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1973-07-17 第71回国会 参議院 大蔵委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十七日(火曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員異動  七月十三日     辞任         補欠選任      鈴木 一弘君     藤原 房雄君  七月十四日     辞任         補欠選任      中西 一郎君     大松 博文君  七月十六日     辞任         補欠選任      藤原 房雄君     鈴木 一弘君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 正明君     理 事                 嶋崎  均君                 土屋 義彦君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 柴田  栄君                 大松 博文君                 西田 信一君                 山崎 五郎君                 川村 清一君                 竹田 四郎君                 戸田 菊雄君                 西村 関一君                 山崎  昇君                 鈴木 一弘君    政府委員        大蔵政務次官   山本敬三郎君        大蔵大臣官房審        議官       大倉 眞隆君        大蔵省証券局長  高橋 英明君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    参考人        社団法人日本証        券業協会会長   瀬川美能留君        東京証券取引所        理事長      森永貞一郎君        財団法人日本証        券経済研究所理        事        江口 行雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査  (証券取引に関する件) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 藤田正明

    委員長藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七月十四日、中西一郎君が委員辞任され、その補欠として大松博文君が選任をされました。     —————————————
  3. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  去る七月十二日の委員会において、参考人出席要求につき御決定をいただきましたが、本日は、証券取引に関し、参考人として、日本証券業協会会長瀬美能留君、東京証券取引所理事長森永貞一郎君、日本証券経済研究所理事江口行雄君、以上三君の御出席をお願いいたしました。  なお、次回、七月十九日の委員会には、当面の経済情勢に関し、参考人として、日本銀行理事吉野俊彦君、東京大学教授館龍一郎君、両君の御出席を願うことといたしております。  この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ御出席いただきましてたいへんありがとうございました。  本日の委員会は、おおむね十二時を目途として閉会をいたしますのでよろしくお願いを申し上げます。  これより御意見をお述べ願うのでありますが、議事の進行上委員質疑にお答えいただくという形式で御意見を伺いたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 竹田四郎

    竹田四郎君 証券業界はいままさに大揺れに揺れていると、こういうふうに言ってよいと思いますし、同時に、証券業界というものが、国民から非常に離れた場所で問題が起きたと、しかも、それが、明らかに最近は公正であるべき取引所あるいは大蔵省までその癒着が進んでいるということは全く許されないし、こうした事態が続くということは、おそらく日本資本主義そのものにも、私は、相当大きな問題点を提起をしているものであろうと、こういうふうに思うわけであります。  まず、森永さんに、今回の事件について、少なくとも高田上場部次長ですか、きのう起訴されたようでございますが、一体こういう事態というのは、おそらく高田次長だけではないと思うのです。もう少し部内でも、そういう問題があるやに新聞も報じておりますし、私もそのように感ずるわけでありますけれども上場に関する企業調査というものは、そういうことによって、私は手心が加わるだろうと思うんです。森永理事長としては、おそらくたいへんふがいのないことだというふうに思ってはいらっしゃるだろうと思うんですけれども、しかし、それは理事長個人の問題じゃなくて、取引所自体国民的な立場に立っていないというところに、こうした問題が発生をしていくゆえんがあると、こう思うんですけれども、こうした今回の殖産住宅事件は、特に、取引所内まで問題の深さというものを見せてくれたわけであります。これについて、まず、森永理事長に、いままでの反省と、これから取引所内のそうした意味での綱紀粛正といいますか、そうしたものに対して一体どのような具体的な措置をおとりになるつもりなのか、この点をまず明確にしていただきたいと思うんです。
  5. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) お話のごとく取引所は、公共的な立場に立ちまして、公正なる株価の形成並びに有価証券の円滑なる流通を目的として運営さるべきことは当然でございまして、私、着任以来もっぱらその点を強調して、公共的な性格に徹するように努力をしてまいったのでございますが、はからずも今回高田上場部次長が逮捕されて、遂に起訴されるという不祥事態を惹起いたしまして、まことに監督責めにある者といたしまして、申しわけなく、その責任を痛感いたしておる次第でございます。  高田本人の処置につきましては、昨日付をもちまして、就業禁止措置をとると同時に、本人に面接いたしまして、聞き取りを行ない、厳正なる懲戒処分を行なうことはもちろんでございますが、私ども監督責めにある者といたしましても、その責任を痛感し、実は、本朝役員会を開きまして、理事長以下三人の常勤役員につきましては、七月分報酬全額を辞退し、自余の役員につきましても、それぞれ減俸の措置を講じまして、とりあえず自戒の措置を講じたような次第でございます。  なお、いまお話にございました点でございますが、私、高田以外には絶対にないことを神に祈っておったのでございますけれども新聞紙上伝えられるところによりますと、ほかにも二、三人おるようなことでございまして、その点につきましては、私ども検察当局とも十分連絡をとりまして、捜査の結果等を内示していただき、その事案に即して、適正なる、厳正なる措置を講ずるつもりでおりますことを、この機会に申し上げておきたいと存じます。  なお、これらの措置以外に、所内全般にわたりまして、この際、職場のあり方を再点検いたしまして、徹底的に綱紀粛正をはかりたいと存じておる次第でございまして、身を挺して取引所信用回復に全力をあげるつもりでございますので、その点もお答え申し上げたいと存じます。  なお、背景として、公開制度そのものにもいろいろ問題があったわけでございますが、いずれは、将来、店頭取引等振興等の基本的な措置を講じていくつもりでございますが、さしあたりまして、たとえば、公開に際しましては、親引けを全面的に禁止する等、いろいろと制度抜本的改革を実施してまいりたい所存でございまして、贈収賄事件以外に、今度世間から指摘されておりまする公開制度あり方につきましても、この機会に徹底的な見直しをはかってまいりたいと、目下具体案を検討し、本日の理事会にも付議する予定でございますので、その点もあわせてお答えを申し上げておきたいと思います。
  6. 竹田四郎

    竹田四郎君 瀬川さん、あなたのほうはもっぱら金もうけと、そうした東証及び大蔵省をリモートコントロールするような役割りをおやりになったようでありますけれども、これからの資金問題というあり方、こういう問題を考えてみますと、戦後証券民主化というのは、ある程度行なわれて、個人がかなり持つような形になったわけでありますが、最近は、むしろ個人は、証券株式そうしたものにはもう手を出すのはこわい、ほんとうに相場で動くんじゃなくて、価格操作で実際は動いているんだ、なかなか産業界のおのおのの自主性というものが、すなおに反映されていないというようなことがかなり前からいわれております。そうした意味で、株式国民各層に持たれて、国民がいままでの銀行預金という形じゃなくて、そうした証券投資という方向でいくということが、私は好ましいと思うんですけれども、実際には、個人持ち株割合というものは、もう年々減ってきている、おそらく全株式の三割を割るんじゃないかと思われるほどどんどん低くなっている。それに反して、法人持ち株がどんどんどんどんふえている、こういうところに非常に大きな問題があると思うんですけれども、結局それは、各証券会社が、そのほうがもうけやすいからそういうことをやるんじゃないですか。その辺は私はもっと反省がなければならないと思うんですけれどもね。ただ、法人の適当なところが持つということだけで、株式問題が論ぜられているということは、国民経済的な観点から見まして、あまりにも横暴というか、あまりにも利己主義というか、あまりにももうけ主義というか、国民的視野証券業界は忘れているんじゃないか、しかも、ほとんどが四社ぐらいの寡占状態、こういうものが国民の目を隠れていろいろ今度のような形のもの、まあこれはいままで公然とやられていたと私は思うのです。ただ今度は、幾らか世論の変わり方、大企業に対する批判というようなものが、こういう事態になってきて、まあこれが今度初めて起きた事態じゃないと思うのですよ。いままでからずっと起きていることだと思うのです。国民世論がそういうふうになってきているだけに、私は、証券業界としてはここに大きく、いままでの考え方、いままでの、何といいますか、もうけさえすればいいというもうけ主義、こうしたものは相当反省してもらわなければたいへんなことになるのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども瀬川参考人として、少なくとも日本証券業者の第一人者として、また指導者として、私は、あなたの反省、あるいは今後の証券業界あり方、どういうふうに改善していくのか、この点をまずお伺いしたいと思うのです。
  7. 瀬川美能留

    参考人瀬川美能留君) たいへん手きびしい御指摘を受けまして、まず劈頭に、私のほうは、これは証券業協会としてきょうは呼ばれておりますので、証券業協会は、大蔵省取引所をリモートコントロールする立場にあるじゃないかというおことばは、はなはだいただけないのでありまして、私どもは、一つの公共的な団体として、取引所大蔵省とよく連絡をしながら、日本証券業界発展をはかっているわけであります。個々の企業のことについて申し上げるわけにはまいりませんが、しかし、証券界もうけ本位で、もうけだけ考えて、一切投資家のことを考えて経営してないという御指摘は、非常に小さな部分的なものをとらまえて、それを大きく拡大されて、そしてそれがすべてであるような御批判であると思うのであります。私ども、戦後二十何年間証券業界が今日まで発展してまいります段階におきまして、むろんこれは人間のやることでございますから、幾多の間違いを繰り返しましたけれども、その間違いが、全体を大きく左右するような間違いを繰り返しておりません。部分的な問題はそのたびごとにわれわれの経験を積み重ねて、そうして今日までやってまいりましたわけであります。  昭和四十二年に証券取引法の改正で、免許制が実施されまして以来、われわれというものは、一そうえりを正して、証券取引法の規定に従って、そして順守して仕事をやってまいっておるわけであります。たまたま不祥事件が部分的に一、二出ましたことをとらまえて、それをもって証券界全体の体質だというおことばは、私、終生証券業をやっております者としては、実は泣き切れないのでありまして、決して御心配に及びません。証券界は健全な発達を遂げつつあるのであります。ことに、個人株主の減少という点でありますが、これは御承知のように、自由化を前にいたしまして、日本発行会社安定株主をつくる必要がある、そしてとりあえず法人に大きな過剰購買力と申しますか、融資がたまった、成長の結果たまったと、そして法人は、その結果従来の得意先関係をさらに深めるために、また発行会社は、資本自由化を控えて、安定株主層をつくる必要があるというので、金融法人買い、事業法人買いに始まったのが昨年の市況であります。御承知のように、自己資本は、現在株式資本は七%見当でありまして、自己資本比率は二八%台でございます。したがいまして、戦後営々として私どもがやった個人株主が、やれやれで昨年相当利益をしてお売りになったということも事実であります。その結果、株主数も偏向としてあらわれてまいったわけでありますが、昨年のような異常な一年間の市況をとらまえますなれば、当然商いが法人中心にいく、そうして個人が減少していくということは、これは限られた設備を持ってやっております証券業であります以上、当然の現象であろうと思うのであります。しかしながら、われわれは、その間にでも従業員持ち株制度をどんどん開拓いたしております。あるいは投資信託がどんどん増加を続けておりますし、あるいは昨年つくっていただきました勤労者財産形成法につきましても、すでに百万口座になんなんとする口座を獲得いたしまして、そうしてそこに有価証券選好をどんどん植えつけておりますわけでありまして、世の中が新しい転換期に立ったと同じ意味におきましても、証券界も従来の惰性を振り捨てて、ここで新しい投資家層を求めなければならない、証券民主化個人投資家層の増大は非常に重大でございます。これは原点に立ち返って、御指摘の点も十分注意はいたしまして、証券市場信用を回復しながら、さらに前進を続けていかなければならないという時点に、現在の証券界は立っておると考えるのでございます。
  8. 竹田四郎

    竹田四郎君 瀬川さん、あなたの発言というのは、私は、全然反省ないと思うんですよ。もう少し反省すべきだと思うのです。大蔵省が協同飼料の問題から、証券界にかなりいろいろな形で改善要求をしているわけですね、これだって新聞の伝えるところで、私はおたくの会社をはじめほかを見に行ったわけじゃありませんけれども、なかなかその体制に応じようとしないじゃないですか。また、いままでも発行会社自体の要望よりも、むしろ証券会社が、そういうもうけ口をすすめていくというやり方をやってきているわけでしょう。それはあなたのほうのやり方にしても、一体国民に株を持たせようというような、ほんとう意味国民サービスをしていくという態度というのは見えないじゃないですか。たとえば、株式収益率が一体どうなのか、こうしたことについても、系統的に国民に理解をさせようという意図というものはいままで見えないじゃないですか。それをあたかも、私は政府にも——いまおっしゃられた過剰流動性の問題は、政府にも責任あると思います。しかし、それはただ、政府だけの責任じゃないと思う。あなたのほうにだってその責任があると思うのです。そういう意味では、私はいまのあなたの発言というのは、あとの部分については認めますけれども、前半の発言というのは、私は、あまり反省を考えているというような発言ではないと思ったから、はなはだ遺憾に思うのです。  これは大蔵次官に伺いますけれども、これは森永さんが大蔵省出身、そういうことで、取引所大蔵省のOBというのはどれくらいいるのですか。
  9. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 私のほうの問題でございますので申し上げますが、役員には私のほかに専務理事一人、それから、渉外関係を担当するために、大蔵省から来ていただきました職員——部長でございますが一人、おもなところはその三人だけでございます。下のほうにあるいは一人二人おったかもしれませんが、定年退職等でやめたとかなんとかいうようなことで、現在私が承知いたしておりますのはその三人でございます。
  10. 竹田四郎

    竹田四郎君 新聞の伝えるところによると、大蔵省取引所証券業界との癒着の問題、これは何も人が多いから癒着しているということには、私はならぬと思うのです。問題は、癒着しているということは人のことじゃなくて、いかなる取り扱いをしているかというところに、私は癒着の問題があると思うのです。今度の場合であっても、大蔵省監査官というのですか、審査官というんですかわかりませんけれども、この審査官だって一人の問題じゃないわけでしょう。一社の問題じゃないわけでしょう。そのほかにもそういうことをやっているということは明らかになっている。こういうことをやれば、それはやはりいろいろな取り扱いについて手心を加えるということは当然起きるわけですよね。こういう意味で、その癒着というものをどう断ち切っていくかということが、これは大蔵省サイドとして、やはり証券業界の健全な発達ということができるかできないかという問題なんですけれども大蔵省サイドにも、証券業界の問題はたいへんな大きな問題がある。こうした問題について、親引け株全面禁止をするという措置を四日の日ですか、五日の日ですかおとりになった。私は、これはいい措置だとは思いますけれども、ただこういう、何といいますか、一時的なやり方で、証券界というものが正常な発達をするとは私は思わぬわけですよ。もっと国民サービスをするという立場、あるいはもっと一般既存株主をもう少し大事にするという立場ですね、こういうものが貫かれていかなければ、どうしたってそれは法人株主だけが多くなって、個人株主というのは、私は、だんだんそういう株というものに手を出さないという形になっていくと思うんです。これは江口先生、あなたの論文を私は二、三読ませていただきましたけれども、やはりその辺が一番大きいこうした問題が起きてくる根本原因じゃないか。やはり証券民主化というのは、個人株主を優遇するというわけじゃありませんけれどもサービスをしていく。たとえば、アメリカあたりやり方を見ますと、一株当たりの収益というものは、過去相当長い期間どうなっているかということを株主に示している。それは同時に、国民へのサービスにもなっていくわけでありますけれども江口先生からひとつ、いまの事態における証券民主化、あるいはこうしたいままでの黒い事件を引き起こした根本的な改善というものを、一体どの点をどういうふうに直せばよいとお考えになっているのか、その点をひとつ江口先生から御説明いただきたいと思うんです。
  11. 江口行雄

    参考人江口行雄君) 江口でございます。  たいへんむずかしいお尋ねでございまして返答に困るわけでございますが、われわれ理想を追求しながら、論理に忠実であるようにということをもって常にモットーといたしております者の立場から申し上げたいと思います。  この角度から申し上げますと、最初に問題になりました証券民主化の問題でございますが、これは歴史的に見まして、日本アメリカに次いで証券民主化は進んでおる、この点において取引所なり証券業者の方々が、今日までなされてきた努力は非常に大きなものではなかろうか。たとえば、投資信託日本への導入、その発展の問題、それから、従業員持ち株制度ないし持ち株会、そういったものにつきまして、損益や利害を度外視してお尽くしになって、これはもちろん将来の戦力となるわけでございますが、少なくとも現在のところでは、こういったようなことはマイナスだろう、あるいは累積積み立て制度をとりましても、あまり損得から申しますと、そう大きな利益になるものではないだろうと思っております。そういった面への努力、それからいま行なわれておりまする従業員財産形成政策に関連いたしまして、これは銀行に流れる金と、証券に流れる金と、流れが二つございますから、その点についての銀行証券業者との争奪戦はあるだろうと思います。しかし、いままでのところ、結果から見ますと、銀行に流れておる金よりも、証券に流れておる金のほうが多いというところから、事後的かもしれませんが判断いたしますと、その点におきましても証券業者努力相当なものではないだろうか。  今後一そうこの財産形成政策政府におかれましても御推進なさるようでございますし、ことに株式についても、その役割を課せられるわけでございますから、そういう意味における今後の民主化の将来というものも、相当大きなものではないだろうか。少なくとも戦前と現在と比較しまして、ないしは終戦後三十年ないしは三十五、六年までの状態と、現在とを比較いたしまして、投資信託機関投資家に入れるか、それとも個人投資家に入れるかによって、統計が非常に大きく違ってまいりますけれども、私は、投資信託は、これは個人投資家に入れるべきだと思っております。あるいは従業員持ち株会といったようなものも、株主名簿には持ち株会と出ているかもしれませんけれども、こういったようなものは、やはり個人投資でございますので、そういったものを計算に入れますと、いまの三二・何%という数字は非常に低うございまして、あるいは四〇%以上ないしは五〇%近くになるかもしらぬと考えております。そこらを考えますと、日本証券民主化の現状ないしは今日まで業界の尽くしてまいりました努力ということは高く評価していいんじゃないだろうか、その過程におきまして、ときおり問題を起こしまして、一部社会の非難を買ったこともあるかもしれませんけれども、それはきわめて局部的な問題でございまして、全体として私たち観察しておりますところでは、そういったような答えが出されるわけでございますので、そう御心配いただくほどの問題ではないのじゃなかろうか、こう考えております。  それからもう一つの問題は、これは総合証券責任の問題でございましたかね。
  12. 竹田四郎

    竹田四郎君 改善の問題です。いまのような形で、株主に対するサービスといいますか、私はこういうのは非常におろそかにされていると思うんです。こういうものをもっとサービスをしなければ、国民というものは株式に対する信頼度なり、あるいは親しみというものがわいてこないと思うんです。確かに民主化はある意味では進んでいると思うんです。しかし、いま一般国民というものは、株というものがこわいという感じを最近よけい持ってきておると思うんです。戦後、みな株式を持とうということで、ある程度民主化は進められたのですが、最近はまた株に対するこわさというものを逆に国民は持っているわけです。こういう意味で、もう少し国民に株というもの、その内容というものをもっと明確にしていかないと、あるいはいまのところは株主に対するサービスというものはあまりやっておりません。こういうものをもっとサービスをしていくという改善方法というものをとらなければ、やっぱり株に対する信頼度というものは、いままでの日本発展過程もひとつは変わっておると思うんですが、もう少しこの点を進めなければいけないのじゃないか、そういう点についての先生の今後のお考え方、こういうものを伺いたいと思います。
  13. 江口行雄

    参考人江口行雄君) 投資家が、現在非常に市場をこわがっていないか、ないしは株を非常に危険なものと考えておる、非常に近寄りがたいものと考えておるのではないか、その点をどう改善したらよいかという御指摘でございますが、これはまあわれわれも常に申すことでございますし、それから、証券会社経営者も常に申されることでございますが、いわばしろうと大衆としての投資家、そういう方々はぜひひとつ長期投資に徹して、短期の投資、たとえば、信用取引を利用して株の売買をやるというようなことは、できるだけ差し控えていただきたい、そういったような政策をとっておられるようでございますし、私たちもそう考えております。少なくともいわゆるしろうと大衆の投資家信用取引を利用いたしまして、短期の売買でもうけようと思っても、それは例外的にもうけることはあるかもしれません。しかし、結局一将功成り万卒枯るでございまして、大多数の人は損をしておられると。これは証券業界のベテランの外務員、もう五十、六十の方々に十四、五人集まっていただきまして聞きましたところでも、それぞれの外務員の方のお客さんの九割は損をしておられる。そして利益を得ておられるのは、一年を通じてみれば、結局一割であったという答えが大体出ております。そういう点を、まあわれわれとしては極力啓蒙いたしておりまするし、御心配になっておられるような事柄に対する改善策は、それよりほかはないじゃないかと私は考えております。それでこの間、あの千軍万馬を往来されました近藤荒樹さんが、あのベテランのいわば相場師と言われる方が——新聞紙上で拝見したのでございますが、結局、株式投資で勝つ道は、長期投資に徹することだ、それ以外にはないのだということをおっしゃっておったのでございますが、あれだけのベテランで、それで相場で苦労された人が、結局、最後におっしゃられることばはそういうことはでございますので、結局、そうすると、そういう実戦で非常に苦労された方のお話も、われわれのようにいわば抽象的にまあ理想を追っておる人間の考えることも、究極においてそれが真理であれば同じじゃないかなあと、そういう感じを得たわけでございます。近藤さんの言われることも、わしの言うことも同じことじゃないかなあと、こう思ったのでございますがね、どうしてもそれ以外にはないと。  ところが、実際の第一線でお客様に接しておられる——これはまあ何万人の証券会社のセールスの方がおられるわけでございますから、そのうちの中には、やはり自分の水揚げを高くするために、あるいは意識的に誘惑してみたり、あるいは客のことばをそのままうまく利用してみたりで、短期の売買をやらせる人もあるだろうと思います。しかし、これはそう一朝一夕にそれを直していくということはまあないじゃないだろうかなと、やはり長い期間をかけて教育をし、それから、経営者の方々が社員を御教育なさるよりほかはしようがないじゃないかなあ、そういうふうに考えております。ただし、この間協同飼料事件で特に感じたのでございますが、そう精神論ばかりやっていてもしようがないと、こう思いますものですから、たとえば、支店長の成績を評価する場合に、その支店の水揚げだけによって評価すると、あの支店長は腕ききだから栄転させろといったようなやり方をやらないで、その支店におけるお客さんの保護預かりが大きく動いておるのか、それとも安定しているのか、お客さんに利益を与えているのか、それとも損をかけて迷惑をかけているのか、そういうところを支店の採点をなさいます場合の評価の標準の一つにする、そういったような点も改善一つの突破口ではなかろうか、そういうふうに考えております。
  14. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも私、江口さんのお話もあまりすっきりしないのですが。やはり日本の産業資金の調達そのものも、いまのような銀行の借入金にいつまでもたよっているというあり方、こういうのは私は健全でないと思うのです。やはりそれは株式という直接金融方式というようなものを、もっとやっていかにゃいかぬと思うのです。しかしいま信用取引のお話しがありまして、確かに長期的な保有というものが望ましい、私もそのほうが望ましいと思うのですよ。しかし現実には、じゃ、株式投資へ国民の貯蓄はいくかというと、これは銀行預金とか郵便貯金とかというほうにだいぶいっちゃっているんでしょう。株というものに対する何かこわい、こういう認識というものが非常にあると思うのです。だから一向に日本企業の資本構成というものは結局直っていかない。こういうところに日本企業の弱さ、あるいは資金調達のあり方というところが非常に問題があると思うのです。ですから、たとえば、証券会社が人に株式をすすめる場合にも、私はやっぱりもっと科学的なあり方が必要だろうと思うのです。もっとわかりやすいようなあり方、これはアメリカあたりでやっているわけです。過去の実績、今後の見通し、あるいは一株あたりの収益率がどうなるのだ、こういうようなことももっとわかるような形でやれば、もっと大衆化していく、もっと日本企業というものは大衆の基盤の上に乗っている、こういう形になると思う。いまの日本企業は、一般国民大衆というものから全く離れている。ただ、製品を通じていろいろ問題があるだけだ。金融調達の面では、銀行を通じてのみ行なわれておるという形というものは、私は健全な状態ではないと思うのです。そういう点で、私の時間はきましたけれども、私はお三人のお話しを聞いてみて、いままでのあり方はもっと反省する必要がある。そうでなければ、ほんとう意味民主化というものはできないのじゃないかと、こういうふうに思うのですが、もう少しお三人に証券市場あり方というものについて御反省をいただかなければいけないのじゃないか、こういうように思うのです。これは政務次官どうですか、私の意見というものは間違っていますか。
  15. 山本敬三郎

    政府委員山本敬三郎君) 非常にむずかしいお尋ねでございますが、やっぱり証券市場の四大寡占にもかかわらず、非常な過当競争があるというところに一つ問題がありましょうし、さらにもう一つは、日本企業そのものが、自己資本比率を高めないというようなビヘービアを持っている、そういうところにも問題があろうと思います。したがって、竹田委員のおっしゃるように、ほんとう意味民主化していこうといたしますと、小手先だけではいけないので、もっと根本的に考える必要があるのじゃなかろうか。しろうとでありますが、私はそういうふうに考えております。
  16. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間があまりありませんから、端的に質問してまいりたいと思うのですけれども、その第一点は、最近公定歩合が一カ月に二回ほど引き上げられるという状況、それで過去二十六年間、発足をして今日まで、−私の調査ではおおむね七回ほど公定歩合が引き上げられた。大体過去の実績は、非常に金融引き締め政策というものは、直ちに株のほうに影響が端的にあらわれたと思うわけでございます。公定歩合の引き上げをやると、株の下落がものすごい、こういう状況にいったのですが、最近四十四年以降あたりになりますると、若干そういう影響というものは、過去の公定歩合の引き上げよりかははるかに緩慢、こういう状況になっていると思うのですけれども、ことに最近一カ月に二回公定歩合を引き上げましたが、株のほうにはさほどこの影響がいっていない。こういうのは一体どういうところに原因があるのか、その辺の見通しをまず日本証券業協会長のほうに、瀬川さんにその見解をお伺いしたいと思います。
  17. 瀬川美能留

    参考人瀬川美能留君) お尋ねの点は、公定日歩が上げられたにもかかわらず株が高いのはどういうことかと、端的に申し上げるとそういうことでございますか。  まあ、だいぶ過去においていろいろのそういう事例がございましたが、今日の市場状態というのは多少変わっているのじゃないかと思うのであります。  その一つは、やはり景気が非常によろしいと、この九月期も、来年の三月期も景気が非常によろしいということが、株式市場をささえている一つの理由じゃないかと思うのであります。  それから、先ほどもお話がございましたように、やっぱり株式が、株式を買おうという購買力に対して非常に少ない、過小資本という点でございましょう。それからもう一つは、日本企業が、過去二十何年の努力によって非常に内容が変わってしまった。非常に蓄積ができた。そしていまの資本金、過小資本に比べて収益力が異常に高くなったということだろうと思うのであります。  それから、まあ証券界、しかく株式相場というのは——こんなことを申し上げましてもなかなかしろうとには、私どもにもわかりにくいものでございますが、やっぱり公定歩合が引き上げられていく過程において、どう申しますか、これから公定日歩の引き上げが始まって金融の引き締めが始まるということでございますと、そのことが非常にシビアにきくのでありますが、公定日歩を引き上げましても、なかなかマンネリズムになりまして、やがては公定日歩も下げられるときもまたくるのじゃないかというふうな考え方もひとつ成り立つわけでございますが、しょせんやっぱりなかなかむずかしいのでございますけれども株式が非常に少ないと、そして、しかも、多くの株は法人筋に固定されたと、そして事業会社の成績は、先行きは別として、この一、二期は非常によろしいと、それから、株の値打ちが非常に上がった、それから、自由化を控えまして、国際的な株式比価におきましても、日本株式が非常に安いということが投資家の皆さまの胸の中にあると、それがいまの株式市場の趨勢だろうと思うのでございます。お答えになりましたかどうかしりませんが……。
  18. 江口行雄

    参考人江口行雄君) 御参考までに、あるいは補足的に説明させていただきたいのでございますが、一番問題は、公定歩合が上がると株価は下がると、少なくとも昭和四十年前までの四、五回の日本の経験でもそういう事実があらわれておる。それから、論理的にいいましても、金利が上がれば株価が下がるのが当然じゃないかと、にもかかわらず、最近の公定歩合の引き上げ、三回、四回にわたる引き上げにもかかわらず、株価が上がっているのはどういうわけかと、こういう御質問かと思うのでございますが、私は、基本的には、日本経済の強さということを根底に考えております。世界の歴史を見ましても、たとえば、十九世紀におけるイギリスの例、あるいはつい五、六年前までの、第一次大戦後のアメリカの例を見ましても、その国の国力が非常に強くて、外貨準備が豊富で、そして為替相場が高い、ないしはその国の通貨が安定しておると、そういう時代には、途中の起伏はございましても、英米の歴史を見ましても、株価は漸進的に上昇しておるのでございます。日本はいまちょうどそういったような道を歩いているのではないか。たとえば、物価は非常に上がっておる。したがいまして、貨幣の、円の対内価値は下がっておる。しかしながら、為替相場を見ますと、円はますます強くなっておる。そうすると、円の対外価値は高くこそなっておれ、安くはなっていないわけでございます。そういたしますと、いまよく世間で言われておりますようなインフレ問題、一体これはインフレーションなのかどうなのか。インフレーションというのは、貨幣価値の減価現象でございますから、インフレーションであるならば、当然為替相場は下がるべきでございます。いまのドルの場合、アメリカの場合がまさしくそれに該当すると思います。そうしますと、日本の現在の状態は、物価は上がっておりますけれども、為替相場も上がっておるわけでございますから、これは私はインフレーションの本質から見ましてインフレーションとは言えない。それでは物価が上がっておるのはどういうわけなんだ。これは日本の景気が非常によいと、外国からの輸入品の値段が非常に高くなっておると、それから、設備投資その他も消費需要も活発で、物資に対する需給のバランスが、むしろ需要のほうに比重が高くかかっておると、そういったようなことが相重なりまして物価を引き上げておるのでございまして、これは言われるようなインフレによる物価高ではないのじゃないだろうか。この間下村治さんと鈴木淑夫さんと論争をしていらっしゃるのでございますが、私はどちらかというと、下村説のほうに傾くと思うのでございますが、そういうふうに考えております。したがいまして、現在株価の高いのは、日本——いま瀬川会長も言われましたとおり、景気がいいからと、もっと言えば日本の国力が強いからと、基本的にいきますとそこまでいくと私は思っております。その国力の強さは為替相場に反映される。そうすると、株価は上がるのは当然であって、一時下がることはあっても、結局長い目で見ますと当分株価は上昇の一路をたどるであろう。それがダウで七千円までいきますか、それとも一万円までいきますか、そこらの見当はつきませんけれども、とにかく株価は上昇の一路を当分起伏を繰り返しながらいくであろうと、こういうふうに考えております。
  19. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まあ、江口さんのおっしゃられるインフレ論争については、この場で別に論争をやるわけではありませんから差し控えますけれども、問題は、そういうことになりますと、私の見解としては、両者の御答弁、参考意見をいただいたわけですけれども、結局、総需要抑制効果というものは、現状の経済、そういうものからいけば、従来のパターンでは効果がない、こういう結論になるのじゃないかと思うのですが、そういう理解でよろしゅうございますか。  それからもう一つは、市場の流入資金の変化あるいは需給バランス、そういうものが大きくくずれますと、株式市場の資金逃避、こういう事態が発生をしまして、やはり株価のダウンというものを招来をするのじゃないだろうか、こういうふうに考えますが、その見解はどういうふうにおとりになるか。その二つの問題についてもう一度ひとつ参考意見を述べていただきたい。
  20. 江口行雄

    参考人江口行雄君) どうも私たちは大きなことばかり言うのが習いになっておりまして、こまかくなりますと、はなはだわかりにくいのでございますが、ことに、株価につきましての需給バランスの問題でございますか。この需給が株価にどう影響するのかといったような問題でございますでしょうか。そのお尋ねの御要点でございますけれども、これはもう株価だって物価でございますから、一つの物の値段でございまして、賃金にしろ、あるいは利子にしろ、為替相場にしろ、物の値段にしろ、すべて端的に考えますと、需給の影響を最も強く受けるわけでございますので、株式におきましてもその例外ではございませんで、その日その日の相場はすべて需要供給で決定される、こう見てよかろうと思います。ただ、大きな流れの問題として、今後の株式市場における需給は一体どうなるだろうかという予測を立てますると、私は、時価発行が今後定着いたしまして、ますます盛んになってくるでございましょうし、そしてそれが証券市場発展させる基本の一つの道だと考えておりますもんですから、時価発行は今後一そう定着すると、そういたしますると、株式の供給という量的な面から見ますと、総体的には少なくとも、額面発行の時代に比べますと、供給量は減っていく、こう見てよかろうと思います。これはアメリカの過去の例を見てもかなりはっきりしております。  それから需要の面でございますが、これは言うまでもなく、国民所得の増減によって基本的には影響されると思いますが、国民所得は、少なくともまだ日本の場合は、外国に比べて一人当たりで見ますとそう高い数字でもございませんし、日本の現在の経済情勢の流れを見てみますと、これからは、アメリカに近づくのもあと五、六年と、こう予測をしておられる方はしておられますので、国民所得は今後ますます増大していくと、そういたしますると、外国の例を見ましても、国民所得が増大いたしますると、それからまた個人で見ましても、個人の所得が増大いたしますると、その人の個人金融資産の選好の度合いを見ますと、逐次預貯金から株式のほうへ、証券のほうへ移っていっていると、そういう傾向がございますので、その傾向から見ますと、今後株式市場に対する需要は非常にふえていくと、他の事情をひとしとすれば、そういう答えを出して間違いなかろうと思います。ただし、かりにそうであっても、最近見られるような、協同飼料事件殖産住宅事件に見られるような、こういう不祥事件がもしも次々に発生するようなことになりますると、やはり先ほど竹田委員の方から御指摘になりましたとおり、証券市場はさびれるでございましょうし、個人市場を去るでございましょうが、それは証券市場としては自殺行為にひとしいものでございまして、そういったようなことは今後は十分自戒をして、こういうものの発生がないように努力されるだろうと思います。そうすれば、日本の資本市場の前途は非常に洋々たるものではないか。ことにこれからは、御承知のとおり日本の多国籍企業発展アメリカに次いで外国に伸びていくでございましょうし、そうなりますると、東京市場が、やっぱりロンドン、ニューヨークに次いでの世界の金融市場、資本市場となっていかなければなりませんし、二十世紀の世界を背負って立つものがもし日本だといたしますれば、また、そういったような予測をして間違いなかろうと思います。そういたしますると、どうしても日本の資本市場、金融市場を世界の金融市場、資本市場にまで育てていかなければならない。そういう角度から、政府の方々も、議員の方々も、それから、市場関係者の方々も、その点に一番大きな目標を置いて、今後の証券市場の育成に努力していかなければならないじゃないだろうかと、そういたしますると、前途はなかなか明るいもんだなと、楽観的かもしれませんけども、そういうふうに見ておりますでございます。
  21. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間がありませんから、あと三点ほどお伺いして終わりたいと思うのですが、だいぶ問題用意してきたんですけれど、三十分ということですから、その範囲で終わりたいと思うのです。  東京証券取引所理事長にお伺いしますけれども、七月の二日、四十七年度株式分布状況調査というものをやりまして、速報を発表しておられますね。で、これによりますと、総株式数に占める個人持ち株比率というのは三二・九%に下がって、大体四十六年度比で四・五%の減少、こういう発表ですね。それで、全国の全上場会社は千六百三十一社。三月末の調査ですね。それから株式総数は四十六年比で七・三%増、千三百六十九億余万株。そのうち個人ものが三十七億万株減少、株数で。というような比率になっておるわけですけれども、結局その調査内容見ますと、法人持ち株比率が四・五%増加して、結局個人株が減少したのが法人株にいっちゃっているのですね。こういう状況になっているのですが、この現象は、現状の状況でいくなら、それはまたこういう状況は継続的に現象としてあらわれてくるのではないか。そういうところで、七月三日に理事長名でこの対策についての諮問事項を出して、答申を得ようということになっております。ですが、具体的にどういう一体今後これらに対する、持ち株の減少の防止というか、大衆投機、こういうものの減少というものに対して、具体策としてどういうふうに考えられているのか、この点が一つです。  それから、投資信託の件について江口参考人に、これは専門分野だろうと思うのですが、ことに本問題についてお伺いをしておきたいのですが、一つは、昭和四十三年大蔵省の計量分析ですね。五十年度の証券市場の青写真というのが描かれていますね。これによりますと、個人金融資産残高に占める有価証券の割合、四十二年三月末で一七・一%。五十一年の三月末になりますと二七・八%、こういうことで予測しているわけです。で、中身は、株式が九・四%から一〇・三%。公社債が五・二%から一三・七%。投資信託の受益証券が二・五%から三・八%。で、株式はわずか、公社債の上昇を高く見積っていると思うのですけれども、この投資信託の割合も高まって、全体で四兆八千百八十億、これに達するということを大蔵省は青写真を出しておるわけです。で、この過去残高のピーク時一兆二千億円でありますが、この四倍を見積っているわけですね、大体。で、これは大体大蔵省の青写真どおりに現状動いているのか。そういう見通しで青写真ができているのか、この辺の見通しは、実際やっている関係者としてどういうふうに考えられておるかですね、この点が第一点です。  それからもう一つは、投資信託の今後の課題としまして、運用の自主体制の確立ですね。いまのところは、証券会社の顔色を見ながら運用していかなければいけないという、きわめて非自主的な運用がなされているのが現状だと思う。いろいろな制度改正をやってきて、そういう運用体制の自主確立ということにつとめてはきましたけれども、そういう残滓はまだまだ残っている、私はこういうふうに判断をするんですけれども、そういう面についての改善策は一体あるのかないのか、どうお考えになるのか、この点が一つ。まあ具体的に言うと、運用者の責任と権限の明確化ということになるでしょう。もう一つは、運用の科学的方法、こういうものの関連をどう一体改善するのか、こういうことになると思いますが、こういう点の御意見について、第三点、お伺いをしたい。  それからもう一つは、販売組織と販売方法です。非常に、情報化時代といわれる、そういう部面での事態というものが非常に進展しているんですけれども日本の場合は、どうしても、人情と義理といいますか、そういう旧態依然たる販売組織方式というものがとられているんですけれども、そういうものはやっぱり抜本的に改善を迫られる——さっきも先生がいろいろ指摘をされたアメリカとの対比の問題、相当これは、六年くらいアメリカよりはおくれているわけですから。しかし、今後、資本の全面自由化によって、どんどん向こうの投資信託が入ってくる、そういうことになると、日本の現状からいったらこれは太刀打ちできないんじゃないかと思うんですね。そういう意味合いにおいての改善策は一体どうあるべきか。  それからもう一つは、個人金融資産について、非常に日本の場合は、まだまだ未熟な体制になっていると思うんですが、これは大蔵省のほうで、個人金融資産がいまどのくらいになっておるか、ちょっと数字的なものを発表してもらえば、非常に参考になるので、これは発表してもらいたいと思うんですが、そういうものの保護育成体制といいますか、そういうものを今後どう一体位置づけをしていったらいいのか、そういう点について御見解を聞かせていただきたいと思うんです。
  22. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 七月二日に発表いたしました上場会社株式保有構造における変化は、ただいま御指摘のあったとおりでございます。これは昨年度における取引所における売買内容からも予想されたことでございまして、これは昨年に始まったことじゃございません。二十五年から一貫して続いている傾向ではございますが、昨年は少し個人持ち株のシェアの低下ないしは持ち株の絶対額の減少、あるいは株主数の絶対数の減少が相当顕著であったわけでございまして、私どもといたしましては、これによって、こういう傾向がもし今後も続くならば、浮動株式が減少して、流通市場のよって立つ健全な基盤がそこなわれはしないかということも心配をいたしておりますし、また、本来、事業資金の安定的な供給源としての株式は、これはやはり個人の家計の中の貯蓄に結びつかなければ、安定的な供給源とは言えないわけでございまして、その意味からも、証券市場としてはたいへんシリアスにこの問題を考えておるわけでございます。つきましては、取引の政策委員会にこの問題を投げかけまして、なぜ減ったのか、あるいはこの傾向は今後も続くのか、続くとすればどういう影響があるのか、対策はどうかというようなことを諮問いたしまして、相当長期間、拙速でもまいりませんので、長期間をかけまして、徹底的な問題の究明をすることにいたしておるわけでございます。さようなわけで、まだ具体的な結論は出ておりませんが、私の個人的な感じだけで申し上げますと、何といっても一番大切なことは、個人投資家に対する正しい株式投資のあり方についてのPRあるいは教育——教育と言っちゃ失礼な話でございますが、そういったようなPR、普及活動が必要じゃないだろうか。それに関連して、もちろん、この証券界信用を一日も早く確立するという——これは私どものほうの側の問題でございますが、ことが必要でございまして、個人に対しまして、長期的な安定的な株式投資を呼びかける、いわば第二の証券民主化運動を起こすぐらいの気概をもって臨まなければならぬのじゃないかというのが第一点でございます。  それから、法人持ち株が非常にふえましたその背景には、先ほど瀬川参考人も述べられましたように、安定株主工作ということがあったわけでございます。資本自主化を前にいたしまして、この安定株主工作の意義ももちろんあるわけでございますが、法人の所有が九〇%とかいうような大きな限界に達しますと、やはり安定工作にも限度がある、ほどほどにしてもらいたいという感じがするわけでございます。むしろ私は、真の安定株主は、会社経営者株主が徹底的に信頼いたしまして、経営者のほうもその株主に報いるという、そういう信頼関係で固く結ばれた個人株主こそが、安定株主であると考えるわけでございまして、その点で発行会社の側におかれましても、個人株主を大切にしていくというようなお気持ちをもっと強く持っていただきたい、その意味でもPRが必要じゃないかと思うわけでございます。また、それらのことに関連いたしまして、証券会社もやはりもっと個人投資家を大切にしていただきたい。もちろん、なおざりにしておるわけじゃございませんが、昨年などの例を見ますと、やや法人営業活動に傾き過ぎた感じもないではないのでございまして、それもけっこうでございますが、個人のよき投資のアドバイザーたることに徹して、個人のお客さんをもっともっと大切にするというようなことも必要じゃないかというふうに考える次第でございます。  さらに、大ぶろしきになりますが、背景にある税制の問題あるいは金融政策の問題等につきましても、いろいろと御協力をいただかなきゃならぬ問題が多々あるわけでございますが、それらの点につきましては、時間もございませんので、この席では省略いたしたいと存じます。
  23. 江口行雄

  24. 藤田正明

  25. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっとその前に、個人金融資産の構成比、発表してください。
  26. 高橋英明

    政府委員(高橋英明君) 初めてでございますので、最初に就任のあいさつをさせていただきます。  先般の異動証券局長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。  いま先生のお尋ねの個人金融資産でございますが、四十七年三月末の数字で申し上げますと、日本銀行の調べでございますが、現預金で五十三兆四千八百七十六億、現金、預金でございます。それから信託が四兆九千六百三十一億、保険十一兆四千二百五十四億、有価証券十一兆八千百四十四億、それから出資金九千六百七十七億、その他八千三百七十八億、合計いたしまして八十三兆四千九百六十億となっております。
  27. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっと時間がオーバーして申しわけないんですけど、あとで、証券局長、資料で出してください。個人金融資産の構成比でけっこうですから。それは四十年以降でけっこうです。四十年以降の通貨、貯蓄性預金ないし信託、保険、有価証券、その中には国債、公債その他分割がありますね。それをひとつ出してみてください。
  28. 高橋英明

    政府委員(高橋英明君) はい。
  29. 江口行雄

    参考人江口行雄君) 投資信託に関する御質問でございますが、大体三点ばかりございますので、最初の一点は、投資信託の規模の問題。かつて池の中で鯨が泳いでいるんではないかと、こう言われた三十五、六年の現象でございますが、それを踏まえまして、投資信託の一体規模はどれくらいが理想的であるだろうかと、われわれも長いこと各国の例を調べたり考えたりいたしました結論を申し上げますと、時価総額に対する五%、それから国民所得に対する三%、そこらがまず無難なところではないだろうかというのが私の結論でございます。そういたしますると、五十年度の四兆八千億円というのは、そうオーバーな数字ではないじゃないかという結論になります。これは人によって考えが違いますけれども、私は、大体時価総額の五%、国民所得の三%、そこらを理想的な無難な線と押えていただければいいんじゃなかろうかと考えております。  それから、二番目の、運用の自主性、どうも投資信託は本家の証券会社に遠慮して、運用が理想的にいってないんじゃないかという御指摘だろうと思うのでございますが、かつてはそういう時期があったようでございます。この証券会社の中に、投資信託部というのがあった時代ないしは委託会社が分離しましたその当座の時代には、そういったようなこともある程度あったように聞き及んでおります。しかし、たとえば、ことしの例を申し上げますと、私、新聞紙上で野村の投資信託が非常に運用がよかったといってほめられて、それは株価が非常に上昇している過程において、野村の投資信託がどんどん——他の投資信託も追随されたかと存じますが、売られた、いわば投資信託の安定要因としての使命感に徹せられた、そのとき本業の野村証券のほうでは幾ぶん不満なこともあった、株価がこれだけ上がって、われわれはこれを育てていかなければならぬと思っているのに、投資信託が売って冷やさしておるといったような意見も聞いたことがございますですが、しかし、この一事は、やはり投資信託の運用の自主性がまさに確立されたのではないだろうか、少なくとも投資信託が相場に対する安定要因としての自覚に徹してこられた一例ではないだろうかと考えております。  それから、ことに、外国の投資信託が上陸してまいりましたし、当然国内の投資信託との競合関係が出てまいります。そうすると、その外国の投資信託は、証券会社がお売りになるわけでございますから、当然国内の投資信託と競合する。そうすると、もともと親子であった証券会社と、国内投資信託が、第一線で争うということになる。私は、これはたいへんいいことだ、そうしてこそ初めて投資信託の運用の自主性も確立されるのではなかろうか。  それからまた、投資信託の販売会社も、親会社にあまりたよらないで、これはもう親会社はたよりにならない、自分は自分の力にたよらなければならないという自覚ができまして、販売面も非常に積極的になっていくだろう、こう考えております。  それから、販売の方法につきましても、以前にはよく、Aの投資信託を売らしてBの投資信託を買わせる、ユニットを買わせる、そうしてころがしをやるなんというようなことをよく聞いたこともございますが、そのあれもございまして、日本投資信託投資家の投資期限が非常に短うございまして、一年たったらもう三〇%解約してしまう、そしてユニットで五年の期日にはたった二〇%しか残っていない、そして投資信託はつまらぬ、つまらぬと言ってぼやかれているといったようなことをよく聞いたのでございますが、最近では、解約も非常に少なくなりまして、一年以内の解約というのは、大体一割そこそこまで減っております。いわば投資信託への投資家の皆さまが、投資信託はどうしても長期でいかなければもうからないんだという自覚に徹してきておられるようでございますし、それから、投資信託の販売政策もその点を十分自覚いたしまして、長い目で見れば、そういう道をとらなければいけないんだということを自覚してこられたように私、拝察しております。
  30. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 一点だけ。  森永さんの課税面での考慮という一点がありますが、これはわれわれが長年主張してきたとおり、いまの源泉分離課税、ことに株配当その他については、もっとやっぱりきびしくするべきだし、業界も本案件問題については、むしろそういう特別措置等の優遇措置に甘えるということはもう許されないんじゃないか。これは税法上からいったって、そういう単なる公平の原則なり、そういうものだけではなくて、いまの大衆重課の、重税下の体制からいっても、そういう中でぬくぬくと株の配当関係だけ源泉分離課税、特別の恩典を受けるということは、やっぱりもう大体脱皮すべき時期じゃないかと思うので、そういう点についてはひとつ、そういう点でのむしろ積極姿勢を出していただいて、いま法人に対しても引き上げようという考えですから、だから、そういう点でひとつ課税措置の優遇等についてはもう脱皮していただく、こういうことが非常にいいじゃないか。そういう上に立っての今後の営業体質というものを考える、こういうことのほうがいいと思いますから、その点だけ。
  31. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 課税の問題には二つの面があります。一つはキャピタルゲインの問題。今度の殖産事件はキャピタルゲインの問題でございますが、これにつきましては、課税上の捕捉の困難というようなことがあったり、それから損をしたときに、それを控除するというような問題があったりなんかいたしまして、徴税技術上の点からいまのような制度になっておる。すなわち継続的取引者には、キャピタルゲインについて課税するけれども、しからざる者には課税しないというのが現行の税制でございますが、それに関連して、有価証券移転税みたいなものを別に設けられておるという経緯になっておるわけでございますが、その点をどう改正するか、これはなかなかむずかしい問題でございまして、税制の専門家でございませんので、どうしたらいいという結論はなかなか出ませんが、そういう面が一つございます。  それからもう一つは、インカムゲインの問題で、源泉分離にいまなっておるわけでございまして、しかし、それも限度がございまして、高額の株式所有者には総合課税。そこで今度は法人のほうはどうなっておるかと申しますと、法人は、受け取り配当は益金に算入しないというのがいまの制度になっておりますですね。そうしますと、法人個人とで税引きの採算がまるで違うという、その点も一つ法人株式保有を促進し、個人のほうは停滞するという一つの原因になっておるわけでございまして、そういう点をもっとやはり合理的に洗っていく必要もあるのではあるまいか、そしてその場合に、私といたしましては、やはり長期保有者に対しては、何らかの優遇措置をぜひ残していただいて、そして自己資本比率の増大あるいは会社の自主的な責任体制ができ上がりますように、もっと株式資本を重視していく、そういったような方向を私どもとしてはぜひ御考慮いただくようにお願いをしたいわけでございますが、しかし、事、税制の問題になりますと、たいへん総合的な、全般的な問題になりますので、早急にはなかなか具体案が得がたいというのが実情であろうかと思いますが、方向としてはそういう問題をぜひお考えいただきたいと、私どもとしては念願をいたしておる次第でございます。
  32. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 初めに、ここのところでだいぶ証券業界が騒がれております。けさの新聞等見ましても、十ある大きな経済事犯の中で、四十八年一月の三共の粉飾決算、協同飼料の事件、戸栗の脱税問題、それから殖産の不正、証券不正事件というように見てまいりますと、証券取引法にひっかかってくるものが三つ、もちろん脱税の関係できているものもあります。そういうことで、非常に証券にからんでそういう犯罪がふえているわけです。これがずっとここで摘発されてきております。それでいろいろ先ほどからの御答弁がありましたから、その点については深い反省の意を表されていると思いますけれども、具体的な問題で、ここで聞きたいのですが、昨年の十月ですか、これは大蔵省の指導によることですから、これは森永参考人に伺いたいのですが、証券大手四社の引き受け部長会で、親引けは公募株の五〇%未満に押える、さらにことしの二月から四〇%未満にする、そういうように伝えられておりますけれども、これはまだ上場されてない段階では、そういういわゆる親引けが四〇%以下で六〇%が出てきますと、あるいはこの株は新規上場されますということが、一般投資家に対しての情報の提供がスムーズに行なわれなければならないわけですね。その点はどういうふうに指導していく気なのか、伺っておきたいと思うのであります。
  33. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) ただいまの五〇%ないしは四〇%と申しますのは、既上場株の時価発行の場合についての引き受け会社の申し合わせでございまして、新規上場の場合は例外とされておったわけでございます。それを私ども、今回の事件にもかんがみまして、新たに上場される場合に、浮動株の要件を満たすために公開をしなければならぬ。新規上場の場合は、その浮動株の要件を満たすための公開だけにしていただこうではないか。すなわち親引けは一切上場の際には遠慮していただこうじゃないかというようなことをいま実は考えておる次第でございまして、それによって最低公開株数以上のものを上場のときに増資して、それは全部公開に充てていただく、そういう制度にいたしたいと存じておる次第でございます。四社の引き受け各社の申し合わせの中でも、新規上場の際の親引けについては、何らの規制が行なわれていなかったのを、いま申し上げましたように改めたいと思っておるところでございます。
  34. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そこで、これはきのう大蔵省から私がもらった資料を見ても、新規上場の場合、殖産住宅相互の場合も、五百万株の一般公開株数と、親引けが四百四十万株と、こうなっておりますね。それに似たようなのが百十四銀行の四百二十五万株の一般公開、三百七十五万株の親引け、七十七銀行は親引けのほうが多いわけで、二百六十万株に対して三百四十万株と、そういう例がずっとこうあります。もちろん親引けの全然ゼロという新規上場もある。いまの森永理事長の話からいくと、今後はこういう場合の親引けは考えられないということになってくるわけです。具体的には、それが決定されて実施を見ていくというのはいつごろからになるのですか。
  35. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 本日午後理事会を予定いたしておりますが、その理事会に付議いたしまして、皆さんの了承を得て即日実施をいたすつもりでおります。現に、上場申請中の会社が幾つかございますが、それらにつきましても実行を求めるつもりでおります。
  36. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いままでの例としては、公募株の中で、証券会社に公募の委託をされた株、それについては証券会社の関係している会社と、あるいは古くからのお客とかにサービスとして売られているというのは、そういうことは事実かどうかわかりません。そういう話を聞いておりますけれども、それでは親引けがなくなった場合でも、一般投資家のほうから見ると、ひとつ固定されたような感じを受けるわけで、親引け株がふえたと同じことになってくるわけですね。そういう感じになる。一般投資家によっては少しも変わらないというかっこうになってくるのじゃないかと思うのですが、その点はどういうふうにお考えでございましょうか。
  37. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 浮動株式数の関係から、最低公開株式数、これはいままでも公開と申しますか、一般投資家に、各証券会社において割り当てられておったわけでございまして、それ以外に親引けが行なわれておったわけでございます。上場に際しましては、公開価格と、上場によってはじめて値がつけられる始め値とがとかく乖離しがちでございますので、そういう際には、親引け等によって一夜にして特定の方面に巨額の利益が発生することは不明朗な点もございますので、上場に際しては、それを御遠慮願う、もっぱら公開によって、所要の浮動株式数を満たしていただくということに改めるわけでございまして、現在よりも公開株数が減少することはもちろんございませんし、できればもっとふやしていただきたいというふうに実は考えておる次第でございます。
  38. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは証券業協会全体の問題だと思うのですが、協同飼料の事件、これはプレミアムの問題、不当株価操作の問題、それから三共の場合は株価のいわゆる二重帳簿というような形で、粉飾決算が行なわれたわけですけれども、そういうようないろいろな事件が、この殖産の問題等、こうあります。こういう不当な扱いをした銘柄、これは特設ポストとか、そういうところの扱いをなさっておるようでありますけれども、何かもう少しはっきりしたペナルティーを考えるべきときがきているのじゃないかと思わざるを得ないわけです。そういうことで、もちろん発行した会社のほうからすれば、扱った証券会社にも問題があるのではないかと、おそらくそうはなると思いますけれども証券業協会全体として、あるいは取引所として、どういうようにこういうペナルティーというものを考えなければならないかということがはっきりしてくるのじゃないかと思うのですね。そういう何かノンルール、ルールがないというわけにはいかない。いままでは特設の扱いをしていく、特別な扱いをするということもできると思いますけれども、さらにきびしいものが要求されてこないかと思うのですが、その点については、これは瀬川参考人からも伺いたいと思います。
  39. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) まず、取引所上場管理の問題でございますので、私からまずお答えいたしたいと思います。  上場のときには、一定の上場審査基準というようなものを設けておりまして、たとえば浮動株式数とか、利益状態であるとか、あるいは配当の状態であるとか、あるいは財務報告書に虚偽の記載をしていないことであるとか、いろいろな条件を定めておりまして、それに従って上場を審査し上場をさせるわけでございますが、長く上場しておる間に、いろいろな事故が発生する場合どうするかという問題の応用問題だと思います。上場廃止基準というものを持っておりまして、一定期間における売買高があまりにも少ないとか、あるいは浮動株主数の要件に満ちなくなったときであるとか、あるいは会社の倒産あるいは銀行取引の停止とかいったような財務状況の悪化でありますとか、そういう場合には、これは上場を廃止するということになるわけでございまして、その基準の中に一つ、当該会社の行為が、公益を害し、投資者の利益を害した場合には廃止するという規定がございまして、その規定をどう適用するかという問題でございます。実は、協同飼料につきましては、その規定に該当するおそれがございますので、私どものほうのこの売買の場所——ポストと言っておりますが、監理ポストというのを新設いたしまして、そこに協同飼料という銘柄を入れまして、特に売買を厳重に監視すると、廃止するかいなかという問題につきましては、今後の裁判の進行等もございますので、しばらく見守らなければならないかと存じますが、そういう監理ポストに入れて売買の監視を厳重にすると、そういう措置を講じているわけでございます。ただ問題は、この上場したことによりまして、たくさんの株主がすでにできてしまっておると、廃止ないしは監理ポストに入れるということは、今後の投資家、潜在的な投資家に対する保護処置でございますが、それと同時に、既存株主の保護ということも考えなければならないわけでございまして、この規定の発動につきましては特に慎重を期さなければならないのは当然だと考えておる次第でございます。  現在問題になっております殖産住宅相互についてどうかという問題でございますが、私どもの見解では、まあ、不祥事件はまことに残念でございます、特にああいう巨額の脱税というような問題を起こしましたことは、まことに遺憾でございますが、直ちにそれをもって上場を廃止しなくちゃならぬかということになりますと、必ずしもそういう場合には該当しないのではないか、まあ会社の内容とか、その他のいろんな条件から考えまして、公益を害し、あるいは投資家の保護に欠けるところがあったかという問題には、必ずしも該当しないんじゃないかと、もちろん今後またさらに新たな事態が起こってきた場合には別でございますが、現在のところはさような判断をいたしておる次第でございまして、これは既存の投資家の関係も十分考慮しなくちゃならぬということからの配慮でございます。
  40. 瀬川美能留

    参考人瀬川美能留君) 証券業協会といたしましては、発行会社に対しては何らできませんですが、会員に対しましては、譴責あるいは罰金あるいは除名というふうな、それぞれの処罰を取引所の処罰あるいは大蔵省の処罰に従いまして適当にやっております。ただ、協会としてやり得ますことは、こういう事態が起こらないように、経験にかんがみまして、たとえば目論見書が提出されましたときには、一々会社に質問書を発して回答を求めるとか、あるいは異議申し立てが、公認会計士の意見具申があります場合には、その内容を精査するとか、あるいは増資資金の使途なんかにつきまして、その種類とかなんとかいうことをよく確かめるとか、まあいろいろそういうことをやるように指導いたしておりますし、それから内部の管理体制といたしまして、引き受け部門と、ディーラー部門を分けるとか、あるいは特別な監視機構をつくるとかということを着々と実行して、こういう不祥事件が起こらないように準備をいたしておるわけでございます。
  41. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは、参考人ですから、あまりはっきりとは言いたくないんですけれども、この殖産住宅の問題、殖産の不正のことについては、取引所としては上場問題、銘柄の扱いをどうするかということは、いまのお話だと三共の場合や、あるいは協同飼料のときとは違っていわゆる監理ポストに入れると、そうして厳重な監視をしていくとかいうことはやらないというふうな、そういうお話だったんですが、公益を害し、投資家に不利益を与えていないというふうな判断、どう見てもやはり多くのまあ株式投資家への動揺は今回は避けられなかったと思うんですよね。それといま一つは、殖産住宅といえば住宅建設では古いほうです、庶民の住宅を与えるほうでは。そういう会社にこういうことがあった場合には、これは公益としての害というもの、動揺を与えるというのは間違いないことだと思うんですね。だから、この辺の公益を害するというような考え方——これは森永理事長さんどういうふうにお考えになっているかわからないですけれどもね、私としては、やはりある程度これは取引所としても何らかの措置を考えるべきが筋目としてはほんとうではないか。そういうことか信用をどんどん——いまのこういうことが続きますと、証券取引に対しての信用はどんどん落ちるばかりですから、そういうものを食いとめていく一つの方法にもなるんじゃないか。意見も交えてなんでありますけれども、くどいようですが、もう一度、その辺については何も考えていらっしゃらないのか、御意見を伺いたいと思いますが。
  42. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 先ほど申し上げましたように、公益または投資家保護に欠けるかどうかという問題なのでございますが、巨額の脱税容疑に端を発して、天下を騒がすような大事件が起こったことは誠に残念でございます。しかし、それによってこの投資家保護に欠けることになったかどうかという点の判断については、慎重に考えなくてはならぬのじゃないかと。現在浮動株主がどのぐらいございますか、正確な数は覚えておりませんが、それらの人たちが、千二百五十円で引き受け、さらにはまた二千五百円で買った人もあるかもしれません。それが今回の事件によって千円を割るか割らぬか、あるいはもう少し上がっているかもしれませんが、というような株価の崩落という犠牲をこうむったわけでございます。それはなるほど投資家としては大損害でございますが、上場を廃止することによってさらに換価の道を一切奪ってしまう、そうしますと、これはまたさらに株価の崩落ということも起こるわけでございますので、その点を考えますと、監理ポストに移し、上場廃止の検討をするかどうかということにつきましては、やはり慎重に考えなければならぬのじゃないかと、今後特段の事情が発生してまいりますれば、またそのときのことで別に考えなくちゃなりませんが、現在のところは、いま申し上げましたような慎重な配慮を必要とするということで、そのままにいたしておるというのが現状でございます。
  43. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 終わりに、もう一つは、今回の事件で、たびたび森永理事長にお伺いしたあれなんですが、非常に東証に対しての批判が強いわけですね。そういう点で、先ほどは上場に対しての審査の体制というものを強化するような話があったんでわかったんですけれども、今度はこの職員の場合ですね、新規公開株、その売買、そういうものについてこれはどう扱っていこうとするかですね、禁止とかあるいはいろんな方法があるだろうということが考えられるわけでありますけれども、そういう点と、重点的なチェックのあり方ですね、これをもう少し詳しく伺いたいと思います。
  44. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 実は、私たいへんうかつでございまして、そのようなことがあろうとは思っていなかったわけでございます。と申しますのは、もうモラルの問題として、絶対タブーのことだというふうに考えておりましたのが、たいへん甘かったわけでございまして、そのことにもかんがみまして、今後は一切公開株の引き受けを職員に行なわしめないような新しく規定ですか、——規定をつくったからってどうということじゃありませんが、やっぱりモラルが重要なことでございますが、モラルの振興について身を挺して努力をいたすつもりでございます。そのほかになお証券会社公開株を割り当てられる場合にも、いやしくもこの上場に関し便宜を与え得るような立場にある者に対しては、割り当てをしていただかないようにということも、本日の理事会でお願いをするつもりでおります。何といっても、職員のモラルの問題が大切でございますので、そのことにつきましては、今後身を挺して努力をいたすことを重ねて申し上げてお答えといたします。
  45. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この機会ですから、ちょっと主税局の関係と、法務省に伺っておきたいんですが、いわゆる売買益のプレミアムの問題で、年間売買回数が五十回以上、売買の株数が二十万株以上、この両方の条件をともにかね備えた場合のみが課税をされてきたと、課税対象になってきたと、こういうことだったんですが、このような、他人の名義を使ったり、あるいはいろんなことをしているのもあります。そういう点から、この辺の法律を考えなきゃならないというように思われるんですが、その点について、これを機会に当局としての考え方を伺っておきたい。  それからもう一つは、これは法務省おられますか。——じゃ、その件だけで。
  46. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) ただいま鈴木委員指摘の問題は、税制といたしましては、いわばここ数年来の懸案でございまして、この国会のこの委員会におきましても、何回かお答え申し上げたかと存じますが、現在の株式個人の譲渡所得の原則的非課税につきまして、例外的に課税する場合として、セミプロ的な取引と申しますか、年間五十回、二十万株以上の場合には、これは継続的取引として課税をいたしますということになっております。これでいいのかどうかという御質問だと思うのでございますが、実務上、やはり五十回の回数の判定につきまして幾つかの困難があることは事実でございます。したがって、いつまでもこのままの規定でよろしいかどうか、これについてはあらためて税制調査会にもおはかりいたしまして、何らかの結論を得たいというのが私どものただいまの考え方でございます。ただ、具体的にどこまでこれを改正できますか、残念ながら、まだ本日お答えすることができるまで成案を得ておりません。  なお、御質問の中にございました他人名義の問題、これは税法の課税上のたてまえは、あくまでも実質課税主義でございまして、他人の名義を使ったからといいましても、それが本人の所得である限りは、これは本人の所得として課税をするということで執行いたしております。現に、今回話題をにぎわしております件につきましても、他人名義を用いた部分ももちろん当人の所得としてこれを課税対象とするということにいたしておるわけでございます。
  47. 藤田正明

    委員長藤田正明君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  48. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記入れて。
  49. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時間が迫っておりますから、手短かに、それぞれの参考人の方々から一言ずつ御意見をいただきたいと思います。  最初に、瀬川参考人にお尋ねをいたしますけれども、実は、常々感じているんですけれども証券業界というのは、このまままいりますと、地盤沈下していかざるを得ないのではないんだろうか。で、今回の幾つかの不祥事件というのは、そういう衰退傾向の中で起こった退廃現象ではないんだろうか。なぜこう申し上げるかと申しますと、一つは、企業の投資資金需要というのは今後もふえていくのだろうか。よく言われますように、なるほど昨今はきわめて活況を呈しておりますけれども、この活況を呈していることがいいのか悪いのかということも含めて、経済成長のスローダウンということが各方面から言われております。一方、技術革新もどうやら一段落をした感じでございますから、大規模な技術革新に伴う投資資金需要ということも今後は見込めないのではないんだろうか。そういった状況の中で、公共投資資金需要というのは、今後は非常に比重を増してくるだろうと思います。そうなってまいりますと、これまで民間企業の資金調達として役割りを果たしてこられた証券業界の位置というものは、だんだんと薄らいでいくんではないか。では、そういう中で証券の取引量はふえるのかと考えてみますと、先ほど来出ておりました、いわゆる株主の安定化工作というものは、あんまり取引してもらっては困るわけです。その意味でも、取引量がいろいろ改善をしてふえていくんだということもそう大きくは期待できないのかもしれない。そういうことになりますと、証券業界としてどうしても経営上の無理があちらこちらに出てくるんではないか。どういう無理かと言いますと、その資金調達市場としての魅力を何とかつくっていかなくちゃならない。その魅力は何かと言えば——昨今は、時価発行、金利のつかない資金が入ってくる。これがいいかどうかという問題があります。それからもう一つは、取引に伴う手数料収入ということだけではなかなか、ということになりますと、その投機利益に着目をし株価操作を行なう、いわば、そういう無理がかさんでくるんではないか。  そこでお伺いしたいのは、先ほど将来のことについて明るい展望もあったわけですけれども、ただ、いま申し上げたことで考えていくと、総体的に地盤は沈下していく傾向にあるんではないのか、御見解を承りたい。
  50. 瀬川美能留

    参考人瀬川美能留君) 証券業界は、もちろん国力の発展と表裏になって発展していくわけでございますからして、日本の経済がどうもこれ以上発展しない、日本がここで一段落終わったと、そして発展しないということでかりにありましても、私は、今日の証券界の総体的に非常におくれた地位というものは大きく回復してくるものだろうと思うんであります。将来、日本がますます適切な運営によって発展していくということであれば、大きく発展していく業界であろうと思うんであります。もちろん、先ほどから皆さんが御指摘になったいろいろのウイークポイントは、これは直していかなくちゃならない。さらに一段と高い市場になっていかなけりゃならないわけでございます。民間の設備投資から、公共投資に財政運営が大きく変わっていくというときに、証券会社役割りが低下するじゃないかということの質問に対しましては、公共投資をやっていくにつきましては、どうしても、公債の発行とか、地方債の発行とかいうことに大きくディペンド・アポンしていかなくちゃならないわけでありますが、私どもの最近の公社債の部門というのは、非常に明るい面を迎えております。たとえば、民間の公社債は、平均いたしまして五〇%以上個人消化が行なわれておるという状態であります。それから国債につきましても、一割から一割四、五分というところに消化量がどんどん進んでおります。それから、ことに、先ほどお話がございました勤労者財産形成が、現在、御承知のように公社債投資信託に限られておりますが、これが、現状で約百万口座ぐらい証券界で獲得いたしておりまして、今日の蓄積資本はわずか一年で、二百六十三億でございますが、かりに、この勤労者財産形成が、将来、税制の優遇その他で大きくドイツ式に発展していくということでありますれば、おそらく、証券界の占めるシェアは三百万口座あるいは五百万口座ということになっていくだろうと思うんであります。現在百万口座でございますが、かりに三百万口座、五百万口座ということになりますと、平均一カ月の貯蓄額が一万円といたしましても、月間三百億ないし五百億の公社債が消化されていくというわけでありまして、個人一般消化のほかに、勤労者財産形成で年間三千億から四千億ぐらいのものが消化されていくと。したがって、それは国債の引き受けにも続いていくわけであります。で、われわれいま非常に富士のすそ野を大きくつくりつつあるわけでございまして、本来個人の投資というものは、個人の投資の金額とか、あるいは経験に応じて、それぞれ進んでいくべきものでございまして、まず、公社債とか、投資信託というところから、個人株式投資にさらに進んでいくということでありますれば、証券界のなすべき仕事はまだ多々ある。ことに、しばしばいわれております過少資本の是正ということは、これは証券界が主として個人株主層を大きく開拓していくというところに使命があるわけでございます。今日個人の金融資産も、先ほどお話しがございましたように相当ふくれ上がります。相当ふくれ上がってまいりますと、どうしても有価証券投資選好というものが大きく生まれてまいります。その有価証券投資選好というものが、現在緒につきつつあるという状態でございます。  さらに大きくことを申し上げると、国際化の問題でございます。先ほど江口先生からお話しがございましたが、この一月から十月ぐらいまでの間で、外国の投資信託日本国内で一億六千万ドル見当のものが募集されている。それから、先ほど申し上げましたように、公社債投資信託が、財形によって大きく伸びていくということでありまして、いずれにいたしましても、われわれが心して経営をし、投資家の信頼を得るなれば、証券界の前途は何ら心配要らない。むしろもっともっと発展してりっぱにならなくちゃならないと確信しておる次第でございます。
  51. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 それでは、ただいまの瀬川参考人の御意見に続いて、江口参考人にお伺いしたいと思いますけれども、状況が変わってくる中で、新しい役割り証券業界として今後果たしていかなければいけない……。
  52. 瀬川美能留

    参考人瀬川美能留君) ちょっといまの私のなにが間違っておりましたので訂正したいと思います。  ただいま財形取り扱い会社十九社が全部公社債投資信託と申し上げましたが、十九社扱っておりまして、十社が公社債投資信託、九社が国債並びに社債を組み入れていると、そういうことでございますので、訂正をいたします。
  53. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 それで続けますけれども、どうやって対応するかということで、ただいまの瀬川参考人の御意見の中にあったわけですけれども、続いて江口さんにお伺いします。  そこで、こんなことが意見として言えるんではなかろうかということを二つばかり申し上げて、御見解を承りたいんですけれども、過少資本で困るんだというお話がありました。全くそのとおりであって、民間の投資資金の調達というものが、ある程度様変わりをして云々ということは、考えてみると、これまで企業に投資をしてきたたくさんの株主の人たちの努力によって、今日の産業、企業が存在したんだということだと思うんです。それにどう報いるんだということになれば、とにかく一生懸命増資をしなさい、無償増資けっこう、額面増資けっこうということで、株式をたくさんふやしていきなさい、これが当然いまとらなければいけない対策じゃないかと思います。これは大衆株主ということになれば、そのまま国民と置き直してもいいわけですから、これまで努力してきた国民に、それぞれの企業が報いる道であるし、そのことによって、株価の水準というものも正常化に近づいてくるんではないのかということを江口さんいかがお考えですかということと、さらに、正常化ということを進めるためには、株主の安定化工作というのは、思い切って断念するべきじゃないか、なるほど、関係先にはめ込んでいると、経営者というのは自分のいすがあったかいような感じになるかもしれませんけれども、これからの国際化の中で、国益という観点から、企業を守るか守らないかということは、実は、国民である大衆株主の判断にゆだねるべきである、ということは、それぞれの企業というものは、守っていただきたいと言わせるだけの仕事を常々社会との結びつきでしていかなければいけないということだと思うんです。その意味で、株主安定化工作というものは、これはそれぞれの各会社の事情とはいうものの、証券業界と、いわば一つ穴のムジナ的なことでやってきたことは間違いないわけですから、証券業界とすると、株主安定化工作は絶対反対でございますと、それどころか、株を、額面、無償含めて大量に増資をしていただきたいということを運動として起こすべきだと思うんですが、江口さんいかがですか。
  54. 江口行雄

    参考人江口行雄君) 御質問が二つに分かれると存じます。  一つは、今日、日本企業が、あるいは日本の経済が、これだけ大きく発展してきたのは、個人株主のおかげではないか。当然この個人株主に報いるということを、証券市場は考えなければならないのじゃないか。大衆株主国民と言っても差しつかえない状態になってきているのに、証券市場はそれに対して、どういう報いをするつもりなのかと、こういう御質問かと思います。  これは抽象的に申しますときわめて簡単でございまして、証券市場の安定的な発展をはかるという一語に尽きると思いますが、それじゃ、証券市場の安定的な発展をはかるためにはどうしたらよいか。私は、いろいろな方策があると思いますが、一番そのうちでも大事なことは、理想的な時価発行制度に移ることではないだろうか。この理想的な時価発行制度と申しますのは、発行企業が、その株の売り出し価格に対して責任を持つということ、すなわち、売り出し価格を割らないようにするということ。それから二番目は、プレミアムの還元について十分の責任をとるということ。この場合、私は、次の増資までに理想としては全部プレミアムを株主に返すような政策をおとりなさいと、こういう考えを持っておりますが、この二点に尽きるのではないか。  そういたしますると、証券市場では、株の、先ほど申しましたとおり、供給量は総体的に減退してまいりまするし、一株当たりの利益は、逐次アメリカのように増大してまいりますから、株価は長期にわたって上昇の一路をたどる。たとえば、アメリカの歴史を見てみますと、途中の起伏を別にいたしまして、六十年間にわたって株価は上昇しております。この六十年間にわたっての株価が上昇のトレンドをとっているということは、いろいろの理由があるでございましょうが、どうも基本的に見ますと、時価発行がきわめて理想的にいっているという点に基本がある。それは株式の需給関係に非常によくあらわれる。それから株価の面にそれが非常によくあらわれる。そういう点から見て、そういうことが言えるのであります。  そういたしますると、これから額面発行に変えるということはとうてい不可能でございましょうし、また変えるような状態にもならないと思います。そういたしますると、どうしても、この時価発行と、時価転換社債をひとつりっぱに育てていくと、そこにはいろいろな協同飼料の事件にしましても、殖産住宅の事件にしましても、これは結局、時価発行に関係することでございまして、額面発行でございましたら、こういう不祥事件は起こらぬわけであります。ですから、時価発行にはそういう不祥事件が起こる可能性が含まれているのでございます。それを承知の上で、時価発行をもっと積極的に推進するというのでございますから、その点につきましては、実際に監督に当たられる証券局なり、あるいは取引所なり、協会なりが、やはり良識をもって善導してくださるということが一番大事なことではないだろうかと、そういうふうに考えます。  それから、安定化工作の問題でございますが、私は、日本では御承知のとおり自社株の取得ができないものですから、そのはねっ返りがかなりこの安定化工作となってあらわれておる。で、もし自社株の取得ということが認められることになりますると、別に企業におきましても、安定化工作をやらなくても、自社株で対抗策を打ち立てることができるわけでございますので、そう心配する必要はない。しかし、自社株の取得ができないものですから、やむを得ずこういったような安定化工作が行なわれる。そしてその安定化工作の名においていろいろな不祥事が起こっておる。そういたしますると、この安定化工作をもし禁止するといたしますると、それにかわるものとして、やはり自社株の取得ということを考えるべきじゃないだろうか。ただ、自社株の取得も、アメリカのように株主立場投資家立場を考えて株価の維持という、そういう観点から自社株を御利用くだされば、たいへんいいんでございますが、どうも自社株の取得に関連いたしましてインサイダー・トレーディングに対する十分な監督がなされませんと、そこからまたいろんな弊害の起こることが予想されるものでございますものですから、私、どっちをとったほうがより無難かということをはっきりまだ答えを出すことができないのでございますけれども、まあ、自社株の取得が認められないという前提のもとにおいてでございますと、ある程度の安定化工作は——ことに、外国資本の上陸に対抗する意味において、ある程度のことはやっぱり認めてやらなければしかたないんじゃないだろうかと、過渡的のやり方といたしましてですね。これはある程度はやっぱり大目に見ていただきませんと、企業の抵抗力が弱くなってくるんじゃないだろうかとそういうふうに考えております。
  55. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 続いて森永さんにお伺いしようと思ったんですが、お約束の時間でございますので、どうぞお立ちになってけっこうでございます。  かわりまして瀬川さんにお尋ねしたいと思うんですけれども、お尋ねしたい内容は、いま江口さんが御指摘の時価発行の問題なんです。で、つくられた株価というものがありますかとお尋ねをしますと、たてまえとして、つくられた株価はもちろんございません、そうお答えだと思います。株価というのは需給関係できまってくるんであり、株価の水準をきめるものは、経営者に対する株主のいわば批判のあらわれなんだと。ところが、時価発行というものを考えてみますと、この公開価格というのは、平たく言えばつくられた価格であることは否定できないと思います。ここに不明朗なものが介在する余地がどうしても避けがたい。となりますと、これはどんな制度運用してもだめなんです。で、もし不明朗なものを除外して、健全な、国民とともにある証券市場をつくっていきたいんだということになれば、この時価発行というものを今後も進めていっていいんだろうかということは、大いに反省材料になるんじゃないか。また、株主立場から見ますと、時価発行よりも、額面の増資のほうがはるかに安心だし、わかるし、そうしてもらいたい。  じゃ、産業の立場で考えて時価発行はいいんだろうかということになりますと、どこの会社でも時価発行ができるというわけでももちろんありません。株主に不当な損害を与えてはいけないわけですから、優良企業、平たく言えば大企業が主として時価発行ができるということになる。と、そういうところだけが、金利のつかないプレミアム資金を手に入れるということ、ということは競争関係で優位に立つということです。そういう状況をつくることは、健全な産業社会の発展にとってプラスなんだ、これはプラスなんだと言い切るにしては、いろいろな問題が多過ぎる。時価発行というのは、あまりにも多くの問題をかかえ過ぎた発行のしかたではないのだろうか。で、この際、思い切って時価発行はやめますと、本来の額面発行の姿に戻しますということを、基本的な姿勢として取り組んでいってみたらどうかと思うのですが、いかがでしょう。
  56. 瀬川美能留

    参考人瀬川美能留君) 時価発行か、額面発行かという論議をいたしますと、非常に時間が長くなりますから簡単にお答えいたしますが、株価がつくられたものであるということは、時価発行の場合には株価がつくられたものであるという結論は即断過ぎると思うのであります。いままで時価発行、あるいは一部時価発行が、ここ一年間でも東京証券取引所で何百という会社がやっております。やっておりますが、たまたま協同飼料事件のようなものがはっきり出た。あれは確かにつくられた株価であると言えばそうでありますが、あれ以来私どもが非常に厳重に申し合わせて考えておりますことは、少なくともこの時価発行をやる依頼をしてきた会社の場合に、株価の上におかしい動きがあれば、われわれやらない。それから一年ぐらいの株価の経過というものをよく検討する。そして時価発行の価格決定に際しましても、直近の株価から一カ月間の株価平均をとるとか、あるいは二カ月の株価平均をとるとか、そのときの株価の、その会社の情勢によりまして、非常に慎重に株価決定というものをやるということにきまりました。その点は非常に厳重にやっております。そうして時価発行実施、価格決定前は幹事会社が一切売買に介入しない、注文を受けないというふうなことも厳重にやっております。  時価発行が非常に企業発展にとっても有利な方法であるということは、即やはり株主にそれだけリターンしてくると、企業発展すれば、株主利益が還元されるということでありまして、現状におきましては、額面発行をやる会社はもうほとんどありませんが、時価発行をやる会社は非常に優良な会社であると、それに資格のある会社である、そうしてまた、——と申しますことは、時価発行を一回やりまして失敗いたしますと、再び株式市場を通じての資金の調達ができない、売り出し価格以上に戻らなければ、新しい株主は求められないという、ある意味においてセルフコントローリングパワーのきいたシステムでありまして、そうして会社は、時価発行によって発行株数も少なくなって、それだけ、先ほどお話がありましたように、市場に対する圧迫も違うし、同時に、時価発行によって新しい株主層が求められていく。額面発行の場合には、えてしてほとんど旧株主が割り当てられていく。そうして旧株主で、資金調達のできない人が株を売って新しく市場に供結として出ていくということ。いまのさなきだに少ない日本株主構成、株式資本の拡大していく上におきましても、時価発行は非常に大事な制度でありまして、われわれは発行会社だけの立場を考えるのじゃなしに、発行会社発展は、即株主発展である。そうして株主に、お話しのようにリターンされるべきである。そういうりっぱな慣行をつくって、そしてりっぱに時価発行の持つ欠点を除去していきますなれば、これが大きな日本株式市場発展に役立つということを、私どもは信じて進めているわけであります。
  57. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時価発行のもう一つ問題点というのは、時価を割らないように何とか努力をしたいものだと関係者が一様に思うところだと思うのです。そこで、たとえば、株主安定化工作をやめて、それぞれ市場に出してくださいということになると、取引量がふえるわけですから、需給関係が基本的に変わって、株価はおそらく下がる傾向になる。これは時価発行から見ると困る。たいへん不安定要因をかかえ込むわけですから、あまり大きな需給関係の変化はこの際歓迎できませんということになるかもしれません。また一方、この際、増資を含めて、あるいは労働者の財産形成でも何でもいいですけれども、とにかく株をふやしていく、これもまた需給関係を基本的に変えていくことになる。株価は下がる危険性をはらみます。それも時価発行ということで考えますと、それもちょっと困る。問題は、そういうことになっていく必然性をこの時価発行というのは持っている、いろいろの御議論がございますけれども、私はこんな感じがしてしかたがないのは、時価発行がなぜかくも盛大になってきたかということは、さっき江口さんも御指摘になりました。いまさら額面で出せるものかという株価水準になっちゃっている。それを前提にして考えると、額面じゃ出せないんだから、あとは時価だということになるのですけれども、ただ、いまの株価水準というのは、じゃ、ノーマルなのか。片一方では株主安定化工作ということで縛っちまう。片一方のほうは、端的に申し上げて、銀行から借りるよりも費用負担は安くて済むから、企業のほうは増資を要しないという中で、非常に過少な、本来だったらもっとたくさんあるべき株が、ない市場をベースにしでいまの株価ができている。これをベースにして時価発行がされる。ということは、証券市場というのがひずんだまま定着しちゃうんです。そこで、はたしていいんだろうかということを、この際もう一ぺん考えてみる必要はないんだろうか。いかがでございますか。
  58. 瀬川美能留

    参考人瀬川美能留君) 株価論というものは非常にむずかしいものでありまして、いまの株価が正しい株価であるかどうかと、時価発行があるから株価が高いんだというふうにお考えになっているかもしれませんが、株価というものは、しかく簡単なものではないと思うのでありまして、今日では、むしろ世界的に日本の株価というものが、世界の投資家を含めての一つの需給関係に入っている、その中に株価というものは構成されているということでありまして、私どもやはり取引所で毎日二億なり三億なりの株ができまして、そしてそれによって価格が形成されているということは、公正価格であるということを信じてやらざるを得ないのであります。  それから、時価発行をやりました場合には、株価は下がる傾向があるとお考えになりますが、額面発行をやった場合の株価の増加の数字ですね、時価発行の場合には株価が少なくて済むと。そして時価発行の場合には、それだけ事業会社が、先ほどお話しになりましたように、銀行から借りるよりも安いコストで資金の調達ができる。そして安い資金の調達ができますなれば、それによって企業発展する。そしてまた時価発行をやります以上、経営者といたしましては、やはり将来増資をするなり、あるいは無償交付をするなり、そういう信念のある会社じゃないと、これは発行に踏み切りません。もし時価発行をやって株価が暴落するとか、あるいを株価があとどうするということになりましたれば、経営者としてはもはや経営する資格がないわけでありまして、経営者は時価発行をやった場合には企業責任が一そう重くなります。もし額面発行の場合には非常に責任が軽くなる。したがって、そこに額面発行の場合のほうが、企業者意識としては、非常に株主に対する責任を軽く感じるということでありまして、時価発行を改めるという考えは、私がある、なしというよりも、証券業界がある、なしというよりも、むしろ発行会社側からいきましたなれば、これだけ合理的に自分がやっていけば、非常に企業発展に役に立つのだということでありまして、アメリカあたりでも時価発行はすでに何十年と前から定着して、それが大きく株式市場発展に役立ち、企業発展に役立っておりますという事実を見ましても、時価発行の傾向が変わるということは私はないと思うのであります。  ただ、時価発行を受け入れる条件を設定する場合に、私どもとしてはは非常に慎重に今後とも処理していかなくちゃいけないし、あるいは株式会社経営者の、株式の本質に触れた株主優遇策というものを考えてもらわなくちゃならない、そういうふうに考えておるわけであります。
  59. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 問題はその信念があるんでしょうかという不安感がどうしてもつきまとうものですから、結局時価発行についてもいいんだろうかという気になる。というのは、時価発行ということを通じて企業内容をよくしていきたい、よくすることによって株主に報いていきたい、ひいては、国民経済に貢献もしたいんだということから発想するのでなくて、あっちがいくんならうちもやらなきゃ損だというのがあらかたの実態でございますわね。
  60. 瀬川美能留

    参考人瀬川美能留君) もうそういう時代は過ぎました。痛いおきゅうを据えられましたからして、一そう厳重に証券市場発展に、あるいは産業界発展に尽くしていきたい。しかし、これはあえて申し上げますが、証券界だけの問題じゃなしに、日本産業界のレベルなり、日本産業界考え方というものが改まってこないと、また、われわれはこういう目にあわされるときがありますからして、その点は十分気をつけてひとつ経営していきたい、そう考えております。
  61. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  62. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記を入れて。
  63. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 一言だけ瀬川さんにお尋ねしておきたいんでありますが、まあきょう理事会でその上場改善案と申しますか、策というものがきまるようでございますですね。まあ親引けはやらぬよと、できませんよということで、責任は、今度は幹事の証券会社に転嫁されていくような形になったんですが、さて優良株になると、あなたならあなたのところがやられるときに、行列がざあっと来ると思うのですね。ほんとうにそれじゃ公開株全株がそういうふうにみんなに公開されたら、あなたのほうが多年取引して顔のきいておるような人がございますとそこへはめ込む、あるいは特定の人が顔をきかして、たとえば私なら私が、弟の名前や親戚の名前やいろんなものを使って、一括してあなたのところへ申し込むということがあり得ると思うのですね。で、結局あいさつ株のようなことになってしまいはしないだろうか。全くあなたのほうを疑って悪いわけでございますけれども、そういうようにせっかく親引け、今度のこの事件を契機として改善策が出たんだが、さてそれが文字どおり公平な株価形成と申しましょうか、何と申しましょうか、いろんなことからやってきたときに、責任は何か今度は証券会社にかぶさっちゃって、また何年か先には問題がこう出てきて、お気の毒なことになりはしないだろうかということを心配しておるのですがね。これをどうやってそれじゃさばき切って防いでいくのか、どういう対策があるものやら、そこら辺のところが全くしろうとでおりますもので、心配をしながらお尋ねをするわけですが……。
  64. 瀬川美能留

    参考人瀬川美能留君) たいへん御親切な御質問いただきましてありがとうございますが、実は、あいさつ株ということばを先ほどお使いになりましたが、これは発行会社が、事業会社が親引けをいたしまして、そしてその親引けの中から、いよいよ自分の会社も今度は一人前になって市場公開することになった。ついてはひとつ喜んでくれといって、親しいところにあいさつをするのがあいさつ株で、それはもう完全になくなります、発行会社に親引けやらせませんから。それが全部今度は証券界でディストリビュートすることになるわけで、その点どうやっておやりになるのか。実は、今度一万株以下千株なんていうふうに非常に小さく分割するという考えが一つ出ておりますが、実は、その問題でいままで悩み抜いておりまして、いろいろやってまいりましたが、なかなかいい案が出ませんのです。  で、昭和三十五、六年でございましたか、例の高度成長で株価が非常に高くて、公募がたくさん出たときありましたですが、あのときに、やっぱり時価で公募するということはたくさん株主をつくっていくことだからして、そこでひとつ、いわゆる公平を期して新聞広告して窓口で受けつけてみようじゃないかと。これはまあ相当まとまった株の発行の場合でありまして、小さな株の場合にはそういうことをやるなにもございませんから、たしか電力会社でありましたか、東芝でありましたか日立でありましたか、その程度の巨大産業の公募のときでございますが、そういうことをやりましたところが、朝の二時、三時からすわり込まれて、そうして会社を十重二十重に取り巻かれて、そしてあるところでストップするとえらいおこられた。そこで抽せんにしたものだろうか、どうだろうかとか、まあなんとかかんとかさんざんごたごたしたことがあったわけであります。この問題は、株を出します数量がきまっておりまして、天下に投資家がたくさんおられる以上、もうどなたにでもお願いするというのであれば、解決のしようがないんじゃないかと、私は考えておるのです。まあ本来、どうしましても株式、ことに新しい株でございますからして、公開売り出しの場合、新しい株——まあ公募の場合は別でございますが、公募の場合には市価で買いましても、市場からも買えるわけでございますから、一割程度のいま値引きしてやっておりますが、そういう問題をだんだんと縮めていって、公開、多少まとまったものを公募するときには、投資家の危険もあるし、引き受けの危険もございますからして、一割程度の下の値段でございますから、これはもうたいして一般公募の場合には大きな問題ないと思うんです。これは縮めていくことで解決できる。ところが、新規公開の場合には、数の少ないところへ、これも公開の値幅をよほど厳重に考えて、あまり大きく騰貴しないようなことを考えていくということになれば、数は減ってきましょうけれども、ときに、株式によりまして、非常に三百円も五百円も上がるものがあります。そういうものの場合にはやりようがない。やりようがないとすれば、結局長期的に健全な株主に、健全な個人投資家として持っていただけるような事情のわかった先へお願いしていくということになりまして、そういうものは一般の皆さんの御期待にこたえる方法はどうもないように思うんです。そういう点につきましても、今後ともよく検討いたしまして、コンブレインの出ないようにやっていきたいと思いますが、よいお考えがありましたら、ひとつぜひお聞かせ願いたいと、こちらからお願いするわけでございます。
  65. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 実は、いい知恵はないかとおっしゃるのだが、私にもない。東証が親引けはいけませんよということをきめることは非常に簡単なんです。しかし、それが実際に動き出すと、今度はあなたのほうの問題になります。そこで、東証のほうも、関係の証券会社、十何社あるようでございますが、そことよく相談してというのですが、何か証券会社責任をぬすりつけたようなという形になってしまって、さてやってみた、しかも、上場希望しているところが七社あるとか、これが九月ごろというときに、そうのんびりともやっておれない。やってみてから、これからひとつぼつぼつ考えるということでもいかぬと思いますので、そこで、いまさてこういうことはいかぬとするならば、それじゃ七社ほどあるというなら、それに対してどんな対策を立てていくのか、あなたがおっしゃるように取り巻かれるのか、それとも、そうじゃなくて、そんなことはないだろうなんということを考えておいでになるのか、どんなことを想定をしておみえになるのやら、私のほうはよくわからぬから、しかも、目の先にきている。しかも、きめられるということですから、そういうような対策は万般遺憾のないようなことが、ざっくばらんにいろいろと話し合われて、そうしておれのところはこんなことでやってみようと思っておるというようなことも、話し合われておると思いましたから、お尋ねをしておるわけでございますから、特別に私にいい知恵があるわけじゃありません。
  66. 瀬川美能留

    参考人瀬川美能留君) 森永理事長帰られましたが、きょうの午後の理事会でそういう問題が提起されるわけでございまして、私どもとしては、いまペンディングになっておりますものの、やっぱり経過措置というものがあってしかるべきではないか。一挙にそこへ飛び込むのはどうもきついのじゃないか。あるいはたとえば、従業員あたりを親引けの中に入れていただくということも、これは正しい意見じゃないかというふうな意見を持っておりますけれども、なかなか大蔵省取引所意見がきつうございまして、大いに苦悩しているというところで、やるなら飛び込んでやったほうがいいじゃないかという御意見もごもっともでございますが、あまり無理があってもいけませんから、その辺についてやはり業者としては、われわれとしては扱う上についていろいろ考えて意見を具申したいと、そう考えております。
  67. 江口行雄

    参考人江口行雄君) ちょっと一言逆にこちらからお願いがあるんでございますけれども、よろしゅうございますか。
  68. 藤田正明

    委員長藤田正明君) どうぞ。
  69. 江口行雄

    参考人江口行雄君) 本日はたいへんいい機会を与えていただきまして、深く感謝しておるわけでございますが、今日の問題は、結局せんじ詰めますと、時価発行に関する問題だといっても差しつかえなかろうと思います。  ところで、時価発行に関連いたしまして、えりを正していただかなければならないのは、証券会社よりも、むしろ上場会社ではないか、私はそう考えております。上場という一つの大きな特権を与えられておる。日本会社が、いま現在八十万社ぐらい株式会社があるんでございますが、そのうちで、上場されておるのが千六百幾らでございますか、大体五百社に一社しか上場されない、非常に選ばれた特権階級になるわけなんですね。そうすると、こういう大きな上場によって時価発行もできる、時価転換社債も発行できるという、こういう大きな特権を上場によって上場会社は得られるわけなんですから、当然それに対する反対給付として、上場会社は、上場における社会的責任というものを十分に自覚してもらわにゃならぬ。ここの責任観念がないから、こういう不祥事件が起こってみたり、あるいは株価が時価発行やったあと三カ月もたたぬうちに、売り出し価格を割ってみたり、それからプレミアムの還元にしましても、せいぜい四十五年以降を見ましても、二割五分かそこらにとどまるといったような、非常に好ましからざる状態をあらわしているわけなんです。  そういたしますると、私、上場を許可された会社には、上場税という税金でもかけまして、国家で取られたらどうだろうか、これは一ぺんきりでございますよ。それも一つのいい方法ではないだろうか。  それから、こういう席でとっちめらるべきものは、上場会社なんだから、といって上場会社一社一社呼ぶわけにはいかないんで、経団連なりあるいは経済同友会なり、あすこらのお歴々を一ぺんお呼びいただきまして、君ら時価発行これからやるんだから、大いにひとつその責任を痛感して、産業界全体として、共同責任において責任を感じてもらいたい、そうしてこういうことがないように、証券会社というのは非常に弱い商売でございまして、上場会社からおまえ聞かなかったらこっちへいく、こうすぐ言われちゃうんで、非常に弱い商売なんで、それで多少無理だと思っても聞く、ないしは無理な御注文と思われても、そうせざるを得ないような立場にどうしても追い込まれてしまう。発行企業がそんなことをしなければ、問題はそこに起こらないと思うんです。  いまお話しを承っておりまして、非常に感じましたことは、そういう上場税というものを取ったらどうだろうかと思いましたことと、経団連とか、経済同友会とか、そういう産業資本家の代表の方々をお呼びいただきまして、ひとつぎゅうぎゅうとっちめていただきたい、こういう感じをいたしましたものですから、はなはだあれでございますけれども……。
  70. 藤田正明

    委員長藤田正明君) ありがとうございました。江口参考人の二つの問題提起については、たいへん関心のあるおもしろいことでございます。われわれとして十分に考えさしていただきます。  参考人に対する質疑はこれにて終了いたします。  参考人には、長時間にわたり、有益な御意見をいただきましてたいへんありがとうございました。どうぞ御退席ください。ありがとうございました。     —————————————
  71. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 次に、連合審査会に関する件についておはかりをいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  明十八日は、午後一時から、商法の一部を改正する法律案外二案について、法務委員会との連合審査会を開会いたします。  なお、次回の本委員会は、七月十九日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。    午後零時四十分散会      —————・—————