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1973-12-18 第72回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十八日(火曜日)    午前十時十四分開会     —————————————    委員異動  十二月十四日     辞任         補欠選任      中西 一郎君     田中 茂穂君      栗林 卓司君     藤井 恒男君  十二月十五日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     中西 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         土屋 義彦君     理 事                 河本嘉久蔵君                 藤田 正明君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君     委 員                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 西田 信一君                 桧垣徳太郎君                 川村 清一君                 戸田 菊雄君                 鈴木 一弘君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員                 大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房審          議官       大倉 眞隆君        大蔵省証券局長  高橋 英明君        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君        大蔵省国際金融        局長       松川 道哉君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○租税及び金融等に関する調査  (当面の財政及び金融等に関する件)     —————————————
  2. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいまから大蔵委員会開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  去る十二月十四日、栗林卓司君が委員辞任され、その補欠として藤井恒男君が選任されました。      —————・—————
  3. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、連合審査会に関する件についておはかりいたします。  石油需給適正化法案について商工委員会に対し、また、国民生活安定緊急措置法案について物価等対策特別委員会に対し、それぞれ連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、租税及び金融等に関する調査議題といたします。  前回の委員会において聴取いたしました福田大蔵大臣の所信に対し、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣にお伺いいたしますが、あえて、というようなことばもございますが、決意のほどはわかったわけですが、実行というのは非常に困難だと思います。まあ総需要抑制ということで、非常に努力しておられるようですが、一体予算年内編成をおやりになるのかどうか。それからやるとするなら、新聞紙上等一般会計の額、あるいは財投の額等伸び率等いろいろ出ておりますが、一体新聞紙上に報道されておるようなことになるのかどうか。もしここでおよその見当がつくとするなら、いつ、およその額は、目標はここら辺だという数字がお示し願えれば非常にいいと思います。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 年内編成はぜひやってまいりたいと、こういうふうに考えます。これは、総理の一月の政治日程等がありますので、ぜひ年内に完結したいという考えでございます。  それから予算額等につきましては、まだ最終的な結論は得ていないんです。ただ、私の気持ちだけを申し上げますと、愛知大蔵大臣のころ一つ流れ作業が進んでおったわけであります。それによりますと、一般会計歳出規模は二三%増加、四十八年度予算に比べてであります。それから公債発行額はその依存率を引き下げる、それから所得税大幅減税、これを行なべと、こういうようなことでありましたが、まあこういう時局でありますので白紙で検討いたしまして、検討の結果、二三%伸び率はこれを極力縮減する、それから公債発行ワクにつきましては、その依存率を引き下げるのみならず、額もまたこれを引き下げる。減税につきましては、これをできるならば当初からの大幅減税所得税大幅減税を実行したい。それから国鉄料金米価、これは当分凍結したいという考えだったわけであります。  きのう、私、企画庁長官、それと与党の首脳と会いまして意見の交換をいたしたんですが、四つの点で了解ができたわけです。一つは、この予算は総需要抑制物価安定、これを眼目とする、そして編成する。第二の点は、公共事業費、これは、二三%増という前の大臣流れの中では、四十八年度に比べ一〇%増ということでありましたが、これを額において前年度予算つまり四十八年度予算、それから、量において四十七年度予算以内とするということ。それから所得税大幅減税につきましては、これを実行する。それから第四には、国鉄米価引き上げについては、これを当分凍結をする、その期間は一応半年間とする。こういうことをきめたわけであります。私は、その結果をきょう閣議にも報告いたしました。閣議においても、別にこれは閣議決定とかそういうことじゃありませんけれども、大体御了承されたと、こういうふうに思います。  そこで、そういうことをスタートといたしまして、これから予算作業が始まるわけでございますが、二十二日ごろには大蔵省原案を固めたい。そして、各省の意見と各界の意見、また成瀬さんの党や、その他の党の御意見等も伺い、そして一応二十九日というふうに考えていますが、二十九日には最終の決定を行ないたい、こういうふうに考えております。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 政府の取り組む姿勢というのが、国民に及ぼす影響というものが、何と申しますか、心理効果と申しましょうか、それが非常に大事だと思います、こういうときは。過般愛知県の豊川の全く小さな町で、一つの取りつけが起きたというようなことは、全くこのいらいらムードと申しますか、何か不安定なところにデマが飛んだ、それでこうなってくるというようなおそろしいことですから、そういう、何と申しますか、心理的な影響というものが非常に大きい。その効果を過小評価しちゃいけないが、しかし、実質的にも非常に姿勢の中身がなければならぬわけですが、いまお伺いしますと、新聞紙上等に報道されておるような大体数字になるし、特に新しい点では、国鉄米価の六カ月間引き上げを凍結するというような問題が出てきたわけですが、こういうようなことは、私は心理的な効果があって非常にいいことだし、ぜひ年内にやっていただかなければ、水をぶっかけることはできないと思っておりますから、ぜひ総理大臣なり、あなたの外遊の日程等もこれありということも承知はしておりますが、とにかく年内編成で、できるだけ予算規模というものを圧縮して、あとでどうということを、補正予算も組めると言えば、それまでのことでございますけれども、とにかくできるだけ圧縮をしてもらいたいということでございます。  そこで、しかし、そういうことをお聞きしながら逆なことになるかもしれませんけれども、一体自然増というものをどのくらいに見積もってみえるかということが、予算編成の上において、いわゆる歳入面ですが、私たちはいままであげられておる数字というものは、大体物価伸び率等あるいは成長伸び率等よりも、八%から一〇%ぐらい上回っているわけですね。ですから、自然増というものが相当あるのじゃないかと思いますが、どのくらいにこれを踏んでみえるのか。それと関連して、国債発行との関係がございますからお聞きするわけですが、一体どのくらいに踏んでおみえになりますか。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 従来の流れの中では、自然増収が大体四兆円をかなり上回るのではあるまいか、そういうふうな見方であったわけであります。最近の経済情勢をつぶさに検討いたしましてみますると、まあこれはまだ経済見通しのほうがきまりませんで、はっきりした数字にはなってまいりません。まいりませんが、大かた見当といたしましては、三兆六千億台のところに落ちつくのではあるまいか、そういうふうに見ておるわけであります。そういう自然増考え所得税大幅減税を行なう。一方において、法人税その他について増徴を行なうということにし、また一方において、歳出は極力これを縮減する。こういうふうにいたしまして、最後に公債幾ら依存するか、こういうことになるわけですが、まだ不確定要素がありますので、公債幾らにするかということはまだ見当はつかないのです。しかし、ただいまの私の気持ちとしては、公債予算の中における依存度を下げるというばかりじゃありません、額もこれを減らしたい、こういう気持ちでございます。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 予算編成過程で、先走ってどうこうということはなかなか言えないと思いますけれども、新聞等には、相当依存度を引き下げるというようなことになるなら、三兆六千億と踏んでおみえになるかもしれませんけれども、実は私らはよくわかりません。その数字を、データというものを、野党のほうに回されるわけじゃございませんし、なかなか資料等が出てこないのですが、普通いったら、四兆を上回るじゃないかと思うのです。あなたも上回るだろうと思ったのが、いや三兆六千億どまりじゃないかと言われるが、四兆、ほんとうはもっと大幅に上回るのじゃないかという感じが非常にしてならないわけですが、そういうふうにはなりませんか。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いままでの景気情勢をずっと伸ばしていきますと、これは四兆をかなり上回るのではないか、そういうふうに思えるのです。ところが、来年の経済は一体どうなるか、これは成長率を一応実質二・五%と見ております。そういう際に、名目成長率幾らになりますか、一二%台くらいになるのではないかと、こういうふうに思いますが、そういう状況であります。  そこで、私の、経済の今後に対する基本的な考え方は、いま成瀬さんおっしゃるように、国民が非常に不安な気持でいる。いらいらです。  それがいろいろな社会現象となって出てきておる、こういう状態なんです。それに対してどういう対策を打ち出していくかということにつきましては、二つ考え方があるのではないか。一つは、なだらかないらいら解消方策、それからもう一つは、急速にいらいらを解消する。私は、その二ついき方について利害得失おのおのあると思うのですが、いまは非常な不安要素が多いわけでございますので、この状態を長く続けるということは、これは国民経済立場から、また日本社会という立場から見まして、非常に不健全ないき方である、こういうふうに思うのです。一刻も早くこの不安状態を遮断しなければならない。そういう考え方に立ちますと、いまこれから不安解消のためにとる施策というものは、かなりきびしいものになる。そしてきびしいがゆえに、それに対する反発というものも出てくるだろうと思う。しかし、その反発をあえて乗り越えて、この辺ですみやかに不安解消という方向に取り組まなければならぬだろう、こういうふうに思うのです。総理ともよく相談しているのですが、そういう方向ふん切りをつけよう。少しきびし過ぎるというくらい、批判を受けるくらいな施策をこの際出そう。こういうので、財政は、いままでの流れからいえば、全く予想しないようなきびしい線を出していく。そうすると、公共事業が四十七年度の線だと、本年度のとにかく実質において七割になるのだ、三割減だということになれば、おのずからそこへ物資需要というようなものが非常に減ってきます。鉄材だ何だといっても一億何千万トンできる。しかし、需要のほうが今度はかなり減るんですから、もう目に見えた影響が出てくる。同時に、私は、財政と並行して金融も車の両輪としての働きをなさなきゃならぬ、こういうふうに考えておるのでありまして、民間設備投資に対しましても、これは相当の影響が出てくるだろう。そういうことを考えますと、私は、まあ期限が一体どうなるというようなことまできょうは申し上げられませんけれども、相当急速に総需要均衡、総需要抑制施策影響というものが出てくる。そういう経済情勢で、私は、来年度におきましては、ある時点において今日とさま変わりの様相、そういうものが想像されてくる。ですから、まあ経済見通しはいろいろの見通しがありまして、あるいはゼロ%じゃあるまいか、二%じゃあるまいか、まあ四%だ五%だというような見方がありましたが、私は、これは政治的裁断を加えちゃいかぬと、これはそういういま申し述べたような経済政策を前提として、はたして来年の経済成長というものはどうなるか、また物価というものがどういうふうになるかということを、科学的、合理的にとらえて、その判断の上に立ち、政治的判断は加えないというような仕組みでいくべきだと考えまして、そういう線を打ち出し、一二%名目成長ということになると、物価状態も非常に鎮静化するということを見通しておるわけですが、そういうきびしい情勢、そういうことを背景といたしますと、これは四兆円をかなり上回ると言われた自然増収も、またしたがってかなり減ってくると、こういうふうに見ておるのでありまして、その減ってくるところがどの辺にいきますか、名目成長率一二%台だということになると、三兆六千億台という辺に見るのが妥当ではあるまいか、そういうふうな見解でございます。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 公共事業費の額で四十八年度、量で四十七年度というのは相当きびしいと思います。そういうことで、片方はそれでいいが、さてそれから、民間設備投資の問題は、金融政策の問題もございますが、通産行政にもなってくるわけですが、そこで、民間設備投資のものは、金融でやっていくということもですが、業種別に、いわゆるこういう、たとえばアルミだとか、いま重油−油等をたくさん食うような産業なり、あるいは自動車産業だというようなものについては、若干新聞等でにぎわしておるようでございますが、そういう業種別と申しますかに対しても、金融あり方について窓口規制というものを現にやっておるじゃないかというけれども、そういうことじゃなくて、もっと政府施策として、金融流れまでチェックをして、民間設備投資を、もっと言えば、日本産業構造の変革にまで及ぶような、たとえば産業審議会というのがあるようでございますが、そこら辺にも答申案が出てくるとか、いろんなことがあるようでございますが、そういうものを踏まえて、大きな網を、将来のエネルギー源まで含めたような対策を立てようとしておみえになるのか、いま言う短期決戦ウエートを置いておやりになる、そのことは私はわかりますけれども、そう言いながら、一つ流れとして、大きな流れというものがなきゃならぬはずなんですから、そういう民間設備投資あり方についてどういうようなこと、いわば金融あり方でいけば、通産行政の中に入るかもしれませんけれども、大蔵大臣としてはどういうふうにお考えになっておるか、この際、それに対する取り組みの方向というようなものを承っておきたいと思います。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 金融行政のほうは、これは財政と車の両輪ですから、財政がそういうきびしい方針を出すということになれば、これに同調して動かざるを得ないわけでございまして、また動かしていかなければならない。そこで、いま財界のほうでは、大体こういうきびしい情勢ということをよく了解しております。したがって、こういう形勢を見まして、新規設備投資なんというのは、これは放っておいてもそうは私はないと思うんです。思いますけれども、新規設備投資というようなものについては、厳重にこれを政府としても、また抑制方針をとらなきゃならぬと、こういう問題があると同時に、こういうきびしい経済情勢下であり、特に総需要需給均衡がとれるというその時点までは、生活関連物資、これに特別の配慮をしなきゃならぬだろう、こういうふうに考えられるわけであります。主要の生活関連物資につきましては、物資担当官庁において十分の対策をとります。が同時に、場合によると不足するというようなものが出てこないとも限らない、そういう設備投資に対しましては、抑制下ではありまするけれども、これを助長するというような考え方もとらなきゃならぬわけです。そこで、金融政策全体といたしましては、量的規制、それから質的規制と、この両面があるわけでございますが、量的規制については、かなりもういままでの施策で浸透をいたしております。これからは重点質的規制の面に置きたいと、こういうふうに考えるわけであります。その質的規制一つ重点が、選別融資というところにあるわけであります。いま今日は、不動産金融消費者金融、これにつきましては抑制方針をとっておるという、まあ選別をしておりまするけれども、これをさらに拡大する、そして抑制すべきもの、また助長をすべきものというような仕分けができないか、これは日本銀行恣意あるいは金融機関恣意にまかせるわけにいかぬ、政府においてある程度の基準をつくりまして、これを日本銀行その他の金融機関に示さなきゃならぬと、こういうふうに考えておるわけであります。いまその作業中なんです。これからの金融質的側面の強化は、選別融資というところに重点がある。その他にもいろいろありまするけれども、選別融資一つ重点がある。こういう考え方作業を進めておると、かように御了承を願います。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今後考えられる選別融資というものは、全く産業構造あり方、たとえば輸出あるいは外貨獲得のために、あるいは国内の需給の問題、そういう問題なんか非常に重大な問題で、私はこれを、エネルギーまあ石油を契機として、あるいは日本輸出の行儀の悪さと申しますか、いろんな問題で外国からの批判等もこれあり、一度、それに便乗したと言っちゃ悪いですけれども、いろんな意味で選別融資と申しますか、日本産業構造あり方を根本的に見直してくるちょうどそういう時期にもきておる、そういうときにちょうど石油がきたというふうに受け取って、選別融資というのは、片方で言えば非常に窮屈なことになると思うわけですけれども、ぜひ、通産行政だとはいうけれども、一つ金融の質的なあり方として、私は、この際にぜひひとつ方向を固めて出してもらうということが非常に大事だと思います。いま承れば、そういう方向に動いておるということですから、けっこうでございますが、ぜひ途中でぐらぐらとせぬように、これはなかなか——総論賛成各論反対になってまいりますから、やるにはたいへんな政治力が必要だと思いますけれども、とにかくそういうことをやっていただきたいと思います。  そこで、その問題はそれとして、質的な問題で、公定歩合の問題が若干議題にのぼっておって、年内にどうやらこうやらあるようなことも新聞は報じております。しかも新聞は、日銀は二%、大蔵省は一から一・五%というふうなことまで書いておられるわけですが、一体公定歩合引き上げというものは、いままではしばしば時期を失してきたと思いますが、これはやっぱり、いまの時点としては、総需要抑制と一緒に、この金融政策の中の選別融資方向を出していく。その中でまた公定歩合引き上げというものも当然行なわなければならぬ。そうしますと、関連して預金の金利、その他の問題いろんな問題に影響があるわけですが、一体どのぐらいのものをおやりになるのか。これはもう完全に年内に歩合の引き上げをおやりになるというふうに了解してよろしゅうございますか。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 金融政策は先ほど申し上げましたように、財政とともに車の両輪となって総需要抑制政策をやるわけですが、事、公定歩合の問題になりますと、これはもう日本銀行専管事項でありまして、どうも私からこれをどうするんだというなまなましいお答えを申し上げることは非常に困難なわけなんです。まあ、この点は、ひとつまげてお許しを願いたい、こういうふうに思いますが、日本銀行でも、こういう情勢に対してどういう態度をとるべきかということについては、いろいろ検討をされておるというふうに伺っております。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まああしたやるとか、あさってやるとかということになると、なかなかたいへんなことだと思うから——大臣専管事項とはなかなかうまいことをおっしゃるが、都合のいいときは専管都合の悪いときは共管でしてね、いやそうじゃなくて、むしろ大蔵省のほうにどうもウエートがあるようですが、まあこの問題はここではあまり議論することはやめます。  そこで、過般、国会の中で所得政策の問題が議論されておりますね。で、所得政策はやらない、こういうことなんですが、これは現状認識にかかっておると思うわけです、所得政策の問題は。大臣は、所得政策を取り入れるとするなら、こういうときでなければやっちゃいかぬというようなお考え方があると思うわけです。こういう場合は、所得政策の導入もやむを得ないよという、こういう状況のときはと、そのどういうときなら所得政策をやらなきゃならぬ、その見解を承っておきたい。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 所得政策に限らず、経済生活に対して国家権力が介入する。つまり統制ですね。これは私はなるべくやらぬで済んだほうがいい。まあ端的に言いますと、統制はきらいだと、そういうことでなく、経済国民生活も動くという社会のほうが好ましいというふうに考え  るわけでありますが、しかし、さらばといって、今度の国会に御提案を申し上げている石油の問題あるいは緊要なる生活物資の問題、そういうものにつきましては、時に、場合によりましたら、そういう国家介入もやむを得ざる場合がある、そういうふうに思います。  所得政策につきましても、そういうような考え方から、これはそんなことをせぬで済ませられるならば済ましたいものだなと、こういうふうに思うんです。しかし、所得政策というような、賃金に対する大きな規制措置をとるという以上、これは地代につきましても、あるいは配当につきましても、あるいは利潤につきましても、あらゆる面についてバランスのとれた政策というものが必要であろうと、こういうふうに考えるわけであります。そういうところまでいかぬで、何とかして収拾したい。私は、先ほど申し上げましたとおり、総需要抑制ということを徹底的にやる、そういうようなことになりますれば、世の中が非常に落ちついてくる。それまでの過程において、生活物資等需給、価格、そういうものについて特別の配意をするということになれば、これは非常に異常な、重大な時局でありまするけれども、乗り切り得るんじゃないか、そういうふうに考えておりますので、今日この段階において所得政策、また、それと関連する利潤だとか、あるいは地代だとか、あるいは家賃でありますとか、配当でありますとか、そういうものを一斉に統制を発動するというようなことは考えたくない、そういうふうに考えているわけであります。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、今度の短期決戦という気持ちで、一つ施策をお進めになり、それが所期の効果をあげれば非常に幸いだと思うんです。ところが、なかなかそうはいかぬじゃないかということの心配があるわけです。そうしますと、次の段階は、やはり所得政策というようなことが議題にのぼってこやしないだろうかと思うわけです。そこで、きらいだとか好きだということじゃなくて、所得政策というものを、政府は、実はいまの時点ではいろいろなことを言っておみえになりますけれども、やっぱり考えておるじゃないだろうかというようなことを国民はやっぱり疑惑に思っておる。しかし、こうなったらやっぱり所得政策政府はやるんだよと、やられるんだというようなことを、私は、ここで明確にしておいていただいたほうが、国民所得政策は好まぬと思います。とすれば、じゃ、こんな状況をつくり出しちゃいけない。じゃ、こういうことについては政府に協力していこうじゃないか、みんなして。というような気持ちというものが出てこやしないだろうか、そういうような立場から、私は、こうなったときには所得政策というようなことが真剣に考えられますよというようなことを言われたほうが、むしろいいじゃないかと思うから、お尋ねするわけですが、いかがでしょうか。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、総需要抑制政策、これを中心といたしまして、あわせるにその個別物資需給、価格、こういう方面の安定対策、これが並行して進みますれば、私は、非常に困難な時局ではありまするけれども、この時局は突破し得ると、こういうふうに考えておるのでありまして、所得政策というような事態までいかぬで、何とか済ませたいし、また済ませ得ると、こういうふうに確信をしております。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ、この問題は重ねて議論をすることはやめます。  次に、税の問題について少しお尋ねしますが、二兆円減税はおやりになるというふうにきめられたわけですね、この四閣僚のお話し合いで。
  22. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) きのう政府与党の首脳会談におきましては、いま税制調査会小委員会でつくった一案があるんです。あの案をひとつ採用するという前提で予算を編成してみようかと、こういうことでございます。しかし、これはそういう大体の意見の合意があったという段階でありまして、まだ政府としてそこにふん切りをつけたわけじゃないので、政府として最終的なふん切りをつけるにあたりましては、税制調査会の答申、これを見てからという段取りを考えておるわけであります。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 所得税減税、わかりましたが、この際、私は、高度成長をささえたと言っちゃいかないかもしれませんけれども、少なくとも経済成長を促進をさせるというのですか、そういうので租税特別措置法なり、いろんな税で優遇措置を与えておみえになるものが相当数あると思っておるのです。ですから、法人税の改正を頂点として、たとえば分離課税ですね、配当なり利子等の分離課税あるいは資産償却税の優遇措置なり、あるいはその他積立金制度がございますが、そういうような高度成長をささえたと言えば、あなたのほうはそうじゃないと、こうおっしゃるかもしれませんが、われわれ野党のほうから見れば、高度成長をささえてきたのは、一つ金融、いろんな問題があると思いますけれども、税も一つそういう大きな役割りを果たしてきたと思っております。そこで、そういうものをここで一つ一つどうだということは別として、一括してこの際洗い直してみる、いわゆる増税になるわけでございますけれども、そういうお気持ちはございますか。
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 租税特別措置につきましては、いままでも時局に応じまして、それが妥当であるかという検討は続けてきておるんですが、四十九年度の税制におきましても、あらためて時局にかんがみ、妥当でないものはこれを整理する、こういう方向でいま洗い直しという作業をいたしておる最中なんです。ただ、この特別措置の中では、貯蓄優遇措置があるわけですね、貯蓄、配当も含んで。これはいま貯蓄が非常に重大な段階というので、なかなか大筋としては手のつけにくい状態です。これと相並んで非常に多いのは、中小企業育成の見地からの特例措置なんですが、これもいま物価高の際、中小企業がしわ寄せを受けるというような関係がありますので、これもなかなかいじくりにくい、その他いろいろありますが、そのいろいろあるものにつきましては、ただいま申し上げましたような気持ちで洗い直しをする、こういう考えでございます。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も、たとえば少額、利子の非課税だとか、貯蓄の奨励のための。あるいは生命保険の控除だとか、あるいは住宅対策だとか、あるいは公害だとか、中小企業の問題だとおっしゃるなら、それは私はわかるわけです。わかるわけですが、いわゆる大法人といっては極端かもしれませんが、大法人なり、あるいは個人ですね、そういうものに対しての優遇税制というものが——あげればここにあげましてよろしゅうございますけれども。そういうものはせっかくいま洗い直すんだという方向が出たとおっしゃる、そういう方針だよとおっしゃるんですが、これも来たる通常国会、いまも通常国会ですけれども、二月なり三月のものにはそういうものが出てくると期待していいわけですね。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いろいろ特別措置について、整理でありますとか、改廃でありますとか、そういう法律案について御審議をお願いする予定でございます。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 一つは、インフレマインドでみんなも物価が上がるから、借金をしておけば得をするという、債権者が損して債務者が得をするというのがいまの時世だと思うのです。徳川時代に徳政ということがありまして、借金を棒引きにしたというのは、一つのいい善政だというのがありましたが、いまは借金をしているのは、あの徳川時代のほんとうに生活困窮者が借金をしているということもなきにしもあらずかもしれませんけれども、そうじゃなくて、いまやっておるのは、大体百五十三兆ぐらいですか、何か都市銀行の借り入れ総額があるということを聞いておるのですが、中身を洗ってみれば、中小企業よりも、むしろ大法人なり、いわゆる商社だとか、そういう大きなところが設備投資なり、そういうものに大きく借りておるわけです。非常にそういう人たちがもうけておるわけです、実際問題として。そうして貯金、郵便貯金その他、年金等の掛け金なり、あるいは生命保険の掛け金その他等がどのくらいあるのかわかりませんが、大づかみには百三十五兆ぐらいあるといわれておりますが、この貯金者は、利子はなるほどもらっておりますけれども、大体損をしておるわけです。そこで、大づかみにいって、債権者と債務者、今度あなたも、貯蓄奨励のためには、低額所得者が貯蓄をした場合には、これは田中総理の発想かもしれませんけれども、プレミアムを少しつけたらどうかというような構想も出ておるようでございますが、スライド制をブラジル等は取り入れて御案内のとおりインフレを押えるのに成功しておるわけなんですが、貯蓄奨励にからみつつ、片方では借金をしておりさえすれば、借金をしていろいろなことをやれば得をするのだという、この流れというものをどっかで英断をもって断ち切らなければいかぬ。断ち切ることが非常に大事である。  それから、老人問題が非常に出てきたということは、お年寄りが急にふえたんじゃなくて、退職金なり、年金で生活をしようと思っておったら、物価が上がってしまって生活ができなくなった。これらはもう完全にインフレの波をもろにかぶっておる非常にお気の毒な人です。債権者が損をしておる一つの例だと思う。ですから、この流れを断ち切る、そういう方途というものを政策上、ことばではもういきませんから、スライド制を取り入れる、たとえば貯金にプレミアムをつけるというのも一つの手でしょう。それから恩給なんかもスライドさせますね。いろいろなことがございますが、そういうスライド制と申しましょうか、借金のほうにもスライド制をつける、預金のほうにもスライド制をつけるというようなのも一つの方途だと思うのです。ですから、何か借金をしておる者が得をする、貯金をしたら損だと、物にかえにゃいかぬという、この流れを変える方途というものをやらなければならぬということで、大臣も、趣旨は、私は考え方は、一緒に考えておるのですが、さてそれじゃ何を、どうやったらということになると、なかなかその方途が見つからぬじゃないかと思うから、スライド制を、そういうものに取り入れたらいかがでしょう、検討してもらえぬでしょうか、こういうことなんです。どうでしょう。
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはなかなかむずかしい問題でありまして、かつて、私が前に大蔵大臣をしておったとき、予算委員会で、木村禧八郎さんがそういうことを非常に強く主張されたのです。私はそれに対して、木村さん、それは敗戦主義ですよ、こう言ったら、木村さん、敗戦主義とは何だというので、たいへん怒られちゃったのですがね。私は、物価抑制、これを考えなければならぬ。逆に物価が上がるのはもうやむを得ないのだ、こういうことで、物価が上がることに対する緩衝政策としてスライド制というようなことになれば、どうせスライドだと、こういうようなことで、物価高に対する不感症というか、そういう一面がかなり強く出てくるのじゃあるまいか、そういうふうに思うのです。それと同時に、まあそういう状態物価高が高進をするということになっていく。それがさらにこの制度によってまた制度自体の中から高進される。つまり、貯金利子が引き上げられますと、貸し出し金利がまた上がってくるわけです。そうすると、物価高にコスト要因として大きく働いてくるということになり、循環的に物価上昇というものが激化してくる。まさに悪循環というものがそこから始まっていく。そういうことを考えますときに、スライド制というのは一応頭の中では考えられまするけれども、これはなかなかむずかしい問題だと、そういう意味で、これはもう敗戦主義にも通ずる考え方だと、こういうことを申し上げたことがありますが、どうも物価が上がる、それに対して預金者の立場を保護しなきゃならぬと、これはまあ考えなきゃならぬ問題であり、あの手この手考えておりますけれども、そのあの手この手というのはみんなびほう策です。これは結局何といったって、物価のほうを安定させるという施策を大胆に強力に進めるという以外にないのじゃないかと、そういうふうに思うのです。しかも、今日のような物価高の状態を長続きさせるということになると、いま成瀬さんのおっしゃったような問題が提起されるというようなことにもなりますので、もうこの物価高の状態を長く放置しちゃいかぬ、もう早期にこれを断ち切る、そうして預金者にも安んじて預金をお願いできるというような状態にしたいと思うのです。それ以外にどうもこの問題に対するきめ手はないように思うのですが、いかがなもんでございましょうか。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 受け取り方が、物価が上がるということなのか、貨幣価値が下落することなんですね。貨幣価値が下落するんですから、これをどこかでだれかが補償をしていかなきゃならぬというのがスライド制の出てくる私は議論の根拠だと思うのです。そこで、貨幣価値が下落するんですから、それをだれかが補償せにゃいかぬ。それは政府施策によって貨幣価値が下落してくるわけです。ですから、あなたの敗戦主義で悪循環ですと、こうおっしゃるが、どこかで何かせにゃいかぬじゃないか。あなたがいろいろな施策物価を押える、物価を押えるとおっしゃるが、それが一〇〇%横ばいでいくということはあり得ない。いまのかっこうで、しかも、完全雇用を片方で掲げていきますと、どうしても経済学の理論から推し出して、若干の貨幣価値の下落というものは必然的なことである。必然的なものであるとするなら、これを何かで補償をしていくというのは、あたりまえのことじゃないだろうか。当然なすべきことじゃないだろうか。そうせなければ、安心をして貯蓄というふうに回ってこれないじゃないか。大体政府国債発行をするというのも、私は政府もずるいと思うのですよ。こういう借金をしておいて、国ももうけようというようなところがあると思うのです。ですから、何らかの形で施策というものを考えて置く必要があるんじゃないか。ですから、低額所得の人々の貯蓄に対しては、ひとつプレミアムをつけてみようじゃないかというのを、思いつきの全く発想だというふうに見ずに、私は、大きな流れを変えようとする先がけになる一つの提案ではないかと評価しておるわけです。どうでしょうか。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 理論的にはそういうことが考えられるかと思いますが、これは政策的には非常にむずかしいです。ことに当面短期に物価の安定をはかろうという際に、物価の安定と相背馳する、先ほど申し上げましたような循環で物価押し上げの要因になるようなスライド制、これを導入する、これは非常に大問題だろうと、こういうふうに思うのです。それよりも何よりも、一刻もすみやかに物価を安定させますから、それでひとつ御理解のほどをお願いいたします。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ物価を安定させますからと、こういうことですから、それはまあそれで……。  それじゃ、今度もう生活関連法案、いろいろな問題が出てまいりますが、独禁法と申しますか、今度の予算編成の中で、公正取引委員会が、今後いろいろな面で、価格協定等を、上げないためにもやられることもあるかもしれませんけれども、やはり利潤というものを片方では考えながら、価格協定というものが実際行なわれておるわけですから、独禁法の番人である公正取引委員会というようなものを、それを非常に強化してやっていかないと、いままでこう価格が引き上がってくるのは、カルテル行為でやっぱり形式的には、法律的には不成立かもしれませんけれども、内々にはみなそういうことをやっておみえになったと思うわけでございますから、公正な取引が行なわれるような、それを監視する公取関係を少し強化していく必要はないでしょうか。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公正取引委員会の持つカルテル規制機能、これは物価対策上非常に重要だと思うのです。まあこれがみだりに、やりそこないますと、いろいろな問題が起こってくる。昨年まああれは塩ビですが、塩ビなんかも不況カルテルというような、鉄についてもそういうような状態であったわけです。いろいろ御批判も、そういうものについて今日から見ると出てきておる、ああいうことも反省いたしまして、そうしてまあカルテル規制機能、これにつきましては十分働いていただけるような体制を常に堅持しておかなければならぬ、そういうふうに考えます。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、公正取引委員会のスタッフをもう少し強化して、予算を拡大して、そうして監視をぐっとやるよという実は姿勢を、政府は示してもらいたい。緊縮予算片方では組めと、こう言いながら、そういう中でも、これは強化していただきたい。  それから最後に、四次防の予算をたな上げしてみたらどうですか。来年度分ぐらいは。それから、油がこれだけけ逼迫しておるというなら、私は、過般、野末君がここにおられますが、予算委員会で、少し自衛隊の飛行機も演習を休まれたらどうだと、こういうような提案をされておるようですが、たとえば三カ月間、寒い最中ですから、油が一番要るから、あるいは生産に回す必要があるだろうと思いますから、ちょうど公共料金をたな上げして——四次防を一時たな上げする。まあ継続でどうにもならないとおっしゃるなら、継続したものを、たとえば半分にするとか、いろいろなやり方があると思いますから、四次防は一時たな上げをやる。油の問題でいえば、航空自衛隊あるいは艦艇の演習は地上でやるんだから、半年間は油は一切使わぬと、だからひとつ国民どうだよというようなことになってくれば、非常に国民のほうもなるほどそうかという姿勢を受け取るわけです。ですから、そういう立場に立って、四次防の予算をどう見る、節約すればどうだと、それから油の回りぐあいも、国務大臣として、これは私は意見を聞いておるわけですが、自衛隊の三カ月間、海も空も油を使わない練習、訓練をやるというようなことをして、国民に協力を呼びかけるというのが大事じゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今度、公共事業費はその実質においてことしの三割ぐらい減るというようなことになる。それから金額も前年度同額だと、前年というか、四十八年度と同額だということになる。それとやっぱり防衛費も調子をとるべきものであるというふうに考えておるんです。山中防衛庁長官も、いまのこの非常な事態において、自衛隊のあり方というものも、まさにこの時局とマッチしたものでなければならぬというふうにかたく考えておるのでありまして、いま御指摘の油の問題等につきましても、まあ極力節約をするというようなことを考えて、どの辺まで節約できるかということを鋭意検討しておるという最中であります。まあ、いずれ近日、大蔵省としての態度もきめなきゃならぬ、二十九日までには政府としての態度もきめなきゃならぬけれども、おおむねそういう態度が皆さんに御納得でき得るような形の結論が出てくるんじゃないか、それを私は期待しております。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これで最後ですが、そうすると、大体予算編成が二十九日、それまでに、いま言ったような大筋のものが大体出そろってくると。予算はもちろんそうですが、いま申し上げた税の問題も一つの大筋が出てくるだろう。それから、油その他の問題なり、そういうようなものの大筋が大体出てくるというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりに考えております。
  37. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 けさの新聞等を見て感じたのですが、非常に短期決戦型というような見出しで、かなり金融を、予算面を引き締めていくと、公共投資等の伸びについても金額的に変わらないと、実質は三割ぐらい減るだろう、こういうことが出ておりました。私も短期決戦型といういき方は、これはいいと思うのです。ただ、それに伴って金融措置が、必ず公定歩合等の問題が出てくるだろう。先ほどは大臣は、なまなましいところは言えないという答弁がございましたね。日銀の二%という話があって、現在の七%から二%で九%になってくるわけですが、そういうような公定歩合引き上げがあるということになると、多少オーバーキルになるんではないか。中小企業等も、実はここのところで、御承知のようにかなり倒産が出てきたようです。繊維業等については、ことしの春に、糸高ということで小売りが糸を買い集めをしまして、結局製品が、在庫があふれているということで、製造業で幾らつくっても売れない、引き取らぬということで、やむを得ず足利など栃木のあっちの方面では、工場からじかに出して、街頭で売らなきゃならぬというような投げ売り状態が始まって、三千円のセーターが千円でもって売られている状況です。そういう点を見ましても、どうしてもこれは運転資金というものがある程度必要じゃないかという感じがするのですけれども、そのときに二%引き上げてくるというのは、ちょっとこれは締め過ぎということになるんではないだろうかという心配をちょっと持つわけです。その点については、これは金融というのは、御承知のように、ここで締めてすぐ効果があるわけじゃありません。三月なり半年なりの時間的ズレが必ず出てきますので、実際は時間的にズレてきてしまって、その金融引き締め効果が出てきたときには、今度は救済政策が間に合わないということになりかねない。その点のお考えは、いま大臣御答弁しにくいことだと思いますが、いかがでございましょうか。
  38. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、先ほど申し上げましたが、今日のこの不安定な状態を一刻も早く清算しなければならぬ。それには、どうしてもきめ手は、なるべく早く総需要が、供給と均衡をしたという状態をつくらなければならぬと、こういうふうに考えておるのです。それは私は、早期に実現し得る、こういうふうに考えておるわけなんですが、まあ財政ではほんとうに端的にそういう方向を打ち出します。その両輪一つである金融のほう、これについて、これをほっておくわけにはいきませんから、先ほどから申し上げておるとおり、質的な面の強化をする、こういう考えでございます。  まあ、いまオーバーキルになるんじゃないかというお話ですが、多少、多少というか、かなりあるいはきしみというか、そういうものが出てくる、それを意に介したら、今回のこの異常な事態の乗り切りというものはできない、多少のきしみが出てくるということは、覚悟の上でやらなければならぬ、そういうふうに思うのです。しかし、そういう際に、異常な事態、またそれに対処する施策のしわ寄せを受ける可能性の高い中小企業、こういうものにつきましては、格別の配意をしなければならぬと、こういうように考えておるわけですが、そういう方面には万全の対策をとります。しかし、大筋としてかなりきびしい抑制政策、これをぜひ打ち出していく。そうして短期にこの異常状態を収束せしめていく、そういう考えでおります。
  39. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまの大筋としての短期決戦、よくわかるわけですね。その大臣考え方で、私もいいんじゃないかと思っておりますけれども、問題は、いま言われた中小企業については、これは何か考えなければならぬというお話がありました。ここのところの年末金融のほうを見ても、いままでの規制のワク内で中小企業のほうへも配分をというようなことになっておるわけですが、この間、予算委員会での通産大臣の答弁は、政府関係で三千八百億円ぐらい、それから民間のほうから三兆円ぐらい何とかここのところでというような趣旨のことのお話があったわけです、答弁が。その辺のところは、ワク内でというと、だいぶ違ってくるのじゃないかという感じがするのですけれども、そういう点の手の打ち方は、お考えはどうでしょう。
  40. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 金融の面につきましては、中小企業に対しまして、あれは年度途中でも増ワクをやっておりますが、年度末にのぞみまして、三千四百二十億の中小三機関に対するワクの増加をやっております。その上、市中金融銀行といろいろ相談して、中小企業の面には特別の配慮をするというので、約三兆円の年末金融が行なわれるということを予想しておりますが、まず、大体その辺でまあ中小企業年末金融は順調に推移すると、こういうふうに見ております。もとより不測の事態があるということになれば格別です。そういう際にはそういう際で、臨機応変の措置を講じますが、ただいまのところは、それで大体順調に越年し得ると、かように考えております。
  41. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 この公定歩合全体の問題なんですけれども、二%上げるとなると、現在の世界の各国の情勢から見ると、日本が七%ですから、もしも二%上がれば九%になる。そうすると、アメリカの七・五%、イギリスの一三%、フランスの一一%、西ドイツ七%、   〔委員長退席、理事藤田正明君着席〕 こういうのに比べると、西ドイツやアメリカよりは高くなる、しかしフランスやイギリスよりはずっと低いわけでありますが、一体いまのところのねらいは、これは日本の事情できまることだと思いますけれども、そういう各国との公定歩合の、一体見合いはどの辺がいいという考えでございましょうか。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 各国の金利動向というものも、まあよくにらんでおく必要があるんですけれども、主としてこれは国内の情勢ということに重点を置いた考え方をしなければならぬだろう、こういうふうに考えるわけなんです。一時トリレンマというようなことが言われまして、さあ福祉のことも考えなければならぬ、国内の物価のことも考えなければならぬ、国外との調整ということも考えなければならぬ、こういうような考えなんでしょうが、やっぱり基本は、国内の物価をどういうふうに安定させるかということこそが、今日われわれの主たる注意を要する観点でなければならぬと、こういうふうに考えます。公定歩合の問題も、物価をどういうふうに抑制するか、そういう見地から論議をさるべき問題である。こういうふうに考えておるわけでありまして、これはしかし、私どもが決断をすべき問題ではないのです。日本銀行の専決事項でありますので、なまなましい答弁は差し控えさせていただきます。   〔理事藤田正明君退席、委員長着席〕
  43. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それでは、問題は、先ほども質問がありましたので、債権者利益、債務者利益の問題があるのですけれども、債権者利益が、公定歩合が引き上がっても、直ちに、先ほどの答弁からすると、やっぱり預金そのほかの利率の引き上げにはならない。そうなると、債権者としての利益というものは、こういうインフレのときには少ないわけです。その救い方が、先ほどのようにプレミアムをつける、いわゆる一定期間を限っての特利をつけるとか、そういうようなことをやらないと、やはり債務者のほうは、前の債務の場合にはそのままの利子でいきますから、これは逆に得をしていく、逆に債権者のほうは、前のままでは、これは損をしていくという感じになるわけです。そういう点で非常に操作がむずかしい、債務者のほうに対しても急に損をさせることはできないし、逆に債権者の利益を急にふやすことは不可能だと思いますけれども、何かそういう特利的といいますか、上乗せ的なものをやらなければならないのじゃないかという感じがしてならないわけです。非常に短期的な、いわゆる公定の利子として、定期性の預金についても、何についても、六分でも何分でもそれはけっこうですけれども、それに対してこの半年間だけはコンマ三にしましょうとか、コンマ二五を乗せましょうというようなことは、ここまでは考えられないのでしょうか、その辺の検討はなさっておられませんか。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どうもスライド制につきましては、非常にこれはむずかしい問題で、これは賛同することはできないということをさっき申し上げたんですが、いま鈴木さんのお話は、それじゃなくて、何か臨時に特利でもつけたらどうだ、こういうようなお話かと思うんです。その問題も、これはもういろいろ考えてみたんです。考えてみたんですが、特利とても、これを大幅にやるというようなことになりますれば、結局これはしりは政府が負担しなければならぬ、こういう問題にもなってきて、さて一般の納税者、国民全体がそういう負担をしていいのか、こういうことになると、理論上も問題があるわけです。それからかりにこれが今度は銀行が負担をするのだというようなことにすれば、これは貸し出し金利を上げさしてください、これは臨時ですと、こういうようなことにもなり、スライド制で申し上げたような欠陥がそこに出てくる。そういうふうに見られますので、臨時といえども、特利をつけるということは、非常にこれはむずかしい問題かと思うんです。しかし、鈴木さんがいまおっしゃっているような、預金者の利益の立場というようなこと、これは考えなければならぬというので、まあいわゆるマル優というような制度を拡大するとか、いろいろなことを考えておるのですが、要は、早く、もう法案をお願いして審議をしておると時間もかかることです。そういう間にも一刻も早く努力をいたしまして、そして物価のほうを安定をさせるという、これがかなめになるんじゃないか、そういうふうに思うんです。ですから、いろいろのあれがあります。そういうもので、妥当なというような仕組みを取り入れることにしますけれども、大筋は、何といっても物価を安定させることだ、この一点に主力を集中して財政金融の運営に当たりたい、こういうふうに考えております。
  45. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 債権者の利益の問題はそのままにしておきますが、税の問題で、二兆円減税を先ほどからいろいろ伺っておりました、また、新聞等で拝見しておりますけれども、内容を基礎控除と配偶者控除と扶養控除とを、おのおの二万円ずつ上げて二十四万円にと、こういうような構想が伝えられてきておりますけれども、やはりここで、現在の独身者の場合が、年間四十三万九千円でしたかが非課税の限度だと思います。月に直しますと十五カ月——十二カ月と三カ月分のボーナスを見込んでも月収二万九千円からということになるわけです、大体三万円からかかってくる。そうすると、へたをすれば、成年者にならないうちからという——前から言われてきていることでありますけれども、そういうような税金がかかってくるわけです。ですから、一律に二十四万というような行き方より、ここはむしろ、給与所得控除でかなりの修正をするということが出ております。これが高額者に優遇ではないかという意見もあるようでありますので、むしろ基礎控除引き上げで、納税人口を非常に拡大してきておりますから、納税人口を減らすということを考えたらどうかと、こう思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  46. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 先ほど大臣から御答弁ございました税制調査会の臨時小委員会でおまとめになり、現在総会で審議中の改正試案によりますと、基礎控除と配偶者控除は、それぞれ二十一万円から二十四万円に各三万円引き上げる。それから扶養控除は、一人につき十六万円から二十四万円に八万円引き上げるという構想になっております。扶養控除の引き上げ幅が非常に大きいのは、やはり多人数世帯の教育費負担、そういうものをある程度念頭に置いての措置であるというふうに考えられておるわけでございます。御指摘の独身者のほうにつきましては、かねてからこの委員会でも、中学を出てすぐに所得税の納税義務者になるというようなことは何とかして避けるべきではないかという御議論がございました。未成年者控除をつくるとか、あるいは世帯主控除をつくる、あるいはさらには御指摘のように、基礎控除だけを飛び離れて大きくする等、いろいろな御意見もございましたが、やはり問題の焦点は、若年の給与所得者であるということで、現在の試案では、給与所得控除の一番下の部分を、収入の四割にするが、さらにその四割で計算した額が、五十万円に満たないときには、五十万円を控除しよう。つまり収入がたとえば六十万円でございますと、四割控除では二十四万円を引くことになりますが、それを五十万円引く、六十万円から。というような構想が出されておりまして、かりにこの試案がそのまま総会で御了承を得まして正式の答申になりますと、平年分で独身の給与所得者の課税最低限が七十四万円から、社会保険料控除のいかんによりましてはもう少し上までまいります、七十七万円ぐらいまでいくのではないかと思っております。四十九年分につきましても、ほぼ七十万円ぐらいまで課税最低限がいけるのではないか。そういたしますと、かねてからの御議論の問題は、実質的にかなり大幅な解決を見るのではなかろうか、そのように考えております。
  47. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 その場合の納税者人口は、現在に比べてどのくらいに減少する見込みですか。
  48. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) これは実は先ほど来の御論議の中で、自然増収幾らになるかというような問題と非常に密接に関連いたしておりまして、来年の給与の伸びがどのぐらいになるか、それに対してこの減税がどのぐらい働いていくかということで、なお相当精査をいたしませんと、あまりいま大ざっぱな数字を申し上げても、あとで狂う危険がございますので、もう少し時間をかしていただきたいと思います。
  49. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 大ざっぱと言うのですが、大体そんなに大きくは狂わないわけですね。ある幅があるでしょう。
  50. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) ただいま給与所得者の納税人員が延べ二千八百五十万ぐらいであろうと思いますが、大体それが、給与の伸びにもよりますが、三百万ぐらいはほうっておけばふえていく。それに対しまして、今度の減税を予定どおりの形で御答申をいただきますれば、おそらく五百万ぐらいの納税者が減るであろうという感じで現在おります。
  51. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 月二万円、二十四万円という計算になっておると思うんですけれども、その点はいまの給与所得控除の点もありますけれども、実際は下のほうをもう少し上げてほしいというのが、これが現実の話だと思いますから、それはぜひお願いをしておきたいと思います。そうしませんと、やはり事業者等との影響が出てきます。また、差別が出てきてもいけないという感じがするわけです。  その次に、外貨の問題でありますけれども、大蔵大臣に伺いたいのですが、百億ドルというラインを非常に重視して、百億ドルを切るような外貨準備高になれば、危険ラインであるというような見方で、すでに百三十億ドルですか、そのぐらいになってきたからというので、いろいろ外貨減らしについては、今度は逆の方向になるというふうに伝えられているわけでありますけれども、危険ラインは一体どの程度にお考えなんでしょうか、それが一つ
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ外貨の保有高は、適正量はどのくらいかという問題は、非常にむずかしい問題なんです。というのは、ある時点における額がどうあるべきか、こういうことが問題じゃなくって、問題は、その時点から将来に傾向線としてどういう推移をたどるであろうか、そこが問題であります。したがって、いま百三十億ありましても、一年の間に、また百三十億も減りますと、こういうようなことになったら、これはたいへんなんです。その将来の見通しというものが非常に大事であるというふうに考えるわけであります。今日の時点におきましては、外貨は百三十億ドル近くあるわけでございまするが、これからの状態がどうなっていくか、国際収支がどうなっていくか、これは一に、これから国内の経済がどういうふうに推移していくかという点、これが一つ。それから、いま問題になっておる石油を中心としまして、わが国の輸入する主要資源の国際価格がどうなっていくか。この二つにかかっていると思うんです。で、この国際価格の問題につきましては、ちょっと予断ができないような状態でありますが、しかし、国内政策につきましては総需要抑制政策をとります。したがって、景気情勢もかなり締まってくる、こういう情勢でありますので、国際収支に対しましては、かなりこれはいい影響を持ってくると、こういうふうに考えておるわけです。で、ぜひともそのいい傾向が、外国の輸出価格の高騰をカバーをするという状態を堅持しなければならぬ、こういうふうに考えておるわけなんです。当面ちょっと外貨は減り続けるような傾向でございまするけれども、総需要抑制政策が効を奏するということになりますると、かなり安定感が出てくる、あと国際収支の前途みたいなものは国際価格であると、こういうふうに見ておるんですが、まあとにかくこの国際収支につきましては、この二年間ばかり天井が高かったものですから、あまり関心を払わずに経済運営が行なわれてきた。しかし、これは非常に大事なものでありまして、国際収支というのは、いいときも悪いときも、これは非常に厳粛な態度でこの問題を見詰めなきゃならぬと、そういうふうに考えておりまして、これからも国際収支が先々どうなるかということについては最大の関心を持ちながら経済運営に当たっていきたい、こういう考えであります。
  53. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまの大臣の答弁でよくわかったのですが、いまのところは、まあ赤字ではございませんけれども、減っていくというような、いわゆる赤字基調ですね。そういうふうな定着を総需要でもって振りかえていきたい、そうして輸出振興といいますか、そういうことでいわゆる黒字というかっこうになれば、海外の物価高もそれで吸収できるだろうと、こういうお考えですね。そうしますと、また、これは非常に議論がむずかしいところなんですけれども、下限と上限があるような感じがするのですね。ある程度、百億ドルなら百億ドルが一つのボーダーラインみたいなものであれば、上のほうも何百億ドルと、こうなっちゃっては、ぐあい悪いわけでしょう、国際的に。その辺の手綱の締め方といいましょうか、ガイドラインといいましょうか、そういうものが、これからの国際収支問題についてはどうしても必要になってくるのじゃないか。日本経済も拡大していくことですから、いつまでもいつまでも上限、下限も整とんしてはいないだろうと思いますけれども、そういうガイドラインの考え方はどんなふうでございましょう。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは結局、貿易をするのに支障のないこと、それから国際信用、これから見て、国際社会に、日本経済の先行きに不安を与えないというところを目安にしなきゃならぬ、こういうふうに思うのですが、その目安というのは、ある時点における外貨の保有量ということで考えるべきじゃないと思うのです。その時点からさらに先々へいって、傾向線としてそういう警戒線というものをこえるおそれがあるかどうか、こういうことできめるのじゃないかと、こういうふうに思うのです。いまかりに非常に少ない少ないといっても、先々が明るい見通しであれば、それは満足すべき状態だと、こういうふうに思うし、いま多くとも、先どうもたいへんなことになりそうだというのなら、これは不安の状態で、ある時点時点数字にそうこだわりを持つべき問題じゃないのじゃないか。要は、貿易決済に必要な量並びに国際信用、これをつなぎとめるに必要な量、そういうことで考えていくべきじゃないか、かように考えます。
  55. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これはいまの国際収支、いわゆる外貨準備高でありますが、その中の内容でありますけれども、その内容についてはどういうふうな——たとえばいわゆるアメリカの証券を持っていたりいろいろしておりますけれども、どういう内容で持っておるのが一番いいとお考えでしょうか。内容、構造でございます。外貨準備高の内容です。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは国際収支の天井が非常に大きいときと、また、低いときというのに従って考え方が違ってくると思うのですが、まあ低いとき、つまり先々が低くなりそうだというような際におきましては、流動性を持ったものをかなり用意しておく必要があるだろう、こういうふうに思います。
  57. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 次は、貯蓄の問題でありますけれども、これは大蔵大臣に伺いたいのは、例のボーナス目当ての一%の利子引き上げ、あるいは今回も財形貯蓄云々、財形といいますか、いわゆるマル優制度の引き上げ云々とございますけれども、こういうようにやって貯蓄を奨励していく結果というものは、かなりのお金というものが入ってくるだろうと想像がつきます。貯蓄率を国際的に比較してみても、総貯蓄率が、日本、イギリス、アメリカ、西ドイツ、フランスと、こういうふうに調べても、個人貯蓄率のほうの率を調べてみましても、日本が国内総貯蓄率では、国民総生産に対して三九%というような、アメリカの一四・五、イギリスの一七・九に比べればはるかに大きい。個人の貯蓄率も、大蔵省の資料によればやはり同じように非常に高いわけであります。アメリカの八・四とか、西ドイツの一一・四、フランスの一三・六%というのに比べると、個人の可処分所得に対する個人貯蓄率は、日本は二〇・三というふうに高いわけです。こういうふうに非常に高いところへ、今回またこういう貯蓄の優遇措置が出てくる。しかし、千二百万円という優遇措置も、四人家族なら五千万円までという税制面での優遇になるわけですから、そういうような一般の大衆の預金吸収より、むしろ高額所得の人の預金の吸収になるのじゃないかという一つの点があります。その点についての意見と、いま一つは、こうやって集めた貯蓄の金は一体どこへ流れていくかと、いわゆる日銀から貸し出しておる貸し出しに対して、返済分に回していくというふうに吸収されたものがなっていくのか。そういう貯蓄されたお金の流れというものは、大臣としてはどういう方向へもっていくべきだというふうにお考えなのか。
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 貯蓄優遇制度が、高額所得者に優遇というところへ結局は帰着するのじゃないかというような第一点の御質問ですが、これは、今度いわゆるマル優の非課税限度の引き上げをいたしましたが、三百万円なんです、限度は。そういうのが四種類あるわけでありますが、それを全部の口に各個人が三百万円限度までこれを利用するということになれば、千二百万円になるわけでございますが、実際の運用を見ておりますとそうじゃありません。大体郵便貯金のほうを利用する人は郵便貯金だと、それをさらにもう一口、二口というような傾向じゃないのです。ですから、マル優のいままでの利用状態を見ましても、大体平均しますと、二十七万円ぐらいだと、こういう話なんです。一日分の三百万円今度上げたわけですが、それまでに平均が届く、それはなかなかまだ前途遼遠のことじゃないかと、こういうふうに思いますので、実態上はこれは高額所得者優遇というふうにはなっておらぬと、こういう御理解をいただきたいのであります。  それからもう一つは、預金されたものがどういう方向流れていくかというお話でございますが、これは政府の機関である郵便貯金など、これにつきましては、これは大かた民生のための融資に充てられておると、こういう状態でございます。私は、そういう形を四十九年度予算においてはさらにこれを強化していく、そういうふうに考えております。  それから、一般の金融機関が集めたお金は、これは一般の事業活動のほうに使用される。余りがあれば日本銀行に対する借金を返済すると、こういう形になっておるわけであります。その仕組みについては、私は、これで妥当であると、こういうふうに考えております。
  59. 多田省吾

    ○多田省吾君 二点だけお尋ねしたいのですが、一つは、二兆円減税の中身でございますが、最初大蔵省の試算といいますか、原案では、初年度一兆六千億円、また、平年度は二兆円という試算を立てられたそうでございますが、今度、平年度は二兆円は変わらないけれども、初年度は千二百億円ほど減らして、一兆四千八百億円ほどというようなことが報道されております。その中身でございますけれども、金持ち減税、重役減税ということが言われましたので、まあ、中だるみという現象はありましょうけれども、この税率緩和のほうに、三千億円を二千億円ぐらいに減らすんじゃないかとか、あるいは給与所得控除、あるいは基礎控除、あるいは配偶者控除のほうはいままでどおりの方針だとか報道では伺っているのでございますが、その辺はいかがなのか。あるいは初年度、四月からの減税に変わりないのか、その辺をひとつお伺いしたいと思うんです。  もう一つは、大蔵大臣が一昨日、十六日、宝くじつき預貯金というようなことを復活する方針をきめられて、事務当局に検討を命ぜられたというようなことをお伺いしておりますけれども、また、生命保険のほうもそれに準じてやるんだというようなことも聞いておりますが、その点はどうなのか、その二点をお尋ねします。
  60. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 所得税減税は、いまの政府の税制調査会で小委員会が答申を、報告をしてくれましたですね、あの案を一応考えておるんです。あれが税制調査会の総会であの案のとおりというようなことになれば、それを尊重したい、こういう気持ちでございます。それから内容につきましては、これは自然増収見方が、あの発想が公表されましてからだいぶ変わってきたんです。あの当時は、自然増収が四兆円をかなり上回るであろうというような状態でございましたが、今日の経済情勢から見ますと三兆六千億台、こういうことになるわけでございます。そういう状態になりますから、減税が当時一兆六千億初年度というふうに言われましたが、今度は、それに伴いまして一兆五千億程度になってくるんです。しかしそれは、税の体系にはいささかも変わりはない、こういう計算になってくることは御承知のとおりでございます。  それから、割り増し金つきの貯蓄手段ということにつきましては、これはもう世間から非常に要望があるんです。その要望にこたえて、そういうことをしたらどうだろうと、こういうふうに考えまして、まあそれを実行するならば、どういう方法がいいだろうかということを、銀行局に検討してくださいと、こういうふうに申しておる段階でございます。いずれまた構想が固まりましたら、ひとつ御披露いたしまして御批判を仰ぎたいと、かように考えます。
  61. 多田省吾

    ○多田省吾君 いまの二兆円減税の中身でございますが、初年度は一兆五千億程度になるだろうという大臣のお答えでございますが、体系には変わりはないと、まあ三千万円程度の所得者に対しても税率緩和をするというのは、ちょっと金持ち減税というそしりは免れないと思います。いろいろ体系的にむずかしい問題もありましょうけれども、やはり給与所得控除等を中心に所得減税をはかったらどうかという考えでございますけれども、それはいかがなものか。  もう一点は、割り増し金つき、いわゆる宝くじつき預貯金については生命保険も入れてお考えなのか。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 宝くじつきにつきましては、まだ具体的にどういう金融機関がやりますか、あるいはやる方法をどうするかというところまで詰めておらないんです。これをどういうふうに取り入れたら、ばく然とある国民の要望にこたえ得るかということを、これから詰めていこうということであります。  それから、税の問題につきましては、いわゆる重役減税問題のお話かと思いますが、あれいろいろ議論があるんです。大体税制調査会の空気は、多数は青天井、これがよかろうと、こういうような空気でございます。給与所得控除という以上、これは所得の多寡によって差別を設くべきではないんだという考え方が、大体支配的でありまして、小委員会のほうでも、そういう線の答申をいたしておるわけです。正式の総会がどうなりますか、その総会の成り行きを待ちまして、政府としての意見をきめたいと、かように考えます。
  63. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後にお尋ねしますが、いわゆる宝くじ預貯金は、割り増し金つき預貯金は、大蔵大臣は、国民の強い要望だとおっしゃいましたけれども、大かたは、何といいますか、射幸心をあおる、あるいは射幸心目当ての預貯金じゃないかとか、あるいはインフレマインドをかえってあおるんじゃないかとか、そういう批判もずいぶん強いわけです。ですから、オーソドックスにやはり預貯金の金利引き上げを一%でも、二%でも多くしたほうが私はいいんじゃないかと思います。最近、全繊同盟なんかも、預貯金の金利が低いということで、法廷闘争に持ち込もうということも伝えられておりますし、また、この前のいわゆる六兆円にのぼるボーナスが出たときに、ある会社では十六億円のボーナスを、一般の市中金利よりも二%金利を高くして、八億円ばかり、半分ばかりもう社内預金で吸収したというようなことも報道されておりますし、やはり国民は、オーソドックスな、そういう預貯金の金利を引き上げられれば、預貯金も私はふえると思うんです。やはり、こういう宝くじつき預貯金というふうなものは、射幸心をあおるというような批判もありますし、また、この金利が二%ぐらいに落ちますから、まあ当たった人はいいでしょうけれども、大部分の人は非常にまた低い金利に押えられるし、また、その宝くじつき預貯金をやることによって、結局、預貯金の金利の引き上げというオーソドックスな方針が押えられるんじゃないかという、そういう危険性もあるんです。そういった点からいかがでしょうか。
  64. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、御意見のほどはいろいろ考えまして、ひとつ妥当であるという線に持っていきたいと、かように考えます。
  65. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十一分散会      —————・—————