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1973-06-27 第71回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十七日(水曜日)    午後一時十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山下 春江君     理 事                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 竹田 四郎君                 田代富士男君                 中沢伊登子君     委 員                 上原 正吉君                 亀井 善彰君                 川野辺 静君                 佐田 一郎君                 志村 愛子君                 嶋崎  均君                 塚田十一郎君                 西村 尚治君                 伊部  真君                 小柳  勇君                 中村 波男君                 和田 静夫君                 柏原 ヤス君                 渡辺  武君    国務大臣        内閣総理大臣   田中 角榮君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       小坂善太郎君    政府委員        内閣法制局長官  吉國 一郎君        内閣法制局第四        部長       別府 正夫君        経済企画政務次        官        橋口  隆君        経済企画庁調整        局長       新田 庚一君        経済企画庁国民        生活局長     小島 英敏君        大蔵省主計局次        長        長岡  實君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省関税局長  大蔵 公雄君        農林省畜産局長 大河原太一郎君        食糧庁長官    中野 和仁君        建設政務次官   松野 幸泰君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        自治省税務局長 佐々木喜久治君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        大蔵省銀行局銀        行課長      清水  汪君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊  急措置に関する法律案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 山下春江

    委員長山下春江君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 竹田四郎

    竹田四郎君 私ども、商品投機事態を引き起こしてから、早急にこの法律を通そうと考えたわけであります。しかし、実際には、総理みずから提案した小選挙区制の問題によって中断をし、さらに経済企画庁長官ヨーロッパに出張をしたということでさらに中断し、増原発言によってさらにまた中断をした。私どもは二十二日に総理出席を強く要望していたわけでありますけれども、これまた総理出席をなさらない。今日まで延々と総理出席を待っていたわけであります。きょうその機会を与えられたことについては感謝をいたします。  そこで、率直に国民の疑問を総理にお伺いしたいと思いますが、消費者物価も、また卸売り物価も、関係機関の発表のたびに前回数字を上回る、こういう事態であるわけであります。常に上昇曲線ばかりが描かれているわけであります。そうした点で、国民はすでに物価についてはこれは下がることはないと、こういういわゆるインフレマインド、こうしたものが広くびまんをしていることは総理も御承知のとおりだと思いますけれども、一体総理のお見通し物価は四十八年度の後半においてどうなるのか、下がることがあるのか、あるいは少なくとも横ばい状態という事態というものがあり得るのかどうなのか。すでに、政府見通しから見ましても、卸売り物価上昇年間二・二%ですか、消費者物価五・五%、これをだれも信ずる者はもうなくなってきていると思う。将来の物価見通し日銀総裁に伺っても、この点は下がりそうもない、非常な危険な状況だと、こう言っている。物価担当企画庁長官もそれに対しては確言をしない。大蔵大臣も困ったものだと言っている。一体、四十八年度のこれからの物価見通し総理はどう考えておられるのか、率直に国民に向かって御発言をいただきたい。
  4. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 物価は、まず安定させなければならないという基本的な考え諸般施策を進めております。物価は下がるのか下がらぬのかということは、これは将来の見通しでございますから、政府としては諸般施策を進めておるために物価は下げなければならない、また、横ばいもしくは安定的な状態を招来するように全力を傾けておりますと、こういうことでございます。まあ下がるのか下がらぬのかといえば、これは下げる方向全力をあげておるわけでございますから、御理解をいただきたいと、こう思います。
  5. 竹田四郎

    竹田四郎君 全力をあげているというのは、もうあなたが総理大臣になってから常にそう言っているわけです。いつも物価は下げなくちゃならぬ、あるいは安定しなくちゃならない、こういうことを言っているわけです。しかし、ちっとも下がらないわけです。まあ一部には海外インフレの問題も私はあると思います。しかし、これもそう国内物価の全体を引き上げる力とは言えません。そのことばだけでは国民は困るわけです。実際あなたは少なくとも権限を持っておられるわけです。行政的な権限を持っておられるわけです。そういう中で、全力を尽くすというだけでは、やっぱり国民承知しないと思うのです。下半期においては下がるという確たる御答弁がなければ、またあなたの言ったことが国民はだまされたと、こういうふうにしか理解しないと思うのです。その点、どうでしょうか。
  6. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは下がるということを言えば一番御理解がいただけるわけでございますが、いま下げるために全力をあげておるのでございまして、その効果が出ることが望ましい、期待をしておるということ以外には言えないわけでございます。  それはまあ釈迦に説法でございますが、物価が上がっておる要因というものは一つじゃないわけであります。これは生産性が非常に抑制されておって生産力が落ちてしまうという場合になれば物価は上がります。しかし、日本生産性は上がっておるのです。現実問題として上がっておる。また、ヨーロッパ先進工業国のように賃金上昇分生産性でもって補えないような状態ではない。年率二〇%という世界最高賃金が上がっておる状態でありながらも、それを上回るような生産力が上がっている。週休五日制を採用しなければならないということが現に議論されておるような状態であることは、事実でございます。また、海外要因というものはこれは不測のものであって、日本だけで片づく問題じゃありません。ですから、この問題は、秋の飼料の問題にしろ、いろいろな農産物、特にアメリカ海外から輸入のウエートの非常に高いもの、中には九〇%以上というものもあるわけでありますから、そういうものは八月、九月の作付生産状況を見なければわからぬわけであります。しかし、いまよりもいい状況にあることは事実でございます。  それからまた、生産よりも通貨の膨張が激しい、これは確かにそのとおりであります。一年半のうちにドルと円との価格は、約三〇%近くも円が上がったわけでありますから、そういうことから言えば、もう当然中小企業零細企業影響が及ぶわけでございますが、いまの状況においては及ばない。それは中小企業合理化や努力ももちろんのことでありますが、通貨発行が相当緩慢な状態である。通貨発行量がある意味において大きい。大きいということは、ある意味で言えば金融が超緩慢であるということも言えるわけであります。しかし、この金融緩慢というのは引き締めつつありますが、いま四十五年の一月に四十五億ドルであった外貨準備高当時の通貨を水準にして引き締めをずうっとやっておるわけでございますが、しかし、当時までに十年間一一・一%ずつの平均高い成長率を維持してきたものが、その後は——その時代であっても対前年度一七%程度通貨伸びであったわけであります。ところが、四十六年、七年と、こう見てまいりますと、三〇%以上も伸びておるわけであります。しかし、これを一挙に締めれば中小企業はばたばたっとまいってしまう。ですから、これは引き締めれば物価は安定するにきまっておりますが、しかし、中小企業零細企業が対応する体質ができない限り、急激に引き締められるものでないことは、これはもうその道の専門家である竹田さんよく御存じのはずであります。だから、そうすれば、中小企業零細企業対策というものを考えながら、できるだけノーマルな状態にしなければならない過程にあることは事実なんです。しかし、いまアメリカに比べても公定歩合に一%も差があるわけですから、アメリカ並み引き上げなさいという議論はたえず町には行なわれておりますが、しかし、その場合、中小企業零細企業に対しての資金需給状態というものを把握しない限り、急激な引き締め公定歩合引き上げもできないということで、窓口規制を行なったり、商社別規制を行なったり、公定歩合引き上げを行なったりやっておるわけでありまして、いろいろなことはやっておるわけです。ですから、いままででもとうふは上がった、豆はうんと上がったと。豆は勘定してみたら三十万トンもよけい買い込んでおる。まあこの法律を通していただけばすぐどこにあるかということがわかるわけでありますから、そういうことをやれば木材でも下がったわけです。木材はうんと下がったわけです。セメントに対しても八千八十万トンしか要求のないところを九千四、五百万トン、多くやれば九千六百万トンの生産力があるわけです。そのほかに七百万トン韓国から入れるということをやっているんですから、これは諸般の手は打てるわけです。ですから、そういう意味余剰資金の吸い上げのために短期債券発行も行なっておる。いろいろなことをやっておりますから、現実的には物価を下げる施策はとられておるわけであります。土地に対しても、いまぎりぎり手持ちのものを売るか売らないかというところまで来ておることは、御承知だと思うのです。ですから、土地に対する新規購入資金引き締めるという体制でおりますから、こういう状態でもって一番多いのは去年対前年度比六〇%以上も貸し増しされたというものをほとんどゼロに近いところまで押えておるということですから、私は一カ月や二カ月でこの成果がすぐ数字にあらわれるということはないと思いますが、しかし、少なくとも今年度下半期に対しては物価は安定的なものになる、また、しなければならない、こういうことでございます。これはどうしても引き下げなさいということになれば、ではオーソドックスな引き締め政策をやりますということを言わざるを得ないわけでありますが、それをどうも私はまだ国民的コンセンサスも得られないし、そういう物価オンリーということでオーソドックスな引き締め政策をとっていく、いわゆる増税を行なうとか、賃金のストップを行なうとかいうような政策までここであわせて行なわなければ物価が抑制できない状態ではない、私はこういう理解のもとに立っておるわけでございますので、いま下半期に下がるのかと。下げるために全力をあげておるということを御理解いただく以外にはないわけでございます。
  7. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、まず、あなたの物価に対する見通しは、安定させなければならない、それ以上のことは言えない、ただ全力を尽くす、ただそれだけでございますか。話の中には、下半期には安定的になる、させなければならないというおことばも入っておりましたけれども、安定的になるんですか、それとも、安定的にさせなければならないという一つ目標を、目標といいますか、そういう決意を示したというだけなんですか、どうなんですか。もっと科学的に下がるんだ、あるいは安定的になるんだというふうに理解していいんですか。その辺がどうもあなたのたくさんのお話の中で一番聞きたいことは、下がるのか上がるのか、安定的に推移するのかということだと思うのですよ。国民は一番そこが聞きたいわけです。
  8. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 一番ウエートのあるところは、物価安定のために全力を傾けております。この効果は必ずあらわれるであろう、あらわれることを確信いたしておりますと、こう申し上げることが第一でございます。  第二は、これだけの政策をやっておりますから、当然のこととして物価安定的方向をたどるであろうということは申し上げられます。
  9. 竹田四郎

    竹田四郎君 そこで、総理は、この間、いまの物価状況インフレではないと、こういうふうにおっしゃったそうであります。福田赳夫行政管理庁長官は、いまの点は、インフレだと。むしろ福田さんのほうが私はどちらかというとインフレではないという意見のほうではなかろうかと実は思っていました。ところが、案に相違して、福田さんのほうがむしろインフレだと、田中総理インフレではないと、こういうふうにおっしゃったわけであります。なぜインフレでないのか。まあ学説もいろいろありますけれども、いままでインフレということばを使うことをきらっていた近代経済学系統の人も、インフレだと、こう言い出した。総理は、インフレでないと、こう言う。私はことばあやだけではないと思う。この前、企画庁長官にお伺いしたら、それはことばあやだという趣旨のことをおっしゃっていたんですけれども、インフレである場合とインフレでない場合、この場合には当然あとの対策というものが私は違ってくると思う。その点、総理はいかなる根拠で今日の状況インフレでないとおっしゃっているのか、その根拠をひとつお知らせをいただきたい。
  10. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) まあ、インフレーションということばのことを議論するために御発言になっておられないんだということは私も理解しております。インフレートする、自主生産量に対して通貨がより多く膨張するということであろうと思います。そういう意味から考えると、まあ多少そういうところもあります。先ほど申し上げましたとおり、四十六年の下期、四十七年の上期、四十七年の下期の三期にわたりましては、一一・一%の成長率を十年間平均続けてきたときの対前年度通貨発行高伸び率が一七%台であったものが、三〇%台をこしておるということでありますから、これはもう言うまでもなく通貨は膨張しておるということは言い得るわけであります。建設省が試算しております対前年度比の住宅伸びは一七・六%でございますが、この間テレビでもって発表した数字住宅ローンを含めた民間の建設と貸し出しの総額は対前年度比三五%をこしておるわけでございますから、そういう意味からいいますと、確かに通貨というものは、常識的な考え方から言うと膨張しておるということは言い得ると思います。しかし、四%から五%であろうと思っておった国民生産も、昭和四十六年度は七%、八%になり、ことしは九%台で押えたいと言っておるのが、一〇%、一一%、もっと大きくなるというようなおそれもあるので押えなければならないというような状態でございまして、まあ学問的にいうインフレーションということが日本現状にあてはまるかどうかということは、これはいろいろ評論家が言うところだと思います。私はやはり政府主管者でございまして、国民に対して悪い影響のある発言をする立場にはないわけであります。私は、そういう意味から、日本現状インフレーションだとは考えておりませんし、インフレーションにならないように全力を傾けなければならない、そういう責務を有しておるわけでございます。  ここに一つ数字がございますが、私は十年前に大蔵大臣をやっておりましたときにウジミナスの問題がございまして、日本ウジミナスに対して投資をやめるかどうかという問題がございました。そのときの数字をちょっととってみましたら、なるほどブラジルはインフレーション傾向にある。これはインフレ経済であったと言われておったわけです。これは数字を見ると、一九五三年は一ドル当たり五十五クルゼーロであったものが、七二年には六千二百十五でございますから、これは考えると、まあまん中でデノミネーションをやっておりますけれども、五三年に対して百十三倍になっておるのでございます。これは学問的にも、現実的にも、世論の上でも、インフレーションと、こう言われておりますが、日本のいまの状態インフレーションに通じてはならない、インフレーションにしてはならないという議論は至当だと思いますが、現在の状態インフレーションであると、こういうことを断定することは私は間違いだという感じを持っております。福田国務大臣の話が出ましたが、これは私と同じであります。これは発言に際しての前にも私と話しましたし、終わったときに新聞にどう出るかわからぬけれども、私とあんたの考えは同じですね、同じですよと、こういう了解をお互いにし合っておるわけでございますから、これは閣内でもって全然違いはございません。これはただ話したときのアクセントの違いということでひとつ御理解を賜わりたいと思います。
  11. 竹田四郎

    竹田四郎君 少なくとも、福田国務大臣がいままで大蔵大臣の経験もお持ちだし、経済関係にも明るいということは国民がちゃんと認めているところです。そういう意味では、福田国務大臣は、やはり田中内閣の中の大きな柱だと私は思うのです。その経済関係に明るいお二人が、片一方インフレでない、片一方インフレだと。ことばの違いだとはいえ、やはり、国民は、そういう点では内閣意見の不一致、こういうふうに私はとらざるを得ないと思う。ただ単にことばあやとして、片一方インフレと言い、片一方インフレでないと、そういう問題では私はないと思う。学者ならいざ知らず、評論家ならいざ知らず、私は、その点が、現在物価政策が政治の最大課題である、こういうふうに言っているにもかかわらず、閣内意見の不統一、そういうことは許されないと思う。話してみたら同じであったということであるならば、はっきりとその点を国民に、少しも違っていないんだというはっきりした統一見解というものを、インフレ内容を含めて、物価値上がり状況内容を含めて、統一的な見解というものを私は国民に明らかにすべきだと思う。ただ、ないしょ話をして、それで意見が違っていなかったんだということでは私はおさまらぬと思う。国民は、いまやまさに、これからの物価がどうなるか、そうしたインフレマインドがあるいは換物運動に変わっておるし、あるいはそれが一つ商品投機への方向にも私はあると思う。政府の態度が非常に不明確だ、意見がばらばらだ、こういうところにむしろ私は物価の上がっていく、あるいは商品投機をする一つの根源というものがあると思う。そうした点は、田中総理は、ぴたっと内閣意見というものをはっきりと統一する必要が私はあると思うんですが、どうですか。
  12. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 内閣の不統一は全くありません。私も、福田国務大臣も、小坂経済企画庁長官も、全く一つでございます。これは間違いありません。公の閣議でもって確認をしておることでございますから間違いありません。ですから、どういうふうに伝えられたにしても、考え方は全く一つである。ですから、インフレーションにしてはならない、そのために政府も党も全力を傾けなければならない、国会の御協力も仰ぎたい、こういうことでございまして、間違いありません。
  13. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはさらに私は、福田行管長官に次の機会にこの点をひとつまた明らかに聞いてみたいと思う。一応、いまの問題では、総理の違いがないという点については、考え方の認識の上で違いがないということについては、一応総理答弁を了といたしますけれども、しかし、私は、どうも違うと、こういうふうに思うわけであります。  それから次の問題として、商品投機が起きた、そうしたものが物価値上がりにつながっている。これは商品投機だけではありません。株式投機もたいへんされました。そうしたものが今日の殖産住宅の事件というようなものにも私は間接的な影響があると思います。また、土地投機の問題についても、私は去年からこの問題についてはすでに言っているわけです。公の席上で言っているわけです。これについてでも一年近く放置されていた。こう考えてみますと、今日の、商品投機が行なわれ、株式投機が行なわれ、土地投機が行なわれたということは、私は、田中内閣の手の打ち方、こうしたものが非常におくれている、このように思うわけです。特に、過剰流動性国内で言われているときにあなたは列島改造論をぶち上げた。これが土地投機への大きな波となって日本全国に及んでいった、こういうふうにも思います。また、同時に、この前の去年の補正予算のときに、私は、補正予算のこの額が多過ぎる、もっと縮小しなさい、こういうことを強調したはずであります。あなたもそれは聞いたはずであります。さらに、それに引き続いて、四十八年度の予算も私は大き過ぎると。こうしたものがさらに一そうにインフレ傾向を促進したというふうに思います。そうしたあなたの金融財政政策について、あなたは当然やるべきことをやってきたと、こういうふうにお考えだろうと思いますが、私は大きな間違いだと思います。したがって、さきのインフレ論議の中でも、社会資本の充実は必要でありましょう。私も全面的にこれは否定するつもりはありません。しかし、その中で切るべきもの、伸ばすべきもの、これを私ははっきりと区別しなければいかぬと思う。先ほどのインフレ論議の中でも、福田国務大臣は、したがって、列島改造関係予算は切りなさい、こうはっきり言っているわけです。ことばの上では統一していても、実際のこれからの政策ということについては決して一致していないわけです。そうした意味で、あなたはどういう反省を持っておられるのか。商品投機商社だけが悪くて、政府は何らこれについて反省すべきものがなかった、こういうふうにお思いなのかどうなのか。私はむしろ政府自体がもっと反省をしなければならぬ問題であると思う。いままで聞いたお話はほとんど金融政策のみにあなたは責任をおっかぶして、財政政策自体についてはほとんど考えていない、こういうふうに言ってよかろうと思う。そうした意味で、物価値上がりの原因というのは、私は明らかにあなたにある、第一次責任はあなたにあると思う。そういう反省はあなたは考えたことはございませんか、
  14. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 物価騰貴責任が私にあるとは考えておりません。おりませんが、私は与党の議員でもあり、また前内閣の閣僚でもありましたし、その後内閣の首班として予算編成責任者でもございましたし、諸法律案を提案する責任の地位にもありましたので、諸物価騰貴を押えるためにより積極的な施策をもっと勇敢に打てばよかったなあという面はありますが、物価騰貴責任者が私であるなどとは考えておりません。それはあんたもよくおわかりのとおり、私が商工委員会で御説明をしました当時には、野党の皆さんからも、この程度のことをやって中小企業一体第一次円対策としてもつのかという御質問が強かったわけであります。あの当時は、国際収支の問題、第一次円対策、これはもう最大の問題であったわけであります。へたをすると中小企業零細企業は全部つぶれてしまう、日本の経済は大混乱におちいるというのが実情でございました。そういう一八・何%というような円の切り上げという事態に対処して、われわれは、やはり、中小企業零細企業は開放化に対応するためにはあらゆる施策を講じなければならない責任を持っておったわけです。これは与野党、政府を問わずそうであったわけです。ですから、そういう場合において中小企業対策も必要であったし、また、輸出を内需に振り向けるためには景気の浮揚ということも必要だったわけです。時あたかも、社会資本は不足であったし、社会施設も不足であったし、生活環境の整備もしなければならない、社会保障は拡充しなければならないという国民的要請がありましたから、それにこたえなければならないということに思いをいたして諸般施策をやったわけであります。まあ、それは少しやり過ぎたということが御指摘になられれば、それはそういう意味では一つには金融は緩慢になり、補正予算もいまになれば組まないでよかったじゃないかという議論もそれは存在するかもしれません。しかし、そのかわりに、両三年間かかるであろうという常識を破って、国際収支はちゃんと改善をされたわけであります。日米間というものは、三〇%のウエートを持っておるだけじゃありません。海外における米系企業からの輸出入を考えれば、日本の総輸入輸出の四〇%をこしておるのであります。これが日本の対米貿易が変になった場合に、一体日本国民生活がどうなるか、経済がどうなるかというのは、これはもう商工委員会でも十分論じられた問題でございます。そういう面から考えれば、対米貿易もちゃんとよくなったじゃありませんか。国際収支もよくなりましたよ。ですから、そのためには、相当国内の内需に転換しなければならないということで施策をやらなければならなかった。だから、中小企業やあれだけ大きな問題になった繊維企業の倒産はないじゃありませんか。最も好況である。好況であるという反面、賃金の大幅なアップにもなっているでしょうし、期末給与にも響いておるでありましょうし、同時に金融は超緩慢になったしということで、必然的な問題としてその過程において物価の上昇——少なくともそういう過程において物価が引き下がるような状態ではないと思うのです。ですから、上昇の過程にあったので、もう一つ二つの問題は片づきつつあるから、今度は物価に専念をしなければいかぬ。しかし、物価を押えることにあまりにも急になって、せっかく持ちこたえてきた中小企業零細企業の開放化というものもいまだしというときに、もとからくずすようなことをしてはならないというバランスをとっているのがいま政府考え方でございまして、私自身は政策に誤りはあったとは考えておりません。  ですから、今度は物価政策というものをほんとうにやって、それで物価が押えられれば、なるほどよく、一年か一年半の間でこれだけのものを両面押えたわいと。その結果、社会資本の蓄積も行なわれ、社会保障も拡大傾向にあるということになれば、国民理解を得られると私は考えておるんです。ですから、やはり、いまもう最大の問題として物価抑制に全力をあげなければいかぬと、こう思っておるのであります。私は物価を押し上げておる要因ということを具体的に述べろといえば、土地にどういう金が回っておるとか、どういうところに原因があるとか、買いだめ、売り惜しみがどういう状態から金が回っておるんだということまで、しさいに調べておりますから申し上げてもけっこうですが、いずれにしても原因はおおむねつかみ得ておるのでありますから、諸外国のように生産性でまかなえないような状態賃金生産性でもってどうしてもまかなえぬような状態による物価が高騰しておる現状ではない。こういうことだけは私は前提にしておりますので、物価抑制に対しては、政府は国会の協力を得て全力を傾けていけば、抑制の実は十分あげ得る、こう考えておるわけであります。
  15. 竹田四郎

    竹田四郎君 私はそう思わないんです。なるほど、国際通貨の変動を中心として中小企業に手を打たれたと、それはわかります。それは私どももそのときに反対したわけじゃありません。それなりの評価はしていいと思います。しかし、商品投機をし、株式投機をし、土地投機をやっている、こういうのは中小企業じゃないんですよ。大企業なんです。今度の金融引き締めだって、どうです、つらく当たっているのは中小企業だけじゃないですか。大企業には手は届いていないじゃないですか。大企業の過剰流動性は相変わらずあるんじゃないですか。これが設備投資をしているんじゃないですか。私な、そういう意味で、金融と大企業に対して政府の打つ手というのは全く誤った、このように思うわけであります。そういう点の反省がない限り、安定的な状況というものは出てこないわけです。  あなたは、法人税の税率を四〇%にするということをぶち上げました。これはいつからやるんですか。話の様子では来年から——なぜことしの法人税を議論しているときからこの問題を具体的に今年度の後半なら後半からやると、そうした対策をあなたは打ち出さないんですか。私は、これは、法人税率を引き上げて法人の手元の過剰流動性を吸収しろということは何回か言っているわけです。法人税率の審議の際にも私はこれを言っているわけです。そうしたことは一向に取り上げないじゃないですか。いまのあなたは、金融引き締めろ、金融引き締めろと、こうおっしゃっている。これは大企業に響くんじゃなくて、中小企業に響いているんです。もう五月から企業倒産はふえてきているわけです。負債金額だって非常に大きな金額になってきているわけです。そうした意味では、私は、財政政策あるいは公共事業のあり方、こうしたものに徹底的にメスを入れなければ、物価の抑制には一向につながらない。いまこそ、財政の果たす役割り、これが私は一番大きいと思う。そういうところでは、わずかに公共事業費の九月末の契約ベースを若干下げただけだ。しかも、その内容は、一番金額的に大きいところの国鉄の新幹線、あるいは高速道路、こうした面については、特に減らしているという面は少しもうかがわれないじゃないですか。通信施設についても同じであります。むしろ、減らしているのは、住宅とかいう国民の生活に直結する問題を減らしているじゃないですか。こういうことでどうして物価が下がりますか。私は、公共事業費の進捗度をさらに落とす必要がある。その内容は、通信であり、鉄道であり、道路の、一般的ではありません、そうした中でも新幹線と高速有料道路と、あるいはデータ通信と、そういうものをおろしていく必要が私はあると思う。税金についても、少なくとも臨時国会においては成立させる、ことしの九月期決算ぐらいにはもう新しい税率をかけていく、このようなことをしなければ、商品投機だって何だっておさまりやしませんよ。政府はうまいことを言っておりますけれども、政府の手の速さと商社の手の速さと比べたら、問題になりませんよ。徒歩と宇宙船ぐらいの違いがあるんですよ。あとからよちよち行ったって、そんなものはつかめりゃしませんよ。もっと私は、そういう意味で根本的に財政政策を改める必要があると思う。  もっとあなたに聞きたいことはありますけれども、私に割り当てられた時間がないものですから、この辺で私のあれは終わりたいと思うのです。もっと真剣に財政政策物価対策というものを考えてもらわなければ困ると思う。私の意見についてどう思いますか。
  16. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 中小企業に金を締めて大企業に金を貸しているということでございますが、これは幾ら感じだけをお述べになったにしても逆でございますから、新聞にも数字が出ておりますとおり、日銀は窓口規制を行なうにしても名前をあげて大企業を締めておりますし……。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 率じゃないですよ。金額が違いますよ、金額が。
  18. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それから土建企業とか、それから土地に対してはもうほとんど貸し出しをしないということをやっておるわけでございまして、これはもう大企業中心に引き締めを行なっておる、都市銀行中心に引き締めを行なっておるということは、もう申すまでもないことでございます。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 それでも締まらないんですよ、それでも。
  20. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それと、中小企業に対しては、これはもう影響のないようにしさいな配慮を行なっている。そのためには二千億、三千億と原資の追加もしておりますし、これはもうそういうことは全くないわけでございますから、これはひとつお間違いのないようにしていただきたい。  特に、公共事業費につきましては、上半期の契約率を五九・六%という、まあ対前年度から比べると異常に締めておるわけでございます。それは、生活環境とか、災害復旧とか、積雪寒冷地帯とかいうものだけは、これはもう押え切れないということで、こういうものを除いて五九・六%にしておるわけでありまして、生活環境等を除けば五四・五%という低率に押えておるわけでございます。まだ物価動向を見ながら十分検討してまいろうということで、いま前年度の繰り延べ工事がどのぐらいあるのかというしさいな検討までやっておりまして、これは時を移さず弾力的な運用を内閣としてはやってまいりたいと、こういうことでございます。  生活関連施設を押えているということですが、生活関連施設は押えないということでございますから、他の貸し出しを非常に強く押えているにもかかわらず、住宅ローンの貸し出しは対前年度比でうんと押びているにもかかわらず、まだその上に三〇%、三五%、三六%ということがいま報道されておるわけでございますから、これは事実間違いのないことでございまして、(「違う違う」と呼ぶ者あり)これは現実でございます。新聞の数字が間違っておるということじゃございませんから、これはそういう意味で、政府がほんとうに細かく配慮しながら押えておるということは御理解いただきたい。これはただ答弁だけではなくて、現実問題として政府物価を抑制しなければならないということでございまして、これはまあ今度四兆円だと言われておった夏期のボーナスだけでも五兆円をこしておるということでございますので、これは商社の手元に入った金が百億ドルとしても二兆円ないし三兆五千億ぐらいだったわけです。これよりもはるかに大きい金が、家にはならないが自動車にはなる、自動車にはならないが何かになるというものがあるわけであります。現実問題です。ですから、そういう問題に対して、いま三千億や五千億の短期債券を出して一体固定できるのかという問題もありまして、今度は預金金利を引き上げたり、いろいろな施策を行なって国民的協力を得ようとしておるわけでございまして、これは政府としては最善の努力をしておるということでひとつ御理解をいただきたい。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 答弁は要りませんけれども、あなたはそんなふうに住宅ローン中小企業の問題を考えているんですか。末端の信用金庫や銀行の支店の窓口をあなたは見たことがありますか。まるきり違うんですよ。住宅ローン住宅ローンと言うんですが、できるのはセカンドハウスとか高級マンションとか、そういうものしかできないじゃないですか。サラリーマンが自分の家を建てたいといったときに一体幾ら借りれますか。せいぜい百五十万が精一杯じゃないですか。制度は備わっているけれども、実際は借りれないんですよ。そういう点をあなたは現実の一番末端というのを見ていないんですよ。中小企業の問題だってそうです。いま、受取手形の手形サイトはどのくらいになっておるか、それも知らないでしょう。あるいは手形を割るワクですね、融資ワク、それがどんなふうにされているか、あなたは知らないでしょう。幾ら中小企業には金融を締めないと言ったって、そんなことはないんですよ。現実にはきわめてきびしい中小企業への融資態度ですよ。そういうことを知らずに、ただコンピューターのはじき出された数字を見て、そうではない、そうではないと、そう言うのは、まことにきめの細かい配慮とは私は言えないと思うんです。答弁は要りません。もう少し一番末端の情勢というものをあなたのコンピューターに入れてはじき出していかなければ、私は大きな誤りをつくると思うんですよ。そのことだけ特に私は警告を発しておきます。  終わります。
  22. 伊部真

    ○伊部真君 どうも総理答弁が長いものですから、時間的には制約がありますが、委員長の御配慮をお願いします。  まず、私は、新全総、日本列島改造論を中心とした今日までの高度成長政策が、公害、住宅、過疎過密あるいは物価問題、諸般国民に対する被害を与えている。当然、このような状態に対して、政府としては、その反省の上に立って、高度成長をいわゆる安定成長への政策転換を行なうべきだと思うのですが、そういう反省と、これからの方向について総理見解をいただきたいと思います。
  23. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は、戦後の日本状態から考えると、まず働く意思のある人には職場を、そして生きなければならない、着なければならない、住宅を求める、こういう立場から考える政治の目的は成長過程において一応成功したという評価を持っておるのであります。しかし、成功の過程においていろいろな摩擦やいろいろなものが出てくるということは、これはもう避けがたいことでございまして、物価問題もその一つだと思います。私は、そういう意味で、静かにものを考えるときに、何もないのではありませんから、これだけの蓄積を持ち、これだけの生産性を持った日本でありますから、これをフルに効率的に運用することによって国民の期待にこたえなければならない、それは第二の段階の問題であって何人もが行なわなければならぬことである、こういうものの考え方を持っておるのであります。ただ、一一・一%というような高い成長率というものが一体いいのか悪いのかということは、これはもう、いいという議論もありますし、悪いという議論もあります。しかし、専門家を集めて議論していただいた結果、五十二年まで九・二%がまずよかろうという答申をいただきまして、政府はそれを社会経済基本計画として国会にも御報告をしたわけでございますが、これはアメリカが年率三%でもって七%以上、八%も物価が上がっておるとか、また、西ドイツにおいてもイギリスにおいてもフランスにおいても、日本よりもはるかに、二%ないし三%、多くて四%の成長率でありながら日本以上に物価が上がっておるというようなものに比べてみて、私たちは、日本人の位置というものはやはりちゃんとしたことをやってきたんだと思っています。しかし、高度成長とか超高度成長とかというものよりも安定成長というものがもうそういう時代であろうということは、これは前の内閣時代から安定成長を続けようと。高度成長ということを正式に国会で申し上げたのは池田内閣だけでございます。私は池田内閣大蔵大臣を三年やっておりましたからまあ高度成長をやってまいったわけでございますが、これは超高度成長と国会では議論されたわけでございますが、佐藤内閣に移ったときには安定成長、私も引き続いて安定成長と、こう言っておるわけでございまして、安定成長路線を歩まなければならぬということに対しては全く異論がありません。
  24. 伊部真

    ○伊部真君 いま、今日の政策が安定成長というふうな話でありますけれども、事実は、この十年間の足取りを見ると、これは明らかに世界に類例のない高度成長を遂げていると思います。その意味では、これからの行政の中では反省をして、やはり成長のカーブも鈍化させるということを考えないと、私は、やっぱり、公害問題、あるいは住宅問題、過疎過密問題というのは、修正あるいは解決することができぬと思うのです。そういう意味考えますと、総理が言われているこれからの成長というのは安定成長の姿であるのかどうか。たとえば「列島改造論」の中に書いてありますが、昭和六十年になると一兆三千二百億トン・キロですか、荷物がふえるだろうと、生産がそれだけ伸びるだろうとあります。なるほど、運政審のほかのほうでは新全総なんかは約一兆七千八百億トン・キロと非常に大きな成長をうたっているわけです。事実はそれだけの生産量を受け入れるだけの入れものというのはないと思います。ですから、無理が出るから、公害になったり、ほよのほうに非常な無理が出てくると思うのです。そういう意味では、私は、いまのところ、総理の話から見ても、いままでの高度成長を少しブレーキをかけよう、安定成長に切りかえようというような、そういう政策がうかがい得ないわけでありまして、いま言われただけでは具体的な内容にならないと思うのです。特に、私は、先ほど竹田委員からもありましたけれども、その意味では福田国務大臣が言っている内容と少し違うのではないかと思いますが、その点についてもあわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
  25. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 福田国務大臣がどう言っているか、私もさだかに承知しておりませんが、安定成長というものは、その国その国の実情によって違うわけであります。蓄積を非常に持つ国の成長率、蓄積のない国の成長率というのは、これは当然違うわけであります。アメリカ日本とを比べれば、社会資本の蓄積率は四対一でございます。そういう面から考えてみれば、社会福祉施設の増強をしなければならない、また、生活環境施設の整備をしなければならない、公害の排除をしなければならない、こういうことを考えれば、当然社会資本の蓄積率というのは上げなきゃいかぬ。そういうものを加味しての国民生産成長率ということになりますから、これは一様に論じられる問題ではないと思います。成長率成長率と言いますが、これは世界各国でも違うのです。ソ連は七十二年度の国民生産は百兆円でございます。日本の今年度の国民生産も百兆円でございますから、ちょっと考えると同じようでございますが、計算のしかたが違うわけでございます。ソ連は一次産業と二次産業と三次産業の一部を含めておるだけでございまして百兆円でありまして、日本は三次産業まで全部含めておっての百兆円でありますから、同じ計算のしかたを持つと、日本は七十兆円であり、ソ連は百兆円であるとこういう数字になるわけであります。中国などは一次、二次産業だけで国民生産を計算しておって、三次産業やサービス部門に対しては計算しておりません。ですから、日本とはそのまま比較はできないわけであります。そうしますと、いままでの二次産業という公害を起こすようなものは押えなければならない、しかし、流通機構とか、サービス産業とか、いろいろな面に対してはもっと拡大をしなければならないという内容的な要請があるわけでありますから、そういう意味では国民生産が一〇%になったといっても、二次産業がいままでのように二十九年から三十九年までの十カ年間は一〇・四%でございますし、その後三十五年から四十五年までは一一・一%でありますが、内容が違ってきておる。現在の九・二%という五十二年度までのものに内容を、三次産業のサービス部門をどうするのか、いままで近代国家として流通機構等がどうにもならなかったような状態を整備しなければ物価に寄与できない、こういう面をしさいに検討しないで、ただ九・二%と過去の一一・一%と比較するわけにはまいらないわけであります。ですから、これはいずれ国会で説明できるようにいたします。二十九年から三十九年までの指数一〇・四%の内訳はこうでありますと、三十五年から四十五年までの一一・一%の内訳はこうでありますと、今度の社会経済基本計画の中の九・二%はこういうことを意味しておりますと。われわれがいま国会でもって申し上げるのは、こういう方向でもってやらなければならない、それを安定成長と申し上げたいと思います、というようなことをやっぱり明確に私は区分して申し上げなければならぬと思います。だから、そういう意味で、安定成長ということは、質が、内容的にいわゆる生産第一主義、輸出第一主義ではなく、国民生活第一主義、福祉重点の政策に移っていくんだということだけは事実でございますので、そういう意味での安定成長ということでひとつ御理解をいただきたい。
  26. 伊部真

    ○伊部真君 いま総理は初めてそれを言われたんですけれども、いままでの列島改造論説明のときでも、十年たって六十年になったら国民生産は三百兆円をこえるだろう、それは一〇%の計算でいったら。あるいは九・五%でいったら二百兆円内外になるだろうというような御説明だけで、中身の話はいままでなかったわけでありますから、したがって、私らとしての受けとめ方としては、今日までの経済成長そのままの姿というものを踏襲されるというのは、受け取り方としては当然のことだと思います。そういう意味考えていくと、この点はやはり総理は明確にその内容の分析を明らかにしていただかなければならぬと思います。  同時に、私は、福田国務大臣内容と違うのではないかということを申し上げたのは、こういうことなんです。福田さんは、安定成長に切りかえれば、公害、住宅、過疎過密などの問題は必ず解消すると思う、高度成長から安定成長への転換は緊急なる課題だというふうに記者団に発表しているわけです。転換は緊急なる課題だということを言われているわけでありますが、それは今日までの政府政策に対する反省に立ってやはりこれを手直ししていかなければならぬという意味を含めておると思うのです。その意味では、先ほど竹田委員の質問もあった物価問題と同じように、少し総理の得ているニュアンスとは違うのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  27. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は、福田国務大臣がどういう発言をしたのか、また、その発言の前後というものをよく承知——よくではなく、全然承知をしておりませんから、批判の限りではございませんが、これは私の考え方と同じことです。私は、高度成長論をやっておったときの大蔵大臣でございましたが、国債は出さなかったんです。それで安定成長路線に転換した福田大蔵大臣になってから始めて国債を戦後踏み切ったわけでございまして、これは手段で、大蔵大臣としてはお互いに三年ずつやっておりますが、これはそのときそのときの事情でもって手段としてはあるわけでございますが、これは国債を大幅に出したから高度成長論者であって、国債を一切出さなかったから安定成長論者だということじゃない。それは過程においてはいろいろな問題があります。物価を中心にしてとにかく早急に物価を抑制しなきゃならぬということになれば、国民に幾らか摩擦が出ても、ここでもって五%だったら五%のとにかく成長に押える、三年間押えるといえば、物価問題は確かに片づきますし、過疎過密の問題は根本的に片づくよりも、東京や大阪に集中のメリットがなくなるわけですから、就職の場所もなくなる、中小企業も倒産するということになれば、村へ帰る、出かせぎにも出てこない。それはそうにきまっているんです。それは。相当片づきますよ。青森県においては農民の五三%が出かせぎでありますから、きのう見ても二百十一万円のうち六三・五%は出かせぎ収入じゃありませんか。全部やめれば確かにこれは片づきますよ。しかし、それは過程においてはこれも一案である。それは少し犠牲が多過ぎるからやっぱりそうはいかぬ、それは少なくとも五%には下げられない、七・五%にしなきゃならぬ、やっぱり九・二%だと世の中の経済学者やいろいろな人たちが中へ入ってきめたのが五十二年までは少なくとも一一・一%を十年間続けてきた日本が七・五%には下げられない——私は七・五%案でできませんかと相談したこともあるんです。ですから、私の「列島改造論」には、五%なら幾ら、七・五%なら幾ら、八・五%なら二百四十八兆円になるとちゃんと書いてあります。そういうものをちゃんと数字として出しながらこれでやりますかと言ってみたら、国民的要請にこたえるためにはどうしてせバランスをとって犠牲を最小限に食いとめて安定成長を維持していくには九・二%であると、しかもその前年の二カ年は平均数字九・二%にせざるを得ないんだと、こういうことになったのであって、過程における議論であって、私と福田大蔵大臣議論が違っておるというような問題では全くありません。これはひとつそういうふうに理解していただきたい。
  28. 伊部真

    ○伊部真君 もう時間がどんどん過ぎますので、ほかに私は質問がありますので次に移りたいと思うのでありますが、私はいまの答弁ではほんとうは満足をしません。明らかに高度成長から安定成長への転換を緊急に行なわなければならぬということを福田さんは言っているわけですから、明らかに転換を表示しているということは、いままでの政策に対する反省があると思います。そこで、やっぱり田中総理のいまの御発言とはだいぶ食い違いがあると思います。  次に、先ほども竹田委員からもありましたが、物価がこの十月から十二月の年末にかけて下がると思うという御発言を二十一日の記者クラブの昼食会でせられております。いま、電力料金の問題が出て、新聞の値上げの問題が出て、国鉄の問題が出て、国鉄が済めば私鉄ということで、メジロ押しに物価高騰の要素が出ているわけでしょう。この中で、おそらく国民のだれもが、これはたいへんな物価高騰の盛り上がりというものが出てくるのではないか、政府はどういうふうに処置をしてくれるのだろうかという心配があると思います。したがって、私は二つお答えを願いたいと思います。  こういう物価の値上げの申請に対して政府のとる態度について、いま物価高騰の具体的な問題が出ているわけですから、こういう申請の内容について政府はどのようにとらえるのかということが一つ。それから本気になって十月から十二月に物価が下がると国民の前で言われるのでありますか。このことばの中に、これがもしも下らなんだら参議院選挙に影響があってたいへんなことだということを言われているわけです。選挙向けでこういうことを言われたのか、ほんとうに十月から十二月に物価が下がるというふうにお考え国民の前にそれを言われたのか。その二点について明らかにしていただきたいと思います。
  29. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それはいろいろな発言がございました過程においての発言でございまして、物価を下げることにほんとうに政府はやっているのですかということに対して、これはほんとうにやっているんですということであって、来年度は参議院選挙があるのでしょうと、参議院選挙はあることはきまっているんですから、政府物価を引き下げるために全力をあげておるということぐらい理解してくださいよと、こういう話をやったことでありまして、政府は参議院選挙の選挙対策として物価を下げようなんというそんなことじゃないんです。これはもう絶対に参議院選挙後でもずっと政府は続けていくつもりでございますから、これはどうしても物価国民的な課題として下げなければいかぬ。だから、そのために物価閣僚協議会において七項目の総合物価安定対策もやっておりますし、公共事業の施行時期の調整も行なっておりますし、公定歩合の第二次引き上げも行なっておりますし、第三次引き上げがもう行なわれるのではないか、それもやるならば大幅だ、アメリカ並みだ、アメリカ並みにするなら一%だということが新聞にも報道されておるような状態でございます。預金準備率の引き上げとか、郵便貯金の引き上げとか、中期預金の新設とか、それから短期債券発行とか、窓口規制の強化とか、これはもう総需要の抑制というためには一斉に動き出しておるわけでございます。ですから、金融当局から言うと、七月の末から八月にかけては揚げ超が非常に激しいので、一兆五、六千億ないし二兆円の資金不足になるだろうと、こういうことをもう金融当局は堂々と新聞を通じて言っているわけであります。にもかかわらず、政府は矢つぎばやにこのような総需要抑制の手段をとっておりますし、輸入ワクの拡大もまた特恵関税のシーリングわくの弾力化等、もう政府が可能なものすべてをやっておるわけです。あと残るものはどうかといったら、あなたが先ほど言った、じゃ増税をやるのか、少なくとも月給の引き上げ分に対しては無税国債を出してくれるのかとか、凍結令を出すとかということになるわけです。そういうことをオーソドックスなアメリカや西ドイツでやっているようなもの以外のもので政府がやれるものは何でもやろうと、こう言っておるわけでありまして、思っているだけではない、やっているのですから、ですから、これできかないはずはないんですよ。これできかないはずはない。ただ、もっと窓口を引き締めたり、もっと吸い上げを行なう手はあります。あるけれども、それは、さっき言ったように、中小企業零細企業状態をこまかく見ておらないと、その過程における影響があるので、やっぱり締めても下請企業に対してのサイトを長くしてはならぬとか、いろいろなことを手当てをしてからだんだんとやっていくということでありますので、私はこれで引き締めがきかないとか、物価安定の方向に向かわないとは考えておらないんです。これはあなた方にお知恵があればこれはもう提供していただけば幾らでもやってまいりたい、こういうことでありまして、これだけの総合的な物価抑制策をやっておるのでありますから、まあその間そう言いながらも、年間車が四百万台も売れるということで、これはどういうことだろうということで、ほんとうに私も暮夜ひそかに思案しているんです。思案しているんです。そういうものにまで手をつけざるを得ないのかということでほんとうに真剣にやっておるわけですから、これで私は物価が安定の方向に行かないということはないと、こう考えております。  それから公共料金の問題につきましては、これは申請はまだ私のところまでは来ておりませんし、経済企画庁にもまだ協議の段階に入っておらないということでございますが、これはもう所管大臣にも公共料金の抑制ということに対しては厳に政府の基本姿勢として徹底をいたしております。まあ、しかし、二十九年から上げていないとか、三十五年から上げていないとかいう問題がいろいろありますが、何かそれに代用できて一ときでも延ばせるような方法があるならまじめに積極的に検討してもらいたいと、こういうことを指示しておりますので、これはまあ経済企画庁に合議をされますし、経済企画庁は今度は物価の問題に対しては物価局を上げていただきましたので、いよいよ法制の裏付けがあって今度はいろいろな大臣に対して勧告権を持つわけでありまするから、その調整が終わってから私のところに相談もあると思います。私はこれらの問題に対しては慎重に対処してまいりたい、こう思います。
  30. 和田静夫

    ○和田静夫君 関連して。いまの公共料金問題ですが、これは経済企画庁の高官たちがいろいろな意見を持って、たとえば運輸省であるとかあるいは大蔵省、通産省に何か言ったところで、決して経企庁の意見というのは通らないんだというように自嘲めいて言っている状態であり、いま総理が言われたとおり物価局はつくられた。そこで、私は、具体的にその提案があればという総理のいまの御発言ですから、きょうここで二つのことが約束できますか。  その第一は、公共料金の値上げが問題になったら、経済企画庁長官は必ず関係行政機関の長に対して資料の提出及び説明を求めて、それに基づく勧告をすること。もう一つは、この勧告が出されたら、物価局をつくられたんですから、そこで総理は必ずこの経済企画庁長官の勧告を支持して関係行政官庁を動かす。この二点の約束を本委員会でいまできますか。  最後に、私は、物価局は、物価問題全体を考えたときに、消費者運動と意識的にタイアップすること、これが近代的な実は要求だと思うのです。総理は、消費者運動というものについて一体どうお考えになっているのか。私はいつかあなたのテレビでのお話を聞きました。何か市民運動を軽視する発言が非常に目立つんです。総理の「日本列島改造論」についていろいろ言われていますが、私は日本社会党の地方政治局長という責任において「反日本列島改造論」というのを公にしました。あなたのように配るだけの資力がありませんから、機会があったら買って読んでもらいたいと思うんですが、私はどうしてもあなたのあの本の中で致命的なのは、都市改造構想があっても、いわゆるその方法論がないんだということ、地方行政委員会でも何べんも論議している。いつか一ぺん来てもらってやろうと思っているんですけれども、改造論をあのまま実施に移そうとすると、土地収用法を何度か出していかなかったらどうにもならぬという感じがします。たとえばアメリカの都市計画の手法で市民参加ということがもう制度化されています。そうすると、市民参加というのは、対話とか何とか、行政のスタイルのようなことだけにとられがちですが、そんなものじゃないと私は思う。今日ポリシーに深くかかわり合っている。すなわち、行政の側が一つの提案をする、あるいは幾つかの提案をする、その案をめぐって行政の側と市民の側とで数十回、数百回というやりとりが行なわれて、その過程で行政の側の案も変わって、また市民も啓蒙されて、そういう相互作用のルール化なしに都市改造というのは一歩も進まないところに来ているのが今日的状況だ、私はそういうふうに思っているんです。そういう意味からいうと、市民運動というのは一見反行政的に見えるけれども、今日は一面ではよりすぐれて行政になじむ性格を持っている、私はそういうふうに理解をしています。そういう市民運動が起こってきたことについて、私たち政党人というのは十分に考えなきゃならぬ、こういうふうに考えているのですが、ともあれ経済企画庁物価局は消費者運動と、あるいは、環境庁は反公害運動と、あるいは自然保護運動とタイアップする、こういうような時代に私は来ていると思う。したがって、消費者運動との関係における物価問題の総理見解を三つ目にただしておきます。
  31. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いま提出をされておるような公益事業の料金問題、これはもう法律の手続に従って審議をされ、慎重に行なわれるものでございますが、これは経済企画庁が当然参画もする問題でございますし、物価問題閣僚協議会もございますし、最後は閣議でもって了解をするということでございますので、これは連帯して国会に責任を負っているというのと同じ趣旨でこれらの問題に対しては内閣全体が責任を持ってやらなければならぬことでございまして、一所管大臣の責任に帰するものではないということで慎重に処理してまいりたい、こう考えます。  それから消費者運動というのがこのごろ起こっておりますが、消費者運動というのは物価問題の中でこれは当然大きなウエートを占めるべき問題でございます。ですから、消費者運動というものが起こることはもうほんとうにいいことでございまして、ある場合においてはうんと高かったら不買同盟を起こしてやってくれればいいんです。不買同盟を起こさないで、皆さんや私たちのところだけには参りますが、帰りにはデパートに寄ってうんと高いものを買っていくというような消費者運動では、私は実効をあげられるものじゃないと思うんですよ。(発言する者あり)——いや、それはほんとうです。ですから、言うことをほんとうに言わなきゃだめです。そういう意味で、消費者運動というものは世界でも起こっておりますが、やはり需要者が不買運動を起こせるという有力なきめ手で消費者運動は成功しておるんですから、そういう意味で、私は、少なくとも通産大臣のときに、通産省が生産をやるということよりも、消費者に対するサービス行政というものを通産省は半分考えなきゃいかぬということを言いまして、その後工場法などでもって三分の一は公害絶滅、三分の一はサービス、三分の一は通産省本来の仕事、このぐらいな気分に切りかえてやりなさいというのが新しい通商産業省の機構改革案になっているわけです。ですから、そういう意味で、政府も、まあ政府が補助金を出して助長するというわけにはまいりませんでしょうが、非常に好意的な立場で消費者運動という市民運動が起こることは先進工業国においては当然のことであるという考え方に立って理解をしてまいりたいと、こう思います。
  32. 田代富士男

    田代富士男君 引き続いて質問をしたいと思いますが、質問の最初に田中総理にお願いがあります。  一つは、この委員会に総理は初めて御出席いただきまして、いま物価問題に対して力を入れていきたいという決意のほどをお聞かせ願いましたが、この委員会の時間が二時間であります。各委員の皆さんの質問時間が一人に割りまして十三分でございます。十三分でいま一番問題になっております物価の問題を質疑しろということ自身が問題じゃないかと思うのです。物価の問題を論ずる前の問題でございます。そこで、総理として各種委員会その他いろいろな用事もあるでしょうけれども、少なくともこの物価の委員会に対しましては、この委員会を通じまして総理自身が日ごろお考えになっていらっしゃるいろいろな問題点も国民の皆さんに知っていただくよい機会じゃないかと思う次第です。そういう意味で、総理みずからが率先して特にこの物価の委員会には出席する決意を持っていただきたい、これを国民を代表いたしまして私はお願いをしたいと思います。まず、最初にいかがでございましょうか。
  33. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は、物価の抑制に対しては政府主管者として責任を有するものでございますので、物価抑制のために国会の御意見を承るという機会もできるだけ持ちたいということは、もう当然考えております。おりますが、何分にも私も三権の一翼をになっておるわけでございます。私にも毎日行政の膨大もない仕事の量があるわけでございます。同時に、私も、議院内閣制のもとにおける国会議員でもありますので、また、新憲法下初めて出てきた議員でもありますので、国会の尊重、国会のうしろだてというものがあり、国会の理解というものがあることは、国民をいかに説得し、いかに納得を得、実績をあげ得るものかということもよく理解しておる一人でありますので、国会に対する出席率は悪いほうではないと思っているんです。しかし、何ぶんにも衆参両院相当な数の委員会がございますし、本会議もございますので、私は可能な限り最善の努力をいたしたいと、こう思います。  しかし、一つ考えいただきたいのは、物価というものはきめこまかい問題でございます。ですから、そのために物価担当の大臣がおるわけでございます。私よりも先輩でございますし、これはもう私は閣内においてはいろいろ知恵を借りておるという小坂物価大臣がおるわけでございますので、これは十分ひとつ毎日でもお開きいただいて、御審議をいただきたい。(笑声)皆さんの御発言内容は逐一私の耳に入るようになっておりますから、そういうこともひとつお考えいただいて、どうも私でなければということではなく、これは一体でもってやっておるわけでございますので、私もこれはもう可能な限り努力はいたします。いたしますが、どうぞひとつ善意な私の考え方を御理解を賜わりまして、物価のためには、もう呼び出していただかなくとも、個条書きにしていただいてもけっこうでございますし、政府意見を求めるという手段もあるわけでございます。法律によって政府はこれに答弁をしなければならないという手段もございますし、まあいろいろなことをひとつお互いに効率的に運用しながら、この物価問題が合理的に解決されることを心から望みたい、こう思います。
  34. 田代富士男

    田代富士男君 いま総理の決意をお聞きしましたが、ひとつその決意を忘れることなくやっていただきたいと思います。  私は、いろいろ聞きたいことは山ほどありますが、時間がありませんから、端的にお聞きしていきたいと思います。  きょうも本会議が開かれまして、水銀、PCBの問題を中心といたしまして論議が尽くされました。現在、魚屋さんは休業状態であります。もうつぶれている魚屋さんもあちらこちらで聞いております。そういうことで、家庭の主婦は、魚はもう食べられないんだと、そういうわけで食べものの中心が肉に変わりつつあります。そういう関係から、牛肉が現在異常な値上がりをしております。総理が申されましたとおりに、現在の物価高は国際通貨の変動の時期があった、それに対処してきたいろいろな対策上こういうことになるのはある程度やむを得ないけれども、次は物価を安定さすことだと、それにはいろいろな方法をとっているとおっしゃいました。その一つといたしまして、輸入政策につきましてもっとこれを積極的に取り上げるべきじゃないかと私は主張したいのですが、まあ政府が依然といたしまして輸入政策に対しましては力を注ぐと、このように言っておりますが、輸入のワクの拡大、こういう点に対しましては、言っていることとやることと、われわれは理解することができない面が多々あります。輸入ワクを拡大する点に対しましてどのような気がまえで臨むのか、これが第一点でございます。  第二点は、国民は、確かに今回のいろいろ円問題等がありましたけれども、輸入物資の値下がりというものを期待していたけれども、その輸入物資の流通段階におきましていろいろ吸収されまして、最終の消費者の手元に来るときには依然として値下がりをしていない。こういう輸入品の流通機構の合理化ということに対してもっとこれは積極的に取り組むべきじゃないか、これが第二点。  第三点は、いま牛肉の問題を取り上げましたが、海外からも牛肉につきましては自由化を要求してきております。強い意見が出ておりますが、これに対しまして政府は現在のところはいなみ続けております。特にいま魚の問題が起きて、牛肉が値上がりしている、そちらに移りつつある、こういうときに対しまして、われわれ消費者の立場として納得できない。そういう意味で、第三番目には、牛肉輸入の自由化政策に対して大幅に総理として英断を持っていただきたい。  この三点についてまずお尋ねしたいと思います。
  35. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 輸入の自由化は、これはもう新しい国際ラウンド推進のためにもどうしても進めなきゃならぬ問題でございますし、国際収支対策の上からも輸入の自由化は進めなければなりません。まあこの間、五月百から資本の一〇〇%自由化に踏み切ったわけでございます。三十三品目ございました輸入の自由化も、そのときに電卓等一品目やりましたから、現在三十二品目になっております。三十二品目から工業品目を除くと、二十六、七品目はいわゆる農林省所管のものでございます。これがいままあ輸入の自由化の目標になっておるわけでございますが、この中にはオレンジとかいろいろなものがあります。ありますが、なかなかこれが自由化できないということ、国内体制というものが完備しないということでございます。そういう意味で輸入の自由化はできない。輸入の自由化を全部やってもどのくらいの一体金額になるのかといって計算をしてみましたら、大体五億ドル程度のものでございます。千三、四百億円のものだと思います。しかし、一つの自由化ということでこの間からやっておるわけでありますが、これはまあビールの麦芽というようなもの一つやろうというと、これだけでも四、五百億の国内的な金を出してもらわないと自由化ができない、こういうことであります。中には、コンニャク玉なんというのは長いこと問題になっておりますが、これは四、五軒でございますが、その部落が全滅をしてしまうというものもございます。まあ雑豆とかいろいろなものもあるんですが、これは北海道はもうどうにもならないと、こういうことでございます。そんなことで、金額にしては千四、五百億、多く見ても千四、五百億のものであって、いまの二百六十五円にすれば千二、三百億というものでありますが、なかなか自由化できない、要請されておってもできないということで、これをせめて三十品目から二十五、六品目にしたいというのが日米間の交渉であり、今度の九月以降に東京で行なわれる新ラウンドの国際会議に対しては、どうしても何とかきめなければならない問題でございますが、そんな不安定な状態でもっておくこと自体が、生産農民がもうどうにもならない状態であるということで、もう自由化できないものはできない、こういう事情でできないんだと、そのかわりにシーリングワクを拡大するとか、いろいろなことをやりますと、こういうことで各国の理解を求めておるということであって、政府はいつでも申し上げておりますように、自由化は促進をいたします、こう答えておるわけです。これはまあ各党一致の決議案でもしていただいて、それで政府を鞭達していただくということになると、これは拘束を受けますから、これはもうぱんとやれるわけですが、どうも、国会は、政府が出してきますと、総論賛成、各論反対と、こういうことになるんじゃ、なかなかできない問題であります。これは国会や政府の問題じゃなく、一次産業比率が一六%になっておるその中でもうかわるものがないんだと、それをとにかく自由化されたら村を売らなきゃいかぬのだ、村を離れなきゃいかぬのだと、こういうようにせっぱ詰まった問題もありますので、まあ自由化という世界に向かっておる基本姿勢は変わらないわけでありますが、これは物価問題とも直接関係がありますし、いろいろございます。ございますけれども、いまよりももっと一次産業比率がうんと高かった三五、六%の昭和初年には、すべてが自由だったじゃなかったかと。そのかわりに百姓はどのくらい苦難な道を歩いたかという歴史もあるわけでありまして、中小企業零細企業や一次産品の農民というものを考えないで自由化というわけにも踏み切れないということで、まあ国会の御意見も聞きながら、また、業界や生産農民の意向も十分しんしゃくしながら、政府はほんとうに暮夜眠れずとつおいつしているんだということだけはほんとうに考えていただきたい。これはあなたがいま言われたように、私がここですぱっと、じゃオーケーをします、やりますと言えるようなケースの問題じゃないわけでありまして、これはたいへんむずかしい問題でありますので、これはまあぜひ私のほうも皆さんの御意見を聞きながら十分対処してまいりたいということでひとつお許しをいただきたい、こう思います。  牛肉は、アメリカから牛肉を買え買えと言っておりましたら、今度アメリカが全然牛肉がなくてどうにもならないという状態に急変をしておるわけでありまして、今年三月に一万トンの追加割り当てを行ない、四十八年度上期の牛肉の割り当ては前年度同期の三倍、七万トンの輸入ワクを拡大したわけでございますが、そういうような状態であってもなかなか需要に追いつかない、これは食生活の内容が変わっておるということだと思います。しかし、そういう意味でようやく四月をピークにして弱含みに転じまして、キログラム当たり百円程度の値下りが行なわれたということでございます。私も、実際、牛肉を小さく何軒かで買わして見ているんです。そうしまして、どういう牛肉を買っているかというと、こま切ればかり買っていますとか、ブロイラーいわゆる鶏肉を買っているとか、そういう一般庶民の状態、そういうことを何とかして牛肉ぐらいうまくいかんかと、こう言って、中国に行ったときに中国側から買えるものは牛肉だ。それで、依然として口蹄疫の問題でがちゃっとかんぬきが入っているわけであります。だから、いろいろな問題がありまして、牛肉というものは、もういまこれはどうしても必要な牛肉は安く手に入るようにしなきゃならないと、こう考えておりますので、国会のひとつ——ここでまた飼料が上がりますから、飼料は五十万トンなんて言わないで米を出しなさい、牛肉を上げちゃいかぬ、豚肉を上げてはいかぬ、こういう強い指示を大蔵、農林当局にしておるわけです。そういう状態でございますが、国内の自給だけではとても片づかないという問題がございますので、これは国会の御意見を聞きながら輸入ワクをふやしていくというようなことで対処してまいりたいと、こう考えます。
  36. 田代富士男

    田代富士男君 総理、いま総理答弁で十二分たちまして、一人の割り当て時間がありまして、ごていねいに答えていただいたと思いますが、だから、二時間では時間が足りぬと申し上げたのはそのことでございます。そういうわけで時間がほんとうにないと思いますが……。  それで、いま総理がおっしゃいましたとおりに、肉は非常に上がっている。こまかい資料は申し上げませんが、四十七年の七月に九百円しておりました牛肉が、四月では千三百二十三円になっている。それで、申されましたとおりに、三月の一日に一万トン、四十八年度上半期分の七万トンの輸入ワクの拡大がされまして、まず安定さしたいと申されておりますが、安定さすにはいろいろな面がありますが、一つの問題点もありますから、その問題点を提起したいと思いますが、まず最初に、八万トンの割り当て先はどうなっておりますか。これは局長でもけっこうです。時間がありませんから、簡単にお願いしたいと思います。
  37. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  追加割り当て一万トンと上期割り当て七万トンの八万トンにつきましては、先生御案内のとおり二通りございまして、畜産振興事業団が九割の割り当てを受けておりまして、これにつきましては、スーパー、生協、デパートなどの指定輸入牛肉販売店を経て消費者に渡るようにしておりますし、また、食肉卸売り市場等を経て小売り業者から消費者に渡るものと、他に加工原料用として食肉加工メーカーに渡るものということになっております。それから総ワクの残り一割の民貿分につきましてはこれは商割りでございますが、売り先指定をしておりまして、肉類の小売り商の全国団体であります全国食肉事業協同組合連合会等を経て小売り業者を経て消費者に渡るものと、ハム・ソーセージなり食肉缶詰工業会の団体を経てそれぞれの実需者に渡るという二つの系統があるわけでございます。
  38. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明がありましたとおりに、畜産振興事業団に対して、そのうち七万三千トン、それから日食協——日本食肉協議会に対して七千トンの割り当てがされております。この牛肉の割り当てがされる場合に、この二つの機構におきまして一トンにつきまして二万円の調整金が取られております。そうしますと、ざっと計算するだけで八万トンでございますから、調整金だけで十六億円、プラス検査料の収入が入ってまいります。それだけの調整金の使途というものがどのようになっているのか、簡単に御説明願います。
  39. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 御質問の中で日食協に対して一割の輸入と申しましたが、これは商社割り当てでございます。御案内のとおり、調整金につきましては、現在の豪州等の輸入価格と国内の牛肉卸売り価格におきましては、CIFベースで約二倍の差があるわけでございます。それについて一定の調整金を取りまして調整しておるわけでございますが、輸入肉につきましては冷蔵肉なり冷凍肉の部位によって格差がございますので、先生おっしゃったような金額にはその調整金はなっておりません。これにつきましては四十八年の予定では商社分の調整金の日本食肉協議会に対する納付金が約三億六千万円、それから畜産振興事業団につきましては十二億三千万円という程度になっております。  その使途についてのお尋ねでございますが、この調整金の使途については、当物価対策特別委員会等でもしばしば御論議のあったところでございますので、商社が畜産振興事業団に納付すると同額を積み立てました日本食肉協議会の調整金の納付分につきましては、生産対策に約八割、その他の部門に約二割、たとえば先ほどもお話が出ました消費者モニターの設置とか、その他輸入牛肉の宣伝とか、そういうようなものにつきまして二割ということに四十八年から講じておるわけでございます。  なお、畜産振興事業団の調整金につきましては、これは事業団予算として国が認可しておりますので、国内肉用牛の生産振興のための肉用牛価格安定基金に対する出資、あるいは食肉流通合理化のための食肉センター、大型食肉センター等に対する助成というような点で措置してまいっておるわけでございます。
  40. 田代富士男

    田代富士男君 これは時間があれば一つ一つまたいずれの機会にかやりますが、きょうは、大まかなところだけです、時間がありませんから。それで、いまの数字の点についても私は異議がありますが、ここで時間がありませんから、農林省から提出してもらった資料を中心に私はやってまいります。  それで、いま日食協の輸入牛肉の調整金が四十六年度は四億五千三百八十七万七千円、四十七年度が四億三千六百三十九万四千円、このように数字が出ております。これがいま流通の一番根本としまして畜産振興事業団と日本食肉協議会——日食協と二つに流れている。この社団法人であります日食協が一トンにつきまして二万円の調整金のその金額がいま申し上げた金額でございますが、この調整金、あるいは差益金ともいわれておりますが、これは、本来は、いま局長説明されましたとおりに、生産対策に対して八割これを充てなくてはならないと。しかし、交付されました先を調べてみますと、十二の団体に交付されております。もちろん、日食協も入っておりますが。その十二の団体は、申し上げますと、日本食肉協議会、これは当然でございます。それから日本食肉市場卸売協会、全国食肉事業協同組合連合会、日本ハム・ソーセージ工業協組、日本食肉缶詰工業協組、中央畜産会、全農、日本食肉三水会、日本冷凍食肉協会、全国肉用牛協会、中央酪農会議、全国畜産農協連、このような十二の団体に交付されているわけなんです。いま局長が言うとおりに、生産者に対して八割出さねばならないというこのような趣旨に沿っておいて事業計画というものがなされております。ところが、いま申しますとおりに、このような十二の団体にこういう産益金、調整金が交付されているということは、生産対策でなくして、こういう法人や団体の育成のための調整金になっている。これじゃ、本来の趣旨と違います。総理、この事実はどのようにお考えでございますか。
  41. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 御質問でございますが、事実について申し上げますが、おっしゃるとおり、四十六年、七年については、この種団体に対して、十三団体、ある場合には十四団体に調整金を財源とした交付がなされておりました。これについて、生産対策を重視すべきであるという衆参両院の物価対策特別委員会の御論議もございまして、生産対策に重点を置くように、従来は四割程度しか生産対策に回っておりませんのを、八割以上四十八年度本年度からこれを回すことにしたわけでございまして、これは農林省に第三者からなる調整金監理委員会を設けまして、十分な審査をいただいてやってまいりましたし、また、団体も、十四団体を——直接の生産者、乳用牛の乳用牡犢と申しますか、子牛等の肉利用をどうしてもしなくてはならないとか、あるいは生産者が望んでおります規格取引というための肉の格づけ事業とか、そういう諸点をあわせまして六団体に四十八年度からしばって、先生御指摘の方向に即して改善合理化につとめておるところでございます。
  42. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いま農林省当局が述べましたように、実情に合うように逐次改善をされておるということでございますが、しかし、まあ何らかの統制が行なわれておるというときには、いろいろな中間経費というものがかかるということが一つございますし、もう一つは、事業団というようなものが介在をしておりますと、ほんとうの自由化のメリットというものは薄められることは事実であります。これはまあ上がるときは上がるし、下がるときに下がらないという——上がるときは上がっても、下がるときは下がれば、これは自由経済のメリットはあるわけですが、上がるときはやっぱりじんわりと上がってくるので、下がるときはなかなか下がらない。それは国内との問題があるわけでございます。そういう意味で、私も専門的な問題じゃありませんが、いろいろな問題として考えて、麦のように、どうもすべてを買い入れる、そしてその価格は生産者所得補償方式をとればいいじゃないかと、そして政府は必要なものだけをうんと買い込んでおって、そして肉の価格は安く押えることができないかとか、いまの事業団方式とそれは同じことですよと言うのですが、運営のやり方によっては違うわけであります。そういう意味で、現在あるものに付加していいものがあれば、いつでも転換してまいりたいということでございます。ただ、中間的に人のいないところでもって堂々とそういう経費をもらえるような機構そのものが物価を押し上げておるんだというような御批判に対しては、農林省も非常に自粛をして現状に合うようにやっておるようでございますが、まあいろいろ勉強してまいりたいと、こう考えます。
  43. 田代富士男

    田代富士男君 総理、聞き違いをしないでいただきたいと思うのですが、畜産振興事業団の割り当て先を言っているのじゃないんです。私がいま申しているのは、大きく二つ分かれている片方の日本食肉協議会の調整金の交付先のことを言っているんです。畜産振興事業団のことについては今度やります、時間がありませんから。これがいま生産者に対して力を入れていると。十二の会社を読み上げました。この中に直接生産者と関係のある会社はどれだけありますか。ないですよ、直接関係のあるのは。あることはあるでしょうけれども。趣旨に違って、法人や団体に対してそれだけの金を——金額等は時間がないから言えません。たとえて一つだけ例をあげますと、この中の社団法人の日本食肉市場卸売協会というこの社団法人があります。ここの従業員の構成は、役員が二十名です、役員が。この中に天下りが一名含まれておりますが、従業員は何名か。職員はたったの四名です。役員が二十名で職員が四名、この内容を調べてみますと、事業費が一年間に百四十一万四千円の事業費です。そうして人件費がどれだけ出ているか。八百九万三千円、これが人件費です。そしてこの日本食肉市場卸売協会は会員から毎月四万円の会費を徴収しております。この金額が二千八十三万一千円になっております。だから、人件費の事業費に対する比率というものは五七二・三%です。こういうところに調整金の割り当てが四十六年に——総理、よく尋ねておいてください。四十六年にどれだけ調整金が交付されているか。七千三百八十二万円、四十七年には二千八百四十七万四千円調整金が交付されている。このようなところまでも調整金を交付しなくてはならない理由があるのか。いま総理がおっしゃるとおりに、牛肉を安定させたいと思うならば、私が一番最初に輸入政策の問題に対して三つの点を問題を提起しました。その一つに流通の合理化ということを申し上げた点は、こういう調整金の交付先等につきまして検討する余地があるんじゃなかろうか。私は、その点を、時間があれば一つ一つ数字の点で申し上げますが、端的に一つの問題点を提起いたしますが、調整金の交付についても検討する余地があるのかどうかですね。
  44. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御指摘のような事実ありとすれば、それは当然メスを入れざるを得ない問題でございます。いま御指摘になった協会に対しては、四十八年度から交付金を交付をしないということにいたしたようでございます。これはいませっかくの御質問でございますから、農林省当局から詳しく事情は聴取いたします。
  45. 田代富士男

    田代富士男君 それでこの十二の交付金、まあ交付金の形で渡されますけれども、そういういま提起したそれでなくして、総理として物価対策の上から、もうこのようにやりましたから、いま問題提起した会社でなくして、総ざらい——いま畜産振興事業団あるいは日食協のこの二つの流れでいろいろ言っておりますが、これを全体的に調整金等について検討をする決意があるかどうか、その点、総理、いかがでしょう、物価安定の立場から。
  46. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) まあそれなりの理由があって歴史的なものもあってそういうふうになったのだと思いますが、御指摘のような事情を端的にお聞きをしまして改善をしなければならないということはもうよくわかります。その意味で御指摘の協会に対しては、今年度から交付金は交付しないということになっているわけでありますから、先ほども述べましたように、この間の事情は十分勉強いたします。
  47. 田代富士男

    田代富士男君 次に、流通機構の合理化並びに輸入の問題につきましてもう時間がありませんからお尋ねいたしますが、私は、先日来、この委員会におきましてコンブの問題を取り上げております。幸い総理が十月ごろ訪ソされるというようなことが流れております。こういう点から、いま物価を安定さすのに輸入すべきものは輸入をする、こういう物価安定のための対策を講じていくのは当然でありますが、このコンブの業界におきましては品物が不足しております、絶対数が。どうしてもソ連のコンブがほしい。そのために輸入をしてもらいたいといういろいろなそういう願いが出ておりますが、依然といたしましてその割り当て等がなされない。物価安定のためにコンブを入れるならば、このコンブの安定がいたします。たとえて言いますならば、東京都の物価の指数を先日私は調べましたところが、これは四十七年総理府から発表されたあれでございますが、消費者物価の総合指数の中で上昇寄与率の一番高かったのは何であるかといえば、東京都ではコンブであります。それから大豆、納豆という順序です。これだけ上昇の寄与率の高いコンブに対しまして、この業界というものは、そういうような輸入等に対しましては、もう厳然とと言っていいくらい何ら検討の余地が残されていないけれども、そういうコンブの物価を安定さすためにもソ連からコンブを輸入する、こういう道を開いてもらいたい。幸い十月訪ソされるならば、そのときにこの問題もひとつ解決してもらいたいという私の意見でありますがいかがでございましょうか。
  48. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私はコンブがどのような状態になっているかよく知りませんが、コンブは日本の食生活に重要なものであるということも事実でございます。ただ、コンブは北海道が産地でございまして、北海道漁民の生命とも言うべき一つの事業であることもまたそうなんです。また、日ソ間においてはコンブがいろいろな問題の対象になっておることもまた事実でございます。ですから、コンブ問題というのは、無制限に輸入できないという問題はあるようでございます。そうかといって必要なコンブが入らないということでは困るわけですから、国民の需要にはこたえられるように、物価は安定するように、それからトラブルは起こさないように、北海道漁民も理解ができるように、こういう問題があるわけでございますから、まだ訪ソまでには二、三カ月ございますから、ひとつせっかくいい御提言でございますから、これもまあ勉強させていただいて、水産庁だけではなく、北海道の事情もございますし、これはただ北海道の漁民だけの特権としてコンブをあげているわけじゃないんですから、だから、そういういろいろな問題もひとつ調査をしながらこの問題に対して何らかの結論を出したいと、こう考えておりますから御理解をいただきたいと思います。
  49. 田代富士男

    田代富士男君 いま総理説明で時間があればもっとお尋ねしたいと思いますが、先日お隣におすわりになっていらっしゃる小坂長官にも私がこの問題をお尋ねしたときにも、何となく煮え切らない御返事でございまして、いま総理の御答弁を聞いておりましても、いろいろ御勉強をされるということでございますけれども、この問題は大きな問題でございますし、幸い十月に訪ソされるということでございますから、それまでにひとつそれなりの総理自身が物価安定という立場からこの問題に対しまして取り組んでいただきたいことをお願いをしたいと思います。  最後に、畜産事業団の問題でございますが、この畜産事業団のことにつきましてはきょうは時間がありませんから取り組むことができませんが、四十五年度の検査報告では、徴収した差益金というものは輸入牛肉のみで九億円であったと、こういう検査報告が出ておりますが、このときに、生産者に対する補助金も、実需者、そういう団体に対する交付金も、放漫支出だと指摘をすでにこの畜産振興事業団も受けております。そういう点から、私は、いまはもう一つの日食協の問題を取り上げましたが、この二つの法人というものは、農林省の所管のもとで流通のなわ張りみたいなことになっておるわけなんです。それで、いま私は日食協の割り当て先の問題を言いましたけれども、この割り当て先におきましても、またそういう調整金なる手数料等が取られております。そのように流通の合理化——だから、輸入品が入っても、最終的には輸入価格のCIFの価格の倍ぐらいの価格で消費者のところへ渡るというように流通段階において吸収されてしまっている、この問題点ですね。それぞれの、いま申しました畜産事業団、あるいは日食協だけでなくて、その下部のこういういろいろな機関におきましても手数料等が取られているということ、そして総理に聞いていただきたいことは、その十二の機関に流れておりますが、それから先どのような方向へ流れているかということが不明瞭であります。そこで、私は委員長にもお願いいたしまして、この畜産振興事業団あるいは日食協の配付割り当て先の資料要求をお願いするとともに、いま申しますとおりに、このような手数料というべき形で取られている、これじゃいつまでたっても最終の消費者のところへ行きますと、安定はいたしません。こういう点で流通の合理化ということに対しましてどのように取り組んでいただけるか、この質問をもって私は終わりたいと思います。で、資料要求もあわせてお願いしておきたいと思います。
  50. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 事実について申し上げます。四十八年度は、繰り返して申し上げますように、そのような御指摘がございましたので、日食協につきましては、従来の十三団体を整理いたしまして、生産対策として本来の目的を果たす事業を行なう団体に対して六団体に整理してこれを行なうということにしておるわけでございます。  それから手数料の件でございますが、これは全国団体でございますと、一定の経済的に合理性を持った手数料は取り扱いとして取るわけでございますが、量が相当ふえてまいりました際に、過去の手数料率を取るという点については、先生御指摘のとおり問題があるかと思います。この点についての改善合理化の指導はいたしたいと思うわけでございます。  基本的な問題といたしまして、非常に相対的に割り安な輸入牛肉が末端の消費者に適切に渡る、この流通経路の問題につきましては、実は七月一日から発足いたしましたスーパー、生協、デパートというものにつきまして、輸入牛肉の販売指定店を設けまして、これを六百二十店ぐらいに拡張いたしまして、これに対して畜産振興事業団が直売をいたす。適正なマージンを取る。これについては店頭表示なり消費者の方々にモニターをお願いして監視していただくということにしております。それから一方、全国的な網を持っております肉屋の小売り屋さんでございますが、これにつきましても販売展示店をとりあえず五千二百店を大都市に設けまして、これについてもただいま申し上げましたような指定店と同様に適正なマージンで販売していただくというようなことを兼ねまして、先生御指摘の流通経路、無為に安い牛肉の利益が流通段階に吸収されないように今後進めていきたいというのが、われわれ農林省の基本的な考えでございます。
  51. 田代富士男

    田代富士男君 総理から最後の……。
  52. 山下春江

    委員長山下春江君) 田中総理大臣、何か最後の……。
  53. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いまも農林省が述べたとおりでございますが、まあ貴重な御意見、御指摘がございましたので、それは安い牛肉が流通機構の不備のために国民大衆に渡らないというようなことがあってはならないわけでございまして、長い歴史を持つ機構であっても絶えずメスを入れながら合理化をはかって、物価対策が完全に行なわれるように努力を続けてまいりたいと、こう思います。
  54. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最近、国民は非常な不安感に襲われながら毎日の生活を過ごしております。ことしに入ってからだけでも、土地の暴騰、商品投機の横行、最近では魚のPCB、水銀汚染、そうして異状な消費者物価卸売り物価の上昇などがその根本原因になっておりますけれども、総理は、このような戦後最悪とも言える国民生活の不安と動揺に対して、どのような認識と反省をされ、今後の政局に臨まれるか、その基本姿勢をお伺いしたいと思います。私に与えられた時間が十五分でございますが、十分でも、十五分でも延ばしてよろしいということでございましたら、どうぞそのようにお取り計らいをいただいて御答弁をいただきたいと思います。
  55. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほどからるる申し述べておるわけでございますから、物価を上げないように最善の努力をしておる、政策的にもいろいろなことをやっておることは、もうすでに御承知のとおりであります。しかも、日本物価というものは押え得ない物価ではないと、こういうふうに私は考えておるのです。これだけはひとつはっきり考えていただきたいのです。これはヨーロッパやその他の物価は、ここで時間がありませんから申し上げませんが、いずれ必要があれば資料を提供いたします。二%の国民生産伸びに対して物価は七%も上がっているのです、八%も。これはもうどうしようもないことであります、これは生産性賃金が全くアンバランスであって、賃金物価との悪循環ということになっておるのですから。日本は、二〇%というような賃金が上がっておっても、まだ週休二日にしなきゃならないという議論、この物価高の中にもっと大幅な減税をしなさい、こういうことがあり、政府もこの減税論にはこたえると、こう言っておるのでありますから、それは何も無制限にそう言っているんじゃありません。一面においては、ここでもって一兆円、一兆五千億というような大きな減税をすれば、これはもう物価に拍車をかけるにきまっております。しかし、それは、他の政策を行なうことによって二つの政策目的が必ず解決できるんだと。これはいま、やっぱり所得生活者に対してはどうしても低所得者に対しては減税しなければならないんだと。減税しても他の政策をあわせ行なうことによって物価は押え得るんだと、また、押えなければならないんだと、こういうことを考えているわけです。また、率直に言いまして、私はこんな時代においてなぜこんなことが起こったかというと、これは一年半の間に二回も円の実質的な切り上げがあったということが一つの大きな問題だと思うのです。それで、そのままに引き締めていって国際収支対策だけを前面に出して、各国がとっておるような国際収支対策をドラスティックにとりましたら、日本中小企業零細企業も将棋倒しにいってしまう。そのかわり物価はこんなになりませんよ、絶対になりません。私は自信を持って申し上げます。しかし、それは、どうしたってやっぱり生きることが先である、とにかく開放経済に対応するようなことが先なんだ、それで余病が起こってきた場合には、それに対して対応できないはずはない、こういう状態政策を進めてきたわけであります。だから、御指摘があったように、さっき竹田さんにしかられましたが、要らない補正予算を組んだじゃないかと、それはそう言われると困るんです。そのかわりに、三年かかるといった国際収支はよくなって、中小企業の倒産というのは金繰りはつらいと。しかし、とにかくあの国会で大問題になった繊維交渉をやっても、繊維の企業はちゃんともっているんです。いま繊維は好況なんです。ですから、そういう政策を行なう過程におけるものであります。しかも、これから五兆円のとにかく夏期の特別手当が出れば、これは購買力は上がります。ですから、とにかくデパートでは三〇%の対前年度比売り上げがふえているわけです。そういうものにメスを入れることは、それは入れられますよ、私も入れられます。これは少なくとも一兆五千億の減税はしますと。しかし、三兆円は今度月給のうちの何%は少なくとも三年間無税国債で払ってくださいということをやれば、それは新しい、形の変わった所得政策だと思います。思いますけれども、そういうところまでいくには国民のコンセンサスを得なければなりませんし、少なくとも一内閣というよりも与野党がこれをやりなさい、こういうことにならなければならないと思うのです。また、そんなことをしなくとも、何とかしていきたいというのが政府の真意なんです。ですから、土地は上がるといいますが、土地はもうそんなに上がるような状態にないと思うのです。これはいまぎりぎり一ぱいまで来ていると思うのです。土地に対しての金融はほとんど締めておりますから。これは事業を運転していく限りにおいては当然売らなきゃならないというところまでやっておるわけでありますから、そういう意味物価問題が他の国でもっていわれておるようなインフレ的なもの、どうにもならないというようなものではないんだと。そうでなければ、内閣のメンツをかけてもこれは実際に所得政策でもどうでもということを国会に訴えなきゃならないと思うのですが、私はその前にはやはり最善な努力をして、そして皆さんからも御協力を得ながら、そして最後の手段に訴えないでいいようなことでおさめたい、これが政府のいつわらざる心境でございます。
  56. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この間も小坂長官に減税の問題から所得政策の問題、この問題をいろいろ議論をしたかったんですけれども、時間がありませんで、きょうもほんとに聞きたいことがありますので、それはまたいずれに回しますけれども、総理物価抑制のためにあらん限りの力を尽くすと先ほど来再三おっしゃっておられるんですけれども、力を入れられれば入れられるほど反対に物価のほうに力がついてしまうようなたいへん皮肉な状態を私どもはいま現実として見ているわけでございます。世界各国もたいへんインフレなようでございますけれども、この問題についての御答弁は先ほど来伺っておりますし、それをいま御答弁を求めようとはいたしませんが、政府はほんとうにやる気があるのかないのか、こんなような感じすらわれわれはいま感じているわけでございます。  そこでひとつお伺いしたいのは、この三月期の決算が、商社をはじめとして大企業は軒並みに大幅の利益をあげておりますね。たとえば兼松江商のこときは対前期比で二、三倍の利益をあげております。これは言うまでもなく商品投機物価の上昇によって得た利益でございますが、この委員会ですでに経済企画庁長官はこの大幅な利益に対して累進課税というようなものをやってもいいなというようなニュアンスの発言もございました。そうしてまた、中曽根通産大臣も、先ごろのこの委員会で、伊部委員の御質問に対して、そういう特別な利益に対してはびしびしと取り立てたいと、こういうふうな御発言もあったわけでございますが、総理は、これらの見解に対して、あるいはこういったような大幅の利益を獲得した大手商社、こういうものに対してどのように考えていらっしゃるか、そのお考えをひとつお漏らしいただきたいと思います。
  57. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いろいろな議論がございますが、私はやっぱり現行法で法人税率を来年度は引き上げるということで対処すべきものだと思います。それは今度利益が非常に多額に計上されたといっても、現行三六・七五の法人税率がかけられておるわけでございます。地方税率を入れると約五〇%に近い税率がかけられておるわけでございます。そういう意味で、かつまた、対前年度というと、これは前年度は景気が非常に悪かったときでありますから、そういう意味で前年度に対してはことしの利益は各社ともよくなるわけであります。それはおととしに対して去年度が悪かったから、去年に対してはことしは高くなる。これは今度来年度の物価問題は、ことし物価指数が上がると、来年度は対前年度比となると今度下がるという傾向になるわけであります。そういう計算も行なわれますが、税理論の上からいって特別な商社とか特別な会社とかというものに特別な税制を適用することはむずかしいのです。これは税の混乱を起こすという意味からいっても、税の公平論からいっても、なかなかむずかしいということがございます。今度しかしやりました。土地に対してだけは国会の議決を得たわけであります。昭和四十一年からでございますか、土地の特例を認めたときから、四月一日から法人が取得をしたものを一年以内に売れば現行税率を適用するが、一年たった来年の四月一日以降売った場合には分離課税二〇%ということでやりましたが、これをやってみると、とめどもなくなるという問題もありまして、税に対する不信感も起こります。そういう意味で、税は私はどう考えてみてもやっぱり一般法人に対しては中小企業に対して二八%、それから他のものに対しては三六・七五——一・七五は暫定税率でございます。これは四〇%に引き上げられるとしたならば中小企業は据え置きたいということを初めて申し上げますが、中小企業も、まあ他のものを四〇%に引き上げるならば中小企業は三〇%にという議論が学者の間にあります。しかし、まあいまのこの円のフロートをしておる状況において中小企業の税金を引き上げるというようなことが一体可能なのか、そういう理論は理論的に正しくとも、私は政治的な立場でそういうものは引き上げられないということは、これは事務当局に私の考え方を述べております。やっぱりその程度のものをつくる。二つに分けるということができても、土地にやったじゃないかと、あとは商社に全部吸い上げたらどうだと、こういうことは税の上で考える問題ではないような気がいたします。私はほんとうにまじめにそう考えております。
  58. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は、対前期比で二〇%をこえた企業に対しては、その利益の一定分を当該企業の製品価格の引き下げ、または手数料の引き下げなどに回す必要があると考えております。これを法律的に強制するために、たとえば企業利益価格還元臨時措置法、こういうふうな法律を制定すべきであると思いますが、これはどうですか。
  59. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 理論としてはよく私も理解できますが、二〇%以上もうけたものは額を引き下げなさいと、これは行政指導でやるとか、いろいろなことで努力することは必要だと思います。必要だと思いますし、もう一つは、ある一定限度以上もうけたら税金で吸い上げられるということになれば、懲罰的な効果もあるわけでありますが、それは行政指導でやるべきものであって、何十%以上利益を上げたものはすべて物価を引き下げるような法律、そういうものが法制上可能であるかどうか、これはもう法律論の問題ではなく、現実にやろうと思えば国会が法律を通せばできるんだという考え方もございますが、どうも法人に累進税率をかけるという考え方は、これは非常にむずかしいんです。個人の場合は課税最低限をちゃんときめておりますから、これは課税最低限をきめておって、政策を加味しております。税は公平でなければいかぬといいながら、政策を加味しておるんです。ある意味においては、人間的な公平論ということが事実の公平論、数学上の公平論よりも上回っておろうという税制を個人においては採用しているわけですが、法人というものに対しての累進税率を採用するということは、これは税制上からいってむずかしいと思うんです。ただ、暫定法としまして、物価を引き下げるということで暫定法としては可能であるという学問的議論もありますし、在野にもそういう議論は確かに存在いたしますが、これはやはり行政的な範疇に属するものであって、税制上——まあ小坂長官はどういうふうな発言をしたか知りませんが、私も大蔵大臣を三年やっておりまして、どうも税の上からそういう特殊な法律をもって一定率以上の利益に対して特定目的に使わせるということはちょっとむずかしいと思います。それをやるなら、前にむずかしいんですと言った土地と同じ方法で、何年間にわたって税として徴収すると、そのほうがかえってメリットはあるように思います。いずれにしても、前段のほうがむずかしいと申し上げたわけでありますから、後段もむずかしいという結論になるわけでございます、はなはだ遺憾でございますが。
  60. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、今回の商品投機規制法が成立をすれば、今後、商品投機は完全に締め出すことができるとお考えでございますか、どうですか。
  61. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これはものには完全ということはないわけでございます。一〇〇%ということはないわけでございますが、いまよりもよくなるということは間違いないと思うのです。これは先ほど自民党や政府の都合でもって延びたんだと言っておられましたけれども、それはそのとおりでございますが、ほんとうはもっと早く通していただきたかったんです。これでもってひとつほんとうにやりたいと思っていましたが、これは竹田さんにそれは政府や自民党のほうだと、こう言われて、私もそれは何とも申し上げられないわけでございますがね。やっぱり東洋人というのはメンツを重んじますから、これは罰を受けるということよりも公表されるということは、それは生き恥じをさらすということでありまして、これはたいへんなことでありますので、この法律が通ればいまよりも確かによくなるということだけは、確実に私は申し上げられる。これはもうただ完ぺきに運用したいということでございまして、これでもってすべての問題が解決するということは申し上げられませんが、少なくとも売り惜しみや買いだめというような社会道徳に反するようなものが相当開放して、いわゆる国民物価抑制ということには役立つものであると、これだけは真に信じております。
  62. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 ついででございますが、丸紅と安宅産業が豚肉や銅の脱税をいたしましたね。これは新聞で大きく一ころ出ておりました。これは全く国民を裏切る行為であります。これだけ物価問題で国民が苦しんでいる、そして買い占め・売り惜しみであれだけの利益を得た。その上にこのような脱法行為をするということは、全く私どもは許せませんし、消費者を踏み台にして自分だけもうければいいというようなこういう大手商社のやり方には何としてもがまんがなりません。  そこで、こういうふうなことをした企業に対しては、いま総理の御答弁ではありましたけれども、もう一つきつく営業停止、こういうふうなことをやっていただけないものかどうか。
  63. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御指摘のとおり、豚肉及び銅については、大手商社を含めて関係輸入業者が税関に不正の申告を行ない、関税を逋脱しておるのではないかとの嫌疑によりまして、現在、大蔵省において調査を進めておるということでございます。豚肉につきましては、すでに調査は最終段階に入っておりますので、なるべく早く結論を出したいと考えておりますが、一方、銅につきましては、調査に着手したばかりでありますので、まだ若干日時を要するという事態のようでございます。  これらの事案につきましては、十分に調査を行ない、悪質な事案に対しましては厳正な態度で臨むことといたしたいと、こう考えます。ただ、まあ営業停止というようなことができるのかどうか、これは法律上の問題でございますので、これは私はさだかにここで申し上げられませんが、政府でもって指定しておるもの、豚肉などは、不正があると、豚肉の割り当て業者でありますから、そういう輸入業者の権限を剥奪されるというようなことがございます。この間、国内の米の集荷権を持っておった業者が取り上げないうちに返納してしまったと、こういうこともございますが、そういう意味で、制裁の規定は何らかあるはずでございますが、営業停止というような民法上の問題とか商法上の問題、そういう問題がどの程度あるのかは、いまさだかにお答えできません。必要があればここで法制局長官から答えさせますが。
  64. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 時間がありませんから、もう一つだけ伺いたい。またこの次にひとつ聞かしてください。  先ほど答弁にもございましたように、これが最後でございますけれども、物価上昇によって最も被害を受けるのは、やっぱり年金所得者と低所得者でございます。私は、政府が来年度百五十万円まで無税にしようという方針をほんとうに決定したのであれば、これはたいへんけっこうなことだと思います。しかし、ほんとうに困っているのは、百八十万人にのぼる免税点以下の低所得層の人たちです。これらの人たちには、幾ら減税をしてもその恩典は全くないということでございます。  そこで、私は、提案したいのですが、わが国においても逆所得税制度導入の検討をして、免税点以下の低所得層に対しては、その所得に応じて、国から一定の給付を行なうようにすべきだと思うのですが、総理の御見解を伺って、私の質問を終わらしていただきます。
  65. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 本問題に対して、私もかつて予算委員会で御質問を受けたこともございますが、これは学問的な問題としては検討されておる問題でございますし、また、他の国においてもこれは検討されておる問題でありますが、日本においては逆所得税の制度は採用しないということを私はもう明確にここで申し上げておきます。これはやり方によっては惰民政策につながるおそれもありますし、これは非常にめんどうな問題なんです。そして、これをやると、もう税金を納めても納めた人に対して昔は勲章をもらったんですが、このごろは働いて、自分の能力、英知を傾けて人の何倍も働いても税金を納める。納めることはあたりまえであって、納税の義務というときには、これは非常に高く評価されたんですが、このごろは納税しても何の恩典もないということになりますと、やっぱりこれは問題があるんです。やっぱり私は納税をするということは、それだけの英知を傾け、それだけの能力を傾け、努力をする結果であります。ですから、そういう惰民政策というものを絶対に排除して、それで合理的な国の財源を確保するということでなければならぬと思うのです。そういう意味からいって、確保した財源をいわゆる低所得者に社会保障として還元をするということは、これはもう正しいことでありますが、当然の権利としてこれはどうにも社会連帯の思想において国や公共団体が全額を負担しなければならないような心神耗弱の方々とか、重度心身障害児とか、私はそういう制度というものは確立すべきだと思いますし、制度もどんどん進んでおります。しかし、そうではなく、所得がないからということで、ただ逆所得税によって自動的に交付を受けるという制度は、どう考えてみても私にはどうも納得できないんです。これはもうそういう意味で私も御質問があってからいろいろ研究したんです。研究したんですが、私の時代においてはどうしてもこの制度は採用したくない。ですから、そういうものは、ほかの国がやってもしたくない。そのかわりに、物価が上がって困る人はありますから、そういう方々に対しては社会保障でやらなきゃいかぬ。しかも、高年齢の人や疾病を持っている方々や、そういうものの社会保障は国がやるのはあたりまえですが、所得がないからといって、どうも自動的に所得のある人から逆に交付を受けるという制度、これはまあせっかくの御発言でありますが、遺憾ながら私は賛成できかねるということだけは、これはせっかくでございますが申し上げておきたいと、こう思います。
  66. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理は、先ほど、中沢委員に対する御答弁の中で、次のように言われたように私は記憶しております。それは、この買い占め・売り惜しみ法案の成立を引き延ばしたのは政府や自民党じゃないかとおっしゃられたが、それはそのとおりでございますというふうにおっしゃったと思いますが、それは総理の正式の御見解だというふうに理解してよろしゅうございますか。
  67. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 国会で答弁しておるのでございますから、これは正式も正式でなくもございません。公式な発言でございます。先ほど、竹田さんから、これがおくれたのは政府でいろいろの失言をしたりするからだよという御質問がございましたので、思い出しながら、すなおに申し上げたことでございまして、言わずもがなだったかもしれないということだけはひとつ御了恕いただきたいと思います。
  68. 渡辺武

    ○渡辺武君 私、委員長一つ二つ確かめたいことがあるんです。  この買い占め・売り惜しみ法案の審議について、私が引き延ばしをやったというような事実がございますか、この委員会で。
  69. 山下春江

    委員長山下春江君) 渡辺委員が引き延ばしをやられたという記憶は私にはありません。
  70. 渡辺武

    ○渡辺武君 もう一つ伺いたいのですが、この法案と一緒に野党四党の共同提案の同様の法案が内容は違いますけれども出ていると思いますが、その中に共産党も入っていると思いますが、どうですか。
  71. 山下春江

    委員長山下春江君) 入っております。
  72. 渡辺武

    ○渡辺武君 私、なぜそんなことを伺ったかといいますと、ここに「自由民主党法定ビラ1号」というきのう東京都議会選挙で自由民主党からまかれたビラがあるんです。「自由社会を守ろう」という題でありまして、初めのほうは読みませんけれども、「物価値上がりを撲滅しよう」という項に次のように書いてあります。  共産党や美濃部知事は、物価高の張本人は自民党だといっています。とんでもない話です。自民党が最近の異常な物価値上がりを抑えるために国会に提出した「買い占め、売り惜しみ緊急措置法」の審議を引き延ばして、いまだに通過させていないのは、いったい誰なのですか。  産地との直結体制づくりも、中央卸売市場の改善も、何も手をつけていない美濃部都政と、自ら対策も出さずに、自民党の提案を引きのばしている共産党——それが物価高の元凶なのです。  これは自民党がまいたビラです。ちゃんとここに「自由民主党法定ビラ1号」と銘打ってあります。いま、総理は、この法案の成立がおくれたのは、これは政府や自由民主党の責任だという趣旨のことを言われました。そうだとすると、この総理の正式な見解と、自由民主党が大衆の手にまいたこのビラに書かれていることとは、全くこれは違ったことだ。総理は、このビラに書かれている、いま私が読みましたけれども、これが事実無根のことを書いているということを確認なさいますか。
  73. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 短い時間で何かこう質問通告を受けた以外のことをどんな目的で御質問になったのかなあと思っておったら、よくわかりました、目的が。目的がよくわかりましたが、私はそのビラを見ておりません。見ておりませんが、それは自由民主党配布1号……
  74. 渡辺武

    ○渡辺武君 ここにあります。
  75. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いや、けっこうです。
  76. 渡辺武

    ○渡辺武君 見て下さい。
  77. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いや、けっこうです。配布1号であるといえば、それは自由民主党の印刷にかかるものであると思います。
  78. 渡辺武

    ○渡辺武君 いいですか、みずから……
  79. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) よくわかりました。ええ、よくわかりました。よくわかりましたが、まああなたがこのビラと私がここで述べたものの関連をつけるというのはちょっとおかしいんじゃありませんか。私は、こういう質問もあるとか、こういういうものを前提にしてお答えしているのじゃありません。いろいろな問題の審議の過程において先ほど竹田さんに多少おしかりを受けましたから、そういう意味で、私も、まあこういう法律はいっときも早く通していただきたいという立場で、竹田さんの発言になるほど考えてみればいろいろなことがあったなということをすなおに申し上げまして、いまあなたが質問されたから何かあるなと思ったのでもありませんが、言わずもがなであったかもしれませんと、こう言っているんですから、これでもって正規にこれがどうだ、認めるかどうかという問題をここで私が申し上げられるような問題じゃないと思いますよ。これはまた国会討論会もございますから、どうぞ、そういうところの問題じゃないですか。こんなことを言われますと、共産党がまいておられるものの中で自民党が事実に違うものもたくさんあるじゃありませんか。そういうことになると、公的なこの席上でもってどうしなさいということは、これは私は国会審議の問題じゃありませんよ、ないと思いますよ。
  80. 山下春江

    委員長山下春江君) 渡辺委員にお願いしますが、本論を進めていただきたい、時間がありませんから。
  81. 渡辺武

    ○渡辺武君 本論に入りますが、これは公党として選挙の第一日目にまいたビラなんです。あなたは、総理大臣であると同時に自民党の総裁だ。党について責任を持っておられる方だと思う。先ほどの御答弁を伺いますと、国会の場で言ったことであるからとはっきり申されましたよ。つまり、それは正式の答弁なんだという趣旨のことを。そのビラだって、公党の名前をはっきりとうたって、「法定ビラ1号」ということでまいたビラでしよう。公党の言うことがこれが全く正反対のことを言っているというようなことで、どうして問題にしないわけにいくんですか。まさに買い占め・売り惜しみ法案がこの委員会でかけられている。私は、いま委員長が言ったように、ただの一回も引き延ばしをはかったことはない。共産党ははっきりこの問題については独自の政策も持ち、また、野党四党とはっきり協定を結んで一緒になった法案も提起している。うそばっかり書いてあるじゃないですか。  まあ時間がないから次に移りますけれども、それほど自民党の期待をかけているこの買い占め・売り惜しみ法案、これはいろいろな問題点があると思うんです。たとえば第二条の価格が異常に上昇した場合だとか、あるいはまた第四条の当該物資を多量に保有していると認められるというような点、実際これを適用する場合に、いろいろ問題の出てきそうなあいまいな点がある上に、田中総理大臣自身も、この法案は行政指導の補完的なものだというような立場をとっておられる。いろいろ問題はありますけれども、私はこの法案の最大の問題は、第四条の投機行為を行なった企業について売り渡しを勧告するだけだ。もしその勧告に従わなかった場合には公表する、それだけのことだ。これはもうだれが見ましても、一体こういうようなもので効果があるだろうかどうだろうかということは、当然疑問になってくるわけであります。総理大臣は、この法案がもし通った場合、いまそのビラに書かれておりましたように、物価の引き下げに一体効果がある法案だと思っていらっしゃいますか。  また、時間がないから一緒に聞きますけれども、もしこの法が成立したら、どうします。物価引き下げにどういうふうに運用しますか。
  82. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) この法律物価引き下げに多大の貢献をするものだという評価をしております。でありますから、この法律を通過させていただければ、政府は、本法の精神を体して、買いだめ・売り惜しみというようなものを根絶すべく最善の努力をいたします。  なお、それらのことは自由経済体制においては行政が行なうべきものである、しかし事態法律の成立を必要とするという認識のもとで国会の審議を仰いでおるのであります。ですから、法律の精神を体して、本来行政が行なわなければならない任務を主体にしながらも、物価引き下げ、特に反社会的だといわれておる買いだめ・売り惜しみの根絶のために精力的な努力を傾けたい、こう思います。
  83. 渡辺武

    ○渡辺武君 先ほど中沢委員も問題にされましたけれども、大きな商社の昨年の十月からことしの三月までのわずか半年の間の荒がせぎ、これはもう時間がないから私はこまかい数字は申しませんけれども、伊藤忠が百六十億円、三菱商事が百七十億円、三井物産が百六十億円、丸紅が百三十億円、これは経常利益ですよ。その中で一番大きな利益をあげているというふうになっているのは、これは木材、こういうことになっている。そうして、国民は、このわずか半年の間の百数十億円という荒かせぎが、木材、綿花、綿糸、羊毛、生糸、あるいは大豆、土地、こういう国民の生活にとって欠くことのできないような物資その他を買い占めて、値段をつり上げて、その結果としてふところに入れることのできたものだということを見ておりますよ。  ここに六月十九日の「日本経済新聞」の記事があります。「数字で歴然商社の買い占め」という題で出ておりまして、これは商社二十四社の四十七年度下期の在庫投資は、実に東証第一部上場の製造業四百二十七社のそれを上回り、一千五百億円に達している、そうしてこの事実からしても商社が買い占め・売り惜しみをやったことは明らかだという趣旨のことが書いてある。総理が、この法案が通って投機を押えるためにこれを運用すると先ほどおっしゃいましたけれども、もし法案が成立したら、商社のこういう買い占め・売り惜しみ、これを追及なさいますか。
  84. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私がやるわけじゃございませんが、これは係がちゃんとできるわけでございまして、これはあらゆるところに買いだめ・売り惜しみというような反社会的行為が存在しないように、それが物価抑制に寄与するようにこの法律は命じておるわけでございますから、あらゆる階層に対してこの法律の使命を十分に守って行動してまいりたい、こう考えます。
  85. 渡辺武

    ○渡辺武君 抽象的にお答えいただいても困るのです、私はちゃんと商社をあげて言っているわけですから。少なくとも衆議院の物価対策特別委員会に参考人として喚問された六つの商社、これが提出した資料を検討してみますと、これはもうたいへんな大もうけをあげている。そして通産省自身も、木材については書いてないけれども、繊維製品については、投機の疑いがあるという趣旨の判定をしている。これについて、検査あるいはまた資料の収集、この法律で与えられた権限をフルに発揮して、こういう投機行為を徹底的に調査いたしますか。
  86. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほどからるる申し述べておりますとおり、あらゆる階層にわたって反社会的行為である売り惜しみ・買い占めなどが存在しないように本法の精神を体して行動いたしますと、こう言っておるわけです。しかも、特に割り当てなどをやっておる完全に自由化になっておらないようなものがありますな。そういうものが値上がりをしておるということになれば、その経路経路にある業者や倉庫を調べるということは当然でございます。自由化をしておるものであっても、マグロが一隻買われた——きょうはマグロは半値になって陸揚げしないというふうになっておりますが、いずれにしても陸揚げしないように安くなっているときは別でありますが、マグロ一隻買ったという情報があれば、そこへ飛んでいかなければならぬことは、本法の精神そのものでございますから、そういうものに対しては、あらゆる面に対して本法の精神どおり行動したい、こう考えております。
  87. 渡辺武

    ○渡辺武君 商社は、この買い占め・売り惜しみについて少しも反省していないですよ、総理。私はこの前のこの委員会でも問題にしましたけれども、「経団連月報」の五月号に座談会がありまして、そして丸紅の副社長さんや三井物産の会長さんが出て買い占め・売り惜しみについて語っておりますけれども、そこでどういうことを言っているかといえば、結局のところ、結論は、商社は投機をやっていないんだ、値段が上がったのは輸入品価格が上がった、そうしてまた商社の手を離れて末端消費者へ行くまでの間の中間流通段階でもって上がったんだ、商社はただ物を輸入して国内に売っただけなんだと、こういうことを言っているんです。それからまた、ここに「日本貿易会報」というのがあります。日本貿易会が大商社を含めていわゆる行動基準なるものを出しましたけれども、その行動基準に関連して、「新しい世界観を打ち出す」「新自由主義に立つ行動基準」という題で日本貿易会報の二百十八号に記事が出ております。これを見ても、これはもう時間がないから読みませんけれども、やっぱり商社が投機をやっているんじゃないんだと、中間段階でもって投機が行なわれたという趣旨のことを言っている。私は、数日前、社会党、公明党その他の方々と一緒に経団連の植村さんに会いました。そうして投機その他の問題で申し入れもして、彼の意見も聞きました。そのときでさえ、もし反社会的行為があるならよくないと、こういう趣旨です。つまり、商社が反社会的行為である投機をやっているというそういう立場に立っていない。そういう状態のもとで売り渡しの勧告をやった、名前を公表した、そんなことでもって商社が言うことを聞くんでしょうか、どうでしょう。
  88. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは先ほども申し上げましたが、東洋人というものはメンツを重んずる。日本人は生き恥をさらすならば死んだほうがいいと、こういうことでしょう。そういう教育を受けてきましたがな、私は。あなたはどうかわかりませんが。その意味で、日本人というのは、名前を公表される、反社会的な行為を指摘される、これは致命的なことだと私は思うんですよ。しかも、ほんとうに勧告を受けてそうしてそれを実行しない、そういうことは私はあり得るとは思っていないのです。そうでなければ、行政権などは、法律で罰則のない法律のある限り一切行政権は行なわれないということになります。そんなことはありません。憲法にも書いてあるとおりに、罰則のないものは政令をもって足る。ちゃんとやっているじゃありませんか。罰則がなくても——あの大学の臨時措置法というのは、あれは罰則がないのです。罰則がないものは政令をもって足るといわれたんです。国権の最高機関である国会の意思を国民の前に表明するだけでも、その影響がないなんていうことはない。それは、確かに、憲法から見れば、罰則のない教育の正常化法というあの特例法は、政令をもって足りたはずです。しかし、ちゃんと効果があったじゃありませんか。私は、そういう意味で、これだけ国会が議論をされて、これだけ国民的課題になっておる物価抑制に対して、指摘をされて公表されてもなお反社会的行動を行なうということは、私は日本人の考え方では考えられないと思うのです。それよりも、もっと明確なものであれば、物統令が適用されるということがあるんじゃありませんか。私はそう思っていますよ。まじめにそう思っている。だから、こういう法律を出したんです。
  89. 山下春江

    委員長山下春江君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  90. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記を起こしてください。  それでは、引き続いて経企庁長官に御質疑を願います。
  91. 和田静夫

    ○和田静夫君 長官ね、これはまたかという感じなんですが、きょうの委員会の冒頭から、国会の諸法案が上がらない問題について、総理は、ついに、自由民主党の側の責任政府の側の責任だと答弁されたんですが、私は信頼するあなたがこんなことを述べているとは夢にも思わぬものだからあれなんですが、一つずつ確認をしますが、あなたは二十三日に水戸を訪れて講演をされた。その発言の中で、「土地投機を押える国土開発法案や買占め、売惜しみ規制法案は、野党が審議をストップしているので政府対策の立てようがない。」とまたかという感じですよ。これはまさに事実に反しています。何を根拠にあなたまでがこういうことを述べるのか。田中内閣というのは一体どこを向いて何をしようとしているのか、そういう感じですよね、全く。いかがです。
  92. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私、水戸へ土曜日に参りまして、これは橋本幹事長の要請で彼の後援会へ参りましていろいろ話しました。非常にざっくばらんに私の気持ちを申し上げたわけでございます。私が申し上げたのは、これは事実を言ったのでございまして、法律案がなかなか審議されないこの国会の状況を申したわけでございまして、例の国土総合開発法案、これは、土地問題、特に地価の問題等も入っておるが、これが実は衆議院の建設委員会で提案理由の説明をさせていただいてまだ審議に入っておらぬということを、これは事実ですから申し上げました。それからこの法案も三月十日に今国会に出された。これがいまだに通過していない、これも事実であるから申しました。私は、念のために、どういうふうになっているかという経過をとってみたんですが、三月十日に国会へわれわれはこの法律を提案しまして、本会議で趣旨説明が行なわれましたのは四月の三日でございます。三月十日に出したものが四月三日になって趣旨説明が行なわれたわけでございます。それから物価問題特別委員会に提案理由を説明しましたのが四月の十日でございます。四月三日は一日で審議が済んでおりますが、委員会に提案さしていただいたのが一週間後の四月の十日でございます。それから御審議を熱心にいただいた。採決が四月の二十六日、こういうことでございまして、まあ私の真意は、国会へ出されたこれは緊急の法案でございますから、なぜすぐにお取り上げ願えなかったかということは、私は率直に申しまして思っておりますので、そのことを申したわけでございまして、審議そのものの内容についていろいろ言ったわけではございません。
  93. 和田静夫

    ○和田静夫君 あなたが事実だと言われれば言われるほど、たいへん事実に反しているから私は取り上げようと思ったんです、これは。先ほども言ったように、まさかあなたがこんなことを言うとは思わぬものだから読み落としていましたら、注意がありまして、読み返してみてびっくりしたわけです。私は、実は、この委員会に所属したのはきょうが初めてです、これからお付き合い願うわけですが、よその委員会からかわってきたんですが、そこで、委員会を過去に振り返ってずっと調べてみました。そうすると、この生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案が本院に付託されたのは四月二十六日です。そして五月十一日に竹田委員の質問を終えて田代委員の質問中に小選挙区制の問題が起きた。国会が空白になった。六月に入って、さあ審議をしようということになったら、あなたはOECDへ行くと。そういうふうに行かれたために審議ができなくなった。しかし、それでも、社会党の側は少しでも審議を促進しようとして、その間に現地調査を提案しております。そこに増原問題、いわゆる増原発言が起こった。それがおさまって六月の十三日、われわれの側が審議をしようとしたら、前日、自由民主党の玉置理事がわがほうの理事のところにお見えになって、六月十三日にあなたは青森の参議院補欠選挙の応援に行かなきゃならぬから何とか委員会はかんべんしてくれと言った。そんなにゆうちょうにかまえてよろしいのかというような抵抗があって、そして結果的に委員会は開かれた。二十二日に、議了を考えながら総理を呼んだ。そうしたら、政府側の都合によって出てこないと言う。よって、きょうまできた。こういう形で、一連ずっとながめてみれば、法案の審議がおくれてきた原因というのは、まさに政府側にあるじゃありませんか。それが、野党の引き延ばしによってストップしているからなどというような論法でこの法律案が上がらないというそんな記者会見になるというようなことは許せない。まさに事実と違っているじゃありませんか。この事実、私はきょうからここへ来たからあれですが、事実が間違っているのならば、とにかく間違っている点を指摘してください。間違っていないのならば、いま私が読み上げた発言について、あなたは取り消されることが必要です。考えてもみてください。いま衆議院段階において、たとえば健保法、年金法、これを議了するということを野党の側が何べん言ったところで、与党の中の都合によって、社労の委員長がどうだこうだというような形でもって、あなた方のほうが延ばしているという現象が衆議院の今日の社労の現状でしょう。
  94. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私は衆議院議員でございますので、衆議院の院内における状況を先ほど申し上げたわけです。当院における問題については触れておりません。  いま和田委員の仰せられた六月十三日の問題だけについてお答えいたしますが、これは竹田委員からもそういう御指摘がございまして私も申し上げたのでございますが、当時の中曽根問題で院が休みであるということでございます。そこで、休みならば、私、実はOECDに参りまして十日に帰ってまいりましたわけでございますが、すぐに院が休みなら地方選挙の応援にかけつけたいと思いましてそういう手配をいたしました。そこで、もしお休みならばと思っておったところが、その日の、十三日の午前中に、午後委員会が開かれることになったわけです。そこで、玉置先生のほうに、もし——急に開かれることになったので、委員会がいままでの関係からお開きにならないようなことであるならば、まあ全部手配もいたしましたし、ということを申し上げたわけです。ところが、伺いますと、いや、どうしても開くと仰せられたので、それではというので私の予定を取り消してこの委員会に来たと、こういう事情でございまして、この点は私の真意を当委員会において先般申し上げたことでございますが申し上げまして、ひとつぜひ御了承を願いたいと、こう思っておるわけでございます。  私が言いました趣旨は、先ほど申し上げたように、三月十日に出たものが約一カ月ですね、一カ月提案理由もなかなか趣旨説明も行なわれないというような状況を、私としては何とかならぬものかと、こう思っておることを申し上げたのでございまして、いろいろお怒りの点がございますれば、私はこれは行き違いでございますので、つつしんで取り消さしていただきます。
  95. 竹田四郎

    竹田四郎君 ちょっと、企画庁長官ね、十三日の日に休むなんということは一言も言っていないですよ。十三日は水曜日ですよ。水曜日は定例日ですよ。金曜日が定例日の予備日になっているわけです。十三日に休むなんて、私は一言も言った覚えはない。
  96. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私は竹田委員が仰せられたということは一言も言っておりません。ただ、当時の状況として、中曽根問題ということのために院が十日ぐらい休んでおったんですよ。十三日はたまたま最終の日になってきたわけでございます。結果的には。十二日まではとにかく休んでおったんです。ですから、私、十日に帰ってきての状況判断で、それじゃ休みならばその期間を善用しようと私が計画を立てたわけです。竹田委員に御相談をして計画を立てたとは私は一言も申し上げておりません。十三日に開かれるというお話を伺ったのですが、これがいままでのいろいろないきさつで委員会がないのならばということで玉置先生に申し上げたのであって、これはもう全然事実と相違はございません。  なお、もう一度申し上げますが、私は竹田委員が十三日は休みなどということをおっしゃったなどとは一言も申しておりませんし、ただ、私が当時の状況で、もし休みならばと考えたと、こういうことでございます。
  97. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうすると、「野党が審議をストップしているので政府対策の立てようがない。」と、ここの部分については、とにかく取り消されたわけですね。
  98. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) それは取り消します。
  99. 和田静夫

    ○和田静夫君 さらに、あなたは、野党議員は週休二日で五日審議してくれればよいが週休七日制で月給数十万取っているようなもので度を越している、少数横暴だ、こういう発言もされているわけです。われわれ野党議員が週休七日制で月給を数十万もらっているというのは事実ですか。大臣の月給と間違えているのじゃないですか。
  100. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) それは、私が実はこういうことを演説の中で言ったんです。「読売新聞」に近藤日出造の漫画が出ていて、そこには国会の図があって、こっちに人が寝ておって、「週休七日、月給数十万」というのが出ておったと、こんなような批判を受けるようでは国会が非常に困ることになると、こういうことを申しました。その点が正確にキャリーされていないと思います。  それは、失礼でございますが、記者会見で私がそう言ったというふうに出ておりますか。
  101. 和田静夫

    ○和田静夫君 そう。
  102. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) それも事実と違いますね。私は演説の中でそれを申しました。
  103. 和田静夫

    ○和田静夫君 いやいや、記者会見じゃない、講演のため水戸市を訪れ、物価対策に関連して次のように語ったと……。
  104. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) それならばあいまいですけれども、そういうふうには言っていないです。
  105. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこで、いまの問題について、いま竹田理事からもありましたが、本委員会は水曜日を定例として審議をされてきた。水曜ができない場合には予備の金曜日で行なわれてきた。したがって、一のあなたの発言は間違っていた。取り消された。  二のこの問題は、どういう趣旨かという弁明をされても、この記事に関する限りにおいては、とにかく度を越している、野党の少数横暴だと。これは野党議員全体を侮辱したものですよ。こういう侮辱をされて、いまなお釈明をされるという状態では、この法案の審議をこれからこのまま続けるというわけにいかない。この取り扱いは、理事会でいまからすぐどうされるのかやってもらいたいと思います。
  106. 山下春江

    委員長山下春江君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  107. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記を起こして。暫時休憩いたします。    午後四時八分休憩      —————・—————    午後四時二十六分開会
  108. 山下春江

    委員長山下春江君) ただいまから物価等対策特別委員会を再開いたします。  この際、小坂経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。小坂経済企画庁長官
  109. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ほど和田委員御指摘の新聞記事でございまするが、私は長い話をいたしまして、その中で新聞の漫画や論説——それぞれ違う新聞紙でございますが、そういうものを引用しながら話をしたのでございまするが、それを非常に短く要約されたものかとも思われますけれども、その結果として御指摘のような誤解を与える点がございますれば、これは私のことばが不十分であったと存じまして、つつしんで取り消さしていただきます。     —————————————
  110. 山下春江

    委員長山下春江君) 休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。
  111. 和田静夫

    ○和田静夫君 私は田中内閣の非常に不評になった原因というのは、実は一番大きなものは物価だと思っているんです。その辺は総理自身に尋ねたかったんですが、時間がありませんからあれでしたが、私は、今日の物価問題にはたいへん複雑な問題がある、それが要因となってからみ合っている、理論的に実態的にかなり綿密な解きほぐしをしないとどうしてもいけないし、そうでないと、一面的になりがちである、そういうふうに実は思っている。したがって、私は、この物価対策特別委員会などで物価問題はまさに物価問題としてトータルに論ずることをできるだけ控えて、肉なら肉、生鮮食料品なら生鮮食料品という形で、個々のものを取り上げて、その流通機構がどうなっているのか、その需給関係がどうなっているのかといったことをビビッドに分析をして論じていってみたいというふうに実は考えています。  そういう作業しかさしあたりないのではないだろうか。政府物価対策としてできもしないのにあんまり大きなことを言わないで、個々の商品について一つでも二つでもその値段が下がる、そういう実効のあがることをじみにやってもらいたいと実は思っているのです。ましてや、人気をあんまり気にするあまり、ゼスチャーめいたことをやってほしくないわけです。  それは今日の複雑な物価問題がますますこんがらがっていく、そういうことになると思っている。この辺をまず第一にお聞きしておきたいわけです。  時間がありませんから続けますが、経済企画庁の設置法が改正されて物価局をおつくりになった。そこで何をやらせて、どういう実効をあげさせようとするおつもりなのか、これを二つ目に聞いておきたいわけです。  三つ目に、今度の改正で企画庁長官物価に関する基本的な政策の企画立案、推進のために必要があると認める場合、関係行政機関の長に対し資料の提出及び説明を求め、また、関係行政機関の重要な政策及び計画の立案について勧告をして、当該行政機関の長に対して勧告に基づいてとった措置の報告を求め、さらに勧告した事項に関し特に必要ありと認めるときは総理大臣に対して当該事項について内閣法第六条の規定に基づく措置をとる、そういう意見を具申することができると、こういうふうになったわけですが、ここまではいわゆる総論賛成の段階でありまして、物価対策というのは、私がいま言いましたように、各論のところから問題にしていかなくてはならぬというのが私の意見であります。経企庁の役所としての力を考えますと、この実行の段階でどれだけのことができるかということについて疑問を持つ。これは私一人では実はないと思っているんです。先ほど、総理にちょっと言いましたが、企画庁の非常に重要な地位にある人が、たとえば私に、公共料金の値上げの際に経済企画庁が大蔵省や運輸省や通産省に何か言ったところで聞き届けやしませんよと、かなり自嘲めいたことを言っていらっしゃいます。私はそういう状況だったら物価局をつくる意味なんというのは実はないと思っていたんです。それこそゼスチャーだと、こう思っていたんです。この辺のことがゼスチャーに終わらない、そういう保証というものをひとつ明確にしていただきたいと思います。三つの点についてまず伺います。
  112. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) まず、最初の、物価全体を達観して、重点を置いてこれを下げるということでないとほんとうの物価政策というものにならぬじゃないか。しかし、かりにそう政府も思うなら、どういう点に力点を置くかという御質問でございますが、私も和田委員の御意見のとおりだと思います。いろいろウインドーに並べてあれもこれもと言っても、おのずから限りのあるものでございますので、やはり傾斜的にこの問題にまず精力を集中するという点が必要だと存じます。私はその点で一番私どもが今後努力をせねばならぬポイントは、やはり卸売り物価であるというふうに思っております。今日の消費者物価も昨年末からことしにかけての卸売り物価が非常に上がったことがだんだん寄せてきているのでございまして、その点で力を少し進めたいと思っているわけでございます。どういうふうにするかという点でございますが、これはまあいろいろ申し上げると長くなりまするが、例の七項目を中心に財政、金融それから輸入あるいはそのシーリングワクの拡大というようないろいろな面からやりますと同時に、やはり国民の監視というものが非常に重要だと思っております。今度のだんだん精力的に御審議をいただきましたこの法律も通過さしていたださましたら、やはりその点で非常に有効に働かせていただけるのじゃないか、また、ぜひそうしたいと、こう存じておりまするわけでございます。  それから次に、物価局の問題でございまするが、物価局ができますと、従来でもそれは企画庁はいろいろ言うことを関係官庁にいろいろ聞いていただいたわけでございますけれども、それにいたしましても、法律によっての権限で資料を要求する、あるいは勧告をする、あるいは総理を通しての意見具申をするということになりますと、やはりおのずから企画庁の重みというものが違ってくるかと考えまするので、こういう点で、この七月一日から物価局ができまするわけでございまするが、それにひとつ万全の布陣をいたしまして、人数も非常に少ないのでございますけれども、極力これを活用したいと考えております。幸いにこの御審議いただいている法律が通過いたしますると、物価調査官というのができますわけで、これとこううまく組み合わせまして、物価調査官に大いに活動してもらって、物価局がこれと考える生活必需物資に力を注いでこのいま燃えさかる物価値上がりの火の手の一角をくずしていきたいと思っておる次第でございます。  それからゼスチュアでなくて、あまりいろいろなことを言わないで実行をしろというお話も、まことに御意見ごもっとも、そのとおりだと考えておりまして、私どももいま申し上げましたようなことを誠実に誠心誠意やってまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
  113. 和田静夫

    ○和田静夫君 先ほども総理と消費者運動のことで若干あれしましたが、このことで実効をあげる唯一の担保は私は国民の世論だと、そういうふうに思うのです。そういう意味から言うと、物価局の仕事の内容というのは、国民にとって明確で、そして物価局そのものが国民にとって身近で、常に国民に支持されるという関係になければならないと思う。もちろん、企画庁といえども、政府機関の一つですから、全体としての政府の意思に反することはできないことはわかりますが、そうしたチェック・アンド・バランスの力学を利用することは、これは現代行政の私は枢要でさえあると考えております。で、長官は、物価局をそういうふうに持っていかれる決意がおありですか。
  114. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 御意見、まことにそのとおりだと思いまして、私はこういうことを申しておるのでございますが、国民は、生産者であろうと、流通過程でいろいろ働いている方であろうと、家へ帰ればみんな消費者である。その意味で消費者というものは国民全体の立場であるので、その力を結集しなければいかぬということを申しておりますわけでございます。消費者保護基本法というふうなものを五年前につくったわけでございますが、消費者は弱いものでこれは保護しなければならぬというようなことがやはり一つの問題でございまして、むしろ消費者は保護されるということよりも、消費者の権利というものを非常に大切に考えて、私ども企画庁、ことに物価局が、消費者の力を結集して消費者のためになる行政をするということを心からしたいと思っておる次第でございます。
  115. 和田静夫

    ○和田静夫君 物価局の仕事の内容というものは、いまも言ったけれども、国民に公表されて明白で、そして局は国民の身近なところにいなければならぬと思うのですが、少なくともこの局の調査ぐらいは、言われるところの企業の秘密に優先をさせて行なわれるべきである。調査結果についても万万一企業の秘密のために公表されないというようなことがあってはならないと実は考えているんですが、この辺はいかがですか。
  116. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) その点はなかなかむずかしい点でございまして、心を配らなければならぬと存じまするけれども、いやしくも公共の利益に反するような点がございますれば、これはあえて企業の秘密ということを企業側が申しましても、それを乗り越えていかなければならぬという点があると思います。ただ、いたずらに不安を与えるようなことはできるだけ避けていかなければならぬ。まあ一般論でございますけれども、さように思っております。
  117. 和田静夫

    ○和田静夫君 土地問題は、都市問題のかなめである。それと同時に、ビューロクラートの泣きどころといいますか、官僚の手ではなかなか行なえない性格のものだろうと思うのです。戦後の農地改革が大農地所有というパターンをせっかくこわしたんですね。それにもかかわらず、アフターケアが全くなかったために、自作農に解放された農地がやがてだんだん宅地に転換されて、非常に高い値段で売られるようになってきた。それが、日本国民土地に対する異様な執着と、土地を持っていればもうかるんだという投機的心理を根強く植えつけてしまいました。さらに、その後の電源開発のためのダムづくりであるとか、あるいは高度経済成長期以後の社会資本の不足に対処するための公共事業、オリンピック関連事業などの用地として国が仕事を急ぐあまりに金に糸目をつけずに土地を買いあさったことがプラスされて、土地を持ってさえいればもうかるという意識をすっかりいま国民に定着させてしまっています。そういう意味では、戦後二十数年の土地政策というのは誤りばかりを繰り返してきたと言っても私は過言ではないように思っているんですが、それをこの際根本的に改めるということは、土地に関する固定観念がしみわたっているだけによほどの政治力がこれは必要だと思うのです。長官は、今日の地価問題というのを、たいへんな政治力を伴うわけですが、どうするつもりなのか、一ぺん率直に聞かしてもらいたい。
  118. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 限られた国土を非常に有効に利用していくということになりますと、やはりそこに一定の土地利用の計画性というものが要ると思うのでございます。その意味で、私ども、国総法の中に、土地利用に関しまして、都市地域、あるいは農村地域、あるいは林業の地域、あるいは自然公園地域、また自然環境保護地域というようなものを設けまして、それぞれにふさわしい開発の方向考えておるわけでございますが、問題はやはり都市地域が非常に重要でございまして、ただいま御指摘のように、官権によって、あるいは公団というような半ば公の機関によって、地価が上がって、そのために庶民が土地を得られないというような問題もございますわけで、それはやはり、全体の計画が十分練られてなかった点があると存ずる次第でございます。ことに一昨年末からの過剰流動性、この問題が法人の土地所有というものに拍車をかけましておりますわけで、先ほど総理からも御答弁申し上げましたように、税制の面で非常に強化いたしましたので、今後はあまり土地を持っていることも困難になるという情勢をいまつくりつつあるわけでございます。これができましておる段階でいまの土地の計画的利用を法律でつくっていただくことによって、両々相まって土地政策というものを軌道に乗せてまいりたいと、こう思っておる次第でございます。
  119. 和田静夫

    ○和田静夫君 時間もないようですから、まとめて質問をいたしますが、一つは、たいへん多くの反対を押し切って市街化区域内の農地の宅地並み課税を断行したわけですが、そうした農地が駐車場になって、必ずしも宅地供給が行なわれていないという実態が出てきています。そこで、宅地並み課税の行政効果を経済企画庁としてどう踏まえたのか、自治省としてどう踏まえたのか、これが第一です。  それから資源の希少性は直接には地代に反映するものでありますから、地代と地価の差は主として投機に基づくものと解釈することができます。今日の地価の異常上昇のもとというのは投機に基づくものである点については、ほとんど疑いを入れません。そこで、政府政策は、万万一にも投機に手をかすものであってはならないことは、言うまでもないことです。しかし、私は、どうしても腑に落ちないのが一つあるのは、それはことしの一月二十六日の地価対策関係閣僚会議の席上、田中総理が、都市計画法上のいわゆる線引きを手直ししろ、こう建設大臣に指示したというのでありますが、大臣は不幸にして見えていませんが、次官、この点を一ぺん確認をしたいわけです。これが第二です。  それからそもそも線引きというのは、市街化調整区域内の乱開発を食いとめようということにねらいがあったものです。ですから、今後少なくとも十年間は手をつけずに置いておこうということでした。それを大手の不動産業者は買いあさった。開発できない土地をなぜああも買い占めるのだろうかとわれわれは疑問に思っておった。まさに国民もいぶかっていた。そこに総理がそういう指示をしたのでありますから、その指示のあった四日前に、一月二十二日ですかに開かれた金丸建設大臣と財界首脳、不動産業界トップとの会合で三井不動産の江戸英雄氏がそれを求めた。したがって、それに基づいて総理がそういう指示をしたという、これは私は憶測でありますが、こういう形のものが飛んでいることを仄聞をいたしますけれども、この点の事実関係は。この関係の問題としては、全体としては第三ですが、第二。  それから第四は、自治省に届けられた報告によりますと、昭和四十七年の上期、田中派の後援団体越山会が集めた政治資金は、西武不動産の五百万円を筆頭に、大成建設の四百万円、西松建設の三百万円などで、百万円以上の献金会社十六社のうち九社までが不動産、建設会社であります。同じ田中派の財政調査会には十社のうち八社、政治経済調査会には九社のうち六社、新政経振興会には九社のうち五社といったぐあいに土地関連の会社が名を連ねています。こうした状態というのは、土地対策を強力に推し進めるという田中内閣であってみれば好ましいこととは言えないのではないだろうか。この辺は経済企画庁長官土地値上がり問題との関係において十分是正をされるべきだと思うが、いかがお考えになっているか。  それから銀行による不動産担保金融が総貸し出しの三〇%を占めるという状況を長官はどういうふうに判断をされていますか。戦前、不動産担保貸し付けというのは、さまざまな貸し付けの中で銀行の一番きらうものであったはずであります。土地などは、そもそも右から左に売れるものではなくて、また、価格が上昇するものでなかったからなんでしょう。大正末期から昭和の初年にかけてパニックが起こって銀行の倒産や取りつけ騒ぎが起こっておりますが、この経験も不動産担保貸し付けの比重をできるだけ押えようという意識を銀行に起こさせたはずであります。このため、不動産のいわゆる担保金融の専門機関があのとき国の手でつくられたほどであったはずですね。そうすると、戦後も、銀行の融資ランクからいえば、不動産担保融資というのは甲、乙、丙のうち丙であったんですね。それが昭和四十年代に入って一躍甲になって、四十七年九月末の数字ではそれが全貸し付けのうちの三〇%程度になってきた。こうなると、田中内閣政策がかりに功を奏しても、さっきから総理はいろいろ答弁されましたが、地価抑制があった場合、今度は逆に銀行が困るということになるんじゃないかと、私はしろうとなりにこう思うのですが、その辺は、長官、いかがお考えになっていますか。  それから最後ですが、これは建設にお聞きをしますが、地価抑制、地価抑制といっても、そう簡単なことではありません、と思うのです。そこで、当面せっかく市街化区域内の農地の宅地並み課税を断行されたのですから、その市街化区域内の農家にたとえばアパートをつくる資金を融資するとかして、そういうことを通じて大量の貸し家の供給をはかる、大都市住民の中の圧倒的な層であるサラリーマンにとって耐えがたいまでになっている住宅問題をそういう意味では少しでも緩和すべきだ、そこのところにさしあたりの住宅の重点をしぼるべきだと実は思うのですが、これに対してどういうふうにお考えになりますか。
  120. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 幾つかの御質問がございましたが、順次お答えいたしますが、最初に、市街化区域内の農地の固定資産税の問題でございますが、これはやはり近傍の宅地と市街化区域内の農地との間の税負担の著しい不均衡、これを是正するということでございましたが、その中における生産緑地等の問題がございまして、いろいろむずかしい点はあるわけでございますが、この土地対策における税制の役割りというのはあくまで補完的なものでございまして、国会で宅地化促進法の御審議をいただいておるわけでございますが、その中に盛られました宅地化促進に関するいろいろな措置と相まって効果を期待したい。要するに、大都市におけるサラリーマンの住宅需要にこたえるということのためにあえてこの問題の解決に踏み切ったわけだと思います。  それから不動産担保金融でございますが、これは今日御承知のように不動産金融そのものを非常に押えておりますわけでございまして、不動産担保というものは御指摘のように従来はあまり歓迎されなかったものでございますけれども、これはやはり過剰流動性というものの申し子みたいなものでございまして、金融が超緩漫になったというような結果こういう事態が生じたと思うのでございますが、私どもこれはできるだけ押えていくべきものだと、こう思っております。その結果、担保を持った金融機関が困るということがありましても、そのことと、それから宅地が一部の者に押えられるということを押えなければならぬということとは別のこととして考える、宅地供給をできるだけふやすという方向考えるべきであると考えておる次第でございます。  他の問題は、建設省、自治省その他からお答えしたいと思います。
  121. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 市街化区域農地のいわゆる宅地並み課税の問題につきましては、ただいま経済企画庁長官よりお答え申し上げましたとおり、私どももそのように考えております。
  122. 松野幸泰

    政府委員(松野幸泰君) 総理から線引きをやり直せという指示はございませんでした。  それから一月二十六日の地価対策閣僚協議会において「土地対策要綱」を定めた際、線引き後の実態や運用がどうなっているかが話題となり、実施後二、三年を経過しているのであるから、線引き後の実情について総合的に調査する必要があるのではないかということになったと聞いております。  市街化区域と市街化調整区域の制度は、御承知のようにスプロールを防止し、公共施設の整備に即応して計画的な市街化をはかろうとするものであって、都市計画の基本となっているものであります。その決定にあたっては市町村の意向に即して都道府県知事が建設大臣の認可を受けて定めるものであり、その間において農林漁業のための土地利用との調整がはかられているものであるから十分権威がなければならず、軽々に変更することはできません。  それから住宅建設するために調整区域の農地を利用する場合に、住宅資金などを貸し付けてするようにしたらどうだという御意見でございましたが、この点については全く同感でございまして、その方策は進めてまいりたいと思います。  それから陳情があったかという御質疑でございましたが、これは大臣からも聞いておりません。これは私は聞いておりませんから、もし疑問があれば十分調査をさしていただきます。  それから一般の調整区域をなぜ不動産業者などが買っておるか、これに対して非常に不思議に思っておったというような御意見でございましたが、御指摘のとおりだと思いますが、御承知のように法律が二十ヘクタール以上の一定の地域、調整区域であっても住宅など建設する計画が立てられて市町村を経て知事から国に許可申請が出た場合には、許可をする場合もありますが、現在の段階では許可は原則としてはしておりません。しかし、いわゆる公団などが行なう場合、あるいは公社などが行なう場合には、許可を進めていく考えでおります。  以上何かまだ足らぬ補足の点がありましたら、事務当局より答えさします。
  123. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 御質問のうちで建設大臣と財界との懇談会があって、調整区域の開発についての話が出たのではないかと、それが総理指示につながったのではないかというような説明がありました。私もたまたまその会議に出ておりましたので答えさしていただきますが、これは広く財界でありまして、建設関係の財界ばかりではございませんでしたが、そういうものと懇談をいたしました際に、市街化調整区域というものもそれを拠出すれば現下の宅地とかいうものに相当効果があるのではないかという発言がありましたけれども、いろいろ話し合っているうちに、建設省側から、民間の形のままで供給するということは問題があるということを申しましたところ、江戸さんは、それはすでにわれわれが入手しているものは公的機関に差し出してもいいんだということを言っておりました。それで終わったわけでございまして、その直後に閣僚協議会がありましたら、これとの関係は別段なくて、閣僚協議会での発言の趣旨というものは、先ほど政務次官が申し上げたとおりだと思います。
  124. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 モチ米の値段は現在まだ高い状態でございます。この原因についてまず食糧庁にお尋ねいたします。
  125. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) ただいま、モチ米の値段がいまでも高い、こういうお話がありました。その原因いかんということでございますが、現在モチ米の値段が高いというのは、「日経新聞」のやみの値段だと、確かに御指摘のように最近一万四、五千円というふうに高くなっております。大部分は自主流通米として流通をしておりまして、これは一万一千何百円というようなことでございます。しかし、そういうふうに高くなっておる原因ということで突き詰めてみますと、やはり昨年とれましたモチ米がやや供給不足であったというふうに思われます。その上に、二月に入りまして供給不足ということを食糧庁で気がつきまして輸入を手当てをしたわけでございますが、タイ国の事情から若干それが入ってくるのがおくれまして、そこで二月以降急にいわゆる自由米の価格が上がったということでございます。しかし、その間、政府の手持ちが約三万トン近くございましたので、これを放出をいたしましたし、その後タイからは最初に四千トン、それから六月に入りまして九千トン入りまして、これをすでに売却割り当てをしておりますし、今後中国本土からモチ米約三千七、八百トン、これが八月の初めには入る予定になっております。  それからモチ米につきましては、需要の最盛期がすでにつゆに入りまして過ぎておりますので、今後はこれ以上上がることはないというふうに見ております。
  126. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この値段の高くなった原因というのは、いまおっしゃったように、生産量が少なくなったということが大きな原因だと思いますが、そういう中で自主流通米が非常に出回りの量が減っております。また、それに反して農家の消費等のほうがふえている。こういう点を見ますと、一体自主流通米の量が減ったのはどういう原因か、また、農家消費等がふえた原因はやみルートに流れた量がふえた、これらについてどういうふうに防いでいく対策があるのか、この点、お尋ねいたします。
  127. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、自主流通米の量が一昨年に比べまして昨年の米につきましては約五万トンから六万トン近く足りなかったわけでございます。その原因は、それも御指摘がありましたが、自主流通以外のルートといいますと、まあやみ米のルートでありますが、それが例年に比べて非常にふえておるわけでございまして、この二月以来いわゆるモチ米事件等も起きて、食糧庁としてもいろいろ在庫調査等もやったわけでございますが、これを防止する方法ということになりますと、やはり、一つには生産の増をはかる必要があるということでございます。そこで、四十八年産米につきましては、すでに食糧庁と農業団体、需要者側と話し合いをいたしまして契約栽培をやるということで相当な前渡金も出すということでいたしておりまして、これによりまして去年からことしにかけてのように自主流通がわずかに十三万ということのないようにひとつ持っていきたいと思っております。それと同時に、そういうふうにして契約栽培をやりますと、今度でき過ぎますとその米をどうしてくれんだという問題がありますから、その場合に自主流通で売れない場合は食糧庁が引き取りますということも話をしておるわけでございます。  それからもう一つは、やはり今回の経験にかんがみまして、政府在庫というのを相当持っておる必要があろうということでございます。昨年は三万トン程度しか持っておりませんでしたから、生産の減ということで若干需給が不均衡ということになったわけでございますので、食糧庁としましては、早目に——これは国内生産状況がいましばらくするとだんだんわかってまいります。それとにらみ合わせながら、輸入をあらかじめ手当てをしておく必要があろうというふうに考えておるわけでございます。
  128. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 一応そういう対策考えていらっしゃるということはわかりますが、契約栽培で生産をふやすというお話でございますが、それがうまくいくかどうか。現在は減反の方法でやっておりますし、また、自主流通米の原則でこのモチ米はやっているわけで、農家がはたして政府考えているようにふやすように努力するかどうか問題じゃないかと思うのですね。ふやせば、結局、値段が下がる。そういうことを考えれば、むしろ生産をふやすなんということがうまくいけばいいですけれども、その点、心配するわけです。その点、少し考え方が甘いのじゃないか。また、在庫を持てばいいという対策もお考えのようですが、簡単に在庫を持てるものかどうか。これは、この前に昭和四十七年の産米が残っていたわけですね。ですから、ことしはそれを出して、そして何とか補いをつけていたわけですけれども、ことしはそれを出してしまう。そうしたならば、手持ちがなくなってしまう。それを輸入で何とか補うというお考えもあるかもしれませんけれども、その輸入がはたしてうまくいくかどうか。現在も輸入状況というのは決して政府が計画したようにはいっていないわけです。そういう点、いかがでしょうか。
  129. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 一つは、生産調整下にあって農家がモチ米をふやすかどうかということだと思いますが、この点につきましては、従来は、生産調整をやります際に、ウルチ米がこれくらい、モチ米がこれくらいというふうなことでの生産調整ということはやっておりませんでした。ところが、モチ米につきましては、ウルチ米と一緒につくりますとまざってしまって価値が下がるというようなこともあり、また、反収が低いということで農家がなかなかつくらないということもあると思います。そこで、先ほども申し上げましたように、これではいけないとわれわれも考えまして、かなり二月、三月の間にその点につきまして十分検討の上契約栽培を打ち出しまして、まだ途中でございますけれども、各県からの情報によりますと、去年かなりやみルートに流れたということについて集荷団体も非常に反省をしておりまして、できるだけ正規の自主流通のルートに乗せるということでやっておりますので、これからまあ天候いかんということもございますが、昨年よりは相当程度農家もつくっていただけるし、また、正規の流通のルートに乗ってくるというふうに現在食糧庁では見ております。今後とも正規のルートに乗せるように努力をいたしたいと思っております。  それから在庫が簡単にできないではないかと。これもごもっともなお尋ねでございまして、一昨年は約六万トン、昨年は三万トン持っておりましたが、現に需給不均衡のために食糧庁の在庫は全部放出をいたしてしまいました。それからいま現在輸入をしておりますものも放出をするつもりでございます。八月の中国米が入りましたのも放出をいたしますので——これは去年タイ米について手当てを始めたのが昨年の暮れでございました。今年はもう早目にということで、これはまだ相手のあることでございまして、それからまた、相手の作柄にもよりますけれども、実はもう早急に中国については大体これくらい要りそうだということはすでに非公式には話をしておりますが、近く正式にも中国政府のほうにも話をしたいと考えております。タイのほうにつきましては、現在日本が輸入を終わりましたあと、新穀が出るまでだと思いますけれども、輸出ストップをしております。いますぐ話がつくということではございません。引き続きタイ政府にも日本のモチ米についての状況お話をしましてやってみたいと思っております。その他の国につきましても、モチ米というのは輸出用にタイ以外はつくっておりませんのでなかなか容易じゃありませんけれども、できるだけ早目に手を打っておきたいと思っております。  それからなお、先ほども申し上げましたように、国内の自主流通でもし余りました場合は、政府が買い入れてそれも在庫にしておくというふうに考えております。
  130. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 生産量が減ったということが原因でございますけれども、根本はモチ米を自主流通にして政府の直接管理でなくなったというところにあるのではないかと私は考えます。そういう意味で、再び直接管理にするとか、また、管理のしかたをもっと検討するとか、そういう点も考えなければならないのじゃないか、こう思いますが、その点、いかがでしょうか。
  131. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) モチ米とそれから酒米につきましては、直接末端の消費者に渡るものでもありませんしということから、食管の制度の中で一定の規制をしながら、政府の手を通さない米というのを昭和四十四年から始めておるわけでございまして、この制度を運用しましてから四、五年たつわけでございますが、私は自主流通にモチ米を乗せたから生産が減ったのではないかというふうにはどうも考えていないのでございまして、自主流通の制度そのものはそれでよろしいかというふうに考えておりますが、この制度の陰に隠れて今度のモチ米の事件のようなことがありますれば、これはルートを非常に乱して流通の段階で混乱を生ずるということでありますので、この際、食糧庁といたしましては、自主流通米制度、いままできました制度につきまして、これがそういうふうに乱れていかない方法ということで、たとえば商社の代行制度等につきましても、全く放置するということでない何らかの秩序ある規制というようなことも考えておりますし、それから先般はモチ米地帯の集荷団体を全部集めましてそういうルートに流さないということをずいぶんきつくこちらからも注意をしておりまして、食糧庁といたしましては、いま直ちにモチ米を全部政府管理にするということは考えていないわけでございます。
  132. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 主食用のお米の需給関係は、計画したときに比べて実際はどうなっておりますでしょうか。
  133. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 主食用の見込みでございますが、ことしの一月予算を編成いたしました際には七百三十三万トンというふうに見たわけでございます。その内訳は、政府米が五百五十万トン、自主流通米が百三十八万トン、余り米が四十五万トンというふうに見て計画を立てたわけでございますが、その後、集荷をずっと見てまいりますと、主食用につきまして、政府米が五百五十万トンがいまのところ五百四十二万トン程度、それから自主流通米につきましては百三十八万トンが百四十三万トンと、若干これはふえる見込みでございますが、余り米を四十五万トンと見ておりましたのが、正規の余り米と言うと非常に語弊がございますが、これが十六万トンということで、合計しまして七百三十三万トンと見ておりましたが、七百一万トンというのが集荷の見込みでございます。  一方、売却のほうは、主食用につきまして、予算の編成時では七百十三万トンと見ておりまして、そのうち政府米が五百三十万トン、自主流通米が百三十八万トン、余り米が四十五万トンと、こう見ておりましたが、現在のところ、若干去年の秋から需要が落ちてまいりまして、食糧庁のこの五月までの売却を見ておりましても、大体月平均見まして自主流通合わせまして五十五万トン程度ということでございます。どうも需要も落ちてきております。そこで、現在見ておりますのは、政府米が五百二十二万トン、自主流通は百四十三万トン、余り米十六万トン、合計しまして六百八十一万トンというふうに見ております。その結果、ことしの端境期の十月末には、最低五十万トンは持ち越したいと考えておりましたが、あるいはそれがもう少しふえるのではないかというふうに見ております。
  134. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そうしますと、自主流通米も計画に対しては下回っているわけですね。
  135. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) ただいま申し上げましたように、主食用につきましては百三十八万トンが百四十三万トンの集荷ということで上回っておりますが、酒米それから先ほどから御指摘がありますモチ米につきまして、これが計画より若干下回っておりまして、たとえば酒米で申し上げますと、五十五万トンということを頭に置いておりましたが、これが四十九万トンになっております。それからモチ米につきましては、二十二万トンの自主流通米ということを計画的に考えておりましたが、これが結果としまして約十三万トンということで、この二つで十五万トンほど自主流通が減っている、主食用は若干ふえている、こういうふうな関係になるわけでございます。
  136. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いまお聞きしているのは、主食米のことをお聞きしているわけです。もう一度おっしゃっていただきたいのですけれども。
  137. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 主食につきましては、先ほども申し上げましたように、自主流通米としましては百三十八万トンが百四十三万トンということで、五万トンふえております。ただ、自主流通と同じルートに乗せます余り米を四十五万トンと見ておりましたのが、主食としては十六万トンが正規のルートに乗ったということで、ここで二十数万トン減っております。自主流通としてはふえましたけれども、余り米が非常に減ったと、半分以下になったと、こういうことでございます。
  138. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、モチ米のような思惑というものがそうした需給関係の中でまた起きやしないかということを心配して聞くわけでございますけれども、その点、いかがでしょうか。
  139. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 先ほど数字をるる申し上げましたわけでございますが、現在政府でもこの五月末現在で去年の米を約二百七十万トン持っております。それからずっと割っていきますと、自主流通はうまくこの端境期まではけ、それから政府米を順次売りましても、少なくとも五十万トン、見方によりましては六十万トンぐらいの在庫を次の米穀年度に持ち越します。と同時に、そのころには新米が普通の年でありますと二百五十万トンぐらい十月末まで買えますので、量的に需給が緊迫をしましてそれによって値段が上がってくるということはこれは絶対ないと思っております。現に、まあやみの話をして恐縮でございますが、モチ米についてはかなりの値上がりが出ておりますが、主食用につきましてはむしろ食糧庁の在庫調査、モチ米の影響等がありましてなかなかやみ値が上がらないし、また、流通も非常に細っておるというような状況でございますので、現在の見通しでもって申し上げれば、ことしは平穏といいましょうか、そういうウルチ米について非常に端境期に値上がりするということはこれは絶対にないということは申し上げられると思います。
  140. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、生産調整を行なったために余り米というのが出たわけですね。四十六年度産の余り米というのはどのくらいあって、そうしてどのようにこれは扱われたのか、お聞きいたします。
  141. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 余り米の数字を申し上げます前に、ちょっと余り米のことを申し上げてみたいと思いますが、これは、生産調整をやるものですから、それとあわせまして各農家に買い入れ限度数量を示しておるわけでございます。ところが、農家の生産調整の対応ぶりが違っておりまして、ある農家から見ますると、政府はこれだけ買うという限度数量に対しまして、生産調整をやり過ぎますと、なかなかそれだけ政府に売れないと、こういう農家も出てくるわけでございます。ところが、また秋になりまして、豊凶によりまして非常にフレがあるということから、この両方の理由から余り米がかなり出てくるわけでございます。その分につきましては、これは食管での統制下にありますから自由放任というふうにはまいりませんので、自主流通米と同じルートでということにいたしております。これは、そうしますと、末端の農協なり集荷団体から中央の団体まで全部ルートとして上がってまいります。これを米の卸売り業者あるいは実需者に売るというルートをとっております。そこで、先ほどちょっと申し上げましたように、計画的には去年豊作でありましたので四十五万トン余り米が出るというふうに見ておったわけでございますが、これが主食に回るもの、それから酒米、モチ米合わせまして四十五万トンが二十四万トン、これが正規の余り米になったわけでございます。この分は大体順調にはけておりますが、それ以外のものはどうも自由米のルートで流れてしまっておるように見受けられます。そこで、毎年余った場合政府に買えという要求が末端からあるわけでございまして、去年豊作でありましたので、かなり私たちも出るかなと、こう思っておりましたが、やはり余力米と正規の自主流通米が正規のルートに乗っていきまして、ただいまのところ余り米を大量に政府に買えということは各県とも言ってきておりません。ただ、もうしばらくいたしますと、自主流通でずっと売っておりますが、売り切れなくて若干それを政府に買えということを言ってくることはあるかと思います。昨年も一万何千トンでございましたか、八月になりまして自主流通で売れないということで政府が引き取ったということはございます。
  142. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 念のためにお聞きしておきたいのですが、この余り米というのがやみ米として流れるというおそれはないわけですね。
  143. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) それは、先ほども申し上げましたように、御指摘のように残念ながら、ことしの四十五万トン余り米が出るのではないかと見た中で二十四万トンしかいわゆる余り米として正規のルートに乗っておりません。その差の約二十万トンばかりは自由米として流れたということでございます。こういうことでは困るということで、若干つけ加えさしていただきますと、その原因は、買い入れ限度数量を農家に指示をしまして、それを変更しないものですから、農家によりましてアンバラが出まして、かなり出てくるわけです。そこで、昨今のような需給事情でございますので、食糧庁といたしましては、ことしは八百十五万トンの買い入れ限度数量を示しておりますが、去年と同じような理屈でいきますと、また三十万トンなり四十万トン政府が買わない、穴があくというようなことになってはいけないということで、生産調整をやりながらでございますが、県によって非常にアンバランスがございますので、予約限度数量を全国的に調整をするということをいたしておりまして、そうしますと、政府の買い入れ限度数量の中に入ってまいります。そうなりますと、余り米が去年のようにうんと発生するということはないということでございまして、それはできるだけ防ぎたいと考えております。
  144. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 四十七年度産米の余り米はどのくらいあるか、そしてこれは出回りが少な目であることを考え政府でこれを買い入れるのかどうか、この点、お聞きいたします。
  145. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 失礼いたしました。私はいまのことかと思いまして、さっきから一生懸命申し上げましたのは四十七年産のことを四十五万トンということを申し上げました。四十六年産につきましては、四十六年が非常に凶作であったという関係もございまして、余り米は私が申し上げました四十五万トンに対応いたしますのは十八万トン程度でございました。
  146. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それじゃ、その四十七年産米が四十五ですか、それについていまおっしゃったのはそのまま四十七年のを言っているのだと受け取ってよろしいわけですね。  それでは、商社などの主食用の米に対する自主流通米の買い付けですね、買い付け代行、これはどのくらいありますでしょうか。
  147. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 商社が実需者とそれから集荷団体との間に代行をやっておるところがあるわけでございますが、主食につきましては商社は入っておりません。これは全国農業協同組合連合会なり全集連に集まりました米が直接卸売り販売業者の手にわたっております。商社が入っておりますのは、酒米とモチ米でございまして、酒米につきましては、商社によって非常に違いがありますが、大体酒米流通量五十万トンのうちの三割くらい、それからモチ米につきましては先ほど申し上げました十三万何千トンかの自主流通米のうちの約一割五分ぐらい、これが商社が代行して間に入っておるという数字でございます。
  148. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、酒米のことをいまおっしゃいましたが、そのことについてお聞きしたいのは、掛け米に問題があるわけですね。酒造用の原料米という名目でこれを買い集めれば主食用の米として取り扱うことが可能だと、こう思いますが、この点の管理、調査、そういうものはやっていらっしゃいますか。
  149. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、掛け米は、主食に使おうと、酒に使おうと、同じ品種の米でございますから、そういうお疑いといいましょうか、そういうことはあるいはあるかと思いますが、私たちといたしましては、掛け米の需要量というのを推定をしておりますが、掛け米として実需者のために代行されたものも直接集荷団体が酒屋さんに売ったものを見ましても大体そのようにいっておるというふうに見ておりますが、あるいは具体的に御指摘がありますれば、私たちとしても当然それは調べてみなければならないというふうに思っておりますが、現在、食糧庁としまして、掛け米がどういうふうに流れたかということを全国的には調査はいたしておりません。
  150. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 また、最近、大型精米工場によって小袋詰めの精米がだんだんつくられておりますが、この大型精米工場に対して商社などがいろいろ関係しているわけです。二、三聞いてみますと、資金の援助をしているという話を聞いております。資金の援助をしているうちに原料米の供給などにもエスカレートして、大型精米工場に対する商社の介入というような問題が考えられるわけですが、この点の調査はしていらっしやいますか。
  151. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 御指摘の商社が出資している酒米の搗精工場を私たちが調べましても、五、六カ所ございます。これにつきましては、私たちとしましては、どこにあるかということがよくわかっておりますから、これにつきましては随時調査はすべきだというふうに考えております。
  152. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 大型精米工場というのがございますね。これは酒米を扱っているとかというのじゃなくて、普通家庭に売る小袋詰めの大型精米工場がございますでしょう、そこの工場に対して商社が関係していると。どういう形で関係しているかというと、資金を援助しているわけです。大型精米工場というのは、まだ米屋さんの協力がなくて、能力はあるけれども十分に機能を発揮していないと。結局、経営が苦しいという、そういうところがあるわけですね。それに対して商社がそこに資金の援助をしていると、こういう例があるわけなんです。そういう点、御存じでしょうか。知っていらっしゃると思うのですけれどもね。
  153. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 大型精米工場は、全国的に見ますと約五百ございます。しかし、私たちの聞いているところによりますと、先ほどちょっと私が申し上げました酒米の搗精工場という大型搗精工場でございますが、これに商社が若干出資しているのは承知しておりますが、大部分の工場は、これは卸売り業者が経営をしておりまして、商社が相当乗り出しておるというふうには聞いておりません。ただ、搗精工場でございますからいろいろな米の搗精はできるわけでございますが、そんなにわれわれのほうの見ておるところでは搗精工場に商社が乗り出しておるというふうに見ていないわけでございます。
  154. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 しかし、今後そういうことは考えられるわけですね。それは、牛乳の場合、ちょっと形は違いますけれども、牛乳が大企業に統合されてしまった、こういう前例を考えてみて、大型精米工場の資金援助がだんだんエスカレートして、結局、大型精米工場が主食米を扱っているところですから、それを商社が買いあさりすると、そういうこともないとは言えないと思うのですね、今後。こういう点、あってはならないので、調査をし、そういうことのないように十分気をつけていかなければならないのじゃないかという考えでお聞きしたわけなんです。その点、いかがでしょう。
  155. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 御心配の点はよくわかるわけでございまして、大型搗精工場をやっておりますのは、先ほど申し上げましたように、登録を持っております卸売り業者でございます。そこへ登録のない商社がだんだん出資をして、それを全部乗っ取ってしまうということは、これは好ましいことではございません。まあ数も五百程度でございますし、私どものほうも各県に全部事務所を持っておりますから、その点は今後十分注意をしてまいりたいと思います。
  156. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 商社自身が事業内で行なっている金融活動、これについてお伺いいたしますが、これは大蔵省、通産省にお聞きしたいのですが、たとえばある米の集荷業者に日歩二銭とか三銭とかで融資して集荷をやらせている、こういうことも聞いております。こういう商社金融事業について、大蔵省、通産省は掌握されていらっしゃるかどうか、いかがでしょう。
  157. 清水汪

    説明員(清水汪君) ただいま御質問の、商社自身が行なっているそういう投融資活動につきましては、たいへん申しわけないのでございますが、私ども、銀行を通ずる上で、どうしても限界があると申しますか、その実態につきましては必ずしもよくつかめておらないわけでございます。私どもといたしましては、しかしながら、そういう商社の最近におきます活動の行き過ぎと申しますか、そういった問題が特に強く指摘されておりますので、ことしの初めぐらいから特に商社に対する銀行貸し出しにつきましては、日本銀行の窓口規制を通じまして特にきびしくこれを行なっているということを申し上げたいと思います。  数字等につきましてもございますけれども、前段の問題につきましてはそういうことでございますので、お許しをいただきたいと思います。
  158. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ある一部からこういう点について陰の銀行というようなふうに呼ばれているということを聞いております。そういう点である面では事業を円滑にする役目は果たしていると思いますけれども、悪用されれば商品の買い占めとなってその商品が値上がりし、そして国民の生活を破壊するということも生じてくる、そういうことを考えます。そういう弊害を避けるためには、ある程度のチェックが必要であると考えておりますけれども、この点、大蔵省、いかがでしょうか。
  159. 清水汪

    説明員(清水汪君) 商社のいわゆるそういう金融活動の行き過ぎの問題につきましては、私どもの立場におきましても今後さらに問題を検討する必要があろうかと思っておりますが、さしあたりの現在の措置といたしましては、御承知のように、全体の金融引き締め政策の中で特に商社についての具体的な貸し出しワクの規制、そういった手段を通じましてさしあたりの対策を講じていくというところでございます。
  160. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 時間がございませんので、あと二、三まとめてお聞きいたします。  商社の代行買い付けなどに使われた資金の問題ですが、大手総合商社の借り入れ金というのは最近非常にふえて四兆円をこえているということを聞いております。この膨大な借り入れ金が株式とか土地とか米、こういうものを含むいろいろな商品に投資されているわけです。この膨大な借り入れ金の大部分を占める銀行からの融資に対して、大蔵省としてはどういうチェックをしているか、この点が一つです。  それから銀行が商社に融資するときの担保とか金利等の条件についてですが、同じ系列にある銀行と商社の場合には特にその条件が優遇されているということを聞いておりますが、この点についてはどのように掌握されているか。この点、一点。  もう一点、商社の事業内容から考えて、買い占めなどまた投機資金として利用されるおそれがあることを考えて、その融資状況、これには十分な考慮が払われるように指導すべきであると思いますけれども、この点はどういうふうにしていらっしゃるのか、この三点をお聞きして終わりたいと思います。
  161. 清水汪

    説明員(清水汪君) 最初の、商社に対する貸し出しでございますが、数字といたしましては、御指摘のとおり、四兆二千億円、ことしの三月末でございます。ただしこの数字は、商社といいましても、広く商品の総合卸売り業を営んでいる者に対する金額ということでございますが、その大半は大手商社ということになるわけでございます。この点につきましては、先ほども申し上げましたような貸し出しワクの規制をきびしくするということ、さらに、その後の日本銀行の考査なり、あるいは大蔵省の銀行検査の際にも、その点についての金融機関の貸し出しの状況については特に注意をしてチェックしていきたいと、こういうふうに考えております。  それから商社に対しまする銀行の貸し出しの条件というような点でございますが、一般的には、商社に対する貸し出しにつきましては、大体は四半期ごとに商社のほうが資金計画をつくりまして、それを前提にして銀行の貸し出しを要請すると、こういうことで、それに対して、現在では非常に銀行のワクがきびしいわけでございますので、かなりの程度それを査定するような形で貸し出しをしていくと、こういうことになっているのが実情だと思います。  それからそのたとえば貸し出し金利について申し上げますと、大手商社に対するような貸し出しにつきましては、大部分は、いわゆるプライムレートということでございまして、これは短期の銀行貸し出し金利の一番低い金利ということでございます。現在でいえば、プライムレートは五・七五%ということでございます。  担保につきましては、商社に対する貸し出しが大部分が短期の在庫に対するような金融であるというようなところから、あるいは商手割引、あるいは商手担保の貸し出しになろうかと思いますが、いわゆる物的な意味の担保というものは、ほとんど普通は取られていない。ごく特定の投融資的に使われるような長期とわかっているような資金につきましては、それによって担保を取るということはあるように承知しておりますが、実情は大部分は担保いわゆる物的担保ではないと、それからまた、大手商社に対しまする貸し出しの約三割は、貿易関係の貸し出しということでございまして、それはまた、貿易手形の割引というような形で行なわれますので、いわゆる担保はないと、形式的には担保はないということになりますけれども、いわゆる全然担保がないというのとは事柄の性質がやや違うかと思います。  それから最後に、商社の問題につきましていろいろ御批判もあることを十分踏まえまして、今後とも、銀行が、これは商社だけには限らないと思いますけれども、全体的に貸し出しに際しまして、よくその資金の使途について注意を払うようにという点につきましては、今後一そう注意を徹底さしていくような指導をいたしたいと、そのように考えております。
  162. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 たいへん時間がおそくなってお疲れでございますけれども、少し時間をちょうだいしたいと思います。と申しますのは、この委員会は、ずいぶん皆さんの要望で何べんも計画をしても、不思議なことにこの物価の委員会になると何か国会がもめて何べんかストップをしておりますので、私も最後のつもりで法案を上げる前に二、三点お伺いをしたいと思います。  実は、この間、ちょうど物価の委員会のある日でございましたけれども、東京駅からタクシーに乗ってこちらに飛んでまいりました。そうしたら、そのときのタクシーの運転手の話に、こういう話がありました。三年前に家を直そうと思ったんだけれども、そのときにやっと百万円のお金をためたものですから、そのお金をすぐに家を直すのに使ってしまうのはあんまりもったいない。まあ一ぺんとにかく貯金をして利息もこれにつけてみたい、そういうことで、証券会社の何か複利の、たいへん利子のいいところに貯金をした。三年たちましたら、それが複利計算で二十六万円の利子がつきました。三年たって百二十六万円になった。たいへんうれしくて初めの三年前に直そうと思った家を直そうと見積もりを出してもらったところが、三年前に百万円でその家が直せる、それには多少おつりが来ると、こういうことであったのに、三年後に百二十六万円になったので直そうかと思って見積もりをとったら、なんとその上にもう二十万円必要になる。もうあほらしくってあほらしくって、なぜ国民はもっとおこらないんだろうか、なぜ一揆でも起こらないんだろうか、世の中が狂っていますよねえと、こういう話でございまして、ちょうど私もバッジをつけているもんですから、どうやって答弁してやったらいいのかわからなくて、それでその運転手いわく、私の収入は年間百七、八十万円ですと。それで自分たちがいわゆる公営住宅に住もうと思うと、都心まで走ってくるのに一時間半から二時間ぐらいかかる、こういうような話をして、たいへん苦労話を実は聞かされたわけでございます。  こういう話を聞いておりますと、先ほど田中総理と皆さんがいろいろここで議論をされましたけれども、多少どうも観点が違うような、田中総理がほんとうにこういったような庶民の感覚が十分おわかりをいただけないのではないかというような感じすら受けたわけでございまして、そしてこの物価問題に対しても、田中総理はだいぶん楽観的な考え方をしていらっしゃる、こういうふうに私は受け取ったわけでございます。  そこで、先ほど時間があればもう少し追及したかったんですけれども、私の提案をいたしました逆所得税制度の導入の問題につきまして、こういうものをやるとたいへん人間が怠惰になるし、惰民をつくるようなことになるというような御答弁でございましたけれども、それは私どもの意見としてはそういうものではなくて、この運転手が百七、八十万円の年収があると。しかし、この人は相当一生懸命で働いているから百七、八十万円あるわけですが、もしも所得税の免税点を百五十万円にまで今度自民党さんがお上げになるとします、政府がお上げになるといたします。そうしますと、一生懸命で働いて、もしも百万円しか収入がなかったら、免税点の百五十万円まで、つまりその差額の五十万円の中で、その家庭事情だのいろいろなことを考慮して、もうせめて二十万円ぐらいこの人に足してやらなければなかなか生活は苦しいであろうと、こういうことであれば、その二十万円ぐらいを所得税の税金の中から補助したらどうだろうかというのが私どもの考え方でございまして、その点に多少食い違いがあったのではないかと思いますが、実は、この間、社会労働委員会で、脳性麻痺の方が、クリーニング屋に勤めている。この人は、見たところでは何でもないのですけれども、ものを言おうとすると——私がこれくらいのテンポで言えば大体一分間に二百八十語しゃべります。その方は、見ていますと、一分間に四十語くらいしかしゃべれないんです。それでも一生懸命で、からだはほかはどうもないのでクリーニング屋をやっているわけです。ところが、クリーニング屋をやっていても、ことばはそれだけしかしゃべれないし、やっぱりもともと脳性麻痺でございますから、それほど普通の人並みの収入はない。一生懸命で働いているんですけれどもたいへん苦しいと。そういう人が、その百五十万円が免税点になるならば、一生懸命で働いていま八十万円ぐらいの収入しかなければ、その人のいろいろな事情を考慮して、そういうところに逆所得税を導入したらどうだろうか、こういうふうな考え方が私どもの考えですけれども、先ほどの総理の御答弁では、いま、いろいろ運転手の話から申し上げましたけれども、そこら辺でだいぶん私どもと感覚が違っていると、ほんとうの庶民の苦しみが十分おわかりにならないのではないかと、まあこういうふうに存じたわけでございます。長官にお話しを申し上げておけば、さっそく総理にも通じると、さっき総理はそう言っておられましたから、この辺をまたひとつお話しになっておいていただけたらたいへんしあわせだと思います。これが前置きでございます。  それから四国電力が二一・五%の値上げを申請いたしております。続いて関西電力は二八%の値上げを申請を行なっておりますが、これの担当官庁は通産省になっていますけれども、経済企画庁長官としても、当然物価問題の一環として最大の関心を払っておられると思いますが、長官は、これらの値上げについて、どのような御見解を持っておられますか、お伺いをしたいと思います。
  163. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 前段の問題については、よく総理にお伝えをいたします。  それから総理考えもそうでございますし、私もそうなんでございますが、現在の状況を決して楽観しているわけではございませんが、さりとて政府が非常に悲観的な考えを言うこともまた非常に大きな影響もございますので、楽観も悲観もせず、全力を尽くして物価の安定に立ち向かうというふうに御理解をいただきたいと存じます。  いまの電力会社の料金値上げの問題でございまするが、これは実は私どもとして非常に関心を持っておるわけでございますが、ただいまは申請がなされたばかりでございまして、通産省で鋭意検討をいたしておる段階でございます。通産省から当然合い議があるわけでございますので、私どもといたしましては、その合い議を受けた段階におきまして経営収支の状況等を十分に念査いたしまして、物価に与える影響等も十分に配慮いたしまして、この適否を含めまして慎重に扱ってまいりたいと、こう思っておりますが、一般的な姿勢といたしましては、いろいろな機会に申し上げているように、極力抑制的に従来取り扱っておるのでございまして、今後もこの方針をとってまいりたいと思っておる次第でございます。
  164. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 新聞、ガス、消費者米価、国鉄が上がれば私鉄、いろいろメジロ押しに物価の値上げが申請をされたり、あるいは法案が審議されているところでございますので、こういったような公共料金が値上げになりますと、またこれは物価にはね返る影響は非常に大きゅうございますし、国民はみんなそういったような物価がこれに引き続いて上がるのではないか、いまよりもっと物価が上がるのではないかということでたいへん不安を感じておりますので、その点で通産大臣に値上げの抑制を強く要求していただくべきだと思いますが、その御意思がおありになりますかどうか、その点をお伺いをしたいと思います。
  165. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 実は、この問題について直接通産大臣と深く話し合ったことはまだないのでございますけれども、通産大臣とされましても、他の委員会におきまして私の同席しておるところで極力抑制的に扱いたいと、こう言っておりましたので、ただいまのような御質問のような考えを通産大臣においても持っておるものと考えます。
  166. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、次に、商品投機法律案についてちょっとだけ御質問したいと思いますが、現在の時点においてこの法律でいうところの物資の指定について政令で定めると書いてありますが、現状ではどのような品目を指定されるおつもりでございますか、おもな品目がありましたらあげてみていただきたい。
  167. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) この法律の施行の段階でそのときの一番新しいデータで指定をするということで現在関係各省と最終的な詰めを行なっておりまして、きょうの段階ではちょっと品目の原案的なものを申し上げることができないのでございますけれども、決して法律が通っても指定をしないでずるずる行くというようなことは毛頭考えておりませんので、きょうのところは御猶予いただきたいと思います。
  168. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうしますと、紙の問題ですね、現在紙がたいへん値上がりをして、あるものは末端印刷業者には手に入らない状態、そういうふうに私どもは聞いておりますが、これはこの法律でいうところの指定物資になるのかどうか。また、紙の値上がり現状についてお伺いをしたいと思います。
  169. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この問題は最近原木の不足もございますし、また、いろいろ公害防除費用もかかるというようなことで非常に上がっておるようでございますが、どうも通産省ではこの価格上昇の原因が投機・買い占めというものでないのではないかというふうに見ておられるようでございますけれども、また、四月の二十三日に、紙、板紙の需給安定に関する懇談会を開催されまして、通産省繊維雑貨局長から便乗値上げの防止についていろいろ要請されたというふうに聞いておるわけでございますが、なお、ただいまの御指摘もございますし、この問題についてはよく通産省と相談いたして、不当な価格の上昇が行なわれませんように努力をいたしたいと、こう思っております。
  170. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 日本は少し紙を使い過ぎるのではないかと、こんな感じがしているんです。これがまたヘドロの増大にもつながっておりますし、原木の不足の一因にもなっていると思いますので、そこで、私は、このように思います。紙の消費の増大を促している広告、この広告について、これをある程度抑制する必要があるのではないか。特に最近は新聞広告が多くなっているように思います。毎朝新聞を持ってみますと、ちょっと読まないところがあるんですね、付録のような、ああいうのもありますし、まあ読む方もあるかもしれませんが、それからぱらぱらとずいぶんたくさんの広告が落ちる、こういうようなことで紙をもう少し節約をするようなことは考えられないだろうかどうか。そして、経済企画庁長官は、これを抑制するために広告税の新設と、こういうことはお考えになったことはないのでしょうか、いかがでしょうか。
  171. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) どうも広告がいかにも多いというのは、中沢委員と同様に私も毎朝感じておりますわけでございます。一部には紙の消費量はその国の文明の尺度を示すものだなどというようなこどもございますけれども、どうも御指摘のように多過ぎる、むだが多過ぎるというように私も存じますわけでございます。広告を規制するために税を考えたらどうかという点は、従来ときどき問題になっておりますが、なかなかそれに対する強力な反対もございまして立ち消えておることは、御承知のとおりでございます。御提案は十分に検討さしていただきたいと考えております。
  172. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 また、新聞の値上げでございますけれども、新聞屋さんがいたらたいへん申しわけないかもしれませんが、(笑声)新聞の広告がまた新聞社の収入にもなっているとは思いますけれども、その辺を何とか考えようで、新聞の値上げをせずに、新聞紙の抑制をして新聞値上げを押えるというようなわけにはいかないものかどうか、この点をひとつお伺いしたい。  それからもう一つ、いまの多量に使用するということで、買い占め・売り惜しみの定義について、政府案では「多量に保有していると認めるとき」と言っておりますね。この「多量」というのは具体的にどのような条件を考えておられるのか。たとえば通常の在庫量をどの程度上回れば「多量」になるのか、そのあたりの基準があればお示しをいただきたいと思います。
  173. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) あとのほうの問題からお答えいたしますが、多量と申しておりますのは、その物資がそのときどきの状況において一般的な需給関係がどうなっているかというようなことも問題でございますし、他の業者の保有量がどうあるかということも問題でございます。確かに、おっしゃいますように、通常在庫をこえているということが一つの重要な要素でございますけれども、ランニングストックの何割増以上の場合が多量であるかということを一律にパーセントで示しますことは不可能でございまして、やはりどうもケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないというふうに考えております。  それから前の問題につきましては、新聞料金と広告税の問題と、それから紙の値段の相関関係というものが非常に複雑でございまして、広告税をかけて広告量が減った場合に、現在新聞社の収入の中の四割とか五割とかというものが広告収入でございますために、場合によってはそれは一般料金にはね返るという可能性もないわけではございませんので、なかなかどうも一律には判断できないと思います。
  174. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) その新聞値上げの問題でございますが、どうも私も談話を出したりしておりまするが、新聞そのものになかなかこれが掲載されたりしないということもございます。(笑声)むずかしいことがございますのですが、やはり消費者の皆さんが強く翻意を促しておられますので、私も、新聞というような非常に世論のリーダーとして活躍される方それ自身が特にこれという根拠も明瞭でなく、しかも短期間のうちにきめて値上げをされるということは、ぜひ御翻意を願いたいというふうに考えておる次第でございます。
  175. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そういうふうに相関関係がいろいろあって、ややこしいのだとは思いますけれども、普通に消費者が見るときに、毎日毎日のあの膨大な新聞は全部見られないものですから、ついそういうふうな意見がずいぶん大きくなっているわけです。それで、先ほど小島生活局長が御答弁になられましたが、「多量」という定義について、ケース・バイ・ケースでいくというようなことになりますと、この法律案はあってもそれほど役に立たないみたいな感じを受けて、きょうこれから採決になるわけですけれども、どこまでこの法律が威力を発揮するかということは私どもたいへん疑問のような感じをいま受けました。そこで、この法律案では、株式については適用除外になっていますね。実際は、今回の商品投機問題で、法人の猛烈な株買いが非難されているのは御承知のとおりでございますが、和光証券の調べでも、この半年間の間に二兆四千億円も法人の株式所有がふえている。この中心は金融商社、造船の三業種でありますが、このような金融商社の株式所有について、何らかの規制を加えるべきであろうと思いますが、いかがですか。
  176. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 仰せのような非常な旺盛な株式投資がございまして、これが問題になっていることは事実でございまするが、その背景となりました過剰流動性の問題については、累次にわたる金融引き締めによりまして商社とか不動産業者あるいは金融機関等の手元の流動性が相当に減少しているということでございますのでありますが、さらに今後引き締め効果が波及してまいりますことを期待しているわけでございますが、現に株買いは一時の活況が遠のいているようでございますので、これがさらに実は引いていくのではないかというように思っておるわけでございます。また、金融機関につきましては、独禁法によりまして御承知のように株式の保有が制限されておりますほかに、昨年来時価発行増資における金融機関の株式の引き受け制限等、日本銀行による株式取得規制が実施されておりますわけでございますし、また、商社につきましては、商社自身が行動基準をつくりまして、土地、株式、生活関連物資等の取り扱いにあたっては経営の理念と機能に照らして特に慎重に配慮すべきであるというようなことを申して、自分自身で規制をいたしておりまするのでありまして、この点はそのように実行させるように、私ども政府におります者は厳重に監視してまいりたいと考えておる次第でございます。
  177. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最後に、いまの問題と関連して、この前大手商社土地の問題について参議院で参考人をたくさん呼んで御質問をしましたときに、私の質問と関連をして高橋公取委員長がこう申しました。総合商社は長期的に株を保有することで産業界にも威力をふるっており、系列化はあたかも小型の財閥復活のような観があると、こう述べられたわけですが、商社を独禁法上からも調査したいと語っておられました。この問題について経企庁長官はどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。
  178. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 最近大手の商社の非常な豊富な資金力、あるいは情報収集力にものを言わせまして、いろいろ系列化等を通じて支配力が流通段階で支配的になるというおそれがございますわけでございます。このような力が国民経済に悪影響を及ぼすというようなことになりますとこれは問題でございまして、その意味でこれを規制しようという独禁法の運用について考えておられまする公取委員長のお考えは適正なものであると私ども考えております。
  179. 山下春江

    委員長山下春江君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 山下春江

    委員長山下春江君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  181. 山下春江

    委員長山下春江君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 山下春江

    委員長山下春江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二分散会      —————・—————