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成瀬幡治君
一つは、インフレマインドでみんなも
物価が上がるから、借金をしておけば得をするという、債権者が損して債務者が得をするというのがいまの時世だと思うのです。徳川時代に徳政ということがありまして、借金を棒引きにしたというのは、
一つのいい善政だというのがありましたが、いまは借金をしているのは、あの徳川時代のほんとうに
生活困窮者が借金をしているということもなきにしもあらずかもしれませんけれども、そうじゃなくて、いまやっておるのは、大体百五十三兆ぐらいですか、何か都市銀行の借り入れ総額があるということを聞いておるのですが、中身を洗ってみれば、中小企業よりも、むしろ大法人なり、いわゆる商社だとか、そういう大きなところが
設備投資なり、そういうものに大きく借りておるわけです。非常にそういう人たちがもうけておるわけです、実際問題として。そうして貯金、郵便貯金その他、年金等の掛け金なり、あるいは生命保険の掛け金その他等がどのくらいあるのかわかりませんが、大づかみには百三十五兆ぐらいあるといわれておりますが、この貯金者は、利子はなるほどもらっておりますけれども、大体損をしておるわけです。そこで、大づかみにいって、債権者と債務者、今度あなたも、貯蓄奨励のためには、低額所得者が貯蓄をした場合には、これは
田中総理の発想かもしれませんけれども、プレミアムを少しつけたらどうかというような構想も出ておるようでございますが、スライド制をブラジル等は取り入れて御案内のとおりインフレを押えるのに成功しておるわけなんですが、貯蓄奨励にからみつつ、
片方では借金をしておりさえすれば、借金をしていろいろなことをやれば得をするのだという、この
流れというものをどっかで英断をもって断ち切らなければいかぬ。断ち切ることが非常に大事である。
それから、老人問題が非常に出てきたということは、お年寄りが急にふえたんじゃなくて、退職金なり、年金で
生活をしようと思っておったら、
物価が上がってしまって
生活ができなくなった。これらはもう完全にインフレの波をもろにかぶっておる非常にお気の毒な人です。債権者が損をしておる
一つの例だと思う。ですから、この
流れを断ち切る、そういう方途というものを
政策上、ことばではもういきませんから、スライド制を取り入れる、たとえば貯金にプレミアムをつけるというのも
一つの手でしょう。それから恩給なんかもスライドさせますね。いろいろなことがございますが、そういうスライド制と申しましょうか、借金のほうにもスライド制をつける、預金のほうにもスライド制をつけるというようなのも
一つの方途だと思うのです。ですから、何か借金をしておる者が得をする、貯金をしたら損だと、物にかえにゃいかぬという、この
流れを変える方途というものをやらなければならぬということで、
大臣も、趣旨は、私は
考え方は、一緒に
考えておるのですが、さてそれじゃ何を、どうやったらということになると、なかなかその方途が見つからぬじゃないかと思うから、スライド制を、そういうものに取り入れたらいかがでしょう、
検討してもらえぬでしょうか、こういうことなんです。どうでしょう。