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1974-04-08 第72回国会 衆議院 建設委員会地方行政委員会農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月八日(月曜日)     午前十時十二分開議  出席委員   建設委員会    委員長 木村 武雄君    理事 天野 光晴君 理事 松野 幸泰君    理事 渡部 恒三君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    梶山 静六君       中尾  宏君    三原 朝雄君       村田敬次郎君    佐野 憲治君       清水 徳松君    中村  茂君       柴田 睦夫君    北側 義一君   地方行政委員会    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 村田敬次郎君       片岡 清一君    小川 省吾君       山口 鶴男君    多田 光雄君       小川新一郎君    小濱 新次君   農林水産委員会    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 山崎平八郎君    理事 芳賀  貢君       小沢 一郎君    本名  武君       島田 琢郎君    諫山  博君       瀬野栄次郎君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀岡 高夫君         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         農林省構造改善         局長      大山 一生君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治大臣官房審         議官      山下  稔君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         大蔵省理財局国         有財産第二課長 川崎 昭典君         国税庁直税部資         産税課長    伊勢田巧教君         農林大臣官房審         議官      齋藤  稔君         農林大臣官房企         画室長     森実 孝郎君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  生産緑地法案内閣提出第五六号)      ————◇—————   〔木村建設委員長委員長席に着く〕
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより建設委員会地方行政委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出生産緑地法案を議題といたします。
  3. 木村武雄

    木村委員長 本案に対する提案理由説明はお手元に配布してあります資料によって御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  この際、質疑される各委員に申し上げます。質疑は申し合わせの時間内で御協力をお願いいたします。なお、政府当局答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  4. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は、五日の日にも、建設大臣を中心にこの法案の問題になる点をただしたのでありますが、きょうは連合審査ということでございますので、せんだって言い残しをいたしました点や、さらにまた私なりに明らかにならないと思われる点について、数点を御質問申し上げてまいりたい、こう思います。  まず建設大臣に対してお尋ねをいたしますが、昨年の四月に地方行政委員会において、みなし課税の問題につきましての附帯決議がそれぞれなされております。この付帯集義趣旨から見ますと、私なりの理解でありますけれども、今回の緑地法案なるものはかなり後退しているという印象をぬぐい去ることができないのであります。   〔木村建設委員長退席伊能地方行政委員長着席〕  この点は、先般も都市計画審議会におきます答申内容等についてもお尋ねをいたしておりましたが、時間の関係で十分の質問を申し上げることができませんでした。あわせて、都市計画審議会におきます答申の中身につきましても、同じようにかなり具体的な点で後退になっているような部面がございますが、この答申とみなし課税附帯決議内容等との比較において、本案の最も特徴とする点について、建設大臣から、こういう点については今回の法案の中で、私どもにして言わせればなぜ後退となっているのかの理由を明らかにしていただきたい。第一点として質問をいたします。
  5. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私ども提案者側立場からいたしますと、国会での決議、並びにその決議に基づいて、都市計画中央審議会において一年間にわたりあらゆる点から検討いたした結果、生産緑地法ということで新しい都市計画の中に生産緑地という制度を認めていこうという大勇断をふるわしていただいたわけでございます。そういう意味におきまして、国会趣旨につきましては、もう十分過ぎるほど建設省側としては取り入れたつもりでございます。したがいまして、この生産緑地法指定になったあとにおける都市農業というものに対する点を具体的にこの生産緑地法に示してないというのが後退印象を与えているのではないか、こう思うわけでございますけれども、そういう面につきましては、やはり都市計画に基づく生産緑地という制度にいたしましたために、そういう農業政策を具体的に奨励していく、強化していくというようなことをなかなか取り上げにくいという法律的な取り扱い上から、ただいま御審議をいただいておるような法文になりましたわけでございまして、御趣旨のような点につきましては、都市計画中央審議会においても、参加いただいております農林省側委員諸君を通じまして、これは行政的に強力に奨励、推進をしていくということは可能であるというようなこともございましてこのように整備をした、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思うわけであります。
  6. 島田琢郎

    島田(琢)委員 いま大臣から農業施策上の問題となる点についてのお話がございましたから、これはひとつ農林省が来ましてから後ほど対比してお話しをさせていただくことにいたしたいと思いますが、まず、みなし課税の中におきますC農地取り扱いという点については、私は私なりの理解で、この答申の中でもかなり前向きな意見が出されているというふうに考えております。ところが、今回のC農地取り扱いについての面になりますと、たいへんこの考え方として明確になっていない、こういう点が一つ指摘できると思うのであります。さらにはまた、減歩しておる土地取り扱いというようなものもあわせて考えてまいりませんと、第二種が区画整理の済んだ農地に限られるということになりますと、これは手がつけられないという問題が出てまいりますが、こうした点についての関連の上から、建設省としてはどのようなお考えをお持ちになっているのか、これまた大臣に御答弁をお願いいたします。
  7. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 この法案都市計画制度でございますので、A、B、C農地の区別なく全国の市街化区域に適用することとなっておりますが、したがって特にC農地など区別した扱いというわけにはいかない、こういうことでございまして、それは都市計画上の制度から来る全国的な制度としなければならないというだけの意味でございまして、特段の意図はございません。また、区画整理等開発行為を行ないました場所につきましては、これは市街化区域の中で主として宅地化のための整備を行なうわけでありますから、むしろその区域の中で永続的な第一種というものがあるということ自体がおかしいし、またその区画整理事業等に参加された農家の方々の御意向としても、一定期限つきということをむしろ希望される向きが多いのではないか、こういうような点。そして規模用件も思い切って縮めておりますので、いずれにせよ長期にわたる永続的な第一種というものは成立が困難ではないか、こう考えたわけでございます。
  8. 島田琢郎

    島田(琢)委員 この答申によりますと、「まえがき」の中に、「第一種生産緑地地区内の農業地について適正な農業経営が確保されるよう農業所管庁による所要の農業施策等が講ぜられることについてもあわせて要望する」というくだりがございます。農林省の側から大山局長見えですが、私の質問農林省側にも聞いてもらわなければいかぬのですが、よろしいですか。そもそもこの都市計画上におきます線引き内の農地取り扱いというのは、農林省、いわゆる所管庁立場からいえば、これはアウトサイダーで、煮て食おうと焼いて食おうと、これは都市計画上の問題ですから、建設省がどのようにお考えになるかについては私どもはあまりくちばしが入れられない、こういうふうなお考えが前回の質問の中でも出てまいっております。昨年のみなし課税のときにもそういう議論が行なわれたわけでございます。しかし今回、いろいろな面で都市計画を進めていく上における緑地の確保というのが非常に大事だという点からこの法案を出したのだ。これはまた五日に建設大臣から繰り返しお話があった点であります。私は五日にも指摘をしましたけれども、こういういわゆる線引き内における農業者都市生活者に対する非常な貢献度というものは、今日の都市の食生活の上でたいへん大きな守備範囲を持っている。したがって、この農業というものを考えていくときに、線引き内におけようが、あるいは調整区域においての問題であろうが、農業の問題としてかなり長期にわたって位置づけられるという可能性がある限り、建設大臣からこうせよなんて言われる前に、農林省所管立場からもっと積極的な姿勢が示されなければいかぬのではないかということを五日にも申し上げたのであります。建設大臣からはそうした趣旨答弁がありました。そうして、農業問題だからむしろ所管のほうで、すなわち農林省がこの問題についてもっと前向きに取り組むようにしてもらうことがいいんではないかという、むしろそうすべきだという趣旨発言もあったのであります。  農林省としては、前段私が申し上げたような、アウトサイダーにおける農業地域立場から、あまり積極的な考え方をここに従来示してまいりませんし、むしろ都市生活者に提供する空閑緑地としての考え方を強く持っていて、農業としての生産の問題を二義的に考えているふうな感じにさえ受け取れるというのは、私としてみればまことに遺憾きわまりない話だと思うのであります。きょうは局長がお見えでありますから、あなたの所管する内容でもある、こういう観点から、農業問題についてのアウトラインなり、あるいは将来の構想なり、あるいは現に行なっている実態なりをひとつ率直に説明を願って、次に私の考え方を申し上げてまいりたい、こう考えます。
  9. 大山一生

    大山政府委員 おくれてまいりまして失礼いたしました。  市街化区域とそうでない区域というものの線引きの決定にあたりましては、農林省といたしましては、いわば土地基盤整備事業等を行なう優良農地農地として存続してまいる、こういうふうな前提のもとで、市街化区域市街化調整区域線引きにつきましては、建設省と十分協議した上で行なっているような次第でございます。したがいまして、市街化区域内の農地も含めました土地のあり方の問題につきましては、都市計画サイドから見て、計画的に市街化すべき区域、こういうふうな位置づけがなされているという前提の上に立って対処しているわけでございます。  しかしながら、御指摘のように、そうした市街化区域内の農地が約二十八万ヘクタールほどある。そこで行なわれております農業というものにつきましても、たとえばキャベツでありますとかミツバ、コマツナ等特定品種について特定時期について相当大きなシェアを持っている事実も否定できないわけでございます。そういうふうな立地条件を利用しました農業ということが行なわれているわけでございますので、そういう農業が行なわれているという点に着目いたしまして、たとえば営農指導でありますとか、病害虫の防除でありますとか、あるいは防災といったような措置については農林省としても対処してまいりたい、こういうふうに考えるわけでございますし、今後、第一種農地というものができました場合におきましては、それに対する融資というようなことも当然考えていかねばならぬだろう、こういうふうに思うわけでございます。  ただ、御存じのように、農地法上の取り扱いといたしましては、農地の転用というものについて、一般農地のような許可制度というものではなくて届け出制度にしている。こういうふうなことが、いわば都市計画サイドにおいて、優先的、計画的に市街化すべき地域であるというようなこととのからみ合いにおいて農地法上の取り扱いを異にしているというようなこともございますので、恒久的に続くような基盤整備事業ということは、これは考えるわけにはまいらぬ。ただ、農振地域と接続しているようなところにおきまして、緑農関連土地改良事業といったようなことは、三〇%という一つのワクがございますけれども、これはむしろ行なっておりますけれども、これもまた農振地域内における農振整備といいますか、そういう点に着目しての問題でございまして、原則的には土地基盤整備というものをもってこれに対処するという考え方はございません。
  10. 島田琢郎

    島田(琢)委員 あくまでもそこに一線が画されているということでありますが、そのことは私も十分理解をしているのです。それはしかし農地法上の取り扱いであって、現にそこで農業が行なわれて相当量生産をあげ、都市生活者に対して、生活に欠かすことのできない生鮮野菜だとか花であるとかいうものが供給されているという事実を考えますときに、なるほど基盤整備等資本投下をさせるということは、あるいはまた、国からの制度における手厚い措置をとるということはなかなかむずかしい、これは約束ごととしてそうなされているんだというまことに画一的な答弁でありますけれども、私は何としても納得ができないのは、建設大臣もこの間は、何といってもそこで現実農業が行なわれ、またかなり長期にわたってそこからかなり生産をあげているという事実がある限り、農地法上のワクとしては別であるけれども、しかし農業生産をさらにあげていくということについても積極的な施策がここに盛られなければならぬということを言っているわけでありますが、さすれば、いま二十八万ヘクタールという市街化区域内における農地の総体の面積があるということを言っておりますけれども、この十アール当たり比較をかりにしてまいりますと、相当集約的、濃密的にこの地域農業が行なわれているということが考えられますが、一体生産比較でいうとどれくらいの差があるとお考えですか。
  11. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  市街化区域内の野菜作とか花卉作等につきましての作付面積その他については調査をいたしておりますが、実は作目別出荷額その他を市街化区域だけに限定いたしまして調査した資料はございません。ただ、全般的に申しますと問題は、差が出てくるのは野菜だろうと思います。野菜につきましては、御案内のように、市街化区域内はいわゆる近郊軟弱蔬菜等、特殊な野菜をつくっておりますので、そういう意味においては、反当たり出荷金額というのは大きくなるのではないだろうか、かように思っております。
  12. 島田琢郎

    島田(琢)委員 結局、大山局長の、アウトサイダー部面なのであまり積極的に手をつけることができない、という趣旨発言を裏づけるような話でしかないわけで、私にしてみれば、こうした都市、いわゆる市街化区域内における農業の果たしている役割りというものを農林省みずからはあまり評価をしていないのじゃないかというふうな印象で聞こえます。それではやはり問題でありますし、確かに将来の宅地計画の中に入っている農地もあるでしょうし、また将来かなり永続的にここで真剣に農業で生きていこうという人たちもおるわけなんでありますから、こういう点について積極的な農林省施策がここにつぎ込まれなければ、その地域における農業者人たち立場というものは救われない、こういうふうに長いこと私は考えてまいりました。  そういう中にあって今度の生産緑地制度の中に置かれていくとすれば、幾ら建設大臣が、この地域農業者を大事にしなければならないんだ、こう言っても、行政官庁の間におけるそうした考え方がしっかりと結びついていきませんと、建設大臣が、それは所管農林省がやることだから、しっかりした農業政策をそこはそこなりの考え方でひとつ進めてもらいたいと言っても、受けて立つ農林省としていまのようなお考えであるとすれば、この地域というのは、将来にわたって農業として位置づけすることはきわめて困難だというふうに考えます。建設大臣は、この間私におっしゃったことがはっきりあなたのお考えであるとすれば、もう一度この席で、こうした地域における農業あるいは林業、さらにはまた魚の養殖、こういったような部面をどのようにお考えになって、将来の緑地制度下におけるこうした第一次産業の部面を育てていこうとお考えなのか、建設大臣のお考えをもう一度お聞かせいただいて、農林省に積極的な施策を望むという立場からさらに話を続けてまいりたい、こう私は思いますので、大臣のお考えをお聞かせください。
  13. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 この前も申し上げましたとおり、この生産緑地法案の制定されたゆえんを考えてみました際、都市政策農村政策の接点というところに起きてきた問題でございまして、建設省としては、都市化を進めたい、良好なる市街地として開発をしていきたい。また一方、農家の側としては、農業でしか食う道はない、ほかに転業しろといわれても農業を離れては自分の一生のうちではもう生きていく道は考えられない、どうしても転業ができないということになりますと、どうしてもそこにかじりついて今後十年か二十年生きていかなければならない、こういう現実がかみ合って生まれてきたのが去年、おととしあたりからのいろいろな経緯であったわけであります。そしていろいろ国会においても御整理をいただいて、附帯決議となり、その附帯決議に基づいて当省として本法案を提案いたした次第でございまするから、やはり建設省都市計画の中の一手法として生産緑地制度というものを取り上げました以上、その市街地の中で行なわれる農業というものは、その市街地の環境をあまりこわさない、野菜畑であれば、四六時中ほんとうに見る目もあざやかな野菜畑であってほしいし、植樹をした場合には、しょっちゅう手入れをされてそれが植林にふさわしい植林であってほしいし、また園芸施設であれば、そこから排水してくる排水の処理が都市生活に悪影響を及ぼさない、異臭等も放たないというような農業経営がなされることが望ましいわけであります。  そういう点につきましては、この生産緑地法が制定されますれば、市街地の中で営む農業というものは、おそらく一般農業振興地域において行なわれる農業以上にある制約が加わってくるのは、これはやむを得ないと思うのであります。しかし、その中で農業を営む農業者立場からすれば、これは農業振興地域農業者の気持ちと同じわけでございます。そういうことを考えますと、市街地農業であるから、もう将来宅地になるのだから、適当に農業をあなたの代だけはやっておいたらいいでしょうということではあまりにも情がないと申しますか、そういう感じがいたすわけであります。この前農林省からもお答え申し上げましたように、その点につきましては、農業関係融資制度も、あるいは病虫害の農林省制度も、農業者要請にこたえてまいりたいと申し上げておるわけもそこにあるわけでございまして、政府としてそういう点については、市街地域の中にやむを得ず農業を営まなければならないということで、生産緑地法指定を受けるというような農家諸君に対しましても、制度の適用ということはこれは考えていかなければなりませんし、私どもとしても、農林省にそのことは、優良なる市街地における農業経営という面から、都市計画の面からも要請をしていきたいと考えておるわけであります。
  14. 島田琢郎

    島田(琢)委員 きょうは食品流通局から齋藤審議官がお見えでありますが、構造改善局のお立場からは、いまの基盤整備等に対する基本的な考え方というものが出されているわけであります。そのことはひとつおいておきまして、いま建設大臣も、都市生活者に対する青果物の提供、あるいは花卉園芸におきます役割り、こういうようなものが都市計画サイドからも非常に大事であるから、こういう面については積極的なその地域における考え方が出されてしかるべきだ、こういう指摘があったのでありますが、先ほど、さすれば一体どれぐらいの貢献をしているとお考えか、たとえば十アール当たりでどれぐらいこの地域における生産量があるのですかという質問に対しても、実態をつかまえていないという説明でありましたけれども、それでは幾ら建設大臣が将来に対するその地域役割りをおっしゃっても、どういう方向で進めていくというその方策なり進むべき道が明らかでないということであれば、これはまさにどうでもかってにしろというような印象でしか聞こえないのでありますけれども、もう一度食品流通局立場から、この地域農業者役割り農業の果たさなければならない社会的な役割りというものが示されなければ私は納得ができないのでありますが、いかがですか齋藤審議官、あなたのほうの所管としてこの面をどのように検討され、どのように進めていこうとお考えになっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  15. 齋藤稔

    齋藤説明員 食品流通局所管しております野菜生産あるいは需給という観点からお答えをいたしたいわけでございますが、先ほど企画室長から申し上げましたように、遺憾ながら、この市街化区域に限定をいたしました野菜生産のはっきりした調査というものは、現在までないわけでございますが、これは構造改善局長からもお話がございましたように、特定品目につきましては、市場に対する出荷報告等から分析いたしまして、かなりのウエートを占めているという事実がございます。  なお、最近の趨勢からいたしますと、相当な役割りを果たしております都市近郊野菜生産が徐々に減ってまいっておるという傾向もございますので、食品流通局といたしましては、都市近郊野菜作に対する動向を明確に把握いたしまして、それに対する対策というものを考えてまいらなければならないという段階に立ち至っているわけでございます。  そういうことでございまして、現在御審議をいただいております四十九年度予算におきまして、一方におきましては調査費を計上いたしまして、市街化区域を含む都市近郊野菜の現状及び今後の動向というものを明確に把握してまいるということ。それとあわせまして、都市計画制度ができました四十四年の八月に、農林省といたしましては、従来申し上げておりますような基本方針を策定いたしまして、投資あるいは事業の基準というものをきめておるわけでございますが、その際に、いわゆる野菜につきまして、指定産地制度市街化区域には及ぼさないということになっておるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたような情勢でございますので、私どもとしましては、指定産地規模には達しないけれども都市近郊につきまして、一定事業生産規模があるものにつきましては、市街化区域の中でありましょうとも、現実の問題としましては他の区域と一緒になるというケースが多いと思うのでございますが、これに対しまして、指定産地制度に準じまして、価格の低落してまいったときの価格差補給、あるいは生産出荷体制整備につきましても対策を講ずるというふうに現在考えておる次第でございます。
  16. 島田琢郎

    島田(琢)委員 どうも何回お聞きしても、農林省側考え方というのは積極的な印象で聞こえないのでございますが、大山局長、私は、市街化区域内において、蔬菜や花卉園芸以外の、たとえば養豚、養鶏などが行なわれていた事実がたくさんあると思うのです。そういうものをどのように積極的に施策として指導してまいったか。もうこの地域内においては自然に消滅していくのを待っていたのか。建設大臣は、畜産公害の起こるような業態については好ましくないから、この面についてはやはり遠慮してもらわなければ困る、こういうことがいつかの私の質問の中でも出てまいりました。今回も私は、そうした畜産公害の問題については直接触れておりませんが、しかし現実には、長い間、都市区域内あるいはまた隣接するところでかなり畜産が行なわれてまいったということは、私が申し上げるまでもなくたくさん出ているわけであります。しかし、それが自然消滅していくということを待っている、あるいはむしろそこではやめてもらうということを積極的に指導してきた、こういうふうなことであるとすれば、この人たちは自然にやめざるを得ないような条件の中に置かれてきたということであるだけに、非常に大きな損失をこうむってきたと私は思うのです。いまもなお、こうした市街化区域内における畜産業があちこちにたくさんあると思うのですが、これらをどのように今後指導していこうとお考えになっているのか。その点、農林省考え方なり進めようとする具体的な方法なりを、この機会にお聞かせを願っておきたいと思います。
  17. 大山一生

    大山政府委員 私からお答えするのが適当かどうか、ちょっとあれでございますけれども、先ほど来野菜の問題が出てまいりました。野菜につきましては、二十八万ヘクタールの中で大体二万五千ヘクタール程度、こういうふうなことをわれわれ承っているわけでございます。それにつきましては先ほど来申し上げたようなことでございまして、ある時期において特定野菜についてはある程度のシェアを持っているということは先ほど申し上げました。一方、畜産関係でございますけれども、畜産関係につきましては、先住民族の悲哀といいますか、先住民族的立場から見た場合の不満は非常に持ちながらも、公害という問題との関連の問題が、市街化区域内において行なわれておりました畜産については、やはり深刻な問題になっているわけでございます。そういう観点からいたしまして、畜産局のほうといたしましては、畜産経営の環境の整備というような予算によりまして、畜産団地の造成事業によって、公害で悩んでいる畜産業者が他に移転するというふうなことを推進しているわけでございます。もちろん、これに関連いたしましては、公庫からの融資ということも考えているような次第でございます。
  18. 島田琢郎

    島田(琢)委員 きょうは、農業の問題、農林省の中でも、特に野菜とか畜産とか花卉とか、こういった部面でのみお話を申し上げているのでありますが、現実には山もあれば、先ほど申し上げたように魚の養殖をやっている養魚池等もこの中に含まれるわけです。そうした面なんかを考えてまいりますと、いろいろな農林統計、林野庁の統計、あるいは水産庁の統計の中でも、都市計画区域内における生産内容についてすべて網羅して発表するわけです。特に農業の問題につきましては、先ほど私が申し上げましたように、一年間に何回も何回もつくることができる、何毛作もとることができるという、十アール当たりから見ましても非常に生産性の高い農地がこの中にたくさんある。したがって全体的には、日本の食糧全体の統計というか、こういうところからも生産された量がすべてこの統計の中で出てきているわけです。そういう面がアウトサイダーに置かれていて、全体の国の食糧政策をどうやって進めようとしているのかということが私の聞きたかった点なんであります。そういう点が基本的に農林省の中で踏まえられていないという点に私は非常に強い不満を持っているということであります。  いろいろとそのことを明らかにしたいという趣旨であらゆる角度から質問をしたのでありますが、さっぱりその点が明確になってこないということを私はたいへん不満に思います。特に三大都市圏におきます各市町村、自治体の中では、建設省なり農林省なりが考えております以上のことを積極的にとらえて、条例化して生産緑地制度というものを進めてきている。それはいま私が申し上げたことを十分踏まえて、その市町村内、自治体内におきます農業生産実態というものが都市計画を進めていく上に大事だということの理解の上に立って、それぞれ苦労しながらこれを制度化しているというのが今日の姿だと思うのです。そのことを農林省が十分受けて立ってないということであれば、私は自治体が一生懸命やっていることが一つも生きてこないと思うのです。  そこで私は、自治省に対してせんだってもお尋ねしましたけれども、この生産緑地法案の中では地方自治体の自治権というものが私は否定されていると思うのですが、所管の省としてはこれをどう考えているのですか、もう一度お尋ねをいたします。
  19. 首藤堯

    ○首藤政府委員 このたびの生産緑地制度趣旨が、いわゆる都市計画サイドからの土地開発ないしは宅地の供給の増加、こういった都市計画上の目的があり、片一方、都市圏内におきます農業振興、農業のあり方、緑地の必要性、こういった両方の面からのいわば調整点というかっこうで制度そのものが創設されたと私ども承っておるわけでございまして、そういう面では、全国的に一応一定の基準に基づきましたこのような都市環境の形成をはかる、その中で農業ないしは緑地のあり方もはかっていくという制度がとられることは望ましいことであろう、こう考えておる次第でございます。  ただ、ただいま御指摘の、いままでとってきておりました自治体のそれぞれの政策等と関連をいたしまして、今後この生産緑地指定をするのにあたりまして、どのように地方団体の考え方が具現をされてくるか、この点については十分意を用いなければならぬと思っておる次第でございまして、生産緑地指定にあたりましては、これは市町村が知事の承認を得て指定をするということになってまいりますが、このあり方は十分地元の自主性が生かしていけるように運用をされてしかるべきものである、このように考えている次第でございます。
  20. 島田琢郎

    島田(琢)委員 指定要件の中の、特に面積制限とか作物制限というものについて、きびし過ぎるのではないかということをこれまた五日の日に建設大臣に対して質問をいたしましたが、自治省からの答えとしては、市町村自治体がやっている緑地制度と本法案に盛られている指定要件というのはそう大きく変わっていない、特に面積制限等については、どの市町村においてもやはりそれなりの制限があるというお答えがありました。私は時間がなかったので聞き流しで終わったのでありますが、調べてみますと、面積制限をもって条例化した町村においても、その後いろいろ住民との対話とかあるいは相談の中で、面積制限はやはりはずしたほうがいいということで条例改正をしている町村などもずいぶん出てきております。それから作物の制限についても、建設大臣がおっしゃるように、生鮮野菜とか花のようなものに限定するということにはやはり問題があるから、それなりの方策を講じても、あまり大きな畜産公害にならないような鶏であるとか養豚であるとかいうたぐいのものについても、あまり強い制限をしないで、むしろ公害を未然に防ぐような防止措置を講じて、この地域におけるそうした小家畜の経営を育てていかなければならぬ、こういう考え方が自治体の中では強く最近出てきているのであります。だから私は、今回のこの法案の中における面積制限をはじめとする各種の制限というのは、この地域で一生懸命農業をやってきた者の立場からいえば、まさに農業をやるなということにひとしい、こういう受けとめられ方になっているのです。そこが私は問題であるということを指摘いたしました。  しかも自治省については、こうした地方の自治体における制度というものは非常に評価すべきではないか、そういう観点からこれをむしろ積極的に認知して、この制度と本法に盛られますこうした中身とが、十分疎通をはかる中で前向きに進んでいくような、いわゆる農業経営が進んでいくような、そういう立場に立っての法案整備をすべきではなかったか、自治省としてはその点手抜かりではないですかということをきびしく指摘をしたのでありますが、自治省はこの考え方に対しては、前回は、私の言っていることについて全面否定をされる立場に立って発言をされておりましたが、私は納得ができないのであります。自治省は、むしろ建設省に対してこうした自治体の積極的な自治権というものを守るという立場に立ってこそ、初めて自治省としての本来の使命があるのではないですか。そのことを考えると私は、この法案について積極的に今後において建設省と話し合わなければならない要素が幾つもあるのですから、あまりこの法案を上げることに積極的になるというのはいかぬではないかというふうにいまでも考えているのですが、いかがですか。
  21. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいまも申し上げましたように、本制度がいわゆる都市計画サイド要請、それから農林側ないしは緑地の必要性といった要請、こういったもあの調整点として設定をされたという意味におきましては、やはり全国的な意味では、おおむねある程度の基準と申しますか、そういった基準に従って運用される、これが公平の原則にもかなうのではなかろうか。特にまたこの制度が、生産緑地指定をされますと、宅地並み課税をやめて農地課税制度に戻るという税制度上の問題をも付随をいたしておりますので、そういった制度面から見ました場合の一定の基準、こういったものはやはり考えてしかるべきものではなかろうかと考えておる次第でございます。  ただ、ただいま御指摘のございました面積制限そのほかの制限でございますが、この実際の運用にあたっては、やはり地元、地元のいろいろな事情がございましょうから、そういった面の運用については、実際地域実態に応ずるような運用がされる、こういうことが非常に望ましいものであるというように私どもとしては考えておる次第でございます。
  22. 島田琢郎

    島田(琢)委員 時間が来ましたので、十分意を尽くすことができませんでしたが、私は本法案をそんなに急いでやるという点については、きわめて慎重に考えている一人でありますし、むしろ、農林省のああいう考え方がある限り、もっと建設省との間で十分この農業者立場というものを踏まえて協議をした上で、この法案が取り扱われることを私は期待をする一人であります。以上で質問を終わります。
  23. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小山省二君。
  24. 小山省二

    ○小山(省)委員 私は、主として地方行政委員立場から、本問題について若干質疑を行ないたいと思うのであります。  昨年の地方税法の改正で農地宅地並み課税というものが決定されたわけでございますが、この宅地並み課税法案が決定されますときの附帯決議として、現に農地として耕作中のものは緑地として保全の道を開くよう各党一致で決定、採択されたわけでございますが、本法案はこの決議趣旨に基づいて立案あるいは提案されたものであると私どもは了解しておるのでございますが、建設大臣の御所見を質問に先立ってお尋ねをしておきたいと思うのであります。
  25. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 仰せのとおりでございます。
  26. 小山省二

    ○小山(省)委員 本法案関係の深い自治、農林両省と十分事前に打ち合わせがなされて、各省間の完全な了承が得られて本法案が提出されたものと考えております。したがって、かりに実施にあたっては何ら支障がないものと私どもは了解しておるのでありますが、提案者の建設当局者は、その間のいきさつについて従来の関係を一言御説明をいただきたいと思うのであります。
  27. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 小山委員も御承知のとおり、私ども日本の都市構造をながめてまいりますと、緑地が非常に少ない、公園が少ない、子供の遊び場所が少ない、そういうことで公園の五カ年計画等も作成をいたしまして、できるだけ緑地都市に多く求めたいということでやってきておりますことは御承知のとおりでございます。そして先ほども指摘のありましたとおり、宅地並み課税の問題を通じて、たまたま農地緑地にという新しい発想がなされたわけであります。これは私はたいへんすばらしい考えであるということで、一年間、都市計画審議会におきまして、自治省、農林省も御参加を願って生産緑地部会というものを設けまして、そこでいろいろと御検討をいただいたわけでございます。そして各省とも、国会の御趣旨にも沿い、また私どもの多年都市に緑をという考えも取り入れまして、そして積極的な姿における生産緑地法という法案にまとめて御提案を申し上げた、こういう経緯になっておる次第でございます。
  28. 小山省二

    ○小山(省)委員 したがって、本案実施にあたっては各省間の間に円滑に問題の処理がなされる、こういう御確信があるわけでございますね。
  29. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私はそう思いますけれども、一応事務的な問題でございますので、各省の現実に詰めた諸君から答弁させます。
  30. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、農林省、自治省とは、事務的にも、また都市計画審議会審議の過程におきましても、十分御連絡を申し上げました。その結果、市街化区域の中でありまして従来農林施策の講じにくかったものにつきましても、特に第一種等永続的なものもありますので、こういったものについては農業融資その他の積極的な施策を講ずる場ができた、またそのようにしようということであります。また、自治省とも当然十分御連絡いたしまして、この法案は直接には宅地並み課税の適用をどうするという問題ではございませんが、結果としては、生産緑地地区はその指定期間中宅地並み課税の適用を除外することを附則でもって地方税法の改正を行なっておりますので、そのような内容について十分打ち合わせをしたところでございます。
  31. 小山省二

    ○小山(省)委員 それでは、本生産緑地法案が決定をされました場合、現に相当数の市町村で条例もしくは要綱等で独自に実施しております補助金であるとか奨励金の、こうした支出面についてどのように今後指導に当たられるのか。また今後の緑地保全対策というものをどう考えておるのか。この点について関係各省の担当者から御所見のほどを承っておきたいと思うのであります。
  32. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 御指摘のような、現在条例あるいは要綱等によりまして各市において行なわれておりますいわば農地の保全奨励策、これにつきましては、現在は、このような市街化区域農地の中でも都市計画上も意義づけられるような意義のあるものを、税との関連等におきまして拾い上げるという制度がないわけでありまして、そのためにこそ本法案を提出したわけでございますが、現状ではこれはやむを得ないと考えておりますけれども、この法律が通りますと、相当の農地というものはこの法律の制度に乗れるのではないか、こう考えます。したがいまして、この法案がもし成立すれば、私どもとしては、現に市町村段階で始まっております施策、これは急にやめるわけにもいきませんから、ある程度経過的に残るということは当然考えられますが、その経過措置というようなものを経た後におきましては、この法律による目的、つまり都市における良好な生活環境を維持する、あわせて将来における公共、公益的ないろいろな施設に使える保留地としての機能を持つ、こういう目的のものにつきましては、一定期間の経過後は本法案にやがては一本化されるべきではなかろうか、こう思います。  ただ、農地そのものの直接の保全とか特産物の保護、こういった観点のものはこの法律には直接予定しておらないわけでございますから、別の観点からの施策、こういうことになればこの法案とは関係ない、つまり矛盾しないものと考えております。
  33. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま建設省のほうから御答弁がありましたことと趣旨は同じでございますが、現在多くの市が補助金そのほかの支出をいたしておりますのは、御指摘がございましたように、現在とられております市街化区域内の開発関連をいたしまして、この地域の中にも緑地の保全が必要であるといったような観点から、地方団体が独自に歳出等においてその措置をやっておるものでございまして、これはまあ現状においては、そういう措置があっても地方団体の自主性として当然のことであろう、こう考えておる次第でございます。  ただ、そのような市街化の要請農業ないしは緑地保全の要請の調整点としてこの生産緑地制度というものが成立をするわけでございますから、この制度が成立をして、その運用のよろしきを得ました暁には、このような補助金はなくなってしかるべきもの、こうわれわれとしては考えておる次第でございます。ただ、ただいま建設のほうからもお話がございましたように、この生産緑地指定そのものが一、二の三ですぐでき上がるというわけにはまいらないと思いますので、その経過的な期間においては経過的なそのような支出があることもあり得る、このように私どもとしては考えておる次第でございます。
  34. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  御案内のように、現在市街化地域を含んでおります各市町村や県で、それぞれ独自の立場で農政上の助成を行なっていることは事実でございます。今後、こういった県単あるいは市町村単独の助成事業その他が、農業に関するものにつきましては、今回の生産緑地法案が制定された場合においては、その方向に沿って交通整理が行なわれることはあるだろうと思っております。  ただ、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、現に農地があって農業経営が営まれている限り、国の立場でも、防災事業とか衛生事業とか技術指導の事業は続けるつもりでございますし、さらに、生産緑地法案が成立することを予定いたしまして、農業施設に対しての一定の条件のもとでの融資、あるいは野菜産地についての育成の事業等については、こういった地域も対象に考えてまいりたい、かように思っております。
  35. 小山省二

    ○小山(省)委員 生産緑地として農地並みの課税の適用を受けられる区域というのは、全体の都市計画区域の中の三〇%と限定されておるわけです。したがって、これをこえた農地というものについては当然税制上の恩典が得られないわけですから、これに対して、それぞれの市町村において補助金なり奨励金の形で今後も引き続き支出されるであろうことは容易に想像できるわけです。したがって、今回の生産緑地法そのものでは、農地宅地並み課税に対する農業者の反対をこれによって完全に解消させるということには、私はつながらないだろうというふうに考えておるのであります。したがって、この三〇%という区域を今後拡大するということは実情に即して必要なことだろうと考えておりますが、実態調査した結果この三〇%という区域は弾力的に考えていいものかどうか、この線は建設当局としては絶対譲れない線であるかどうか、その辺のお考えを承っておきたい。
  36. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 実はこの法案では第一種生産緑地地区と第二種と二つありますが、第二種につきましては、土地区画整理等を行なった区域の中で指定されるわけでございまして、その土地区画整理面積のおおむね三〇%という限定があります。これは区画整理までしていわば市街化をはかったところで、それ以上に生産緑地という形で農地が残るということは、そもそも区画整理等趣旨に合わなくなるのではないかという意味でございます。しかし、第一種につきましては、法律上は別段三〇%というような限定はないわけでありまして、法律ではただ「土地利用の動向、人口及び産業の将来の見通し等を勘案して、合理的な土地利用に支障を及ぼさないようにしなければならない」と抽象的に書いてあります。これにはいろいろな意味がありますが、たとえばその市街化区域の中の面積のおおむねの抽象的な限界というようなものもこの表現であらわしているわけでございますが、別に個々の市町村によりまして、市街化区域のとり方等の広狭にいろいろな差もありますので、一律に三〇%というようなことは考えていないということであります。もちろん実際にマクロ的に全体を見れば、ではどの程度のものが市街化区域の中でなおかつ生産緑地指定できる限界と考えるかということであれば、各市町村を通じた標準としては、私どもも三〇%ぐらいというのが限度ではなかろうか。それ以上生産緑地指定されるということは、市街化区域趣旨にも反するのではないか、こういう意味でございます。  そこで、先生のおっしゃるように、この規模要件に該当するものもかなりあるわけでございますけれども、そのほかにも農民の方々の同意を要するとかいろいろ手続上の要件がありまして、ために現在の市街化農地のすべてが救えない。すべてどころか相当部分が拾えないということは御指摘のとおりであります。しかしながら、私ども都市計画線引きを行なった結果、優良農地等を極力排除した残りの市街化区域というのは非常に貴重な宅地供給源でもありますので、その相当部分というものがすべてこの緑地地区に指定されてしまうということでも困るわけであります。この法案の全体的な考え方規模の総量としての考え方は将来とも変えるわけにはいかないのじゃないか、こう思います。
  37. 小山省二

    ○小山(省)委員 多額な公共投資が行なわれた市街化区域、そこの農地宅地並みの課税をするといの趣旨理解できないわけではありませんが、生産性の低い農業経営考えますと、この宅地並み課税というものには相当無理があると思うのであります。その無理がこの生産緑地制度というような形の中に出ておるわけでありますから、たまたま固定資産税の評価がえの時期とも一致いたしまして、宅地並み課税というものは非常に農業者の反発を買ったわけであります。私は基本的にはこの宅地並み課税そのものに問題があるのだろうというふうに考えております。税務局長から、この問題に対する実施後における農業者の反響等を基礎に、今日どのようなお考えの上に立っておられるか、この点をひとつ承っておきたいと思います。
  38. 首藤堯

    ○首藤政府委員 市街化区域農地における宅地並み課税の問題でございますが、先生御承知のように、ただいま動き始めておりますものは、三大都市圏の中のA農地及びB農地で、A農地が去年から、B農地がことしからでございますが、動き始めておるわけでございます。そのほかの地域につきましては、全国のC農地も含めまして今後の検討にまっておるわけでございまして、今後、土地価格のあり方、あるいは都市計画事業の進捗の状況、ないしは今回制定されます生産緑地制度の運用のあり方等を勘案いたしまして、五十一年の固定資産の再評価の時期とあわせまして今後の取り扱いをどうするか検討いたしたい、こう考えておる次第でございます。そのような意味で、今回制定をされました生産緑地制度が、いわゆる都市計画サイド農地ないしは緑地サイドとの調整点として、正式に緑の地域として残すべき地域、こういうように指定をされましたならば、この地域は、市街化区域のA、B農地の中にありまして本農地並み課税のまま過ごす、こういう制度を私どもとしては認めたわけでございまして、願わくはこの制度が円滑に実施をされまして、十分その実をあげ得るようにと期待をいたしている次第でございます。
  39. 小山省二

    ○小山(省)委員 いずれまた委員会でお尋ねすることといたしまして、私、線引きについて大臣のお考えをひとつ聞いておきたいと思うのです。  開発すべき市街化区域農地として保存すべき調整区域とを、都市計画上はっきり示しておるわけですね。そういう区別をしておるにもかかわらず、開発すべき地域農地化をはかる、農地の保全をはかっていく一方、先般、宅地開発公団を新設して大規模宅地造成を進めるという方向をお示しになった。この大規模宅地造成を行なうというところは、当然農地として専用されべき調整区域以外に考えられないわけであります。当初の線引きをしたときと全く違った政策が現実に行なわれておる。つまり、都市計画上当然市街化区域として考えるべきところ、そこに農地として保全しなければならない種々な対策を講じている。一面、半永久的農地として農業政策上いろいろな保護対策を講ずべき地域にむしろ今度は大がかりな宅地開発を進めるという、この二つの矛盾した考え方に対して、大臣宅地開発公団法を提案された責任者として、どのようにお考えになっておるか、御所見を承っておきたいと思います。
  40. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 小山議員身を持って体験しておられるとおり、三大都市圏におきましては住宅難ということはもうたいへんなことでございます。と同時に、地価の異常なる上昇ということもこれまた御承知のとおりでございます。物価の元凶とさえいわれておるわけであります。いままで宅地が公的な機関によって、住宅公団もささやかに造成して分譲をするという手法はあったわけでありますけれども、これがほとんど動いておらない。したがって宅地の需給のバランスというものが大きくくずれておるわけであります。そしてやはり人間生まれた以上は、死ぬまでには一度は庭つきの自分の家を持ちたいというのが人情でございます。したがいまして、多少無理しても家を建てる、宅地を買う、これが供給のほうは民間デベロッパーにまかせっぱなしというような形で今日まで来たわけでございます。そのために供給の面が非常に少ない。需要が多くて供給が少ないわけでありますから、地価はどんどんと上がる。地価上昇の一因をなしておることは御承知のとおりでございます。そこで積極的にひとつ公的機関によって宅地開発をしよう。しかも計画的に、交通施設、あるいは住宅環境といっても、ベッドタウンという式なやつじゃなくて、いろいろ今日までの住宅団地等の結果から学んでまいりましたことを十二分に生かしまして宅地の供給をする、住宅の供給をしてまいるということは、どうしても積極的に進めなければいけない、やはり専門的な機関をつくりませんと一向に進まないということで、宅地開発公団というものの制定の審査をお願いいたしておるわけでございます。  一面、この市街地における農地というものも、いろいろないままでの方法をもってこれを宅地化する、市街化するということで努力はされてきておったわけでございますけれども、やはり農業者の側のほうからすれば、強権をもってやられても協力はできないということで、宅地化、市街化が思うとおり進まないという面も実はあったわけでございます。そこで、たまたま農業団体等のほうにおいても、都市近郊の将来の農業というものをどう展望していくか、どのように指導していくか、どうあるべきかというような観点をいろいろ検討をされておりますし、また建設省におきましてもいろいろそういう面についての検討を重ねまして、農住制度というようなことも実は考えておるわけでございます。そういう考え方の一例を申し上げますれば、ある一定農地を持っておる、その三分の一を売る、そしてその売った資金で三分の一に賃貸住宅を建てる、そして三分の一で農業をやっていくといったような希望を持たれておる方もだいぶあるというふうにも聞いておるわけであります。そういう農家の方々の希望も今後生かして、都市の再開発とでも申しますか、そういう面についての都市計画の設定、優良なる市街地の建設というものを宅地公団と合わせてやってまいりたい、こんなふうな気持ちで今回宅地開発公団も提案をさしていただいたということでございます。
  41. 小山省二

    ○小山(省)委員 私は大臣のお気持ちがよく理解できるのです。総理が同様な趣旨であえて一部の反対を押し切って、市街化の中の農地宅地並み課税を断行しようとした。その総理の真の考え方というものは、宅地難に悩むそうした国民大衆の要望にこたえたい、やはりそういう気持ちでたしかあの法案を提案されたものと思うのであります。しかし現実の問題としては、そういう中でなおかつ生産緑地というような形で宅地化をはばむような政策を考えないわけにはいかない情勢になった。一方においては、農地として永久にわれわれは安心して農業ができるなと思ったところをやはり手をつけて開発しなければ、そういう宅地難にあえいでいる国民大衆の要望に沿えないという相当大きな矛盾を内蔵しながら、この二つの法案というものはやはりいろいろな面で批判を受けていかなければならぬと思うのであります。  したがって、たとえば第一種の生産緑地というのは期限がないわけであります。期限がなくて、そこに一ヘクタール以上の土地を持つ者が、かりに生産緑地として指定されれば、これは調整区域農地とちっとも変わらない。そういう結果になるとするならば私は、線引き自体をやはりもう一度再検討をして、この線引きの合理性というものをはっきりと出さなければ、いまの形の中の線引きというものは、相互にそうした矛盾を繰り返さなきゃならぬ。そういう点で、大臣がこの線引きの問題についてどのようにお考えになっておるか、ひとつ承っておきたいと思います。
  42. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 小山委員も御承知のとおり、この線引きにつきましては、法律によって五年ごとに見直しをするという法の趣旨になっておるわけでございますから、そのつどいろいろと計画と現実との調整をとるということから、その趣旨になっておるわけでございます。したがいまして、その時期の来ない前に線引きを検討する、再考慮するというようなことは考えておりません。
  43. 小山省二

    ○小山(省)委員 御承知のとおり、区画整理事業というものは多額な公共投資が行なわれるわけであります。そこには完全な市街化の形成がなされるわけであります。これが十年、さらに十年の延長が可能だとすれば、二十年間にわたって区画整理が行なわれた地域において農業の永続というものが可能だと保証されるということになるわけです。私は、農業経営者にとっては別といたしまして、少なくとも公共投資というものをできるだけ効果的にその成果をあげなければならぬ、そういう面から考えると、私は、区画整理地区における農業継続というものはやはり一定の限界というものが——今後世の中の進歩というものが、私はいまよりもさらに一段と急速なテンポで変化していくだろうと考えるのです。そういう中で公共投資が行なわれ多額な経費が使われた、そういう地域での二十年間の農業経営というものに対しては、もう少し一考に値する面があるのではないかという感じがするわけでありますが、この点について関係者のほうでは、十年の延長をどういう理由でお考えになっているか。
  44. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 おっしゃるように、区画整理をわざわざやったところでございますから、先ほども申し上げましたとおり、まずその区画整理を行なった場所の中で第二種として指定できる総量としてはおおむね三〇%の範囲内、こういうことにいたしております。つまりおおむね七〇%程度は宅地化されるということでありまして、その宅地化の効用というものを重視したわけであります。農民等の方々の御意向をいろいろ聞いてみましても、三分の一程度は農地に依然として残したい、残りはいろいろ宅地化に協力もできるがという御意向も強いようでありますから、その辺も考えたおおむね三〇%ということであります。  ところで、二十年というのはいかにも長いではないかということは、確かにおっしゃるとおりでありますが、したがって法律でも原則は十年ということにしております。ただ、十年たってみましても、なおかつ、その周辺の市街化の動向、あるいはその農家自体の延長への強い要請の度合い、その辺を考えますと、もう十年ぐらい延ばすということもあり得るようにはしておきたい。市街化区域というのは、おおむね十年以内の市街化を目ざすわけでありますから、そういう意味で十年というのはそう矛盾しないのですけれども、おっしゃるように、さらに十年延ばすということは、見方によっては長過ぎるということもありますが、都市内においてもすべてを建築敷地にしてしまうということが能ではなくて、やはり緑地とかいろいろなオープンスペースも必要だ、その中に生産されつつの緑地というものもある程度存続してもいいではないか。全体としての宅地需要量というものを考えましても、その程度の余裕というものは市街化区域にもあるのではないか、こう考えたのが基本的な考え方でございます。
  45. 小山省二

    ○小山(省)委員 時間の制約がありますからいろいろやりとりもできませんが、私は、排水と用水との関係について、ちょっとこの機会に承っておきたいと思うのであります。  市街化が進めば、当然下水、排水という問題を考えなければならないわけです。一方、そういう中で農地が点在しておるとすれば、その農地に必要な用水というものも同時にあわせ考えてみなければならぬ。一方においては良好な生活環境を保持するために排水に金をかける、一方においては農地があるためにそこに水を入れる用水を維持管理していかなければならぬ。こういうきわめて限定された地域において、こうした全く相矛盾する施設を同時に保全をしておかなければならぬ。私はこれはたいへん無理な二重投資のような感じがするわけなんであります。したがって、こういう無理ないろいろな投資が行なわれる場所に、それを非常に長く二十年も農地としてこれを認めていく。そういう問題で私は先ほどちょっとお尋ねしたわけでありますが、こうした用水とか排水とかいうものの整備、管理、こういう矛盾した二つの施設をどう考えていられるか、この点をひとつ承っておきたい。
  46. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 御指摘のようなことになるおそれが多分にありますので、この法案におきましても、第二種の指定要件、これは第一種も同様でございますが、その中に「用排水その他の状況を勘案して農林漁業の継続が可能な条件を備えていると認められるものであること」というようなことを加えました。  なお、そういう場所でありますので、そういう基本的な条件は法律に書きましたものの、やはり非常に長きにわたって存続させるということは無理だろうということから、基本的に十年という期限を切ったわけであります。二十年に延ばし得る余地を残したことについては、先ほどお答え申したとおりでありまして、例外的にそういうこともあり得るようにしておいたほうがいろいろな点でよかろうということであります。したがって、区画整理事業を今後行なう場合には、この第二種の希望というものもあらかじめとって、その土地区画整理の中で一団にまとめるような措置も講じつつ、そこには依然として用水が最小限補充されるように、あるいはそれが非常に困難であれば、用水の比較的少なくて済むような作物に転換する等の合意を得まして指定していくということになると思います。現在でも、そういった特別な配慮がないにもかかわらず、区画整理以後の土地でもなおしばらくの間は農地として経営されていることもありますので、あらかじめそういう配慮をしていけば、これは両立し得るものと考えております。
  47. 小山省二

    ○小山(省)委員 用水、排水がいろいろの点で矛盾しますが、まだ問題はいろいろあるようであります。日照権をどう考えるかということですね。市街化の中の農耕地は、私はたぶんこの日照権の問題が将来必ず出てくると思うのです。御承知のとおり、市街化が進んでまいりますと土地の値段が上がってきますから、だれしも考えることは高層化であります。建物を高くして土地を有効に利用しようという考え方が出てくる。そういう高層化が進んでくる中で、そこに農地として相当小さな農地が点在しておるということになると、これは住んでいないから日照権は問題でないといいますが、農作物に与える影響等を考えると、農作物によっては全く日陰で用をなさない、こういう場合に、当然耕作者から、それは単に人間が住んでいる地区における日照権の問題と違って、耕作物に与える日照権の問題、そういうものが新しく問題になる可能性が出てくるだろうというふうに私は思うのであります。農林当局はこれをどういうふうに考えておられるか。
  48. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 最初に私からお答えさせていただきます。  そういうことは確かにありますので、私ども法案におきまして、第一種というものにつきましてはおおむね一ヘクタールぐらいはどうしても必要だ。もっと大きいほうがその点ではいいのでございますが、片一方では、あまり大きくては対象になるものも非常に限定されますので、その辺を考え合わせまして、おおむね〇・一ヘクタール、その程度あれば、周辺が相当高層化されましても、その広さのゆえに日照はまあまあ確保されるのではないか。それから第二種はおおむね〇・三ヘクタールということですから非常に小さいわけでございまして、これでもその規模要件がありますので、最小限支障のないという場合も多いと思って考えたわけですが、やはり長期的には存続し得ないのではないか、こういうことで原則十年というような期限を切らしていただいたわけでございます。
  49. 小山省二

    ○小山(省)委員 第一種はいまお話しのとおり別ですが、第二種の区画整理地区、しかもそこは農耕地でありますから、住んでないのですから、そのまわりに建てる建物というものはいわば制約を受けない、そういう形の中から高層化が進むということが当然考えられるわけです。ところが、実際の農作物をつくろうという場合に、その高層化が耕作上大きな影響を与えてくることが皆無とはいえないわけなんです。当然そこにやはり農作物についても日照権ということが問題になる可能性がある、私はこういうふうに考えましたので、こういう問題に当初各省間でよく話を詰めたかとお聞きしたのは、やはりそういう問題にどう事前に対策を講じてこの法案を提出されたかということをお尋ねしたかったのですけれども、もう私に与えられた時間は一ぱいでありますから、いずれまた別の機会に承りたいと思います。  それから一つお聞きしておきたいのは、これは全員の司意を要すると規定されておる。そうなりますと、今日のような自由主義の時代になりますと、利害関係からいって、全員の同意というものはある意味においてはたいへんむずかしい条件になってくると思うのです。たとえ一人が利害関係から反対する、それよって指定が不可能になってしまう、こういうことが当然予想されるわけです。この全員の同意というものは非常にかたいものであるかどうか。  それから農業団体からは、現在でも〇・三ヘクタール、こういう点について、もう少しさらにきめのこまかい、規模の小さいものにひとつ改正をしてほしいというような要望がおそらく農林当局には出ておると思うのでありますが、対象の三〇%ということをもう少し広げてほしいということと、区画整理地区内における〇・三ヘクタールというものを〇・一ヘクタールぐらいまで下げてくれ、こういう要請といいますか、陳情が私どもに来ておるわけでございますが、農林当局はこれに対してどういうふうなお考えであられるか。
  50. 大山一生

    大山政府委員 御質問、先ほどの問題にちょっと関連いたしますけれども、日照権の問題につきましては、御存じのように、先ほど来申し上げましたようなことで、農地法の転用基準といいますか、農地法の場合の転用許可という問題をはずしているわけでございます。そういうふうな関係で、農地法で転用を許可するかどうかという問題の際には、その種の日照権の問題は当然参考事情になるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような、農地法の転用許可をはずしておるという関係からまいりますと、日照権の問題は出てまいりません。ただ、都市環境としての緑地である以上は、都市環境としての緑地であるために必要な程度における日照権の問題は当然あり得るはずである、こういうふうに思うわけでございます。  それから、先生の次の御質問の暫定農地と申しますかの問題につきましても、先ほど来申し上げておりますように、都市環境の上から見ての緑地という観点からこの問題に対処する以上は、ある程度の規模ということが必然的なものとして出てくるのではないだろうか、こういうふうに考える次第でございます。
  51. 小山省二

    ○小山(省)委員 時間でございますから質問はやめますが、発言力の弱い農民の利害関係に大きな影響を持つ法案でございますから、できるだけ慎重に内容の御検討をされまして御決定を願うように特にお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  52. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 諫山博君。
  53. 諫山博

    ○諫山委員 いわゆる農地に対する宅地並み課税が、都市農業近郊農業にどんなに壊滅的な打撃を与えるかということは、昨年の地方行政委員会審議などでつぶさに指摘されています。  私が東京都で調査したのでありますが、東京都の農地の評価額が宅地並み課税でどのくらい急上昇するか。この問題で、たとえばA農地については区部で六百九十六倍になる。これは昭和三十八年から四十八年までです。三多摩地区では六百三十倍になる。B農地については区部で四百倍になる。三多摩でやはり四百倍になる。そのほかC農地についても同じような統計が算出されています。そこで、こうして宅地並み課税が進行するとすれば、どの時点で農業所得が課税額に追いつかれるのか。この点についても東京都は詳細な調査をしています。これを見ますと、白菜とか甘藍は昭和四十八年度で赤字になってしまう。四十九年度で赤字になるのは、ネギとかホウレンソウとかコマツナだ。五十年度でだめになるのがナス、キュウリ。そして昭和五十一年になりますと、すべての東京都の野菜農業所得を課税額のほうが上回ってしまう、こういう数字が出ています。  これは東京都の数字ですが、東京都以外の都市農業についても大体同じような傾向が出ていると思いますが、農林省では、東京都以外ではこの点をどう見ておられましょうか。
  54. 齋藤稔

    齋藤説明員 そういう観点からの調査はしてございませんので、残念ながら把握してございません。
  55. 諫山博

    ○諫山委員 宅地並み課税都市農業にどういう影響を及ぼしてくるのかということを、統計的に調査していないのでしょうか。
  56. 齋藤稔

    齋藤説明員 統計的な調査はいたしておりません。
  57. 諫山博

    ○諫山委員 宅地並み課税が農民にとってどのくらい大きな打撃を与えるかということがこれだけ深刻な論議になっているというのに、なぜそういう調査をしないのですか。統計としてその数字を把握していないとすれば、傾向としてどういう状態が出てくるかということは承知していますか。
  58. 齋藤稔

    齋藤説明員 私どものほうで所管しております野菜についてでございますが、これは、いわゆる市街化区域というふうに限定をいたしました調査は、先ほど申し上げましたように、していないのでございますが、全体の統計の傾向からいたしまして、いわゆる都市近郊地帯におきます野菜が逐次後退してまいっておる、そういう動向は把握しております。
  59. 諫山博

    ○諫山委員 私の調査では、東京都ではすでに四十八年度で白菜とか甘藍とかレタスも赤字になる。五十一年になればすべての東京都の野菜は税金のために赤字になってしまう。こういうことも知らなかったのですか。
  60. 齋藤稔

    齋藤説明員 先ほど申し上げましたように、全体の傾向といたしましては、相当長い期間をとりましてもそういうことになりますし、また最近その傾向が強まっておるということは把握しておりますけれども、それにはいろんな要素があるわけでございまして、特に税金の関係でどうなっているという実態は把握してございません。
  61. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、あなた以外にも農林省の中で、これだけ騒がれている宅地並み課税によって都市農業がどういう影響を受けているかということを、統計的に把握している人はいないのですか。日本の農林省に一人もいないのですか。どうでしょう。
  62. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 私ども農林省の農林水産技術会議事務局編の資料を見ますと、〇・一ヘクタール、つまり反当たりでございますが、施設野菜、これは温室、ビニールハウス等によるキュウリ、トマト等でございますが、これが純益で七十五万円ぐらい出ると聞いております。それからカーネーション等の花卉になれば百万をこす。それから一般野菜、春菊、ホウレンソウ、ミツバ等の場合に、反当たり五十万ないし七十万の収益をあげるというふうに述べられております。  一方、宅地並み課税のほうは、四十八年評価額でも、評価額満額にいきましても、いわゆる時価、取引価格の半分まではいかない。宅地であっても四割ぐらいということですが、かりに半分ぐらいと計算いたしましても、この税率によって計算すれば、何年間か段階的に宅地並みになり切ったところで計算して、ちょうど時価が坪当たり十万円の場合に、税額が〇・一ヘクタール当たり、反当たり約十万円になる、こういう関係であります。もちろん評価額が坪当たり十万円より高いところもあるでしょうが、二十万円ということならば税額も二十万円になる、こういう計算でありますので、この四十八年度評価額でいく限り、まだ少なくとも普通の野菜等の栽培について赤字になるということはなく、純収益の中から税金で取られてしまう分がいままでよりは格段にふえる。ふえるといいましても、そういうふうに、純収益額の二割とか三割とか、あるいはそれ以下とか、そんな程度だと思います。
  63. 諫山博

    ○諫山委員 昭和五十年度、昭和五十一年度にどうなるかということは計算してみましたか。問題はその時期です。
  64. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 五十一年にどうなるかというのは、固定資産税の評価額は三年ごとに見直すことが原則でありますから、四十五年の次に四十八年に行なったわけでありまして、その次の評価額が五十一年になされるのではないか。ところが、このときにどのような評価になるか、これはなかなか見当もつきませんし、何といっても課税上の評価でありますから、時価そのものの推移に完全にスライドされて評価されるものかどうか、その点は私どもわかりませんが、そのときの——いま申し上げましたのは、四十八年の評価額を基礎に農業収益も現時点での計算ということでありまして、全体の物価体系が変わればまた必ずしも何とも言えない、こういうことでございます。
  65. 諫山博

    ○諫山委員 私は東京都でいろいろ事情を調べてきたのですが、東京都では、私がいまあげたような数字を算出して、都市近郊農業がたいへんになるというので大騒ぎをしております。ところが肝心の農林省がこの点についてはきわめて不熱心だ。日本の農業を守らなければならない農林省自体が成り行きまかせの態度であるということを非常に遺憾に思います。  そこで、さらに福岡市について二、三調査してみました。福岡市は、野菜の年次増産計画というのを立てて、次のような数字を算出しています。昭和四十七年度は福岡市民の食べる野菜の六〇%が福岡市内で生産されている、これを五十年度には七〇%にしたい、五十五年度には八五%にしたい。つまり福岡市民が食べている野菜の大半を福岡市内で生産できるようにしたい、こういう方向を打ち立てております。しかし、いわゆる宅地並み課税がもろにおぶさってくれば、こういう計画が根底からくずれてしまうのではなかろうかということを市当局も心配しているわけです。こういう年次計画というのは、農林省のほうでは立てられていましょうか。
  66. 齋藤稔

    齋藤説明員 そういう地区別、具体的な計画は立てておりません。
  67. 諫山博

    ○諫山委員 農産物では、畜産についても、林産についても、それぞれ何年度にはどのくらいの年産にしたい、何年度はどのくらいを生産したいという年次計画を立てているわけですが、野菜についてはどうしてそれがないのでしょうか。
  68. 齋藤稔

    齋藤説明員 個別具体的な計画ということではございませんけれども野菜につきましては、御承知のように、指定産地制度がございまして、その点につきましては将来の見通しというものは持っております。
  69. 諫山博

    ○諫山委員 都市あるいは都市近郊での野菜は、ふやすつもりですか、減らすつもりですか。
  70. 齋藤稔

    齋藤説明員 全体といたしましては、指定産地のいわゆる指定消費地に対する供給割合というものを高めてまいる方向ではございますが、ただいまお話しのありましたいわゆる都市近郊というものの取り方につきましてもいろいろ変わるわけでございまして、いわゆる都市地帯の供給割合がどうなるかということにつきましては、ここで具体的にお答えするわけにはまいりませんけれども、先ほども申し上げたわけでございますが、全体といたしましては、農林省で統計上とっておりますいわゆる都市近郊地帯の野菜生産が非常に衰退の傾向にあるということでございますので、私どもといたしましては、本年度御審議を願っております予算にも、都市近郊野菜生産実態を把握いたしますとともに、とりあえず当面、同じく本年度の予算に、指定産地につきましては、これは市街化区域は含めない、そういう方針で来ておりますけれども、それとは別に、市街化区域をも含めまして、指定産地規模には達しない地域でも、郡市近郊野菜につきまして、価格が下がった場合の補てんの措置、あるいは生産出荷につきましての施設の助成等につきまして、指定産地に準ずるような措置考えてまいりたい、そういうふうに考えております。
  71. 諫山博

    ○諫山委員 都市及び都市近郊野菜が衰退の傾向にあるということを言われました。これはだれでも知っております。問題は、農林省がその衰退を食いとめてさらに増産しようとする方向にあるのか。それとも都市及び都市近郊野菜というのは見殺しにするつもりなのか。結論はどちらです。
  72. 齋藤稔

    齋藤説明員 先ほども申し上げましたのですが、都市といいましても、取り方にいろいろございますので、簡単には言えないわけでございますが、いずれにいたしましても、産地の実態を把握いたしまして、野菜供給という立場から、もし今後の見通しとして、これが避けられないということであれば、産地の移転ということも考えなければなりませんし、また現在時点におきまして施策を講じまして、今後とも増大の可能性がある地区につきましては、その方向を、先ほど申し上げましたようなことも含めまして考えてまいる。いずれにいたしましても、実態を把握しまして、これを再編、整備をしていく方向で考えておるわけでございますが、現時点におきまして、それではどこの区域野菜生産を今後どういうふうに持っていくのだということを具体的に申し上げる段階にはないわけでございます。
  73. 諫山博

    ○諫山委員 農林省はあまりにも怠慢過ぎはしませんか。これだけ事態が深刻になり、農民団体もさまざまな動きをしているのに、いまから実態調査します、その上で政策を検討しますという、これでは政策と言えないじゃないですか。  福岡市の例に戻ります。福岡市は、市内の野菜作付面積が昭和四十七年度で九百三十ヘクタールある、これを五十年度には千にしたい、五十五年度には千二百にしたい、こういう方向が出ておりますが、宅地並み課税あるいは生産緑地法がそのまま進行していくとして、こういう計画は実現できると思いますか。だめになると思いますか。答弁をお願いします。
  74. 大山一生

    大山政府委員 私からお答えするのが至当かどうか存じませんが、先ほど来申し上げておりますように、宅地並み課税は三大都市圏についてでございまして、福岡の場合には宅地並み課税の問題はないわけでございます。  ただ、先ほど来申されております、野菜に対します農林省の姿勢ということで申し上げますならば、傾向といたしましては、都市近郊から中間地帯あるいは遠隔地帯というかっこうに野菜生産が変わっていく、こういう傾向というものは、これは否定できないと思います。これは先生も御指摘のとおりでございますが、ただ、それらの地帯の中におきましても、特定時期の特定野菜というかっこうで相当大きなウエートを都市近郊において持っているということも否定できないわけでございます。そこで、都市近郊という中におきまして、いわば市街化調整区域を中心にいたしまして、そこにおいて、野菜も含めた農業の基盤整備、あるいはその他の施策を集中するかっこうで都市近郊における農業の振興をはかってまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。  ただ、市街化区域内の農地ということになりますならば、これは農地法上の転用というようなものもはずしているというようなことも踏まえまして、経過的な措置というかっこうで、いわば立地条件を利用した農業が存続しているという意味におきまして、営農指導でありますとか、病害虫の防除でありますとか、こういったような施策。さらに、今度第一種生産緑地というものが指定されますならば、それに対する融資等の措置も講じまして、そしてそれらの地帯、いわば市街化区域内の農地というものも農業が存続する限りにおいては振興をはかっていく。しかしながら基本的には、都市近郊農業の中としては、その中にあります市街化調整区域、そこを農振地域指定するかっこうにおいてそこのいわば振興をはかってまいる、こういうのが農林省の基本的考え方でございます。
  75. 諫山博

    ○諫山委員 この法律が成立して実施に移されたとして、都市及び都市近郊農地面積はどういう影響を受けてくるのかということは計算をしていましょうか。
  76. 大山一生

    大山政府委員 市街化区域内にございます農地は二十八万ヘクタールでございます。その二十八万ヘクタールの農地というものが、この生産緑地という問題との関連においてどういうふうなかっこうになってまいるか、この点につきましては、むしろこれは都市サイドといいますか、都市環境保全という角度の問題と、それからそこにおります農民の意思というかっこうにおいて固まってまいるわけでございますので、その二十八万ヘクタールの農地がどうなっていくかということについては、われわれとしては判断する材料はございません。ただ、市街化調整区域の中、特に大半が農振地域に入っておりますので、これは農地法によりまして優良農地は確保してまいるという従前の姿勢には何ら異なるわけではございません。
  77. 諫山博

    ○諫山委員 市街化区域農地がどういう影響を受けてくるのかということは見通しが立たないのでしょうか。それとも調査をしていないのですか。
  78. 大山一生

    大山政府委員 後ほど資料で申し上げてもいいわけでございますが、四十七年でございますか、農地の転用が六万三千七百ヘクタール、その中で市街化区域がたしか一万五千ヘクタール程度になっております。ここのところ、市街化区域内全体といたしまして六、七万の農地の転用がございますが、その中において、市街化区域における農地の転用というものは急速にふえている。この傾向値をもってするならば、市街化区域内の農地の減り方というものは相当大きな規模で進んでまいる、こういうのが過去の傾向から見る方向でございます。ただ、今度の生産緑地という問題がこれにどういうふうな影響をしてくるか、これにつきましては、農民の全員の意思という問題が一つかぶってまいりますので、いまの段階でどういうふうな傾向になるかということを推定することは不可能だというふうにわれわれは考えているわけでございます。
  79. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると結論的に、この法律によって市街化の農地面積が減るのか減らないのか。農林省としてはわからないのですか。
  80. 大山一生

    大山政府委員 先ほど来申し上げておりますように、いままでも市街化区域内において農地の減る傾向は顕著であった。今度の法律によってその減る傾向がどういうふうに緩和といいますか、減る傾向が減ってくるかということは、今後のこの法律に基づく農民の対応のしかたその他によって異なってまいる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  81. 諫山博

    ○諫山委員 それはあまりにも無責任じゃありませんか。農業に非常に密接な法律がつくられる、この法律ができ上がった場合に日本の農業にどういう変化が出てくるかということは見通しも立たない、農民の意向次第だ、これで計画的な農業政策が打ち出せましょうか。さらに、野菜の供給がわずかでも減少すれば、都市野菜の消費者価格がしばしば暴騰するということを私たちは何回も経験いたしました。都市野菜の消費者価格がこの法律によってどういう影響を受けるのか。それとも何らの影響も受けないのか。農林省としては調査していますか。
  82. 大山一生

    大山政府委員 市街化区域、これは都市計画法上、計画的、優先的に市街化を促進する地域ということでございまして、都市計画法上の市街化区域市街化調整区域というものを線引きする場合におきまして、優良農地の確保という観点からわれわれのほうはわれわれなりに判断し、また市街化ということへの立場から建設省建設省なりに判断し、両者の間の協議した結果がいわゆる線引きというかっこうになるわけでございます。したがって、その線引きされました暁におきます市街化区域というものは、これは市街化を促進すべき地域。その市街化の中には、生産緑地というような環境の問題も当然入ってくるわけでございますが、いずれにいたしましても市街化を促進する地域ということで、農地法上のたてまえにおきましても、いわば一般農地のような転用許可というような制度をはずしているわけでございます。したがいまして、その限りにおいては、われわれが農業施策を重点的に施行すべき地域という中には市街化区域は入っていないわけでございます。  ただ、現実にそこに農家がおり、そして立地条件を利用した野菜等の生産をやっているということにおきまして、その農業の振興のといいますか、農業のために、たとえば病虫害防除でありますとか、先ほど来申し上げるような施策をしてまいる、こういうふうなことであるわけでございます。したがって……
  83. 諫山博

    ○諫山委員 委員長、ちょっと発言をやめさせてください。私の質問したことになぜ答えませんか。私が聞いているのは、この法律によって都市野菜の栽培面積がふえるのかふえないのか、影響を受けるのか受けないのか、調べているかという質問に対して、なぜほかのことばかり答えますか。審議官、いまの質問に対してはどうでしょうか。影響を受けますか、受けませんか。
  84. 齋藤稔

    齋藤説明員 野菜生産の問題につきましては先ほども申し上げましたが、昭和四十四年にこの都市計画制度の始まります時点で、農林省といたしましては、対策の当否、あるいは事業をどうするかということについて基準をきめておるわけでございますが、その際は、いわゆる指定産地につきましては市街化区域は対象にしない方針でまいっておるわけでございます。野菜生産全体につきまして、いわゆる指定消費地における指定産地ということで、野菜の主要品目につきましては、そういう形で将来の需給見通しを立て価格の安定をはかってまいるということでございますので、そういう点におきましては、市街化地域内における野菜生産の問題は一応関係がないわけでございますけれども現実問題といたしまして、そういう指定品目以外に、特にいわゆる軟弱野菜等につきましては、特定時期におきまして非常なウエートを持っておるわけでございますから、現実に市街化地域における農地関係制度がどうなるかということによりまして、その点におきましては影響が出るというふうに考えるわけでございますが、先ほどから申し上げましたように、その点につきましての具体的な調査というものは本年度の予算で計上しているということでございまして、的確な把握はいたしておりません。
  85. 諫山博

    ○諫山委員 お二人とも長々と説明されましたが、私の質問には答えておりません。おそらくまともに答えることができないからだろうと思います。私が聞いているのは、何回も繰り返しますように、この法律でどういう影響が出るのか、それとも影響が出ないのかという子供でもわかるような質問ですが、それにまともに答えないというのは、おそらく農林省が責任ある答弁ができないからだと思います。
  86. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 農林省へのお尋ねでございますか、建設省から見ました場合に、少なくともこの法律は、市街化区域の中でも一定の要件の農地一定期間あるいは長期的に保全することができる道を新たに開いた法律でございますから、この法律によって農地の壊廃の傾向が進むということはあり得ない。これは理論的にそうあり得ないわけでございまして、方向としては農地の壊廃のスピードをゆるめるという方向でありますが、それがどの程度に作用するかという点では、同意要件もあり、農林省御当局としてもなかなか見通しが立ちにくい、こういうことだろうと思います。
  87. 諫山博

    ○諫山委員 農林省質問しているのを、農林省が答えずに建設省が答えてくれたんですが、農林省も同じ結論ですか。あまりにも権威がないじゃないですか。私の子供でも答えられるような質問に、農林省の最高首脳部が答えずに建設省が答える。これは農林省の責任分野ではないんですか。先ほどから聞いていることに答えてください。ほかの説明はいいですから。
  88. 齋藤稔

    齋藤説明員 野菜の問題につきましては、先ほどお答えしたとおりでございます。
  89. 諫山博

    ○諫山委員 影響が出るんですか、出ないんですか。出るんだとすれば、野菜栽培面積がふえるんですか、減るんですか。
  90. 齋藤稔

    齋藤説明員 方向といたしましては、農地の問題と同じでございまして、減るという方向には働かない、むしろふえる方向に働くんではないかというふうに思います。
  91. 諫山博

    ○諫山委員 非常に根拠のない答弁が出たと思います。  今度は問題を変えまして建設省にお聞きします。  いわゆる宅地並み課税課税標準の決定に対して、全国で幾つかのところで不服審査の申し立てがなされ、その審査がされております。その一つとして、福岡県の例でありますが、福岡市西区大字原というところの西尾貞見さんの問題が昨年の十二月三日に審査されました。そこで提起されたのは、いわゆる宅地並み課税ということの対象に予定されている土地でありますが、ここへ家を建てようとして建築許可の申請を出したところが、道路に面していない、あるいは川があるのにそれに橋がないということで、結局建築の許可がなかなかおりない。建築するためには自分で百万円の金を出して橋をつくらなければならなかった。さらに、道路をつくるために他人の土地まで買い受けなければならなかった。これでは宅地並み課税というけれども宅地としても利用できないではないかという問題が指摘され、同じ機会に福岡市の西区片江東町の花田信雄さんという人から、自分の土地に家を建てようとすればこの土地は家が建てられるかと、特定土地を提起して質問しましたところが、どうしても道路をつけないと建てられないということで、建築基準法との関係がいろいろ論議されたようです。そして結論として、宅地並み課税だというけれども宅地としても利用できないじゃないか、どうなるのか、こういう問題が提起されて、この審査会はこの問題のために審査が中絶状態になっているという事態が起こっております。実際に建築基準法上そういう問題が起こってくるのかどうか。いかがでしょうか。
  92. 沢田光英

    ○沢田政府委員 先生いまおっしゃいました事例につきまして、さっそく福岡市のほうに調べておるわけでありますけれども、確認申請がまだ出ておりませんし、農地のほうに聞きましてもなかなかわからないということで、具体の話はつまびらかでございませんが、しかし建築基準法だけの立場から申しますと、その敷地を宅地として利用しここに建築をする場合には、これは利用された段階におきまして、一応安全にしかも利便がかなり得られるというかっこうで建てなければならないということからいろいろな条件が付されますが、その中の一つに、道路に二メートル以上接しなければいけないという規定がございます。たまたま利用しようとする現在の敷地が道路に二メートル以上接しておらなければ、これは私道を指定をいたしましてそれが公道に接するようにする、公道までつなげるようにする、かような手続でやっておるわけでございます。  この際、新たな宅地開発されてこれを利用する場合には、通常いわゆる市街化区域内におきましては、幹線の施設、これは公的な金で整備をされる。幹線以外のものは、新たに宅地を利用しようとする場合には、いままでのやり方といたしますれば、その地域区画整理ということで受益者が幹線以外の日常の道路というものを減歩で供出をいたしまして、それによってその地域の道路に関する利便をはかる、かようなことでございますが、そういう区画整理か何かのお話し合いがないままにその敷地を個々に利用しようとする場合には、やはりこれにつきましては利用していただくようにしなければいけません。その場合に、私が先ほど申し上げましたように、建築基準法の四十二条によりまして、道路に二メートル接する、かようなことが規定としてございます。これによって、おそらくその話は、現在道路に接しておらないから私道を指定していただかなければならない、かようなことを申したのではないか、かように思います。
  93. 諫山博

    ○諫山委員 建設大臣質問します。  これが農民に対する非常に苛酷な法律であるということを、私たちはいわゆる宅地並み課税のころから論議してまいりました。そして宅地並み課税といわれながら実際は宅地としても利用できないのが大部分だということが、不服審査の中で明らかになっているわけです。農地として利用しようとしても、税金のほうが高くなってとても採算が合わない。それなら家を建てられるかというと、これは建築基準法その他の別な法律で当然の制約がありますから、宅地としても利用できない。困ってしまっているわけです。これでは都市の農民があまりにもひど過ぎるという声を出すのは当然だと思いますが、そういう状態に都市近郊の農民が置かれていることを建設大臣は御存じでしょうか。
  94. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 よく存じております。
  95. 諫山博

    ○諫山委員 この場合に、農民があまりにも踏みつけにされ過ぎているというふうに考えませんか。
  96. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私は、都市近郊農民ならず東北農民があまりにもしいたげられて、これを改善したいということで代議士になった一人です。したがいまして、まあ農民魂と申しますか、百姓精神と申しますか、そういうものは痛いほどわかるつもりでございます。  たまたま今回、都市問題と農村問題との接点において起きた問題、これがいろいろな形で、税法になったりあるいは今回のこの生産緑地法という法的措置になってまいったということは、この接点において非常にいろいろな角度からの農村問題、都市問題が入り込んで起きておることは御承知のとおり。いま御指摘いただいたこともその一つであろうと思うわけであります。これらの問題をどのように解決するかということは、やはり建設省建設省としての立場ばかりを主張しておりますと、従来の都市計画法ということであったわけでございますし、まあ農林省農地法ということで、農地には建設省は一言も手を触れられない、こういう形で土地問題として今日まで来ておるわけであります。しかるところ、大都市におきましては、住宅問題等も非常に大問題となってきましたために、どうしてもこの都市問題と農村問題との調整をはからなければならないということになってきたわけでございます。  しかし、建設省で計画したとおりに農家の方が協力してくれるかということになりますと、これはなかなか協力が得られない。また農家のほうは農家のほうとして、農地のまわりにどんどん住宅が建っていく、農業をやる上においても非常にやりにくくなってくる。そこで政府といたしましては、農業を専心してやってもらう農業区域調整区域市街化区域、こう分けようということで利用区分をしたわけでございます。その際にも、調整区域という農業を専心やっていただく地域と市街区地域と、その分けるときに、諫山議員の言われたように、農業者をほんとうに保護して、先ほども農林省から答弁があったような線で農家を大いにバックアップする政策をする地域と、また都市側の要請の強い市街化区域をきめるにあたりましても、その点についてはずいぶん議論をした上で線を引いたわけでございます。  ところが、市街化区域と、こう政府並びに各自治体がきめたわけでありますけれども、その中で農業を営む農民諸君は、これは農業振興地域農業を営んでおる農民諸君とちっとも変わらない気持ちで農業を営んでおる。この農民諸君宅地並み課税という問題に対して非常に強い反発の姿勢を示したことも私は十分心得ておるわけでございます。しかし一方、住宅にあえいでおる都市勤労者の立場もわれわれ政府としては考えなければならないということであのような税法措置をとってきたわけでございます。  しかるところ、国会のほうにおいて、あの法案を通します際に、都市計画をする際に日本の都市は、都市公園とかなんとか建設省はいろいろ努力しておるようであるけれども、まだまだ少ないからもっと緑地を大きくするという立場で検討してみろ、こういう国会からの御指摘がありましたから、その御指摘によって一年間検討をした結果、この生産緑地法案を提案をいたした次第でございます。むしろ、市街化区域指定になる際に、市街化区域からの農民の反発がもっとあったならば、こういう轍を踏まずに済んだのではないかという気持ちも、私は実は建設大臣に就任してこの法案審議するにあたって感じたこともあるわけでございます。  しかし、市街化区域の中で、農業でしか食っていけない、ほかに転業しろといわれてもにわかに百姓以外には生きるすべがないという方がおられるわけでありますから、そういう方々のためには、幸い建設省としても、都市計画を進めていく際には、もっともっと緑地をふやしたい、ほんとうに良好な環境のある都市をつくってまいりますためには緑地をふやさなければいかぬ、これからつくる区画整理都市計画をやるところはそういう立場でやっていこう、緑地であれば、農業というもの、農産物の栽培されておる緑地でも同じ緑地じゃないか、それなら積極的に農家の方々の協力をいただいてということでこの法案を制定いたしたわけでありまして、都市農家諸君を踏みつけておるというような気持ちは、私どもはさらさらないわけであります。やはり何とかして市街地の中でも建設省要請も生かせる、農業者立場も生かせるというその調整点が、国会の御指導によってこの生産緑地法案というものに誕生した、こういうふうに考えておりまして、今後も私ども都市側から、市街地農業はいろいろ制約を受けるでございましょうが、しかし制約は受けても、農業しかできないという立場農業者の方々による農業経営というものは、これは今後確保されてまいる、私はこういうふうに考えておるわけであります。
  97. 諫山博

    ○諫山委員 時間が来ましたが、最後に一言意見と要望を申し上げます。  私は、この市街化緑地法というのはいわゆる宅地並み課税の延長線上にあるものとして、宅地並み課税と結びつけながら質問しました。この中で一番憤慨にたえないのは農林省の態度です。これがどういう影響を及ぼすのかということを全く調査もしていないし見通しも立てていない。これで日本の農業に責任が負えるのか。私はほんとうに憤慨にたえません。この点は農林水産委員会でもっとこまかく議論したいと思います。  建設大臣に希望したいのは、都市勤労者に対する住宅の確保というのは非常に大切なことです。しかし、大企業の不当に買い占めた土地をどういうふうに放出させるかというのがいま緊急な課題で、この問題を抜きにしては宅地の解決はできないということを要望として申し上げて、質問を終わります。(拍手)
  98. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小川新一郎君。
  99. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はこの問題は大きな問題が含まれておると思いますが、第一点に、都市問題と当該地方公共団体の持てる固定資産税の問題、そして農業問題、これがミックスしていま混乱錯綜しているところに問題が起きておると思うのです。  そこで、まず建設大臣お尋ねいたしますが、都市計画法というのは三大都市圏だけに限るものではない、これはもう御存じのとおりです。そういたしますと、生産緑地の定義をこの都市計画法上に入れるとすると、三大都市圏以外にもこういった生産緑地という問題が出てくる。それと固定資産税の宅地並み課税とはどう関連が出てぐるかという問題が出てきます。そこで私は、農地宅地並み課税というものは三大都市圏以外にも広がるおそれが出てくると思いますが、法的に見てどういうふうにお考えですか。
  100. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私、国務大臣といたしまして、宅地並み課税は三大都市圏以外には伸ばすべきではない、こう思っております。そう信じております。
  101. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういうことは法律上許されますか。都市計画上に生産緑地というものをうたって、片面において三大都市圏の固定資産税のあめ的な考え方で発想したんだったら、三大都市圏以外の市街化区域における生産緑地制度というものは当然起きてくる。気持ちの上ではそうであっても、なぜそれじゃ三大都市圏だけ固定資産税を農地宅地並み課税にするかという問題になってきます。それはいままでは都市計画法の中にこの生産緑地の定義が正式に入らなかったからそれでよかった。今回、都市計画法上に生産緑地の位置づけというものがうたわれてくると、今度はそういうわけにいかなくなりますよ。この点の矛盾についてどうですか。
  102. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 小川委員の御指摘もわからないわけではありませんけれども、先ほども申し上げましたように、私どもはたまたま、宅地並み課税にあえぐ三大都市圏の農家諸君立場ということも理解したことをやってやらなければいかぬぞという国会附帯決議をちょうだいしていろいろ検討したわけでございます。そうした検討をいたしておる際に、実は私ども建設省自身も、とにかく緑地というものを都市に一ヘクタールでも多くしていかなければならない、ましてや一人当たり緑地面積、公園の面積なんというものは国際的に見て非常に恥ずかしいような状態にあるということで、積極的に公園五カ年計画もつくっておるわけでございます。この趣旨を生かすためにも、この生産緑地という、せっかく国会からお示しいただいたわけですから、このチャンスはまたとないチャンスであるということで、この政策を積極的に取り上げるべきであるということで、実は全国の都市にこれを適用してまいろうということでやりましたわけで、実は宅地並み課税とは全く私ども発想を別にして実はこの立法措置に取りかかったことも、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  103. 小川新一郎

    小川(新)委員 その話になりますと、建設大臣と私は絶対意見が違ってきちゃうのです。公園緑地をつくることが建設大臣の至上任務です。生産緑地などという問題じゃないのです。あくまでも都市計画法上、都市サイドからいくんだったら公園緑地です。そのために調整区域市街化区域を分けたのですから。ただ、そう単純に割り切れないいまの日本の農業の問題、そして食料の問題。また建設省御自身だって、公園緑化の予算措置がたいへんであるということで、はっきり私が勘ぐっていえば、生産緑地の名をかりたところの、都市の定義の中に空閑緑地というものの事づけである、ごまかしにすぎないようにもさえ感じるぐらいなんです。本来私ども都市住民のサイドからいけば、公園緑地があって、そこで散策をし、お年寄りや子供が遊べる空閑地でなければならない。そして緑がなければならない。食料とは全く別な考え方から述べていかなければならないのです。  ところが、いまの日本の農業政策というものは、いまもお話があったように、そう単純に割り切れないところに問題が出てきている。そこで建設大臣としては、そういうものを法的に今度は組み込まれた。そうなってきますと、じゃ二つの質問をしたいと思うが、一つは都市計画法上の市街化区域内のA、B、C農地の利用計画、特に緑化公園区域の緑化計画後、どれくらいにしてこれを公園緑地にして、公共投資をどれぐらいにするのか。その次に、三大都市圏の固定資産税の問題の起きてきた地域についての緑化の計画はどうなのか。これは建設省、専門的にひとつお答えいただきたいです。
  104. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 全国市街化区域百二十万ヘクタールの各種公共施設の整備計画、なかんずく公園緑地整備計画のお尋ねでございます。非常に広い面積を計画しておりますので、なかなか進捗の悪いことは事実でございますが、私ども、大体昭和六十年時点の計画区域内、市街化区域内人口というものを想定しまして、これに一人当たり九平方メートルという建設省長期構想の数字を当てはめて公園緑地を計算いたしますと、約十万ヘクタール程度必要になるわけでありまして、それに対して現在の整備が二万五、六千ヘクタール、つまり二五%程度のものでございます。したがいまして、その残りを何とか昭和六十年ごろまでにおおむね整備するということを建設省の目標としても定めておりまして、今後いろいろ予算上の強力な裏づけというものが必要だ、こういうことでございます。
  105. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたすと、もう一点お尋ねしますのは、二十八万ヘクタールの市街化区域内の農地といわれているA、B、C農地の中で十万ヘクタールが公園にとられると、あとの宅地はどれぐらいとるのですか。
  106. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 十万ヘクタールと申しましたのは、市街化区域全域の百二十万ヘクタールに対しでございます。
  107. 小川新一郎

    小川(新)委員 ちょっと待って。私が質問しているのは、市街化区域内の中の農地、俗にいまいう空閑地ですね。生産緑地指定して、ここに都市住民のいこいの空閑地と食料の立場と二つの目的でいまやっている。地行のほうの立場からいけば固定資産税の問題も出てくるのですが、それはさておいて、二十八万ヘクタールの農地の中で、建設省が計画している公園緑地はどれくらいあるのか。その次にこの二十八万ヘクタールの農地からどれぐらい宅地計画があるのか。要するに住宅行政に寄与するのか。この二つの面積が知りたいのです。
  108. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 私ども、大体現実に市街化されていく過程で最小限必要な公園面積としては、その面積の三%くらいということを考えておりまして、これは、都市計画法の開発許可基準であるとか、土地区画整理事業の最低基準として行なっております。したがって、これは農地といわず、すべて市街化に伴いまして最低限その程度の面積が確保されていく必要があるという意味で、農地も同じ率をかければ二十八万ヘクタールの約三%、八千ないし九千ヘクタールということになると思います。
  109. 小川新一郎

    小川(新)委員 宅地のほうは。
  110. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 なお市街地を形成するのに通常必要と考えられておりますのは、いまのように公園緑地等で少なくも三%のほか、大きく街路等が必要であります。下水道などは大体街路の下にありますから、処理場以外はことさらに用地が要らない。その他に各種の公共、公益施設もありますが、そういうものも一種の宅地と見まして、やはり二〇%あるいはそれ以上のものが公共施設として要るだろうということを計算しますと、宅地化面積というものはおおむね八割以下、その程度で、公共施設率の高いほど良好な市街地とはいえるけれども、そのかわり宅地としての供給量はやや減る、一坪当たりも高くつく、こういう関係にあります。そういうことで計算しますと、かりに八〇%と見れば、二十八万ヘクタールのうちで約二十二、三万ヘクタールというものが宅地としてやがては供給されると思います。
  111. 小川新一郎

    小川(新)委員 ここではっきりいたしましたことは、市街化区域内のA、B、C農地二十八万ヘクタールのうちの八〇%以上公園と住宅にとる。そうしますと、約二十万ヘクタールというものは市街化区域内の市街化に必要な用地である。そういたしますと、先ほどお答えいただいたような近郊都市野菜などというものはほとんど全滅ですね。これははっきりしているのです、いまこうはっきり数字が出てきたわけですから。どうしても必要なんです。そのための布陣におけるところの、都市化サイドにおけるこれは法律である、こう理解いたしますと、三大都市圏だけの生産緑地でないということになれば、当然三大都市圏以外にも伸びていかなければ八〇%は確保できませんよ、建設大臣。そうなれば、固定資産税の宅地並み課税というものは、あなたが好むと好まざるとによらず同じ条件下に公平になっていくわけです。そういう前提のもとにこの法律が出てきているのかどうかということなんです。いまの計算でいけば、まさか三大都市圏だけ八〇%というわけじゃないのであって、市街化区域全域におけるところの八〇%が、これから六十年までに公共下水道、公園、都市緑化地域、それから住宅宅地用地に必要である、こういう計算に立って、その間生産緑地というものを過程的に認めていくのだ、こう理解してよろしいですか。
  112. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 実は百二十万ヘクタールという総体的な規模自体が、かなり人口密度をゆるく、一ヘクタール当たり六十人程度というふうに試算して、それで現在の必要量を出したわけです。ところが、実際に市街化される従来の傾向、おそらく今後も変わらないと思いますが、その百二十万ヘクタールがまんべんなく一様にそういう低い密度で市街化されるのではなくて、既成市街地では百人ヘクタールとか、団地等になりますと百二十人、百四十人ヘクタールのところも多いわけでありますから、少なくとも百人や九十人ヘクタールぐらいでは市街化されていく、こう考えますと、実は百二十万ヘクタールのうちでも相当数、たとえば三割ぐらいのものは、宅地としては切りかわらないで依然として農地、山林等として残っていく。それでもいまの将来構想の面積に達する、こういうことでございます。しかし、やはりそういった余裕がありませんと、すべてシラミつぶしに農地宅地化されていくということではないし、そのような強制措置も何らないわけでありますから、自然的な都市の発展形態というものを考えたときに、やはりその程度の用地は必要だということでありますので、これを要するに、百二十万ヘクタールの中に、農地として、あるいはその中で一定規模要件等に該当するものを生産緑地として包含しつつ、かつ公共施設用地もとり宅地としての必要量もとるということは十分可能だ、こういうわけでございます。
  113. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、百二十万ヘクタールが多かったというふうに私ども理解するのですね。建設省は当初八十万ヘクタールぐらいだ、それが農民団体の圧力で百二十万ぐらいになったなんという答弁を聞いたことがありますが、そういたしますと、線引きの手直しということは、都市計画サイドから見た場合は縮小すべきであるということにもなるじゃないですか、あなたの理論からいけば。だから私は、そうでなくて、いまの線引き範囲内における二十八万ヘクタールのA、B、C農地のうち、都市化するために必要な都市公園、緑地面積、公共下水道の面積宅地面積は何%なんだ。先ほどの共産党の方の裏からいって私はいま質問しているわけだ。農地が幾らといっているのじゃないのです。逆に都市に必要な土地は幾らだと差っ引けば、農地の必要量は出てくるじゃないですか。質問の要旨がわかりますか、私が言っておる。だから百二十万ヘクタールの市街化区域全域の中のA、B、C農地の約三十万ヘクタールのどれぐらいの面積が公共事業に必要なのか、都市的なサイドの公共事業に必要なのかということが聞きたい。  それともう一点は、固定資産税の宅地並み課税は三大都市圏以外には広げないのか。これを二つ、これは大事なことですから大臣にお聞きしたいのですが、いまの御答弁を聞いていて、どうですか。端的に簡単でけっこうです。
  114. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 三大都市圏以外に宅地並み課税を広げるということは、先ほど答弁したとおりでございます。
  115. 小川新一郎

    小川(新)委員 先ほど答弁したということは、しないということですか。
  116. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 さようでございます。もう一つのことはちょっと聞き漏らしましたのですが、局長から。
  117. 小川新一郎

    小川(新)委員 それではもう一ぺんお尋ねしますと、三大都市圏以外には農地宅地並み課税は当分行なわない、これはもうきょうはっきりしたわけです。そういたしますと、この生産緑地法という法律は、三大都市圏以外にも入っていくのですね。  九州の問題が出てくるわけですよ。私が聞いていますと、さっきの話もちょっとおかしいのですが、九州は三大都市圏以外なんだから宅地並みの問題は出ない。出ないところの議論が出ているのですが、それは考えようによっては、生産緑地法が出たから、三大都市圏以外の福岡にも固定資産税の宅地並み課税というものが行なわれるのではないかという心配の質問だと思うのですよ。そうでしょう。現実には行なわれてない。これから行なわれるかどうかということについては、大臣は行なわないと言っている。そうなったら、都市計画法という大きな日本全国サイドの法律の中に、三大都市圏だけに限るとうたわなければならなくなってしまう。ちょっと私どもには理解できない点が一つ出てきますが、それはさておいて二点目は、いま言った二十八万ヘクタールのA、B、C農地面積がどれぐらい都市化のためにつぶされていくのかという土地利用計画があるか、これを聞いているのです。
  118. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 三大都市圏以外の都市計画の手法にこの生産緑地という問題が入っていくから、そこにも農地に対して宅地並み課税の税金がかかっていくのじゃないかという御心配でございますが、現在、宅地並み課税をするという法律は三大都市圏に限られておるわけでありますから、この法律をよその都市まで延ばすという法律改正がない限りはその心配はありませんし、私どももそういうことは予期しておりません。
  119. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 一つには都市計画制度として、三大都市圏という一部地域だけの制度ということはなじみにくいということもありますが、この法律は、宅地並み課税が非常に大きな動機になっていることは、私も否定するものではございませんけれども制度としてはやはり前向きに、市街化区域の中でもすべて建物の敷地に埋め尽くすべきじゃない、できるだけオープンスペースをとるべきだ。そのときも先生御指摘のとおり、公的な公共施設としての都市公園、緑地、これが本命であることは間違いございませんが、しかし、それを補完するものとして、かたわら農業一定期間継続しつつあわせて環境保全にも役立てる、あるいは将来の多目的な公共、公益施設の候補地としても使えるような仕組みというものは都市計画上も非常に意味がある、これは税法の適用になっていない地域についても必要ではないか。また農民の方々から見ましても、宅地並み課税の適用除外というメリットは、これはほかの地域では全くありませんけれども、しかし市街化区域の中でも、たとえば第一種生産緑地などに指定されれば、農林省当局でもある種の農業振興政策、融資措置等を今後はかろう、いままではそういうものは見向きもされてなかったわけでございますが、そういうものもやる根拠が出てくるし、またやろう、こういっておられるわけですから、やはり相当長期農業をされようという方から見れば、宅地並み課税関係のない地域についても意味はあると思います。
  120. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣区画整理方式というのは、農業をやるためにやるのか、都市住民の住宅、環境施設を整えるための区画整理なのか。私はどう考えても区画整理方式だけで農業がやれるということは考えられないのですよ。そうでしょう。区画整理というのは、建築基準法でも何でもそうですが、要するに住宅サイドからの法律でしょう。基盤整備でしょう、はっきりいえば。農業をやるということになれば、農業基盤整備の改良事業法でやらなければならない。そういう中で都市計画法上の区画整理方式をやったところで、一体現実農業ができるのですか。これが一点問題が出てくる。  その次に、時間がないからあわせて聞きますが、自治省、いま大臣が重大な発言をしていますよ。三大都市圏以外には宅地並み課税はやらないという。あなたのほうで昭和五十年、五十一年の固定資産税の見直しの抜本的大改革をやるときには、一体この考えはどうなんですか。これは取り入れるのか取り入れないのか。いまの大臣のように、農民サイドに立った建設大臣がいらっしゃるうちはいいけれども、農民サイドに立たない都市サイド型から全面的にやっていくという大臣が出たときにはまた変わるのか。また地方財政の強化、自主財源の強化という面のウエートの高い自治大臣が出現したときには、これがまた変更になるおそれも出てくる。  この場ではっきりしておきたいことは、いまの日本農業都市農業立場からいっても、農民の皆さんの苦境を救う立場からいっても、それは永久にこのままでいけということは私も言っておりませんが、当面、昭和五十五年、昭和六十年という長期計画の中までには三大都市圏以外に広めるべきではない、こういう考え方に立って、自治省は五十一年の固定資産税の改革をはかるというお考えに立っていただきたい。こういう希望を私は持っておりますが、その改革についてはどうなのか。この二点……。
  121. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 最初の点について私からお答えいたします。  区画整理は、確かに宅地化、市街化のための仕組みでございますが、しかし、現実区画整理が行なわれたあとでも、区画整理をやったならば農業を営んではいかぬということには別段なっておりませんので、将来ある時期を見てほんとうの意味宅地化あるいは宅地造成がなされるとしても、なお引き続きしばらくの間は農業が継続されているという例が非常に多いわけであります。いわんや今度の生産緑地法によりまして、第二種の指定要件は、まさに区画整理とか開発行為を行なった中でも、一定の要件に当たってむしろ十年ぐらいは農業を続けるという意思が固まっているならば、その同意を得て農地として保全しようということをはっきり位置づけたわけでありまして、少なくとも従前から現実にあったそういう傾向を踏まえつつも、本法ができればさらにその点がはっきりすると思います。その上私ども、いろいろ現在準備中の法案の中で、この区画整理事業を、その希望者を募りつつ集合農地区というような形で、初めからそういうふうに設計し農業を希望される方の土地を集める、それを第二種の生産緑地指定することにくっつけていく、こういうことも準備中でありますので、こういうものができればさらにその点ははっきりすると思います。
  122. 首藤堯

    ○首藤政府委員 市街化区域内の農地につきましての課税の将来のあり方の問題でございますが、先生御案内のように、地方税法の昨年の改正の際におきましても、三大都市圏のA、B農地以外の市街化区域内の農地につきましては、昭和五十一年度からどういう扱いにするか抜本的な検討をする、こういう規定があるところでございます。そこで、少なくとも昭和五十年までは、現在のままの状況、三大都市圏のA、B農地以外に宅地並み課税が導入されることはない、こう考えております。将来の問題につきましては、なおこれは国全体の土地政策とももちろん関連をいたしますし、市街化区域の今後の発展の状況、あるいは地価の推移の問題、それから今回行なわれようとしております生産緑地制度のあり方等の問題と、もろもろの問題を十分御検討していただきまして、五十一年度からどうあるべきかにつき鋭意検討を進めるべきもの、このように心得ておる次第でございます。
  123. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣大臣は、五十年まではしようがない、五十一年以降は保証できないというのでなくて、これはもう大臣のビジョンとして、こういうことをやるべきでない。当然、自治省が何と言ったって三大都市圏以外に広げるべきでないし、またC農地課税の対象にすべきではない。亀岡大臣は、苦衷の中から政治家を志し建設大臣になられたという、非常に大衆の味方である大臣ですね。特に農民の味方に立った大臣の御決意をひとつ……。
  124. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私も建設大臣になりましてつくづく感ずるわけでありますが、これからの住宅問題にしても、宅地問題にいたしましても、やはり農村の協力、農家の協力を得ませんとなかなか実現がむずかしいという感じを強く持っておりまするし、そういう面から、やはり納得してもらった上で行政を進めていくという立場をとってきたつもりでありますし、今後もとっていくつもりでございます。  五十一年度という年は、たいへん土地問題については重要な年次になるわけでございます。しかし、いかんせん、いかなる事情にあろうとも、一昨年ですか、ソビエトと中国が小麦を大量に買い付けまして、それ以来非常に大きく食糧問題が地球の上をかけめぐったわけでございます。そういう点を考えますと、農家生産意欲を落とすということは、もう一億国民が生きていく際に、最も一億国民として考えなければならぬ点だろうと思うのです。もしそれ食糧の生産意欲を農家がなくしたとしたら、もうほんとうに石油ショックどころじゃない経験をわれわれはしなければならぬわけでありますから、そういう点をよく考えました際には結論はおのずから出てくるのじゃないか、こう私は確信をいたしております。
  125. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、大臣建設大臣よりも農林大臣で御意見を述べられることを、ほんとうに期待したいくらいでございます。  そこで、たとえば現在地方公共団体で自主的にやっております生産緑地の問題について、一種の一ヘクタールと二種の〇・三ヘクタールという面積が今回きまりました。この定め方については、その当該地方公共団体の審議会の議、または議会にまかせて、たとえば一ヘクタール以上でなければだめなんだとかいうことでなく、その地方公共団体の特異性、またはそこの恣意的な考え方から、もう少し弾力的に生産緑地の定め方をしてもいいのではないか。いま農民の方々が要求しておりますことは、一ヘクタール以上という面積にも非常に問題がありますので、この問題については、その地域地域の特殊性、また都市的なサイド、また公共事業の進捗状況、こういう問題とからみ合わせて地方公共団体にまかせるべきであると思いますが、この辺、もしも話し合いがまとまらないでこの法律を強行してやった場合に、当該地方公共団体の意見が相反して、いつまでたってもこれが実施に踏み切れないというような問題も出てきます。当然いろいろな問題が出てきますので、この点についての弾力的な扱い方をすべきである。これはいかがでございますか。
  126. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 本来、市街化区域という性格の区域の中で農地都市計画制度として残すということは異例の発想でありまして、従来はもちろんなかったわけでありますが、いろいろな点を勘案して、都市計画上の意義も認められるというところから出発して本法案を提出さしていたがいたわけであります。したがいまして、都市計画としての、しかもほかならぬ市街化区域の中での位置づけというものが当然必要でありまして、その大きな要素としてはやはり規模の要件があります。これはどうしても基本的に必要だと思います。  その場合、たとえば都市公園なんかで大小のものがいろいろありますが、児童公園といった小さなものでは、児童の遊び場という意味しかない、環境機能とは評価できないと考えておりまして、環境機能として評価できる最低限というのは近隣公園以上であろう。近隣公園というのは、実はおおむね二ヘクタールくらいを基準にしているわけですが、それでは、実際の農地の状況から見ても該当するものがかなり減るということもあるし、近隣公園でも一ヘクタールくらいのものも認めておるわけでありますから、近隣公園の最低規模というような意味で一ヘクタール。それもおおむね一ヘクタールというわけですから、厳密にいえば一ヘクタールを若干下回っても、その辺は都市計画決定の手続、市町村が知事の承認を得てきめるという手続に乗りさえすればいいのではないか。  それ以上に全く法律に規模要件を定めないということは、これは都市計画上評価できないものを位置づけることになってぐあいが悪い。そういうことで、しかし永年作物などは、第一種であっても「おおむね〇・三」と大幅に軽減しておりますし、また第二種は逆に、宅地開発までしたところで、しかもその七〇%程度は宅地供給に出してもらえる、こういうものを複合しておりますので、あえてこれも第一種の〇・三ヘクタール、あるいは児童公園の規模程度を考えまして、環境機能上評価しにくいんだけれどもそういったもろもろのメリットを総合して考えたということでございます。したがって、規模、要件も法律ではっきり定めておく必要がある。しかしこれもおおむねというわけですから、たとえば〇・二五ヘクタールというような程度のものまでは、これは当然「おおむね〇・三」という中に解釈上出てくると考えております。
  127. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、この法律がもしも通れば、三大都市圏以外の市街化区域農地も全部この網をかぶるのですか。
  128. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 この法律は三大都市圏に限ったものではなくて、全国の市街化区域での制度でございますから、同じ基準でいくわけでございます。
  129. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、そういうかっこうになっていきますと、三大都市圏と三大都市圏以外の市街化区域農家の方々には、どういうメリットとデメリットが出るのですか。同じじゃないでしょう。どうなんですか、これ。
  130. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほど申したように、直接の動機は何であれ、この法律は都市計画上の制度として意義づける意味で設けたわけであります。そういう意味で、圏域を限るということがなじみにくいということと、それからメリットも先ほど申しましたが、確かに宅地並み課税という意味では何らのメリットはありません。しかしながら、市街化区域の中で従来放置されがちだった農業施策等が、この法律の施行によって、特に第一種生産緑地地区になれば永続的な農地という位置づけもできますので、従来考えにくかった農業施策等もできるのではないか。そういう意味でメリットがないわけではない。もちろん一番大事な宅地並み課税というメリットはないわけでありますから、そう多くを期待できないと私も考えております。
  131. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこに大臣、三大都市圏と、市街化区域全域の宅地並み課税の行なわれていない地域と、おのずと相違性が出てまいりますね、この法律が出ることによって。片方はそういうことによって、固定資産税の宅地並みを農地並みにやってくれるんだという一つのあれがある。面積が多い少ない、いろいろな問題はあるにしても。そういうことで、都市計画法という一つの法律の中で、そこの当該土地に住む農家の方々の受ける影響力というのは全く違っちゃうのです。だから私は一番おそれていることは、三大都市圏並みにこれが広がる前提においてこういう網をかぶせたんではないかという疑いがあって、先ほどからくどく大臣の御決意を聞いているわけなんです。だが、その辺については歯どめがかかりましたから、私としては十分安心しております。その辺の御理解をひとつ十分お含み置きをいただきたいのです。  そこで現実には、固定資産税を当該市町村では還元する方法で補助金制度を取り入れておりますね、この三大都市圏の宅地並み課税を行なわれておるところにおいては。そのいろいろなやり方があるのです。たとえば横浜方式というのは全くこの法律と同じようにきびしい規定を持ってやっております。それから他の市町村においては、そういう規定のないままにある一定面積を、議会でそれを認めた中において、宅地並み課税でとった税金の半額、二分の一ぐらいを農業を振興するための補助金制度で還元している。ということになると私は、この農業振興補助金制度というものは当然あってしかるべきだ。そうなってまいりますと、市街化区域内の農地といえども調整区域や農振地域と同じような、これは農林省の方にお尋ねしたいのですが、助成措置というものを当然講じなければならない。それは市街化調整区域や農振地域にあるような農家の方々と違って、これは農地法の制約を市街化区域で受けておりませんけれども宅地に変えるときに、五条申請のような複雑な手続もないし、ただ届け出制で宅地に変わるわけでございますけれども、この辺の程度については、金融制度だけでなくして、農地として生産緑地を見るというならば、当然農地並みの扱いをすべきである。先ほどから申したように、日本の都市近郊の食料生産に寄与する農家の方々を援助する立場において、いま言ったこの規格にもしも当てはまるならば農地として見るべきである。でありますから、当然そういった助成措置を講じていかなければならぬと思いますが、いかがでございますか。
  132. 大山一生

    大山政府委員 御指摘の点につきましては、先ほど来くどく申し上げておりますように、優良農地として確保すべきところというのは、市街化区域といいますか、都市内におきましても、いわば市街化調整区域というかっこうで線引きする原則をとっておるわけでございます。そういうこともございまして、市街化区域内の農地につきましては、これは農地法の適用をいわば緩和している、こういうようなこととの関連もございますので、基盤整備事業は原則的には行なうということは不適当である。ただ、実際問題といたしまして、災害の問題でありますとか、あるいは病虫害の防除でありますとか、営農指導でありますとか、こういったような施策は当然講じていかなければならぬのだろう、こういうふうに考えるわけでございます。なお、第一種生産緑地につきましては、そのほかに融資等の措置も講じてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  133. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしたら、市街化区域の中の農住構想というものは都市計画法上の区画整理方式で行なうのであって、基盤整備はやらないのだとあなたはおっしゃっているけれども、総理はそう言ってないですよ、私への答弁では。要するに市街化区域の中における農住都市構想について私が昭和四十八年七月十三日に質問したときにはっきり言っているんですから。農住構想の中から、区画整理方式でなくても改良法でやれないのかという私の質問に対して、総理がはっきり「やれます」と言っております。「やれます」と言っていますよ。総理大臣がやれると言っているのにあなたがやれないというのは、これはどういうわけなんですか。
  134. 大山一生

    大山政府委員 土地改良事業につきましては、原則として市街化区域においては行なわない、こういうことになっております。ただ、緑農関連土地改良事業、これは三割の範囲内におきまして、市街化区域が農振地域と接続している場合に、いわば市街化区域内の農家で今後も営農を続けたいという方がある、そういう場合に換地をさせるというような意味におきまして、緑農関連土地改良事業といたしましては、これは市街化区域も例外的にといいますか、緑農関連土地改良事業を行なうことになっております。しかしそれ以外のことにつきましては、土地改良事業、圃場整備事業市街化区域内においてやるという考え方は持っておらないわけです。総理が四十八年にお答えになりました趣旨も、市街化調整区域内において土地改良事業をやるんだ、圃場整備事業をやるんだという趣旨にわれわれ理解しているわけでございます。
  135. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はここでそんなこと言ってないんですよ。ここではっきり言っているんですよ。調整区域でなくて市街化区域の中で、「いまA、B農地の問題で課税されている。だから、農住とは、農家の方が一つの都市をつくろう」。A、B農地なんというのは、これは市街化区域ですよ。調整区域にA、B農地なんかないんだから。「川口市の安行というところがあるのですが、これは永年作物の植木がある。そこのところを開発するのに、これは市街化区域なんです。市街化区域の中の開発は、きのうも議論したのですが、どうしても区画整理方式以外はだめだというのですよ」というんだ、あなたが言っているのは。「それは農村サイドから見たものではなくて、都市サイドから見ているから区画整理だ」。さっきから私が言っているように、区画整理方式というのは建設省の構想なんだ。だから、都市サイドから見ているのは区画整理であって、「改良法でやっていくのだったら、調整区域に二十ヘクタール以上は許可されているのですから、二十ヘクタール以上の——五万から三万ぐらいの、大体百ヘクタールくらいの一つの都市とするには、農住構想という構想の中から、土地区画整理でなく、改良法でやれないんだろうか」。これに対して、田中総理大臣、「やれます」と言っている。お願いしますよ。
  136. 大山一生

    大山政府委員 調整区域に二十ヘクタール以上は許可されているのであるから、二十ヘクタール以上の、たとえば大体百ヘクタールぐらいのということであるならば改良法でやれます、こういうことでございまして、大体相当面積のあることを前提にして総理はお答えになっているというふうに理解するわけでございまして、そういう意味からいたしまして、相当面積のある調整区域内の地区のことを論じているというふうに理解するわけでございます。
  137. 小川新一郎

    小川(新)委員 冗談じゃないですよ。調整区域じゃないじゃないですか。私は市街化区域と言っているじゃないですか。A、B農地なんて調整区域にはないんじゃないですか、そんなものは。
  138. 大山一生

    大山政府委員 何とされましても、土地改良法上そういうふうなことに相なっているわけでございまして、土地区画整理との関係、いわば農協が主体となってやる、こういうふうな趣旨におきましては、農協の組合員である個人が土地区画整理法の区画整理組合を組織して土地区画整理をやる、こういうことができる、またその工事を市町村に代行させることができる、こういうふうな意味で、農協が主体でいわばその種の事業ができる、こういうことであります。
  139. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間がないから、私はこれ一つで終わります。  それは次の質問なんです。あなた、次の質問を持ってきちゃっている。いま言っているのは、市街化区域内におけるところの農住都市構想においては土地改良法でできるのかという質問なんです。それを総理はできると言っている。あなたはできないと言っている。どっちがほんとうなのか。総理大臣が間違いなら間違いでいいんだ。どっちなの。区画整理方式でなくて、市街化区域内におけるところの百ヘクタールぐらいの大きなものは、いま言ったように、改良法でできるのかという質問に対して、総理ができると言っているのだから。市街化区域に限定しているんです、ぼくは。それはできないのですか。できるのですか。
  140. 大山一生

    大山政府委員 そう詰められると非常に困るのでございますが、土地改良法の第八条第五項の規定によりますならば、非農用地区域について土地改良、いわば非農地を含む、換地を含む土地改良事業でございますが、これをやれる場合というのは、農振地域関連するようなところにおいてそれが三〇%以内の場合である、こういうふうなことに土地改良法の第八条第五項でなっているわけでございます。
  141. 小川新一郎

    小川(新)委員 できないものだから、何だかんだといろいろなことを言っているが、私はそれ以上責めませんけれども、これは明らかに早とちりですよ、総理が。間違っているとは言いませんが、ここはとちったんです。だから、ひとつそういうあやまちのないように、あなたから総理に御進言ください。困るのです、こういうことを言われると。全部に議事録が回ったんですから、私のところにこういう質問が農協から殺倒してきたんです。ほんとうなのか、ほんとうだったらえらいことになるというんです。  それだけ御忠告申し上げまして、時間が参りましたから、亀岡大臣の先ほどの三大都市圏の問題、ひとつよく私もお願いしておきます。どうぞよろしく。
  142. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 この際、午後一時四十五分まで休憩いたします。    午後一時十四分休憩      ————◇—————    午後一時五十三分開議
  143. 松野幸泰

    ○松野(幸)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。多田光雄君。
  144. 多田光雄

    ○多田委員 まず自治省に伺いたいと思うのですが、政府は大都市における住宅用地の不足を解決するという目的で、昨年から三大都市圏の特定市街化区域農地に対して宅地並み課税を実施してきたわけです。私どもの党としては、都市農業を守っていく、それから都市生産緑地を保全していくという立場から、さらにまた住宅用地の確保については、大都市内で広大な土地を持っている大企業や不動産会社、これの土地を放出させるべきである、こういう立場からこの宅地並み課税については一貫して早くから反対してきたことは周知のとおりだろうと思います。  そこで、この法律が施行されてから一年、事態はどうなったのかという問題です。三大都市圏内のA、B農地を持つ百八十二市町村のうち、政府の調べでも六十二の市町村が農地保全条例や要綱を設けて、課税額の全額もしくは一部を農業奨励金などの名目で農民に返還しているというこの実態です。  そこで一つ伺いたいのは、この実施している市町村の数、これをもう一度確認しておきたいと思います。というのは、全国農協中央会の四月二日の調べによりますと、これは実施している市町村が九十四ということにもなっているのですが、この正確な政府の数字、また調査の月日をひとつ述べてください。
  145. 首藤堯

    ○首藤政府委員 特定市街化区域農地が所在する団体数が全部で百八十二ございますが、そのうちに、四十九年の一月現在で、いま御指摘のございましたような、補助金を交付することが確定をしております団体が六十二でございます。なお交付することを内定をしておるという報告を受けておりますのが十二ほどございます。
  146. 多田光雄

    ○多田委員 これは一月の調査ですが、私どもの手にあるこの農協中央会の資料によりますと、実施している市町村が九十四、それから実施予定が十二、こうして百八十二の半ば以上がこれを実施しているというふうになっています。  そこで、次にまた自治省にお伺いしますが、各自治体が乏しい財源の中からこういう措置をとるに至った原因、理由、これをひとつ詳細に述べていただきたいと思います。
  147. 首藤堯

    ○首藤政府委員 市街化区域内、特に三大都市圏のA、B農地に対します宅地並み課税の問題は、御案内のように、最近の三大都市圏の実態にかんがみまして、都市の住宅用地等を確保するための必要上の観点もありましてとられた制度でございます。しかしながら、今回提案をされておりますように、そういった都市市街化区域内といえどもやはり緑地として保存をしておくといったようなことのほうが適当なのではないか、こういう考え方ももちろんあるわけでございまして、そういった調整点として今回この生産緑地制度が提案をされたものと私ども承知をいたしておるわけでございます。地方自治団体がそのような補助金を交付をしておりますのは、いま申し上げましたような基本的な問題、つまり緑地保全、確保等の見地、こういった点から、自治体としての自主性を発揮をして、徴収をいたしております宅地並み課税の税額の一部または全部、これを補助金という形式で交付をする、こういう考え方をとったものと理解をしておるわけでございます。
  148. 多田光雄

    ○多田委員 いまの答弁によりますと、緑地保全ということが答弁の主要な内容で、それは地方自治体としても緑地保全が主要な観点というふうに私はいま聞いたわけですが、しかし、この六十二に達する、これは政府の調べの数ですが、それの条例、要綱の主要なる内容はそういうふうになっていますか。もう一度伺います。緑地保全だけですか。
  149. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま緑地保全等と申し上げましたのは、一例として申し上げたのでございまして、もちろん緑地保全だけではございません。農業政策上の問題点等もあり、またその他各団体それぞれの事情もあると思います。
  150. 多田光雄

    ○多田委員 いま、緑地保全等という等の中に、都市農業の問題、これを含めていたようですが、実際に市町村がやっている主要な目的、あるいはその内容は、都市農業を守るということが第一になっているのですよ。もちろん都市農業を守る以外に生産緑地も守っていくということも含まれております。それも非常に大きなウエートを持っているけれども、第一の目的は都市農業を守っていく、これが主要なねらいになっている。したがって、出される補助金なり奨励金というのは、そういう目的で出されているわけです。たとえば埼玉県で九つの市町村が実施しておりますが、転用が非常にきびしくされている。許可はするけれどもただし奨励措置による金額を全額返済。これは川口、所沢、草加その他がそうなのです。このように農業生産を守っていくということが主要な眼目になっているのですが、そうじゃありませんか。
  151. 首藤堯

    ○首藤政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、農業生産を守っていくという主要な立場に立ってやっております都市もございますし、また緑地保全といったような観点に重点を置いてやっておるところもございますし、全般的に考えてみました場合、それらのそれぞれのいろいろな理由がございますので、あわせて措置をしておるもの、こう理解をいたしておるわけでございます。
  152. 多田光雄

    ○多田委員 いまの回答、先ほどの回答の中でも、私はやはり実態に合わない回答をしていると思うのです。そして何とか緑地保全だけを言おうとして、都市農業を守っていく、都市農業を守っていく、このことをなるべく後背に下げようという意図がはっきりしているんじゃないか。そういう回答では私はなかなか満足できないわけなんで、あなたの言うとおり、ところによっては緑地保全もあるということですが、私の調べたところでは、大半の第一の目的が都市農業をまず守っていく、それとあわせて緑地保全という問題が出されているのです。だからはやり自治省であれば、地方自治体がどういうことでこういう措置をやっているのかという、その目的、理由というものをもっと正確に客観的に述べないと事態の認識は誤ってくるわけです。  それから私ども考えるのには、もう一つ理由があると思いますよ。都市農業を守るということ、それから都市緑地を保存していくという問題といま一つは、これは私ども幾つも市町村長に会って聞きますと、もうこれ以上都市化を進めたくないんだ、これ以上人口をふやしたくないんだ。というのは財政支出が多くなるから。こういうことを書いてはいないけれども、それははっきり言っているのです。  ですから私の見たところでは、主要な問題は三つあると思うのです。その一つは、先ほどから繰り返して言っている、第一に都市農業を守っていくという問題です。第二は、それとあわせて、これは不可分の問題だけれども都市緑地を守っていくという問題。それから第三は、表向きは言っていないけれども、もうこれ以上特に市街化区域の中に人口をふやしたくない、こういうことが、今回、宅地並み課税の中で抵抗とも見られるこういう制度を、しかも過半数以上の市町村がとってきている主要な理由なんです。そこを見ませんと、これからの政府の出している生産緑地の問題にしても、ほんとうの実態が判断できなくなってくるという立場で繰り返して私はこのことを聞いているわけですが、おそまきながら、あなたもそのことをつけ加えましたから、この点についてはそれで打ち切っておきたいと思うのです。  ただ、自治省にお伺いしたいことは、昨年、宅地並み課税でたいへん大きな問題になったのだけれども、あの時点で、百八十二の市町村の中でこれだけの市町村がこういう措置をとるというふうにあなた方は考えていましたか。
  153. 首藤堯

    ○首藤政府委員 百八十二の市町村のうちどの程度のものがとるかという想定は、もちろんいたしたことはございませんが、A、B農地宅地並み課税の御審議をいただきました際にもいろいろ議論がございました。今回、生産緑地法案として出ておりますような問題点もございましたので、このような事態もあり得るものという想定はいたしておったのでございます。
  154. 多田光雄

    ○多田委員 そういう想定は当然あなた方もしておったろうと思うけれども、しかしこれは予想を上回る数なんです。このまま放置しておけば、おそらくもっとこれが広がることはもうはっきりしている。ここに私は、昨年私どもが反対した宅地並み課税というもののいわば矛盾といいますか。あえて破綻とは申しませんけれども。というのは、これからなお三年、四年の経過を見なければなりませんけれども、そこに大きな矛盾があったというふうに私ども考えて反対したことはやはりよかったというふうに考えているし、そしてまたそのことによって市町村や都市住民の要望にこたえたというふうに私どもは確信を持っているわけです。  そこで次に伺いたいのですが、いま出されている生産緑地法案と、地方自治体のいま条例や要綱でやっている生産緑地を守っていくという制度との間には、かなりその精神において大きな開きがあると思いますが、この点について建設省並びに自治省に伺いたいと思います。
  155. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 生産緑地法の目的、精神というものは、市街化区域という、基本的にはやがては市街化しようという中での都市計画上の積極的位置づけをはかるということですから、生活環境の良好さを確保する、それから各種の公共、公益的施設、今後市街化するに伴って漸次必要となるそういったものをあらかじめ留保しておく、こういった機能に着目してそれを位置づけたわけでございまして、各市で行なわれております条例、要綱等による措置は、将来の公共施設用地としての保留地というような観点はほとんどありませんが、しかし、良好な都市環境を保全する、要するに緑を残す、こういう点ではほとんど一致しておりまして、先生のおっしゃるような、農家そのものの経営を保全していくというような観点のものはむしろ少ないのではないか、こう思います。  なお、内容につきましては、いろいろ規模の要件、存続要件その他幾つかかなり違う点がありますが、規制期間中の規制の強さ等はほぼ似たようなものではないか、こう考えております。
  156. 多田光雄

    ○多田委員 地方自治体のやっている制度が、いまあなたのお話によると、将来の公共用地としての考えはないけれども、しかしながら緑化については政府と一致している、こういうお話だったように承っております。  そこで農林省に伺いますが、農林省は、この都市農業実態、もしくはそこで農業を営んでいる人たちや組合、こういう方々の意見を最近詳細に調べたことがありますか。
  157. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  まだ調べて御報告するというところには至っておりませんが、一つは、一番問題になります野菜等を中心にいたしまして予算を計上いたしまして、都市農業実態を市町村、農協等から詳しく聞きたいと思っております。なお、これ以外に、近畿圏、首都圏、中部圏の各圏の立場からそれぞれ都市近郊農業というものについていろいろ聞き取りをやりたいと思っております。
  158. 多田光雄

    ○多田委員 それではちょっとこれも農林省に聞きますが、最近、東京都の農業会議が都内の区、市町村の意向調査を行なった。これはテーマは「都市農業をどう考えるか」ということなんだけれども、この結果について聞いていませんか。
  159. 森実孝郎

    森実説明員 遺憾ながら直接報告は伺っておりませんが、その概要を取りまとめたものを先般拝見いたしました。
  160. 多田光雄

    ○多田委員 それでは、取りまとめたなら私のほうで聞きたいのだけれども、そこでこういう項目があるはずですね。「生産緑地制度をつくる必要がある」、これを前提にして、「緑地、自然環境を守る観点から都市をどう見直す」という項目だとか、「都市化に適応した優秀な農業の生鮮食料機能として」、どういう機能を果たすかという問題だとか、「災害時の避難の役割り」だとか、あるいは「人口をある程度抑制したい」という五つの項目があるのだけれども、その数字をどういうふうに押えておりますか。意向調査の結果が数字としてどう出ていますか。
  161. 森実孝郎

    森実説明員 手元に御質問の点につきましていま資料を持ち合せておりませんが、私が記憶しておりますところでは、引き続き農業を継続してやりたいという希望がきわめて強かったということと。特に蔬菜農家でございますが、近郊蔬菜の生産を現在の耕地を前提にして続けていきたいという希望が強かった、そういうふうな点は記憶しております。
  162. 多田光雄

    ○多田委員 これはこういう数字になっているんです。「緑地、自然環境を守る観点から都市を見直す」ということについては九四%。これは区市町村の意向調査ですよ。九四%がその意向です。それから「都市化に適応した優秀な農業の生鮮食料機能として」、これは八七%です。それから「災害時の避難の役割り」、これは七一%。それから「人口をある程度抑制したい」という声が三九%です。そしてこの観点から十年後を見直したときに、市街化区域農地の四八%、これは東京都内でいえば五千百ヘクタールですが、これを農地として残す必要がある。これがいま言った農業会議の調査の結果なんですよ。  あわせてちょっと申し上げますと、こういっています。宅地並み課税の対象から除外するというような狭い考えではないのだ、基本的農政の対象にしなければならない。つまり、宅地にするかどうかという問題よりも、基本的な農政の対象としてこの都市農地を見てもらいたいというのが三九%の市町村の声なんです。こういうことを考えてみれば、都市農業に対するわれわれの考え方も相当考えていかなくちゃならない。  ところで、私は農林省に伺いたいのだが、この間三月二十九日の浦井議員の質問に対して農政課長はこういうことを言っていますね。これは概要ですが、市街化区域内の農地は計画的に開発を促進し、市街化していく上での対象であり、今後これらの農地長期的に転用しないとはいえない。これはたいへん役人らしい表現だけれども、結局これは農地を転用していくということだろうと思うのだが、これはあなた同じですか。
  163. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  市街化区域はやはり、地元住民の意向を十分聞いた上で、都市計画法上、優先的、計画に市街化をはかる地域として指定された地域でございます。また、事実といたしましても、農業を営まれている形が、一般的に申し上げますと、土地利用としても、生産としても、産品の出荷という観点からも、どうしても勢い分散的にならざるを得ないという実態があることは否定できないと思います。そのような意味では、やはり今後の非農業分野の発展の過程において、市街化地域農地というものが事実として転用され利用されていくという量は、ほかの地域と違ってかなりあるし、大きいと見ざるを得ないだろうと思います。
  164. 多田光雄

    ○多田委員 くどいようだけれども農林省もう一度確認しますが、これは結局、例の三十万ヘクタール農地転用の一環としてこれを進めていくということですね。
  165. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  三十万ヘクタールの農地壊廃の問題というのは、いわばこういう形で三十万ヘクタール壊廃するという形できめているわけではなくて、一つの見通し、いまの情勢での見通しの中で、市街化区域等を中心にして何年かの間にそういう壊廃が行なわれるだろうという見通しを一般に申し上げたものだと理解しております。
  166. 多田光雄

    ○多田委員 いまあなた方の答弁、それからいままでのこの生産緑地をめぐる政府答弁を見ていまして、日本の食糧危機だとか日本の食糧の自給が減っていく、それから都市野菜、生鮮食料品が上がっていって非常に都民が苦しんでいく、市民が苦しんでいくのも、農林省がその姿勢ではこれは避けられない。かえって都市の地方自治体やあるいは農協のほうが、もっと日本の食糧問題、農業問題を見て、しっかりとした健康な姿勢でいるというふうに私は思わざるを得ないのです。たいへん残念なことです。  そこでもう一つ、これは農林省に伺いますが、これも先ほど言った浦井議員の質問に対して農政課長が答えているんだが、都市農業の保護の問題で新しい供給対策の一つとして考えていくとともに、金融面の援助や農業投資という点でも考えていきたい、こう言ったんだが、具体的にはどういうふうな援助をやるわけですか。
  167. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  市街化区域農業考える場合、先生も御指摘のように、特に問題になりますのは、やはり大都市に入荷される軟弱蔬菜等の生鮮食料品という意味でも、食糧政策上評価しなければならないことは当然だろうと思います。そういう意味におきまして、従来からも各種の事業市街化区域でもやっておったわけでございますが、特に今回制度化を法案で予定しておられます第一種生産緑地等を中心にいたしまして、農業用施設に対する融資、たとえば近代化資金の貸し付け等の問題は、ひとつ前向きに検討したいと思っております。また農業用施設に対する融資についての配慮を制度化するということについて検討したいと思っております。それからもう一つはやはり野菜の問題に重点をしぼって少し考えてまいりたい。そういう意味で、都市近郊も対象にいたしまして、従来のいわゆる農振地域だけを中心に考えないで、都市近郊も含めて野菜の特別の供給確保のための対策ということで、生産施設に対する助成、あるいは価格安定制度等についても、食品流通局のほうで本年度の予算から実施にあたって検討いたしたい、かように思っております。
  168. 多田光雄

    ○多田委員 農林省は前から都市農村についての長期的な農業投資についてはなじまないものだというようなことをいっておられるわけなんだが、さしあたりの問題としてこういう一定措置をとられるということですが、これはひとつぜひ積極的に進めていただきたい、こういうように思います。  さらに、これは建設省に伺いたいのですが、もしこの生産緑地法案が成立するとすれば、これは法律ですから当然全国的に適用するということになるわけなんだが、これは即時にそういうふうに踏み切られるのかどうなのか。つまり全国的にそれをすみやかにやっていくというようにされるのか、それともなかなか困難な面もあるというふうに聞いておりますが、たとえば三大都市圏のA、B農地についてまず最初にやるとかいうふうなことをお考えになっているのか、その実施の方法についてひとつお伺いしたいと思います。
  169. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 本法は全国の市街化区域を対象にした制度でありますので、三大都市圏A、B農地以外にも、指定の希望が出、生産緑地地区の指定が出てくることを期待はしておりますが、しかし実際には、法制定直後の事態を考えますと、何といっても宅地並み課税の適用除外という大きなメリットがほかの地域にはないわけでございますので、そう希望が大量に出てくるとは思えない。そういう意味で、私ども幾ら指導しましても、そもそも指定にあたって土地所有者、農民の同意が要るというわけですから、他の地域についてはさほどはかばかしく指定はいかないんじゃないか。しかし、いま申されたような農林省等の施策が講ぜられるということがだんだんはっきりし浸透していけば、宅地並み課税の適用除外というほかのメリットもそれぞれの方にとってあるわけでございますので、漸次若干の希望は出てくるんじゃないか、こう思います。
  170. 多田光雄

    ○多田委員 さらに引き続いて建設省に聞きたいのですが、それじゃ、一種、二種の生産緑地指定されるもの、これが特定市街化区域農地の場合何%ぐらいに当たるのか、これをひとつ聞かしてください。これも前にもほかの委員が聞いていると思いますが、もう一度ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  171. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 何ぶんにも指定にあたって御本人の同意を要する、むしろ御本人の希望に応じて指定するというような運用になるかと思いますので、いまここでその希望というものを的確に予想し得ないのでございますが、およそ私ども感じからすれば、三大都市圏でA、B農地一万六千八百ヘクタールございますが、そのうちで本措置に同意してくるというものが当面一割程度はあろう。さらにその意味合い、効果というようなものが漸次周知されるに従いまして、第一種についての希望もある程度出てくる。特に第二種の希望というものが出てくるのではないか。それから、現在は区画整理等が行なわれていないので、一種というのは期間も永続的だしなかなか先まで見通せないという意味で同意に逡巡される方も、二種であれば十年の期限つきでありますので、その程度の見通しで同意もしやすいのでございますが、こういった区画整理事業等を新たに起こしていく、あるいは計画されていくという段階で、そのうちのおおむね三〇%というものが第二種の該当として規模要件も緩和されて適用されてきますので、そういったものも出てくる。こういう意味で、しばらく時間をおくならば、あるいは二割とか三割くらいのものは希望が出てくるのではなかろうか。しかしこれはあくまでも推測でございます。
  172. 多田光雄

    ○多田委員 さらに引き続いて、これも建設省に聞きたいと思うのです。私はまあその額面だけを取り上げて言うのですが、生産緑地を残すとすれば、やはり農民が喜んで応ずるというようなことが大事なことだろうというふうに思うのです。つまり法でがんじがらめに縛ってそうせざるを得ないようなところに持ち込むのではなくて、農民が喜んで生産緑地に応ずるというふうにしなければならないと思う。その点で、面積要件について地方自治体に裁量をまかせるというふうな、地方自治体の意向を積極的に取り上げていくような措置をひとつ考えてみたらどうかと思うのですが、これはどうですか。
  173. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 法律でも第一種はおおむね一ヘクタール、第二種はおおむね〇一三ヘクタールという規模で、第一種でも果樹等の永年作物はおおむね〇・三ヘクタール、こういうことで多少の幅は持たしております。つまりぴっちりとその規模でなくても、若干下回ってもいい。もちろんこれは解釈上おのずから限度はあります。が、多少の幅は持たしているということと、それから指定の総量としては、第二種のほうはやはりおおむね三〇%以内ということで、これは区画整理などやったところですから当然でありますが、第一種につきましては、市町村の実情等も勘案できるように、法律では土地利用上の合理的な範囲という程度の表現にとどめまして、ぎくしゃくとしたパーセント等は書いておらないというわけであります。  規模要件につきましては、やはりこの制度都市計画上評価できるということでなければ法制化できないために、どうしてもある程度の規模というものは必要であり、なかんずく第一種などは、別段宅地化もしないという地区でそのままほっておくという場所でございますから、これについては少なくとも近隣公園程度の規模というものがなければ環境上評価できないということでありますし、第二種は、そういう面的な開発整備が行なわれた場所ということで、特に規模要件を最低限度と思われる程度まで引き下げておりますので、これ以上に緩和するということは法律上もむずかしいし、また市街化区域の中で長く相当期間にわたって農業経営するという面積的な保証もとりにくいのではないか、こう考えます。
  174. 多田光雄

    ○多田委員 建設省に伺いますが、三大都市圏のいま百八十二市町村の中で緑地を残したいという希望、あるいはその総面積は幾らくらいか知っておりますか。これは私はいまちょっと手元にないので伺っているのです。その中でいまあなたのおっしゃった一万六千ヘクタールの約一割程度のものが応ずるだろうということなんだけれども、それは何%くらいになりますか。
  175. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 御質問が各市町村の意向を調査したものの数字でありますと、ちょっと私承知していないわけですが、一般的に申し上げますと、欧米の水準並みまではなかなかいかないとしても、緑の持つ多目的な価値というものを考えれば、都市地域にも相当の緑が必要だということが考えられまして、たとえば私どもはできれば一人当たり四十平米くらいのものにはしたいと考えます。しかしこれは、何もすべてが市街化区域の中、身近になければならぬというわけじゃなくて、調整区域等も含めた比較的近間のときどき行けるというようなところまで含めての計算でありまして、その中で一番基本的なものとしては都市公園、これはできるだけ昭和六十年ころまでに整備を進めて、一人当たり九平方メートルくらいまで持っていきたいというようなこと。あるいは、先年通りました都市緑地保全法による緑地保全地区、それから風致地区といったものを積み重ねて、それに若干量この生産緑地地区にも期待したらどうか。しかしながら、同意を要するこの制度に大きく依存するわけにはいきませんので、私どもは基本的には既存の諸制度でそういった緑を確保したい。近辺に必要なのは児童公園とか近隣公園といった比較的小規模の公園、それから風致地区の一部、こういったものでありまして、それ以外の大規模な公園とか緑地保全地区とか風致地区の相当部分というようなものは、市街化調整区域といいましてもそう遠い距離ではないから、こういったものも含めて計画したいと思います。
  176. 多田光雄

    ○多田委員 次に自治省にもう一度伺いたいと思うのですが、おそらく現状で、もしこの法案が通るとすれば、この法律による制度と市町村のやっている制度とが併存していかざるを得ないことになるだろうと思うのです。この場合、自治体が将来にわたって宅地並み課税の還元を続けていくとすると、五十年、五十一年ころになると相当財政的にもこれは困難な状況になっていく、結果としては都市生産緑地はこの法律案の制度だけが残っていくというようなことになりかねないわけですね。そこが皆さんのねらいでもあるのだろうと思うのだが、そこで宅地並み課税の重圧から——ほんとうに重圧なんです、これは。重圧から都市農業を守り、緑地を将来にわたって保全していく。それから、表向き生産緑地をうたっているけれども、その本質は違っている。つまりこの法律案によると、都市化を進めていって農地をつぶしていく、転用していく。ところが地方自治体の場合は、第一に都市農業を永続させていく、ここなんですから、似たようなところがあるけれども、その根本が違っている。  そういう本質的に都市化を進めるという政府のこの法律によって、地方自治体の積極的な面が踏みにじられていくのじゃないか、このことを私は地方行政委員会にいる者として一番心配するものなんです。地方自治体の場合は、先ほど言いましたように、ともかく乏しい財源の中から金を出して生鮮食料を確保していく。これは地域住民のためです。それから農民のためにもなる。同時にそのことが生産緑地を守っていくことにもなるし、こういう積極的な意図で地方自治の精神に基づいて制度として始めてきているわけなんです。これを踏みにじることになりやしないか、私はこう思うのですが、この点について自治省どうでしょうか。
  177. 首藤堯

    ○首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、この生産緑地制度の発想そのものが、昨年度の宅地並み課税法案の御審議の経過、地行における附帯決議そのほかの事態もございまして、御指摘都市における宅地開発の必要性、都市計画面のサイドからの要望、それからまた一面緑地の保全、営農の保全、こういったような多面の要望と、それの調整点として生産緑地制度指定して、生産緑地というものに指定されるならば宅地並み課税をやめて農地並みの課税に戻る、こういう発想法に基づいて設定されたように承知をいたしておるわけでございます。その意味で私どももこの制度の設定に賛成をいたしまして、協議にあずかったわけでございます。その結果、生産緑地制度の運用が地方団体の実情にもよく応じまして円滑に施行されました場合には、この面における宅地並み課税の廃止ということが実現をするわけでございますので、この制度が完備をいたしました暁におきましては、従前地方団体が支出をしておりましたような補助金のたぐいの性格のものはこの制度に乗りかわることが適当である、このように私どもとしては考えておる次第でございます。ただ、この生産緑地制度指定そのものが、一年ですぐ指定が終わってしまうというような短兵急にはまいらないかと思いますので、その経過期間においては、そのような補助金が存続をするという事態もまたあり得るかと考えておるわけでございまして、原則的にはやはり、この生産緑地制度に、税の制度として制度的なものに乗りかわっていくべきものだ、こう考えている次第でございます。
  178. 多田光雄

    ○多田委員 では自治省にもう一度伺いますが、共存する場合、将来、結局好ましくないということで、たとえば交付税の減額、こういうふうなことも考えているんじゃないかというふうに勘ぐられるのですけれども、これはどうですか。
  179. 首藤堯

    ○首藤政府委員 宅地並み課税をしないという意味制度としてこの制度に乗り移ってほしいということを申し上げたわけでございます。その他の事項につきまして、当該地方団体が独自の判断で、独自の行政上の必要がありますときにいろんな施策を講じますことは、これは自治体の自主性でございますので、私どもとしましては、これを制限をするといったふうなことはもちろん考えておりません。したがいまして、何らかの補助金を出したから、そのことで罰則的に交付税を削るとか、そういったことはもちろんあり得ないわけでございますが、宅地並み課税をやめて農地並み課税に戻る、そういう税制の制度的なものはこの制度に乗ってほしい、その他のやり方をやることは望ましくない、こう考えておる次第でございます。
  180. 多田光雄

    ○多田委員 それじゃもう一度、くどいようだけれども聞きますが、この地方自治体のとっている制度、これを自治省としては好ましいと考えているのか、好ましくないと考えているのか、もう一度これを伺いたい。簡単に答えてください。
  181. 首藤堯

    ○首藤政府委員 現在ただいま自治体がとっております制度は、まだ生産緑地制度等のない事態における問題でございますから、これは地方自治体としてやむを得ないと申しますか、さもあろうと申しますか、そういうたぐいのものであろうと考えております。この制度ができ上がりましたあとにおいて、宅地並み課税を廃止をするということが制度上のたてまえからは望ましくない、このように考えておるわけでございます。
  182. 多田光雄

    ○多田委員 そうすれば、この法律が通ったあとは積極的にこの法律に一本化するように指導をするということですか。
  183. 首藤堯

    ○首藤政府委員 この法律が通りまして、生産緑地制度指定、これがかなりの期間を要すると思いますけれども、その期間、それから生産緑地制度指定の運用の円滑化と申しますか、そういう面を通じまして、この制度ができ上がりました事態以降においては、宅地並み課税をその他の面においてみだりに廃止をするという点は行なわないように、こういうふうに考えております。
  184. 多田光雄

    ○多田委員 いずれにしても、いま地方自治体がこの問題をこういう形で取り組んでいるということは、根本的に政府の出しているこの生産緑地法案と違った立場でやっている。それはただこの緑地を守るというだけではなくして、大事な都市の食糧を守っていく、農業を守っていくという自治体の積極的な姿勢なんです。ですから、この自治体の積極的な姿勢から生み出された生産緑地制度と、国がいまこれをやろうとしているものとは根本的に違っているのだ。そういうものを、ただ緑地という面だけを見て一本化していこうとすることは、結局いままでの都市化を一そう進めていくという結果になって、いよいよ自治体にそれをしわ寄せしていく。たとえば人口がふえていく、あるいは公園的な緑地はふえていくだろうけれども宅地転用という大前提が依然として消えてないわけですから、そうなれば困るのは地方自治体なのですよ。そういう意味から、自治省はよほどこの問題について本腰を入れて検討してもらわぬといかぬというふうに私は思うわけです。  最後に、いま大都市が一番望んでいるのは、もちろんそういう緑地も大事ですけれども、当面する学校あるいは保育園その他の公共施設、公営住宅であるわけです。それでいま一番大事なことは、この農地を取りつぶすということよりは、前から私どもが言っている、大都市の中にある相当大きな企業の持っている土地を収用するということが私はより根本的な問題だというふうに思っております。ほんとうはこれを建設省にもっと詳しくお話しすればいいと思いますが、時間が来たので、この意見を述べて私は終わらせていただきたいと思います。
  185. 松野幸泰

    ○松野(幸)委員長代理 瀬野栄次郎君。
  186. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 生産緑地法について、建設大臣並びに自治省、農林省関係当局に質問いたします。  本法の第一条には「目的」として、「この法律は、第一種生産緑地地区に関する都市計画及び第二種生産緑地地区に関する都市計画に関し必要な事項を定めることにより、農林漁業との調整を図りつつ、良好な都市環境の形成に資することを目的とする」と示されております。「農林漁業との調整を図りつつ」とありますけれども市街化区域内の生産緑地地区制度について、都市の中で特に市街化区域における農業経営の基本的なあり方についての見解をまず最初に農林省当局から御答弁をいただきたい。
  187. 大山一生

    大山政府委員 市街化区域内におきます農業経営の基本的姿勢、こういうお話でございますが、市街化区域というのは、本来的には優先的に市街化さるべき区域ということで市街化区域市街化調整区域に分けた、いわば農地として今後とも存続させるべきところ、みだりに開発すべからざるところという市街化調整区域に対します市街化区域、いわば市街化さるべき区域という線引きされた中にある農地であるわけでございます。したがいまして、そこにおきます農業ということにつきましては、その農地の保全という角度につきましては、農地法上のたてまえといたしまして、他の地区のような農地法による強制といいますか、転用許可制度というものはなくてただ届け出制度にしているわけでございます。  しかしながら、現実にはそこに二十八万ヘクタールの農地がある、そうしてそこにおいて生産されます農作物というのも、土地立地条件を活用いたしまして、国民経済的に見るならば、ある時期についてある特定の作物が非常に大きなシェアを占めているという事実もあるわけでございます。たとえば、キャベツでありますとか、コマツナでありますとか、あるいはシュンギク、ミツバといったようなものについて、ある特定の月については、中央卸売市場等において相当のシェアも占めているわけでございますので、そういうふうな点に着目いたしまして、これらの農業経営をやっておられる方の、たとえば病虫害防除でありますとか、あるいは営農指導でありますとか、こういったことについては十分にわれわれとしても対応してまいりたい、こういうふうに考えます。そしてまた第一種生産緑地というようなものにつきましては、そのほか融資上のいろいろの優遇措置も講じてまいりたい。  こういうことによりまして、長期的に見ますならば、野菜についてかりに申し上げましても、それは中間地帯あるいは遠隔地というほうにだんだん移行する中におきまして、しかし、いまなお一つの農業政策上も、きわめて部分的ではあるにしろ地位を占めている点に着目した施策でもって対応してまいりたいというのが、現在の農林省市街化区域内における農業経営に対する姿勢でございます。
  188. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 建設大臣は農村出身で、農業には農林大臣以上にといっていいぐらい理解ある方であるようにおっしゃっておりますが、農業の実情はよく御存じだと思いますけれども、いま農林省当局から答弁がございましたが、同じく農業経営の基本的なあり方について、今回の立法にあたって、建設大臣立場からはどういうふうにこれを見ておられるか、お答えをいただきたい。
  189. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 建設省立場から申しますと、やはり都市勤労者の福祉、都会生活者の福祉ということを、住宅政策の面並びにその他の都市政策の面から当然考えていかなければならないことは、先生の万々承知のところでございます。したがいまして、建設省といたしましては、都市計画という手法によって優良なる市街地を造成し、そうしてそこに都市勤労者の方々が平安に生活できる場をつくりあげていかなければならないという使命があるわけであります。最近特にこの住宅難という問題が非常にやかましく、きびしい都市問題の解決しなければならない最重要課題となっておる昨今であるわけでございますので、政府といたしましても、線引き等をいたしまして、市街化地域、調整地域優良農地というふうに全国の土地区分をいたしまして、そしてその整備をすべき方向を定めたわけでございますが、その際、市街化地域の中に相当農地も包含されたというところからいろいろ問題が起きてきておるわけでございます。  私どもといたしましては、できるならば、農地を持っておる地主さんの協力がありませんと都市計画もうまく進まぬわけであります。したがいまして、特に市街化地域における農家の方々の積極的な協力を得て都市計画を進めなければならない。しかし、農家の協力を得たい、土地を出してくださいと申しながら、農家の方々にしてみれば、農業しか生きていく道がないという方もたくさんおられるわけであります。したがいまして、そういう方々の気持ちも生かしながら、都市計画の手法の中に、生産緑地という考え方、これは近代都市として緑地帯をできるだけ多く持ちたいという都市住民の希望にも沿えるわけでございますので、都市計画上そういう手法も取り入れる時期がもう到来したということで、生産緑地法という手法を都市計画の中に取り入れまして、そうして十年ないしは二十年という長期の間において、農業者もまた都市側も互いに恩恵を受けるようないい立場をつくりあげていこうというのが、この生産緑地法案の提案を申し上げました姿勢であるわけでございます。したがいまして、農林省からお答え申し上げましたとおり、気持ちの上においては、やはりそういう農家の方々に農業でやっていただくと同時に、また市街化地域農家の方々に対して、積極的に建設省から農業団体等を通じて話し合いも持たしていただきたい、こんな考えを持っておる次第でございます。
  190. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 第三条一項及び第四条一項によって、第二種生産緑地地区に関する都市計画が示されております。第一種生産緑地地区は、第二種と異なって期限の定めのない制度とされている以上、農業経営は相当長期にわたって継続することが期待されます。当然そうあるべきだと思うのです。この地区内の農地については、調整地域内の一般農地と同様な農業施策が講ぜられる考えであるのか、この点は農林省当局からお伺いしたい。
  191. 大山一生

    大山政府委員 確かに先生御指摘のように、第一種の生産緑地、これは相当長期間にわたって残るわけでございますけれども、やはり第一種生産緑地といえども、これはやはり優良な都市環境ということの一助としてなされているわけでもございます。しかしながら、そういう地帯におきまして相当長期農業が継続されるということでございますので、その農業経営の健全な運営というために、必要な技術指導なり植物防疫等の施策、あるいは実情に応じまして農業施設等の資金に対します融資ということについては、十分配慮してまいりたいというふうに考えるわけでございます。  ただ、先般来申し上げましたような、農振地域とは違いまして、市街化調整区域でもない、いわば市街化さるべき地域ということで定められた市街化区域内のところであり、したがってまた農地法上も特例を認めているということからいたしまして、土地基盤整備事業というものにつきまして、取り入れました長期に効用が及ぶというような農業施策は、これは不可能であろうというふうに原則的に考えるわけでございます。
  192. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それだけ一応お聞きしておきまして、次に具体的な問題でいろいろとお尋ねしてまいりますが、御承知のように、二十八万ヘクタールの市街化区域農地は、A農地が五千五百十ヘクタール、B農地が一万九千二百三十ヘクタール、C農地が二十五万五千三百九十八ヘクタール、その中で三大都市圏はA農地が三千六百十二ヘクタール、B農地が一万三千二百ヘクタール、C農地が九万一千五百九十七ヘクタールということで、三大都市圏ではA農地が三・三%、Bが一二・二%、Cが八四・五%と、こういうようなことになっておりますが、御承知のように、現在東京都においても都市農協が、四十八年三月三十一日現在で調べてみますと、東京都二十三区で十四農協、それ以外のところで六十六農協、合計八十農協あるわけです。もちろんこの中には、ほとんど農地がない農協もあるわけでございますが、いずれにしても八十農協あります。  そこで、午前中わが党の小川委員がいろいろ質問をしておりまして、私も若干聞いておったわけですが、二十八万ヘクタールの土地利用計画のことで、政府答弁によると、都市公園に三%くらいを考えておる。すると八千四百ヘクタールということになりますから、おおむね八千から九千ヘクタール。そして公園、宅地、道路、下水道、こういったものに約八〇%くらいを考えている。そうしますと、算術的に計算しますと二十二万四千ヘクタール。これを政府側は二十二ないし二十三万ヘクタールくらいだ、こういうふうにおっしゃっている。したがって、二〇%が生産緑地となりますと、これまた算術的に計算しますと五万六千ヘクタールということになります。政府側が、おおむね五万ヘクタール、こういうふうに午前中に吉田都市局長答弁しておりますが、それでは住宅用地は幾らか、こういうことになるわけです。私がいま言ったことは、おおむねそういうことであるから、確認とともに、住宅用地には幾ら考えておるか、これを当局から明快にお答えいただきたい。
  193. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほどの答弁でおわかりにくかったかもしれませんが、もう一度申し上げますと、公園では三%くらいが最低必要だということでございますので、二十八万ヘクタールに三%でございますと、八千ないし九千ヘクタールということになります。それで、そういったものも含めて、道路とか公園等の公共施設、これに少なくとも二〇%ぐらい要る。もっとほんとうは多いほうが良好な町づくりになりますが、そうもぜいたくいえないと考えて、多少公共施設用地を控え目に見れば二〇%ぐらいであろう。この中には公園も入っておりますが、主として道路でございます。したがって、残りの八〇%というのが宅地にみる、こういうことを申し上げたわけでございます。  一方、生産緑地はどのくらい指定されるかというお尋ねでございまして、これは同意制度でございますから何とも見通しは困難でございますが、当面、三大都市圏のA、B農地一万六千八百へクタールの一〇%程度くらいは指定されるんではなかろうか。しかし、やがて何年かたって区画整理も進む、あるいはこの制度の持つ意義も次第に周知され御決断もつくということになれば、さらにふえて究極的にはA、B農地の三割程度まではいくんじゃなかろうか、あるいは二割程度でとどまるかもしれない、こう申し上げたわけでございまして、これは二十八万ヘクタールに対する割合ではなくて、一万六千八百ヘクタールに対する割合でありますから、きわめて微々たるものでございます。つまり千七百ヘクタールないし五千ヘクタール程度、こういうものでございます。市街化される場合に、これは宅地と申しましても、住宅用地あり、工業用地あり、その他の商業施設用地、あるいは公益施設用地、もろもろあるわけでございまして、全部がいわゆる住宅地になるわけではございませんが、特に三大都市圏等を考えれば、住宅、宅地不足に対処するわけでございますから、相当部分は極力住宅地になることを期待しておる、こういうことでございます。
  194. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それからもう一点は、生産緑地となるものは二〇%だから約五万ヘクタールだ、こういうようなことを午前中言われているが、それで間違いないか。簡潔に言ってください。
  195. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 生産緑地に五万ヘクタールも期待しているとは申し上げなかったと思います。そんなにとてもいかないと思います。
  196. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 だんだん歯切れが悪くおかしくなってきたけれども、午前中では生産緑地は約五万ヘクタールということで御答弁があったわけです。いずれにしても、二十八万ヘクタールの中にずいぶんと少ないわけです。  そこで私は、先ほど農林省のほうからいろいろ答弁がございましたが、これは建設サイドでずっと進んでおりまして、農林サイドでいけば、これはまことにけしからぬというふうに実は言いたい。大山構造改善局長は、農地の保全をはかる、二十八万ヘクタールの中でも生産される農地については、立地条件考え、あるいはまた時期においても、または作物などよく検討して、コマツナとかミツバとかシュンギクとか、そのほかいろいろ軟弱野菜があるわけですが、十分営農、病虫害等十分考えていきたい、融資のことも考えるというようなことも答弁ございましたが、これは当然のことでありますけれども、こういったことでは、これはどだいもう農林省建設省に全部移管してしまったというか、五万ヘクタールやそこらではどうしようもないということになる、こう思うのだが、農林省はこれで野菜の供給が都市圏でできるかどうか。もちろん、ここだけでやるわけではありませんけれども、はたしてできるかどうか。こんなに建設省ペースでやられて農林省はいいのか。その点は農林省はどういうふうに検討されているか。答弁いただきたい。
  197. 大山一生

    大山政府委員 農林省のものの考え方といたしましては、市街化区域内の農地というのは、先ほど来申し上げておりますように、優先的に計画的に市街化されるべき地域ということで線引きして市街化区域にしたところでございます。われわれが優良農地として確保すべきところは、これは建設省と相談いたしまして市街化調整区域として確保しているわけでございます。したがって、都市近郊におきまして、将来とも、野菜の供給、そういう問題を考えます場合には、やはり市街化調整区域、そこを農振地域といたしまして、そこに集中的に投資をすることによってやってまいる、こういうことでございます。  現に野菜につきましても、野菜の団地の移転というような予算も計上いたしましているわけでございますが、現在、経過的にしろ市街化区域内の農地が二十八万ヘクタールある、こういう中におきまして農家経営をやっておられる。それはそれ限りにおいて立地条件を利用した農業経営でございますので、それは先ほど申し上げましたような施策で対応していく。しかし、最終的にといいますか、長期展望して言うならば、これは市街化調整区域あるいは純粋の農振地域、ここにおいて、たとえば野菜で言うならば野菜の供給をしてまいる、こういうことに相なる次第でございます。
  198. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省は、そうするともう一回はっきりしておくけれども、二十八万ヘクタールの中で八〇%が公園、宅地、道路、下水道等に要する。残りは二〇%ということになると、結局、生産緑地として農地としての効用を達成するというのは、厳密に言うと五万六千ヘクタールということになるが、農林省もそのように理解しておられますか。その点どうですか、簡潔に答えてください。
  199. 大山一生

    大山政府委員 先ほど都市局長が申し上げました五万ヘクタールになりますか、六万ヘクタールになりますか、あるいは三万ヘクタールになりますか、この辺は農民の意向というものが一つございますので、今後の動きを見てみないと数字の上では何とも申し上げかねます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、市街化区域内の農地は、農地法上の転用というものの規制をしていないということとの関連で申し上げますならば、長期的には期待してない。極端な言い方をすればそういうことに相なるわけでございます。
  200. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あなたのおっしゃるように、当然これは農民の理解を得て、市町村長とまたいろいろと相談の上きめることですからいまはっきりと数字を言えないことを十分承知しておりますけれども建設省関係都市計画法のサイドから、いろいろ都市計画していくという立場から考えれば、一応の計画があるわけですから、先ほどから答弁があったように、こういったことになっていくのじゃないかということを指摘をしておるわけです。いずれにしても少ないわけです。  どうしても気になるので、もう一回ぼくは大臣からでもいいからお答えいただきたいが、結局、八〇%が公園、宅地、道路建設にとられますと、今後の話し合いでいろいろ多少数字が違っても、大体五、六万ヘクタールぐらいが一応の生産緑地として農地として残る、こういうことには間違いないですね、大臣大臣から答えてくれ。
  201. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 ちょっと数字のことでございますので、私からお答えさせていただきます。  道路、公園等の公共施設用地に二〇%ぐらい、残りの八〇%ぐらいがいわゆる宅地、その中には住宅用地が主であろう、こういうことを申し上げたわけでございまして、生産緑地は私どもなかなか予測困難でございますが、三大都市圏の、しかもA、B農地一万六千八百ヘクタールの一〇%ぐらい、あるいはせいぜい三〇%ぐらいということですから、千七百ヘクタールないしは五千ヘクタールぐらいがなるのではなかろうか。しかし、三大都市圏のC農地とか三大都市圏外、これは宅地並み課税関係がないのでさほど要望は出ないと思いますけれども農業施策の濃さによりましては、案外に時間をかければ出てくるかもしれない。そのほうで相当出てくればこれはまた予測も変わりますけれども、いまのところは、直接的にメリットの強い宅地並み課税の対象地域からしか主として出てこないであろう、こういう意味で申し上げたわけでありまして、二〇%というのは公共用地の意味で申し上げたわけでございます。公共用地と宅地を合わせれば当然一〇〇%になる、こういうことでございます。
  202. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 亀岡大臣、いろいろお聞きになったように、大臣のお答えをいただきたいのですがね。  いま大山構造改善局長からも農林省サイド答弁がありましたのですが、いずれにしても、この二十八万ヘクタールの中の農地というものは、これはあまり期待できない。おそらく私の考えでは、今後の推移を見ていきますと、五万ヘクタールぐらいを確保すれば精一ぱいじゃないか。大山局長は、五万ヘクタールになるか、六万ヘクタールになるか、三万ヘクタールになるかというわけだが、長期的に見れば確保はおそらく相当むずかしい、できない、こういうことを言っている。われわれが想像しているのと同じような答弁があったわけです。  そこで、市街化調整区域の中に、御存じのように現在大企業、民間デベロッパーがどんどん仮登記をして土地を買いあさっておる。現に相当面積が買われております。先般も、委員会でいろいろ質疑をした際にも、これが約二十数万ヘクタールとか三十数万ヘクタールとかいうことをいろいろいわれておりますけれどもかなり面積がこういうふうに買われている。そこで私は、こういう二十八万ヘクタールの中のいわゆる農地がわずかに残っていく、こういうふうなことを思いましたときに、将来これはゆゆしき問題である。  と同時に、この二十八万ヘクタールの中からかりに五万ヘクタールの農地が残ったとすれば、約二十三万ヘクタールというものがもういわゆる公園、宅地、道路、下水、あるいはいろいろのものに使われていくということになると、いわゆる都市近郊の今後の野菜、食料供給、またはいわゆる自然、酸素補給というような意味からも、これはたいへんな問題である。これをカバーするためにも、私は市街化調整区域の中で、いま大企業、民間デベロッパーによっていろいろと土地の買いあさりが行なわれているものについて、これを中止させるか、または認めないということで、この二十三万ヘクタールにかわるものは当然補うべきである、かように思うわけです。  こういったことをなぜ聞くかというと、本法の賛否を問う上にも、われわれはいろいろ修正意見を持っておる関係もありますので、ひとつ正確にこういったことにお答えいただいて、これらを検討し、本法の今後の審議の重大な要素にしたいがゆえにあらためて聞くわけでありますので、大臣から、この辺の考えもあわせてお聞かせいただきたい。
  203. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 瀬野委員の御指摘のところ理解できるわけでありますが、私どもといたしましては、民間デベロッパーは民間デベロッパーなりに、日本の都市整備、住宅政策等にそれなりの功績を残しておることは認めなければならぬところでございますが、現に、いわゆる不動産屋あるいは商社等が、過剰流動性のあのだぶついた資金をもって土地を買いに走ったという事実も、これはまた事実でございます。こういうものに対しましては、土地税制ということで、四月一日から二〇%の重課税を課する税制もスタートをいたしておるわけでございまするし、また建設省当局といたしましても、昨年、これらのデベロッパーにすらも実は土地の放出を強く要請いたしておるわけでございます。一部、四百数十ヘクタールの放出もあったわけでございますが、そのほかの市街化地域にある彼らの持っておる保有地につきましては、五カ年計画でこれを開発する計画を建設省に提出をさせるということも約束をさせておるところでございます。  ただ、市街化調整区域等にありますそういう土地につきましては、土地課税税制が動いてまいりますので、不心得不動産業者に対してはきびしい金融上の制約、税法上の制約が及ぶもの、こう考えておるわけでございまして、これもせんじ詰めますと、やはり土地制度土地政策というものが確立していくことが何よりも大事だということを私、痛感いたしておるわけでございまして、この点においては、国会においてもいろいろと御検討をいただいておるわけでございまして、そういう面での立法というものがなされることを、私ども土地行政をあずかっている者の一人として強く期待をするということでございます。
  204. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省当局もよく聞いておられたと思うが、こうして大臣から答弁を伺うと、農業に特に造詣の深い大臣であるにもかかわらずそういうような答弁であれば、これは今後ますます思いやられる。農林省当局はよほどしっかりしていないと、今後国民の食糧政策に重大なことになっていくのじゃないかと思って、これは問題であると思う。  これにばかりかかっておられませんので、そこで農林省、第一種生産緑地は一ヘクタール以上で長期にわたって農業経営を続けると考えられるわけでありますが、農業投資とか農業基盤整備事業等の施策を当然積極的に導入すべきであると、こういうふうに私は農林省に申し上げたいわけです。ところが農林省は、長期的には不可能だとか、また午前中のいろいろな答弁の中で、土地改良の問題等だって、これは農協はできないが農民はできるとか、いろいろややこしい問題があろうからああいった答弁が出てきたのだと私は思うのですが、いずれにしても第一種生産緑地は、これは長期にわたってやっていくということになれば、農民は、こういった基盤整備あるいは農業投資が、まあ融資程度ぐらいではこれはどうしようもないことで、それではだんだん不安がつのり、また農業をする意欲がなくなってくるということをたいへん懸念するのだけれども、その辺は十分に、農民には心配ない、こういうふうに農林省は確信を持っておられますか、一言お聞きしておきたい。
  205. 大山一生

    大山政府委員 先ほど来申し上げますように、市街化区域、これは農地法上の転用についても、いわば開発許可その他の問題はございますけれども、要するに自由でございます。原則として届け出をもってすればいいわけでございます。したがいまして、そういうところに対します長期に効力の及ぶような土地基盤整備事業というのはなじみにくいものである、こういうことでございますけれども、その他の営農指導的な角度による補助金等については、これはわれわれとしては十分に考慮してまいりたい、こういうことを申し上げているわけでございます。  基盤整備事業につきましては、市街化調整区域、これは農地上の取り扱いといたしましても、みだりに開発さるべきところではないということで、他の地帯よりも強い農地法上の規制をして農地の保護をはかっているようなわけでございますので、したがって、そういう市街化調整区域の大半は農振法上の農振地域にもなっておるというようなことから、これは基盤整備事業等を十二分にやってまいる、こういうふうな考え方でございますけれども市街化区域ということに相なりますと、先ほど申し上げましたような制度上との関連もございまして、土地基盤整備事業にはなじみがたい、こういうふうに言わざるを得ないわけでございます。
  206. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、この都市計画の必要性は十分われわれも認めるのですけれども、いろいろいま論議したことを顧みますと、これは全く食糧増産で大事なときに、農業の撤退作戦にますます拍車をかけていくようなことになっていく、こういうことが将来心配される。建設サイドでなく、われわれ農林サイドから考えたときに、これは慎重に対処していかなければならぬ。  そこで、農林省にさらにぼくははっきりしておきたいんだが、きょうは農林大臣にぜひ出てもらいたいと思ったけれども、かぜ気味でどうしても出れぬというので、局長答弁を求めておるわけだが、これまでの農林省のいわゆる姿勢というものは一貫して傍観的であった。そこで都市計画法の成立の時点で、すでにこういった都市の中の生産緑地については放棄してしまって、その後何ら具体策を講じていない、かように私は言いたいわけです。都市農業は農政の谷間に置かれておるわけで、われわれが心配していることがついにだんだん具体化されつつあるということで、もちろん都市計画の必要なことも十分承知しておるのだが、それにしても、あまりにもこれは農林省が建設サイドにいわゆる押し流されて、何ら手を打たず傍観的で、そして今日に至り、いまだにその具体的な目標というか、また都市における農地からどのくらいの生産をするかという目標も午前中も答弁がなかったように、実にだらしがない、私はこう思う。その点はどういうふうに反省しておられるか、どういうふうにわれわれに理解させるような答弁をなさるのか、一点だけはっきりしてもらいたい。
  207. 大山一生

    大山政府委員 農林省の姿勢といたしましては、都市の中の市街化調整区域に重点を置きました都市農業ということをわれわれは一貫して考えているわけでございます。ただ、市街化区域内におきましても農業があるという事態の中に、その農業立地条件を生かした農業であるというようなことから、それなりの施策も講じてまいりたい、こういうのが基本的な姿勢でございます。
  208. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が詰まってきたので、若干指摘したい問題をはしょってお聞きしますが、今回のこの第一条には「農林漁業との調製を図りつつ、良好な都市環境の形成に資することを目的とする」、こうありますが、食糧確保または生鮮食料品の基盤として一定規模農地等が長期にわたることになるので、私は、農業の位置づけが明記されてしかるべきである、いわゆる農地等を対象としておる以上、都市農業の確立を目的の中に当然書くべきではないか、かように思うわけですけれども、これを書かないということは将来に禍根を残すのではないか、これはぜひ修正をすべきだ、こう思うのだが、農林省はその点はどういうふうな見解を持っておられますか。
  209. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 かわりまして建設省からお答えさせていただきます。  都市計画の中で、それも市街化区域の中に特に農業を保全するということでありますが、やはり都市計画制度としては、環境の良好な確保、それから多目的な公共用地等の保留地、こういう機能に着目をした制度ということにならざるを得ないわけでありまして、第一条におきまして、「農林漁業との調整」ということで、市街化区域の中でも経過的に残っていくもの、あるいは相当長期にわたって残っていく農地というものを一定規模要件等によって位置づけよう、こういうことであります。本法において、先ほどより御議論があった、ずばり農業施策としての観点が直接には入り得ないということでございますが、大臣からも御答弁申し上げているように、市街化区域面積のとり方、今後の市街化の動向を見れば、なお相当期間の間、農地として残ることが予定されますし、それから特に第一種などは制度的にもそれを担保しているわけであります。第一種といえども、十年たてば買い取り請求の制度を……
  210. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 わかった。時間が迫ってくるので……。あなたたちは、農林省の側としては、建設サイドに、この目的に入れるべきであるということを言わなかったの。その点どうなの。簡潔にひとつ……。
  211. 大山一生

    大山政府委員 法律の指定が、生産緑地というものを都市環境の整備という位置づけのもとでなされている法律でございますので、法制局的な判断も加えまして、それの農業上の振興というようなことを入れるというのは非常に適当でないという結論に相なったような次第でございます。
  212. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、これは建設省にお伺いしますけれども、第二種生産緑地指定要件の中で、政府案では〇・三ヘクタール以上、こうなっておりますけれども、私は、この面積規模は〇・一ヘクタールにすべきである。また、第五条の指定期間についても十年、そしてまたさらに十年について延期ということになっておりますが、五年ごとに、これはしかも永久に五年ごとの更新、こういうふうに変更していただきたい、こういう考え方を持っているのですけれども、その点、簡潔にお答えをいただきたい。
  213. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 いまのは第二種の要件だと思いますが、本来は一ヘクタールぐらいないと良好な環境とは言いにくいのでありますが、区画整理をやったというような場所でそのような要件では適合するものも少なかろう。また、区画整理というのは面的な整備をやっておりますので、そういう周辺を含めた事業の中でやられておるという点で、あえて規模要件を大幅に緩和しても、何とかそういう事業の行なわれていない場所とは違って環境機能というものが保てるのではないか、こういうことでございますので、これを〇・一ヘクタールにするというようなことは、都市計画上とうてい位置づけられない。  また五年ごとの更新で永久に更新できるようにということでございますが、五年というのは非常に短過ぎまして、都市計画の安定性という点でも問題があるのみならず、逆にそのような短期であれば、むしろ宅地供給を抑制するという逆効果ばかりが生ずるという点でも適当ではない。また永久にすべしという点については、区画整理等を行なった場所では、当面は農地として残るということも考えられますので、十年という期間を切ったわけでございますが、一回限り二十年ということにも延ばせるようにしておるわけでございまして、区画整理等を行なってなおかつ長く将来にわたって生産緑地で残すということは考えにくいし、おそらく区画整理に参画されたほかの方々の御意向としても期限を切ったほうがいいのではないか、こう思います。
  214. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りますので、あと一、二点簡潔にお聞きしますからお答えいただきたいと思う。  私たちの関係でも、いろいろ今後の修正問題を検討したい関係でお聞きするのですが、三大都市圏の中で百二十八の都市のうち六十二が、御存じのように、すでに宅地並み課税の全部または一部に相当する額の補助金を交付しておることが指摘されるわけですが、いままでの答弁によると、同趣旨、同目的の内容のものであれば今回の新法案で吸収するようなことをちょっと自治省のほうから答弁があっているように思うのですけれども、こういったことについては、本法が施行された場合に、どの程度、現在三大都市圏の百八十二の都市のうち六十二が条例等によって行なっている問題については認めるのか、または認めないのか。これに対して地方自治体に圧力がかかっては困るわけですし、大幅に権限を委譲していただきたい、こういうふうにわれわれは言いたいわけですが、その点どういう見解であるかお答えいただきたい。
  215. 首藤堯

    ○首藤政府委員 現在、三大都市圏の中の地方自治体がやっておりますA、B農地に対する補助金等の制度についての御質問でございますが、私、先ほど申し上げましたのは、本制度、つまり生産緑地制度が発足をいたしまして、この生産緑地制度生産緑地指定、こういうものが一応行き渡ると申しますか、完成をすると申しますか、そういう時点に達しました時期以降は、ただいま行なっておるような宅地並み課税の一種の返還にも類するような補助金の交付、こういったものは行なうべきでない、これに乗りかわるべきである、こう申し上げたわけでございまして、生産緑地指定が短時日に全部完結をするということはなかなか望み得ないと思いますので、その期間内においてはそういう制度が存続をすることもまたあろう、こう申し上げたわけでございます。
  216. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは、もう時間が参りましたので、最後にもう一点お伺いして終わりたいと思います。  現行では都市計画審議会を通していろいろ検討されておりますけれども、このメンバーには農業代表者が一名しかいないと私、思うのです。農林省はこれに対してはどういうふうに考えておるか。そういったことからどうしても農林省サイドの意見が入っていないということで、都市計画審議会自体に私はいろいろ疑問を持つわけです。市街化についての農地を経過的にしか見ていないような感じが、われわれの立場からいえば言えるわけでございまして、このメンバーの中に農業者は現在一名だと思うが、これは当然数名入れるべきである。これらについて農林省はどういうふうに折衝しておられるのか、農業を守る農林省としてこれでいいのかと私は言いたい。こういったことから、こういった農民を守る農地の問題等も、いろいろと根底的に建設省サイドでやられて、農林省は傍観せざるを得ないようなかっこうになってきているというふうに思われてしょうがないのですが、時間がないので、最後にこのことを一点指摘をして見解を承っておきたい、かように思う。
  217. 大山一生

    大山政府委員 都市計画審議会につきましては、これは農業との調整を要すべき事項が今後非常にふえると思いますので、現在のところ一人入っているわけでございますけれども、何らかのかっこうにおいて、たとえば臨時委員等というようなかっこうなり何かのかっこうで、今後その増員というようなことも建設省ともども検討してまいりたいと思っております。この生産緑地をつくりますための特別委員というかっこうで、中央会なり、あるいは農業会議所なり、また学識経験者というかっこうで農林省にかつて籍を置いた者等も入ってもらいまして、そしてこの生産緑地の問題の検討に当たったような次第でございます。
  218. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 じゃ、時間が参りました。以上で終わります。
  219. 松野幸泰

    ○松野(幸)委員長代理 小沢貞孝君。
  220. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は大臣に冒頭お尋ねをしたいわけですが、去年の宅地並み課税のときの大混乱といい、いままで建設委員会だけでこの生産緑地法案審議しておったときはそれまでではなかったと思いますが、やはり地方行政、農林関係連合審査ということになれば、昨年の宅地並み課税と同じように、この生産緑地法案がまたいろいろの矛盾や撞着が出てくるのではないか、こういうように考えるわけであります。この間、本会議のときの建設大臣宅地開発公団の御答弁も、調整地域へ持っていって大規模で安いところへやっていきますみたいなことで、そっちへ行かなければ宅地を大規模開発できないみたいなことになっていくのも私は矛盾の一つではないか、こう思います。  それで、この矛盾が出てきた根本原因はどこにあるだろうか、こういうように、いまここでじっと聞いていながら考えているわけであります。私は、第一ボタンをかけそこなったのは、終わりの第三ボタンや第四ボタンを直そうとしてもなかなかうまくいかない、こう思います。その第一ボタンをかけそこなったのは一体どこにもとがあるだろうか、こういう問題をいまここでじっと考えておったわけであります。  それは大体三つあるではないか。一つはあの線引きの混乱であります。ある市長は田園都市だと言って、市街化区域をなるべく広くしたい。そうすると、その中にいる農民は、そういうサイドに従って、いや地目変換だ何だというむずかしい許可制が要らないで簡単に届け出でできて、土地が上がっていけばいよいよ簡単に売れて、欲の深い立場から見れば、なるべく広く市街化区域をとっておけ、こういう立場でやった都市もあるわけであります。ある都市へ行けば、そうではないぞ、どうも保利前の前の建設大臣が、宅地並み課税市街化区域の中においてもかけないぞと言ったが、どうもあぶなっかしくてしようがないぞ、宅地並み課税をかけられそうだぞ、いや、そういうことになると、なるべく市街化区域というものは小さくしておいて調整区域をうんと広くしておいたほうがいいぞというような、こういうニュアンスの違いがあるわけであります。そうかと思えば、いまもここでうしろで山口議員と話していたんだが、福田大蔵大臣の地元のどっか町だか市においては、今日においてもまだ線引きさえ行なわれておらない、こういうことであります。うんと広くとったところもあれば、なるべく狭くしろと、いろいろの要素がからまってやっていた。いっそそんなのはやめてしまえ、こういうことで、全国ではまだ線引きさえ行なわれていないという、これは第一に新都市計画法制定のときの矛盾、こういうものが私は一つ出ているのではないか、こう思います。  先ほど来各局長の話を聞いていると、紙の上や法律の上においてはこうあるべきものだ、こういうものだ、そういう前提に立ってすべてのことを考えているわけです。ところが実際現地へ行けば複雑な利害がからまっているわけであります。だからいま言ったように、一つはまだ線引きが行なわれてない、一つはうんと市街化区域を広くした、あるところにおいてはもうそれを極端に小さくした、こういう矛盾がまず第一にあるんじゃないか、こう思います。  第二は、昨年の宅地並み課税のときにさんざ問題になったわけですが、この宅地並み課税で農民を追い出して宅地を造成をしようという意図があったとするならば、私はそこから問題が出ているのではないか、こう思います。大体、農業をやろうとし、それに精進をしている、それが明らかなもの、こういうものには、農地農地並みに課税をかけておきさえすればちっとも差しつかえなかった。それを、先ほどの御答弁もあったように、惰農がいたでしょう、擬装農地と称せられるものもあったでしょう、あるいは値上がり待ち農地というのもあったでしょう、これは悪貨であります。悪貨が何か良貨を駆逐したみたいなかっこうだと思います。だから、惰農だとか、値上がり待ち農地だとか、擬装農地だとか、こういうものだけは的確に何らかの方法で税を課す、こういうようなぐあいにやっていけばいいのを、逆なことをやって、農業に精進しようとして一生懸命でやっているところにまで宅地並み課税をかけよう、こういうことをやったものだから、昨年の混乱、今日の混乱があるのではないか、第二はこういうふうに思います。  第三点は、土地というものはみんな国有だとか、土地というものはみんな公有だとか、もう根本的にそうでもやれば、先ほど来局長が答えているように、線を引いたからここは市街地になるべきもの、これはそうではないもの、こういうことができるんだけれども、やはり市場価格制度で、値上がりしたならばおれは農業をやっているよりは売っていったほうがいいであろうという、欲の皮の突っぱったのがいるのはあたりまえのことであります。もうこれが永久に売れないことになれば考えなければいけないぞ、こういうように考えるのはあたりまえのことでありますから、第三には、市場価格制度のもとにおいてわずかな日本の資源である土地というものが律せられておる。  こういう三つの矛盾の前提に立って、昨年の宅地並み課税、ことしの生産緑地法案というものが論議されている、私はこういうふうに考えるわけであります。だから、この法律については矛盾撞着が山のごとく出てくるのは、けだしあたりまえだと私は思います。したがって、役所がこうすべきもの、こうすべきもの、さっきからの答弁を聞いているとみんなそうであります。がしかし、私は前提が大きなあやまちがある。まず第一ボタンをかけそこなった者が、第三ボタンや第五ボタンの最後のボタンにいってつじつまを合わせようと思ったってうまくいきっこないから、この法律については、まず大臣が政治的な判断をして、修正すべきものは国会の多くの議員の意見を聞いて——与野党、意見があるわけであります。私は、さっき自民党の小山議員の意見を聞いていて、うしろで拍手をしておったんだけれども、与野党意見があるわけですから、まず謙虚に修正すべきものは修正をする、こういう態度で大臣は臨まなければならない、こう思うが、どうでしょうか。
  221. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先生御指摘の経緯によって昨年宅地並み課税法案が成立を見たわけでございます。その際国会附帯決議がなされたわけでございます。その附帯決議に基づき、また建設省においても、かねがね都市計画法の手法の中に、いままでの都市計画法だけの考え方、発想というもので今後の都市づくりというものがいいであろうかどうかというようなことも検討しておりましたときでもあったわけでございますが、先ほど申し上げたように、たまたま附帯決議の、市街化地域における農業者を何とかしなければいかぬぞ、都市計画を進める上においては当然考えなければいかぬという示唆をされたわけでございますので、政府といたしましても、一年かかりまして関係各省知恵を集めて寄って相当審議をいたしまして、政府といたしましては、これならば国会附帯決議の線に沿える案、こう確信をしてまとめて原案を出した次第でございますので、私どもの気持ちもひとつ御理解をいただきたいと思うわけであります。
  222. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、これを阻止、廃案にして——いままで自治体で条例をつくって、奨励金を八割出す、あるいは全額奨励金を出すという形はやはり将来のためにとるべきではない、こう思います。したがって、百八十二都市の中から六割も七割も、そういう条例をつくって還元をしなければいけないということが出てきたということは、第一に昨年の宅地並み課税そのものが誤っておったのではないか、国会全体として反省すべきものではなかったか、まずこういう反省の上に立たなければならないと思うわけであります。したがって、そういう事態を長く続けることは自治体の財政にも影響があります。そのことは私は好ましくないと思うのです。しかし、そうせざるを得なくなったという理由考えてみるならば、ここできょうずっと御意見が出ておりましたけれども、あまりシビアなことをしてやっていったんでは、この目的のいい面が生かされないわけであります。したがって、もう少し緩和しろ、もう少し何かしろという意見がたくさんあるわけであります。しかも自民党の中からも出ておるわけであります。だから私たちは、そこで国会の合意を得られるならば、これはもう大臣、謙虚にその意向に従う、こういう態度を示していただかなければ、先ほど来の瀬野議員ではないが、農がわかってくれた建設大臣にといって、あれだけ言われているわけですから、この辺少し大臣きちっとした御答弁をいただきたいわけです。
  223. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 小沢委員の表現をかりれば、一つ目のボタンをかけ違えたということがこういうことになったというようなことで、三つの点を指摘されました。その中に、私ども都市政策を進める上におきまして、御指摘を受けた線、私自身もそういう感じがいたす面もございます。しかし、都市政策を進める上におきまして、やはり値上がり待ち、また農業をやらないで草だけをはやしておくといったような方、そういう方々も現実にあったわけであります。したがいまして、課税をしろという声に対する立法措置というのも、これも建設省サイドからすれば理解ができるわけであります。そういうことで、正常なまじめに市街化地域において農業をやっている人もあおりを食うということは忍びないというような気持ちが結集されまして、この生産緑地法という法律でそういう市街地農家の方々もある期間は救えるようにしようというような考え方も実は出てきたのであろうと思うわけであります。  したがいまして、私どもとしては、知恵を出して十分原案で、国会からの御意思を果たすこと、解決することができるという感じで御提案申し上げておる提案者側でございますので、内容をどうしろ、どうしてほしい、こうしてほしいということはないわけでございまして、国権の最高機関である国会の御審議にまつほかはない、こういうこれこそ謙虚な気持ちであろうと思うわけでございます。
  224. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 提案した大臣が、どうぞ修正してようございます、こう言えっこないこともわかっていて質問をするわけですが、いまの大臣のもぞもぞ歯切れの悪そうなところは、国権の最高機関できめてもらうならば謙虚に従わざるを得ない、こういうことのようであります。これはまたあとで委員会等で十分相談をしてやってまいりたい、こう考えますので、若干中身に入って質問をさせていただきます。  私は、もう読み返しませんけれども、この法律の目的が農業との関係は「調整」ということばを使ってあるだけであります。「調整」ということばだけであります。この第三条等を見ると、公共施設の予備のような場所、まずそれが第一であります。それから環境保全というような意味から、十分環境施設がとれない、公園等がとれないので、その補完的な意味、こういうような二つの意義に重点を置いてあって、農業というものはそれと調整をするぐらいなことしか考えていないわけであります。  先ほど来吉田局長は、農業農業のほうでまたそれなりに融資もやります、投資もします、病虫害防除もやります、営農指導をしますから、農のほうもそれなりに考えてある、こういうように御答弁を聞いているわけであります。そういうならばこの法律の第一条というものは、「農林漁業との調整」ということばだけでなくて、その農林漁業の中の振興、発展、そういうものとも兼ねてと、こういうぐあいにうたわれなければならない。いままでの答弁を聞いているとそう感ずるわけです。この点についてどうです。
  225. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 おっしゃいましたとおり、主として市街化区域の中の生活環境の保全ということに主眼がありまして、あわせて公共施設としても使える適地である、つまり不適地ではいかぬという程度のものがつけ加わったものでございまして、農業との間におきましては調整、つまり市街化区域ということですから、都市土地利用側から見れば、極力住宅、公共用地等に使いたいという希望の非常に強い土地であるけれども、しかし環境保全等の意味合いがあって、一定の要件に該当するものはそうばかりもいわずに、農業との調整もはかりつつ都市計画上も緑地保全地区として意義づける、こういうことでありますので、この法律の仕組みとしてはこういった表現が適切ではないか、こう考えます。
  226. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この「都市計画区域内において都市計画として生産緑地を計画的に確保するための方策についての答申」の「まえがき」のまん中どころに、「第一種生産緑地地区内の農業地について適正な農業経営が確保されるよう農業所管庁による所要の農業施策等が講ぜられることについてもあわせて要望する」、こういう積極的な要望もあるわけであります。したがって、これはあとで委員会の問題になろうと思いますが、修正をするとするならば、やはり農業は調整というだけに位置づけられないで、農業をこの中においてもっと発展させる、そういうようなぐあいにやはり第一条の「目的」から修正をしていかなければいけない、こういうふうに私は考えるわけであります。これは押し問答になると思いますので、私は、もし修正をするとするならば、第一の目標はそこにあろうか、こういうように考えるわけであります。  次は、宅地並み課税というのが三大都市圏の百八十二の市のA、Bのみにかけられておるわけであります。そしてこの生産緑地法案の一番大きい最大の山は、やはり宅地並み課税が減免される、こういうところにあろうと思います。そうすると、先ほど午前中の小川委員質問にもありましたけれども、三大都市圏の市以外の町村、あるいは三大都市圏のC農地及び地方におけるA、B、C農地には、この生産緑地法案というものは何ら直接にかかわり合いがない、こういうように考えるわけであります。だから、第一条の「目的」に持っていって、生産緑地は積極的に農業を振興いたします、こういうように書かれるならば、私は三大都市圏以外の農地についても積極的な意味があると思うが、それが書かれてなければ、宅地並み課税を減免してもらう、こういうこと以外にこの法案の積極的な意味がないと思う。したがって、これは大臣お尋ねをしたいのだけれども宅地並み課税というのは、三大都市圏の百八十二の市のA、B農地にしかかからないわけであります。したがって、この法案もそこだけにかかわり合いを持つようにすることが当然ではないか、こういうように考えます。どうでしょうか。
  227. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほども私の答弁の中で申し上げたわけでありますが、都市計画をやる際に、良好なる都市環境を備えた都市づくりを今後新たに進めていくような場合には、やはり緑地というものを相当考慮していかなければならぬのではないかという考え方が積極的に出てきておりますことも、小沢委員御承知のとおりでございます。したがいまして、私どもとしては、宅地並み課税というものが発火点にはなりましたものの、この発火点を活用してはというと語弊があるかもしれませんけれども建設省としては、優良なる都市環境を備えた都市計画を進めていくために、今後、緑地というものを積極的に考えていこう、そうしてこれは、公園なり、あるいは樹園地なり、あるいは都市森林なりというようなものが積極的につくられていくという、その過渡段階において、地方都市におきましても都市計画を進める際に、農家の協力を得ませんとこういうことができないわけでございますので、税法上の特典はなくとも、地域都市並びに農村という関係において、お互い理解し合う一つの方向として、私は、都市計画の中に生産緑地というものを積極的に取り入れていく手法というものは、全国的に行なって何ら差しつかえないのではないか、こういう感じをもって対処をいたしてこの法案をまとめた次第でございます。
  228. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 冒頭に私、申し上げたように、ある市長さんは、選挙のときに田園都市といってどんどん市街化区域を広げたわけです。ある市においては、これは宅地並み課税がかかるかもしれない、そのときにはいけないといって、こんなに狭くしたわけであります。まだやってないところもあるわけであります。そういう末端がこういう混乱した中へ持っていって、生産緑地法案といって上から四角四面にやっても末端はますます混乱するだけだ、こう私は思います。きちっと最初からできておるものだったらよかったのですが、そうでないわけです。だから、もうここでは大胆に大臣お尋ねをするのだが、先ほど小川委員に答えたように、A、B農地以外にはかけないもの、そういう前提があるならば私はちっとも差しつかえないと思います。  これは大臣としての所見なのか。これは委員長にひとつお尋ねをするわけですが、田中内閣としてA、B農地以外にはかけない、こういうように理解をしていいか。自治省の局長答弁は、どうも来年になったらまた検討しなければいけないみたようで、一体、大臣さえかけないものというものを、局長あたりが、検討しなければいけない、こう言うものだから、いま末端で一番心配しているのはそのことなんで、ひとつその辺の見解を自治大臣見えたら明確に答えていただきたい。それがあれば、私はここであまり固執していろいろ言わなんでいいわけです。税の問題以外にそんなに意味があると思わないのだから。どうでしょう、委員長
  229. 松野幸泰

    ○松野(幸)委員長代理 このあとに自治大臣は何とか出られるようでございますので、そのときに関連質問でやっていただいたらどうかと思いますが……。
  230. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それじゃ了承して前に進みます。  先ほど来、線引きがそういうような状態になっておるので、ある市町村においては、この緑地法案をなるべく広く適用させなければいけない、市街化区域内の農地の七割、八割までこの法律の適用を受けるようにしたいというところもあるでしょうし、そうかといって、また逆なところにおいては、うんと狭くこれをやっておかなければいけないというような、いろいろのニュアンスのところが当然出てくる、こう思います。そういう場合に、自治体に大幅な権能というか、それを与えることができるか、こういう問題であります。それをお尋ねしたいと思います。
  231. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど実は小沢委員から指摘いただきましたこの線引きの問題でございますが、これは一時混乱を来たしたというのも事実でございます。しかし、ほとんど大部分の線引きを終わって、この間においていろいろな経験もいたしておるわけでございます。新都市計画法に基づきまして五年ごとに見直しをするということに相なっておるわけでございますので、この生産緑地の法律が、都市と農村との接際部における問題の解決の一つの立法措置としてでき、またいろいろ税問題上の問題点等も経験をして、五十一年ごろから線引きの再検討というのを自治体がそれぞれやるわけであります。そういう際に、今日までのいろいろな点についての反省というものを自治体自身も取り入れるでございましょうし、私自身も十分そういう点に配慮をいたしまして、やはり新都市計画法が企図しております良好なる都市の造成という目的が達せられるようにしてまいりたいと考えておるわけでございます。詳しくは局長から……。
  232. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっと事務当局にお伺いしますが、今日においてもまだ線引きが行なわれていないところは、一体該当する市町村でどのくらいあるでしょう。面積なり数なり、何%くらい今日でもまだ線引きをやっていないか。ごく大ざっぱな数字でいいです。
  233. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 市町村の数で申し上げますと、九六・三%が線引きを終わっておりまして、未決定のものが七百八十四のうち二十九というわけでございます。
  234. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣、まだ線引きやっていないところがあるわけです。それに、くどいようですが、広くとったところ、狭くとったところがあるわけです。だから、こういうことはやはり、自分の都市計画をどうやっていくかということは、自治体が一番よく民意を反映することができてやっていけると思います。だからこの法案の中に、もっともっと積極的に、農業団体が要求しているような、市町村に農業者の代表等を加えた、仮称でありますが生産緑地審議会、こういうようなものをつくって、そういうところが大幅に生産緑地地域をきめることができるようなぐあいにこれを修正していくことがやはり一番民意を反映することではないか、こういうふうに考えます。いままでの質疑は繰り返しませんが、まだやっていないところ、うんと広くとったところ、狭くとったところがあるのだから、これは自治体の考え方を十分尊重する、こういうことが必要だと思います。
  235. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほど数字を申し上げましたが、宅地並み課税の対象地域になっているところでまだ線引きが終わっていないというところはないわけでございます。それから御指摘の点は、市街化区域のことでありますので、その総指定面積については、あえてこの法律では何割以内というようなことは、第二種は別として規定しておりませんけれども、一応われわれ考えましても三割程度が限度ではないか。逆にいえば七割程度は宅地化してもらいたいもの、こういうふうに考えております。
  236. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 局長が言ってくるとますます反発したくなるのだが、先ほど来言っているように、まだ線引きしていないところ、うんと大きく市街化区域をとったところ、小さくとったところ、千差万別なんです。そこへもってきて、三割が適当でありましょうなんて言うものだから、いよいよ混乱してしまうわけです。これはまた、この問題も委員会で十分た検討しなければならぬ問題だと思います。時間がないので……。  大蔵省来ておりますか。大蔵省に質問をしたいわけです。  生産緑地の中においては、いろいろの制約や何かがあるわけですが、ここで相続する場合の相続税は、一般市街化区域内あるいは調整区域内、これと同じように扱うべきものか。というのは、一生懸命ここで営農をやっている者がみなし課税で相続税をたくさん取られてしまう、三分の一か四分の一は売らなければ税を納められない、こういう実態であります。生産緑地のこの中においては相続税の減免等については配慮されるべきものかどうか、その点をまず伺いたい。
  237. 伊勢田巧教

    ○伊勢田説明員 お答えいたします。  相続税は、御承知のように、相続によって相続人などが財産を取得したといった場合に課税になるわけでございまして、この場合、その財産の価額ということは、相続税法の第二十二条に時価ということで規定してございます。生産緑地法案によりますと、農地所有者の同意を得て生産緑地として指定された場合にはいろいろな制約が出てくるようでございます。そういったことでございますが、第一種によりますと十年間、第二種では五年間ということのようでございますが、一定期間経過後、あるいはまた農業従事者が死亡というような事由が生じた場合には、市町村長に時価で買い取りを請求するということはできるようでございます。   〔松野(幸)委員長代理退席、渡部(恒)委員長代理着席〕 こういったような場合、買い取り価額は地価公示の価格を規準として定められ、具体的には市町村長と所有者との協議によってきまるようでございます。この買い取り請求に対して市町村長が買い取らないというような場合には、生産緑地に対する制限を解除するということになっておるようでございます。  御承知のように相続税というものは、先ほど申し上げましたように、相続によって財産を無償で相続人等が取得したという場合に課税になるわけでございまして、相続財産の価額、すなわち時価で課税をするわけでございます。そういうようなことで、生産緑地としての指定があった場合には、それが時価にどのような影響を及ぼすか、すなわち売買価格だとかそういったものがどういう動きをするか、そういったこと。または農業従事者等がなくなられた場合には時価で買い取るという制度がございますが、これは事実上どういうような運営をされていくのか。そういったような実情につきまして、もう少し具体的になった段階で、個別のケースを十分調査をいたしまして検討していきたいと考えておる次第でございます。
  238. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この法律では時価とはいっていないわけです。適正価額であります。適正価額で市町村長と当事者の商談が成立しないときには収用価格でやる、こうなっているわけです。そこは間違っているところは訂正しておいて……。
  239. 伊勢田巧教

    ○伊勢田説明員 「公示価格を規準として」という表現がございますし、おっしゃるように、協議がととのわないというような場合には収用価格ということもあるようでございます。その点は十分承知しております。
  240. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この問題は非常に大きな問題なので、時間をかけてさらに質問をしたいと思いますが、せっかく大蔵省に来ていただいたので質問をしたいと思います。  たとえば市街化調整区域の中において相続税を納める場合に、その三分の一ぐらい売らなければとうてい納めることができない、こういう現象が出ているわけであります。市街化調整区域においては買ってくれる人がないわけであります。税のほうだけは高い税で来ておるけれども、そういうような価格に相当する価格で買ってくれる人がいないし、かってに売ることができない、こういうことになる。その場合どうやって徴税をしていますか。
  241. 伊勢田巧教

    ○伊勢田説明員 おっしゃるように、市街化調整区域につきましてはいろいろと法規制がございます。それで、相続税を納めるというような場合に金納がたてまえでございますが、物納もできる制度がございます。農地につきましても物納ということが可能でございまして、最悪の場合は物納をしていただくということになります。
  242. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは農民運動としても、みんな物納がよかろう、私はそう思うのです。市街化区域生産緑地法が適用されたところも物納、調整区域の中のとうてい払えないところも物納、市街化区域一般農地のところも物納、こういうようにみんなでやった場合に、大蔵省はその財産をどういう管理のしかたになりますか。ついでに聞きますが、それをかつての自作農創設維持のように、あるいは農林省に移管し、公共施設に適当な場所だったら建設省に移管し、そして公共施設なるように適確な安い価格で払い下げる。あるいは自作農創設のときのように、農地拡大のために安く払い下げる、こういう制度が開かれますか。
  243. 川崎昭典

    ○川崎説明員 御承知のように、物納されました農地取り扱いにつきましては、私ども大蔵省と農林省と協議いたしまして、自作農創設特別措置法に基づく払い下げが適当だという判断のつきますものは、大蔵省から農林省所管がえするという措置をとっております。しかしながら、ただいまお話のございましたように、今回の立法で予定されております生産緑地地区内、そういったものの取り扱いは、今後農林省建設省の御意見を十分伺いまして措置をきめたいと考えておるわけでございます。また一般的に、今後市街化調整区域の中で農地が物納されました際には、これは従前どおりの扱いとして農林省所管がえするということも多かろうかと考えております。
  244. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは、生産緑地の第一種、第二種の場所の相続税の物納のその農地、これはいまこれから検討しようということなんだが、これは建設省所管がえをするか、その生産緑地内で農用地拡大の希望を持っているものについては農林省所管がえするか。調整地域その他においては農林省所管がえをする、こういう方向の御答弁があったから、これは当然、その地区内である農民が規模拡大のためにやろうということになると、ほかの地区と同じように農林省所管がえする、こういうことになろうかと思うが、どうでしょう、そこのところは。
  245. 川崎昭典

    ○川崎説明員 先ほど申し上げましたのは、市街化調整区域内の農地農林省所管がえするということもございましょうということを申し上げましたが、市街化区域内の農地は現在でも農林省所管がえということをやっておりませんので、この法律が出ました後でも、農林省所管がえをするということは起こらないであろうと考えておるわけでございます。
  246. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この法案ができない前の市街化区域内の農地で物納でやったものの例はありますか。それはどこへ所管がえするか。大蔵省でずっと持ちつばなしですか。
  247. 川崎昭典

    ○川崎説明員 いままでの扱いでございますが、市街化区域内の農地は、農林省と相談をいたしましても、農地不適格ということが多うございますので、私どものほうで貸し付け処分をして持っておる、そしてその間に他の処分への転用が起こった場合にその措置をするという形になっております。
  248. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 貸し付け処分のときに、相続税は多額だから三分の一か四分の一売らなければとてもできないから物納で持っていってくれ、そうして物納をしたその農地というものは、納めたその人に貸し付けている例が多いわけですか。そしてそのときの小作料何なりはどういう料金ですか。
  249. 川崎昭典

    ○川崎説明員 物納されました農地は従来の耕作者に貸し付けるということが原則でございますので、小作人である場合と地主そのものである場合があるわけでございます。それで貸し付けの料金は、私ども大蔵省のほうできめております料金に改定してもらうという形になっております。
  250. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは農林省お尋ねをしたいが、そのときの小作料というものは、一般の自小作のあの小作料と変わりないわけですか。
  251. 大山一生

    大山政府委員 標準小作料制度がございますので、標準小作料制度に大体準ずるというふうにお考え願いたいと思います。
  252. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間が参りましたので、その問題についても突っ込んで質問をしたいわけですが、最後にこれは大臣お尋ねをしたいわけです。  だいぶ政治的な問題になりました国総法については、いまも盛んに議院で何か大幅な修正が進んでおるようです。そして開発というよりは土地利用規制法という性格がだんだん強くなって、地価凍結、売買許可制、こういうようなところまで発展しているやに聞いておるわけです。そういう法律ができたときに、一体この緑地法案その他どういう関係にあるだろうか、こういう点を最後に。これは突然の質問のようですが、私は、土地規制が行なわれて地価が凍結される、それから売買許可制、こういう問題になると、このみみっちいような緑地法案なんか吹っ飛んでしまうみたいなような感じを受けるわけであります。どういう関係になるのでしょう。
  253. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 何と申しましても、先ほど申し上げましたように、土地に対する基本立法というものが各党間において話し合いがされておりますことは、土地行政の一部を担当しております私としては、たいへんうれしく思うわけであります。と同時に、いろいろいままで混乱を来たしました土地関係都市政策でありますとか住宅政策、宅地の問題でありますとかいろいろな問題、土地価格でありますとか、これはやはり関係者以外の者が入り込んでくる余地があったわけであります、土地を手にすればもうかるだろう、土地でもうけてやろうということで。今度の土地規制法によりまして、そういうことを一応封殺をするという形に進んでおるようにも聞いておるわけでございまして、そういたしますと、この生産緑地法案等もむしろ非常に有効に働いていくのではないか。純粋に農家の希望、都市側の希望というものが、その土地の面の上において何らほかの要素にあまり阻害されずに触れ合うことができて、いままで土地関係する施策でなかなか思うとおりに進まなかったものが比較的円滑に進んでいく基礎をおつくりいただいておる感じがいたすわけでございます。直接この生産緑地法案にいま各党で御審議いただいておる土地立法がどのようにからみ合うかということは申し上げる知識を持ちませんけれども感じとしてはいま申し上げましたような感じがいたすわけでございます。
  254. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間ですからこれで質問を終わりたいと思いますが、ひとつ建設大臣には、第一ボタンがかけそこなったようなことから発生をしたところの宅地並み課税あるいは生産緑地法案、こういう感が強いわけであります。先ほど来局長答弁を聞いていると、たいへんかたくなな答弁のようですが、また委員会等において十分修正なり何なり考えてみたい、こういうように考えますので、柔軟性をもってひとつ対処するようによく各局長に指示をしていただきたい、こういうことが一つと、さっき、自治大臣が来たら統一見解の御答弁を聞かせていただいて、委員長の言われたように関連質問をさせてもらいたいと思います。
  255. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員長代理 山口鶴男君。
  256. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 生産緑地法案について若干お尋ねしたいと思うのですが、各委員からいろいろお尋ねがありましたが、この生産緑地法によりまして生産緑地指定を受けた場合のメリットは、要は農地宅地並み課税が除外されるということなんですね。したがいまして、この法案を議論いたします場合、どうしても農地宅地並み課税の問題について議論をしておかなければならないと存じます。そういう観点から自治大臣にも御出席をいただきました。  実は私は、昭和四十六年、地方税法の改正がございまして、地方税法の中に農地宅地並み課税制度がしかれたそのときから、国会でこの問題を議論をいたしてまいりました。昭和四十六年、自民党さんだけの賛成で実はこの農地宅地並み課税の条項を地方税法の中にうたったわけであります。しかし、その後この税法改正に伴いまして、各地の市町村長が、当然これは条例を改正しなければなりませんので、条例改正を議会に提案をする。そういたしますと、非常に反対が強くて、条例を提案してもこれが議会を通らない。あるいはまた、そういう事態を察しまして市町村長が条例の提案すらできない、こういう自治体が相次いだのであります。その結果、昭和四十七年度の地方税法改正にあたりましてこれが大きな問題になりました。当時、地方行政の自民党の理事さんだった大石さんと私、二人中心になりまして、事態収拾をどうするかということで相談をし、いわば一年たな上げと申しますか、市町村に農地課税審議会を設置をして、そうして現に耕作が行なわれている農地あるいは点在する農地であっても、都市の緑化に寄与すると認められる農地については、これは農地宅地並み課税から除外をするという形になりまして、実質的に一年たな上げの法律を与野党の一致した修正で通した経験を持っております。  そして次いで昭和四十八年度の地方税法改正になりました。ただいま質問をいたしました民社党の小沢さんを含め、共産党の代表あるいは公明党の代表の方を加え、野党四党で私たちはこの問題を相談をいたしました。当時、自治大臣であった江崎さんは、この農地宅地並み課税に関する部分は地方税法で改正提案をしなかったわけです。そうしてこの問題はあげてひとつ議会で処理をしていただきたいと、こういう態度をとりました。与党の側からそういうお話もあり、野党としての案をまとめてくれと、こういう要請がありまして、野党四党いろいろ議論はありましたが、一応野党四党の統一見解になるものをまとめました。しかるに田中総理大臣が、この野党四党の統一見解、自民党もほぼこれを了承いたしたのでありますが、これはいかぬということで、昨年のようなあのようなごたごたになって、そうして三大都市圏のA農地について昭和四十八年度からこの農地宅地並み課税が実施されて今日に至った、こういう経過をたどっているわけであります。しかもその中で、徴税権者である市町村長は、とてもこの農地宅地並み課税を法律どおり実施することには困難があるということで、それぞれの市町村がいろいろなくふうをいたしまして、実質的な生産緑地制度を採用して今日に至った、こういう経過を私はすなおにやはり振り返ってみる必要があると思うのであります。  問題は、なぜこのように紛糾をしたのか、この点です。私は自治大臣に特にこの点は考えていただきたいと思うのです。私は昭和四十六年のとき、このような当時の農地宅地並み課税の改正案では非常な無理がある。どこに無理があるか。それは、課税権者である市町村長の自主裁量権というものが全くない。しかも市町村長は都市計画の執行者でもあるわけであります。ですから、先ほど来亀岡建設大臣の言っておられたように、値上がり待ちの農地、あるいは営農をほとんど放棄をしてただ値上がりだけを待っている、そういうものとまじめに営農しているものとは違うわけです。そういうものが一体どう区分けできるかといえば、これは建設大臣も自治大臣も区分けすることはできないと思います。だれが一番区分けするのに適当であるか。これは私は市町村長だと思うのですね。しかも市町村長が地域住民の代表を集めた農地課税審議会というような審議会の中で十分議論をすれば、これはまじめに耕作している農地であるか、これは値上がりを待っている農地であるかという区分けは私は明確にできると思うのです。そういった市町村長の裁量権というものを初めから封殺をした。そこに今日まで昭和四十六年以来この問題がもめ続けた経過があると思うのです。だから昭和四十六年も市町村長が条例の制定ができない。今日、昭和四十八年度においても自主的な生産緑地制度というものを市町村がくふうしてつくらざるを得ない。それはやはりそこに原因があると私は見るべきだと思うのでおります。  自治大臣は自治体を主管する大臣であります。憲法には、地方自治の本旨にのっとって自治体は運営さるべきだということが書いてございます。地方自治の尊重、これが何よりも重要であることは言うまでもありません。そういう意味で、なぜ今日までこの問題がもめ続けてきたかということを謙虚に振り返って、もっと市町村長の自主性、裁量権というものを大胆に認める、こういうことをなぜしなかったのか。また、今度の生産緑地法案も、建設大臣が機関委任した都道府県知事がこの生産緑地指定をする形になっています。市町村長の十分な意思というものが反映するような仕組みにはこの法律はなっておりません。なぜ自治大臣は、この市町村長の三年間にわたる苦労というものを無視してこのような形の法律にいたしたのか、市町村長の自主裁量権というものを封殺をしたのか、謙虚にひとつ反省をして御答弁をいただきたいと思うのであります。
  257. 町村金五

    ○町村国務大臣 今度の生産緑地法の問題について、従来からの経緯等について山口委員からいろいろ御指摘をいただいたわけであります。この問題が長い間非常にもめ続けてきておるということは、私どもも陰ながら承知をいたしておったところでおります。山口委員によりますれば、そういう状態になったということは、個々の市町村長の判断というものが十分に反映されるような形になっていないということがその主たる原因だ、こういうふうに御指摘になっておるのでありますが、私がいまさら申し上げるまでもなく、この生産緑地指定にあたりましては、地域の実情に応じて適切な運用が行なわれるというたてまえにおいて市町村長の判断というものが相当に尊重をされるという制度になっておる、私はそう理解をいたしておるわけでございます。ことに、こういった制度を個々の市町村の判断だけによって行なうということは、一方においてはやはり公平を欠くという問題も起こるのでございましょう。やはり都市計画制度としてこの生産緑地制度を設けていくということが望ましいと考えられて本法案を提案するに至った、さように私は理解をいたしておるところでございまして、実際上の運用については市長村長の判断というものが相当に反映をされることになるのではないか、私はかように理解をいたしておるところであります。
  258. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 市町村長の判断が尊重されると言いますけれども、地区の決定は都道府県知事ですからね。この問題については、それじゃあとでまた議論するとして、しばらくおきましょう。  先ほど来議論になりましたいま一つの側面は、都市農業をどう位置づけるかという議論でございました。これに対する亀岡建設大臣答弁は、私は非常にりっぱだと思って敬服をいたしました。昨年成立をいたしました地方税法改正、農地宅地並み課税の改正にあたりましては、三大都市圏のA、B農地以外の農地、具体的にいえば三大都市圏のC農地及び三大都市圏以外のA、B、C農地、これについては五十年度まで検討を加えて、昭和五十一年度以降どうするかということを決定する、こういう形になっております。それに対して、現在の状態からいって三大都市圏以外に農地宅地並みの課税は適用すべきでない、こういう各委員からのお尋ねに対して建設大臣は、二つの理由から次のような御答弁をされました。都市計画というものは当該地域農家の方々の協力を得て進めなければならない、地域住民の協力なくしては都市計画は進まない、これが第一点。それからまた国際的な食糧危機というものが考えられる現在の時期におきまして、一万六千ヘクタール以外の市街化区域農地といえば約二十六万数千ヘクタールでしょう。この農地が持つ意義というものは大きい。そういう意味で三大都市圏以外のこの地域においては農地宅地並み課税はすべきでない、こういう明確な御判断を示されました。私はこれは非常にすぐれた卓見であると敬服をいたします。町村自治大臣、どうですか。法律では確かに昭和五十年度までに検討して五十一年度からどうするかをきめるとなっていますが、いま言った亀岡建設大臣の御見解に当然町村自治大臣も御同調されると思いますが、御見解はいかがでございますか。
  259. 町村金五

    ○町村国務大臣 いま御指摘になりました三大都市圏以外のいわゆる市街化区域農地というものに対する課税をどうするかという問題は、いま御指摘のように、昭和五十年度の末までに検討を加えるということになっておることは申し上げるまでもございません。この農地に対する宅地並み課税というものには確かにいろいろな問題があるということを私も重々承知をいたしておるのでありまして、当初おそらく、市街化区域内にある農地についてはできるだけこれを宅地化していくということの必要上、宅地並みの課税をしようということが事の起こりのように思うのであります。その後、いま山口委員も言われておりますようないろいろな問題が起きて、そう簡単にはいかないというのが今日までこの問題がいろいろな経過を遂げてきた理由である、こう私も思うのでございます。  ただ御承知のように、この制度については、五十年度末までに課税の適正化をはかるための検討を加えるということになっておるのでございまして、実はその検討がどういうような状態に相なっておるかということについての判断をいたすだけの話も、私自身まだ聞いておりませんので、いまここで私自身確たることを申し上げる用意がないわけでございます。いずれにしても、建設大臣も言われたそうでありますけれども、要は、一方においてできるだけ農業に専念する者は、やはり今日の食糧事情等から考えて、これを農地として保存をしていくことも非常に必要なことだと私も考えておるのでありますけれども、ただ、御承知のように、すでに町のまん中に入ってしまって、さらに待っておれば土地の値段が上がるだろうというだけのお考えでおられる方々に対しまして、そういった恩典措置を長く続けていくということの妥当性の問題というものが、私はまだ残っておるのではないかというような感じがいたします。いずれにいたしましてもこういった問題は、やはり総合的に判断を下して最も適切な結果の得られるようにするということが当然のことだろう、こう私は考えておるところであります。
  260. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうも建設大臣に比べますと自治大臣は歯切れが悪いので、たいへん残念だと思います。昨年の七月十三日、例のあめ法案審議いたしました地方行政委員会、ここに田中総理が出席をいたしまして、わが党の山本弥之助委員が、今後のC農地あるいは三大都市圏以外の市街化区域農地についての課税は一体どうするつもりかという点を議論いたしております。田中総理はこれに対して相当明確に答えております。「C農地には、今度は、都市計画全体としまして、緑地をどのようにして必要とするかということは真剣に考えなければいかぬ問題です。これは緑地だけではなく、今度は、災害が起こった場合の避難場所としてどうするのかという問題は何も検討されておらぬわけです。そういう問題で、これらは国会の御審議を通じまして、——政府は、無理押しをするという考えはありません。これは国民的な合意を見ながら、このC農地という問題に対しては、都市計画全体の面から考えなければならない問題だ」というふうに答えております。さらに同じ趣旨質問に対しまして、広場をみんなつぶしてはいかぬ、大災害が起こった場合の避難場所を考えなきゃいかぬ、したがって「国土総合開発法を通していただければこの問題は全部片づくわけでございます」というようなことを答えておるわけであります。私は、昨年とことしで、この農地宅地並み課税に関する国民の世論というものは、相当大きく変わったと思います。実は昨年、この農地宅地並み課税に対して私どもが議論をしております際に、各新聞社の社説は、この際土地問題解決のために農地宅地並み課税は実施すべきである、という趣旨の論調がずいぶん実は書かれました。私自身に対しましても、社会党までこの農地宅地並み課税に反対するのですかという趣旨質問というのが実はずいぶん参ったのであります。しかしことしは、そういう意味でも世論の流れというのはもう大きく変わったと私は思います。ことしは、特に大企業が市街化区域あるいは市街化調整区域に対して膨大な土地を買い占めた、この大企業が買い占めた土地、未利用地、こういったものをいかにして吐き出させるかということがむしろ国民の大きな関心の的になっている。これははっきりしていると思うのです。  少し古い資料でありますが、建設省が昭和四十七年九月におまとめになった資料、これを見ますと、昭和四十七年三月三十一日現在、六百九十九社の保有している土地の総面積は三十三万四千百七十一ヘクタールにも及んでいる。そして四十一年度から四十六年度に至るまでの六年間、これは御案内のようにこの間は、例の過剰流動性その他で、不動産会社のみならず他の企業、商社までもが、こぞって土地を投機の対象として買いあさった時期ですが、この時期に買い占められた土地は実に四万三千七百二十六ヘクタールにも及んでいる。これは建設省資料であります。いまむしろそういう点に焦点を当てて、先ほど来亀岡建設大臣もお答えになりましたように、建設委員会におきまして、土地規制法案ともいうべき法案の作成に与野党が相一致していま作業を進めている、こういう段階だと思うのです。  私は農地宅地並み課税政府考え考え方が二つあるだろうと思うのです。一つは、さっき自治大臣が言ったような、課税の適正化、課税の公平化という面ですね。確かにこの大都市においては、農地課税は昭和三十八年で据え置かれていますから、今度宅地並み課税をすれば、評価額は実に六百倍、七百倍というふうにはね上がるわけです。そういった課税の不公平の問題が一つ。いま一つは、宅地並み課税をかけることによって農家の皆さんから必要な土地をしぼり取ろうという、いわば農家の皆さんから土地を吐き出させるための一つのむちとして考えられた。現にこれが昨年むちの法案だ。だからあめを与えるというので、政府はあめ法案を出したわけです。いわばむちとしての考え方と二つあったと思います。建設大臣、どうですか、いま私は、このむちとしての意味というのはなくなっているのじゃないかと思うのですね。そういうことからすれば、私は、この農地宅地並み課税というものは、根本的に考えが改まってしかるべきだと思うのです。そういう観点があったからこそ、建設大臣は、三大都市圏以外は宅地並み課税はすべきでないという明確な御見解を示したのだと私は思います。いかがですか、建設大臣
  261. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおりでありまして、土地問題はいろいろな面で立法措置がもっともっと早められなければならなかったという反省を強くいたすわけでございます。幸い今国会においてそのような希望が持てるやに期待をいたしておるわけでございますが、私としましては、大企業がデベロッパー以外で土地を持って、ただ土地の値上がりだけで、土地を右から左に動かすだけでもうけをするというようなことは、もう絶対に許してはいけないという感じがいたすわけであります。この点につきましては、不動産業界の各団体の首脳部を建設省に呼びまして、四月一日から土地譲渡益に対する高率課税がスタートいたしますので、この税がなるべくかからぬようにひとつ適正利潤率で土地の売買をしてほしい、そうしてできるだけデベロッパーとしての真価を発揮して世人に認めさせようとするなら、土地であまり暴利をむさぼるような形はなくしてほしい、こういうことを申し渡しておるわけでございます。その際も、不動産業というわれわれのイメージは、どうも何かうまいことをやるのは不動産業者という感じがするのだけれども、そういう感じをまず払拭するような行動をしてもらいたいとざっくばらんに申し上げたわけであります。そうしたら、やはり伝統あるデベロッパーの諸君はいきり立ちまして、いや、われわれにもピンからキリがあるのだ、そういうことをやっているのはキリのほうであって、われわれはピンであるからというような議論までしたわけであります。確かにあれだけのきびしい国会論議をする中でさえも、千載一遇の好機というような商人がいたわけでございまするし、不動業界にもいい人ばかりじゃないということが今日の地価暴騰の原因にもなっておるという見方をいたしました際には、やはり企業の持っておる土地を——デベロッパーの持っておる土地は、適正利潤率で開発をして分譲するなり提供するという方向に全力をあげていかなければなりませんし、またそういうふうに指導したいと思っておりまするし、また、そのほかの土地については金融引き締めというものを、これは大蔵大臣と話しまして非常にきびしくする。各地方自治体の県あるいは市の土地公社、住宅公社等からいろいろ相談がありますけれども、そういうのについてももう一件一件厳重に審査をして対処しておるということで、当分この金融の引き締めというような面について行政指導をしておるわけでございます。いずれにいたしましても、土地ではもうけられないのだという基本法をつくってもらえることによってこの点は非常に落ちついてくるのではないかという感じを持っておるわけであります。
  262. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 四万三千七百二十六ヘクタール、四十一年度から四十六年度までに買い占められたこのうち、不動産業界が買ったのは四千六百五十四ヘクタール、約一割ですよ。九割弱というものが総合商社あるいは金融保険業あるいはその他の企業によって買われておるのです。ですから、そういう点もありますから、先ほど来私が指摘したように、そのような買い占められた土地の未利用地、これをいかに開放させるかということにいまや国民の関心が向いている。こういうときなんですよ、自治大臣。その点をひとつ念頭に置いていただきたいと思うのです。  そして建設大臣は、三大都市圏のA、B農地以外にはこの農地宅地並み課税は拡大すべきでないと明確に言われた。自治大臣はどうも歯切れが悪いわけですね。しかも田中総理ですら、この問題は政府が無理押しをするという考えはない。現に昨年は、自治省がつくった固定資産税問題の研究会がA案とB案を答申をいたしましたが、そのB案にのっとって、文字どおり市町村長の裁量権を尊重し、地域住民の代表である課税審議会の判断によって、まじめに営農したいという希望があれば農地としての課税にしますという案が、与野党の共通のいわば統一見解になっていった。それを率直にいえば、田中総理が無理押しをしていま実行されている税制ができたのですよ。無理押しをしないということは、もう三大都市圏以外には拡大をしない、こういう趣旨答弁だったと存じます。田中総理ですらそう言っているのですから、自治大臣、もっとはっきり歯切れいい答弁をやっていただかなければ困ると思うのです。そうでなければ閣内不統一ですよ、これは。
  263. 町村金五

    ○町村国務大臣 元来、宅地並み課税ということ自体に私は非常に無理があったと思います。当時、宅地を何とかしてふやさなければならぬということが非常に重視されるといいましょうか、先に立って、そして宅地並み課税をすることによって農地かなり宅地化することができるのではないかという判断が、実は宅地並み課税をやろうということになった最大の動機であったということは申し上げるまでもございません。しかし、やってみました結果はそう簡単に進まなかったというようなことからこの間いろいろな問題が起きてまいったということは、これはもう山口議員一番よく御承知のところであります。  そこで、いま御指摘になりました三大都市圏以外の農地に対して宅地並み課税の範囲を拡大するかどうかという問題は、先ほど私やや歯切れの悪い答弁を申し上げたのでございますが、これは、御承知のようなあの当時のつけられた附則というものに対する政府部内における確たる検討の結果の結論をいまだ得ていないということで、私やや含みのあることを申し上げたということなのでございます。したがって私どもは、元来、農地宅地並み課税をすることによって吐き出させるということの実績が、必ずしも実は十分な効果をあげなかったということを考えてみますれば、将来この問題も、そういった経過をひとつ十分踏まえながら今後適正な結論を得るようなひとつ検討をしたい、こう考えておるところであります。
  264. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 さっきの答弁から見るとだいぶ亀岡さんのほうへ近づいてきまして、けっこうだと思いますが、どうですか、確かに生産緑地法案は、三大都市圏のA、B農地にかかわらず、大臣がお答えのように、全国の市街化区域農地にかかる法案であることは間違いありません。しかし現実には、農地宅地並み課税を排除するというメリットがあるのは、この宅地並み課税が適用されている地域だけのことなんですから、結局問題はそこに焦点がしぼられているわけです。  ですから、政府として五十年度末までにどうするかをきめると、こうなっておりますが、もうことしは昭和四十九年四月にもなっているわけでありまして、もう一年数カ月しか残っていないわけでありますから、私はやはりこの際、自治大臣もお認めになったように、むち法案として農民から土地をしぼり取ろうという時期はもうこれは無理なんだ。それよりは、いまここに建設の理事さんもおるけれども、与野党が一致して作業をしておる土地規制法案でもって、その大企業が買い占めた土地、未利用地、これをどうするかという作業がいま進められておるわけでありますから、そういう意味では、もう政府として、この三大都市圏以外の市街化区域農地についてどうする考え方だというくらいの方針は、ひとつ明確にしていただきたいと思うのです。この生産緑地法案は一体どうなるのかという一番の基本がそこにあるわけでありますから、ひとつ両大臣、お二人そろっておられるわけでありますから、何もきょう示せということは私は言いませんが、少なくとも両大臣一致した考え方というものをこの生産緑地法案審議の過程で明確にお示しをいただきたい。このことを強く要請いたします。いかがですか。
  265. 町村金五

    ○町村国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたわけでありまして、宅地並み課税というものが今日まで果たしてまいりました経過というものを私どもは十分踏まえながら、なおまた、いまお話がございましたような、いわゆる大きく不動産をそういった三大都市等において買い占めたと申しましようか、確保をしておりまするものの土地が十分に宅地に活用をされるということになりますれば、いまの市街地宅地並み課税をいたしておりまするところをそれほど重視しなくてもいいというようなことも起こり得るかもしれません。いずれにいたしましてもこの問題については、先ほどもお答えを申し上げましたとおり、そういった過去のいろいろな経緯、あるいはいま行なわれておりまするようないろいろな土地に対する対策というものを踏まえながら、十分ひとつ慎重に検討するということにいたしていきたいと思います。
  266. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 建設大臣はいかがですか。
  267. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいま自治大臣から御答弁のあったことで足りると思うわけでございますけれども、先ほど来から申し上げておりますとおり、国会において、いままでにない土地に対する基本的な方針と申しますか、立法措置というものが講じられようといたしておるわけでございまするし、そういうのもやはり十分考え合わせていかなければならぬと思います。したがいまして、先ほどお答えいたしましたような気持ちで私は対処していきたい、こう考えておるわけでございます。
  268. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうもニュアンスが少し違うのですよね。これはひとつ要望ですから申し上げておきますが、審議中に、そのニュアンスが両大臣で違うということじゃなくて、一致した御見解を示していただかなければ私ども困りますので、御見解をお示しいただくように、これは強く要請をいたしておきます。  時間も少なくなりましたので、あと一つだけお尋ねしたいと思うのですが、建設省から資料をいただきました。百八十二の三大都市圏の市街化区域農地宅地並み課税が適用されることになりました市町村、ここで一体下水道がどのくらい普及しているのかという資料をいただきました。  昭和四十三年に農地宅地並み課税の問題が初めて国会で議論をされました際に、保利建設大臣が次のように言明しておるわけです。道路、下水道もつかぬ、農地としてりっぱに利用されている、こういう地域農地としての税法上の取り扱いは当然である、こう言っているわけです。道路はつかない、下水道もつかない、こういうところは農地宅地並み課税とすべきでない、こういうことを明確に言われたわけです。だからこそ建設省も、線引きの際のパンフレットで同じような趣旨のことを宣伝したわけです。私はパンフレットをここで読み上げようとは思いませんけれども、そういう経過があるのは、この保利建設大臣答弁から出発していると思うのです。  それでは一体下水道がどうなっておるのか。下水道のついているところに農地宅地並み課税が行なわれておるのかというと、そうじゃないんですね。特に自治体で自主的な生産緑地制度を採用いたしまして、農地宅地並み課税を除外している。奨励金というかっこうで実際には農地としての課税と同様の措置を講じております大阪府内の各都市を見ますと、守口市で市街地面積に対する下水道の整備面積の割合は三七%、東大阪で二九%、高槻市で一〇%、貝塚市はゼロ、摂津市はゼロ、こういう状態です。それではこれらの自治体で、行政面積というよりは市街化区域面積に対してA、B、C農地が一体どのくらいの割合になっているかということを見ますと——建設省に聞きますが、この前の市街地面積は、これはDIDですか。市街化区域面積ですか。どっちですか。比較するのに、それだけ事務的に聞いておきましょう。
  269. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 DID面積をもとに若干その後の推移を推定した面積ということで、A、B農地ばかりというわけではございません。
  270. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 市街化区域面積ではなくてDID面積だ、こういうんですね。どっちですか、はっきりしてもらいたい。市街化区域面積ですか。DID、人口集中地区ですか。あとのほうが小さいんですからね。それをはっきりしてもらわぬと困るんです。
  271. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 市街化区域の全面積よりは相当小さいわけでございますが、A、B農地よりはかなり広い、こういうわけです。
  272. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 A、B農地なんて聞いていませんよ。市街化区域面積か。市街化区域に全国にあれしたら百二十万ヘクタールですよ。そちらか、DIDのほうか、こう聞いているわけですよ。そんな簡単なことが答えられないんですか。
  273. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 市街化区域面積ではございません。
  274. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それではDID面積ですか。人口集中地区面積ですか。
  275. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 DIDは四十五年の国勢調査の数字しか出ておりませんので、それをもとにその後のDIDの広がりを推定した数字ということです。
  276. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それじゃDIDと市街化区域面積の中間という意味ですね。  それでは、先ほど申し上げた数字に対してみましょう。DID面積のうち、当該市町村で市街化区域農地、これはA、B、C農地です。これの合計の面積がどのくらいかというと、さっき言いました高槻市で一三%、貝塚市で二八%、守口市が七・一%、それから富田林市で二五・六%・摂津市で二四・三%、東大阪市で一九・一%ですよね。そうしますと、下水道の普及している面積のほうが高いものもあれば、少ないものもある。この市街化面積に対して下水道が普及しているところがゼロなどというところは、当然これは、今度のA、B農地指定されておるところでも、下水道がないということがはっきりしているだろうと私は思うのです。  ですから問題は、この建設省でいただきました市街化区域面積に対する下水道整備面積の割合、それとDID面積に対してA、B、C農地あるいはA、B農地の割合が一体どのくらいかという数字を比較対象すれば、保利建設大臣の言明に対して違反をしている、下水道がついていないのに農地宅地並み課税が行なわれている、こういう地域がほとんどだ、こう言って私はさしつかえないと思う。そうでしょう。現状そうじゃございませんか。
  277. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 対象地域は道路等はおおむね整備されておるわけでございますが、御指摘のように、下水道に至っては非常におくれておるわけでございます。これは既成市街地でさえもなかなかその普及がおくれておるという現状でございます。
  278. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そういう状況です。政府が当初言明し、線引きの際に建設省がパンフレットをつくってPRをしたその趣旨と、今度の農地宅地並み課税が現に行なわれておるところでは大きな違いがある。だからこそ百八十二の市町村の大多数が、自主的に生産緑地という制度をつくり、農地並み課税とひとしいような措置をとっている。しかもその場合は、もう当委員会で繰り返し言われましたから私、言いませんけれども、今度の生産緑地法案のようなきびしい制限というのは付していないわけですね。とするならば、私はこの法律は抜本的に改められてしかるべきだと思う。少なくとも自治省がつくった固定資産税研究会、そこの答申であるB案。まじめに営農している人たちが、市町村長に対して耕作していますという申請をやる。そうして課税審議会が住民の目から見て、確かにまじめに耕作をやっておるということが認められた場合は、つまらない制限なしに農地宅地並み課税を実施しないで、あくまでも農地としての課税を続けるべきである、かように私はこの法案を改むべきだと思うのです。それが、国会において大臣答弁をしたいわば政治的な責任、国民に対する政治の信頼というものを回復する道だ、かように私はいわざるを得ないと思います。その問題に対して両大臣のお答えを聞いて質問を終わっておきます。
  279. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 山口委員も御承知のとおり、いろいろな経緯があって、国会から宅地並み課税法案制定の際の附帯決議として、実は政府に対して要請があったわけでございます。それに従って私ども自治省、農林省建設省、大蔵省等が協議をいたしまして、審議会等もとめた案を中心にして国会に提案をした、こういうことでございますので、いま御指摘のような線は十分補い得るもの、こういうふうに考えておる次第でございます。
  280. 町村金五

    ○町村国務大臣 この法案の運用につきましては、先ほど来申し上げておりますように、まじめに農業を営むという方に対しましては当然宅地並み課税をしないという、これは基本のたてまえになっておるわけでございますので、問題はこの指定をどうするかということになるかと私は思うのでありますが、その点は、地元の市町村長の意向というようなものが十分反映をされることによって、この法の趣旨というものがひとつ十分貫かれるように十分留意をしてまいるべきもの、かように私は考えておるところでございます。
  281. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員長代理 この際、先ほど質疑された小沢貞孝君の補足質問を許します。小沢貞孝君。
  282. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 町村自治大臣の来る前に、建設大臣は、五十年度末に検討される予定になっておる三大都市圏以外の農地についても宅地並み課税はすべきではない、こういう御答弁でありました。続いて大臣の部下の局長に聞いたところが、局長は法律をそのとおりに言っているわけでありますが、来年度末に検討しなければいけない、こういうことなので検討をいたします、こういうように言われました。だから、これは自治省と建設省と意見が食い違っているんじゃないか、閣内不統一じゃないか、それじゃひとつ、町村大臣が来られるというからそこを聞きましょう、こういう経過になって質問するわけであります。  この法律ができたときの宅地並み課税の目標は、重い税金をかけて、そうしてなるべく宅地を造成しよう、こういうことであった、その目的ははずれてしまった、こういう非常に大きな事情変更。いま一つは、建設大臣の言われたように、去年の三、四月ごろまでは外国から買っておる小麦は日本の半値、日本の国内の食管会計はそれによって黒字でもってもうけていた。ところが昨今の事情はまるで違ってしまって、外国から買ってくる小麦のほうが日本でできる小麦よりもはるかに高いものだから、日本の税金をもって補助金を出してやっている。逆転してしまったわけであります。そしてことしの予算にも、こういう国際分業論はだめだということで、百億も一俵二百円の小麦の補助金を出してやろう。これは先ほど亀岡建設大臣の言われたような事情激変であります。  私は、その事情が二つ非常に変わっているところから考えると、自治省のさっきの局長答弁されたように、来年単に検討いたしますということではなくて、重要なことをさっきの町村大臣は言っているわけであります。閣内の統一を得られるように努力すると。亀岡大臣はかけるべきでない。それからいま町村大臣説明を聞いていると、いろいろの事情変更によってやはり閣内の意思統一ができるようにいたしたい。こういうことは私は、亀岡大臣の言っていることに町村大臣がなるべく意思統一をしよう、こういうふうに理解できるわけです。そのものずばりでいいでしょうか。町村大臣から……。
  283. 町村金五

    ○町村国務大臣 先ほど建設大臣がどういうふうにお答えになりましたかは、実は私、その場にい合わせませんでしたので、当時の御発言内容は十分承知はいたしておりません。しかし、先ほど来、山口委員からだんだんの御指摘がございまして、いろいろ伺いながらその中で建設大臣の言われたことを大体承知をいたしたわけでございます。多少私とはニュアンスの違う御答弁であったかというように思うのでございます。  私どもは、先ほども申し上げましたように、この宅地並み課税の法律の例の附則というものがございまして、これを五十年度末までに結論を出すと申しましょうか、ということに法のたてまえは相なっておるわけでございます。しかし、その後における事情の変化というようなものもいろいろあるようでございますので、私ども、そういったことをひとつ十分念頭に置きながら、今後適正な結果が得られまするように私どもとしても十分検討をいたしてまいりたい。したがって、建設省との間に、かりに御指摘になりまするような意見の食い違いがあるといたしまするならば、それはひとつ早急に両省の問で話し合いを煮詰めるということにいたしたいと思います。
  284. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 善意に解釈をすれば、亀岡建設大臣の言っているような方向に閣内統一をする、こういうふうに理解ができるわけです。町村大臣のずっとの答弁を聞いていると、大体その方向だろうと思うが、間違いなくそれでありますと、まだどうも答弁がないわけであります。しかし、これは押し問答をやっていてもしかたありません。情勢の変化というものは非常に大きくあったわけですからひとつ……。政治というのは、事務当局のペースだけでやっているのが政治ではないと思います。町村大臣がひとつ蛮勇をふるって、亀岡大臣と意思統一ができるようなぐあいに、早急にひとつ結論を得るようにお願いをいたしたいと思います。  以上、希望だけ申し上げて質問を終わります。
  285. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員長代理 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時六分散会