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1976-05-14 第77回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十四日(金曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 小山 省二君    理事 左藤  恵君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 山崎  拓君    理事 山本弥之助君       愛野興一郎君    伊能繁次郎君       片岡 清一君    木村武千代君       篠田 弘作君    渡海元三郎君       野田  毅君    古屋  亨君       粟山 ひで君    細谷 治嘉君       山田 芳治君    多田 光雄君       林  百郎君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 福田  一君  出席政府委員         自治政務次官  奥田 敬和君         自治大臣官房審         議官      横手  正君         消防庁長官   松浦  功君         消防庁次長   田中 和夫君  委員外出席者         文部省大学局医         学教育課長   齋藤 諦淳君         厚生省医務局指         導助成課長   岸本 正裕君         厚生省保険局医         療課長     三浦 大助君         通商産業省立地         公害局保安課長 広海 正光君         資源エネルギー         庁石油部精製課         長       山中 正美君         海上保安庁総務         部長      鈴木  登君         自治省財政局交         付税課長    豊住 章三君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   木村武千代君     野田  毅君   島田 安夫君     粟山 ひで君 同日  辞任         補欠選任   野田  毅君     木村武千代君   粟山 ひで君     島田 安夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第六  〇号)      ————◇—————
  2. 小山省二

    小山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高鳥修君。
  3. 高鳥修

    高鳥委員 私は、今回御提案になりました消防法の一部を改正する法律案につきまして若干の質問をいたしたいと存じます。  主として私は、この改正案の第三点の危険物保安技術協会の問題について、その内容をいささかお尋ねしてみたいと思うわけであります。  と申しますのは、実は前々国会の際に石油コンビナート等災害防止法が初めて提案をされまして、この内容について私が主として自民党では質問をさせていただいたわけであります。そして、その際に、この石油コンビナート等災害防止のためには、コンビナート全体のレイアウト等についての審査並びに個々の施設についての検査、そうしたことについての体制が果たして十分であるかどうか、特に構造物等については消防法によって規制をしており、そしてそれは、結局主として市町村消防規制監督をするところであるということになりますと、そうした点について、市町村が果たして近代化されて非常に高度化した設備を検査する能力を持っているかどうかというようなことについても、実は非常に疑念を表明しておったわけであります。幸いにいたしまして、前国会石油コンビナート等災害防止法成立をいたしました。それに付随をいたしまして、今回は特に危険物保安技術協会というものを設立して、その施設等についての検査の万全を期するということであったわけであります。実は、その前々国会の際に私が御質問を申し上げて、一体消防はそういう検査能力を持っているのかどうかという質問をいたしましたところ、前の消防庁長官は、検査能力がありますという御答弁であったのですが、私は非常に疑わしいと思っておりました。地方行政委員会調査室がつくりました法案審議のための調査室資料によれば、そういう検査体制がきわめて不十分なのでこういう協会をつくるのだということになっております。そうすると、さきの長官答弁とはこの調査室資料は大分矛盾した意見を申し述べておるわけでありますが、そもそもこの協会をつくろうとなさる根本的なお考えは何であるかということをまず第一に長官に承りたいと思います。
  4. 松浦功

    松浦(功)政府委員 前長官市町村消防にこの検査能力ありという御答弁をなさっておられるようでありますが、あるかないかということは、能力の基準をどこに置くかということによっても見方が若干は変わってくるかと思うのでございますが、より確実な審査能力、高い審査能力という観点からいたしますと、ある町村ではそれだけの能力を持っておるけれども、ある町村では持っていないという事態も十分考えられます。非常に高度の技術を必要とし、一つ間違いますとえらい問題が起こるわけでございますので、そういう意味では水準を高く念頭に置いて考えるべきだということで、このような組織をつくることにいたしたわけでございます。各市町村一定の時間がたちますれば、研修その他によってこれらの技術員を確保することが可能になるかと思いますが、その場合におきましては、技術能力という角度とは別に、各市町村がこの種の相当数の高度の技術職員を抱えていることが、行政効果という意味行政経費ということのバランスがとれるかということになった場合にも、またこの種の協会という形で全国一遍で行うことが財政的にも非常に得策であるという両方の考え方、これを含めましてこの協会をつくるということに踏み切ることにいたしたわけでございます。
  5. 高鳥修

    高鳥委員 ただいまの長官の御見解に対しては全面的に賛成であります。そこで私は、この法律が恐らく今国会において成立をきわめて期待されておるし、成立する可能性が非常に大きいと思うわけでありますが、この法律通過成立をした場合に、速やかにこの協会設立を図らなければならない、このように思うのでございます。一体協会設立めどというものをすでにお持ちになっているのかどうか、そしてまた具体的にこの協会が活動を始める時期についてはいつごろを想定しておられるのか。コンビナート防災の問題を考えてみました場合には、できるだけ早い方が望ましい、このように思うのでありますが、その辺の御準備はいかがでありますか。
  6. 松浦功

    松浦(功)政府委員 この法律に基づきまして、発起人による協会設立手続が順調に進むということを前提にいたしますならば、もちろん本国会でこの法律を御許可をいただいた場合でございますが、本年の十月ごろには自治大臣による設立認可を行いたいと思っております。そして、審査事務等を執行するために、これは先ほども一申し上げましたように、高度の職員を上手に集めなければなりません。これらの手続に若干時間を要すると思います。これらの諸般の準備を含めまして、明年の一月からは業務が開始できるように私どもとしては準備を進めてまいりたいという気持ちでおります。
  7. 高鳥修

    高鳥委員 明年の一月から業務開始ができるように進めたい、こういう御見解でありますが、この協会をつくっても直ちに技術者がふえるわけではない。特に、石油コンビナート等の非常に高度な化学処理をする施設についての検査能力を持った技術者というのはきわめて数限られておるわけでありまして、協会ができたから技術者がふえるというものではないと私は思うのです。私の手元にあります参考資料によりますと、これも恐らく消防庁の方で一応構想されたものであろうと思うのでありますが「危険物保安技術協会組織・人員及び予算規模」というのが二十九ページにございますが、その内容は、理事長理事、監事とありまして、その下に総務部が十五人程度総務部事務屋さんですからきわめて容易に構成できると思いますが、構造物検査部が二十人程度非破壊検査一部が二十人程度非破壊検査二部が二十人程度、トータルで六十人、その中には事務屋さんや補助職員もあるでしょうけれども、少なくとも六十人に及ぶ技術者、これを一体どこからどのようにして集めてくるのかということを考えてみますと、これはなかなか容易なことじゃないと私は思うのですが、その辺について見通しを持っておられるのかどうかですね。
  8. 松浦功

    松浦(功)政府委員 現在石油タンクの問題についてはまだ学術的にも解明されていない部分もあるやに、学者先生方の御意見を伺うと私ども感ずるのでございます。そういうことは言っておれません。全くこのための教育を受けた専門家がおるわけではございません。したがって、船舶あるいは橋梁、こういった構造物技術者で基礎的な知識を持っている方であれば、一定の訓練を経ることによって、技術的審査を行う能力は十分できるというふうに私ども考えております。できるだけ日本全国の中で、この種の技術者として使える者を各官庁、地方公共団体あるいは民間企業、そういったところから適当な職員を採用してまいりたいと考えております。出発時点においては最低四、五十名の技術者はどうしても必要であると考えております。  なお最近、船舶検査について非常に実績を持っております財団法人日本海事協会というものがございますが、その船舶の受注が下降ぎみであることから、そういった職員に少し余力があるということで、その協会から協力方申し出もございますので、それらの技術者も活用をあわせて考えてまいりたいと考えております。  具体的にどこからどうということを申し上げる段階には至っておりませんが、先ほど先生から御指摘をいただきました程度の人数の技術者は、発足までに私どもとしては集め得るというふうに考えております。
  9. 高鳥修

    高鳥委員 こういう高度の技術能力を持った職員ですと、それぞれの職場においても相当評価をされておると思うのです。したがって、そう簡単に、今度協会へ来てくれないかと言っても、本人も動かないし、手放す方も手放せないというようなことになる公算が私は非常に大きいと思うのです。  そこで、この協会職員については、公務員ではないけれども公務員としてのたとえば守秘義務とか、贈収賄等についても公務員と同じような規制を受けるとか、いろいろ公務員に準じたような考え方相当おとりになっているようでありますが、たとえば都道府県市町村あるいは国などの公務員がこの協会に出向をするといいますか、そういうふうな形で、元の身分身分としていつでもリターンできるような形でこの協会に出向して、一定期間協会業務をやりながら自分自身技術水準も高めてまた戻っていくというようなことが可能なシステムになるのか。そうでもないと、職員を集めていくといってもなかなかそう簡単には私は集まらぬと思うのですが、その辺のお考えはどうですか。
  10. 松浦功

    松浦(功)政府委員 技術者のみならず、経理及び計画を遂行する事務職員についても同じ問題があるわけでございます。恐らく相当消防方面に理解のある人間を事務職員にも送りませんと、協会自身運営にも難が出てくる。そういう意味で、国家公務員または地方公務員、こういったものにつきましては、その身分関係が切れるということが、非常に本人のために勉強にはなるけれども、将来の個人の問題として大問題であるということがあることは、先生指摘のとおりでございます。したがって、共済組合等についてやっておる方式、すなわち休職にしてそちらに向ける、そこで働いている間は年金の期間にも入るし退職手当期間にも通算をする、そういう制度をこの協会職員にも適用できるように各省と現在折衝中でございます。消防庁といたしましては、ぜひその方法確立をいたしたいということで努力をいたします。
  11. 高鳥修

    高鳥委員 いまのお考えについては、ぜひそのような措置をとられることが望ましいと思いますので、速やかにまとめられることを希望いたしておきます。  次に、この協会運営については、やはり具体的に金が入ってこないことには運営がつかぬ、こういうことになると思うのでありますが、一応ここにも、参考資料にいただいた中には、何かいまやっている検査委託料というのが、タンクの大きさにもよるが、一万キロリットルのタンクで百万円程度になるというのが十九ページに、私ども資料ではございます。これはまあ一般に行われているところを参考までに掲出したもので、この協会がそのように手数料を定めたというものではまだ恐らくない、発足もしていないわけですから、ないと思うわけでありますが、これだけの職員を抱え、役員を置くとなりますと、ざっと勘定をしただけでも、相当収入がないとこれはやっていけないことになる、このように思うのですが、そこいら辺の収入見通しですね。そういうものはどの程度お立てになっておりますか。
  12. 松浦功

    松浦(功)政府委員 これは打ち割った話でございますが、協会運営費、これは検査費用も含めましてですが、そういうものを積算をいたしまして、どの程度件数検査があるかということで逆算で割り出しまして、それを協会受託料という考え方でありまして、それに市町村経費を乗せましたものを市町村手数料、こういう定め方をするつもりでございますので、件数自身に外れがない限りは、全く経費の問題については私どもば心配ないというふうに考えております。ただ、この協会には政府からの出資もございません。当初、金は全然ございませんので、損保協会等ともすでに話がついておりますが、二億円ぐらいを一時借りをいたしまして、入りました受託料からそれを数年間で消却をしていくという方式でこの協会の財政的な基盤を確立をしていこう、こういう考え方でございます。
  13. 高鳥修

    高鳥委員 大分大ざっぱな話のように感ずるのですがね。これは職員役員合わせて約百人ですわね。ざっと勘定してみますと約百人の者を置いて、したがって当然、事務所等相当のスペースも要りましょうし、検査だって、手ぶらじゃ検査ができないわけでありますから、それ相当検査器具どももちろん用意しなければならぬでしょうし、やはりこれだけのことをやるには、国からもある程度援助もあってもしかるべきじゃないかと私は思うのですよ。  さらに、何か、かかった費用は後で頭割りで市町村や何かに割りつけるんだというんでは、一体幾ら検査委託料を出していいのかわからぬということになってしまう可能性もあるわけですよ。だから、やはり検査は一件当たり幾らでどうなる、そして足りない分については国はどれだけ援助をするとか、都道府県はどれだけ分担するとか、そういうふうなある程度のものを——もちろん発足までに決められるとは思いますが、ある程度までのきちっとしためどがなくて、これから十月までに発足させて一月から開始するには、もうすぐ職員の募集もしなければならぬ、こういうことになりますと、何かきわめてあやふやなお話のように承るのですが、もう少し前財政局長らしい自信のある御答弁をお願いしたいのですがね。
  14. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ちょっと発言がラフだったようで申しわけございません。かかった経費件数で割り返してその都度単価を決めるという趣旨で申し上げたのではございません。先生おっしゃられたように、発足してから今年度中にどのぐらいの人件費が要るか、機械の購入費幾ら要るか、出張旅費幾ら要るか、そういうことを全部常識的に積算をいたしまして、この程度件数はあるだろうというその件数で割り直して、それが一件幾らという計算が出てくる、これを手数料としてきちんと定めてしまうわけであります。したがって、私どもとしては積算をする際に、余り小切った形で積算をすると単価不足ということが起きますから、そこはゆとりを持って積算をしてそれぞれの手数料単価を決めます。したがって、検査を所定の件数どおり行う限りは、もう算術的にも逆算でございますから、打ち明けた話と申し上げたのはそういう意味でございまして、十分にやっていける、こういう気持ちでおるわけでございます。
  15. 高鳥修

    高鳥委員 これは希望的な意見として申し上げておきますが、こういう協会をつくりますと、とかく役員だけはちゃんとすぐできるわけですね。それでお役所上がりの皆さんをちゃんと並べましてしかるべく処遇をお考えになるわけです。実際の仕事体制はさっぱりできないものだから、仕事体制は今度は、たとえば消防庁なり各市町村なりが実際の仕事をやって、手数料だけはそこへ入れて、役員の給与支払い団体化するというおそれが実はあるのであります。ですから、せっかくつくられる以上は、そういうことが絶対にないように十分心して運営をしていただくようにお願いいたしたい、このように希望をいたしておきます。  それから、屋外タンク建設の問題について、特に各コンビナートにおける大型石油タンクがずいぶん沈下をしているのが多い。中には底から亀裂が入って油が流出をして事故になったというケースがあったわけであります。  いまの屋外タンク建設問題点一つは、要するに埋立地に非常な重量物地上につくる、これはもう沈下をするのがあたりまえである。沈下をしないと考える方がおかしいのであって、そういうものをつくっておいて後で不等沈下をして事故が起きた、大変だというのはいささか技術者としてはお粗末過ぎるのじゃなかろうか、余りにも初歩的なミスではなかろうかという感じが私はするのです。たとえば東京都内における高層建築物につきましても、岩盤まで地下を掘り下げて岩盤の上に置くか、さもなければくいを打って支持力をつけるか、あるいは岩盤に達しない場合は地上部分地下部分とでもってバランスをとって、要するに浮かしておくという形のものをつくるか、そのようなことは地上のすでにつくられた高層建築物においてはきわめて常識的に行われていることなんですね。それを地上にあのような油タンクを、しかも相当重量物のものを沈下しやすいところにつくって、そして不等沈下で壊れたなどと言うのは、技術的に考えると全くお粗末千万と私は言わなければならぬと思うのです。  そこで、沈下をさせない一つ方法は、地下タンクをつくることである。これは初めから下へ入っておれば油の流出事故もないし、それから、土圧等下から押し上げる力と上からの重量とでバランスをとれるようにしておけば沈下はしないわけであります。だから、私は、今後は地下タンク建設というものを相当積極的に指導してもいいのじゃないか、このように考えることが一つであります。  それからもう一つは、いままでのタンクは、見ておりますと全部鉄でできておりますが、最近の技術開発ではPCなり何なりのコンクリートでつくるタンクというものが、アメリカあたりではずいぶん大型のものがすでに実用化されておるというふうに聞いておるのです。地下タンクコンクリートでつくる、何も鉄でつくるだけが能じゃないと私は思うのですが、そういうふうな技術的な面についての御検討も当然されていいことではなかろうか、このように思うのですが、その点について若干技術的になりますが、御見解を承っておきたいと思います。
  16. 松浦功

    松浦(功)政府委員 非常に各方面の実情を御承知になった上での御質問のようでまことに恐れ入りますが、日本ではまだ地下タンクはない。諸外国にはもうすでに地下タンクの例が若干はあるようでございます。また、先生指摘いただきましたように、鉄によらずにコンクリートによるタンクというのもアメリカにはあるようでございます。また、私どものところにいろいろ話を持ち込んできております中には、地下とか地上とか言わずに、もう湖の底あたりに大きな鉄の箱を係留をして、その中に貯蔵しておいたら一番いいじゃないか、こういうような御意見も参っております。技術の日進月歩の時代でございますので、各般の問題について検討を進めることは当然でございます。ただ、これにつきましてはよかろうと言ってやってしまってうまくいかぬということになっては大変でございます。安全性耐震性、そういった問題について十分検討して、自信が得られる段階になれば、積極的にそういった方法を認めていくという態度で臨んでいくべきだと思います。  ただ、この種の問題については、実験等について非常に膨大な経費を要するものでございます。むしろこの種の技術開発というものはやはり企業自身がある程度考えをいただくべきものであって、それらの研究の結果のデータを分析をして消防庁としては右左を決めていくという態度で臨んでいくよりほかに方法が、現在の段階ではないのではないかという気がしておりますことをつけ加えておきたいと存じます。
  17. 高鳥修

    高鳥委員 さてそこですが、いまの消防庁長官の御答弁を承っておりますと、業者がそういう技術開発をやる、そのデータなどをもらって安全かどうか検査をするという程度にしかわれわれはできないと、こういうことでは結局業者の後追いをしていくにすぎない、こういうかっこうになってしまって、業者がこうでございますというデータを出せば、そうかなあで終わってしまうおそれが多分にあるわけですね。そういうことがずっと行われてきたことが、今日あのように野方図コンビナートがどかどかとでかいものができて、そして事故が起こってみてさあ大変だと言って後追いをしながらいま抑える。こういうことになってきておると私は思うのですよ。  そこでたとえばこの協会収入源ですね、これはもっぱらつくったタンク検査料だ、あるいはこれからつくろうとするタンク予備検査料だというだけでは、そういうふうな前向きの研究調査というようなもの、あるいは安全確認のための、業者開発する以前にこういうものについてはどうか、こういうふうなことの研究はどうかというようなことは、この収入ではできないわけですね。この収入検査手数料ですから、だから、私は別個にやはり国からちゃんとそういう技術開発なら技術開発のための調査研究費用を出して、そうして業者がどのようなものを考えてきても、それを受けてちゃんと適否を判断できるようなもっと高度の、業者以上の能力を持った協会というものを、せっかくこういうものをおつくりになるのでしたら、もう一つ高次元のものにまで育てていっていただくことができないか、このように思うのですが、いかがですか。
  18. 松浦功

    松浦(功)政府委員 これも私の言葉足らずで申しわけございませんでしたが、学問的に、こういうものが理論的に可能であるかどうかというようなことでございますと、私どもはいろいろ学者先生にお集まりをいただいて、タンクの問題について基本的に研究している機関もございますので、この種の問題の研究も大いに学問的には進めていただきたいと思います。  ただ、理論的にでき上がりましたものをこの機関で、あるいは消防庁で実際に実物をつくってみてどうだというようなことは、これは私どもの方にはなかなかできかねるので、これは業界の方だという趣旨で申し上げたのでございます。先生のせっかくの御指摘もございます。国とあるいは企業とが出し合ってこういう新しい開発をするということも一つ方法だと思いますし、またこの協会を発展的に、法律の若干改正をいたしました上で、それぞれの収入源を見つけた上で、この種の検討を進めるという時期に来ることも私は考えていいのではないかということを現在では考えております。  ただ、すぐこの場で、ここでそういうものを入れるとか入れないとかということになりますと、いましばらく時間をかしていただきたいという結論を申し上げざるを得ないのではないか、こう考えております。
  19. 高鳥修

    高鳥委員 業者一つのプランを持ってきて、それからこの協会が全然いままでとタイプの違ったものを持ってきた場合に、あわてて検査をどうしたらいいだろうというようなことを考えておるようでは、結局業者ペースにはまってしまうと思うのです。だから、学者先生研究も大いに結構ですが、学者先生研究というのはときに実態、実情と遊離したものも非常に多いわけです。だから、その辺を責任を持って研究をしながら、業者がどのようなことを考えてきてもちゃんとそれを指導して出られるだけの高レベルのものをぜひ消防庁の熱意をもって育てていただきたいと、これを希望をいたしておきます。  ちょうど時間になりましたのでこれで終わります。
  20. 小山省二

    小山委員長 山田芳治君。
  21. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 前回からの引き継ぎでありますので、ひとつ確認をいたしておきたいと思うのでありますが、前々国会の昭和五十年六月十三日に、わが党の岩垂議員がいわゆるコンビナート防災法の質疑の中で、幾ら日本の中における石油コンビナート等の災害に対する防災上の規制を強化しても、横須賀や横浜や鶴見あるいは沖繩や佐世保のアメリカ軍の油を貯蔵している貯油施設があるわけでありますが、それに対しては日米安保条約に基づく地位協定はあったとしても、このコンビナート法の趣旨が生かせるように日米合同委員会などの場所を通じてアメリカに要求することを求めるとともに、立入検査などについても治外法権だと言って放置するわけにはいかぬのではないかということをただしたのでありますが、それに答えられて政府委員は、御指摘のように、完全にそういった地域についての——アメリカ軍の施設ですね。安全を確保するためには、米軍の施設についてもそうした防災の万全を期さなければならないから、地位協定の関係もあるけれども、外務省と折衝して、あるいはまた防衛施設庁とこの点について十分連絡をして、万全の措置をとるように努力をいたしたいということを答弁をされております。したがいまして、もう一年たつわけでありますし、まさに油を貯蔵する施設についての消防法改正ということは、この前のコンビナート法の中から出てきた問題であり、それに対して迅速に対処をされたということは高く評価するけれども答弁をされたことについて、昨日消防庁の方から来ていただいたけれども、まだやっていないような感じでありましたけれども、やっておられるんならやっておられた経緯とその結果について御答弁をいただきたい。
  22. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいまの御質問でございますが、この点については私どもコンビナート法の施行との関連もございますので、特に横浜飛鳥田市長からの照会状等も自治省に参っておりますので、外務省、防衛庁を通じて米軍当局と何回かこちらの趣旨を伝えて折衝していただいておりますが、現在の日米協定のもとでは米軍施設、区域につきましては、地位協定によって米国が施設、区域の管理を行う権限を持っておるわけでございまして、米軍当局の同意がない限り施設、区域の立ち入りはできないというたてまえでございます。  米軍当局は、日本趣旨はよくわかるけれども、立入検査というような手段によらなくても、当方の責任において日本国民に迷惑をかけないように努力をするということで、実質的には同意が得られないというのが現在の実情でございます。  これまでの結果、米軍施設に対しまする視察あるいは施設に関する情報聴取等にはいつでも応ずるけれども、いわゆる立入検査には同意できないというのが米国側の態度でございます。そこまでまいりますと、日米地位協定がある以上、それ以上の深押しはできないというのが実態でございます。私どもとしては、先ほど申し上げましたように、必要があれば消防職員の実態視察——立入検査というと角が立ちますが、視察をすれば余り変わらないと思うのでございますが、視察あるいはそこへ参りましてどういう設備になっている、どういうふうになっているかということの事情聴取、これには米軍側も応ずると言っておるわけでございまして、そういう手段を通じてただいま先生指摘のように、万遺漏のないようにこの地域の防災を考えていくということにいたしたいと存じております。
  23. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 この問題は後で大臣が来られたらもう一遍、ひとつ確認をする意味でやはり努力をしていただかないといかぬのではないか、幾ら日本側が努力をしてりっぱなものをつくったとしても、そういう日本の国内にアメリカの危険なものがあるということによって抜けてくるということではいかぬので、これはひとつ国務大臣としての大臣の意見を後で聞くということで、一応この点はこの程度にとどめます。ただ、努力をするということをちゃんと政務次官がお約束をしたことですから、そういうことはわかっていたのでありますけれども、そういうお話だったからお伺いをしたのです。  それでは次に、これと関連をして、自衛隊に非常に油の施設がございますね。これは同様の取り扱いをされますかどうですか。
  24. 松浦功

    松浦(功)政府委員 自衛隊の施設につきましては、当然国内法としての消防法の適用がございますから、全く他の施設と同じという考え方で取り扱ってまいりたいと思っております。
  25. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 実はきょう防衛施設庁を呼んでおけばよかったのでありますが、京都の宇治の補給処等においては、どうも爆弾があるということが大体推定をされたのでありますけれども、自衛隊に立入調査を認めてもらえない、それは防衛上の秘密ということがあって。したがって、爆弾貯蔵庫だと松浦長官御承知のように基地交付金がもらえるわけですね。ところがそれに当たらないという。なぜかというと、立入調査をさせないわけですよ。そういう事実がございますので、果たして油の問題についても立入調査ができるのかどうか、私は非常に不安に感じている。宇治の場合にも、どうも爆弾、火薬類が貯蔵されておるということは大体見当がついているんだけれども、自衛隊ではそれははっきりさせない、立入調査は認めない、そういうことが現実にあるわけですよね。  火薬類については届け出の義務があるので、届け出てきて後からこれはたしか昨年だと思いますが、昨年やっと火薬が貯蔵されているということを自衛隊みずからが認めたので、特別交付税の枠の中で交付金はもらえなかったけれども、何とか処置をしてもらったという例があるわけですね。油を貯蔵するタンクの場合も、屋外だと見えますからわかりますけれども地下だったらこれは立入調査をしなければわからないんですが、この点について防衛施設庁なり防衛庁との間においての話し合いはできておるのかどうか、その点のきちっとした整理ができておるかどうか、ひとつお伺いをしておきます。
  26. 松浦功

    松浦(功)政府委員 屋外の貯蔵タンクの問題については、先生がおっしゃられるように、まず問題なく私どもの方に一切の実情はわかっているというふうに申し上げて差し支えないと思います。仮に国内法が適用がある自衛隊で、危険物があるのにないと言っておいた場合にどうなるかということを考えたら、そんなことはとてもできる相談ではないと思うのです。一キロリットルや二キロリットル隠すならこれは隠せるでしょうけれどもコンビナート法の適用ということになりますと範囲が大きゅうございますから、地下であってもこれはわかります。その点の御懸念はないというふうに私どもは確信しております。もしそういう事実が出てきますれば、私どもはどんどん立ち入りをするつもりでございます。どうぞその点はわれわれを御信頼いただきたいと思います。
  27. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 ついでですが、これは油の危険物でありますが、火薬類とかいま言った爆発物、これは一元化の問題もあるわけですけれども、こういうものに対してはどういうふうに消防庁としてはお考えになっておられるか。
  28. 松浦功

    松浦(功)政府委員 自衛隊については当然国内法が適用になるわけでございますから、一般の民間の場合と同様に取り扱われるべきだということだけを原則論として私は申し上げております。  火薬については当省の所管でございませんので、何ともそれ以上のことは申し上げられません。
  29. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 さっきもちょっと財政、税の方にお願いしておったのですけれども、立入調査をさせない、だから確認ができないという場合があるわけですね。自衛隊の場合は現実に宇治の場合にそういうことがあったわけですが、そういうことは今度の場合は絶対ないといういまの長官のお話ですが、それは外で見えているのは隠せないけれども、見えないようなものあるいは秘密にやるようなものはあり得ないのかどうかということになると、これは事実あったわけですから、私は長官のおっしゃることはよくわかるし、信頼をするけれども、現実にやはり自衛隊の基地というものは、市町村がやる場合にはなかなか立ち入らしてくれないという点があるので、この点を、蛇足かもしれないけれども、防衛施設庁なり防衛庁とよく打ち合わせをしておいていただきたいということをまず一つ要求をしておきますので、その点事務的にも十分連絡をしておいてほしいと思います。  次に参ります。通産の方、来ていただいておりますね。ここにありますが、昨日「昭和五十年代前期経済計画」というのが発表されましたね。この中で石油の備蓄の増強について、食糧自給率の向上とともに、昭和五十五年までの前期経済計画の中で、増強を強化をすると言っております。この前のコンビナート法のときに、石油部長の左近君がこういうことを言っておるわけです。石油備蓄公団をつくって、毎年それをふやしていって、五カ年間で約九十日分に増強いたしますと、こういうふうに言うて、その中で、石油のタンク等は、石油の総量が約三千万キロリットルであります、それで五年間に九十日分で三千万キロリットルであって、一つタンクの稼働率を八〇%と計算をすると、約三百七十ないし三百八十カ所ぐらいのタンクができます。それに要する面積は五百万坪で、現在企業が確保しているのが百七十万坪ですから、あと三百三十万坪というものが備蓄のために必要である、こういうふうにこの間の答弁にはなっておりますが、今回の「昭和五十年代前期経済計画」によると、それをなお強化をするということが言われておるのですが、それの計画をひとつお知らせいただきたいと思います。
  30. 広海正光

    ○広海説明員 いま先生の御質問の件でございますが、実はこの点につきましては通産省の中の資源エネルギー庁の方でやっておりまして、実は本日私出席しておりますが、その件につきましては当局では所管しておりませんもので、もし御必要があれば資源エネルギー庁の方から答えさせるようにいたしたいと思います。
  31. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 これが後の、どのくらいの個数が今後検査体制との関係で出てくる、そしてどのくらい手数料を取るかということで、さっきの高鳥議員の質問のあったように、何十人か、七十五人かを雇われる財源としてどうなるかということをちょっと伺おうと思っていたのですが、これは消防庁で調べておられますな。——それじゃ通産じゃなくて、消防庁で結構でございます。  去年の六月十九日の当委員会と商工委員会と災害特別委員会と公害委員会との連合審査の中で左近君がこう言うておるわけですよ。いわゆる石油の備蓄計画というものを言われている。大体三百七十基ないし三百八十基のタンクが必要という試算をいたしておりますというのが左近君の意見です。ところが今度こういう中期経済計画、これはきのうかおとといか出たばかりですから、初めて読んだので、私もまだそこまで研究をしておりませんけれども、それを強化をいたしますとおっしゃるから、それならこれを九十日分という石油備蓄公団との関係で逐次ふやしていくというのが、またこれを増強するということで、中期ですから、昭和五十五年までの五カ年計画ですから、九十日分をふやすのかどうするのかということをまず伺わないと、いままでの計算と若干違うのか違わないのか、それをまず伺わないとこれは困るわけです。質問にならぬわけですよ。だからまずこの中期計画、昨日発表されたわけだから、これといままでの答弁とが同じであるかどうかということをまず伺いたいと、こういうことですから、ひとつ……。
  32. 松浦功

    松浦(功)政府委員 いまの三百数十基というような数字は私どもは当然把握をし、新規の検査対象ということで考えておりますが、その中期計画との関連ということになりますと、自治省は全く音痴でございます。
  33. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 実は中期計画に私どもは九十日分であると、それには三百七十ないし三百八十の、満タンとまいらぬので、平均して八〇%の稼働率だということをエネルギー庁の石油部長が言うておるわけです。それを基礎にして私もちょっと数字を出してみて、実は計算をしてみたのです。人件費約二億ぐらいかかりゃせぬかとか、それから手数料は約数十万円でございますというようなお話ですから、ちょっとやってみると、高鳥さんさっき、簡単にやれるかどうか知りませんけれども運営のことを聞かれたわけですが、ちょっと私は財政的につらいのじゃないか。もっと国費を入れなければいかぬという質問をこれから展開しようとする基礎ですから、もうちょっと数字を、資源エネルギー庁の関係者でもちょっと来ていただけたら、あるいは経済企画庁の方でも結構です。
  34. 小山省二

    小山委員長 いま急いで連絡をとってみます。
  35. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それではこの質問は保留します。  次の質問に移りますが、今度の計画は確かに一歩前進だということを先ほども一応申し上げたわけで、審議の中から出てきたわけでありますが、法律を読みますと、実はよくわからないのは、大部分は政令へ委任されておるわけですね。基準もあるいは政令で定める事項というように、ほとんど政令で定められておる。  そこでひとつお伺いしたいのは、第十四条の三の第二項でございますが、「不等沈下その他の政令で定める事由が生じた場合」というふうになっておりますが、どういうことをまず予定をしているかという点と、それから市町村長が保安に関する検査をする場合に、今度新しくできる保安協会に委託ができる、こう書いてあるわけですね。だから委託をするというのは市町村能力がないから全面的に委託をするということを予定しているのか、あるいはまた個別的に、たとえばタンクの容量その他というような基準によって委託されるものを定めているのか、いわゆる町村別に定めるのか、タンク別に定めるか、そういう基準、委託の内容というものが全然出てないわけですね。これは一体どう考えているか、委託する内容というものを具体的に政令でどういうふうに考えているのか。いろいろ資料を読んでみると、一万キロリットルあたりを前後としてどう考えるかというようなことらしいと判断はしますけれども、全然出てこないというので、そこらあたりの基準というものを、まだ検討中かもしれませんが、ひとつ教えていただきたいと思います。
  36. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 設置許可に伴います新設の場合の技術審査、これは千キロ以上。それから同じく完成前の検査非破壊検査とか地盤検査とかいったような検査につきましても千キロ以上。それから既存のものについての定期保安検査、その定期保安検査については一万キロ以上のタンク。それからひずみ等が生じました場合の保安検査につきましては千キロ以上ということで一応考えております。その事由は、これから基準を設定するわけでございますが、不等沈下その他そのままに放置すれば危険だ、ひずみが進行中だというような事態を基準として設定したいというふうに考えております。
  37. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 大体定期、五年ないし十年、こういう周期でおやりになるのだろうが、それが一万キロ以上である。不等沈下等があって検査をする場合はどのくらいですか。
  38. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 千キロ以上でございます。
  39. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうしますと、千キロを超えているものは現状ではどのくらいありますか。
  40. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 約一万弱でございます。
  41. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 先ほどの問題にも関連をいたしますけれども消防庁当局としては、先ほどの備蓄計画なり何なりで千キロ以上のもの、すなわち検査の対象となるものについては、五年間なら五年間で結構ですが、これからどのくらいふえるという計算をされていますか。
  42. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 過去のタンク建設についてのデータがございますので、現在千キロ以上が一万弱ございますが、それがどういう年度にどれぐらいの規模のものがどういうふうにしてつくられてきたか、そういうデータを基礎にいたしまして、今後毎年千キロ以上のものがおおよそ六百ないし六百五十ということで、一応の仮定を立てて計算をしております。
  43. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それは千キロリットル以上のものですか。
  44. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 さようでございます。
  45. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 これは通産の方のあれをちょっと聞いてからいたしますが、五百ないし六百というわけですね。
  46. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 五百ないし六百五十でございます。
  47. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 現在のところ、不等沈下は大体三分の一ぐらい。この間から、ずっと調査をしていますね。実は委員会等の資料を読むと、まだ中途半端なんですが、一万キロリットル以上で二百分の一のタンクは百九であるということになっているのです。いま言った一万近いものの中で不等沈下の調査をされたらどのくらいありましたか。
  48. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 一昨年の暮れに調査いたしました結果、全国で一万キロ以上が約二千七百数十あるわけでございます。その中で内部開放検査を要するタンクの数は百九という結果が出ております。
  49. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 これは途中の経過じゃないですか。全体の経過がこれですか。二千七百の中の百九。
  50. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 この全体でございます。
  51. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 いまのは一万キロリットル以上ですね。ところが、いまお話を伺うと、千キロリットル以上のものは不等沈下の場合に検査をします、こう言っているのですね。そうすると、二千七百どころではなくて、一万もあるものなのだから、これは検査されているのかいないのかわからぬけれども相当あるのじゃないか。だけれども、そこらあたりをきちっと調査しないでデータがないというのは、ちょっと資料として不十分じゃないかと思うのですが、どうですか。
  52. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 この前の検査のときには不等沈下の角度が二百分の一ということで一応の検査をしたわけでございますが、今後この法律、政令で基準をこしらえまして保安検査という形で義務検査をやるということになりますと、先ほどお話がございましたように、一体どういう状態になった場合に、どういう基準に該当する場合にこの保安検査の対象にするかということを今後さらに詰めてまいりたいと考えております。二百分の一の沈下があったから、それで保安検査の対象にするということはいま考えておりません。
  53. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 私も技術屋ではないのでよくわからぬのですけれども、いろいろと考えてみると、いままでずっと審議その他をされてきて、二百分の一なら二百分の一ということで、もっと強化をすることがあっても、それ以上緩くするということはあり得ないはずである。そうすれば非常に多くの検査対象が出るのじゃないかと思うのですが、それもまだ十分調べられていないという形になっているし、先ほどから伺っていると技術的にもまだまだ不十分な点がある。特に非破壊検査等における技術上の問題とか溶接の問題等についても非常に問題があるように聞いておるわけですけれども、そういう十分な解明がまだされないものもありながらも、これだけの立法をしていかなければならない情勢であるということだということは、立法されたことについては、先ほど言ったように、きわめて迅速な取り組みで結構だけれども、まだまだ残されている問題が多いということだけはこれまた事実である。しかも、これから日本石油タンクの情勢が一体どうなるかということがほとんどわからない状態で、大まかな考え方でやっていこうということであろうと思うのであります。  そこで、先ほども若干高鳥委員から触れられたように、協会の方に委託をするわけでありますが、現在の市町村で今度の政令——もう少し後で伺っていくつもりですけれども消防庁が予定をしているところの政令の検査の項目、特定項目を含めて、委託をしないで当該自治体でやれる、都道府県でやれる、市町村でやれるというところがあるのかないのか、そこらあたり、私さっき事項別に委託をするのか、あるいは市町村がすべてを包括的に委託をするのか、その点についてお伺いしたのですが、事項別あるいは包括的にやるのか、都道府県市町村、この新しくできる協会にどういうふうに委託をされるものと考えておられるか、その点、明確にひとつお願いします。
  54. 松浦功

    松浦(功)政府委員 都道府県にはその権限はないわけでございます。すべて市町村法律のたてまえ上は市町村が自己の能力検査をするということを否定はいたしておりません。ただ、先生よく御承知のように、相当タンク数を抱えた町村でございますと、定期検査及び新設検査についての必要な職員数というものは膨大になります。ある年次は非常にたくさんの職員が要るけれども、あとは遊んでいる、こういうようなことになりますので、財政的にも、それから全国統一した目でながめていくという上からも、私どもとしては協会を信頼して協会に委託していただくということがベターではなかろうかということを考えております。しかし、東京都等が職員の養成をいたしまして、数年後には全く自分の力でできるようになったという場合において、東京都が協会に委託をしないということを私どもは否定するつもりはございません。ただ、実際には、技術的な基準の審査協会がやる、それを基礎に置いて全体の審査に合格をしたという判断をするか、しないというふうに判断をするか、それについての技術職員はあくまで審査職員のほかにまた要るわけであります。それらの職員地方公共団体、すなわち市町村が早く自分の手に持つということが先であって、非破壊検査を一々やるような職員を各団体が抱えていくということは財政的にも非常に不経済であろう。しかし、それを私どもは否定するというつもりではございません。  それから、委託は、技術審査に関する限りは一括でお願いをいたしたいというのが私ども考えでございます。
  55. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうすると、東京都は別としてその他の地方団体については包括して、だから事項もあるいは個所も含めて、今度新しく改正された部分検査については包括的に地方団体が一括して当協会に委託をされるということを前提にお考えになっておられるわけですね。それは確かにおっしゃるとおりで、繁閑それぞれありますから、全国的にそうした方が協会自身もロスが少ないということになるわけですからそれはいいわけですが、考え方としては、東京都以外は包括して委託を受けるという前提に立って立法されている、こう考えて結構ですか。
  56. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私の表現が不十分だったのかもしれませんが、たとえば東京都でと申し上げたわけでございまして、全市町村がそれぞれ自分で検査の実施まで行う職員を抱えるということは不経済だ、それと、せっかく法律でこういうものをつくるわけでございますから、ここに御委託を願うということが財政的にも非常に有利であろう、それから、基準も統一して判断ができる、こういう意味から、私どもとしては全市町村が当協会技術審査部分に関する限りは委託をするという前提で物事を考えておると申し上げたいわけでございます。
  57. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 私は、できもしないことを無理して市町村にやらせるということはむだなことだと思いますよ。それはできないというよりも、きわめて優秀な職員を当該地方団体で採って、しかもそれが年じゅう必ずしも忙しくないということは人間のロスですし、人件費のロスですからそれはいいですが、ただ、包括的に委託をされるという場合に、後で検査その他によって起こった事故や——この間の三菱のタンクも、まだ数カ月もたっていないうちに事故が起こった。しかも、あれは検査が済んでいるというのにかかわらずあれだけの事故を起こしたということであったわけですし、これだけはコンビナートあるいはタンクの防災が叫ばれているのに、この間の法律成立をしてからでももう二、三カ所事故が起こっているというふうに、この問題については関係者も皆緊張するというか警戒をしていても起こるというような状態ですから、そういうふうな事故が起こった場合の責任なり損害賠償なりというような問題は当該地方団体に帰属するだろうと思うのですが、保険の問題等も論議されておるようですけれども、そこらあたりどう論議されますか。
  58. 松浦功

    松浦(功)政府委員 市町村がこの協会技術審査の結果に従って許可をするなり行政行為をとるわけです。そこにきわめて重大な瑕疵があった場合には、市町村で賠償責任を負うという問題が起ころうかと思います。これはあくまで理論的にでございます。実際にはこれまでの事故等はほとんど操作ミスでございまして、当然ほとんどが企業の責任ということになってくると私は思います。ただ法律的には、許可行為に重大な瑕疵があったというようなことになりますれば、これは市町村の賠償責任という問題が起こる。その場合は、基本的に協会の方での技術審査に重大な瑕疵があったという場合には市町村は自分が賠償責任を負いますけれども、それの求償権を協会に対して持つ、こういうことに理論的にはなると思います。しかし、そういうことは万々起こり得ないと私は考えております。
  59. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 これは万々起こらないだろうし、また不可抗力の方が多いと思うけれども、委託をする限りにおいてそこのところをきちっとしておきませんと、委託する側も、はっきり言うと、技術的にわからないからお願いしたけれども、後の問題の責任だけはこっちにかぶるということは、これは逆に言うと、せっかく協会設立した趣旨にもとるという部分も出てくるので、この最終責任の部分だけは国会を通じて明確にしておいていただかないと、委託をする側も、自分のところに責任ないのに許可権だけを形式的にやっただけが残ってくるということによって損害賠償も帰属するということがもし起こったら大変だからこの点だけ明確にしておきます。もう一遍念のため質問をしておきますが、その協会検査その他によって許可をしたことが、協会側の検査その他に重大な瑕疵があるならば、当該地方団体に求償された分については、分度は当該地方団体から協会に求償権が出てくるということは、現実的にいろいろあるであろうが、これは理論的にあり得るのだ、この点ははっきりしておいていただきたい。もう一度重ねて……。
  60. 松浦功

    松浦(功)政府委員 そのとおりと考えております。
  61. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 大臣来られたので、さっき留保しておいた問題をちょっと伺いたいんですが、この前のコンビナート法のときに、私どもの岩垂君が、石油の貯蔵タンクが米軍の場合にしり抜けになっては困るから、地位協定その他のいわゆる安保条約に基づく種々の取り決め等の問題はあるけれども、協力をいただいて、立入検査等もできるような措置を講ずることによって災害を防ぐために努力をせいという質問に対して、当時の左藤政務次官から、それは外務省を通じて折衝し、御期待に沿うように努力いたしますと答えられたんですが、残念ながら地位協定があるのでできませんという先ほどのお答えをいただいた。しかし、そのことはもうわかっておるがという前提でお伺いしたのに、努力をしてみるというふうなことであったわけですけれども、努力をされたとは思いますが、何ら具体的には成果が進んでない。大臣のお考えを一遍ここで、この前からの引き継ぎでございますし、きょう私は岩垂君が質問するののピンチヒッターで、これは質問をしておいてほしいということでありますから、これをひとつ明確にお答えをいただきたい。
  62. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 事務からもお答えをしたと思いますが、御承知のとおり、米軍の施設、区域については、日米地位協定によりまして米国が施設、区域の管理を行う権限を持っておりまして、米軍当局の同意がない限り、施設、区域に立入検査を行うことはできないということは御理解を願えると思うのであります。  しかしながら、住民の安全を確保するというためには、米軍の貯油施設をも含めた防災対策を確立する必要がありますので、米軍施設に関し、防災上必要な情報の提供、防災措置に関する話し合い等、地域の実情に即して、米軍施設の管理者等の関係者と密接に情報交換をいたしまして、当該施設の安全確保を図るよう極力努力をいたす所存でございます。
  63. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうすると、そういうタンク等についても、国内に今度整備されるような内容の諸措置がとれるようなことについては、今後も大臣として努力をされるということでございますね。
  64. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、住民の安全ということを考えれば、とにかく極力努力をするという義務がある。住民の安全を守るということはわれわれの任務であると思いますから、いろいろの障害があっても、できるだけ努力をするということについては懈怠は許されないものである、こういう理解をいたしておるわけであります。
  65. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 結構でございますので、努力をしていただきたいと思います。  資源エネルギー庁の方が来られたようなんで、ちょっとお伺いをいたしますが、昨日昭和五十年代前期経済計画というものが発表されましたね。その中に、食糧の自給率の向上と並んで、石油の備蓄を強化すると書いてありますね。左近友三郎君がこの前のコンビナート法の質疑のときの中に、強化するという以前の状態において、昨年の六月に、この委員会で答弁をしているのです。五年間に九十日分の備蓄をいたします。そして、現在の水準から九十日にいたすためには、約三千万キロリットルほどの備蓄がまだ要ります。大体三千万キロリットルとすると、これは満タンというわけにいかぬから、八〇%に貯蔵をするのが普通です。その場合に、そういう稼働率で計算をして、現在の情勢から言うならば、これから大体一番大きなタンク、だから五万とか十万とかあるいは十五万とかいうのが、このごろ言われておるようですが、そういう大きなものだけでも大体三百七十から三百八十基のタンクが必要だ。まさに今度できた消防法改正によって、事前の検査、あるいは中間の検査、空っぽにしてやる検査等をやるようなものが、これから三百七十、三百八十というふうなことを言われているわけでありますが、いま言いましたように、この五十年代前期経済計画の中で、今後五十五年までの間においてはもっとこれを増強するというふうに言われておるのですが、ここらあたりは一体どういうふうにいま考えられておるか、まず一つ伺いたいということと、さっきの左近友三郎君の言った内容に変更が加わっているのかどうか、それをあわせてひとっここの審議をしなければならぬのでお伺いいたしたい。
  66. 山中正美

    ○山中説明員 お答えいたします。  まず前段の問題でございますけれども、従来実は経済計画を決めますときに、石油問題についての基本の点はいわゆる石油業法に基づきます供給計画というのが、これは今後五年間の分を含めまして石油の需要量あるいは原油の輸入量というものを想定するわけでございます。従来は備蓄ということは余り考えずに、もっぱら内需用ベースで、それに合わせます原油の輸入量というのに力点を置いて計画を立案していたわけでございますけれども、この間の審議会で一応通産大臣の告示になったわけでございますが、その分につきましては、いわゆる九十日備蓄というのがさきの臨時国会成立させていただいたわけでございますが、そういうような法律的な裏づけができたものでございますから、油の必要量を石油の需要量の中に入れ込んでおいてある、そういうことで備蓄の増強ということになっているんではないか、こういうふうに考えるわけであります。  タンクの分は、先ほど御紹介いただきましたように、ちょうど昨年に私どもの石油部長が答えたところから、かえって減る方向といいますか、御承知のとおり、対前年の石油需要量の三百六十五分の一をもって一日分に充てるということになっておりますので、御承知のとおり石油の需要というのは昨年、一昨年と二年続いて減少傾向にございます。結局、われわれの目標としております五十四年度末の九十日分という量が昨年私どもの部長が御説明したよりも若干減る方向に動いておりますので、タンク建設自体は、八〇%の貯油率というのは相当厳しい状況でございますから、その方向は余り変わらないかもしれませんけれども、それ以上になるということは、いまのところ情勢の変化がない限り考えてない、こういうふうに考えております。
  67. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 今度の計画は大体六%、これは日本の雇用の問題を考えると、経済の伸びは大体六%というのは最小限度必要だということですね。ところが六%だと、昨年の伸びとかなんとかはそれよりも経済のあれが非常に鎮静しているわけですが、これを見ると、五十三年ぐらいの方は八%くらい、もうちょっと上の方、五十五年近くなってややダウンして六%程度、こういうふうに書いていますね。そうなれば、やはり石油の消費量はふえるんじゃないですか。
  68. 山中正美

    ○山中説明員 もちろん、消費量はふえますから、一日分当たりが現在の一日分よりも五十四年度の一日分は当然ふえていくわけでございます。ただ、従来いわゆるGNP弾性値といいますか、GNPが一%伸びると石油は大体一%以上伸びたのが通常でございますけれども、現在いろいろ石油供給計画を策定いたしますときに、いろいろな先生方にも解析をお願いしておりますけれども、現在の解析ではどうも一を割るんではないか。しかし、それは一応省資源、省エルギーという精神が浸透してきているのも一つの理由かもしれませんけれども、よって来るところをもう少し解析していく必要があるんじゃないか。ただ、現状を専門家が積み上げて計算していきますと、弾性値が一を割る方向に動いているんじゃないか、こういうふうにわれわれは一応考えております。
  69. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 エネルギー庁結構でございます。そうすると大体三百七十ないし三百八十という、大きなタンクはその程度である。先ほど話があった六百ないし六百五十というのはもっと小さなものを含めると年間そのくらいである。そうすると五年間で三千ないし三千三百くらい、こういうわけですね。  そこで次に伺いたいのは、それならば三千三百、これからふえてくる完成の検査それから一千キロリットル以上約一万あるものの中間検査、その他にしますと、大体年間の件数、これは東京を含めて全自治体が協会へ委託をするということを予想されるだろうし、また期待をしているだろうと思うので、そういう前提で、ここにもらっている資料だけでは不十分なんですが、どのくらいの件数でどのくらいの予算を協会としては考えておられるか。最初の年は二億八千万、次は約五億、次は七億、四年度以降約八億、こういうふうな数字が出ておるようです。これはきわめてアバウトな数字であるわけですが、これの積算をもう少し教えていただきたいということと、それの収入手数料、一体委託費が幾らでどのくらいの件数があるのかということをちょっとお尋ねをしたい。
  70. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 さっき御説明申し上げましたように、新設の分につきまして、新設のタンクの設計審査あるいは完成検査、そういったものについて約六百ないし六百五十という想定をいたしました。そのほかに先ほど申し上げました定期検査の分は、これは一万トン以上のものについて十年に一遍というようなことにいたしますと、現在すでに五年なり十年なり経過したタンクがたくさんあるわけでございます。そういう現在ありますタンク検査を経過処置としてどういうふうにこの中に織り込んでくるかということによってその件数が若干変わるわけでございますが、いずれにいたしましても、設計審査をやる場合にはどれくらいの日数を要するか、完成検査をやる場合にはどれくらいの人とどれくらいの日数とどれくらいの器材をもってどういう検査をやるかというようなことを、タンクの大きさに従い、検査内容に従って積み上げてまいりまして、その一応の仮定を置きまして積み上げまして、そして出た数字が大体そこにございますような数字でございます。初年度二億八千万、二年度五億、三年度七億、四年度八億というように、協会の機構の整備とも合わせながらそういうふうにやってまいろう、こう考えておるのでございまして、その大部分、大部分といいますか、これは受託手数料で賄うのでございますから、これだけが大体収入がある。ただ創業時においては収入が入っておりませんので、外部の資金を二億程度借り入れて、それで創業時の費用を賄いながらそれを五年間くらいの間に解消していこうというような計画でございます。
  71. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 組織、人員、これは逐次ふやすのであろうと思いますし、一遍にはなかなか人もいないけれども、七十五人、これに要する費用は二億ないし三億の人件費がかかりますよね。それなのにかかわらず、次年度約五億というところをとってみても、半分は人件費がかかるのに、あとの二億五千万くらいで一体本当に——六百ないし六百五十というのが新しくできる分、それから約一万近い一千キロリットル以上の中間のものを検査をするとすれば一体委託料幾らだと考えておりますか。それをまず伺いたいと思うのです。そうしてこれで果たしてできるのかどうかということ。私は非常に財政的に不十分であるというふうに思うわけですが、一体手数料、物によるだろうと思うのですが、たとえば定期検査だったら幾らくらい、それから事前の検査なら幾らくらい等々、あるいは一括して取るのか、そこらあたりはどう考えているか。
  72. 松浦功

    松浦(功)政府委員 大体一万キロで百万程度、それから千キロで七十万前後という目算をいま立てて最後の詰めに入ろうとしております。
  73. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 時間もないのでもうやめますが、ちょっと通産省の保安課長さんにお尋ねをいたします。  大体私どもとしては、この前の経緯からいっても、高圧ガスも当然消防の中に一元化をしていくべきだという主張がなされているわけですが、時間的な余裕その他がなかったのでできなかったということでありますけれども、高圧ガスの取り締まりについては高圧ガスの保安協会というものがございますね。それにいま国費が委託費で一億ぐらい出ているんじゃないですか。本年度どのくらい出ておりますか。
  74. 広海正光

    ○広海説明員 出資金が一億でございます。それから事業補助といたしまして約四億出ております。
  75. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 大臣どうですか。いま伺うと国費は一つもない、出資もなくて、最初は二億かかるから二億借り入れます、こう言っている。保安協会の方は一億出資していただいています、取り締まりやその他の仕事をするのに四億の国費が出ている。こっちはゼロですね。大臣どうですか、これでできますか。
  76. 松浦功

    松浦(功)政府委員 御承知のように高圧ガスにつきましては国の責任、それからこのタンクの問題につきましては自治体である市町村の責任、市町村に権限を与えてあるわけでございます。そういうたてまえもございますので、恐らく大蔵省としてはこの面になかなか金が出しにくいということであったのじゃなかろうかというふうに私は推測をしておるのでございます。これだけの金をもらうかもらわないかということは、確かに財政運営について初めには問題があろうかと思います。しかし、それだけの金を、国費を入れない場合には、手数料をそれだけ高くして、そうして業界の自分の安全のためですから業界から支払っていただくという態度でやっていければ、私どもは十分やっていけるというつもりで出発をしたわけであります。したがって協会の受託手数料市町村が定める検査手数料の中で決めます、そういう仕組みを考えておりますので、市町村には、御質問趣旨からは外れるかもしれませんが、一切経費負担は実質的にかからないようにしていきたいというつもりでおります。私どもはともかく出資等がなくても、この協会を財政的にもきちんと基盤を確立をしながら、タンク検査事務に遺漏のないようにやっていくという自信を持って出発したものでございますので、しばらく時間をかして私どもの行方を見守っていただきたいとお願いをいたす次第でございます。
  77. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 消防庁長官はそれはそうおっしゃられるだろうと思いますが、われわれはちょっと承知できない。これはきょうちょっと大蔵を呼ぶのをあれしましたが、また別の機会に呼びます。おかしいですよ。片一方の市町村消防は固有事務である、高圧ガスの取り締まりは国の事務である、その立て方自身が私は問題があると思うのですね。少なくとも、現在はそういう国の機関委任の事務だとか団体委任の事務だなんというような議論をする時代じゃなくて、何が国にとって一番大事か、それに対してどう財源措置をするかということはまた別の観点で見るべきだと思うのですね。余り古い自治体論をやっている時代ではない。国の事務だから国がめんどうを見るが、地方自治体の事務だからめんどうを見ない。それは見るのは交付税で見ろというようなことを言ってみたって、交付税自身がもとをただせば国民の税金であり、国の税であったものを、一定のものを税として還元をするということですね。どれを見ても税で、もとは国民の負担であるということに変わりないのですから、そんな議論を余りしない方がいいので、もしそういう議論をされるのなら、私はちょっと異論がある。果たして国の事務なのか事務でないのかというふうに思いますし——まあその議論はやめておきますが、余りにもそれは、消防庁長官あるいは自治省全体としては、国から助成が取れなかったから、それでもやっていかなければならぬものだからやりますというのはりっぱですよ。りっぱだけれども、われわれ地方行政をやっている者から言えば、高圧ガスも消防庁の中に入れなさいと言っている。それはできません、こっちの方は過去の経緯もあるから四億も五億も毎年出ていきます。片っ方の方はゼロでございます、こういうことではいかぬし、もちろん企業から手数料を取って企業の負担でやるということはりっぱだけれども、私はやはり、地方団体の事務としてやられるのなら、地方団体自身が責任を持って許可ができるような財政的な体制をとっておくということでないと、われわれとしては承知ができぬということであります。こういう点は、もう一度別の機会に大蔵省に来てもらって、その点の差をひとつよく伺いたいというふうに思いますが、問題は、その手数料だけで果たしてやれるかどうかということが問題であろうというふうに思いますので、この点は時間もありませんから、念のために申し上げておきます。  次に移りますが、十四条の三によってたとえば不等沈下があったという場合に、不等沈下があっても届けないで検査を受けなかったという場合の罰則は一体どうなりますか。非常に軽いと思うのですがね。
  78. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 その点の罰則の規定はございません。不等沈下の届け出をしなかったということについての罰則はございません。
  79. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それではおかしいじゃありませんか。不等沈下の——あるでしょう。
  80. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 どうも失礼いたしました。  「十四条の三の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者」については罰則がございまして、その罰則が現在三万円を十万円に改めるということになっております。
  81. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 十万円、安いでしょう。検査しますと言うんだけれども、届け出もしないでわからなくてごまかされたという場合に十万円、どうですか、これは。そう思いませんか。私、これを読んでいて、へえ、こんなものかなと思って、ちょっとあえて質問するんですが、どうですか、これは。
  82. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 この罰則の金額につきましては、従来規定されておりましたものは全体として低目でございますので、法制局の方とも相談をいたしましてこの程度に、均衡がございますので、他との均衡でこの額になっておるわけです。
  83. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 これは、この不等沈下が最も事故を起こすんですからね。そんな十万や百万の罰金で済まされるべきことじゃないですよ。これをしなかったら、いま言った中間の定期検査というものが不等沈下の場合はできないんですからね。これは罰則に禁錮もしくは懲役刑ぐらいをつけておかないと守られませんよ。そう思いませんか。そういうふうに思いますから、その点ひとつ検討してください。  時間もありませんので、ちょっとそれ以外のことを二、三質問をさせていただきたいと思います。  実は消防の出勤手当の問題ですね。これはちょっとこの問題とは別ですが。サイレンが鳴って自動車が出たときからやはり消防団の出動手当をつけるべきだと思うのですけれども、放水をしなければいかぬというような運用をしているという話を伺っているのですが、それはどうですか。
  84. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ホースから水が出ないと出動手当がつかないというやり方は一般的ではないようでございますが、ともかくジャンと鳴って自動車が出ていけば手当はつくのだけれども、放水をしないで帰ってきた場合と放水をした場合とで手当の額に差をつけているというのが地方公共団体の実情のようでございます。
  85. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 ちょっとそこらあたりに問題があるので、ひとつ検討しておいていただきたいと思います。  それから次に、厚生省にわざわざ待っていただいて恐縮ですが、いま消防業務の中で、御承知のように救急医療の問題というのは、祭日や日曜日等については非常に大きいわけですね。ところが、御承知のように救急医療の場合に、これは社労の問題でもあろうと思うのですが、救急医療機関というものが持ち回りをしていろいろ問題になっている。いろいろ問題があるのですが、これをやはり、一方では財政的な措置をしながら一方ではこれを義務づけるということをもうぼちぼち考えてもいい時期に来ているのではないか。そうでもしなければ、三つも四つも持ち回るということがしばしば新聞に出ている。それで非常に遺憾な事態にあるわけですが、救急医療機関の場合に民間医療機関ということになるとこれはなかなかむずかしいと思うので、国もしくは公立の医療機関に救急医療機関としての義務づけをして、そのかわり財源措置をしていくべきではないかというふうに思うのでありますが、これは消防にきわめて関係のある、救急隊が出てしょっちゅう消防側が困っているわけですね。だから厚生省の方でこの点について明確にお答えをいただきたいのと、大臣としてこれは一体どうお考えになっているか、消防の問題ですから、ひとつお答えをいただきたい。
  86. 岸本正裕

    ○岸本説明員 救急医療の確保の問題、まさに先生指摘のとおり非常に大きな問題でございます。救急医療の確保につきましては、国立病院とか公的病院のみでは不可能でございまして、どうしても民間医療機関の、さらには地域住民の協力というようなことで、まさに地域医療の一環といたしまして総合的な対策を図ることが必要でございます。しかしながら、国立病院とか公的病院につきましては、その公的使命にかんがみまして、積極的に救急医療に取り組むべきであるというふうに考えて、このような見地から国公立病院に対しまして特に強力な指導を行っているところでございます。また、国立大学の付属病院でありますとか、三公社五現業等の国に準ずる病院につきましても、病院の診療機能等の実情に応じまして積極的な協力を得られるように事が運びつつあるわけでございます。私ども、このようなことから公立病院に対しましては、地域で救急医療の中心的な役割りを果たしている病院に対しまして運営費の助成を行ってきているわけでございまして、今後ともそのような実態の充実を図るということを一層強めていきたいというふうに考えております。
  87. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 救急医療の問題については、いま御指摘の問題もあり、これはいろいろ問題点があるので、いろいろな問題について十分研究をし、対策を考えてまいらなければいけない、また、厚生省にも十分協力を求めなければいけない、こう思っておるわけであります。
  88. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 いまの救急医療の問題は、それはここで簡単に、はいどうするということは答えられない問題であろうと思いますけれども、とにかく大きな社会問題になっておりますので、ひとつ大臣も引き続いてこの点は——これは消防か現実に当面する問題であって、非常に困っておるわけでありますから、厚生省に、本格的に取り組んで義務づけをするとともに、経費はきちっと財源措置をする等の方向で、国公立は少なくとも義務化をする、民間にも相当程度援助をしながら協力を求めるという体制を早急に講じていただくよう要望いたします。  最後に、この消防法の一部改正は、先ほど申し上げましたように、この間のコンビナート法の中から出てきた問題で、まず面を規制して点を規制していくのだということについては、私は点を規制して面に及ぶ、消防法改正が先でコンビナート法は後であるべきだというふうに思いますけれども、それはそれとして、早急に出されたことについては敬意を表しますけれども、いろいろの問題点について、先ほどから技術問題についても、また、検査の委託を受ける協会についても、財源的にもきわめて不十分であるという点もありますから、今後ひとつせっかくの御努力を心からお願いしたいということを付言をいたしまして、私の質問を終わります。
  89. 小山省二

    小山委員長 多田光雄君。
  90. 多田光雄

    ○多田委員 大臣は十二時半までしか時間がないという話ですから、そして消防法改正は私ども賛成法案ということなので、消防法改正の前に、救急医療の問題で二、三お伺いしておきたいと思います。  救急医療の問題は、この間の本会議でも健保の改正問題で相当大きな問題になったわけですけれども、昨年の二月ですか、厚生省の石丸医務局長は総評との話し合いで、たらい回しの行政責任の所在は地方自治体にある、こういうふうに述べて、公式文書に出ているのですよ。厚生省、これは御存じですか。
  91. 岸本正裕

    ○岸本説明員 たらい回しの責任が地方自治体にあるということを申し上げたということは記憶にございませんけれども、まあ私ども考えまして、地方自治体だけにあるというようなことでなく、この救急医療の問題につきましては国の事務でもありますし、国の行政的な問題でもあり、また地方自治体でも同様の責務がある、こういうような考え方でございまして、国とか地方自治体とか、また医療機関とか、それぞれの立場でのいろいろな任務があるわけでございまして、地方自治体のみということは申し上げたとは思わないのでございますけれども……。いまはっきりと記憶にございません。
  92. 多田光雄

    ○多田委員 それでは自治省と両方に聞きたいのですが、たらい回しで死ぬ方が非常に多いわけですが、この不幸な死に対して、行政機関としてはどこが一体責任を負うのですか。これは厚生省と自治省にお伺いしたい。
  93. 岸本正裕

    ○岸本説明員 いまも申し上げましたように、住民の健康を保持するとか、また保健衛生に関する事項を処理するというようなことは国及び地方公共団体の事務とされておりまして、救急医療対策の推進を図ることは、そういう見地からも国、地方公共団体の行政的な責務であろうかというふうに考えているわけでございます。
  94. 多田光雄

    ○多田委員 地方自治体に行政的な責任があるということですな、いまあなたの最終結論は。
  95. 岸本正裕

    ○岸本説明員 国及び地方公共団体の行政責任です。
  96. 多田光雄

    ○多田委員 国はどこの機関ですか、責任あるのは。
  97. 岸本正裕

    ○岸本説明員 医療供給問題を所管しております厚生省が中心になろうかと思います。
  98. 多田光雄

    ○多田委員 自治大臣、これはどういうふうに御理解なさいますか。
  99. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 住民の健康を守るということは、自治体としても一つの任務であるわけでありますが、しかし、いま厚生省が言われたように、厚生省と自治省とで両面からこの問題を考えて対処していかなければならない、こう思っております。
  100. 多田光雄

    ○多田委員 いま調べてみたら、ちょうど石丸医務局長の総評との座談会の資料を私、忘れてきていますので、これは後でお見せします。私もそれを見て大変憤慨したのですよ。やはり、主要な責任は医療行政を扱っている厚生省にあると私は思うのです。もちろん地方自治体にも住民の命、暮らしを守る責任はあるけれども、やはり主要な責任は国にあると私は思うのです。  というのは、救急医療それから休日、夜間診療制度について、私の調べただけでも二十数種類のいろいろの意見、方針がいろいろな団体から出ているのですよ。それを要約してみますと、救急医療は平常の医療ベースでは採算がとれない部門だということがまず共通していますね。それから、大幅な財政措置と医者などの従事者、これをふやしてもらいたい。それから、いま一つの特徴は、公的な医療機関をフルに活用させてもらいたい。こういう三つが二十種に余る方針あるいは意見書その他に共通している問題なんです。  そこで、公的な医療機関の問題でもずいぶんいろいろ問題が出ているわけですけれども自治大臣、救急医学というのはできてからまだ日が浅いそうですよ。そこで、私、一つ提案があるのですけれども自治大臣は自治医科大学にどれだけの発言権をお持ちなんですか。
  101. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 発言権を持っているのかどうか問題があると思うのですけれども、とにかくあそこを卒業した人はある一定期間地方自治体のために奉仕しなければならぬ、こういうことが規定されておりますから、そういう面であそこを出た人には義務がある、こういうふうには思っております。  私は、いま多田さんいろいろおっしゃいますけれども、この問題は、お医者さんの物の考え方といいますか、昔は医は仁術と言って、どんなに苦しくても病気ということになればちゃんと夜中でも飛んでいってやるというようなことがあったのですが、いまはなかなかそういうふうにいかなくなってきたですね、実を言うとそこいらが問題の一番根本なんですよ。そういうことがあれば、内科の医者でも外科のことでも少しやろうかいうくらいのいわゆる奉仕精神というのがだんだん日本に少なくなってきましたね。権利を主張することは幾らでも主張するが……(多田委員「これは重大だよ、大臣、そんなことあなた言っていたら一時間じゃ済まないな」と呼ぶ)いやいや、医者の責任とは言ってやしません。そういう面もあって、それをどう助成をするかというので厚生省も非常に苦労しておるのです。だから、私は何も厚生省だけとは言いません。われわれもまた努力しなければいかぬけれども、そういう面もあるということはあなたもお認め願えるだろうと思う。
  102. 多田光雄

    ○多田委員 きょうは時間が余りありませんが、大臣のいまの御発言はまたいつかみたいに論争になってしまう。まるで挑発をかけているような言い方ですよ。いままでの論争あるいは論議の中で医者の道義性だとかその他言われておりますけれども、実際いま救急夜間体制をとっているのはだれの力ですか。地方自治体が非常に苦労していることと、医師が自発的に協力していることでしょう。もうそこが盲点で、死角になっているということは厚生省自身認めているのですから。そこを支えているのは、地元の医師会と地方自治体が大変な出費をし、自発的なボランティア精神で支えているようなものですよ、幾らか夜間診療や何かに補助は出ておりますけれども。そうやっていきましたら医師会むくれて協力しませんぞ、大臣。私のいま言いたいことは、公的な医療機関は、この間の本会議でもみんながやられたでしょう、国立病院が非常に協力が弱い。自治体病院の協力、これは国立病院よりまだいいけれどもこれも弱いのですよ。だから一番困っているのは、患者を搬送している消防署が一番困っているのです。しかもその消防署に聞けば、一次病院が受け付けないのですよ。なぜ一次病院が受け付けないかと言えば、これだけ専門化してくるでしょう、病院が下手に受け付けて診断してそこで死んだと言われたら大変なんです。よりいい病院に紹介したい。ところがよりいい病院の総合病院は余りやらないわけでしょう。そこで困っているんですよ。まさにそこが論争の中心になっているのです、大臣。あなたの言うのは主客転倒していますよ。  だから、そこで私の言いたいことは、地方自治体病院がもっと積極的にやる意味でも、もちろん金も出さなくちゃなりませんけれども、私、自治医科大学で、それこそ大臣おっしゃる医学生や教授にも、この救急医学というものを真剣にやってもらう必要がある。  それはいま、私は全部の国立病院でやってくれということを申しているのじゃないのですよ。少なくとも自治医科大学で、住民奉仕を最大のスローガン、中心にしている自治医科大学で救急医学という問題を真剣に取り上げて、たとえば一つの講座を設ける、これも一定の予算が要りますけれども、そういうことで大臣、厚生省や文部省とひとつ話をしていただけませんでしょうか。私はこれは幾人かの地方自治体の幹部からも聞いているのです。いかがでしょうか。
  103. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 一つのいい御提案だと思いますので、努力をしたいと思います。
  104. 多田光雄

    ○多田委員 ぜひひとつ御尽力願いたいし、その前提として大臣、お医者さんを余りそういう道義性で責めることはひとつおやめになっていただきたい、こう思うのです。  それできょうの本題に入りたいのですが、コンビナート事故が非常に続いて、特に水島事故以後一今回の法改正一つの大きな契機になったわけですね。私としては遅きに失したというふうにさえ思いますけれども、しかしこれは一定の改善点であり、改正案には賛成したいと思うのです。ただ、やはりこれを実施する場合、幾つかの不安な点もあるわけですよ。それから、法改正趣旨をより一層積極的に生かしていくという意味でも何点か質問をしたい、こう思っているのです。  そこで、第一の私どもの不安というか疑問に思う点は、保安検査や点検の技術上の基準が妥当なのかどうかという問題。それから、検査協会その他を通じて、そこが委託を受けて検査をやるわけですね。それが一体きちんとやられるかどうか、ここが私は第一に疑問というか、一抹の不安を持つわけなんです。  そこで、例の水島の三石のタンク事故調査委員会の報告によりますと、この技術的要因として検討すべき第一の問題として「関係業者間の責任管理体制のあり方」ということが指摘されているのですよ。それは、この十六ページのほかに、さらに五十二ページに至っては一ページ全文を通じて事故の背景となった諸要因の中でそのことに触れて、私はこれは非常に正確な指摘だと思うのですけれども、この「関係業者間の責任管理体制のあり方」、改善といいますか、これはいま、この法の対象の直接的なものではないと思いますけれども、こういう中身のものがこの改正案の中にどのように盛られているのか、これをひとつ伺いたいと思います。
  105. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 この関係業者間の責任体制といいますか、お互いの協力関係といったようなことについては、さきのコンビナート防災法の中で共同防災組織の問題とか、あるいは防災関係の協議会をつくれとか、いろいろとお互いの地域はお互いで社会的責任として企業同士協力し合ってやろうではないかという趣旨のことが盛られておりまして、そのための政省令を現在立案中でございます。今回の法律の中で、直接には企業関係業者相互間の問題ということには触れられておりませんが、この前の事故が、タンク本体をつくった業者あるいは地盤をつくった業者あるいは設計をした業者、そういう全体の間に少し問題があったのではないかという意味指摘もあるわけでございますので、このタンク本体、タンクの地盤、タンク全体としての安全性ということを見るために、今回の技術基準や何かを決めます場合に、タンク全体の安全性が確保されるかどうかについての十分な審査ができるような技術基準、設計審査のできる基準というものを本体、地盤、全体について決めてまいりたい。その決めます大体の考え方は、先般一月十六日に出しました一応の暫定基準に盛られておりますことを核といたしまして、その後さらにこれを政令、省令に引き上げるための検討を加えましてそういう全体としての安全性考えていきたい。関係業者相互間の連携とかなんとかいうことを直接は触れておりませんけれども、全体の設計を通じて審査します中でそういう点も十分配慮してまいりたい、こう考えております。
  106. 多田光雄

    ○多田委員 これは長官にちょっと伺いますが、指摘されているのは、たとえば地盤なら地盤、基礎なら基礎、一つ業者、しかもその業者が下請に出す、あるいは孫請に出す、こういうことでしょう、指摘されているのは。あるいはタンクでも溶接の部分もあるし、さまざまな部分がある。その一つ一つは信頼できるのかもわからないけれども、総体として見て、たとえばラダーのつけ方でも問題があったというように問題点が出てくるわけですね。だからそこのところを指摘されているわけなんですよ。いまの日本の事業の体制から言いますと、やはり下請というのは一気になくすわけにいかないだろうし、今後も大なり小なり続いていくだろうと思うのですね。そういう場合に、たとえば検査協会がそれを点検します。溶接部分検査する、あるいはまた水張りをやるとか、さまざまやりますね。それを総合して妥当かどうかという決断は、もちろん最終責任は市町村長なりが持つわけですけれども、この最終結論はやはり協会でなさるわけですか。どうですか。
  107. 松浦功

    松浦(功)政府委員 およそ技術の基準に関する問題は、協会がこうであるという結論を出します。それを受けて市町村検査をオーケーするかしないかという判断をいたすわけでございます。したがって、市町村にもある程度地盤の問題その他の問題がわかる人間が将来当然養成されていくということが必要だと思いますが、先ほどもお答え申し上げましたように、一つ一つ実地に出向いて検査するような職員市町村が全部持つということになりますと財政的にも大変不経済になりますので、それは全国の基準でながめて、協会の方でそれだけの高度の技術を持った職員を集めて、技術上の問題の判断はここで一応してあげよう、こういう考え方でおるわけでございます。  なお、先ほど先生からお話がございました技術基準というものが一体万全なのかというお尋ねでございますが、タンクにつきましては、毎回申し上げておりますようにまだ不分明の部分もいろいろあるようでございます。したがって、現在考えられるものはすべて取り入れていくという考え方を基本に置きたいと思います。日進月歩の技術でございます。さらに問題点が出てくれば、この基準を前へ進めていくという態度でこれに取り組んでいかざるを得ないのではなかろうかという気持ちでおります。
  108. 多田光雄

    ○多田委員 おっしゃること、わかるのですけれども、今度協会ができたということは、地方自治体がスタッフもいない、それから十分な点検や検査能力がない、したがって、その委託を受けて協会がやるということになるわけですね。だから、純技術的に見る場合に地方自治体は、恐らく東京だって完璧ではないと思いますよ。東京、横浜、川崎ぐらいは一定の力を持っておりますけれどもコンビナートを抱えておる他の多くの市町村はそういう力もスタッフもないわけですね。だから協会に頼むわけですよ。このオーケーを出す判断は、政治的に出すわけじゃありませんね。当然技術的に完全かどうかという観点から市町村長は出すわけですよ。その最大の根拠は科学性だと思います。そうすると、それを判断するのは協会ということになりますね。ですから、協会がまず市町村長が信頼するに足る科学的な判断を総合的にしなければならない。その総合的な判断を協会がなさるのですねということを私は伺っているのですが、それはどうですか。
  109. 松浦功

    松浦(功)政府委員 そのとおりでございます。
  110. 多田光雄

    ○多田委員 私は非常に心配していますのは、まさにそこが、業者がばらばらにやる仕事を総合的に安全かどうかを点検するかんぬきだろうということです。そこでもしそれをやられるとするなら、さらに私お伺いしたいのですが、昨年の五月二十日に「屋外タンク貯蔵所の保安点検などに関する基準について」という通達が出ましたね。それに基づいて各地方自治体も点検されて、一体不等沈下が幾つあったのか、それからまた、開放検査をやったのは幾つあるのか、さらにまた、その検査によって基礎修正をやったタンクが幾つあるのか、これをちょっと報告してくれませんか。資料はもらいましたけれども、記録にとどめておきたいと思います。
  111. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 昨年の五月二十日の通達は、点検の方法等について通達を出したのでありまして、いまの先生のおっしゃいましたのは、一昨年の暮れの開放検査の指示で検査した結果だと思いますが、それによりますと、検査対象総数が二千六百九十七の中で著しい不等沈下のあったタンクが百九、二百分の一というような数字で百九基、その中で内部開放検査を実施したものが九十九、未実施のものが十、そういう数字になっております。
  112. 多田光雄

    ○多田委員 そこで、開放検査未実施のものが十タンクありますね。これの企業名やタンク番号がわかりますか。それからいま一つ、基礎修正をやっていないのがおたくの資料では十四ありますね。市原に一だとか川崎に二だとか横浜に六ありますね。これの企業名、タンク名はおわかりになるでしょうか。それから、なぜ開放検査を実施していないのか、あるいは基礎修正を実施していないのか、その理由はおわかりですか。
  113. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 いまお話しのように、開放検査の未実施のものが十ございますが、その会社は川崎のゼネラル石油精製その他でございます。その理由は、なぜしていないかということでございますが、いずれも近いうち、この六月とか十月とかいうような時期に実施したいということのようであります。現地においてそういうふうに確認をいたしております。  それから、基礎修正の未実施の会社は共同火力君津発電所その他でございます。
  114. 多田光雄

    ○多田委員 それは全部わかっているのですか。
  115. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 一応わかっております。
  116. 多田光雄

    ○多田委員 きのうこれは事務当局に話して急いでつくってもらったのですけれども長官、私がこれを聞いているのは、一番心配なのは、法を改正してその法をどれだけ一体守られるか、ここが一つ問題なんですよ。とりわけ、こういう石油精製だとかあるいはその他の大きな企業の場合、当委員会でもずいぶん問題になりましたけれども、自衛消防組織の問題にしても何にしても、非常に手抜かりが多いわけですね。消防法の今回の改正の対象は地方自治体ではあるけれども、同時にこれは企業なんですよ。企業にさせるかどうかということが非常に大きな問題なんですね。ですから、私がこれをわざわざ聞きましたのは、未実施のタンクが何千とあるわけじゃありませんから、そういう名前も知っていて、それを一つ一つとらまえていって、事故が起きないように消防庁の方からも指導してもらう、地方自治体も指導してもらうということをやってもらわないと大変なことになりますので、そのために私は言っているのです。ですから、仮に検査協会ができたとしても、検査のやりっ放しで、その結果どうなったかということが一貫して追及されませんと、事故が起きたときに、やはり責任は地方自治体とか消防庁、こういうことになってしまうわけですよ。ですから、その追及の一貫性を私はぜひ今後も持っていただきたいので、これを聞いているわけなんです。ですから、ぜひ企業名とタンク名と、なぜ基礎修正をやっていないのか、この資料を後で私の方に出していただきたい、こう思います。それはよろしいですか。それをひとつぜひお願いしたいと思います。  それから、定期検査が五年ないし十年ということなんですが、この根拠は一体どういう根拠なんでしょうか。
  117. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 最初の新設の場合に、十分基準に基づいた審査をいたすわけでございますから、法律に基づく義務検査としては十年に一度ぐらい、しかも一万トン以上のものについて行えばいいのではないかという判断でございます。しかし、そのほかに指導といたしましては、一万トン以上のような大きなものについては、五年に一遍ぐらい開放した自主検査を行うように指導するつもりでございますが、法律的な義務を課した義務検査としては、十年に一遍という程度でいいのではないか、こういうふうに考えております。
  118. 多田光雄

    ○多田委員 そうすると、そのタンク不等沈下しているかどうかということは、企業としても責任を持って調べて、これはコンビナート法にその報告はありましたか。つまり十年に一回ですね。その間にタンク沈下したりあるいはいろいろな故障が起きますね。これは報告しなければなりませんね。それはどういう方法でしたか。
  119. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 外部から観察して不等沈下がどの程度進んでいるかというような検査については、自主検査については毎年行うように去年の五月に通達を出しております。いま五年とか十年とか申しましたのは、中をあけまして、何カ月もタンクを遊ばせて、中のひずみぐあいなんかを検査するのが十年に一遍ということでございまして、毎年毎年このひずみぐあいを見て、そのひずみぐあいがひどければ、不等沈下程度がひどければ、一定の基準をこしらえまして、千トン以上のものは先ほども申しました義務的な保安検査の対象にしよう。定期検査は十年に一遍で一万トン以上、それから不等沈下等がひどい場合の保安検査の方は、千トン以上のタンクについてその基準をこしらえてその都度やろう、こう考えております。
  120. 多田光雄

    ○多田委員 そこで、こういう意見もあるのです。検査協会も結構だけれども、たとえば消防学校も持っている、あるいは研究所もある、一定研究機関も持っているわけですね。そういうことを考えてみても、消防庁なりが直接一定機関をつくってやった方がいいのではないかという意見もあるのですよ。確かに消防機関委任事務であって地方自治体に任されている。あるいは国の行政の性格からいっても、すべて国がこういう部面をやらなくちゃならないというように私も硬直化した考えはないけれども、たとえば炭鉱だとかメタル関係の場合、鉱山保安法という法律があって、直接国が監督官をもってそして調べていくというものもあるのですね。これだけコンビナート事故が多くて一たん事によっては大災害を起こすという場合に国が直接やるということが適切ではないかというふうに私は思うのですが、これが今回検査協会という特殊法人をつくった、こういう公法人をつくった、その理由は何でございますか。
  121. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、こういう重大な国民の災害につながるタンクの保安というような問題について、先生指摘のように国が国の手でもって責任を持ってやるというのは一つの筋の通った考え方であろうと私どもも思います。ただ、消防業務ということにこれを含めるということになりますと、地方自治という観点と国がやるということとが衝突をするわけでございます。いろいろ考えましたけれども、彼此勘案をいたしまして、やはり市町村にこれらの業務を権能を持たせる、機関委任事務ではございますけれども、権能を持たせてやるということが自治省の立場としてはより好ましいという判断に基づいて市町村機関委任事務として権能を与えるということにいたしたわけでございまして、その結果逆に今度は問題が起こってまいりますのは、市町村に果たしてそれだけの技術能力ありや否やということが問題になります。そこで、地方公共団体機関委任事務にした以上、国の機関を別につくるわけにはまいりませんので、協会をつくって、そこに日本全国の中で考え得る最高の技術人を集めて、そこで実質的な審査をするという形で市町村の権限が実行できるようにしたらどうだろうかという考え方で、こういう結論に立ち至ったわけでございます。さらには先ほど来申し上げておりますように、個々の市町村で、それだけのものを十年なら十年かかれば優秀な職員が集め得るあるいは養成し得ると思います。しかしそうなりますと、各市町村相当職員数を抱えなければならない、財政的にいろいろ問題も起こってくるということを考えまして、一応こういう機関でやる方がより経済であり、全国統一という形で事実を審査していくにもより適当であろうという判断に立って、この協会法律で認可法人としてお許しを願いたいという形を考え出したわけでございます。
  122. 多田光雄

    ○多田委員 どっちみち企業から手数料を取って、そして自治体がトンネルみたいになって、自治体が払っていくというのであれば、この分野について国が一定の直接介入をしてやってもいいのではないか、私はこう思うのです。同時に、長官のおっしゃったように地方自治体にもっとその面での権限を強めていくあるいは能力を強めていくということも私は一概に否定はできない。私どもできるだけこの面で地方自治体の自主的な力を強めていきたいというように考えているのですが、それだけにちょっと不安になりますのは、検査協会検査結果によって、行政責任は地方自治体が許認可権を持つわけですから、やるわけですね。しかし科学的な判断の能力がない、だから協会を信頼せい、こういうことになるのですが、信頼しないわけではないけれども、地方自治体としても一定の科学的な判断を持つ根拠がないというと、ともかく協会の言うことだからこれは信頼しろ、そして認可を与える、どうしてもこういうことになっちゃうのですね。そこで、どうでしょう、将来地方自治体にもそういう能力を与えていく、現に川崎や横浜なども一定研究者を入れていっているわけですね。全国市町村にすべてそうということは無理ですけれども、やはり幾つかの重要なコンビナートを持っている地方自治体の場合、その能力はやはり将来持っていかなければならないという場合、持っているところは結構です、複数の技術者を持ってない市町村に持たせるということですね。そして検査協会検査を、やはり自治体としても独自の、一定の判断する能力を持つ。その場合足りなければ、あるいは消防庁なりで意見を聞いても結構だと思うのです。なぜなら、特殊法人といってもこれは政府機関そのものじゃないわけですからね。だからやはり一定の疑惑の目を持つということはあり得ると私は思うのですよ。そういう意味で将来、大きなコンビナートを持っている地方自治体にそういう複数のいわば検査官というか、技術者を置く必要があるのじゃないか。そしてそれを国が、自治省でもめんどうを見ていくということをしたらどうかなというふうに思うのですが、これは私個人の意見じゃないのです。多くのコンビナートを持っている市長なんかからよくそういう意見が出るのですね。これはどうでしょうか。
  123. 松浦功

    松浦(功)政府委員 先ほどの山田先生の御質問にもお答えをしたつもりでございますが、非破壊検査のために赤外線を持っていって実際にやる、そういうことは協会がやって技術的な判断を結論として出す、それが一番経済だろうと私は申し上げたい、また適当だろうと申し上げたい。しかし、その検査の結果がこうであったということは数字で報告があるわけでございます。数字あるいは言葉で報告があるわけでございます。それに疑問を持って、果たしてそれが正しいかどうか、これで大丈夫かどうかという判断をできる人間が地方公共団体消防機関に育っていくということは私どもとしては絶対に必要だと思っております。それは必要だと思っております。したがって、先ほどのお答えにも申し上げましたように、なお実施までやれる職員が本当に地方団体で確保できた場合に、協会に委託しなければならないという法律はないわけでございます。「することができる。」と書いてあるわけでございますから、一切協会の手を離れて地方団体が実際に技術審査もし、最後の判断もするというところまでいっても法律的には一向に差し支えないわけです。ただ、私ども申し上げている、そういう疑惑の目をもってと申しますか、批判的な目をもってもう一回見直してみるという職員が絶対に必要であるけれども、根っこの方の道具を持っていってどうだあるいはどれだけどうだというようなことをルーチンワーク的に協会が全部技術検査をするわけでございます。そういうものは協会に任しておいても、協会自身がきちんとした検査をやる限りにおいてはそのデータを信用して、それをもとにしてイエスかノーかの判断を地方公共団体にしていただく、そのための職員は、先生がおっしゃられるようにこれから地方公共団体に養成をしていくということはどうしても必要であるというふうに私も考えております。
  124. 多田光雄

    ○多田委員 ぜひそういう方向で地方自治体もひとつ指導をしていただきたいと思うのです。  そこでもう一つは、第三にわれわれが心配になるのは地方自治体の負担の問題ですよ。ここでも超過負担の問題が大きな問題になっているわけですけれども検査協会も初年度二億八千万ですか、何か出発するということで、しかも協会自身がこれを手数料その他でやっていくということになって、さきの議員もそういう質問をしておりましたけれども、水島で去年でしたかな、許認可料、危険物も含めた許認可の手数料が一千万くらいしか入っておらないのですね。これをこの間皆さんから聞きましたら、いままでの手数料六千円を大幅に引き上げていくということですけれども手数料をどれくらいに考えているのですか。先ほど一万キロリッターですか、これで百万、それから千キロリッターで七十万ということですけれども、その辺の計画ですね。つまり先ほども論議になった備蓄三十日分ということで、これからできるタンクもあるでしょう、既設のタンクもあるでしょう。大体これは年間どれくらいのタンクを処理する能力と、あるいは処理しなくちゃならないタンクがあるのでしょうか。
  125. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 先ほども申し上げましたように、過去のタンクの建造の状況それから将来の見通しいろいろ勘案いたしまして、一応六百ないし六百五十基が新しく一年間に新設になってこようということを仮定をいたしまして、それもタンクの大きさごとに検査の態様も変わってくるわけですから、その検査の仕方その他を考えて、ずっと必要な金額を積算していくというようなことで考えておるわけでございますが、そのほかに、過去に建設した分の定期検査あるいは保安検査というものを、どれくらいの年数をかけて十年に一遍の定期検査をやるかということが今後の検討課題でございまして、四、五年先あるいは五、六年先には、その年に十年経過したものを一万トン以上について定期検査をやるということになりますが、それまでの間どういうふうな割り振りで既設の分についての定期検査あるいは保安検査をやっていくかということで、必要な陣容等についても若干変わってくる。最初の年度において十分な充足ができなければ、二年度、三年度にそれをずらして考えるというようなことで多少の操作を考えたい、こういう計画を一応立てております。
  126. 多田光雄

    ○多田委員 どうもその程度だけでは、私はまだ余り納得できないのですが、皆さんは相当自信あって、こういうものを提起されたと思うのですけれども、一番心配なのは、一つは地方自治体がこれによって超過負担ができますと、またこれにどうしても消極的になる。ですからその辺、地方自治体に全く超過負担がなくて、本当に来た金がトンネルになっていくのか、それとも逆に地方自治体に一銭でも余分に手数料の事務経費を含めて残るのか、これはどうなんですか。
  127. 松浦功

    松浦(功)政府委員 消防関係の一般の手数料については、私どもできるだけ早い機会に引き上げを図りたいと考えております。それはそれとして、今回のタンク検査手数料は、市町村が取ります手政料、たとえば、一万キロリットルで仮に百万円の手数料を取るといたしますると、協会への受託手数料は——これはこれからもっと詰めますけれども、八十万でございますとか、八十五万でございますとか、こういう決め方をいたします。したがって、取った手数料の全額を受託手数料として払わないで、自分の方に幾らか金が残る、それで技術的な報告をもらった場合の最後の判断の経費にそれを使ってもらうという考え方をとってまいりますので、市町村に超過負担というような考え方が出てくる余地がないというふうに私ども考えております。
  128. 多田光雄

    ○多田委員 もう時間が来ましたので。  それから、もう一つこれはやはり不安に思うのは、この種の協会なり法人の業界とのなれ合いという問題なんですよ。相手が大きな企業が多いですから、これが一番問題だろうと思うのです。それをチェックする上で幾つかの問題もあるだろうと私は思うのですが、一つのチェックの問題として、たとえばタンクを持っている地方自治体の議会が、その協会の調べた資料、これの提供を求めたときには、これは提供していいのだろうと思いますが、これはどうですか。
  129. 松浦功

    松浦(功)政府委員 法律的には、ただいま先生指摘をいただきましたのでございますが、機関委任事務というたてまえになっておりますので、長限りの問題であって、議会が——法律的にはという意味でございます。介入するという余地はあり得ない。これはただし法律見解でございます。その辺のところはそれぞれの地方公共団体が適切な措置をとっていくということによって処理ができるだろうというふうに考えます。
  130. 多田光雄

    ○多田委員 確かに機関委任事務ではありますけれども、しかしその調査しているのが、仮に大臣が許認可権を持つ特殊法人だとして、そしてまた公務員一定守秘義務というものもこの法律では課せられておりますけれども、しかしこの点は相当弾力性を持っていいのではないかというふうに私は思うんです。なぜなら当然協会一定の科学的な根拠に基づいたあるいは技術的な根拠に基づいて調べた数値の問題ですね。しかも数値の問題で、それに対して地方自治体がまた手数料も払っていくという問題、当然これは地方自治体の予算にも関係してくる問題ですね。しかも同時に、大きな社会的な問題とも関連してくるという意味で、これはひとつ協会資料については地方自治体の要望に沿って出せるような、そういう指導を強めていただきたい。これは首長が断固としてだめだということになってくるとあれなんですが、この辺どうですか。幾ら機関委任事務だと言ってもあれですぜ。
  131. 松浦功

    松浦(功)政府委員 いずれにしても受託手数料を払って、資料そのものは長に行っておるわけでございます。それから先の問題でございますので、法律的には機関委任事務である以上、議会にどうこうということを、法律的な見解として申し上げることは私どもにはできないわけでございます。
  132. 多田光雄

    ○多田委員 それじゃもう一つ、これのチェックで理事長だとかそのスタッフの構想というのはおありなんですか。
  133. 松浦功

    松浦(功)政府委員 職員の数がどのくらいとか、そういうようなことは資料として差し上げてあるつもりでございますし、また役員の数は法律に明記してございます。しかし国会において御承認をいただきました後でこの問題は構想に入らないといけないというつもりで、具体的な構想は現在持ち合わせておりません。
  134. 多田光雄

    ○多田委員 検査協会で、その検査協会の内部の役員がまたほかの企業との関係を持つとかいうことで、ずいぶんいろいろ不明朗な話を私は耳にしているのです。そういう意味で、この人事については極力企業との関連を持たせない厳正中立であるとか——これは余り天下り人事はよくないですよ。そういう意味でひとつ厳正にやっていただきたい、こう思うんです。一番心配なのはここなんです。企業に対してどれだけ厳しい態度でこの協会が臨んでいくのか。そして誠実な資料に基づいて地方自治体にその資料を出してくれるのか、ここが一番問題だと私は思うんです。ですからその辺の保障について、繰り返し、協会のスタッフの選定その他には十分意を払っていただきたい。  それからいろいろな検査基準その他を協会がこれからつくりますね。協会はつくりませんか。
  135. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 技術基準は国がつくるわけでございまして、その技術基準に基づいて審査事務規程というものを大臣の認可を得て協会がつくる。その大臣の認可を得て協会がつくります審査事務規程というものは、国が定めた技術基準に沿った内容のものでつくってもらうということでございます。
  136. 多田光雄

    ○多田委員 時間が来ましたが、私一番ひっかかりますのは、いま長官資料をなかなか機関委任事務で云々と言われておりますけれども、もちろん市町村が金で買った物は配るでしょうけれども、出された資料が本当に例のお役所式で、何枚かの紙に資料と書いて大丈夫でございます。それじゃ本当に大丈夫なのかという、もっと究明できる資料を本当に出してもらわないと、地方自治体としては安心できないし、議会がそれに関心を持つのは当然なことだろうと思うのですが、その辺どういう報告をされるのでしょうか。
  137. 松浦功

    松浦(功)政府委員 どういう点を技術基準として定めるかは、先ほど次長がお答え申し上げましたように消防庁で決めます。その一つ一つについてどうであったかということを協会から、受託料をいただいて委託をしていただいた市町村に対して報告をする義務があるわけです。それはただいま御指摘をいただきましたように、できるだけ詳細に御報告を申し上げるということが協会としての当然の務めであろうかと思います。また機関委任事務であるからということを申し上げたのは、法律論として私はお答えを申し上げておるわけでございまして、たとえばある会社のタンク検査をいたします。その結果の報告をもらって市町村が不許可にした。なぜ不許可にしたかということは、これは機関委任事務であろうとも議会で取り上げられて違法だということはないわけでございます。その場合には当然報告書の中に、こういう点に不備があるから不許可にしたのだというようなやりとりが自然に行われることになろうかと思います。法律的にと詰められますと、議会に提出するということは機関委任事務であるから不可能だというお答えを申し上げているわけでございまして、こういう国民の災害に関する重要な問題でございますから、法律見解見解として、実際の運用に当たっては、法律を犯すという形にならないような形で各地方公共団体の長がこれを取り扱うということについてわれわれがとやかく容喙すべき問題ではなかろう、こういうふうに考えております。
  138. 多田光雄

    ○多田委員 私の質問はこれで終わりますけれども、林委員からちょっと……。
  139. 小山省二

    小山委員長 関連質疑を許します。林百郎君。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 関連して。  松浦さん、ごく常識的なことをお聞きしたいのですが、この協会の経理ですけれども、大体初年度から次年度にわたって人件費だけではこれはいきませんし、いろいろの近代的な施設も持たなければいかぬのじゃないかと思うのですね。そういうような経理内容はどうなりますか。
  141. 松浦功

    松浦(功)政府委員 この協会は御承知のように受託料収入を財源として動く協会になりますが、実際にそれでは経費の方はどうなりますかといいますと、やはり一番重要な部分技術者人件費、これは技術料でございますから人件費になって仕方がないわけでございます。そのほかには、余り高価な膨大な機械は必要ないようでございますが、非破壊検査等に持ち歩きのできるような機械を備えておいて、それを持って出かけていく。そうなりますと、職員の旅費がかかってくるわけでございます。向こうへ行って飯などごちそうになるなんていうことはもってのほかでございますから、きちんとやはり旅費も支払う。こういう形になりますと、事務所の運営費人件費と旅費というものが中心になろうかと思います。先生がおっしゃられるような高度の機械、もちろん千万とか二、三百万とか、そういう機械は何台か要るのだろうと私も思いますけれども、何億というような機械を持たなければならないという協会ではないわけでございまして、その辺を御了承いただきまして、われわれが、必要なものは全部積算をいたしまして、十分賄えるだけの受託手数料というものを決めて、財政の基盤を当協会について喪失しないように十分配慮をしていきたい、こう考えておるところでございます。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一問。  松浦さんは財政局長をやっていまして、当時非常に厳しい御指導と申しますか適切な御指導と申しますか、おやりになったのですが、先ほどから、自治体自身もこの協会の調査結果をうのみにするのではなくて、できたらそれに対して見識ある判断のできるような人を持つことが好ましい。これはなかなかむずかしいことなんですけれどもね。そういう高度な知識を持った人が行くということになりますと、これは相当の給与を払いませんとそういう自治体へは来ない。そうすると、昔よく松浦さんがおっしゃったラスパイレスとかなんとかいうことで、それとの関係が出てきますけれども、そういうことは、今度消防庁長官になられたので、そういう任務を持った技術者に対して、その技術者を遇するに足るだけの人件費を出すという問題については、財政局長をやっていたあなただけにどういうふうにお考えになるのですか。私もあなたのおっしゃるように、協会から来た、ああ、それじゃそれでと、まあ恐らく自治体としてはそうなりがちだと思いますけれども、できたらやはり自治体で見識のある判断をそれに加えられるような人がもしいたら置きたいと思うのです。それは自治体の規模にもいろいろよりますけれども、そういう場合に相当の待遇をしてやらないと、そういう人が地方自治体だから来ないということがあるわけですけれども、そういう場合の人件費とラスパイレスとの問題いろいろありますけれども、そういう地方自治体の経費との関係と、あなたの考えているそういうアイデアとの関係はどうなるのでしょうか。
  143. 松浦功

    松浦(功)政府委員 現在民間におります高度の技術を持った者を地方公共団体消防部局へいきなり持ってくるということは、実際には内部の円滑を欠くことになりますので、簡単にはいかないと思うのでございます。これは金の問題ではないと思います。  そこで、たとえばきのうも東京都の消防総監ともいろいろ話をしておったのでございますが、東京都ではすでに地質あるいは建築そういったような技術者をすでに養成を始めております。これは時間がかかります。現在そういう特殊な者を十名単位で何か養成をしているというようなお話もございました。そういう方向になっていくのじゃなかろうかと思うのでございます。当消防庁におきましても、去年の予算でいろいろ先生方の御協力を得て従来にない増員を見ることができたわけでございますが、すでに本年度大学出の上級職に合格をいたしました技術屋さん、建築でございますとか地質でございますとかこういう方五名、当省においても採用いたしております。したがって、各自治体でもそういう形で消防当局にそういう特殊な資格を持った方を御採用になっておるようでございます。これが時間がたちますれば、非常に高度の技術を身につける。また身につくように私どもの方の技術者の指導もそこへ援助をしていく、こういう形になろうかと思うのでございます。したがって、別にラスパイレスの問題は余り心配しないでも、国家公務員の給料でもちゃんと入ってきていただける方がおりますので、その議論はひとつここでは御容赦を願いたい、こう思います。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 この協会に対して多田さんも質問されたのですが、私たちの党としては、できたら消防庁の機構の中にでもそういうようなものを持って、そしてこの協会の任務にかわるような機構を持ったらどうかという意見も大分強くあったわけです。それは企業からの中立性それから公務員としての厳正な職務の遂行というような面からいってその方が好ましいのじゃないかという意見もあったわけなんですが、いろいろお聞きしますと、協会ということが消防庁としても検討した結果の結論のようでございます。そこで、これの行政指導の面でこれは直接的には消防庁が行政の責任を負うと思うのですが、その点と、そして消防庁としてはその協会に対して将来どのような行政指導を行うということをお考えになっているか。かつて原子力研究所というのがありまして、御承知のとおりああいう問題を起こしまして全く日本の国の原子力の調査についての権威を失墜した事例もありますので、その辺を、初心を忘れないようにしなければならないと思うのですが、その点を長官にお聞きしておきたいと思います。
  145. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私は、自治大臣が監督権を持っておりまする協会でございます。実質的には消防庁で責任を持つということになります。注意すべき点は二つあろうと思います。  技術基準等についてわれわれが常に技術の進歩におくれないように把握をして、時代の流れとともに技術基準を高度にしていく、それを十分理解をさせて、技術的に高い水準を持った職員の集団にしたいということが一つ。もう一つは、先生が御指摘になられました中立性、いやしくも業界の方に顔を向けたような姿勢がとられないという点を強く当省としては監視をしていくという、この二点を忘れないでまいりたいと思っております。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 結構です。
  147. 小山省二

    小山委員長 午後二時三十分から再開することとし、この際休憩いたします。     午後一時十分休憩      ————◇—————    午後二時三十四分開議
  148. 小山省二

    小山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  消防法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。小濱新次君。
  149. 小濱新次

    ○小濱委員 消防法について順次御質問をしていきたいと思いますが、大臣時間の御都合があるようですから、最初に二点ばかりお伺いをいたしておきたいと思います。  まず水島事故を契機といたしまして貯蔵タンクの本体、基盤、防油堤等の安全性がいろいろと問題視されております。従来の個別的規制から面的規制の対策を立てる必要性から、昨年度コンビナート防災法が成立をしたわけでございます。それに伴って今回消防法改正が行われるわけでございますが、この改正で関連法案は完璧と見るべきかどうか、またその他問題は残るのかどうか、そういう点がこれは非常に基本的な問題になりますが、私どもの疑問視するところでございますので、自治大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  150. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  御案内のようにただいま御指摘がございましたが、七十六国会成立しました石油コンビナート等災害防止法及び今回の消防法の一部改正法案並びに今国会提案されている海上防災について規定した海洋汚染防止法の一部改正法案などによりまして、コンビナート地帯の防災体制については一応、これは一応でございますけれども法律的には整備は終わったと考えております。しかし技術革新の激しいコンビナート地帯のことを考えますと、将来に向かって完璧であるとは言えないと思われるので、今後とも引き続き真剣に検討を進めて、将来改善すべき点があればさらに改善を加えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  151. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣の御決意を承ったわけでございますが、一応というお言葉がございました。言葉じりを取り上げるわけじゃございませんが、いろいろそれに類似するような言葉があるわけですね。そういう点で後に述べられました大臣の御決意、将来必要があればというこのお答えに対して私どもは大いに期待を持っていきたい、こう考えております。どうか一層の御努力をお願い申し上げたい、こう思います。  それから、次に長官にひとつ伺っておきたい、こう思います。  三菱石油水島製油所タンク事故原因調査委員会で、事故の原因と今後の石油貯蔵所などの安全対策に資するため報告を行っております。これに基づいて、消防庁は今後タンク貯蔵所を新設する者に対し、「屋外タンク貯蔵所の規制に関する運用基準等について」というもので現在指導を行っている、このように私どもは聞いておりますが、その内容はどういうものなのであろうか、そしてまた、この報告内容は的確に反映しているのかどうか、これも基本的な問題になりますが、長官からお答えをいただきたいと思います。
  152. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま御指摘をいただきました水島事故原因調査委員会の報告、この内容を要約いたしますと四点になるかと思うのであります。  一つタンクの基礎及び本体について基準を強化すること、二番目には防油堤の基準を強化すること及びその他の流出防止措置を講ずること、三番目には非破壊検査の実施を義務づけること及び中立的検査機関を設けること、四番目には保安規制基準について根本的に検討を加えること、この四点になるかと思うのでございます。  これまで暫定基準等を示していろいろと行政指導をしてまいりましたが、これらの提言のうち、暫定基準では一番目に申し上げましたタンクの問題、二番目の防油堤の問題四番目の保安基準の問題についてはそれぞれ強化を図ることとして指導してまいっておる、三番目の非破壊検査の義務づけ、中立機関検査機構、これがこの法律案の中に盛られておるということでございます。  したがって、この法律案をお許しいただきますならば、原因調査委員会の報告の内容はほとんど取り上げられるという形になることに相なろうかと考えております。
  153. 小濱新次

    ○小濱委員 私どもも一生懸命に、真剣に努力をしたそういうコンビナート防災法の法案の審議の過程から見て、やはりこの結果を私どもは非常に期待を持っているわけでございまして、どうかより一層の御努力をお願い申し上げたい、このように思います。  大臣に、最後にもう一点お伺いしておきたいと思いますが、コンビナート防災法がいまだに施行されていないわけでございます。この法施行の最終日は六月十六日、このようになっているわけでございますが、一日も早く実施しなければならないはずのこの法案が、いまだ施行されない理由は何であるのか。やはり常に備えあれば憂いなしで、この問題の一日も早い施行日をわれわれ期待を持っているわけでございますが、そういう点でいまだ施行されない理由は何かということが一点と、もう一点は、今回のコンビナート防災法の今後の運用に当たっての自治大臣の御所見、これもあわせてひとつお答えをいただきたい、このように思います。
  154. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御指摘のとおり、まだこの法は施行になっておらないわけでございまして、やはりこの法律を施行いたします場合にはいろいろの準備が必要に相なるわけでございます。そういう点をいま詰めておるんでありますが、なるべく速やかにというか、もう六月半ばまでにはやらにゃいけないのでありますから、早急にひとつ詰めを行いまして、そして御期待にこたえるように努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。その具体的な内容で細かいというのは失礼でありますが、内容についてでありますれば、事務の方からひとつ説明をさせていただきたいと思うわけでございます。  それから、消防庁として、このコンビナート法の運用に当たってどういう姿勢で臨むか、こういう御質問でございますが、私たちはコンビナートの地域を一つの一体としてとらえて、関係機関が相互に協力し合っていくということが第一。また企業もその社会的責任の一端を担って、総括的、効果的に防災の実を上げていくという趣旨に基づいた法案でございますので、その法の趣旨に沿って運用がなされるように理解と協力を得ながら指導をしてまいりたい。これが、この法施行についての消防庁としての物の考え方といいますか、原則でございます。
  155. 小濱新次

    ○小濱委員 事故がいつ発生するかわかりません。そういう立場から、私どもは現時点では政府の真剣な姿勢は見られないのではないか、六月十六日ですからね。ですから、一日も早く、こう私どもは心から念願しておるわけでございますが、いつ出される予定なのか。もう六月十六日ですからね。ひとつその辺の内容長官からお答えいただきたいと思いますが。  自治大臣、結構であります。
  156. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま大臣から御説明がございましたように、いろいろ政令、省令にゆだねておる分野が非常に広いわけでございます。それが技術面の問題で、しかも広範多岐にわたりますために、いろいろと各省とのバランスあるいは各省との詰め、こういった問題に手間取っておりまして、おしかりをいただくような羽目になりまして、申しわけないと考えております。しかしこの問題は余り拙速で飛び出ますと、また各省間の行政指導に乖離ができてもいけません。その辺のところを慎重に詰めておりますが、御指摘をいただきましたようにきわめて重要な問題でございますから、できる限り早急に発足をしたいというところで、現在関係各課の職員相当夜遅くまでこの作業に従事をしておるというような状況でございます。事情御賢察の上、御了解を賜りたいと思いますが、できますならば六月十六日というのが最終期限でございますが、何とか今月中に施行するようにというつもりで、今後も鋭意努力を重ねることをお約束を申し上げたい、こう思います。
  157. 小濱新次

    ○小濱委員 長官から御決意いただいたわけでございますが、どうかひとつ今月いっぱいを目途にしてということでございますが、一層の御努力を心から要望しておきたい、こう思います。  昨年のコンビナート防災法の審議の際、陸海の接点での防災体制の連携及び強化が問題になりました。この経緯から、これまでの海洋汚染防止法を改め、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律が先日衆議院を通過いたしましたが、これで陸海の接点部分における防災体制は完全と見るのか。私どもは陸と海、この一体化ということを非常に強調してまいったわけですが、そういう点での海上保安庁からの御意見をひとつ承っておきたい、こう思います。
  158. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  昨年の国会の当委員会におきまして、石油コンビナート防災法の制定審議の際に附帯決議をちょうだいいたしまして、その内容もすでに御存じのとおり、海上においても早く防災体制を立てろという御指示をいただいたわけでございます。それに伴いまして、私ども昨年の国会以来、鋭意新しい法律の制定に努めてまいりました結果、いま先生指摘のとおりに、海洋汚染防止法の一部を改正して、海上の防災体制確立を図ろうということになりまして、関係省庁との審議も済みまして、去る七日の運輸委員会の採決をちょうだいしたわけでございます。その中で先生いま御質問の、陸上と海上との接点についてどういうふうな対処をしておるのかという点につきましては、私ども五つぐらいの対処をして万全を期したつもりでございます。  まず第一番目は、危険物を排出したりあるいは火災が発生した場合に、それが海上に及ぶようなときには、陸上のそういう施設の管理者からも海上保安庁事務所の方に早急に通報していただきたいというような規定を四十二条の二あるいは四十二条の三として新しくつけ加えたわけでございます。  それから第二番目の点につきましては、陸上の消防機関との関係でございます。これは実は先生御存じのとおりに、戦後二十三年ごろ、ほぼ時を同じくいたしまして海上保安庁あるいは消防庁発足したわけでございますけれども、そのとき以来、私どもの方と消防庁の方とでいろいろ業務協定を結びまして、いわゆる陸と海との接点の防災対策、消防対策というものについていろいろと協力、実施してきたわけでございます。ところが今回この法律を制定するにいたしまして、それをさらに前向きに進めて、しかも従来協定でやっておったのを、むしろ法律の方でちゃんと書くことによりまして、その間の関係をはっきりさせようということに相なりまして、今回四十二条の九という規定を設けたわけでございます。その内容は、岸壁に係留しておる船につきましては、主として消防機関がやる。それから消防機関がないときあるいは消防機関の方から要請がありましたときには、海上保安機関がそれに出動していく。それから海上にその他の船すなわち海上にあります災害につきましては、まず海上保安の機関がやりまして、海上保安機関がいないときあるいは海上保安機関消防機関に要請したときに陸上の消防機関に出ていただくというふうな、相互の執務体制というものを四十二条の九ではっきりと確定したわけでございます。  それから第三番目の問題点につきましては、一般的にそういう場合に海上保安庁と消防との間で相互の連絡あるいは協力を緊密にしなければいけないという規定を一条、四十二条の十で設けました。  それからさらに第四番目は、これは従来もいろいろと計画は非常にプライベート的な意味での計画を持っておりましたけれども法律ではっきりと排出油防除計画というものを決めまして、それを決めるときには消防機関の御意見も十分よく聞いた上でその排出油防除計画を決めるという規定を四十三条の二で置いてございます。  それから最後に五番目といたしましては、非常に災害の起こりそうな危険な各地域に排出油防除協議会、これは油が出た場合だけを中心に考えておるわけでございますけれども、排出油防除協議会というものを法定しまして、陸上のそういう機関の人たちにも入っていただいて、ふだんから常時そういうものを連絡をとり合っておくというふうな措置を設けたわけでございます。  以上申し上げましたような五つの措置を講じまして、私ども消防庁とも十分御協議の上に、これでもって十分の体制がとり得るというふうに自信を持ってございます。
  159. 小濱新次

    ○小濱委員 陸海の接点の防災体制、非常に複雑な事件発生時の様相というものが、私どもには想定されるわけです。そういう点でコンビナート防災法をつくった際に、これは陸海一体化ということで大いに強調し、そしてただいまのような海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律、これができ上がったわけです。  つくっただけではこれは意味はありません。したがって、幸いまだそれらしい大きな事故はありませんけれども、東京湾でこの種の災害が起こったときにはどういう結果になるであろうかなということの、私どもは東京湾内の実態というものを頭に描きながら、たとえば横浜には三千隻からの湾内で働いている木造、鉄製の船がある。あるいは川崎にも二千隻以上ある。こういう実態が各港にあるわけです。これを曳航避難するといったってできるわけないんで、そういうことの最悪な事態を想定するということ、したがって海面火災になれば、また特に悲惨な状況というものがこれは当然起こってくるわけですね。そういうことから、ぜひひとつこの運用については私どももっともっと研究をしていただいて、そしてより効果的な結果を生んでいただきたいと心から念願をしておるわけでございまして、この問題については運輸委員会で相当論議をされました。データも見せてもらいましたので、これ以上はお伺いしませんが、どうかひとつコンビナート防災法との一体化ということですね、そういう意味での今後の御努力をよろしくお願いを申し上げておきたい、こういうふうに思います。海上保安庁結構であります。  これは長官にお尋ねをしておきたいと思いますが、この法案が成立した後、政令、省令で定める保安基準は大地震にも耐えられるものか、またどの程度の地震を想定しているのか。むずかしい御質問かと思いますが、この問題については私どもは大きな関心があるわけですね。まず長官から、その点についてお答えいただきましょうか。
  160. 松浦功

    松浦(功)政府委員 先生御自身むずかしい質問でとおっしゃられているように、お話承りまして私どもも明確なお答えがなかなかできかねるのが率直な実情でございます。特に、どの程度の地震が来たらどれだけの被害が起こるだろうか、どういう影響があるだろうかということについては、これは本当に研究をなさっておる方々の意見としても、こうであるという確かなものはないようでございます。しかしわれわれとしては、地震が起こるということを前提に物を考えなければなりませんので、いまのところ考え得る範囲では相当程度の地震に対して効果があるだろうと考えられるものは取り入れていく、こういう方針で臨んでおるつもりでございます。  先ほども大臣からお話がございましたように、この種の技術開発というものはどんどん進んでまいります。進んでまいりましてそういう一つのいい結論が出てくれば、これをどんどん取り入れていくという方向で基準自体も改めていくという態度が現在消防庁としてとるべき態度ではなかろうか、こう考えております。非常に抽象的なお答えで申しわけございませんが、マグニチュード幾つまでは耐えられるかという御質問に対していいかげんなことをお答えを申し上げることはまことに失礼に当たると思いますので、それほど自信を持ってお答えできないというのが現在の実情ではなかろうかと思っております。
  161. 小濱新次

    ○小濱委員 先日、NHKのテレビを見ておりました。これはニュースでしたけれども、警察庁に大地震のための災害対策官を設けたという話がございました。この報道を見て、宮城県の部長が担当官ということで本庁へ来て、これは警備の方でしょうか、警備局の方に入って努力をしているという、その報道を私見たものですから、非常に関心を持ったわけでございますが、けさの新聞を見ましても、けさの八時半のテレビのニュースを拝見いたしましても、大変に関心の深いことが報道されておりました。十三日の東大で開かれた地震学会で、昨年四月九州地方を襲った大分県中部地震の体験者一万五千名を対象にアンケート調査を行った結果が発表された。このアンケート調査によると、その内容が新聞にも出ておりますが、震度三、これは弱震ですが、非常にこわかったという人が震度三で出始めたという。震度四で絶望的になったと答えた人も出始めた。震度六、烈震ですが、ここでは絶望的と答えた者が約半数いた。大分県の地震は六・五ですが、これはもうほとんど全員が絶望的、こう答えた。こういうことで、恐怖の余り逃げた道順も覚えていないし、無意識、本能的な行動に走った人は、震度四で数%。六・五では、ほぼ全員が夢中で、そのときの様子、どのような行動をとったか少しも覚えていない。消防庁でもいろいろ予算をかけてPRもしております。テレビを通して努力をしておられることはよくわかるのですが、六・五になるとその効果がさっぱり出なかったというデータが今度、学会から発表になったわけです。そういうことから結論して言えば、六以上になると、これはもう本当に対策以外にはない。事前の対策か、事後の対策なのか。PRをしても、震度六の中で、それガス管だ、あるいは火の元を、あるいはまた貴重品を、こういう意識はとても働かないというのですね。もう御婦人は震度四でだめだ。男でも六までが限度である。六・五ということになると、無我夢中で、ただ避難することの意識だけだ。何を持って出たかわからないというのが実態のようでした。  そういうことから、私は、これはやはり何といっても第一線で活動しておられる消防庁が、その衝に当たっておられる立場から、ぜひともひとつより以上の御関心を持っていただきたいし、御努力をお願い申し上げたい、こういうふうに思いまして御質問をしているわけでございますが、常に本省の御努力の一端をわれわれはよく承知しておりますので、これ以上は何も申し上げませんが、これは強く要望しておきたい、このように思います。  さらに長官にお尋ねをしておきたいと思いますが、消防施設強化促進法で、コンビナート地帯の補助率を三分の一から二分の一に引き上げたわけでございますが、問題は消防の資機材の補助単価にある、私どもはこう見ております。この補助単価と実際の価格はどのような実態になっているのか。さらに、資機材購入の地元負担についてはどのように考えているのか、この点について。
  162. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ある程度調査ができておりますが、代表的なもので申し上げてみますと、消防ポンプのBS1型、これは補助単価が三百六十万でございます。補助を受けました団体の平均契約単価が四百十六万。これが実勢単価であるとするならば、三百六十万に対して一五・六%の超過負担がある、こういう結論になります。ところが、これを調べてみますと、安いものでは三百二十一万ということで契約をしておるものがございます。そうすると、補助単価よりは実は安くなっておるわけでございまして、一一%ばかり下回っておるのでございます。そういう意味からいたしますると、決して完全だとは申し上げかねますが、消防の補助単価についての実勢価格との乖離というものはほとんど解消されておるというふうに私は考えていいんではないかと存じております。しかし、これからも経済の動向によって値上がりもあると思うのでございまして、常にこの程度水準を保ちながら、実質的に地方団体の超過負担が生じないように努力をしていくということは当然のことであろうかと思っております。  なお、裏負担の問題につきましては、これまで起債の充当率を大体七割程度というようなことでやっておったのでございますが、こちらに参りまして、地方財政のいろいろ問題もございますので、充当率をできる限り引き上げてもらうということで財政局と現在折衝いたしまして、相当起債充当率を引き上げてもらうということにいたしております。  なお、起債充当率をかけます場合の裏負担は、実勢単価と補助金との差額についてかけますので、実際問題としては財源措置は十分にいく、こういうふうに私ども考えております。
  163. 小濱新次

    ○小濱委員 消防庁からいただいた「昭和五十年度主要消防施設の補助基準額と契約金額の比較」というのがございます。これを見ますと、いま長官の言われましたように、契約高が補助基準額よりも非常に少ない面も確かにある。もちろん、多いのが圧倒的に多いのですよ。  そこで、私もちょっと疑問になったので調べてみたのですが、はしご車、三十八メートル物で、五十年度の補助基準額Aというのが約六千万円出ているのですね。ところが、契約単純平均Bというのが五千八百二十六万六千円。これはマイナス二・九%。約三%ぐらい少ない。そこで、私は、川崎に四十メートル物が一台あるわけですが、これは幾らかかったのかと聞いたら、これも五千七百八十万円だという。それじゃ、あなた、補助基準額の方がはるかに多いじゃないかと言ったら、そうなんですよ、これで自治省さんは、消防庁は大分おいばりになっているんじゃないでしょうかと言っていましたよ、この点は頭が上がらないんですと。しかし、私は、なぜ契約高が少ないのかということについて少し調べてみたのですよ。そうしたところが、五十年度に確かに単価が上がったのですね。ところが、この実態を調べていきますと、地方財政危機で事業執行を取りやめた、そういう自治体が大分あるわけです。そうすると、その装備品をつくっている会社が、もう仕事を休むわけにもいかないので、安くとも仕方がないということで契約をしていったという裏話が、長官、出てきたのです。私は、なぜこういうことを申し上げるかというと、消防庁は、どうだ、こうおいばりになるだろうけれども、本年度は新しくコンビナート法案が通ったわけでしょう。そうすると、企業が義務づけられたいわゆる装備をしなければならない、そういう責任から当然発注ということが起こってくるであろう。こういうことになれば、また業者が大変にいままでの様子とは変わった態度を示してくるのではないか。こういうふうになってまいりますと、この補助基準と契約単価の問題が、いまはこうなっているけれども将来はこうにはなりませんよ、こういうふうに私は見ているわけなんです。そういう点での長官のこれからの御配慮、御努力というものを要請したい、こういうふうに思いまして、データをいただきましたので、この点についてのお考えをひとつ示していただきたい。
  164. 松浦功

    松浦(功)政府委員 先生のおっしゃられるような一面があったことは確かであろうと私も存じております。決して消防庁はいばるつもりはございません。ただ、消防庁も自治省でございます。超過負担を出してはいけないということを各自治体にお願いしているところが、先生方にお答えもできないような超過負担を出すことは申しわけないということで、単価についてはこれまでも努力をしてまいったところでございます。したがって、こういった傾向を十分把握しながらいま差し上げた程度資料を毎年差し上げて御納得をいただけるように、今後とも十分注意をしていくということは当然であろうと思います。本年度も単価、若干アップしておりますが、来年度等についても、これらの事情を勘案しながらこの程度の結果が出てくるように私どもとしては配慮してまいりたいと考えておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  165. 小濱新次

    ○小濱委員 財政局長を長く勤められたお立場から自治体の財政をよく御存じの局長ですから、ただいまの御答弁は、そういう立場から、内容を熟知した立場からの御発言と、このようにわれわれは受けとめ、これからの一層の御努力をひとつお願いしておきたい、こう思います。  先ほど、救急医療の確保という問題についていろいろ御発言がございました。これは私、大臣に質問しようと思ったのですが、大臣が退場されましたので、少しく厚生省にお尋ねをしていきたいと思います。  午前中答弁された方ですね。先ほどと重複しますから私は質問を割愛いたしますが、救急患者のたらい回しの問題点一つございました。それから法律的にどこが責任を負うのか、また搬送した以後の法的規制は何なのか、こういう話がございました。それで、もう一つ私が伺っておきたかったことは、いまの問題については割愛いたしますが、現在の救急病院についての法的強制は行えないのかどうか。私はこれを規制とこう言いたかったのですが、もう一歩強めて強制は行えないのかどうか。ということは、御存じのように、救急搬送業務は自治体が消防法三十五条の五で義務化されている。それから救急医療は厚生大臣の告示で定められ、一定の条件をしいた病院側の申し出による、まあ自由という立場に置かれているわけですが、こういうことから非常に問題が多いので、この問題の一層の努力を払っていかなければならない立場の厚生省として、ぜひひとつ法的強制を行えないかどうか。これは岸本指導助成課長さんにはちょっと御無理かもしれないけれども、私、いまこういう意見を持っておるわけです。この点についてはどうでしょう、御無理でしょうか。
  166. 岸本正裕

    ○岸本説明員 非常にむずかしい問題でございますが、住民の健康を保持したり保健衛生に関する事項を処理するということは、国の行政上の問題でもございますし、またあわせて地方公共団体の責任でもあるということで、それぞれの立場でこの救急医療の確保ということに真剣に取り組んでまいっているわけでございます。わが国の社会経済体制というものは自由主義を基調にしておりまして、医療機関につきましてもその例外ではございません。そういうことで、基本的には自由開業という形になっているわけでございまして、救急医療というのは、そういうこととあわせて非常に地域性の強い問題、そもそも医療が非常に地域性の強いサービスでございますけれども、その中でも特に救急医療というものは地域性の強い問題でございますので、地域のいろいろな資源というもの、これは建物とか設備とか、人の問題でございますとか、そういういろいろな資源というものを有効に組織的に活用するということなくして解決できない問題であろうかと思います。そういう場合には、やはりその地域の方々、関係者の積極的な合意なくしてこのシステマチックな救急医療体制づくりというものはできないように思います。そういう観点から、私どもといたしましては、救急医療にいろいろと御活躍いただいておられます方々に対しまして、国の立場としましてそういう地域医療が達成しやすいような助成策を考えていくということで、この仕事を円滑に実施していきたいというふうに考えているわけでございます。今後とも、この救急医療に関します助成については、一層の充実に努力していきたいというふうに考えております。
  167. 小濱新次

    ○小濱委員 岸本課長さん、救急医療の問題については、御存じのとおり、最近始まった問題ではございません。相当前から問題が蓄積されてきた問題になっているわけです。私も午前中の御答弁を聞いておりましたが、あなたはこの救急医療問題については取り組むべきときが来たとおっしゃっていましたね。そしてまた、国及び地方自治体に責任がある、このようにもおっしゃっておりました。自治大臣は、対策を考えていかなければならない、こうも答えたし、厚生省と自治体と両面から考える問題である、こうも答えておりました。私もこれは大きな関心事の一つでございますのでよく承っておったわけでございますが、この取り組むべきであるとか、あるいはまた厚生省と自治体両面から考える問題であるとか、国及び地方自治体に責任があるとか、そういう、何というか、こちらの真意にこたえていただけないような御答弁では非常に見通しが暗いわけです。何かもう少しどう取り組もうとするのかあるいはどのような対策を考えているのか、そういうことが具体的にこちらとしては聞きたいわけです。なかなかお答えがいただけないわけですね。それは事情はわかりますけれども、救急医療の確保という問題と義務づけ、これをすべきであるという私ども考え方から、どうしてもいま一歩前向きの御答弁が欲しいわけです。どうでしょう、何か腹蔵のない具体的な御意見、もう少し聞かせてくれませんか。
  168. 岸本正裕

    ○岸本説明員 私ども救急医療問題というのを非常に当面の重要課題であるというふうに受けとめておりまして、厚生省といたしましても今後のあり方については真剣に研究検討を行っているところでございます。ただいま先生の御質問でございますけれども、従来から救急初期医療機関それから後方医療機関、こういうもののそれぞれの立場を考えまして、初期医療機関といたしまして救急患者の実態に即応した外科系、内科系、小児科系を中心といたしますそれぞれの機能を持つ施設整備並びにそこに勤務いたします医師の研修というようなことを重ねてまいったわけでございます。最近、初期医療機関が安心して働けるためには重症救急患者対策というものをしっかりと立てる必要があるということがございまして、私ども今年度からその端的な例といたしましては救命救急センター、こういうものの整備を始めようとしているところでございます。こういうことを通じまして、この医療機関の中での組織的な連携のあり方、こういうものを円滑にしていきたいと思っております。  そのほか問題といたしましては情報問題がございます。非常に端的に社会問題化しておりますのはたらい回しというような事象でございますけれども、こういうものは一つの大きな原因としましては情報が的確に搬送機関なり住民といいますか、搬送機関に代表されますけれども、そういうところと医療機関とが的確な情報を伝達、交換、こういうものが行われていないということにも大きな原因があるわけでございまして、この辺のあり方をどうすべきかということも大きな問題かと思います。  そのほか、少し基本的な問題になろうかと思いますけれども、医学教育といいますか、そういう中で救急医療というものをどう位置づけるか、教育の中で救急医療というものを積極的に取り込んでいただくような私どもなりの働きかけというものも大事な仕事ではないかというふうに考えておりまして、総合的ないろいろな方策を検討し、今後抜本的な改善に努力をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  169. 小濱新次

    ○小濱委員 少し質問内容が酷であったかもしれませんけれども、大変に最近新聞を見ましても急患たらい回しということで訴訟事件が起こっている。そういうことからいろいろなデータを集めてみますというと、藤沢で十七歳の男女の単車による事故を起こして人事不省になった二人が、地元で治療を受けたのだけれども、その治療がやはり納得できないということで、何と三十キロ以上あるのですが、相模原の北里病院、そこに持ち込んで手術をしていただいて、そしてもう一週間人事不省だったものが助かったという例があるわけですね、寿命と言えば寿命でしょうけれども、医術によってもう本当に地元でだめだと言われたそういう急患が助かった例もあるわけです。そういう点から私もこれはいろいろとデータを調べてみたのですが、厚生省の調査によると、国の付属機関の病院で救急病院は大蔵省の小田原の一カ所のみで、郵政、国鉄その他ほとんどが救急病院ではないということ、公的病院、民間病院にやらせる以前に国自身が救急病院をやるべきこと、こう考えますけれども、これについていままで厚生省はどのような対策を講じてきたのか、この点についてお伺いをしカ所のうち東大の一つだけというのですね、それから公立医大は八のうち四カ所、私立医大は二十八のうち十一カ所が救急病院になっている、大学は研究機関であるが、これについても救急指定病院にする考えが当然起こってこなくちゃならない、こう私は見ているわけですが、国立大学病院でできない理由は何だろうか。これは前段の方は厚生省から、それから後段の方は文部省からお答えをいただきたいと思います。
  170. 岸本正裕

    ○岸本説明員 先ほど申し上げましたように、救急医療というものは地域の中での積極的な合意に基づいて行われるということがその効果を上げる上で最も望ましいという形でございますけれども、その中で国立病院でありますとか公立病院、公的病院、こういう機関がその公的使命にかんがみまして積極的に救急医療に取り組んでいただくよう私どもとしてはかねてから強力に指導してまいったわけでございます。  厚生省所管の国立病院につきましては、その病院の性格から救急になじみにくいごく少数の病院を除きまして、すべて救急告示を受けているわけでございます。なお自治体病院それから公的病院につきましてもできるだけ多く、例外を除いて、もう全部救急医療に積極的に参画していただけるように重ねて指導をしていきたいと思っております。  そういうことを踏まえて、自治体、公的の病院に対しましては地域の中で中心的な役割りを果たしている病院に対しての運営費の助成ということも行ってきているわけでございます。そのほか大学付属病院等につきましても私どもこの救急医療に積極的に参加していただけるようお願いをしておるところでございます。
  171. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 大学付属病院が救急の告示を受けておるのは御指摘のように非常に少ないわけでありますけれども、特に国立大学の場合には国民の税金で設置されておるという趣旨からも考えて、私どもは救急あるいは地域医療に協力すべきである、こういうことを絶えず指示しておるわけであります。現に、四十九年度の統計調査で言ってみますと、延べ三万八千人の救急患者を全国立大学病院だけで受け入れておるわけでございます。  ただ、大学付属病院が地域医療にどのように貢献すべきかということにつきましては、非常にむずかしい問題がありまして、これは御案内のように、研究機能と教育機能と診療機能という三つの機能をあわせ持っておるために、診療機能としてだけ地域医療に協力できない、同時に研究機能も教育機能もあわせ持たなければならないというところに非常にむずかしい問題があるようでございます。そこで、私どもとしましては、それにつけても一番高水準な医療機関でもある、そういう立場を生かして、十分スクリーニングされた患者を救急患者として、救命的な人を受け入れる、そういうことをぜひ考慮すべきである。それから、災害時等の医療班の組織ということについて絶えず地域と協力しておくべきだ、こういうことを申し上げておるわけであります。  なお、今後、教育の上からも、ぜひこの点については重視されるように十分指導したい、こう考えておる次第であります。
  172. 小濱新次

    ○小濱委員 四時から本会議だという通告を受けましたので、それじゃ、ただいまの御答弁に対しましては一層の御努力を心から要請いたしまして質問を終わります。お帰り願って結構であります。  最後に、自治大臣に一問だけ承っておきたいと思うのです。  救急業務は、搬送から治癒に至るまで医療としての特別な措置が必要であるわけでございます。いままでいろいろ論じてまいりましたけれども、これだけ大きな社会問題でもございますから、人命という最も重要な問題でもあるわけですから、わが国の救急業務は西欧諸国に比べ著しく立ちおくれているという現状でもあるようでございますから、この問題に対する医学教育すら行われていないということをわれわれは聞いておるわけです、また、各省庁にまたがっているという複雑な問題もあって、いま御答弁をいただきましたように、それぞれが努力はしているのですけれども、なかなか効果があらわれないで、私どもの要望が満たされていない、こういうことになるわけですが、これは厚生省あるいは消防庁だけに任せて解決できる問題ではない、こう私どもは見ています。この問題は人命尊重という立場から重要な施策でもございまするので、これは大臣、内閣全体がもっと責任を持って取り組んでいくという姿勢——救急医療問題、これに関係する諸問題の解決は一省庁だけでは、精いっぱいの努力を重ねてきてすでに限界だ、そういうふうにわれわれは見ておるわけです。あとはやはり閣僚全体がもっと責任を持って取り組んでいく、そういう問題であると考えておるわけです。  そこで、そのためには救急医療に関する基本法というものを制定しなくちゃなりませんね。内閣でも何か閣僚懇談会というような形のものを設けて真剣に対策を立てるべきだ、こういうふうにも考えられるわけでございます。これは突然の御質問ですから、大臣としても御無理な質問だとは思いますけれども、この提言を持ち帰ってぜひ検討してもらいたいし、同時に、現行の制度改善を積極的に推進すべきことを私は強く要望したいわけです。そういう点で、これは最後でございますが、国務大臣として、自治大臣のこの問題に取り組む決意をお伺いをして質問を終わりたい、こういうふうに思います。
  173. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 救急問題は各省いろいろの関係もあり、しかもまた重要な解決すべき問題であるという御提言でございます。ごもっともな御提言だと思うので、検討をいたしてまいりたいと考えます。
  174. 小山省二

  175. 折小野良一

    ○折小野委員 時間がないようでございますので、一、二点質問をいたします。  貯蔵タンク安全性につきましては、いろいろと保安基準を定めて点検審査が行われることであろう、こういうふうに考えるわけですが、その安全性につきましては、タンクそのものの安全性が主として検討されるのか、あるいはタンクが乗っておる地盤との関係についても十分安全性が点検されなければならないのか、どうでしょうか。
  176. 松浦功

    松浦(功)政府委員 タンクそのものにつきましても、また地盤そのものにつきましても、地盤とタンクの関係につきましても、すべて十分検討をいたして安全性を確保する、そうでなければならないというふうに考えております。
  177. 折小野良一

    ○折小野委員 地盤の安全性、これはもちろん上物との関係がいろいろ出てくるだろうと思うのですが、その地盤の安全性検査するのに、予定されております検査協会がみずからボーリングその他をやりまして検査をする、こういうことがございますか。
  178. 松浦功

    松浦(功)政府委員 もし協会がボーリングをする必要があれば、ボーリングをすること自体を専門に業としておられる業者があるわけでございます、その業者に各団体からちょうだいする受託料の中からお金を払ってボーリングをしてもらいます。ボーリングということは、だれがやっても客観的に結論が出るわけでございます。その結論をもらって、それを土台に協会が判断をする、これだけのことでございますので、他の業者の方に手が伸びるという形には一切相ならない、こういうふうに考えていただいて結構でございます。
  179. 折小野良一

    ○折小野委員 実はそのことに関連をいたしまして、従来、検査その他の場合に、民間のボーリング業者がその仕事をやってきておった。ところが、今度検査協会ができるとあるいはそういう民間の業者が従来やってきておったボーリングその他から締め出されてしまうのじゃないか、こういうおそれがあるということを心配しておるという  ことを私どもちょっと聞いておりますので、そういう点はいまの御答弁で心配はない、むしろ検査の機会が多くなるので、その分だけ仕事もふえるのだ、こういうふうに理解をしてよろしいわけですね。
  180. 松浦功

    松浦(功)政府委員 そのように御理解をいただいて結構でございます。
  181. 折小野良一

    ○折小野委員 ところで、今回この法律改正によりまして設立が予定をされております保安協会でございますが、これが市町村の危険物行政を円滑に、そして確実にやっていく上において非常に大切な機関になってくるだろうと思っております。結局、市町村の行政もその検査審査、その他を一応の基礎に置いてやっていかなければならないということになってまいりますと、この協会がそれにこたえ得る十分な能力というものを持っていなければならない。まず何といっても技術的な問題でございますから、技術者を確保する、そして十分なそういう能力のある人をちゃんと用意をしておく、それは数におきましても、いろいろな需要がふくそうするというような場合においても適宜適切にやっていけるだけの体制が整っておるということが非常に大切だと思いますが、その点については確信をお持ちでございましょうか。
  182. 松浦功

    松浦(功)政府委員 先ほども質問にお答え申し上げましたとおり、当協会の基本的な問題としては、高度の技術水準を維持する職員の集団であってほしいということ、それらの職員がきわめて中立、公正な立場で、国民の防災という観点からきちんとした検査が行えるという姿勢の問題この二つがきわめて重要であると思います。前段の高度の技術水準を維持するということはなかなかむずかしい問題ではあろうかと思いますが、最大限あらゆる方面から優秀な技術を持った方にお集まりをいただいて、御指摘をいただきましたような形で粗漏のない協会運営を期してまいりたい、また私どもはそのようにやっていく必要があるということを強く考えておるところでございます。
  183. 折小野良一

    ○折小野委員 協会がその業務を十分やっていくためには、もう一つ問題があるんじゃないかと思います。  この協会の任務はここの法律に決められておるわけでございますが、市町村の委託を受けて審査をやるという場合におきましては、その委託料市町村が払う、市町村は関係業者から手数料を取る。これがどの程度の額になるかよくわかりませんが、しかし、協会はそのほかにも、ここの法律で規定されておりますその他の業務もあるわけでございます。したがって、委託を受けて審査をする業務は財源的な基礎が一応あるといたしましても、その他の業務まで合わせましてこの協会が十分な機能を発揮するための財政的な基盤と申しますか、そういう面については十分確保されておるんでございましょうか。
  184. 松浦功

    松浦(功)政府委員 付帯する業務検査に伴いまして当然あるわけなんで、その付帯する業務あるいは職員の研修教育でございますか、そういったための経費というものは、当然協会に必要な経費として積算をするということによってこれを手数料にはね返していくという考えでございますので、そういったものを全部手数料で賄っていく、職員の研修などもしなければならないということは当然でございますから、そういう形で賄っていくつもりでおります。
  185. 折小野良一

    ○折小野委員 一つ考え方といたしまして、それらの財源を関係企業からあるいは負担金というような形で徴収をする、こういうようなことは考えてはおいでにならないのですか。
  186. 松浦功

    松浦(功)政府委員 結局、先生の御指摘考え方と余り変わらないわけでございまして、それらの業界が利益をどれだけ受けるかということはタンクの大きさ、数に大体比例をいたしますので、そういうことになりますと、手数料を取りましたほかに分担金をちょうだいするという思想よりは、もう手数料そのものの中にそういう思想もめり込ませて決めていくということの方がより合理的かつ簡明であるというのがわれわれの考え方でございます。
  187. 折小野良一

    ○折小野委員 考え方といたしまして私申し上げたいのは、結局検査あるいは審査の公正を期するという意味も十分考えて財源調達について御配慮いただく必要があるんじゃなかろうかというふうに考えます。  それでは最後に先ほど海上保安庁から御説明がございました海上防災ですね、これがこの前の附帯決議の線に沿ってできたわけなんでございますが、消防庁として今後のコンビナート防災を一元的にやっていく、こういう体制が一応整ったのだというふうに考えます。もちろん、これは十分な連絡の上で今度の法律ができたのだというふうに考えますが、今後の運用についての消防庁としての所信をひとつお伺いをしておきたいと思います。
  188. 松浦功

    松浦(功)政府委員 海上汚染防止法につきましては、運輸省自体から当初お示しをいただきました案について、いろいろ当省にも疑問、意見がございました。相当の時間をかけまして、運輸省とよく腹を打ち割ってお話をいたしまして、当省の主張も十分取り入れていただいておる法律でございます。したがって、両省の間に、海と陸の接点、ここで空き地ができてしまう、すき間ができてしまうというようなことであってはなりませんので、その辺はよく海上保安庁と連絡をとって、そこに問題が起きないように万全の体制を敷く決意でございますし、またやっていく自信を持っておりますので、そのように御理解を賜りたいと思います。
  189. 折小野良一

    ○折小野委員 終わります。ありがとうございました。
  190. 小山省二

    小山委員長 以上で、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  191. 小山省二

    小山委員長 これより本案について討論を行うのでありますが、別に討論の申し出もありません。  これより採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  192. 小山省二

    小山委員長 起立総員。よって、本案は原案どおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  193. 小山省二

    小山委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、高鳥修君、山本弥之助君、林百郎君、小濱新次君、折小長良一君から、五党共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議の提出者から趣旨の説明を求めます。高鳥修君。
  194. 高鳥修

    高鳥委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党を代表いたしまして、消防法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。    消防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、最近における屋外タンク貯蔵所等危険物施設における事故の実態にかんがみ、危険物施設にかかる技術上の基準の整備及び消防力の充実強化をはかるため、次の事項について特段の措置を講ずべきである。  一 石油コンビナート等災害防止法をすみやかに施行し、関係法令の適切な運用とあいまつて防災体制の整備をはかること。  二 危険物保安技術協会業務の執行にあたつては、地方公共団体の長が行う危険物規制行政の迅速かつ円滑な執行がはかられるよう配慮すること。  三 屋外タンク貯蔵所の技術的審査の公正が期せられるようにするため、危険物保安技術協会の人員、特に、有能な検査員の確保に努めるとともに、協会に対し十分な監督を行うこと。  四 危険物施設の許可等の手数料及び危険物保安技術協会受託料の額の決定にあたつては、地方公共団体の新たな財政負担とならないようにすること。また、危険物保安技術協会の経営的基盤を確保するため、国は適切な配慮をすること。  五 石油タンク等にかかる災害を防止するため、屋外タンク貯蔵所の基礎、タンク本体等に関する技術上の基準の整備をはかること。  六 近時における災害の多様化、大規模化ならびに地震災害に即応する防災技術の高度化をはかるため、消防防災に関する研究を一段と強力に推進すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  195. 小山省二

    小山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  196. 小山省二

    小山委員長 起立総員。よって、高鳥修君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福田自治大臣
  197. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと思います。     —————————————
  198. 小山省二

    小山委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 小山省二

    小山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  200. 小山省二

    小山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十二分散会