○神沢浄君 わが党の場合は、きょう
畜産問題でベテランの鶴園
委員が
質問をされることになっておったんですが、たいへん急のことに、何か悪性のかぜでもって高熱を発しておるわけでございますので、こういうようなことですから、選手交代して私が
お尋ねをすることにいたします。
私は、ベテランたらぬとも、いまの
畜産問題というのは、国民の常識の問題として、
政府にどうしても反省をし、
姿勢を変えてもらわなければならない点がまず
基本的にあると思うんですよ。
石油危機に次いで
畜産危機というようなことがもう言われてしきりなんですが、今回のたとえば安定基準
価格の
諮問の問題などを通じてみましても、
ほんとうに
畜産危機に対応するだけの熱意、また決意を
政府は持っておるのか、どうなのか、というような点をはなはだ疑問に感ぜざるを得ないですね。少し前置きになりますけれ
ども、この前、
農林大臣の所信表明に対する
質問の際に私も申し上げたんですが、大きくはいまの
日本の
食糧自給の問題、これがまず根底になければならないと、こう思うわけなんです。たん白資源の問題というようなものについて
考えてみますと、まさに危機などというなまやさしいことばだけでもって済まされるかどうかというような、たいへん重大な段階に
わが国としては置かれているんじゃないか。
何か私
どもが聞き得るところによりますと、この夏には国連の海洋会議が行なわれる。その海洋会議におきましては、各国の領海の問題などを通じて
日本の漁業がこれは相当に制限を受ける。最も憂慮する場面を
考えてみると、沿海の漁業というのがほとんどこれはもう水揚げ高は半分に減っちまうんじゃないか、というようなことがいわれておりますし、二、三日前の新聞の紙上などで見ましても、対ソ連の漁業交渉などというのは、非常にこれは困難な
情勢にある。こういうような
状況の中で、国民の
食糧自給というものの
観点に立って
考えるときに、なおその中での、たん白資源の問題について
考えると、これはもう
畜産に負う以外には
日本としては行き方がないんだというところへきていると思うわけなんです。
そうだとすれば、
自殺者を出したり、それから、きょうたくさんお見えになっておりますけれ
どもも、まあ、悲鳴を上げさせるような、そんな
政策というものは、これはもう直ちにやめて、そうして
価格でも、
安定価格なんて名前だけ張っておりますが、実際に
日本畜産というものが
ほんとうに安定できるようなものを、ここでもって思い切って打ち出すということから始まらなければ、私は、ただ単に、きまった制度の上でもって、安定基準の
価格を幾らに
諮問するなどというようなことだけを事務的にやっていたんでは、とても私は、
日本の
畜産の問題なんというものは解決できないじゃないかというようなことを、しろうとなりにまず第一に感じているところなんです。
そこで、しろうとなりの
考え方でもって、問題は二つになるように思います。
一つは、いまちょっと前置きでも申し上げましたが、少しの
物価の動向などによりましても、直ちに不安、動揺しなければならないような、こういう
事態に対する
価格安定制度そのものに
基本的な問題が存在するのじゃないか、こういう点が一点。
それからもう一つは、まことに当面の問題として、今回
諮問をされたその
安定価格なるものが、はたして適当なものであるのかどうなのか。私は、まずこの問題をしぼりますと、二つになってくるのじゃないか、こんなふうに感じているところであります。
そこで、その第一の問題であるところの、現行の
価格の制度の問題ですけれ
ども、どうして長い間
生産者から要求のあります
生産費と所得をば保障していくという、こういう制度がとれないのかという点が、私は非常に疑問に思えてしかたがない。
農林大臣の所信表明の
質問の際に、その点をちょっと私も触れましたが、
日本は自由経済の国だから、したがって、それはきめつけてしまうというやり方はあまり妥当ではない、いまの制度のほうが、いわば妙味があって、
生産者の
立場からいたしましても、かえって望ましいのではないですか、というような意味のことを言われていたわけであります。しかし先ほど来のそれぞれの
質問者のお話の中にも出ておりますように、なるほど自由経済でもって妙味があるかもしれませんが、妙味のあるほうは相手側で、
生産者の側にはちっとも妙味がないわけであります。自分たちがつくったものを市場にまかして、その相手のきめる値段でもって買ってもらう以外に方法がない。工場、企業などのつくったものは、それはやっぱり
生産費に十分なマージンをちゃんと計算をして、そうして
価格をきめて売り出す、それは妙味があっていいでしょう。しかし肝心の
農業生産につきましては、少しも妙味などなくて、自由もなければ、自由経済というのは、それは企業や商社の側にあるかもしれぬけれ
ども、われわれ
農業者の側にある自由ではこれはないわけであって、その辺を私は
農林省あたりはもっと
ほんとうに真剣に取り組んでいただかなければ、とても
日本の
農業の問題、わけても目の前の危機といわれておる
畜産の問題などというのは、これは解決なんかとてもされるものじゃないじゃないか、というように思えてなりません。
そこで、さっきの
質問に返りますが、どうしてこの
生産費所得を完全に保障をして、安心できるような制度というものがとれないのか、その辺をひとつ。そこから
お尋ねを始めたいと思います。