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1974-03-08 第72回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月八日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 兒玉 末男君    理事 三浦  久君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       關谷 勝利君    宮崎 茂一君       綿貫 民輔君    坂本 恭一君       梅田  勝君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         運輸省海運局長 薗村 泰彦君  委員外出席者         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   斉藤 正男君     湯山  勇君 同日  辞任         補欠選任   湯山  勇君     斉藤 正男君 同月八日  辞任         補欠選任   斉藤 正男君     安宅 常彦君 同日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     斉藤 正男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律  案(内閣提出第二八号)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。宮崎茂一君。
  3. 宮崎茂一

    宮崎委員 ただいまの船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案に対しまして、若干質疑を行ないたいと思います。  この法案は、政府の提案の理由にもございますが、第一に、損害保険対象といたしまして小型鋼船を新たに加えるということが一つ主眼点になっているようでございます。それからまた、第二番目に、政府によりますところの再保険制度を今回廃止しようということでございます。また、第三点といたしましては、相互保険組合の合併の規定を設けておるわけでございまして、現在の組合を合併しようということかとも思います。したがいまして、私はこの三点に一番、法改正主眼があるのではないかと思いますから、この三点につきましてお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  第一点について伺いますが、新たに小型鋼船保険対象に入れるわけでございますが、現在の木船保険の現状について少し明らかにいたしたいと思うわけでございます。  いま木船相互保険組合は二つあると聞いておりますが、両方合計してお答え願いたいと思いますが、この組合加入をいたしております船腹は何隻で、どの程度なのか。それからまた、保険加入船舶がその対象船舶に占める割合はどの程度なのか。一応この二点をひとつお尋ねいたしま
  4. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生お尋ね木船保険加入状況につきましては、木船保険加入対象船腹数が、隻数で申しまして一万五千三百二十九隻、それからトン数で申しまして八十九万六千三百四十二総トンございます。それに対しまして四十七年度末の加入隻数で申し上げますと、この木船保険の両組合加入している船腹の数は、隻数で申しまして二千百四十三隻、したがって、対象船舶隻数に対する比率は一三・九五%、それから加入しております船腹総トン数は二十四万五千百九十三トン、したがいまして加入対象船腹総トン数に対します割合は二七・三五%となっております。
  5. 宮崎茂一

    宮崎委員 ただいま木船対象船舶は約一万五千隻ぐらい、そのうち二千百隻ぐらい加入しているということでございますが、そのほかの木船は現在どうなっているのですか。全然加入していないのか、あるいは民間のほうに一部加入しているという話もありますが、そこらはどうなっているのか、隻数船腹についてお知らせ願いたい。
  6. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私、申しおくれて失礼でございましたが、実は木船保険は、この両組合がやっておりますのとは別に、民間損保会社でも経営をしておりまして、その加入隻数が一千七隻ございます。したがいまして、加入隻数は両組合の二千百四十三隻と合わせますと三千百五十隻になります。したがいまして、加入対象隻数先ほど申し上げました一万五千三百二十九隻に対しまして、加入率組合と民営の損保会社加入の分とを足しますと二〇・四%ということに相なります。
  7. 宮崎茂一

    宮崎委員 非常に加入率が低いと思われるのですが、どうしてこんなに低いのかということ、それからもう一つ民間損保に入っているものと、この木船相互保険組合に入っているものとどういうふうに違うのか、簡単でよろしゅうございますから、どっちが有利なのか、その辺をひとつ。
  8. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生指摘のように、木船保険につきましてはどうも加入率が低いというきらいがございます。その内容をちょっと聞いていただきたいと思うのですが、私どもも、内航に従事しております木船の数が、木船貨物船油送船についてトン数階層別保険加入状況を調べてみました。それによりますと、貨物船につきましては、二十トン未満の一番小さい船の組合に対する加入率が実は〇・九%でございます。それから二十トンから五十トン未満、これが八・五%、五十トンから百トン未満、これが三八・三%、それから百トンから二百トン未満が六一・六%、二百トン以上が七六%という加入率でございます。  それから油送船で申しますと、二十トン未満加入率が一三・八%、それから二十トンから五十トン未満が二五・八%、五十トンから百トン未満が一五・〇%、それから百トンから二百トン未満が三五・二%ということになっておりまして、これをお聞き願ってもわかりますように、小さい船の保険加入率が非常に低うございます。たとえば貨物船で申しますと、五十トン未満船舶保険加入率がきわめて低いということでございます。これを貨物船油送船とトータルしてみましたら、五十トン以下の船が組合保険に入っている率は五〇%でございます。民間保険加入率を入れまして七〇%でございます。したがって、五十総トン以上の木船保険加入率はかなり高い、逆に五十トン以下の小さい船の加入率が非常に低い、こういうのが加入率の総体が高くならない原因でございます。どうもやはり小さい船と申しますのは、輸送実態からいたしましてあまり遠くに出ていくというような実情ではございません。まあ比較的近距離のところで一日の仕事を終えて帰ってくるというような小さい木船の運送に従事している姿だろうと思いますので、その辺、保険必要性ということについても、やはり必要性を感じる度合いが少ない。したがって、加入している度合いが少ない、こういうことではないかと私ども思うのでございます。  なお、民間保険との関係につきましては、この保険が、組合相互扶助という立場から自主的な組合員の間における保険制度として、民間保険会社木船について保険制度をあまり好まなかった時代から実は発足してまいったので、ほんとうに組合員相互のためにということで行なってきた保険事業であると思っております。保険料率などを簡単に比較することは、いろいろ中身がございまして違いますが、一般に申しまして、みずからの相互扶助のために若干低い料率でやっているというのが相互保険組合保険事業実態だと思います。
  9. 宮崎茂一

    宮崎委員 民間損保に比べて相互保険のほうが少しは有利だというふうに解釈してよろしゅうございますか。それじゃ、その規模を知りたいために、大体この保険組合で毎年どのくらいの収入保険料があって、どのくらい保険金額を支払っているのか、あるいはまた、その事故件数がどの程度あるのか、その点を簡単にひとつお願いします。
  10. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 両組合の四十七年度の年間の収入保険料は、両組合合計で二億八千三百九十一万九千九百七十二円でございます。  収入内訳は……
  11. 宮崎茂一

    宮崎委員 いや、内訳はいいです。
  12. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 支払い保険金は、両組合合計で一億七千二百五十四万一千五百七十一円でございます。  それから、お尋ね支払い件数保険事故件数は、四十七年度中で百七十七件でございます。
  13. 宮崎茂一

    宮崎委員 この木船相互保険の大体の全貌がいまの質疑の中で大体明らかになったんだろうと思いますが、しからばこの輸送需要の中に占める木船シェアと申しますか、そういったものはどの程度あるのか、内航輸送の中で木船がだんだん減っていくということをいわれております。この内航輸送の中に占めますところの内航の木船輸送量、これはトン数でもトンキロでもよろしゅうございますが、どのくらいあるのか。  第二点は、その木船の中のこの相互保険に入っている木船、これは推定でないと出ないのかもしれませんが、何%ぐらい内航輸送を担当しているのか、この辺をひとつお尋ねしたいと思います。
  14. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 内航輸送に従事しております木船につきまして、まず全体の内航の船腹量は、隻数で申しまして一万五千七百九十四隻、総トンで申しまして三百六十四万四千トンでございます。それに対しまして木船船腹量はどうであるかと申しますと、隻数が七千九百四十一隻、したがって内航総船腹量に対します木船隻数割合は五〇・三%でございます。それから総トン数で申しますと、木船船腹量の内航に従事しております総船腹量合計は四十四万六千トンでございます。したがって、内航の総船腹量に対します割合は一二・二%でございます。  それから、その船がどういう輸送活動をしておりますかという輸送量について申し上げます。内航の輸送量は、四十七年度で申しまして輸送量トン数は三億二千百四十七万六千トンでございます。それからトンキロで申しまして一千二百億トンキロでございます。  それに対しまして木船輸送量は、トン数で二千二百六十六万八千トン、したがって、全トン数に対します内航の船腹輸送割合は七・一%。それからトンキロで申しますと、木船輸送量は三十二億トンキロでございます。したがって、全体のトンキロに対します木船トンキロ割合というものは二・五%でございます。したがって、船舶隻数割合は半分でございます。しかし遺憾ながら、トンキロで申しますと、その輸送量として運んでいるものは二・五%にしかすぎないという実情でございます。
  15. 宮崎茂一

    宮崎委員 いまのトンキロの二・五%という数字は、木船全体の輸送トンキロシェアなんで、実際この保険に入っている船はもっとシェアが小さくなるわけですね。全体の木船の中の二七%ぐらいがこの保険に入っているわけですから、保険加入している木船が全体の内航輸送量に占める割合というのは、二・五%かける二七%ですか、いわば一%以下ぐらいになる、〇・七%ぐらい、そういうことになるのですか。その辺はどうでしょうか。
  16. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 おっしゃるとおりでございまして、先ほど申しました組合加入している比率でその二・五%の内訳をお考えいただければ、先生おっしゃるとおりの数字になるかと思います。
  17. 宮崎茂一

    宮崎委員 そこでお伺いしたいのですが、内航輸送に占める割合も、加入している木船輸送に占める割合というのは非常に小さい。そしてまた、これから木船もだんだん少なくなる。一方、保険のほうは非常に黒字で健全だということでございますが、政府はこの際、鋼船まで入れて保険を強化していこう、こういう御方針でございます。これは逆に考えてみまして、だんだんと少なくなる、そしてまた、海上輸送に及ぼすシェアも非常に小さい。だからこの際、ひとつ加入者も小さいんだから、こういった木船相互保険はもうやめたらどうだろうか。あるいは民間保険もあるわけですから、そちらのほうで救えるんじゃなかろうか。多少民間のほうが歩が悪いということもございますけれども、そういうこともひょっと考えられるのですが、この点はどういうふうにお考えでしょうか。やはりいままでの木船相互保険を続けていこうというような根拠と申しますか、どうしてもこれは続けていかぬといけないんだという判断にお立ちになっての法律改正だと思いますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  18. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 やはりこの保険は、従来から船主相互扶助精神組合をつくりまして、保険事業を、民間事業が手を出さない前から自分らでやっていこうということで生み出されて育ってきた組合でございます。おっしゃるとおり木船隻数もだんだん減ってまいります。したがって、保険加入隻数も減ってくるということで、木船だけでは先細りになると思います。しかし、減っていくとはいいながら、残っている木船について、そういった相互扶助精神で始めた保険事業が今後も残っていくということは当然必要でございますし、片や民間損保もございますけれども、やはりそれに切りかわるというよりも、従来の自分らの組合の中で保険事業を続けさせていくということが必要ではないかと私考えておるのでございます。したがって、先細りになる木船だけでは保険規模として適正でなくなってまいります。保険支払い能力に欠けるような点も出てまいりますので、この際小型鋼船三百総トン以下のものも入れまして、これは現在は民間損保でやってもらっているわけですけれども、これを小型鋼船三百トン以下のものを取り入れるということにして、この組合保険事業を続けさせていきたいというような考えでございます。
  19. 宮崎茂一

    宮崎委員 政府はそういうお考えですが、その辺が一つの論点になろうかと思います。  それでは話を次に進めまして、今回新たに三百トン未満鋼船保険対象に入れるということでございますが、私がお尋ねしたいのは、小型木船鋼船に切りかわるから、その分は鋼船でもこの保険に入れたいということだろうと思いますが、三百トン未満鋼船を入れた理由と申しますか、私、率直に考えますのは、どうして五百トン未満というようなことにはならないのか、その辺のことと、線をどうして三百トンということにされたのか、ひとつその点についてお伺いいたします。
  20. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 木船から鋼船に変わっていきます大体の状況を私どもで調べてみました。四十三年から四十四年、四十五年、四十六年と、実は四年間とってみたのでございますが、その間、自己資金船、それから船舶整備公団共有船を含めまして、貨物船油送船で九百五十九隻つくられております。それに対しまして、木船引き当てになった隻数は二千七百隻ございますが、そこで建造された九百五十九隻の建造総トン数は、二十四万五千トンでございまして、したがって一隻当たり平均トン数が二百五十六総トンということに相なります。したがいまして、木造を引き当てにいたしまして代替された自己資金船公団船共有船を含めまして、建造された鋼船の大体の姿というものが、一隻当たり二百トンから大体三百トンまでの間ということになると思います。  それからもう一つ、私どもで同じく四十三年度から四十六年度までの数字をとりまして、自己資金船貨物船だけの数字を見てみたわけでございますが、そういたしますと、先ほど申しました隻数の中で、貨物船建造隻数は七百九十五隻でございます。その建造トン数が十六万七千総トンでございまして、貨物船だけをとってみましたら、平均トン数は二百十一総トンということになりまして、この数字でも大体二百トンから三百トンまでということがうかがわれると思うのでございます。この建造されました七百九十五隻のうちで、三百トン未満の船をとってまいりますと、六百八十五隻ということで、全体の隻数のうちで三百トン未満隻数が八六%になっているということでございます。  こういう数字から、私ども木船引き当てとして建造されました鋼船建造実績からいたしまして、いまも申し上げましたように、建造された鋼船の約八五%程度が三百トン以下に納まっているという実績、それから木船海上輸送分野において大体共通しているところの鋼船の大きさというものは、三百トン未満のものでいいのではないかということで、保険対象に加えることを三百トン未満ということにいたした次第でございます。
  21. 宮崎茂一

    宮崎委員 これから入れようとされている三百トン未満小型鋼船でございますが、それは現在は民間保険に入っているのか、何も保険には入っていないのか、そういった何%くらい、どのくらいを対象船舶にされて、そのうちどれくらいの隻数が新しい小型保険ですか、いままであるこの保険に入ってくるという御期待なのか。それから、はたしてそういう三百トン未満鋼船が入ってくるだろうか、その辺の見通しについてひとつお尋ねいたします。
  22. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 三百トン以下の鋼船考えましたときに、大体隻数といたしましては一万五千隻程度船舶があろうと思います。この三百トン未満小型鋼船は、現在のところ八五%程度民保に入っております。したがいまして、残った一五%の分、それから新たに建造されていく小型鋼船の分、それがこの組合対象として今後考えていける保険対象船舶であろうと思います。
  23. 宮崎茂一

    宮崎委員 その民間保険に入っている小型船は、もう全然この相互保険には入れないということでございますか。
  24. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 特にそういう制限を加えることはもちろん考えておりませんので、この組合保険事業に入っていただいてけっこうだと思っております。
  25. 宮崎茂一

    宮崎委員 民間会社からいうと、政府のこういった相互保険というのができますと、先ほどお話しになりましたが、そのほうが有利だとすればこちらのほうになだれ込む、そうすれば民間事業を圧迫するということにはならないのですか。その辺はいかがですか。
  26. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私、先ほど若干組合のほうが有利であるということを申しましたのは、いままでの木船事業をやっております実績に徴しまして申し上げたのであります。今度は鋼船の新たな分野が加わります。これにつきましては、やはり民間共存共栄でやっていくということであろうと思います。もちろん相互扶助という目的でやっております組合保険事業でございますから、利益を生むという必要はございません。利益が出たら組合員に渡すとか、あるいは保険料を適当なことに考えるとかというようなことでやっていけばいいのだと思いますけれども、やはり民間事業お互いに適当な競合関係にありながら、またお互いに不当に料率が低くなるというようなことがないように、両方とも健全に発達していくということが私は必要だと思っております。
  27. 宮崎茂一

    宮崎委員 もう一点、小型鋼船についてお伺いいたしますが、海難の問題ですね。先ほど木船のほうは一カ年で百七十七件の事故があった、支払い金額のほうでそういうお話があったわけです。小型鋼船のほうは非常に海難が多いといわれておるわけで、この手元の資料によりますと、これはいつの統計かわかりませんが、百トンから五百トンが一番多い。四百二十四件。この中で三百トン以下がどのくらいあるか、これは私は資料を持っておりませんですが、相当あるだろうと思います。小型鋼船が入ってまいりますと、それだけ海難事故が多いので、保険財政はだいじょうぶなのかどうかという懸念がございます。これはまたその次の再保険の問題ともからんでまいりますけれども、その点についてはだいじょうぶかどうか、お伺いいたします。
  28. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 従来の木船組合につきまして、再保険のところでもまたお話を伺えると思いますけれども、かなりの異常危険準備金をすでに両組合として持っておりますし、それから国の特別会計を廃止いたしますときに、国の特別会計が積み立てております積み立て金もその際両組合に交付することにいたしております。したがいまして、この保険事業としての基礎はかなり強固なものがございます。ただ、先生指摘のように、小型鋼船が入ってまいりますと、何しろ新しい仕事でございますし、一隻当たり損害もいままでの木船に比べて大きい金額になると思いますので、一定の割合につきましては、両組合からやはり適当な民間の再保険機関に再保険に出すということが必要だと考えております。また、その用意も再保険機関にございますし、また引き受けてくれる現実の話し合いも進んでおるということでございます。
  29. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは、再保険の話に入りましたので、私といたしましても第二点の再保険を廃止するという問題に入りたいと思います。  これまで、昭和二十八年からですか、二十年あまり政府による再保険制度があったわけでございますが、これを今回廃止しようということでございます。そのおもな理由と申しますか、これは廃止するということは保険自体基礎が非常に弱くなるんじゃないか。そしてまた、いまの鋼船も含めまして、異常災害——ルース台風みたいな災害ですね、そういったときに対処できるのかどうか。そしてまた、この再保険というのはいままで相当貢献してきたと思うわけですね。それをこの際どうしても廃止しなければならぬというふうに決意されたその辺のいきさつをお尋ねしたいと思います。
  30. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 国の再保険制度と申しますのは、この組合保険制度ができました二十六年におくれて二年後の二十八年から始まっております。そのときの考え方といたしましては、この組合発足まだ日も浅くて、保険能力が弱い。一たび大きな災害が起こりますと、多額の保険金支出を要する事態が発生して、組合員の保護に欠ける、保険金支払いができなくなる、こういうことでは困るというのが発足当時の趣旨でございました。ところが、その後の木船事故率というのは、当初予定しておったよりも比較的低うございます。したがいまして、組合の純保険収支は、両組合合計で見ていただきますとずっと黒字でございます。その結果、発足当初約一千百万円程度しかございませんでした異常危険準備金が、どんどんその後累増いたしまして、四十七年度末には約二億七千万円に達する予定でございます。したがって、あとでも申し述べますけれども、今後万一異常事態が発生しても、現在保有している準備金によって対処し得ると私どもは判断しております。したがって、国の再保険制度というのは、発足当初に所期しておったその目的を達して使命を終わったということで、現在その制度を廃止しても支障はないと私ども考えております。  それから、一方、国の木船保険特別会計も、昭和三十年度以降ずっと黒字で推移してまいりました。そこで、四十七年度末には、組合異常危険準備金と同様な趣旨で積み立てております積み立て金が約一億四千万円ございます。そこで、特別会計を廃止します際に、この積み立て金組合に交付して積み増しさせるということで、したがって、組合積み立て金両方を合わせますと四億一千万円になりますが、そういった積み増しをさせることによって、保険能力の一そうの強化をはかるということを私ども考えておるのでございます。  それから、この程度異常危険準備金積み立て金で異常な災害にどの程度たえ得るものであろうかという点でございます。この点につきまして、私どもは過去の戦後の例で一番災害が大きかったルース台風程度災害が発生するということを考えて仮定をしてみました。そういたしますと、今後木船保険が続いていきますし、さらに小型鋼船の三百総トン未満保険事業も始まります。そういう制度が始まった五十年度ごろの姿を想定いたしまして、かりにそのときにルース台風程度災害が発生したときに、どの程度異常災害に対する負担をこの組合としてしなければならないかという金額をはじいてみますと、木船鋼船の損失に対する保険金額ということを考えまして、一億三千六百万円程度異常災害に備える準備金があれば足りるという計算ができます。したがって、五十年度におきましては、先ほども申しましたように、組合自体異常危険準備金と、それから新たに特別会計から入ってきます積み立て金とを合わせまして、おそらくこの組合積み立て金は四億四千万円程度に五十年度ごろにはなっていると考えられますので、四億四千万円程度積み立て金があれば、ルース台風クラスの異常準備として、一回当たり一億三千六百万円で済むといたしますと、三・二倍、三・二回分程度のルース台風級の異常災害にたえられるという計算を私どもはいたしております。  なお、木船については、再保険制度はそういうことで発足当初の所期の目的を達したということでございますけれども鋼船につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり発足当初の組合としてみずからだけで全部の保険支払い能力を持つということが無理でございますので、民間の再保険機関に一定割合の再保険に出すということを考えておるし、またその用意はできているということでございます。
  31. 宮崎茂一

    宮崎委員 この組合基礎が非常に強固になったので、そしてまた木船もだんだん減ってくるわけだし、この国による再保険制度はもうやめたいということでございます。また、鋼船のほうは、これはいまのお話しのように、別途に民間で再保険をするということでございますね。そういたしますと、この制度としましても廃止しようということになるのですが、このまま残しておいてもどうかというような気もするわけです。もうしばらく、一年でも二年でも残しておいたらどうかなというような、またじゃまにもならぬのじゃないかなという感じもいたしますが、これはやはり政府の決断になるのか、私もその辺よくわかりませんけれども、そういう考え方はないのでございますか。そういう考え方に対しては、いまの理由でもうこれはやめるんだということになるんでしょうか。
  32. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生お話しのように、このまま再保険制度はあってもじゃまにはならないんじゃないか、おっしゃるとおりだと思います。ただ、木船の再保険制度がございましても、木船だけの保険制度では、木船隻数がどんどん減っていきますので、先細りにならざるを得ないということでございますので、私どもはむしろやはり小型鋼船を入れるという新しい保険分野事業を拡張するということを主眼考えて、所期の目的を終わった再保険制度は、もうこの際終わりにしてもよかろうということを考えたわけでございます。  なお、その際、国の特別会計に積み立てられておるところの一億四千万円程度の金も組合に交付して、組合基礎を固める一助にするということで、この際一連の措置を考えたほうがいいということを私ども考えたのでございます。
  33. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは、木船保険特別会計法も一緒に廃止になるわけでございますが、この特別会計規模と申しますか、年間どういう規模でどのぐらいの人間が働いているのか、また従事しておるのか、その辺のことを御説明を願います。
  34. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 四十七年度で申し上げまして、木船保険特別会計規模といたしまして、収益は二億一千二百八十七万四千円、費用は一億七千五百九十七万三千円という規模でございます。この特別会計に所属している職員といたしましては、私どもの海運局の中に六名現在従事しております。
  35. 宮崎茂一

    宮崎委員 木船保険法の廃止は、ここに書いてありますように、ことしの三月三十一日となっておりますが、特別会計のほうは一年あとになるわけですね。こまかい質問ですけれども、これは何か事務が残るわけでございますか。
  36. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 今回御審議をお願いしております船主相互保険組合法の改正と並んで、木船保険法の廃止と木船保険特別会計法の廃止という問題がございます。木船保険法は、今年昭和四十九年の四月一日で廃止をいたしたいのでございます。したがって、国と組合の再保険関係は四月一日以降新たな関係を結ばないということになるのが木船保険法の廃止時期の問題でございます。  それから、木船保険特別会計法のほうは、一年おくれました昭和五十年の四月一日に廃止をしたいと考えております。と申しますのは、保険の期間は一年間になっておりますので、たとえばことしの三月の末日ぐらいに契約を結ばれました保険につきましては、一年間有効で、五十年の三月の末まで有効でございますので、どうしてもそれに対する再保険金支払いというものは一年間残りますので、昭和五十年の四月一日から廃止ということに一年おくれといたしておるのでございます。
  37. 宮崎茂一

    宮崎委員 この特別会計を廃止することに伴いまして、冗員と申しますか、六名ですかその定員の問題があるわけでございますが、これはどういうふうに処置なされるおつもりですか。
  38. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先ほども申し上げましたとおり、現在六名の定員が私どもの海運局に認められております。これで昭和四十九年度限りで特別会計が廃止になったときには、この定員を一般会計に振りかえていきたいということを考えております。  いずれ昭和五十年度の予算のときに問題となると思いますけれども、私どもはそのまま一般会計にこれを振りかえていくということを努力もいたしますし、そういうふうになるということを考えております。
  39. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは次に進ましていただきまして、第三番目の点でございますが、この法律の改正によりまして、現在若松と東京でございますかに二つの木船相互保険組合がございますが、これを合併するということになるのだろうと思います。合併する法律を新たに挿入するわけでございますので、この合併についてお伺いをいたしたいと思います。  当初からこの組合は別々に育ってきたわけでございます。政府としては法律を改正して合併をするような体制、法体系を整えられておりますが、これを積極的に合併したほうがいいとお考えになって、この法律が通過した場合には合併しろということで積極的におやりになるのかどうか、そういった基本的な政府の態度についてお尋ねいたしたいと思います。
  40. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども、この法律案の中でごらんになっていただきますように、両組合が合併をするという道を開くための規定を設けてございます。  なお、この両組合は、いまもお話がございましたように、二十六年からずっと東京と若松でそれぞれ育ってまいりました。ただ役員の方もそれぞれ東京のほうは十三人、それから若松のほうは九人といらっしゃいますけれども、このうちでほんとうに常勤で給料をお取りになっているという方は、一番上の方一人ずつでございます。あとは木船の業者が相互扶助のために、自分らの保険事業だということで、役員に名はお連ねになっているけれども、給料などはお取りになっていないということでございます。しかも、先ほどのとおりに、実は隻数が減ってくると保険規模はだんだん縮小してくるという、先細りになってまいりまして、このままでは、一つずつでは、保険の集団として規模が適当でないということになってまいりましたので、当然両方一緒になってやろうじゃないかという機運も両組合にございます。また、先ほど申し上げましたように、両組合が現在持っている二億七千万円の異常危険準備金にいたしましても、さらにまた、国の特別会計から交付いたします一億四千万円の積み立て金にいたしましても、二つで分けて使うよりも一体で使うということのほうが組合保険能力の一そうの強化になるということでございます。そういったことで、両方組合とも合併の必要性をみずから感じておるようでございますし、合併の機運も十分にあると思いますので、私どもはそれがうまくいくようにこの法律で合併の規定をつくると同時に、今後とも力をかしていけばいいのじゃないかということで考えております。また、事務所などの点につきましても、重複しているようなところは一カ所で済ますというような合理化の道もはかられると思いますので、この組合が合併することによって、内容も充実するし、事務の合理化もはかられるということで、私どもは期待しておるところでございます。
  41. 宮崎茂一

    宮崎委員 ただいまの話を伺ったのですが、合併に積極的というほどでもないけれども、つまり、法律をつくって、どうも両組合とも合併したいという気持ちもあるようだから合併させるようにしたいのだ、合併による利点という点になりますと、事務所の節約とかそういうことですか。そのほかに合併による利点はどういうことになっておるのか。それからまた、あとからの小型鋼船でございますね、これはどういうふうに組織の中に加入者のほうは入ってくるのか、その辺ひとつお伺いいたします。
  42. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私、説明がちょっと悪かったと思います。  両組合で合併しようという機運がもう十分ございます。私どもが別に法律をつくって強制をするわけではないということを申し上げましたので、必要性も両組合で痛感しておりますし、また組合の合併も、この法律が成立をいたしましたら、あまり日時がたたない間に合併の手続をするということは、私どもも期待しているところでございます。  また、小型鋼船がふえましても、実は東京の組合のほうは職員の数が十一人、それから若松の組合のほうは十九人ということでやっておりますが、この人数をふやすことなく、小型鋼船保険事業もこの人員でやっていこうということを、両組合考えているようでございます。
  43. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは、最後に大臣にお伺いしたいのですが、いまお聞きのように、いままでの木船でございますが、この輸送分野に占めるシェアは非常に少ないわけでございます。そしてまた保険規模も小さいということでございます。しかしながら、運輸行政の中でこの分野はあるいは中小企業かもしれません。全体の国内輸送とか、あるいはまた運輸行政という大きな立場からお考えになると、あるいは小さいかもしれないのですが、私はこの中小企業をほんとうにきめこまかく、あたたかい気持ちで見ていただきたい。合併とか、あるいはまた法律の廃止という問題がございます、その間に、いろいろな業界の中で摩擦なり不安なり、そういったことの起きないように大臣はひとつ指導していただきたいと思うわけでございます。  また、省エネルギー時代と申しますから、私はまだある程度航輸送というものは見直されるような時代も来るのじゃないかというふうに思うわけでございます。この木船業界、あるいはまた小型鋼船業界に対しまして、この法律改正を機に、ひとつ大臣の御感想と申しますか、お気持ちをお尋ねしたいと思うわけでございます。
  44. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 この法案の提案理由の説明の中にも申し上げておりますように、いま御指摘がございました小型木船がだんだんと鋼船化していく傾向にあることは事実でございます。したがいまして、二つの組合の合併の道を開きまして、まず基盤の強化をはからなければならないということが主たる理由でございますが、この法案を成立させていただきました暁には、両組合の円満な合併を促進いたしまして、保険加入していらっしゃる中小企業の方々のいわゆる組合員の皆さん方に対するサービスの向上と申しますか、そういう面に資することができるというふうに考えて、御提案申し上げ、お願い申し上げておる次第でございます。
  45. 宮崎茂一

    宮崎委員 これで質問を終わります。
  46. 三池信

    ○三池委員長 次回は、来たる十二日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十五分散会