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1974-02-26 第72回国会 参議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十六日(火曜日)    午前十時四十八分開会     —————————————    委員の異動  二月十八日     辞任         補欠選任      塚田 大願君     渡辺  武君  二月十九日     辞任         補欠選任      藤田 正明君     木島 義夫君      竹田 四郎君     小柳  勇君  二月二十日     辞任         補欠選任      木島 義夫君     藤田 正明君      嶋崎  均君     山本茂一郎君      小柳  勇君     竹田 四郎君  二月二十一日     辞任         補欠選任      河本嘉久蔵君     柴立 芳文君  二月二十二日     辞任         補欠選任      柴立 芳文君     河本嘉久蔵君      山本茂一郎君     嶋崎  均君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         土屋 義彦君     理 事                 河本嘉久蔵君                 藤田 正明君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君     委 員                 青木 一男君                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                茜ヶ久保重光君                 辻  一彦君                 戸田 菊雄君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房審        議官       岩瀬 義郎君        大蔵省主計局次        長        長岡  實君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        大蔵省主税局税        制第二課長    福田 幸弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○割増金付貯蓄に関する臨時措置法案内閣提  出、衆議院送付) ○印紙税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  河本嘉久蔵君及び藤田正明君が一時委員を異動したことに伴い、現在、理事が二名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事河本嘉久蔵君及び藤田正明君を指名いたします。     —————————————
  4. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、割増金付貯蓄に関する臨時措置法案及び印紙税法の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。福田大蔵大臣
  5. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま議題となりました割増金付貯蓄に関する臨時措置法案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  最近の経済情勢に即応し、国民の堅実な消費生活の実現をはかるためには、貯蓄の奨励をはかることが重要であります。  政府はすでに各般の貯蓄増強措置を講じてきたところでありますが、さらに、貯蓄手段多様化を通じて貯蓄増強に資するため、このたび臨時措置として、割増金付貯蓄取り扱いを認めることが適当であると考えます。  以下、この法律案内容につきまして、その大要を御説明表し上げます。  第一に、割増金がつけられる貯蓄といたしましては、預貯金金融債合同運用指定金銭信託及び生命保険等といたしております。  第二に、割増金付貯蓄取り扱いを行なうことができる金融機関といたしましては、預金を受け入れる金融機関、債券を発行する金融機関信託銀行及び生命保険会社等といたしております。  第三に、割増金付貯蓄の条件といたしましては、割増金付貯蓄につけられる割増金及び利子または配当合計額は、割増金をつけない場合の利子またば配当総額範囲内とするとともに、最高位割増金金額は、割増金付貯蓄一口の金額の一千倍以下とすることといたしております。  また、割増金をつける当せんの数は、総くじ数の三分の一以下とすることといたしております。  なお、このほか、割増金付貯蓄期間等の種類及び一口の金額その他の割増金付貯蓄取り扱いに関する具体的な細目は、大蔵省令で定めることにいたしております。  第四に、課税上の特例といたしまして、割増金につきましては、所得税を課さないことといたしております。  第五に、この法律規定に違反して取り扱いを行なった場合における両罰規定等罰則規定を定めることにいたしております。  第六に、この法律は、時限立法といたしまして、二年間に限り、効力を有することといたしております。  以上、割増金付貯蓄に関する臨時措置法案につきまして、その提案理由内容大要を申し述べました。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。     —————————————  次に、ただいま議題となりました印紙税法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、今次の税制改正の一環として、最近における経済取引推移等に顧み、印紙税負担適正化をはかるため、その税率及び免税点を引き上げるとともに、納税手続を合理化する等所要規定整備を行なうこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  まず、売上代金受取書について現行定額税率階級定額税率に改めるとともに、受取書免税点を三倍に引き上げることといたしております。  すなわち、現行受取書税率は、一律に二十円の定額税率とされておりますが、売上代金受取書については、受取金額が五十万円以下のものに対して五十円の税額から受取金額が一億円超のものに対して二万円の税額に至る階級定額税率に改めることにいたしております。また、これに伴い受取書免税点について、中小企業負担の軽減をはかるため、現行の一万円未満を三万円未満に引き上げることにいたしております。  次に、階級定額課税が行なわれている不動産譲渡契約書手形等について税率の見直しを行なうことにいたしております。  すなわち、不動産譲渡契約書手形等につきましては、現在すでに契約金額手形金額等の大小に応じた階級定額税率が適用されておりますが、不動産譲渡契約書等については契約金額が五百万円をこえるもの、手形につきましては手形金額が二千万円をこえるものの税率を引き上げる等所要改正を行なうことといたしております。  また、その他の文書で引き続き定額税率課税が行なわれる預貯金証書物品売買契約書等につきまして定額税率を引き上げることにいたしております。  以上のほか、課税文書の交付を受ける者がその作成者にかわって申告納付することができる課税文書範囲及び印紙税納付計器設置者がその計器により納付印を押すことができる課税文書範囲を拡大する等所要規定整備合理化を行なうことといたしております。  なお、この法律案は、本年四月一日から施行し、五月一日以後に作成される文書について適用することにいたしております。  以上、印紙税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由内容大要を申し上げました。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを希望いたします。
  6. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいまの二法案のうち、印紙税法の一部を改正する法案に対する質疑は、これを後日に ることとし、割増金蓄に関する臨時措置法案に対しこれより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まず、大臣質問してまいりますが、第一条の法律の「目的」を読みますと、「経済現状に即応する臨時措置として、」こういうことになっておりますね。この「経済現状に即応する臨時措置」、この状況をどういうふうに理解すればよいでしょうか。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまは、何と申しましても、物価の安定を早期に実現するということが刻下最大の任務である、かように考えておるのであります。そこで、物価安定をどうするかといいますれば、これば総需要抑制政策、これが主軸にならざるを得ない、総需要といいますれば、国民消費が五割を占める。また財政投資が二割占めます。あるいは産業需要が二割を占める。そういう構成になっておりますが、政府需要に対しましては、これは相当直接的な強い手が打てるわけであります。また、金融引き締めによりまして、産業需要に対する抑制もできる。ところが、国民需要に対しましては、いろいろ御意見があります。所得政策とかなんとか御議論がありますけれども、そういう法的手段でなくて、国民の自発的な生活態度の中から、その方向に御協力願えるような方法はないか、そういうことを模索してみますと、やっぱり貯蓄である。貯蓄手段のあれやこれやといろいろ考えておるわけでありますが、その貯蓄手段多様化というものを考えてみまするときに、たとえ少額であろうとも、それに寄与できるというような施策につきましては、これを実行してみたい。そういうふうに考えまして、割増金付定期預金もまたそういう考え方に立って考え得られる。かような結論のもとに御提案を申し上げた次第であります。
  9. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この制度は、よって来る関係法律というものは昭和二十三年制定、四十五年廃止、割増金附貯蓄の取扱に関する法律に基づき割増金付貯蓄、この制度をそのまま踏襲したと理解しているのですが、そういう理解でよろしゅうございますか。その辺はどうですか。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは戦後行ないましたものをそのまま踏襲ということではございませんが、あの当時の考え方、私は、経済事情背景から見ましても非常にいま近似しておる。あの当時は、たいへんなインフレ時代でありました。それがドッジ政策によってやっと終息した。こういうことであります。そういう事情と今日を比べてみると、似た面が非常に多いわけでございます。まあ着想といえば、今日の状態に似ておるあの当時の状態で、割増金付預金制度が採用された、しかも、その成果もあがっておるという、そういうところに着目もしておる、しかし内容は、かなり合理化されております。
  11. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま大臣がいみじくも御回答になったように、当時の経済背景と、いまの経済背景は非常に似ていると思うんです。インフレ論争は別にしまして、それは別にやる気がありませんけれども、結局通貨膨張物価高騰という、こういう現象がやはり二十三年当時といまもやや近似の状況にあるのじゃないか、そういう気がするのでありますが、そこで、そういう状況の中で、貯蓄増強方法としてばこれが最良の方法大臣考えですか。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 貯蓄増強は、私が、その手段多様化されておらなければならぬと、こういうことを申し上げておりますので、割増金付定期預金がただ一つ貯蓄増強策だ、そういうふうには考えておりません。これはいろんな方法があってしかるべきだ、こういうふうに考えておりまして、現に暮れなんかは六ヵ月の臨時定期預金なんかを創設いたしますとか、あるいはいま国会で御審議をお願いしておりますマル優の非課税限度額を引き上げますとか、そういういろいろの手段をとっておるわけであります。これは、これ一つがきめ手というふうには考えておりません。これもあまたある貯蓄手段の中の一つといたしまして効果をあげる、こういう性格のものである、かように御理解願います。
  13. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 同時に、当時の経済状況考えますと、いまもそうですが、何か人心としてば風潮がきわめてギャンブル風潮にいく、そういう性格を持っているんじゃないか、この点が第一、私心配なんですがね。たとえば、そこで具体的に数字的なものをお伺いしたいのですけれども、いま政府公認ギャンブルというと、一つ競馬がございますね。競輪、それから競艇、そのほか賭博開帳なんか、刑法でこれはやっているようですがね。政府公認なら大っぴらにそれはやっていけるわけですがね。この競馬売り上げ総額、それから利用者数、それから政府納付金、これどのくらいあるか、ちょっと数字的に教えてみてくれませんか。競馬競艇競輪、各ギャンブルごとのあれを教えていただきたいと思うのです。
  14. 長岡實

    政府委員長岡實君) ただいまおあげになりましたギャンブル関係のうち、国の予算関係がございますのが競馬だけでございますので、いま私の手元には競馬関係資料しか持ち合わせてございませんが、そのうち利用者数は、ちょっと持ち合わせがございません。  売り上げのほうでございますけれども、御承知のように競馬会納付金日本中央競馬会法によりまして、第一納付金、第二納付金と分かれておりまして、第一納付金売り上げの一〇%を国庫に納付するということになっております。最新の時点におきまして決算額が出ておりますのは、四十七年度の第一納付金が五百六十五億でございます。そういたしますと、四十七年度の馬券売り上げは、これが一割に相当するわけでございますので、五千六百五十億ということに相なろうと存じます。それから四十八年度は、第一納付金、まだ決算が済んでおりませんが、予定いたしましたのが五百五十億、これは逆算いたしますと、売り上げは五千五百億、ただし四十八年度は決算上これば相当伸びるものと思われます。それから四十九年度——ただいま御審議をわずらわしております四十九年度予算で歳入に予定しております第一納付金の額は七百二億でございますので、四十九年度の馬券の鉄り上げは大体七千二十億という程度を予定しておる、かように相なります。
  15. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 地方でやっております競輪オートレース競艇といったところにつきましては、十一月末までの実績しかわかっておりませんが、競輪から申し上げますと、競輪は、これは一部推定も入りますが、四十八年の十一月末で八千五百七十億の売り上げになっております。オートレースは千二百三十一億。それから競艇でございますが、これは必ずしも実績と申せないで、年度ベースの見込みでございますが、競艇八千八百六十六億、推定の入る数字でございますが、こういうふうになっております。大体伸び率にいたしまして競輪が二三%弱、オートレースが二〇%、競艇が三五%といった伸び率になっております。
  16. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いまの納付金は、予算収入の部面で、こればあとで詳しくやりますけれども、これは雑収入の中に入っておりますか、そう理解していいですか。
  17. 長岡實

    政府委員長岡實君) そのとおりでございます。
  18. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 雑収入を見ますと、四十八年の場合は、その他の収入になるわけですから六千四百五十八億、総額ございますね。四十九年は七千二百二十億、相当増額されておるわけですが、この増はどのくらいいっていますか。いまの四つ合わせまして、推定でいいんですけれども、四十八年から四十九年、どのくらいの増になっておりますか、総体
  19. 長岡實

    政府委員長岡實君) ただいまの御質問趣旨は、この雑収入の中で中央競馬会納付金の増をどの程度見込んでおるか、これは先ほど申し上げましたように、四十八年度雑収入総額六千四百五十八億の中には、五百五十億見込んでおります。それから四十九年度の雑収入総額七千二百二十億の中では、七百二億見込んでおるわけでございます。四十八年度が五百五十億、こまかく申しますと五百五十億九百万円、四十九年度が七百二億二千六百万円を見込んでおるわけでございます。
  20. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから——主税局長おられたと思ったのですが——競馬競輪、それから小型自動車モーターボート、こういった大衆ギャンブル課税総額、どのくらい実際徴収している内容、これはわかりますか。
  21. 福田幸弘

    説明員福田幸弘君) 御質問課税総額と申しましても、税額としてはいまございませんで……。
  22. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 具体的にいま読み上げた各ギャンブル課税人員課税所得入場税額、こういうことなんです。
  23. 福田幸弘

    説明員福田幸弘君) 課税と申しましても、現在ギャンブル税税制調査会議論対象になっておりますが、中央競馬会については、現在納付金がございます。それが一種の税かというふうに考えられますが、あと地方競馬のほうは、残った金が地方財政のほうに繰り入れられる。あと競艇、それから競輪自動車関係、これは納付金というものを関係団体のほうに入れておるということでございまして、課税額はございません。
  24. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、売り上げ総額、いま数字がない、こう言いますから、私の調べた調査を発表いたしますと、競馬の場合ば課税人員が三千百万人おるのですね。これは四十七年ですけれども、おそらく四十八年、九年はもっとふえておると思います。それから課税所得は二十九億六千万、それから入場税額が二億九千六百万。競輪が二千百万人、それから課税所得は十五億三千万、入場税額が一億五千三百万。小型自動車が五百万人、課税所得が四億四千万、入場税額が四千四百万。モーターボートが三百万人、課税所得が十億六千万、で一億六百万、こういうことになっておるのですね。合計で約入場税額が五億九千九百万、このくらい取っているわけですね。
  25. 長岡實

    政府委員長岡實君) ちょっと訂正いたします。  課税額ないと申しましたのは、入場税については入場者に対して課税いたします、九%。いま申されたその数字は大体正確と思います。手元数字ございませんが。
  26. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それで、これ三十円以下が免税ですから、三十円以上になりますね。それの一〇%入場税を取っているわけです。そうすると、私は、どうしても競馬に行っている三千百万人、この階層、人員内容をちょっと資料としていただきたいのですが、まだ届いていないものですから。おそらく私の推定では、これは非常に貧民層というか、下層の人たちがやっぱり一獲千金をねらって、そういうギャンブルに走る、こういうことになる。だから、大量の大衆が、いわば二重、三重税金を取られるというかっこうになっているわけですね。そういうことですから、これは非常にりっぱな法律の名称を使っておりますけれども、実際は宝くじですから、結局。こういったギャンブル射幸心をあおって、一獲千金をねらわして、大量に貯蓄増強に持っていこうとするのですから、こういうものが現状世の中最高のものだという——これは大臣も、最高のものとは言っておりませんけれども、しかし私は、貯蓄増強のそういうやっぱり可能性というものに非常に大衆は飛びつくと思う。だから、何か射幸心をことさらあおって、そして宝くじというものを成功さして、国民大衆が持っておるそういうものをふところからはき出させる、こういうことになるんじゃないかと思うんですね。だから二重、三重のいわば課税対象に持っていくというような、こういうものがはたしていまの現世で妥当かどうかということになると、たいへんな疑問を持っているわけですけれども、これは、大臣、その辺どう一体お考えになりますか。
  27. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 経済が正常化したというような際において、割増金というような考え方ば、これはまあいろいろ問題があるだろうと思うんです。ただ、今日におきましては、まあとにかく消費者物価が二〇%上がりました、卸が三〇%上がりをこえますというような状態におきまして、一体貯蓄をどういうふうに増強するか、これはもう非常にむずかしい問題です。そういう状態を、終戦直後のあの二十三年のころも考えて、まあ「割増金附貯蓄」ということになったんだろうと、こういうふうに思いますが、今日におきましても、やっぱり尋常ならざる世の中、そういう際に、尋常ならざる手段、こういうこともまあ考えなければならぬじゃないか。私は、でありまするから、この法律案時限にする。しかも、時限にはなっておりまするけれども、経済が鎮静化するという際には、二ヵ年の時限を待たずとも、実行を取りやめるというようなことも考えておりますが、とにかくこの非常な物価の値上がりだと、こういう際に、こういう体系の貯蓄手段もあるということは、私は、言い得るんではないか、さように考えております。
  28. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは税金のときにまた触れていきたいと思うんですけれども、結局、課税が一〇%、納付金が一〇%、総体で二〇%、こういうことになりますね。かつて大前田英五郎とか清水次郎長なんといったって、これはテラ銭五%、それがいま政府が二〇%取っているということは、対象国民大衆ですから、これはもう少し税制上も検討の余地があるんじゃないかということが一つ納付金体制についても検討する余地があるんじゃないか。  いま主計局次長が話をされましたけれども、少なくとも四十九年度で七百二億見込んでいるわけですから、この辺はもう少し、射幸心をあおるのじゃなくて、もっとリラックスした、楽しみとして、趣味として、そして競馬競輪競艇に休みに行けると。それが血眼が血ばしって、それでかけにいくので行くというようなことは、どうもかんばしくないのじゃないか、こういうように考えるのですけれども、この辺少し、大臣、検討する余地はございませんでしょうか。
  29. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ギャンブルの存廃問題につきましては、これはかねてから非常にいろいろ議論がありまして、だんだんと縮小されていくような傾向になってきておることは御承知のとおりであります。そこで、なぜ急にこれが廃止できないかといいますと、地方財政関係、こういう問題があったわけであります。しかし、今度の割増金はあの元金まで捨ててしまうあれとはだいぶ性格が違うのです。元金はちゃんと残るのです。しかも、ほとんどの場合におきまして、金利の何がしかも残るであろう。こういうようなことであり、それから、ただいま御説明申し上げましたようないろんな制約がつけてあるというようなことで、この程度のものがまあギャンブルと言えるかどうか、まあその辺はよほど慎重に配慮しておるつもりでございます。
  30. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういう心理、風潮というものをつくるかつくらないかというのは、何もその宝くじ一つだけできまるわけじゃございませんから、全体の全政策の中でそういうことになるでしょうから、そういう面では十分政府としても全般的な配慮をしつつ進めていっていただきたいと考えるのです。  そこで問題は、第二条でいう「金融機関」の各銀行、それから十幾つありますけれども、第二条でいうこの「金融機関」の一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、十二、十三と、こういうことで、各種金融機関全部入るのですけれども、これの割り当てといいますか、そういうコントロール、チェック、こういう点は大蔵省でもちろんやられるのでしょうが、どうしてもやはりいままでの状況、二十三年等のことを調べてみますと、大銀行にどうしても吸収をされる、こういう風潮があったように思うのですが、その辺はどういう配慮をなされておりましょうか。できれば各金融機関ごと割り当てを、こういう程度でこの程度というやつをわかっておればひとつ教えていただきたい。
  31. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 確かにいま御指摘のように、終戦後やっておりましたしばらくの間は、ある程度自由にやっておったわけでございますが、昭和三十年を越えましてから、ある程度の規制を加えるという進み方になっております。私どもは、これからはやはりあまりこれをもって過当競争というようなことのないように、全体としてある程度静ひつな秩序が保たれるように注意してまいりたいと考えております。  そういうことからいたしまして、それぞれの種類の金融機関の募集額につきましても、できるだけ内面的に指導していきたいと考えておりますが、現在のところ、都市銀行でございますと大体五千億ぐらいを一年間に出す、それから地方銀行が三千億、相互銀行が一千億から一千五百億、信用金庫がやはり同様でございまして、それから農協が千五百億、こういう計画を持っているようでございます。これらを見ますると、大体現在のいわば金融機関の秩序としてむしろ適当ではなかろうか、むしろ比率がとれておるのではなかろうかと、かように考えております。
  32. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そこで心配されるのは、衆議院でも附帯決議をされましたように、この使途が、どういう方向に使われるということが問題になっているのですね。単に各種金融機関にそれぞれ金額割り当てて、それで販売をさせていく。それで、銀行がかってに預金体制になった金を、また普通の貸し出しということでやっていく、こういうことになったのでは意味をなさないと思うのでありますが、そういい意味においては、やはり国民の生活関連に関係する融資体制というか、たとえば物価抑制のために使う、そういう使用別といいますか、こういう方向というものはあらかじめ考えられておられるわけですか、それはどうですか。
  33. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 御承知のように、現在日本銀行の窓口規制あるいは準備率制度等を中心といたしまして、その資金の運用面につきましては、むしろ総体的な観点から規制をいたしております。この場合、たとえば都市銀行地方銀行の五千億あるいは三千億合わせまして八千億という資金につきましては、日本銀行の窓口指導の中で、その貸し出しの規制が行なわれておるわけでございます。その他の中小金融機関につきましては、それぞれ中小企業に向けるようにという指導をやっております。この割増金付貯蓄をもって集めました総量につきましても、すべてその規制の中で考えていきたい、かように考えております。むしろ資金の運用面については、国民経済総体的な観点からこれを規制していくほうが適当であろう、かように考えておるわけでございます。
  34. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 何か国民の生活に関連した一つか二つにしぼるというようなことはできませんか。たとえば住宅ローンに回すとか、あるいはいま経済的弱者といわれる身体障害者とか、そういう方面にこの融資体制を向けるとか、そういう方向は考えられないわけですか、具体的に。
  35. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 確かに一つの発想であろうかと存じますが、たとえば割増金付貯蓄が資金の純増部分としてどのくらいになるかということも非常にむずかしいわけでございます。また現実の金融機関の業務の運営を見てまいりますと、なかなかそういう資金割り当て的なやり方ということは、非常に今日の状況ではむずかしい、むしろそれなりの問題なり、あるいは弊害が伴う、かように考えております。むしろ金融政策の問題といたしまして、資金の選別融資というような考え方の中で、そういい配慮をいたしていくべきではなかろうか、かように考えております。
  36. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この第四条の二項ですけれども、結局これによると一千万ということになるわけですね。この金額はもう少し上げるわけにいかぬでしょうかね。三千万見当という、そういうこと。それから、この当たりくじが三分の一ですね。これでいきますと。少し少な過ぎるような気がするんですけれども、その辺はどうですか。
  37. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 確かに割増金最高限度を一千倍に押えるのが適当であるかどうかということは、私どももそれなりにいろいろ研究をいたしました。まあアンケートというようなこともございますし、私どもそれなりにいろんな各方面の御意見を伺ってまいったところでございます。同じ当たるのであればもっと夢のある金額をつくって、それで住宅などがつくられるというような希望を持つほうがいいんではなかろかという御意見もございましたし、またある面では、あまりにもそれではごく少数の人しか恵まれないことになって、いわばこういう貯蓄というものを利用する者にしてはいかがであろうかと、こういうところで、私どもはまず前回、戦後行なわれておりましたのが千円につきまして五十万というのが最高でございました。いわば五百倍といったところでございましたが、今回のところは一千万ぐらいがまあ常識的なところではなかろうか、かように考えて御提案しておるわけでございます。  また、当たりくじを制限をしておるのはいかがなものであろうかということについても、ごもっともでございますが、一つは、この当たりくじを非常に幅広くやりますと、これはどうしてもいわば利息に近くなってまいるわけでございます。したがいまして、それがあまりに乱に流れますと、これはむしろ特利と、金融機関が特別の金利を、むしろかなりの部分に、高い部分をつけていくというようなことになっては、金利体系上もいかがと、かような考え方から、まあ下のほうにつきましては、従前の例にならったわけでございます。
  38. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これば大蔵省からいただいた資料ですけれども、各国の割増金制度についてこの資料で、イギリスとフランスがやっておるようですね。その内容をずっと見てまいりますると、イギリスの場合は、これは最高一千六百万円でしたね、そういうふうになっているんです。それからフランスの場合は三千万ですか、ですから、大体先進諸国といわれる、ことに日本の場合はGNP第二といわれるのですから、相当進んだ経済体制にあるわけですね、そうしてなおかついま世界的なインフレ状況になっているわけですけれども、日本の場合には最もひどいといわれているんですね。そういう状況の中で一千万ですからね。イギリス、フランス等と比較いたしますると、賞金額がだいぶ少ないということになるのじゃないだろうか。これは私の考えですけれども、せめて三千万見当にいっても、いまの日本経済その他からいけば、当然な措置ではないだろうかというふうに考えるのですけれども、この辺諸外国との比較でどういうふうに判断されているか。
  39. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 確かにいま御指摘のように、諸外国におきましてはそれぞれ債券を利用して三千万といったような賞金をつけておるようでございます。一つには、イギリスでございますと、富くじといったようなものが一方では普及されておる。その金額というものは、かなり高い最高賞金であるというようなところからのバランスが行なわれたのではなかろうか、かように推測しておるわけでございます。わが国におきましても、確かに御指摘のように三千万なり五千万といった希望を現実に持っておられる預金者の方もあるようでございますが、先ほども申しましたように、何と申しましても、宝くじの一千万円というのが、いわば国民の感情的に一つのめどになるのではなかろうか、かように考えて、一千万として御審議をお願いしておるわけでございます。まあイギリス、フランスの場合には、一種のやっぱり一つのめどが、別に富くじ形式といったところにあるのではなかろうか、かように私は、これは推測でございますが、考えておる次第でございます。
  40. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからもう一つは、金利問題ですけれども、これは普通預金金利並み、こういうことになっております。確かに諸外国と比較をいたしますと、この点については若干高額になっています。しかし、二年間据え置きですからね、そうしますと、かりに四十九年度の経済見通し、物価上昇が九・六%とかりに押えられるということになっても、二年間で四十九年度から五十年度までいけば、一九・二%ということになりますね。元本は返るといっても約二〇%近いものが元本で目減り現象、そういうものを生ずるということになります。金利だって、物価がそういうふうに上がれば、普通預金金利が上がっていけば、自動的にこっちも上がることになりますけれども、そういう二重の損失を見るという結果になりはしないだろうか。ですから、この辺に対する配慮というものがあっていいではないか。元本が実際返るときには、八〇%ぐらいしか返らないということになったのでは、せっかくの貯蓄増強という名目からいっても、あまりかんばしい制度ではない。その辺はどうでしょうか。
  41. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 確かに長い間これをやっておりますと、三%の普通預金金利というのでは、非常に気の毒ではないかということはごもっともであろうと思います。そういう意味からいたしましても、私ども指導いたします場合には、できるだけ短かい、まあ六ヵ月定期といったものにこれをつけていくのがいいんではなかろうか。二年定期といったものにこれをつけるということはいかがなものかと考えております。そういう意味からいたしますと、六ヵ月あるいは長くて一年という定期預金にこれを利用さすことにいたしたい、かように考えております。
  42. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間ありませんから、多田先生から……。
  43. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、一月にも、この法案が出る前に、大蔵大臣にこの問題で御質問したのです。まあ私は、オーソドックスに、預貯金利率を引き上げることによって、貯金を増加させるべきではないか、こういう制度射幸心もあおるし、実際は預貯金利率はそのままでございますから、ちょっとしたごまかしのようなもので貯金をあおるような結果になるじゃないかということを申し上げました。また、去年のボーナス期においても、社内預金なんかは利率が高いために非常に集まった。あるいはこの前も、半年もので七・二五%と一%アップした金利で二兆円も集まった、こういう状況から見て、オーソドックスにやったほうがいいんじゃないかと申し上げたわけですが、こういう法案が出たわけです。それで衆議院でもいろいろ論議されたのでございますが、この貯蓄の名目は割増貯蓄でありますけれども、貯蓄者の九八%の人々には割増がつかない、わずか二%内外の人にのみ賞金が当たるという制度貯蓄であれば、これは非常に羊頭狗肉であって、大多数の九八%の貯蓄者がむしろ割り引かれる姿になります。これば完全な割引貯蓄であるということで、衆議院でも名称も変えるべきだというような意見もあったわけでございますけれども、大臣はこの点どうお考えになっておられますか。  それからもう一点、割増金最高額が、たとえ一千万円といたしましても、賞金の当たる確率ば、最低の千円まで含めたとして、本物の宝くじより当選率は非常に悪いわけです。しかも、大多数の人々が、最低保証の年三%の利子に甘んじなければならない。また預金利子の目減り率の拡大にこそなれ、インフレ防衛という面から非常にほど遠い。今日の物価狂乱のインフレの状態で、将来の生活が不安なときに、貯蓄がほんとうに必要だと国民は悩んでおりますけれども、このような目減りをさらに増幅するような金利では好ましくないと思います。ですから、政府は、西ドイツやその他の諸外国の例もあるようでございますから、もっと高金利の預貯金者保護を考えるような、そういう提案をなされたらいかがかと、このように思いますが、いかがでございますか。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま消費者物価がたいへん上がっている際に、預金者の立場を考えますとき、できる限りこれを優遇したいと、こういう考え方にもなるわけでありまして、それが正統的な行き方であろうと思います。そういう立場から、まあ去年一年間でも、二%の金利の引き上げを行なう、こういうふうにいたしたわけですが、これをまたあまりに上げますと、一般金利水準を引き上げるということになり、それがまたインフレ対策として一体いかがであろうかと、こういう問題もありまして、それにはおのずから限度がある。  それからもう一つは、預金金利を引き上げた場合の財源を一体どうするかと、こういう問題もあるわけなんです。金融機関にその財源を持たせるという際に、それが一体どうなんだろうか、結局金融機関は貸し出しにしわ寄せをしていくということになる。それからまた、それじゃ国が持ったらどうだ、こういう説をなす人もありますが、これはたいへんな金になるわけであります。それを国がどうやって調達するか、いまの状態では、赤字公債にこれを待つほかはない、こういうことで、これもまたインフレ対策として一体どうであろうかと、こういう問題もありまして、なかなか一般的に金利体系、底上げするということはそう簡単な問題じゃないんです。ただそういう間におきましても、何かそういう金利体系全体にかかわることなく、貯蓄に魅力を持たせるということは考えなきゃならぬ。そういうようなことで、割増金付定期預金ということもその一つとして考えられたわけでありますが、そういうことにつきましては、この上とも何か考えられないかというようなことで思いをめぐらしていると、こういうことでございます。
  45. 多田省吾

    ○多田省吾君 いまわが国の場合は、消費者物価がもう年間二〇・五%、卸売り物価も三六・七%ですか、こういう上昇、世界一の上昇でございますが、現在の最高金利が二年定期で年七・五%という状況では、これはもうまさに政治の貧困でございます。欧米諸国は、わが国よりもそういう卸売り物価消費者物価も低いのでありますけれども、西ドイツのように消費者物価の二倍の金利を払えるような金融構造、こういう大手術は困難としても、預金の目減りを少しでもカバーする、こういう預金金利の手直しは、私は、政府がその気になればできるのだと思うのです。西ドイツの例を見ますと、預金金利を最高のもので三カ月定期で年一四・四%、このほか貯蓄国債も発行しておる。そして個人に有利な貯蓄手段を提供しておる。その一つのあれは年一〇%の二けたの金利がございます。アメリカでも預金金利の最高は一〇%、イギリスでは三ヵ月定期もので年一六%のものがある。わが国の三ヵ月定期預金が、わずか五・二五%の金利と比べれば、もう三倍以上の超高金利になっているわけです。ですから、このように欧米主要国内の金融政策上の特徴というものは、金利面でも優遇すると同時に、財政面からも各種の優遇措置がとられている。で、私は、こういう状況にあって、いろいろ新聞紙上等には、三ヵ月一〇%以上の定期預金をつくったらどうかというような話も載っておりますけれども、こういった諸外国に見られるような、定期預金をお考えになる気持ちはございませんか。
  46. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ何とか金利体系も、そう経済界に支障のないという限度におきましていろいろ考えてきておるわけなんです。それが今日の体系になっておるわけですが、いま欧米諸国のお話がありますが、欧米諸国は日本とだいぶ行き方が違うのです。わが日本におきましては、小口預金を優遇すると、こういう方針になっており、また金利体系もそういうふうになっておりますが、欧米のほうでは逆に、大口預金につきましてこれを優遇する。いま西ドイツのお話がありましたが、西ドイツでは、大口定期につきましては一一・七五%の金利がついておる。ところが、貯蓄預金につきましては七%であるとか、アメリカは個人貯蓄預金が五%、イギリスは六・五%、フランスは四・五%、こういうふうになっておりまして、わが国が小口、大口を区別せず、二年定期につきましては七・五%と、こういうふうになっており、しかも小口につきましては、マル優の制度が取り入れられるとか、あるいは財形貯蓄、そういうような制度が取り入れられるとか、いろいろ配慮をしておるので、決してわが日本が、金利の面で小口の預金者階層というものに対して低い扱いをしているというものじゃない、むしろ逆の考え方をとっておるのだ、かように御理解願います。
  47. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、やはり致命的な欠陥は、わが国のように世界最高物価の値上がりに対しまして、あまりにも金利が一般的に少ない、低いということでございます。で、この制度が、私は、政府主導の一種のギャンブルであることは疑いもないものであると思うのです。それで銀行局長も、衆議院の答弁の一端でこういうことをおっしゃっている。「現在、たとえば宝くじが行列をしても売り切れてしまう、あるいは非常に馬券がよく売れておるというような状況にかんがみまして、せめてもそれが貯蓄という形に資金が吸収される何ほどかの効果があるのではないか、」このように国民大衆の手持ち資金を幾分でもこういったギャンブルで吸収したいという一念、これは確かにもう根底にあるわけでございます。その気持ちの一端は理解できるとしましても、この制度はまさにはっきりと政府奨励のギャンブルでありますから、これはますます政府がこれからギャンブル奨励、ギャンブルを正当化しようという、こういう方向に進むのかどうか、根本的な問題ですが。
  48. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 社会的問題として考える場合に、これはギャンブルを奨励するというような考え方はとるべきじゃない、かように考えますが、いま、何といたしましても、物価の安定、抑制、これが最大の政治問題になっておる。その面から見まして、何がしかの力のあるものでありましても、これは臨時非常の手段として採用すべきである、こういうふうに考えましたのが、この割増金付定期預金であります。しかもこれを採用するにあたりましても、これがギャンブル問題とそう矛盾しないようにというので、あるいは一千万円という限度を設けますとか、いろいろこまかい配慮をいたしており、ことにこれを二年という時限にする、また私は、二年という時限で御承認を願いましても、その必要がなくなった、物価が落ちついたということになりますれば、あえてこの制度を続ける必要はなかろうと、かように考えております。
  49. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に御質問をしたいのは、最近の銀行の貸し出しの件でございます。最近のきびしい金融の引き締めのワクの中で、中小企業、零細企業は、非常に銀行から金が借りられないということで資金繰りに苦しみ、高利貸しにまで走っております。その中で、国民預金を預かって、それを大企業、大商社等の系列企業に大口集中融資をしている、こういう企業と銀行の癒着、これが最近衆議院の予算委員会等においても、日の目を当てられてきておりますけれども、これら商社の、品不足をみずから人為的につくって、価格を自由に操作するというような不当、反社会的行為あるいは買い占め、売り惜しみ、さらにドル買い投機というような悪徳行為が非常に目立っている、しかも、その根源は何かと言えば、それらの行為に資金を供給しているところの金融機関、これがその元凶であると思います。これが非常に問題だと思うんです。まあ、本来自由主義経済下の体制下にあっては、自己資金で自己を防衛するという手段がとられたとしてもある程度はやむを得ない、しかし、銀行は、自己資金ではございませんで、大半は国民の資金であり、しかも、六大商社、十大商社といわれる総合商社は、自己資金が運用資金の三%から四%にすぎない、九六%から七%は金融機関からの借り受けで運用されている事実がございます。したがって、こういう商社のドル投機あるいは独占的価格操作の仕掛け人の主犯は、これらの金融機関であると、このように断定されても弁解の余地はないと思います。これを暗黙に容認してきた政府の施策にも重大な責任があると思いますけれども、大蔵大臣はその点はどう考えますか。
  50. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今日非常に経済情勢がむずかしくなり、かつ、特に物価問題は、非常に深刻な状態になっておるわけでございますから、これはやはり多田さん御指摘のように、いままで非常に高い成長というもの、これがその根源にあるということは、私はそのとおりだと思います。ただ、そういう関係でありまして、成長が非常に速い、そういう関係で、企業のほうは、自己資本を充実するいとまもない。そこで金融に依存をするということになり、年々というくらい自己資本比率が低下して今日に至っておるというふうに思うのであります。この混乱を、しかし、どうやって切り抜けるかというのが当面焦眉の問題でありますが、この混乱を鎮静した後における経済のあり方ということにつきましては、もういままでの行き方というものにつきましては、これはもうほんとうに根本的に反省が必要であるだろう。そうして、企業においても、家庭においても、これはもう蓄積というものが非常に大きな問題になってくるのじゃないか、そういうふうに思います。とにかくいまこの時点は、そういう基本的な問題をほぐしていくという余裕がないのです。もうとにかくいまはインフレの火の手を消さなければならぬ、これが当面の最大焦眉の問題になっておるというふうに考えます。しかし、そういう間におきましても、金融政策のあり方というものは、非常に責任が重大でありまするので、いま大蔵省は総力をあげまして、この資金の流れの適正化ということに、量的にかつ質的に、そういう両面から取り組んでおる、そういう現況でございます。
  51. 多田省吾

    ○多田省吾君 具体的に最後にひとつお尋ねしますけれども、銀行の大口融資に対する規制問題は、衆、参の大蔵委員会で何んべんも指摘されたことでございますけれども、特に、現在の旧財閥糸銀行については、その系列会社に資金を資金を流す機関になり下がって、銀行はたくさんの人員をその系列会社に送り込んで、大銀行の産業支配というものが歴然としておりますけれども、大蔵省としてこのような系列企業への大口融資規制をどのように検討されているのか。  銀行の自己資本の二〇%以下に押える案も考えているようでありますけれども、その根拠ば何か。  またアメリカのように各種銀行において、銀行はその取引先について資本金の一〇%をこえてはならないというような規定になっておりますけれども、このようなアメリカ並みの規制ができないものかどうか。この三点をお伺いします。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いまの金融機関と企業とのあり方の根本的問題これは確かにこれから検討を要する問題だと、こういうふうに考えております。  そこで、企業、まあ特に商社のあり方いかんということにつきましては、すでに公正取引委員会のほうからも一つのヒントが出ておるわけです。そういう情勢下において、企業のあり方という問題は、今後の大きな検討課題であろう、こういうふうに思いますが、その間において金融との結びつきをどういうふうにするか、こういうことも重大な一つの検討対象になるべきだ、こういうふうに考えております。ただ、しかし、そういうことを言いましても、これは時間がかなりかかりますので、当面大蔵省といたしましては、これは金融の面からだけでも、そういう考え方を早急に進めていきたい、こういうふうにいま考えておりまして、融資が、ある一企業に片寄らないというためにどうすべきかということにつきまして、いまいろいろと検討をいたしておる。で、検討がまとまりますれば、そういう指示をいたしますとか、そういうステップをとりたい、かようにいま考えておるわけです。  そこで、その具体的な問題といたしましては、これは各国でもどんなことをやっているかということを調べておるわけでございますが、まあ銀行の資本、金融機関の資本、それを一つの基準とするところが多いようです。そしてその二〇%をこえてはなりませんとか、アメリカの州法なんかで一〇%をこえてはならぬとか、いろいろそういうことが行なわれているということが明白になってきているわけです。わが日本におきましても、そんなようなことも大いに参考にしていい。まだ具体的な考え方はまとまりませんが、まとまりましたならば、これを何らかの形において、これは実施段階に移さなければならぬ、またそれを急ぎたい、かように考えております。
  53. 多田省吾

    ○多田省吾君 じゃ銀行の自己資本の二〇%以下に押える案なんというのも、一つの案として具体的に考えておられるわけですか。
  54. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 確かに、現在相互銀行法及び信用金庫法におきまして二割という基準がございます。そういう意味におきましては、二割というのは検討の一つにはなり得ようかと、かように考えております。
  55. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 与えられた時間が一時間ですから、おおむね前の時間で消費しましたから、ひとつ資料をお願いしておきたいんですけれども、それは、先ほど私が調査した内容を発表しまして、大体間違いないということでございましたが、競馬競輪小型自動車、それからモーターボート、そういったものの課税人員課税所得入場税がある。これは四十七年度しかないんで、八年度、九年度は見積もりになりますが、それでけっこうですから、一応資料として出していただきたい。これが一つです。  それから、この事後の取り扱いですけれども、法律でまいりますと、公布の日から発効ということになりますから、おおむね四月一日だろうと想定できるんですが、第一回の告示はおおむねどの辺に置きましょうか。
  56. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) これが成立をいたしました際には、できるだけ早く出したいと思います。と申しますのは、それに従って各金融機関が準備をいたしますわけでございます。現在のところ、もうこれの公布と同時ぐらいに省令というものを出したいと、かように準備いたしております。
  57. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 販売時の扱い、これは銀行窓口だけで取り扱うのか、それとも委託販売ですね、たとえば農村地帯のところの店と——この還元は考えていかなくちゃいけないと思うんですが、そういう、何といいますか、手数料といいますか、それはどういうことになるんでしょうね。大体全体としてどのくらい考えられて、どのくらいの予算で、どのくらいの謝礼か手数料かなんなわかりませんけれども、おおむねそういう還元措置考えられるのが通常だろうと思うんですが、その規模なり内容ですね。
  58. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) この割増金付定期貯蓄につきましては、いわゆる定期預金その他の預貯金一つといたしまして、その多様化ということで考えておるわけでございまして、これがあまりにも宣伝されるということは、当委員会における審議、あるいは衆議院におきます審議等を通じましても、いささかやはり消極的に考えるべきじゃなかろうか。むしろ、積極的にこれを売り込むということではなくて、こういう形態の貯蓄を希望する預金者の方があれば、その希望に応ずるという形で、むしろ店頭でおいてのみ、いわゆる銀行の支店においてのみ、あるいは農協なら農協の支店においてのみこれを扱わせると、かようにいたしたいと考えております。したがいまして、銀行の要する経費といたしましては、たとえば抽せん会場における経費でありますとか、その他の物件費といった程度のものでございまして、委託ということにつきましては、これを考えてはいないわけでございます。
  59. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、そういう行為があった場合は、この法律でいう罰則行為に該当するということになりますか。
  60. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) この法律の中で、この割増金付定期貯蓄を取り扱うことができるものといたしまして、金融機関のみと限定いたしておりますので、確かにこの罰則という問題は起こってくると思います。第三条に、「金融機関は、割増金付定期貯蓄の取扱いを行うことができる。」というのが刑法の規定を排除しておる規定でございまして、これ以外につきましては、むしろ刑法の富籤罪の規定が適用される、かように考えております。
  61. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 最後にですけれども、大臣に。  二十三年七月制定のこの種法律は四十五年まで継続した。今回の扱いは二年のまさに短期間の暫定措置なんですけれども、これは何か過去の反省から、制度上やはりそう長くやるべきじゃないと、こういう御判断でしょうか。その辺はどういう御判断をしておりますか。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 過去のと申しますが、終戦直後、二十三年からやりました「割増金付貯蓄」これは三十九年に終わっておるのです。しかし、だんだんと先細りになってきております。いまや経済の正常化ということと並行しておるような感じであります。  とにかく、御指摘が重々ありましたように、割増金付定期預金、いま御提案をしておるこの制度といえども、これの運用を誤まりますと、ギャンブル問題、そういう問題にからまりを持ってくると、こういうふうに思うわけであります。したがいまして、この制度には厳重な規制を加えたい。こういうようなことで、内容につきましても、御承知のようないろいろな制約ば加えた。これは二十三年当時と相当変わっておる点が多いのです。  それから同時に、これば臨時非常の措置でありますので、これを前回のように長くほおっておくということば妥当でない。これは物価が落ちつく、という段階においてば廃止すべきである、こういうふうに考えておるわけですが、一応二年というふうにいたしておきまして、物価が安定し、もう貯蓄についてこういう臨時特例的な措置考える必要がないと、こういう段階になりますれば、これを廃止したいと、こういうふうに考えております。
  63. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 資料なんですが、こういう資料が出せるかどうかということなんです。金融制度調査会なりで、貸し出し金利についていろいろな点で議論されるのは、いろいろこまかい数字をもとにして議論しておいでになっております。大臣等の答弁を聞いておりましても、預金金利を上げたら、即それが貸し出し金利に影響してはね返ってくる、こういうことはおもわしくない、なかなか容易じゃないという、そのことも大づかみにはわからぬわけじゃございません。しかし、一体、預金のほうは、幾らの金利のものを幾ら集めたかということば大体わかるのです。ところが貸し出す場合には、大きな、たとえば自分の系列会社と今日いわれておる傍系の自分の会社には、銀行が大口に安く貸し付けておるという疑いがある。ほんとうかどうかということは、常識的にはそうだろうと思う。ですから、これだけの金利のものを、これだけ貸し出した。貸し出し金利のこれだけのものを、これだけ貸し出した、これはこうなんだという、貸し出し金利別に、たとえば都市銀行なら都市銀行の総トータルというものが出てこないだろうか。ですから、そういうものがなければ、私は、実際ば議論できぬだろうと思う。  それからもう一つは、銀行というものは、私たちは非常にもうけておると思う。ところが、普通の損益計算書を見ますと、銀行はもうけたときに、新しい支店を、店舗を拡充するときに、いい土地を高く買っていて、そちらのほうに金が回っていけば、利潤というものが消されてくるということもございましょう。  それから、一体、試算書のときに、土地が十倍にも、ひどいときになれば、百倍にも値が上がっておるものが、取得原価になり、そういうもので計上されておれば、さっぱり含み資産との関係で、銀行がもうかっていないというような、そういうかっこうにもなってくると思う。ですから、もう少し銀行の実態というものが、少なくとも日銀の政策委員会なり、あるいは金融制度調査会で議論されるときに、そんなことばわかりきっておって、委員人たちにはあまり資料を出さないかもしれませんけれども、少なくとも私は、大蔵委員会に、もう少しそういうような資料というものが提出されてもいいような気がするわけなんです。ですから、そういうような、銀行はもうかっておる。預金金利を上げても、貸し出し金利というものは、私は、上げなくても済むんじゃないかという、そういう感じがするのですよ。その感じが当たるなんということになれば——それでもけっこうでございますから、そういうような資料というものを出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  64. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 全国銀行につきましては、いまおそらく成瀬先生の御要求に答えられるのではないかと思いますが、何%から何%までの貸し出しが残高として幾らあるという、金利別に十五、六段階まで分かれた残高の資料はお出しできると思います。これはあれでございますが、相互銀行、信用金庫につきましては、若干調べてみないと、そういう統計が最近の時点で得られるかどうか、この辺のところはいましばらく御猶予いただきたいと思いますが、全国銀行につきましては、そういう資料を提出いたします。
  65. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それと同時に、大口に一行が何十億と貸しておるところがあると思うのです。それはまあ商社が多いだろうと思いますが、そういうところのある都市銀行が、ここにこれだけこの金で貸しておるという、あるサンプル的なものでいいと思うのですね。いま商社でいろいろなのがあがっておりますね、悪徳商社と名のついておる。しかもいろいろな意味で指摘されておるのがあるわけです。ですから、そういう特定な都市銀行の二つか三つのうちですね、大口でこれだけ貸しておるというような融資先の目ぼしいものまでやると、おそらくそれは銀行の秘密になってわからぬということになりましょうか、それともそういう資料まで御提出いただけるでしょうか。
  66. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) できるだけ御審議に便利なように調製いたしたいと思います。ただ、何々の何々会社という名前にするのがいいのか、符号にするのがいいかというような問題もあろうかと思いますが、ひとつその辺のところは御相談さしていただきたいと思います。ただ、公開ということになりますと、多少問題もございますので、できるだけ御審議に便利なような調製をいたしたいと思います。後ほどまた御指示を仰ぎながら御相談さしていただいたらいかがかと思っております。
  67. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いまの問題に関連して、私、できれば、ことに事業所の千二百数社ぐらい。百億円以上の資本金。それと三億以下。これは相当膨大になるから、なかなかたいへんだろうと思いますが、その辺をことに重点に融資態様をひとつあらわせるんならぜひお願いをいたしたい。  それから、かつての衆議院予算委員会の段階で、各大手商社といわれる三十幾つかのあれが呼ばれておるわけです。その辺ひとつ焦点にそれからの問題ができないかどうかということですね、これはもしできればひとつ銀行局長、研究してもらって、いまの資料に合わせてお願いできないかどうかですね。
  68. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) できるだけひとつ研究してみたいと思います。
  69. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 二十八日にも大臣が出られるかどうか、まあ採決があるんですから御出席あると思いますが、いまお聞きしますと、約八千億くらいの預金を集めたいというわけですか、この割増でどのくらいの預金獲得を。それから農協まで等々ありますが、いろいろなことがあると思いますから、生命保険のほうまでひとつひっくるめて、どのくらいの一体預金を集めようと、計画を立てたものがあると思いますが、それがもうあなたのところに集計が出きているなら聞かしてください。
  70. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 現在までのところ、私どものほうに計画として内々相談に来ておりますものを集計いたしますと、大体一兆二千億をちょっとこえる形になっております。これでほとんどの金融機関は網羅されているわけでございますが、ただ、郵政省の郵便局がどの程度であるかということがまだ未定でございます。  それから、まあおそらくこれは金額的にはたいしたことにはならないと思いますが、保険と信託銀行関係がまだ私どものほうには参っておりませんが、あと金融機関は大体参っております。先ほど申しましたように、都市銀行が五千億、地方銀行が三千億、それから相互銀行、信用金庫がそれぞれ千億ないし千五百億というところでございまして、農協が千五百億、こういうことでございます。なお、この際申し上げますと、都市銀行以外ば全部共同でそれぞれの金融機関の種類で共同でやるということでございます。
  71. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大体、過剰流動性と言っちゃおかしいわけですが、どのくらいの預金というものが集まってくれば、いわゆる一億総投資家になっているということもあるわけですが、それがどこら辺までくらい吸収されてきたらいいものなのか。一体どのくらいだぶついているというふうに見ておみえになるのか。そうしてそれがその目標数に近いのかどうか。このことによって実ばいまの過熱しているものがおさまると期待しておられるのかどうか。およそどのくらいの数字というものを想定しておみえになるのか。
  72. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) いわゆる過剰流動性という問題と、経済の跛行的現象という二つの問題があるかと思います。確かに過剰流動性といわれておりました現象を、わかりやすく私なりに解釈いたしますと、経済の実体以上に通貨が供給されているその通貨の供給というのは、金融機関の貸し出しを中心として行なわれたという意味におきましては、四十六年から四十七年のあたりに、相当膨大な貸し出しが行なわれました。これがいわゆる世の中でいわれております数兆、おそらく七、八兆、人によっては四、五兆というような金額のものが、いわゆる貸し出し残高としてあったかと思います。これが、その経済がやはりいわば年を追って名目GNPが拡大してまいりますと、その貸し出し残高のままでございますと、おのずから流動性というものは吸収されるかっこうになってしまうわけでございます。経済の回転に必要な通貨総量というものの中に、経済が大きくなることによって吸収されてしまうという状況できているのが今日の姿ではなかろうか。  そこで、今日の姿として、全体として見ますと、私どもはこれをマネーサプライ、あるいは企業の手元流動性ということで見ますと、四十六、七年くらいに、いわゆる流動性過剰といわれている現象というものは、今日のところはむしろ解消している。いわば、その以前の水準、流動性の状況にいたしましても、そういう状況になっているということが数字としていえるのではなかろうか、かように思います。  ただ何と申しましても一度出た通貨総量というものが、いろんな経済各層の中にかけめぐっている間に、資金が余剰であると考えるよりは、むしろ資金繰りが楽であるか、楽でないかという、その相対的な差が非常に今日出てきている。これがいわゆる金融の引き締めの跛行的現象ということではなかろうか、かように考えております。むしろそれがいろいろ今度は個別の問題として物価問題にいろんなよくない影響を与えている、こういうふうに考えているわけでございまして、総量の通貨の供給といいますか、銀行の信用供与の姿といたしましては、今日の窓口規制なり、引き締め政策を続けてまいりますと、経済ばそれなりに拡大してまいります。それに応じてだんだん苦しくなっていくという形で、現在の規制ワクを維持しておるということでございます。  で、今日そういうことになりますと、金融機関によっては非常に金繰りが苦しくなる。あるいは企業もそうでございますが、金繰りが苦しくなるという形でございまして、こういう形で資金が吸収されることが、あるいは都市銀行などの場合でございますと、日本銀行に対する借り入れを返済していく方向にも向かいます。相互銀行、信用金庫でございますと、中小企業の必要なところに資金を供与できるという形になるのではなかろうか、かように考えております。  で、全体としてどのぐらい吸い上げればいいかということにつきまして、私どもは、今日のところいわゆる過剰流動性として、相対的には流動性はこれからはむしろ少ないほうへ、過少とは申しませんが、過剰ではない状況に今日さし来たっておる、むしろこれから月を追ってより苦しい状況が金融面では起こってくるんではなかろうか、かように考えております。
  73. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 非常にデリケートな問題であり、大づかみな評論家的なことはなかなかいろいろと言えると思いますけれども、なかなか問題だと私も思いますが、まあここで一兆何千億なら何千億というものが吸い上がってきたとする、そうすると、心配されることは、その銀行の手持ちになってまいります。いま日銀はオーバーローンどのぐらいしておりますか。
  74. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 正確な数字は後ほど申しますが、大ざっぱに申しまして、日銀貸し出しという意味でございますと約二兆の残高が今日あろうかと思います。そのうちの半分ちょっとが外国為替の、いわゆる日本の国内の金融にはさしあたりは関係ございませんものでございまして、そういう意味では、貸し出しの残高は一兆ぐらいであったかと思いますが、日々によって動いておりますので、いましばらくお待ちいただきたいと思います。——一月末で全体の貸し出しが二兆六百二億でございまして、そのうち、先ほど申しました一般の貸し出しは、九千三百億というのが一月末の数字でございます。うち都市銀行が七千八百億でございます、一般貸し出し九千億のうち。
  75. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 平常のときは日銀どのくらいオーバーローンなんですか。
  76. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) これは月の中、あるいは月初、あるいはその季節によって違うわけでございますが、一般論といたしますと、おそらく一兆二、三千億が一番多いのではなかろうか。ちょっと私は記憶正確でございませんが、そういうふうに感しております。
  77. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 預金をこう集めてまいりますね。そうすると、日銀のオーバーローンがゼロになるということは、私もないだろうと思っております。しかし、日銀自体は、このオーバーローンの解消については自分自身も努力しておるだろうし、だからこそ一兆何千億だろうと思います。ですから、日銀の大体の適正なオーバーローンというのは、一体どのくらいに押えて——少なくとも預金を集めますんですから、先ほど戸田君の質問に対する答弁を聞いておりますと、日銀自体も窓口規制で目的を達成するんじゃないかと、こういうお話なんですが、それは私は大筋としてそのこともわかります。わかりますが、日銀自体も、私は努力する必要があると思います。ですから、こういうふうに金が集まってくれば、オーバーローンは、これが三千億に減ってしまうというふうに理解していいんですか。どうですか。
  78. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) オーバーローンという意味が、日本銀行と、それから銀行との関係におけるオーバーローンという意味と、銀行が企業に対してオーバーローンであるという意味と、二つあろうと思います。いわゆる経済的に問題になるオーバーローンは両者が複合された形でございまして、日本銀行が現在懸命にやっておりますのは、銀行が企業に貸し過ぎないようにという意味で窓口規制をやっておるわけでございます。銀行の集まった預金の中で、おそらく集まった部分の九割以上が貸し出されてしまうという状況で、いわゆるオーバーローンという形で戦後きたわけでございます。その九割ぐらいを貸すという、その窓口のところで銀行を指導いたしまして、これを規制しておるというのが、先ほどお答えいたしました企業に対する金融の規制でございます。  ところが、銀行が、今度は日本銀行に対しましてどれだけ借りてまいりますかということになりますと、金融機関の場合でございますと、貸し出し等もございますが、それと同時に、預金の引き出しというものが、預金者の側から起こってまいります。特に今日のように引き締めれば引き締めるほど、企業の預金というものが取りくずされていく、そのしりが日本銀行にどうしても現金を借りるという形でもってこないと、いわゆる取りつけ騒ぎというものが起こってくるという形で、日銀貸し出しが起こってくるというのが今日の状況であろうかと思います。  したがいまして、銀行預金と貸し出しとの関係のほかに、預金の引き出しに対応する現金準備をどれだけ持っておるかということが、日本銀行の貸し出し、あるいはオペレーションといった、銀行と日本銀行との関係として考えていかなければならない問題だろうと思っております。そういう意味におきましては、資金需要が鎮静化いたしますと、どうしてもオーバーローンは解消されてまいります。これは、特に預金の取りくずしの大きな企業の動きというものが鎮静化するわけでございます。今日のような引き締め下でございますと、貸し出しを受けられないとなると、どうしても預金を取りくずさざるを得ない。そのしりがどうしても銀行を通じて日本銀行にくるという形で日々貸し出しの残高が増減しておる、こういう状況でございます。そういう意味におきましては、こういう預金が集まっていくということが、その面でのオーバーローンの現象をなくしていくということにはなろうかと思います。  どのくらいであろうかということにつきましては、私も正確にはお答えできない面がございまして、たとえば一兆円を上回る資金のうち、どれだけがほんとうの預金の純増になるか。ほかの定期預金から振りかわるかどうかということもあろうと思います。私どもは、大体四割ないし五割ば資金の純増として考えていいのではなかろうか、かように考えております。この辺のところは何ぶん結果論でございますので確信はございません。
  79. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう一つは、いろいろと締まってまいりますと、手形の問題が出てまいる。手形総額というものはどのくらい動いておるのか、これは紙幣と同じ形で出てまいりますが、どのくらいと踏んでおられますか。
  80. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 至急計数をいま調べましてお答えさしていただきます。——一応手形交換高でお答えさしていただきますと、大体五十兆を切れる程度のものではなかろうか。十一月末が四十七兆という数字でございます。繁閑によりましてでございますが、大体五十兆前後ではなかろうかと思います。
  81. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まあ締めていけば、おっしゃるように定期預金の取りくずしが始まっておる、また中小企業人たちには、物件担保で土地、建物が入っておる。それに定期を取られるというような形になるから、中小企業銀行を通しても、むしろあなたのところに貸し出しするわけにはいかぬけれども、それじゃ定期を担保と見合って、まあこのくらいば取りくずしてもいいだろうというような指導等もされて、苦しいところを中小企業のめんどうは見なきゃならぬのが実態だろうと思う。ですから定期預金の取りくずしもあるだろう。ところが、もっとやり切れないから、今度はいわゆる郵定ですね。もう私はふえてこやしないか。まあこの中の、五十兆の中の、どのくらいが郵定になるかわかりませんけれども、あるいはわかっているかもしれませんけれども、そういうようなことについては大体わかるものでしょうか。
  82. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 非常にむずかしい御質問でございますが、まあ、不渡りが六百億から七百億という数字背景に、実際にそこまで持ち込まれない形の、いわゆる非常に危険な手形がどのくらいあるかということになりますと、私、正直申しまして、ちょっと見当はつきません。大体月々の不渡りが七、八百億前後のオーダーのものであるということだと思います。
  83. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 本題のほうに戻りますが、大体半年で六分二厘五毛で、三分は預金金利のほうに回していくと、ですから、三分二厘五毛が賞金で、頭打ちは一千万円、一年ものになりますと、まあ一年ものを設定するところは少ないだろうと思いますが、そうしますと、それは七分二厘五毛ですから、それも三分になるんですか。
  84. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) そのとおりでございます。
  85. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、どちらが——一年ものの計画ありますか、実際。いまあなたのところに出ておるので。
  86. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 現在のところ参っておりません。
  87. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 半年ものばかりですか。
  88. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) はい、大体六ヵ月でございます。全部六ヵ月と申し上げたほうがいいかもしれません。
  89. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 二年の時限立法であり、そうすると、四回転するということなんですね。
  90. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) さようでございます。ただ、金融機関によりましては、六ヵ月一斉にたとえば四月じゅうに発売いたしますか、むしろ夏のお盆のときにそれを出すかというようなことがございまして、年二回という必ずしも具体的な計画はやってないようでございます。計算どおり最初に売り出せればそういうかっこうになるわけでございます。
  91. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 賞金もらったほうは、これは免税になりますね。銀行全体でこういうことになるので、何かの恩典を与えるような、たとえば、銀行でいえば、一つの単位をつくりますね、ユニットを。そうすると、三十億つくれば三十億集めなきゃならぬ、なかなか行員さん忙しくなると、こう言っておりましたんですが、そういうのに対して、これの預金をやるということについて、現行税法の何か適用なり、いろんなことがございまして、それに対する何かの優遇的なことがあるんですか、それとも全然ないんですか。
  92. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 税制上の優遇はいたしておりません。
  93. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十三分散会      —————・—————