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1974-10-23 第73回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十月二十三日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 平林  剛君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤 六月君    理事 木部 佳昭君 理事 橋口  隆君    理事 井岡 大治君 理事 松浦 利尚君       愛野興一郎君    片岡 清一君       羽生田 進君    山崎  拓君       金子 みつ君    小林 政子君       有島 重武君    石田幸四郎君       和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局取引部長 後藤 英輔君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         大蔵省主計局主         計官      梅澤 節男君         大蔵省銀行局銀         行課長     宮本 保孝君         文部省体育局長 諸沢 正道君         農林省食品流通         局長      森  整治君         通商産業審議官 天谷 直弘君         通商産業省機械         情報産業局電子         機器電機課長  鈴木  健君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         中小企業庁次長 小山  実君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  3. 加藤六月

    加藤(六)委員 大臣、おいでいただいておりますので、私、主として公共料金問題並びに公共料金あるいは物価一般に関連しての来年度の経済見通し等についてお考えを承りたい、こう思います。  わが委員会は、物価問題を中心に取り組み、国民生活の安定と繁栄というものをどうやってこいねがっていくかということで、超党派でこの問題に取り組んでおるわけでございますが、まず一番最初に、現在の物価問題に対する認識という点について承っておきたいと思います。  私の考えでは、現在はインフレデフレが共存して進行しておるという、戦後三十年間の日本経済が味わったことのない形と経験をやっておるのではないか、このように判断いたしております。いわゆる一連の物価上昇というインフレ状態というのは、中小企業零細企業その他いろいろな業種におけるところの深刻な不景気で、あるいは倒産続出、あるいはある業種によっては滞貨あるいは生産制限ということを好むと好まざるとにかかわらずやらざるを得ないという状態は、戦後のわが国経済インフレデフレかという論争と異にしまして、インフレデフレがともに存在し、ともにそれぞれの立場で進んでいっておるという状態ではないか、このように私は判断いたしておるわけでございますが、わが国経済企画の中枢におられます大臣としては、それに対する御認識はどうであるかということをまず最初に承っておきたい、こう思います。
  4. 内田常雄

    内田国務大臣 昨年来から今日のわが国経済状況というものは、加藤委員がおっしゃるように、まことに、インフレ、すなわち物価高というものとデフレ、つまり経済停滞というものが同居をいたしております状況でありますことはおっしゃるとおりでありまして、これは別のことばで申しますと、インフレスタグネーションが同居しておるというわけで、スタグフレーションということばになっておりますことも御承知のとおりであります。  経済状況は、最近は、わが国経済成長実質成長などの推移が示しますように、若干のマイナス成長状況がうかがわれますことから判断されますように、個々の産業あるいは現実の経済界動きというものが、非常に停滞的な状況を示しております。すなわち、生産はかなり一般的には落ち込んでおりまするし、その反面、滞貨はふえてきておる、こういうような状況でございますので、雇用関係などにつきましても、これから先いろいろ考慮しなければならない問題があると私ども判断をいたしております。すなわち、有効求人倍率と申すことばであらわされておりますように、求職数求人数との割合が最近目立った変化を来たしておりまして、有効求人倍率が今日の状況では一を少しこえる程度、毎月有効求人倍率が小さくなってまいりまして、今日では一を少しこえる程度、労働省などの専門的な判断によりますと、これから場合によっては有効求人倍率が一を割り込むことがある心配もなきにしもあらず、すなわち求職者数よりも求人数のほうが小さいというような現象も憂慮される、こういうことを述べておりますことも加藤さん御承知のとおりでございます。  しかし、物価のほうは、ことしの春以来卸売り物価消費者物価ともかなりの落ちつきを示してきております。ことに卸売り物価つきましては、去る九月は上旬、中旬、下旬ともわずかではありますけれどもマイナス〇・一%の低落を示しまして、十月の上旬に至りましてこれがやや反騰いたしました。これは米の消費者価格卸売り価格が上がったというようなことやら、あるいは海外からの輸入物資、ことに食糧関係などに若干の上昇が見られたというようなことを反映いたしまして、卸売り物価におきましても、十月の上旬は〇・四%というような、わずかではございますけれどもまた反騰を示しておるような状況、また消費者物価につきましても、全体としてはこの三月以来月間一%を割るような月も出ておりますけれども、しかし、これは卸売り物価ほどの顕著な低落現象が必ずしも定着をいたしておりません。現に九月の東京都の消費者物価指数というようなものも若干高くあらわれておりまするし、十月はまた公共料金などの関係もございますので、私ども消費者物価にそれがある程度反映することを予測せざるを得ないような状況でございますので、物価対策のほうからもちろん手を抜くわけにまいりません。  簡潔に申しますと、総需要抑制金融引き締めという政策の基調をこの際手直しをするとか、あるいは緩和をしてまいるという方向をとることができませんけれども、さきに申しました経済停滞のような状況、ことに、業種によりましては放置できない業種も御承知のとおりあるものでございますから、こうした状況に対応して総需要抑制を緩和するとか、金融引き締めを、手直しするとかいうようなことばは私は使いませんで、これも御承知のように、こういう状況に処して、立体的な構造をもって総需要抑制金融引き締め大道というものは走らしておくけれども、必要に応じて地下道をつくって向こうに渡らしたり、あるいはモノレールを設置して横を通すというようなことをやる。手直しではない。それは別のことばでいいますと、細心の配慮を払いつつも総需要抑制は続けるというようなことばが使えるわけでありますが、私は立体的、機動的、こういうことばを使っておるわけでありまして、したがって、経済企画庁といたしましても、物価の問題は最大の課題といたすことはもちろんでありますが、同時にまた、経済停滞に対する対応策というもの、雇用に対する対応策というようなものも考えていかなければならないむずかしいときに差しかかっている、かように判断をいたしております。
  5. 加藤六月

    加藤(六)委員 長官から、私が次に御質問申し上げようと思うた問題点までだいぶいま御指摘いただいたわけですが、これはわが自由民主党ではございませんが、私たち少数有志が、昭和四十九年度の予算をつくるときの、伸び率幾らにするかという問題等があったときに、昭和四十九年度の成長率マイナス三%、物価抑制第一主義だ。その場合にはある程度失業者が出てもやむを得ぬだろう。その失業者の数は幾らぐらい出るだろうか、およそ七十万人出る。そういうところで、片や雇用促進法という法律の改正もあわせて行なっておかなくてはならない。ほかにも勤労者財産形成の問題とかいろいろな問題等を考慮したわけでございますが、そういった法案が不幸にして廃案になり、あるいはまだ国会で成立しない状態になりましたが、四十九年度の予算に臨む私たち自由民主党内部のごく有志考え方は、いま申し上げましたように、実質成長マイナス三%、その過程において一部の摩擦が起きて七十万人の失業者が出るんではないかという想定を立てたことがございます。先般、長官記者会見におかれまして、本年度の成長率マイナス一ないし二%ではないだろうかというようなことをおっしゃったように、私は新聞記事で拝見したわけでございます。また片や労働大臣が、いま長官がおっしゃいましたような失業問題を含む、あるいはレイオフ、いろいろな問題での問題提起をされ、真剣に考えておられるわけですが、この問題はあとに譲ります。  その次に私たちが、国民生活並びに日本経済ものさしとしていままで判断いたしておりましたのは、わが国外貨保有高という問題が一つ、そしてもう一つは、いま長官がおっしゃいました物価高という問題、この二つわが国国民生活経済活動の大きなものさしとして、国民生活を不安におとしいれない、国民生活を安定させ、また豊かにさすための方法を、主としてこの二つものさしをもってはかってきたわけでありますが、先ほどの長官の御説明にありますように、インフレスタグネーションである、二つが存在する。私はインフレデフレという国民にわかりやすいことばで表現したわけですが、いまのわが国国民生活あるいはわが国経済活動もろもろ判断する場合に、私がいま申し上げました外貨保有高並びに円の対ドル交換レートというものを含めた外貨保有高というものと、そしてもう一つは国内におけるもろもろ消費者物価あるいは卸売り物価というものの物価高という二つ判断して、わが国国民生活並びに経済活動というものをはかるものさしとして今日でも通用しておるかいないか。そのものさしではかって、国民生活並びにわが国経済活動というものを判断していっていいかどうか、長官の感じをお承りいたしたい、こう思うわけでございます。
  6. 内田常雄

    内田国務大臣 おっしゃるとおり、経済状況をはかるいろいろのものさしがあると思います。従来の景気、不景気というものは循環性多分に持っておった面もございますので、外貨保有高国際収支動きとかあるいは物価動きを見まして、直ちに政策の切りかえというようなものもやってまいったと私、考えますけれども、このたびの昨年以来の経済動きというものは、従来の循環的な景気のローテーションとは違う面が多分にございまして、経済停滞指標はいろいろの面からあらわれているけれども、しかし物価はなお低落に至らない、こういうような面もございますので、当初に御意見があったようなむずかしいところに臨んでいるわけでございます。  私は、いまの加藤さんのお話を承りましても感じますものは、やはり今日の経済を動かす政策をきめる際には、物価指標とそれから生産とかあるいは在庫指数とかあるいは出荷指数とか、そういう経済の実体的な動きと、それといまおっしゃられたような国際収支、それは外貨保有高につながるわけでありますが、少なくともその三つ、さらに先を見ます場合には、わが国人口は年々百何十万人ずつ増加をいたしますから、高度成長は全くその必要はございませんけれども、適正なる成長というものがないと、増加する人口をささえたり社会福祉充実ができないということを考えますときに、やはり少し先の中期的な見通しにつながるいろいろな指標というものも考えていく必要があると思います。  しかし、それらの各指標は、いずれもお互いに矛盾し合うファクターでございまして、ジレンマといいトリレンマといいあるいはクァトリレンマ、四重矛盾あるいは五重矛盾ぐらいもあるようでございますが、そういうものを指標にしながら政策を進めていかなければならない、このように考えます。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、調整局長おいでになっておるようでございますが、これは調整局長に御質問申し上げるのはどうかと思うのですが、私たち昭和四十九年度の予算並びにいま昭和五十年度の予算勉強を必死でいたしておるわけでございますが、公共料金問題も一つの大きな問題になってくるわけでございます。公共料金物価に及ぼすもろもろの問題についても勉強いたしておりますが、たとえば公共事業におきまして予算をつけるときにいつも問題になり、特に四十九年度予算で初めて抜本問題を取り上げてみたわけでございますが、公共事業費として予算をつける場合一に、一体、事業量に対してつけるのか、それとも事業費査定するのか。たとえばこれからの公共事業を、道路予算をつける場合には、セメントが実際は何億立米要るのだ、あるいは鉄の鋼板が何千万トン要るのだ、あるいは鉄の丸棒の何ミリと何ミリが何ぼ要るのだという、公共事業に伴うところの物というものを計算して、いわゆる総需要抑制策をやっておるわけですから、公共料金は別にしまして、そういう公共事業を行なう場合に、予算づけを行なう場合には、物そのもの基準にしておるのか。したがって事業量というものを基準予算を詰めるように大蔵省と折衝しておるのか。それとも事業費そのものだけを基準に置いて、それぞれの五カ年計画を立てておる中において、五カ年計画を完成するために何%の予算をつけて、こうやって五カ年計画を完成するという、いわゆる単なる金をつけることによって事足れりとしておるのか。これは調整局長範囲内ではないんじゃないかと思うのですが、きょうほかの方をお呼びしてなかったので、調整局長もし御存じなら教えていただきたいと思います。
  8. 青木慎三

    青木説明員 ただいまの御質問でございますが、予算査定そのもの主計局でやりますので、主計局査定の方針がどうであるか、私ども直接の責任はないわけでございますが、考え方としましては、予算でございますので予算の額で査定していると思います。  ただ、昨年から主計局各省公共事業の要求を受けるときに、それに要する資材に対する資料も同時にとっておるようでございます。したがいまして、考え方としましては金額で査定をいたしますが、それが物のバランスをくずすようにならないかどうかということを、同時にほかの資料でチェックしているというふうに私どもは聞いております。
  9. 加藤六月

    加藤(六)委員 調整局長、もう一点。そうしますと、経企庁の場合は総需要抑制策は、先ほど長官がおっしゃったように、その大道として総需要抑制策をくずしたくない、そして業種間にいろいろな問題がある場合は、あるときは地下道を通り、あるときはバイパスバイパスとはおっしゃらぬですけれども、そういうものを考えないといけないだろうと言われたのですが、経企庁としては総需要抑制政策物価安定という最大のものである、こういう判断ですね。これから私の質問の本論の、来年度の経済見通しというところへ入りたいと思うのですが、その場合に、経企庁としては大蔵省主計局に、総需要抑制政策でチェックする場合には資料を出すのですか、指示をするのですか、それともこういうふうにやってもらわなきゃ困ると言ってお願いするのですか。いまのお話を承ると、そういう資料はもう昨年度から始めて、私が申し上げましたセメントとか鉄とか木材とかの使用量各省別に出すようにしなきゃいかぬと、私は逆に主計局にやかましく言った立場なんですがね。ところが、それが具体的にどの程度需要抑制政策という昭和四十九年度の予算に使われたかどうかという点について、若干疑問を持っておるのです。  そういう点で、いまの御説明でちょっともの足りぬのですが、もう少し詳しく言ってみてもらえませんか。
  10. 青木慎三

    青木説明員 私ども予算経済見通しとは密接な関係がございますが、経済見通しをつくりますときには、昨年度、四十八年度の半ばに起きましたような物不足ということが生じないような配慮をする必要があるという点は、十分検討しておるつもりでございます。したがいまして、経済見通しをつくります場合に、需要は必ずしも公共事業需要だけではございませんので、民間の設備投資なり経済成長率のほうからくる需要と合わせたものが全体の物の需要になるわけでございます。したがいまして、経済見通しをつくります場合には、そういうものとのすり合わせをいたしまして、鉄なりセメントなり、ある物資においてネックの生じないような程度経済活動をもっていくということを一つの目標にしております。  したがいまして、昨年度でチェックいたしましたのは、一つ石油輸入量ネックがくるのではないかという点がございました。この点は、やはり物の需要量から見て、経済成長率をこの程度以上上げると石油にショートをするという点を一つ配慮しております。  それから、基礎的な物資経済成長ネックになることが最近多いのでございまして、主として鉄鋼とかエチレンあるいは電力というようなものにつきましては、経済成長がどれくらいになって、それぞれの需要項目がこのくらい伸びた場合に鉄なりエチレンなり電力なりがどれくらい要るかという試算をいたしまして、それが現在の設備能力範囲内に入っているかどうかという点につきましては、同時並行的にチェックをいたしております。これは物の流れをきめます要素を織り込んだIOモデルというモデルがございまして、こういう部門の需要がこれだけふえればどれくらいの鉄が要るか、セメントが要るかということをモデルでチェックすることができますので、それに入れまして、そこに出てまいります総需要のそういう主要な物資につきましては、供給力範囲にあるかどうかということは同時にチェックするという手法を、四十九年度の経済見通しからとっております。
  11. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、来年度の経済見通しになるわけでございますが、その前にもう一点承っておきたいのは、大平大蔵大臣あるいは政府の首脳部の方々がいろいろおっしゃっておるのに、来年三月末における物価は前年同月比、すなわちことしの三月物価指数に比べて一五%以内にとどめたいということがいわれておるようでございます。この問題はいろいろの含みがある発言だろうと思いますが、その含みの問題には私は触れません。まず来年三月の物価指数が前年同月比、すなわちことし三月の物価指数に比べて一五%以内におさまるという見通しをお持ちかどうか承りたい、こう思います。
  12. 喜多村治雄

    喜多村説明員 巷間一五%以内あるいは一五%程度というようなことがいろいろ伝えられておりますが、先ほど調整局長が申し述べましたように、現在のところ来年度の見通しについてまだ作業中でございます。それを抜きにして物価がどの程度であるかということは、率直に申し上げて言いづらいところでございますが、私、物価局といたしましては、物価だけの見通しというのはやってみて無意味なものではないということで内々に作業をいたしたものがございます。  それによりますと、来年三月の数字は大体十数%になる見通しになっておりまして、一五%以内ということになりますと、ある程度のむずかしさを持っております。しかし、それがけたはずれに的はずれの数字ではないというように私ども考えております。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 私たちは多くの国民に接し、多くの人々から来年度の経済見通しはどうなるかとか、あるいは先ほど長官がおっしゃいましたインフレスタグネーションと同在、私はインフレデフレが一緒にあると言うのですが、そういう中で、特に国民生活の底辺である中小企業零細企業皆さん方からよく相談を受けます。加藤さん、あと半年あるいは来年の七月、八月までがまんをしたら、わが国経済見通しは明るくなって、長い長いトンネルから出ていくことができるのではないでしょうかというような、逆に意見を伴った質問を受けるときに、長官、私はこういう返事をしておるのです。いままでの過去の経済成長実質が一二%にも一五%にもなり、名目が二〇%になる、不況を脱出したらすでにもうその前途は非常に明るいというのが続くような経済成長経済活動というのは、これからの日本にはあり得ませんよ、そんな考え方皆さん方は今日の中小企業零細企業の経営に取り組むならばたいへんなことになるという説明や解説をときどきやっておるのです。  先般、これもまた新聞長官記者会見内容を拝見したので詳しいことはよくわかりませんが、長官は、昭和五十年度の経済成長率は五ないし七%ではないだろうかというようなことをおっしゃっておられたようであります。これに対して、この席における長官の来年度の経済成長が何%ぐらいになるという御説明をいただきたい、こう思うわけでございます。その新聞に出たのを私はちょっと読ませていただいたのです。ただ、私自身が数名のプロジェクトで一生懸命勉強して出た数字を先に申し上げますと、どんなにやっても五・九以上の成長率というのは考えられぬのじゃないか。四・八から五・九くらいの間というのが一番いいんじゃないか。これは勉強といいますか、われわれごく少数の、数名の連中での勉強で出しておる数字でございますが、まず一番に、新聞に出た五ないし七%の成長率を期すというのが、ほんとうの長官の言われた内容であるかどうかということ、そして長官自身は来年度の経済成長率に対する見通しをどのようにお持ちかということを承りたいと思います。
  14. 内田常雄

    内田国務大臣 今後の見通し構想といいますか、大ざっぱに申しますと、日本ばかりでの経済ではなしに、世界じゅうの先進工業国経済が異常な状況に置かれていますが、これらの諸国の計画などを仄聞するところによりましても、またわが国経済について私ども構想いたしますところも、昭和五十年度中くらいに経済の進み方を常態に戻して、そして次の五十一年からは正常な出発がもう初めからできるような、そういう方向構想をしてまいりたい。たとえば、いまも加藤さんからお話がございましたが、昭和四十九年度の末、すなわち来年の三月に消費者物価上昇率を対前年同月に比べて一五%程度というような要望もあるわけでございますが、一五%というところでは、私はまだ高い物価の足取りだと思いますので、それを昭和五十年中には、つまり来年の四月以降には、さらにシングルになるような、二けたではなしに一けたになるような方向政策を積み重ねてまいりまして、かくして五十一年度の初めからは、今度は正常な経済成長なり経済の運営をはかるように持っていきたい。  しからば、正常な経済成長率というものがどのくらいかというと、いま加藤さんがお述べになりましたように、一昨年くらいまでの実質成長率、年間一一%、一二%というものは、これは高度成長といわれるものでございまして、そういうものを達成し得るような条件は、これから先現況をもっていたしますれば、与えられていないことと考えます。しかし、日本自体の先ほど述べましたような人口の増加なり、あるいは社会福祉充実なりということを期待するためには、正直のところ年率実質七%くらいの成長率がないと、国民生活というものも、あるいは社会福祉というものもやはり圧迫を受ける、こういうことになりますので、したがって、五十一年の初めからは七%の実質成長率が達成されるような準備を五十年の終わりまでにはしていく、こういうことになります。  しかりしこうして、ことしの経済成長率は、御承知のように一−三ではマイナスの四・七で落ち込みました。しかし四−六の実績は、これはわずかではございますが上昇いたしまして、〇・六、こういう数字になっております。今度は七—九の数字が来月くらいに出るわけでございますが、それは最近の輸出の状況とかその他の状況から勘案をいたしますと、〇…六よりもやはり若干は伸びてまいる。一−三に向かって物価も一五%の方向へ下がっていくわけでありますから、総需要抑制手直しということではございませんが、トンネルもあればモノレールもあるということもございますので、私はその方向はたどれると思うわけでございまして、年間を通ずると、本年度、四十九年度の経済成長率というものは、フラットというよりも若干マイナスになるかもしれませんけれども、しかし、逐次上昇方向にありますので、今後は、昭和五十年の中ごろまでには経済スタグネーション停滞というものもかなり解けてきていいものではないか、かように考えますので、加藤さんが中小企業者その他の御質問に答えてのお答えとすれば、おっしゃられたとおりでよろしいのではなかろうか。来年一年が勝負であって、そして来年の中ごろくらいからは漸次経済も正常化に向かってくる、こういうふうに私は考えますし、また、いつまでもこのままの状態に置くべきではない、こういうふうにも私は考えます。物価と両面作戦をやってまいる、こういうつもりでございます。
  15. 加藤六月

    加藤(六)委員 来年度の経済成長に対する長官のおよそのお考えを承り、またそれに伴う物価は、来年三月は前年同月比一五%以内くらいに押えたい、そして五十年度のそれ以降についてはシングルパーセントで押えたい、そしておおよそ五十一年度からは七%くらいの経済成長、これは福祉とか人口増とかいろいろな問題をからめてやりたい、こういうお話でございます。  私の質問時間もあまりなくなってしまって、本論に入れないままに終わりそうなんですが、その場合において、私が先ほど申し上げました貿易収支というか、貿易収支といったら資本収支その他いろいろな問題が出てきますが、昭和五十年度における外貨保有高は、最終時点においてどの程度のものを想定してお考えいただいておるのだろうか。もちろん、それについては石油の問題とか、海外資源のいろいろな問題等の要素があるだろうと思います。私が先ほど御質問申し上げました物価指数というものと外貨保有高というものが、必ずしもものさしにはならぬと思いますが、昭和五十一年三月ごろにおける外貨保有高というものをどの程度に想定して、昭和五十一年度以降は七%の実質成長というものさし基準をおきめになったのでしょうか。そこら辺をもう一つお教えいただきたいと思います。
  16. 内田常雄

    内田国務大臣 再来年の三月末の外貨保有高幾らなければならないかということは、私は、必ずしも幾らなければならないということはないと思います。しかし、今日の日本外貨保有高、公式に発表されておりますのは御承知のとおり百三十億ドル前後でございまして、これは昨年の二月ごろには二百億ドル近い、表にあらわれた外貨だけでもそういう数字であったわけでございますが、国際収支が支払い超過、赤字になっておりますので、一昨年くらいまでに増加をしてまいった日本外貨準備というものは、昨年一年間で百億ドルに近い減少をしておる、こういうことになります。  本年度はどうなるかという見通し、あるいは来年はどうなるかということの見通しでございますが、これは加藤さんも御承知のように、貿易収支だけではある程度の、数十億ドルの黒字を生ずると思われますけれども、貿易外の経常収支は、貿易上の収支を若干上回るくらいの赤字になるわけでございますので、したがって、経常収支だけでは、今日の外貨の手持ちよりも、来年の初めとかあるいは再来年に向かって、貿易外の経常収支が改善されない限り、これは保険とか海運収支とかいうようなものがおもなものでございましょうけれども、それだけ外貨準備が減るわけでありますが、このほかに、大きい要素として長期資本収支というものがございます。この長期資本収支がどういう動きをするかということが、来年度の外貨の手持ちのしりに大きく影響するわけでございます。むやみによけいな外貨を保有する必要もありませんけれども、また外貨準備が非常に少なくなってくるということは、国際的な信用にもかかわりましょうし、あるいは貿易支払いその他いろいろな面から適当でない面がございますので、これは御承知のように、長期資本収支を改善いたしますために、海外から日本が調達する資金などにつきましても、いろいろの面で、一般企業のインパクトローンの取り入れでありますとか、あるいはこれは私から申し上げ得る範囲ではありませんが、いわゆるオイルダラーの還流の問題などにつきまして、国際的ないろいろの考え方もあることも御承知のとおりでありまして、そういう作用を通じましてこの勝負はきまると思います。  しかし、全体として日本外貨準備というものは、私が先ほど来申し上げましたように、来年一年間の準備期間を通じて、再来年以降正常化するのに支障になるような、そういう憂うべき状況には達しないと思いますし、また達せしめないような、貿易及び貿易外の収支を通じてそういう政策を進めていくべきではないか、かように思うわけでございます。
  17. 加藤六月

    加藤(六)委員 もう時間が来ましたので、最後に一点だけ、これは物価局長にお伺いしておきたいと思うのです。  局長、先ほど来大臣が、来年三月時点における物価は前年同月比の一五%以内に押える、五十年度はシングルパーセントに押えたい、こうおっしゃったわけです。ところが、電報電話料金、はがきとか、さらにはことし十月一日に上がった国鉄運賃のランニングコスト論というのが出まして、国鉄の全収入よりも人件費のほうが多いというたいへんな問題等も起こってきておるということで、たとえば名目数十%、実質二五%に相当する運賃値上げをやらないとランニングコストが出てこないという、とてつもない問題が起こってくる。郵便においてもしかり、電報電話においてもしかりというような問題が出てきますね。  そうすると、公共料金がことしも、私鉄運賃から国鉄運賃、バス、タクシー、診療、いろいろな問題が相当上がりましたね。来年もそれと同じような上がり方をしてくる。そうすると、公共料金物価指数に占める割合は一二%ないし一八%でございます。だからそう影響はないとかなんとか言いますが、それ以外のいろいろな心理的影響とか便乗値上げとか何やかや、ましてや政府が率先して値上げをしておるのじゃないかとか、いろいろな理由がありますが、時間がないから申しませんが、いま私が申し上げましたような数々の公共料金ないしは公共的性格を持つものの値上げというものがうわさされておる中で、シングルパーセントの上昇ではたして押え切れる自信が経企庁にあるかないかということを、簡単でいいですからお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  18. 喜多村治雄

    喜多村説明員 公共料金につきましては幾つかの問題があると思いますが、先ほど大臣がお述べになりました五十一年の三月にシングルにするという中で、公共料金をどう考えていくのかというお話がございました。  私は、公共料金問題は、これも確かに一つの価格でございますから、コストが上がった場合にこれを適正に認めていかなければならないという立場もとりますし、またそのことによって起こります料金、運賃へのはね返りということも考えなければいけません。したがいまして、そういったものが便乗的にほかの価格に転嫁しないという状態をつくっていくならば、つまり私が申し上げますのは、ここ当分の間総需要抑制政策をとりまして、そして公共料金がほかへ便乗的に転嫁していかない状態をつくっていくということがありますれば、これは再来年の三月にシングルになるという可能性は十分あると思います。
  19. 加藤六月

    加藤(六)委員 突っ込み方が足らなかったですけれども、これで終わらせていただきます。
  20. 平林剛

    平林委員長 次に、橋口隆君。
  21. 橋口隆

    ○橋口委員 ただいまの加藤委員質問に関連をして、念のためお伺いしたいと思います。  先ほどからのお話によりまして明らかでありますが、現在は深刻な不況とまた激しいインフレとが混在するいわゆるスタグフレーションである、これについては認識は一致しておると思うのでございますが、それに対して一体どういうような姿勢をとるかということについて、大蔵大臣あるいは日銀総裁、また経済企画庁長官の間に多少の違いがあるのではないかという気がするのでございます。  大蔵大臣は、当面総需要抑制策を堅持していく、物価は最優先でいく。また最近日銀の総裁も、その点については非常にきびしい姿勢を示しておられます。ただいまお聞きすると、経企庁長官は、もちろん総需要抑制策は堅持するけれども、場合によってはトンネルを掘ったりあるいはモノレールを通すというような御発言がございましたが、あらためてそういう間にあって、日本経済のかじとり役として経企庁長官はどういうふうにお考えになっているかということを、念のためもう一回お聞かせいただきたいと思います。
  22. 内田常雄

    内田国務大臣 加藤さんの御意見に対しても、私はきわめて慎重なお答えを申し上げたつもりでございますが、しかし、今日わが国経済がスタグフレーションの状態にありますことは、橋口さんもただいま御発言がありましたとおりでございますので、スタグフレーションの中の下のほうのことばであるフレーション、つまりインフレーションだけで対応いたしてまいるべきか、あるいは上のスタグネーションにも配慮を払うべきかというところに、慎重な態度が私は必要だろうと思います。でありますから、私は総需要抑制なり金融引き締め手直しをするとかあるいは緩和をするとかいうふうに考えません。またそういうことばも使わないわけでありまして、先ほどのトンネルとかモノレールをたとえ話に出したわけでございます。  これはたとえば、ことしの四−六においても、中小企業に対する配慮から、すでに本年度の財政投融資計画できまりました政府関係中小企業金融機関に対しまして、千五百億円の貸し出し増加も決定いたしましたし、あるいは四月−九月でも、御承知の一千億円の貸し出し増加の追加も決定をいたしましたのは、これはトンネルかモノレールの一つの例でもございましょう。さらにまた、十−十二の資金の一番需要期を控えておりますので、おそらくはこの点につきましても、通産省当局はいろいろそのトンネル案、モノレール案をお考えになっておられるだろうと思うわけでございまして、それはそういう配慮があっていいのではないかと思います。  これは、私は一般的に中小企業と申し上げただけでございまして、繊維ともあるいは中小建設業界とも言いません。それを言いますと、あれが漏れている、これが漏れているということにもなりますが、それは各省がそれぞれ御配慮になって、そして政府部内で相談の上決定されるわけでありましょうが、私がものを言います場合には、通産省は通産省なりに私のことばを解釈しながら必要な処置がとられるように、大蔵省大蔵省なりに、あるいは建設省も農林省もそうでございましょうが、そういうところが必要な処置をとられるような表現が必要だろうと考えて、先ほど来加藤さんに申し述べましたようなお答えをしているわけであります。  しかし、このことは大蔵大臣日本銀行総裁などと違うことでは全くございませんで、総需要抑制金融引き締め等による物価の鎮静、つまりコスト高の要因があちこちにありまして、金融をゆるめたり総需要抑制手直しをいたしますと、コスト要因というものが直ちに頭をもたげて、そして物価高を引き起こしますことは、これは橋口さん御承知のとおりでございますので、そういうコスト要因が鎮静し、あるいはインフレマインドというものが鎮静するまでの間は、やはり、これは来年の中ごろということばを、たとえばというようなことで私は申したわけでございますが、必要のある限り続けていこうということが政府の統一した考え方であることを、あらためて申し述べさしていただきます。
  23. 橋口隆

    ○橋口委員 そこで、調整局長に伺ったほうがいいと思うのですが、一月八日に経済企画庁では、四十九年度の経済見通しと五十年度の経済見通しについての試算結果をまとめられたですね。その結果についてちょっとお伺いしたいのですが、それによりますと、総需要抑制策を四十九年度堅持した場合、そしてそれと第四・四半期に金融引き締めを緩和した場合、その場合との比較が出ておりますね。それによるというと、堅持した場合には成長率はもちろん下回るけれども物価上昇率消費者物価上昇率というのはそれほど下がるわけでもない。〇・八%ぐらいと見ているようですね。それから、五十年度について調べてみると、総需要抑制策をあくまでも堅持した場合、それと弾力的な運用を行なった場合との比較が出ておる。その場合には、大体経済成長率は一・七%というともちろん下がりますけれども、逆に五十年度の第四・四半期には〇・九%消費者物価は上がるという結論が出ておる。これに間違いありませんか。
  24. 青木慎三

    青木説明員 私どもいろいろ作業をやっておりますので、特に作業につきまして公表したことはないのでございますが、先生御指摘の資料は、あるいは作業の途中のもので一部新聞に出たものかと思いますが、もう一ぺん数字を言っていただきたいのですが、非常にきびしくした場合ときびしくしない場合——四十九年度につきましては、これは単に積み上げ計算しただけでございますので、政策的ないろいろなものが入っておりませんが、成長率を落としますと、物価の値上がりの率は減ってまいるという数字になっているはずでございます。その差が非常に小さいというか、成長率そのものの差も小さいわけでございますので……(橋口委員「五十年度の第四・四半期は」と呼ぶ)五十年度の第四・四半期の数字は、ちょっと手元にないのでございますが、おそらく先生御指摘になっているのは、モデルに入れた数字のほうだと思います。モデルに入れますとモデルのくせが若干ございまして、現在持っておりますモデルは、あまり価格に敏感に響かないようなモデルになっていますので、実際に見通しをつくりますときは、もう少し修正をしなければならぬと思っておりますが、いずれにしましてもそれほど大きな差が出てこない、御指摘のとおりだと思います。いま手元に数字がございませんので、その数字が合っているかどうか申し上げるわけにいきませんが……。
  25. 橋口隆

    ○橋口委員 いまの数字は、試算として公表されたわけでもない。おそらく内部の資料だろうと思いますが、この数字におそらく間違いはなかろうと思うのですよ。第四・四半期には〇・九%逆に上がる。それはなぜかといえば、生産力が落ちるから供給も減ってくる、したがって、逆に物不足で上昇率は上がってくる、これはもう当然のことだろうと思うのです。  そこで、長官に伺いたいのです。私は、こういう試算は明らかに経済企画庁でなされておると信じているのですが、こういうようなデータに基づいて、長官は総需要抑制策を堅持するけれども、本格的な手直しというものも、やがては検討しなければならないと思うのですね。その時期は大体いつごろと見当をつけておられるか、そういう点を伺いたい。
  26. 内田常雄

    内田国務大臣 私は、日本経済がこのまま小さくなって、人口がふえたりあるいは社会福祉充実国民的要請が高まっても、それに応ずることができないというような状態を、これから先放置すべきではないと考えます。  そうした場合に、ただ、いまから先の中期、長期のそういう要請に応ずるような政策手直しをすることは、まだインフレマインドが解消せず、あるいはまたコスト要因がいろいろある最中としては、時期尚早であると考えますので、少なくとも本年度の終わり、つまり来年三月ぐらいまでは、先ほど来お話が出ましたように、消費者物価ども一五%ぐらいまでに引き下げろという、先般総務長官が主宰された物価問題調査会の委員の方々からの御要請もあり、また自民党からもそういう要請がありますので、そういうところまでは持っていきまして、そして本格的な手直しというものは、先ほど来述べますように五十一年度からになる。五十年度はその中間の準備時期であると考えますので、したがって、長期的視野に立脚する設備投資などにつきましても、それはやはり五十年度の途中からということになるのではないかと思います。  ただし、いわゆる設備投資の効果発揮のために非常に長い時間を要する、その方面のことばで懐妊期間が長い設備投資というようなもの、それは鉄鋼とかエチレンとかいうようなものをさすのだろうと思いますが、そういうものにつきましては、その一部は、状況の許す限り着工を認めることをしないと、それらの設備が有効に稼働するのにやはり三年、四年かかるということをも考慮する場合には、それは通産省がいまお考えになっているように、それらのものの一部については、昭和四十九年度においてもその準備をさせるということはあってしかるべきだと思います。  要は、私はいまとしては、物価の鎮静というものが最大の課題であるけれども、しかし、お説のように先のことも考えながら必要なる計画をいろいろ立ててまいるべきで、それが経済企画庁に与えられた使命ではないかと思います。  先ほど来御議論のありました作業も、いろいろの見地から経済企画庁ではやっておるようであります。少なくとも、何か私が見ましたところによりましても、これは作業中で全く固まったものではありませんけれども、三つないし四つの前提を置いた数字が出ておるようでございまして、しかもそれらは、経済企画庁が開発いたしておりますコンピューターにいろいろな何十かのファクターをインプットして、それによって出てくるアウトプットを数字に整理しているものと、それからまた段階的接近法と申しますか、積み上げ作業、最近までの物価生産や、そういうものの動きをずっと積み上げまして、それを人間の頭をコンピューターにして、そして延長線にしたような作業、そんなようなものが三つ、四つございますけれども、私は、合理的な方向を示す結果が出ているように看取をいたしました。  しかし、物価の問題とか経済動きの問題というものは、ことに物価の問題というものは、いろいろの政策が投影をしたり、先ほどの予算の問題もあれば公共料金の問題もあれば、あるいはまた海外の原料資材が上がったり下がったり、あるいはまた国内の生鮮食料品などにつきましては、天候のかげんなど非常にいろいろの動くファクターがございまして、それが投影をいたしてまいるものでございますから、予算の編成などにおける、来年度の予算は本年度の予算に対して何%増というようなきめ方はむずかしい、できないものでありますので、経済企画庁がやっております作業といえども一つの傾向線、方向線を示すにとどまって、これが来年、ことに来年度末の数字というようなものにつきましては、そのものずばりという数字ではないことを頭に置きながら一つの傾向を見ていく、かようなふうに考えさせていただきたいと思います。
  27. 橋口隆

    ○橋口委員 そこで、ただいまの御方針は了承いたしますが、長官のいわゆるトンネルあるいはモノレールの一つ中小企業対策だろうと思います。それは先ほどもおっしゃったとおりなんです。  そこで、中小企業庁の次長に伺いますが、最近の中小企業の実態、七、八、九の倒産の実情はどういうふうになっておりますか。
  28. 小山実

    ○小山説明員 お答え申し上げます。  負債金額一千万円以上の倒産の件数でございますが、四十九年に入りましてから三月に千三十六件という千件台に乗せましたが、その後大体九百件ないし八百件台を推移しておりまして、七月は八百七十八件、八月が九百三十五件、九月が九百三十一件ということで、件数としてはあまり大きくあれしておりませんが、負債金額は非常に大きなものになっております。
  29. 橋口隆

    ○橋口委員 七、八、九とも大体千件に近い倒産が出ている。そうしますと、おそらく十月から十二月にかけての年末にはまだきびしい情勢になると思うのですね。これに対して、中小企業庁としてはどういう方針で臨まれるつもりですか。
  30. 小山実

    ○小山説明員 御指摘のとおりこの年末にかけて、例年でございましても、いろいろボーナス資金その他で資金需要が要るところへ最近のような景況でございますので、減産、滞貨金融の資金需要が非常に強いわけでございますので、私どもといたしましては、政府系三機関に対しまして、先ほども企画庁長官からお話もございましたように、四−六月には千五百億、それから七−九月には一千億の追加をいたしましたが、十−十二月につきましても、昨年におきましては三千四百億を追加いたしましたが、本年におきましては、これをさらに大幅に上回る追加をいたしたいということで、いま大蔵省といろいろ相談をしている段階でございます。  なお、このほかにいわゆる市中銀行の中小企業救済特別融資制度というものがございまして、三千二百億を準備しておりまして、従来、ネオンサインでございますとか中小ガス、それから繊維、建設等に約五百数十億使用いたしまして、最近ではまた機械の下請関係とかあるいは木材、木製品関係等に約五百億充てたいということでいろいろ準備を進めている段階でございます。  それから、なお最近は、金融のワクを設けましても、いろいろ中小企業の信用の保証能力と申しますか、それに非常に不足しているという面がございまして、これにつきましては、先般の通常国会におきまして中小企業信用保険法の改正をお願いいたしまして、倒産関連保証の一環といたしまして不況業種を指定いたしますと、通常の信用保険の同額が別ワクで保証を受けられる、こういう制度をつくっていただいたわけでございますが、これにつきましても、第一回といたしまして繊維、建設等三業種を指定いたしまして、さらに先般十一業種を追加指定いたしました。さらに年末にかけてまた新しい不況業種等につきましては、なお追加についても考えていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  31. 橋口隆

    ○橋口委員 中小企業の場合金融対策は一番の課題になると思うのですが、その中でも政府系の中小企業金融機関ですね、これの融資というものは非常に大きなウエートを占めると思うのです。いまどのくらいの規模でその財投について大蔵省と折衝されていますか、その見通しについて……。
  32. 小山実

    ○小山説明員 財投の追加の問題につきましては、予算要求のように閣議できちんときめて幾ら要求をしたという形でございませんので、内々事務的に話をしている段階でございますが、私どもといたしましては、できれば七千億程度は何とか乗せたいということで考えております。  ただ、その七千億と申しますものの中には、第一・四半期、第二・四半期ですでに先食いと申しますか、千五百億と千億の二千五百億を使っておりますので、それを差し引いた額が純粋に下期で使える金額になるわけでございます。そういう目標でいまいろいろ折衝している段階でございます。まだ結果については何とも申し上げられる段階ではございません。
  33. 橋口隆

    ○橋口委員 中小企業対策はいま非常に重大でございますから、これはひとつ力を尽くしてがんばっていただきたいと思います。  そこで、こういうようなインフレ下で一つ非常に懸念される問題が最近出てまいりましたが、それはかつて物価では優等生といわれて、しかも最近においては、昨年になってからは物不足の先走りとなった砂糖ですね。これが最近非常に値上がりをしている。ロンドン相場をとってみると、昨年の十月に百一ポンドであったものが、最近、きのう、おとといでは大体四百ポンドに上がっていますね。これについては、われわれもその理由について多少承知しておりますが、食品局長からその原因について、簡単に念のために御説明願いたいと思います。
  34. 森整治

    ○森説明員 御指摘の砂糖の価格でございますが、ことしに入りまして砂糖の国際相場が、ヨーロッパのビートの減産、ことに英国の減産で、ヨーロッパ全体に作が少ないというような関係で国際糖価が非常に上がってきております。ことに英国では砂糖パニックが起こりまして、その原因が、実は英国は御承知のように特恵市場から英連邦特恵で買っている。この英連邦特恵が八十ポンド程度のものですが、それが国際相場、自由相場がだんだん上がってまいりまして——英連邦特恵が大体ことしの暮れに切れる。しかし、特恵が逆に自由市場価格以下になって逆転をしてまいりまして、それで、ことにカリブ海あたりの諸国からの輸入がとだえるというような事態が起こってまいりました。そういう事態で英国は現物がなくなってきたということから、ロンドンの相場が非常に急騰を続けておるわけであります。  かてて加えまして、アメリカのほうも砂糖は、これも割り当てで一種の特恵貿易をやっておったわけであります。砂糖法がことし切れるということで、非常に国際的に波乱の時期に入ってきておりまして、なおどこまで続くかということにつきまして、業界筋でもなかなか判定に苦しんでおるというのが現状でございます。  私ども、四百ポンドの砂糖相場ということは考えてもみなかったことでございますけれども、ともかくこういう異常高に対しまして、先般来、狂乱物価以来農林省、企画庁協力いたしまして小売り価格の安定につとめてまいっておりまして、この数カ月間一応指導価格が、国内の家庭用につきましては守られておるという現状でございます。ただ、最近そういう国際糖価の高騰を反映いたしまして、業務用関係の市中相場が、日計でトレースされておりますけれども、その価格は、家庭用の指導価格をはるかに上回る水準に急騰をしているというのが現状でございます。
  35. 橋口隆

    ○橋口委員 わが国は砂糖の原料は八〇%以上海外に依存しておる。それもほとんど自由市場に依存しておるわけですね。それで今回のように自由市場に殺到してくれば暴騰するのはやむを得ない。最近大体わが国に入っている砂糖の状況と、それから数量、値段というのは現在どういうふうになっていますか。
  36. 森整治

    ○森説明員 大体、輸入、生産、出荷、在庫ともに順調に進んでおります。こまかい数字は省略いたしますが、前年同月比七月、八月、九月いずれも出荷は一〇〇%を上回っており、一〇五%、一〇六%、一〇三%。それから在庫状況も九月末で一二一ということで、前年の同月と比べてみますと手持ちも豊富であるし、万々供給の安定には事は欠かないだろうという見通しを立てておるわけでございます。
  37. 橋口隆

    ○橋口委員 ただいまの局長の話を聞いて安心したのですが、非常に意外な気もするわけですね。おそらく精糖メーカーというのはこれから原料の手当てに非常に苦労する。そうすると砂糖の生産を手控えてくる。国内はだんだん供給不足になってくるんじゃないか。そうすると、また物不足騒ぎが起こるんじゃないかということが非常に懸念されるのですが、その点はだいじょうぶですか。
  38. 森整治

    ○森説明員 メーカー筋は大体現物の手当ては済んでおりますけれども、来年の相当な時期までの手当ては済んでおりますけれども、問題は、最終の値ぎめをしていないものもあるという状態でございます。ただ、もちろん今年いっぱい入ってくるものについてはもうすでに値ぎめが行なわれておる。大体三カ月前ぐらいには値ぎめが行なわれるわけでございますから、今年いっぱいは間違いない。それから来年三月までのものにつきましてもほとんど手当ては済んでおりますけれども、何せ非常に相場が急騰しておるわけでございまして、メーカー筋としてもその値ぎめをいつ、どうやったらいいかということで、若干値ぎめが済んでいないものもあるのが現状でございます。  したがいまして、現物としては確保されておりますけれども、最終の値ぎめが行なわれてない部分が今後の不安要因になるということは間違いない。現状はそういうことでございます。
  39. 橋口隆

    ○橋口委員 まあ、当面安心だということにはわれわれも意を強うするのですが、七四、七五の砂糖年度を考えてみると、これはなかなかたいへんじゃないかと思いますね。  それについて、オーストラリアといま二国間供給協定の交渉中ですか、それからもう一つは国際砂糖協定が破綻をしましたね。これに対してはどういう方針で臨まれるのか、その辺をひとつ教えてもらいたい。
  40. 森整治

    ○森説明員 国際砂糖協定は、昨年経済条項につきましては失効いたしました。これにつきましては、われわれこの復活をして多国間の協定で砂糖を安定供給してもらう、われわれの立場からいえば確保する、こういう立場で、あくまでも多国間協定の実現につとめたい。今後もわれわれも努力したいと思っております。  たまたま御指摘ございましたが、豪州との間で現在の価格より安い価格での長期契約につきまして、民間ベースで話し合いがすでに進められております。われわれもロンドンなりニューヨークの砂糖相場に、自由市場から買っておるわけでございますから相当影響を受けることも事実でございますが、日本のこれだけ大量の、二百四、五十万トンも自由市場から買っているという力を利用いたしまして、国際糖価を引き下げるという影響にもわれわれはあくまでも努力すべきだ、こういう観点から、民間ベースのその豪州との話し合いにつきまして、われわれもできるだけの支援をしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  41. 橋口隆

    ○橋口委員 こういう国際協定については十分努力していただきたいと思いますが、現在、砂糖の安定帯について上限価格の改定をされましたね。それについてもロンドン相場に比べればはるかに低い。そうなった場合に糖安法の機能は作用していないと思うのですが、その状況はどうですか。
  42. 森整治

    ○森説明員 現在の家庭用の小売り指導価格は、一応糖安法の関税を全面減免いたしまして、全部まけまして、大体安定上位価格の線に入っておるというのが現状でございますが、国際糖価ははるかにまたそれを上回る水準に高騰してしまったというのも事実でございます。したがいまして、したがいましてというよりも、こういう非常に異常な高騰を続けております段階におきまして、今後の国際糖価がどういうふうになるかということにつきましては、われわれは必ず下がるという確信を持っておりますが、ただ、どの程度まで下がってどの程度で安定していくのかという見きわめをつけることは非常にむずかしいという段階でございます。したがいまして、国際糖価の今後の水準を見きわめながら糖価安定制度のそれに対する対応策というものを今後検討したい、こういう気持ちでございます。
  43. 橋口隆

    ○橋口委員 将来の供給価格についてはそれほど不安を抱いていないということですが、そうしますと、現在砂糖についての指導価格、これは上白の小袋で一キロ二百三十一円ですね、それから卸値が二百八円というふうになっておりますが、当面これは維持されますか。それとも巷間うわさされるように、これをもっと大幅に引き上げる、あるいは行政指導をゆるめるというようなことが取りざたされておりますが、その点についての農林省の方針はどういうことですか。
  44. 森整治

    ○森説明員 先ほど私、御説明いたしましたように、家庭用の指導価格二百三十一円をすでに上回る仲間取引が行なわれているというのが現状でございます。一部実需者の中で零細なもの、菓子業界で多く使用しない、そういう方々が家庭用の小袋を買いに入っているといううわさを聞いております。したがいまして、われわれといたしましては、当面ともかく市中の砂糖がなくなるということは絶対に避けねばいけませんから、メーカーに対して増産と出荷要請をいたしまして、ともかく現物をどんどん放出してほしいということでメーカーの協力を求めております。それから卸売り業者等に対しましても、不当な値上げを行なわないようにということで、極力その要請をしておりますが、それだけでは、もし万が一ということも考えまして、先週から全国の主要都市の流通段階に農政局の職員を動員いたしまして在庫調査に入っております。  そういうことで、とりあえずともかく物をぶつけるということを指導してまいっておるわけでございます。その在庫調査等々今後の動きを慎重に検討をいたしたい、こういうふうに考えておるわわけでございます。
  45. 橋口隆

    ○橋口委員 ちょっといまの説明でははっきりしないのですが、指導価格を維持しますか、それとも近い将来に改定しますか。
  46. 森整治

    ○森説明員 これは私ども非常に悩んでおる問題でございまして、要するに指導価格という性格の問題でございます。英国は小売り価格が百七十円台と思いますが、物が全部姿を消しております。パニックが起こって物が姿を消しておる。スーパーでも抱き合わせをやる。人の話によりますと現物がないそうでございます。それからアメリカ、これは自由にしております。われわれが調べたところでは、換算いたしますとすでに一キロ三百三十円の価格で売られておるということでございます。価格を自由にすれば物は出てくる、価格を凍結すると物が姿を消す、この二つのジレンマがございます。消費者は、ともかく物が豊富で安いのがほしいということに間違いはないわけであります。われわれの行政指導としては、ともかくその中間的な位置をとりながらなるべく安い価格で、不当な値上がりを押えていく、こういう観点から指導をしておるわけでございます。  したがいまして、今後もその指導価格の体制は維持してまいりたいというふうに考えておりますけれども、場合によりましては、ともかく業務用が家庭用を買いあさるということになりますと、これはパニックを起こすことになるわけでございます。われわれとしては、こういう社会的な不安というのは絶対に避けねばならない、こういうことを考えておるわけでございます。そういうことのないよう十分今後も指導してまいりますけれども、そういうことも含めながら、念頭に置きながら、いまの流通の動きを監視しているというのが現在の実情でございます。
  47. 橋口隆

    ○橋口委員 局長としても非常に言いづらい問題だろうと思うのですが、新聞の伝えるところによれば、十一月一日からこの価格も撤廃するとか、あるいは場合によっては大幅に上げるとかいうようなこともうわさをされておる。そういう時期でございますから、ただいま言われたように、できるだけ指導価格を維持するように、また業界が消費者の小袋まで買いあさりをするようなことになると、これは異常な混乱を起こすと思う。その点について十分注意していただきたいと思うのです。  念のため伺いますけれども、十一月からするというようなことは考えられないですね。
  48. 森整治

    ○森説明員 ともかく、今後の流通の各段階におきます動きを慎重に調査をしながら、今後の問題は慎重に検討をさせていただきたいというふうに思っています。  ただ、一言申し上げたいことは、現在、家庭用の小袋が店頭から消えるということは絶対にございません。また店頭でも、家庭の主婦の方々は非常に落ちついた購買をしておられます。したがいまして、ともかく私どもとしましてはそういう混乱は絶対に避けねばなりませんけれども、各方面から手を打ってできるだけ安定した供給ということの実現につとめてまいりたいということを、当面考えておるわけでございます。
  49. 橋口隆

    ○橋口委員 局長のいまのそういう態度にはわれわれも非常に意を強うしますから、どうかひとつ力を入れていただきたいと思います。  そこで、こういうような国際情勢にいつも日本の食糧は振り回されているわけですが、砂糖につきましても自給率がもうすでに二〇%を割りつつある。こういう状況では非常に心細いと思うのですね。最低家庭用ぐらいは確保できるくらいの砂糖の生産量というのは確保することが必要じゃないかと思う。  そこで、五十年度における自給率の見通し、まあ四十九−五十の砂糖年度ですが、それの自給率の見通し、それからそれに対する対策というものはどういうふうにお考えになっているか。
  50. 森整治

    ○森説明員 最近の砂糖の自給率は約二割でございます。で、ごく最近、今年産のてん菜の減産がございまして、二〇%を若干割るという現状でございます。したがいまして、われわれといたしましてはあくまでもてん菜の減った面積をもとへ戻す。六万ヘクタールから四万七千ヘクタールにまで下がってしまったわけでございます。この失地回復はともかくとりあえず行ないたい、これが一つでございます。それから御承知のサトウキビにつきましても、昨年の価格改定以来、改植等増産の意欲が非常にわいております。したがいまして、あくまでも国内の自給率をできるだけ高めてまいる、これは農林省の基本的な考え方でございます。この線に沿いまして、価格等生産対策全部含めましてともかく国内の砂糖の増産をはかっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  51. 橋口隆

    ○橋口委員 長期の見通しを立てておられると思うのですが、昭和六十四年ですか、そのころの見通しでは、大体自給率を幾らと見ておられますか。念のため申し上げておきたいのは、十年前は三〇%まで自給をしておった。それが二〇%を割ったのですが、今後のその見通しをお聞きしたい。
  52. 森整治

    ○森説明員 ただいま農林省で立てておりますのは五十七年度の見通しでございまして、農産物需給の展望と生産目標の試案でございます。それによりますと、五十七年度で二六%から二八%の自給率を達成をしたいというふうに考えておるわけであります。
  53. 橋口隆

    ○橋口委員 それにしても私が非常に憂えるのは、てん菜にしてもサトウキビにしてもちょうど改定の時期に来ていると思うのです。昨年は大幅に引き上げて生産奨励金まで出したのですが、それにしてもこのインフレ下ではとても農家経営は困難である。そういうことでいよいよ改定期も迫ってくるわけですが、それに対する基本的な姿勢を最後に伺っておきたいと思うのです。
  54. 森整治

    ○森説明員 てん菜糖の買い入れ価格が今月中に決定をいたします。それからサトウキビにつきましては来月の二十日までに原料価格をきめたいと思います。それから粗糖の買い入れ値段につきましては来月一ぱいにきめたいと思います。いずれにいたしましても、こういう国際糖価が高い、増産意欲をもう少しかき立てたいということにつきまして、価格は有力な一つの手段であることは間違いございません。で、価格で全部目的を達するというわけにはまいりませんけれども、そういうことを念頭に置きながら今後の価格決定に当たってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  55. 橋口隆

    ○橋口委員 では終わります。
  56. 平林剛

    平林委員長 次に、松浦利尚君。
  57. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 先ほど加藤委員あるいは橋口委員から質問がありまして、これからの経済見通し等指標については、経済企画庁のある程度考え方がわかってきたわけでありますが、その前に、まず原則的なことをお尋ねをしておきたいと思うのであります。  その一つは、これは新聞でもたいへん問題になったわけでありますが、消費者モニター全国大会実行委員会の「明日の暮しを考える消費者集会」の資料内容であります。この資料内容を調べてまいりますと、確かに新聞の皆さんが指摘しましたように、物価上昇は悪なのだというような考え方について、ある程度の批判が加えられておるわけですね。「だからといって、すぐ「物価上昇は悪なのだ」ということになりません。」こう書いてあるわけですね。さらにこれを熟読してまいりますと、最終的にはある程度物価上昇はやむを得ないんだ、こういうことに結論づけられてくるわけです。その他もろもろのことが書いてあります。私も、経済成長をする段階である程度物価上昇というものはやむを得ないと思うのですね。これはあり得ることです。ただ問題は、今日のような、物価局長をして言わしめれば狂乱時代といわれておる物価上昇の時期に、今日のこういった狂乱物価状態を、それでは経済企画庁は悪だと見ておられるのか、この点をひとつ明確にお答えをいただきたい。悪なのかどうか。  それからもう一つは、ある程度物価上昇をやむを得ないということのその物価上昇の限度ですね。先般本委員会で田中総理の出席を求めて議論をしたときに、経済成長のワク内、五%程度だということを田中総理が言われたことを私は記憶をしておるのですが、今日でもある程度物価上昇の範疇というのは五%以内である、そういうふうに理解をしていいのかどうか、この二つをひとつお聞かせいただきたい。
  58. 喜多村治雄

    喜多村説明員 ただいまおとがめがございました件は、去る十月二十日及び二十一日に開催いたしました消費者モニター全国大会におきまして、私どものほうの後援によりましてこの大会を主催いたしました実行委員会が出しました資料の中の、「物価上昇とみんなの消費生活」に関連するお尋ねであるかと存じます。この資料は、全般的にお読みくださるとわかると思うのですけれども物価問題を考える筋道をモニターの皆さんにできるだけわかりやすく述べるということにつとめたのでございます。お尋ねの趣旨のところは、確かにタイトルといたしまして「物価上昇の弊害について」というタイトルをつけておりまして、そしてこの本論的なものはすべて物価上昇のもたらす弊害の部分に焦点を当てておるわけでございます。  ただ、いま御指摘がございましたのは、物価上昇は悪なのだという結論をつける前に、物価上昇がわれわれの生活にとってどのような問題を持っているかということの説明をした導入句的な部分であろうかと思うのでございます。したがいまして、そういう筋道を考えていきます一つの過程として、従来の経済成長期におきまして物価上昇はあっても、それを上回って所得が上昇したという事実がございますために、物価上昇があっても所得が上がればいいじゃないかという御意見もあることにかんがみて、それでは困るんだということの書きぶりをしておるつもりなんでございます。したがいまして、第二項のところあたりからは、この物価上昇によって毎年生活が苦しくなってくる、あるいは所得、資産の不公正な配分が生じる、あるいは資源配分に混乱が生ずる、あるいはこのまま放置すればギャロッピングインフレーションに転化するおそれがあるというような事柄を主題として書いておるわけでございます。そしてスペースもその方向に、そこの部分を相当に費やしたつもりでおるわけでございます。したがいまして、御指摘のように物価上昇が必ずしも悪ではないのだというようなことの論陣を張るためにやった導入句ではございませんので、ひとつ御了解をいただきたいと存じます。  それから最後のほうの部分で、一体それじゃどのくらいが適正な——適正と申しますか、やむを得ないものであるかということにつきましては、これは何%以上はやむを得ない、あるいは何%以下は、ことばがおかしゅうございますけれども、やむを得るものであるというようなことはありませんで、私はちょっと考えられませんが、少なくとも預金金利よりも上回ったときには、確かに社会心理的に不安を醸成するということでございますので、やはりそれ以下、それよりも相当下回ったところでやむを得ざるという判断をすべきではないか、これは私見でございますけれども、そう考えております。
  59. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私はこの資料を見まして、そうだとするならばこういう書き方は、明らかに新聞の皆さんが指摘するように間違っておると思いますね。今日の物価上昇は悪だと見ておられますか。
  60. 喜多村治雄

    喜多村説明員 今日の異常な物価上昇は、所得の分配の公正を欠きますし、預金等々の資産につきましても不公正を生じますので、これはぜひともとがめなければならぬものだと思っております。
  61. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この資料は、経済企画庁のほうである程度作成したということですが、事実ですか。
  62. 喜多村治雄

    喜多村説明員 これは、先ほど申し述べましたように、実行委員会の責任においてつくっておりますが、私どものほうでのサゼスチョンもいたした、あるいは協力もいたしたのでございます。
  63. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そこで、私は長官にお尋ねをしたいのでありますが、いずれにしても、いま物価局長が説明されたように、どうも物価問題に対しては、確かに責任をとったような発言はされるが、ある段階にくると非常にあやふやになってくるのです。いまの物価局長の説明は私は一応了とはいたしますが、この前、物価問題調査会、小坂総理府総務長官が担当でありますが、ここの決議として、来年三月対前年同月比の一五%以内に物価は押えるべきだ、こういう答申をしたにかかわらず、閣議では一五%以内を一五%目標というふうに修正をしたわけですね。私はそこに相当な違いがあると思うのです。先ほど、私の聞き方の間違いかもしれませんが、加藤委員質問に対して、実は来年四月以降は物価は対前年同月比で一けたにしたい、だからそういった意味では一五%という目標も足取りが非常に高過ぎるのじゃないか、そういう御説明があったわけなんですね。そうすると、一体経済企画庁として一五%というのは単なる目標であってむずかしいという判断をしておられるのか、それとも一五%というのは確実にやれるのだ、来年の四月からは一けたになるくらいにやれるのだというふうに理解をしておられるのか、目標設定についての考え方ですね。一五%というものは一体経済企画庁としては可能な数字なのか、それ以下なのか。加藤委員質問の要領が聞き取りにくかったのですけれども、先ほどの長官の御答弁は私はそのようにとったのです。その点についてもう一ぺんお答えをいただきたいと思います。
  64. 内田常雄

    内田国務大臣 物価対前年同月の上昇率をシングルにしたい、一けたにしたいということは、先ほども申し述べましたが、昭和五十年度中にということに私は考えておるわけであります。それで一けたになった段階を経て五十一年からは正常経済に出発できるのではないか、こういうことを私は考えておりまして、松浦さんがいま言われましたように、来年の四月から消費者物価の対前年同月上昇率を一けた、こういうことは申しておるわけではございません。だんだん鎮静をさせていきますから、五十年度中には一けたに持っていく、こういうことであります。  今度はそれをまた近くに持ってきまして、それじゃ来年の三月は一五%以下なのか一五%程度なのか、こういうことになりますと、小坂総務長官が私的の諮問機関として設けられました物価問題調査会の皆さんの御意見は、これは一五%以内ということであったと思いますが、そういう調査会の意見、要請がありましたことが、これは閣議ではございませんで、経済関係閣僚協議会の席上で小坂さんから御説明、御紹介がございました。その際、一五%以下とあったものを一五%程度と書きかえたというわけではございませんけれども、私が先ほども申しましたように、物価というものはいろんな政策やいろんな諸現象の投影としてあらわれるものでありますので、予算の編成における何%増とかいうものとはかなりその趣旨が違うものでございますので、やはり一五%を目標にということで私は理解をいたしておるつもりでございます。その経済関係閣僚協議会におきましても別に決議をしたわけではございませんけれども、小坂総務長官から、せっかくつくられた、有識者のあるいはまた国民を代表される方々の意見として申し入れがあったわけでございますので、私はそうした国民の気持ちをできる限り実現するように一五%を目標にして努力をいたしたい、かように考えておることをあらためて申し上げます。
  65. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、いまここで正確に計算したわけではありませんから勘でお話し申し上げますと、かりに三月三十一日、昭和四十九年対前年同月比で一五%以内に押え切らなければ、長官が言ったように、五十年度中に一けた台に持っていくということは非常にむずかしいと思いますね。これは私は直感で、勘で申し上げているのですよ。その点が一つ。  それからもう一つは、その一五%以内に押えよという物価問題調査会の結論というのは、一五%に押えなければ責任が発生をする、責任が発生してはいけないというので、非常に積極的にあらゆる手段を講ずる、物価鎮静のためのあらゆる政策手段というものが一五%以内という中から生まれてくるのだ、私はそういうことをこの調査会の人たちは指摘していると思うのです。いま長官は、一五%以内に押えるように、目標にして努力をすると、こう言われたのですが、結果的にこれが一八%になるかもしれぬ、一九%になるかもしれぬ、そのことは結果としてあり得るのですね。そうすると、長官が言われたように、五十年度中に対前年同月比を一けたに戻すということは、実質的に不可能だというふうに私は思うのです。  ですから、いま言われた五十年中に一けた台に戻すという長官の発想と、一五%を目標にして三月三十一日は対前年同月比を押えるのだということは関連されておるもの、私はこういうふうに見るのです。これは直感ですよ。そう思われませんか。その点について大臣の所見を伺いたいと思います。
  66. 内田常雄

    内田国務大臣 昨年から今年のある月にかけましての一年間では、消費者物価を例にとりますと二六%以上の年間上昇でございまして、卸売り物価などに至りましては三十数%の上昇でございます。これはいわゆる狂乱物価、そういうことでございますが、しかし今年の春以降は、物価の水準としては全体として下がりはいたしませんけれども、上がり方がだんだん鎮静をしてきておると思います。これは俗にいう高値鎮静だ、こういう御批判をもちろんいただくわけでございますが、やはり過去一年間のようなそういう上昇ではなしに、来年の三月に向かいましては、上昇はありながら、現にまた、先ほども述べましたように、ことしの春から今日十月に至るまで一%内外の上昇はいたしておる、これはまことに遺憾なことでございます。しかし、そういう足取りをたどってはいきますけれども、来年の三月時点においては、ことしのような二十数%あるいは卸売りにおいて三十何%ということは全くない、私はこういうことを考えます。同じような状況が、昭和五十年度に入りましても物価は高原状態のまま、上がらないほうがいいと思いますけれども、先ほどもどなたからか御発言がありました公共料金の問題含みもございましょうし、やはり五十年度におきましても、一昨年くらいまでの消費者物価上昇よりもやや高い上昇率はあるのではないかと考えますと、それが五十年度中の終わりには一けたの方向に進む。過去、一昨年くらいまでの消費者物価上昇率というものは、大体年平均五、六%ぐらいであったわけでございますので、少なくとも平常の消費者物価上昇率というものは、やはり同じ一けたでありましても、年率五、六%くらいをマキシマムにしたいと私は思いますが、来年度は、それが五、六%ではなしに一けた台にすべり込む、私はこういう考えを持つわけであります。またそういう努力をいたしたいと思います。  また、来年の三月におきましては、おっしゃったように、それはいろんな現象の投影でありますから、一五%ぴっしゃりでないかもしれない、若干の上のせ数字が出るかもしれないし、あるいは、もっともこれはアラブが下がったりロンドンが下がったりしますと、それは一五%を割るということなきにしもあらずでありますけれども、私どもがロンドンを押え込んだりアラブを押え込んだりすることもなかなかないし、また財政の関係もございまして、私が希望するとおりに、大蔵大臣が、よし、おまえの言うとおりみな財政でめんどう見ようということにも、まだ来年の予算の編成方針もきまらない時期でありますので、私は一五%以下ということでコミットしておるわけではございませんで、一五%を目標に努力する、こういう、ほんとうに消費者の立場に立ちながら、また政府で物価をあずかるものといたしまして、私が努力をするという姿勢を示しますためにも、申しましたような発言をいたしておる、このようでございますので、私は、低ければ低いほどいいという努力は、今後もぜひ続けてまいりたいと考えます。
  67. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは先ほどの加藤委員、橋口委員、それと、私から補足的に質問した内容を整理してみますと、経済企画庁としては大体こういうふうに今後の経済見通し考えておるというふうになると思うのです。間違っておったら訂正してください。  昭和四十九年度、これの年間経済成長見通しとしてはマイナスになるが、後半は大体〇・六%程度成長、そして物価については、三月三十一日、対前年同月比一五%程度に押えて、そして五十年度中には一けた台に押えるように努力をしていきたい、さらに昭和五十一年度に正常に戻すということを目標にして、五十年度中に五十一年度経済成長七%程度の準備段階に入っていく、そのためには五十年中旬ごろ、来年中旬ごろ成長段階に入る準備をしていくのだ、そして成長段階に入る昭和五十一年度中に、物価というのは、いま言われた五、六%程度のところに押えるようにしていきたい、これがおおよそのアウトラインだというふうに理解してよろしいですか。
  68. 内田常雄

    内田国務大臣 そのとおりでございます。  ただ、本年度の終わりのほうの、つまり本年度の第四・四半期、来年の一−三月の経済成長率、それをも含めまして本年度は、私は、従来はゼロ成長を含む低成長という言い方をしてまいりましたが、最近の経済企画庁におけるいろいろ試算などをしてみると、ゼロ成長を含むマイナス成長、こういう言い方をしておりまして、おそらくはマイナス一%あるいは二%ぐらいのゼロ成長になってしまう、今年度を通じまして。そういうことにいたしますと、来年の一−三月だけの期間の経済成長が、いま松浦さんのおことばにはたしかそのころは〇・六%ということでしたが、現段階においては、すべてあなたのおっしゃられたとおりのたてまえをもっていろいろの計画や準備を進めてまいりたいと私は考えます。
  69. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これは私が言ったのではなくて、いま長官が言ったのを全部まとめてみただけなんですがね。問題は、現在行なっている金融引き締め、総需要抑制というものをこれからもきびしく続けていく、これは大蔵当局も日銀その他も明確に言っておるところですが、その中で、先ほどからトンネルとかモノレールとかいろんなお話があるわけです。  その前に、実はちょっと気になるのは設備投資ですね。依然として、昭和四十九年度に潜在的な設備投資意欲というものが産業界、鉄鋼、石油セメント等に非常に強い、こういう話があるわけですね。しかもインパクトローンの導入、現実にこのインパクトローンの導入というものが、逆な面で金融引き締めのしり抜けになっておるのですよ。ですから、そのインパクトローンを利用できる電力とかそういった基幹産業については、四十九年度の設備投資意欲が潜在的に強いという条件が出てくるのは当然だと思うのです。一体このインパクトローンがいまどれくらい産業界に利用されておるのか、長官経済企画庁のほうでは知っておられますか。
  70. 内田常雄

    内田国務大臣 私は、それをつまびらかにいたしませんが、先ほどの橋口委員でございましたか、加藤委員の御質問に対してお答えをいたしましたように、やはり外貨準備の残高というものをしかるべき水準に置くためには、オイルダラーの問題もございましょうけれども、その他の関係で長期資本収支というものをあまり大きな赤字の状態に置かないとすると、インパクトローンという問題も出てくる。  そのインパクトローンの取り扱いの方針につきましては、ここに大蔵省の当局が出ておると都合がいいのですが、大蔵省当局がその認め方などについて、全体としては、昔のきびしい状況をゆるめながらも、幾つかの変化した政策をとってこられておるようでございますので、私がここでいろいろ申し上げまして間違うといけませんので、適当な機会に、インパクトローンの取り入れ方式につきましては、また大蔵当局から説明をいただくように、委員長からもお取り計らいをいただきたいと思います。
  71. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 長官、私は正確な数字、そのことをここで長官からお聞きしようとは思いません。御存じなければ御存じないでけっこうなんです。  ただ問題は、物価を鎮静するために、最大の目標である物価、そのことを焦点に置いて金融引き締めを行ないながら、総需要抑制というものを一律に行なってきておる。ところが、逆な面で、そういった基幹産業については外貨という問題がからんできて、インパクトローンの導入を認めておる。しかも、大蔵省は先般ワクを広げましたね。しかも、長官が言われたのには、設備投資の実際的な稼働実績、稼働するには二、三年かかるというお話ですが、それはそのとおりだと思う。ですから、通産省あたりでは、現実的に石油その他の精製の割り当て等についての設備投資はいま凍結しておりますが、これを解除する動きすら出てきておりますね。昭和四十九年度の石油精製割り当ての凍結を解除するという動きすら通産省から出てきておるのです。  だから、逆な意味で言いますと、先ほどはバイパスとかなんとかじゃなくて、地下鉄とかそれからモノレールとか、こう言われたのじゃなくて、もう新幹線が走っておるのじゃないですか。その点、大臣はどのように考えますか。
  72. 内田常雄

    内田国務大臣 私は、非常に慎重を期しながら、日本経済がこのまま行き詰まらないようにすることは、これまた大切なことだと考えますので、総需要抑制金融引き締めというものの大道手直しはしない。したがって、松浦さんが言いますように、インパクトローンの取り入れの緩和というものは、金融引き締めのしり抜けになってしまうような程度までいってはならないと思うわけであります。  まあ、地下道というのは地上の道路よりもたいがいは狭いものでありますから、みな地下道に殺到して、たとえばおれもおれもと、インパクトローンをいろいろな種類の産業、企業がそこに殺到するようなことがあって、こわしてしまうというふうなことがあっては何もなりませんので、懐妊期間が長い、つまり設備投資に着手いたしましても、それが稼働するまでの間にかなり長い期間を要するようなものに限って、私はそういう地下道的なものを認める場合もあり得る。しかしそれは、私は通産大臣でもないし、大蔵大臣でもございませんから、何でもかんでも具体的な処置までも私どもが認可するとかということはできませんので、経済企画庁としての立場において、先ほど述べましたように、大蔵省、通産省、日銀等が、それぞれその地下道をどのように解釈していくかというところに待ちたいと思います。  たとえば、日銀の十−十二の窓口規制にいたしましても、これは非常に資金需要があるときでありますから、別途に年末の資金供給というものについては、おそらく特別の配慮をせざるを得ないといたしますならば、それはやはり、私は地下道であるとかモノレールである。しかし、それらは道路のように自動車がたくさん通れない。モノレールの収容力というものは大きくないと思いますので、そういう限度においては何かいろいろ、日本経済物価を押えながら、しかも将来が縮小一方にいかないようなくふうがあってしかるべきではないか、そのように私は考えることを、たとえ話にして申し上げましたので、それなりに御理解をいただければ幸いでございます。
  73. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで、もうこれはずばり申し上げて恐縮ですが、今日の金融引き締め、総需要抑制というのが、逆に言うと、弱いところだけに集中的にその矛盾があらわれてきておるのですね。物価抑制するということは私は正しいことだし、総需要抑制するということ、金融引き締めること賛成です。ところが、実質的には弱いところ、弱いところに今日しわ寄せが来ておるわけですね。なぜかというと、大きなところは新幹線が走っておるわけでしょう。これはたとえ話ですよ。新幹線が走っておる。ところが、弱いところは穴を掘ったり、モノレールで済まさなければいかぬというところに、たいへんな総需要抑制の中の矛盾点があるのじゃないでしょうか。  これは西ドイツの例でたいへん申しわけないのですけれども、西ドイツでは、総需要抑制というものは、その需要全体は変えないけれども、出過ぎたところの需要をずっと押えて、逆に足らざるところは需要を喚起するという、チェック・アンド・バランスの総需要抑制政策というものをとっておるわけですね。ですから、いま大臣が言われたモノレールとかあるいは地下道とかいうものは、逆に言うと中小零細商工業者、これを救済する措置としての財政措置だ、金融措置だということをさして言っておられるだけだと私は思うのですね。それでは私はやはり意味をなさないと思う。やはり総需要抑制金融引き締めというのは、そういう画一的ではなくて、強いところ、出過ぎたところはぐっと押える、弱い部分は引き上げてやるという、そういう全体的な総需要抑制のワクはくずさずに、チェック・アンド・バランスの政策をとっていくという姿勢が、なぜわが国の政府にとれないのか。中小企業金融が引き締まってきて倒産するということは、もう私たちが指摘したとおり目に見えて明らかなんですね。  そこで、いま調査室のほうをちょっと調べてみましたが、中小三機関の総貸し出しワクが、いまの二千五百億の追加を含めて二兆七百九十五億、これから年末にかけて四千五百億の追加がありますから、二兆五千二百億ですね。この程度で、この総需要抑制の中のきびしい情勢下を耐え得るのかどうか、私は非常に疑問だと思いますね。  ですから、総需要抑制を堅持する、金融引き締めをすることは私は正しいと思う。そのことを否定はいたしませんが、いままでのやり方、いままでの画一的、一律的なやり方というのは、ある程度改めていく考え方があるのか。現に、先ほど指摘したように、基幹産業についてはインパクトローンの取り入れ等によって、金融のしり抜けが行なわれておるという事実はもう明確なのです。ですから、そういった意味の手直しですね、修正、そういったものは経済企画庁として考えておられるのかどうか、その点をひとつ、これから中小零細企業にとっては一番金融引き締めのこたえる時期ですので、お聞かせいただきたいと思います。
  74. 内田常雄

    内田国務大臣 私どもは、松浦委員のいまの御意見と全く同じでございまして、当然そうあるべきだといまの政府も考えておるわけであります。  インパクトローンの取り入れを認めておる状況というものは、新幹線を走らせているというような状況ではないと私は考えておるわけでありまして、大企業もあるいは中小企業も含めまして、総需要抑制金融引き締めの一律的な対象とすることは、日本経済を行き詰まらせたり、あるいはまた日本の社会を非常に不安定にいたすことになることに私は思いを寄せますので、いまのその地下道論やモノレール論をたとえとして申し上げておるわけでありまして、中小零細企業地下道やモノレールにしか乗せないが、大企業は新幹線であるインパクトローンの取り入れを認めるということでは全くございません。  現に繊維産業などでは、中小の二次製品などをつくりますところはもちろんのこと、織物などはもちろんのこと、これは紡績段階におきまして、主として大企業でございますが、御承知のような事態が生じておりますことも、これはそのほうに決して甘くしておるということではなかろうと思います。通産省もおられますが、私が通産省の手取り足取りというわけにはまいりませんので、これは日本の大企業から、中小企業庁まで持って総合的な産業政策をやられる通産省当局が、松浦さんから御批判を受けないようなそういう施策をとり得るように、また私からもしかるべき機会に、その筋と話し合うようにいたしたいと思います。
  75. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は要望を申し上げておきたいのですが、やはり何といったって経済企画庁物価庁であり、経済をつかさどる中心だと思うのです。リードする中心ですね。ですからそういった意味では、これは通産省だからどうじゃなくて、やはりさっき言った一つのレール、長官がいろいろと説明された一つのレールがありますね。五十一年度には成長段階に入っていくんだという、そういうレールの上に乗せた経済政策というものが、全体の各官庁、省庁に及ぶようにやはり経済企画庁長官がリードしないと、ただ指標、目標を掲げて、あとはおまえたちやれでは、私は問題は済まされないと思うのです。  ですから、いまの金融引き締めなり総需要抑制というものは、経済企画庁が中心的な役割りを果たすべきだと私は思うのです。あれは大蔵省だ、日銀だ、これは通産省だ、そういうことではやはりしり抜けが起こったり弱いところにだけしわ寄せが起こると私は思うのですね。ですから、そういった意味ではぜひ長官がリードしていただきたい。どうも田中内閣は最近ばらばらで、いろいろと批判もあるけれども、その中で経済企画庁長官に期待する国民のあれは強いわけでしょう。長官に対する批判はまだないでしょう。まだ具体的にないですよ。あなたに期待しておるからですよ。だから、そういった意味では長官はもっとかみしめて、まあちょこちょこした間違いはあるけれども、しかし、物価問題その他について努力しておられることは事実です。だから、そういったことは長官がもっと積極的に閣議をリードしてもらいたい。長官、ひとつ決意を、これから正念場ですからね。
  76. 内田常雄

    内田国務大臣 非常に力強い御激励をいただいたものと私は解しております。  新聞などでごらんになりますように、経済閣僚協議会などでは、おっしゃるような線で私が常に、きょうもここで述べましたような進め方について述べておるところでございますが、しかし、それぞれの大臣もおられますので、また私が全部の大臣を兼ねたようなことになりますとだれも言うことを聞かなくなりますから、みんなで協力して、そうして国民のためになり、また日本の国のためになるようなことをいたしたいと考えて、きょうのいろいろな御批判をありがたく、またいろいろ私の考え方の補足にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
  77. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そこで、これは公取の委員長経済企画庁長官も含めて、国民が非常に期待をしておる独禁法の改正問題に焦点を合わせてみたいと思うのであります。  実は、これは通産省の天谷審議官にお尋ねするのでありますが、公正取引委員会から独禁法の改正の提起が九月十八日になされた。これに対して二回にわたって公取から意見を聴取した。最終的には、十六項目についてどういう内容かということについて文書で質問をしたが、それの質問に対しても首肯し得るような返事を得られなかった。肯定できるような返事を得られなかった。一体この十六項目の質問を出されて、具体的に公正取引委員会からこれに対する回答、正式文書は受け取っておられるのですか。
  78. 天谷直弘

    ○天谷説明員 十六項の質問は口頭でなされたものでございます。通産省が正式の文書を公正取引委員会に出しまして、それに対して文書で回答を求めたというようなことはございません。公正取引委員会の担当の方が通産省にお見えになりまして、今回の改正案の骨子を御説明になりました際に、通産省といたしまして十六点ばかりいろいろ口頭で御質問を申し上げたということでございます。
  79. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 公取の委員長にお尋ねをいたしますが、私は間違いでしたが、通産から文書ではなくて口頭だそうです。この口頭説明に対して、公取のほうとしては的確にお答えになっておられるのか、それともさらにお答えになる意思があるのか、その点についてお答えをいただきたい。簡単でけっこうです。
  80. 高橋俊英

    ○高橋説明員 私は、そういう質問内容個々についていま申し上げる気持ちはありませんが、担当の審議官にそのとき、最初のときから相当長時間質問に対してお答えしているはずです。しかし、もちろん通産側としてはそれを不満としておりますから、その次の説明会においてもさらに質問を浴びておりまして、それに対してできるだけの答えはしているはずであります。  しかしながら、なお現在でも釈然としないという御疑問に対しては、私どものできるだけのお答えをするつもりでありますが、問題の中には、立場がもう初めから食い違っているといいますか、私どものほうからいえば、何か企業にとって都合の悪いことだけを並べ立てている、はっきり申すとそんなことになっちゃうのですが、そういったようなものも中に含まれておる。したがいまして、答えと質問とはどうしてもかみ合わないというものも出てまいります。そういうことは、やはりやむを得ないことではないかという感じがします。
  81. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、各委員に参考にするために、通産省から公取に出された内容、これは商工委員会でわが党の板川委員に対する小松産業政策局長の答弁要旨で私は明らかだと思うのですが、これを見ますと、明らかに通産側は、もう独禁法の改正そのものにもともと反対で、企業から見れば非常に問題があるという立場です。ですからいま公取の委員長が言われたように、まさしく独禁法改正そのものに反対だというような答弁要旨に私はこれはとれるのです。商工委員会の小松産業政策局長の答弁要旨というのは、私は非常に問題があると思う。  ところが、それに対して、この独禁法の改正試案をたたき台とするのかどうか私はわかりませんが、審議室というものをつくって、審議室で検討しようじゃないかということで次官会議で話がついた。十月の二十一日次官会議を招集してやった。そこには公取の事務局長がオブザーバーとして出席をして説明をしておるわけでありますが、この審議室をつくったという理由、逆に言うと、審議室をつくったということは、新たな角度から独禁法そのものの検討に入る。この公正取引委員会が出した試案を中心としてではなくて、別な角度から検討を加える。だから逆に言うと、次の通常国会も、いつ結論が出るかわからないという状態でお蔵にしてしまうという前提に立った審議室の設置ではないか、私はそのような気がしてならないのですね。  そこで私は、通産省に聞く前に公取の委員長にお聞きをいたしますが、こうした政府の出方ですね、審議室設置について、公取の委員長はやむを得ないものだとお考えになるのか。これに対して公取としてはどのようにそれでは対処しようとされるのか。たいへん言いづらいところもあると思うのでありますが、言いにくいところはけっこうでありますから、公取としての所見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  82. 高橋俊英

    ○高橋説明員 ただいまの審議室の件でありますが、私としてはそういう案、そういう考え方がきまったというふうには聞いておりません。報道としては、そういうらしいという確率性を述べたものと思いますけれども、私どもがその事務次官会議あとに行なわれた関係省の次官等の、そこには私のほうの事務局長も出ておりますが、その事務局長等からの報告によりますと、それは決定したものではないんだ。  それから、なおその問題については、私どもも確かに異論がございます。どういうところが幹事役になって、この法律改正案をもう一ぺん見直すのかという点については、公取としてはいままで相当長時間かけて、専門家の意見を十分拝聴しながら、そしてなお試案を出しまして、試案の骨子という形で世間の批判にこたえようという形でおりますので、さらにここでもう一ぺん、全然別の角度から審議室を設けてやるということの意図がはっきりわからない。  そういうことでありますので、なるべく近い将来に、私は政府といいますか、政府といっても私も政府の一員ではありますけれども、たとえば官房長官にお目にかかって、そしてどういうふうにこの扱いをするのかということをお話をすることにしております。日程はまだはっきりきまっておりませんが、そういうことで、どう扱うかというこの取り扱いについて、試案の趣旨も十分御了解いただいた上でお取り扱いをきめていただきたい、こう思っております。
  83. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そこで、経済企画庁長官にお尋ねをしたいのですが、何か通産省が反対をする、そのことにかてて加えて、大蔵、経企もどうも難色を示しておるらしい。これは報道でありますから正確のほどはわかりませんが、そこで長官にお尋ねをしておきたいのは、長官も、この物特の審議あるいはその他の審議を通じまして、今日、独禁政策強化ということが一つの国会としての議論だった、そういうことはお認めになっておられると思うのです。ですから、経済企画庁としても、今日の独禁政策を強化する意味で、法律改正ということは当然あってしかるべきだ、そういうふうに判断をしておられるのか、それとも、現在の機構強化だけでいいというふうに判断をしておられるのかということは、たいへんな違いがあると思うのです。通産のほうは、これは明らかに機構強化だけでいいという判断です。それで、経企も難色を示しておられるとすれば、経済企画庁は一体どこに難色があるのか、どういう考え方に立っておられるのか、その点をひとつ、簡潔でけっこうですからお聞かせをいただきたいと思います。
  84. 内田常雄

    内田国務大臣 私どものほうは、少なくとも私には、経企庁が難色を示すべきだという部内からの報告もございません。また意見も述べておりません。  この問題は、端的に申し上げますと、公取と通産省とが初めから局地戦のようなことを始め、遭遇戦のようなことを始めてしまっておりますので、松浦さんから御批判がありましたが、新しく審議室を設置するのではなしに、内閣審議室というのはいまでもあって、参事官か審議官かが何人かいらっしゃるところなんですが、やはり内閣のベースで、もう一ぺん通産省の局地戦、遭遇戦からそこに問題を持ってきて、そして討議をしようということになったことは、それはそれなりにそのほうがいいじゃないか。そういう過程を通じて、経済企画庁でもいろいろ意見を申し述べていきたい、こう思っております。
  85. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その場合に、現在公取が長年月かけて提起をした改正案骨子ですね、これを中心として議論をされるのか、全く別の角度からまたあらためて議論をせよと経済企画庁は言われるのか、その点も、私はひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。どっちを選択されるのか。
  86. 内田常雄

    内田国務大臣 公取当局が出された試案を離れて、全般的な意見ということにはならないと思います。これは厳粛なる事実として公取がああいう提案をなされておるわけでございますので、当然それをも含めて、他にどういう意見が出てくるか、いろいろあろうかと思いますので、それらをも取り入れながら、論議をされるということになると考えております。
  87. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そこで、公取の委員長に、今後の議論を高める意味でちょっと質問をしておきたいのですが、大体独禁政策の強化、今日の法律の整備改正というのは、私はもう先進諸国の趨勢だ、こういうふうに見ておるのでありますが、公取の委員長はそのように把握しておられると思うのです。どうですか。
  88. 高橋俊英

    ○高橋説明員 全くお説のとおりであると私も思います。  それは、すでに外国の事例も明らかになっておりますし、それからすでに現在ただいま独禁政策の強化ということがはかられている、提案されているという国もあるわけでございます。それから、もう一九七一年十二月のOECD理事会の提言にもそれがあらわれておりまして、各国それぞれ強化する方向、一口に言えばそういうことであります。強化する方向で検討してもらいたい、こういうのが出ておりまして、それに応じてすでに行なわれたものもありますし、また、これからさらに強化をはかろうというものでありますから、私は、独禁政策強化の方向というものは、世界的なといいますか、趨勢であると申しても過言ではないと思います。
  89. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま公取の委員長が言われたように、わが党の調査した範囲内では、OECDの制限的商慣行専門家委員会、RBP、一九七一年十二月十四日の理事会採択ですね、この内容を見ますと、私は、今日公取が提起をしておる内容というのは、そのままやはり世界の先進諸国の趨勢だ、こういうふうに見るのです。  一つの例でありますが、原価の公表の問題についても、いろいろと通産省のほうはクレームをつけておられる。ところが、実際にアメリカにおいては、キーフォーバー委員会で原価のチェックは国会議員がやりますね。先般、物特の委員長と一緒にお会いをいたしました、ハーフォードというオーストラリアの下院議員で、上下両院合同物価対策委員会委員長でありますが、たまたま日本に来られて、物特の委員長と私がおりましたから、会ってくれというのでお会いをいたしましたが、オーストラリアにおいてすら、最近は、もう原価に対して国会が立ち入る調査権限を持っているんだ、相手側が極秘というなら、そのことは国会で秘密にして調査する機能を持っております、そういうことなんですね。だから、そういったことを考えていくと、原価の問題についてチェックをする、調査をする権限を持つ、場合によってはそれを公表していくということは、これは私は時代の趨勢だ、こういうふうに思いますね。  寡占問題にしたって、寡占企業に対する定義は、イギリスでも西ドイツでもすでにもうさらにきびしくしておるでしょう。市場のシェアの率をさらに下げてきておるでしょう。イギリスなどは三分の一から四分の一に下げてきておるでしょう。あるいはカルテル違反に対してはきびしい罰をする、罰金をかける。公取が言っておることは一つの時代の趨勢、流れなのですよ。  そういう流れの中で、あの物価狂乱の時代、私たちが幾つかの議論をしていった最終的な到達点としては、一つの側面として競争条件を整備するという一つの条件としては、やはり公取の強化を含めた法改正が必要だというのが私は世論だと思います。しかもそれは世界的な趨勢なんです。にもかかわらずわが国だけは、せっかく公取がまじめに長時間かけて出した結論に対して、クレームをつけたりあるいはぼやかして、できるだけその法案整備をおくらせるというような役割りをしようとしておる。日本も、かりに言わしてもらえばOECDの加盟国でしょう。しかも、日本はOECDの主要国なんです。代表部にもたくさんの人材を各省庁から送り込んでいる。  ですから私は、この際経済企画庁長官にぜひ知っておっていただきたいのは、公取の提起した内容というのは、わが国民の要望であると同時に世界の趨勢である。しかも、わが国が加盟しておるOECDの事務総長提起、勧告に対してわれわれもそれを認めておる。日本もそのことを認めておる。そういうレールを敷かれた上での提案なんですからね。だから、先ほど公取の委員長をして言わしめた、もう企業側のサイドに立って、何かつぶすために提起をするような質問があるのは非常に残念だと思う。経済企画庁長官は先ほど、そういう事実はないということでしたから、ぜひ側面的に、側面的というよりももう中心的な役割りを、公取の委員長と十分連絡をしてやっていただきたいと思います。  そこで最終的に、一番詳しい天谷通商産業審議官、あなたが大体これの担当者なんだそうですね、もちろん通産大臣の意を受けてだろうけれども。だから通産省のあなたの考え方一つが、この法改正を進めるかおくらせるかのポイントを握っておるわけですよ。また通産大臣の見解がね。だからあなたのほうは、私たちが言っておることが誤解があれば誤解だ、法改正について努力をするならする、そういう御返事がここでいただけるのかどうか、その点をひとつ明確にしていただきたいと思うのですよ。
  90. 天谷直弘

    ○天谷説明員 最初に、ちょっと誤解がございますので訂正さしていただきたいのでございますが、通産省の事務当局におきまして、独禁法改正の直接の責任者は産業政策局長でございまして、私ではございませんので、そこのところをちょっと御了解を願っておきたいと思いますが……
  91. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ちょっと待ってください。誤解があったら失礼だけれども、私はきょう、だから産業政策局長に来てもらいたいと要請をした。ところが、非常に忙しいそうだから詳しい人をやりますといってあなたが来られた。そういう経過があることを知っておいてくださいよ。
  92. 天谷直弘

    ○天谷説明員 わかりました。  独禁法改正に関する通産省の立場を御質問になっているわけでございますが、これを独禁政策に対する立場、それから独禁法改正一般に対する立場、次に公取がお出しになりました骨子案に対する立場と、この三つに分けて御返事を申し上げたいと思います。  独禁政策そのものにつきましては、一国の経済政策体系の中におきまして独禁政策がきわめて重要な位置を占めているということにつきましては、通産省も当然そのことを認識いたしております。ただ、日本が置かれておる立場、あるいはアメリカが置かれておる立場、イギリスが置かれておる立場等々、国によって情勢が異なっております。したがいまして、経済政策体系そのものは、普遍的な、世界一般に通用する経済政策体系はないと思います。したがいまして、現在日本が置かれておる立場、現在日本経済が取り組んでおる課題、そういうものに適応するような独占禁止政策体系というのを経済政策体系の中に位置づけるということが大切であろう、こういうふうに思います。  第二番目に、もしそういう検討をいたしまして、現在の独禁法の運用だけでは十分に第一の目的を達成することができないということが一般的に明らかになりましたならば、その際におきましては、独禁法改正を考えるという段取りになるかと思いますが、まず第一番目には、現行独禁法の運用で政策目的が達成できないのかどうかということを考えるべきであろうかと思います。したがいまして、そういう検討以前において、独禁法改正一般について、別にネガティブであるともポジティブであるとも、そういう立場をとる必要はなかろうかというふうに存じます。  第三番目の、公正取引委員会からお示しになりました独禁法改正骨子につきましては、先ほども申し上げましたように、通産省といたしましていろいろ御質問をいたしました。まあこれまでのところでは、まだ必ずしもわれわれのほうで、公正取引委員会のお考えを十分理解できるほどのデータ等をお示し願っておりませんが、今後さらに公取委員会から、いろいろ資料等を示していただけるのではないかというふうに期待をいたしております。そういうデータ等に基づきまして、それからさらに公正取引委員会のお考え等もいろいろ承った上で、公取委員会の骨子につきましては通産省としての、さらに正式の態度をきめていくということになるのではなかろうかと思います。  以上でございます。
  93. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま言われたことは、結局、公取のほうに質問しておられる内容を、三つのものに分けて要約して言われただけなんですね。そういうことを質問しておられるわけです。ところが、公取の専門家が長期間にわたって、しかも学者も交えて、そうして現在の法体系では不十分だという提起がなされておるのですね。にもかかわらず、通産省のほうからその裏返しのような質問をしておられるのですね。原状回復命令について、過去のカルテルにおいて排除命令後価格が下がらなかった理由は何だ、そんな子供だましみたいなことを。現実に下がらなかったことはあなたたちも知っておる。このことはその国会でだいぶもう議論をされ、大問題になった。それを、何か公取のほうに、おまえのほうでその理由を出せ、そういう質問のしかたというのは、明らかに初めからやる気がないというふうにしか私はとれないですね。  そこで、もう時間がありませんから最後にお尋ねをしておくのでありますが、公取の委員長、それから経済企画庁長官も協力すると言っておられたのですが、最終的に公取委員長としてはせっかくこれだけのものを骨子として提起をなさった。やはり次の通常国会には、公取の立場としては法改正までに持っていきたい、そういうふうにしてもらいたいというお考えにおそらく今日でもあると思うのでありますが、そういうお考えに立って今日もおられるというふうに理解していいかどうか、そのことだけをひとつお聞かせいただきたいと思う。
  94. 高橋俊英

    ○高橋説明員 この問題が予想以上にいろいろな批判を受けておる、私はそれを残念に思いますが、端的に申しまして、私たちの強い希望としては、次の通常国会にぜひ法案として提出ができるように最大の希望と期待をかけておるわけでございまして、そのために努力をしたい、かように考えております。
  95. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 経済企画庁長官も努力をしていただける、こういう御趣旨でございましたから、私たちは、本委員会でも与野党を通じてたいへん議論になった一つの焦点でありますから、これからの政府の動きなり各省庁の動きを十分監視をしていく、その経過についてはたびたび本委員会質問をするということを保留さしていただいて、この独禁法改正についての質問を終わらしていただきます。  それから、最後に通産省にお尋ねをいたしますが、灯油の関係であります。これはわが党でずっと調査をしてまいったところでありますが、実はすでに団地その他で需要期に向かっての契約を終わっておるわけであります。それが、今年度はおかげで灯油がだぶついておる関係だと思うのでありますが、ほとんど安いところで契約ができておるんですね。  一つの例でありますが、昨年わが党で調査に参りました盛岡、ここが五百八十五円、それからこれは生協関係資料ですが、岩手の学校生協が五百九十五円、岩手の県民生協が五百九十五円、都民生協が五百八十円、こういうふうにほとんどのところが安いところで契約を終わっておるんです。  ところが、一番問題になりますのは、もうすでに需要期に入った北海道ですね。この前もここで指摘をしておわかりいただいておると思うのですが、ここはもうドラムかん一本一本で買ってくるのですが、こちらのほうはもう十八リットルに換算して六百円をこえておるのですね。ですからいま一番灯油で問題になるのは、地方的にいうなら北海道なんです。標準価格を設定をするのは時期をずらしたい、非常に安いところで価格がきまるからずらしたいというお気持ちはわかるのです。ところが反面、北海道の需要期に入ったところは、非常に高値の灯油を買わされるという状況が出てきておるのです。ですから、標準価格をつくることによって下方硬直をつくらない、そのことはよくわかります。問題は、現実に高いものを買わされておる北海道等について、通産省のほうで何らかの手当てがないだろうか、地域的な指導体制というものができないだろうか、そういう点に  ついて一言お答えいただきたいと思います。
  96. 左近友三郎

    ○左近説明員 お答え申し上げます。  いまの問題、先生の御指摘のとおり、北海道におきましてはわれわれの調査でも、よその地域に比べてやや高いという結果が出ております。しかも北海道につきましては、灯油の消費量も多いし、寒冷地帯でございますので、北海道の道民の方の関心が非常に深いし、またこれを極力安くしなければならないということも、われわれ痛感しております。そしてまた、いまお話しのように十八リットルかんで買うよりも、ドラムかんで買うあるいはホームタンクに入れるというふうな大口買いの状態も多いものでございますので、そういう状態も勘案いたしまして、他の地域は、先生おっしゃるように、いましばらく模様を見たほうが安値安定になりそうでございますが、北海道については何らかの指導をいたしたい。そういたしまして、今後の値が上がらないようにいたしたいと思っております。  現に、北海道につきまして生協等の値ぎめがおくれておるという事態もございましたので、これは促進するように石油業界のほうにも話をし、それから灯油の在庫も北海道にふやすように指導いたしておりますが、今後、先ほど申しました大量販売というふうなメリットを生かすような方法をも考えながら、北海道については何らかの行政指導をやりたいということで、実は直接北海道の指導に当たっておられます北海道庁と、寄り寄り現在協議中でございます。
  97. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 たいへんくどいようですが、実はもう需要期に入って契約期に入っておる。ですから、もう少し行政指導ペースを早めてもらわないと、おくれをとってしまったんじゃ高いものを買わされるという結果になるわけですから、急いでそれをやってもらいたいという要望が非常に北海道の皆さんから強いですね。その点についてもう一ぺん、いつごろまでにそれをやれるのか、的確にお答えいただきたいと思います。
  98. 左近友三郎

    ○左近説明員 極力急ぎまして、少なくともこの月内にはその指導を開始したいというふうに考えております。
  99. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう時間が来ましたから、一つだけ、これはわが党の調査が間違っておるのかどうかだけひとつお聞かせいただきたいと思うのです。  事前にお話ししておらなかったことなんですが、三月十六日に全油種平均でキロリットル当たり八千九百四十六円の石油の元売り価格の値上げを決定しましたね。これは間違いないと思うのであります。それを決定したときには、為替レート、三月十六日から過去三カ月間のレート平均で、一ドル当たり二百九十円で計算をしたということも間違いありませんですね。それからその後、実質的な為替レートが二百九十円ではなくて、各月ばらつきがありますが、実質的には二百八十七円から二百七十七円台であったということも事実ですね。そうすると、それで換算をしてまいりますと、これは私たちの試算でありますが、ことしの七月現在で計算をしてみますと、為替差益で五百五十億程度の利益があったという試算になるわけでありますが、その点も間違いないかどうか。そこまできょうはお尋ねをして、またあとの問題を後日質問いたします。きょうは確認をさしていただきたいと思います。
  100. 左近友三郎

    ○左近説明員 石油価格におきます為替レートの問題でございますが、御指摘のとおり二百九十円ということで三月十八日に価格の査定をいたしたわけでございますが、その後、確かに為替レートは下がりました。したがいまして、そのあとの部分については差益が出たということは事実でございます。  ただ、その後石油の輸入価格自体が高騰しております。そういうこともございますし、それと、最近はレートが三百円になっておりますので、最近では差益は消えておるのではないかというふうに考えております。
  101. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、あとの問題は後日議論しますと、こういうふうにして保留しておったのに、あなたが先走って御答弁をいただいたのですが、これからまたあらためて論戦しますが、一つ確認しておきたいのは、要は、この八千九百四十六円の元売り価格の値上げを決定した段階で、現実的には、先ほど言いました三月十六日から過去三カ月間のレートですから平均で二百九十円と言ったのですが、すでにそのときには円高ということですかね。いまは円安ですけれども、当時については実質的に二百九十円よりも円高であったということは想定できておったはずだと思う。三月の十六日時点で値上げを決定した段階で、四、五、六、七と四月以降、現在の変化は別にして、きめたその段階では二百九十円よりも円高だということは想定されておったのではないか。そしてその中から二百九十円というのが出てきたのじゃないかという気がしてならないのですが、その点はどうなんですか。その点だけもう一ぺん確認さしていただきたい。
  102. 左近友三郎

    ○左近説明員 当時の事態につきましては、やはり先行きはまだわからない。ですから、過去の実績を基準にするということできめたということでございます。
  103. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それではいまの問題は、一応きょうは北海道の地域的な指導を急いでもらうということだけ御答弁いただきましたから、今後の灯油価格の問題については、いまの御説明を基礎にしてさらに質問をさせていただきたいと思います。  時間が来ましたので、本日の質問を終わらせていただきます。
  104. 平林剛

    平林委員長 午後二時再開することとし、この際、休憩いたします。    午後一時十分休憩      ————◇—————    午後二時十四分開議
  105. 平林剛

    平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林政子君。
  106. 小林政子

    ○小林(政)委員 午前中も問題になりましたけれども、私もそれに引き続きまして、経企庁の消費者行政の姿勢についてまずお伺いをいたしたいと思います。  この「明日の暮しを考える消費者集会」というテキストの問題でございますけれども、これは新聞などでも取り上げて報道をいたしておりましたけれども、去る十月の二十日、二十一日の二日間にわたって経企庁物価高騰の問題を明らかにするとともに、国民的な関心の高揚のためということで、その目的で「消費者モニター全国大会」なるものを開いたわけでございますけれども、ここで使用されたこの問題といわれているテキスト、これを経企庁長官は事前に知っていらしたのかどうなのか、まずそれからお伺いをいたしたいと思います。
  107. 内田常雄

    内田国務大臣 事前に中身を私は検討いたしておりません。おりませんが、経済企画庁国民生活センター等に協力をしてつくったものでございまして、私ども物価あるいは消費者行政に対する一定の姿勢がございますので、その姿勢に当然即したものである、こういうふうに私は理解をいたしております。
  108. 小林政子

    ○小林(政)委員 当然経企庁の、いわゆる物価に対する姿勢に即した、これがその内容だということですが、経企庁長官、いまでもそのようにお考えになっているとすれば、私はこれは問題だと思います。  一、二の例をあげますと、ここの中には、卸売り物価は四十九年の二月の中旬から、消費者物価は三月以降鎮静化の方向が打ち出されて、石油危機に端を発したあの状態が、物価上昇の異常さというものは、実際にはそれ以降おさまっているんだ、こういう意味のことが書かれています。それからもう一点は、「引き続く物価上昇にもかかわらず、実際の生活はしだいによくなってきている」ということが書いてあるのですね。はたして実際の生活がよくなっているということを、長官は事実このテキストが正しいという認識の上に立ってほんとうにお考えになっていらっしゃるのですか、どうですか。  さらに引き続いて、「各家庭の特徴ある生活技術の積み重ねが、ひいては国全体の物価上昇を押えることに、つながる」というふうにもうたわれておるわけですけれども、こういうことがいえないということではないにしても、いまの中心問題は物価抑制の一体何だというふうにお考えになっていらっしゃるのか、この姿勢をやはり経企庁長官、明確にしていただきたいと思います。
  109. 内田常雄

    内田国務大臣 しばしば申し述べておりますように、私ももちろんそうでございますが、いまの政府といたしましても、物価の鎮静ということが最大の政治課題であるといたしまして、この問題には取り組んでいるわけでございます。  なお、ことしに入りましてから卸売り物価消費者物価とも、確かに対前月の足取りというものはもちろん上がってはおりますけれども、上がり方は、一%を割るような月も多くあらわれておりまして、狂乱物価といわれたことしの二月くらいまでに比べますと、かなりの落ちつきを取り戻しておると思います。  しかし、それをもって足れりといたしません。けさほどから御論議がございますように、さらに来年の三月に向けて、さらにまた来年度一ぱい同じような努力を続けまして、そして物価上昇率というものがさらに鎮静した姿を取り戻すことが、私どもの使命と考えておるわけでございます。
  110. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、この教科書といいますかテキストは、やはり相当これは問題を含んでいると思います。いやしくも物価担当の経企庁が、この中身について検討した上でつくったと言われることになりますと、事実についても私どもはっきりさせていかなければならないというふうに考えます。  たとえば、物価は鎮静化の方向をたどっているというけれども、実際に長官も御承知のとおり、卸売り物価一つを見ましても、確かにことしの四月以降前月比では若干、ほんのわずか下がってはいますけれども、しかし、依然として九月の卸売り物価は対前年比では三〇・六%、あるいは八月も三二・八%、七月は三四・二%という状況で、消費者物価を上回っているのですね、卸売り物価が。消費者物価は御承知のとおり、この八月を——これは政府の統計でも八月しか出ておりませんので八月を例にとりますと、対前年同月比で二五・四%、しかし同じ八月の卸売り物価は三二・八%と、消費者物価を上回る卸売り物価上昇率ということは、これは私は相当大きな問題だと思います。  卸売り物価が上がれば、それは何カ月か後に消費者物価にはね返ってくるということは、これは経企庁がいままで何回も説明をしているところですし、私どもそのことを考えますと、政府みずからが発表している数字の中ですらこのような異常な事態がいまだに続いている、こういう事態の中で物価の鎮静化あるいは生活の向上というようなことがうたわれているというこの基本姿勢は、私はやはり問題だといわなければならないと思います。  さらに、このテキストの中に書かれているのを見ますと、経企庁長官は、家計がたいへん向上した、生活が向上したというふうにいわれていますけれども、実際にこれも、長期の異常な物価の高騰の中で国民生活に対する影響が相当大きく出ているということは、経企庁が発行した国民生活白書の中にもこの具体的な実態というものがあらわれているんですね。私もこれを読ましてもらいました。また総理府の統計調査によっても、いわゆる勤労世帯の家庭の実消費支出、これ一つをとっても、ことしの一月から四月までは対前年同月比でも逆にマイナスになっているんですよ、長官。そして六月にやっと持ち直しはいたしましたけれども、七月でわずか一%の伸びを示しているという数字が物語っているように、物価高の中でいま一般の家庭の主婦は、消費支出そのものをいかに抑制するか、押えるか、落とさざるを得ない、こういう実態の中に置かれているということは、経企庁が発表した数字の中でも明確にこう出ているわけです。  またもう一つ例をあげれば、消費者動向予測調査、これも経済企画庁調査資料でございますけれども、これを見ましても、実際に不安定な生活をいま国民が余儀なくされているという世論調査の項目がここに載っております。これはことし八月の調査事項でございますけれども、今後一年間の暮らし向きがさらに悪くなると考えている人五〇・九%、半分以上の人が今後暮らし向きは悪くなるだろう、こういうふうに答えています。この数字です。  このように数字があらわしている実態というものを、長官は一体どのように認識されて、国民生活が向上をしてきたなどということがいえるのか、どうなのか。いまの問題として、長官物価抑制するために何を一番やらなければならないとお考えになっているのか、私はこの点とあわせてお伺いをいたしたいと思います。
  111. 内田常雄

    内田国務大臣 小林さんがそこにお持ちになっていらっしゃるその消費者動向予測調査でございますか、それから国民生活白書、あなたがお読み上げになりましたとおり、今日の日本経済または家庭の生活というものはたいへんなものだということ、あなたが言われましたとおりの表現を、また数字を私どもはあらわしておるわけでありますから、そのとおりに御理解いただいてけっこうではないかと思います。  また、物価がいま高いということは、私は決して安くなっているということを申すわけではありませんけれども卸売り物価につきましても、これはことしの三月以降は、先ほども述べましたように対前月でいいますと一%を割り込んだ上昇率という月が多うございます。ここに数字がございますが、そちらでもお持ちだと思いますが、たとえば三月は〇・七%の上昇、四月も〇・七%、五月も〇・六%、六月が一一三%、ちょっと高うございまして、七月が一・一%、八月が一%、九月が〇・一%、こういうような上昇の過程は、昨年の狂乱物価の時代、それはすなわち、たとえば昨年の十二月は一カ月で対前月七・一%、ことしの一月は対前月五・五%、二月は三・九%というような数字と比べてみまするときは、その上昇率が非常に鎮静をしてまいっておることは、もう数字が示すとおりでございます。  ただ、前年の同月に比べますと、九月で三〇・六%という上昇をまだ示しておりますので、要するに卸売り物価に関する限り、九月の段階では昨年よりも三割高というような状況を示しておりまして、たいへん高いと私は思います。しかし、ことしの二月ごろは対前年の同月に比べますと三七%のアップでございましたので、最近の状況は、対前年の同月をとりましてもある程度おさまってきておる。十月はたしか三〇を割りまして、二〇%の上のほうの台になってきているはずでございます。  消費者物価のほうは、卸売り物価の対前月の上昇率がわりあいに低いのに比べて私はまだ少し高過ぎると思います。それにいたしましても、消費者物価も三月は〇・七%の上昇とか、あるいは五月は〇・三%、六月も〇・五%、ただし四月と七月はそれぞれ二%をこえておりまするし、また九月の東京の速報というものは、たしか一・九%というような上昇を示しておりますので、卸売り物価の鎮静度に比べますと、消費者物価の鎮静度のほうがまだ足りないと私は思っております。  しかし、おことばにもございましたように卸売り物価が鎮静の方向にございますので、それが当然消費者物価の鎮静の方向にもだんだん影響をいたしてまいります。八月の消費者物価の対前年同月の上昇率は二五・四%でございますが、これが来年の三月時点では、つまり本年度末では、けさほど御論議をいただきましたように、一五%目標ぐらいまでに下がってまいる、こういう予想や、また努力をもって私どもも対処をいたしておるわけでございます。  まあ、いろいろ御意見ございますが、経済企画庁というところは役所の中に物価局もあれば国民生活局もありまして、他の省とは少しあり方も違いまして、企業サイド、産業サイドというようなことよりも、むしろ消費者サイドのほうに立った行政をすべきものであると私は心得ております。しかし、私がいま物価状況をいろいろ申し述べましたり、お手元にもいろいろ書いたものがございますが、それらは必ずしも手放しでいい状況だったとは申しませんけれども、だんだんよくしてまいらなければならないという立場に立ってやっておりますことは理解をしていただいて、御激励をいただければありがたいことでございます。
  112. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、経企庁というところは、確かにおっしゃるとおり消費者サイドに立って、いろいろと消費者の立場に立って、各産業立場に立つ局とまた異なって、物価問題にしろあるいはまた消費者行政にしろ、いわゆる消費者ベースでもってものごとを進めていくというふうに考えておりますだけに、このテキストを見たときに、この中身について、ほんとうに一体これは何たることだという感じを受けたのです。確かに長官もおっしゃるように、卸売り物価が少しでも下がっているということは事実でございますけれども卸売り物価が対前年比三〇%台という状況であることも、これも事実なんです。また消費者物価が八月段階で二五・四%であるということも、これもまた事実なんです。こういう時点のもとで、何かいかにも物価はもうこれから心配ないんだというような書き方をされているというところに、私は問題があると思いますし、こういう点については、今後相当これには批判も出てくるというふうにいわなければならないと私は思います。長官がおっしゃるようにほんとうに消費者ベースに立って、この物価の異常な高騰のもとで国民生活の安定という点に最重点を置いて行政を進めてもらいたいし、それだけに、これはきわめて残念であったということを私は申し上げたいと思います。  それで、次の問題に入りたいと思いますけれども、実際に経済企画庁として物価鎮静という、抑制をするという具体的な行政、そしてまた政策を打ち出して今日に至ったわけですけれども、いままで経企庁物価政策として最も重点を置かれておやりになった問題をお伺いいたしたいと思います。
  113. 喜多村治雄

    喜多村説明員 経済企画庁物価政策を本格的にやり出しましたのは、昭和三十年代の中ごろでございます。したがって、そのころの政策的なマインドと現在のマインドとは若干違うと思います。消費者物価が比較的上がり出しましたのは、いま申し上げたように三十年代の半ばごろでございまして、当時、卸売り物価指数はむしろずっと安定しておりましたが、そのときにおきます物価政策は、どちらかといいますと、消費者物価を押し上げる要因、つまり生産性格差要因を排除するとか、そういう構造的な問題等々について力を入れてまいりました。  昭和四十年を境にいたしまして成長政策がとられました結果、物価もまた非常に上がってまいりまして、特に昭和四十七年度以降、卸売り物価消費者物価とが並行的に上がり出した以降は、本格的な物価対策に取り組んだのでございます。  それ以降の重点と申しますのは、最近のことでございますから申し上げるのもなんでございますが、一つは、短期的な、かけ足の物価上昇というものに対応するための総需要抑制というものを堅持してきたことが一つでございます。おそらく、物価政策におきまして、こういうように資源不足あるいは供給の余力が比較的上昇率が低い、こういわれておりますときには、仮需要含みますところの需要超過を押えていくことが非常に重要であるという認識から、ずっと約二年にわたりました総需要抑制政策について、物価政策として取り組んでまいりました。  その後、去年から、例のいわゆる狂乱物価といわれましたのは、この長期的な構造的な物価上昇要因に付加されました短期的要因、この石油を中心といたします海外の要因でもって、まず卸売り物価が非常に上がって、それが急激に消費者物価に転嫁されていくというこの過程の中では、従来の一般的な総需要抑制政策と並んで、個別的な物価政策をとられたのでございます。この委員会でもいろいろ御努力いただきました、いわゆる買占め売惜しみ防止法及び国民生活安定緊急措置法の制定を契機にいたしまして、個別対策を実施してきたわけでございます。これは標準価格の設定でありますとか、売り惜しみ防止におきますところの指定物資の指定でありますとか、そういったことによって個々の物資の価格に対して、一時的ではありますけれども、そういう介入をしてきた。  それから第三番目は、公共料金抑制でございます。公共料金抑制は常に政府の姿勢の中にございまして、昭和三十年代から常に公共料金抑制ということをやってまいりましたが、去年までずっと抑制ぎみに堅持してまいりました。本年に入りますと、長い間抑制してきたことの効果がまた逆目に出てくるということもございまして、十月には、抑制ぎみではございましたけれども、やむを得ず上げざるを得なかったということがございました。  いずれにいたしましても、公共料金抑制ということ、いま申し上げました三本の柱が、経済企画庁が従来からとってきた政策でございます。
  114. 小林政子

    ○小林(政)委員 いまその柱について、一つは総需要抑制政策、そしてまた個別政策としては、短期の政策として、いわゆる国民生活安定法、あるいは投機防止法、あるいは事前了承制、こういうものを並行して取り上げてきた、そしてまたいわゆる公共料金の問題について抑制の措置をはかってきた、これがいままでとり続けてきたいわゆる物価政策の主要な柱である、こういうことでございます。  私は、時間がないのですべての問題に触れるわけにはまいりませんけれども、しかし、一つ一つこれがほんとうに実を結んでいるかどうかという点について重大な疑惑を持ちます。たとえば本年一月二十九日の予算委員会で、田中総理はこのように言っているわけです。「私は、いまの物価現象は、ほんとうにある短い間の現象であって、国民の支持と協力が得られるならば早期に物価抑制できる、」このように述べています。また同じ日の発言の中で、「「列島改造論」が通過をして、国土総合開発法が成立をして実行に移るほど物価は安定し、下がってくる」こういう答弁を本年の一月二十九日の予算委員会でいたしているわけです。そしてそれに基づいて、いま経済企画庁から述べられた柱の政策がその後打ち出されてきているわけでございますけれども、実際にこの総需要抑制の問題についても、特に公共事業等の繰り延べの問題一つを取り上げても、これも午前中質疑がございましたけれども、私も、ただ公共事業の繰り延べをやればいいというものではないし、実際に「日本列島改造論」の中で盛り込まれているようなこういう問題こそ、こういうときに大きく抑制をして、そして実際にいままで生活関連施設など、そのひずみをずっと長い間受けてきたこういう施設等については、むしろ私はこれを抑制の対象になどすべきではないというふうに考えています。  ところが、一般の公共事業については八%の繰り延べ、生活関連についてはその半分の四%の繰り延べなどということで、実際にお茶を濁しているわけですけれども、こういう考え方で総需要抑制といって実際に困るのは、一番いままでひずみを受けてきていたところの人たちがもろにこの総需要抑制の波をかぶっている、こういうことが言えると思いますけれども長官、いかがでしょうか。
  115. 内田常雄

    内田国務大臣 そういう考え方、見方も私はあると思います。しかし、総需要抑制でございますから、すべての需要をこの際抑制することが、先ほど来小林さんが強調をされております物価の鎮静策につながるわけでございますので、たてまえとしては、それが政府の公共事業であれ、あるいは地方団体の事業であれ、あるいは民間企業の設備投資であれ、さらにまた金融引き締めなどを通じて住宅についての需要抑制というようなことも一応網をかぶせまして、物価の鎮静策をとってきておるわけであります。  しかし私は、それだけが能ではないということは、ただいまも申しましたように、御批判もいただきましたが、それはそれとして、いろいろのこまかい事態に即応するような処置は必要である。たとえ話で、地下道をつくって向こう側に渡るとか、あるいは路面交通の混雑を避けてモノレールで向こうに通ずるというようなことは必要だ、こういうことも述べておりますので、小林さんがおあげになりましたようないわゆる福祉施設に関連する施策のごときは、私はやはり必要に応じてきめこまかな考慮をはかっていくべきではないかと思うものがございます。
  116. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、公共事業一つを例に取り上げたわけですけれども、それでも金融の問題一つをとっても、あるいは学校建設の実態などを見てみましても、事実ほんとうに地方自治体は財源的にもたいへん苦しいところに立たされている。こういう中で、総需要抑制だということで、いわゆる生活関連すべてに対して締めつけをやっていくというようなやり方が、私はこれは今後さらに引き続いて討議を行なっていきたいと思いますけれども問題点があると思います。  しかし、この問題よりもむしろ私は、政府がいわゆる値上げの事前了承制という制度を取り入れまして、そして三月十六日に五十三の物資を指定されました。また、四月一日に六物資を追加いたしまして、いわゆる五十九物資ですね、これの凍結といいますか、値上げについては事前の了承を得なければ上げられない、こういう対策をとったわけですけれども、実際には、このうちでもう五月二十一日に解除が行なわれ、さらにまた引き続いて八月九日にも相当部分の物資の解除が行なわれ、そして九月二十日現在では、すべての物資の解除が行なわれているわけです。しかも、この問題については私はいろいろ問題があると思います。一体解除を行なった後に物価は上がらなかったのかどうなのか。指定物資は解除を行なったけれども、価格は上がらなかったというふうにお考えでしょうか。
  117. 内田常雄

    内田国務大臣 事前了承制を採用いたしたり、またある時期にだんだんそれを解除し、最終的には今日全部を解除いたしておりますこと、ただいまお述べになられましたとおりでございますが、その趣旨は、すでに御承知のように総需要抑制金融引き締め等の効果が浸透いたしまして、物資の需給が非常に緩和した、しかるにもかかわらず三月時点の価格がいかにもそのまま有効に存在しているふうに利用されるような事前了承制、これを引き上げる場合には主務官庁の承諾を受けよというような仕組みを存続いたしておりますことが、いわゆる当該物資の価格の下ざさえになるような現象が一般的には生じてきておりましたので、ただいま申し述べましたような措置をとることが、全体として見れば、結局物価を鎮静の方向に持っていく、こういう判断を今日でも持つものでございます。  しかし、いろいろの生活関連物資などの中には、事前了承制をやめたから価格が上がるというわけではなしに、むしろ海外の原料価格の著しい値上げというようなものをかぶらなければならないというような品目もございまして、そういうものにつきましては、当該主務官庁が値上げをしないような指導をやりながらも価格の値上げをせざるを得ない、そうしないと物資の出回りが円滑でなくなるというようなものも出てくるのではないかと思うものもございます。それらはそれらなりに、また個別の対応を行政指導その他でやってまいる必要があろうかと私は思います。
  118. 小林政子

    ○小林(政)委員 先日私は、事前了承対象八品目について具体的にどうなっているのか、解除したことによって価格がその後どういう動きをしているのかということについて、数字をもらっていろいろと調べてみました。実際にはいま問題になっております砂糖、あるいはまた家庭用バター、食用油、小麦粉、あるいは家庭用の合成洗剤、セメント、板ガラス、苛性ソーダというような、これらの物資が具体的には相当価格が上がっているのですね。あるいはまた上がる可能性というものが相当あるわけですね。いかがですか。
  119. 内田常雄

    内田国務大臣 まあ、上がるものも下がるものもあるわけでございますが、上がるものにつきましては事前了承制を……(小林(政)委員「下がるものがあったら教えていただきたい」と呼ぶ)下がるものはいろいろあとから申します。繊維も下がっておりますし、木材も下がっております。下がって困るものはたくさんありまして、それらのものは不況対策として考えなければならぬものがあることも、あなた御承知のとおりでございます。  しかし、事前了承制というものは、要するに戦後のマル公統制価格のように絶対に上げさせないというものではなしに、これも十分御承知のように、上げざるを得ないものについては主務官庁が上げさせるというたてまえですから事前了承制ということになるわけでありますが、あなたがいまお述べになりました生活関連物資の中には、たとえばロンドン相場の非常な値上がりとかあるいはシカゴ相場の非常な値上がりとかいうようなものを、全面的にかぶらざるを得ない物資もございまして、そういうものは事前了承制で押えておけばそれで済むというものではないと私は思いますので、先ほども述べましたように、事前了承制を廃止いたしましても、それらについては行政指導その他の有効なる方途を講じて、国民生活の安定ということをはかる以外に道のないものもあろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  120. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、いま八品目の価格の動向についてこれをお伺いをしたわけですけれども、実際には、家庭用の合成洗剤についても九月の二十日に解除になっています。そして実際七月の二十二日から二十五日の間に平均一三・七%の値上げが了承されている。あるいはまた苛性ソーダにいたしましても、あるいは小麦粉にいたしましても七月段階に、砂糖の場合も七月の十七日に二四・二%の値上げを認めている。あるいはまた家庭用バターについては十月の十一日に三二%の値上げを認めている。食用油についても二五・二%値上げを認めている。  こういう形で、今後これらの物資はいろいろと問題があって値上げが予想されているという中で、事前了承制という制度からはずし、解除し、しかも具体的に値上がりが行なわれているということは、経企庁物価問題に対してほんとに国民立場に立って、生活関連の物資だけでもできるだけ値上げを押えよう、こういう立場に立って一体解除がされたのか、そしてまた、解除したとたんに価格が上昇している、こういった事実に対して一体どのようにお考えになっているのか、私はきわめて残念だと思います。
  121. 内田常雄

    内田国務大臣 物の値段は上がらないほうが、私どもの家庭を考えましても、消費者にとって私はたいへんよろしいことだと思いますので、経済企画庁物価局というものがございまして、それは物価を安定させるための行政をやるべきところであると私どもは心得ていろいろやっております。  事前了承制をやめましたのも、先ほど来申し述べますように、物資の需給がゆるんでいるものについては、そのほうが実際実勢価格に従って物が上がらない、あるいは物によっては安くなるというような情勢を馴致しようという考えもございますし、また、紙の上で事前了承制という制度をこしらえてみましても、どうしても上がらざるを得ないものがありまして、これは、ただ事前了承制だといって縛っておれば済むというものではないわけでございますので、これは、私はわざとここでその品目についていろいろな配慮がありまして申し上げませんけれども、それはやはり事前了承制からはずして合理的な価格を保つような指導をしていかなければ、国民生活上非常に憂うべき事態がかえって起こるということも考えてやっているものでございまして、何か通産省なり農林省なりが事前了承制で幾らだときめれば、海外要因その他でどうしても上がらざるを得ないものが、それでぴしゃっととまっているという仕組みの経済ではないところに問題がございますので、物価全体を鎮静させ、またお互いの国民生活を安定させるという見地に立ちながらも、個々の物資については、その物資に応じたいろいろの施策をとるほうがよい、こういう判断を私どもは全体としては持つわけでございます。  個々の物資についてお尋ねがございますならば、他の関係省のほうから正確にお答えをしていただくようにいたしたいと思います。
  122. 小林政子

    ○小林(政)委員 それでは私は、ひとつ砂糖を例にとってお伺いをいたしたいと思います。  砂糖は、御承知のとおり事前了承制の物資でございました。七月十七日に解除されまして、いわゆる指導価格百八十六円が二百三十一円に七月十八日にはなっているわけでございます。砂糖の問題につきましては、午前中からもいろいろと、ロンドン相場あるいは国際価格の上昇というようなこともあって、価格の上昇が今後予想されるということも言われておりましたけれども、私はこの問題についても、一体経企庁が現在どのような態度で、この解除後の砂糖の価格問題あるいは品不足問題等を具体的にチェックをしているのか、この点をまずお伺いしたいと思いますけれども、実際に最近小売り店が卸から仕入れる価格が従来よりも高く、量も制限をされているというふうに言っておりますけれども、このような事実を確認していますか。
  123. 森整治

    ○森説明員 農林省で直接行政指導をしておりますので、私のほうからお答えさせていただきたいと思います。  砂糖につきましては、御指摘のとおり凍結からははずしましたが、農林省の責任で、そのシステムそのものを引き継いで指導をしております。したがいまして、末端の指導価格につきましても、二百三十一円ということで協力店において販売するようにということで、従来から現在まで引き続き指導を続けておるわけでございます。  そこで、価格の問題につきましては、大体量販店では現在のところ二百二十五円で売られておるというふうに調査では出ております。もちろんそれ以下で売っているところもございます。それから、いま先生の御指摘の点につきましては、先々週から、特約店それからすでに二次問屋あたりまで各農政局を通じて在庫調査に入っておりまして、その状況を調べておりますが、その中で、量販店のほうに多く流れておって、一部の小売り店で非常に品薄だという訴えがあるということは聞いております。しかし、家庭用の小袋は店頭には常に置かれておりまして、家庭の主婦が買い急ぐという事態はどこの店にもございません。  ただ、業務用の砂糖につきまして、最近の国際糖価、また最近のいろいろ新聞の報道もございまして、先高になるのではないかという、おそらくそういう観点から、日計で見ますと、相当高い取引が行なわれておるということも事実でございます。
  124. 小林政子

    ○小林(政)委員 九月に入ってから、一次卸に対してメーカーからの入荷が、いわゆる割り当て出荷をされているという事実はありませんか。端的に答えてください。あるならある、ないならないで。
  125. 森整治

    ○森説明員 調査では、割り当てを受けておるという小売り店の調査がございます。小売り店側で、問屋から数量の割り当てを受けておるという調査はございます。
  126. 小林政子

    ○小林(政)委員 それはどの程度の割り当てなんですか。価格はどうなっていますか。
  127. 森整治

    ○森説明員 家庭用の小袋につきましては、メーカー出荷が二百八円、末端の二百三十一円、これは厳守をされております。
  128. 小林政子

    ○小林(政)委員 私の調べましたある小売り店では、九月から実際に、一キロ、二十袋入っているものを注文をいたしましても、それの大体三割とかあるいは五割というような形でしか入ってこない、こういうことが報告をされていますけれども、あなた方は具体的に調査をされたのならば、その調査結果をひとつ委員会に出していただきたいと思います。
  129. 森整治

    ○森説明員 ただいま調査中でございまして、それがまとまり次第、もちろん資料は提出させていただきたいと思います。
  130. 小林政子

    ○小林(政)委員 この問題については、やはり私ども事前了承制の品物でもありますし、この問題については、やはり先ほどからもいろいろと問題になっておりますように、国際的な価格の高騰ということも予想されております。したがって、現在砂糖がどうもなかなかいままでどおり店頭に入荷しない、こういうようなことが私ども調査でも明らかになっております。したがって、この問題については早急な調査を行なう必要があると思います。そうして対策を何らか立てる必要があると思います。  先ほど来、農林省からいただきました資料を見ましても、通関の量を見てみましても、例年に比べて実際には減っていない、ふえている。あるいはまた生産量、出荷量につきましても、四十八年三月から九月までの百四十八万トンに比べて、生産量も四十九年三月から九月までは百五十八万四千トンでふえておりますし、あるいはまた出荷量についても、四十八年三月から九月の百四十九万四千トンに比べて、ことしの三月から九月は百五十六万一千トンです。この数字を見ても、生産量、出荷量とも、対前年同期に比べてふえている。それからまた原糖あるいは粗糖の通関の量も実際ふえている。  こういう点から見れば、品物が実際に不足をするということは考えられないわけですね。しかし、先ほどから言われているように、ロンドン相場だとか国際相場というものが相当今後高騰するであろうというようなことが予測をされている。しかも店頭にはすでにもうぼつぼつ品物が実際になくなってきている。ある小売り店が、実際に卸から入る価格は従来より高くなって、しかも量も制限されているということを言っているんですよ。それからまた、第一次の問屋さんの場合にも、九月に入ってからメーカーからの入荷が二割から四割減っていると言っているんですね。いわゆる割り当て出荷が行なわれている、こういうことを言っているということを具体的につかんでいるのかどうなのか。もしそうでなければ早急にこれらの事実を調査して、委員会に現状がどうなっているか、この点御報告を願いたいと思います。
  131. 森整治

    ○森説明員 先生御指摘のような訴えがわれわれの耳にも入ったわけでございます。しかし生産、出荷、在庫ともにふえておるわけであります。したがいまして、われわれが直ちに打ったことは、ともかくメーカーにもっと増産せよ、もっと出荷せよということをすでに指示しております。それから卸の流通段階あるいは一次、二次という流通段階についても、在庫状況調査にすでに入っておるわけでございます。それからいたしますと、私がいままで聞いておりますところでは、流通段階で在庫がふえているという徴候はございません。むしろ一部の業務用の実需者に、相当荷を持っておるところがあったという報告は受けております。したがいまして、全体のあれからいたしますと、現在の国際糖価というものの先高を見越した実需者筋が、一部買っておるということはあるのではなかろうか、こういうふうに思います。  ただ、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、ともかく出荷をどんどんしていただくということで、現物をぶつけるということが、この種の問題につきましては最大の効果があるという判断をいたしております。そういうことで指導していくとともに、ともかく家庭用の小袋につきましては絶対に店頭からなくならない、業務用が買いにきてもともかく出すということで、われわれは全般の指導をしているわけでございます。
  132. 小林政子

    ○小林(政)委員 これは調査事実について、委員長委員会資料提出をしていただきたいというふうにお願いをいたしたいと思います。  それから、やはり長官にお伺いいたしますけれども、七月十七日に砂糖を解除した。そして十八日からはこういうように指導価格も上がり、そして九月段階からこういう事態が起こってきている。こういう問題について、一体物資を解除したことが妥当であったのかどうか、あるいはまた今後のことを予想して、この問題に対してどのような対策をおとりになろうとされているのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  133. 内田常雄

    内田国務大臣 たびたび申し述べておりますように、砂糖を含みまして今日までの段階では、事前了承制を廃止したことは妥当であったと思います。  しかし、砂糖につきましては海外相場の異常な上昇というような事態もございますが、いまお聞きのように、数量そのものについては決して減っておりませんので、事前了承制を廃止した。その状態の中におきましても、一般用の砂糖の小袋がなくならないような措置を農林省にもとってもらっておりますので、その点の数量の上の心配はない、こういうように国民の皆さま方にも理解をしていただくことが一番よいと思います。
  134. 小林政子

    ○小林(政)委員 その点については責任を持って言えますね。
  135. 内田常雄

    内田国務大臣 責任を持って言うほうがいいと思います。しかし、物の値段というものは動いておりますから、あなたが先ほど言われましたように、百何十円で数量を確保しろというと、それはみな業務用に流れてしまったりする。これは灯油の場合にも同じような問題が生じるということがございますけれども、それらの価格と数量との関連において心配がないようにすることがいいのではないかと私は思います。幾らであれという号令、命令をかけたならば、砂糖の値段であれ灯油の値段であれ、その他一般の民生用の物資がその値段でとどまっているというものではない。下がるものもありますけれども、値段はいろいろ動く場合もあるということを前提としながら、国民生活に迷惑をかけないような施策をとることが、私は現実的な国民生活対策であり、また物価対策にもなると思う点がございます。
  136. 小林政子

    ○小林(政)委員 価格の歯どめという点で、物価の一時的な凍結にも近いこういう制度をとられた。しかし、それが解除したとたんに次から次へと実際に価格が上がっている。しかも、小麦粉とか砂糖とか、家庭用のバターだとか食用油だとか、そしてまた家庭用の合成洗剤だとか、いずれも毎日の生活に欠かすことのできないこれらの物資が事実値上げを来たしている。こういう点を考えますと、私は、それらの配慮なくして、ここで九月二十日までにいわゆる事前了承制の物資を五十九品目すべて解除したということは、結局は高値安定への方向を九月段階でもってとっていかれた、私はこういうふうにしか受けとめられないのです。いま申し上げたこれらの生活必需物資が、価格が横ばいだというならともかく、どんどんいま上がっているというような状況が現実に起こってきている。そういう中で、九月二十日現在でもってこれらの物資も含めてすべて解除をされたということは、結局、石油が上がったとかあるいは国際価格が上がったとかと、それはいろいろと理由はあるでしょう。そういうことを理由にしてすべて物価上昇するということを、政府みずからが高値安定の方向という形で解除したというふうにしか考えられません。  もう時間がないので、公共料金の値上げ問題一つを取り上げてみましても、先ほど総需要抑制公共料金の値上げと、いわゆる事前了承制あるいはまた買占め防止法等云々ということをおっしゃいましたけれども、ことしの一月から現在十月までに、田中内閣のもとで一体公共料金がどれだけ上がったのです、件数で。長官、御存じでしょうか。
  137. 内田常雄

    内田国務大臣 公共料金は、御承知のとおり押えに押えてまいりました。これは私がたびたび、公共料金につきましては極力抑制すると申してきたことばのとおりでございます。  米について申しますと、昨年もことしも生産者価格は引き上げましたけれども、昨年の米は、それに対応して消費者価格も上げないで、食管会計の中に一兆前後の赤字までつくって今日までこたえさせてまいりました。また、ことしの出来秋にも、御承知のとおり米の生産者価格はかなり大幅に引き上げました。これは米ばかりでなしに国際的に食糧価格というものが非常な値上がりをしております中で、わが国においてただ一つの需給がマッチする米というものの値段を押えていきますならば、これはわが国の食糧供給政策あるいは農業政策にいろいろな問題を生ずる点もありますので、上げざるを得ないというところで、米価審議会にも諮問をいたしまして上げたわけでございますが、ことしは米の消費者価格を上げないで済むかというと、もう二年続き生産者米価を上げたままでございますので上げざるを得ないということで、御承知のとおり消費者米価を上げた。しかし、それまでに去年の秋も上げない、ことしの四月も上げるといったのを上げないでここまできたというのは、それは私どもが皆さま方から御激励をいただいてまいった結果でございます。  国鉄問題につきましても、くどくど申しませんが、同じようなことで、ことしの春の値上げを、法律まで改正していただいて、この十月まで延ばしました。しかも……(小林(政)委員「簡潔に願います」と呼ぶ)しかし、あなたは簡潔にとおっしゃるけれども、私が言わないと、何でもみな私が悪いことをしたようなことをおっしゃいますから申し上げるのでありますが……(小林(政)委員「何件ほど上げたのかということを聞いたのです」と呼ぶ)何件かといいますと、ここにございますけれども、読み上げますと長くなりますが、十件以上、タクシー、ガス、電力、私鉄、国内航空、通運、それからいまの米、国鉄、民営バス、それから東京都営バス、営団地下鉄、東京都営地下鉄というようなもの、数にいたしますと十件をこえるぐらいの公共料金の値上がりでございますが、これらは、物価全体が鎮静するまで私どもはじっとかまえて待っておりまして、先ほど来申し述べますように、最近鎮静をいたしてきたその間を縫って、そこにはさまさせていただいた。そうじゃないと、公益事業そのものがつぶれてしまってサービスができなくなるということを考えないと、小林さんのおっしゃるように、法律で、あるいは行政で値段をぴしゃっと押えておればそれで済むということはございませんので、その点もひとつ御理解をぜひいただきたいと存じます。
  138. 小林政子

    ○小林(政)委員 答弁はできるだけ簡潔にお願いしたいと思います。  時間もだいぶ過ぎておりますので、公共料金につきましては、いま長官読み上げたような十七件です。ことしの一月から十月までの間に十七件の公共料金が値上げされています。しかもその中で主要な半数以上はこの十月に入ってから、総需要抑制という名のもとに、次から次へと公共料金の値上げが行なわれた。私は、これは物価抑制策の主要な柱の一つとして、公共料金抑制だなどということが実際にいまの現状のもとで言えるのかどうか。あるいは事前了承制から、あるいはまた国民生活安定法、投機防止法、これらで規定した問題もすべて解除するというような中で、実際に物価は下がっているどころか、そのとたんにずっと上がってきている。こういう点一つを取り上げてみても、実際にいまの田中内閣がほんとうに国民立場に立って物価抑制しようとする姿勢が、こういう具体的な事実の中から、どこにそのことが私は言えるかということなんです。まして消費者の立場に立つはずの経企庁長官が、こういう時点の中で、それは一つ一ついろいろ理由はあると思いますが、しかし、総体として物価抑制を真にはかっていくという立場に立ってやっていただくことは、これはもう国民すべてが望んでいることであり、このような時点の中で、物価をほんとうに抑制しているということが、私は、聞いてもだれ一人言えないのではないか、こういわざるを得ないわけであります。  時間がもうほんとうになくなってまいりましたので、私、きょうは実は文部省の方にもお越しをいただいておりまして、給食費の問題をお聞きをいたしたいというふうに思っておりましたので、簡潔にお伺いをいたしたいと思います。  インフレ物価上昇ということがいまいろいろと大きな問題になっておりますけれども、このような中で、私はやはり学校給食に相当の影響があらわれてきていると思うのです。まあ栄養士や給食関係の方々の御努力だとか、あるいは善意のもとでやりくりをするというような状況では、もはや給食の水準を維持するというようなことが実際にはできない状態になってきていますし、実際には質の低下だとか、あるいはまた量の減量だとか、あるいはまた添加物等もいろいろと単一化していくなどということで、たいへん子供にとっても魅力のない給食になってきている。  こういうことで、いま父母の間からも給食問題は大きな社会問題になっていることは、文部省もよく御存じだろうというふうに考えます。こういう立場に立って、私はやはり一番心配な点は、一つは子供に対する栄養の問題ですね。文部省の基準というものは一体どういう状況になっているのでしょうか。
  139. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 お答え申し上げます。  学校給食につきましては、学校給食法がございまして、それの実施にさらに政令がございまして、その政令に基づきまして、具体的な学校給食の実施の基準というのがございます。  それでその給食基準の別表として、「児童又は生徒一人一回当たりの平均所要栄養量の基準」というのがございます。学校はこの基準に従って給食物資を調理して生徒に供するということになっております。
  140. 小林政子

    ○小林(政)委員 できれば、カロリーがどういう基準で、たん白質が一食当たりというのが、もし……。
  141. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 いまの栄養基準によりますと、子供の発達段階に分けまして、ちょっと簡単に申し上げますけれども、六歳から八歳、九歳から十一歳、それから中学校の生徒の場合というふうに三段階にいたしまして、それぞれ必要のカロリーで言いますれば、一番小さい子が六百カロリー、それから九歳から十一歳の場合が七百カロリー、中学生が八百五十カロリー、さらにたん白質につきましては二十三グラム、三十グラム、三十六グラム、そういうふうにたん白質、脂肪、カルシウム、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCというふうに分類をいたしまして、それぞれの必要量を示してある、こういう規定のしかたになっております。
  142. 小林政子

    ○小林(政)委員 実際に現在の状況のもとでは、私はおそらく栄養基準というものに合致していないのじゃないだろうか。私が実際ある栄養士さんにお話を伺った状況を見ましても、実際にはもう栄養基準というものを落とさざるを得ない、カロリーはある程度維持しても、たん白質とか、こういうものについてはなかなかもうこれを維持することが困難である。そうしてお肉なども、一人二十グラム必要なのを十五グラムにしているとか、あるいはくだものの給食回数の中で出す数をやはり減らしているので、ビタミンAとかCについてもなかなか思うようにそれをまかなうこともできないし、パンにつけるジャムの回数まで減らしてマーガリンにしているというようなことだとか、また子供たちがブドウパンをたいへんに好むのだけれどもロールパンだとか、ブドウパンもそうそうやはりなかなか子供の嗜好に合わせてつけることもできなくなってきているし、できるだけスープ類を多くして、そうして肉の入らない、とうふだとか、ジャガイモとか、そういうスープのときもあるということで、非常にやりくりをしながら、何とか子供たちが喜ぶ給食を実施したいということで努力されているわけです。  私は、やはりこのインフレ物価の値上げということが学校給食に与えている影響を考えますと、最近の物価値上げというものについて、給食費の値上げ分は公費で当然見るべきではないか。給食法の第六条云々という御意見もございますけれども物価上昇のもとでこのような異常な、給食が質的にも問題になってきているときに、この上昇分について文部省は公費負担という点で、積極的に前向きにこの問題を何としてでも解決していくという姿勢をお持ちでしょうか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  143. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 ただいまの前段のお話でございますけれども、確かに学校の給食関係の職員の方々は非常に御苦労なすって、なるべく低廉な価格で栄養価の高いものということでいろいろ御苦心をいただいておるわけでございまして、この春の、サンプル調査でございますけれども、私どもが調べましたところでは、全般的には大体いま申しました基準に即してやっておるように見えるわけでございまして、若干下回っている点があろうかと思うのでありまして、なお、今後努力をお願いしたいところでございます。  ところで、いま先生の御質問にございました、最近の物価上昇に伴って、上昇した分を公費で見る考えはないかと、こういうおことばでございますけれども、現在のところ市町村なり県なりにおきましては、ミルクあるいはその他のおかず等につきまして、値上がり分について若干を公共団体で持つという政策をとっておられるところもございます。また、その額も相当多額にのぼっておるわけでございまして、これはそれぞれの団体におかれまして、その財政状況なり地域の実情なりをお考えになって、独自の施策としておやりになるわけでありますから、それなりに評価すべき点があろうかと思うのでありますが、しかしながら、およそ国といたしまして、すべての児童生徒に対しまして、この値上がり、と申しましても、いつの時点でどれだけ上がるかという問題もまたあろうかと思いますが、それを国が見るんだというような考え方は、いまのところとっておらないわけでございます。  ただ、つけ加えさしていただきますならば、御承知のように、この義務教育の段階におきましては、生活保護法の援助を受ける家庭の子供さん、あるいはそれに準ずるような家庭の子供さんにつきましては、給食費それ自体を国と市町村等が肩がわりをいたしまして、そういう子供さんにつきましても、今日のような物価上昇の時期においても、ほかの子供さんと同じように給食ができるようにという手当てはしておるわけでございます。
  144. 小林政子

    ○小林(政)委員 長官にお伺いいたしたいと思いますけれども、こういう事態の中で給食の実態はいまお聞きのとおりでございます。特に私は牛乳代ですね、牛乳代は、ことしの四月に平均五円十八銭上がりまして、そしてこの九月にまた四円五十三銭上がったわけです。ですから、年度途中でこの牛乳代が二度も上がるというような事態が実は起こっておりますし、また給食の中での主要な物資といえば、一つは小麦粉ということにもなります、パンですから。ですから私は、まず牛乳代の年度途中二度上がらざるを得なかったという、それはやはり物価等も全体的に上がる中で、牛乳代も酪農の人たち状況でやむを得ず上がらざるを得ない、こういうことで上がってきた問題について、せめて私は、牛乳代の年度途中で上がった分だけでも緊急策として、とりあえずこれに対する補助を行なうということは、これは妥当なことじゃないだろうか、このように思いますけれども物価担当の立場で、先ほど来消費者の立場を尊重してという立場を貫くと言われた経企庁長官として、この問題についてはどのようにお考えになりますか。
  145. 内田常雄

    内田国務大臣 私、気持ちとしましては、小林さんが御要望されるとおり、私もできますならばそういう方向をとってやることがいいのではないかと思います。これは一般の、今年度中にもやりましたような、生活保護基準の二度ばかりのかさ上げもやりましたし、あるいはまた社会福祉施設などの措置費のようなものも、趣旨は違いますけれども、増額をした例はあるわけでございますので、いまの学校給食法という法律のもとで子供たちの健康のためにもやっておるような施策でありますから、私としては何か類似の措置がとれればいいと思います。しかし、何しろ大蔵省という難物がおり、また文部省も腰が弱いものですから、ひとつ共同して、私の気持ちが貫徹できるようにいろいろまた画策をしてみたいと思います。
  146. 小林政子

    ○小林(政)委員 大蔵省にいまの点をもう一回伺いたい。大蔵省の人、来ておりますか。
  147. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 御説明申し上げます。  ただいまの学校給食費の問題は、実は私、社会保障の担当でございまして、文教予算を担当いたしておらないわけでございますけれども、先ほど文部省のほうからも御説明がございましたように、財政当局としてこの種の問題に対する基本的な考え方といたしましては、いわゆる生活保護とか社会福祉施設入所者あるいは失対労務者という低所得者層につきまして、この層が非常に物価上昇について影響を受けやすい階層であるということで、年度途中におきまして各種の措置をとり、今回補正予算でその財源を見込むということになると思いますけれども、一般的に給食費の値上がりにつきまして、それを公費負担といいますか、国庫で見るということにつきましては、私、所管外ではございますけれども、基本的にはそういう考え方はとらないということになるかと思います。
  148. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、大蔵省のその態度問題だと思いますよ。経企庁長官も、こういう事態のもとで何らかやはり措置をしなければならないのじゃないか、また文部省とも協力してできるだけ現状の問題の解決のために努力をしたいということを言っているわけですけれども大蔵省がともかく財源の立場からだけでそういうことは措置すべき考え方はないということは、これはあなたの個人的な見解ですか。それとも大臣もそういうように言っているのですか。
  149. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 冒頭に、私、文教予算の担当ではございませんので、この個別の事案についてどういう取り組み方をするかということについて、正確に申し上げられないというお断わりを申し上げたわけでございますけれども、基本的な考え方としてはそうではあるまいかということを御説明申し上げましたわけで、もし専門の担当者が御説明する必要がありますれば、また別の機会に詳しく御説明するという方向で、帰りまして関係部局に連絡したいと思います。
  150. 平林剛

    平林委員長 どうですか、これは経企庁長官も難物の大蔵省を相手にしてやると言っておるのですから、その言質をいただいたところで、あなたの質問を終わっていただいたらいかがかと思います。
  151. 小林政子

    ○小林(政)委員 それでは終わります。
  152. 平林剛

    平林委員長 次に、有島重武君。
  153. 有島重武

    ○有島委員 今年度の物価の情勢について、もう先ほど来たくさん議論が繰り返されてしまいましたので、これ以上ないようにも思うのですけれども消費者物価見通しが一五%あるいは十数%というような話も出ました。それで、これに対して一つの目標を掲げて努力していらっしゃるのであろうかと私も思いたいわけなんですね。  そこで、先ほどからのお話でなお一つだけ確認しておきたいのは、やはりその物価、来年三月を一つの目標値として、そこに努力をしていらっしゃるというそういう姿勢があるかどうかということを、まず最初にもう一ぺん確認したい。
  154. 内田常雄

    内田国務大臣 有島さんのおっしゃるとおりでございます。
  155. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、一五%を目標に努力していくということでございますね。  それから第二番目に総需要抑制、これは堅持していかなければならないことでありますけれども、弱いところの抑制ばかりがきいて、強いところにはどうもきいておらぬというお話が先ほど松浦先生から出ました。私もそれは非常に同感なんです。  その一つの例になるかどうかでありますけれども大蔵省の銀行局は来ていらっしゃいますね。——大手の銀行の自己資金がある。それを、ある特定の会社だけに非常にたくさん貸しておるというような問題があるように聞いておるんだが、私のほうの調べたこれで間違いないかということをちょっと伺いたいのだが、四十八年九月のですけれども、第一勧銀が伊藤忠に九百七十億円、これは自己資金の二六%に当たる。それから三菱商事に九百二十億円、二五%に当たる。これは大数でございますけれども、富士銀行、これは三井物産に千二百十七億円、これは自己資金の三五・五%に当たる。三菱銀行が三菱商事に対して千三百九十七億円、これは四二・五%に当たる。こういった数字、大数でございますけれども、間違いありませんか。
  156. 宮本保孝

    ○宮本説明員 先生いま御指摘の個々のものにつきましては、いま資料を持ち合わせておりませんけれども大臣がここで御答弁申し上げました数字がございます。それは、都市銀行全体で、去年の九月末で二十七件、かりに自己資本の二〇%以上貸し込んでいる分について調べてみますと二十七件ある、こういうことは御答弁申し上げておることでございます。
  157. 有島重武

    ○有島委員 企画庁長官に伺いたいのですが、こういったことをこのままにしておいてよろしいかどうか。こういったことについてチェックすべきではなかろうか、そういったことについてお考えになったことがあるか、全然ないか、この辺はいかがですか。
  158. 内田常雄

    内田国務大臣 まあそのことは、経済企画庁経済政策の調整をやる官庁ではございますが、直接この問題と取り組んだことは、正直に言ってございません。  しかし、私ども承知いたしておりますところによりますと、これは大蔵省からかあるいは金融制度調査会からか、この問題は取り上げて金融制度調査会の中で論議をしたい、こういうような動きがあるということを聞いておるわけでございます。この件は、金融機関の健全性とかあるいはまた金融機関の資金配分の適正化という見地からは、私はしかるべき論議が尽くされることがよいと考えるわけでございます。
  159. 有島重武

    ○有島委員 物価抑制ということについて、これはどんなことでもやっていこうというお立場のはずなんでありますので、それは確かに、そういった論議をあっちでやっているから、私のほうでは全然考えないというわけではないと思うのです。少なくともこういったことが望ましいことであるか、こういったことは排除する方向に持っていきたいと思っていらっしゃるか、この辺のお考えはここでお聞かせいただけませんか。
  160. 内田常雄

    内田国務大臣 実は、いま申し上げた程度の見識しか私もないわけでございますので、今後いろいろまた勉強をさしていただきたいと思います。
  161. 有島重武

    ○有島委員 消費者物価の指数について、これはOECDの発表でもって、四十九年の八月末なんですけれども、同じように石油については非常に弱い体質を持っているオランダや西ドイツが、オランダが九・八、それから西ドイツが六・九、これは対前年度比になります。それに対して日本は二四・五ということになっておるわけですね。それからまた英国なんかは一六・九、ベルギーが一六・四、フランスが一四・五、こういったところでも物価問題で総選挙をやったりなんかしているわけですね。  そういうことから考えて、経済企画庁は、一生懸命やっていらっしゃるとはおっしゃるけれども、まだその熱心の度合いといいますか、あるいはもう一つきょう申し上げたいことは、ここには確かに一つ政府の施策もあるけれども、もう一つは、国民全体の御協力もいただきたいというようなおっしゃり方もあろうかと思うのですね。それじゃ、国民各層にどのような働きかけをして、そうして物価抑制にどう進んでいくかというような施策についても、ほんとうに本腰で考えていかなければならないんじゃないかと私は思うわけです。
  162. 内田常雄

    内田国務大臣 西ドイツなどの外国の物価上昇についての引例もいま有島さんからございましたが、たいへん違います点は、これは西ドイツにいたしましてもあるいはフランスにいたしましても、オランダでもそうでございますが、石油の海外依存度というものは日本に近いぐらい非常に高いわけでございます。ところが、それらの国におきましては、石炭エネルギーの比重がまだ相当高いものがございますし、あるいはまた石油ガスなどの自国供給もかなりの率でございまして、それらのものをひっくるめますと、たとえば西ドイツあたりでは、第一次エネルギーの海外依存度というものはせいぜい五〇%程度しかございません。しかし日本は、石炭についてはもうよく御承知のとおり。また、水力発電の現在の発電容量あるいは石油ガスなどの供給を見ますると、これらの諸国と格段の低位に置かれておりますので、第一次エネルギーの海外依存度というものが非常に高い状態に置かれております。  そうした状況のもとで、石油価格のあのような大幅な値上がりというものがございましたので、これらのエネルギー価格の上昇のかぶり方というものが、日本と西ドイツその他のあの地域の諸国とはかなり違うようでございますので、その辺にも、昨年からことしにかけての物価上昇状況には、かなりの違いが出てきているということも私は考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、わが国物価上昇は、過去一年間非常に高いものがございましたので、これからの半年、一年の間にできるだけこれをもとの状態に戻す方向で努力をいたしてまいることは、たびたび申し上げているわけでございます。  また、物価の安定には、もちろん国民の理解と協力が必要でありますことは、有島さんのお述べになりましたとおりでございますので、そういう見地から、私どもも機会あるごとに、またいろいろの手段を用いて、国民の御理解と協力を求めておるわけでございます。先般催しました全国のモニター大会というようなものも、これらにつきましても、いままでは政府からいろいろ物価についての御協力をお願いしておるわけでございますけれども、一方通行になったままのような点がございまして、私どもがたまに地方に参りましても、経済企画庁、通産省、農林省、これらの経済官庁からお願いをいたしておるモニターの方々に、自分たちの協力のしかたあるいはまた意見具申などについて、その結果についてのいろいろ御不満があることを私どもも看取をいたしましたので、いままで全くないことでございましたけれども、ああいう催しもいたしまして、全国から千人余りのモニターの方にもおいでを願って、いまの物価問題に対する御理解やら御協力をあらためていただくような方途を講じた、こういうわけでもございまして、御趣旨全く賛成でございますので、今後も、国民的課題としてのこの問題の普及、理解などにつきましては、できるだけの対策を深めてまいりたいと考えます。
  163. 有島重武

    ○有島委員 御趣旨全く賛成というお話でございまして、物価抑制に関するPRないしはそういったフィードバックをする、そのために、それではどのくらいのお金を使ってやっていらっしゃるか、どういった機関を用いていらっしゃるか、そういったものについて。
  164. 喜多村治雄

    喜多村説明員 物価抑制のためにどういうPRを、どういう機関を通じて、どのくらいの金でやっておるか、こういう御趣旨かと思います。  現在、経済企画庁におきましては、物価に対する基本的な政策に関します正確な情報の提供でありますとか、そのことが物価の安定に役立つということを、いま大臣が申し上げましたような意味で考えておりまして、関係各省庁、それから国民生活センター、それから地方公共団体、それから地方にございます、これは地方公共団体そのものではございませんけれども、地方の生活センター、あるいは消費者センターという名がついておるかもしれませんが、そういったようなものの御協力を得まして、次のような五つのことをやっております。もちろん各関係各省におかれましては、個別の物資問題につきまして、たとえば牛肉のPRにつきましては農林省が、灯油のPRにつきましては通産省がというようなことがございますが、私のほうでやっておりますのは、次のような五つでございます。  一つは、私どものほうで関係各省が集まりまして、先週どういう物価対策を講じたかということをいろいろ相談するのを毎週やっておりますが、毎週といいましても時々抜けたことがありますけれども、そういった先週講じた物価対策というようなものとか、あるいは「最近の物価動向」というリーフレットを出しておりますが、こういったものを都道府県に定期的に配付をいたしております。それから政府の広報及び新聞それから雑誌、テレビを活用いたしております。これが第二番目でございます。それから、先ほど大臣から申し上げました物価モニターその他に対します物価動向資料の提供をいたしております。それから第四番目は、国民生活センター、地方消費者センターを通じまして一般に情報提供をいたしております。これはテレフォンサービスでありますとかテレファックスを通じてやっておることであります。第五番目は、都道府県の生活部局に対します情報提供及び指導でございますが、これは、都道府県にはもうすでに生活ないし物価というものについて所掌している部局がございます。あるいは政令都市にもございますので、そこへいろいろな情報を提供いたしますとか、あるいは求めに応じて指導をいたすというようなことをいたしております。  予算でございますけれども、これは物価だけの予算というわけにもまいりません。と申しますのは、消費者行政の関係も入ってまいりますし、またそのほかの国政モニターに対しますPRも一緒に入ってくるというようなことがございますので、政府が行なっております総じての情報提供予算というように御理解いただきたいと思いますけれども、これで、昭和四十九年度の予算では五十八億程度でございます。このうち過半数のもの、三十億程度はテレビによるものでございますし、それから新聞、週刊誌によりますものが十七億程度、パンフレットによりますものが八億程度、そういったところがおもでございます。  経済企画庁といたしましては、先ほども申し上げましたように、テレビとかあるいは電話サービスとかあるいは模写伝送装置、そういったものを用いまして、合計千五百万程度のものを情報予算としてあげております。  以上でございます。
  165. 有島重武

    ○有島委員 PRの中でもって国民がほんとうに知りたがっているのは、いまのところほんとうにすぐぴんとくる話が、どこへ行ったら安いものがあるか、こういうようなことがほんとうは知りたいわけです。ところが、見受けるところ、あれも高くなった、これも高くなる、これはまあ安定であろうと、いろいろなことはありますけれども、パーセンテージなどがこう出てまいりまして、そのパーセンテージというものは国民の生活実感とはほど遠い、そういったような批評があるのは御存じか御存じないか、このことをお耳にひとつ入れておきたいわけです。あとでまた言います。  それで、さっき長官が、高くなるものもあれば安くなるものもありますということを言われました。安くなったものは何と何と何か、一つ二つ、三つ、四つとあげていただきたいわけです。これとこれだけは安くなりましたというものがあったらです。
  166. 内田常雄

    内田国務大臣 たくさんございますが、「最近、価格の下落している品目(東京 九月の前月比マイナス二%以上のもの)」これが一番新しい数字でございますが、これは食料などでも、カツオ、サケ、タイ、タコ、アサリというようなものがずっと並んでおります。キャベツ、白菜、カンショ、サトイモ、大根なんというものは十数%から二〇%ぐらい安くなっております。これは食料でございますが、それから住居費関係、ベニヤ板、これはおそらくベニヤ板ばかりではなしに、建築資材の合板なども同じはずでございますが、これは九%ぐらい対前月比で安くなっております。それからガラスコップ、カーテン。被服で繊維類が並んでおります。それから雑費で、総合雑誌、週刊誌というものはそれぞれ五%ないし三%安くなっております。それからビニール製ボール、防虫剤というふうなものもあります。角材、腕時計というようなもの、いろいろあるようでございますので、あとからお届けをいたします。
  167. 有島重武

    ○有島委員 そういうふうな、これとこれは安くなったぞ、ベニヤ板は下がってくるぞという報道というものは、これは国民の中に一つのやはり非常な波絞を投げるであろうということはお考えになりませんか。いまベニヤ板も下がっていると初めて聞いたけれども、そのこれとこれとは下がりだした、それからもう一つは、あそこに行けばこれはこういうふうに安く買えるぞというようなことですね、これは国民に与える心理的な影響というのは非常に大きいんじゃないかと私は思う。そういったことをぜひこれはやってみていただきたい、こういうわけです。  そこで、きょうはもうさっきから砂糖の話、灯油の話があって、私はそれともう一つは電化製品の話をちょっと伺いたかったわけなんですが、お砂糖については、もういま質問が何べんもあったわけでございますけれども、一言だけ聞いておきたいんです。  さっきの食品流通局長さんのお話では、量の確保はだいじょうぶ、こういうことですね。これは年末にかけてだいじょうぶ、来年までも絶対だいじょうぶの見通しをつけていただくようなふうにできるかどうか、こういうことを一つ。  それから、ことしの七月にキログラム二百三十一円になったわけですな。それでそのときのロンドン相場が幾らであったかということですね。それでこのあとの影響で潜在的にまだまだ上がるというような、一つの潜在力を含んでいて、いまそれが安定した形でもっているだけなのか、あるいは先行きまでもいまのこの大体の価格つり合い、そういったもので押していかれるものなのか。  それで、これも心理的な要素が非常に多いんじゃないかというふうに一つには思うわけです。量の確保はだいじょうぶだ、こう言いますね。ところが、あまりだいじょうぶじゃ困る人たちもいるわけであります。これはごく少数かもしれませんけれども、多少の波紋があって高いぞ、何とかだということによって、投機的な動きを期待していらっしゃる向きもあろうかと思うのですね。そういったような波紋がどっと、国民の何かあせったような気持ちに火をつけてしまうとまたえらいことになる。まあ一つにはPRのことがあるわけでございますけれども、これはかくかくしかじかでもって絶対にだいじょうぶだということを言えれば言っていただきたい。
  168. 森整治

    ○森説明員 数量につきましては、メーカーから手当て状況につきまして報告を求めております。その資料によりますれば、来年の三月までの手当ては全部完了いたしております。三月に出荷できる分につきましては手当てを済んでおります。ただ、価格について最終の値ぎめをしていないものが若干ある。それが、現在の異常な糖価の水準がどういうふうに変わるかというのを見きわめて、おそらく最終の値ぎめをされることになると思います。  それから、二百三十一円の価格改定を行ないました当時のロンドン相場、七月平均をいたしますと、ロングトン当たり二百五十三ポンドでございます。
  169. 有島重武

    ○有島委員 それでロンドン相場が二百五十三ポンドという向こうの変動が、あとでこちらの潜在的な圧力になる、ならないというようなことですね、そういったことも含めて、まず先行きまでとにかく安定であるということを国民側としては、これは了解していてもよろしいことかどうか。
  170. 森整治

    ○森説明員 二百三十一円をきめた当時の、またそのときまでの過去のロンドン相場とそれ以後のロンドン相場、非常に急変をしながら上がっております。このことは認めざるを得ないと思います。しかし、現在の凍結価格といいますか、二百三十一円、これにつきましては、私どもとしまして家庭用の小袋について行なっているわけでございます。このものについては絶対に品は切らさせない、あくまでも国民の皆さんが安心して買えるような状態にするよう、連日メーカーを督励をしておるわけでございます。したがいまして、家庭の皆さんは御不安を持っていただかなくてだいじょうぶ、私、ここで明言をさしていただきたいと思います。  ただ、今後の、従来のメーカーからあがっております手当て状況、仕入価格につきましては、相当苦しいものになっていることも事実でございます。そこで、業務用につきまして最近価格の改定を行なって、それにつれて実需者筋の買いが入っておるということも事実でございます。しかしながら、これら全体を勘案いたしまして、われわれとしましては社会的な混乱は絶対に起こさせたくない、また起こしてはならないということを至上命令に考えまして、なお今後指導価格というものにつきまして、絶対に品不足にならないということを念頭に置いて十分指導もしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  171. 有島重武

    ○有島委員 内田長官、いまのようなお話一つあるわけです。さっきのPRの話でございますね、ずいぶんたくさんのお金を、五十八億円も広報に使っていらっしゃる。そのうちの二十九億はテレビであるなんというふうなお話があります。砂糖についても、去年の非常にパニック状態のときを思うとぞっとするようなことでございますけれども、いまの農林省としては確かに量の確保はできておると言いますね。ところが、にもかかわらずいろいろな問い合わせが私たちのところにも来るわけですね。というのは、そういうことを言ったから、だから逆にこうではないのか、いろいろな勘ぐりみたいなようなことがたくさん出てくるという、潜在的にそういったものがあるわけですね、去年のことにこりてか。そういったあえてさざなみを起こしていくような、そういうような働きを封じていくということが、政府の施策がそのまますんなり成就するか、あるいは政府の施策にもかかわらず、それが裏目に出ていくか、そこのたいへんきめ手になるのではないかと思います。それで、適正なPRをやるということを十分お考えいただきたいと思うわけであります。  それから、砂糖のことはそれでいいとして先に進みますが、これももう話が出てしまったわけですけれども、いまのに非常に似たような、灯油のことが同じようなことになろうと思うのですね。先ほども松浦委員のほうから、盛岡では五百八十五円、生協のほうではこうした値段でもってやっている。大体五百円台でもって、いまのところ生協でやっているのだというようなことがあるわけですね。こういったことも、これは国民の一般の耳に何べんも入れて、大体いまのところ五百円台でもっていっているんだ、それからなお、ここに行けばこういう安いものがあるんだという話があったら、それを個別であっても取り上げていくという、そういうようなことが大切であろうと思うんですね。  そこで通産省に灯油のこと伺いますけれども、灯油についても量の確保ということは、これは国民の前に胸を張って断言できるわけですね。
  172. 左近友三郎

    ○左近説明員 灯油の量の供給でございますが、大体九月末の在庫の予測をいたしておりますと、大体六百万キロリットル程度にはなろうかと考えております。実は、昨年は九月末の在庫が五百五十万キロリットルでございましたので、大体五十万キロリットルくらい多い在庫があるような見込みでございます。  大体、灯油というものは夏場にためておきまして、これからの需要期にそれを出していって、生産をするものと在庫のものを合わせて出していくということでございますので、ことしの冬は数量の供給は、われわれとしてはだいじょうぶだというふうに考えておりますし、御承知のように、原料の原油につきましても、現段階では十分入っておりますので、生産自身も今後十分な生産ができるというように考えておりますし、私ら自身も、今後灯油の生産を十分やるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  173. 有島重武

    ○有島委員 この量の確保はこういうふうに万全である、そのことをやはり国民がほんとにしんから信頼できるといいますか、いろいろなさざなみのようなことが起こるかもしれない可能性はありますけれども、基本的には、そのことは絶対安心だという点をよく周知徹底さしていただきたい。いま以上二点ですけれども、よろしゅうございますね。
  174. 内田常雄

    内田国務大臣 よろしゅうございます。そのとおり努力をいたします。
  175. 有島重武

    ○有島委員 それから家電製品のことについてですが、冬が近づいてきて、家電製品がまた値上がりしておる。最近の家電製品の値上げが相当な幅でもって上がっていると聞いておりますけれども、通産省、この値上がりの状況と、それから何で値上がりをするのか、そういったことについて概要をちょっと説明してください。
  176. 鈴木健

    ○鈴木説明員 お答えします。  松下電器産業あるいはその他の家電メーカーが本年九月に、いわゆる冬物商品につきまして価格改定を行なっております。これらの商品の中には、全くの新製品であるということで、昨年の価格と比べられないというようなものもございますが、昨年と同じようなものにつきまして価格を比較してみますと、平均しまして二八%程度の値上げになっております。冬物商品と申しましてもいろいろあるわけでございますが、おもなものについて見ますと、単純平均でございますが、電気あんかで三九%くらい、電気毛布で一九%程度、電気こたつ四八%程度、電気ストーブで二八%程度、パネルヒーターで七%程度ということで、ものによってかなり違いますが、平均二八%程度の値上げになっております。  この値上げの理由でございますが、これらのものをつくっております材料費の高騰、これが一番大きな要因になっておりまして、そのほか人件費の上昇等も影響しておるわけでございます。これら冬物商品の大部分は、大手メーカーが直接自分のところではつくらないで、下請の中小企業につくらせておるというような形態が多いわけでございます。たとえば東芝の場合をとってみますと、九月に価格改定をいたしました商品はすべて下請企業であるということでございまして、そういった下請企業の場合には、大手企業等に比べましてコストの上昇を吸収する余力が比較的少ないというようなものもございます、また材料を購入する場合に、材料をまとめて買っておくというようなこともできにくい立場にございまして、材料費の上昇等がそのまま価格に反映されてしまったというような事情があるわけでございます。
  177. 有島重武

    ○有島委員 これは九月以前のことなんですけれども、ことしの六月二十二日の朝日に出ている記事ですが、渋谷の道玄坂の城南電機という電気屋で、標準価格の三〇%から四〇%引きでもって売っているのですね。これが記事に出ておりました。こういう三〇%、四〇%引きのような、それでかなり大量にこれは売っている。こういった商売はどうして可能なのか。
  178. 鈴木健

    ○鈴木説明員 電機メーカーから小売り店に家電製品がおろされる場合、マージン率はメーカーにより、あるいは品物によって差がございますが、大体二二%から二五%程度でございます。そのマージンの範囲内で小売り商がある程度値引きをして売るということがございますが、普通の商売を行ないます限り、マージン率以上の安売りをいたしますと赤字になるわけでございますので、そういうことはできないわけでございます。実際に小売りで行なわれております値引きの状況等を調べてみますと、通常五%から一〇%程度でございまして、冬物商品につきましても大体五%から七、八%程度でございます。場合によりまして非常に大幅な値引きを行なっておる店もあるわけでございますが、これは通常のルートによるものではないのではないかというふうに考えられるわけでございます。たとえば質流れ品とか、あるいはその他特殊なルートで手に入れたもの、そういうものではないかというふうに推測されるわけでございます。
  179. 有島重武

    ○有島委員 この記事によりますと、カラーテレビの十四型でもって標準価格十万五千円というのが、卸売り商から六万五千円で仕入れる、だから七万二千五百円の定価でも十分もうかるんだというようなことが書いてございますね。いまのお話とだいぶ違うように思うのです。私も、さっきおっしゃったように、大体マージンというものは二〇%ぐらいのものであろうと思うのです。  もう一つ、これは最近になってまた何かビラを手に入れたわけです。しかも、これが依然として健在でやっていらっしゃるわけですね。そしてかなりまとまった台数、五百とか六百とかいう台数をずっと月々商売していらっしゃるらしい。そうすると、質流れがそんなたくさん、五百も六百もまとまることはなかろうと思うのですね。それで欠陥商品を売っているのであれば長続きはしないであろうと思うのですね。これは一体どういうわけか。いまの御説明ではちょっと納得がいかない。
  180. 鈴木健

    ○鈴木説明員 私、先ほどお答え申し上げましたのは、通常のルートで、通常の形態で売った場合にはそのような大幅なディスカウントは不可能であるということでございまして、たとえば旧製品、非常に型式が古くなってしまったもの等について在庫処分をするとか、そういうような場合にはある程度大幅な値引きも可能になるのではないかというふうに考えられます。  それから、メーカーから小売り商におろす場合、マージンのほかに、形態によりまして、ごく最近では少額になっておりますが、メーカーから販売店にリベートを与える、あるいは量によりまして、大量におろす場合のリベート、そういうものがございますので、非常に大量に扱っておるところは安く売れるというようなこともございます。
  181. 有島重武

    ○有島委員 いろいろな商売があって、いろいろな商売の形態がある。これは別に、先ほどおっしゃったように、正規のルートを通れないものというのではないのですね。やはり正規のルートですね。その点……。
  182. 鈴木健

    ○鈴木説明員 現在、先生が御指摘になったケースにつきまして、正規のルートであるかどうかということは、私、調べてまいりませんでしたのでお答えできませんが、通常の形態でいった場合には、新製品につきましては、マージン率の範囲内で、通常の場合五%ないし一〇%程度の値引きが精一ぱいである、その程度の値引きにおいても、小売り商の利潤が非常に圧迫されておるというよなことを聞いております。
  183. 有島重武

    ○有島委員 さっき電気こたつの値上がりが三十数%、四〇%というようなお話があったけれども、これは六千円のものがことし九千円になった、そちらからいただいた資料ですと、そういった例もあるわけですね。こういうものがあるかと思うと、これは新聞の折り込みに入っていたのですけれども、城南電機というのですが、これで見ますと、電気毛布が六千八百円と出ているわけですね。定価が一万一千円くらいのもので、これはどのメーカーかわかりませんけれども、この仕入れが一体どのくらいであったのかということを実は聞いてみたのです。そうすると、電気毛布なんかについていうと、去年七千九百円であったもの、これを四千円で仕入れたのだそうです。ことしはその仕入れが六千円になっておる。それで定価は一万一千百円という数字になっておる、そういうふうに聞きました。あるいはナショナルのマークの入っているパネルヒーター、ここにもパネルヒーターというのがありますけれども、これが四十八年の定価が二万六千八百円。これは別の電気屋さんで聞いたのですけれども、ことしはそれが二万九千八百円になっているそうです。それが実は仕入れが七千八百円だという話です。これは多少型が違うのかもしれませんけれども、パネルヒーターといっても、ただ金属を押して中へ油を入れて、そしてニクロム線を通すというものですね。こんなはなはだしい違いが出ているということ、これは私は非常に不審に思ったわけなんです。これはディスカウントでもっての特別の店かもしれないけれども、まだ下げられるゆとり、余地が店々によってくふうさえすればあるのではないか。  私たちは何となく潜在的に、もう去年よりことしのほうが二割か三割高くてもしようがないというような、何かそういったようなあきらめムードのようなものが国民の中に入っている、心の中に入っている。それもやはりぶち破るという意味でも、ちゃんと一つの正規なルートでありながらこうした安いものがある。これはこの城南電機だけに限らず、もう一つまた大きいこうしたディスカウントのショップがあるそうですが、そういうような値段も、これは今度は内田企画庁長官に、さっきのPRの話で高い高いという話の中に、ここに行けばこのような安いものがありますよ、ここにはありますよというようなことも、これはPRなさってよろしいことではないかと私は考える。いかがですか。
  184. 内田常雄

    内田国務大臣 おっしゃるとおり、同感でございます。
  185. 有島重武

    ○有島委員 同感であるならば、ひとつそういった調べを積極的になさって、それでPRなさいますね。
  186. 内田常雄

    内田国務大臣 経済企画庁が地方に手足を持っておりませんので、直接やるということにはなりませんが、国民生活センターなりあるいは全国に百ぐらいございます消費生活センターというような、ちょうどおっしゃるようなことに参画させるのが適当と考えられます機関もございますので、そうした仕組みを通じまして、できる限り努力をするのがよかろうと考えます。
  187. 有島重武

    ○有島委員 公正取引委員会委員長が来ていらっしゃいますので、確認をしておきたいのですけれども、安売りをしたために出荷停止のうき目にあう、出荷停止とまではいかないけれども、いろいろな口実でもって荷を出してくれない、または出荷停止の現状があるけれども、その理由が必ずしもディスカウントという口実ではないけれども、外から見るといかにも確かにディスカウントをやって売っていた、まわりの消費者には喜ばれていた、そこが出荷停止同様の目にあった、そういうような情報は、公正取引委員会のほうには入っておりますか、入っておりませんか。
  188. 後藤英輔

    ○後藤説明員 家庭電器などにつきましても幾つかそういう話はございます。
  189. 有島重武

    ○有島委員 そういうようなときに、公正取引委員会としてはどのような処置をとられ、そのあとは一体どういうふうになっているか、そういうふうなことについてお話しいただきたい。
  190. 後藤英輔

    ○後藤説明員 そういう申告がほかの品物等にもたくさんございますので、家庭電器についてだけ特にというわけにはまいりませんけれども、申告が参りますれば、そういう値引きを押えるため、つまり出荷価格を維持するための拘束力を使っているのじゃなかろうかということで、一応やみ再販的な問題がありはしないかということで調査をいたします。ただ、非常に大きな値引きになりますと、今度は逆に正当な利幅を割ってしまって、ダンピングをして、まわりの小売り屋さんをつぶすというようなねらいがあってやっているのではなかろうかというような問題もございますので、そこらの問題も兼ね合わせながら、具体的な事例については調査をいたしております。
  191. 有島重武

    ○有島委員 先ほど通産省からの御説明でありましたけれども、去年と機種が変わっているので必ずしも比較できない面もありますが、というお話がありました。それで、モデルチェンジのことでございますけれども、去年ですか、ことしの国会でありましたか、うちの石田委員が自動車のことについて、モデルチェンジによっての値上げというものは、やはり便乗値上げになるのではないかというような質問をいたしました。それで家電製品についてもモデルチェンジといいますか、それともあれは何型、何番ということになるわけですか、そういう名称、符号が変わることによってのがれていくというようなことが、いままでもあったんじゃなかろうかと思いますけれども、そういうのはいかがでしょうか。
  192. 鈴木健

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  モデルチェンジにつきましては、技術進歩によるモデルチェンジという要素もございまして、一律にこれを悪いということはできないのじゃないかと思います。消費者の多様化するニーズにこたえて新しいものを開発していくというようなことで、これまで家電製品の技術進歩がはかられてきたし、非常にすぐれた製品が供給されてきたという面もございますので、一律にいけないという指導はしていないわけでございます。  逆に、単に形をちょっと変えるというようなことで目先を変えて需要を喚起するとか、あるいはいま先生がおっしゃったような、モデルチェンジに名をかりて価格を不当に引き上げるというようなことがありますと、非常にぐあいが悪いということで、そのようなモデルチェンジは厳に慎むように指導しておるわけでございます。特に最近におきましては、省資源、省エネルギーという観点から、モデルチェンジをできるだけ自粛するようにということで指導しております。
  193. 有島重武

    ○有島委員 企画庁長官に申し上げたいんだけれども、通産省のほうではモデルチェンジに便乗しての値上げというのはチェックします、こういうことでございますけれども、このチェックはなかなか現実にはむずかしいのじゃないかと思います。それで、これをある程度の幅を持たせるようなチェックといいますか、一つ一つのものについては、ほんとうに消費者側から考えてみて、幾ら番号が変わろうとも、モデルチェンジであろうとも、実質的には同じなんだからというような意見を出せるのは、むしろ国民生活立場であろうと思うのです。通産側というのは、やはり技術的なことが優先される面もあろうかと思うのです。その辺のチェックを通産のほうではいまやってまいりますと言っておりますけれども経済企画庁のほうでもぜひそれをさらにカバーして、国民に便乗値上げ的な印象を絶対与えないように、不利を起こさせないように、チェック、チェックというけれども経済企画庁のほうでもこれをぜひともチェックしていただきたい。  それで、これはしろうとにはなかなかわかりにくいことであるし、店でそう言われてしまえばそうだと思うことであるから、いまのこともひとつしっかりPRしていただきたい。それで旧型はこう、新型はこう、たいした変わりはないけれどもこうだ、値段はこういうように上がっておるような場合がありますけれども、これはこうだというようなこと、これもPRのたいへん大切な点であろうと思うのです。  時間が来てしまいましたから、これでもって具体例のことをやめますけれども、いままでのPRのしかたというものをもう一ぺん考え直されなければならないのじゃないかということをきょうは言いたかったわけなんです。確かにお役所の立場ではいいんでしょうけれども、正確なことを言っていらっしゃるんでしょうけれども、結果としてみんなに不安感を与えたり、あるいはもう上がってしまうというあきらめムードを植えつけたりというような要素が、多分にあったのじゃないかというように私は思うのです。あそこも高くなった、ここも高くなったというよりも、それを今度はむしろ鎮静化させていく方向に、こうした安いこともある、またこれはこういうふうに安くできるのだというような、そちらのほうのPRをむしろ主軸にしていただきたい、もう少し考えて、いままでの行き方の反省をしていただきたい、それを実施に移していただきたい、そう思うわけであります。長官から最後に伺って、終わります。
  194. 内田常雄

    内田国務大臣 まことにごもっともな御意見であると思います。私のほうに幸い国民生活局というようなものがございまして、その方面の指導もいたしておるわけでございますけれども、なお御意向を体しまして、そういう向きの消費者側からの価格の規制、あるいは生産者の無用のモデルチェンジなどに対する規制というものも方向づけていくことがぜひ必要だと思います。賢い消費者というような小さいパンフレットなども国民生活センターでつくらしておりますので、何かの機会に有島さんにもお目通しいただくように差し上げたいと思います。
  195. 有島重武

    ○有島委員 賢い消費者なんですけれども、賢いとおだてておいて、何かいつの間にかだまされてしまったというようなことがいままでは多過ぎたわけであります。ですから、ほんとうに賢くというか、いろいろな穴場をどんどん教えていくというような方向をぜひともおとり願いたいと思う。  終わります。
  196. 平林剛

    平林委員長 和田耕作君。
  197. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 企画庁長官、ひとつ午前中の質疑のムードでお答えをいただきたいと思うのです。  いまの日本インフレーションの問題は非常に重要な、危険な段階に来ているというふうに私は思うのですけれども、きょうの午前中、加藤君の質問に対して企画庁長官は、昭和五十年度は勝負の年、つまりいろいろな施策を実行して、そして物価の鎮静をはかる、そして五十一年には日本経済は正常な発展のムードになって、年率七%の上昇が期待できる、こういう御発言だったと思うのですけれども、いままで政府は、この物価狂乱以後のいろいろな施策を振り返ってみますと、つまり今回のインフレーション、スタグフレーションといわれるところまできた問題についての見方が、非常に軽薄な感じを私は受けるのです。  御案内のとおり、田中総理大臣インフレーションであるかないかということですら、二年間にわたってあんなにこだわった時期があったのですけれどもインフレーションでないないと言いながら、最も悪性な状態に突っ込んでいくというようなこともあって、これは単にいままでの問題を取り上げるということよりは、この事態をどのように見ているか、これに対処する政策というものがどういう質のものでなければならないかということについて、非常に誤ったいろいろな態度をいままで幾たびかしてきたのじゃないか、こういうように私は思うのですね。  そしていよいよ非常にむずかしいときになってきて、企画庁長官は先ほど申し上げたような見通しを立てておられるわけです。また来年の三月期には、前年同期に比べて一五%の物価アップの段階まで持っていきたいというふうなことも、関連して話されておるわけですけれども、このような見通しを立てるのには、それ相当の具体的な施策を準備されておると思うのですけれども、その施策のあらましについてお伺いを申し上げたい。
  198. 内田常雄

    内田国務大臣 これは国民の皆さま方に、今後の日本経済なり、またお互いの生活あるいは企業の先行きについての見通しを持っていただくという意味におきましても、日本経済状況というものが、これは一体どこまで引きずられて穴へ入っていくのかということであってはならないと私は思います。日本経済を維持発展させるための国際的与件が、この二、三年前からかなり変わってきているところはそのとおりでございますけれども、だからといって、日本経済物価高あるいは物価高を鎮静する過程において、ますますスタグフレーションの深みにおちいっていって、来年も再来年も希望がないというような政治を行なうべきではないと私は思います。  しかし、ただ人気取りに、いま国民が現在の状況のもとに苦しんでいるのに、来年からはよくなるとか、あるいは来月からはよくなるとかいう無責任なことであってもならないと思いますので、企画庁の持っている機能などもいろいろ活用をいたしますときに、到達いたしますのは、和田さんが御理解いただいたように、五十一年度からは正常経済の出発点とする、五十年度はその間のつなぎといいますか、すべての経済的なファクターの正常化の足並みをそろえる時期だ、こういうふうに持っていくのが一番よろしい。現在でも経済社会基本計画というようなものがございますが、これらについてはもちろんフォローアップもいたしておりますけれども、いろいろな予想した条件がすっかり変わってきておりますので、これは当然つくり変えなければならないと思います。  経済社会基本計画と申しますのは、申すまでもなく中期の経済見通しでございますが、つくり変える際に政府の部内でだんだん考え方が一致してきておりますのは、その経済社会基本計画についても五十一年度を初年度とする。また、今度私どものほうから分離いたしました国土庁等であずかる計画でございましょうけれども、これはどういう名前がつきますか、昔流に申しますと新々全総と申しますか、新々全国総合開発計画、しかしその名前を言いますと、また総合開発か過度経済成長かということになりますので、どういう名前がつくかは別といたしまして、国土利用計画というようなものを立て直す際に、やはり出発の初年度は五十一年というようなことにだんだん考え方を統一いたしてきておることも、皆さん御承知のとおりでございます。そのくらいのところでこれから先のいろいろな具体的計画を進めたい、こういうことでございます。   〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕
  199. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 時間もありませんから、もっと具体的に聞いていきます。  来年三月期までに前年同月比一五%の物価アップに持っていきたいという目標を達成するために、まず今後少なくとも来年三月までは、郵便料金等の公共料金の引き上げは一切しないという腹は、もう政府できめておりますか。
  200. 内田常雄

    内田国務大臣 正直に申しますと、私はそういう提案を実はいたしておる最中でございます。原則として本年度中は公共料金の引き上げは行なわないと。これは公共料金ばかりでなしに、政府の扱う物資などの価格も広い意味では含んでいいわけでございます。これは塩もございましょうし、たばこもございましょうし、あるいはまた麦の消費者価格というようなものも、またこれから米について問題になるわけでありますが、それらをすべて押え込むということはできませんけれども、たてまえとしてということのゆとりを置きながら、いま申したような提案をいたしておるわけであります。  しかしこれは、正直に申しますと来年度予算の編成方針とのかみ合わせもございますので、私だけが独走してしまって来年度予算の編成ができないということになってもいけませんし、またさらに、その前には補正予算の問題もございますので、大蔵大臣のほうとかみ合わせてやる、こういうことに相なると思います。
  201. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 大蔵省の岩瀬審議官お見えになっていますか。——いまの問題、今度の予算編成、予算規模の問題と関連して、郵便料金等の公共料金については、大蔵省としては一五%説、これは政府の方針となったと思うのですけれども、これを実現するためには、少なくとも三月までは公共料金の一切を凍結するという方針は大蔵省として確認できるかどうか、その点をひとつ。
  202. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 いま内田長官からもちょうどお触れになりましたように、来年度予算に非常に関係の深いものでございますが、御承知のように、まだ各省の要求を査定中の段階のことでございますので、予算の中でどういうふうに取り扱うかということについては、未定でございます。  ただ、公共料金に対する考え方は、御高承のように、この十月にはかなりたまって引き上げが行なわれましたので、非常な御議論を生んだわけでございますけれども、米にいたしましても四月に上げるべきものを繰り越して十月に持ち込んだとか、国鉄も同じような状況でございます。したがって、公共料金をいつまでも引き上げないで押えておくということは、ある意味においては問題をあとに残して、たまって一挙に何か動かさなければいかぬというようなことがあってもいけない。したがって、いまのような物価重点政策をとっているわけでございますから、公共料金はどんどん上げるのだというような財政的な見地だけで判断することは適当でない。やはり押えていくものは押えていきたいのだけれども、ただ押えるということだけで、将来に向かって何も考えないのだというわけにはまいらないというのが、現在の大蔵省の態度でございます。   〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕
  203. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私どもは、公共料金の少なくとも数年間の凍結というのは、もうだいぶ前から立てておる態度なんですけれども、昨年来の段階において公共料金を絶対凍結するなんということはできない、不可能である、またそれは正しくもないというふうにすら考えておるのです。おるのですけれども、つまりこれは一つの選択の問題ですね。確かに郵便料金等の問題はいつまでも放置することはできない。しかしながら、来年の三月期に一五%という政府の目標を立てた、あるいは春闘の問題とも関連している、これがもっと重要な段階だということになれば、当然少なくとも三月までは公共料金等の問題は上げてはいけない、上げないという決意をすべきではないのですか。あるいはまた、それは当然私は政府の各省間の話し合いがそういうふうになっておるというふうに最近は観測はしておるのです。というのは、大蔵大臣はとてもじゃない、郵便料金は引き上げないではおれないのだということを言っておったけれども、このごろは一五%ということをだいぶ黙認したような発言をしておりますので、これは、公共料金その他の問題はもう決心したのだな、こう思っておるのですけれども、はっきりまだきまっていませんか。
  204. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 つい最近の委員会でも大蔵大臣から、三月で一五%に消費者物価を押えるということについては内閣の中でも十分御議論なさって、一部言われております政治の気合いと申しますか、あるいは努力目標という形で何とか達成に努力をしたいということは、大蔵大臣も国会の席上で申し上げております。  ただ、ただし書きが実はついておりまして、やはり予算がまだ見積もりもできておりません段階でございまして、来年の三月で物価が全部終わりだという問題ではない。やはりその後も物価問題というのは続くわけでございますから、そういう一種のある期間を置いてその目標を達成すれば、あとはもう物価は知らないというわけにはいかないので、そういう意味において公共料金というものを考えた場合に、やはりその次にまた出てくる公共料金もあるわけでございます。非常にむずかしいその辺の検討を予算の際にいたしましょうということを申し上げておりまして、いま鋭意作業中でありますけれども、来年の三月まで一切公共料金を上げないということをはっきり申し上げているわけではないのでございます。いろいろな努力をして、あらゆる努力をして、その目標達成のためには努力をいたしましょうということを申し上げておられます。大臣の気持ちはその辺にあるのではなかろうか。  繰り返しますけれども、三月で物価は終わりではない。三月にそろえば、それであとはまた上がってもいいんだというものではないので、公共料金については抑制ぎみに物価との関係において十分慎重に対処しなければならぬけれども、やはりそこにあとでしこりが残り、しわ寄せがいくというようなことであってもいけないという感じでございます。
  205. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 確かに、来年だけが物価のきめ手の年ではないわけですけれども長官も先ほどから強調しておられるように、五十年が勝負の年だということですね。これははっきり私もそうだと思うのです。五十年が勝負の年だというときに、確かに公共料金、郵便料金等のいま問題になっていることの必要性はよくわかるのですけれども、そこがつまり選択の問題ですね。政府としてもう当然腹をきめなければならぬ問題なんですね。そういうふうなことを当然私は決意すべきだと思うのです。ぜひこれはそういうふうな前向きの、つまり物価を何よりも優先して押えていくんだという決意を示すためにも、それくらいのことははっきり決意しなければ、ちょっとだめじゃないかという感じがするのです。  と申しますのは、私はあしたからヨーロッパへ行って、イタリアとかあるいはドイツ、フランス等のこういう総需要抑制の問題についての実績等について調査してきたいと思うのですけれども、ドイツの場合は、これは政府も物価インフレになっちゃたいへんだという気持ちを持っておるし、国民もそういう気持ちを持っておる。そういうところでやるべきことはきちんとやっているんですね。きちんとやっている。それこそあいまいなことを言ってないのです。はっきりきちんとやるべきことはやっている。それでいて、その被害を受ける、いわゆる日本で弱者といわれる人、あるいは労働者とか生活の困る可能性の強い人には、またちゃんとした保障、財形も一つの例だと思うのですけれども、そういう保障をやっているわけですね。ところが、最もまずいイタリアの場合は、典型的ですね。方針がきめてない。それだけでなくて、弱者救済といわれるものもやらないで、あるいはいろんな要求をそのまま受け入れた形で、けじめをつけていない。こういう二つの典型的な例があるわけですね。やはり勝負の年が来年であれば、いまのような問題ぐらいは政府としては決意をすべきだ。  岩瀬さんは早くお帰りのようですから、ちょっと飛びますけれどもお聞きしますけれども、去年財形の法案が出たのです。そのとき私は大蔵省の人に質問をして、なぜ国もこれに対する付加金とかの形で援助して、労働者の財形は大体七年目標ですが、その財形に対して協力しないのだ、こう言ったら、いや、たてまえとしてどうもというようなことで、たいへんめんどうなことを言っておられたのですけれども、つまり、やるべきことはちゃんとやって、困る人にはまたちゃんと救済をするという政策をつくるためにも、財形等の問題について、ドイツでは三〇%の国の援助をしているのですね。日本ではなぜこういうふうなことができないのか、そのことをちょっとお伺いしたい。
  206. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 いまイタリアとドイツの比較がございましたので、先にちょっとその辺からお答えいたします。  ヨーロッパ各国おのおのがやはりインフレで悩んでおりまして、いろいろな施策をやってきておる。イタリアは、どちらかというと、ことしに入って初めて総需要抑制にかかったということで、それまでは七二年から景気刺激策をやっていたというような点で、やはり各国の事情がかなり違います。したがって、それと同じ筆法で日本がどうかということになりますと、それはまた同じ筆法でもなかなかいかぬのだろう。  そこで、いまの財形貯蓄の問題でございますが、これは昨年も実は大きな問題となり、ことしもおそらく予算の段階で大きな問題の中心ではなかろうかと思っておりますが、大蔵省、財政をあずかる立場といたしましては、やはりそういういろんな政府の施策をやっていかなければならない中に、財形貯蓄というのは、いわば勤労者でございますから、一応生計を営む上における毎日毎日が全く職のない方とかあるいは年金を受けておられる方に比べれば、なおその働く力を持っておられる方、したがって、そういう方々に対してどの程度にやれるかというのは、これは一つの財政の使命であり、かつまた重みだろうと思いますが、そういう重みと、片一方における財形貯蓄に国が金を出すという重みとを比べてみて、いまの時点においてその限られた財源をどちらに使うべきか、こういうことになるわけなんでございますので、ことしもおそらく予算の段階で、先生の御指摘のように、やはり勤労者に対して十分めんどうを見ろということにおける財形の考え方は、相当進んだ議論が行なわれると思いますけれども、いまはまだその基本的な考え方というところまでは入っておりませんので、この程度でごかんべんいただきます。
  207. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの財形の問題を積極的な一つの面とすれば、いわゆる貯金の目減りの問題もやはり、消極的ではあるけれどもインフレに因る人を救済するという面で非常に重要な問題ですね。この二つの問題はきちんとして、政府の政策としてやる姿勢をとるということが政府の決意を示すことなんですね。年金も同じことだと思うのです。  そういうような問題、つまり政府が本気になるということが、特に田中内閣の場合は、ああいう人柄であって、あの人はほんとうはこういう緊縮、総需要抑制なんという政策をやる人としては非常にやりにくい人、御自分もそう思っておるのじゃないかと思うのですね。そういうタイプの人じゃないんですから、そうであればあるほど何とかこの問題を、はっきりやることはちゃんとやる。しかし被害を受ける人に対しては、国が十分援助をするという姿勢をはっきりさせなければいけませんね。  そういうようなことで、長官、もう一つ関連してお伺いしたいのですが、この十一月、来月あたりから年末にかけて特に選別融資をなくするとか、あるいは中小企業、繊維あるいは建築関係の企業に対する融資を緩和するとか、あるいは来年一—三月になれば住宅ローンを緩和するとかいういろいろな説が流れておりますね。しかも、長官もこの年末には相当規模、つまり七千億程度の規模で融資を緩和したいということもあるんですが、これは長官、年末までに限っての施策と考えていいのか、そして一月からまた総需要抑制の強い形でいくというのか、あるいは年末に緩和した形は一月から三月までも続いていくというふうに見ていいのか、どちらなんでしょう。
  208. 内田常雄

    内田国務大臣 たいへんむずかしい話なんです。正直に言って、私は金融当局でもないしいたしますので、その手法については何ともお答えできません。また、私がそこまで入り込みますと、それは金融当局が二つできたようなことにもなりますので、けさほどから申しておりますように総需要抑制金融引き締め手直しはしないんだ、その大道は来年の少なくとも中ごろまでは変えないんだ、しかし、いろいろな事態に応じて、これはたとえ話で恐縮でございますけれども地下道で向こうに渡すとか、横にモノレールをつけるというようなことで、それはどういうことを意味するかといえば、通産省は通産省なりに、大蔵省大蔵省なりに、日本銀行は日本銀行なりにそれを考えておられることでございまして、いまあなたかお述べになりましたような年末の金融対策というものも、そういう地下道でありモノレールである、こういうふうに私は考えておるわけであります。  これは、私はここでその場限りのことを言うのではございませんで、経済閣僚協議会の毎月の経済情勢報告やら、また、その時点における経済政策の進め方というような意見交換を、日本銀行の総裁までも含めまして、あるいは党の政調会長をも含めまして、少なくとも毎月やるんですが、そういう際に、私はこのようなことを実は述べておるわけでありますが、皆さんがそういう私の気持ちを了解をされて、それぞれ進めておられるようでございます。
  209. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 大蔵省側はどうですか。
  210. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 十二月は御承知のように、年間で一番金融繁忙期でございますし、資金の要るときでもございますので、先ほどから先生がおっしゃいましたように、総需要抑制については基本的な態度を堅持していくということで、これをもちろん続けませんと、来年の三月、とても物価を先ほどの数字のように持っていくことすらこれは非常な問題であろうと思います。  ただ、十二月に資金が非常に繁忙期になります。たとえて申しますれば、もちろん事業資金も要りますと同時に、企業はやはりボーナスも払わなければいけない。そうすると、それは銀行から借り入れを仰がなければいかぬ。資金供給が必要になってまいります。一方において公務員給与とかあるいは米代金とか、年末にいろいろ集まってくる資金の散布のほかに、やはりそういった資金需要をいろいろ勘案いたしますと、年末に相当の量の資金供給というのが一時的に出てまいります。これはあくまでも、その季節に対しての極端なきしみが出ないようにするための措置でございまして、それが総需要抑制緩和ということにつながるものでは毛頭ないわけでございます。もしそれを緩和させるようなことになりますと、とても物価はもたないというのがいまの私どもの見解でございますので、その辺は十二月、特に日本の場合年末という特殊な季節的な要因というものから出てきておるわけでございます。  それから選別融資の問題でございますが、これは去年の一月からもうすでに総需要抑制の期間に入っておりますけれども、一本調子で総需要抑制を続けていくというわけにはまいりませず、やはりかなりきめこまかくきしみの面については対処していくという配慮が要ることだろうと思います。したがって、選別融資規制をどのような形で見直していくかという必要はあるかと思いますが、新聞等に出ておりますようなかっこうになりますかどうか、まだ大蔵省としてもはっきりと態度をきめたわけではございませんが、いずれにいたしましても、総需要抑制を緩和する印象を与えるような形は避けたいと考えております。
  211. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 大体わかりました。わかりましたが、一五%アップというこの目標は、政府の非常に重要な公約と見ていいですね。長官、いかがですか。
  212. 内田常雄

    内田国務大臣 政府の公約というところまで至っていないと思います。これは私のほうでもいろいろ作業いたしたり、また私自身が私の頭で積み上げてまいりますと、一〇%から二〇%の間、つまり十数%という数字になるわけでございまして、いまこの席上で一五%より多いとか少ないとかいうことは、いろいろの影響もございましょうから申しませんが、私は十数%という言い方をしておるわけでございます。  ところがこれに対しまして、ものごとをはっきりさせておいたほうがいいと思いますので申し上げますと、二つの要請がございまして、一つは、総務長官が私的の機関として開かれました、もう解散しましたけれども物価問題調査会にお集まりをいただきました各方面の代表者の方々から、それは政府は気合いとしても一五%というようなはっきりした目標を立ててやるべきである、こういう非常に峻厳なる申し入れがあったようでございまして、そういう報告が総務長官から経済閣僚協議会の席上でありました。もう一つは自民党という党、私どもも党から出ております閣僚の一人でございますが、党のほうといたしましても一五%というようなことで政策の目標を立てるべし、これは公共料金問題なんかもそれに関連をいたすことになりますが、そういう話が出ました。  しからばというわけで、一五%ということで閣議決定をしたとかいうことではございませんで、私がその十字架といいますか、重荷をしょわされて、そしてその努力をひとつしてみよう、こういう決意を強くしておる、こういうことでございまして、それだけでございます。
  213. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私は半時間しか時間をいただいておりませんので、もう少し詰めたいと思うのですけれども、また次の機会にいたしたいと思います。  公正取引委員会委員長高橋さんにお伺いしたいのですが、高橋さんが非常に決断をもって独禁法の改正の要綱を公表されたということで、中曽根通産大臣、最も関係の深い大臣がまっこうからというわけではないのですけれども委員長が一番大事な問題だと思われておられると思う、つまりやみカルテルの問題ですね、これのきびしい規制について、かなり強い反論を出しておられるわけです。そしてまた、その他のおもな四項目の中のいろいろな項目についても、各界から、これは経団連等を含めて、学者のいろいろな個人あるいは団体を含めていろいろな議論が出ておる。これは必ずしも一つ方向じゃないですね。最もこれを支持しそうなと思われる人でも非常に慎重論を出しておる。  そういうように意見が相当出ていると思うのですが、こういう非常に重要性を持ってきた独禁法の改正について、最初に掲げられた四つのおもな柱を中心にして、公取委員長はいまでも、この問題はあのままでできるだけ提案をしてみたいんだというふうにお考えになっておられるのか、当然そうかもしれませんが、あるいは多少心境の変化がおありになるのか、その問題についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  214. 高橋俊英

    ○高橋説明員 まあ、いろいろ御批判はいただいておりますが、しかし、それに対して基本的に何か欠けているものがあるんじゃないかと思います。これは私どもの言い分です。というのは、独禁法というものをほんとうによく理解しているのかどうか、これは疑わしいと思います。そして特に、これは自由主義経済体制をとっていく上で欠くべからざる一つのルールなんですね。ほかの全く別な体制を考えれば別ですけれども、そうでない限り、特に大企業などを中心にはなはだ身がってなことが許されるということはあり得ないわけですね。つまり自由主義といってもそれは放任じゃないのですから、当然そこに一つのルールがあってしかるべきであると思います。それが当面あまり役に立たない、それから欠陥がある、落ちこぼれがあるというふうな問題に対して、いつまでもそれを放置しておくということは問題である。  とにかく何が欠けているかと申しますと、たとえば大企業を中心とする企業サイドが、経済観念だけが先行しているのではないか。経済観念と申しますのは、もっと具体的に言うと自分たちの利益の擁護であります。そういうことに先に頭がいっちゃっている。そして反対のことばを使いますれば社会観念が安易だ。これでいいのかという問題ですね。私は、独禁法はあくまで純粋に経済政策の中の一つのあり方だと思いますが、しかし、これからのわが国のあり方を考えてみましたときに、いろいろな制約、特にオイルダラー等を中心として、油そのものよりもドルの偏在からくるところの成長に対する重大なる制約、これをカルテルで乗り切ろうなんてもってのほかですね。企業の協調でやるということ、企業はそれで存立するかもしれませんけれども、犠牲者がどこかにできるわけです。それは言ってみれば一般国民であり、一般消費者であるということは目に見えておるわけです。  そういうことから考えまして、いまの四項目の中には、いずれもそういったものに対して最小限度の法律の体制を整えたいという理念が私どもにはあるわけです。その理念に対して、ほとんど理解ある見解は表明されておりません。場合によって非常に大まかであり、こういう問題は大事であるから慎重に時間をかけて検討すべきだとか、あるいは法律ができ上がったときの状態を想定して商法との関連がどうなっておるのだとか、特許権がどうなるんだとかいうふうなたいへん技術的な話、それはむずかしいのじゃないかというふうになっちゃっているのです。こういうことについて私どもが試案というものを出した意味は、考え方の基本をそういう方向で御理解願いたいということでありますから、たいへん大まかになったり、著しく技術的に走ったり、そういう見解では私ははなはだもの足りない。  また、物価政策関係ないじゃないかというふうなことをおっしゃいますが、私ははっきり認めます。これは正直に言って物価対策ではありません。しかしながら、先ほど午前中にも私は松浦委員にお答えしましたが、OECDの理事会決議による勧告がはっきり申しておるわけです。いわゆる景気循環的なものに対する政策金融や財政で対応するのが当然である、しかし、長期的な観点に立った場合に、独禁政策の強化とか活用は、そういうインフレの高進に対して非常に役立つものであるということは否定できないんだ、だから、そういう意味からもこれを強化すべきであるというふうなことを申しておられるわけでして、私もその点については当面の物価対策ではないと思います。しかし、基本的に、そういう面からもこれは無視のできない問題であろうと思いますので、基本的な理解が十分得られないという点について、私どももっと努力して御理解を得るようにしていかなければならぬと思います。
  215. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 よくわかりました。ただ、現段階といいますか、いまの経済一つの基本的なシステムというのですか、つまり自由経済というものから、何かしらん公的なものがどんどん入ってきて、ミックスされたエコノミーという体制が何だか必要だというふうなこともまた否定できないと思うのです。この二つの問題に、いまの公取のお出しになった提案が非常に密接にからみ合っているという感じを私は受けるのです。  したがって、独禁法としては、やみカルテル等のことによって出てきた不法な結果については、原状復帰を含めてきびしくやるべきだということは私、当然だと思うのですけれども、たとえば会社の分割とか、あるいは関係の会社へ投資するとかいう問題は、いまの問題とは少し次元の違った問題だとも思われるのです。委員長考えておられるようなプリンシプルからの接触面もありますけれども、この問題については他の違った方法もあるわけです。もっと公的な管理を強めるとかいう方法もあるわけです。いずれがベターかという問題もあるわけで、こういう問題は、独禁法としては、どっちかといえば従属的な一つの意味を持たすというふうな考え方が必要ではないだろうかと私は思うのです。  委員長、いかがでしょうか。やはり一番中心は、やみカルテルを中心とした間違った結果に対してきびしくこれを取り締まる、これが独禁法改正の焦点ですね。しかし、他の問題についてはそれとは違ったゆとりといいますか、弾力性といいますか、これは委員長も前におっしゃったことがあると思うのですけれども、そういう心がまえが必要だというふうに思うのですが、いかがでしょう。
  216. 高橋俊英

    ○高橋説明員 あまり詳しく述べておりますと時間が過ぎますので、簡単にお答えしますが、今度の改正試案の中で右から左にすぐに役に立つものをあげろといえば、それはおそらくカルテルの問題が最優先だろうと思います。しかし、それが事柄の重要性を意味するかというと、私は必ずしもそうは思わない。ただ、いま直ちに分割しなければならぬという企業がないから、分割の規定は要らぬじゃないかというのは、理論的には少し浅いといいますか、そう言っちゃ悪いのですけれども、そういう感じがします。  それから、いま株式保有の問題についておっしゃいましたけれども、これも実は、ああいうことによって強大な企業がますます強大化し、金融資本と言っちゃなんですが、それと結びついていくことが、いかに社会的な不公正をその背後に宿すかという問題とつながっておるわけです。これは、あのような巨大企業が存在しますと、優越的な地位を乱用することが多々あるわけです。しかしながら、それを乱用されて被害を受けたものは泣き寝入りするしかないのです。私のほうに申し出てくるものはほとんどないのです。それは取引をすでに断たれてしまった中小企業などがあとから言ってくることがありますけれども、これはあとの祭りなんですね。ですから過去のことになってしまう。実際にはそうでない企業もたくさんあるが、いろいろ前にこういう契約があった、ところがそれを履行してくれぬとか、いろいろあるのです。そういったあまりにも社会的に不均衡な経済力の集中は、独占禁止法の排除の目的となるべきである、一言で申しまして、私はそのように考えます。
  217. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これを最後にやめますけれども、独占禁止法改正、高橋委員長が公然と提起されたこの問題について、政府の各責任機関が公然といろんな意見を述べてくる、これは非常にいいことだと私は思うのです。その意味で、経済企画庁長官の率直な、個人の御意見でもけっこうですが、いまのような問題についての率直な御意見をひとつ承りたいのです。
  218. 内田常雄

    内田国務大臣 まだ率直な意見は申し上げる段階に至っていないように私は思いますので、もちろん、公取の今度の試案を頭から否定したりする考えを持つものではありません。その分野におけるりっぱな方々が研究会をおつくりになって出された試案でございましょうから、そういう角度からは、非常に敬意を表すべき中身を持つものだと思います。  しかし、いま通産省が、公取が出されている各項目についていろいろな意見を出されている様子を見てみますと、けさも私は妙な表現をしたのですが、何か局地戦、遭遇戦をやっておるように思われるわけであります。でありますから、これはそういう公取委員会のりっぱな御研究を内閣の中に、まん中にちゃんと正しい座を与えて、そうして正式に論議をするという方向をとらざるを得ないように、私は率直に言うと思うわけであります。このことは、これを葬り去るとか否定するとかいうことではなしに、これ以上いろいろ申し上げますとまた局地戦になりますから申し上げませんけれども、そういうことで先般も政府の関係省庁の事務次官がこれについての検討をまず始めた、こういうことで、それならそれの方向でそれも一つのやり方ではないかと、こういうふうに思います。
  219. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ありがとうございました。
  220. 平林剛

    平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十三分散会