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青柳委員 これがトラブルのもとにならなければ幸いでありますが、
脱法行為として、たとえば興信所のような、秘密探偵のようなものが、先ほど話に出ました弁護士とか税理士とかそういったような特殊の
地位を持っているがゆえに何ら請求の
理由を明らかにせずしてもらえる人、そういう者と特約を結んでおってあちらこちらからそういう人を通じて手に入れる。これは決して正当なやり方ではないわけであります。それで問題を解決するということでは、この
制度は余り実益がないといいますか、
プライバシー防止の
制度だと言っていても、抜け道をそういう特殊な業務に携わる者には与えておくということによって、それを使ってやられてしまう。これでは全く首尾一貫せぬことになるわけでありますが、それを防止するすべがどうも余りはっきりしないということになると、この
制度は果たして前進と言えるのか、どうなのか。
プライバシー防止というたてまえは非常にりっぱだけれども、裏道がちゃんとできておる。もっとも特約を結ばれたその職業上の特別な
地位を持っている人ですね、そういう者の不道徳というのは職業倫理からいって批判の対象になることは当然でありますから、そういうことを予想することがおかしいのだと言われてしまうと、まさに予想する方がひねくれた物の見方かもしれませんが、世間ではこんなものをつくったって
プライバシー侵害をやろうとすればその手は幾らでもあるのだよなんというようなことを悟ったように言っておりますものですから、そうだとすると、これは問題だなというふうに思うわけであります。
それからもう
一つは、そういうことを神経質に考えるがゆえにむやみと
制限をしていく、
本人以外は事実上拒否に等しいのだということになってしまっても、これまた大問題ということになるわけでありまして、いずれにしてもこの
制度の
改正は非常に問題を含んでいると私どもは考えております。
そこで、もう一点だけお尋ねして、私は終わりにいたしますが、
戸籍の記載事項というものは必要最小限度にとどめておくべきではないのか。前回の
委員会でも、刑務所の中で出生した場合にその出生地を記載するというようなことは、その生まれた
子供の一生に悪い影を残すというようなことも言われておりまして、また刑務所で不幸にして病死をしたとか、また極端な場合には、必ずあるのですが死刑の執行を受けたとかいうようなときに、死亡の場所が刑務所内である。これも明らかに記入されておれば遺族などにとってみれば非常に不名誉なことが登録されてしまう。これは
公開を
制限しているのだからそういうことは一般にはわからないのだと言っても、先ほど言ったように、いろいろの
例外があるわけであります。
それが
例外なのか
原則なのか、それはともかくといたしまして、事実上
公開されてしまう。だから記載事項をなるべく不必要なものは省く。かつて、華族だとか、士族だとか、平民だとかいうような
身分を記載しましたけれども、これはもう封建時代の遺物でございますから戦後廃止されましたけれども、それも確かに不必要な事項、そうだとすると、本籍を除外してしまうということはどうだろうか、本籍の番地まで省略してしまいますと、同姓同名の
人間があった場合にどちらの方であるかわからなくなってしまうという心配がありますから、勢い番地まで本籍は明らかにしなければならぬ。しかし本籍を転籍をした場合はどうなるかというと、どうも
本人の事項欄に何町何番地から転籍をしてきたということが記入される。したがって、それを追跡調査していけば除籍の部分も判明してくるというようなことで、結局は転籍してもかつての本籍というものはなくならない。記録上不明になることはない。そうすると、この記載事項の中で本籍を記載することはやめられないということですね。しかし、出生とか、死亡とか、
届け出人の名前とか、そういうものは省略することがあってもあえて構わないということは考えられないかどうか。ただ国籍を明らかにする
意味において、
日本国内でだれだれの間に生まれた
子供であるというようなことはどうしても明らかにしなければなりませんけれども、また外国で生まれた場合でもそうだと思いますが、それにしても出生地などは都道府県単位くらいにとどめることはできないものかどうか、これをお尋ねしたいと思います。