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1976-04-28 第77回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年四月二十八日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 小山 省二君    理事 左藤  恵君 理事 中村 弘海君    理事 渡辺 紘三君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君    理事 愛野興一郎君    大西 正男君       片岡 清一君    木村武千代君       篠田 弘作君    渡海元三郎君       古屋  亨君    井岡 大治君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    安井 吉典君       山田 芳治君    多田 光雄君       林  百郎君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席政府委員         自治政務次官  奧田 敬和君         自治省財政局長 首藤  堯君  委員外出席者         参  考  人         (全国町村会高         知県芸西村長) 岡村 雅夫君         参  考  人         (全日本自治団         体労働組合書記          長)     真柄 栄吉君         参  考  人         (立教大学名誉         教授)     藤田 武夫君         参  考  人         (全国知事会山         口県知事)  平井  龍君         参  考  人         (全国市長会相         模原市長)   河津  勝君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   山田 芳治君     安井 吉典君 同日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     山田 芳治君     ————————————— 四月二十七日  地方自治体財政危機打開に関する請願(木下  元二君紹介)(第三七九四号)  地方自治体財政難打開等に関する請願(瀬崎  博義君紹介)(第三八八一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 四月二十七日  地方財政法第二十条の二の規定による大阪府羽  曳野市長提出意見書 は本委員会に参考送付された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二八号)      ————◇—————
  2. 小山省二

    小山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人から意見を聴取することにいたしておりますが、まず午前中は、全国町村会高知芸西村長岡村雅夫君、全日本自治団体学働組合書記長真柄栄吉君の御出席を願っております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうこざいました。本案につきまして、忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  なお、議事の順序は、初めに参考人の方から御意見を約十五分程度お述べいただき、次に、委員諸君からの質疑に対し御答弁をお願いいたしたいと存じます。  それでは、まず岡村参考人お願いいたします。
  3. 岡村雅夫

    岡村参考人 おはようございます。  ただいま御指名をいただきました高知芸西村長岡村でございます。  衆議院の地方行政委員会の諸先生方には日ごろ地方自治の進展については党派を超えた立場から並み並みならぬ御高配を賜り、深く感謝申し上げる次第でございます。本日、本委員会におきまして、地方交付税法等改正法案について意見を申し上げる機会を与えていただきましたことをまずもって厚くお礼を申し上げたいと存じます。  昭和五十一年度地方財政は、長期にわたります深刻な経済不況下にあって大きな影響を受けておるわけでございまして、歳入面におきましては自主財源の伸び悩みあるいは国税三税の落ち込みによりますところの地方交付税の減収を生じ、反面、歳出面におきましては社会福祉施策生活環境整備超過負担の増大、義務教育費累増等財政需要増高一途をたどっておるわけでありまして、地方財政計画ベースで二兆六千二百億の財源不足を生ずるに至ったわけでございます。  この財源不足額は、五百五十九億円の臨時地方特例交付金及び一兆三千百四十一億円の交付税特別会計借り入れを合わせて一兆三千七百億円の交付税増額並びに交付税基準財政需要額の一部、すなわち包括算入分四千五百億円及び公共事業費高校増設費八千億円の地方債振りかえによる財源不足対策債一兆二千五百億円の発行によりまして補てんをされたわけでございます。この結果、本年度交付税総額は五兆一千八百七十四億円、対前年度に比較いたしまして当初比一七・一%の伸びを確保することができまして、今年度地方財政運営は一応乗り切れるものと愁眉を開いておるわけでございます。  今後の実際の地方財政運営はまことに容易ならぬものがあると存じますが、われわれは高度成長時代のぜい肉をこの際に思い切って切り落とし、一層節度ある行財政運営に懸命の努力を尽してまいる所存でございますので、諸先生方には地方財政確立になお一層の御高配を賜るよう特にお願いを申し上げたいと存じます。  本委員会において審議されております地方交付税法等一部改正案について、町村行政立場から二、三意見を申し上げたいと存じます。  まず第一に、改正法案早期成立についてでございます。  先生方にはすでに御承知のとおり、町村自主財源がまことに貧弱でありまして、地方交付税所要額確保いかん町村財政の死活にかかわる問題でございます。われわれは、本年度地方財政対策については交付税率引き上げを含めまして、その所要額確保最大重点事項といたしまして今日まで要望を続けてまいったわけでございまするが、先ほど申し上げました地方財政対策により、地方交付税総額についてば、地方財政計画ベースでは所要増額措置が講ぜられたものとして高く評価をいたしておる次第でございます。改正法案は、この増額措置を行うとともに、社会福祉施策充実教育振興生活環境施設整備過疎過密対策及び消防、救急、公害対策等充実のため関係経費単位費用引き上げを図ることが主な内容となっております。これらの改正措置は当面する町村財政需要に即応するものであり、改正法案内容については基本的に敬意を表する次第でございます。  ところが、交付税概算交付につきましては、すでに暫定予算成立を機に、本年度国税税収見込み額を基礎といたしまして交付されておりまするが、政府予算交付税法改正案がいずれも成立した後の交付額とは三千二百四十九億円の大きな差を生じておるわけでございます。このため、税収の少ない四、五月においては町村の資金繰りはまことに悪化いたし、一時借入金利子増高を招いております。当面の急務である景気浮揚のための各種事業の直接遂行に当たる地方公共団体では財政運営に非常に苦労をいたしておるわけでございます。インフレの火を消すために水浸しになりました経済の、これを乾かすための努力地方団体の務めとして果たさなければならぬ分野が非常に大きいとわれわれは考えておるわけでございまして、地方交付税改正が遅くとも本予算成立と同時に成立するよう諸先生格別のお骨折りをお願い申し上げたいと存じます。  次に、地方交付税傾斜配分について申し上げたいと存じます。  町村の大部分は御承知のように農山漁村でありまして、経済基盤はまことに脆弱でございます。税源に恵まれておりません。他面、学校、保育所道路等生活関連施設整備農林漁業等地域産業振興各種福祉施設充実等財政需要増高一途にありまして、町村の乏しい財源をもっていたしましてはこれに対応できず、行政水準は依然として立ちおくれが目立っております。また次に申し上げますように、過疎町村は次第に増加をいたしております。町村なかんずく過疎地域辺地、山村、豪雪、離島、低開発地域または準過疎地域を含めまして、これら町村に対して交付税傾斜配分を一層強化するよう格別の御配慮を強くお願いをいたしたいと存じます。  次に、過疎対策について若干申し上げさせていただきたいと思います。  のど元過ぎれば熱さ忘れると申しますが、過疎法ができましてすでに前半五年を過ぎたわけでございますが、およそ過疎対策高度経済成長の中で生じましたひずみを是正して、国民がひとしく政治の恵みを受けることのできるように国土の均衡ある発展を図るためにあると存ずるわけでございます。しかしながらわが国の過疎対策は、去る四十五年に緊急措置法が施行されまして以来、おかげさまで逐年充実されてまいりましたことは感謝申し上げるわけでございますが、一方なお過疎市町村行財政上の苦悩はとどまることなく、ますます深刻化する財政事情の中にあって、交通対策医療対策等を初めといたしまして民生安定に懸命の努力を傾けているところであります。特に交通対策中、過疎バス対策といわれる現行の地方バス路線維持対策はこの本五十一年度をもって終わることにされております。運輸御当局において現在、今後の対策を御検討中と伺っておりまするが、過疎地域バス交通事情はなお多くの問題を抱えておりますので、引き続き格段の御措置お願い申し上げる次第でございます。  また、昨年度から産業振興重点といたしました後期五カ年計画が進められておりまするが、過疎地域産業農林漁業を中心とせざるを得ませんので、その振興施策過疎地域住民最大関心事であります。働く機会の乏しいところに人を落ちつかせることが困難であることは申し上げるまでもなく、十分御認識を賜り、施策充実についてさらに御配慮下さるようお願いを申し上げたいと存じます。  先般、昨年の国調に基づきまして新しく五十一町村過疎地域に指定を告示されたわけでございまするが、全国過疎市町村数は一千九十三市町村全国市町村の三分の一を超えるに至りましたが、いずれにいたしましてもこれら過疎市町村は特に税源等乏しく、交付税への依存度が高い関係から、本法案成立の一日も早からんことを切望するものでございます。  以上、交付税法改正と過疎問題につきまして意見を申し上げましたが、地方財政は前年度において一兆一千二百億円の交付税特別会計借り入れがあります。これに本年度借り入れを加えますと、交付税特別会計借入額は約二兆五千億の巨額に達しまして、また地方債も膨大な額に達し、これは将来の地方財政の重圧となることは明らかでございます。私たちはよく、国も借金政策をとっておるので、苦しいときは同じだ、地方もひとつ借金でしんぼうしなさいということをよく言われるわけでございますが、基本的には私たちもあえてこれを否定するものではございませんし、その考え方はよくわかるわけでございますけれども、ただ、国はみずからの判断でみずからの力でこれの今後の対策を講じることができるわけでございますけれども、私たちのようないわゆる地方団体にはその道は許されておらぬわけでございまして、同じ借金といえども性格が基本的に異なっておるというふうに私たちは理解をいたしておるわけでございまして、そういう点を十分御認識をいただきまして、今後ともひとつよろしくお願いを申し上げたいと思うわけでございます。  経済安定成長時代に即応いたしまして、将来の地方財政安定的運営を期するためにも、国、地方を通ずる行政事務税源の再配分を断行すべき時期に直面をしておるものと判断をいたしておるわけでございまして、明年度を目途に、交付税率引き上げを初め地方行財政制度の抜本的な改正について御検討を賜りたく、お願いを申し上げて意見の開陳を終わりたいと思うわけでございます。  委員長さんの方からお示しいただきました時間よりは若干早く済みましてまことに申しわけございませんが、よろしくひとつお願いいたしたいと思います。(拍手
  4. 小山省二

    小山委員長 次に、真柄参考人お願いをいたします。
  5. 真柄栄吉

    真柄参考人 自治労の書記長をやっています真柄と申します。  日ごろ先生方地方自治確立のため御尽力いただきまして、この機会に心から敬意を表するところでございます。  まず、意見を述べますに当たりまして、全般的にここ数年財源不足というか、地方財政悪化の状況を私どもがどう考えているかについて若干意見を申し述べてみたいと思います。  近年あらわれています地方行財政特徴、特に大蔵省あるいは自治省などの財政当局によって代表される政府指導行政の特色を考えてみるならば、第一に、国と地方自治体との関係で、国の自治体への行政介入が一層強まっているのでないかということ。第二に、自治行政多様性が否定をされまして画一化が進んでいるのではないかということ。第三に、行政効率化という名のもとに行政企業化が進んでおるのではないだろうか。第四に、高負担政策展開、こういう道筋が着々と進められているのではないか。こんなふうに考えます。  まず第一に、国の自治体への行政介入の問題でありますが、いまに始まったことではないと考えますけれども地方財政悪化とともにきわめて露骨に、しかも行政指導強化という形で行われておるところに今日最大特徴があるように思われます。たとえば、一般財源不足地方債で埋めるという傾向が顕著なわけでありますが、政府自治省地方債許可制度をフルに活用しまして、自治体行政運営に不当な介入をしていると思うのであります。過日、道府県二十二団体、市町三十二団体、一政令都市に対しまして千三百十二億円の財政健全化債が許可されました。これは、自治省がいわゆる健全化計画を出させることによって認めたものでありまして、われわれとしては、こうした行政介入は意識的といいますか、恣意的な要素がかなり強いと思わざるを得ないのであります。  第二点、行政画一化という問題ですが、これは、地方債国庫支出金など特定財源増加とうらはらに一般財源の比率が低下をしており、この結果として自治体は国の後押し行政自己財源を吸収されまして、自治体独自行政の領域が著しく狭められておる現象であります。地方自治の真の意義は、独自行政展開にあると思うわけですが、一般財源不足は国の行政介入と相まってこうした画一化を促しつつあるのではないだろうか。  第三に、行政効率化という名のもとに行われるいわゆる企業的論理の導入であります。たとえば清掃事業を初めとする事業民間委託強化がまさにそれだと思うのでありますが、そこには、自治体が本来行うべき事務の範囲は一体どこまでなのか、こういうかなり根源的な問題といいますか、自治体の質にかかわる問題があると思うのであります。  この問題は、自治体福祉をどこまでやるかという問題にもつながります。政府は、一昨年来先進的な自治体福祉行政をばらまき福祉とか呼んで、地方財政悪化の要因に数え挙げて、これを切り捨てようとしてきているわけであります。これは高度経済成長がもたらした公害など、生活環境の破壊、これに対する国の福祉行政の立ちおくれを補う形で実は自治体が行ってきたのだと思うのでありますが、こうしたことから考えても問題があるように考えられます。  第四の高負担政策は、すでにいろいろな形で言われておるのでありますが、昭和五十一年度地方財政対策の柱にも今日なっていると思います。先般成立した地方税法で、個人住民税均等割を三倍に引き上げたり、所得割課税最低限所得税のそれの七〇%に引き下げ四十年度水準にしたり、住宅用地固定資産税引き上げたりしており、さらに授業料等使用料、手数料を引き上げ各種公共料金引き上げ方向指導が行われておる点はまさにそれだと思うのであります。  このような傾向に見られる政府の意図は、高度経済成長のゆがみを是正するという形で展開されてきた福祉政策あるいはそれを支持する世論を行き過ぎだと判断をし、不況機会にこれを再転換をさせようとしておるように思われます。  自治省の現職の鎌田次官は、たしか「自治研究」という雑誌の中で、中央集権は悪、地方分権は善という発想について公然と疑問を投げています。経費の節減、効率化こそ低成長下地方財政健全化への手っ取り早い道だと言い切っておるのでありまして、こうなってきますと、私どもといたしましては、地方財政危機は即地方自治そのもの危機ではないだろうか、こう受けとめざるを得ないのであります。  次に、具体的にこの法案内容について意見を申し上げたいと思います。  私は、この法案反対であります。  反対理由の第一は、今回の改正に当たって政府交付税率引き上げを行ってない点であります。周知のとおり、交付税法第六条の三の二項によれば、引き続き財源不足が著しい場合には、制度改正なり交付税率引き上げなりを行うこととなっておりますが、私は、五十一年度はこの要件を十分満たしていると考えます。すなわち、地方交付税財源不足はすでに相当前からあったのでありまして、政府基準財政需要額に算入すべきものを算入しなかったがゆえにそれが顕在化しなかったにすぎないと考えます。現に政府は、昭和四十八年度、九年度に続きまして、五十一年度に七万五千人の公務員の定数規模是正を行っています。これは従来五年に一度の悉皆調査に基づいてそれを行ってきたことから見ましても非常に異例な措置と言わねばなりません。政府がこうした異例な措置をとったということ自体、従来の後追い的規模是正の不合理性に加えて、長く定数算入が不十分であったことを政府みずからが告白していることになりはしないでしょうか。また、昭和四十九年度の場合も明らかに財源不足でありまして、五十年度に精算すべき四十八年度分の精算額二千六百九十億円を場当たり的に繰り上げることによってこれを糊塗したにすぎないと思います。  以上、明らかに引き続き財源不足が著しいのでありまして、法律趣旨から申し上げましても地方交付税率引き上げるべきだと考えます。  反対理由の第二は、基準財政需要額を削って地方債振りかえ措置を行っていることに関連してであります。そもそも基準財政需要額の算定という行為の中には、標準団体なりあるいは単位費用というモデルを媒介としましたあるべき行政水準という設定があるかと思います。このような抽象的基準に照らして必要な財源を算定するというところに、個別特定的でない一般財源としての地方交付税特徴があるのでありまして、制度趣旨もまさにそこにあると思います。しかるに、今回いとも安易に一兆二千五百億円もの投資的経費を削りまして地方債振りかえてしまいました。そして、政府はこの一兆二千五百億円のうち二千億円は元利を見、二千五百億円については利子だけを見ると言っているのであります。いま述べた地方交付税制度そのもの趣旨からして、ある財政需要基準財政需要に算入するか、あるいはそのまま地方債で見るかという問題は単なる財源措置のあり方の問題にとどまるものではないと思いまして、いわゆる財源の質、制度存在理由にかかわることというふうに考えるわけであります。この一兆二千五百億円も当然地方交付税源増額措置の中で見るべき経費であります。仮に百歩譲って交付税率引き上げが今回間に合わなかったといたしましても、政府としては最低限何をなすべきか。これを地方債振りかえるのではなくして交付税特別会計借入増として処理すべきだったと考えます。そのようにしなかったがゆえに、本来一般財源であるべき交付税一般公共事業債等として八千億円もの特定財源化しているのであります。このような制度の存立の趣旨をねじ曲げるような財源措置というものは、政府としてとるべき措置ではないのではないかと考えます。  最後でありますが、反対理由の第三は、財源対策地方債交付税特別会計借り入れに頼ること自体の問題であります。この措置は当面の財政需要を将来に延ばしたり将来の財源を先食いするのでありまして、地方交付税制度の運用の基本をゆがめることになりかねないと考えます。昭和五十年度に発行された赤字債元利償還金基準財政需要額に算入されたように、五十一年度赤字債もやがてそこに算入されるでありましょう。これを私なりに試算をしてみますと二千億円近くになるかと思います。この分だけ将来の義務的支出を約束をし、毎年経費を圧迫することになるわけであります。また、交付税特別会計借入金の返済は五十三年度は八百五十億円、五十四年以降六十年まで毎年二千億円ないし四千億円に上ると、これも自治省の責任ある立場方々雑誌その他で試算をして示しておるところであります。今日、国際的な経済あるいは日本経済昭和四十年代以降の動向から推してみまして、かつてのような高度成長は望み得べくもありません。それどころか、不況あるいは財源不足という事態が再び近い将来起こらないという保証はないと思います。したがって今回のようなびほう的な策では地方財政危機はさらに深化をしていくことになりはしないかと懸念をするところであります。  私どもは当面地方税財政制度の次のような改正を行なうべきであると考えます。  地方税制については、個人住民税累進構造強化法人税割制限税率の引き下げ、産業用電気への非課税規定廃止など、大企業に有利な特別措置廃止、大規模事業用地に対する課税標準取引価格並みにすることなど、税収の増を図る一方、大衆負担の軽減も図るべきだと考えます。  地方交付税については、税率引き上げつつ、同時に地方財政調整制度そのもの抜本的改正に向けて、国のレベルにとどまらない、地方公共団体関係者を含めました検討委員会などを設置しながら、事態本格的改革に向けて検討が進められるべきだと考えます。  さらに地方債許可制度をやめて、起債そのものも目的に沿って自由化をする。こんなことについて私たちは要望したいと思うのであります。  以上、考え方の一端を申し上げさせていただきまして、御審議の地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する意見とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手
  6. 小山省二

    小山委員長 これにて参考人からの意見の聴取は終わりました。     —————————————
  7. 小山省二

    小山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  8. 小川省吾

    小川(省)委員 お二人の参考人にはそれぞれのお立場から御苦労さまでございました。御意見、しっかり拝聴させていただきました。  一、二お伺いをいたしたいと思うのでございますが、まず芸西村長岡村さん、地方財政の厳しい中での行財政運営、御苦労さまでございます。私は群馬県の出身でございますので、高知町村の日常については知り得るはずもありませんから、失礼ながら一応芸西村の身元調査をさせていただいたわけであります。  岡村さん、あなたの運営がよろしきを得たか、おたくは累積赤字もなく、四十九年度は二千九百九十七万の黒字決算のようでございます。四千六百人余という人口から推察をいたしますと、恐らく準過疎程度農山村ではないかと思うのであります。御意見の中でもいろいろ申されておりましたけれども自治省農山村に対しては過疎債辺地債等十分めんどうを見ているというのですが、私は過疎債なり辺地債にしても、これは起債による財源手当てでございますから、当然当座しのぎのことであって、債務は将来にわたって残っていくわけでありますから、また起債消化等農山村ではなかなか容易ではないのではないかと思っています。当然農山村に対する交付税上の措置としては単位費用を思い切って引き上げるなりして手厚い措置を講ずるべきであると思っておるわけであります。  人件費を拝見いたしますと、五十年度のラスパイレス指数、自治省が最近よく使うのでありますけれども、九五・四%で、国家公務員の水準を下回っているようであります。しかし必要な職員は当然置いていくわけでありますから、財政的に苦しいのではないか、これは御多分に漏れず各町村並みの苦しい情勢であるというふうに思っております。起債による財源手当てではなくして、抜本的に手当てを講ずべきであると思っていますが、特に町村会の代表としてではなく、農山村地域の首長の代表という立場で、私のいま申し上げた、農山村に対して財源手当てがいまのところ薄いというような状態について、いま自治省に特に強く望みたい点はどんなところでございますか。
  9. 岡村雅夫

    岡村参考人 いま先生から御質問をいただきましたが、すでに身元調査をされておりますのでよく承知していただいておると思いますが、私の村は準過疎ということでなしに完全な過疎町村であります。ただ、過疎ではありますけれども高知市と例の室戸岬のある室戸との中間ぐらいにある漁村でございまして、比較的地理的条件には恵まれておりますし、その産業の主たるものは、蔬菜園芸を主体に生きておるわけでございます。したがいまして、同じ過疎ではありますけれども、一般の東北地方のような過疎状態とは違って、蔬菜園芸というのは非常に機械労働といいますか、農業従事者の年齢層が比較的若いわけで、ということは老年では蔬菜園芸の運営が非常に困難でございますので、早く若い世代への交代がスムーズにいっておる。ということは、同じ過疎でありながら、労働力は老年でなくて比較的若い層の有数な労働力が確保できておるというところが、同じ過疎でありながら恵まれておる状態であるわけでございます。そういう町村でございますので、私の財政運営の基本といたしましては、極端に言いますと給与費以外はすべてを農業の基盤整備費に打ち込むという基本姿勢で今日まで取り組んでまいったわけでございます。もちろん福祉の面について、これはおろそかにはできませんけれども、極端に申し上げれば、一切のものはやめても農業の基本になる基盤整備費にそのすべてをつぎ込むという方針で今日まで財政運営に当たってまいったわけでございまして、いわば極度な選択的な行政を行ってきたというふうに私は考えておるわけでございます。そういう意味から、投資した金のはね返りが比較的順調にいったのではなかろうかというふうに判断をいたしております。そういうところに弱小ながらの強さを私は持っておるというふうに自負をいたしておるわけでございます。  それから、先生の方からラスの問題が出ましたが、私の村はわずか四千六百程度の小さい村でございますが、職員の給与については国の基準を基礎に、大体それに準じて行っておるわけでございます。ただ一つ、小さい村でございまして、田舎のことでございますので、合併当初、十年、二十年前には職員の採用試験ということをやらずに、いわば面接程度の採用をいたしておったということでございまして、したがいまして、その任用のときにおいて一段階低い試験採用でない採用の仕方の初任給が与えられたということで、出発点において若干低かったということは事実であろうかと思いますが、その後国の基準に準じて改善をいたしておりますので、今日はほとんど国のラスの一〇〇に近い状態にあるというふうに判断をいたしておるわけでございます。  以上でございます。
  10. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、自治省真柄書記長さんにお伺いをいたします。  いろいろな角度から地方財政についての御指摘をいただきました。自治労は自治体労働者の結集をした団体としての角度から地方財政確立という立場がおありであることはよく了解をいたしておるつもりでございます。三つの点についてお尋ねをしたいわけですが、時間の制約がございますから一括して御質問いたしますので、一括してお答えをいただきたいと思うのでございます。  まず第一に、今年度のびほう的な借金財政についての御意見がございました。私も常々指摘をしているわけでありますけれども、その率を三二%としている現行の交付税法はすでに耐用年数が切れているといいますか、破綻をしてしまったというふうに実は思っているわけであります。自治省の従来の財政の健全化という主張とは逆に、交付税会計への借り入れ、膨大な起債によって辛うじて地方財政が維持をされているというだけでございます。健全なはずはございません。対症療法のみあって根本的な対策がないわけであります。私どもは従来起債の許可制はやめなさいと主張をしてまいりました。いまもそういうような主張がございました。枠を外せと言ってきたわけであります。しかし、このような多額な自治省主導型の起債を予想していたわけではありません。そういう意味で、借金財政、起債依存の財政というものについてどうお考えですか、もうちょっと御意見を述べていただきたいというふうに思っているわけであります。  それから次に、人件費地方財政との関連でありますが、人件費を目のかたきにした、諸悪の根源であるというような調子の自治省の攻撃はまさに目に余るものがあったわけであります。五十年度の給与改定は、軒並み国家公務員の人事院勧告を下回る措置がとられたところが多かったというふうに聞いておるわけであります。人件費を切り下げたところはどこにあってもおしなべて財政は苦しいわけであると思います。自治省がいまさらわかったわけではなくして、承知をしながら人件費に対する攻撃をしかけたわけであります。そういう意味で、人件費を言うならば、先ほども意見の中にありましたように、いわゆる実態と交付税上との定数の乖離というふうな面のみが強調されるべきだというふうに私も思います。人件費地方財政危機の原因だという自治省の説明といいますか、いやむしろ攻撃なんですが、これを自治労としてはどう受けとめておられるのか、また地方財政危機の真の原因について住民に対してどう訴え、知らしめているのですか、二点目にお伺いをいたしたいと思うのであります。  次に、自治労は地方公務員労働者の立場から、地方自治を住民と提携をして守るという日常活動や、自治研ですか、地方自治研究活動を通じて地方行財政の健全なる進展を図る活動をしておられることも承知をいたしておるわけであります。しかし、最近の自治省行財政の指導は、先ほどもございましたけれども、指導、助言という立場を離れて、干渉、介入立場が往々にしてといいますか多くの場合とられているわけであります。私はいたずらな人件費の攻撃なり抑圧というものは、職員も人間であり感情を持っている以上、職員の労働意欲や士気の低下をもたらし、ひいては行政水準の低下につながっていくことを実はおそれているわけであります。角をためて牛を殺すというようなことがなきにしもあらずだというふうに思っているわけであります。人件費に対する抑圧や圧迫が行政水準の低下をもたらしている事実が出てきているのではないかというふうに考えておりますけれども、その点についてはいかがでございますか。  以上、三点についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  11. 真柄栄吉

    真柄参考人 第一点の、一口に言って借金財政についてでありますが、地方財政法の基本的理念から見ましても、財政のあり方は単に単年度の収支の均衡を得るだけでなくして、将来にわたっても健全性が維持されなければいけない。この立場からしますと、昨年、とりわけことしの例を見ますと、先に先にと借金の額がふえていくということについて今日政府はどのように処置をしようとしておるのか心配でなりません。たとえば先ほど少し申し上げましたが、基準財政需要額にやがて算入されてくるのでないかと思います赤字債が、昨年は八千五百億、ことしは一兆二千五百億でありますが、このうち二千五百億については政府の方でとりあえず見ると言っていますから一兆円、両方合わせまして一兆八千五百億、これを基準財政の算入率で、これは県八〇%、市町村七五%ですが、仮に七七・五%ぐらいとさせていただきまして、七、八年間でこれを返す前提に立ちますと、さっき申し上げましたように、毎年二千億近い金を返していかざるを得ない。しかし、それをどうして返すかという問題については政府は今回明らかにできなかった。経過の中では何か現在の公営企業金融公庫ですか、これをもう少し拡充をするということを考えたようですが、それもならなかったわけであります。こういうふうに見てまいりますと、償還方法なりあるいは償還予定がはっきりしないままにいるというのが一つ。それから、現在のような赤字債が高利のままに市中に出回わらざるを得ないというような問題。こういう角度から見て、われわれとしては大変問題があり過ぎはしないかというふうに考えているところでありまして、ぜひとも先生方の御審議を通じて心配のないようにしていただく必要があるのでないかと考えます。  あわせまして起債の許可制の問題でありますが、これは最後に御質問になりましたいわゆる自治体に対する指導、助言、この問題ともかかわって、たとえば私ども立場で見れば退職手当債なりあるいは健全化債、こういうような問題をも含めて総体として何か中央集権的な印象が強まる中で、困っているから金のめんどうを見る、そういう姿が出てきておる点については、これは地方自治にとってみれば決して満足すべき状態でないんじゃないだろうか。単に自治体労働者が人件費の面でいじめられているだけにとどめないで、住民福祉といいますか、地方行政を推進していく地方自治そのもの立場から見てみても、ここは考え直しておくべき問題点ではないだろうかというふうに考えます。  それから第二点は人件費問題でございますが、なるほど御指摘がございましたように、私たち昨年一年間ずいぶん攻撃も受けまして、思うように国どおりに給与の改定ができなかったのであります。私たちは、人件費が決して地方財政悪化した主な原因でない、こういうことを繰り返し内外に訴えてまいりましたが、昨年一年間の事例をここに申し上げるまでもなく、考えてみただけでも、人件費を抑制するという行政当局の意思が仮に一定程度実ったとして、それならばその見合いにおいて地方財政はそれだけ改善されたか、これは何らそういうところと符合するところがないのでありまして、まさに地方財政はますます悪化をたどっておるのではないか。こういう一例をもっていたしましても、私どもは、人件費問題が地方財政悪化の主要な原因ではない、むしろ自治体関係者あるいは住民の皆さんを含めまして、何かしら人件費地方財政悪化させた、こういうふうに錯覚させることにおいて問題の基本的解決が内外において理解され、認識され、手がけられていく、そういう面でおくれをとっておることになっていやしないかというふうに懸念をします。したがって、真の原因という角度で申し上げれば、かねがね申し上げていますように、これはまさに地方財政の構造的な原因だと思いますし、より具体的には中央と地方の仕事の配分の問題について掘り下げて検討を進めるべきでありますし、さらに、それに見合うべき財源の保障がきっちりと地方財政法の理念に沿って措置をされていかなければいけない。超過負担等の問題については、知事会等が六千四百億とか明らかにしておる一つの代表的例がありますけれども、こういう代表的な超過負担等の問題がまるで未解決になっていることを含めまして、いま一番必要なことは、地方財政のこの長年にわたってきた構造的原因を、国民の皆さん方にわかりやすいように分析、整理してお示しをしていく道が、地方財政確立の全体のコンセンサスを得る道になっていくのではないだろうかと思います。  あわせて、高度成長政策が破綻をしたことによってあのようなインフレが一遍に訪れたわけでありまして、これによって地方財政ががたがたしたことは先生方承知のとおりでありますので、申し上げることを省略させていただきたいと思います。  最後になりますが、いわゆる自治省の指導、助言が事実上は不当な介入、干渉になっているという点については、私たちとしてもぜひ御理解を賜ると同時に直していただきたいと思うのであります。特に昨年は、五・一六次官通達という形の中で、たとえば人件費あるいは住民負担、こういう面についてそれぞれ一定の合理化計画を出させることを前提としてお金のめんどうを見るという形に、経過はなっておるのでありまして、この影響するところは行政水準の低下といいますか、人件費の場合は、説明するまでもなく人件費がイコール事業費的な自治体の仕事になっているわけでありまして、そういう点で高齢者の皆さん方がたくさんおやめになっていくあるいはまたやめた後欠員が不補充になっていく、こういう状態というのは私どもなりに大変憂うべき状態だと思います。  最後に、一言でありますが、本年度の国家予算なり地方財政計画を通じまして、昨年対比で公共事業が大体二〇%ぐらい増になっています。先生方御案内のとおり、予算が大体二〇%ふえるということは仕事が二〇%ふえることにつながらないわけであります。とりわけ欠員不補充、その当該部門に人手不足という状態が生じますと、予算が二〇%ふえるということは仕事量では二倍にもなっていきかねない、こういう状態が大変心配されるのでありまして、こうした一つの指導のあり方について、とりわけ五・一六次官通達等に盛られた人件費合理化あるいは住民負担の増という形だけを強調するようないわゆる不当な介入の仕方については、本委員会等の審議を通じましてぜひとも直していただくように、これはお願いとして申し上げさせていただきたいと思うところであります。
  12. 小川省吾

    小川(省)委員 いまの御答弁に関連をして申し上げたいのですが、私はきのう委員会の質問に立ったわけであります。それで、いま言われたような、要するに人件費の抑圧なり介入なり干渉、こういうことは、四十二年八月の地方行政委員会で細谷議員と時の藤枝自治大臣との間で確認をされた事項を再確認をいたされたわけであります。そういう意味で、地方財政確立自治体職員という立場で、そういう確認も受けておりますから、そういうことで勇気と確信を持ってぜひやっていただきたいことを要請をして、終わります。
  13. 小山省二

    小山委員長 細谷治嘉君。
  14. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんから、要点だけをお尋ねしたいと思います。  最初に岡村参考人にお尋ねするわけでありますが、岡村さん、後段で述べられました、財政について国はやはり一〇〇%オールマイティーの権能を持っている、ところが、地方地方債を発行するにしても許可を受ける、言ってみますと当事者能力を持っていないんだ、そういう基本的な認識、これは私も全く同感であります。そういう岡村参考人と同じ認識に立ってみた場合に、今回政府から出された交付税なりあるいは地方財政措置について高く評価する、こういうお言葉がございましたけれども、どうもそういう基本的認識からいきますと、高く評価するということについてやや矛盾しているのじゃないか、こういうふうに私は感じました。これが一点であります。  それから第二点は、高度経済成長時代のぜい肉、私もやはり高度経済成長時代には国も地方もぜい肉の存在を認めないという立場にございませんけれども、おっしゃるようなぜい肉とは何をおっしゃっているのか少し具体的にお尋ねをしておきたいと思います。  それから早期成立。これは四月、五月には歳計現金が一番枯渇するときでありますから、私どもも同感でありますけれども、その早期成立を願う理由として、たとえば昨年来憂慮されまして、大蔵、自治大臣との間で覚書が取り交わされておりますように、金融機関からの借り入れということについて、よく世間で言われるような金融難というような現象がおたくの方で存在するのかどうか。これが内容の一つであります。  もう一つ、最後に述べられました、昭和五十二年度においては地方財政の抜本的な対策を講じていただきたい、私どももそう思います。そういう意味において、早く通さなければならぬと思いますけれども、早いばかりが能で中身が空っぽではどうにもならぬだろうというふうに私は思っておるのでありますけれども岡村さん、どうお考えなのか、これをお答えいただきたいのであります。  それから真柄さんにお尋ねするのでありますけれども、先ほど国の行政介入という形が、たとえば特定財源を通じて、特に最近は退職債、あるいは五月十六日の次官通達に基づいた健全化債、こういうことによって、お言葉を借りますと、それを恣意的にやや地方公務員の問題なり福祉にスポットを当てて、この健全化債というのが使われておるのではないかという御指摘でございました。  私はせんだって広島県に二カ所ばかり調査に参りました。その際に、退職債なり財政健全化債をいただいておる団体は、一つは公共料金を大幅に引き上げる、使用料、手数料等の大幅引き上げ、それから第二点は、人件費の抑制という形において給与水準の引き下げ、人事院勧告の値切り、それから退職をかなり厳しく、ちょっと予想もできないような、強制力が伴うような退職条例というものがつくられて、職員の数を減らす、こういうことが健全化計画の一つの柱になっております。ところが、これは公務員労働者にとっては大変重要な労働条件の基本に関係する問題でありますけれども、職員団体と何ら話し合いをしないで一方的に提案され、そして議会の議決を経ておるという例がたくさんございます。あるところに至っては、当事者である自治体の執行部ではなくて、百条調査権というものを持ち出しまして、地方議会の方が主役になって、この健全化計画を推進しておる、こういう実例が多々ございます。これは、まさしく執行権の放棄であり、地方自治の放棄であるというふうに私は思うのでありますけれども、そういう例が全国にたくさんあり、自治労としてはどういうふうに対応していっているのか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
  15. 岡村雅夫

    岡村参考人 お答えいたしたいと思います。  借金問題ですが、私たちは率直に申し上げて、今日の借金が将来へ残す負担についての心配はごく最近まであまり感じていなかったわけです。従来、問題があれば国にごめんどうを見てもらうということの中で大体問題が解決してきたんだということで、将来の問題については余り大きな心配はせずに参りました。そのこと自体が非常に軽率であったというおしかりがあるとすれば、それは当然だと思いますけれども、率直に申し上げて、そういう感触で今日まで参りましたが、今日の状態ではもうそういうことが許されないということをはっきり認識した、そういう感触に立って、今後の借金問題が非常に大きな問題になるという認識をいたしておるわけでございます。  それで、いま御質問の中にありました、私の先ほど申し上げたことと、高く評価することとの矛盾といいますか、そういう意味の御質問でございますが、ただそれだけでは確かにそういうふうにお感じになるだろうと思いますが、私が高く評価をすると申し上げましたことば、とにかく当面の問題として、われわれは地方財政計画に必要な、盛られた金の手当ては何が何でもやってくださいということを最大の目標として今日まで要求をしてまいったわけでございますが、その内容のよしあし、問題を将来へ残すということは別として、当面の処理にわれわれが要求してまいりましたそれに対しては十分なおこたえをしていただいたという意味で評価をしておると、こういうことでございますので、高く評価をしたということが適当でないとすれば、その辺はひとつ御勘弁を願いたいと思います。とにかく私はそういう立場で先ほど申し上げたということを御理解いただきたいと思います。  それからぜい肉という問題ですが、これは率直に申し上げて、いま具体的に言ってみよということですが、きょう具体的に幾つもの例を提げてまいったわけじゃないわけでございますが、問題は高成長時代から低成長時代へ大きく変換をする中で、いままでの体制なり組織でそのままいくということはとうてい許されぬであろう、いわば高度成長から引っ張る低成長、その出たものがぜい肉だという、まあ非常に漠然とした言い方ではありますけれども、そういう感触で申し上げたわけでございます。まあ意識の中には、人によって若干考えが違うかもわかりませんが、私たち理事者の立場では、給与問題もすべてではありませんけれども財政硬直化の一つの大きな原因であるというふうに受けとめております。そのことは、ある意味ではぜい肉と言える分野もあるであろうというふうにも考えております。それから福祉の問題につきましても、当然福祉の後退は許されないとは言いながらも、やはり福祉の問題は、国なり地方なりいわゆる公共が持つべき限界というものもはっきりする必要があるであろう、そういう中では見直すべき面もあるのじゃなかろうかという判断もいたしておるわけでございます。まあ余り具体的なことは申し上げかねますが、先ほど申しましたように、高度成長から低成長を引っ張った、残ったものの中にぜい肉という性格のものがあるという意味で申し上げたというふうに御理解をいただきたいと思います。  それから、そういういろいろ重要な問題を含みながら早くこれを成立させるということについての質問だと思いますが、われわれは、いま言ったような基本的な問題については、きょうあすに結論が出せるものだとは考えておりません。早くそういうふうにしていただきたいということには限りがありませんけれども、直ちにそういうことが実現できるという理解はしていないわけでありまして、国は国なりにそれぞれの調査研究する機関もありますし、地方制度調査会にしましても、国会議員の先生方も入っておられますが、そういう中でも、従来の長い間のあり方といまここで方向転換をすべきであろうという問題について検討されておりますし、その中には当然財政問題とかすべての問題が含まってくるんだろうと思いますが、そういうようないろいろな機関研究の過程を踏みながら改善されるべきことを期待をいたしておるわけでございますので、そんなことを言っておったんでは間に合わぬ分野がありますので、いまわれわれが要望しております必要な財源確保するための法案を早急に通してください、しかし将来にわたってそれでは困りますので、少なくとも来年度予算までにはそういう根本的な問題を検討して改正お願いをしますと、こういう意味で申し上げましたので、御理解いただきまして、格別の御協力をお願いいたしたいと思います。  以上でございます。
  16. 真柄栄吉

    真柄参考人 第一点として、自治省がたとえば健全化債あるいは退職手当債等を認めるに際して見られた行政介入の結果は、それぞれの自治体の場における労使関係を否定をしておるというところに一番問題を感じています。したがって、国にぜひともそういう意味での是正を望むとすれば、あくまでも労使が話し合って所要の結論を得る、その手続なり内容をじっくり待つなり尊重する、そういう意味で、仮に運営がなされるとすればなされるべきであって、いままでの経過はそういう点が否定をされて、恣意的に、特に労使関係を経過、結果両方から否定をするような角度で行われてくる点は、私どもとしても認めることができないというのを第一点のお答えとして申し上げたいと思います。  第二点は、いまは国の立場から地方に対する関係を申し上げましたが、地方においては、先生も御指摘のように、いわゆる議会の立場から、労使が話し合って決めた結果についても認めないような傾向が最近あらわれてきています。私たちは、この問題は労働基本権にかかわる基本的な問題であって、とりわけ団体交渉なりあるいは団体協約事項として定められ、内容的にも決められたものについては、議会がそのことを尊重するという立場が基本であるし、地方自治あるいは民主主義全体の立場から見てそれが望ましい方向だと見ているのでありますが、現地における実態は、むしろ議会が首長の前面に出て、労働者の身分、賃金、労働条件をすべて処理をするやの状態も見受けられることはまことに残念であります。したがいまして、議会と労働基本権という問題は、どちらがどっちに優先するかという問題ではありませんで、議会もオールマイティーでなければいけない、労働基本権も本来固有の権利としてまた認められなければいけない。問題は、手続論として労使関係における話し合いが尊重され、その経過を受けて、議会は議会の立場でまた地方行政の全般の立場からいろいろ意見を言っていただくこと、こういう関係をぜひつくっていかなければいけないのではないだろうか。まさに地公法なり地公企労法の関係から見て、その条文に照らしてどうという意見をここで申し上げるつもりはございませんけれども、労働基本権がゆがめられておる点は、私たちとしても残念であるし、ぜひとも直していきたいと思っています。  なお、私不勉強で大変恐縮なんですが、先生方にもぜひ今後御教導賜りたいと思うのですが、一九六〇年にベルギーの公務員が、やはり労使で決めたことを議会がお認めにならない、こういう事情のもとにおいてストライキを多発をして、一年がかりで議会と労働者の基本権といいますか、そういう問題を民主主義的に一応了解し合うところに至った、こう伝えられておって、ぜひとも現地の実情を含めて勉強もしてみたいなと考えておるところでありますが、私どもとしても、そういうヨーロッパの一つの例を引き合いに出すまでもなく、やはり円滑な労使関係確立をする、そのことが基本にあって、また議会における議会活動も地方自治の前進のために一層オールマイティーの機能が発揮できる、こういう両方が立つようなあり方について先生方にも御理解を賜ると同時に、御指導等についても御検討を賜れば幸いというふうに思っておるところでございます。
  17. 細谷治嘉

    ○細谷委員 一点、要望。岡村さんありがとうございましたが、一つ、地方制度調査会等、地方行政財政の問題について検討していただくことは大変結構でありまして、私もそれに大きな期待を寄せておりますけれども、最終的な決定は国会である、こういうことをひとつお忘れないようにお願いいたしたいと思うのであります。  それから、これは理事者と組合側とおいでいただいておりますので、最近私が経験したことでは、話し合いのルール——組合側は何人出る、そして大体基準としては何時間ぐらいでということの協定ができておりますけれども、その協定が実施されていないで、昨年の十二月八日以来、ベースアップ等を一切含めて全然話し合いをしていない、こういうことがあります。そういうことがありまして、これは組合側の方が百点満点だとは決して私は思いません。組合側の方の交渉の仕方についても反省すべき点は反省していただかなければなりませんけれども、反省すると図に乗ってどんどん押してくるというのがまた一つの傾向でありますので、そういう点、やはり理事者も組合側の方も堂々と意を尽くして話し合っていく、こういう体制をつくっていただくようにぜひお願いしたいと思います。  これだけ申し上げまして、終わります。
  18. 小山省二

    小山委員長 岡村参考人。簡単に……。
  19. 岡村雅夫

    岡村参考人 いまの細谷先生にひとつお断り申し上げます。  先生おっしゃるように、最終の場が国会であることは百も承知しておるつもりでございます。ただその間において、いろんなそういうことの中で出た問題を参考にしながら御決定を願う、御審議いただくという意味で申し上げているのが舌足らずであったかと思いますが、そのためには若干の日あいが要るので、来年度を目標にひとつお願いしますということを申し上げたわけで、十分承知いたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
  20. 小山省二

    小山委員長 林百郎君。
  21. 林百郎

    ○林(百)委員 最初に岡村さんにお聞きしたいと思いますが、ひとつ一問一答の形でいきたいのです。  先ほどいわゆる低成長というのですか、私たちはそういう言葉になじまないのですが、そういう国の財政計画が変わってきた今日、地方財政についてもぜい肉を思い切って切り捨てることが必要だというお言葉があったのですけれども、これはどういうことをお考えになっているのでしょうか。われわれは、こういう時期でもむしろ地方自治体の財政を確立さして、そして単独事業等地域住民の切実な要望を満たしていく、そういうことからむしろ景気を刺激して日本の財政を民主的に拡大していくということが重要ではないかというように思うのですけれども岡村さんのように、ぜい肉を切り捨てるというのはどういう意味ですか。そういうことになると、行政レベルをダウンしてもやむを得ないんだということにも聞こえます。ちょっとその点を説明願いたい。
  22. 岡村雅夫

    岡村参考人 どうも先ほどからぜい肉という問題がおっかえになっておるようでございますが、長い間の——言い方かお気に入るかどうかはわかりませんが、われわれ率直に、いわゆる高度に成長してきた時代と、それが大きく変わらなければならぬ時代が来ておるんだ、そういう認識に立った場合には、おのずからあるべき姿も変わってくるんじゃないか。単に、ダウンをしたのでその分だけいわゆる福祉行政も低下してもいいんだという意味ではなくて、そういう変化の中でその対応の仕方も当然変質してくるべきであろう、内容が変わってこなければならぬであろうというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味合いから、当然強化するものは強化し、のけるものはのけるのだと、そういうきちんとした姿勢が必要であろうというふうに考えておるということであって、その場合に、のけるべきものをぜい肉という表現の仕方をしたと、こういうことでございますので、そのようにひとつ御理解を願いたいと思います。
  23. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、具体的にはどういうことをお考えになっているのですか。地方財政の中で切り捨てるべき部分というのはどういうことをお考えになっているのですか。
  24. 岡村雅夫

    岡村参考人 先ほど細谷先生にもお答え申し上げましたように、細かく具体的なものを全部ひっ提げて、きょう公述に参ったということではありませんが、先ほども申し上げましたように、福祉の問題がいろいろ問題になっておりますが、これも必ずしも従来の通りの福祉のあり方でいいかどうかということについては私は問題があるのではなかろうか。非常に極端な話ですが、最近私のところで、あるいは半分冗談と思いますけれども、お年寄りの方がもう病院を最終の住みかにするのだという表現の仕方、冗談ではありますけれども言っておる方もあるわけで、そういうことになってきますと、これは大変なことで、若い者の入院する部屋もないということにもつながっておるような分野もあるわけでございまして、そういったことについても、やはり自分なりその近親なりが持つべきものは持った上で、足らないものは当然行政の場で補充していく、こういうような物の考え方も当然ここらで検討すべきではなかろうかと、そういうふうな意味のことを含めて申し上げたわけでございまして、細かい個々の問題について申し上げるだけの資料は持っておりませんので、御了承願いたいと思います。
  25. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、老人に対する医療費の無料化といいますか、そのうちの一部は国から調整金等も来ておりますけれども、そのどの部分を削るというのですか。要するに受益者負担になっている部分を増加させるということなのですか。
  26. 岡村雅夫

    岡村参考人 いや、私の説明の仕方が悪いかもわかりませんが、そういう意味ではなくて、たとえば老人でございますので、一応お医者さんにかかればどこか悪いところはあるわけです。ところが、必ずしもお医者さんで入院をして治療を受けなくても、一定の限度が来れば十分在宅で療養して、それはもちろん診ていくわけですけれども、それで十分だと判断ができる場合でも、まあ家へ帰るよりも、もうかえって家族に迷惑だし、このままずっと病院におろうということで、そうなりますと比較的お医者さんの方も、本人のそういうふうな意志表示があれば、もう帰ってもよろしいとはなかなか言わないということで、そのままずるずる続いていく、こういうような場合も相当あり得るわけで、そういったことについても、それを具体的にじゃあどこでどう切るとか、お医者さんの方へどうするのだということは簡単にできる問題でもありませんけれども、物の考え方としてそういうような発想ということもこれからは必要ではなかろうかと、こういう意味のことを申し上げたわけでございます。
  27. 林百郎

    ○林(百)委員 それは地方財政のぜい肉を取るということではなくて、国の財政方針について、そういう福祉の面について地方自治体に負担をかけないような調整金の額をふやすなり、そういうことによって老人の医療についての万全の策を講ずるということでないと、もしあなたのおっしゃるようなことでそういう問題がいろいろ起きてくると、それでは水道の問題も公害企業の問題も福祉の問題も、低成長時代になったから、国の基本的な方針を重化学工業重点からそういう福祉重点に移行するという、そういうものの要求が出てこないと、地域の住民の受益者負担を増加させるという方向へいく、あるいはあなたのおっしゃるように、このお年寄りはもう在宅で治療できるのにまだ病院にいる、どうぞ帰ってくださいと医者に言わせる、それは現実的にはなかなかむずかしいことなんですよ。老人だって、できたら家にいたいけれども、病院にいるというのはよほどの事情のある人がいるのであって、そういうことは、やはり地方自治体というのは本来そういう地域の住民の皆さんの切実な、国では手の及ばないところへ地方自治体が手を及ぼすということのためにあると私は思うのです。したがって、そういう地方自治体へ財政的なしわ寄せがあるならば、国の方の方針をまず変えて地方自治体にそういう低成長下における福祉重点の方向にもっと力を入れるようにという要望をすることが、まず先行されるべきではないのでしょうか。
  28. 岡村雅夫

    岡村参考人 その点につきましては、当初申し上げましたように、そういう福祉のあり方について国と県と、いわゆる市町村を含めた公の持つべき責任分野といいますか、そういう限界をひとつこの際にはっきりしてくださいということは前段申し上げておるわけでございまして、そういうことを述べて地方自治だけの問題を申し上げておるという意味ではないわけでございます。国にも当然要求すべきものは要求しながら、そういう形のものを考えるという意味でございまして、そのことは最初申し上げておいたわけでございまして、そういうふうに認識をいたしておるわけでございます。
  29. 林百郎

    ○林(百)委員 六団体からも、国民健康保険事業に対する国の調整金をもう少しふやしてもらいたい、それでなければ地方自治体にしわ寄せがきて、毎年々々国民健康保険税の地方での負担を上げていかなければならないという事態になっているからという要求が強く出ているのですが、こういう点をむしろ国会へ来られた際に、町村長会の代表としてはおっしゃって、それでそれを国政に反映するようにされたいと希望することをわれわれは期待していたんですが、皆さんの方がぜい肉を切っていく切っていくと言うなら、われわれ野党としては、林さん、そんなこと言ったって、町村会長が来て、まだ切れるぜい肉があると言っていますから、国の方の責任はそう追及されても困りますと言われれば、それまでになっちゃうので、その辺はやはり全国町村会で、いま地方財政として国に要望される点はどういう点にあるのか、それは決して、地方自治体がいま行っておる福祉をもっと切り下げていくとか、そこにぜい肉があるからこれを切り捨てることが必要だということではないんじゃないでしょうか。あなたは一つの村の、これはむずかしい名前の芸西村長ですか、その村長であると同時に全国町村会の会長でもあられるわけですね。ですから、そういう意味で、やはりあなたのおっしゃることが、いま財政的に非常に貧弱な町村を代表して国会へ来られておるので、そういう点をむしろわれわれとしては聞きたい。そしてわれわれは国政の面でそういう点を補完していくように国に要望していくということであったものですから、だからあなたのこの言葉が実はひっかかるわけなんでございまして、その点はわれわれの立場もひとつ御理解願っていただきたいと思うわけです。まあ何か答弁ありましたらひとつ……。
  30. 岡村雅夫

    岡村参考人 いま先生のおっしゃっておることはよくわれわれもわかりますし、町村会といたしましても、前段先生がおっしゃっておったような諸問題につきましては、機会あるごとにそれぞれの場を通じて要望をいたしておるわけでございますので、ひとつこの上ともの御協力をお願いいたしたいと思います。
  31. 林百郎

    ○林(百)委員 では、この問題は、あなたの真意もそういうところにあるということで次へ移っていきたいと思うのですが、町村会というか町村では、歳入の中で交付税に依存する率が非常に高いと思うんですね。したがって、交付税のあり方がどういうものかということに非常に関心があると思いますが、去年からことしにかけて御承知のとおり交付税特別会計が資金運用部資金からの借り入れを一兆円以上もするとか、あるいは当然交付税で見なければならないものが起債という形になって出てき、そしてその起債の許可権を自治省が握るということで先ほどからも問題になっておりますように、その起債の許可権を利用して自治体へのいろいろの事実上の介入が行われておることは、これは間違いない事実ですが、こういう交付税のいまの制度のあり方について、要するに三二%という率をいつまでも維持することによって出てくる諸矛盾、その諸矛盾を解決するために借入金だとかあるいは本来交付税で見るべきものを起債振りかえていくとか、そういうことについてはどういうようにお考えなのでしょうか。
  32. 岡村雅夫

    岡村参考人 いま先生がおっしゃったように、われわれも、本来あるべきものが起債振りかえられておる、そういったものが将来の負担増につながるということについていろいろな心配をしておるわけでございます。ただ三二%がいいのか四〇%にしなければいかぬのかというようなデータは持ってないわけでございますが、少なくとも国と地方との行政分野をはっきりした上でそれに必要なものは国の責任においてめんどうを見てください。それが三二%でいいということであれば三二%でいいかもわかりません。しかし現在の実態から見た場合にそれじゃとても足りないからそれ以上のものをお願いしておる、こういうことでございます。したがいまして、私は、まず国と地方との責任分野といいますか、事務分担の明確化をお願いして、それに従って税の配分なり交付税等の措置についての決定をすべきものだ、こうあるべきものだというふうに考えて、そういう方向で国会で御審議を願いたいということをお願いしておるわけでございます。
  33. 林百郎

    ○林(百)委員 交付税会計が資金運用部資金から借り入れをして、事実上三二%では間に合わないものですから、それで間に合わせていく、こういうことが続きますと、償還期限が来るわけですね。五十年度のは五十三年度に八百五十億返さなければいけない。それから五十四年度になりますと、五十一年と五十年がダブってきますから、二千二十億返済していかなければならない。そうすると交付税が三二%のままでいきますと、三二%の総計がそう大きくなる要素というのは見られないわけです。まあ国と地方自治体の中期計画いろいろ出ておりますが、あの中期計画というのは国で発行しておる国債を償還するために押しつけた数字だというように思われているわけですが、全体の交付税の総額がふえないのに、交付税会計が借り入れたものをそこから返済という形で——そうすると、交付税が実際は三二%より下回るということも考えられるのですね、いまのままでいけば、償還期限が来ますから。多いときになりますと、六十年に至っては四千億近くも返済が交付税の中から一般会計へいかなければいけませんですからね。そういうことを考えますと、いまから交付税の三二%という問題、あるいは足りない分を特例交付金という形にするか、これはどうにか考えていきませんと、皆さん、ことに町村というのはさっきも言ったように歳入の多くは交付税に依存しておる。それで交付税というのはその自治体が比較的自由に使える金で、地方自治体としてはできたら交付税という形で、いろいろ国の補助金とかなんとかというより交付税で単独事業をしたいというのが本来の地方自治体の要望だと思うのです。このままでいきますとそれがだんだん少なくなってしまうという展望もあるわけです。そういうときに町村会の代表としてはこのところをきちっと考えておいていただかないと、これは重大な事態になるのではないか。現にわれわれが必死になって大蔵省と自治省に対して、三二を四〇にするなりあるいはそれで足りない部分については特例交付金なりしろということをやっておるときに、あなたがここへ来られて、そして、いやそのことについてはまだ資料もありませんし、どうです、というようなことですと、一体それじゃ交付税に一番財政の依存率の高い町村会というのは、交付税についでそれほど関心が薄いのかというような誤解を、これは誤解だと思いますが、受ける可能性もありますので、この点についてはっきりした御見解を述べていただきたいと思いますがね。
  34. 岡村雅夫

    岡村参考人 どうも私は林先生のおっしゃることがよく理解できないのですが、私は林先生がおっしゃっておることと同じことを言っておるつもりなんです。ただ資料がないと言ったのは、先生がぜい肉ということについて具体的にはどうかと、こうおっしゃられたから若干そういうふうな言い方をしましたけれども交付税が現在のままでいいかと、あるいはいまの三二%では足らないのでそういう借金政策をやったんだ、それが将来大きな負担増になってくるのだ、このままでは大変だからひとつ根本的に洗い直してくださいということを申し上げておるわけで、ただそれはこの現在の法律を早く通してくださいということはまた別に、これはもう目の先に来ておる問題だから、これはこれで早く通してください、その中でその根本的な改正をと言っても無理だろうと思うから、少なくともことしじゅうにはそういうことを慎重に検討していただいて、来年度にはこういう根本的な問題の総洗い直しの上にひとつやってくださいということを申し上げておるわけで、私が申し上げておることは先生が言っていることと同じことを言ったつりですが、どうも田舎者ですので言い方が悪いのかもわかりませんので、もしそうであればひとつ御了解願いたいと思います。
  35. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。あなたの真意を私が十分理解しなかった点があれば、私の方もその点は十分考えてみます。  あとちょっと細かいことで、過疎だというお話を聞きましたので、長野県でも過疎の地域がありますので、この点についてはどう考えておりますか。これは今後の基準財政需要額の計数の是正の中にも若干の是正はありますけれども教育、ことに高等学校の教育を受ける者が村から出ていってその高等学校のあるところに寄宿をしなければならないというような場合、あるいは通学のために冬季などは結局下宿しなければならないというような問題がある。その費用負担についてどうしたらいいかというような問題が一つございます。それからバス事業についてはこれはどういう方法がいいのか、具体的にはどうなさっておりますか。自治体がみずからバス事業を経営されているのか、あるいはバスを経営している民間企業に対する補助金を与えるという形での交通困難な条件を緩和するという方法がいいのか。この二つの問題について、もし具体的なお考えがあったらちょっとあなたの考えを聞かせておいていただきたいと思います。
  36. 岡村雅夫

    岡村参考人 過疎問題につきましては、法が施行せられて五年たちまして、取り巻く状況がかなり変化をいたしておると私は思うわけでございまして、いま先生から二つぐらいの例を挙げられてお話がありましたけれども、それだけでなしに全般的にその内容の運用について、私は洗い直しをしてもらうわなければいかぬときが来ておるのではなかろうかというふうに感じておるわけでございます。それで、いま先生の御質問になかったことを申し上げて恐縮ですけれども、私の村でいま圃場整備というのをやっておるわけなんですが、これは御承知のように、道路に関する事業費を村が負担をした場合には過疎債が適用させていただけるようになっておるわけです。ところが排水路の場合にはこれが適用されてない、こういうことなんです。ところが米作地帯なんかになりますと、道が基盤整備で一番大事ですからそれはそれで結構ですけれども、私の村のような園芸を主体にしておるような町村になってまいりますと、道もさることながら、それよりも排水路がまた非常に大事になってくるわけで、道は少々悪くても排水路が整備しておれば蔬菜園芸の栽培ができますけれども、道がいかによくても排水路が整備できてなければ蔬菜園芸の経営というものはできないわけなんです。ところがいま言いましたように、できた当時は道というものに非常に重点を置いておりましたので道は対象になったけれども、今日まだ排水路は対象になっていない。こういうような、何といいますか時代の変化、あるいはその地域の産業と比べた場合に必ずしも適応しない部面が非常に目立ってきておるという感触を受けておるわけでございまして、そういった面についても基本的に洗い直してもらうことをぜひ私はお願いしなければならぬであろうというふうに考えておるわけです。  それから、いま先生の御質問のありました交通バスの問題でございますが、これは交通会社が従来運営をしていてその一つの線が赤字路線になった場合に、その会社はその赤字路線を切る、こういう場合には、そこに働いておって退職した人たちが一つのグループをこしらえて、その人たちがその路線の運営に当たって補助をもらうというやり方をとっておるところもありますし、あるいはそれぞれの町村においてそういう運輸業者がある場合にはその方に委託をして運営をしてもらっておる場合もあります。そのどちらも、どうしても方法のない場合は町村が独自の立場でこれを運営するという方法をとっておる場合もありますので、やはりそれぞれ個々の町村の実情によって違っておるのではなかろうかというふうに判断しておりますが、業者に委託する方法が一番多いのではなかろうかというふうに判断しております。
  37. 林百郎

    ○林(百)委員 教育の問題もありましたが、時間がありませんので真柄さんにお尋ねしたいのです。先ほどからおっしゃっていること、まことにわれわれも同感でございまして、このように地方財政の本来交付税として国が見なければならないものを起債振りかえていく。財政対策債とかあるいは退職債というようなもの、退職債と健全財政対策債とは若干ニュアンスが違いますけれども、いずれにしても起債依存度が高くなる、その許可権は自治省が握っておるということで、このことをてこにして自治省のプランによるような合理化が自治体に押しつけられてきている。そのことのために、先ほど真柄さんからもお話がありましたように、本来補充しなければならない人員も補充しないままでおくとか、あるいはラスパイレスをどうするとか、こういうような介入が助言と勧告だというような口実のもとに、実際は地方自治体としては自治省の課長あるいは次官の通達ということになりますと、これは非常に権威のあることになりますので、事実上は起債の許可権をめぐっての自治省自治体への介入はいろいろ行われていると思いますが、この点については先ほどもお話がありましたが、もう一度ちょっとその点を私の方もお聞きしておきたいと思います。
  38. 真柄栄吉

    真柄参考人 先ほどもちょっと申し上げましたが、全体が非常に依存度を高めているわけですが、その度合いに応じまして、事実上は起債を認める認めないという許可裁量権が私の言葉で恣意的に非常に目立ってきている、そういう点は、結果として自治体労働者にとどまらないで住民の立場あるいは住民の福祉、そういう行政の推進にとっても危険な徴候として感ずるわけですから、ぜひやはり直してもらわなければいけないのではないだろうか、こういうことです。このことはとりあえずの行政運用の問題についてでありますけれども、財政上の制度の問題としては、起債に対する依存度がより高まるのではなくして、むしろだんだん薄まっていく、まさに交付税の当面の率の引き上げを含めた抜本的な改革こそが基本的な解決方向であろう、こういう認識に立って私どもとしては先生方にも御理解を賜りたいと思っているのが第一であります。  第二の問題は、事実上のそういう行政上の介入が実態としては許可権というものを通じて行われているということは、これはもう事実だと思います。たとえば私ども承知しているだけでも健全化債については千三百十億、幾つかの道府県、町村等が行われているのですが、それがどういう前提とどういう手続を踏まえていわば認められているかと申し上げますと、私はやっぱり民主的な姿ばないのじゃないか。下手をすると、労使関係自身がそのことを確認できないままに健全化債が認められているのではないだろうか、こういう現状は、先生も御指摘のようにその一つの目標が自治体合理化というところに代表されているわけですから、われわれとしては大変ゆゆしい問題ではないのだろうか、こういうふうな認識のもとで先ほど発言をしたところを御理解賜ればと思うところであります。
  39. 林百郎

    ○林(百)委員 ラスパイレス指数の問題について、実はこれは当委員会で私が質問した場合に、前の松浦財政局長ですが、これは一つのめどでありまして、もちろん国家公務員と地方公務員の置かれているいろいろな諸条件が違いますから、それをラスパイレス指数というような機械的な指数で、やあどこが高い低いという絶対的な権威を持つ指数ではありません、これは一つの参考ですということで私たちは聞いていたわけです。  ところが、末端の自治体へ行っていろいろ聞いてみますと、これが非常な絶対的な権威を持っていまして、もうラスパイレス指数を一〇〇以下に下げなければ起債や補助金についてもどうなるかわからないというような、これは地方自治体があなたのおっしゃるように真に民主化されて地方自治体の自治権というものに対する首長の皆さんの自覚の度合にもよるかと思いますけれども、これがもう非常な大きな合理化あるいはむしろ地方公務員の賃金の実質的なカットのてこになっているわけなんですけれども、これについては自治労としてはどういうお考えでしょうか。われわれもこの点はさらに究明して政府に問いただすつもりでございますけれども、参考までにこの機会に自治労の意見を聞かしておいていただきたい。
  40. 真柄栄吉

    真柄参考人 第一には、ラスパイレス指数そのものについて、私たちは、指数の前提となるべき根拠が明らかにされていないという点では、これはいささか何といいますか、意図的な意味で持ち出されてきておるのではないかというのが一つあります  それからいま一つの問題は、ラスパイレス指数というものが、先生もおっしゃっているように絶対的権威でないといっても、現実にはこのことがまさに一つの基準となって合理化が進められている、こういう点については指数の実態を明らかにされないまま大体この水準で切り下げその他行われるべきだということは、少し言葉がきついかもわかりませんが、知らしむべからずよらしむべし、こういう発想が非常に私たちに感じられる。  第三点は、残念ながら昨年一年間傾向としては国どおりの給与改定率が行われませんでした。非常に残念であると同時に、私たちとしてはぜひ国どおりにせめて給与改定が行われることをいまも望んでいるのでありますが、百歩譲って、昨年そういうふうに国どおり行われなかったことによって、じゃラスパイレス指数がどのように変化を遂げてきておって、その変化されたラスパイレス指数をことしどうするかという点についてもわれわれとしてはこれは問題がまだあるのではないだろうか、こういうふうに思うところであります。  いずれにいたしましても、こうしたラスパイレス指数は、私どもがいままで聞いてきた理解からするならば、大体三年間くらいの複数年度でもって国公並みに地方公務員の賃金を下げると言っているようですが、私どもとしてはその前提条件が定かでないことと、それから地方公務員の賃金のあるべき姿が公務員法の二十四条その他から照らしてみても、ラスパイレス指数が優先するようなことでないわけなんでありまして、そういう点は自治省の不当な行政指導の方向についてはぜひとも改めてもらいたい、こういう強い希望を持っておることを申し上げさしていただきたいと思います。
  41. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどの岡村さんへの質問とも関連してくるのですが、自治省の出している地方財政の中期展望ですね、われわれはこれは国の中期展望と関連してとうてい現実性のあるものとは見るわけにいかない。これに将来の交付税の問題やあるいは起債の返済の問題も絡んでおりますが、この地方財政の中期展望についての自治労の考え方はどういう考え方を持っておりますか。もう私の時間もいっぱいになっておりますので、ごく簡潔にひとつお聞かせいただきたい。
  42. 真柄栄吉

    真柄参考人 地方財政のあるべき姿を私どもなりに検討、追求しなければいけない、その一つの経済環境の見通しの立て方の問題でございますので、私どもとしてもいま鋭意学識経験者その他の先生方意見も徴しながら検討を深めているところでございます。ただ、国がいま出しておる点については、われわれとしてはそういう一つの前提の上に地方財政確立というものを検討を進めていくことが妥当かどうかという点については、なお慎重な意見を保留しておる、こういう事情でございます。
  43. 小山省二

    小山委員長 小濱新次君。
  44. 小濱新次

    ○小濱委員 思い起こしますと、当委員会が過疎問題の調査のために、五、六年ぐらい前だったと思いますが、芸西村を訪れまして、大変にお世話になったことをいま思い起こしておるところでございます。その節は大変ありがとうございました。そこでいろいろとお説を伺うことができたわけでございますが、過疎対策についてのいろいろの御要請がございました。  そこで、何点かお尋ねをしていきたいと思いますが、過疎法は御存じのように四十五年の四月にゼロから出発をいたしました。もう七年目に入っているわけですね。五十五年の三月で三カ年、こうなってしまったわけでございます。質問は、この過疎対策の現状と前半の実績から見て、今後の問題点、大変に御苦労なさってこられました村長の立場でそのことをお伺いしたいことと、もう一点は、この芸西村においては特に何をおやりになりたいのか、私どもも現地を見てまいりましたのでおぼろげながら様子はわかっておりますが、最初は道路に主体を置いて過疎問題を進めていったわけですが、今日まる六年を経過した現在、何かとお考えがたくさんおありになるだろう、こういうふうに考えるわけです。まずその点をお伺いをしておきたいと思います。
  45. 岡村雅夫

    岡村参考人 先生も御承知のように、過疎問題というのはいわばのれんに腕押しのようなかっこうで、非常にむずかしい、決め手のない問題だというふうに私は考えるわけで、現在までの実際を振り返ってつくづくそう感じておるわけですが、問題はそれぞれの地域から人が少なくなることが直ちに過疎になるとは言い切れない因子も相当あるわけで、いわゆる適正な人間の適当な労働力によって適正にそれぞれの地域が守られていくという状態をまず生み出すというのが、基本的に過疎対策のあるべき姿であろうというふうに考えるわけで、そのための対策としてそれぞれの地域の実情に応じたいろいろな問題が取り上げられておるわけですが、ただ、過去七年間を振り返ってみた場合には、主としてやはり道路に重点を置いて運用をされてきたのではなかろうかという感じを受けておるわけでございます。しかし、本来過疎対策というのはそれぞれの地域に残った方々が十分りっぱに、他の産業と格差のない生活をできるようにするためにはどうするかということであれば、やはり環境整備もさることながら、地域の産業をいかにして育成し、そこに若い労働力を引きとめていけるかということにやはり焦点がなければならぬであろうというふうに私は思うわけであります。したがいまして、私は私なりに、今日までの過疎対策の中では道路もやりましたけれども、主として私の村は、先ほど申しましたように、蔬菜園芸地帯でございますので、これをいかに守り育てていくか、その中で若い者を希望のある形でどう残していくかという対策を立てるかということと、それからその地域の若い者が喜んで残るためには、単なる家とかいろいろな施設とかいうことでなくて、健康な遊び場というものをどう守っていくかということが大切であろうというふうに考えまして、私は村民体育館とか村民運動場とかいうものへ重点を置いて今日まで投資をしてまいったわけでございます。やはりこれからも考えられることは、今後の問題としてはその地域の実情に応じた産業をいかに盛り育てていくか、その中でそこの地域の若い者たちがそこにどれだけの喜びを感じ、喜んでとどまれるような環境を整備していくかということが問題の焦点にならなければいけないのではなかろうかというふうに感じております。そのことは個々の町村においては非常に困難な問題もあろうかと思いますので、やはり中核都市の育成と絡みながら考えなければいけないと思いますが、その中核都市ということになってまいりますと、おのずから過疎対策の分野とは離れてまいりますので、これはまた別な問題になろうと思います。やはり基本は、その地域の産業を育て、そこに若い者が魅力を感じながらとどまっていく体制を急がなければならぬというふうに基本的には考えておるわけでございます。
  46. 小濱新次

    ○小濱委員 私どもの拝見をしてまいりましたあの地域で、これからただいまの御要望、内容を実現していくにはなかなか困難な道があろうかと思いますが、ぜひひとつ一層の御努力お願い申し上げたいと思います。  さらに高知県には、お話がございましたように、低過疎地域とかあるいはまた準過疎地域の問題が大変にたくさんあるわけでございまして、そういう点から、過疎法の適用にならないそういう準過疎地域、いわゆるボーダーラインにある団体については今後どのように進めたらよかろうか。高知県にお住まいで非常にいろいろな関係を耳にしておられる立場から御意見を伺わしていただきたい、こういうふうに思います。
  47. 岡村雅夫

    岡村参考人 いまの御指摘の点は私たちも同じ立場、同じ気持ちで実は心配をいたしておるわけでございます。同じ町村で十数町村が準過疎であり、ほとんど過疎と違わない状態にありながら過疎法の適用を受けれない。そのために過疎地域とそうでない地域との格差の問題をどう埋めていくのか、ここに確かに問題があるわけでございまして、この点は国においてもそれに対する十分な配慮をお願いしなければならぬと思いますが、ただ私たちが今日高知県の立場措置をいたしておりますのは、国にいろいろな意味において過疎対策予算等御心配をいただいておりますが、県は県なりにまた相当な金の過疎対策費をつぎ込んでおるわけでございます。その場合に過疎の指定を受けた町村は国の制度に乗っかってやっていく。準過疎あるいは過疎にならない町村については、県の資金を重点的に、国の過疎指定を受けた町村へはほとんどそれを回さず、準過疎のような地域へ県費を投入していく。したがって、この使い分けで十分ではありませんけれども、準過疎と言われるような町村過疎地域の均衡をとりながら現在対処しておるというのが精いっぱいのところでございまして、なおそれで十分と言えない面についての国の配慮については、特にお願いいたしたいと思うわけでございます。  それと前後いたしますが、総論といたしまして、やはり最近どうも過疎も、先生おっしゃるように足かけ七年ですが、七年たちますとわれわれ自身も何か気の緩んだ面もないとは言えないわけでございまして、しょっちゅう関係町村に私も会長としてやかましく言っておりますけれども、なかなかそうはいかない面もあるわけですが、国の方もいろいろ事情はあろうと思うけれども、もうここまで来たらという感じがありますのかどうか、何か若干姿勢が後退しておるやに受け取れる節もあるわけで、われわれ心配しておるわけでございます。  大体一千億余りという金は、確かに少ない金ではありませんけれども、国の全国的な、日本列島を押さえての過疎対策という対策費としては決して大きい金ではなくて、むしろこれではなかなか本当の意味の過疎対策は進められぬじゃなかろうか。単に道をつけ、何か特定な施設をするということになればこの経費でできると思いますけれども、本来その地域の若い者が喜んで残る魅力のある村づくり、町づくりをするための対策費としては、余りにも少な過ぎるのではなかろうかという感じをしておりますけれども、それはそれなりにいろいろ事情があろうと思いますけれども、今後ともひとつ国会の先生方によろしくお願い申し上げたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  48. 小濱新次

    ○小濱委員 きょうは自治省の政務次官が出席をしておられますし、代表の方が大分来ておられますので私ども伺いました。自治省としても伺ったわけでございますから、これからの努力をお誓いをする次第でございます。  さらにもう一点お伺いしたいのでございますが、政府事務財源配分を行うとこう言っておりますけれども過疎地域としてはどのような方向がよいのか。たとえば交付税の問題あるいはまた補助金の問題等がございます。こういう問題点について、過疎地域としてはどのような方向がよいのか、御意見があればひとつお伺いをしたいと思います。
  49. 岡村雅夫

    岡村参考人 率直に申し上げてずばり使える金が必要なわけで、そういう意味においては過疎の補助金なりいわゆる過疎債を思い切って大幅に増額していただくのが一番適当だと思います。しかし、われわれが知る範囲におきましても、それはそれなりに、あるいは準過疎なり山村地域なり、いろいろな地域との関連性も出てこようと思います。こういう状況の中で、直ちにどれがいいということの言い切りはできないと思いますけれども、少なくとも過疎債を大幅にふやすことがもしいろいろな面において問題があるとするならば、交付税の中ではっきりとそれが措置されるように、いわゆる傾斜配分強化とでもいいますか、何らかの方法でその財源強化される方法をぜひひとつお願いいたしたい、こんなふうに考えます。
  50. 小濱新次

    ○小濱委員 大変ありがとうございました。  最後に、全日本の自治労の真柄書記長に一点だけお伺いしておきたいと思いますが、本日はまことに御苦労さんでございました。いろいろと先ほど御意見を伺っておりましたけれども地方事務制度について年度内に結論を出すと言っていたわけですけれども、四月末の現在においても政府はいまだに法案もまとまっていないという、こういう現状のようでございます。この地方事務制度については、真柄書記長としてはどういう御意見をお持ちになっておられましょうか、ひとつ聞かしていただきたい、こう思います。
  51. 真柄栄吉

    真柄参考人 お尋ねがありました機会ではありますが、本委員会先生方がとりわけ中心になりまして身分移管の問題について国会決議を昨年行ってくださいまして、心からお礼を申し上げたいと思います。  なお、いま小濱先生からお尋ねになりましたが、私どもとしては三月いっぱいがすでに過ぎ、やがては国会も会期末が五月二十四日予定をされているにかかわらず、いまだに政府としてこの問題の具体的解決について処方ができてない点について、大変残念に思っているところでございます。したがいまして、私どもなりに各方面にお願いはしておるところでございますけれども、本委員会先生方を通じまして、とりわけこの会期内において具体的にどのような解決を図るのか、これまでの国会決議の趣旨に沿って一層明確にされるようにわれわれとしては強く望んでおることを申し上げましてお答えにかえるとともに、お願いにもさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  52. 小濱新次

    ○小濱委員 大変ありがとうございました。
  53. 小山省二

    小山委員長 これにて両参考人に対する質疑は終わりました。  両参考人には、御多忙の中御出席をいただき、貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。(拍手)  午後一時三十分から再開することとし、この際休憩をいたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  54. 小山省二

    小山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、午前に引き続き参考人から意見を聴取いたします。  ただいま御出席参考人は、立教大学名誉教授藤田武夫君、全国知事会山口県知事平井龍君、全国市長会相模原市長河津勝君の方々でございます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人の皆様には、御多用中のところ、当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  なお、議事の順序は、初めに参考人方々から御意見を約十五分程度お述べいただき、次に、委員諸君からの質疑に対し御答弁をお願いいたしたいと存じます。  それでは、まず藤田参考人お願いをいたします。
  55. 藤田武夫

    ○藤田参考人 ただいま委員長から御紹介にあずかりました立教大学の藤田でございます。  この交付税改正案についての具体的ないろいろ詳細な点は、午前中、あるいはこれからの参考人の各地方自治体の代表の方からるるお話があると思います。私は、地方財政を勉強しております者といたしまして、そういった問題でなく、もう少し基本的と申しますか、これから述べますが、私の見たところでは現在の地方交付税制度というものが大きくがたが来ておりまして、またあるいは逸脱をしている、いろいろなゆがみが出ております。そうしてそれがどういうものであるか、今度の改正案を中心に最近の動きを追っていきたい、そうしてそれについての対策をどう考えればいいか、わずか十五分でありますので、この二点にしぼってお話し申し上げたいと思います。  委員長さんから忌憚のない批判ということでありますので、少し忌憚のない批判をしたいと思います。  それで、五十一年度地方交付税の総額は御承知のように五兆一千八百七十四億円、これだけの交付税でもってやっと前年度並みの歳入総額に対する構成比が二〇・五%、その同じ水準を維持できたわけであります。  ところが、御承知のように交付税財源であります国の三税の大幅な減収によりまして、そのままではこの金額が維持できない、それでいろいろ苦労をして減収補てんをやっております。三国税そのままに三二%を掛けますと、三兆八千億ぐらいにしかならないのですが、それで一般会計から臨時地方持例交付金六百三十六億円を計上する。その金額の算出はいろいろあるのですが、そういうことは省略します。それから地方交付税特別会計が資金運用部から一兆三千百四十一億円、これだけを借り入れる。これによってやっと昨年度並みの二〇%という構成比を維持できたというわけであります。  ここにいろいろ問題があると思いますが、御承知のように五十年度の補正予算でもってやはり交付税特別会計が資金運用部から一兆一千二百億円借金をしました。したがって今度の借金と加えると資金運用部からの借金が二兆四千三百四十一億円、非常な巨額に達するわけであります。これは交付税特別会計借金でありますので、利子分は国が負担するようでありますが、元金は返さなければいけない。  それでそれの返済ですが、二年間据え置いて、五十四年度から六十一年度まで八年間にこの二兆四千三百四十一億を償還する。その償還の予定額なんかも出ているようですが、年々二千億、または終わりの方になると四千億を超えていますが、それだけを償還していく。これはつまり、国の三国税の三二%で法定ではじき出した毎年度交付税からこれだけを毎年引いていくわけであります。そうすると、交付税税率が改められない限りはますます総額が減少していく、総額が確保されない。そうなると地方交付税の機能が麻痺するということになります。  これは後でまた対策で触れますが、いままでは高度成長のおかげで三国税がどんどん伸びた。それによって、交付税率引き上げが要求されても、あるいは実現されなくても何とかやっていったわけであります。ところがもう低成長のもとになるとそういうことは望まれない。いま言ったような借金ばかりして何とかその場をつくろっている。ところがその借金はこれから毎年返さなければならない。一体どうするのか。したがって、低成長下では一体交付税のあり方をどう考えればいいのか。これはもうここでしっかり考えなければならない問題で、五十二年度からの重大な問題になると思います。自治省でもその点を研究されているようであります。  それから、いろいろのゆがみ、逸脱という点です。その総額にいま言ったような非常に大きな不安がある。それからその内容の構造の問題ですが、今度の地方交付税改正案でもって、基準財政需要額の算定の上で、社会福祉充実するとか、過密過疎対策財政需要を算入するとか、いろいろな工夫がこらされております。これはこれでいいと思いますが、この交付税の機能なり性格からいって二つ大きな問題点が含まれております。  一つは、御承知のように、国の景気浮揚策で公共事業費が非常に増大した。その公共事業費のうちの一部をこの交付税で見ないで地方債振りかえるということをかなり大規模にやっております。その一つは、これは基準財政需要計算の費目にありますが、その他の土木費、あるいはその他の諸費、これは包括算入と言っておりますが、そこに組まれておる投資的経費の四千五百億円、それから、今度の公共事業費の増大の一部分と高校の新増設の地方負担、まあ公共事業費の増大の地方負担ですが、それを合わせて八千億円、合計一兆二千五百億円というものを地方債振りかえております。そして、地方債計画でもって一般公共事業債というものを昨年に比べて六倍近くふやしている。そのふやした結果、適債事業を拡大するとかあるいは各種の公共事業の充当率の引き上げをやっている。こういうことなんでありますが、果たして交付税から地方債にこれだけの多額のものを振りかえていいのかどうか、これが研究者としては非常に問題だと思います。  四十一年度にも御承知のように、景気浮揚のために公共事業を増大して、その地方負担を交付税で見ないで特別事業債千二百億円を発行しました。今度はなかなか、千二百億どころじゃないので、一兆二千五百億円の地方債振りかえていく。これは地方自治体にとっては、金を交付税でもらうか地方債でめんどう見てもらうので、収支の上ではそろばんはとれる。しかし、地方債交付税は、これは全く性格が違うんで、交付税は簡単に言えばもらい切りのもの、地方債は枠をもらってもそれは償還しなければならない。利子をつけて返す、つまり利子つきの償還義務のある交付税をもらう、そういう形になります。これでは交付税の機能が果たして果たせるのか、地方交付税が崩れてきているのではないか。また、われわれから言いますと、交付税地方債というものがここで簡単に混同されている。これは地方自治体の側から見ても非常に大きな問題である、そういうふうに思います。  それからその次ですが、今度、地方税減収補てん債償還費、こういうものを基準財政需要の計算に一つの費目として新設したのであります。これは御承知でしょうが、昨年地方財政危機に当たって、五十年度地方の法人関係の税金が非常に減収した。その減収を補てんするために特別に発行を認めた地方債が一兆六百億円あります。それの元利償還金基準財政需要で今度めんどうを見ようということなんであります。  従来も、この地方債元利償還金のめんどうを見るということは、たとえば一番多いのは、災害復旧債の元利償還をいまでもめんどうを見ています。それから、四十三年度には、前に述べました特別事業債千二百億円の元利償還金基準財政需要で見るということをやっております。しかし今度の場合は、法人関係税の減収補てんの公債の償還金をめんどうを見るということで、これは大分問題が違っております。  御承知のように、法人関係税の減収というものは、これはちょっと考えればわかるように、むしろ裕福な府県、市町村、富裕団体において減収が多い。したがって、多額の公債が発行される。そういう富裕団体が持ち込んでいる公債の元利償還を基準財政需要でめんどうを見るということが果たしてどうかという問題で、交付税というのは本来から言いますと、弱小団体財源の欠之したものの財源を補強する、それが本来の目的であります。今度の場合はむしろ裕福な団体が非常に恩恵をこうむる。恩恵をこうむっても理由があればいいのですが、借金をしなければならない、そしてその裕福な団体借金の後始末を交付税で見る、ここには、交付税の本来の機能から言うと逸脱した点があるのではないか、そういうふうに考えられます。結局、財政危機に直面して、その苦し紛れに借金をした、その苦し紛れの後始末を交付税がしよう、そういうことになるわけであります。  まあ時間がございませんので、以上申し述べましたように、私、四十年近く地方財政の研究をしておりますが、財政調整制度の時分から今日にかけて、日本の地方財政調整制度がこれほどがたが来て、またいろいろ問題を多く含んでいるということは、余り知った経験がないのであります。  それで、時間の関係ではしょりますが、当面どういう対策をすればいいかという問題でありますが、一つは、一般に言われておりますように、地方交付税税率引き上げる。そのほかに、たとえばこれは社会党や共産党その他でも言っていますが、第二交付税とか緊急特別交付税、これはいまの財政危機の臨時措置でしょうが、そういうものもあります。しかし本来は、交付税税率引き上げが問題になる。その引き上げの率はいろいろあるわけですが、一般に言われているのは三二%から四〇%、いろいろなことが言われおります。まあ交付税の総額がふくれてくれば、その機能もいろいろ発揮できるわけでいいと思うのですが、これに対してはもちろん大蔵省から、国の財源難を理由に非常な抵抗があると思います。しかし、国が財源難だからこのままにしておいていい、地方団体はどんどん借金をしておればいいんだと言って済ますわけには恐らくこれからはいかないと思います。  それから、地方交付税についての抜本的な改革の問題ですが、一つは、先ほどからお話ししましたように、交付税の総額をどうして確保するかという問題であります。これについては、国の三税の三二%というふうに結びつけないで、その税金の種類をふやせとか、まあこれはわれわれの間でもいろいろな議論があります。しかし、非常に困ったことは、国が国債をどんどん発行していく場合には、どんな税金に結びつけてみても、これは救われないわけであります。そういう意味からいって、昔のといいますか、昭和二十八年までありました地方財政平衡交付金の方式に改めていく。これはつまり下からの積み上げで、基準財政需要額を積み上げ、そして基準財政収入額を積み上げて、その不足額を国家予算に計上する、そういう方法であります。これが一番理想的な方法だと思います。シャウプ勧告では、こういうふうにやると景気変動で地方の収入が変動した場合には、それを交付税で調整することができる、これをかなり強調しております。つまり基準財政需要はふえるが収入は減る、その差額を交付税で賄えば非常に調節ができる、これは平衡交付金でなければできませんが、そういう機能を非常に重視している。今日では全く逆で、一番景気の変動の強い所得税と法人税に結びついているので、景気変動の地方収入に及ぼす影響が一層大きくなっている。これは何とかしなければ、ことにこれからの低成長の経済のもとには、ここにやはりメスを加える必要があるというふうに思います。  さらに構造の問題ですが、時間がないのでごくかいつまんで申しますが、基準財政需要額の変遷を見ますと、土木費関係、そういったものの比重が非常にふえております。たとえば、昭和三十三年に八・七%であったのが現在は二〇%ぐらいになっている。ところが教育費とか厚生労働費は比重は減っている。最近は、四十四年度ぐらいと比べると五十年度あたりは少しは上がっておりますが、こういうふうになっているのは、つまり単価とか測定単位とか補正とか、そういう構造が非常に高度成長型になっている、経済中心になっている。これを社会福祉型に転換していく必要があるというふうに思います。また大都市の財政需要というものが現在非常に膨張しておりますので、それをどういうふうに交付税基準財政需要に反映するか、これも非常に重要な問題だと思います。  とにかく、この地方交付税が、先ほど私が申しましたように現在非常に、何と申しますか危機といいますか、まあ崩壊の前にあるといったような考えを持ちますので、この際、国会議員の方々地方団体の代表者、自治省、大蔵省、学識経験者、そういう人が集まって、審議会でもつくって基本的に、当面の対策対策として、基本的にこの問題を低成長下においてどうあればいいかということを検討されることを強く希望するものであります。  以上で終わります。(拍手
  56. 小山省二

    小山委員長 次に、平井参考人お願いをいたします。
  57. 平井龍

    ○平井参考人 山口県知事の平井でございます。諸先生方におかれましては、地方行財政の諸問題につきまして日ごろから深い御理解と御協力を賜っておりますことを、まずこの席をおかりいたしまして深く感謝申し上げる次第でございます。  本日は、五十一年度地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして意見を申し述べるようにということでございますが、私は今回の改正法案に賛成の立場から、関連する地方財政の諸問題を含めまして若干の意見を述べさしていただきたいと存じます。  第一は地方交付税充実についてでございます。ただいま藤田先生からも意見の陳述がございましたが、今日、国税三税の激減に伴いまして交付税額の減少を補てんするために、地方交付税特別会計におきまして両年度にわたり二兆四千百四十六億円の巨額の借入措置がとられましたことは、将来この償還が地方財政硬直化の原因となりますし、財政運営を圧迫することは必至でございまするので、今後国におかれましては、償還に当たって特段の配慮をしていただきたいということを、当面する地方団体の基本的な要請事項と考えておる次第でございます。  御承知のように、現行の交付税率は五十年度補正及び五十一年度当初で臨時的措置を必要とされましたことからいたしましても、本来の交付税制度の機能を果たし得なくなっておりまするので、速やかに交付税率の大幅な引き上げを行っていただきたいということでございます。このような事態となりました主な理由といたしましては、四十二年度以降、交付税率につきましては三二%を据え置いたまま今日に至っておりまするが、反面、私学の助成あるいは教員の人材確保、老人医療の公費負担、児童手当、土地、環境、公害対策等多くの新規施策制度改正によります増大する財政需要を、今日まで経済高度成長期におきましては税の自然増収に支えられつつ交付税の充当対象に吸収され得てきたことによるものでございまするが、低成長期を迎えまして今日、地方の肥大化する財政需要に対する現行の交付税制度は、その弾力性を喪失いたしていることによるものと考えます。  交付税率引き上げに関連いたしまして、公債発行下の地方交付税制度といたしまして、国の公債発行額のうち国税三税に相当する額に交付税率を乗じて得た額を地方交付税とする臨時の特別措置を講ずることにつきまして、全国知事会といたしましてはかねてより主張をいたしているところでございまして、仮にこれを五十一年度国の当初予算試算をいたしますると、交付税率に換算いたしまして一五%程度に相なろうかと存じます。なお、地方交付税を充当することが不適当な経費といたしまして、警察官の人件費に対する国庫負担制度の創設や委任事務経費の委託費への切りかえ等の方法によりまして、交付税の需要から除外することを要望をいたしておるところでございます。  第二は地方税についてでございますが、地方自主財源強化するための最も重要な課題の一つといたしまして、法人事業税への外形課税の導入について申し上げたいと思います。  事業税への外形基準の導入につきましては、すでに国会におかれます附帯決議も行われており、知事会といたしましても長年提唱をし、また政府の各種調査会の答申でも取り上げられているところでございます。法人事業税は都道府県税収入の四〇%以上を占めて推移いたしておりますし、山口県におきましても法人事業税が税収の大宗を占めているところでございますが、現行の事業制度が景気の動向によりまして課税の不均衡、また税収の不安定を来しておるような次第でございます。  ちなみに山口県の例を申し上げますると、四十九年度は二百七十九億円の法人事業税が、五十年度は景気の落ち込みによりまして百七十一億円と約三九%も落ち込みまして財政運営をきわめて不安定なことにいたしますとともに、欠損法人におきましては四十九年度全法人約一万六千社のうち、不況によりましてその約三分の一に相当する五千五百社が五十年度は欠損法人に相なっておりますし、このうち石油あるいは化学等の大法人の欠損法人が十社にも上っているような状況でございます。現下の財政状況からいたしまして、都道府県の実情に応じまして個別に税収入の安定確保あるいは社会的不公平の是正の見地からいたしまして、現行法の許容する範囲内で、課税技術上は問題が残りますけれども、外形基準に踏み切るような胎動も都道府県の中にはうかがえるような状況に相なっておりまするので、国におかれましては外形課税導入の制度化につきまして早急に実現を図られたいというお願いでございます。  租税特別措置の整理合理化につきましてはいまさら申し上げるわけでもございませんが、五十一年度の税制改正におかれましても整理縮減が行われているところでございますが、依然といたしまして地方税に対する影響が非常に大きいわけでございまするので、少なくとも地方税に対する租特法の影響遮断を完全にしていただきたいということをお願いする次第でございます。  第三に、地方債について申し上げたいと思います。地方税、地方交付税の減収補てんを行いますために、臨時に増発されております地方債がこれまた藤田先生からお話ございましたように、五十年度の減収補てん債で一兆六百三十二億円、五十一年度の当初の財源不足対策債一兆二千五百億円の巨額に上っておるわけでございまするが、これが将来地方財政にとりましては公債費の増大となって、大きな負担と圧迫になるわけでございます。  山口県におきましても、五十年度で減収補てん債百十四億円、五十一年度の財政対策債が約百億円と推定されておるわけでございますが、これを今後の一般財源に占める公債費の償還の状況を試算いたしてみますると、五十年度におきましては一般歳入に占める公債償還費の割合が六・五%でございましたのが、五十三年度以降は一〇%台となりまして以後しばらくはそのような傾向が続くものと推定されるわけでございます。  本来この地方債につきましては、一般財源措置されるべきものであると考えまするので、これらの地方債に係る元利償還金につきましては全額交付税の需要額に算入されるべきものと考えておりまするが、その結果他の財政需要を圧迫することも予見されまするので、第一の地方交付税充実で申し上げましたことと関連をいたしまするが、今年度の財政対策債につきましても、交付税率引き上げ等によりまして十分な財政措置を講ずることをお願いを申し上げる次第でございます。  なお、地方債に関連いたしまして、昨年、今年度と縁故地方債の激増に伴いまして発行条件がきわめて悪化をいたしておりました。完全な消化も困難となってきておるような実情でございまするので、地方団体金融公庫を創設することについて検討を一層進めていただきたいとお願いする次第でございます。  本県におきましても、設例といたしまして、四十九年度の銀行縁故債は四十二億円でございましたが、五十年度は約四倍の百七十六億円の多額に上りました。その約三分の一に相当する五十六億円を指定金融機関以外の金融機関に引き受けてもらうこと等その消化に難渋を来しているような実情もあるわけでございます。  第四に、地方超過負担の解消について申し上げたいと思います。  政府が五十一年度の当初予算でとられました解消措置は、地方自治団体の実態調査によります超過負担額、総額六千三百六十億円に対しまして実質的には百四十六億円にすぎないわけでございまして、地方団体の要望とはほど遠いもあとなっているわけでございまするので、速やかに、今回の解消措置が現行の低い補助基準のままで行われているため、依然として超過負担が残っていることにかんがみまして、補助基準を実勢に即するよう補助要綱の改善をお願いしたいことが第一点。もう一点は、五十一年度予算措置に見られまする警察施設整備費の解消措置のように、単価差のみならず数量差、対象差を含めて解消することをお願いしたいのでございます。  最後に、時間の関係もございますので、本法案成立されませんために、交付税の概算額が落ち込んでおりまして、各府県の資金繰りが極度に悪化を来しているような実情でございます。ちなみに、四月末の都道府県の資金不足のみ集計いたしましても、約六千五百億円が見込まれるわけでございまして、わが山口県におきましても交付税成立されないため約三十億円の交付税概算交付が減額されまする結果、四月末現在におきましては総額四十六億円の資金不足を来し、これを借入金に依存せざるを得ない状況でございます。  他方、この地方財政も国とともに公経済の両輪となる役割りからいたしまして、国の不況対策を推進する観点からいたしまして、公共事業の早期発注に努めているような状況でございまして、山口県の例を申し上げますると、第一・四半期の契約目標を昨年度よりも一〇%以上上回る四五%として、早期発注に努めているところでございまするが、その結果といたしまして、四月末四十六億円の資金不足が五月末には百億円を超える資金不足となる予想がされるところでございます。  不況対策の実施並びに地方財政の円滑な運営のために本法案の速やかな成立を強く要望いたしまして、私の陳述を終わらせていただきます。(拍手
  58. 小山省二

    小山委員長 次に、河津参考人お願いをいたします。
  59. 河津勝

    ○河津参考人 ただいま委員長より御紹介いただきました相模原市長の河津でございます。  本日は、全国市長会を代表いたしまして、地方交付税法等改正法案につきまして、住民生活に直結する行政を預っております第一線の首長としての意見を述べる機会をいただきましたことを厚くお礼申し上げます。地方行政委員会の諸先生には日ごろより地方行財政の各般にわたる問題の解決につきまして特段の御尽力をいただいておりますことを本席をおかりいたしまして深く感謝申し上げる次第でございます。  御案内のとおり、現下の都市財政は、わが国経済の急激な変動により、税収の落ち込みが激しく、未曾有の危機に直面いたしております。その実態を御参考までに、お配りいたしております資料により申し上げますと、全国市長会が三月時点で調査いたしました昭和五十年度における普通会計の決算見込みでは、都市全体の実質収支は、昭和四十年度以降黒字でありましたものが、五百九十四億円の赤字を生ずる見込みであります。赤字団体は、前年度決算では八十三団体でありましたが、全国六百四十三市の二三%に当たる百四十八市に増加いたしております。その赤字額は千三十六億円にも達する見込みとなっております。もちろんこの調査が三月時点のものでありますので、多少の変動があるかと存じますが、単年度収支では、千四百五十億円の赤字が見込まれ、全市の約九〇%に当たる五百五十六市が赤字を生ずる状況となっております。  こうした状況の中で編成した昭和五十一年度予算は、きわめて厳しいものとなっておりますが、特に年度当初の資金繰りは例年になく厳しい実情となっております。  御承知のとおり、地方団体年度当初においては、地方税の収入が少なく、地方交付税概算交付が資金調達の大きなウエートを占めておるのでございます。そのため暫定予算において所要措置を講じていただきましたが、ただいま御審議されております地方交付税法等改正法案が未成立のために三千二百四十九億円もの概算交付額が未交付となっておりまして、私たちは、その資金繰りに苦慮しているところであります。これは、現下の地方団体においては大変なことでございまして、仮にこの未交付額を全額一時借入金で調達すれば、その利子負担は一日七千万円にも上るものでございまして、悪化しております地方財政の首をますます締める結果となっております。  資金繰りの悪化は、財政の悪化をさらに招いておりまして、危機に瀕している地方団体行政についてさらに停滞を来すこととなりますので、早急に本改正法案成立を図られますよう強く要望申し上げるものであります。  本日は、現在都市が抱えております諸般の問題、特に人口急増都市における行財政上の問題点を中心に本市の実情を通して意見を申し述べたいと存じます。  相模原市の実態を申し上げますと、まず人口でございますが、昭和四十年では十六万人でございましたものが現在では三十八万人を超えまして、この十年間の増加数は二十二万人、二・四倍の増加となっております。最近その伸び率はやや鈍化しておりますが、首都圏域という立地から、ここ当分人口増加は続くものと思われるのでございます。この増加人口に対応する財政需要は、都市施設建設費はもちろん多額な資金を必要としますが、さらに今後は増加人口によります増加施設の維持運営費また、施設建設費に係る公債費、特に学校用地等を中心とした地方債の増大による公債費の割合か非常に高くなってきまして、市の財政構造を悪化させ、他の行政分野を圧迫しているのが本市の偽らざる実態でございます。  以上のような実情を踏まえて、当面早急に措置されたい点について申し述べますと、まず第一に超過負担の解消の問題でございます。これは、人口急増都市のみならず地方団体共通の課題でありますが、最近政府、国会におかれても積極的に取り組んでいただきまして、漸次超過負担の解消が図られつつありますが、昨年行った地方団体調査結果によれば、その総額は六千三百六十億円にも達しております。  本市が増設計画中の屎尿処理施設、ごみ処理施設を例にとりまして御説明申し上げます。  まず、屎尿処理施設でありますが、処理能力二百キロリットルの建設費が約十五億円で、これに対する国の手当ては四億五千万円、その補助率は基準の五〇%に対して約二九%という実態となっております。また、ごみ処理施設も日量四百五十トンの建設費が用地を含めまして約百十億円、これに対する補助見込みは約十五億円で基準の五〇%に対して約一三%ときわめて低い国庫補助の実態となっております。  超過負担考え方の相違もあろうかと思いますが、超過負担地方財政を圧迫する大きな要因となっていることにもかんがみまして、これが解消につきましては引き続き積極的に御努力をいただきたいと存じます。  次に、人口急増市町村に対する財政の特別措置の法制化とその拡充措置についてお願いをいたします。  なお、ここで改めてお礼申し上げますが、学校用地に対しましては、五十一年度以降も補助制度を継続していただきましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。  しかしながら、本市の場合、児童、生徒の増加状況により今後毎年七校程度の新設が必要であります。この新設校はすべて用地を取得しなければならないものでありますので、今後は引き続き交付率の引き上げ、取得に係る市債に対しましては政府資金の大幅な拡充をお願いいたします。義務教育施設以外の公共施設の整備にも今後莫大な財政需要がありますので、施設整備事業に係る国庫負担率の引き上げ地方債の拡充等を内容とする人口急増市町村に対する特別措置について法制化を図られますようにお願いを申し上げます。  次に、都市の財政需要、特に人口急増地域に対する基準財政需要額強化でございます。  一例といたしまして公債費で御説明させていただきますが、本市の場合五十年度公債費は二十一億円で、このうち一般財源は十七億円でございます。しかしながら、交付税上算入されております需要額は六億円で、その算入率は二八%となっております。これは、公債費のうち学校用地取得債に対して現行三〇%の算入がされているためであります。このほか、交付税上の学校用地取得費の算定につきましては、買収実績より低い単価のものが積算されているので、全体的に人口急増団体基準財政需要額は非常に厳しい算定であります。この点につきましては改善を願うとともに、交付税率引き上げについて十分なる御配慮をお願いいたす次第でございます。  次に、地方団体金融公庫の設置を是非ともお願い申し上げます。各自治体とも自治省の公庫設置構想について大きな期待を持っていることばいまさら御説明する必要はないものと存じますが、今後の市債の資金調達についてこの資金確保、金融機関との事務簡素化のため一日も早く公庫の設置をお願い申し上げる次第であります。  最後に、最近の地方財政の実情に関連いたしまして意見を申し述べさせていただきますと、都市における昭和五十一年度予算の編成状況は、お配りいたしております資料のとおり、予算規模の伸び率は、対前年度当初予算で一二%弱、対決算見込みではわずか〇・四%にすぎず、その規模はきわめて低いものとなっております。予算の策定に当たっては、各自治体とも、歳入では、たとえば受益者負担の要素の強い使用料、手数料について大部分の市が市民の協力を得て引き上げを行い、また、歳出では、給与運用の適正化措置等、あらゆる角度から既定経費の見直しによる節減はもちろんのこと、財政の効率的運用を図っているところであります。しかしながら都市財政を取り巻く環境が余りにも厳しいために住民の強い要請にこたえるに足る施策を実施できず、緊縮予算を組まざるを得なかったのが実態であります。  たとえば本市においては、当然予算に計上すべき事業についても財源不足のため組み得なかったものとして、小中学校の過密解消事業の延期、最小限小学校の学校給食を確保するため、一部実施していた中学校給食の中止、年次計画として整備していた市営住宅建設事業の見送り、市立保育園整備計画の縮小などを行わざるを得ない実情となっており、これは市民の信託を得て市政を預かる市長としてはまことに残念なことであります。  昭和五十一年度地方財政対策は、それなりの評価はできますが、安定成長経済下における都市財政の先行きを思うとき、われわれは早急に解決すべき幾多の重要な都市問題を抱え、地方財政の健全確保に強い不安を抱くものであります。どうか、基礎的地方公共団体として、市民に直結する行政を行っている市町村の果すべき役割りの重大さを御認識いただきまして、この際抜本的都市財政の強化について格別の御配慮を強くお願いいたしまして私の意見としたします。大変ありがとうございました。(拍手
  60. 小山省二

    小山委員長 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
  61. 小山省二

    小山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬治君。
  62. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 きょうの参考人方々には厚く御礼申し上げます。  実は、いまお聞きしたので、必ずしもいま申し述べられたことに対する質問にならないかもしれませんけれども、その点ひとつ御了解いただきたいと思います。今度の地方財政計画ですね、これでいつも言われておりますが、今度は国も赤字だ、だから地方も赤字をしょうのは当然だからというので、大変な地方債がどんどん発行されてきたわけです。私どもは、どうも都合がいいときは国と地方自治団体は同格になって、都合が悪くなると地方団体が国に隷属している、こういうような使い分けをされているような気がするのですね。元来、午前中にも出ましたけれども、国は自主的にいろんなことをやる力を持っているけれども、現在の三割自治か一割自治かわからないような状態の地方自治体というものは、国がやってくれなければ何もできないという、いわば自主権を喪失した、名前だけは自治体であるけれども、本当は自治体ではないというような状態にあるわけです。したがって、いま国も赤字だから地方も赤字をしょうのは当然だというので膨大な地方債をしょわせる、これを将来どうするか。ただ、自治大臣と大蔵大臣との間に、もし来年あたりまで悪ければ何とかしましようという漠然とした申し合わせがあるということは聞いておるけれども、低成長下で果たしてそれも国がやれるかどうかという保証も何もない、こういう状態で、非常に大きな赤字をしょってきておるわけです。これに対していままでこもごも皆さんからお話があったわけですけれども交付税制度そのものに対して、いま藤田先生からもいろいろお話がありましたが、私らも、かなりの専門家、一生懸命これをやっている人たちでも非常にわかりにくい。もうほとんど普通の人では理解できないじゃないかと思うような複雑な仕組みになっています。自治省から言わせると世界一整備されたものだと言うけれども整備され過ぎて世界一ややこしい交付税制度になっているんだ、こういうふうに思います。それが、国民がやってくれとは言うけれども、それでは歳入がどうだという財政の問題に対する無関心の一つの原因になっているのじゃないか、こういうことも考えられるわけで、これをもっとわかりやすいように、ことに、いまの交付税制度というものを整理すべきじゃないか。根本的にやるべきでありましょうが、それでなくても、いまの制度というものを根本的に整理すべきじゃないかというような考えを持っておりますけれども、それに対するお考えをお聞かせいただきたい。  それから、いまもお話がありましたけれども、元来、交付税措置すべきものを起債にどんどん振りかえていっておる。そして、あるものは元利を後から交付税で見る、あるものはは全然見ない、あるものは利子だけ見よう、非常に、いまだかつて見たことのないような難解、複雑な形になっておるわけです。  そこで、これをいままでの、何といいますか、さっき申し上げました国と地方立場、役割り、こういうものから考えますと、国というものは自分で措置するところの自主的な力を持っているけれども地方はない。こういうことを考えれば、こういう膨大なやつを、単に国も赤字だから地方も赤字だというので地方に預けるのではなくて、国が全部それを借り入れて、そして地方に正しい形でもって交付税として配分する、こういうような形をとるべきではないか。具体的に言うならば、交付税の特別会計にそれを全部入れて、そこから出すべきじゃないか、こういうふうに考えるのです。ところが、そうじやなくて、いきなり起債という形でもって将来に大きな負担を与えておるということは、私どもとしては今回の交付税のあれには納得できない、こう考えていますけれども、皆さんのお考えをお聞かせいただきたい。  それから、いまの交付税制度というものは、ほとんど交付税法という法律が無視されて、法律の先に政令が先行し、そしてさらにその先に自治省の省令が先行している。出てきたものは、いまいろいろお話がありましたように、全く実勢とは変わったものが出てきて、それがいつも二〇%か三〇%近い財政計画上の乖離となってあらわれてきている、こういうふうに考えるわけです。そこで、これもいま藤田先生からお話がありましたけれども、特に地方自治を実際に預かっておられる副知事さんや市長さんから、これをどういうふうにすべきか、先ほど言いましたように私どもとしては簡単なものにこれをつくり変えるべきではないかというふうに考えておりますけれども、それあたりの御意見をお聞かせ願いたいと思います。  それからもう一つ申し上げたいのは、これは私自体も疑問がありますし、そのために皆さんの御意見を聞きたいのですけれども、今回の政府予算不況対策というのが非常に大きな目標になっております。そして、地方自治体予算というものも、この不況対策としての公共事業の受けざら予算である、こう言っても私ば過言ではないと思います。この不況対策の受けざらとしての公共事業地方がやろうとしている公共事業、これのためにいろいろな問題が起きてきていることは、これもいま皆さん申し述べられたとおりであります。第一に公共事業の裏負担が非常に大きい。それから地方債、これを後から返していかなければいけない。この後遺症は非常に大きいものがある。それからさらに高い負担をしていかなければいけない。それから縁故債だとかこういうものをどうして消化したらいいか、これの問題も非常に大きな問題になっている。まかり間違うと民間企業の圧迫として民間から反撃を食らう、こういうようなことで非常に苦労しているのですけれども、こういうような苦労をあえてやって、公共事業というものをこれから積極的に、先ほども高知の村長さんから不況対策に積極的に協力しなければいかぬというので、早くやってくれというお話もありましたけれども、果たしてこういうような膨大な負担を地方がやりながら、不況対策として公共事業を積極的に取り上げる必要があるかどうかということに非常に疑問を感じているのです。その御意見を聞かせていただきたい。  というのは、けさの新聞でも皆さん御承知になったかと思いますけれども、現在では卸売物価の騰勢等を考えてみると、むしろ不況対策じゃなくて物価をある程度抑えていかなければいけないという危険性が出てきている。卸売物価はこのままでいきますと五十一年度の平均上昇率が七%になるのじゃないかというようなことまで言われております。それから、これからどんどん出てくる公共料金の値上げ、こういうものをずっと考えますと、とても不況対策どころじゃなくて、これを抑える必要があるのじゃないか。これは大蔵省も真剣にそれを考えておるようです。ただ、通産省はこれは一時的な現象だと言っておるようですけれども、こういうことを考えますと、膨大な公共事業というものを地方が引き受けて、超過負担が当然出てきます。大きな超過負担が出てくる。さらにこれによってインフレ、物価高が出てくる。それがさらに相乗積される。それから裏負担あるいは膨大な地方債が出てくる。こういうものをずっと考えますと、果たして公共事業不況対策の受けざらとして地方でやるのがいいか悪いか、本当にやろうとしているのか、こういう点を、非常に微妙な状態になってきたので、この点の御意見をひとつ皆様からお伺いいたしたい、こういうふうに思います。  それから、先ほど藤田先生のお話を聞いて私は全く同感なんですけれども、いまの状態は、過密の都市も過疎の村も両方ともが非常に大きな財政難に陥っている。ところが、元来交付税というものは貧弱な町村を救うのが目的であって、大都市を救う、富裕団体を救うのが目的じゃない、私はそのとおりだと思います。ところが、富裕団体はいわゆる過密都市、これがいま、市長さんからお話があったように、大変な財政事情があるので、何とかならないで、少ない交付税を非常に多額に食っていく。恐らく相模原市でもらっているような交付税があれば、私は秋田ですが、ああいうところの大変な財政の継ぎ足しができる、こう思うのです。非常に過密の大都市の需要というのは大きいんです。それだけ食ってしまえば過疎のところへ行くあれがなくなると思うのです。私ども過疎の出身からいくと非常に大きな問題に考えておるわけです。  ところで、これを解消する方法、過密と過疎、これを両方とも解消する方法とすれば、まず第一番に考えられるのは、過密のところには課税客体がたくさんある。ただ、いまの地方税法が一本になっているために、取る客体があっても取れないという状態になっているのではないか、こう思うのです。過疎のところは取ろうと思っても取る客体がない。だから、貧乏だ、両方とも貧乏になっている。そういうことから考えると、現在の地方税法というものを過密用の地方税法と過疎用の地方税法に二つに分ける必要があるのではないか。もっと具体的に言うならば、いま自治省は盛んに反対しておりますけれども、法定外普通税ですね。こういうものはやるなやるな、税の均衡を乱すから、バランスを崩すからやるなと言って自治省は盛んに抑えておるようですけれども、万やむを得ずして各都市やっています。こういうところに見られるような、いわば過密の都市独自のいろいろな税源というものを積極的に与えるべきではないか。そうして、余った交付税というものを過疎のところにやって助けてやる、こういうふうな方法でもしなければ、両方貧乏になってしまう、こういう感じもするわけです。これがやられないとすれば、いま皆さん、特に藤田先生申されましたように、抜本的な、所得税地方にやるとか、あるいは全部の税金を一本に取って、私どもが主張しているようにフィフティー・フィフティーに分けるとか、何かそういうふうな抜本的な方法を講じなければいけない、こういうふうに考えるわけです。このことに対しても皆さんの御意見をお伺いいたしたい。全部並べてもあれですから、まずそれだけでお願いします。
  63. 藤田武夫

    ○藤田参考人 いまの佐藤先生の御質問ですが、なかなか問題が大きな問題であり、またかなり多岐にわたっているので、うまくお答えできるかどうかわかりませんが、最初は地方交付税の仕組みが非常に複雑で精緻であり過ぎる、だからもう少しわかりやすく簡素化したらどうか、こういう御意見は私もよく聞くのですが、しかしこれはなかなかむずかしい問題でありまして、御承知だと思いますが、今日の交付税ができる前に五回ぐらい交付税の組織というのは変わってきていますので、そして交付税になって、これは勉強する者の側から見ますと、かなり何といいますか、整備された形になった。前は、終戦直後なんかは人口の数、それに大都市を含んでいる府県は三割増しにするとか、つまり基準財政需要というものを一つは人口数で見ていく。それから義務教育の学齢児童数が普通以上に多い場合またそれを割り増しするとか、そういうことをやっておる。それから財政需要の方だけに全部の——その当時配付税と言ったのですが、配付税の半分をやって、後の半分を収入の、これはむずかしく言うと非常に複雑になりますが、平均単位税額より少ない団体に対して、その不足額に案分して半分はやる。つまり収入とそれから需要と別々に半分ずつの配付税で配っておった時代があるのです。これは非常に不完全で、つまり需要と収入を比べて足りぬものをカバーする、これがいまの制度ですが、これが本当の財政調整制度だと私は思います。しかしそういう場合に需要額をどうして測定するか。先ほど申しましたように人口だけで見ていく、これも一つの方法ですが、外国なんかではイギリスや何かでもそういう方法をとっている国もあります。ドイツでもそれに近い方法をとっておりますが、しかしこれは人口が多いから、必ずしも財政需要がほかと比べて何%人口と同じ割合で違ってくるというわけでもないので、これはやはりいまのように各種の費用について、基準的な行政をやるのにはどれだけ教育費なら教育費あるいは土木費なら土木費に金が要るかということを、めんどうでも計算さして、そしてそれを積み上げていく。そればもう基準的な行政なんですね。そして片っ方は、収入は府県税であれば百分の八十ですか、市町村税は百分の七十五、そういうもので入ってくるものを計算する。そして両方比べて足りぬ分をカバーする。これが大まかな組織ですが、それを正確にやろうとしてだんだんやっていくと、どうもいまのような組織になってくるんですね。最近はその上へもってきて、いま佐藤さんからもお話がありましたように、非常にゆがめられた特別の公債の元利償還を見るとか、いろんな本来のそういう財政調整でないものまでとにかく何でも交付税へ持ってくればいいというようなかっこうで持ってくる。また交付税から今度は借金の方へ移す。これは非常に混乱しているのですが、そういう点ははっきり清算すべきだ。しかし基本的な仕組みというものは今日の仕方がいいと私は思う。あるいはもう少し簡素化することもできるかと思いますが、そして先ほど私申しましたように、いままでは高度成長志向型でこの基準財政需要が計算されているのですが、これをやはり社会福祉の方へ十分考える。幾らかそうなってきてはいますが、もっとそういう方向に持っていく、そういうことをお願いしたい。  それからこれはちょっとよくわかりませんが、地方債を国で、つまり地方債交付税財源に、国債ですかね、財源に入れたらどうかというお話がありました。それはどういうことですか。
  64. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 さっきもお話がありましたけれども、元来交付税で見るものを地方債としてよこしているわけですね、今回の交付税で。そしてその中にも全部元利償還も何もしないのもあるし、元利交付税で見てやろうというのもあるし、利息だけ見てやろうというのもあるんですよ。多種多様にわたっているので、そういうような複雑になるとますますわからなくなってしまうではないか。だから地方は自主権がないんですよ。国のめんどうにならなければいかぬ。国はどうせ後で地方のめんどうを見なければいかぬのだから、国は一本で借りて、そうして交付税として配付したらどうだ、それの方がもっと整理されているのではないかという話ですよ。
  65. 藤田武夫

    ○藤田参考人 交付税財源に国債を入れるというのは、これはいろいろ問題があるんですけれども、私先ほど申し上げたうちでも、つまり一定の税収に結びつけて考えていくと、これは不景気になれば収入は少くなる。不景気のときの方が交付税は必要なんですが、そうなると困るので、国債で出したものについては全然交付税戻ってこないので恩恵がないわけです。だからさっきお話したように地方財政平衡交付金として、つまり先ほど私がお話したような、積み上げていって足りないものをカバーする、そういう組織にしていけば、つまり財源で何もくくられないわけなんですからね。そうしていけば、いまのように借金ではみ出す分も少なくなっていく、そういうふうに考えます。  それから、その次の不況対策の受けざらを地方団体で一生懸命借金をしたりいろいろしてやっている。これは最近の景気の、何といいますか、幾らか上向くとかあるいは物価がむしろ騰貴する、そういう場合に検討すべきではないかという御意見ですが、これは私も全くそのとおりだと思います。五十年度の補正予算から五十一年度予算にかけて政府では、とにかく不景気だから財界からの要求もいろいろあって、何とか不況対策をやらなければいけない、非常にしゃにむにやったわけです。そして非常に大規模なプロジェクトを立てて、新幹線とか本四架橋とかいろいろなことをやり出して、そしてそのほか公共事業をふやした。公共事業は予定どおりには実施はされていませんが、しかしぼつぼつ景気も、公共事業だけのせいでもないでしょうが、よくなってきた。なおこれ以上政府財政需要が出ると、むしろ物価が騰貴しないか、そういうことも幾らかあるわけで、大蔵省では先ほどお話しのように新聞にも出ていますが、最近地方団体の公共事業なんかをそうあわててやらさないようにというようなことの動きが見えますが、とにかくこういう不況対策に追い回されて、それを財政力の貧弱な地方団体が背負い込んで非常に後に何年間と、十年も二十年も残る借金を背負い込んでいる。これは非常におかしな姿なんで、この際確かに公共事業のあり方というものを再検討する必要がある。最初の当初予算のとおりでいいのかどうか、まあこれは参議院で国家予算も審議されるわけですが、十分再検討する。その場合に、あわせてそれによるところの地方負担というものは一体どうなるのか、それと地方税の関係地方債関係というものを十分再検討してもらうということが必要だと思います。  それから、最後の過疎過密と地方税、交付税の問題ですが、これも御意見のとおりだと思いますが、過密である大都市、これについては税源でなるだけ税金をやる。現在大都市の税収入というのは非常に少ないので、法人課税なんかを見ますと法人課税収入の七割くらいまでは国に入る。それから府県に二〇%くらい入っておって、市町村には一〇%かせいぜい一五%くらいしか入っていない。そういうことでなくて、もっと大都市ではその財政需要を賄えるように独立財源を拡充する。これは法人住民税のいろんな税率の問題とか、府県の場合にはさっきお話がありましたように、法人事業税の外形標準課税とかいろいろな方法があると思いますが、そういうふうにして大都市には税金をなるだけ持っていく。それから過疎町村は、これは税金をやってみても余り大したことはないんで、これはやはり交付税でめんどうを見なければいけない、その交付税を十分過疎対策に適用するようにする。大筋としては、そういうふうに分けて今後進めていくということが必要だと思います。
  66. 平井龍

    ○平井参考人 佐藤先生のお話しになりました、交付税制度が難解なのを平易にすべきではないかということと、国が借り入れた、正しい形で交付税として配分すべきではないかということにつきましては、私は全く同感でございます。しかしながら、現在の地方財政運営の実態からいたしまして、これらの改善については幾多の困難なる前提条件があると思われるのでございます。全国知事会の中に臨時地方行財政基本問題研究会が設置されまして、これは実務家の研究集団でございますが、種々現在する地方行財政の諸問題について、この問題点の所在を明確にするよう検討し続けてきておるわけでございますが、その結果として、当研究会といたしましては基本的にはどうしても国と地方行財政関係の秩序を適正なものにする、要すれば国と地方の役割りの分担、それに伴う経費財源の分担の明確化、こういうことがもっと重要ではないかという結論に達しておるのでございます。  御承知のように、今日高度成長時代に、国の機関委任事務として地方団体に移譲されました事務は相当膨大なものになっているわけでございまして、たとえば土地対策にいたしましても、老人あるいは心身障害者対策福祉問題、環境対策、最近におきましては物価問題等にいたしましても、地方自治体が対処しなければならない事務に対する国の機関委任的な事務について、必ずしもその地方財源の裏づけがない、あるいは国の行政指針等がないまま、自治体といたしましては今日まで住民福祉が本来の自治体の任務でございますからして、多様化するその住民のニーズに対しまして対応せざるを得なかったわけでございます。  しかしながら高度成長期におきましては、これらのことも税の自然増収によりましてある程度吸収し得てきたわけでございまするけれども、低成長期になりましては、これらの膨大なる、あるいは肥大化いたしました行政需要というものがいわば地方財政硬直化の原因となりまして、各方面から地方財政の硬直化の原因については先取り福祉であるのかあるいは国の超過負担であるのか、種々論議がなされておりますけれども、いずれにいたしましても国と地方団体間におきます機能の分担と経費の負担区分の明確化がされないまま今日に推移をしてきたことによるものであるというふうに、知事会の研究会は結論に達しまして、機関委任事務等につきまして約百五項目にわたる事例を提示し、また国の補助金につきまして、これを整理合理化すべきものとして百二十一件にわたる事例等をつけましてこれを知事会に報告し、さらに国会、各種審議会、委員会、学会、各方面に地方財政の実態について御理解と御協力をいただくべくお願いをいたしておるような段階になっておるのでございます。  いずれにいたしましても、今日の地方財政の状況からいたしまして、交付税の原資の確保はもとよりでございますが、交付税の総量を何としても確保していただきたいということが基本的なお願いでございまして、この要請を基本といたしまして交付税制度の平易、簡素化の問題、あるいはただいまお話のありましたような国において責任を持った配分の仕方であるとかいう問題が、次なる問題として出てくるのではあるまいかと私は考えておる次第でございます。  それから、公共事業地方自治体の受けざらの問題でございまするが、大規模な開発プロジェクトは別といたしまして、現在地方自治体が担当いたしております公共事業費は道路、河川、都市計画、街路、下水道、上水道等、かなり住民の生活に関連をいたしました公共事業が多いわけでございます。さらにはこの公共事業の施行につきましては、各地方自治体とも一県内の業者、要するに大部分の中小企業者、これらの受注の機会をふやすべく努力をいたしておるような状況でございます。  ちなみにわが山口県について申し上げますると、昨年度の実績では、公共事業費のうち約九〇%以上が、件数にいたしましても金額にいたしましても県内業者である中小企業者でございます。そういうようなことからいたしまして、五十一年度予算におきましては、国の公共事業費をほとんど完全にこれを受け入れまして、当面は地方債措置で、今後の償還に問題を残しておりまするものの、公共事業の早期発注によりまして県内の中小企業の育成、さらには受注機会の拡大、こういうようなことを考えておる次第でございます。そういうようなことからいたしまして、公共事業の消化につきましては、地方自治体におきましても国の政策に呼応いたしまして協力をしておるような次第でございます。  地方税制の問題につきましては、私専門家でございませんので答弁を保留させていただきたいと思います。
  67. 河津勝

    ○河津参考人 佐藤先生のお説全くそのとおりでございますが、そういうような心配もございますが、ただいま申し上げましたように相模原市におきましては人口急増に対処しまして、もうすぐに何でもやらなければならぬという羽目になっておるわけでございます。何だかんだと言いましても子供が入ってくる、学校を建てなくちゃならぬ。それから畑の中にぽかんと一つの町ができてしまうということになりますと下水の措置もしなくちゃいかぬ。こういうことで、将来のことを考えるよりも何よりも、現在もうあしたからのことをやらなくちゃいかぬという状況になっております。これは将来十分、確かに満足すべきものではないと存じますが、よく後にお考えをいただきまして改善をしていただくようにお願いを申し上げますが、直ちに、もういま出していただきませんと間に合いません。先ほど申し上げましたように、年度当初におきましてはもう財源、資金繰りにも差し支えておるという状況でございます。ぜひこの法案成立を望むものでございます。  それから、不況対策の問題にいたしましてもやはり同様でございまして、実は急激な都市化によりまして何の都市的な基盤もできておりません、たとえば集中豪雨がありますと多数の住宅が床上浸水を受けるというような状況で、下水の工事をやらなくちゃいかぬ、あるいは道路の工事もやらなくちゃいかぬ、そういう公共事業がたくさんにございますので、そういう施策をやっていただくことがやはり現在の相模原市にすぐに役立つわけでございます。裏予算も必要でございますけれども、やらなくちゃならない仕事がたくさんございますので、これは結構な話だ、こういうふうに考えております。  それから、税法の改正の問題はここでちょっと何とも申し上げられませんけれども、人口急増の内容のうちには、事業所等に多くの労務者が集まってきた、それが定着いたしまして急増の一因にもなっているということになっておりますが、そういうような人口の増加によりまして、一万人の人口の増加をいたしました場合に、新規建設費だとかあるいは経常経費等を一切含めますと三十一億二千万ぐらいの金がかかるわけです。それに対しまして入ってきた一万人の人たちが納める税金というのは二億三千万ぐらい。またこうした事業に対します国、県の補助金等、起債、税金まで入れまして八億一千万ぐらい。もうその差額を、これは市中銀行から借りたり何かして大変な苦労をしてやっておるわけです。それが将来埋め切らない。一万人に対応する経常経費だけでも二億七千万ぐらいですけれども、新規流入の人たちが納める税金は二億三千万。これは埋め合わせがつきません。そういうことの原因の一つに、事業所等に従事している人たちが多いわけでございます。したがって、法人税割をさらに、いま一四・五%、この制限率を標準とするぐらいに引き上げても差し支えないのではないか。税法の方ではそういうふうに考えております。  過密過疎の問題については、大きな問題でございまして、私どもちょっと考えられないものですから……。
  68. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 時間がなくなりましたからこれで終わります。どうもありがとうございました。
  69. 小山省二

    小山委員長 林百郎君。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 藤田先生にお尋ねいたします。  先ほどから交付税制のあり方についていろいろ論議が交わされているわけですが、交付税率引き上げてもらいたいということは各地方団体の共通の要望でもありますし、われわれも当然そういう時期が来ていると思います。地方交付税法の六条の三に、基準財政需要額と収入額の差と地方交付税交付金と著しく異った場合は税率を変更するという規定がございますね。これについて、「引き続き」という規定があるわけなんですけれども、普通学者の解釈としては、どういうふうに解釈なさっているのでしょう。二年説あり、自治省みたいに何だかはっきりしない説あり、いろいろあるのですけれども
  71. 藤田武夫

    ○藤田参考人 いまの林先生の御質問ですが、その点は絶えずよく問題になる点でして、これはそれぞれの立場の人がその立場に基づいていろんな解釈をするわけです。この法律ができましたときに、林先生はずいぶん長く国会に御関係になっているのであるいは御存じかもしれませんが、私の調べたところでは、その当時自治省の奥野さんでしたかだれかの答弁でいろいろ議会ではもめたのですが、そのときには数年と言いましたか、何かそういうふうなことをはっきり何年ということは言わないのだけれども、数年間というふうな答弁があったわけです。しかしこれは、何年間ということとそれから著しく食い違うという問題とは、ぼくは別々に考えてはおかしいと思うので、非常に著しくいまのように足りないという場合には、二年であってもそればすぐにやるべきだというふうに思います。それで、もうそうたくさん不足が出なくて、まあ一千万か二千万というぐらいの程度であれば、これは数年でもがまんができる。別にそう問題に——それはした方がいいのですが、わざわざ法案をつくってやるほどのこともないかと思います。その問題はやはり量の問題と期間の問題とは、一つの条文の中でもあるし、切り離して解釈するのは、あの法文の趣旨からいって私は不適当だと思います。量の問題と結びつけて期間の問題も考える。たとえ二年であっても、いまのように一兆円も二兆円も足りないといり二とでは、これはもう交付税の機能が発揮できないので、それは当然に問題にすべきだ、こういりふうに考えます。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 これはちょっと見通しございますのでなかなかむずかしい問題だと思いますが、自治省で発行しました地方財政収支試算の中期見通しですと、昭和五十一年度、ことしは、資金運用部資金の借り入れ等による交付税の増が一兆三千七百億円、公共事業に係る投資的経費起債振りかえによる地方債が八千億円、包括算入に係る投資的経費起債振りかえによる地方債が四千五百億円が措置されているが、来年度以降は歳入中にこういうものは一切入れないと書いてあるわけですね。こういうやり方はやらないと書いてある。そうすると、こういうやり方をやらなくて——見ますと、財源の収入が、五十一年度が約十四兆、五十二年度が十六兆、約二兆円の収入増を見込まなきゃなりませんけれども、いまの景気の状態、国の政策からいいましても低成長と言っておりますし、中小企業の倒産数も依然としてレコードを更新していく、こういう状態にあるわけなんですけれども自治省の中期見通しで、来年はこういう方法は一切とらない、交付税を資金運用部資金から借り入れもしないし、財政対策起債もしないということになると、どういう方法が考えられるのでしょうか。交付税率を上げるというより方法はないのじゃないかと思うのです。あるいは交付税の対象の中に新しい税金を含めて、まあわれわれが非常に警戒しているのは、付加価値税を創設してその中へ入れるのじゃないかということを心配しているわけですけれども、その点は政府も明言はしていませんが、そうでもしない限りやりようがないように思いますが、これについてはどうお考えになりますか。
  73. 藤田武夫

    ○藤田参考人 いま御指摘の自治省が発表しました中期地方財政展望というものですか、いま林先生が大分指摘をされたように、私は、あれは相当検討の余地があると思うのですね。あれでは一般財源は年率平均一七%伸びる、そういうふうに考えています。それでも起債がどんどんふえて、六十五年ですか、その時分には二十兆を超えるというふうなことを言っているのですが、その一七%の一般財源の伸びを年平均で見られるかどうかという問題で、あの場合には地方税の国民所得に対する負担率をいまの六・九から七・八でしたか、とにかく一%上げるということを前提にしている。それだけ増税をする、新しい税金を加える、とにかく増税をする。そしてそれも含めて一七%伸びると考えておるのですが、五十一年度は御承知のように去年よりも絶対額さえも減っているのです。それが今後、いまお話のように低成長下で、年平均で一七%果たして地方税で伸びるかどうかということが私は相当疑問だと思う。もちろん計算は、あれは国の中期財政展望に基づいているので、経済成長率とかいろいろなことを考えているのですが、しかし一七%は少し多過ぎやしないか。そうすると一般財源の一つである交付税が問題になるのですが、いま御指摘のように、交付税については去年、ことしやっているような借り入れをするとかそういうことは考えていない。そうかといって、税率はどうするかというと現行税率の三二%をそのままで考えている。そういうふうに書いてありますね、現行制度には触れない。それで果たしてやれるのかどうか、これは私は相当問題だと思います。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 先生のおっしゃった地方債残高の二十兆円というのは昭和五十五年度でございますね。  それと同時に、公債費が平均二三・七%ずつふえていく。これは絶対額から言うと、地方財政計画の中に組まれた地方債ですから、このほか縁故債だとか公営企業債だとかいろいろあると思いますが、この公債費が平均二三・七%ずつ伸びていくということになっております。公債費をこんなに伸ばしていく、そうしてそれは交付税不足分に繰り入れば来年からはしない、そうして地方債残高は五十五年度に二十兆円になるということになると、これは全部地方債でやっていけということで投げているという形にも見られるわけです。これは先生もおっしゃるように、国の赤字公債、建設公債の償還の計画を出せと言われて出したもので、それに見合ったものですから、私も権威があるとは思いませんけれども、しかしこういうつじつまを合わせるための無理な数字を出して、その数字の内容検討してみただけでも、もう交付税率について根本的に考えないと、あるいは今日の交付税制度について根本的にも見直さないと、先ほど同僚議員も言ったように、財政対策債のうち一部は交付税の包括算入に入れる、そのうち四千五百億の二千億だけは元利償還を見るとか、あるいはそのほかは政府資金並みの利子を見るとか、あるいは一部は利子の補給をするとか、それから特例交付金を約六百億くらい見るとか非常に手の込んだ、何かあっちの穴にこう薬を張り、こっちの穴にこう薬を張り、こうやって防ぎ、ああやって防ぎという形で、基本的に交付税制度を——先生から平衡交付金制度をもう一度考え直したらどうかという御意見がございましたが、交付税制度について根本的に見直す時期が来て、来年はこういうびほう策ではやるべきでないし、もうできないことになっているのではないかというように思うのですが、先生もその点を非常に憂慮されて、平衡交付金制度というようなことで考え直してみる方法はどうだろうかという意見もございましたし、われわれの方は法人税収について、社内保留について一時特別の地方財源に充てるための、所得には出なくても社内保留のある場合にはそれに対して課税をするとか、あるいは地方税を、外形課税という形より法人に対する資本金課税をするというような方法も考えておりますけれども、いずれにしても交付税制度については根本的に考え直さなければならない時期が来ているというように思いますがへその点の御見解をもう一度お聞きじておきたいと思うわけです。
  75. 藤田武夫

    ○藤田参考人 これば最初私がここで述べました終わりの方に申しましたとおりで、全くいまお話しのとおりに、このまままた五十二年度借金でやっていく、資金運用部からの一兆何千億もの借り入れで済ましていく、そういうことは幾ら何でもちょっと許されないのじゃないか。国の方に財源がないということが大きな抵抗になると思いますが、それはまたいろいろなことも考えられないこともないんで、その具体案を持っているわけでもありませんが、さっきの佐藤さんのお話のように公共事業をこのまま続けていいのかどうか、そういう方面で公共事業費を再検討すれば幾らかの財源も——公共事業といってもいろいろの内容があるので、地方の住民に非常に必要なものは別ですが、そういうところからもあるいは財源が出ないとも限らない。また税金の取り方も、租税特別措置を整理する。これは相当大きな、何千億という財源がそこにはあるわけで、いろいろな方法が考えられると思います。  とにかく地方交付税をこのまままた三年もやっていく、そうしてその交付税でとても総額で賄えないから借金しろということで、地方団体にどんどん借金をさせていく、そういうことはもう地方財政の硬直化でもあるし、大変なことになるので、恐らく来年は全く交付税の根本的な再検討お願いしなければいけない、そういうふうに思っております。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 時間の関係上、いろいろお聞きしたいことがございますが、次に移らしていただきます。  平井さんにお尋ねしたいと思うのですが、先ほどの全国知事会で計算しました超過負担六千三百六十億円、これは四十九年の決算でしたかね。
  77. 平井龍

    ○平井参考人 そうでございます。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 そうですね。国の方は千四百六億、われわれも、これはどうしでこんなに違うのだろうか。超過負担という概念を規定づけるにはいろいろあると思いますけれども、どうしてこんなに違いがあると知事会の方ではお考えになりますか。ちょっとその見解を述べていただきたいと思います。
  79. 平井龍

    ○平井参考人 これは、国の方では対象差それから数量差について、それは超過負担と考えないという、そういう範囲をしほられることによってこの大きな額が出ておるのではないかと考えております。おおむね単価差において三分の一程度、数量差、対象差を含めて三分の二程度ではないかと思いまするので、その取り方の差がこのような大きな額になっておるのではないかと思いますし、御承知のような保育所の摂津訴訟事件等を見ましても、門、さく、へい等が対象になっていないというのが一つの問題点になったように記憶いたしております。したがいまして、地方自治団体におきましては、いわゆる純粋の地方単独事業費は別といたしまして、国の補助を導入いたして実施いたします事業費につきましては、対象差、数量差をすべて報告をとりまして集計いたしました結果、六千三百六十億円という額に達したものと考えております。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 国の機関委任事務で、当然国が見なければならない費用について見ておらないというようなものはこの中に入っていないのですか。そして、そういうものもいわゆる超過負担という概念の中に入れて計算したら、この数字はもっと大きくなるのですか、ならないのですか、どうなんでしょうか。
  81. 平井龍

    ○平井参考人 ただいまのは、運営費の関係でございますか。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 はい。
  83. 平井龍

    ○平井参考人 運営費の関係につきましても、この超過負担の数値の中に入れてございます。それで、六千三百六十億円のうち、施設費系統が約三千十七億円、それから運営費系統が千四百九十六億円でございまして、運営費系統も数値の中に含めて計算をさせていただいております。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 次に、起債関係についてお尋ねしたいと思います。  先ほど、縁故債等の消化について困難な状況が出ておるということですが、これは実情をお聞きしたいのですが、国会の予算委員会等の質疑を通じてでは、大蔵大臣の答弁によりますと、いま景気が停滞の状態になっている、低成長時代であるので設備投資の資金需要も余りない、したがって、金融機関では預金が相当余力があるので、地方債の引き受けについては十分の余裕があると思う、まあこう言っているわけなんです。しかし、いわゆる景気が底をついたという状況も出てきておりますし、ことしの後半期には、政府自体が景気が上向きになるだろうということになると、これは設備投資資金も相当要るようになると思いますし、そういう中で、末端の市町村へ行けば市町村へ行ってのいろいろな困難もあると思いますが、府県の段階でこの縁故債の消化について、金融機関から何の心配もなく引き受けがなされているかどうか、まああっても口で言わないのか、その辺の実情ですけれども、それはどうなっているのでしょうか、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  85. 平井龍

    ○平井参考人 四十九年、五十年と山口県の例を申し上げますと、減収補てん債並びに本年度の財政対策債に巨額な縁故債を発行することに相なるわけでございます。現在の制度のたてまえからいたしまして、との引き受け先は指定金融機関、山口県でございますと山口銀行でございまするが、この指定金融機関が縁故債の大宗を消化することに従来からお願いをしているわけでございまするが、四十九年度と五十年度が四十二億円から百七十六億円と一挙に約四倍の多額の縁故債の引き受けを指定金融機関にいたすということになりますと、反面、中小企業の金融に圧迫を生ずるおそれもあるわけでございます。県におきましては、そういうようなことからいたしまして、中小企業の低金利の制度融資につきまして、県の資金繰りが悪いさなかでございまするけれども、中小企業の融資の枠を補正で増加いたしまして、五十年度は何とか乗り切ろうといたしておるわけでございます。しかしながら、この巨額な百七十六億円という県債をすべて指定金融機関に引き受けさせるということではなくして、その約三分の一の五十六億円を指定金融機関以外の、たとえば他の府県に本店のあります地方銀行あるいは都市銀行等に分散をいたしまして、そして引き受けをするべく、目下出納閉鎖期でもございますので極力努力をいたしておるような状況でございます。他の金融機関に引き受けということになりますと、金利も非常に高くなるわけでございます。金庫銀行でございますると、実情を申し上げますと、引き受け金利が八・七五%でございまするが、たとえば農協等の系統金融機関となりますと八・九五%と金利も高くなるわけでございまして、府県におきましてもこういう高い金利でしかも消化をお願いするということになりますと、市町村におきましては一層困難になる問題もあると思われまするので、県におきまして市町村の引き受けにつきましてできるだけ指定金融機関と話し合いをして、金利の引き下げを交渉しながら消化に努めておるということで、なかなか難渋をいたしておることが実情でございます。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと藤田先生に戻ってお聞きしたいのですが、実は縁故債、適格債でもないものですから、金融機関としてはこれはじっと抱えてなければならないので、それだけ金融の弾力性が固定するという面もあって、必ずしも歓迎されるということじゃないと思うのですね。しかし、まあ相手が県や市ですから、金融機関もまともにいろいろなことは言わないと思いますけれども、最近の自治省のこういうやり方で、起債起債でずっと何かこう歯どめのないような形になって、そして先ほど先生もおっしゃったように、昭和五十五年度の残高二十兆円という、いま八兆六千億ですが、二十兆円というようなことになりますし、それから公債費の伸び率が平均二三・七%になっているのですが、こういうように地方債がこんなにどんどん大きくなっていって、歯どめを考えなくてもいいのかどうかということなんですが、その辺はどういうようにお考えなんでしょうか。
  87. 藤田武夫

    ○藤田参考人 なかなかむずかしい問題ですが、いまは何しろにわかに地方財政危機とそれから国の景気浮揚策、公共事業の拡大、こういうものが一挙に重なってどうにもならない。地方税ではもちろん賄えないし、交付税も枠がはまってどうにもならない。それで結局借金の方へしわ寄せしている。こういう状態にありますが、もちろんこれをこのまま野放しにしてやっていくというふうなことは、いま平井さんからもお話がありましたように、地方団体の金融のやりくり、資金のやりくりあるいは地方銀行の立場に立ってみても、これはもうとてもそういうことは野放しにするわけにはいかないので、とにかくこう薬張りにやっているというだけのことで、将来のちゃんとした償還計画が中央でも地方でも立っているとは思われないので、これはもうおっしゃるとおり何か規制を加えるということなんですが、まあ規制を加える前にこの地方団体財政需要、といっても国からのいろいろな義務づけた仕事や国のいろいろな長期整備計画というふうなものに関連するわけですが、そういうところまで含めて、この際十分根本的に再検討する必要がある、このまま借金財政を続けていくというようなことは、これはもう財政のイロハにももとるわけで、その公債が、公営企業なんかでそれからまた収益を生むというふうな公営企業債であればこれまた話が別なんですが、いまのような赤字公債というものはとうてい続けられるものではない、そういうふうに思います。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 河津さんにひとつお尋ねしたいのです。相模原市では、われわれの調査した範囲では、昨年も財政白書を出されておりますし、財政危機に対して非常に積極的に取り組んでおられるわけですが、昭和五十一年度、今年度の財政の見通しからいって、超過負担の解消の問題についてはどういうようにお考えになっているんでしょうか。今年度地方財政計画の中における超過負担の解消の問題です。これが相模原市の超過負担の現状に比較してどういうようにお考えでしょうか。もちろん十分だとはお思いにならないと思いますが、どういう点に問題があるとお考えでしょうか。
  89. 河津勝

    ○河津参考人 超過負担の問題については、先ほども申し上げましたように、政府におきましても、いろいろと改善を図っていただいておりますが、まだなかなか十分とはいかないというような状況でございまして、もう昨年度におきましても、本市におきまして十億を超すような超過負担になっております。これを原資にしますと、また起債、補助等を見ますと、三十億の仕事ができる、そういうことになるわけですが、三十億の事業が圧迫されているというふうに解釈するわけでございます。したがいまして、これは先ほども申し上げましたように、超過負担考え方にもよりますけれども、ぜひ超過負担につきましては、たとえば実勢単価等に近づけるような方法をとっていただきまして、それで超過負担の解消に努めていただくようにお願いをしたい、これはまあ全国市長会の方から政府の方にいろいろお願いを申し上げておる次第でございます。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 平井さんも、河津さんも、交付税法が国会の議決がおくれましたので借入金をし、その金利が負担になるというお話がございました。これはわれわれもその点についていろいろ検討したのですが、いろいろ国会の中の事情がございまして、われわれ何も故意にこの審議を怠っているわけじゃありませんけれども交付税法の十六条に四月と六月の交付税の交付金については、予算が通らなかったり、いろいろした場合には自治省の省令によって行政的な弾力性を持った交付金をやることができるという規定があるわけなんですけれども、それは国会に対してそういうことをおっしゃるのもよくわかりますが、自治省に対して概算交付で四月分についてはそういう自治体借入金をしなくて済むような程度交付税を交付されたいと、省令を変えることによって時期、額を変えることができるということがありますけれども、これは要請されたんでしょうか。お二人にお聞きします。
  91. 平井龍

    ○平井参考人 当面といたしましては、本法案早期成立お願いをしておるわけでございまするので、五月八日ぐらいまでに本法案をお上げいただきますると、交付税概算交付についての支障が軽減されるわけでございます。しかしながら、交付税法成立がおくれるということになりまするならば、ただいま御指摘のようなことも国に対し要請をしていく段階に相なろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 もちろん皆さんの負担された利子負担については、特例交付金なりあるいは元利償還するような、国が責任持つような特別債の発行なり、アフターケアの問題としてはいろいろの方法もあると思います。しかし私は、交付税法の十六条で、四月と六月というのは国の予算が通らない場合も予想されるし、こういうように交付税法自体も予想されまして、あるいは「大規模な災害による特別の財政需要の額等を参しやくして、自治省令で定めるところにより、特例を設けることができる。」四月、六月分についてはこういう条項があるので、私は自治省が、これは思い過ぎかもしれませんが、無理に自治体に対して足りないような交付税しか出さないでおいて、足りないのは野党が抵抗しているからだというので、皆さんの方からどんどん意見書がわれわれの方へ来る。国会の審議が進まないのは、われわれの考えでは自民党がロッキード問題でもっと徹底的に本気になってやっていけば、われわれはいつでも協力して一緒にやれたのに、そっちの方はやらなんで、こっちの方ばかりやれ、五十一年度予算ばかり先にやれというようなことで、いろいろの事情が国会の中にはあるわけですね。そういう場合は自治省がちゃんと行政的な弾力性を持って、見合った交付税を出すことができるようになっているのですよ。それを自治省が出さないでおいて、そして自治体に指示したかどうか知りませんけれども、皆さんの方からわれわれに対して電報をよこす、こういうことは私は自治省の陰謀じゃないかとまで考えるわけですよ。そこまで言って言い過ぎかどうかわかりませんけれども、だから私は、自治省自体へも皆さん要求されたらいいと思うのですよ。こういうことになっているのは国の責任じゃありませんかと、そういうことをおっしゃらないと、われわれは落ちついて審議できないですよ。こんな交付税の根本にもかかわるような問題を、八日までに通さなければ金利が幾らだなんて言われて、われわれはせっつかれながらやるわけにいかないですよ。これは本当に日本の国の地方自治の財政、それはひいては日本の国の自治、自治権自体にかかわる重要な問題ですからね。われわれ国会議員としても慎重にやりたいと思うのですね。そういう特別な事情があるわけですから、ひとつその点は自治省の方へもこの責任については十分とってもらいたいということを今後は言っていただきたいというようにここで一言申し上げておきますけれども、どうぞよろしく御了解願いたいと思います。  それで、あともう一つだけ、市で人口急増地域だと思いますので、大変いろいろ御苦労なさっておると思いますが、義務教育施設を整備する上で、先ほどもちょっとお話があったと思いますが、非常にいろいろ御苦労なさっておると思いますが、どういう方法が考えられるのか、それから今度は高校建設費の補助金が実施されるようになる、これも非常にわずかでございますがね。義務教育というのは地方自治体理事者としては本当に頭を痛める問題だと思います。ことに人口急増地域では。これについてはどういうような御希望がありますか。御希望なり政府に対する要望なりありましたら、ここで述べておいていただきたい。
  93. 河津勝

    ○河津参考人 先ほども申し上げましたように、すぐにその子供たちを収容しなければならないというような現実に直面しております。で、すでにできております学校でも千五百人以上を収容している学校が三分の一にも達しております。それらの改善を今後もやっていかなくちゃならない。しかし、とてもそこまで間に合いません。新しく入ってくる人たちの学校を建てるのは、先ほども申し上げましたように、七校ないし八校ぐらいということになりますので、なかなか困難な状況でございます。したがいまして、人口急増都市協議会をもちまして、人口急増の都市に対します特別の措置お願いしておる次第であります。したがいまして、従来から児童数のふえないようなところはそれでがまんできるのではないかとわれわれの方は考えておりますが、どうしてもつくらなくちゃならないという状況でございますので、これはぜひお考えをいただきたい。もう用地費の補助なんと言わなくても結構ですから、大蔵省と市の方で半分ずつ土地を持っても結構だと思います。何らかの方法をもちまして、すぐに間に合うようなことをしなければならぬ。  さらにまた、はなはだしいのになりますと二千人以上も収容している学校もあるわけです。文部省は千人ぐらいが適当であろう、こういうことを言っておりますのから見ますと、二倍の学区を持っておるわけでございます。  そういうような状況で、新しく入ってくる子供たちを入れる施設、それからもうすでにそういう悪い環境になっております学区を解消していく、こういう二重の苦しみをしておるわけであります。これは一に国の方の特別の措置に待たなければならない。今後とも人口急増都市協議会を通じまして、先生方、また政府の方にもお願いを申し上げたい、このように存じておる次第でございます。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。終わります。
  95. 小山省二

    小山委員長 小濱新次君。
  96. 小濱新次

    ○小濱委員 参考人各位におかれましては、本日はお忙しいところを御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、心からお礼を申し上げる次第でございます。  平井副知事さんにまずお尋ねをしていきたいと思います。  法人事業税が大幅に落ち込んでいるという山口県の実態をお述べいただきました。私どもも非常に感銘深く内容を伺っておったわけでございます。そこで外形課税方式という問題も提起されているわけでございますが、この税の充実ということについて、どのような御見解をお持ちになっておられましょうか、この点からお述べいただきたいと思います。  もう一つお尋ねをしておきたいことは、時間もありませんのでなるべく割愛をさせていただきたいと思いますが、補助金行政の改革が言われているわけですが、特に零細補助金の整理統合が大きな話題になっております。これについて、総合補助金あるいは補助金のメニュー化、こういう問題が論議をされておりますが、この問題について、今後どのように進めていったらよいのか。これは県の立場からぜひひとつ御意見をお聞かせいただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
  97. 平井龍

    ○平井参考人 地方税は地方財政運営上の最も基幹的な歳入財源でございます。なかんずく、法人関係諸税におきましては、都道府県税収入の四〇%以上を占めて今日まで推移してきておるわけでございますので、この事業税収入の、景気変動にかかわらず安定的な収入が確保されることが最も重要な点でありますし、また企業間におきます課税の不均衡がないように、これらの均衡が保たれるように、税制上の配慮がなされることが最も重要ではないかと考えておるところでございます。  今日、高度成長から低成長期に移行します過程におきまして、なかんずくオイルショック後の状況におきましては、大方の府県で、特に鉄、石油あるいは石油化学、窯業、こういったような関連の企業におきましては、一挙に企業収益が悪化いたしました結果、欠損法人が続出をしておるような状況でありまして、この結果、都道府県におきます事業税収入は一挙に激減をいたしておるのが実情でございますし、この結果、地方自主財源の比率が一挙に低下をいたしております。わが山口県の実例を申し上げますると、従来は、自主財源比率が四十九年度までは約四〇%でございましたのが、五十年度、五十一年度と両年度続きまして、自主財源比率が三〇%台、いわゆる三割自治まで低下をいたしておるような状況でございます。  こういうようなことは、一つは景気の動向もさることながら、石油あるいは石油化学、第一次金属あるいは窯業等のような事業の業種におきましては、これらの所得の課税方式が必ずしも適当であるとは考えられないのでありまして、むしろ付加価値であるとか資本金額であるとか従業員数等であるとかいったような外形基準によります課税方式が最も税収入の安定上望ましいということでございまするので、全国知事会におきましても、外形課税の導入につきまして強く提唱し訴えをいたしておるような状況でございます。  この外形課税の法人事業税収入の問題が、都道府県税収入としては最も強く関心を持っておるところでございますが、そのほかにおきましても、自動車関係諸税の増税が今回改正をされるわけでございますが、あるいは社会福祉譲与税制度の創設、これについても提言をいたしておるところでございます。社会福祉譲与税につきましては、御承知かと存じまするが、所得税、法人税、酒税の国税三税のほかに、相続税とかあるいは贈与税とかいったようなものもかなり各府県に普遍的にある偏在の少ない税種でございまするので、これらを一つの課税標準税源といたしまして社会福祉譲与税とし、今日の福祉時代に対応する財源充実に寄与させていただきたいというお願いを持っておるところでございます。  次に、補助金行政の改革問題でございまするが、多年にわたりまして知事会もこれらの補助金行政の問題点につきまして個々にメスを入れ、今日約百二十一件の補助金の整理合理化について具体的な提言を関係各省庁等にお願いもいたしておるのでございますが、一つの方法といたしましては、御指摘のように、補助金の統合化が最も望ましいわけでございます。また補助金がとかく監督行政強化、権力の関与に結びつきやすいということからいたしまして、補助金のメニュー化という方法も、私は地方自治との接点において考えていただくべき分野ではないかと思うのでございます。  基本的には、どういたしましても、国と地方との事務の再配分地方と国との役割りの分担を明確にしていただきますことが、なかんずく社会福祉行政、環境行政公害行政等におきましては重要であると思いまするが、これらのことが、行政事務の見直し点検か行われますまでの間におきましては、できるだけ補助金制度の簡素化を図るために、統合化あるいはメニュー化といったようなことを推進していただくことをお願いを申し上げたいのでございます。
  98. 小濱新次

    ○小濱委員 大変に貴重な御意見をちょうだいいたしまして非常に参考になっておるわけでございますが、この財源問題で、四十九年ないし五十年度の決算見通しの中で、県の単独事業を切り捨てざるを得ないという、こういう実態が随所に起こっているわけでございます。そういう点で、まあ山口県のその状況はどうかということを少しお聞かせをいただきたい、こう思います。
  99. 平井龍

    ○平井参考人 御指摘のとおり深刻な財政状況下にありまして、なおかつ財政の均衡の保持をしてまいることが非常に重要でございますので、一つは国に対し行財政制度の改善について知事会、地方自治団体を通じましてお願いしております一方、各自治体におきましても、みずから経費の節減、合理化あるいは事務の簡素化等健全化の努力もいたしておるわけでございます。あわせまして地方単独事業につきましてもある程度事業の抑制をせざるを得ない状況下にあるのが実態でございます。  五十一年度予算について本県の実例を申し上げますと、公共事業費につきましては、当初におきまして約九〇%の内示額の計上をいたしておりますが、単独事業、なかんずく道路の単独事業、河川の単独事業、土地改良等の地方単独事業につきましては軒並み昨年度実績の八五%の計上額でございまして、一五%事業率を落としておるわけでございます。これらの一五%の単独事業の切り捨て分につきましては、今後景気の回復あるいは国の交付税等の確定、さらには県におきます今後の補正要因の圧縮等、自己努力等によりましてこの単独事業引き上げについてどうするかを今後検討してまいらなければならない、こういうような切実な問題に現在あるわけでございます。
  100. 小濱新次

    ○小濱委員 藤田先生にお尋ねをしていきたいと思います。  国債が大量に発行されております。このような状況で国税三税の割合が少なく、したがって交付税も少ない実情になっているわけでございますが、私たちは国債の一定割合を、この国税三税のように交付税にリンクすべきではないか、こういうふうな考えを持っておるわけでございますが、先生の御高説をお聞かせをいただきたい、こう思います。  さらにもう一点お尋ねをしておきたいことは、国税地方税への移譲がいろいろと論議をされている現状下において、その税目はどのようなものが考えられるのか、先生のお立場から御意見を聞かしていただきたい、こう思います。よろしくお願いします。
  101. 藤田武夫

    ○藤田参考人 最初の、国債がどんどん発行される、それの一定割合を交付税財源振り込む、こういう案ですが、これは以前からもこういう議論が、とにかく国債がどんどん出てくるので、どうしてもそういう必要があるんじゃないか、そういう議論があるのですが、この国債、それを、一応は抽象的には考えられるのですが、具体的にどういうふうにお考えになっているのか、先ほど平井さんかどなたかからもちょっと提案があったように思いますが、河津さんからであったかもしれませんが、国債についても三税と同じように三二%を交付税財源に入れたらどうかというお話がありましたが、それも一つの考え方だと思いますが、その三二%というのがどうして計算されたのかちょっとわからないのです。国債と結びつけるというのは、これはいま交付税が足りないのでやはりそういう考えが当然出てくるのですけれども、そういうふうにやってみて、それで交付税の問題が片づくのかどうかというと、私はなかなか片づかないのではないかというふうに思います。国債といっても、どんどん増発される場合もあるし、増発されない場合もあるのですが、それよりも、私がさっき申し上げたように、前の地方財政平衡交付金の形に戻す。そして基準財政需要額と基準財政収入額を計算して、足りない分を国の予算に計上する。最初は昭和二十五年から八年までそうであったわけですが、そういうことにしないと交付税の機能が十分発揮できないし、いまの問題も解決しないのではないかというふうに思います。  それから、国税から地方へ移す場合の税源の問題ですが、これはいろいろ考えられると思います。一つはやはり所得税、法人税、まあ法人並びに個人の所得課税ですが、それの一部を地方へ移譲する。現在の場合には市町村が非常に取り分が少ないので、市町村に手厚く、府県にももちろん必要だと思いますが、移譲するのが適当ではないか、そういうように考えます。これは、地方団体のやっている仕事というのは住民に非常に密接した仕事が多いので、それについてやはり住民が直接負担する間接税ではなくて、所得税、法人税、そういった企業と住民が負担するものを地方へ移譲する、こういうことが適当ではないかと思います。  これについては、学者の間にも所得税を非常に大幅に移譲しろという意見もあるし、また社会党や公明党でも五〇%と言っておったと思うのですが、いまは七〇対三〇ぐらいになっていますが、まあ所得税を使って全体の税源配分が、法人税も含めて五〇対五〇ぐらいにする。いろんな提案がなされております。そういうものを中心に移譲するのであればやるべきではないか。  また、最近は自動車関係の道路税、今度は大分増税されましたが、そういうものの一部を、譲与税としてでなくて 地方団体自主財源にする、そういう意見も一部にはあります。  大体そんなところです。
  102. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほどの先生のお説の中でも、低成長下での地方財政をどう考えるかということで、機能的欠陥といういろいろなお話をしていただきました。政府不況が大きな原因なんだ、こういうふうにも言っておりますけれども不況もさることながら、この危機はやはり地方財政の構造的欠陥だとわれわれは見ているわけですね。先生は機能的欠陥、こうおっしゃいました。そういう点で先ほども伺いました。いまも御答弁いただいたわけですけれども、でき得れば先生のお説をいま少し具体的に御指摘をいただければ、こういうふうに考えましてお願いをしたわけでございましたが、時間もございませんので、この点についてはまた後日お伺いをすることにして、先生への御質問はこれで終わらしていただきます。  そこで、次は相模原市長にお尋ねをしていきたいと思います。少し基本的な大きな問題になるかもしれませんが、総体的な問題としてひとつお聞きを願いたい、こう思います。  過疎過密問題の解決は現下日本内政の最大の政治課題であります。人口急増都市では土地、住宅、学校、交通、上下水道、公害など生活基盤施設の立ちおくれや環境の悪化が深刻化し、都市問題の解決が大きな悩みとなっております。人口急増市町村では膨大な財政負担によって破産寸前のピンチに陥っているところが少なくございません。しかるに、国の対策昭和四十二年のいわゆる五省協定以来、漸次政善されてはきましたが、それは要するに一時しのぎの対策であって、決して抜本的、根本的な対策ではないと私どもは見ているわけです。私は、過疎法と同じように、新たに立法措置をとるなど、人口急増都市に対する総合的、抜本的な行財政対策が必要である、こう考えておるわけでございますが、市長さんが当面最も望まれることは何でございましょうか。ひとつ忌憚なく御意見を聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  103. 河津勝

    ○河津参考人 小濱先生の御質問にお答えを申し上げます。  何を望むかということでございますが、先ほども申し上げましたように、人口急増都市に対します、昭和四十六年から五カ年間にわたりまして特別な措置をしていただきました。それが五十年で一応打ち切りというような段階になりましたが、さらに御配慮いただきまして五カ年延長ということになりました。これをまだまだ五カ年では解決がつかない、こういうふうに考えますし、新たにそういう都市も発生してくる、このように存ずるわけでございます。したがいまして、当面何かといいましても、それを直ちに法制化していただきまして、私どもが安心して市政が執行できるようにぜひお願いしたい。とりあえずは義務教育費を中心としての考え方でございますけれども、その他にもやらなければならない問題がたくさんございます。それらの問題もさらに枠を広げていただきましてお願いをいたしたい、このように存ずるわけでございます。
  104. 小濱新次

    ○小濱委員 相模原の財政内容についてはいろいろと私も耳にしているわけでございます。市が抱えている五十年度の市債の残りとか、あるいはまた五十年度起債の額だとか利子の問題、五十一年度のそうした問題などいろいろと耳にしているわけです。そういう立場から、私は市長の率直な御意見を、せっかくここまでおいで願ったのですから、この際お述べをいただきたい、こう思っているわけですね、きょうは政務次官も来ておられますので。  そこで、重複するか知りませんが、具体的にお尋ねをしていきたいと思いますが、人口急増地域では小中学校などの義務教育施設に追われているわけです。五年間で相模原では二十四校とか二十五校を建てなくちゃならない。高校も三校ないし四校くらいは欲しい。その財源をどうするかということで、地方債のうち八割ないし九割くらいはこの中にぶっ込んでいるんじゃないかと私どもは見ているわけです。そういう立場から義務教育施設を建設するための地方債については国に対して何らかの要求が当然出てこなくちゃならないわけですね。いかがでしょう。ひとつ聞かしてください。
  105. 河津勝

    ○河津参考人 確かに将来に向かいまして大変な心配の種でもございます。まあしかし、先ほども申し上げましたように、当面金がなければ何もできないというようなことでございまして、実は公社等に先行建築等をやらせておりますのですが、それらも市中銀行から借り受けて仕事をしておるわけであります。昨年あたりにおきましては、その公社も活動する資金を銀行から借りれないという状況になりまして、非常に当惑いたしたわけでございます。もう事業が執行できないということで。将来も考えられるわけでございますが、まず当面はその資金が都合できるようにぜひそれらの措置についてお願いをいたしたい。それから、こうした利子の問題で将来非常に苦しむわけでございまして、これはこれからの施策としまして、利子補給なり何らかの救済措置を講じていただきたい、このように考えるわけでございます。
  106. 小濱新次

    ○小濱委員 金がなければ何もできない。ところが教育施設だけは、教育行政だけは、金がなくったって最優先してこれは取り上げなくちゃならない問題であるとわれわれは考えているわけです。そういうわけで銀行も貸してくれない、そういうことで非常に難渋しておられることを私どもも耳にしておったわけです。当委員会でもこの問題はしばしばここで論議になっているところでございます。そういう点で、ただいま市長さんの御心境というかお気持ちが、利子補給という言葉で出てまいりました。これはぜひひとつそういう方向で私ども自治省にも申し入れをし、またお願いをし、何らかの措置で人口急増地域に対して——教育施設と下水に非常に追われている、そういう自治体の難渋がこの利子補給にあるというその御意見が、これは一部でしたけれども、出たということについてはわれわれは重視してまいりたい、このように考えております。  さらにもう一点お伺いをしておきたいのですが、人口急増地域では公共用地の取得が困難であるわけです。相模原ではやはり学校建設の地域ではいまでも二十万から三十万、もっと高いかもしれません。そういう坪単価の用地を取得しなければならない。そういう困難な実情がよくわかりますのでお尋ねをしているわけですが、大蔵省は米軍基地の跡地利用について、三分の一は地方公共団体、三分の一は国や政府機関など、三分の一は保留地にするという、いわゆる三分割案を示しておるわけでございますが、相模原市のような基地所在市町村は米軍基地の跡地利用について今後国に対してどのような要望、要求をされていくのか、これも忌憚のないところ御意見を聞かしていただきたい、こう思います。
  107. 河津勝

    ○河津参考人 基地の問題になりますといろいろ別でございますけれども、急増に対処いたします小中学校の用地としてこれを利用することも一部考えておりますが、この基地全部をもって小中学校に充てるということも非常に困難なことでございまして、小学校等にはそればやはり児童が通学する一番近いところに位置するところがよろしいわけでございますから、全部基地だけで学校敷地が解決するということではございません。ただし、相模原市のような、若い人たちが非常に多くなりまして、平均年齢二十八歳という若い者だけの都市でございまして、そういうようなことで、現在上がっておりますキャンプ渕野辺の問題については、県、市におきましてスポーツ公園を実現させたいという、それとあわせて教育施設をその中に持っていきたい、こういうので国の方にお願いを申しておる。もちろん、県におきましてもこうした財政の問題の際でございますからこれを買い取るというようなことば非常に困難なことになりまして、従来の特別措置であります公園等に対します全面的な無償貸し付けをしていただきたい。これは帝国陸軍の用地になる際におきましては、一般的の公共地買収の方法と違いまして、戦時中でありましたので、非常に無理のいった買収の方法をしているわけでございます。そういう意味におきまして地元に還元ができるような方法をとってもらいたいということをお願いをしておるわけでございます。これは市ではとうてい施設がむずかしいものですから、県の方が借り受けて仕事をするということになっておりますけれども、市では重大な関心を持ってやっておるわけでございます。県の方にも特にお願いして進めておるわけでございます。公園も、都市化が激しいところでございますが、建設省が定めております公園の平均まではるかに遠いというような状況でございますので、幸いにして基地が返還された時点において公園として無償借り受けをいたしたい、このように考えておるわけでございます。よろしくどうぞお願いいたします。
  108. 小濱新次

    ○小濱委員 相模原市は貧乏白書を出された、そして人口急増地域の財政危機を訴えている。このことについては、余りにも深刻な訴えであったので、われわれも大きな関心を抱いているわけでございますが、どうかこれから特段の御努力を願って住みよい郷土づくりをされますことを心から要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手
  109. 小山省二

    小山委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  参考人方々には、長時間にわたり貴重な御意見をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五分散会