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1974-03-07 第72回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月七日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 平林  剛君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤 六月君    理事 木部 佳昭君 理事 橋口  隆君    理事 山下 元利君 理事 井岡 大治君    理事 松浦 利尚君 理事 野間 友一君       加藤 紘一君    片岡 清一君       羽生田 進君    三塚  博君       粟山 ひで君    山崎  拓君       吉永 治市君    金子 みつ君       中村  茂君    小林 政子君       有島 重武君    和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業省基礎         産業局長    飯塚 史郎君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部取         引課長     伊従  寛君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         厚生省薬務局企         業課長     金田 伸二君         食糧庁総務部長 杉山 克己君         通商産業省生活         産業局紙業課長 村岡 茂生君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉永治市君。
  3. 吉永治市

    吉永委員 先般、私は、当委員会におきまして、内田長官に対しまして、昨今の物価の狂乱的なこの時期を経験した立場で、これからの日本立場、方策についての御意見をただしました。それから、これからの石油輸入状態、それから価格見通し、さらには石油価格変動等によります産業構造の変革の問題代替エネルギー開発の将来等についての御所見を伺ったわけでございます。本日は、これらの問題を少し掘り下げまして、いま少しふえんをいたしまして、現在日本輸入を受けておる石油主要国は、アラビア圏内産油国、イラン、イラク及びインドネシア等々でございますが、これに中共その他少量とはいえ輸入を受けております国、あるいはこれから輸入を受けるであろうという国を想定いたしますと、二十カ国近くになるようなことに相なります。これは輸入多極化と申しますか、これからはますますこの傾向が助長され、開発されなければならないと考えますが、長官、この点に関しての御所見を承りたいと思います。
  4. 内田常雄

    内田国務大臣 詳細は通産省石油部長から御説明を申し上げることといたしたいと思いますが、私は石油輸入につきましては、これはなるべく海外からエネルギー資源を仰ぐ割合を減らしてまいりたいというようなお話し合い、先般もここでいたしたわけでありますが、しかし絶対に海外からのエネルギー源輸入をなくするということは不可能であり、ことに石油についてもそうであります場合には、御所見のとおりやはり輸入先多様化と申しますか、そういうことにつきましても十分考えてまいらなければならないと思います。
  5. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおりでございまして、私ども石油政策を進めていく上にあたりまして、地域分散をはかるということがかねてからの大きな政策の柱でございました。このたびの石油危機に際しまして、とりわけ中東に依存する現在の地域的な傾向というのが正しいかどうか、これは非常に問題があるということを痛感しているわけでございまして、かねてから問題になっておりますたとえばソ連あるいは中国あるいはヨーロッパとの提携によりますその他地域での開発といった問題につきましても積極的に参加をいたしまして地域分散をはかっていく必要がある、かように考えておるわけでございます。
  6. 吉永治市

    吉永委員 きのう石油部長にちょっとお尋ねをしておきましたが、現在のメジャー日本輸入石油に占める率、割合、これをちょっと説明してください。
  7. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  いわゆる八大メジャーから日本に入っております油が日本全体の輸入でどれだけのウエートを占めているかという点につきましては、四十三年度は五八・四%、四十四年度が五六・七%、四十五年度が五七・九%、四十六年度が五九・九%、四十七年度が六三%でございまして、四十八年度はおそらく六〇%若干切ることになろうかと思いますが、まだ集計は出ておりませんので、省略させていただきます。
  8. 吉永治市

    吉永委員 さらに熊谷石油部長に、そういう比率というものは通産省情報分析の統計に出てきておっただろうと思うのですが、昨年の十一月、十二月を中心とした石油輸入量見通しというものが通産省情報では大きな誤りがあったということですね。これは認めますか。
  9. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  私どもが十一月の緊急対策を発表いたしました際に積算いたしました十一月十日前後の推定と比べまして、十二月の数字が私どもの予想よりは結果はよけいに入ったという意味見通しが間違ったことは認めます。
  10. 吉永治市

    吉永委員 石油輸入情報不的確に基づいた経済界混乱のあの一因はここにあったということを私たちはつくづく感じておるわけでございますが、通産省当局においてはこれからはOAPEC、OPECを問わず、この石油の現況については的確に間違いない情報の把握というものを基礎づけていただきたい。このことを特にお願いを申し上げますが、政務次官、ひとつお願いを申し上げます。
  11. 森下元晴

    森下政府委員 石油はまことに国内資源としては皆無のような状況でございまして、石油輸入というものはわが国経済また国民生活に非常に重大な影響を及ぼすものでございまして、この輸入見通しというものは非常に重大でございます。いま石油部長からお答えございましたように、昨年の石油のいわゆる削減に対する見通し等につきましてはかなりの錯誤もございますし、また見通し誤りがあったことは事実でございます。これが物価高騰の原因また要因になったことも事実でございます。こういう誤りがないように国際的な情報の収集それから国内における生産状況かまた在庫状況等十分把握して迷惑をかけないようにと思っております。
  12. 吉永治市

    吉永委員 これに関連してでございますが、今日はいわゆる代替エネルギー開発ということ、オイルシェールとかタールサンドあるいは石炭ガス等開発はもちろんでございまするが、やはり日本独自のたてまえからいたしまして、大陸だなの、あるいは東シナ海の海底油田開発というようなことは、何をおいても、どんな犠牲を払っても遂行しなければならない当今の大きな命題だ、百年の大計であろうかと考えますが、いかがでございますか、長官の御所見をひとつ。
  13. 内田常雄

    内田国務大臣 私も吉永さんと同感でございます。そればかりでなしに、わが国の第一次エネルギー石油にたよっている割合いが七〇%をこえておりますので、やはり石油にたよらざる発電でありますとか、これはことに原子力もございましょうし、あるいはまた水力発電見直しというようなものもございましょう。また環境を害せざる範囲においての地熱発電というようなものもございますので、そういう面をもあわせてエネルギー供給多様化あるいは国産エネルギー供給というようなことをぜひやってまいりたい。  幸い、御承知のとおり政府におきましても、これははるかなる遠望になりますけれども核融合研究促進でありますとか、あるいは御承知サンシャイン計画というようなことで太陽熱の積極的利用研究というようなことも進めておりますので、そういうことについても今回の石油危機を契機として一そう私どもは前向きの計画の樹立と、それからそれに対する取り組みの姿勢をあらためて強めていくべきであると私は思います。
  14. 吉永治市

    吉永委員 ただいま長官原子力エネルギーのことをちょっと言及されましたが、濃縮ウランの問題これが国民的に賛否両論と申しますか、非常に住民パワー的な大きな反対の拠点もございます。  そういう状態におきまして、日本の将来は、好むと好まざるにかかわらず、また世界の将来からいいましても石油資源というものはいずれば枯渇する時期が来る、そういう時期に対応しまして当然立ち向かわなければならないことである、このように考えておりますが、そういう意味において、国民合意、コンセンサスを得るための方途、手段等についてどのようなことをお考えになっておりますか。ついでながら御説明願いたい。
  15. 森下元晴

    森下政府委員 代替エネルギーの問題につきましては、通産省サンシャイン計画等で四十九年度の予算、二十二億計上してございます。前向きで取り組んでおります。いままでは石油エネルギーにほとんどの期待をしておりましたわが国資源政策につきまして、ここらで大転換をしなければいけない。その一つとして、いま原子力の問題を取り上げましたけれども、この濃縮ウランにつきましては先般ソ連から使節団が参りまして、日本でかなりこれを買ってくれぬだろうかというような話も実はございました。アメリカにおきましてもフランスにおきましてもかなりこの技術また設備を持っておりまして、いまのところは濃縮ウラン世界的に過剰の傾向にあると私は思うのです。そういうことで、原子力平和利用ということは今後のエネルギー源として非常に有力でもございますし、また前向きで取り組まなければいけない。ただ問題は、この立地の問題でなかなか予定どおり計画が進んでおらない。大体計画では昭和六十年度には六千万キロワットの発電規模を達成すべく努力をしておるわけでございますけれども、たとえば安全の問題とか環境の問題こういうことでなかなか地域方々了解も得られない点もたくさんございまして、この点、十分安全、また環境問題——特に今回発電所周辺整備法案という法案を提出していろいろ審議も願うわけでございますけれども、やはりこれは一電力会社とか一地方自治体だけの責任ではなしに、やはり国家的な一つの取り組み方として当面だけの問題でなしに、永久に孫子の代まで責任を持てるような体制をしなければ、とうてい地域住民了解も得られない、こういう現状でありまして、こういうことを解決しながら将来のエネルギー資源原子力平和利用である、こういうことを思っております。  なお、その他、地熱利用とか、また水力見直し、それからずっと将来にわたりましては、直接海水から水素を取り出すというような方向に持っていかなければいけない。とにかく石油にしてもやはり公害という問題を生じまして、将来は公害のない美しいエネルギーを取り出す方向でいかなければいけないと思っております。
  16. 吉永治市

    吉永委員 ここで特に一つお伺い申し上げたいことは、今日イギリスでもあるいは西ドイツ、アメリカ等におきましても、石油補助的燃料、その資源として石炭生産というものを常時計画的に続けてまいってきておりますことは御承知のとおりでございます。これは石油の将来を見通した国策として、今日の状態を経験しましたわれわれからしますと、まことに読みの深い的確な政策であったというようにうらやましい気がいたすわけでございます。日本の場合は功を焦せると申しますか、あるいは国際市場における競争、優劣のみが先行してしまって、石炭産業に関しましては全く無計画のままで石油オンリーで突っ走ってしまった。堅実な石炭産業に対しまして、全く弊履のごとく捨てて顧みなかったといっても、これは過言ではなかろうと思うのでございます。これは事の緩急を誤った政策であった。いまつくづくそのように反省をいたします。われわれは大事の際の次善の策を考え国家経済最悪事態を想定しながら、その慎重さが欠けておったといわざるを得ないと思うのでございます。このことはいま私たちがどんなに悔やんでも悔い足りないものがございます。  ここでお伺い申し上げたいことは、政府はいま一度石炭見直しする時期ではないか、見直しする必要がありはしないかということでございます。廃坑を修復し、水浸しの坑道を復原をして新たな技術を導入してたとえ膨大な費用が要ったにいたしましても、そのことは、将来日本国民が生きる最低の条件がそこにあるという認識に立つわけでございます。私たちはいつの場合でも決して前進と繁栄とだけを夢見ていくわけにはまいりません。一歩下がって最悪時代に備えるということが、政治大前提としての使命でなくてはならない、私はこのように考えておるわけでございますが、長官並びに通産当局の御所見を承りたい。
  17. 内田常雄

    内田国務大臣 詳しいことは通産当局から御説明をいただくわけでありますが、結果論として、吉永さんが仰せられているようなエネルギー危機事態を招来しておることは、私も非常に遺憾に思っております。ただ、申すまでもなく、昭和三十年代からエネルギー革命というものがわが国全体を支配をいたしまして、いわゆる固体エネルギーから流体エネルギーへ、またその後世界の各地で新しい石油の産地が発見されまして、非常に安い価格で便利な石油わが国供給されるというような事態にあります一方、石炭賦存状況というものは、海外諸国、ことに英国とかドイツとかアメリカなどの賦存状況日本が違っておりますようなこともございまして、その後固体エネルギーから流体エネルギー一方へ走り過ぎてきた感がありますことは、私はあなたと同じ思いをいたすわけであります。幸い先般エネルギー庁というものが通産省に設けられました際も、石油部というものが置かれましたことはもちろんでありますが、同時に石炭部というものも置かれまして、そして、石炭政策については、たとえば産炭地振興というような前の石炭山をどう処理するかというようなうしろ向き方向ばかりでなしに、吉永さんが示唆されましたような方向検討もされるたてまえになっておりますので、この機会にさらにそういう検討を十分進めて、また、昔はやれなかったけれども、最近の石油高では当然やれるものも出てきたはずでございますので、やるたてまえで検討を進めていくべきだと私は考えます。
  18. 森下元晴

    森下政府委員 資源政策は、防衛問題と同じように、わが国安全保障上非常に大事な問題であるということが、今回の石油削減物価狂乱の中でわれわれは貴重な教訓を得ました。従来は資源的にも国際分業という方向がかなり強く出ておりまして、資源というものは、求めればどの国からでもいつでも入るという安易な考えがあったように思うのです。これは将来にわたって戒めなくてはいけないし、アラブ等資源内容考えましても、ローマ会議等で、もう三十年すればOAPEC地域石油資源もなくなるのだというようなデータをわれわれ見ましても、アラブがそういうふうにかなり生産調整することも、われわれはわからぬことでもないというふうにも実は感ずるわけなんです。そういうことで、やはり民族資源開発は、安全保障上、また資源政策上非常に大事なことであるという観点から、この石炭対策につきましても、かつては石炭よさようならという時代があったようにわれわれは思っております。その点もいま御指摘のように反省しなければいけないと思います。そういうことで通産省では、石炭を前向きで見直していこうというふうに実は考えております。昨年十二月七日の石炭鉱業審議会中間報告の線が出まして、第五次石炭対策最終年度である五十一年度の国内炭出炭規模を、従来の二千万トンから二千二百五十万トン程度に引き上げる、このように努力をしていこう、こういうことも打ち出しておりますし、それから需要対策として、現在の混焼火力発電所利用率の向上、それから産炭地火力発電所早期に建設していこう、それから石炭ガス化利用早期実現対策、コストは火力発電に比べましてかなりかかりますけれども、先ほど申しましたように民族資源開発すべきであるという観点から、石炭よもう一度という観点から大いに見直し努力をしていかなければいけない。また、通産省も最大の努力をしていきたい、このように思っております。
  19. 吉永治市

    吉永委員 長官並びに政務次官の御説明で大体の御意図はわかりましたが、ここでさらにつけ加えておきたいことは、とにかく石油が安いから、重油が安いから、日本世界商品市場において負けちゃいけないからというような先走りの、どちらかといえば軽佻な行き過ぎというものが、日本政治、財政、経済政策の上にあったと思うのです。私は熊本の者でございますが、隣の福岡県の三井三池炭鉱騒動をこの目で見たわけでございますが、あの騒動を見ましても、これは石炭石油にかわったという、エネルギー革命一つ過渡期現象ではございましょうけれども民族が受ける苦難の道というのは容易ならざるものが、ございます。あのときあれがそのままの状態で相当続いておったならば、今日の石油危機におきましても事前の備えというものがわれわれの手にあった。そういう反省をしなければならない。私たちは、安くていいもの、世界を制覇し得るものができると、すぐにそれに飛びつくという、そういう気持ちでなくして、地についたじみち施策、じみち方針というものが政治の上にしっかりと根をおろしていかなければならない、このように特に考える次第でございます。  次にお伺い申し上げたいことは、チュメニサハリン石油天然ガスの問題についてでございます。これは石油輸入多極化の一環としての問題でとらえていただきたいと思うのでございますが、これは御承知のように日本民間資本ソビエト政府との交渉が続行中であります。たしか新聞紙の報ずるところによりますと、昨日も政府、自民党と経済界チュメニ関係人たちとの会同があって、いろんな論議があったということを承知しておりますが、一九七一年であったと思いますが、第一回の日ソ経済合同会議が行なわれました。これは日本に対してソビエト・ロシアが年間一千万トンの石油供給するということを条件にして、十四億五千万ドルの借款を許してくれということから始まったように記憶しております。たしか一昨年までで第五回目の日ソ合同会議が開かれたように記憶いたしますが、第五回目の日ソ合同会議の際にいわゆるオルドコフ提案と称します、年間十億ドル以上の借款供与条件として、年間二千五百万トンないし四千万トンの石油日本供給するという話で今日に及んできておるというのが大体の経過であるやに私は覚えております。聞くところによりますと、チュメニにおける生産量年当り現在四億二千五百万キロリットルといわれております。このチュメニサハリンの問題について政府はこれからどのような方針でいこうとしておられるのか、基本的な考えをまずお伺いしたいと思います。
  20. 森下元晴

    森下政府委員 チュメニサハリン等シベリア開発プロジェクトにつきましては、日ソ経済委員会の場を通じまして話が進められておりますが、わが国資源政策上きわめて重要なものでございます。昨年十月に田中総理が訪ソいたしましたときに、日ソ共同声明の線に沿いまして、日ソ当事者間で合意に達した場合には、政府としても必要な信用供与を行なう等、前向きに対処していく方針でございます。  なお、チュメニプロジェクトについては、昨年末わが国のほうから日ソ当事者間による交渉の再開を申し入れております。ことし二月にソ連の駐日大使田中総理を訪問いたしましたときに、ソ連側も近く交渉を再開し得る状況になってきているというような言明もございました。具体的な時期については追って日本側に知らせる、こういうことになっております。それから三月二十一日から、モスクワにおきまして日ソ経済委員会が開かれるようでございます。これは、第六回日ソ合同委員会の開催時期とか、議題について打ち合わせをする。経団連のほうから植村、永野、古藤、こういう方々がおいでになるようでございます。
  21. 吉永治市

    吉永委員 それでわれわれがちょっと疑義に感じますことでございますが、日本側民間ベースで、ソビエト政府対象である、そういう状態でいままで十四年にわたっての交渉が続けられてまいりました。これは御承知のとおりでございます。これでよろしいのかどうか。ある時期に信用供与するという、田中総理がおっしゃいましたということでございまするが、今日においての状態はあくまでも民間状態で進んでおられる。これはどういう理由によるものか。その辺もし何かの理由がありましたら、あるいは相手共産国であるからソビエトがいままで開発事業あるいは共同事業という点におきまして外国と全然共同をした実績が、経験がないということを見ての施策であるかどうか、その辺のことも御説明願えたらと思っております。
  22. 森下元晴

    森下政府委員 共産国自由主義国とのいろいろ経済協力等につきましては、共産国のほうからいわゆる国家機構で話を進めてくる、またこちらは民間側でどうこうというのは、別に深い意味がないと私は思います。いままでの習慣的にも、共産国とのいろいろな開発問題についてもやはり民間で話を進めるベースがかなり進んでおります。また中国なんかでも、そういうケースが非常に多いと私は承知しております。特別に相手共産国であるからそういう形をとったということはございません。従来の慣習に従ってやっておる、こういうふうに承知をしております。
  23. 吉永治市

    吉永委員 対象国共産国であるからそういうことになったわけじゃないという御説明は、これは非常にいいことだ。私は今日、日本の置かれた状態は、すべての施策、すべての政策というものは、とにかく永久に平和が続くんだ、絶対に戦争の混乱は起こさせてはいけないという国是の上にのっとった政策、外交、そういう大前提の上での私はこれからの進路でなければならない。相手共産国であろうと、どうしようと、日本はどうしてもシベリアにおいてこの非常に良質であるところの石油資源というものの恩恵にあずかる、輸入さしてもらうというその意気、その方針だけは私は貫いていくべきだ、このように考えておるわけでございます。いままでの交渉経過をその交渉の任に当たったような方々から聞いておりますると、現地におけるサハリンやあるいはチュメニに、石油開発技術という点に関しては一切日本技術日本のそうしたものは必要としない、ソビエト自体でやるんだ、そういうことのためにあえて資材技術を必要としておるつもりはない、これがソビエトの言い分のようでございます。  御承知のように、現在チュメニからイルクーツク、ハバロフスク、ナホトカに約六千五百キロメートルにわたるところの配管設備というものがやられております。この配管設備のある区間のために、ある時期日本の資金と日本技術を必要とするということのようでございます。そのようなことで、石油をとる現地現状技術あるいは工事、事業等に関しての参加は許さないということのようでありますが、これは政務次官そのとおりでございますか。
  24. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  現在、当事者間で話し合いがなされている最中でございますので、詳細はまだ私どもも確認はいたしておりませんが、チュメニプロジェクトにつきましては日本からいわゆる資材調達のためのバンクローン先ほど先生御指摘のとおり十億ドル以上のバンクローンを期待をしておるわけでございます。それからサハリンの大陸だなにつきましては、これは先ほども政務次官からお話を申し上げましたが、探鉱事業計画につきまして現在専門家におきます打ち合わせ中でございますので、詳細は省かせていただきたいと思いますが、これも内容的にはやはり五年間に一億トンの油を発見するために必要な一億ドルを限度とする資金負担ということでございまして、主として資金面の協力ということが主体になろうと存じます。
  25. 吉永治市

    吉永委員 それで、四十八インチパイプ管だといわれておりますが、チュメニ−イルクーツク間は大体完成をしておる、ハバロフスクとナホトカの間に日本の資金、技術というものを要求しておるというのが現況だと私は聞いております。先ほど政務次官がお答えになりました信用供与という問題は、おそらくこの区間に関してのことであろうと思っておりますが、これも伝えられるところによりますと、大体あと長くとも四カ年でこのナホトカまでの四十八インチのパイプ管の配管を終わるというような事態だと聞いておりますが、そのあと四年の間に政府というものがこの中に出てこられるのか、その間も依然として従来の民間ベースでいかれるおつもりなのか、その辺のことをお聞かせ願いたい。
  26. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、従来日ソ間の懸案の問題につきましては、両当事者間に合意ができました場合に政府がそれを応援する、こういうたてまえで今日までまいっております。ただ、先般総理が訪ソされました際にも、総理の口から本案件につきましての促進方の話し合いが行なわれておるわけでございまして、もちろん政府といたしましてはこの早期実現方につきまして今後引き続き努力を行なう予定でございますが、基本的にはやはり当事者間の話し合い合意に達するということを前提として進めるという従来の考え方でまいることになろうかと考えておるわけでございます。
  27. 吉永治市

    吉永委員 ここで内田長官にお伺い申し上げますが、いま熊谷石油部長の話を聞きましても、いままでの工事の現況は大体私が申し上げたことと一致をしたようでございます。それで、政府信用供与なり実態としてこのことにタッチをされるのはナホトカまで終わった時期になるのか、その前になるのか、その辺のお見通し政府の態度というものはどんなでございましょう。
  28. 内田常雄

    内田国務大臣 私はチュメニ油田の開発問題に対しては非常な関心を持っておるわけでありますけれども、しかし、私の役所として直接いまのソ連当局との折衝あるいはその技術的な問題の解決あるいは資金援助の問題などに参画いたしておりませんので、私は的確なお答えをいたしかねるわけでございます。しかし、政府が直接ソ連当局との交渉当事者になっておりませんのは、チュメニ油田の開発あるいはその原油の輸送計画そのものが事業として成り立つかどうかということが先決でありますので、事業として成り立つという見きわめのつくことと関連しながら、政府がいまの資金供与についての援助というようなものに出ていくということになろうと思いますので、かりにイルクーツクからハバロフスク−ナホトカの方面にパイプが敷かれるような、そういう段階になりますときには資金援助等の問題について、バンクローンの問題あるいは輸銀の問題等がございますので、政府も当然表に出て、そしてソ連側といろいろの折衝をする、こういうことに相なるのではないかと自分では想像いたしております。
  29. 吉永治市

    吉永委員 この問題に関しましてはアメリカも非常に触指を動かしております。御存じのとおりでございます。また西ドイツ等の国も無関心ではないということも新聞紙等の報ずるとおりでございます。日本もここのチュメニ石油の良質さという点におきましては、アラビアの石油、さらにはインドネシアの石油よりかもっと上質であるということもすでに試験済みのことでございます。これが完成をしますると、第五回日ソ経済合同会議の席上でもはっきり言明しておりますように、二千五百万トンから四千万トンのものを日本供給する、これは日本にとりましては、輸入先多様化一つの大きな強力な手であろうと思っております。どうも日本の現況がそうした国際情勢のたてまえか、あるいは国内情勢の何かがあるか知りませんが、どうもすっきりしません。そこで民間ベースにまかしておいてまとまると思っておりましたら、これは大きな間違いでございます。これは必ず政府間の折衝、政府同士の折衝によるほかないと私は見ております。そういう段階に来ておる、そういう私の認識でございますが、いかがでございますか。
  30. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほども申し述べましたように、私がこの問題に直接参画いたしておりますならば、私の見通しを公式の立場においてお答えすることができますけれども、そういう立場にございません。また、経済企画庁に調整局というのがございまして、これが資金援助協力等の方面を直接担当をいたしておりますので、もしこの問題に私ども企画庁としてタッチをいたしておりますとしますならば、それはいま申しましたような担当の者をしてお答えさせるのが適当であると考えます。先生から、きょうその話を出すから十分政府側の態度をまとめてこい、こういう御通告もございませんでしたので、私がまとめてまいらなかったこと、まことに残念に存じます。しかし、吉永さんがお答えのとおり、これはアメリカとの問題もあり、また西ヨーロッパ、ことにドイツへの原油の供給問題もあり、チュメニ開発した際に、当初あなたがお考えになっているようなその数字の量が一体そのまま日本に向けて供給されるのか、あるいはヨーロッパ等のかね合いにおいて数量がそこまで確保できないのか、したがって、事業としてこれが成り立ち得るのかどうとかというようなことは、それがどの程度まで解決してきておるかということを、私が関心を持っておりながらこの段階ではお答えができないことを遺憾に思います。これは実はあらためて通産大臣においでをいただくなりしてお答えをしていただくようにいたしますので、きょうの場では御猶予いただいたほうがありがたいと思います。
  31. 森下元晴

    森下政府委員 いま長官から御発言ございましたように、この問題は非常に重要な問題でもございますし、かなり高度な政治判断を要するような問題でもございます。何と申しましても、四千二百十キロにわたるパイプライン、大事業でございますし、年間に二千五百万トンの良質の原油も入ってくる。これも私ども非常に期待すべき数量でもあるわけでございますけれども、先ほど吉永先生言われましたように、アメリカもまた西ドイツもこれにかなり目をつけておるというような国際的な事情もございますし、その他この問題は日ソの間の友好親善の中でともに開発すべき問題である。シベリア開発の問題とかまたそのほかのいろいろな懸案の問題もありまして、友好の中で提携してこういう問題が開発されるというようなところにかなり政治的な判断も将来にわたってあると私は思うのです。そういう中で資源問題として、また国際問題として特に日ソ間の過去の経過、また将来のあり方等も踏まえて、十分高度な政治判断の上で決断をすべきであるというふうに思っております。
  32. 吉永治市

    吉永委員 ただいまの大臣並びに政務次官の御説明で大体了得をいたしました。  さらにもう少し掘り下げた質問を用意しておりますけれども内田長官ただいまのお説のとおりだと私も存じます。ただ、お願いを申し上げておきたいことは、実際は民間がどんなに力んでも、これは政府間の交渉に持っていきませんと、ロシアという国が政府と党と二本立ての交渉という仕組みにもなっておりますし、一貫した施策の核心がどこにあるかというようなことすら、実際は日本経済界がほんとうにつかみ得ていないというような印象を受けるわけであります。そういう意味で、非常に努力をしているわりには成果の見通しというものがきわめて希薄である。そこにはただいま申し上げましたような政治的な、国際的な原因とか、国内的な諸現象あたりがかなり参酌されておるだろう。そういうことで、ある程度足踏みせざるを得ないという状況に置かれておるように私は観察いたします。これはいつかの時期、遠からざる時期に政府としてのお立場をはっきりお示しになる必要があるということを私申し上げまして、この問題は打ち切らしていただきます。  あと少し時間がございますし、食糧庁から見えておりますので、食糧問題を一言お伺いをいたします。  新聞等で伝えられておるところによりますと、最近の穀物の国際需給は、主要生産国においての干ばつやあるいは凍霜害等によって減産の影響を受けて、非常に逼迫の傾向で推移しておる。その価格もこのような需給関係を反映して、遺憾ながらきわめて高水準で推移しておる。今日のインフレ的な様相の原因をなしておるものが、どうも食糧関係に根を発しておるのじゃないかというような見方が今日非常に強くなっております。国民の間にはそのような安定的供給に不安の念を持っておる人がかなりおると思っておりますが、国民の主食である米麦の供給についてどのような見通しを持っておらられか、食糧庁の総務部長にお伺いしたい。
  33. 杉山克己

    ○杉山説明員 小麦は一昨年の夏ごろまではきわめて供給が潤沢でございまして、価格も低位で長いこと安定してまいっておりました。一昨年の七月にソ連アメリカあるいはカナダ等から大量買い付けを行ないましたことを契機に、にわかに需給は窮屈になってまいったわけでございます。価格もそのような事情を反映いたしまして、それ以前は一ブッシェル当たり一ドル五十から一ドル七十ぐらいでありましたものが、現在では六ドル台というようなことできわめて高く、おおむね四倍ぐらいの水準になっております。  今後の需給なり価格見通しでございますが、そのような状況を反映いたしまして、生産国におきましては本年の冬小麦の作付面積を大きく増加させております。特にアメリカでは約二割も増加させたという事情にございます。気象等の問題もいろいろ云々されておりますが、今後順調に推移すればまずそれほどひどい供給不足という事態にはならないであろう。それから価格も、新穀が六月以降出回るようになれば現在よりは下回ることになろうというふうに見通しております。  それからわが国自体の米麦の供給の確保という問題でございますが、米につきましては、幸いにわが国が自力でもって需要に十分こたえられるだけの生産力を持っております。現に生産調整を行なっているような状況にあるわけでございます。本年は、いま申しましたような国際的な需給事情、これらのことも考えまして、生産調整については前年よりその水準を引き下げるということで、食糧庁といたしましても在庫をふやすというようなことを予定いたしております。数量的に申し上げますと、在庫は大体百万トン程度通常の年は持てばよろしいということになっておるのでございます。在庫といいますのは、米穀年度末におきますところの古米の持ち込しの在庫の意味でございます。それを五十万トン程度ふやしまして、米穀年度の五十年の十月末におきましては百五十万トン程度を持つということを計画いたしております。  なお、小麦の当面の供給の確保につきましては、昨年来鋭意各国との買い付け等に努力いたしまして、現在五月積みのものまで契約を完了いたしております。五月積みのものといいますというと、五月から六月にかけて到着いたしまして、これは八月までの供給をまかなえるということになって、おります。  以上のような状況でございます。
  34. 吉永治市

    吉永委員 それで結論だけ伺いたいが、生産調整は依然として従前の方式で続けられるのか。それから休耕田というものの指導は従前どおりなさるのか。申し上げる意味は、休耕田を放置しておくということは、農民心理の勤労意欲に与えるものが非常に大きいと思う。取り返しのつかぬようなことをやったという気がする。あの休耕田に大豆を植えるとかその他の穀物を植えるとか、なぜそういう指導をしなかったのか。休耕田を見ると、どこの土地に行っても赤いさびた水が出ておる。そのような食糧政策の指導というものはこれからあってはならない。生産調整とからめて、どのように見ておるか、その結論を簡単に説明してください。
  35. 杉山克己

    ○杉山説明員 私は食糧庁でございまして、直接生産調整のそのことについてお答えするのはあるいは適当でないかもしれませんが、私どもといたしましては、いまの御質問の趣旨のように、休耕田をそのまま放置するということは許されないことであろうと考えております。このように穀物のみならず全体的な食糧の需給についていろいろ問題が生じておりますとき、当然これは大豆でありますとか小麦でありますとか、そのほか野菜等、ほかの農産物の生産に振り向けるべきである。そのためには転作を奨励すべきであるというふうに考えております。本年からは休耕に対する奨励措置はこれをなくして、転作に対する奨励だけにいたしておるわけでございます。
  36. 吉永治市

    吉永委員 最後に内田長官にお伺い申し上げますが、私が石油の問題、食糧の問題を質問をいたしました根底の趣旨は、政治の指導というものはできるだけじみちであってほしい。はなやかで覇を競うような行き方の中に反省を求められておるという事態が今日の事態だ、私はそういう認識できょうの質問を申し上げたわけでございますが、若干本論をはずれますけれども、現在のインフレ対策の正道というものはどういうことなのか、これは私はじみち政治姿勢から始まると考えております。生活の困窮もしばらくがまんしてくれ、いまこういう手を打っておるのだ、こういう手で日本をほんとうにいい国に持っていこうとしておるのだ、福祉の向上もこの程度でしばらくがまんしてくれ、政治家をはじめとして苦難に耐える、苦難に挺身していく、そういう姿勢、そういう態度が今日の政治の上に一番要望されておる根底的なものじゃなかろうか。一部の宣伝や謀略に屈することなく耐乏生活に耐えようじゃないか、とにかくこれを乗り切ろうじゃないか、その訴える姿勢、その指導理念、その方策こそが一番大事なことじゃなかろうか、こう思っておりますが、御所見のほどを承ります。
  37. 内田常雄

    内田国務大臣 吉永さんのおっしゃること、私はまことに、政府にとりましてもおっしゃるとおりの姿勢を持って臨むことが出発点であり、また到達点でなければならないこと、同感でございます。ただ、おことばの中の福祉の向上についてもしばらくがまんしろということにつきましては、私が厚生大臣の経歴があるからそれにこだわるという意味ではございませんけれども、やはり物が不足したりあるいは生活が苦しくなった中におきましても、自民党政府といたしましても、私はおことばを返すわけではございませんが、吉永さんも同じお考えだと思いますが、生きがいある福祉社会というものをつくることを今後の経済社会建設の理念として持ち続けたい、かように思います。
  38. 吉永治市

    吉永委員 終わります。
  39. 平林剛

    平林委員長 次に、松浦利尚君。
  40. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は三十分間ですから、簡潔に御質問して御答弁をいただきたいと存じます。  まずその一つは、実はこの数日来新聞をたいへんにぎわしておりますメジャー削減通知の問題であります。  御案内のとおり、通産省のほうではエクソン、シェルのほうから、日本政府石油価格、製品価格を凍結しておる以上一五%のカットをするのだといったようなうわさが出た、あるいはそういう通達があったということが報道されておるわけであります。さらにエッソスタンダードの社長がわざわざ記者会見をいたしまして、日本政府が依然として石油価格、製品価格の値上がりを抑制しておるなら、これまたもう利潤の大きなところに原油を回すのは当然であるというような発言をしておるわけでありますが、この際石油部長にお尋ねをしておきます。一体通産省のほうはこういうメジャー削減通知というものを具体的に文書なり何なりで受領されたのか、あるいはただ単なるうわさ程度として受け取られたのか、この点をひとつ通産石油部長から明確にお答えいただきたいと思います。
  41. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  メジャーから私どもの山形長官あて、その他幹部に対しまして、すでに、時期的には一月の下旬ごろだったかと思いますが、今回の値上げ問題に関連いたしまして、メジャー考え方というものにつきまして、なるべく早い時期に適正な価格で指導してもらいたい、こういう価格が未決定な状態が長期に継続した場合には将来の原油の供給面で悪影響が出る場合も予想される、こういう趣旨のメモが届いておるわけでございます。いま先生御指摘の、この一両日前の新聞に報道されましたメジャーからのカット二五%等々という新聞報道につきましては、これは私があるメージャーの一〇〇%子会社である日本石油会社の代表者から、今日のように政府の指導によりまして価格が上げられない状態になっておることに対しまして、本国の本社のほうでは、開発段階におきます利益というものがごくわずかであるのに対して製品はそれに十倍する赤字を出す、これはおのずから限度があるので、国内の製品の販売計画につきましてはこのような赤字累積の状況を前にして、顧客に対する迷惑は極力与えないような配慮はしなければならないにしても、その供給削減せざるを得ない状況になってまいりました、具体的には三月の販売計画を当初の予定から見ますと約一五%減らさざるを得ない、こういう状況に立ち至った、こういう連絡が私に参っております。これは文書ではございません。口頭による連絡でございます。ただ、これはその特定のメジャーのみならず他社も含めまして、また日本民族系の企業等も含めまして、三月の供給目標をすでに決定をいたしましてその確保並びに円滑な流通ができるように石油需給適正化法によりまして私どもが監督する立場にございますので、これらの各社の状況につきましては全体の供給計画に照らしまして支障があるかないか、その点を十分事情も調査をするということで現在ヒヤリングを実施している段階でございます。その間に、たとえば備蓄がどんどんふえているのに供給が少ないといったようなことがあった場合には、私どもは十分その点は是正するように指導しなければならないと思いますし、ケースによって適正な指導を行なってまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。
  42. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 石油部長がいま言われたあなたに口頭で言ってきた会社はエクソン、シェルですか。
  43. 熊谷善二

    熊谷政府委員 エッソ石油でございます。
  44. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それからあなたの手元に文書でそういう通知をしてきた、通産省にですね、一カ月ぐらい前に。その文書はどういう文書ですか。それは公式な文書ですか、あるいは私的な文書なんですか。
  45. 熊谷善二

    熊谷政府委員 私ども長官あてに出してまいりました陳情書でございます。
  46. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまそれは陳情書ということを言われたのですが、その発送人は極東支配人になっておるのか、それともメジャーズのキャップになっておるのか、その点はどうなんでしょう。
  47. 熊谷善二

    熊谷政府委員 いま正確に記憶はいたしておりませんが、日本の代表から参っているものと理解しております。
  48. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私はここで長官の御意見を承っておきたいと思うのですが、少なくとも日本政府物価政策として行なっておる行為について、ある意味で批判がましいことを国際資本であるメジャーズがいろいろと言ってくる、これは逆に言うと内政干渉的な色彩が強いと思うのですね。陳情という形態なら私は話はわかります。しかし少なくとも日本政府の田中内閣の基本である物価政策の根幹に触れるような内容についての意見的なものを政府に寄せてくる、そうしなければ一五%カットするんだという石油削減という武器を持ち込んで政府をゆさぶる、こういった行為について政府で実際に統一見解といいますか、こういう外資のあり方についての政府の見解というものをまとめたことがあるのかどうか。ただ単にこれは通産省に来たものだというふうに軽く見過ごしておられるのか、それとも基本的な問題として議論されたことがあるかどうか、その点をひとつ長官のほうからお聞かせいただきたいと思います。
  49. 内田常雄

    内田国務大臣 日本海外から供給される石油の総量に対する相当の部分を供給をいたしておるメジャーというもの、国際資本あるいは国際営利機関、そういうものを通じて石油輸入せざるを得ないというあり方については、これは政府経済関係閣僚の間でもいろいろな討議をしたこともあり、現に先般ワシントンで行なわれました石油消費国会議の最終メモランダムにおきましても、このメジャーのあり方というものについて慎重なる検討をいたすべきであるというような項目も載っておりますことも松浦さん御承知のとおりであります。  いまお尋ねになりました文書につきましては、これは総理大臣に来たものでもなければあるいは通産大臣に来ておるものでもなければ、もちろん私あての申し入れでもないようでありまして、いま石油部長が言われたような形の文書でございまして、内政干渉であるというような松浦さんのとり方ももちろんあるわけでございましょうけれども、しかし国際営利機関として、彼らは一番もうかるところに石油を運んでいくんだというような考え方も、彼らとしては彼らなりのわがままではあるが、そういう考え方もあり得るということも私どもも想定はせざるを得ない、かように思いますが、私は、メジャーというものが、そういう国際営利機関でありましても、今日国際的な注目、注視の対象になっておる機関でございまして、また世界石油供給のルートを大幅に握っておる機関でありますので、彼らとしても国際的な批判を受けるような軽率の表現や行動は慎重にさるべきものであると私は考えます。
  50. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 一般論として大臣の言われること、私も理解いたします。ただ問題は、こういったメジャーズの攻撃に対して外交ルートを通じて、逆に言うと正式にこういったことについてはひとつ改めてもらいたい、あるいはいま田中内閣にとって物価を押えるということが最大の目標でありますから、逆に言うとメジャーズの極東支配人等を通産が呼んで、そして国内におけるわが国政策の協力を得る、そういった手だてを、実質的にはやられておらないのじゃないかと思うのですね。そういう点について実際にやられたことがあるのかあるいはやっておられないのか、その点だけひとつ大臣のほうからお答えいただきたいと思います。簡単でけっこうです。
  51. 内田常雄

    内田国務大臣 そういう政府としての統一的な行動はとっておりません。ということは、先ほども言いましたように、それは大臣に来たものでもなければ私どもに来たものでもないものでありますから、私としては、そういうことはあるだろうけれども歯牙にかけておらない、私はそういう考え方を持ちます。
  52. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 歯牙にかけておらないという長官のおことばですが、それはそれでけっこうだと思うのです。ただ問題は、そういったバックグラウンドを背景としていま通産当局が九ドル、十ドル原油の輸入をめぐって、新価格体系に移行するための努力を盛んにしておられるわけですね。それはもう事実だと思うのです。だから、そういった意味で、そういったバックグラウンドを背景とした新価格体系移行の議論だということになれば、私は国民は納得しないと思うのですね。逆にいうと、メジャーズが三月から一五%カットするから、たいへんだから、何かしりに火がついたように新価格体系という議論が沸騰してくる。そういうものが政府内部であるいは政府と与党との間で議論されるというのは、私は国民はたいへん理解しないと思うのです。そういうことは別にして、現実の問題としてこうなんだということの新価格体系移行という議論ならば、ある意味国民の理解も得るでしょうけれども、何かいま見ておりますと、通産だけがもう、一五%カットされるという前提に立って新価格体系というものにあわてふためいてばたばたしておるという現実が私はあるのだと思うのです。こういう点は、ぜひ物価担当大臣として、これはきびしくやはり処置していただきたい。少なくともメジャーズ等の攻撃があるからばたばたするんじゃない。そういう姿はかえってメジャーズの思うつぼだと思うのです。そういう点は、私はき然たる態度で臨んでもらわなければ困る、そういうふうに思います。一私文書ではありますけれども、現実にそういうものを背景にして、ばたばたといましりに火がついたように騒ぎまくっておるのですから、そういう点について、物価担当大臣として明確に区切りをつけていただきたい。抗議するものはぴしっと抗議をする、やるべきことはやるんだという前提に立っていただきたいというふうに思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  53. 内田常雄

    内田国務大臣 通産省のために私からも一言弁明をいたすわけでございますが、通産省といたしまして、今回の原油入着価格の高騰に伴う石油製品価格の指導価格の是正の作業というものは、いまのメジャーの文書問題とは全く別の問題である。それはそれ、これはこれということで通産省もおるようでございまして、価格改定問題は全く別の見地から処理をすすめております。
  54. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 別な角度から進めておるということでありますから、ぜひそういう態度を示していただきたい。国民から見れば、何かメジャーズの干渉によって騒ぎまくっておるという印象しか見えませんので、われわれ自身含めてそういうふうにしか見えませんので、その点はぜひ希望として申し上げておきたいと思う。  それでは、そういうメジャーズの背景がないとしても、現実に十ドル原油が入ってきておることは事実です。新価格体系にいつかは移行せざるを得ないと思うのです。その点について、物価担当大臣はその新価格体系に移行する時期いつと見ておられるのですか。
  55. 内田常雄

    内田国務大臣 時期は、いろいろ実は政府部内あるいは自民党も含めて、正直に申しまして検討中でございます。しかし、御承知のように石油の備蓄が、全体といたしますと五十日か、あるいはまあ最近では五十日か、あるいはまあ最近では五十日少し欠くくらいになっているのかもしれません。新しい公示価格にいたしまして十一ドル以上の原油、FOBの買い付け価格にいたしまして九ドルをこえる原油というものは一月二十日ごろからわが国に入着をいたしておりますので、かりに五十日間の備蓄を持っておるといたしましても、一月二十日から数えて五十日目の三月の十日には安い時代の原油というものはなくなりまして、全部が新しい価格の原油、こういうことに全体としてはなりますので、したがって、これをそのままいつまでも放置をいたしておくということは、これは石油精製企業のためばかりでなしに、完全に原油と製品価格が逆ざやになっていることは、これは松浦さんも御承知のとおりでございますので、それをいつまでも放置しておくというわけにはいかない。しかし、それが石油製品価格を通じて他の生活必需物資なりあるいは国民経済の基礎物資なりにどのような反映、影響を及ぼすか。影響を及ぼさないような方途を講じながら、石油製品値上げの、指導価格改定の時期をさぐろう、こういうことで、いま関係当局とともに検討しておる、こういう段階でございます。
  56. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 政府自体が、石油価格体系移行の日にちをいつに設定するかということをいまかりにここで正確に、あるいは抽象的にでも発表すると、そのことがまた、売り惜しみ、買い占めその他の投機行為に走るという前提があることは私も理解をいたします。そこで、通産省のほうではたいへん言いにくい点があるかもしれませんが、八千円、九千円、一万円という一つの方式をすでにもう出しておられますね。八千円、九千円、一万円という方式、この三つの方式を出しておられることは事実でしょう。
  57. 熊谷善二

    熊谷政府委員 現在、先ほど長官からお話がございましたように、大幅原油価格引き上げということに対応した新価格体系への移行でございますので、石油の製品のみならず他製品への波及ということにつきましても、物価対策面でいろいろ手だてを講じなければならないという御判断で、いろいろな作業を実はいたしております。いま先生御指摘の八千円、九千円、一万円といったようなものをベースとして、それぞれの場合に他物資へどういった具体的な影響が出てくるかといったような問題、また、これに関連しましたいろいろな作業をやっておることは事実でございますが、いま先ほど長官からもお話がございましたように、具体的な政府内のコンセンサスがまだ得られておらない。現在、作業中でございます。
  58. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 部長にお尋ねしますが、九ドル原油が永久に続くという前提に立って新価格体系というものを検討しておられるのですか。その点はどうなんですか。
  59. 熊谷善二

    熊谷政府委員 九ドル原油が今後どの期間続くかという問題は非常にむずかしい問題であろうと思います。先生御承知のように、OAPECの一部の国におきましては、もう少し適正価格はこれより下にあるべきだという考え方もございますし、反面また、今後の先行き需給を考えますと、かつてのように供給が過剰になるといったことはまずは考えられないということにおきましては大かたの意見は一致していると思いますが、さりながら他方、昨年の暮れ以来のDD原油をめぐりますべらぼうな値段というのがやはり一時横行したわけでございますが、こういったようなことは現在鎮静化しておりますし、今後さらにこの価格が引き下げられるべきではなかろうか、こういう考え方も、私ども担当者としては持っておるわけでございますが、ただ当面の状況を見ますと、これが急速に下落するというようなことの予想をするのは大胆過ぎるという感じがいたしております。この最近のDD原油の買い付け状況を見ましても、むしろポステッドプライスに近い線ということを産油国のほうとしてはぜひとも確保したいという考え方もございますし、産油国の中で価格維持に対する努力はやはりなお引き続き行なわれていくと考えられます。私どもが現在作業しておりますこの価格は、最近の実勢というものをもちろんベースにして作業いたしておるわけでございますが、ただ何ぶんにも、いま先生がおっしゃったような流動的な要素もございます。下がる要素もあれば、逆にまた上がる要素もなおあるというふうに考えておりまして、そういった流動的な状態での作業でございますので、なかなか難航いたしておるわけでございますが、いずれにしましても、今後の価格動向を見ながら、この価格につきまして必要な調整を要する場合は調整をしていくという弾力的な態度が必要ではないかというふうに感じております。
  60. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 対米輸出が緩和されまして、新聞の報道するところでありますが、七ドル原油がアメリカには供給されるという、そういう発表すらも出されておるわけですね、AP通信等でも。そうなってきますと、いま、新価格体系に移行するのを九ドル原油ということの前提に立ってやっておりますと、国際価格は下落をしていく。現に七ドルというやつが出ておるわけでありますから、そういった場合に、一ぺん新価格体系に入ってしまったらもう下がらない。九ドルが七ドルになっても下がらないという硬直したものをつくり出してしまうと思うのですね。そういう判断については、経済企画庁長官、どう思われますか。実質的にいま新価格体系に移行する。確かに民族資本はDD原油をつかまされて、高い原油であることは事実です。しかし国際資本のメジャーズのほうは、それほど高くない原油で入ってきておるわけです。平均したときに高くなってきておるわけです。それが現実に七ドルになるかもしれないという予想がいまある。そういう段階で、新価格体系に、ばたばたと移行することはたいへんな危険を伴うと私は思うのですが、その点は、長官どのようにお考えになりますか。
  61. 内田常雄

    内田国務大臣 どうも松浦さんのひざ詰め談判のような御質問で、私もなかなかお答えしにくいのですが、ただ、こういうことがあることは事実でございましょう。いまかりにバーレル当たり九ドル、十ドルの原油が入ってくるといたしますと、それはキロリットルに直しますと六・三かけます、かりに十ドルにしますと、それは六十三ドルになります。一ドル三百円しないにしても、二百九十円ぐらいにいたしましても、これはやはり一キロリットル当たり一万九千円とか二万円近いCIF価格になります。ところが現在、通産省が昨年の十二月以来押えておる製品価格のほうが、平均いたしますと一キロリットル一万四千三百五十七円でございましたでしょうか、一万四千円台でございますので、原油とそれにいろいろなトッピングの費用等をかけました製品の価格を比べてみまして、たいへんな逆ざやに三月十日以降はなるわけでございます。あたかも、これは生産者米価と政府の売り渡し米価と同じような仕組みでありますことは、松浦さんもおわかりであろうと思います。そうしますと、それは入着原油がアメリカで七ドル幾らというのは、おそらくFOB価格であろうと思いますが、そのFOB価格が七ドルであろうと、わがほうが八ドル何十セントという七月一日からのFOB価格、そこに若干の開きがあるにいたしましても、さきに申し述べましたような逆ざや関係というものを放置いたしますと、メジャーの文章に脅迫されるつもりは毛頭ありませんが、メジャーの末端の精製会社であろうが、あるいは民族系のわが国の精製会社でありましょうが、それは全く成り立たなくなりますことも考えてまいらなければならないとしますときに、この価格を改定するということになりますが、改定の幅は、松浦さんがいま三種類ぐらいおあげになりましたけれども、それはそのとおりでもないのでございます。そういう過程のものでもないので、だんだんいろいろの——何しろ私どもは値段をたたくのが仕事のように心得まして、それは石油製品を飲むわけでも食うわけでもございませんが、あまり高くしますと、あとの生活関連物資とか基礎資材がそれをのみ切れないという問題もありますので、きつい話をいたしますと、この際は積み立て金を取りくずしてもらったり、あるいは配当をある程度遠慮してもらわなければならないぐらいのところで石油の製品価格というものをきめておけば、多少値段が動くことがありましても、それはまたあとの手直しが非常に楽であろう。もっともこれは安くなるもののほかに——ミナス原油なんというものがございます。これはサルファ分の少ない原油でありますが、これなどは、たしか十ドルかそれ以上の価格ですが、仮仕切りだそうでございまして、むしろ違う値段が最終的にセットルされるというような問題もございまして、その辺のことも十分含みまして、経済企画庁としては、通産省の言いなりにはならない、国民全体のことを考えて、そして少なくとも物価が再び狂乱状態にならないように、またそれどころではなしに、他の物資の価格は大部分を押え込み得るようなところで値段をきめさせようということで努力をいたしております。
  62. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ぜひそういう努力長官お願いしたいと思うのです。具体的にいろいろなことを言われたのですが、そのことをぜひ実行していただきたい。押えるということを前提にして、新価格体系というものの検討に入っていただきたいと思うのです。  そこで部長にまたお尋ねをしておきますが、この通産省の案なるもの、まぼろしかどうかは別にして、現実に議論されておる、この原油の価格ですね、これは為替レートは一ドル三百円で計算しておると思うのですが、それは事実でしょう。
  63. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えします。  現在、作業中でございますので、非常に申しわけございませんが、具体的な点は省略さしていただきたいのでございますが、三百円という、実勢とやや違った前提はとっておりません。
  64. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私がこの資料で計算をした範囲内では、実勢に見合わない三百円で計算をしております。少なくとも実勢が二百九十円台ですからね。そうすると、その十円のフレというのはたいへんな影響を与えるのです。ですから、かりそめにも架空の円レートではなくて、実勢の円レートでやはり計算をしてもらいたい。ところがいまフロートしております。固定相場じゃありませんので、フロートしておる関係で、そのときそのとき変わってきますので、その点の目安をぴちっと立てて、変な形で、高値のほうで価格の計算ができないように、その点も注文として、いま具体的な御答弁がありませんから、お願いをしておきたいと思うのです。  それからもう一つは、これも現実的に価格をきめていく場合に、非常に安いコストのところと高いコストのところがありますね。これはもう当然だと思うのです。それに対して通産省のほうの考え方は、バルクライン方式といって、四分の三を中心に見る、残りの四分の一は赤字になってもしようがない、切り捨てる。四分の三だけが救済できるようなバルクライン方式による救済措置、新価格体系移行、それ以上のものについてはこれは赤字でもどうにもならぬ、そういうきめ方をせざるを得ないと思うのですね。精製業というものは、四十種、五十種とある業界でありますから、そうなってくると、その全体を救済していくということになれば、非常に高い価格にきめざるを得ない。それでバルクライン方式というのがとられておると思うのですけれども、そういった場合に、要するに切り捨てられる四分の一の、バルクラインで切り捨てられたものに対する手当てというものも、これは中小企業ですから、精製業としては中小企業でありますが、こういうものに対する手当てというものもぴちっと考えておかないと、逆に言うと、新価格体系に移行したわ、四分の一の精製企業は倒産をする、そういう問題も当然出てくると思うのです、このバルクライン方式というのは。その点についてもきめのこまかい配慮をしていただいておるかどうか。その点もひとつお聞かせいただきたいと思います。
  65. 熊谷善二

    熊谷政府委員 いま先生御指摘のバルクライン方式というのをきめて、政府部内として作業なり何なりをやっておるという段階にはまだ参っていないわけでございますが、当然御指摘のように、企業格差がございます、原油の入手ソースが違いますので、それぞれの影響の度合いが違うわけでございます。私どもとしましては、供給の面の確保に不安がないようにしなければならないことが第一の前提でございますだけに、確かにある線できめた場合に、それ以下の企業が出た場合の手当てというものは、先生御指摘のように、私どもも十分配慮しなければならない点であろうと考えております。政府といたしましても、かりにそういった企業が出た場合に、それに対する金融その他の手当て等につきましては、私ども担当者といたしましては、できるだけ手当てをすることが必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
  66. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、石油部長、ぜひ通産省として、そういう配慮もお願いをいたしたい。——それじゃ、分科会があるそうですから、けっこうです。どうぞ行ってください。  最後になりましたが、大蔵省にお尋ねをしておきたいのですが、実は石油を日石のように七十日分も貯蔵タンクを持ったところがある、ところが丸善のように二十日しかないところもある。備蓄量の格差が非常に激しいわけですね。七十日といい二十日という。だから大きなタンクを持っておるところは安い原油を七十日分蓄積できるのですね。そこでこれから石油業界がそれぞれ決算に入っていくわけでありますが、先般もすでに、どこでしたか、エッソスタンダードが三月期の決算を発表しておるわけでありますが、その場合に決算の企業会計ですね、逆にいうとたなおろし、その企業決算、企業会計について、どうも国民として理解できない点がある。それは日本民族企業の場合は大体平均値というんですかね、平均法をとって、安いときと高いときとを平均して価格の計算をする、たなおろしの計算をする、こういうことになっておるのです。ところがメジャーズ系は、実はあと入れ先出し法といって、あとから入ってきた高いものを基準にして決算をする、こういうことになっておるようであります。これをいろいろ調べてみますと、これは企業自体の選択によるという指導になっておりまして、それぞれの税務署に届け出をしてそして決算をする、選択をして決算をする、そういうことになっておるようであります。そうなってきますと、継続性の原則によってずっとそういう会計処理をしてきたわけですが、それを変更する場合には大蔵省の許可が要る、税務署の許可が要るということになっておるだけで、今度のように原油価格が急激に上昇する場合——原油価格が下がるときにはこのあと入れ先出し法というのがたいへん企業にとっては損な決算方法なんですが、このように原油価格が上がるというときにはたいへん都合のいい決算方法になるんですね。これはある新聞によると、利益隠しということにもなるというふうな表現がしてあったんですが、まさしくこのあと入れ先出し法という方法で決算をしますと、今度のように大きな貯蔵施設を持っておるところほど決算が有利になる、メジャーズとかそういうものが有利になる。こういうものについてある程度政府側が、非常に企業がその企業決算によって、企業会計によってもうかるというようなそういう決算方法であった場合は大蔵省側で逆にこれは改めなさい、継続性の原則があるからということは重々わかっておるのですが、こういう段階のときには逆に政府のほうから先入れ先出し法にしなさいとか、そういうふうにして、できるだけ国民物価高というしわ寄せをやらないような企業会計決算をさせる。確かに企業会計という原則から見ると正しいのですけれども物価というものからその企業会計を見る国民側からするとたいへんおかしなものになるんですね。ですから、一面では正しいことをしておるのだが、物価という、この物価問題特別委員会という立場あるいは物価を取り扱うものから見ると、この企業会計というのはたいへんおかしなものになる。しかも、これに対して継続性の原則から政府側が何ら意見を差しはさむ余地がない、こういったものについて一ぺん大蔵省の御見解を承って、そのあとひとつ提案をしたいと思います。
  67. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答えいたします。  たなおろし資産の評価方法につきましては、先生がただいまおっしゃいましたように、企業収益にどのように原価を対応させていくかという方法はきわめて技術的な方法でございまして、それが従来からあるいは国際的に見ても、ある程度の範囲において一般的に公正妥当なものとして企業会計上考えられている状況にございます。そういう意味で税制といたしましても、現在、ただいま問題になりましたあと入れ先出し法その他八種類の評価方法を認めております。ただ、あと入れ先出し法につきましては、その商品あるいは在庫品の価格が上がりました場合にある意味では企業収益が小さく出るあるいは課税所得が小さく出るということは経過的にはおっしゃるとおりでございまして、国民感情の点からは問題があるといわれますが、実はそういう場合場合に応じましてどのような方法をとれというふうなことを政府で指導していくあるいは税務上指導していくということになりますと、値段があるいはずっと横並びに、あるいは一つの水準で安定的に推移した場合にはどうなるか、あるいはその品物が値下がりの方向に進んだときはどうなるかというふうな問題も含んでおりまして、これをただいま、継続性のもとに要求しております届け出制度というものを変更することは困難かと考えております。
  68. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう時間がありませんから大臣のほうに見解なりあるいはお願いをしておきたいのですが、企業会計の原則からいうといま言われたとおりなんですね。ところが日本民族資本のほうは平均方式をとっておるのです。メジャーズだけがいま言ったようにそういう決算方法をとっておるのですね。先入れあと出し法という方法をとっておる。ですから、原油価格がどんどん、どんどんこういう状態で上がってきておる段階では非常に都合がいいのですね。物価というものから見ますと、何かもうけを隠しておるじゃないか、それを企業決算でもうけを隠しておるじゃないかという批判を国民は集中するわけですね。ですから、そういった場合には、石油なら石油の企業決算というのはやはり日本において公正妥当なもの、たとえば平均法がよければ平均法でいけという、そういう統一したものにならないかどうか。それがもしだめだとすれば、極端に差が大きい、六ドルも、七十日も持っておるところの原油の価格差というのは六ドルから五ドルあるわけですから、そういうものについては、やはりその期について企業会計、継続性の原則はあるにしても、平均法でいけとか、そういった指示ができるというぐらいに政令なり何なりを変えておく必要があるのじゃないか。確かに企業側にすれば、高いときもあれば、ずっとこれから下がっていくぞ、下がっていったときにおれのほうが損するじゃないか、そういったときには必ず変更の届けを出すわけですからね。継続性の原則があっても届け出さえすればいいわけですから、税務署のほうが認めてくれれば。届け出を認めてくれればいいのですよ。ですから、あくまでも企業サイドではなくて、そういうものに対しては政府側からも発言をする機会というものを持てるように、ある程度政令その他を改正しておく必要があるんじゃないか、これは法律事項じゃないわけですから。その点について大臣の御所見を承っておいて、私の質問を終わりたいと思います。
  69. 内田常雄

    内田国務大臣 松浦さんの御所論はよくわかりました。これは私も実はそのほうでめしを食わしていただいたこともあるものでございますのでたいへんよくわかるわけでありますが、大蔵省の政府委員が答弁されましたように、これは継続性の原則でやる以外にない、にわかに変えようと思っても承認はしない。ことに最近、国税庁から各税務署長に通達を出されて、いままでは税務署長限りでその在庫、たなおろし資産の評価原則の変更を承認したものについても全部上まで持ち上げろ、そうして上級官庁の禀議を受くべし、こういうことにいたしておるくらいのことをやっております。しかし、それと離れまして、今後の石油製品価格を幾らに是正するか、これは税の問題ではございません、製品価格。その際は、各企業がその先入れ先出しの方法をとっておろうと、あと入れ先出しをとっておろうと、あるいは総平均、移動平均、どんなものをとっておりましても、私どもというか、通産省はすべてそれを総平均法によって現実に計算をし直して、これは税の計算、会社の企業会計原理とは別に計算をし直して、そうして幾ら上げればいいはずだと、こういうものを出すことにいたしておりますので、松浦さんのおっしゃる半分の御心配は、価格を決定する面においてはないようにいたします。  税のほうのことにつきましては、せっかくの御所論でありますから、これは大蔵省のほうにも、ひとつやれるかやれないか研究をさせるということで、しばらく預かりにさせていただきたいと思います。
  70. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これからそれぞれ石油会社の決算期に入ります。メジャーズは全部あと入れ、先出しをとっておりますので、この問題はおそらく国民の中でもなかなか了解しがたい企業決算内容になってくると思うのです。それで、ぜひ大蔵省のほうも、大臣が言われたことを検討していただいて、国民の要望に沿うよう方法を見つけていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
  71. 平林剛

    平林委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩をいたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————    午後一時四分開議
  72. 平林剛

    平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。金子みつ君。
  73. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私は、きょうは初めに経企庁長官にお尋ねさせていただきます。  第七十二国会の冒頭で、長官が私どもにごあいさつをくだすったわけでございますが、そのごあいさつの中で「物価の安定は、国民生活の基盤をなすものであり、その動向は国民福祉に重大な影響を及ぼす問題であることは言うまでもありません。政府物価の安定を現下の最優先の課題として」、「緊急対策並びに長期構造対策に全力をあげて」云々というふうにごあいさつをいただきましたわけでございますが、この緊急対策並びに長期構造対策でございますが、この内容について概略御説明いただいて、その関係をお示しいただきたいと思います。
  74. 内田常雄

    内田国務大臣 ごあいさつの中で申し述べましたように、私は物価の安定というものが今日最大の政治課題であると考えます。同時にまた原油の輸入価格の大幅な上昇とかあるいはさらに一部の農産物等につきましても類似の現象が起きることも、私は農林省ではございませんけれども経済企画庁として石油のことと同じように非常に心配をいたしておるわけでありまして、したがって、物価の安定ということは著しい上昇、狂乱的な上昇ということを押えること、またできれば引き下げをも含むことはもちろんでございますが、いま申し述べましたような事態のもとに国内物価体系というものはある程度変わってくるのではないか、その変わってきた際に国民の生活関連物資等の物価のあり方について十分な配意をしたり、また日本経済というものはこれから今後も配意をしていかなければならないわけでございますので、基礎資材などの価格の構造につきましても十分配意をしていかなければならない。別のことばで申しますと、物価を引き下げ、上昇を抑制すると同時に、そこでも申し述べておりますように新しい価格体系というものを早く安定をさして、そして国民や企業に今後のあり方のめどを十分つけていただくようにしたい、こういう意味でございます。そのための施策でございますが、これはたびたび申し上げることで恐縮でございますが、緊急対策であり、またこれが長期対策になると思いますが、総需要の抑制、これは金融の引き締めがまず第一でございます。  公定歩合の引き上げなどを御承知のように昨年中に実に五回にわたって一カ月おきに行ないまして、昨年の四月の公定歩合年四分二厘五毛というのを十二月には九分にまで引き上げまして、一般的な金融の引き締めをやったわけでございますが、これと抱き合わせに銀行の預金準備率の引き上げというのも行ないまして、銀行が預金を集めた場合にはそのうちの一定率を日本銀行に無利子で預託しなければならない、こういう法律上のたてまえを強化をしてまいりましたり、さらにまた経済の動き、物価の上昇などもございまして、何がしか日本銀行券の発行高というものはふえております。そのふえ方は最近非常に減ってまいってきておりますことも、これは金子さん御承知のとおりでございますが、それにしても日本銀行から民間の金融機関を通じて出される日本銀行券というものがあるわけでございますが、さような場合に選別融資といいますか、窓口指導、そういうものを強化してまいる等々のことが金融引き締めの幾つかの手段でございます。  なお、最近さらに公定歩合を引き上ぐべきではないかという議論がありますこと、しかしこれは必ずしもそうすることがいいとは私は思いませんが、そういう課題も提起されていることは金子さんも御承知のとおりでございます。  それから次に大きいのは何といいましても財政の規模の抑制でございまして、本年度の国の予算あるいはまた明年度の国の予算編成につきまして費用の繰り延べとか、あるいは増加率の抑制とかいうようなことをとってまいってきていることも御承知のとおりでございます。そのうち特に資材を食いますところの公共事業というようなものを実質的にはかなり抑制をいたしておりますことも申すまでもないところでございます。  その次は公共料金の抑制問題で、一たん予算できまりました国鉄運賃の値上げとか消費者米価の値上げというようなものも思い切った措置として繰り延べてまいりましたことも御承知のとおりでありますし、現在またいろいろ出されております公共料金の値上げ申請なども、かなりの無理はあるとは思いますけれども、押え込んでおりますことも、総需要抑制といいますか、単に目先の対策ばかりでなしにやや長期の対策一つとしてやっておるわけであります。  それから緊急対策といたしましては、年末におつくりをいただきました石油二法あるいは買占め防止法の強化、こういうものの運用、さらにはまたそこまで至りませんでも、そういう法律を背景とした行政指導による価格の抑制、あるいはまた増産の指導というようなこともやってまいってきておるわけであります。  そのほかさらに、これは一般的のことになると思いますけれども、自由主義体制のもとにおきましては競争条件を十分生かしていく、そうして品物が下方硬直といいますか、管理価格のようなことにならないような対策、主として公取委員会の御活動にまつものでございますが、そういう対策でございますとか、輸入の自由化等、できる限り安いものは輸入する、また不足のものは輸入する、さらにまた、最近もやっておりますが関税率の引き下げ等も加えまして、物資の安値買い、安値補給というようなことも対策の大きな分野として考えておるようなわけでございます。  その他あらゆる措置を講じて、私どもが明らかにした政治目標を達成いたしたいと考えております。
  75. 金子みつ

    ○金子(み)委員 ありがとうございました。  段々と御説明いただいたわけでございますが、そのいろいろな御計画がはたして四十九年度において実際にその効果があらわれるかどうかということは、非常に国民も期待いたしますし、私どもも期待するところでございますが、実は同じごあいさつの中に、消費者物価あるいは卸売り物価については四十九年度においてはかなり落ちつきを取り戻すだろうとお見通しをしていらっしゃるわけなんですけれども長官見通しとは何か逆になるようなかっこうに、四十八年度よりも四十九年度に入りましてからは猛烈に上がってきたわけでございますね、その数字も。たとえば総理府でお出しくだすった資料を拝見してみましても、消費者物価につきましては、昨年の十一月、ここら辺でずいぶん上がってきたわけでございますが、一五・九%だった。それが十二月になりますと前年度比較一九・一になります。さらにそれがことしの一月に入って二三・一%。これは前年同月比較でございますね。卸売り物価は、まあ卸売り物価が先に出るはずだったかもしれませんけれども、十二月が二九・〇%でみんなびっくりしたわけでございますが、ことしに入りましてからは前年同月比三〇%をこえておりますね。それで、このような数字で行きましたらどうなるだろうといって非常に心配しているわけなんです。ことに、この数字は全国平均の数字でございますが、勤労者の世帯がこれをどのように受けとめているかということなんでございます。勤労者世帯の受けとめ方といたしましては、総評主婦の会が調査をいたしましたものがございますが、これと総理府統計局がお出しになっていらっしゃいます数字と比較いたしますと、総合では、総理府の側の数字が八・四%のときに、勤労者世帯では一二・〇なんです。約五割ですね。五割は完全に上昇いたしております。ものによっては大体同じぐらいのものもございます。たとえば光熱なんというのは、総理府の数字が三・〇のときに、勤労者世帯は二・九、あるいは被服が一四・二に対して一四・四というのもございますけれども、雑費なんというのは——その他のものを入れた雑費でございますが、五・五に対して一〇・六、これはもう完全に倍になっています。それから住居に関しても六・八に対して一六・七というふうなぐあいに、倍どころじゃございません、二倍半、三倍近いような大きな数字として勤労者世帯にははね返ってくるわけでございますから、国民はいま非常に苦しんでおりますし、さらに、示されましたような数字がこれ以上どんどん、どんどん天井知らずに伸びていくというようなことがあるとするならば、一体どうして生活したらいいだろうとみんなが非常に心配しているのが実情だと思うのでございます。長官が四十九年には落ちつくであろうとおっしゃっていたお見通しと反するような数字があがっておりますが、それでもやはりいまのような政策をお続けになれば落ちつくであろうとお考えでいらっしゃいましょうか。
  76. 内田常雄

    内田国務大臣 なおこまかい点は、私のほうから物価局長が参っておりますので、お尋ねに応じましてお答えをさせていただきたいと思いますが、全体といたしましてはこれは私も手放しで物価の前途を楽観しているというわけでは全くございません。金子さんと同じような心配を持つものでございますが、傾向といたしましては、私は、四十九年中には、あるいは中と申しますよりも、四十九年の中ごろまでには、卸売り物価も消費者物価もその増勢が十分鎮静をしてまいるものと期待し、またそのための努力も続けていくものでございます。  現に昨年、昭和四十八年中の物価、ことに卸売り物価の上昇は著しいものがございました。たとえば、経済見通しなどにおきましても、四十八年の当初におきましては、卸売り物価はたしか二・二%ぐらいしか上がらないような見通しであったと思いますが、それが年末、私が就任をいたしました直後には、思い切った卸売り物価、消費者物価の上昇率の改定をもいたしましたこと御承知のとおりでございまして、一年間を通じてたいへんな上がり方を示しておりまして、ただいまも金子さん御指摘のとおり、卸売り物価は全国では一月で、前年同期に対比いたしますと三四%の上昇を示しております。そのような著しい値上げになりましたが、それも主として昨年の秋、ことに石油価格の上昇のころからこの一月に向かって上がってまいりました。しかし金子さん御承知のように、二月に入りまして、その卸売り物価のさような上昇も一服をいたしまして、現に二月中旬の卸売り物価の数字は、一月と全く持ち合いになりました。やがて二月の下旬分が発表されるはずですが、そうなりますと、二月中の対前月あるいは対前年同月の数字が出ることになりますけれども、いま私がいろいろの資料から判断いたすところによりますと、その二月全体の上昇率というものもかなり上げ足を低めて落ちつきを示すはずでございます。ただ物価は、前の月や前年に上がっておりますと、上がった頂点でかりに横ばいになりましても、いわゆるげたというものが発生しておりますから、その年には一つも上がらなくても、対前年あるいは対前月ですとかなり上がるということになりますから、二月下旬の数字が発表され、二月中の全体数字が発表されます場合にも若干の上がりは示しますけれども、それにいたしましても昨年十二月には対前月七・一%、それからこの一月には対前月五・五%上がりましたのが、この二月に入りますと上旬で一・七%の上昇、中旬ではそれがゼロ%の上昇、こういうことでございます。消費者物価のほうは、昨年度を通じまして卸売り物価の上昇ほどには実は上がっておらないわけであります。これは年々消費者物価のほうがよけい上がるわけでありますけれども、昨年は上がることは上がりましたけれども、たとえば一月の数字をとりましても対前年同月で二三・一%というようなことで卸売り物価における三四%というような上がり方ではございません。ただ一番心配になりますのは、金子さんも同じ御心配をお持ちだと思いますが、今度原油の価格が非常な値上がりをしたのに応じて、石油製品のいまの通産省の凍結価格というものが全く逆ざやになっておりますので、その関係を是正することがいま問題になりつつあるわけでありまして、そうなった場合に石油価格の値上がりというものがまた他の一般物資の卸売り価格なりあるいは消費者価格なりに影響を与えはしないか。そうなると、いませっかく落ちつきかかった物価というものがもう一ぺん狂乱の歩調をとるのではないかという心配は当然あるわけでございますが、そのことも十分私どもは念頭に置きまして、かりに石油価格の引き上げ是正をいたしましてもそれが他の物資にはね返らないように、言いかえますと、他の生活関連物資あるいは基礎物資などの価格形成の中において石油の値上がり分が吸収されますようないろいろな措置をとってまいろう、実はこういうことを考えておる次第でございます。
  77. 金子みつ

    ○金子(み)委員 それに関連があることだと考えるわけでございますが、昨年の暮れに前国会で制定されました国民生活安定緊急措置法、あの措置法の中で物価の安定をはかるということが目的とされておりますので、例の標準価格というものが決定されていると解釈いたしますが、その標準価格の運用並びにその実態について少しお尋ねさせていただきたいと思います。  実は法律の趣旨目的等から考えれば、国民生活を安定させるために必要以上の高値をつくらせないということが目的でされたものと考えるのでございますけれども、実際問題といたしましては標準価格が決定されました段階では騰貴された価格に基づいて行なわれたように考えられるのでございます。ことばをかえて申しますならば、いわゆるよく申されておりますように高値安定の結果になってしまったというふうに考えられますので、たいへんに遺憾だと思うのです。  たとえば一つ、二つ例を申し上げてみますと、御承知のことだとは思いますけれども、たとえば問題になりましたトイレットペーパーでございますが、トイレットペーパーの四個入りの分が二百二十円に標準価格の決定が行なわれているわけでございますが、このトイレットペーパーの四個入りの分につきましては百八十五円で売られていた事実があるわけですね。高いものにつきましては三百円というのもございましたが、低く売られておりましたものとしては百八十五円でございましたし、それからちり紙の八百枚一たばの分につきましても二百二十円ないし二百四十円という決定が見られたわけですが、実際に売られておりましたのは百六十円で売られていた事実がございます。それから練り歯みがきの問題も二百円のが二百五十円にきまってしまっておりますし、さらに灯油でございますが、灯油は十八リットリ一かん三百八十円ときまったわけでございますが、これは店頭売りでございまして、家庭配達になりますとその配達料というものの規定がございませんから自由につけるわけですね。五十円でも七十円でも百円でも、遠いところだったら二百円でもつけるわけですね。ですから家庭配達となりますと膨大な費用になります。それがきめられます前には安いところでは三百七十六円で、しかも配達づきでその値段で購入することができたというところがございます。そこら辺が非常に問題になりますし、それからさらに大口では十キロ千三百円ときまりました分ですが、これもやはり九百円から千五百円ぐらいのところで売られていたという事実があるわけでございます。  こういうようなことがいろいろ考えられますと、確かに高値できめられたのじゃないかというふうに消費者たち国民たち考えております。どうもあの法律ができてから高値安定になってしまったという、うらめしいような気持ちもあるくらいでございます。御承知のように灯油なんかは時期ものでございますから、一番のピークはもう過ぎたわけでございますね。それで去年の十一月にきめられた三百八十円がそのままきまってしまったものですから、業者に言わせれば今後の値くずれが防げるといって非常に喜んでいるわけでございますけれども、業者が喜ぶような高値安定がきめられたということにつきましては、私どもも非常に心外にたえないと思うわけでございます。  それでお尋ねしたいと思いますのは、この標準価格の決定についてそのきめ方がほんとにコスト計算であったのだろうかということなんです。これがなかなか国民にも信じてもらえない点じゃないかと思うのです。やはり騰貴的にきめられていったのではないだろうかと思われる節でございますが、この点の御解明がいただければと思います。
  78. 内田常雄

    内田国務大臣 これはこまかい計算の問題でございますから、私が御答弁申し上げますよりも政府委員が答弁をしたほうが信用していただけるかもしれませんけれども、しかし私が大臣でありましてもそういう問題を係まかせで知らぬ顔しておったということではない証拠に、私からまず簡単にそのお話をしますと、たとえばいまの灯油にいたしましても十八リットル三百八十円というものは、もしコスト計算をいたしますならば、たいへん上がってしまいます。それをずっとコストでさかのぼってまいりますと、精製会社の原価、いまの三百八十円の基礎をなしておる一キロリットル当たりの押え込み価格というものは一万二千三百円ぐらいになっておるわけでございます。ところが、石油製品は灯油ばかりではございませんで、ガソリンもあればナフサもある、重油も軽油もいろいろございまして、そういうものを平均して非常に無理な価格通産省が押えているものですから、これはいま問題になっているのですが、平均した価格も一万四千三百円でございましたか、その辺になっておりますのを政策的に、国民の生活を守ろうということで灯油だけについては一万二千円の原価に下げて、その分をほかに油のほうにぶちかけまして、そしてずっと下がってきて、いろいろな中間利潤なんかも計算して三百八十円、こういうわけであります。  ところがおっしゃるとおり、だんだんあたたかくなってまいりますと、家庭では使いません。しかし工業用では使うかもしれません。そこへもってきて今度の原油値上がり等がございますので、一体正直に申しまして、私どものほうは、金子さんからしかられるような状況があるならば、これは高値安定だと言われるなら、はずしてしまったほうがいいのか、ことにあたたかくなりますから。それともやはり、油が上がるからこれは三百八十円でおいといたほうがいいのかということで、たいへん迷っておるわけであります。これは一例でございます。  そのほか、標準価格につきましては、おまえのほうでつくった標準価格は高値安定で、日本じゅうどこへ行ってもたいがい標準価格より安い値段でトイレットペーパーでも何でも売られているというようなお話と、それからせっかく標準価格をつくったけれども、しかし高いところが各県でこれこれある、どうして守らせないかという両方のおしかりを受けておるのが事実でございまして、必ずしも高値安定ということできめたということではございません。政策的にその物資の供給国民のために確保するということと、また原価計算などにおきましても、先ほど来申すようないろいろなしわ寄せをほかにいたしましても、前の通産省の行政指導価格を守らしていくというようなことで標準価格をつけた、こういうような事情でもございますので、その辺ひとつ両面から御賢察をいただきたいと思います。
  79. 村岡茂生

    ○村岡説明員 簡単に御説明申し上げます。  標準価格をトイレットペーパー等に指定いたしました一月二十五日現在のトイレットペーパーの価格でございますが、御案内のように十一月ごろ非常に暴騰を重ねて、十二月に若干小康を保ったわけでございますが、一月のおおよその一般的な値段は、五十五メートルこしもので実は二百五十円から三百三十円というのが一般的な価格でございました。百五十円という御指摘でございますが、そういう値段で売っていた店がないと申し上げているわけではございませんが、一般的な値段はそういうところ。ちり紙八百枚にいたしましても十二月が三百五円、一月はまだちょっと正確な数字はございませんが、三百二十円前後、これは総理府の統計数字でございます。したがいまして、そういう一般的な数字に比べますと、策定されました標準価格はかなり安い、二、三割程度はいずれも下回っております。  それから二番目に、標準価格の設定のしかたでございますが、ちり紙、トイレットペーパーにつきましては、原価をかなり精密にメーカー段階から策定しております。具体的に申し上げますと、中小企業標準工場設計というものにございます標準原単位に、当時の各種の原材料価格を乗じまして、それで標準価格のコスト計算をし、それに各種の資料で検証したというやり方をとっております。さらに流通経費等を計算いたしまして、五十五メートルで申しますと二百二十円という標準価格を算定したわけでございます。  三番目に、これが現段階になってみれば、若干下ざさえになっているのじゃないかというような御批判がないわけではございません。私ども、もしかりにそういう実態であるということが解明できましたら、いつでも標準品目の指定を解除するということによりまして、その実勢に従うというような対処をいたすつもりでございます。
  80. 金子みつ

    ○金子(み)委員 二、三割方下回って設定したとおっしゃっていらっしゃいますし、たぶんそのようになってなさったことなんだろうと思いますけれども、町の中には、実際問題としては非常にいろいろな売られ方をしているということがございます。総理府でお調べになった対象が、どういう抽出の方法でなさったか存じませんけれども、それはすべて信用すればそれでいいには違いないのですけれども、しかし町に住んでいる一般の人たちは、必ずしもそれでは満足ができないという事実があるということは、やはりわかっていただきたいと思うわけです。  それで、下回っているものもあるのかもしれませんけれども、たとえばこんな事実を見ますと、ほんとうにそうかなと実は思わざるを得ないのは、新標準価格というラベルが貼ってあって、それにたとえば二百五十円という数字がつけてあります。ところがその店の商品の価格というのが、従来あったものがあるわけですね。それを見ますと、二百二十五円と少し下回った数字が出ていて、二百二十五円で交渉した結果、二百二十五円で買って帰るわけですね、消費者は。で、やれよかった、高値の安定された金額よりも安く買って助かったというふうな気持ちで帰ってくるわけですが、帰ってきてしみじみとその品物を見てみますと、さらに印刷して小さく二百円と定価が書いてあったりするわけですよ。三通りに定価がついているわけですね。  こういうものが、私も事実自分の——私は渋谷に住んでおりますが、渋谷の私の家の近くのいわゆる化粧品や薬を売っている店、ここで見ますと、やはり同じようなものがあったのです。それで私は、これではほんとうにみんなが混乱して、そして政府が幾ら一生懸命努力をしてくだすって、高く決定してはいけないから、なるべく、先ほど長官の御説明のように、コスト計算すれば高くつくけれども、それではいけないと思って下げてつけてある、二、三割方低く下げてあるというふうに御説明いただきましても、実態がそうなっておるものですから、なかなかそれが信頼しにくいという点があるので、これを何とかみんなが納得できるような形になっていただかなければならないと思うわけです。  いま一つ、その問題と関連いたしまして、先ほど長官も御発言でございましたけれども、実際に今度は、別のグループがありまして、標準価格よりも安く売っているというのは確かにございます。標準価格より安く売っている。トイレットペーパーでもちり紙でもそうでございますけれども、そんなに特に安くはないのですけれども、たとえば二百二十円の、五十メートルの四個入りのトイレットペーパーは百八十八円ですとか、その程度です。たとえば二百四十円のソフトの分は二百十八円でありますとか、あるいはちり紙の場合でしたら、千枚たばねたものは三百四円ときまっておりますのは二百五十五円ですとか、あるいは二百二十円にきまりましたものは百八十円でありますとかというふうに、たいした数字ではございませんけれども、幾ぶん下げて売っているのですね。これは非常に心理的な問題でございまして、買いものをする場合に、きめられた金額よりも五円でも十円でも安く買えたということは、主婦たちは、気持ちとしては非常に安心したり、うれしかったりいたします。しかし、同時に、疑問がわくわけです。では、あの標準価格というのは、おかしいじゃないか、こういうふうになってくるのでございますね。ここら辺を私は申し上げているわけなんです。それで商人、小売りする人たちも、標準価格よりも安く売っても損はしてないと思うわけですよ。損をしてまで消費者に愛される商売をするなんというようなことは私はちょっと考えられないと思うので、これでも損はしてないと思うわけですね。  そうだといたしますと、やはり、繰り返すことになりますけれども政府はつくられた高値を追認したというようなことになるのじゃないだろうかということがどうしても出てまいります。この点をぜひわかっていただいて、考えていただきたいと思いますことと、先ほど長官もちょっとお触れになりましたが、私もそれをお尋ねしようと思ったのですが、この法律は緊急措置法でございますね。ですから、恒久性というものはあんまりないわけだと思うのです。ですから、そういう意味からいきますと、いま問題になっているものをどう処理するかというために実行される法律でございますから、そうなりますと、先ほどの灯油などのようなものは、一般家庭としてはもうあまり使わなくなってきた、工業用には使われるかもしれません、というようなことがございますから、どの程度の必要性というものが、緊急の度合いが変わってきたかということになりますと、一般家庭から見れば、もうあたたかくなったから灯油はそんなに要らない、緊急品ではない、こういうふうに考えられがちでございます。いまは灯油の例でございますが、将来物が出回ってきて、トイレットペーパーにしても何にしても、緊急性がなくなった段階においては、その価格を修正するようになさるかあるいはその指定を取りはずすようになさるかということについての御所見はいかがでございましょうか。
  81. 内田常雄

    内田国務大臣 それはまさに金子さんがおっしゃるとおりの仕組みにあの法律がなっておりますので、金子さんがおっしゃるような事態日本の各地において多く見られるような事態のもとにおきましては、それは指定物資をはずすなりあるいはまた新しい標準価格をつけるというようなことを私はやるべきだと思います。ただ、これは、きっと御承知だと思いますが、私などの耳に入ってまいりますのは、トイレットペーパーに標準価格がついているものでございますから、これがある意味の、たいへんことばは悪いのですが、おとり商品のような形で使われるような事態が実はあらわれておるそうでございます。それは標準価格あってのそういう客引き値段、こういうことでございましょうが、標準価格をとってしまった場合に、はたして安心できるかどうか、こういうこともございます。  それから、灯油につきましては、私は、これは非常に問題があるので、通産省でも心配をされていますが、さっきも触れましたように、石油価格全体の価格の改定問題を前にいたしておりますので、安いほうが使われても使われなくても、いまのまま置いておいたほうがいい場合もあるし、取ってしまった場合には、使われないけれども、しかし陰の価格というものが形成されて、三百八十円ではない価格が当然形成されるような場合もありますので、その辺のことも考えてまいらなければならないという点もございます。しかし金子さんのお話は、主婦のあなたとしてのいろいろな体験からくるお話でございますから、男性よりも国民のいろいろな御意見をよけい反映をしていることと考えまして、尊重いたしたいと思います。
  82. 金子みつ

    ○金子(み)委員 家庭などというものは数も少ないし、家庭で使われる分などというものはたいしたことはない。むしろそれよりも大口の需要がよっぽどあるんだというようなことで、とかく家庭を対象としたものはないがしろにされやすいと申しますか、ないがしろと言ったらことばが大き過ぎるかもしれませんが、軽視されやすいと申しますか、そういうことが起こり得ると思うのでございます。節約のときばかりは家庭に節約しろ節約しろとおっしゃっていたようでございますけれども、大口需要の問題はさることながら、一軒一軒の家庭の生活を安定させるということが主体の法律でもあるし、その御趣旨の行政でもあると思いますので、やはり家庭は等閑視あるいは軽視なさらないで重点的に考えていただきたい。分量は少ないかもしれませんけれども、その少ない分量で生活している人たちなんですから、それを重点に考えていただくことがほんとうの福祉を含めた経済行政というふうになるんじゃないかしらというふうに考えられますから、その点はぜひよろしく今後の行政の上で御措置を願いたいと思うわけでございます。  指定標準価格並びに指定品目の問題と似たような問題になりますけれども、また意味も違いますが、例の再販指定商品問題で通産省にお尋ねしたい問題がございます。  再販指定商品の問題ですが、これはもともとは中小企業保護の見地でつくられたものだと、私など了解させていただいておりますけれども、問題になりますことは再販商品に何の表示もないのですね。価格の表示が全然ございません。ですから、一体どれが再販のものなのかそうでないのかということが一般の消費者にはわからないのです。たとえば、昨年でございましたかしら、歯みがき、石けん、洗剤等は取りはずしをなさって、化粧品と医薬品については範囲を縮小したというふうに私は承知をいたしております。化粧品では資生堂製品だけがはっきりと価格を表示いたしておりますが、その他のものにはついておりません。これは私が近所のお店で調べたわけでございます。これは買いものをしますのに非常に不便でございますし、表示していないから、金額が幾らだと言われても、買うほうといたしましてはそれはおかしいとも違うとも言えないわけですね。ですから、これはやはり価格を表示させるということが必要なんじゃないかと思いますけれども価格を表示させるということをお考えになっていらっしゃいますでしょうかどうでございましょうか、お尋ねしたいと思います。
  83. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 再販商品は、御承知のとおり値くずれを防止するために昭和二十八年につくられた制度でありまして、一時は多少範囲が広がりましたが、現在では御承知のとおり五品目、五つの商品であって、そのうちの三つは八月末で切れてしまいます。残るのは化粧品と医薬品ということになっております。いまお話がありましたように、再販商品でありながら価格の表示がないというのは確かに不都合だと思います。それ以外に、医薬品、化粧品の中にも、最近になって、たくさんではありませんが、再販を取り下げたものがある。そうすると、ついこの間までは再販商品であって、現在はそうでない、こういうものについて再販商品であるということの表示もさせたほうがいいのではないかということになりまして、そういう方向検討しております。それから先もその二商品は続くわけでございますから、価格を表示させるのは当然であり、かつ再販商品であるかないかを区別ができるように表示をさせたほうがいいのではないかということで検討中でございます。
  84. 金子みつ

    ○金子(み)委員 同じ問題でございますが、いま公取委員長の御発言の中にもありましたが、最近再販の指定を取り消すことを申請しているものがある。再販の取り消しをしたいと、たいへんたくさん申請書が出ているそうでございますね。それで、大体において、その取り消しと同時に値上げがされるわけなんですね。二〇%ないし三〇%ぐらいの値上げがなされているということでございます。ですから、都合のいいときには再販の指定を受けて高値でずっと定安させておいて、ぐあいが悪くなったら取りはずして自由に値段をつけるというようなことが非常に自由にできるように思えるのでございますが、そういうことが行なわれるのでありましたならば、初めから再販制などというものはなくしてしまったほうがいいんじゃないかというふうな考え方も出てまいるわけでございますが、これはいかがお考えでございましょうか。
  85. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 再販制度そのものは、確かに独禁法に対して例外として認められたものである。いまお話しのように、最近になりますと、値上げをするために届け出を自分で撤廃してしまって、そして大幅な値上げをする。中には驚くべきはどの高率の値上げをしたものもございます。ことにこの八月末で指定を取り消されるもの、たとえば洗剤なんかについては、それを先に見越しまして、どうせそのときまでしかもたないならば、いまのうちに自分で取り下げて大幅な値上げを思うようにやったほうがいいというふうな考え方でやっておられるものが多いんじゃないかと思います。といたしますと、確かに御意見のように、利用するときはうまく利用しておくが、都合が悪くなったら今度はやめてしまうという制度はどう見ても感心した制度ではない。そういうことで、私ども実は、それはもうはっきり申し上げでたいへんくたびれる話なんですが、再販制度という問題に取っ組みまして、とにもかくにも廃止と縮小という方向で、どうやらこの九月からそういうことが実現することになったわけでございます。  しかし、制度のよしあしという問題は別にしまして、私ども、法律改正などにつきましてもいろいろむずかしい問題と取り組まなければならぬ。ここである程度、はっきり申し上げて物理的に非常に抵抗の強い問題について、それをいますぐ取り上げるのもどうか。確かにそれはおかしいとおっしゃるかもしれません。たてまえ論としては、将来、いつということは申しませんが、そういった矛盾したものについて、それをやめる方向考えていくべきであるという点は、基本的な考え方は同じでございます。しかし、いますぐどうこうするというのは労多くして功少ない。つまり二つの商品しか残らないのですから、小売りなら小売り全体に占めるシェアというのは相当低いものになってくるわけでございまして、そのためにだけ制度があるというのもおかしいといえるし、またそのためにもう一度非常な物理的抵抗を排してやるということは、どうも労多くして功少なしというふうな感じが現在はいたします。そういうことで、時期を見て実施を考えたらいいのではないかと私は考えております。
  86. 金子みつ

    ○金子(み)委員 確かに二つの品目だけになったわけでございますから、いろいろと御説明よくわかりましたけれども、ことに最近——きょうは取り上げませんけれども、売薬あるいは医薬品、処方の薬ではなくて薬屋の店頭で売っている薬でございますが、この薬のものすごい値上がりが起こっておりますでしょう。いま非常に問題になっていると思います。そういうようなことを考えますと、やはり医薬品が再販製品に指定されて残っておるということもございますので、これがプラスの面に出ているのか、マイナスの面に出ているのかということが非常に疑わしくなっているような感じがいたします。ですからそういうようなことがございますので、委員長からできるだけ早い機会になくすような方向でとおっしゃっていただきましたので、私どももそれを期待いたしますが、経企庁長官物価対策などと合わせてやはり四十九年度の——この年の間にはそれぞれが安定できるような形でめどをその辺に置かれてお進めになっていただきたいというように思います。物理的抵抗などいろいろめんどうなこともおありになるだろうと思いますが、やはりもう二十年も続いてきた問題で、しかも問題ばかり残っていることでございますから、御苦労だとは思いますけれども、この辺で手を打っていただいて、終止符を打っていただいて、今年じゅうにでも、四十九年度中にでも解決できるようにしていただければありがたいと思いますので、その方向でぜひお願いしたいと思います。
  87. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 一つだけつけ加えさしていただきたいのですけれども、再販で残っている品目について大幅な値上げは絶対に認めておりません。ですから薬でいまお話しのようにかなり上がっているというものがあればそれば再販からはずしてあるものであるはずです。そういうものを私のほうで公式に認めた事例はございません。ほんとうにやむを得ない原料の値上がり分をある程度認めるというふうなことをやっております。かなり高い引き上げ率を要求してきた、要求といいますか、こちらのほうに陳情してきたものについては、それだったらもう認めない、だからこの低い割合で、こちらの計算した範囲でならばいいと言ったら、それではそのようにいたしますと言って引き上げ率を下げたのもございますし、それからいやそれならやめますと言って自分で廃止したというのと両様ございますが、大幅な値上げを認めたというのはまずない、全くないと申し上げてよろしいかと思います。
  88. 金子みつ

    ○金子(み)委員 その問題はぜひ前向きの方向でできるだけ早い機会にということを要望いたしておきます。  それからその次にお尋ねしたいのは、やみカルテルの横行が非常に盛んになって、そして物価騰貴の原因になっているのだということをみんな考えられているわけでございますが、公正取引委員会ではこの問題を重要視されて先般来石油業界あるいはそのほかかなり手広く勧告をお出しになったり、あるいは石油なんかの場合は告発もなさっていらっしゃるわけでございますが、これは新聞情報等によりましても、ずいぶんあちこち手広く勧告が進められておりますが、時間的にまだ無理なのかどうかはわかりませんが、しかし本質的に考えていまの独禁法のあり方ではどれほど勧告をなさいましても価格一つも変わらないわけですね。ただ、勧告をなさるということだけのことで、道義的な問題というものはございますけれども、実質として価格が引き下げられるということにはならないわけで、価格のほうはそのまま残っているわけであります。そうなりますと、国民としては、結果的にはそれが一向プラスの面になって出てこない、返ってこないという問題がございますので、これは勧告と同時に協定前に引き下げることができるというような形にならないものかということなんですが、この点は制度改正にかかわってくると思います。公取委員会でも制度改正、独禁法の改正を手がけるように進めていらっしゃるように伺っておりますけれども価格を引き下げるということが行なわれなかったら、実際問題として生活安定ということにはならないわけなんでして、これはぜひ入れていただかなければと思いますけれども、この独禁法改正に関して公取委員長となさっては、どれほどの御決心で、どのような御構想で国民を満足さしていただけるのでございましょうか。その御所感を一端でけっこうでございますが、お述べいただきたいと思います。
  89. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 その問題につきましては、私ども前々からその必要性を痛感いたしまして、できるだけ早い機会、と申しましても、これはかなり法律技術的にはむずかしい要素を含んでおりますから、ほかの改正の問題とあわせて十分検討した上で、各方面の了解を受けてから法律として提案さしていただきたい、こう思っております。  てまえみそですが、いまのように原油の高騰が非常に大幅でございまして、いまでもおそらく——今度は次の段階で原油の関係から製品値上げが行なわれざるを得ない。これはおそかれ早かれそれは避けられないと私ども思います。したがいまして、それがどのようにたとえば石油価格に波及するか、あるいは軽金属のようなものにどう波及するか、いろいろございます。そこで、できるだけその範囲を少なくとめるということもたいへんな施策だと思います。大事な施策だと思いますが、私どもがいま直ちに石油製品のカルテルを摘発いたしましても引き下げ命令はない。ただし、このような、こういう平常でない異常な事態のもとで物価上昇がどうしてもある程度必至であるという場合に、次の段階での値上げに対して相当抑制的な、これは要するに、私どもというよりはそういうことの結果として、何となく値上げに対して世論がきびしくなるという効果を招いている。これは私どものてまえみそでございますが、何も役に立っていないということではないと思います。ただし、そうではなくてこういう時代ではない場合でも、大体物価というものはとかく上がる方向へいくのが過去の歴史の示すところでございますが、それがカルテルという行為でさらに一そう強められると、さらにやりやすいわけでございます。やみカルテルを放任すれば、かりに独禁法がなかったとすれば手のつけられないような状態になると思うのです。一社だけで上げようとすると需要先からいろいろ抵抗がございますが、一斉にやればやすやすとやれるという結果になりますから、そういうことについて平常の状態をとらえてもやみカルテルによって利益をむさぼるために引き上げたものに対しては、それ相応の引き下げ命令権があったほうがいい。ただ、その引き下げの幅がどのようなことでいいのか、もとの価格に戻せということで貫き得るかどうかという点はたいへんむずかしい問題でございますので、そういう技術的な問題あるいはいかなる時期に、勧告の段階でやれるのか、あとからでもやれるのか、そういう問題、これは原価計算、原価を調査するというようなことを伴いますと、そう短兵急にはできないという問題もございますので、どうかみ合わせたらいいかとか、むずかしい問題がございます。そういう問題はぜひとも私ども何とか解決して法律案として提案できる日が一日も早いことを期待している次第でございます。
  90. 金子みつ

    ○金子(み)委員 いま一つですけれども、いまのような状態で、ほんとうに巨大な商社たちのやみカルテルなんというものが横行して、かって気ままにふるまっているというようなことになりますと被害を受けているのはいつも消費者なんですけれども、消費者自身でもこんなのがあるからこれはぜひというふうに告発したくなるようなものがあると思うのですね。消費者が告発するということができないのがいまの状態なんですが、せいぜい公取委員会にかけ込んでいって訴えてくるというようなことで何とか自己満足しているような程度でございますけれども、これは決して先行きいい結果にならないと思うのです。それで消費者の人がそういう気持ちを持ったら、それを何とか反映できるような形に、たとえば消費者は公取委員会に訴えるだけでなく、これはぜひ告発してくれと公取委員会に要求をする、そうするとその要求を受けて事が進められるというふうな形にできるような方向にしてもらえないものだろうかということを私どもは思うのですけれども、そういうようなことは無理でございましょうか。いかがでございますか。
  91. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 告発ということは、御承知のとおり、刑事事件としてこれは検察庁に申し出るわけです。それを直接消費者がやると申しましても、そうすると、いまわれわれが行政処分をまず前提としてやる。排除命令というふうなもの——勧告の内容は実は排除命令を持っておるわけです。勧告を受諾すれば、それを今度は直ちに同じものを勧告審決として下すわけでございまして、これは行政処分でございます。行政裁判所的な機能であって、ただし刑事罰ではなく、行政処分として排除措置を命ずるというのがたてまえでございますから、それがあって、少なくとも勧告をいたしまして、それは公正取引委員会の見るところではカルテルがあったとみなされるという段階になって初めて告発という問題が起こるのでございまして、ですから、それがなくて、ただ物が非常に上がった、それでみんなが一斉に上げたからカルテルであろうというので直ちに刑事事件に持っていくというのは、これはたいへん飛躍した考え方になって、それでは検察庁というところは、告発を受けますと、それ相応の、これはだめでございますと無視してもいいのですが、また裁判所に訴え出る方法があるのです。  変な話ですが、まことにおかしなことで、全く荒唐無稽なことで私も告発されたことがあるのです。これを受けた検察庁は、いわばそんなものは問題にならない。そうすると、裁判所に何か訴え出る条文があるのです。そうすると、裁判所かち私のほうに、これこれの人物から告発があったとくるわけです。何の事件だかわけがわからぬ。全然、荒唐無稽ともいえるような、私と一緒に三名ばかり被告発人になっていますが、とうにやめてしまった委員さんの名前まで入っているわけですね。だから、そういう、こちらからいえば、ちょっと頭がおかしいのじゃないかというふうなものさえ出てくるわけでして、こういうカルテル問題について、カルテルがあると思うだけで告発を認めるということは、検察当局にたいへんな迷惑をかけるし、処分し切れない。裁判所まで累が及ぶということでございますから、これはやはり相当な、ある程度のこれはカルテルありと認めて、しかもそれが告発に値するものであるというふうな認定を下した場合に初めて行なわれるというのが筋ではなかろうかと思います。
  92. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私の言い方が悪かったかもしれませんが、消費者が直接告発するという意味じゃなくて、これは告発に値すると自分たちが思ったときに、公取委員会へ申し出て、そして公取委員会でこれをぜひ告発の段階まで持っていってもらいたいという要求を出すようなことができるかどうかということをお尋ねしたわけです。いまは、ただ、こういうことがあるからということで訴えに行っていると思います。訴えが、結果的には公取委員会情報を提供したようなかっこうになるだけのことでございますので、そうじゃなくて、意味のある訴えと申しますか、要求として、告発してもらいたいという要求を受けとめて、その方向調査をするなり審査をするなり、そして告発の方向まで持っていっていただくことができるように、要するに、消費者の考え、意見、要求を反映したような形のものを考えていただけないかということを申し上げたわけだったので、直接のことではございませんでした。  時間も参りましたので、そのことをわかっていただきたいことと、結局は悪徳業者から国民を守るという、そのために、いまの段階では国民公正取引委員会に非常に大きな期待を持っています。それで、正義の味方だというふうな考え方をむしろ持っているぐらいで、今度は公取が何かやってくれるだろうというふうに期待も持っておりますことでございますから、その期待にこたえて、国民の生活の安定のためにできるだけ早く機敏に、機を得た御措置を今後もぜひやっていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  93. 平林剛

    平林委員長 次に、小林政子君。
  94. 小林政子

    ○小林(政)委員 小売り薬業者が取り扱っております大衆薬の価格がここのところ一斉に値上げをされておりますが、厚生省の薬務局が調査をいたしましたこの資料を見てみましても、二〇%以上値上げをした容量数は三百八十一、三〇%以上が二百三十六、五〇%以上値上げをしたものが六十八容量、こういうことが調査の結果発表されております。特に、五〇%以上も値上げをいたしましたものの中には、エスエス製薬のいわゆる薬ガーゼなど六品目をはじめ相当数のものが含まれております。浣腸薬などは六六・七%の値上げでございますし、また田辺製薬のエントラという抗ヒスタミン剤なども九二・三%という非常に驚くべき大幅な値上げが行なわれているわけでございます。     〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕大衆薬ばかりではなくて医療機関向けの薬も大幅に値上げをいたしております。たとえばビタミン二十五ミリグラム、これは一万五千錠でもって七万二千円であったものが十三万五千円になっておりますし、またビタミンのB1十ミリグラム四百Aが千五百四十円から二千二百円と上がっております。国民にとって健康と生命に非常に重大なかかわりあいを持っております医薬品が一斉にここで上がったことに対して、厚生省としてはどのような責任を感じているのか。また、物価担当をされておられます経企庁長官、このような値上げについてどのような責任をお感じか、お伺いをいたしたいと思います。
  95. 内田常雄

    内田国務大臣 厚生省からお答えになる前に、私からちょっと申し述べさしていただきます。  小林さんおっしゃるとおり、私も物価担当のつもりでありますから、薬だけは別だ、こういうわけにはまいりません。そこで、私のほうからもたいへんやかましく薬についても、他の通産省所管物資あるいは農林省所管物資と同じように、あらゆる手を尽くして引き下げの実施あるいは引き上げの防止について処置されたい旨の申し入れをしばしばいたしておるところでございまして、私どもが承っておるところによりましても、たとえば、厚生省は、先般社会保険診療報酬の値上げをいたしました際も、薬価基準、と申しますのは、御承知と思いますが、医家向けの薬の保険として支払われる価格でございますが、これはむしろ引き下げたということをやり、また、医家向け以外の一般大衆薬につきましても、製薬団体連合会の役員等を呼んで、そうして幾つかの薬について値上げしたものの値下げを行政指導をしてそのとおりさせたり、あるいはまた厚生省自身が、幾つかの大衆新薬等につきまして、価格形成に介入すると申しますか、価格調査を始めておる、だから十分やっておりますと、こういう厚生省からのお答えでございますが、これは今後もまた、石油製品の価格調整等に関連いたしましても、石油製品が上がった、製薬用の原油が上がったというようなことで値上げがまかりならぬということで十分指導をされたいという申し入れをいたしております。
  96. 金田伸二

    ○金田説明員 医薬品は国民の保健衛生上不可欠なものでございまして、私ども、従来からその医薬品の需給あるいは価格面における安定的な供給ということについて、全力を尽くしてまいってきておるわけでございますが、昨年の秋以来大衆薬の中で再販品について再販指定を取り下げて値上げをするというような動きがございまして、先月、二月六日に再販指定を取り下げて値上げをしたメーカー十一社を厚生省に呼びまして、値上げの撤回あるいは値上げ幅の縮小ということを強く要請いたしたわけでございます。その後の指導もあわせまして、十七社から値上げの撤回あるいは値上げ幅の縮小ということで回答がございました。全部で百三十四容量が対象になったわけでございますが、そのうち値上げを撤回するという回答が三十二容量——容量と申しますのは種類というふうにお考えいただいていいかと思いますが、三十二種類の医薬品、それから値下げの回答のあったものが九十五種類、それから据え置きという回答が七種類ということでございます。それから再販以外の大衆薬につきましても、大衆薬の主要メーカー五十社につきまして私ども調査しまして、その結果、先ほど先生御指摘のとおり、非常に高い値上げ率のものも中にあったわけでございまして、そういうものにつきまして私ども値上げ幅の特に大きいもの、あるいは緊急性の強い家庭常備薬的な医薬品については、重点的に値下げの指導をいたしておるところでございます。  それから一方医療機関の使用いたします医家向けの医薬品につきましても、先ほど経企庁長官からお話がございましたように、厚生省といたしましては二月一日の診療報酬改正の際に、薬価基準につきましては、これはむしろ引き下げということで、平均三・四%の引き下げを行なったところでございます。昨年の秋以来、石油製品の値上げあるいは一連の石油化学工場等の爆発事故等のために、医薬品の基礎的な原材料あるいは包装資材、副資材というようなものが値上がりの状況下にありまして、二月一日に平均三・四%の値下げを行なったわけでございます。私どもといたしましては、医家向けにつきましても、そういうことで今後とも価格の安定につきましては努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  97. 小林政子

    ○小林(政)委員 特に大衆薬の価格が非常に高い、こういうことは従来からも何回か指摘されてきたところでございますけれども、これはいまお話の出た薬価基準を比較しても、一そうその実態がどんなに高いものであるかということが明らかになっております。たとえば武田薬品工業のアリナミンを一つの例にとってみますと、小売り店ではアリナミンA25として三百錠四千五百円、一錠当たり十五円で売られているわけですけれども、医療機関向けでは、これとほとんど成分は変わらない同じアリナミンが、アリナミンF25ということで取り扱われておりまして、その薬価基準は一錠十円九十銭です。そこには四円十銭の差があるわけでございます。またエーザイのハイミナール、これを比べてみますと、小売り店では十二錠でもって五百五十円、一錠にして四十五円八十三銭です。これと全く同じハイミナールが、薬価基準では一錠四円八十銭ということになっています。約十倍近い差があるわけでございます。この薬価基準はいまさら言うまでもないことですけれども、実際には実勢価格によって、メーカーの言っている価格を厚生省が薬価基準ということで公的に認めているわけでございますが、この薬価基準に比べてすら小売り屋で売っている大衆薬が数倍あるいは中には十数倍のものもある、こういう実態が明らかになってきております。メーカーの仕切り価格は薬価基準よりも当然低いわけですから、これについては大衆薬の小売り値がどんなに高いものであるかということは、これはもうどなたもはっきりしているものだというふうにいわなければならないと思います。この際メーカーの利益を押えてでも薬価を引き下げさせるということが非常に重要ではないか、私はこう考えますけれども、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  98. 金田伸二

    ○金田説明員 先生御指摘のとおり、医家向けの医薬品につきましては薬価基準ということで、この薬価基準のきめ方につきましては、先生御承知のとおり、市場の実勢価格調査して、その調査結果に基づいて九〇%バルクライン方式ということで薬価が決定されておるわけでございます。先生御指摘の大衆薬の価格につきましては、従前厚生省のほうでその価格について介入したことはなかったわけでございますけれども、特に最近の異常な価格の高騰から、やはり物価を抑制しなければいけないということで、私ども医薬品につきましても、特に国民の生活に直接関係をする大衆医薬につきまして、できるだけ価格を安定するというような方向で指導をいたしておるわけでございます。先ほど御説明申し上げましたとおり、現在特に値上げ幅の高いものとかあるいは緊急な家庭の医薬品につきましては、個々にメーカーに行政指導をいたしておるところでございますが、今後ともこういった方向で指導を続けてまいりたいというように思います。
  99. 小林政子

    ○小林(政)委員 ともかく薬の価格が非常に高いということは、もういままでの中でも何回か論じられているわけですし、このことは大製薬メーカーがいままでどれだけ利益をあげてきていたか、この事実を見ても私は明らかだと思います。特に昨年九月期の決算を見てみましても、売り上げ高の利益率をとってみますと、いわゆる製薬大企業のこのメーカーの場合は一一・一一%、これは全産業八・二三%、製造業の場合は六・一八%ということになっておりますけれども、それから見ても他産業に比べて非常に大きな増収をしている、利益をあげている、こういうことが言えると思います。またことし三月決算の予想などがすでにいろいろと新聞などでも報道されておりますけれども、各メーカーともおそらく増収、増益であろうなどということが報道されていることを見ても、私はこの際いままで高い価格でもって相当もうけてきていたこの大衆医薬に対して、これを引き下げさせることは非常に重要だと思います。また広告宣伝費一つをとってみましても、武田を例にとっても、半期で三十三億八千五百万円という膨大な金額が宣伝広告費ということで使われています。昔からよく薬九層倍などということがいわれていましたけれども、いまや私はもっとひどい状態ではないだろうか、このように考えますし、国民もあまりにも薬が高過ぎる。子供がちょっとかぜを引いた。したがって、薬局へ薬を買いに行って何とかその場だけをしのごうとする場合に、もう三倍近くの値上げをしているものもあるといわれています。こういう点から見ても、私は薬の価格をこの際メーカーの蔵出しそのものを下げさせていく、こういう指導を厚生省がやるべきだと思いますけれども、どこまでやっていらっしゃるのか。ただ値上げを押えてください、値を少し下げてください、こういう指導なのか、それともいままでの蔵出し価格そのものをもっと下げさせるという行政指導がやられているのかどうなのか、この点をひとつお答えいただきたいと思います。
  100. 金田伸二

    ○金田説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、大衆薬の価格引き下げにつきまして、末端の小売り価格の建て値を改定するということで私ども指導をいたしておるわけでございます。流通のそれぞれの段階においてどういう価格で取引をされるか、これは実際の個々の取引の問題にかかわる問題でございます。私どもとしてはできるだけ末端価格がそういう形で消費者の手に渡るように、そういう形でメーカーのほうを指導しておるわけでございまして、具体的に出荷価格を幾らにするということになりますと、これは個々の流通段階における取引の中に行政機関が入っていくということは必ずしも好ましい問題ではないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  101. 小林政子

    ○小林(政)委員 ほかの品物ともまた違って国民の命にかかわるような、あるいは健康に大きな影響を持つこういう医薬品については、私はいまの答弁、ちょっとおかしいんじゃないかと思います。もう一度御答弁をお願いいたします。
  102. 金田伸二

    ○金田説明員 私の答弁が舌足らずだったかもしれませんけれども、私どもとしては先生のおっしゃるとおり、医薬品は国民の生命に関連する重要な商品であるということは申し上げるまでもないわけでございまして、価格の安定のためにメーカーのみならず流通段階、卸、小売り、各段階の御協力を得て国民に対して安定的な価格供給されるように指導してまいりたい、かように考えております。先般来、私どもが業界に対して価格安定について協力を要請いたしておりますけれども、製薬業界のみならず卸の段階あるいは小売り、各段階の業界に対して要請をいたしておるわけでございます。
  103. 小林政子

    ○小林(政)委員 一体その値下げの基準をどこに置いて行政指導をなさったんですか。大臣、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  104. 内田常雄

    内田国務大臣 私も薬のことをそんなに詳しいわけではございませんが、私のほうから厚生省にたびたび、薬といえども例外ではない、値段の引き上げをすべからず、引き下げを行なうべしということを申し入れていることは全く事実でございますが、しかし私のほうから手をとり足をとってやるというわけにも、薬のことの担当官がおりませんから、まいりません。しかし、いまの話を聞いてみましても、おおむね製薬団体、つまりメーカーの出し値について厚生省がかなり強く干渉をしているようでございますが、それはそれで大いにやってもらいたいと思います。  しかし今度は、問屋から小売りの流通の末端に至るまでについて、かりにそこに水ぶくれ的な流通利益というようなものが生じておるかどうかということの問題についても、厚生省には大いに触れてもらいたいと思います。これは法律上はできないと思います、いまの政府委員のお話しのように。しかし、薬事法というのがございまして、薬屋さんは、価格の面ではございませんけれども、販売等の面におきまして厚生省がかなり指導力を持っておるはずでございますので、そういう行政法規を活用しながら、薬は人命にかかわる大切なものでございますから、高くて飲めない、高くて使用できないというようなことがあってはならないと思います。  ただ、私が厚生省に申し入れた際に、一つこういう問題もございました。無理に値段を押えつけた場合に、それをつくったのでは赤字になるということでつくらないような、あるいは売らないようなことになった場合には、一般薬なんかについてもそういう問題があるわけでございますが、自分としてはあの薬を常備薬として、持薬として一番愛用しているが、それがなくなってしまって命にかかわるというような事態を生じさせるのも、これまた困るのです、ですから、経済企画庁も薬の値段を安くしろということをおっしゃるのはわかりますけれども、そういう点があることも頭のどこかに置いてください、こういう局長からの答えが私のところにも返ってまいりました。それはそれで、そういう場合もありましょう。しかし、そういうことも含んでやはり薬について不当な価格が生じたり、また不当な利潤が先取りされたり、便乗されたりすることがないように、厚生省にもぜひやってもらうようにこれから先もつとめてまいりたいと思います。
  105. 小林政子

    ○小林(政)委員 厚生省、値下げの基準をどこに置いてやったのでしょうか。何か、あまり下げると必要な薬ができなくなるというような大臣のいま御答弁でしたけれども、それほど薬がもうかっていないというふうに大臣は認識されているのですか。実際、問題だと思います。
  106. 内田常雄

    内田国務大臣 私も最初に申し上げましたように、薬の販売価格形成等はよく承知はいたしておりませんけれども、もうかっておるものもあるし、あるいは無理に押えつければもうその薬は製造なり販売なりを廃止するというものも、厚生省がそう言うのでございますから、ある場合もあるだろうと考えます。
  107. 小林政子

    ○小林(政)委員 厚生省、その基準をあなたはどこに置いて指導していたのか。
  108. 金田伸二

    ○金田説明員 再販制度からおりて値上げをしたというような一連の動きがございまして、私どもこのメーカーに対しては、とにかく早急にそういった値上げムードというものを鎮静する必要があるということで、かなりドラスチックな形でございましたけれども、値上げの撤回あるいは一律に一〇%以上引き下げてほしいというような形で指導をいたしたわけでございます。  その後一般的に大衆薬についてどういう考え方で値下げの指導をしていくのかというお尋ねでございますけれども、私どもとしては大衆薬に限らず、医薬品が非常に多種多様の原材料でできておりまして、他の商品と違って一律に何%とかいうことでなかなかいかない。個々の商品特性あるいは商品の原材料その他医薬品に対する需要度等々、総合的に勘案してきめていかなければいけないだろうというふうに考えております。したがいまして、私ども、現在非常に品目が多いわけでございまして、とりあえず値上げ幅の非常に高いものあるいは家庭の常備薬的な、たとえばかぜ薬であるとか鎮痛剤であるとか、そういった緊急常備薬的なものを手始めに、重点的に、個別に指導をいたしておるということでございます。その値下げの基準ということも、個々の品目によって先ほど申し上げましたようないろいろな事情を総合的に勘案してきめていかなければいけない、かように考えております。
  109. 小林政子

    ○小林(政)委員 いま基準をどこに置くのかという私の問いに対して、一〇%以上引き下げてほしい、こういうことで指導をしてきたんだ、こういう答弁です。ということは、一定の値上げを認めるということを前提にして、上がったもののうち一〇%程度引き下げてほしい。ということは、一定の値上げなら認める、こういう態度で最初から臨んだことなのですか。値下げの指導によって一たん値下げをしたけれども、それでも当初の価格から比べると、依然として四〇%、五〇%となっているものもあるわけですね。あるいはそのまま据え置きになっているものもある。こういうような実態が出てくるのは、最初から何か一〇%だけ下げてほしい、こういうような姿勢で臨んだところにある程度の値上げというものは、これは認めるのだ、こういうお考えで臨んだということになるわけでしょう。いかがですか。
  110. 金田伸二

    ○金田説明員 先ほど申し上げましたとおり、値上げの撤回——撤回ということは全然白紙に戻すということでございますから、値上げ幅によっては二〇%、三〇%以上の値下げになるものもあるわけでございます。値上げの撤回、または値下げを一律一〇%以上ということで、当初再販制度からおりた品目については、短期間でとにかく値下げあるいは値上げ撤回の回答をしてほしいということで、これはもう二日くらいで回答をしてもらったわけでございますけれども、そういうことで、非常にそういう値上げムードを冷やすという意味で、短時日に値上げの撤回あるいは値上げ幅の見直しをしてほしい、少なくとも一〇%以上の値下げをしてほしいということで指導したわけでございます。それは再販制度からおりた品目に対して、いわば個々に詰めていきますと、なかなか時間がかかる。それを短時日にある程度ドラスチックな形でもって値下げを指導するということで処理をしたわけでございまして、その後現在では、したがいまして一〇%、こういうような一律何%ということではなくて、個々の医薬品につきまして、真に値上げはやむを得ないのかどうか、これを一つ一つ当たるということでございます。ですから、先ほど申し上げました再販商品の中でも据え置きのものがございました。最終的にそれは原材料その他いろいろ副資材等の値上げで、その値上げ幅はやむを得ないということで判断されたわけでございます。
  111. 小林政子

    ○小林(政)委員 一〇%以上の値下げをぜひしてほしい、こういうような行政指導を行なったという厚生省のいまの話ですね。物価担当の大臣として経企庁長官、どのようにお考えですか。
  112. 内田常雄

    内田国務大臣 こういうものがございます。これは別に秘密のものではないと思いますから、読み上げさせていただきます。これはことしの二月八日に厚生大臣が医薬品製造の団体十六団体の代表者と懇談をしたときに次のような申し合わせをつくっております。すなわち「昭和四十九年二月八日開催の厚生大臣との懇談会に出席した医薬品関係企業代表は、医薬品関係企業の社会的責任を果たすため、去る二月四日全閣僚と経済界代表との申し合せの趣旨にのっとり、次のとおり申し合せる。1、医薬品の価格引き上げは、当分の間原則として行わない。2、一般用医薬品についてすでに引き上げを行った場合においても、現下の状勢にかんがみ、その価格につき再検討を加え、値上げの撤回又は相当程度の引き下げを行うよう最大限の努力を行う。原材料の著しい高騰等により、真にやむを得ず価格を引き上げなければならない場合は、そのやむを得ない理由及び引き上げ幅が必要最小限度のものであることを示す資料を厚生省に提出する。3、再販制度の意義を失わせるような行為は厳につつしむ。」実はこういう申し合わせができておりまして、この次に、一ぺん上げたものは撤回しろ、あるいは、どうしても撤回できないものは相当程度、これが三割でありましたか、一割でありましたか、私ここで記憶しておりませんが、相当程度の価格の引き下げを行なうよう最大限の努力を行なうということを厚生大臣とともに医薬品メーカーがお互いに申し合わせを行なっておるわけであります。そうしてどうしても引き下げができない企業については、引き下げのできない理由書を厚生大臣に提出することになった、こういう報告も受けております。これ以上のことはとても経済企画庁といたしましても、これは実は私が昔少し厚生省に関係がございましたから、多少この辺の事情がわかるので、すすんでこんな御答弁をいたしておりますが、経企庁としては各物資ごとに課がございましたり担当官が並べてあるわけではございませんので、ひとつきょうの結果が不満足の場合には、厚生大臣等の出席を求められた機会に、これは同じ大臣でも向こうのほうが詳しいわけでございますから、お尋ねをいただきたいと思います。
  113. 小林政子

    ○小林(政)委員 いまのこのような姿勢で臨んだのでは、せいぜい一〇%以上引き下げてほしいということぐらいが実際には関の山ではないか、ほんとうにいままでの薬の実態というものをどこまで調査されているのですか。そうして薬がいままでにも何回も何回も指摘をされてきているように、大メーカーがどれだけ利益を得ているかという、こういう実態というものは全く問題にもしないで、このような姿勢で行政指導をされているということは私は問題だと思います。国民からも、企業と政府とのそれぞれ癒着の問題だとかなれ合いの問題だとか、こういうようなことがいろいろと取りざたをされているときに、国民の健康にかかわる医薬品の問題について、しかもその上げ幅が相当、いまだに高くなったまま残っているものもあるわけです。こういう現状の中で、もっと姿勢を改めて、薬の価格というものに対して、ほかの品物もさることながら、この問題についてはもっと重視をしていく必要があるのじゃないか、このように考えます。  いま私は、大衆薬の問題について触れましたけれども、医療機関向けの薬も一斉に上がっているわけですけれども、これに対して具体的に厚生省はどのような指導をされてきたのですか。
  114. 金田伸二

    ○金田説明員 ただいま経企庁の長官からお話しございましたように、上月八日の医薬品関係業界の代表の方々のお集まりの席で、厚生大臣からの要請にこたえて、業界で申し合わせ事項がございます。  まず第一の、医薬品の価格引き上げについては当分の間原則として行なわないということが申し合わされたわけでございます。そこで私ども厚生省といたしまして、医家向けの医薬品につきましては薬価基準というものがきめられておりまして、一応この薬価基準が事実上医療機関の購入価格であるという形で定められておるわけでございます。  そこで、私どもとして二月一日に、先ほど申し上げましたように、薬価基準につきましては平均三・四%という引き下げを行なったわけでございまして、むしろ物価が上昇している中で逆に引き下げというようなことをやったわけでございます。しかし実際問題といたしまして、先ほどちょっと申し上げましたけれども、局方品と申しまして、基礎的な医薬品でございますけれども、原材料等の高騰のために価格が上昇しているというようなものもございます。私どもとしては、まずこの医薬品の原材料——石油関係の製品が多いわけでございますけれども、原材料の上昇を押えるということが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。これは私どもだけではできませんことで、関係各省の御協力を得ないといけないわけでございますけれども、原料を供給している石油製品関係の業界の御協力を得て、まず原料価格の安定ということが必要であろうと思います。  それから私どもとしては、薬価基準等を越えている医薬品につきまして、これをつくっておりますメーカーに対して、できるだけ安定した価格供給できるようにということで指導をしてまいりたいと思います。ただ、医薬品の中でも特に局方品関係は中小企業がつくっておりまして、原料アップあるいは人件費アップ等のコストアップ分をなかなか企業努力で吸収できないという面もございまして、私どもとしては、こういった基礎的な医薬品の供給ができなくなるというような事態は、厚生省として薬務行政の立場から何としても避けなければいけない。医薬品が生産され、安定的に供給され得るような形で、当然そこに限界があろうかと存じますけれども、そういう制約の中で、できるだけメーカーが企業努力によって吸収できるものは吸収をして、安定的な価格でやるように指導してまいりたいと存じております。
  115. 小林政子

    ○小林(政)委員 医療機関向けに対してどのような指導をやってこられたのですかと、いま質問をしたわけですけれども、そのお答えというのは何か言いわけみたいな形になっている。じゃ具体的にお伺いしますけれども、薬の仕入れの値段が薬価基準を上回っているものは一体どのくらいあるのですか。御調査されたことがありますか。
  116. 金田伸二

    ○金田説明員 二月一日に薬価基準の改正をいたしまして、その後の動きということでの御質問かと思いますけれども、私ども都道府県に、こういった医薬品の品不足による医療機関からの供給あっせんに対して、いろいろ県の薬務課であっせんをするようにということで指導しておりますけれども、県のほうから特定の医薬品の価格が上昇しておるというようなことを聞いておりますし、そのほか私ども現在実態を詳細把握しているところでございます。調査中でございます。
  117. 小林政子

    ○小林(政)委員 私が聞いたある医療機関の人の話によりますと、この件について何度も何度も厚生省と交渉したけれども、具体的に何らやっていない。こういうことで非常に問題だというふうに言っておりました。きのうの新聞などでも、各都道府県の中では、すでに薬価基準を上回っている薬の問題については相当調査が進められているし、厚生省に対しても、この問題に対して直ちに指導を行なうようにという申し入れもやられているということが報道されていましたけれども、私が聞いた医療機関の人も、何回も何回も厚生省と交渉しているそうです。しかし、具体的には何一つやってないと言っています。これがいまの医療機関向けの厚生省の指導なんですか。     〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕 どうなんですか。何もやってないと言っているのですよ。何かやったことがあるならば、具体的にはっきりと、こういうことをやりました、こういうふうにやらせましたというような指導の中身をお答えいただきたいと思います。
  118. 金田伸二

    ○金田説明員 いまお話しのとおり、私どものところに、医薬品の価格の上昇、特に薬価基準を上回るものについていろいろお話が来ております。私どもとしては、個々の品目についてその内容を検討いたしまして、どうしても原材料等の高騰でその価格でなければ供給できないのかどうか、事情を聴取しまして、できるだけ値下げをするように努力をしていきたいと思います。
  119. 小林政子

    ○小林(政)委員 非常にはっきりしないのですけれども、最後に、いまの問題について、薬価基準を上回っている現状というものを直ちにこれについてはやめさせるなり、調査を行なった上で処置するというような点について、積極的にこれを進めることが必要だと思いますけれども、その点について大臣から答弁をいただきたいと思います。
  120. 内田常雄

    内田国務大臣 小林さんからの御所論の経緯を、もちろん担当の政府委員からも上司に報告するでしょうが、私からも直接厚生大臣なりあるいは担当の薬務局長なりにそのことを申し入れて対処させるようにいたしたいと思います。  しかし、お話を聞いておって私は少しふしぎに思いますことは、薬価基準はこの間二月一日につくらせたときに値段を下げさせた。これは高くきめますと——これまた差しさわりがあってはいけませんけれども、薬価基準というのは御承知のとおり保険の支払いとして受け取られる値段でございますから、健康保険の保険医がたくさん薬を出して薬で利益を得るような、つまり医者としての技術を提供して社会保険診療報酬を得るよりも、薬を多量に供給して報酬を保険医が得るというようなあり方は、よく世間で批判がございますが、適当でないので、薬ではもうからぬようにということで、薬価基準は下げたはずでございます。したがって、診療報酬を上げたけれども薬価基準を下げたから、医者のほうからはその不満がございまして、診療報酬を上げたと言っているけれども、薬価基準を下げられたから、実際はそれだけ上がっておらぬじゃないか、こういう苦情もいただいておるわけであります。しかし、それだけに厚生省が無理をして薬価基準をきめておるとすれば、製薬メーカーのほうがそんな値段ではとても保険医に供給できない。ことにあれは御承知のとおり実勢価格のバルクラインできめますから、バルクラインからはみ出しているところは、最近の物資不足等でバルクラインの価格ではお医者さんにも供給できないというような事態にあるのかもしれません。それは厚生省の善政のようでもあるし、また悪政のようでもありますから、その辺私もよく事情を聞いて対処してまいりたいと思います。
  121. 小林政子

    ○小林(政)委員 私が聞いたのはそういうことじゃありません。病院が薬を仕入れる場合の価格が薬価基準をすでに上回る、こういう事態が起こっている。この問題について調査を直ちに行なうように、あるいはまた薬の値上げ問題について、医療機関向けについては何回も厚生省と話し合っても一向にらちがあかない。こういう問題について直ちに調査を行なってほしい、こういうことを大臣に私は善処方を要望すると同時に、それに対する積極的な御答弁をいただきたいということを質問したのです。
  122. 内田常雄

    内田国務大臣 そういう趣旨を了解の上で、いまお答えを申し上げました。とにかくこれは薬務局長なり厚生大臣に私からお伝えをいたしまして善処させたいと思いますので、適当な時期がありましたら、ひとつ薬務局長にもここに出てもらいまして、実態はこうである、こういう説明をさせていただくことが——私は経済企画庁ではございますけれども、ちょっといまの薬価基準のはみ出し方の状況まではわかりませんので、決して私は悪いことを申してあなたに抵抗しているわけではございませんで、ほんとうにそういう意味で私も研究もしますし、厚生省からまた薬務局長にも来るような機会をつくっていただきたい、これは委員長にもお願いいたします。
  123. 小林政子

    ○小林(政)委員 最近、薬の販売の方法などについていろいろと批判もまた出てきておりますけれども、私は、次のことについて伺いたいと思います。たとえばS社方式という最近のこういうやり方で全国的に小売り店を組織をしているという大正製薬の実態について、その事実をお聞きになったことがありますか。
  124. 金田伸二

    ○金田説明員 先生いま御指摘の大正製薬のS社方式というのは、EAS社方式というふうに、私ども聞いておりますけれども、昨年の二月以降、従来ありました大正製薬のチェーン組織を解消してつくったものであるというふうに聞いておったわけでございますが、実は、けさ電話でこのEAS社方式について実情どうなっておるのかということを会社側に照会いたしましたところ、今月の初めにこのS社方式については中止をしたというようなことを会社側のほうで言っておるわけであります。私どもとして事実関係を、実態を現在いま調査をいたしておるところでございます。
  125. 小林政子

    ○小林(政)委員 現在こういう制度を中止をした、あるいは解散といいますか廃止をしたということは、いつの段階でしょうか。
  126. 金田伸二

    ○金田説明員 会社側の説明ですと、今月の二日に廃止を決定したというようなことでございました。私ども、事実関係その他実情を現在調査をしておるというようなことでございます。
  127. 小林政子

    ○小林(政)委員 その廃止をしたという事実関係については、これは確認もしたいと思いますし、公取でもこの問題については調査をされているということを聞いておりますけれども、私がこのS社方式というものをどういう状況になっているかということで調べてみましたところによりますと、小売り店が大正のかぜ薬パブロンを年間千個買うことを条件にS社に株主として参加をする。そしてその出資金はパブロン購入の際に大正が出す一〇%のリベート、これを充てる。そして、このような小売り店が二十店ないし三十店で一つのS社をつくって、大正はこの加盟している小売り店の出資総額と全く同額の金額を出資する。そして加盟小売り店の場合には、いろいろと取引関係で有利な条件を与えている。こういうようなやり方というのは、私は独禁法にも抵触をするんじゃないだろうか。たとえば、年間千個のパブロンを買うということになることが条件になっておりますし、そしてそれが加盟の条件であり、またその場合にはリポビタンDを加盟店には七十五円、それから加盟をしてない店には八十五円でもっておろすというような、こういうことがやられているわけですけれども、これは公取の委員長にお伺いをいたしたいと思いますけれども、公正な取引に反するという内容を持つものではないんでしょうか。お伺いをいたします。
  128. 伊従寛

    伊従説明員 ただいま先生御指摘のS社方式につきましては、同様のことがすでに一部の小売り店から私たちのほうに苦情がきておりまして、調査中でございます。チェーン組織の問題につきましては、かなり複雑な問題がございますので一がいに言えませんが、たとえば一般に八十五円でおろしているものを七十五円でおろす、差別価格の問題になりますが、このようなものにつきましても、たとえば七十五円で購入するというのが共同購入のような形をとりまして大量に取引をするということになりますと、これは大量取引に伴うコストの低下ということで合理的な根拠があるかと思いますが、それが大量取引に伴うものなのかどうか、こういう点については実態を調査しませんと的確なお答えができないのではないかと思います。いずれにしましても、これにつきましては先生御指摘のような問題がございまして、現在調査中でございます。
  129. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、やはりこのような取引というものは不公正な取引ということになるのではないかという疑念を強く持っているものでございます。  先ほどの厚生省の話によりますと、この二日段階でこのような制度は廃止をされたのだというようなことを言われておりますけれども、この点については間違いありませんか。また、廃止をした理由というものについてはどのような理由をあげているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  130. 金田伸二

    ○金田説明員 私どもが本日、会社側に照会したところ、三月二日付で廃止をしたという回答がございまして、私どもその実態あるいはなぜやめたかというようなことについて現在調査をしている段階でございまして、まだこの席で申し上げられないわけでございます。
  131. 小林政子

    ○小林(政)委員 最後に公取の委員長に、このような取引の方法というものについてはやはり疑念があるというふうに私は考えますけれども、公取としてはこの問題に対してどのような立場でお考えになっていらっしゃるのか、またどう検討をされているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  132. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 取引課長からお話し申し上げたように、現在調査はしております。ただ、いま厚生省の課長さんのお話では二日付でやめた。だから、私のほうの調査でほんとうにそういう組織がやめておるということになりますと、独禁法のほうの不公正取引はさかのぼって排除命令が出せないのです。景品表示法のほうは、すでに過去のものとなったものでも排除命令が出せるのです。本家の独禁法のほうは、そういう過去の事実に排除命令は出せません。しかしそれは、取り調べをしている過程においてやめたと言いながら実際やめてないというふうな場合も間々あるわけでございますから、そういう場合にはそれ相当の措置をとるわけでございまして、これからも実態を調査するということをしっかりやっていきたいと思います。
  133. 平林剛

    平林委員長 小林政子君の質疑は終了いたしました。  次に、有島重武君。
  134. 有島重武

    ○有島委員 初めに、カルテルの一般的なことについて伺います。  昭和四十七年から四十八年にかけまして、石油化学をはじめステンレス、ガラス繊維等十三件にのぼる不況カルテルがありました。これは結果的に考えますと失敗であった。こうしたカルテルの許可ということが不適当であった。これがたいへんな後遺症を残して、いま狂乱物価といわれるこの異常な状態価格の下ざさえとなっている、このように思われますけれども、公正取引委員長としての御所見を最初に承っておきたい。
  135. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 いまおっしゃられたような見解も、それはございましょう。ただ、私はあの当時、実質的には九月から仕事を始めたわけでございます。まあその当時は、はっきり申し上げましてよくわかりません。終わりの段階のことでございますが、しかし、その前にすでに継続して何カ月か不況カルテルが行なわれておった。それをそのまま継続させたというふうな点がございますので、私もその点責任を感じないわけじゃありませんが、これらの品目は十三品目でございまして、そう幅広いものではないのですね。鉄鋼などが一番大きな主体であったと思います。そのほかに、石油化学のセンターですね、エチレン、プロピレンの段階、そういうものが大ものであったと思います。  でありますので、それが、このごろ盛んに行なわれている値上げカルテルですね、価格カルテルがおもでございますが、中には生産数量の制限もあるでしょう、そういうものにすぐ結びついたんだというのは、私は必ずしもそうだとは断定し得ないのですよ。まあ一部そういうことはあると思います。しかし、そもそも任意団体と称する、各業界の懇親と称しながら——懇親といいますか、要するに会合を公然とやっている団体の数というのはたいへんなものでございます。ほとんどの業界にあると言ってもいい。よくわかりませんが、たしか万をもって数えるくらいあるはずです、小さいのから大きいのに至るまで。ですから、そういうところが結局公然と値上げを、これだけコストが上がったのだからこの機会にということで、じゃカルテルでいこうかと、ことに会員数の多いところほどカルテルでないと足並みがそろわないということもあるし、いろいろな関係で、便乗値上げということを含めて、あるいはまた石油問題にことにこれは拍車をかけたわけです。石油問題でこれはたいへんだという認識が非常に強くなった。とにかく概括的にいえば、四十七年の状態と今日の状態とは全く似ても似つかぬものでございます。その点は御了解いただけると思うのですね。  あの当時においては、この不況というものは非常に深刻なんだという認識が一般的に非常に強かったということは争えないわけです。ですから、政府も何とか早くもっと景気を盛り上げなければいかぬというふうなことで、外貨は余る一方だというふうなことがありましたから、外貨はたまる一方で何とかしなければならぬ、国際的にもほっておけないのだ、そういうことで一生懸命やったけれども、なかなか盛り上がらぬ。その過程において不況カルテルが何種か行なわれたのでありまして、今日から見れば確かにおかしなことをしたという批判も、それはございましょうが、その当時においてはさほど言われなかった。終わりのころ、私が就任したころからあとになりまして、景気がちょっと上がり出したわけです。  ですから、たとえば鉄鋼の末端価格がどんどん上がっておるじゃないかというふうなことで、最後の段階では、数量制限をやっておるのに対して、逆にこんなことではいかぬ、もっとワクを広げて増産しろとまで急転したわけでございますから、私ども言いのがれをするのじゃありません。実際の情勢をすなおに申し上げまして、不況カルテルを認めたのが今日のカルテルの横行に直ちにつながっておるのだというふうにまでは考えてない。ただし、不況カルテルの要件が甘かったのじゃないかという非難は一部にございまして、私どもはその点のところをはっきり詰めてお答えを申し上げることができません。できませんが、情勢の変化にすなおに対応するようにはなっていなかった。  というのは、にわかに一方的に打ち切りができない仕組みになっておるからです。にわかに打ち切るのには審判開始決定をしなければ打ち切りができないというふうな制度がありまして、そういう制度のために、一方的に途中で、一月残っておるけれどもだめだ、こう言っても、相手側はすべてもっと長い延長を望んでおりました。石油化学のごときもそうでございます。これは私は延長を打ち切りましたけれども、向こうの要望は非常に強かったわけでございますから、そういう情勢下にあったということ、つまり激変ですね。非常に低い状態から今度はとんでもない物価高騰の場面にあまりにも鮮明に変わり過ぎたという事実を考慮していただかなければならないのじゃないか。しかし、今後の不況カルテルについては甘い態度はとらないという考えを持っております。
  136. 有島重武

    ○有島委員 不況カルテルについて、いろいろな事情はあったけれども、不適当な一面もあった、そういうようなお答えに受け取ってよろしいですか。そうして、今後は不況カルテルの要件というのはうんときびしくしなければならないと考える、それから潜在的にあるやみカルテルについては、数が非常に多いけれども、これはきびしく取り締まっていかなければならない、そういったような御意見に私は承ったけれども、簡単に、それでいいですか。
  137. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 そのとおりでございます。
  138. 有島重武

    ○有島委員 経済企画庁長官、潜在的にあるやみカルテルについてはきびしく取り締まっていかなければならない、またはこうした疑いがあるときには、公正取引委員会としては独禁法の中での活躍ということになっております。けれども、独禁法も近々改正しようという国民的な大きな高まりもありますし、それから政府のほうでもそういうふうにお考えになっておる。そういった情勢の中でもってやみカルテルないしはその疑いのあるものについては、国民生活を守るという立場からどんどんきびしくこれを取り締まっていかなければならない、私はそういうふうに思いますけれども、企画庁長官いかがですか。
  139. 内田常雄

    内田国務大臣 私も全く同感でございます。
  140. 有島重武

    ○有島委員 そこで、私は去る二月二十三日、予算委員会でもって塩ビの加工メーカー、特に塩ビ管のやみカルテルの問題を取り上げました。そしてここで取り上げましたのは、この業界が全く同じ印刷所でもって出した値段表を表紙を変えまして、その表紙の業者名だけを変えて使っておった、全く悪質なやみカルテルの典型のようなものであったわけです。これの値段表を数種類お渡しいたしまして、そして通産大臣は、これはやみカルテルの疑いが濃厚であると言われました。それから公正取引委員会は、これはやみカルテルの証拠は十分であるというようなニュアンスのお答えを出された。その後、一体それじゃ通産省はどのように処置をされたのか、きょうは大臣はおられませんし、政務次官も来られないというので、局長からお話を承りたい。
  141. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 先般、有島先生が予算委員会で御指摘になりまして、直ちに関係メーカーを呼びまして、くだんの印刷物を取り寄せて調べてみたわけでございますが、関係者から事情を聞いてみますと、実はあれはずいぶん前から出しておったようでございますが、塩ビ管の銘柄につきましては非常に多種多様にわたりますので、末端においてこれを売る際の便宜のためにああいうパンフレットをつくっておったということでございまして、あの中には価格はいろいろなサイズにつきまして書いてございますが、ポイントというのがございまして、先生もこの前御指摘なさいましたけれども、たとえば九十五とか九十四、九十三、八十とか、いろいろなポイントがございまして、現実に末端の小売り段階でユーザーに販売する場合に、そのポイントが一つの符牒になっておって、ポイントで取引をしておるというのが実態である。幾らのポイントで売るかというのは個々の取引でありまして、そのポイントを、たとえば塩ビ管のある一定の銘柄のものについて八十五ポイントで売れというようなことをもしお互いに話し合っておるとすれば、これは非常に問題でございますけれども、どうもそういうことではないようでございます。どうも私ども、独禁法の解釈の上からいってこれをどういうふうに考えたらいいのか、それは専門的な立場からでないとなかなか判断がつきかねる問題もございますので、実は私どもは事情は聴取しましたけれども、やはり公正取引委員会の事務当局にもきちっと実情について説明をし、かつこれについての当否について伺いを立てるべきではないかというアドバイスをいたしまして、おそらく関係者は公正取引委員会のほうにもその説明に行っているのではないかと思っておるわけでございます。
  142. 有島重武

    ○有島委員 通産省に申し上げますけれども通産省に独禁法がどうのこうのということを伺っているんじゃないんですね。値上げがこうした手段によって行なわれた、この値段のつり上げは不当である、だからこの値下げをさせなさい、そういうことがまず先決なんじゃないですか。そういうことについては何も指導はなさらない。そのからくりを調べてみたら、自分たちにはよくわからない、これは公取の話だ、じゃ手を引きましょう、そんなだらしないことで終わったんですか。
  143. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 値下げの問題につきましては、石油化学製品が昨年の十一月から十二月にかけて非常に大幅な値上がりをいたしまして、これは私ども中身を調べまして、実際の正当であるべきものと考えるものよりもかなり大幅であるという判断をいたしまして、一月の末に通産大臣が石油化学関係の五大樹脂、その中に塩ビ樹脂ももちろん含みますが、これにつきまして関係メーカーを呼びまして、十一月から十二月にかけて値上げをしたものの三割をめどにして引き下げをやれという指導を行なったわけでございます。その結果、樹脂メーカーは二月の初めから、これは会社によって若干時期は違いがございますけれども、おおむね三割の売り値の低下をはかったわけでございます。塩ビにつきましては、塩ビ樹脂メーカーが下げますと、あと加工メーカーでございます塩ビ管メーカーもそれに応じて値を下げなければいけないわけでございます。私どもも直ちに塩ビ管メーカーも呼びまして、これに対しまして、原料の塩ビ樹脂の値下がりに応じて塩ビ管の売り値も下げるようにという指導をいたしたわけでございます。塩ビ管メーカーもやはり当時の売り値の一割、先ほど塩ビ樹脂につきまして値上げ幅の三割と申しましたが、これは値下げ時点の価格の一割ぐらいに相当するわけでございます。したがって、ほぼ塩ビ樹脂の値下げと同じような割合で塩ビ管についても値下げをやったわけであります。値下げの結果につきまして、各社から私のほうに報告がございます。  なお、私どもといたしましては塩ビ管メーカーが下げただけでは末端への浸透というものは期せられないということから、その後流通段階の一次問屋も呼びまして、売り値を値下げするように指導いたしまして、末端の売り値につきましても、全部を調べるわけにはまいりませんけれども、私どもが抽出的に調べてみたところでは、末端においては一割以上の、大体一割五分ぐらいかと思いますけれども、そのぐらいの値下がりが行なわれておるというのが現在の状況でございます。
  144. 有島重武

    ○有島委員 いまのお答えの中で二つ三つ聞いておきます。  十一月、十二月の間にかなりの大幅な値上げがあったというふうに認識なすったけれども、かなりの大幅というのはどのぐらい、何%ぐらいとお考えになっておったのか、これが一つ。  それから、塩ビ樹脂については三〇%値下げをしろということですね。これは口頭で、集めて言われたのですね。今度、管メーカーに一〇%値下げをしろと言われたという。これは、いつ、どこで、どういう形で通達されましたか。  それから、末端の一次問屋の指導はどういう形でどういうふうにされたのか。  その三つ、聞きましょう。
  145. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 塩ビ樹脂の値上げにつきましては、十一月時点でおおむね九十五円から百円あるいは百二、三円ぐらいかもしれないのですが、そこら辺の幅で売られておったものでございますが、それが百五十円ぐらいに値上げをしたわけでございます。これは原料の値上がりをはるかに上回るものだというふうに私ども考えまして——メーカーに言わせますと、あの時点で石油、電力の供給カットというような問題から相当……(有島委員「理由はいいです」と呼ぶ)ということでございます。  それから第二の御質問でございますが、塩ビ管メーカーは、大臣の指示によりまして、一月のたしか三十日だったかと思いますけれども、日にちはちょっといま正確に記憶しておりませんが、いずれにしても一月の終わりでございますが、私が塩ビ管メーカーを呼びまして、塩ビ管メーカーに対して直接値下げの要請を行なったわけでございます。  それから一次問屋につきましては、二月の半ばごろでございますが、これも通産省のほうに、東京に在住しておりますおもな一次問屋を呼びまして、私のほうから値下げに協力の要請を行なったわけでございます。
  146. 有島重武

    ○有島委員 あなたの認識の中で、全く誤認識と思われることが一つありますので、それだけは言っておきます。  先ほど値段表について、これはいろいろな種類が多いからいたし方がないのであるということを言われて、あとはポイント制であるからあまり固定化されたものではないのだというようなことを聞いて、ああそうですかとお帰りになったと言いますけれども、あなたは本気でそれを思っていらっしゃるのか、話を合わせていらっしゃるのか。それは私は非常に疑わしいと思いますね。問題になりますのは、標準価格というものをはっきりと業者全部がきめてしまった、ここに一つの大きな重要点があるのですね。その標準価格そのものがたいへんな値上がりをしておる。標準的に、全般的に上がっているんだ。一つの標準に対して、いろいろな取引があります。その幅が、塩ビ管については十一月から十二月にかけて三〇%以上のアップをしている。十月前の値段からすれば七〇%のアップをしておる。そういうアップをしているその上のほんの微調整のようなものについてあなたはいま、業者はこう言っていましたと言っていらっしゃるだけの話であって、その大ワクを業者が全部協定しておった、そのことがこの前問題になったのです。それで、そのことだけはあなたのさっきのお答えは見当はずれである、それを指摘しておきます。  そこできょうは、では公正取引委員会はその後一体どういうふうにしていらっしゃるのかということを私はさらに承りたいわけなんですけれども、それから以後にまた私どもが入った資料がありますので。これは第二次問屋のものです。この一つは久保田鉄工の関係の第二次問屋です。添付書類がありまして、「拝啓 貴社益々御清栄の事と拝さついたします。毎々格別の御引立に預り有難く厚く御礼申し上げます。さて下記の書類を同封御送り致しましたので御査収の上よろしく御取り計らい下さいますようお願い申し上げます」これが一つ。それからこれが積水化学のやはり第二次問屋です。これは四十九年二月二十一日付です。こちらば十二月十五日です。この間にいろいろな御指導があったかもしれないけれども、この二つのもの、これはその間の通産からの指導が伝わっている形跡が全然ないということを示したいわけです。ちょっとこれ見てください。——御説明しましょう。そちらの久保田鉄工のほうの白いものですね。これは先日お示しした値段表、硬質塩化ビニール管及び同継手価格早見表。これは昭和四十八年十二月の積水化学工業株式会社。または前沢化成工業株式会社、いろいろなのが何冊もあったわけでございますけれども、それはもう当然公取としてはこの前お示ししたのだから各社からお取り寄せと思います。持っていらっしゃると思います。その中の八二%というところを見ますと——こっちを読みますからそれを見てください。久保田鉄工のところでもってVE管というのがあるはずです。サイズ十四、百八十九、サイズ十六、二百三十四、それからサイズ二十二、二百七十五、それからサイズ二十八、五百二十九、三十六、これが七百六十、それからサイズ四十二、これが一千十二、それからサイズ五十四、一千四百三十五、それから七十、一千八百三十、それから八十二、これが二千七百八十九。どうでしょうか、そっくり同じものだと思いますけれども
  147. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私、いまそのお読みになられた数字についてどれと突き合わせてということなんですけれども、数字そのものは確かに書いてあるとおりです。ですから、私がここでこの数字の問題をいろいろ長々とやりましても問題の解決にはならぬわけです。ですから、私のほうの立場から申しますれば、確かにこの間御指摘のとおり公開の場で証拠となるべきようなものを提起されましたので、さっそく向こうの協会、これは塩化ビニール管継手協会という協会がございますから、そこの専務理事及び部長を招致しました。私自身じゃありませんが、これは審査部で、審査部長だと思いますが、みずから呼んで課長と一緒にその事情を聴取したのです。だからそのことを申し上げたほうがいいと思うのです。ですから、あのお示しになった価格表というものは確かにそれは標準価格表でしょうが、標準価格表にしても、全く同じものが三万部ぐらい出ています。そのことは確かなんです。向こうからちゃんとそういう申し立てがありました。そしてその早見表というものを一体どう考えるかというのについて先ほど通産省の方からも答弁があったのですが、協会の言っていることは、これは早見表で——非常に膨大なものですね、たいへんな種類がある。だからこれがないと商売ができないというのでつくったんだが、実勢価格というのは違うのだ。だから実勢価格という点については、どう売ろうとそれは各業者が判断するのだ、そういう意味での協定はないと、こういう主張をしているのです。そこで、やはりいま私どものほうとしては、この価格早見表というものの改定は値上げを目的としたものなんですね。明らかに値上げの目的のものである、それは向こうも認めておるわけです。ただ、独禁法違反という点についてそういう抗弁をしておるわけです、向こうは。ですから、いまその点についてまだもっと究明しなければいかぬ。はたして向こうの言うとおり従来からもそういう慣例があって、実際売られている価格は早見表によらずにみんなまちまちであるということである、としましても私のほうとしてはそれは不満なんです。それはいけない。価格表を協会が印刷して全く同じものを会社別の名前にして配るということは、それは普通に言えばたとえ建て値であっても協定とみなさざるを得ない、こういうふうな態度で向こうに申したところ、あの早見表三万部を全部配付先から回収して破棄したい、こういうふうに申し出があったわけです。破棄するかどうか、これはただいままだその経過を見ている段階でございます。全部回収する、そして破棄すると言うのですが、回収しても、それは商売ができないというなら、それぞれの業者がかってに写しとって別なものをつくるかもしれませんですよ。そういうことになるとたいへん複雑怪奇なことになるのですが、とにかく協会がああいう実際は中身は同じものを別なカバーをかぶして積水化学であるとか久保田鉄工の名前でもって配ったもの、それは私のほうの解釈から言えば値上げを目的としたものであるし、またかつ同時的に建て値を動かすということはそれはカルテルなんだ、こういう見解をとっておりまして、ただしかし向こうが自主的に破棄をするという申し出があっちゃったわけです。ですから、それを早急にやれということでありまして、早急にそのとおりほんとうに全部回収した上で破棄してやるとなりますと、私どもは先ほども言いましたけれども、過去の事実について排除命令を出せない、こういうふうになっちゃうわけです。ですから、いまの段階でそれをどう扱うかきめかねている。だから、向こうは破棄すると言いながら実態はそうなってないということになればこれは当然排除命令を出すことになるでしょうが、いまは向こうがそういうふうに自主的な破棄を申し出ていて、それを実行すると申し立てている段階でございます。
  148. 有島重武

    ○有島委員 いまの説明、途中で切られましたけれども通産省にもう一つ、積水化学のほうの、ありましたですね、青いほう。それもサイズ十三が二百二十七、それからサイズ十六が三百三十一。水道管というところがありますね、下の欄に。それから水道管の二十ミリ、これが三百九十八、それから二十五、これが五百七十四、同じ数値が並んでおりますね。これは照合して見てください。八二というところ、両方とも八二なんです。間違いありませんね。どうですか。ごらんになって、比較してどうでした。
  149. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 両方数字は合っております。
  150. 有島重武

    ○有島委員 公取委員長からまた先のお話までずっとありましたから、その先にいく前にちょっと、不況カルテルと一がいにいっても、生産数量にかかわるもの、それから販売数量にかかわるもの、それから設備価格と四種類あるわけでございますね。それで価格ということについては、これはよほど慎重にしなければならないというふうに私は聞いておったわけです。こういった不況カルテルにも各段階があるのだという点について、私の認識は正しいかどうか、それを確認しておきましょう。
  151. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 それは法律の条文の上に書いてあります。価格のカルテルをする場合には、他の方法をもってしてはとうてい不況を克服しがたい、一口にいえばそういうことでございます。ですから数量カルテルなどではとても間に合わないという場合だけ価格カルテルを不況カルテルとして認めることができる、こうなっていますから、認可の条件は非常にきびしいし、現に最近のカルテルで価格カルテルを認めた例はないと私は思っております。
  152. 有島重武

    ○有島委員 事はこの価格カルテルにかかわる問題であるから私は非常に重大であると思って取り上げていたわけです。  それからもう一つ、この業界はつくっているものが非常に種類が多いから、なおさらそれがやみカルテルであるということを実証することは非常にむずかしいわけですよ。それをこの間、高橋委員長もそのようなことを言われた。そういったような逃げ道をことごとくふさげるような資料としてそちらに提示したわけですよ。そして業界のほうでは、それをお認めになったからですか、これは一種のやみカルテルであるということを業界が認められた、それで回収なすったわけなんですか。
  153. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 その辺はいまのところ若干あやふやなんです。ですからそれはカルテルと認めるから回収するというふうに明らかには述べてない。ただ公取が、これはカルテルじゃないかと言われれば、そういう疑いを持たれることはこれはしかたありません、したがって廃棄しましょう、こういう話でございます。
  154. 有島重武

    ○有島委員 結果としてそれをやめることにした。では、そのあと一体またどうなるかということが次の問題になるわけですけれども通産省、業界としては実質的にこれはやみカルテルであったことをお認めになった。そしていまお示ししたのは十二月の二次問屋のものですね。これは出てきた二次問屋の店は違いますけれども、八二%ランクというところにいるところがあるのですね。そうすると、大体値段も、そこの八二ランクの問屋さんはどこに行っても八二ランクでしか売ってくれないというようなきまりさえあるわけなんです。もう硬直してしまっているのですね。そういったような実態も御存じなんでしょう。それがいささかも変わっておらぬ。あなた方のやっていらっしゃる値下げという指示も、幾ら指示を出したところで八二%をほんとうは今度は九二%にしておきました、そう言って、そこからまた一〇%を引くというようなややこしい手が用いられているわけなんです。私どものところにいま来ている投書によりますと、このごろは九三%据え置きになっちゃった、そう言っています。いま差し上げた値段表には九二%のところから書いてあるわけなんですね。第三ページ目のところを見ますと、一番最初に標準価格が書いてあります。その下段は九二掛けですね。それから九一掛け、九〇掛け、ずっと安くなっているわけなんです。そして最後のところ、五五%のところまであるわけなんです。このごろは九三%掛けでもってずっと来るのだ。通産は指導なすったかもしれないけれども、まだまだ高いものを買わされているわけです。  それから公正取引委員会としては直接そのことにかかわりはないとおっしゃるかもしれないけれども、私はこの前大ざっぱに昭和四十八年のずっと春ごろからと、それから十二月では水道管の十三ミリもの、これは七〇%の値上がりであったということを資料を提出いたしました。これは標準価格のアップだけでありまして、実際には六五掛けであったものが九〇掛けにされ、それから一番末端の工事屋さんのところにはこのごろは一〇〇%でもって来る。標準価格どおりで来てしまう、こういったことがあるわけです。こういった事態があるわけです。ですから、業者のほうでは確かにこれはいろいろなふうに使い分けますから、こんな値段の協定とはいってもというようなことを口では言うかもしれないけれども、もう一歩業者の取引の実態を伝票なんか取り寄せて調べてごらんになれば、はっきりとこれはやみカルテル、バラエティーに富んだやみカルテルである、この実態が明らかになるわけです。そのことを通産はもっと実態調査をしなければならない。業者にごまかされてきてはだめですよ。そして一〇%のカットなんというものはほんとうになまやさしいものであって、その実効はほとんどないという。その実態をさらに調べなければいけませんよ。調べますか。
  155. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 私のほうでやりました値下げの指導が実際にユーザーに渡るときに浸透してないとすれば問題でございまして、ただいま先生の御指摘もございますので、私どもはユーザー側のほうの事情も調べてみまして、一体どの程度値下げの実があがっているかを真剣に検討してみたいと思っております。
  156. 有島重武

    ○有島委員 では、さっそく調査に移ってください。  時間が来てしまったので、あとちょっと、十分ぐらいよろしいですか。  これは東京都の話になるわけですけれども、去る五月三日に東京都議会の本会議の席上でもって、わが党の藤原行正議員から指摘したやはり塩ビ管の問題です。これはカルテルの問題とはちょっと離れます。東京都でもって、塩ビ管のこうした便乗高値に加えて、東京都の認可制度というのを悪用して、代理店が、いわば一次問屋、二次問屋が年間数億円の暴利をむさぼっていた事実が明らかにされた、こういうことがあったのでございますけれども通産省ではこのことをキャッチしていらっしゃいますね。
  157. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 ただいまの御質問の点については、実は私どももまだ聞いてないわけでございます。
  158. 有島重武

    ○有島委員 これはたぶんテレビでも報道されましたし……。
  159. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 私は直接聞いておりませんけれども、あれは水道管の検査に関する問題が主だそうでございますので、厚生省が関係しておられるのではないか。もちろん直接的には東京都でございますけれども、私どもいままで承知いたしておりませんけれども、少し実情を調べてみたいと思っております。
  160. 有島重武

    ○有島委員 これは前沢化成工業、それから大場興業、東京エスロン商事、谷村商事、帝物、富士機材、東興商事、以上の七社が、これはメーカーから卸している指定代理、ここがスタンプを押しますと、一つの塩ビ——私の手元にある資料ではメートル単位になっておりますけれども、十三ミリのもの、未検定のものだと二十四円七十五銭、これが検定いたしますと五十五円になる。あとでこの資料を差し上げてもいいけれども、二十ミリのものが単価四十四円七十五銭、これが検定をすると九十七円になる。これは単価差でいきますと二・二二倍、二・一七倍、二倍以上ということです。こういうことが横行しているわけです。あなたは、これは厚生省の所管でしょうとか、これは都の話だとかおっしゃるかもしれませんけれども、ここには経済企画庁長官もいらっしゃる。ここは国民生活を守る物特委員会での話です。そして塩化ビニールのこうした加工品について一番基本的に管轄していらっしゃるのが通産省であるし、いまその価格についてこういったことが横行しておったということについて、管轄でないから私は知りませんでしたで通るものではないと思いますけれども、こういったことが東京都で行なわれていることが明らかになった。これについてまず経済企画庁長官はどのようにお考えになるか、通産省としてはどのようにお考えになるか、お二人からお伺いしましょう。
  161. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 先に私のほうからお答えさせていただきます。  ただいま先生御指摘の数字でございますが、未検定のものと、それから検定後のものとでは二倍以上の値上がりになっておるわけでございますが、一体検定のためにどれだけの経費がかかるか、そこら辺の実態等も調査をする必要があると思います。つまり検定の経費を相当上回って検定後にこの値段で売っておるとすればやはり非常に便乗的な要素があると判断せざるを得ないわけでございますが、御指摘のように私どもは塩ビ管の未端価格をできるだけ引き下げたいという方針で指導いたしておりますので、この件につきましても実情を私のほうで調査してみたいと思っております。
  162. 内田常雄

    内田国務大臣 伺っておりますと、私もまことに、検定かあるいは未検定かということで値段の幅が非常に違ってくるというようなことはどうも納得がいかないので、その辺、話がございましたように通産省にもよく実情を調べてもらって対処してもらいたいと考えるものでございます。
  163. 有島重武

    ○有島委員 国でも調査に乗り出す、そういうお話ですから、私はその調査を待ちたいと思いますけれども、塩ビ管はまず第一番に大体JISで検定を受けているわけです。これは通産省ですね、日本標準規格でやっておる。この上に全国水道協会、これがまた検査をするんだと。いまの東京の話は、その二つの検査に加えて、また業者がそういった検定をいたしますといって二倍やそれ以上に高く売りつけておった、こういうことがあるわけです。  これは経済企画庁長官にもう一つお願いしておきますけれども、ここに通産大臣がおればほんとうは通産大臣にお願いしたいのだけれども、東京にあって、われわれがそれに気がついたから東京都にまず言ったわけです。それで明るみに出て、美濃部都知事はさっそくこれは価格の引き下げをさせる。それからもう一つは、東京のほうの緊急生活防衛条例というのがあるわけですね。この指定品に加える、このことを言ったそうです。それで東京に限らず、これは他の道府県においてもあるかもしれない。これは全国的に一ぺん洗っていただきたい。  それから、これは投機防止法と生活安定法の指定物資にこの塩ビ管を加えられる御用意があるかどうか、こういったことについて最後に承って、私の質問を終わりたいと思います。
  164. 内田常雄

    内田国務大臣 それは東京都だけのことではなしに、全国的にせっかく通産省が行政指導で値段を下げさせたようなものを、また行政指導があろうがなかろうが、かくあるべき価格のものに筋の通らないような理屈をくっつけてまた高値戻しをするようなそういう性格のものでありましたならば、これはまことに不適当なことでありますので、通産省にも調査に乗り出してもらいまして、そして善処すべきであると考えます。それはひとり東京都だけの、美濃部さんの考えである必要はないので、通産省として、わが経済企画庁としてもやってまいりたいと思います。
  165. 有島重武

    ○有島委員 価格差……。
  166. 内田常雄

    内田国務大臣 価格は、有島さんも御承知のとおり、幸い二月になりまして下がってまいりました。これは、ここに資料を持っておりますし、予算委員会でも私が述べたわけでございますが、若干下がってまいりまして、そのまたさらに引き下げの指導を私はしたいと思います。ただし、これまた石油の問題に戻りますが、これは石油製品の最たるもので、塩化ビニール樹脂というものはナフサからできまして、それからまたビニール管ができますので、石油製品の値上げ幅、調整幅をどうするかということにも関連いたしますが、これについても私の考えでは、通産省に対しまして塩ビ管まで石油製品価格、ナフサ価格の調整が引き上げの影響を来たさないように押え込む方向で対処をしていただくように要望をいたしておりますし、通産省もそのつもりでおられるようでありますから、そういう意味をも含めて、石油製品が上がってもビニール管の値段が上がらないということは、これはまた相対的には下がる、こういう意味でもあるわけでございますので、そういう両方の意味を含めまして価格対策もとってまいりたいと考えます。
  167. 有島重武

    ○有島委員 企画庁長官、いまのはごくごく一般的なお話ですよ。私たちいままで相当時間かけてやったものが、こうこうこういう仕組みでもって、こういう経緯でもってこんなふうな値上がりをさしたんだということを洗いざらい明らかにしたわけです。こんなに明らかになった問題について、そんななまぬるいことをおっしゃっているのではなくて、いままでの通産のほうではもうすでにどのような指導をしたけれどもどのような効果しかなかったということをこれからはっきりさせるわけです。それに応じてそれは適当か不適当かという判断をなさって、それでもって値下げ断行すべし、もうこれだけはっきりしているのですから、はっきりとこれは何らかの値下げをさせる、そういうことをやはりお約束いただかないと私は承知できないと思うのですけれども、いかがですか。
  168. 内田常雄

    内田国務大臣 御承知のように一そうの、まあ若干の値下げの効果は通産省の指導によってあったようでございますが、それ以上の値下げ指導をしていただきたいと思います。ただ、その上石油問題がありますから、下げるものは下げておいて、上げる場合にその値下げした幅だけ上げさせてしまうというようなことがないように、情勢に対応するような措置を——これは私は下げないということを言っているのじゃないのです、これは下げたほうがいいにきまっていますし。これは建築資材のうちことに水道などの関係では困っておりましたのは塩ビ管でございましたので、私も多大な関心を持っているものでございますから、いま両面について申し上げましたけれども、下げさせる。しかしまた、上がる要素もあるから、その上がる要素は吸収さしてしまう、こういうことで対処していきたいと思います。  それから特定物資、すなわち売り惜しみ、買い占め物資の対象にすべきかすべからざるかということにつきましては、これはいままでですというかつにそういうものをやりますと、何か塩ビというものはさらにどこかへ姿を隠してしまうものであるというようなことで、かえってその物資需給を不円滑ならしめる誘因になるような状況もございました。しかし最近におきましては、そういう心配がなくなっているはずでございますので、このことにつきましても通産省ともよく打ち合わせてまいります。これはひとりこの物資だけでなしに、他のいろいろな関係物資につきましても、これを打ち合わせた上で最も適当な処置をとるようにしたいと思います。
  169. 有島重武

    ○有島委員 どうもありがとうございました。
  170. 平林剛

    平林委員長 有島君の質疑は終了いたしました。  次に、和田耕作君。
  171. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私、きのうの予算委員会で外務大臣の大平さんに、この前長官にただしました例の国際価格情報をキャッチすることについて、単に経済だけではなくて政治的な情報もからんで必要であることは石油問題でも明らかなんだから、重要な資源地帯については国際価格を早く正確に知るためのプロジェクトチームを確立しなさいという御質問を申し上げた。大平さんは、全面的に和田委員のあれには賛成です、できるだけそういうような体制をとるようにいたします、という御答弁がございました。  また、きょう予算委員会の分科会で中曽根通産大臣に同じような問題について具体的にいろいろと御質問申し上げました。中曽根さんは、確かにこの石油危機を通じて通産省も外務省もルーズな資料収集の体制であったことは反省をしている、したがってこの問題についても今後正確なものを得られるような方向検討していきたい、こういうような御答弁がございました。  この前も長官にはかなり強く要望したことでありますけれども、単に国際価格だからしかたがない——現在石油製品価格で起こっているような問題、これは他のことでも起こり得る問題なんですね。しかも他の問題の多くは、国際価格といっても日本の大商社が価格形成のメカニズムの中に大きく入り込んでいるわけです、アメリカでも豪州でも南米でもどこでも。そういうふうなことですから、政府として、国際価格がこう高くなったのだからしようがないということではなくて、もっと目を光らせて正しい国際価格をキャッチしなければ、日本物価の安定について適切な態度はとれない、こういうふうに思うわけでございます。いまの大平外務大臣も中曽根通産大臣も、全く同意見だ、何とか検討しますということですから、物価問題の責任者である長官はどうかひとつそういう趣旨を体して御連絡をいただきまして、何とか至急に重要な国際価格の問題についてもっと責任がとれるような体制をとっていただきたい、このことを最初に御要望申し上げたいと思います。  きょう私はまず第一に行政指導の問題について政府の御見解を聞いてみたいと思うのですが、私は行政指導というものは今後ますます必要になる、また国民生活を守るためにも大いにやっていかなければならないような状態になるという基本的な認識を持っております。その点、長官はいかがでしょう。
  172. 内田常雄

    内田国務大臣 まず最初の国際関連の重要物資等について早期にそれらの動きの情報をキャッチできるようなそういうたてまえの整備につきましては、この前も和田さんから熱心なお話を承りましたが、たとえば経済企画庁を例にとりますと、いま海外にそういった意味で人間を派遣しておりますのは実は三カ所しかございません。あとは外務省の資料にたよるというようなことでございますので、私どもの部内におきまして、かりにそういう人員をふやすとすればどういうところに人を置くことを希望するか、それを行政管理庁なり、あるいは予算の関係等で大蔵省あるいはその籍を大使館に置きますために外務省に申し入れをしなければなりませんが、そういうことの前提として内輪の検討を進めております。これは和田さんは何でもおわかりの方で、意地悪をおっしゃるとは思いませんので言いますと、やはり予算とか定員との関係がありますので、私がいますぐここでこうすると言えば、それから予算を出し直せとかあるいは総定員をやりかえろ、こういうことにもなると困るのでありますから、私の腹の中で検討いたしておりまして、これはいろいろなやりくりがございましょうから、何とかひとつ、私が経済企画庁におる間にそういう方面へのエコノミストの参画の機会を多くすることを実現するような努力をこの上ともつとめてまいりたい。  第二の御意向につきまししては私も同感であります。これは一々、自由主義経済のもとにおいて統制に移るような法律がございませんでも、さきの薬の話でもお聞き及びであったと思いますが、それは薬事法という薬局を取り締まったりあるいは一般の薬種商の配置を管理するような別の法律がございまして行政的には厚生省が薬にタッチをいたしておりますし、また石油にいたしましても、これは目的が違いますけれども石油業法というものがあって設備投資の認可等についての許可権を通産省が持っておるわけでございますので、統制経済に切りかえるという意味ではなしに、またそれに移るという前提ではなしに、最も国民のための、また経済のなめらかな運営のための措置として必要な場合には行政措置、行政指導というようなものを活用をしてまいらざるを得ないと私は考えるものでございます。
  173. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そうは申しましても、最近いろいろな具体的な事例として、行政指導という形で必要以上に業界との癒着問題が出てきておる。非常に悪い結果もあちらこちらに出てきておるという事実があるわけですね。そうしてまたあとから御質問申し上げますけれども、公取が今度石油の関係者を告発をなさった。単に石油だけじゃなくて、政府の行政指導の問題と、独禁法違反の問題とが問題になっておるわけです。こういう時期ですから、行政指導はよくないからだんだんとやめなさいという方向ではなくて、いい行政指導をするためにどうしたらいいかというふうに問題を考えるのがあたりまえのことだと私は思うのですが、それについては私どもも代議士としていろいろな業界の人ともよく存じておるところがある。団体との関係もある。そういうふうな関係のものがここで問題になった場合には、どうしても私どもも控え目にものを言う。控え目にものを言うし、言うべきこともまあ黙っておこうぐらいのところで言わないこともあるのです。そういうことも考えてみて、やはり二つの問題は政府として早急に態度をきめていかなければならぬと思うのは、一つは高級の役人が関係の業界にいわゆる天下りをするということは、できるだけ避けていくという配慮が必要だと思うのです。そしてまた、もしそういう元役人が関連事業へ入っていろいろ問題を起こしたときには、一般以上のきびしい一つの取り締まりの何らかの方法を考えるというような措置も必要だと思うのです。やはり高級の役人の人たちはこれは私どもも非常によく存じ上げておる人がたくさんおるのですが、非常に有能な人が多いのです。どこでも、働いて、しかもりっぱな実績をあげる人も多いのですけれども、それだけにそのような方がそういう仕事場で仕事をするということをいけないということもできない場合が多いと思います。そういうときには、そういう人がある関連業界に行って、そして自分のもとおった役所との癒着関係が出てくる、あるいは間違った行動が出てきた場合は、何らかの方法で普通以上にきびしく取り締まるという何らかの対策を設ける。いずれにしても、役所と関連業界との悪い癒着関係というものを防ぐために、積極的にひとつ対策考えるということが必要だと思うのです。  もう一つの問題は、政治資金規正の問題だと思います。これなんかも今度の石油関係を契機にして、政治資金規正の問題は何らかこれは日の目を見るようなことを考えていかなければならないと思うのですが、そういう問題について、物価問題と関連して起こってきている問題ですから、経済企画庁長官は個人としてどういうふうにお考えになりますか。
  174. 内田常雄

    内田国務大臣 実は私もそういう高級官僚ではございませんけれども、低級官僚のほうにおりましたものでございまして、今日大臣をいたしておりましても、公務員の諸君の協力なくしては私の仕事も完全にはつとまらないわけでございますので、公務員は定年がきたらばやめていただいて、職場についてもお世話しない、制限をするのみだというわけにもいかないと思います。それはやはりこのごろ一般の民間でも定年も長くなっておりまするし、公務員自身についても、それは在職期間が長くなっておることはそのとおりだと思いますけれども、やはり現実に即して、すべて民間への就職は禁止というわけにも私はいかないと思います。そこで人事院による人事院規則の制約がございますが、しかしあとのほうの、和田さんが取り上げられた何らか行政との癒着等によりまして、不適当な現象を生じた場合についての処置というものについては、私はあなたのおっしゃるような意味のことは、前向きで取り上げらるべきことであると考えます。しかしこれは人事院もございましょうし、総理府の人事局、また行政管理庁等もございますから、私がここでたとえ個人的の意見とは申せ、かってなことを申すのは適当とは思いませんが、あなたのお考え方が私にはよく理解されるわけでございます。  政治資金の問題につきましても、私は、原則としては——また私がたくさん政治資金を集めてそれを活用する立場にない者、もちろん総裁候補でもございませんし、たいへん気楽なわけでございまして、これはやはり金のかからない、金を集めないで済むような政治をやるという基礎の上に立って、政治資金規正法というようなものも考えていくべきではないかと思います。
  175. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私、そういう発言をしましたのは、行政指導がいかぬいかぬ、これは弊害が多いということで、有能な役人の人たちが不活動になってしまっては困るのだ。役人がいろいろ助言をしたりあれをしたりしてうまくいくものならほっといてもいいのです。しかしいまの経済体制というものは事実上寡占体制といってもいいぐらいの状態になっている。やはりこういう状態は、役人がもっともっと公正に働いてもらわなければならない、もっと手当もよくしなければならないだろうし、すると同時に、間違ったことをした場合はきびしくこれを処罰するような、前役人にしてもそういうふうな処置を講じながら進めていかなければならないということを思いますので、特に申し上げたわけです。  次に、公取委員長にお伺いしたいのですけれども石油各社の告発をおやりになった。これは私、よく踏み切っておやりになったと思うのですけれども、あるいはその他の現在問題になっておる公取が摘発しておる問題の中にも、行政指導という実態があるので、やむを得なかったという問題が事実出てきているわけです。これは私が知っている他の石油業界以外の問題についてもそういうふうな問題があり、そういう陳情が私どものところにも来るわけですけれども、この問題についてひとつ公取委員長の率直な御見解をいただきたいのですが、行政指導としても、独禁法の除外になっていないものについての行政指導というものがあるから、談合、カルテルによる価格の引き上げとか等の問題が起こった場合でも、そういう行政指導があっても、これはあまり法律的には意味を持たないのだという判例がございますね、野田醤油か何かの。これはそれでいいと思うのですが、そういう場合に、しかしいまの業界の実態からすれば、いろいろお世話になっている役所の担当の人たちから、こうしなさいというふうに言われた場合に、いまの業界が、いやそれは私どもはできません、公正取引委員会の独禁法があるからそれはできませんというふうに、これをけってしまうような実情にないことは事実ですね。私はいまの野田醤油の件の条文も拝見しました。しかし業界がそういう行政指導をけってしまうということはできないような実情にある場合に、しかも公取は、法律の定めるところに従ってこれに対するある処置をとる。とった場合に、その行政指導をした役人はどういう責任を持つようになるのか、この問題について公取委員長の御見解をお伺いしたい。
  176. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 行政指導とカルテルの関係につきましては、御質問がございますればさらにこまかく、若干私の私見でございますけれども、申し述べたいと思います。  原則論だけ申しますが、行政指導があって、それが違法阻却といいますか、カルテルは違反でございます。その違反がなくなるということであれば何をかいわんやということになるわけでして、いわばそれに藉口して実際上適用除外が行なわれる、これでは独禁法は死んだも同然でございますから、行政指導の有無とは関係ないのだという原則論は私どもは貫きたいと思います。  それから、俗によくいう、では指導した役人の責任はどうだという点でございます。それは私は、いわばだれがやったかという問題もありますが、いってみればその責任者を含めて、違法なカルテルだと認定された行為に、そういうふうに持っていった、その一種の、別の意味責任、それはあると思いますけれども、しかし処罰するということは現行法では私は不可能だと思います。
  177. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 公取委員長、お説のことは法律上の解釈としてよくわかります。しかし、先ほど申し上げたとおり、役所のそういう指導をはねのけることができない実情があるという場合に、しかもあえてその人の発言が中心になって、あるいはどっちが中心かわかりません、業界がかんでいったような例も多いでしょう、いずれにしても行政指導のある担当役人が介在してある談合をせしめたという場合には、明らかにこの役人に責任がある。これはいまの法のたてまえからいっても、法の一つの外延として、法にははっきり書いてなくても責任があると思わなければならぬと思うのですけれども、それはいかがでしょう。
  178. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 その責任は、行政上の失策といいますか誤った行政施策を実行しておるという責任であろうと思います。ですから、それは公務員として問題にされる。公務員としてのそういう不適当なことを指導したということになりますね、かりに指導してやみカルテルを行なわした場合。  そのついでに、ですから和田さんは先ほどお聞きしたところ、行政指導を大いにやるべきだというふうの御意見の持ち主。それに対して行政指導は困るという意見もございます。私はどちらかというと価格の形式というものが——これは法律論です、しゃくし定木に私は運用しませんけれども価格の形成というものは、国がやる場合、元来法律によらなければいけないわけですね。国が公権力を用いて価格を設定するということは、これはちょっと大げさと言ってはなんですが、法律の根拠を求めれば憲法二十九条にある財産権ですね。財産権はこれを侵害してはならぬ、しかし財産権の内容は公共の福祉に適合するようにこれを法律で定める、となっていますから、法律で定める分には制限していいわけです。ですから、これ以上の高値で売ってはいかぬとか、あるいは公共事業の場合だったら法律がございますから、電気料金の場合にはこのものずばりで売られなければいかぬ、上でも下でもいかぬ、こういうきめ方がございます。それから最高価格をきめて、標準価格もおそらく最高価格と思いますけれども、あるいはいわゆるマル公価格の場合もそうですね。それ以下で売ったからといってとがめられないけれども、それ以上は一応いかぬ。そういうことはいってみれば財産権の侵害といいますか、公共の福祉によってそれは法律で定めるということでありますが、行政指導はいかなる根拠に基づくかということですね。行政指導によって価格の設定は行なわれないのではないか。これは私の見解でございます。他に異論を唱える人もございます。学者によって違います。私と全く同じ説を唱える人もございます。かなり高名な者でも同じ意見のもございますが、行政指導による価格設定というものはあり得ないのだ。それは、その場合にも価格をきめるのは本来の原則に戻って事業者自身がきめるものですね。事業者自身がきめるのがたてまえでして、それは市場の情勢、需給状況等その他の状況によって価格というものはきまるのだ。それを押えつけようとすれば、行政指導でもって押えることはできないので、その指導に基づいて、いまその点はちゃんとおわかりでございますが、業者がそれに従うかどうか。つまり、そういうことでいこう、もうきめようかということですね。これを談合すれば、そこに一体、カルテルは存在するのではないかという疑いは生じますね。だから行政指導で価格が設定できるのなら、法律は要らないわけですから、これは初めから問題になりません。  それから、要するに違反カルテルがあるかないかということは、当然法律で適用除外をきめた場合ならいいのです。価格についても適用除外とするということがあればいいのですね。それが価格についてはない。数量はいいとかいうこともありましょう。現に一番いい例は数量でございますが、勧告操短は認めないという立場をとっているわけです。勧告操短の場合は先に勧告があるわけですね。行政官庁の指導勧告があるわけです。それは業者と話し合いでしょうけれども、実態はともかく、勧告に基づいて操短いたしました、これは数量制限です。不当な取引制限になるわけです。それはかつて十年ぐらい前ですか、それまでは半分見のがしたような形になっておった。それがある時点からそれはいけないということになったわけです。勧告操短というものはそのままずばりやみカルテルになるのだ。としますと、勧告価格は私はそれ以上にもっとおかしなものだと思うのですね。勧告操短、数量制限のほうはどっちかというと、法律のたてまえが、不況カルテルの場合に先ほど申しましたように若干ゆるく書いてある。価格は非常に厳格に書いてある。とすると、勧告操短が違法であるのに勧告価格が違法でないという論拠はどっちからも出てこないのではないかというふうに私は思うのでございます。  ただし、いま私どもがたとえば摘発したとか、あるいは摘発しなくてもべらぼうな値上がりをしたものに対して厚生省やその他のところが一律に何%下げなさいというふうな指導をしている。そういうことについては、前にも私はお答えをしたことがありますけれども、しゃくし定木にそういう私のいまの論議で、それはいかぬのだ、こういうことをいったのでは全く実際上しようがありませんから、不当な価格引き上げをやったものに対して引き下げしなさいよ。しかし実際下げておるかどうかわかりませんでしょう。これは従わなくたって罰則はないわけですから。ただ、よくある、いまおっしゃいました江戸のかたきを長崎で討つみたいに、行政官庁はほかの権限を握っておる。そこで価格について行政指導で注文をつけたとしますね。そうすると、従わざるを得ないわけですね。実態的には業者のほうが、事業者のほうが泣く子と地頭には勝てぬということで、これはもう従いましょう、こうなる。だからそこに何か不可抗力的な力が働いて、それに従ったのだから違法性がないんじゃないかという実態的な反対論があります。私は、それを言いますと、しかし先ほど申しましたようにすべて価格は行政指導できめる、そうすればそれは独禁法の適用除外になるのだ、こうなっちゃいますから、ちょっと公取委員会立場としては表向きにそういうたてまえはとれない。しかし実際上行なわれておるものについて、引き下げを目的としてやっている行為をわれわれが一々違法だとか何とかいう、そういうもののわからぬ態度はとりたくないというのが私の見解でございますので……。
  179. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 委員長のおっしゃること、よくわかりますし、私もいままでこういう問題をよく相談を受けたときに、業界が話をして価格の協定をした場合は違反で、役人が入ってくればこれは合法だということは、何と考えてもおかしいのです。おかしいからと思っておったところが、ちょうど適用除外の問題、他の法律でもって除外される問題がある。そういう問題はいいけれども、そのほかのものはいけないのだということがある。そうであれば、そういうふうな不当な行政指導をした役人は当然責任を問われるべきです。そういうふうな意味で今後公取法の改正をするときには、この問題は一つの重要なポイントとして取り上げる問題の一つだと私は思う。  もう一つの問題は、つまり今度公取委員長を中心に非常にお働きになって多くの価格協定に対する破棄勧告をお出しになっている。時節柄、皆さん大体聞いたようですけれども、しかし、そうやっても、結局残るのは、高くなった値段はそのまま残る。これに対して何ともできない。はたして何ともできないかどうか。この点いかがでしょう。
  180. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 現行法のもとではできないという解釈、これはもうほとんど例外なしのといいますか、できるというごく少数説がございますが、私どもの公取委員会としては現行法ではできないという解釈をとっております。
  181. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 つまり、そうであれば、ただ勧告して、破棄する、わかりましたというだけのことで、何らの実際上の実益はないということになるわけです。そういうときに若干実益らしいものが出るのは、いまもお話があった、行政指導によってこの辺まで下げたらどうだというような話し合いをさすということは、つまりこれは間違ったことではあっても、これがあるのでようやく一つの実効があらわれてくるということにもなるわけですね。これはおっしゃるとおり、しゃくし定木に解釈すれば、これも一つ価格協定です、値下げにしても。しかし、こういうふうなことをやかましく言うほどやぼじゃむろんないというお話もよくわかるのですが、そういうことであれば、つまり公取法の改正の場合にはいまの二つの問題はどうしても入れなければならない。やはり破棄勧告をすれば、その原状に戻すかどうかというのはいろいろ法文の立て方として問題あるとしても、とにかく引き下げ命令が出せるということと、もう一つ、介入した、不当な行政指導をした役人は責任をとらされなければならないという二つの問題は、これがないと、委員長、生きてきませんよ、業法を改正なさっても。いかがでしょう。
  182. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 どうも、監督官庁が不行き届きな行為を行なった、あるいはそそのかしたということになると思うのですが、その者の責任を追及するという法律はなかなかむずかしい。これは和田さんのおっしゃる意味はよくわかるのです。そちらのほうは、言ってみれば、まあ悪くいいますと、場合によると共犯ということになるわけですね。共犯どころか、しかもリーダーシップをとっているという場合があるわけです。それでいて罰せられるのは言うことを聞いたほうだということになるのは何ともおかしいじゃないかという御意見はよくわかるのです。だが、法律体系としてそれを独禁法の中に取り込むかという点については、私は実はちょっといまのところは自信がないわけです。これはたいへんよその官庁にもかかわり合いが多うございまして。それは公取はそれでいいかもしらぬけれども、よその官庁はたまったものじゃないということになりますから、うっかり指導もできないとかいうことになって、それで、いま言った、引き下げのほうで指導している場合はまあまあ公取は目をつぶるが、引き上げのほうでやったら承知しないぞというようなことになりますと、そのアンバランスをどうしてくれるんだということになりますので、これはそれぞれの官庁がそういうことを私どもと十分了解の上で慎んでいただく、あまり変な行政指導をやめていただくということにせざるを得ない。しかも、それを上司の言うことを聞かずにかってにやったといったら、その官庁が、首を切るとまでは言いませんけれども、それぞれ何らかの形で懲戒をするということが私は望ましいんじゃないかと思います。そうしなければ示しがつかない。何をやってもそれはもう知らぬ、風はもう何にも吹いてこないということではぐあい悪いんじゃないかという気がします。  それから引き下げ命令の点ですね。これは現在は各官庁で、私どもができないことを行政指導という形で実際はやってくださっておる。ですから、その点は実際問題としてはけっこうな措置の場合が多いですから。それはもの足らぬ場合もございますですよ、相当上がっちゃったものに対して少ししか下げないで、少し下げたらそれでオーケーだというんではちょいとおかしいんじゃないかという感じはいたしますけれども、しかし下げる方向に協力していただいているものを私どもはとやかく言わない。しかし、引き下げ命令そのものについては私どもも非常にむずかしいと思っておりますが、どの段階で引き下げ命令をするか、それから私どもの内部に企業会計に相当精通した陣立てを持たなければ、短期間に、いい、適切な価格——その場合には、もとへ戻れというだけなら簡単なんです。まずもとへ戻れというだけならば、それはたとえ半年前でも何でも、原点に戻れというのは簡単でございますが、しかし実情として、そういかない場合がございます。そうしますと、どこまで戻せるかという裁量権の問題が一つございます。この裁量権をおまかせ願うという点が一つのポイントだろうと思うのです。ですから、それは御寛大に認めていただきますと、私のほうもきわめて良心的に、どのくらいの価格がいいかということを研究した上で、この価格をあと六カ月間守れとか最低三カ月とかいうふうなことができるかと思いますが、その問題について一番困っている問題は、これから論議で困る問題は、では勧告を受諾しないで審判に持ち込む、そうして裁判をやる。そうすると、たとえば勧告の際に引き下げ命令を出したとした場合に、それは死んじゃうのかという問題ですね。  そこで私は、私の希望を申し上げれば、ある程度の根拠があって破棄勧告をした、それが裁判で争っておれば二年も三年も発効しないではナンセンスです。引き下げ命令というのはあってもなきがごときものでございますから、この場合には私は、とにかく公取が相当慎重に考えてこれは不当であると考えた場合に、それを値下げさせるということが適当だと思った場合には、その点に関する限り、違法なカルテルに基づくとわれわれが判断した限りにおいては、価格設定権を認めるということですね。裁量権と申しましたが、実はこういう価格を守れということをきめられるようにしないと実効がないのじゃないか。みんな争ってきます。審判もたいへんなことになりますし、裁判所も困るでしょう。だから、争えば争うだけ得だということになったのでは、非常に効果のないものになってしまう。この点が一番のポイントではないかと私は思っております。
  183. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 まあ、いろいろむずかしい問題があると思いますけれども、その二点の問題は何とかひとつ御検討いただきたいと思います。  最後の質問ですけれども、企画庁長官石油製品の値上げ、きょうの昼のニュースで、長官も出ておられて、中曽根さんと一緒に自民党の関係の会合へ出て、こういう御説明をなさって、自民党のほうも、九千百円というあの提案そのものはのんでないようですけれども、引き上げの方向は了承したということですけれども、この問題については企画庁長官は値上げの方向に動いたというふうになるわけですが、これに冗談は申し上げないことにして、この問題は意外に大きな問題を含んでおると私は思うのです。  そこで、内容は多少違うとしても同じような問題がすでにいま起こっていますね。食料品の飼料の問題があります。飼料が約倍ぐらい、石油と同じぐらいなカーブで上がっています。これでもって加工乳の問題が約一〇〇%値上げの要求がもう出ておる。あるいはその他も五〇%近い要求が出ておる。これも、いまの石油の問題を政府がやむを得ないとして早急にやるのじゃないかと思うのですけれども、やるとすれば、この問題をノーということは理論的にはなかなかできないわけですけれども、それをのめば、またメジロ押しの、いわゆる国際価格の高騰によって日本国内価格を引き上げざるを得ないということになる。このあたりの問題、判断はどういうようにお考えになっておられますか。
  184. 内田常雄

    内田国務大臣 和田さんがおっしゃるとおり、これは物価全体に影響する大きな問題でありますので、私はけさ、自民党の会合に出まして引き上げの方向説明をして了承を得たということではございません。私はそのニュースは見ておりませんけれども、私どものほうの考え方は、大きな筋を一本実は貫いておるわけでありまして、石油の製品と最近入着する原油の価格がたいへんな逆ざやであることはそのとおりであるので、したがって石油製品の価格についてのいまの凍結価格というものを是正をする方向でかりにやるとしても、その影響が一般物価と申しますか、より正確には主要な国民生活関連物資あるいは経済の基礎物資の価格上昇をもたらさないようなそういう行き方でいくべきである。それはどういうことかというと、一つ石油についての値幅の問題、すなわち関連企業なり関連製品がその引き上げ値幅を吸収し得るようなそういう値幅であるべきであるということが一つと、もう一つは、またその値幅がどうきまろうと、いま申しますような関連製品はこれはいろいろな手段を講じても、その値上げの影響を吸収させる、それこそ行政指導になりますか、というような形で吸収させる、また吸収し得るかどうかということを前提としてこの問題を処理する、こういう考えである。しからばその値上げ幅は幾らになるかというような問題にもなるわけでありますが、それはけさもきめませんでした。また値幅が幾らであろうと吸収し得る生活関連物資あるいは基礎資材というものはどの範囲でどういうものがあるかというようなことにつきましても、これは最終的にはきまらないわけであります。私は原則論を述べたわけであります。ことにいま和田さんがお触れになりました農林省関係の物資につきましては、その場合には石油価格是正に関する影響と、それからいまの海外からの輸入資材と申しますか、輸入の基礎原料の値上がりの影響と、両方を受けるわけであります。たとえば砂糖がどうなるか、また飼料等の関連においていまの乳製品がどうなるか、あるいは小麦が上がった場合に、食管会計の四十九年度の予算でそれを帳消しにする用意があるのか、こういう、農林省関係の物資については両面もあります。またその他のものにつきましては、ことに電力料金なども、これはもちろん直接的に重油の値上がりの影響を受けるべきはずのものでありますが、それも直ちに一緒に引き上げるということになりますと、いまの農林関係物資についてと同じような両面びんたというものが起こるわけで、その両方を一体吸収できるのかという、たいへんむずかしい問題があるわけであります。そういうむずかしい問題があることを含みながら、政府におけるこれまでのいろいろな考え方を自民党のほうの政調会に説明をしたというだけで、結論も全く出ておりません。しかし、これは放置できない問題である、いずれかの処置をとらなければならないということではございます。  さらに広い意味におきましては、いずれかの問題という中には、石油はこれは食管物資ではありません。しかし食管と同じように、かりに高い原油を輸入して、そして精製さして、従来と同じような石油製品価格でそれが供給されるような、政府が財政措置等で一体介在できるのか、あるいは金融措置で介在できるのか、やった場合にはそれはたいへんな幅になるわけでありまして、すべての価格安定政策のために価格調整財政制度というようなものでもやれば、これは別でございますけれども、そういうことをやりましたならば、国民から幾ら税金をいただいても、財政の前向きの機能というものは埋没してしまいますので、一部にはそういう着想なきにしもあらずでありますが、まず無理な着想ではなかろうかというふうに考えますときには、再び前の困難な問題に戻る、しかし、それは乗り越えなければならない、かように思います。
  185. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そういう状況になりますと、政府が初めいろいろと約束されておった四月まで、六月までといったような価格の安定の見通し、これは大きくくずれてこざるを得ない。石油が上がる、あるいは食料関係の物資が上がる、となると、今度はこれは若干技術的な問題ですから、小島さんにお伺いしたいと思うのですけれども石油の、たとえば九千百円か、あるいは一万円かよく知らないけれども、大体その程度の引き上げが行なわれる。あるいは飼料が上がるので、肉あるいは乳製品の値段が上がってくる、その他電力料金が上がってくる、あるいは石油と関連のあるセメントとか、そういうものの値段がすぐ現実に上がってくる。こうなるとまた新しい、物価狂乱とまではいかなくても、非常に混乱状態が出てくるわけで、そういうような問題に対する総括的な指導を、政府特に物価庁の長官として、新しい物価水準というようなものを、めどを考えておかなければならぬ段階に来ていると思うのですが、この問題についての御質問をいたしましてきょうは私は終わりたいと思います。  まず第一に、長官政府早期物価を安定させるという見通しは大きくくずれざるを得ない、少なくとも今年一ぱいというふうな形に延ばさざるを得ないと思うのですが、その点いかがでしょう。そうしてあと小島さんから、考えられる新しい物価水準というものをどういうふうにセットしていくのかということ、この二問についてのお答えをいただきたい。
  186. 内田常雄

    内田国務大臣 これは当方のかってがましい考え方、答弁になるかもしれませんが、御承知のようにこの二月の段階から卸売り物価は上昇の歩調をとめまして、低落の方向に現在は来ております。たとえば十六類別ぐらいある卸売り関係の物資のうちで、十類別ぐらいが低落をいたしております。これはしかし海外要因と申しますよりも、国内における総需要抑制、なかんずく金融の引き締め等が非常にきいてまいった結果、有効需要が衰えてきているということが多いと思いますが、その情勢はさらにこれからも他の要件がなかりせば、この物価上昇の足取りが低落、反落といいますか、そういう方向にいくだろうと思いますし、そういう方向を私どもは馴致するつもりです。そのあいたところへ、いま言う石油の問題なりあるいは食糧の問題をはめ込むわけでありますが、あいたところがはめ込みで一ぱいになってしまったのでは物価は下がりませんので、先ほど来申し述べますように、かりに石油製品の価格は、あなたのおっしゃるような幅になるかどうかは別といたしまして、上げましても、それは関連物資の現在の価格の中で吸収をさせるという方向をとりますので、したがって総需要抑制できいてまいった物価の歩調が鎮静をいたす分だけは、これは総理大臣が申しておるように、この春から夏の間にかけてむしろ残すぐらいなつもりでいこう、こういう、かってといいますか虫のいいといいますか、これもしかしやらなければならぬことでありますから、そういう考え方で進んでおります。
  187. 小島英敏

    ○小島政府委員 大臣のお答えになったことと関連するのですけれども、実は昨年の十一月ごろから、その前も卸売り物価は相当な勢いで上がってはおりましたけれども、十一月中旬ぐらいから特に狂乱状態になったわけでございますが、十一月中旬から二月中旬までの卸売り物価の上昇率が一八%になっているわけでございます。ところがIO表を使ってマクロ計算をいたしますと、原油の価格が三倍になりましても、卸売り物価は七%台、八%弱ぐらいでございます。消費者物価が四、五%ぐらいの影響しかないということでございますから、実は昨年の十一月からことしの二月までの段階で、二回にわたる原油の値上がり以上に上げてしまっている、マクロ的には。それは結局昨年暮れの石油削減見越しに伴う一種の先取りの価格引き上げがあったということだと思います。したがって、コスト計算から申しますと、一般的にはむしろいままで上げ過ぎてしまっておつりがくるぐらいである。ただあと残っておりますのは、公共料金関係は、これは電力にしろ何にしろ、先取りを全然していないわけでございますから、どうしてもこれはある段階で原油の引き上げに伴う価格の改定をやらなければいけないという問題がありますけれども、かりにその場合に電力がある程度上がっても、その影響を織り込んだぐらいすでに上がっているということが一般的にいえると思うのですね。ですから一番大事なことは、やはり公共料金に対する影響をなるべく少なくするように考えていかなければいけないのじゃないかと思います。したがいまして、先生のおっしゃる新しい価格水準、価格体系という問題は、いろいろなエコノミストの方も言っておられるわけでございますけれども、いままで最近数カ月の価格の上がり方を見ますと、やはり石油に近いところから、近いところほどうんと上がっているわけでございますから、すでに新しい価格水準の半分以上くらいは実現してしまっているということだと思うのですね。ですから、決して今後また原油が二倍になるからといって、もう一回あんなことが起こるということはわれわれは全然考えてもおりませんし、そうなったらたいへんでございます。むしろ新聞やジャーナリズムが、もう一回そういうのが起きるんだということをあまり書かれますと、やはりこれは一般の流通業者にしろ消費者にしろ、ああそうかと思って、また値上げが非常にやりやすくなる環境になるわけでありますから、私どもはやはりそういう点のPRを十分にやりまして、コスト的にいえばちっともまたうんと上がるようなものではない、しかも幸いにしていま大臣がおっしゃいますように、需給関係からして総需要調整がさいてきで、需要面からは値上げの環境になくなってきているわけでございますから、そういう意味で、総需要調整を一そう強化するとともに、個別の価格対策通産省、農林省ともども強力にやって、いま大臣言われるように、さしあたり原油が上がっても便乗的な値上げをしない体制を強力にやっていこう、しかもそれは理論的に十分可能なはずであるというふうに考えておるわけでございます。
  188. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もう時間もございません。私の質問はこれで終わりたいと思いますけれども、いまの田中さんが石油の関連製品の値上げを渋っておるというあれに対して、これはいままでやかましく言っていた有力なマスコミの一部もやむを得ないだろう、また、私もよく存じ上げておるエコノミストの先輩の人たちも私的に聞きましても、これはやるくらいなら早くやったほうがいいという主張さえする人がかなり多いのでございまして、いま長官のおっしゃるようなできるだけ他の方法でということは非常に不可能に近い状態じゃないかというふうに思うのですが、それならそれでいま小島局長もおっしゃったように、またいままでの織り込み済みの価格であるということであればなおさらでございますが、それこそ強力な行政指導というものが必要になってくると思います。いずれにしても、ここらでまた物価をがたがたさしてそうして上がるようじゃ、必ず参議院選挙では自民党は破れるということになりますから、ひとつ大いにがんばって物価を押えていただきたいと思います。  以上でございます。
  189. 平林剛

    平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十三分散