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1976-10-13 第78回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十三日(水曜日)     午後一時十九分開議  出席委員    委員長 中村 重光君    理事 小沢 一郎君 理事 加藤 陽三君    理事 佐々木義武君 理事 宮崎 茂一君    理事 石野 久男君 理事 八木  昇君    理事 瀬崎 博義君       木野 晴夫君    竹中 修一君       森山 欽司君    原   茂君       山原健二郎君    近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      前田 正男君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     小山  実君         科学技術庁計画         局長      大澤 弘之君         科学技術庁研究         調整局長    園山 重道君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   伊原 義徳君         科学技術庁原子         力安全局次長  佐藤 兼二君         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         外務省条約局外         務参事官    村田 良平君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君  委員外出席者         文部省学術国際         局学術課長   七田 基弘君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       田口健次郎君         運輸省航空局管         制保安部長   中曽  敬君         海上保安庁警備         救難部海上公害         課長      佐藤 弘毅君         海上保安庁水路         部測量課長   杉浦 邦朗君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省河川局開         発課長     佐々木才朗君         国土地理院地殻         調査部長    原田 健久君         会計検査院事務         総局第四局長  松田 賢一君         参  考  人         (地震予知連絡         会会長)    萩原 尊礼君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(地震予知原子  力の安全性確保及び環境科学技術に関する問  題)      ————◇—————
  2. 中村重光

    中村委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野委員 私は、科学技術庁政策一般について、大臣所信表明に対して質問をするわけですが、時間の関係で、きょうは限られた一つのことだけをお聞きしておきたいと思います。  先般、九月二十八日に科学技術庁資源調査会調査報告書が提出されました。この調査報告によりますと、わが国エネルギーの将来計画に対していろいろと考えなければならない問題の提起が行われておると思います。そういうことを考えますので、この調査報告をいま科学技術庁長官はどのように受けとめておられるかということについて、最初にひとつお聞きしたいと思います。
  4. 前田正男

    前田国務大臣 この報告は、日本の将来のエネルギー使用というものと大気汚染ということについて非常に大きな問題点を指摘されておるので、私たちといたしましても、これは十分にひとつ対処を急がなければならぬと思っておるわけであります。しかしながら、御承知のとおり、これはいろいろな仮定を設けたりあるいはモデルを設けたりしておりますので、それが直ちにこの際エネルギー使用を抑制せい、こういうことではないと思いますけれども、しかし、これは重大な問題でありますので、さらにもっと調査研究をひとつ大いに進めていく必要があるのではないか、こういうふうに受けとめております。
  5. 石野久男

    石野委員 報告書によりますと、私も細かいことは技術的なことにかかわるのでわかりにくいのですが、第五章の「エネルギー消費大気環境」、こういうところをずっと見てまいりますと、いろいろの仮定はございますが、とにかくこれでいくと「昭和四十八年度を基準とすると、その消費量は四十七年度の一一%程度の増加であるので、三・六倍程度となる。」そういうふうに書かれておりまして、この状態でいきますと、向こう十五、六年の間には、大気汚染は、人間生活にとってはある程度いい面もあるかもしれませんけれども、植生そのものに対して非常に大きな変化がもたらされるだろうということが言われておるわけです。こういう問題は相当調査委員会専門家が、しかも仮定はあるけれども現実のいろいろな調査基準にして調査されておりますから、それほど大きな変化はないだろうと思うのです。こういうような情勢エネルギー計画の中でどのように受けとめるかということが非常に大事になってまいります。  また、それから同時に、この調査二酸化硫黄による汚染エネルギー消費との関係についても調査報告をしております。それによると、これはむしろ大気環境のそれよりももっと早い時期にそういう悪い状態が来るだろうということになっております。こういう問題は具体的にどういうふうに受けとめますか。
  6. 前田正男

    前田国務大臣 温度の上昇の問題は観測網をもう少し整備しないと、実はこれは外界からの気流変化とかそういったものが十分計算対象に入っていないようですから、そういうふうなことからもできるだけ観測網をもっと整備していく必要があるのではないか。  二酸化硫黄の方は、御承知のとおり硫黄対策として相当公害排除技術が進みまして、四十八年度当時から比べるとずいぶんその後また改善されて、エネルギー消費に伴うところの二酸化硫黄なんかだんだんと減ってきておりますから、この四十八年度基準そのままでここに書いてあるようにすぐにむずかしい状態が起こってくるということはないのじゃないか。     〔委員長退席八木委員長代理着席〕 しかし、さらにこの二酸化硫黄を減らすように対策を講じていく、そういうことが必要だと思いますけれども、いずれにいたしましても、全体としてこういうエネルギー消費というものと大気環境というものについての重要な提言ですから、われわれはそれについて十分な調査研究をしなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  7. 石野久男

    石野委員 この調査報告書によりますと、いわゆるエネルギー消費上限ということを一応言っておるわけです。細かい数字のことは私はわかりませんが、一応調査報告書消費上限というものを規定しておるということは非常に重大だと思うのですよ。そのことは同時にエネルギー消費についての問題の新しい見解を求めておるものと思いますけれども、この全国エネルギー消費上限という問題は、報告書のこのものについてはどういうふうにお考えになりますか。
  8. 前田正男

    前田国務大臣 上限というものは、さっきもちょっと申し上げましたように、非常な仮定モデル的な計算をしておるのですから、実際は気流の問題もあるし、また二酸化硫黄もだんだんと改善も行われておりますから、こういうふうに考えられているような上限があるかどうかということは問題ですけれども、しかしながら、そういうものを検討対象として、一つ警告として私たちは受けとめなければなりませんから、十分に調査研究していかなければならぬ。ここに書いてあるような上限というものが、これはモデルとかいろんな仮定計算ですから、そうすぐに上限が来るとは思いませんけれども、しかし、やはり重要な警告でありますから、さっき申したとおり、十分にこれから観測網をふやすとか、二酸化硫黄の排出をどんどん減らすとか、いろんな改善もやらなければなりませんし、そういうための調査研究は十分に行う必要があるんじゃないか、こう思っておるわけです。
  9. 石野久男

    石野委員 この報告書は、人類がいわゆる文化的生活をするということの生産の問題とそれから大気との関係を一応規定しているものでございますから、これは非常に軽々には見逃すことのできないものだと思うのです。しかも、これに関係する専門方々全国エネルギー消費上限ということについて一定の提言をしているということは非常に重大でございますから、仮定がどうあろうともそういう上限の設定ということをよしとするのか、それが間違いであるということなのか、そこのところをひとつ科学技術庁としてはっきりひとつ示していただきたい。
  10. 前田正男

    前田国務大臣 それは、先ほど申したとおり、いろんなことが仮定とかモデルケースになっておりますので、これはひとつ調査研究してみないとそういう必要性があるかどうかわかりませんけれども、とにかく重大な警告であるということは間違いありませんので、十分にひとつ調査研究をしていきたい、こう思っておるわけです。その結果によって、石野委員お話のようなこともまた十分に研究をしなければならぬのじゃないかと思っております。
  11. 石野久男

    石野委員 これは文字にこだわるようでございますけれども、ただ研究するということだけじゃなしに、報告科学技術庁が任命して調査委員会をつくって、しかも、そこで確信を持ってこういう言葉を使っておるわけでございますので、これは非常に重要だとか重大だとかということでなしに、われわれはこれによって規制されるというように受けとめるべきものだろう、こういうふうに思うわけなんですよ。したがって、これから研究するというようなあいまいもことしたようなものであるのか、それともこの調査委員会上限ということを規定していますと、当然のこととしてエネルギー計画はこれによって規制されることになるのでございますから、そこのところを明確にしなければいけない、こう思うので、もう一度大臣のお答えをひとつ……。
  12. 前田正男

    前田国務大臣 さっきからお話ししている言葉が不十分でございますけれども、調査研究ということには、実は提言事項として積極的に推進してくれということがございまして、観測網を十分に全国的に整備をしろとか、あるいはエネルギー消費と気象との関連を十分調査研究せい、こういうことでございます。調査研究という言葉がちょっと不十分ですけれども、われわれはそういう調査体制というものも十分に整えてこの提言に合うようにひとつ努力しなければならぬのじゃないか、こう思っておるわけでございます。
  13. 石野久男

    石野委員 この報告書は、新たに広域にわたるところの観測所を設置しろというような具体的な提案もしております。そういうものに対しては、長官はその提言をそのまま受けとめる用意があるのか、そしてまた、それに対する予算的な措置なども具体的に組む段取りをしているのかどうか、そういう点をひとつ。
  14. 前田正男

    前田国務大臣 せっかくの提言でございますから、これはぜひひとつ政府として取り上げるべきではないかと思いまして、私も関係官庁とよく相談して予算化の方にも努力しなければならぬ、こう思っておるわけでございます。
  15. 石野久男

    石野委員 この調査報告書がいろいろな意味において重要であるということは、そのままわが国エネルギー計画そのものにも影響が出てくることは言うまでもございません。特にいわゆる人間生活にかかわる上限エネルギー使用量というものが一つ設定されてまいりますと、それを越えてのエネルギー計画というものは、むしろ人類生活、特に日本人の生活をかえって危機に陥れるということにもなってまいります。そういう意味からしますと、すでに発表されておりますわが国エネルギー計画というものにも、やはり見直しを必要とする事態が出てくると思われます。長官はそういう問題をどういうふうにお考えになっていますか。
  16. 前田正男

    前田国務大臣 これはやはり、先ほど来申し上げておりますとおりに、観測網を整備したりあるいはまたそういう関連について十分調査をしたり、あるいはいままでの技術開発成果等十分調査し、またさらに研究を進めるというようなことで、そういう調査研究成果を待って考えていかなければならぬ問題じゃないか、こういうふうに考えております。
  17. 石野久男

    石野委員 考えていかなければならぬ問題だということについて、当然見直しをしなければならぬということだというふうに思いますけれども、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  18. 前田正男

    前田国務大臣 この研究成果がどういうふうにあらわれてくるかということが問題点でございまして、一つ警告ではありますけれども、しかし、それが直ちにいまのエネルギー計画に直接に響いてくるかどうかということは、出てきました調査研究の結果と、私たちの国のエネルギー計画というものもまだこれからですから、これはいまの計画の中ではすぐに影響を及ぼしてくるとは思いませんけれども、長期にわたってこういう調査研究を十分に考えてそれを反映していくという必要があるのじゃないか、こう思っております。
  19. 石野久男

    石野委員 この報告書の持っている意味は、わが国エネルギー計画生産側面からエネルギー計画をずっとしておるわけですよ。この報告書生産側面じゃないのですよ。人間生活側面からエネルギーに対する一つ提起をしている。だから、生産側面生活側面とがクロスする点を越えていきますと、よかったり悪くなったりする問題が出てくるわけです。しかも、これは十数年以内にそういう悪い状況が来るだろうということを提起しておるわけですから、そんなにのんびりしている問題とは違う。しかもここで提起されているのは、四十八年を基準にしてエネルギーを測定した場合と言っているわけですから、したがって、わが国におけるエネルギー消費状況がどんどん進んでいって、ここで仮定しておる状況よりもはるかに先へ進んでいけば、その危険な状態の年次は早く来ちゃうわけですね。長官はいま、この報告書に基づいて研究するあるいは機関設置をするというようなことを話されましたが、それは大体いつまでにそういうものを設置し、いつまでにこれに見合うような結論を出す考え方でいらっしゃるか、その点をひとつ。
  20. 前田正男

    前田国務大臣 先ほど申しましたとおり、これは関係官庁も相当ございますから、そういうところと十分相談をして対策考えていかなければならぬと考えておりますけれども、とにかくエネルギーの問題は、先ほどお話のありましたとおりこういうふうな観点からもひとつ考えなければならぬということであります。また、重大な警告でありますから、われわれはこういう警告を取り入れて今後十分に考えていくということじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
  21. 石野久男

    石野委員 これはいつまでも時間をだらだら延ばしておいてもいいという問題ではございませんから、この報告に対して政府一つ答えを出すリミットがあると思います。私はできるだけ早く、こう思っておるのですが、政府はこの報告書に対して答えを大体いつごろまでに出す予定をしておりますか。
  22. 前田正男

    前田国務大臣 関係官庁も多いことでありますから、ひとつみんなとよく相談いたしまして、しかし、重大な問題でありますし、将来の長期にわたる問題でありますから、これは一日も早く結論を出していきたい、こう思っておるわけでございます。
  23. 石野久男

    石野委員 昭和五十二年度の予算編成の中には当然エネルギー計画が入ってまいります。そのエネルギー計画の中に、この報告書意味するものが何らかやはり影響しなければなるまい。せっかく調査会をつくって、それが来年一年何にも意味がないのだということじゃしようがありませんから、それに間に合わすような政府は各機関を通じて結論を出す用意がありますか。
  24. 前田正男

    前田国務大臣 これはこれから交渉してみなければわかりませんけれども、すでにこの報告書の出る前に概算要求しているわけでございますから、そういうものが調整できるのかどうか。しかも予算的にばかりではなしに、さらにいろいろな対策も講じなければなりませんから、そういう方面でできる範囲のことはやらなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  25. 石野久男

    石野委員 これは委員長に私はお願いしておきたいのですが、政府はこの報告書に対して重要性は認めているということですけれども、そんなに逼迫した考え方では受けとめていないようです。私は、やはりこの報告を作成した方々に来ていただいて、委員会でこの問題について討議すべきだと思うのです。そして、これだけの提起をしているいろいろな問題があるわけですから、この問題の説明等含めて意見を聞かしてもらいたいと思うので、これは他日そういうようにお取り計らいを願いたいと思います。
  26. 八木昇

    八木委員長代理 理事会相談をいたしたいと思います。
  27. 石野久男

    石野委員 この報告書についてはまた改めてひとつ本委員会で討議を加えたいと思います。私は、長官にはできるだけ早く各関係機関を通じてこの問題に対する答えを出すようにやってもらいたい、こう思います。よろしいですね。
  28. 前田正男

    前田国務大臣 関係官庁となるべく早目相談をいたしまして、また、できるだけ調査研究の方を進めるようにいたしたい、こう思っております。
  29. 石野久男

    石野委員 時間がありませんから長官に私は簡単な問題だけをお聞きしておきたいのですが、原子力船むつ」の問題につきましては、その後定係港なりあるいは修理港とかいろいろ言っておりますけれども、それはいまどういうふうに進んでおりますか。
  30. 前田正男

    前田国務大臣 これは御承知のとおり、長崎県と佐世保市に修理港をお願いしておるわけでございまして、おのおの両者においてそれに対する検討をしていただいておりますし、また、それに伴いまして対応策等もいろいろの御要望があるようでございまして、これに対してもわれわれの方もできるだけ関係方面と話し合って対応策についても検討している、こういう段階でございまして、ひとつできるだけ早く修理港についての御承諾を得たい、こう考えておるようなわけでございます。  それから、定係港につきましては、いろいろな話がございますけれども、これはやはり修理港の問題が目鼻がついてからの方がいいのじゃないかと思いまして、新しい定係港の問題はさらにまだ検討中である、こういうことであります。
  31. 石野久男

    石野委員 修理港の問題については佐世保予定して折衝しているようでございますが、見通しはあるのですか。
  32. 前田正男

    前田国務大臣 すでに私の方から二月でしたかお願いしておりまして、そして十分にいろいろとお願いしておりますけれども、対応策については正式な話がまだ来ているというところではないようでございますが、いろいろお互いに話し合いをしておりますので、まあだんだんと話が進みますれば見通しがつくのではないか、こう思っておるわけでございます。
  33. 石野久男

    石野委員 その見通しはことし中につく予定ですか、来年中ですか、どっちですか。
  34. 前田正男

    前田国務大臣 なるべく早くお願いをしたいと思っておるんですけれども、まだ、もう少し話を煮詰めてみませんといつの時期になるかということはちょっと見当がつきかねます。しかし、いずれにしましても、「むつ」の方の制限日がありますので、なるべく早くひとつお願いしたいと思っておるわけです。
  35. 石野久男

    石野委員 この修理佐世保というものについては、地元で非常に激しい反対運動というか、住民反対がある。そういう情勢から見て、政府考えておるように安易にはいかないのではないかというふうに私どもは見ておりますけれども、その点については大臣は自信があるのでございますか。
  36. 前田正男

    前田国務大臣 これは、何としてもお願いをしていかなければならぬことでございますから、いろいろな点について、まだ表向きの正式な話というわけにはいきませんで、県の方であるいは市の方で研究検討委員会等をつくられて検討されて、返事をいただくことになっておるようですけれども、しかし、われわれとしては最善の努力をして了解をしてもらうより仕方がない、こう思っておるわけでございます。
  37. 石野久男

    石野委員 これは、地元の声が無視されるような形で事が運ばれてはいけませんので、そういう点については、大臣の方であくまでも民主的にその問題に対処するという心組みでやってもらわないと困る、こう私は思います。住民の声というものは、これは無視しますと、原子力基本法の方針にも反することになりますので、大臣就任早々でございますので、そのことについてどういう心組みでおるかということの御所見だけ承っておきます。
  38. 前田正男

    前田国務大臣 もちろん、住民皆さんの御理解を得てやらなければならぬことでございますけれども、一応表向きには県とそれから市にお願いしておるわけでございまして、県と市も住民の声を十分に反映させて御善処願えるのではないかと思っておるわけでございます。われわれももちろん住民の十分な理解を得なければならぬ、こう考えておるわけでございます。
  39. 石野久男

    石野委員 原子力船むつ」の修理の問題について、私はどうしても理解しにくい問題が一つあるのです。  これは大臣にひとつ聞いておきたいのですが、実は原子力船むつ」ができましたときに、あれをつくった造船所、それからあれに炉を設置した三菱原子力工業、それぞれみんな仕事をしましたから、それの代金は皆受け取っておるわけですね。できたものが故障をして、ああいう使い物にならなくなったんですけれども、それに対して弁償も何もしない。これは、契約がそうなっていたからということで、結局、国民は税金むだ遣いということになっちゃっている。こういう経験を持っている原子力船に、今度新たに修理が行われるわけですね。修理が行われたときに、その修理が行われて当然仕事を頼み、それが納入される、代金支払いをするということになれば検収しなければいけない。これは、前の委員会のときにも私はお聞きしたのですけれども、その検収をするということが、仮に長崎修理をしましても、あそこでは検収できない。そうすると、その検収定係港ができなければ検収はできないというのが皆さんお話なんです。その定係港ができるまでは検収ができないとすると、仕事をしても仮払いにしておくのかどうするのか知りませんが、また契約内容はどういうふうになっているのか知りませんけれども、定係港がもし五年後まで延びるとすると、その間仮払いの形でずっと五年間ほっておくのかどうするのか、その契約内容をどういうようにするのかということについて、どうも私はまだ疑問を持っておるんです。  この際、私はぜひお願いしておきたいのですが、仕事をして、それがいよいよ使う段階になって使い物にならなかったときには、どんなことがあってもその代金支払いはしないで、またもう一遍やり直しさせるという契約内容をつくってほしいのですよね。そうしませんと、原子力船の場合は全くあれはどろ沼税金を投げ込んだと同じことになっちゃっている。私は、新しい修理に対する契約の中にはそういうことが明確に入ることを望んでおりますが、契約はどういうふうにする予定でおりますか。また、相手方との契約ができているのかどうか私もわかりませんけれども、その点についてひとつ政府考え方だけを聞かしておいてもらいたい。
  40. 前田正男

    前田国務大臣 これは御承知のとおり、別に炉自身使い物にならぬわけじゃありませんで、修理をすれば使えるわけでございますから。しかしながら、その修理については、こういうふうにモデルをつくりまして、そうしてこういう修理をすればそれで十分だということで進めていくと思うのですけれども、細かい契約内容については局長からひとつ。
  41. 山野正登

    山野政府委員 先生の御質問は、端的に申し上げれば保証期間の長短という問題、担保期間をどうするかという問題ではないかと思うのでございますが、これは一般論としまして、瑕疵担保期間が長ければ長いほど対価は高くなりますし、瑕疵担保期間が短ければ相対に対価の方は安くなりますといったふうな関係にあろうかと思いますが、この辺の問題は、今後修理の相手業者が決まりまして修理が始まりました段階で詰めていく問題でございまして、現在私どもそれについて具体的にこうしたいという案は持ち合わせておりませんが、しかし御指摘のように、できるだけ将来とも国損を招かないような方向で考えていくということは、これはお説のとおりだと思っております。
  42. 石野久男

    石野委員 契約のことですから、相手方もありましょう。だから、その間やはり話し合いをせにゃならぬことはわかりますけれども、もう見え透いた国の損がそこにできてくるのだというようなことのないようにだけ配慮してもらうように私は希望しておきます。  それから、もう時間がございませんので、エネルギー庁来ておられますね、私は先般美浜一号炉の燃料棒問題についていろいろ質問いたしまして、皆さんの言い分もありました。そこで、私はこの事実、あるいは「原子力戦争」を書きました田原さんの提起した問題でございますが、事実の有無についていわゆる一号炉にあって問題の燃料棒が現在貯蔵されて保管されておるというその実情を、ぜひひとつ見せてほしい、なかなかアクティビティーが強いから見られないのだということだから、写真ででも示せということを申しました。予算委員会の席上で何か努力するという御答弁をいただいておりますが、それはいただけるのでしょうか。どういうふうになっているか、その点だけ一点ひとつ。
  43. 武田康

    ○武田政府委員 ただいまの先生のお話でございますけれども、先生のおっしゃいましたとおり、私ども調査を行う方向で検討を進めております。  で、先ほどお話にもございましたが、何分使用済み燃料プールの中での調査というのは放射能環境下の作業でもございますし、また、遠隔の操作を必要とするというようなむずかしい点もございます。現段階調査方法の詰め、検討を進めている段階でございます。
  44. 石野久男

    石野委員 じゃ、まだどういうようにするかという検討を続けているというのですが、大体見通しとしてはいつごろにそれは私の方に示してもらえますか。
  45. 武田康

    ○武田政府委員 私どもといたしましても、なるべく早く実施するよう努めてまいる所存でございます。ただ、何月何日ということになりますと、まだいまの段階では申し上げられるほど固まっていないのが現状でございます。
  46. 石野久男

    石野委員 それは年を越えてしまうというようなことですか。
  47. 武田康

    ○武田政府委員 私どもの目標はもっと早い時期でございますが……。
  48. 石野久男

    石野委員 年を越えない前というと選挙が恐らくあると思うのだけれども、その前に出ますか。
  49. 武田康

    ○武田政府委員 いま先生おっしゃいました時期がどんな時期かちょっと私どもには想像つきかねますけれども、先ほど申し上げましたように、いま十月でございまして、年を越せば一月でございますが、私どもとしては現在の詰めの作業から考えますと、これから一月、二月くらいの間かなというのが現在の詰めの現状でございます。
  50. 石野久男

    石野委員 私はできるだけこれは今国会中に示してほしいのですよ。そんなにあなた、あと二月もしたら年を越えちゃうのですよ。問題は、これだけ疑義が提起されておって、そうしていま遠隔操作だとか何だとかそんなにかかるものじゃありませんでしょう。別に月の世界にあってどうというわけじゃないのです。すぐ、美浜の貯蔵プールの中にあるのです。やろうと思えば一週間だってできるじゃないですか。何でそんなに遅くなるのですか。それはおかしいんじゃないですか。
  51. 武田康

    ○武田政府委員 先ほども申し上げましたような状況で、現在調査方法の検討を進めて、詰めを進めておりますけれども、先ほど申し上げましたように、これから一月か二月かかるかなというような状況でございまして、もう少し詰めが進行いたしますと、もう少しはっきりしたことを申し上げられるかと思いますが、現段階ではいま申し上げましたとおりでございます。
  52. 石野久男

    石野委員 これは非常に怠慢だと思うのですよ。プールはちゃんとあるんだし、その燃料棒がどこにあるかという所在ははっきりしているのですよ。それを遠隔操作で写真を撮るくらいのことわけないじゃないですか。炉の中の写真だって撮れるのでしょう。何でそんなに遅くするのですか。何かいろいろ工作して、あなた方の言い分に沿うように形を整えてから写真を撮るつもりでおるのですか。そんなずるいことをやっちゃ困るよ。
  53. 武田康

    ○武田政府委員 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、調査をなるべく早く実施するということでございまして、それにつきまして誠心誠意努力しているのが実態でございます。ただ、実際の技術屋さん等にいろいろ聞いてみますと、先ほど申し上げましたように、調査方法を固め、それから調査を実施するというのにそのくらいかかるようでございまして、私どもといたしましては、なるべく早く実施するように最大限の努力をしているつもりでございますし、さらに今後も努力させていただきたいと思っております。
  54. 石野久男

    石野委員 時間がありませんが、問題提起しているのは、燃料棒は崩れ落ちているだろうということをわれわれ疑問に思うから、燃料棒がそのまま正常な形であれば、すぐ撮れるのですよ。田原氏が言っているのは、三十センチぐらい溶融して落ちちゃったろう、こう言うのですから、現物をそのまま出せば、いやそんなことはありませんということはすぐわかるわけなんですよ。そんなに遅くなるはずはないと思いますから、私は、一月とか二月とかというのじゃなくて、少なくとも今国会の最後の委員会のときには出せるようにしてもらいたい。これは要望しておきます。  委員長、後で理事会でももう少しこの問題については督促するように協議してもらいたいと思いますから、お願いいたします。
  55. 八木昇

    八木委員長代理 協議をいたします。     —————————————
  56. 八木昇

    八木委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  地震予知に関する問題調査のため、本日、参考人として地震予知連絡会会長萩原尊礼君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 八木昇

    八木委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  58. 八木昇

    八木委員長代理 この際、萩原参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。  どうか、忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。  質疑を続行いたします。原茂君。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは、先生にもおいでいただきまして、また末広先生も後でおいでいただけると思いますが、地震の問題を主にお伺いいたしまして、時間がもし余りましたら、科学技術行政の一般について大臣にお尋ねしたいのです。  その前に二つだけ、大臣にお伺いし、それから関係者にお答えをいただきたいのは、中国の核実験のフォールアウトの問題で原研の炉に支障を来したという新聞記事がありましたが、ああいうことは外国では始終あるものなんですか、それとも日本が初めてのことなんでしょうか、それが一つ。それから、今後また中国がやらないという保証はないわけですから、今後も中国がやったときにフォールアウトが降下してまいりましたときの何かを考えておかないといけないのか。この二つを先にお伺いしたい。
  60. 前田正男

    前田国務大臣 外国の例はちょっと局長から答弁させますけれども、こういうものに対しましては、御承知のとおり十分に警報が出るように測定装置ができておりますので、今後もこういうことが起こります場合に対しましては、その装置が警報が作動できるように十分な整備とそれだけの監視は続けなければならないのじゃないかと思います。外国の例は局長からひとつ。
  61. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 私ども、先生御質問のような例があったかどうかについて現時点において資料を持ち合わせておりませんが、一般論といたしましては核実験による降下物の放射能のレベルは平和利用の管理レベルよりかなり高いことがございますので、そういう意味では影響はあり得るものと考えております。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 その問題は、一応きょうはお聞きしておきます。  その次にもう一つお伺いしたいのは、日本から経団連の訪ソ団が組織されまして先ごろ訪ソしたわけですが、原子委員会を訪問したときの話に、ソビエトの側から日本とソ連との間に原子力協力協定、こういうものを結ぼうじゃないか、行きました経団連の団からは、日本原子力産業会議を窓口にしてひとつぜひやりたいものだ、民間協定の形になるのですが、そういう話を引き受けて帰ってきたままになっていますが、これはその後どうなっていますか。
  63. 前田正男

    前田国務大臣 ソビエトとの間は、実は日本は原子力を含みました科学技術協力に関する協定がありまして、それは公的研究機関の協力等を主にしておりますけれども、その科学技術一般の協定の中で民間に関する協定についてはできるだけ促進するという合意がされておりますので、そういうような訪ソ団の話に対しましては、現在その提案を検討中であるというふうに聞いておりまして、われわれに相談がありました場合は、先ほど申しました政府間協力のことを頭に置いて十分に協議していきたい、こう思っておるわけです。
  64. 原茂

    ○原(茂)委員 これは七三年の十月、前首相田中さんがあちらへ訪問したときの協定ですよね。その中の一つなんですが、細かいことは何にも決まってないわけですから、せめてああいう協定が締結された以上は一歩でも二歩でも踏み出して、特に原子力に関する限りは燃料の問題もあり、現在事故の問題もあるのですから、早く日ソの原子力に対する協力協定というものが民間であろうと構いませんから促進されるように、これは大臣としても意にかけてひとつ努力をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  65. 前田正男

    前田国務大臣 先ほど申したとおり、一般協定の中にそういう民間の協定をできる限り促進するというように両政府間でうたっておることでございますから、具体化して協議がありました場合は十分に善処していきたい、こう思っておるわけです。
  66. 原茂

    ○原(茂)委員 経団連から何か相談が来るのを待ってないで、こっちからも積極的にそういうことに対するチェックの意味で推進役を務めてもらいたい、こう思います。  では、地震の問題にこれから入らしてもらいますが、関東大震災が大正十二年の九月一日ですか、あの大震災がありました数年前から、ちょうどいまの駿河湾だ、遠州灘だ、いや東海地震だというものが起きそうだ、起きたらどうなる、対策はどうしなければいけないというような論議がやはりちゃんといまと同じような状態でされてきた記録があるのです。私は子供だったんですが、この間記録を見てわかったんです。  で、その後、当時の地震の予防研究所というのですか調査所ですか、というものが、関東大震災を振り返って、ちょうど百号になって廃刑になったそうですか、報告書を出して、さんざんそう言っているのにあれもこれもできなかった、ついにこの惨事を見た、死者、行方不明十四万という大変な惨事、東京都が破壊的な状態になったわけですから。とにかく前から警告をしたり、こうしなければいけないと言っていたその関係たちにとっては切歯扼腕といいますか、何とも悔やみ切れない気持ちが当時いろいろな方面でにじみ出している。ちょうどあの関東大震災の前、それを前夜というのかどうか知りませんが、いまの様相が何となく似てきたような、非常にあっちもこっちも地震が起こりそうだ、こういうことになっているのです。  私は、地震を考えたときに必要なのは、予知も必要なんですが、予知と同時に、現在でき得る限りの防災対策というものを行政の面で積極的に働きかけていかないと、こうすべきだああすべきだという非常に理想的なものをいろいろ言っていてもなかなかそれがまとまってできない。できるものからやっていくという意味で、この間長官が新たな構想を考えて、何とかそういった防災対策も含めて対処をしていきたい、そういう機関が必要ならつくりたいというようなことを二、三カ所で発言をされていますが、全く同感なんです。  これは先に萩原先生にお伺いしたいのですが、先生はもう古いから、関東大震災よく御存じなんですが、その関東大震災の前にも、やはりいまと同じような、予知と言わないまでもいろいろな警告らしいものが出たり、そうして起きてから、やはりこうだった、このことがいけなかったんだという、いろいろな悔やみ事が並べられたりしたわけですが、現在の東海大地震あるいは駿河湾の地震と言われるようなものが予想されている現状が、関東大震災の前夜とちょっと似た感じがしますか、それとも全然違うという感じですか。それをちょっと先に御感想をお伺いしておきたいと思います。
  67. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 関東地震当時は私も子供でございましたので、余り詳しいことは存じないのですが、その後いろいろ人から聞いたり物で読んだりいたしまして、やはり非常に共通点があると思っております。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、細かいことから順次、飛び飛びにいろいろとお伺いするようになりますが、あしからずお答えをいただきたいのです。  この間伊豆の河津町で灘下型地震が起きました。この被害は約三百戸に及んだわけですが、あの伊豆の地震は、今回言われている東海地震との関連がありますかどうか、お調べになった結果、予知の面でもいろいろ検討されていると思いますが、そういうものとの関係がやはり関連があるんだというようにお考えかどうか。もう一つは、駿河湾で何かひずみの計測をされた結果、どうも東海地震というものと関連がありそうだというような説を流しておりますが、それは一体どうなんでしょうか。それから、河津における伊豆地震はマグニチュード五、直下型で相当大きな被害を及ぼしましたが、いまはもう終息して、あれは最近再び起きる心配はないというふうに考えてよろしいかどうか。三つ、お伺いしたい。
  69. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 ただいまいろいろ伊豆中部で起こっております土地の隆起あるいは微小地震の群発等、これがただいまいろいろ問題になっております駿河湾の地震と関係があるかどうかということ、これはただいままでのいろいろな調査結果からは、何とも結論が出ておりません。今後いろいろ観測が続けられまして出てくるものと思っております。関係がないという結論も出ておりません。今後の問題でございます。  それから、例の気象庁が御前崎等に設置いたしましたひずみ計でございますが、これが御前崎で非常に大きな値をかいているということなんでございますが、こういう器械はなかなか、非常にゆっくりした、一月、二月、三月にわたる非常に緩慢な変化をかくことは、よほど念を入れて検討いたしませんと、いろいろと雑音といいますか、つまり地震と関係ないというか、地殻変動と関係ないようなものが入ってくる場合が多い、そういうことを私どもは長い間に経験いたしております。ただいまひずみ計を入れましてまだ数カ月しかたっておりませんが、そのかいております値は非常に大きい値でございまして、これをそのまま信用すればえらいことになるわけでございます。一方、その周辺で測地学的な方法、つまり測量でいろいろなひずみが観測されておりますが、こういうものは現在ひずみ計がかいておりますものに比べてそれほど大きくない。つまりその差が非常に大きいのでございまして、やはりこういうデリケートな器械は、あと幾つかの地域に据えて比較検討しないと、いますぐ一つの器械に大きい値が出たからどうというのは早計ではないかと思っている次第でございます。
  70. 原茂

    ○原(茂)委員 伊豆の河津町の地震の今後の見通しはどうなんですか。
  71. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 伊豆の微小地震群は、ただいまやや小康状態でございますが、とにかく例の冷川峠付近を中心にしました非常に大きな隆起の問題もございまして、その隆起は、最近の測量によりますとそれほど急速には進行していないようでございますが、こういった大きな地殻変動もございますので、まだ完全に、もう事は終わったということは言えないと思います。せんだって起こりましたマグニチュード五程度の地震、あの程度の地震はまだ起こるかもしれません。そのためには、なお観測を詳しくやって見詰めていきたいと思っています。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 さっき、まだ幾つか設置しないといけないとおっしゃった器械というのは、単価、ワンセットどのくらいかかるのですか。それが何台ぐらいあればいま言った、先生が考えて、まあほかの振動その他にじゃまされないでより的確につかみ得るという器械というのはワンセットどのくらいするものですか。
  73. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 そういう計画につきましては、地震予知連絡会でいろいろと検討を進めておりますが、いま私の考えを申し上げますと、大体あの地域に少なくも同じ型のひずみ計が五台、あとボアホール型の傾斜計を少なくも五台ぐらいと思っております。その価格につきましては、末広課長からお答えしていただきます。
  74. 末広重二

    ○末広説明員 ただいまお尋ねの器械の価格について御説明申し上げます。  しかとした数字でございませんので多少違うかもしれませんが、東海沖五点に埋めましたすべての費用、つまり東京まで全部電話回線を使ってテレメーターするのを入れまして、一億円と二億円の間だと記憶しております。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 地震予知のためには大した予算じゃないのですが、後でそれはお伺いします。  これは計画して発注がされますと一年ぐらいでできるものでしょうか。期間はどうなんですか。
  76. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 大体いま申し上げました程度の個数でございますと、約半年ぐらいかかると思います。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、また違った問題ですが、八月十六日から長野県木曽郡の三岳、王滝村にかけて震度一から二の有感地震があるほかに、毎日少ないときで百三十回、多いときで四百回ぐらいの微震がずっと続いていたわけですね。これも観測をされていると思うのですが、これはおさまったと見てよろしいのでしょうか、何かほかに群発地震の、前に松代におけるがごとき何かの理由があって相当長期に続くものなのか、もうこれで終わりになるというふうに見てよろしいのか、その点はいかがでしょうか。
  78. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  お尋ねの長野県木曽郡の三岳村及びその付近に起こっている地震でございますが、これは八月十六日ごろから地鳴りを伴う地震が発生いたしました。しかし、その後、八月二十二日ごろに活動の頂点がございまして、そのときにはこの付近で一日に有感地震が、体に感ずる地震が十四回ほど発生したわけでございます。その後は一進一退を繰り返しておりましたが、全体の傾向といたしましては次第に減少をしてきたわけでございます。ところが九月二十一日に、この震央付近で震度三という地震が発生いたしまして、住民の方、大変びっくりなすったわけでございます。しかしまた、それを第二の頂点といたしまして、次第に地震は静まる方向にいま向かっております。この十一日現在では、一日に一回ある日があったりあるいは全然ない日があるといった程度まで活動は鎮静化しているわけでございます。  私どもは、松代に非常に感度の高い地震計が据えてございまして、これがこの地震の監視に非常に役立っておりますが、一方、微小地震の観測は大学が受け持っておられますが、この付近は名古屋大学の理学部が現地で現在も特別観測を続行しておられまして、すべてこういったデータは毎日のように交換して現地を見張っているわけでございます。  今後どうなるかということは、この地方では過去に群発地震が起きた例がございませんので、過去の例から現在の活動を類推することはいたしかねるわけでございますが、現状といたしましては次第に静まる方向へ向かっております。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、再度東海地震と言われるものについてお伺いをしておきたいのです。  何か、石橋先生の発表に対しまして予知連絡会としても相当、まあまあ内容のある発表だ、したがって、いままでの遠州灘ばかりではなくて駿河湾も観測地域に含めるという方向で検討していきたいというようなことを発表されたようですが、この点に対しての所見はいかがですか。
  80. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 地震予知連絡会といたしましては、まだ統一見解といいますか、そういう見解を発表いたしてはおりません。来る十一月二十九日に行われます地震予知連絡会の後のレクチュアでお話し申し上げることに正式にはなると思うのでございますが、しかし、東海地方はすでに予知連絡会ができましたときに特定地域にいたしましたし、それから昭和四十九年にはこの地方を観測強化地域といたしておりますので、連絡会自体もこの地域は前から重要視しておったわけでございます。  それで、ただいまこの東海地方の問題につきましては、連絡会の中に東海地域の部会を設けまして、浅田教授を部会長にいたしましてずっと検討を続けてきていただいておるわけでございます。やはりこの東海地方と申しますか、特に駿河湾周辺の地域につきましては、さらに観測の強化を進めていきたいという考えでございます。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 浅田教授が主任でおやりになることは非常に結構だと思うのですが、石橋助手は、いまのわが国の観測体制をもってしては、この駿河湾周辺でマグニチュード八クラスの、きょう起こってもおかしくないほど、とにかく不意打ちをされるだろう、これはもう必至である、こういうようなことを強くおっしゃっているのですが、この地震が起こり得るとしますと、いまの予知は時期に対して非常にむずかしいと言われていますが、これは連絡会なり末広先生でもいいのですが、やはりいま起きてもおかしくない、かといって三十年あるいは四十年先かもしれない、こういう発表を聞きますと、まあ大した金ではありませんが、予知連絡会創立以来約百億くらい、本年二十三億というような国民の税金を使いながら、まあまあそう小さい金じゃないのですが、知りたいという大衆の心理に対して、何とか災難を逃れたいという心理に対して、もうちょっとこたえるような言い方であらわすことができないものでしょうか。いま起きてもおかしくはないんだけれども、うっかりすると五十年先かもしれない。それでは予知的な技術が駆使されて何かを言ったことにならないんで、むしろ、そのことによる災害を未然に防ぐ、人命をとにかく尊重する、少しでも災害を軽微にするというたてまえから言うなら、少し早過ぎるかもしれないという、どこかにませを置いたお考えで、いつごろまでにはその危険がある、早ければいつごろ、大体この程度のものまでにはその危険があるんじゃないかというのを、事が地震ですから、一歩か二歩かさかのぼって、前へ前へ言っておく心境がこの予知という仕事からいって非常に大事なんじゃないかなと思うのですが、この点はいかがでしょうか。     〔八木委員長代理退席、委員長着席〕 きょう起きても不思議じゃないんだけれども、五十年先かもしれない。そんな言いっ放しな地震に関する発表というのは、どうも予知連絡会の存在、研究機関、学者の先生方の一生懸命におやりになっている答えにしては、少し迂遠どころか、かえって人心を惑わすというふうにすら私は思います。そのことをもうちょっと詰めてお話ができないかということが一つ。  もう一つは、前にも先生に申し上げたのですが、こういうことを発表する機関というのは責任を持って発表すべきじゃないか。学者がどこかで研究しました、学会で発表します、発表する前に、こういうのを発表する予定でございます。これも悪いとは言いません。悪いとは言いませんが、予知連絡会があって、国民というのはやはり予知連絡会の一言半句、一体地震に関していつ、どのような発表をするかというのを待っている。予知連絡会がたまたま物を言ったのは川崎のあの地震だけだ。それも後から、ラドンだ水位だという問題からいって、あれはどうも水位だけで見てもわからない、当分大丈夫だというように訂正をされるという実績があるだけだ。そしてあとは、学者なり研究機関が思い思いに発表するというようなことで、今度のことが悪いという意味じゃないのですが、早く一元化されるようにしないといけないのじゃないかということを前から申し上げているのですが、先生もそういう努力をするとおっしゃっていました。しかし、いまだにそういうことがない。しかも発表の内容は、せんじ詰めてみると、きょう起きてもおかしくない、六十年先かもしれない、こんな無責任な——学者先生あたりにすれば無責任じゃない、それが本当なんだからと言うのでしょうが、そういう発表の仕方よりもうちょっと何か工夫があってしかるべきではないか。第一の問題と絡んで、発表の仕方、発表するセンター、こういうものに対してもう一度お考えをお聞きしたい。
  82. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 いわゆる駿河湾地震の切迫度については、連絡会といたしましてはまだ何も発表しておりません。あす起こってもおかしくないというような言葉、これは大変かっこういい言葉らしくて、マスコミが競って取り上げたのでございます。おっしゃるとおり、あす起こるかもしれないし、あるいは三十年、五十年先かもしれない。これは全くそのとおりに違いないのでございますが、これは広い意味で一種の長期的な予報にはなるわけですが、予知としてあるいは予報として、どうも一番たちのよくない予報だと私は思います。というのは、ただいたずらに社会的な不安を起こすということで、長期的な防災計画を立てる上にはよろしいかもしれませんが、地震の予知の実用化ということを考えますと、どうしても長期的予報にもっと短期的な予報が伴わなければ何にもならない。  たとえば駿河湾地域に大きい地震が起こるおそれがあるということで、そのかわり、今後なおさらに切迫してきましたというような中期的あるいは短期的な予報をいたしますよということがあって、初めて長期的な予報が生きてくるのでございまして、ただある可能性があるという程度では、これは本当の実用ではない。益もあるかもしれませんが、同時にいろいろな害もある。人によっては予知公害だと言う人もおるくらいでございます。そのために、先ほど原先生のおっしゃったように、どうしてももう少し詰めて、起こる時期について何かを言わなければいけないわけでございますが、ただいま現状におきまして、現在の手持ちのデータでは、地震の切迫度につきましてはこれを判断する何物もないのでございまして、これを判断するためには、さらにいろいろな観測をあの地域で重点的に行っていかなければならない。そのためにはどういうことをやったらいいかということもいまいろいろと検討されておる次第でございまして、そういうわけで、現状ではどうも何も申し上げられませんが、やるだけのことをやらせていただけば、少し詰めたことが言えるようになると思っておるわけでございます。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 発表のセンターはどうです。
  84. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 例の駿河湾地震の起こる時期については連絡会が発表したわけではないのでございます。ただ、ああいう研究、特に石橋君は駿河湾、東海地震について非常に熱心に研究しておられる研究者の一人でございまして、こういう人が学会で自由に発表し、また、学会の場において自由に討論されるということはどうしても必要でございます。これがいろいろ世間に漏れるということのために、そこで話をする方も発言を控え、また、質問をする方も発言を控えるということになりますと、学問の進歩を非常に阻害するわけでございますし、また言論の自由ということで、われわれ社会におきましてそういうものを控えろということはとうていできないのでございます。また一方、報道の自由ということがございまして、そのままそれがすぐ一般に流される、これもやむを得ないのでございますが、これから先今回のようなことが、川崎の場合もそうでございましたが、何回か続くうちに学者も、それから報道関係の方も、それから一般の国民もいろいろと少しずつ地震の知識をふやされまして、そのうちにはよくなっていくんじゃないかと、私は楽観しておるのでございます。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 途中でちょっと忘れたのでもう一つ、これは末広課長かどうか知らないがお伺いしておきます。  この間、山梨に地震が起きましたね。あればいま観測している遠州灘地震、あれとの関連があるのでしょうか、ないのでしょうか。
  86. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  山梨県東部でことし起こりました地震と、いま注目されております東海沖地震の発生の間に関係があるかないかという御質問だろうと思いますが、先ほども萩原先生が、伊豆半島における地震活動と、問題になっている東海地震との間に関係があるかないかは明らかでないというふうにおっしゃったわけでございまして、私もどうも同じような御説明をせざるを得ないわけであります。     〔委員長退席石野委員長代理退席〕 つまり、自然現象に関しまして関係がないということを言い切るのは大変むずかしゅうございまして、ある意味では不可能でございますが、現在のところ、積極的に関係があるといった説を支持するような観測事実もございませんし、現在のところは不明と申し上げるほかないと思います。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 それではまた本論に返るのですが、これは大臣にお伺いしておきたい。  いま言ったような石橋先生の発表も、言論の自由は確かに認めますし、なければいけませんし、それから学会での発表はもう当然やって、そこでディスカッスしてもらわなければいけないことですから、結構なんです。その前に発表されたところを私は問題にしている。去年も、おととしでしたか、一本化して発表すべきだと、このことを強く言っておいたのです。たとえば学会の討論の材料を提供するための発言は、これはもうぜひやらなければいけませんから、これはいい。その前に発表しようというときには、予知連絡会に協力をする、あるいは大学、研究所あるいはその他に関係する先生方が学会以外で発表しようというようなときには、予知連絡会に必ず相談をしてから発表をするというくらいなことを、何とかいますぐやれる方式として考えていただかないと、先ほどからお聞きになってわかるでしょうが、きょう起きてもおかしくない、六十年後になるかもしれないというような発表なんというものは、これは有害無益と言ってはおかしいのだけれども、とにかくもう少し考えなければいけない。萩原先生がおっしゃったように、何か工夫が必要だ。かといって萩原先生みたいに、あっちでもこっちでも発表したって、そのうちにだんだん学者先生も利口になって、経験を積んで、おさまるところへおさまるだろう、楽観してそう心配してないんだというような、こういう先生の御意見もちょっと困る。  したがって、いまできることは、行政機関としてやはり長官あたりがお考えいただいて、そういったことに対して何か学者の良識に訴えて、いま言ったように学会以外で発表するようなときには予知連絡会に必ず連絡をして、連絡会である程度フィルターに通した上で発表するというようなことぐらいの指導ができないと、いまそうでなくてもみんな地震地震で頭へきていますからね。私なんかだって地震で頭にきているんですから。一般大衆もそうなんで、ちょっと出すと、バリューがありますから、かえっていろいろ物議を醸すような問題も起きかねない。いたずらにパニック状態になることはないと思いますが、そんなこともなしとは言えない。したがって、何らかいまできること——各官庁の組織その他を改組してどうのこうのというようなことば後でまた申し上げますが、そういうことをやる前に、いま言った程度のことはおやりになってしかるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  88. 前田正男

    前田国務大臣 実はこの地震予知の問題について国民も大変心配しておられ、また国会でも重要な論議が、この前もありましたし、きょうも大変貴重な御質問がありまして、われわれ政府関係の者としては十分に対策考えなければならぬわけですけれども、私も、これを含めまして、防災、予報、情報の伝達、研究の推進あるいはまた実際の測量とかそういったものをいろいろと検討いたしました。いろいろと検討はしておるのですけれども、何といいますか、私の科学技術庁長官の立場というものは、地震予知研究推進連絡会議というのは事務次官が会長でおって、それの指導をするというふうな程度で、いまのままではいろいろなことを研究せい、研究せいと言うけれども、実はやりにくい立場なんです。しかし、そういうことを言っておりましても政府の責任を免れるわけではありませんから、私も長官でありますと同時に国務大臣でありますから、大臣という立場でひとつとにかくこれの対策については検討しなければいかぬというので、関係の各大臣の方にも私が検討するということについては一応了解は得てあるわけでございまして、その検討をしました結論を得てある程度私が発言権を持つということになりましたならば、さっきお話しのような——実はいまの学会の問題は文部省の問題でして、科学技術庁は文部関係をタッチしないことに一応なっておりますけれども、いろいろと検討した結果、私がある程度そういうことに関係してもいいという立場になりましたら、いまお話しのように情報の伝達の問題、予知の問題等は非常に重要な問題ですから、一応ひとつ話をしなければならぬのではないかと思っておるわけで、いまそういうことの考え方を取りまとめておるところでございますが、何分これは一日も早く結論を出したい、こう思っておるところで、各官庁とも相談中でございます。
  89. 原茂

    ○原(茂)委員 学会でも発表された石橋克彦先生ですら、ああいうアカデミックな学会で、単なる地震の予知じゃなくて防災にまで言及するほど、とにかくある意味では国民的な差し迫った感情の中にいま地震というものが位置づけられている。こんなときにどう考えたって、ここは文部省だ、これは建設省だ、これは科学技術庁だ、これは何だといって一々やっていたら、もう全然防災なんて進まない。予知も進まない。したがって、大臣が決意したように、そんなこと構いやしませんから、石橋さんに負けないように、思い切ってそのくらいの発言をして、閣議で取りまとめをさせるくらい熱意を持ってもらわないと、どこの大臣に言ってもいつでも同じように、これはあっちだ、これはあっちでございますとみんな逃げる。地震というのはいつ起きるかわからないのです。あした起きてもおかしくないというんですから、これは大変な問題なんですから、したがって、大臣がせっかくその発言をし始めた以上は、徹底的にこれが物になるまでやはり取りまとめの役目を国務大臣としてやっていただいた中から、さっきの萩原先生じゃないが、やがて時間がたてば落ちつくところへ落ちつくだろうという意味一つの組織もまたできてくるんじゃないかというふうにいま期待する以外に、ちょっとどこの省庁にも期待はできないわけですから、これは大臣せっかく就任早々なんですから、思い切ってひとつやっていただくようにお願いをしたい。  その中であと一つ、やはり発表するセンターがどこになったらいいのかということと一緒に、いま言ったむやみにということはありませんが、発表する前に予知連絡会なり何らかの機関に、ここの機関相談をしてからというくらいのことが指導できるように、ぜひひとつお願いをしたい。もう一度そういうことをやっていただきたいと思います。
  90. 前田正男

    前田国務大臣 この問題は、国会でも貴重な御意見を賜りまして、政府としては一日を争う問題だと私ども思っておるわけでございます。  そこで、いろいろと検討しておるのですけれども、いまのところ、私たち検討結論はまだ出ておりません。各省とも交渉中でございますけれども、予知の研究の推進、それから実際の測量をするということは大体一まとめにできるのではないだろうか、それから、予報とか情報の伝達とかそれに伴います防災対策、これはやはりそれと同じところではちょっとむずかしいんじゃないだろうかというふうにいま考えておりますけれども、それではその予報の仕方、伝達の仕方、防災対策の仕方についてもみんな各省ばらばらで意見がまとまらないというようなことになっておりますから、一応予知の推進のためのある程度のものをつくりまして、またそこで、ここはこの程度のことをやる、そのほかの——いまの学会での発表とかその他は自由ですから、これはまあいいのですけれども、ある程度権威のある話ということになれば、どういうふうに発表されていくのかということは、ある程度それに対する防災問題も裏づけたような関連したような形で発表しないことには、学問として自由におやりになること、これは学問の自由ですからいいのですけれども、国民に影響を与える問題については、やはりそれだけの関連した問題を考えてやらなければいかぬのではないか、こう思います。そういったようなことも実はいまみんなおのおの別々にやっておりまして、そういうことをまとめるところがありませんので、一応早急にとりあえず推進問題の何かの形をつくり上げまして、その推進問題のところから、またいまの予報だとか情報の伝達の方法を講じたらいいのではないか。それに、いまお話しのような予知連絡会、ある程度責任のある方はそこへ諮ってお話ししていただくというのがいいんじゃないかというような問題も含まれてくると思うのです。  それで、一応私がそういう調整案をつくるということは各省に了解を得ましたので、それを早く了解をしてくれということでいま交渉中でございまして、これはやはりお話のとおり一日を争うことだと思いますので、なるべく早く考え方をまとめまして政府としても対策を打ち出していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  91. 原茂

    ○原(茂)委員 後で順次申し上げていきますが、大臣のおっしゃるとおりにしてもらいたいのだが、関係各省とよく協議をしてこれからと、いつでも同じ答弁で、それで一体予知の進歩あるいはそれにタイアップした防災の実際の行政的な手当てができるか。私はもう余り長いから信用しないのです。なかなかできないのです。したがって、やってもらいたいことはお願いしておきますが、心情的には信用していない。何とかしなければいけないというたてまえから、いまできることから、こういうことをやっていかなければ困るのでしょうという防災の問題もこれから申し上げたいと思うのです。  長官には釈迦に説法でよけいなことのようですが、科学技術庁というのは、およそ科学技術に関する限り各省にわたっての調整を行うことが第一の任務だと思うのです。予知だって科学技術であります。それから、防災の中に科学技術がいかに必要か、これもまた自明なわけです。したがって、解釈をぴちっと整理していけば、科学技術庁が各省にまたがる地震に関係するあらゆる科学技術を調整、まとめる、その役目を負っているのだ、こういう自負を持っていいのじゃないかと思いますから、どうか余りへっぴり腰でなくて、ぜひ長官の言ったようなことをおやりいただきたい、こう思うのです。  それから、これは両先生どちらでもいいのですが、子供っぽいことを聞くのですが、もしマグニチュード八以上と言われる東海地震が起きたときには、東京は関東大震災のときに受けたような被害が起きるのだ、それ以下だ——それ以上かどうか知りませんが、現在の防災体制、行政の力、いろいろ組み合わされている組織を頭に描いて判断をしていただいて、起きるかもしれないというマグニチュード八といういわゆる東海大地震が起きたとしたときに、一体その被害は、地元はもちろん大変なことになるでしょうが、たとえばこの大東京も、関東大震災を想定したときに、あれ以下であり、あれ以上であり、あるいはどんなふうな状態になるのだろうということを、実際に予知をする先生として、そんなことを言えと言っても無理でしょうが、大ざっぱに考えて大変な被害になるのだよということになるのか、いや大したことない、こういうふうに考えていいのか、その点ずばりとお答えをいただきたい。
  92. 前田正男

    前田国務大臣 最初の問題の方は、従来必要性が叫ばれながらなかなか進んでおりませんでした点は御指摘のとおりでございますから、今度はある程度、私自身が乗り出して各省の大臣の了解を得て早急にまとめるということで、従来のようなことのないように促進するつもりでおりまして、すでに私自身としての原案はまとまっておるのですけれども、あと一応の手続を経まして、しかし余り時間がかかるようでしたら、−おっしゃるとおり事務的なことで、いままで私も国会に長くおりまして、事務検討とかなんとかといっておくれていきますから、時間切れになりましたら、時間切れに伴うようなことは大臣間で処理したい、こう思ってそういうことでいま折衝させて、ある程度時間を設定いたしまして、時間切れになれば大臣のところで取り上げる、こういうふうな行き方で問題は処理していかなければならぬ。そんな、いつまでも事務折衝で、事務の了解を待っているというふうな行き方でいきますと、いままでの例で何年かかるかわからぬ、あるいは遅々としてなかなか進まないということですから、時間を設定しましてその時間に間に合わなければ大臣間の折衝に移す、大体そういう方針でこの問題は一日も早く解決したい、こう思っておるわけでございます。  ただ、いろいろな問題がございますので、その内容は一挙に全部含めたというわけになかなかいかないと思いますけれども、しかし、先ほど申したとおり、おおむね二つのグループが考えられると思いまして、まずそのうちの第一グループからだけでも解決していこう。また、科学技術庁は各般の全部の問題、科学技術に関しては調整権を持っておりますけれども、しかし、実際の実務を担当するのは科学技術庁ではありません。しかし、そういうことも含めてやれるような体制はまず第一グループの方から片づけていきたい。その次の問題としてまたもう一つのグループの問題も解決していくというようにして、時間をかけないでやっていきたいと思っておるわけでございます。  それから、もう一つの地震の件については、参考人の方からお聞き願いたい。
  93. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 もし東海地震が起こったら、その被害想定でございますけれども、これは安政元年に起こりました東海地震が非常に参考になるわけでございますが、それによりますと東京は震度五、強震程度で済むと思います。大体箱根から東の方はそれほど大きくないと思います。
  94. 原茂

    ○原(茂)委員 そこでまた本論に入るのですが、もしいまの陣容における地震予知が進んで、ある程度東海地震なりその他の地震なり、いまは東海地震で結構ですが、予知らしい確信が持てるという観測ができたといったときには、そのことをどの機関で、だれがどういうふうに一般国民に流すようになるのか。大臣は必要があれば関係局長相談していただき、萩原先生なり末広先生からも、いまの機構でいまの状態でいったときに、東海地震に対してある程度予知が確信を持って発表できるという段階に来たときに、どこが一体正式に責任を持って発表するようになるのでしょうか。それができないうちは発表できませんなんということはあり得ないのですから、現在のままの機構でどこのだれがどういう方法で国民に知らせるようになるのか、それをひとつ御両人から。
  95. 前田正男

    前田国務大臣 その問題はさっきちょっと御説明しております第二番目のグループの問題じゃないかと実は私は思っておるわけでございます。これは御承知のとおり、災害対策基本法に中央防災会議というものがありますが、そこがやはり責任を持つべきものじゃないだろうか。  そこで、いま私たちまだ具体的な内容については検討しておりませんけれども、第一の仕分けされた予知とその観測という研究と実際の実務という実務のグループに対する一つ考え方をまとめまして、そこでまた次の、いまお話しのようにわかってきた場合にどういうふうに予報を出すか、あるいはその予報情報を伝達していくか、あるいはまた災害に対しましてはどういうふうな防災を講ずるか、あるいは災害時におきます情報の伝達をどうしたらいいかといういろいろな問題があると思いますけれども、そういうのはやはり防災会議の方が中心になってやるべきじゃないかと思いますけれども、これは実はおっしゃるとおりにまだなかなか十分に対策考えておりません。そこで、これはわれわれの方から一つ考え方がまとまりましたところでその問題も検討いたしまして提言をしていかなければならぬのじゃないか。任せておきますと、いつまでたっても動きませんから、やはりある程度提言はしていかなければならぬのじゃないか、そう思っておりますし、また、その中央防災会議には私も国務大臣として参加しておるようでございますから、それをひとつ動かしていくというふうにしなければならぬのじゃないか、こう思っておりますけれども、それらの問題はもう少し検討の余地がある。大体初めのグループの方はわりあいに検討の余地はありますけれども、考え方はまとまりやすいのですけれども、第二のグループの問題はいろいろと関連する問題が多いのでもう少し検討してからにしないといけないのじゃないか、こう思っております。  いずれにいたしましても、これもまた余り時間をかけることはできないと思いますので、初めに仕分けしましたグループを片づけましたら、続いて次のグループをやっていかなければならぬのじゃないかと私は考えておるところでございます。
  96. 原茂

    ○原(茂)委員 先生方にお答えいただく前にちょっと申し上げたいのだけれども、いま大臣がおっしゃるように、二つのグループのうちの第二のグループ、そういうものがある程度整備された上でというのはあした以後の問題なんです。私がいま言っているのは、仮定ですが、きょう、いま持っている設備その他の人員の中で東海大地震がいつごろ起きそうだ、来月起きそうだとわかったときに、先生方の良心としても、いま言ったように中央防災会議へいくかどうかもまだ決まっていない、そのルートがきちっとこれから大臣を中心に決められてから、それから発表するのだというのでは待てないと私は思うのですよ。待ってはいけないと思います。少なくともいまの日本の英知を集めた予知連絡会が、きょう東海大地震に対して半月後なり一カ月後に起きそうだと考えたときには、大臣の調整を待って、発表する機関が中央防災会議でだれだというのが決まるまで待っているわけにはいかない。待ってはいけないと思いますし、良心的にもそれは許されない。会長の萩原先生あるいは地震課長の末広先生が、現在の機構の中では一体どういう発表をどこがやるのがいいと一いまわかった、きょうわかったときに、それをグループが決まるまで発表しないなんてわけにいかないわけですから、いまの機構の中で、いまのお立場で、一体どこが発表すべきか、そして同時に、その発表したものをどういうふうに国民に知らせる手段を用いるべきなのか。その二つ目の方は大臣にお答えいただいたのですから、第一の方は、今度は大臣じゃなくて、大臣の言ったことを中心にその衝におられる予知連絡会の会長、それから地震課長の末広先生、こういう方々は、とにかく現在そういう職務におられていまわかったというときに一体どういうふうに発表なさいますか、これはいまわかったというときに発表してもらいたいのですから、その点をいまお聞きしている。
  97. 前田正男

    前田国務大臣 実はいま私の言葉がちょっと足りなかったようでございますけれども、そういうグループを将来考えました場合においても、現在ある予知連絡会とか測地学審議会とかこういうものは、いまおやりになっているとおりの権限でやっていただきます。それだから、自分たちの判断で——そういうグループに対する政府対策が進み、政府の権威あるものができて、そこで予報と同時に防災対策の発表をすることになっても、そういうこととは関係なしに現存の機関というものはそのまま残しておいて、従来同様に発言をしていただきたいと思うのです。これについては何ら制御を加えたくないと私は思っておるわけです。したがって、従来同様の活躍をしていただきたいし、いますぐにでもそういうことにお気づきになれば発表していただく。将来そういう政府的な、政府としての責任のあるものができましても、それは測地学審議会の立場で判断されて発表しようとか、予知連の立場で判断されて発表しようというのは、自由に従来の活動をそのままやっていただく。そういう従来の既存の活動を停止してこれにまとめるとかそういう気持ちは全然ないのです。従来のものは従来どおりでおやり願う。したがって、いまからも従来どおりに活動していただいて結構だと思います。それはちょっと私の言葉が足りませんでしたので、ひとつ……。
  98. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 ただいまのお話地震予知連絡会は御承知のように学問的判断をするだけでありまして、予報を行う権限は何もございません。また現在、地震の予報というものを業務等の中に入れているところは一つもございませんのは御承知のとおり。この地震予知計画は、本来の業務の形を崩さないで、各機関の協力ということで成り立っているのでございまして、したがって、本当の予報ということになるとどこが出してよいか、私は存じません。連絡会長としてはただ記者会見でこういうような事態であるということを述べて、それが予報の形で伝えられるかと思いますが、さらに警報に至りましては、現在地震警報の体制は全然ないと思っております。
  99. 原茂

    ○原(茂)委員 それは大臣いまお聞きのとおりで、先生ですら発表する権限を持ってないんだからどこが発表するのか知らないとおっしゃるのですよ。しかし、あしたに地震予知はわかるかもしれませんよ、そういうことだってあり得るのですから。半月後か一月後か知りませんけれども、わかったときにすぐ発表するのはどこだということすら決まっていない状態ですね。これはさっき大臣がおっしゃった、いわゆる新たな決意でやろうとおっしゃっていることができるまでは、自由にいままでどおりずっと予知連絡会も地震課も活動して結構でございます。従来のように物を言うときは言っていただいて結構でございます。結構なんです。結構だと言っているのに、発表するのはそんな権限はない、こういうことになりますと、国民は地震予知というものに期待はしているのですが、それが一体政府機関としてはどこがというのがびしっとわかって、そこの発表に全幅の信頼を置くということがまたパニックを防ぐ一因でもあるわけですから、当然これは早く整備しなければいけないわけですね。したがって、いま萩原先生はたまたま、いや事によるとと言って、途中でちょっと記者会見なんかして発表して、それが新聞社に伝わってずっといくかもしれないというお話で、それも確かに一つの伝達の方法でしょうが、発表の方法でしょうが、そのこともここがやるんだということを、これはきょうあすにも大臣から何とかして閣議でも発言をして決めていただかないと、さっきの中央防災会議だろう、こう大臣のおっしゃるのも確信があるかどうか知りませんが、あるなら予知連絡会がそういうことをキャッチしたときに、これはもう予知として発表すべきなんだといったときに、中央防災会議にすぐに伝達し、それから発表するようにというようなルートがぴしっと決まるように、現在のままでもぴしっとここが発表するんだということが決まるように、ぜひひとつこれだけは配慮していただきたいと思います。そうじゃないと、いまお聞きになったような状態で言うことは許されないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  100. 前田正男

    前田国務大臣 ぴしっと決まるようにしたいと思って、いま努力中なんでございますけれども、そこが決まるまでの間は、従来、まあ参考人の話もあったように、予知連絡会の会長がお話をされるとかあるいは学者が話をされるとかということは従来どおりだと思いますし、また、新しくそういう機関ができましても、そういう機関が発表しないからそれじゃおれも新聞記者会見でしゃべらないと、そういうことではなくて、それはそれで学者の、連絡会の立場とか測地学審議会の立場で、こういうことは新聞その他に発表していただいて私は差し支えないと思います。ただ政府が、いわゆる政府としての警報を発するということに対しては、やはり政府としての責任のある対策ということに関連して発表していかなければいかぬのじゃないか。これはやはりもう少しそういう対策について、どういう方法で発表していくかということを検討しなければいかぬのじゃないか。しかし、そういうことを検討して、そういうのができたら、それじゃいままで予知連絡会の会長が新聞記者にしゃべっておられたことをしゃべっちゃいかぬというのじゃありませんので、私は従来同様に、自分たちとしてこう思うということがおわかりになったら、すぐにでも新聞発表していただいて結構だと思いますし、また、たとえ将来そういう政府機関ができても、政府機関が発表しないからおれの方はしゃべらないということではなしに、予知連絡会として皆で相談して、これはひとつこう思うんだという結論が出たら、私は新聞記者に発表していただいて差し支えないと思います。ただ政府としての警告というか、さっきのお話の予報というか、そういうのはもう少し出し方を十分に検討しなければいかぬのじゃないかと思います。しかし、それもそんなに長いことかかっておっては役に立ちませんので、これはひとつ早急に結論を出していただきたい、こう思っておるわけでございます。
  101. 原茂

    ○原(茂)委員 まだちょっと、ぼくの言っていることとぴしっと合わないので附に落ちないところもあるんだけれども、時間がないから大臣のそういう決意どおりやっていただくのと、大臣がおっしゃったように、予知連絡会あるいは測地学審議会なりの発表すべきものは発表して構わないというのですから、いまのところは萩原先生あたりが予知をある程度までできたと考えたときには記者会見なりその他で発表していただく以外にないということなんですから、これは先生にぜひお願いしておきます。  そこで、途中になりますが少しお聞きしたいのは、前にもお伺いしたことがあります。現在、地震のおそれというのは相当ふくらんできているように素人は思うわけです。それで、ことし二十三億の予知関係の予算があったのですが、もう五十二年度の予算編成の時期が来ていますが、そうは言ったってすぐにはできそうもないからと言って遠慮なさらないで、またもう一度お伺いするのですが、いまの段階で、物価が上がったこの状況の中で、やはり来年、再来年、その次、三年ぐらいの見通しを立てて、この間にはどうしてもいまの東海地震の観測もあり何もあるから、これだけはやりたい。あそこの埼玉県ですか何か三千五百メートルのボーリングをして計器をつけたのを、あと二カ所どこかつけるようになったそうですか、そういうようなことも、あるいは三角測量の問題もあり、それからひずみ計の問題もあり、いろいろあるでしょうが、理想的にいま考えている予知のたてまえから言うなら、来年度、再来年度、その次、三年ぐらいにわたって予算をこのくらいもらいたい、このくらいの予算がなければどうも自分たちが思ったような観測ができない、もらい過ぎても取り過ぎても、実は器械のことですからすぐできるわけじゃない、それから先生がすぐ間に合うわけじゃない、したがってそういう人的な配置も考えた上で、それでも最大にこれだけは欲しいというものは、予知の理想的ないま考えている施設その他を含めて、予算としてはどのくらいのものが必要だとお考えになっているか。途中でこの点をお伺いしておきます。
  102. 前田正男

    前田国務大臣 それは、いままでも十分に予知連絡会なんかが検討されまして、その計画に基づいていままで予算要求されて、それでわれわれがそれに十分こたえて努力してきたわけですけれども、ただ、やはりいまの国会、世論の動き等から見まして、もっとスピードアップする必要があるのじゃないかということは確かにおっしゃるとおりなように思いまして、今度ひとつそういう研究と観測の実際を含めた推進体をつくるということになれば、少し計画を速めるようなことが必要じゃないかと私は思いますが、ただし、それはわれわれが政治的にやったって、実際に設備とか人員の関係とか、土地の入手とかいろいろな問題がありますので、実務に携わっておられる方たちお願いをして、可能な範囲の速度を速めるような計画を立てて、それはそれとしてひとつ重点——いままでの五十二年度の概算要求にはありませんけれども、やはり重点問題としてこれは政治的に解決してもらう必要があるのじゃないか、こう思っておるわけでございます。     〔石野委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 原茂

    ○原(茂)委員 ぼくは萩原先生にもお伺いしているのです。
  104. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 現在の地震予知研究計画の目標は測地学審議会の線に沿って進められておるわけでございますが、これは大体におきまして全部が着実に進んでいると申し上げてよいかと思います。ただ、この着実ということはスロー・バット・シュアーでございまして、大変ある項目で落とされたとか、そういうものはないわけでございますけれども、非常に進行がおそいのは実情でございまして、たとえば先ほどの井戸の話でございますけれども、岩槻であれだけの井戸をやりまして、成功して、いいとわかったら、やはり東京の重要性考えたらすぐあとの二本は本当はできたいわけですけれども、いろいろ予算の技術的な問題からなかなかそうはいかない。また、国土地理院の計画しております例の精密測地網、これは大変りっぱな計画でございまして、もうこれが軌道に乗れば私は地震の長期予報のめどがつくとさえ思っておるのでございますが、これがもう建議にかかりましたものより大幅におくれておる。これは一、二の例でございますが、どうしてこういうことが起こるかといいますと、これがなかなか現在の形が、その地震予知というものが、従来の業務の形を崩さないで協力ということでやっているということからきておりまして、なかなか国土地理院は国土地理院、象象庁は気象庁、本来のれっきとした業務があるわけですね。そこへもっていって地震予知だけさっと伸ばすということはなかなかできにくいわけです。そういう非常に大きな隘路がある。こういう点をどういうふうにして打開していただくかということ、これは私どもにはわからないのでございますが、行政官の方々にいろいろ検討していただきたいと思っている次第でございます。
  105. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは時間の関係で、防災の問題は後に譲りますが、予知の問題でもう一つお伺いしたいのは、地震予知をなさる場合、記者会見で発表するのでも、たとえば東海大地震がいまうわさされていますが、どの程度だったら予知——たとえば震度四、震度五、マグニチュード五あるいはマグニチュード六とかいうようなものが起きそうだと思ったときに、予知連絡会としては何とかこれを発表したいと思うのか、その限界というものは何かあるのでしょうか。時期に関してはなかなかいまおっしゃったようにまだむずかしいとしましても、それはやがておわかりになるでしょうから、前回には、現在の予算の進行の程度からいってあと五年たったら予知は可能じゃないかと言っておととし萩原先生からここでお聞きして、あと五年かというので大体あと三年になってきたからずいぶん楽しみにしているのですが、これが一体時期は、まだ東海地震の場合でも発表できない、わからないにしても、どのぐらいの大きさの地震というようなものが、ある程度先にわかった、時期はまだわからない、起きればこのくらいだといったようなときには、東海であろうがどこであろうが、その大きさに応じて予知連絡会としては発表すべきものとして発表するのか、この点をひとつちょっとお伺いしておきたい。時期が一番大事なんですが、時期はどうもすぐ定かにわからないんだが、大きさはこのくらいの大きさだという以上のものは——一応いままで観測強化区域にした、そのときに発表された区域をこのように保護設定するというようなことの前提として発表するかどうか知りませんが、そういう何かめどがあるのかどうか、それが一つです。それは大きさです。  それから時期についても、一年ぐらいの間に、あるいは二年ぐらいの間に起きそうだというようなことになったときには発表なさいますか。そういう程度の時期の発表はなさいますか、時期とその大きさについて。
  106. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 現在の進めております地震予知研究計画では、一応マグニチュード七を対象にいたしましてその予知の実用化ができるように努めるということになっておりますが、やはりマグニチュード七といいますと、大体十年に一回ぐらいでございますから、さらに多少の被害を伴いますマグニチュード六程度も一応できればやるということで進めておりますので、とにかく七だけは何とか逃さないでやる、六は当分の間は取りこぼしもあるかもしれないけれども、とにかくできるだけやるというような気構えでやっております。  ただ、現在どの場所でどのぐらいの大きさの地震が起こる可能性があるかということについては、もうかなりはっきりと申し上げることができると思います。ただ、問題はいつなんでございます。いつは、先ほどおっしゃったようにまず二、三年ということで、これは長期的な予報と申しますか、それをまずとらえるということ、そうしますれば、そこにあらゆる種類の観測を集中していくことができますので、そこで、もっと身近に差し迫った予報も成功するんではないか、そう思っております。ただ、どういう現象をとらえたら短期的な予報ができるか、これはケース・バイ・ケースで非常に違ってくるし、また、あるものは非常にはっきりした前兆が出る場合もあるわけでございまして、場合場合で違いますので、いろいろな種類のことをここで試みるということをやろうといたしておるわけでございます。
  107. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、あと南硫黄島沖の問題を、海上保安庁来ているでしょうね、最後にお聞きする前に、もう一つ、これは大臣も、萩原先生も、末広先生もちょっとお答えいただきたいのですが、私は私なりに、いま地震が起きたらこうしようということを考えているのです、命が惜しいですから。いま大きな地震が起きたときに、大臣それから先生方はどうしようとお考えですか、ただ逃げるのですか、どういうことをしようと考えていますか、もしいま大きな地震があったら。私は私なりに考えていますよ、参考に言ったら答案じゃないけれどもだめになりますから言いません。おっかないから考えていますが、ここにいる皆さん考えているような顔をしているけれども、案外、本当にでかい地震が起きたら、女房から子供からああしてこうしてなんということを考えている人と考えない人と、自分だけしゃにむに逃げちゃおうと思ったり、いや、ないだろうと思って全然安心してそんなことを考えていない人がある。少なくとも地震を真剣に予知なりその他対策考えようというときには、まず自分自身が地震があったときにどうするか——参考までに後で言えと言えば言いますけれども、というようなことがなければいけないのですが、どうでしょうか。大臣も、大家の萩原先生も末広先生も、いま地震がでかいのが起きたらどういうふうにしようということになるのでしょうか、それをひとつ。
  108. 前田正男

    前田国務大臣 政府ですから、政府としては至急に対策……(原(茂)委員「いや、個人のことを聞いている」と呼ぶ)個人もやっぱり現在大臣の責任を負っておりますから、至急に対策本部を立てるとか情報を掌握するとか、そういうことに私個人としては主に努力しなければならぬ、こう思っております。
  109. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 私は、この場所を動きませんで、まず上を見ます、上から何か落ちてこないかと。額とかこういうものが落ちてきますから、そういうものをよけるだけでこの場所は安全でございますから、この場所に座って、とまるまで待っております。
  110. 末広重二

    ○末広説明員 大地震の場合に何か被害が生じるといたしますと、最初の一分ということでございますから、最初の一分間私は身の危険を避けるべく努力いたしまして、その後はあらゆる努力をして、気象庁地震課に駆けつけることに努力いたします。
  111. 原茂

    ○原(茂)委員 どうもありがとうございました。きょうは予知を中心においでいただいた参考人あるいは先生方にはお礼を申し上げます。防災に関してはまた日を改めます。  最後に、南硫黄島沖の海底の隆起についてお調べになっている海上保安庁、どなたか来ていますね。あれが一番最初には、何か三十メートルくらいの浅瀬みたいなものができていたのが、だんだん日がたったらどうしたのか、海底噴火があってつぶれたのかどうか知らぬが、最近では三百メートルの水深までぐうっと引っ込んできているというようなことまでは発見した。後、観測をおやりになっているし、民間にも協力を呼びかけていると言っていますが、この顔を出して島になりそうな状況なんでしょうか。それが一つ。それからもう一つは、海底における地震が起きて水深が非常に高くなってまいりましたが、これが崩れる心配がありそうなのか。それから三つ目には、これが頭を出したときに領有宣言を早くしなければ、アメリカもひそかに観測しているそうですから、日本の領有になるのかアメリカの領有になるかで、漁場としても非常にかっこうな漁場のようですかち、そこを中心に二百海里を主張できるできないというのは大変な違いになってきますから、したがって、頭を出した瞬間に領有宣言を日本がするしないでもって何か領土権が違ってくるんだというのですが、このことも考えていて観測をされているのかどうか。それだけ伺います。
  112. 杉浦邦朗

    ○杉浦説明員 お答えいたします。  現在、海上保安庁が調査いたしました南硫黄島南方の海底火山でございますが、これが将来浅くなって島になるかという御質問が第一かと思いますが、これにつきましては、何せ地震と同じように、火山の問題も科学的、技術的になかなかむずかしい問題がございますし、場所が非常に南方ということもございまして、現在の段階では、それを予知、予告するということは非常に困難でございます。  それから、現状について先生がおっしゃっているように、海底が隆起したりあるいは引っ込んでいったりといったようなことをどうも繰り返しているようでございますが、これも先ほど私が申し上げましたように、火山活動の一環としてそういう動きが確かにこれまで、主として漁船の報告でございますけれども、あったわけでございます。そういう火山活動の一環というようなことで、一つの自然現象と考える以外の正確な知識の持ち合わせば特にございません。  したがって、現在その海面に顔を出すか、いわゆる新しい島ができるかという問題は、先ほど申し上げたとおりでございますが、さて顔を出した、その領有宣言という問題につきましては、海上保安庁が特に所管する事項とも考えられませんので、これについては私の方からはお答えできにくい問題だと思います。
  113. 原茂

    ○原(茂)委員 これで終わりますが、海上保安庁は、やはり領有権が日本に帰属するかどうかは非常に重要な問題なんで、笑いながら言っているけれども。したがって、お答えしにくいなんて、そんなことは国民の常識でわかっていなければいけないのですから、顔を出した瞬間に領有宣言ができるかできないかということも含めて、外務省とも打ち合わせた上で、この点もやはり相当の目標としてやっていただくようにお願いをして終わります。
  114. 中村重光

  115. 山原健二郎

    ○山原委員 私の質問は二つです。  一つは、多目的ダムのダムの操作につきまして質問をいたします。去る台風十七号の際に、多目的ダムである高知県本山町と土佐町にまたがる早明浦ダム、この例を挙げて申し上げたいと思うのです。  このダムの異常放流によりまして非常に大きな災害が起こりました。きょうも、下流の大豊町の町長、議長などの陳情もあったわけですが、この異常放流の原因となっておりますのが、ダムに対する流入量が非常に多かったという説明があるわけです。九月の十二日午後十九時三十分ごろの放流が、毎秒三千五百トンというのが六時間にわたってなされたわけです。このダムの最大の放流量は毎秒二千トンと決められておりますから、千五百トンもオーバーした水が六時間にわたって放流されたわけですが、そこで地域の住民あるいは市町村におきまして非常に疑惑が起こっているのです。これは建設省からいただいた資料です。ここへ私は持ってきておりますが、一つは私が建設省に要請をしまして、いただきましたグラフがあります。このグラフの中に毎秒四千七百六十二トンの水が流入をしてきたという数字が出てくるわけです。これがグラフです。ところが、その後建設省からいただきました出水記録、それからごく最近いただきましたところのダム操作によりますコンピューターから流れてきますテレタイプ、これであります、定時データという。これも建設省からいただいたのですが、この中にはどこを探しましても四千七百六十二トンという水の流入という数字が出てこないわけですね。どうしてこの四千七百六十二トンという数字を発表されたのか、最初に伺っておきたいのです。
  116. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  四千七百六十二トンは、差し上げましたハイドログラフの中に記入されておるわけでございますが、これは十七時三十分の直前の八分間のデータに基づきまして流入量を逆算したものでございます。また、コンピューターのデータでございますが、これは毎正時と中間の三十分という定刻にそれぞれ打ち出しますデータでございまして、ピーク値を必ずしもとらえておりませんので、そういった補完的な観測データに基づくものをピーク値として表現をしたわけでございます。  なお、出水記録と申します点につきましては、私の方へは公団から直接の報告が参っておりませんので、ちょっと事情を承知いたしかねます。
  117. 山原健二郎

    ○山原委員 では、出水記録の方はのけまして、私のいただきましたこのグラフとそれから先般いただきましたところのコンピューターによるデータ、これに基づいて質問をいたしますけれども、最初水資源公団は、地域の町長に対しては、五分間の記録だった、こう言うのですね。その平均値だと、こう言うのです。ところが、この間の災害対策委員会であなたの方から八分間になったわけですね。ところが、こういうグラフをつくる場合に、八分間などという点が出てくるはずないわけですね。グラフというのは一体どうしてつくるのですか。中学生がグラフをつくる場合だって、この八分間のものの一点、たとえば瞬間的に何時何分何秒にここに流入量四千七百六十二トンというならわかりますけれども、八分間も続いたもののグラフというのに、こういう点が一体どうして出てくるか。私たち子供に教える場合に、グラフをつくる場合は点ですね。八分間の点というのは、一体−八分間のこれは平均値ですか。
  118. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 八分間の平均値を八分間の最後の時刻にプロットしてございます。
  119. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、コンピューターは三十分置きに計算を出しているわけですが、この時期だけ、この八分間だけは、たとえばコンピューターに操作をして一分間ずつの計数を出させたんでしょうか。
  120. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  コンピューターのデータは毎正時に打ち出しております。先ほど補完いたしました四千七百六十二トンというのは、手計算で正確を期したものでございます。
  121. 山原健二郎

    ○山原委員 他の数字はコンピューターによって出ておりますけれども、したがって、三十分の計算で資料として綿密な資料が出ておるわけですが、このときだけ手計算でやって四千七百六十二トンが出たというのは、いま私初めて聞くわけです。あとはコンピューターで出しておいて、コンピューターですからこれは数字をいまゆがめることはできませんが、このグラフに対して疑問が出てきて大問題になっている。学者の間でも大騒ぎになって、一体どうしてこの数字がどこから出てきたのかというと、いま初めて手計算だという。じゃ、どうでしょうか、一分間ごとに手計算というのは、手計算というのをちょっと説明してください。そして、その八分間の手計算の数字についてのデータを出していただきたいと思います。
  122. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 流入量の計算でございますが、これはいわゆる貯水池の水位の変化状況と、それからその間に貯水池から放流いたしました量を用いまして逆算をいたすわけでございます。この八分間のデータと申しますのは、その八分の前と後ろに水位のデータがございまして、それで貯水量の変わり方がわかります。また、八分間の前と後ろでゲートの開度がわかりますので、そこで放流をいたしておる量がわかるわけでございます。それらを平均いたしまして、流入量を逆算した、こういうことになっておるわけでございます。
  123. 山原健二郎

    ○山原委員 その資料は出していただけますか。非常に重要なポイントになっておりまして、いま県を挙げて、この数字についてのここのところを解明しなければダム操作規程についての今後のいろいろな検討にも入れないというところまで重大な問題になっているわけですが、少なくともここは科学技術委員会ですからね、かなり科学的な分析が必要だと思いますので、まずその資料を出していただけますでしょうか。
  124. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 先般、先生の御要求で差し上げました資料には、定刻の観測データと補完の観測データと二つ差し上げてございます。その補完データというところに、その計算並びに観測値が入っておるわけでございます。
  125. 山原健二郎

    ○山原委員 補足データですけれども、ここへもらっておりますが、たとえば計算式が書かれておりますが、まず第一番に水位、容量曲線、これはございますね。水位、容量曲線、これは出していただけますか。
  126. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 提出いたします。
  127. 山原健二郎

    ○山原委員 その水位、容量曲線というのは信憑性があるのでしょうか。信憑性といいますか、信頼度の高いものでしょうか。
  128. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 操作の基礎データとなっておるものでございますので、当然そのように心得ております。
  129. 山原健二郎

    ○山原委員 この水位は、九月十二日十九時二十二分、貯水位が三百四十二・〇一という数字です。それから貯水量がそれで計算されて二億八千百七十四万一千トンという数字が出ているわけですが、この水位と容量の関係、これはお聞きしますと、何でも上の方から写真で写して五メートルごとの面積を求めて点が打たれていって、そこで曲線ができる。その際に一割の誤差が出るというのですね。そういうことを聞くのですが、そういう誤差は出ないのですか。
  130. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 一割という数字が適正かどうかちょっとただいまのところ御返答いたしかねますが、誤差が全然ないかと言われますと、これは全然ないとも言えない点があろうかと思いますが、ダムができましてからいろいろ、日々その水位変動もさせながらダムを運営いたしておりますので、それなりにチェックを重ねる期間があったというような意味で比較的誤差は少ないものであろう、こういうふうに心得ます。
  131. 山原健二郎

    ○山原委員 水位の場合、私はこのコンピューターから出ておる数字を間違いだなどと言っているのじゃないのです。これはちょうどあのダムの大薮地区のところで水位計算がなされておりますから、大体ダムサイトまで来るのには約一時間かかると思っているのですね。そうすると、この中に出てきます四千二百何がしというトン数はちょうど一時間後に流入量として出てきておりますから、この数字は正しいと思っておるのです。しかしながら、この十九時三十分の段階でどうしてもわからないのは、四千七百六十二トンという数字をぽかっと出してきたということですね。しかもそれには多少の誤差がある、ちょうど湖水の面は波その他で動きもあるわけでございますし、そういう点から見ますと、本当に少数点まで綿密な数字が出て計算をされまして、そして四千七百六十二・四トンという流入量が割り出されているわけですね。  そうしますと、まず第一番に、何で八分間だけをつかまえたのかという疑問もあるわけです。コンピューターは三十分ごとに計算しておるのに何で八分間だけ出して、そして誤差も考えられるこの計算式が出てきまして、そしてそれが小数点までの数字が出てくる、そしていかにもこれが非常に正確なものであるかのような計算の仕方になって、私はこれを見たときに、これだけ小数点まで出てくるものなら四千七百六十二トンというのは全く間違いのない数字だろうと思いながら、考えてみますと、何で八分が出てきたか。わざわざあのダムの計画量を四千七百トンに近づけるためにこういう計算がなされたのじゃないか。それからもう一つは、五百トン、流入量の上積みをしているのじゃないか。実際はあのときの四千二百トンが正確であって、あの時期に五百トン上積みをして建設省、水資源公団が発表したのじゃないかという疑問すら生じてきたわけであります。何で八分間をとられたのかということがまず一つの疑問点ですね。  それから、誤差があるのに何でこんな数字が出てくるのか。一割とはおっしゃらなかったけれども、私は建設省の方にお聞きしますと、まあ、それは時にもよると思います、条件にもよると思いますが、一割近い誤差が出るときがあるのだと。恐らく私は、それはこの場合でなくて一般的に言われておると思うのですけれども、そういう誤差はあると思うのですね。それにもかかわらず四千七百トンという、新聞にも全部発表したものですから、ああ、それほどの流入量があったのかということで皆驚いたわけですね。けれども、よくよく見ると、ほかのところには数字が出てこないものですから、これはもう幻の数字だということになってしまっておるわけです。学者の方たちも、この建設省の計算を見てもどうしてもわからぬ。私、見せたのです。高知大学の先生方にも見せました。こんなばかな数字が出てくるはずはない、こう言うわけですね。  この点について、何で八分間をとったのかということと、しかも、この四千七百六十二・四というものは全く堅牢な計算に基づいた誤りのないものであるかどうか、この点を伺っておきたいのです。
  132. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 まず最初に、建設省の計算というお言葉がございましたが、これは水資源開発公団の計算でございます。  それから八分間の話でございますが、これはやはり降雨時のピークがだんだん近づいてまいりますと、いろいろな意味で操作にも非常に重要な時期でございます。コンピューターの三十分間の打ち出しだけのデータをもとに操作をやっておるわけではございませんので、コンピューターの印字はともかくといたしまして、いわゆる操作台とか、それをテレメーターで持ってまいりました総合管理所であるとか、そういうところでは時々刻々の水位を読み取ることができるわけでございます。それで五分とか三分とか、そういうことではなしに、たまたまピークの前八分間、八分前に一つのデータがあり、三十分という正時に一つのデータがあった、それで八分間の平均をしたわけでございます。これは八分がよかったか、十分がよかったか、五分がよかったかということは、翻って見ると、いろんな見方はあると思います。ただし、八分前のデータしかたまたま読み取って記録に残っているものがなかったという意味で、八分間のデータをもとに計算をいたしたわけでございます。  なお、四千七百六十二・四、コンマ以下、こういう数字が正しいのかという御質問でございます。これはたまたま基礎データを用いまして計算するときに、小数点以下をはじいたという意味でございまして、小数点以下が正しいかと言われますと、何分にもああいった天然自然の大きな池の中の話でございますので、小数点以下の精度については、正直申しまして自信はございません。
  133. 山原健二郎

    ○山原委員 その八分間ですね、これは重要な時期だと言われるのですけれども、水資源公団の発表によりますと、もともとそういう第三回目のピークが予想できなかったので予備放流を差し控えた。事実、差し控えておるどころではなくて、洪水警報、暴風雨警報が出ておる一番重要な時期に放流量を一番下げているわけですね。そこへ第二波、第三波が押し寄せてきてこういう事態を招いているわけでして、最初は予測してない時期なんですね。しかも、私のいただいたこのグラフというのは、説明もなしにばんと四千七百という数字を出してきておるものですから、これが八分間なんというと私にはわかりゃしません。全く八分間だけどうしてとらえたのか。八分間なら八分間の横の点線が出てきて、そのときは三千八百であった、三千七百であった、そうしてこの間の平均値が四千七百というならわかりますけれども、全然出てこないところにここだけぽかっと数字が出てきて、ほかのところは大体合っているわけですよ。ここの一番高い山だけをぽんと打ち出してきたこのやり方、これは非常に政治的なやり方じゃないかと私はいまだに疑問を持っています。これは手計算の資料、それからこの容量曲線が出てまいりましたら、改めてこの問題について、正確を期す意味で私の方からもまた質問をいたしたい、こう考えています。  次に、CTSの問題について質問をいたします。  まず第一番に、海上保安庁が十月九日に発表されました日本近海の廃油による汚染状況、これは新聞で拝見しましたし、また、本日も海上保安庁の方からお聞きをしたわけでありますが、これは沖繩、鹿児島、四国沖を初めとしまして相当の汚染が進行しておるということが出ているわけでございます。  これにつきまして、今後の監視体制をどうするのか、あるいはいままでこの廃油につきまして検挙検束した件数はどれくらいあるか、そしてその船籍はどこの国の船であるのか、これを最初に伺っておきたいのです。
  134. 佐藤弘毅

    佐藤説明員 お答えいたします。  廃油ボールの発生源あるいは生成原因につきましては、主として、わが国の各港に出入いたします外航タンカーがわが国の周辺海域から南シナ海に至ります間に投棄いたしますバラスト水あるいはタンククリーニング水、こういったものの中に含まれております油が黒潮に乗って北上してまいります間に次第に凝固しまして漂流、漂着するということがほぼ解明されておるわけでございます。このような汚染状況に対しまして、海上保安庁といたしましては、タンカーを中心といたします航行船舶につきまして、厳重な監視、取り締まりを実施しておるわけでございます。  具体的な中身を申し上げますと、航空機とか巡視船艇によります連携監視と言っておりますが、航空機で監視をし、違反船を発見した場合には、巡視船艇に連絡をしまして巡視船艇が現場に赴くという、航空機それから巡視船艇によります連携監視をとっております。またタンカーにつきましては、タンカーの立入調査あるいは立入検査ということも実施しております。なお、夜間の不法排出ということの摘発のために、夜間監視装置を装備いたしまして、汚染多発海域の監視を夜間においては行っておるということでございます。  このほか機会あるごとに、船舶乗組員あるいは関係者に対しまして、海洋汚染防止に関します指導を実施するよう、遵法精神につきまして指導を行っておるわけでございます。今後ともこの監視、取り締まりを強化していくことにしたいというふうに思っておるわけでございまして、特に依然として高い汚染状況にあります本州の南岸あるいは南西諸島、これらの海域につきましては、タンカールートの監視、取り締まりを一層強化することにいたしまして、関係者に対しまして汚染防止の指導をさらに進めることにいたしたいと思っておるわけでございます。  なお、この廃油ボールの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、本邦の周辺海域から南シナ海に至る間に投棄されるというものが相当多いというふうに考えられますので、これらの対策につきましては、国際的な協力体制というものが必要であろうというふうに思っておるわけでございますけれども、最近IGOSS方式というものが制定されまして、これはユネスコの一機関でございますIOC、これは政府間海洋学委員会というふうに訳しておりますけれども、これが全世界海洋観測システムというものをやることになったわけでございます。その一環といたしまして、油によります海洋汚染を全世界的な規模で把握するためにあるいは監視するために、パイロットプロジェクトというものを策定いたしまして、それで調査を行うということになったわけでございまして、海上保安庁といたしましても、五十年の六月からこの方式によります調査方法を採用いたしまして調査をいたしているという段階でございます。  このように、国際的にも廃油ボールの問題につきましては大きな環境問題として扱われるようになってきておりまして、これらの実態調査の結果を踏まえた国際的な対策の推進が望まれると思っておるわけでございます。  それから、違反の件数、摘発件数と申しましょうか、その数字を申し上げますと、油の排出事犯の検挙状況でございますけれども、昭和五十年の数字を申し上げますと、合計で七百二十隻の検挙を行っております。この内訳といたしましては、日本船舶が五百十一隻、全体の七一%でございます。それから外国船舶につきましては二百九隻、これは全体の二九%でございます。なお、この外国船舶の内訳を申し上げますと、パナマ、これが一番高うございまして四十九隻、それからリベリアが四十一隻、韓国が二十二隻、イギリスが二十一隻、ギリシアが十三隻、ノルウェーが十五隻、台湾が四隻、そのような状況になっておるわけでございます。その他もございますけれども……。
  135. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありませんので、便宜置籍船の問題等を含めまして、たとえばリベリア、パナマの場合は三海里以上で投棄しておる場合には検束はできないんでしょう。
  136. 佐藤弘毅

    佐藤説明員 わが国の国内法令でございます海洋汚染防止法の適用につきましては、外国船舶につきましては領海内につきまして適用されるということになっております。したがいまして、現在検挙いたしておりますのは、いわゆる三海里以内の海域におきます違反というものにつきまして検挙を行っておるという状況でございます。
  137. 山原健二郎

    ○山原委員 黒潮は三海里以上のところに流れておると思います。そして、そこで捨てられた廃油が黒潮に乗ってずっと紀伊半島あるいは伊豆半島の方へ行っておりますから、保安庁の発表によりましても、もう汚染のルートははっきりしているわけですね。そういう意味で、きょうは時間がありませんけれども、もう太平洋岸が汚染されておるということは明らかな事実であります。そして、これが漁業に対する影響も非常に大きくなっているわけです。  この問題を含めながら、現在、石油備蓄基地立地問題検討委員会というのがあるわけですが、これは通産省にお聞きしたいのですけれども、この立地問題検討委員会の構成メンバーを見ますと、これにはほとんど消防庁とか海上保安庁とか環境庁というものは入っておりません。まさに開発を中心とした組織であると思うのですが、この中に鹿児島県の企画部長、高知県の企画部長、それから八戸市の助役が入っておるわけであります。鹿児島県は志布志湾、それから八戸はむつ小川原、そして高知は宿毛CTS問題こういう一番問題になっているところの地方からはこの三名だけが任命をされているわけですが、これはどういう意味でしょうか。
  138. 田口健次郎

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  立地検討委員会でございますけれども、これは九十日備蓄を推進していく上で解決すべき、まあいろいろな問題がございますが、特に資金問題とか立地問題等が特に大きな問題ではないかと思われますが、その中で立地問題に焦点をしぼりまして、その現状と問題点を明らかにする、適正な石油貯蔵施設の立地を円滑に進める、その上での共通的な対策検討するということを目的として設置したものでございます。共通的な横割りの対策ということで、したがって、実は個別の立地点に着目した議論を行う目的もございませんでしたし、いままでのところ、個別立地点の議論をしていないわけでございます。  そういったことでつくったわけでございますけれども、先生御指摘の、特に地方関係の三委員の方でございますけれども、確かに高知の県の企画部長が入っておられますけれども、これにつきましては、私どもの方といたしましても、関心をお持ちになっておられる地方自治体の方々にぜひ御参加を願いたいというふうにかねがね思っておったわけでございますけれども、高知につきましては、国の備蓄政策というものも中央でちょっと聞いてみたいという御趣旨のお話があったかと伺っております。そういったことで、個別のCTS云々ということを前提としないで、喜んで入っていただこうということでございます。  それから鹿児島県につきましては、鹿児島県といたしまして石油備蓄基地についての構想もお持ちのようでございます。かねがねそういったお話を私ども伺ってございましたので、ぜひ入っていただくようにお願いした。  それから八戸につきましては、石油備蓄ということと一応切り離して、一般の立地問題について御経験を持っておられるというふうに考えまして、入っていただいたわけでございます。
  139. 山原健二郎

    ○山原委員 この検討委員会は、この立地問題について専門的な人を集める、こう書かれているわけなのですけれども、高知県の企画部長のごとき者が、専門家でも何でもありません。しかも、国の備蓄政策を聞きたいというんだったら、何もこんな重要な委員会へ入らなくたって、それは聞けることは幾らでも聞けるわけですよね。それは全く言い逃れで、しかも高知県は、県知事の発言としては、原油基地は断念するということを発表されているのが現在の事態です。そういう状態の中でこういう検討委員会に対して、恐らく通産省からの呼びかけがあったのではないかと私は思いますけれども、こういうメンバーに正式に入っておるということが一つの大変不思議なことであります。  もう一つ、これは会計検査院の方にお伺いをしたいのですが、石油備蓄施設安全対策調査補助金制度というのが今回確立されまして、一カ所について五千万円、十カ所で五億円という予算の創設がなされております。この金額は四億二千万というふうに少し減っておるようでありますけれども、いずれにしてもこういう調査補助金が出るわけでございますが、これは原油基地に伴う調査ではないでしょうか。あるいは他産業の立地条件を検討するというようなものも含めたところの調査費としてお考えになっておるかどうか。たとえば、これが実施された暁に会計検査院が会計検査をする場合に、その辺はどういう立場で検査をされるのか、まず伺っておきたいのです。
  140. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 ただいま先生の御指摘の補助金でございますが、五十年度の予算が繰り越しになりましてまだ支出になっておりませんが、この補助金につきましては、もちろんこの補助金の目的が備蓄基地の安全対策調査に要する経費であるということになっております。したがいまして、その安全対策調査に要する経費にのみ使用さるべきでございまして、その他の目的のためにする調査なりそういったものに支出することは許されないものでございます。  それから、こういった補助金につきましての検査でございますが、まだ支出になっておりませんので、これが執行されました暁には、来年の検査になろうかと思います。私ども、補助金の検査対象は非常に多うございまして、悉皆検査というわけにまいっておりませんので、現在、この補助金が執行されました場合に直ちに実地検査に赴くかどうかについては、ちょっと現在お答えしにくいわけでございますが、そういった問題があれば、もちろんその検査計画の中にそれを考えて織り込んでいきたい。そして、もちろん実地検査に参りましたならば、その支出内容、そういったものを調査しまして、現地についても確認するということになろうかと思います。
  141. 山原健二郎

    ○山原委員 会計検査院の考え方はわかりました。  通産省として、この調査費というのはCTSが前提でない調査費であるというようなことを指導したりあるいは発表したりしたことがありますでしょうか。
  142. 田口健次郎

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  御指摘の石油備蓄施設安全対策調査費等補助金につきましては、用途が全く、共同備蓄会社が建設いたします石油備蓄施設に関する安全対策等の調査等の費用に充てるということでございますので、いま会計検査院から御説明ございましたことと全く同じに考えておりますので、それ以上の御説明をしたことはないと承知しております。
  143. 山原健二郎

    ○山原委員 この五千万円の調査費の問題につきまして、通産省がたとえば高知県等に対して、この予算の要請をせよというふうな誘導的な要請をしたりあるいは意向打診をしたりしたことはないでしょうか。
  144. 田口健次郎

    ○田口説明員 特に高知県に対しまして、申請をしたりするように通産省の方から慫慂心するとかいったことをした記憶はございません。
  145. 山原健二郎

    ○山原委員 現在のこの宿毛湾における原油基地の問題、宿毛湾と言えば、残された、大変きれいでしかも漁業資源の一番豊富なところでございまして、かつて水産資源保護協会に県は依頼をしまして、ここの調査を行っております。原油基地の問題を中心にして行われた調査でありますが、調査の結果は、漁業とCTSとは両立しないというのがこの保護協会の結論であったわけです。そして、漁業の影響につきましては、いま予定をされていると言われる竜ケ迫というところでマイナス六三%、藻津地区でマイナス一〇〇%という数字が出まして、失業率八三%、これは漁民の失業率が八三%という意味でありますが、こういう結果が出たわけでございます。  このような状態の中で、特に漁民を中心にしましてこれに対する反対運動が展開をして、さきの知事はこれを断念をするという状態であったのですが、また、今回の備蓄九十日の案が出されましてから、何となくその動きが出始めているという状態ですね。そして、先ほど言いましたように、県の企画部長が検討委員会のメンバーに正式になるとかいうようなことですね。そして、五千万円の金を要請をしないかというような働きかけがあったというふうに私は聞いているのですが、いま否定されたからそのことは申しませんけれども、何となく、地域の住民あるいは県論として大問題になった問題で、一定の決定がなされておるものに対して、またまたこの問題を押しつけていくという、国の押しつけがましい態度があるのではないかということを大変心配しているわけでございますが、そういうことはしないのかどうか、はっきりさしておいていただきたいのです。
  146. 田口健次郎

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  私ども、国全体といたしまして、緊急時の石油の安定供給の確保を図る上で石油の備蓄が非常に大事であるということで、九十日石油備蓄増強計画を一生懸命やっておるわけでございます。しかし、そういった全体のことでございますが、それとあわせまして、立地問題につきましては安全環境対策上遺漏のないよう万全の配慮を払うということが大事だと思っておりますし、それから個別の立地につきましては、地元の皆様の十分な理解と協力を得る必要があるということも言うまでもないことと考えております。したがいまして、個別の立地につきまして、押しつけがましいと申しますか、どうしてもつくるんだということで引きずっていくというようなことをするつもりは全くございません。
  147. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、運輸省の航空局がお見えになっておると思いますが、この原油基地のできます宿毛湾ですが、その隣の村に三原村というのがございます。そこに今ノ山という山があるわけですが、ここに運輸省の航空局はレーダーを設置するという計画があると言われておるのですが、それは事実でしょうか。また、そのレーダーはどのような任務を持ったレーダーでしょうか、伺っておきたいのです。
  148. 中曽敬

    ○中曽説明員 昭和四十六年、七年にかけまして航空事故が頻発いたしまして、私どもとしましては、空の安全を一層確保しなければならないという見地に立ちまして、それまで、いわゆる航空路監視レーダーというのはせいぜい箱根ぐらいしかなかったのでございますけれども、この航空路監視レーダーというものを全国ネットワークでつくりまして、全国をレーダーの監視のもとに置く、ネットワークのもとに置くという構想のもとに、昭和四十六年度ぐらいから第二次空港整備五カ年計画というのを始めました。これが五十年度で終わりまして、五十一年度から第三次空港整備五カ年計画というふうなものに乗り移っているわけでございますけれども、この第二次五カ年計画並びに第三次五カ年計画に当たりまして、先ほど申しましたような航空路監視レーダーのネットワークをつくりたいというふうに考えまして工事をずっとやっておるわけでございます。  現在の時点で、全国に五つすでに航空路監視レーダーなるものができておるわけでございます。さらに今年度末ごろまでに三つぐらいできまして、合計八つぐらいできるというふうな計画でございます。さらに来年度以降でございますけれども、数カ所の監視レーダーをつくっていこうという計画を持っておるわけでございます。  ただいま先生が御指摘になりました、四国の三原村と土佐清水市にまたがる今ノ山という山の頂上でございますけれども、ここに監視レーダーをつくりたいというふうな構想で、現在いろいろなスタディーをやっておる最中でございます。  この監視レーダーというものはどういうものであるかと申しますと、レーダーでございまして、レーダーは先生御承知かと思いますけれども、このレーダーによりまして飛行機の機影をとらまえまして、二つの飛行機あるいは三つの飛行機が接近するような場合には管制ということをやっておりまして、地上の管制官が、その管制を通じまして危険が起こらないように適当な分離をやる、レーダーで見ながらいわゆる誘導をやる、そういうふうなことをやるためにこのレーダーを全国に設けようということでやっておるわけでございます。今ノ山のレーダーはそのうちの一つでございます。
  149. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が参りましたが、このレーダーと関連をして、この周辺に、たとえば飛行場をつくるというような計画はあるのですか。
  150. 中曽敬

    ○中曽説明員 このレーダーと申しますのは、航空路を飛んでおります飛行機の管制をやりますためのレーダーでございまして、もちろん飛行場のそばにもいわゆるターミナルレーダーというレーダーがございますけれども、それとは全く別のものでございます。航空路を飛びます飛行機の監視をやりますレーダーでございますので、私どもはそういうことは全く考えておりません。第一、この辺に飛行場をつくろうと思いましても、非常に険峻な山でございますので、飛行場はまずは不可能ではないかと私は思うわけでございます。
  151. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  152. 中村重光

    中村委員長 次は、近江巳記夫君。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず初めに、地震の問題についてお伺いしたいと思っております。  萩原先生は、どの地域でどの程度のものが起きるかということはある程度予測はできる、ただし時期は非常にわかりにくい、こういうお話でございますが、いまわが国におきまして、先生として特に心配な地域、また、どの程度のものが起きそうであるかという点につきまして、ひとつお考えを承りたいと思います。
  154. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 俗に大地震と申しましても大粒なものから中粒、小粒までいろいろございますが、一番大粒でありますマグニチュード八クラスの地震、これは主に日本では太平洋岸に起こるわけでございますが、こういう巨大な地震は大体百年ないし百五十年の周期で繰り返して起こる傾向がございます。したがって、一度起こりますと、あと百年は大丈夫ということになるわけでございます。こういう大きな地震が起こる場所は、一遍地震が起こりますと、そこで余震がたくさん起こりますが、後平静な時期が来まして、また次の地震を迎える。その次の地震が起こる前が地震活動の非常に少ない場所としてあらわれるわけですが、これを地震活動の空白地域と申しております。日本では比較的最近にいろいろな場所で起こりまして、三陸とかあるいは東南海、南海、あるいは北海道の十勝沖とか根室沖に起こりまして、こういった地震活動の空白域というのはほとんど全部埋められてしまったわけでございまして、ただ一つ残っているところが東海沖、熊野灘の東の部分。もし八クラスのものが起こるとすれば、ここであるというのがただ一つ残っているわけでございます。もう一つ房総の沖合いにそういう空白部がございますが、これは津からかなり離れているということで、残っているとすればここであるというところが駿河湾から熊野灘の東の方にかけました部分でございます。  そういうことで、これがいつ起こるかというデータはいまのところないのでございますけれども、東海地域の非常に重要な地域でありますことからして、また仮にそれが起こりますと、かつて起こりました安政の東海地震のときの被害状況を見てもわかりますように、非常に大きな影響を東海地方に与えるであろうということで非常に重要視しておるわけであります。そういうわけで、この東海地震と、それからもう一つあるとすれば房総の沖合いの空白部分と、大物はこの二つでございます。  あとマグニチュード七、中粒の大地震でございますが、これは新潟地震とかかつての福井地震あるいは鳥取地震というように、主として日本海の沿岸に起こりますし、また内陸にも起こりますが、その起こる場所は大体限られおります。そういう意味で日本海の沿岸は水準測量等をよく調べまして非常に注目しておるわけでございますが、ただいまのところ異常な地域はあらわれておりません。マグニチュード六になりますと、これは日本じゅう至るところ可能性があると申してよろしいのではないかと思っております。  以上でございます。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 マグニチュード八、これはもう大変なクラスだと思います。房総沖とおっしゃいましたけれども、これは大体房総沖何キロぐらい沖になるのですか、中心点というのは。
  156. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 数十キロでございます。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 こうした二カ所の地点については、非常に空白があって心配であるということをいまおっしゃったわけでございますが、最近の伊豆半島東部の地震活動、さらにまた異常隆起が起こっておるわけでございますが、いま先生がおっしゃいました東海、熊野灘、こうした地域、まあ特に駿河湾地震等が言われておるわけでございますが、これは非常に密接な関係があるものなんですか、どうなんでしょう。
  158. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 隣り合った地域でございますので、両者の間に関係があると考えている研究者もございます。つまり、いまの伊豆のいろいろな異常が、これは駿河湾地震の前兆ではないか、そういうふうに考えている人もございますが、ただいままでの観測資料からはまだいずれとも判断がつき・かねる状態でございます。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは気象庁、国土地理院、文部省、科学技術庁もお見えになっておるわけですが、いま会長がおっしゃった判断と同じですか。それぞれ各省、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  160. 園山重道

    ○園山政府委員 地震の予知につきましては、ただいま先生のお話にもございますように、なかなかむずかしい段階でございまして、いわゆる学問的判断の段階にございますので、科学技術庁といたしましては、萩原先生を会長とされます地震予知連絡会の御判断に従って行動するという考え方に立っておりますので、先生の御判断と全く一致しておると申し上げていいのかと思います。
  161. 原田健久

    ○原田説明員 国土地理院は地震予知連絡会の事務局を担当しておりまして、地震予知連絡会の統一的な結論に従って、それを指針として測地測量を行っております。したがいまして、萩原先生のいまおっしゃったことと見解は同じでございます。
  162. 七田基弘

    ○七田説明員 測地学審議会をお預かりいたしております文部省といたしましても、現在までのいろいろの御検討段階におきまして、萩原先生とほぼ同じ御見解でいろいろな御見解をまとめていただいておるわけでございます。
  163. 末広重二

    ○末広説明員 気象庁の考えを御説明いたします。  私ども気象庁は、地震活動の現状の把握及びこれの国民の皆様への発表及び現象の解説等はいたしておりますが、地震の予知に関しましては、すべての資料、情報を地震予知連絡会の方に提供いたしまして、この場で検討をして、必要とあらば見解を出していただくということになっております。これは、予知に関しましては非常に多種類の資料を総合検討しなければならないからであります。気象庁もこの連絡会のメンバーとして資料の提供及びそれの検討には参加しておりますので、そういった意味で連絡会長のおっしゃった見解に対しては責任を持っているわけでございます。
  164. 近江巳記夫

    ○近江委員 萩原先生もおっしゃいましたように、こうしたいわゆる東海、熊野灘地域の空白あるいは房総沖、こうした地域は、東大の石橋先生あるいは同じく浅田先生等が非常にその危険性を指摘されておるわけであります。これは国民としては、特にまたこの東海地域の人につきましては大変な恐慌を来しておるわけですが、これはきわめて重要な提言じゃないかと私は思うのです。また、その関係各省の御答弁によりましても、この予知連絡会、萩原先生のそうした御判断にすべて負っておる、データは差し上げる、こういうことなんですね。そういう点、われわれも地震のことなんかは、もう全く素人でございますからわかりません。したがいまして、まあすべてが萩原先生の双肩にかかっておるように思うわけでございますが、この二カ所のそうした空白地域が非常に心配であるとおっしゃったこと、あるいはまたこうした学者がそういう警告を発しておること、これは一致しておるわけですね。そういう点でこういう心配というものが非常に高まってきておるわけでございますが、今後この地域につきまして、現在のような観測体制といいますか、そういうものでいいのかどうか、この問題についてひとつ御見解をお伺いしたいと思います。
  165. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 現在の観測体制では不十分だと思います。今後どういうことをやるべきであるかということも連絡会で検討されておりまして、八項目ばかり、こういうことをやらなければいけないということが大体詰められております。
  166. 近江巳記夫

    ○近江委員 その八項目というのはどういうことですか。
  167. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 これは、駿河湾を中心にもっと測量を強化するということ。それから伊豆の大島で毎年爆破を行いまして、それを本土で受けて、これは主に相模湾を目的にしてやっておるわけでございますが、これを、爆発は大島でよろしいのでありますが、これを駿河湾一体の地域でも行って、地震波の速度変化をはかる。それからもう一つは、先ほどの原先生の御質問のときにも出てまいりましたことでございますが、ボアホール型の傾斜計あるいはひずみ計、こういうものをもう少し数をふやして早急に据えつけるということ。それからもう一つは、地下水の調査をもっと強化するということ。それからもう一つは、海底の地震観測、これは気象庁が現在進めておりますが、これをもっとスピードアップしていただきたいということ。それから地磁気の観測も早急にあの地域で行うということ。それからまた、駿河湾の沿岸に検潮所をもう少しふやすということ。これは土地が上がったり下がったりしますと、それが検潮儀にあらわれてくるからであります。それからもう一つは、駿河湾を中心といたしまして、あの辺の地殻構造がどうなっているか、そういうことの調査をもっと進めることでございます。  なお、そのほかに今度の駿河湾地震の非常に大きな決め手となりましたのが、最近偶然に安政の地震のときに駿河湾一帯で起こりました津波の状況、それから地殻変動の状況を書いた古い資料が見つかったということがありますが、こういうような資料を地元方々の協力によってもう少し発掘していきたいということ。  以上でございます。
  168. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま先生からこうした八項目の対策についてお話があったわけですが、関係各省庁はこの八項目に対してどう取り組んでおりますか、各省、順番に答えてください。
  169. 園山重道

    ○園山政府委員 科学技術庁といたしましては、関係各省からなりますところの地震予知研究推進連絡会議というものを当庁がお世話をいたして、おるわけでございまして、この推進連絡会議におきまして御相談をしていろいろ観測手段の強化等を図っておるわけでございます。また、予知連絡会からの特に緊急の御連絡等がございますれば、これに対しまして私どもに計上されております特別研究促進調整費等を出しまして対応するところでございます。  なお、科学技術庁には国立防災科学技術センターというのが付属されておるわけでございまして、この防災科学技術センターも現在主として首都圏南部の深井戸観測を行っておるところでございますけれども、来年度におきましては新たに地水下と地震との関係につきましても研究を起こして推進していきたい、このように考えておるところでございます。
  170. 原田健久

    ○原田説明員 国土地理院におきましては、今年度予算で伊豆半島の水平並びに垂直変動を観測いたしました。これは駿河湾の東岸でございますが、駿河湾西岸におきましても大地の水平のひずみ、それから大地の垂直の動きを今年度観測いたしました。  また、この秋から冬にかけましては、さらに気象庁でやっております容積ひずみ計のごく近くでごくローカル的な地殻変動もひずみ計との関連を確かめるために観測する予定でございます。  また、来年度は特に駿河湾地震の予知問題にとっては決定的な重みがあるだろうと思われます湾の両山岸の大地がどのように相対変位をしておるかということに主眼を置いて、湾を横切るような長い辺長がどのように変化しているかということを観測する予定でございます。
  171. 七田基弘

    ○七田説明員 大学サイドといたしましては、この地区で活躍しておりますのが名古屋大学の理学部、東京大学の理学部でございます。この両学部につきましてはそれぞれ研究費の援助をいたしておりますが、同時に、そこに属しております地震観測の移動班による観測を実施する。  それから、なおこれは地震予知計画の中からまだ除外されておりますが、東京大学の地震研究所につきましても特別に他の経費を流用いたしまして、今回の地震予知のこの地域についての観測に参加する措置をとっております。  そのほか、緊急に何らかの事態があります場合には、科学研究費によります自然災害の中から必要な補助金ということで手当てをするという考えをとっております。
  172. 末広重二

    ○末広説明員 気象庁の対策の進め方を御説明いたします。  この地域が観測強化地域に連絡会で指定されましたのは昭和四十九年二月でございますが、その前にすでにこの地域を注目すべきだということが連絡会で討論されましたので、私どもは昭和四十八年に従来の地震観測網に加えまして、御前崎の地下二百メートルに非常に感度の高い地震計と、それから土地の傾斜の変化をはかります傾斜計を設置いたしました。  それから、昭和五十年度、昨年度には東海地区の渥美半島から伊豆半島の先までかけまして五カ所に埋め込み式のひずみ計を設置いたしまして、これは全部東京の気象庁にテレメーターいたしまして、本年の四月から常時監視体制に入っております。  それから、東海地区が大変注目されておりますが、やはり私どもは日本全国を監視する任務がございますので、こういった日本全国的に小地震の捕捉率を高めますために高感度地震計を全国二十カ所に設置する計画をいま進めておりまして、この五十一年度にはとりあえずこの強化地域に指定されております東海、関東を踏まえまして、この二地区に四カ所ただいま整備しております。  それから、先ほど萩原先生に御指摘いただきましたが、問題の地域は海の下でございますので、そこの地震活動を真上からとらえるべく、海底地震計常時観測システムというものを五十三年度に御前崎の沖合い二百キロまで延ばすべくただいま鋭意開発を進めておるわけでございます。  以上でございます。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは関係各省それぞれ担当されてなさっておるわけでございますが、いわゆるこのデータというものは即刻総合判断ができるというところに集中をしてやっていかなければならぬと思うのですが、現在萩原先生が主宰なさっている連絡会、これはそれぞれ大学の先生方とかが集まってそういう会をつくっておられるわけでございますが、そういうデータが即刻集積するような体制、あるいはまたそれを常時観測していわゆる総合判断を下していく、こういう体制にしなければいけないのじゃないかと私は思うのですが、いかがお考えでございますか。
  174. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 いろいろな器械による観測は、これは逐次テレメータリング化が進みまして、東京へ持ってきて東京で記録するというような方策が進みつつございます。これが進行いたしますれば、刻々にいろいろなところの観測データが中央に集まるということになるものと思っております。     〔委員長退席八木委員長代理着席
  175. 近江巳記夫

    ○近江委員 「なるものと思っております。」とおっしゃっているわけですね。これは石橋先生の発言等を聞きますと、極端に言えばきょう、あす起こっても不思議ではないのだ、こうおっしゃっている中で、集まってくるものと思われますというような御答弁でありますと、非常に国民は心配するわけですね。ですから、たとえば中央地震センターであるとか、そういう各機関で集めたデータというのは即刻入ってくる、そこで常時監視をしていく、こういう体制がぜひ必要じゃないかと思いますが、先生はいかがお考えでございますか。
  176. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 ぜせ必要だと思います。それは結局予算の問題になってくるわけでございますが、現状ではなかなか飛躍的にはっというわけにはいかない。つまり、予算の技術的な問題がございまして、そういう点をいかにして解決するかということにかかっているのではないかと思っております。
  177. 近江巳記夫

    ○近江委員 中央ではそうした体制を即刻やるべきであると私は思いますし、特に非常に心配なこの地域、東海地域ですね、こういう点につきましては、石橋さんが一元的なセンターといいますか、こういうものをつくったらどうかということを提言もされているわけですけれども、中央は中央として、特にそういう観測強化地域についてそこでまたつくる、そういう点についてはいかが考えておられますか。
  178. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 現在は中央に集めるということをもっぱら考えておりまして、まだそういうローカルの総合的なものをつくるということは考えておりません。ただ、微小地震は大学で行っておりますが、こういうものは東海地方は名古屋、東北地方は東北大学、それぞれの地域のセンターにすべての資料が集まるようになっております。
  179. 近江巳記夫

    ○近江委員 前田大臣はこの予知のいわゆる強化体制ということについておっしゃっているわけですが、萩原会長も即刻中央にそういうものをつくるべきであるということをおっしゃっているわけですね。これは大臣としてはどう考えますか。
  180. 前田正男

    前田国務大臣 もっともなことだと思いまして、ぜひそういうようにしたいと私も思いますが、それがためには、ちょっとさっきもお話がありましたように、予算問題その他のいろいろな関係もございますので、まずそういう体制を整えるような政府における何らかの処置をしなければならぬのじゃないか、こういうことで検討をしておりまして、そういうものができましたならば——もちろんさっきのお話にもありますとおり、こういう地震予知のための対策をもっとスピードアップしていく必要があると思いますし、また、いろいろなそういう情報の集まるようなセンターをつくる必要があるかもわかりませんし、実はいままでも政府に行政の推進の連絡会があったことはあったのですけれども、十分でございませんから、ひとつこの機会に、これだけ国会でもまた世間でも問題になっていることでありますので、政府としてはそれを強力に推進する体制を整えなければいかぬのではないか、こう思っているわけです。
  181. 近江巳記夫

    ○近江委員 予算ということをおっしゃるわけですが、それはわかるわけですよ。金なしでそんなことができるわけはないのですから。しかし、被害が起きたときの大きさ、あるいはまた人命の損失、いろいろなことを考えますと、本当に私は何でもない予算じゃないかと思うのです。国民だれ一人として政府がそういう予算を計上されて文句を言う者はないと私は思います。これだけ地震が多発の火山国であるわが国において、中央にそういう一元化されたセンターなりそういうものがない。地震はどんなことがあっても起きてもらいたくないわけですけれども、少なくとも政府においてもそうしたいわゆる予知体制、観測体制、こういうものを強化しておると、国民はどれだけ安心するかわかりませんよ。いま政府にそういう対策がないということが地震の不安と同時に二重の不安となってダブってきているわけです。これはもう大変な政府の行政怠慢である、私はこのように思うわけです。実際にぽんと地震が起きたらどういうことが起きるのですか。たとえば、いま萩原先生がおっしゃったようにマグニチュード八がこの駿河湾で起きたとした場合、静岡とか沼津市、これはかなり大きな町ですが、直下になるわけでしょう。そこではどういうような被害が起きますか。あるいは、マグニチュード八でいきますと、名古屋で大体五から六、東京、横浜、大阪でも五ぐらいくるだろう、このように言われておりますが、あのそばを新幹線が走っておるのです。東名高速が走っておるのです。あるいは浜岡の原発の発電所があるのです。あるいは名古屋におきましては臨海工業地帯がある。名古屋は非常に大きい規模ですね。八百万キロの石油が入っておるわけです。あるいは高層建築物、六十メートル、七十メートルのものが静岡におきましても立っているわけでしょう。マグニチュード八だと、いま申し上げたようないろんな項目についてどういう被害が起きるのですか。こんなこと想像したくないけれども、予算が予算がとおっしゃるならば、実際にそういう地震が起きたときにどういうことが起きるかということを想像し推定しなければ、予算の推進力というものは出ませんよ。  どういうことが起きるのですか、いまこういう八というものが起きたら。防災専門家が来られておるのですから、いま私が申し上げた直下の都市においてはどういうことが起きる、高速道路はどうなる、新幹線はどうなる、コンビナートはどうなる、いろいろなことを想像して、お考えがあればお答えいただきたいと思うのです。
  182. 前田正男

    前田国務大臣 さっきのお話の中で、政府対策は、まだ十分ではございませんけれども、全然やってないのじゃなくて、御承知のとおり測地学審議会とか、地震予知連絡会とか、それを受けた地震予知研究推進連絡会議というものがあって、各省予算をとって、また足りないところは特別研究調整費をつけるというような対策をしておるわけでして、現にいろんな予知が行われたり観測をしておるわけですけれども、お話しのようにこれは国民として非常に重大な関心を持っており、また、国会においても貴重な御意見が出ておることですから、それの促進をもっと推進しなければいかぬじゃないか、いままでのやり方をもっと推進しようじゃないかという体制をひとつ整えようということでございます。もちろん、それに伴って予算の問題も推進体制が整えば解決していくのじゃないかと思います。ただ、実際の予想については、私も専門ではありませんから、それはひとつ専門の方からお話をお聞き、取りいただきたいと思います。
  183. 園山重道

    ○園山政府委員 先生御指摘のように、一たん非常に大規模地震が起こりました場合に、その被害というのは各方面に及ぶであろうことが推測されます。これらはただいま御指摘のように鉄道の問題あるいは建物の問題、その他非常に広範囲にわたりますので、いわゆる私ども地震予知の問題を推進しているサイドにおきましては、それぞれの専門家という立場ではございませんので、実際にどの程度の地震が起きたらどういう被害が起きるということをいまここで詳細にお答えすることができませんけれども、私ども地震予知関連してこれを推進いたしております者といたしましては、何と申しましてもやはり地震予知ということができますれば、災害の対策に対しましてもきわめて有効であるということは明らかでございますので、私どもの任務といたしております地震予知研究の推進ということに当面全力を挙げなければならないと考えておるところでございます。
  184. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういうような被害がどうなるかわからぬ、そんなことは専門家であれば——ロサンゼルスでも、あれだけの地震があって高速道路もああいうように破壊されておる、そうした例を引いて考えていけば大体わかるわけでしょう。あなた方、言うのが恐ろしいわけですよ。  そうであるならば、センターをつくるというようなくらいの予算なんて、被害から、また国民の不安を解消していく、そういう体制もしてくれている、そういうことを考えたら安いものですよ。そうでしょう。戦闘機一機で幾らするんですか。そういう点からも考えて真剣——これ来年度各省概算要求は大蔵省に八月三十一日に出しているわけですが、実際の予算はまだ編成していないわけですよ。これは早急に閣議に諮ってもらって、政府として一大本腰を入れてやるべきであります。大臣、その点は閣議に諮ってやっていただけますか。
  185. 前田正男

    前田国務大臣 いまのお話のようなことで、権限のあるものをつくるというのは国会にかけなければなりませんから、国会の御審議を得るというのはなかなか時間的な問題もありますので、推進対策の方は、お話のように閣議で当面とにかく進めなければならぬ、閣議決定というような形で当面進めていかなければならない。それに伴ってまたそういう推進体制ができれば、お話のようにそれに必要な所要経費というものもつけていかなければならない。まず第一にそういうことを閣議で決めて推進体制を進めていく必要があるんじゃないか、こういうふうにも思っておるわけでございます。  それにしても、将来それらの問題がまた必要が出てさましたら、また国会の御審議をお願いするような法律も必要になってくる。しかし、当面は閣議決定という形で対策を進めていく必要があるのではないか、こう思っておるわけでございます。
  186. 近江巳記夫

    ○近江委員 両方早急にやってもらわなければいかぬわけですよ。たとえばそういう中央センターとかそういうものを設置する場合、それは法律も要るかもしれません。しかし、そういう法律なら一日でも上がりますよ。そんなに長いことかかりませんよ。各党みんな了解をするはずです。もしもそれに反対の党があるとしたら、その党はおかしい。みんなこれは賛成しますよ。一日で通過する。要は、政府がやる気があるかどうかの問題なんだ。だから、これは強力にひとつ中央でのそうしたデータの集積をするとか、いわゆる中央地震センターですか、それはどういう名前になるかわかりませんけれども、またそういう体制を充実して、もう各省庁ばらばらのそれをまとめるいわゆるセンター、常時観測をして判断をして、そしてまた防災体制についてもそこから意見具申をしてどんどんやらしていく、そういうものをやらないとどうしますか。ひとつ強力にやってください。  それで、私がいま申し上げたそのことについて、大臣は閣議にも諮ってやっていただけますか。
  187. 前田正男

    前田国務大臣 いまのところ、まず第一には先ほど申しました推進体制を閣議で決めていきたい。そして推進体制が決まりましたところで、今度はいまの具体的な内容についていろいろな各関係官庁あるいは専門家の御意見——推進体制はもちろん専門家も入っていただきまして、萩原先生にも入っていただく予定でございますけれども、先生の御意見などを体して具体的な問題を進める、こういうふうにしていきたい、こう思っておるわけで、いずれもみんな緊急のことですから、みんな閣議に諮っていかなければならぬ。所要の法律事項がありました場合には国会にお願いしていく、こういう順序になるのじゃないか。  しかし、いずれにいたしましても、国会がこれだけ貴重な御意見を述べられ、また国民も大変不安に思っていることでございますから、一日も早く政府の態度を決定していかなければならない。さきにもお答えしたのですけれども、従来、われわれの経験ですと、関係官庁関係官庁といって相談しておりますと延び延びになりまして実現がおくれます。したがって、これはある程度時間切れになりました場合には、もう大臣間で処理するというふうな決意を持ってわれわれひとつ事に対処していきたい、こう思っておるわけでございます。
  188. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま大臣が決意をおっしゃいましたからいいと思いますが、どうしてもこういう手続でいくのだという手続論を非常におっしゃるものだから私も言ったわけですが、そういう場合は大臣間でも取り決めして推進をしたいとおっしゃっているわけですから、ぜひともそれが一刻も早く実現できるようにお願いしたいと思うのです。  それから、さきの地震学会におきまして、気象庁は御前崎に最近取りつけられたひずみ計から異常な岩盤のひずみがあることが明らかになった旨の報告をされたようでありますが、その内容についてお聞きしたいと思います。また、このデータから駿河湾地震との関係はどういうことになるわけですか。
  189. 末広重二

    ○末広説明員 先ほど御説明しました東海地区に五カ所埋め込みましたひずみ計のうち、御前崎、それに続きまして静岡に埋めましたひずみ計が、非常に高い地面が収縮しつつあるというデータを示しているわけでございます。私ども観測に当たっております責任上、測器に何か狂っているところがあるとか観測値の読み方に間違いがあるとかいうことであっては大変申しわけないわけでありまして、いろいろな検定あるいはチェックをいたしましたが、私どもの考えの及ぶ限りでは、この測器が現在提供しつつある資料そのものは間違いがないようでございます。問題は、この資料の解析と申しますか、その資料をどう解釈するかということでございますが、地殻のひずみの進行といいますのは、何年あるいは何十年という非常に長期にわたって進行するものでありまして、この長い期間に比べますと、私ども観測を始めてまだ六カ月にしかなりませんので、大変時間的な間隔が短うございます。したがいまして、現時点でこのデータが地球物理的に何を意味するかということを断定するにはまだ時期尚早かと存じます。ただ、この辺で地殻変動がどうも進行しているらしいということは言えると思います。  それから、地域的に見ましても注目されております東海地区でございますので、この地区は、いまから百二十年前に起こった地震以来、恐らく着々とひずみエネルギーがたまっていると思いますので、私どもの器械によれば、時間的には非常に短いわけですけれども、一端を見ているという解釈も成り立つわけであります。先ほども国土地理院の原田部長が御説明いたしましたように、測量によって、やはり別の方法で同じような事柄をはかって検定する、チェックするということは必要でございますので、そういった結果と比較いたしますれば、この地球物理的な解釈の問題についても一歩進むことになると思っております。
  190. 近江巳記夫

    ○近江委員 この気象庁のひずみ計からきわめて異常なひずみが出てきておる。しかも、萩原会長はこの地域が非常に心配であるとおっしゃった地域であります。これは非常に不気味な一つの徴候じゃないかと私は思うのです。これにつきまして萩原会長は、この気象庁のデータについてはどのようにお考えでございますか。
  191. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 この種の計器は、従来、土地の傾斜計というものがございましたが、やはり据えました直後いろいろ大きな変動をかくというようなこともございますし、また、測量から出るひずみに比べまして、非常に長期的な変動で大きな値を示すということでございます。そういう点でやはり今回の御前崎のひずみ計の示す値は非常に大きいので、これは非常に重大問題でございますから、一点だけでなしにあと少なくも五点くらいの土地に同じ型のひずみ計を埋める。と同時にまた、ボアホール型の、つまり井戸の中に入れる傾斜計を据えるというようなこと、それから、その周辺で距離測量、光波測量を繰り返して行って、測地学的な資料からひずみを求めて、それと比較する。こういったようないろいろなチェックを早急にすべきであると思っております。
  192. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは、気象庁さんにお聞きしますが、どれだけのひずみが出たんですか。
  193. 末広重二

    ○末広説明員 これは私ども観測を始めましたのが四月でございますが、四月からこの九月末までの六カ月の間に御前崎において、土地が大体一掛ける十のマイナス五乗のひずみの蓄積を観測いたしました。と申しますのは、十万センチメーターでございますから、つまり十万センチメーターの長さのものがもしあれば、それが一センチ縮んだということになるわけでございます。おわかりいただけたでございましょうか。
  194. 近江巳記夫

    ○近江委員 余り専門的なことではぴんと来ませんけれども、いずれにしてもそうしたひずみが出ておる。こういうことは非常に私は注目すべき事態じゃないか、このように考えるわけでございます。  それで私は、当委員会におきまして、この石橋助手の発言等がございましたので、この問題を提起したわけでございますが、そのとき政府の態度は、予知連絡会としては正式にはそれに対しての判断をまだ示していないというようなことでございまして、政府が動かないという態度を私は非常に不満に思ったわけです。そこで、ぜひ政府の連絡推進会議等からも萩原先生の方にも申し上げて、石橋発言につきまして早急に検討していただきたいということを申し上げたわけです。確かに石橋さんは年齢も若いし、新進気鋭の学者だと思いますが、やはりこういう重大発言でございますので、権威ある先生方も幾ら若い先生の発言であるといえども、憤重な取り上げ方、分析、こういうことを積極的にやっていただく必要があるんじゃないか。やっていただいているとは思いますけれども、その辺は十分分析していただいたんでしょうか。
  195. 萩原尊礼

    ○萩原参考人 石橋さんの発言を待つまでもなく、地震予知連絡会としてはあの地域を重要視しまして、特定地域から強化地域にいたしまして、ずっと非常にたくさんの方が熱心にあの辺の調査をしております。  また、石橋さんのことにつきまして、連絡会として、まだ駿河湾地震云々について発表したことはございませんが、恐らくこの十一月に行われます連絡会の後に発表があるものと思いますが、すでに一応大体の考えはまとまっておるのでございまして、一八五四年、つまり安政元年の東海地震のときには駿河湾の中まで断層が動いたということは確実であるということ、それから昭和十九年の東南海地震のときには駿河湾まで断層は延びていなかった。これも確かである。それからまた、現在駿河湾の周辺の地殻活動はあの辺にエネルギーを集積する方向に進行しつつあるということ、これは最近発見された古文書もありますし、それからずっと従来行われてきました測量とかその他の調査で明らかでございます。  ただし、この地震の切迫度については、いろいろあすにも起こるのではないかというふうにとられておるのでございますが、この切迫度については、現時点ではそれを判断するだけのデータがない。それを判断するにはもう少し観測強化の度を強めていろいろと調べた上でなければならない。そうした調査をすれば少し現在よりももっとはっきりしたことでこの時期といいますか起こる時期、つまり切迫度について言えるのであろう、こういうことは、これは大体一致した意見でございます。
  196. 近江巳記夫

    ○近江委員 最終判断するにしても、いわゆるデータが欲しいといういま萩原先生のそういう切実な声があったわけですが、関係各省庁はそれぞれ調査をやろうとしておられるわけですが、いまのその声を本当に真剣に生かされて早急にこの観測強化をやるべきですよ。これは大臣がこの推進を一日も早くやっていくとおっしゃっているわけですが、これはひとつ大臣もう一遍確認しますが、先ほど各省庁からこういうことをやりたいということを答弁があったのですけれども、これは即刻各省庁に予算を組ましてやれるようにしていただけますか。
  197. 前田正男

    前田国務大臣 それはなるべく早く進められるようにひとつ政府としても骨を折らなければならぬと思いますので、関係各省庁とも相談しなければなりませんけれども、しかし、今度は推進のための何らかの機関を設けたいと思いますから、そこでひとつ皆さんお話、さっきありましたセンターその他のいろいろな具体的な話を具体化しまして実現するように努力したい、こう思っております。
  198. 近江巳記夫

    ○近江委員 不幸にしてもしもこれが起きたとした場合、政府は、関係各省はやると言っておったのに、これがもっとデータが集まっておれば予測もできた、それをいわゆる話だけにおいておったということになれば、政府の責任というものは、これは本当にもう許されないものになりますよ。これは本当に真剣に考えてもらわなければ一これはだれしも皆、一〇〇%わかることは私はできないと思いますよ。それだけにやはりデータが欲しいという会長のこの切実な叫びは国民の声ですよ。早急にひとつ関係各省力を入れていただきたい、このように思います。  それからまた、こういういろいろ心配な結果が出てくる、こうなった場合、流さなければいかぬわけでしょう、これはどこが中心になってやるのですか。いわゆる地震の予知をして、そしてこういう不安な事態になっておるということとか、それはどこが窓口になるのですか。
  199. 前田正男

    前田国務大臣 これはさっきもちょっと御答弁したのですが、地震予知のための研究とその観測、予知に伴う情報の収集というようなことはあると思いますけれども、それと、もう一つは今度は、それによりましてある程度わかった場合に、その情報に基づいて対策をどういうふうにするか、特にこの防災関係、あるいは今度はそういう予知に基づいた情報をどういうふうに流すか、こういうようなことは、この地震予知の推進グループとはまた別に検討しなければいけないんじゃないだろうか。それは一応中央防災会議というものがあるわけですから、そのグループが考えなければいけないのではないだろうか。といいますのは、予知に関係しておられる方たちと実際の防災問題に関係される方たちは、その一部はダブりますけれども、実際の防災関係の人は消防庁だとか、あるいは食糧関係は農林省だとか、医療関係は厚生省だとかいうふうに、ちょっと予知の関係の方とグループが違うわけです。そういうふうなことで、そのグループに対してはどういう対策をすべきかということも、いま申したような防災会議の中で考えたらいいと思うのですけれども、これにつきましても一応私たちとしては、推進関係の体制が整いましたならばそういうことに対しても建議をしていきたい。また、私自身も防災会議の一員だそうですから、防災会議を構成している大臣の一人としても、それは強く推進しなければならぬと思いますが、ただ、それを一つのものにまとめるのはちょっと無理じゃないか。こういうふうに構成メンバーが違いますから、一つのものにまとめるのはちょっと無理じゃないか、いまこういうふうな考え方を持っておるわけであります。
  200. 近江巳記夫

    ○近江委員 当然これは防災ということになってくるわけですが、その中間——中間じゃないにしても、いわゆるその予知ができた、予知ができて、そういう情報をどういう行政系統を通してどういう形で住民に知らせるようにいまなっているのですか。もしも予知できたとした場合。
  201. 前田正男

    前田国務大臣 それは先ほどもちょっとお話ししておったのですが、従来の連絡会とかあるいは測地学審議会とか、そういうものは従来同様でございますから、従来同様に学者の立場であるいはまた連絡会の立場で考えられたものは、今後どういう措置ができても従来同様に新聞記者に発表されようと思うなら発表されても差し支えないと思うのですけれども、ただ、政府一つ警告的なものを出すということになりますならば、それは政府の責任が伴いますから、それに伴って政府の防災関係にも関連があるわけですから、やはりその防災とそれから政府警告というか予報というか、そういうものは一つのグループにまとめて、責任を持った体制というものを考えなければいかぬのじゃないか。しかし、大きくはそれはやはり防災会議の中でやるべきことじゃないか。防災会議というのはいろいろなことを全部やっておりますから、その中で専門的なそういう地震予知に伴う予報だとか、あるいは地震予知に伴う防災、地震が起こりそうだということがわかってさましたら、その地震に対するいろいろな予防的な防災、こういうことを専門にやるべきじゃないか、こう私は考えておるのです。防災会議というのは年じゅう動いておりません。しかし、それがしょっちゅう動いて一だんだんと刻々地震の情報が入ってくる、予知がどんどん入ってくるわけですから、それに応じて刻々動けるような、そういう専門のものをつくらなければいかぬのじゃないだろうか、こう思っておるのです。それも私の個人の考えじゃ仕方がありませんので、さっき申したとおりある程度推進体制というものが閣議決定されましたならば、そこでそういう意見を出して、そしてその防災会議に早くそういう体制を整えなければいかぬのじゃないか。しかし、そういうものは政府の責任のある話でございまして、それができるまでの間も、またできてからも、従来予知連絡会だとかあるいは学会等で発言されておることは私は自由に発言していただいたらいいし、従来同様に、まあ連絡会の判断でこの際新聞に発表した方がいいと思うなら発表していただいて、それは一向に差し支えない、こう思っておるわけです。
  202. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんから終わりますが、特に防災の面を時間があれば詳しく聞きたいと思っておりましたが、時間がありませんから終わりますけれども、特に防災としてこの点は反省しなければならぬということを、反省しておられる点を簡潔にひとつ何点かお答えいただきたいと思うのです。それをお聞きして終わります。
  203. 園山重道

    ○園山政府委員 防災に関しましては、ただいま大臣からの御答弁もございましたように、やはり地震でございましても、その防災に対しまして責任を持っておりますところというのは私の方とは若干ずれておりますので、私の立場で防災担当者ということで反省ということを申し上げることはできないかと思うのでございますけれども、しかし、先生御指摘のように、確かに地震に関しましてはいわゆる予知を推進するということを私ども非常に重要に考えておりますが、予知ができただけではやはりだめでございますので、これについては予知を生かして防災を進めていくという施策が政府として推進されなければならないものと考えております。ただいま大臣の御答弁にもございましたように、大臣大変その辺につきまして積極的に取り組んでおられますので、いずれこれが実現の方向に向いていくのではないかと考えております。
  204. 近江巳記夫

    ○近江委員 では終わります。
  205. 八木昇

    八木委員長代理 この際、萩原参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のため大変参考になりました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  次回は、明十四日木曜日午前十時理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会