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高木説明員 未利用地を活用することは、ぜひやらなければいけないことでございますし、いままでに最近の仕事のやり方について各担当から報告を受けております段階で感じております印象では、最近に至りまして、かなり馬力をかけてやっておるということは言えると思います。ただし、それがすぐにことし、来年の営業外収益という形ではね返ってくるようなものが、なかなか見つからない。たとえば
国鉄が持っております土地で、無償で都道府県市町村等にいろいろ公益的な
目的のために、ずっと昔からお貸しをしている土地というようなものがあるのでございますけれども、これは一体このままでいいのかどうかということは一つ問題があるのですが、現在御存じのように府県市町村も決して財政状態がいいわけではありませんので、その状態を変えるということも、現実的にはなかなかむずかしいというような問題もございます。
それから、ちょっとお触れになりました汐留の土地なんかの問題につきましても、これは有効利用を何か考えなければいけないわけでございますが、同時に、実はまだ熟しておりませんので、
一般に詳細に御
説明いたすところまでは至っておりませんが、
国鉄自体として、これを利用する計画が内々だんだんできてきておるわけでございまして、それを将来計画と関係なく処分してしまうということは、将来においてほぞをかむことになりますので、
区分けをして
国鉄自身がぜひ使いたいという
部分と、その場合にも
国鉄が別に持っていなくてもいい
部分と分かれてまいると思いますのでだんだん利用
区分を確立しつつやっていくということであろうかと思います。
確かに基本的な考え方としては、ただ
料金を上げるということではいけないわけでございまして、大変多くの未利用資産を持っておりますので、その活用を図るということは大事でございまして、昨年の十二月の末に閣議了解をいただきました再建要綱でも、そのことは重要な柱として掲げられておりますし、私どももそれに沿っていきたいと思っておりますが、ただ、見ておりますと、これはかなり時間のかかる話でございまして、五十一
年度あるいは五十二
年度の全体で一兆を超えるような赤字を埋めるのに、直ちに役立たせるということには、なかなかつながらないように思っております。
いまの
東京駅の問題とか汐留の問題というのは、確かに
計算上は大きな金額になりますが、現実にさて、それをどこに移すかとなりますと、なかなか時間もかかるわけでございまして、五十一
年度、五十二
年度の
収入につながるという状態にはなかなかなりにくいということでございます。しかし御指摘のように、基本的に重要なことでございますので、今後とも、すぐにつながらないからといって、それを軽視するのではなしに、長期的に見れば、それが非常に収支改善に役立ちますので、やってまいりたいと思います。
それから、安保条約との関係でいろいろなことがあるという御指摘でございましたが、これはちょっとまだよく勉強いたしておりません。しかしその点は、収支の問題もありますし、また本来のスタンスの問題としても、私ももっと勉強をいたしてみたいと思います。
それから
料金、運賃を二倍まですれば、うまくいくのだということでございますが、今回お願いしておりますのは、御存じのように名目で五割程度の値上げをお願いいたしておるわけでございまして、さらにその後どうするかということは、来
年度にかけての懸案
事項として
運輸省中心に御検討をいただくことになっておりますが、
計算上は、確かに消費者価格が戦前に比べて大変上がっておるのに比べますと、運賃、
料金はそれほどは上がっていないということで、二倍に上げましても過去の物価上昇率から言えば、まだそれほど高いものだということは言えないと思いますが、いまや
国鉄は一方において独占的性格をだんだん失ってきておりまして、競争相手があるわけでございますので、余り無理なことはできない。
お客様に御迷惑をかけるということのほかに、つまり商売といいますか営業といいますか、そういう見地から言いましても、そう幾らでも上げられるというものではないと思われますので、昨年
国鉄として
意見広告をいたしました当時に、今日の段階で二倍に上げても、そうおかしくないのだという
意見広告をいたしてはおりますが、それを現実の施策として、そこまでやるべきかどうかは、なお相当慎重に検討しないと、逆にお客さんが減る、あるいは
貨物の利用者が減るという心配があるわけでございまして、今回五割値上げをお願いしました後、どういうふうにしてどの程度に
料金、運賃を改定しながら、また他の方法を取り入れながら赤字を埋めていくかというのは、もう少し考えなければいけない問題だというふうに思っております。
それから、自動車重量税の問題につきましては、私自身大蔵省におります時分に立法に関与をいたしたことがございまして、確かにいま御指摘のようなお考え方、自動車の利用者から負担を求めて、そしてこれを
国鉄の方の鉄道輸送の方の建設なり、あるいは経営改善に回すべきだというお考え方が、当時きわめて有力
意見としてあったことも事実でございます。しかし、一方において、また重量税の
審議の際に、大変あの法律の
審議は長時間を慎重にやられたわけでございますが、その過程において、自動車の利用者に特に今回追加して負担を求めるのについては、その負担といいますか、から出てくるところの新しい財源を、や
はり自動車関係の利用者に還元するように利用すべきだという
意見も非常に強く出たわけでございまして、さればこそ、その問題も含めて、総合交通体系のあり方を検討するということで検討が行われたわけでございますが、余り明快な結論が出ないまま、今日に至っておるわけでございます。
その後、財政事情もいろいろ変わっておりますし、
国鉄の収支の悪化状態もまた変わってきておりますから、当時どのような議論があったからということだけで直ちにその重量税の使い方について、もう少し
国鉄のことを考えてほしいということを申しましても、なかなか簡単には多くの方の御支持を得られない
状況にはありますが、しかし私も、ぜひともこのエネルギー問題が深刻になってまいりましたといいますか、油の値段が四倍にも上がりましたという状態を前提に考えますならば、いろいろと油資源を大事に使わなければいけないということとの関連から、
国鉄の利用と道路の利用とをどう調整していくべきかということについて、また改めて識者の間で御議論いただきたいものだということを、いわば個人的な考えとして現在の段階で考えております。しかし、それはなお私自身ももう少し勉強いたしました上で、何かそういった議論を多くの方にしていただくような雰囲気をつくってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
いずれにいたしましても、現在は大変な赤字でございますが、それを全部運賃、
料金だけで解決ということは、とうてい期待できないわけでございますけれども、今回の程度の値上げだけは、ひとつお願いをいたしたいということを、重ねてこの機会にお願いする次第でございます。