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政府委員(石井多加三君) お答えいたします。
確かに、このたびの
郵政審議会の
答申で、第三種の
料金につきましては——現在、第三種は三種類ございまして、官報、公報とか、あるいは週三回以上発行の新聞紙は現在五十グラムまで六円ということになっておるわけであります。また、月三回以上の新聞につきましては同じく六円でございますが、この五十グラムをこえ一キログラムまでについては五十グラムまでごとに三円の割り増し、最初申し上げましたほうは一円の割り増しということで、割り増し
料金については差があるわけでございます。その他のものは五十グラムまで十二円ということで、その倍になっておるわけでございます。
実は、昨年の十二月の
審議会における議論の中でも、この辺非常に議論されたわけでございますが、最終的な結論として、安いほうのものが十五円、高いほうのものが二十円というふうな
答申を一応いただいておったわけでございます。
このたび、また、その後のベースアップ等を勘案いたしますると、実は、三種の
赤字というものは非常に大きな
赤字を持っておりまして、四十八年度の決算で見ますと
郵便事業の
赤字が一〇〇といたしますると、その中の三七%ぐらいははがきの
赤字でございます。二番目に大きいのはこの三種の
赤字でございます、これが二六%。この二つの
赤字というものが何といっても
郵便の
赤字の一番大きなところでございます。
三種の意義につきましては、
皆さん方の御評価もいろいろあるかと思いまするけれども、非常に現在大幅な割り安の
料金になっておるわけでございまして、このような
赤字ということが結局は第一種の基本サービス
料金に、あるいは第二種の
料金といったようなことにもしわ寄せされるようなわけでございまして、このような三種につきましては、過去の
郵便事業の
財政にかなり余裕のあった
時代には、こういうきわめてコストを無視したような
料金でも全体の中では何とかやっていけたわけでございまするけれども、現在のように非常に大きな
赤字を持ってまいりますると、これもちゃんと考え直さなければならないのじゃないか。
郵政審議会の審議の際にも一番問題になりました
一つでございまして、まあ原価をまかなうような
料金ということになりますると、まだまだこれより高い
料金になるんでございますけれども、少なくとも直接原価、これに直接かかった経費くらいはまかなうようにしたらどうかというような観点から
審議会の
答申でこのような数字が出されまして、六円のところを三十円、それから十二円のところのものは三十五円といったような、今度は二段階に分けるような
料金改定案になっておるわけでございます。
実は、この第三種の
郵便につきましてもいろいろ問題もあるわけでございまして、御存じのようにこの中身は先ほどちょっとお触れになりましたが、大多数が新聞、雑誌のような定期刊行物でございます。
郵便料金の優遇割引というようなそういったものに対する特別な制度でございまして、ちょっと申し上げてみますと、現在の
料金では二〇ページの大新聞の総合版を目方ではかってみますと大体平均して百三十グラムぐらいになっておるようでございます。これを郵送するのに現在八円ということでいただいておるわけでございますが、一通のはがきは大体三グラム弱でございます、それで現在十円という
料金でやっておるわけでございます。このはがきの十円もいま申し上げましたような
赤字の大きな
一つの問題点になっておるわけでございます。三種についていかに安いものを採用しておるかということも、そういった点からおわかりいただけるのじゃないかと思うわけでございます。
まあ新聞、雑誌等、こういった非常に特別に安い
料金でやってきたということは確かに歴史的な沿革もあるわけでございまするけれども、御案内のようにいろいろのこういった定期刊行物の頒布ということは何も
郵便だけでやっておるわけじゃございませんで、書店とかあるいはスタンドとかあるいは直接販売あるいはまた配達店への委託といったようないろんな方法があるわけでございます。
郵便もその中の
一つとしてこれは
利用されておるのにすぎないわけでありまして、
郵政省のもちろん独占でもないわけでございます。いろんなマスコミの未発達の
時代には、
社会文化の向上のためにこういった刊行物が非常に依存しておったということは事実でございまするけれども、今日その当時と同じような
情勢にあるかどうかということにつきましては、かなり
役割りは落ちてきておるのじゃないかというふうにも考えられます。
また定期刊行物自体の流通機構をとってみましても、現在は非常にそういった面の整備がなされておりまして、
郵便に対する依存度は非常に減っておりまして、たとえば日本新聞協会加盟の全新聞紙の一日の発行部数は四十七年の数字で見てみますと三千八百万部というふうに聞いておりますが、この中で郵送によっておるものは六十五万部でございまして、全体の一・七%というふうな数字になっておるようでございます。そういったような点からいいましても、三種の低
料金政策というようなことの意義がだんだん薄れてきていると思います。
この問題は、実は、日本の
郵便だけの問題ではございませんで、各国とも同じ悩みを持っておりまして、英国におきましても、現在新聞紙は一般の
郵便と同じ
料金になっております。これも同じような
考え方でそういった制度になったわけでございます。それからアメリカでも、
利用者の区別によって五年または十年計画で定期刊行物に対する特別優遇措置をなくしていくといったような方針を決定いたしておるわけでございます。第三種の低
料金というもののいろいろな
意味合いも各国でそれぞれ検討した結果、そのような切りかえも行なわれているような状況でございます。
私たちといたしましては、さればといって一挙にこれを原価を償うような
料金にいたしますということになりますと、これは非常に大きな
値上げになりまするので、先ほどの
答申にありましたような、直接原価だけはまかなうようなところに持っていったらどうかというようなことで、このような
料金の改定案が出されたものと考えておるわけでございます。
三種につきましていろいろ御
意見はあろうかと思いますが、私たちの
考え方はどうかというお尋ねでございましたので、そういったこともちょっとつけ加えさしていただきます。