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佐々木静子君 これは総理府の統計から見ましても、
夫婦が別の氏を称するようにすることができるようにしたらどうかという統計は、総理府でお調べになったところでは、余りいまのところではここ二年ほど前の統計では支持している人は少ないというふうに統計上は出てきておりますので、私もいま何も急にそういうふうにするべきだということを言っているわけではありませんけれ
ども、
〔
委員長代理
原田立君退席、
委員長着席〕
しかし世界の趨勢から見ると、立法の動向はだんだんとこれは当然のこととしてそのように動いていっている。だから、やはりこれは一遍にの問題じゃないけれ
ども、これは人間の
意識の問題でもあるわけですから、だんだんと私は日本の
民法もそちらの
方向に変わっていかなければならないんじゃないか。これが三年先か五年先かというような問題はちょっといまのところわかりませんけれ
ども、やはりそういうことも考えておいていただかないといけないんじゃないか。
たとえば、それじゃ名字が変わるのがいやだから内縁関係でいると、そういう
夫婦も世の中に幾らでもあるわけです、特に両方が働いている場合は。しかし、私の友人などで、これは実はあるかなり有名な病院を経営している女医さん、これは結婚したけれ
ども、名字を変えると営業上非常な支障を来すから内縁関係でいる。その方が実は家庭
裁判所の調停
委員であった。そうすると、やはり結婚して内縁でいると、ちょっと調停
委員さんが内縁ではというふうなことを、正式の話じゃないけれ
ども、言う人もいるということになってくると、やはりなかなか社会的な活動とそれから自分のいままでの何十年と築いてきた社会的
地位と、それから家庭
生活のこれは人間の当然としての幸福追求の
権利というものが女性の場合に限って成り立たない。これは女性の場合は非常にいろんな意味での社会的な制約が多い上に、さらにその名字というものがのしかかってくる。彼女の場合はそういう批判があって、
裁判所に迷惑をかけてもということで、調停
委員は結婚して内縁関係でまずければとみずからやめたわけですね。結局、そのまま数年いっていたけれ
ども、やはりいろんな公職につく話があるごとに内縁関係ではということになってくるので、結局もう仕方がないから
婚姻届けを
出して名字を変わった。そうして医院の方は養子を――その前に跡を引き継ぐ人を見つけて、そしてそこの医院はその跡を譲って、彼女は
婚姻届を
出したと同時に、これは地方自治体の方ですけれ
ども、いろんな公職がびっくりするほど舞い込んできたというふうなことを考えてみると、いまの社会では内縁関係というのは社会的にやはり非常に大きなデメリットになる。だから、男の場合だと問題にならない、
婦人の場合は二者択一、どちらを選ぶかという問題になってくるということは、これはぶつかる事例は非常に少ないけれ
ども、やはり七百五十条のこの
規定は、これは非常に
婦人にとって手かせ足かせの
規定である。これは
法制審議会に三人か何人か
婦人がいらっしゃるか知らないけれ
ども、
法務省のいわゆる政策を決めるお役人はいまのところ目下全部男性の方ばかりなので、いま急に
香川さん、あしたからほかの名字になりなさいと言われたら、やっぱり非常に困ると思いますね。まあ大抵のことは放ってでも、名字は
香川でいたいとおっしゃると思いますね。これは普通男の人はだれでもそうで、そんなことは考えてもおらないからあたりまえのことだけれ
ども、これは
婦人の場合は大変な問題になってくるわけべすから、だからもっと七百五十条というものは人ごとみたいなことじゃなくて、みんなここで行き詰まっているんですから、七百五十条ということをもっと考えていただかないと、これは人間としての本質的な生き方の問題とまさに結びついている
規定ですから、これはもっと今後考えていただかないといけないと思いますが、いかがですか。