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1976-05-20 第77回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月二十日(木曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 小山省二君    理事 左藤  恵君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 山崎  拓君    理事 渡辺 紘三君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       伊能繁次郎君    大西 正男君       片岡 清一君    木村武千代君       島田 安夫君    渡海元三郎君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       村山 富市君    山田 芳治君       林  百郎君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席政府委員         警察庁長官   浅沼清太郎君         警察庁刑事局長 土金 賢三君         国税庁次長   横井 正美君         自治大臣官房審         議官      石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      横手  正君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君         自治省財政局長 首藤  堯君  委員外出席者         総理府人事局参         事官      山口 健治君         法務省刑事局刑         事課長     吉田 淳一君         大蔵省主計局主         計官      藤井 裕久君         自治省行政局公         務員部給与課長 金子 憲五君         自治省行政局選         挙部選挙課長  秋山陽一郎君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     有田 喜一君   片岡 清一君     赤城 宗徳君   木村武千代君     箕輪  登君 同日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     片岡 清一君   有田 喜一君     愛野興一郎君   箕輪  登君     木村武千代君 同月十九日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     中村 梅吉君   片岡 清一君     三池  信君   小川 省吾君     山崎 始男君 同日  辞任         補欠選任   中村 梅吉君     愛野興一郎君   三池  信君     片岡 清一君   山崎 始男君     小川 省吾君 同月二十日  辞任         補欠選任   井岡 大治君     村山 富市君   多田 光雄君     田代 文久君 同日  辞任         補欠選任   村山 富市君     井岡 大治君   田代 文久君     多田 光雄君     ――――――――――――― 五月十四日  地方自治体財政危機打開に関する請願石母  田達紹介)(第四三二五号)  地方財政危機突破に関する請願(阿部未喜男君  紹介)(第四三二六号) 同(庄司幸助紹介)  (第四四〇九号)  地方財政確立のための緊急措置に関する請願(  加藤清政紹介)(第四三二七号)  地方財政危機打開対策に関する請願庄司幸  助君紹介)(第四四〇八号)  地方自治体財政難打開に関する請願庄司幸  助君紹介)(第四四一〇号)  都行政確立に関する請願加藤清政紹介)  (第四四一一号) 同月十五日  地方自治体手数料等引上げ抑制等に関する請  願(栗田翠紹介)(第四五五八号)  都行政確立に関する請願八木昇紹介)(  第四六一四号)  地方自治体財政難打開等に関する請願瀬崎  博義紹介)(第四六一五号)  同(瀬崎博義紹介)(第四六八一号)  同(瀬崎博義紹介)(第四七三八号)  同(瀬崎博義紹介)(第四八一一号)  固定資産評価替え反対等に関する請願(諫山  博君紹介)(第四六八〇号)  小規模住宅用地固定資産税等減免に関する請  願(東中光雄紹介)(第四八一二号) 同月十七日  地方財政危機突破対策に関する請願多田光  雄君紹介)(第四八九五号)  同(林百郎君紹介)(第四九五六号)  地方債充実改善に関する請願湊徹郎君紹  介)(第四九五三号)  地方事務官制度廃止に関する請願湊徹郎君  紹介)(第四九五四号)  地方財政危機突破に関する請願(林百郎君紹  介)(第四九五五号)  同(中村重光紹介)(第五〇五二号)  同(中澤茂一紹介)(第五〇五三号)  都行政確立に関する請願小川省吾紹介)  (第四九五七号)  同(佐野進紹介)(第四九五八号)  同(多田光雄君外二名紹介)(第四九五九号)  同(村山富市紹介)(第五〇五五号)  地方財政確立のための緊急措置に関する請願(  村山富市紹介)(第五〇五四号) 同月十八日  地方財政確立のための緊急措置に関する請願(  小川省吾紹介)(第五三二七号)  固定資産評価替え反対等に関する請願(小林  政子君紹介)(第五三二八号)  都行政確立に関する請願小川省吾紹介)  (第五三二九号) 同月十九日  地方財政危機突破対策に関する請願河上民  雄君紹介)(第五四七一号)  固定資産評価替え反対等に関する請願(米原  昶君紹介)(第五四七二号)  都行政確立に関する請願小川省吾紹介)  (第五四七三号)  同(田口一男紹介)(第五四七四号)  地方財政危機突破に関する請願田中昭二君紹  介)(第五七四二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十八日  地方財政確立に関する陳情書外十九件  (第  二一二号)  地方事務官制度廃止に関する陳情書外一件  (第二一三  号)  地方公務員定年制実施に関する陳情書  (第二一四号)  地方公営企業財政確立等に関する陳情書外一  件(第二一  五号)  公立病院等の整備に対する助成強化に関する陳  情書(第二一六  号)  地方公営競技収益金均てん化推進に関する陳  情書  (第二一七号)  身体障害者等駐車禁止除外標章の全国共通取  扱い措置に関する陳情書  (第二一八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  警察に関する件(最近における暴走族事案の発  生概況)  地方自治地方財政及び警察に関する件      ――――◇―――――
  2. 小山省二

    小山委員長 これより会議を開きます。  警察に関する件について調査を進めます。  この際、警察庁当局から、最近における暴走族事案発生概況について説明を求めます。浅沼警察庁長官
  3. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 まず、暴走族実態について申し上げます。  現在、警察が把握している暴走族は、約五百七十グループ、二万三千人余であります。サンプル調査の結果から推計いたしますと、その構成は、十五歳から二十五歳未満の者が大部分を占めており、このうち二十歳未満少年が約七〇%を占めております。職業別では、高校生会社員、店員、工員等各般にわたっており、中でも高校生の占める割合は高く、東京都、神奈川県では四〇%を占めております。  使用している自動車について見ると、おおむね二輪車が二〇%、四輪車が八〇%の割合となっており、最近四輪車の割合が増加する傾向にあります。  暴走族の形態を大別すると、サーキット型とツーリング型の二種があり、概して、前者は愛知県以西に見られ、群衆を巻き込んだ集団暴力事件を起こし、後者は、関東、東北に多く見られ、グループ間の対立抗争事件を起こすのがそれぞれの特徴であります。  本年一月から四月末までの暴走族暴走事案参加延べ人員は約七万人、参加延べ自動車台数は約三万二千台でありまして、前年同期に比べて、いずれも増加しております。  本年に入りましてからの特異事案としては、群衆を巻き込んでの集団暴力事件(兵庫)、グループ間の対立抗争事件(茨城、千葉、埼玉、東京神奈川等)、一般市民に対する暴力事件(山梨)等がありますが、この中で特に注目されますのは、五月十五日夜神戸市において発生いたしました暴走族群衆による集団暴力事件であり、最高時六千人の群衆の投石、放火等暴力行為により、事案を取材中のカメラマン一人が死亡、負傷者三十七人、自動車六十五台が損傷されるという結果を出すに至りましたことはまことに遺憾であります。  次に、暴走族に対する対策について申し上げます。  警察においては、警察庁暴走族総合対策委員会を、また、都道府県警察暴走族総合対策本部を設置し、このような暴走族実態に対応して、交通、防犯、警備等警察総合体制により、関係機関と緊密な連絡をとりながら次のような対策を講じております。  その一は、未然防止活動推進であります。暴走族による集団暴走行為暴力事件等に対しては、できる限りこれを未然に防止するということを主眼として、これらのグループの動向を事前に把握し、警告、説得を行い、また、暴走行為等が行われるおそれのある地域、路線については必要な交通規制を行うなど、毎土曜日約一万人の警察官を動員して、警戒に当たっております。  その二は、取り締まり強化であります。暴走行為に対する取り締まり強化するとともに、群衆を巻き込んでの集団暴力事件グループ間の対立抗争事件等を惹起するおそれのある悪質グループについては、これを重点取り締まり対象として、集中取り締まりを反復実施するほか、これら悪質事犯については、早期鎮圧徹底検挙方針をもって臨んでおります。  その三は、少年補導強化であります。暴走族には少年層が多いことにかんがみ、非行集団化したグループ、常習的に暴走行為を行うグループを中心に補導活動を強力に行い、グループの解体を図っております。  このほか、暴走族の行った道路交通法違反については、昨年六月から運転免除行政処分強化しております。また、予防対策につきましては、関係機関と連携を保ちながら、家庭、学校、職場等を通じて、暴走行為を行わないよう総合的な指導補導を行うとともに、必要により安全運転教育、訓練も行っております。  以上が暴走族実態対策についての概要でございます。      ————◇—————
  4. 小山省二

    小山委員長 地方自治地方財政及び警察に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  5. 小川省吾

    小川(省)委員 大蔵省お見えですね。大蔵省に伺いたいと思うのでありますが、実は、今月の十七日の夕刊を見て驚いたわけであります。「地方公務員ベア 五%内に圧縮指導」ということで、公共事業費は減らさずに公務員ベア地方財政計画上の五%以内に抑えるということを大蔵省が明らかにしたというふうに報ぜられているわけであります。大蔵省が明らかにしたということでありますから、何らかの形で新聞記者に話をされたと思うのでありますが、この経緯について、ひとつ御説明を承りたいと思います。
  6. 首藤堯

    首藤政府委員 大蔵省からもお答えがあるかと思いますが、ちょっとその前に私から……。  私どももただいま御指摘新聞記事等を見てびっくりいたしまして、大蔵省にどういうことだということを問い合わせてみたわけでありますが、そのような事実は全然ない、また、そのような考え方も全然ない、こういうお答えを承っております。
  7. 藤井裕久

    藤井説明員 ただいま御指摘の読売の記事を読んでびっくりしたわけでございますが、私ども立場として、あそこに書いてありますように、公共事業の執行とかあるいは人件費がいまどうなるのかというようなことについては非常な関心を持っていることは事実でございます。しかしながら、あの記事にありますように、何か一定の範囲内に人件費を抑えることを期待しているとか、あるいは自治省に要請したとか、そういうことは全くございません。とにかく国家公務員の方の給与がどうなるのかというようないろいろなデータもまだ集まっていない段階でございます。また、大蔵省地方団体のそういう給与などの問題について物を言う立場にないということも十分御承知のとおりと思います。重ねて申し上げますが、あの新聞記事は全く事実無根でございます。
  8. 小川省吾

    小川(省)委員 自治省も知らない、大蔵省責任ない。こんなふうな記事が載って、しかも大蔵省も知らぬ、自治省も知らぬということでありますけれども、最近はこういうようなケースが、特に地方財政関連して非常に多いわけであります。いざ問題にしてみますと、言った覚えはないとか、公表した覚えはないとか言われますが、担当者がちょちょっと話をされたことが記事になってあらわれてくる。記事になってあらわれてきて追及をすると、責任はないというような言い逃れをしておるわけであります。そういう意味では、自治省がまさに大蔵省の名をかりて本年度地方公務員人件費についてさらに攻撃をかけるとか、あるいはことしのベースアップの人事院勧告を牽制した報道ではないからとすら実は私は思っているわけであります。冒頭、首藤財政局長答弁をされましたけれども、こういうケースが非常に多い。ですから、私はそういう点についてもうちょっと明らかにしてもらいたいと思います。財政局長
  9. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げましたように、私どもも見てびっくりいたしまして、抗議の意味問い合わせをいたしたのでございますが、そのような事実は全然ない、また考えてもいない、こういうことでございますので、そのようなことはあってはならないというふうに私どもは当然考えておるわけでございます。
  10. 小川省吾

    小川(省)委員 いや、何らかの形でこういう記事があったら、何かの折に触れて自治省の態度もはっきりしてもらわぬと困ると思うのであります。  私は藤井主計官に伺いたいのでありますが、こういうことは流した覚えはないと言われるわけでありますけれども自治省の諸君に聞くと、自治省サイド地方財政の抜本的な是正について、私どもそれぞれ委員会の中で問題にしているわけでありますが、大蔵の方がどうも真剣味が足りないというふうな話をちょくちょく実は伺うわけであります。そういう意味では、大蔵サイドとして、今後の地方財政についての抜本的な対策についてどうお考えなのか、一言お尋ねをいたしておきたいと思います。
  11. 藤井裕久

    藤井説明員 十分御承知のとおり大蔵省といたしましても、これは毎回申し上げておるのですが、国の財政地方財政もともにうまくいかなければ全体としての財政がうまく運営されないということは、これはもう実例を待つまでもなく私たちそのように考えております。  そこで、もちろん来年度五十二年度地方財政、十分適切に運営できるようにということについて、もういまからいろいろ部内では議論を始めようという段階でございますけれども、冷淡だとか、そういうふうなことは全くございませんで、今後経済の動きなどを見きわめながら自治省と十分御相談をして、とにかく五十二年度以降の地方財政が適切に運営できるようにということの方向十分協議をいたしてまいりたいと思っております。  ただ、国の財政も御承知のような状況でございますから、その措置というものが理想的ということにはほど遠いようなことになるのは、これはやむを得ないと思いますが、たびたび申し上げますように、地方財政運営支障を来すことがあっては絶対にならないという立場に立って、十分自治省と御相談させていただきたいと思っております。
  12. 小川省吾

    小川(省)委員 そういう御答弁でまあいいわけでしょうが、国の財政も確かに御承知のような状況であります。しかし、いずれにしても、地方財政運営支障を来さないように、十分満足がいくかどうかわからぬとかいうような答弁がありましたけれども、五十二年度以降に向けて抜本的な対策を講じてくれるお約束をいただけますか。
  13. 藤井裕久

    藤井説明員 ただいま申し上げましたような観点に立って、今後自治省と御相談をしていくわけでございますが、抜本的という意味が、いわゆる今後恒常的な形での姿を五十二年度すぐにも実現するのかという御趣旨でございますと、これも御承知のとおり、いま非常に流動した段階でございますし、また、国の財政地方財政が異常な状態にある段階でございますので、それを前提にして相当恒久的、抜本的なものが五十二年度にすぐできるかということになりますと、これについては、お約束することは遺憾ながらできかねると思いますが、とにかく、五十二年度以降の地方財政が適切に運営をされるような方向措置をいたしたいというふうに考えております。
  14. 小川省吾

    小川(省)委員 言いわけは要りませんが、とにかく、抜本的という意味のとり方がいろいろあるでしょうけれども、そういう方向に向けての努力を強く要請をいたしておきます。  ちょっと細谷委員から関連質問がありますので……。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 関連でお尋ねしたいのですけれども、最近の新聞に、大蔵省自治省に対して、地方債許可に当たって、その地方団体財政実態に応じて三段階ぐらいのランクをつけて許可をする、こういう方針を申し入れたということでありますけれども、そういう事実はございますか。
  16. 首藤堯

    首藤政府委員 御質問は、地方団体の発行いたします縁故債について格づけを行うように検討しておるという某新聞記事がございましたことに関連しての御質問だと思います。前に当委員会におきましても、御質問、御指摘等がございました。私どもも、非常に重大なことだというので、大蔵省にも問い合わせをしたりしてみたのですが、これも事実無根でございます。全然そのような考えはございませんし、私どもも、そのような措置をただいますぐとることには非常に無理があると思っております。大蔵省も同じ考え方でございます。したがいまして、そのような事実はございません。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 火のないところに煙は立たぬ、こういうわけですけれども、先ほど小川委員指摘したように、最近地方財政の問題をめぐって大蔵省の申し入れがあったという新聞記事があることを自治省は知らないということでありますけれども、どうもやはり新聞が無責任推定記事を書いているということじゃないと思うのですよ。その辺どうしても解せませんので、今後そういう問題についての扱いというのは慎重にやっていただきたいということを要請しておきたいと思います。  もう一つの問題は、今度の地方財政対策、それに関連いたしまして、大蔵自治大臣覚書がございます。たとえば地方債の問題について、銀行等融資が得られないというような状況が感ぜられた場合には、完全消化のために両者が協力する、こういう意味覚書がございます。  ところが、最近この新聞を見ますと、地銀の資金が相当自治体に食われておる、これは年度末等関係もあると思うのですけれども、いわゆる資金枯渇、そういうことから、地方債みずからの消化ができないんじゃないか、こういうことも憂慮されております。たとえば、夏枯れどきそういう心配があるのかないのか。  もう一つは、最近問題になっております。地方債消化できたけれども、そのために地方銀行の方の中小企業等への融資が今度はアウトされる、いわゆるクラウディングアウト、こういう現象が起こるのではないかということが感じられますが、そういうことについては責任を持てますか。
  18. 首藤堯

    首藤政府委員 地方債消化につきましては、毎々申し上げておりますように、五十年度発行分縁故債につきましては、消化見通しがついておりまして、消化できないという報告は承っておりません。  それから五十一年度発行額は、御指摘のように大変多うございますので、私どもも意を用いておるところでございますが、ただいま大蔵との話し合いと申しますか情報では、マクロとしてはこの程度消化は十分可能であるということは大蔵も申しておるわけであります。ただ問題は、地域地域でもしミクロの面で問題が起こった場合には——これは起こらないという保証もございませんので、そういった事態には自治大蔵大臣が協力をいたしましてこの完全な消化にお互いに努める、こういう約束をいたしましたのが例の覚書でございます。したがいまして、私どもとしては消化見通しは大丈夫だと思っておりますし、また言葉をかえて言いますならば、何としてでも完全な消化をさせたい、このような決意でおることを申し上げておきたいと思います。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 念のために聞いておりますが、ことしの春闘と同じように、マクロミクロ論。いま財政局長は、マクロでは問題ない、ミクロでは心配がある、こういうことでありますけれども、このミクロの問題が解決つかぬと、これは大変な問題なんです。この辺、両者責任持てますね。
  20. 首藤堯

    首藤政府委員 ミクロの問題が問題であることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもはそのような事態が絶対起こらないように、完全消化をするように両者挙げて努力をするという固い約束を交わしておりますし、またそのような決意でおります。完全消化については必ずこれを実施したい、こう考えております。
  21. 藤井裕久

    藤井説明員 私、担当ではございませんで、銀行局担当でございますが、かわって申し上げます。  両大臣覚書を交わしましてお約束いたしました以上、完全消化に努めることは当然のことでございます。  なお、まさにミクロの問題でございますが、個別に問題が出れば、恐らく自治省の方に話が上がってまいると思います。大蔵省銀行局といたしましては、その個別の話を受けて、個別にきめ細かくその消化を図っていくというような指導をすることを考えております。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に一点。きのう関東地方知事会議がありまして、財政局長はそこで地方財政の現状について演説をしているわけです。演説説明か知りませんけれども新聞によりますと、財政局長は、五十年度都道府県の決算は二十八ないし二十九団体赤字だ、こういうふうに言っております。市町村は二百余団体赤字だ、こういうふうに説明されております。  そこで、私はお尋ねしたいのでありますけれども、昨年の十月ごろと私は記憶しますけれども自治省は、都道府県はおよそ三十九ないし四十団体赤字になるだろうという展望を出しました。ところが今日になってまいりますと、十団体減りまして二十八ないし二十九団体ということであります。大変大きな見込み違いであります。新聞でありますから——まあ書いてあることは、一兆六百三十二億円前後と予想された財源不足が八千五百億円程度にとどまった、赤字団体都道府県が二十八ないし二十九団体、こういうことであります。各都道府県とも赤字は何百億できる、こういうことを前もって宣伝して、そうして現実にはもうやがて出納閉鎖期になるわけでありますけれども、もう何百億という赤字が出ると言いながら、大体単年度とんとんあるいは若干の黒字が出る、こういうような状態になっておるのですよ。自治省が四十団体赤字が出ると宣伝しながら、現実には二十八だか二十九ぐらいの団体になる。こういうことになりますと、まあ見通しでありますから誤りであった、あるいは甘かった、あるいはシビアだったということであればそれまででありますけれども、何らかの政治的意図があったのじゃないのですか。たとえば公務員給与を抑える、あるいは福祉を見直させる、見直して切り下げていく、そういう意図で、財政難に籍口して赤字団体をあるいは赤字額を過大に宣伝したのではないか、こういうふうに想像されるのですが、どうですか。
  23. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘でございますが、私どもかつて赤字団体が三十九団体になるとか四十団体になるとか、その金額がどうなるということを申したことは一度もございません。これは確実にございません。いつか当委員会でも御質問がございましたが、幾つかの報道機関におかれましてそれぞれの報道網を通じてお調べになりまして、そのような推計記事をお書きになったことは何遍もあるようでございます。その際に、自治省は公表しないのかというお問いもございましたが、私どもといたしましては、その時点では的確な数字についての把握のしようがございませんので、それはございませんというようにお断わりを申し上げてきております。  ただいま御指摘にございました関東知事会で私申し上げましたのは、もちろんまだ決算が収集いたしておりませんのではっきりはわかりませんが、大体いまの時点で私ども各県からの報告を徴しましたところ、御指摘のように二十八、九の団体赤字になるのではないか、このような情報を最近聞いておりますので、それをその場合素直に御報告を申し上げたわけでございます。  それから、なお市町村が二百余団体とは当時申し上げませんで、二百数十ではないかというふうに申し上げたのですが、それは表現が某新聞では二百余団体、こういうことになっておるようでございますが、これも幾つの団体赤字になるかは現時点でははっきりいたしておりませんので、細かい数字は申し上げる段階ではございません。したがいまして、故意に赤字をつくって云々という御批判は全く当たらないことを申し上げておきたいと思います。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたの方は言ったことはないと言うけれども新聞記事都道府県で三十九ないし四十団体赤字になるだろうという記事が出たことも事実でありますし、かなり深刻なとらえ方をしておったことは自治省といえどもこれは間違いない。今回もまた、この問題でも新聞記事には責任持てない、こういうことでありますけれども、大体においてそういう意図で、そういう姿勢で自治省が終始しているということがやはりそういう記事からうかがえると思うのであります。私は、そういう過大な赤字で権威ある自治省がいろいろな形で記事に出るということは、国民はみんなそう思うわけでありますから、まことに遺憾であります。  この遺憾の意を表明して、関連質問でありますからきょうのところはこれで終わっておきます。
  25. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、総理府に伺いたいと思うのであります。  国家公務員の退職手当法をめぐっての解釈といいますか、見解を伺いたいと思うのであります。私もしばらくぶりに退職手当法にちょっと目を通してみたわけでありますが、退職手当法の眼目といいますか、基本になっているのは三条と四条と五条、これが大体の中心であるというふうな理解をしておるわけでございますが、さようでございますか。
  26. 山口健治

    ○山口説明員 退職手当法につきましては、国家公務員及び三公社の職員等が退職をする際に、どういう条件のもとにどういう金額を支給するかということを規定しておりますが、先生御指摘のとおりその中心は三条、四条、五条、そこに支給金額についての根拠がありますので、それが中心になっていると考えてもよろしいと思います。
  27. 小川省吾

    小川(省)委員 次に伺いますが、私がこれからお伺いするのも退職手当法の基本になるものだというふうに思って伺うわけでありますが、法の三条には退職手当の支給基準給料として「退職の日におけるその者の俸給月額」を退職手当支給の基礎給料とするという表現があるわけであります。これは動かすべからざる基本であると思いますが、そのとおりですか。
  28. 山口健治

    ○山口説明員 いま先生おっしゃいましたように三条では「退職の日におけるその者の俸給額に、その者の勤続期間を次の各号に区分して、当該各号に掲げる割合を乗じて得た額の合計額とする。」こういう規定がございまして、退職手当を計算する際の俸給月額というのは退職の日における俸給月額であるということに間違いありません。
  29. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、第七条に「勤続期間の計算」を定めておるわけであります。一項からずっと読んでみますと、「職員としての引き続いた在職期間」、職員となった日から職員を去る日といいますか、やめるときまで断続があれば継続をするというふうなものがあるわけでありますが、そういうことで第七条に勤続期間を定めているわけでありますが、国家公務員にもいわゆる肩たたきというか勧奨退職があるということを私も地方におって承知をいたしておるわけであります。いま子供が大学二年生なので卒業するまでぜひひとつあと二年ばかり置いてくれということで、二年たって退職をされるケースどもよく見受けるわけでありますが、そういうときの退職の日というのは、勧奨を受けて一年か二年なり猶予をもらってやめていく日が当然この退職の日になると思いますが、そういう勤続期間になると思いますが、そのとおりですか。
  30. 山口健治

    ○山口説明員 先生いま御指摘されたようなケースですね、たとえば任命権者から勧奨されてしかるべき——すぐおやめになる方は少ないと思うのですけれども、二、三日あるいはちょっとしばらく時をかしてください、こう言ってやめるような場合には、当然そのやめた日の俸給月額が計算の基礎となると思います。  ただ、たとえば先生いまおっしゃったように、勧奨されて、大学生の子供がいるから一年か二年待ってくれというふうに言って、二年後にそれが勧奨退職になるのかどうかということにつきましては、ちょっとここではっきりと勧奨退職であるというふうに私断言できる自信がございませんし、またそういうふうな解釈あるいは行政実例というのは現在まで存しておりません。
  31. 小川省吾

    小川(省)委員 いや、私が申し上げているのは、一年なり二年なり猶予を置いてやめた場合に勧奨になるかということではなくして、勤続期間は当然猶予をもらってやめたときが勤続期間になる。第七条にこれらが明文で定めてあることは私はこれも基本の一つであろうと思うのでありますが、勧奨退職に取り扱うということではなくて、勤続期間としては勧奨を受けたときではなくてやめるときが勤続期間であるというふうに理解をしているわけですが、これも柱の一つであろうと思うのですが、そういう意味で、その点についての確認の意味での回答をいただきたいと思うのであります。
  32. 山口健治

    ○山口説明員 勧奨になるか自己都合でやめるかということを度外視して、先生がおっしゃったように期間的にどこまで勤めたことになるかという点につきましては、先生おっしゃるとおりやめる時点までは継続して勤務した、こういうふうになります。
  33. 小川省吾

    小川(省)委員 いまお答えのとおりやめるときが勤続期間の計算だ、その点と先ほどの退職をする日におけるその者の俸給月額が退職手当の計算の基礎になるという点ははっきりお認めになりますね。
  34. 山口健治

    ○山口説明員 先生おっしゃるとおり、現行法ではそうなっております。
  35. 小川省吾

    小川(省)委員 はい、ありがとうございました。  地方公務員給与というのは、国家公務員給与法や、あるいはその他の点に準じて大体条例で定められているわけでありますが、そういう点で、地方公務員給与その他に関連をする条例というのは、国家公務員にならって決められているというふうに当然なっているわけでありますが、その点は公務員部長お認めになりますね。
  36. 植弘親民

    植弘政府委員 一般的には国との均衡原則に従って、準じたような形でやっております。
  37. 小川省吾

    小川(省)委員 昨年末に改正された福岡県の退職手当条例について御存じですね。
  38. 植弘親民

    植弘政府委員 存じております。
  39. 小川省吾

    小川(省)委員 この中で勧奨をお断りした者の退職手当について、その支給の基礎の給料、退職手当支給の勤続期間の計算を、五十八歳、勧奨を受けた日、すなわち五十一年の三月三十一日におけるその者の号給と勤続月日に固定をしてしまったわけであります。このことは、私が先ほど総理府に確認をした、退職手当法におけるいわゆる基本精神を逸脱した条例だというふうに思っています。いわば、これは違法の退職手当条例だと思っています。そういう法律に違反をしているような違法の条例というのは、私は無効だと思っているのですが、こういう違法の条例だということを御存じですか。
  40. 植弘親民

    植弘政府委員 先ほど一般的に国との均衡原則によってということを申し上げましたが、いつでも給与条例等で問題になるのでありますが、均衡原則に準じてというのは一体どの程度なのかという点が議論になりますが、私どもは大体一〇〇%それに準ずるのが妥当であろうと考えておりますけれども、実際問題といたしましては、それぞれの事情で若干の修正といいますか、それがあるのはまた事実でございます。その場合に、若干の修正といいますか、違いというのは一体何によるかということになってまいりますと、これはやはり合理的な理由によって、適当な範囲、こういうことが通念的に考えられるだろうと思います。  そこで、いま御指摘の福岡県の条例はどうかといいますと、おっしゃるように若干国の規定といいますか、一般的な退職手当条例、この規定の仕方と違った特例が示されていることも事実であります。その点が、特定の事由あるいはそういった特例の内容というものが適当、妥当なものであるかということが問題になろうかと思います。私ども福岡県の条例を見ますと、いま私が申し上げたような意味で、合理的な理由で、適当な範囲内における修正だというふうに見ております。
  41. 小川省吾

    小川(省)委員 言い逃れは許しませんよ。合理的な、適当な範囲の修正などとは言えません。それは、いま総理府と確認したように、少なくとも退職手当条例の中で、退職手当支給の基礎となるところの俸給月額であるとか、職員が退職手当支給の、いわゆる勤続をした期間、こういうのが基本原則ですよ。そういうものを逸脱をして、合理的な改正なんというのは通りません。これは明らかに法を逸脱した条例だというふうに思わざるを得ないわけであります。いまのくどくどした、言いわけめいた答弁で、この基本原則を踏みにじったような条例が果たして有効と言えるのですか。
  42. 植弘親民

    植弘政府委員 先ほどお答えしたとおりでございまして、一定年齢で、そこで固定するということが違法かどうかという問題ですが、私どもはそれは有効と思っております。先ほどお答えしたとおりでございます。もう少し事務的に……。
  43. 金子憲五

    ○金子説明員 若干、いままでの公務員部長答弁に補足をして申し上げますと、現在地方公共団体の退職手当につきましてはおおむね国の退職手当法に準じて行われておりますが、一部の団体におきまして相当に違ったところもございます。御質問の福岡県の退職手当条例でございますが、これにつきましては、従来国に比べますとおおむね二割から五割程度上増しされた退職手当の内容になっておりました。それについての改正が、今回の福岡県の退職手当条例の改正の第一点でございます。  それから次に国に準ずるということでございますが、従来も、公務員部長が申し上げましたように、完全に国と同じであるということが国に準ずるということであるとは考えておりません。たとえば小さな規模の町村、職員数が百人くらいのところで国と同じ八等級制度をとるということは決して適当なものでもございませんし、それが国に準ずるものであるとは考えておりません。その団体の規模とかその地域の特殊性に応じて給与制度を合理的な範囲で修正して行うべきものであると考えております。福岡県の退職手当条例の改正についてでございますが、従来退職についての勧奨が行われておりますが、それに応ずる者が非常に少ない。それによりまして勧奨に応じないで残った者とそれから勧奨に応じた者との不均衡が非常に内部的にも問題になっておる。それから福岡県におきましては、特に高齢職員の職員全体に占める比率が高くなっておる。そのために公務能率上もあるいは人事管理上もいろいろ問題が起きてきておる。そのような意味で、国におきましての退職手当法のただいま御指摘のありました三条、四条、五条、これにつきましては、基本とする、ただし、特定の年齢を超える者につきましては、これの特例として別の計算方法を定める、このようなものでございまして、決して、国に準ずるべきである、国の給与を考慮して定めるという地方公務員法の二十四条の精神に反するものとは考えておりません。
  44. 小川省吾

    小川(省)委員 補足なら、もう少し補足らしい答弁をしたらどうだね。私が言っているのは、退職手当の支給の基礎となるところの俸給月額は、退職するその人の退職をする日の俸給月額と、それから退職期間の計算というのは入職をしたときからやめるまでの期間が基本だということを先ほど総理府から確認をしていただいたわけなんですけれども、こういうものを逸脱した条例がそれならば、どことどことどこにありますか、具体的に答えてください。
  45. 金子憲五

    ○金子説明員 その年齢については五十八歳あるいは六十歳というように違いがございますが、現在すでに施行されている団体は、福岡県、それから福岡市、北九州市、横浜市、それから京都市、東京都、滋賀県、熊本県、大分県、宮崎県といったような団体でございます。
  46. 小川省吾

    小川(省)委員 それが退職をしたときのその日の俸給月額ではない計算基礎でやられているわけですか。
  47. 金子憲五

    ○金子説明員 団体によりまして若干の違いはございますけれども、おおむねそのような考えのもとに行われております。
  48. 小川省吾

    小川(省)委員 いずれにしても、そういう退職手当の計算の基礎となる俸給月額や在職期間が、そういう基本を踏みにじるようなものは、何と言っても法的に見て疑わしい条例だと思いますが、そういうものを自治省が奨励をしておるのか知らぬけれども、実際には職員がやめざるを得ないような状態に持っていく疑わしい退職手当条例だと私は思っているわけであります。公務員部長はこの福岡県の退職手当条例は、実質的にそういう定年制を進めるような条例である、そういう形で、定年制を法定化できないから進めているわけですか。
  49. 植弘親民

    植弘政府委員 定年制が必要なことにつきましては、私ども過去に何度も法案を出させていただきましたが、いろいろな情勢から成立を見ておりません。しかし、それとこれとは別問題でございまして、やはり地方団体が高齢職員を抱えている場合には、その高齢職員の退職によって新陳代謝を図り、公務能率を増進することを考えるのは任命権者として当然のことだと存じております。したがって、定年制がないから実質的定年ということにならないと思いまして、この福岡の条例を見ましても、私先ほど言いましたように、合理的な理由とか適正な内容と言いましたのは、やはり経過措置として、十分本人が自主的な判断によって退職するかしないかを決めるという形をとっておりますので、そこらのところではいわゆる分限には相当しない、こういうふうに考えております。
  50. 小川省吾

    小川(省)委員 いずれにしても退職手当法の基本を踏みたがうような条例をつくるような指導はひとつ差し控えてもらいたい、こういうふうに思っています。  それから、自治省として、時事通信が出している「地方行政」という冊子ですか、パンフレットは御存じでしょうか。
  51. 植弘親民

    植弘政府委員 はい、存じております。
  52. 小川省吾

    小川(省)委員 この五月の八日版に、いわば巻頭の言ともいうべき欄に「道標」という欄があるのですが、この中で福岡の亀井知事は、昨年の十二月、県議会に実質的な定年制を織り込んだ退職手当条例を提案をして、政治生命をかけて取っ組んで成果を上げた、やればやれるんだという主張を、なせば成るんだという主張をやっておるわけでありますが、御存じですか。
  53. 植弘親民

    植弘政府委員 その「道標」のあることは知っておりますが、五月八日版、ちょっと私読んだ記憶ありません、率直に言って。しかしながら、その中で言ったであろうといいますことは、いま先生も御指摘のございましたように、今度の勧奨退職の条例が非常にそういうのに近い要素があるんだというふうに一般に言われていますから、多分知事も、そういった一般的な——一般的というのはおかしゅうございますが、俗な言葉で実質定年という言葉を使ったんだと思います。私は、やはり定年制といいますものは、はっきりと条例で定年制の趣旨を盛り込んだものができなければ定年制ではないと思っております。
  54. 小川省吾

    小川(省)委員 みずから実質的定年制をやったんだと言っているわけですよ。法律の上には定年制なんというのは明定していないわけですから、私は、こんなふうな知事がみずから言っていることを許しておくこと自体、法違反を奨励をしているようなこと自体、これを放言させておくこと自体が自治省としてはいけないことだと思うのですが、いかがですか。
  55. 植弘親民

    植弘政府委員 それを読んでおりませんのでわかりませんが、もしそういうことだとすれば、言葉の使い方として適当でないと思います。
  56. 小川省吾

    小川(省)委員 適当でないというくらいの表現しかできないのでしょうが、全く言語道断だと思うのですよ。私はこの亀井知事の暴挙といいますか、私どもに言わせればあえて暴挙だと思っておりますけれども、どうも自治省もこれに共謀をしたんではないかというふうな疑いを実は持っているわけであります。公務員部長は、これについて相談か何かありましたか。
  57. 植弘親民

    植弘政府委員 福岡県のみならず各地方団体が、準則といいますか参考例を私どもは出していますが、それと異なる条例をつくろうとするときには、一応給与課に相談をかけます、法律上の判断なりについて。そういう意味における相談は、給与課を通してはございました。
  58. 小川省吾

    小川(省)委員 自治省は、大体何でもそうですよ。財政局もそうなんだけれども相談があるとかで、こそこそっと指導をして介入、干渉をやるわけですよね。そういう指導をやったのは、あなたですか。
  59. 植弘親民

    植弘政府委員 条例案の考え方についての意見を問われますならば、私どもは法律的な解釈はこうだ、疑わしいものは法制局にも相談する、こういう形で回答いたしておりますから、私がと言うよりも、自治省がと言った方がいいかと思います。
  60. 小川省吾

    小川(省)委員 疑わしいような、法に違反をしているような疑いが持たれる指導はやめてもらいたいと思うのですけれども、福岡にも山崎副知事以下自治省出身のというか、天下り官僚がかなりおりますね。現在、天下りの方は全国的にはどのくらいいるのですか。
  61. 植弘親民

    植弘政府委員 自治省の場合は、非常に出たり入ったりが多うございますので、正確な数字を覚えておりませんが、多分二百四、五十人ぐらいじゃないかと思います。
  62. 小川省吾

    小川(省)委員 どういう目的や意義を感じながら、自治省出身者を地方自治体に勤務させているわけですか。
  63. 植弘親民

    植弘政府委員 これは、実は私がお答えするのが適当かどうかわかりませんが、少なくと私の受けとめている感じを申し上げますと、やはり自治省といいますのは、政府の中にありまして地方団体のためにその利害を代表して政府の調整に当たるといいましょうか、主張すべきものはするといった立場自治省であろうと思います。そのためには、よりよく地方実態を認識した上ですることがまず肝要であると存じておりますために、やはり中央、地方の交流を通じまして、そういった実体験によっての認識を強くしていくということがこの制度のねらいであろうと思っております。
  64. 小川省吾

    小川(省)委員 私個人としては、天下りの諸君については、いわばその県、その自治体の育ちではないですから、首長にも気がねをしない、議会にも気がねをしないで仕事をやる、こういう意味では、私はある意味では評価できる一面があるというふうに個人としては思っているわけであります。  そういう気持が実は一部私の気持ちの中にあったわけなんでありますが、実は福岡に行ってみて、私のこういう気持ちも一掃されたわけです。というのは、私は私なりに評価をしているといま申し上げたのは、知事や議会にも気がねをしない、また別な意味地方自治の進展にとって、勉強する機会でもあるし、あるいはまた物のわからない首長が独走や暴走するのをチェックする役割りも、私はある一面ではあるんではないかと思って、実は肯定もしてきたわけであります。  しかし、どうもあなたの方の出身の福岡へ行っている方々は、実はそんなチェックする役割りなんか持っていない、これはみずからが天下りした官僚でありますから。福岡の知事は、官僚の中では最高位の次官を勤めた人ですね。そういう意味では、自分より上の人には——普通の知事だったら、民間出の知事だったら幾らでもチェックできるけれども、官僚の知事、しかも最高をきわめた知事に対してはチェックの機能がきかない。こういうことでは、私は天下りさせている意味が全然ないと思うのです。引き揚げたらいいと思うのですよ。全然チェックもできない。知事が暴走して、職員と知事との間に非常に荒廃した空気をつくって、福岡県における自治の実が上がらないような実は荒廃した状態をつくっている。こういう状態であるとするならば、私は天下りをしている自治省出身の役員は要らないと思うのですよ。どうですか。
  65. 植弘親民

    植弘政府委員 先生も地方団体の御経験をお持ちですからよく御理解いただけると思いますが、一般的に申し上げまして、私ども地方団体におります場合でも、知事なり市町村長の行う行政について適当でないというものがあります場合には献言もいたします。そしてまた、それがよりよくなるようにということは念願しておるところでありますが、最終的決定は、やはり住民の選ばれた知事なり市町村長が決定するわけであります。  今度の福岡の場合、それが先生のおっしゃるように違法に近いというようなことであるかどうかということは、私どもはそういうふうに思っておりませんから、チェックしなかったとかしたとかいう事実は、この際、私は論評する限りでないと思っております。
  66. 小川省吾

    小川(省)委員 しかし、やはり自治省出身の官僚の諸君には、そういう役割りも実はあるわけですよね。少なくともその自治体の育ちでない人が入って、自治省から行くわけですから、当然その地方自治をさらにスムーズに、さらに実を上げるような役割りも担っているはずなんですよね。しかし、実際に行ってみると、今回の問題を通じて職員の間に非常に荒廃した空気があるわけです。こういう状態では、地方自治の実なんて上がらないでしょうが。大体首長と職員との間が、人間関係で信頼関係があり、そういうところで初めて地方自治の実は上がっていくんじゃないですか。
  67. 植弘親民

    植弘政府委員 地方団体におきまして、任命権者である首長と職員とが十分な理解のもとに正常な労使関係を構成し、努力して地方行政の推進に当たるということは、先生のおっしゃるとおり、最も望ましいことでございます。
  68. 小川省吾

    小川(省)委員 どうも公務員部との合作かと思ったらそうでもないようですね。首藤財政局長、あなたは福岡におられたんですよね。むしろあなたのところに相談があって、あなたとの、財政局との合作でこれはやられたことですか。
  69. 首藤堯

    首藤政府委員 私どもの方にはそういう給与制度等につきましては当然のことですが相談はございません。
  70. 小川省吾

    小川(省)委員 最近は給与制度その他全般の問題が大体財政を通じてやられているんです。非常に自治省も巧妙になったわけですね、長い間のあれを通じて。しかも地方財政の危機を通じながら巧妙なチェックと指導をやっているわけですよ。バランスがとれればいいんだけれども、チェックするだけで抑制ですよ。そういう状態で、特に私は福岡の先輩としての首藤さんにも相談があったんでは、合同演出じゃないかというふうに思っているんですが、いずれにしてもこういう荒廃をした自治が福岡の実情であります。そういう原因というのは何といっても私は昨年の悪名高い五・一六の次官通達であろうというふうに、そこに起因するというふうに実は思っているわけであります。財政健全化計画という美名に名をかりて、起債によるところの自治体支配が福岡のような例を各地で引き起こしているんではないかと思っていますが、健全化計画やあるいはまた健全化債の実態、実情はどうなっているのか、ひとつ説明してください。
  71. 首藤堯

    首藤政府委員 先生も御案内のように、最近地方財政をめぐる環境は非常に厳しくなっておりまして、どの団体財源不足に苦しむ、財政運営に苦しむ、こういう状況でございます。私どもといたしましては所要の財源を制度的に確保していくということがもっぱら重大な使命だと感じておるわけでございますが、地方自治体自体におかれましても、このような客観的な情勢が厳しい時代でございますから、何とかこの財政の体質を健全化をしていきまして、財政の健全性を確保するための基礎を築いていく、こういうことの努力がなされることは当然であろうと思うわけであります。そのことにつきまして、地方団体が自主的にみずから将来の財政運営をおもんばかりながら財政運営の健全性を図っていく、これは歳入の増強、歳出における経常的経費を中心といたしました経費の節減、こういったことが中心になろうと思いますが、そのような努力を重ねてまいりました場合に、その努力の効果は先生御案内のようにやったら直ちに出るという性質のものばかりでもございませんので、そういう努力を踏まえまして当該団体が行政水準をできるだけ落とさないでそのような健全化努力が進められるような、援助と申しますと語弊があるかもしれませんが、措置をわれわれとしても考えるべきではなかろうか、こういうことが健全化債を考えました事の起こりでございます。  なおこのようなかっこうで自主的に健全化計画をお立てになりました団体は、結果的には都道府県におきまして二十二団体ございまして、それから市町村におきましては三十三団体ございまして、この結果千三百億余りの財政健全化債こういうものの許可をいたしたのが現在の状況でございます。
  72. 小川省吾

    小川(省)委員 いま前段言われたような形での指導はやられていないんではないかというふうに実は思っているんです。いま言われたように健全化債を許可をした団体実態をながめてみましても、大体人員整理あるいはまた手数料、使用料の引き上げ、諸手当の削減、こういう使用料、手数料の引き上げ等、そしてまた職員の人件費を抑圧する中で健全化債を認めていく、これだけでその他の指導はやられていないのではないかというふうにすら思っているわけであります。実は福岡の知事が議会に出した健全化債の同意を求めるかがみを見ましても、全部人件費の抑制ばかりですよ、人件費の削減ばかりです。こういう指導をやっているわけですか。
  73. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、財政の健全性を確保するためには、歳入、歳出両面に要素があろうと思います。できる限り合理的に歳入を多く確保していくということ、それから歳出面はできるだけ節減をしていくということでありますが、この場合にもいわゆる経常的な経費、これは毎年根っこになってまいりますので、ここに合理化すべきものがあればできるだけそこを合理化をして節減していく、こういうことであろうと思います。したがいまして、歳入、歳出両面にわたるそれぞれの団体の御計画があるわけでございますが、その具体的な内容につきましては、それはあくまで、財政再建団体とは違いますから、当該団体が自主的にお考えになることであるという立場に私ども立っております。したがいまして、具体的にどこをどうせいとか、こうせい、こういう強制をするといったようなことは、もうもちろんのこと毛頭ございません。
  74. 小川省吾

    小川(省)委員 公式な答弁だとそういうことなんでしょうが、実はそういう中で人件費の削減ばかりが指導されているというのが実態です。委員長、実はこの健全化債については、私どもが真剣に、地方財政確立をしていかなければならぬ、こういう状態の中で、各自治体の実情を本当に知る意味で、学ぶ意味で必要だと思うのですが、その資料を提出をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  75. 首藤堯

    首藤政府委員 先週でございましたか、前の地方行政委員会でもこのことに関する資料の提出についてのお話がございまして、そのとき私もお答えを申し上げたのでございますが、この健全化計画は団体によりまして、様式が一定をしておるわけではございません。また内容も先ほど申し上げましたように自主的につくっておりますので、区区でございます。ある団体においては五十年度に実際に条例化し、あるいは予算を通じて議会の議決を経ましたもの、これをもって健全化計画だといたしておるところもございますし、あるいは明年度以降のある程度見通しというものも含めて計画としておるものもございます。そういった団体におきましては、未決定の事柄につきましてはこれの公表を差し控えてほしい、こういう強い要請を私ども受けておりますので、その点につきましては公表を差し控えさしていただきたい、こう思っております。ただ五十年におきましてすでに条例等で決定をいたしました事柄、このことにつきましてはもうポピュラーになっておるわけでございますから、それに関連をいたしました資料、これは特に県名を何県同県と挙げることは控えさしていただきたいと思いますが、A県、B県、C県、こんなかっこうではお出しをいたすことはやぶさかではございません。
  76. 小山省二

    小山委員長 小川君、それでよろしゅうございますか。
  77. 小川省吾

    小川(省)委員 未決定のものは結構ですが、決定したものについては出していただきたいと思います。
  78. 小山省二

    小山委員長 できるだけ早く提出するように……。
  79. 小川省吾

    小川(省)委員 そうでなければ、私どもはこの地方行政委員会の中で真剣に地方財政実態を憂え、しかもどうするかということについて審議に参加——自治省指導がどうなのか、自治体の実態がどうなのかということが全くわからなければ、私は地方財政の抜本的な立て直しなんかとてもできないと思いますので、そういう形でひとつ出してもらいたいと思います。  そこで、この健全化計画を出す際に議会の同意というようなものがありましたね。議会の大方の了承とか、いろいろ表現が変わってきたようですけれども、議会との関係はどうなっているわけですか。
  80. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、健全化計画の内容は団体によって違いますが、五十年度だけの措置、これをもって健全化計画といたしておるところもございます。こういう点につきましてはすでに議会に所要の条例、予算等を提出をされまして、議会の議決が終わっておるわけでございます。なお将来の見込みにつきましてもある程度考え方を示しておるという団体におきましては、先ほど御指摘がありましたように議会の大方の了承こういうことも必要かと思うわけでありまして、その意味で、たとえば議長の了承を得てもらうとかその他いろいろな方法、何でもよろしいわけでございますが、そういったようなことをもって大方の了承を得ておるというあかしにしてもらいたい、こういうことは言っておるわけでございます。
  81. 小川省吾

    小川(省)委員 大体地方議会、その自治体の議会はそこの財政問題は当然その関連があるわけでありますから、当然議会の議決を要して、言うならば自治体が借金をするわけですからね。そういうことでありますから、当然議会の議決を要するのは原則ですよね。いま言われたように、大方の了承というのは議会の議決は要しないけれども、少なくとも財政を審議するような、たとえば総務常任委員会とかそういうものの了承を得るものを大方の了承というふうに私は理解をしているわけでありますが、大方の了承というのは、議長個人が了承すれば議会の大方の了承なんですか。そんなばかな話はない。農林省の局長が答弁するならいざ知らず、自治省の局長が答弁するのに、大方の了承というのは議長の了承だなんと言うのは間違いですよ。議会が議決をした後だったら話は別ですが、そうでなければ、少なくとも財政を審議する常任委員会等の了承がなければ大方の了承とは言い得ないと思いますが、いかがですか。
  82. 首藤堯

    首藤政府委員 明年度以降にわたりますものにつきましては、正式にはもちろん後々条例あるいは予算案、こういうものを通じまして議会の正式の御議決を得て措置が決定をしていく、成立をしていく、こういうことになることは当然のことでございます。ただいまそういった将来にわたります筋道についての地方団体考え方につきまして、議会筋の大方の了承ということを申し上げたのでありますが、この具体的な内容につきましては、どういう措置をとらなければならないというようなかたいことは私ども考えていないのでありまして、ただ単純にと申しますか、長だけが考えておることであるということでなしに、そのような事柄が将来その団体において問題にされる事項である、こういう点についての了承を得たかっこうで提出をしていただきたい、このように考えておった次第であります。
  83. 小川省吾

    小川(省)委員 そうすると、首長が議長個人に同意を求めて議長が判こを押す、そういうことじゃなくて、少なくとも大方の了承というのは、各派代表だか知らぬけれども、あるいは総務常任委員会という財政を審議する委員だか知らぬけれども、少なくとも議長個人ではなくて、ある程度その議会の了承というような意味自治省としては思っているという理解でよろしいわけでしょう。
  84. 首藤堯

    首藤政府委員 おおむねそういうことでございます。ただ議会との関係、長との関係でどのようなかっこうをおとりになるか、それは当該団体の内部の問題でございますので、私どもはこれが再建計画でありますならば議決を経たものを持ってこい、こう言いますけれども、そのような措置ではありませんので適宜な措置でよろしい、こう考えておるわけであります。
  85. 小川省吾

    小川(省)委員 これは行政局の仕事だろうと思いますが、議会の大方の了承なんというのは議長個人がなんというふうな解釈をとりますと、ほかの一般の行政指導の面でいろいろな大きな問題を出してまいりますので、ぜひひとつそういう点は心得てお進めをいただきたいと思うのであります。  それから、実は悪名高い昨年の五・一六次官通達なんですが、私ども委員会の中で撤回を求めながら、いろいろな問題点を指摘をいたしてまいったわけであります。つい最近も次官やあるいは大臣に対して本年度の通達についてはというようなことで、かなり執拗な申し入れも実はいたしてまいったわけであります。本年の次官通達はいつ出されるわけですか。聞くところによると、五月二十六日の都道府県財政課長会議で出していくというふうに伺っているわけでありますし、しかもまた昨年の通達と大体同じような方向だというふうなことも承っているわけでありますが、財政局長の口からことしの次官通達の大まかな内容と、そしてまた通達を正式に出す日がいつなのか、お伺いいたします。
  86. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘のように、予定といたしましてはこの二十六日に、国会が一応終了いたしますので全国の財政課長会議等を招集いたしております。そのときに間に合わせて次官通達を出したい、このように考えております。  なお内容は、まだ策定し終わっておりませんので何とも申し上げようがないのでありますが、基調といたしましては、このような財政窮乏の時期五十年、五十一年と客観的状況は全く同じに続いておりますので、やはり財政の健全性を確保していくためには、考え方の基礎としては同様な基調、こういうことにならざるを得ないのではなかろうかと考えております。
  87. 小川省吾

    小川(省)委員 大体同様な基調、相変わらず合理化、いわゆる人件費の削減によるところの財政の健全化、こういうような基調で、大体昨年のあれを踏襲をしたものだというような理解でいいわけですね、骨子としては。
  88. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、まだ最終的に決定をいたしておりませんので何とも申し上げかねますが、客観的情勢から考えまするに、昨年と同じような基調をとらざるを得ないのではなかろうか、このように考えております。
  89. 小川省吾

    小川(省)委員 あなたのところでまとめられるわけでしょうし、これは大臣決裁を得るものなんでしょうが、かなり大臣自体もうるさく一言半句についてもやっているという状態ですから、昨年より以上の厳しい通達になることはないでしょうね。どうなんですか。
  90. 首藤堯

    首藤政府委員 大変むずかしい御質問でございますが、基調的には同じようなことにならざるを得ないと考えておるのでありますが、まだもちろん上司の決裁等を受ける段階に立ち至っておりませんので、いま一言一句云々のところにはお答え申し上げるすべもございません。
  91. 小川省吾

    小川(省)委員 私の受け持ち時間がぼつぼつ来るようでありますから、公務員部長にちょっと伺いますが、ことしの四月十九日、福岡県は九千余名に及ぶ大量処分を発表いたしました。昨年、全国的に公務員労働者のストがあったわけであります。この処分については後ほど村山委員から細かく触れますが、機関責任指導を処分するということではなくて、参加者を処分するということのようであります。このことは、私は公務員部が相談を受けたかどうか知らぬけれども、機関指導だけではどうもストはとまらない、参加者の処分をするのだという指導をどうも公務員部がされているのじゃないかという感じを受けるのです。少なくとも公労協スト、労働関係について自治省の中で一番明るいあなたは、そういうことをやればますますストの火が燃え盛るという大衆運動の原理原則は承知のはずなんですね。そういうことで、機関責任の処分から参加責任の処分をするというふうに変わったのはあなたの指導ですか。
  92. 植弘親民

    植弘政府委員 その点につきましては、いつもお答え申し上げておりますように、違法な事態が発生した場合においては任命権者は適切な事後措置をとるべきであるということは、もう政府も決めておりますし、私どもいつもストを構える前から注意をいたしております。しかし具体に任命権者がどのような処分を行うかについては、個別な指導は従来からやっていませんし、今度もやっておりません。やはり実態に即して、任命権者が最も適切と考え措置でやるべきであるという考え方は変わっておりません。
  93. 小川省吾

    小川(省)委員 この処分の中で、実は三名の職員が免職処分になっておるわけですよ。伺ってみると、実際には労働運動の面ではそろそろ離籍をするような人たちだけれども、実際に処分に及ぶところの実損回復の話し合いがやられておって、つかないで免職になったというふうに伺っているわけです。こういう点については、あなたの子分が福岡に派遣をしてあれば、自治省出身者がいるならば、こんなばかな話し合いがつかないはずはないんですよ。私は全体的な自治省公務員部の指導の中に、地方自治を荒廃させるような要素をどうも持ち込んできているきらいが多分にあると思うのです。そういう点については後ほど細かに村山委員から触れますけれども、ぜひひとつ自治省としての指導で、地方自治を荒廃させて、地方自治の実がむしろ低下するような方途は慎んでもらいたいことを強く申し上げて、私の質問を終わります。
  94. 小山省二

  95. 村山富市

    村山(富)委員 いま同僚の小川委員からも御質問がございましたが、福岡県庁の異常な事態について若干御質問をしたいと思うのです。  昨年五十年度は、自治省地方財政の危機に名目をかりて、相当強力な財政立て直しの指導をやった。これは指導というよりもむしろ強要されたと言っていいくらいにやられた。そういう自治省の強要を背景にしながら全国的に自治体では労使紛争が激化した、こういう年ではなかったかと思うのです。その中でも福岡県はまさに異常であるというふうに私は思います。したがって、きょうはひとつ労働行政のサイドから若干お尋ねをしてみたいと思うのです。  私も先般福岡県に参りまして、山崎副知事以下関係の方とお会いをしていろいろお話を聞きました。いま小川議員からもお話がございましたように、従来は大体ストライキに対する処分は機関責任を追及して、その者だけを対象に処分をする、こういう処分がとられてまいりましたけれども、今回の場合には、そのストに参加をした一般組合員まで含んで処分をされておる。なぜ、ストに参加をした一般職員まで対象にして処分をしたのか、こう聞きましたら、機関責任を追及して処分をしただけではストライキはやまない、したがってストライキをやめてもらうために一般の参加者も処分の対象にしました、こういうお活がございました。これは、処分をした目的がストライキをやめさせるために処分をした、これが偽らない本音なんですね、正直に言いますと。これは、古今東西の労働運動の歴史を見ましても、昨今の日本における労働運動のあり方から見ましても、もうそういう権力でもって抑えつけるというようなことでは労使紛争は解決しないというのが一般的な常識ですね。ですから、政府の方針も、これは三木総理以下、労働大臣もはっきり国会の中で答弁をいたしております。公労協がストライキをやる、処分をする、ストライキをやる、こういう悪循環はもうこれで終わりにしたい、やはり労使は話し合いを基調にして正常な姿に戻す必要がある、こういう指導をいたします。これはもう政府の方針として確認をされているわけですよ。  ところが、この福岡の事例を見ますと、いま申し上げましたように、ストライキをやめないから処分をしたんだ、処分をするんだ、こういう発想というのは、まさにこれはいま申し上げました政府の方針からしますと逆行するものである。ストライキをやったから処分をするんだ、処分でもってストライキをやめさせるというような考え方は間違いだ。そうではなくて、やはり労使がもっと正常な形で十分話し合いができるような条件を整備していくということの方が大事である、こういう指導をしているんですよ。そういう政府の指導から考えてまいりますと、この福岡県の今度やった物の考え方や処分の仕方はまさに逆行ではないかというように思いますが、こういう点については自治省はどういうふうに考えていますか。
  96. 植弘親民

    植弘政府委員 スト、処分、ストの悪循環を断ち切りたいという考え方、これはいま村山先生のおっしゃるようなことで、政府の考え方もございます。しかし、その場合でも、一方的に、処分をしないからストをやめるということではないだろうと思うのです。やはり違法ストが現実にあれば、先生よく御承知のように、それに対して地公法の三十七条に、住民に対して、その住民を代表する機関に対してストをやってはいかぬと書いてあるわけです。そういう意味からいきますと、現実に違法ストが発生しておるのに、住民の信託を受けて行政を執行している任命権者が何らの措置をしないということは、これは許されるべきではないと思うのです。その意味では、違法ストがあれば、それに対して適切なる措置を講ずるということは、これはやむを得ない、当然のことであろうと思うのです。  その場合に、処分の内容がどうかという問題になってきますと、先ほども小川先生にお答えしましたように、私どもはその現実に即してより適切な方法をとるべきであるということを言っているだけでありますが、福岡県の場合に、従来は機関責任を追及する形が多かったのは事実でありますが、御承知のように福岡県の教育委員会も、参加者全員について処分を行った例もございますし、そういったところもあると思いますが、昨年は七回にわたって違法ストの行為をやっております。そういうふうに、福岡県の情勢は全国的に見ましてもやはり異常な状態があったのです。それは、その責任がどちらにあるかということを私いま言うつもりはございませんけれども、そういうふうな異常な状態の中だからああいうふうな処分が行われたのであろうというふうに私は推定をいたしております。
  97. 村山富市

    村山(富)委員 福岡県の亀井知事というのは、経歴を調べてみますと労働省の出身ですね。次官までやられているわけですね。ですから、言うならば労働行政にある意味では専門的に携わった経歴を持っている人なんですね。こういう人が、これはどういう心境で言ったのか知らぬけれども、記者会見でこう言っているわけですよ。記者が、「自力再建に背水の陣ですね。」と、こう聞きましたら、それに対して知事は、「県職員がやせ細って県民を太らせる努力をするのが県政の基本。他力本願はいかん。」こう言っているわけですね。ですから、この亀井知事は、県職員がやせ細ることを期待しておる。だから、県職員をしぼれれるだけしぼるというような姿勢で臨んでおる。ここにもう基本的な誤りがあると私は思うんですね。これは何といってもやはり県民から負託を受けて実際に行政を担当しておるのは職員ですからね。その職員がやせ細って県民が太るわけがないですよ、そこはやはり協調があるわけですから。したがって、こういう観念でもってやられているような考え方ですからね。やられている処分は、処分についての当不当については争いがあるでしょう。しかし、私が冒頭に異常だと申し上げましたのは、こういう発想で、しかも権力的に抑えつければストライキがやむだろう、こういう考え方でやるようなやり方は、これはいまの政府の方針からすればまさに逆行するのではないか、こういうふうに言っているわけですから、その点について答えてください。
  98. 植弘親民

    植弘政府委員 談話でございますし、言葉の表現でございますから、私は、それをとやかく言うべき筋じゃないと思います。まあ推察いたしますれば、県民福祉が非常に大事だということを強調するための言葉じゃなかろうかと思います。亀井知事でも、県の職員がやせ細って仕事ができないでいいと思っているわけじゃ決してないだろうと思いますが、まあ、そこらのところはやめますが、やはり処分の方法が、いわば処分というのは、もう先生に釈迦に説法みたいに申し上げる必要はないので、これは一罰百戒といいましょうか、将来にわたって正常な勤務環境が構成されるためにはどうすればいいのかといういろいろな苦心の上で、この際は参加者全員について反省を求めることがより県政円満のためにいいのだろうという判断をされたのじゃないかと思いますので、そこのところは先ほど言いましたように個別的に、私どもは現地を見ているわけじゃありませんから、やはり当事者が、この事態にはこれが一番いいのだという考え方でやっていただく、そういうことでやったのであろうというふうに思っております。
  99. 村山富市

    村山(富)委員 その処分に対する考え方というのは、やはりそれぞれの立場でいろいろ判断もあるでしょうから申し上げませんけれども、しかし、客観的に見て一般論として申し上げた場合に、大体労働運動の趨勢というものはそういう傾向に流れつつある。しかも、政府の方針もそういう方針指導していけ、こういう方針が出されておるというときに、そういう考え方でやる処分というのはまさに時代逆行ではないかというふうに思いますから。これが福岡県庁における処分の異常な第一点です。  第二は、これはILOの百三十九次の報告の中にこういう文言があるわけです。「処分の実施がストライキの起こるときにはいつでも不可避のものと目さねばならないなどというのは納得はいかない」、いいですか、もう一遍読みましょうか。「処分の実施がストライキの起こるときにはいつでも不可避のものと目さねばならないなどというのは納得はいかないと述べたいと思う。処分を実施する際の柔軟な態度は、労働関係の調和のある発展により多くの助けとなるものであることを委員会指摘したいと思う。委員会は、理事会に対して、この項で述べられている考慮に注意を向け、懲戒処分の実施に関し、とりわけストライキ参加者に対するこのような処分の実施によって生ずる報酬の永続的不利益だけではなく、その結果として生じ得る関係労働者のキャリアに対する不利な諸結果に関して政府に対して行われた諸提案を想起するよう勧告する。」こういう意味の勧告があるわけですね。この内容の意味するものは、ストライキをやったから常に処分しなければならぬというふうに考えるのは誤りだということが一つですね。とりわけ、その一般の参加者に対する処分はやはり柔軟な態度で臨むべきである、しかも、その処分によって永続的に不利益を受けるといったような問題については十分考慮する必要がある、この勧告はこういう内容のものなんですね。そうしますと、これは言うならば、一般のストライキ参加者に対する処分に対する配慮、同時に過去の処分に対する永続的な不利益に対する配慮、これからの処分に対する配慮というような三つあるわけですよ。このILOの勧告からしますと今回やられた福岡県の処分というのはまさにこの勧告を無視したものではないかというふうに思われますが、その点はどうですか。
  100. 植弘親民

    植弘政府委員 いま引例されました百三十九次報告の文言からすればなるほどその点で若干問題になる点もあろうかと思います。しかしながら、先ほど言いましたように処分そのものについてはその事態に即しての適切な措置というものが任命権者としてのとるべき措置でございますから、必ずしもこのものに完全に抵触するということにならないと思います。ただ問題は、よく百三十九次報告を初めといたしましてILOの考え方が引用されるのでありますけれども、先生よく御承知と思いますけれども、もう一つ私の方も申し上げますと、同じ百三十九次の報告でも政治目的の行為だとかストライキだとか、行為に着手するずっと以前からの予備的に行うものはいけないとか、いろいろなこともございます。したがいまして、やはりILOのいろいろな場合における勧告内容といったものの趣旨は当然尊重して守っていかなければならないところでございますけれども、やはり具体の実態に即して考えるべきものだと思います。  それからもう一つ、いま先生のお述べになった中の実損回復の問題もあるかと思います。これにつきましては先生もよく御存じのように、亡くなられたジェンクス事務総長が日本にサゼスチョンをよこしてきまして、話し合ったらどうかということで、政府の代表と労働側の代表とがずっと話をしてきた事例もございますが、なかなかやはり双方の利害が一致しませんで、話し合いがまだ継続されているところでございます。したがって、その意味ではこういう実損回復というものも労使の正常化というものとあわせてやはり検討されるべきものじゃなかろうかと思っております。
  101. 村山富市

    村山(富)委員 私はやはり勧告なんというものは素直に解釈してもらいたいと思うのですね。わざわざ、たとえば政治的な目標を掲げてストライキをやったとか、そんなことを私は聞いているわけじゃないですからね。今回の福岡の場合だってこれは政治的なものを目標にしたストライキじゃないです。後でも触れますけれども、むしろ向こう側からかけられた攻撃に対して防衛する意味でやられたストライキですから、ですからそういういまの説明は当てはまらないと私は思うのです。  それでこうしたILOの勧告もあり、同時に、さっきお話もありましたように政府と総評が最高のレベルで話し合いをしている、こういう背景もあって、福岡県の場合も四十九年の四月二十七日に覚書を交わしているわけですよ、労働組合と副知事との間に。この確認書を見ますと、こう書いているわけです。「過去のストライキによる行政処分に伴う昇給延伸については復元する。」こうはっきり書いてあるわけです。「勤務評定はしない。」「このため知事部局、教育委員会をふくめ労使同数の小委員会を設置し、可及的すみやかに結論を得る。」こういう確認書が取り交わされて小委員会もできているわけです。いいですか、これは四十九年の四月二十七日に確認書が交わされたのですね。ですからもう大体二年以上たっているわけです。副知事に聞けば副知事は、いやそれは確認書を交わしていますから小委員会つくってやっています、こう言うのです。ところが二年以上たっている現在、まだひとつも解決されていない、これは形式的につくっただけであって、本当に解決しようという意思がないのですよ。だから実のある話し合いにならないわけです。そういう経過も私は詳しく聞きましたけれども、ここでもう申し上げませんけれども、この種の扱いについて自治省はどういう指導をされているわけですか。
  102. 植弘親民

    植弘政府委員 私どもといたしましてまだ個別的にどうすべきであるという指導はいたしておりません。と申しますのは、御承知のように公務員共闘と総理府が窓口になりましてこの話し合いを進めておりますから、その線がどういうふうに固まっていくか、それを見守っているところでございます。ただ問題は、私の感じから申し上げますと、先ほど申し上げました政府代表と労働代表との話し合いの際でも勤務評定による特別昇給制度を活用したらどうかという話がございました。そこらのところは私どももやはりストに参加して処分されたが、その後において良好な成績をしている者については特別昇給の道があってもいいのではないかという感じは持っております。しかし、その点につきましては労働側の方があの当時は反対の意見を表明されまして、それがずっとまた立ち消えになって、その後継続的な話し合いということになっておりますために、いまのところ私どももその話し合いの結果を見守っているということでございます。
  103. 村山富市

    村山(富)委員 個別の指導はまだ具体的にしていないかもしれませんけれども、こういうILOの勧告なんかを受けた立場から判断をして、実損回復というものに対して自治省はどういうふうに考えておりますか。
  104. 植弘親民

    植弘政府委員 いま申し上げました趣旨でございまして、処分されましてもその後における成績が非常によくなっているという者に対しては何らかの方法で実損回復の道を考えてもいいのではないか、ただその方法をどうするかという点が問題である、それがいま話し合いの対象になっているということでございます。
  105. 村山富市

    村山(富)委員 さっき申し上げました処分の仕方が異常であるというのが第一、第二は四十九年の四月に、昇給延伸については復元をする、こういう約束をしておきながら、二年間たってなおかつ一つも解決していないということも、これもやはり異常の第二であるというように私は思うのですね。それから第三は、今回の処分をめぐるいろいろ経緯を聞いてみますと、必ずしも福岡県だけが異常に組合がストライキをやったというようなことでもないのです。それは全国見ますと福岡よりもっと激しくやったところもありますし、いろいろあるわけです。しかも、今回のこれは福岡もそうですか、全国的に自治体労働者が争議行為に入ったその背景というのは、約束事が守られない、しかも一方的に一号下位に位置づけられるとかあるいはいままでの協定が全部破棄されるとか、それからさっきお話もありましたけれども、実質定年制みたいな退職条例を押しつけるとか、こういう向こう側の攻撃に対して組合の方は自己防衛の立場からやむを得ず争議に入った、こういう背景があるわけですね。ですから、私はそういう背景というものを十分考えた場合に、これはやはり考え直してみる立場一つあるのではないかというように思うのですけれども、一般の常識から考えてみて地方財政は非常に困っている、危機である、だから財政を立て直さなければいかぬ、立て直すためには職員にもある程度犠牲を受けてもらわなければいかぬ、ついてはこういう協定があるけれども、この協定はもうこれからは守れませんから、したがって何とか了解してもらえないだろうか、こういう立場に立つのが当然でしょう。犠牲を強要するわけですから、犠牲を強要する限りにおいては犠牲を受ける方の側の納得のいくような了解をとりつける、その努力をするのが一般的な常識ですよ、社会通念ですよ。こういう観点から考えた場合に、この福岡の場合には昭和三十三年に当時の福岡県知事と県職委員長が協定を結んで、そして例の給与の渡りについて協定しているわけですよ。これは三十三年に協定を結んで、四十九年までその協定は守られて実施をされていたわけです。五十年度に入って一方的にこの協定が破棄されたわけですね。(発言する者あり)それはまあここで私語を言っておりますけれども、何も自治省の援護射撃をする必要はないんだけれども財政危機、こう言っているでしょう、財政危機だ、だから本当に地方行政を立て直していくためにはまず財政の立て直しが必要だ、財政の立て直しをするためにはさっき言いましたように、職員にもある程度がまんしてもらう必要がある、がまんを要請するわけですから、要請する側の方がお願いをする、何とか了解してもらいたいという努力するのは当然です。しかも、いま申し上げましたように、そういう協定があって四十九年まで実行された。この協定は組合が勝手につくったものではないのです、双方の話し合いで納得の上でできているものなんです。その協定を一方的に破棄する場合にそういう態度をとるべきが当然ではないか、これは法律がどうのこうのと言う前に、一般社会通念として当然じゃないかと思うのですね。その点はどうですか。
  106. 植弘親民

    植弘政府委員 給与改定をめぐりまして昨年相当の団体でいろいろ問題が起きたことは御指摘のとおりでございます。しかし、給与に関する問題というのを、私どもは実を申しますと単に財政問題だけではとらえていないのであります。従来から地方公務員給与については、国家公務員との均衡を保持すべきであるということで、ずっと地方団体に要請してまいりました。しかし、地方団体の方ではなかなかそれを聞いてくれなかったわけであります。したがって、いまさらまた持ち出しますと笑われますけれども、ラスパイレス指数を見ますと一割以上も高いというのは異常だと思います。そこで、私どもとしては給与水準の適正化をぜひやっていただきたい。たまたまこれを取り巻く財政環境等が非常に悪かったから、地方団体も本気で取り組んでくれたのだと思うのです。したがって、その点はいまここで議論すべきものではありませんけれども、協定の問題ですね。  これは私どもはそういう協定、渡りの制度なんというものについては適当ではないと思っているのです。適当でないと思っていますが、従来からやっていたものをやめようとするならば、先生おっしゃるように話し合いをすべきであると思います。いずれにいたしましても、勤務条件の問題については、できるだけ労使間で話し合いを持って意見を一致させるべきことが望ましいことは言うまでもございません。現に福岡の場合も、ちょっと聞いてみますと四十回とか幾らか今度の場合でも話し合いを持っているようであります。しかし、そこで話がつかなかったからああいう形になったのだと思いますが、勤務条件の決定、変更等について労使が話し合いを進めることは当然やっていただかなければならぬと思っています。
  107. 村山富市

    村山(富)委員 昇給延伸の復元の話と同じで、四十回話をしてみても、全然話をする意思がなくてただ話をしましたよというだけでは何回回数を持ったって同じです。だから、トータルの時間を見てみますと、四十回持っているけれども大した時間じゃないのです。入り口で別れたり何かして、話し合いをしていないわけですよ。組合の方は受け身ですから、したがって、相手側の方はもっと誠意をもって、もうちょっと話してくれと言って引きとめて話をするぐらいの態度がなければ、前提から考えて話にならない話です。そういうところにいまの自治体の首長の姿勢の問題があるのではないかと私は思います。特に福岡の場合は四十回やった話の内容も一々聞いてみましたけれども、全く話し合いというものではない。私に言わせれば、これが福岡県における第三の異常です。  しかも、さっき小川委員からもお話しがあっておりましたけれども、実質定年制を盛り込んだ退職手当条例を出した。実際言いますと、これについても大した話はしていませんよ。そして、議会が多数だから議会に逃げ込んで、ここで条例が決定すれば万事終わりというので、知事は胸を張ってなせば成ると言っていばっているじゃないですか。だから職員が細ることを彼は期待しながらやっているのだということが言えるわけです。  私はいまの政府がとっておる方式から考えて、こういう条例を自治体がつくっていくことは政府の方針に逆行するのではないかと思うのです。なぜかと申しますと、きょうも社会労働委員会で中高年の雇用促進の法律の審議をやっていますが、きょう上がります。いま特にこういう経済情勢ですから、中高年の就職はきわめて厳しい。したがって、あるところは進んで定年制を延長してもらいたいとか、あるいは中高年をできるだけ雇用してもらいたいと言って奨励をし指導をし、さらに強力に指導していこう、こういう方針が出されているわけです。幾つの年齢で線を引くことがいいかというのは、その業態によって違うかもしれません。しかし、定年制を延長しよう、しなければいかぬ。原則としては定年制は、たとえばやめたら年金でつながる、暮らせるぐらいまで働くのが西欧一般の常識ですよ。そういう政府の方針があって国会の中でも真剣に議論をし、やっているときに、こういう条例を設けて退職を勧奨して、経済的な圧迫を加えてやめさせていくというようなやり方をすることは妥当かどうか、どう考えていますか。
  108. 植弘親民

    植弘政府委員 五十八歳以上の者について何か勧奨退職する制度をとっておるようであります。いま先生もおっしゃいましたように、高年齢をどのくらいに見るかというのは非常にむずかしい問題でありますが、私ども承知いたしておるところでは、民間企業の場合は大体五十五歳から五十七歳ぐらいというのが非常に多いわけでございます。そういう意味からいきますと、福岡県の場合はいま高齢者が非常に多いわけです。いつも定年制の議論が出ますときに、地方公務員の年齢が高いのか低いのかという議論がよくございました。それで、国家公務員と比較してみますと、単純平均では国家公務員より地方公務員の方が低いのです。しかし、五十八歳以上といった線を一応考えてみまして、それで比較してみますと非常にばらつきがあるわけです。地方団体三千ございますために、全体では国家公務員より低うございますけれども、個別の地方団体ではものすごく高いところがあります。現に都道府県で見ますと、福岡県を含めまして五団体で五十八歳以上ですと全体の六割ぐらいを占めています。そういうことでございますから、先生のおっしゃる雇用政策としての中高年齢対策については、私も十分理解をいたしておりますし、大事なことだと思っておりますが、福岡県だけを見ますと、それほど今度の措置がその政策に逆行しているとは思われません。
  109. 村山富市

    村山(富)委員 いま言いましたように、これは議論をすればいろいろな議論があるでしょう。しかし、少なくとも中高年の定年を延長して六十歳ぐらいまでは働きなさいというふうに考えておるときに、五十八歳なら五十八歳で、しかもそういう経済的な圧迫を加えて退職を強要するようなやり方は、理念としてはいまの政府の雇用対策方針からすれば問題があるのではないかと私は思いますから、その点だけを指摘しておきます。
  110. 植弘親民

    植弘政府委員 先生、そういった雇用政策の立場から考えることも当然でございますけれども、私どもといたしましては新陳代謝を図って公務能率を増進し、住民の福祉に寄与したいというのが公務員に課せられた使命であるという点も、あわせて調整といいますか、調和をとった考え方を進めなければならぬだろうということは御理解を賜りたいと思います。
  111. 村山富市

    村山(富)委員 新陳代謝の必要なことも十分わかりますが、だからといってまだ働ける人を退職を強要していくようなやり方についても問題があるわけです。しかも、私は労働省が何ぼ太鼓をたたいてやってみたって、国や地方自治体という公共の機関が進んで退職させておいたのでは、これは指導にならぬ、行政にならぬと思うのです。だから、国や地方自治体は率先して範を示すということでなければ行政の効果は上がっていかぬと思いますから、そういう点も十分考えてひとつ配慮してもらいたいと思います。  ついでに、と言っては悪いのですが、お尋ねしますが、これはきのう社会労働委員会でも問題が出て議論をされましたけれども、中高年と身障者の雇用促進についていま議論をしているわけです。  一つ具体的な例として、糸魚川市役所で十二年間勤務しておる一般行政職の職員が、たまたまベーチェット病にかかって片目が失明をする、右眼は〇・〇二、言うならば視力障害は一級である、こういう障害患者になった。そして、四十九年の十二月から病気休職をしたわけです。そして、五十一年の四月二十一日に休職が切れてこれからは無給になる。無給になるだけではなくて退職を勧奨されておる。いま国会で審議しておる身障者の雇用促進の法律は身障者の雇用を義務づけて、しかもその義務を履行しないものについては分担金を取る、こういう制度にしようとしているわけです。そのときに地方自治体が仮にそれは公務ではないかもしれません、私病かもしれません、しかし、身体に障害が起こったというので解雇される、こういうふうなことになりますとこれは大変問題です。そういう点についてはどういうふうに考えていますか。
  112. 植弘親民

    植弘政府委員 不幸にしてそういった病気にかかられた方について非常にお気の毒でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、公務の遂行という立場からいって公務能率との兼ね合いをどのように考えるかという点も大事な問題だと思います。そのために地方公務員にも国家公務員法と同じように分限の規定がございまして、心身の故障によって職務にたえないといった場合にはやめていただくんだ。仮に心身障害が起こりましても、その職場の中で配置転換等によってできるものがあれば、そういう努力も多分任命権者がするだろうと思います。しかし、やはり最終的には住民の負託にこたえて公務を執行しているわけでございますから、公務能率にたえられるかどうかという判断はやはり大事に考えなければならぬだろうと思っております。
  113. 村山富市

    村山(富)委員 公務にたえ得るかどうかというのは、地方自治体というのは非常に範囲の広い仕事を持っておりますから、いろいろの仕事の分野があるわけです。身障者の雇用を促進しなければならぬ、しかも国や自治体に義務づけられている。これは雇用することを義務づけられておるわけですから、いままで働いておって悪くなった者をやめさして、そして何も新しく身障者を雇い入れるということをする必要がないわけですから、実際を言いますと。ですから、積極的にその人の能力に応じて仕事のできるような分野を開拓してあげるという努力をしていくことは当然でしょう。また、そういう指導自治省がすることも法の趣旨から考えて当然でしょう。ここの市長がどう言っているかといいますと、身障者を雇った前例がない、それからもう一つは、市民感情を悪くすると言っているわけです。身障者を雇用することがなぜ市民感情が悪くなるのか。これは市長が言っていることですからあなたを責めたってしようがありませんけれども、だけれどもこれはやはり身体障害者に対するべっ視があるのですよ。ある意味では差別感情があるのですよ。だから、うちの職員は皆心身ともにまともな職員ですと言えば市民感情が非常によい、身障者を雇っていると市民感情が悪くなる、こういう観念で首長が行政に携わっている、それならばこれは問題ではないか。そういう点はやはり私は指導する必要があると思うのですが、どうですか。
  114. 植弘親民

    植弘政府委員 基本的には先ほどお答えしたとおりでございますが、市長の発言は私直接聞いたわけではありませんから論評すべきじゃないかもしれません。しかし、もし先生の御指摘のような立場があるとするならば、それは適当でないのじゃないか。やはり身障者といえども、その人がついても十分公務の能率に支障がないという職場があるならば考えてみるべきであろうというふうに考えております。
  115. 村山富市

    村山(富)委員 これは多くは申しませんが、ぜひひとつそういう指導を積極的にやってもらいたいというふうに思います。そうでなければ身障者の雇用促進を何ぼ議論して、そして義務づけて負担金を取るようにしたって地方自治体あたりで遠慮なく分限条例でばあばあとやられたのじゃ何にもならぬのですよ。だからやはり地方自治体の首長みずからが住民に範を示すという意味で、積極的にその人たちの職業分野を開拓して何とか生活を保障してあげる、仕事を与えてあげる、こういう努力をするのが当然ですから、そういう指導をひとつ積極的にやってもらいたいということを強く要請しておきます。  それからもう時間もありませんから最後にお尋ねしたいと思いますが、最近幾つかの市町村で例の地方自治法第百条の調査権を活用した動きが出ておりますね。この条文を素直に読んでみますと、「当該普通地方公共団体の事務に関する調査」、この「事務に関する調査」の「事務」というのは恐らく第二条第三項で例示されている「事務」の範囲だと思うのです。そういうふうに理解していいですか。
  116. 植弘親民

    植弘政府委員 一般的には二項、三項の「事務」だと考えております。
  117. 村山富市

    村山(富)委員 そうしますと、地方公務員法の適用を受ける職員団体の行う労働運動、それから地公労法の適用を受ける地方公営企業で働く労働者の労働運動、さらにまた単純労務者の労働運動、こういう労働運動はこの第二条の第三項で例示された調査の対象になる「事務」に入りますか。
  118. 植弘親民

    植弘政府委員 入ると思います。
  119. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、地方自治体で働いている労働者が組織した労働組合、その労働組合の運動も地方自治法で言う「事務」の範囲に入るわけですか。
  120. 植弘親民

    植弘政府委員 私いま広い意味で、人事管理という立場で「事務」に入ると考えているわけでございます。したがって、職員団体を結成いたしまして、それが法律上のこういう行為をやる場合、これはそのままが入るかどうかはちょっと疑問があるのじゃないかと思います。
  121. 村山富市

    村山(富)委員 人事管理の面で入る。たとえば勤務時間中にその地方自治体の業務に従事している、仕事をやっている、事務をやっている、こういう範囲内における人事管理の面は入るかもしれませんよ。しかし、時間外に、退庁後労働組合運動をやったり何かするようなことが入りますか。
  122. 植弘親民

    植弘政府委員 実はこの百条の関係は行政課の主管でございますものですから私も余り詳細には存じません。そこで、微妙な範囲にといいましょうかボーダーラインにつきましては、これは行政課と一遍意見を調整してお答えさせていただきたいと思います。
  123. 村山富市

    村山(富)委員 労働運動が一般の行政事務の範囲に入るなんという解釈はどこから成り立つのですかね、それはおかしな話だな。
  124. 植弘親民

    植弘政府委員 人事管理そのものはやはり本来の地方団体の固有事務ですからこれは当然入るわけですが、いまおっしゃったように、地公法によって定められた労働組合が正当な法律の範囲による労働組合運動をやりますね、これが入るかどうか、これは入らないと思います。ただ問題は、勤務時間外といいましても、地公法所定の服務規定は勤務時間、時間外を通じて当然働くものもあります。たとえば信用失墜行為みたいなもの、こういったものは当然時間外といえども働くわけでございます。それから、政治的行為の制限だとかいう問題ですね。したがって、ケースによって入るものと入らぬものがあると思いますので、私がいま言葉を濁しましたのは、非常に微妙な点になってまいりますと少し主管の行政課と打ち合わせないと明確なお答えができないと申し上げたわけでして、一般的に言いますと、それは法律に基づく労働組合活動ですと入らないということでございます。
  125. 村山富市

    村山(富)委員 これは行政局の担当と言えばここで議論したってそれ以上議論の発展になりませんけれども、たとえば地方公務員なんかは法律でいろんな規制を受けていますね、労働運動についても。だけれども、団結する権利というのがある、これは保障されているわけですからね。この団結する権利に侵害を及ぼすような調査権というものは調査権の逸脱だと思うのです。基本的に保障された団結権、この団結権を侵害するようなところにまで及ぶ調査は、これはやはり逸脱ではないか、調査権の乱用ではないかというように思いますが、その点はどうですか。
  126. 植弘親民

    植弘政府委員 いや、いま私が申し上げましたように、団結権はなるほど一般的に保障されておりますけれども、地公法上の団結権というのは決まっておりますね。だから、その法律に基づく団結権といいましょうか労働基本権の行使、これは当然私は適法なものである限り入らないと思うのです。
  127. 村山富市

    村山(富)委員 この百条で言う「調査権」というのは罰則もついていますよね、刑罰規定もあるわけですね。ですから、この調査委員会が設置をされて、調査委員会に出頭を要請される、あるいは証言を求められる、これを拒否した場合には刑罰があるわけですよ。具体的な例を言わないとわからないかもしれませんけれども、仮に労働組合の組合員がその特別委員会に呼ばれる、そして証言を求められるという場合に、刑罰が担保されているだけに大変な萎縮効果を生むわけです。そのこと自体が労働者の団結権を侵害する影響を持つというふうに思いますよ。そういう調査の仕方についてはどう思いますか。
  128. 植弘親民

    植弘政府委員 百条調査の法律上の地位といいましょうか立場というものは、ちょうど国会の国政調査権と非常に酷似したものでございます。したがって、調査権としてはございまして、いまの組合活動につきましても、それが法律上違反が起きているかどうかといったような場合については調査することが当然あると思います。
  129. 村山富市

    村山(富)委員 労働組合が労働運動をやったその行為が法律に違反するかどうかという問題について、調査する権限がありますか。
  130. 植弘親民

    植弘政府委員 先ほど申し上げましたように、服務規定というのは勤務時間の内外を問わないわけですね。したがって、そういうものに抵触するような場合が組合活動の中にもあるとすれば、それは当然調査の対象になるだろうと申し上げたのです。
  131. 村山富市

    村山(富)委員 労働組合が労働組合の機関で決めて労働組合活動をやった、こういう労働組合運動がもし百条調査による調査権に該当するとすれば、これは労働運動の否定になりますよ。労働者は団結する権利を保障されているわけですね。その保障された権利に基づいて労働組合を結成する、そして、機関で決定した行動を組合員がとる。その労働組合で決めてやった行為が服務規定に違反するかどうかなんということをもしこの調査権が調査する権限があるとすれば、労働運動は百条調査権に基づいてつくられた特別委員会の枠の中でしか行動できなくなりますよ。そういう意味調査権がありますか。
  132. 植弘親民

    植弘政府委員 わかりました。  私、先ほど国会の調査権と同じものだと申し上げましたのは、調査権は一般にあるわけでありますけれども、その調査権を行使する場合に、いまおっしゃったのは憲法二十八条に基づく勤労の基本権の行使との関係の調和をどうとるかという問題だと思うのです。そこで、合理的な範囲内というのでしょうか、良識を持って判断することなので、調査権は一般的に働くと思うのです。  ところが、いま先生おっしゃいましたように、法律で定められました適法な団結権を行使した団体が適法な労働組合活動をやっている場合にまでも調査権を発動するということになりますと、これは憲法二十八条でいう労働基本権に制限を加える場合がある。したがって、そういう場合にはどのように判断するかというのはケース・バイ・ケース考えるべきじゃないだろうか。一般的には人事管理に属する事項であるし、服務規律の問題がございますから調査権を発動することは可能である、発動することの適否というのはその状況によって考えるべきである、そういうふうに考えるのでございます。
  133. 村山富市

    村山(富)委員 これも議論のあるところだと思いますから、私はこういう点だけ指摘しておきたいと思うのです。  たとえば一つの事例として広島県の府中市で特別委員会がつくられましたね。そして、特別委員会に保母三人が出頭を求められて、そして証言を求められたわけです。この調査対象は、たまたま保母さんがその職場の分会で決めて作成したビラを配った。そのビラの内容についてどういうことなのか、それから配り方についてどうなのかという二つを調査対象にして保母さん三人の出頭を求めたわけです。組合が発行するビラを一々取り上げられて内容までいろいろ調査される、こういう権限がもしその特別委員会にあるとすれば大変大きな問題になりますよ。これは思想、信条の自由や表現の自由や団結権の自由、こういうすべての自由に大きな侵害を与えることになりますよ。しかも、先ほど申しましたように、この百条調査権には刑罰がついているわけです。そこへ呼ばれた組合員は、ある意味では精神的に大変な威圧を受けますよ。そういう効果を及ぼして団結権を侵害するということにも発展をしていくわけですから、私は、この百条調査権についてはもっと検討を加えて、ある意味では明快な一つの見解をある時期に求めたいと思うのです。
  134. 植弘親民

    植弘政府委員 先ほど申し上げたことで私は尽きるのじゃないかと思うのですけれども、単に憲法二十八条にいう勤労基本権に基づく行為であるからといって調査権の対象から外されるものとは考えておりません。調査権は調査権として存在しているわけでございますが、その調和をどうするかというのが問題なのだと思っております。この点については、個別の事件になってまいりますときには、一体対象になるのかならないのかというものは、ボーダーラインになると議論になるだろうと冒頭から申し上げておるわけですが、一般的に言いますと、人事管理に属する事項ですから調査権の対象になります。しかし、そのものはその他についての権利、先生おっしゃられましたいろいろな権利がございますね、その権利との調和をどうとるかということも大事な点であろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  135. 村山富市

    村山(富)委員 私が冒頭に確認をしたわけです。この調査権の及ぶ範囲は一般の事務、その事務という解釈は地方自治法の第二条三項で例示されている「事務」だ。その「事務」の中に労働組合の運動が入りますか、最初にこう聞いたのですよ。労働運動は入りません、ただし、人事管理の面で関係のあるものについては当然対象になります、こういう解釈でしょう。ですから、きょうは行政局もいないそうですからこれは答弁求めませんけれども、百条調査権の及ぶ事務の範囲、しかもその事務の範囲が、さっき申しましたように、労働者の団結する権利や基本的人権である思想、信条の自由や言論、表現の自由、こういう自由の権利に侵害を及ぼすような調査権があるかどうかということについて文書回答を要求します。
  136. 植弘親民

    植弘政府委員 一つだけ先生にお断わりしますが、二項と三項の関係でございますね。三項は例示でございますから、三項にないからといってないということはありません。二項が原則でして、三項はただ二項の例示をしているだけでございますから、三項に文言としてないといえども二項から当然入るということは先生に御理解いただいたと思います。その意味で入っているわけであります。  労働組合の問題につきましても、先ほど言ったことで私は足りると思うのでございますが、文書回答なら文書回答で、また行政課と意見も調整した上で、私が誤るといけませんので、そうさせていただきたいと思います。
  137. 村山富市

    村山(富)委員 では、それを求めまして、私の質問を終わります。
  138. 小山省二

    小山委員長 関連質疑の申し出があります。細谷治嘉君。
  139. 細谷治嘉

    細谷委員 もう一度念のために財政局長にお聞きしたいのですが、健全化計画に関連して、県議会議長の同意があればいい、それが大方の了承を得るということだったのですが、県議会の議長の同意というのはどういう内容ですか。
  140. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほどから申し上げておりますように、将来にわたりますもの等につきましては、正式には議決なり予算を通じての決定なり、そういう議会決定が必要なことは申すまでもないわけでございます。しかし、将来にわたることをも想定しながら財政の健全性を確保するための計画を立てていく、こういうケースの場合には、ただ単に長がこう考えておるというだけでなしに、議会の方にも大方の了承を得ておるということが望ましいわけでございますから、何らかの方法をとるようにということを考えたわけであります。したがいまして、議長の承認と申しますか、同意と申しますか、それオンリーがそういった内部の手続の規定であるとは私でも考えていないのでありまして、何らかそれに類するような行為をもちまして、議会筋大方の了承というかっこうであれば足りると考えておるわけであります。
  141. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省が健全化計画を許可、最終的な許可ということにはならないと思うのですけれども、あなたのところには大体この程度許可をしますよと枠を示したのは何月の何日ごろですか。
  142. 首藤堯

    首藤政府委員 年度末の三月三十一日でございます。
  143. 細谷治嘉

    細谷委員 その前に健全化計画についてはあらかじめ話し合ったのでしょう。
  144. 首藤堯

    首藤政府委員 当該団体でおつくりになりましたものをお持ちになりましたものについては、内内拝見をいたしております。
  145. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたの方が三月三十一日に健全化債を許可する際には、書類は整っておるものに限るわけですか、どうなんですか。
  146. 首藤堯

    首藤政府委員 毎々申し上げておりますように、これは財政再建計画といった法律に基づいた四角四面と申しますか、法規に規定されたものではございませんので、その付近につきましては、書類の様式とか形式とか内容というものを定めておるわけではございません。したがいまして、当該団体でそういう措置がとられるという見込みがあるという連絡があれば、それに基づいて処置をいたしております。様式行為はとっておりません。
  147. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、議長の同意がとられる見込みがありさえすれば、同意という証拠がなくても許可するわけですね。
  148. 首藤堯

    首藤政府委員 様式的には全くそういうことでございまして、得られる、得られたといったような連絡があれば、それに基づいて起債の枠の配分をいたしております。
  149. 細谷治嘉

    細谷委員 三月三十一日にあなたの方は許可した、議長が実際に同意の判を押したのが仮に四月十日だったという場合にはどうなりますか。
  150. 首藤堯

    首藤政府委員 事実上の押した日がどうであるか、こうであるかということは、これはまあ様式行為ではございませんので、厳格に解してはおりません。三月三十一日現在において了解が得られておるということの連絡を受ければ、それで処置をいたしております。
  151. 細谷治嘉

    細谷委員 たとえば退職債というようなもの、いわゆる再建団体についてのそういうものについては、四月に入ってから地方団体に配分の内示があって、まあ場合によっては四月末ぐらいに、三月三十一日付でその退職債を受け入れするという例は、万やむを得ないものとして現実にはございます。ございますけれども、これはあなたが冒頭言っているように、法律に基づかないものである、昨年の五月十六日のいわゆる事務次官通達というものに基づいた措置である、こういうことになって、しかも、千三百六十億になんなんとする膨大な地方債許可というのがこういう恣意的な形式で進められることが許されるのでしょうか。たとえば、議会の同意は得られるだろう。その議会の議長の同意というのは一体具体的にはどういうものかというと、先ほど小川委員からの質問もあったし、私も前にこの委員会でやったのですけれども、少なくとも歳入に責任を持っておる総務委員会等にその健全化計画の基本を示して、あらかじめ了解を得た上で議長が判をつくということならいいわけでありますけれども、そういうことじゃなくて、しかも、三月三十一日に千三百六十億円の健全化債というのを許可されておって、後の手続というのは、議会の同意、議長の判こというのは四月に入ってから押されているという形で、いかに枠外債といえ千三百六十億という膨大な再建債を一片の次官通達で許可するということは、これは大変なことだ。しかも、その再建計画については公表することができませんという形で、秘密のベールの中で行われているということは、地方自治を民主化していく、ガラス張りにしていくという観点からいって、重大な問題をはらんでおると私は思うのですよ。別途の個別法に基づいて許可されるものが、三月三十一日付になりますけれども四月に入ってからやるというならいいけれども、これは何の法律にも基づかないものですよ。再建団体として最悪の事態にならないように予防的な形でこういう健全化計画を進めさせるんだという自治省意図はわかりますけれども、この手続は何といっても大変な問題があります。どうですか。
  152. 首藤堯

    首藤政府委員 毎々申し上げておりますように、本来、再建団体になった場合に、再建法の適用を受けて計画を決めるということになれば、その計画はもちろん議会の議決を要します。そのかわり、立てました計画に基づいて予算を執行してまいらなければなりません。それだけの義務を当該団体は負うわけでございます。この措置は、先ほど先生から御指摘をいただきましたように、このきつい財政状況でございますので、まあ平たく言えば、再建団体に落ち込む一歩手前で踏みこたえて、自主性を喪失しないようにといったような考え方からこういった措置をとるといたしました場合に、将来にわたります措置につきましてはまだ議会の御決定も何もいただいておるわけではないわけでありますから、その点について明確な様式行為を求めるということは無理であろうと思います。また、そのような議決なり何なりの様式行為を求めるとすれば、それなりの手続なり時間なりかかりまして、なかなかこのような措置に踏み切っていくということもできなかろうと思います。  それからもう一点は、今回三月三十一日付をもって起債の枠を配分いたしまして許可をいたす体制をとったのでありますが、その基礎になっておりますものは、五十年度において実際的にとられた措置、つまり五十年度において議決なり予算の議決なり議会の御議決を得て成立をした措置が内容になっておるわけでございます。そのものを基礎にしてわれわれ枠配分をいたしておるわけでございますから、御指摘のように、翌年度以降の措置が確定をしていないから非常に恣意的な措置であるという御批判は受けないで済むのではないかと思っております。
  153. 細谷治嘉

    細谷委員 それは、あなたの言うように、健全化債というのは、最後のところは地方財政法第五条の適格債の事業の中に全部はめ込んじゃうわけですから、それは歳出議決の、あるいは歳入議決の範囲内でぱちんといくでしょう。手続の問題としてこれはそう簡単なものじゃないですよ。少なくとも議会の議長の同意を得て行われる健全化計画、その健全化計画に基づいて、体裁が整っておらない段階において三月三十一日に千三百六十億という膨大な地方債許可されていっている、ここに問題があるわけですよ。
  154. 首藤堯

    首藤政府委員 よく御趣旨がわからないのでございますが、五十年におきましてとられました措置につきましては、議決も終わっておりますし、予算の決定も終わって、議会でもって決定いたしているわけでございます。その五十年にやりました措置、そのことの効果、これを一定の限度にいたしまして起債の枠配分をいたしております。ただ、団体によっては、一年だけの措置ではなしに、引き続き二年目もこういった考え方で進むといったようなこと、年を越えまして長期的な意味での計画という計画的な考え方というものをお持ちになっていらっしゃるわけでございますけれども、その翌年度以降のことは、当該団体の議決はまだ経ておりませんので、これは決定をいたしていないわけでございます。法律に基づきます再建ではございませんから、したがいまして私どもは、議決を要件とするとか、一定の様式行為を要件とするとか、こういう措置はとらないで、五十年度にそういう考え方に基づいて実質に行った措置、それに伴う効果、これを目安にして起債の枠配分をやる。その許可は、先ほど御指摘のように地方財政法五条に基づいて許可をするわけでございます。そういうことでございます。
  155. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、健全化計画というものの手続、これは先ほど来議論されておったように、千三百六十億円という健全化計画の圧倒的な部分、九割というのは、職員の労働条件に関係するものとして許可されておるわけですね。そこに先ほど来議論された問題がある。しかも秘密のベールの中で、ようやく財政局長は、すでに済んだものについては明らかにいたしますけれども、今後の問題はわかりません。それでは、この健全化計画をあなたの方へ出して、先ほどの言葉でありますと、再建団体になれば、その計画はもうきちんと実行しなければいかぬけれども、健全化計画というのは、実行については弾力性があるわけですね。ずばり言うと、あなたの方へ健全化計画を出しさえすれば健全化債は許可される。そのとおりいかぬでもいいわけですね。それをはっきりさせていただきたい。
  156. 首藤堯

    首藤政府委員 毎度申し上げておりますように、ことし起債の枠配分をいたしましたその基礎は、五十年度においてすでにとられました措置、つまり条例改正や予算決定、議決がなされました措置、それに基づいて算定をいたしております。将来の見込みにつきまして計画の中に盛り込まれておる団体もございますが、これは、正式に決まりますのは、当該案件についての議会の決定、御議決があって初めて実施になるわけでございましょうから、その意味では、再建計画そのものとは違いまして、明年度以降未定の分については確実にそのとおりびた一文違わずに動く、こういうことは何も保証がないわけでございます。
  157. 細谷治嘉

    細谷委員 私が聞きたいのは、実例があるんですよ。健全化計画を許可しました。その後で、健全化計画をもって財政がわりあいに好転した。     〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕 そこで、健全化計画に書いてない、健全化計画ではこういうふうにいたしますというものを変えて実行している団体があるわけですよ。ですから、金科玉条、コンクリートじゃないんでしょう。健全化計画は、それは尊重していかなければなりませんけれども、金科玉条じゃないんでしょう、どうなんですか。再建計画のように弾力性のないものじゃなくて、執行上弾力性があるんでしょう。
  158. 首藤堯

    首藤政府委員 毎々申し上げておりますように、これは再建計画じゃありませんから、それに基づいて予算を執行しなければならぬといったような法律上の義務規定はもちろんないわけでございまして、当該団体がその具体的なやり方について今後どのように変えていくか、それは全く当該団体の自主的な決定に従ってやっていかれて差し支えがない問題でございます。ただ、私どもことし起債の枠を配分いたしましたのは、五十年度に実際にとりました措置、その額に基づいて起債の枠配分をいたしましたから、今後ともそれは、変わってくれば変わってきたその実際とられた措置、それを基礎にして健全化債の枠を考えていくべきものだと考えております。
  159. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたの言うこと、一つもわからない。私の質問は、健全化計画というものはあなたの方へ出して、そしてあなたの方は、これだけの健全化債を許可しますと言って許可された団体は、健全化計画で職員の人件費、労働条件はこういうふうにしますというのに、そういうものもあずかって財政が好転したからというんで、プラスをしても一向差し支えないですね、ということを聞いているわけですよ。五十一年度に、そういうことをやったならば報復措置を講ずるなんていうことはないでしょう。いままでのあなたの答弁からいくと、そうでしょう、どうですか。
  160. 首藤堯

    首藤政府委員 翌年度予定いたしております措置がそのとおりに行われないことは、それはもちろんあり得ると思います。そのことによりまして報復措置云々ということは、それはございません。しかし、先ほどから申し上げておりますように、ことし許可をいたしましたものは、ことしやりました具体的な措置、それに基づいて許可をいたしておるわけでございますから、それはもうすでに御議決をいただいて確定をしておる、こういうことでございます。
  161. 細谷治嘉

    細谷委員 私が言うのは、五十年度に健全化計画で盛ったとおりの実行じゃなくて、地方団体独自の実行が別途、健全化計画を許可された後に加わっておりますよ、そういうこともいいですね、五十一年度に、そういうことをやったからけしからぬというわけで報復措置をしないという、二点を確認しておるわけだ。いいですね。
  162. 首藤堯

    首藤政府委員 具体的な内容がよく私にものみ込めないのでありますが、当該団体が健全化計画で盛り込みましたたとえば昭和五十一年度以降のやり方、これは何も許可した計画じゃありませんから、これを違えてやってくるということは、それはケースによっては幾らでもあり得ると思います。そういうことをもって報復措置に出るということは毛頭考えておりません。ただ、健全化債の許可そのものが、やはり当該団体の将来にわたる財政の健全性を確保するという趣旨に出ているものでありますから、それはそういう趣旨で当該団体財政運営はしていただけるものだ、こういう期待を持っておるだけでございます。
  163. 細谷治嘉

    細谷委員 まああなたはわからぬでない、わかっておるだろうけれども、わかりやすく、たとえば、従来四月一日で退職期日にしておったのを三月三十一日にします、そのため、それではこれだけの地方債を健全化債として許可いたしましょう、こういうことをやった。その許可の後に、四月一日を三月三十一日にやったということは余りにも過酷だから、若干の緩衝措置としてひとつ四月一日になったように一部それを見てあげましょう、こういうことをやっても結構ですね、こういうことを言っているわけです。
  164. 首藤堯

    首藤政府委員 退職債の例でございますと、四月一日にやっておりましたものを三月三十一日にやったとすれば、当該年度にこれは二回分の退職手当を払いますから、その現金がございませんので、これは健全化債ということで現金を付与する、こういうことです。その金が要らなくなれば、これはその金は要らないんじゃないでしょうか。
  165. 細谷治嘉

    細谷委員 何を言っているんだ。要らなくなるんじゃなく、もらっちゃっているんだから要るわけだ。許可してもらったからそれをもらったんだ。もらって、若干財政に余裕が出たので、いままで四月一日でやっておったのに、五十一年度のやつもはね返ってくるわけですけれども、そのはね返りをたった一日の差で泣かして気の毒だから、三月三十一日にやめさした人に対しては後で特別にプラスアルファをつけてやるということもいいわけでしょう。そんなことをやったから五十一年度は報復するぞということはないということでしょう。実例は、私はある自治体の名前は言いませんけれども、あるんだから、それははっきりしている。そういうことがないんなら、何も秘密の中において千三百六十億なんてやらぬでいいんですよ。びしゃっとできた再建法という法律があるんだから、それに乗っかればいいわけですよ、どうせ議会の同意を得るというのならば。わざわざ次官通達に基づくそんな措置必要ないのですよ。とぼけちゃいかぬですよ。
  166. 首藤堯

    首藤政府委員 そういうあれは考えられないのでありまして、三月三十一日現在に退職発令をしたからこそ三月三十一日現在で退職金が所要になってその金がないために大変苦労をしておる。だから起債の枠を付与しておるわけでございます。したがいまして、三月三十一日に発令をする予定でもし枠をもらっておったというものが、その発令措置をやめた、全部四月以降に繰り延べた、こういうことであれば、当該年度はそれだけの財源は必要ないわけでありますから、それは改めてその措置をとられたときに配分をすればいいもので、当該額は繰り上げ償還をしていただく、こういうことになろうと思います。
  167. 細谷治嘉

    細谷委員 もう時間がないから言わぬけれどもね。三月三十一日にやめたから退職債が要るわけだ。要るわけだよ。しかしいままで四月一日でやっておって、今年度に限って三月三十一日にやめたために、五十一年度のはね返りもなくなるわけだから、まことに気の毒じゃないか。長い間御足労願った職員だから何らかの温かい手を差し伸べてやろうという措置をしておるわけだ。その五十一年夏の財政から出ていくでしょう。それは構いませんねと言っておるわけだ。それはあなたの出した計画は三月三十一日で、去年の分と今年の分で二回出しておるのだよ。だから健全化債見てもらったことは間違いないのだよ。そのとおりやっていますよ。やっていますけれども、実際が四月一日、従来やめたと近いような具体的な財政措置が講じられておる、そういう例があるので、——わかりましたか。
  168. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほどの御主張では三月三十一日にやめるべきものを四月にまた延ばしたらどうするかというようなお話しでございましたから、それは困ると申し上げたのであります。三月三十一日に現実にやめておって、それで退職金が支払われておるのなら、今回措置しました健全化債の所要額というものは変わらないと思いますから、それはそれで結構でございます。将来にわたりまして何をお出しになるのかよく存じませんが、財政運営についていろいろな出費があるというので、あるならば、それは財政健全化の考え方措置の中、これで賄えるものであれば、それはそれで自主的にお決めになることはちっとも差し支えございません。
  169. 細谷治嘉

    細谷委員 百条の問題質問したかったのだけれども、これはある県でそういうことが報道されておりますから、ある県のことを言うとどうもまた角が立つものだから、私は伏せて質問しておるからわかりにくかったかと思うのですけれども、いろいろと健全化計画については議会の取り扱い問題があるということを指摘し、百条問題、特に私は、この間広島県の府中に参りましてね。職員団体との話し合いはせぬわ、昨年の十二月以来全然交渉しないで、そして議会の方には百条調査委員会を設けて、職員を喚問して、そして喚問に応じない職員を告発した。職員団体は逆告発をやったという形で大変にもめております。こういう姿はよろしくないだろうと思う。先ほど村山委員から百条問題についてありまして、私もそれに触れたかったのでありますが、時間がないので、こういう奇中市の実態を卸存じなのか、これについてどう思うか、それだけをお聞きして、私の関連質問を終わります。
  170. 植弘親民

    植弘政府委員 府中の事件は承知いたしております。非常に残念な事件だと思います。やはり労使の間で正常な話し合いをすることによって、この労使がうまく協調して市政の執行に当たるべきであるという点は、前の御質問お答えしたとおりでございます。一日も早く労使関係が正常化されることを望んでおります。
  171. 細谷治嘉

    細谷委員 そこまで望むなら何らかの指導をなさった方がいいんじゃないでしょうか。市長さんというのは大会社の社長ですよ。助役というのはもう全然職員団体と話し合わぬと言っておる。そして百条の調査委員会がすべての問題について防波堤になる。私ども当局に聞きますと、いまこの問題は全部百条の調査委員会にかかっておりますから、私ども手が出ません、こういう形ですよ。自治省として、遺憾だということであるならば、何らかの指導をすべきじゃないかということを申し上げて、私の質問を終わっておきます。
  172. 高鳥修

    ○高鳥委員長代理 本会議終了後再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  173. 小山省二

    小山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治地方財政及び警察に関する件について、質疑を続行いたします。三谷秀治君。
  174. 三谷秀治

    ○三谷委員 地方制度調査会の委員の選考の基準と委嘱の手続、それを最初にお尋ねしたいのです。
  175. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 地方制度調査会につきましては、地方制度調査会設置法により、委員を五十人以内で組織するということになっておりまして、その分野がそれぞれ第六条に書いてございます。それに従いまして「国会議員、関係各行政機関の職員、地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長及びその他の職員並びに地方制度に関し学識経験のある者のうちから」という、法規にはこれだけの規定がございます。これに基づきまして国会議員とそれから関係行政機関の職員、これは国会議員の方は全員で十七名、それから地方団体の代表の方は、それぞれ六団体から推薦する者二名、それから関係行政機関の職員は、自治次官と大蔵次官ということになっておりまして、その残りの数が学識経験委員ということになっております。学識経験委員の中には、いろいろな立場でいろいろな各界、各層の方で地方制度について経験あるいは識見をお持ちの方という基準で、任命権者たる総理大臣が任命するという形になっておりまして、第一次からほぼ現在のような構成の姿で任命がなされておるということでございまして、特にどこから何名というような基準はございませんけれども、慣行的に、学界の方、経済界の方、言論界の方という形でそれぞれ任命がなされておるわけでございます。
  176. 三谷秀治

    ○三谷委員 総理大臣が委嘱をするという通り一遍なことはわかっておるのですが、総理大臣が直接人選するわけじゃないんだから、どこかで人選をしてこれを総理大臣に提示をするという手続はあるはすなんですよ。その手続はどうなっているんですかと聞いているのです。
  177. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 調査会の庶務は自治省で行うということがございまして、したがって任命するにつきましても、いろいろな人選とか経歴とかそういうものを確かに自治省の方でタッチをしてやっております。どういう界からどういう方を任命されるかということが第一回のときにどういう経緯をもって決まりましたかは、実は私つまびらかにいたしませんですけれども、大体第一回からほとんど同じような分野で、それぞれの分野に事実上相談をいたしまして人選をしていただいて、それを内閣の方に手続をとる、こういう手続をとっておるわけでございます。
  178. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまおっしゃいました分野ということですが、国会議員は各党から推薦をする、六団体は各六団体から推薦をする。あとの分野ですね。これはどこで推薦するのですか。つまり学識経験者と称する方々ですね。財界代表がおります。官僚——古手の官僚ですね、これがおります。それから学者と称する方々。三種類になっているのですが、これは一体どこから推薦をするのですか。
  179. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、学識経験者のことだけを申し上げました。ほかの方はいま先生のおっしゃるとおりでございます。学識経験者の方はどこから推薦ということではございませんで、これはまあ学識経験でございますから、かって地方行政に携わった方々とかあるいは地方行政に関する学問を専攻にしておられる行政法の先生あるいは財政学の先生、あるいは広く識見を持っておられて、地方制度について御相談し御建議なされると思われる方というのをまさに個別にいろいろ当たりまして、それで今回はどなたにお願いするということで、大変お忙しいこともあるので事前にお願いに上がるということでございますから、端的に言えば、自治省の方であらゆる方々の意見を聞いて選考するということでございます。それぞれの推薦を得るものではございません。
  180. 三谷秀治

    ○三谷委員 あらゆる方々の意見を聞いてということは、これはきわめて一般的な表現ですが、学識経験者と称する方々、果たして真の学識経験者なのか。たとえば設置法によりますと「地方制度に関し学識経験のある者」こうなっておるのですね。そこでお尋ねしますが、いわゆる財界代表と私たちが見ておる方々、これは名古屋商工会議所の副会頭だとか日本商工会議所の会頭だとか、住友金属工業の会長だとか日本航空開発の社長だとか、挙げますとまだありますが、この方々が地方制度について学識経験のある者という判断は何を基準にしてされておりますか、これをお尋ねしたい。
  181. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この方々も、いまちょっとお言葉に出ました財界代表という意味ではございませんと思います。と申しますのは、何々代表という場合にはその利害関係を持ってその利益を主張するという立場に立つわけでございますが、およそ地方制度というのはきわめて一般的な制度でございまして、国の行政機構の一環として地域地域の行政を受け持つものでございますから、申し上げてみれば、一つの豊かな常識を持った方、そういう意味で、いま先生たまたま肩書きをお挙げになりましたけれども、肩書きというよりもむしろその個人としての見識をおかりするという趣旨であろうと考えます。
  182. 三谷秀治

    ○三谷委員 地方制度というものにつきましても、それぞれの個人個人の考え方によって判断が違ってくるのですよ。制度そのものに対する判断も違ってくるわけです。いまこの方々の肩書きを言いましたけれども、肩書き抜きの抽象的な人間として委嘱をしたという意味のことをおっしゃいましたが、それは全く空疎なごまかしにすぎません。それぞれの立場を抜きにした意見などというものが出るわけはないですし、たとえば、ここで二、三御紹介しますと、こういうふうな表現なんですね。「地方団体財政運営の失敗なり行き詰まりを企業悪として転嫁する風潮が強い。」これは五十年四月二十三日の小委員会の発言です。それから、「法人は悪である、企業は悪であるということから、とにかく法人関係の税の増徴をすれば、何でも自分の責任が転嫁されるという風潮がある」という発言です。「安易に増税をする、しかも、地域住民でなしに法人に転嫁するという風潮、これは絶対に反対です」、こういう発言ですね。これが公正に地方制度の発展を図るというふうな抽象的な議論の内容になってきますかね。ですから、反語的に言いますと、地方住民の増税ならいいが法人増税は絶対反対、こうなっているのです。論理がないです。東京都の新財源構想研究会の報告によりますと、東京都下の調査で、申告所得に法人事業税を加算した所得に対する税負担率は法人税で三一・七二%、法人三税で四六・四七%、こういう数字が出ている。しかし租税特別措置法適用所得、さらに法人税法適用所得を合算した場合の実質税負担率は法人税で二三・五九%、法人三税で三四・五五%、非常に低いという調査が出ているわけです。学問的な調査が出てきている。ですから、そこで法人税の問題を議論しますと、それは、法人は悪であるという考え方である、企業は悪であるという考え方である、そういう風潮は絶対に反対である、こういう意見になってくるのです。これは企業の立場を抜きにしたいわゆる学問的な見解というふうに言えるものじゃないでしょう。挙げればたくさんありますが、時間がありませんから挙げません。ですから、あなたおっしゃいますように、財界の代表ではなしに個人として委嘱したとおっしゃいますが、明らかに財界代表の仕事をしている。そういう意見を絶えず述べ続けておる。その意見が欲しければ、何ぼでも速記録から抜き出して御説明ができます。ですから、これはあなたがおっしゃるように抽象的な存在ではない。一定の階層利益を代表しているものだ、このことは認めないわけにいかぬですよ。  そこで、それでありますならば、私の見たところでは財界代表というのが七名おります。古手の官僚が六人おりますが、これは大体意見が一致していますね。利害が一致していますね。発言を見たら非常に明確に出てくる。そこで、そうしますと労働者代表などは必要がないのか、市民代表などは必要がないのかという問題、疑問が起きてくるわけですが、そういう点については、果たして公正な人選と言えるかどうか、これをお尋ねしたいのです。
  183. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 もちろん、この学識経験者という枠は、先ほど私が申しましたようにそれぞれの立場を代表するものではなくて、むしろ公平、中立に全体を見渡し、豊かな常識と申しますか、そういう立場におられる人ということで選んでおります。ただ、それぞれの個人の方々の御意見が、あるいはその立場によって何らかの色彩を帯びるということは避けられない面もあるかと思います。したがって、では、この構成の分野が果たして妥当かどうかという先生の御疑問に対しては、それぞれの判断があるのではないかと思います。しかし、少なくともここに学識経験者という形で出ております以上、ある立場を代表するよりも、いろいろな立場を代表された御意見を聞いた上でそれを公平に取りさばいていただくという趣旨でこの枠が設けられていることは間違いないことでございますので、実際の議事の運営、論議ではあるいは先生の御指摘のようなことがあるかと思いますが、考え方として中立、公正な意見を取りまとめていただくという姿であるという目的に沿ってできるだけ運営をしてまいる、そういうふうになっておると考えておりますので、いま先生のおっしゃいましたような発言その他はもちろんあったと思いますし、それ自体否定はできない。したがってまた、この構成がどうかという御疑問が出るのもそれは一つの御見解としては当然だと思いますけれども考え方としては、私の申し上げたような運営をしていただくように努めておる次第でございますし
  184. 三谷秀治

    ○三谷委員 その考え方が妥当でないということです。公平、中立に全体を見渡すとおっしゃったのですか。そのためには偏ったところから人を出してきてはだめですよ。つまり、いま言いました財界代表などというものがかたまって地方制度調査会に入ってきている。しかも、それに対応する労働者代表とかいうものが全く除外されてしまっている。それでは公平、中立になりません。ですから、いまいろいろおっしゃっていますけれども、それはいろいろおっしゃっているだけであって一つも説得性がありません。ですから、財界から出すならば——豊かな常識を持っているのは財界だけじゃないでしょう、そうでない側にもあるでしょう。その方からも選考するのが妥当な人選と違いますか。そのように改善する必要はありませんのか、お尋ねしたい。
  185. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 お立場からいろいろな御意見があることはある意味では当然と思いますし、したがって、この構成につきまして、いま先生がお述べになったような見解もある、このことも否定できないと思います。  ただ、第一回からややこれに近い構成で来ておりまして、現実に十何次にわたりまして地方制度調査会、いろいろ御審議をいただいておりますが、たとえばこれが税制調査会とかいうようなことになりますと、特にはっきりとその利害関係者、企業の代表というような立場があり得るわけでございます。地方制度調査会というのは、厳密に突き詰めてまいれば、地方制度というものは税制も含まれているようなことで深まってはまいりますけれども、この地方制度調査会というのは地方制度の大綱を論ずるところでございますので、あくまでもその立場を代表し、その利害を代表するものでないという考え方で貫いておりますし、事実この構成によりまして今日まで数々の答申を出していただきましたし、りっぱな答申をいただいておりますし、それから、こういう構成についておかしいではないかという議論は実は私としては初めて伺う議論でございまして、もちろんいろいろな見解があることは当然でございますから、その御議論はお伝えもいたしますし、十分検討もいたしますけれども、おまえはどう考えておるかという御質問であれば、従来の運営その他を拝見している立場として、現在の構成は妥当なものであるということを信じ切っておる次第でございます。
  186. 三谷秀治

    ○三谷委員 地方制度調査会というものは、税の問題もあれば財政の問題もある、あるいは行政の問題もあるのですよ。すべてこれは抽象的なものじゃない、具体のものなんです。だから税の問題になれば、どこから税を取るかという問題がすぐ出てくる。財政の問題になれば、どこに財政の重点を置くかという問題が起きてくる。行政制度の問題にしましても当然そういう具体性を持ってくるわけです。そうしますと、あなたがおっしゃいますように、この財界から出てきております代表というものがそういう財界の立場を抜きにしたもので、抽象的な学識経験者なんだという議論が存在する余地はないんだ。具体的な施策を決めますときに、それぞれの利害を抜きにした方針とか意見というものが出てくるわけはないんだ。だから、その属しております立場、この問題についての公平性というものが必要になってくる。  そこで、それでありますならば、なぜこれは労働者代表などが加わらぬのか。労働者なんというものは地方制度には関係がないとおっしゃるのですか。あるいは住民運動の代表者なんというものは地方制度には全く関係のないものだというお考えなんですか。  いま初めてこの問題の提起を受けたとおっしゃいますが、確かにそのとおりで、私ども今日までしばしばこの問題を提起しようと思いましたが、やりますとやはり個人個人の委員にかかわる問題でありますから、今日までこの問題の提起はしませんでしたが、最近の地方制度調査会の答申などを見ておりますと、従来の地方制度を民主化し、拡充をするという観点から外れてしまって、地方制度の反動的な再編を意図するようなものが次々と出始めた。こうなってきますと、これはほうっておけなくなってくる。そこでお尋ねするわけです。それについてどうお考えですか。  時間の関係がありますから、少しまとめて言いますけれども、たとえばこういう質問がありますよ。地方議員にせよ首長にせよ、選挙公約を掲げて、いわば非常に受ける公約を掲げて選挙を争って当選してくる。そうなると、すぐに過大な、過剰サービスとも言われるものをどんどこやってしまって、地方財政が大変だとなってくる、こういう見解ですよ。言っちゃ失礼だが、市長さんも議員の方も自覚がない、こういう判断ですよ。地方財政の危機というものが過剰サービスをどんどこやるところから出てくるんだという考え方なんです。こういう暴論というものが学識経験者と称する者から生まれてくる。これは客観的に聞いておりましても首肯できません。私ども、学識経験者といいますと、地方財政についての学問的な豊富な知識をお持ちになっておって、意見を聞きまして、私たちが啓発を受けて、それが地方制度の論議にも反映するというような期待を持っておりますが、ところが、この財界代表などの発言というものは、全くいま言いましたようなとんでもない発言をしているのですよ。これがまず学識経験者と言えますか。学識経験者ではありません。これは明らかに企業代表の感情しか持っていない。企業代表の感覚しか持っていない。しかも、きわめて愚民思想の持ち主であって、言っちゃ失礼だが、市長さんも議員の方も自覚がない、言いかえれば住民に自覚がないのだ、こういう考え方。そこで問題の提起の仕方が、住民意識に問題があるのだ、こういうとんでもない答申をまとめてくるわけです。これについては検討して、構成についてもっと公正を期するということをやってほしいと思いますが、どうですか。
  187. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先ほど申しましたように、発足以来大体これに近い構成でやってきておりまして、いま先生大変お強い御批判をおっしゃいましたけれども、この地方制度調査会というのは、任命されました委員はどんなお考えでどんな御発言をなすってもこれは自由と思いますので、いろいろな発言はあると思います。しかし、現在のこの構成が公正な構成でないという先生の御批判は、当然批判としてあっていいのではないかと思いますし、それは、先ほどもお話しいたしましたように、私ども省の内部にもよく伝えるつもりでございます。  ただ、私自身は、従来すっと拝見しておりまして、議論としてはいろいろな議論がございますかもしれませんけれども、全体の議事の進行それからそれを取りまとめられた答申というものがおおむね公正中立と申しますか、妥当な線に落ちついているのではないかという考え方を持っておりますし、現在の委員の構成がそれほど片手落ちと申しますか、一方だけを代表するということになってはいないではないか。財界の御出身の委員のことをいま先生おっしゃいましたけれども、この中にはまだ言論界もございますし、学界もございますし、それぞれの立場から相当激しい意見が出ることもしばしばあるわけでございますので、そのこと自体は自由な討議ということで私はやむを得ないのではないかと思います。
  188. 三谷秀治

    ○三谷委員 意見は自由に述べるということについては、何もこちらの方は文句を言っているのじゃありません。意見はどんどん述べてもらえばよろしいけれども、意見が財界に偏ったものになってはだめだから、構成についてもっと公正な立場に立つ人選をすべきだということを言っているのです。  それで、言論界とおっしゃいましたが、実はその言論界というのがまた問題なんですよ。言論界だから公正中立かといいますと、そうではない。この審議の経過を見ておりますと、言論界から来ていらっしゃいます方の意見がはなはだしく公正中立を欠いておるという例を具体的に挙げることができますよ。たとえばこういう意見がある。「一方において、住民運動というものが起こる。そうすると、その住民運動がもう必然性があって起こるのもありますが、同時に、一体地方自治立場から、全体の地域住民の立場からどうであるか、それが曲げて推進されてくる、それが非常な圧迫感になって首長も議会もそれに押される」、こういう立場ですね。要するに住民運動否定論というものが述べられております。これは、例示しますと限度がありますけれども、言論界というものが、やはり、わかりやすく言ったら、新聞社やテレビ会社の経営の担当者などが出てきておって、それは言論界だから公正中立だというふうな考え方にお立ちになっているとしますと、これは大変な錯誤がある。私は、そういう点からしますと、言論界の方の委員がいらっしゃいますが、この方の発言の中に最も不公正なものがありますし、しかも地方自治に対する認識の不足が非常に露骨に出てきている。さっきおっしゃいましたように、あなたが委嘱されますのは、地方制度について学識経験者ではなしに、何か豊かな知識を持っている者、こういうふうなお話がありましたから、地方制度につきましてはあるいは無知であるかわかりませんが、しかし、そのことを抜きにして地方制度の問題の討議はできますかいな。どこのところに豊富な知識を持っているんですか。つまり、会社の経営について労働者を圧迫したり、あるいは営業上のいろいろな技術的な面におきまして豊富な知識を持っておりましても、それが地方制度においてどのように生かされるんですか。いろいろおっしゃっておりますことが遁辞の積み重ねになっておりますが、いずれにしても、この構成というものは正しくない。どんなにおっしゃいましても、財界の代表というものが公然と出てきておって、しかもこれは七名出しておるのです。そして、古い官僚の諸君が、これがまた七名です。それであとが学者になっている。二十一名の学識経験者のうち七名が財界、七名が官僚のOB、七名が学者とこうなっている。そこで、この学者も、見ればわかりますけれでも、民主的な学者と称する者はかいもく姿は出していませんね。たとえば私どもがここで地方財政問題などにつきまして参考人の意見を聴取しますときに出てきますような学者は、ここには顔を見せておりませんな。つまり、自治省のお気に入りの学者がここで選択されておるという内容になっております。この学識経験者二十一名が起草委員になって物事を起草するわけでありますから、五十名中二十一名がすでにそこで意見が一致して問題を出してきます素案というものがそのまま押し通されてしまう。あとの委員なんていうものは全くこれはつけ足しにすぎない。これがいままでの常態になっているわけですね。そうなってきますと、この学識経験者委員というのが非常に重要なポイントを持つわけであって、そこにはいろいろな多様な意見が反映をして、要するに世論の集約機関としての役割りを十分に果たして、そして、そこで素案がつくられるということでなければいけないというふうに私は思っております。それにつきまして改善をしてもらいたいと思いますが、どうでしょう。
  189. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 構成につきまして先生がるるお述べになりましたような見解、意見ないし改善の要望があるということは、当然だと思います。それを私はよく承りまして、私の省の内部にも伝えたいと思います。  ただ、まさに先生がいま後段におっしゃいました、それぞれの立場を代表する者でなくて、いろいろな意見を聞いた上でそれを調整して最も公正にまとめ上げるのが、このグループ委員の方々だと思いますし、先生いま自治省のお気に入りのとおっしゃいましたけれども、私の省としてそれに最も適した方を選んで、お願いに上がって、御快諾を得て委員に就任していただいている、その意味では、私たちとしては最善を尽くしている、現在までも尽くしていると思っております。
  190. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは論拠のない説明になっているんですよ。最善を尽くしたとか、あるいはこれがまとめていくとかおっしゃいますけれども、なかなかそうなっていない。私どもが三年間この調査委員として入っておって、いかにこの委員会というものが非民主的なものであるかということをその都度痛感をして帰ってきているんです。しかも、いまおっしゃいますように、この学識経験者というのが公正中立の立場に立ってまとめるというのでなしに、これが大体、自治省の案でしょう、それをでっち上げて、こね上げて出してくる。そうすると、二十一名というものでもう絶対多数ですから、この小委員会、起草委員会の意見がそのまま地方制度調査会の意見になってしまう。政党代表なども出ておりますし、六団体の代表も出ておりますけれども、それは数の上で言いますと及ばないという現実を私どもは見てまいりました。  それでいま、自治省内部でそれを持って帰って反映をするとおっしゃったんですか、伝えるとおっしゃったんですか、一体きょうあなたはどういう立場で来ているんですか。あなたでは、伝えるという、小使いで来ているんだったら、これはちょっと質問説明者としては不十分ですから、明確な答弁ができる者に来てもらわないといかぬですぞ。
  191. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 私は、自治省を代表してきょうここに来ておりますけれでも、実際にこの人選をするのは私個人がやるわけではございませんので、内部でよく協議をし、最後に自治大臣の決裁を経てやっておりますので、そういう段階で、きょう三谷先生からのこういう御意見があったということをよく伝える、こう申し上げたわけでございます。なお、私は小使いというわけではございません。
  192. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは、行財政制度全般にわたりましてそれを改革するときには、当然自治省としての協議が要るわけであって、しかし事柄によりましては課長や部長の段階、局長の段階で、それは道理に合わないことについてはこれは処置をする、改善をするということはしばしば言われてきている。この問題につきましては、あなたは帰って伝えるというだけではいけませんぜ。道理があれば、道理に基づいた処置をしていくということでなければ、言論の意味がないわけですから、その点からしまして、不合理性が存在するとするならばこれは改善の処置をとるべく努力するということをおっしゃってもらわぬと、帰って言うときますわということでは、これは話になりませんがな、あなた。
  193. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 たびたび申し上げておりますとおり、この地方制度調査会の構成及び運営について、現に中の委員として御参加になりました先生のそういうお考えがあるということ、これはまさにあるべきことだろうと思います。それに対していま私は、そのお考えはごもっともです、この構成は不公正でございますと言っておるわけではございませんので、私たちの方は最善を尽くしているつもりでございますけれども、そういう御意見があれば御意見があるで、さらにそれらも踏まえて十分中で協議しよう、こういうことを申し上げておるわけでございまして、先生の御説は御説として承りますけれども、私としては現在の構成、現在の運営、これは完全なものとは言いませんけれども、相当妥当なものであろうという考え方をいまだに持っておるわけでございます。
  194. 三谷秀治

    ○三谷委員 それでしたら、税制調査会ですか、臨調などには、労働者の代表も入っているんですね。特にこの場合で言いますと、地方自治体関係の労働者ですね、学識経験者がいないわけじゃないでしょう、こういう者がなぜ入らないのか。あるいは学者にしましても、このような、あなた方が選考されております。大体いつの場合でも意見が一致するような学者でなしに、また違った意見を代表する学者なども加えて、なぜもっと多様な国民の意見が反映するものになっていないのか。これがないからいけないと言っているのです。あなたはそうなっているとお考えなんですか。
  195. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先ほども繰り返して申し上げましたように、この学識経験者のグループというのは、むしろその中に相対立する意見、場合によればそれぞれの立場を代表するその対立する意見がつきまざるというものよりも、各方面の意見、国会議員の先生方あるいは地方団体の代表の意見、これらが各方面から出てまいりますものを、全体を聞いてと申しますか、公正に調整をするということが、むしろこの学識経験者グループの期待されているところだと思います。  そこで恐らく先生は、いま、おまえたちの気に入るような学者とこうおっしゃいましたけれども、われわれが選びますといいますか、候補者を探すにつきましては、最も公正、そういうふうに物をまとめるのに適したと申しますか、そういう中正な意見を持っていらっしゃる方という意味で、これは学者だけではございませんで、言論界でもそれからそのほかの界でも同じような基準で選んでおるわけでございますから、あるいは先生方の目からごらんになりますと、ここではその厳しさが足りないではないか、極端に言えば御用と申しますか、そういう色彩が強いではないかと御批判を受けるとすれば、それも一つの御批判として、私、受けとめたいと思いますけれども、いままでの選考方針なりそれから議事の運営なりは、私が申し上げましたような線で進んでおる。その意味で、いままで出ました答申も、学識経験者が中心になって起草されて、それが答申されておりますが、中にはそれは、意見の対立があって、多数意見、少数意見ということを書いた答申も例はございますけれども、これはきわめて数が少なくて、大部分の答申というのは、学識経験者が起草した案が満場一致とか、あるいは多少の保留があっても地方制度全体を改善するためにはという大方の合意が得られる答申であったということを見ましても、いままでこの構成なり、その運営なりが先生の御批判のようにそう不十分なものであるとは、私実は思っておらないわけでございます。  恐れ多いところでございますが、いままでの感じを申し上げればそういうことでございますが、まさに当然、立場立場からいろんな御批判があると思いますので、その御批判は十分に受けとめまして、そして省内でもさらに調整をするということにいたしたいと思います。
  196. 三谷秀治

    ○三谷委員 結論がようわからぬのや。前段と後段とで何か矛盾があって、それは結局何か問題をすりかえるようなことになってしまっている。  それで、いまいろいろおっしゃいましたが、答申案につきましても去年も激しい意見の対立があって、たとえば併記をするというふうな意見もあって、これはかなり激しい議論になったのですね。そういう状態が特に最近激しくなってきておる。地方制度問題につきましては、この委員会を見てもわかりますように、与野党それほどの厳しい対決はなしに進んできておりますが、大体事柄はそういう内容のものですけれども、しかし制度調査会におきましてはここよりもっと激しい対立が出てきているのですね。それでそのものがいま申しましたように学識経験者案として出てくるわけです。出てきたものは、これはなかなか曲がらぬですね。まあきのう初めて書き直しということになったわけですけれども、曲がらない。曲がらなくて多数決になれば、起草委員会がほぼ半数持っておるわけですから、大体これは通ってしまうということになってくるのですね。ですから、この場合学識経験者がそういうふうな役割りを果たすものでありますならば、もう少し多面的な学識経験者を選考してもらう必要がある。特に会社の社長とか重役とかいうふうなものだけぎょうさん並べて、肝心の地方自治体で働いている労働者なんというものは全く無視されてしまっている。これは決して妥当なものではない。そういう点についての改善をしてもらいたい。  それからお尋ねしておきますが、学識経験者の中には、戦前の内務省警保局長などをしておって満鉄事件などを弾圧したような人はおりませんか。その点はどうです。
  197. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 戦前のいろいろな経歴、そこまでは実は私、今日存じておりません。
  198. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたはこの問題についての説明者としては資格がありませんぞ。私どもがもらってきました資料で見ますと、そういう点は伏しておりますけれども、たとえば官選知事だとか、帝国憲法時代の地方局長だとか、いわゆる旧内務官僚ですね、いまの民主的な自治制度にそぐわない、帝国憲法時代の内務官僚などというものがいらっしゃって、これが枢要な地位を占めていらっしゃる。したがって運営が非常に非民主的に進められる。それはその時代の行政あるいは慣行の体質を証明しているわけです。そういう内容のものになっておりますが、こういう問題につきましては、新しい民主的な自治制度を検討します委員会の枢要な立場に立つ人としては適当ではない。こういう問題についても指摘しておきたいと思うのです。ですから単に財界代表だけでなしに、こういうふうな方々があんた方によって推薦をされ委嘱されている。たとえばこれは防衛庁の統幕議長ですか、統合幕僚会議長ですか、こういうふうな方が起草委員長、会長がいま言いました内務省警保局長、官選知事ですね、こういう経歴。これは戦後の民主化時代におきまして、少なくとも地方制度の民主化を論議しようという場所におきまして、そういう帝国憲法時代の亡霊に等しい者が指導的な立場に立つなんという人選の仕方というものは、そのこと自体に問題がある。ですからその点も含めて私は指摘しておきたいのですが、こういうことにつきましてはどうお考えなんですか。
  199. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御指摘いただいたということは、御指摘としてお受けいたします。ただ、かつてどういう仕事をやっていらしたか、過去のどういう時代にどういう職業をやっていらしたかということと、現在のこの時代における物事の御判断というものは必ずしも私は関係はないと思っております。
  200. 三谷秀治

    ○三谷委員 それが関係がないというふうな判断に立つところに欺瞞性があるのですよ。当時の民主主義のない時代の内務官僚の考え方というものと、いまの時代の自治省公務員考え方というものには、おのずから差があるのです。それを内務官僚時代の頭でその方に返そうとするから問題が起きてくる。あるいは統合幕僚会議議長などにしましても、内務省時代の地方局長ということが、恐らく選考されました唯一の根拠だろうと思いますけれども、要するに内務官僚であり、そしてその後におきましては防衛庁の幕僚会議議長をしていた。こういう者が地方制度調査会の委員として地方制度の問題を検討し決定をする、それが妥当だという考え方ですね。そこに少し考え方に逆立ちがありますよ。もっともっと民主的な学者人士、たくさんおるわけですから、なぜそういう方々を選んでこの委員会が構成できないのか、そこが私ども理解できない。  それで、いまお伝えするとおっしゃいましたが、結局これは行政局長担当ですか、私は官房尾の担当だと思っていましたから官房長を呼んだのですけれども、行政局に移りましたということですから、移ったばかりであなたよく事情がわかっていないのかもしれません。そして恐らくこれにはいろんな背景があるだろうと思ってあなたの答弁を聞いておりますと、実にお答えが非常に遠慮した発言をされていますね。これはやはり改善しなければいけませんよ。このままでいつまでも通っていくというふうにお考えになっておりますと、これは大変な誤算になりますが、これについてもう一遍決意を聞いておきたい。
  201. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 会の運営、人選の問題についていろいろの御意見があり御批判があるということは、何度も繰り返すようでございますが、お受けいたします。ただ現在の構成なり運営なりを、それではおまえがどう思っているかということであれば、私の省として最善を尽くしておりますし、構成なり運営なりに、完全とは言えないまでもそれほどまずい点があるとは実は思っておらないと、同じようなことを繰り返すようでございますけれども、そう申し上げるほかないと考えております。
  202. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはまた話が逆に返ったじゃないか。初めは指摘される点はもっともな点があるからこれについては帰って十分に反映さすと言っておったが、いままた全く違うことを言っておるのだな。どっちが本当なんだ。
  203. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 指摘される点がもっともな点があるとは私は申し上げておりませんので、どういう御批判、どういう御意見があるというのは自由でございますし、その御意見があるということはそのまま受けとめる以外にない、したがって持って帰ってそのことについてはよく御相談をし、協議をいたします。ただ自治省立場としては、現在の構成なり現在の運営なりが、先生御指摘されるほど不完全なものであるとは思ってもおりませんし、最善を尽くしておるということを繰り返し申し上げておるわけでございます。
  204. 三谷秀治

    ○三谷委員 それだったら、設置法にあります「地方制度に関し学識経験のある者」という、この基準はどこにあるのだ。そこで、あなたがどこまでも突っ張るんだったら、一つ一つ名前を挙げてはっきりさせるけれどもいいかね。地方制度に関する学識経験のある者という判断で名前を挙げましょうか。たとえば、いま申しました永野重雄、日向方斉あるいは伍堂輝雄、岡谷康治、これらの方々は地方制度について学識経験があるという判断は何を根拠にされましたか。それをはっきりおっしゃってください。
  205. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 最初御答弁申し上げましたように、地方制度というのはきわめて普遍的な制度でございまして、国民全体が同時に地方自治体の住民であり、生まれてから死ぬまで地方自治体の何らかのお世話になる。こういう意味ではきわめて普遍的な制度でございます。特殊な分野の制度ではないと考えております。したがって、ここにある「地方制度に関し学識経験のある者」というのは、地方自治体に勤務の経験のある者も経験のある者でございましょうし、地方自治関係のある学問を専攻される学者も学識のある者でございましょうが、同時に広い常識を持ちまして、広い視野から物事を判断できる人格すぐれた方であればこの基準に入るという考え方でございます。
  206. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうすると、非常に広い学識経験がある者は地方制度に関しても学識経験があるという判断に立つものだ、こういうことですか。
  207. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 地方制度というのがきわめて普遍的な制度であり、国民全体に関係がある制度であるという意味から言えば、人生経験豊かな方というのもやはり「地方制度に関し学識経験のある者」という基準に入るという考え方で御委嘱申し上げているわけでございます。
  208. 三谷秀治

    ○三谷委員 そんな牽強付会な議論をしてはだめですよ。「地方制度に関し学識経験のある者のうちから」ということは、地方制度に関して少なくとも一定の知識を持っているということは条件なんだ。一般に年がいっているから人生経験が豊富だとか、あるいは地方制度そのものが非常に概括的な内容のものだから一般的に常識があればいいのだとか、そういうことを設置法の地方制度に関し学識経験があるということは意味しているのですか。それはあなた方の勝手な拡張解釈なんでしょう。ここで「地方制度に関し学識経験のある者」というのは、少なくとも地方制度について一定の学識、一定の知識を持つ者である、具体知識を持つ者である。漠然と人生経験が豊富であるというようなごまかしの基準で物を判断すべきものではないということを設置法がはっきり規定しているじゃないか、文章の上で、法文の上で。それをあなたがごまかそうとするから、そういうふうなとんでもない奇想天外な意見が出てくるのだ。  それでは、なぜ自治体の労働者の代表などは入れないのか。あるいは住民運動の代表者などというものはなぜこの構成の中に入れないのか。それは人生経験が足らなくて、あるいは広い学識経験がないから入れないのか、その点はどうなんです。
  209. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 そういうことではございませんので、この「地方制度に関し学識経験のある者」というものの解釈は、先ほど私が申しましたように、地方制度というのは国民全般に関係のある普遍的な制度でございますので、相当幅広く従来解釈しておりましたし、私もその解釈は妥当であると考えております。そこで、これによってどういう方を選ぶかは、個々具体的な任命のときに各方面の意見を伺ったりして選んでおるわけでございますので、故意にある分野を締め出したとか、故意にある分野を入れたとかいうものではございません。
  210. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたが主観がどうあろうとも、構成されました客観体はそうなっておるということだ。だから、これを是正しなさいと言っているのですよ。あなた方に真にそういう偏った考え方がなければ、結果としてはそういう構成になってきているわけだから、是正していくのが当然な措置じゃないですか。あなた方の主観にそういうものがなかったとしても、構成されましたのはそうなっているのでしょう。だからここで問題があるから直しなさいと言っているのでしょう。それが直せないというのはどういうわけなんですか。
  211. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先ほどから繰り返しておりますように、いろいろな御意見があることは当然でございますから、御意見として承っております。  ただ、私は直せないとは言っておらないわけで、その御意見があったということを踏まえて、よくそれは伝えますということを言っておるわけでございますから、ここで一切いままでのやり方を直せないと私は言っているわけではございませんが、何か間違っているところがあるだろうと先生おっしゃいますので、私たちとしては最善を尽くしておるし、現在そうおかしなことにはなっていないという私の判断を申し上げておりますが、先生の御意見は御意見としてちゃんと持ち帰るわけでございます。
  212. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこが何かわけがわからぬことになってしまうのだ。最善を尽くしていないと言っているのだ。最善を尽くしておればこういう指摘を受けるわけはないのだ。あなた方の意図のいかんにかかわらず、客観的にはこれははなはだしく不公正なものになっているわけだ。そしてまた、中には、これは公職追放の関係はなかったのですか、特高の内務省警保局長などは。そういう今日民主主義の時代から見ますと、戦前の国民弾圧の張本人が、民主主義の基本である地方制度の問題について会長というふうな役割りを果たすというふうなこと自体も、好ましいことではないですよ。それ以外に人がないというなら別ですよ。人がないわけじゃありませんがな。人はたくさんおるのですよ。その中で特にこういうふうな者をあなた方は選択をされている。そこに問題がある、こう言っているのですよ。もうこれしか地方制度の権威者はいないのだとおっしゃるなら別ですよ。そうでなしに、あなた方は、人生経験が豊富だとか、あるいは豊富な常識を持っているのだとか、そんなことを言っておったら、何ぼでも候補者はおりますがな。その中でなぜこのような露骨な財界代表や露骨な戦前の内務官僚を入れなくちゃならぬのか。つまり、ここにはあなた方のいわゆる内務省の伝統を引く役所の一つの官僚閥的なものが反映してきているということを示しているけれども、そういうことは一つの抽象論になりますからおいておきますが、そういう点を含めまして、検討すべき要素を十分に含んでいるということを私は指摘申し上げておるのであって、それを検討して改善をしてもらいたいということを要求しておるわけです。
  213. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 繰り返しますようでございますけれども、当然その指摘あるいは検討すべしという要求というのを先生からお出しになられましたことは、私として受けとめて持ち帰るつもりでございます。
  214. 三谷秀治

    ○三谷委員 受けとめて持ち帰るというのはどんなことや、それは。受けとめて帰らないというわけにいかないでしょう。受けとめて帰るのはわかっておるのだ。帰ってどのように努力するかということを聞いておるのだ。
  215. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 最初申し上げましたが、現在こういう構成で過去二十年近くやってまいりまして、実はこの構成とか運営について御批判を受けたのは初めてでございます。しかし御批判はあったという事実はそのとおりでございますから、こういう御批判があったということで次の委員の任命はことしになるかと思いますけれども、次の委員の任命のときにこういう御批判があったということをそこで検討することは当然だと思いますが、おっしゃいましたように先生のおっしゃったことに私がもっともなところがあるということは実は申し上げておらぬので、私としては、私たちの役所としては最善を尽くしておると思っておりますし、現在出ておられる方が過去の経歴あるいは言論その他にいろいろ御指摘のような点があるにしろ、私は地方制度のことについて検討していただくのに最も適当な人をお選び申し上げてきたのだという自負と申しますか、そういう立場を持っておるのだということを繰り返して申し上げたわけでございます。ですから、先生の御批判なり御要求をこの場ではね返すわけではございませんので、言ってみれば初めてそういう批判を受けたわけでございますけれども、そういう批判があったという事実を持ち帰るということを申し上げます。
  216. 三谷秀治

    ○三谷委員 あとの質問はもうできませんからこれだけで終わっておきますが、いまのあなたのおっしゃいますことは、私の指摘していることが十分にあなたわかってないんですかな。学識経験者が二十一名おるわけでしょう。おるわけですから、いまのような指摘を受けないような構成はできるんでしょう。できないものじゃないでしょう。できるものであれば、指摘を受けないように構成について考えるということは当然のことなんでしょう。しかも、いま申しましたように、あなたは最善を尽くした最善を尽くしたと言いますが、あなたは最善を尽くすためにこういう特高官僚を選んだんですか。最善を尽くすためにこういう財界代表を並べたんですか。それが自治省の最善という意味ですか。そうじゃないでしょう。自治省がそのような印象を国民に与えるような人選をすることは、地方制度調査会の性格からして正しいものではない。しかし、最善を尽くして選んだ者は、具体に見てみるとそういう欠陥があるということは明らかになってきたんだ。そうであれば、最善を尽くした最善を尽くしたと言うんでなしに、最善の中から欠陥が出てきているわけですから、それをさらに是正をするということは当然のことなんでしょう。そのことをやっていただきたいということを言っているのであって、あなたは私の言っていることに何か合点がいかぬように言っていますが、言っていることに合点がいきませんか。わかりませんか。
  217. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先生のおっしゃることは、先生のお立場でそういう御意見があるということで、私はそれはわかると思います。ただ、お前は納得するか、わしの意見と同じ意見を持つかと言われますと、そこは見解の違う点があるということでございます。
  218. 三谷秀治

    ○三谷委員 私の意見というよりも、これは国民一般が見まして、だれでも疑問を持ちます。ただ、構成について知らされていないから、いろいろな問題、地方財政問題についてただしますと、地方制度調査会において現在審議中でありますとか、その答申をいただいてどうしますとか、しばしばおっしゃる。それで、国民の皆さんというのは、地方制度調査会というのは公正な世論集約機関として活動しているものであろうという印象を持っているだけのことであって、ここの中で戦前の特高の方々が活動されておるとか、あるいは財界が多数の委員を送り込んで、これが構成比からいいまして重要な部分を占めているとか、そんなことは国民は知らぬですよ。明らかになれば、だれでもこれは大変なものだと思うに決まっているんだ。私の意見じゃない、これは国民の感情なんですよ。あなたがその立場に立つならば、同じ気持ちを持つはずなんだ。それを持たぬということは、あなたが何か牽強付会の虚勢を張っているという以外には、これは考えようがない。だって、あなた方は少しも意見に同調しない、意見に同感しないということについては、論拠がありませんから。最善を尽くしているというだけが論拠なんでしょう。ほかに論拠が一つもない。ですから、そういう強弁をするのはやめて、いけない点が指摘されれば、これは検討して改善をする、それはあたりまえのことなんだ。そういう態度をとってほしい。
  219. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先生の御意見として受けとめて持ち帰りたいと思います。
  220. 三谷秀治

    ○三谷委員 もう二分ありますが、そこで、持ち帰って改善のために努力するということですか。持って帰ってどうすると言うんですか。どこかへほうり込むというんですか。そこをはっきりしてほしいんです。
  221. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 繰り返すようでございますが、先ほどから申しているように、この構成それから運営について御指摘を受けましたのは第一回の地方制度調査会以来実は初めてでございます。いままでこの構成がおかしいではないか、人選がおかしいではないかという御批判を受けたことはございません。そして、そういう御批判を受けました中でも、現在委員に委嘱しております方々は、私のような未熟な者の目から見ますと、やはり大変すぐれた御意見の持ち主であると思っております。しかし、その運営なりこういう構成なりに御批判があるということは、これは事実でございます。きょう大変厳しい御批判を受けましたので、こういう御批判があったということを持ち帰ってよく相談をいたしたいということでございます。
  222. 三谷秀治

    ○三谷委員 これはここでこの問題をやっておきませんと、制度調査会に行きまして、あなたはこうだこうだというようなことでやれませんでしょう、そこまでいきますと非常識にわたりますから。だから、そこに出るまでにこれは善処する措置をおとりにならぬといかぬ問題が含まれておるというところでお尋ねをし、かつ意見を述べたわけです。  それでは、時間が来ましたから、選挙の問題、地方選挙の定数のアンバランスの問題をお尋ねするつもりでおりましたが、時間がなくなりましたので、せっかく来ていただきましたが、まことに申しわけございません。どうぞあしからずお許し願います。
  223. 小山省二

    小山委員長 林百郎君。
  224. 林百郎

    ○林(百)委員 三谷議員の質問関連して、私、警察行政のことについて、ことにロッキードの問題についてお尋ねしたいと思います。  私たちが若干奇異の感じを持っておりますのは、普通日本の国で、疑獄事件にしましても刑事犯罪にしましても、まず第一線で活躍されるのは警察で、書類をつくって検察に送って検察官が検察官としての捜査を、警察の援助を受けて始めるというのが普通なのですが、ロッキード事件というのは、何かマスコミなんか見ていても、もう検察官が中心でやっておるようであって、裏で警察もいろいろと捜査の仕事をしていると思いますけれども、それがほとんど報道もされないということで、一体警察はどういうような動きをしているのだろうかということを、私たち地方行政、警察行政の担当委員会としてそう思うわけなのですが、これについて警察と検察庁との関係は一体どうなっているのでしょうか。デリケートな問題だということを知ってますし、捜査中でもありますので、答弁にいろいろ限界があることもわかってますが、できるだけのことをひとつ知らせていただきたいと思います。
  225. 土金賢三

    土金政府委員 ロッキード事件の今回の捜査に当たりましては、この事件の性格あるいはその重大性にかんがみまして、当初より警察庁といたしましては、検察庁等関係機関と密接な連携を保ちながら共同して力を合わせて捜査をする、こういう基本方針をとっておるわけでございます。これは初めからそういう方針で捜査をいたしてきておるわけでございます。だからといって、検察庁の方に全然任せきりで警察関係は捜査をいたしておらないということではございません。警視庁に設けられておりますロッキード事件特別捜査本部におきまして、すでに御承知のように、外為法違反容疑で児玉の居宅及び丸紅の東京支社等十四カ所を捜索いたしまして、その後また丸紅東京支社の再捜索を実施いたしますとともに、以来、六千点余に上る膨大な押収資料の分析、検討あるいはまた児玉譽士夫に対する取り調べを初め、警察だけで三百余名に及ぶ関係者から事情を聴取いたしておりまして、また、日米司法取り決めによりまして引き渡されましたアメリカ資料の検討、捜査員の海外派遣等によりまして、容疑事実及び金の流れ等、事案の全容の解明に努めておるわけでございます。
  226. 林百郎

    ○林(百)委員 大体概要がわかりました。  そこで、不思議に思うのは、この事件でまだ逮捕された者が一人も出ないわけなんですが、これは逮捕しないという方針で捜査をするのですか、それとも必要に応じては逮捕する場合もあるというのでしょうか。これはあたりまえのことなんですけれども、いまもって二月以来もう五月になるのにだれも逮捕者が出てこない、普通ならこれだけの事件があれば逮捕して、それでとにかく自白調書をとって、そして物的証拠の有力な裏づけにするというのが、これは捜査の常道だと思うのですね。逮捕を乱用していいということじゃありませんけれども、これは一体そういう逮捕はしないという方針ではないでしょうね。必要に応じては逮捕するということなんですね、もう言うまでもないことだと思うのですけれども
  227. 土金賢三

    土金政府委員 言うまでもなく逮捕すべき時期に来れば逮捕いたします。
  228. 林百郎

    ○林(百)委員 その時期というのは大体どういう時期なんでしょうか。もう大体三百何十人調べられたというのですね。それから検察庁と警察と一致して大体関係者の供述調書、物件はいま言った何千件というのがあるのですね。あと捜査当局としてとりたいと思うのは自供調書だと思うのです。この自供調書が任意ではなかなかとれっこないという状態が客観的にも見えるわけですね。そしてやはり最後の固めは、逮捕して自供の調書をとって最後の仕上げをする、そして公判のときの維持の固めをするというように思うのですけれども、いつだれを逮捕するとまでは言えないでしょうけれども、これは一体どういうことになるのですか。わからないですね。
  229. 土金賢三

    土金政府委員 いつ逮捕に踏み切っていくかということにつきましては、これはやはりいま申し上げることは捜査の支障にもなりますので、お答え申し上げることはいまの段階ではできないわけでございます。
  230. 林百郎

    ○林(百)委員 そして必要に応じては逮捕する場合もあり得るということはここでお聞きしておいていいですか。検察庁も来ているのですね。そこのところをちょっと……。そうでないと国民としては非常に不審に思うわけですね。これだけ国際的にも騒がれ、国会でも騒がれ、世間でも騒がれているのに、一人もまだ逮捕者も出ておらないということは一体どういうことなんだろうということになるわけですね。だからもちろん捜査の方針をここで全部手のうちを知らせとは言いませんけれども、これは必要に応じては逮捕者も出すことはあり得る、こういうことはここで言えると思いますが、警察と検察庁と両方へお聞きしておきたいと思います、その点。
  231. 土金賢三

    土金政府委員 申すまでもなく逮捕することはもちろんあり得るわけでございます。
  232. 吉田淳一

    ○吉田説明員 土金刑事局長からお話しされたことで尽きておると思いますが、検察庁といたしましては警視庁と共同して、合同してこの捜査を継続しておるわけでございますので、別にこの事件で委員がおっしゃるような方針を持っているとか、そういうことでは全くございませんで、捜査につきましては捜査に必要なことについてはすべて最善を尽くしてその措置をとる、そういう方針でやっておるわけでございます。
  233. 林百郎

    ○林(百)委員 刑事局長、外為について警視庁がいろいろと捜査をされたことについては私たちも新聞を通じてよく聞いておりますが、この問題のもう一つの側面は、いろいろありますけれども、贈収賄、ことに金の流れ、だれが金を受け取ったかというようなことについて国民はやはり一番関心を持っていると思うのですね。警察ももちろん贈収賄についての捜査にも検察庁と一体となって進められることは間違いなのでしょうね。そっちからおまえの方は手を外しておけ、これは検察庁だけだということじゃないのでしょうね。
  234. 土金賢三

    土金政府委員 最初にも御答弁申し上げましたように、検察、警察は協力一致して緊密な連絡をとって捜査をいたしておりまして、その中でそういういま御質問のようなことは検察だけがやる、警察はやらない、そういうふうなことはございません。
  235. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで時間の関係上あれやこれや聞いておられませんし、また非常にスケールの大きい国際的な事件ですから、児玉譽士夫にしぼってちょっとお聞きしておきたいと思うのですが、ことに身柄について聞きたいと思うのですが、きょうの毎日新聞のトップ記事に、ロッキード事件発覚の昨秋、契約を焼き捨てた、「児玉“証拠文書”も焼却」、領収証とそれから領収証の児玉の丸印も焼いた中に含まれている可能性が強い、こういう記事が出ておりまして、これは当該新聞社の記者の諸君の調査とそれから捜査当局もこの意味のことを漏らしておるというようなことが出ておるわけなんですけれども、こうなりますと、ことしの二月六日にチャーチ委員会でコーチャンがコンサルタント全員に、だれも金は受け取っていないという声明書に署名さしたということを言っておるわけですが、この新聞記事にもありますけれども、それからさかのぼること半年のアメリカの議会のプロキシマイヤー委員会あるいはチャーチ委員会、八月二十五日、九月十二日、これから火がつき出したのですが、このころアメリカ側と打ち合わせをし、児玉は証拠を隠滅していたということが十分疑われるわけなんですけれども、これをごらんになって、これについてはどういう御見解なんでしょうか。これは新聞記事ごらんになったと思いますが、もし何でしたら——いいですか。これについてここで答弁できる範囲のことを答弁してみてくれませんか、これは重大なことだと思いますので、警察でも検察庁でもどちらでも結構です。
  236. 土金賢三

    土金政府委員 御指摘の件につきましては、そういう事実があったかどうかということについてはいま申し上げることはできませんが、警視庁においてはそうした関係者の証拠隠滅に対しても十分関心をもって捜査に当たっているわけでございます。
  237. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、ここには捜査当局もこのようなことは知っておるというような意味のことが記事に載っておるわけなんですが、捜査当局ではこのことについては知ってはいたのでしょうか。ここにこういう記事があります。「児玉は同じ内容を捜査当局の取り調べに対しても供述したといわれる。」ここまで書いておるので、これはもちろん新聞記事なんですけれども、これはつかんでおられるのですか、少なくとも万全な措置はとっておりますということなんでしょうか、これは検察庁の方どうでしょう。
  238. 吉田淳一

    ○吉田説明員 毎日新聞にそのような記事が載っていることは事実でございますが、捜査当局がそういう事実をつかんでいるかどうかということは、捜査の内容に関することでございますので、遺憾ながらお答えすることができないわけでございます。しかしこれは決して、要するに現在捜査が鋭意続行されておるのでありまして、その過程で必要と思われるものについてはその内容について十分これを把握して適正な措置をとるということで、検察庁はもちろん警視庁におかれましても、そういう態度でこの事件の捜査を進めておるのはお約束できるわけでございまして、この捜査の過程でわかりましたものについては、それぞれ十分その事実を解明していくものと思います。
  239. 林百郎

    ○林(百)委員 捜査の常道から言えば、これだけの記事が書かれていてなお逮捕もしていないということは、われわれちょっと常識では考えられないわけなんですが、児玉譽士夫の逮捕ということについては検討されておらないのですか。これは警察庁でも検察庁でもどちらでもいいのですが、答弁願いたいと思うのです。必要によっては逮捕する場合もあり得るという範疇に入るのですか。
  240. 吉田淳一

    ○吉田説明員 先ほど来、逮捕することを考えているのかということのお尋ねがございました。一般論として、この事件に限らずすべての事件について必要でかつそれが適切であるというものについてはすべてその措置をとるということでやっておりますし、本件についてももちろん同様であるという趣旨で先ほど申し上げたわけでございます。  お尋ねの児玉についてでございますけれども、この児玉について逮捕の必要があるかどうか、あるいはそれが適切であるかどうか、そういうことについては、検察当局あるいは警察当局がその捜査に着手しておるわけでございまして、その点については十分いろいろな角度から検討し、必要な事柄はすべて確認をして、それでいろいろ手続を進めておるというふうに信じております。それ以上のお答えをいまの段階で申し上げるわけにはいかないことを御了解いただきたいと思います。
  241. 林百郎

    ○林(百)委員 これは何も捜査の内容をここであからさまに手の内を全部示せと私も言うつもりはございませんが、実は予算委員会で児玉譽士夫を証人喚問をすることになっているのですが、この予算委員会からの照会に対しては、児玉譽士夫は、医師の派遣も断る、臨床尋問も断る、こういうことを五月十七日に秘書の太刀川から言ってきているわけなんです。国会ではもちろん国政調査権もあるわけですし、証人喚問もできるわけですが、それを一切拒否しているわけなんです。  ところが、捜査当局の児玉の尋問の日誌を見ますと——これは東京地検でも警察庁でもいいですが、何回臨床尋問をされていますか、そして時間は大体どのくらいの時間になっていますか。
  242. 吉田淳一

    ○吉田説明員 私からお答えするのが適当かどうかわかりませんけれども、児玉譽士夫につきまして何回取り調べをしているかというお尋ねにつきましては、相当回数の取り調べをしているということしか申し上げられないのでございます。何回調べてどういうことであったかということは、密接に捜査に関連いたしますので、御勘弁いただきたいのでございます。  ただ、私ども検察庁から報告を受けて聞いているところでは、児玉の病状につきましては、当初から——当初と申しますのは、去る二月二十四日、警視庁、東京地検等で合同で捜索差し押さえをした当時から、さしたる病状の変化はないというふうに聞いておるのでございます。  回数については御勘弁願いたいと思います。  それから時間については、比較的短時間で行っているというふうに報告を受けております。
  243. 林百郎

    ○林(百)委員 これは私の方で取り寄せてもう地検と警視庁から資料が来ているのですが、新聞に出ているのとも照合してみましたら、日は時間がありませんから一々ここで言いませんが、合計十八回臨床尋問に行っているのですね。長いときには約三時間。これはもちろん捜査担当者が児玉の家へ入って出てくるまでの時間ですから、その間実質的な臨床尋問がどうできたかということまでは私たち報告は受けておらないが、三時間程度の尋問を受けておる。何ならこの資料を差し上げますが、この程度のことは認められますか。土金さんでもどちらでも結構です。
  244. 吉田淳一

    ○吉田説明員 資料を拝見いたしましたが、このとおりであるかどうかはお答えすることができません。先ほど申しましたように、決して申し上げるべきことを言わないということじゃございませんで、これは捜査の内容に密接に関連することでございますので、相当回数にわたって比較的短時間の範囲で取り調べを行っているということを御報告しておきます。
  245. 林百郎

    ○林(百)委員 私がここで質問しますのは、何もあなた方に無理を言わせようと思うのではなくて、国会の国政調査権を行使する場合に——検察庁や警察庁には十八回も臨床尋問に応じておる、時間も三時間ぐらいやったのが三回ぐらいある、あるいは二時間半もある、最近では平均三時間、こう書いてあるわけですね。これで国会の予算委員会に対して、医師を派遣されることも困る、臨床尋問も断るなんて、こんなことを児玉だけに許すわけにはいかないと思うのです。ですから私は、児玉が臨床尋問に応ずる状態にあるかどうかということを、皆さんは捜査の一線の事情を一番詳しく知っている方だから聞いているわけなんです。ですから、国会の臨床尋問くらいには応じられる、もちろん時間は一定の制約はあるだろうがというようなことか、あるいは思い切って逮捕すべきではないか。先ほど吉田刑事課長も言われましたように、十八回も地検と警視庁が行って臨床尋問されても健康については余り変化がない、最近では平均三時間詰めてやっているというならば、私は逮捕してもいいと思うのですよ。こういう健康が正常の人と違う場合には、ちゃんとそういう人を収容できるような医療施設のあるそういう収監する場所もあるわけでしょう。そういうことについては考えられることなんですか、どうなんですか。要するに体の通常でない、まあ血圧が高いとかそういうような人に対しては、それなりの、仮に逮捕してもそういう人をちゃんと留置できるようなそういう施設はあるわけなんでしょう。これは吉田さんにお聞きしたいと思います。
  246. 吉田淳一

    ○吉田説明員 ただいまの資料によりますと、最近では三時間ぐらい調べておるのではないかというお話でございますが、どのような根拠でそういうふうになっているのか私は承知しておりません。仮に児玉の家へ入った時間がそのぐらいの時間だといたしましても、その時間全部調べているのかどうか、その点は私はわからないと思います。  私が先ほど申し上げましたのは、最初国会で証人喚問をするというようなお話が出ていた当時の医師の診断の状況と現在の児玉の病状については、非常に快方に向かっているとかそういう状況でなくて、同じような状態であるというふうに承知しておるのでございます。  もちろん法務省の中の機関の拘置所には、その者が病人である場合には病監と申しましてその者をそこへ入れて医師に治療を受けさせるというような施設なり措置があることは御指摘のとおりでございます。検察当局としてはもちろんそれらをすべて勘案した上でどうするかを判断しておる、それらをすべて判断した上で現在の措置を講じているというふうに私は信じておるわけでございます。
  247. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、逮捕をしないということはここでは言い切るわけにはいかない、健康状態をいろいろ検討するでしょうけれども、逮捕するということもあり得る、そういうふうに聞いておいていいですね。別にどちらとも結論は出ていないわけでしょう。
  248. 吉田淳一

    ○吉田説明員 先ほど申しましたように、必要かつそれが最も適切な措置であるというふうに考えられた場合には、刑事訴訟法に許された措置を講ずるということであることは間違いございません。それはこの事件に限らずすべての事件についてそうでございますが、もちろんこの事件についてもそういう態度で検察当局は捜査に臨んでおると確信しております。
  249. 林百郎

    ○林(百)委員 土金さん、これは刑法に関することなんですが、もし受け取りや自分の領収証あるいは他人からもらった領収証あるいは自分の印鑑を焼いたというようなことが他の収賄者側の証拠にもかかわるような場合なら、もちろんこれは刑法百四条の証憑湮滅罪が成立することもあり得ることになるのでしょうね、焼却した物の種類によっては。焼却したということも仮定にしておきましょうか、ここでは皆さんはっきりそういうことの供述を受け取っておりますとは言いませんから。ただ新聞には「児玉は同じ内容を捜査当局の取調べに対しても供述したといわれる。」と書いてありますから、しかしそれも仮定にしておきましょう。仮にいろいろな書類一切を半年前に焼いたとする、その中に収賄者側から受け取った受け取りなどもあって、そういうものも全部焼いてしまったということになれば、これは証拠隠滅罪が成立する場合もあり得るでしょう。それはどうですか。
  250. 土金賢三

    土金政府委員 新聞記事につきましてここでお答え申し上げるということはちょっと差し控えたいと存じます。一般論とすれば証拠隠滅罪というものが成立する構成要件というものがあるわけでございますから、それに該当するというふうな場合にはもちろん捜査をいたしますが、現在の段階ではそういうふうなことについては私どもとしては申し上げるわけにはまいらない。そういうことについていま申し上げるということは、結局捜査の秘密に関して、捜査の内容にどうしても触れることになる可能性があるものですからいまはそういうことは申し上げられない、こういうことでございます。
  251. 林百郎

    ○林(百)委員 私は一般論として聞いているわけなんで、二つの仮定で、仮に焼却した、消滅した、消滅した中に金を受け取った側の領収証も入っている、また自分が金を受け取った書類、またそれに押捺した印も焼き捨ててしまったということになると、贈収賄の成立に対して不可欠な証拠が隠滅されたということになるのではないか。だから、焼いたことと、仮にその中に収賄者の受け取りなどがあり、あるいは賄賂の金が自分のところに来たという受け取りも入っていたとすれば、それは証拠隠滅が成立するだろう。だから二つの仮定のもとで聞いているわけですから、これは一般論で結構です。具体的にその成立についていま捜査しているとかしていないとか、そこまで私立ち入りません。  そこで、時間がありませんし、あなた方の答弁にも限界があるのですけれども、結局ロッキード事件の捜査というのは、警察と検察庁の見通しとしてはどのところが一応の締めくくりになるんでしょう。これはずっと続いていくんですか。国民の側から見ればもう内容が明らかにされてもいいとだれでも思っているときに、いまもって隔靴掻痒の感のあるようなことしか出ていないということなんですが、それははっきりいつ幾日どういうふうに結末をつけますとは言わないにしても、どのころが一体山になるのですか。押収した証拠物の数も、それから取り調べた証人の数もお聞きしましたので、それだけのものがあればもう結論が出そうなんですけれども、しかし私は捜査当局としては本人の供述調書を欲しいと思っていると思うのです。しかし、本人の供述調書をとるには、これはもうこういう対象になるような人を見ても、これは一応逮捕して、そして供述調書をとらなければ本当の供述調書はとれないと思うのですよ。そのことはきょうあなた方の方も刑事訴訟法のいろいろの条項を調べてその点も進めておりますと言うから、これはあたりまえなことだと思うのです。そういう前提に立って、いつごろが山になるのですか。これを土金さんと吉田さんにお聞きして私の質問を終わりたいと思いますが、いずれにしてもこのことについては国民としては厳正な捜査を要求していることですし、警察としても国民の大事な税金でたくさんの警察官が常にいままで捜査の任務を果たしてきたわけですから、この際、こういう全国民が期待しているようなことに対しては厳正な警察権をぜひ行使して、日本の警察の権威を高めてもらいたいと思います。  これは私は地方行政委員会委員の一人として特にそのことを要望するわけですし、また検察庁の方も、法務大臣があれだこれだというようなことがありますけれども、しかしそういう政治的な立場を超えて厳正な捜査をどうしてもやってもらわなければ、これは国民は納得しないと思うのですよ。だから、私は何もいつ幾日どうという正確なことは聞かないとしても、一体どのころになれば目鼻がついて大体全貌が明らかになるとお考えになるのですか、あるいは皆さんの段階でもまだそのことを把握していないということなんでしょうか。皆さんがわかっている範囲で結構ですが、そのことを聞いておきたいと思うわけです。ということは、捜査、逮捕の問題についても私の方で法務委員会でも聞いているんですが、これは刑事局長が出てこられまして、監獄内の病室になり身柄拘束をして取り調べよという提案でありますが、それは検討に値するかどうかを含めて検討する、わかったようなわからないような答弁をしておりますが、きょうは課長さんは一歩進んだ答弁をされておると思いますが、大体の山はいつごろはっきりするのか、それだけお聞きして、また皆さんのお立場上言える範囲のことで結構ですからお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  252. 土金賢三

    土金政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、警察といたしましては厳正かつ積極的な捜査を行っておる段階でございまして、その山がいつになるかということについてはいまはまだ申し上げられないということでございます。
  253. 吉田淳一

    ○吉田説明員 御指摘のように、国民がこの事件を注視していることは捜査当局も百も承知して、鋭意捜査をしているわけでございます。先ほどお尋ねの児玉に対する逮捕の問題を考えているかということにつきましても、この事件に刑事訴訟法で許された措置については、必要だと捜査当局がそう考えることについては、適切な措置をとるものと確信しているということを申し上げておるものでございまして、ただ、それを検察当局がどう内容を考えているかということは、捜査の内容に関することなので申し上げられないということを言っているだけにとどまるのでございます。  それで時期につきましても、いま土金刑事局長がおっしゃったようにしか申し上げられないのでございます。ただ、一点だけお答えいたしますと、この事件は、米国側からいろいろな事件の端緒があり、そして米国側にも重要な関係人がいる。普通の事件についてより以上に非常に捜査をやるものの側としてはいろいろ困難を伴っているだろうと思います。しかし、それらを法律の許す範囲でいろいろ乗り越えて、検察当局はさらに捜査を続行しているということでございまして、いつそれが見通しがつくかということについては、私どもお答えできないのでございます。
  254. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わりますが、答弁がなければなくて結構です。とにかくこういうことは締めくくりとして言えるわけでしょう。いろいろ政治的な要素も入ってきますし、聞けば政府高官というようなことで、その中には当然政治的な立場での政府高官もいるでしょうししますが、警察当局としても、検察当局としてもそういう要素には何らの影響もなく国民の期待にこたえて厳正な捜査をすることは間違いない、このことだけはこの委員会ではっきり約束していただいて記録にとどめておくことはしておきたいと思いますが、その点を答弁願いたいと思います。
  255. 土金賢三

    土金政府委員 御指摘のように、外部のそういったものには一切影響されることなく、厳正な捜査を行っておるわけでございます。
  256. 吉田淳一

    ○吉田説明員 ただいま土金局長が言いましたとおりでございます。
  257. 林百郎

    ○林(百)委員 結構です。  私の質問を終わります。
  258. 小山省二

    小山委員長 小濱新次君。
  259. 小濱新次

    ○小濱委員 機会を得ましたので、私は公明党の立場からロッキード問題について警察庁及び国税庁に質問をいたします。  本日は、福田国家公安委員長浅沼警察庁長官がよんどころない所用のため欠席でありますので、まず警察庁土金刑事局長にお伺いをしていきたいと思います。  ロッキード問題が起こって百日を経過し、米国からの資料提供を受けて一カ月以上を経過をしたわけでございます。米側資料の解明並びに国内捜査も順調に進んでいるようでありますが、警視庁から国家公安委員長警察庁長官のところには捜査状況について報告がすでに来ているのかどうか、質問いたします。
  260. 土金賢三

    土金政府委員 特に改めてのそういうふうな報告ということでなく、一般に重要事件の捜査状況につきましては捜査を行っておる警視庁から必要な都度警察庁の所管部局を通じて報告がなされておるわけでございまして、ロッキード事件についてもその点については同様でございます。
  261. 小濱新次

    ○小濱委員 ただいまも申し上げましたように相当の期間がもう経過しているわけでございまして、この問題は国税庁と検察庁と警視庁の三カ所で捜査中であります。国税庁は脱税で調査中、検察庁は法務大臣の指揮権で脚光を浴びておるわけでございますが、警視庁の活躍は表面に出てこないわけですね。非常に私どもは切歯扼腕をしているわけでございます。こういうわけで、警察法の十六条の二項、これは申し上げるまでもありませんが、長官は「警察庁の所掌事務について、都道府県警察を指揮監督する。」こうあるわけでございますが、いまの御答弁ですと、何かどうもまだ私どもはやるべきことがあるのではないかというふうに受けとめるわけでございますが、警察庁は警視庁から報告をとる意思がおありになるでしょうか。どうでしょう。
  262. 土金賢三

    土金政府委員 ただいま御指摘のありましたように、警察法によって警察庁長官は警視庁を指揮監督する権限を持っておるわけでございまして、それによって現実にそういうふうにこの事件についても指揮監督されておるわけでございます。ただ、国家公安委員長には法務大臣と同じようなそういうふうな指揮監督権というものは警察法上はございません。
  263. 小濱新次

    ○小濱委員 刑事局長、国会も押し詰まった今日、会期末ですからもうあと幾らもないわけですね。会期延長もいろいろとうわさをされておりますようにどうも断念をされたということでございまして、国会に捜査状況について報告するべきだと私ども考えているわけです、したがって、会期末を控えてその意思がやはり当然なければならないと私どもは見ているわけです。その点どうなんでしょうか。心配ですね。お答えいただきたいと思います。
  264. 土金賢三

    土金政府委員 お答え申し上げます。  警察といたしましてはロッキード事件について目下鋭意捜査中でございます。捜査が続行されておる段階におきましてその内容を明らかにするということは、捜査活動に悪い影響を及ぼして事案の真相解明に支障を生ずるおそれがあるわけでございます。したがいまして、中間報告という形で捜査の内容を公表することとなるようなそういう御報告はいまはできない、こういうことになるわけでございます。
  265. 小濱新次

    ○小濱委員 局長さん、現在自民党内において三木政権交代の動きが活発に出ているわけですね。きょうは先生方もおいでになりますが、これはもうやむを得ません、いろいろと報道されているとおりでありますから。そこで、一部にはロッキード隠しまがいの発言がこれも出ているわけなんです。こういうことで、国民に大きな疑惑と不信を与え、その様相を一層濃くしているように私どもは感じられてならないわけなんであります。これは刑事局長として、この問題について警察はどのように受けとめているのか。ロッキード事件解明への不動の決意、取り組み方について再認識をしておきたい、こう思いますので、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  266. 土金賢三

    土金政府委員 御指摘のような政党各派の動きに対しまして意見を申し上げることは、私どもとしては何もございません。警察といたしましては、ロッキード事件につきましては、まあ国民に大きな疑惑を呼んでおる事案でもございますので、捜査機関として、厳正、公平な立場に立って、事案の真相を解明するため積極的かつ徹底した捜査を行うことといたしておりまして、外部の動きに影響されることは一切ないということを申し上げておきたいと存じます。
  267. 小濱新次

    ○小濱委員 大変力強い御答弁をいただき、私も心から敬意を表しておるわけでございます。  この最近の情勢下から一つの例を取り上げてみますと、稻葉法務大臣が、過日ロッキード問題特別委員会で、捜査状況について、百三十名内外の人を参考人として呼んで捜査しており、中にはイワシや小サバなどの小物ばかりではないとの発言がテレビ等で報道されておりますが、そういうことから推して、警察庁関係では現段階で何人くらいの人物を呼び出しているのか、大変に厳しい質問のように思われるかもしれませんが、これはやむを得ません、ぜひひとつお答えをいただきたい、こう思います。
  268. 土金賢三

    土金政府委員 お答え申し上げます。  警視庁におきましては、捜査中の外為法違反事件の捜査に関連しまして、捜査に着手以来すでに三百余名の関係者から事情聴取を行っております。ただ、いつだれからそのような、またどのような内容について事情聴取をしたかということにつきましては、捜査上支障がありますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  269. 小濱新次

    ○小濱委員 了解いたしましたが、その中には政治家も含まれておりますか。名前は言わなくていい。
  270. 土金賢三

    土金政府委員 ちょっとその点については、差し控えさせていただきたいと存じます。
  271. 小濱新次

    ○小濱委員 そのくらいいいと思うのですが、どうでしょうね。政治家は含まれているのかどうか。私は、本当は政治家は何人くらい呼ばれているのかと聞きたいところなんです。一けたなのか、二けたなのかと聞きたいわけだ。  局長、これは私も当委員会で所信表明に対する質問も機会がなくてできなかったわけです。非常にざんきにたえない気持ちできょうまで控えておったわけですが、きょうはこの機会を得ましたので、責任立場からお尋ねしているわけでございますから、ぜひともひとつ支障のない最大限ぎりぎりいっぱいのところまでお答えをいただきたいと思うのですが、その点いかがでしょう。
  272. 土金賢三

    土金政府委員 先ほど申し上げましたように、三百余名の関係者から事情聴取をいたしたわけでございますが、その内訳についてはひとつ御勘弁願いたいと存じます。
  273. 小濱新次

    ○小濱委員 じゃ、最後でありますので、ひとつよろしく御清聴をお願いしたいと思いますが、折を見てまたお尋ねをすることになろうかと思いますが、とにかくきょうの機会をおいてはすでにもう会期切れでありますので、ぜひ御答弁をいただきたいと思ったわけですが、きょうは刑事局長が国家公安委員長あるいは警察庁長官の代理で御出席でありますから、これ以上は御無理かとも思いますので、この点は了解いたします。  そこで、さらにお尋ねをしていきたいのですが、今回のロッキード事件に絡む贈収賄事件等について、四十七年以前の事件、すなわち時効になったものについても捜査を行っているのかどうか、この点いかがでしょう。
  274. 土金賢三

    土金政府委員 私ども事案の全貌を明らかにするという見地で現在捜査をいたしておりまして、特に金の流れ等についても鋭意そういうふうな捜査を行っておるわけでございます。その捜査の過程におきましては、時効等の法律的判断につきましても遺漏のないように慎重に行っているわけでございまして、これから時効になるおそれがあるというふうなものについては、そういうふうなことにならぬように判断をいたしまして、適切な措置をとる。そういったおそれのあるものにつきましては、たとえば児玉譽士夫の外為法違反の一部についてそういうふうな点を考慮して、五月十日に東京地検に送致いたしておりますし、また、全般につきましてそういった時効の点も考慮しながら、事案の全容というものを明らかにするため努力いたしておるわけでございます。
  275. 小濱新次

    ○小濱委員 いずれにしましても、このロッキード汚職問題は、全国民が注視し、その徹底解明を待ち望んでいるわけであります。したがって、国税庁、警察庁、あるいはまた検察庁の責任はまことに重大であります。清潔な政治と国民の政治不信を一掃するためにも、格段の努力を要望して、一応この問題だけの質問は終わりたいと思いますが、あと数点残っております。  次は、横井国税庁次長にお伺いをしていきたいと、こう思います。  四十七年分の児玉譽士夫の脱税事件についてでありますが、四十六年以前の所得申告についても克明に調査したが、結果はどのくらいの申告漏れがあったのかお答えいただきたいと思います。
  276. 横井正美

    ○横井政府委員 御指摘のように、四十七年分の調査にあわせまして、それ以前の所得の問題につきましても調査をいたしております。その結果、去る三月十三日でございますが、四十七年分について告発をいたすと同時に、四十五年分、六年分、七年分の課税漏れにつきまして玉川税務署長より更正の通知をいたしてございます。その金額については申し上げることができません事情を御了解いただきたいと思います。
  277. 小濱新次

    ○小濱委員 更正決定をしたとの御答弁がございました。  告発の時効は三年であるけれども、いろいろと伺いますと、脱税の時効は三年または五年、こうなっているようでして、今回は五年を適用している、このように伺っておるわけですね。そういう点から、四十五、四十六年分については当然、更正決定をしたのですから追徴金を取ることになりますね。いかがでしょう。
  278. 横井正美

    ○横井政府委員 御指摘のとおりでございます。
  279. 小濱新次

    ○小濱委員 更正決定とは、その内容においては幅広い、単なる申告漏れと虚偽の申告漏れとが含まれているはずでありますが、今回の事件は、単なる申告漏れと同様に取り扱われることは、私どもとしては好ましくない、こう考えているわけです。ロッキード事件の解明にとっては、四十四年ないし四十六年についても重要なかぎを握っている、こう見ているわけですね。この重要なかぎを握っているという点についてどのように取り組んでおられましょうか、国税庁の御見解をひとつ聞かしてください。
  280. 横井正美

    ○横井政府委員 ただいま御指摘がございましたように、課税におきましては、国税通則法の規定によりまして、偽りその他不正の行為による脱税につきましては、五年間課税の権限があるわけでございます。したがいまして、先ほどお答え申し上げましたように、四十七年分以降のみならずその以前につきましても調査をいたし、そのような要件に該当いたします場合は課税をするということで努力をしてまいっておるというところでございます。  ただ、私ども課税権限のないところにつきましても、できるだけ努力をして調査はいたしておりますけれども、権限のない調査でございますし、また、わかってまいりましても課税権限はないということでございますので、四十四年分につきましては課税を行っておらないところでございまして、四十五年分、六年分についてただいまのお話の五年という課税権限に基づいて更正をいたしたということでございます。  また、この事件は非常に重要な問題でございますので、課税に当たりましては、その態様によりまして隠蔽、仮装というところに当たります部分については、重加算税を適用いたしておるということでございます。
  281. 小濱新次

    ○小濱委員 四十七年まではお伺いしましたけれども、四十八年以降の申告について調査状況はどのようになっておりましょうか。
  282. 横井正美

    ○横井政府委員 四十八年分以降につきましても、私ども調査の必要が当然あるわけでございますが、三月十三日という時点におきましては、調査が完結しておらなかったというふうなことがございまして、とりあえず四十七年分以前を課税いたしたわけでございます。その後、引き続いて東京国税局の査察官多数を投入いたしまして、四十八年分、四十九年分の調査を続行しておるという状況でございます。できるだけ早くこれにつきましても調査を終わり、適切な処理をいたしたい、かように考えております。
  283. 小濱新次

    ○小濱委員 四十七年の所得申告は、児玉自身が自分で書いたとは全く考えられませんが、だれが書いたものか、また税理士は絡んでいるのかどうか、私どもが疑問としているところです。おわかりになればお答えいただきたいと思います。
  284. 横井正美

    ○横井政府委員 各年の児玉の申告書がだれの筆跡であるかという点については、お答えできないわけなんでございますが、御承知のように、税理士法の規定等からいたしますと、所得税の申告書につきましては、本人、税理士のほか、業といたさなければ第三者、たとえば秘書等が代筆することもできるということになっておるわけでございます。児玉の場合、過去の申告書等につきまして、児玉の秘書等が書いた場合もあるということを申し上げておきたいと思います。
  285. 小濱新次

    ○小濱委員 考えられるケースとして、児玉と税理士が共同で過小申告をした、あるいは税理士と使用人が共同で過小申告をした、児玉、税理士、使用人が共同で過小申告をした、あるいは使用人が単独で過小申告をした、税理士が単独で過小申告をした、児玉または使用人の指示により税理士または使用人が過小申告をした等のケース考えられるわけでありますが、このそれぞれに法的責任が存在するのか、また脱税という点だけなのか、今度のこの問題を通していろいろと疑問視されている問題でありまして、この点のお答えをいただきたい、こう思います。
  286. 横井正美

    ○横井政府委員 御承知のように、刑法の共犯の規定は、脱税の場合にも適用があるわけでございます。そこで、たとえば税理士が関与をしておったりあるいは従業員が申告書の作成等をいたしておったりいたします場合において、税理士なり従業員が児玉と共謀してやった、仮にこういうふうな場合があるといたしますと、関与の状況、態様によりますけれども、共同正犯とか教唆犯とかあるいは従犯とかいうこととなる場合がございます。またその中で、税理士がもし関与いたしておるといたしまして、税理士が脱税相談をしたとかいうふうなことでございますと、別に税理士法の三十六条の違反ということで、税理士法第五十八条の規定による刑事処分を受けることがございます。また税理士法の四十五条では税理士業務の停止とか禁止とかいうような規定もございますので、そういうことになる場合もあるわけでございます。
  287. 小濱新次

    ○小濱委員 刑法第十一章の共犯を私もいろいろと調べてみました。六十条、六十一条、それから六十二条と、この問題について六十条は、端的に言えば一緒に犯すということになりますが、六十一条は指示を与えるということになりますな。六十二条は、指示をされて犯す、こういうことに一応なっているようであります。この内容も、ただいまお話しのように税理士が税理士法三十六条違反をやれば四十五条で懲戒処分、こういうふうになることも私どももいろいろと調べてみましたが、今回の場合は、あらゆる角度から資料を収集し検討してみますると、こういうケースが当然考えられるわけですね。  そこで国税庁は、これはどういう調査をしておられるのか、これからこの問題解決のためにどういうふうに進めようとされているのか。私どもとしてはこの程度調査しかできないわけですね。その衝に当たっておられる国税庁の立場からいろいろときょうはできる範囲での御答弁をと、こう願って御質問しておるわけでございますが、この点についてのお答えをいただければと思います。
  288. 横井正美

    ○横井政府委員 二月の初め以来、私ども、この事件の全貌を明らかにし、それに伴う課税を適正に行うということで鋭意努力をいたしておるわけでございますが、現在までのところ、税理士法違反というふうなことで問題があるようには見ておらないところでございます。また児玉の秘書その他、多数の万を調査いたしておりますけれども、その辺の内容につきましては、いままだ調査段階でございますので、詳細を申し上げるわけにまいりません。まあいずれにいたしましても、御指摘のような問題については、私ども、いずれの所得税調査あるいは法人税調査におきましても、常に念頭に置いてやっておることでございますので、今回の事件につきましても同様にそれを念頭に置いて調査をいたしておるところでございます。
  289. 小濱新次

    ○小濱委員 刑事局長、お聞きのとおりであります。  そこで、この問題を単なる脱税として扱うのではなくして、刑法あるいは税理士法の適用まで幅広い捜査を行うべきであると私ども考えておるわけでございますが、刑事局長、これは警察庁立場からいかがでしょう。
  290. 土金賢三

    土金政府委員 児玉の脱税につきましては、先ほど来の御答弁のように、国税庁において調査の上告発がなされておるわけでございますが、所得申告に当たりまして、まあ偽造とかその他の不正行為によって徴収されるべき税金を免れる、こういうふうな場合には所得税法違反のほかに税法上の犯罪も考えられますので、そうした事犯の有無につきましても十分配意して、私どもといたしましても関係当局と連絡をとりながら、実は現在でもそういう捜査を行っておるわけでございます。
  291. 小濱新次

    ○小濱委員 幅広い捜査を行うという意味の御答弁でございましたが、大いに期待が持たれておりますので、一層の御努力をひとつお願いしたいと思います。  そこで横井次長にお尋ねをしていきたいと思いますが、児玉の書いた領収証は仮領収証となっておりますが、これは正規の領収証とは異なるようにも感じられるわけでございます。国税庁ではこの領収証についてどのように判断しておられましょうか。
  292. 横井正美

    ○横井政府委員 調査の途中でございますので、具体的に申し上げるわけにまいらないのでございますが、重要な資料の一つだというふうに考えておるわけでございます。
  293. 小濱新次

    ○小濱委員 しからば金が渡っていると判断しているということですか。
  294. 横井正美

    ○横井政府委員 四十七年分につきまして、私どもが告発をいたし、検察庁が起訴をされたということ、それからまた四十五年分、六年分、七年分につきまして、私どもが児玉の所得について更正をいたしたということ、これはいずれも児玉に課税漏れの所得があった、多額の所得があった、それを認定をいたしまして、告発、起訴なり、あるいはまた課税をいたしたということになっておるわけでございます。
  295. 小濱新次

    ○小濱委員 さらに次長にお尋ねをしますが、本日の朝刊に、児玉がこの重要書類を焼却したように報道されておりました。こういうことになりますと、捜査に相当の支障が起こることも考えられるわけですね。したがって、この点の扱い方について国税庁としてはどのようにお考えをお持ちになっておられましょうか、お答えいただきたいと思います。
  296. 横井正美

    ○横井政府委員 けさの新聞報道につきましては、私どもそれが実際どうなのかという点について報告を受けておりませんし、また申し上げられる筋のものでないのでございますが、御承知のように私どもの査察の調査一つの資料だけでやるのではございませんで、多角的な調査で事実を解明してまいるということでございます。特に私ども資金の流れを解明するということで多数の金融機関等の調査等もいたしまして、今日まで事態をだんだんに解明してまいっておるところでございます。したがいまして、一つの資料がなくなっておるというふうなことで直ちに調査ができなくなるということではなかろうというふうに考えるものでございます。
  297. 小濱新次

    ○小濱委員 資金の流れをいま追及をしているという、そういう現状の話がございましたが、この児玉のところに渡ったと思われる金が児玉自身のものになったのかどうか、それとも児玉を経由してだれかの手に渡ったのかについては国民の最も知りたいところであります。すでに国税庁にあってはその点についても捜査の段階に入っているやの報道もされておりますが、金の出先についての調査段階に入っているのか、その状況についてはどうなのか、お伺いをしたいと思います。
  298. 横井正美

    ○横井政府委員 私ども資金の流れを解明いたしておるわけでございます。当然御指摘のように、入る方も出る方も解明の努力を怠っているつもりではないのでございますが、現在なお調査の途中でございますので申し上げるわけにはまいらないことを御承知おきいただきたいと思います。  次に、先日の新聞報道で、そういう方面の調査が始まっておるのではないかということについての御質問がございましたが、実は昨日も参議院の大蔵委員会におきまして国税庁長官より御答弁申し上げたのでございますが、私どもの例年の事情といたしまして、三月十五日に確定申告が出ますと、四月から五月くらいにかけまして申告書の審理をいたし、事後調査をするかどうかというふうな検討をいたすわけでございます。いまがちょうどその時期に当たっております。一般的に納税者全部の方について実行いたしておるわけでございますが、東京国税局の場合について見ますと、国会議員の方で東京国税局管内で申告をされる方が非常に多い。具体的に思しますと、七百名くらいの国会議員の方の中で三百名くらいの方が東京で申告をされております。そういうことでございますから、大ぜいの納税者について申告審理をいたしておる過程におきまして、国会議員の方についても問題がありそうだということで検討の対象になることは、例年の現象でございます。それが恐らく誤って報道されたのではないかというふうに思うわけでございます。  それから、さらにつけ加えさせていただきますと、日米行政取り決めでございますが、第三項は、刑事事件の捜査、調査のためにアメリカから提供される資料は使えるんだということに了解されているようでございます。したがいまして、税につきましては、いわゆる査察調査ということのためでございますと資料が参ることになるわけでございますし、その点については、私どもから検察当局に対しまして資料の提供方をお願いしてあるわけでございます。しかし、まだ今日のところその点の資料が参ったように聞いておりませんので、御質問の点については否定的な答えを申し上げておきたいと考えるわけでございます。
  299. 小濱新次

    ○小濱委員 国民が、私どもが最も知りたいそういう問題について、今回はまだ私どもの納得するような御答弁がいただけないことを非常に残念に思っているわけですが、国税庁の次長として、調査段階に入っているいまの段階で政治家の名前を挙げて追及が行われているのかどうか、この点いかがでしょう。
  300. 横井正美

    ○横井政府委員 御承知のように、この問題の中心ともいいますか、国民の関心といいますか、それはいわゆる贈収賄があるのかどうか、これはどうなのか、こういう点にあろうかと思いますが、その辺につきましては検察、警察両当局におきましてまず第一次的にお進めになっておるということではなかろうかと思うわけでございまして、私どもは児玉の資金の流れを現在のところは解明いたし、適正な課税なりあるいは告発なりを行うということで進んでおるわけでございまして、まだいまのところそういう段階に参っておらないというふうに承知をいたしております。
  301. 小濱新次

    ○小濱委員 次長の御答弁もまた局長の御答弁も、いろいろな状況というものを勘案して発言を控えておるのではないかと見ておるわけですが、同じような御答弁になってしまいましたので、今後こうした問題の解明にぜひ一層御努力をしていただきたいと思います。  最後に、きょうはやむを得ませんので、土金刑事局長に代表してお答えいただきたいと思いますが、今回のロッキード事件に関する国民の関心は、徹底的な真相の究明であります。米国資料が司法当局に入って秘密扱いになっている今日、事件の解明の責任はすべて司法当局に負わされておるわけでございます。もし司法当局の段階であいまいに終わったとなれば、日本の司法の権威の失墜のみならず、民主主義の破壊にまで発展しかねない重大な問題であると私どもは見ておるわけでございます。そこで警察当局の良心と正義感に絶大な信頼を寄せつつも、一層真相究明の努力を期待し、その決意土金刑事局長からお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  302. 土金賢三

    土金政府委員 警察といたしましては、国民各層の重大な疑惑を生んでおりますこのロッキード事件に対しましては、捜査機関としての立場から全力を挙げて真相を解明すべきものと考えておる次第でございます。現在警察におきましては押収資料の検討、関係者の取り調べなどにより、児玉譽士夫及び丸紅に対する外為法違反の捜査を強力に行うとともに、本件に関する金の流れなどを明らかにして、事案の全容を解明するため、厳正かつ徹底的な捜査に努めて国民の期待にこたえる所存でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  303. 小濱新次

    ○小濱委員 警察庁あるいは国税庁、そして検察庁、この御努力はよくわかるわけですが、非常に国民の期待が大きゅうございますので、どうか一層の御努力をされますよう心から願って私の質問を終わりたいと思います。
  304. 小山省二

    小山委員長 次回は、明二十一日金曜日午前十時から理事会、午前十一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十九分散会