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1974-02-21 第72回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十一日(木曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長 安井 吉典君   理事 伊藤宗一郎君 理事 小宮山重四郎君    理事 佐々木義武君 理事 田川 誠一君    理事 石野 久男君 理事 原   茂君    理事 瀬崎 博義君       稲村 利幸君    加藤 陽三君       湊  徹郎君    山原健二郎君       近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      森山 欽司君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁長官         官房会計課長  高須 儼明君         科学技術庁原子         力局長     牟田口道夫君         科学技術庁原子         力局次長    伊原 義徳君         科学技術庁原子         力局次長    生田 豊朗君  委員外出席者         原子力委員会委         員       山田太三郎君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  児玉 勝臣君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(科学技術振興の  基本施策)      ――――◇―――――
  2. 安井吉典

    安井委員長 これより会議を開きます。  この際、ワシントンにおける石油消費国会議に出席された森山国務大臣より、会議の概要についての説明を聴取いたしたいと思います。森山国務大臣
  3. 森山欽司

    森山国務大臣 委員長よりお話がございましたので、本年二月十一日から十三日までの三日間、主要石油消費国十三カ国が中心となりまして行なわれましたワシントンエネルギー会議について、ごく簡単に御報告申し上げたいと思います。  当面のエネルギー問題、特に石油問題を中心として、EC九カ国並びに日本、カナダ、それからノルウエー、米国の十三カ国、それにEC並びにOECDの二機関参加をして開催されました。会議の全般の結果の大要は、すでに新聞に報道されて皆さま御案内のとおりでございますが、その中で当委員会関係あるRアンドDといわれる研究開発問題につきましては、他の石油経済面並びに政治面の問題とは異なりまして、各国とも、この問題につきましては、参加国のすべてが研究開発国際協力必要性とその強化について一致をいたしておりました。  会議の運営全体といたしましては、正式の分科会を設けることはできませんでしたけれども、非公式のミーティングは行なわれましたし、その席で一応の共同報告というようなものも行なわれたわけでございます。今回の会議のフォローアップという問題もおそらく順調に進展するものであるというふうに期待をいたしておるわけでございます。  参加国は、いずれもエネルギー研究開発につきまして野心的な計画を持って多大の努力を傾注しておりまして、特に会議を主催いたしましたアメリカは、プロジェクトインデペンデンスという名のもとに――プロジェクト計画インデペンデンスは独立という意味でございますが、エネルギー自給という計画プロジェクトインデペンデンスという計画を立てまして、一九八〇年までに自給率を一〇〇%とすることを目標といたしまして、今後五年間に百億ドル、およそ三兆円の研究費を支出する。それから、人員養成ということでこれに十億ドル加えておりますから、政府支出は百十億ドルになるわけであります。このほか民間支出が百二十五億ドル加わりまして、合計二百三十五億ドル、約七兆円の研究開発という大計画を持っておるわけであります。アメリカはすでにマンハッタン計画とかアポロ計画とか大きなプロジェクトをつくって、今日まで実現をいたしておるわけでございますから、この計画につきましてはいろいろな意見もあろうと思いますが、大いに注目すべきものだというふうに考えておるわけでございます。  また西ドイツは、第四次原子力開発計画、今後四年間に六十一億マルク、六千五百億円の研究費を計上して、高速炉高温ガス炉ウラン濃縮研究開発を重点的に実施するとのことでございます。  私の所感といたしましては、資源に比較的恵まれたこれらの国々でも、こういう計画を進めておることを考えますと、日本のように資源に乏しい国は、エネルギー研究開発に対してなお一そうの努力をいたすべきものである、しなければならない、というふうに考えておる次第でございます。  今回のワシントンエネルギー会議につきまして、簡単でございますが、以上御報告申し上げます。
  4. 安井吉典

    安井委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  科学技術振興基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤宗一郎君。
  5. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 ただいま森山長官から、ワシントン会議の模様について御報告があり、またそれに関連して、各国エネルギー問題あるいは原子力開発のこれからの進め方についても多少触れられましたけれども、この会議とは面接関係ありませんけれども、もし科学技術庁のほうで、各国原子力発電推進についての計画等について把握していることがありましたら――いま西ドイツには触れられましたけれども、アメリカフランス等の国で、相当積極的に原子力発電推進に乗り出す計画とわれわれも承知をしておりますけれども、それらのことにつきまして、具体的にどのような状況を把握していられるか、おわかりの点がございましたら、ひとつこの際御披露いただきたいと思います。
  6. 森山欽司

    森山国務大臣 ただいまワシントンエネルギー会議のことについて御報告を申し上げまして、ごく簡単にということで、先ほど程度にとどめたわけでございますが、RアンドDの、研究開発関係非公式会議の席上、原子力問題につきましては、これが若干の報告もございました。  その中で注目すべきことは、これはフランスでございますが、フランスは本会議のほうは、ジョベール外務大臣が盛んにキッシンジャーとやりとりをやっておりまして、初め出てくるかどうかわからぬ、出てきても議論するかどうかわからぬ、最終的な取りまとめ参加するかどうかわからぬということで、非常にそういうほうはなかなかまとまりづらい立場にあったわけでございますが、この研究開発部面につきましては、初めから乗り気でございまして、そして各国は一人ずつその会議で発言したわけでございますが、フランスだけは二名発言をいたしまして、フランス代表はその席で、これは前々から私どもは聞いてはおりましたけれども、これからつくるフランス発電所は全部原子力発電所をやりたい、こういうことを発言しておりましたことが、きわめて印象的でございました。  それから、今度、ワシントンエネルギー会議アメリカ代表団の一人に原子力委員長レイ博士レイ女史がおられたわけでございますが、このレイ女史研究開発委員会非公式ミーティング議長格で、会議取りまとめをされました。で、私はそういうことでございましたので、このワシントン会議最終結論がやや予定より長引きましたものですから、アメリカ国務省レイ女史にお目にかかりました。実は委員会のほうへ行って、他の原子力委員の方々と一緒にいろいろお話をいたしたいと思ったのでありますが、それだけの時間がございませんので、アメリカ国務省レイ女史にお会いいたしましたところ、そのお話の中の一端に、アメリカにおいては近年とみに原子力発電所建設が増加しておって、一九七三年十二月末現在四十二基、約二千五百万キロワットの原子炉が運転中で、これはアメリカの全発電設備容量の五%を占めているということでございます。原力力発電所発注状況を見ましても、一九七二年九月から一九七三年九月までの一年間に四十六基、約五千万キロワットの発注が行なわれたということであります。一九七二年十二月の米国原子力委員会報告によりますと、一九八五年には二億八千万キロワットの原子力発電が行なわれることになっておる。先ほど、現在動いているのは四十二基、二千五百万キロワットの原子炉と申し上げましたが、建設中のものは五十二基あるということでございました。  西独につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、その他の部面につきましては、事務局のほうからちょっと御説明いたさせます。
  7. 生田豊朗

    生田政府委員 追加して御説明申し上げます。  フランスにつきましては、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、一九七六年以降は原子力発電所に限定して発電所建設をするということでございます。  それからヨーロッパ全体といたしまして、欧州の原子力産業会議の大会がございまして、そこできめられたことでございますが、西欧諸国だけで、一九八五年までに一億五千万キロワットの原子力発電所建設するということで、全発電設備容量の約四〇%が原子力発電所になるという計画がきめられた旨承知しております。国別の内訳といたしましては、西独が三千八百万キロワット、フランスが三千二百万キロワット、英国が三千五百万キロワット、イタリアが千八百万キロワット、主要国につきましては以上でございます。
  8. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 大体わかりましたけれども、それにしても各国はたいへんな意気込みで、原子力発電推進にいままでより以上に積極的に乗り出していることがわかったわけでございますけれども、ひるがえってわが国でも、昨年の末の石油危機に伴いまして、わが党の政調会の各部会と、特に科学技術部会等決議を行ないまして、各国趨勢におくれないように、わが国でもひとつ原子力発電をさらに推進をしたいというような決議を行ないまして、森山長官バックアップをいたしまして、また森山長官はそれを受けられまして、異例ともいうような予算追加要求を行なわれたわけでございますけれども、最終的にはどのような予算が獲得されたのか。またそれを今年度の予算の中でどういうふうに実施をしていかれるのか。局長でよろしゅうございますから、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  9. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 お答えいたします。  お尋ねの最終の形といたしましては、第一に安全審査関係要員充実ということでございます。昭和四十九年度におきましては、原子力局で十五人増、原研で二十二人増、合計三十七人の増加をはかることといたしております。また、原子力局安全部を設置いたすことにいたしまして、科学技術庁設置法の一部改正法案国会に御提出申し上げ、関係委員会の御審議をお願いいたしておるところでございます。  第二に、安全研究充実でございますが、これは昭和四十九年度予算政府原案で百一億円の予算を計上いたしておりまして、これと国庫債務食掛行為による後年度支出分を合わせまして、約百五十九億円となりまして、前の年に比べまして歳出ベースで約三倍、実行ベースで約三倍ということに相なるわけでございます。  その内容といたしましては、軽水炉の安全性を実証し、その安全性を高めるための安全研究に重点を置きますけれども、さらに放射性廃棄物処理処分新型動力炉安全研究等の一そうの充実をはかるということでございます。  第三に、原子力安全等に関しましての広報対策につきまして、昭和四十九年度予算政府原案では、合計一億五千万円、前年に比べて約四倍を計上いたしまして、今後効果的な広報対策を実施いたしたい、かように考えております。  第四番目に、原子力発電所等地元住民福祉向上に資するための財政措置といたしまして、新しく本年の十月一日から電源開発促進税を創設いたしまして、その税収、初年度百一億円の見込みでございまするけれども、これを歳入といたしまして、電源開発促進対策特別会計を設置いたしました。この特別会計から、地元公共用施設整備に充てるための電源立地促進対策交付金を、原子力発電所等地元及び周辺市町村一定基準で交付するというようなことを講ずることといたしまして、これに必要な立法措置国会にお願いいたすことといたしておる次第でございます。  最終の形は大体以上のような形でございます。
  10. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 予算の問題につきましては、きのうの予算説明でも拝聴しておりましたから大体わかりました。  先ほど長官が触れましたけれども、エネルギーの比較的豊かなアメリカその他でさえもたいへんな努力をしているわけでございまして、それと比較いたしまして わが国のようなこういう資源の乏しい国で、先般の予算獲得ではああいうきびしい予算のワクでございましたから、長官なり科学技術庁の御努力についてはたいへん敬意を払いますし、その功績を多といたしますけれども、それでもこの程度予算事業計画では、言うならばちょっと努力が足りないのではないかというふうにわれわれは思いますし、われわれ自身のことも含めましてそう思いますけれども、今後のエネルギー政策の一環としての原子力発電の問題についてのこれからの進め方について、大臣決意をひとつこの際しかとお聞きしておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  11. 森山欽司

    森山国務大臣 昭和四十九年度予算案の編成は、御案内のとおり、総需要抑制のきわめてきびしいものでございました。にもかかわらず、自由民主党政調会の御決議を背景にいたしましての多額の追加要求を実現することができましたことは、まことに御同慶にたえないところでございます。しかし御指摘のように、諸外国に比較いたしました場合に、わが国エネルギー問題、特に原子力発電の問題に今後とも努力を積み重ねていかなければならない。これだけで決して十分じゃないのではないかという御指摘に対しては、まさに同感でございます。今後とも、これは一般論でございますが、量質ともに、量的にただふやすというだけではなくて、いろいろ御指摘があり、いろいろ問題がございますから、安全性の問題その他にも十分考慮した、質的な体制の確立というような問題につきましても、できるだけのことをしてまいりたいという心づもりでございます。
  12. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 どうかひとつ、われわれも大いにバックアップいたしますから、そういう決意一つ一つ予算面あるいは事業計画等で実施されることを要望しておきます。  ところで、石油危機の問題以来、日本経済高度成長の時代は終えんを告げたとわれわれは見ておりますけれども、こういう転換にあたって、日本経済全体のこれからの長期的展望というものを、政府は新しく計画をつくり直さなくてはいけないわけだと思いますけれども、その源となりますエネルギー、とりあえずひとつ原子力発電目標につきまして、いままでつくっておった計画見直しあるいは立て直しをしておかなくてはいけないと思います。またそれは緊要な課題だと思いますけれども、また、承りますと、そういうことにつきまして、多少事務的にも検討を進めているということを聞きましたけれども、この際ひとつ、原子力発電のこれからの推進目標につきまして、まだ途中でございますから非公式でけっこうでございますが、これからの計画等につきまして、大臣の所信がございましたらお聞きしたいと思います。
  13. 森山欽司

    森山国務大臣 わが国原子力発電開発につきましては、昭和四十七年六月に改定されました原子力開発利用長期計画に基づきまして、これまで鋭意推進してきたところであります。  原子力発露開発規模は、国の長期経済計画長期エネルギー需給計画等との関連においてきめられる。原子力開発利用長期計画の本格的な改定は、今日のような時勢でございますから、これらの石油危機以後の情勢の変化につきましての国の長期エネルギー需給計画と関連して、見直しをまって行なうということになるのでございましょうが、現下エネルギー事情にかんがみまして、ここでとりあえず、わが科学技術庁といたしましては、その開発目標のとりあえずの点検作業ということで、原子力委員会稲葉原子力委員を主査といたしまして、いま御検討を願っておる。大体今週一ぱいくらいに結論が出るものだと期待をいたしております。したがって、来週の段階で、とりあえずの腰だめ見通しともいうべきものを御報告できるのではないかと思っております。これはまた、委員長とも御相談申し上げまして、この見通しができましたら、また御報告をいたさせていただきたいと思っております。
  14. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 承りましたけれども、準備中、検討中だということでございます。早急にひとつ結論を出していただいて、当委員会にお示しの上 われわれも協力を惜しみませんので、その計画がなお一そう実施されるように、ひとつ要望したいと思います。  ところで、そういうきわめて大事な時期に、今回の分析化学研究所の問題が起こりましたことは、原子力発電推進国民的な要請、あるいはまた政治課題が要請されておるときに、きわめて遺憾なことでございました。長官におかれましても、その解決のために日夜を分かたず御努力中と伺っております。まあ、この問題については、理事会の決定で今回は触れないということでもございますので、いずれその対応策ができ上がった時点において、問題の全貌についてあらためて質問したいと思っておりますが、このことにつきましても、どうぞひとつ早急に対策をおつくりの上、当委員会にお示しをいただきたいと思うわけでございます。その御努力につきましては、あらためて敬意を表したいと思います。二、三この問題について伺いたいこともございますけれども、そういうことで、次回あるいはその次の委員会等で、対応策ができ上がった時点において御質問したいと思います。  まあ、その一つのきっかけとなりました原子力潜水艦の問題についてだけ伺いたいと思いますけれども、ほかの国では、この原潜入港の際に一体どのような放射能調査を行なっているのか、これが非常に重要な問題となると思いますので、どうかひとつ、諸外国での原潜入港の際の放射能調査の実態について、事務当局でけっこうでございますから、わかっている範囲内において、詳細に御説明をいただきたいと思います。
  15. 森山欽司

    森山国務大臣 原子力発電緊急性につきましては、先ほど来御論議のとおりでございますが、このたびの分析研問題につきましては、まことに遺憾なことでございます。委員各位に格別の御心配をおかけいたしましたことにつきましては、深くおわびを申し上げます。微力ではございますが、この問題の解決のために全力を傾倒いたしておりますので先ほど適当なる機会にということでございますので、誠心誠意この問題の解決のために万全の努力を尽くしたいと考えております。  後段の御質疑につきましては、事務当局のほうから御説明いたします。
  16. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 ただいま当方でわかっておりますものを二、三例として申し上げます。  アメリカでございますが、アメリカでは、寄港地におきまして、放射能監視海軍省が担当いたしておりますけれども、年四回、各寄港地におきまして、海水、海底土につきまして試料を取りまして、全ガンマ放射能の測定とコバルト六〇のみの核種分析を行なっております。その結果は、原子力委員会によって年一回チェックされるというシステムになっておりますが、一方環境保護庁も独自の調査を行なっております。海軍省との調査の結果はよく一致しているということでございます。  さらに、ドイツでは州の機関がいたしておりますが、これは入港時にさせておるということだそうでございます。  イタリアでは、原子力委員会と軍の機関がそれぞれモニタリングを担当いたしておりますが、これは年二回程度定期調査を行なっておるということでございます。  したがいまして、日本では、定期調査入港調査と出港後調査の三種類がございますけれども、先ほど申し上げたような諸外国では、そういうような実情となっているようでございます。
  17. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 先ほども申し上げましたとおり、分析化研の問題を含めましての諸問題につきましては、後日の質問に保留をいたしますけれども、いずれにいたしましても、今回の問題を通して、国民原潜の問題、原発の問題等々につきまして、不安なり疑問を持っておることはまぎれもない事実でございますから、そういう結論が出次第、いままでより以上に、政府は、PRをしっかりとひとつ強化すべきだと思いますが、それらの点についての準備などがありましたら、この際伺っておきたいと思います。
  18. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 先ほど予算のところでPRのことにちょっと触れましたが、少し内容を御説明申し上げますと、四十九年度は五千九百万円をテレビに考えておる、それから広報資料作成費として二千五百万円、講演会等で一千万円、そのほか原子力平和利用推進会議五千万円ということで、これは中央及び全国各地におきまして、原子力関係者とよく講演懇談等を通じまして、原子力安全性及びその利用重要性等についてPRを行ないたい、こういう趣旨を、大体骨子としては考えております。
  19. 森山欽司

    森山国務大臣 四十九年度の問題について、原子力局長から御答弁申し上げましたが、原子力開発利用推進していくためには、国民一般に対する周知徹底をはかることがきわめて重要であるということは申すまでもございません。これについて政府がどのぐらい力こぶを入れてきたかというのは、今年度でさえもこの程度でございますから、いままではお役所仕事で一通りのことはやったかもしれませんけれども、必ずしも私は十分であったとは思っておりません。今年度も、いま予算面で考えておるのはこの程度のことでございますが、要は、予算の金額もさることながら、原子力発電重要性にかんがみて、真剣にこれに取り組むという気がまえが重要であるというふうに考えておりますから、現下エネルギー問題に対処する上で、原子力開発を一そう推進するために、ひとつ乏しい予算ながら、予算以上の仕事をやっていくように努力をしてまいりたいというふうに考えております。率直に言って、必ずしもいままで十分じゃなかったと考えております。今後とも努力をいたす所存でございます。
  20. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 どうかひとつそういう悪気込みでお願いをしたいと思いますし、われわれも近々原子力発電推進議員連盟というのを発足させまして、大いにバックアップをしたいと思っております。言うなれば、今回の事件がこれからの原子力発電推進をおくらせるというようなことになっては、後代の国民にわれわれは相すまないわけでございますから、ぜひひとつ、今回の事件等でひるむことなく、世界の趨勢におくれないような原子力発電推進を行なわれるように要望いたしまして、時間が参りましたから、私の質問を終わります。
  21. 安井吉典

    安井委員長 次に石野久男君。
  22. 石野久男

    石野委員 質問の前に、これは委員長に私はお願いしたいんですが、資料のことなんです。  分析研の問題については、昨年の九月に山原委員からの問題提起があって、分析研資料要求委員長名要求しました。この資料はやはり山原さんのとろへ行きましたけれども、ほかの委員には来ていないし、もちろん委員長のところへも来ていない。これはやはりこういうときの要求は、委員長要求で出したときの資料は、できるだけ委員長あるいは各党に対しては、少なくとも資料提出をしてもらいたいということが一つ。  それからいま一つは、今度分析研問題について、予算委員会に相当な資料が出ていると思いますが、それらの資料はぜひひとつ科学技術委員各位にも提出をしてもらうこと。  それから第三番目には、まだ予算委員会のほかに、分析研がいままで分析した内容についての資料を、ひとつ当委員会に出していただきたい。特にこの委託先等についての問題のわかるような資料を出してもらうように、このことをひとつ科学技術庁のほうに要求したいと思いますので、その点についてひとつお願いいたします。
  23. 安井吉典

    安井委員長 どうですか、科学技術庁、いまの三つの要求に対して……。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  24. 安井吉典

    安井委員長 じゃ、速記始めて。  牟田口局長
  25. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 予算委員会提出いたしましたものはもちろん提出いたします。そのほかにつきましては、検討させていただきます。
  26. 安井吉典

    安井委員長 ただいま石野要求の新しい資料の問題につきましては、後刻理事会において協議の上、しかるべく取り計らいます。
  27. 石野久男

    石野委員 いま答弁がありましたが、予算委員会に出したものは当然こっちへもらいますけれども、委員長名要求した資料については、これはぜひひとつ科学技術委員に対しても資料を配付するように、今後してもらいたい。それはひとつ確認しておいてもらいたい。
  28. 安井吉典

    安井委員長 それはいいですね。
  29. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 よろしゅうございます。
  30. 石野久男

    石野委員 それはよろしくお願いします。  科学技術庁長官の施政方針のなにを承りました。特に、いろいろ問題がありますが、一つだけはっきりお聞きしておきたいことは、エネルギー開発についての方針でございます。  特にこの方針によりますと、大臣の所信表明の中では、第一に原子力開発の問題がうたわれておるわけです。私どもは、原子力開発については、安全性の確保ができればこれに反対する理由は何もありません。したがって、やはり従来、本委員会においては、原子力問題についての安全性の問題は特に論議されてきました。いま大臣の御説明の中に、特に各国におけるところの原子力が非常に積極的に行なわれているということの説明があったわけです。これは従来より、西独フランスあるいはその他の欧州諸国におけるところの原子力計画が非常に盛んに行なわれているということは私たちもよくわかっております。しかし、いま局長からの話もあったように、たとえば西独で三千八百万キロワットとか、あるいはフランス計画が三千二百万キロワット、これがやはり一九八五年の段階でそうだという話はよくわかりますが、しかしわが国においては、一九八五年の段階ではすでに六千万キロワットの計画をしているわけです。各国のそれから比べればはるかに大きい計画が、すでに長期計画にあるわけですね。各国におけるところの原子力に対する熱意は盛んであるということに感銘してきたというお話、よくわかりますけれども、それと日本における原子力計画との比較からいいますれば、日本はすでにもう早くから原子力計画について他国を抜くような計画を持っております。  一つお願いしたいのですが、これらの国々のこの発電量に対して、国土の面積の比較、人口の比較、これがもしわかりましたら、いまちょっとお聞きしたいし、できなければあとで資料でよろしゅうございますから、それぞれの国におけるところの国土面積と発電量との関係、あるいは人口と発電量との関係等を表にしたものを、ひとつあとで資料としてお願いしたい。どうですか。
  31. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 さっそく調査して、後刻資料として提出いたします。
  32. 石野久男

    石野委員 私は、おそらくその資料をいただきますればわかると思いますが、各国における原子力政策と日本における原子力政策は、もうすでに日本は他国を抜くような膨大な計画を持っておると思います。今後この計画がどのように進むかわかりませんけれども、やはりそういう比較の上からいきまして、日本原子力計画が妥当なのかどうかというようなことなど、あとで安全性の問題との関連でまた出てくると思います。  それからいま一つお聞きしておきたいことは、原子力の問題について、燃料を日本自身が自給する能力がございません。今度の石油問題で、六〇年代から七〇年初頭にかけて、石油経済というようなことで、日本はたいへんな高度成長をしました。一たん石油がとまりますと、が然体制全体に大動揺を来たすような結果がもたらされております。石油原子力燃料との関係については、おのずからその機関的なものによって違いがあるとは、私はよく承知しておりますけれども、しかし燃料が自給できないということにおいては、石油よりももっとウラン燃料のほうがきびしい状況にあると思うのです。したがってやはりエネルギー対策の問題で一番大事なのは、私はどのようにして自主体制ができるかということにかかっているかと思います。大臣がこの原子力に熱意を燃やしておるということはよくわかりますけれども、そういうエネルギーの自主体制というものを確立する上で、こういう燃料自給というものとのかね合いからきて、どういうお考えが基底にあるのかという点をひとつお聞きしておきたい。
  33. 森山欽司

    森山国務大臣 たいへんむずかしい御質疑でございますけれども、長期をとってみますれば、資源については、どこにでもあるもの、それをもとにしてエネルギーを起こすというふうに持っていくのが一番いいわけです。そういう意味では、二十一世紀に入るころまでには核融合というようなものを仕上げていかなければならないと思っております。またそうなれば、水素というようなものをエネルギー源として実用階段に考えることができると思います。それまでの段階に、同じウランを燃料といたします場合につきましても、動力炉を何とか実用段階に持っていきたいというふうに考えるわけでございますが、その前の段階、現在の軽水炉を中心――先ほど動力炉と申しましたのは新型転換炉ですか、新型転換炉が実用段階に入る前の段階、現在の軽水炉の場合の燃料対策ということに相なろうかと思いますが、これにつきましては多角的に方々から入れていく。たとえば現在はアメリカだけでございますが、アメリカからもフランスからもあるいは将来はイギリスからも考える、またわが国自身もウラン濃縮の自主開発を行なっていく、要するに多角的にこれを調達していくということでございます。しかし当面はそこまで参りませんから、今後十年間ぐらいはアメリカから濃縮ウランを手に入れる、またそれ以外に現在のところは方法がないわけでございまして、天然ウランは電力会社が今後十年分ぐらいは確保済みでございますし、今後も努力をいたすということでございます。  そういうことで、二十一世紀に入ったぐらいから逆にさかのぼったわけでございますが、現状といたしましては濃縮ウランについては供給源の多角化ということでいき、また重水炉のほうの実用化を進めていき、さらに核融合、水素というふうに来世紀にかけて見込んで、当面のいま御質疑の点については、そういう考え方で進んでまいりたい、そういうつもりでございます。
  34. 石野久男

    石野委員 いま大臣の御所見によりますと、やはり燃料確保の問題については多角的にという意味は、アメリカだけでなく、ソ連とかその他各国からという意味だと思いますが、そういうような燃料の確保については、国がそういう努力をするという意味ですか、それとも電力業界なり何なり、そういう業者が事前にそういうものを確保する、そういうふうに指導するという意味ですか、どっちですか。
  35. 森山欽司

    森山国務大臣 電力は電力各社が行なっておりますから、その燃料の手配は電力各社が具体的に進めてもらう。しかし外国との関係については、国が基本的な筋道はつけていく。ですから日米原子力協定とか、あるいは日仏原子力協定とか、そういう原子力協定をそれぞれ結んで、そうして国がつくった筋道の上に乗って、電力会社が燃料の具体的な手配をする、そういう段取りになろうかと考えております。
  36. 石野久男

    石野委員 国がその手配をするということと、それから確保するのは電力業者だということの差は、国としてはリスクについては全然考えなくとも、業界が自分たちのリスクで確保するというたてまえだという意味でしょうかどうか、その点ひとつ。
  37. 生田豊朗

    生田政府委員 石野先住の御質問でございますが、天然ウランの問題と濃縮ウランの問題に分けまして御説明申し上げたほうがよろしいかと思います。  まず天然ウランでございますけれども、これは先ほど大臣からお答え申し上げましたように、電力会社が、天然ウランの購入につきまして、大体今後十年分ぐらいのめどをつけまして確保いたしております。ただそれでは不十分でございます。それ以後の問題もございますし、さらに先生御指摘石油の経験もございますので、天然ウランの備蓄をどうすべきかということにつきまして、ただいま通産省といろいろ相談をしている段階でございます。  それから、濃縮ウランでございますが、濃縮ウランにつきましても、これは基本は、濃縮ウランのユーザーでございます電力会社と濃縮ウランの供給者との間の契約の問題になるわけでございますが、これも先生御承知のように、たとえば日米原子力協定その他によりまして、政府といたしましては、その裏づけをしてまいるということでございます。
  38. 石野久男

    石野委員 裏づけをするということは、入手方法とかあるいは決済の問題についてとか、いろいろあると思いますが、私のお聞きしておきたいのは、燃料資源というものを確保するについては、やはり石油の経験からすれば、相当なストックでもしなければ安心感が出てこないわけですから、そのストックをする場合に、だれがそのリスクを背負っていくのかということについて、政府の考え方をお聞かせいただきたい。
  39. 生田豊朗

    生田政府委員 リスクでございますけれども、経理的あるいは経営的なリスクと、それからその保管その他につきましての技術的なリスクと、二種類あると思います。先生のお尋ねの点は、おそらく前者の点であろうと思いますが、これは第一義的には電力会社のリスクの負担でございます。ただ、たとえば非常に長期にわたります支払いの必要が生じてきます場合その他がございますので、金融につきましては、これはまた通産省と協議いたしまして、十分な手当てをするということで進めております。
  40. 石野久男

    石野委員 問題点がたくさんありますけれども、これはまたあとでお聞きしますが、この件についてもう一つ問題があると思うのです。エネルギーの自主体制を確立するということについては、燃料を確保するということも一つありますけれども、たとえば炉の開発であるとか、あるいは将来の運転等について、今日軽水炉で見られているように、すべてアメリカものに依存するということでなく、技術的にもあらゆる面で自主体制をつくらなくちゃいけない。そういうことになりますと、おのずから、技術の自主体制ということになれば、研究体制とかそういうものについての自主的な側面が、政治的にはっきりしてこなければいけないのだろうと思うのです。そういう点について大臣はどういうふうに、原子力開発等に関して、いまお考えになっておりますか。
  41. 森山欽司

    森山国務大臣 原子力全般の問題については、新型転換炉あるいは高速増殖炉等の研究をいま進めておることは、御案内のとおりであります。  それから、ウラン濃縮につきましても、本年度九十八億円予算をかけておりまして、現況は、国としてそういう方面にも力こぶを入れているということでございます。
  42. 石野久男

    石野委員 この問題は、ただ予算をうけただけですべて解決するかというと、私はそういうものではないと思うのです。これはこまかいことについてはもう少し自主的な技術体制を確立するための研究体制とか、いろいろなものについて、やはりもっと安全性の研究というようなものについての政治方策というものが出てこないといけないのではなかろうかと、私は思っております。しかし、これはあとで一度またもう少し詰めて聞きたいと思います。  いずれにしても、原子力にたよればすべて解決するということにはならないというふうに私たちは思っておりますから、それは燃料確保が十分にいっても、安全性の問題とか何かがありますし、特に炉の安全性とかあるいは環境汚染に対してどういうふうにするかというような問題は、日本各国との間に、先ほど資料要求しました人口関係あるいは面積との対比の問題等で、ずいぶんと違った考え方を持たなければならぬという内容があると思うのです。そういう意味で、安易に原子力にたよれるということにはならないのではないか、こう思いますので、これはまたあとでお尋ねしましょう。  理事会の申し合わせによりますと、分析研に関連することは、予算との関係があるから、なるべく遠慮するということにはなっておりますけれども、なるべく予算委員会の申し合わせ等については、私はできるだけ遠慮しますけれども、しかし科学技術委員会では、この問題について、予算委員会で論議する前にすでに問題が起きておることですし、現実には科学技術特別委員会として、この問題を真剣に追及しなければならぬ立場にありますので、関連して二、三問題をお聞きしたいと思うのです。  きょうの新聞等によりますと、外務省は米潜艦の寄港中断要請というものをしたそうであります。これは分析研の問題に関連して、そういう処置をとったようでありますが、これについて長官は承知なのか。また、それに対してどういうようにお考えになっておられるか。
  43. 森山欽司

    森山国務大臣 私も、新聞を見まして、外務省からそういうようなお考えが発表されたように、初めて承知をいたしました。私どものほうから外務省のほうに対して、対策の進捗状況につきましては御連絡申し上げておることと思いますけれども、原子力潜水艦の寄港について、新聞に伝えられる外務省の発表については、私のほうは一切関知をいたしておりませんので、当方からこれについてコメントする立場には全くございません。
  44. 石野久男

    石野委員 外務省の所管と、科学技術庁の所管の違いがあることはよくわかっておりますが、科学技術庁は、やはりこの放射能問題について無関心であり得ないし、またアメリカとの折衝は外務省でありましょうけれども、科学技術庁としては、原潜問題について起きた、この分析研のでたらめな調査報告というものが具体的にもうはっきりしてきている段階で、科学技術庁が、わしゃ知らぬというわけにはいかないと思うのです。少なくとも、やはり外務省がやったことについて、長官としての所感がございましょうが、長官はどういうふうにお考えになっておられますか。
  45. 森山欽司

    森山国務大臣 私と大平外務大臣で、この問題につきまして、現在までの段階で、入港延期等についてお話したことはございませんし、また事務当局からも、延期を要請したという事実はございません。けさ新聞で、その旨を承知をいたした次第でございます。
  46. 石野久男

    石野委員 その点はよくわかるのであります。ただ、こういう処置をしたことについて、どういう御意見でございますかということを聞いておるのです。
  47. 森山欽司

    森山国務大臣 外務省がどういうことを正確に発表したか、ちょっとわかりませんものですから、私のほうでそれにコメントするというのもいかがかと思っておるわけでございます。しかし、分析研の不祥事態というものときわめて密接な関係を持って、こういう報道が行なわれておるということにつきましては、これはまことに残念なことだというふうに思っております。
  48. 石野久男

    石野委員 残念なことだということは、外務省がそういう処置をしたことが残念だというのですか。それとも、やはりそうせざるを得なかった事実が残念だというのですか。どちらなんですか。
  49. 森山欽司

    森山国務大臣 もしもこの新聞の記事によって、分析研の不祥事態というものが、原子力潜水艦入港問題についてこういう影響があったとするならば、これははなはだ残念なことである、こういうことです。
  50. 石野久男

    石野委員 大臣は、科学技術庁で、特に環境放射能についての監視体制ということについては、他のどの省の諸君よりも、特に環境庁長官よりも、科学技術庁長官としては関心を持っているべきだと私は思うのです。ですから、分析研の事態がこういうふうになって、分析することが不可能だという実態のもとでは、横須賀の市長も言っているように、やはりこれは当然の措置だ。一般の住民に安心感を与えるためにも、それは当然そうせなければならぬじゃないか、こう言っているのですが、科学技術庁長官は、外務大臣がそうやらなくたって、自分のほうでそれはそうしてほしいというような御意見があってもしかるべきではないかと私は思ったものですから、お尋ねしたのですが、大臣はどうなんですか。これは外務省にまかせきりですか。
  51. 森山欽司

    森山国務大臣 まことに遺憾な現状でございますが、だからといって、私どものほうから、原子力潜水艦入港についてとかくの意見を、今日の段階において表明するというところまでは至っておらないわけでございます。
  52. 石野久男

    石野委員 私は、大臣がそういう所見を出されるということについての真意はわかりませんけれども、日本人の立場からすれば、原子力潜水艦日本に寄港して、その寄港したときに放射能問題がどうであるかということをみな心配しておる。それを分析することもできない。当分どこでも分析できないわけです。そういう事態がある。しかも新聞の報ずるところでは、長官は昨日走り回って、分析をどこで今度やるかということで努力なさっているわけです。この努力なさっている理由は、分析するところがないと困るから走り回っているのだと思うのです。分析する場所も何もないのに、原子力潜水艦がじゃんじゃん日本に入ってくるというようなことでは困るのは、日本人の真情じゃないのでしょうか。また、環境放射能についての関心を持っていなければならない長官が、わしゃ知りません、遺憾でございます、ではだめなので、むしろ長官がまっ先に、安心感を与えることができる体制を一日も早くつくるから、それまでは原子力潜水艦は入らないようにしてほしいということを、長官自身の発意でやってしかるべきだし、私はまたそういうことだったんだろうと思っておったのですよ。そうでないとすると、これは科学技術庁のこの問題に対する考え方に、私たちとしてはちょっと信頼ができなくなってくる。
  53. 森山欽司

    森山国務大臣 従来分析研が分担しておりました核種分析は、出港後採取した海水、海底土を対象といたしまして、適当な機関に依頼する考えでやっておるわけでございます。その他、先生御指摘のように、他の適当なる機関にお引き受け願えるように、いろいろ鋭意努力いたしておるわけでございます。  そして、この問題につきましての考え方は、御案内のとおり、予算委員会でお答えすることになっておるわけでございます。不破委員からの質問四項目の第二項目になっておりまして、政府の統一見解といたしまして発表することになっておる次第でございますので、ただいまのお話につきましては、先生のおっしゃる意味もわからないわけではございませんけれども、そういうことで鋭意努力をしておって、それが原子力潜水艦が入るのをしばらく待ってくれというような形として今日処理されてはおらないわけでございますので、どうかひとつその点を御理解願えれば幸いだと思います。
  54. 石野久男

    石野委員 私は、院内におけるところの各委員会との関係は、やはり理事会の申し合わせもありますから、そういうことについてあまり触れるようなことはしたくないのですよ。ただ、やはり新聞に堂々とこういうふうに発表されておる。あなたは委員会で答弁をするのは保留してくれということを言うけれども、新聞には堂々と出ておるし、そして各方面でも、特に関係当局は、それは当然の措置だ云々ということを言われておる。それから、われわれの委員会としては、答弁がいつどういうように行なわれるかにかかわらず、やはり環境監視体制というものを一日もゆるがせにできない心情のもとで体制づくりをしなくちゃいけないという、そういうことをわれわれの委員会は追及しなくちゃいけないわけですよ。ですから、予算委員会の答弁は答弁でよろしゅうございますから、こういう環境放射能の監視体制というものについて、大臣の所見くらいは言えるんだと私は思うのですよ。それは予算委員会とそんなにかち合うものでもありませんし、また、それがないというと、これは――先ほど伊藤さんの質問に、PRをじゃんじゃんやるんです、こういう御答弁なんですよ。だから、先ほどの答弁もあるんだから、なおさら私はこれを聞いておかなくちゃいけないのですよ、実を言うと。質問ができないのですよ。そういうことについての体制もないのに当局でPRだけじゃんじゃんやって、原子力は安全でございます――それなら、分析せぬでも何でもいいのかということになるわけです。そんなことは言えないですよ。だから私は、原子力潜水艦の寄港中断要請というものを外務省がやったというにあたって、科学技術庁としては、それは当然のことだというふうに率直な御答弁がいただけると思ったので、それをちゅうちょされてちょっと困りますね。これは別に理事会の申し合わせには触れないと思うのですよ。四項目にそんなに触れるわけじゃないでしょう。
  55. 森山欽司

    森山国務大臣 この問題、先ほど申し上げましたように、実はきょう初めてけさの新聞で承知したわけでございまして、外務省のほうと相談をいたしておりませんので、この際外務省と一回相談をいたしましてから、お答えをいたしたい、こう思います。
  56. 石野久男

    石野委員 それはあとで、閣内の問題でございますから、ひとつ連絡をとった上で、答弁をいただきたいと思います。  ただ、私は、この問題については、外務省がこういう処置をするのは当然のことだと思いますし、科学技術庁は、むしろ外務省以上に関心をその方向に持っていっていただくことが大事だ。そういう態勢がありませんと、いわゆる環境安全といっても、あるいはまた環境放射能監視についての科学技術庁の姿勢を私は疑います。やはり環境放射能監視という問題に全然無関心のままで原子力開発をするというように、一方的にそのことだけをやるとするならば、これは非常におそろしい結果が出てくると思うのです。だから、安全性の研究に予算をとりましたといっても、こういう問題に対する着想がなければ、それは口先だけで住民をごまかすものだと言わざるを得なくなるのですよ。ほんとうに安全性の問題に長官が関心を持ち、あるいは科学技術庁原子力局がそういう配慮をしているのならば、こういう問題にこそ一番やはりシビアな態度をとるべきだろうと私は思うのです。そのことがまた、原子力政策に対して地域住民が信頼感を置き、あるいは協力体制をつくることになるだろうと思うのです。やはり何かしっぽを出すような、整わないようなことであってはいけないんじゃないかと思います。そこで、もし外務省がそういう処置をとって――私はおそらくしていると思いますが、しているとして、なぜそうしたかといえば、やはり環境放射能監視体制に不備があるからだということになろうと思うのです。したがって、今後、監視体制の不備に対してどういうようにするかについて、これは前々から問題になっておりますが、日本学術会議が六年前に、環境放射能監視体制をつくるべき要請をしてきているわけですよ。そういう体制をつくるための機関をつくりなさいという意見も出ておるのですが、そういうことについて、科学技術庁としては、この学術会議の要望を検討し、それにこたえる用意があるのかどうか、そんなことはどうでもいいというようにお考えなのかどうか、そのことの御所見をひとつ聞かしていただきたい。
  57. 森山欽司

    森山国務大臣 安全性の問題に気を使うべし、当然のことだと思っております。したがいまして、これは原子力発電の場合につきましても、歴史の浅い技術であり、産業でございますし、また、技術の発展段階から申しましても、テクノロジーアセスメントということに特に留意してやっていかなければならない仕事でございます。がしかし、安全性の問題に特に気を使わなければならない部面ではあるが、だからといって、原子力発電所を設置することは危険である、安全でないものであるというふうには、私どもは考えておらないわけでございますが、とにかく安全性に気をつけろということについては全く同感でございます。そういう点で、原子力行政の万般について、そういうことに格段の留意をしろということにつきましては、まさに仰せのとおりでございます。  当面の原子力潜水艦入港問題等につきましての外務省の措置なるものを、新聞紙上で拝見いたしましただけでございますので、はたしてそういうことがどういう形で論議されたものか、情報に接しておりませんので、もう少し事情をつまびらかにいたしましてから、所見を発表いたしたいと思います。でございませんと、あまりはっきりしない段階でいろいろなことを申し上げるのもいかがかと思いますので、いま少し時間をおかし願いたいと、お願いしたいと思います。
  58. 石野久男

    石野委員 外務省との関係は、私は先ほど、あとで調査した上で御答弁いただくことを了解したのですから、それはそれでいいのですよ。問題は、それがどうあろうと、私たちこの科学技術特別委員会委員としては、そのよって来たるゆえんのものは、環境放射能監視体制というものが十分でないから、そういうことが出てくるのだし、また、分析研の問題は、そういうことに非常に関係がある。同時にまた、原子力開発の問題について、そのことを素通りできない問題だから、だから私は、そういう意味では、環境放射能監視体制として、日本学術会議はすでに六年前にその体制づくりのことで要請をしているわけでしょう。環境放射能研究所の設立の要請をしてきているわけですよ。それを全然当局は聞き入れてくれないという不満が、しばしば本委員会でも述べられておるのです。だから、そういうものに対してどういうふうに対処されますか、ということを私は聞いている。伝えられるところによりますと、日本学術会議のほうでは、原子力問題特別委員会で、三月末までに、そういう放射能監視体制の確立のための提案を再度するということもいわれておるのです。ですからそういうことについて当局はどういうお考えを持っておられるかということを聞いておる。アメリカ関係はもういいのですよ、あとでまた答弁していただけば。
  59. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 補足して御説明申し上げます。  先生御指摘の点につきまして、環境安全問題が非常に重要な問題であるということは、原子力委員会としてもきわめて重視をいたしておりまして、重点施策の一つとして、常時基本的な政策の立案に努力をいたしておりますが、特に環境安全の専門部会を設けまして、その中で、あらゆる点につきまして十分な検討を進めるということで、昨年中間報告が出、さらに鋭意検討を進めておるところであります。  また、科学技術庁といたしましても、この関係研究費充実ということに努力いたしておりまして、予算の面でも見るべきものがあるということでございますので、基本的な考え方といたしまして、最もわが国原子力開発の重点の一つである、特に環境放射能の監視、安全対策の強化については、原子力政策の基本として、今後とも拡充強化をする、こういうことでございます。
  60. 石野久男

    石野委員 原子力委員会の専門部会としての環境安全専門部会というものが設けられていることは、私もよく承知しているのですよ。この環境安全専門部会なるものでは、学術会議が要請しているような、放射能監視体制としての研究所のような実務的な役割りができるものでないのだから、環境放射能研究所の設立要求というのは、部会を設置してくれということとは違うのですよ。もっとそういう突っ込んだ面で、当局側の積極的な体制を要求しているのだと私は思うのです。ですから、専門部会とはちょっと違うのだから、私の聞いているのは、学術会議要求しているようなものについて、科学技術庁は全然ノータッチでこの六年間ほうりっぱなしにしてきたが、いまの段階でも、まだほうりっぱなしにするのかどうかということを聞いているわけなんです。
  61. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 先生御指摘の学術会議の勧告につきましては、これは文部省、厚生省及び科学技術庁三省に関係する問題でございますので、三省間でその扱いについていろいろ検討をしておる、こういうことでございますが、先ほど申し上げましたように、科学技術庁あるいは原子力委員会の基本的な態度といたしましては、この環境安全問題がきわめて重要であるという基本的な認識のもとに行政を進めておる、こういうことでございます。
  62. 石野久男

    石野委員 学術会議から勧告のあります問題は、各省にわたっておるから六年間ほうりっぱなしにしてきたんだという御答弁になるんだが、いまの段階でもこれは特に大事だからというので、私はやはりお聞きするのですから、従来六年間ほうりっぱなしにしてきたのと同じように、これはもう六年間もたなざらしなんだから、いまさら引っぱり出してくる必要はない、こういう考え方なのか、学術会議としては、三月末までにこの体制をつくるために要請をするとまで言われているのですから、この学術会議から要請された勧告なるものについて、無関心であってはいけないんじゃないだろうかということを私は聞いているんですよ。もう一度ひとつ答弁をお願いしたい。
  63. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 先生の御質問が、私の理解いたしますところでは二つに分かれるかと思います。一つは、放射線障害基礎研究所を設置するという学術会議の勧告、いま一つは、環境モニタリングをいかに実施すべきか、こういう検討の問題。その前者につきましては、先ほど説明申し上げたところでございますが、後者の環境モニタリングシステムをいかに有効に実施するかということの検討につきましては、先ほど申し上げました環境安全専門部会で鋭意検討いたしておりまして、近く成案を得る、こういうことになっております。
  64. 石野久男

    石野委員 モニタリングをするということも大事なことなんですよ。私もそれはよくわかっておりますが、やはり環境放射能について、分析研がこういうような状態になって、もう一応ずいぶん信頼を置いておったものについて、その土台がくずれてきますと、これは皆さんが原発をできるだけ積極的に住民にアピールしてやはり政策として進めていこうとしましても、安全性に対する住民の信頼感が得られるべき分析研がこういう状態になってくれば、何もかも全部不信感の中におおわれてしまうでしょう。それでは、原発なんていうのは推進しようといったってできっこないんじゃないですか。だから、私はむしろこの環境放射能について、もっとそれの研究についての体制を固むべきだという学術会議の勧告というのは非常に重要なんだと思っておりますから、もうそれについては必要がないんだというのか、あるいはその勧告についてもう一ぺん再検討するのかということだけを、ひとつはっきり答弁しておいてください。
  65. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 放射線障害基礎研究所の取り扱いにつきましては、関係省庁の間での調整という問題も含めまして、そういう問題は、先ほど説明申し上げましたようにございますので、その点からの観点で検討をいたしておりますので、その点御了承いただきたいと思います。
  66. 石野久男

    石野委員 ちょっとわからないんだ。その点でといっても、これは取り上げて検討するのか、もう各省との関係があるから、だれかが言ってくるまでは、科学技術庁としては、そんなことはもう取り上げないで、六年間そのままにしてあるんだから、そのままでいくのですと言うのですか、ということを聞いているのですから、そこをはっきりしてください。
  67. 森山欽司

    森山国務大臣 学術会議の勧告の話は、実は私自身は初耳であります。もう六年前に出されたということでございますから、私のほうに事務当局からの話はいままでございませんでした。いま初めてそういう問題があるというようなことを伺いました。六年間ほってあったについては、ほってあったなりの理由があろうかと思いますが、先生の言われるとおり、これはどうするのだというお話はまた重要な問題だと思います。つきましては、原子力委員会の中に専門部会があるようでございますから、それをどう処理するかということについて、あらためて御相談をするというようにいたしたい、こういうように思います。そういうことで、ひとつ御了承を願いたいと思います。初めて伺うものですから、そういうむずかしい問題があるのを私自身が知りませんでしたので、たいへん答弁がぎくしゃくいたしまして、遺憾に存じます。
  68. 石野久男

    石野委員 分析研の問題については、予算との関係がありますから、質問はお控えしますけれども、ただ、分析研の問題について、すでに理事長以下辞表も出ておるというようなことでもありますし、それから仄聞するとこによれば、分析研自体、法人の取り消しというようなことも行なわれるというようなことも聞いておりますが、科学技術庁長官としては、この問題について、分析研の所在の問題についてどういうふうにお考えになっているかということだけをちょっと聞かしていただきたいと思います。これを今後残すのか、解散させるというようなことを新聞ではたびたび聞いておりますけれども、そこをちょっと……。
  69. 森山欽司

    森山国務大臣 当面最も頭の痛い問題でございます。安全性の見地から、従来日本分析化学研究所が果たしてきた役割りというものを今後も拡充強化しなければならない状況でございますから、その間の過渡期をどうしていくかということでございますが、基本的には、研究者として当然有すべき倫理性が欠如したということであり、また世間の人が信用しなくなっておりますから、残念ながら、この研究所をこのまま置いておくわけにはいかぬというふうに思っております。そういうことで当面の処理をいたし、これにかわるべき体制を確立するという方向で進んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  70. 石野久男

    石野委員 新聞などで報道されているところによりますと、原子力発電株式会社あるいは電力会社等が、分析研がこういう状態になったので、いろいろと放射能問題について、分析問題をどういうふうにするかで悩んでおる。各電力会社は自前で分析をするのだというような報道もありますし、それは電力会社自体、自前で分析をやることはちっとも悪いことではございませんが、しかし各地におけるところの住民と、それから原子力安全性の問題との関係から来る分析問題というのは非常に重要であります。ある県におきましては、会社との間に協定を結ぶというようなことをみなやっておるわけでございまして、第三者的な、分析に信頼が置けるようなものを一日も早く確立しなくちゃいけない、そういう意味で、大臣がいろいろ走り回って、あちこちコネをつけていることも新司に出ておりまして、その努力を私は多といたしますが、その中間期間ですね、一応やはり分析研にかわるものとしての構想をどういうふうに持っているかということ、それから、それが具体的に実効果をあらわしてくるまでの間にどうするかという問題、非常に関心の深いところなんです。この点について長官の、予算委員会との関係もありましょうが、可能な限りの御答弁をひとつ……。
  71. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほど申し上げましたように、ちょっと常識では考えられない不始末でございますし、世間の人も信用しなくなりましたから、いままでの分析研究所で、こういう機能を果たすことは困難でございます。これはいま申し上げたとおり。したがって、これにかわるべきものを考えなければいかぬということで、その方向で目下検討中であります。その過渡期の措置といたしまして、現在そういうことをやり得る力を持っておるところに、応急的にいろいろお助けを願うという方向で考えてまいりたい、こういうことでございます。
  72. 石野久男

    石野委員 具体的にはちっともわからないのですが、新聞によりますと、あちこち長官が、理研だとか放医研などで引き受けるコネつけをしたようでございますね。しかし、どこでもみな言っていることは、よくわかるけれども、人も足りないし、作業の内容等からいいましても、なかなか引き受けにくいというのが実情だ。特に労働組合など現場で働いておる諸君からすれば、いままででも手一ぱいなのに、それはとてもやれないじゃないかという意見もあるようです。こういうことは、降ってわいたような問題ですから、当然出るであろうと思いますが、しかし、今度の分析研問題で、私は、非常に大事な教訓というのは、人手が足りないのに作業量がじゃんじゃん多くなってきますると、こういうでたらめな報告書が出てくるというような結果になってくる。これはやはり民間会社だけじゃないと思うのですよ。やはり法人組織でも何でもみなそういうことになると思いますが、大事なことは、やはり十二分に信頼にこたえられるような仕事をさせようとすれば 人員を充足させなければいけないのだと思うのですよ。それがないままに仕事だけを与えたのでは、とてもいい仕事はできっこないと思うのですよ。そのことについて、分析研問題の、将来どういう構想を組むかということも一つありますが、それから科学技術庁全体にわたりまして、こういう問題が起きたについて、その管理監督の問題もありましょうし、それからやはり科学技術庁の行政、そのもとにおけるいろんな考えなくちゃならぬものもたくさんあったろうと思うのです。そういう点について、ここでは、科学技術庁における行政管理の体制について、長官としてはどういうようなことを考えなければならぬとお思いになっておるか、またどういうことをしようとしておられるか、その点について、ひとつ長官の所信を承っておきたい。
  73. 森山欽司

    森山国務大臣 もう少し具体的に、要点をちょっと伺いたいと思います。
  74. 石野久男

    石野委員 私は、一つの点は、問題が起きるのは、人員が十分充足されていないと、こういうような分析研のような問題が出てきているのだ、だから、人員の充足がないままに仕事だけ押しつけたって、これは仕事にならないだろうということ、それが一つあるということ。それからもう一つは、分析研でこういう問題が起きたということは、昨年の梅津氏のいる段階から、いろいろやはり問題が起きているわけですよ、それ以前にもあったと思いますが。こういう不祥な事態が出てきていることについての科学技術庁としての管理監督の問題が一つあるわけですね。行政管理の上での士気の問題とかなんとかいうようなことがありましょうか、ゆるみというものがあるのかしれませんが、なぜこういうふうになっちゃったのかということの反省があってしかるべきだろうと思うのです。そういうことについて、大臣はいまどういう心境でいられるのか、また今後どういうふうにして庁内のそういう問題について対処しようとしているのか、ということについての所信を聞かしてもらいたい。
  75. 森山欽司

    森山国務大臣 第一番の人手の問題でございますが、これはただ単なる人手でございません。技術を持った人手でございます。しかもきちんとやってもらうということが必要な人手ということになってまいりますと、先生仰せのごとく、これを充足することはなかなか容易ではございません。今後新しい組織をつくりますにいたしましても、そういう点を十分考えて事に当たるつもりでございます。ただ物的設備だけ整えれば十分であるということではなく、やはり人の面、これは数だけではございません。気がまえの点でもしっかりした人をそろえるように、これからやっていかなければならないということを特に痛感いたしております。非常にむずかしい問題でございますが、やらなければならない問題でございますから、全力を傾倒してこれに対処いたしたいと思います。  それからいま一つは、今回の事件につきまして、科学技術特別委員会委員各位には、深くおわびを申し上げなければならないと考えております。それは今回の事件は初めて起きたことではなくして、昨年の九月二十日、当委員会において取り上げられた問題の、まあことばは悪いのでございますが、いわば二番せんじのような形で、予算委員会に取り上げられたわけであります。そのときに、問題の点の一端は当委員会において指摘されたわけでございますから、必然真面目に取り組んで、御指摘を受けた部面以外の問題について真面目に取り組んで検討しなければならなかったと、私は思っておるわけでございます。いまちょっと調べてみますと、九月二十日の日に、当委員会で御指摘を受けた当日、三、四人の者が分析研におもむいたようでございますが、本腰には十月の四日ごろ、二週間ぐらいたちましてから、また四人ぐらいの人が行って、そして調べて、得た結果を、おそらく当委員会報告があったと思うのでございます。きわめて安易なる取り組みであり、安易なる報告をしたということでございます。しかし今日の段階になってみますれば、先般予算委員会で不破委員の御指摘を受けました当日、その日のうちに七私の者が分析研究所にかけつけ、翌日三十名の者が研究所へ行って調べてみました。調べました結果、ついにきわめて問題であるということが明らかになったわけでございまして、私はこういう問題について、それはもう中身自体も非常に問題でありますが、昨年の九月二十日当委員会において御指摘を受けながら、しかもなおかつ安易にこれに対処して安易な結論に終始したということが、はなはだ問題であると思っておるわけでございます。そういうことでございますから、こういう事態について、これから心してかからなければならないということで、庁内の関係者の諸君に、この極問題については真面目に取り組むようにということ、またそういう問題について、責任ある者については、それぞれ人事の上でもひとつかわってもらって、この問題に対処するというふうにいたしておるわけでございます。今後二度とこういうことが起きないように、十分庁内を戒めて、体制を立て直してまいる所存でございますので、何とぞ御了承をお願いいたしたいと思います。
  76. 石野久男

    石野委員 時間ですが、あと一問だけなにさしていただきます。  いまも、人員の充実の問題については、やはり質的にも仕事ができるような体制づくりをせねばいかぬということを言われて、そのとおりこれはやってもらわないといけないと思うのです。  そこで、これはまたあとでお聞きすることにもなりますけれども、特に私がお願いしておきたいのは、原子力問題について、安全性の点ではずいぶんとやはり努力して予算もとられた。原子力研究所におけるところの原子力施設の安全研究というものについて約四十億近いものが、昨年度から見れば予算も多くなっておるわけですね。予算だけつくけれども、今度は人がつかないのではどうにもならないわけで、やはり同じような結果が出てくると思うのです。仕事はずさんにならざるを得なくなる。だから、私はやはりそういう点でも、人員の問題については、予算の増額に見合うような人員増というものを当然脅えていただかなくちゃならぬと思いますので、そういう点についての配慮は、これはひとつ基本的に考えてもらいたい。具体的にはまだいろいろあると思いますけれども、私はやはり、予算が増額したら、それに見合うような人員もつけないと仕事にならぬのだということについて、私の考えをいま申したのですが、長官は、そういう点については、そのようなお考えでひとつ処理なさってくださるかどうか、その所信だけちょっと聞かしておいてもらいたい。
  77. 森山欽司

    森山国務大臣 御趣旨の線に沿ってできるだけ努力いたしておると思います。今年度も業務量がふえる割合の人もつけたわけでございますが、ただ政府全般として、何か五%人員削減というのがありまして、こっちはふやしたつもりでおったところが、全体で減らしたから、ふえたのはこのくらいだ、ごくわずかだということで、そういうやり方になっておることを当事者として初めてあらためて認識をいたしまして、一生懸命ふやしたつもりで、結果三十人ふえた、しかし全体から五%減らすから、ふえたのは四人だなんというような、そういう計算になっておる事実をあらためて発見をいたしまして、こういうやり方につきましては、これでいいのかというのは、私自身も感じておる次第でございますから、御指摘のありましたのを機会に、あらためてまた今後どうすればいいか――これからもおそらく政府の方針としては、一律五%の減少を一応やっておいて、そしてこっちはふやす分はふやして――少しくらいふやしたって逆に減るなんというような形になるわけでございますから、これをどういうふうにこれから処理していったらいいか、またよくひとつ検討してみたい、こう思っておるわけであります。
  78. 石野久男

    石野委員 ありがとうございました。その点についてはまたもう一度お聞きしますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
  79. 安井吉典

    安井委員長 それでは瀬崎博義君。
  80. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 初めに前置きとして申し上げておきたいのですけども、先ほど自民党の伊藤委員が、昨日の理事会の決定で、分析研の問題にきょうは触れないということになっている、こうおっしゃった。これは非常にかってな理事会の決定のねじ曲げだと思うのです。確かに自民党の理事はそろって、質問は来週以降にしろということ、それが野党の意見でいれられないとなると、きょう委員会を開くことに同意はしたものの、先ほど発言のあったように、分析研の問題には触れない、いま一つ原子力発電所の安全審査の問題にも触れない、こういう問題を出してきた。これについてもわれわれは筋を通して反論した結果、意見が同意を見ているというのはこういうことなんです。  わが党の不破議員が田中総理に四項目の提起を行なった。そこで提起されている問題について、科学技術庁予算委員会報告するまで、行政的にも筋の通った処置をとっている限りは、われわれは科学技術庁長官に四項目について質問するというふうな非常識なことは避ける。しかし今日までに明らかにされているはずの事実関係、また明らかにされなければならない事実関係については、当然質問はされるし、答えなければならない。また予算委員会政府の見解を発表するまでの期間を利用して、不破議員の指摘している問題とは相反する全く筋の通らない行政的な措置を既成事実として積み上げるようなことがあるならば、これもまた質問の対象になる、こういうことであったと私は考えているわけなんです。ですから、そういう点では、議会制民主主義の立場からいっても、あとの質問を牽制するようなかっこうで、一方的な脅えを、しかも理事会内容委員会に発表されるということは、私はきわめて遺憾千万だと思うのです。私が非常に奇妙に感じたことは、一応森山長官質問をしている形の伊藤議員が、実のところは、分析研が汚職を起こし、また山原委員の追及が出た当時の政務次官であったということを思い出して、いわば前責任者である。これが現在の責任者に対してあれこれ質問をし、あとの質問を牽制する。かばっているというのですか、助け舟を出しているというのですか。これはまさに、予算委員会で、大企業の責任者を証人喚問とすべきところを参考人で押し切った自民党の体質が、同じ重大な問題をかかえている本委員会でもあらわれてきた、こういうふうに言えざるを得ないと私は思うのです。私は、こういうことを自民党の議員が本委員会に出されたために、あえて前提として申し上げておきたいと思うのです。  そこで、私が質問するまず第一点は、不破議員の追及によって、分析研の測定結果のでっち上げという重大問題が明るみに出されて、政府原子力行政の無責任さ、非科学性が全面的にいま問われているわけです。これについては総理大臣もはっきりと認めたことであるし、森山長官も、きのうの所信表明では、私にとって大きな衝撃であり、心から遺憾とするところであって、この問題に対する深刻な反省の上に立って、今後の科学行政を進めたいと言っているわけなんです。学者も一様に驚きと不信の抗議の声明を相次いで出しておるし、国民もまたまさに驚きと怒りをもってこの事実を見守っていることは、御承知だと思う。今日こうした事態を踏まえた上で、なお原子力発電所設置の安全審査の責任を持つ原子力委員会科学技術庁の長として、原子力発電所の環境放射能の測定結果について、全面的に信頼できるのだと、国民に太鼓判を押されますか。
  81. 森山欽司

    森山国務大臣 原子力発電所建設を進める必要があることは、本日冒頭にも申し上げたとおりでございます。またそれにつきまして、安全性の問題に留意してかからなければならない、その安全性の確保について万全の努力を期さなければいかぬということについても、先ほど来るる申し上げたとおりでございます。分析研の問題はまことに遺憾なことであることも、先ほど先生御指摘のとおり、私の所信表明の中にも申し上げました。まことに遺憾千万でございました。そしてこの立て直しに現在努力をいたしております。しかし原子力発電所建設の問題と、日本分析化学研究所の不始末の問題とは、これは必ずしも結びつく問題ではないと思っております。一つは機能的な面におきまして、そう深い関係にあるわけではございません。しかし関係なしとはいたさないとは思います。したがって、そういうことが三度と起きないような体制の確立に留意しつつ、この原子力発電所建設を進めてまいりたいと思っておる次第でございます。  なお、これにつきましては、原子力発電所の安全確保についてやっておりますやり方について、事務当局のほうから御説明を申し上げ、そしてその観点に立って、関連において、この分析化学研究所仕事との結びつきを御検討をお願いいたしたいと思います。
  82. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私の聞いていることにだけ答えればいいのです。私が聞いたのは、今日の事態の中で、原子力発電所の周辺の環境放射能測定結果については、地方自治体なり電力会社なりが結果を発表しているわけなんです。このことを信頼できると、この席で長官はおっしゃれますか、ということを聞いているわけなんです。
  83. 森山欽司

    森山国務大臣 では最初事勝当局からちょっと御説明申し上げまして、それから……。
  84. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 補足してお答え申し上げます。  分析研が行なっております放射能分析に関しますデータについては、信頼性が失われたというのは事実でございます。ただし、原子力発電所周辺の環境放射能の監視は、一般に県及び電力会社が分担してやっておりまして、その中の一部が分析研に委託という形で出ておりまして、その関係では、電力会社自身が自社でデータを持っている、あるいは地方自治体がみずから測定を行なっている、そういうふうなことがございますので、分析研のデータの信軟性が失われたことが即環境放射能測定値すべての信頼性を失うということではないというわけでございます。ただし分析研の従来実施してきた分につきましては、早急にこれを補充する、補足する必要がございますので、今後電力会社及び県の測定能力を拡充する、あるいは当面他の第三者機関に一部委託する、あるいはその他適宜の措置をとって対処する、こういうことで指導することを考えております。
  85. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が質問した範囲内だけ答えればいいので、ここから先のことを私は聞いているわけじゃないのです。  いまの答弁によれば、全部が全部分析研調査が委託されているわけではないから、分析研の部分については信頼性を失われていることは事実だけれども、他の部分についてはだいじょうぶなんだと聞こえるような答弁なんです。そういう答弁をされる限りには、根拠として、各電力会社が、どの部分のどんな調査分析委託を分析研にやったか、当然調べられていると思うのです。ひとつ各電力会社別に、また各年度ごとに、またどういう性質の、どういう種類の分析委託を分析研にやったのか、答えてください。
  86. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 不破先生の御質問がございました翌日、私どもが分析化学研究所に立ち入り検査をいたしたわけでございますが、その際、科学技術庁が委託しました分につきまして十分な検討はもちろんいたしたわけでございますけれども、その他の委託、すなわち電力会社からあるいは地方自治体からの分析業務の委託につきましては、その概要につきまして、関係者から事情を聴取するということでございまして、概括的な調査をいたした。したがいまして、その後、先生御指摘の、どの電力会社がどのように分析委託をしているかについては、ただいま整理中でございまして、なお各電力会社で、これに関係いたしまして、分析化学研究所の関与いたしましたデータについての総点検を行なっておりますので、その総点検の報告を待って、これを十分整理、検討いたしたい、こう考えております。
  87. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、あなたの先ほどの答弁、つまり分析研に委託していない部分もあるんだから、その部分は信頼していい、安心していいのだというふうにおっしゃったけれども、一体どの程度分析研で、どの程度分析研の外でやっているのか、またそれぞれがどういう部分、どういう性質――これは重要性がだいぶあると思うのです。そういうものの区分けもされないまま、主観的に、相当な部分は外でもやられているからだいじょうぶだろうと推論しているだけでしょう。そうじゃないのですか。
  88. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 お答えいたします。  四十八年度の原子力発電所周辺環境放射能監視につきまして、電力会社あるいは都道府県がどのような監視を行ない、かつサンプリング物質の分析を行なっておるかということについて、一応の資料は持っておりますが、先ほど説明いたしましたように、ただいま各電力会社あるいは地方自治体が総点検をいたしておりますので、その結果を待ってさらに表を完成いたしたい、こう思っております。
  89. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、はっきりしたことは結局総点検の過程であって、結論の出せるような状態ではない、こういうことなんですね。確認しておきましょう。
  90. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 私どもは、現在、各電力会社及び地方自治体がどの程度の委託を日本分析化学研究所に行なっておるかについて概括的な数字はつかんでおりますが、詳細については、総点検の結果を待ってさらに整備いたしたい、こういうことでございます。
  91. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、現に東電の福島第二原子力発電所第一号炉の安全審査が原子力委員会に出されていたはずであります。この福島県の太平洋岸双葉地方一帯は、東京電力や東北電力の計画によれば、相当な原子力発電所の集中地点になりそうだとわれわれは聞いているわけなんです。長官は、その集中の度合い、大型化の度合いについて、どういう認識を持っていらっしゃいますか。
  92. 森山欽司

    森山国務大臣 地図によりますと、現在動いている発電所またこれから計画中の発電所、幾つもございます。敦賀の若狭湾の周辺に次ぐ集中地帯になるであろう、そういうふうに見ております。
  93. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 長官の認識不足と勉強不足に、われわれとしてはたいへん戸惑うわけなんですけれども、この福島県の問題というのは、昨年事故も起こりました。私ども調査に行っているわけです。本委員会でも論議されて、議事録も残っているわけです。若狭湾に次ぐではなくて、若狭湾をはるかにしのぐ原子力発両所の大型化、集中化の地点になろうとしているわけであります、もしも電力会社の計画がそのまま実行されるとするならば。昭和六十年六千万キロワットとかいう政府高度成長時代の計画に照らしてみるならば、その約五分の一ないし四分の一があの地点に集中しようかという、こういう傾向を示しているわけなんです。こういうふうな地点で、とりわけ原子力委員会の責任者として、長官が留意をしなければならない問題はどういう点だと考えているのですか。
  94. 森山欽司

    森山国務大臣 どういう魚という抽象的な御質問ではなくて、どういうことをお聞きになりたいのですか。
  95. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう集中化、大型化が予想されている地域の環境放射能の測定問題とかあるいは安全審査の問題等々については、どういう点に留意しなければならないと考えていられるか、こういうことなんです。
  96. 森山欽司

    森山国務大臣 若狭湾に次ぐというのは、現在事実でございます。将来は、計画どおりいきますれば、あなたのおっしゃるように、若狭湾を上回るものになるでありましょう。しかし現在は次ぐという状態であると私は理解をいたしております。まあそれはどうでもよろしゅうございますが、そういう集中地帯でございますから、安全性の問題だとかあるいは環境放射能の問題等につきましては、最善のそれなりの努力をしていかなければならないことは当然であると思っております。
  97. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほど申し上げました、昨年六月、東電福島原発で放射能廃液漏れの事故が起こった。このことが本委員会で、私並びに庄司議員によって取り上げられて、そのときの政府側の答弁を御紹介しておきたいと思う。  前田前長官は、体制としてはきびしくやっているが、原子力施設安全管理連絡会議というようなものを毎月やっているが、魂が入っていなければならぬ、この機会にびしっとやりたい、こういう発言をした上、成田元原子力局長は、安全性あるいは環境で周囲に迷惑をかけることの絶対ないよう処理したい、こう言い、前田前長官は、地元の理解と協力を得るということが必要なので、理解と協力を得られるよう考えたい、こう言っているわけです。これが公式の発言なんです。  さて、絶対に環境に迷惑をかけない、そして地元の理解と協力を得るということが前提条件になるには、現在運転されている福島の原発の環境放射能の測定等については、どうなければならないと考えますか。
  98. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ただいまの先住の御質問につきまして、環境放射能の調査、測定の全体のシステムというものを完備するということはきわめて重要な問題でございまして、そのシステムを完備し、さらにその測定値について十分の信頼性を持たせるということがきわめて重要である、こう考えております。そのために、クロスチェックあるいは測定値の評価機構、そういったものも整備するということが考えられるわけでございます。
  99. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この集中化、大型化が予想されている福島原発の地域で、しかもこの分析研の問題がこれだけ重大な問題に発展している時点で、去る十八日、安全審査会が福島第二原発の安全審査についてパスの結論を出しています。この背景には、どうなんですか、現在まで行なわれてきた原子力発電所の周辺の環境放射能の測定等については、万遺漏がないという前提のもとに立っているのですか、どういうことなんですか。
  100. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 お答えいたします。  原子炉安全専門審査会におきまして、原子力発電所の設置にかかる安全性を審査いたすわけでございますが、その場合の審査の考え方といたしましては、当該原子炉から放出されます放射能の量を予測いたしまして、環境での放射線率等を計算する、それによりまして、周辺住民への健康と安全が確保されるということを確認するわけでございます。発電所から放出されます放射能によります周辺住民の被曝量が、したがいまして安全評価上問題となるわけでございますが、それには、大別いたしまして、大気中に放出されました放射性物質による外部被曝と、呼吸あるいは食物摂取による内部被曝とがございます。これらにつきましては、拡散式によりまして、気体放射性廃棄物の拡散の計算をいたします。あるいは食物連鎖による放射能の体内への取り込み量の計算というものの評価をいたすわけでございます。また運転開始後周辺住民の被爆量の監視につきましては、発電所の排気口、排水口などで放射能の放出量が測定されております。これは厳重に監視されておるわけでございます。それからさらに周辺にモニタリングステーションが設けられておりまして、そこで空間線量率を測定し監視をいたしておるわけでございます。こういうふうなことで、安全審査及びその運転につきましての万全を期しておるわけでございますが、さらに発電所運転開始後、土壌、農産物などの放射能測定をいたしまして、長期的な環境の変化というものを知り、かつ発電所の放射能の異常放出がないことを間接的に確認するということで、最終資料の分析が行なわれる、こういう関係になっております。  以上でございます。
  101. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 どちらにしても、結局安全審査の要因の一つとしては、原子力発電所の環境放射能の測定結果というものが一定の根拠にならざるを得ないということなんですが、その点について、今日まで福島原子力発電所周辺の環境放射能測定結果等が公表されている資料については、原子力委員会並びに科学技術庁としては、問題はないと蓄えているわけですか。
  102. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 少し説明が不十分であったかと思いますが、実際の現在の安全審査の手順、考え方から申しますと、環境放射能の測定というものは、直接安全審査の過程に入ってくることになっておりません。そこのところの説明が不十分であったことをおわび申し上げます。
  103. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 直接入ってこなくても、しかし現実に原子力発電所が設置されて運転されておって、それの放射能の一定の監視測定が行なわれているという事実がある。その場合、その測定結果そのものの一定の信頼性があるかないかということが前提にならないと、次の原子力発電所の設置の安全審査、いま言われたような体制のもとでの審査は、私どもが常識的に考えれば、できないように思うのですが、どうですか。
  104. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、周辺の一般公衆に対する安全性は、そもそも設計全般の確認があります上に、運転につきましての排気口、排水口等による放射能放出量の厳重な監視がございます。さらにモニタリングステーションによる周辺線量率の測定がございます。こういうふうなシステムによりまして、周辺住民の安全は十分に確保されておる、こういうことが確認されて初めて設置が許可されるということでございます。
  105. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だからそういう意味で、いろいろな測定の結果、周辺の住民の安全が確認されて、審査の結果が出ている、こういうことなんですが、では具体的にお聞きしますが、去る二月十三日、日本科学者会議福島支部と日本共産党福島県委員会が、福島原子力発電所周辺環境放射能測定結果の数値の変更を指摘し、公開質問状を提出したわけです。このことは御存じだと思います。言うまでもなく、原子力発電所が運転後、原子炉に起因する環境放射能を見きわめる上では、今後ずっと比較の基準になるのが、原子力発電所周辺の運転前の自然放射能の測定数値なんです。その自然放射能の測定数値が、運転後の測定結果公表資料の中において変更された、こういう事実が指摘されました。一方で、東電福島第二原発の安全審査を急いでいた政府は、その安全審査と密接不可分の関係にあり、かつ日本分析化学研究所が分析調査の委託を受けていたこれらの福島原子力発電所周辺環境放射能測定結果の数値の疑問については、相当安全審査とかかわり合いがあるのですから、その原因の究明に励まれたと思うのですが、政府調査されたこの数値の違いについての結果を知らしていただきたいのです。
  106. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ただいま御指摘のございました日本科学者会議福島支部及び日本共産党福島県委員会からの御指摘につきましては、福島県が、御指摘を受けまして直ちに県の責任において調査活動を始めまして、二月十五日に事実の解明を終わり、同日午後、その結果を公表いたしております。私どもが承知しております県の調査結果によりますと、第一回の年報と第二回の年報の間に数値の食い違いがあるという御指摘につきましては、原因といたしまして、次のようなミスがあった。すなわち、まず端数の整理ということを行なった。それから二番目に、単純な測定結果の転記誤り、あるいは見誤り、計算誤り、こういうものがあった。三番目に、一部分析結果の計算誤りについて訂正を行なった。四番目に、マイナスの数値をゼロとして扱った。こういう四つの理由によりまして、御指摘のように二十二カ所の部分が不正確であった、こういうふうに発表されております。  政府といたしましては、県で自主的に御調査いただきましたその結果の報告を十分お聞きいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、ただいま原子力委員会でやっております原子炉安全審査の過程に直接関係してくるところではございませんので、引き続き県の解析報告を十分承知して、それはそれとして検討いたしたい、こう思っております。
  107. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 安全審査と無関係だというところに、そもそも事の重大さを考えていない点が証明されていると思うのです。いま四つの数字の間違いのパターンを言われたけれども、その中の一つ、井戸水の放射能測地結果の数字の変更の問題があるはずなんです。こういう井戸水とか海水とか土壌というものの放射能の測定については、福島県の発表している資料によれば、科学技術庁放射能測定法による、こうなっておるわけなんです。ですから、ごく簡単にだれでもわかるように、その科学技術庁の放射能測定法というものを説明してください。
  108. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ただいま、その関係を十分承知しておる者がおりませんので、後刻調査いたしまして、御報告いたしたいと思います。
  109. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その数字の変更というのは、二つの理由が重なっているわけなんです。その一つというのは、竹内宅の井戸水のサンプルの放射測定値と、橋本宅の井戸水のサンプルの放射能測定値とを反対に書いたことによるということ。これはまあ疑えば切りがないのですが、さておくといたしまして、もう一つのほうは、両方の井戸の第一回測定結果に、標準線源にとった塩化カリの校正の誤りがあったというものなんです。そこで、この測定は実際には一体どこがやったのですか。
  110. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 分析化学研究所でございます。
  111. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、当然分析化学研究所について、先ほど電力会社の関係についても総点検だとおっしゃったので、一週間以上前にこういう公開質問状が出た以上、まずはさておき、この問題について政府は、片方で福島原発の安全審査を急いでいることでもあるし、調査されたと思うのです。政府がこの問題について調査された結果、標準線源塩化カリの校正の誤りがあったというのは、一体どういう誤りであったと確認されているのか、説明願いたいと思います。
  112. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましては、電力会社で県と連絡をとり、検討をいたしておる段階でございます。
  113. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは電力会社が測定分析に当たったのではなくて、分析研が測定分析に当たったんだといまおっしゃったんじゃありませんか。
  114. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 分析研の測定は、電力会社と分析研究所との間の委託契約に基づいて行なわれたものでございます。
  115. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういうふうな手順を聞いているのではなくて、実際に測定分析をやったのはどの機関かと、こういうふうにお尋ねしているわけなんです。一体どこなんですか。
  116. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 分析研が分析をいたしまして、それを委託者である電力会社に報告した、こういうことでございます。
  117. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その間違いそのものは、一体電力会社で起こったというのですか、それとも分析研のほうで起こったというのですか、この標準線源塩化カリの校正の誤りというのは。
  118. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 私どもの聞いております範囲では、分析研で起こったと申しますか、分析研から訂正の報告が出た、こう聞いております。
  119. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私、不幸にしてこの面の専門家ではありませんから、よくわからないのですが、とにかくその分析研が電力会社を通じて県に報告した内容というのが、標準線源塩化カリの校正の誤りということなんです。これは平たくいえば一体どういうことなんですか。
  120. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 私、その辺が専門ではございませんので、多少の間違いがあるかもしれませんが、簡単に申し上げますと、自然放射能の中に放射性のカリウムがございまして、そのカリウムがバックグラウンドとして非常に大量にございますので、測定値からそれを差し引く、そのときにときどき標準線源を用いましてその測定値の校正をする、こういう手続が一般的に行なわれておるわけでございますが、そこのところで何らかの手違いがあったということであると考えます。
  121. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまお聞きのように、結局何らかの手違いという以上のことはわからないわけなんです。そういう意味で、これは非常に重要な問題を含んでいるのではないかという専門家の指摘もありますので、ぜひ至急にどういう原因による誤りなのか、政府調査して、委員会資料を出すように、委員長のほうからも要求を願いたい、こう思うのです。
  122. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 私どもが分析化研調査いたしましたときに、古い原簿が廃棄処分になっておりまして、したがいまして、昭和四十六年度以前のものについては、残念ながら調査の基礎資料がないということでございます。本件は四十四年度の分でございますので、四十六年以前はすべて欠落しておるということでございますので、その調査がむずかしい。なお、もしこの調査をするにいたしましても、まず電力会社が、分析化研との間で契約に基づいて、立ち入り調査をするということになるかと思います。
  123. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 なぜ、これだけ問題が大きく波及して、長官自身も驚きの色を隠さず、また深刻な反省の上に立ってこれからの原子力行政を考えようと言っているときに、もうすでに指摘されている誤りについて、まず電力会社、それから科技庁が動くんだということになるのですか。その理由を説明してください。
  124. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 電力会社と日本分析化学研究所との関係は、分析の委託に関する私的な契約に基づくものでございます。したがいまして、面接政府が関与するということではなくて、まず電力会社を指導いたしまして、電力会社が分析化研を十分調査するということになり、その結果を待って、政府としていろいろ処置いたしたい、こう考えております。
  125. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの科技庁の見解に対して、通産省のほうは、すでにこれが運転中の原子力発電所でありますから、それに対しては指導監督の立場にあると思うのです。通産省も同じような考えに立っていますか、分析研の問題がこういう事態になっているときに。
  126. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 通産省といたしましては、環境における放射能の影響を監視するために、電気事業法第五十二条に基づきます保安規程によって、敷地周辺の環境試料を採取して、放射能を測定するということが義務づけられております。それで、同発電所が運転前、この資料がいわゆるバックグラウンドとして使われておるわけでございますし、また四十五年の三月からは、実際に運転後の問題として関係がございます。したがいまして、今回の二十二のいわゆる間違いということにつきましては、県との安全協定に基づくいろいろな数値の違いというばかりでなくて、保安規程上の体制の不備ということにも関連がございますので、通産省としては、その点につきまして、電気事業者に対して、その辺の数値の取り扱い、それから体制の問題について十分注意したいと思っております。
  127. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすれば、通産省としては、一応いま私が質問している内容については、調査の結果を報告しますね。  あわせて、先ほど四点のミスをあげられているのですが、たとえば連絡のミスとか転記のミスとか、単純な事務的ミスだといわれる内容のものについても、それが一体どういうふうにして生まれたのか。たとえば分析研から東電へ、東電から県へ、その間の資料の受け渡しは一体どうなっているのか。また訂正の連絡は電話でやっているのか、きちっと書類でやっているのか、また分析研からもともと訂正を依頼しているのか、そういう問題そのものを見てみないと、一体それがプラスとマイナスの単純な記載間違いだとか、あるいは数字の転記間違いだとか断定できるかどうかも、今日の分析研の状態から見れば、言えないのじゃないかと思う。そのくらいに考えて、原子力局次長としては、その職がつとまるのではないかと思う。しかし原子力局のほうは、まず電力会社に自発的にやってもらってというふうなことしかおっしゃらないから、私はあえてそういう資料も含めて、通産省のほうから資料提出するように、ひとつ委員長、お願いしてもらいたいと思うのです。
  128. 安井吉典

    安井委員長 どうです。発電課長。
  129. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 通産省といたしましては、保安規程の問題につきましては、科学技術庁のほうとも関連がございますので、科学技術庁とよく連絡をとりまして、御連絡したいと思います。
  130. 安井吉典

    安井委員長 それは、いまの資料はお出し願えるということですね。
  131. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 どの程度のものができますか、ちょっと私たちのほうで自信がございません。先ほど原子力局次長が申し上げましたように、原簿がどうもなくなっておるようでございますし、その辺の状況について、どれだけ御期待に沿えるかどうかわかりません。したがいまして、科学技術庁のほうとよく相談しまして、できる限り努力したいと思います。
  132. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまのは古いから原簿がないということで言いわけをされたけれども、これは原簿がないと言えない問題なんです。つまりその公開質問状の第四点で、東電の依頼で、波高分析器による調査をやはり分析研で行なっていた。これが六十四種あるということが、この公開質問状では指摘されているわけなんです。この波高分析器による分析結果というのは、例の波形をいたしましたグラフのことですね。エネルギースペクトルのグラフのことであります。原潜の場合には、これがたまたま一つの磁気テープで十枚ほどのグラフにでっち上げられておったという性質のものなんでありますが、福島県としては、その実物は東電にちゃんと見せてもらっているけれども、資料そのものとしては県にないので、こもとである分析研のほうで出してもらってほしい、こういうことのようであります。これについても、あわせてひとつ委員長のほうから、資料提出をするように要求していただきたいのであります。
  133. 安井吉典

    安井委員長 それは科学技術庁ですか。
  134. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 科学技術庁です。
  135. 安井吉典

    安井委員長 科学技術庁、どうですか。
  136. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 どの程度のものが出せますか、調査の上、いたしたいと思います。  なお、この際こまかいことではございますが、この波高分析器に沃化ナトリウムのヘッドを用いました波高分析器を使っておりますので、予算委員会で問題になりました潜水艦に関係する波形重複捏造の問題とは別の機械でございます。なお調査いたしたいと思います。
  137. 安井吉典

    安井委員長 いまのそれは、調査して確実にお出しいただけるのなら、もうそれでお約束だと見ますが……。
  138. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 十分電力会社と連絡いたしまして、出せるかどうか検討して、至急御回答いたしたいと思います。
  139. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 承知できませんね。
  140. 安井吉典

    安井委員長 それでは、後刻理事会で協議して、しかるべく計らいます。
  141. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの件について、理事会で御検討いただきたいわけなんですが、途中で言をひるがえして、電力会社と相談して出せるかどうかということになったのは、一体どういう理由ですか。そこまで電力会社をかばわなければならない理由があるのですか。
  142. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 実は私ども、この件について十分承知しておりませんでしたので、至急調べてということでございまして、他意はございません。
  143. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 他意はないということは、そういう資料分析研にありさえすれば必ず出す、こういうふうに理解していいですね。
  144. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 分研析にございましたら、出すように電力会社を指導いたしたいと思います。
  145. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 電力会社を指導し、通じて出させたいというのは、私どもとしては非常に不可解な感じを与えるわけなんです。なぜならば、いまの分析研の状態というものは、科学技術庁科学技術行政そのもののずさんさ、無責任さから起こってきている問題でもあるわけなんです。ですから、そういう意味では、まず科学技術庁のみずからの責任ということを自覚してこの問題に処さなければならないということが一点と、民法等の規定から見ても、明らかにこれは公益を大いにそこなっているわけなんだから、政府が直接調査をしてしかるべき事態。これをあえて回避しようということになれば、森山長官自身、深刻な反省の上に立っていないということになるんじゃないかと思うのです。これは長官、一体どうですか。長官の答えを要求したいのです。
  146. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 先ほども御説明申し上げましたとおり、電力会社と分析化学研究所との間の私的契約に基づいて作成されました資料でございますので、まず契約者である電力会社を指導するということで、国は分析化学研究所について一般的な監督権限はございますが、国が直接私的契約に基づく資料を徴収するのは適当でないと判断いたしまして、電力会社を指導してその資料を徴取いたしたい、こういうことでございます。(「むずかしいことを言うなよ。努力しろよ。」と呼ぶ者あり)はい、努力いたします。
  147. 森山欽司

    森山国務大臣 なかなかこんがらかっておるのですが、科学技術庁も通産省も両方役所としては関係あるようであります。それから、分析研究所と電力会社の間の契約関係もあるようでありますが、いずれにいたしましても、できるだけ御趣旨に沿うように、真相を明らかにするよう努力をいたします。
  148. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 あと理事会で御検討いただくといたしまして、この際、委員長にこの席でお願いしておきたいことは、片方で福島原子力発電所の安全審査の問題がなければ、つまりこういう問題が明確になるまで、原子力委員会としては絶対に総理大臣に対する答申は出さないと本席で確約がされるならば、それは電力会社を通じてこれらの資料の出されるのをわれわれ待ってもいいと思うけれども、そういうふうな確約なしに、重大な関係のあるこういう資料について、いつまでもわれわれは待っているわけにいかないので、政府のこれに対する出方いかんによっては、事はきわめて緊急を要し重大なものですから、本委員会自身が分析研に対して立ち入り調査をするということを私は提案し、ぜひ委員長にお取り上げいただくようにお願いしたいのであります。
  149. 安井吉典

    安井委員長 いまの点については、即断できかねる問題だと思いますし、各党の御意見を理事会で十分お話し合いをしていただきたいと思います。そういうふうに委員長としても計らいます。
  150. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ただいままでの答弁に関する限り、今日の事態から見れば当然出すべき資料、また政府が直ちに調査していなければならない調査等について、非常に意識的に怠慢な感じを私は受けざるを得ないわけであります。こういう状態で、片方では安全審査という既成事実だけはつくり上げていこう、こういうことでは、問題が大きく発展している最中であるだけに、われわれ国民国会に対する挑戦ではないかとすら受け取れるわけなんですが、これは森山長官の見解として、この際、安全審査会に、例の福島原発の審査を差し戻すように私は要求したいと思うのですが、回答願いたいと思います。
  151. 森山欽司

    森山国務大臣 ただいま、調査について意識的に怠慢ではないかというお話でございますが、そういう事実は全くございません。鋭意真相の究明に努力をいたしておるわけでございますが、御案内のとおり、分析研がやってまいりました従来の仕事というもの、時間の関係、今後の措置、いろいろございまして、朝から晩までこの問題に没頭しましてもなかなか十分でない点がございますものですから、あるいはいろいろ御意見も出ようかと思いますが、意識的に怠慢などということは全くございませんから、どうかひとつその点は御了解を願いたいと思います。  それから、その次にお話がございました問題につきましては、安全審査会の答申は先般あったようでございます。これは前々からの続きで、私も当日審査会があるのを承知いたしたわけでございますから、それで結論が出たわけでございます。その結論を今度は原子力委員会が受けまして、原子力委員会として、内閣総理大臣に答申をするわけでございます。その答申の段階につきましては、これはこの委員会でいろいろ御論議があった点なども念頭に置きまして、慎重に取り扱ってまいりたいと思っておるわけでございますが、瀬崎委員からお話しのように、これを差し戻すというようなことはいささかも考えておりません。今後の措置といたしましては本委員会の審議の経過を慎重に考慮いたしまして進めてまいりたい、そういう考えでございます。
  152. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その慎重にということが、具体的に表明されていないので困るわけなんです。先ほどから長官も伊原次長の答弁を聞いておられたと思うのです。結局、県が発表しておりました環境放射能の測定結果の数字の違い、つまりバックグラウンド――バックグラウンドというのは、これは今後ずっと引き続いて運転後の環境放射能の測定にあたって比較されるべき基礎数字ですから、ここに一定の変化があり変動があったということは、非常に重要な問題です。これは永久に福島原発が続く限り関係してくる問題です。この重要な問題について、原簿が廃棄されているので、あるいは徹底した究明が困難かもしれない。しかし、努力はして資料は出してみよう、こう通産省のほうは言っているわけであります。だから、これも一定の時間を要するとわれわれは見なければならない。それから波高分析器による分析結果についても、後ほど理事会で御検討いただく課題ではあるけれども、伊原次長の言によれば、電力会社を指導してと、こういう話なんです。ですから、慎重に審議を反映して、原子力委員会は対処するといわれる、その慎重な中身として、少なくともいま私が提起したこういった資料がこの委員会提出され、あるいはそういう事態が政府なりあるいは本委員会なりによって明らかにされるまでは、当然原子力委員会として答申の結論を出すべきではないと私は思うので、慎重なとおっしゃったその中身として、裏づけとして、この点について大臣の見解を伺っておきたいのです。
  153. 森山欽司

    森山国務大臣 慎重はあくまで慎重でございまして、どういうふうにするか、私は原子力委員会委員の一人であり、かつ委員長の立場にございますから、本委員会でそういう御質疑等、御論議があった点などを委員会に紹介をいたしまして、そういう点に留意して今後の審議を進めるようにということを申したいと思います。しかし、おっしゃるように、何かこちらの調べがつかないうちは結論を出さないとか、そういうようなことは、私の立場ではお答えいたしかねます。
  154. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほど原子力潜水艦の寄港について、外務省がアメリカに注意するよう要請したという問題が提起された。とにかく一応監視体制が整うまでは、そういう処置をするのが妥当な道なんです。そのこと自身が長官の発意によらないということであるけれども、しかしあれを見習うならば、当然福島原発の問題にしても、いま疑惑を生み出しているような測定結果等について、これが究明されるまで慎重を期する、つまり結論は出さない、この表明が長官からあってしかるべきで、そういうことも言えないような長官ならば、かつてこの席で、十二月でしたか、大演説をぶたれた長官の姿から推して、一体これで今後、失礼な言い方だけれども、科学技術庁が背負っていけるんだろうかという疑惑すら持つのです。だから、その点については、もう少し責任のある明確な答弁を、私はお願いしたいと思うのです。
  155. 森山欽司

    森山国務大臣 いろいろ御疑念もお持ちのようでございますが、当面の時期といたしましては、万全の態勢を期するつもりでございます。本委員会審議の経過を十分に留意して慎重に処理するということで、本日はひとつお許しを願いたいと思います。
  156. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣の万全を期すというのは、実質的には万全の中身がないとは、不破議員があなたに指摘されたことなんです。また繰り返している。きょうは一応これで私、質疑を終わりますが、ひとつくれぐれも、後ほどの理事会で、委員長のしかるべき取り計らいをお願いしたいと思います。
  157. 安井吉典

    安井委員長 森山国務大臣から発言を求められておりますから、これを許します。森山大臣
  158. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほど石野先生の質問に対して、二十一世紀のエネルギー問題、その前段階、二十世紀に動力炉ということばで御説明したのは、新型転換炉及び高速増殖炉というふうにこれを改めたいと思います。中身は技術的な問題でございますから御了承願います。
  159. 安井吉典

    安井委員長 次に、近江巳記夫君。
  160. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の日本分析化学の問題は、非常に根本的な点におきまして、国民の間に大きな不信と疑惑を招いたわけであります。われわれ科学技術委員の一人として、ほんとうに残念というよりか言いようがないわけであります。そこで、その後の立ち入り調査におきまして、どういう点が明らかになったか、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  161. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 その後には、分析研の職員を当庁に呼んだりする聞き取り調査その他で、立ち入りは、前回二日やった以後はいたしておりませんけれども、こういうような調査の方向によって、なお調査を続行中でございます。   〔委員長退席、石野委員長代理着席〕
  162. 近江巳記夫

    ○近江委員 立ち入り調査もやり、その後事情を聴取しているわけですが、その後、いまの時点においてどういうことが明らかになりましたか。
  163. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 立ち入り調査の結果、まず科学技術庁から分析研に委託しております放射能調査委託が一件、研究委託二件が昭和四十七年度にございますが、その中で、放射能調査関係、この中がまた二つに分かれておりまして、化学分析と機器分析でございますが、その化学分析につきまして、四割以上のものが、実際に測定をしないで報告値を書いたというものがあることが判明いたしました。また、機器分析につきましては、約三六%が一つの試料の分析値を重複して作成したということが判明いたしております。  なお、そのほかの調査につきましては、引き続き検討中のところでございます。
  164. 近江巳記夫

    ○近江委員 全貌はまだ今後のそういう調査にまつところがあると思うのですが、いま現段階における報告をしてもらったわけですが、ほかにどういうようなことがありますか。できる限り簡潔に、しかもいろいろと調査した項目についてお答えいただきたいと思います。
  165. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 先ほど申し上げましたように、続行中でございまして、整理の段階でございますので、いまこの段階で特につけ加えて御報告申し上げる状態にございません。
  166. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまの中途の段階におきましても、化学分析で四割、機器分析で三六%、現段階においてもそういう驚くべきことなんですね。ですから、ほんとうに最終調査によって結論になれば、さらにこういう数値も、また新たな事実も出てくると思うのです。こういう今回の件を振り返りまして、よくこういうところをいままで無責任に放置してきたものである、ほんとうに科学技術庁のいままでやってきたことに対して、私たちもまさかこれほどという感じがするわけであります。今回のこの件につきまして、きょうは山田原子力委員も来ておられるわけですが、あなたはどういう反省をされていますか。どう思いますか。
  167. 山田太三郎

    ○山田説明員 分析研の問題につきましては、実は青天のへきれきといいますか、いわゆる科学者として、こういうことが一体あり得るかということでございまして、従来分析研については非常な信頼を置いておったわけでございますが、それが一挙にくずされましたので、これは今後の原子力行政をやっていく上におきまして、しっかりした体制、しかもチェックをするあるいはクロスチェックの体制等を整えなければならないこういうふうに考えております。
  168. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほど長官も感想を言われたわけですが、本委員会において九月の二十日に問題が明らかになった、その時点で真剣にやればよかったということをおっしゃったわけですね。いま山田さんのそういう感想もお聞きしたわけですけれども、私はそれは根本的な反省じゃないと思うのですね。で、こういう問題につきましては、私たちほんとうにこの科学技術委員会で、もう口をすっぱくしていままで申し上げてきたわけです。森山長官、就任されて新しいですから、いままでやっておられなかったわけですから、しかし大臣がかわったといえども、昔のことは知らぬというわけにはいかぬわけですね、大臣でありますから。そういう点からいきまして、少なくとも、私も本委員会で、もうこの五年来このことを叫び続けてきたわけです。   〔石野委員長代理退席、委員長着席〕 いままで、たとえば館山沖に、これは話は違いますけれども、いわゆる原子力の廃棄物をほっておる。この事実を私聞きまして、本委員会で聞いたわけですね。その時点では、絶対ほっておりませんと…。ところがしばらく、半年たってから、参議院において、わが党の矢追議員が予算委員会で聞きまして、二千数百本ほっておった。その時点でわかっておるのに、隠蔽しておったわけですね。そういうようなこともいままでありました。いままで事故がありながら、なかなか報告しない。そういうすべて隠蔽するというか、まずいことはふたをしていこう、こういう体質というものが、科学技術庁にずっとあったわけですよ。ですから、われわれはそういうものをなくして、あくまでも科学というものは真理の探究である、ですから、すべてをやはり明らかにして、その上に立ってどのように今後やっていくか、そういう積み重ねをしなければ重大な問題が起きますよと、私はいままで言ってきたわけですよ。何も九月二十日にこの委員会で問題になってから、その後そうしたらよかったという問題じゃないのです。これはもっともっと根本的な問題なんです。いままで安全性の問題ということを言ってきたわけでしょう。ですから、当然こういうような分析とかいう問題は、じみでありますけれども、一番これは厳格にやらなければならぬ問題です。どのように、委託しておる分析研究所がやっておるかと、少なくとも科学技術庁は常に係官も派遣して、そうしてそれをシビアに監督していかなければいけないわけです。それを、ああいうような汚職事件があって、なれ合いということがはっきりしたわけです。そういう癒着が今日のこういう事件を生み出したわけでありますけれども、今日いままで積み上げてきたそういう科学に対する信頼というものは、国民はいままでも信頼していませんけれども、もうとにかく完全にくずれてしまったわけですよ。いまやあなた方が何をやろうとしたって、国民は全部逆で見ますよ。不信ですよ。だから、これは根本的な反省をしなければいかぬわけです。根本的な反省のことばが、科学技術庁長官も、原子力委員山田さんも、聞かれないわけですよ。あなたどう思いますか、ひとつ長官と山田さんにお伺いしたいと思うのです。
  169. 山田太三郎

    ○山田説明員 先ほど指摘のように、過去にいろいろ問題がございました。それは必ずしも分析研の問題だけではないと思いますが、その後、原子力行政についても、あらゆる面で公開という方向を全部たどってまいっております。まあ先生からごらんになれば、遅々としておるということであろうと思いますけれども、そういう方向に参っております。その一つといたしまして、この分析研の問題につきましても、基礎的なデータが非常に不確かであるということでは、科学技術行政を進めることができませんので、大いにこの改組、その後の体制について、十分にそのあり方について検討してまいりたい、こういうふうに思います。
  170. 森山欽司

    森山国務大臣 分析研の問題以外にもいろいろ問題があるというお話でございますが、私は、予算委員会におきましても、当委員会においても申し上げましたとおり、先般の不祥事態に対しまして深く遺憾の意を表しましたとともに、きびしい態度をもって、こういうことが二度と起きないような体制をつくらなければならぬということで努力をいたしておるわけでございまして、今後ともひとつ格別の叱咜御鞭撻、御指示をお願いいたしたいと思っておる次第でございます。
  171. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、いまこういう問題を起こしてしまった分析研に対して、今後依頼するというところはどこもないと思うのですね。こういうようなことで、長官もこれは廃止するという方向で、大体のそういうこともおっしゃっておるわけですが、そうしますと、今後の問題ですね、新しい何らかの機構をつくるのか。またそれまでの段階ですね。長官は理研であるとかいろいろなところを当たっておられるようでありますけれども、どういうところを――そのつなぎですね、つなぎについてはどういうようにお考えであるか、そして将来新しい機構についてはどういうものをお考えですか。局長でも伊原さんでも、こまかい点、それからあと長官でもけっこうです。
  172. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほども申し上げたのでありますが、基本的には、いままでの分析化学研究所というのは、この種の仕事をする人としての倫理に欠けており、また世人がもう信用いたしませんから、これの組織によって仕事をしていくということは不適当でありかつ不可能であるというふうに私は考えておるわけであります。したがって、近い将来に新しい組織を別途考えるということであります。しかし応急的には、これをやるについては、やはりどんなに短くても三月、四月はかかると考えなければなりませんものですから、その過渡的な問題として、この種の仕事を、これは本務ではございませんけれども、やっておる科学技術庁関係機関等に、応急的に御支援を願いたいということで、いまお願いをしておるところでございます。なお将来どうするかという問題もあるわけでありますが、とりあえずのところは、いまそういうことで事を進めておる次第でございます。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、関係のこういう機関といいますと、あれですか、放医研であるとか理研であるとか原研等に当たっておられると思うのですが、その間の事情はどうなっておるかということについてお伺いしたいと思います。
  174. 森山欽司

    森山国務大臣 すべては検討中の段階ではございますが、いまお話しのような線で、応急的措置として考えていきたい。いろいろやはりそれぞれ本来の仕事があるわけでございますから、なかなか容易でないのはよく承知をいたしておりますが、まげてお願いしなければ、これは乗り切れないわけですから、乗り切れないというのは、科学技術庁が乗り切れないというのではなくて、国としても困ることになるわけでございますから、御協力をお願いしておるという段階でございます。
  175. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうなりますと、結局労組のほうも、施設もなければあまりそういうこともタッチしてない、技術的にもやはりそういう仕事ばかりやってきたわけじゃないわけですね。そういうことで、押しつけられても、これはもう困るという、実際に仕事をしてもらう人からのそういうあれも出ておるわけですね。そうなってきますと、これは完全に空白状態が起きるわけですよ。その辺については、政府としてはどういう努力を続けていくわけですか。
  176. 森山欽司

    森山国務大臣 応急的に御協力をお願いするということ、押しつけるというよりは、お願いするということで、事に当たっておる次第でございます。
  177. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう点を何とかやらないと、ほんとうにたいへんな空白が起きると思うのですね。ところが、いままで科学技術庁は、ほとんど分析化学にこれを依頼しておった。大体こういう一つ機関に集中しておること自体が、これがまた問題もあるし、しかもその運営については全く何の監督もしていなかった。私はたいへんな落ち度であると思うのです。したがって、その辺、実際に働く技術者、そういう人たちの了解、そしてまたそれだけの体制、そういうものについては責任をもってやっていかなければいかぬと思うのですね。あくまでも押しつけじゃないということをおっしゃっているわけですが、やはり理解と納得を得る体制にしなければ、ことばでは押しつけじゃないといっても、そういう形になってくると思う。そうなってきますと、そこで得られるデータがはたしてどうなのかという問題も起きてくるわけですね。さらに問題が波及してくる。この点については、政府もうんと努力してもらわなければいけないと思うのです。  それで、長官としては、空白は何カ月かあるけれども、努力して新機構をつくる、こういうことですね。その新機構の何らかの構想はありますか。
  178. 森山欽司

    森山国務大臣 目下検討の段階でございますので、微力ではありますが、一生懸命相つとめておるわけであります。苦慮いたしておるわけでございます。さらに輪郭が明らかになりました節に、あらためて御報告申し上げたいと思います。
  179. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、問題がちょっとさきに戻って恐縮ですが、先ほど来、調査の結果を中間段階で報告してもらったのですが、それは科学技術庁の分ですね。そこで、他省庁の分と地方自治体の分、民間団体の分については、現段階においてどのように把握なさっておりますか。
  180. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 それぞれいま先生がおっしゃったようなところでやっておりますと考えられますが、いま当方ではまとめて整理いたしておりません。
  181. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは伊原さんにお聞きしますが、現段階において、どの辺のところまでつかんでおりますか。
  182. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 科学技術庁関係以外の分析につきまして、分析が正確であるかどうかについての詳細は、先ほど局長説明いたしましたように、各関係機関で実施いたしておりますが、詳細は、現段階ではまだ的確につかんでおりません。
  183. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういうことであれば、繰り返してもしかたがないと思います。本委員会はやはり一番の当面する所管委員会でありますので、できる限りすみやかに報告をひとつ出していただきたい。これは委員長にもお願いしておきたいと思います。  それから原潜の問題も出たようでありますが、外務省がしばらく延期してくれということを言っておるわけでありますけれども、科学技術庁としての基本的な態度――これは原潜だけの問題ではない。民間の原子力商船も、数は少ないわけですけれども、日本に寄港したいということで常に打診があると思うのですが、そういう点についてはどう考えているか、お伺いしたいと思うのです。
  184. 森山欽司

    森山国務大臣 アメリカ原子力潜水艦の問題につきまして、今朝の新聞に出ました記事につきましては、科学技術庁としてそういうことをお願いをし、それによって外務省のほうから米軍側のほうに連絡をして、そういうふうにきまったというふうには聞いておらないわけでございます。私どものほうでは、今回の問題がこうなっているということにつきましては、お話はしてございますけれども、それによって外務省がどういう行動をとられたのであるかは、われわれは承知をいたしておりません。でございますから、けさの新聞につきましては、当庁の関知するところではないのでございます。  それで、先ほど石野委員のほうからこの問題について御質疑がございまして、そういうふうにやるのがむしろ当然ではないかというようなお話がございましたが、事実関係は、ただいま申し上げたとおりでございますので、あらためて外務省のほうとこの問題について相談をいたしました結果でお答えをしたい、こういうふうに先ほど申し上げた次第でございますので、その件については御了解を願いたいと思います。  先ほどの御質疑とも関係があるわけでございますが、分析研がやっておりました仕事につきまして、原子力潜水艦が入りあるいは原子力船が入ってきたという場合に、これに対して分析の仕事が出てまいるわけでございますから、われわれのほうは、そういうふうに入ってきた場合においては、いつでも即応できるような体制をつくらなければならないということでございまして、それがなかなかできないから、そういう体制がなかなか容易じゃないから、入るのを待ってくれというようなことは、まことに申し上げにくいわけでございますので、どうか私どもの立場について御了察を願うとともに、できるだけすみやかに体制を確立いたしてまいりたいと思っておるわけでございまして、目下その努力の過程にあるわけでございますから、その点について御了察をお願いいたしたいと思います。
  185. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう応急の体制をまずつくるということが一番大事である、これはよくわかるわけです。  それで、いま沖繩の、たとえばホワイトビーチ等でコバルト六〇が発見されたとか、いろいろな問題が出ておるわけでありますけれども、こういう問題もいままでほとんど分析研でやってきたわけですね。ですから、こういう点につきまして、再調査をしなければならぬところが相当あって、科学技術庁でもチェックなさっておると思うのですよ。もちろん分析研のやってきたところを再チェックするというわけですが、特にどういうところを重点に今後やっていきますか。
  186. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 沖繩でコバルト六〇が検出されたという件につきましては、実は四十七年五月十五日復帰直後にバックグラウンド調査をいたしまして、四十七年五月十八日から那覇港及びホワイトビーチにおいて試料採取いたしました結果、一部の試料からコバルトが検出されました。この結果は四十七年十一月にすでに公表されております。これは分析研のデータでございますので、このバックグラウンド調査の信憑性についても調査中でございますが、いずれにしましても、科学技術庁といたしましては、今後も経年的な変化を追跡するために調査を続ける、こういうことでございます。
  187. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはホワイトビーチだけの問題ではなくて、すべてがそういう疑わしい状態になってきておるわけですね。特に原潜の入ってくる港等につきましても、今後当然厳重な調査をする必要があると思うのです。そういう点についての考え方をお伺いしたいと思うのです。
  188. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 今回の件にかんがみまして、横須賀、佐世保及び沖繩のホワイトビーチの三カ所につきまして、緊急に試料採取、サンプリングを行なっております。なお、この試料採取は定期的に年四回行なっておりますので、従来定期的に年四回行なっておりますその分の実績と合わせまして、十分なバックグラウンド資料として使いたい、こう思っております。
  189. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後正確に、綿密にやっていただきたいと思います。  それから、これは山田さんも来られておりますからお聞きしますが、福島の第二発電所の場合も、公徳会で提出したいろいろな疑問点があったわけですが、こういうことについても何も答えずして、安全審査会が通しておる。今後は原子力委員会にかかるわけですね。実際分析研がこういう問題になっておるときに、みんなが疑惑に思っている中において、そういう質問が出ておりながら、これに対しても答えずに、しかも安全審査会が通しておる。今後は原子力委員会に当然山田さんがタッチされるわけですけれども、いまのような行き方を見ておりますと、原子力委員会だって安易に通過させるのではないかという心配が非常にあるわけですよ。こういう点についてどういうように考えておられますか。
  190. 山田太三郎

    ○山田説明員 この福島の第二原子力発電所の安全審査でございますが、先生の御指摘のとおり、分析研の問題というのが大きな影響があるのではないかというお話でございます。確かに心情的に申し上げますと、この問題は重大でございますけれども、現在の安全審査そのものについて申し上げますと、これは今後の問題に属する部分が多いのでございます。もちろん新聞あるいは先生の御指摘等ございますから、なお先ほど指摘のように、公聴会においていろいろな意見が出されておるものにまだ答えておらぬということもございますが、これらにつきましても、一括いたしまして、われわれの考えておるところを公表したいというふうに考えております。その間におきましても、やはり分析研のこういう現状については考慮を加えることになるわけでございますけれども、これはバックグラウンドの問題でございまして、今後ともこういう分析体制が整わないということは考えられませんので、それを鋭意、先ほど申し上げましたように、がっちりした分析体制を整えた上でのことを考えてまいりたいと思っております。
  191. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまエネルギー危機ということで、原子力拡大の方向に、どうしても電力会社もそういう方向に来ておりますし、政府もそれに同調するかのような動きが若干見られるわけですよ。しかし今日こういう安全生が大きな疑問になってきておる段階において、エネルギーが優先だということで、そういうことは私はもう絶対よくないと思うのですよ。これはもう根本的な問題でありますから。それで実際この安全審査会にしても、そういうように電力会社が非常にあせっておる、そのあせってきたことの攻勢といいますか、そういうものがこの審査を早くさした、こういう時期にありながら進めた、こういうことはないのですか。
  192. 山田太三郎

    ○山田説明員 ただいまの御指摘とは全く反対でございまして、もちろんこの福島第二につきまして一年有余の時間がかかったということは、必ずしも安全審査自体の問題だけではございませんで、その間の調査その他等もございましたわけでございますが、少なくとも一年半近くかけて慎重に問題を検討した。この間にいろいろ新しい問題も出てまいりましたので、炉自身は福島第一の六号、あるいは東海第二の二号と申しますか、軽水炉と同じものでございますけれども、その間にあらわれた多くの問題を慎重に検討いたしまして、この答申をしていただいたものというふうに考えております。したがいまして、いまのとは全く反対の方向にあるのではないかというふうに言えるのではないかと思います。
  193. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう原子力の拡大の考え方というものは、たとえば通産省がこの十九日に、総合エネルギー調査会の総合部会エネルギー問題を諮問したわけですけれども、いま六十年六千万キロワットのこれも、実際上その時点にそこまで持ってくるということは、いまの状況からいって非常にたいへんなあれですね。それをさらに拡大しようという考え方で諮問しているわけですよ。原子力委員会として、そういうことについては十分な話し合いもされ、そういう中でそういうことが諮問されているのですか。その点はどうなんですか。
  194. 山田太三郎

    ○山田説明員 ただいまの御指摘の総合エネルギー調査会の問題につきましては、われわれは事前に話を伺っておりません。しかし、この原子力委員会は、もちろん原子力推進という任務を持っておりますけれども、しかしながらわれわれ安全審査も同時にやっておるわけでございまして、この中立性が疑われるようなことになれば、日本原子力行政は破壊するというふうに考えております。したがいまして、いまのような御懸念はないというふうに断言できるのではないかと思います。
  195. 近江巳記夫

    ○近江委員 特にいま要求されていることは――原子力委員会はそういう安全性という問題につきまして厳正なチェックをして、国民のそういう納得なり協力を得た上のそういう運用をしなければいかぬと思うのですよ。ところが、いままではどっちかといいますと、正直いいますと、何か推進一方の感じがやはりするわけです。それは何も感じだけでなくして、私たちがこの委員会におきまして、安全対策をもっととれ、それは予算においても体制においても――そして今回の分析化学の問題といい、それはもう事実の積み重ねによって、安全対策において手抜かりであった。これは考え方、体制の問題すべてにおいて、やはり一つの象徴なんですね。そういう点において、今後もさらに十分この安全性の問題に、ひとつ原子力委員会は力を入れてもらわなければいかぬと思うのです。  そういうことで、一応時間も来ましたので、これで終わりますけれども、大臣、今回の問題は、単なる分析化学研究所の問題だけではなく、これはほんとうに根本的なことが問われておるわけですから、あなたも就任早々非常にたいへんなことはわかりますけれども、いまここでほんとうに心機一転して、科学技術庁全体、長官以下取り組まないと、もう日本科学技術に対する国民の信頼というものはほんとうになくなりますよ。最後に長官の今後の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  196. 森山欽司

    森山国務大臣 近江先生から、まことにきびしい、しかもまたありがたいおことばをいただきまして、微力ではございますが、全身全霊を傾けてやるつもりでございます。
  197. 安井吉典

    安井委員長 この際、委員長からも政府資料提出のことについてちょっとお願いを申し上げておきたいと思います。  分析研の問題はきわめて重要なので、きょう提出をお約束いただきました資料は、直ちに御提出の運びを進めていただきますとともに、ペンディングになりました資料の問題については、後刻理事会で協議をいたしたいと思いますが、政府においてもでき得る限り提出を願って、この委員会の審議が積極的に進みますよう御協力をお願いいたしたいと思います。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十九分散会