などの改善策が講ぜられているが、救急部門の不採算性などからくる医療応需体制の不備等によって、患者のたらい廻しが依然として跡を絶たない状況である。    政府は、救急部門に対する助成を強化して初期救急医療施設の充実をはかるとともに、後方病院等の整備を促進し、医療不安の解消を期すべきである。  (5) 失業保険金や就職支度金の不適正支給が毎年相当多数にのぼっている。    政府は、受給資格者等に対し制度の周知徹底をはかるとともに、公共職業安定所等の調査機能を強化し、支給の適正確保につとむべきである。  (6) 国が直轄施行している多目的ダム建設事業の費用負担の配分において、電源開発分の負担金の算定が適切でなかったため、国が過大な事業費を負担する結果となっていると認められるものがある。    政府は、事業費負担の算定につき、今後いっそう厳正を期する必要がある。  (7) 日本道路公団の高速自動車国道の建設工事で、工事着手後の設計変更等によって、工事費の最終精算額が当初契約額の二倍前後になるというケースが数件発生しているが、かかる大幅な契約額の変更は、工事契約のあり方として問題であると思われる。    政府は、事前測量や当初設計を綿密に行わせるなどして、できるだけ契約額の変更が生じないよう適切な指導を行うべきである。   (8)地方公共団体の経営する水道事業は、水源の遠隔化や建設コストの上昇に伴う資本費の増こう等によって年々経営が悪化してきており、今後の水需要の増大に対応していくためには国の援助を拡充する必要があると思われる。    政府は、水源開発等に対する補助を強化するとともに、企業債についても融資条件の緩和等を考慮すべきである。  (二)昭和四十八年度決算検査報告において、会計検査院が指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。   政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、行政管理庁の勧告等を尊重して制度、機構の改正整備をはかり、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。(三)決算のうち、前記以外の事項については異議がない。   政府は、今後予算の作成並びに執行に当っては、本院の決算審議経過と結果を十分に考慮して、財政運営の健全化をはかり、もって国民の信託にこたえるべきである。     ―――――――――――――
  174. 村山達雄

    村山委員長 これより昭和四十八年度決算について討論に入ります。  討論の申し出がございますので、順次これを許します。萩原幸雄君。
  175. 萩原幸雄

    萩原委員 私は、自由民主党を代表して、昭和四十八年度決算につき、ただいま委員長より御提案の議決案のとおり議決するに賛成の意を表するものであります。  昭和四十八年度決算は、昨年六月当委員会に付託され、同年七月以来、各省庁及び政府関係機関等につき、当年度の予算がいかに執行されたかを中心として順次審査を続け、その間、是正改善を要すると思われるような事項については、その都度、関係当局に注意を喚起してまいりましたが、ただいまの委員長御提案に示されましたとおり、予算が効率的に使用されず、所期の効果が十分に達成されていないと認められる事項が改めて指摘されたのは、まことに遺憾であります。これらの指摘事項については、政府は誠意をもって改善に努力されたいのであります。  わが党は、その改善を期待しつつ本議決案に賛成いたすものでありますが、ただ、この際、予算の執行に関して政府に一言希望を申し上げておきたいと存じます。  御承知のとおり、現下の国の財政事情はまことに厳しく、本年度の場合も、当初予算から三兆七千五百億円の赤字国債の計上を余儀なくされるという状態であります。  国民の福祉政策に対する要望を初めとして、財政需要はますます旺盛になっていく反面、財政の悪化は一層深刻化していく傾向があり、しかも、減速経済のもとで、財源難解消のめどは容易に立ちがたいという実情であります。  かように、わが国の財政は、いまや苦難の時期に際会しているわけでありますが、かかる時期に臨んで最も必要とされるのは財政運営の引き締めでありまして、予算執行の上にも当然厳しさが求められることになります。政府は、財政の現状を踏まえて、冗費排除、経費節減の方針を堅持し、その方針が行政の末端まで徹底するよう、格段の配慮をされたいのであります。  以上、強く希望を申し添えて、私の賛成討論を終わります。
  176. 村山達雄

    村山委員長 原茂君。
  177. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま委員長から提案された議決案に対し、反対の意を表するものであります。  議決案は、大要次の三項目からなっておりますが、  その第一は、委員会における決算審査の結果に基づき、政府に対し、特に留意して適切な措置をとるべきことを求めた指摘事項が挙げてあり、この各項については、わが党も賛成であります。  第二は、会計検査院が指摘した不当については、当委員会も不当と認めるというものであって、この点も賛成であります。  しかしながら、第三において、「前記以外の事項については異議がない。」として、この決算を総体として是認することになっているのは、わが党としては賛成いたしかねるものであります。政府に対して警告すべき事項は、前記の各項に尽きるものではないからであります。  たとえば、わが党委員の指摘した税務行政における守秘義務の問題であります。昭和四十七年度決算議決案に対する討論においても要望いたしましたとおり、税務行政においては、厳正、公平が最も重要なことでありますが、太平洋テレビ事件に見られるように、相手によっては、税務調査の内容を遠慮なく発表しておきながら、田中金脈問題のような場合には守秘義務を理由に調査の内容をかたく秘するという不公平な扱いが見られるのであります。  また、税務行政の不公平は、今回のロッキード事件の主役の一人児玉の場合もきわめて顕著でありまして、かねてからうわさのあった同人の収入に今回初めて手が入ったという状態で、強きに弱く、弱きに強い、当局の姿勢は正されてしかるべきものと思われます。  そのほか、国の負担の十倍余の寄付金を集めて、記念事業や国際会議を催した日本学術会議のケースや、最近疑惑が表面化したプルタミナ融資問題など、わが党委員の指摘した事項を拾ってみただけでも、警告に値する事項が少なくないのでありまして、これを無視して、本決算異議なしとすることは妥当ではないと認められるのでありまして、わが党は残念ながら、本議決案に反対の立場をとらざるを得ないのであります。  以上をもって、私の反対討論を終わります。
  178. 村山達雄

  179. 庄司幸助

    庄司委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和四十八年度決算議決案に対し、反対の意を表明いたします。  四十八年度といえば、終戦直後以来のあの狂乱物価と物不足によって、国民生活が重大な困難に追い込まれた年であります。それは政府が言うように国外の要因によって突然発生したなどというものではなくて、わが党が早くから指摘していたように、すでにあらわれていた大企業の投機に対して何ら有効な規制策をとらないまま、戦後最大の赤字公債発行に見られるような超大型インフレ予算を強行した政府の経済運営こそ、石油問題を契機にわが国の経済を未曽有の危機に追い込んだ最大の根元であります。本決算は、その経済危機のしわ寄せを国民に押しつけ、相も変わらず大企業本位の財政運営が続けられた事実を如実に物語るものであります。  たとえば、翌年度への繰り延べが行われた公共事業費について見ても、比較的執行率の高いのは産業基盤整備関係であり、上下水道や住宅など生活関連はきわめて低い予算執行にとどまっているのであります。文教、科学振興費でも、大企業関連では当初予算をはるかに上回る伸びが見られる反面、学校等の整備は前年を下回り、あるいは中小企業関係費では対前年比伸び率が決算で大きく落ち込むなどが、その一例であります。  今日の地方財政危機をつくり出した根元も、本決算に見られるこのような政府の財政運営にあることは、また明瞭であります。  他方では、自衛隊の航空機購入費は大幅に増額され、南西航空混成団の発足や、ファントム配備など四次防推進、日米軍事同盟強化が強引に進められているのであります。また、四十八年の当委員会の対韓援助問題集中審議や、インドシナのその後の事態でも明らかになったように、経済援助の名による不当な財政支出も認めることはできないのであります。  しかも、今日、ロッキード問題で白日のもとにさらけ出された自民党政治の金権体質、あるいは外国企業の賄賂と戦犯右翼の日本政治への介入が、四十八年度にもうごめいていたことは明白であります。このような本決算に関し、「異議がない。」などとする議決案は、ロッキード事件の真相解明をうやむやに終わらせようとする策謀にも手をかすことにもなり、絶対に容認できないものであります。  なお、私は、最後に特に大蔵省当局あるいはその他の省庁について、本国会に対する資料の提出がきわめてふまじめな点が最近見られます。先ほど原委員からも指摘がありましたが、国権の最高機関であるこの国会に十分なる資料を提供されるよう要請するわけであります。私はいつでも、あの国有財産の無償貸し付けの問題でもこの点痛感するのでありますが、大蔵省当局にこの点を問いただしても何ら答えが返ってこない。したがって、やむを得ず棄権の態度をとることがあるわけでありますが、今後このようなことがないように、厳重に私は注意いたしたいと思います。  以上で、本議決案について私の反対討論を終わります。
  180. 村山達雄

  181. 坂井弘一

    坂井委員 私は、公明党を代表して、昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算等の議決案に対して反対の意を表し、討論するものであります。  議決案第一項におきましては、当委員会での決算審議の際、各委員より指摘され、政府の速やかにして厳正な措置を強く望まれたものばかりであり、政府は、当委員会の意図するところを十分にくみ取られ、国民の負託にこたえるべきであります。  第二項においては、会計検査院が指摘した不当事項については「本院もこれを不当と認める。」との個所は、私も同意するにやぶさかではありませんが、会計検査院の検査は抽出検査であります。すなわち、要検査個所に対し、検査実施率は七%と低率のため、これら不当事項は氷山の一角にすぎないと思われます。  したがって私は、会計検査院の検査充実と強化を本議決案に盛り込まなければならないと思います。政府は、こうした現状を直視して、常時、部内監査を強化し、未検査個所についても不当事項が発生しないよう国民の前にかたい決意を表明すべきであります。  第三項の「前記以外の事項については異議がない。」という点については、第一項、二項以外はすべて是認するということであり、賛成いたしかねます。  四十八年度決算審議が終了しても、一省一日二時間ぐらいの大臣出席で、限られた審議日程の中において十分審議したとは言えず、かつ、異議を表明しなければならないものがあります。  第一に、ロッキード事件に関連して、日本輸出入銀行が全日空に対して、四十八年一億一千二百万ドル、四十九年、三千六百万ドル及び百四億四千万円の融資を行ったことについてであります。  輸銀法の改正、全日空のトライスター購入のための融資が、ロッキード社から全日空に対してキックバックと称する裏資金にまつわりついたということは、否めない事実として今日捜査当局の手によっても証明されたのであります。しかしながら政府は、この実態を積極的に調査することなく、このような重大な問題に目をつぶろうとしており、断じて許すことのできないところであります。  政府は、速やかに日本輸出入銀行の融資に対して、具体的にどのようなことが融資において行われてきたのか、融資と裏金との関係など、その使途について十分なる調査を行うと同時に、今日このような事件を生み出す要因がどこに秘められておったのか明確にし、今後再び同様の事件が起こることのないよう指導監督の責任があるわけであります。  第二に、国や公共機関が民有地を買収し、そこに道路をつくる、あるいは公共施設を設けるなどの場合、この買収をめぐりまして、さまざまな問題が起こっていることについてであります。  特に、北海道内では室蘭市の厚南開拓道路を初め何と、百八路線の開拓道路が国有財産となっておりながら、農地法第七十三条の手続を踏まず、売買契約、買収金の未払いなど未処理用地が今日なお放置されておることについては、まことに遺憾であります。  以上、私の意見を申し述べましたが、最後に、政府は、決算委員会軽視の惰性を改め、これを重視して、総理及び各大臣が積極的に出席されて、国民の血税の行方を公明正大に審議して、謙虚に国民の前にすべての事項を明らかにしなければ、国の決算承認できないことを強く申し述べまして、私の反対討論を終わります。
  182. 村山達雄

    村山委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  183. 村山達雄

    村山委員長 これより採決に入ります。  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十八年度政府関係機関決算書を議決案のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  184. 村山達雄

    村山委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決しました。  次に、昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書の両件について討論に入るのでございますが、別に討論の申し出もございませんので、これより順次採決いたします。  まず、昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算書は、是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  185. 村山達雄

    村山委員長 起立多数。よって、本件は是認すべきものと決しました。  次に、昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書は、是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  186. 村山達雄

    村山委員長 起立多数。よって、本件は是認すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 村山達雄

    村山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  188. 村山達雄

    村山委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。  まず、大平大蔵大臣
  189. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ただいまの御決議につきましては、政府といたしまして十分これを尊重し、関係各省とも連絡を密にして、遺憾なきを期してまいりたいと存じます。  また、国庫補助の整理、合理化につきましても、その御趣旨を体し、今後とも努力してまいる所存であります。
  190. 村山達雄

    村山委員長 次に、坂田防衛庁長官
  191. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ただいまの御議決のうち、防衛庁関係で御指摘のあった事項につきましては、防衛庁としても従来から代理店契約の内容の把握に努めているところであります。しかしながら、代理店契約は当庁にとって第三者間の契約でありますので、当事者の協力にまつ以外に、その内容を把握する有効な手段がないため、当庁だけでは、その実態を解明することは困難な状況にありますが、極力その努力をいたしたいと考えております。  また、装備品等の調達に当たっては、従来から適正価格で行うよう努力しておりますが、御趣旨を体して一層その適正を期する所存であります。
  192. 村山達雄

  193. 前田正男

    前田国務大臣 ただいま御決議のありました科学技術庁の研究委託事業で取得した物品につきましては、国の研究機関等で積極的活用を図っており、また新技術開発事業団の所有資産につきましては、取扱規則を整備し、管理に適正を期しておりますが、さらに御決議の御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
  194. 村山達雄

    村山委員長 次に、早川厚生大臣
  195. 早川崇

    ○早川国務大臣 ただいま御決議のありました休日及び夜間の救急医療体制の整備につきましては、本年から最重点施策の一つとして諸般の施策を講じてまいりましたが、特に来年度引き続きまして厚生行政の最重点施策の一つとして、これが整備に万全を期したいと考えます。
  196. 村山達雄

    村山委員長 次に、浦野労働大臣
  197. 浦野幸男

    ○浦野国務大臣 失業保険等の給付の適正化については、今後かかる指摘を受けることのないように、受給資格者及び事業主に対して、適正な届け出を行うよう一層強力に指導するとともに、給付の適正を期する所存でございます。
  198. 村山達雄

    村山委員長 次に、中馬建設大臣
  199. 中馬辰猪

    ○中馬国務大臣 ただいま御決議のありました多目的ダム建設事業の費用負担の件につきましては、すでに費用負担方法の基本となる関係各省庁の申し合わせ事項改正を行ったところでありますが、今後とも適正な運営を図って一層厳正を期する所存であります。  また、日本道路公団の高速自動車国道の工事契約に関する件につきましては、従来から工事計画の策定及び事前調査を慎重に行うよう指導してまいったところでありますが、今後とも決議の趣旨に沿って公団を指導してまいる所存であります。
  200. 村山達雄

    村山委員長 次に、天野自治大臣
  201. 天野公義

    ○天野(公)国務大臣 ただいま御決議になりました水源開発等に対する国庫補助につきましては、すでに昭和五十一年度において、その補助率を引き上げる等の改善を行ったところであり、また企業債についても必要資金の確保、良質資金の増強等について努力いたしているところでありますが、今後とも検討を重ねてまいる所存でございます。
  202. 村山達雄

    村山委員長 以上をもちまして、各国務大臣からの発言は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十九分散会