運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-09-19 第73回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月十九日(木曜日)    午後一時六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         初村滝一郎君     理 事                 梶木 又三君                 高橋雄之助君                 吉田忠三郎君                 原田  立君     委 員                 青井 政美君                 大島 友治君                 片山 正英君                 佐藤  隆君                 鈴木 省吾君                 園田 清充君                 温水 三郎君                 神沢  浄君                 栗原 俊夫君                 相沢 武彦君                 小笠原貞子君    国務大臣        農林大臣     倉石 忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        国土庁長官官房        災害対策室長   杉岡  浩君        農林政務次官   山本茂一郎君        農林大臣官房審        議官       今村 宣夫君        農林省農林経済        局保険業務課長  山村弥五郎君        農林省農蚕園芸        局長       松元 威雄君        農林省畜産局審        議官       高須 儼明君        農林省食品流通        局長       森  整治君        食糧庁長官    三善 信二君        水産庁長官    内村 良英君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (派遣委員報告)  (当面の農業及び水産行政に関する件)     —————————————
  2. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査を議題といたします。  まず、先般当委員会が行ないました九州地方委員派遣について派遣委員報告を聴取いたします。高橋君。
  3. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 御報告申し上げます。昭和四十九年九月十二日より同月十四日までの三日間、梶木原田の両理事と私の三名が大分県、熊本県の両県に派遣され、途中、阿蘇南郷谷災害地におきましては、園田委員現地で参加され、調査を行なってまいりましたので、ここではとりあえずごく概略を御報告し、詳細は会議録掲載することでお許し願いたいと存じます。  調査のおもなる点は、第七十二通常国会で成立いたしました農用地開発公団法に関連して、その開発予定地域となっております阿蘇久住飯田地域広域農業開発及び畜産基地建設に置いたのでございます。両県ともミカンの主産県でもありますので、ジュース工場も視察し、また、阿蘇南郷谷集中豪雨及び火山灰による農業関係災害も視察して、この間、両県当局及び九州農政局より農業情勢概況報告を聴取して調査を行なってまいりました。  まず、広域農業開発に関しては、阿蘇久住飯田地域におきましては、大分県で塚原牧場草地畜産開発センター熊本県で山鹿牧場西原公共育成牧場及び広域農道を、そしてこの間、近い将来、広域農業開発事業として事業着工が見込まれておる地区を順次視察いたしてまいりました。この際、個々の牧場概要は省略させていただきますが、いずれも今後畜産基地として発展が見込まれている阿蘇久住飯田において古くから慣習に基づく畜産用地として粗放的に利用されていた原野草地造成するとともに、合理的な施設機械等の導入によって乳用牛肉用牛の多頭飼育効率的経営を目ざす先発牧場として、あるいは公共的な施設として、草地の造成、維持管理及び乳牛、肉牛経営実証展示等を行ない、畜産基地における拠点としての役割りが期待されております。  次に、ミカンジュース工場に関しましては、両県におきまして、それぞれ県果実農協連の近代的なオートメーション工場を視察いたしました。熊本県の果実連地域鹿児島県にまで拡大しており、鹿児島県経済連が出資参加しているところであります。  両工場とも最近におけるミカン生産量増加等の動向にかんがみ、国の果実加工需要拡大緊急対策事業として建設されておりますが、今年度において両工場とも増設中であり、増設が完了しますと、それぞれ、四、五万トンの原料ミカンを搾汁可能となるとのことであります。両県ともミカンの主産県でありますので、近年のミカン生産過剰傾向には苦慮しているようであります。それだけに、ミカン加工需要拡大努力が払われております。学校給食にも県独自の補助が行なわれ、テトラパックによる学校給食用ジュースも生産されております。  次に、阿蘇南郷谷地区災害についてであります。  阿蘇南郷谷地区におきましては、七月十六日ないし十八日にかけて、梅雨前線による豪雨のため中小河川のはんらん、山腹崩壊等により多くの被害が生じ、農林水産関係に限っても、七月三十一日現在で、施設作物を合わせて十四億七千万円に達しております。  さらに、阿蘇噴火により、七月下旬から降灰及び亜硫酸ガスにより稲、桑、牧草、たばこ等農作物に約四億円の被害状況を、それぞれ高森町、長陽村におきまして実情を聴取し、現地を視察してまいりました。地元におきましては、早期災害復旧天災融資法発動、さらに阿蘇噴火に関しましては、現在桜島指定されております活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律阿蘇指定して、防災営農施設整備に配慮してほしいとの強い要望がありました。  なお、大分県におきましては、九月八日、九日の台風により、農林水産関係で十日現在で二十八億円をこえる被害が生じており、自作農資金融資ワク拡大災害復旧事業早期実施等要望を受けました。  以上が今回の視察の概要でありますが、九州農業状況は、全国平均に比し、農家農業就業人口の割合が高く、専業農家率も高い、耕地率が高いなどの農業地帯としての特徴を有しておりますが、一方、基幹農業労働力の流出による婦人化老齢化、二種兼業農家比率増加耕地減少化レジャー産業等の進出から農用地を確保することの困難性等全国と同様の問題点もかかえております。しかしながら、両県とも農工併進という県の施策を打ち出し、魅力ある農業を打ち立てるために努力が重ねられておりますが、特に今回視察いたしました阿蘇久住飯田地域の、広大な原野畜産中心とした地域開発への関係者取り組み姿勢につきましては、意欲的なものが感じとられたのであります。それだけに畜産政策に関しましては、広域開発事業等による基盤整備に加え、肉牛を含めた畜産物価格安定対策流通対策飼料価格安定対策等に対して強い要望があり、また、多額の資金を要し、資本回転のおそい畜産に関しての融資については、融資限度拡大据え置き期間延長等融資条件の緩和の要望もありました。  ミカンに対しても、従来の農地開発事業等による植栽が成木に達する時期にも来ており、ミカンの恒久的な需給安定策の確立が望まれ、ジュースに対しても、現行の状況では、生食用ミカン安定価格を確保するために余分のミカンジュースに回している実情から、ジュース用ミカンでは生産費を償えない事情も指摘されております。  なお、今年度からの麦と飼料作物に対する生産奨励金の交付によりまして、九州地方として麦は面積で二〇%増、収量で八四%増、飼料作物は六%増の好結果を生んだとのことであります。  最後に、今回の大分熊本両県の派遣にあたりまして、両県関係者並び九州農政局に多大のお世話をおかけいたしましたことに深く感謝いたしまして、報告を終わります。  以上でございます。
  4. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいま高橋君から御要望のありました会議録掲載の件につきましては、詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載をいたします。御了承をお願いします。  この際、ただいまの報告について質疑を行ないます。
  5. 梶木又三

    梶木又三君 いま、高橋理事からの御報告がありました中で、私は阿蘇火山噴火物公害あるいは亜硫酸ガス、これに対する被害につきまして、若干お尋ねしたいと思います。  いまも報告がありましたとおり、阿蘇郡一帯、特に長陽村でたいへんな被害が出ております。特に灰がかかったところ、あるいは亜硫酸ガスがなめたところは、もう全面的な被害を受けておる。で、阿蘇火山爆発状況あるいは活動状況、それから被害報告等はもう政府にもあったと思うわけでございますが、現地でこれからも火山活動があることが予想されるし、また、いつ何どき爆発があるかもわからぬということで、昨年議員立法で成立しました、あの桜島のときにやりました活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律、これに基づいてぜひこの避難施設緊急整備地域指定に入れていただきたいと、こういう強い現地希望、あるいは県の御要望が強いわけなんですよ。これに対して、中央防災会議のほうで今後どのようにお取り扱いになるか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。
  6. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) お答えいたします。  ことしの六月ごろから阿蘇がいろいろと活発に活動いたしまして、地元阿蘇あるいは一の宮あるいは白水といった町村では、入山規制等のその対策を講じておる次第でございますが、火口周辺におきましては、みやげもの店あるいはその観測所といったような、住民方々あるいは観光の方々というものもおられます。したがいまして、一たん大きな火山等爆発がございますと、これを避難をするという必要があるわけでございまして、現在、口頭でございますが、ただいま先生がおっしゃいましたような避難施設緊急整備地域にしてほしいというような要望を県のほうから口頭でしておりますが、現在、御承知のように、この地域につきましては、内閣総理大臣指定する場合、あらかじめその知事協議をするということになっておりまして、現在県のほうで、この避難施設をつくる場合、たとえば退避舎とかあるいは退避壕、こういったものをどういうふうにつくるかというのを現在検討されております。そして、その地元と、町村等とこれからいろいろと相談されるということでございまして、そういった避難施設、まあ避難計画全体にからんで避難施設等が国のほうに出てまいりましたら、関係省庁協議をいたしまして、前向きにその指定方向に検討していきたいというふうに考えております。
  7. 梶木又三

    梶木又三君 ぜひ、県のほうで具体的にいまおっしゃるような緊急整備計画を立てたいというお話もございましたので、ひとつそれができて、上がってさましたら、ぜひ指定に入れてやっていただきたい、かように思います。  それで、これの指定を受けると、この八条の「防災営農施設整備計画」ですな、これは、あれなんでしょう。指定にならなければこれはできないんですな、これ。どうなんですかな、その点、まず。
  8. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) いま先生がおっしゃいましたとおり、この防災営農事業をやる地域でございますけれども、「避難施設緊急整備地域又はその周辺」というふうにこの法律に書いてございます。現在やっておりますのは、桜島関係がございますけれども、桜島の、いわゆる鹿児島市の桜島の一部及び桜島町、それが避難施設緊急整備地域になっておりまして、その周辺地域防災営農事業をやるということで、農林省のほうで指定されているということでございまして、やはり避難施設緊急整備地域と、それから防災営農事業をやる地域というのは関連しております。したがいまして、そういう意味におきましても緊急避難施設、これはやはり住民方々等もおられますので、そういった面につきまして、県のほうからもそういった計画が出てまいりますれば、そういった避難施設緊急整備地域指定するというような方向関係省庁協議してまいりたいというふうに考えております。
  9. 梶木又三

    梶木又三君 今度は農林省にちょっとお尋ねしますが、いまのお話で、指定になる、指定になった場合、八条の防災営農施設整備計画が出てくる。こういうのは、三項に「農林大臣に提出し、その承認を受けなければならない。」と、こうなっています。出てきた場合、現地もやはりかん水施設をやって、たばこなら葉にかかっておる灰とかガスを取りたいとか、くだものでも同じで、そういうことをやっておけば相当被害が軽減できるんじゃないかということで、今後、そういう施設をやりたいと、こういう希望があるんですよ。いま指定になって、営農施設整備計画が出てくれば、農林大臣に提出されたら、承認いただけますな。
  10. 山本茂一郎

    説明員山本茂一郎君) 阿蘇地区の問題につきまして、担当の熊本県知事から、防災営農施設整備計画というものが農林大臣に送られました場合には、農林省といたしましては、前向きの姿勢においてこれを検討したいと、こう考えております。
  11. 梶木又三

    梶木又三君 どうなんですか、ぼくちょっとわからぬけれども、指定になって、整備計画が出てくると自動的に承認を受けるというものでもないんですか。その点どうなんですか。指定が前提になりますよ、指定が。防災会議のほうで指定、これが一番大前提になるのはわかりますが、指定になって、それを受けて整備計画が出てきますと、いま政務次官の御答弁のように、またもう一ぺんそこで前向に検討するとかなんとかという段階をやっぱり経るわけですか。
  12. 今村宣夫

    説明員今村宣夫君) 先生御存じのように、活動火山周辺地域における避難施設等整備等に関する法律によりますと、避難施設緊急整備地域指定というのを内閣総理大臣がやるわけでございまして、それに基づきまして避難施設緊急整備計画というのを立てることに相なっております。それで、八条では、「都道府県知事は、避難施設緊急整備地域又はその周辺地域で」と、こういうふうになっていますから、まず避難施設緊急整備地域というものをきめなければならないわけでございます。したがいまして、その地域指定がございますれば、それの周辺地域ということで、八条に基づきまして計画を樹立して、そして農林大臣承認を求めるというかっこうに相なるわけでございますから、それは制度としては別々に規定をしてございますけれども、内閣総理大臣のほうでそういう地域指定が行なわれ、計画が樹立されていくということになりますれば、私のほうとしても整備計画承認につきまして、それの一連のものとして取り扱うような方針で処理をしたいというふうに考えておる次第でございます。
  13. 梶木又三

    梶木又三君 ぜひ、そういうことでひとつお願いをしたいと思います。  それで、現地へ参りまして、被害を受けておる水田なり、あるいは野菜畑、こういうところを見たんですけれども、十四号台風と一緒にやっているわけなんですね。それで、風向きというか、風のなめたところと、全然風の影響がなかったというか、そことの間に画然と被害——水害とか、そんなことと違ってはっきりしておるんですよ。だから、被害を受けたところでは、ある個人がほとんど収入がないくらい——村全体とすれば、先ほど高橋理事から報告がありましたように全体で四億、長陽村でも一億二、三千万でしたか、個人的には非常に気の毒な状態なんです。そこで、どうしても私、ああいう方の救済方法として、天災融資法発動を願って救済願いたいと思うのですがね、天災融資法発動していただけますかどうか。
  14. 今村宣夫

    説明員今村宣夫君) 阿蘇地域被害状況につきましては、ただいま先生からもお話がございましたが、私たちといたしましても、九月の五日に九州農政局長と、それから私のほうの本省の係官を現地派遣をしまして、いろいろ実情調査を行なったわけでありますが、被害は御指摘のとおり、阿蘇地域のほとんど全域にわたっておりますし、また、被害を受けた農作物水稲でありますとか、野菜でありますとか、養蚕、飼料作物等、非常に広範にわたっております。しかも水稲トウモロコシ等には枯死したものも見受けられるというような状態で、現在、県の調査による被害額は、先ほどもお話がございましたが、三億九千万円にのぼっておるような状況でございます。  それで、これについての天災融資法発動を検討せよというお話でございますが、私たちはこれ単独といいますか、このものをとらえての天災融資法発動というのはなかなか困難ではないかと思いますけれども、ただいま先生からお話のございましたように、被害原因を考えてみますと、それはやはり灰が降ったというものが大部分を占めて、しかも長陽村を中心とした水稲等被害でございますから、直接の原因は、やはり台風十四号による影響であるというふうにも考えられますので、天災融資法発動につきましては、その原因の究明とあわせまして、十分今後私のほうとして検討してまいりたいという考え方でおる次第でございます。
  15. 梶木又三

    梶木又三君 原因亜硫酸ガスや灰ではあるんですけれども、結局十四号台風がやはり影響しているのですよね。私どもは専門的な知識はないのだけれども、火口にたまっているやつが十四号台風できておるのですよ。だからひとつ十四号ということで、ぜひお考えを願いたいと思うのですがね。それはぜひひとつ前向きで天災融資法発動お願いしたいということと、自創資金ワク熊本県だいぶ少ないようなんですよ。ひとつこれもあわせて拡大をはかっていただきたい、こういう強い要望があるのですが、天災融資法発動になると、額が相当ふえるのですかな、そういうからみで、ひとつどういうように処理願えるか、この点につきまして、ひとつお答え願いたいと思います。
  16. 今村宣夫

    説明員今村宣夫君) 自作農維持資金につきましては、私たちとしまして、被害農家被害状況でございますとか、あるいは資金需要実態というものを県と十分協議をいたしまして、そういう実態を把握しました上で、その配分につきましては十分考慮したいというふうに考えておる次第でございます。
  17. 梶木又三

    梶木又三君 いまの阿蘇火山については大体以上で終わりますが、あと一つだけ、ことしの水害について。ことしの水害というか、過去のやつですわ、これは御答弁要りません。ひとつ要望が非常に強いということを申し上げておきますので、そのおつもりでひとつ善処願いたいのです。  熊本県で御承知の四十七災で、天草で大災害がありましたですね。これは非常に天草の局部的に五十億近い被害が出たために、県でも、市町村でも非常に努力をされておるんですが、何しろ狭いところにたくさんの災害が数多く出ておる。そこへ持ってきて、御承知のとおり、労務者の不足あるいは資材入手難、こういう関係で一もう気持ち早期復旧、これは全部気持ちは持っておられるんですよ。で、災害復旧工事は、いままで早期復旧というのを目標できたんですが、地元の方もそういう強い願いはされておるんですが、物理的にいろんな条件工事ができない。それで三・五・二で進んでおられるんだけれども、どうしても四年目に引っかかっちゃうと。これはこの間参りましたとき、熊本県から、天草工事についてそういう御要望があったんですが、これは天草に限らず、兵庫県、岡山広島、あれみな四十七災なんですね。それで御承知のとおり、兵庫県では、淡路島、それから岡山県、広島県は中国山脈沿いなんですよ、非常に不便なところ。そこへ持ってきて、あの西のほうは御承知のとおり、山陽新幹線だとか、中国縦貫道とか、こういう工事が、去年おととしなんか相当活発に行なわれておったわけですね。このために資材がどうしてもそのほうに回っていくとか、それから労務者もそっちに優先的に回っていく。そういう関係で、天草と同じようなことがいま言うたような県でも起きておるんです。それで、地元願いとはうらはらに、うらはらというか、逆になってどうしてもできない、三年間では復旧できないと。こういう事態なもんですから、ひとつ何とか、変な話だが、災害復旧をおくらしてくれというのは変な話なんだけれども、実態がいま言うたような現況なもんですから、私はこれはほんとうやむを得ないと思うんだ。できないものを三年でやれといっても、これは実際問題としてできないし、それじゃそこで打ち切るということはかえってお気の番になるわけですからね、これはひとつ何とか四年目にかかっても従来のような復旧方針でやっていただきたいと。逆のことになるんだけれども、いままでの早期復旧という観点からいたしますと。しかし、そういう事態だということをひとつ御承知の上で、特にへんぴなところの災害復旧は、今後そういう点につきまして四年間でもやむを得ないと。それに対する物価増等に伴うスライドアップはしていただきたいと、こういう強い希望熊本県だけでなく、ただいま申し上げたような県にもありますので、この点は御答弁要りませんが、そういうつもりでひとつ善処お願いを申し上げておきます。  これで私終わります。
  18. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 他に発言もなければ、派遣委員報告はこれをもって終了いたしました。     —————————————
  19. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、農業被害状況について政府から説明を聴取いたします。農林大臣官房審議官今村
  20. 今村宣夫

    説明員今村宣夫君) 最近の台風に基づきます被害状況を簡単に御報告申し上げますが、まず台風八号につきましては、先生方のいろいろの御指導を得まして所要の措置を講じたところでございますが、その後台風十四号が八月十一日にマリアナ諸島東方海上に発生しまして、西方に進みまして、八月二十日中国大陸上陸したわけですが、要するに、それがUターン現象を起こしまして紀伊半島沖を経まして静岡県浜名湖付近上陸したという十四号がございます。  それから台風十六号は、八月二十六日に、これも同じくマリアナ諸島西方海上に発生しまして、九月一日に高知県に上陸をいたしまして、愛媛県を抜けまして、中国地方のほうに、海上に抜けたというのがございます。  それから台風十八号が八日、九日でございますが、九州南部を横断をいたしまして、四国に再上陸をしたという一連台風がございますが、このために進路にあたりました地域中心にいたしまして暴風雨に見舞われ、田畑の浸冠水、水稲の倒伏、それから穂ずれ等による被害、あるいはまた農業用用排水路農道頭首工等損害等被害が発生しております。また、漁港後背地等にかなりの被害が見受けられる状況でございます。  農林省関係被害は、九月九日現在の都道府県報告によりますと、水稲中心とした農作物等では約百七十億円、施設等が約百六十二億円、合計で三百二十二億円となっております。  被害のおもなものは農作物の百六十九億円、農地農業用施設の六十一億円、後背林地の四十五億円、林道十五億円、漁港十三億円という状況でございます。  現在までのところ被害中心農作物でございますが、いろいろこの被害につきましては、現在統計情報部で鋭意調査の取りまとめを行なっておるところでございます。これの対策につきましては統計情報部調査結果を待って十分検討をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。  なおまた、農地農業用施設等復旧につきましては、緊急を要する個所から逐次災害復旧事業を行なうこととしておりますが、災害査定を待っていたのでは再度災害のおそれがある個所、あるいはまたかんがい、あるいは農作物の搬出に支障を及ぼす等の緊急災害復旧を要するものにつきましては査定着工により措置するように指導をいたしておるところでございます。  また、緊急治山事業につきましては、再度災害のおそれがあり、特に緊要な個所については緊急治山事業を実施するようにいたしておりまして、それぞれの関係県に林野庁から担当係官を派遣をしておる実情にございます。  そういうことで、被害状況を至急取りまとめまして、今後の対策十分検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。  農林大臣に対する質疑のある方は順次御発言を願います。
  22. 神沢浄

    ○神沢浄君 いま調査報告をめぐって農作物被害状況の問題に触れられておりましたが、私もそのことに関連をしてまず大臣にお尋ねをばしたいと思いますけれども、これはもちろん全国的な問題だと思いますが、私の一番身近の山梨県の場合を例にいたしますと、大体台風などを中心にして今期における被害額が約五億ぐらいになっておるようであります。そのうち、きわめて特徴的なものがことしは出ておりまして、それは何かというと、ほとんど被害額の半数にあたるようなものの原因が長雨なんです。これは御承知のとおり、六月から七月にかけてきわめて長期にわたって雨が降ったわけでありまして、参議院の選挙などもかなり被害を受けましたけれども、農作物がこのために受けた被害というものは非常に大きいものがございます。したがって、これらの状況について農林省がどう把握しておるか、対策を考えておるかというふうな点については、これはあとから担当の政府委員の説明を受ければよろしいですから、あとに回しますけれども、私が大臣にお尋ねをいたしたいと思いますのは、私は、この長雨問題というのを非常に重視せざるを得ないと思ったことです。というのは、御承知のとおり、いま盛んに地球上の異常気象の問題が論ぜられ出してきているわけなんですけれども、大体六十年から百二十年くらいの間に地球は周期的に寒冷化をする。いまやはり寒冷化の周期に入ってきておる。大きな氷河期を迎えるようなことはないだろうけれども、少なくとも小氷河期ないしは間氷期を迎えるのではないかというのがこれが最近の学説になっているようであります。こうなりますと、ことしの長雨の状況というのは、これはことしだけの問題ではなくて、おそらくこの異常化してまいりましたところの気象の条件のもとに、来年もあるいは再来年も同じような状態を迎えていかなきゃならぬのではないかというふうな点が非常に憂慮されるわけであります。  ことしの長雨によって引き起こされました被害などの例を若干あげてみますと、このために非常に低温化いたしますから、特に高冷地などにおきましては、私の県の場合などは水稲などは非常に甚大な影響を受けております。あんどんという状態であります。たいへんうまいことを言ったと思うのですが、からだけはつくけれども、中が実が入りませんから、いよいよ出穂をしてみますと、全くあんどんに火がついてるような状況に見えるわけでありまして、こういう状態がいまちょっと標高の商い地帯では非常に顕著にあらわれています。それから、さらに私の県は、御承知のとおり、たいへん果樹の農業が盛んなところでありますが、何といっても日照時間が少ないことと、地下水が過剰になってまいりますから、そのために桃などは灰墨病でもって園地によっては全滅的被害を受けたようなところが数知れないわけであります。私どもの県の特産であるブドウ、これなどもいよいよデラウェアなどの収穫期に玉割れがたいへん出てまいりました。それから晩腐病とか褐斑病とか幾つもの病気が、みんな長雨、これが原因でもって生じておるわけであります。野菜などは言わずもがなで、これはもう日照時間が少なく水分が多いんですから、もう根腐れでもってどうにもならない。多少値段が高くなったから、少しはまあ経営上は救われておるというふうな点もあるようでありますが、被害を受けたという点からいたしますと、あげましたような状況が非常に顕著に出てまいっておるわけです。そこで私は、この長雨問題というのをやはり農政の上でもってこの際、真剣に取り上げなければならない問題じゃないか、将来的な展望の上に立ちましても、こういうことを実は痛切に感じたわけでございます。  そこで、それでは、建設的な対策というふうなものはあとに回しましても、受けました被害に対するいわばその被害対策といいますか、こういうようなものについて考えてみましても、目下のところ、天災融資法ないしは自作農維持資金によるところの融資対策等以外には何にもございません。しかも、その中でもって天災法というものの中を私もずっと調べてみましたが、なるほど長雨などというものは対象にないわけであります。それは豪雨豪雪云々というようなものはありますけれども、低温というようなものの中にあるいは含ましておるかもしれませんが、しかしその種の程度ではなくて、私はこの際、長雨の問題も、これはもう天災法の対象にするというくらいの積極的な態度を持たなければ、これからの展望の上に立ってもこれは重大な問題ではないか。こう実は感じたところでありまして、これらの点をひとつ大臣に伺っておきたい、こう思うわけであります。
  23. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 気象庁は、今後の天候につきまして、ことしも北半球の高緯度地域において寒冷化が進んで、これに伴ってわが国を含む中緯度地域では南北の気温較差が大きくなるために異常気象が見込まれるというふうに申しております。で、まあわが国は台風は毎年定期的に来るわけでありますが、そのほかにいまお話しのようなこともことしは非常にありまして、そのために農作物に対していろんな影響がありましたことも御承知のとおりであります。  私どもといたしましては、これはまあ天然の現象について人間の知識でどの程度防衛ができるか、いろいろむずかしい点もございますが、これに対応するような作物について、これは検討し得るものだと思います。たとえば沖繩においては長年の経験で、ほかのものがだめでパイナップルとサトウキビになったというふうなことは、長年の間土地の人が経験をした結果ああいう方向をとったわけでありますが、私どもも常に農林省はこの長期の予報について、それぞれの筋と十分打ち合わせをいたしまして、検討いたしておるわけであります。それからまた輸入農産物等につきましても、一昨年、昨年の経験にかんがみまして、わがほうにおいても世界的な気象通報について十分検討をいたしておるわけであります。長雨のようなものにつきましていま天災融資法等のことについてのお話がございましたが、これはやはり長雨のようなものにつきましては天災融資を受けられるような災害も伴って出ることもございます。そこで御承知のように、自作農維持資金、こういうものの活用によりましてそれぞれ手当てをいたしておるんでありますが、まあ将来とも長期の気象通報によりまして、またそういう天候異変によりまして受ける災害については、ただいま持っております制度を十分活用することによってかなりの成果をあげ得ると思いますが、なおそういう点についてはひとつ続いて勉強してまいりたいと思っております。
  24. 神沢浄

    ○神沢浄君 ここに新聞の報道があるわけですけれども、大体記録によりますと、これはまあ甲府が観測の地域になっておりますからそこの数字ですが、六月が百二十九ミリで、七月が二百四十三ミリ、それから八月に入りますと百二十五ミリ、こういう数字になっておりますが、これは平年に比べますと約倍になる。それから、そのためにどういうふうな気温の上の変化が起こるかというと、これはまあ長野県寄りの地域ですが、やっぱり観測の地域が長坂町というところなんですが、そこですと、これは七月の一番気温が下がった当時で——本来ならば一番暑いころですが、そこで大体、二十日が十八度、二十一日になりますと十二度に下がりまして、二十二日が十二度、二十三日が十二度、二十四日が十二度、二十五日が十二度と続いて、二十六日にやっと十八度くらいに上がりまして、大体五日間ぐらいが十二度台でもって連続するわけです。こうなりますと、私などもしろうとですからよくわかりませんが、大体十二度というと生活の活動をやめるんだそうですね。ことに水稲などの場合では、これが幼穂形成期に際会をしておるから、そのためにいわばあんどんの原因になるわけなんです。これはもうとにかく一口に長雨、ただ雨が長く降るというだけのことでは済まないわけです。すべてのこれが被害原因になってまいる。ですから、繰り返すようですが、私は少なくとも天災融資法という法律がせっかくあるんですから、しかも先ほど申し上げましたように、ことしだけの問題ではなくて、いまの地球上の気象の異常の展望が云々されておるというふうな時期に際会をしております以上、私は進んでやっぱり天災融資法の対象に長雨を取り上げるくらいの積極的な姿勢というものは必要だと思うからそれを要望いたしておるんで、その点をひとつ重ねて、もうちょっと歯切れのいい御答弁をいただきたいと思うんです。  それからなお、当面どうするかというと、これは自作農維持資金以外にはないわけなんです。ところが聞いてみますと、やっぱりこれワクがありまして、なかなか地方では中央とのワクの折衝でもって困ってというか、困難をするようなんです。こんなものは思い切ってひとつ、地方に折衝上困難させるなどということのないように、やっぱりワク拡大というのをこれははかっていただく必要があるではないか、こう思います。  いろいろほかにもあるんですけれども、こまかいことはあとからお伺いすることにして、大臣にその二点を伺っておきたいと思います。
  25. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 本年の長雨につきましては、いまお話自作農維持資金でありますが、これについてはワクを広げることについていま慎重に検討をしております。できるだけそれをやりたいと思っております。  それから、長雨につきまして、私いま法律を持っておりませんが、昭和四十二年に天災融資法発動したことがあるそうであります。これはやはり長雨につきまする災害につきましても天災融資法発動は可能である。私どもといたしましては、できるだけそういうようなことで災害に対処してまいるようにいたしたいと思っておりますし、それから、さっきちょっと申しましたけれども、異常気象等による気象災害に対する農作物の研究ということ、それから、これは神沢さん御存じのように、そういうようなことがありやすい地域でありますので、やはり基盤整備等十分そういう点に対して備えておくということも必要なことであろうと考えて、そういう方向で進めようといたしております。
  26. 神沢浄

    ○神沢浄君 それからもう一点、私は被害調査などに当たりまして気がつきましたのは、いまの被害の中の大宗をなすのは果樹なんですが、共済の制度上の問題点。いま被害があった以上これは一番たよりにしなきゃならないのは、共済保険と名を打っておる以上はその制度だろうと思うんですけれども、実はこれはまだ出発早々ですから——試験実施期間が終わって本法がこの四十八年の四月一日の実施だったと思っておりますが、なるほどそれだけに加入率などというものはたいへん低いわけであります。私の県でいえば桃、ブドウということになりますけれども、桃、ブドウについてもまだ一〇%内外くらいの加入率になっているわけです。ところが、まだ一〇%内外くらいの加入率であるにもかかわらず、四十九年産の引き受け実績を収穫共済についてブドウで見ますと一五・九%。これが五十年、一年たったあと見ますと一一・九%に落ちちゃっているんですね。いまどんどん実施直後でもって上昇しなければならないところのパーセンテージが落ちてしまっている。桃で見ますと四・八%、これは四十九年産引き受け。ところが、今度は五十年産引き受けになるとこれが何と三・八%に落ちてしまっているんです。これを農家のほうに聞きますと、これはとにかくいまの制度ではどうにもならぬ。やはり農家希望するのは、農家単位ではなくて——農家単位ということになりますと、たとえば桃、ブドウを混作しておるところでもって、じゃあ一ヘクタールの経営の農家が三十アールだけ全滅をいたしましても、桃が。あとの七十アールのブドウがまあ平年作でもってとれればこれは対象にならない。こういう状況ではこれは何としても魅力が持てないというのです。内容的にもいろいろ不備の点がありますが、最も基本的なところはそうなんです。ですから、園地共済に変えてもらいたい。言うなればまあ一筆単位というわけなんですね、いま水稲がやっておるように。水稲がやっておるような一筆単位にひとしい園地共済にひとつ変えてもらいたいという、こういう希望がまあ全農家共通しての希望です。  時間がないようですからね、私はその点だけをお伺いをいたして終わりますけれども。
  27. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) いまお話のございました園地単位となりますというと、御存じのように、支払われる機会は多くなるかもしれませんけれども、部分的になりますので金額は非常に少なくなる。これはいままで試験的に長年の間、共済をやってまいりました結果でそういう問題がまあ出てきておると思います。  それから、技術的に見ましても、この損害評価には出荷団体等の流通資料を活用するという必要はございますけれども、団地単位でこれを作成するということは御存じのようになかなかむずかしい問題もあります。そういうようなことで私どもといたしましては、これはなお研究課題ではないかとこのように考えております。
  28. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 大臣に対する質問時間が制約されておりますので、これだけは大臣に聞いておかにゃならぬという点について、養蚕、コンニャクについて二、三お伺いします。  養蚕がたいへんどうも窮地におちいりまして、晩秋の掃き立ては昨年に比べて一八%も減になっておる。こういうことなんですが、かつて日本の資本主義経済発展の中軸をなした養蚕、まあ、われわれも子供のころには、輸出産業の大宗は生糸だと、こう教わったわけなんですが、三十三年に大暴落をいたしました。しかし、この段階ではまだ輸出産業としての蚕糸業だったと思うのですが、いまはまあ国内消費と、こういうことなんですけれども、その間、桑を抜けと言い、あるいは増産方針が示され、しかし一方、行政的には蚕糸局の独立がなくなる。こういう形で今日まできておるわけなんですけれども、一体政府は、蚕糸業、特に養蚕について今後どういう基本的な態度で臨むのか。斜陽産業としてだんだん消えていっていいと、まあまあお葬式を出すつもりでめんどうを見ると、こういうのか。そうではなくて、費蚕業というものはしっかり守っていくんだと、こういう方向なのか。  私自身とすれば、まあ、今日まできたのはもうほんとうに適地適作というよりも、まあ祖先が植えたり、抜いたりいろいろして、ひでりにあわないものは深根性の桑である。火山灰土、軽鬆土地帯、桑をつくるよりほかしかたがないというところがいま養蚕地帯として残っておる。したがって、これはもう養蚕そのものが不必要ならば別として、政治として守っていかなきゃならぬと、こう思うのですけれども、基本的な態度——特にまあ長野の養蚕県から出ておる大臣のことですから、ひとつ、養蚕家もたくさんこれを聞いておりますからね。基本的な態度をひとつここで明らかにしてもらいたい、このように思います。
  29. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 政府が稲作対策、転換対策をやりまするにつけて、その場合、こういうようなものを大いにやってもらいたいと指定しておる品目の中に生糸がございます。私どもは、なるほどここ十数年前から化学繊維の発達によりまして、一時的にたいへん衰微する傾向であるかのごとく見えました絹糸も、いま栗原さん御存じのように、日本人、が外国へ旅行いたしますときに、まあ軽くて一番外人に喜ばれる手みやげというのは絹織物のハンケチかなんか、くつ下なんかでもだいぶ賞美される。御存じのとおりであります。しかも、まあわれわれ全世界じゅうで使用されております生糸の中の大部分は、いまお話のように国用がおもであり、輸出はほかの国も若干やっておりますけれども、わが国の輸出もそう盛んではありませんが。そこで、そういう意味で農林省といたしましては、蚕糸業というものは重要な産業の一つである、農産物の一つであるという観点に立って施策を講じておるわけであります。そこで、それから続いて何かお尋ねあると思いますから、それからにいたします。
  30. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 問題は、養蚕家が、繭値か安いか高いか、繭値で食っていけるかどうかということが基本なんですが、いまの方式では、繭値は横浜の生糸相場からきまるんです。ところが、生糸相場がめちゃくちゃに動くわけですね。そこで、いま八月一日から輸入の規制をしましたけれども、年間生産取引で扱うのが七百万俵以上ですよ。いわゆるから売り、から買いというものが行なわれておるわけですね。現物の海外輸入がなくなっても、から売りがあれば輸入しているのと同じですよ、これは。そこで、この点について意を決して手を加えていくことをぜひやっていただきたいと、こう思うわけなんです。特に蚕糸事業団をつくって、基準価格一キロ一万円ときめても、一万円以下でもってどんどん売り買いが行なわれているでしょう。政府が銭を出してささえておるのに、その下で売り買いが行なわれる。その売り買いが行なわれるということは、売りがあるから買うわけですからね。金を出してささえておるのに、基準価格以下で平気でばくち相場をやっておる。こういうことをほったらかしておいていいのかどうか。前々から私は、そういう考えを持っておりました。  特に三十三年のときに、アメリカへ飛んで調べてみた。アメリカ人は絹織物が好きだ、加工業者もそれは知っている。しかし、相場が動いてしようがないと、だからこれは原料として使い切れないんだと。安いほうがいいけれども、高くてもいいから安定してくれということを要求されましたよ。ところが、安定して困るのが取引所であり、相場師なわけだ。ここに問題があると思うんだね。ああいうものはあのままほったらかしておいて、特にいま日本のあり方が、大手の商社を中心に銭があれば幾らでも売れるわけですからね。保証金積めば売れるわけなんですからね、糸、現物を持たなくっても。こういうばかげたことを許しておいていいのか。これに対して厳たる姿勢を持って規制に乗り出す意思はないのか。それは、あれは農林省ワクじゃない、通産省のほうにいくというような関係もあるかもしらぬけれども、養蚕業、蚕糸業を守るという立場に立てば、当然ここに手をつけなきゃならぬと思うんだけれども、これに対する大臣の所信を伺いたい。
  31. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 大部分の点において、私もたいへん共鳴する点が多いんであります。私も先年アメリカで、シャリーというイタリア系の日本生糸を一番多く売って預かっておる者に会いましても、やっぱり日本の生産する生糸ぐらいは、価格が安定しておって品質の改良を怠ってくれないならば全部はけるんだ、ということを言っておりました。いまでもかなり使っておりますが、そこで、そういう特殊なものであります生糸が、なぜこういうふうになってきておるか、ということにつきましては、いろいろ原因もあるでありましょうが、その一つには、やっぱりいま総需要抑制というふうなことで、金融を引き締めてインフレを防止しようとする、そういう空気というものは政界のみならず、一般経済界にも充実してまいりましたので、やはり物を買わないという、比較的金かさの上がるものは買わないというふうな風潮もあったでありましょう。それはやっぱり幾らか価格の高いようなものには、そういう傾向が見えてきております。  私は、その傾向を必ずしも悪いと言うわけではありませんけれども、お説のように、私、せんだって六月に、価格一万円というものに引き上げてみました。ところが、一向にその価格が上昇しない、これ今月十八日でも九千七百六十円でありますから、実勢価格が基準価格より低いという状態、いま御指摘のとおりでありますが、そこで、初め私ども蚕糸事業団の買い入れワクを三万懐でありましたのを二万俵ふやしまして五万に一応いたしましたけれども、これではなお不十分であるということで、財政半価とも相談をいたしまして、ついせんだって十万俵にふやしました。十万俵にふやしましたというのは、政府が何を決意しているかということは、いまお説の生糸を扱っておるものどもにも今度はぴんときただろうと思います。  そこで、ただ私どもといたしましては、秋蚕の掃き立てとそれから製糸家が来年の養蚕家との契約について不安のないような状態をつくり上げなければなりません。それが大事なことであります。そこで、現に国外から輸入されるもの、大体十万俵と見ておりますが、この間御承知のように、蚕糸事業団一元輸入の法律発動いたしました。これにつきましては御承知のように、わが国がガットに加入いたしておりますので、ガット十九条違反ではないかというふうなことも論ぜられ、それからまた、輸出しておる国々からも若干いろいろなことも言っておりますけれども、やはり国内産業を保護するためにやむを得ず思い切った手段を講じ、とにかく十万俵の買い入れワクを持ち、それから一元輸入をやるというそういう手段を講じましたのは、政府が蚕糸業というものに対して相当な決意をいたしておるということを御理解願えると思いますし、私どもは、当分の間、輸入をする意思はございませんから、そこで蚕糸業の安定のために、先ほど来承っておりますと全く同じお考えをお持ちのようでございますので、これからもひとつ挙党、与野党一致して御協力を切にお願いをいたしたいと、こういう次第でございます。
  32. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 養蚕問題についてはまだまだいろいろ議論したいことがありますが、いずれ日をあらためます。  時間もございませんので最後にコンニャクのことについて一つ。  一昨年外産輸入を、アメリカからだいぶん農産物の外産輸入を要求されたときにコンニャクがその中に含まれておった。アメリカにはコンニャクは一つかけらもないわけなんですが、これは言うならば、内地の大商社が東南アジアから開発輸入をしようという陰謀だと私は思っているんですよ。幸いにして自由にならなかった。コンニャク対策は、これまた養蚕よりももっとひどい立地条件にある、コンニャク以外につくれないというところでつくっておる人たちなんです。私は、従来コンニャク対策は消費者対策じゃなくて生産者対策一本でいいと。コンニャクが高けりゃ食べなくたってこれは社会問題にも何にもならぬ、生産者がもし食えないような安値になれば転作しろと言っても転栽できない立地条件のところにコンニャク生産者というものがいると。だから、これは生産者オンリーの対策がコンニャク生産対策でありコンニャク対策であると。こういう主張をしてきたんですが、いまでもやはりいろいろと自由化の問題について、関係農民は心配をしております。  最近、特に韓国ルートらしいというコンニャクの製品が、内地へ姿をあらわしておるなんということがあるわけなんですが、これらについてまだ具体的な実態はつかんでおらぬと思いますけれども、やはりコンニャク問題というものは、日本人が食って、日本人だけしか食わぬしろものですから、そしてしたがって、他国では肥培管理をした栽培というものはないわけなんですから、これはほんとうに必要な事態が起こればその時点で野生のものを採取して入れるということで事足りるという意味において、やはり関係農民を心配させないように、コンニャクについては自由化はこれはいたしませんという、基本的な方針だということを言明してもらいたいと思うんだけれどもいかがでしょう、これ。コンニャクの生産会長はこれまた長野の人がやっておるんですよ。
  33. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) コンニャクにつきましては、これは稲転を農家の方にお願いをいたしましたときに、すでに一千ヘクタールほど水田を転換してコンニャクイモを植えていただいたりいたしておるわけでありまして、先年このコンニャクの自由化の問題が起きましたけれども、わが国の特殊な事情を考慮いたしまして、これは排除いたしました。自由化はいたしません、そういう方針をきめております。
  34. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 これでやめますが、最後はこれは要望だけです。  確かにいま国内産も、水田の休耕、転作にからんで、山から水田におりた部分がかなりあるんです。しかし、私は、これは水田にコンニャクをつくらしておくところに農政の誤りがあると思うんです。水田では米をつくらせるべきです、一日も早く。きょうはそういうところに論及しませんけれども、つくった米が余るというなら、玄米にせずに、もみで貯蔵する方法を農林省は率先して打ち出すべきですよ。世界的に食糧の足りないときに、まだまだ米の生産を調整するとか、そんなことを言ってるのは誤まりです。ひとつ大臣、大決意をもって、来年の百二十五万トンなんというようなことはやめなさいよ、それはもう。つくらして、もみで町域させるんですよ。これが食糧対策です。これは希望ですから答弁はいただかなくてもけっこうです。
  35. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 最初に漁業問題で大臣にお尋ねしたいと思います。  御承知のように、わが国の漁業は、一つは、本年行なわれた国際海洋法会議で、経済水域二百海里説というものが、世界の大勢として動かしがたい現状にきておりますし、また、一方では、国内の状況は、昨年秋以来のいわゆるオイルショックに端を発したインフレや物価狂騰の中で、漁業用の石油類やまた、漁網などの生産資材等も二倍から三倍はね上がっております。ところが、一方の消費者価格というものは非常に高騰しているにもかかわらず、生産魚価のほうは、不漁のイカがやや高値なのを除いて、その他はほとんど二割から三割値段が下がっている。いわゆる生産者価格が低迷しているわけでして、特に、今後日本の水産業界を育てなければならない沿岸の中小漁民の人たちの生活というものは、非常にたいへんな状態に直面しているわけでございますが、大臣としてこの日本の水産業界の世かれた立場をどのように認識されておるか。私は、やはり食糧政策の観点から、日本の漁業というものを再検討をして、いわゆる日本の重要産業としての位置づけをはっきりする時期にきているんでないかと、こう思いますが、この点についての所感をまずお伺いしたいと思います。
  36. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 国際的に見まして、食糧問題が非常にクローズアップされてまいりました。当然なことでありまして、その中で、わが国民の食糧を考えてみますというと、漁業から得ます、魚からとります動物たん白、これは外国人よりも日本人は非常に多いわけであります。そういう点から考えましても、いろいろな角度から考えて日本の漁業につきましては、重要な産業の一つであることは申すまでもございませんが、この漁業を取り巻く環境は年々きびしくなってまいります。一つには、近海における汚染の問題もございますが、先般ベネズエラのカラカスで世界の第三次海洋法会議が行なわれまして、これにはまだ別段これといって決定されましたものはございませんけれども、大体においては領海十二海里、それから経済水域二百海里というのは、まず大体多数の意向ではないだろうか。来年の三月スイスのゼネバで開かれます総会においては、あるいはいま申しましたようなことが決定されるかもしれません。そういうことになりますというと、われわれのほうの遠洋漁業についてはいろいろな重要な影響を持ってまいります。しかし、これは、それはそれなりに、それらの関係沿岸国との間にいろいろな交渉をいたしまして、いまもすでにそういうことに着手しておりますけれども、そういうことで遠洋についてもできるだけの自由を得たいと思っております。が、同時にまた、私どもといたしましては、この前の国会で沿岸漁場整備開発法を通していただきましたし、その他二つの法律を水産関係で成立さしていただきまして、沿岸に特に力を入れたいと思っておるわけでございます。  それでやはり、とる魚ということもさることなから、つくる魚——培養していく無というものは非常に大きなウエートを占めておりますので、沿岸等について特段の努力をいたしてまいりたい。一般的にはそのように考えております。
  37. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 沿岸漁業の安定をはかられるというお話でございまけれども、やはり漁業生産者の長期的な安定と発展がはかられるようにさらに具体的な施策が必要だと思うのです。いま沿岸漁民は、操業してもペイしないというので、かえって休業したほうがいいんだというところに追い込まれておりまして、御承知のように、五月東京で緊急危機突破全国漁民大会が行なわれましたけれども、このときの決議事項には、魚価安定対策というものがありました。そこで政府のほうも、この魚価安定対策について、漁民のほうから、水産業界から、具体的な案を示されれば検討するという姿勢を見せられたはずであります。それに応じて特に北海道漁業連合会が主体になって、全国の水産物価格安定対策として、水産物価格安定事業団の設立構想を打ち出しまして、現在全国漁連の案として政府に提出されておるわけでありますけれども、これについてきわめて農林水産当局はうしろ向きである。こういうようなことで漁業関係者は、農業関係では八割や何かの形で安定対策がとられているにもかかわらず、漁業関係については非常にむしろ冷たいと。ある水産庁の幹部の方は、やはり今後、水産業関係の安定をはかるためには、魚価安定対策をとらなければならないだろうと、こういうふうに漏らしていたというのですけれども、農林大臣として、いわゆる漁業生産者の経営安定という点から、もっと前向きに今回示された水産物価格安定事業団構想について検討され、これを早期に実現に持っていくというお考えはないのかどうか、その点確かめておきたいと思います。
  38. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 漁業の確保、これは絶対に必要なことでございますから、漁業者の価格安定ももちろん大事なことでありますけれども、水産物の価格の安定につきまして、事業団というふうなことになりましても、農作物と違いまして、御承知のように、魚につきましては非常に多種多様でございまして、そういうものをどのようにして価格をきめるかということ、それからまた、いろいろこれは非常に鮮度をとうとぶものでございますので、たとえば冷凍したものとそうでないものとの間に価格差が生ずるとか、技術的になかなかむずかしい問題が伏在いたしておるわけであります。価格安定のためには一体どうしたら一番いいかということにつきましては、われわれも平素検討いたしておるわけでありますが、いまお話しのような点で非常にむずかしいことでございますので、どうやって漁民の生活を安定し、安心して漁業を営んでもらえるかということについてはなおわれわれのほうでも熱心に検討を続けてまいりますが、五十年度予算でいまお話しのようなものをつくるというところ、そういう考えはまだ出ておりません。
  39. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 最後に、てん菜価格の問題でお尋ねしたいと思いますが、九月十日の日に甘味資源審議会が農林大臣に答申しましたけれども、その答申内容は、すでに発表されておりますように、てん菜糖トン当たり十二万七百円、甘庶糖十が四千六百円はやむを得ないけれども、毎年のてん菜、サトウキビの生産者価格、事業団買い入れ価格は、物価、他農産物価格との均衡、操業度を考慮して決定することとして、一つには、四十九年産てん菜の生産者価格は早急に改正すること、二つには、サトウキビは前年を大幅に上回る適切な水準に定めること。つけ加えて、てん菜の追加払い、サトウキビの大幅引き上げというものを盛り込む従来にない異例な答申になっているわけですけれども、この答申に見られますように、すでにきまっているてん菜の生産者価格トン当たり一万一千百十円を改定して追加払いを実施しろと、また十一月二十日までにきめるサトウキビの生産者価格の大幅引き上げという生産者価格にまで触れる異例の答申になったことは、一つには狂乱物価の実態があると思いますし、国内産糖の目標生産費の算定方式が変わったためだろうと思われますが、農林当局としてこの答申を受けて、その後どこまで検討が進められたのか、特にてん菜価格を早急に改定される御決心なのかどうか、これを承りたい。
  40. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) この九月の十日でありますか、開催されました甘味資源審議会、これで糖安法の規定に基づいて五年ごとに定められます目標生産費を諮問いたしました。これについては諮問案のとおりやむを得ないと、こういう決定でございますが、いまお話しのございましたこれに付帯して述べられました意見でございますが、今後、生産者等の関係者の意見も十分参酌して定められた時期までに適正な価格決定に当たると、こういうことでございますが、いまお尋ねの価格引き上げということはただいまのところはそういう意思は持っておりません。
  41. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 超過米、特に北海道の問題についてお伺いをしたいと思います。  現在、北海道の米作農家は、ことしは非常に豊作だと、作況指数が一一三というその大豊作の前に、これが喜べない。それは、またこれが余り米になってくるのではないか、余り米になれば、これは一俵について四千円ぐらいの安値になるだろう。そういうようなわけで、非常に豊作を目の前にして不安に毎日暮らしているわけなんです。で、豊作になればこれは喜ばしいことだといえるはずなのに、豊作を前にして不安におののくというようなことは、まさにこれは端的に農政の失敗だと私は思います。で、そういう立場に立ってこの豊作をほんとうに喜んでいいと、責任者である大臣おっしゃれるのかどうか。当然喜ぶべきことだとお答えになると思います。じゃ、喜ぶべきことだとおっしゃるならば、喜べるというような裏づけとしてどういうことを考えていらっしゃるか、そのことを簡単にお答えいただきたいと思います。
  42. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 私のお答えを先に御説明願ってしまったんでありますが、まあ豊作はたいへんけっこうなことであります。それで、ただ、御存じのように、政府が賢い入れるべき量というものは、あらかじめ通告いたしておきまして、それからまた稲作転換対策も進めていただく。それで大体御協力をことしも願っております。ありがたいことであります。ただいまお話しの、いわゆる余り米というのは、これは十一月から十二月にかけて毎年、県の間の調整が行なわれております。で、ことしも御承知のように、暴風雨等で割り当て量できなかったというふうな県もございます。そういうようなところもございますし、若干ゆとりのあるところもあるかもしれません。そういうものを調整いたしてまいるということでありますので、その点は御心配がないんではないか、このように考えております。
  43. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 確かに出来秋で調整するというような御配慮をいただいていると思うわけなんです。しかし、いま大臣がおっしゃいましたように、ワクがきまっていて、そして、それでどっかがいろいろな被害が出たりして減ったときに、これが調整という形で回ってくるわけですね。私がここでほんとうに聞いていただきたいことは、豊作で悪べるというすなおな気持ちで生産してもらいたいし、また、田中さんこのごろ教育熱心で、物を大切にだとか、仲よくだとか、向こうは一生懸命やっていらっしゃるけれども、農民の皆さんとお話し合いをしてますと、この十万トンからの余り米がいま予想されている。これが余り米にならないで、出来秋調整でワクを十万トンもらうためには、どっかで災害がないと、これがこないんじゃないかなという心配ですし、また、地元に行けば、隣の町のワクが少しでも減ればおれのところはいいという、こういう悲しむべき事態になってきているわけですわ。ですから、いろいろ出来秋調整されるというけれども、これはどっかで、まあ去年なんかではうまくいったというお答えになると思いますけれども、どっかでそういう減ってワクができたからうまくいったわけですよね。そうすると、これはあくまで仮定なわけですよ。だから、もう全国的に仮定だから、私も仮定で申し上げれば、全国的に台風もいろいろな被害もなくて全部そのワクいっぱいになっちゃったということになれば、これはもう当然北海道に回すワクはありませんと、こういうことになるわけですよね。で、そういうことで、安心しろと言われてもこれでは安心ができないわけなんです。  だから、その辺のところを安心していいとおっしゃるならば、まあ特に時間がないから続けて申し上げますけれども、五月の二十二日、食糧庁総務部長から北海道知事あてに通達が出されておりますですね。拙作によって超過米が出ても北海道の場合は相当困難、銘柄米ではないから自主流通米に流しにくいというような、相当の困難があると。で、また、北海道の場合には、生産調整に非常に協力しているというような特殊事情を十分考慮して調整するというような通達が出されているわけです。ですから、これでだいじょうぶだ、だいじょうぶだとおっしゃるけれども、実際に先ほど言ったように、総ワクというものでワクが出なかった場合には、超過米、余り米としてほっぽり出されて、一俵について四千円ぐらいの減収ということになってしまうわけです。だから、そういうことを考えたときにこの超過米に対して安心しろとおっしゃるならば、それなりに安心できるような具体的な政策というものをどうしても伺いたい。そう思うわけです。
  44. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 少し昔の話になりますが、初め生産調整をお願いいたしましたころも、国会で、生産調整をやって余った米はどうするんだと。で、まあ私が正面に、どれだけの量を政府は買い入れる。その場合、計画的にやるんだから余るはずはない、といったようなことでいろいろやりとりをいたしました。で、従来あれ以来——まあ十二月に調整をすることは先ほど申し上げました。したがって、いまの時点で、どこの米がどのくらい余るかというのはまだ明確に出てきておらないわけであります。北海道は北海道としての特殊な事情もございますし、いまからいろんなことを申し上げますよりも、結局その十二月の調整のときに、そのときにやっぱり考えるべきであるということがほんとうのところじゃないかと思うんでありまして、県間の調整は、災害を受けたところばかりじゃございませんで、実質的に出てこないところもありますし、その調整でやってまいるというつもりでおるわけであります。
  45. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だいじょうぶだという保証があれば、十二月になろうと一月になろうといいんですよ。いま、出来秋調整もいまの時点ではわからない。だから、十二月まで待ってくれと言われて、ここまで待ってくれと言われて、いよいよ、これでもうどうにもなりませんと、ほっぽり出される心配があるから、だから一体どう考えているのかということが、農民にしたら当然の心配だと思うんです。  先ほどから言いましたように、一応、政府のほうでは、全体のワクをきめて、その中でのあくまで操作ですよね。どっちが減ってきたからワクをこっちへ動かそうという、そういう仮定の上に立ってだから、おたくでも絶対だいじょうぶだ、ということは言えないわけですわね、仮定の上なんだからこれも。そうでしょう。それで、その仮定の上に立って、だいじょうぶだなんていう、そういうことで安心させることはできないと思うんです。だから、そもそも仮定の上に立っているその生産調整ということでは、これはほんとうに安心できない。とすれば、一体どこに問題があるのかということですよね。  つまり、お米をつくったら、しかもただつくったんじゃなくって、特に北海道の場合は、生産調整を二倍から三倍とやっているわけですよ。おたくのほうは、二倍から三倍の減反をやったから、ですから去年の実績でということでことしはワクが減っているわけですね。全国的にふえているその中で、北海道の場合は非常に大幅に減っているわけですよ。それで、北海道の立場、農民の立場から言えば、政府は減反を、一生懸命調整しろと言ったから調整したと。言っただけじゃなくって、調整したとき協力金なんかというのも出してくだすったと。農民の方たち非常に正直なんですよね。調整金まで、協力金まで出してそして減反に協力しろと言うんだから、協力しましょうという、そういう非常に正直な立場で、またそのほかいろいろな事情があったかもしれないけれども、二倍から三倍の調整をやったと。そういう立場を今度は利用して、こんなに調整して減ってきているんだから、去年の実績にということで、今年度は全国的にワクを広げて、各県もほとんどが広がっている中で、北海道だけ非常にワクが減ってきているわけですよ。まるでこれでは赤ん坊の手をねじるようなもので、踏んだりけったりだと。悪く言えば、政府は、恩をあだで返すのかという気持ちになるわけです。だから、どうしてもそういう心配がなく、この食糧事情の窮迫している時期なんだから、その調整だ、そのワクだという、そういうメンツを立てるんじゃなくって、やっぱりそういう減反に非常に協力をしたというような立場から考えれば、少なくとも全量買い上げをします、心配はしないでいいです、と言えるようなしっかりした保証を、協力した北海道の農民の方たちにしていただきたい。  そして——時間がないから続けて言いますけれども、限度数量をきめられる場合に、これは上限できめられているわけです。しかし、この食糧危機の事情の中で、上限をきめるんじゃなくって、少なくともこれだけのお米はつくってほしいという下限をきめるという立場を基本的に持たなければ——食管の精神に沿っても上限ではなくて、上限以上にできたら余り米だなんていうんじゃなくて、少なくともこれ以上はつくってくださいという、限度数量のワクは、下限でもって押えるということについて、私は、これは当然なことだと思うんだけれども、その辺のところをどうお思いになっていらっしゃるか。そして、生産調整に非常に協力したという北海道なんかのこういう場合には、当然、調整に協力したんだから全量を買い上げましょう、心配要りません、と言うのがほんとうの農政ではないでしょうか。私はそう思うし、大多数の普通の頭で考えれば、そういう結論になると思いますけれども、大臣としてのお考えを伺いたいと思います。
  46. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) おっしゃることはよくわかるんでありますが、北海道は御存じのように、銘柄米というわけではございませんで、したがって自主流通等で流通しやすいという中に入ってまいることはなかなか困難です。で、今日の場合に、私にはっきりものを言えとおっしゃいますというと、きまり切ったごあいさつしかこういう場所ではできないわけでございます。
  47. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや陰でもいいですよ、ないしょでもけっこうです。
  48. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) そこで、これ昭和四十六年でしたが、宮脇全中会長と倉石農林大臣が話し合いましたもの、書きものがありまして、「やむをえざる事由により予約限度数量を超えて生産された米は農業団体等の意見をも聴取したうえで生産調整を阻害しない範囲内でその取扱いを定めることといたしたいと考えている。」と、こういう、何かわからないような、わかったようなものですけれども、これでうまく解決してきているわけでありますので、まあその辺のところはよくいまの事情は——ほかにもあるかもしれません、そういうお尋ねのようなものは。けれども、毎年年末にうまく調整をいたしておりますので、そういう程度でひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  49. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 すみません、もう一問だけ。もう二分ありますからね。  なかなかはっきりおっしゃりにくいという立場もわかりますけれども、やっぱり基本的に考えてもらいたい。というのは、ことしはまあそれでまずいったとしても、来年もまた不安定な状態に置かれるわけですよね。だからやっぱりここのところでどうしても考えてもらいたいというのは、その数量をきめられるとき、平年反収でずっときめてこられるわけですが、そうしますと、反当たり北海道の平年反収というのは四百二十九キロだというふうに計算されますけれども、実際には、北海道の担当職員の方に聞いたけれども、四百五十キロくらいに見なければ——こういうふうにたくさんとれるようになってくるんじゃないかと。そうすると、その平年反収というのは非常に少ないわけですよね。だからこの辺のところも、いま平年反収というのを四百二十九なんという線で押えないで、やっぱり実際にどれくらいとれるのかというようなところで押えていただきたいということです。そして、ワクを減らすんじゃなくって、そのワクを当然ふやしてもらわなければならないし、そしてふやすだけではなくって、先ほど言ったように、基本的には、このワクで押えつけていくというんじゃなくって、全量買い上げということにしていただくという方向が、前向きに検討すべき姿勢ではないだろうかと。お米の場合は、いま自給率一〇〇%だとかなんとか言われているけれども、こういうようにしてどんどんどんどん農民自身が苦しめられるということになれば、このお米の問題についても決して安心できないのではないか。ことしだけのものではなくって、来年からのことも考えれば、この際どうしても、ことしは心配なくというような立場で解決していただきたい。農民自身が、よその県が、隣の部落が何か被害があればいいなというようなそんな気持ちを起こさないで済むように、そういう農政というものをしっかり確立していただきたい。だから、上限ではなくて、下限でこれだけはつくってほしいというその下限のワクにしてもらいたい。そして皆さんの、おたくのほうで出されたその生産調整に協力しているところに対しては、むちゃ言っているんじゃなくて、おたくの言われたことに協力しているんだったら、それ以上にとれたといって、捨てるんじゃなくって、全量買い上げという立場に立っていただきたいということです。ここでは、そうですなんと言ったら、なかなかたいへんなことになるから、おっしゃれないかもしれないけれども、私たち、農民の皆さんの声を聞けば、どうしてもそういうあったかい気持ちで生産に励めるような、そういうような、だいじょうぶ心配しないでいいんだ、というようなそういう姿勢だけはきちっとお答えいただきたいと思います。
  50. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 農林省の立場は、生産調整というのは必要な施策で遂行しているわけでありますから、その中で政府買い入れ量は幾ら、自主流通が幾ら、自家保有米が幾らということにいたしておるわけでありますから、かりに生産調整に協力なさらないで、よけいにできたものも同じに扱うんだというようなことになりましたら、これは米の政策というものは実行できませんから、そういうわけにはまいりません。ただ、生産調整も十分やっていただき、転換政策もいろいろおやりいただいたが、結局豊作等でこういうことになったというふうなものについては、やはり調整の場合に考慮しなければならない。うまく調整をしてまいらなければなりませんけれども、できたのは全部政府が引き取るということが、温情ある農政だという、そういうおことばではないかもしれませんが、そういう考えは政府としてはとるわけにはいきません。
  51. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 大臣に対する質疑はこの程度にとどめます。次に一般の質疑に入ります。
  52. 神沢浄

    ○神沢浄君 果樹共済の点なんですが、さっきの大臣質問の際にちょっと触れましたように、まあこれは試験実施期間が五年あって、そして四十八年からいよいよその本格実施に入ったわけですが、私の県なんかの例で見ると、いかにも加入率が低過ぎるんですね。低いどころでなくて、当初年よりか次年度のほうがさらに加入率が下がってきておるなどということは、これは異常ですよ。大体政府が選択的拡大云々と言って、畜産や果樹を奨励をして果樹をふやしてきたわけだけれども、しかし、共済の制度すら整えられていないということでもって、これはまあ制度化に進んで試験実施の五年間も経た後に実施されたものが、この結果ということを見ますと、私は、どこかにこれは大きな欠陥というものが制度上存在するわけであって、したがって、その欠陥がどこにあるかということをこれは真剣に把握をしなきゃならない点じゃないかと思うんです。そこで、国のほうでそういう結果がなぜあらわれておるか、というような点を把握をされておるのかどうなのか、その点からまずお聞きをしておきたいと思います。
  53. 山村弥五郎

    説明員山村弥五郎君) お答え申し上げます。  山梨県のブドウと桃の引き受けの点でございますが、四十八年度につきましては、先生のおっしゃるとおり一五・五%で面積が六百五十八ヘクタール、それから桃につきましては四・八%の百六十七ヘクタールでございます。本年度につきましては昨年度計画を下回りました関係上その二倍ぐらいを目標にして全国推進をしておるのでございます。本年七月二十三日の関東ブロック会議におきまして山梨県庁と連合会からの報告によりますと、ブドウにつきましては千二官七十ヘクタール、パーセンテージにいたしまして三〇%と約二倍の引き受けになる見込みであります。それから桃につきましては、四十九年度につきましては千トンで四十ヘクタールということで一二%、これは約六倍か七倍ぐらいの伸び率になるような報告を受けたのでございます。  それから、非常に引き受けが悪いのではないかというような御指摘でございます。昨年度は、本格的実施の初年度でございまして、当初計画した点よりも下回った成績をおさめたのでございます。これはわれわれといたしまして検討した結果、初年度のことでございますので、この制度の普及徹底が末端まで届いておらないのではないか、あるいは末端におきましても、初年度のことでありますので、その準備が不十分であったのではないかというような反省をしておるのでございます。  したがいまして、本年度は、それらの反省の上に立ちまして基準収穫量を実態に合うように改善措置をとるとともに、この制度につきまして農家の理解と協力を求めることに重点を置きまして指導した結果、現在のところ、引き受けが昨年の二倍ぐらい達成されるというような目途がついておるのでございます。われわれといたしましても、試験期間が五カ年間であり、二年間の本格実施の経過でもありますので、今後とも運用面につきましてはいろいろと改善を進めてこの制度を進めたいと考えている次第でございます。
  54. 神沢浄

    ○神沢浄君 県がそういう報告をしたことは事実でしょうけれども、その報告ということであって、同じ県が出しているこのプリントによりますと、これは八月二十六日現在です。これはさっき私がちょっと読み上げたように、ブドウについて収穫共済一一・九%の実績しかあがっていない。桃については三・八%の実績しかあがっていない。前年度に比べますと落ちている。もう桃は終わっちゃったんですね。ブドウはもうほとんど最盛期を過ぎるわけでしょう。こういう状況の中で、これはその契約についてはさらに次の年、こういうことですから、説明のしかたというものはあるいはあるかもしれないけれども、しかし、この数字を見ておりまして、これは、とても県が報告をしたような実績があがろうなどとはよもや考えられないんですよ。ですから、私がもっと言いたいと思いますのは、いろいろ説明のしやすい組み方をするということよりか、実際に実績があがらない、そういうふうなこの制度の実態に、もっと謙虚に目を向けて、そうして、この制度が生きるような方向を検討しているという姿勢が、やっぱり国側にも特に必要じゃないかという点を申し上げたいのです。  そこで、さっき大臣にも一点お尋ねしておいたのですが、私どもが歩いてみますと、たとえばこんな話があるんですよ。県の担当の職員が、この制度の普及のためにやっているんですね。ところが、その職員の家も実は果樹の経営をしているんだけれども、自分のうちは入らない。こういうようなことで、一般の人たちというものは、そういうものをよく見ていますから、大体この制度自体というものに魅力がないんだと、こういうことの裏書きになっている、こう思うんです。が、とにかく農家のほうの要望は共通して園地共済なんですよ。私は、農家単位の共済というのが確かに理論的には正しいと思います。ですから、いま水稲などにおいてもこれを農家単位共済に変えていこうという、こういう努力があるようですが、しかし、農家自体になってみますと、被害があって補償をしてもらえなければ、共済保険のこれは意味をなさないわけです。  さっきも簡単に一例としてあげたんですが、これは一ヘクタール農家であって、桃を三十アールあるいはブドウを七十アール、こういうことになりますと、桃がことしのような年に際会をして、三十アール全滅をいたしましても、現状ではこれは対象にならない。これではやっぱりその制度としては、全く魅力を持たなくてあたりまえのことだと思うんですね。ですから、農家といたしますと、そのつくっておる桃畑ないしはブドウ園そのものに被害がありましたら、これは現行の制度では三割以上ということになっておりますから、三割をこえるような被害にあったらば、とにかく掛け金もしておるんですから、共済金がもらえるという制度にならなければ、むざんにも見ている前でもって三反歩はそっくりやられたけれども、これは対象にならない、こういうことでは確かに魅力が持たれなくてあたりまえだと思うんです。ですから、理論も大切ですけれども、私は、行政というのは現実のほうがもっと重要であって、農家に魅力を持たせて、そしてせっかくの共済保険の制度というものが生きるような方向に、やっぱり国ももう少し真剣に取り組まなければ、うそではないかとこう思うんですが、この園地共済の点についての国側のひとつ考え方などを聞かしていただきたいと思います。
  55. 山村弥五郎

    説明員山村弥五郎君) 先ほど大臣のほうからも御答弁があったのでございますが、園地共済引き受け方式につきましては、支払いの機会が多くなるという点もあるのでございますが、農業経営上あまり効果の少ない少額共済金——少ない共済金が支払われる場合が多いのでございます。果樹農家の損害を合理的に補てんするという観点からは、それらは問題があるのではないか。また、保険技術的に見ましても、果樹共済の特殊性から見まして、損害評価には出荷団体等の流通資料を活用する必要があるのでございまして、園地単位の場合には、出荷団体に農家として出しておる関係上、園地単位ではこの流通資料が作成できないというようなことで、損害評価の問題で困難な問題が出てくるのでございます。こういうようなことでございますので、現行の農家引き受け方式によることが適当であると現在のところ考えておるのでございます。
  56. 神沢浄

    ○神沢浄君 ここで論争しても無意味ですから、時間の空費だけになるからやめておきますけれども。ただ、私はっきり申し上げておきたいのは、私などが回りまして、農家も口をそろえて園地共済を希望する。それから扱っておる共済組合あるいは連合会、これらも現状のままではとてもそれは農民が魅力持ってくれないんだから、どんなに苦労しても、とてもこの制度というものを生かしていくことは困難だと、こう言っているんです。全部がそう言っているのを、国だけががんばって、理論的にこうだと言ってみたって、私は、これは政治じゃないと思う。それから、同じ行政の立場にいる県あたりに聞いてみましても、県でもいまのままじゃむずかしくて、どうにもそれはやれませんとこう言うんです。国の農林省の机の上だけでもって、まことにりっぱな理論が構成をされている。しかし、それは理論だけじゃ政治にはならぬと思います。私はつくづくそういうことを感じたんです。  私もこの共済の事業には若干関係をしてまいりました。だから、農家の言うこともよくわかるし、それからまた、組合や連合会などの言うこともよくわかるんです。扱っているところが口をそろえて言う。受ける農家自体がそれを希望し、農林省だけが、がんとしてがんばってみたって、私はこれは意味のないことだと思う。もっとひとつ謙虚に園地共済、いわゆる一筆単位方式というやつを検討してみるくらいの姿勢というものは、ほんとうに農政を語ろうとするならば、あってしかるべきだとこう思うんですが、そういうことを大臣に聞きたかったけれども、時間がないからだめだったんですが、これはひとつ次官、その点については、せっかく長い間苦労してそうして積み上げた理論構成だから、これをくずすわけにはまいらない、というような変なところへ意地を張らずに、生きた農政というものをやるような姿勢に返って、もう一度ひとつ検討するくらいの、そういう態度が私はあってもいいとこう思いますが、ちょっとその点をお尋ねしておきたいと思います。
  57. 山本茂一郎

    説明員山本茂一郎君) ただいまの事項でございますが、事務関係から申し上げましたことは、現実の事務をとっておる関係上、いままでの経験に基づいて最善の方法だと考えて御答弁を申し上げておるとこう考えますが、ただいま御質問がございましたその御質問の中に御指摘がありましたような事項は、この世の中におきまして、万事において絶えずわれわれが注意をしてわれわれの動きを検討しながらやらなければならぬ問題の一つであると考えます。この点については、いままでも考慮しながら仕事をしておったことと思いますが、今後においても十分その点についてわれわれは注意を払いながら仕事をしていきたい、こう考えております。
  58. 神沢浄

    ○神沢浄君 時間がありませんから、あと三点ばかり個条書きにあげてお尋ねをして終わりますが、その点はひとつどうか次官そのようにお願いをいたします。  それで、まあ現行制度上につきましても、いまの補償範囲では農家としては、それだけでも魅力が持てないと、こう言っているんですよ。現行におけるところの補償範囲というのは、基準収穫量というものの三割をこえた被害があった場合というのが対象というわけですね、三割以上。しかし、いま農林省でやっておる例の水稲農家単位に直そうというやつの中身を見ますと、三割が二割に変わってきているわけなんですね。それならやっぱり果樹共済においても、農家単位方式でやる以上なぜこれを二割にしなかったか、その点が疑問でなりません。その点を一点。したがって、これは改定をするようなお考えがあるのかどうなのか。  それからもう一点は、補償額そのものの点なんですが、これは共済の、いま共済価格の七割というのが現行というわけですね、少なくとも収穫共済においては。ところが、樹体共済のほうは八割になっているわけですね。なぜ違うのか。これは樹体共済同様に収穫共済だって——しかも、農民のほうの関心は、むしろ収穫共済にあるわけだから、収穫共済についても樹体共済同様八割になぜしなかったか。これは改定するようなお考えがあるかどうか、この点。  それからもう一つ。私もこれをちょと調べてみて疑問に思ったのは、単位当たり価格というものを定めるのに、過去四カ年の中庸二カ年をとってきめる、こうきまっておる。これは確かに常識的な考え方だと思うんです、平時においては。ところが、今日は狂乱物価とこう言われるような、とにかく狂乱という時期ですから、過去四年の、しかもそのうちの中庸二カ年をとられちゃったんじゃ、これはとても現実に合いません。最高二カ年をとっても、こんなスピードでもって物価が上がっている際には、これは現実には合いませんものね。その中を、四カ年の中庸二年をとるなんという方式じゃ、これはどうにもならないとこう思うんですが、こういうふうな点については、とにかく事態が狂乱なんだから、その狂乱の時期に即応したような臨時的な措置というものがとられて当然のことだと、こう思いますが、いまの三点をお尋ねをして私は終わります。
  59. 山村弥五郎

    説明員山村弥五郎君) 第一点の三割の点でございますが、先生も御承知のように、果樹につきましては表年、裏年というような果樹の収穫変動の特異性がございます。また、農家のこの制度の性質から見まして、保険能力というもの等も考慮しなければなりません。それから共済掛け金の農家の負担というものをできるだけ少なくいたしたいというようなことで、そういうような観点から必要なてん補を行なうという考え方に立っておるものでございまして、現在のところ、試験実施もそのとおりにやっておりましたので、現行方式が適当ではないかと考えている次第でございます。  それから収穫共済につきましては、七〇%が共済金額になっておるのでございますが、御存じのように農作物共済におきましては六三%、蚕繭共済におきましては六〇%というのでございまして、これらとの関連を考慮いたしまして、経済的と申しましょうか、企業的な、果樹農家方々のためにはできるだけ魅力のある制度とするために七〇%というようなものにしてやっているのでございます。この場合に、樹体共済が八〇%で高いのではないかと申しますが、樹体共済のほうは資産保険というような意味合いでございまして、家畜と同様に八〇%で仕組みを考えておる次第でございます。  それから、三番目の単位当たり共済金が四カ年中中庸二カ年の計算方式では低くなるのではないかという問題でございます。これは過去一定年間における生産者価格を基礎といたしまして、種類等ごとに都道府県ごとに定めておる次第でございます。しかしながら、最近の価格の上昇の高いブドウにつきましては、五十年産のものについては最近二カ年の価格を基礎と算定いたしまして、山梨県で申しますと一類のデラウェアでございますが、四十九年産では百七十六円でございましたが、五十年産につきましては三三%アップいたしまして二百三十四円にするというようなことで、単位当たり価格につきましては運用上の問題でございますので、われわれといたしまして、できる限り現状に合うように、実勢に合うように措置しておる次第でございます。
  60. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 とにかくこの委員会はたいへん質問者が多いわけでございますから、他の方々の質問時間等々もこれありますから、あまり迷惑のかからないようにして六点ほど簡潔に質問いたしますから、そういう点を頭に入れながら答弁者も答弁をしてもらいたい。このことを要望しておきたいと思います。たまたまきょうは大臣が限られた時間この委員会に出席をいたすことの条件がございまして、本来大臣に聞くべき事柄でございますが、いま申し上げたような事情で、おりませんから、この点については次官に質問をいたしておきたい、こう思います。  その第一点は、ビートの問題、それからてん菜の問題、これは先ほど同僚の相沢委員が大臣に質問いたしましたところが、価格については改定を考えていない、こう答えられたように拝聴しておったのであります。たぶん、倉石農林大臣のことですから、そう言っておって、あとでいろんなことを、いままでの例から申しても実績として行なわれておりますから、かなり政治的な発言だなと、こう実は伺っておったんです。  そこで、私は、この九月の七日の日に、てん菜の振興の審議会が答申いたしております。まあこれはてん菜——北海道関係だと私は認識しておりますが、それと九月の十日に甘味資源の審議会が答申をしている。答申というものは、御承知のように農林省が、大臣名で諮問したから答申しているのであります。各省庁に審議会がそれぞれございますけれども、たいていは答申されたものは具体的に行政に反映されるというのがいままでの経緯だと、私はこう理解しているんであります。ですから、そういう立場で考えるのでありますが、この答申の内容は、先ほど相沢委員が前段申されたのでありますが、具体的に答申が二項目になって答申されているのであります。このことは、価格の決定については、今日的な諸物価の高騰の実情、ただいまこれとは関係ございませんでしたが、物価問題等について相沢委員も触れられました。狂乱物価だと、私はもう狂乱を飛び越えて錯乱物価だと思うのですね、いまの物価状況を見ると。こういうことが反映されて「諸物価の高騰の実情、他農産物価格との均衡」、こういう点が強く答申の中にうたわれているように書かれております。「とくに国内甘味資源作物の減反等憂慮すべき実情を考慮して」、そうして四十九年産てん菜の生産者価格につき早急に」、早急というのは早いということだと思うのですが、「早急に」その改定の実施をしなさい、これが一点書かれている。「さとうきびについては、前年を大幅に上廻る適切な水準に定めること」、この二つが骨子。そうして結語として「農産物価格問題の根本的な解決をはかるため」、これも「速やかに」、「速やかに価格算定方式及び時期の統一など、各農産物間の均衡ある価格制度の確立につき早急に検討を加え」なさい。これが答申なんです。これはもう農林省の諸君は皆承知をいたしておることなんであります。  そこで、これについて、大臣は先ほと答えられたのですが、私が心配いたしておる点が一つある。私の伺っている点は、食品流通局長の森君、森君来ていますか——森君の発言を私は直接ではございませんが、間接的に伺っている。森君は、大体まあ十月の三十日になるであろうけれども、買い入れ価格については、その決定するとき、大体このころ、十月の三十日ころだと思いますが、多少色をつけ加えると、こう言っている。どういう色になるのか、どういう染色材料を使うのか私はわかりませんがね。しかし、このことは私は、サトウの買入れ価格の決定を意味しているのじゃないかと、こう認識しているのであります。そこで、サトウの買い入れ価格と、これはこの答申というのは、その資源の、原料の生産者価格ですね、価格が答申されているわけですから、この関係、特に関係法律との関係がどうなるのかということが非常に私は心配されるのですね。ですからこの点をひとつ答えてもらいたい。  それから、一問一答をやっておりますと、申し上げたように、他の質問者に迷惑がかかりますから……。関係いたしておりますから皆申し上げておきますが、関係の方の答弁を求めたいと思うのでありますが、この答申の結語にもありまするように、つまり生産者が生産意欲を失うようなことについて心配しているわけですね、「減反等憂慮すべき」ということをうたっておりますから。そこで、一体今日の作付の反別がどういう状況になっているのか。つまり増反されたのか、減反されているのか。これを四十八年度でけっこう、当然のことですから、四十八年度の実績で明らかにしていただきたい。これは具体的に申し上げますと、私の調査は減反されている。それが二五%ぐらい減反されている。たいへんな数字ですよ。これを過去の実績に比較をいたしてみますると、ちょうど昭和三十九年度の耕作面積よりなっていない。これは私の調査ですから誤っているかどうか、この点についても反別状況との答えとあわせてしてもらいたい。  それから、もう一つは、畑作の現況が一体どうなっているのか。これも四十八年度でけっこう、その実績を示していただきたい。あわせてその状況が、これも増反されているのか、減反されているのか。これもひとつ答えていただきたい。とりあえずこの三点を答えてもらいたい。
  61. 森整治

    説明員(森整治君) ただいま先生御指摘のとおり、甘味資源審議会で、去る九月十日でございますが、目標生産費に関する諮問に対しまして御答申がございました。先生承知のように、目標生産費というのは五年後の生産費を定めるということでございます。それに基づきましてことしの合理化目標価格を定めるということになっておりまして、これにつきましても先日きめたわけでございますが、その際に、御指摘のように、てん菜の生産者価格につきその改定を実施されたいという御意見が付せられたとおりでございます。これにつきまして、大臣先ほど御答弁がございましたけれども、私ども考えておりますことは、これはいろいろ議論があるのでございますが、従来から法律的には四月といいますか、播種期に価格を定めるということになっております、二十一条でございますが。そこで、四月に一万一千百十円という価格がきめられたわけでございます。それについて改定をしたらどうかという御意見でございます。それに対しますわれわれの考え方を申し上げます。  これにつきましては、二十一条の逆に三項で「物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があるときは、改定することができる。」ということになっておりまして、改定の根拠条文がございます。そこで、この条件に該当するかどうかわれわれ内部で検討いたしておりますが、ただいまのところ、たとえて申しますと、その後のパリティ指数の動向を見ましても、二月が一二九・四四という——対前年同月比でございますが、以後一二七・三四、四月、一二七・八九、一二八・〇六、一二八・三八、一二八・六四というぐあいに、著しい、パリティの指数上大きな変動があるとはどうも数字的に出てこないということでございます。そういう観点から、ただいまのところ私ども、大臣がお答えになりましたのは、やっぱり三項の条件で改定することは非常に法的には問題があるのではないかという内容を含んだ御答弁であったというふうに私理解をいたしております。  それから、何か私の発言の点についての指摘が若干ございましたけれども、先生の害われた次に申し上げます作付の反別の状況がどうなっておるかということとも関連いたしますけれども、てん菜の作付面積が、一応、道庁報告によりますと、四十八年が六万一千六百八十三ヘクタールでございます。四十九年の作付が四万七千四再八十三ヘクタールということで、御指摘のように約四分の一近くの減少を見ておる。それから、三十九年当時の作付状況に戻ったということにつきましては御指摘のとおりでございます。  で、私ども——ただ、もう一回申し上げますと、四月に改定いたしましたときに、すでに御承知のように、ペーパーポット等で播種期が早まっておりますから、そういう時期のあとで、逆に言いますと植えつけたあとで価格がきめられた。その価格が、その後の物価事情上どうかと言われますと、どうも価格改定の条件に該当しないのではないか。減ったのは、価格がおかしかったから減ったというふうには、四十九年四月の、ことしの四月の価格がおかしかったから減少したというふうには、どうも言いがたいと私ども思っておるわけでございます。しかし、減反が非常な、われわれもびっくりするような減反が行なわれておるということは御指摘のとおりでございます。これはいかぬ、これは何とかともかく失地回復はいたさなければならないというふうに私ども考えておるわけでございます。  その方法は何がよろしいかということにつきましても、いろいろな方の御意見を承っておりますけれども、まだ確たる意見をいま持っておるわけではございませんけれども、そういうことを私、実はごく最近北海道に参りまして、現地でいろいろ現状を見ましてそういうことを言った覚えはございます。ですけれども、それは要するに、何とかしてこの作付面積をもとに戻すべきだ、また戻したいということを私、発言したつもりでございます。
  62. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 森君の答弁を聞いておりますとな、やっぱり役人の答弁ですよ。ですから、ぼくは大臣でなきゃいかぬとそう言っておったんだけれども、きょうはつごうが悪いということですから、そう言ってもしょうがないから、あらためて大臣とこういう問題は政策的にも質疑を展開していきたい、こう思っています。が、もともとパリティ方式試算というものは間違いだ、農産物の価格をきめていく場合に。これは私は、予算委員会でも過去もうずっと十何年前から指摘をしてきたところなんですよ。しかし、それは改定されていませんから、いまここで、やらぬことはけしからぬ、なんて言ってみたって始まらぬから言いませんが……。  そこで、いまあなたの答えを聞いていますと、その方式からくると価格を改定する必要がない、そういうものは見当たらない、こういうことなんですね。しからば、いまの物価の状況をどう見るのか。それから法律の中に、あなた、いま答えられましたが、経済事情の変動、将来展望して見て、そういう危険性のある場合は改定しなければいけない、こういう法律のたてまえになっているでしょう。間違いないですね。  そこで、現状の物価をどう見るのか。それから将来展望をして見て物価はどうなっていくのか。これは物価は下がっていくということにならないのじゃないですか。現にきょうだってもうすでに、電話料金を二五%も引き上げるという。軒並み十月一白から公共料金をどんどん上げていくわけですよ。そういう傾向を見た場合に、物価が下がるということにはならないでしょう、まずこの物価問題からいって、経済問題からいって。特にいまの物価の状態をあなた方は、新聞紙上では狂乱といっておりますが、私ども実感として錯乱物価だと思う。先ほど言ったとおりです。そういう状況ですからね。確かに四月に価格改定をやりましたよ。やりましたけれども、普通常識で考えられない田中内閣の経済政策の失敗から異常な価格、物価騰貴、それが狂乱とかあるいは錯乱と、こう言われている、こういう現状だと思うんです。その場合に、同一年度である四月に改定したんだから、あとは、君も言っているように、パリティ方式でいくと、かくかくしかじかの係数より出てこないから、新しく改定するものは見当たらないと。こういうことでは相ならぬことだろうと私思うんですよ。だから、そういうことをおもんぱかって審議会のメンバーの方々だって、私どもいま申し上げているような状況をやはり分析したと思うんだな。それで、こういう答申があったんじゃないかと思うんだ、ぼくは。ですから、これはあなたに言っても——これは政策論のことでありますから、次官ひとつこのことについては答えてください。  それからもう一つは、減反された、二五%の減反である。昭和三十九年同期と同じ耕作面積よりないわけだ。元に戻したい幾つかの原因があるであろう。こういう答えですが、原因がなければ減反するはずがない。そこで、あなた、たとえば四月にきめられたトン当たり二万一千百十円というものについて、四十九年度、農家の人々がこれを生産をした。それが反当たりの、つまり農家の手取り所得、これがどのくらいになると思ってあなた方は試算していますか、この点を聞かせていただきたい。つまり、一万一千百十円、これは二九・八%、当時の上げ幅は。それが一体、生産されている農家の反当たりの手取りの所得はどのくらいになるか。問題は、そこら当たりの試算のしかたと認識によって変わってくると思うんです。そうして、この答申された中にも、他の農産物価格との均衡をとるように、こう書かれていますわね、答申は。こういうものとの比較ですね。これは、これからまた、再度質問したいと思いますがね。
  63. 森整治

    説明員(森整治君) これは、実は反収に大きな問題があると思います。そういうことで御理解をいただきたいんですが、私ども過去三年の反収ということで計算をいたしました。で、その場合には、トン当たり一万一千百十円と置きまして三年平均の反収を置きますと、それから一応労働時間は三十・九時間という計算をいたしますと、一日当たり四千七百七円ということに相なるというふうに計算をいたしておるわけでございます。で、おそらく先生のおっしゃることは、ことしの反収でどうだろうかという御質問かと思いますが……。
  64. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そう、そう、一万一千百十円にきめたんだから、四月に。
  65. 森整治

    説明員(森整治君) ちょっと、この計算をしておりませんので、いますぐお答えいたしかねますけれども、収量が減った状態の計算ということになりますと、これよりずっと下がるということになろうかと思います。
  66. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ですから、問題は、反収による手取りです。あなた方は、大体反当たりの収量というのは何トンに見ているの。四十九年度だって、四十八年度よりそう大幅に品種改良されていませんから、ぼくは七十一国会のときに、この点をこの委員会で聞きましたよね。そうしたら、農業試験場で、そういう品種改良についての新たな品種を改良いたしますと。しからばそれは、全農家に奨励するだけの種が一体あるか、と言ったら、答弁に詰まっちゃって、種がないと。ですから、四十八年度の収量と四十九年の収量とそんなに大幅に変わるはずがない。それで、かりに四十八年度の収量の実績でけっこうです、何トンになってるの。そういうものを具体的に農林省は試算してあるはずなんです。  たとえば四十九年の場合に、四月の価格をきめたときにはまだ耕作していない、作付していないわけですからね、そうでしょう。ですから、その後、作付をしていって、一万一千百十円の価格決定のとき、農家の人々は、これでいわゆる反収当たり、他の農産物と比較をして同程度あるいはそれより上回るということになると、反収が下がるはずがない。それを、大幅に下がっているわけでしょう。——下がっていますね。しかも、あなた方は、その後における農林統計なり、あるいは各それぞれの農協連合会なり単協で聞いたってすぐわかりますよ、こんなものなら。あなた方、そういうものを持っていませんか。持っていないとするならば、持っていないで新たな、こうした答申に出てきたものを踏まえて価格を論じて、パリティ計算で何とかかんとかという私は根拠にならぬと。明らかに、そういうことであったならば、あなた方行政官として仕事をサボっている、こういうことになる。  参考までにぼくのほうの調査でですね、これも的確であるかどうかわかりませんよ。これは私はやっぱりそれだけの調査をした。それぞれの現地へ行って、直接耕作をしている農家の人々あるいは単協の組合長、連合会等々でこれは調べてきてまとめてみたんです。その結果、今年度の実質の値上がり分というのは、トン当たり二千五百五十円ですよ。この計算、間違いないでしょう。どうですか、森君。四月の改定期に値上がった分は二千五百五十円。これは間違いないね。基礎数字で間違えますと答えが変わってきまずから。間違いないですね。——間違いない。そうなりますとね、反収の平均、これは北海道だけでいいです、これはぼくが調査をいたしましたから北海道で申し上げますとね、四千八百五十キロですよ。これに一万一千百十円掛けてください。反収が五万三千八百八十円、こういうことになるんですよ。もうすでにこのことだけでも、いわゆる水稲あるいは他の作目と比較して反収がないということはここに出てくるのでありますが、それはそれとして、経費が反当たり、肥料、機械その他、異常な狂乱な物価高によって増大しております。経費が八千円かかりますよ。それに四千八百五十掛けたら、三万八千八百円。五万三千八百八十円から三万八千八百円引いてください。反当たりの農家の手取りというものはわずかに一万五千円です。これは一万五千八十円です。これくらいにしかならない。大体北海道の平均耕作面積というのは三百アール。これに一万五千八十円掛けてください。そうすると、年のつまり農家の所得というのは四十五万二千円。中学校卒業生より——一家総ぐるみでやっているんですよ。じいちゃんから、ばあちゃんから、かあちゃんから、とうちゃんから、みな。中学校卒業生より収入が少ない。これで一体、あなた方言うように、てん菜をつくりなさい、振興法に基づいてやりなさいと、ね。そして、私の調査によりますと、減反された、五%の減反をもとの位置に返すように努力しましょうなんていったって、そんなものは夢物語りですよ。どうなんですか。同時にこのビートというものは輪作を考えなければならぬでしょう。その点であなた方は専門家でしょう。輪作を考えてみると、今度はさらにこの所得が下がることになるわけですよ。わかりますね。私の言っている意味はわかりますか。この辺はどう一体あなた方は考えていますか。あなたは先ほど、二五%の減反された事実を、私の調査を認めたわけだから、これを返すためには、こういうことの具体的な追跡、分析調査、そういうものを踏まえない限りは、幾ら農家につくれ、つくれって言ったって、つくりっこないんですよ。答えてください。
  67. 森整治

    説明員(森整治君) いま先生お話しになりました点から申し上げますと、確かに、実はことしの減反というのは、ほかの作物に変わっておるわけです。で、農家全体としてどうかという計算は、ちょっと非常に複雑になりますから、相殺せられる要素がございますから、ちょっといまここでは申し上げられませんけれども、ことしの大きな問題の一つは、まだ四十九年の反収がどうなるかということにつきましては、先生御厨知のように、いままで非常に曇った天気が十勝あたりでは非常に多かった。十勝のほうが、もっと——四・八トンという反収でございますれば、あるいは若干もっと下がるかもしれない。ただ、いずれにせよ、これからの天気によりまして反収がどういうふうになるかという問題が、非常に大きく私は響くものではなかろうか、こういうふうに思っております。そこで、いまの、ことしの問題は反収がどうかということでございまして、ビートそのもの、今度は農家というよりもビートの生産のほうからいいますと、確かに両方かけ合わせて減反がされ、しかも反収があまりよくなさそうだということから、むしろわれわれは非常に憂慮をそちらの面からしておるわけでございます。で、そういうことで、いまの価格というものが、減収ですとか、そういうものを織り込んで考えていくのかどうかということになりますと、これは非常に問題があるわけです。ただ、逆にいまの減反され、非常に反収がおもわしくないとすれば、そういうものでやはり農家の今後の作付に相当影響することはいなめませんから、そういうものについては何とか措置できないもんだろうかということをいろいろ内部で検討をしておるわけでございます。
  68. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あのね森君、君、ねじまげた答弁をしているんだ、ねじまげて解釈しているんだがなあ。ぼくの言っている意味は、四十九年度のこの現状の作況、このことを言っているんじゃないんですよ。ビートそのものは、御承知のように、寒地作物ですから、その年の天候とか、ある程度気象条件によってそれは多少変わるでしょう。長雨等々の状況がありますとまた変わってきますしね。ですから、多少は変わるけれども、いままでの大体平均値をとってみると、四・八トンなんです、四・八トン。ですから、これより下がる場合もあるし、収量が上がる場合もあるんですよ。しかし、平均値をとって、やはりデータというものはとらえるのが常識でしょう、平均値ですね。だから、この平均でいくと、農家は反収が一万五千円ないと、年間の収入が、つまり輪作面積を除いてみてもわずかに四十五万円よりない。これでは幾らつくれつくれって言ったって耕作はできないですよ。生活できないでしょう。だから、あなた方の理論とか理屈とか法律だけでとらえられない面がそういう点にあると思う。だから、傾向として、あなた、じゃあ来年度の作付の状況ですよね。私は、これは来年になってみなきゃお互いにわかりませんといえばそれきりだけれども、われわれこの閉会中、道内をずっと歩いてみて、そういう面をながめたり、聞いたり、実態調査をしてみますとね、そういう現地をわれわれながめてみた状況では、さらに減反する、こういう傾向が私はあると見ている。そうしますと、甘味資源の問題としてたいへんな大きな問題でしょう、これは。日本全体の食生活の上にとって欠くべからざる砂糖の問題だけにね。だから聞いているんであって、ことしは不況であるからといってぼくは聞いているんじゃないから、その点を誤解しないように答えてもらいたい、それが一つ。  それから、このことで申し上げて、まだまだ私はあなたに聞いて答えてもらって、実態をはっきり把握してもらわなきゃならぬ点がありますけれども、先ほど言ったように、他の質問者に対して、あまりぼくばかり時間をとっても困るから、ですから、あわせて前に進めていきますが、この国内の糖価ですわな、そのこととも無関係ではないわけです。そうでしょう、無関係ではないね。そこで、国際的な糖価は一体これからどうなるか、見通しだ。それと、国内の糖価ね、砂糖ですね、その糖価はどうなるか、その見通しね。これひとつあわせて聞かしていただきたい。
  69. 森整治

    説明員(森整治君) 先生御指摘のように、いま、この糖価水準というのは相当異常な高値でございます。   〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕 で、ロンドンの数値で申しますと、三百七十ポンドまでまいりまして、たしかただいま三百二十ポンドへ戻してきたというふうに承知をいたしております。いずれにいたしましても、その三百ポンドをこえるなんという事態につきましては、いろいろな事情がございます。英国なりアメリカなり、それぞれの特恵貿易にたよっておりました国々が、価格というか、現物が非常に需給がタイトになりまして、自由市場で買いに入っているのではないかという話もございます。もちろんその背景には、基本的にやはり需給がタイトになってきているという背景がございますが、いずれにいたしましても、現在の相場水準というのは、われわれは異常なものだというふうに理解をいたしておるわけであります。したがいまして、先般上下限の価格の改定を行ないましたけれども、これは従来の価格に対しまして約倍の価格水準の改定を行なったわけでございまして、この基本には、従前百ポンド以下の相場がずっと続いておりました。そういう相場というのは、そういう世界的な国際糖価の水準というのは、もう来ないだろうという認識に立った上でのことでございます。したがいまして、価格の安定帯を倍にいたしますということは、簡単に申しますと、下が五万、上が十万ということでございます。端数は省略させていただきますが、そういうことで考えましたのも、従来からの相場観なり、相場といいますか、価格水準、国際糖価水準というものが相当高値で推移するという見通しに立ったからでございます。しかしながら、現在の糖価水準がそれでは正しいかということについては、これはきわめて異常なものだというふうに理解をしておるわけでございまして、そういうことで、われわれといたしましては、先ほどの、申しました新しい、改定されました上下限の安定帯の中で、国内糖価を安定させてまいりたいという考え方で、今後対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。   〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
  70. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、国際的にも糖価は異常ですね。したがって、これは砂糖だけじゃございませんね、国際的には。先ほどわが党の栗原委員が申されましたように、全般的な食糧危機だといわれるようになって、わが国の中でも、この食糧危機の問題については一つの国民的な課題で、常識化しつつあるでしょう。そういう状況ですから、他の一般農産物の価格についても、国際的にも、国内的にも、そういう傾向にあるというふうに見るのが私は至当だと思うんですが、この点はどうですか。同じでしょう、糖価だけではないね、それはあなたもお認めになるでしょう。そうなりますね。そうなってくると、いままでのように外国の砂糖は安いのであるから、安いものは金あるんだから、金で買って、買いさえすればいいじゃないか、その分だけ消費者に安く提供できるというのがいままでの幾つかの答えでしたよね。しかし、いまあなた答えられたように、あなたも認めたように、あなた答えるとか、認めるよりも一般的にそういう常識になっていますわね。そういう面から見ると、砂糖の場合は、いまこれ砂糖の問題を議論していますから、砂糖に限って申し上げますと、もう海外に依存していくという政策は改めていかなければならぬと私は思う。反面、今度は逆に、国内の砂糖に対する施策というものをやはり変えていかなければならないと私は思う。同時に、国内、いわゆる甘味資源の自給度ですね、これを高めていく以外ないんじゃないんですか、施策として。政策面でもそういうことが言えるわけですが、そういうことでしょう。そのときにやっぱり養うのは、いまちょっと前段に申し上げたように、あなたも認めているように、たいへんな憂慮すべき減反の傾向にある。これは五十年度も減反か、増産になるか。これはまだ議論の余地は残っていますけれども、私は、傾向として五十年度もこんな状態では、さらに減反傾向ができ上がる、こう見ている。たいへん憂慮している。だから答申にもそういうことが書かれている。この際、いわゆる生産されたビートなり、あるいはサトウキビの価格を上げなさい、早急に上げなさいと、こう書いてあるんですよ。ところが、あなた方はそういうことは認めるが、価格を上げることについては、パリティ計算をしていくと、そういうものは見当たらない、まことに矛盾したことじゃないですか。次官、どうですか。この議論聞いておって、あなた、どう問題を判断しますかね。——次官、答えてください、そのあとは君が答えりゃいいんだ。次官に聞いているんだ、先に。
  71. 山本茂一郎

    説明員山本茂一郎君) ただいまの問題でございますが、糖価の問題につきましてはいろいろと議論があると思います。また、私どもとしましては、糖安法に基づいて、ある時期には示さなければならぬという状況がありますし、それ以後において、また、世界的な動きの関係上、現実に合わぬような姿も起こり得るということは、これはやむを得ないことと考えておるわけであります。ただ、私が見まして非常に残念に思っておりますことは、北海道におけるビートの作付面積が、四十八年に比しまして四十九年度は非常に減っておるということであります。このことは、いろいろとむ、ずかしい問題もあるものと私どもは考えまして、この点については、私どもも将来において、いろいろと広い範囲にわたって考慮をしながら再考をすべき部分があるんではなかろうかと、こう考えておるわけでございます。  そういう意味において、私どもは、いま決定していることが直せるか直せないか、あるいはどうするかというような問題は、法律のほかに従来の慣習もあります。そういう関係で、できるかできないかは知りませんが、ここに大いに考えてやらなければならぬ一つの時期になってきておる、そういうようにいま考えておるわけであります。また、こういう政策的な問題は、必ずしも法的あるいは現実の姿だけを見てやれない部分が私はあると思います。また、処置すべき事項も、従来の問題とその範囲でやるという事柄ではないかとも思うのであります。これは私は例をあげて申し上げることは、かえってぐわいが悪いと思いますが、そういう考慮をいたしまして、いま御質問の中でお示しになりましたいろいろの要素につきまして、私どもはさらに検討を加えていきたい、これだけを、私はそう考えておるということを申し上げたいと思います。
  72. 森整治

    説明員(森整治君) 先生、一番最初に御質問ございましたけれども、おそらく北海道の畑作の中で、あるいは米も含めまして、いろいろな作物間の変動が相当激しく起こっております。その中で、ビートが減ったというように私どもは理解をしておるわけです。したがいまして、基本的にはやはり北海道の輪作の中のそれぞれの重要な作物、てん菜だけでは私はないと思う。ほかの大豆にしろ、飼料作物にしろ、バレイショにしろ、小麦にしろ、そういう作物が適正に輪作の中で取り入れられて安定していくという姿を私ども考えながら、さやさりながら、てん菜がともかく四分の一減ってしまったという事実を、これをまた回復するということを考えながら対処いたしたいというふうに考えておるわけです。それがたいへん申しわけないのですけれども、価格がすべてかといいますと、私はそうではないだろうというふうに思っておるわけです。私どもの考えておることは、先ほど言いましたように、別に法律という縛りがございます。価格算定のルールという縛りがございます。その中で価格を改定していくということは、どうもいまの制度的には読めないのではないかということを私、最初に申し上げたわけであります。そういうことで、全体の中の問題として、ひとつ御理解をいただきたい。われわれも今後努力いたしたいと思います。
  73. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 次官も検討してみると、こう言っているのですね。あなたも努力すると言っているのですから、これ以上何も申し上げようとは思いませんが、しかしこのことだけで、それですべてがきまるものではないですよね。ないですがね、私は、甘味政策上考えてみて、過去のずっと実績を調べてみて、この傾向というものをとってみたのですね。端的に調べてみますと、甘味価格が低くされた場合に、どういうことになっていくかという傾向を調べたら、耕作面積はやっぱり並行して下がっていく。耕作面積は下がってきてますね。これはあなた方も統計上そういうものがあると思いますから、決して私が誇張して言っているわけじゃない。その結果どういうことになるかというと、これはつまり糖業のその操業度というものが落ちていくわけでしょう、原料がないわけですからね。そういうことになりますから非常に低下していくわけです。で、たとえば三十九年と四十八年を比較してみますと、低下率は六〇%になっている、操業度ですね。これはぼくの調査なんですがね、こういうふうに下がってくる。その結果はどうなるかというと、砂糖の生産コストは逆に上がるのですよ。そういうことになりますね。これはあんた流通の専門家だからその点は直観的にわかると思います。そうして、今度は逆にまた、自給度はどうなるかというと大幅に低下する、品物がないからね。そういうことになる。そうして今度は二面、上げ幅が大きくなった場合、その実績をずっと眺めてみますと、そうなったときは大体耕作面積というものは現状維持ですよ。それでも増反をしていくという傾向が出てこないですね。それは特にビートなどたいへんな手数のかかる作物で、寒地農業の振興策の一つとしての寒地作物であるからといって、いろいろいわゆる振興法などつくりながら、みなで努力をしてきたことなんだけれども、上げ幅を上げても耕作面積は現状維持ですね。それは何かというと、端的にこう調べてみますと、労働力の、農業労働力の非常に手数のかかる作物だけに、そういうことなんですね。だから必ずしも、つまり価格を上げても急激に増反されていく傾向というものは見当たらない。これはまた御承知のとおり。それにしても現状維持ですから、つまり糖業の操業魔というものは上がってきますよね。そうですね。現状維持の場合でも上がってきますね、いままで低下してきているわけですから。そういう点ははっきりしている。その結果、今度生産コストが安くなる。さっきとは逆になりますよ。同時に自給度というものは向上してくる。こういう傾向が出てるんですよ。出ている。だからこのことだけで、先ほど言ったように、つまり増反に結びつけていくための手段かというと、それがすべてじゃないと、私はこう言っているのですがね。しかし、政策的にもこの辺でやっぱりせっかく検討するということだから、努力してみましょうということだから、ぜひひとつそのように私はやってもらいたいと、こう思うのです。この点は次官どうですか。
  74. 山本茂一郎

    説明員山本茂一郎君) ただいまの御意見はつつしんで拝聴いたしました。御意見のとおりわれわれも引き続いてこの点は検討せなきゃならぬものと、こう考えております。
  75. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうすると、いまの答えでまあ私は満足しておりますが、その受けとめ方は、四月に改定したけれども、いま申し上げたような諸要件とかあるいは物価のこの狂乱状態状態等々ある場合は、つまりどの程度の上げ幅になるか別として、検討された結果ですよ。各種データを取り上げてやるわけでしょうから、そういうときには、再改定もあり得ると、こういう理解でいいですか。
  76. 山本茂一郎

    説明員山本茂一郎君) 私のお答えをいたしましたのは、まっすぐに値段だけの問題とは考えておらぬわけであります。これはきめた当時においては、そのときの情勢によって判断せられたものと私は考えます。そういたしますので、このもとにおいて、ただいまいただきました意見等を加味いたしまして、ほかにどういう処置をとるのがいいのか、どういう処置を新しくとるのがいいのかという問題について私どもは検討したい、こう考えておるわけであります。
  77. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ちょっとしつこいようだけどね。あなた次官ですからね、大臣じゃないからね。ですから、これ以上私が申し上げてもなかなか答えられないと思うが、したがって、あなたのその努力をしていくという意欲を私買いますよ。ですから、諸般のことも検討するが、その中には価格のことが入って検討されていく、こういう理解でいいですかな、この点ならどうですか。
  78. 山本茂一郎

    説明員山本茂一郎君) 価格の問題という問題は、これは先ほど申しましたように、糖安法に基づいて処置をいたした時期の問題があると考えるのであります。で、それが後において改正できるかどうかということはちょっと私では申し上げかねると思いますが、ただ、ほかにやるべき、これにつけ加えるべき問題によって、いける手段もあるのでないかと私はしろうとなりに考えると、こういう意味であります。
  79. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも、だんだん話がわからなくなっちゃうんですなあ。初めから順序立ててぼくは聞いたんだよね。それは、糖安法の法律解釈からいってもできるんですよ。ただ、問題は、他の農産物が、いままで年度内に一回きめたら改定してないでしょう。そういういろんなものがある、そのことも私承知して聞いてるんですよ。ですけれども、先ほど来言ってるように、価格だけじゃない、増反をさせていく上においてはね。ですから、幾つかの問題を検討するということでしょう。ですから、その中には、価格の問題も含まれて総合的にあなた方は検討努力するということに受けとめていいですか、と尋ねてるんだ。——森君、少しちゃんとこの辺を間違えないように教えて答弁させないといかぬ。
  80. 山本茂一郎

    説明員山本茂一郎君) 私の考えは、いま先ほど言いました表現のとおりでございますが、その中に価格が入っておるかどうかと、こう細部に入られますというと、きわめてむずかしい問題になるのじゃないかと思うのであります。いろいろやる処置については、価格一本によって——一本と言っては失礼でございますが、価格を中心としてやるということが、はたしていいのかどうか、そのほかの問題において処置ができるものがあるのではなかろうか、というような点を検討すると、こういう意味であります。
  81. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうもはっきりしないね。次官ね、ですから、私は、このことだけではないということを前置きしておるわけです、何回も。あとで会議録を調べればわかりますがね、それを前提にしてるんですよ。しかし、幾つか「政策的」ということばも使ってる、私はね。政策的にとらえなきゃならぬ幾つかの問題があるわけです。そうですね。——ですから、その中にもやはり価格の面でも具体的に、——私どもの調査ですから、これは皆さんで再検討してもらえばいいんですがね、その調査はそう間違いない、この傾向はね。ですから、こういう問題も含まれて総合的に御検討なさったり努力をするんだなと、こういう理解でいいんですねと、こう聞いてる。そうむずかしくないと思うんだなあ。
  82. 山本茂一郎

    説明員山本茂一郎君) 全般的に見まして処置を考えたいと。その中にどういうものが入るかということは、これは検討のうちに入れたいと思っております。
  83. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まあ、どうもこれ以上言うてもあれですが、しかし、具体的に政策樹立をしたり施策をつくるのは局長でしょうからね、局長どうですか、ぼくのいま一連のことを聞いておって。あなたの努力という中には……。
  84. 森整治

    説明員(森整治君) 政務次官のおっしゃっておられることは、私はこういうふうに理解をしておるわけでございます。この問題は、先ほど先生御指摘がございましたように、来年すぐ減反を取り戻せるかと言われますと、私はなかなかむずかしいのではないか、正直申しまして。そうであったら困るんですけれども。非常に作付けが動いておりますから、それぐらいにやはり基本的に考えていきませんと。失地回復といいますか、変なことばですけれども、適正なローテーション下におけるてん菜の作付けと、こう言ったほうがよろしいと思いますが、そういうことの状態に持っていくには、早くしたいけれども、そう一、二年でできる、少なくとも一年でできるという問題ではないだろうと。そういたしますと、その中に価格水準というのは当然入れて検討をして、ほかの措置でできない場合に、やっぱり価格だということもあり得るのではないだろうか。いま政務次官が申し上げましたことは、当然そういうことも含むというふうな理解で私はおりますが、いかがなものでしょうか。
  85. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 わかりました。そういうことで検討、努力してもらいたいということです。  それから、その次の問題は、先ほども答えられたように、一般論的に、国際的にも、国内的にも、農産物の価格というのは上がっていく傾向にありますね。その場合、ややともすると、その価格が上昇されたものを消費者に転嫁される。これは、もう直近の例を見ると米価もそうですね。米価——生産者米価を上げた、そうしたら、消費者米価を今度は上げるということになりますね。そうでしょう。それで、私は心配しているんでありまして、その心配している背景というのは、最近、政府からとみに出てまいりましたね。新価格体系という、何かわれわれには、ちっともわからぬような理論とか、論理とか、理屈とか、このみな論じられていることは、新聞紙上等々に出ていますが、私がここで心配しているのは、農林省として、これはほかの物価は別として、農産物に対して、こういうものの考え方の問題をどうとらえておるかということですね。この際聞かしていただきたいと思います。
  86. 今村宣夫

    説明員今村宣夫君) 農産物価格の考え方について、という御質問でございますが、農産物の価格につきましては、一つはやはり生産者の立場というのがございます。これは当然のことでございまして、食糧を安定的に供給をするという農業の使命から見まして、農業生産が安定的に行なわれるという、そういう観点からの価格、生産者に対する価格支持と申しますか、価格的な措置が必要であることはもとよりでございます。同時にまた、消費者に対する食糧の安定的な供給ということを考えてみましても、それは価格が安定をするということが当然必要なことでございますが、やはり生産者の立場と消費者の立場、それから同時にまた、その間における政府の財政負担の問題という問題がございます。この三者のそれぞれの立場をいかに調和あるがごとくやっていくかということがおそらく価格政策の最も基本的な問題ではないか。また、そういう調和あるようにやっていく必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  87. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 この問題は、審議官、あなたと議論する問題じゃないんで、政府の財政負担等々なんという議論は、かなりまた別な視点に立ってやらなければならぬのでね。われわれから見ると財政負担についてだって、大資本あるいは大商社にたいへんなこれは財政投融資をさせますわね。そこで一体農業というものは、わが国の産業——先ほど相沢議員が漁業というものの位置づけについて触れましたがな。だから、そういうやっぱり産業というものの位置づけを基本的にさせなければならないわけですな。だから、これはあらためてこの次の委員会で私は大臣に出てもらいまして、こういう問題は議論したいと思いますけれども、農林省の考え方を聞いただけで、役人の考え方はどうも転化しそうな気配がいたしますから、まことに遺憾にたえないと私は思って言うんでありますが、まあ、ここでとめます。  そこで最後に、水産庁の長官かだれか来ていましたな。——ちょっと簡単に一つ伺いますが、最近、非常に社会問題、大きくは政治問題になっております原子力船の「むつ」の問題ですね。それで、これは政府のほうは一切安全だということで、いろんな動きがあったけれども出港させましたね。ところが、今度は放射線が漏れると、重大な問題だということで帰るということになった。新聞に出ていました。衆議院の委員会では、長官と与党の議員が何か——私はテレビとか新聞より見ていないんですがね。あの場面は見ないんですが、ちょっと私ども一般常識では考えられないような状況が衆議院のほうでございました。これは衆議院ですから、私どものほうの院が——二院制になっておりますから、そのことを私はとやかく一言うんじゃないんです。ですから、たいへんなやっぱり問題だと思うんですよ、これはね。それで、やはり一番心配しておりますのは、陸奥湾における沿岸零細漁民だと思うんですよ。ですから、漁民の方々もいろんな動きをしていますことは皆さん御承知だと思うんですね。そこで、この問題に対して水産庁はどういう対策、対応をするのか、これは基本的なことを私は聞かしていただきたいと思います。
  88. 内村良英

    説明員(内村良英君) 陸奥湾における原子力船の問題についての水産庁の態度でございますが、私どもは、やはり何といっても水産業者の立場からものごとを考えなければならないし、考えているわけでございます。したがいまして、陸奥湾の水の汚染状況につきましては私どもで調査をしております。さらに、今度の原子力船にも水産庁の研究者を乗せております。それからさらに先般の、八月十三日だったと思いますけれども、閣僚懇談会がございまして、原子力船「むつ」を出港させるという閣僚懇談会がございまして、その席上、農林省からはちょうどここにおられます政務次官が御出席になっておりまして、政務次官から、万一、陸奥湾のホタテその他の価格が暴落した場合には、必要な補償をしてくれ、ということを大蔵大臣に対して、政務次官からその席上で申し入れをしております。それから私どもといたしましては、その後、陸奥湾のホタテの価格動向等がどうなるかということを、青森の市場及び東京の中央卸売市場の価格の動向等を常に見ておりますし、私どもといたしましては、水産業者、すなわち陸奥湾にいる漁師の人たちの生活その他に影響がないように十分水産行政の面から手当てをしなきゃならぬということでいろいろ現在見守っている段階でございます。
  89. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それから、これは、かような場所でどうかと思うんですが、水産庁にはそういうものは全くないんだと思うんですが、ほんとうはこれは科学技術庁だと思うんですね。あるいは運輸省ですか。何かどこかの冊子の中に——原子力の試験をやるために、何か女性が乗り込んでいるんだそうですな、御婦人が。それでやっぱりスキャンダルのようなものが……。私見たんですがね。農林省のほうの所管のほうには、あまりそういうのは関係ないでしょうね。この点をひとつ……。
  90. 内村良英

    説明員(内村良英君) 私どもも原子力船にいろいろな料理の関係で女性が乗っていることは聞いて知っております。それ以外のことについては水産庁のほうは何にも承知しておりません。
  91. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 先ほど大臣に養蚕問題、コンニャク問題の要点についてお聞きしました。養蚕については、転作の作目の中にも桑が取り入れられておる。また、当面した問題でも、事業団において八月一日から一元輸入、輸入規制の発動もある、さらに十万俵の糸の買い入れワク拡大もしたと。こういう中で養蚕業というものを基本的に守っていくんだと、こういう基本的な姿勢を伺いました。  そこで、次官並びに関係局長にお尋ねするわけでありますが、当面した問題で、たいへん繭値が暴落をしておる、繭値の暴落はすなわち糸の暴落である。まあこういうことにつながるわけでありますが、政府が、しっかりと力を入れて、いろいろとガットの問題もある中で輸入規制もあえてする、また、生糸の買い入れのワクを三万俵から三倍以上の十万俵にまでふやす、あるいは乾繭の受託問題等にも金を使う。こういう努力をしておるときに、基準価格が一万円ときめられ、しかも九千九百円で事業団が買うというときに、それ以下で横浜でどんどん取引がされておる。で、これでは当然繭値は下がるのはあたりまえなんで、こういうことに対して基本的にどういう考え方を持っているんですか。あれは自由経済だからしかたがないのだと、こういうことでほったらかしておくのですか。  とにかく相当国際関係の懸念まであえて押し切って輸入規制をやる、しかも十万俵に買い入れのワクをふやす、乾繭の受託もやる。これほど力を入れて基準価格一万円を守ろうと努力をしておるときに、持ってもいない人が保証金という銭を持っておるだけで、どんどんとから売りをやっておる。こういうことをそのままほうっておいていいと思っているんですか、どうなんですか、これ、まず。
  92. 森整治

    説明員(森整治君) 御指摘の問題は、取引所の問題にからむ問題でございますので、一応私のほうから取引所の問題のほうを先に御答弁をさしていただきたいと思います。  御承知のように、取引所で公正な価格を出すために、取引所というものを政府が認めた物資についてしかさせない。日本ではそういうたてまえをとっておるわけです。そこで、いま御指摘の問題につきまして、かねがね狂乱物価の際にいろいろ問題がございまして、現在は大口委託者といいますか、要するにお客さんです、それの建て玉については報告を求めるという措置をとっております。それが一つ。それから一委託者の建て玉につきまして三百枚ということでございますが、そういう以下ということで制限をした。で、考え方は、ある人がある取引員——まあいまの仲買い、取引員でございますね、取引員に委託をする。すると、その人がほかのところへ行ってもまた、制限がございますから、ほかのところへ行ってもやるということが考えられる。で、ある一つの取引員では建て玉の制限がある。で、ほかのところへ行ってもまたやるかもしれないので、今度は全体につきまして、取引員が受託したものについて取引所が報告を求める、それで全体の大口の委託者についてもまた制限をしている、こういうたてまえをとっておるわけです。で、そういうことで全然、から売りといいますか、まあ取引所というのはそういうものでございまして、証拠金を納めまして、それで多数の考え方が入って公正な価格を出そうという制度でございますから、そのこと自身につきましては、私どもから売りがいかぬと言われますと、ちょっと困るのでございますけれども、そういうことで、ただ、大きな金を持っている人が相場を動かすということができないようなことをいま実際にやっているわけであります。  で、その結果、じゃ、どうなのかということでございますが、私どもも御指摘の問題は常に監視をいたしておりますけれども、商社筋がそこに入っていろいろやったとか、そういうことは事実として発見されておりません。まあそういうことが現在の状況でございますが、先生の御心配の点は私どもも十分よくわかっておるつもりでございますんで、今後とも取引所の監視といいますか、監督だけでなしに監視も含めましてよく注意をしてまいりたい。こういうふうに考えておるわけです。
  93. 松元威雄

    説明員(松元威雄君) 御質問といまの取引所の問題と相関連いたしますものでございますから……。  それは基準糸価を一万円ときめた、それにもかかわらずいわゆる糸価はなぜもっとそれより下がっているのかという問題でございますが、私ども基準糸価を本年度一万円ときめましたのは、一つは生産費、もう一つは、需給実勢というものを勘案いたしまして、中間安定措置といたしまして基準糸価を一万円ときめまして、それに安定をさせようということで一万円ときめたわけでございます。ただ、実際の糸価というものは、やはり何といっても需給事情を反映するわけでございまして、私たち、当時の判断では、需給実勢価格で一万円というふうに判断いたしたわけでございますが、その後、需要の実態というものが当初の想定よりも意外に弱い。いわば総需要抑制、それに関連いたします金融引き締め、こういった影響がございまして、当初見込んだ需給実勢よりもどうも需要は弱いんではなかろうかというふうに思われるわけでございます。そこで、そういたしますと、繭の生産数量、それからまた、いま輸入は自由化いたしておりますから、従来ペースで輸入が入った場合にはどうも供給は過剰になって、いわば需要に対して供給が多過ぎる。そこで、そういう需給事情のもとで基準糸価を維持する方法とすれば、いわば供給面を需要に見合ってたな上げしなきゃならぬ。その手段、方法といたしまして、一つには無秩序な輸入が入ってくるということを規制するという意味で、いわゆる事業団の一元輸入制度を発動いたしたわけでございます。それからもう一つは、輸入をいたしましても、やっぱり需要の面からそれだけでは不十分であるということで、いわば過剰分のたな上げと申しますか、そういうことで事業団の買い入れワクを活用する。これも通常でございますれば三万俵でまずよかろうということで三万俵ときまっているわけでございますが、本年のような異常な需給事情のもとでは、それでは不足であるということで当初二万俵ふやしまして五万俵にした。それでもやはり需給実勢はどうも弱いということで、さらに五万俵追加をして十万俵にいたしましたということで、この輸入調整措置と事業団買い入れワクを大幅にふやしました。二つの措置によりまして、いわば生糸の需給の異常な不均衡を是正して価格は基準価格になるというふうに万全の措置を講じたと、こういうつもりでございます。
  94. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 まあ十万俵も買い上げれば、そして外糸の輸入を押えれば基準価格は当然維持されるはずだと思うんですがね。しかし、まあ実勢はなかなかそこまでやってきていない。ここにいろいろと問題があるんだと思うんですよ。で、まあもともと生糸というものは必需品じゃありませんからね。ですから、まあ景気には一番敏感だと思うんです。総需要の抑制ということになれば、まっ先に鋭敏にこれを受けると、こう思うんです。私も長い間、予算関係にいろいろ関連してきて、一体、蚕糸業の将来はどうだ、ということで、いろいろとこれに関連の深い人に教えてもらったんですがね、この人の言うのに、生糸というものは繊維の中では何としても最高のものだと、こう言うんですな。したがって、ここに小笠原先生おられるんですけれども、御婦人が、おしろいや口紅を使っておる限りは、生糸の需要は心配ないと、こう言うんですね、これ。そういう意味合いで、〇・〇二%ぐらいしか供給のない希少価値のある趣味、ぜいたくの繊維。こういう意味合いで、しかし必需品でないから非常に弱い。そういうことで、先ほどは農林大臣も、日本のいろいろな伝統、さらに立地条件からの養蚕業、これは守っていくんだと、こういうことです。しかも、これは一年草じゃありませんからね、永年作物の桑ですから、ことしは、どうも調子が悪いからやめておくというわけにはいきません。したがって、景気で落ち込む谷が出てくる。その谷は政治で橋をかけてやらにゃならぬ、これがやはり政治だと思うんですよ。そういう橋を、いまたまたまかけておるわけなんですけれども、そういう段階で輸入を規制する、それから過剰生糸をたな上げするために事業団が買い上げる。まさにりっぱな橋をかけているわけですが、そのときに、どうもせっかく政府がそれだけ金をかけるのに、自由経済なんだからということだけで、あの市場を基準以下の取引をさせておく。いま玉を調べると言いました。どこまで調べておるか、ほんとうに建て玉の本人まで追及しているのか、あるいは取引員を通じてA、B、Cという形の一口で大口を調べるという調べ方か、その辺はわかりませんけれどもね。  かつて昨年の秋ですか、大暴落したときに、東海筋が投げたとか、こういういろいろなことをやるわけですよ。生糸の需給関係とは全く無縁な金を持っている人たちが、いわゆる相場として、もっと悪いことばで言えば、さいころがわりに生糸を使っているんですね。そして売り手、賢い手と分かれて、その資力を競う。その材料に需給関係というものが一つの条件として使われる程度であって、実際は、需給関係とは離れて、売り手、買い手、強気、弱気の金の勝負をやっているのですよ。こういうことをこれだけ国が力を入れ、金を使ってやっておるときに、そのままほうっておいてどうなんだ。で、また、建て玉を規制すると、こう言いますわな。しかし、売り手があれば買い手がありますよ。安く売ってくれりゃ買いを振りますよね、これ。薄玉になれば安値の売り価を立てられますよ、これは。あまりばく大な玉を、むやみとからで売っていけば、傷を負うかもしれませんけれども、薄商いになれば、わずかな玉で安値がつくり出すことが可能になってきますよ、これは。そういうものをはたして許しておいていいかどうかということについて、私は非常な疑問を持っているんです。日本の輸出産業である生糸を輸出産業から脱落さしたのもこの相場師だと思うんですよ。  さっきもちょっと述べましたけれども、世界の人が絹織物は着たいという、機屋はこれを原料に使って織りたいという、しかし、原料の相場が不安定だったら使えなくなる。こういう中で輸出産業から脱落していったと私は思うんですよ。生糸の需要家が生糸がきらいになって、日本の蚕糸業が輸出産業から脱落したんじゃないと思うんですよ。この相場がまじめな産業から脱落をさしていった。したがって、これは単にアメリカ相手、当時の規格がそうだったのですが、これから脱落した内地の企業だって、こんなめちゃくちゃな生糸相場をさしておけば、生糸の機屋というものはこれはなくなりますよね。こういう点をしっかりやはり産業としての養蚕業というものを守っていくというならば、守っていくだけの手配というものはやはりきちっとしなけりゃならぬし、特にいまの段階で基準価格が設定され、ばく大な金をこれに投下して、この基準価格を守ろうとするならば、やはり横浜の生糸市場に一大決意を持って規制を加えていく、こういう段階にきているのじゃないかと、こう思うんですがね、いかがでしょう。
  95. 森整治

    説明員(森整治君) 別に、先ほど私がお答えしましたほかに、それではいまの横浜、神戸の取引がどういうふうになっておるかということを申し上げますが、三月の下旬以降の取り組み売買高あるいは取り組み高というのはずっと減少しております。で、ことしの九月十四日でございますが、その現在の取り組み高では、横浜で二万四千七百三十八枚、神戸で三万一千六百四十八枚ということで、従来の平常時といいますか、その平均を見ますと大体五、六万枚の取り組みのようでございます。それから比べますと約半分ということでございまして、あと、先ほど言いましたように、仕手的な相場への介入があるかどうかということにつきましては、特に変な事態は発見できておらないということでございますから、特にいま取引所で何か売買の操作があるというようなものではなかろうというふうにわれわれは判断をしておるわけでございます。で、たいへん恐縮でございますけれども、やはりいろいろ確かに疑念がございます。ただ、これはやはり先物取引で一応のみんなの目安、それから実際は特に生糸の取引所というのは、やはり実需者のヘッジ機関としての機能を果たしておるわけでございます。それが本来のたてまえでございます。で、実需者だけでなしに、ほかの人の参加も認めて公正な価格で繁栄をさせていこうという制度でございますから、変なお客が入ってこないということをわれわれは監視をしておる。農蚕園芸局が全体のあれをやっておりますけれども、取引所に関してはむしろ別の、私どもの農林省の中でございますが、別の機関がともかくそういうことだけ監視をしていくという、そういうシステムになっておるわけでございまして、私どもは、いちずに変なことがあるかないかということだけ専一に取り締まってまいるという考え方で一いま実情も申し上げましたけれども、実情からいいますと、いまわれわれがいろいろな監督権を発動すべき時期かどうかということについては、ちょっとそういう時期ではまだないのではなかろうか、こういうふうに判断をいたしております。
  96. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 時間もだいぶ経過しましたからいま一問で終わりますが、これは大臣にお聞きをしたいんですが、おられませんので次官にお尋ねするんですけれども。いまお話がありましたけれども、率直に言って、いまのままでいくというと、私は群馬の出身で、群馬の農民には、あなた方は、もうかるから養蚕をやるんじゃなくて、立地条件からいって、宿命的な養蚕農民だとまで言っているんですよ。で、この養蚕をこのままほうっておくと、これはもうつぶれざるを得ません。養蚕がつぶれれば製糸業もつぶれるし、生糸関係の織り元もつぶれるんですよ。繭のないところにそんなものが成り立つはずがないですからね。伝統的な蚕糸業という一つの産業がつぶれるかどうかというときに、相場師を守らなければならぬからというようなことで——資本主義経済の心臓部かもしれませんけれども、全部とめろとは言いませんよ。少なくともから売り、から買いの清算のほうは、基準価格を守った上で行なわれるならばいいですけれども、それを割って行なわれるような段階は、これは閉鎖するぐらいの覚悟は持てませんか。実物の取引はいいでしょう。売った以上は必ず渡す、買った以上は必ず受けるというものの先物までの取引はいいでしょう。しかし、から売り、から買いという清算的な部門のほうは、産業としての日本の蚕糸業を守るという観点に立てば、そのぐらいの規制ができないはずはないと思うんですよね。この点はなかなか、それは重大な問題に相違ありません。ありませんけれども、ひとつ、日本の伝統的な、しかもこれをつぶすことのできない立地条件を持った日本産業としての蚕糸業を守るという観点に立って、ひとつ腹をくくって——これは農林省だけでできるわざじゃないことはよくわかります、それは。少なくとも基準価格を守るという意味合いで、基準価格を割り込むような清算取引は規制する。このくらいのことはぜひともやってもらいたい、こう思うんですけれど、次官いかがでしょう。
  97. 山本茂一郎

    説明員山本茂一郎君) ただいまの問題につきまして、先ほど大臣がお答えになりました問題でございますが、農林省としては、本然の姿ではございませんが、養蚕業を発達さし、また、それの利潤そのほかというようなものに関連をした政策に対して、私どもは責任を持っておるわけでございます。その責任の範囲において、ただいま御意見を拝聴いたしましたが、私どもにも、御意見の点は十分関連のあることと私どもは考えておるわけでございます。ただ、こういうことを言っていいかどうか存じませんが、いわゆる相場関係そのほかにおいて、監督権が直接的にどこにあるかという、その存在の問題もございまして、これらのことも頭に入れながら、ただいまの御意見については私どもは十分、理解といいますか、腹に入れまして、そうして農林省としての自分らの任務のもとにこれをやって、養蚕家を私どもは十分保護し、その発展をはかるように努力をいたしたい、こう考えておるわけであります。
  98. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 最後にもう一言だけ。  これは要望でございます。いま次官のお答えをいただきました。もちろん農林省だけの問題ではありませんが、ひとつぜひ、養蚕業を中心とした産業としての日本の蚕糸業というものを守っていくという立場に立って——いまの取引上の規制の問題は一番重大な問題である、こう考えております。今後も執拗に私は食い下がっていくつもりですから、ひとつ当局においてもしっかりと研究をし、進めていただきたいと要望して私の質問を終わります。
  99. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 先ほど農林大臣に水産物価格安定対策としての事業団構想につきまして御質問したんですが、水産庁長官は、長官に就任されてから、いわゆる沿岸栽培漁業をやっていらっしゃる中小零細漁業の現場に行って、漁民の皆さんとお話し合いをし、現状をごらんになり、また直接そういう漁民の声を聞かれておられましょうか。
  100. 内村良英

    説明員(内村良英君) 直接漁民の声を聞いたことはございます。
  101. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま日本の漁業が、遠洋漁業の先細りで大手水産関係もたいへんピンチになっていると思うんですけれども、やはりこれまで日本の水産関係も、特に大手資本漁業のほうに力が入って、いわゆる沿岸栽培漁業に対してはかなり対策がおくれていた。だんだん、特に後進地域の国から、経済水域二百海里を強く主張されて、日本のこれからの漁業の振興は、一つには深海漁業の開発という点に力を入れなきゃならない。もう一つは、やはり沿岸栽培漁業を振興せにゃならないだろうと、こう言われているわけですけれども、現実に、日本の各地を歩きましても、いわゆる沿岸の零細漁民というのは非常に苦境に立っております。ことしの五月の、東京で開かれた緊急危機突破全国漁民大会のときに、特に漁業用石油関係の値上がりに対する価格差助成措置として、沿岸漁業等経営安定特別資金融資という名目で五百三十億円助成されることになりましたけれども、これは全国へ分配すると非常に少ない額です。極端なことを言いますと、北海道の漁民たちは、五トン未満で十万円ぐらい融資されたところでどうしようもないと言っておりますし、また、一方、遠洋のほうも倒産がわずかに延びた程度だ、こういうような声が非常にあがっております。結局、今後の沿岸漁民を救済する方法としては、何らかの魚価安定対策というものが必要だ、こういう現状に来ていると思うわけなんです。  そこで、先ほど申しましたけれども、全国漁業協同組合から出されている水産物価格安定事業団の構想なんですけれども、端的に言いますと、事業団構想は、豚肉に対する畜産振興事業団と同じような考え方が発想の根本になっておると思いますけれども、サンマ、サバ、イワシ、あるいはアジ、スルメイカあるいはスケトウダラ、ホッケ、オオナゴ、コナゴの九種類の魚を指定産物にして、安定基準価格の下限を下回った場合には、全量買い取って調整保管する、これがまあ骨子になっておるようです。特に北海道関係の場合は、漁獲量の半分に達するのが、いわゆる大衆魚と言われているスケトウダラなんですけれども、先日も離島の利尻島へ行ってみますと、ある漁港では、相当漁獲がありながら、いわゆる現地に冷蔵庫装置等がない。非常に価格が低くて、結局、漁に行って、たいした油代にもならない。まあそういうようなことで、ことしは例年よりも早く切り上げて、どこかへ出かせぎに行かなければならない、こういうような状況です。そういった点で、特に北海道漁業には大きな打撃になっておるところから、何とかこの安定策を講じなければならないだろうということで、今回この案が出てきたと思うのです。で、この九種類の多獲性魚のほかに、ホタテとかカキ、ワカメ、ノリ、ハマチ等、こういったものについても、生産性の計画化とか出荷調整など行なうと同時に、冷蔵庫や冷蔵車あるいは冷蔵運搬船、こういったものを設ける。特に消費地にも十万トンクラスの大型冷蔵庫や集配センターなどの施設を設けて、消費者価格の安定にも寄与しようということがこの考え方の骨子になっておるようです。  今後、私は、やはり漁業生産者の経営安定、それから同時に、消費者価格の安定、こういった両面を持ち合わせた何らかの水産物価格安定対策が講じられなければならないし、これが発表されたときの説明会でも、やはり今後、漁業生産者の経営を安定させるためには、この事業団構想の実現しかないだろう、大いに協力しますよ、というようなお話も、水産庁関係の方からあったように聞いておるわけですけれども、これが先ほど大臣の御答弁ですと、非常にいろいろ魚価の安定というのは農産物と違ってむずかしいということで、きわめてこの事業団構想もたなざらしというようなことになりそうなわけですけれども、水産庁長官としては、今後の魚価安定対策というものについて、また、今回提出されている水産物価格安定事業団構想についてどういう見解を持たれ、意欲的に取り組むというお気持ちがあるのかどうか、この点からまずお伺いしたい。
  102. 内村良英

    説明員(内村良英君) 私どもも、ただいま先生から御指摘があった問題意識と同じ問題意識を持っているわけでございます。で、御案内のように、昨年のオイルショック以降、A重油が三倍になった、それから漁網綱が二倍ぐらいになって、まあ漁業の種類によって違いますけれども、平均三割ないし四割経費が上がっている。反面魚価のほうは低迷していて上がらないということで、漁業経営が非常な苦境に立ったということは御指摘のとおりでございます。そこで、私どもといたしましては、魚価がどうなるかということによってかなり影響が出てくるものでございますから、魚価の動きを見ているわけでございますが、まず魚の場合は、種類が非常に多うございますので、代表的なもので申しますと、マグロが六月が前年同月対比で一〇六%、それが七月が一四二%、八月が一五七%と、かなりマグロは価格が上がってきているわけでございます。それから、マアジは、六月が前年同月対比で一〇三%、七月が一〇三%、八月が一〇八%で、コストが三〇%上がっているとすれば、明らかにこれは経営上の問題があるわけでございます。それから、サバのごときは六月は前年よりも下がりまして七七・四%、七月が一〇二%、八月が九二%。スルメイカは、非常にこれはとれないものでございますから、価格が上がっておりまして、六月が前年同月に比べまして二四五%、七月が一七八%、八月が一五九%というふうに、漁業の種類によって違いますが、魚価が上がってこない限り、この経営の問題は非常に苦しい問題になるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、全漁連を通じまして事業団構想をひとつやろうじゃないかという話し合いがあったわけでございます。私ども、できればこれはひとつやるべきである。畜産で、あれだけいろいろな価格支持政策をやっている関係上、水産でも同様なことはやるべきじゃないかという問題意識を持ちまして、実は全漁連と一緒にいろいろ作業をしてみたわけでございます。そうなりますと、こういうような価格安定、しかもやや行政が介入するということをやります場合には、農業の場合にはいろいろ価格支持制度として何らかの機関が直接買う、あるいは一定の標準価格をきめましてその差額を払うというようなことで、常に標準価格というものをつくってやっておるわけでございます。これは、今日わが国でも、そういうことで農産物の価格支持をやっている。そうすると、どうしてもある程度行政的なものが介入するということになりますと、標準価格をつくらなければならないということになるわけでございます。魚の場合は、同じ一キロでございましても鮮度によって値段がべらぼうに違うわけです。それから標準的な規格がございません。それで、農産物の場合には、ものによってはパリティでやっているものもございますけれども、やはりこういった性質のことをやる場合には、生産費というものが基準になってくるわけでございます。ところが、魚の場合は、生産費を出す場合の分母にある収量が、こんなにフレがあるわけでございます。そこで、そういう標準価格をつくるということに非常に技術的な困難性が現在あるということが第一点でございます。  それから第二点は、ものすごい種類があるわけでございます。欧米各国、いろいろヨーロッパやなんかのことも調べたわけでございますけれども、大体欧米各国は十種類ぐらいの魚が流れている。日本の場合は、小売り屋さんが最低三十から四十種類の魚がないと成り立たないというような状況で、非常に魚の種類が多いわけでございます。そうすると、マグロの価格支持をやったからサンマが安定するかといいますと、これは全く無関係なことになるわけでございます。そうなりますと、一体何を取り上げてやったらいいだろう。その場合には、漁獲高を見まして、多獲性大衆魚というようなところからやるということになると思うのでございますけれども、そうなると、一部のところには依然として不満が残る。その人たちは助かっているけれども、おれたちには何もやってくれない。ほかの農産物の場合にはある程度需要の関係とかその他から代替関係的なものがございますけれども、どうも魚の場合は、その辺がはっきりしないというような技術的な問題が非常にあるわけでございます。そこで、私どもはいろいろ研究してみたんですけれども、これはなかなかすぐはできないぞ、ということがわかってきたわけでございます。  さらに最近の歴史を調べてみますと、昭和三十六、七年ごろ同じような問題ができまして、水産関係者の中で事業団法案までつくったことがあるようでございます。そのときも、いざこれを実行に移したらどうなるかということをやってみまして、これはとても手がつかないということで投げてしまって、その後ずっと魚価が、浜相場が大体一般物価の一〇%から二〇%くらい上回って上がっていくというようなことがありまして、あまり浜相場の安定というようなことは問題にならなかったわけでございます。  そこで、それじゃひとつ欧米のことも調べてみようと思って若干調べてみますと、農産物につきましては、ほとんどの先進国は全部価格支持政策を持っております。水産物についてそういうことをやっている国はほとんどないわけでございます。ノルウェーは、ヨーロッパの中ではかなり魚を食う国民でございます。ノルウェーがどういうことをやっているかと申しますと、生産者団体と政府と七種類かの魚について、魚価のネゴシエーションをしているわけでございます。これはどういうことかということで調べてみますと、ノルウェーの場合には、生産組合がほとんど市場を支配するだけの能力を持っている。だから、政府としては、消費者価格の立場からあまり高い価格で売られちゃ困るという立場で生産者団体と価格の相談をする。ただし、そういうことをやる以上、市場価格がそれを下回った場合には、それじゃひとつ政府が何らかの補償をしよう、というような価格政策をやっているわけでございます。  それから、さらに、これはわが国の畜産政策の歴史を見ましても、共販をやろうということが非常にありまして、関係の団体がやって、それからとてもそれだけではおえないから、行政が介入していくというようなかっこうになっているわけでございます。  そこで、私どもは五十年度にこれはやらなきゃならぬ、五十年度限りでなくて、今後五年なり十年計画でやらなきゃならぬということ。これは、やはり共販を育成していくということが非常に大事じゃないかというふうに考えておるわけでございます。そこで、現在までのところ、過去四、五年は魚価対策というものは消費者価格の問題として論じられてまいりまして、水産庁は消費者価格の安定のために流通改善の事業をやっております。これを消費者のためにもなり浜相場の安定にもなるように、やや生産者サイドにものを、少し考え方を入れて再編成しまして、大体私どもが八月三十一日に大蔵省に要求しました予算要求の中では大体五万トン、これは東京と名古屋と大阪の鮮魚の入荷量の二割でございます。二割では少ないではないかという意見もあるいはおありかとも思いますけれども、とりあえず、そうすぐたくさんやろうと思いましても、生産地の倉庫の問題とかいろいろございますから、全漁連ともいろいろ相談して、大体五万トンくらいのものについて共販事業をやってみよう、それについて、国がひとつ保管料と金利を見ようじゃないか、というようなことで、現在予算要求をしているわけでございます。  そういうことで、まず共販を育てながら、こういう問題に接近していこうということと同時に、やはり事業団をやろうという意欲があるわけでございますから、いろいろな技術的な問題をひとつ実験してみようじゃないか、はたして生産費がカバーできるのかどうか、そういうこともひとつ実験してみよう、さらに専門家を集めましてかなり大きな検討会をつくって前向きにそういうものに対処してみようじゃないかということで、検討会の予算等も要求しております。同時に、そういうことをやるためには、やはり冷蔵庫がないとこれはもう話にならないわけでございます。そこで冷蔵庫をつくることにつきましてかなり積極的な助成をしようということで、大蔵省に出しております予算要求の中では、そういう点、かなり重点的に見ておりますし、さらに流通改善と申しますか、産地の流通センター等につきましても、これまで事業をやっておりましてかなり成果をあげておりますが、これも拡充するというようなことで、単に生産者だけじゃなくして、消費者価格の安定にも役立つようなことを共販の育成ということを通じてやりたい。と同時に、いろいろな実験を多少やってみたいということで、ものごとを考えておるわけでございます。  したがいまして、私どもの持っている問題意識は、ただいま先生が御指摘になったと同じような問題意識で対処しております。五月に五百三十億の緊急融資をきめましたけれども、これは金利四分で二年で返さなきゃならないわけでございます。そこで、魚価が今後、低迷していくということになりますと、またこの償還の問題が起こってくるとか、非常に重要な時期にいま漁業経営が立っていると思います。したがいまして、私どもは、魚価対策というようなことでなくて、もっと広く漁業経営対策というようなことから、問題にまじめに取っ組んでいかなきゃならないというふうに考えておる次第でございます。
  103. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま、いろいろ長官から御答弁がございましたんですが、確かに標準魚価をきめるということは非常にむずかしいと言われておりますし、技術的にいきなり、これまでなかった新しい水産物価格安定事業団をつくる場合、いろいろな支障があることは了解できるわけです。が、一点お尋ねしておきたいのですが、事業団構想について、政府の中に、いわゆるスクラップ・アンド・ビルド方針、いわゆる不要の事業団を廃止して必要なものを設けるというような考え方があって、なかなか新しい事業団というものを設けることが認可されない。いまのところ、その廃止する事業団というのは考えられないために、いろいろなむずかしい技術的な問題もあるし、そこでことしの場合は無理だというような結論になったというような話も聞いているわけですよ。そういったことも要因の一つになったかどうか、その点だけちょっと確認しておきたいんです。
  104. 内村良英

    説明員(内村良英君) 全漁連と話し合う過程におきまして、どうもとりあえず、すぐはできないな、という結論が出ましたのは、ただいま私が、るる申し上げましたような状況でそうなったわけでございます。全漁連側もそうだな、ということになりました。ただ、行政的な立場、たとえば事業団をつくるということになりますと、水産庁がその法案を用意いたしまして、国会に提出して御審議を願うと、こういうことになるわけでございます。ところが、そこへいきますまでに、関係方面にいろいろ話さなければならない。そうなりますと、行政管理庁等は現在スクラップ・アンド・ビルドということを非常に言っております。それから政府のほうも、新しい特殊法人は認めないというようなことを言っておりますので、そういう問題が行政的には、いざやるということになると出てくる。しかし、これは絶対に突破できない壁であるかどうかという点については、これはやってみなければわからない。国民経済上絶対必要だというようなことがあれば、われわれとしては、その壁に正面からぶつかっていくぐらいの覚悟はもちろんございます。  したがって、ことしとりあえず、五十年から事業団ができないということになった最大の理由は、先ほど申しましたいろいろ技術的な困難な問題、準備にいろんなことが要るというような点からでございます。
  105. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いまの国民の食生活の上で、いわゆる動物性たん白源のうち、五一・三%が水産物でとっているわけですけれども、こういった点で、いま長官がおっしゃったように、単なる魚価の安定だけでなくて、消費者価格の安定という点も踏んまえて考えていかなければならない。これは当然だと思うんです。いま現状として、水産関係での振興対策あるいは流通価格対策ということに対する予算の配分というのは、非常に乏しい現状にあると思うんですね。この点、畜産関係なんかは四百四十億円というふうな膨大な予算を持っている。これに比べると、水産関係は二十二億で、こういった点については、もう少し、水産庁関係も、もっともっと声を大にして専心してもらわなければならないと思うんですよ、私どももバックアップしなければならないと思うわけですけども。  来年度から急にやるわけにいかない。そういったことで、水産庁としては、魚価安定対策実験事業という立場ですか、こういったことで、実施の方針をきめられておるというんですが、内容はどういうふうになっておりますか。
  106. 内村良英

    説明員(内村良英君) これはまだ、十二月の予算折衝を経て現実的な問題になってくる問題でございますから、ただいまの段階は、水産庁から大蔵省に要求しているという話でございまして、なお財政当局といろいろ調整を要する問題でございます。  ただ、考え方を申しますと、先ほど申しましたようないろいろな技術的な問題がある。そこで、技術的な問題があるから、これはだめだ、ということであきらめてしまいますと、今後、永久にだめなわけでございます。そこで、先ほど申しましたような技術的な困難性が克服できるかどうか。たとえば、はたして標準価格ができるんだろうかどうかとか、そういうことをごく数量の少ない範囲で実験をやってみたいということで、サンマについて約四千トンでございます。それタミールにして、ミールという形で各市場に一まあ、多少やったらどういうことになるのかということを実験してみまして、そこで、いろいろな技術的な問題点の究明に当たりたいというところで実験事業ということを考えておるわけでございます。と同時に、そういったことをやる場合におきましての調査の面の拡充もやらなければなりませんので、調査経費等も同時に要求しております。さらに、先ほど申しました検討会、専門家を集めて検討する場合の検討会の経費等もあわせて要求しておるわけでございます。
  107. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま長官からお話がありましたように、とりあえずそのサンマの販売価格のうち、最低まあ魚かすについて、ミールについて実験的にやってみようというお話ですけれども、これは具体的に全漁連が、漁業者と魚かす向けサンマの買い取りで契約して、鮮魚用あるいはかん詰めなどの加工用に売れ残ったサンマを引き取って、そして魚かすとして調整保管して、それを主として畜産飼料向けに販売した場合、赤字が出れば金額を国が負担するというような内容なんですか。
  108. 内村良英

    説明員(内村良英君) 大体そのような内容でございまして、いずれにいたしましても、実験事業でございますから、それに伴っていろいろなデータを要求したり、いろいろな義務を課するわけでございます。したがいまして、ある程度それで非常に損失が出るということになりますと、やはり経営上の問題もございますから、一方そういった実験に伴う報告等の義務を課しながら、はやり損はそういうことでさしてはいけませんので、一定の補償はしなきゃならないというふうに考えております。
  109. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 じゃ長官けっこうです。  てん菜関係でもう少し伺います。北海道農業の基幹作目として、てん菜の場合は昨年まで作付面積が順調に増加してきたわけですけども、先ほど来の論議のように、非常に大幅に減反になりましたが、まず最初に農林当局としては、明年度の作付面積をどこまで回復させるというおつもりでいるんですか。
  110. 森整治

    説明員(森整治君) 当然私の気持ちといたしましては、六万ヘクタールまで回復させたいという気持ちではございますけれども、私も多少休みを利用しましていろいろ見てまいりましたけれども、たとえばバレイショの掘り取りがすでに始まっております。そのあとへ小麦をまくというようなことが、もうすでに適期でございますから、こういう問題もございます。ですから、一方てん菜の収量がどうなるかということも、まだこれからこのあと一月の問題、こういう問題もございますから。したがいまして、全部もとへ戻るかということになりますと、正直申しまして少し時間をかけないと、この減反に対応するわけにはなかなかまいらないのじゃないかというふうに思っております。しかし、そうは申しましても、先ほどの吉田先生の御指摘もございましたとおり、片一方では、やっぱりてん菜の工場の操業という問題もございます。それ以上にいまの国際糖価が高い。その中でやはりわれわれとしても国内産を確保したいということは当然でございまして、何とかしていまの面積をもとへ戻すということをひとつ真剣に考えてみたい、こういうふうに思っております。
  111. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 五十年度は四十八年度の六万一千ヘクタール近くまで原状回復させたいということですが、今年大幅に減反という異常事態を招いた原因はいろいろあると思います。私も現地を歩いてみて、一部の地域は非常にことしは冷湿害だということで思い切ってそばをまいちゃおうというようなことで、そういった天候関係で転作したところもあるし、大かたは、やはり他の農産物に比べて、畑作物と比べてみて価格が低い。四月の改定期に要求どおりの額にはおさまらないだろう、つくっても損だと、こういうことで減反されたのが大部分だと思うんですね。結局、他の畑作物と比べて、労働報酬のバランスが大きくくずれることに一番の原因があったと思うわけです。  私ここで言いたいのは、特に北海道の東部方面、十勝地方を中心とした方面は作付が大きいところなんですけども、全般的に畑作はことしは被害を受けております。特にビートに限ってみますと、いま一番新しい資料で私いただいているのは、九月十五日現在の十勝地方管内における農作物の生育実態調査表なんですが、まあビートは根回りが二十六・五センチでかなり不良という生育の良否の結果が出ております。相当収入等もことしは減るんではないか、こう考えられます。価格のよい作物への転作をしないで国内甘味資源を守ろう、あるいは農林当局がいわれている振興策に忠実に従っていこう、こういうことで、てん菜生産に励んだ生産者は、ことし非常にそういった点で収入が減ってしまう。価格は、全然実情に合わないだけ低く押えられるし、また、生育も思わしくないので、収量等も減収してしまう。結局、正直者がばかを見るというような現状になってしまうんじゃないかと思うんです。ですから、先ほどから論議のように、ここで答申のとおりに、やはり価格の改定に踏み切るということを中心にして、特に追加払い、これを実施しないと、いまおっしゃったように、五十年度六万ヘクタールの作付に回復したいとおっしゃっても、それはそう簡単にいかないんじゃないか。やはりその対策を相当時期的にも早く、政府姿勢というものを示して打ち出さないと、特に明年以降は地すべり的に減反というのは続くんじゃないか、こういうように憂慮されます。  森さんは、前からことしの大幅減反、この失地回復をはかるために手を打たなければならないということをおっしゃっていましたけれども、価格の改定も含んで考えるんだとおっしゃっていますけれども、価格改定以外に、もし、どんな対策を考えられているのか、この点も含めてお答えをいただきたい。
  112. 森整治

    説明員(森整治君) 私先ほども申しましたように、そういう先生御指摘のようなことで何らかの措置を講じなければならないということを申し上げたわけでございますが、その方法につきましては、——原因も非常に根深いと思います。そういうこともございまして、とりあえずどういうことをしたらいいだろうかということを、私も、現地でいろいろ農民の方々の御意見を聞いてまいりました。これから農林省の内部でもいろいろ相談をしながら、ともかく御指摘のように何らか早目に手を打っていかなければいけないということについては、私そういうふうに聞いてまいりました。また事実だと思います。そういうことで、この問題につきましていろんな方々の意見を聞きながら対策を考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。ただ、いまのところ具体的にどうするつもりかと、こう言われましても、いまちょっとお答えを持ちかねておるというのが正直なところでございます。
  113. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 先ほども、てん菜は、北海道畑作の輪作体系を確立する上にどうしてもなくてはならない安定作物だという話もありましたけれども、どうしても生産者価格が低いと農家はつくりたがらないんです、おそらくこれば耳にされてきたと思いますけれども。一番顕著な例はバレイショとの輪作関係なんですけれども、農業普及所の職員が口をすっぱくしてバレイショの連作ば避けるように、こういうことを言って、ビートとの輪作をすすめるんですけれども、結局、価格が安いから損だということで、なかなかやってない。ことしの場合は、特に道東地方や後志支庁管内等でバレイショのウィルス病等も発生しておりまして、相当大きな被害を受けております。連作がウィルス病の発生率を臨める直接の原因かどうかという点は別としましても、いろいろとバレイショの病虫害というのはありますけれども、やはり連作というのは生育に大きな影響を与えるし、どうしても病害虫にやられる率が高いと、こう聞いております。  こういった点から考えましても、やはりこのビート価格が安いということで大幅減反、あるいは輪作体系がくずれていくとなりますと、北海道の畑作全体に与える影響というのは非常に大きいわけですね。ですから、やはり、何回も繰り返すようですけれども、国内甘味資源の確保という立場、また、輪作体系を確立する、また、特に酪農地帯における飼料確保の上からも、このてん菜というのは非常に重要な部門ですし、先ほど吉田委員にも答弁されたように、価格改定を含めて幾つかの効果ある対策を早急に打ち出さなければたいへんな事態になるということを申し上げたいと思うんです。特に、生産費補償方式等を取り入れる、また、農業団体から要求されているようにトン当たり一万五千円というものは最低これは必要だろうと。そういった点で、どうか、鋭意、トン当たり一万五千円以上に早急に改定し、そして先払いをされるように要望して質問終わります。
  114. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 先ほど超過米のことでお伺いしまして、具体的にお答えいただけなかった問題をお答えいただきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、反当収量の見当違いということが、ことし北海道で余り米を大きく出したという原因の一つになろうかと思います。先ほども申し上げましたように、北海道の場合で、四百五十キロくらいということは、当然見込んでいかなければならないのではないかということでございました。幾らの量を面積で割って、そして調整がうまくいくということが計算上はできても、反当収量の見込み違いということになれば、必然的に超過米が出てくるわけで、その北海道における反当収量の見込みという問題を今後検討していただくということをお願いしたいと思うし、当然のことだと思うんですけれども、その点、一つだけ食糧庁のほうからお答えいただきたいと思います。
  115. 三善信二

    説明員(三善信二君) 先生御指摘の担当収量の問題でございますけれど、先ほど先生言われましたように、平年収量というのは——北海道というのは非常に実績の収量というのはフレが多うございまして、あるときは非常によかったけれど、あるときは極端に悪いと。そういうようなことで、平年収量を算出いたします場合に、統計情報部のほうでそのフレの差をなくしてやるのが一つの平均収量なんですね。それで、毎年実績がこう違うので、それをならして平均していけば、やはり平年収量ということにならざるを得ないわけです。  たまたま、この限度数量の割り当てに際しまして、いろいろな計算のやり方は先生承知のように、四十二年から四十四年の実績の反当の収量と四十八年の平均収量ですか、それを見てみましても、北海道の場合なんかは四十二年から四十四年のほうが四十八年の平均収量より実績のほうが高いわけです。少し高い。で、そういうことを加味して、北海道の場合には数量の計算等も一部やっているわけでございます。そういうことはやっているわけなんですよ。ただ、御承知のように、北海道の場合、従来の実績で申し上げますと、これも先生承知のように、売り渡し申し込み限度数量が、たとえば、四十七年の場合七十七万二千トン、それが現実の収果数量は六十六万六千トン、十万トンも余している。それから四十八年の場合も、十六万トンぐらい限度数量より実績のほうが低かった。そういう過去四十六年から四十七年、四十八年——これは生産調整に非常に御協力いただいたということにもなるわけでございますけれども、あまりにも最初の限度数量と実績の収果の見込みが非常に極端に違った。昨年のごときは、先生承知のように、北海道のあきワクをむしろいただいて各県の余り米の処理対策をやったというわけでございます。そういうことで、全体的に見まして、やはり十二月でないというと、各県ごとの、どの程度余まるか、足りないか、県内で調整してみないとわかりませんが、その十二月の時点で、昨年同様な調整をやりたいということを大臣も申し上げている次第で、そういうことで対処をしてまいりたいと思っております。
  116. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 おっしゃったとおり、冷害のときとそれから豊作のときでは、うんとブレが出てくるのは事実だと思うんです。だけれども、いままたおっしゃったみたいに、去年なんか二倍、三倍と調整したおかげで、全国的に余り米の処理が非常にやりやすかったと。恩を受けていらっしゃるんだから、だから、そういう立場で、北海道がそれだけやったんだからということも考えていただいて、先ほど言ったように、余り米の問題については善処をしていただきたいということ。それと、やっぱりいまおっしゃったように、四十二年、四十四年の平年作、そして四十八年度ということで、計算的には、もうきちっとお出しになるわけだから、それはそれでそういう数字が出てくると思うんですけれども。こういうふうに豊作ができてくると、結果的には、余り米という問題が持ち込まれますから、これだけでは解決できないと思いますけれども、先ほど言ったように、全体的な立場でこの超過米の処理の問題は心配がなくなるように、ということを重ねて御検討いただくように大臣にも、さっきそそくさとお帰りになりましたから、おたくのほうからもしっかり要望をお伝えいただきたいと思います。  じゃ、次に、肉牛価格の問題と、それから配合飼料の問題、後半ジャガイモの葉巻き病の問題についてお伺いしたいと思います。  肉牛の価格が非常に低迷している一方、えさ代が高騰だという中で、肉牛生産農家というのは非常に深刻になっているということは御承知のとおりだと思います。御承知の程度が、頭の中で御承知で、実際に、ほんとうに身につまされて、どの程度わかっていただけているのか、ということを、たいへん私は不安に思います。政府は、それなりに融資だとか、調整保管というような助成を行なっていらっしゃるということですけれども、もうそれでは、ちょっとこの危機は乗り切れないというところまで深刻化しているわけです。  くどいようになりますけれども、具体的にその深刻度ということを知っていただきたいと思って例を出すわけですけれども、北海道、十勝の士幌、ここで去年の四月に、初生牛一万五千円で買ったと、そして十七万三千円の、労賃全く抜きにしての生産費がかかって、売り値は十三万と、このときマイナス四万円になっているわけです。それが十月に、あの高値のときに七万二千円で買ったのが、労賃を全然見ないでも十万円の赤字になってくると。また、肉牛の、肥育牛の生産農家の場合を見ても、素牛十九万で購入して、販売が二十四万七千円と、労賃抜きにしても、ここでも九万円という赤字になってきていると。こういうようにひどい赤字で、もう農民はたいへんなことになっているわけです。政府としては肉牛振興ということで盛んに宣伝されて、また、それに農民たちも参加してきたわけですけれども、こういう中で、農民たちが要求していることは、労賃はまあがまんしてもよろしいと、しかし、実際に持ち出しでかかった経費くらいは何とか見てほしいと。そうしないと、これから先、肉牛生産なんということには参加できないというところにきているわけですね。私もそれを聞いて、見て、ほんとうに一頭売るごとに十万、二十万というお金をつけてというような赤字ではやっていけない、相当思い切った措置をしてもらわなければならないと思うんです。  また、政府肉牛生産の振興の目玉として、いま畜産基地建設事業というのを上川のほうで計画されているわけです。ここのところでも、いろいろ青年たちが大きな希望を持って参加しようというふうにやっているわけですけれども、ここのところでも、もうほんとうにたいへんなことになっています。乳雄牛の肥育を相当大きく進めようということで、四十八年にはほとんど倍の規模に、私の会った青年は拡大をしております。非常に畜産に意気込みを持っている青年なんですが、この事業に参加するためには、アンガスという繁殖牛七十頭導入すると。しかし、すぐにはそれで生産をあげるわけにいかないから、二年間無収入になると。そこで乳用雄牛や和牛などをいまから導入して、その収入を基礎にしてこの事業に参加しようというふうに決意をして始めたと。ところが、この暴落でたいへんなことになっている。たとえば経産牛三十万で導入して、えさ代二十五万かけて、そうして売ったときは二十万で、一頭について三十五万円の赤字、これが五頭いるから百七十五万の赤字と。それから乳用雄牛これを素牛で二十五万、大体二十四、五万で買って、売り値も大体同じと、えさ代や、その間にかかったのはまるまる赤字だと。しかも、まだ、現在、去年の春購入した牛が二、三頭いて、九、十月の最高価格のときに購入したのがまだ二十頭いると。こういうことになると、この赤字が解消しないと、畜産基地建設事業に参加しようという、そういう意気込みはあっても、ここで参加して、また新たに四千万からの借金を背負って、これでやっていけるかどうかということで、非常に意欲は持ちながらもたいへん深刻になっている。こういうような実情は、ほうぼうで、もう十分御承知のことだろうと思います。  しかし、こういう実情をきょうまたもう一度聞いていただいて、肉牛の価格に対して、具体的にどういうふうな対策を考えていられるか。深刻に悩んでいる青年たちに、あなたたち、そんなときに買ったのが悪いんだから、不運だと思ってあきらめろ、と言うのか。しかし、政府としては、振興のために、みんなが協力してくれたんだから、こういうふうにやっていきたいというふうに言われるのか。具体的にその問題についてどういうふうに考えていらっしゃるか。そういう青年たち農家の青年たちにお答えをいただきたい、そう思います。
  117. 高須儼明

    説明員(高須儼明君) 小笠原先生の最初にお話しございました現在の肥育経営の収支計算でございます。これはなかなかいろいろな数字のとり方もございまして、具体的な数字で、どの程度赤字になっておるかということは、計算がむずかしい問題だと思いますが、先ほど先生のおっしゃっておりましたそうした傾向というのは、確かに実際存在いたしております、素牛の価格は、昨年の大体十一月まで棒上げに上げておりまして、たいへん高くなったわけでございます。その後、昭和四十八年の十月が卸売り価格、生産者価格の最高値でございましたが、十一月以降、生産者価格は急落いたしております。したがいまして、これ全国的な統計、非常に平均値化された数字でございますので、先生のおっしゃいました数字よりは若干低目に出るかと思いますが、たとえば四十九年の八月に乳用肥育雄牛を売るといたしますと、全国的な平均値で申し上げますと、大体素畜費が十三万八千円、えさ代が十五万五千六百円、その他の費用が一万五百円ばかりかかっておりまして、労働費抜きで生産費が大体三十万四千円という形になっておりますが、八月の肥育牛の販売額が約二十二万三千七百円、純赤字が八万四百円というようなことでございますので、これに費やした労働費を換算いたしますと、確かに、先生のおっしゃいますような相当の赤字になっておることは確かでございます。こうした傾向は、毎月毎月、素畜費も変動がございますし、また、肥育成牛の販売の価格も違ってまいりますので、また、高い牛を買われた方、素畜を買われた方、あるいはまた育て方によって、販売方法によって、成牛の販売額に相当の差があるというような、いろいろな個人的な差はございますけれども、全体的に平均的に見れば、そのようなことになっておるわけでございます。  こうしたことは、特に肉牛の場合には、このような経営の赤字が継続するようでございますと、生産意欲を失わせまして、特に牛の場合、肉牛の場合には、一たん減りますと将来にたいへんなことになるわけでございます。畜産局といたしましても、この点は非常に心を痛めておるところでございます。そこで、あらゆる手段を使いまして、何とかこのような状態から抜け切るような方法をいろいろな手を用いて現在やっておるわけでございます。  その第一番目は、要は市場価格を回復させなければならない、卸売り価格を回復させなければならないわけでございます。この卸売り価格が落ちてまいっております大きな原因は、一つは、昨年異常な牛肉の物価が上昇いたしましたので、生産をきわめて刺激したと、そして、今日供給が非常な勢いでふえておるということが一つの原因でございます。乳雄等の供給は、最近は昨年の倍以上の出回り状況になっておる。片方、消費のほうを見ますと、昨年のオイルショック以来、節約ムードが浸透いたしてまいりまして、水産庁のほうから先ほどお話がございましたように、いわば肉の中でも比較的ぜいたくな部類に属します牛肉の消費が減退しておるということでございます。このギャップが価格の低落ということに、特に乳雄牛の価格の低落ということに如実に反映いたしておりまして、最近では、一番昨年の十月最高値は千百円くらいのものが、現在、大体最近、七.月、八月の半ばまでは七百円という低価格で推移いたしておるわけでございます。この二つの原因がございますので、一つは、このあふれておる牛を何とか市場から隔離しなければならないということが問題でございまして、そこで、調整保管、これは農業団体が実施いたすわけでございますが、農業団体を通じて市場から買い上げていただくわけでございます。これはもうすでに三月から実施いたしておりまして、第一回分といたしましては約二千トン、それからさらに続いて第二次を最近完了いたしたわけでございますが、約三千トン。それで現在までに約五千トンを買い上げておるわけでございます。このための国庫助成費は約六億円使っておりますが、頭数で申し上げますと約一万六千頭でございます。  このような調整保管をしてまいりました結果も、一つは寄与しておることと思いますが、市場価格はこの盆過ぎから逐次回復に向かっております。盆前は七百円という低い値段でございましたが、盆過ぎから急激に上がり始めまして、八百円台、それから九百円台、最高値は九百七十二円というのを八月の二十四日につけておるわけでございます。その後、若干下がっておりますが、これば乳雄牛の場合で申し上げておりますが、最近では、大体先週は九百円台で推移いたしております。今週に入りまして若干下がりまして八百九十円台と一時から見ればかなりの価格が回復してまいったわけでございます。しかし、それでもなお生産費等を考えてみますと、とてもまだやっていけない状況にあることを十分承知いたしておりますので、続けましてさらに第三次の調整保管事業を直ちに開始いたしております。  それで、この第三次の目標数量はとりあえず二万頭ぐらいを予定いたしたい。さらに、それでもなおかつ、不足であればさらに追加してやってまいる。あくまでも調整保管によって市場隔離をはかりながら価格の回復をはかるということが一番の問題点であろうかと思うわけでございます。  それから、なお第一次分、第二次分に買い上げました一万六千頭分も、これを市場に放出いたしますと、価格の回復を妨げることになりますので、これは当分の問、差しとめまして保管を継続いたします。当初四カ月の予定でございましたが、これをさらに延長いたしまして、そうして価格の回復がはかられるまで、これは継続するというような方向で現在やろうということを考えておるわけでございます。  なお、国内からの供給はこのとおりでございますが、外国からの供給、輸入でございますが、これは御承知のとおりの状況でございまして、昨年の輸出割り当てワクの中から約四万トンは凍結をいたしておりますし、また、輸入いたしました一万トンもただいま調整保管中でございます。さらに四十九年度のワクにつきましては、価格の回復を見るまでは割り当てをいたさないというような方向で現在進めております。ともかく需給を回復すること、これが一番の施策であろうかと考えておるわけでございます。幸い、最近、状況を見ておりますと、こまかい統計等はございませんが、価格の回復を裏づけするように総支出、各家庭の支出状況もやや上向いてきたようでございまして、肉の消費も若干上回ってきたのではなかろうか。それを裏づけいたしますように、西日本のほうから徐々に乳雄が動き始めておりますので、間もなくこうした状況全国に及ぶのではなかろうかとかように考えております。  その次にもう一つ問題点はございます。これは、このように卸売り価格が下がりましたにもかかわらず、小売り価格がそのわりあいに下がっていない、したがって、消費を促進しない、こうした一面がございますので、これは小売り段階にはいろいろな事情もあろうかと思いますが、ともかくもう少し小売り価格を下げていただいて消費していただく。ともかく滞留していることが一番の問題でございますので、これを食べていただく、消費者に食べていただくということが先決問題でございまして、このためには百グラム二百円以下の肉を売るということが一番大切なことでございます。そこで、六月以降、農林省中心といたしまして、大消費宣伝を展開いたしておるわけでございますが、第二次の消費宣伝といたしましてこの十月からまた安売りの宣伝キャンペーンを始めたいというふうに、供給の側面あるいは消費の側面、両面にわたって施策を展開いたしておるわけでございます。  なお、先ほど、しからば、農家に対しては何もしないのか、ということではないわけでございまして、赤字で苦しんでおられる農家に対しましては、まず第一番目に、牛を売られましても結局赤字でございます。赤字でございますので、次に継続して素牛も買えないというような状況が出ておるわけでございますので、そこで後継素牛と称しておりますが、これを和牛なら二十万円、乳雄ならば十万円の金融をいたします、という事業を始めておるわけでございますが、これは大体全国で集計いたしましたところ、三百五十億円ぐらいな金が必要であるという話でございますので、この貸し出しをこの十二月末までに完了いたしてしまいたい。現在、各方面の御要求を取りまとめ中でございまして、十二月末までには貸し出しを完了する、これは非常に低利の末端金利四分、差額は国庫が、国から補助するという低利融資でございます。  それからもう一つ、後継素牛よりは、ともかく赤字が出て借金で首が回らないんだというような農家がたくさん出ておるわけでございます。この点につきましては、現在、負債の状況全国にわたって調査中でございます。九月中には大体、負債の状況が判明いたすはずでございますので、その結果が判明次第、一体どのくらいな資金額が必要なのか。末端金利は大体四分ともうすでに決定いたしておりますが、貸し付け条件をどのようにいたすかというような具体的な措置を早急に取りまとめまして、赤字——一時まあ借りかえてまいりますところの融資措置を講じてまいるというような形で現在考えておるわけでございます。
  118. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろ御検討いただいて対策を考えていただけていると思いますけれども、たとえば第三次二万頭ですね、これはいつごろまでに二万頭買いの調整をするか。それから、そのあとまたさらに追加しなければならないときは、それをするとおっしゃっていましたけれども、たとえば大体五万頭くらいはどうしてもいま調整しなきゃならないんじゃないかという数字が出れば、五万頭、六万頭と、それはもうずっとやるということの道はあいているんですか。
  119. 高須儼明

    説明員(高須儼明君) この何万頭買えるかは、一つは何万頭おるかということでございます。そこで、私ども何万頭ぐらいいるんだろうかと、これはちょっとはっきりいたした数字はございません。生産者の方々がよく五万頭滞留しているということをおっしゃるわけでございます。まあ何万頭いるのかわかりませんが、ともかくとりあえず二万頭手がけてみたい。それからいつまでにそれが買えるのかというお話でございますが、これは現実的ないろいろな問題がございまして、買いました牛は直ちに解体いたしまして部分肉にして、冷凍して保管するということでございますが、なかなかこの解体処理の技術者がいないとか、あるいは屠場に制限があるというような問題もございまして——もちろんこれは全国的にやることでございます。重要市場において全部やるわけでございますが、従来の実績から見ますと、これいろんな理由で、これだけしか実績があがっていないわけでございますが、千五百トンくらいがあるいは月に限度かもわかりません。あるいは加工業者等動員いたしまして、もっと倍にいたしましても、まあ三千トンというようなことで、一万頭処理するというのは容易なことではございませんが、ともかくあらゆる方法を使いましてできるだけ進めていきたい。したがいまして二万頭がいつまでに完了するか、なかなかちょっと現在見通しがつかないわけでございますが、まあ三千トンといたしますれば二カ月ぐらい。まあ二万頭処理するにはなかなかかかるわけでございますが、一応姿勢の問題もございます、いろいろその他の方法も考えるわけでございますが、もう一つは、非常にこの暮れに向かって価格が上がるんではないかという逆の心配も実はございまして、価格が上昇いたしましたら調整保管はストップするわけでございます。そこで、一定価格まで上がった場合には一応停止いたしますので、そうしたことからも期限に対しましては若干ちょっと見通しがつきかねておるわけでございます。また、いままですでに五千トン買っておりまして、今後数十トン買うとすれば、万一十二月に暴騰が起こるようなことが——あるかないかよくわかりませんけれども、そのような場合でも直ちに放出ということで消費者対策にもなろうかというふうに考えておりますので、できるだけ安いうちにどんどん買い入れてまいる、こういう姿勢でございます。
  120. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういう立場でやっていただかなければならないんですけれども、いままでの第二次までで五千トンという数字が出ていても、さっきおっしゃったように、この危機を乗り切るのに、たいして役に立っていないということや、それからまた、消費者の立場に立ってみれば、先ほどおっしゃったように、さっぱり値段は下がらないというような、その中でも流通の問題などいろいろあろうかと思います。まあ、それはまた今度日をあらためて具体的にお聞きしたいと思いますけれども、まあ、こういうわけで農家のほうがたいへんな状態に置かれている。先ほどおっしゃったように、一たん減ってしまいますと、すぐぱっとこうできるというもんではないという立場から考えますと、これ相当長期的に、そしてしっかりした対策を立てていただかなければならないと、そう思うわけなんですね。こういうような赤字でたいへんだという中の大きな原因には、飼料の値上げということが非常にこれはもう大きな問題になってきました。この二月に値上げされてから四月、七月と約四千円値下げされましたね。これは農民の方々の要求、そして私なども七十二国会でこの問題を取り上げて、まあ黙っていればこの値下げというのはなかったんではないかと思うほどですけれども、とにかくそういう状態で下がったということはいえると思うのです。しかし実際、農民の皆さんと話していますと、これくらい下がってもまだまだ下げる余地はあると。五千円から一万円の引き下げが可能ではないかというふうに自分たちの立場から計算しているわけなんです。こういう声を聞きますと、やはりそれには一応の根拠が出ているわけなんですよ。  たとえば具体的にお伺いすることになりますけれども、農林省がある通信社に依頼して全国二十都道府県の、これ飼料月報に出ているんですけれども、各種配合飼料小売り価格の調査ということをなさっていらっしゃいますね。これが四十九年六月の飼料月報に出ているんですけれども、これ見せていただきますと、ずいぶんいろんな問題があると思うんです。たとえば乳牛用の配合飼料の場合です。普通粗たん白一三%以上、これ二十キロに換算してみますと、ことしの六月で最も商いのが札幌になっているんですけれども、千五得五十六円になっています。そして最も安い岡山市が千百円と、その差が四則五十六円です。これをトンに直しますとその差が二万二千八百円という非常に大きな数学になるわけですね。平均価格で言うと六万二千円という中で二万二千八百円の、地域によっては、四割近い差が出てきているということで、ちょっとこれ見てびっくりいたしました。それから肉牛用のほうも同じで、札幌で千四群八十六円、広島で千六十円、その差トン当たりにしますとこれまた二万一千三百円という数になって出ているわけなんです。こんなに差があるということは一体何なのか。この最低値段で売ってもメーカーがまかなえるから、最低値で売ったとすれば、この差額というのは、高く売っているところはそれだけもうかっている。だから、その最低で売ることができると考えられるのじゃないか、というふうに私は見たんですけれども、この点はどういうふうに見てお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  121. 高須儼明

    説明員(高須儼明君) ただいま先生の御指摘いただきました統計表は、実は、私どもある通信社に頼んで、委託して調べております地域別価格調査でございます。この調査自体、手法上なかなか困難な点もございますし、これで、都道府県を、若干、御指摘どおりの、この数字を、どのように理解するかというところにいろいろの問題点があるわけでございます。そこで、この調査は、実は四十九年度一カ年だけにいたしまして、もう一度方法論を考えまして、畜種別、形態別、階層別等でもう一度やり直したいというふうに思っておりますので、この数字で直接お答え申し上げることは避けさせていただきたいと思います。が、特に遠隔の地、北海道に若干問題があろうかと思うわけでございますが、どうしても北海道は地域の特性上非常に広大な面積を占めております関係上、中継基地あるいは工場等から末端農家までの運賃コストであるとか、あるいはまた、原料を輸送いたします場合、そういった原料の輸送費であるとか、そういうようなもので、若干その差額が生じてまいることも考えられるわけでございます。で、私どもといたしましては、行政指導といたしましては、北海道はともかく日本の畜産基地である、主要な畜産生産地帯の一つであるから、できるだけ運賃等、メーカーさん等からの計算でいろいろな不利の点もあろうけれども、畜産農家の負担が片寄らないように、というふうな一応お願いはいたしておるわけでございます。ただ、末端価格と申しますのは、支払い条件と申しますか、それからサービスぶりがどうなるとか、いろいろなこととも関連いたしておりまして、なかなか価格をとらえるということは実はむずかしいわけでございますが、行政指導としては、先生の御趣旨に沿うようにできるだけやってまいりたい、かように考えております。
  122. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 たいへん御丁寧な御答弁で、すっかり聞きほれて時間が過ぎちゃって、いまおこられちゃったんです。それで簡単にお答えいただきたいと思うんです。  いろいろとどういう店からの調査とかいうようなことで、いろいろこれはずさんだ、ということは私もそうだろうと思いました。そんなずさんなのがここに出ないで済むように、これをおつくりになるときに、これからちゃんと役に立つものを出してください。畜産局編なんて権威のある瀕しているんだから。それをよろしくお願いします。  それで、だけど、これまんざら、うそではないと思うんですよ、この値段について非常に差があるということは。その裏づけとしまして私、方々聞きました。そうしたら鹿児島県でことしの三月に、これは鶏のほうの養鶏農家で、成鶏用の飼料、粗たん白一六%の購入価格を調査したんです。そうしたら最高が七万四千二百五十円から最低六万八千円になっている。その差が六千二百五十円ということなんですね。しかし、これの飼料の値段というのはみんなないしょなんですね。販売店がおたくは一番安くあげているんだから、値段を公表したら上げますよ、というようにおどしているんです。それでここのところは、無記名投票でということで、えさが高くなったからというので、実態を調べるということでやってみたんです。そうしたら、これだけの差があったということで、それでメーカーのほうに交渉した。そうしたら日清製粉は六千円引き下げた、それから日配は約七千円の引き下げをした、こういうことなんですよ。  だから、ここに、ずさんであるといっても、この差が非常に多いということは事実なわけなんですよね。で、その差が非常に大きいということが事実であって、このためにその飼料メーカーが、農民を分断して、そうしてお互いにだまらせておいて、結局うまいことやっているということは、六千円、七千円というように下げたんだからそれではっきりすると思うわけですよね。そういうことが放置されますと、正直な農民は、うちだけが安いんだと思って、結局損させられるということがありますから、その辺のところを、メーカー側にも、きちっと行政指導でも注意でも何でもやって、そんなことがないようにしてもらいたい。おどかしていて、しかもそれは文書になってないから証拠書類としてはできない。全部口頭でやっているんですね。そういうわけですから、この辺のところもおたくのほうで調査をきちっとしていただきたいということなんです。調査して、そういうような事実が現にあるんだから、そういうことを分断してというようなことをさせないようにということをやってもらいたい。これから調査なさってその事実がどうなんだと。六千円も七千円も言われれば下げられるということは、それだけ大きく幅とってたということになるわけですから。だから、今度十月に値上げだとか来年一月また値上げというようなことが出てますよね。そうすると、もう十月といったらすぐですから、そんな間近に値上げさせるんではなくて、これを調査するということで、具体的にそれを調査してから、あとに値上げという問題があれば、それ検討するということを私は、ぜひすべきではないかと思うわけなんで、その辺のところを簡単にお願いします。
  123. 高須儼明

    説明員(高須儼明君) 末端価格につきましては、先生の御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。  それから、飼料価格の建て値につきましては、これはいろいろコスト等も私どもも計算いたしておりますので、まあ十−十二月のものがさしあたって問題だと思いますが、十分そこは慎重に検討をいたしまして、畜産農家の負担ができるだけ少ないように行政指導はしてまいりたい、かように考えております。
  124. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃあその辺のところはしっかり調査をして——値段をきめるときの具体的な資料というのにもなりますからしっかり調査していただくことと、そうして行政指導のほうでもしっかりやってくださいね。その分断させたり、そんな幅をうんととっちゃったりというようなことのないように。  それで、時間がないので気がせいちゃうわけですけれども、こういうような問題が起きるのは、私もこの間、国会で言ったように、原価というものが公開されていないからで、私たちに知らせられればね。不当なことを言ってないわけですから、ここまできたら、どうしても原価を公開するということが必要な段階にきてるんじゃないかということですね。で、その辺のところをひとつ原価公開させるべきではないかということについてどう考えていらっしゃるか、この点を一つ。  それから輸入価格、飼料原料の輸入価格の問題で相当操作もされているし、またこれが非常に高値だというようなことも出てきているわけです。だから、当面のこのえさの暴騰解決のためには、どうしても飼料需給安定法のこの四条、五条を運用して、トウモロコシそれからコウリャンというような飼料穀物を、飼料用麦と同様に、政府が買い入れして、売り渡しを行なうということが必要なのではないか、そういうふうに飼料需給安定法を改定する。また、それを運用してトウモロコシ、マイロなどもそれに加えるというようなことなどもいま必要だと思うんですけれども、その辺のところはどうですか。
  125. 高須儼明

    説明員(高須儼明君) 最初の点でございますが、メーカーのコストの点でございますが、これはいろいろな企業の業態がございまして、なかなか企業の秘密の分野にも属するものがございますので、むずかしい問題があろうかと存じます。実際、私ども価格をチェックいたします場合には、最も代表的なモデルをつくっておりまして、えさはいつごろ買う、このときにはシカゴ相場が幾らであった、フレートが幾らであったというようなモデルをつくっておりまして、このモデルでもって、それよりも高く買ったところもございますでしょうし、安く運営したところもございますでしょうが、やはり全体の個々の企業できめるわけにまいりませんので、したがいまして、役所のモデルに従って判断してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。  それから、第二番目の点でございますが、メーズとかマイロ、こういったものを、やや食管制度に近いもので運用したらどうかという御趣旨のように承りましたが、現在食管制度が取り扱っておりますのも、せいぜい五、六百万トン程度の数量の穀物でございます。えさの原料と申しますのは一千百万トン、将来ますますふえてまいるといたしまして相当な数量でございまして、これを運営管理するためにば、もう二つ、三つ食管をつくらないといけないというような問題がございますので、現実には不可能でございます。できるだけ自然流通というものを何らかの形でコントロールできるような、もう小し食管とは違った形でいろいろものを考えてまいりたい、かように考えております。
  126. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうふうに食管並みにするのも困難だと、財政的な問題で。そうしたら解決できる見通しはありますか、この暴騰を押えるということが考えられますか。基金の問題もあろうかと思うけれども、その基金の問題もまた長くなると時間がかかるから……。こちらも大体調べていますからわかりますけれども、いろいろ基金で、ということになっても、結局これが農民からのまた持ち出しになるということではたいへんだから、助けてほしいというのに、また持ち出しで、自分たちが、その基金に参加して出さなければならないということになるとたいへんだ、というところから考えて、これもだめ、あれもだめになったら妙案というのは何かあるんですか、お宅のほうで。解決できるめどというのはありますか。
  127. 高須儼明

    説明員(高須儼明君) 結局、先生のおっしゃいました基金に解決を求めるよりいたしかたないと思うわけでございますが、基金も農民の負担ではなかなかむずかしかろう。このような国際変動というのは、結局だれか企業にまかせても、これはなかなか解決ができないというような性格のものでございますので、進んで国が中に入ってまいりたい。かようなことで明年度の予算要求にも親基金という考え方、再保険制度のようなものを考えておるわけでございます。
  128. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それは農民の負担というのは、どういうふうに見ていらっしゃるのですか。
  129. 高須儼明

    説明員(高須儼明君) 生産者、企業等の負担する部分とほぼ同じ程度のものを国が負担したい、かように考えておるわけでございます。
  130. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まあ、ちょっと中途はんぱになりましたけれども、また、これはあとで続けて伺わせていただくことにして。最後に、ちょっとの時間に、バレイショの問題で、担当はどなたになりますでしょうか、お伺いしたいと思います。  もう御承知だと思いますけれども、葉巻きビールスの発生率が非常に商いですね。これは北海道の農林部の発表でも、全国発生が七三・七%です、発生率で言うと。私は、網走管内を回りましたけれども、ここは実に九七・九%という発生率になっているわけなんです。そういうのは一体どういうことで起こったか、というような原因ですね、問題は。そうすると、いろいろ伺って、アブラムシの異常発生とか、機械掘りで野らばえが出てきちゃったとか、それから収穫までに原々用の種イモを長く賢いといたからとかいうような、いろいろな原因があると思うのですけれども、時間がないから、現実の問題として考えますと、たいへんな費用を使って防除していますけれども、ここまできますと相当の対策を立てないと、これが来年、再来年ということになりますと、被害がまた相当拡大されてきているんではないかと、そう思うわけなんです。  で、特に問題になりますのは、原種、原々種のほうもたぶん感染しているんだろうということが言えるわけですね。原種圃で、そして抜き取りをやってみると、相当なあれが出てきているわけですから。そういうことになりますと、この緊急対策として駆除をするというその農薬の問題だとか、それから抜き取りなんかきちっとやってもらうとかいうような問題、それから根本的には、その原種圃を普通の一般イモの畑と別に隔離して、きれいなイモがとれるようにする、というような問題が出てくると思うわけなんですね。で、そういう点について具体的にこの緊急な対策としては、どういうふうな手を打っていただけるでしょうか。農民は一生懸命やると言っています。しかし、もう来年の問題ですから、大きく出てきますから、いままででも、農薬でうんとお金を使っていると。で、来年また拡大していくのをこのまま置いておくわけにいきませんからね。だから、それは緊急防除の対象にしていただいて、そしてそれを義務づけると一緒に、それに対しての損失を補償するというような手を考えていただかなければならないと思うのですけれども、緊急対策としてどの程度考えていただけますでしょうか。
  131. 松元威雄

    説明員(松元威雄君) 時間の関係原因その他ば省略いたしまして対策について申し上げます。  まず葉巻き病になります原因は二つあるわけでございまして、一つは、感染した種イモを使うということから起こる問題が一つ。それからもう一つは、健全なイモを使いましてもアブラムシを媒介として伝播する。二つあるわけでございます。したがって、対策は今後健全な種イモを供給するということ、それが一つの方法。それからもう一つは、アブラムシを極力防除するという方法、二つあるわけでございます。そこで、健全な種イモを供給する。これも根本にさかのぼりますと、例の原々種から原種、採種と、こういうことでございますから、これも来年度の早急の問題と、さらに時間をかける問題と両方あるわけでございます。それから、当然、栽培管理をちゃんとしなきゃいかぬわけでございまして、これは国の原々種農場では、いやしくもおそれのあるものは抜き取るということをちゃんといたしておりますが、どうも原種から採種、さらに一般農家のイモにおきましては、その辺の管理がだんだんとおろそかになりがちであるという実態がございます。したがいまして、特に一般農家におきましては後期感染したものは、その年直ちに収量に大きく影響しないものでございますから、なかなか実際にアブラムシ防除をしていないという現実がございます。したがいまして、これに対しまして徹底した抜き取りをするということ、アブラムシ防除をやるということ、これを一般的に、まあたがを締め直すと申しますか、をしなきゃならぬというふうに考えているわけでございます。そういう一般的な前提の上で、具体的には、とりあえずいたしますことは、どうも従来とかく原種段階、採種段階ではかなり防除をやっておりますが、末端の一般イモの段階では、どうも十分行なってない実態がございますものでございますから、ことしは特に異常発生の高いところにつきまして緊急防除ということで国も助成するということで、いま道と打ち合わせて助成措置を進めているわけでございます。これは本来厳密に申し上げますと、一般の防除でございますから、ほんとうならば農家の方が自主的におやりになるのが普通でございましょうけれども、ただし、従来一般的に当年の被害があまり出ないというものでございますから、どうもなおざりになりがちである。そこで、それを推進する意味から、特に被害のひどいところに対処いたしまして緊急防除をするということで助成措置を講ずることにいたしております。これはとりあえず緊急でございますから、来年以降も引き続き防除体制を締め直しまして一般的に防除を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから、第二点の健全な種イモの供給でございますが、これにつきましては御案内のように、原々種から始まって原種、採種と、こうあるわけでございますものでございますから、国の原々種、これはもちろん施設整備いたしまして、より一そう健全な種イモの供給に万全を期するわけでございますが、問題は中間の原種、採種の段階でございまして、これはもちろん抜き取りもいたしておりましたし、防除もいたしているわけでございますが、とかく回りが開発されまして一般のイモと混在されるようになる傾向がございます。そうしますと、感染の機会が多くなる。したがいまして、この際、防除体制をもう一ぺん再編成いたしまして、極力隔離した場所に集中化してまいりたい、でそこに施設整備するということにしてまいりたい、こう思っております。これは、いわば再編整備と申しますか、そのために来年度新しいくふうをいたそうということで現在案を考えておりまして、いま予算要求をしている。こういう実情にございまして、そういう緊急の防除、さらに来年の秘イモをどうするかという問題、さらにこれの対策といたしまして、長期的に種イモの健全供給ということで対策をいろいろ講じている、こういう次第でございます。
  132. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 当然、バレイショは、植物防疫法に基づく国内検疫の対象品目になっているんですね。私も今度勉強さしてもらったんですけれども、そうすると、当然、防除体制というものも、おたくの行政的な責任においても相当やられなければならないと思います。で、いま緊急対策を、道といろいろ打ち合わせてやってくださると言ってますけれども、その緊急対策の中身ですね。この中身を具体的に、どういうのを考えられているのかということもお伺いしたいんですし、それから損失補償ですね。抜き取りしても、それだけ、抜き取った分だけ減収になりますしね、それから薬剤なんかももうたいへんなお金ですね。一戸当たりどれくらいかかるかというのを聞いてみたら、エカチンというのを聞いたら、反当たり六百円くらいかかると。それともう一つ、何と言うんですか、オルトランとかいうのとね、それを八回くらい原種圃なんかにやっているんですよね。そうするともうすごい赤字になってきていると。だから、緊急防除するというところに、たとえばここに、第二十条に損失補償というのが出てきていますね。その損失補償というのが、しっかりされないと、抜いちゃってそして減収になったら困るということにもなってくるから——そんなんなら当代の感染したのは使えるわけですから、たいしてどうっていうことないんだから、そうしたらしなくてもいいということになってくると思うんですよ。だから、緊急防除の実をあげるためには、しっかり抜き取りやってもらう、しっかりアブラムシ退治の農薬をやってもらう。そのことが徹底して行なえるような、そういう対策を立ててもらわなければ、やんなさいと言うだけではできないということですね。その辺のところを、打ち合わせの中で、具体的に実効のあがるような緊急防除の体制とそして損失補償ということを考えなければならないのではないかということが第一点です。  それから、——時間がないから、すみません、続けてお伺いします。第二点の問題は、種イモで、種イモを確保しなければならないということですね、緊急のいまの問題として。そうすると、いままでも大体四〇%くらいじゃないですか、あの原々種から、原種からというようなふうになってくると。あとの残りの分というのは、それぞれ目分のうちでのいいイモを使えと、そういうことになるわけですよね。そうすると、自分のうちで見たところ、わかんないし、というようなことで、また来年度はうんとふえてくると思うんですね。そうなると、やっぱりいまおっしゃった原種圃の整備だとか拡充を、それから原々種の国の責任でのその施設を広げるとか、拡充するとかというような、根本的な対策をつくらなければなりませんよね。で、いまおっしゃったのは、そういう問題について、原々種や原種圃なんかの整備をして、ということは、隔離されたところに移転するというような、土地の問題やそれについての助成の問題ということも考えていらっしゃるというふうに理解してよろしいのかということですね。  それから三番目には、まあ、それがないときれいな種イモが確保できないというむずかしい問題が出てきていますから、いまの問題は、間に合わなくても、ぜひその原々種から始まっての種イモ確保と、更新率をもっとよくしていくという立場に立って検討していただきたい。で、私なんかが見れば、北海道はいいところがたくさんありますからね、国有林のすそ野にもいいところがあるし、演習場なんて、もったいないのが一ぱいありますしね、まあ、そういうことも頭に入れて考えていただきたいと思います。  それから、地域特産物生産団地育成事業というのがありますね、今度。それが非常に重点的な今度目玉みたいになって出ているな、と思って見たんですけれども、そのことを使いましてね、いろいろな仕事をやってもらいたい。たとえば種イモの選別機械というものがほしい、それから、貯蔵施設をつくるための助成がほしいというような要求が具体的に出ているわけですわ。そうすると、ジャガイモの場合、北海道特産物ですからね、だから地域特産物生産団地育成事業というのが、概算要求を見ましたら、七億の予算を組まれていましたね。いままでお茶だとか、さっき話に出たコンニャクですか、何か出ていたみたいだけれども、ぜひジャガイモもそれの対象にしていただいて、いま言ったような選別の機械だとか、それから貯蔵施設というようなことにも使っていただけるようにお願いをしたい。それから、種馬鈴薯生産体制整備事業補助金というのを一億二千万円いま出して、大蔵省交渉に入っていますね。それもしっかりがんばって削られないで、ちゃんともらっていただけるように努力をしていただきたい。こういうふうに、皆さんで根本的な問題から改善していただくということと、具体的ないまの緊急防除の問題ということと、両面立てで、しっかりこの問題の解決をはかっていただきたい、ということを要望も添えていまの問題のお答えをいただきたいと思います。
  133. 松元威雄

    説明員(松元威雄君) まず感染したイモを抜き取る、さらに防除をするという問題。これは原種圃、採種圃の段階における問題と一般農家の段階と両方あるわけでございます。そこで、種イモを検査をいたしておるわけでございます。したがって、検査に合格するためには、感染したものを抜き取る、これはもう当然のことでございます。逆に抜き取らなかったならば、一般に感染しますから。これはむしろ種イモ農家が当然やるべきことでございます。で、問題は、そういたしますと、それで検査をしまして、合格、不合格——不合格のものは出しませんから、まず原則的には、そこから出るものは感染したタネイモはないわけでございます。それから着手問題でございますのは、後期感染というのがございまして、検査時点では発見できないと、こういう面が若干ございます。これは最近、栽培期間が延びたものでございますから、そういう現象が起こりました。そういう面がございますが、原則的には種イモ圃場でちゃんと管理いたしますれば、あとの一般圃場に迷惑をかけるような種イモはないわけでございまして、したがって、私は、損失補償云々という問題は起こらないと思っております。それから、一般圃場につきまして私申しましたのは、一般のイモ栽培農家の方も、本来ならば防除をするのが営農上当然といえば当然でございますが、ただし、実際問題として、後期感染したものは当年の収量はなかなか落ちない、翌年に影響するものですから、そこまで手が阿らぬというのが実態で、どうもいままで一般のイモ栽培農家の方はあまり防除をなさっていらっしゃらないというのが実態でございます。  それからまた、もう少しむずかしいのは、アプラ虫の場合には、これはバレイショだけではございませんで、ほかの作物もみんな共通に飛び回るものでございますから、なかなか手が回りかねるという問題がございます。したがって、問題は、本来営農としておやりになるいわば防除と特別にやる防除の仕分けをどうするか。これは、実は緊急防除に対しまして特別助成をいたしておりますが、その境目がなかなか問題でございまして、どこまでが普通の営農でやるのか、どこまでが異常なものかという境目がなかなかむずかしいという点がございますが、今回は特にそういう実態がございましたから、非常に被災率の高いところを対象にいたしまして、本年度約千八百万円の緊急防除費を助成するというふうにいたした次第でございます。  それからなお、防除薬剤費でございますが、これは薬の種類にもよりましょうが、私ども、的には十アール当たり約二百六十円ということで積算をいたしてございます。  で、これが当面でございますが、これをやったからといってアプラ虫が根絶するわけではございませんで、これをやっぱり息長くやらなければいかぬと、今年だけでございませんで、来年もやっていただかなければならぬ。したがって、要はアプラ虫防除が緊急防除の助成を、いわば、てこにいたしまして、一般に定着すること、そういう指導をやっぱりしていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。  それから、さらに根本対策でございますが、御指摘のとおり更新率を上げること、これがやっぱり大事でございます。私、先ほどアプラ虫防除とそれから健全種イモと申し上げましたのは、まさにそれでございまして、したがって、いかにして更新率を上げるかという問題でございますが、これには、先ほど触れましたが、原々種から始まって原種、採種でございますから、少し息が長いわけでございます。その場合、もちろん国の原々種も整備いたしますことは当然でございますが、いま一番の実態上の問題は、これはやっぱり原種圃、採種圃の段階が問題であると思っておりまして、従来は比較的隔離されていたわけでございますが、回りが開発されまして、逆にそこから感染区域がふえたものでございますから、そこで、いわば集中化をして隔離いたしたい。その場合、もちろん土地の利用権の交換分合の問題はあろうかと思いますが、主といたしまして、施設に対する助成をしてまいりたいということで、先ほど来の数字を大蔵省に予算要求いたしておりますが、これを私どもぜひとも確保いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それからなお、地域特産団地の育成対策事業でございますが、これは、もちろん種イモだけではございませんで、一般のイモも当然含むわけでございますが、これはもちろん従来も対象になっていたわけでございますが、これは、予算の全体の金額の問題もございますが、従来利用したものが多いのは——確かにおっしゃるように、お茶とかコンニャクが利用した例が多うございました。つまり対象になっておりますが、現実の利用度が少なかった。もちろん予算のワクの問題がからむわけでございますから、したがって、制度上対象になっておりますもので実例もございますが、今後これを御活用になるようにと申しますか、私たちも、特定の作物に偏することなくこれを使いまして、生産流通の合理化を進めてまいりたいというふうに考えております。
  134. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時六分散会      —————・—————