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1976-05-21 第77回国会 衆議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月二十一日(金曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 稻村左近四郎君    理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君    理事 安田 貴六君 理事 渡部 恒三君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君    理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    内田 常雄君       浦野 幸男君    小川 平二君       越智 通雄君    粕谷  茂君       木部 佳昭君    塩川正十郎君       島村 一郎君    中村 弘海君       羽田野忠文君    萩原 幸雄君       八田 貞義君    深谷 隆司君       森下 元晴君    山崎  拓君       板川 正吾君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       勝澤 芳雄君    竹村 幸雄君       中村 重光君    渡辺 三郎君       野間 友一君    近江巳記夫君       玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       綿貫 民輔君         通商産業大臣官         房長      濃野  滋君         通商産業大臣官         房審議官    藤原 一郎君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君  委員外出席者         参  考  人         (石油開発公団         総裁)     倉八  正君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   栗原 祐幸君     中村 弘海君   島村 一郎君     森下 元晴君   松尾 信人君     瀬野栄次郎君 同日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     栗原 祐幸君   森下 元晴君     島村 一郎君   瀬野栄次郎君     松尾 信人君     ————————————— 五月十九日  特許管理士法制定に関する請願深谷隆司君紹  介)(第五六六七号)  中小企業信用保険法に規定する倒産関連業種の  再指定に関する請願下平正一紹介)(第五  六六八号)  同(中村茂紹介)(第五六六九号)  同(原茂紹介)(第五六七〇号)  合成洗剤製造販売使用禁止等に関する請  願(阿部喜男紹介)(第五六七一号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第五六七二号)  同外三件(島本虎三紹介)(第五六七三号)  同(田口一男紹介)(第五六七四号)  同(土井たか子紹介)(第五六七五号)  中小企業対策に関する請願安宅常彦紹介)  (第五六七六号)  同外一件(大柴滋夫紹介)(第五六七七号)  同(岡田哲児紹介)(第五六七八号)  同(柴田健治紹介)(第五六七九号)  同(田邊誠紹介)(第五六八〇号)  同(竹村幸雄紹介)(第五六八一号)  同(堂森芳夫紹介)(第五六八二号)  同(武藤山治紹介)(第五六八三号)  同(村山富市紹介)(第五六八四号)  同(安井吉典紹介)(第五六八五号)  同(山田耻目君紹介)(第五六八六号)  同外一件(横路孝弘紹介)(第五六八七号)  同(岡田春夫紹介)(第五八〇四号)  同(河上民雄紹介)(第五八〇五号)  同(島本虎三紹介)(第五八〇六号)  同(島田琢郎紹介)(第五八〇七号)  同(塚田庄平紹介)(第五八〇八号)  同(芳賀貢紹介)(第五八〇九号)  同(日野吉夫紹介)(第五八一〇号)  同外一件(山本幸一紹介)(第五八一一号)  同(坂本恭一紹介)(第五八一二号)  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の強化改正に関する請願佐野進紹介)(  第第五八〇一号)  自動車関連中小企業助成に関する請願外一件  (春日一幸紹介)(第五八〇二号)  国際貿易円滑化に関する請願外一件(渡辺武  三君紹介)(第五八〇三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第四七号)  請 願    一 LPガス都市ガスとの流通秩序確立      に関する請願外一件(萩原幸雄君紹      介)(第二九号)    二 同(石井一紹介)(第一一三号)    三 私的独占禁止及び公正取引確保に      関する法律改正等に関する請願(三      谷秀治紹介)(第三八号)    四 同(三谷秀治紹介)(第四〇号)    五 大規模小売店舗進出に伴う中小小売      商業対策に関する請願唐沢俊二郎君      紹介)(第一三四号)    六 同(小沢貞孝紹介)(第一三五号)    七 同(小川平二紹介)(第一六一号)    八 同(小坂善太郎紹介)(第一六二      号)    九 同(羽田孜紹介)(第一六三号)   一〇 同(中澤茂一紹介)(第一八八号)   一一 同(吉川久衛紹介)(第二一三号)   一二 同(倉石忠雄紹介)(第三九一号)   一三 同(下平正一紹介)(第三九二号)   一四 同(原茂紹介)(第五六九号)   一五 中小企業事業分野確保法早期制定に      関する請願井岡大治紹介)(第六      五二号)   一六 大規模小売店舗における小売業事業      活動調整に関する法律改正に関す      る請願松尾信人紹介)(第七三五      号)   一七 同外一件(竹村幸雄紹介)(第一〇      〇五号)   一八 大規模小売店舗進出に伴う中小小売      商業対策に関する請願中村茂君紹      介)(第一五九二号)   一九 中小企業事業分野確保法制定等に関      する請願金子満広紹介)(第一六      七五号)   二〇 同(金子満広紹介)(第一七九五      号)   二一 同(金子満広紹介)(第一八四九      号)   二二 大規模小売店舗進出に伴う中小小売      商業対策に関する請願(林百郎君紹      介)(第一七九六号)   二三 大規模小売店舗における小売業事業      活動調整に関する法律改正に関す      る請願外一件(横山利秋紹介)(第      二〇一〇号)   二四 同(横山利秋紹介)(第二〇九五      号)   二五 中小企業事業分野確保法早期制定に      関する請願新井彬之君紹介)(第二      五五〇号)   二六 同(池田禎治紹介)(第二五五一      号)   二七 同(小沢貞孝紹介)(第二五五二      号)   二八 同(河村勝紹介)(第二五五三号)   二九 同(小濱新次紹介)(第二五五四      号)   三〇 同(鈴切康雄紹介)(第二五五五      号)   三一 同(松尾信人紹介)(第二五五六      号)   三二 同(和田耕作紹介)(第二五五七      号)   三三 同(島本虎三紹介)(第二六九五      号)   三四 同(三宅正一紹介)(第二六九六      号)   三五 同(井上泉紹介)(第二七六九号)   三六 同(岡田春夫紹介)(第二七七〇      号)   三七 同(島本虎三紹介)(第二七七一      号)   三八 同(田口一男紹介)(第二七七二      号)   三九 中小企業事業分野確保法制定等に関      する請願田中美智子君)(紹介第二      六九七号)   四〇 中小下請企業経営危機打開に関す      る請願久保田鶴松紹介)(第二七      六八号)   四一 中小企業事業分野確保法早期制定に      関する請願青柳盛雄紹介)(第二      八六三号)   四二 同(荒木宏紹介)(第二八六四号)   四三 同(諫山博紹介)(第二八六五号)   四四 同(石母田達紹介)(第二八六六      号)   四五 同(梅田勝紹介)(第二八六七号)   四六 同(金子満広紹介)(第二八六八      号)   四七 同(神崎敏雄紹介)(第二八六九      号)   四八 同(木下元二紹介)(第二八七〇      号)   四九 同(栗田翠紹介)(第二八七一号)   五〇 同(小林政子紹介)(第二八七二      号)   五一 同(紺野与次郎紹介)(第二八七三      号)   五二 同(佐野憲治紹介)(第二八七四      号)   五三 同(柴田睦夫紹介)(第二八七五      号)   五四 同(庄司幸助紹介)(第二八七六      号)   五五 同(瀬崎博義紹介)(第二八七七      号)   五六 同(瀬長亀次郎紹介)(第二八七八      号)   五七 同(田口一男紹介)(第二八七九      号)   五八 同(田代文久紹介)(第二八八〇      号)   五九 同(田中美智子紹介)(第二八八一      号)   六〇 同(多田光雄紹介)(第二八八二      号)   六一 同(竹村幸雄紹介)(第二八八三      号)   六二 同(津金佑近君紹介)(第二八八四      号)   六三 同(津川武一紹介)(第二八八五      号)   六四 同(土橋一吉紹介)(第二八八六      号)   六五 同(寺前巖紹介)(第二八八七号)   六六 同(中川利三郎紹介)(第二八八八      号)   六七 同(中路雅弘紹介)(第二八八九      号)   六八 同(中島武敏紹介)(第二八九〇      号)   六九 同(野間友一紹介)(第二八九一      号)   七〇 同(林百郎君紹介)(第二八九二号)   七一 同(東中光雄紹介)(第二八九三      号)   七二 同(平田藤吉紹介)(第二八九四      号)   七三 同(不破哲三紹介)(第二八九五      号)   七四 同(正森成二君紹介)(第二八九六      号)   七五 同(増本一彦紹介)(第二八九七      号)   七六 同(松本善明紹介)(第二八九八      号)   七七 同(三浦久紹介)(第二八九九号)   七八 同(三谷秀治紹介)(第二九〇〇      号)   七九 同(村上弘紹介)(第二九〇一号)   八〇 同(山原健二郎紹介)(第二九〇二      号)   八一 同(米原昶紹介)(第二九〇三号)   八二 中小下請企業経営危機打開に関す      る請願正木良明紹介)(第三〇五      七号)   八三 下請中小業者経営安定対策に関する      請願田中美智子紹介)(第三一三      七号)   八四 大規模小売店舗における小売業事業      活動調整に関する法律改正等に関      する請願田中美智子紹介)(第三      一三八号)   八五 中小企業事業分野確保法早期制定に      関する請願小川省吾紹介)(第三      一三九号)   八六 同(古川喜一紹介)(第三一四〇      号)   八七 同(和田貞夫紹介)(第三一四一      号)   八八 同(井岡大治紹介)(第三一九九      号)   八九 同(小川省吾紹介)(第三二〇〇      号)   九〇 同(太田一夫紹介)(第三二〇一      号)   九一 同(小林信一紹介)(第三二〇二      号)   九二 同(中村茂紹介)(第三二〇三号)   九三 同(小川省吾紹介)(第三二五九      号)   九四 同(小林信一紹介)(第三二六〇      号)   九五 同(米田東吾紹介)(第三二六一      号)   九六 同(井岡大治紹介)(第三三〇九      号)   九七 同(小川省吾紹介)(第三三一〇      号)   九八 同(下平正一紹介)(第三三一一      号)   九九 中小下請企業経営危機打開に関す      る請願村上弘紹介)(第三三六一      号)  一〇〇 中小企業事業分野確保法早期制定に      関する請願下平正一紹介)(第三      三六二号)  一〇一 同(山本幸一紹介)(第三三六三      号)  一〇二 同(渡辺三郎紹介)(第三三六四      号)  一〇三 同(山本幸一紹介)(第三四五七      号)  一〇四 同(大柴滋夫紹介)(第三五二〇      号)  一〇五 同(小林信一紹介)(第三五二一      号)  一〇六 同(板川正吾紹介)(第三五七三      号)  一〇七 同(佐藤敬治紹介)(第三六二一      号)  一〇八 農業機械モデルチェンジ規制等に関      する請願庄司幸助紹介)(第三五      七二号)  一〇九 中小企業事業分野確保法制定等に関      する請願寺前巖紹介)(第三五七      四号)  一一〇 中小企業対策に関する請願野田毅君      紹介)(第三六二〇号)  一一一 中小企業事業分野確保法早期制定に      関する請願横山利秋紹介)(第三      七八二号)  一一二 電気料金値上げ反対に関する請願(      伏木和雄紹介)(第四〇二二号)  一一三 同(伏木和雄紹介)(第四一三二      号)  一一四 同(伏木和雄紹介)(第四一六〇      号)  一一五 同外一件(伏木和雄紹介)(第四三      〇三号)  一一六 私的独占禁止及び公正取引確保に      関する法律改正に関する請願竹村      幸雄紹介)(第四三〇二号)  一一七 中小企業信用保険法に規定する倒産関      連業種の再指定に関する請願小沢貞      孝君紹介)(第四三七〇号)  一一八 同(唐沢俊二郎紹介)(第四三七一      号)  一一九 同(吉川久衛紹介)(第四三七二      号)  一二〇 同(倉石忠雄紹介)(第四三七三      号)  一二一 同(羽田孜紹介)(第四三七四号)  一二二 同(中澤茂一紹介)(第四五〇三      号)  一二三 施設園芸用燈油等値上げ反対等に関      する請願津川武一紹介)(第四三      七五号)  一二四 電気料金値上げ反対に関する請願(      伏木和雄紹介)(第四三七六号)  一二五 農業機械モデルチェンジ規制等に関      する請願庄司幸助紹介)(第四五      〇二号)  一二六 中小企業事業分野確保法早期制定に      関する請願佐野進紹介)(第四五      〇四号)  一二七 中小業者経営危機打開対策等に関す      る請願金子満広紹介)(第四五六      八号)  一二八 電気料金値上げ反対に関する請願(      伏木和雄紹介)(第四六七四号)  一二九 中小企業信用保険法に規定する倒産関      連業種の再指定に関する請願小坂善      太郎君紹介)(第四八〇八号)  一三〇 特許管理士法制定に関する請願新井      彬之君紹介)(第四八七七号)  一三一 中小企業対策強化に関する請願(湊      徹郎君紹介)(第五〇三一号)  一三二 中小企業信用保険法に規定する倒産関      連業種の再指定に関する請願(林百郎      君紹介)(第五〇三二号)  一三三 特許管理士法制定に関する請願外一件      (福田篤泰紹介)(第五二八九号)  一三四 合成洗剤製造販売使用禁止等に      関する請願近江巳記夫紹介)(第      五四四五号)  一三五 同外一件(岡本富夫紹介)(第五四      四六号)  一三六 同(坂口力紹介)(第五四四七号)  一三七 中小企業対策に関する請願小川省吾      君紹介)(第五四四八号)  一三八 特許管理士法制定に関する請願深谷      隆司紹介)(第五六六七号)  一三九 中小企業信用保険法に規定する倒産関      連業種の再指定に関する請願下平正      一君紹介)(第五六六八号)  一四〇 同(中村茂紹介)(第五六六九号)  一四一 同(原茂紹介)(第五六七〇号)  一四二 合成洗剤製造販売使用禁止等に      関する請願阿部喜男紹介)(第      五六七一号)  一四三 同(岩垂寿喜男紹介)(第五六七二      号)  一四四 同外三件(島本虎三紹介)(第五六      七三号)  一四五 同(田口一男紹介)(第五六七四      号)  一四六 同(土井たか子紹介)(第五六七五      号)  一四七 中小企業対策に関する請願安宅常彦      君紹介)(第五六七六号)  一四八 同外一件(大柴滋夫紹介)(第五六      七七号)  一四九 同(岡田哲児紹介)(第五六七八      号)  一五〇 同(柴田健治紹介)(第五六七九      号)  一五一 同(田邊誠紹介)(第五六八〇号)  一五二 同(竹村幸雄紹介)(第五六八一      号)  一五三 同(堂森芳夫紹介)(第五六八二      号)  一五四 同(武藤山治紹介)(第五六八三      号)  一五五 同(村山富市紹介)(第五六八四      号)  一五六 同(安井吉典紹介)(第五六八五      号)  一五七 同(山田耻目君紹介)(第五六八六      号)  一五八 同外一件(横路孝弘紹介)(第五六      八七号)  一五九 同(岡田春夫紹介)(第五八〇四      号)  一六〇 同(河上民雄紹介)(第五八〇五      号)  一六一 同(島本虎三紹介)(第五八〇六      号)  一六二 同(島田琢郎紹介)(第五八〇七      号)  一六三 同(塚田庄平紹介)(第五八〇八      号)  一六四 同(芳賀貢紹介)(第五八〇九号)  一六五 同(日野吉夫紹介)(第五八一〇      号)  一六六 同外一件(山本幸一紹介)(第五八      一一号)  一六七 同(坂本恭一紹介)(第五八一二      号)  一六八 私的独占禁止及び公正取引確保に      関する法律強化改正に関する請願(      佐野進紹介)(第五八〇一号)  一六九 自動車関連中小企業助成に関する請      願外一件(春日一幸紹介)(第五八      〇二号)  一七〇 国際貿易円滑化に関する請願外一件      (渡辺武三紹介)(第五八〇三号)      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  3. 佐野進

    佐野(進)委員 石油開発公団法の一部を改正する法律案については、もうすでにわが党を代表して岡田委員あるいは板川委員の方からそれぞれ質問をいたしておりまするが、私は、主としてこの問題を提出する経過並びに石油行政の基本にかかわる問題について、公団総裁も見えておるようでございますので、倉八参考人につきましても特に質問をしてみたいと思うわけであります。  最初に、この問題に入る前に、通産大臣所見を伺っておきたいことがあるわけですが、ここ数日の新聞をにぎわしている報道の中で一番重要な問題は、三木内閣をやめさして新しい内閣をつくる以外、自由民主党は選挙に勝てない、したがって、三木内閣をやめさせることが現在の政局の中における最大の課題であるということで、福田総理あるいは大平大蔵大臣、あるいはその他有力者は連日のようにそれぞれの所見を発表しておるわけであります。  河本通産大臣は、いわゆる三木内閣における大黒柱というのがどういう意味の大黒柱かわかりませんけれども、三木派大臣として中心的な役割りを果たしているのだということが巷間伝えられております。私はそれが事実であるかどうかはよく存じませんが、通産大臣が今日の不況下に苦しむ経済情勢の中で通産行政を担当して、その役割りを果たしておるわけでありますが、このような政変劇というか、政局を動かしておる大きな動きに対して、経済情勢の見地から、通産大臣としてはどのようにこの事態を見ておられるか。好ましいことであるか、好ましくないことであるかということが一つ。  二つには、三木内閣が現在その役割りを果たしている中において、巷間伝えられるように、もうその役割りは終わったと判断しておる人たちが大部分だと思うのでありますが、通産大臣はその問題についてどのようなお考えを持っておられるか、この点をひとつお伺いをしてみたいと思うわけです。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 三木内閣発足をいたしたのは一昨年の十二月でございますが、自来約一年半になります。内閣発足に当たりまして、公約として掲げたことが大きく分けまして三つあったと思うのでありますが、一つは、政治不信をなくしたい。当時、御承知のような状態でございまして、政治不信が渦巻いておったわけでありますが、とにかく国民の政治不信というものをなくさない限り、日本議会政治の基礎は固まらないのだということで、政治に対する信頼の回復ということを第一の公約にはしておられたわけであります。この公約は、昨年の通常国会におきまして、政治資金規正法及び選挙法改正、こういう画期的な二大法律改正ということでようやく緒につきかけたと思うのです。  しかるところ、御案内のようなロッキード問題が突然ことしの初め以来持ち上がりまして、日本の国挙げて混乱に陥った、こういう状態であったと思います。そこで、やはりいまの第一の公約政治不信をなくするという三木内閣公約は、何といたしましても当面のロッキード問題の真相解明ということによって果たされる。この問題を解明しないで政治不信の解消ということはあり得ない、こういうふうに思いますが、幸い、三木総理親書等アメリカ側に届きまして、アメリカ側から必要とする資料が順調に入っておるようであります。その結果、ただいま私の漏れ聞くところによりますと、ロッキード問題の究明は順調に進んで、いよいよ核心に入るのも近い、ごく最近核心に入れる態勢ができつつある、こういうふうに聞いておるわけでございます。  いずれにいたしましても、ロッキード問題が核心に入るという寸前でありますから、政局の安定が望まれますし、途中で挫折することなく、この初めのスケジュールがみごとに解明される、そして政治不信が解消されるというそのことに対して、私どもは強く期待をしておるわけでございます。  第二の公約につきましては、御案内のように景気回復物価の安定でございますが、これも三木内閣発足いたしました当時には、卸売物価が実に三五%、消費者物価は二五%、こういう状態でございましたが、現在は卸売物価はやや高目でございますが、大体年率に直しまして七、八%の上昇でございます。しかし、これは景気回復期にはえてしてあることでございまして、これも秋までには大体おさまりまして二、三%ぐらいな上昇に落ちつくのではないか。年度間を通じましては、五%という政府の目標というものは達成されるであろう。また消費者物価も、この三月、一けた台という目標は達成されましたし、それからことしの目標、約八%というその目標も達成に向かっていま進んでおる。いずれにいたしましても、一年半前の状態と比べますと非常な安定の状態である。  同時にまた、景気の問題でございますが、本日も三月の数字が正確に発表されることになっておりますが、大体生産の回復が一・九%というふうにこの三月想定しておったのです。しかし、実際の数字は三・六%というふうになっております。それから出荷の方も三月の状態は約五%増である。したがって在庫もそれに応じて大幅に減っておる、こういう状態でございまして、ことしの初め以降の景気回復というものは非常に著しいものがあると思います。そして、三月末現在における稼働率指数は八八・八%でございます。現時点ではもうはるかに九〇%をオーバーしておるとは思いますが、いずれにいたしましても、三月末においてはそこまで回復をした。もっとも操業率はそれから約九%ぐらい引かなければなりませんから、約八割だと思います。しかし、それにいたしましても一年前に比べまして操業率も約一割上がってきた。  最近の貿易の動向、国内の設備投資がやや活況を帯びてきたということ、消費の動向等を見ますと、私は、操業率が九割に達するというこの水準も数カ月のうちには達成されるであろう、こうなりますと、現在マクロとミクロの乖離ということが言われておりますが、この問題はなくなりまして、個々の業種、個々の企業にも好況感が出てくるであろう、こういうことで、大勢としては景気回復物価の安定という第二番目の大きな公約というものは順調に進んでおると思います。  第三番目の公約は、社会的不公正の是正ということでございます。これは第二の公約が実現できまして、そして経済に力がついたときに初めて実現できるわけでございますが、たとえば中小企業対策とか、あるいは農業対策とか、あるいは社会保障対策とか、こういう対策でございますが、これもさらに一層この経済の力の回復とともに充実されるであろう、こういうふうに理解をしておるわけでございます。  したがいまして、主だった公約はすべて順調に進んでおりますし、しかも、いま景気回復の非常に重大な時期でございますから、政局が安定をいたしまして、三木内閣のその大きな公約が一層前進することを強く期待しておるというのが私の心境でございます。
  5. 佐野進

    佐野(進)委員 河本通産大臣の立場からはそうでございましょうが、それを一々私の方から反論を加える必要はないと思うわけでございますが、いずれにせよ、政局の不安定がもたらす経済的情勢については、あなたはいまお答えになりませんでしたけれども、好ましいことでないというようなことに結論づけられるのだろうと思うのであります。そこで、私はこのことをきょう質問することが真意ではございませんので、この程度でやめたいと思いますが、いずれにせよ、あなたが通産大臣になられたとき、まあ三木内閣におけるところの一つの弱点であるとか、欠点であるとか言われたにもかかわらず、一定の役割りを果たしてこられたことは、われわれは評価するにやぶさかでない。特に景気対策について積極的に対応されたこと、その後における動きの中であなたの行動というものが、そういう当初言われたほどのマイナス点を出しているというようなことは考えないわけです。評価するにやぶさかでないわけです。  ただしかし、私はあなたに対して大変不満に思うことが一つあるわけです。それは何かというと、あなたは政治家であり、通商産業大臣ですから、いわゆる政治的判断に基づいて行政を指導していただくということを私はあなたに期待する。大臣としてのあなたにわれわれもいろいろ言いたいこともある。文句もあるということもありますが、それを超越して、河本さんならばこれをやってくれるのではないかと期待したことが大きく外れたことが一つあるわけです。それは中小企業問題における分野調整の問題です。  私はあなたが就任当初から、この問題についてはたびたび質問を続けてきておる。速記録をお読みになればわかるのですが、あなたはその際、前向きに検討します、積極的に取り組みます、いまは行政指導でやりますが、その趣旨はよくわかりますという答弁をしておりました。だんだんそれが前進をしたのであります。ある時間がたちましたらそれががたっと落ちて、行政指導いたします、そしていまでは、むしろ三木内閣の中において河本通産大臣が分野調整を阻止する最大の役割りを果たしておる。そして、三木派に属する商工委員会に関係する人たちが一番分野問題については消極的だといううわさが流れておるわけです。そして、あなたが指導されておる中小企業庁がこの問題について最も激しい抵抗をしておる、こう言われておるわけです。  私は、中小企業庁といえども、あるいは通産大臣といえども、あるいは三木内閣といえども、国民が要望し、議会の総意がそこに近づきつつあるときは、率直にそれを取り入れてそれに取り組むという政治的な姿勢、行政的な姿勢があっていいと思うのです。ただ、野党のやつらぎゃあぎゃあ言っているけれども、そんなものは聞くことはないのだ、われわれが官僚として考えたことが絶対なものであって、われわれ官僚の考えたことは大臣はこれを聞かなければ仕事にならぬのだ、河本通産大臣が何を言ったところでおれたちの言うことを聞かなければもう浮き上がっていってしまうのだし、やがてやめていってしまうのだから、河本通産大臣の在任期間中われわれの役割りを果たさせればいいのだと言わんばかりの行動が中小企業庁を中心にして行われ、あなたはその突き上げで見解がだんだん強くなり、いまやまさに三木派の代議士を通じてこの議員立法をつぶそうとする。  法案提案はもちろん、前々国会の委員会における全員一致の決議を否定し、さらにそれだけでなくして、この法案に対するマイナス的な役割り中小企業庁に果たさせる、果たしていることを容認するその先頭に立っている、こういう印象は、三木内閣がいつまで続き、あなたが通産大臣をいつまでおやりになるか私はわかりませんけれども、あなたのせっかく通産行政において評価を高からしめているところにおける一つの汚点として残るのじゃないか、こういう気がしてならないわけでありますけれども、あなたはこの問題について、いまの私の質問の一貫した流れの中でいまどう判断されておるか、この点、この際もう一度お聞きしておきたいと思うのであります。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまの通産省全体の考え方は、通商産業政策の中で中小企業問題、中小企業対策というものは最大の課題の一つである、こういうふうに理解をいたしまして、中小企業対策といたしましては、まず考えられるあらゆる対策を立案してきたと思います。予算も非常に大幅に毎年ふえておりますし、それからその対策の内容それ自身が年を追うて充実されておる、こういうふうに私たちはみずから評価しておるわけでありますが、その中小企業対策の中におきましても、この分野調整の問題は、いま御指摘がございましたように、私どもも、これまた最大の課題である、こういう理解におきましては佐野委員と全く同じ見解でございます。  しかし、いま御指摘になりました問題は、中小企業の分野調整ということは最大の課題であるといっても、実際に幾つかのトラブルが起こっておるじゃないか、そしてそれが本当に解決されておらぬじゃないか、だから、ここで法律をつくってさらに一層これを明確にすべきである、こういう御議論であろうと思うのですが、ただしかし、解決されておらぬじゃないかと言われましても、これまでの実績は、私は大部分の問題は解決されたと思います。なお解決途上のものもございますけれども、大部分は解決されたと思っておるのです。しかし、今後は、その解決がおくれないようにするためには、やはり解決するためのいろいろな機能を強化していかなければならぬということが一つと、それから、そのトラブルが起こる危険性がありました場合に、これを事前にできるだけ早くキャッチしなければならぬ、こういう問題があろうかと思うのです。この二つの対策につきましても、今回の予算におきまして手を打ちまして、その対策あるいはまた体制の確立ということに対して相当な配慮を加えておるつもりでございます。  できるだけ早くトラブルをキャッチして、そして行政指導能力を高からしめる、そして一刻も早くこの分野調整問題に紛争が起こらないように処理したいというのが、いまの通産省の考え方でございます。  そこで、法律をつくったらどうか、こういう議論が出てくるわけですけれども、この場合、やはり何万種類とある中小企業のそれぞれの分量で一つ一つ業種指定をするというふうなことは法律的にむずかしいという問題もございますし、それから、法律によって決めてしまいますと、やはりそこに技術革新の可能性というものも少なくなる。そうしますと、国際競争力も確保できませんし、消費者の利益を守るゆえんでもない、こういう問題もあるわけですね。  でありますから、私は中小企業問題、分野調整問題ということにつきましてはだれにも負けぬ強い関心を払っておるわけでございますが、やり方につきまして、行政指導で徹底してやるか、法律をつくって縛っていってやるかというだけの違いでございまして、過去の実績から言いまして、いま申し上げましたような体制を強化することによって、もうしばらくの間行政指導でやってみたい。そして、どうしても行政指導で能率が上がらぬとか、さっぱりだめだとかいうふうな評価が出れば、これはまたしようがないですから、別の対策を当然考えなければならぬと思います。  こういうことでございまして、通産省がこの分野調整問題について軽視しておるとか、そういうことではございませんで、非常に重大に考えておるが、そのやり方についていま申し上げましたような方法を考えておるということについて、どうか御理解をしていただきたいと思うのでございます。
  7. 佐野進

    佐野(進)委員 きょうはこの問題が主題ではございませんから、ただ一言だけつけ加えて打ち切りたいと思いますが、大臣、先ほど来私はあなたの活動を評価しているということを前提にして言っているわけですよ。それはお考え違いないようにしていただきたい。  それからもう一つは、通産省も時の動きなり流れというものをよく見ていつも仕事をやっておられるのだが、中小企業庁というのがとかくその中で、おれたちは中小企業のめんどうを見ているのだという思い上がりの気持ちの中で中小企業庁の視野が狭くなって、かたくなに時の流れに抵抗する。そのかたくなに時の流れに抵抗することがどうしても大企業優位だというぐあいに判断されることは好ましいことじゃないと思うのですよ。私は中小企業庁の大の支持者でありますから、いまの中小企業庁の指導者の考え方が支持者の立場に立って見るとき、大変残念だと思うのです。  あなたの場合は大企業の経営者だということはもう隠れもない事実だから、ああ河本さんはどうしても大企業の肩を持つのじゃないか、こう言われることが私は一つの汚点になるのではないかと心配しているわけです。いまここで議論をするわけではございませんし、あるいはまた後でそれぞれわれわれも一応の対策を立てたいと思いますので、ひとつ大臣としては前向きに、通産行政の中で中小企業対策にいま言われた問題を含めて取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。  そこで公団参考人に、石油開発公団法の問題でお伺いしたいと思うのでありまするが、実は去年公団法の改正がありまして、石油問題について私どもも長い時間論じたのであります。たまたまあなたはまだそのときはおいでになっておられなかったわけでありまするが、今日、一番むずかしい石油問題に公団の責任者として対応しておられるわけでありまするけれども、私は石油問題を論ずるとき、今回出されているこの改正案の内容というものは非常に重要ではあるけれども、改正案そのものに対しては大したむずかしい条文ではないと思うのであります。したがって、この条文を入れるか入れないかという表面的な判断については、われわれはそう深刻に考えていません。だから、これを入れてもいいのだろうというぐらいな、軽い気持ちと言うのは言い過ぎでありまするが、これに賛成するにもやぶさかでないという態度でいままで来ておるわけです。  だがしかし、この問題の根が非常に深いということは、岡田委員板川委員、他の党の委員の諸君もそれぞれ指摘をしておるわけであります。でありますから、私はそういう立場に立って、石油行政の根幹に触れる問題として、この今回の改正と直接的には関係あるかどうかわかりませんが、二、三聞いておきたいと思うのであります。  石油開発公団総裁といたしまして、今日の石油行政のあり方、これは二つありますね、開発と流通、その両面に立って、最大の課題と考えられる点は何であるか、簡略で結構ですから、ひとつお示しをいただきたい。
  8. 倉八正

    ○倉八参考人 お答えいたします。  いわゆるアップストリームと申しますか、開発面、それからダウンストリームと申しますか、流通販売面、共通して言えることは、日本の企業体質がきわめて弱いということに尽きると私は思います。外国の企業に比べまして、いろいろの資金、技術あるいはその他の面におきましても日本は非常に脆弱である、いわゆる体質が弱い、こういうことに尽きるのじゃないかと思います。
  9. 佐野進

    佐野(進)委員 非常に簡単な答弁で、簡略とは言ったけれども、これほど簡略だとは思わないで質問してみたのですが、やはりもう少し実情に合った答弁をしてもらいたいと思うのですね。われわれも別にわからないで質問しているわけじゃない。しかし、わからないで質問しているわけじゃないけれども、答弁が簡単過ぎると、私の質問する意図をあなたが知らないのじゃないかと思わざるを得ないわけです。  だから、そこはあなたももうなれていらっしゃるのだから、いま少しく、たとえば開発面における問題点は何と何であるか。弱いということはだれも知らない者はいないわけです。だからこそ、石油パニック当時あれほど混乱が起きたわけです。流通面において弱いということだから、再編成もしなければならぬとか、いろいろ問題もあるわけです。だから、その中における問題点は何と何なのか。たとえば開発面においてそれぞれ開発会社が存在する。その開発会社が、それぞれいま目的を達せずして大変苦労しているという具体的な問題があるわけですね。そういうような問題について、どことどこであるかということを、簡略でいいから、数点にわたってひとつ説明してもらたい、こういうことです。
  10. 倉八正

    ○倉八参考人 いま私の担当がいわゆる開発面でございますから、それを中心にしてお答えをいたします。  日本の開発というのが根本的には外国に比べまして非常に出おくれたというところに、第一点の問題があろうかと思います。たとえば、外国で大きい開発をやっている会社は、ある場合には九十五年の歴史を持つとか、あるいは若くても三、四十年の歴史を持つということに比べまして、日本のいわゆる開発産業というものの歴史がきわめて若くて、出おくれたというところに一つの問題があろうかと思います。したがいまして、これを背景といたしまして、開発の三要素とも言うべき技術、資金あるいは経験というのがそれだけ整っていない。したがいまして、こういうギャップをどういう時間的なスピードで埋め合わせるかというのが、一番大きい課題ではなかろうかと思います。  現在、先生の御指摘がありましたように、わが開発の業界が非常に苦労しているということは、現実の問題はそのとおりでございます。ただしかし、日本の開発の進捗というのが、それならば世界の各企業が行っておる成功率に比して非常に劣っておるかということにつきましては、決してそうではないのでございまして、たとえば百本試掘をしまして、その当たる率がたとえば十八本に一本だとか、それからコマーシャルに乗る、いわゆる開発段階に移るのが六%だとかということは、日本としても決して劣っていないのでございます。  しかし、いずれにいたしましても出おくれた産業でございますから、これを早く進めまして、この強化をしていくというのが一番必要である。そのためには、非常にたくさんあります会社を今後はどういう方向に持っていってより強化をするか、そういう体制の問題もあわせて考えなければならないかと私は思っております。
  11. 佐野進

    佐野(進)委員 その開発問題が今日公団におけるところの最大の課題であるという形においていまの答弁があったわけであります。現在それぞれ開発会社があるわけでありますが、私の言うことが時期的にもうすでに若干外れているかどうかわかりませんけれども、たとえば海外石油開発、三菱、三井、住友、東洋、芙蓉のそれぞれの開発、帝石、ワールドエネルギー開発、石油資源開発、あるいはまたジャパン石油開発等々、多くの石油開発会社があるわけです。これがそれぞれの立場においてそれぞれの役割りを果たしておるわけです。その開発指導の面に関して、どの企業に対してどのような指導をなさっておるのか。指導というか、援助というか、対策というか、そういうことをなさっておるのか。特に、それぞれの企業の中でどこをあなた方公団は対応の中心にしておられるのか、この点、ひとつお答えいただきたい。
  12. 倉八正

    ○倉八参考人 開発の基本というのは民間主導型で、国家資金を預かっております公団が、いろいろな形において、出資あるいは融資の形においてそれを助成申し上げるというのが私の公団の使命でございます。  それで、いまお挙げになりました会社の中にはいわゆる統括会社というのが含まれておりますが、それに対する助成の仕方はどういうことかと申しますと、あるところのプロジェクトに、会社がこういうところに進出したい、あるいはこういうところで試掘をしたい、探鉱したい、そういうアプリケーションを持ってきますと、私の方では、それは技術的に十分可能性ありや、あるいは資金的にそれをサポートできる余裕ありやということをいろいろの面から考慮いたしまして、ある場合には出資の形におきまして、ある場合には融資の形においてそこに助成するということが中心でございます。したがいまして、ところによりましては、たとえば大陸だな周辺というのは最大限の重点を置かなければいけない地域でございますから、そういうところには、融資をするにしましてもほかの地域よりも融資比率を高めるというような、いろいろのアイテムを政策の間にまじらせてやっておるわけであります。
  13. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、この融資の対象のそれぞれの企業に対して、あるいは出資の対象のそれぞれの企業に対して、いままで総額どの程度の出資、どの程度の融資をしておられるか、この際、明らかにしていただきたいと思います。
  14. 倉八正

    ○倉八参考人 お答えいたします。  いままで公団が投融資の対象にした会社数が三十五社、プロジェクト数にいたしますと四十五プロジェクトでございます。それで、公団ができましてから八年半ぐらいになりますが、その間に投融資した総額が約二千二百億円でございます。——二千四百億円でございまして、内訳を申しますと、出資が千三百億円、融資が千百億円でございます。
  15. 佐野進

    佐野(進)委員 総裁、突然あなたに質問するのだから、あなたが突然の質問でお答えできないのは当然だと思います。ですから、不確かなお答えをされるよりは、確実なお答えをしてもらわないと、速記録に残りますから、そういうことでは後でわれわれ困ります。おわかりにならなければならないで結構ですから。私は次の質問のために順序として聞いておるわけです。  いま二千二百億というのは二千四百億だ、こう言われておるわけでございますが、その中においてジャパン石油開発に対しては幾ら出資ないし融資をしておられますか。
  16. 倉八正

    ○倉八参考人 出資が三百七十五億円、融資が八百六十億円、合わせて一千二百三十五億円でございます。
  17. 佐野進

    佐野(進)委員 総裁、どの程度公団がいままで出資したかというと、三十五社ないし四十五プロジェクト、それに対して二千四百幾らという出資ないし融資をしておる。その半分以上の金額がジャパン石油開発に投融資されているわけです。そうすると、公団の業務の大半はこのジャパン石油開発というところに向けられていると言っても言い過ぎではないわけです。そうすると、あなたがいま公団として対応するお仕事の中で開発が最も重要な仕事だと言われておるとすると、最も重要な仕事はこのジャパン石油開発であるというぐあいに判断してよろしゅうございますか。
  18. 倉八正

    ○倉八参考人 どうお答えしたらいいですか、もちろん金額的には先生の御指摘のとおりで、圧倒的な部分がジャパン石油開発に行っておるわけでありますが、しかし、それは例のBPの利権を買ったときの金も含まれておりまして、いまは石油を日本へ輸入しておりますが、それも順調にいっております。しかし、公団の立場としましては、ジャパン石油開発だけに重点を置くということもさることながら、ほかのプロジェクトもございますから、そういうところにつきましてもあわせて最大の努力をしているというのが現状でございます。
  19. 佐野進

    佐野(進)委員 総裁、私の質問しようとする意味がだんだんおわかりになってこられたでしょう。私はあなたが流通の部面についても意見があろうと思ったのですが、これは後で増田長官にお伺いしますが、開発の面だけにしぼっていまお伺いしているわけです。  千二百三十五億円の投融資をし、八年間の公団投融資の中における最大の力点をこの企業に入れているのですね。そして、この企業は順調に推移していると言われておりますけれども、五十年度十二月期に百七十億円、累積赤字は二百九十八億円。千二百三十五億円を投融資されているこの企業、これはもちろん公団だけではございませんが、二百九十八億円の欠損を出している。しかもその出資の金額の割合も、いまあなたの言われているような形の中でBPから分けてもらったと言われながら、その比率も下がっている。そのような状況の中で、OPECのいわゆる国有化政策の中で当初の投資の目的からするならば結果的に非常に効率が悪くなっている。  こういう形の中で、開発ということよりも、既開発されていたところの株を買い、そこで会社を設立し、さらに投融資をこれほどして、その効率が下がり、赤字を出している、こういうことは、公団のいわゆる開発業務の中においては非常に力を入れているがゆえに、本来のあり方として若干邪道ではないかという懸念を私は持っているわけです。  これは本質に触れる問題だから、あなたは先ほど余り簡単に御答弁なさったから私は特に質問し直したわけですけれども、問題の本質は、石油開発業務というものは大変な仕事なんですね。したがって、当たれば千金、失敗すればただ、これは選挙と同じようなものですよ。そういうような仕事をやるにしては、あなたのいまの私に対する答弁の仕方というものは、公団総裁としては私はきわめて誠意がないのじゃないかという気がしたわけなんです。しかし、あなたの人柄はそうじゃないと先輩の人たちがみんな言うから、間違いないと思って、別にここであなたを個人的に指摘しようとは思わないわけです。  ただ、そういうような形の中でいながら、なお石油開発公団は、この赤字の出ていることは大したことじゃないのだ、ことしの金額で言えば八百五十億円の融資規模があるので、これらの赤字を埋めながら、なおかつジャパン石油開発を積極的に支援していくのだ、その資金の大部分を投資してやるかやらないかはわかりませんが、そういうことになると、特定の開発会社に対してのみ石油開発公団は特定の結びつきを強める、こういう印象をぬぐい得ないと思うのであります。こういう印象をぬぐい得ないような公団の運営をなさっておられるということは、あなたにかわってからそう長くないから、あなたの責任とは言えませんが、大変疑問点があるような気がするわけです。  ことし八百五十億円の融資規模の中で、ジャパン石油に対してどの程度の融資をされる御計画か、お示しをいただきたい。
  20. 倉八正

    ○倉八参考人 二百億足らずと予定しております。それは探鉱資金でございまして、アブダビに鉱区がありますが、それを探鉱する資金でございます。
  21. 佐野進

    佐野(進)委員 きょうはその問題をやることが目的ではございませんので、この程度で打ち切ります。ただ、私が先ほど来質問してきた経過を総裁によくお考えになっていただいて、開発事業公団の最大事業であるとするならば、そして政府出資の公団としての立場におありであるとするならば、いま私の質問し続けてきたこの経過の中において、問題の本質をひとつ正しくおつかみになって、正しい運営をしていただくことを要望いたしたいと思います。特に石油開発公団の倉八総裁とこの会社の社長とは同じ九州出身で大変仲がいい。財界における石油庁長官と称される人と公団の倉八総裁とは、まさに刎頚の交わりとまでは言いませんが、大変仲がいいと言われるうわさの中でそれらの業務が展開されることのないよう、強く要望しておきたいと思います。  そこで、流通面について、今回の改正の主要な点を増田長官にお伺いをしておきたいと思います。  時間がもうなくなりましたので、たっぷりやりたいと思ってこんなに質問事項をよけい用意しておったのができないのが残念でありますが、今回のこの法律改正に基づいて公団に出資し、公団をしてその業務を行わせるいわゆる企業の再編成問題について、どのような対象を考えておられるのか、この際、明らかにしていただきたい。
  22. 増田実

    ○増田政府委員 今回、石油開発公団法の一部改正といたしまして、石油開発公団の臨時業務、これは附則に追加するということで、石油産業の構造改善事業に要する資金の出資及び融資業務を追加するという内容になっております。この対象は石油製品の販売業者、具体的に言いますと元売業者でございますが、元売業者が構造改善事業を行うときにこれを支援するための出資金あるいは融資を行う、こういうことになっております。構造改善事業と申しますのは、いわゆる販売部門における集約化事業でございまして、さらに具体的に申し上げますと、合併とかあるいは販売部門の統合ということによりまして構造改善事業が行われましたときに、国としてそれの必要資金を出資または融資の形で出す、こういうことでございます。  現在私どもの方で考えておりますのは、元売業者が集約化を行いまして、そして構造改善事業を行いましたときに、相当な資金が要るということで、これの必要資金を国が援助して与える。その方法としては二つございます。一つは、今回この法の改正でお願いいたしておりますような出資を主体といたします形でございまして、構造改善、集約化を行いました企業が出資金が必要だというときは石油開発公団を通じて出す、しかし、出資は欲しくない、融資をしてもらいたい、こういう場合は、これは日本開発銀行から出すという形になっております。そうなりますと、出資か融資というものを選ぶということは、これは集約化する企業の方から申し出がありまして、出資が必要だというときは石油開発公団に申し込む、融資が必要だというときには日本開発銀行に申し込む、こういう形になっております。  さらに若干つけ加えて申し上げますと、この構造改善、集約化の事業というのは、これは国が押しつけて直ちにできることではございません。国がいろいろ地盤づくりをしたり、またその必要性についてこれを説得するという立場まではございますが、あくまでも業界の自主的発意によってできていく。そして、その業界が自主的に構造改善事業を行うというときに資金が必要であれば、それに対する支援体制として、先ほど言いましたように、出資は石油開発公団、融資は日本開発銀行から出すということでございます。  大体以上申し上げましたのが構造改善に関する考え方でございます。
  23. 佐野進

    佐野(進)委員 長官、大体私もその程度のことはわかっているのですよ。だから、問題は、あなたが今度エネルギー庁長官として今国会に法案をたくさんお出しになりましたね。大陸だな協定から、金属鉱業事業団から、ほんのこの前趣旨説明があったいわゆるガソリン法と称するもの、その中で一番スポンサーの少ないのが、スポンサーというのはつまり後押しの少ないのがこの法案だと、こう言われているのですね。スポンサーが少ないよりも、むしろこの法案に対して足を引っ張る方が多いじゃないか。そういう中でエネルギー庁長官は大変苦労をしながらこの法案の成立に努力をしている、こういうぐあいにわれわれは聞いておるわけですね。そういうことが、私が先ほど質問した中で、どうしてそういうような形になったのかということを実はお聞きしたかったわけです。  聞かなくてもわかるのですよ。百億円の持参金をつけてやって、困っておって、当時はもうあした建つかあさってつぶれるかわからないようなそういう企業を助けてやろう、こういう温かい思いやりで、あなたが、あるいは通産大臣が提案したところが、景気がよくなってしまって、もうそんなものは必要ないのだ、いまさらそんな百億ぐらいのはした金でおれたちの内部に対してどうだこうだ言われるのじゃたまったものじゃない、そんなものは要らない、いやむしろ要らないどころじゃない、じゃまっけだ、だからこんな法律は要らないのだ、こう極論する人すらいるのじゃないかと言われるほどの状況だとわれわれは聞いておるのです、これはうそか本当かわからないけれども。  そういうような状況下になったとするならばこの法律の意味がないのか、あるいは、いやそうじゃない、この法律が存在し、いま言った融資なり投資なりする形の中で、業界が近代的な装いというか、体制に対応できるような条件をつくり上げるために絶対必要だとするならば、それはどれとどれとどれをどうやったならばそうなるのか、こういうことを私は実は聞いておきたい。また、もしそういうことに対して、法律を提案しているあなた方のお考えとその企業の考えにギャップがあるならば、そのギャップを埋める方法は一体何なのか、こういうことを実はお聞きしたいという意味で質問をしておるわけです。     〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕
  24. 増田実

    ○増田政府委員 今回石油開発公団法改正によりまして構造改善の支援体制というものを行いたいという理由につきまして簡単に申し上げたいと思いますが、石油危機を経験いたしまして、今後のエネルギー政策、石油政策の最大の基本問題というのが、石油の安定供給、エネルギーの安定供給ということでございます。ところが、日本におきまして、石油につきましてはこれを供給いたしております石油産業が非常に弱い、またいろいろ問題がございます。  これは先生も御存じのように、外資系と民族系という両方の企業がございますし、また末端におきましてはいろいろな過当競争が行われております。これらによりまして現在の石油産業の経営状況というものが非常に悪化しておる。一部民族系の企業が累積赤字を膨大に負っておりまして、いわゆる資本金を超えます債務超過、累積赤字が資本金を大幅に超えている会社も数社出てきておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、エネルギーの供給、ことに石油の供給を担当いたしております石油産業がこのような崩壊寸前と申しますか、非常な状況にあるということにつきましては、今後の国民経済の安定的発展にとりまして非常な問題点が残っておるわけでございます。  そこで、こういう状況を直すために石油産業の構造改善、体質の強化というものが要るということで、昨年から石油産業の構造改善が必要であるということを私どもが説いておりますし、また総合エネルギー調査会の石油部会の中間答申で、今後の民族系企業をこのまま放置するならば、石油の安定供給についていろいろな問題点が出るおそれが多分にあるという結論に到達しておるわけでございます。そういうことから、石油産業の構造改善を一日も早く進めなければならないわけでございます。  それから、ただいま先生から御指摘がありましたように、業界の一部で、最近、標準価格で価格の問題が解決した、ついては、もう通産省の言っておる構造改善などは鼻もひっかけないというようなことを一部の方々が言っておられるのは、私も聞いております。聞いておりますが、私自身、この構造改善はぜひとも必要だということで、各石油会社の首脳の方々とそれぞれお話ししておりますが、少なくとも私とお話ししました各首脳の方々は、現在の石油産業をこのまま放置したら日本経済にとって非常に問題である、自分はそれを十分理解している、しかしながら、ここで急に合併と言われたのでは、従業員に対する立場あるいは株主に対する立場があるということで、やはりこの問題については相当な準備、それから段階を経てやっていきたい、ただ構造改善、石油産業の集約化については理論的には全く正しいと思っているということでございます。  それで、今度の法律は、直ちに集約化を強制するとかいうことではございません。先ほど申し上げましたように、自主的に、いまのように経営者が総論において賛成しておられるなら、具体的な方法をみずかう考え、そして石油の供給の責任を負います石油産業の責任者として、構造改善を行っていくべき立場にあるというふうに考えております。ただ、これにつきましても、政府がそれをただ黙って見ておる、あるいはその必要性を口だけで説いて、石油産業の自覚によってやらせるということではなくて、政府政府なりにそれに対する支援の体制を整えるべきだ、これが今回の石油開発公団を通じます政府資金の供給でございます。  そういうことで、いろいろ議論がございます。ございますが、この石油の安定供給というものを確保しなければ、今後非常に大きな問題が出てくる。まさに構造改善の問題は現在手をつけなければ取り返しのつかないことになるのではないかということで、先ほど先生から、この法案に対する支持者はどうもない、そういう法案を出しているという御指摘がありましたが、私は、表向きの支持者は確かにないと思いますが、その裏には、やはり石油あるいはエネルギーの安定供給というものを達成しなければならないという国民的要請というものから、非常に大きな支持者が背後にあるもの、こういうふうに思っておるわけでございます。
  25. 佐野進

    佐野(進)委員 その長官の考えは考えとして理解できるのですが、私は支持者がないとかあるとかというのは、別に皮肉とか言葉のてらいとか、そういうことで言っているわけではないのです。あなたが言われる考えをわれわれも理解できるから、この法案について冒頭言ったように賛成の態度で臨んでもいいではないか、こういうことを言っているわけです。ただ、これは余りにも問題が多過ぎる。内容が氷山の上に出ている分については大した問題はない。ただ、附則の中における一項を変えればいいということだけだけれども、しかし、その根は非常に深い。根をたどっていけばたどっていくほど、どこまで行ったら結論がつけられるのかというぐあいに心配する問題もたくさんあるわけです。したがって、私はそういう見地からいま質問をしておるわけですが、合併の問題等々幾つかの問題点がここにあるわけですね。たとえば大協石油と富士興産の問題だとか、いろいろありますが、それは時間がございませんので省略いたしたいと思います。  ただ、総論的な質問で終わらざるを得なかったわけですけれども、困ったから金を政府の方で出せ、融資もさせろ、そして何とかしろ——たとえば去年のいまごろでしたか、この前の公団法の改正参考人で呼んだ人たちの大部分は、当時困っている最中でしたね。だから、もう国営以外にはないのだという発言をされた参考人もいるわけですね。ところが、今日大分情勢がよくなった。政府がせっかく金をやろうと言ったって、そんなものは鼻もひっかける必要はないや、つまらぬことを指図されてはたまったものではない、おれたちは公団の下に立ってそんなことをやられる必要はないのだというような印象があるとすれば、これは経営者として誤りですね。困ったときでも困らないときでも、もちろん政府の指導なりあるいは支援なり受けるということは当然あり得たとしても、経営者としては一貫した姿勢のもとに、そのときどきの情勢に対応することでなければならぬと思うのです。  私は、この法案が通っても、公団総裁がいらっしゃいますが、その融資については政府公団一体となって、この資金の運用、融資なりあるいはまた投資なりについては厳格に審査し、たとえその金が残って不用額になったとしてもそれを行わないというような決意があってもよろしいし、いわゆる石油行政の根幹に触れる問題についての指導に従わないという企業がもし存在するならば、困ったときそれを見捨ててもこれはやむを得ない。悪いときだけ頼んで、いいときになったら知らぬ顔をする、むしろ悪口を言う、そういうようなものに対しては毅然たる態度をもって臨むということが必要ではないかと思うわけです。あるいは私の言うことが的外れかもしれませんが、そういう点について、大臣総裁、長官の考えを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  26. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年の秋にOPECの値上げがございましたが、その値上げ問題と当時の為替変動ということ並びに市況が非常に悪いといういろいろな情勢が重なったものですから、石油業界の代表の方が来られまして、そうして石油業界再建のために政府もひとつ力をかしてもらいたいという強い要請がございました。石油業界の実情は、すでに表面だけでも二千億円という赤字が累積をしておるし、過去の蓄積も使い果たした、このままいけば毎年数千億円の赤字が出る、企業の経営はむずかしい、維持することはできない、であるからぜひ政府の力をかりたい、こういうお話があったわけでございます。そこで、政府はいろいろ考えまして、石油需給の見直しであるとか、あるいはまた標準価格制の設定であるとか、需要者に対する石油産業再建のための協力依頼であるとか、いろいろなことを積極的に行ってきたわけでございます。  なお、私はそのときに申し上げたわけでありますが、石油業界は乱立状態であって、いまのままでは困るのじゃないか、何か業界自身の発意によりまして、業界自身が自発的な考えを示されることによって何か体質の強化というものをやっていただきたいということを要請したわけであります。それじゃやります、体質強化も必ずやります、こういうことであったわけでございます。  幸い、その後一連の行政指導によりまして、大体石油業界の経営は順調に立ち直ってまいりまして、すでに去る十三日には標準価格も廃止をいたしました。ずいぶんよくなったと思います。でありますから、昨年秋の初心に返って、そうして石油業界の役割りというものは非常に大きいのだ、日本のエネルギーの安定供給という上において指導的な役割りを果たしているのだ、こういう自覚のもとに、対外的にはメジャーやOPECとも対等の交渉のできるような、そういう基礎のしっかりした石油業界であってほしいと思うわけでございます。  そういう石油業界の体質強化、これはもちろん業界の自発的な考え方によってその方向が決まらなければならぬと思いますが、そういう方向が出れば、政府も全面的にこれに対して協力をしていく、そうして石油の安定供給を図っていく、こういう考え方でございまして、石油業界の体質の強化というその基本方針は今後とも貫きたい、かように考えておるわけでございますが、業界の方々も昨年秋のお話をひとつぜひとも実行していただきたいというのが政府の考え方でございます。
  27. 倉八正

    ○倉八参考人 お答えいたします。  いわゆる精製、販売面のダウンストリームと申しますか、それの強化ということは、開発にも非常に大きい、いい影響を与えてくるわけでございます。御承知のように、世界の各メジャーを見ましても、例外なく開発から販売まで一貫的にやっております。ところが、日本はそれがばらばらになっておる。それで、われわれ公団としましても、できるだけいわゆる精製、販売業界も開発に力を入れてくれというのが一番大きい望みでございます。  そういう意味におきまして、体質が強化されることはきわめて歓迎すべきことであります。私の方の仕事は通産大臣の認可を受けてやる仕事でございますので、いま先生の御指摘のような点を十分踏まえまして進めていきたい、こう考えております。
  28. 増田実

    ○増田政府委員 国民経済の維持のためにきわめて重要な地位を占めております石油というものの安定供給を確保するための石油構造改善事業、これに今回の改正がお許し願えば支出するということで、これの使途その他につきましては、先生から御指摘のあった方向でこれを使っていくわけでございます。そういう意味で、百億円を支援体制として用意いたしますが、石油産業の構造改善という線に沿った内容でなければこれは支出しない、こういうことで考えております。
  29. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 近江巳記夫君。
  30. 近江巳記夫

    ○近江委員 最近の原油価格を見ておりますと、サウジアラビアあるいはクェート、イラン等が若干の値下げを実行しておるということを聞いておるわけでありますが、OPECの内部でも足並みの乱れというものが見られるように思うわけであります。この二十七日からバリ島におきましてOPECの総会が開かれるということを聞いておるわけですが、ここでは各国いろいろな考え方があるようでございますが、いまいろいろ観測されておる状況を判断しますと、五%ぐらい引き上げるのではないだろうかというような見方が行われておるように思うわけでございます。  そこで、政府としまして、最近のOPECの情勢、あるいはバリ島総会についてどういう分析をなさっておられるか、見通しを持っておられるか、このことにつきましてまず最初にお伺いしたいと思います。
  31. 河本敏夫

    河本国務大臣 五月の下旬からインドネシアのバリ島でOPECの総会が開かれるわけでございますが、その一つの議題は、七月以降の原油価格をどうするかということでございます。  現在、OPECの生産は若干ふえております。しかし、若干ふえましたけれども、三千八百万バレルの能力に対しまして、大体まだ二千六百万バレルぐらいの生産水準ではないかと思うのです。でありますから、その余力というものは約千二百万バレルも余っておる。こういう状態でございます。  それから景気の方は、世界全体、先進工業国を中心といたしまして、昨年の秋以降、一部の国はことしになりましてから順決回復の傾向にありまして、アメリカを中心とする石油の需要は拡大しつつあります。しかし、なお大勢としましてはいま申し上げましたような生産の状況でございます。  そういう中におきまして、いわば簡単に言いますと油が余っておるという中にありまして油の値段を上げるということは、大体経済原則を無視した行き方でありますが、しかし、油の値段というものは経済原則を無視して、常に最近は政治価格によって決定されておるわけでありますが、つい先ごろまでは、値上げがない、こういう見通しが大勢でございましたが、きわめて最近になりましてから、あるいはごく若干の値上げ、微調整的な値上げがあるのではないかという見通しも出てまいりました。メジャーオイルなどはそれを見越して盛んに油の買いだめをやっておる、こういうことを見ますと、そういう傾向は否定できないと思うのでございます。  しかし、何分にも需給関係が非常に緩んでおるというときでございますから、昨年の秋と同じように無理やりに若干値上げをするということを公式に決めましても、なかなかそのとおりにいかないと思うのですね。昨年の秋も形式上の値上げがありましたけれども、実際は取引条件の改善等によりましてその値上げは表面どおりは実行されていない、こういうことでございましたので、ことしも、私は、こういう需給関係のもとでは、値上げが行われましてもそれは有効には実行できないであろう、また日本はそういうことを十分考慮して、その間有利に、できるだけ安い油を、しかも長期安定の形で購入しなければならぬというのが日本の戦略ではなかろうかと思います。
  32. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣の判断としては、若干の値上げといいますか、それが予想されるというような、それは状況判断でそうおっしゃっておるわけですが、もし仮にうわさされるような五%程度というものが引き上げになった場合、わが国の影響はどういうように出てくるのですか。仮にこの五%ぐらいということを仮定した場合、影響度はどのように見ておりますか。
  33. 河本敏夫

    河本国務大臣 石油代金はざっと年間二百億ドルでございますから、形式的には若干の影響が出ることになりますけれども、くどいようでありますが、昨年秋も実際は値上げはしていない国もありますし、むしろ引き下げた国もある、こういうことでございますから、まずほとんど影響が出ないと見ていいのではないかと思います。  それから、私が値上げの傾向が最近出てきたと言いましたけれども、これは断定的なことではございませんで、つい先般までは値上げがないというのが大勢であった、しかし、最近はごく微調整的な値上げの傾向も一部には出ておるということでございまして、私どもは値上げのないことを強く期待をしているわけでございます。
  34. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは、この値上げをなくし、むしろ安くさせる方向にわれわれとしては努力しなければならぬわけであります。しかし、現実の問題として、政治的なそうした動きというものがいままでOPECでは非常に強い決定力を持っておるわけでありますから、そうした覚悟はしておかなければならないのではないか、このように思うわけであります。  そこで、政府はこの十三日、石油製品の標準額の廃止を決められたわけですが、これを廃止されたということは、よく政府がおっしゃっております新価格体系への移行が終わった、このように判断されて廃止されたわけですか、ちょっとお伺いします。
  35. 増田実

    ○増田政府委員 先般標準価格の廃止を行ったわけでございますが、この標準価格制度は私どもの方は昨年の十月のOPECの値上げというものが石油産業の最大の不況の中に行われ、このまま放置すれば石油産業の今後についていろいろな障害が起こるという判断で、臨時、暫定的な措置として行ったわけでございます。そういう意味で、これがほぼ達成したということになりましたので、五月十三日付でその告示の廃止の手続をとったわけでございますが、新価格体系との関係で申し上げますと、石油の現在の価格というものは、これは原油が、先ほども大臣からお話がありましたように、常にOPECの総会で浮動しております。流動的でございます。そういう意味で、五月十三日に石油の標準価格を外したことによって、もう石油産業について新価格体系というものが完成した、達成したというふうには私どもは考えておりません。やはり今後、流動する状況に応じて石油の価格というのはまだ動き得ると思っておりますが、ただ、政府が標準価格を定めてそれに介入するような形というものはこの際やめるべきだ、むしろ今後は自由な需給関係によって価格が決まるべきものと、こういうふうに考えておる次第でございます。     〔橋口委員長代理退席、安田委員長代理着席〕
  36. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府は標準価格の廃止をされた、その後は石油業界としては値上げの動きを盛んにしておるようであります。たとえばLPGの値上げをしようとして、トン当たり四千五百円から五千円を六月一日から実施の予定である。そうしますと、この家庭用プロパンガス等の値上がりを見てまいりますと、店頭でも販売価格が十キログラム大体千六百五十円、現行が千五百円ですから、これが百五十円の値上がりになるだろう、このようにも言われておるわけであります。これはいつも申し上げておりますが、これだけの不況、またその中で今年の春闘は一けたである、こういう中で公共料金がメジロ押しに引き上げをされようとしておるわけでありますが、そういう中で石油製品がまた引き上げを図ろうとしてきておるという動きについて、政府はどう思いますか。
  37. 増田実

    ○増田政府委員 石油の価格につきましては、標準価格廃止後いろいろな動きがございます。石油産業は非常に大幅な赤字を現在もまだ抱えております。何とかその値段を上げたいという気持ちはありますが、ただ、これにつきましては、先ほど申しましたように需給によって決まるわけでございまして、現在のところ大幅な値上げというものは私はなかなかむずかしいと思っておりますし、また大幅な値上げは物価問題その他にいろいろ響きますので、これについては十分監視していきたいと思っております。  特に石油製品の中で問題になりますのは、先生のお挙げになりましたLPG及び灯油の価格でございます。灯油につきましては、毎月日本各地での調査を行いまして、これの動きについて十分強い監視をいたしております。不当な値上げ、不適正な値上げというものがもしありましたときには、行政指導をやりまして、国民生活に直結いたします灯油の価格というものについては十分指導していきたい、こういうふうに思っております。  それから、いま先生からお話のありましたLPGにつきましては、これは御存じのように非常に原料価格というものが上がってきております。ただ、これにつきましては、原料価格は実際の小売価格に比較いたしまして大体三分の一、五百円前後というところでございまして、輸入価格が動きましたときにそれの若干の調整はやむを得ないと私ども思っております。ただ、それがさらにはね返りまして、いまの小売価格の千五百円にはほとんど響きのない形だというふうに思っております。今後、もしLPGの消費者価格が上がるようないろいろな問題があるようでしたら、これにつきましてもただいま灯油について示しましたと同じように監視体制、行政指導というものを行っていきたい、こういうふうに考えております。
  38. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは十分監視してもらわないと、私が予算委員会、また本委員会でもこのやみカルテルの問題を取り上げたわけですが、非常に石油業界というのは多かったわけですね。協調体制といいますか、そういうものが非常に強いわけですよ。こういうことを歯どめをかけていかないと、これはもう本当に幾らでもこういうかっこうでやってきますよ。これでは幾ら原油が高くなったからとかなんとか言っても、政府がそういうことを見過ごしていくような姿勢がありますと、これは国民の理解も信頼も得られませんよ、国民生活を守るという皆さん方の真剣な姿がないと。  いま長官は、そういう小売のところまでこれは波及はしない、もしそういう動きがあれば厳しく監視をし、また指導していくとおっしゃっているわけですが、ぜひこれは言葉だけに終わらさずに監視してもらいたいと思いますね。これはひとつ長官の実行を私は見守っております。  それから、電力にしましてもガスにしましても、これは石油、C重油にいろいろ関連してくるわけですが、御承知のようにいま電力の四社の申請が出されております。この問は関電がその意向を示したわけですね。また、東電が七月に二七%前後申請をする。東京瓦斯は二八%から二九%値上げする。これはいつも本委員会で論議いたしておりますが、これは本当に各社厳しい査定をしなければならぬのは当然でございますが、こういう大幅な引き上げというのは、今後の設備投資であるとか、そうした予想されることに対処して、そういう認可をしていく条件に入れておられるように思うのですね。現時点におきましてはそんなに苦しい状態でも何でもないわけですよ。このように東電なり東京瓦斯が予定どおり申請を出してくるということに対して、どう思いますか。
  39. 増田実

    ○増田政府委員 現在、電力会社四社の申請を受け付けておりまして、私どもがいろいろ情報として聞いておりますところでは、続いて関西電力が申請を出してくるということですが、これもまだ会社から正式には聞いておりません。それから、いま先生からお挙げになりました、たとえば東京電力あるいは東京瓦斯という各社が料金の改定を申請するということは、これは会社側から何ら聞いておりません。  ただ、私どもの方といたしましては、この料金の問題につきましては、原価が上がり、その原価を賄うだけの料金になっていないということで申請が出れば、その申請が適正かどうか、原価を厳正に査定をいたしまして、そして必要があるという判断であればそれを認めるし、またそういう内容でないということであればこの料金の改定を認可しない、こういう立場でございます。現在、電力事業及びガス事業につきましていろいろな意味の原価が上がっておるということは聞いておりますが、しかし、これにつきましてできるだけ現行料金で維持していくということで従来から指導をいたしておるわけでございます。原価構成がその後どういうふうになっているかという経緯によりましてこれを判断いたしたい、こういうふうに思っております。
  40. 近江巳記夫

    ○近江委員 先発四社の電力値上げ申請は、政府としては、いま通産内部として査定はほぼ結論に近づいているのですか。この前の委員会でもお聞きしましたけれども、予定はどうなんですか。
  41. 増田実

    ○増田政府委員 現在受け付けております電力四社につきましては、各会社の特別監査というものを終了し、また公聴会につきましても、この十四、十五日で北海道におきます公聴会が完了いたしております。私どもの方の査定には、公聴会の意見というものを十分考慮しながら査定しなければなりませんので、現在これらの意見を頭に入れながら査定作業を行っておるわけでございます。現在まだ査定作業中でございまして、できるだけ結論を早く出したいと思いますが、現在のところはまだ終わっておらないということでございます。
  42. 近江巳記夫

    ○近江委員 結論を早くなんか出してもらいたくないわけですよ。私が申し上げているのは、この前の答弁では今月いっぱいぐらいで通産省として検討を大体終わる予定だというようなお話がありましたが、それでは拙速過ぎる。もっと慎重にやりなさい。いままでの値上げ問題であれば三カ月ぐらいかかっているわけですね。あのオイルショックのときには一カ月ぐらいで、非常に早過ぎた、おかしい、こういう論議があったのですが、大体今日のこのような不況、インフレのさなかに、国民生活を圧迫するような値上げ問題を、通産省が厳格な査定をするのにそんなに早くできるわけがない。早いということは業界に迎合しているのですよ。慎重にやりなさいよ。こんなものは何も急ぐ必要はない。そういうことで、関電初め東電あるいはガス会社が続々と値上げを図ってきておりますが、これは先ほど申し上げたように慎重に、長時間かけて検討していただきたい。決して早まることがないようにやっていただきたいと思うのです。  それから、二段階値上げ、あるいは一回の値上げを考えておるのか、これはどうなんですか。
  43. 増田実

    ○増田政府委員 現在、四社につきましてはこれは厳しく査定をいたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この査定作業がまだ終わっておりません。それで、今後の料金につきまして工段階ということの説もいろいろ出ておりますが、私どもは、申請しております原価内容が適正であるかどうかということの厳しい査定中でございますので、今後これを二段階方式でやるとか一段階方式でやるということを頭に入れながら査定をするのは、むしろ不適当だと考えております。そういう意味で、厳正な査定が終わりました後、またこのやり方について考えていきたいと思っております。そういう意味で、現在の作業としては一段階方式の作業を行っておる、こういうことでございます。
  44. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほど申し上げましたように、この電力、ガス等につきましては、ひとつ厳しいそういう査定をやっていただきたい。特に申し上げておきます。  それからまた、鋼材の値上げ問題、これも私は毎委員会で申し上げておりますが、前回は新日鉄が主導でやってきた。そのときには、同調値上げということで公正取引委員会が非常に目を光らせた。そういうこともあったのかどうか知りませんが、今度は新日鉄が後ろについてくる、こういうふうなことで、しかも大幅な三年続きの値上げをまたしようとしておるわけですよ。一つ一つの意見を聞いていけば、皆それぞれの窮状を言うでしょう。だけれども、輸出も最近は伸びつつありますし、稼働率だって上がってくるわけですよ。原価だってそれによって下がってくるわけです。状況は変わってきておるわけですね。景気だってどうにか底からはい上がろうとしてきているわけでしょう。そういう中で、何もかもそういう業界の言うことを通産省が聞いて認めていくということになってきたら、一体どうなりますか。  この鋼材の三年連続の引き上げにつきまして、また、私が申し上げた新日鉄が後ろについてくるというような巧妙なやり方に対して、政府としてはどのようにごらんになっておりますか。
  45. 河本敏夫

    河本国務大臣 鋼材の価格を決める場合に、私は、鋼材が非常に大きな輸出産業であるという観点に立ちました場合には国際価格を無視して決めるはずはない、こう思います。現在のところ、日本とヨーロッパ、アメリカ等の国際価格を比較いたしますと、日本の方が約二割前後安い水準にありますが、最近先方も若干の値上げをいたしましたので、今回日本にどの程度の最終の値上げがあるかわかりませんが、巷間伝えられておるような値上げが仮にあるといたしましても、なお私は二割前後の国際価格との差はある、低い水準にある、こういうふうに大体想定をしておるわけでございます。とはいえ、鋼材というものは基礎物資中の基礎物資でありますから、やはりその値上げは産業全体に非常に影響を及ぼすということでありますので、当然その値上げは慎重でなければならぬ、こう思います。国際価格だけでは決めるべきではない、こう思うわけでございます。  しかし、本日の新聞等の記事に出ております程度の価格、つまり一〇%を若干超えたところ、こういうところであれば、私は大体当事者間で話し合ってもらいたい、こういうふうに思うのです。非常に大きな値上げ幅であって、そしてそれが非常に悪い影響を物価全体、経済全体に及ぼすという場合には、当然政府も行政指導をしなければならないと思いますが、現時点では、政府は介入して行政指導をするという考え方はございません。メーカーと需要家との間でそこは十分話し合って決めてもらいたいというのが、政府の希望でございます。  なお、ことしは景気回復がどんどん進んでおりますので、鉄鋼の方はことしの初めは約七〇%程度の操業率でございまして、一般の産業の操業率よりも若干低いという水準でありましたが、私はことしの後半の見通しは、八五%までぐらい回復するのではないかと思います。したがいまして、当然鉄鋼の値上げも、現時点における操業率ではなくして、景気回復につれて操業率が上がるということを前提として計算すべきである、それを織り込んだ価格にしなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  46. 近江巳記夫

    ○近江委員 一〇%程度ならば政府としては介入しない——一〇%といいましてもこれは大変なものですよね。薄板で約一万円近くになるわけですね。そうなってきますと、電気製品であるとか自動車であるとか、いわゆる基礎物資の中の基礎物資ということをいまもおっしゃったわけですが、これはもう波及するところが非常に大きいわけですね。だから、ただユーザーとの自主的な交渉を見守っておるという姿勢だけではなくして、実際にそれだけの値上げをしなければならないのかというその辺の問題につきましては、やはり政府としては国民生活に与える影響度から考えて厳しいそういう指導をすべきだ、このように思うのです。現時点においてはやはり見守るという態度に変わりはないわけですか。
  47. 河本敏夫

    河本国務大臣 通産省の基本的な考え方は、物の値段は需給関係によって原則的には決まるわけでございますから、できるだけ行政指導しない、できるだけ介入しない、需給関係によって、あるいはまた業界間の話し合いによって決めてもらいたい、それがもう基本原則でございます。  よほどのことがございまして、その産業が壊滅に瀕するとかそういう場合には、先般石油などは石油業法という法律に基づいて標準価格を設定したわけでございますが、今回の鉄のごときも一二、三%前後というふうに言われておりますが、国際価格から見ますと相当低い水準にありますし、それから最近、鉄鉱石とか石炭などの値上がりも相当あります。それからさらに、鉄鋼会社のこの三月期の決算は実質上相当大幅な赤字である。表面は含み資産を処分しまして、いわゆる蓄積を処分しまして形式は整えておりますけれども、実質上は非常に大幅な赤字である。しかも国際価格水準よりも相当安い、こういうこと等を考慮しまして、業界同士、メーカーと需要家との間でひとつここは十分話し合って適正な価格を決めていただきたいというのが、いまの政府の考え方でございまして、これに行政介入するという考え方はございません。
  48. 近江巳記夫

    ○近江委員 業界の自主的な交渉に任せるということをおっしゃっているのですが、前回引き上げのときにも、公正取引委員会が指摘しておりますように、同調引き上げをやっているわけですね。そういう疑いがきわめて強いわけでしょう。結局こういう寡占体制、独占体制というものが非常に広がってきているわけです。ですから、形は業界同士のそういう自主折衝であるというようなことを言っておりますけれども、実際にカルテルがあるとかないとか、これは公正取引委員会が判断する問題で、われわれのところには何の資料もありませんから、あるとは私も言いませんけれども、しかし、前回のときには、先ほど申し上げたようにきわめて疑いが強い、公取がこういう判断をしておるわけでしょう。そういう背景の中で行われるわけですよ。  ですから、自主交渉なんて言ったって、これはやはりメーカーのそういう意思をほぼ統一した姿勢でくるわけです。鉄は産業の米ですよ。そういうような言うなれば寡占体制の構造の中で行われておるのですから、普通の中小企業の業界とは違うわけです。それだけに政府としてこれは介入すべきだ。こんな連続三年もどんどんどんどん引き上げてくる、そういうことについてもっと事情を詳しく、厳しく政府として聞きただし、指導すべきは指導していく、こうしていかなければいけないのじゃないか、いかがですか。
  49. 河本敏夫

    河本国務大臣 仰せのように、鉄はとにかく基礎物資中の基礎物資でございますから、影響するところは非常に大きいと思うのです。でありますから、私どももその値上げができるだけ小幅であるということを期待しておるわけでございますが、しかし、アメリカの鉄の値段が一体幾らしておるのか、ヨーロッパの鉄の値段が幾らしておるのかということを調べて見ますと、やはり日本よりも二割前後高い水準にある、こういう状態を見ますと、日本の鉄鋼メーカーも決してめちゃくちゃなことを言っているわけではない、私はこういうふうに思うのですね。しかも、決算内容などを見ましても、実質上相当大幅な赤字になっておる、こういうことを考えますと、非常に大きな悪影響が出る程度の値上げ幅でありますならば、これは当然大事な鉄のことでございますから、行政指導あるいは行政介入ということもあり得なければならぬと思いますけれども、しかし、伝えられるような程度でありましたならば、そこは業界同士の良識によって話し合いをつけてもらいたいというのが政府の希望でございます。  それからなお、昨年は姿なきカルテルというふうな批評等も一部にございましたが、私どもは実際そういうふうに考えておりません。そういう事実はない、こういうふうに考えておりますが、しかし、いやしくもこういう基幹産業で昨年のような誤解があってはよくない、かように思います。当然やはりその点は十分注意しなければならぬと思います。     〔安田委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 近江巳記夫

    ○近江委員 この問題は大臣も認識されておるように、これは基礎物資の中の基礎物資であるということをおっしゃっているわけですから、ひとつ十分な監視をしていただいて、できる限りそうした値上げを抑えるように今後見守り、またそうした厳しい指導等をやっていただくように、特に要望いたしておきます。これはいま言ったって大臣と意見並行になるかと思いますので、私から強く要望いたしておきます。  それから、この公団法の一部改正がもし成立したということになってきますと、OPECのそうした毎年の引き上げの動き、こういう背景からいきますと、いま非常に業界自体不安定なことは私、わかるわけですが、そのために、値上げがしやすいような協調体制といいますか、そういうものを非常にとろうとしておるわけですね。高位の価格安定といいますか、そういうことにつながらないかという一種の危惧があるわけであります。それが一つ。  もう一つは、値上げを抑えていくということについて積極的に政府は介入しろということを私は言っているわけでございますが、こうした再編の問題であるとかいうようなことにつきましては、やはり自主的なそういう精神というものを尊重しなければならぬじゃないか、その辺が私は、一方的な押しつけ、政府主導ということになってきますと、効果が本当に上がるのかどうか、そういう心配もあるわけです。この二点につきましてお伺いいたしたいと思います。
  51. 河本敏夫

    河本国務大臣 業界の体質の強化ということは、これはもう当然業界の自発的な意思によって決めていただくということがその産業の将来の発展のために一番よろしい、私はこういうふうに思います。政府は、具体的にああしろとかこうしろとか、そういう介入をする考え方はございません。  それから第二点といたしまして、私どももやはり一番気を使っておりますことは、自由主義経済の基本は公正にして自由なる競争というものが確保されなければならないと思うわけでございます。でありますから、体質の強化、業界の再編、こういうことが進みます場合にも、その原則というものはあくまでも確保される、そうして消費者や他の産業には迷惑をかけない、これはよほど十分気をつけなければならない点だと思います。
  52. 増田実

    ○増田政府委員 今回の改正によりましてお願いいたしております石油構造改善の問題でございますが、これによって、ただいま近江先生からの御質問は、再編成が行われ、集約化が行われると、そこに寡占価格が形成されるのではないかということが一番焦点であろうと思いますが、これにつきましては、今回の再編成というものは、現在石油産業が民族系、外資系というふうに分かれておりますが、その中の民族系が非常な過当競争、しかも経理状況が非常に悪くなって、ここに格差が生じている、このまま放置いたしますと、石油の安定供給につきましていろいろな構造上の問題が出てくる、これを改善したい、こういう趣旨に出ておるわけでございます。  ただ、御存じのごとく、現在の石油業界は半分は外資系でございます。そういうような状況でございますから、民族系の再編成が行われましても、これは外資系との間の競争というものは非常にまた強く残るわけでございまして、寡占体制ができるということは絶対あり得ない、こういうふうに私どもは思っております。  また、現在のまま民族系を放置いたしましたときに、いろいろなむしろ弊害が生じて、それがひいては需要者あるいは消費者に対しましての悪影響というものが出るということで、今回の構造改善によりまして、国民一般がまた全国民経済として安定的に石油の供給を受けられるというような体制を整えるということでございまして、寡占の弊害が出るということは全くないもの、こういうことでありますし、また、もしそういう状況が出るというような場合につきましては、これは当然政府がその問題につきまして解決に努めるべきもの、こういうふうに思っております。
  53. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは公団総裁もお見えになっておるわけですが、官民一体の探鉱としていわゆるアンデス石油が失敗をして企業整理をするということが伝えられておるわけですが、簡単にひとつ報告をいただきたいと思うのです。
  54. 倉八正

    ○倉八参考人 ペルーのジャングル地帯でやっておりましたアンデス石油は、四十六鉱区と四十七鉱区を持ちまして、五本掘りましていろいろ検討いたしました結果、これはもうここで打ち切りまして、そうして探鉱をやめた方がいいという結論に達したわけでございます。当時ペルーに出ましたときは、外国の各メジャーとかその他がずっとあそこに殺到いたしておりまして、非常に有望な地であるということから、わが日本の企業も出たわけでございますが、その後、探鉱をやり、それからいま御説明申し上げましたように試掘をやりまして、ある程度のガスなりあるいは石油の微候はあったわけでありますが、いろいろ検討いたしました結果、これは商業ベースには乗らないということで、今度撤退することになったような次第でございます。
  55. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう探鉱につきましては、確かに一〇〇%の成功ということはあり得ないと思います。しかし、あり得ないからということで甘えちゃいかぬと思うのです。やはり探鉱といえども、一本パイプを掘るにしても莫大な金がかかるわけですね。国民の血税が入っているわけですよ。私は何も結果だけを責めるわけじゃありませんが、その当時はここは非常に有望であるということで試掘をなさったわけでありますが、試掘にかかるにつきましてもできる限り綿密な、ほぼ確信を持ってできるだけの基礎調査といいますか、そういうことをひとつやっていただかないと、貴重な国民の血税を入れているわけですからね。別に私は強くは責めませんけれども、かかられるにつきましても十分石橋をたたいてやっていただきたいと思うのです。いかがですか。
  56. 倉八正

    ○倉八参考人 御指摘のとおりでございまして、開発がリスキーな事業であるので、当たらないのが当然だというような考えは決して持ってはいけませんし、一本でも多く成功するために、御指摘のように探査に入る前も十分なる調査をさらに一層続けていきたい、こういうことでございます。
  57. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは特に要望いたしておきます。  それから、昨年一年間の決算で、外資系のエッソとモービルが史上最高の黒字ということが伝えられておるわけですが、石油業界は非常に苦しいと言う。なぜそういうようなことになるのですか、その辺をひとつ長官からお伺いしたいと思うのです。
  58. 増田実

    ○増田政府委員 昨年の決算で、日本のエッソとそれからモービルと両社が約八十億の黒字を出しております。片方ではいわゆる民族系の会社が百億あるいは五十億という赤字を出しておる。ここに非常に明暗際立った形で出ております。これの原因につきましては、一番大きな原因は、現在の価格体系が非常に利益率の差が品種に出ておる、こういう点にあると思います。具体的に申しますと、ガソリンの販売の多いところは相当黒字が出る。ところが、C重油とかナフサを売っているところはむしろ逆ざやで赤字になる。ここにいまのような結果が出たものと思っております。外資系とそれから民族系の決算に非常に差が出ております最大の原因は、ガソリンの扱い量が相当差がある、つまり、外資系は非常にガソリンの扱い量が多い点にあると思います。  それからもう一つは、これは外資系と民族系の差の原因ですが、民族系の方が非常に設備が新しい。そのために償却の金額も大きいし、また利子の支払い金額が、最近の設備のために投資額が多くて、これがいま申し上げました償却とか利子に響いてきているということで、外資系と民族系と比較いたしますと、利払いの金額というものに相当差が出てきております。  それからもう一つは、一時言われておりました原油価格の差というのは、大体去年の初めに解消しております。従来、外資系と民族系との間に石油価格の差があるということが言われておりましたし、また、石油危機以後の半年くらいの間に、非常に差があるところは一バレル当たり一ドルぐらいの差があったわけでございますが、これが大体去年の初めぐらいに解消されまして、ほとんど同じになっております。ただ、原油価格の取引につきましては、いまのCIF価格以外に、ユーザンスとか、あるいは原油の購入資金に対しまして本社から融資を受けるとか、いろいろな形があります。そういう意味で、そういう金融的な面で外資系の方が民族系より有利である、これも収支に響いてくる、こういう原因になってくると思います。  そういうことで、片方では累積赤字を抱え、さらにその赤字がふえるという状況にあり、片方では相当大きな黒字を出す、こういう状況になっておりますが、ここに先ほど申し上げました石油産業というものがこれでいいのかどうか、構造改善が必要だ、ことに民族系がこのままでは立ち行かないという問題について何らか手を打たなければ石油の安定供給が確保されない、それが国民経済全般に非常に悪影響を及ぼすおそれがあるということで、今回、石油開発公団法の一部改正で構造改善のための支援資金の支出ができるようにお願いしている次第でございます。
  59. 近江巳記夫

    ○近江委員 その次にお伺いしたいと思いますのは、今後の石油需要と設備投資計画の問題でありますが、四月の下旬に政府が決定されました石油供給計画によりますと、昭和五十五年度の石油輸入量は約三億一千六百万キロリットルとなっているわけです。これは昨年の八月、総合エネルギー調査会が決定いたしました長期需給計画の同年度三億九千万キロリットルを大幅に下回っておるわけであります。こういう点からいきますと、非常にこの数値が違うわけでありますが、この長期需給計画との関係、あるいはこの見直しを行うことになるのか、その考え方についてお伺いしたいと思います。
  60. 増田実

    ○増田政府委員 ただいま先生から御質問のありましたのは、供給計画では五十五年度の原油輸入量が三億一千六百万キロリットルだ、これに対しまして昨年の総合エネルギー調査会の答申では三億九千万、非常に大きな差があるということから、総合エネルギー調査会の長期計画の見直しがあるのかどうか、こういうことと解しておりますが、これにつきましては、若干この教字につきまして、根拠と申しますか、対象といたしてとっております内容が違う点がございます。  結論から申し上げますと、供給計画にあります三億一千六百万キロリットルは、総合エネルギー調査会のベースに合わせますと三億七千万キロリットルということになりまして、差は約二千万キロリットルということでございます。  それで、これにつきましてなぜそういう計算の違いがあるかということを簡単に申し上げますと、供給計画の三億一千六百万キロリットルの中には、いわゆる原油生だきで使用しておりますものが入っておりません。それからいわゆる輸入石油製品、それから輸入LPGも、総合エネルギー調査会の答申の数字には入っておりますが、いまの供給計画にはこれが入っておりません。そういうことで、ただいま申し上げました生だきの数字、それから製品輸入の数字及びLPGの数字、これを全部足しますと三億七千万キロリットルということで、若干差は残っておりますが、そう大幅な違いではございません。それで、総合エネルギー調査会の答申の方は若干余裕のある長期計画でございますので、これくらいの誤差でしたら、私の方はこれを調整して直す必要はないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  61. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後の需要量の伸びにつきましては、供給計画を見てまいりますと年率四%強ということになっておるわけですが、現在の精製会社の稼働率につきましてはどうであるか、また今後どの程度の設備の新増設が必要になるのか、その見通しにつきましてお伺いしたいと思います。
  62. 増田実

    ○増田政府委員 供給計画は今後四%前後の伸びを考えておりますが、現在の設備能力で五百九十四万バレル一日当たりという設備になっております。この設備と供給計画を各年度の数字に当てはめて稼働率を出しますと、五十一年度、つまり本年度は、一応七二%の稼働率になっております。それから、今後四%ないし五%需要がふえております。これに対しまして、一応現在の設備のまま動かないということで計算いたしますと、五十二年度の稼働率が七六%、五十三年度が八一%、五十四年度が八六%、五十五年度が九一%でございます。それで、大体私どもの方で適正稼働率と考えておりますのは、従来八一%で計算いたしております。それから申しますと、現有設備一つもふえないで、大体昭和五十三年度になりますと適正操業率になる、こういうことでございます。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 この適正稼働率八一%というようなことになってまいりますと、今後昭和五十四年以降等についてはやはり新増設ということが考えられるのじゃないかと思うのですが、そういう場合、構造改善の進め方との関係におきまして、外資系あるいは民族系の割り振りというものについてどういうようにお考えになっておられるか、そのことについてお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、安田委員長代理着席〕
  64. 増田実

    ○増田政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、現有設備は五百九十四万バレル一日当たりでございまして、昭和五十三年度に適正操業率になるということでございますが、すでに石油審議会の議を経て一応認める予定になっておりまして地点も確定しております分が、約百五十万バレル一日当たりの設備がすでに石油審議会の議を経ているわけでございます。そういう意味から言いますと、これらの設備が動くということになれば大体昭和五十六年から五十七年度に八一%ということになります。ただ、現在のような状況のために、すでに石油審議会を通過いたしましたこの増加設備については、建設を一時とめておるという状況でございます。そうなりますと、先ほど先生から御質問のありました新しい設備を許可するに当たって外資系と民族系というものの振り当てをするということは、すでに百五十万バレル以上の新設設備につきましてそれぞれ割り当てになっておりますので、そういう調整ということはもうできないような状況になっております。  なお、つけ加えて申し上げますと、現在保留中なり石油審議会を通っています新設設備は、大体五〇、五〇で民族系と外資系に振り当てになっております。
  65. 近江巳記夫

    ○近江委員 こうした設備の新増設に当たりましては、この前の備蓄法案のときにも質問いたしましたけれども、やはり環境の保全であるとか安全性の問題であるとか、これはいつも言われておるわけがあります。そういう点におきまして十分配慮をして、ただ計画を遂行していけばいいのだ——常に政府のよくない態度は、計画を立てるとそれを開発推進していく。それで、そうした問題が提起されたそのときには、今後気をつけますと答弁するけれども、依然として頭のほとんどは、いわゆる開発推進をしていく、計画に従って遂行していく、そちらの方にどうしても頭が動く。だから、いま申し上げたような環境保全、安全対策ということをさらに今後とも強化をする必要があろうかと思うのです。  ですから、こういう計画があるわけですから、環境の面あるいは安全確保の面についてさらにこういう強化をしていくという計画をお立てにならなければいかぬと思うのです。その辺が明確にできていないのですよ。法案はこの間ちょっとできましたけれども、今後さらにそれを強化していただきたいと思うのです。いかがですが。
  66. 増田実

    ○増田政府委員 石油産業の新しい設備の建設及び新しい備蓄施設の建設につきましては、ただいま先生から御指摘になりましたいわゆる防災、保安の問題につきまして万全を期さなければならないものと思っております。また、これにつきましては、新しくコンビナート防災法による規制も行われるようになりましたし、また消防法に基づく各種の保安、防災基準の強化というものも行われております。こういうことで新しい基準というものを守りながら、その防災及び保安につきましては十分な体制を整えて今後の建設を進めていきたい、こういうふうに思っております。
  67. 近江巳記夫

    ○近江委員 民族系の原油の入手ルートを見ますと、メジャーの原油というものが七〇%ぐらいになっているわけですね。これにつきましては今後構造改善を進められるとは思うのでありますが、これは一つの大きな問題点ではないか、このように思うわけです。先ほどは入手価格等につきましては外資系とほぼ同じようになってきたということをおっしゃっておられるわけでございますが、やはり若干の格差は依然としてあるように私は思うわけでございます。今後世界の石油供給構造というものはOPECの直接販売原油が増加していくのじゃないか、このようにも考えられるわけでございます。そういう点、今後民族系は積極的に入手していく必要があるのじゃないか、また、供給源を多角化していく観点から、中国原油の輸入ということも重点的に考えていく必要があるのではないか、このように思うわけです。  最近、いろいろ中国国内の問題等があって、それも絡んでおるのではないかと思いますけれども、政府が予想しておったよりも減少してきておるわけでございます。この中国原油の輸入についてはどういう考えに立っておられるかという問題、さらに、わが国の統括会社と組んで自主開発原油を全面的に購入していく等々の問題があるのではないかと思うわけです。いま何点かの問題を私は提起したわけでございますが、その点について考えをお聞きしたいと思います。
  68. 増田実

    ○増田政府委員 ただいま先生からお話のございましたように、現在わが国で入れております原油の大体七〇%が直接、間接メジャー系の石油でございます。それで、現在民族系の企業の方のメジャー依存度は若干従来より減りまして、六三%ぐらいということになっております。それから外資系の石油企業が八二%ということになっておりまして、平均七〇%という状況になっております。  ただいま先生からおっしゃられましたように、今後石油の産出国からの直接の販売、いわゆるDD取引というものがふえていく状況にあります。また、日本が購入する石油の地域の分散化ということで、今後中国の石油をふやすとか、その他の方策を推進しなければならない状況にあるわけでございますが、やはりこれを購入いたしますのには、民族系の企業がDDあるいは中国石油の引き取りというものを大いに推進することを期待しているわけでございます。  ただ、現在、民族系の企業が非常に弱い、また原油購入につきましても一括して相当大量輸入できるという有利な地位に立ち得ないというために、このDD原油の引き取りあるいは中国原油の引き取りにつきましても、購入についていろいろな問題点がございます。そういう意味で、先ほどからお願いいたしております民族系の集約化、統合その他ができれば、これはそれだけ原油購入力というものが強まってくるわけでございますので、先生から御指摘のありました産油国との直接取引、あるいは中国からの引き取りというものも推進される、こういうふうに考えております。     〔安田委員長代理退席、委員長着席〕  それから、中国原油の最近の状況でございますが、本年の契約といたしましては六百十万トンになっております。これについて、今後オプションで若干ふやせるということになっております。去年の実績は八百十万トンで、非常に残念なことですが、契約面では若干減っておるという形になっております。これにつきましては、日本の経済の回復に伴いまして、六百十万トンの契約はもう少しふやすということは可能ではないかと思っております。ただ、現在、一−三月の引き取り数量が若干減っております。こういう状況も出ておりますが、長期的に見れば、わが国の石油の輸入源といたしまして、やはり今後中国石油というものをふやしていくという政策を講じていきたいというふうに思っています。  また、自主開発原油につきましても、この引き取りの問題がいろいろ出てきております。一部せっかく日本で自主開発をしたにもかかわらず、その原油につきまして、価格の問題品質の問題、必ずしも国内における引き取りが十分でない。その他、一部をスワップにするとか、あるいは外国に輸出するというような状況も出ておりますが、せっかく日本の手で掘った石油でありますから、これにつきましては、できるだけ日本で引き取るような体制を整えたい、こういうふうに考えております。  この点につきましても、繰り返しになりますが、やはり民族系の企業が非常に強くなって、そして、みずから石油をどこからでも購入できるという、つまり選択の自由をを持っておるのは民族系の企業でございますから、これが力をつけて、そうして原油購入について新しい政策にも沿い得るような行動をするということが必要だと思います。そういう意味で今回の構造改善の法律というものをお願いしている次第でございます。
  69. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間が来ましたから終わりますが、いま私が何点かの問題を最後に提起したわけでございまして、長官から御答弁があったわけですが、それ以外に大臣としてこの石油の総合政策についてお考えがありましたら、この場におきましてお述べいただきたい。最後の締めくくりとして御答弁いただきたいと思います。
  70. 河本敏夫

    河本国務大臣 約一時間余りにわたる近江委員との質疑応答を拝聴いたしました。参考にになる点がたくさんございましたので、今後の行政上、参考にさせていただきたいと思います。
  71. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、終わります。
  72. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。  午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十四分休憩      ————◇—————     午後二時五十八分開議
  73. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出石油開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は、先ほど終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の樹立を求めます。     〔賛成者起立〕
  74. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  75. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 本法律案に対して、橋口隆君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。上坂昇君。
  76. 上坂昇

    ○上坂委員 ただいま提案いたしました附帯決議案について、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     石油開発公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、本法施行にあたり、石油の安定供給の確保の重要性にかんがみ、石油開発公団が石油政策全般の中核推進機関として十分その機能を果せるようさらに検討を進めるとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、石油産業の構造改善については、石油製品の安定供給及び価格の可及的低廉化に資するよう計画的に推進するとともに、石油企業の自主性を十分尊重すること。  二、油槽所の共同化、交錯輸送の解消等の推進を図り、石油製品コストの低減に努めるよう指導するとともに、本法の対象とならない構造改善事業に対する助成措置の拡充を図ること。 以上であります。  附帯決議案の内容の各項目の詳細につきましては、当委員会での審査の過程及び案文によりまして十分御理解いただけると存じますので、省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  77. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  78. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。河本通商産業大臣
  79. 河本敏夫

    河本国務大臣 ただいま議決をいただきました法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、万全を期する所存でございます。     —————————————
  80. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 お諮りいたしまます。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  82. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 次に、請願審査を行います。  本日の請願日程を一括して議題といたします。  本会期中付託になりました請願は百七十件であります。  その取り扱いにつきましては、先刻理事会において検討いたしましたので、この際、紹介議員の説明を省略し、直ちにその採否を決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日の請願日程中、第一、第二、第四〇、第八二、第九九、第一〇八、第一一〇、第一一二ないし第一一五、第一二四、第一二五、第一二八、第一三一、第一三七及び第一四七ないし第一六七の各請願は、趣旨妥当と認められますので、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  86. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 なお、今国会におきまして、本委員会に参考送付されております陳情書は、十七件であります。  次回は、来る二十四日月曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四分散会