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佐々木静子君 その点も、いま公認会計士のことなどおっしゃいましたが、
刑法というものはそうこれたびたび変わるものではないわけで、
刑法ができた明治の、何年でございますか、
——四十年ですか、には、まだそういう職業は
日本にはなかったわけでございますので、いま、薬種商などは、現在
秘密を守るというようなことについてそれほど重要なポイントを占めておらないんじゃないかというように
考えるんですけれ
ども、そういうふうに時代の移り変わりというものを
考えた場合に、いまの時点で重要な職業だというようなことで例示するということは、かえって
刑法というものが非常に基本法であるだけにまた
あとで問題を生ずるんじゃないか。むしろ、各業種についてそれぞれの、それに対する罰則さえこの
法律で設けておけばいいんじゃないかというふうに私も思いますし、またそういう
意見もかなりあるのじゃないかというふうに聞いておりますので、その点も慎重に御配慮をいただいたらけっこうじゃないかと思っております。
次に、
企業秘密の漏
示罪についてお尋ねしたいんですが、前に、当
委員会で私は、小
委員会の
結論が出たときだったと思いますがお尋ねしたんですが、これはやはり
安原刑事局長から、
企業秘密については今日の経済界の状況にかんがみまして機密漏
示罪を処罰する
規定を置くべきだというふうに御
答弁になっておるわけなんでございますけれ
ども、実は私
どもの感覚から見ますと、これは全く逆な話じゃないか。今日の事情から見て、こういう企業を一方的に国家権力で
国民の目から、
国民の批判からかばおうというような、こういうふうな
企業秘密漏
示罪というようなものは、今日の経済情勢から見てもますますこれは置くのはおかしいんじゃないかというふうに思うわけなんです。そこら辺、おそらくこれは
刑法というものがいま私が申し上げたように、非常に基本的な
法律で、そう再々変えるわけにはいかないわけですから、私は必ずしもいまの
日本の時点に全部焦点を合わせて
刑法をきめなくちゃいけないというふうには思っておりませんけれ
ども、少なくとも
国民が企業のあり方というようなことについて知るというのは、これは外部から知るということも多少はあり得るかもしれませんが、ほとんどこれは内部から知るというのが普通でありまして、もし企業の内部にある者からこの企業の実態なり企業の
秘密というようなものを漏らすということが、これが
刑法上の
犯罪になってくるということになると、これはたいへんにおそろしい
事態が生ずるんじゃないか。これはまた今度の
刑法改正の
一つの大きな流れとして、国家法益というものが
現行刑法よりも非常に大きなウエートを持たれて
考えられていること
自身、大いに批判しなければならないと思うのですけれ
ども、国家というならばまだともかく、企業を、国家権力でこの
企業秘密というものを
国民の目からおおうというような、こういうふうな
規定というものはこれ全く時代に逆行していると思うのです。
審議官、その点どういうふうにお
考えになりますか。