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説明員(山岸勘六君) 十一月十二日午後二時二十二分から夕方にかけまして上り列車の四本が新大阪駅の六番線到着並びに発車の際に、一部区間におきまして、約四十メーターないし五十メーターの区間でありますけれ
ども、この区間におきまして三十信号、あるいは七十信号であるべきところに二百十信号が発生したのであります。これは当時、いわゆるゼロスリーと私
ども言っている区間があるわけでありますが、このゼロスリーは実は六番線は上り線でありますけれ
ども、下り列車を上り線にとって折り返すという場合があり得るわけでありまして、そういうことをやる場合、非常の場合の措置としてゼロスリー区間、こういう列車に対するゼロスリー区間を設けているわけであります。いわば下り列車が上り線に入る際の安全側線ともいうべき場所になっているのであります。このゼロスリー区間の四十メーターないし五十メーカーの区間におきまして、二百十信号を二秒ないし三秒受信したわけであります。
したがいまして、私
どもといたしましては、これが直ちにきわめて危険な運転
状態につながるという判断はしてなかったんでありますけれ
ども、しかし事柄が事柄であるというようなことから、直ちにこの構内のATCを全面使用停止にいたしまして、そして
調査に当たったわけであります。
調査結果、
先生御
指摘のように確かにAVRの予備機に問題点がしぼられたんでありますけれ
ども、現地におきましては
調査不十分である、とても
調査できないということから、これを別の予備機に取りかえまして、東京へ持ってまいりまして詳細な
調査をいたしたわけであります。同時にまた同型式のAVRにつきましても、他の個所でも使用いたしておりますので、細部点検をいたしました。
この細部検査と申しますのは、もちろんばらして見るわけじゃありませんけれ
ども、普通の測定器以上に、オシログラフを使ったところの測定器でないとわからぬというようなことで、そういった測定をいたしまして、一応一ヵ所姫路の予備機におきまして若干あやしいものがあるということで、これまた予備機を取りかえておりますけれ
ども、東京へ持って帰りましたこの新大阪駅のAVRの二基につきまして詳細に点検いたしましたところ、いわゆる常用機のほうにおきまして、いわゆる端子板、いろいろ電線を接続している端子板でありますけれ
ども、この端子板に亀裂があったわけであります。
この亀裂は、おそらくネジの締めつけが強かった、製作時において強かった、若干の傷が、製作時期においてあるいは亀裂がなかったかもしれませんけれ
ども、その後におきましてだんだん大きくなりまして相当の傷になってしまった。非常に小さいものでありますけれ
ども、このために電線の接続部がゆらぐというふうなことで、ふらふらしているうちにこの二百十信号に非常に近い九百八サイクルというものが出ておったということであります。したがいまして、全列車に出なかった、あるものに出あるものに出なかったというふうな現象も解明できたわけであります。
この過程の中に、
先生御
指摘の予備機の調整装置かつないてない——これはつないでないというのはつないでなくともよろしいということなんでありますけれ
ども、このいわゆる電圧調整がその結果としてうまくいっていないということ、これは先に発見されたものでありますから、このほうが
一般に報道されたわけでありますけれ
ども、独立した二つの問題が浮かび上がってきたわけであります。
今後これらの処置につきまして、現在使用中のもの、あるいはまた博多開業に向かって使用しているものについては、全数
調査してございますけれ
ども、実はこの二基ともに十一日の晩に取りつけているわけであります。過去三年半ほど使いまして、新大阪駅の東のもとの機器室で使っておったものを西に移動いたしているわけであります。このために、あるいはそういった調整不良あるいは傷が大きくなるというふうなこともあったかもしれません。これらの工事につきまして、今後ともに気をつけていかなければいかぬ問題も付随しているわけであります。まあ
先生御
指摘のように、自信を持っているとは言いながら、このような故障を起こしまして、列車も多数運休いたしまして御迷惑をおかけして、たいへん不面目な次第でありますが、一そう今後ともにこれらの
事故の撲滅に
努力してまいりたいと思う次第であります。