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1974-03-29 第72回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十九日(金曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      高田 浩運君     佐藤  隆君      山田 徹一君     塩出 啓典君      沢田  実君     鈴木 一弘君      塚田 大願君     小笠原貞子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         初村滝一郎君     理 事                 梶木 又三君                 高橋雄之助君                 塩出 啓典君     委 員                 河口 陽一君                 小林 国司君                 田口長治郎君                 棚辺 四郎君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 堀本 宜実君                 神沢  浄君                 吉田忠三郎君                 小笠原貞子君    政府委員        農林政務次官   山本茂一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省畜産局審        議官       下浦 静平君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○農林水産政策に関する調査  (乳価食肉価格問題等に関する件)  (畜産物政策価格引き上げ等に関する決議)     —————————————
  2. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、山田徹一君及び塚田大願君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君及び小笠原貞子君が委員選任されました。     —————————————
  3. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) この際、理事補欠選任についておはかりいたします。  委員異動によりまして、理事が一名欠員となっておりますので、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事塩出啓典君を指名いたします。     —————————————
  5. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 乳価食肉価格問題等に関する件を議題といたします。  本件に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 温水三郎

    温水三郎君 ちょっと質問いたしますが、時間がありませんので、ごく概要の質問にとどめたいと思います。  畜産家といいますか、の自殺を伝えられたのがすでに三人おるのでありますが、この問題に関してどういうふうにお考えになるか、御答弁を願います。
  7. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 最近の畜産をめぐります事情は、非常にきびしいものがあるわけでございまして、大家畜経営の部門におきましては、地価の高騰に伴います規模拡大困難性に加えまして、一昨年からの飼料価格高騰等が重なってまいったわけでございます。  なお、養豚養鶏等中小家畜経営につきましては、いわゆる畜産公害問題等が、だいぶ、社会的問題等にもなってまいっておりますのに加えまして、配合飼料価格高騰してまいったということでございまして、特に中小家畜経営にとりましては、配合飼料の比率が非常に高いということもございますので、まあ非常に苦しい事情に立ち至っておるわけでございます。そのような事情から、ただいま先生指摘のような、養豚農家自殺等が出ておるということでございまして、たいへん痛ましいことであるというぐあいに考えております。
  8. 温水三郎

    温水三郎君 しかも、その自殺者の中に、注意しなければならないことは、篤農家という、いわゆる熱心な畜産家であるということであります。自殺者のすべてが。ことに、最近伝えられる自殺者は、養豚に邁進をして、そして、農林省とは言わないけれども——指向するところの多頭飼育に邁進した、実に熱心な養豚家が、養豚の将来に対して絶望をしたあげく、これが自殺をいたしたのであります。この点に関して、いま答弁を聞いたのでありますが、その答弁の中で、私はどうもぴんとこないものがあります。こういうような事態を招いたのは、外国えさをもって畜産を行なうことを容認してきた農林省の態度ではないかと思うのであって、もはや今日のわが国畜産というものは、農業ではなくて工業になりつつある。そういう一つの商業的な日本政策というものが、ことに、農業を非常に軽視したところ、わが国政策基本に問題がある、かように思うのでありますが、農林省は、このえさ輸入という問題に対して、どういうふうに考えておられるのか、もしくは国内えさ自給政策というものについて、どれほどの熱意があるのか、それを伺いたい。
  9. 下浦静平

    説明員下浦静平君) ただいま先生指摘のとおり、わが国中小家畜でございますが、特に、これが輸入飼料依存をしてまいったということは、そのとおりでございます。と申しますのは、やはり養豚なり養鶏なりにつきましては、配合飼料を非常にたくさん使うわけでございます。この配合飼料の中身でございますけれども、これはトウモロコシあるいはコウリャンというものが約六〇%というような大きなウエートを占めておるわけでございます。ひるがえって、わが国でのそのような飼料原料、穀物の生産につきまして考えますときに、これはほとんど現在では国内生産というものがないという状況にひとしいような事情になっておるわけでございます。過去におきまして、もちろんそういう状況で、一昨年までは非常に低廉でかつ安定的な原料供給が行なわれまして、その原料でつくられました配合飼料が、安定的にまた供給をされたということでございまして、こういうような事情を背景にいたしまして、養豚なり養鶏なりが伸びてまいったということでございます。  今後、このトウモロコシなりコウリャンなりの国内生産につきましてどう考えるかという問題があるわけでございますが、このトウモロコシなりコウリャンなりにつきましては、生産性をとってみますと、非常に国際的に差があるわけでございます。収量は、さほどの差はないのでございますけれども投下労働時間が二十倍、三十倍というような事情でございまして、その意味で非常につくりにくいということが一つございますし、かつ、表作でこれをつくるというような事情もあるわけでございます。したがいまして、夏作の間の、ほかの作物との選択関係というようなこともございまして、どうしてもほかの有利な作物のほうをつくるということにもなりますし、かつ、非常に大きな土地面積を要するということもございますので、これはなかなかわが国での国内生産というものは実験事業等を通じでみましてもむずかしいのではないかとこう考えております。  ただ、麦につきましては、これはちょっと別でございまして、来年度から奨励金を出すということにいたしておりますが、昨年秋の作付はかなりふえるというような結果が出てまいっておりますので、現在まで減少を続けてまいりましたこの麦につきまして、来年度以降減りどめをいたしまして、さらに、増産というようなことを将来考えるようにしたらどうかということでございます。その中で、飼料用の麦も考えていったらいかがかと思っております。ただ、量的には、非常に膨大な全体の量をまかなうというところまではいかないと存じますので、やはりかなりの部分は輸入依存をせざるを得ないと考えますけれども、その際の輸入先国多元化でございますとか、そういった面を通じまして、安定供給ということにつとめてまいりたいとこういうぐあいに考えております。
  10. 温水三郎

    温水三郎君 どうもそういう技術的な答弁をいただくので、私は、農林省姿勢が、農業政策に対して真剣でないという印象を持つのであります。大臣がおられないのはまことに残念でありますが、大体スイスのごときは、永世中立国と言われているんだけれども、直接国防費よりも、その食糧備蓄政策というものに金をかけておる。わが日本において食糧外国から輸入するというような、そういう外国依存度がこのように高くなってしまっては、——それはまあそういうことはないでしょうけれども米ソ戦争とか、中ソ確執とか、あるいはその他の、石油危機とか、そういう外国によって輸入がとだえたとしたら一体どうなるのか。これは石油なんかなくなったって生きておられますけれども食糧がなくなったら、たちまち暴動が起こる。そして日本国の安全は脅かされるだけではなくて、これは崩壊することは必至であると考えるのであります。わが国の為政者が、池田総理の国民の苗代論から始まって、農業というものに対して何らの警戒心を持たない——関心を持たないと言っても過言ではないと思うんであります。えさ自給というものについて、そういう技術的な見解でなしに、うんと国費を投入して、そうして徹底的にえさ自給生産というものに邁進するところの姿勢があってしかるべきだと思うのであります。  さらに今日の農業は、消費農業といってもいいのでありますが、畜産し尿関係にしても、これを農作物に還元するような姿勢はとっていない。浄化装置をつくって公害から免れようとすることはやっておるけれども、進んでこれを近代化した科学的な研究のもとに、これを畑に還元するというような研究農林省でもなされていないと私は承知しておる。そういうような基本姿勢でもって、どうして畜産の将来というものや、もっと大きく日本農業の将来というものを展望することができるかと私は考えておるのであります。  技術的な問題にいたしましても、飼料自給政策をとり得る機会は幾らも過去にあったと思うんです。ことに、米が余って米転等を行なった、休耕田に対する助成というようなことまでやった時期においては絶好の機会であったと私は思うんであります。こういうようなことははなはだ遺憾でありますが、時間がありませんので、そういう議論を展開することをやめて、もう一つ端的にお答えを願いたいのは、政府が目下諮問しているところの豚の安定価格、それから乳価価格、こういうものについて今日の時点においてなお政府は妥当であると考えておられるかどうか、その点を質問いたします。
  11. 下浦静平

    説明員下浦静平君) お答えいたします。  豚肉安定価格並びに加工原料乳価につきまして、さきに豚肉について二十五日、それから加工原料につきまして二十七日、二十八日、こういうようなことで畜産振興審議会食肉部会並びに酪農部会にそれぞれ諮問いたしまして、御審議を願ったわけでございます。その諮問の際に、参考として試算をいたしました政府試算でございますけれども、これにつきましては最近におきますところの飼料費上昇状況、あるいはその他の経費の上昇等を的確に、適正に価格に織り込むというような姿勢をもちまして試算をいたしまして、それぞれ試算をつくったわけでございますので、私どもといたしましては、あの試算につきましては妥当なものというぐあいに考えております。
  12. 温水三郎

    温水三郎君 畜産審議会というものがありますね。これは消費者代表も加わっておる、それから農林省姿勢に対して肯定的な気風のある中立委員も加わっておる。その畜産審議会諮問価格算定方式を改善しろということを言いっておるのであります、そしてもっと大幅に引き上げろということをね。この畜産審議会決議があったあともなおかつ政府諮問価格は妥当であったと考えておられることを聞いて私は驚いたのでありますが、一体あのような諮問価格でもって日本畜産が維持できるはずはないのであって、これを知らない農林省ではないはずだ。しかるに、あのような諮問価格を出されるということは、物価政策の抑圧があるのか、大蔵省の財源的な問題で手かげんをせざるを得ないのか、その辺のところを私は聞きたいんです、何が原因でかを。農林省みずから知らないはずはないんだ、あれだけの諮問価格でもってはたして日本畜産がやっていけるかどうかということ、その点どうですか。
  13. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 物価対策観点あるいは財政的な観点で押えられたのではないかというお尋ねでございますが、もちろん昨今の物価情勢からいたしまして、物価関連が全くないというわけではございません。その点は私どもも十分認識いたしまして、早くから今回の配合飼料価格引き上げにつきましては、その分は価格に適正に織り込むほかはないということを各方面に対して言ってまいったわけでございます。したがいまして、今回の加工原料乳価格決定あるいは豚肉安定価格決定に際しましても、企画庁側に十分そういう御説明を申し上げまして御了解を得たということでございます。なお、大蔵省側におきましても、農林省側のただいま申し上げましたような立場を十分に理解をしてくれたというぐあいに私ども考えております。
  14. 温水三郎

    温水三郎君 農林省諮問価格算定の方法でもって一番問題になる点は、この物価上昇程度が、近年並みの物価上昇程度であるならば、これは通常方式によるところの算定方式で別に依存はないけれども、この一年間、ことに最近四、五カ月間の物価上昇というのは全く棒上げである。しかも、えさ価格はその筆頭というべき、もう垂直的な値上がりである。そういうような異常な狂乱物価の中におきまして、通常算定方式をとられるというのは一体どういうことなんですか。  それといま一つ、時間がないので別の質問をもう一つ申し上げて御答弁を願いたいんですが、こういう畜産危機の最中において輸入肉をまだこれを政府が販売する姿勢があるというのは一体どういう感覚に基づくのか。農林省は一体何を考えておられるのか、牛はもう動物園に行かなければ見られない、豚は中共に行かなければいけない、鶏はキジに似たものだと小学生に教えなければならないというようなことになるのは目に見えているじゃありませんか。この輸入肉の処理の問題につきましていまひとつ質問いたします。
  15. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 前段の、物価高騰のさなかにありまして通常算定方式をとったわけはどういうことであるかという点につきましてでございますが、この物価関係、特に配合飼料価格値上がりが非常に激しいということは私どもも一番注目をしておったところでございます。したがいまして、これは全般の話ではございますけれども、先般出ました四十八年度の生乳生産費調査、この中の一道四県の加工原料乳地帯の分につきまして、昨年の十一月から本年の一月までの直近三カ月間の農村物価、賃金によりまして、物価修正を行ないました上、さらにこの配合飼料価格引き上げ分につきましては、乳牛の場合には乳配一万円分をそのまま上のせをして織り込んでおるということでございます。  なお、昨年の十月に開きました畜産振興審議会酪農部会懇談会におきまして、いろいろ算定方式につきまして再検討すべしという御意見が出たわけでございますので、その後学識経験者等意見も聞きながら検討を加えました結果、乳牛償却費につきまして、できるだけ肉の価格が乳の価格に響かないよう影響を小さくするというような方式の変更を行なっております。  さらに飼料作物費あるいは建物償却費農具償却費の中の分につきまして、総額それぞれ物価修正をいたしておるということでございます。前年は物価修正をいたしておりませんか、もしくは更新分だけの物価修正をやったということでございます。  さらに副産物の中の子牛の価格でございますけれども、これはこのうち雌子牛につきましては、経営に残留するという観点から、過去五年間の搾乳牛価格雌子牛との価格比をもって物価修正をするという措置をとったわけでございます。  その他副産物中の厩肥でございますとか、あるいは資本利子につきまして、それぞれ改善を加えまして算定をいたした次第でございます。  なお、後段の輸入肉の問題でございますけれども、これは先生承知のとおり、四十八年度下半期分外貨割り当ての中で、約四万トン分につきましていわゆるたな上げ措置をとったわけでございますが、そのほかの分につきましては、あるいは牛肉の小売り店の中での展示販売店、あるいは畜産振興事業団指定店等を通じて供給をするという分もございますわけで、できるだけこれを先に延ばすという措置をとりながら——この分につきましてはなかなか売却をストップするというわけにはいかないわけでございますので、先にできるだけ延ばすという措置をとっておるわけでございます。  それから、国内乳用雄子牛価格の回復をはかりますために、国内産の乳用雄子牛調整保管というようなことにつきまして、近く決定をいたしまして実施の運びにいたしたいと考えております。これによりましてかなり効果が出るのではないかと思います。
  16. 河口陽一

    河口陽一君 ちょっと関連お尋ねをいたしたいと思うんですが、先ほど、諮問案は妥当であるという御答弁ですが、まあ諮問するとき妥当でない考え諮問するわけはないと思いますが、いま審議会答申が行なわれたのであります。その内容は、いままでにない緊迫感を感じた答申であったと私どもは受けとめておるわけであります。しかるに、答申を受けた段階でまだ妥当であるというふうに承るのでは、これは私ども納得がいかぬのであります。  と申しますことは、先ほど来温水委員からもるる質問があったとおり、北海道においては出荷ストはもちろんのこと、先日は数寄屋橋根室管内青年行動隊が出てまいりまして、これはたまらぬという、やるせないという心情からハンストを実施いたしております。雪空の中でハンストまで行なっておるという緊急な事態であります。さらには、道内においてはやるせない気持ち牛乳廃棄処分が行なわれております。  このような事態を招いたということは、まさに農政の貧困から生じておるということはもう明らかな問題であります。昨年は乳価を四十八円五十一銭にきめましたが、そのときのえさ代は三十七円でございます。キロ当たり。今日えさキロ当たり六十七円に値上がりをいたしております。七十七円のえさを食わして今日四十八円五十一銭の乳代を受け取っておる農民心情は、やるせないという、社会的にやるせないという気持ち牛乳廃棄処分までに高じておるのであります。自殺をしたということも、やむにやまれない行き詰まりから、暗い気持ち自殺に追い込んでおると私どもは受けとめておるのであります。  しかるに、三〇%そこそこの値上げで妥当であるという、まあ冷血的な考え方にも程度があるという憤激を私は感じておるのであります。  同じ自由民主党の政府の中で、政府は、運輸に関しては、北海道においてはバス料金を最低五〇%、いま七〇%の値上げを認可しております。しかるに、同じ政府の中で、この物価狂乱の中で農政関係だけが三〇%でよろしいという、こういう考え方には私は非常な不満を持っておるのであります。  けさのテレビでも、電力は五五%まで値上げするという通産の意向が発表されております。なぜ農産物だけが三〇%、あるいは豚肉価格においては二六%、こういう数字で価格を押えなければならぬという理由を私は明快にしていただきたいという気持ちで一ぱいであります。  とにかくにも畜産審議会乳価に対する答申がございました。答申がございました後においても政府試算が妥当であるというお考えであるかないか、これを明確にひとつ農林省考えを披瀝してもらいたい。私は農林大臣お尋ねをいたしたいのですが、大臣出席でないから——審議官以外に幸いに政務次官も御出席でございますから、農林省としての考えをでき得ればひとつ御答弁を願いたいと考えておる次第でございます。  時間がないので、私はまだまだ申し上げたいのですが、以上要点だけを関連質問として申し上げます。
  17. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) ただいまきわめて具体的な御意見を拝聴いたしましたが、農林省といたしまして審議会のほうに出しましたあの案は、農林省としては、その作成当時及び現況の判断等から、理論的にも正しいものと思ってこれは諮問をいたしたものと私は察しておる次第でございます。これはいろいろと考え方の相違でございますが、従来の政策の線に沿って算出したものと私は考えておるわけでございます。しかし、このたび審議会のほうから御答申をいただきました農林省といたしましては、この諮問に対する御答申の趣旨をよく尊重をいたしまして、この問題について善処をいたすつもりでおるわけでございます。
  18. 塩出啓典

    塩出啓典君 それではまず最初に、今回石油問題を契機にして、石油精製業等は、かなり先取り値上げをして非常に不当にもうけて、石油会社によっては臨時ボーナスを出すとか、そういうようなところがある。ところが、今回、畜産農家にとりましては、これほど飼料が上がりながらも価格も全然上がらない。そして、先ほど話がありましたように、三人も自殺をし、あるいはいろいろなそういう深刻な事態に立ち至っておるわけです。私は不公平というものがあまりにも大き過ぎる。それはいろいろ国際情勢もきびしい情勢になって、私たちも、いろいろな面でそれはがまんをしなきゃならぬ点もあると思うんですが、それが大企業も、あるいはわれわれも、あるいは酪農民も、畜産農家も同じようにやっぱり苦労するんであれば、われわれも喜んでがまんできると思うんですけれども、先ほど申しましたように、一方は、まだ安い油が国内にあるのに、先取り値上げをして不当な利益を得ている。ところが、畜産農家の場合は、まさに非常に時間的にずれて損をしている。こういうやっぱり不公平があまりにも多い。それをほんとうにやっぱり命がけで不公平をなくしていくのが私は農林省のつとめじゃないかと思うんですけれども、その点どう認識しているのか、簡単にね、時間がありませんので。
  19. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 酪農につきましては、乳用牛の頭数がここのところ二年連続して減少しておりますし、生乳生産も四十八年は落ち込む予想でございます。それから養豚養鶏等中小家畜につきましても、配合飼料費高騰によりまして非常に経営自体苦しいという事情はよく承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ、その後、コスト上昇分につきましては、これを価格形成の場におきまして見てまいるということをたてまえといたしまして、今回の試算算定も行なったわけでございます。ただ、ほかの産業とのアップ率比較等も具体的な例をあげてお述べになりましたけれども、これはそれぞれの事情が中にある話でございますので、一がいには申せないのではないかと存じております。
  20. 塩出啓典

    塩出啓典君 私は、ともかく最初姿勢を聞いたわけです、姿勢を。そういう不公平があまりに激しいということをほんとう農林省は認めるのかどうか。その不公平のないようにしていくのが、農民立場に立つ農林省のつとめじゃないかと。そういう根本的な姿勢を聞いているわけですから、一言答えてください。
  21. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 農産物だけ取り残されていいというわけにはまいりませんので、不公平のないように考えてまいりたいと思います。
  22. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、今回もこういう畜産審議会を開いてそういう価格を上げる、そういうのが非常に、あまりにも時期がおそ過ぎる。これは畜産物価格安定等に関する法律の第四条では「物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、」「安定価格を改定できる。」と、こういうことがあるのだから、もっともっと早目に——ちゃんとここには「生ずるおそれがある場合」と、もうちゃんと書いているんですから、飼料が上がるというのは、アメリカからこっちへ来る時間はだいぶ船でもかかるわけですから、向こうで上がればわかるわけですから、そういう点でもっともっと早目にやるべきじゃないか。あまりにも農林省のやり方はのんびりして、結局自殺者も出てわいわい騒がなきゃ動かないのじゃないか、われわれはそういう感じなんですけれどもね。もっとすみやかにやるべきじゃないか。これはどうなんですか。
  23. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 今回の畜産振興審議会の開会の日どりでございますが、早く開けというような御意見が各方面からございました。当委員会におかれましても決議をなされたところでございました。私どももいろいろ急ぐべく努力をいたしましたわけでございますが、総会の開会、飼料部会の開会等につきましては例年よりもやや早目になったわけでございますけれども豚肉安定価格あるいは加工原料乳の関係、これらにつきましては作業の関係等もございまして、おおむね例年のベースになったわけでございます。四十九年度におきましては、今後の物価の推移等もございますけれども、先般のような物価上昇のようなケースの場合におきましては、これはその時点において見直しをいたしたい、検討いたしたいと考えております。まあ何が何でもこれは一年間きめましたらそれっきりと、開かないということは私ども考えておりません。
  24. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃいままで、過去は非常にぬるぬるして、農林省としては反省をしておる、今後はもっとすみやかにやると。こういうように農林省の決意ととっていいのかどうか。これはひとつ次官のほうからお願いをいたします。
  25. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) 先ほどもちょっと触れましたように、ことしの算定方式はいろいろな償却費でありますとか、そのほか各基礎になる事項を考え直しまして、その基礎に算出したのがことしの出した案であります。ですから、農林省としては、その諸元に基づいて算出しておるので、一つの筋のとおったいき方であると、こう感じておるわけであります。ただ、ただいま御指摘のように、一般の行政の変化にこれがはたしてついていっているのか、また算出の新しい方法が、これがこの時代に適合したものであったかどうかということについては、いろいろと問題の点があるかとも思うのであります。決して非常にまごまごしておったとは私は考えませんが、そういう点が一つあるんだということを御了承いただきたいと思います。ことに先ほど申しましたように、畜産審議会のほうから御意見をいただきまして、この御意見には十分御趣旨を尊重いたしまして、そうしてできるだけ早く決定をいたしたい、こう考えておるということを申し上げておきます。
  26. 塩出啓典

    塩出啓典君 私が言ったのは、ともかく自殺者が出る前に、早く畜産審議会を開いて、価格引き上げなりをやる。農林省としてはそういうちゃんと情報もわかるわけなんだから、ちゃんとそのために各地にたくさんの人を配置して情報も集めているわけですし、そういう点でもっと早くやる。今後そういう点気をつけて、今回のようにじゃなしに、もっと早め早めに手を打っていく、そういうことを主張しているわけであります。そうします、とこう言ってもらえばいいわけです。
  27. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) ただいまの御意見はごもっともだと思います。御趣旨の線に沿って今後いろいろ努力をいたしたい、こう考えておるわけであります。
  28. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで今回のその諮問価格にいたしましても、かなり各種団体の、農業団体の要望とはかなり開きがあるわけでありますけれども、一つはたとえば、加工原料乳の乳価の計算においては、いわば賃金のやはり計算に非常に違いがある。特にこの自給飼料生産労働費の賃金ですね。こういうのを飼育管理労働と同様に、他の企業の労働賃金と同じようにやはり評価がえすべきじゃないか、私はそれは当然じゃないかと思うのですね。何も、農村において飼料をつくる農民だけが安い賃金で働かなければならないという理由はないわけで、やはりこれは農業基本法の精神からいってもおかしいじゃないかと思うのですね。それで、先ほど次官は、従来の政策に従って今回の改定をきめた、そういう話ですけれども、従来とは畜産あるいは食糧自給に対する世界的な情勢も変わり、わが国としても、自給率を高めるという、そういう新たな事態になったわけですのに、そういう点で百年一日のごとく、前と同じようなことじゃやはりやれぬと思うのですね。いままでそういう方式できたから、だんだん自給率は下がってきているわけなので、飼料にしたってですね。そういう点でいろいろ言いたいこともありますけれども、まず自給飼料生産労働費の労賃の問題についてどう考えているのか、これをひとつ簡単に。もうあと六分しかありませんから。
  29. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 飼育管理労働費につきましては、これは御指摘のとおりその地域におきます五人以上の製造業労賃に置きかえをやっておるわけでありますが、飼料作物生産関係におきましてはこれをやっておりません。これは飼育管理労働費につきましては、一年三百六十五日の通年拘束性を持っておる労働である、あるいは搾乳をはじめといたしまして、一般の雇用労働にはたよれない熟練性を要求される労働である。こういう観点からその特殊性に着目をいたしまして、置きかえをやっておるわけでございます。ただ、自給飼料生産労働につきましては、これと異なりまして一般の耕種におきます労働と同質のことでございますので、これは国の政策価格といたしましては、評価がえを行なう積極的な理由がないというぐあいに考えておる次第でございます。
  30. 塩出啓典

    塩出啓典君 だからこれは、やはり自給飼料生産労働費の労賃と飼育管理労働費の労賃、これはもちろん異存はあるわけですけれども、これは別として、これはやはり農林省としても検討すべき問題だと思うが、検討するのか、しないのか。今後どうなのか、もう永久にこれでいくのかですね。
  31. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 米のように、全面的に国家管理というようなことからいたしますと、ただいま先生指摘のような考え方も出てくるわけでございますけれども加工原料乳の場合には、そういうことでもございませんので、当面私どもはそのような考えは持っておりません。
  32. 塩出啓典

    塩出啓典君 それからこの飼料の問題ですけれども配合飼料の品質の低下が非常に問題になっているわけでありますが、やはり何と何をまぜたのか原料表示を——これはラベルを張るなりする。これはまあ私は当然じゃないかと思うのですけれどもね。やはり何と何をまぜたのかということをちゃんとはっきりしておかないと、いいかげんなものばかりまぜておっても困るわけですし、これは常識から考えてもはっきりすべきじゃないですか、それはどうなんですか。その点は。
  33. 下浦静平

    説明員下浦静平君) ただいま先生指摘のような御意見があるわけでございます。したがいまして、私どもいろいろ検討をいたしました結果、本年の一月から、主要な配合飼料原料につきましての表示をやらせるように、これは行政指導でございますけれども措置をいたしております。一月におきましては、紙袋の不足等、これは石油関係での混乱等からの結果でございますけれども、そういうことからかなりおくれが出たようでございまして、またその点を御指摘の向きもございましたわけで、その辺、徹底をいたすように再度通達をいたしたということでございます。
  34. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、大手乳業メーカーは大体二年間で百三十一億円の超過利潤を得てきている。やはりこれはわれわれとしては、非常に納得のいかないことで、やはり同じ平等の原則からいうならば、一方においては自殺者が出るのに、一方においては笑いがとまらぬくらいもうかる。こういうことは政府の指導で改めていかぬと、私はやはり不公平ということは非常によくないと思うのですよ。こういう点はどうなのですか。
  35. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 指定乳製品の安定指標価格関係から出てまいる御質問でございますが、安定指標価格を市場実勢価格が上回って推移した。したがって、その分がいわゆる超過利潤という形で御表現をなすったというように理解をいたしますが、確かにここ二年ほど非常に需給のバランスがタイトに推移をした関係で、実勢が上回りぎみに推移をしたわけでございます。ただ、これはそのまま、まるまるいわゆる不当利得というわけにもなかなかこれはまいらぬ面もございますわけで、できるだけその辺の事情が生じないように今後措置をいたす。こういう考え方から四十九年度の安定指標価格決定にあたりましては本年一月の実勢価格にこれをあわせまして、かつ、この安定指標価格の水準をできるだけ維持するという努力を今後私ども、してまいろう、こういう考え方でございます。
  36. 塩出啓典

    塩出啓典君 そういうのもやり方がおそいわけですよ。結局二年間の間に一方はもうかっている、一方はやはり農民の皆さんあたり損をしている。そういう不公平があれば早くやはり手を打っていただかないと——そういう点でおそきに失しているわけです。その点ひとつ、それにあわせて早くひとつ手を打つように今後も努力してもらいたい。  それから最後に、豚価の問題ですけれども、前前ずっと需給実勢方式というものでやってきたわけでありますけれども生産者のほうからみれば生産所得補償方式にやってもらいたいと。私は、やはり農産物価格というものは——大企業の製品みたいにこっちできめるものじゃありませんから、やはり原料が上がってもなかなか製品の値段が上がらない。それは市場の構造がそうなっておるわけでありましてね。しかし、少なくともやはり最低価格というものは保証しなければいけない。だからそういう点で、少なくとも、この最低の価格を保証するだけの価格にはしていかなくちゃいけないんじゃないか。そういう点で、この需給実勢方式というものも、そろそろやはり検討すべきじゃないか。私はそのように思うわけでありますが、農林省としてはどう考えているのか、その点を承っておきたいと思います。
  37. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 豚肉につきましては、先生指摘のとおり需給実勢方式をとっておるわけでございます。これは、市場で形成されます価格を前提とした方式でございますが、この豚肉価格につきましては、やはり市場価格の安定ということが、この仕組みの前提になっておるわけでございます。したがいまして、できるだけこの安定基準価格と安定上位価格の中に実際の市場価格をおさめるように努力をするというような方式でございます。これも先生よく御承知のことなんでございますけれども豚肉につきましては、ピッグサイクルというものがございまして、その関係でやはり私ども算定の場合には、過去五年間の実勢価格試算の基礎に置いておるわけでございまして、そういうことから考えますと、この生産費所得補償方式をとります場合におきましては、この価格決定の水準いかんにもよりますけれども安定価格が市場の実勢と乖離をするというようなおそれがあるわけでございます。かいつまんで申しますれば、ピッグサイクルの山のところに差しかかりました場合に、畜産振興事業団がもう無制限に買いにかからなければならない。これはなかなか放出のめども立たないというような事態も起こりかねないわけでございますので、私どもといたしましては、現在の市場実勢価格方式によりまして、各経費の動向を適切にこれに織り込んでまいるというのが、当面やはりいい方式ではないかというぐあいに考えております。
  38. 塩出啓典

    塩出啓典君 もう一問。たとえば、鉄鋼製品が原価を割った場合には、不況カルテルを結んで値段を上げる、そういうようなちゃんと制度がとられているわけですね。そうやって市場価格というものを操作できるわけなんですよ。けれども、こういう豚価の場合等は、そういう操作を結局農林省はやっていない。上がった場合だけ輸入して下げるということはできるけれども、下がった場合どうするかという、そういうものがないわけです。そういうわけで、市場価格というものがコストを割る場合もあるわけですよ。そのもとにやはり計算したんでは、非常に鉄鋼なんかの価格に比べて不公平があるわけでありまして、そういう点で、もちろんこの需給実勢方式の長所もあるでしょうけれども、現時点においては、これはやっぱり少なくとも一生懸命汗水流して働いただけのものは、最低価格はやっぱり政府が保証しなければね。市場価格というものは、結局そういうものとは別個のことできまっちゃうわけですからね。  上がれば、輸入して下げてしまうんですから、その下げたものをもとにしてきめられたんでは、これはっくるほうとしてまことに不合理であって、いまさっきも畜産事業団がたくさん買い入れなきゃならぬ、そうなったというのは、言うならば農政の貧困で、そういう政策調整もしなかったということに原因があるわけですから、その畜産事業団が負わなきゃならぬリスクを農民の人に押しつけているわけですね、いまは。それは私は、あまりにも弱い者がばかをみる、かわいそうであると思うんですね。  そういう点で、これはもう時間がありませんから、これでやめますけれども農林省としても、ただ金科玉条のように需給実勢方式を続けていくというのじゃなしに、先ほど申しましたように、いろいろなそういう畜産の危機と言われるように、事態も変わってきたわけですから、そういう点で、やっぱり農業というものは、もっと防衛費以上に国が力を入れて、そこに金をつぎ込むということは、結局は国民全体の食糧安定というものにプラスしていくわけですからね。そういう点で私は、この需給実勢方式も抜本的に検討し、そうして黙々としてこの畜産にいそしんでいる人たちが希望を持てるようにやっていかなくちゃいけないんじゃないか。このことを次官に要望しまして、次官のひとつ決意を一言お聞きして終わりたいと思います。
  39. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 制度というものは、一たんつくりましたら、それっきりそのままで、ずっとよろしいというものではないと存じております。その意味におきまして、いろんな分野から、いろんな角度から、私ども絶えずこれに検討を加えていかなくてはならないというぐあいに考えております。なお、ただいまの先生の御指摘の面の半分は、やはり制度の仕組みの問題ではなくて、いかに適正な価格決定するかという点にあろうかと存じますので、その面におきましても、私ども引き続き努力をいたすつもりでおります。
  40. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 酪農危機が叫ばれてだいぶたちますけれども、去年の十月にも、私この委員会で、いま何とか手を打たなければ、日本酪農は崩壊に進んでしまう、そしてまた酪農民もこれはたいへんな事態になると、そういうことを政府にも申し上げていたわけです。しかし、その後、何らかの具体的な対策も立てられないまんまに、また、ことしになってからは、非常に飼料値上がりがあり、また、各資材が御存じのとおりのたいへんな値上がりで、そして——私は、この間、北海道、特に十勝それから釧路、根室、それから空知管内、そして檜山管内と、ずっと酪農民の方たちとお話をして参りました。非常に深刻な事態になっています。しかし、きょうの答弁のやりとりを聞いていますと、そういう深刻な感じというのは全然ないんですね。非常に冷静でいらっしゃるわけなんです。  そこで、私は、北海道でたくさんの農民の集会にも参加しましたし、審議会に集まっていらっしゃる方々ともきのういろいろお話しをしてまいりました。そこで言われたことは、各委員も言われていましたけれども、いま諸悪の根源と言われている石油会社や、多くの企業が便乗値上げで大もうけをしている。しかし、酪農民にとっては、飼料はこの一年間に御承知のとおり四回上げられた、約倍でございますね。それに農機具をはじめとするいろいろな資材の値上がりというのはばく大なものになっていると。こういうふうに大企業には、値上がりになったからといって、そして値上げが許されている中で、酪農民にとっては全然その手が打たれていない。一年間据え置かれたまんまということになっているわけです。政府価格をきめるから上げられない、こんなばかな話ないじゃないか。これ当然の言い分だと思うわけです。名前は保証価格ということになっているけれども、何を保証しているのか、大資本の利益は保証しているかもしれないけれども酪農民の暮らしを保証することもないし、それから、日本畜産酪農を何ら保証していないではないか。こういうふうに言っているわけなんですね。こういうふうな問題について、一体この農民の言うことが間違っているかどうか。正しいか間違っているか、その辺、一言でお答えいただきたいと思います。政務次官どうぞ。
  41. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) 一言でということでございますが、いろいろな事情がありまして処置がおくれたことは、私もそういう感じを持っております。今後、そういうことのないように大いに努力をするつもりでおります。
  42. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 保証価格ということでは全然ないということはいま言ったとおり。まさにこれは凍結価格だと、こういうふうに言っております。実際、自由取引の飲用乳価と加工乳価との差額というのは、この不足払い制度ができましたときは七円三十銭だったのに、いまは三十三円四十九銭と、約五倍に広がっているのも御存じだと思います。こういうわけで、もしも凍結すると、保証という名前で凍結するからには、赤字になれば直ちに改定するということでなければ、ほんとうの保証にはならないということになるわけですね。これは、改定するというふうにおっしゃっているけれども、具体的に、どういうふうに改定して保証するというふうに考えていらっしゃいますか。
  43. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 小笠原先生の先ほどの御指摘の点でございますが、十月に御質問なさいましたときには、ちょうど、畜産振興審議会の懇談会を開きまして、いろいろ、改定をすべきかどうかという議論をやったときだと覚えております。当時は、肉の価格が非常に上がってまいりまして、その関係で、酪農経営の中では、やはり肉も副産物関係で、一緒になっておりますものですから、改定の必要がなしと、改定の必要というところまでいかなかったわけでございますが、当時は、酪農をめぐります諸事情等にかんがみまして、キロ当たり三円に相当いたします畜産振興事業団の助成事業を三月まで行なうということにいたしたわけでございます。それに相当いたします金額が十五億円ということに相なっております。その後、石油等の問題が起きてまいりまして、四十九年度の価格決定の作業に入ったわけでございますが、なお、この四十九年度の価格決定をいたしました後におきまして、先般のような石油関係からする価格上昇等のような事態が起こりました場合には、そのつど私ども検討を加えまして判断をいたしたいと考えております。
  44. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そのつどいろいろ手を打とうと判断した、検討したとおっしゃるけれども、現実にはたいへんな危機になっているわけでございますね。いま言ったように、ほかの資材が上がったというようなときにはお認めになっているのに、酪農の場合には具体的に何ら認められないでここまで来ているわけなんですよ。それで、しかも、政府の言うことを聞いてきて、それで、ひどい目に会っているわけですわ。だから農村の方たち、話してみると、非常に正直で、勤勉で、働らき者ですよ。朝早くから夜おそくまで働らいていらっしゃる。そうして、その労働の過重な面はどこにかぶさってきているかというと、これは非常に婦人の手にかかってきているわけですよね。私なんかも婦人の立場でいろいろお話してみますと、もう子供と一緒にごはん食べるということさえもできないというような状態なんです。一生懸命に政府の言うことを聞いて、一生懸命にやろうと、規模を拡大せいというから規模を拡大してきた、拡大してきて、こういうような状態になってしまったと。  私が最後に行きましたのは北桧山でございましたけれども、この北桧山へ行きましても、これは酪農の講師として他所にも出かけていくというくらい一生懸命やって、たいへん進んだ形をとっておられた。しかも、この方も拡大すれば何とかなるというので、百頭まで拡大していっているわけですよ。それがもうどうにもならない、どうにもならなくて、とうとう一家が蒸発してしまって、そうして、残された牛やなんかがみんな餓死しているという、こういう状態になっているわけですよね。こういうことはこのまままた次々と出てくるんですよ。  だから、いろいろ検討されたとおっしゃるけれども、その検討が検討に過ぎてしまって、具体的に農民に、何らこれが救助の手になって、差し伸べられていないわけですよ。だから、いま物価というのはどんどん上がっています。お米の場合なら年一回で計算できるけれども乳価の場合には、毎日毎日出しているわけですよ。物価も毎日毎日上がっているわけでしょう。そうして、それを保証していくというようなことを検討しているなんと言っている間に、どんどんどんどん農民が殺されていってしまうわけですよ。そういうことになれば——その物価がどんどん上がる中で、そうしたら乳価はこれくらいにしなければいけないというスライド制を具体的にどう考えているのか。四半期ごとの改訂というようなことも農民は要求しているわけです。そういういろいろ口でうまいことをおっしゃっても、具体的にその手が打たれないから、実際には農民を見殺しにしていっているじゃないか、日本畜産というものを破壊しているではないか。こういうことになるわけです。ですから、いまおっしゃったことがほんとうであるとするならば、スライド制をおとりになりますか。そうして、四半期ごとの改訂ということを実際に考えるということをお答えいただけますか。
  45. 下浦静平

    説明員下浦静平君) これは先行きの経済情勢の見通し等にもからむ問題でございまして、たいへんむずかしい問題ではないかと考えております。たとえば、豚肉——これは豚肉の例で申し上げますけれども、市場価格が、物価が上がりましても、相当堅調に推移をしておるというような場合もございますでしょうし、あるいは、そのときは市場価格が下がっておりましても、これは通年の価格というたてまえになっておりますので、その前までは非常に堅調で、高値で推移をしてきたというようなケースもございますでしょうし、そういったような観点からいたしますと、この辺の、何と申しますか、一つの基準づくりのような、小笠原先生のお話でございますけれども、この基準をつくるということ自体に、非常にむずかしい面があるのではないかと考えております。乳価の場合にも、先行きえさ価格がどう推移するかというような問題もございます。そういうようなことからいたしまして、やはりこれは、そういう激しい物価上昇のケースが起こりました時点におきまして、検討を加えるということしか、現在のところは申し上げられないのではないかと存じます。
  46. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 むずかしいと言えば、むずかしいからできないというのだったら、あなたたちの役目はないんですよ。むずかしいからだめだ、だめだといって、こういうふうになってきているわけでしょう。だから、むずかしいなんて逃げるっていうのは全く責任ないですよ。次官どう思いますか。  むずかしい、むずかしい、そうして、制度的に一年でやっていたから、それがいままでの方式だから、というのであれば、いまのままなんですよね。だから、私が言ったように、もしもいまのこの危機を乗り切るために、具体的にそうしたらどうすればいい。具体的にどうすれば——きょうは、たくさん酪農の方たちいらっしゃいますよ。酪農の方たちがどうやって生きていけるか。具体的に何やるのか、具体的にどうなさるのですか。  それからもうひとつ伺いますけれどもね、経済事情の変動の場合にはとおっしゃったけれども経済事情の変動ということばは、非常に大きな意味になっているわけですよ。じゃあ、具体的に経済事情の変動というのは、どういうときを変動としてとらえられるかということですよね。たとえば、この四月、五月、いま春闘で労働者は大幅賃上げを要求していますよね。そうすると、この場合、たとえば三〇%の賃上げをするということになれば、飼育労働費も、家族労働費も約五%上がるということになりますよね。そうすると、この場合には春闘で労働者の賃金がこれだけ上がったというようなときには、その飼育労賃というのは当然ここで上げるということが言えますか。具体的に何にも方針示さないで、ことばだけで逃げたって、殺されてしまいますよ。
  47. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) ただいまの御意見の点は、まことにごもっともな点が多いと、こう考えておるわけであります。ただ、どういうように具体的な処置をするかということについては、これは大いに、いままでのやり方が、どこを直すべきかというような点を含めまして、この事態に最も適した案を考えなければならぬと、こう考えておるわけであります。その点について引き続いて検討をいたしたい、こう考えておるわけであります。
  48. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 一体いつまで検討しているのですか、これいま始ったことじゃないですよ。前々から話になっていて、農民がいたたまれなくなって、この段階にきているでしょう。この段階にきて、またいろいろむずかしいから、いろいろ検討してって、いつまで検討するのですか。だから、農民の人たちはもうどうやっていいかわからないというので、たくさんきょうも来ているわけでしょう。そうして、審議会からもこれは検討すべきだという御意見も出ているわけですよね。だから具体的に——それじゃ、スライド制や、農民が要求しているような四半期ごとの改定ということは、検討中だから全然できないと。具体的な何らの手を打てないと、具体的な問題何にもないということですね。それ一点ですね。  それからさっき言ったような経済事情の変動。具体的に物価がこう上がって労働者の賃金上がった、とすれば、この労賃の算定についても、これだけ上がったんだから上げるということにならなかったら、何にも手を打ってないことになりますよ。ことばだけにすぎないですよ。これではね。農民はもうだまされませんよ。その辺のところどうなんですか。
  49. 下浦静平

    説明員下浦静平君) いままでは、これは結果論ではございますけれども、年度内改定という経験はございません。しかしながら、その経験を踏まえまして四十九年度も何が何でもこれは一本価格だということは私どもは言えないと思います。したがいまして、この基準の設定につきましては、非常にむずかしい問題が先ほども申し上げましたようにございますけれども、私どもといたしましては、何らか手を打つべきときには手を打ってまいるということにいたしたいと考えております。
  50. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 全然具体的でないですね。私が聞いているのは——それじゃもう一つ的をしぼります。経済事情の変動というときはどういうときをさしているんですか。経済事情は毎日変動しているんです。どの程度経済事情の変動と認めて考えられるんですか。
  51. 下浦静平

    説明員下浦静平君) これは著しい経済事情の変動ということに相なっておるはずでございますが、その著しいということをどう解釈するかという点でございます。これにつきましては、どういうようなことを著しい経済変動と言うかについてのきまった解釈というものはございません。で、やはりそのつどこれは、これに該当するかどうかということを判断していくほかはないのではないかと思います。
  52. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ農民が要求している——どんどんどんどん上がっていってやり切れないと言うんだけれども、スライド制も考えられない、四半期ごとの改定も全然年度内には考えがないと。それから著しい経済事情の変動と言って、ことばでは言うけれども、これは具体的にどういうときということは全然考えていないということですか、結論的に言えば。それじゃいまの農民たちの要求——農民だけの問題ではないですよ。この畜産の問題、これが崩壊するという問題について、いまの時点で具体的に何を考えているか。——何にもないということですね。具体的に何にも手は打てないということですね。
  53. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 今日ただいまの時点におきましては、これがこうなった場合には改定をするというような、具体的な考え方は申し上げられないと思います。しかし、今後の推移につきましては、十分私どもよく事情をながめてまいりたい。それでその上、手を打つべきときには必要な手を打つということにいたしたいと思っております。
  54. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 結論的に言えば、何だかんだといろいろなことばはおっしゃったけれども、いまのこの農民の要求に対して、具体的な手は何にも打たれていないし、打つという準備もないということになると思います。  それじゃ、それで確認いたしまして次に移りますけれども、まあ今度の試算価格六十三円五十三銭と、この値段でとてもじゃないけれどもやっていけないということは、もう皆さんのほうもお認めになっていらっしゃると思います。私も北海道をずっと歩いてきまして、たくさん資料あるんですけれども、たとえばきょう来ていらっしゃいますがね。鶴居村というところでは搾乳牛三十頭、借金二千万ですよ。第二次構造改善事業に参加して一生懸命やろうとしたと。それで四十八年度では二百十三万八千円の、単年度で赤字出したと、こういうことになるわけですね。そうすると具体的には、いまそれじゃ保証価格というものを相当上げなければならない、こういうことになるわけですよね。これを相当上げなければならないというような中で、きのうの答申が出たわけですけれども、これについては一体どう考えていらっしゃいますか。そして農民たちが、ほんとうに自分たちが日本食糧をしょっているんだという、その希望を持って、誇りを持ってやれるためには、一体この保証乳価というものをどの程度上げなきゃならないかということにいま考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  55. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) ごく簡単に申しますというと、いままでにやっておりましたのを、いわゆる償却の方法とか、そういうようなものの考え方を変えてやっておるわけでございます。そしてもう一つは、畜産審議会の御答申をきのういただいたわけでございます。で、私どもは、この御答申を尊重いたしまして、それに基づいてものを政治的に決定をしていたと、こういうことでございまして、それが私どものいま考えておる事柄でございます。農林省の方針はこうだということをいま直ちに言うべき時期にはないと、こう考えております。
  56. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃあ時間がないから、具体的にまたお伺いしますけれどもね。いろいろ御検討いただくわけですけれども、今度あの保証乳価格を大幅に引き上げたと言われるけれども、時間がないから私のほうで言いますとね、わずか二十億程度の負担ですよね、二円十銭上げたなんておっしゃっても。で、日本酪農の問題を考えて、そしてこの農民の深刻な問題を考えたときにね、二十億程度政府の出すというお金で、これでほっかぶりして逃げちゃうつもりかということですよ。大企業のためにはね、もう惜しみなくと言っていいほどのいろいろなやりくりをなさっているのに、たくさんの人たちが一生懸命働いて、ばかを見て殺されるというときに、わずかそんな予算を出すということくらいで解決できるもんじゃないと思うんですよ。その点どう考えるかということと、一点ね、——もう質問全部続けますから、ちゃんと記憶しておいてください。  それから、今度の価格というのは、一月で物価修正して六十三円何ぼにしたわけでしょう。そうすると、一月ですでにそれだけかかるということを認めていらっしゃるわけですね、逆にいえばね。一月段階で物価修正したら六十三円幾らというお金が出てきたわけですわ。そうしたら、当然一月分、二月分、三月分ですね——四月から実施になるわけだけれども、一日でそれが妥当だと認めたら、一月、二月、三月分を、これに当然妥当と認めたら出すべきではないですか。これが二番目の問題でございますね。どうなんですか、この辺のところ。  そして飼育労賃の問題なんですけれども、ここで非常にごまかしが出ているわけですよ。これだけ労働させて、そして普通の労働者と比べてみたときに、たいへん低いっていうのはみんながもう認めている問題でしょう。そうすると、当然これはわれわれがもう前から言っていましたけれども、米作の労賃と当然同じに少なくともしなければならない。算定方式のその辺のところをきちっと変えていかなかったらならないと思う。そういう点についてはどうですか。  いまの答弁を聞いていると、ほんとうに何も考えていない。だから具体的にいえば、一月にそれだけ必要だと、当然の価格だと認められれば、一月、二月、三月の分、当然出すべきでしょう。出しますか。それから飼育労賃の問題、これは当然算定方式をきちっとさせて、そして米作並みということにしなければならないと思う。その二点、最後にはっきり答えていただきたい。
  57. 下浦静平

    説明員下浦静平君) まあ政府の持ち分が二円だけではないかという点でございますけれども……。
  58. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 プラス分ね。
  59. 下浦静平

    説明員下浦静平君) これはその前に基準取引価格の計算があるわけでございます。したがいまして、この基準取引価格が十二円九十二銭引き上げられるということに相なりますので、これは当然支払い可能乳代ということでございますので、これは乳業者から支払いされるということに相なります。これは当然それだけの支払いの可能性があるわけでございますので、まずこの民間側から支払える分は払っていただく。その上で、これは政府が足りない分を出すということに相なろうかと存じております。  それから、一月までの計算ではないかという点でございますが、ただいま諮問をいたしました価格は来年の、四十九年度の乳価、豚価でございます。それをきめます手法といたしまして、一月までの物価賃金調査の指数を織り込んだわけでございますので、これは四月一日からの価格に適用されるということに相なるわけでございますので、この二月、三月分につきましては支払うというわけにはまいらない性格のものでございます。  最後に、労賃につきましての米並みの労賃を保障しろという点でございますけれども、これは米につきましては主食でもございますし、また全面的な国家管理の品目となっておるわけでございますので、ああいう仕組みをとっておるわけでございます。しかも、これはたくさん数ある農産物の中で、米だけについてとっておる仕組みでございまして、乳価につきましては、加工原料につきましては、そういった食糧としての米の地位までもいっておりませんし、かつ全面的に国が管理しておるというような品目でもございませんので、そこまでの仕組みはとり得ないということでございます。
  60. 神沢浄

    ○神沢浄君 わが党の場合は、きょう畜産問題でベテランの鶴園委員質問をされることになっておったんですが、たいへん急のことに、何か悪性のかぜでもって高熱を発しておるわけでございますので、こういうようなことですから、選手交代して私がお尋ねをすることにいたします。  私は、ベテランたらぬとも、いまの畜産問題というのは、国民の常識の問題として、政府にどうしても反省をし、姿勢を変えてもらわなければならない点がまず基本的にあると思うんですよ。石油危機に次いで畜産危機というようなことがもう言われてしきりなんですが、今回のたとえば安定基準価格諮問の問題などを通じてみましても、ほんとう畜産危機に対応するだけの熱意、また決意を政府は持っておるのか、どうなのか、というような点をはなはだ疑問に感ぜざるを得ないですね。少し前置きになりますけれども、この前、農林大臣の所信表明に対する質問の際に私も申し上げたんですが、大きくはいまの日本食糧自給の問題、これがまず根底になければならないと、こう思うわけなんです。たん白資源の問題というようなものについて考えてみますと、まさに危機などというなまやさしいことばだけでもって済まされるかどうかというような、たいへん重大な段階にわが国としては置かれているんじゃないか。  何か私どもが聞き得るところによりますと、この夏には国連の海洋会議が行なわれる。その海洋会議におきましては、各国の領海の問題などを通じて日本の漁業がこれは相当に制限を受ける。最も憂慮する場面を考えてみると、沿海の漁業というのがほとんどこれはもう水揚げ高は半分に減っちまうんじゃないか、というようなことがいわれておりますし、二、三日前の新聞の紙上などで見ましても、対ソ連の漁業交渉などというのは、非常にこれは困難な情勢にある。こういうような状況の中で、国民の食糧自給というものの観点に立って考えるときに、なおその中での、たん白資源の問題について考えると、これはもう畜産に負う以外には日本としては行き方がないんだというところへきていると思うわけなんです。  そうだとすれば、自殺者を出したり、それから、きょうたくさんお見えになっておりますけれどもも、まあ、悲鳴を上げさせるような、そんな政策というものは、これはもう直ちにやめて、そうして価格でも、安定価格なんて名前だけ張っておりますが、実際に日本畜産というものがほんとうに安定できるようなものを、ここでもって思い切って打ち出すということから始まらなければ、私は、ただ単に、きまった制度の上でもって、安定基準の価格を幾らに諮問するなどというようなことだけを事務的にやっていたんでは、とても私は、日本畜産の問題なんというものは解決できないじゃないかというようなことを、しろうとなりにまず第一に感じているところなんです。  そこで、しろうとなりの考え方でもって、問題は二つになるように思います。  一つは、いまちょっと前置きでも申し上げましたが、少しの物価の動向などによりましても、直ちに不安、動揺しなければならないような、こういう事態に対する価格安定制度そのものに基本的な問題が存在するのじゃないか、こういう点が一点。  それからもう一つは、まことに当面の問題として、今回諮問をされたその安定価格なるものが、はたして適当なものであるのかどうなのか。私は、まずこの問題をしぼりますと、二つになってくるのじゃないか、こんなふうに感じているところであります。  そこで、その第一の問題であるところの、現行の価格の制度の問題ですけれども、どうして長い間生産者から要求のあります生産費と所得をば保障していくという、こういう制度がとれないのかという点が、私は非常に疑問に思えてしかたがない。農林大臣の所信表明の質問の際に、その点をちょっと私も触れましたが、日本は自由経済の国だから、したがって、それはきめつけてしまうというやり方はあまり妥当ではない、いまの制度のほうが、いわば妙味があって、生産者の立場からいたしましても、かえって望ましいのではないですか、というような意味のことを言われていたわけであります。しかし先ほど来のそれぞれの質問者のお話の中にも出ておりますように、なるほど自由経済でもって妙味があるかもしれませんが、妙味のあるほうは相手側で、生産者の側にはちっとも妙味がないわけであります。自分たちがつくったものを市場にまかして、その相手のきめる値段でもって買ってもらう以外に方法がない。工場、企業などのつくったものは、それはやっぱり生産費に十分なマージンをちゃんと計算をして、そうして価格をきめて売り出す、それは妙味があっていいでしょう。しかし肝心の農業生産につきましては、少しも妙味などなくて、自由もなければ、自由経済というのは、それは企業や商社の側にあるかもしれぬけれども、われわれ農業者の側にある自由ではこれはないわけであって、その辺を私は農林省あたりはもっとほんとうに真剣に取り組んでいただかなければ、とても日本農業の問題、わけても目の前の危機といわれておる畜産の問題などというのは、これは解決なんかとてもされるものじゃないじゃないか、というように思えてなりません。  そこで、さっきの質問に返りますが、どうしてこの生産費所得を完全に保障をして、安心できるような制度というものがとれないのか、その辺をひとつ。そこからお尋ねを始めたいと思います。
  61. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連して端的に伺います。  次官に伺っておきたいと思うのですが、四十八年の予算委員会ですよ。三月の二十七日に私が農業基本とそれから酪農乳価等々の質問をした。で、農業基本については、かつて私は、池田内閣のときに、池田総理大臣質問したことがある。高長政策の一番犠牲になったのは農業ではないか、ということを池田総理大臣に聞いたら、それ認めたんです。認めたから、しからば、これから農業についてどうやるのか、こう言ったら、当時の池田総理大臣は、革命的な農業政策の転換をやると、こう答えたんです。これは速記録を見ればわかりますがね。これを去年の三月の二十七日にぼくは桜内農林大臣に聞いた。そしたらこういう答え方をしている。「革命的と言えば少しオーバーでございまするが、私どもとして、思い切ったこれから農政」に対して取り組むと、こう答えているんね。そこで、わずか一年よりたっていないんですがね、農林省は、この農政に対して、歴代内閣のこうずっと言ってきたことをどういうふうに取り組んだのか、その実績を示してもらいたい。
  62. 下浦静平

    説明員下浦静平君) たいへん広範なかつ底の深い御質問で、非常にお答えしづらい問題でございますが、まあ池田内閣当時は、たしか昭和三十年代の前半ぐらいからではなかったかと存じておりますが、それまでの日本農政というのは、戦後の食糧難をどう切り抜けるかということが大眼目になっておりまして、それで、いわゆる食糧増産対策というのが一つの柱になっておったわけでございます。その食糧増産時代がようやく終わりまして、次の段階に入ろうとし、あるいは入ったころかと存じておりますが、そのころの農政といいますのは、何らかこの農業に関する基本的な問題、まあこれらを総ざらいをいたしまして、行くべき方向をきめようということでございまして、その結果といたしまして、農業基本法という法律ができたわけでございます。それ以来、いわゆる選択的部門の拡充、拡大でございますとか、あるいは自立経営農家の創設とかということばで示されておりますとおり、米以外の今後伸びます部門、これを伸ばしていこうということでございまして、その分野では畜産もこれはその一つとして入っておったということでございますし、そのほかに果樹関係なんかもそういう部門に入れられておったわけでございます。それともう一つは、やはりしっかりとした専業的な経営をつくってまいろうということであったかと存じます。  それから、かなりの年月が経過をいたしたわけでございますけれども、確かにその当時ねらいといたしました選択的部門の拡大、あるいは専門的な経営の強化と拡充というような点は、まあ歩みこそおそかったわけでございますけれども、着実に歩んできたのではないかとこう考えております。たとえて申しますれば、畜産については当時一五%程度、あるいはそれ以下の農業産出額に占めるウエートでしがなかったわけでございますけれども、昭和四十年代に入りましてからは二〇%こえまして、昨今では二六%程度まできておるというようなことでございますし、まあ先生の地元の……。
  63. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 長々、君は言っているけれどもね、時間がなくなっている、もう時間が。そういうことを聞いているんじゃないんだよ。総理大臣がだな、革命的な農政転換をやろうと、こう言ったんだ。——いいですか、佐藤内閣も、田中内閣もそれ踏襲しているんだから、だから、去年ぼくは、農林大臣に聞いたんです。そしたら革命的ということばは多少オーバーだけれども、積極的に取り組むと言う、その取り組んだ実績を聞いてるんだよ、一年間の。
  64. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 桜内農林大臣時代からの一年間、この畜産につきましては、たとえば畜産の主産地形成の問題でございますとか、あるいは草地の開発の関係でございますとか、あるいは各種部門の専門的な団地づくりでございますとか、まずそういうことにつきましての努力は十分にしてきたつもりでございます。
  65. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 次官、あんたに聞いたんだ。次官、どうだい。いまの一年間取り組んできた農政が革命的だと思うかね。次官山本君。
  66. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) ただいま御意見拝聴いたしましたが、現状においていろいろな御批判のあることはよく存じておるわけであります。すなわち、ものの考え方において、ここに基本的なものの考え方を変更するかどうかというような具体的な案としては、いろいろあると、こう考え——意見もあるだろうとこう考えるわけであります。ただ、現実のいまの農政関係からみまして、それをいかに実施するかという点が問題になってくると、こう考えております。  それからもう一つは、私あまりよくわかりませんが、大体の傾向といたしまして、ただいま御批判をいただきましたような、農政に関する画期的なものが出てきておらぬのじゃないかという御心配は、まことに私どもも感銘深く拝聴いたした次第でございます。ただ、具体的にこれをどうするかということについては、まだ検討をいたしておる途中でございまして、いまここで私が申し上げることはできないので、また、農政そのものについても農林大臣が主体になりますけれども、この問題を処理するためには、多くの関連する関係の省庁そのほかといろいろと打ち合わせし、基本的な線を決定する必要があるということは、申し上げるまでもなく、よくおわかりをいただいておると思いますが、そういう線に向かって努力をしておる、という状況に、これからさらに力を入れていきたいと、こう考えておるということだけを申し上げたいとこういうことであります。
  67. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 神沢先生の御質問にお答えいたします。  この生産費所得補償方式がなぜとれないかという点につきましてのお尋ねでございますが、この豚価につきましては、先ほどもお話を申し上げたわけでございますけれども、この市場実勢価格をもとにいたしまして価格決定をやっております。で、これは制度のたてまえがこの価格の安定という点にございまして、一定の安定価格帯の中におさめるように、いかに価格決定するかと、こういうところにねらいが実はあるわけでございます。したがいまして、この生産費所得補償方式をとります場合には、このピッグサイクルというのがまだいまだにこう残っておるわけでございまして、まあそれとの関連におきまして、この安定基準価格を下回わりました場合に、畜産振興事業団豚肉の買い入れをするという仕組みになっておる関係で、これは、先行き放出のめどもないままに買い入れのみが継続をして行なわれるというようなことにもなりかねないわけでございます。したがいまして、もちろんこれはその価格決定のいかんにもよるわけでございますけれども安定価格が市場の実勢価格と乖離するおそれがあるということでございます。  なお、いまの現行方式のもとにおきまして、わが国の肉豚の生産は、長期的に見ますれば、需要の増大に対応いたしまして伸びてまいったということでございますので、この価格決定方式の中におきまして、適正な価格決定を行ないますれば、それが一番適切なのではないか、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
  68. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも時間が限られているからね、ぐだぐだわけのわからない答弁したってわからぬよ。端的に聞くから端的に答えなさいよ。いいですか。  農林大臣——桜内農林大臣だよ。去年私に答えた答弁は、こういうことだ。酪農の規模の拡大、多頭化、合理化、農業の近代化をやってきて成果は上がっていると、こう答えている。そこで、これは農業と言ってもいろいろありますがね、畑作、水稲、酪農を含めまして成果が上がっておるならばですよ、君たちが知ってるとおり、離農するはずがないじゃないか。離農するはずがない。酪農業家が額に汗してですよ、——いいですか、高いえさを食わせて、生産された牛乳捨てるわけがないじゃないか。これをどう考えている。
  69. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 確かに吉田先生指摘のとおり、酪農経営の脱落ということが現にございます。ございますけれども、その半面におきまして、多頭化がかなり進んでまいったということもございます。ただ、昨今におきましては、この脱落する規模の大きさというものが若干ずつ上に上がってまいりまして、その意味では、さらに多頭化が進んだということが言えるわけでございますけれども、中間層の脱落もそれに従って出てきておるということがあげられると思います。
  70. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも——関連質問だからあまり長くやっているわけにいかぬが、的確に答えていないじゃないか。的確に簡単に答えりゃいいんですよ。こっちが簡単に聞いてんだからね。  ですから、酪農の五ヵ年計画試案というやつ、多頭化、規模拡大ね、農家の人は、農林省の役人のモルモットじゃないんだよ。だから、当時ぼくは農林省なんて看板はずして農林試案省とつけたらどうか、と大臣に言った意味はここにあったんだがね。そういう話は別としてだ、これは当時の、去年の予算委員会の速記録ですが、あなた方見たですか、見ましたか。
  71. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 昨年の春、先生の御質問の様子は局長から承っております。
  72. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 見たら——幾つか政策転換するんだという答弁があるんですよ、大臣から。——ありますね、価格の問題についても。いま同僚の神沢議員が聞いているような問題、他の議員が聞いたような問題は、政策転換することになっているんでしょう、これ。こういう関係を君たちはどう考えているのか。
  73. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 当時は、やはり時期的に乳価、豚価の価格の改定、決定の時期でございましたので、当時といたしましては、過去と比べますとかなり大幅でございました、三円三銭の加工原料乳価引き上げが行なわれたということでございます。
  74. 神沢浄

    ○神沢浄君 時間の関係がありますから、さっきの価格安定制度の問題については、私は反論したいことが山ほどありますが、しかし、いずれまたすぐに機会を求めたいと思います。  そこで当面の問題ですが、二月ごろのデータに基づいて今度の諮問が行なわれているわけですね。ところが、二月におけるところの卸売り物価の指数というのは、とにかく三五%にもなっちゃって、これはもう卸売り物価といえば当然のことだから、いや応なしにやがておそらく二、三カ月から半年くらいの間には、必ずこれは消費者物価を押し上げて、その影響というものはあらわれてくるんですね。そうすると、いま諮問しているそ価格自体でさえも、これはもう生産者などの側からすると、とてもこんなものでは安定できないとこう言っているわけですよ。しかもこれは四月からでしょう。私は、おそらく四月の勘定合わぬだろうとこう思いますね。そうなりますと、これははっきりスライドさせるような運用の措置でもとらない限りにおいては、とうていこのような手法をもってしては、これは畜産価格安定なんということはできないんじゃないですか。そういう点自信がありますか。
  75. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 先ほどの小笠原先生の御質問と御同様な御質問でございますが、確かに四月一日からきめます価格、これは、経済変動がかなりの速度で続きます場合には影響が出てまいるというぐあいに考えております。したがいまして、私ども、過去におきましては年度内改定ということは一度も行なわれておりませんけれども、来年度におきましては、やはり必要に応じて考えていかなくてはならないだろうと存じております。
  76. 神沢浄

    ○神沢浄君 必要に応じて、といまお答えをされておるけれども、もう現在が必要に応じておりますよ、これは。これはよほど真剣な対応をしていただくかまえでなければとうていできませんね。ただ単に、何と言いますか、事務的、技術的なきまったことだけをやっておれば済むというのは——こういう言い方はきらいだけれども、官僚的考え方、手法では、とてもこれは、いまの大きくは日本農業、当面する重大な畜産危局、そんなものを乗り切るなんということは、これはとても自信が持てないんじゃないかという感が強くしております。こういう点はしっかり踏まえていただきたいとこう思うわけです。  それからついでにお聞きしておきたいと思うのですが、加工乳のほうはあれですけれども、飲用乳はどういうような考えでやっていかれるのか。それから、豚肉に限りませんよ、牛肉やブロイラーなどいまの制度から漏れているものもありますね。これだってみんな、大体ブロイラーなんかは、ほとんどやめている人が多いんじゃないですか。これなんかに対してはどう考えておられるか。その点をお聞きしておきたいと思います。
  77. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 制度から漏れておる品目でございますけれども、卵あるいはブロイラーでございますが、これらは過去におきまして、かなり過剰ぎみに生産が行なわれてまいっております、特に採卵鶏の場合でございますが。そこで私どもといたしましては、やはり需要に見合った計画的な生産ということが必要ではないかと存じておるわけでございます。したがいまして、早急にそういう体制を、ただいまは県までしかおろしておりませんけれども、市町村の段階までおろしまして、計画的な生産出荷という体制をとるようにいたしたいと存じております。  ブロイラーにつきましても、これはかなりインテグレーションが進んでおります関係で、質的な差はございますけれども、ものの考え方というのは同様でございます。これもそういう観点から需要に見合った生産をいたすようにいたしたいと存じます。  それから飲用乳でございますが、これは昨年の十二月に価格引き上げが行なわれております。ただ、その後二月に入りまして、配合飼料価格が上がりまして、上がったという事実がございまして、これは当然のことながら、織り込まれてないわけでございます。したがいまして、この飲用乳の価格関係もこれは早晩出てまいるのではないかと存じておりますが、この飲用乳価格決定につきましては、従来から生産者団体と乳業者との間で団体交渉が行なわれ、それに従いまして決定をされるというような仕組みがとられておりますので、私どもも十分その辺見守ってまいりたいと考えております。  なお、あと牛肉につきましてでございますけれども、これは今後輸入の適切な運用ということによりまして対処をしてまいりたいと考えておりますが、そのほか乳用雄子牛調整保管ということを通じまして、価格の維持安定、これをはかりたいということを現在考えております。これもできるだけ早く実施に移すようにいたしたいと考えております。
  78. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連してちょっとこの際聞いておきますがね。もう一つ一つ聞いておったら時間がありませんから、まとめて聞いておきますが、四十八年の乳価決定にあたって三円三銭というきめ方をしましたね。いまの時点でこれが適正であったかどうか、この点一つ。  それから、先ほど来、物価の動向等と言われていますね。しかし、この家畜の濃厚飼料の九〇%は外国から輸入しているわけですね。外国の趨勢を見ますと、どんどん上げてきていますね。ですから当然価格変動というものがあると思うんです。ですから、一つには、具体的にぼくは聞いておきますが、少なくとも乳価などはそういう状況が背景にありますから、四半期ごとに乳価の改定というものをやらなければ、いまの酪農業は立っていかないと思います。ですから、そういう考え方農林省は持っているのかどうか、これが一つ。  もう一つは、輸入濃厚飼料の販売店はアメリカが八割ぐらい持っているのですね。だから、農林省答弁で、家畜飼料高騰は外因によるものだ——外国の原因によるものだと。こう答えられているようですが、それはそれとするならば、こうした輸入家畜飼料に対する農林省としての高騰しないような対策を、どう具体的に持っているか、こういうことですね。  もう一つ、農業用の機械機具、これについては、各それぞれの都道府県の農協の連合会でつくり上げているものだと思います。北海道の場合は北連がつくっていますが、赤表紙というものがありますな、赤い表紙の冊子ですな。これに農業機械あるいは農機具販売標準価格というものをきめてある。これはもう会計検査院がこれを使用するわけですからかなり権威あるものですよ。そういうものの存在を農林省で知っているかどうか、これが一つ。その四十九年の資料を見ますると、家畜飼料だけじゃなくて、たとえばフォードのトラクターなどは、四十八年のつまり十月ごろの価格から上がって、当時は、大体小型で七十万ぐらいが、いま百二十万くらいです。そうしますとたいへんな値上がりですね。大型が九十万ぐらいものが百九十万ぐらいです。百万くらい上がっている。こういう問題について農林省はどういうふうに把握をしているか。
  79. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 時間がないから、なるたけ簡明にわかりやすくお願いします。
  80. 下浦静平

    説明員下浦静平君) まず第一点でございますが、四十八年度の三円三銭の引き上げ、これはいまから振り返って考えてみますと、私の個人的な実感から申し上げますと、やや低かったんではないかと、一年を通じて見ますとですね。そういうような感じがございます。  それから物価の動向等に関連いたしまして、飼料関係もございますので四半期ごとに改定できないか、というお話でございますが、これはいまから四半期ごととは申し上げられませんけれども、先ほども神沢先生にお話し申し上げましたように、もし相当な値上がりというようなことがございますれば、私は必要に応じて改定を検討すべきものというぐあいに考えております。  それから飼料穀物の関係でございますが、価格安定の問題でございますけれども、これは非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、一千万トンをこえます飼料穀物が入ってまいっております。で、量が非常に多いということが一つございます。それから一体どこの段階でこの対策を講ずるかというような問題もございます。ただ、この点につきましては、各方面からのいろいろ御指摘がございますので、恒久的な対策という観点で検討いたしたいと考えております。  それから農具の関係でございますが、これはちょっと私どもの所管ではございませんので何とも申し上げられませんが、担当の農蚕園芸局のほうでは承知をしているだろうと存じております。
  81. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それはあなたは、農林省関係ないと言うけれども関係ないわけじゃないですよ。赤表紙の冒頭に、農林省が、標準価格をきめるときに指導している文章がありますよ。私ども関係ない、という話はないですよ。それは関係あるんだ、そこは。ですから、そのことをひとつ確かめて、あとでけっこうだから答えてもらいたい。このあともう時間ありませんから、次の農林水産委員会でこれは尋ねますからね。そういうことにしていただきたい。  それから、せっかく次官が来ておりますからら、これは最後に聞いておきますが、桜内農林大臣は、北海道農業、特に酪農については戦略的な産業である、こう言ったんです。それを言った限りにおいては、農林省はもっともっと前向きな姿勢で取り組みますと、こう答えておりますから、これには。この考え方について、山本次官はどういうふうに考えておるかということ。  それから、もう一つは、価格決定にあたって、御承知のように、消費者の乳価というのは百六十円ですね、現在。そうして、今度は、中間マージンが百九円何がしです。生産者はキロ当たり四十八円五十一銭でしょう。そうすると、中間マージンは六八%になるわけですよ。だから、先ほども指摘されたように、そうした乳製品メーカーなどは驚くなかれ百三十一億円の利益をあげておる。農家は、食えない、自殺をしなければならぬ、生産された牛乳を捨てなければならぬ。こういう悪矛盾が露呈してきておるわけでしょう。だから、この算定方式というのは改めなければいけない。ですから、その算定方式を改めるときに基準取引価格というものを改めなければ、いつまでたっても、これは毎年同じことをやっていることになる。こういう点での次官の考え方を聞かしていただいて私の質問を終わります。
  82. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) 非常に不敏でございまして、前の大臣のときに、国会においてお話されたことの内容をよく記憶いたしておりませんが、私といたしましては、まことに適切な御意見を桜内農林大臣がお述べになったと、こう考えておるわけであります。したがって、この点については今後私どもが仕事をする上において基準の一つに加えまして、そうしてやっていくべき時期にきたと、こういうように私は考えておるわけでございます。  それから、第二点の六八%の問題でございますが、この意味をよく考えまして、そうして改むべき点がございましたならば、それに対する処置をとりたいと、こう考えておるわけでございます。
  83. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  84. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、決議案についておはかりいたします。  ただいままで牛乳、食肉の生産価格等に関して質疑を行なってまいったのでありますが、本問題の重大性にかんがみ、理事会において協議いたしました結果、この際、当委員会として決議を行ない、政府に対し適切な施策を要求すべきであるとの結論に至りました。案文がまとまっておりますので、便宜私から提案いたします。  案文を朗読いたします。    畜産物政策価格引上げ等に関する決議(案)  当委員会は、本年二月二十一日、畜産危機対策確立に関する決議を行ない、早急に畜産振興の応急的及び抜本的恒久対策の確立を求めたところであるが、政府は、畜産物政策価格決定にあたっては、今回の畜産振興審議会答申、とくに加工原料乳の保証価格にあっては「算定方式に改善を加え大巾に引上げを行なう」ことをうけて、左記事項に留意し、畜産経営基盤の確立を期すべきである。   記 一、昭和四十九年度の加工原料乳にかかる保証価格及び豚肉にかかる安定基準価格等の決定に際しては、最近における飼料及び諸資材の価格高騰等による畜産農家経営の破局を回避し、その再生産を確保することを旨として大巾に引き上げること。 二、鶏卵の生産費の上昇にかんがみ、卵価安定に必要な財源を確保すること。 三、牛肉輸入の一時的停止又は保留その他畜産物輸入については、適切な調整措置を講ずること。   右決議する。  以上であります。  それでは、本決議案の採決を行ないます。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  85. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 総員挙手と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、山本農林政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。山本農林政務次官
  86. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、適切に対処してまいる所存でございます。
  87. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会      —————・—————