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1976-06-11 第77回国会 衆議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年六月十一日(金曜日)     午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長 村山 達雄君    理事 中尾  宏君 理事 森下 元晴君    理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       粕谷  茂君   橋本登美三郎君       松永  光君    三原 朝雄君       高田 富之君    塚田 庄平君       坂井 弘一君    塚本 三郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  竹村  晟君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省船員局長 横田不二夫君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君         海上保安庁次長 間   孝君         会計検査院事務         総局第三局長  小沼 敬八君         会計検査院事務         総局第五局長  柴崎 敏郎君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   原島 龍一君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 六月十一日  辞任         補欠選任   赤澤 正道君     三原 朝雄君   菅野和太郎君     松永  光君   木村 武雄君     粕谷  茂君 同日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     木村 武雄君   松永  光君     菅野和太郎君   三原 朝雄君     赤澤 正道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書  昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)      ————◇—————
  2. 村山達雄

    村山委員長 これより会議を開きます。  昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本鉄道建設公団理事原島龍一君の御出席を願い、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村山達雄

    村山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見の聴取は委員の質疑により行いたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 村山達雄

    村山委員長 次に、運輸大臣から概要説明を求めます。木村運輸大臣
  5. 木村睦男

    木村国務大臣 昭和四十八年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その大要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  歳出予算現額六千五百三十一億六千二百八万円余に対し、支出済歳出額は六千二百八億八千五百二十二万円余でありまして、差し引き三百二十二億七千六百八十五万円余のうち、翌年度へ繰り越した額が二百九十八億三千八百二十二万円余、不用となった額が二十四億三千八百六十二万円余となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、第一に、木船再保険特別会計でありますが、収納済歳入額は三億九千六百七十二万円余であり、支出済歳出額は一億五千三百四十六万円余でありまして、差し引き二億四千三百二十六万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は六千五十四億六千七百六十三万円余であり、支出済歳出額は一千五百六十七億七千三百六十八万円余でありまして、差し引き四千四百八十六億九千三百九十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は一千七百五十五億三千三百六十七万円余であり、支出済歳出額は一千五百六十七億八千六百十二万円余でありまして、差し引き百八十七億四千七百五十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は百一億二万円余であり、支出済歳出額は八十二億四千五百四十四万円余でありまして、差し引き十八億五千四百五十七万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第五に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は六百八十四億一千三百十六万円余であり、支出済歳出額は五百八億二千五百二十五万円余でありまして、差し引き百七十五億八千七百九十一万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以上が、昭和四十八年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算大要でありまして、このうち重点施策につきましては、お手元に配付いたしました資料をごらんいただきたいと存じます。  最後に、本決算につきまして、会計検査院から是正改善処置要求を受けた事項がありましたことは、まことに遺憾に存じております。  本件につきましては、すでにその是正改善処置を講じた次第であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  次に、昭和四十八年度日本国有鉄道決算書を国会に提出いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和四十八年度における日本国有鉄道運輸成績は、対前年度比、旅客輸送人員は二%増、旅客輸送人キロは五%増、貨物輸送トン数は四%減、貨物輸送トンキロは二%減となり、収入においては、旅客収入において対前年度八%増であったのに反し、貨物収入においては、対前年度一%減少いたしました。  以下、収入支出内容勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定におきましては、収入済額は一兆六千三百五十七億四十八万円余、支出済額は一兆六千三百二十五億六千百七十七万円余でありまして、収入支出を超過すること三十一億三千八百七十一万円余でありますが、これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では昭和四十八年度損失は四千五百四十三億九千四百八十八万円余となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入予算額一兆六千二百十億九千四百六十四万円に対しまして百四十六億五百八十四万円余の増収となっております。これは運輸収入五十八億一千七百八十八万円余の減少に対し、雑収入二百四億二千三百七十四万円余の増加によるものであります。  他方支出予算現額一兆六千九百六十八億三千二百八十七万円余に対しまして、支出済額は六百四十二億七千百九万円余下回っておりますが、そのうち六百三十八億五千七百四十二万円余は翌年度への繰越額であり、残額四億一千三百六十六万円余は不用額となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済額は一兆二千百二十億六千九百八十一万円余、支出済額は一兆二千百億七百六十万円余であります。  この決算額予算額と比較いたしますと、収入予算額一兆二千八百三十億円に対しまして七百九億三千十八万円余の減収となっております。  これは資産充当四百七十億八千四百二十二万円余の増加に対し、鉄道債券及び借入金で一千百八十億一千四百四十万円余の減少によるものであります。  他方支出予算現額一兆三千七百九十九億二千四百十九万円余に対しまして、支出済額は一千六百九十九億一千六百五十九万円余下回っておりますが、そのうち一千六百八十八億七千九百六十三万円余は翌年度への繰越額であり、残額十億三千六百九十六万円余は不用額となっております。  次に、工事勘定におきましては、収入済額は六千五百四十八億九千九百二十三万円余、支出済額は七千八百七十七億五千九百六十八万円余であります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入予算額七千二百五十九億七千九百八万円余に対しまして、七百十億七千九百八十五万円余の減収となっております。これは資本勘定からの受け入れが少なかったことによるものであります。  他方支出予算現額九千三十三億一千二百九十六万円余に対しまして、支出済額は一千百五十五億五千三百二十七万円余下回っておりますが、そのうち一千六十億一千四百三十六万円余は翌年度への繰越額であり、残額九十五億三千八百九十一万円余は不用額となっております。  この工事勘定内容に関連して主要施策の実績について申し上げますと、輸送力の増強、業務運営能率化及び安全の確保等を図るため、昭和四十八年度におきましては、新幹線四千五百三十一億八千六百八十二万円余、大都市圏輸送六百三十三億七千七十七万円余、幹線輸送一千五百七十一億七千三百十九万円余、安全・公害対策合理化等一千百四十億二千八百八十九万円余、合計七千八百七十七億五千九百六十八万円余を投資いたしました。  最後に、昭和四十八年度予算の執行につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに予算効率的運用に一段の努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。  以上をもちまして、昭和四十八年度日本国有鉄道決算に関する御説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 村山達雄

  7. 小沼敬八

    小沼会計検査院説明員 昭和四十八年度運輸省決算につきまして、検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、防波堤等築造工事におけるケーソン曳航、据えつけ工事予定価格積算について是正改善処置要求したもの一件でございます。これにつきまして説明いたします。  運輸省港湾建設局が四十七、四十八の両年度に施行いたしました防波堤等築造工事におけるケーソン曳航、据えつけ工事二十二工事予定価格内訳について検査いたしましたところ、運輸省が定めております「積算基準」が、最近の施工形態の変化に適応して整備されていないため、作業船運転経費等積算が適切を欠いていると認められるものが見受けられました。  したがいまして、今後ケーソン曳航、据えつけ工事施工実態を十分調査検討して「積算基準」の内容を整備し、予定価格積算の適正を期する要があると認められたものであります。  なお、以上のほか、昭和四十七年度決算検査報告に掲記いたしましたように、しゅんせつ工事予定価格積算について是正改善処置要求いたしましたが、これに対する運輸省処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  8. 村山達雄

  9. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 昭和四十八年度日本国有鉄道決算につきまして、検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が二件、是正改善処置要求したものが五件、本院の注意により、当局において処置を講じたものが二件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  一四七号は、東京建築工事局が、浜松町周波数変換変電所設置予定個所の周囲に土どめ用地下連続壁をつくる工事を施行するに当たりまして、請負業者から提出させた見積もりをほぼ採用して予定価格積算しておりますが、その見積金額の中には、工事が中断されて機械器具類が解体撤去されていた期間についても、その損料や使用料が見込まれていたり、コンクリートの数量や単価が誤っていたりなどしたものがあったため予定価格が過大になり、結局、本件工事契約額割り高になったと認められるものでございます。  一四八号は、東京第三工事局が、武蔵野操車場横断跨線橋を新設する工事を施行するに当たりまして、これに取りつけているガードレールのビームに設計で定められているものより薄いものが使用されておりまして、このため、ガードレール強度が低くなっていて、工事目的を達していないと認められるものでございます。  次に、是正改善処置要求したものについて御説明いたします。  その一は、変電所遮断器等操作用に必要な圧縮空気を送るための空気配管工事積算についてであります。  東京第一ほか二電気工事局では、管を連結する継ぎ手は従来からのリミング継ぎ手による歩掛かりにより配管工費積算していますが、日本国有鉄道においては、新幹線関係変電所等は四十六年二月以降、在来線関係変電所等は四十八年四月以降施行する工事について、リミング継ぎ手による場合より連結作業が容易で作業能率がよい食い込み継ぎ手によることとして施行しているところであります。このような実情にあるのに、各局では従来のリミング継ぎ手を対象とした労務工数によって積算しているものであって、各局積算割り高になったと認められます。  したがって、積算要領実情に適合したものに改定する必要があると認められるものでございます。  その二は、車両工場等地方資材部との間の資材準備要求等にかかわるデータ授受に関するものであります。  国鉄の各地方資材部では、管内に所在する車両工場から送付された資材準備要求書等に関して、そのデータ鉄道管理局電子計算組織磁気テープに記録した上、所要帳表等を作成する際必要な紙テープ等を作成するせん孔作業請負により実施しております。  しかし、車両工場には、すでに電子計算機が設置されており、資材準備要求を行う場合には所要データ紙テープにせん孔し、磁気テープに記録した上、電子計算機で処理して上記の準備要求書等を作成しているものでありますから、この車両工場で使用している磁気テープ準備要求書等にかえて地方資材部へ送付することとしても、格別の支障はないものと認められ、この方法によれば、地方資材部磁気テープに記録するための紙テープせん孔作業は請け負わせる必要はないものと認められます。  したがいまして、車両工場等地方資材部との間の資材準備要求等データ授受方式を改める必要があるものと認められるものでございます。  その三は、工場製作品材料として多量に使用する工事施工に関するものであります。  新幹線総局ほか八カ所が施工している隧道、建物橋梁等各種工事には、コンクリート二次製品、柱、はりなどの多量の工場製品材料として使用しているものがありますが、これら工場製作品を使用して施工した工事現場について見ますと、たとえば、トンネル工事においてシールド工法による巻き立てに使用するコンクリートセグメントなどの鉄筋が表面に露出しているなど、配筋所定の位置からずれているものが使用されていたり、建物工事等で、溶接加工が粗雑な柱材はり材等が使用されていたり、橋梁高欄工事等で、設計より薄い素材の石綿合板が使用されていたりするなど、規格、寸法が設計仕様と異なっている事態が多数見受けられまして、このような工場製作品を使用しているため、それが原因となって構造物強度耐久性が著しく低下していて工事目的を達していないと認められます。  したがいまして、工場製作品について現場で取りつける以前にその良否を確認するよう、監督検査実施基準を整備するなどの処置を講ずる必要があるものと認められるものでございます。  その四は、潜函工事における掘削沈下費積算についてであります。  盛岡、仙台新幹線工事局では、橋梁橋脚等潜函工法によって実施する場合の積算について、規模の大きい潜函の場合には通常潜函で一基につき一カ所設置する堅管及び気閘の数を倍にして、一基につき二カ所設置して作業することにしています。このように大規模潜函掘削、沈下させる場合の工事費積算に当たって潜函の外で作業するロックテンダーやクレーン運転工等通常潜函の場合の二倍要することにしていますが、この場合でも、掘削した土砂等潜函の外に運び出すクレーンは一台であり、実際の作業状況を見ても、通常潜函の場合と差のない人員作業をしているので、各局積算実態に適合しない割り高なものとなっていると認められるものでございます。  したがって、積算要領を整備して予定価格積算の適正を期する要があると認められるものでございます。  その五は、路盤鉄筋コンクリート工事における突起コンクリート型枠費積算についてであります。  大阪新幹線広島新幹線、下関各工事局では近年、新幹線軌道敷設に採用されている鉄筋コンクリートスラブを据えつける基盤として路盤コンクリートを打設しています。そして路盤上には敷設するスラブがずれないように、路盤コンクリート中心線上に五メートル間隔で突起コンクリート施工しています。この路盤コンクリート積算に当たっては、路盤コンクリート締め固め仕上げにはフィニッシャ及びコンパクタを使って施工する機械施工によることとしていますが、突起コンクリート部分が支障するとして、この部分に特殊な型枠を使って別途にコンクリートを打設することとして工事費積算しています。  しかし、これらの機械は、仕上げ装置締め固め装置をつり上げて移動することができるので、突起コンクリート部分も同時に施工することが可能であり、型枠も、簡易なものを使用すれば足りるものであります。そして、施工実情もそのようになっておりますので、各局積算実態に適合しない割り高なものとなっていると認められます。  したがって、積算要領を整備して予定価格積算の適正を期する要があると認められるものでございます。  次に、検査の結果、本院の注意により、当局において処置を講じたものについて説明いたします。  その一は、ケーブル防護管配管工費積算についてであります。  東京第二電気工事局では、ケーブル敷設工事のうち、ケーブル防護管配管に要する費用の積算に当たって、建物の内部に防護管を敷設する場合のものとして定められている歩掛かりをそのまま適用していますが、本件工事で敷設する防護管は線路の側道に設置されているパイプ高欄等に取りつけるもので、一般防護管配管に比べると、管を切断したり曲げたりするなどの必要がほとんどなく、労務工数もかなり少なくて済むものであります。したがって施工実情に合った労務工数を基礎として積算する必要があると考えて注意したところ、このような場合に適用する積算基準を新たに定めたものでございます。  その二は、特種広告料金の徴収に関するものであります。  国鉄では、広告代理業者駅施設等特種広告掲出を承認して所定料金を徴収しています。特種広告の主なものといたしまして特種額面建植板がございますが、東京北ほか二鉄道管理局におきまして駅舎等の外壁や高架施設橋脚に取りつけてあって特種額面として承認し、その料金を徴収すべきであるのに廉価な建植板料金を徴収していたり、また、承認した特種広告面積に比べ実際の掲出面積が大きいのに、これを見過ごして実際より小さい面積料金を徴収していたりしているものが見受けられましたので、注意しましたところ、国鉄では四十九年十月に、各鉄道管理局に対し特種額面及び建植板の認定の基準並びに広告事務管理体制の強化を指示し、また、各鉄道管理局では順次広告の種類、面積の誤りについて措置するとともに、掲出広告調査、確認を十分するよう管理手続を整備する処置を講じたものであります。  なお、以上のほか昭和四十七年度決算検査報告に掲記いたしましたように、四十七年度検査の進行に伴い、軌道保守用機械の活用及び今後の導入について、及び竣工図及び保守台帳の作成について、それぞれ是正改善処置要求しましたが、これに対する日本国有鉄道処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  10. 村山達雄

  11. 高木文雄

    高木説明員 昭和四十八年度日本国有鉄道決算概要を申し上げます。  昭和四十八年度日本国有鉄道決算につきまして、ただいま、運輸大臣から予算区分に基づく収入支出決算状況の御説明がございましたが、日本国有鉄道法第四十条に基づく財務諸表により、経営成績概要を補足して御説明申し上げます。  昭和四十八年度におきましては、旅客輸送量は依然として強い需要に支えられて、前年度より増加いたしましたが、貨物輸送量は前年度より減少いたしました。  これを収入面で見ますと、営業収入は、旅客収入九千九百二十二億二千八百二十六万円、貨物収入二千三百八十億九千七百六十六万円、雑収入五百四十九億二千九百三十四万円、助成金九百三十八億百五十三万円、合計一兆三千七百九十億五千六百七十九万円となっております。  なお、助成金は、工事費補助金財政再建債利子補給金及び特別利子補給金であります。  この営業収入を前年度と比較いたしますと、旅客収入七百五億九千六百四十六万円、率にいたしまして八%の増加貨物収入十四億三千九十六万円、率にいたしまして一%の減少雑収入百十七億九百九十八万円、率にいたしまして二七%の増加助成金五百三十九億二千四百三十九万円、率にいたしまして一三五%の増加合計千三百四十七億九千九百八十七万円、率にいたしまして一一%の増加となっております。  輸送量につきましては、旅客輸送量二千百十八億千五万人キロ貨物輸送量五百八十二億五千三百七万トンキロと、それぞれ前年度に比べますと旅客は五%の増加貨物は二%の減少となっております。  営業経費は、極力経費の節約に努めてまいりましたが、仲裁裁定等による人件費等増加利子等資本関係経費増加がありました結果、営業経費合計は一兆八千四百七億八百十五万円を計上するに至りました。  この内訳は、人件費八千六百十七億七千百三十一万円、動力費五百六十億二千四百六十五万円、修繕費三千五十一億五千八百七十一万円、業務費千四百五十一億千六百七十三万円、租税及び公課百五十六億九千八百四十万円、営業費計一兆三千八百三十七億六千九百八十万円、利子及び債務取扱諸費二千二百七十七億六千六十七万円、減価償却費千八百九十五億三千九百八十二万円、固定資産除却費百六十億百四万円、繰延資産償却費二百三十六億三千六百八十二万円、資本経費計四千五百六十九億三千八百三十五万円、合計一兆八千四百七億八百十五万円であります。  以上の結果、営業成績は、営業損失四千六百十六億五千百三十六万円を計上することとなり、営業外損益を含めて純損失は四千五百四十三億九千四百八十八万円となりました。  このため、前年度から繰り越された欠損金一兆千四百十一億二千六百四十万円と合わせて繰越欠損金一兆五千九百五十五億二千百二十八万円を計上することとなりました。  次に、設備投資概要を御説明申し上げます。  昭和四十八年度は、山陽新幹線、東北新幹線大都市圏輸送対策主要幹線の電化及び複線化安全対策及び公害対策合理化等の諸工事を実施いたしました結果、設備投資額は七千八百七十七億五千九百六十九万円となりました。  なお、昭和四十八年度設備投資額事項内訳は、新幹線四千五百三十一億八千六百八十二万円、大都市圏輸送六百三十三億七千七十八万円、幹線輸送千五百七十一億七千三百十九万円、安全・公害対策合理化等千百四十億二千八百九十万円、合計七千八百七十七億五千九百六十九万円であります。  この設備資金の調達は、そのほとんどを外部資金によりました。  新たに長期負債の増加となる外部資金調達額は、資金運用部等からの借入金六千四十八億円、鉄道債券発行額三千六百億五百八十万円、合計九千六百四十八億五百八十万円であります。一方、長期負債の償還等に伴う減少額は三千百六十億二千五百七十四万円でありまして、この結果、長期負債は前年度に比べて六千四百八十七億八千六万円増加し、昭和四十八年度末において四兆三千六百七十九億千九百九十八万円となりました。  また、資本金は一般会計より千九百五十億円を受け入れ、昭和四十八年度末において二千七百三十億千六百八十二万円となりました。  なお、負債・資本総額のうちに占める負債の比率は、前年度の九五%から一〇〇%となりました。  最後に、昭和四十八年度予算執行につきましては、会計検査院から不当事項二件と是正改善処置要求された事項五件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでございまして、今後さらに予算効率的運用に一段の努力をいたす所存でございます。
  12. 村山達雄

    村山委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  13. 村山達雄

    村山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
  14. 森下元晴

    ○森下委員 初めに、航空行政についてお尋ねしたいと思います。  航空需要につきましては、年ごとに増大しております。そこで、航空事業の主眼は何と申しましても安全第一でございますので、空港の整備とか、また各航空会社の経営の内容等については常に関心を払わなくてはなりません。  私は、昭和四十六年と七年の決算で、この点についてお尋ねしたことがございますけれども、その中で、航空界の再編成の問題、日本国内航空と日本航空が合併をするという指導を行っておったのが、実は途中で変更されまして、東亜航空と国内航空が合併して現在の東亜国内航空になってしまった、こういういきさつがございます。そのときに、日本航空は御承知のように四五%政府出資でございますので、特に会計検査等でもかなりチェックされておるようでございますけれども、約二十三億の協力金と申しますか、合併をするための結納金のような形で出されておった。ボーイング727三機を日本国内航空が日本航空にリースして、そのリース料がいわゆる合併を前提とした協力金を含めたリース料になっておった。それが合併が御破算になったものですから、日本航空の方から国内航空に対して戻してくださいというような話が実はございまして、私も決算委員会で質問したわけなんです。  その後、その約二十三億の債権、債務が解消されたかどうか、この点につきまして運輸省並びに会計検査院の方にお尋ねしたいと思います。
  15. 木村睦男

    木村国務大臣 いまお話しの問題は、その後いろいろ経緯がございまして、最近になりまして、ようやく合意ができたようでございますので、その詳細は事務当局から御説明申し上げます。
  16. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 この問題につきましては、私どもの方でもかねがね関心を持っておるところでございます。すでに、大分前でございますが、四十三年に、これについての質問書も発しておるわけでございますけれども、その後両当事者間でいろいろと折衝を重ね、先ほどお挙げになりました約二十三億についても、ほぼ固まったというぐあいに聞いておりますが、これは最終的には運輸省の承認と申しますか、これを得るというようなことになっておるということでございますので、その結果を待って検討いたしたい、このように考えておるわけでございます。
  17. 森下元晴

    ○森下委員 航空業界におきましては、日本航空、全日空、東亜国内航空の三社が大体引き受けておるわけでございますけれども、各会社によってかなり安全度に差があるように、われわれは聞いております。そういうことがないように、三社ともりっぱに健全に育っていくように指導をお願いしたいと思います。  それから安全のためには、空港の整備を早くやってもらわなければいけない。この点は五カ年計画等を通じまして、かなり進んでおるようでございますけれども、ジェット化の問題等にしても、地元の関係等反対がございまして、なかなか思うように進まないという点もございます。  そこで、一番問題になりますのは成田空港の問題なんです。供用開始が四十六年、それがずいぶん延びまして、いまなおはっきりしためどが立たないということでございますけれども、成田空港にいままで入れました経費概要で結構でございます、それから供用開始の見通し、これを簡明に御答弁を願いたいと思います。
  18. 松本操

    ○松本説明員 お答えいたします。  成田空港、新東京国際空港につきましては、すでに四十一年度来約二千四百億円の投資をいたしまして、四千メートルの滑走路一本、年間五百四十万人程度の旅客を扱うに足る旅客ターミナル施設、こういうものの建設を完了しておるわけでございます。ただ、御案内のように、航空機用燃料の輸送の問題、それから滑走路の端の方に——空港の外側でございますが、ここに建っております通称妨害鉄塔と呼ばれるもの、こういうものの除去ということが実は問題になるわけでございます。  航空燃料の輸送につきましては、本格的な輸送方式といたしましては千葉港から空港までの間、パイプラインでこれをつなぐという計画でございます。この計画の推進については鋭意目下やっておる段階でございますけれども、諸般の事情もございまして、その完成にはまだある程度の時間を要するという状態でございます。したがいまして、この間の暫定的な燃料輸送の処置といたしまして、当面茨城県の鹿島地区及び京葉地区、ここから成田までの間を鉄道により輸送を行うということによって所要の燃料を成田空港に補給する、こういうことを計画しているわけでございます。これにつきましては、ごく最近茨城県の方面の協力を得まして、近い時点においてこの問題については解決がつき、準備に入れるものというふうに期待をいたしております。  それからまた、いわゆる妨害鉄塔の除去につきましては関係するところも多うございますので、今後各方面の積極的な協力を得まして速やかに解決を図りたい、このように考えております。  したがいまして、これらの問題についての解決ができました時点におきましては、同空港の早急な開港ということが期待できるわけでございますが、たとえば暫定輸送の場合に、やはり暫定輸送施設というものをつくりますのに、ある程度期間がかかりますものですから、その期間が終わりませんと、諸般の具体的な開港の準備、あるいはかなり明確な開港時期の見通しというふうなことを申し上げるのは、ちょっと時期尚早だろう、こういうような感じもいたしますので、目下のところ先ほど申し上げましたように、準備に入れる段階にいよいよ近づいておるという状態でございます。いつという点につきましては、もう少し様子を見てから御案内申し上げることができるのではないか、こういうふうに考えております。
  19. 森下元晴

    ○森下委員 巨大な投資をしながら使えないということになりますと、これは大変なことでございます。もう聞いているだけでも大変でございます。早急に供用開始ができますように努力をお払いいただくように要望したいと思います。  それから大阪空港の問題でございますけれども、ジェット機の騒音のために九時以降は乗り入れ禁止。そこで、関西第二空港の問題も出て、泉南沖を選定しておるようでございますし、いろいろ計画はございますけれども、成田空港でさえもなかなか思うようにいかない。そういうことで、関西第二国際空港も私はなかなかむずかしいことだろうと思います。この大阪空港の問題は、騒音問題ももちろんございますけれども、国際線でございますので、やはり一時間早くクローズをするということになりますと、国際線のダイヤなんかの変更で、かなり国際信用を失ったようなことも私は聞いております。時間の関係で、この点はお答えいただかなくても、もちろん騒音対策も大事でございますけれども、国際信用とか、また航空事業の安全問題、そういうことも考えながら、早急にひとつそういう問題が解決できるように御要望をしたいと思います。  続いて国鉄の問題に移りたいと思います。国鉄の財政はまさに火の車でございまして、総裁以下、非常に御苦労をされておることは察せられます。その赤字の原因のうちで、いわゆるスト行為により、かなり旅客貨物運輸収入の面で減収を生じておる、これはもう事実でございます。  そこで、ただスト行為による減収額を一般的な減収として取り扱っておるようでございますけれども、これは会計上、また経理上の処理問題として、収入面での損失を生じたことになると思うわけでございますけれども、会計検査院の方から、また運輸大臣のこの点に対する御見解を承りたいと思います。
  20. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄の組合の違法なスト行為によりまして、予定しておる運輸収入が得られないという事実は、過去において繰り返しあったわけでございます。そのために予定しております収入が入らない、つまり一般的に言います減収の取り扱い方でございますが、予定収入というものは一応予算面上の収入でございますので、それがスト行為によって事実上ある程度予想された収入が入らないということでございますが、経理処理上は、その年の収入の結果が、運輸収入がどうなったかということであらわれるわけでございますので、事実上は、予定よりはそのために減収をいたしておりますが、経理上は、それによって全体のその年度収入が何兆何千億になったということに処理をされるわけでございます。したがって経理上は、まあそういうことになっておるわけでございます。
  21. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 いま大臣から御説明がありましたような会計処理、これで処理手続としては妥当な処理である、このように考えております。
  22. 森下元晴

    ○森下委員 違法な争議行為が繰り返されて、旅客貨物の運送に混乱を生じて国民に多大な迷惑を及ぼしたことは、膨大な赤字を抱えておる国鉄への抜きがたい不信感となっております。これは将来国鉄の存立の基盤も揺るがすことになると考えるわけでございます。今後労使が相互信頼の基盤に立って労使問題の解決を図り、国民の信頼を回復すると同時に、増収に努め、赤字の回収を図るように尽力をお願いしたい。答弁要りませんので、要望だけをしておきたいと思います。  関連がございますので、中尾議員に譲ります。
  23. 村山達雄

    村山委員長 中尾宏君より関連質疑の申し出がありますので、これを許します。中尾宏君。
  24. 中尾宏

    ○中尾(宏)委員 国鉄の現状はまさに重症であり、その対策を一歩誤れば国鉄の再建も不可能になると思う。私は、そのよって来る原因について、いまさらこれを指摘して大臣の答弁を求めようとは思わないのですが、今後どうするのか、どうしなければならないのか、このことは一日もないがしろにできないと思います。  このたびの国会に提出された再建案が仮に国会の承認を得ていても、国鉄の前途はなかなか容易なことでは再建できないと憂えていたのに、ついに法案は継続審議ということになってしまったわけであります。一カ月おくれることで千三百億円も赤字になる。二カ月延ばせば二千八百億円、これは大変な事態に追い込まれ、基本計画の破綻が生ずるのではないでしょうか。大臣、国鉄総裁はこれをどのように受けとめておられるのか、決意をお伺いいたします。
  25. 木村睦男

    木村国務大臣 中尾委員の御指摘のように、今回の財政再建の計画は、関係法案を成立せしめて、六月一日からその実施に入るという予定を立てておったところでございますが、御承知のように去る国会で継続審議になりまして、六月の半ばになりますが、いまだ成立を見ない。今後いつ成立するかということが、きょうの時点では、まだわからないというまことに憂慮すべき状況でございます。  そこで、われわれといたしましては、今回の再建は約二カ年を目途にいたしまして、国鉄が自立経営ができるようにという趣旨の再建案を持って国会の御審議をいただいておるわけでございますが、この法案が一日も早く成立しますように、したがって、これはこの次の来るべき臨時国会をでき得る限り早く召集をしていただきまして、そして速やかな御審議の上、成立を図っていただきたい、かように考えておるわけでございまして、実は本日も私はそのことを閣議の席でも要望をいたし、政府としても善処をするように強く主張をいたしたような次第でございます。  当面、この法案が成立いたしまして所定の増収が得られるまでの間、何とか国民一般に御迷惑のかからないように、また国鉄の運営に支障のないように経費を節約をしていく以外に方法はないのでございますが、それも限度がございまして、二カ月ぐらいなら何とかそうやってしのげるわけでございますが、それ以上になりますと、各方面にいろんな大きな影響が起こるわけでございますので、速やかに臨時国会を召集して、法案の一日も早い成立を願っておる次第でございます。
  26. 高木文雄

    高木説明員 私どもの立場といたしましては、ただいま大臣からも表明されましたように、国会の速やかなる再開と精力的な御審議を、ひたすらお待ちをしておるということでございます。
  27. 中尾宏

    ○中尾(宏)委員 およそ事業の再建には、民間、公営企業たるを問わず、まず労使の協調が基調となり、相互の信頼が確立されなければならないことは申すまでもないことであります。  聞くところによると、四十三万人の国鉄職員に支払う夏のボーナス千三百億円の資金調達ができなくて延期するとかいうことまで耳にするわけでございますが、そんなことでもなれば事態は重大で、再建どころか労使の不信感は一層高まり、暴動にまで発展するのではないかと心配するものであります。当面の最高責任者である運輸大臣国鉄総裁はどうやって国民にその責任を果たすのか。いま積極的に対策を講じなくては、あすでは遅過ぎる。速やかに臨時国会を要請されて、緊迫したこの事態を解決しなければならない重大な責任が、私はあると思うわけでございます。  先ほど大臣は、閣議においても臨時国会の召集を要請したと言われたわけでございますが、私は、やはりいまの状態では三木さんはなかなか、逆にロッキード問題に隠れて、この臨時国会を開かないような状態であるのではないかと思うわけでございますが、ひとつ大臣は三木総理に、もう待てない、これ以上法案が延びれば、職責を全うすることができないと、辞任覚悟で対決するぐらいの姿勢が必要だと考えますが、いかがでございますか、その決意がありますか。  私は、そうした決意があって初めて、今日いろいろと国民から非難される国鉄労働組合でも反省し、また思いを新たに再建に協力するようになるのではないかと思うわけでございます。手をこまねいていては、国鉄の再建はできない。決意のほどをこの際、明確にお答え願いたいのであります。
  28. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄の再建につきましては、先ほど申し上げたような計画を持って、いまだにそれが実現できないことを非常に遺憾に思っておるわけでございますが、同時に、財政上の再建と並んで必要なことは、四十三万人の職員が経営者と一体となって、みずからのわが家の再建に精神的に努力する、これも欠かせない非常に必要なことでございます。  そこで、この六月の十五日、例年でありますれば、国鉄も政府機関と同じような状況でボーナスを支給しなければならない状況になっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたようなことで、法案もまだ成立していない、したがって資金繰りも十分にできないということで、非常に私はそれを憂慮しておるわけでございます。後ほど総裁からも御説明があろうかと思いますけれども、今日の段階では、十五日に支給をするということは不可能ではなかろうか、かように考えて、非常に心配をいたしております。  そのためには、一日も早く臨時国会の召集をしていただいて、そして法案審議をしていただき、法案審議の見通しを立てることによって、私はこの問題は解決できるのではないか、かように思っておりますが、それにしても、時間的に考えまして、数日を後にした六月十五日に資金繰りをやって、そして支給するということは不可能に近いことでございますので、非常に心配をいたしておると同時に、どうやってこれを実現するかということで、実はきょうも関係閣僚とも相談をいたしておるところでございまして、できる限り全力を挙げまして、このボーナス支給ができるように、たとえ時期はおくれても、できるように努力をいたしたいと思っておるところでございます。
  29. 中尾宏

    ○中尾(宏)委員 時間が参りましたので、私の質問は、これで終わらせていただきます。
  30. 村山達雄

    村山委員長 原茂君。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは細かい問題から順次——細かいということはありませんがお伺いをしたいと思いますので、順序だけ申し上げておきます。  中津川線、下呂線、これの現状と見通しについて、まずお伺いをする。次に、塩嶺トンネルの現状についてお伺いをしますが、これに関連して、同じ出水という大きな事故の起きました青函トンネルの現状と見通しについても、あわせてお伺いをいたしたい。次に、私の居住いたしております地域の伊那谷と長野市の間における運賃と料金との大変矛盾した関係がございまして、もう陳情なりいろいろ問題の解決を迫って今日に至っていますから、よく御存じだと思いますが、その問題の解決策をお尋ねしたい。四つ目には、さきに飯田線で線路のわきの雑草に火がついて火事が起きました。この問題を中心にして、一体除草というものに関してどういう方針をもって今後臨もうとしているのかをお伺いをいたしまして、次に、最近たくさん起きております置石事件に関して少し触れまして、最後国鉄の赤字対策についてお伺いを申し上げたい。こういう順序でございますが、どうかひとつ簡潔な要領のいい答弁をお願いをしたいと思います。  この問題に入る前に、二つ先に大臣にお伺いをしたいのですが、一つは、いまの森下委員からもお話のありました、去る労働組合のストによる当局側の損害とおぼしきものを組合に対して賠償の請求を行うということが論じられてまいったわけでありますが、これに対しては、おやりになる方針なのか、おやりにならないのか、そのことをまず先にお伺いをしたいと思います。
  32. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄は法律によってスト行為を禁止されておるわけでございますから、スト類似行為はすべて、これは違法の行為だということになるわけでございます。したがって、その違法行為によって国鉄自体が損害を受けたわけでございますから、その損害に対して違法行為者に損害の賠償を請求するということは私は当然のことである、かように考えておるわけでございます。ことに、国鉄経営の現状から考えましても、私は、国鉄当局者が国民に対する責任からも、これはやるべきである、かように考えておるわけでございまして、先般の違法ストによります損害賠償の請求は、国鉄の方はすでにその手続をとっておる次第でございます。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 皆さんは違法ストとおっしゃるのですが、ああいうストが起きるのには起きるだけの経緯があるわけです。狂犬やなんかじゃないのですから、やたらにかみついたわけではない。歴代、特に田中総理の衆議院における明快な答弁でも、前向きでスト権付与を考慮するというようなことが約束されて、しかもそれが、だんだんだんだん何か違った方向にいってしまうというようなことから、しかも昨年六月には、三木さんに対するきわめて真剣な質問をやりましたら、三木さんも同じように田中前総理と同じ内容の答弁をされている。当然スト権付与というものが前向きで何らかの形で解決をするものと、長い間の歴史の中でわれわれはいわゆる期待をしたし、当然のことと考えていたわけであります。これが急速に違った方向に逆戻りをいたしまして、今日ではもう十年前の状態にまで返ってしまったといういきさつが実はあるのです。  ただ、むやみにかみついたというのとは違うんで、当局の側に何ら反省の色がなくて、組合の側に対してだけ請求すべきものは請求するのだという態度を今日改めて出してきたことは、現内閣の反動性というものが大変露骨になってきたと言わざるを得ませんし、木村大臣は国鉄総裁などとも話し合いながら、やはり自分の使っている職員、この人間の側に立って物を考えていくという態度がなければ、私は、先ほどから言われているような、いわゆる労使の円満な意思疎通というようなことをやろうと考えても、これは不可能な問題というふうにすら思いますので、いまのように、当然である、やるんです、こういった態度に関しては断じて承服できませんし、不当だと私は考えているわけであります。  そこで、このことに関してもう一つお伺いしたいのですが、一九〇一年のあのイギリスにおけるタフベール事件のいわゆる成り行きは御存じでございますか。
  34. 木村睦男

    木村国務大臣 私、先ほど申し上げましたのですが、現行法の法秩序を守るということは、社会におきましても国鉄の中におきましても、これは民主主義社会において大原則でございますので、現在は国鉄が法律でストを禁止されておるわけでございます。したがって、それにはそれだけの理由があるわけでございまして、これはやはり守ってもらわなければならない。これを守らないのを放置しておくということは、法秩序の破壊につながるわけでございますので、現状においては、その措置をとるべきであるというのが私の考えでございますが、一方、国鉄にスト権を与えるべきかどうかという問題は、御承知のような経過をたどっておるわけでございまして、今日政府は、そのための審議会をつくりまして、これはただ単にストだけではなくて、国鉄の経営のあり方、経営形態、いろいろな問題とも関連しておりますので、あわせてこれらの問題を検討してもらうということで、その準備をいたしており、できるだけ早く結論を出してもらう、こういうことになっておるわけでございます。  したがって、その結論を得ましたら、それによりまして根本的な問題の解決をいたしたい、かように考えておるところでございます。  ただいまお話しになりましたイギリスの事件につきましては、私は詳細を存じておりません。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 いまのお話の中に、法は守るべきものだということには私も同感でございますから、これには異議はない。悪法といえども法のある限りは、残念ながらこれに従わざるを得ないというたてまえも認めざるを得ないと思います。しかし、もしそれを貫こうとするなら、今日まで皆さんが違法と言うストライキは何回も行われてきたのであります。何回も行われてきた。一体、全部さかのぼっておやりになる、そうでなければ筋が通らないということにもなる。  私は、このことで時間を余りとろうと思いませんが、どうしてもこれは筋が通りませんし、一考も二考も要するのではないかという意味で、タフベール事件のことを申し上げたのですが、私も古いことをいま思い出して、イギリスの連合鉄道従業員組合がストライキをやりまして、これに対していまと同じようなことを、一世紀前に当局の側が賠償訴訟を起こした。いわゆる当局が五万ポンドの勝訴をして、支払いを命ぜられました。このことを中心にして、後どんなことが起きたかということを少し勉強をなさる方がいいのじゃないか。大臣ですら知らない、ほかの方は知っているのかどうか知りませんが、もうちょっと一世紀前におけるタフベール事件の、一体このような後がどうなったかということをよくお考えになると、もういま当然のこととして、学者にしても、あるいはその後のわれわれのあるいは政治に関与する者も、このことが大きな誤りであったということを厳しく反省をされているのが現状でございます。労働組合法との関連において。  したがって、いまそのことを申し上げる時間はありませんが、もうちょっとそこらまで勉強をしてみた上で、一考も二考もしなければいけないことだということだけ申し上げておきますので、この点はひとつ私の申し上げたような歴史をやはりもう一度ひもといて、なおかつ、そうであるかどうかも検討していただきたいと思いますが、これはわからないのですから、御存じないのですから、御答弁のしようがないと思いますから、要求だけしておきます。  それから二つ目に、いまも質疑の中にありましたが、六月十五日の一時金の支払いに関して、現在の状況では国会が開かれて値上げ法案が通らない限り支払うということは不可能だ、こう言い切ったのですが、一体昨年から本年にかける、国鉄当局もそうですか、予算を組んでいくときに、何らこの六月十五日の一時金に対する計画を入れてなかったのでしょうか。全然こういうことを考えないで、いままで毎年やってきたのでしょうか。非常に大事なことなんですが、少なくとも経営をやろうというのに、一体どの程度の賃上げになるだろう、夏季になり冬になれば、どの程度の一時金が必要になるだろうということがある程度見込まれて、それが算入されて今日経営はされてきている。にもかかわらず、ここへ来ていきなり、これから不特定な、不確定な臨時国会を開いて値上げ法案がつくられない限り、びた一文払うわけにいかないような、そういう印象の答弁があったのですが、これは非常に重大だと思いますし、いわゆる経営の側の無責任きわまる態度だと思う。多少は入っているはずだ。全然入っていなかったのかということが一つ、御答弁をいただきたい。  それからもう一つは、大臣の答弁の中に、とにかくいつ臨時国会が開かれて、この問題が論議をされ、上がるだろうという見込みがつけば、多少とも時期がおくれても何とかやりよう、資金繰りをやって払おうというようなニュアンスの答弁がつけ加えられたように思いますが、その点はどうなんですかという二つ、御答弁をいただきたい。
  36. 木村睦男

    木村国務大臣 もちろん五十一年度予算の中には、毎年支払うべきそういうものは予算の中には計上をしておるわけでございますが、これは予算でございますので、同時に反面、その予算は六月一日から再建案が実施されるということで予算を組んでおるわけでございます。したがって問題は、資金繰りをどうするかという問題になるわけでございます。したがいまして、いま国鉄はスタートから赤字でございますし、どうしても外部から、あるいは政府から一時、金を借りて、そしてボーナスを払うにしても、それを使用しなければいけないというやりくりが必要であるわけでございます。  で、金を借りる場合には詳細な返還の計画が要るわけでございます。ところが、運賃改定がいつから実施されるかということがいまわかりませんので、国鉄側といたしましても、返還の計画が立たないというところに問題があるわけでございます。したがって、われわれといたしましても、この予算の成立の見通し、あるいは何かほかに返還の計画が立つような方法はないであろうかということも検討はいたしておりますけれども、なかなかいい知恵が浮かばないというのが現状であるわけでございます。  これで両方のお答えになっておるかと思いますが……。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 予算に最初組んであった。その反面、収入の方には値上げを見込んでいました。その値上げが通らなかったから、したがって払えないというものが賃金だけでしょうか。一時金だけでしょうか。  経営をやるのに、いまの値上げをさきの国会に出したときに、これは一時金引き当てのものであるというように組んだものではないと私は思うのです。国鉄の経営全体に関して、先ほど総裁の話にもあるように、膨大な赤字を抱えている、こういう状況の中に値上げをするという、その値上げされたものが万が一順調にいったとしても、それは一時金なり賃金に充てるだけのものではなかった、経営全体にあてがうものだということになれば、賃金を払えない、一時金が払えない、同時にいわゆる赤字ローカル線を打ち切るとか、あるいは後でまた赤字対策の問題で少し触れていきたいと思っているのですが、いわゆる新幹線工事をできるだけストップする、最初そんなようなことを言っていました。ところが最近になるというと、東北新幹線、削ろうと言っていたやつが、これだけはどうも削れない、生かしていくんだというようなことを言った。  これも大事な仕事には違いないのですが、一体、一緒に働いている人間の一時金、給料の一部なんです、これをストップさせておいて、東北新幹線の方は削らずに、これは最小限度やっていくんだと言って、やることに決めつつあるようなこの考え方は、一体正しいですかね。こんなことでいいですか。人件費に相当するものを、こんなむちゃな考え方が通ると思っておいでになるのか。断じてそんなことは通らない。ほかにこの値上げが通らないからというので、最初に総裁がうまく言ったのですが、これもあれもストップだ、最初はこう言っていたのです。そのうちに、いまは賃金だけが払えない、一時金だけが払えないみたいで、新幹線のこれもやるんだ、これも全部ストップというわけにいかない、これだけはやっていこう。周りのいわゆる景気浮揚の関係も含めて、この工事をストップすることが影響があるから、そういう配慮をしている。自分が直接使っている人間に対して、賃金にも等しい一時金を、こいつを全部排除するんだ、そして工事の方はやっていくのでございます。——何をやっていくんだ、こんなことが一体考え方として今日許されるはずがないのです。そう思いませんか。  何かあと四日しかないのに資金繰りをやって、政府から千三百億を借りるということができるかできないか、どうもいまのところ借りられそうもない。これは政治的にやはり臨時国会が開かれたたときには、何といっても電電公社なり、あるいは国鉄なりの、この種のものを払うために値上げを認めてもらわなければ、野党もついがまんをして、この値上げには消極的な反対にとどまるような、そういう圧力を事前にかけていこうという内閣そのものの一つの意図的なやり方なんであって、これは国民の側から言って、特に一緒に働いている労働者の立場から言うなら、断じて承服できませんからというふうに私は考えるし、何が起きてもやむを得ないと思いますが、いま私はこれだけの問題を論議しようと思いませんが、いま私の言っているような考え方、賃金に対する考え方、給料の一部である一時金に対する考え方——経営全体の中で、ほかの日常やっている、やはり赤字の中でも、これだけはやっていくんだ、賃金に相当するものだけはストップだ、こういう考え方だけは間違いだと思いますが、この点だけ、ひとつずばり答えてください。
  38. 木村睦男

    木村国務大臣 いま私は六月十五日に予定されているボーナスの問題についてのみお答えしたわけでございますが、実は六月一日から予定の運賃収入が入らないために経費の節約を図っていかなければならないわけで、いま国鉄の方も一生懸命にその方の計画をつくっておりますが、これは言うなれば、できる限り人件費に手をつけないで、工事費なりあるいは他の業務費なり、そういうところをできるだけ節約して、国民にも迷惑がかからないように、また国鉄の使命を果たすのに影響のないようにということで、いろいろいま努力をいたしておるわけでございまして、初めから無条件で人件費だけを削るということではございません。あくまでも国鉄全体の国民に果たす使命の遂行に極力影響のないようにという考慮の上に立って、いろいろそういう計画をいま検討をいたしておるところでございます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 私はいま一例を申し上げて、東北新幹線の予定費用を削ろうと最初思ったやつを削らないでやっていくという考え方は、いまの賃金に相当する一時金を払わないのと比べておかしいんじゃないですかと言っている。どうですか。
  40. 木村睦男

    木村国務大臣 いつごろ法案が通って運賃値上げができるかわかりませんが、その過程におきましては、いずれは東北新幹線経費の一部も削らざるを得ないようになるんだろう、かように考えております。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 いずれは削らなければいけないというのが、まだこれは決まっていない。削らない。賃金の方だけは削ることを決めている。ストップする。十五日に払わないということは間違いですよと私は言っているんで、これだけに時間かけられませんので、残念ながらこれで打ち切りますが、どうかひとつ経営者という立場は同じでございますから、当然のこと、まず生活のための賃金が最優先という、いろんな慣例から言っても判例から言っても、このことは厳に確立された事実でございますので、この賃金に相当する一時金が、他の公務員は払われています、電電公社は払います、国鉄だけは払えません、こういうばかなことをやるような無能な大臣であり総裁でないように、ぜひ六月十五日を期待をして、この問題は次に譲ります。  最初に申し上げましたように、中津川線、下呂線の現状をひとつお聞きをしまして、これがいつ現在の状況でいくと、竣工の最初の計画どおりにいくのかどうか、あるいはどういう支障があって延びるとか——延びることを期待しない。何としても早くしなければいけない大変な課題になっているわけですが、この問題の現状を飯田−中津川と中津川−下呂の問題だけにしぼりまして、ひとつこれは公団からですかね、お伺いをしたい。
  42. 原島龍一

    原島参考人 お答えいたします。  中津川線は全長約三十七キロメートルございまして、昭和四十一年の十二月に、路盤関係の工事実施計画の御認可をいただきまして、翌年四十二年の二月に路盤工事に着工いたしております。総工事費が約二百三十億ばかりでございまして、ただいままでの決算額が十九億五千万程度でございます。いままでにやりました路盤工事は、飯田市の地内の二ッ山、それから山本というところの約三キロメートル間の路盤が竣工いたしております。ただいま現在は、長野県と岐阜県の境にあります神坂トンネルというトンネルがございますが、全長で約十三キロございます。これを中津川の方から掘削を始めておりまして、導坑と申しまして一番最初に掘ります小さな穴ですが、導坑を約八百メートル掘削しております。  それで、このトンネルは——実はこの近くに道路公団で施工いたしました恵那山トンネルというのがございますが、あれも大変苦労したトンネルでございます。十三キロというきわめて長い延長に加えまして、断層が非常に多うございまして、施工に難渋しているわけでございます。そういうわけで、いつまでにできるという御質問でございますが、技術的には非常にこのトンネルでてこずるのではないかということでございますし、なお、お金の方からいいましても、正直な話、いつ幾日にでき上がるというような御答弁はできない、残念ながらそういう状況でございます。  それから下呂線でございますが、下呂線は延長約四十八キロメートルございまして、これは中津川から下呂へ行く鉄道でございます。そのうち、中津川方の約二十キロは、ただいま北恵那鉄道が営業をしている区間を含んでおります。総工事費は約二百八十億でございます。昨年、昭和五十年の三月十日に、工事実施計画の御認可をいただきまして、早速測量調査に着手しております。したがいまして、昨年度決算額は非常に僅少でございまして、約八千万円でございます。  ここも先ほど申しました断層帯の延長上にございまして、ここは一番長いトンネルが六キロございますが、長大トンネルがわりにたくさんございます。トンネルが全部で二十二カ所、二十五キロほどになります。こういう断層地帯に長大トンネルを掘りますので、ただいま測量、地質調査でございますが、これを着々とやっている状況でございまして、完成までにはやはり相当の年月を要すると思われます。  以上でございます。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 中津川線で一番問題になるのは、前から言っている神坂トンネルですね、いまおっしゃったように十三キロの。これは大変な難工事には違いないのですが、せめてトンネルがあきさえすれば、完全にできれば、ほとんどもうあとの見通しはつくのですが、神坂トンネルの現状からいって、どうでしょう。これだけはいつごろにできそうだ、トンネルに関してだけの見込みはどうでしょう。
  44. 原島龍一

    原島参考人 ただいま申しましたように十三キロのトンネル、実はこのトンネルは、飯田方から中津川方に向かいまして下り勾配の片勾配でございますので、トンネルの掘り方といたしましては、下の方から、中津川方から掘っていくのが常道でございますので、ただいま中津川方から掘っているのですが、それに山が非常に高いものですから斜坑とか立て坑、こういうものがなかなか掘れない状況でございまして、飯田方からの、これは突っ込みと呼んでおりますが、上の方から掘っていくということを考えましても、やはり一年間に、どんなにがんばっても一キロ半ぐらいしかまいりませんので、七、八年はかかるのではないか、こう思っております。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 原島さん、なかなかずばりと七、八年かかると言われたのですが、これは予算がもっとつけば、もっと早くなるのですか。それとも金の問題じゃないということになるのでしょうか。どっちでしょう。
  46. 原島龍一

    原島参考人 ただいまのトンネルの問題は、金の問題ではなくて、純技術的に、私も技術屋でございますので、余りはったりが申せませんので、かたいところ技術的に、そのくらいかかるのではないか、こう考えております。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 技術屋さん、はったりは言わないどころではない。かた過ぎたことを言われて、いまぎゃふんとしたところなんです。七、八年、トンネルだけでかかるのでは、これは大変だなという感じがします。後日もっと詳細をお聞きしますので、検討していただいて——いまのような状態でいくと十何年かかるということになりますから、これはやるといってやらないのと同じことになるのですね。  高速道路の恵那山トンネルは何年くらいかかったか、おわかりですか。
  48. 原島龍一

    原島参考人 私、ちょっとはっきりした記憶にございませんけれども、あのトンネルにかかりましたのがたしか、やはり昭和四十一年ごろだと思いますが、開業いたしましたのが昨年でございまして、約十年ぐらいかかっております。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 おっしゃるとおりなんです。そうすると十三キロ、少し長いしするから、大分地質が悪いので七、八年はどうしてもかかりそうだというのが現状の見通しのようですから、お聞きしておいて、また詳細を——もっと何とか早める方法はないかという意味で、これから御検討願うようにお打ち合わせを後日したいと思いますから、そのつもりでひとつ準備をしていただきたいと思います。これはそんなに長くては困る。  次に、塩嶺トンネルの状況をお伺いしたいのですが、その前に公団にお伺いしますが、青函トンネルがちょっと前代未聞の出水事故でようやく止水ができたという状況になっているわけですが、この規模とか損害とかは大体どのくらいに見ているのでしょうか。それが一つ。それから一体現状はどうなっているのか。完全な止水なのか。ある意味では、出てくる量よりはポンプアップする量の方が多いから、とまったと見られる状況になっているのかという現状について、この二つを先にお伺いしたいと思います。
  50. 原島龍一

    原島参考人 青函トンネルの異常出水につきましては先般来、大変御心配をおかけして申しわけないと思います。  ただいまの状況は、いま先生が言われましたように、出水よりもくみ出す水が勝っているという状況でございます。損害額につきましては、まだ中に水につかっている機械類その他調査が行き届いておりませんので、損害額についてははっきりは申し上げられないと思います。あと、工期的な損害でございますが、今回水につかりましたのが作業坑と呼んでいる、本トンネルを掘るためのいわゆるパイロットといいますか、補助をするトンネル、それから本坑と称します本当に汽車が走るところでございまして、一番大切なのは、それ以前に掘っております先進導坑というのがございますが、この先進導坑には水が入らないようにいたしましたので、ただいまはこの先進導坑から水の出たところに向かいまして注入作業をやっておりますので、その間だけは工事がおくれる、結局二月ぐらいのおくれということで、全体的には大した損害、おくれではない、こう申せるかと思います。  それから、水の出方でございますが、当初最初の日に四十トン以上の、これは一分間の湧水でございますが、一分間に四十トン以上の水が出てまいりました。これが逐次減ってまいりまして、ただいまでは一分間十五トン以下になっております。しかし、十五トン程度の水というのは、これは相当大きな水でございまして、いま鋭意水をくみ上げているわけですが、もう少しくみますと、切り羽といいまして崩れてきたところに近づいてまいります。そうなりましたら、手前の方からまた、これは崩壊した土に向かいまして注入をやり、また周りの地山にも注入をやって固めていく、その後工事を再開する、こういう段取りになるわけでございます。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 この種の事故はもう起きそうもないのですか、まだわからないのですか。この種の事故がもう起きないということなんですか、それともこれは不明だ、こういうことになるのか。  それから、いま二カ月ぐらいのおくれで済みそうだという工期の問題、この二カ月ぐらい——ぐらいだから多少のアローアンスはあるでしょうが、最初から完成工期が決まっているのですが、完成工期内に取り戻してこの工事は進捗できますか、おくれた分だけおくれてしまいますか、その二点。
  52. 原島龍一

    原島参考人 最初の御質問でございますが、実はただいままでに本州方で二回、北海道方で今回のを含めまして二回の出水がございます。その都度、今後はもう起こさないつもりでやってきたのですが、残念ながら起きております。そのたびに実はいろいろなことを教えられるわけでございまして、ただいまのところでは非常に勉強しましたので、今後はこういう出水は起こさない、こういうつもりでおります。  それから、もう一つの御質問の所定の工期内におさまるかどうかということでございますが、当初は昭和五十四年度に開業するつもりでおりましたが、その後検討の結果、三年はどうしてもそれよりおくれるのではないかということで、ただいまのところでは昭和五十七年度に完成、こういうつもりでやっております。二カ月のおくれというのは、この五十七年度の中でおさまるというふうに御理解いただいて結構だと思います。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 なるほど。ずいぶん細かい事故がいっぱい起きているのでしょうね、三年も延びてしまうのですから。  この今回の事故は、全然予想できなかった事故でしょうか。技術的にもう本当に突発事故だ、事前にどう検討してみても、予想はできなかったという事故なんでしょうか。
  54. 原島龍一

    原島参考人 ただいまの、今回の出水の地点を垂直に下げました六十メートルほど下に先進導坑を掘っておりまして、この先進導坑を掘りますときに、やはり多少の出水がございました。これは先進ボーリングをやって、先方の地質を確かめて、それから悪い地質ですと注入で固めてから掘っていくのですが、この先進ボーリングをやりましたときにも多少の水が出たということで、注入をやって掘ったわけですが、それでもやはり多少の水が出た地点でございます。ですから、この上の六十メートルのところを掘っております作業坑がこの地点に差しかかります前に、やはり先進ボーリングをやりまして、これから水が出ております。で、たくさんの注入をやったわけでございます。注入後、注入をやりましてから、さぐりさく孔と申しまして、もう一遍確かめるためのボーリングをやるわけですが、そのボーリングの結果は、水が出ないということで掘っていったのですが、遺憾ながら注入液の固まらなかったところがございまして、それが探りの穴にも、どうしてもつかめなかったということでございます。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、これからもちょいちょい起きるわけですね。よほどボーリング、地質調査というのをきめ細かにやらないと、こんな工事は乱暴過ぎて、危険の方が大きくて、やるべきじゃないんじゃないか、私は素人ですが、どうもずいぶん乱暴なことをやっているなという感じですね、いまのあれを聞きまして。御存じのように、ドーバー海峡なんか途中で、もう一遍検討した結果、あれはストップしましたね。そんなことになる危険はありませんか。また、どうしても危険だと思えばストップすべきですよ。どうなんでしょう。
  56. 原島龍一

    原島参考人 ただいまのところ、ドーバー海峡のトンネルをストップしたのは、これは技術的な面でないと了解しておりますが、青函トンネルにつきましては、ただいま私が申しました工法を、これは標準パターンにして掘っておるのですが、これをもう少しきめ細かに、注入のやり方を改良していけば、絶対にこのような出水は再びは起こらない、こういうふうに確信しているわけでございます。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 今度は技術屋さん、ばかにはったりがきいていますよね、絶対になんて。そうですかね、さっきとは大分性格が違った人に聞いておるような気がするのですが、これはどうも絶対ということは言えないと思いますので、徹底的な地質調査をもう一度やって、検討をやって、ただ、むやみに進むことばかり考えないで、どうせ三年延びてしまったのですから、本格的な地質調査をきめ細かにやって、再度検討した結果を、もう一度十二分に科学的に技術者の検討台上に乗せる、そして進んでいくというようなことにしないといけないような気がしますが、そういう姿勢はありませんか。いま言うように、注入を少しやっていけば絶対大丈夫ですか。
  58. 原島龍一

    原島参考人 まあ、絶対と申し上げましたのは、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、御忠告のとおり、やはり相手が海の下の水をたくさん含んだ地質でございますので、これはいままでも慎重にやっておったのでございますけれども、今後ともなお念を入れて調査をしながら掘っていきたい、こう思います。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 生命の危険は労働者にあるし、国費のむだ遣いにも通ずるしというようなことを特に慎重に考えて、いまおっしゃったように、検討の上にも検討をひとつ重ねていただくように、この問題はお願いをしておきます。  そこで、国鉄に塩嶺トンネルのことをお伺いしたい。  一番問題になるのは、出水が一体どうなるのだろう。単に水が出たというよりは、これが辰野地域その他に水枯れの心配があるからどうのといった、また新たな住民運動が起きてきている。この問題、一体どう見通しておられるのか。  もう一つは、もうずっとやってまいりました、この問題の一番ガンとも言われるような、地域住民の協力をしない、あるいは協力をしようといった二つの大きな流れの中で、強引にこの工事はいま進捗しているわけですが、この地元の問題に関して一部裁判もすでに起きているわけですが、これらを含めた見通しは一体どうか。  三つ目に、一体こういう状況を全部御答弁いただいた上で、いまの青函ではありませんが、完工期はいつごろに見ていますか。いつなら完成だというように考えておいでになるかを、ひとつお聞きしたい。
  60. 高橋浩二

    高橋(浩)説明員 最初に、出水の問題にお答えをいたしたいと思いますが、塩嶺トンネルは延長が約六キロでございまして、ただいま掘削をいたしておりますのは塩尻方から掘削をいたしておりまして、約一キロ五百ほどのところまで掘れております。それまでは、それほど大きな水はございませんでしたけれども、約一キロ五百の地点から奥に行くに従いまして、だんだん出水量が多くなりまして、ただいまのところは一分間に二十トンないし二十五トンぐらいの水が出ております。  それで、この水の見通しでございますが、この六キロのトンネルのうち、両サイドといいますか、塩尻方と岡谷方の両側約一キロないし一キロ五百は、これは頁岩とかあるいはいわゆる四紀層のような粘板岩的な土質でございまして、これはもともと水を通さない層でございます。真ん中の三キロないし四キロ、これがいわゆる溶岩と凝灰岩がまざった、非常にポーラスで、水を非常に含みやすい、あるいは通しやすいと申しますか、中間約三キロぐらいの間がそういう層でございまして、この層の中では、どこを掘りましても水が至るところから出てくるという、そういう地質でございます。  したがいまして、これから掘っていくに従いまして、掘ればその区間から水が出てくるというふうに予想をいたしておりまして、私の方はなるべく切り羽の部分を少なくといいますか、いわゆるコンクリートで巻かない部分をなるべく少なくしまして、早くコンクリートで掘っては巻き、掘っては巻きというふうに進んでまいりますと、大体常に二十トン程度の水が出て、最終的に完結いたしますと、この水が逐次年次とともに減水をしていくというふうに予想をいたしております。  青函トンネルは突っ込みで掘っておりますけれども、私どものトンネルは、むしろ逆に奥に向かって上り勾配で掘っておりますので、毎分二十トンぐらいの水は掘削技術上からは特にむずかしい問題だというふうには考えておりません。ただ、部分的には青函トンネルと同じように作業坑のようなものを、あるいは迂回坑と申しますか、そういう水抜き口のようなものを先に少しずつ進めながら本坑を掘っていくということも、そういう工法もあわせてやらなければならぬ部分も出てくるのじゃないかというふうには予想をいたしておりますけれども、そういうことで進めていけば特に危険であるというふうには考えておりません。  ただ、地域の方々に渇水の問題が出てまいりますので、これに対しましては、いわゆる飲料水あるいはたんぼの水等、実害が出ないように極力事前に手を打ちまして、地域の方々にできるだけ御不便がないようにということで、いろいろ頭を悩ましながら、また地域の方々とよく接触しながら、ただいま進めておりますので、その点は一時的にはいろいろ問題がございましたけれども、ただいまのところでは、特に大きな問題はないというふうに理解をしております。  それから第二の点で、用地買収の問題ですが、用地買収は塩尻方は一〇〇%完全に完了いたしております。問題は、岡谷方がこの十年来、反対反対、あるいは賛成の方もいらっしゃいますけれども、反対反対ということで非常に長年の間もめておりまして、昨年の十月になりまして、建設大臣から事業認定をいただくことができるようになりました。それ以後、やはり賛成の方と反対の方二派に分かれて岡谷市内ではいろいろもめておりますけれども、逐次用地買収の進行をいたしまして、ただいまのところは岡谷市内では五〇%以上に達してまいりました。もう数カ月の間に七〇%、八〇%までいく予定でございます。  そういうことで、市長も昨年の十月に、新しい市長になられまして、市とよく寄り寄り協議をしながら、なるべく円満に岡谷市内の用地買収を完了したいということで、ただいま鋭意進めておるところでございます。     〔委員長退席、森下委員長代理着席〕  それから全体の工期の問題でございますけれども、この工期の問題は、このトンネルが、結局工期を支配するということでございます。このトンネルは六キロございまして、私どもの予定では、トンネルは両坑口から掘るということで、塩尻方はもう手をつけておりますが、岡谷方がいま言った用地買収が坑口のところができませんので、岡谷方からはまだ手がついておりません。したがって、全体の工期を支配するのは、岡谷方のトンネルにいつ着工できるかということが全体の工期を支配するのだというふうに考えております。  ただ、工期が非常にかかりますと、また問題になりますので、両口以外にもう一つ中間から斜坑を入れて、全体を三つの口で掘るという予定でただいま進めておりますので、用地買収に関係ない区間はおおむね三年、それから用地買収の関係する岡谷方については、坑口の用地買収ができて公害設備ができてから、おおむね二年ということで全体は完成するというふうに予定を組んでおるところでございます。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 この出水に関しては、じゃ事前にある程度わかっていたのかどうか、ちょうど両側からの一・五キロぐらいはまあまあ、その真ん中の三キロから四キロぐらいのところは、現在出ている以外にその出水する幅は広い、三キロ、四キロぐらいはどこでも出る。いまになってわかったのですか。事前にわかっていたのでしょうか。それが一つ。  それから、トンネルが完成してからも、この水はどこかに出るのですか。完成すると、この水というのは完全にとまってしまうのですか。それが一つ。まだずっと出るので、この排水口というのは別にちゃんと設けて、水はどこかへ出そうとするのか。この点はどうですか。  この二つを先に。
  62. 高橋浩二

    高橋(浩)説明員 第一点の、事前にどのぐらい水が出るかということがわかっていたかという御質問に対しましては、地質から見まして水を十分含んでいるということは事前に十分わかっております。ただ、現実に掘ったら何トン出てくるかということにつきましては、相当水が出るだろうという予想はしておりますけれども、何トン出るということは、事前になかなか予測ができない。これは施工の方法にもよりますし、施工の速度、進行状況にもよってトン数は違ってまいりますけれども、大体相当水が出るだろうということは事前にわかっております。  ただ山岳トンネルの場合には、二十トンというのは確かに非常に多いのですが、十トン程度の水が毎分出てくるのは至るところにございますので、別に水が出るから施工上どうのこうのということは、それほど実は心配はしていない。青函トンネル等では全体の出水もありますけれども、今回の事故のような問題は、局部的ないわゆる断層部分から出てくる水でございまして、この塩嶺については全体的に水を含んでおるということについては前からわかっておりました。ただ、いま掘っておりますところが、ちょうど頁岩と凝灰岩の境目でございますので、ちょうど一番水の多いところであろうということも一応はわかりますけれども、今後どういうふうになっていくか、どのぐらいの水かということは、はっきりは実はわかりませんが、大体二十トン程度を維持していくだろうというふうに考えております。  それから、この水は将来どうなるかということでございますが、完成しますと、コンクリートで全部トンネルの中は内巻きを巻くわけでございます。全体を巻きますと、従来の経験から、いままで工事中に二十トン出ていたものは全体が完成いたしますと、大体半分か半分以下に、しかも、これは五年とか六年とかいう長い時間がたつに従ってだんだんに減っていって、工事中の三分の一になるとか、そのぐらいの予想はわかりますけれども、最終的にゼロにはならない。それからまた、トンネルの中で適当な個所に排水口というか水抜き口をつくりまして、水圧が全部かかるといけないので、少し水を抜く穴は残してまいりますので、完成いたしましても相当の水は坑口の方に流れて出てくることになると思います。その流れてきた水の処理については、まだ検討いたしておりませんが、恐らく十トン以下の水をどういうふうに使うかは、今後の検討課題だというふうに考えております。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 そうするといまの、完成した後五、六年たっても三分の一程度は出るだろうということになると、多いときには大体五、六トン出るだろうという予想ですね。その水は、とにかくもったいないですから、自治体と十分話をして、その水の利用方法に関しては、やはり事前にぴしっと——これはずいぶん問題ありますよ、一方の自治体だけにこれを全部出すというのは問題になりますから、したがって、この水はどういうふうに利用するかを自治体と十分に話し合いを、いまからするようにしないといけないだろうと思いますが、その点はどうか。それが一つ。  それからもう一つは渇水の問題ですが、これは補償しなければいけませんね、渇水の問題だけは。これは地域に対して重大な影響が出ます。いまのお話でも、どこがどの程度渇水するかということはわからないわけですから、したがって、渇水の暁にどんな事態が起きても完全に補償するということを前提にしないと、問題があると思いますが、その完全補償をいたしますと言い切れますかどうか、二つ。
  64. 高橋浩二

    高橋(浩)説明員 第一点の水の利用方につきましては、ただいまも塩尻市と将来の問題について寄り寄りお打ち合わせを進めております。まだ結論は出ておりませんが、当然事前にこの水の利用方についてお打ち合わせを進めて、有効にこれが利用できるように考えていきたいというように考えております。  それから第二点の補償の問題につきましては、私の方は、実害が出たものにつきましては、実害を完全に補償するように現地を指導いたしておりますので、実害については完全に償うという考え方で処置をしてまいりたいというふうに考えております。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 塩嶺トンネルの問題は、それで結構です。  次に、伊那谷と長野市の間の乗り継ぎによる、急行あるいは特急料金がべらぼうにかかって、運賃のずっと上に行くわけです。これは列車の時間帯が非常に窮屈であり、不便であるということが原因には違いないのですが、これはそういう時間帯をつくった国鉄の責任なんですから、これを一部その地域住民だけが不当に、わずかな距離行くのに運賃よりも急行料金、特急料金の方を余計払っているなんというばかなこと、不当な不公平な負担をしょわわせていることに対しては、国鉄は重大な責任を負うべきだと思う。これは早期に解消すべきだと思いますが、いかがですか。
  66. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 運賃と料金の関係で最初のお話ございましたように承りましたが、運賃につきましては、ただいま法定されておりますキロ当たり幾らというかっこうで、途中でおおりになりましても通算をして計算をするという制度でございます。料金につきましては、これは各種料金ともそうでございますが、一個列車についてというたてまえで全部の料金の設定をいたしております。したがいまして、ただいまお話しのように、途中で乗り継ぎをいたした場合には、それぞれ別個に料金をいただくというたてまえで、全部の線区、全国そのようなかっこうでいたしております。  ただいま御指摘になりました辰野乗り継ぎの場合、確かに直通で参りました場合四百円、乗り継ぎでそれぞれ急行を御利用になった場合に三百円ずつの二回で六百円ということでございまして、運賃が大体五百円台でございますのでおっしゃるようなかっこうになっているのは事実でございますが、これは全国的にも各線区、たとえばその支線にわたってお乗りいただくようなお客様には同じような制度でもございますし、また幹線筋での乗り継ぎの場合でも全部同じような制度になっております。それを幾らかでも救済をしたいということで、支線から幹線へというかっこうでの直通の列車の運転をできるだけ考えてまいりたいというかっこうでの救済策を考えておるわけでございまして、ただいまの三往復ございます伊那谷から長野へ向けます急行も、電化されない前からディーゼルカーを使っての直通もいたしておりまして、今回電化をいたしました後でも、今度は電車で直通をするというかっこうで考えております。  ただ、先生御承知のように、飯田線そのものの線路の容量というものは非常に不足をいたしておりますので、本数をふやすことは非常に困難である。東京方への直通の御希望もございますだけに、現在東京方に四本、長野へ三往復というかっこうでいたしておりますのが、いまのところでは、いっぱいいっぱいのところではないかというふうに思っております。  なお、他の例をあえて申しますならば、身延線筋、これは甲府もしくは富士で、それぞれ乗り継ぎをしていただくという場合の制度は全部同じようになってございます。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 細かいことを言わなくたって皆さんの方が本職だからあえて言いませんが、身延線などとはちょっと違うんですよ、伊那谷の実情は。非常にへんぴな奥地に、平岡あたりまでにずうっと地域があるわけですからね。出ていくのにも、どうしても乗り継ぎのこの列車を利用せざるを得ないのが、駅へ来るまでも非常に時間がかかる山の中ですからね、直通三本あるやつを乗ったらいいじゃないかといっても、それには間に合わないのですね、バスも行かないのですよ、それに。そういうときに、身延線の周りの状況を調べてごらんなさい。——違うんですよ、伊那谷とは。天竜、平岡なんていう一番奥へ行きますと、遺憾ながら間に合わないのです、バスも何もなくて。そういうときに、これは国鉄でバス出してくれればいいんですけれども、出さないんだから。公共性というものを重要視しなければいけない国鉄が、せっかく歴史的にも長いこの飯田線というものを、どんどん特急が出る、急行が出るたびに、この飯田線だけ乗っていくと、昔よりはずっと時間がかかっているんですよ。  参議院の羽生三七さんがいつもこぼすんですが、皆さんにもきっと言っているんじゃないかと思うのですが、だんだん便利になったなったというけれども、おれはうちへ帰るのに、特急ができた、急行ができたというたびに、おれの方の飯田線の時間は長くなっちゃって、うちへ帰る時間本当に困るよといつも言っていますよね。調べてみると事実なんです。その問題はやがていろいろな、もっと基本的な問題で解決しなければいけない。この問題に関して細かい例はうんと言いませんが、何本がどうなっているかということは言いませんけれども。皆さんは御存じなんだから。  したがって、私は二つのことをここで提案をして、考えてもらいたい。  一つは、この身延線の関係も一緒に配慮していいんですが、全国的に、この種の特急、急行料金に関しては特別料金制度を設ける、何らかの方法を設けてやるということが一つです。考えるべきだと私は思う。不当ですよ。この人たち、気の毒ですよ。だから、何らかの方法を考える、その一つが特別料金制度。何とかこの急行、特急、この列車のつなぎの急行、その急行をおりたときの特急、そのつなぎに関しては一枚の券で行けるんだというような、料金はある程度配慮しなければいけないかもしれませんが、何らか特別な方途を考えて、不当な負担をかけないようにしてやるという特別料金制度が考えられるべきだと思う。これは素人ですから、こうやったらいいじゃないかという案を出せと言われれば、いつでも出しますよ。私どもの方は素人なんだから、ほかの関係なんか知らないんだから。そんなものを言ったってしようがないから言わないのですが、それを専門的な立場でお考えになっていただきたい。  もう一つは、それを考えて実施する前に、飯田線をせめて塩尻まで延長してもらいたい。塩尻まで延長すると、ずいぶん緩和される。飯田線の塩尻までの延長を考えなければいかぬ。  この二つのうち、第一にやらなければいけないのは特別料金で、この負担をなくしてやることです。それがすぐできないというなら、せめて飯田線を辰野から塩尻まで延長してやる。わずかな距離ですよ。つながっているのですから、できないことはない。これを次善の策として、まず早急にやってやる。あの過密状態からいうと、当分の間いまの時間帯を変更できないと私は素人でも思う。ならば、この二つのことを第一、第二で考えてやっていただけないだろうか、こう思いますが、これは総裁わかるかどうか知りませんが、聞いて、総裁も何か決意を表明してもらわなければいけないかもしれませんよ。
  68. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 料金の制度につきましては、おっしゃるような矛盾点がございますけれども、またある意味では、そのようにしておかなければ非常に制度的にむしろむずかしい面もございます。むしろその意味では、料金をどういう列車からいただいて、どういう列車からはいただかないんだというかっこうでの検討ではないかというふうにも思いますが、ただいまのところ、すぐにというわけにはなかなかまいらないと思いますが、検討をさせていただきたいと存じます。  それから列車体系につきましては、やはり塩嶺峠が抜けませんことには、辰野−塩尻間の問題も同じように込んでおりますので、塩嶺峠が貫通した際の列車輸送体系をどうするかという意味で検討させていただきたいと思っております。
  69. 高木文雄

    高木説明員 非常に恐縮でございますが、まだ不勉強でございまして、よくわかりませんですけれども、御指摘の点は多々問題があるようでございますので、勉強さしていただきたいと思います。
  70. 原茂

    ○原(茂)委員 総裁には、こういう隠された問題にぜひ真剣に取り組んでいただくようにお願いをしたい。  いまの第二点の問題ですが、塩嶺トンネルができないと過密状態だという。私などが見て過密とは言えない。飯田線を塩尻まで延ばすのは過密だとは言えないと私は思う。したがって、これも第一はそういうお考えで検討を願う。第二の問題に関して、塩嶺トンネルができなければというような冷たい突っ放した言い方でなくて、いま言われた塩嶺トンネルができなければ、いまの過密状態ではという中には塩尻まで延長することは入っていない、入らない、そんなことはあり得ないというふうに考えていますから、工夫をすれば延長ができる。  これは仲間に皆さんの子分がたくさんいますので、実はいろいろなことを現地で検討したり話したりしているわけです。したがって、案を出してみろと言ったら本当に出してごらんに入れますけれども、それは目的ではありませんし、場違いですから、そういう不見識なことはしませんが、どうかひとつ、そういう冷たい突っ放しでなくて、いまの塩尻まで延長するということも検討をして、大至急にできるものはやるということをお約束願いたいと思うが、いかがですか。
  71. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 検討いたしました上で御相談を申し上げたいと思います。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 結構です。そうしてください。これは大至急に解決したい。  それから次に、除草の問題ですが、この間、五月中旬に飯田線で相当広い範囲枯れ草が燃えて火事が起きましたね。これはもうお調べになってわかっていると思います。そこで細かいことを余り申し上げませんが、相当の面積、草が土手にずっと生えるわけです、生える土手の草を、直轄で刈るのと外注で刈るのと、刈らない場所の方が多くて、刈る場所の方が面積が少ない。通ってみますと、冬になると枯れ草がものすごくいっぱいで、先が見えないほど立っています。その枯れ草の土手の下に民家のあるところがいっぱいあるのですよ。中央東線もありますが、飯田線は特に多いのです。あのようなたばこの火が落ちた、あるいは車輪の火花で火事が起きた、原因はどうあれ、火災があって草が燃えたといったときに、民家へ燃え移る危険があるのが一つです。  もう一つは、あの冬じゅう立っている枯れ草というのは害虫の巣になっているのです。周りはほとんど田畑なんです。また大事な植林をしているところがある。その枯れ草というのは微生虫の、害虫になるようなものの巣になっているのです。そうして春になると、のこのこ出ていく。培養地になるのです。こういう二つの意味で、一つは危険がある、現に火災が起きているのですから。もう一つは害虫の培養地になっているという視点から言っても、原則として土手の草は刈ってもらわなければ困る。これが私のいまお伺いしようとする趣旨なんです。  細かく何が幾ら、何がどのくらいというのは、全部おかげでちょうだいしましたからありますけれども、それを一つ一つ皆さんに問い合わしたり何かする時間はありませんし、その必要はありませんが、いま私がお願いしたい、考えていただきたいというのは、先ほどの火災の事例から言っても非常な危険があることは間違いないのですから、それが土手だけ燃えているうちは、まだ枕木が燃えたとかなんとかというので済んでいるのだけれども、その土手草続きの土手の下に人家がある。その人家に燃え移る危険のあるところが実はたくさんあるのです。  で、そんなことは、ただ言ったってだめだろうというので写真も撮ってきました。遠くてわかるかどうか知らぬけれども、枯れ草が生えている向こうに家がいっぱいあるところがあるのですよ。それで、こういう火災がちょいちょい起きてくると、大変住民は不安を感ずるわけです。したがって土手の草は全部刈ってもらいたい。  もう一つの理由は、いま申し上げたように、人家がないところはいいじゃないかと言われると困るから言うのですが、この枯れ草地帯というのが害虫の巣になっている。春までそこに生息して、春のこのこ出ていって害を及ぼしているということを考えますと、鉄道は責任を持ってこの草は全部刈るべきだ、こう思いますが、刈ってもらえますか。
  73. 高橋浩二

    高橋(浩)説明員 ただいまのところ沿線で線路の敷いてあります、私の方はフォーメーションと言っておりますが、そこは除草薬等を使いまして、きれいにしておりますけれども、いま先生の御指摘のように、それから下と言いますか、いわゆるのり面のところについては、これはのり面防護ということで一応芝を植えたり——実際には長年経過して雑草になっていますけれども、草が生えておるというのが、全国全部そうなっておるのが実態でございます。それで全国的に統計的に見てまいりますと、そののり面の面積のうち、約半分ぐらいが草刈りが年に一回ないし二回行われているというのが実態でございます。  草はしょっちゅう生えてまいりますので、絶えず草を刈るということも非常にむずかしいので、いま実際には一部草刈り機を使った直轄の手と、それから外注による——外注というのは請負業者に発注いたしまして草を刈っているのと、実は両方でございまして、いま先生の御指摘のような、たんぼに害虫だとか、あるいは火災の発生する危険があるというところにつきましては、できるだけ現地の、これを管理いたしておりますのは保線区でございますが、その実態をよく見て、その実態に合うように、また御迷惑のかからないように、うまくその場所を区分けいたしまして、草を刈るように指導をしていきたいというふうに考えております。
  74. 原茂

    ○原(茂)委員 これは高木さんにも聞いてもらいたいのですが、たとえば大きな商社でコイを飼うとか豚を飼うとか、最近はやっているウナギのシラコを飼うとかやるでしょう。これはうまくいかないのですね、大きいやつほど。なぜか。皆さんと同じように背広着ているやつがやる。ただ計画して、人を使って、時間が来ると帰ってなんていう仕事をしている以上は、これはうまくいかないのですよ。やはり自分が本当に魚と一緒になった気持ちで、どろだらけ、水だらけになって、この天候では、この水では、さぞ魚が苦しいだろうということがわかるようになって、夜中でも一緒に飛び込んで、その水に酸素を与えてやるというようなことがない限り、うまくいかないですね、ああいう事業は。  同じように、いまの理事さんの御答弁がありましたけれども、被害のありそうなところはできるだけやっております。全国で平均半分はやっております。こう言うのですが、これは本当にいまの養殖を大商社がやっているのと同じ感じですよ。もうちょっと親身になって、農民あるいは地域住民の被害というものは、小さなものでも不安を持ち、迷惑がかかっているということに対して、もっとはだで感ずるようなところまで親身に検討しなければいけない問題なんです。  いま約半分とおっしゃいましたけれども、中央東線は約半分です。飯田線は三分の一しか刈ってないのです。金は、総額でもってわずかなものですよ、本当に微々たるものです。飯田線でいまの三倍かける、中央東線に二倍かけて幾らになると思います。年に一回か二回刈っていますなんて言うけれども、刈る時期が悪い。何にもならないときに刈っている、そういう場所がある。刈ったことになっていないのがあるということを考えまして、お金を本当に生かして使えるのは、こういうところなんですから、私がいま言ったように、住民の不安を取り除き実害をなくし、そして火災の危険から防護してやるという意味では、草は原則として全部刈る。大した予算ではありませんから、ぜひやっていただきたいと思うのですが、総裁どうですか。
  75. 高木文雄

    高木説明員 率直に申しまして、いままで余り承ったことのないお話でございますので、全国的にどういうことになっているのかよくわかりません。よく研究してみたいと思います。  おっしゃるように、そういうところが非常に問題があるわけですが、またどういう仕組みでやるのが能率的か、効率的か、こういう状態でございますので、同じやるにいたしましても、なるべく少ない経費でいい効率を上げる方法というようなことも考えなければいけませんと思います。いろいろ勉強いたします。
  76. 原茂

    ○原(茂)委員 いろいろ勉強して、やっていただけますよね。勉強しっ放しじゃだめですからね。勉強して、やれることはやってもらわなければだめですよ。どうですか。
  77. 高木文雄

    高木説明員 何分長い線路が全国に張りめぐらされておりますので、どういうふうにしたら、うまくいくのか、その手段、方法、効率的な方法があるのかどうか、それによって判断をさしていただきたいと思います。
  78. 原茂

    ○原(茂)委員 ぜひやっていただかないといけないと思いますので、お願いをいたします。これは早急にお願いをしたい。現に五月十九日に、火災が飯田線にあったのですから、この問題はぜひ検討してやっていただくようにお願いして終わります。  最後に、国鉄の赤字対策について、時間がありませんから、そう具体的なことは言えませんが、大臣と総裁でいいと思いますけれども、簡潔に……。  いま言われておるような組合からも提案があります。当局も再建案大変りっぱなものを出しておる。これも一応勉強させてもらいました。結構だと思う。私は、そういう前提を踏まえながら、なおこんなことはどうですかねというふうなことを考えているのですが、赤字対策という大きな枠の中で考えていったらどうだろうというのを一つ、二つこれから申し上げてみます。  一つは、国鉄貨物輸送量というのが、もう一二、三%にいま落ちてきておるんですね。これは私の前からの持論なんですけれども、国の空気をされいにする、公害を防ぐというようなことから、五十三年規制だ、何規制だといって自動車の排気ガス規制がやかましく言われていますが、思い切って、国の立場で検討をして、長距離輸送に関しては鉄道を使う以外いけないというくらいにしなければ、単に貨物輸送のことだけ言うのじゃないのですが、どんなに規制をして完全にしたって、ガスがゼロになるわけじゃないですから、したがって、長距離輸送というのは鉄道による、中距離以下のものはトラック輸送もよろしいというくらいな、交通に関する基本的な問題を一つ考えていくことも大きな意味でやっていかないといけないのじゃないか、二つの意味から、というのが一つです。  これに対して大臣どうお考えになるか。ぜひそういうことをやる時期が来ているのじゃないか、こんな狭い日本の中で、どこまでも、北海道から九州までトラックですっ飛んだ方がいい、これは確かにそうでしょうが、どんなに規制したって公害をまき散らしておるんですよ。これではとめどもない。地球全体だって、近いうちに死に体になるというんでしょう。こういう状態を考えますと、トラック業者に怒られるかもしれませんが、長距離輸送に関しては鉄道を使うのだということが体系としてできていいのじゃないかということを私は一つ考えます。これはいかがでしょうか。     〔森下委員長代理退席、委員長着席〕  それからもう一つは、自動車重量税ができたときに、あれは単に道路に使っていいということだけでできたのじゃないというように私は記憶しておるのですが、地方自治体が、地方自治体住民のために鉄道をこうしてもらいたい、赤字だからやめてもらいたい、いや、やめてもらっては困る、バスが赤字だというなら、バスも生かしてもらいたいというような、非常に範囲の広い自治体の選択によって、あの自動車重量税の地方配分というものが使われていい、使わるべきだという趣旨で重量税が創設されたように私は記憶しておるのですが、もう一度これを検討して、いまのように無条件で道路に道路にと使っておるような、あの状態の再検討をして、自治体の輸送交通で困っておるところとの関連で、もう一度これを検討する必要があるのじゃないかというような気がするのですが、高木総裁のように、重量税を全部——全部じゃないけれども、こっちにもらいたい、こう言ったら、大蔵省その他から袋だたきになったようなことを新聞で見ました。これも一案でしょうが、もうちょっとさかのぼって、重量税のできたあの当時のいきさつを検討してみていいのじゃないかという気が私は一つするのです。  それから、これは去年の一月十日ですか、行管庁が運輸省に対する勧告を出しましたね。国鉄未利用地の総点検、こいつをやって、むだを排除して赤字対策の一環とするようにというので、去年の一月十日に行管から出ました。あれは一体行管の言うとおりに点検をしたのでしょうか。した結果、何が出てきたのか、そのことをお伺いしたいし、ぜひあれをやっていけば、いま国鉄にはずいぶんありますよ。私の住んでいる地域だって、構内にこれはむだだなと思うところがずいぶんある。したがって、こういうものを完全に処理していけば、赤字対策の大変大きな柱になるだろうというふうに考えます。そういうことをどうお考えになっているのか。実施できるかどうか、御検討願った結果をお答えをいただきたいと思います。  それから、これは藤井さんが前に言ったと思うのですが、どうも国鉄の運賃は安過ぎるのだ、一般物価の上がっていく率から言えば、いまの運賃は三分の一ぐらいだ、したがって物価の上昇と同じ率にやってくれれば一年、二年の間にいまの赤字なんかすっ飛んでしまうのだ、こういう御意見を大胆に前の藤井さんはおっしゃっていた。いままで法定主義で値上げを抑えてきたのが、今日国鉄をこうさせた原因なんだから、至急に法定主義をやめてもらいたいし、同時に一般物価の上がるのと同じように運賃の値上げを同じ率でやってもらいたいものだ、こうすれば、もう一挙に解決するのだという大胆な発言を藤井さんはいつかしたと思うのですが、これは高木さんはどうお思いになりますか。これに対してお答えをいただきたいと思います。  それから、つまらないことのようですが、日米安保が現に存在しているわけですが、在日米軍の国鉄におけるいわゆる特権というものが、まだ明記されているのですね。これは一々条章を言う時間はないようですが、安保そのものは一次、二次、三次の改定があったのですよ。ところが、在日米軍の日本の鉄道に関する特権に関しては何ら変更が加えられないで、今日その条章が生きていて、ずいぶんおもしろいのがその条章の中にあるのです。着駅における輸送将校は、車扱い貨物に対し指図を行うことができるとか、大変な権力を持っているのですよ。旅客国鉄に対し、所定の運賃、料金を自費で支払った手荷物に対する託送取り消し、発着駅の指図を要求することができるというようなのがいっぱいあるのですね。これは全然改定されてないのです。  安保はずいぶん手がつけられてきたのだけれども、これに関しては何も手をつけていないというのは矛盾じゃないかと思うので、こんなことも、彼らに対する特権などを改めさせながら、これは非常な権限上の問題で、独立国家として国の大問題ですから、その問題と同時に、彼らに与えられているその他の特権も整理すれば、赤字対策の一つになるのじゃないだろうかというのが一つ。  最後に、これは大胆な言い方かもしれませんが、あるジャーナリストが提案していましたように、赤字があって困るなら国鉄の本社を売ってしまえ、そして大崎でも汐留でも行ったらいいじゃないか。汐留なんか、あんなにあるのですから、やがて何とか整理しなければいけないのだから、あそこにでかいのをつくって、貸しビルを兼ねながらやったらいいじゃないか。貸しビルを兼ねるなんと言うと、国鉄が営業するのにはまたいろいろな規制があって、何の条項に対してどうのこうのとあるのでしょうが、そんなのは改めればいいのですから、本当の赤字対策としたら、あんなところに本社がいなくてもいいのじゃないですか。  三千何百人もいる東京駅のそばだから、現場に近い方が仕事がやりいいのだ、本社というのは近い方がいいのだと言うかもしれませんが、何も汐留だって大崎だっていいじゃないですか。あそこを売り払って、そして汐留の改装をやりながら大崎に持っていくなり何かすれば、二千億や二千五百億、素人が計算しても出てくると思うのです。そういうふうに思いますが、そんなことをおやりになる気がありますか。
  79. 高木文雄

    高木説明員 未利用地を活用することは、ぜひやらなければいけないことでございますし、いままでに最近の仕事のやり方について各担当から報告を受けております段階で感じております印象では、最近に至りまして、かなり馬力をかけてやっておるということは言えると思います。ただし、それがすぐにことし、来年の営業外収益という形ではね返ってくるようなものが、なかなか見つからない。たとえば国鉄が持っております土地で、無償で都道府県市町村等にいろいろ公益的な目的のために、ずっと昔からお貸しをしている土地というようなものがあるのでございますけれども、これは一体このままでいいのかどうかということは一つ問題があるのですが、現在御存じのように府県市町村も決して財政状態がいいわけではありませんので、その状態を変えるということも、現実的にはなかなかむずかしいというような問題もございます。  それから、ちょっとお触れになりました汐留の土地なんかの問題につきましても、これは有効利用を何か考えなければいけないわけでございますが、同時に、実はまだ熟しておりませんので、一般に詳細に御説明いたすところまでは至っておりませんが、国鉄自体として、これを利用する計画が内々だんだんできてきておるわけでございまして、それを将来計画と関係なく処分してしまうということは、将来においてほぞをかむことになりますので、区分けをして国鉄自身がぜひ使いたいという部分と、その場合にも国鉄が別に持っていなくてもいい部分と分かれてまいると思いますのでだんだん利用区分を確立しつつやっていくということであろうかと思います。  確かに基本的な考え方としては、ただ料金を上げるということではいけないわけでございまして、大変多くの未利用資産を持っておりますので、その活用を図るということは大事でございまして、昨年の十二月の末に閣議了解をいただきました再建要綱でも、そのことは重要な柱として掲げられておりますし、私どももそれに沿っていきたいと思っておりますが、ただ、見ておりますと、これはかなり時間のかかる話でございまして、五十一年度あるいは五十二年度の全体で一兆を超えるような赤字を埋めるのに、直ちに役立たせるということには、なかなかつながらないように思っております。  いまの東京駅の問題とか汐留の問題というのは、確かに計算上は大きな金額になりますが、現実にさて、それをどこに移すかとなりますと、なかなか時間もかかるわけでございまして、五十一年度、五十二年度収入につながるという状態にはなかなかなりにくいということでございます。しかし御指摘のように、基本的に重要なことでございますので、今後とも、すぐにつながらないからといって、それを軽視するのではなしに、長期的に見れば、それが非常に収支改善に役立ちますので、やってまいりたいと思います。  それから、安保条約との関係でいろいろなことがあるという御指摘でございましたが、これはちょっとまだよく勉強いたしておりません。しかしその点は、収支の問題もありますし、また本来のスタンスの問題としても、私ももっと勉強をいたしてみたいと思います。  それから料金、運賃を二倍まですれば、うまくいくのだということでございますが、今回お願いしておりますのは、御存じのように名目で五割程度の値上げをお願いいたしておるわけでございまして、さらにその後どうするかということは、来年度にかけての懸案事項として運輸省中心に御検討をいただくことになっておりますが、計算上は、確かに消費者価格が戦前に比べて大変上がっておるのに比べますと、運賃、料金はそれほどは上がっていないということで、二倍に上げましても過去の物価上昇率から言えば、まだそれほど高いものだということは言えないと思いますが、いまや国鉄は一方において独占的性格をだんだん失ってきておりまして、競争相手があるわけでございますので、余り無理なことはできない。  お客様に御迷惑をかけるということのほかに、つまり商売といいますか営業といいますか、そういう見地から言いましても、そう幾らでも上げられるというものではないと思われますので、昨年国鉄として意見広告をいたしました当時に、今日の段階で二倍に上げても、そうおかしくないのだという意見広告をいたしてはおりますが、それを現実の施策として、そこまでやるべきかどうかは、なお相当慎重に検討しないと、逆にお客さんが減る、あるいは貨物の利用者が減るという心配があるわけでございまして、今回五割値上げをお願いしました後、どういうふうにしてどの程度に料金、運賃を改定しながら、また他の方法を取り入れながら赤字を埋めていくかというのは、もう少し考えなければいけない問題だというふうに思っております。  それから、自動車重量税の問題につきましては、私自身大蔵省におります時分に立法に関与をいたしたことがございまして、確かにいま御指摘のようなお考え方、自動車の利用者から負担を求めて、そしてこれを国鉄の方の鉄道輸送の方の建設なり、あるいは経営改善に回すべきだというお考え方が、当時きわめて有力意見としてあったことも事実でございます。しかし、一方において、また重量税の審議の際に、大変あの法律の審議は長時間を慎重にやられたわけでございますが、その過程において、自動車の利用者に特に今回追加して負担を求めるのについては、その負担といいますか、から出てくるところの新しい財源を、やはり自動車関係の利用者に還元するように利用すべきだという意見も非常に強く出たわけでございまして、さればこそ、その問題も含めて、総合交通体系のあり方を検討するということで検討が行われたわけでございますが、余り明快な結論が出ないまま、今日に至っておるわけでございます。  その後、財政事情もいろいろ変わっておりますし、国鉄の収支の悪化状態もまた変わってきておりますから、当時どのような議論があったからということだけで直ちにその重量税の使い方について、もう少し国鉄のことを考えてほしいということを申しましても、なかなか簡単には多くの方の御支持を得られない状況にはありますが、しかし私も、ぜひともこのエネルギー問題が深刻になってまいりましたといいますか、油の値段が四倍にも上がりましたという状態を前提に考えますならば、いろいろと油資源を大事に使わなければいけないということとの関連から、国鉄の利用と道路の利用とをどう調整していくべきかということについて、また改めて識者の間で御議論いただきたいものだということを、いわば個人的な考えとして現在の段階で考えております。しかし、それはなお私自身ももう少し勉強いたしました上で、何かそういった議論を多くの方にしていただくような雰囲気をつくってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、現在は大変な赤字でございますが、それを全部運賃、料金だけで解決ということは、とうてい期待できないわけでございますけれども、今回の程度の値上げだけは、ひとつお願いをいたしたいということを、重ねてこの機会にお願いする次第でございます。
  80. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄の赤字対策に関連いたしまして、いろいろ献策を含めての御意見でございましたのですが、いま国鉄総裁がお答え申し上げましたことに、なるべく重複しないように御答弁申し上げたいと思いますが、私は、いまの国鉄の赤字対策を考えます場合に、前提となる問題をやはりきちんとしておいた方がいいんじゃないか。それは何かといいますと、国鉄に、公共企業体でございましても、要するに鉄道事業でございますので、鉄道事業という交通事業の経営というものは、どういう状況を基礎にして考えるかということを十分認識していくべきではないか——どういうことを私が言おうとしておるかといいますと、国鉄はいまの運賃ですと、人件費も全部は払えない、そういう鉄道事業というものは本当に変則的なものでございますから、その辺が少なくとも運輸収入でもって経常経費、これはもう全部賄える、こういうことが前提で、さらに赤字が出る場合には、どうしたらいいかというようなことを考えませんと、いまのような人件費すら全運輸収入をつぎ込んでも、まだ払えないという実態を前提で赤字対策をどうやるかといっても、それは私は適切な赤字対策は立たないという感じがいたします。  今回も五割という非常に大幅の運賃値上げを含めた再建案を立てましたのも、実は鉄道事業というものの基礎をここではっきりいたしたい、その上に立って赤字対策というものをやるべきであるということの理解を、国民の皆様にひとつ理解をしてもらってやりたいという気持ちがあるわけでございます。  そこで運賃問題は、内部から言いますというと、人件費も払えないというふうな運輸収入ではいけない。やはり人件費、物件費を含めました、修繕費も含めました経常経費くらいは賄える運賃にしたいということが一つと、それから他の交通機関との関連において、いまの運賃はどうかということも考える必要があります。これはやはり、長距離輸送等の問題お触れになりましたが、他の交通機関との輸送分野の問題にも関連をしてまいりますが、他の交通機関の運賃との比較も考えますというと、国鉄がいま一キロ五円十銭、同じような私鉄で、いろいろ差はありますが、十四、五円から二十円というふうに、三倍あるいは四倍に近いのが他のいわゆる民営鉄道の運賃、これは余りにも格差が多過ぎるというふうな点も、やはり正常ではないという一つの理解の根拠になると思うのでございます。  そういう意味から言いますというと、今回五割値上げをいたしましても、藤井総裁が倍上げれば何とかなると、こう言っておられたのは、私はもっともなことでございまして、五割でもなお十分な、健全な鉄道事業としての経営の基盤は、これではまだ確立できない、かように考えておりますので、今回の二年にわたります再建の案の中におきましても、第一年目で五割の運賃改定をお願いし、二年目はどの程度になりますか、実態を見た上で、また、いま総裁が触れましたような他の交通機関との競争の限界等もございますから、それらを勘案して考えなければなりませんけれども、少なくとも運輸収入は、いまの倍に近い運輸収入を確保した上で、その後において国鉄の経営というものを考えるのが最も正常な基礎の上に立っての経営の対策が立つのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、貨物の自動車と鉄道の輸送の問題で、長距離は鉄道によるべきではないか、近距離をトラックにというふうに何とかならないかという御意見でございますが、私もその大筋には賛成でございます。そして、いまの実態も大体そういう実態になっておりまして、三百ないし四百キロというところを限界にいたしまして、それ以内が自動車、それより遠いところは、おおむね鉄道というふうに言われるわけでございます。これも強制力をもってそうやるということは、これはやはり輸送統制、統制経済のもとではできますけれども、自由経済、自由主義の立場をとっております現状では、やはり行政指導あるいは運賃政策、そういった誘導行政でもってなるべく長距離には鉄道、近距離は自動車ということをやっていくように心がけなければならないと考えておるわけでございます。  それから自動車の重量税の問題は、総裁が触れましたのですが、これが設定されましたときの経緯から言いまして、大体四分の一程度は自動車関係以外の交通機関の施設にということで、おおむねその程度の配分をやっております。もっとも、これは一般会計でございますから色はついておりませんので、たとえば国鉄関係に幾ら行ったか、あるいは私鉄に幾ら行ったかということは、必ずしも明白ではございませんが、そういう趣旨で現在も配分をいたしておるわけでございます。  あとは国鉄総裁が申し上げましたことで、私の答弁は以上にいたしておきます。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  82. 村山達雄

    村山委員長 庄司幸助君。
  83. 庄司幸助

    ○庄司委員 先ほど来国鉄の赤字問題、運賃値上げ問題が論議されておりますので、私も関連して質問いたしますが、一番最初のやりとりを聞いておりますと、何かどうもストライキの問題だけが出てきて、ストライキだけが赤字の原因のような印象を与えがちなんです。一体四十八年度の累積欠損約一兆六千億円、これは人件費だけが赤字の原因なのか、その辺まず伺ってみたいと思うのです。
  84. 木村睦男

    木村国務大臣 先ほど来ストライキだけが赤字の原因のように言っているとおっしゃいますけれども、そうは申しておらないわけでございますので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  過去の累積の赤字は、いかなる原因でこうなっておるかというお話でございますが、三十九年以来赤字に転化いたしまして、累積債務も七兆円、累積赤字が三兆一千億というのになりましたのは、やはり一つの大きな理由は、先ほども触れましたが、そのときそのときに適切な運賃改定が実現しなかったということが一つございます。  それから過去十年の間に高度成長経済があったわけでございますが、予想以上に物件費と人件費が上がってきた、ベースアップも毎年相当な率で上がってきた、やはり経費が非常にふえてきたということが赤字経営の大きな原因になっております。  それから、日本全体の輸送の体系が変わりつつあるわけでございますが、特に貨物輸送等につきましては、その輸送の体系に対して十分即応するだけの対策が立てられてこなかった。先ほども触れましたように、貨物の輸送のシェアが一三、四%に落ち込んだという大きな原因の一つに、そういうことがあろうかと思うわけでございます。  それに加えまして、過去しばしば行われましたいわゆる違法スト行為によりまして、その行為自体による減収はもちろんのことでございますが、従来、特に貨物につきましては国鉄に委託すれば的確に輸送してもらえるということで、いわゆる信用度が非常に高かったわけでございますが、たびたび違法ストあるいはそれに近いサボタージュ行為によって、特に貨物は鉄道離れが起きてきたということも一つの原因になっておるわけでございます。  もろもろのそういう原因が競合いたしまして、膨大な過去の累積債務を抱えて、破算寸前と言うよりも、もう破算状態になっておるという今日の国鉄の現状と相なったわけでございます。
  85. 庄司幸助

    ○庄司委員 四十八年度決算で見ますと、新幹線の投資が約四千五百億、これは累積で新幹線投資何ぼになっていますか。——時間がもったいないですからね。そんなことぐらい一口でぱっと出てくるぐらいの問題点じゃないですか。  この新幹線の投資、これがどんどんやられてきた。しかし運賃が、それに伴わなかった側面が一つあるのだろうと思うのです。しかし、それはそういう運賃が上がるか上がらないか、これは国会で決める問題ですから、そういうことも考えないで新幹線投資をどんどんやってくる、在来線に対する投資は余りない、そういう中から私は資本的経費の問題が、利息の支払いにしても、その他の問題にしても出てくるのだろうと思うのです。  もう一つ申し上げたいのは、先ほど会計検査院の指摘もあるわけですが、あなた方人件費人件費とこうおっしゃっておりますが、物件費の問題ですね、たとえば今度の指摘では、一四七号の問題で、浜松町周辺の変電所の問題で請負業者から提出させた見積もりを予定価格積算に採用した、こういう指摘をされておるのです。大体請負業者予定価格を算出させるなんて、ばかな話はないとぼくは思うのです。あなた方はこういうことを毎年指摘されて、たった一言、決算委員会で大臣が、指摘されたことは、まことに遺憾である、これを毎年繰り返しているのです。きのう通産省の大臣の概要説明の中では、わりと詳しく、こういうことについては、こういうふうに遺憾であった、こういうふうに改善したいと思いますと、一応それぐらいのことは言っているのです。あなたは、たった一言、指摘されたのは遺憾でございます。ですよ。検査院が指摘した国鉄事項だけでも相当なものでしょう。一番多いのです。こういった会計検査院説明というのは、氷山の一角じゃないかと私は思っているのです。  それで、おたくの方の随意契約の問題を一つ伺っておきますが、国鉄の随意契約というのは、一体金額にして何ぼ以下のものがなるのですか。
  86. 村山達雄

    村山委員長 庄司先生、先生の質問予定に国鉄関係が入っていなかったものですから、担当官がいま帰ったようでございます。
  87. 庄司幸助

    ○庄司委員 だけれども、国鉄の方の赤字対策を一生懸命おやりになるというのでしょう。それが運輸省でそういったことぐらいわからないじゃ話にならないのじゃないかと思うのです。赤字の対策をやる、だから、あなた方しきりに人件費人件費とおっしゃっているから、物件費の問題で私は聞いている。この問題も掘り下げてみないと、赤字対策にならないでしょう。そして、しかもこういう指摘事項がたくさんある。その中には業者に予定価格をつくらせた、こういう問題も含まれているのです。特に国鉄は随意契約が非常に多い、こう言われているわけですから私聞いているのです。これは国鉄の赤字対策の一つとして、どうしてもメスを入れなければならない部分だと私は思っているものですから、それを聞いているのですが、おわかりにならないとなると、これは困ったものだと思うのですが、その点大臣どうですか。
  88. 住田正二

    ○住田説明員 先ほどお尋ねのございました新幹線にどれぐらい投資しているかという点について申し上げますが、現在営業いたしております東海道、山陽線の投資額の総計が一兆二千七百億円でございます。そのほか現在工事中の東北新幹線、上越新幹線がございますが、東北新幹線では五十年度までに四千六百億、それから上越新幹線では三千二百億、すでに投資をいたしております。  それから次に、随意契約の占める比率でございますが、随意契約の対象になりますのは工事とか、あるいは物件の購入、いろいろあると思いますが、工事で申し上げますと、四十八年度の実績で、金額では競争契約が二千百八十三億円、それに対しまして随意契約が五百二十五億円ということで、随意契約の率が一九・四%でございます。これは工事に関するものでございます。物件の方はちょっと手元に資料がございません。
  89. 庄司幸助

    ○庄司委員 金額は何ぼ以下が随契ですか。
  90. 住田正二

    ○住田説明員 随契の場合は予定価格が百五十万円以下ということになっております。
  91. 庄司幸助

    ○庄司委員 それは物品購入だけではなくて、工事についてもそうなんですか。
  92. 住田正二

    ○住田説明員 いま申し上げましたのは、工事についての話でございます。
  93. 庄司幸助

    ○庄司委員 それが百五十万以下、これは随意契約だ。しかし、実態を見ると、大分その金額をオーバーしたものが随契の内容になっているというふうに私はときどき聞かされるのですが、この随意契約の工事名、それから請負業者、それからその金額、これは四十八年度だけでも結構ですから資料として出してもらいたいと思うのです。どうですか。
  94. 住田正二

    ○住田説明員 先ほど四十八年度の実績で、金額で一九・四%と申し上げたわけですが、件数にいたしますと四十八年度で九万四百七十二件、四十九年度で九万七千百六件という非常に膨大な件数になっておるわけでございます。金額が非常に安いものでございますから、件数として非常にふえるということで、これだけの件数について、一々請負業者の名簿をお出しすることは非常にむずかしいのではないかと思います。
  95. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは運輸委員会でも、たしか資料要求したんだけれども、なかなか出してもらえないという話があるのです。  それから、さっきの数字の二千百八十三億円と五百二十五億円ですか、これは合わせると二千七百億円ぐらいですね。四十八年度新幹線工事だけでも四千五百三十一億円もの投資をしたという報告ですが、これはどの分の数字なんですか。
  96. 住田正二

    ○住田説明員 手元に細かい資料がないわけでございますが、先ほど申し上げました競争契約あるいは随意契約の件数及び金額は、四十八年度に契約をいたした分でございます。  それから、先ほど御指摘のありました四十八年度新幹線の数字等は決算の数字だろうと思いますので、その間にギャップが出ているのではないかと思います。
  97. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは数字が全然合わないのです。  それで、きょうは時間の関係でこの問題はやめますけれども、人件費人件費と、こうそれだけ責めるだけが能じゃないだろうと思うのです。やはり物件費の問題やら契約のあり方の問題やら、この辺に抜本的なメスを入れる必要があると思うのです。これは検査報告に出ているとおり、検査対象になった個所だけだろうと思うのですよ。それだけでも、予定価格積算請負業者に出さしたとか、後は新幹線総局の問題になると、もうでたらめきわまりないですよ。鉄筋が表面に露出しているとか、配筋個所の位置からずれているものもあるとか、粗雑な柱材はり材あるいは薄い素材のアスベストの合板が使われたとか、これを見ると、ほとんど無法状態みたいな感じがするのです。  だからその点で私は、国鉄の再建というからには、もっと工事請負の問題、この点に厳重なメスを入れて国鉄経費を節減する。運賃を上げるだけが能じゃないだろうと思うのです。その辺も厳重にひとつ監査を実施してもらって、その上で、ひとつ赤字対策をやっていただきたいと思うのです。  それから後は、新幹線投資が約二兆円ぐらいになっているわけですが、これは国民の国鉄ですからね、これについては国が一般財政からもっと負担してもいい問題もあるのですけれども、そして国鉄自体の利払いの軽減を図るとか、あるいは貨物運賃の問題にしても、体系上の問題がやはりあると思います。  私の地元のたとえば仙台湾の臨海工業地帯、仙台新港ができました。陸前山王の駅から、この臨海工業地帯まで引き込み線が敷かれました。これは当然工業地帯に張りついた企業の負担でやられるものだと思っていたら、あにはからんや地方自治体からまで出させる、赤字赤字と言っている国鉄からまで出しておるのですね。こんな理不尽な話はないだろうと思うのです。こういった引き込み線の問題、あるいは貨物の運賃が一体高いのか安いのか、赤字は貨物の方に発生している、こういう話も聞いております。ですから、こういう問題まで含めて検討していただかないと、われわれは、あなた方がせっかくいわゆる再建対策を出されても、なかなか信用できないという問題があるのです。これは要望だけしておきます。  一言だけ、私、運輸大臣に。  会計検査院の指摘ですね、これについてさっきのように、ただ遺憾でございますの一言だけでは、私は決算委員会通らないだろうと思うのです。もう少し具体的な、私が先ほど申し上げたような事例もあるわけですから、決意を申し述べていただきたいと思うのです。
  98. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄は非常に多額のいろんな工事を当然やっておるわけでございますので、その工事に当たっては御指摘のように、厳正にこれを行わなければいけないことは当然のことであるわけでございます。今回も四十八年度決算の中で会計検査院から指摘された事項があるわけでございますが、こういうことのないように今後も絶無を期して、厳正に、慎重に工事は行わるべきであるということで、私たちも国鉄に対する監督を厳重にいたすつもりでございます。指摘されました各個の事項につきましては、会計検査院の方へもそれぞれその処置については報告をいたしておりますので、いま私はここにその資料を持っておりませんが、また別の機会に担当の方から個別的な処理の状況を御報告をさせたいと思っております。
  99. 庄司幸助

    ○庄司委員 それから国鉄職員のボーナスと臨時国会の関係が論議されましたが、これはもう先ほど来の議論は重複を避けますが、何か臨時国会を開いてもらわないと、ボーナス出せないというのは、国会に対する私は脅迫みたいな感じがするのですがね。  ボーナスは当然これは予算に組んであるはずですから出さなくてはならない。それは臨時国会を開かないとボーナス出せないという結論になると、国会はこの間百五十日の会期であれは審議未了になって、これは継続審議になったわけですが、これは国会の権限から言えば、国会の判断であれは審議未了になったわけですから、何か国会が悪いんだというような印象を与えられたんじゃ国会が困るのです。これは運輸大臣も国会議員の一人でありますから、また閣僚の一人でありますから、その辺国会をひとつ脅迫しないようにしていただきたいと思うのですが、その点どうですか。
  100. 木村睦男

    木村国務大臣 私が仮に国会を脅迫いたしましても、思うとおりにならないことは御承知のとおりでございます。申し上げておりますのは、脅迫とかそういうことではございませんので、今回六月十五日に払う国鉄のボーナスの財源をどうやって確保して払い得るかという道をいろいろ御説明を申し上げたわけでございます。  予算に組んであるから金が出せるんだ、こういうふうにはまいらぬのでございまして、予算は数字を組んだのでございまして、その予算の中の支出に該当する裏づけの収入予算に組んでおるわけでございますが、その収入の裏づけが、実は今回の再建法案が通り、これが実施されませんと裏づけがないわけでございます。したがって、今回この法案が継続審議になっております。つまり、いまだに実施をされておりませんので、裏づけがないものですから、資金のやりくりをやっていかなければならぬ。資金のやりくりをやっていくためには、国鉄はそうでなくても赤字でございますし、さらに運賃改正がおくれておりますので、その分を経費を削って収支を合わさなければなりません。  そこで物件費でありますとか、工事費でありますとか、そういったところを、これからしばらく削りながら耐え忍んでいかなければならぬというときでございますから、片一方で支出の方を削るということは、収入が予定どおり入らぬということでございますので、現状で運輸収入がございますけれども、それは人件費なり物件費なりへ、あるいはその他に回さざるを得ないという状況のもとで、新たにボーナス分の財源を資金繰りとしてどこからか借りてこなければ、これは払えないわけでございます。その借りる先は大蔵省でもあるわけでございますが、しかし国鉄が、こういうふうな資金を借りる場合には、返還計画というものがないと貸してもらえないわけでございます。  そこで、その返還計画が、いまの国鉄に立つかといいますと、それだけの金を借りて返すためには、国鉄がこれから五十一年度中どういうふうに収入があって、そしてどういうふうにそれが経費に分かれて使われていくかという、この全体の姿が決まりませんと、返還計画が立たないことは御理解いただけると思うわけでございます。  一体これから国鉄が、どれだけの収入で賄えるかということのためには、現在御審議をいただいておる国鉄の再建計画、その中には運賃値上げという収入増の問題もございますし、過去債務のたな上げによる補助金の交付というものも両方あるわけでございます。これらが相まって国鉄の今後の経営の見通しが立つわけでございます。したがって、これがいつから実施されるかという見通しが少なくとも立ちませんと、資金繰りができないという関係にあることを申し上げておるわけでございます。  したがって、できるだけ早く再建法案を成立をさせていただきたい、そのための臨時国会をできるだけ早く開いていただきたい、こういうことを申し上げておるのでございまして、脅迫をしておるとか、そういうことではないことは申すまでもないことでございます。
  101. 庄司幸助

    ○庄司委員 だから、それは国鉄当局と大蔵省、あるいは運輸大臣も絡みますが、それから政府、この間の才覚だろうと思うのです。国会を開く、開かないは総理大臣の腹で決まるわけですから、それはあなた方の問題なんですね。だから、われわれの国会に対して、国会を早く開いてくれと言ったって、総理大臣が開く気がなければ、これは開けないわけですから、それはあなた方内部の問題じゃないですかと私は言っているのです。  それからもう一つ伺いたいのは、臨時国会の話がありますが、ロッキードの真相解明との関係なんですね。検察庁は、国会が閉会になって、今度はいわゆる議員の不逮捕特権がなくなった、だから捜査がやりやすくなったという時点に立っているわけですね。それをまたまた真相解明の最中に、検察庁の努力が払われている最中に臨時国会が開かれれば、また不逮捕特権が出てくる、あるいはまた捜査がやりにくい。これは参考人として呼ぶにしろ、事情聴取をやるにしても、やりにくい情勢が生まれることは間違いないと思うのです。  その点で大臣は、運輸行政の問題でこれは非常に疑惑があるといわれておりますので、この疑惑の解明ですね、大臣がまず率先してこの疑惑を、運輸省部内の問題を、国会や国民から受けている疑惑を積極的に解明していくのが、また臨時国会をあるいは開かせる、こういう一つの機運にもなるかと思うのです。  ところが、運輸大臣のきのうの特別委員会での御答弁を聞いておりますと、四十四年とか五年とか六年とか、あの辺の運輸省の行政指導の問題でいろいろ質問される。ところが、それについてはどうも調べようがない、こういう御答弁をなすったようですが、これじゃ運輸大臣としてのロッキードの真相解明の熱意がないのじゃないかと言われても、やむを得ないのじゃないかと思うのです。  その点、きのうの特別委員会で論議された、いわゆる行政指導の問題、調べてみてもわからないだろうなどと言わないで、これを徹底的に調べる、そして一刻も早くあのロッキード問題の真相を解明する、これが三木内閣の一つの政治的な責任でもありますから、いまのこの行政指導上のわからないとおっしゃっている問題、これを解明なさるため、あなたが積極的な指導をなすって、とことんまでやる御決意があるのかどうか、これをひとつ伺いたいと思います。
  102. 木村睦男

    木村国務大臣 ロッキード問題は、これは徹底的に究明して責任の所在も明白にして、政治の不信をなくさなければならぬということは、私も閣僚の一人として、また国会議員の一人として、そのように考えておるわけでございます。一面、私は運輸省という所管行政を預かっておる責任の大臣でございますので、いまいろいろと御心配をいただいております国鉄の再建問題、これをほうり出してやるわけにはいかないわけでございますので、そこで、臨時国会の早期開会というふうなことも、そういう観点から政府部内において私は主張をしておるようなわけでございます。  また、ロッキード問題で運輸大臣の所管に関する事柄につきましては、予算委員会あるいは現在開かれております特別委員会でも答弁をいたしておるわけでございまして、過去のことでございますから、いろいろ調べてもはっきりしない点も確かにあるわけでございます。しかし、それは調べないでおいてわからないと言っておるのではございませんので、調べてはみても、どうもはっきりわからない点があるということを率直に申し上げておるわけでございますが、なお、そういう点は引き続き十分調べたいと思います。  また、きのうあたりも議論が出ておりました行政指導の問題も、行政指導をやったかどうかわからぬという問題ではございませんので、行政指導はちゃんとやっておりますということは、はっきりいたしておるわけでございまして、いろいろな細かい点で調べても、まだ十分はっきりしない点がありますということでございまして、行政指導の内容そのものにはっきりしない点があるというのではございません。これは明確でございます。  それから行政指導そのものも明確にいたしておるということも明確になっておるわけでございます。ただ、そういう意思の伝達をだれがやったかとか、相手はどういう、何という人間に意思の伝達をしたとか、そういう問題については調べておりますけれども、なかなかはっきりわからない点がございますというふうなことであるわけでございまして、行政指導の内容その他が明確でない点がございますということではございませんので、もしも誤解がございましたら、お解きをいただきたいと思います。
  103. 庄司幸助

    ○庄司委員 その点でひとつ、だれがだれに伝えたか、これも徹底的に調べればわかるわけですから、その努力を一層強めていただきたい、これは強く要望しておきます。  それで、いよいよ本題に入るわけですが、私は、五月の二十八日に、北洋のサケ・マスB区域で釧路管内の厚岸町の中型流し網漁船が船火事を起こして六人が死亡した、三人が重軽傷を負ったという問題をひとつ掘り下げてみたいと思うのです。  この死傷者は、宮城県本吉郡唐桑町の藤野政治さん五十七歳、それから本吉町の佐藤市郎さん三十五歳、岩手県大船渡市の藤田秀治さん三十八歳、それから宮城県気仙沼市の森田章三さん三十一歳、本吉郡歌津町、最知茂男さん四十一歳、それから本吉郡唐桑町の千葉克幸さん三十六歳、これら六人の方が不幸にして亡くなったわけです。それから負傷者は、同じく宮城県気仙沼市の亀谷克己さん、同じく気仙沼市の村上治さん、同じく斎藤勇治さん四十歳、これらの方々が死亡されたり、あるいは負傷されたわけです。  これは何か釧路の海上保安庁の調べによると、という新聞記事ですが、昨年もサケ・マスシーズンには五件の漁船火災があって、うち一隻で一人が死亡した、一昨年も一人の死亡者が出た、こう言われているわけです。  こういった漁船の船火事やら、あるいは転覆やら、座礁やら、いろいろ起きているわけですが、今度の藤栄丸の問題でも、海上保安庁が事故の原因の調査をなすっているだろうと思いますが、その原因、わかったのかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  104. 間孝

    ○間説明員 お答えいたします。  今回の事故は、ただいま先生お話しのございましたような中型のサケ・マス流し網漁船の第二十一藤栄丸が根室の東方約千百七十海里の海上で、後部の船員室の上にあります食堂付近から火を出したものでございまして、たまたまそのときに船員室には十一名が仮眠中でございましたけれども、そのうちの六名の方が逃げおくれて救出できず、亡くなったという事件でございます。  これにつきましては、現在私どもの出先の保安部におきまして、その原因の調査に当たっておるわけでございます。まだその詳細な海難の原因につきましては、まとまる段階に至っておりません。ただ、現在まで判明いたしておりますところを申し上げますと、ことしの五月二十八日午後八時ごろ、食堂の床でスイッチを入れたままになっておりました電気こんろ、これは千二百ワットの電気こんろでございますが、その電気こんろの近くから火災が発生しているというのを、そのとき食堂の下にある船員室におりました乗組員が発見をいたしております。したがいまして、今回のこの火災の発火源は、この電気こんろではないかというふうに推定をいたすことができると思います。  そのほかこの船は、当時漂泊中でございまして、この食堂にはだれもおりませんでした。  そのほか火の気といたしましては、その食堂の壁に取りつけてありました二千ワットの暖房用の電熱器もスイッチを入れたままになっていたという状況がございます。  これらのどれが今回の火災に結びついていたかという点につきましては、現在その調査を進めておる段階でございます。
  105. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、それだけでは、なぜ六人も死んだのかということは、ちょっとわからないのですね。脱出口もある、それから非常口もあったようですが、その点で、新聞報道によりますと、船員室あるいは食堂の壁に有毒ガスを出す新建材を使っていて、煙に巻かれて、煙が原因で亡くなった、こういうふうに伝えられているのですが、新建材を使用していたということは明らかになっていないのですか。
  106. 間孝

    ○間説明員 いま御質問のございましたような点につきましては、まだ私ども報告を受けておりませんので、この段階でお答えを申し上げかねます。
  107. 庄司幸助

    ○庄司委員 二十八日に遭難して、そしてこの船が厚岸町へ引かれて入ってきたのが六月四日のようです。きょうは十一日ですから、六月四日からすでに約一週間たっているのです。新聞にも報道されて、新建材で有毒ガスが出たのではないかと言われているわけですから、保安庁は当然そういう関心を持って、もう一週間たっているのですから、この新建材の問題については調べがついていなくてはならないはずだと思うのです。これを調べていないとなれば、きょうはそれまでですが、新聞報道をひとつ前提に私は考えざるを得ないだろうと思うのです。  その点で、最近漁船の船火事が大分あるのです。こういう観点で、その他消火器の問題もありますから、この漁船、藤栄丸について定期検査もしくは臨検をおやりになったことがあるのかどうか。これを船員労務官担当の局長さんからでもいいし、船舶検査官の担当でもいいですから、ひとつ御報告願います。
  108. 内田守

    ○内田説明員 お答えいたします。  本船は、昭和四十七年の三月に建造された船でございますが、その第一回定期検査は、この四十七年三月に大船渡で行っております。これは船舶安全法の規定によるわけでございますけれども、その後、二年目の昭和四十九年四月に、第一種中間検査を北海海運局の釧路支局において実施いたしております。その次に、昭和五十一年四月に、第二回目の定期検査を東北海運局の気仙沼支局において実施いたしております。
  109. 庄司幸助

    ○庄司委員 検査内容はどうだったのですか。先ほども私は新建材の問題やら消火器の配置の問題やら、そういうことを伺ったわけです。  それからもう一つは、これも新聞報道ですから、海上保安庁の責任ある答えではないのですが、何かどうも寝入りばなをやられた。ぐっすり寝込んでいるわけですから、その人たちが起きて飛び出す余裕もなかったのじゃないかと思うのですが、その点で、漁船員の疲労の度合いの問題で、漁船員というのは魚が回遊してくると、とる一方です。休暇もほとんどない、休養の時間もない。後ぐっすり寝込んで本当に火事に気がつかないで煙に巻かれる。これはやはり漁船の船員の休暇規定の問題もあるだろうと思うのですが、その辺はお調べになっているのかどうか、お答え願います。
  110. 横田不二夫

    ○横田説明員 お答えします前に、一言ごあいさつ申し上げます。  私、六月二日付をもちまして船員局長を拝命しました横田でございます。よろしくお願いいたします。  お答えをいたします。  漁船の労働時間、それから休日につきましては、船員法に基づきまして特殊な扱いがされております。もっともその特殊な扱いをされる原因は、漁船は操業中と、そうでない航海中とによりまして労働の実態が違いますので、一般船舶の規定である船員法の六十条から始まる六章の規定を適用いたしておりません。そのかわりに、船員中央労働委員会の意見を聞きまして、漁船に関する特殊な労働時間及び休息に関する規定を決めているわけでございます。  いまここで問題になっておりまする中型サケ・マス流し網漁業は、いま申し上げました指定漁船に乗り組む海員の労働時間及び休日に関する省令というもので決められているわけでございます。概略を申し上げますと、まず航海中の労働時間は一日八時間以内、一週間五十六時間以内となっておりますが、操業中は休息時間が一日十時間、臨時に短縮する場合におきましても、二日について十八時間以内、こういうふうに制度はできておるわけでございます。  先生のおっしゃいますのは、これが励行されていたのかどうかということであろうかと思うのでございますけれども、今回の出漁の発航前には、本船については立ち入り監査は行っておりません。昨年の四月の出航前に行っておるわけでございます。しかしながら、最近いろいろと御指摘もございまして、北海海運局におきましては、船員法の八条による発航前検査、いろいろな危険防止のための水密の保持、あるいは危険の場合の配置に関する制度が完全に行われているかどうか、いわゆるフライトチェックに似たチェックリスト、これを指導によりましてつくらせまして、それを実施させているところでございます。  そういうふうなことでやっておりますが、今回の場合、労働時間のいかん、あるいは休息のいかんによって発生したかどうかは、捜査の結果を待って調査をいたしたい、かように考えております。
  111. 庄司幸助

    ○庄司委員 北洋の船団、これは毎年出るわけですが、一体一回に何隻ぐらい出航するのか。これは函館が非常に多いようですが……。
  112. 間孝

    ○間説明員 このサケ・マス漁業に出漁いたします船には、先生御承知のように、母船式の船団と、今回事故がございました中型サケ・マス漁船、それにさらに小型のサケ・マス漁船という大体三つの種類がございまして、本年サケ・マス漁業に出漁いたしました隻数は、母船式のいわゆる母船が十隻、その母船に伴います独航船が三百三十二隻、中型のサケ・マス漁船が三百七十一隻、小型のサケ・マス漁船が千百二十隻、合計いたしますと千八百三十三隻ということでございます。
  113. 庄司幸助

    ○庄司委員 何だかんだといって約二千近い数ですね。二千隻。これがテレビにも映りますとおり、サケ・マスの解禁になると、もう一斉出港するわけですね。これに対して函館とか釧路、いわゆる北洋船団の検査に当たる、まあ主として北海道だろうと思うのですが、函館、釧路、この船舶検査官と船員労務官、これはそれぞれ何名いらっしゃるのか。
  114. 内田守

    ○内田説明員 お答えいたします。  船舶検査官は、函館が五名、それから釧路が三名でございます。
  115. 庄司幸助

    ○庄司委員 船員労務官は。
  116. 横田不二夫

    ○横田説明員 お答えいたします。  北海海運局を合わせまして、船員労務官は全部で五十一名でございます。
  117. 庄司幸助

    ○庄司委員 函館、釧路は。
  118. 横田不二夫

    ○横田説明員 函館が三名、釧路が二名でございます。
  119. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは、それぞれ所属の港で検査を受けてくるかもしれませんね。しかし、それを除外しても、一遍で千八百隻ぐらいですか、これが出るわけですが、これらの出港する際、この船舶検査それから労務検査をこれだけの人数で果たしておやりになれますか。船舶検査官は函館五名、釧路が三名。それから労務官は函館三名、釧路二名。これで千八百三十三隻を検査できますかしら。
  120. 内田守

    ○内田説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、船舶検査の場合には、船舶安全法に基づきまして、出港前に検査を行うというのではなくて漁船の例で申しますと、四年に一度の精密な定期検査と、二年に一度の中間検査と、それから漁種が変わるとか、船の構造、設備が変わった場合に行う臨時検査という制度をとっておりますので、一カ所に集中して出港検査を行うというやり方でないわけでございます。
  121. 庄司幸助

    ○庄司委員 しかし、これは北洋船団の場合、非常に火災も多いし、それから遭難事故が多いわけでしょう。これは若干統計の性格は違いますけれども、北海道周辺では年間三千隻以上が操業して、海難事故の数でいくと、四十八年が三百六隻、そのうち漁船が二百八十三隻と、圧倒的に多いのですね。で、北洋船団が千八百隻以上どっと繰り出すわけですから、そういう中で今度のような痛ましい事故が発生するわけです。  これらの亡くなった六人というのは、いずれも一家の大黒柱ですね。もう遺族の声聞いたら、たまらない気持ちになりますよ。これが毎年繰り返される。それに対して、いわゆる漁船の船員が、このごろ労働条件の問題もあればいろんな問題で、漁船の船主もまた確保が困難になってきているという話も再々聞かされるわけです。その点で、これはあなた方は、それぞれの港でお調べになっている、こうおっしゃっていますけれども、実際事故は起きているのですから、検査の網をもっと密にする必要があると思うし、それから労務について、やはりもっと労務状態を厳しく監視する必要があると思うのです。  特に漁船の場合は船員組合もありませんから、無権利な状況に置かれています。その辺で船舶検査官ですね、それから船員労務官、この増員は一体どういうふうに計画になっているのか。一方では総定員法の問題があって削減される。しかし船舶検査官と船員労務官の場合は、これは定員法の枠外にあって若干の増員はあるようですが、現在の状況では、現在の遭難の状況、それから現在の漁船の隻数、操業度、これを考えると、まだまだ足りないんじゃないかと私は思うのです。特に港によっては一人しかいないところもありますね。一人しかいないところが五十一年度でも、まだ十一カ所ぐらいあるようですが、それから全然いないところもあるんじゃないですか。そういう状況がどうなっているのか。それから増員の計画はどうなのか、これをひとつ聞かしてもらいたいのです。
  122. 内田守

    ○内田説明員 お答えいたします。  船舶検査官の方から申し上げますが、現在船舶検査官は全国五十九カ所、これは沖繩三カ所を含んでおりますが、全国に二百三十三名を配置いたしております。対象船舶は約四万二千隻でございます。過去いろいろ安全規制の強化等がございまして、船舶検査官の業務量の増加ももちろんございました。それに対応するために、従来必要な要員の確保を図ってきておりまして、一例といたしましては、最近三年間で十九名の増員を行って検査の支障を来さないように努めてきておるわけでございます。  また一方、検査業務量に対応して、いろいろ新しい制度を従来からやっております。たとえば認定事業場制度であるとか、あるいは型式承認制度とか、そういう制度を今後一層活用いたしまして検査の合理化を進めると同時に、今後とも必要な要員の確保に努めていきたいというふうに考えております。
  123. 横田不二夫

    ○横田説明員 船員労務官につきましてお答えを申し上げます。  その前に、先ほど支局の人数について申し間違えましたので訂正いたします。函館三名と申し上げましたのは二名でございました。  船員労務官は、五十一年度におきまして全国の十海運局五十三支局全部合わせまして百十三人でございます。そのほかに沖繩総合事務局に属する労務官が二人、合計で百十五人を配置いたしております。  先生御指摘の複数局、一人局、無配置局の現状を申し上げますと、五十一年度で沖繩を除きまして複数局が十八局、一人局が三十五局、無配置局が十一局でございます。  しかしながら労務官の定員削減は、お話のとおり一人も行われておりません。おかげさまをもちまして、わずかずつではございますけれども、四十八年度に四人、四十九年度五人、五十年、五十一年度各四人と、ここ四年間で十七人増員をいただいているわけでございます。苦しい中ではございますが、少しでもこうやって増員をいただくことはありがたく思っておる次第でございます。
  124. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで合理化その他で船舶の方はやっていらっしゃると言いますけれども、いろいろ問題はあるのです。  たとえば関東海運局の例なんか見ますと、これは横浜を控えて非常に造船所も多いし、それから部品業者も非常に多いし、方々に散在していますね。私は、時間がありませんから数字言いませんけれども、ここを回って歩く現場検査官の苦労というのは本当に大変なものです。そこへもってきて旅費も余り十分ではない。船舶検査官の中には八そう跳びという言葉さえはやっている。つまり限られた人数で検査をやっていくとなれば、勢い八そう跳びをやって、それで検査を省略した、と言うのは語弊があるかもしれませんが、やらざるを得ない。その点で、私はせめて一人局の場合、これは複数にする努力がまずとりあえず必要だろうと思うのです。  これは労務官の場合も同じです。労務官は無配置局が何ぼかある、こう言いましたから、これを早急に埋めた上で複数局化していく。この辺、計画的におやりになる必要があると思うのです。  そうでないと、この海難事故は後を絶たないし、残された遺族というものは大変なものです。その点ひとつ——行政需要は非常にふえてきているわけです。行政需要は法改正その他によって非常にふえてきている。しかし業務量は、一定の限られた人数ですから、限られた業務しかやれないわけです。だからそこで、行政需要に見合った人数をやはりつけていかなければ、法律だけつくったって何にもならないではないか。だから行政管理庁からも、いろいろ指摘がされるわけです。北海道の海運局の事例、九州の海運局の事例、これは出ています。  行管の方、せっかくいらしたのですが、時間がなくなってしまってお答え願えないのですが、私は行管にも一つ注文があるのです。こうやって勧告をなさる。突然行って検査をしろというような勧告もあるのですね。それにはそれなりの人員が必要なんです。だから行管としては、総定員法をつかさどっている官庁ですから、そういう点、人員の配置もやはり考えて勧告をしていただかないと、勧告はしたが結局は実施されない、その指摘された事項だけに集中して、あとの方は手抜きになる、こういうことにもなるのです。だからその辺、時間がありませんから最後に大臣から……。  私は、もう余り事例を挙げられなかったのですが、船舶検査官と船員労務官、この人員の拡充、具体的に言えば配置されていない局に、局というのは支局ですが、ここにとりあえず、まず配置する。それから一人局の場合は、これは大変なんです。ですから一人局を複数化する。これをひとつ計画的にやっていただきたい。そうやって日本の海難事故、これをひとつ減らしていっていただきたいなと思うのです。その点で御答弁願います。  もう一つは、このごろ取りざたされていますいわゆるマルシップの問題です。これはいわゆる日本国籍でありながら貸し出されたり、あるいは月賦で売られたりして、国籍は日本にある、しかし船主は外国船主だ、この関係ですね。そのために、いわゆる無免許の乗組員がいるのではないかという話もあるのです。海技免許をどっか東南アジアの方では二十ドルで売っているところもあるというような話もあるのです。こういう無免許の方が操縦してくる船、これが日本近海に相当多くあらわれたとしたら、もう便宜置籍船の問題やら何やらでタンカー事故なんか起こっていますが、この点やはり抜本的な対策をとらなければならないだろうと思うのですが、この辺の対策もあわせて御答弁願って、私の質問を終わりたいと思います。
  125. 木村睦男

    木村国務大臣 船舶検査官なり船員労務官等は、いままでも厳しい予算の制約の中ではございましたけれども、少しずつ増員をしてまいって業務の能率を上げておるところでございますが、御指摘のように必ずしもまだ十分とは言えません。今後ともさらにこの増強には努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。なお、一名もそういう検査官なり労務官の配置のないところはなくなるように今後努力を続けていきたいと思っております。  それからマルシップの問題でございますが、これは最近いろいろと問題になっておるところでございます。私たちも非常に注目をいたして、その措置についてもいろいろ考えておるところでございますが、船舶の所有者が日本である限りは日本の船舶職員法の全面的な資格の適用があるのでございますが、そうでない場合には必ずしも全部が全部適用というわけにもまいらない法的な仕組みになっておりますし、また事実上不可能である場合もあるわけでございまして、適用除外の措置を認めておるところもあるわけでございます。船舶の乗組員に一定の資格を持っておる者を乗り組ませるというこの規制の方法につきましては、国際的に統一された基準がないということが非常に残念でございますが、現在の法の枠の許される範囲内におきまして極力弊害を防止するようにいたしたいと思いますし、また国際的な何らかの取り決めが将来できることをわれわれも期待をし、かつ努力をいたしたい、かように考えておるところでございます。
  126. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  127. 村山達雄

    村山委員長 船員局長がちょっと数字の訂正をしたいそうでございます。
  128. 横田不二夫

    ○横田説明員 先ほど申し上げました船員労務官の配置の状況につきまして数字の訂正を申し上げます。まことに申しわけございません。  複数局は沖繩を含めまして、本局を含めまして二十九局でございます。そのほかに、一人局が三十五局、無配置局が十一局、こういうことでございます。大変失礼いたしました。
  129. 村山達雄

    村山委員長 坂井弘一君。
  130. 坂井弘一

    ○坂井委員 昨日、ロッキード問題特別委員会におきまして、運輸省の機種統一の基本方針に基づきます行政指導及びエアバス導入延期をめぐります行政指導につきまして質疑をいたしました。本日は、この二つの問題につきまして議論を進めてまいりたいと思います。  そこで、先ほど木村運輸大臣が幾つかの行政指導については、確かにその指導したことは事実であるし、かつまた、その内容についてもはっきりしておる、ただわからないのは、何月何日、だれからだれに、そのような行政指導がなされたかについては、なお定かでない、したがって、さらにそうした細部に至る内容につきましては、具体的にどう行われたかということにつきましては、運輸省内でそれを明らかにすべく鋭意調査を進めておる、こういう趣旨の御発言がございました。  そこで、昨日の質疑を追いながら、いささか整理しながら、かつ確認の意味も含めて、最初にまずお聞きをしたいと思いますことは、いわゆる四十四年十月に行われたと言われます当時の手塚航空局長の機種統一の行政指導についてでありますが、この手塚当時航空局長が機種統一の行政指導を日本航空及び全日空の関係者に行ったということにつきましては、そもそも昭和三十七年八月十五日の運輸省におきます機種統一の基本方針に基づく行政指導である、なおかつ、この機種統一の行政指導は今日に至るもいささかの変更もない、こういうことを昨日の議論の中で私は受け取ったわけでございますが、いまの点につきまして確認をしたいと思いますので、正確にお答えをいただきたいと思います。
  131. 木村睦男

    木村国務大臣 昨日も申し上げましたように、公正な競争を確保するという意味から、また同一の機材であれば運用その他についても便利な点もございますので、競争的立場にありますような同一路線におきましては、同一の機種を用いられることが望ましいという運輸省の指導の一つの方針であるわけでございます。しかし、あくまでもこれは望ましいという程度の指導方針でございます。なぜそうかと言いますというと、それぞれが競争的立場に立ち、企業経営の責任を持って、企業の進展のためにやっておる会社でございますから、それぞれ企業自体のいろいろな都合もありますし、またその立場からの選択の異なった理由もあるわけでございますから、そこまで強く同一にしろというところまでいくべき問題ではないというようなことから、望ましい、相なるべくはそうしたいという程度の方針であるということには変わりはありません。
  132. 坂井弘一

    ○坂井委員 機種統一の行政指導につきましては、次に議論するといたしまして、まず四十四年の十月当時の手塚航空局長の機種統一の行政指導は事実あったのかどうかということ、同時に、機種統一の行政指導がなされたとするならば、その内容については運輸省はよくわかっておるということでございますので、いかなる内容の行政指導であったかについて明らかにしていただきたいと思います。
  133. 松本操

    ○松本説明員 お答えいたします。  機種統一の基本的な考え方につきましては、ただいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。  で、四十四年の十月当時、当時の新聞に当時の手塚航空局長がこれらの問題に関して発言をしたとされております。そして強力な行政指導を行う方針である、こういうふうな趣旨の発言があった、こういうふうに記されておるわけでございます。  しかしながら、その後私どもの方で内部的に十分精査をいたしました結果、そのような強力な行政指導というふうなものは当時行われておりません。したがいまして、この新聞の記事は恐らく、ただいま大臣が申し上げましたような一般的な趣旨、できることならば機種が統一される方がいいんじゃないか、そういうふうにあってほしい、こういうふうな一般論的な発言が記者会見の席上ありましたものが、そのような形で記事になったのではないか、このように考えておりまして、現実にそのような強力な行政指導を行った、こういう事実はございません。
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 強力な行政指導であるかないかは別といたしましても、その行政指導の内容は何であったかということにつきましてお答えをいただきたいと思います。
  135. 松本操

    ○松本説明員 これは、その後も同じような議論がたび重なって述べられたようでありますけれども、できることならば両者がよく話し合って、厳正公平な立場から最も適当な機材を選ぶという方針でやってほしい、そのために必要とあらば話し合いを両者でしたらどうか、こういうふうな内容のものであると理解をいたしております。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 最も適当な機材という表現でいま述べられたわけでございますが、最も適当な機材とは一体当時どの機材、どの機種が予想されたかということになろうかと思います。当然ある種の機種というものを想定しなければ機種統一の行政指導はなされるはずもないと、私は常識的にそう判断をいたします。  そこで、すでに去る二月十六日の第一次証人喚問におきまして、全日空の渡辺さんが、確かに運輸省から日航と同じ機種を選ぶべきだということだったが、路線も違っているので、自主的に決めて結構だとのことでもあった、こういう趣旨の証言をしております。この証言には、実は大変な矛盾があるわけであります。  つまり、日航と同じ機種を選ぶべきだ、これはまさに機種統一という運輸省の基本方針に基づく行政指導を受けたという考え方であります。しかし後段の、路線も違っているので自主的に任せて結構だ、一体こういう証言を得ました場合に、果たして機種統一の行政指導というもの、基本方針に基づく行政指導というものが、これがあくまでも基本にあると、こう考えるわけでありますけれども、しかしながら、次の段に至りますと、機種は自主的に判断をいたしなさい、一体この二つの考え方、この矛盾をどう納得のいくように説明されるのか、私は運輸省自身もここに大きな一つの戸惑いもあろうかと思います。  したがって、運輸大臣が再三答弁、説明されるごとく、いわゆるできる限りということ、そして望ましいのだということでもって機種統一ということについては説明をなさっておられる。なるほど確かに、そうした御説明では、ある意味においてそれも一つの物の考え方であるというように理解できなくもありません。ありませんが、しかし少なくとも、機種統一について基本方針を確定されまして、それに基づく行政指導をされるからには、やはりまず機種の統一をしなさい。しかも、この場合は日航と同じ機種を選ぶべきだということを、運輸省からそうした行政指導がなされたということを全日空の渡辺さんは明確に証言されているわけであります。  そういうことになりますと、当時日本航空が使っておった機種、それに右へならえということになりますと、当然ダグラス社のDCシリーズということが、これは無理なく想定されるわけであります。したがって、当時手塚航空局長が機種統一の行政指導をしたという、その内容はということになりますならば、明らかにダグラスのDCあるいはDC10、これを念頭に置いた指導であった、こう思われるわけでありますが、そうした点につきまして、その後調査をされたと思いますので、率直にひとつお答えをいただきたいと思います。
  137. 木村睦男

    木村国務大臣 同一機種が望ましいという運輸省の基本的な態度といいますか、方針、これは誤解をなさっては困るのですが、同一の機種が望ましいということであって、Aという機種がいいとかBという機種に統一した方がいいとかいうことではないということを、まず前提としてはっきり申し上げておきたいと思うのです。これが、運輸省がずっととってまいりました、同一機種が好ましい、しかし選択は航空会社の方に任すわけでございますから、この考え方は、いまも変わっておらないわけでございます。  それから、当時、手塚航空局長が同一機種が望ましいということで指導をしてまいった。そのときに、日本航空が使っている機種と同一のものを使ったらよろしいというふうに言ったかどうか、その点は私はまだ詳細には聞いておりませんが、要するに、片一方は全然まだ自分の会社にそういう機種を持っていない、片一方は国際線等で使っておる、その二つの会社が同一路線上で機材を使って運航に供するとすれば、同一機種が望ましいということになると、片一方がすでに国際線等で使ったものを両方が使うことが経済的ではないかというふうなことが、あるいは頭にあって、そういうことを言ったとすれば、そうではなかったか。軽い意味で言ったのではなかろうかと思います。  したがって、片方の会社がどうしてもそうしなければいけませんかと、こう押してくれば、それはもう路線が違う場合の話のようでもございますし、そういうことでございますから、絶対にそれでなければ困るということではない、こう申したのも当然のことだ、私はさように解しておるわけでございます。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、もう一度順序を追ってお尋ねをしますので、そうであるかどうかについてお答えを、結論だけで結構でございますから、お願いしたいと思います。  昭和三十七年の八月十五日の「日本航空及び全日本空輸の提携の強化に関する基本方針」、この基本方針は、今日なお変わりなく、この基本方針どおり運輸省はこれに基づく行政指導をしてきたし、またするのだということでございましょうか。
  139. 松本操

    ○松本説明員 三十七年八月の、この「提携の強化に関する基本方針」というものができました時点の状況と現在の状況が明らかに変わっておる分については、多少の変更があるということは御了解いただけるかと思いますが、基本的な考え方そのものをひっくり返したということはないと思います。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。  そういたしますと、第三項にありますところの「機材勢力の質的な均等化を図っていく」ということ、それから「同一機種の採用」、これが「肝要である。」ということ、これについての基本的な考え方は変わりはない、これはきのうも確認をしたとおりであります。  第二項に、「日本航空はダグラスDC−4型について逐次代替更新を実施していくものとし、定期路線より引退せしめた同機材については有効な使用及び処分方法を考究する。なお、4型機についてはその活用につき全日空と協議することも望ましい。」という二項がございます。  ただいま運輸大臣から、機種についてまで運輸省がとやかく介入するものではない、おのおのの航空会社がその航空路線の路線構造に従ってどの機種を選ぶかについては、その航空会社の自主的な断判によるということであります。それはよくわかります。  当時、昭和三十七年八月、すでに日本航空はダグラスDC4、これを運航せしめておった。就航いたしております。これに全日空も右へならいなさい、こういうことを言っておるわけであります。これは運輸省みずからがDCを勧めたわけじゃありません。もちろんDCが日本航空の主体的な判断によって購入された、そして就航という既定の事実の上に立ってではありますが、少なくともDC4、これの機材の更新を図りなさい、そして全日空と話し合いをしなさい、そして三項目に機種の統一を行っていきなさい、それが望ましいのだ、肝要である、こういう基本方針であり、この基本方針に基づくのが私は一貫した運輸省の当然なさるべき指導であった、こう解します。ここにうたわれた、つまりDC4、仮に運輸省がこれ以外の機種でもいいのだということであるならば、それは運輸省みずからが、航空会社が自主的に判断する機種に介入するという行為であります。そう思いませんか。  私はごく自然に、常識的に、こういう経緯があるから、ダグラス系DCシリーズについては、同一機種として日本航空も縦の線でそれが統一されるでありましょうし、同時に、この基本方針は、日本航空と全日空という二つの航空会社の横の機種の統一の問題であります三十七年の八月十五日の基本方針、これが確定されて、これに基づく行政指導が一貫して今日までなされてきたとするならば、これは当然のことダグラスということにならざるを得ない、こう解するわけでありますけれども、これに対する運輸省の見解をひとつ明らかにしていただきたい。
  141. 松本操

    ○松本説明員 先ほどの先生の一つ前の御質問に私お答えしまして、情勢の変化等によって修正さるべきものは当然変わってまいっております。こう申し上げたわけでございます。  この三十七年八月という時点、いまから十四年前の話でございますが、この時点におきましては、ようやく幹線にジェット機が入ろう、こういう時代でございます。また、全日空及び日本航空との間に熾烈な機材競争が行われておった時代でもございます。また、DC4という航空機は先生御承知のようにプロペラ機でございますので、国内線用ではなく、国際線にかつて使われた飛行機でもございましょうが、これを国内線に使う、この場合にこれが両社の機材競争のガンになる、こういうふうなその時点特有の事情があったということを踏まえて、このDC4型機の代替更新を図る場合に、それをどういうふうに有効に使うかという点については、ここに書いてございますように、運賃をどうするかこうするかということも含めて全日空とよく相談をして、つまり主題にございますように、日本航空と全日空の提携の強化という趣旨に沿って両社でよく話をし合って決めなさい、こういう趣旨にとどまると私は解しておりまして、したがいまして、先生おっしゃいますように、ここにDC4がたまたま出てまいりますからということが、すべて全日空の航空機をDC4とするのだ、あるいはDCシリーズにするのだ、こういうふうな運輸省の基本方針がここに述べられておる、こういうふうに御理解いただきますことは、私どもとしては、ちょっとこの考え方には外れたことになるのではないか、このように考えております。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは聞きますが、当時の手塚航空局長、現在は日本航空の常務であります手塚さんにお聞きになりましたか。
  143. 松本操

    ○松本説明員 当時の新聞報道がありましたのは四十四年の話でございまして、その時点における状況がどうであったかということは、もちろん私どもの方で今回の問題が起きましてから調査もいたしましたし、さらに内部的にも調査をいたしまして、先ほどお答え申し上げたように、そのような強力な行政指導はしていなかったと、こうお答えしたわけでございます。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 再度お聞きをしたいと思いますが、当時の航空局長の手塚さんにお聞きになって、いまの御答弁ということでしょうか。
  145. 松本操

    ○松本説明員 ただいまお答え申し上げたとおり、十分調査をした結果でございます。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。それでは手塚さんに対して聞く機会を得て、その上で、この辺のいきさつについては明らかにしたいと思います。  そこで、その後全日空がいわゆるトライスターを導入するという決定を見るわけでございますが、そのトライスターという機種を選定したのが四十五年の十月三十日であります。当然、トライスターを決定いたしましたということにつきまして運輸省に報告がなされたはずでありますが、その報告のなされた日はいつでしょうか。
  147. 松本操

    ○松本説明員 昭和四十七年十月三十日でございます。
  148. 坂井弘一

    ○坂井委員 十月三十日に全日空内でトライスターが選定された、決定、同日報告と、こういうことでございますね。
  149. 松本操

    ○松本説明員 そのように承知をいたしております。
  150. 坂井弘一

    ○坂井委員 航空法第百九条、航空法施行規則第二百二十条によりまして、全日空は事業計画変更の認可申請をいたすことになりますが、使用する航空機の追加、この場合はトライスターでございますが、事業計画変更を四十八年の十二月三日に申請をいたしました。運輸大臣が認可されたのは四十九年の三月二日であります。その後東京−沖繩間に就航することになりますが、それに伴うダイヤの申請が四十八年の十二月十二日でございまして、同許可が四十九年の二月二十八日であります。そうした手続を経まして東京−沖繩間にトライスターの第一便が就航する、こういう経緯を追っております。そこで、全日空がロッキード社との航空機購入契約をする場合、これは現行法上、手続、つまり申請は必要としない。しかし、機種が選定された段階で、同日、全日空はトライスターに決定いたしましたという報告を運輸省は受けておる、こういうことであります。  当然のことながら、全日空にとりましてトライスターを購入するという重大な事業計画の変更が、その後一連の手続の中で不認可、不許可になるというようなことは絶対ないという上に立ちまして、申請手続をそれぞれ済ましておるということだと思いますが、決定した四十五年の十月三十日に報告を受けたと言われますが、報告自体は、あるいは報告と言えないまでも、相談はそれ以前に運輸省にあったのではないでしょうか。その辺はいかがでしょう。
  151. 松本操

    ○松本説明員 四十七年十月三十日に、トライスターに決定したという報告を受けるまで、その以前に運輸省としては相談も、あるいはそういった議論もいたしておりません。
  152. 坂井弘一

    ○坂井委員 一昨日三井物産の石黒氏の証言によりますと、四十四年七月二十九日、エアラインとして全日空がバックにありまして、そして三井物産、しかしこの場合は、私は明らかに米国三井物産と、こういたしたいと思いますが、米国三井物産とダグラス社の間において確定発注三、オプション四、これがなされた。確定発注までされておるもの、四十四年七月二十九日の段階でありますが、それが運輸省は全然知らないで、そして知ったのが今回事件が起こってからである、三月。これはどうしても理解できないのでありますが、トライスターの場合には、機種決定の同日運輸省に報告があった。そしてその後において、しかるべき手続によりましてトライスターが就航する。DC10の場合には、確定発注までして、金が納められて、その後トルコ航空あるいはレーカー航空に転売までされるというような具体的事実がありながら、運輸省は何ら知り得なかった、一切知らなかっということでしょうか。その点については、ここで再度明確にしておいていただきたいと思います。次の証人に対する証言を得る重要な問題としてお尋ねをしておきたいと思います。
  153. 松本操

    ○松本説明員 このたびの事件が起こりましてから、私どもといたしましては、現在の全日空の幹部、これらに対しまして、諸般の経緯がどのようになっておったのかということについて十分の聴取をいたしたわけでございます。その答えは、そのようなオプションとか巷間いろいろ言われておりましたようなものは一切ないと、こういうふうに現在の全日空の責任者がわれわれに報告をしておるわけでございまして、私どもといたしましては、その報告をもって現在の全日空の立場を明快に示すものと、こういうふうに理解をしておるわけでございます。したがいまして、いま御質問のございました四十四年当時というようなことになりますと、全日空に対する私どもの調査の結果からも、そういうことは全く聞き及んでいないわけでございます。
  154. 坂井弘一

    ○坂井委員 それだけの報告をもって、なかったと素直に了解されましたか。私が実は大変疑問に思いますことは、少なくとも今度のこうしたエアバス導入延期の行政指導なり、あるいは機種統一の行政指導というものがなされる中で、大変残念ながら今度のこのロッキード事件というものが、DC10からトライスター、一〇一一に逆転をしていく、この逆転劇の陰に今度の事件のきわめて好ましからざる、まことにけしからざる工作が仕組まれておったということは明々白々であります。この事件の真相解明のためにということでもっていま運輸省が、先ほどの運輸大臣の答弁をそのままいただきますとするならば、これは、少なくともこのような、一方においてトライスターの場合には同日に報告がなされる、DC10の場合には今日まで一切わからないできた、しかもDC10の場合には具体的な事実行為がずうっと積み重なっておるわけですね、そうしたことについても何も知り得なかったというようなことについては、常識的に考えられないわけであります。  したがって、つまり、なぜそのような形で、今日まで表に出ないで、四十四年以降今日に至るまでのこの長期間にわたって運輸省が知り得なかったのか、ここのところを踏まえながら、当時の担当者に対して聞いていくという姿勢がなければならぬということを私は申し上げたいわけであります。つまり、先ほど申しましたように、少なくとも三井物産本社が表に立って、そして大庭氏がそこに出て、そしてメーカーでありますところのダグラス社との間において契約がなされたものでは決してなかったということであります。つまり、このDC10の契約、それ以後の動きを見てまいりますと、少なくとも三井物産と大庭社長の間においては何らかの裏の約束があった、それは表に出せない問題である、したがって、この場合には米国三井物産を使ってやりましょうという話し合いになった。これは容易に想像できることであります。したがって米国三井物産とダグラス社間における契約行為であり、あるいは売買行為である。三井物産は表に出ない、したがって全日空は表に出さない、こういうことであります。  ですから運輸省においても、その報告を受けていないという、まことに公式的な表面的な答弁でありまして、実際に行われたそういう行為なり、その背景でどういう話し合いがなされてきたかというところをついていかなければ、今度のこの一連の逆転の、あるいは行政指導に伴いますところの疑惑というものが解明でき得ないということを私は声を大にして、運輸省に督促を申し上げたいと思うわけであります。したがって、そういう観点から再度確認をされる必要があると思いますけれども、いかがでしょう、運輸大臣
  155. 木村睦男

    木村国務大臣 今回のロッキード事件に関連して、いろいろ疑惑についての御質問なり御意見があるわけでございますが、私は理解していただきたい点は、運輸省なり運輸大臣というものの航空行政に対する立場というものは、たとえば航空会社が、いつどういう機材を買う契約をしたかどうかというふうなことまで立ち入って、平素は調べるのは行き過ぎであると考えております。これは航空会社が自由にやることであります。そこまで行政権を及ぼすべき問題ではないし、もちろん行政権を及ぼすことはできませんが、行政権が及ぶような感じを受けさすことも行政としては避けるべきことである、かように考えておるわけでございます。  したがって今回、こういうふうな事件が起こりまして、運輸行政を預かる当局者として、皆さんの御質問に対してできる限りの調査をいたして御報告なり御答弁を申し上げておるわけでございますけれども、たとえば刑事上の疑惑があって、それのために検察庁が調査しなければならないようなことまで立ち入って行政官庁が調査をするということは、これは行政権の行使というものを厳格に考えていかなければ、それがいい効果のあるときはいいのですが、それが悪い方面に働く場合もあり得るわけですから、そこで行政権の行使というものは厳密に一つの限界を守らなければならない。この考え方に徹して、われわれは今回もいろいろな調査をやっておるわけでございますので、その限界の範囲内におきましては、いろいろ調査もいたしますし、また御要求のあります資料も提出いたして協力申し上げているわけでございますので、どうぞその辺の限界は、ひとつ十分御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  156. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは日本航空の話に戻しますが、日本航空におきましては、四十三年の暮れから次の機種選定作業にかかった。ダグラス社、ロッキード社から、それぞれプロポーザルが出されております。そしてその選定作業を進める中で、ついに四十四年の七月の段階に至りまして、役員会においてこれを白紙還元をした。つまり選定作業を中止するわけであります。この選定作業を中止したという報告は運輸省は受けられましたか。
  157. 松本操

    ○松本説明員 そのような報告は受けておりません。
  158. 坂井弘一

    ○坂井委員 当時の役員会の会議録、議事録、それが日本航空にあるはずでありますが、議事録等の提供を求めたこともございませんか。
  159. 松本操

    ○松本説明員 四十四年の時点におきましては、まだ四十五年の運輸政策審議会の答申等の出る前の時点でございます。したがいまして、各社がそれぞれのいろいろな、みずからの考えを持って諸般の調査をしておったということは当然あり得ることかと思います。しかしながら、行政の及ぶ範囲というところで見ました場合には、どの会社がどのような研究をしていて、それがどこでとまったか、とまらなかったか、こういうふうな点についてまで知るべき立場にもなかったし、また知る必要も恐らくなかったことであろうと思います。  さらにまた、いま重ねての御質問で、当時の議事録等を徴して調べたか、こういうことでございますが、そういう点についてまでは、私どもは調査をいたしてはおりません。
  160. 坂井弘一

    ○坂井委員 運輸大臣調査されたらどうでしょうか。せっかく選定作業を進める中で、四十四年の七月になりまして選定作業を中止した、白紙還元した。その後、問題の当時の松尾社長から大庭全日空社長に対して、いわゆる児玉の圧力等々の話がなされた。先般の証言におきましても、うるさくて仕方がないと、証言もございました。なぜせっかくここまで選定作業を進めてきながら、これを白紙にし、休止せざるを得なかったか。当時の役員会等においては、かんかんがくがくの議論がなされた。議事録にもある。その内容について、どうしていま調査をされないのでしょうか。むしろ、その方が私には不可解に思えてならぬ。調査をされますか、いかがですか。
  161. 木村睦男

    木村国務大臣 当時日本航空で機種選定作業を始めて、途中でこれをやめたということが、どういうことであるかということが航空行政の面に、どういうはね返りがあるかということを私たちは航空行政の立場で考えなければならないわけでございまして、そのことがいわゆる国の航空行政、適切な航空力を供給して安全な輸送をやるために関係があるとは私は考えません。そこで平素の状態におきましては、私たちはそこまで聞くのは行き過ぎであると思っております。  ただ、せっかくのお話でございますから、当時、どういう事情で松尾さんがあきらめたと言ったのかという程度のことは聞いてもよろしゅうございます。しかし、その程度のことを聞きまして御報告をするということでございますので、別段それが権威のあるものでも何でもないわけでございますが、聞くことにはやぶさかではございません。
  162. 坂井弘一

    ○坂井委員 運輸大臣、私は全日空という民間会社に対して調査しなさいなんということを言っているのじゃありませんよ。日本航空なんです。日航ですよ。政府が出資をしております。運輸大臣は、当然日本航空に対しましては運輸行政上、航空行政上重大な監督の責任を持つ立場にあるはずであります。確かに航空行政の上からそうした点について、事後において、今日の段階で、なお調べてみるという必要もある。同時に、事件の解明の重大な一つのポイントがここにある。やはりこうした点について、なぜ休止をしたのか、その背景をここで明らかにしなければならぬのじゃないか、そうしなければ事件の真相解明はできない、またそのことをすることによって、少なくとも事件の真相解明に対します一歩前進になり得る、だれしもがそう思っておると思いますよ。  したがってそういう意味で、せっかくそうしたときの議事録等も、役員会におけるかんかんがくがくの議論等もあるのだから、それをお調べなさい、調査をなさったらいかがでしょうか、こう申し上げているわけでありますから、大変回りくどいような言い方で運輸大臣はするともしないとも、まあするような感じもあるけれども、また反面、何となく先ほどの答弁のような形で、ただおざなりに聞いて、こうでありましたというようなことの調査では、はなはだ実は困るわけでございまして、少し突っ込んだところを御調査になったらいかがでしょうか。再度ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  163. 木村睦男

    木村国務大臣 日本航空は政府の出資会社でございますからといって、一から十まで事細かに何でもかんでも調べるというのは、やはり行政権の行き過ぎであるという考えを私は持っております。  それからもう一つは、いまの松尾元の社長さんが、何らかの圧力があったかどうか知りませんが、そういうふうなことでいやになったというふうなことを言われたという、ああいった一連のニュースなり記事なりということを、運輸省として、運輸大臣として、なぜそれを調べなければいけないかということに、あけすけに言いまして、私はちょっと疑問を持つのです。それはロッキード事件の究明には必要でありますし、協力いたしますけれども、そのために運輸大臣が日本航空に議事録を持ってこさして、そしてそれを調べて、議事録にはこういうふうにありましたということ、それはどうも私はそこのところの論理が、やはり行政というものは筋を通してやらぬといけませんので、いわば検察庁が調べることに属することではないでしょうかという気が非常に強いのです。  何も調べることをいやがるわけではございませんよ。ただ、常にわれわれは行政権の行使ということは厳重に考えなければいけない立場にあるものですから、そのときにどうだったかということを日本航空に対して事情をよく聞きなさいということであれば、あえて議事録を取り寄せるとか、そういうことを行政権の行使に基づいてやるのではなくて、当時の関係者もおるわけですから、そういう者からどうだったというようなことは聞きますけれども、会社の議事録などというものを勝手に運輸省だから、出資会社だから持ってきて調べるということは、これはやっぱりちょっと考えなければいかぬのじゃないかという感じがいたしておるものですから、さようなことを申し上げておるわけでございます。
  164. 坂井弘一

    ○坂井委員 余り議論したくないのですけれども、ぼくは運輸大臣の主体性とその責任において、あなたの立場からということでもって申し上げたのですけれども、それが行政権云々の問題でおっしゃいますから、そうであれば、私は当委員会の委員の一人といたしまして、ぜひともこれを要求したいと思いますが、いかがでしょうか。私の要求を受けて運輸大臣は……。
  165. 木村睦男

    木村国務大臣 委員会からの御要求でございますれば、議事録は日本航空の議事録でございますから、日本航空にその旨を伝えまして、日本航空が提出をいたすということであれば提出をいたさせます。
  166. 坂井弘一

    ○坂井委員 では委員長、お諮りいただきたいと思います。
  167. 村山達雄

    村山委員長 それでは、その件につきましては後日理事会でお諮りいたしたいと思います。
  168. 坂井弘一

    ○坂井委員 下りまして四十五年の十一月二十日のいわゆる閣議了解、「航空企業の運営体制について」と題する閣議了解、これは「航空機のジェット化・大型化を推進する。」という趣旨であります。ところで、問題の四十六年の二月に、突然エアバス導入の延期の行政指導がなされたということにつきまして、先般朝田証人も、せっかくボーイング747LR四機の取得認可を与えながら、突如として延期をしろという指導がなされた、こういう指導はまことにおかしいと思いましたと率直に実は発言されたわけでありますが、このエアバス導入延期の行政指導の結果、運輸省は日本航空に対しまして、全日空とよく話し合いをするようにという指示をされましたか。
  169. 松本操

    ○松本説明員 先生のお話の期間が少し中が飛んでおるわけでございまして、四十六年の二月に、行政指導が開始された、こう一般に言われておりますが、これは、昨日の特別委員会でも申し上げましたように、行政指導というほどの強いものではなくて、こういう点について考えてみたらどうだ、こういうことでございました。だんだんと、われわれの考え方と企業の考え方との間のすり合わせが進んでまいります過程において、六月一日におきまして、日本航空に対しましては、これは航空局長の意向であるということを断ってメモをもって、その趣旨を渡してございます。  さらに、その後のいろいろな折衝の過程におきまして、日本航空と全日空との間で十分な話し合いをするようにということも、私どもがこれは絶えず申しておることでございますので、その延長線上として当然そのような申し入れをしておるわけでございます。
  170. 坂井弘一

    ○坂井委員 全日空の方から運輸省に対しまして、何かの相談なり、働きかけなり、報告がございましたか。
  171. 松本操

    ○松本説明員 全日空の方は、四十六年の二月から開始されたいわゆる行政指導に対しまして、わりあいに前向きにこれを取り入れていく、こういう考え方を示しながらも、しかし社内的には相当の議論があったように承知しております。
  172. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は、四十六年六月以降さらに日本航空と全日空の間の話し合いをしなさいという運輸省のそうした指導、それを受けまして、この日本航空との話し合いについての相談として、全日空から運輸省に何かあったかどうかということを聞いているわけであります。
  173. 松本操

    ○松本説明員 その当時の時点において逐一報告を受けておったかどうかについては、必ずしもはっきりいたしませんけれども、全日空と日航との間で、われわれのそういった指導に応じて話し合いが行われておったことは事実でございます。
  174. 坂井弘一

    ○坂井委員 なお定かでありませんので、その点につきましては、当事者との間におきまして詰めていきたいと思います。  そこで、四十七年三月二十二日に、自民党の航空対策特別委員会に対しまして運輸省から提出されました資料、たたき台ですね、「航空企業の運営体制について」という資料の中で、全日空は「近距離国際不定期航空運送事業の運営の充実を図る。」とこうありますけれども、これは「四十五年十一月二十日の閣議了解に基づき、」という前提がございますが、この閣議了解のどこに基づいて「近距離国際不定期航空運送事業の運営の充実を図る。」となったのか、説明をいただきたいと思います。
  175. 松本操

    ○松本説明員 四十五年十一月の閣議了解の中には、日本航空と全日空が余裕機材を使い合ってよく協調をとりながら邦人客の積み取り比率を高めていく、そのための国際チャーターをやる、こういうふうな趣旨のことが書いてあるわけでございます。四十七年七月一日の通達というものは、御承知のようにこれを具体化してまいったわけでございますので、その具体化の実際のありようとして、そういう形が文言になって述べられておる、こういうふうに私どもは考えております。
  176. 坂井弘一

    ○坂井委員 この同じ四十七年三月二十二日、さて運輸省のたたき案として自民党の航空対策特別委員会にこの資料が出されましたが、この会合には運輸省からはどなたが出席をされましたか。
  177. 松本操

    ○松本説明員 三月二十二日の自民党航空対策特別委員会に対しましては、運輸省の方からは佐藤孝行政務次官、航空局長、それから監理部長、これが出席していると承知をしております。
  178. 坂井弘一

    ○坂井委員 運輸省から出席されたのが三名ですね。運輸省のこの三人の、その会合における主たる発言は、どういう内容のことをおっしゃったのでしょうか。
  179. 松本操

    ○松本説明員 これは、自民党の航空対策特別委員会でございます。それに資料を出しまして説明をしたわけでございますので、これがたたき台でございます。こういうふうな趣旨でつくってございますということを説明しただけでございまして、それ以外は委員会のメンバーの方の御発言である、こういうふうに承知しております。
  180. 坂井弘一

    ○坂井委員 出席をされました当時の政務次官佐藤孝行氏は、どのような発言をされたでしょうか。
  181. 松本操

    ○松本説明員 政務次官は、おかしな言い方でございますが、運輸省側の最右翼の立場でお出になっておるわけでございますので、三月二十二日に提出いたしました案の説明について、主として政務次官から御発言になった、こういうふうに承知しております。
  182. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は、内容に入って具体的に伺いたいわけであります。  佐藤政務次官の当日の発言は、ジャンボを国内に直ちに就航させることには反対である、この種の発言がございましたか。
  183. 松本操

    ○松本説明員 私どもが承知しております限りにおいては、そういう具体的な議論ということではなくて、この案の説明を佐藤政務次官がなさった、こういうふうに承知しております。
  184. 坂井弘一

    ○坂井委員 あくまでも抽象的にしかお答えをいただけないわけでありまして、はなはだ残念であります。当時の会議の模様につきましては、これは自民党航空対策特別委員会でございますから、運輸省の主催ではございませんことは、私は百も承知をいたしております。きわめて大事な運輸省の案を中心にいたしまして、そこで説明を受け、議論が交わされたということでございまして、その議事の内容につきましては、当時議事録として、あるいはメモとして残されたということでありますが、そのことは運輸省は御存じでしょうね。
  185. 松本操

    ○松本説明員 自民党の特別委員会でございますので、委員会の方で何らかの記録をおつくりになったであろうことは常識的にわかるわけでございますが、それがどのようなものであるかということについては、これは委員会の方の問題でございます。私どもとしては、その委員会で出ました、どのような宿題と申しますか、結論と申しますか、それをわれわれがもらって帰ってきたか、こういうことを承知をしておる、こういうわけでございます。
  186. 坂井弘一

    ○坂井委員 その場合、佐藤政務次官ないし運輸省から出席されましたお二人、つまり内村航空局長ないし住田航空局監理部長、いずれかの方からジャンボ機の国内線の就航については、これを二、三年後として三者協議の上で決めたい、こういう趣旨の御発言、説明をされましたか。
  187. 松本操

    ○松本説明員 どういう発言があったかないかということは、当方も逐一この委員会の記録をとっておったわけでもございませんので承知をいたしておりませんし、全体的には先ほど来、私が御説明申し上げておりますように、当方は説明役であり、御議論は委員会の方でなされた、このように承知しております。
  188. 坂井弘一

    ○坂井委員 どうにも具体的になりません。きわめて残念であります。  では、もう一点変えますが、四十七年に佐藤孝行政務次官のいわゆる佐藤試案がつくられますが、この佐藤試案作成に当たりまして、運輸省のどなたかがお手伝いをしましたか。
  189. 松本操

    ○松本説明員 佐藤政務次官の、つまり政務次官の立場において、おまとめになった仕事でございますので、事務的なお手伝いということで事務方がついておったわけでございます。
  190. 坂井弘一

    ○坂井委員 佐藤試案の策定に当たりまして、当然運輸省は手伝った。どなたですか。
  191. 松本操

    ○松本説明員 当時の監督下の担当官がいろいろとお手伝いを申し上げた、こういうふうに承知をしております。
  192. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。  話を最初の段階に戻しますが、いわゆる米国のダグラス社との間において契約されて、三井物産が購入をいたしましたDC10がトルコ航空、レーカー航空に転売されますが、三井物産からこの転売の時点、あるいはそれまで、あるいはその後、何らかの形でも結構でございますが、運輸省に報告なり相談なりなかったでしょうか。
  193. 松本操

    ○松本説明員 全くございません。
  194. 坂井弘一

    ○坂井委員 その後日本航空がDC10−40を購入をいたしました。現在四機国内線用に購入をいたしております。五号機、六号機につきましては国際線用ということでありまして、都合六機であります。四十八年末、日本航空が購入を決定いたしまして、DC10−40、この契約をダグラス社と行うわけでございますが、契約段階の購入価格、これは幾らですか。
  195. 松本操

    ○松本説明員 二千九百万ドル何がしというふうに承知をしております。
  196. 坂井弘一

    ○坂井委員 本年の四月から五月にかけまして、すでに四機の受け渡しが行われましたが、この四機につきまして支払った価格は幾らでしょうか。部品を除きまして一機当たりの価格は幾らになりますか。
  197. 松本操

    ○松本説明員 部品を除き、エンジン、機体を含めまして二百八十万ドルから二百九十四万ドル、二つのグループがございますので、この二つのグループでございます。平均すれば、その半ばほどになりましょうか。——委員長、大変失礼いたしました。私、数字を読み間違えました。二千七百九十万ドルと二千九百四十万ドルでございます。
  198. 坂井弘一

    ○坂井委員 五号機、六号機、つまり国際線用のものにつきましては幾らでしょうか。
  199. 松本操

    ○松本説明員 予定価格は二千九百八十万ドルでございます。
  200. 坂井弘一

    ○坂井委員 外国の航空会社で、同様の機種、つまりDC10−40、これを使っているのはどこの航空会社ですか。
  201. 松本操

    ○松本説明員 厳密な意味におきまして、JALが使用いたしておりますDC10−40と全く同じ機材を使っております航空会社はございません。
  202. 坂井弘一

    ○坂井委員 米国のノースウエスト航空につきましてはいかがでしょうか。
  203. 松本操

    ○松本説明員 ノースウエストが二十機ちょっと使っておったかと思います。これは現在DC10−40と呼ばれてはおりますが、もともと発注されました時点におきましては、DC10−20というふうに呼ばれておりましたもののエンジンを改装いたしまして、現在そのような呼称になったものでございますので、先ほどお答え申し上げましたように、名前は似たり寄ったりでございますけれども、厳密な意味においては同一の設計によるものではございません。
  204. 坂井弘一

    ○坂井委員 全く同じものではないということでございますが、このノースウエスト航空が購入いたしましたDC10−40、当時20、これの一機当たり平均購入価格は幾らになっておりますか。
  205. 松本操

    ○松本説明員 外国会社のことでございますので、厳密な調査というのはむずかしいわけでございますけれども、諸般の資料から類推いたしますと、二千二、三百万ドルではなかろうか、こういうふうに考えております。
  206. 坂井弘一

    ○坂井委員 これは私の手元にあるのですが、ノースウエスト航空の購入価格につきまして、ここに調査をいたしました資料、データ・フロム・エアラインレポート・ツー・ザ・CAB、つまりアメリカ航空局に提出をされました資料でありますが、この出所は、アブマークインク、マイアミにある、航空情報を集めておる会社の「アブマークニュースレター」一九七五年四月号が実は出所であります。これは一九七二年から一九七四年にかけまして二十二機の購入がここに明示されておりますが、これを見ますと、平均価格が一機当たり二千六十七万ドルということではありませんか。
  207. 松本操

    ○松本説明員 先生のおっしゃいましたアブマークというのは、中古機市場と申しましょうか、そういうものを扱っている会社であるようでございますが、その資料の中からとりますと、平均しまして一機二千六十七万五千ドル。ただし、これにつきまして、エンジンの換装をいたしておりますので、JT9D20というエンジンをつけておりますので、これを中に入れてまいりますと、平均して二千百七十九万三千ドル。先ほど私、二千二、三百と、ちょっとスケールが粗過ぎましたが、大体二千二百万ドル以下と、こういうふうになっているかと思います。
  208. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が参っておりますので、これでやめますが、会計検査院最後に一言だけ。  この件につきまして検査はされましたか。実はこれ、四機につきましては、すでに確定しているのでしょうか。あとの、最後の二機については、まだ最終の取得に至っていないので、確定はしていないのじゃないかと思われますが、その辺につきまして一言会計検査院の見解を伺いまして、この問題につきましては次回に譲りたいと思います。
  209. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 いまお話しの四機につきましては、実は契約は既往年度でございますけれども、これの納入、受け取りがことし、つまり五十一年の四月ないし五月ということになっております。したがいまして、これの精算支払いの面につきましては、今後の私どもの検査にかかっているわけでございまして、実は今月の下旬、この関係について日航に赴いて検査をいたす予定になっております。
  210. 坂井弘一

    ○坂井委員 委員長、終わりますけれども、私はこれ、単純に比較をいたしてみましたらば、いささか高いのじゃないか、まあ計算上百万ドルから百五十万ドルぐらい高いのじゃないかな、実はそういう感じがしてならぬわけであります、実対的に数字を押さえてみますと。先ほど局長から御答弁いただきましたが、確かに全く同じ機種のものではないということでございますから、それなりの理由はあろうかと思います。あるいはまた仕様の問題等もあろうかと思います。あるいは時期的な問題もあろうかと思います。そういう点については十分勘案しなければ、一概に論ずることはできないと思います。  ただしかしながら、日本航空におきます重要な財産の取得でございますので、やはりできるだけ安く——まあ安くたたいて欠陥機なんか買ったら大変でございますけれども、しかし、もしか不当に高いというようなことであっては相ならぬわけでありますので、どうかそういう点については、くれぐれもひとつ留意をしていただきたいということを最後に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  211. 村山達雄

    村山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十五分散会