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1976-05-14 第77回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十四日(金曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 村山 達雄君    理事 小林 正巳君 理事 森下 元晴君    理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       赤澤 正道君    大石 武一君       木野 晴夫君   橋本登美三郎君       前田治一郎君    田代 文久君       坂井 弘一君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政大臣官房長 佐藤 昭一君         郵政大臣官房電         気通信監理官  松井 清武君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省貯金局長 神山 文男君         郵政省電波監理         局長      石川 晃夫君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第二局長  高橋 保司君         会計検査院事務         総局第五局長  柴崎 敏郎君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   遠藤 正介君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社業務管理局長 川崎鋼次郎君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   菅野和太郎君     前田治一郎君   木村 武雄君     木野 晴夫君 同日  辞任         補欠選任   木野 晴夫君     木村 武雄君   前田治一郎君     菅野和太郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書  昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (郵政省所管日本電信電話公社)      ――――◇―――――
  2. 村山達雄

    村山委員長 これより会議を開きます。  昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、郵政省所管及び日本電信電話公社について審査を行います。  まず、郵政大臣から概要説明を求めます。村上郵政大臣
  3. 村上勇

    村上国務大臣 郵政事業特別会計郵便貯金特別会計簡易生命保険及郵便年金特別会計及び一般会計昭和四十八年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  郵政事業特別会計歳入予算額は一兆二千九百四十八億七百三十四万余円、歳出予算現額は一兆三千八百六十二億六千八百二十二万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では一兆三千五百九十二億三千十六万余円、歳出では一兆三千七百三十四億六千三十七万余円となっております。この中には、収入印紙等業務外収入支出借入金建設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業の運営による歳入歳出は、歳入では八千二百六十四億九千六百二十四万余円、歳出では八千二百四十二億三千九百四万余円となっております。  郵便貯金特別会計歳入予算額は九千六百十七億五千九百五十九万余円、歳出予算現額は八千七百六十一億二千二百七十二万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では一兆四百八十三億一千百二十一万余円、歳出では八千七百四十八億四千百二十二万余円となっており、差額一千七百三十四億六千九百九十八万余円は法律の定めるところに従い、翌年度歳入に繰り入れることといたしました。  簡易生命保険及郵便年金特別会計につきましては、保険勘定歳入予算額は一兆三千七百七億五千七百九十八万円、歳出予算現額は五千五百二十億一千九百九十九万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では一兆三千五百八十八億二千四百四万余円、歳出では五千百二十四億九百五十七万余円となっており、差額八千四百六十四億一千四百四十七万余円は法律の定めるところに従い、積立金として積み立てることといたしました。年金勘定歳入予算額は二十九億六千四百七十一万余円、歳出予算現額は二十九億六千四百七十一万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では二十三億六千七百二十九万余円、歳出では二十三億六千七百二十九万余円となっており、歳入歳出差額はありませんでした。  また、一般会計におきましては、歳出予算現額百十四億九千五百三十一万余円に対し、支出済歳出額は百十二億一千四万余円となっております。  次に、昭和四十八年度主要施策事項について申し上げますと、  第一は、郵便送達速度の安定と向上を図るため、これに必要な郵便局舎改善、集配、運送諸施設整備拡充及び郵便事業改善のための調査研究などの諸施策を講じてまいりました。  第二といたしましては、郵便貯金及び簡易保険の増強と利用者サービス向上であります。  まず、郵便貯金増加目標額二兆三千億円に対しましては、三兆四百三十六億九千四百七十一月余円の成果を上げることができ、この結果、郵便貯金昭和四十八年度末の現在高は、十五兆二千二百五十三億一千四百九十九万余円となりました。  また、郵便貯金資金運用部預託金は、資金運用部資金の約五四%を占めている状況であります。  次に、簡易保険は、新規募集目標額二百四十五億円に対しまして、その実績額は二百二十三億三千六百三十八万余円でありまして、昭和四十八年度保有契約高は十九兆五千九百五十六億一千五百五十万余円となっております。  なお、昭和四十八年度における簡易生命保険及郵便年金特別会計積立金新規運用額は七千六百三十九億五百五十八万余円であります。  また、郵便局窓口環境整備改善等利用者サービス向上策を一段と推進いたしました。  最後に、会計検査院昭和四十八年度決算検査報告において不当事項として工事一件、不正行為五件及び是正改善処置を要求された事項として一件、合わせて七件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。  今後、この種事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  以上をもちまして、昭和四十八年度決算概要についての説明を終わります。  引き続きまして、昭和四十八年度日本電信電話公社決算書類会計検査院検査報告とともに国会に提出いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十八年度における日本電信電話公社決算は、公社経営合理化を図ったこと、各種増収施策を行ったこと、経費節減に努めたこと等により、前年度に引き続き黒字決算となりました。損益計算上の総収益は、電信収入に若干の伸び悩みがあったものの、収入の大宗を占める電話収入及びその他の収入増収となったことにより、一兆七千四十九億七千四百二十一万余円となりました。これに対する総損失は、給与その他諸費利子及び債務取扱諸費等の増大もありましたが、一兆六千八百四十億四千七百七十三万余円にとどまり、差し引き二百九億二千六百四十七万余円の利益金を計上しております。  また、建設計画につきましては、一般加入電話三百十万二千加入建設を初めとして、電話局建設市外電話回線増設等主要工程も、おおむね計画どおり実施いたしております。  以下、決算内容勘定別に御説明申し上げます。  まず損益勘定におきましては、収入済額は一兆六千七百二十四億九千百五十五万余円、支出済額は一兆六千六百二十一億四千九百九十一万余円でありまして、収入支出を超過すること百三億四千百六十四万余円となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入済額予算額一兆六千六百二十四億七千五百万円に対し、百億一千六百五十五万余円上回っております。これは、電信収入予算に対し二十五億二千四百八十万余円の減収となりましたが、電話収入専用収入及び雑収入の合計で百二十五億四千百三十六万余円の増収があったことによるものであります。  他方支出済額は、支出予算現額一兆六千六百八十九億四千八百九十六万余円に対し六十七億九千九百五万余円下回っておりますが、この差額のうち、十六億四千八百五十八万余円を翌年度繰越額とし、残りの五十一億五千四十七万余円を不用額としております。  次に、資本勘定におきましては、収入済額は一兆四千五百六十四億三千六百三十六万余円、支出済額は一兆四千九十八億七千九百二十四万余円でありまして、収入支出を超過すること四百六十五億五千七百十一万余円となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入済額予算額一兆四千五十四億一千二百八十五万余円に対し、五百十億二千三百五十万余円上回っておりますが、これは、予算に対し、損益勘定からの受け入れが七十五億五千四百七十四万余円増、資産充当が三百六十八億一千六百十七万余円増、設備料が九十二億七千百九万余円増、電信電話債券が二十六億一千八百五十一万余円の減となったことによるものであります。  他方支出済額は、支出予算現額一兆四千五百一億八千五百七万余円に対し、四百三億五百八十二万余円下回っておりますが、この差額のうち、四百三億百四十七万余円を翌年度繰越額とし、残りの四百三十五万余円を不用額としております。  次に、建設勘定におきましては、収入済額は一兆一千九百八十三億五千七百七十一万余円、支出済額は一兆一千六百八十一億七百四十六万余円でありまして、収入支出を超過すること三百二億五千二十五万余円となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入済額予算額一兆一千九百四十億円に対し、四十三億五千七百七十一万余円上回っておりますが、これは資本勘定から受け入れ増加したものであります。  他方支出済額支出予算現額一兆二千九百二十九億八千二十七万余円に対し一千二百四十八億七千二百八十一万円下回っておりますが、この差額は全額を翌年度繰越額としております。  なお、昭和四十八年度は、日本電信電話公社電信電話拡充第五次五カ年計画初年度に当たりまして、加入電話増設に重点を置くとともにデータ通信等も含め施設整備拡充を図りましたが、一般加入電話は三百十万加入計画に対し三百十万二千加入公衆電話は約八万九千個の計画に対しほぼ同数の増設を行い、その他電話局建設市外電話回線増設データ通信施設増設等工程も、ほぼ計画どおり実施いたしました。  最後に、昭和四十八年度予算執行につきましては、会計検査院から改善事項一件の指摘を受けましたが、これにつきましては、日本電信電話公社において検討を加え改善を図っておりますが、今後とも業務の適正な実施に努めるよう日本電信電話公社指導監督してまいりたいと考えております。  以上をもちまして、私の説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 村山達雄

  5. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 昭和四十八年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告書に掲記いたしましたものは、不当事項六件、意見を表示し、または処置を要求した事項一件でございます。  まず不当事項について説明いたします。  検査報告番号九八号は、九州郵政局小倉郵便局庁舎増築工事の一環として庁舎内にエレベーター設備等を新設する工事の施行に当たりまして、制規契約変更処理をすることなく工事途中で当初の契約内容としていた設計を追加変更する旨を請負人に指示して施工させており、また、その後この設計変更内容とする増額契約変更処理を行った際、予定価格積算が適切でなかったため、契約額が割高になったものであります。九九号から一〇三号までは郵政省職員不正行為に関するものでございまして、目黒郵便局ほか四郵便局で、簡易生命保険募集及び集金事務に従事中の外務員が、簡易生命保険料等を受領しながら、これを受け入れ処理しなかったり、特定郵便局長定額郵便貯金預入金等受け入れ処理しなかったりなどするという方法で現金を領得したものでございます。  次に、是正改善処置を要求した事項について説明いたします。  これは、郵便振替口座算用会計機(甲)の保守料金の算定に関するものでございます。この保守料金郵政省が定めて各地方貯金局に指示した全国統一単価を適用して各地方貯金局が算定しているものでありますが、各地方貯金局における定期点検作業実態を見ましたところ、その作業内容がまちまちであるため作業に要する時間もまちまちとなっており、定期点検料を最も適切と認められる作業内容に適合した作業時間により算定したとすれば、契約額を低減できたと認められました。  したがいまして、定期点検作業実態調査検討の上、保守作業内容を明確にするとともに、各地方貯金局が適正な保守料金契約を締結できるよう適切な処置を講ずることを要求したものでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 村山達雄

  7. 米澤滋

    米澤説明員 昭和四十八年度事業概要につきまして御説明申し上げます。  昭和四十八年度は、電信電話拡充第五次五カ年計画初年度として一般加入電話架設等を順調に実施し、また、通話の利用促進などの各種増収努力等により、総収益は一兆七千四十九億七千四百二十一万円余となりました。  一方、支出面について見ますと、人件費増加並びに事業規模の拡大に伴う減価償却費利子及び債券取扱費などの資本費用増加等がありましたが、経営合理化を図り、経費節減に努めたことなどにより、総費用は、一兆六千八百四十億四千七百七十三万円余にとどまり、損益計算上、総収益の一・二%に相当する二百九億二千六百四十七万円余の利益を上げることができました。  以下、昭和四十八年度決算内容につきまして御説明申し上げます。  損益勘定収入におきましては、予算額一兆六千六百二十四億七千五百万円に対しまして、収入済額は一兆六千七百二十四億九千百五十五万円余となり、百億一千六百五十五万円余上回りました。その内訳は、電信収入で二十五億二千四百八十万円余の減、電話収入で六十一億八百八十六万円余の増、その他の収入で六十四億三千二百五十万円余の増となっております。  支出におきましては、予算額に前年度からの繰越額及び予算総則規定による経費増額を加えた予算現額一兆六千六百八十九億四千八百九十六万円余に対しまして、支出済額は一兆六千六百二十一億四千九百九十一万円余となり、六十七億九千九百五万円余下回っています。  また、建設勘定におきましては、予算額に前年度からの繰越額及び予算総則規定による経費増額等を加えた予算現額一兆二千九百二十九億八千二十七万円余に対しまして、支出済額は一兆一千六百八十一億七百四十六万円余となり、差額一千二百四十八億七千二百八十一万円は翌年度へ繰り越しました。  なお、建設勘定支出及び債務償還等の財源に充てるため、電信電話債券の発行により六千三百二十八億四千六百四十八万円余、設備料として一千七百五億一千八百九万円余の受け入れを行い、一方、債券及び借入金等について二千百十五億百五十二万円余の償還を行いました。  次に、昭和四十八年度実施いたしました主な建設工程内容について見ますと、一般加入電話は三百十万加入計画に対し、約三百十万二千加入地域集団電話は六万加入計画に対し、約三万四千加入公衆電話は約八万九千個の計画に対し約八万九千個をそれぞれ実施いたしました。  また、昭和四十八年度末において、電話の申し込みを受けて、なお架設できないものは約百八十万八千となり、前年同期に比べ約四十六万四千下回りました。  しかしながら、電話に対する新規需要は依然として多数見込まれており、今後とも電気通信施設拡充については、計画的に進めたいと考えます。  また、加入電話は三千万を超え、電気通信システムは巨大化しつつありますが、電話及び電信サービスについては一層その維持向上を図り、国民の福祉に寄与するよう努めたいと存じております。  最後に、昭和四十八年度決算検査報告指摘を受けました事項について申し上げます。  是正改善処置を要求された、引き上げ用ガス隔壁つきケーブル仕様につきましては、検討を加え改善を図りました。  以上、簡単でありますが、概略御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  8. 村山達雄

  9. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 おくれて申しわけありませんでした。  昭和四十八年度日本電信電話公社決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、是正改善処置を要求したもの一件、検査の結果、本院の注意により当局において処置を講じたもの二件でございます。  まず、是正改善処置を要求したものについて御説明いたします。これは引き上げ用ガス隔壁つきケーブル仕様に関するものでございまして、このケーブルは、地下ケーブル架空ケーブルとを接続する個所の地下ケーブルから架空ケーブルまでの引き上げ区間に使用するものでございますが、地下ケーブル内のガスの流失を防止するため、その中間にガス遮断用隔壁を持った構造となっております。そして、購入するケーブルの長さにつきましては、工事に必要なケーブルの長さが四十メートル以下、ただし四十八年十一月以降は三十五メートル以下の場合には、その必要な長さの直近上位仕様書で定める定尺ものとすることとしております。したがいまして、この定尺ものを工事に使用した結果におきましては、当然端尺が生じ、これをくずとして処理することになっております。  このように、定尺ものを購入することとしましたのは、ケーブル準備要求後に設計変更等によりまして長さに変動を来した場合の対応を考慮したものですが、工事設計施工実情調査しましたところ、近年、このケーブルの敷設は既設の空き引き上げ管を利用して敷設する場合が大部分でありますなど、ケーブル準備要求後に長さが変動するような事態はきわめて少なくなってきていると認められますので、定尺で購入することとしております現行の仕様について検討を加えまして、必要な長さで購入するよう改める要があると認められたものでございます。  次に、検査の結果本院の注意により、当局において処置を購じたものについて御説明いたします。  その一は、洞道築造工事における配線工費積算に関するものでございます。これは、東京ほか三電気通信局が四十八年度契約しました電話局間の中継ケーブルを新設するためのシールド工法による洞道築造工事予定価格積算に関するものでございまして、これらの工事では、いずれも坑内に仮設する照明用動力用の電線の配線工費積算につきましては、公社が定めた積算要領に示されている労務工数洞道一メートル当たり百四十人をもととして算定しておりますが、これらの配線作業内容等調査しましたところ、上記労務工数作業実績を大幅に上回るものとなっておりましたので、当局見解をただしましたところ、公社では、四十九年七月、積算基準を改め、配線工労務工数作業実情に適合したものにし、九月以降実施する工事について、これを適用することとしたものでございます。  その二は、空気調整設備工事における矩形風道仕様及び製作取りつけ費の積算に関するものでございます。これは本社及び東京ほか九電気通信局が四十八年度契約した、空気調整装置設備工事に関するものでございまして、これらの工事では、いずれも矩形風道仕様の決定及び製作取りつけ費の積算に当たりまして、風道の角の継ぎ目は、ピッツバーグはぜ継ぎにより施工することとし、この製作取りつけ費につきましては、公社が定めている標準歩掛かり、これは手作業を前提として定めたものでございますか、これをもととして算定しておりますが、これら風道製作取りつけ作業内容等調査しましたところ、近年ではピッツバーグはぜ継ぎの場合でも機械による施工が行われ、また、これに比べて仕上がりにほとんど差がなく、一段と能率のよいボタンパンチはぜ継ぎによる施工が一般化していることがわかりましたので、当局見解をただしましたところ、公社では、四十九年十月、標準仕様書を改め、ボタンパンチはぜ継ぎ工法を採り入れることとするとともに、標準歩掛かりを施工実情に適合したものに改める処置を講じたものでございます。  なお、以上のほか、昭和四十七年度検査報告に掲記いたしましたように、四十七年度検査の進行に伴い、RDワイヤ撤去費積算について是正改善処置を要求いたしましたが、これに対する公社処置状況につきましても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
  10. 村山達雄

    村山委員長 これにて説明の聴取を終わります。     ―――――――――――――
  11. 村山達雄

    村山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうはテレビの難視聴解消問題が一つと、それから郵便貯金の問題でちょっと簡単に一つ、それからファクシミリを使います電子郵便、これに対する問題、最後に、公社経営内容の一部についてお伺いをしていきたいと思います。  最初に、郵政大臣にお伺いしますが、テレビ難視聴解消のために四十八年六月に調査会を発足させまして、二年たった昨年の八月に、その結果が出て、大臣に対する報告が正式に提出をされました。私もその資料を持っておりますが、大臣、それをお持ちでございましょうね。おわかりだと思いますので、まず、自来相当の月日がたっていますから、この難視聴対策に対する郵政大臣としての、この報告書もとにした実施に対する決意のほどを先にお伺いをしたい。
  13. 村上勇

    村上国務大臣 辺地におけるテレビジョン放送の難視聴につきましては、従来から放送事業者に対して機会あるごとに、その解消に努めるよう指導してまいりました。しかし、その指導の結果、かなりの成果をおさめてまいりましたが、なおテレビジョン放送を受信することができない地域が相当残されております。郵政省といたしましては、昭和四十八年六月、テレビジョン放送難視聴対策調査会を設置いたしまして、難視聴解消のための効果的方策について検討してまいりましたが、同調査会は昨年八月、二年余にわたる調査を終えて、郵政大臣報告書が提出されたのであります。  省といたしましては、同報告書を受けて、難視聴解消対策に省を挙げて取り組むことといたしまして、省内に難視聴対策委員会を設置いたしまして、そうして具体的な難視聴解消対策検討を進めているところでありますが、これまでに山間等の散在した集落の難視聴を効果的に解消することのできる極微小電力テレビジョン放送局、いわゆるミニサテを実用化しましたほか、これを契機として郵政大臣から一般放送事業者及び民放連会長に対して、難視聴解消の一層の促進を要望したところであります。今後さらに、難視聴対策委員会における検討結果等に基づきまして、有効適切な施策を講じてまいりたいと考えております。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは細かいことを順次これからお伺いしてまいりますが、その前にきょう、難視聴解消報告書の中の第一部に相当する部分ですね、「辺地難視聴解消促進する方策について」二部の方ではなくて、一部の方だけに限って、これから具体的にお伺いをしたいのです。  その前提として、二つまずお伺いしておきたいのは、この一ページにあります、真ん中にある「難視聴解消対策として関係者が講ずべき」という「関係者」とは一体だれ、あるいはどういう機関を指しているのかを、ひとつ先にお伺いしておきたい。  二つ目に、引き続いて書いてありますが、「関係者が講ずべき施策の総合化を図る」その「施策の総合化」とは一体どういうことを指しているんでしょうか。前提としてこの二つ、まずお答えをいただきたい。
  15. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  初めの御質問の、その「関係者」でございますが、これは、やはりまず地域住民の辺地難視聴を救済するということで、これに関連する者といたしまして、放送事業者それから国、地方公共団体、それから受信者、こういうようなものを一応、従来ばらばらになっておりましたのを、この「関係者」と見まして、二番目の「総合化」の問題でございますが、これが一体になりまして、そうしてひとつ、この辺地の難視聴解消しようということで施策を練っているところでございます。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、いまの第一の問題の放送関係者、国、地方公共団体、受信者等という関係者の中の受信者というのは、具体的にどういう形でこの関係者としての協議なり意見聴取ができるようになりますか。
  17. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  受信者といいますのは、いわゆる地元住民でございますが、これでこの方々が自力で解消するというために、いろいろ方法があるわけでございますが、共同して共同聴取施設というものを設置しているという例がございます。これによりまして、いろいろ従来辺地難視聴の問題も救済されてきてはおりますが、まだ十分ではございませんが、とりあえず住民自身によっても、こういうような対策を講じていただきたい、こういうことでございます。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 ここらが難視聴問題に対する問題なのですが、受信者、地域住民――こういうものをすらっと読みますと「難視聴解消対策として関係者が講ずべき施策の総合化を図る」施策の総合化を図るという以上は「関係者が講ずべき」という前段を受けるわけですから、関係者の中に受信者、地域住民が入っているというときには、一体これの意図なり、あるいは希望なりというものが正式に反映されるような何かかないと、いつも受信者、地域住民は受け身で、テレビが来ることになっていたが、おれのところは入らない、この地域はだめだ、何とかしよう、陳情だ、こういうことを、同じことをいつも繰り返しているのですね。したがって、陳情というものを役所気分で受けてから問題を解決するという、いままでのパターンを改めるためにも、私はここで、何という人でしたかね、この報告書をつくられた方が、どういうつもりでこれを書いたのかを実は知りたかったのですが、地域住民、受信者というものが被害者めいて、どうも見えないから、聞けないから、陳情をして、何年か運動をして、ようやく解消できるというようなことが依然として、この報告書もとにして難視聴地域解消をしようとしても、なおかつ、そのことが残るのでは意味がない。  重要なところだと思うので、この点は何らかの工夫をしませんと、放送関係とか国とか公共団体の長などというものは相当程度、自由と言ってはおかしいのですが、相談をしたり話し合ったりする機会がある。この受信者という難視聴で困っている人々の意向というのが、やはり公の場で十二分に、この関係者が協議をするときの関係者の中に入るようにする配慮は、何としてもやらないといけないのではないかと思うのです。石川さんだけで、これが答えられるかどうか知りませんが、いまそのことのお答えはできないと思いますが、これは大臣もお聞きになっているのですが、ここに問題があるのですから、ぜひそういうパターンを改めないといけないと思います。ずいぶんむだをやっていますよね。全然見えないところなんか、半年に一遍ずつ、五年も六年も陳情していますよ、むだな金と時間をつぶして。できるまでじっと待っていなければしようがない。こういうところを解消するのが政治ですよ。だから、この報告書を出された趣旨の中に、そのことの配慮がなかったのじゃないかという感じがするのですが、これは大至急に検討をして、これに対する明快な何らかの措置を講ずるということにしてもらわないと困ると思うのですが、大臣どうでしょう。
  19. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、確かに従来なかなか地元住民の方の御意向というのがつかめなかったという実情はございます。しかし、現在のようにテレビというものが国民生活の中にも定着したという状態においては、われわれといたしましても、国民の方にあまねく見ていただきたいということでございますが、NHKといたしましては、NHKの放送につきましては、放送法にも記載されておりますように、全国あまねく受信できるようにすべきだということが義務づけられております。民間放送につきましては、その点は義務づけられてはおりませんが、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、大臣からも強く民放関係にも要望している次第でございます。  一方、われわれといたしましても、この調査会の前提条件でございますが、やはりテレビ視聴というものを解消しようという趣旨での調査をしていただきまして、その報告書をいただいたわけでございますので、省といたしましても、本年度から省によります実態調査を行おうということで予算をつけていただきましたので、それによりまして、一度に全部というわけにまいりませんけれども、逐次このようなものを調査いたしまして、その結果によりまして、またそれぞれの関係者に連絡いたしまして今後の難視聴解消を進めていただこう、かように考えて現在実施中でございます。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 そういう御答弁では実は足りないわけですが、これはまた後の問題に移しまして、いま私の言ったことだけは、もうちょっと素直にお聞き取りを願って、実情を調べた上で、なるほどこれが必要だなということになると思いますから、受信者の意向というのが率直に反映できる相談の場所、話し合いの場所、それがちゃんと放送関係者、国、公共団体と対でいわゆる意見の交流ができて、取り入れられていくようにしていかないと、依然としてむだな出費と時間をかけて、陳情だ陳情だというのが繰り返されていくようになりますから、何が何でもこの点に関しては、いまのような、これから私も質問しようと思っておりますが、そういうことだけの答弁で、だからわかってもらいたいと言われても、その大事なところを今後検討し何とかするということにならないと、どうも納得がいかない、こう思うのですが、いかがですか。
  21. 村上勇

    村上国務大臣 これはもう省内におきましても非常に検討いたして、できる限りこの難視聴の問題は速やかに解消したいということに努力いたしておりますが、今後はなお一層格段の努力をしてまいりたいと思っております。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 私の言ったことも含めて、努力をして、検討をしてもらいたいと思うのです。  では、少し具体的にお伺いをしてまいりますが、第一部の一に、「また国等は放送事業者に対しその解消方を指導するなどの措置を講じてきた」とあるのですが、これは、あんまり措置を講じてきてないと思う。これはきっとNHKだけを言っているのだろうと思うのですが、「(NHK及び民放)は」と前段にあるわけです。どうも民放に関する限り――NHKたって、また完全じゃないのてす。民放に関しては、もう現状は話にならない。その民放の事業者に対して、特に民放と言いかえますが、国は放送事業者、すなわち民放「放送事業者に対しその解消方を指導するなどの措置を講じてきた」と言っているのですが、これは何の実績を見て、そんなに措置を講じたと言えるのでしょうか。私は、民放なんかはほとんど講じてないと言っていいくらい……。
  23. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  昭和四十八年に放送局の再免許をやったわけでございますが、この再免許の申請のときに、今後三年間――放送局の免許期間は三年間でございますので、今後三年間において、各民間放送においてどのように難視聴地帯を解消していくかという計画を出していただいたわけでございます。それによりまして、いま統計をとっているわけでございますが、大体、当初民間放送がこの三年間に行おうという計画の九三%程度が達成されたという実績でございます。しかし、これによりまして、すべての辺地が救済されたというわけではございません。したがいまして、今後さらに努力を続けていただかないといけないと思っております。  それから、最近の難視聴地帯を見ますと、非常に場所が散在してまいりますし、また世帯の集まり方が数が少なくなってきております。したがいまして経費的にも、あるいは技術的にも非常に困難な問題が出てきておりますが、ことしの一月、それに対しましてミニサテという方式を採用いたしまして、それによりまして、小さなところを救っていこうという技術的な方法もでき上がったわけでございます。ただ、これにつきましては、まだ十分その効用が発揮されておりませんが、今後そういう地域に使われますと、さらに辺地の難視聴解消に役立つのではないか、かように考えております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 いま石川さんが前段に言われましたように、三年ごとに免許を更改する、その免許を与えるときに、向こう三年間の民放側から出した計画の何%かができただけですよ。民放の側は、やはり経営状況が悪くなれば、こういう経済状態になれば、経営が苦しくなるというので、これから出すものは、なおさら減りますよ。その計画の九二%できたから、いいなんという考えだったら、何も国の監督指導、講ずべき措置を講じたなんてことにならない。国家的な見地から、監理局は監理局の見地で事情をよく見て、少なくとも三割は解消すべきだ、四割は解消しなければだめだというものをつくって、それを与えて、それをやりますという条件で免許を与えていくというようにすれば、少なくとも事業者に対して解消すべき何かを講じたことになるわけです。  民放が勝手に自分の経営計算の中から、これだけできます。三年間で百もある中の十やります、八つやりますと言って、何%ぐらいしかやらないものを、それが出てきたら、それの何%ができれば、それだけでよろしい、こんなばかなことでは、何らの指導性もないじゃないですか。だから、ここに疑義があるのです。どんな調査をしたか、こんな調査に疑義がある。おっしゃったように、いままでが全部そうなんだ。だから依然として解消しない。そうしてそのために、百姓で農村地域をしょっていこうと考えているような有能な青年までが、ついに耐え切れなくなって、出ていって、過疎化していく、辺地にいけば辺地にいくほど、そういう事情が多いのですね。ゆゆしい問題なんです。こんなことで、そういうことが起きるのです。  したがって今後はいまのような、民放が勝手に出した計画の何%ができたらいいんだなんていう受け身で、腕をこまねいて見ているようなことではだめだ。自今本当の意味の指導をやってもらいたい。そうでなければ解消はできませんよ、この報告書が幾らりっぱなものができても。これは絶対に改めてもらわないと困る。いいですね、それは。  そういう前提で、少し具体的な問題に入ってまいります。  その一つは、二枚目の二行目の下の方から「実現可能なものから実施するよう努めることを要望する。」この「可能なものから」というと、不可能とはどういうものが不可能になるのか、その不可能の方を教えていただきたい。
  25. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  この調査報告書によりますと、いろいろな方策が述べられているわけでございますが、その中で可能なものからやろうということで、可能なものから手をつけろということを示唆されているわけでございます。  この示唆された方策の中で、たとえば国庫助成の問題などがございます。この国庫助成の問題となりますと、これは放送のたてまえといたしまして、放送に対して番組の自主性と申しますか、そういうような問題から、国としては番組内容に介入しないという強いたてまえで従来から参っておりますが、助成を行うことによって放送の自主性に問題が出てこないかどうか、こういう点が従来から検討されてきておりますが、やはりその点につきましては、私たちとしては、国が直接助成等によって放送事業に入るということは、まずいのではなかろうかということを従来から考えております。  それから、この中で提案されております辺地において放送事業者以外の者が中継局を設置することを認めてはどうか、こういうことがございますが、これにつきましても、従来こういう方針をとっておりませんし、中継局にいたしましても、すべて放送事業者が設置するというたてまえをとってきております。したがいまして、放送事業者以外の第三者が放送局を持つことについては、いかがなものかというふうに考えております。  それから、ここにまた提言されておりますが……。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 そういうことは後で聞きますから。不可能なものというのは、どんなものでしょうか、それの方を先に。
  27. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 現時点におきましては、ただいま申しました国庫助成の問題、それから放送事業者以外の者に免許する問題、これはすべて不可能でございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 その二つだけですね、不可能というのは。
  29. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 いまこの二つだけに制限することは、ちょっとわれわれとしても、まだ検討中でございますので、それ以外にもあると存じております。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 検討されると、まだ不可能なものは具体的に出てくるだろうと思いますが、その点は、また後で直接お伺いをすることにいたします。  次に、民放中心の(一)がございます。そのアに「期待される範囲を設定すること」とあるが、「期待される範囲」というのは何を指したのでしょうか。――お調べになるのでしたら、ついてにあと一つ二つ聞いておきます。  次に、いま言われたイの項の国庫助成です。新たに民放に対する国庫助成を行う。大臣に冒頭決意のほどをお伺いしたときに、これはできる限りやっていくのだという決意が述べられました。報告書の非常に重要なポイントの一つになりますが、民放に対する国庫助成を額とか率とかの問題でなくて、もうやります、やる方針で検討いたしますということになるのかどうかが二つ目。  次に、ウの項の先ほどお話のあった「放送事業者以外の者が中継局を設置することを認める」これは改正を必要とするでしょうが、その方針でいきますというふうに、お答えが願えるかどうか。
  31. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 第一の御質問の「期待される範囲」の問題でございますが、NHKといたしましては放送法によりまして、あまねく放送が受信できるように義務づけられているわけでございますので、これは問題ございませんが、民間放送の場合は、まず、この辺地難視聴については、自主的な構想のもとにその難視聴解消していく、さらに民放がその受信者からの期待にこたえて難視聴解消していくということでございますので、その範囲は、やはり民放自体がまず、みずからその計画を設定すべきであるということを、われわれは考えているわけでございます。  したがいまして、民放の方はこの趣旨にのっとりまして、ひとつ難視聴解消についての範囲を設定していただきたい。それのもとになりますのは、先ほど大臣からも申し上げましたように、先般、放送事業者に対しましても、さらに一層難視聴解消に努力すべきであるということを期待いたしましたし、また同時に民放連の会長に対しましても、民放連に対しましてもそのように民放連を指導していただいて、そして難視聴をなるべく早く解消してほしい、このように大臣からも強く要望しているわけでございます。  それから、次の国庫助成の問題でございますが、これにつきましても、やはり従来この放送事業に対する国庫助成というものはやっておりませんし、したがいまして、われわれ先ほど申しましたように、放送の自主性という立場から国庫助成をやるということに対しては、非常に現時点においては困難性があるわけでございます。これはやはり放送の本質的なものにかかわるものでございますので、われわれは、これは慎重に検討しなければ、かえってこのために放送の自主性が失われるということになることはいかがかと存じますので、この点は十分今後検討を進めていきたい、かように考えております。  それから放送事業者以外が、その中継局を設置するということにつきましてのお答えでございますが、従来電波法のたてまえから申しまして、やはり電波を使用する者が免許を受けて電波を発射するというたてまえになっております。したがいまして、放送事業をやる者以外が中継局をつくって電波を発射するということになりますと、これは従来の電波行政のたてまえから言いまして、現時点では、これは不可能ではなかろうかと考えておりますが、やはりこのように示唆がございましたので、この点については検討を進めていくことも必要かと思いますが、やはり新しい無線局の種別を設定するとか、あるいはそういう中継だけを業とする者の地位につきましては、法制的に相当深い検討をしなければならないというふうに考えておりますので、その点、今後の問題かというふうに考えております。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣、いまお聞きになっているとおり、この書類もお持ちだろうと思うのですが、民放を中心に考えたときの難視聴解消というものは、たまたま出ているこの報告書のアイウというのは非常に重要なポイントなんですね。現在、民放と折衝をして難視聴解消してくれと言って、もう六年も七年もできないでいる原因の主たるものは、ここにあるのです。特に、国庫助成が一つです。それから「期待される範囲」というやつです。これもある種の義務づけになりますが、これが民放の場合に何ら規制されていない、NHKと違うところですから。したがって国庫助成というようなもので言論の自主性をどうのこうのというのじゃなくて、NHKと同じような、たとえば「期待される範囲」をNHKが、いま義務として課せられている範囲に準ずるというようなことに同時にするという前提で、国庫助成を行うというふうにしない限り、現在の難視聴区域を民放に関する限りは、恐らく百年河清を待つようなもので、なかなかにむずかしい問題になります。  特に、現在のような経済状況から言いますと、いま少し上向いたなんて言っていますが、これはとてもじゃありませんが、われわれはだで感じてもう安心だ、経済よくなっていくなんというふうには思えない。諸般の状況から、そういう判断はできない。そう考えていきますと、せっかく出された報告書を鋭意努力してやりますという大臣の決意があっても、まず入り口でできないですよ、実際問題として。いまお話しのあったように、現時点では不可能だとかということが前提で今後検討いたします、ニュアンスとしては、とてもやれそうもない。そんなことなら、大臣が最初に述べた決意なんというものは、ここで全部吹っ飛んじゃうのですよ。  これは事務当局はいろんな関係をずっと考えてみたりして、法律を見たり、なかなかむずかしい、むずかしいというところに落ち込んでいくのはあたりまえだと思う。そこが大臣のおられるゆえんなんでして、私はやはり方向としては、こうするという――どこかネックかを見て、ネックを取り払うのだ、ためにはこれとこれが必要だから、実現する方向で検討をするということにならないと、いまのように不可能だという前提で、困難でございますという前提で、しかし検討はしてみるというのでは、これはこの報告書何の意味もない。せっかく難視聴区域が解消できるかな、国民の期待が一遍に、やはりだめだ、ロッキードじゃないけれども、どうせ大した名前が出ないだろうというあきらめが、同じようにこれにも出てくる。それじゃいけないと思うのです。  これは日常生活文化に関係して非常に重要な問題ですから、したがって、これに対しては、いま言ったようなア行にある「期待される範囲」というのは、次の項目の国庫助成というものが前提になって、そのかわり「期待される範囲」というものを、NHKに課せられている義務の範囲に準ずるものとしなければだめだと思いますが、大臣どうですかね、これ。そういう方向で、やる方向で検討しますと言わない限り、何にも難視聴区域の解消には役に立たないと思いますが……。
  33. 村上勇

    村上国務大臣 御承知のようにNHKは、あまねく国民に放送をいわゆる聴取できるようにということが一つのNHKに決めつけられたものである、NHK自身もそういうふうなことでありますが、そのためにNHKとしては経営の許す限り、経済的に許す限り、どんどんと難視聴解消をしております。  民放もこのNHKの考え方と同じように、民放としても共同施設等に金を出して、そうして民放もできる限りNHKに負けないようにということは、民放連の会長もそういう意見でもあるし、また私からも、NHKとともに多少の金もかかるだろうけれども、ぜひひとつ難視聴解消を民放もやってほしいということを強く申し入れておりますが、最近難視聴解消のできる非常に有利な施設ができるということになりまして、民放連の会長も、民放も承知しました、やりましょうということが、はね返ってきております。  これはもうこの難視聴解消ということは、この事業にとって最も大事なことでありますし、われわれとしても十分これは努力を惜しまないでやらなければなりませんが、ただ、報告書にあります、民放にも国庫助成を云々というようなことについては、これはいまの段階ではNHK、公共放送に対しても国庫助成は与えていないのでありますから、いまこの報告書のとおりに、すぐこの段階で国庫助成をしてまで解消するというところまで行けるかどうかということについて、私は素人ながら一つの疑問を持っております。  難視聴解消報告書は、なおいま郵政省においてこれを慎重に検討中でありますので、各方面とも連絡をとりまして、そうして御期待に沿うようなことになり得ますならば、これは非常に私ども好ましいことではありますけれども、いまきょうの段階で国庫助成の道を開くということについては、どうもすぐ回答申し上げるわけにいかないのでありますから、どうぞひとつ御了承願いたいと思います。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 これは報告書が昨年の八月八日に出されているのです。すでに相当たっているわけですが、これに対して、いま大臣の答弁にありますように、いまは明快な答弁ができない。いつになったら、国としての態度が決定できますか。もうずいぶんだっているのですからね、検討しているのでしょう。
  35. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 昨年の八月に調査会報告をいただきまして、事が非常に重大でございますので、私たちといたしましては、事務次官を長といたしまして委員会を省内に設置いたしました。そして、現在あそこに提言されております諸問題につきまして、それぞれの担当のところで内容を分析して、それに対する対策をつくっているという段階でございます。  いつになったらという御質問でございますが、その点につきましては、いつということは申し上げられませんが、われわれといたしましても、この問題は非常に重要な問題でございますし、現に辺地のみならず都市においてもいろいろな障害が起きております。そういう問題を解決すべく鋭意努力中でございまして、なるべく早く結論を得たい、かように考えております。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 きのうも言ったのですが、どうもいつでも皆さんの考え方、仕事っぷりというのは気に入らないのだけれども、少なくとも八月に報告書が出ましたよ。これも二年の計画で出すというやつが、この報告書だけは二年の計画で出たのですね。これを受けた皆さんが、自来大体十カ月たって、検討中でございます。この先いつ一体態度を決定いたしますかという質問に対して、とにかく鋭意努力いたします。各省全部そういう答弁なんですね。  きのうも、そのことで私強く申し上げたのですが、少なくとも仕事をやるのに、乱暴でもいいから、いつまでにはという時期の設定をしてやらない限りこんなのいつまでたってもできやしない。仕事をするのに当然じゃないですか。十ケ月もたっているのに、長として、責任者として、部下に対して一年後には、この答えを出しなさいと、めどを与えるのはあたりまえじゃないですか。石川さん自身か、いまだにてんでわからないで、鋭意努力いたしますなんて、何たることですか、費用をかけて報告書を出さ長おいて十カ月もたっているのに。それで答弁に立って、因難でございましょう、不可能だと思います。何にもその後検討していないみたい――しているには違いないと思うのですが、少なくともめどをつけなさいよ。これはいつまでに、具体的に国としての態度を決めますか。
  37. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  先ほどの委員会を昨年、この調査会の結論を受けてつくったわけでございますが、そこで昨年度におきまして実施しましたのは、あの答申を受けて、どのような問題点を今後検討すべきかということで、項目をいろいろ出してきたわけでございます。たとえば国庫助成を行うという件につきましては、言論機関に対して国が助成することの適否はどうかとか、あるいは法的措置の要否、あるいは国庫助成の地域及び対象の指定、こういうようなことを昨年度内におきまして項目を出しまして、今年度はその内容につきまして検討しているわけでございます。  先生御指摘のように、やはりわれわれといたしましても一年一年仕事をまとめていって、その成果をみながら足りないところを補っていかなければいけないわけでございますが、そのようなことでございまして、われわれ今年度におきましては、やはりどこまで詰められるかということで具体的な問題を出しまして、さらにその内容について詰め方の足りないものについては、次の年度に行うということで、考え方といたしましては先ほど申しましたように、われわれもこの重要な問題につきましては、なるべく早くこの検討事項についての結論を得たい、こういうことで実施しているわけでございます。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりましたけれども、仕事をするのに、もう報告書が出て、来月ものを言っているんじゃないですからね。いつごろというのが、もしその時期にできなければ、かくかくの理由で延びました、あとこれだけ延ばしてください、残念ながらこれでいいのですよ。何もめどを設定しないで鋭意努力いたしますだけで、ずっとやる仕事っぷりというのは、どうしても非能率で、非現代的で、非科学的ですよ。  困難な内容を持っておることはわかっておりますが、本職の皆さんは、何か困難で、どういうところがむずかしくて、法律の上でどんなところが障害になるか、大体のことは、みんなわかっているじゃないですか。わかっている人が集まっているんじゃないですか。少なくとも局長あたりがそろばんを簡単にはじいて、一年後にはとかなんとかいうようなめどをつけなければ、これが出てから、ずいぶんこれを期待しているのですよ、本当に難視聴地域の人々は。これで待たしているのですよ。それをまだ鋭意努力いたします、一体役所って何だって言いますよ。少なくとも一年後を目標に国としてのこれに対する明快な態度を決めます、その予定でございますと言えば、またそこに一つ救われますが、何も言わないというのはよくないと思うのです。
  39. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 先ほども申し上げましたように、この調査会報告を受けまして、われわれとしてもいろいろ検討した中で具体的に進めた問題でございます。これにつきましては、先ほど大臣からも答弁ございましたように、たとえば辺地難視聴におきましては、ミニサテ局というものの構想を出しまして、これに対する規則、省令等を制定いたしまして、これは実際に実現に移したわけでございます。これによります置局というものも、現在約四十数地区におきまして実現されてきております。それから、大臣からも一般放送事業者あるいは民放連に対しても強い要望書を出したわけでございます。  また辺地だけではございませんで、都市の受信障害等におきましても、現在実験中ではございますが、現在放送に使っております別の周波数帯でございますが、SHF帯という非常に高い周波数を使っての都市の受信障害の解消を行うべくやっております。  そのように、現在手をつけられるものは順次手をつけてきておりますし、それがある程度成果が上がりますと、これを規則あるいは省令等に移して、その実現をより確実にしていく、こういう実際の作業も行っておるわけでございます。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 現在やっておるのはあたりまえで、この答えを出すまで何もしないというのなら、郵政省電波監理局は要らなくなってしまいますね。やっているのは、あたりまえですよ。ミニサテをやるとか、それから何をやっているとか、いまお話があったようなことをやっているから、いいんじゃない。そのことは民放の出した計画の九二%の中を少しでも促進する、現在できる範囲でやっているだけですよ。それじゃだめだから、難視聴区域解消のためには根本的、抜本的にこういうことを考えなさいと言っている提案、この提案が具体化してこない限り、難視聴解消というのけ非常に困難なんですよ。私より皆さんの方が知っている。であれば、この、いまぼくが一つ一つ質問していった問題を、いつめどをつけるんだということがない限り、これが解決されない限り、基本的に難視聴区域の解消というのは、むずかしいんだ。だから指摘もしているし、私も同感だし、皆さんも検討に値するから検討をしているのでしょう。これですよ。  いま何をやっていますか、ミニサテをやっていますとか、そんなことじゃない。現在のことを聞いているんじゃない。これをいつやるか、これに対する答えをいつ出しますということを、一応も二応も目標を設定すべきだと私は言っているのです。そういうのはできませんか。いりごろまでにやります、その考えでございますということがまだ言える段階ではないのですか。ずばりそれだけ答えてください。
  41. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 調査会報告書の中にございますもので、考え方としては、非常にいい考え方でございますが、実現がなかなか困難であるというものも相当含まれております。ことにあの調査会におきましては、いろんな御意見が出されまして、そしてそれをまとめたわけでございますが、中にはそういう問題もございます。したがいまして、われわれといたしましては、早急にできるものから、とにかく手をつけていくことによって、一世帯でも二世帯でも、とにかく難視聴を減らしていこうという考え方でございますので、先ほど申しましたように、手をつけられるものから順次手をつけてきております。最終的には、なかなか実現が困難だというような内容のものも出てまいると思います。その点につきましては、いつまでに、それに対する結論を得るということ、これまた非常に困難かと存じます。われわれといたしましては、先ほども申し上げましたように、できれば本年度あるいは来年度以内に実現可能なものは、どんどん手をつけていこうという考え方で、現在事務当局では鋭意作業中でございます。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 私が素人でわからず屋なのか、あなたがとぼけているのか、できるものから手をつけていくのはあたりまえだと言っているのですよ。いま言ったアイウエオのアイウのうち、できるものから手をつけられるものがありますか。ないじゃないですか。国庫助成ができますか。放送事業者以外の者に中継局をやらせることができますか。できないでしょう。何を言っているのですか、一々答弁するのに同じことを。できるものはどんどんやっていますなんて、できるものからどんどんやるのは、あたりまえだというのです。  しかし、基本的にわれわれが考えても、これは問題だな、これを解決しない限りだめじゃないかと思う提案がある。これに対しては、いつ結論を出しますか。この結論を出さなければだめなんですよ。できるものからやりますというやつ、これは国庫助成だとかできるものの中からやれますか。中継を放送事業者以外の民間のほかの者にやらせるとか、できないじゃないですか。さっきから、できるものからやりますということを聞いているのじゃないですよ。これに対して、まともにぶつかった答えというものを、一体いつごろをめどにお出しになりますか。目標なしでやっては、私はだめだと言うのですよ。
  43. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 先ほども申し上げましたように、内容によりましては非常に長期間かかるものもございますし、法律改正を必要とするものもございます。したがいまして、その法律を改正する場合などにおきましては、それなりの根拠を得ないといけませんし、また先ほどの国庫助成等の問題になりますと、言論問題との関連が出てまいります。したがいまして、いついつまでにそういう問題を解決するということは、事実上非常に困難なことかと思います。そのようなことは、初めからそういうことでだめだということも、われわれとしては言えませんので、その点は可能な方法が何かないだろうかということで検討を進めていかないといけないと思いますので、それには、やはりある程度の時間をかしていただかなければ、われわれとしても、なかなか結論は得にくい、こういうふうに考えております。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 国庫助成をすれば自主性の問題との関連でどうなるか。放送事業者以外に許可をするということになれば、法律との関係が一体どうなるとかという問題が起きること、そのことがわかっている前提で、そういう問題がありますから、この問題に関しては、これからこうやります、しかし一応の線として、そういう問題点がこういうように上がりました。これはこういう問題があって検討したが、こういう結果になっていますというのを、一遍ある線を引いて、そこまでの間に出しなさいというのですよ。それまでに出しなさいというのです。何月何日までに何をしろと言っているのじゃないのです、言っているのは。大体一年後とかなんとかに、いま言ったような問題点があるから、この問題はこういう問題点がありますから、これにはこういうふうにこれから取り組みます、取り組まざるを得ませんという答えを全部出すのがいつごろになりますか。方針ですよ。
  45. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 先ほど申し上げましたように、どういう項目を検討すべきかということは、昨年度一応出したわけでございます。それに対する、ただいま先生からの御指摘の、いつごろまでに、もうちょっと深く、どういうふうに、できるかできないかということを検討しろということでございますが、これは現在委員会におきましても検討を進めているところでございます。われわれとしましては、そういうことでなるべく早くということでございますが、やはり一年くらいですか、来年ぐらいには、こういうものがこういうところに隘路があるとか、こういうところは相当早く実現が可能であろうとか、そういうふうなことは出せるかとも思います。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 来年ころですね。
  47. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 今年度の終わりくらいでございます。来年の春ころ。ただ、それによりまして、やはり問題点は相当残っていくのではなかろうか、かように考えております。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 今年度の終わりごろに、それが出せるということになると一歩前進です。従来はなかなかそういうませというものはなかったのですが、大臣お聞きのとおり、今年度末くらいには、もう一歩踏み込んで出しますと局長は言っていますが、大臣も、それを出させるようにしていただけますか。
  49. 村上勇

    村上国務大臣 いずれにいたしましても、結論を早く出さなければいけないと思っておりますので、いま電波監理局長のお約束した時間には必ず提出することにいたします。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、もうちょっとお聞きをしておきたいのですが、(二)の項の三行目から「前記の民放の放送の難視聴解消促進方策のうち適用可能なものを採用する」と言っているのですが、簡単に「適用可能なものを採用する」というのは、いま局長が言われた、検討している間にやれるものはすぐやっていきます。いまもやっています、答えが出る前にも、できるものはやっていきますというのと同じに解釈してよろしゅうございますか。
  51. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 (二)は、これはNHKの問題でございますが、先ほど申しましたように、いろいろミニサテ等につきましてはNHKも、もちろんこれは採用して十分活用していただかないといけませんし、また民放でも活用していただかないといけない、こういうようなことで、そういうような民放にも、どちらにも採用可能なものというのは、たとえばミニサテのような場合が当てはまるかと存じます。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 それはわかりました。これがこれから質問することにも関連をしてまいりますが、最後に「なお、NHKが新たに難視聴解消すべき地域については、NHKと民放が協力して両者の放送が同時に受信できるような措置が講ぜられることが望ましい。」これは非常に大事なんですね。NHKだけがやれるところを、力に任してでなく、やる義務があるのですから、どんどんてっぺんに持っていって、つくってくれるわけですよ。これを一緒に民放がやればできる、場所さえ倍の広さがあれば。しかも余っている地域がうんとある。最初から計画的に民放が一緒にやるということでやらしたら、一緒にできたものだなと思う工事が全部ですね。ほとんどですよ。これはもったいないですよ。これはぜひともやらなければいけないです。  そこにはNHKが費用の六割、七割持って、民放が三割とか、あるいは国の別途の助成が要るとか、何かそれが起きてひっからんできそうな問題がありますよ。あるけれども、現在解消する、いま新しくNHKが難視聴解消のために施設をつくるというときには、いまからでもせめてNHKが七割、民放三割というので、共同に工事をやって、おのおのの持ち分の配分を決め、あるいは四分六だか七、三だか知りませんよ、何かやってでも、民放と最初から一緒に建てるべきだと私は思うのです。  これがいままでされてこなかったので、ずいぶんもったいないわけです。これはどうしてもやるべきだと思う。これに対しては、先ほど局長が言われた、やれるところからやる中に、これだけは入れてもらいたい、ぜひ指導をしていただきたい。ということになると、NHKに予算上の問題が起きてまいります。これも相当検討せねば、むずかしいという答えが返ってくることは間違いない。ですが、私は、NHKのあの予算の中に、その種のものがあるないにかかわらず、やはり指導の仕方によっては、四分六なり七、三なり、いわゆる工事の負担分割合を決めてやることが可能ではないかというふうに考えていますが、この点ができるかどうか、これはぜひやってもらいたいものですから、それが一つ。  それからもう一つは、現にNHKはてっぺんに建っている、空き地もあるのですね。ここへ民放がやりたくても、いまのところ経営が困難で金がない、そのことに対しては特別に何か考慮をして、民放に助成を行って、ある種の助成、わずかでいいが呼び水をやって、そして同じところに、いまNHKの既設のところに民放の施設をつくらせてあげる、これは架線だ何だという点でずいぶん助かるものがあるのです。したがって、そのことを多少の助成をしてもやらせてやるということを、さかのぼってやってもらいたいなと思いますが、その二つについてお答えをいただきたい、これがこの問題の最後です。
  53. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 初めの、共同で建設をやるという問題でございますが、これにつきましては、われわれずっと以前から、共同で建設を行うということについては強力に指導しているわけでございます。これは電波的に見ましても、やはり同じ個所から出るということで、受ける側からも非常に便利でございますし、ばらばらにやった場合には経費とかいろいろな問題もございますので、これは以前から相当強く申しておりまして、やはりNHKも民放も、この線で乗ってきてくれてはいるのですが、民放の方はどうしても経費的な問題がございまして、最後の段階では必ずしも共同歩調がとれないということでございます。  この点につきましても、最近特にミニサテの問題が出てまいりまして、従来中継局を一局つくるのに八百万円ほどかかっておりましたのが、ミニサテを使いますと二百八十万円程度で済む、これは民放二局入れての話でございますが、そういうようなことでもございまして、経費的にも安く上がるという方法も出てまいりましたので、今後ともこれは強力に進めていきたいということで、われわれの方といたしましても、NHKにもその旨話してございますし、また民放関係にもその旨話して、ひとつ共同で大いにやってもらいたいということを言っているわけでございます。  それからもう一つは民放の助成の問題でございますが、この助成につきましては、やはり国が助成するということは、先ほど申し上げましたように、非常に問題点があるわけでございます。しかし、実際問題といたしましては、地方公共団体などが幾らかの補助金などを出して、やはりやっているようでございますけれども、これにいたしましても、まだまだ十分とは言えませんので、これにつきましても、われわれとしてもさらに民間放送にも強力に、そういう助成金なしでもやっていただくようにお願いすると同時に、やはり地方公共団体とも相談をしながら、なるべく受信者の難視聴区域を救えるように指導していきたい、かように考えております。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 それでやむを得ないと思いますが、いま最後に申し上げたように、NHKと乗りでやるときの工事費の負担割合等に関しても、何らかの方法で、民放がやりやすいように、多少ともNHKの歩の悪い負担割合にするような指導もあわせて工夫、研究をしてやってもらいたい。現実には、そうしないとなかなか困難ですから、やっていただきたいと思います。これは要望しておきます。  次に、郵便貯金の問題について、ちょっとお伺いいたします。  いろいろお聞きしたいことがあったのですが、時間がありませんので一つだけお伺いしますが、現在二十五兆円に上る残があります。大変運用部資金等で、現在の国家財政に非常な寄与をしております。その意味では、使途に関してわれわれ異議がありますし、反対の場所がずいぶんありますが、しかし、現段階において預金そのものは、これは本人の自由意思である限り、やらないよりやった方が本人のためにもなる、しかもそのことが国家財政に寄与するということになりますから、やはり郵便貯金というのは、まだどんどんふやしていくようにしているでしょうが、これはそうした方がいいのじゃないかと私も思うのです。で、現在で事足れりというのではなくて、私は、もっとふやすようにするために、一つだけ提案をしてお伺いをしたいのです。  これは大臣にも決意をお述べいただきたいのですが、現在お聞きしたいのは外務員、定額預金、積立預金等の勧奨手数料というか、手当というか知りませんが、外務員に払われています。現在では年間三百数十億円になっている。これを、一人一人の外務員に対する手当の支払額を見ると、ある人によると、月間の自分の正規の所得と同じくらいあったりというのが、たまにあるようですけれども、しかしおしなべて言うと、そんなに大したものにはなっていない。現在出されている外務員に対する手当というのは何%か知りませんが、現在実施されている手数料の率というのは、いつ決まったものかをひとつお伺いしたい。  私は、それをお伺いした後、現在の手数料をもうちょっと上げていいのじゃないか。いまの手数料の率というのは、大変前に決ったように思うのですが、それがいつだったかをお答えをいただいて、現段階の諸般の情勢から言って、私は周りのいろいろな関連から言っても、この郵政の外務員の手当を引き上げるべきだ。このことはまた内務員、内務員というのか内務者というのか知りませんが、に対する配慮もし、彼らにも多少いっている分は上げなければいけないでしょう、そういった関連が起きますけれども、それでも、最近の預託利子などの逆ざやかだんだん解消されていく傾向にあることが資料でわかりました、という状況なら、この外務員の手当を引き上げる、率を上げるということで、もっと預貯金の収集に力を入れていい、こう思いますので質問をしているのですが、参考までにいまお聞きしたような、現在の施行されている率というのは、いつ決まったのかをお答えいただいた上で、引き続いて、その二点に対してお答えをいただきたいと思うのです。
  55. 神山文男

    ○神山政府委員 お答え申し上げます。  現在の募集手当でございますが、支給率は定額郵便貯金契約につきまして額面金額の千分の六、それから積立郵便貯金契約につきましては、第一回掛金の百分の十、それから定期郵便貯金契約につきましては、額面金額の千分の三に相当する金額ということになっておりまして、この手当の支給率というか手当の率というか、これを決めたのは昭和二十九年度でございます。このときに支給規程を整備いたしまして、この手当率にいたしました。  それから第二に、この支給率を上げて、外務員あるいは内務者の募集しやすいようにしたらどうかという先生の御意見に対して申し上げます。確かに現行の支給率は改定以来、二十年以上たったわけでありまして、率そのものは二十年間変動しなかったわけですが、しかし一方において、貯金額が非常に年々大きく伸びてまいっておりまして、したがって募集手当額も非常に大きな伸びを示してまいっております。  ちなみに新規の募集額、定額貯金について申し上げますと、過去十年間平均年率二九%ずつ毎年伸びてきております。それから昭和四十年度の定額貯金の実績の指数を一〇〇といたしますと、このときが六千二百八億円でございましたが、昭和五十年度、十年後にはこの指数が一二九六、すなわち実績額で八兆五百二十一億円と非常に大きく伸びておりまして、したがって手当も、率で決まっておりますものですから、それに従って伸びてまいっておりまして、これは昭和四十七年の募集手当の支給実績が百五十九億円でございました。これを一〇〇といたしますと、昭和四十九年度が二百三十三億円で一四六に当たります。これは後、五十年、五十一年はまだ決算がわかりませんが、予算で申し上げますと、昭和五十年度が三百億円、これは四十七年の指数に比べて一九〇、昭和五十一年度が三百六十億円というふうに伸びてまいっておりまして、手当額も伸びているということで、現行の支給率が適当でないとは必ずしも私、考えておりません。  しかし、今後ともいろいろ経済情勢の変動あるいは郵便貯金の経理状況あるいは職員の給与条件、そういうものをいろいろ勘案して、絶えず適正になるようには検討していかなければいかぬというふうに考えております。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、いまの率が低過ぎるから、上げろと言っているんじゃないんですよ。前段に物を言っているわけですね。もっと預金をどんどん吸収していい。そのことは、都市銀行の個人預金者に対するサービスがずっと向上するという刺激もあるのです。大事なことなんです、これは日本では。企業ばかり優遇して個人に対して非常に冷たいような民間の都市銀行に対しては、これを改めさせる必要があるでしょう。そういうことにも刺激材料になるのです。同時に、国家財政のいまの状況からいったら、預金の吸収をどんどんした方がいいと私は思う、すべきだ、本人のためにもいいと思う、というのが前提ですよ。  率が低いからじゃない。だんだんたくさん売れるようになったから、二十九年、二十年前の率でいいのだ――郵便切手にしても手数料にしても、どんな手数料にしたって、あなた方の関係するものは年々歳々どんどん上がっているじゃないですか。それをたまたま、支払い総額が百億が三百億に現在なりました、だから率は二十年前のでも三十年前のでもいいのだというのは通りませんよ、いま。そのことがまた預金を吸収する刺激になって国家に寄与するではないかというのが前提ですから、検討すべきだと思いますよ、いまの率をそのままでいいなんて言わないで。検討しますか。
  57. 神山文男

    ○神山政府委員 先生のおっしゃる趣旨はよく了解できます。それで、多々ますます弁ずということもあります。この率なり金額、現在一人平均外勤で八十万ぐらいになりますが、これが十分なのかどうかということについては、もちろん私どもいろいろ、先ほど申し上げたような経済情勢あるいは職員の給与条件あるいは財政状態、そういうものを勘案して、絶えず適正なものになるように検討はしていかなければいけないというふうに考えております。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 最後に、これも一問だけにしますが、電電公社にちょっとお伺いします。  公社のデータ通信の最近の収支の状況を見ますと、大変悪い状況で、この傾向だけ見ても、すぐよくなるとは思えない。理由は、八年間で償却という前提があるから、そうなるんだろうと思うのですが、しかし、現在総がかりでやっているんですから個別には出ていませんし、また、その必要はないわけですから、そうすると、電報が赤字、電話もだんだん悪くなってきて、いよいよ値上げをしなければいけないという状況になっているんですが、この電話利益でデータ通信の赤を埋めていっているような状況にちょっと見えるんですね、このままいきますと。それはどうも、逆の言い方をしますと、大体企業がデータ通信を主に使っているんですから、一般の電話利用者が企業に対して奉仕させられているというようなことにも側面から言うとならざるを得ない。  この八年間償却ということが正しいのかどうかというのが一つありますし、いま私が申し上げたような、そういった考え方に対して、いやそうじゃないんだよ、こうなんだという御説明をいただきたいのと、それから、今後データ通信の収支の見通しについてお答えをいただく中に、八年償却という前提に関しても御意見があれば、お伺いをしたいのが一つです。  いろいろなことをきょうはお伺いしようと思ったのですが、最後にもう一つ伺いしたいのは、収支差を見ますと、年度別にずうっと数字をちょうだいいたしましたけれども、大体四十九年九百七十三億、四十八年七百七十八億というふうにずうっとなっていますが、私は、いまおやりになっている中で一番目につきますのは、電電債の発行額と償還額との差を見ていきますと、どうも電電債を発行しては償還に向けていく、それが大体三割がちょっと上向いて三割一分、三割一・四とかいうふうになっていくような状況を見ますと、俗に言う自転車操業というような感じがするわけです。  これでいいのだろうかという感じがするわけですが、それに対してお答えをいただくと同時に、この際、やはりこういう債券ではなくて株券と同じ性格の永久債に変えていく時期がきているのじゃないか。電電債、電電債でやっていくのじゃなくて、永久債に変えるということを検討する時期がきているのじゃないだろうかという感じがするのですが、この細かくは四点についてお答えをいただいて終わりたいと思います。
  59. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  数字につきましては、後ほど総務理事からお答えさせますが、一般的なことから申し上げますと、まずデータ通信につきましては、先ほど御質問の中にありましたように、これは独立採算でやるということを基本原則としております。そして、その計算方法といたしましては八年を考えまして、いきなり初めからプラスになるというわけにはいかないので、結局初めの四年間はどっちかというと赤字、後の四年間で公正報酬を含めまして、そしてそれを取り戻して独立採算にする、こういう原則をもっております。  しかしデータ通信が始まりましたのが、ちょうど法律改正が行われて、まあ公社は独占ではないわけでありまして、電報の場合には完全に独占でありますし、また電話も完全に独占である。しかしデータ通信は、そういう独立採算ということになっておりますので、データ通信を全部電電公社がやるということになれば、これは先ほど御質問の中にもありましたように、いわゆるデータ通信の赤字になるものを電話で補てんするということが続くわけでございますけれども、独立採算で枠をはめますし、特にこれからは国民生活に特に深い、いわゆるナショナルプロジェクトにウェートを置いていくということでありますので、確かに現在の時点ではまだ赤字でございますけれども、これはなぜかと申しますと、スタートしたものが、法律改正によって四十七年からスタートしたということでございますから、そういうことになっておりますが、今後これを独立採算の線に極力早く持っていく。そのためには、すでにあるシステムも見直しを行って、たとえば認可料金のようなものが非常にたくさんありますから、それは郵政大臣にお願いいたしまして、料金を引き上げるとかそういうことも考える、あるいはシステム全体をもっと能率化するということでやっていきたいと思います。  数字につきましては、後ほど総務理事から答えさせます。  その次に、債務償還のお話が出てまいりましたが、確かに電電公社は、これまで電話拡充をする二つの大きな目標を掲げてまいりまして、一つは申し込んだ電話を大体平均一カ月ぐらいにつけるという積滞解消という目標と、それからもう一つは全国を即時化する、いわゆるダイヤル即時化するということになってまいりますが、この目標を掲げて、五カ年計画を五次にわたってずっと進めてまいりました。自動即時の方、いわゆるダイヤル即時にするということは、大体三年間にほとんど完成するという事態まで持ってまいりました。これには非常に高い水準の開発をしてまいりました。  それから一方積滞解消の方も、これは毎年国会で、各委員会で早く電話をつけろという御要望が出ておりますが、その目標につきまして、あと二年間で全国的規模で積滞が解消できるところまでまいりました。しかし、これを進める過程で、たとえば拡充法の廷長等をお願いいたしまして、確かにいまおっしゃるように、債券というものが非常にふえてきたということは事実でございます。  そのためにといいますか、それも影響いたしまして、それからまた、昭和四十八年のオイルショック以来の物価騰貴あるいはそれに伴うベースアップ等で、昭和四十九年度決算で約千七百億円ぐらいの赤字決算になる。ところが赤字決算になっても、料金値上げがすぐできたわけでございませんので、これは大蔵省から金を借りて処理しているということで、債務の償還がよけいふえておるのが事実でございます。これに対しましては、別途料金値上げをお願いして、法案として出ていただいておりますが、ただいまお話ありました、そういう債券の問題につきましても、確かに検討する時期がくるのじゃないかと思いますが、まだ公社として、それをどうするか、特にまた拡充法の延長というものを考えた場合に、これ以上また延長することはできないと思いますから、確かにその点は、そのように今後重要な課題として研究させていただきたいと思います。  数字につきましては、先に答えさせます。
  60. 好本巧

    ○好本説明員 ただいま永久債のことも検討したらどうかという御指摘がございました。私どもただいま御指摘のように、資金調達は電話事業の特徴から年々建設投資額も漸増する。また償還期も、ただいまは七年あるいは十年でございますので、過去に発行した債券償還額も年々累増するということは、ただいま御指摘のとおりでございます。また、債券の中の受益者債券加入者電電債券加入債券もやはり相対的に今後低下してまいるということも事実でございます。  これに対しまして私どもは、将来建設投資に要する資金あるいは償還のために要する資金が漸増いたしますので、この内部資金と外部資金の割合が、まず妥当なものでなければならない。これは五十、五十であるのがよろしいか、あるいは六十、四十がいいのか、そういうふうな一つの内部、外部の妥当な資金の源泉を求めますと、しかし幾ら内部資金の充実を図りましても、今後外部資金の必要調達額というものは相当大きくなってまいるわけでございます。  私どもといたしましては、まず資金の調達の源泉を多様化する。債券も、ただいまの加入者電電債券を初めといたしまして、四十七年度から新しく道を開きました特別公募債あるいは私募債その他政府の財政投融資計画にありますところの政府保証債あるいは政府引き受け債券、あるいは外国から調達いたしますところの外債、そういった種類の数をでき得る限りふやすということと、それからもう一つは、ただいま御指摘にありましたように、それぞれの償還期限を、ただいまは十年というふうなもので統一されておりますが、これをなるべく長期のもの、あるいは中期、短期、こういうものをいろいろ組み合わせて資金調達を層別に調達しやすくする、あるいは相当長期なものも考えていいのではないか。  この一例は、一つの永久債でありますが、しかし先生御案内のように償還期限が長くなると、おのずから利子が高くなるということもございますので、そういう点を私どもとしては長期にして、しかも低利という、これは外国の公共事業体等に例がございます永久債等も一つ検討材料として、ただいま検討しておるところでございます。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  62. 村山達雄

    村山委員長 庄司幸助君。
  63. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、きょうは電話料金値上げの電電公社のPRの問題と、それから例のプッシュホンの問題二つお聞きしたいと思います。  値上げが法案として出ておりますが、設備料が五万円から八万円になるとか、あるいは基本料金が二倍ぐらいになるとか、あるいは度数料金が七円から十円になる、こういう値上げの案ですが、そういう中で赤字宣伝とか、あるいは値上げの妥当性のPR、いろいろやられておるようでありますが、それはどんなものをどのくらいやっておられるのか。経費はどれくらいかけておられるのか、これをひとつお尋ねいたします。
  64. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  公社は今度の料金値上げになります前から、公社という性格からも、国民の皆さんにいろいろ公社のやっております仕事その他を知っていただくという意味で、いわゆる広報経費予算にはじきましてやっております。ちなみに、この数年間の予算額を申し上げますと、昭和四十八年が八億九千七百万円、昭和四十九年が十一億三千二百万円、昭和五十年が十四億九百万円、昭和五十一年度、本年度予算におきましては十六億二千五百万円でございます。その内訳は媒体によりまして異なりますが、御案内のようなテレビ、新聞、雑誌等でございますが、大体こういう形で、実績もほぼ予算に近い形で実施をいたしております。  いま庄司先生のおっしゃいましたのは、昭和五十年度になりまして料金改定案を郵政省に提出いたしました。その内容なり何なりをさらによく知っていただくというために、特別に各新聞あるいは雑誌等にその内容の周知を行ったわけでありますが、恐らくそのことをおっしゃっておられると思うのでありますが、それは、先ほど申し上げました、昭和五十年度十四億のうちの概算二億五千四百万円でございます。
  65. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、五十一年度は何ぼぐらいお使いになるのですか。
  66. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 五十一年度はまだ予算が先般決まりましたばかりでございますので、実行段階に入りかけておるところでございますが、予算といたしましては十六億二千五百万円を計上いたしております。
  67. 庄司幸助

    ○庄司委員 そのうちの広報経費……。
  68. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 これは全部広報経費なんでございますが、いまの料金のあれにどのくらい使うかということは、まだ公社の中で必ずしも決定いたしておりません。大体私どもとしては、五十一年度については主として料金のPRそのものよりも、料金の法案が通りました後のPRということを主に予算を計上しております。しかしその後の事態の推移で、あるいはそれが変わるかもわかりませんので、現在まだ検討中でございます。
  69. 庄司幸助

    ○庄司委員 これからも使われる可能性があるわけですから、その辺で私はいままでの料金PRの問題、この点でちょっとお尋ねしたいのです。  おたくで出された「ピンチに立った電話の現状」という。パンフレットがございます。私は広報をやること自体悪いとは申し上げませんけれども、やはり正確に現状を伝えなければ、あなたの方の値上げをやりたさの一心で、事実を誤認させる問題が出てくるのじゃないかと思うのです。その点で、このパンフレットの十三ページを見ますと、度数料の「七円は世界の中でも最低料金」だ、こういうことをいろいろグラフを使って書いてあります。これだけで見ますと、イギリスは日本の二倍だ、アメリカやフランスは三・五倍で、西ドイツは四倍ぐらいだ、だからやはり値上げをやる必要があるというような印象を与えようとしているわけです。これは度数の料金だけを見たのでは、各国の実情を無視しているのじゃないか。  伺いますけれども、経営形態ですね。日本とイギリスあるいは西独、フランス、アメリカ、日本は公社形態ですが、これらの外国の場合どうなっておりますか。
  70. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 これはいろいろ世界に国も多いわけでございますから、それぞれによって異なりますが、いまおっしゃいましたいわゆる先進国と申しますか、そういう例で申し上げますと、アメリカが民営、それからヨーロッパは大体国営でございます。ただ、その中でも公社制度をとっておるものが、たとえばイギリスのようにございます。
  71. 庄司幸助

    ○庄司委員 こういうように経営形態が違うわけですね。それから国情が違うという問題があると思うのです。たとえば日本のように、非常に狭い区域に人口が密集している国もあれば、アメリカのように非常に広大な土地、飛行機で飛んでも横断するのに七時間くらいかかるという国もあるわけです。その点日本なんかの場合は割り安になるといいますか、そういう可能性があると思うのです。  それで一つずつ伺いますが、架設料金、設備料といいますが、これはそれぞれどうなりますか。あなたの方の出しておられる日本、イギリス、フランス、アメリカ、西ドイツ、これはそれぞれ何ぼになっていますか。
  72. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 このPR用のいま先生お示しの資料の中には、それは載っておりません。確かに電話に要する費用としては、つけるときの費用と、それからつけた後の費用、こういうものに分けなければいけないのですが、実はいま手持ちの資料がございませんので、正確な数字はここでちょっと申し上げかねますけれども、つけます費用としては、設備料というものに対応するものは大体日本が若干高い程度であります。ただ、日本には先ほど御議論の出ました加入者債というものがあります。これはほかの国にはございません。それは架設の時点の問題でございますが、今度はその後の費用と使用料ということになりますと、これはイギリスなどヨーロッパでもあるいはアメリカでも、国営でも民営でも、大体基本料というフラットレートというものと、それから従量制の料金といいますか、使ったたびにふえていく日本で申します度数料というものと、この二本立てでやっておりまして、その点はわりあいにほかの料金と異なりまして、比較は国際的に私どもしやすいわけでございます。  それから電話会社にいたしましても、外国の国営の電話事業にいたしましても、相互にそういう資料を交換しておりまして、常にあれをいたしておりますが、ただ、おっしゃいますような、国が非常に広いという意味におきましては確かにアメリカとイギリス、日本とは違うと思うのでございますが、そういう意味で申しますと、イギリスと日本が国の大きさあるいは単位料金区域の数その他から非常に似ておると思います。私どもは、先ほど申し上げました経営形態からいいましても、イギリスがそういう形もとっておりますので、公社制度のようなものもとっておりますので、イギリスと常に中心的に比較をいたしておりますが、ここにございますように、イギリスは昭和二十八年、いまから二十年前には確かに日本より安かったわけでございます。それが二十年の間にこういう形になっておるということは、これも事実でございます。
  73. 庄司幸助

    ○庄司委員 私が伺ったのは、架設時の負担、架設料の問題ですが、現在でも日本は五万円です。そのほか加入料が三百円ですか。これは値上げされますと八万円になるわけですね。ところが、あなた一生懸命イギリスとおっしゃっておりますが、イギリスの場合は二万八千円ですね。正確に言えば二万八千四十四円となりますか。それ以下なんです。それからアメリカの場合は、事務用で九千円ぐらいなものです。それから住宅用で四千五百三十九円。この間、私シアトルへ参りましたら、シアトルの総領事が言っていました。あそこでは設備料は一ドルだ、三百円ですね。それから西ドイツの場合も二万二千七百五十六円ですか、換算しますと。フランスが三万一千四百十円これは設備料は日本が一番高い。そういうことは一言もこのパンフには書いてないのですね。それで度数料が世界一安いことばかり書いている。いかに値上げをしたいからといっても、こういう書き方は私はないだろうと思うのですよ、やはり。  それから債券はどうなんですか。東京あたりは十五万円ぐらい取られているようですが、取られているというか買わされているようですが、平均しても十万五千円。ほかの国では債券を買わしているのですか。
  74. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 債券につきましては、先ほど申し上げましたように日本だけでございます。ただしかし、債券というものは現に市場で値段もついておりますし、必ずしも全額を負担額というぐあいには見ないのであります。  それから先ほどおっしゃいました金額でございますね、外国の金額、いまたまたま手元に資料が見つかりましたので申し上げますが……(庄司委員「何だ、さっきないと言っておいて」と呼ぶ)いや、いま正確なものはないのですけれども、イギリスあたりは四十五ポンド、為替換算レートでどういうぐあいになるかわかりませんが、いま先生のおっしゃった数字とは大分違うと思います。ドイツもグループによって分かれておりますし、フランスは八百フランであります。それからアメリカの場合が、先生のおっしゃるように、シアトルというところと違うのは、これは都市によって全部違うのです。ですから国情ということになれば、アメリカがそれは一番異なるわけでありまして、シアトルのような田舎とニューヨークのようなところは非常に違うのでありまして、そういう資料をいま私、手元に持ってきておりません。
  75. 庄司幸助

    ○庄司委員 債券は売れば金になる、確かに売れば金になります。しかし売れば、やはりその分、割引で金を払わなくちゃならないのです。そういう事情も日本側にあるということも私は申し上げたかったわけです。  それから都市部は非常に便利になりました。ところが農村部あるいは山間部、こういうところはきわめて不便なんですね。あなた方は加入が非常にふえて積滞がなくなった、こう言っておりますが積滞があるところで非常に問題点も多いわけですね。いわゆる加入区域外の加算というのは、日本の場合は、これは時間の関係で私申し上げますが、百メートル九千円ですね。イギリスは二百メートル三千五百円です。百メートルについて千七百五十円。しかも加入区域が、日本の場合ですと、半径大体三・五キロ、イギリスは五キロメートルよりもっと遠いところが問題になるわけですが、こういうふうに加入区域以外の加算も日本が非常に高い。  その点で、これは私申し上げておきますが、これはどういう新聞かわかりませんが、通信興業新聞というのがあります。これはおたくの関係者が大分顔を出している新聞ですね。これはことしの一月一日号ですが、東京通信局長やら近畿通信局長やら、理事さんも入っていますね。関東通信局長も、偉い人がいっぱい新年のあいさつを述べている。その中で座談会をやっております。出席者は電電公社業務管理局次長さんとかその他六人ほど出ておられますが、この中で杉田昭さんという茨城の通信部長がこういうことを言っているのです。  これは大臣にも聞いておいてもらいたいのですが、「現場を回って感ずるのが、僻地の通信手段ですね。たとえば北茨城に行きますと、街から三十数キロ離れたところに、ちょっとした部落があります。そういうところだと線路設置費用が何百万円もかかるから、結局公衆電話しかないということになります。そういう処を残したまま、一方では加入区域内の完全充足は進んでいる。だから、いままで以上に格差を感じてきているわけですから、茨城の場合からすると、新商品という前に」新商品というのは、データ通信とかプッシュホンの計算装置とかそういうことを言っているようですが、「そのへんの技術開発を早くやってもらい格差を少しでも埋めてほしいですね。」これは茨城の通信部長です。これはあなた方の公社の通信部長ですね。公社の部長さんも、こういう感じがしていらっしゃる。われわれ宮城の農民も、こういう感じを切実に持っています。  そういう点、加入区域外の加算の問題、これはついでですから、こういうものの格差を解消する計画がおありなのかどうかですね。それから大臣としても、こういう格差をどうやって埋めていかれるのか。農村部で急病人が出る、山間部で出る、医者もいない、何とも連絡しようがない。あるいはまた出かせぎに出たまま通信が不便なために、行方不明になって帰ってこない人も相当あるわけです。だから山間部や僻地の格差の解消ですね、いまついでに伺っておきます。これはひとつ電電公社大臣から決意のほどを伺いたいと思います。
  76. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  いま過疎地の電話の普及問題それから負担のお話が御質問になって出ました。確かに過疎地につきましては、これまでも農村公衆電話とか、あるいは地集といいます多数共同の方式を、これは加入区域あるいは加入区域外に対してもずっとやってまいりました。しかし、それでは不十分ということで、いま進めておりますのが、自動即時化あるいは自動化と同時に、過疎地帯に対しまして、加入区域を半径五キロまで広げていくという方法をやっております。  それからもう一つは、技術開発のお話が出ましたけれども、そういう過疎地に対しまして、もっと安い方法で、たとえば搬送方式を使うとか、あるいは場合によっては電力線搬送みたいなものを使えるのではないか、電灯線が行っているところで、電話よりは普及しているような地域に対しましては電灯線を使う、あるいはまた無線の方式を使う、そういうような技術開発を同時に進めまして、いま進めております五カ年計画では、これは五十二年末でございますけれども、これも半径五キロまで広げるというところまでしかいかないと思いますけれども、さらにその先に対しましては、その五キロをもっと広げていく。そういたしますと半径が広がりますから、その外側に出ている距離が減ってまいりますので、結局架設時の負担が減るということになりますから、そういうふうなことで、過疎地に対しましては、今後の問題として技術開発を進めながら普及を図っていきたい、このように考えております。
  77. 村上勇

    村上国務大臣 過疎地についての障害その他については、私も先生と全く同じ考えであり、また同じような悩みを持っております。これらを逐一解決してまいりますには、何としても電電公社経営状態がよくならなければいかぬ、こう思っております。ないそでは振れないということを私自身も十分承知しておりますが、これらの内容が充実いたしましたならば、こういう過疎地帯の問題を逐次解決してもらいたいものだ、こう思っております。
  78. 庄司幸助

    ○庄司委員 ちょっと大臣のお答えに私、異論があるのですが、経営状態が悪いから値上げをしてもらってこれをよくする、その上で過疎地の対策を進める、こういう印象を受けるのです。これは、私は話が逆だと思うのです。経営状態がよかった時点、それでは過疎地に対してどういう施策をやってきたのか。これは進んでいないのです。しかもさっき申し上げたように、百メートル九千円です。だから大臣、私は、経営状態をよくしたら、過疎地対策をやりますよというのでは、ちょっと話にならないと思うのですが、その辺をもう一遍御答弁願いたいと思うのです。
  79. 村上勇

    村上国務大臣 どうしても需要量の高いところから自然解決してきているものと思います。そこで、私もあなたと同じような地域をよく承知しておりますし、そういうような過疎地帯を持っておる私どもとしては、一日も早く正常な姿になることを祈念しますし、それには電電公社自体の経営状態も影響するのではないか。これからは大体過疎地帯に回ってくるもの、かように考えております。
  80. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、その点の考え方、非常に不満なんです。経営状態がよくなったら過疎地にも手を伸ばす、都会の方は経営状態がよくても悪くても進んでいく、とにかく過疎地、山間部、こういう問題は結局後回しにされる、これは非常に不満です。ですから、そういう考え方はひとつ改めていただきたいと思います。  そういう現状があるわけです。だから、こういうことはほとんどこれに触れておらないわけですよ。「ピンチに立った」というのは、何も経営のピンチだけでなくて、やはり国民にピンチの問題を、電電公社が論じられてしかるべきだと思うのです。  それなら度数料の問題に移りましょう。三分なら、日本はいま確かに安いかもしれません。それじゃ十分ならどうだ、こういう比較ですね、これには載っていないわけです。十分の場合ですと日本は、単一料金区域内ですと二十八円です。イギリスは五十二円、確かに高いです。しかし西独は二十九円で、ほぼ同じです。フランスは二十四円です。これは安いですね。こういうことは、これには述べてないのです。それから値上げされた後はどうなるのだというと、日本はいまの場合四十円になるわけです。西独はその四分の三ですね。フランスだと六割ぐらいだ。それから隣接区域の場合ですと、たとえば東京から川崎であるとか、ああいうところにかける場合五十六円、イギリスの場合ですと五十二円です。それから西独は二十九円、約半分ですね。これが値上げになると八十円になる。ますます格差が出てくると思うのですが、その点どうなんですか。
  81. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 あのパンフレットはごらんのように、非常に小さいものでコンデンスでありますから、いろいろなレアケースの場合を全部網羅するわけにはいきません。いきませんが、いまおっしゃいました点だけについて申し上げますと、確かにイギリスは日本と同じようにあれをいたしておりますから、先生も御了承のようでありますが、ドイツ、フランスは現在加入区域内の通話が無制限というところが多いわけです。ところが、日本は昭和四十六年に三分制に改めまして、そのために、いま十分になれば高くなるじゃないかというお話がございました。しかし、これは逆にフランス、ドイツが現在日本と同じように、そういう度数制を時間制に改めるように計画を立てております。したがって、それをいま書きますと、かえっておかしなことになるわけであります。  そういう意味から、一番正確に申し上げますと、近距離料金としては日本が一番安いということは、私ははっきり言えると思うのですが、いま、後で触れられましたように、中距離ないし長距離については倍率が高いために、外国に比べて日本の方が高いということは言えると思います。その点はパンフレットにも、舌足らずでありますが、最後の方にちょっと書いてあると思うのでありまして、要点だけを書いておるわけでございまして、必ずしも意図的なものではございません。
  82. 庄司幸助

    ○庄司委員 ですから、安い、安いと七円の問題だけ取り上げて、世界で一番安い、こういう点だけ強調して、それで、安いのだから値上げさしてくれというのは、私は少し乱暴だと思うのです。  それから、単一料金で通話できる範囲、これは日本が一番狭いわけです。たとえば東京-船橋、川崎でも同じですが、日本では区域外二十キロまでですが、イギリスや西独では、隣接といいますか、向こうでは近隣といっているようですが、この区域に入って単一料金区域と同じ扱いになっているという問題ですね。この辺もやはり違いがあるのではないですか。その辺、どうですか。
  83. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えします。  その点は、昭和四十六年までは先ほど先生おっしゃいましたように、加入区域内が七円でございまして、それを広げまして、日本全体を五百六十でございますか、相当広い範囲内まで七円で三分通話ができるという範囲に広げました。したがって、東北あたりは、その点で三分でかけられる最低通話料金というのは非常に広くなったと思うのであります。  そのときに、現在でもそうでございますが、一番面積的にも広いし、それから加入者数としても広いのは東京が群を抜いて広いわけです。つまり東京二十三区というものは、現在三分七円でかかりますし、かけられる相手は約三百万でございます。その次が大阪でございます。ところが、これと同じ状態は、ニューヨークあたりではどうかというと、最低料金でかけられるのは、ニューヨーク全体ではございませんで、それを四つに分けて狭くしております。むしろそうすべきだという御意見も一部の学者の方にはあるぐらいでございまして、最低料金としては、私は日本が一番安いというぐあいに思っております。
  84. 庄司幸助

    ○庄司委員 それから、割引料金の問題。これは日本と、先ほどおたくの例に挙げておられるアメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、この辺と比べてどう違いますか。つまり夜間割引とかいろいろありますね。そのかっこうです。
  85. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えします。  これも私ども現在夜間の六十キロ以上割引をいたしておりますが、これをさらに進めるべきだという御意見もしばしば伺っております。土曜日とか日曜日とかいうのは回線状況もすいておるから、割り引きをすべきだ、また、した方がいいのではないかというお話も確かに私ども一理あると思うのですが、たとえばイギリスあたりでは、その反面、ピーク時料金と申しまして、午前九時からたしか一時ごろまで、ビジネスアワーには逆に料金を上げております。私は、現在の公社経営状況から申しますと、そういう両立ての方がいいのではないかと思っておりますが、それは私どもで現在検討中でございます。
  86. 庄司幸助

    ○庄司委員 確かにイギリスではピーク時料金、これは午前九時から十二時まであります。しかしその反面、平日の午後とか土曜、日曜の終日、これは非常に安いですね。すると、家庭の方なんかちょっとがまんすれば、午後とかあるいは土曜、日曜なんか一日じゅうかけっ放しできる。こういうことをできると思うのです。それから西ドイツの場合も三段階制ですね。これは二五%から八二%程度の割引になっている。だから、こういう点はほとんどお触れにならないで、七円で世界一安いと言われたんでは、私は国民は納得できないだろうと思うのです。だから、いまからこういうパンフレットを出されるとすれば、当然そういう面も入れて、やはり正確に国民に伝えるのが私はPRの大事な点だろうと思うのですが、その点どうですか。私は総裁からひとつ答えてもらいたいと思うのです。
  87. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  料金の比較というものは本当にやりますと相当厚い、恐らくこのくらいの冊子になってくると思います。ですから、それを全部やるといってもなかなか大変なんですが、私たちも何も隠すという意図はございません。ただ、先ほど遠藤総務理事も答えましたように、このユニット、単位料金の七円、これは世界で一番安いことは事実でありまして、これはごく最近私のところに外国の主な人なども来ても、三分七円、これはイギリスあたりにしても、アメリカの人も非常に安いというんで、私は確信をもって七円が安いということは言えると思います。  ただ、市外の遠距離に対しましては、いまはそんなにひどくないのですけれども、七円が十円になったときに遠距離は高いのではないかというこの点につきましては、確かに遠距離につきましては高い面があります。しかし、三分七円というものは確かに安いのでありまして、この点は間違いないと思いますが、ただ今後プリントをつくる場合に、たとえば先ほどお話が出た設備料とか債券、こういう問題はやはり取り上げる必要があると思いますが、しかしこれはいま持っている電話の方でなくて、これからつける方であるということだけちょっと申し添えておきます。
  88. 庄司幸助

    ○庄司委員 総裁、いわゆる電話料金の改定が国会に出ているわけですから、ひとつそういうものも含めた精細な資料、七円が安いという資料だけでなくて、そういういろいろな違い、これを全部ひとつ各国のあれを比べて資料として出していただきたいと思うのです。どうせおたくの料金改定の法案は今度の国会では恐らく通らないと思いますから、ひとつゆっくり構えて来月いっぱいぐらいにそういった資料を全部そろえて出してもらいたいと思うのですが、総裁どうですか。
  89. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 これはなかなかむずかしい御注文なんで、一遍検討させていただきます。
  90. 庄司幸助

    ○庄司委員 むずかしい御注文というけれども、総裁、聞いてくださいよ。私らがちょっと二日三日調べただけでもいまぐらいの資料が出てくるわけです。まして専門家が、電電公社がむずかしいなどと言われたのでは、これは法案審議の問題にやはりかかわると思うのですよ。だから、これはひとつ総裁、決断して出してもらいたいと思うのです。  それでは中身、言いましょうか。この七円が安いのはこれでわかりました。先ほどから言った公債の問題とか設備料の問題であるとか、あるいはいま申し上げている割引制度の問題であるとか、それから遠距離、中距離の比較であるとか、この辺は私はすぐ出ると思う。私はそう思うのですが、総裁、どうですか。
  91. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 いま先生がおっしゃったような項目なら、現在時点なら私はできると思うのです。先ほど先生がおっしゃったのを、私がなぜむずかしいと申し上げたかというと、たとえば三分で七円というのを、十分のときは幾らだ、十二分のときは幾らだと、私どもから言うと非常に都合の悪い、先生から言うと都合のいいところだけ切って出せと言われますと、これは非常にむずかしいのですが、項目を限定されて、現時点ということならできます。  しかし、電話料金というのは、日本は一番手続的に時間がかかりますが、イギリスあたりではどんどん、いわゆる総裁で変えることができます。それからドイツあたりは、もうすでに長期計画を立てて、一部分的に変えつつあるところもあるわけです。アメリカあたりは、先ほど民営と申し上げましたが、ベルシステムの中で、会社が非常にたくさんございまして、それぞれでまた違っておる。それからインディペンデントの会社を入れますと、まあ、私は正確に数えたことはございませんが、数十に近い会社がそれぞれのタリフを持っているわけです。それを全部お出しするということはとても、私どものところで資料が仮にありましても、大変なことなのです。そういう意味ですから、ある一つのものに限定して、現時点でという条件を私どもの方でつけて先生に御相談を経て、これでよろしゅうございますかということであれば、私は責任をもってお出しできると思います。その辺のところは事情を御賢察のほどをお願いいたしたいと思います。
  92. 庄司幸助

    ○庄司委員 さっき事例に挙げるのを忘れたのですが、いまあなたおっしゃったので、十分でいいです。十分ならどうなのか、それもひとつ入れてください。  それから、アメリカの場合は、これは確かにいっぱいあると思うのです。代表的な都市ならやれるだろうと思うのです。あと、あなたが田舎とおっしゃったシアトルとか、私は田舎だとは思っていませんがね、そういうものを若干典型的なものを入れて出してもらいたいということです。いいですか。
  93. 村山達雄

    村山委員長 それでは、委員長からちょっと申し上げておきますが、いま資料要求の話でございまして、大分詰まったようでございますから、ひとつ電電公社と先生でお話しいただいて、それで電電公社の方も可能な限り勉強していただきたいと委員長からお願いしておきます。
  94. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、次の問題に移ります。  プッシュホンの問題ですが、プッシュホンの利点というのは私は二つあると思うのですが、一つは、ダイヤルのかわりに非常に押しやすい、もう一つ計算機能があるという点だろうと思うのですが、大体そのとおりですか。
  95. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 実用的な効用ということになりますと、実はダイヤルのようなああいう形で回さないで押すだけでいくということのほかに、三数字の短縮ダイヤルというのがございます。この二つが一番大きいと思います。
  96. 庄司幸助

    ○庄司委員 プッシュホンの普及台数はいま何ぼになっていますか。
  97. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 全国で約百五十万でございます。
  98. 庄司幸助

    ○庄司委員 ダイヤルスというのがありますね、計算機能。このダイヤルスの利用頻度は一日何回くらいです。
  99. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  一日約一万二千回でございまして、時間数にいたしますと、年間約九万時間というのが大体四十九年度の記録でございます。
  100. 庄司幸助

    ○庄司委員 一回平均何分くらい使っています。
  101. 川崎鋼次郎

    ○川崎説明員 一回の使用時間は大体九十秒であります。
  102. 庄司幸助

    ○庄司委員 百五十万台で一日一万二千回というと、これは利用頻度は一%以下ですね。  このダイヤルスのための投資額は何ぼかかったのですか。
  103. 川崎鋼次郎

    ○川崎説明員 四十四年度から四十九年度までの合計額が五十一億円でありますが、その後、その中から十二億円分に相当するものを撤去いたしまして、ほかに転用いたしておりますので、合計は三十九億円というふうになっております。
  104. 庄司幸助

    ○庄司委員 実はこれもさっき引用した通信興業新聞の新年座談会ですが、その中で、東京通信局副局長の児島さんという方が、こうおっしゃっているのです。――その前に、電電公社のデータ本部第三部長の鈴木さんが「新規サービスといえば、ダイヤルスというのがありますね。あれなんかは、プッシュホンが増えれば一緒にトラヒックも増えていくだろうと想定してたわけですよ。ところが電卓がだんだん値段が下がってきて、いまや一万円も割り五千円というのか出てきました。」――三千五百円もあるようですね。「そのため正直いって利用はあまり増えてないんですよ。したがって、極端な場合、止めてしまおうかという意見もある」こう言っていますね。  それから東京通信局の副局長の児島さんがこう言っているのです。「ダイヤルスは、データを始める時の“撒餌”のような“捨石”のようなもんなんだよ」で笑い声と、こう出ています。「いまから改めて価値を再発見するとか需要増をもとめるなんということはやめた方がいいと思うよ。オマケですよありゃ。」こう言っています。  その点ひとつ電電公社側、このプッシュホンの問題、プッシュホンのダイヤルの問題ですね、いまどうお考えになっているのか、お伺いします。
  105. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 確かに、電卓その他が普及をいたしまして、簡単な計算につきましては、ダイヤルスはもうこれ以上伸びるということはないと思います。ただ、ダイヤルスにはダイヤルスとして、ライブラリーによりまして、特殊な、これを愛用しておられる層がおられることも事実でございます。しかし、それもそう大きな数ではございません。  ただ、プッシュホンというものは、電話と違いまして、数字のほかに、あすこへ赤と青のボタンがあるということによって、普通に私どもが人間と人間の声で会話をする電話機というものから一歩進んだ、妙な表現かもわかりませんか、吉報機というようなものでございます。つまり人と機械との会話ができる。人と人との会話だけではなく、人と機械との会話ができるということで、性格的に同じ電話機でも全く違うようなものだと思うのであります。  それで、私どもとしては、現在のプッシュホンのサービスをだんだんそういう形に広げていこう、こういうぐあいに考えております。たとえば東京二十三区を中心に、現在二十三区だけで試験的にやっておりますが、新幹線の切符を予約する。これも国鉄のプライベートネットワーク、みどりの窓口のネットワークというものにプッシュホンをアクセスしまして、人と国鉄の機械が会話をして新幹線を予約する、こういうぐあいになってまいりました。  それから、やがてそのうちに、銀行口座をそれで引きおろしましたり預金をいたしましたり、逆に銀行の方から残高を通知いたしましたり、いま私どもの方へいろいろ言ってこられるのは、宝くじの、宝くじといいましても、れっきとした勧銀の宝くじの、当たり番号というのがなかなかわかりません。そういったようなものを検索するとか、あるいは将来の問題としては、判例の検索ですとか、そういったようなものをいながらにして機械と人との会話で広げていこう、こういうぐあいに計画をし、またそういうことによって、かねがねデータ通信というものはもう大企業のもので、庶民あるいは家庭の茶の間からは利用しがたいものだというイメージを捨てるように、もっと日常身近なものにしていきたい、こう思っております。  その第一歩として、プッシュホンを売り出しましたときにダイヤルスというものをあれいたしました。その新聞の座談会は、うちの若手の連中の座談会のようでありますが、若手の連中はちょっと口が、放言があるかもわかりませんが、地方でプッシュホンを新しく売り出しますと、必ずこれはダイヤルスができるかということを言います。そして、そこで実演をしてやると、そういった意味でコンピューターリズムといいますか、コンピューターというものが非常に身近に感じられてくる、そういう効用がございますので、私は、これがペイをしなくても、まきえというのはちょっと妙な表現ですが、そういった意味の効用はあると思いますし、それから、先ほど業務管理局長がお答えいたしましたように、投資と申しましても、コンピューター部分については、最初デュプレックスでやっておったのを、一本はほかの用途のコンピューターに転用いたしました。そういう形で、コンピューターでございますから、いよいよあれすれば、決して総額むだにならないで、ほかに転用することもできると思うのであります。そういう現在の時代にあれした形として、そういう意味で、ダイヤルスというものも私は現時点で非常に意味のあるものだ、こういうぐあいに考えております。
  106. 庄司幸助

    ○庄司委員 このダイヤルスを使うとなると大変ややこしいんですね。私も説明書を見ながらやってみますけれども、なかなか一遍や二遍じゃ覚えられません。ですから、御家庭の方なんかほとんどこれは、よほど特殊な趣味のある人は別ですが、あれはお使いになってないだろうと思うのです。そういう点で、まきえだという表現も、これは必ずしも不正確ではないだろうと私は思うのです。コンピューターシステムは何もあの機械の中にあるわけじゃないでしょう、ただボタンがあるだけですから、システムは電電公社のどこかにある。それだけで六千円の普通の機械がこれだと一万二千円もかかるというのは、ちょっとむだなような感じもするんですね。さっきのこれからの用途を見ますと、これは一応うなずけますけれども、いまのままだと非常にむだな感じがするのです。  やはりこういうむだな点も省いていって経営合理化をやり、そしてできるだけ値上げを抑えるというのが私は大事な点だと思うわけです。その点一つ意見を申し上げておいて、私の質問を終わりたいと思います。
  107. 村山達雄

    村山委員長 次回は、来る十七日午後零時四十五分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十四分散会