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1974-03-29 第72回国会 衆議院 法務委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十九日(金曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 羽田野忠文君 理事 青柳 盛雄君       井出一太郎君    片岡 清一君       島田 安夫君    住  栄作君       中村 弘海君    松澤 雄藏君       保岡 興治君    八百板 正君       正森 成二君    沖本 泰幸君       安里積千代君  出席政府委員         法務大臣官房長 香川 保一君         法務大臣官房司         法法制調査部長 勝見 嘉美君         法務省民事局長 川島 一郎君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局民事局長  西村 宏一君         最高裁判所事務         総局家庭局長  裾分 一立君         法務委員会調査         室長      松本 卓矣君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   塩谷 一夫君     福永 健司君 同月二十九日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     片岡 清一君   河本 敏夫君     島田 安夫君   千葉 三郎君     住  栄作君   中垣 國男君     中村 弘海君   福永 健司君     塩谷 一夫君   佐々木良作君     安里積千代君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     江崎 真澄君   島田 安夫君     河本 敏夫君   住  栄作君     千葉 三郎君   中村 弘海君     中垣 國男君   安里積千代君     佐々木良作君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法  律案内閣提出第一八号)      ――――◇―――――
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  内閣提出民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。安里積千代君。
  3. 安里積千代

    安里委員 先般、参考人意見の開陳がございまして、反対意見賛成意見が述べられたのであります。そこで反対意見賛成意見を概括的に私なりに感じましたことは、反対意見のほうに理があり、賛成意見のほうには実務的な、実際上の運営面のほうが主体になっておるか、こういうふうに感じられたわけであります。  そこで問題点は限られた問題点でございまするので、これまでのいろいろな質疑に重複する点があるかもしれませんけれども、さらに解明を与えていただくという意味において、煩をいとわず御説明願いたい、こう思っております。  まず第一に、この法案立案責任と申しますか、それは一体、法務省がなされたものであるか、それとも最高裁判所側において立案されたものであるか。法案作成経過についてどちらが主体になってこれは立案されたものであるか、お伺いしたいと思います。
  4. 勝見嘉美

    勝見政府委員 立案責任法務省において有しております。立案経過につきましては、調停制度運用に当たられておられる最高裁判所十分協議の上、立案したものでございます。  なお、それまでの過程について簡単に申し上げますと、すでに御承知のとおり、臨時調停制度審議会というものが最高裁判所に設けられまして、相当期間慎重に審議を加えられまして答申が出ました。最高裁がその答申に基づきまして法務省のほうに立法依頼がございまして、それに基づきまして法務省のほうで法案を作成した次第でございます。
  5. 安里積千代

    安里委員 筋から申しましても当然法務省立案の窓口と申しますか、責任だと思います。としまするならば、制度上のいろいろな基本的な改正が行なわれるわけでございまするので、当然法制審議会というものの議を経て提案されてくるということが考えられますけれども、いままでのお話の中から承りますと、法制審議会の議は経ていないように承っておりますが、そうであるとしまするならば、いわば異例なことをやられた理由はどこにあるでしょうか。
  6. 勝見嘉美

    勝見政府委員 御指摘のとおり、法制審議会諮問はいたされておりません。すべての法律改正につきまして、常に法制審議会にかかるわけのものでもございませんが、今回の法改正につきましては、先ほど申し上げました臨時調停制度審議会答申に基づく最高裁判所からの立法依頼ということが、いわば直接の契機であったわけでございますが、同審議会には学界経済界、特に法律学者それから実務家が参加されておりまして、十分法律的にも審議が尽くされたというふうに、私ども承知している次第でございます。その上この法案は御承知のとおり予算関係法案でございます。予算折衝が定まりませんと、法案改正には体をなさないわけでございまして、もちろんその事前におきまして、すでに臨調審答申が出ておりますし、最高裁の御意向としても法律改正ということを考えておられましたので、事務的には接触を重ねて法案の検討には入っておりましたけれども、正式の作業になりますと、予算が固まりませんと本格的な作業に入ることができなかったわけでございます。その意味におきまして、短期間のうちにまとめざるを得なかったという客観情勢もございます。  一方、冒頭に申し上げましたように、法制審議会は御承知のとおり基本法基本的な事項に関し法務大臣からの諮問ということでございます。私ども考えでは、このたびの改正調停制度の根幹をなしております国民司法参加、それから当事者の合意を前提とする紛争の解決というこの二つの理念につきましては何ら変更を加えるものではないというように考えている次第でございます。
  7. 安里積千代

    安里委員 裁判所にお伺いいたしますが、臨時調停審議会、これもこれまで御答弁があったと思いまするけれども臨時調停審議会構成、またその審議会においてこの改正の問題に関しまする審議経過と申しますか、概要について御説明願いたいと思います。
  8. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 臨時調停制度審議会構成につきましては、先ほど法務省からお答えございましたように、学界言論界、財界、さらに調停実務に携わる調停委員の方、それから調停委員としてまた当事者の代理人として参加される弁護士の方、それから立法関係法務省法制局等の係官、そういった方々によって構成されておるわけでございます。  審議経過といたしましては、四十六年の七月から四十八年の三月まで、総会及び部会合わせまして、合計十九回審議を重ねております。その間に多少幹事会で、これは非公式でございますが、幹事方々、これは実務家弁護士調停委員それから私ども関係者といった者が集まりましてこまかい問題を議論をしたことは何回かございます。その結果、約二年間の審議を通じまして大部分審議会委員幹事の方がほとんど全員一致といってもいいぐらいにまとまった意見答申の中では何々を「すること。」という形で答申としてあらわれておりますし、弁護士会、その他弁護士以外の方でも若干の方が異論を述べられたような事項につきましては「検討すること。」または「慎重に検討すること。」という形で答申がなされておるわけでございます。  この答申を受けまして最高裁判所といたしましては、調停制度運用改善のために必要な最小限度改善策を検討いたしまして、おおむね先ほど申し上げました大かた意見の一致いたしました部分に限りまして、一部は法律改正を要する事項、一部は規則その他運用でまかなう事項というものをある程度の仕分けをいたしまして、そういう制度改善前提といたしまして、大蔵省に対しては、予算を要する事項については予算要求をいたしたわけでございます。そこで大蔵省との折衝の結果、大蔵省によっておおむね私ども要求が認められましたので、それを前提にいたしまして、正式に法務省に対して法改正を要する事項については法改正を依頼した、こういう経過でございます。
  9. 安里積千代

    安里委員 いまの御説明では、審議会のメンバーに弁護士会からも加わっておるように承ったのでありますが、日弁連からの参考人意見によりますと、この問題について日弁連としましては反対意見の陳述がございまするし、またそれに日弁連として無関係であったというふうな趣旨のことが述べられておりますが、そういった司法の一端をにないますところの弁護士会の正式な意見の聴取ということは、この審議会の場においてはなされてなかったわけでしょうか。
  10. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 臨調審委員幹事の方につきましては、弁護士の方につきましては正式に日弁連に推薦を依頼いたしまして、委員の方三名、幹事の方二名にお入りいただいたわけでございます。  私ども当時聞くところによりますと、この臨調審自体は四十六年の七月から審議を開始したわけでございますが、四十七年の一月に日弁連司法制度調査部会の中に調停制度に関する特別部会というのが設けられて、日弁連日弁連臨調審と並行して調停制度改善についての審議を始めておられたということでございます。そこで、臨調審のほうの委員幹事弁護士として参加されている方々も、この日弁連の中の調停制度に関する特別部会に御出席になられまして、臨調審協議経過等もお話しになっておられたというふうに伺っておるわけでございます。また日弁連から推薦されました臨調審委員幹事方々は、日弁連内での御意見臨調審の中で発言していただいていたものと私どもとしては理解しているわけでございます。  なお、日弁連は、四十七年の十月に意見書臨調審あてに提出されておられます。この意見書は、臨調審委員幹事全員に配付されております。臨調審委員幹事全員日弁連の御意見を十分承知した上でもって臨調審審議を進めておられたものというふうに了解いたしているわけでございます。  日弁連からは、四十八年の三月二日、なお意見書臨調審あてに提出されております。間もなく三月の末に臨調審としての答申をまとめたわけでございますが、そのまとめる段階におきまして、これら日弁連意見書は十分しんしゃくされまして、答申の中に盛り込まれておるわけでございます。  以上が臨調審を設けておりました当時の弁護士会方々の御意見臨調審として吸収してまいった経過ということで御報告申し上げておきます。
  11. 安里積千代

    安里委員 それでは具体的な問題になっている点についてお伺いしたいと思います。  従来の調停委員でありましても、候補者制度をとっておりますけれども、それが事件を担当いたしますと、これはやはり非常勤国家公務員たる立場になるかと思います。その点は間違いないでしょうな。
  12. 勝見嘉美

    勝見政府委員 仰せのとおりでございます。
  13. 安里積千代

    安里委員 そうしますと、明文がございませんでも、裁判所から任命をされて調停仕事に携わるということでありますというと、非常勤公務員ということでございますが、この改正において特に非常勤とするというふうに明文化しなければならなかった理由はどこにあるのでしょうか。
  14. 勝見嘉美

    勝見政府委員 現在の候補者制度のもとにおきまして、事件指定を受けますと非常勤公務員であるというふうに解されておりますことは先ほど御指摘のとおりでございます。このたびの改正によりまして当初からの任命制にした理由はまたいずれお尋ねがあろうかと存じますけれども、当初からの非常勤公務員につきましては、従来の例を見ますと、やはり非常勤とするという条文を設けましてその身分を明確にしているのが例のようでございます。
  15. 安里積千代

    安里委員 そうしますと、これは身分を明確にするというだけのことでございましょうか。身分を明確にしませんでも、指定を受けた調停委員というのは非常勤公務員だ。その身分を明らかにするというだけの意味しかないのでしょうか。
  16. 勝見嘉美

    勝見政府委員 条文上のあらわれ方としてはそうお答え申し上げたわけでございますが、当初からの非常勤にすることの理由につきましては、また実質的な理由がございます。当初からの非常勤公務員につきまして身分を明らかにしたという趣旨でございます。
  17. 安里積千代

    安里委員 身分を明らかにするというのは、給与などの関係と、あるいはまた任命権者関係と特に関係が出てくるんじゃありませんでしょうか。
  18. 勝見嘉美

    勝見政府委員 そのとおりでございます。最後に御指摘待遇面につきましても、現在の調停委員候補者につきましては給与法手当というものを支給することが――現在支給されておりませんけれども、その身分が明らかになったことによって手当支給することができるという意味でもただいま御指摘のとおりであると考えております。
  19. 安里積千代

    安里委員 これは日本調停協会連合会からの要望書にも書いてありますように、調停委員待遇改善ということも要請の中にございます。確かにいままでの制度の中で、単に日当旅費などを支給する、それがわずかな金額である。そういった金額でこのような大きな、大事な仕事を委嘱しておられる。これに対しまする費用というものが非常に少ないという感じを受けますので、これは上げられるべきものだということは異論がないと思うのです。問題は、従来の制度では調停に対しまする手当支給というものができないであるか。なお言いますならば、しいてこういうふうにやらぬでも、従来の規定の中におきましても事件指定されました場合には非常勤公務員になる、したがって非常勤公務員に対しまする手当としてこれを支給する道というものは、給与法上可能な道があるんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、それは給与法上差しつかえる点があるのでしょうか。
  20. 勝見嘉美

    勝見政府委員 ただいま御指摘のとおり、調停委員事件限りの非常勤公務員であるといいましても、いずれにしても非常勤公務員でありますから、その職務の遂行に対しまして報酬として給与支給考えられるべきであることは御指摘のとおりだと思います。しかしながら、現在の調停委員制度は、いわば民間篤志家の善意、無償奉仕に依存しているというふうに考えられておりまして、形式的にいま御指摘のとおり民調法九条、家事審判法五条に、調停委員には旅費日当及び宿泊料家事審判のほうは止宿料といっておりますが、それを支給するという規定だけしかございません。私ども解釈といたしましては、この反対解釈といたしまして、調停委員には給与支給しないということになっていると考えております。また裁判所職員につきましては、裁判所職員臨時措置法を通しまして一般職職員給与法の準用がございますが、その二十二条一項に定める手当支給するには委員としての、給与法規定する委員としての一般的な資格要件が必要であると考えております。現行調停委員につきましては、給与法二十二条で予定している資格要件というところまで達しているかどうかについてやはり問題があるのではないか。結論といたしましては、手当支給するには二十二条一項にいう委員としての一般的な資格要件が必ずしも十分ではないというふうに考えられるわけでございます。今回の改正はこの体制を改めまして、先ほど御指摘のように身分をはっきりいたしまして、その種の障害を除去しまして、要件は二十二条一項の委員たる要件を補充しようというものでございます。  また現在の調停委員現行法下調停委員は、先ほど御指摘のとおり事件指定によって非常勤たる公務員身分を取得するのでございますけれども、その際、指定主体である者は調停主任あるいは家事審判官といういわば手続機関指定するということになっているわけでございます。一方、一般公務員考えてみますと、給与支給するにはという反対の言い方になりますが、公務員たる身分を取得するためにはやはり本来の行政機関主体任命主体になるべきではなかろうかと思います。その意味におきまして現行法下調停委員任命といいますか、いわば指定はほかにあまり例を見ない変則的なものであろうかと思います。  今回の改正は、ほかの要請もございまして、当初から非常勤公務員として、司法行政機関として裁判所、現在最高裁判所最高裁判所任命するということをお考えになっていらっしゃるようでございますけれども、いわばはっきりした司法行政機関によって任命されるということになりますれば、この点もすっきりした形になるわけでございます。  以上のような体制を整えまして調停委員に対して手当支給できるということになったわけでございます。
  21. 安里積千代

    安里委員 この法律の立法しました本来の趣旨からいって、いま御説明にありましたとおり本来調停委員というものが無償奉仕ということがたてまえ、一般民間人争いごとに対しまして関与して無償奉仕をするというこういうような精神から生まれた、それも手当として支給しなかった一つの原因じゃないかと思いますし、また無償奉仕であるというような立場からするというと、わずかな日当旅費実費支弁というふうな考え法律が生まれた当時の精神だと思うわけですが、そうしますと、今度の改正によって非常勤公務員として位置づけて、そしてこれに手当支給するということになりますと、この法制定当時の、一般民間人調停委員として奉仕するというような基本的な精神とはだいぶ変わってくるような感じがいたすわけでございますが、その点どうでしょうか。
  22. 勝見嘉美

    勝見政府委員 御指摘のとおり、無償奉仕という精神が消滅してしまうという点は全くおっしゃるとおりだと思います。ただ、先ほどもほかの御質問にお答え申し上げましたように、調停制度理念一つとして国民司法参加ということが基本だと思います。その基本的な姿勢は全然くずしていないというふうに私ども考えておる次第でございます。なるほど、現在の候補者制度のもとにおきましても十分りっぱな方に来ていただけるのではないかということが考えられるかと思いますが、確かにある少数特定の人、りっぱな方に来ていただけない制度ではございませんので、その意味では必ずしも実際上の問題としては不可能ではないというふうに申し上げざるを得ないと思います。  現在の社会情勢の急激な変化ということは、事件の中身の困難化複雑化ということになってまいりまして、はたして複雑、困難化した事件につきまして、その種の制度のもとで指定された調停委員によって十全に機能できるかどうかというような問題が新たな問頭として提起されてきているものと思います。現行制度は、いわゆる候補者制プラス日当制という形になっておりますが、それ自体制度としては必ずしも高い資格要求しておらない。現行最高裁規則によりますと徳望、良識ということが資格要件になっておりますけれども、従来の考え方は徳望ということに重点が置かれてきたのではなかろうかと思います。また一方、候補者制ということで、必ず事件を担当するという制度になっておらないというようなことから、一般調停制度にもろもろの批判が加えられておりますけれども、この制度の弊害がだいぶ現実化しているのではないか。  具体的にいいますと、名誉職という観念調停委員の中に固定してしまっているのではないか、あるいは調停委員そのもの固定化、それから現実の問題としては高齢化、いわば新陳代謝が非常に円滑にいっていない。非常にというと差しさわりがあるかもわかりませんが、新陳代謝がうまくいっていないというようなことがあろうかと思います。そのようないわば制度としての改善の必要と社会からの要請というものが相まちまして、今度の制度改善という方向に踏み切ったものでございます。
  23. 安里積千代

    安里委員 関連しますが、裁判所におきましては、従来、調停委員の方にも毎年いろいろな表彰をされておられるはずでございます。この裏には、いま言いましたところのほんとうに無料で民間人奉仕するんだという観念、それに対しまして裁判所側として表彰ということになったんじゃないか、こう思いますけれども、この表彰をしておられます趣旨あるいはまた表彰されます審査の対象となるようなもの、これは従来どういうふうにしてやられておるのでしょうか。
  24. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、調停委員方々に対して、叙勲とか藍綬褒章等の上申、さらに裁判所内部におきます最高裁判所長官表彰高等裁判所長官表彰等が行なわれておるわけでございますが、いずれもその選考にあたっての基準といたしましては、調停委員方々調停事務に対する御功績を顕彰するという趣旨でございます。したがいまして、ある程度の期間、ある程度の事件数を処理されたということを一応基準にいたしまして選考を行なっておるというのが実情でございます。
  25. 安里積千代

    安里委員 そうなりますと、今度はほんとうに従来の、民間人としての奉仕精神というのが失われる、まあ完全に失われるわけじゃないでしょうけれども、新しい非常勤公務員としての位置づけ、それが従来とは変わった形になるわけです。扱う事件の数、担当される仕事の分量にもよるかもしれませんけれども、従来から、そのように奉仕的な仕事をされたという意味も、おそらく私は裁判所として表彰される中にはあったと思うのです。これが公務員というふうになってきますと、裁判所としてこれまでやっておりましたそういう表彰あり方、公の争い調停委員として尽力されたことに対する従来のあり方というのも今度は変わってくるんじゃないか、こういう気持がしますけれども、その点においては変わりはございませんか。
  26. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 根本的には民間人として調停仕事に御尽力いただいたということに対する表彰でございますので、手当支給することによって表彰が変わるということはないというふうに私ども理解いたしております。
  27. 安里積千代

    安里委員 調停委員仕事は非常に大事な仕事であり、争いごとが互譲の精神に基づいて円満に解決していく。どんな公正な裁判を受けましても、そこには不平不満、いろいろなものが出てきます。もちろん調停そのものが、あとでいろいろ出てきましょうけれども、必ずしも満足する結果を来たさない場合もあり得るとは思います。それ以上に裁判を受けることによって黒白をつける、これも権利関係というものがいろいろ明らかになってきた今日の段階におきましてはいいことでございますけれども、どんな場合におきましてもいろいろな不平不満当事者間に出てくるということは免れないことだと思います。したがいまして、そういう中にあって、少なくとも裁判の云云というだんびらを振り回した判決を受けるよりも調停によって話をつける。調停委員はそれに奉仕するというたいへん大きな仕事関係される。しかもこれは民間司法参加ということで非常に有意義なことでございますので、単に奉仕精神だけでなくして、奉仕精神をくみながらもこれに対して相当の手当支給するということは当然なことだと思うのです。私は、従来なぜ手当をやらなかったのかということに疑問を持つわけなんですが、それはより多く奉仕精神ということが主体になっておったんじゃないかと思っております。  先ほどの御説明にありました給与法との関係でありますが、なるほど、非常勤公務員になるというのは、調停審などの指定に基づいて初めて委員になる、いわばその段階において若干の疑問も出てくるわけでございますけれども、しかし候補者として指定をする段階において、それぞれ裁判所のいまでいう任命権者の行為というものがそこにあると思うのでございますので、具体的に非常勤公務員になるということは、その事件を担当する裁判所においてなされるでございましょうけれども、いずれの場合におきましても非常勤公務員であるということに間違いないとしますならば、給与法の二十二条の関係がそんなに疑問になってこないじゃないか、待遇改善の面のみを考えますならば、従来の制度におきましても給与法の二十二条によりまして手当支給ができたんじゃないかと思います。御承知のとおり給与法の二十二条は、「委員、顧問若しくは参与の職にある者又は人事院の指定するこれらに準ずる職にある者で、常勤を要しない職員については、勤務一日につき、」云々と、その「範囲内において、各庁の長が人事院の承認を得て手当支給することができる。」と、こうありますので、もしいまの制度にしなければ手当支給することができない、日当や実費弁償だけでは不十分だという観念ならば、私は疑義があるわけです。いまの制度の中においても手当として支給し得る非常勤公務員としてできるんじゃないか、こう思うのですけれども、私はいま給与だけの関係においてお聞きするわけですが、必ずしもこの改正案のようにしなくても、現在のような状況におきましても非常勤公務員たることに間違いございませんので、それは給与法の二十二条の趣旨に従って現在の制度の中においても手当支給することができるんじゃないか、こう思うのでございまするけれども、いかがでしょうか。これはどうしても給与法上ぐあい悪いのですか。
  28. 勝見嘉美

    勝見説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、現行調停委員制度がいわゆる候補者制度をとっているから二十二条の委員として手当支給できないというふうに断定的に結論づけることは、御指摘のとおり確かに問題があろうかと思うのです。ただ現在の制度といたしまして、先ほども申し上げましたように二十二条の一項の意義は、これも先ほど先生の御指摘のとおりなんですけれども、顧問、参与と並んでおりまして、いわば高い学識経験を有する民間人であるということを一応予定してあるものではないか、ということでありますれば、現在の調停委員につきまして、必ずしも二十二条一項での委員要求しているほどの資格要件要求していないのではないかというところにやはり問題があろうかと思います。形式的には、先ほど申し上げましたように、手当支給しないという法律解釈論でございますが、いまの御説はその点を改正すれば手当支給できるのではないかという御意見かと存じますけれども、いま申し上げました二十二条一項の委員要求されている資格要件ということはやはりなかなか突破できない問題であろうかと思います。それからこれも先ほどの御質問の中にもございましたように、任命権者の問題も変則的である、ほかに例がないというようなところにもやはり問題があるということでございます。
  29. 安里積千代

    安里委員 今度の改正前におきまする実情をお伺いしたいと思うのでございますが、候補者制度をとりまして事件ごとに指定をされるという仕組みでございましたが、候補者であって調停委員としての指定を受けずに終わってしまうというような者が、これはパーセントでよろしゅうございますが、どの程度候補者として指定を受けながら事実上調停委員仕事をしない、指定を受けないという方がどの程度ありますでしょうか。
  30. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 おおむね二〇%強の方が全く事件を担当されないで終わっておられるということだそうでございます。
  31. 安里積千代

    安里委員 そうしますと、八〇%の方は事件指定を受けておられるという実情だということでございますが、そうすると、ある程度現在の制度の中で調停仕事に携わる方というものは、やはりり固定化――固定化といっては語弊があるかもしれませんけれども、もちろん候補者になる方が毎年毎年かわるはずでございまするけれども、その候補者そのものも実際の面におきましてはそうあまり差がなくて、ことしも来年も候補者指定を受けるという方が多いと思うのです。またそういう趣旨で選定をされたはずでございます。その中で指定を受けるということになりますと、やはりある限られた方というものが何回もあるいは一年の中におきまして数多く指定を受けなさる。だから事実におきましては今度の二カ年におきまする非常勤公務員としての任命を受けぬでも受けたのと同じように現在の制度の中におきましても幾ぶんやはり専門的、これもことばの語弊があるかもしれませんけれども候補者の中におきましてある特定の方々が継続して仕事をしていらっしゃるというのが実情じゃないでしょうか。したがって、あとで研修とかいろいろな問題があるようでございまするけれども、そういった面からしましても、現在の制度もそれからこれから行なわれます制度の中におきましても、調停委員になられる方々というものはある程度固定化された、なお言うならば専門化されたような状態に現実にあって、その点においてはこの改正においても実質的にあまり変わりないというような結果でないかと思うのですが、どんなもんでしょうか。これは裁判所側のほうがおわかりでございましょう。
  32. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 現在の候補者制度をとっておりますと、先ほど申し上げましたように、候補者の中で二〇%強が全然事件に関与しない方がおられるという結果が出るわけでございます。これは当然候補者制度というものが必ずしも事件を担当していただくということを前提としないで、お願いする。事件を担当しないことがあり得ることを前提として、調停委員候補者にお願いしているという制度から出てくるわけでございますが、それが一方におきまして、やはり積極的に事件を担当しようという方は事件数をたくさんお持ちになるということが出てきておるわけでございますが、それが一面で非常にりっぱな方々がある程度の時間の余裕がございまして事件を相当程度処理していただけるということであればけっこうでございますけれども、一面におきましてはやはりそれが調停委員の職業化という形での非難に結びついてきておるわけでございます。こういう決定が出てまいりますのはやはり候補者制度前提とするからであるというのが臨調審におきます審議におきましても強く指摘されたわけでございまして、今度の身分非常勤調停委員に改めるということの目的の中には、そういう弊害を除去しようということも入っておるわけでございます。もちろん、非常勤調停委員になっていただいたからといって、ある一定数の事件は必ずやっていただくというわけにはおそらくまいらないだろう。やはり時間の余裕のある方にはある程度の事件をやっていただかなければならないし、あまり時間の余裕のない方には少しの事件を担当していただくということになろうとは思いますけれども、全く事件を担当しないということを前提としてはお願いしない、必ず何らかの事件は時間の余裕のある範囲内においてやっていただく、こういうことになるわけでございます。したがって、調停委員方々の中にはある程度よけい事件を担当される方もあるし、またあまり事件を担当しないという方も結果としては出てくるということは十分予測されます。だからといって、調停委員の職業化という問題のないようには十分に事件の分配等において配慮できる制度になるであろう、そう考えております。
  33. 安里積千代

    安里委員 端的に申し上げまして、候補者制度をやめて二カ年の非常勤職員として任命をする、これにはいろいろな説明がありましょうけれども、これによって得るところのもの、このほうが非常に都合がいいんだということを一言で言うとどういうことになりましょうか。
  34. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 結局、結論的に申し上げますれば、調停委員として非常に適格性のある方、すぐれた方々にそろって調停委員になっていただく、要するに、水準を一定以上に保つことができるという点と、今度の法案にもございますように、調停委員会の構成員として以外に、専門的な知識、経験を持っておられる方にはその能力を調停事務の上に活用していただける道が開ける、この二点にあるのではないかというふうに考えております。
  35. 安里積千代

    安里委員 これは従来の制度であろうと今度の場合でありましょうとも、調停事件の扱いをなされる方々というものはある程度何回もこの仕事に携わられ、経験も積まれる。その間に調停委員の技術的な面も上昇してくるでございましょうし、私はその点においては変わりないと思いますが、結局問題は他の改正の点、ほかの裁判所の命ずる仕事ども、つまり担当する事件以外のものもできるのだ、こういうところに、非常勤公務員としての位置づけによりましてあらかじめ公務員になっておりますので、事件を担当しようとしまいとそうなっておりますので、ほかの事件の調査あるいはまたその他の裁判所の命ずるところの仕事にも携わることができる、こう拡大されるところに今度の制度のむしろねらいというものがあるのじゃなかろうか。待遇の改善の問題は、私はこの改正がなくても前のほうでもやろうと思えば手当支給できたはずだというふうに思っておりますけれども、しかしあわせて待遇の改善がなされますけれども、ねらいというものはそこにあるのじゃないか。要するに、調停委員仕事の拡大ということが、一々指定によって非常勤公務員になるのだというよりもこのほうがすっきりする、また、ほかの案件も担当できるような道というものが私は主体じゃないか、こういうふうにも思うのですが、どんなものでしょうか。
  36. 勝見嘉美

    勝見政府委員 改正後におきましても、調停委員の職務はあくまでも調停に関与することだと考えております。このたびの改正法案に盛られておりますいわゆる調停委員の単独事務と申しますか、調停委員限りで行なえる事務につきましては、限定された範囲内におけるいわば当該調停事件の補助的な仕事であるというふうに考えております。その意味で、調停委員の職務そのものが根本的に変更されたというふうには私どもは認識しておりません。また現実の問題としても、いわゆる単独事務の内容を見てみますと、本来調停に関与している際に行なう事務と質は同じものであるというふうに考えております。  ただ御指摘のとおり、このたびの改正法案の中の一つのねらいかというお尋ねでありますれば、やはり一つのねらいである。それはあくまでも質の高い方に来ていただくということで、その方の力をお借りする、あまりいいことばではございませんでしょうけれども、活用するというところにまた一つのねらいがあるというふうに考えております。
  37. 安里積千代

    安里委員 私は、質の問題ということになりますと、なかなかこれは異議が出てくるのですけれども、それはいいでしょう。むしろ八条によりまするところの、従来なかった、「裁判所の命を受けて、他の調停事件について、専門的な知識経験に基づく意見を述べるとか、あるいは嘱託に係る紛争の解決に関する事件関係人の意見の聴取」もする。従来の制度でありますと、こういったこともできなかったろうと思うのです。それができるようになって、活動の部面というものが拡大されるというところに私は意義があったのではないか、こういうふうに思うわけです。質のいい人云々という問題ならば、従来の候補者制度の中においても十分私は可能である、こう思いまするし、それに対する手当の問題も、あえてこのような改正がなくてもできる道はあるんじゃなかろうか、こういうふうに思うわけです。これはよろしゅうございます。  そこで、これはもちろん一般人からも、それから地方公務員あるいは国家公務員からも任命し得る、また、されるでございましょうね。
  38. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 一般公務員からも調停委員にお願いできることはできるわけでございますが、その他の常勤の公務員については実際問題として時間的余裕等が少ないのでお願いしにくいであろうと思いますけれども、できないわけではございません。
  39. 安里積千代

    安里委員 地方公務員、あるいは調停委員の成果をあげまするためには、地方の民間の有力者もそうでありましょうけれども、たてまえからしまするならば地方自治体におきまする有力な職にある方々でも、これはたてまえからは可能でございましょう。一般公務員でももちろん可能であると思うし、大学の教授あたりももちろんそうでございましょうし、あるいは地方公務員、地方の教職員であっても私はこれは可能であると思うのです。しかし裁判所とされましては、実際に時間の関係で云々ということで、実際の任命の場合にはそういった人々を避けようというお考えなのですか。
  40. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 私の申し上げましたのは、一般職の常勤公務員の場合は比較的時間的に余裕がとりにくい、本来の職務の関係でむずかしいだろうということを申し上げたわけでございますが、各自治体の市町村長あるいは議会の議員、大学その他の学校の教職員というような方々には、もちろん調停委員として大いに活動していただきたいと考えております。
  41. 安里積千代

    安里委員 そういう一般公務員あるいは地方公務員あるいは学校の先生、こういった方々調停委員として任命された場合にそれに対する手当給与というものはどのように処理されますか。
  42. 勝見嘉美

    勝見政府委員 一般論を申し上げますと、改正法案におきます任命制をとります調停委員は、いわば特別職になります。一般職国家公務員の場合を例にあげて申し上げますと、先ほどの御指摘の兼ねることができるかという問題につきましては、私どもももちろんできると考えております。もちろん所要の手続を踏まなければなりませんが、できると考えております。それから裁判所のほうとしては調停委員としての手当支給できる。ただ職員調停委員の職務遂行のために勤務時間をさいている場合にはその分だけ給与が減額されるということになろうかと思います。地方公務員につきましては各地方自治体、それぞれの定めがあろうかと思いますので、一律には申し上げられませんが、やはりそういう定めに従って減額されることがあり得るというふうに考えております。
  43. 安里積千代

    安里委員 大学、学校はどうでしょう。
  44. 勝見嘉美

    勝見政府委員 学校の先生につきましては特に特別の規定がございまして、国立学校の場合におきましては、その時間の割り振りというものが国立学校の長に権限が与えられているようでございます。したがいましてその割り振られた時間外に調停事件の処理を担当するということでありますれば給与の減額の問題は生じないというふうに考えております。
  45. 安里積千代

    安里委員 私がいま申し上げましたのは給与手当関係あるいはまた本人の勤務的な関係からしまして、いまのこの改正になってきますと、調停委員になられる方々というのが非常に狭められた、限定されたことになってきて、国民一般司法に対する民主的な参加の面というものが事実上非常に狭められてくる可能性というものがないかという点が気になるから申し上げたわけでございます。給与関係には確かに一般公務員だとかあるいは地方公務員、学校の先生方、これは給与は二重取りするわけにいきませんので、あるいはまた調停委員事件を担当している間本来の職務を休むということになりますので、それらの関係からいろいろな制限というものがなされてくるのじゃないか、こういうふうに思うから申し上げただけであります。  そこで十六条の二の今度の改正についてお聞きしたいと思いますが、お話を聞いておりますと、大体わかるのでございまするけれども、法文そのものを見ますと疑義が生じてくるわけでございます。  まず第一に、「調停委員会は、当事者間に合意が成立する見込みがない場合」この場合「当事者間に調停委員会の定める調停条項に服する旨の書面による合意があるときは、申立てにより、」調停委員会において案を出して、それで調停が成立したとみなされるということになるわけでございますが、調停が成立する見込みがない場合に調停が成立したことになる。この見込みがない場合ということをもう少し――これは一般的に見ますと、見込みがない場合にこうするということになりますと、見込みがないのに調停をした、形においては強制的に調停が成立した、押しつけの調停ができたというふうな感じが成文解釈の上から生まれてくるわけでございますが、もっと具体的に「成立する見込みがない場合」というものを御説明願いたいと思うのです。
  46. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 「合意が成立する見込みがない場合」と申しますと、抽象的に申しますと、当事者双方が相当譲歩して煮詰めてきた、しかしわずかなところであるけれども、最終段階での合意が成立する可能性がない場合である。しかし双方とも何とか紛争はこの機会に解決したい、こう切望している場合ということになるのではないかと考えるわけでございます。そういう場合でございますと、確かに仰せのとおり調停委員会のほうでそれではこういう案ではどうかという具体的な案を提示すれば、それを契機として両者の間で調停が成立するという場合が多いであろうということは十分推察できるわけでございます。しかしたとえばこういう事例が他に考えられるのではなかろうかというふうに考えます。たとえて申しますと、交通事故に基づく損害賠償の調停事件考えてみた場合に、相手方となっている加害者が、その交通事故につきまして刑事被告事件が係属している、業務上過失傷害というようなことで刑事事件が係属している。その刑事事件の中では被告人としては過失の有無あるいは過失の程度等を真剣に争っている。ところが一方で調停のほうでは被害者側の要請をある程度受け入れて調停としては成立させたい、しかし調停当事者の合意という形で成立させますと、自分の刑事事件において主張している過失の有無なり割合について不利益に認めたことに結果としてなってしまう。それはやはり立場上困る、刑事事件のほうはあくまで刑事事件として争いたいと考えておるような場合におきましては、合意という形で成立させないで調停委員会がしかるべき案をつくって、それできめてくだされば民事事件のほうはそれで解決したい、そういうことから、この十六条の二の適用を欲するという場合が考えられるのではないか。また同じく自動車による交通事故のような場合におきまして、額がきまれば保険会社から保険金の支払いができる場合におきまして、保険会社には保険会社なりの一応の損害の算出基準というものがあるわけでございます。その当該具体的な調停事件において問題となっている事案では、その具体的な基準よりも高い額でもって、認めてもよいという場合があり得るわけでございますが、一般的な基準に反する調停条項、当事者の合意によって金額がきまってまいった場合には、保険会社としてはそう簡単に払うわけにはいかない。当事者として見ますれば、調停が成立したのだから、これを払ってくれと言ってもすぐには払われない。そこで当事者としては相当保険会社を説得した上でなければ、支払いを受けられないという場合があるわけでございますが、こういった場合でも合意という形でなしに調停委員会がきめたんだという形できまってくれば、保険会社のほうとしてはスムーズに支払いの手続ができる、こういう場合があり得るのではないか、したがいまして、実質的には当事者間に調停は成立しているけれども、形式的にはやはり調停委員会がきめたという形にしてほしい、こう希望する場合があり得るのではないかと思います。また同じような事例になるかもしれませんけれども、たとえば船舶事故等で多数の人が被害を受けた、それで会社と被害者との間でもって示談折衝をした。大部分の方はその示談で話がついた、しかしごく一部の方がそれで納得できないで調停の申し立てをした、こういう場合で、その被害者に関する限りは会社側としても事情をよく調べた上でほかの被害者、示談で成立いたしました被害者との関係よりも少しよけい支払ってもよいという場合であっても、ほかの被害者との示談の手前上、やはり合意で成立したという形をとりにくいという場合があり、そういった場合にはこの調停委員会の決定したところに従ってきめてほしい、こういう場合があり得るのではなかろうか。そういったような例を考えますと、やはり十六条の二というのは非常に大きな意味を持ってくる。当事者にとっては紛争解決の上でもって非常に役に立つ制度一つであるということはいえるのではないかというふうに考えるわけでございます。  なお、成立した合意が相当でない場合ということになりますと、考えられる事例といたしましては、関係人の間でもって積極的に条件を出し合って話を進めてしまって、結局合意がそこで成立した、その段階で、調停委員会が合意された調停条項を見たところ、法律的な観点から見まして適法ではない、あるいは不相当であるというふうに判断した場合ということになろうかと思います。たとえば当事者の合意された内容が利息制限法違反の利息の支払いを含んでいるというような場合には相当でないということになるわけでございます。しかし、この場合におきましても、おそらく調停委員会がその点を指摘いたしますれば、そこで調停が成立する、適法、相当の範囲内でもって調停が成立するという場合が多いのではないかと思いますし、特に今後は調停委員の活動がきわめて積極的に適切なアドバイスをして調停を進めるということであれば、この成立した合意が相当でない場合というのは適用の余地がほとんどないのではないかというふうに考えられるわけでございます。したがって、十六条の二の中では「合意が成立する見込みがない場合」というのがもっぱら今後活用される可能性がある、そういうふうに考えております。
  47. 安里積千代

    安里委員 単純に考えますと、当事者間に合意が成立する見込みがない場合でありますから、見込みない場合は不調に終わる、これが単純な考え方になるかと思います。不調に終わるものをしいて調停に持っていくというところにひっかかりがこの文章の上から見えるわけです。また合意が相当でない場合、確かにいまおっしゃったような法律違反だとか、あるいは場合によりましてはいろいろな圧力でもって公序良俗に非常に不平等な解決のしかた、あるいは合意を押しつけられたというような外部からのものもある場合もあると思います。それらの問題を想定しての規定だと思いますが、この間の参考人反対意見の陳述の中にも、現在この制度を採用している商事調停、鉱害調停ではほとんど活用されていない、こういわれているということでございますが、実際この法が現在あるのに活用されていない。この参考人意見から見ますと、現実にこういう問題はあまり起こってないように受け取れるのです。とするならば、今度の改正においてもこれが活用――どういうわけでこれがいままで活用されていないのか、その原因はどこにあると思うのでしょうか。
  48. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 現行法のもとにおきましては、商事調停と鉱害調停に関する特則として規定されておるわけでございますが、商事調停につきましては、戦後は商事調停一般の民事調停の区別がほとんどなくなりまして、商事調停として取り扱われる事件数が非常に少なくなってきているということが一つの原因であり、鉱害調停につきましては、事件数自体がほとんどございません。そういったような関係で活用される、利用されている例がきわめて少ないということがいえるのではないかと考えております。
  49. 安里積千代

    安里委員 いま御説明がありました合意が成立する見込みがない場合、ある程度まではきたけれども、それ以上のことについてはいろんな関係からなかなか合意に達しない。そこで調停委員調停条項にまかすあるいは法律違反とか不相当なものが出てくる、これも調停にまかす。これは話はわかるのです。けれども、私が申し上げるのは、これは調停事件なんです。だから、成立する見込みがない、しかし、もう一歩すれば調停が可能であるということの場合にこういう手続をするというのでありますが、それならば、調停委員の職務といたしまして、調停委員が、これはもう一歩というところならば、むしろこういう書面を出して、書面で承諾して云々というような、また申し立てによってというような形式を踏まえませんでも、調停の中においてそれが出てくるのじゃないか。あるいはまた不相当であるところの合意事項を持ってきた。これは不相当だ、なぜならこうだ、これは公序良俗に反するし、法律違反だという説得というものが当然調停の中において行なわれるのですから、あえて書面を出して「書面による合意」云々とせぬでも、それこそ調停の中におきまして合意が成立するということになるのじゃないか。見込みがないものを、しいて書面で調停にまかす、こういうことまでしてやるというところに何かひっかかりがあるわけです。いま御説明になったような問題があるとしますれば、当然調停委員の説得、説明によりこうしたらどうかというところのものが必ず出てくると思うのです。あえてこういうことをせぬでもできるのじゃないか。これまで例が少なかったということが、商事調停の中にあるということが弁護士連合会から指摘されておりますけれども、実際上それは表面にあらわれずに、そのようなことでもって調停ができてくるというところに原因があるのじゃないかと思うのです。特に、なぜこのことを私申し上げるかといいますと、本法の第一条の目的、互譲の精神に基づくということがこれによって非常にくつがえされる。民事調停法の一番冒頭にあります目的というものが、形の上でこれによって見込みがないものに対してこうやるという感じを受けるわけです。実情はよくわかるわけでございますけれども、しいてこういうものがなくても、実際面においてそのような調停というものが、もう一歩というところのものは可能じゃないか。これでもなおできなければ、調停不能に終わっていいんじゃないか、こういう感じがするのでありますが、最後にその点につきまする御意見を承りたいと思います。
  50. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 ただいまの御意見のとおり、多くの場合は調停委員会の適切なアドバイスによりまして調停として成立することになろうかと存じますが、先ほど申し上げました事例のように、実質的には譲歩による調停条項案が考えられるけれども、形式的な形でもって調停委員会のきめた調停条項という形にしておいてほしいと当事者が切望する場合があり得るわけでございまして、そういった場合には、まさにそういう当事者の真意、調停を不調にすることによってまたあらためて紛争をむし返し、訴訟なり何なりで争わなければならぬということを避けたい。何とかこの調停事件の中で処理したいと考えて、当事者双方が煮詰めた段階のワク内におきまして、調停委員会のきめていただいたところに服したいと考えておるところに、まさに互譲の精神、互譲による平和的解決の調停制度の本質が生きてくるのではないかというふうに確信いたすわけでございます。
  51. 安里積千代

    安里委員 私の質問は終わりますが、何とかこの条文のあらわしようが、いま説明された趣旨がくめるような条文にできないか、こう思う気持ちがするわけであります。本法案に対しましては、どうしても調停委員手当というものを多くしなければならない。それから身分というものをはっきりさせる、こういった点あるいはまた遠く離れた、遠隔地における当事者の意思というものをはっきりさせて調停を成立せしめる、こういったいろいろな改正しなければならぬ点があるということもわかりますとともに、指摘されておりますような、この法の精神あるいは手続の面においていろいろと疑義の出てくる点があると思いますけれども、それは私は、結論いたしますならば、一つの疑義として提案されてありますものは、この法が運営される面において私は問題があると思います。どういう方を調停委員にするか、あるいはまた調停委員にほかの仕事を命ずるというような問題、あるいはいまの十六条の二の成立の見込みがない云々というような問題もあわせまして、疑義として指摘されるものは運営の面において十分カバーできる問題じゃないかと思うのです。ですからこの法が改正されることによって、反対意見が十分指摘されておる点、これは多く理由があると思うのでございますので、これらの点が実際面においてあらわれてこないように、運営し活用する面において留意してもらうことを希望として申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  52. 小平久雄

    小平委員長 青柳盛雄君。
  53. 青柳盛雄

    ○青柳委員 前回にお尋ねできなかった点についてきょうはお尋ねしたいと思うのですが、前回は手続問題については時間的な余裕がなくてほとんど触れることができませんでしたので、手続問題について触れるのですが、はしなくも安里委員のほうから問題を提起されました、今度の改正案の強制調停というか、要するに、当事者に合意書を出させて、あとは調停委員会が調停内容を決定し、調書にするという十六条の二、それの規定であります。  先ほど説明を聞いておりますと、たとえばの例として、業務上過失交通違反などで刑事事件と民事事件が並行しておるときに、一方では過失を争うとかあるいは過夫相殺を主張するなどの意味で、刑事のほうでは情状の争いをやっている。しかるに民事調停のほうで過失を認めたような調停が成立すると矛盾してしまうということでがんばる、そういう際に合意書面をとっておくと、被害者のほうも加害者のほうもそれでうまく民事問題は片づくのじゃないかという、一見ありそうなお話でございます。これはいま石油カルテルについて十二社に公取のほうから勧告がいった、そこでトラブルを避ける意味で勧告をのんだ、とたんに公取のほうでは東京高等裁判所に摘発をしたというか、告発をやった、これはたいへんだということで、二社が、そんな話はないというのでこの勧告をのんだことの撤回と争いを提起しておるというような話があります。これもいまのお話の例とよく似たようなところがあるわけですね。別にやみカルテルをやったつもりはないけれども、トラブルを避ける意味で勧告をのんだら、おまえたちはやみカルテルを自白したと同じだからというので摘発をされたというのでは、これは話が違うというので撤回という問題になったのでしょうけれども、それを合意書面をとっておけば、そんな撤回などということはもう起こり得る可能性もないからまずだいじょうぶだという。それからもう一つの例としては、当事者だけで話をつけても保険会社のほうがそれをのまない、しかし調停委員会がきめた内容による調停であれば、いってみれば当事者の意思よりも上のようなものが働いている、判決に類するようなものがあるから、これは公正であり、保険会社ものまざるを得ないだろう、そういうこともあるから、これも一つの便法ではないか、これもありそうな感じがするわけでありますけれども、そもそも擬制的なものでありまして、実際は当事者は了解をしているということを前提にしておるわけです。あとからあれはまずかったということで撤回されるなどということはない、そういう状況、かっこうをつけるための、悪いことばでいえばなれ合いなんだ。だから刑事のほうにもそれは何ら影響は与えないし、また保険会社のほうにも別に何らなれ合いという形には見られない、こういう擬制でございます。  したがってこれは、あとから撤回というような問題、取り消しというような問題がないから、調停精神からいって、必ずしもたいへんに押しつけたものであり、相反するものであるということにはならないように思いますけれども、この十六条の二のような一般化された規定になってまいりますと、そのような例外的なときだけに使われるというのではなくて、あとから考えてみたらこれは書面を出したのは残念であった、どうも調停委員のほうが出せ出せと言ったからついそれに従って出してしまったけれども、取り返しのつかないことがあってあれは取り消しをしたいのだといっても、別に脅迫、詐欺が行なわれたわけでもありませんし、重大な事実の錯誤があったわけでもないから、取り消しも、無効ともいえない。結局はまあ一方的に押しつけられた調停で泣き寝入りをしなければならない、そういう場合も出てこないとは限らない。それに対する撤回の保障というものはないわけなんですね。俗に言う裁判所の強制調停、あれは異議を申し立てれば効力がなくなりますから、これはこれなりに安全弁がありますけれども、十六条の二のほうは、あらかじめ「調停委員会の定める調停条項に服する旨の書面による合意」というものをとられるというところに危険性があり、その撤回が認められないというところに危険性があるわけであります。この点について立案者のほうではどういうことを考えておられるのか。そんなことは万々あり得ない、あとになってからくやしいと思っているような事案は起こり得ないという、それ以外のときにはこういうものは動いてこないんだという、そういう見通しを持っておられるかどうか、それをお答え願いたいと思います。
  54. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 先ほど私、御説明申し上げますときに例を申し上げたわけでございますけれども、その趣旨は、一番わかりやすいという意味で、かなり極端な例を申し上げたわけでございます。結局、民事調停法十四条で、現在合意が成立する見込みがないということであれば、調停不調として打ち切ることになるのは原則でございます。  その場合に、話し合った範囲内である程度のワクまで来たけれども、それから先がどうしてもできないという場合において、調停不調として打ち切ってしまう。あとは訴訟なり何なりでまかせるという態度をとるか、あるいはこの十六条の二によって、何とかこの際解決をしてほしいと考えるか、その決断をする段階におきまして、当事者双方がこの十六条の二によって解決しようじゃないか、そういう合意ができました場合に、この合意書面の提出が出てくるということでございまして、調停委員会のほうからあらかじめこの合意書面をとっておくというようなことは、およそ運用としては考えられないのではないかというふうに私ども考えております。しかし青柳委員の御心配のように、そういうノーマルな運用がされない場合が絶対にないと言えないではないかという御心配はないわけではございませんので、その点については私どもとしては、運用上十全の努力をしてまいりたいと考えるわけでございます。  なお、合意書面が一度出されましても、それに基づいて、調停委員会のほうで合意書面が出た段階におきまして、当事者双方の歩み寄った範囲内において適当と考え調停条項案を検討し、またそれをつくるということになるわけでございますが、それをつくりました後に、規則考えているところでございますけれども調停条項案を示して、これは同時にではなくて各別でもよいと思いますけれども当事者双方に示しまして、提出された書面がほんとうに真意に基づくものであるかどうか、もう撤回の意思がないかどうかということとあわせて、こういう条項で大体満足できるだろうかということも念を押しました上で、初めて調停調書をつくるということにすべきであるということで規則案を考えておるわけでございます。その上でよろしいということになりまして、調停調書が記載されますと、その後はもう撤回はできないというふうにいわざるを得ないわけでございますが、調停調書ができ上がるまでの間は、撤回は自由にできるというふうに、私どもとしては、解釈上なるのではないかというふうに考えております。
  55. 青柳盛雄

    ○青柳委員 どうもいまの危険性に対する歯どめは、ちょっと具体的なものではないように思うのです。  関連してお尋ねをしたいのですけれども臨時調停制度審議会答申書の手続に関する部分については、ずいぶんたくさん意見が出ております。「第二編、調停の手続に関する改善施策、第一章、民事調停」という「第一、審議の概要」というのを見ますと、これは一般的なことが書いてあって、「第二、主要事項」、これは一から十一までございます。そのうちの第五に「調停案の提示の方法」という項目があって、「調停委員会は、事案の内容、手続の進行状況等により相当と認めるときは、適当と認める調停条項案を作成して当事者に提示し、諾否の申出を催告する等調停委員会の判断に基づく調停の成立を促進させるための方策を講ずること。」こういうのがあります。これはどういうふうに評価され、そしてこれを採用しなかった理由は何でしょうか。
  56. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 この案は、調停委員として非常にすぐれた方々においでいただき、また事実の調査等も十分に調停委員方々の能力を活用していただきまして、争点等を的確に把握した上でもって、より妥当な、公平公正な調停条項案というものを調停委員会としてはつくり上げることができるということを前提といたしまして、いたずらにいままでのまあまあ調停とか、あるいは当事者双方の要求を足して二で割る案を押しつけるということでなしに、きわめて適切妥当な調停条項案をつくり得るならば、それをつくって当事者に提示し、当事者に適当なアドバイスをするのが望ましいのではないか、そういう運用を何らかの形でもってはっきりさせることが望ましいのではないかということで、出てまいったわけでございますが、これにつきましては調停委員方々の御意見の中でも、こういうことば当然行なうべきことであって、特に規則なり何なりにこういうものを書く必要はない、それは調停委員の良識にまかせるべきであるというような御意見が多かったわけでございます。そういう意味で、純然たる運用の問題として考えていくということになったわけでございます。
  57. 青柳盛雄

    ○青柳委員 その経過はわかりました。そして私もそれでよろしいと思うんです。また日弁連のほうでは、催告をするなどというのはいささか強制的な感じがする、催告に一定の期間内に応じない場合には、これを認めないものとみなすのか、あるいはもう黙っていたから承諾したものと解するというか、そのあとのほうだったら全く一方的なものだと思いますけれども、そういう点で運用上このような態度で臨むということは、調停趣旨に沿うものであると私は思いますが、それならば先ほどの合意書を取りつけて案を出して――出してというか、取りつけておいてつくった案ならば、これは調書に載せれば調停と同じ効力があるというような一方的なことにせぬでも、このいまの五項のような趣旨を熱心に追及していくならば達せられることではなかろうか。あえて先ほどの御答弁のように、事前に考えている案を示しつつ合意をさせる意味の書面をつくるというようなことは、これは何のための書面であるのか。書面をつくるというところに、私どもは非常に危険性を感ずるんですよ。言ってみると、白紙委任状をとったら最後、もう何をやってもかまわない、そういうことは徳義上も職務上の倫理からいってもできないことでありますけれども、とにかく合意書があるんだ、それを一ぺんとっちゃったんだ、もうあまり苦情を言いなさんなというような形で持っていく道具になるんじゃないかというのをおそれるわけです。この、もう一歩というところで話がつかないというときこそ、まさに調停委員会の熱心な努力というものがねばり強く続けられる必要がある。合意書面をとるというような安易な方法でやってしまっては、官僚的になり押しつけになる。調停制度とは相いれない性格のものが出てくる。私は、日弁連の専門家の方々がこれに強く反対の意を表明しておられるのは道理のあることだと思うのです。決して杞憂ではない。これは何か最高裁規則あるいは通達、いろいろのもので何とかそこを乱用されないように歯どめを加えるというようなことをするんではなくて、こんなものはなくとも、熱心に調停委員が努力をするならば、もう一歩というところですから双方の納得を得られる。また双方の納得を得られないようなものが調停の価値があるかということを私ども考えるわけです。先ほど例にあげられたのも、これは対外的な意味においてだけまだ争いがあるように見せておいて、そして、ただ合意書面があったから調停委員会が上から押しつけたんだというかっこう、それには従わざるを得ないと思っているんだというかっこうをつけるだけの話なんで、実質は双方がその辺のところで合意しているという、そういうために使うのに役に立つから、この調停制度というのは、十六条二のような制度というのは何か効用があるんだという考え方は絶対に避けるべきだと思います。いままでの実績もそれがなかったということが示しておりまして、決して商事調停のような、どちらかというとあまり感情の入らない問題などでもなかった。ですから、これが義理人情にからんでくるような民事調停においてこういうものが活用されるなどということはほとんどないと思うのです。弊害はあっても、効用というのはないと思います。この前参考人に出てこられた北海道大学の小山氏などは、緊急性はわからないけれども、つくっておいて何かいいことがあるかもしれないから実務家はそれを好んでいるんではなかろうかというような御意見でございましたけれども、私は、まだわからないというよりも、わかっていることは非常に弊害をもたらすであろうという、だから、いい方面よりも悪い方面かわかっているんだから、これは改正はすべきでない、こういうふうに思うのですが、立案者のほうとしては、これはぜひとも残したいんだという何かもっと強力な根拠があるかどうか、重ねてお尋ねをしたいと思います。
  58. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 青柳委員の御懸念でございますけれども調停委員会のほうから積極的に当事者にこういう合意書面を出せという形で運用されたとすれば、確かに弊害があろうかと思いますが、先ほどのように十四条に基づいて調停を打ち切るかどうかというせとぎわに立った当事者の方が、これ以上お互いに話し合っていても最後の段階はどうも結論が出ない、しかし調停委員会がきめてくださればそれで紛争は解決したいんだ、そう真に熱望している場合がやはりあり得るのではないか。その場合には当事者のほうで積極的に書面を出していく、そういう場合だけを考えれば、運用の上において誤りがあるというふうには私ども考えないわけでございます。それ以上に積極的にと言われても、要するにそれが当事者ほんとうの希望に即しているものであるとするならば、そういう解決方法を残しておくということがやはり必要ではないか、こう考えておるわけでございます。
  59. 青柳盛雄

    ○青柳委員 どうも私が先ほどから長々と述べたことが十分に理解されておらないようで、私は不調にするかどうかという段階にあたっても、先ほど答申の第五項にありましたように、調停案を提示して、そして双方に検討を求めるという方法で、それならば話がわかりましたということで双方が合意すれば、合意書面をとって別にどうのこうのというのではなくて、それで調停はりっぱに成立する。何か不満だけれども、書面を出してしまった手前やむを得ぬから、それで調停委員会がきめたんだ、私は知らない。知らないというのもちょっとおかしいんだけれども、書面を出してしまったから、自分の本意から調停したんじゃないというかっこうだけつくるためにだけこの十六条の二というのはありそうな感じがするのです。そんな擬制的なことはやるべきではない、そういうことを予想して法律をつくるべきではないと私は思うのです。だから、これはどこまでいっても反対をせざるを得ません。  そこで、時間もあまりありませんが、手続に関して私はきょうは少しお尋ねをしたいと思うのです。一つ一つお聞きしてまいりますが、たとえば一あるいは二の部分当事者の出頭を確保するために、正当な事由がなく出頭しない場合の過料の額を現在よりも上げるというような意見、それから第二は、やはり調停前の措置に従わない場合の過料の額を適正額に増額するという調停前の措置の実効性の確保、これはいずれも採用されておりませんが、その理由はどういうところにあるんでしょうか。
  60. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 御指摘のとおり、今回は過料の額の正改はいたしておりません。現行法は長い間額を改正しておりませんので、非常に低額になっております。たしか三千円ということになっておると思います。これは現在の経済事情から見ますと、相当低額でございまして、実情に即した額に引き上げるのが妥当であると思うわけでございますが、今回の改正におきましてそれを取り入れなかった理由は、この点を改正いたしますと、実は民事訴訟法の過料がやはり同じ額で定められておりまして、その辺の過料を直さなければならない。同時にまた、刑事訴訟法の不出頭の場合の過料の規定も改めなければならない。さらに均衡から申しますと、民法とか戸籍法とか、いろいろな法律に飛び火が――いろいろの法律で定められております過料との均衡論が出てくるわけでございます。そういった点につきまして検討をいたしたわけでございますが、何ぶんにもこの法律案予算関係法案として一定の期日までに提出の手続をとらなければならないというようなことがございまして、その各方面にわたる均衡論を検討しておりますと、今回の改正にはちょっと間に合いかねるというような事情がございましたので、今回はこの改正を見送ったわけでございます。   〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕 いずれ、しかるべき時期にこの点の改正をお願いしたい、このように考えております。
  61. 青柳盛雄

    ○青柳委員 調停の任意出頭の制度を過料によって強制するというのは任意制に反するというような反対意見もないわけではないようですけれども、せっかくこういう制度があるのに横紙破りのような人間、あるいは出頭することによって何らの利益も得られない、裁判をやるならやってみろというような開き直りの人たちに対して間接的な強制を加えるという意味も含めて、どちらかというと調停というものを申し立てられた相手方は、あるいは関係人は、協力をする道義的な責任もあるんだ、それを法律がバックアップしているんだという意味で、私はいまのような他の法令との調整が急速につけられるならば、改正することに対してだれも反対しないと思います。  ところで、第三番目、「調停委員による事実の調査」という項目があります。これは今度の八条の中に入ってきたのとちょっと似たような面があります。似たような面というのは、第八条の規定調停委員個人の他の事件についての協力体制というか、仕事のようであります。ところがこれは、自己の属している調停委員会の中において、ちょうど合議体の裁判所の中の受命裁判官のような仕事をやる。調停委員会から指命された調停委員が事実の調査をするということがこの答申趣旨のようでございます。これに対しては、日弁連反対をいたしております。調停委員会による事実調査の機能というものは、現在の制度、民事調停規則第十二条、十三条を事案に応じ活用することによって十分まかなえるものと考える。そして、調停委員会というのは裁判官とそうでない調停委員との共同体であるのであって、共同して仕事をするところに妙味があるのに、調停委員だけで事実調査を行なうというような道を開くと、裁判官不在の調停の傾向を一そう助長することになりかねないし、受命調停委員の人選などの運用いかんによってはかえって調停委員会に対する信頼を失う結果となることにかんがみ、賛成しがたいという趣旨意見が出ております。私は、これはもっともだと思うわけであります。  そこで、このような制度は、今度の改正にあたって八条を除いて取り入れなかったと思うのですが、何かこれを取り入れたと解することもできるのか、いや、それはやめたんだというふうに厳格に解すべきなのか、この点の経緯を御説明いただきたいと思います。
  62. 勝見嘉美

    勝見政府委員 ただいまの御指摘のとおり、いわゆる受命調停委員の事実の調査につきましては立法はしておりません。八条一項ですでに裁判所のほうから申し上げております事実の調査は、いわゆる受託事件についての事実の調査でございます。受命調停委員に事実の調査をやらせることにつきましては、私どもとしては規則事項だというふうに考えておりまして、裁判所のほうでこれからどういうふうにやっていかれるかについては、私どもとしては裁判所のほうからお聞きいただきたいと存じます。
  63. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 この受命調停委員による事実の調査につきましては、民事調停規則の十二条の改正として、規則案の中に規則で定めたいということで案を検討いたしております。
  64. 青柳盛雄

    ○青柳委員 わかりました。そうすると、規則の十二条などの改正が行なわれるということが前提にあるから、あえて法律改正を待つ必要はない。したがって、いわゆる受命調停委員というものはあってもおかしくない。おそらく八条で他の事件について関係人の意見を聞いたり、その他最高裁判所の定める事務、それは規則できまるであろうところの事実の調査を他の事件でできるのだから、自分の担当した事件でその委員会が十分に判断して特定の調停委員仕事をまかせてもおかしくないんだ、それでこそ初めて筋が通るということになるのでございましょうし、この八条の規定というものは何ら異議のないものであるならば、それとの関連において規則を変えれば、八条で法律が通っているんだから、規則でやっちゃいかぬという特段の理由はないからその予定だと言われるのも筋は通ると思うのですが、この八条についてはもう多くの専門家の間から疑義が出されておるのでありまして、つまり非常勤国家公務員非常勤裁判所職員というものになり、しかもこれは臨時的なものではなくて、二年間の任期を備えて非常勤職員になるわけだから、こういう仕事を言いつけることによって仕事を充実させる、そうなると職業化してくるというような点で、したがってそれは専門化し、官僚化する危険もあるというようなことから懸念が表明されているわけでございます。この点について、前回私はいろいろと聞きましたから重複は避けますけれども、前回お尋ねしましたときに、事実の調査あるいは関係人の意見の聴取にあたっては書記官の協力を得るだろうというような話がありましたけれども裁判所書記官が特定の調停委員の行なう事務に協力をするということについては、裁判所職員の側からいえば、はたしてその地位がどういうことになるのか、十分に関心を呼んでいる問題のようであります。  私はまず最初に、そのような事務を行なうにあたって協力体制に置かれるのであろうところの裁判所書記官の勤務の法的根拠ですね。調停委員というのは非常勤公務員なんだから、それのやる仕事には当然従わなければならない、協力しなければならない、そういうふうな根拠が何か出てくるのかどうか、この点、もっと具体的に説明をしていただきたい。
  65. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 調停委員の方が調停委員として職務活動をされる場合も、受調停裁判所あるいは受託裁判所の命によって職務を行なうわけでございますので、書記官に対しても受調停裁判所もしくは受託裁判所の命によって仕事をする、こういうことになるわけでございます。
  66. 青柳盛雄

    ○青柳委員 その場合、書記官に調書を作成せしめるというようなこともあり得ると思うのですが、これも裁判所の命だと思いますけれども、その場合、調停委員はその書面に署名捺印するというような義務が出てくるのかどうか、この辺はいかがですか。   〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕
  67. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 おそらく裁判官の場合に準じまして調停委員の方も書記官が調書を作成した場合には認印をされるということになるのではないかと存じます。
  68. 青柳盛雄

    ○青柳委員 そういうのは何か最高裁規則で疑義の起こらないようにするかあるいは通達かそういうものできめるのかどうか、この点、あとから全司法労働組合などとの間にトラブルなどの起こらないような措置をとるつもりがあるのかどうですか。
  69. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 細則的なことでございますので、まだ具体的に案ができておらないわけでございますけれども規則で定めることになるかどうか、また規則制定諮問委員会等で規則案を審議していただく際に十分御検討願いたいと思っております。
  70. 青柳盛雄

    ○青柳委員 この非常勤裁判所職員調停委員がなるということは、いままでもすでにそうだったのだから別にこと新しいことではないんだという御説明もあると思いますし、また他の反面では、それはそうだけれども、従来の非常勤公務員になるその法的な経緯というものが今度は変わるんだ、つまり従来は地方裁判所が毎年選任をしておいて、そして指定があった場合に公務員になる、ところが今度は二年の任期をもって最高裁判所任命をしておくから、もう固定的な形で、流動的でない形で非常勤公務員になるんだ。だから調停委員という名称に関する限り変わりはないけれども調停委員になる手続、形態が違うということのようであります。  そこで、いまの制度で選任をするということばには非常に民主的なにおいがするわけでありますね。非常勤職員のあらわれる形態としては、各種委員会では委嘱しまたは任命するということばがひんぱんに使われております。私はこの委嘱または任命というのは、たとえば日弁連の会長さんを何々委員任命するというのはいかにも押しつけのようであってまずいからこれは委嘱というふうに理解する。しかし、最高裁判所の長官かあるいは裁判官を何かの委員に充てる場合には、これは任命するというふうな形になるのじゃないかと思うわけです。そこで、任命でも委嘱でも非常勤公務員になる点では変わりはないわけでありますけれども任命というのはどうも上下の階級制のようなものが感じられ、いままで委嘱でもって調停委員になっていた人たちが今度は最高裁判所から任命をされる身分を与えられる、今度は最高裁判所に対してはもう絶対服従をしなければならないものだというような考え方が出てくる、あるいは裁判所に対しても従属的な立場に置かれるというような錯覚が出てくると思うわけです。だから私は、選任ということばのほうが、法的にはあまり意味はないのかもしれませんけれども、民主的な感じがするのです。国民司法事務に参与する、その場合の形態として選任というのはいいことばだと私は思うのですが、それを今度は委嘱ともいわず任命とするというのはどういうわけか、これをお尋ねしたいと思うのです。
  71. 勝見嘉美

    勝見政府委員 あるいは法令用語の問題かと思いますので、まず私から申し上げます。  法令上の用語といたしましては、多くの場合にある種審議会委員任命するなどの場合におきまして、当該行政機関以外の行政機関職員あるいは民間の方に審議会委員等になっていただく場合に委嘱ということばを使っておったようでございます。その説明といたしましては、やはり自分の庁の所属の方でないので、少し敬意を表するという趣旨で使い分けをしたというような説明がなされておりますが、国家公務員法施行以来、その種審議会委員公務員であるということで、その後の立法の多くは委嘱するということばを使っている例はそう多くないようでございます。ただ最近の立法におきましても、ある種の立法において先ほど申し上げたような趣旨で委嘱するという文言を使っている立法例もあるようでございます。私ども立案にあたりまして任命するという文言を用いましたのは、まさに先ほど御指摘もございましたように法令用語としてそのほうが通例であるということで用いたまででございます。
  72. 青柳盛雄

    ○青柳委員 裁判所職員しかも最高裁判所任命するところによる裁判所職員、そうしますと、裁判所法の八十条という規定がございます。これは「司法行政の監督権は、左の各号の定めるところによりこれを行う。」とあって、「最高裁判所は、最高裁判所職員並びに下級裁判所及びその職員を監督する。」ということになっております。したがって今度調停委員は、司法行政上の監督を最高裁判所から受けることに相なると思うのでありますが、そういうことでしょうか。
  73. 勝見嘉美

    勝見政府委員 前回お尋ねがございましたように、裁判所非常勤職員裁判所法にいう「裁判官以外の裁判所職員」に含まれると思いますので、形の上では――形の上というのは、形式的には当然八十条の「司法行政の監督」を受けることになるかと思います。実質的にどういう監督権の発動があり得るかどうかは、実際上の問題でございますので、どのような司法行政上の監督ということに相なりますか、裁判所のほうからまたお答えいただければと思います。
  74. 青柳盛雄

    ○青柳委員 これもいままでの形で調停委員になっている限りにおいては、司法行政上のことに限るということかもしれませんが、裁判所からいろいろと監督を受けるというようなことは考えていないと思うのですよ。ところが今度は、非常勤とはいいながら二年の任期で最高裁判所任命をされるわけでありますから、任命権者である最高裁判所からいろいろと監督を受けるということに違和感を感ずる人があると思うのです。これはたいへんに感激する人も、反面のほうではあるかもしれないですね。最高裁判所の監督を受けて、そして調停仕事に従事するということに生きがいと同時に名誉を感ずる、誇りを感ずる人もあると思いますけれども、またその反対で、大体無官の大夫で最も民主的な立場を堅持するという感じをもってそれを誇りにしている人から見れば、何かしら監督を受けるなどということはおもしろくないという気分はあると思います。ところで、その監督は裁判所法八十一条の規定というものの適用の範囲であるのかないのか。つまり、八十一条は「前条の監督権は、裁判官の裁判権に影響を及ぼし、又はこれを制限することはない。」、これは裁判の独立、裁判官の独立ということを保障する意味において、司法行政が裁判所の独立を侵してはならないということから、当然のことを八十一条で書いたと思うのでありますが、これは裁判官だけに限るのか。調停委員もこれと同趣旨立場にあるのか。つまり、裁判官に準ずるものとして調停委員調停事務を行なうのだということをはっきりさせる必要があると思うのですが、この点はどうでしょうか。
  75. 勝見嘉美

    勝見政府委員 御指摘のとおり、条文には裁判官の裁判ということでございますので、直接の適用はないのではなかろうかと思いますけれども調停委員はやはり調停委員会を構成しまして調停に関与するわけでございます。調停そのものはやはり国家の紛争処理機関でございますので、しかも裁判所に置かれているということでございますので、当然私は、司法行政上の監督権は、ただいま御指摘条文趣旨に従って行なわれるべきではなかろうかというふうに考えております。
  76. 青柳盛雄

    ○青柳委員 非常勤職員の勤務時間の問題がございます。昭和二十四年最高裁判所規則第一号裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の勤務時間に関する規則、これによりますと、午前八時三十分から午後五時までというのが原則であります。調停委員がこの拘束を受けるとなると、これは非常識きわまる話なんですが、これはおそらく、一般職たる国家公務員給与に関する法律二十二条の二項あたりに書いてある職員非常勤ですか、そういうような人の中に属するのかどうかと思うのですが、しかし、このような規定がもし調停委員に適用されるということになったら、これこそもう金縛りになってしまいますので、この点は誤解のないようにちょっとお尋ねしておきます。
  77. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 調停委員に関しましては勤務時間というものの拘束は全くございません。  なお、ちょっと触れておかせていただきたいと思いますけれども調停委員に対する裁判所の監督権の問題でございますけれども調停委員に関しましては調停委員としての職務活動に関して一般的には八十条の監督権が及ぶということが言えるわけでございまして、その点では現在の候補者の場合でありましても変わりはないのではないかというふうに考えております。
  78. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それから、いままで私も指摘いたしましたが、調停委員会が裁判所非常勤職員ではあるけれども、政治的行為制限の特例がある。つまり昭和二十七年最高裁判所規則第二十五号、裁判所非常勤職員の政治的行為制限の特例に関する規則、これで一号から七号まである中に調停委員というのはあります。これはいままでの調停委員であって、これからは家事調停委員、民事調停委員というふうに名前が変わってくるし、それから任命権者も変わってくるし、任期も変わってくるというような点がありますので、この規則そのものにぴったり該当するとは思えないわけです。これは改正するのかしないのか、もしこの法律で民事調停委員とか家事調停委員というものができた場合に、政治活動は自由であるということになるのかどうか。
  79. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 お説のとおり、民事調停委員、家事調停委員というふうに改正いたしまして、この規則の適用があることになります。
  80. 青柳盛雄

    ○青柳委員 また手続のほうに戻るわけでありますが、答申の第八項に、「簡易な訴訟移行」というのがございます。「調停が成立しない場合において、簡易に訴訟へ移行することができる方策について検討すること。」というのがありますが、これは運用の面で解決できる問題として考えているのかどうかですね、この点はいかがですか。
  81. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 御意見どおり、運用によりまして簡易な口頭受理その他の運用面の改善によってまかないたいと考えております。
  82. 青柳盛雄

    ○青柳委員 従来はこの訴訟の印紙などについては一定の期間に限って活用できる、流用ですか、できることになっていたようでありますが、運用だけでそういう問題は解決をしないので、何か法的な措置でこれをきちっとしておくという必要性はないのかどうか、この点はどうですか。
  83. 西村宏一

    西村最高裁判所長官代理者 印紙は現在も差額が流用できることになっておりますし、具体的の時期をさかのぼらせるという点も、現在の段階では今度も変わらないということになろうと思います。
  84. 青柳盛雄

    ○青柳委員 手続については、一番最初に申し上げました白紙委任的な調停のやり方が一番問題だと思います。十一項目ある答申の中で採用されたものの、最も危険なのはそれでございまして、その他の部分は採用されないで運用の面であるいは裁判所規則でそれを生かしていくということについては、先ほど申しました八条の改正等の関連において問題があるということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  85. 小平久雄

    小平委員長 次回は、来たる四月二日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十分散会