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1974-03-12 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十二日(火曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員   委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 太田 一夫君    理事 兒玉 末男君 理事 三浦  久君       阿部 喜元君    井原 岸高君      小此木彦三郎君    唐沢俊二郎君       關谷 勝利君    宮崎 茂一君       山村新治郎君    綿貫 民輔君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       神門至馬夫君    斉藤 正男君       坂本 恭一君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席政府委員         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         海上保安庁長官 佐原  亨君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部長     安井  誠君         水産庁漁政部漁         業保険課長   山内 静夫君         運輸省海運局内         航課長     阿部 雅昭君         運輸省港湾局管         理課長     勝目久二郎君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律  案(内閣提出第二八号)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。坂本恭一君。
  3. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 先週の金曜日の委員会で概括的な御質問、御答弁がございました。私どもも別にこの法案に反対をするというようなあれでもございません。しかし、若干疑問な点を許された時間の範囲内でただしていきたいというふうに思います。  すでに提出されておるいろいろな資料等を見ても、木船がかなり減少をしてきている、そういう意味で、この保険制度を維持存続させるために、いわば小型鋼船を含める、それに加えて、国のやっておる再保険制度廃止をする、その辺について私が感じております疑問の点をこれからお聞きをしていきたいというふうに思うわけです。  現行法によりますと、いわゆる木船相互保険組合船主責任相互保険組合、この二つ制度現行法上認められ、それぞれ二つ組合船主のほうは一つというふうに組合ができておるわけです。船主責任相互保険組合のほうはいわばゆう然たるものじゃないかと私は思いますけれども、まずその船主責任相互保険組合がどういうものであるか、概要でけっこうですから、御説明を願いたいと思います。
  4. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 船主相互保険組合法に基づきまして、今度お願いしております木船相互保険組合と並んで船主責任相互保険組合というものがございます。いまお話しのとおり、鋼船全部を引き受けまして、鋼船運航に伴って生ずる自己費用及び責任に関する相互保険であるところの損害保険事業を行なうということが目的でございまして、現在組合員数は二千二百二十四人、これは四十八年三月でございます。出資口数が二万三千八百九口、出資金資額は一億一千九百四万五千円でございます。
  5. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 いまの船主責任相互保険組合ですね、これに今度の法改正で適用の対象になってくる三百トン未満の船というのはどのくらい加入をしておるのですか。
  6. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 お尋ねの三百トン以下の加入隻数は実はつまびらかにしておりません。これは調べてまた先生のお手元に報告いたします。  現在四十七年度で全体の加入数が五千四百十一隻であるということでございます。
  7. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 数はあとでけっこうですけれども、あることはあるわけですね。そうすると、今度三百トン未満小型鋼船が入った場合に、競合関係といいますか、小型鋼船組合船主責任相互保険組合、この競合関係はどうなるんでしょうか。
  8. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 今度小型船相互保険組合になりまして、三百トン以下の小型鋼船が新たに従来の木船相互保険組合に加わって加入することになりますけれども、この鋼船運航に伴って生ずる自己費用及び責任に関する相互保険であるところの損害保険は、従来とも鋼船の全部をカバーしておった船主責任相互保険組合の中に全部お願いすることにいたしております。したがって、このたびこの法律が成立いたしますと、新たに生まれ出るであろうところの小型船相互保険組合は、従来の木船相互保険組合と同じに船体保険だけをやるという考えでございます。
  9. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 これは詳細に調べたわけじゃないんですけれども横浜港あたりでかなり大きなはしけがあるということをお聞きをしておるわけですが、大きいものですと八百トンぐらいのもの、小さいものでも百五十トンぐらいのものじゃなかろうか、平均三百トンをこえるぐらいのはしけ横浜港だけで二千五百隻ですか、そのぐらいあるというのですが、そういうはしけについて、はしけがどういう保険加入しているのか、その辺のことがもしおわかりになればお聞きしたいと思います。
  10. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 港湾運送用はしけは、私どもの調べました船舶統計からすると五千隻以上ございます。ただ、このはしけがどのような保険に入っているのかというのは、ちょっとつまびらかにしておりません。三百トン以下の小型鋼船うちで、はしけを除きました隻数で、八千九百十六隻のうちで、現在ありますところの民間損害保険に入っているのが七千七百九十一隻。したがって、加入率が八七・三%。それから、はしけを含みまして全体の小型鋼船の三百トン以下の隻数、一万四千百七十八隻に対しまして、保険加入隻数が一万七百二十二隻ございます。したがって加入率は七五・六%でございます。
  11. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 そうすると、いまの答弁のあれでいきますと、全体的にいっても、四分の三の船が何らかの保険加入をしておるということになるわけですね。そうすると、今度の改正法によって、小型鋼船組合ができた場合に、そのシェアというのは非常に狭いのではなかろうかというように思われるのですけれども組合の存立との関連でお答えをいただきたいと思います。
  12. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生指摘のとおりで、すでに三百トン未満小型鋼船の四分の三が民間損保に入っておりますので、組合損害保険の仕事がふえましても、現在あります三百トン未満小型鋼船につきましては、残された二五%程度のものの中からその保険を引き受けていくということに相なります。なおまた、新しくふえます小型鋼船については、特に組合も力を入れてその保険を引き受けるようにいたしたいと考えております。
  13. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 ちょっと話が変わるわけですが、聞くところによりますと、最近はいわゆる木船はほとんど建造がされてないというふうにいわれておるのですが、過去の推移ですね、その辺がおわかりでしたらお聞きしたいと思います。
  14. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船の全体の隻数を申し上げますと、昭和二十八年度数字で三万三百九十三隻、百四十八万総トンございました。それがどんどんとその後ふえまして、一番多くなりましたときは昭和三十五年で、隻数にいたしまして四万三百四十七隻、総トン数で百九十五万五千百六十五総トンでございます。ところが、その後木船鋼船化傾向がどんどんと進みまして、隻数トン数とも減少する一方でございます。四十七年度数字で申しますと、それがずっと減りまして、隻数で一万五千三百二十九隻、トン数で八十九万六千三百四十二トンということに減っております。
  15. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 過去の経過は、表をいただいておりますから大体わかるわけですが、木船というのは全然いまは建造されていないのでしょうか。
  16. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 現在のところ新造はないと思います。
  17. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 いま御説明のあった表によりますと、隻数が、特に保険加入していたあれでいきますと、四十七年で、総数で一三・九五%、トン数でいくと二七・三五%ですか、いわゆる保険必要性というのはまだまだ残っていると思います。この表を見ますと、むしろ数が減っているにもかかわらず、保険加入のパーセンテージは上がっているわけですね。ということは、むしろ木船の中でも大きなものがこれまで保険加入をしてきたんじゃなかろうかというふうに私自身は見るわけですけれども運輸省皆さんはどういうふうに見ておられますか。
  18. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 傾向は、先生おっしゃるとおりでございまして、私の手元にございます数字で申し上げますと、木船うちで内航の海運業に従事しております隻数が七千九百四十一隻ございます。そのうち貨物船が七千六百十八隻ございますが、そのトン数別の階層で加入の率を見てみたいと思います。  まず、一番小さい二十総トン未満の船で申しますと、組合への加入率が〇・八%にすぎません。それからその次の、二十トンから五十トンまでの船で見てみますと、組合への加入率が八・五%でございます。それから、五十トンをこえまして百トン未満までの船の組合への加入率は三八・三%、百トンをこえまして二百総トンまでの船で申し上げますと加入率は六一・六%、それから二百トンをこえますと七六%というふうに上がります。  それから油送船のほうで申しますと、二十トン未満油送船組合加入率は一三・八%、二十トンをこえまして五十トン未満の船の加入率は二五・八%、五十トンから百トン未満の船の加入率は一五・〇%、百トンから二百トンまでの船は五〇・三%ということでございます。  これを見てもおわかりいただけますとおり、五十トン以下の加入率が非常に低くて、五十トンをこえますと組合だけの加入率をとりましてもほぼ五〇%、民保を入れますとおそらく七〇%程度になると思います。
  19. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 次に、鋼船のことについてお伺いしたいのですが、最初にもちょっとお聞きしましたが、三百トン未満鋼船の現在数が、四十七年末ですか、八千九百十六隻、はしけが五千二百六十二隻、合計一万四千ちょっとこえる数になるわけです。いただいておりますこの資料の第七表によりますと、木船から鋼船への代替状況がわかるわけですけれども、いわゆる鋼船年度を追ってどういうふうにふえているか、その辺のことを御説明願います。
  20. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生指摘の、鋼船うちで三百トン未満の内航海運業に従事しているだけの数字をとってみたのでございますが、四十五年度末で四千三百七十隻で、六十六万一千トン、それから四十六年度で五千八十二隻で七十三万トン、それから四十七年度末で五千三十六隻で七十三万七千トン、四十八年度で四千九百九十七隻、七十三万七千トンということで、内航海運業だけをとったら減っているような数字も出てまいります。  ただ、先生先どもお話しございましたように、私どもが四十三年度から四十六年度までにわたって自己資金船貨物船をとってみますと、この四年間に三百総トン未満の船の新造が約六百八十五隻つくられておりまして、全体の自己資金船貨物のこの四年間におきます建造量七百九十五隻のうちで八六%を占めております。建造実績として六百八十五隻、四年間でございますが、一方ではつくられている。しかしながら、既存の船の中で大きくなって、この三百トンから上のランクに上がっていくものもあるという差し引きの数字最初に申し上げたような数字になっているのじゃないかと思われております。
  21. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 手元資料の数ですね、四十七年末で八千九百十六、はしけが五千二百六十二というこの数字で、いわゆる所有主といいますか、事業主ですか、これが法人であるのか、個人であるのか、あるいはさらに一船、一そうだけ持っている所有者か、あるいは複数持っているのか、その辺のことをお聞きいたしたいのです。
  22. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 内航海運業の中でまず内航運送業数字で申しあげますと、全体の業者の数が八百九十三業者でございますが、そのうち個人業者の数は九十一業者、したがって、内航運送業者うちで九分の一が個人業者でございます。それから内航の船舶貸し渡し業者の数で申し上げますと、業者の数が六千二百五十八業者ございます。そのうちで一隻だけ持っているという業者が四千九百五十六業者で七九・二尾でございます。このうちでまた船を一ぱいしか持っていないという個人業者の数は三千百六十八業者でございます。したがって、全体の六千二百五十八業者うちで約半分程度個人であって、一ぱい船主である、こういう姿でございます。
  23. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 ついでに、これまでの木船のいまのような法人個人あるいは一船、そういうようなものがおわかりでしたらお聞きしておきたいと思います。
  24. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 四十八年八月一日現在の数字でございますけれども木船だけを持っているという事業者の数は全体で七千二百四十九業者ございまして、そのうちで一隻持っているという事業者の数は六千九百九十四、したがって九六・五%が一隻持っている事業者でございます。それから木船鋼船両方持っているという業者がそれ以外にございます。これが全部で百五十五業者ございますが、そのうち木船一隻鋼船とを持っている——木船としては一隻だけしか持っていないという業者の数は百二十七業者でございまして、全体の業者の数の八二%でございます。  なお、内航海運業対象業者うち一ぱい船主の数を、これは木船鋼船両方を足しました数字ですが、年度を追って申し上げますと、四十一年度末では、一ぱい船主の数は一万二千七百四十三業者でございましたが、四十六年度末では一万二千二百六十七業者、それから四十七年度末では一万一千百四十業者、四十八年度末では一万九百十二業者ということで、四十一年度末を一〇〇いたしますと八五・六%という数字でございます。
  25. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 いまの答弁を聞きますと、この前のお話では中小企業ということが言われていかのですが、むしろいささか零細企業的な要素のほうが強いんじゃなかろうかということを感じるわけです。そういう意味でもこの保険制度との関連というのはどうしても考えなければいけない問題がいろいろあるんじゃないかというふうに思うわけです。  さらに、最初にもお聞きをしましたけれども、いわゆる鋼船うちシェア二五%ぐらいになりますね、その中で大体どの程度加入の見込みがあるのか、運輸省としてはその辺のことを当然お考えになっているだろうと思うのですが、その辺のことをお聞かせいただきたい。
  26. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども木船組合小型船組合になりましても、一挙に三百トンの船の事業規模が大きくなるということは実は考えておりませんので、私ども大体五カ年間の収支をどういうふうになるだろうかというときにはじいた隻数を申し上げますと、大体一年度で八十隻ぐらいずつ、したがって五年間で四百隻くらいの三百トン以下の小型鋼船がこの組合加入するということを予想、しております。
  27. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 話は変わりますけれども、このいただいた資料を読んでみますと、いまの時点でそういう規模拡大化ですか、拡充化をはからなければならない、そのことはわかるわけですけれども、いわゆる木船保険組合として現状を——この資料ですと四十七年末が大体統計になっているんじゃないかと思うのですが、どの辺が組合として存続する最低限だというふうに判断をされているんでしょうか。
  28. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 現在二組合うちで、全日本木船相互保険組合と申します組合の四十七年度末の契約隻数は千百六十四隻、それから一方の日本木船相互保険組合加入隻数は九百七十九隻でございます。両方加入隻数を足しましても二千百四十三隻でございまして、先ほど申し述べましたような総隻数減少とともに、加入隻数も大体年間六%ずつくらいずっと減ってきたという実績でございますので、このまま減り続けますと、それぞれの組合としては保険集団としての規模が足りなくなるということが先行き非常に心配されますので、やはり保険考え方としては、この一千隻程度の二組合合併させて二千隻程度にいたしますほうが、保険能力として向上が期し得られるというところから、将来の減少傾向を懸念して両方合併の道をわれわれは開きたいと思っておるのでございます。
  29. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 この資料の中でも若干触れられているのですが、いわゆる鋼船化促進ですね。この点について船舶整備公団がやっていくという、三、四行触れられているのですが、その関係について若干具体的に——たとえばここにも書かれていますけれども、四十九年度四億円のワクで云々ということになっている。それを若干具体的に説明をしていただきたいと思います。
  30. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 従来木船鋼船化するということにつきましては、船舶整備公団の年々の予算でもずっとやってまいったわけでございます。ただ従来公団予算でやってまいりました建造につきましては、木船鋼船との両方をスクラップいたしまして、それで鋼船をつくりかえるというものが多かったのでございますが、ただいまお話のございました四十九年度から、特に従来の建造とは別にやりたいと思っております木船鋼船化予算と申しますのは、木船だけをつぶしまして、まあひとりで無理であるならば協業化をするというようなかっこうで、木船船主がそのまま鋼船船主になる。いままでのように、木船としてつぶれてしまうのではないという意味予算制度をつくりたいというのが四十九年度予算で新設をいたしました制度趣旨でございまして、公団予算は、その分については四億円、建造トン数は六千総トン程度を予定しておるものでございます。続いて五カ年計画でこの制度を続けていきたいと思っております。
  31. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 この資料に添付されている第七表で、四十三年からの推移というものが出ておりますけれども木船をいまおっしゃったような形で鋼船にかえていく、それは、それを促進をされていくのだろうと思いますけれども、ここに書かれている数字に比較してこれよりふえていくのでしょうか、大体横ばいでいく、そういうどちらを見込んでおられるのか、その辺をお聞かせください。
  32. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 これは四十三年から四十六年の数字を見ていただきましても、実は内航船舶建造というものは、どうしても景気の変動に左右される要素が多うございまして、たとえば四十六年度のごときは四十一隻にしかすぎないというようなことになっております。したがいまして、今後の建造はどういうふうになっていくかというのは、そういった経済の動向に影響をされるところが大きいと思いますけれども、私どもは、少なくとも従来どおりのペースで今後木船鋼船化を推進していきたいと思っております。
  33. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 今度はまた質問の内容が変わりますけれども、先週の委員会でも御答弁が若干あったと思いますが、今度国がいわゆる再保険制度廃止をします。それにかわって民間の再保険制度が利用できるのかどうか。その辺のことは若干この前あったと思いますけれども皆さんのほうとしてはどういうお考えに立っておられるのか、その辺を聞きたいと思います。
  34. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船保険につきましては、従来の損害率実績を見てみましても、わりあいに少なくて終始してきました実績もございますし、それから組合自体として異常危険のために準備した金額もかなりの金額、四十七年度末で二億七千万円という数字でございますが、そういった異常危険準備金額もございますので、国の再保をやめても新たに再保ということを、たとえば民間に再保をするということは考えなくて十分であるという判断を私どもはしております。  ただ、新たに加わります小型鋼船の三百トン以下の船につきましては、これは危険率と申しますか、損害率は、おそらく木船よりは少ないと思いますが、一隻当たりの損害額はやはり木船に比べると金額が大きくなると思いますので、これは一定比率の再保険というものはやはりなされなければ、特に発足当時はそういった支払い能力に欠ける心配もございますので、一定比率の再保険は、幸いにして民間損保の中に特別に再保険を引き受ける会社がございます。そこに再保をお願いするということで話し合いをして、すでにその了解を得ているということでございます。
  35. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 そうすると、木船のほうについてはいままでの積立金その他一億四千万を今度交付をする、そういうような金額でおそらく間に合うだろう。それで民間の再保険を利用するとすれば鋼船についてだけやるという御趣旨ですか。
  36. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 そのとおりでございます。ただ、従来の組合異常危険準備金がすでに二億七千万円ぐらい予定されておりますし、それから国の特別会計積立金から一億四千万円、合わせますと四億一千万円程度の異常危険に備える金額がございます。したがいまして、木船は再保険なしで、鋼船一定割合民間機関に出していく、そこでたとえは五十年度ごろに——過去において例は少なかったけれども、一番大きかったというルース台風クラスの災害が生じましたときに、その四億数千万円の危険準備金木船鋼船両方を合わせて異常危険に備えられるのが、私どもの試算では三回分以上、三・二倍というような数字になるのでございますが、そういった備えができますので、それで十分だと思っております。
  37. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 手続的なことで確認だけしておきたいと思うのですが、この改正法案によりますと、これが通った場合に、現在ある二つ組合をいわゆる小型船組合に変更をする、その上でその組合意思に従って合併をする、合併規定を設けるというのは、おそらく合併することが予定をされているのだろうというふうに思うのですが、その合併を予定されているという二つ組合、それぞれその意思がもうすでにあって、それなりの準備をしておられるのかどうか。おそらくいまお聞きした民間の再保険問題等についても、御答弁があったとおりで、もしそうだとすれば、もうすでにそういう合併への動きが行なわれているのかどうか。いかがですか。
  38. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 両組合とも合併必要性を痛感しておりまして、この法律によりまして合併の道を開いていただくことができましたら、組合としては所要の手続を経まして、おそらく合併については数カ月間の日時を要すると思いますが、当然そういった道を開いて合併に至ることと私ども考えております。また、民間の再保険関係につきましても、すでに先ほどお話し申し上げました再保険機関話し合いをしている、その了解を得ているという段階に達しているのでございます。
  39. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 現在の二つ組合、いわゆる人的な構成を見ますと、日本木船相互保険組合というのがいわゆる役職員が二十八、嘱託が五十五、全日本木船相互保険組合というのが役職員二十四、嘱託が二十二というふうに資料に書かれておりますけれども、この役職員内訳といいますか、役員職員有給、無給ですね、その辺のことをお聞きしたいと思います。
  40. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 役職員内訳を申しますと、全日本木船相互保険組合役員が十三名、うち常勤は一人、したがって有給も一人、それから職員が十一名、合わせて二十四名でございます。それから一方の日本木船相互保険組合役員が九名、うち一名が常勤、したがって有給、それから職員が十九名、合わせて二十八名でございます。
  41. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 一つ組合合併をすると、役員職員それぞれおそらく縮小されるような形になっていくと思うのです。その辺はまだどういうことになっていくのかわからぬのだろうと思いますけれども皆さんのほうでわかっている範囲でお聞きをしたい。
  42. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 人事の構成その他については、現在も内々話はしておると思いますけれども、今後合併手続をとりながら両方話し合いをしていくことだと思います。ただ、一般職員につきましては、鋼船の部門の拡充強化のための要員として、当然ある部分の人数は必要だということでございますけれども、何ぶんこういった小さい組合でございますので、できるだけ現在の人員で新しい小型鋼船保険の仕事を引き受けるように組合も努力をするということでございますので、おそらく現状維持で、やめるというようなお方は特別の事情がない限りはなくて、このままの陣容で新たに小型船の仕事を引き受けて組合の仕事をやっていくということは予想されます。
  43. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 組合二つ一つになると、いろいろ問題が出てくるだろうと思うのですけれども、その辺は運輸省としても十分関心を持ってやって、指導等やっていただきたいというふうに思います。  さらに、国がいまやっておるいわゆる再保険特別会計、この関係については、その関係職員が六名おるというふうに聞いておりますが、これは再来年度になるんでしょうね。あと一年間は特別会計を存置するわけですから、再来年度になりますね。一年先のことですけれども運輸省としては、その六名についてはどういうふうに考えておられるのか、その辺をお聞かせください。
  44. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船の再保険特別会計には現在六名の定員が認められております。五十年度予算において、この具体的措置というものを考えなければなりませんが、私どもとしては、この定員はそのままの人数で一般会計に振りかえるということにいたしたいと思っております。組合などの関心もこの点については深いと思いますので、すでに組合ともこの件については話し合いをしておりますし、今後極力一般会計に振りかえて、海運局の中に海運行政に携わる人員としてそのまま置いておきたいということについて、私ども今後最大の努力をすることについて組合ともよく話し合いをしながらやっていきたいと思っております。
  45. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 いまの点は特にお願いを申し上げておきたいと思います。  いろいろなことをごとごとお聞きしたのですけれども、要するに、二つある組合一つにして、そしていまの時点ではあまりふえていく見込みがない。年間八十ぱいぐらいのあれを入れていきたいという、そのくらいの程度のあれしか出てこない。そうなると、新しく組合をつくるようなもので、むしろ再保険制度みたいなものを私は存続させておいたほうがいいのじゃなかろうかと感じるわけですけれども、その辺も含めて、新しい組合ができるんだというような形で、運輸省皆さん方としても適切な指導なり援助というものをやらなければならないのじゃなかろうかというふうに思いますし、さらに、先ほどお聞きした、特に鋼船についての民間の再保険、このようなものもぜひ確保しておくべきではなかろうかというふうに感じますので、その辺のことを要望申し上げて、最後に、せっかく政務次官おいでですから、その辺のこともお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
  46. 増岡博之

    ○増岡政府委員 先生御心配のとおり、まず人間の問題がございます。私どもは、いまの状態で合併をして小型鋼船に取り組むならば、今後何とかやっていけるということでございますので、その問題も御心配のないように解決をいたしたいと思いますし、さらに、今後小型鋼船の再保険の問題につきましても、民間保険会社と話し合いはしておるところでございますけれども、なお、今後ともまだ時間がございますので、十分お話し合いを進めて御心配のないようにやってまいりたいと思います。
  47. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 ありがとうございました。
  48. 三池信

  49. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最初に、今度の改正案では木船相互保険合併させて、小型鋼船を新たに保険対象に加えるというのですからお聞きするのですけれども、まず第一番に、この三百トン未満小型鋼船、これは先ほどの当局の答弁の中にもありましたけれども、一万五千隻ぐらいあるのです。そのうち七五%が民間損保、したがって、新しくこの制度で使う可能性のあるのは二五%、それにこれからの新しい建造船ということになるのだと思いますけれども、三百トン未満鋼船——いわゆる三百トン未満と、それから三百トン以上と比べて、この三百トン未満というふうな鋼船の事故発生率における差ですね、ちょっとお聞きしたいのです。
  50. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 実は私、手元に海上保安統計を持っておりまして、それの海難の発生状況を申し上げたいと思うのですが、この海難統計は五百トンで切ってございまして、三百トンで切った統計が実はないのでございます。したがって五百トンで切った数字を便宜申し上げさしていただきたいと思います。  まず、四十七年の数字で申しますと、要救助海難の発生数が二千六百五十七隻ございます。
  51. 紺野与次郎

    ○紺野委員 五百トン以下ですか。
  52. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 いいえ、全部です。  そこで、そのうちで漁船が千二百十三隻ございまして、一般の船舶は一千四百四十四隻でございます。このうちで動力鋼船鋼船の事故の隻数が七百九隻、漁船を除きます船舶の約半分、そのうちで五百総トン未満が四百九十五隻、したがって約七割が五百総トン未満数字でございます。これが要救助の海難の発生件数でございます。  それから、そのうちで全損、行くえ不明の事故について申し上げますと、四十七年で全体四百七十一隻、そのうち鋼船、動力鋼船が九十四隻、そのうちで五百トン未満隻数が七十八隻という数字になっております。
  53. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると五百トンで切ってあって、三百トン以下とかその上とかというふうな数字はないのですね。しかし大体見てどうですか。下のほうが多いのですか。三百トンと比べてみてどうですか。
  54. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 ちょっと推測でおそれ入るのですけれども、やはり船の型で申しまして四九九だとか一九九というトン数の船が多いものですから、大体五百トンの総件数のうちで半分ぐらいが三百トン以下とそれ以上ではないかと思われます。
  55. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その海難の性質は何ですかね。どういうときにどの辺で行なわれている海難なんですか。
  56. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先ほど全損、行くえ不明ということを申し上げました。それ以上の原因はいまのところちょっとここに持ってきておりません。
  57. 紺野与次郎

    ○紺野委員 やはりそれはほんとうは重要なんですよね。どういう形態で、どういうふうなところで、どういうことが原因で遭難しているかという実態をつかまないと、ただ数字だけの統計ではほんとうはよくないと思いますね。この点については、ひとつあとで調べていただきまして、海上保安庁ですか、きょう来ておりませんね、そっちのほうから、もうちょっと、三百トン未満という制度をしこうとしているのですから、それとそれ以上との区別や、あるいはどういう原因で海難が行なわれているかというふうなことを、ぜひ具体的に知りたいと思いますね。資料をひとつお願いします。  それから木船についてですね、鋼船はそうですけれども、今度は木船のいわゆる海難、この組合で取り扱うようなものですね、それはどれぐらい起きているのか、またどんな状況のもとで行なわれているのか、これはどうですか。
  58. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先ほど申し上げました数字で同じように申し上げますと、四十七年の要救助海難発生数二千六百五十七隻、うち漁船を除きますと千四百四十四隻と申し上げましたが、そのうち木船の発生隻数は四百九十五件でございます。なお、そのうちで全損、行くえ不明の船のことを同様な隻数で申し上げますと、全体が四百七十一隻でございますが、そのうち木船が百七隻でございます。(「鋼船九十で木船百七では合わないじゃないか、そのほかに何がある」と呼ぶ者あり)  木船につきましては、原因別の数字はここに持っておりますので、課長から申し上げます。
  59. 阿部雅昭

    阿部説明員 木船保険組合に入っております木船につきまして、事故の原因別発生状況を申し上げます。  まず、四十七年をとりますと、全損三十六件が発生しておりますが、原因別で見ますと、座礁したものが五隻、衝突したものが十二隻、それから火災で全損になったものが四隻、それから沈没したものが十五隻という内訳になっております。  それで、それらが起こった個所を申し上げますと、港内で起こったものは一隻でございます。それから平水区域と申しますか、港、それからその付近の平穏な区域ですが、そこで起こったものは六隻、それから瀬戸内海の区域、ここは船舶も多いのでございますが、そこで起こったものが十四隻、それから瀬戸内、さらにもう少し出たような区域、これは三区と申しますが、そこの区域で起こったものが十一隻、それからさらに遠い区域のものが一隻、それから特定の航路と申しまして、これは特殊な区域を定めておりますが、そこで起こったものが三隻という内訳になっておりまして、やはり船舶の加入状況が多い瀬戸内あたりの事故が多いという実態になっております。
  60. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、第二の点ですけれども、一般に保険という場合、加入している隻数が多いとか、あるいは規模が大きいというふうな場合に、保険料率の点ですけれども、一般的にやはり料率の点ではそういうものが有利であると考えられるわけですが、今度、この制度によってつくられる場合、小型船舶が対象であるとか、あるいは四分の三がすでに民間損保に入っているとか、こういった点から見て、保険料率の点でも相当困難な条件になるのではないか、この点についてどうでしょうか。
  61. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 まず木船について申し上げますと、両組合加入隻数は二千百四十三隻という合計の数字になります。それに対しまして、民間保険会社のほうは千七隻でございます。民間損保会社が二十社でやっておるようでございます。したがいまして、両組合合併いたしますと、木船保険規模としては、それぞれの組合の千隻程度のものが二倍になるばかりでなくて、民間規模に比べましても倍ぐらいのものがございますので、それは保険能力について向上するというふうに私どもは思っております。  なお、小型船につきましては、先ほども八十隻ずつぐらい、五年間で合わせて四百隻ぐらいの目標を立てているということを申しました。これについては、保険の集団規模として十分でない点もある。特に発足当時は、異常な危険が発生いたしますと心配だということで、これは民間の再保険機関に再保険に出すということで危険の分散をはかりたいということを考えております。
  62. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、この保険料率の点ですけれども、これは何か大蔵省でまだ検討中なんですか、というふうに私たちのほうで……。
  63. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先ほどもお話がございましたが、再保険を一定の割合で出すというようなことを前提といたしまして、小型船の保険料率をどう定めるかということについては、今後大蔵省とも相談をしていきたいと思います。いずれにいたしましても、私どもは、民間損保が営利と申しますかそういう観点からやるのと違いまして、組合が昔から相互扶助の観点で、共済制度のような考え方で、それぞれの組合員のためにやってまいりまして、特にこの事業で利益を生むという必要もないのでございますから、先ほどからお話もございましたように小規模のものにすぎませんけれども、何とかこの組合が存立をして、組合員のために保険サービスを続け、また小型鋼船のために発展させるということによって、利益を生むんじゃなくて、それぞれの組合員の保険サービスについて欠けるところがないようにしたい。まあ単純な比較はできませんけれども民間のように利益を生む必要がないという点でも料率は高くはならないように何とかきめていけるのではないかというふうに考えております。
  64. 紺野与次郎

    ○紺野委員 大蔵省にまかせるということでなくて、運輸省としてやはり独自に役割りを大いに発揮してもらって、そしていま言われた、つまり利益本位でやるというのではなくて、組合保険というふうな点の有利さを発揮して、民間損保に比べても有利な保険料率を設定できるように、行政指導として運輸省でひとつ最後までその点は力を注いでもらいたいと思います。その点を重ねてお聞きしたいと思います。
  65. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 できるだけ努力をいたします。
  66. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それから、再保険制度廃止という点についてちょっと問題があるんじゃないかということなんです。運輸省説明では、木船についての再保険は、この間黒字を続けているという実情とか積み立ての運用等で、これを廃止しても十分やっていけるということだったと思いますが、それは一応それとして、問題は、新しく小型鋼船も入ってくることであるし、やはり問題があると思うのです。  それで、現行の再保険制度には還付金制度なんかあるのですね。ですから、一般の民間損保に比べてやはり有利な制度になっているんだと思うのですね、この再保険制度、現行のものは、そういう点で。そういう点はどうなんですか。やはり現行の再保険制度というものには民間と比べても、いい点が相対的にいろいろあるんじゃないですか。それはどうですか。
  67. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生お話しのとおり、現在の国の再保険制度には、一定の積立金を行ないまして、残った利益は組合に還付するという制度がございます。それによって三億数千万円の利益還付を行なってきたのも事実でございます。ただ私どもは、再保険をもうやめてもよかろうと申しますのは、先ほども申し上げましたように、そういった国の再保険特別会計自体が三十九年に一年間赤字でございましただけで、ずっと黒字でまいりました。したがいまして、そういった、一方では利益還付も行ないながら積立金も積み増しをしてきて一億四千万円ございます。これをそっくり、特別会計廃止するときに両組合に交付するという予定になっております。それから組合自体のほうも、保険の収支は、損害率、事故率というものが当初予定していたよりも低うございますので、純保険収支の点ではずっと黒字でございましたので、異常危険準備金が現在四十七年度末で約二億七千万円ある。こういう事情でございますので、発足当時その異常危険準備金が非常に少なかった、たとえば二十八年で千百万円程度でございましたが、そういった時代に大きな台風が出てくると一ぺんにたいへんだということでございますけれども、現在の時点に至りましては、もうすでにその必要はないということでございます。  なお、先ほどの先生お話にございましたが、木船についてはもう再保には出しません。したがって国の再保険制度の中に利益還付という制度もございまして、余剰利益還付として組合に返ってきたような制度はもちろんございますけれども、それらもそっくりこの際再保険の必要がなくなったということでやめまして、木船としては再保険にかけないということでございます。  それから鋼船のほうは、先ほども申し述べましたように、やはり発足当初は確かに心配でございます。異常危険のためにはやはり民間の適当な再保険機関に一定の割合で再保険に出す必要がございます。この点については、再保険料率も若干の負担がかかると思いますけれども、これは小規模なこととしてはやむを得ないと思いますし、また鋼船につきましては、すでに二十社の民間保険会社が鋼船をやって、それからそのそれぞれの民間保険会社が一つの再保険機関に再保険をしているという民間実績もございますので、その大きな保険集団の中にこの組合として入るということで再保険をお願いすることは合理的でもあるし、再保険料率について特に高くなるというようなことがなくて、大きな保険集団の中で再保険制度を活用していけると思っております。
  68. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いまの説明は、やはりちょっと無理に聞こえるんですね。いろいろいい還付金制度もあるというふうな点で特色があったわけですけれども、そしてまた、それは中小船主やなんかにとっては非常に魅力的なものだと私思いますが、特に、今度小型鋼船が不安であるということは、いまの説明からも出ておるわけですね。やはり再保険かけたほうがいい。それは民間でしっかりしてもらおうというふうに問題をずらして、民間のほうにその必要性をずらして、民間のほうで再保険をしてもらったらいいと、こういうふうになっているんですね、鋼船の場合なんかは。それは逆じゃないかと思うのですね。ほんとうの行き方とすれば、当然いままでの木船のほうの制度の有利な点にプラスして、木船の再保険に加えて小型鋼船の再保険をやはり一緒にするようにするほうが制度的には前進するし、また政府の政策としても、中小船主、中小業者に対する保護政策をとらなければならないということがほんとうだと思うのです。ところが、それと逆行するような、制度の上からは中小船主への援助をこの際切り下げる、制度としてはそういう再保険を政府はやめたということですから、そういう点でせっかくいい制度があるのに、それを取り払ってしまうというのは、やはり中小業者への保護対策という見地からすれば逆行すると思うのです。ですから、けちを言わないで、これはけちの精神じゃないかと私思うのですけれども、そうでないならば、わずかばかりのあれでなくて、やはり中小業者への保護を一貫して前へ進める、一歩後退するんではなくて、もう一段上に上がるというふうにするほうがほんとうだと思うのですね。ところが、せっかくのところでけちの精神が出たのかどうか、どうもみっともないと私思うのですが、この点どうですか。前向きに、小型鋼船もそれは必要であるということであるならばやはり加えるということですね。これが必要じゃないですか。
  69. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船の場合はさておきまして、先生お話鋼船の場合でございますけれども鋼船の小規模な再保険を国が再保険をするという制度に乗っけようと思いましても、やはりこの組合で取り上げる小型船の部分は小そうございますので、それを再保険に引き受けるということについては無理がある。それよりも、民間の大きな保険集団と同じように鋼船は一体的にやったほうがより合理的であるというふうに、私ども考えておるということでございます。
  70. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だからその点に、やはりこの法案を見て、せっかくの中小船主やなんかに対するいい面を、引き継ぎ発展させてやっていくということから後退をしている。やはりまずいとわれわれは考えます。そういう点で、やはり再保険制度小型鋼船に対してもここで扱えるようにすることを私は強く要求したいと思うのです。われわれとしてはやはりそう要求したいということであります。  それで、その次の点は保険対象の問題ですが、全損問題というふうに、小さな組合であるというような点から、歴史的にそういうふうなところに限界があったと思うのですが、全損及び救助費というふうに保険対象が限られているという点ですね。しかし、いよいよ小型鋼船も入ってくるということになれば、小さいといえども小型鋼船はメカニズムを持っているわけなんで、そういう点で、木船が簡単にというわけではないけれども全損に追い込まれるのと、鋼船が内部的にいろいろなメカニズムというか機構を持っておって、損傷が部分損傷の可能性が一そう多いんじゃないかと私思うのですね。そういう点からして、小型鋼船も含むという場合には、この際思い切って部分損害に対しても保険対象に加えていくというふうにすべきであると思うのですよ。そうして、実際に中小船主に聞いてみてもそういう希望を持っているのですね。そういう点で、政府としては部分損も扱えるようにするという考えはないかどうかということなんです。
  71. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 従来、木船につきましては二種め保険までということで全損と救助費のみの保険業務を行なってまいりました。何ぶん先ほどからもお話が出ましたように、現在のところは、職員の数にいたしましても限られた数でやっていく両組合の現状でございますので、従来経験のある二種に限ってやるということが、組合能力としてもふさわしいものではないか。また、経験も木船について二種までであったということで、あとあと実力はつけていきたいと思いますけれども、現在の両組合の実力では一挙に二種以上の保険業務を取り扱うということについては困難な面も多いと思います。また一方、鋼船うちでも、現在の実績を調べましてもかなり二種までの保険に入っている数がございます。そういった必要に応じることも二種までで達することができると思いますので、二種までの保険業務に限定をしたいという考え方でございます。
  72. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、いま言いましたように、鋼船をかかえ込むということですね、これは量的なことじゃなくて質的な変化だと私は思うのですよ。木船だけを対象にした場合と、木船に比べれば一応それなりに複雑な機械を持っている鋼船やなんかをかかえるというふうな場合に、この際やはり部分損——いろいろな修繕をしなければならぬとか、いろいろなところがこわれたとか、嵐にあっていろいろなところが全損まではいかないにしても、生き延びるということは鋼船の場合は大いにあるけれども、いろいろなところがいたむというふうなことがあると思うのです。先ほどの統計を見ますと鋼船の全損もまた多い、かなりのものがやられているんですね。ですから部分損はもっと多いと思うのです。そういう点で、必要件からいえば、保険の内容を質的にも高めていくという点からいえば、この際部分損を扱えるようにこの保険を高めていくということですね。そういう姿勢ですよ。そういう姿勢を運輸省として、いますぐできないということがあっても、そういう方向に姿勢をとるということはどうですか。
  73. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 現在のところ、組合としては二種の保険の実施というものを前提として損保業界と協力をし、再保険引き受け等についての話し合いもしております。まあ先生お話しのように、実力がついて損保業界と共存共栄上の話し合いがつくというようなことになりましたら、二種以上の保険に手を出す余地があり得ると私ども考えております。
  74. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうですか。そうするとあり得るということですね。二種以上のほかの部分損にも実力がつけばそういう方向に進むことも望ましいということですね。
  75. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 何ぶん組合の実力の養成されることが前提でございますし、それから民間損保とも共存共栄でやっていきたいということが前提でございますので、私どもとしては、今後の推移を待ってこの線については考えていきたいというふうに考えております。
  76. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、組合の力とそれからもう一つ民間保険会社と、それだけに限っているんですね。もう一つ考えられませんか。もう一つ、政府ですね 国の側で協力する、必要な補助金も出そう、けちの精神じゃなくて、大いに中小船主を擁護しようということから、もっと金を出してもいいというふうにすることによって、部分損を含むもっと理想的な保険制度をここで実現する方向に、行政指導としてはそれくらいの理想がなければ、理想は低い、ますます欠けていく、ますます貧困になっていくというのでは私は困ると思うのだが、その点どうですか。政府は補助金をもそれに加えて、そして一日も早く部分損も扱えるような制度にしていってもらいたい、そういう姿勢をとってもらいたい、重ねてこの点でお聞きしたいと思います。
  77. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 やはり、相互扶助、それから共済制度ということで、組合員がみずからこういった保険制度を育てていくということが必要だと思います。私どもも、いまのままでは先細りになっていく両組合のために、小型の鋼船に道を開いていきたいと思います。ただ、そのことと国がいきなり金を投じるとかいう、先生補助とおっしゃいましたが、そういった面とはちょっと考えが違うと思いますので、私どもはとにかく両組合合併をして、こういったかっこうで今後基礎を固めて発展していってくれることを、この際期待をしたいと思います。
  78. 紺野与次郎

    ○紺野委員 非常に消極的な姿勢だと思います。  その次に、小型鋼船トン数の問題ですけれども、先ほどの統計では、五百トン未満というふうに出て、三百トンの線が消えているのですね。ところが、この制度の中では、麗々しく三百トンの線が浮かび上がりまして、そして五百トンの線は消えてなくなっているのだ。こういうことで、やはり組合事業を三百トン未満というふうに線を引くということ、一体なぜ法律でそういうふうに限界をここで引かなければいけないのか、この点どうですか。
  79. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先ほど申し上げました海難の発生状況につきましては、私ども海上保安統計を使って御説明した際に、五百トンの線を引いてその統計の内容がそうなっておるということを御説明したわけでございます。私どもとしては、三百トンで切りましても、先生きょうの初めに、一万五千隻程度とおっしゃいましたが、私ども一万四千百七十八隻ですか、大体そういうような数字でその対象船舶を考えていきたい、こう考えておるわけでございますが、海難統計の五百トンで切った話とは別にお考えをいただきたいと思うのでございます。  なお、木船から鋼船への代替状況について、四十三年から四十六年度までの公団船と自己資金船とを含みました数字で申し上げますと、木船から鋼船へ変わった状況、鋼船建造隻数トン数は、その間九百五十九隻ございますが、総トン数では、二十四万五千トン、一隻当たり平均トン数が二百五十六グロストンということで、おおむね二百トンから三百グロストンまでの間の建造の実態になっているということが一つでございます。  それから、別の資料から、同じ四十三年度から四十六年度までに建造されました自己資金の貨物船だけをとりますと、その間、全建造隻数七百九十五隻ございますが、その隻数で全建造トン数十六万七千総トンでございますので、平均トン数は二百十一総トンという数字が出てまいります。なお、総隻数七百九十五隻のうちで、三百トン未満の船が六百八十五隻ある。したがって八六・一六%は三百トン未満の船であるということで、私ども三百トンにこのトン数を切ることは、こういった見地からきめて法律案に明記をしたわけでございます。
  80. 紺野与次郎

    ○紺野委員 やはりそこは納得いかないと思うのです。つまり、問題は海難なんですね。この保険の問題は、海難に関する一つ制度なんです。海難の統計のほうからの研究が非常に足りないと私は思うのです。海難のほうから見ると、五百トン未満で先ほどのような件数がいろいろ出ましたけれども、三百トンという線は全然わからない。水平線にあらわれない。そういうふうにばくとして、そして三百トン以上五百トンと三百トン以下の海難の数はどうかと聞くと、そこはわからない。たぶん半々だろう。相当大きな半々ですね。やはり五百トン以下三百トンの間の船もまた災いを持っているわけです。そういうものにさらされているわけです。そういう点からいって、やはりこの法案を立案される場合に、肝心かなめの、保険が何のために必要なのかという点からの考察が不十分だ、こういうことになると私は思うのです。ですから、いまの点からではやはり片手落ちではないか。だから、その点では無理に三百トンという線を引くのではなくて、しかも法で強い規制をするという意味ではなくて、組合が自主的に、自分たちの能力に応じて、わきまえて、そして弾力的にやれるように行政指導をやればいいのではないかというふうに思うのです。この点でもやはり不十分ではないか、納得できないと思います。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕  それから、その次の点ですが、再保険制度のさっきの廃止の問題です。財政的には国と組合との関係は、この制度廃止によって断たれるわけですね。そして組合は、非常に小規模保険経営体にならざるを得ない。それで実際に懸念されることは、保険金の支払いがどんどんふえていった場合に、いま積立金が多少——何億とかあるとか言いましたけれども、それも食いつぶしてしまう、どうしても保険料率を大幅に引き上げなければならないんじゃないかというような事態も、単独でいった場合起きると考えなければならないと思います。それで、そういった事態にさらされた場合に、国はもう関係ないという態度をとるのか。あるいは保険料率を引き上げてもいいという立場で見ているだけなのか。それとも中小企業保護の立場から何らかの援助を行なうことの用意があるのかどうか。この点についてお聞きしたいと思います。
  81. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども、現在の異常危険準備程度で、ルース台風クラスの台風が発生いたしましても、まず三回とか、それ以上は耐えられるんじゃないかということを判断いたしております。  なお、保険収支につきましては、鋼船は毎年八十隻ぐらいずつふえてくるということ、木船は、先ほども申しましたように、たぶん六%ずつぐらい加入隻数が減っていくであろう、したがって、木船保険の収支のほうは悪くなりますが、鋼船の収支のほうでカバーをして、五年間でこの組合規模が固まるようになっていくであろうということを推測しております。したがって、異常の危険に対しましても、ある程度の備えはかなりできておるということを考えておるわけでございます。  ただ、ルース台風とかそういった規模でなくて、もっとたいへんなことが起こりますと、これは保険対象としても免責の約款などの内容がございまして、そういった場合にどうなるかという、保険の目的としてカバーできるだろうかどうかという点もございますけれども、そういったときには、やはり国として適宜の措置を、保険だけではなくて、その異常災害に備えて考えるというような事態はあるいは予想されるかもしれないというふうに考えております。
  82. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、ことしは豪雪がありましたね。東北その他で数十年ぶりの豪雪があったんですね。ですから)台風とかその他が、今度はいままでの平均的な状況からが然、もっと大規模なものが来ないとも限らない。むしろそういうときのための保険だと私思うのです。だからそういう場合に、実際に小型鋼船もかかえて、そういった事態で大規模——いままでのは非常に小さな保険組合だと思うのです。国がここで全く関係を切った、再保険制度で縁が切れた、制度的にはそういうふうになっているので、そういった場合にやはり国としては、そういった組合の事態、要するに大幅に保険料率を上げるとか、積立金も食いつぶしたといったふうな事態が起きた場合には、その場合に備えての政府としての責任がある。そういう場合には十分に受けて立つ、援助をするという姿勢ですね、そういうことははっきり確約できるのですね。そこまではもう知らぬというふうになるのですか。そこをもう一ぺんはっきりさせていただきたい。
  83. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 まずルース台風のようなものは二十年間絶えてなかった。それからその後伊勢湾台風だとかいろいろなものもございました。ずっと過去二十年間の歴史を見まして、木船保険組合はそういうことにたえてきたという実績がございます。したがって、将来ほんとうにたえられなくなるのはどの程度のことかということでございます。先生おっしゃるとおり、しかし今後起こり得る事態はいろいろな場合が考えられると思いますので、その場合はこの保険がその存立が危殆に瀕することのないように、私どもとしても十分考えていきたいと思います。
  84. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では対策を立て、援助もそのときにはやるということですね。
  85. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 何しろ起こり得る事態といってどの程度かということで、将来の問題でございますので、とにかく私どもは、簡単なことでこの組合がつぶれるということは考えたくない、十分そういった努力はしたいということでございますが、何ぶん将来のことですから、具体的にまだその補助とか国のどういう手段ということをはっきり申し上げることはできないということでございます。
  86. 紺野与次郎

    ○紺野委員 歯切れが悪いけれども、要するに、そういう制度的にこういうものをなくしたから、もうわれわれは、その組合がどういうふうな事態になって破綻しようが何であろうがかまわぬというふうなことではないということだけは、はっきりしてもらいたいと思いますね。
  87. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 再保険関係がなくなりましても、この組合に対する監督権限というのは大蔵省と運輸省両方ございます。十分その辺は監督をしていきたいと思います。
  88. 紺野与次郎

    ○紺野委員 監督だけじゃなくて援助はどうですか。監督だけではだめなんです。金のほう。あなた方はけちの精神があまりに徹底して、これは困ったものだね。
  89. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生、すぐまた直接に国の補助とかなんとかということでおとりになっては困りますので、私ども監督ということは、もちろんこの組合が健全な発達を続けていくように私どもは監督。……(紺野委員「援助、めんどう見るかどうか」と呼ぶ)監督をするということを広くとっていただきたいので、国の補助というようなこととは直接に私、お話しするわけにはいきませんけれども、監督というのは広くとっていただいてけっこうでございます。
  90. 紺野与次郎

    ○紺野委員 今度は小型鋼船にだんだん木船が切りかわっていくというのは、ある意味では歴史的な必然というか、そういうものだと思うのです。ですから、この制度の背景というか基礎にあるのは、だんだん木船小型鋼船に移り変わっていくということと対応するんだと私思いますが、それはそうですか。
  91. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 そのとおりでございます。
  92. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで小型鋼船建造ですね、この法案の基礎になるものとして関連して私聞きたいのですけれども小型鋼船をつくる援助というものの実際のいまの政府の持っている施策ですね、これはどういうものなんでしょうか。
  93. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 国の予算といたしましては、船舶整備公団の共有船の制度というものでずっと鋼船をつくる予算をつけていっております。この実績で申しますと、三十九年度建造量四万五千トン、四十年度に九万九千トン、四十一年度に八万一千トン、四十二年度に七万二千トン、四十三年度に四万一千トン、四十四年度に四万四千トン、四十五年度に三万九千トン、四十六年度に五万一千トン、四十七年度に二万七千トン、本年の四十八年度においても二万七千トン程度建造を行なう。なお、来年の四十九年度予算でお願いしている数字としては三万二千トン程度建造予算公団予算の中に組んでございます。
  94. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これもずっと聞くとあまりふえてないんですね。だんだんだんだん下がっていって、ちょっと上がってはまた下がっていくというふうなことで、ここでもやはり確固として小型船主に対する育成あるいは保護といった政策が見られないと思うのです。この点は船舶整備公団を通じてやるんですね。そうですね。
  95. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先ほどもお話が出ましたように、内航船の船舶の建造をどういうことでしていくかというのは、そのときどきの好不況の関係、経済全体の情勢の影響もございまして、実はこういった建造量の裏側と申しますか、反対側に解撤という問題がございます。その解撤をそのときどきの経済情勢に応じてしていきながらつくっていくということでございまして、やはり不況のときにはどうしても建造トン数が少なくなるというのはいなめないと思います。
  96. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それにしても、計画造船には巨大な援助が行なわれているわけですけれども年度に対応して計画造船のほうでつくられていっているのはわかりますか。年度と小型船との関係……。
  97. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 それはいま数字でお答えすることはできませんのですが、それは外航と内航とは実は規模が違いますので、総トン数建造量でお比べになると、たいへん計画造船のほうが多くて、こちらの数字は少ないと先生お思いになるのはもっともだと思います。ただ、先ほど申しました数字でも、三十九年度から四十八年度まで通算いたしますと、五十二万六千トン、五十万トン以上の建造量になるのですが、内航の総船腹量は三百六十万トンでございますから、公団の共有制度でつくっております貨物船だけで三百五十万トンうちの七分の一がつくられておるということになります。計画造船のほうは、それは数字としては、先ほど申しましたように、建造の絶対量としては大きいものになるということでございます。
  98. 紺野与次郎

    ○紺野委員 計画造船では、最近は大体一年にどれくらいですか。
  99. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 四十九年度の予定といたしましては、建造予定トン数が二百五万トン、四十八年度は二百万トン、それから四十七年度は、これはちょっと正確でないかもしれませんが、三百四十万トンであったと思います。これは間違っておりましたら調べてお答えいたします。
  100. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうするとあれですか、先ほど小型船のほうは一番おしまいのほうで三万二千トンと言ったのは四十九年度ですか、四十八年度ですか。
  101. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 四十九年度三万二千トンと申し上げました。
  102. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、要するに大企業——大きな造船あるいは大きな船会社のほうは、計画造船によって二百万トンだとか、そのときに三万トン。それからやはり二百万トンですね。それに対して二万トン。それから三百四十万トンのときに二万七千トン。非常に少ないのですね。ですからやはりこの点に、海運政策が上だけ見て、そうして小さい中小船主についてはほんの、ほんとうにわずかばかりの援助の手も切ってしまうというふうな姿勢があるのではないかと私は思うのですね。この点がこの保険制度の場合にもあることを恐れるのですね。そうじゃないのかという点。そしてまた、船をつくるという助成の点についてもほんとうに少ない。だから、一方ではその百倍も、外航船だからといって、そういうことを口実にして、そうしてあまりに大きな格差がつき過ぎているという点で、行政のあるいは海運政策上でもこの点については大きなゆがみがあるのではないか。それはないと思いますか、どうですか。
  103. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 トン数だけで御比較いただいてもちょっと違う問題もあろうと思います。私として端的に申し上げられることは、日本の国にとって外航も大事である、内航も大事であるということでございます。
  104. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だからそれは、トン数だけでということを言いましたが、じゃ金の点でこれ比較してどうですか。ことしのトン数三万トンと二万トン、こういうもの、船舶公団に投入する金のあれと、計画造船で動員するお金の量とちょっと調べて対比してください。
  105. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 実はきょうは内航の話かと思いまして、外航の資料は持っておりませんが、たしか四十九年度で申しますと、先ほど計画造船で由しました二百五万トンに対する財政資金の所要量は九百十五億円でございます。  それから内航全体で、内航と申しましても貨物と旅客両方ございますが、それらをひっくるめまして、船舶整備公団の来年度事業規模は百六十七億円でございます。
  106. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、これはたいへんな違いですね。天と地の差ですね。天と地の差のように違うということですね。
  107. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 トン数で比較していただくことも、金額で単純に比較していただくことも、私は無理だと思います。
  108. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから問題は、このような差は態度の問題であって、やはり大企業のほうにより多く海運政策が片寄って、そして中小船主一ぱい船主、こういう人たちに対する配慮と予算というものは非常に少ない。制度の上でもわずかばかりあったものもだんだん少なくしていくということではないのかどうか。どうですか。
  109. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私、外航も大事であるし内航も大事であると申し上げました。  それから内航の中で現に御審議をしていただいておりますこの保険関係につきましては、先ほどからもお聞き願ったとおり、ほんとうに中小以下の零細ということでございますので、このままでほうっておきますと、ほんとうにもうこの組合としてつぶれてしまうのではないかということを、端的に申し上げまして私は非常に心配でございますので、ぜひ合併の道も開いていただきたい、小型鋼船へ新しい仕事の分野をふやしていただきたいというお願いをしておるので、ぜひこの法案を御審議いただいて、そういった方向に進んでいくことによって、この一番小さい零細の業者に対する保険のサービスについて欠けるところがないようにしていきたいと思います。
  110. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、以上の説明から私は、どうしても小さいこういう木船を小型の鋼船にかえるというふうな、予算の上でも運輸省のほうは今後とも努力してこれを大きくして、もっともっと中小業者に対する援助を、船の建造の面でも強めてもらようにしてもらいたいと思うのです。そうしないと、この保険組合自身も繁栄しないのです。そっちもあまりしょぼしょぼとしている。この未来について、しょぼしょぼしているというのではだめですから、やはり造船のほうに対しても、中小船主のために予算を多くしてもらうように努力してもらいたいことが第一。  それから、今後ともそういうことで部分損とかそういうことも十分扱えるような組合にしていくように、行政指導その他の面でも努力を払ってもらいたいということ、最後にもう一度この点を、われわれの考え方を述べて、答弁願いたいと思います。
  111. 増岡博之

    ○増岡政府委員 先生指摘のいろいろな問題点があるわけでございまするけれども木船につきましては、先ほどから局長が申しておりますように、これまで考えられ得る異常損害に対してもたえ得るということでございます。  また、小型鋼船の問題につきましては、先生指摘のとおり、保険料率その他の問題につきまして、これは大蔵大臣の権限であるとは言いながら、やはり運輸省もそれに参画して、適正な料率にしなければならないと思います。  最後の、内航船、小型船に対して力を入れろということでございます。もちろん御趣旨には全く賛成でございます。ただ、いたずらに隻数トン数をふやすことのみが内航船主にとって有利であるか、利益であるかということも考えながら、なおかつ、今回の保険組合につきましての今後の存続につきましても十分配慮をしてまいりたいと思います。
  112. 紺野与次郎

    ○紺野委員 終わります。
  113. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 この際、午後一時半から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後一時三十六分開議
  114. 佐藤孝行

    佐藤(孝)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本君。
  115. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 議題となっております船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案について若干お尋ねをいたしたいわけでございます。  すでに次官も御承知のように、木船に対する保険、いわゆる全木と申しますか全日本木船相互保険組合、それから日本と申しますか日本木船相互保険組合、この二つ組合を主としていままでやってまいりました。この二つ組合が、近年木船が非常に減少してきた、そこで両組合に対する加入隻数も年々減少する、そこで両組合事業保険事業規模として適当でなくなるおそれが出てきたために、二つ組合合併してその基盤の強化をはかろう、同時に、組合保険対象のワクを拡大して、三百トン未満小型鋼船も加えよう、これが法の改正の主眼点だと思います。さらにまた、政府管掌の木船保険制度をやめて、その特会の積立金を、新設される組合に交付しようということであります。  取り立てて問題にすべき点は少ないようではございますけれども、両組合合併するという前提に立って法改正を行なおうとしておるわけでありますが、この両組合自体は、合併についてどのように考えているのか、海運局に対して、ぜひこうやってもらいたいと言っておるのか、あるいはまた、海員組合のほうで、ただいま私が申し上げたような事態をおもんぱかってこれの合併をしようとしているのか、どちらからその声がかかったのか、両組合の腹はどうなのか、その辺をひとつ政務次官からまず伺いたいわけであります。
  116. 増岡博之

    ○増岡政府委員 先生指摘のとおり、最盛期に比べて加入者数が非常に少なくなってきたということから、両組合のほうもそういうふうに考えておりますし、私どもも、合併をさせたほうがよかろうということからスタートしたわけでございます。
  117. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、両組合の資産の内容を見てみますと、全木と日木と、日木のほうがわれわれはいいように考えられますが、政府当局としてはどのようにお考えになっていますか。
  118. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生指摘のように、いろいろな点で比べるべき点はあろうかと思いますけれども、概して申し上げて日本のほうが成績が従来上かったと思います。
  119. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、合併の条件といいますとなにですが、どういう形で合併するのかということになりますが、二つ組合がそれぞれ解散してから新しい組合一つつくるというやり方と、一方の組合に一方が吸収されていくという二つの方法があろうと思いますが、これについてどちらをおとりになるお考えでいま行政指導をしているのか。
  120. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 両組合話し合いにまちたいと思いますので、いまのところどちらの方法ということはまだきまっていないということを聞いております。わがほうも、どちらの方法でやれということを特に私どものほうから指導するつもりはないということであります。適当な方法を両組合が話し合って選べばいいと思っております。
  121. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、世間一般を見ると、大きいほうが小さいほうを併合するというか吸収する、そういうのが普通の状態だと思うのです。いまもってきまってないというわけでありますけれども、三月三十一日をもって木船保険法というものも廃止になる、こういうことを前提にいたしますと、それまでにやはり衆参両院を通ってその運びに進んでいかなくてはならないと思う。そういうことを考えますと、どちらがどちらを合併するか、それはまだいまきまらないとおっしゃればあえて私、それ以上追及はしませんが、普通の状態だったら、日本のほうが全木を統合するというふうに私は考えるわけです。その点全くきまっていないのか、両組合ともその辺の話は全くしたことがないのか、この辺はどうですか。
  122. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生指摘のように、あるいは正式に日本のほうが全木を吸収するようになるという動きもあるようにも聞いていますけれども、ここでお答えしてもし違ったらいけませんので、両組合話し合いにまちたいということでごかんべんを願いたいと思います。
  123. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 当然、局長としては、それ以上は現在の段階では無理だろうと思います。  そこで、一応衆参両院を通過して三月三十一日までにこの木船保険法というものが廃止されるという段階、そして次の段階とずっと進んでいって、どちらが親になってどちらがそこへ吸収されるか、これはわかりませんけれども、どんなスケジュールでいくかということをひとつあらかじめ私は伺っておきたいと思うわけです。
  124. 阿部雅昭

    阿部説明員 お答えいたします。  両組合合併の事務的なスケジュールでございますが、法律によりますと、まず合併を決議いたします場合には、両組合がそれぞれ総会を開かなければなりません。両組合は通常は毎年度の総会を五月の下旬に開催しておりますので、今年も五月の通常総会を兼ねまして、合併総会とする方向で検討が進められております。その場合に、合併総会できめますことは、まず合併の方式、それから新設合併の場合は設立委員を任命しなければならないという手続、これが法律で定められておりますが、そのような行為が行なわれます。それから合併の決議をいたしますと、この法律によりまして財産目録及び貸借対照表を作成して二週間以内に公示しなければならない。合併する組合がどういう資産内容であるかということを債権者その他に知らせるための手続が必要でございます。さらに、債権者がおりますれば、異議を申し立てるための機会を与えるということで、商法の百条が準用されておりますが、そのための期間が一カ月必要となります。したがいまして、合併総会を開きましてから二週間の手続、さらに一カ月の催告期間の手続ということが必要になります。それから、それらの問題がセットした暁に、両組合が運輸、大蔵両大臣あてに合併の申請をすることになりますので、なおその間、事務的な手続に最低一月くらいはかかるかと存じますが、そういう形で認可申請が出てくるということになるかと思います。
  125. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま課長の答えの中に、通常の総会と合併というものを決議する総会を兼ねてというふうにおっしゃいましたけれども、これは別々にやる必要はないのか、兼ねてやってもよろしいのか、この辺はどうなんですか。
  126. 阿部雅昭

    阿部説明員 合併の決議につきましては総会で決議するということが法律で定められてあるだけでございまして、通常総会と兼ねてやることは差しつかえございません。
  127. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、私は具体的に聞いてみたいと思うのですが、かりに三月三十一日で決算を締め切って二カ月以内に総会をするということになりまして、両方組合ともかりに五月二十七日ころをめどにしてやったということになりますと、それから計算していくと、いま課長が言われました、両組合が連署で運輸、大蔵の両大臣に提出するという大体の日どりはいつになりますか。私は七月の十日前後になるかと思いますが、その辺はどうですか。
  128. 阿部雅昭

    阿部説明員 合併総会の日から約二月後くらいというふうに考えていいのではないかと思います。
  129. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 合併総会から二月というと、五月二十七日から二月、七月二十七日、そうなりますか。要するに、貸借対照表あるいは財産目録というものを出す、すると今度は商法の百条の準用をされてそれを公告するということになりますね。それから計算していくと、少なくとも催告をするのが六月十日ころ、終了するのが一カ月として七月九日ころというふうになると、認可申請を出す時期は七月十日ころと私は思いますけれども、そうなりませんか。
  130. 阿部雅昭

    阿部説明員 一番順調に行った場合は、その催告の期限切れにすぐ申請するということは可能かと思います。申請するための手続としましては、法律で定められております定款はじめ各種の事業方法書、責任準備金算出方法書その他料金率表等、つくったものを手続いたさなければなりませんので、催告期間後すぐやるということは、その間準備はいたしますが、なかなかむずかしい。むしろ二カ月くらい余裕が必要ではないかというふうに考えます。
  131. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 新定款とか保険料率、事業方法書とか責任準備金の算出方法書とかいうようなものは、あらかじめ前もって準備できるのじゃないかと私は思うのですけれども、そうしたことをして、発足させるならなるべく早いほうが私はいいと思うのです。  審査も大蔵省、運輸省両方でやるわけでありますし、合議すべき時間も相当必要とは思いますけれども、問題は保険料率の問題だろうと思うのです。これはまたあとから大蔵省のほうに伺いたいと思っていますけれども、そうしたことを考えまして、とにかく二つ組合をよりりっぱな内容を持ったものに発展させようとするのには、なるべく役所の側も協力してやるべきではないかと思います。大体、合併の認可申請が出てから審査に要する期間というのは、運輸省としてはどれくらいの期間を考えているのか。また、大蔵省としてはどのような期間を考えているのか、これをひとつお答え願いたい。
  132. 阿部雅昭

    阿部説明員 運輸省といたしましては、ほぼ一月程度の審査期間があれば何とか結論が出るのではないかというふうに考えております。また、そのようにいたしたいというふうに考えております。
  133. 安井誠

    ○安井説明員 運輸省と同じ程度に処理をいたしたいと考えております。
  134. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、両大臣が一カ月前後のところで認可を出すということになりますと、次に二週間以内に登記を行なわなければならないというふうになっていますね。そうして発足をするわけでございますけれども、発足の時期というのは、あくまでその準備ができた段階において自動的にきまるものか、それとも両組合できめるのか、あるいはまた運輸省なり大蔵省がいつからやりなさいというふうにするものか、この辺のところはどうですか。
  135. 阿部雅昭

    阿部説明員 申請の時点で、いつから事業を始めるかということにつきまして、認可あり、登記し次第という定め方と、あるいは大体の認可に要する期間を見込みまして、組合のほうではたとえば切りのいい日から始めたいというようなやり方も可能かと思います。いずれにしましても認可を受けた日、あるいはそれ以後の特定の日ということで、それは組合が申請の段階で申請書に記載されることと思います。
  136. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで問題は——あくまで仮定の話です。さっき海運局長も、全くどちらの組合がどちらを吸収するというようなことを明言されていませんし、当然だろうと思います。そこで、仮定の話でありますけれども、この法案が三月三十一日までに衆参両院を通過した、こうなりまして、さらに新組合事業を開始する日がいまのところ九月の末になるか、あるいは十月一日になるか、その辺のところはわからないけれども、かりに十月一日ときまったという前提に立って考えたときに、四月一日から九月三十日ですか、十月一日から仕事を始めるとして、九月三十日までの間は、これは全く再保険というものはないわけですから、その間に大きな海難事故が一方の組合に起きた、そうなりますと損益に重大な影響が生じてくると思うのです。財産目録なり、それから貸借対照表なりをすでに出してやったわけですな、それの順序を踏んできたけれども、その間にかりに新しい組合が発足する前に、どっちかの組合に思いもしないところの大きな事故ができた場合、そうなりますと損益に重大な影響を及ぼすだろうと思うし、当然また異常危険準備金のほうにも多額の取りくずしをしなければならないような事態が起きないとは言えないと思うのですね。そうした場合にはどうなりますか。
  137. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 おっしゃるとおりでございます。したがって、先生おっしゃるように、できるだけ早く発足させたいということを私ども考えます。  ただ、木船だけを考えますと、木船の仕事は、御承知のとおり従来と同じように進んでいくわけですが、大体異常災害といいまして、先ほどもちょっとお話しいたしましたルース台風級のものが出たら、木船で実は災害が一億二千万円ぐらい金が必要であろうということは考えられますが、二億七千万円以上災害準備金がすでに両組合でございますから、先生おっしゃるように、それぞれの組合に分けますと九千万円と一億八千万円ということになりますが、それで木船のほうはカバーしていけると思います。  それから鋼船のほうは、先ほど申し上げました再保険に実は一定比率を出そうと思いますので、かりに平年度考えますと、ルース台風級で小型鋼船で五十年度どもで一億二千万円ぐらいの災害のための保険金額が要るのじゃないかということを考えていますけれども、まあ始まったばかりでございます、かりに四月から始まって九月といたしましたら、半分ぐらいですから、一億二千万円の保険金額の半分としまして、半年度分としまして六千万円、かりに七割再保しましたら三割分でございますから、一千八百万円でいいという計算ができますので、ひとまず二億七千万円の異常危険準備金鋼船のほうもまかなっていけるというふうに考えておる次第でございます。
  138. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長、この組合は、さっきの前提のもとに言って、かりに十月一日から始まると四月一日から木船のほうの再保険はないわけですしね、また鋼船のほうも、この組合が始まらなければ再保険は開始されないのじゃないですか。いまのお話ですとそうじゃないですか。十月一日から営業を開始するときにはもう木船そのものはないわけですし、いまのお答えはちょっと私ふに落ちません。
  139. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 まことに勘違いいたしました。鋼船のほうは組合合併してから仕事に入ります。間違えました。
  140. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで、鋼船のほうは、組合合併してからで当然のことだと思うので、十月一日からだと思います。  そうなりますと、問題は、要するに私が言っているのは、そういうものがあっても、大きな海難事故、大変があっても、異常危険準備金に影響の出るものはないというふうに言われますけれども、お互いに合併するのには条件があって合併するわけですから、その条件が違ってくるのじゃないか。条件が、片っ方は非常に損害した、片っ方はそのままだということになりますと、そのままでいるほう、何の損害も受けなかったほうは、損害を受けたほうの組合と、要するに前の話のときの条件と違ってくるわけだから、それでもそのまま前にきめたとおりでやるのか、この点なんです。それは損害はある程度異常危険準備金もあるのだからまあまあとは思います。しかし、条件が違ってきやせぬか、そのときにどうするのか、そういうことなんです。
  141. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 おっしゃるとおりのような災害が全木と日木の一方に偏して極端に出てきた場合には、先生おっしゃるような御心配、まことにあろうと思います。そういうときに合併の条件はどうなるかということですけれども、そこまでは実は考えてなかったのですけれども、そうなったらあるいは合併の条件というものをもう一ぺん相談し直さなければならない事態かとも思います。
  142. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そのお答えだけ聞いておけばそれはけっこうです。  それから、午前中坂本君から伺ったことですけれども、両組合役員の問題です。全木のほうが十三名、日木のほうが九名ということでございましたけれども常勤役員がそれぞれ一名だという話を聞きました。  そこで、その両組合常勤役員の氏名、年齢、報酬、賞与そういったものについてひとつ聞かせてもらいたい。
  143. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 日木のほうの組合——これは組合長と申しますけれども、鶴丸実次さん、七十一歳、それから全木のほうは理事長宮本安雄さん、六十七歳でございます。それは役員うちの、朝も申し上げました、常勤一名ずつというのが、それぞれ理事長と組合長でございます。
  144. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それから、いま申し上げましたように、それの報酬または賞与、そういったものはどのぐらい払われていますか。最近の四十七年度なら四十七年度の例によって。
  145. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 日木のほうの組合長の報酬年額百九十四万円、全木の理事長の年額報酬額は三百六十万円でございます。
  146. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その賞与はどうですか。さっきから再三聞くのですけれども、賞与は出てきませんが。
  147. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 年収で、賞与込みでございます。先ほど申し上げました数字は年収の全額であって、賞与が込みで含まれている数字でございます。
  148. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ちょっと伺いますが、いま全木が三百六十万、それから日木のほうの鶴丸さんが百九十四万ですか、それが賞与も込みだとおっしゃるわけですね。日木のほうが内容もいいのでありますけれども、いいように私どもも思っていますが、そちらのほうの報酬なり賞与なりの金額がばかに安過ぎるように、一方は三百六十万、一方は百九十四万ということでございますね。あまりに違い過ぎますけれども、これはどういうわけですか。
  149. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 日木のほうの組合長の鶴丸さんとおっしゃるのは、おにいさんの会社が鶴丸海運をやっているというような例でもおわかりいただけますように、鶴丸さんは非常勤で、ほかのそういった関係会社といいますか、同族会社の役員を兼ねておられるので、この組合長としての年俸は安いというふうに私どもは理解しております。
  150. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは現在のいわゆる二つ組合が適用を受けている法律の上で、そういう役員が別の会社の役員を兼業をするということについては何ら差しつかえないわけですか。
  151. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 非常勤ならばよろしいようになっております。
  152. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ですから、いまの鶴丸さんとおっしゃる方は、おにいさんの会社の何か兼ねていらっしゃるというお話じゃなかったですか。そうすると、いまのお答えがちょっとおかしくなると思うのですが。
  153. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私、先ほど非常勤でにいさんの会社などの同族会社の役員を兼ねておられるのじゃないか、こういうことを申し上げたと存じます。
  154. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 非常勤で兼ねていて報酬はあるということですか。それは差しつかえないわけですか。  それでは重ねて伺いますが、この日木のほうのいわゆる非常勤役員さんといいますか、この人は何人、それから最低年齢と最高年齢、さらに全木のほうの非常勤の方々の最低の年齢と最高の年齢、人数、そういったものについて知らせてください。
  155. 阿部雅昭

    阿部説明員 全木のほうから申しますと、全木の役員は、常勤の宮本さんのほか十二人の方がおられます。それでいろいろ年配の方もございますが、顧問の東条さんという方が八十五歳になっておられます。それから日木のほうでございますが、鶴丸さんのほかに非常勤役員八名おられますが、最高の年齢の方は小林さんとおっしゃる方、七十七歳の方がおられます。
  156. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最低の年齢は幾つですか。
  157. 阿部雅昭

    阿部説明員 最低の方は、全木では四十九歳の鈴木さんという方、それから日木のほうでは隅田さんとおっしゃる五十六歳の方がおられます。
  158. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 将来これらの二つ組合が、どちらがどうなるかわかりませんが、合併をしたとして、現在の非常勤理事あるいは両組合長、こういった方々が、やはり新しくできる組合の中心の幹部になるんじゃなかろうかと私は思うのでありますけれども、そうした場合に、いま伺いますと、最高年齢八十五歳、一方日木のほうは五十六歳ということでございますけれども、鶴丸さんのごときは七十一歳というようなことになりますと、非常に老齢化しているように思うのですが、こういった老齢の方に、たいへん失礼なことばかもしれませんけれども、実際問題として新しい組合の運営が可能なのか、そういう点について私、疑問に思うものですが、いかがでしょうか。
  159. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 御老齢という御指摘もございましたけれども、この方々は、おそらく木船の会社の仕事を現に元気でやっておられて、それでなおかつ無給でこの組合のためにもお働きいただいていると思いますので、常勤でもありません。おそらく、役員会に出ていただいて、というようなことでいろいろ御相談するというようなことには、十分おつとめいただけるのじゃないかと思います。
  160. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それはまた、多年の経験があることでございますから、そういう方を大いに活用していただくのはけっこうでございますけれども、やはり私は、非常に老齢化しているその年齢から考えまして、はたしてこの新しい出発をするについて、そしてまた今度は再保険もないわけでありますし、経営がこれからどうなるかということを考えたときに、新しい体制をつくりあげるまでは、やはり中心幹部というものがちょっと高年齢じゃないかというふうに思いますが、それを他から持ってくるとかあるいはお役所のほうから天下りするとか、そういったことは全然考えていないわけですか。
  161. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 考えておりません。
  162. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは一応その点はそれでけっこうでしょう。  それでは次に、両組合とも職員の退職制度といいますか、退職の規定といいますか、そういったものがいずれもあるだろうと思います。そこでその二つ組合が、いずれがいずれを合併するかわからぬとしてみても、とにかく資産の内容に差があり過ぎると思うのですね。そういった点から、一ぺんこの職員というものは退職をして、そこで清算をして、それからまたこれは引き続いて使ってもらえることを前提のもとに退職をして、退職金の清算をする、それでないと、制度そのものが違うんだし——おそらく同じじゃないと思います。これは聞いてみなければわかりませんが。そういうところで、退職金というものを一体どういうふうにお考えになっているのか。それからまた、その職員の退職金は一体どれぐらい積み立ててあるのか、その辺のことをひとつ伺いたいと思います。
  163. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生指摘のように、資産内容が多少違うと思いますし、いままたお答えしますけれども、退職金の積み立て状況なんかもかなり差があると思います。ただ、具体的に退職の手続などをとりまして新しく採用するのかどうかという点については、私ども、実はそこまで現状ではつまびらかにしておりません。私ども、新組合両方で仲よく一本にまとまってやっていただきたいので、その点について十分今後話を聞いて、必要があったら監督もしていきたいというふうに考えております。
  164. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 職員のほうは、若干なりとも三百トン未満鋼船対象になってくるわけでありますし、仕事もふえるだろうと思いますから、おそらく首にするというようなことはあるまいと思いますが、職員の身分の保障は完全にするということがあらかじめ役所のほうにも申し出があるのか、そういうことは一切まだ考えてないのか、その点はどうでしょうか。
  165. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 特にその件について私ども組合に確かめたということはございませんけれども、新しく鋼船の仕事が加わりますけれども、何ぶんその職員両方集めて三十人程度というふうな小さい世帯でございますので、仕事がふえて現在の陣容でやっていくことが精一ぱいであろうと思いますので、強制的な首切りなどというものは当然起こらないと思いますし、両組合とも現在の陣容で新しい仕事も取り入れてやっていきたいということは、私どもに話が来ております。
  166. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、合併の条件等については、一応きょうはこの辺でとどめておきますが、問題を変えまして、小型鋼船等の海難状況についてお尋ねをしたいと思うのです。  最近、四十七年における、漁船を除いた一般船舶の救助を要したところの海難の件数はどれぐらいあったものか、四十七年度数字をひとつ教えていただきたい。     〔佐藤(孝)委員長代理退席、委員長着席〕
  167. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 海上保安統計によってお答えをいたします。  四十七年の要救助海難発生数は二千六百五十七隻でございました。そのうち漁船は千二百十三隻ございまして、残り千四百四十四隻が一般の船舶の海難事故隻数でございます。そのうち動力鋼船が約半分の七百九隻ございます。そのうちで五百トン未満の海難の発生隻数が四百九十五隻で、動力鋼船の発生事故件数のうちの約七割と思います。それから、そのうちで全損、行くえ不明の船がございました。その事故について申し上げますと、全隻数は四百七十一隻、そのうちで動力鋼船が九十四隻、そのうち五百総トン未満隻数が七十八隻でございます。
  168. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ちょっと、私前に伺ったのは、いま局長の言われたように、漁船を除くと千四百四十四ですか、そのうち動力船の鋼船が七百九でしょう。それから木船が四百九十五と違いますか。
  169. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 そうです。
  170. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それから無動力船が二百四十、そうですね。で、私伺いますが、この無動力船というのは全部木船なんですか、それとも鋼船もあるんですか。
  171. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 無動力船と申しますものの中には、はしけ鋼船などはやはり一部含まれていると思います。それで、櫓かいを使っている木船、そういったものもあると思います。
  172. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、あらためていま聞きますけれども、動力船の鋼船の、さっき五百トン未満というお話もありましたけれども、一応今度対象になるものが三百トンという線が引かれておりますので、この三百トン未満という線で切った場合ですね。この七百九の動力鋼船を三百トン以上のもの、三百トン以下のものと分けた場合にどうなりますか。
  173. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 申しわけないんですが、先ほどもお断わりしましたとおり、海上保安統計は五百トンで切っておりますので、実は手元にその数字ございません。海上保安庁と連絡をいたしまして、その数字はこれからできる限り早い時期につくり上げようと思っております。
  174. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は、やはりここで三百トンという線を引いたんですから、四十七年度の漁船を除いたところの一般船舶の救助を要した海難事故というもので、一体三百トンという線で引いたらどうなんだという線が出てこないと、これは何のために三百トンにきめたのか、その理由もわからないですよ。私には理解できない。さっき紺野さんからもそういった点についてお話があったのです。ですから、やはり海上保安庁のほうが、要するに五百トンの線で切った統計が出ているから、それをいま御説明になったんだけれども、私はやっぱり三百トンという線が当然出てくるべきじゃないか。それを掌握した上で三百トンという線で切るということがきまったんじゃないかというふうに私は考えていたわけですけれども、そういうことについて全く海上保安庁まかせで、しかも五百トンという実績があるだけであって、何ら海運局が、三百トン以上が何隻、三百トン以下が何隻ということを掌握してないというのは、ちょっと私は不見識だと思うのですけれども、どうでしょうか。
  175. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 その点はまことに申しわけございません。できるだけ調べまして、数字を御報告をさせていただきます。  ただ、私ども三百トンで切りましたのは、実はほかに理由がございます。と申しますのは、木船から鋼船への代替状況を四十三年度から四年間四十六年度まで見てみましたら、建造されている隻数九百五十九隻の総トン数が二十四万五千トンでございまして、一隻当たり平均トン数が二百五十六トン、したがって二百トンと三百トンの間の船がおおむね過去四年間に木船から鋼船への代替された船舶として建造されてきたということが一つの調べた材料でございます。  なおまた、同じ年度に四十三年度から四十六年度までの自己資金の貨物船建造状況を調べましたところが、全部の建造隻数七百九十五隻、十六万七千トンということで、これまた平均トン数が二百十一トンということで、三百トン未満という平均の数値を示しております。なお、全隻数の七百九十五隻のうちに三百トン未満の船が六百八十五隻ございまして、八六%であるというこういうような数字から、大体木船が代替されて鋼船にかわる船の姿の実態、それからその木船がかわる海運活動を同じようにする鋼船というものは、この程度の船につくりかえられていくであろうということを予想して三百トンということで切ったのでございます。
  176. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長からるる三百トンの線を引いたところの説明がありましたけれども、この三百トンというものをきめたというのは、やっぱり損保のほうからの抵抗があったんじゃないかというふうに私は聞いているんですけれどもね。当然のこと、いわゆる鋼船というのは、俗に、ざっと言えばば五百トンというのが一つのレベルじゃないかと思う。そのレベルが五百トンときまっているから海上保安庁でも五百トンというものを一つの線として調査をしていままできていると思うのですよ。ところが、ここであんまり五百トン未満のものまでも新しい組合にやらせるということになると、損保のほうが自分の領分を侵されるということになって、これに対してけちをつけたんじゃないか。だから結局、歩み寄って三百トンというところにきめたんじゃないかというふうに私は思うのですけれども損保のほうから海運局長、押し切られたのと違いますか。
  177. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 そういう事実はございません。私どもは、小型鋼船について再保険関係などで損保と仲よくやっていかなければいかぬということも考えておりますし、また、従来の木船とこれから新しくやる小型船を含めた新組合損保と共存共栄の関係でやっていくということはこいねがっておりますが、三百トン云々について損保業界と云々という事実は別にございません。
  178. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これはやはりいままで二つ組合がやっていたのを、一つになって新しく基盤強化しようというのでありますけれども、いずれにしましても、木船をやっていた組合が、鋼船の分野まで進出するということについて、従来損保のほうでは、いわゆる鋼船をやっていたわけですから、自分の領域を侵されるわけですよ。ですからこれは好まないわけです。そういう政府の指導により新しい組合鋼船三百トン以下をやるんだといって販路を拡大してくるわけです。損保のほうにとってみれば、自分たちの販路が要するに侵略されてくるということになるから、当然のこと、これに対して異議を唱えることだろうと思うのです。確かにいま局長の言われるように共存共栄するんだとおっしゃるけれども、こういうことになることを事実損保としてはあまり好まなかったのじゃなかろうかと私は思うのです。しかし、まあまあ運輸省からたっての話だから、ひとつ三百トンの辺でがまんしよう、こういうところと違いますか。
  179. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 そういう事実はございません。
  180. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは大蔵省の保険部長にお伺いします。  いまもいろいろ申し上げましたけれども、民営の損保会社にしますと、この木船保険はいままで非常に危険もあるということで敬遠してやらなかったと思うのですね。割りのいい鋼船だけやっておったと思うのですよ。だから、やむを得ず木船に対しては二つ組合が自主的に、自分たちで相互保険を始めて、しかもそこへ政府で再保険をして保護してきた、こういうことだと思うのです。この法案か成立するとすると——いつ成立するかわかりませんよ。成立して、そうしてまた新組合が設立される。そうなりますと、三百トン未満鋼船というものは新しい組合のほうに持っていかれるということになるわけでありますけれども、言うならば商売がたきが出現することですね。ですから、結局損保会社のほうでも初めは反対だったと思うのですね。しかし、三百トン未満のものだからやむを得ないだろうというようなところでこう折り合ったのじゃないかというふうに思うのです。そこで、資本力からいいましても、経営の規模からいっても、要するに損保の会社というのはたいへんな力を持っておる。したがいまして、この新しくできる組合に対して弱い者いじめになるのじゃなかろうかというおそれを私は持つのですが、そういうことの疑念はありませんか。
  181. 安井誠

    ○安井説明員 損害保険会社も、現在この法案が提出されます前に、この案につきまして異存がないということを申していたわけでございます。  いま先生の御指摘の、これから意地悪をするのではないかというお話でございますが、この新しく鋼船を取り扱います合併後の相互保険組合に対する保険料率も、運輸省と御相談をいたしますけれども、私どものところで認可をいたすことになりますし、同時に、私どものほうが保険会社に対する鋼船保険料率の認可権限を持っておるわけでございます。さらに、先ほど海運局長からお話ございましたように、この鋼船につきましては、再保険損保会社に出すということも言っておられるわけでございますから、両者相まって、従来木船につきまして、先生指摘のように、それぞれ相補って木船保険のサービスができたわけでございますので、将来もその方向にいくように私どもとしても指導してまいりたい、かように考えております。
  182. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 損保会社がいままで扱っていた三百トン未満の綱船、はしけを除いて一体どれくらいあったものでしょうか。
  183. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私どもが大蔵省のほうから承っております数字では、はしけを除きまして、小型鋼船三百総トン未満加入対象隻数が八千九百十六隻、それに対して加入隻数が七千七百九十一隻、八七・三%という加入率でございます。
  184. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは保険部長さんに伺いますが、やはりそちらのほうでは、数字というのは、いま海運局長がかわって答えられましたけれども、つかんでいないのですか。
  185. 安井誠

    ○安井説明員 たまたま手元になかったわけでございます。この資料保険会社のほうから海運局長に差し上げた資料でございます。
  186. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 要しますと、そうすると、八千九百十六ですか、そのうちから七千七百九十一というものが加入しているということになると、その残りというものは未加入なわけですね。この未加入のものがそっくり新しい組合に来る可能性があるのか、それともそのうちの何割かが来るのか、この辺に対する見込みはどうなんですか。
  187. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 同様な数字が、はしけを含みましたら加入対象隻数が一万四千百七十八隻ございまして、それに対する加入隻数が一万七百二十二隻、したがって七五・六%という加入率でございます。私どもはしけも含めまして、この残りました二五%の未加入の分野に新しい仕事を拡帳もしていきたい、加入を求めていきたいというもうに考えております。
  188. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうなりますと、初年度、これは年の中途から始まるわけでありますけれども、平年度として考えた場合に、大体、一年間にどれぐらい見込みがありますか、新組合に入ってくるまうは。
  189. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども、実は木船と小型綱船とが含まれました今後の新組合の先行きがどうなるだろうかということをいろいろ考えましたときに予定しました隻数としましては、鋼船については年間八十隻ぐらいずつということを考えておりますので、五年間通計いたしますと、約四百隻ぐらいという予定を立てております。
  190. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。  それで、大蔵省の保険部長に伺いますが、三百トン未満鋼船に対する保険料率の算出、これは新しい組合としては全然手がけたことがない分野を新しく手がけることになるわけでありますが、そうなった場合に、新組合としては、料率の算定についてはかなりむずかしい面があるんじゃなかろうかと思いますし、また、この算定のいかんによっては、今後の経営の成否につながってくるものと思います。重大な関心を持っておるものだと思うわけです。  そこで、大蔵省保険部としては、この料率の面、あるいは経営、経理面について指導監督を行なっているという立場からして、この保険料率の算定についてはどんな姿勢で臨まれるお気持ちがありますか。
  191. 安井誠

    ○安井説明員 現在、鋼船保険料率につきましては、保険業法上は認可料率というたてまえになっておりまして、独占禁止法の適用は除外になっておりまして、現実には船舶保険連盟というのが損害保険協会の中にできておりまして、そこが資料を集めまして、非常に技術的な問題でございますので、私どものほうは標準的な料率を認可いたしまして、そのあと、たとえばその保険を付されている船の過去の成績であるとか、航路であるとか等、いろいろ勘案してきめるというたてまえをとっておるわけでございます。しかし、この鋼船の中で百トン未満鋼船になりますと、個々の船主がそれぞれ損害保険会社と交渉するのもたいへんでございますので、範囲料率と申しますか、一定の料率をきめまして、それにまた一定の範囲内での割り増し、割り引きをする形によりまして、非常に簡単に付保ができるというふうになっておるわけでございます。したがいまして、今後船主相互保険組合のほうで扱われます場合には、当然船舶保険連盟のほうと連絡もとっていただければ、また私どもを通じてもやれると思いますが、過去の小型鋼船につきましての損害率等を十分検討した上で、その船主相互保険組合での新しい保険料率をきめることができるであろう、かように考えているわけでございます。
  192. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうしますと、結局新しい組合に対しては極力あたたかい目をもって指導、そしてまた監督を行なっていくという基本的な姿勢はあるわけですね。こう確認してよろしいですか。
  193. 安井誠

    ○安井説明員 そのとおりでございまして、少なくとも保険料をきめますときに、保険会社の立場よりはユーザーでございますところの船主の立場を考えてきめていかなければいかぬわけでございますし、また、この相互保険組合はまさに船主の集まりでもございますし、よくそういうお立場、おっしゃった線に沿って処理してまいりたい、かように考えます。
  194. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、どちらがどう吸収するかわかりませんけれども、いずれにしましてもこの秋には新しく発足されるであろうというような一つの見込みが立つわけです。  そこで、発足してからこの営業成績がどのようになるかということは、もちろん当事者の努力もさることながら、大体どんなふうなお考えでいるのか。営業成績に対する見通しについて、海運局長と大蔵省の保険部長、お二人から、その将来を占ってもらいたいと思います。
  195. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船の仕事と鋼船の仕事が重複してまいります。まず木船の仕事につきましては、大体過去の実績を調べまして、加入隻数が四十九年度から大体五年間ぐらい見通しましても年間六・二%くらい過去の実績から言うとどうしても減ってまいります。たとえば二千隻ございましたら百二十隻ぐらいずつ減っていくのはしかたがない、こういう予想に立ちまして収支をはじきますと、木船の収支は遺憾ながら先細りになるということはやむを得ません。  それから、次いで鋼船について申し上げますと、先ほど申し上げましたように、平均八十隻、初年度は七十隻から、次年度は七十五隻になり、三年度は八十隻になり、八十五隻になり、九十隻になる、合計で四百隻ぐらい五年間で入っていくということを仮定いたしまして、この収支はだんだんとよくなってまいります。  そこで、木船鋼船とを一緒にいたしまして、私どもは四十九年度を初年度考えましたら四千二百万円程度の黒字、それから五年目の五十三年度は一億一千万円程度の黒字、こういうことを試算としてははじいてございます。
  196. 安井誠

    ○安井説明員 大体の見通しはいま海運局長の話されたとおりだと思いますが、私ども保険行政の立場から申しますと、船舶保険のほうは、非常に変動の激しい保険でございます。と申しますのは、その年に事故が起きなくても、大きな船が沈没しますとたいへんな損害が出てくるわけでございまして、損害率が非常に変動しておりますので、単年度ごとでの収支にはそれぞれのズレがあろうかと思いますけれども、長い目で見ました収支につきましては、当然保険料率のほうで修正をいたすことになりますので、結果的には海運局長の言われたような線で進むであろう、かように考えております。
  197. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これであらまし終わりましたが、ちょっとこの機会に伺っておきたいことがあります。木船の沈廃船がかなりはしけだまりに醜い姿をさらしていた。まあ最近は少なくなったようでございますけれども、この処理の方法について、それは当然所有者、持っていた船主が処分すべき問題でありましょうけれども、なかなかそれをやらないでおっぽらかしてしまうという状態があるように聞いております。この場合に、港湾管理者の責任でやるのか、この辺のところはどうなんでしょうか。海上保安庁としては、どのようにこれに対する対策をお考えになっておられるか。
  198. 勝目久二郎

    ○勝目説明員 港湾内にはしけの沈廃船が従来あって、問題になっているということは事実でございます。そこで、持ち主のはっきりしておりますようなものにつきましては、当然持ち主が処分をしなければならないわけでございますが、ただ、現実の問題といたしまして、持ち主がはっきりしない、したがって適当な責任者が見つからないという場合があるわけでございます。そこで、それにつきましては、港湾の機能の維持改善、それから環境の整備という面から、これは何らかの予算措置を講じ、港湾管理者において処理をすべきであるというように考えまして、本年度、一部につきましてその補助制度が成立をいたしております。したがいまして、四十九年度から計画的にそういうものの処理をするということにいたしております。
  199. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その廃船がもうおっぽらかしてあるということ自体、私どももちょっと疑問に思うのでありますけれども、いずれにしても鋼船に代替する場合に木船をつぶす、そういった場合に、その木船をつぶしたという証拠がなければ鋼船をつくることはできないんだ、こういうふうに私どもは理解するのですけれども、実際問題としてそうなっていないのですか。木船はかってにもうつぶしたということにしておいて、どんどん代替の鋼船ができてしまうのかどうか。そうでなければ、そんなに木船の沈廃船がその辺にころがっているということは考えられないと思うのですけれども、この点はどうなんでしょうか。
  200. 阿部雅昭

    阿部説明員 代替建造にあたりましては、必ずつぶしたということを確認することが、これは政策的にも必要でございますので、自己資金にしろ、あるいは公団船でつぶすにしろ、必ず船ができるまでにはそのもとをつぶしたということを現に確認し、それから解撤するということの船舶関係の登録もきちんと抹消させる、その際に廃船の処理もきちんとさせる、あるいは一定の焼却場に持っていかせるとか、その他指導を現地でいたしております。
  201. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もだいぶ少なくなりましたし、あと二、三分ということでございますので、最後の一問だけ伺っておきます。  過剰はしけの買い上げの状況について、進捗状況はどんなふうになっているか、この点をお答ういただきたい。港湾局じゃなければわかりませんか。
  202. 阿部雅昭

    阿部説明員 先般、港湾局から資料はいただいておりますので、その資料に基づいて御説明いたします。  二月二十日から二十八日まで買い上げということで、過剰はしけの買い上げ申し込みをされまして、申し込みの受け付け状況の表でございますが、はしけとそれから機付はしけに分かれますが、合計で見ますと、木船で買い上げの申し込みがございましたのが千百五十二隻、十八万三千五百十七トン鋼船で百十二隻一二万四千九百三十五トン、一合計で千二百六十四隻、二十万八千四百五十二トン、このほかに引き船がございまして、三十八隻の三千三百四十馬力、これだけの買い上げ申し込みが港湾運送近代化基金のほうにあったようでございまして、これの取り扱いについては、現在港湾局及びその基金のほうで予算的な面その他の点から検討しておられるというふうに伺っております。
  203. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一つ、これはわかったら答えてください。  補助金の交付は行なわれたことを聞いていますか、それともこれはまだですか。
  204. 阿部雅昭

    阿部説明員 現在、予算規模その他から照合中で、まだ交付はされていないものと私は聞いております。
  205. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 所管が違うのでありますから無理もないと思いますけれども、やみはしけの対策の点についてはどのように聞いていらっしゃるか、この点を最後に伺って終わりにいたしたいと思います。わからぬければわからぬと答えなさい。
  206. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 まことに申しわけございませんけれども、港湾局の所管でございますので、ちょっと私からお答えしかねます。
  207. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上で終わります。  最後の問題については、実は政務次官がいれば当然伺うべき問題であったわけでありますが、政務次官が途中、ハイジャックの問題で退席をされましたので、やむを得ず所管外の方に聞いたことでありますが、それで、実はなお海上保安庁の関係でもう少し詰めたい問題がございましたけれども、時間も参りましたので、きょうはこれでできません。したがいまして、明日でもまた海上保安庁のほうはお伺いすることにいたしまして、きょうはこれで終わることにいたします。
  208. 三池信

    ○三池委員長 河村勝君。
  209. 河村勝

    ○河村委員 いま松本委員質問の中で、三百トン未満の海難の統計がないというのを、ただ別段、損害保険会社からの圧力でもない、あるいは海上保安庁の統計が五百トン未満になっているというだけの返事で、全然統計がわからぬというのは、これはほんとうはたいへん重大なことで、わかりませんで済むはずのものじゃないですよ。これから小型鋼船を新たに加えて、それで保険業をやろうというわけでしょう。そうであれば、三百トン未満の海難事故がどの程度あるのかというのはすべての基礎であって、それをもとにして一定の保険数理によって——保険料率というのはそうべらぼうに大きく動かせるものではないんだから、それを計算して、その上で大体これを法律でもって組合員にやらせるわけですからね。それでもって大体採算がとれるかどうかという大見当をつけないでこの法案を提出したというなら、こんな無責任なやり方はおよそありませんよ。一体ほんとうにそういうことなんですか。
  210. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 三百トンで切っていないという点についてはまことに申しわけございません。手元には、実は五百トン未満隻数統計しかございません。で、さっそく調査をいたしますが、一隻ずつのカードで調べるということでちょっと手間がかかるということは申しわけないと思っております。  なお、保険につきましては、実はすでに民間損保の状況などを大蔵省から承って、今後の保険収支の見通しなどを立てる基礎には使わせていただいたということを、この際申し上げたいと思います。
  211. 河村勝

    ○河村委員 これから損保から収支の見通しを伺うというのは一体どういうことなんですか。これから新たに仕事をやろうというのに、収支計算の一番の基礎になるものを、これから資料を整えるのに時間がかかりますというのは一体どういうことなんですか。
  212. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 申し上げ方が悪かったと思いますけれども、これから調べるのではございません。民間損保損害率などを承って、収支は私どもで見通しをつけてすでにはじきました。海難統計については、申しわけございませんけれども、三百トンで分けるということについて若干の時間がかかるということを申し上げたかったのでございます。
  213. 河村勝

    ○河村委員 保険会社から聞いて収支計算の見通しをつけたというけれども、それならば小型鋼船うちで三百トン未満の海難というものが基礎にならないで、どうして収支計算ができるのですか。
  214. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 民間損保実績を伺いまして、大体私ども損害率、ロスレシオを四一%ということで、小型鋼船について収支をはじいたということでございます。この基礎について大蔵省のほうからいろいろ民間損保実績を伺った、その結果、ロスレシオを四一%として私どもは収支の見込みを立てたということでございます。
  215. 河村勝

    ○河村委員 しかし、それならば五百トン未満のものを対象とした収支計算でしょう。三百トン未満と限定したものではありませんね。そうすると五百トン未満も三百トン未満も海難の状況はまあ大体同じであろうという大ざっぱな見当でこの法案をつくった、こういうことですか。
  216. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 民保資料も五百トン以下の資料だそうでございます。
  217. 河村勝

    ○河村委員 ちょうど大蔵省の保険部長がおられるが、一体、大蔵省もこれは大体よかろうということで協議に応じたわけでしょう、正式の協議かどうか知りませんが。大蔵省としても大体五百トン未満も三百トン未満も海難状況にはあまりたいした違いはない、そういうことでまあよかろうと、こう言ったわけですか。
  218. 安井誠

    ○安井説明員 先ほど海運局長からお話しがございましたように、私ども保険会社のほうで持っております資料も、百トン未満とそれから百トン以上五百トン未満というふうな区分をいたしております。私どもといたしましては、この新しい組合ができまして保険料率の認可申請が出てまいりますし、またさらに事業方法書も認可申請の要件になっているわけでございます。その際までに、大体いままでの木船の場合に比べてみましても、木船相互保険組合対象にしておりますものと、それから損害保険会社が対象にしておりますものと、それほど大きな差もないようでございますので、収支計算はその際、損害保険料率をきめる場合に見れば十分やっていけるであろう、かように考えておるわけでございます。
  219. 河村勝

    ○河村委員 大蔵省の立場はそれでいいかもしらぬけれども運輸省としては、これを立案しようというからには、そのくらいのことをやってなければおかしいでしょう。そういう意味で、大体当てずっぽうで、常識的にこんなことだろうといってやるような性質のものではない、私はそれが一番問題だと思いますよ。  それじゃその問題は一応、一ぺんどういうふうになっているか、資料出してみてください。  私は根本的に、一体木船がなくなりつつあるこういう時期に、あらためて小型鋼船を入れてもう一ぺんこれを永続させようという必要があるのかないのか、そこのところに非常に疑問を持っているのです。  そこで伺いますが、そもそもこの法律昭和二十五年に制定をされましたね。もちろんそれは、その前から木船保険組合というのはあったけれども、それがなくなったあとで、そのときの立法趣旨、一体なぜこれをやらなければならないか、あるいはやるべきであるかという主要な目的は何ですか。
  220. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生指摘のように、戦時中昭和十八年に制定された木船保険法というのがございました。それが十八年から二十三年まで五年間行なわれましたけれども、大戦後のいろいろな情勢の変動、さらに占領下というような事情もございまして、木船保険組合は二十三年八月に解散をいたしました。それで、国の再保険制度もそのときございましたけれども、結局二十二年四月以降は再保険が行なわれないことになったのでございます。  そこで、この旧保険制度廃止の後に、当時戦後の経済復旧の途上にありました時期にあたりまして、木船隻数もどんどん増加する傾向でございましたので、本格的な木船保険制度を再建する、再びつくるという必要が痛感されるに至って、昭和二十五年に船主相互保険組合法が施行されて、二十六年に同法に基づく現在の木船保険組合が設立されたと承知しております。
  221. 河村勝

    ○河村委員 それは経過的な説明であって、なぜ民間保険にやらせないで、国が再保険までして法律組合をつくってやらなければならぬかという、その趣旨として私の聞いているところによれば、木船というものは非常に危険率が高いから、だから民間保険会社があまりやりたがらないというのが一つである。もう一つは、大型船舶の損保と違って、それだけではカバーできないような面があるから、それをカバーするのが目的であると、そういうようなことを聞いているのですが、大体そんなことなんですか。
  222. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 そのとおりだと思います。
  223. 河村勝

    ○河村委員 ところが、実際木船保険については民保があまりやりたくないという話は、危険率が高いということであったけれども、その後の統計上、木船鋼船に比べて危険率が高いという統計的な事実はありませんね。そうですね。
  224. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船組合損害率をずっと調べていきますと、それぞれ組合が別になっておるので若干数字は違いますけれども、二十八年から四十七年まで平均いたしましてロスレシオは六二・二%で、当初予定しておった損害率よりも比較的低く済んできたというのが実情だろうと思います。
  225. 河村勝

    ○河村委員 比較的少なく済んだというよりも、鋼船よりも危険率が高いということも言えないのでしょう。
  226. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 損害率としては鋼船よりは木船のほうが高いと思います。先ほども申し上げましたように、鋼船のほうは私ども今後の損害率をはじくのに四一・一%という数字を用いましたけれども、やはり損害率自体としては木船のほうが高いと思います。
  227. 河村勝

    ○河村委員 それなら一ぺん出してください。四十七年度資料だけさっき説明がありましたね。鋼船については七百九件、木船については四百九十五件、大体数は同じぐらいですね。いま小型鋼船とそれから木船との数は、大体五〇%ぐらいのシェアで、それで実際の被害の数は木船のほうが少ないじゃないですか。
  228. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども先生指摘の点はもうちょっと分解をしてみたいと思いますが、無動力船というランクがございまして、この中に木船鋼船とが両方入っていると思いますので、その点も私ども調べなければいけないと思います。  それからなお、海難の発生状況で調べていくのも一つの方法でございまして、先生指摘のように、私どもこれを三百トンで切って調べてまいりたいと思いますけれども損害率と申しますのは、実際の収受した保険料の全体を分母としまして支払った保険金額を分子としたのをはじいてございますので、これとこの全損の関係とがどういう関係にあるか、私どもうちょっと勉強をさせていただきたいと思います。
  229. 河村勝

    ○河村委員 まあ、しかし一般的にいって海難が主たる対象ですよ。そうであれば無動力船の割合がどうなるにしても、少なくとも動力船だけで比べれば、小型船の中で木船鋼船が大体現在パーパーである。それで海難の数が鋼船のほうがだいぶ多いということであれば、少なくとも木船のほうが分が悪いという事情は、この第一の立法趣旨であった目的は、事実上解消しておるということでしょう。
  230. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 この全損、行くえ不明船の成績だけを、事故発生件数だけを見てみましたら、四十七年の海難隻数四百七十一件のうち鋼船が九十四隻、木船が百七隻でございますが、このもとになっている鋼船隻数が、小型鋼船三百総トン以下をとりまして、私ども一万四千隻くらいと思っておりますので、鋼船全体の数字としては隻数がたいへん多いと思います。  それから、木船のほうは、私どもが申し上げております、先ほどの表にもございました、一万五千隻程度でございますが、この鋼船のもとの数字は、三百総トン以下の数字だけをとって、一万四千隻余りでございまして、全体の鋼船の数としては、もっと多いと思いますので、かりに、発生の隻数が同じだといたしますと、鋼船のほうが発生率は少ないのじゃないかと私は思いますが、その点はもう一度調べさせていただきます。
  231. 河村勝

    ○河村委員 とにかく、木船が商売にならぬというそういう根拠はなくなったわけですよ、実際これを運営してみた結果からいっても。現に非常な利益が出て、もうお家安泰で再保険もいらないくらいになってきているわけですから、間違いないところですね。  そこで、二番目の理由でありますけれども、一体、大型船の普通の損害保険でカバーできないような何か特別のいいことがあるという話であるけれども、一体それはどういう特別の利益があるのですか。
  232. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 ちょっと先生のおっしゃった点、申しわけございませんが……。
  233. 河村勝

    ○河村委員 こういうことなんだ、同じような保険をやるなら、これから何も小型鋼船をわざわざ国の法律の中に取り込んでやる必要はないわけだ。何か一般の保険では、相互保険として組合員の分がいいようなことがなければやる意味はあまりないでしょう。それが、つくったときの提案の趣旨説明によれば、大型鋼船船主が船舶の運航に伴って負担する費用及び責任については、現在損害保険会社の船舶海上保険約款では、担保されない範囲が少なからずあるから、だからこういうものをやるんだ、こういうような説明であるわけですね。そうであれば、一般の損害保険で担保されないようなもので、本法に基づく保険で担保されるものはどういうものがあるか、そういうことを聞いているのです。
  234. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生いまお話ございましたのは、当初に船主相互保険組合法ができたときでございまして、それで船主相互保険組合法の制定理由の第二にあがっておりますのは、大型鋼船船主は、現在やっております木船相互保険組合とは違って、船主責任相互保険組合というもので、大型の船主が入ってここでやっておりますのは、船体保険ではございませんで、その鋼船運航に伴って生ずる自己費用及び責任に関する相互保険たる損害保険事業を行なっておるということでございまして、一例をあげると、鋼船の、主として大型の船ですが、その運航に伴って、桟橋やドックに損害を与えた、そういったこととか、第三者の人に損害を与えたとか、そういった面のことを保険をしておる、船主責任相互保険組合のほうのことをここに書いておるのです。その当時、実は現在もそうであるように、この種の保険については、損保会社が引き受けなかった。そこでこの注律をつくってやるということになったということで、この大型のほうの船主責任相互保険組合のほうの理由であると思います。
  235. 河村勝

    ○河村委員 そうであれば、現在この木船保険でやっておるものは、一般の保険と比べて別段格別の利益がある、プラスアルファがあるというものではない、普通のものだ、こういうことですね。
  236. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 内容においてはそうだと思います。そこで、木船組合の二組合でそれぞれほぼ一千隻ずつ、あわせて二千百四十三隻ということをこの組合でやっております。これは組合員の相互扶助で、共済制度みたいなもので、利益を目的としないでやっているという一つのグループがございまして、それ以外に一千隻というものが民保保険で、保険会社二十社に分かれて木船保険民間で行なわれる。これのほうは利益を目的としている、こういうことであります。
  237. 河村勝

    ○河村委員 そうなりますと、木船保険木船部分がこれだけ数が少なくなってしまった、これを民保に肩がわりするといっても別段抵抗はないでしょう、これだけの実績があるのですからね。危険率はそう高いわけじゃない。そして、やっている中身は一般の保険と変わりはない。特に今度は小型鋼船になれば、小型鋼船の三百トン未満については八五%民間保険に入っているわけでしょう。それで今度のやつは、国の再保険をなくして、民間が再保険するわけだ。そうすれば保険料率その他変わったものができるわけのものでもないな。そうですね。そうなると、一体何のために残さなければいけないのだろう。木船はもうなくなってくるのだから、民間に肩がわりしてそのまま自然消滅したって同じことじゃないですか。
  238. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 まず、木船について申し上げますと、実は先ほどのような、法律制定して二組合が設置されてから二十年以上たっておりまして、その間組合員が相互扶助を共済制度的に、自分らのために保険サービスをこの組合を通じてやらせてきた、またそのサービスを受けてきたという歴史がございます。利益を目的としないで、自分らの中の利益のためにだけやっているということでございまして、なお取り扱いの内容といたしましても、民間損保よりも、単純に比較はできないのですが、料率も比較的安く、サービスもいいというような点があって今日に至っていると思います。たとえばてん補率が、民間損保の場合は八割にしかすぎませんけれども組合の場合は十割のてん補があるとか、それから保険料の支払いが年間十二カ月のものを二カ月ごとに六回に分解できるという組合に対しまして、損保のほうはそうではないというような点とか、いろいろな点でやはり組合がいままで存立してきた意味もあったし、今後に残していくべき存在意義もあろうかと思います。  それから鋼船のほうは、おっしゃるとおりで、片一方には民間の業態がございましてそれでやっているということで、いまのところ不自由はないわけですけれども、やはり木船のサービスを続ける意味で、この上保険規模が小さくなりますと、保険組合の存立があぶなくなる。新しい仕事の面を小型鋼船の三百トン以下に見出して、保険サービスの維持向上をはかっていきたいということがその理由でございます。
  239. 河村勝

    ○河村委員 だから、そうなりますと、要するに木船保険が成り立たないから鋼船をプラスしていこうというだけであって、積極的に鋼船に広げていこうというメリットというのは別段ないわけですね。そういうことですね。
  240. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども、やはり鋼船木船と一体と考えて今後やっていきたいというふうに考えております。
  241. 河村勝

    ○河村委員 しかしそれはおかしいのだな。現在すでに八五%民間がやっているのを、わざわざなれない仕事を、国が出ていって、もうけ仕事でないと言ったって、保険会社の中で小型鋼船なんかほんの一部だから、そこにかかる管理費などというものは安いものです。ところが、別に小さな規模でやっておればそれだけ管理費がよけいかかるのです。さっきも理事長が三百六十万円取っているとかなんとかという話も出たが、どうしても管理費が高くなるのはあたりまえだから、それは利益を目的にしなくたって諸経費のかかりぐあいはどっちが高いかわからないようなものですよ。だから、要はこれだけ基金があるのですから、なくなるまで基金をつぶすつもりでもってやっていけばどうということはない。いつの間にかなくなる。どうせもう木船はつくってないのでしょう。だから、なくなるまでやっていればいい、そういう考え方も当然あり得ると思うのですが、どうですか。
  242. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 現在木船の小さいほうの、日本木船相互保険組合は契約の隻数が四十七年度末で九百七十九隻ということになっております。これで六%程度どんどん減っていきますと、百隻くらいずつ年間減っていくわけでございます。おっしゃるように、九年間か十年間でなくなってしまえばそれでゼロ隻になることにはなりますが、保険事業というものは、やはりどこまでが適正規模かわかりませんけれども、もうこれ以上小さくなると保険の集団の規模として、たとえば損害率が平均六〇%でございますけれども、そういった損害率に小さい隻数では保険規模としてもたえていけない。事故が出たら支払いができないという事態になるので、この隻数がゼロになるまでこの保険事業が先細りでそのまま仕事は続けることは私はできないというふうに感じております。
  243. 河村勝

    ○河村委員 できなければ民間にそのまま肩がわりすればよろしいので、もう何ぼも残っちゃいないのだから、そういうものだけ特別な料金——いままでの料率を引き継いでやってくれと言えばどこでも引き受けますよ。それをいやだという保険会社はないはずだ。だから、結局どうしてもこれを維持したいというところが先決になってしまっているんだ。どうもお役所というのは、一回こうした機構をつくると、どうしてもそれを残しておきたいというのが先に立って、一体国民経済的にどっちが得だという判断がなくなってしまうのですね。一体、これをやるために今後一般会計で負担する——特別会計はなくなるのでしょうか、仕事をする係の運輸省職員の数は何人いるのですか。
  244. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども、実は組合員のためにできたこういう組織でございますので、できるだけ残していきたいということで、サービスの点においても、民間損保よりも組合員のためにはなっていると思いますので、残していきたいと考えておりまして、役所だけの考えではないというふうに御了解を願いたいと思います。  なお、その職員の数というのは、再保険特別会計のために従事している職員の数は現在海運局に六名おりますが、これは特別会計の仕事が終わりますと同時に実はなくなるということでございます。この引き継ぎにつきましては、私どもは一般会計に振りかえてこの職員の数は残して、海運局で今後新たに鋼船の仕事が加わる、こういった保険組合の監督のためにもその他の海運行政のためにも残していきたいと思っております。
  245. 河村勝

    ○河村委員 とにかく、何人かの人間がこの仕事を継続するために残るわけですよ。これはなくなればその人間だけが要らなくなる、そういうものですね。だから無理に残る必要は全くないので、内航海運の中では木船保険を継続するかどうかなんというのはほんとうは微細な問題で、どうせ数年でなくなることですよ。ですから、こういうものをまた適正規模を維持しておこうと思えば、小型鋼船がだんだん三百トン未満が少なくなったら、今度はもうちょっと五百トンに広げようかなんという話になって、だんだん保険会社と競合するようなことになってくるので、あまり役所がやることに適当なことではないと私は思うのですよ。海運局でやらなければならないことはほかにたくさんあるんですよ。特に内航海運なんかについては、ほかに重大問題があるんで、こういうことにかかずらわっていることは私はあまりりこうでない、こう思うのです。  それで、さっき木船から鋼船への代替建造が四十九年度は三万二千トンという説明がありましたが、その三万二千トンというのはどういう数字でしょうか。
  246. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 四十九年度三万二千トンと申しましたのは、全国の四十九年度予算の中で、木船鋼船とをつぶしまして鋼船貨物船をつくるべく従来に引き続いた制度予算を計上しているものが二万トン、それからそれ以外に、木船をつぶしまして鋼船をつくるという新たな制度をつくりますそのトン数が六千トン、それから産業廃棄物のために船舶を建造しよう、産業廃棄物船でございますが、これも内航貨物船の一種でございますので、これが六千トン、合わせて三万二千トンの内航船をつくるような予算を来年度船舶整備公団予算の中に計上してあるという説明でございます。
  247. 河村勝

    ○河村委員 いまの二万トンというのは、従来あった内航船の解撤建造ですね。この二万トンの中には鋼船をつぶすのも入っているわけですね、正確に言うと。だから、木船鋼船にするだけじゃありませんね。だから、いまの説明は間違いだな、木船から鋼船にするという意味であれば。
  248. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 二万トンの分は従来の制度のままでございますので、先生おっしゃるとおり、鋼船及び木船をつぶして鋼船をつくるというのが二万トン、それからその次のグループの六千トン、四億円というのを計上した数字予算にございますけれども、これは従来になかった制度で、四十九年度から木船をつぶして、木船の従来の船主がそのまま、協業化なども行なって鋼船船主として生き残ろうというので、木船だけをつぶして鋼船にかわるという制度のものが金額として四億円、トン数として六千トンということでございます。
  249. 河村勝

    ○河村委員 古い解撤建造制度を残しながら、一方で木船鋼船化を別に、これは解撤建造でなしに、一種の代替建造でしょうが、こういう二つを別々につくった理由はどういうわけですか。
  250. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私どもできるだけ、木船船主の方に鋼船化傾向促進していきたいと思っておるので、ことしから木船船主が持っている木船をつぶして鋼船にかわるという制度をつくったということでございます。いままでのは鋼船木船とをつぶしますけれども、その持ち主自体が新たな鋼船の持ち主になるということとは直接の関連がなかったということでございます。したがって、私どもは前者の分について共有比率を八〇%に上げる、後者の分については従来どおり共有比率は七〇%である。そういう区別をして木船をお持ちの船主の方がそのまま鋼船にかわるということを促進したい、こういうことで新制度をつくったということでございます。
  251. 河村勝

    ○河村委員 そこに問題があるんですね。この解撤建造の場合に、新たに鋼船建造する者が、実際にいままで木船を持っていてそれを解撤をして新しくつくるんでなくて、極端にいえばだれでもよろしい、そういうところにこの解撤建造という制度の非常な問題を含んでいるんですね。それはもう過去にそれの弊害というものはいろいろ証明されているはずだ。だから、少なくとも木船に関する限り、新しい制度をつくったら、この解撤建造なんというのはやめちゃって、あとの木船鋼船化、これ一本にしたほうがよっぽどいいと思うが、その点はどうして転換をしなかったのですか。
  252. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船鋼船とをつぶして鋼船をつくっていくという船質改善については、実は三十九年度ごろからずっと続けてきた制度でございますので、この部分から木船の解撤に引き当てることをやめるということも、かえって木船船主の方に不満な点もあろうと思いますので、この制度を一挙にやめるということは実は考えておらないということでございます。
  253. 河村勝

    ○河村委員 木船船主に被害を与えることにはなりはしません、変えたって。予算のつけ方を、財政資金の投入のしかたを変えればよろしいのですからね。そうでしょう。だから木船については、実際はほんとうに現在木船を持って動かしている人間が、持っている木船をつぶしてやろうと思えば、そういう人が一番まじめにこれから仕事をやろうとしている人だ。それはあなたのほうで新しくつくる制度があれば十分でしょう。そうじゃないのですか。
  254. 阿部雅昭

    阿部説明員 内航課長からちょっとその点御説明したいと思います。  実は三十九年ごろ、いわゆる内航が非常に過剰で何とか過剰船の処理をしなければいけないといった時期がございました。三十九年から四十二年くらいまでにかけた時期でございますが、そのころは、一方で非常に多量の過剰船を処理するという観点と、一方では、近代的経済船も早急に整備をしないと、非常に古い船がたくさんあるといったような二つの矛盾を解決するために、一挙に解撤して一方で新しい船をつくるという政策を進めました。その際には、あまり古い船を持っている人だけ集めるということでは一挙に近代化も進まないというような観点もございまして、いわゆる解撤するための船を新たに手配した人がそれを解撤する、言ってみれば解撤船の売買が行なわれるといったようなことを認めて、広く老朽船の整理をするとともに、近代的な経済船を整備するといったような施策を行ないました。  しかし、確かに先生おっしゃいましたように、解撤船の船価が高くなるといったような弊害も別途ございまして、船価が高くなる、それはかえって近代化のためにはマイナスの面もあるといったようなこともございましたので、最近におきましては、そういう自由な転売は認めるのをやめようということを、これは内航の総連合会というところで船腹調整を現に自主的に行なっておるわけですが、その場を通じまして、自己の所有船をつぶしてつくるものについて建造を認めるといったような制度が昨年からしかれました。したがいまして、公団船の建造にあたりましても、自己船をつぶしてつくる人、そういう近代化をする人に、従来のような貨物船の一般の代替建造についても、そういう資格の人にやらせるという取り扱いをすることになっております。
  255. 河村勝

    ○河村委員 その自分のところの船をつぶしたのでなければ代替建造を認めないということになれば、今度新しくつくられた代替建造と全く変わりませんね。そうでしょう。
  256. 阿部雅昭

    阿部説明員 その点では貨物船木船も変わらないと思いますが、木船で特にわれわれ考えておりますのは、木船船主、言ってみれば個人船主さんという方が多いわけですが、そういう方々が協業化する、新たに数人なり何人か集まって新しい鋼船をつくろうという方々、そういう協業化して新しく伸びていこうという方々を助成しようという観点から、公団の共有割合も八割に高めて、そういう木船船主さん方の自主的な鋼船化促進しようという考え方で、それだけは特に有利にして特ワクにしているという考え方でございます。
  257. 河村勝

    ○河村委員 それならば、解撤建造のほうの木船部分は同じように扱ったらいいでしょう。どっちみち一ぱい船主一ぱい持ちのオペレーターが多いわけですから、だから解撤建造する場合も、それから代替建造する場合でも、協業化やなんかを促進していくことが望ましいわけだ。それならば何も解撤建造という制度にいつまでもこだわることはないでしょう。解撤建造ということは悪い制度であるが、解撤の権利なんというものを認めて、それを買いさえすればだれでもできるようにしてあるところに、悪い特色だけれども、とにかく一つの別の性格がある。それをなくしちゃうというなら同じことじゃないですか。一本化したらいいでしょう。そうじゃありませんか。  この解撤建造は、四十九年度の場合は、解撤比率は幾らですか。解撤対建造
  258. 阿部雅昭

    阿部説明員 本年度公団船の場合一対一、自主調整で総連合会でやる場合も一対一というのが原則になっております。
  259. 河村勝

    ○河村委員 いつそれは変えたのですか。
  260. 阿部雅昭

    阿部説明員 本年度——申しわけありません、船腹調整ということを自主的に総連合会で行なっておるわけですが、そこで昨年の五月あるいは七月ということで船腹の自主的な建造を再開した、それまで不景気のために建造中止という期間がございましたが、その再開するときに原則として一対一という原則ができましたので、公団船もそれに準ずるという考え方でございます。
  261. 河村勝

    ○河村委員 四十七年度に、その第二回目の内航海運構造改善対策要綱というものをこしらえましたね。これは閣議決定までしている。それできまったことは、四十七年度に老朽貨物船を解撤をして、四十九年度以降に竣工する船舶をつくる、それでそのときには解撤量が五万重量トン、解撤比率は一対一・五ということをきめたわけですね。そうでしょう。それが運輸省でかってに一対一・五というのを一対一に変えちゃったわけですか。
  262. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生お尋ねのいまのお話は、四十七年度に五万デッドウェートを解撤予定量といたしまして公団から資金を貨し付けた制度のときのことと思いますが、そのときは解撤のトン数は四万七千デッドウェートの実績でございますが、解撤比率が——建造トン数か何トンてあったか、ちょっと調べてみたいと思います。
  263. 河村勝

    ○河村委員 私が聞いているのは解撤比率です。
  264. 阿部雅昭

    阿部説明員 お答えいたします。  四十七年度の解撤融資の実績は、ただいま局長お答えいたしましたように、解撤したものが一万五千百六十デッドウェート、輸出したものが三万一千九百五十九デッドウェートということで、これは一年半後に建造するという条件で公団の有利な資金を融資しております。その際の融資するにあたっての条件は、建造するときは一対一・五という条件でやるという前提のもとに公団の資金を融資したということになっております。
  265. 河村勝

    ○河村委員 だから、もう情勢が変わったからこの決定には拘束されないので、新たに一対一で解撤建造をやろう、こういうことをことしきめたわけですか。
  266. 阿部雅昭

    阿部説明員 四十八年度建造につきましては、実は公団建造いたしますものは、特に一般貨物船は過剰関係のこともあり、建造は特に公団としては行なわない、油送船あるいはセメント専用船といった特殊なものについてだけ四十八年度行ないました。四十九年度の二万トンの中には新たに貨物船も入ってくる予定になっておりますが、その際の解撤条件は、四十九年度に出てくるものは一対一と、さらにこの解撤融資を受けた形で出てくるものはすでに船はつぶれておるわけですが、そういう融資の際の条件に従った形での建造を行なっていただくということになると思います。
  267. 河村勝

    ○河村委員 この四十七年にきめたものは、そのときの要綱の中身を見ますと、とにかく過剰船腹がたいへん多くて、「放置すれば内航企業の連鎖的倒産を招来するおそれのある当面の船腹過剰に対して」ということで、当時の船腹の過剰であると認められる数量というものは二十万トン以上だ、当面五万トンを解撤するんだ、こういうことでしたね。それが連鎖的倒産のおそれがあるというのをきめてからまだ二年くらいしかたっておらないのに、もう船は過剰でないから今度は一対一でとにかくめんどうを見よう、そういうふうに変えちゃうわけですか。
  268. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 おっしゃる四十七年度に、この施策をきめましたのは四十七年の二月でございますけれども、かなり四十六年度の不況から引き続いてだいぶ不況だったと思います。そのときの予定としては一対一・五という解撤比率でつくらせる。そのかわりに公団からいわば休業補償と申しますか、船をつくるまでにひまがございますので、その事業継続に必要な補償をするということで、適当な金額公団から解撤船主に融資をしたということでございますが、四十七年の後半から四十八年の、特に四十八年に入りましてからはかなり景気が上向きまして、内航の船舶もそう過剰でなくなってきたということはございます。何ぶん内航というのは底が浅い事業でございますので、そのときどきの経済情勢に非常に影響を与えられるということは事実だと思います。
  269. 河村勝

    ○河村委員 そのときそのときで確かに景気に波はありますよ。だけれども、国の施策が何か年じゅうちょこちょこ変わってきているんですね。だから、そのまま継続しておれば適正な船腹量になるものを、やめたりつくったり、やめたりつくったり、そういうことばかりやっておるから、年がら年じゅう同じことを繰り返しているのじゃないかと私は思う。昭和四十一年度に初めて解撤建造ということを始めましたね。そのときには老朽船が五十八万五千トンある、こういうことだった。それで三カ年間に三十九万トン解撤建造をやろうということでありましたね。一体その結果は、実績はどうなっているんですか。
  270. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 四十一年度と四十二年度と四十三年度公団共有貨物船のために解撤いたしましたトン数は二十六万四千総トン、それによってつくった建造量は十九万四千トンでございます。
  271. 河村勝

    ○河村委員 この三十九万というのはこれはグロストンですよね。それで二十六万四千トンというのは重量トンでしょう。だからこの実績はだいぶ割り引かなければいかぬ。ざっと半分ですね。そうでしょう。
  272. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 二十六万四千トンと申しますのは総トンでございます。それで、デッドウェートだと三十九万九千デッドウェートになると思います。
  273. 河村勝

    ○河村委員 これで結果はとにかく二十六万四千トンにしても、これはいろんな解撤と称して実際はもうすでに沈廃船になったものやらいろいろなものを含めてようやくこういうことになったらしいが、それにしてもこのくらいしか達成しないで終わっている。そうしてまた、四十七年度にもう一ぺんそれを繰り返して、四十九年度になったらまた大体よさそうだというのでやめてしまって、今度は一対一の建造にする。定見がないんですね。だからいつまでたっても内航海運というものは体制ができないと思う。一体、内航海運二法をつくった場合に、内航海運組合をつくって企業規模を適正化しようという目標がもう一つありましたね。それでいろいろな施策を進めてきたけれども、一体、それで今日までほんとうに内航海運の体質というものが若干でも変わってきたのだろうかという非常に私は疑問を持っておるのですが、一体どうですか。
  274. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 内航海運の体質につきましては、やはり先生指摘のように、底が浅いし、不況に対する対抗力がないということで、何とかそれを強化するように努力を続けていきたいと思いますし、内航海運業法の許認可の基準を昨年の五月にも改正をいたしまして、内航海運業については、自社船の保有義務の強化であるとか、内航船舶の所有の基準をきめる、自己資金の充実をはかる、定期用船の確保をはかる、それから内航運送取り扱い業については、下請の制限をはかるということで、私ども構造改善、企業体質の改善について今後とも絶えず努力を続けていきたいと思っております。
  275. 河村勝

    ○河村委員 きょうは木船保険質問ですから、あまり広範なことを聞くのもどうかと思いますからやめますけれども、とにかく木船保険なんということに——これは継続したければ、やってもそう害もないことだから、やりたければやってもよろしいけれども、問題の本質はそんなところにあるのでなしに、内航海運というのはほんとうに扱いにくくて、行政としてもやりにくいことはわかりますけれども、もっとそのときそのときの景気の消長や業者の動向に惑わされないで、もう少し一貫した行政指導なり立法化をやっていかないと、いつまでたっても解決しない。だから、そんな木船保険組合なんかどうでもよろしいから、もうちょっと根本問題にしっかり取り組んでもらいたい。  それを最後に要望して、質問を終わります。
  276. 三池信

    ○三池委員長 太田一夫君。
  277. 太田一夫

    ○太田委員 船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案についてお尋ねする前に、本日午後ハイジャック問題が起きまして、東京−沖繩線の日航のエアバスが四百何十人乗せてハイジャックされて、現在那覇の空港におりて、那覇警察本部がそれに接触しておるというような話がありますが、なかなか多額の身のしろ金ですか、何か要求等もあるようであります。さらに、給油だとかいろいろの物資の積み込みを要求して、どこやらへ飛び去ろうとしておるかもしれない動きもいわれておりますが、これにつきましては、本日対策本部がつくられて、関係者はそちらのほうに集合去れ、政務次官は即刻現場に飛んでおるというニュースを聞きました。ほんとうならば、ここでその問題についての御報告をいただきたいところでありますが、資料等が不十分でありましょうから、明日でもひとつ正確な問題点を明らかにしてくださいますようにお願いをいたしておきたいと思います。  ただ、これには学生一人が操縦室に入ってきたというようなぐあいで、ハイジャックの規模が小さいように報ぜられておりますが、それもいささか疑問だと思います。委員長におきまして、明日適当な時期において概要を明らかにされるようお取り計らいをいただきたいと思います。
  278. 三池信

    ○三池委員長 わかりました。
  279. 太田一夫

    ○太田委員 続いて、本日の議案であります船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案についてお尋ねをいたしますが、先ほど来からのいろいろのお話を聞いておりますのに、少しふに落ちない点がたくさんありますし、それから、どうも本法案のねらいがどの辺にあるのかが明らかでないような気がいたします。提案説明を拝見をいたしますと、すなおに書いてあるわけでありまして、この提案説明そのものは、私、どこにもひっかかるものはないと思うのです。思いますけれども、どうもいままでの木船保険組合を、二つ一つにして合併させ、そうして木船保険特別会計をやめるというのですけれども、さらに保険対象を、鋼船三百トン未満のものを加える、これについて、すらっと見れば何でもないようでありますが、いろいろお話を聞いておるうちに、私は、木船保険特別会計をやめるということがどうもおかしい、ふに落ちない。もう一度その理由を局長さんから明確にしていただきたいと思うのです。
  280. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船保険制度をやめるという理由について御説明申し上げたいと思います。  国による木船保険制度は、木船相互保険組合が二十六年にできましてから、その二年後の昭和二十八年から次のような理由で始められたものでございます。  と申しますのは、設立が二十六年にできました二組合は、発足当初まだ日も浅くて、保険能力が弱くて、一たび大きな災害が発生いたしますと、組合支払い能力を越える多額の保険金支出を要する事態が発生した場合には、保険金の削減だとか保険料の追徴を行なわざるを得なくなるなど、組合員の保護、組合員に対するサービスに欠けるおそれがあるので、国の再保険制度によって保険金支払いの確保をはかり、木船船主の保護をはかろうというのが当初の目的だったと思います。ところが、他方、その後の木船の事故率は比較的低くて、組合の純保険収支は、両組合合計をいたしますと、その収支率は平均八〇%という程度でずっと黒字を続けてまいりました。その結果、昭和二十八年には異常危険準備金金額は千百万円程度にすぎなかったのでございますけれども、その後、逐年増加をいたしまして、昭和四十七年度末には約二億七千万円という多額にのぼるようになった。そこで、万一今後異常事態が発生しても、現在保有する準備金で十分対処し得るということを判断するようになったわけでございます。  このような理由で、国によりますところの再保険制度は、発足当初は組合支払い能力を支援するという意味で必要な制度でございましたけれども、現在では十分にその所期の目的を達し得たと思われますので、今回この制度廃止することといたしたいと思うのでございます。  また、一方で国の再保険特別会計は、昭和三十年度以降ずっと黒字でまいりました。したがって、昭和四十七年度末には約一億四千万円にものぼるところの積立金がございますので、特別会計廃止する際に、この積立金組合に交付して、準備金として積み立てていくことによって、組合支払い能力の一そうの強化をはかるということを目的としているものでございます。
  281. 太田一夫

    ○太田委員 そういう表のことは書いてあるから、別にあなたから聞こうというわけじゃない。それならあなたは、先ほどだれかの質問——私のほうの坂本君の質問のときだったと思いますね、鋼船を入れた場合、民間損保に再保険をいたして安全をはかるのだ、こうおっしゃった。もうその必要はない、安全なら民間損保会社に再保険して、無理にその保険組合から保険料を払わなくたっていいじゃありませんか。
  282. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船のほうは、再保険は国の再保険制度をやめると同時に再保険制度考えません。鋼船のほうは、先ほどの木船保険組合が、発足当初その基礎が弱かったと同じように、発足の当初はまだその基盤が脆弱でございますので、これは一定の比率の再保険をその鋼船の部分について民間の再保険機関に再保険をお願いする、こういう趣旨でございます。
  283. 太田一夫

    ○太田委員 だから、再保険制度があるのに無理にやめなくても——あなた、今度木船保険組合をやめるんでしょう。それで三百トン未満鋼船を入れてそれでやらなければ、組合としては成り立たなくなってくる。それくらい規模が小さくなっちゃったから、三百トン未満鋼船を入れて、とりあえずは年間八十隻ぐらいが入るだろう、こういうことなんです。それなら、鋼船というのがこれから主体になってくるんでしょう。それが再保険しなければならぬほどあぶないなら、保険金の支払いに危険度があるなら、いままであります再保険制度を、特別会計を残しておけばいいじゃありませんか。民間のほうにそれをやるということは、何かいわくがなければそんなことにはならないですよ。あなたの説は一貫してないと思うのです。
  284. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船のほうは、発足当初、再保険を引き受けるという機関がございませんでしたので、国が再険制度を二十八年から始めたという事情でございます。それから鋼船のほうは、実は先生指摘のように、たしか八十隻で小世帯でございます。これだけでどうこうということはできません。したがって、それ以外の木船保険をやっておる民間の再保険制度というものが引き受けるという適当な機関であり、また引き受けの話もできておりますので、より大きい木船の再保険制度の中に、再保険機構の中に、それを入れて再保険をお願いするということでございます。
  285. 太田一夫

    ○太田委員 安全ならば再保険は必要ない。あなたは安全だとおっしゃる。安全性が確認されておるなら再保険は必要ない。安全性が確認されておらなければ再保険が必要だ。再保険が必要ならば再保険特別会計廃止する必要はない。ところが、あなたのほうは、再保険特別会計をやめて、その従事しておる事務員はあなたのほうの海運局のほかの仕事に従事させるというお話。だからこの木船保険から除外されておりました漁船のほうでは再保険という制度があるでしょう。漁船は別になっておるけれども、あなたのほうの関係じゃないようですが……。特別会計を無理してやめぬでもいいじゃありませんか。再保険料は民間のほうが安いということはないのでしょう。民間のほうが安いのですか。
  286. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船のほうは、もう国の再保険制度の使命を終わったのでやめるということで、これは民間への再保険というものは一切考えないということでございます。鋼船の部分だけ民間保険の再保険機構のほうに再保険をお願いするという考え方でございます。
  287. 太田一夫

    ○太田委員 そんなこと聞いてない。再保険特別会計を存続しておいて国でやったほうが、民間損保へ回すよりも保険料が安く済むじゃありませんかと聞いておる。国のほうが高いです、特別会計のほうが高いです、そういうことですか。そういうことなら、私は民間のほうへ行くことにもメリットがあるからそれはわかりますがね。どうですか。
  288. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 この組合鋼船の部分というのは年間八十隻程度で、五年間を通じて四百隻ということでございますけれども、そういった小規模なものでございますので、それだけの再保険を国にお願いするということは適当でない。やはり民間の大きい再保険機構の中に入れてやっていただくということがより合理的だと思っております。
  289. 太田一夫

    ○太田委員 八十隻の鋼船を、二百トンか三百トンといたしまして、その保険にかける保険料は、いま現存する二千隻の木船保険料とどうなんですか、全体の金額……。
  290. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 鋼船保険料については、実はこれからきめますのでまだはっきり申し上げられませんが、木船の従来の保険料に比べますと鋼船保険料のほうが高いと思います。
  291. 太田一夫

    ○太田委員 しかもトン数が多いから、金額が多いですから、保険料は高いのでしょう。トン一万円なり二万円なりすることは大体常識だと考えてみて、何億という保険料がすぐに出されて集まってくるじゃありませんか。私は、鋼船保険が今度の新しい相互保険組合の主たる収入になってくると思いますが、違うのですか。説明員でよろしい、局長でなくてもわかる人で……。
  292. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども試算しております四十九年度を初年度といたします収支計算の上では、木船保険収入のほうが鋼船保険収入よりも多い。と申しますのは、木船隻数は初年度といたしましてはまだ二千隻以上ございますし、片一方鋼船のほうの隻数は七十隻程度でございますから、保険料収入としては木船のほうが多いということでございます。
  293. 太田一夫

    ○太田委員 そんなふうになるですか。八十隻といたしまして、どうですか、一隻五、六百万円保険料出るじゃありませんか。そうすると何億でしょう。
  294. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 保険金額としては、鋼船一隻当たりかなり高い金額で、それに八十隻をかけますと高い保険金額にはなります。ただ保険料というのは、それに危険率を入れまして必要な保険の算出方法から保険料率をはじきますので、保険金額保険料率とはそのままの傾向にならないと思います。
  295. 太田一夫

    ○太田委員 だれかわかる人おりませんか。八十隻の保険料は概算どれくらいになりますか。
  296. 阿部雅昭

    阿部説明員 初年度保険料収入、鋼船につきましては、試算では六千七百二十万円、木船のほうは、従来の傾向にかんがみ毎年度若干ずつ減りますが、二億四千六百八十三万七千円という形で、鋼船のほうが初年度保険料収入もわずかであるという想定をいたしております。
  297. 太田一夫

    ○太田委員 六千万ですか。それは平年度じゃないですね。平年度幾らですか。
  298. 阿部雅昭

    阿部説明員 五年間まで漸増してくるという想定をいたしておりますが、五カ年間の中間年度をとりますと二億一千七百四万四千円、その程度保険料収入があろうという想定をいたしております。
  299. 太田一夫

    ○太田委員 だから局長、平年度二億一千万円という保険料収入があるという点からいって、鋼船がすぐに主となってくるのですよ。ですから特別会計廃止することはわからない。なぜ民間損保のほうに再保険するというところで妥協点を見出すような疑いを持たれたか。私は、これは大蔵省にお答えをいただきたい。  大蔵省のほうは、その特別会計運輸省のほうがさらに存続することは、いまのように四分の三が民間損保に入っておる鋼船の付保の状態から見て、どうも好ましくないから、どうせやるなら、めんどうくさいことをやめて全部民間にやれと、こういうような意見をおっしゃったのでしょうか。
  300. 安井誠

    ○安井説明員 私どもこのお話を承りましたときには、実は私ども損害保険事業のほうを監督いたしております。損害保険会社にいたしますと、自分がやっております仕事の一部がなくなるというようなことであまり満足ではなかったわけでございます。しかし、運輸省の御政策として、とにかく先ほど来海運局長がおっしゃっておられますように、木船保険組合が、このままほうっておきますと、規模保険集団として成り立たなくなります。そうしますと、船主に対する保険サービスが不可能になることが一点。  それから第二点は、木船から鋼船に移られるのも、その木船船主鋼船に移していかれるということで運輸省の政策をやっていかれるのであれば、損保事業のほうも、そう会社側の利益だけの問題でなしに、大局的に判断したほうがよかろうということを、私どもは強く保険会社には言ったわけでございます。保険会社としても異存がないということであれしたわけでございます。
  301. 太田一夫

    ○太田委員 これは、先ほど紺野さんもそのことについてはおっしゃったことですから、あまり長くやっていてもいけないでしょう。ただ、木船保険加入状況、数字からいえば、四十七年度一万五千三百二十九隻が対象船腹であるのに、加入のほうは二千百四十三隻ということで、一三・九五%と非常に少ない。ここのところに問題があるんですね。なぜそんなにいままでの木船保険が魅力がないのか。これは海運局長、あなたも次長をやっておって長く実務のことは明るいと思いますが、一三%や一四%の保険加入率だということは、いままでの木船保険そのものに問題があるのじゃないですか。  その点一つ私は指摘しますが、この設立には運輸大臣の認可が要るんだから、その条件としては、まず第一に定款を定めるということになっていますね。その定款の中に保険の内容がこう詳しく書いてありますね。そのことをちょっと触れますが、最初一種、二種だけしか保険対象にしないとおっしゃいましたね。言うなら全損と海難救助費でございますね。ところが定款そのものには五種までやれるようになっておるでしょう。全日本木船相互保険組合の定款というのを拝見をいたしますと、この中に、五十条にありまして、「填補の範囲」は「組合は、保険の目的たる船舶について沈没、坐礁、膠砂、火災、衝突、接触、その他海上危険による事故によって生じた損害を、以下各条の規定により、填補する。」とあって、次の五十一条に「填補の種類」は「一 全損二 救助費」と、こうなっておりますので、したがってあとの衝突、接触等のものが抜けてしまってやれないことになっている。本来五十条で第五種までやれるようになっておるのに、五十一条でその種類を制限をした。いつの間にか大きな巨木にしようと思った相互保険組合が、当初やむを得ず五十一条で二種だけの保険をかけるという小さいところにとどまっていたのをそのまま認知してしまったために、改正しなかったために、これが巨木になるのが盆栽になっちゃったんですね。松の木でも大きく、ていていとそびえるかと思ったら、植えたところがいけなかった。小さな植木ばちに植えたから小さくなっちゃった、そういうことでしょう。
  302. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 五十条では保険事故の種類は書いてございますけれども、「填補の種類」は五十一条に書いてございまして、全損と救助費、したがって保険の種別としては第二種であるということが五十一条ではっきりしております。いままでの木船保険につきましても大体加入率が悪いということを、先生指摘のとおりの数字が出ておりますけれども、大体五十総トン未満のところの加入率が非常に悪いので、五十総トンをこえました船の加入率は、組合だけで四九%、民保を入れますと七〇%になりますので、やはり小さい船の加入率がどうしても悪いということであります。小さい船というのはそう遠くへ出ませんで、港、その内外を動くということの活動状況でございますので、特に保険に入るという必要も感じないし、加入者が少ないということで、そういった面でいままでの加入率が低かったということだと思います。
  303. 太田一夫

    ○太田委員 私は、局長に何も弁解してもらおうと思いません。思いませんが、この保険を大きく育てる意思運輸省になかったというのは残念だと思うのです。この組合定款においては、五十条で第五種までやれるようになっておるのに、五種海難までこの保険がかけられるようにしておいて、五十一条で暫定的に二種に制約したんだから、なぜそれを全部やらなかったか、大きく育てなかったんですかという点を、ちょっと私は残念に思いますが、いまとなっては死んだ子の年を数えるようなもの。  そこで、水産庁にお尋ねいたします。  水産庁は、漁船損害補償法というのがありまして、漁船に対しましては本法の——私のほうのいま審議しておる法律で漁船だけ木船では除外されておりますから、その除外された中の漁船に対しては百トンまでは義務加入という形をとりまして、りっぱな保険制度をおつくりになりましたね。これは現在は、いま問題になっておりますように、一体接触あるいは衝突等におけるところの事故までてん補するようになっておるのかどうか、内容についてちょっと御説明をいただきたい。
  304. 山内静夫

    ○山内説明員 漁船保険の事故の場合は、故意または重大な過失以外のあらゆる事故について対応できるような仕組みになっております。
  305. 太田一夫

    ○太田委員 故意または重大な過失によるもの以外は全部対象になっておる。漁船は全部対象になっておる。それが百トン未満までは義務加入でありますか、任意加入でありますか。択だと言ったら、お金を借りる——先ほど局長いみじくもおっしゃったが、いろいろと損保会社から金を借りておる、損保会社が大株主だ、しかたがないから何々海上火災保険のほうに行ってしまうということになったら、せっかくの新法は私は芽を出すことはできないと思います。  そこで、大蔵省にもう一回伺いますが、民間損保の船舶保険というのはどんな状態でございますか。もうかっているのですか、損しているのですか。
  306. 安井誠

    ○安井説明員 船舶保険も海上保険の一種でございますが、この損害率というものが非常に安定していないわけでございます。つまり、一たん船が沈みますと、特に大型鋼船のような大型の船が沈みますと、一回の損失で十数億という例もあるわけでございまして、毎年必ずしも損益は安定いたしておりません。  具体的に申し上げますと、四十七年度の船舶保険の収支は、全体では四十九億円の黒字でございます。しかし四十六年度は十一億円の赤字、四十五年度は十四億円の黒字でございます。  それで、しかも会社別にながめでみますと、先ほど四十七年度全体としては黒字と申し上げたわけでございますが、そのうち黒字会社は十二社、赤字会社は九社でございます。合計いたしますと黒字になるというだけのことでございます。四十六年度、四十五年度も同様でございまして、黒字の会社もあれば赤字の会社もあるというのが現状でございます。
  307. 太田一夫

    ○太田委員 というところから保険料その他をいろいろと考えられる場合に、局長、民間損保というのはいまの黒字だという議論があるといたしますと、必ずしもあなたのおっしゃるように安定してませんですね。そうすると鋼船民間に出すという、普通なら、民間のほうに付保するということは保険料が高くなる心配があるから、ないですね。どんどんとこの相互保険組合のほうに来そうなはずなのにそれが来ないのは、私はやはり保険料率というのを比べるのにはいささか問題があって、民間の場合は五種でしょう、あなたのほうは二種だ、だから分損を見るということでなければ、これはとてもこの保険は発展をしないという気がするのです。どうですかその点は。
  308. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども従来の実績を調べましても、たとえばはしけ等についてはかなり二種までの付保の実績がございますので、そういった層をねらって二種の保険をやっていきたいと思います。また木船保険が二種までの実績でありました点から申しましても、さしあたって実力としては二種までやっていくということが健全な保険事業をやっていく上において必要なことではないかと考えております。
  309. 太田一夫

    ○太田委員 先ほどは局長さん、こういうことをおっしゃったんですね。これも紺野さんの質問に答えて、損保業界と共存共栄の体制をつけていきたいと思います、組合の実力の関係もありますので、二種にとどめております——二種にとどめておいたというのは、言うなら民間損保との共存共栄だ、二種でとどめて五種はやらないというところに民間損保の入り込む余地があるのだから、それが共存共栄だ。だから相互保険組合では五種の、言うなら船首がへっこんだとかあるいは積み荷を海中に投棄して遭難を免れたとかいうような問題はてん補されないわけなんだ。保険にかかれないわけなんだ。沈没だけですよ。言うならば全損というやつ。船が沈没しなければ保険がもらえぬというやつ。一番簡単だ。なくなっちゃうやつ。だからそういうように共存共栄ということは私はおかしいのであって、逆にこれからこの保険制度によって、鋼船となると資金がたくさん要りますから、協同組合的になって規模個人じゃなくて少し大きくなってきますね、船をある程度たくさん持つようになってきますと、今度は融資上のお金の関係民間損保のほうへみんな行っちゃうじゃないですか。そんな危険はございませんか。
  310. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 民間損保と共存共栄でと私申しましたのは、実は従来の実力から見て二種を続けていきたい、そういうことで再保険をそういった二種条件ということで民間の再保険の機構とお話をしている、こういうことを申し上げました。そうやってこの組合が健全な発達を続けていくことが民間との共存共栄になっていくということを申し上げたつもりでございます。
  311. 太田一夫

    ○太田委員 そういうことを、ことばの意味については若干ニュアンスの違いというやつは受け取り方、言い方はあり得ると思うのですよ。それでもそういうおっしゃることはわからぬわけじゃない。けれども、私の言うのは、二種と五種と比べてみて、沈没しなければ保険は払ってもらえないというような保険というのは完全な保険じゃございません。だんだんと多種多様な要求にこたえていく保険に拡大発展されていくべきときに、言うならば部分損傷というようなものはめんどう見ません、なるほど部分損傷を査定するのは、実力といってはなにですが、技術が要るかもしれませんね。操船を誤ったのか何だかわからないけれども、岸壁にぶつかってしまって船首がへっこみましたというときに、それをどうするなんというのは、いままでの保険組合では査定ができないというのです。民間だって同じことですよ。だからそれは共存共栄というところで分野を分け合ったと私どもはこう想像せざるを得ない。まあしかし、これが八十隻ぐらいずつ毎年入っていって、ほんとうに新しい合併された新相互保険組合が繁栄することを望みますよ。しかし、再保険民間のほうにやられるというところから考えてみても、まあこれはことによるとないほうがいいかもしれませんよ。こんなものは必要ないじゃないか。だから、やるならば水産庁がやっていらっしゃるように、農林省のように、百トン未満のものは全部義務加入制くらいにして、そうして金利のほうも下げて、六分くらいに下げるということをやって、そうして一切の損害をめんどうを見るというところまで拡大して保険を運用されるべきだと思いますが、そういう用意がないのを残念に思います。  そこできょうはいろいろの御要望がありまして、私の持ち時間が非常に制約されておりますからこれで終わりますが、最後に局長に、本保険を運用するにあたって、確かにあなたのおっしゃるように、鋼船が喜んで入ってきて、そしてその保険組合が大きくなって、相互保険の実をあげていくように育てていきたいと思う。その見通しと決意があるかどうか、あなたのお答えをいただいておきます。
  312. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども、見通しを持って、また決意を固めて今後努力をしていきたいと思います。
  313. 太田一夫

    ○太田委員 時間の関係で終わります。
  314. 三池信

    ○三池委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明十三日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十一分散会