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1973-07-05 第71回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月五日(木曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 山中 吾郎君    理事 稲村 利幸君 理事 木部 佳昭君    理事 坂村 吉正君 理事 竹内 黎一君    理事 井岡 大治君 理事 野間 友一君       塩崎  潤君    羽生田 進君       三塚  博君    中村  茂君       渡辺 三郎君    神崎 敏雄君       石田幸四郎君    玉置 一徳君  出席政府委員         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    喜多村治雄君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         通商産業省公益         事業局長    井上  保君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         厚生省社会局生         活課長     田川  明君         農林大臣官房審         議官      有松  晃君         農林大臣官房審         議官      下浦 静平君         農林省食品流通         局食品油脂課長 籾山 重廣君         通商産業省通商         局次長     大石 敏朗君     ————————————— 委員の異動 七月二日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     神崎 敏雄君 同月五日  辞任         補欠選任   和田 耕作君     玉置 一徳君 同日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     和田 耕作君     ————————————— 七月二日  物価抑制に関する請願(有島重武君紹介)(第八  〇二二号)  公共料金値上げ反対に関する請願中川利三  郎君紹介)(第八〇七四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 山中吾郎

    山中委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  3. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、アメリカ輸出規制関係した大豆の問題と消費生活協同組合、この二つの関係について、これから質疑を行ないたいと思います。  まず、アメリカ大豆中心にする輸出規制について、特に大豆のすでに契約した五〇%を輸出規制するというような、きわめて国民生活に重大な影響を与えるような問題について、事前にもっと把握することができなかったのか。それから二番目の問題として、規制内容について、幾つ規制されておりますけれども大豆関係した規制でけっこうですから、その内容を明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
  4. 池田正範

    池田政府委員 去る六月十三日にニクソン大統領から、米国内食料品価格騰貴を抑制するための措置としての輸出規制の権限を議会に要請することを含みますところの、新しいインフレ対策が発表されたわけでございますが、その後さらに二十七日に至りまして、すでに積み出し契約を終えました七月及び八月積みの世界に対する大豆既契約分の二分の一をカットするという発表があったわけでございます。  アメリカがこのような措置になりましたのは、申し上げるまでもなく、アメリカ国内における大豆需給が非常に逼迫してきたということに原因があるわけでございますが、ことしの四月一日現在で、アメリカ国内における大豆保有高がほぼ五億五百万ブッシェル程度というふうにすでに発表されております。その後数カ月間は、月当たりでほぼ一億ブッシェル前後の国内のクラッシング及び輸出といったようなものが続けられておりまして、そのままでいきますとかなり逼迫する可能性がある。そのことは、御承知のように大豆取引価格形成の主体になっておりますところのシカゴ大豆相場が非常に上がりまして、そして特に旧穀につきましては、一時一ブッシェル十二ドル台に達するという異常な騰貴を示したわけでございます。  したがいまして、アメリカ自身が、このままでまいりますとかなり窮屈になるということは、私どももかなり前から予測をいたしました。特にこ、としの一月に、御案内のようなとうふの値上がりをはじめとする思惑需要をバックにいたしました一時的な大豆需給問題の騒ぎがございましたが、あの当時以来、私ども商社並びに製油メーカーに対しまして、できるだけ早く多くの原料を確保しておくようにということを、かなり積極的に行政指導をいたしました。その結果、あまり高くなりませんうちに日本商社相当量買い付けることに成功いたしました。八ドル、九ドル、十ドルといったような非常に高くなりましてからは、むしろ高くなり過ぎた相場日本側は見守るという態勢にあったわけでございます。したがって、今回のような二分の一カットという、いわば普通常識から見ますとちょっと想像のつきかねるような措置が出ませんければ、私ども行政指導並びに業者の買い付けの先行と相まちまして、十二月ぐらいまでの国内需給というものは、かりにシカゴ大豆相場がどういう形で上がりましょうとも、国内的には平穏な価格体系で推移できるものであるというふうに見ておったわけでございます。  それが今回、二分の一カットアメリカ側措置によりまして——ちょうど七、八月に積み出しでございますから、日本側に入ってまいりますと、これが八月くらいから十月くらいに着くことになりますが、その八——十月間に着きます分が、大体六十六万トンぐらいを予定いたしております。そのうちで対象になりますのが五十九万トンでございます。その五十九万トンの半分の三十万トン弱というものが、一応私どもの集計をいたしました荷受け契約の調べからいたしますとカット対象になる。ひっくり返せば、それだけしか入ってこないということになるわけでございます。したがいまして、ちょうど新穀に食いつなぎますまでの九月末現在の在庫量が二十一万トン程度に減ることになるわけでございます。  平均的に見ますと、大体一カ月の日本大豆消費量というのは、加工用製油用と両方含めまして約三十万トンでございます。その三十万トンに対しまして、平生の手持ち量は同じ三十万トン、一カ月分ぐらいを手持ちにいたしましてぐるぐると回っておるというのが大ざっぱに見た現状でございます。それに対して、その三分の二程度に九月末に減る。さらに、それがもしそのまま次の十月末まで続きますと、在庫量がほとんど品がすれの状態に追い込まれるという状態にあるわけでございます。  したがって、私どもといたしましてはかなり前から、ことしの初めから米国需給事情はかなりむずかしいので、アメリカ大豆を買い入れると同時に、ブラジル大豆買い入れ等につきましても、前年一万四千トン程度しか買っておりませんものを、契約をふやしまして年間で十万トンをこえる程度ブラジル大豆を買いつけた。  ただ、残念なことに中国大豆がきわめて成績が不良でございまして、これが前年は二十五万トン程度、一昨年は三十万トン程度入っておりましたのが、いまのところ見当はついておりませんが、どうもことしはとてもそこまではいきそうもない。このことがアメリカ規制と相まって、日本の今日の大豆需給の私ども思惑をはずす原因になった、こういうふうに現在は考えている次第でございます。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 いまの説明によりますと、もう少しはっきりさせていただきたいわけでありますが、価格面については行政指導もあって、春先アメリカにおいて、原産地において上がる前の買い付けに相当成功しているので、そう影響ないだろうし、しかし二分の一契約分カットされているので、一月分くらいどうも需給が不足するのじゃないか、こういうふうに受け取れるのですが、はっきり申し上げてそういう理解でいいのですか。
  6. 池田正範

    池田政府委員 あるいは説明が舌足らずだったかとも思いますが、九月末現在における在庫量が二十一万トンくらいになります。むしろ通常ですと二十一万トンというのは、使い切ったあと二十一万トン持って十月に持ち越しがありますということでございます。十月に至って約七万トン程度契約残量輸入する見込みが現在立っておりますから、それらを加えて、十月末現在におきましてほぼ在庫が食いつぶしになる。  要するに、九月からアメリカ新穀年度に入るわけでありまして、九月十五日以降につきましては、今回の輸出のいわゆるカット対象にはなっておらないわけであります。ですから、新穀に入りました九月十五日以降については、私どもとしては今度新穀買い付けをやらなければいかぬ。ところが、これは先生も御存じでしょうけれども、高い高いといって非常に大騒ぎしておりますのは、アメリカの旧穀でございます。新穀は、現在の旧穀が終わって、これから成育し、大体アメリカでは九月から新穀の取り入れが始まるわけですけれども日本に入ってまいりますのはどうしてもタイムラグが出てくる。ですから、その間のところをうまくやらなければいけないという問題が出てくるわけで、私どもとしては、この旧穀については、カットというのは私どもから見ますときわめて不本意な措置だといわざるを得ませんのでこれはあくまでも復活する努力をしたいと思いますけれども、全体的にやはり物がないということになりますと、必ずしも当方の希望どおりにいかぬと思います。そうしますと、国内のためには新穀通常のペースよりも早く積み出すという努力をあわせてする必要が出てまいります。ただ、いま申し上げましたように一カ月不足するのではなくて、十月末で一カ月分余分に持っているのが品がすれになってしまう。ですから、これは普通のテンポで行って新穀を入れていたのでは間に合わないので、これを繰り上げてとにかく入れることに努力をして、当面の必要量をふやすことが絶対条件である、こう考えております。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、大体規制の中身と国内に与える大筋の影響はわかったわけでありますけれども、特にアメリカ農産物については、余剰農産物という中から、輸入自由化がいまでもオレンジ等については押しつけられているわけですけれども大豆についても当初はそういう形の中から、国内需要必要性もありましたけれどもアメリカ大豆にほとんど依存するような状態になってきた。長い間そういう取引があるわけですから、先ほど、そういう予測がつかなかったのかどうかという質問をしたけれども、それに対する明確な回答はなかったわけでありますが、やはりアメリカ日本の特に経済的な交流について、これだけ長く続いてきた大豆に対する貿易、それから特に大豆の場合には日本人にとってはたん白質をとる、米に次ぐ重要な物資でありますから、それがアメリカ国内的な事情だけで、しかも契約されているものが一方的に二分の一カットされる こういう貿易あり方というか両国の経済的な交流あり方というものについては、きわめてふしぎに思うし、遺憾に思うわけです。  そこで、そういう制限は、一方的にされたというけれども、これは遺憾だということで、たとえばカットされる分を三分の一にするなり、そういう交渉をこれからするという考え方はあるのかないのか。私は、遺憾の意を表明すると同時にするのが当然であると思う。そして、国内需要を完全にすると同時に、先ほどいろいろ言われておりますように、九月から十月期で全部食いつぶしてしまうわけですから、そこら辺のところについていろいろ対策を立てて遺憾のないようにしていきたいというふうに言いますけれども、何といっても契約してあるわけでありますから、その契約を一方的に破棄する面をどれだけとめていくかということが、この端境期を乗り切る一番重要な課題ではないか、こういうふうに思うわけであります。この点についての考え方をひとつ明らかにしていただきたい。
  8. 池田正範

    池田政府委員 まさに御指摘のとおりであろうと思いますし、政府といたしましても、一方的な通告だけでこの端境期が乗り切れなくなるというふうなおそれがある現状からいたしますと、これはあらゆる手段を講ずる必要があるということで、すでにニクソン通告がございました直後、外務大臣に続きまして農林大臣も直接、アメリカインガソル大使農林省に招きまして、この五割カットのような形が出る前でございますけれども、いやしくもそういう事態、特に長い間のいわば伝統的なお客である日本需給に著しい影響のあるような措置をしないようにということで厳重に申し入れを行なっておりましたけれども、遺憾ながらこういうふうな形がとられましたので、さらに本日にも農林省アメリカ在日公使を招きまして、そして直接日本側の抗議を向こう側に申し込みますと同時に、特に当面私どもが一番心配いたしておりますのは、先ほど申し上げましたような、十月末まで現在のカットのまま推移いたしますとストックが品がすれになるということでございますので、したがって、少なくとも若干のランニングストックを持って、これは新穀の入荷にもよりますけれども、安心した形で十一月以降にスリップできますような、そういう一つの追加の割り当てと申しますか、あるいはカット量の復活と申しますか、どちらにも言えましょうけれども、これをぜひひとつ実現してもらいたいということを強く申し入れる予定でおります。  同時に、六月末には、農林省から担当官調査団を実はワシントンに派遣しておりまして、明日くらいから、大体向こう政府局長レベルとの間で、この大豆問題についての話し合いに入るという予定でございまして、そこでも実務的な面から積極的に詰めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  特に、これは申し上げるまでもないことですけれども、個々の契約分について全部二分の一カットする。ですから、わが国に対する全体の割り当て量幾らだということは言っておらないわけでございます。そういう意味で、現実にはアメリカ国内における契約量というものが、実は世界的な取引の場になっておりますので、何といいますか、国の仕向け先別に明確に決定的な数量をはじき出すことがなかなかむずかしい面がございます。そういう意味で、私どもとしては、とりあえずインポート立場から早急にひとつ——わが国に対するその間の既契約量の全体の二分の一が、最終的には幾らに落ち着くか。特にアメリカから輸入をする商社が、仕向け先をなお明確にしないままで契約して買っておる既契約分もかなりあるように聞いております。それらがやがて仕向け先別が明確になりますというと、それによって世界的に、アメリカ大豆流れ先もおのずから修正される場合も出てまいります。したがって、私どもとしては、何よりも先に、旧穀が幾ら入ってくるかということを明確につかまえることを、目下全力をあげてやっておりますけれども、同時に、新穀カットを続けるようなことはくれぐれもないように、それから新穀の積み出しを早めることについてもひとつ応分の応援をしてもらいたいというふうなこと、それらを含めまして、実は現在アメリカ政府と折衝中でございます。
  9. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 私から、補足的にちょっと御説明申し上げます。  今回アメリカが、既契約分についてまで五〇%削減をしたということは、非常に遺憾にたえないところでございます。それについては、ただいま農林省からもお話がございましたように、さっそくいま手を打っておるところでございます。それと同時に、通産省では塩川政務次官アメリカに派遣をいたしまして、目下それにつきまして交渉中でございます。また、今月末から来月の初めにかけまして日米貿易経済合同委員会が開かれますので、それには農林大臣、また経済企画庁の長官も出席いたします。その席上で、トップレベルの会談で、どうしてもその既契約分についても漸減の幅を少しでも縮めてもらえるように、また新穀の確保については特別の手段を要請するつもりでいるところでございます。
  10. 中村茂

    中村(茂)委員 きちっとした手を打ってもらうことが一番必要なわけですが、これに関連して小麦とかトウモロコシ等について次に規制が出てくるのではないか、こういうふうにいわれています。特に、アメリカとの貿易の問題を考えてみた場合に、農産物資貿易関係が非常に国民生活影響を与えるわけです。  これはこういうところで言っていいかどうかわかりませんけれどもアメリカという国は、歴史的に見てもモンロー主義という一つの思想というかそういう背景、そういう考え方が根底にあって、これは非常に古くなって恐縮ですけれども国際連盟なんという昔の遺物についても、大総領がみずから行って、平和のためにそういう条約をつくり上げる。しかし、帰ってきて、国内世論でそこへは加盟しないという問題が起きたり、郵便小包国際連帯条約があるわけですけれども、これもみずから世界に呼びかけてつくって、自分の国はそういう条約には入っていない。これは歴史的に見ても、中南米については、原住民と融和してそして現在に至っている歴史があるわけですけれどもアメリカ合衆国というふうにいわれる北米の状態は、原住民ととけ合うということなしに、いまだに黒人問題という問題が出てきているという、排他的な歴史的経過がある。そういうことをいろいろ考えてみると、個人の契約についても、契約をしてきたそれを、国内のいろいろな問題があるにしても、国際信義の上に立って考えてみた場合に、破棄するというようなそういうことを平気でやる、こういう国柄だというふうに実は私は考えているわけであります。  ですから、確かに国防的な問題については日米安保条約とか、また政治的な面についても非常に大きな結びつき日本はあるわけでありますけれども、経済的な面についてそれらと分離して見ますと、敵対関係といえば非常に語弊がありますけれども競合関係競争関係日本アメリカは入ってきている、こういうふうに見ざるを得ないわけであります。事実そういう問題が幾つか提起をされています。  そういう中において、先ほど申し上げました、日本国民生活に非常に大きな影響を即与えるような農産物資については、これからの貿易あり方等についてもっと多国間の貿易を強化していくとか、大豆のように国内需要の九一%を一国に仰いでいる、こういうことはどういう問題が起きるかわからないし、先ほども申し上げましたように、そういう国柄だというふうに私は思うわけでありますし、過去の歴史を見てもそういうことが何回かあるわけでありますから、これは日本アメリカという形ばかりではなしに、貿易というものは、もっと多国間の貿易を強化していくという方向に持っていかなければならないのではないか。この際やはり、そういう貿易あり方というものを十分考えてみると同時に、大豆等この種農産物についての国内生産をもっと高めていくという農業政策の転換期にも来ているのではないか、こういうふうに思うわけであります。この点について、やはり幾つかの経験の中から検討し、そういう方向に変えていくという意思があるのかないのか、ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  11. 池田正範

    池田政府委員 御指摘のように、こういう不測の事態が出てまいりますと、一国のみに輸入ソースの大部分をたよるということは、ある時期にこういう形では非常に危険を呼ぶことにもなるわけでございますので、これは理屈としては確かに、もう少し輸入先多角化する、あるいは輸入の形を長期計画的なものに変えていくということが必要でありましょうし、また同時に、開発輸入ということばは適当かどうかわかりませんけれども日本の持っている農業技術を投入して輸入しやすい素地をつくっていくというふうなことも必要になってこようかと思います。さらに、ただいま御指摘のように、北海道等中心といたしますところの国産大豆の増産ということも、当然考えていかなければならないと思います。  ただ、現状を申し上げますと、世界的に見て約五千万トン近い大豆供給力の中で、昨年三千五百万トン、今年はおそらく四千二百万トン程度アメリカ供給。ソ連はほとんど自給圏内に入っておりますし、また、次に続いて大きい中国が、よくて大体九百万トン、最近では生産が落ちまして六百万トンから七百万トンの間というふうに推定をされております。第三番目はブラジルでございますけれども、このブラジルが最近の新興供給圏でございまして、これは最近大きくなりまして、四百万トンをこえるといった状況でございます。  したがいまして、今後日本といたしましては、ただいま申し上げました輸入ソース多角化開発輸入長期契約計画化といった手は打ちつつございますし、現にブラジル等も、先ほど申し上げましたように、前年度わずか一万四千トンしか入らなかったものが、ことしは当初からがんばりまして約十一万トン程度のところまで見通しをつけておるということもございます。しかしながら、当面のことを考えますと、やはり供給余力の差に格段の開きがございまして、私どもとしては、いま先生指摘のように、これからはなるべくひとつ多角化するということに全力をあげたいと思いますが、日本だけでなくて、世界じゅうがアメリカの豆の供給力を軽く見得る時期というのは、来年、再来年というようにそうすぐには来ないというのが現状でございます。したがって、私どもとしては、すでに農林省等で試案で出しております長期需給見込みから——かつては日本でも、条件が全然違いますけれども、五十万トン前後の食品用大豆生産したこともございます。したがって、現在十二、三万トンに落ちております国内生産というものを何とかひとつ盛り上げて、五十七年までには、食品用大豆としてことし消費予定されております約八十五万トンの五、六割程度は、何とかひとつ自給でまかなえる程度にまで持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  しかし、ただ問題は、いかにしてもこの種のいわゆる畑作物は、生産性の格差で勝負がついてしまいます。したがって、うんと高い大豆というものを前提としない限り、なかなか国産大豆は伸びないという前提がございます。そこで、これは価格政策を含め全体の立場から、ある意味では農政のワクを越えた立場からこれをどう扱うかということも含めて、私どもとしては、自給率の向上ということと、先ほど申し上げました輸入問題等含めて早急に手を打って、一つ方向を出さなければいけないと考えておる次第でございます。
  12. 中村茂

    中村(茂)委員 大豆価格をこういう状況の中で安定させなければならない、こういうふうに思うわけですが、最近の物価高が材木の仮需要投機に始まって、次に大豆の問題が出てきたわけですけれども大豆も、先ほど御報告がありましたとおり、この二月から三月に、実際には輸入量もそう減少していなかった、しかし、原産地アメリカ等の実情を見越して買い占めまたはそういう中からの仮需要という問題が出てきて、急激な暴騰をしてきた。こういう経過を考えてみると、一番必要なことは、いまもいろいろこまかい御説明があったのですけれども政府はこれからの努力、これによって大豆は絶対的に需要以下に減るということはないんだと国民に安心を与えるというか、そういう政策と態度が一番必要だというふうに思いますし、それから二月、三月に起きたような投機、仮需要、特にこの種の問題については、末端のとうふ屋さんに至るまで一俵、二俵というふうに倉庫へ積めば、相当な量になるわけですから、直ちに価格影響してくる。こういうことで、政府の、今回の大豆に対しての価格の面からの対策について明らかにしていただきたいと思います。
  13. 池田正範

    池田政府委員 まさに先生のおっしゃるとおりでございます。私どもも、実は前回の轍を二度と踏まないということを前提にいたしまして、これには何よりも、やはり中間的な流通在庫思惑需要対象にして異常にふくれ上がる、そのことが最末端の供給力を極端に減らす、そのことが実需とかけ離れた物価騰貴につながる、この形の悪循環をとりあえず断ち切るということが当面の対策としては一番大切であるというふうに考えまして、実は一両日中でございますけれども、緊急に大豆需給協議会を発足させます。そしてこの中には、輸入商社もそれから大手筋であるところの大豆製油メーカーも、さらには中小のみそ、しょうゆあるいはとうふとか納豆とかいったようないわゆる実需者団体、全部含めまして、そして時期別にこの端境期を乗り切るための需給計画を早急につくりまして、これをベースにいたしまして、それぞれ必要なところに必要な数量が必要な時期に渡るようにお互い同士確認し合おうという方式を取りつけようということで、実は一昨日来それぞれ個別グループごとに、私並びに農林大臣のもとに呼びまして、少なくとも今回が前回に引き続いて業者、業界の不信を世の中から買うような形、企業の社会的な責任に指弾を浴びるような行為、そういったことが二度と起こらないようにということを言いますと同時に、この需給協議会への参画を承諾をさせておるわけでございます。  同時に、この六日に予定されております例の買占め法の成立を待ちまして、私どもとしては大豆及び大豆の関連製品については、企画庁とも御相談をして、これを早急に指定する手続をとることにいたしまして、そして少なくとも流通段階での在庫に不審があるときには、この法律が駆使できる範囲の極限までひとつ努力を重ねて、中間在庫に不測のふくれ上がりが出ないようにあらかじめ警告を発しておく。しかしながら、現実に、警告だけでなくて、そういう事態が起これば、これはもう価格調査官を派遣して調べるといったようなことまで含めて実際に運用していきたい。かつ、そういった決意をすでに各業界のほうにも示達をしておりまして、現にみそ業界もそれからとうふ業界も、当面、実需面から見て将来に不安がなければ上げる必要はないということで、前回ほどは動揺はしていないという状態にございます。しかし、いま御指摘になられましたようなこともございますので、私どもとしては引き続きそういった需給協議会の場を通じて、いやしくも不安のないような形に万全を期したいと思う次第でございます。
  14. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 大豆の今後の価格安定対策については、ただいま農林省から御説明申し上げたとおりでございますが、特に経済企画庁といたしましては、この委員会で非常に成立に御尽力を願いました買占め売惜しみ法があすから施行されますので、その第一号に政令によって指定をいたします。そして今後これを厳重に取り締まっていくつもりでございます。  また、特に国民の皆さん方も、この大豆の成り行きについて非常に懸念をしておりますから——とうふ、納豆、そういう末端製品が値上がりするんじゃないか。小売商も、そういう点をおそらく懸念をしておると思います。そういう点で、そういう大豆需給面について政府の方針も説明をいたしまして、できるだけ情報の宣伝活動につとめたい、こう考えておる次第でございます。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 ひとつがんばっていただきますよう激励申し上げておきます。  次に、消費生活協同組合関係について若干お聞きしたいと思いますが、まず最初に経済社会基本計画、ことしの二月十三日に、閣議決定になったわけでありますが、その六五ページ、呼び番号二千五百四十一の四に「消費者対抗力の強化」ということで「相対的に弱い消費者の経済的地位を強化するため、消費生活協同組合消費者の自主的組織活動を助成するとともに、消費者教育を拡充する。」ということが、国の経済社会基本計画として、短い一項目でありますけれども、きめられたわけであります。  そこで、ここで生活協同組合の歴史など私申し上げるつもりはありませんけれども、最近の物価高の中で、やはり消費生活協同組合としてその目的に沿って果たしてきた役割りというのは、私は非常に大きい面があるというふうに理解をしておるわけであります。生活協同組合そのものは、そう経済的に支配するほど大きいわけではありませんから地域的ではありますけれども、非常に大きな役割りを果たしてきた。特にこの生協活動の活発な地域が数カ所あるわけですけれども、特に神戸を中心にする灘、横浜市、札幌それから豊田市、米子市、これらのところは比較的活発に生協活動が行なわれている地域であります。  そこで、いま問題になりました大豆に関連して、とうふの値上がりが二月から三月に起きたわけでありますけれども、その生協活動が活発に行なわれている地域においては、大豆の値上がり、とうふの値上がり等が起きたときでも、何とか前の値段を維持することができた。それは生協連の貿易部が直接中国大豆取引していまして、その大豆を値上げしないで業者に直接おろしてとうふをつくる。ですから、その当時でも大体二十五円程度のとうふを維持することができた。そのために、その付近のスーパーマーケットとかまたは小売りにおいても、そう全国的にとうふが値上がったような、五十円、六十円という値上げをお互いにしないで価格を維持することができた、こういう経過があるわけであります。  私は、やはりこの経済社会基本計画でも述べておりますように、これから消費行政というものを政府ももっともっと力を入れて、流通機構の面、価格安定の面に力を入れていく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。そこで、こういう基本計画に出ているわけでありますけれども消費生活協同組合等の消費行政の面についての政府考え方をまず明らかにしていただきたい、こう思います。
  16. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 われわれも、消費生活協同組合の活動は非常に高く評価しておるところでございまして、ただいまお話しになりましたように、政府の経済社会基本計画におきましても、今後の方針はこれを育成強化していく、そういうことで今後の経済活動をこれからも高く評価いたしまして、そしてこれを指導するつもりでおります。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、この所管である厚生省に一つ一つお聞きしていけばいいわけですけれども、時間がありませんから一括して考え方をお聞きしたいと思うわけでありますが、いままでも御努力願って、何回か生協法の改正を行なっていただいたわけでありますけれども、いま申し上げましたように、消費行政の中で重要な位置を占めるように育成強化していく、こういう立場に立って見た場合に、いまの法律ではなかなかきびしいいろいろな制限がありまして、思うような、または消費者の皆さんが期待のできるような活動ができない面が相当あるわけであります。  幾つかありますが、きょうは数点だけ申し上げて見解をお聞きしたいと思うわけでありますが、まず一つは、活動の区域が都道府県区域ということで厳格に制限されている、こういうことであります。特に職域生協の場合には、やむを得ない場合都道府県の地域を越えて活動できる面が残されているわけでありますけれども、地域生協の場合には、この都道府県という地域のワクは非常にきびしいわけであります。  ところが、御存じのように東京都がずっと神奈川県に入り込んでおる地域があります。相当入っております。また広島県と山口県で、山口県の境の相当部分が経済圏が広島のほうという、これは地況の関係ですけれども、全国にこういうところが非常に多くあるわけであります。ところが、都道府県という限界があるために、経済圏は他の都道府県に入っているけれども、この制限のために生協活動がどうしても同じ経済圏の中でできない、こういう隘路がある。  したがって、全面的にこの都道府県のワクを取っ払ってしまえ、こういうことではなしに、そういう経済圏を伴っている地域については特殊的なケースとして、この地域もこの制限を緩和していく、こういう方向でひとつ検討していただきたいし、そういう五条がありますけれども、その程度のものは行政指導でもできるのではないか、私はこういうふうにも思いますので、改正していただけば一番いいわけでありますけれども、まだこの法案が提案されているわけでもございませんから、行政指導ができるのか、将来そういう方向努力していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  それから二点目の問題として、これはこの生協の組合員でなければ利用できないという、これは一つの制限。農協等については、組合員でなくも二割程度までは認められているわけであります。生協というのはやはり組合員をもって自主的に組織するものですから、野方図に一般の者も利用する、このことは厳に戒めなければなりませんし、そういう組合員以外の人に自由に利用させるということは、もっと根本的に考えてみれば、かえってその生協自身、組合員を拡大して事業を拡大していくという道をふさぐことにもなりますから、何でもこのワクを取り払ってしまえ、こういうわけではありませんが、組合員を拡大し、この事業を発展させていくために、一定期間組合に入っていただくことを前提にして、入る資格のある人について利用を緩和していただきたい。そうでないとなかなか、すぐ入っていただきたいといっても、利用してからと、こういうことになりがちでありますし、この面については、一定期間この施設を利用する、そのことによって組合に入っていただく、こういう一つの制限をつけた利用を認めていただくように緩和できないものかどうかということであります。  それから三点目に、これは生協法の第十四条で明らかになっているわけでありますけれども、地域内に居住する者のいわゆる地域生協、それから一定の職域内に勤務する者の職域生協、いわば地域と職域の二つの生協の形態に、十四条によって分離されているわけであります。しかし、最近は団地ができたり、会社の職場の付近に同じ職員の泊まる、またはそれに関連した住宅等出てきて、これを分離していくということについて、非常に生協活動についての一つの隘路になってきているわけであります。  ですから、一定の地域内において、その地域に住居を持つ者、勤務地に職をおく者、これをあわせて一定の区域内ならどの生協も活用できる、いわばこの壁を払って一本化していく、このことを達成することによって、生協の目的である消費者と生協活動というものが大幅に、価格または需要の面においても影響してくるのではないか。こういうふうに考えてみた場合に、これは前段のほうの二つの問題とは根本的に違って、法できめられている問題ですから、行政指導などではなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、将来の検討事項、こういうふうになるかとも思いますけれども、いずれにしても、そういう同じ法律の中で地域、職域を分けて生協をつくるということではなしに、一つの生協ができるような方向でひとつ検討していただきたいというふうに思うわけであります。  それからもう一点、生協に対する融資の問題でありますけれども、四十八年度は三千五百万円予算化されたわけであります。しかし、これは都道府県が予算化していますから、全国千三百の組合が対象にになっているわけでありますけれども、これは三千五百万円の貸し付けですから、このワクというのは僅少で、いまの経済活動の中では、あるのもないのも同じくらいなワクでありまして、話になりません。農業協同組合とか漁業協同組合、中小企業協同組合等については、億に達するワクをいただいているわけであります。ですから、現在の経済活動の中で見合うようなもっと大幅なワクを、ひとつ四十九年度には考えていただきたい。生協関係者の方は、ひとつ五億程度にしてもらいたい、こういう希望を持っているわけでありますけれども、強く希望を申し上げておきたい、こういうふうに思います。  以上であります。
  18. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 ただいま提言をされました最初の三点でございますが、これはきわめて貴重な御意見であると考えますので、厚生省ともよく相談をいたしまして、前向きの方向で検討さしていただきたいと考えております。  また、融資がわずかに三千五百万円というのは、もうスズメの涙くらいのものでございまして、今後の消費生協の活動としてはきわめて微弱なものであると考えます。そういう点で、四十九年度におきましては、これも厚生省とよく協議いたしまして、もう少し大幅にふやすような方向でこれから準備を進めてまいる所存でございます。
  19. 田川明

    ○田川説明員 お答え申し上げます。  基本的には、いま経企庁政務次官からお話ございましたように、まことに貴重な御意見でございますので、十分検討さしていただきたいということでございます。  消費生活協同組合は、先生の御提案にもございましたけれども、物価問題その他消費者保護という面で特に近年、その行ないます自主的な事業活動、果たす役割り、非常に重要になってまいっております。また一方、これも先生指摘のように、消費者の生活圏が漸次拡大してまいり、また流通経済も次第に広域化してまいる、こういった経済社会の情勢変化もございますので、厚生省といたしましても、御提案にございました地域制限の緩和その他につきまして、鋭意生協法の改正を検討いたしているわけでございます。ただ、地域制限の緩和あるいは御提案の員外利用の問題、特にそういうような問題になりますと、これは一般の中小企業の企業活動への影響、これも無視できないものがございまして、その点につきましても、目下、鋭意関係団体あるいは関係当局と折衝を重ねております。  そのような事情でございますが、具体的にまず三つの点について順次申し上げますと、まず地域制限の緩和につきましては、まことに先生のおっしゃる点ごもっともでございまして、そのような線で、特にこれを無制限に全国どこでもいい、地域の制限をなくするということでなしに、先ほどの経済社会情勢の変化に対応いたしまして、隣接いたします都道府県につきましてはそのかきねを取り払うようにしたいということを考えているわけでございますが、これは先ほどおっしゃられましたように、行政指導という点ではまいりません。法改正がやはり必要でございます。それと、先ほど申し上げましたように関係団体との調整、これをいたしませんと、非常に社会的に大きな、別の意味での問題が生じようかと存ずるわけでございます。  それから、二番目の員外利用でございますが、消費者個人個人につきまして一定の期間、まず生協というものの役割り、効用を身をもって確かめるために、組合員でなくても、いわゆる試験的に利用させたらどうかという御提案は、これも生協に対する認識を深めていただき、より多くの方に生活協同組合に加入していただくというための、非常に有効な一方途であると思われるわけでございます。しかし、この問題も、先ほどの地域制限の緩和の問題と同じように、極端に申しますと一定の期間だれでも生協の事業を利用できるということになるわけでございますので、やはり一般中小企業の企業活動への影響を考慮しなければならないという点において問題がございます。それからまた、これは非常に有効な御提案だと存じますが、これを具体的にどのように行なうか、そういう実施方法の問題もございますので、これにつきましては、特に具体的な実施方法等をも含めまして慎重に検討させていただきたいと存じます。これもやはり法律改正を要する問題でございます。  それから、第三点の地域、職域の別をなくしたらどうかという御提案でございますが、これも、一定の区域の中の人はだれでも組合員になれるようにしたらどうかという御趣旨かと存じます。  確かに、先ほど御引用になりましたように、消費生活協同組合法の十四条には、地域の組合は地域の住民の組合、それから職域はその職場の者が組合を構成する、そういう構成になっております。これは申し上げるまでもございませんが、やはり生活協同組合は人と人との結合でございます。これは法律にございますが、人と人との結合でございますが、やはり地域におきます地縁的な関係によります人の結合と、それから職域におきます職場関係によります人的結合と、やはり人的結合の質に相違がある。したがいまして、その等質の人的結合で組合を構成したほうが、その人と人との結合という点においてより意義がある、そのような観点から二つに分けて立法された経過があるようでございます。  しかし、先ほど御提案のように、やはり生協活動というのは消費者のための自主的な活動であるから、だれでも入れるようにしたらいいではないかという御提案、これはまことにごもっともだと存じます。それで、これも御承知でお話しだと思いますので、あるいは失礼になるかと存じますけれども、同じ十四条の二項と三項でそれぞれ、ちょっとくどくなりますが、たとえば職域組合でございますとその職域、具体的に会社なら会社、そこの付近の住民は、職域に入っていない人でもその職域組合に入ることができる。それから地域組合について申し上げますと、地域組合は住民が原則でございますけれども、その地域内に勤務地を持っている者であれば、これも定款で定めれば組合員になれるということになっております。もっとも、当該組合が適当であると認めて、それから定款で定めるという条件はついてございますけれども、そういうことで、ただいま御提案の第三点につきましては、こういう法律規定がございますので、その点では不便がない、というとちょっとおかしなことばになるかと存じますが、不便がないのではないか、このように考えております。  それから、法改正以外の大きな第二の問題でございます。これはまことに仰せのとおりでございまして、本年度三千五百万、都道府県がこれと同額を足して貸し付けますので七千万という予算額、これは、連合会を含めまして千二百四十九の消費生活協同組合に対しては、確かに多いとは申し上げられません。少のうございます。したがいまして、これも消費者行政を担当される経済企画庁に御相談あるいは御調整をいただきまして、来年度予算につきましてはできるだけ努力をさせていただきたい、そのように考えております。  以上でございます。
  20. 中村茂

    中村(茂)委員 最後に、回答は要らないですけれども、お願いだけしておきたいと思います。  厚生省にはちょっと失礼な言い方になると思いますけれども、やはり消費生活協同組合というのは、歴史的な過程から見れば、そこのところの職場、地域の人たちが歴史的に一つの構成部門として発展してきたということで、所管がどうも厚生省に現在あるのじゃないかというふうに私は思うのですが、しかし、経済圏が広くなり、こういう現在のような経済活動が行なわれてくる時代になってまいりますと、この基本計画にも明らかになっておりますように、単なる厚生施設、こういうものから、もっともっと消費者を擁護するという大きな任務が負わされるようになってきているんじゃないか。  ですから、これはほんとうにざっくばらんな話で申しわけないわけですけれども、厚生省の所管で厚生施設としての生協、そうなってまいりますから、一般の小売業者とか一般の業者、こういうものとの競合の問題ということで、いま申し上げたような幾つかの制限が加えられてきている。ですから、これを常識的に考えると、全面的にこのワクを払えということではなしに、一定の制限を設けたり、一定の地域について、隣接するところを法改正する、こういうきわめて常識的なことを提案しているわけですけれども、実際これをやっていただくということになると、その一般の小売業者とかそういうところの所管の通産省等と、どういうふうに調整していくかということが、一番実は隘路になってきているわけです。  ですから、何回か申し上げて恐縮ですけれども、こういう基本計画の中にも、特にここで言っておりますように、「相対的に弱い消費者の経済的地位を強化する」——消費者というものは非常に弱いわけですし、このことは消費者行政をどのように強化していくか、その中で固有名詞まであげて「消費生活協同組合消費者の自主的組織活動を助成」していく、こういうふうになっているわけでありますから、そういう競合があるにしても、そこら辺のところの調整については、経済企画庁あたりが中へ入って、いまほんのわずかなお願いでありますが、何とかこれらの緩和をはかっていただいて、融資等も大幅にしていただいて、目的が達成できるよう御努力を願いたいということを最後にお願いして、終わりたいと思います。
  21. 山中吾郎

    山中委員長 次に、渡辺三郎君。
  22. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 私も、最初にまず、大豆の問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。いま同僚の中村委員のほうから、大豆の問題は相当詳しく質問があったわけでありますけれども、私は、特に物価との関連の問題で最初にお伺いをしたいと思うわけであります。  先ほど、投機防止法の指定第一号といいますか、対象物資としてこれがきめられた、こういうふうに御答弁があったわけでありますけれども、七月一日に物価局が発足をしまして、さらにまた、ただいま申し上げました防止法、これが明日正式にできる、こういうふうなことになっておるわけでありますが、価格調査官、これは何人きめられておるのか、それからこの人の発令、この状況はどうなっておるのか、最初にお伺いしておきたいと思います。
  23. 小島英敏

    ○小島説明員 物価調査官の発令は、法律が施行されまして、政令で品目が指定される段階で同時に発令いたすことに相なるわけでございます。したがいまして、現在の段階ではまだ発令されていないわけでございます。  それから、何人ぐらいかというお尋ねでございますけれども、私ども考えておりますのは、経済企画庁に発令されるべき価格調査官、それから通産、農林両省におきましても大体横割り的な局に兼務発令されます調査官というものは、いろいろな品目に共通的に調査をする人として発令されるわけでございまして、そのほかに、物資の指定に伴って縦割り的な局から、通産、農林両省におきまして、やはりその物の需給についての専門家という観点から発令されるのがあると思います。したがいまして、現在の段階では、全体のトータルは品目の数によってきまるわけでございますし、それからその品目の性格で、一品目当たり非常に多くの調査官が必要になるケースもあり、それほど多く必要でない品目もございますので、いまの段階で何名ということは、なかなか明確に申し上げかねるわけでございますけれども、大ざっぱに申しますと、先ほど申しました企画庁としての調査官のトータルというのが大体若干名、五名から十名ぐらいの間かと思います。それから各省におきましても、横割り局の関係は大体その程度というふうに理解しております。
  24. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 大豆に関連して申し上げるわけですけれども商社それから製油、飼料メーカー、またはそれぞれの卸、小売商があるわけでありますけれども、このいま申し上げました各段階の在庫の把握、そういうふうなものが今日できておるのでしょうか。
  25. 池田正範

    池田政府委員 現段階では、御承知のように買占め法もまだ施行されておりませんので、おのずからそこで私ども調査の限界がございますけれども、私ども自身として現在推計をいたしておりますのは、五月末現在におきますところの在庫量、これが四十万トン、その四十万トンの中で搾油メーカーの在庫量が二十五万トンありまして、それからその他の在庫が十五万トン前後、その中で御指摘のみそ、しょうゆ、とうふ、納豆といったような食品用大豆の実需者の段階の在庫というものがおおむね五万トンで、卸問屋と通称される流通段階においての在庫が十五万トンといったような形で推計をいたしておるわけでございます。  これらの数量は、それぞれ各団体別に聞き取りをいたしまして、そうしてそれらの事情聴取と、さらに製油メーカー在庫量報告、それから通関量がございますから、その通関量との格差を逆につかみまして、そうして両方をチェックし合いながら推計するということでございますので、トータルとしての差はあまり誤差はないものと考えておりますけれども、まあしいて申しますと、内訳の個々の、だれが幾らどの倉庫に持っているかということはこの調査からは出てきていないということ、何しろこまかい物品でございますので、末端の流通在庫というものを完全につかまえることはきわめて因難だというふうなことから、これは推計にたよらざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  26. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いまの最後に言われましたように、流通在庫については今日の段階で非常にむずかしい、これは私ども、技術的なものを含めてわかります。本国会で問題になりましたいわゆる買占め売惜しみの防止法、これがまだ正式には施行の段階に入っておらないということ、これはわかりますけれども、しかし、私どもは、あの二月、三月の段階のまことに苦々しい経験を持っておるわけです。ですから、いま局長、大ざっぱに大体の在庫の推計をお話があったのですが、この流通在庫については、この法が発動して機能してくるというふうな段階ではいわば明確に把握できるような見通しがあるのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  27. 池田正範

    池田政府委員 ただいま御指摘の点は、まさに私どももいま一番真剣に、具体案として取っ組んでおる技術問題の一つでございます。  先ほど企画庁のほうからもお話がございましたが、いわば横割りの局としての価格調査官というものが五名ないし十名程度発令されるというふうなことは、これはあまり大きな問題なしにできると思うのですけれども在庫はとにかく全国各地に散らばっておるわけでございます。しかもこれらが常時動き回るわけでございます。この大豆の場合を申し上げますと、大体輸入商社が搾油用の大豆輸入いたします場合には、これは海の上に積んで走っておる間に、そのほとんど大部分というものは国内の搾油メーカーに売り渡し済みという場合が多いわけでございます。ごくたまにその中で、アメリカ大豆で申し上げますというと、年間四十万トン前後というものが、大体陸揚げ後選別をされまして食品向けに向けられるというふうなことで、その他の二百万トン程度のものは、もうほとんど搾油メーカーにストレートに入るということになるわけでございます。したがいまして、調査のつかまえる段階の技術問題といたしましては、それらが末端の毛細管的な流通経路の中に迷い込む前にまずつかまえるということを考えませんと、膨大なる調査官を全国的に動員してもなかなかむずかしい。  そこで、まず第一には、商社がいっ、どこで、どれだけのものを、どの港から入れたかということは、やはりつかまえなければいけないだろう。さらに、それが確実にどの程度搾油メーカーの中に入り、いつごろ、どういう形で払い出されたかということは、つかまえられるはずであるというふうに考えます。さらに、問屋と申しましても一次、二次の問屋がございまして、特に二次問屋になりますと極端に数がふえますので、一次問屋の段階でのチェックのしかたを現在技術的に検討しておる。  それから、問題は中国大豆でございますが、これは実はいわゆる友好商社を通じまして五十、六十という非常に大きな商社が、きわめてこまかい荷扱いをしている。それがさらに、間違いなく直通で実需者に行くものも若干ございますけれども、ほとんど大部分は卸問屋を使つということになりますので、これもなかなかつかむのにむずかしい。そこで、これは少なくとも商社の段階でつかまえることをひとつ技術的に検討しよう、こういうふうに考えているわけでございます。  そういたしましても、東京に調査官が五人や十人すわっておったんでは、とてもつかまえることはできない。そこで、私どもとしては現在考えられますのは、御承知のように地方に地方農政局が設置されておるわけでございますが、この農政局の職員の中から価格調査官を物資別に選び出すということを一つ考えております。それでも足りないという場合が当然起こり得ますので、これは多少法制上の研究を要しますけれども、たとえば食糧事務所の職員の中から若干の応援隊を出す。それからなお、価格調査官だけで全部を調査する必要はないので、責任者が価格調査官、これを補佐する者は価格調査官でなくてもいい場合もございます。したがって、権限のある価格調査官を中心にしたチーム編成ということも考えられるわけでございますので、そこらをうまく組み合わせまして、現実に輸入されてくる場所なり大手のすわっておる地域といったようなものを重点的に物別に考えて配置をしていけば、完全とはいかないまでも、重点的な調査はできるのではないか、ただいまはそういうふうな感じがしておるわけでございます。
  28. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 アメリカ大豆輸出規制と同じように、六月二十九日にカナダの場合も、大豆、なたねなどの輸出規制を発表しておるわけですが、特にわが国の製油業界にとっては、油脂原料の輸出規制というものは非常に影響があるのではないか、私どもこういうふうに考えるわけですが、この点についての影響の実際と対策、こういうものについてはどのようにお考えでしょうか。
  29. 池田正範

    池田政府委員 御案内のようにカナダ政府は、この六月二十七日のアメリカ政府措置に対応いたしまして、大豆かす、綿実といったものに加えまして、なたねを許可にいたしてきたわけでございます。  実はなたね油は、日本では主として中小の搾油メーカーが中心になってしぼっておる分野でございます。年間でほぼ六十万トン程度輸入がございます。大豆から見ますと数量はあまり大きな数字ではございませんけれども、搾油原料といたしましては、歩どまりは大豆よりもはるかに多いわけでございますので、これはある意味ではいわば大事な油脂給源であるというふうに私どもとしても考えておる次第でございます。  ただ、カナダのほうは、アメリカのように一律に既契約二分の一カットなどという乱暴なことはまだ言っておりませんで、伝統的なカスタマーといいますか顧客国との間でネゴシエーションをする用意があるのだというようなことも言っておりますので、近々のうちにカナダとの間で、許可制の対象になるもの、不許可の対象になるもの等を含めまして、私どもとしてはネゴに入りまして、この影響力が出ないように折衝いたしたいと考えておる次第でございます。
  30. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 先ほど来の中村委員に対する答弁、それから私もいま申し上げましたが、わが国の食糧のうち輸入依存度が特に高い大豆、小麦あるいは飼料穀物、こういったものはきわめて高いわけですが、特に家畜飼料や食用油といったものについては全面依存というような状態にあるわけです。しかも、先ほどもちょっと質疑の中で明らかになっておりましたように、輸入先はきわめて限定されておるというふうな状態にあるわけです。  私どもはこれまで、日本の外国依存の食糧政策はまさに基本的に非常に大きな誤りとも言える危険性があるのではないかということを、長い間指摘をしてまいりました。しかし、政府はこれに対して、むしろ私どものそういう考えが何かおくれた考え方であるというふうな認識の上に立ってかどうか、実際政策の面では否定をしてきたと思います。しかし、今回の大豆の一時的ではあれ輸出規制に見られるように、大きな混乱がわが国にもたらされているというふうな事情を考えますと、私はこの責任というものは非常に大きいのではないかというふうに思います。しかし、これは非常に大きな問題でありますから、いずれ場を改めて政策論争の対象になる問題だというふうに思います。  ここは物価特別委員会でありますから、きょうは物価にしぼってお聞きをしておるわけでありますけれども、先ほど、この輸出規制についてはアメリカ側にいろいろ形を変えて交渉をしておるというふうなお話がありました。新聞報道などによりますと、外務省でも相当強くアメリカ側に抗議を含んだ交渉をしておる、こういうふうな話でありますが、きょうは外務省を呼んでおりませんから、農林省、通産省あるいは経済企画庁、こういうところで、おのおのどのような折衝がいま現実に行なわれているのか。先ほど、塩川政務次官ですか、さっそくアメリカに飛んだというふうな話もありましたが、その辺の事情をもう少し詳しくお答えをいただきたいと思います。
  31. 大石敏朗

    ○大石説明員 通産省といたしましては、この問題が起きた直後、つまり七月の三日に塩川政務次官米国に派遣いたしました。米国では、農務長官、商務長官その他米国政府の責任者とこの問題につきましていろいろ交渉をする。その際わが方の主張といたしましては、日本が長年アメリカの最大の顧客であったという点を十分配慮いたしまして、日本に対する輸入量の確保については、アメリカ側わが国の食糧の供給について不安がないように十分慎重に配慮してもらいたい、こういう趣旨をアメリカ側に対して強く要請するということになっております。  現在、出発したばかりでございますので、内容その他につきましてはまだ判明いたしておりませんけれども、今後ともこういうことでアメリカ側に対しても強い要請を続けてまいりたい、かように考えております。
  32. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 時間がありませんので急ぎますが、農林省は先ほどちょっと話がありましたが、きょう御出席をいただいております経済企画庁のほうで、また別な角度から、もしアメリカ政府に対して要求なり話し合いを持っておるとすれば、その事情をひとつ御説明いただきたい。
  33. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 ただいま通産省からも話がありましたように、また先ほど農林省からも話がございましたが、それぞれにいま折衝を続けておるところでございます。そこで問題は、トップレベルでの会談に持っていかなければなかなか解決はむずかしいのじゃないか、こうわれわれも考えておりますので、ちょうど今月の末から来月の初めにかけまして日米の経済会談が行なわれますので、われわれの経済企画庁の長官また農林大臣もそれに出席いたしまして、強力に先方の首脳部とも折衝いたしまして、ぜひともこの削減の幅を縮めるかあるいは新穀の安定的な確保、そういうものについて十分話し合いをするつもりで、いまその準備を進めているところでございます。
  34. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 六月二十九日ですか、農林省が海外農林業開発協力問題懇談会、こういうものを農林大臣の私的な諮問機関として発足させた、こういうふうに伝えられているわけですが、当面、大豆の問題に限って私はお聞きをしたいと思いますけれども、どういう役割りをこの懇談会が果たされますか。
  35. 池田正範

    池田政府委員 農林省といたしましては、世界的な規模における農産物需給というものの緊迫の原因が、かなり長いサイクルで今後地球上をおおうのか、あるいは、いわば不幸な一時的な現象で不作が起こったのかといったような問題も一つございますし、またさらに、南北問題を含む将来の人口と食糧とのバランスの問題等も考えなければいけないというふうなことで、従来、単純に、いわば日本国における食糧の需給をどうしていくかというふうな考え方だけに主として論点をしぼって、政策立案に当たってまいりましたけれども、どうもそういうことだけでは足りない。そこで、当面する世界的な農産物供給力状態をもう少し地域別に洗い出して、そして長期の見通しを立ててこれに対応していく必要があるというふうなことを主体にして懇談会を出発し、内容の検討をやろうということになったわけでございます。  大豆につきましても、これらの問題のいわば一番具体化した先兵といたしまして、当面これに取り組むということになろうかと思いますけれども、たまたま今回の大豆の緊急対策等もございましたので、先ほどちょっと御説明申し上げましたけれども、現在すでに、機能として、当面の大豆対策を解決するというふうなこともかねて、アメリカに第一陣が行っておるわけでございますが、今後、ブラジルとかあるいは大洋州とか南米とかといったようなところヘチームを計画的に送り込んで調査をいたしますとともに、それらの計画をもとにして当面の対応策を検討していくとともに、日本の食糧需給計画全般のいわば見直しというふうなことも今後やっていく、こういう考え方でございます。
  36. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 田中総理も、きのうですか、参議院の本会議における答弁の中で、貿易相手国を多角化する必要がある、こういうふうなことを言っておられるようでありますし、これは私どもがこれまでも、長い間主張してきた一つの考えであります。  先ほど、この問題については、中村委員のほうからも同様の指摘がありました。これは大豆だけではありませんが、いまも御答弁にありましたように、世界的な一つの食糧事情の変化といいますか、あるいははっきりいえば深刻化、悪化というふうな見通しが、一応今日の段階では危惧されるわけでありますから、こういう状況の中で、私先ほどもちょっと指摘をしましたように、日本人が依存しておる食糧というふうなものを、特定のきわめて少ない国に非常に高く依存をしておるということについてはやはり大きな問題があるのではないか、このように考えるわけなんです。もちろん、私が申し上げた農林省の海外農林開発協力問題懇談会、こういうふうなものがすべてそれらの問題を洗い直すという機能を持ち得るとは思いませんけれども、しかし、農林省自体としては、いま私がここで申し上げているような特定の国に依存をするという体制から徐々に脱却をする、こういうふうな考え方が基本的におありかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  37. 池田正範

    池田政府委員 先ほど中村委員にもお答え申し上げましたように、当然私どもとしては、これは輸入ソース多角化する、それから契約内容については長期計画的な長期契約化する、それから技術を開発し、それによって輸入をするという開発輸入方式を導入していくといったような形で、特に特定の国にあまり片寄り過ぎないで、豊凶の差がございましても安定的に輸入ができるというふうな形を今後、特に大豆のようなものについてはとっていくべきであろうというふうなことで現在検討いたしておるわけでございます。  現に大豆等につきましても、アルゼンチンあるいはブラジル、これらに対しても調査団を派遣する、あるいはオーストラリア等につきましても、すでに一部、品種改良等を含めて試験的な輸入のもくろみもなされているというふうなことで、農産物のことでありますから、きょういってあしたということにはなかなかまいりませんので、計画的にこれら各地域の模様をずっと現在タッチしているわけでございます。できれば中国等につきましても、今後の中国大豆需給計画等をもう少し詳細に承知できれば、日本の要望するような品種の大豆といったようなものについても両方で話し合いをするという意味で、先般農林省の技術審議官を団長といたしまして北京に乗り込みまして、向こうの農務省との間でいろいろ技術交換をしてまいっておりまして、これもひとつ将来に向かって望ましい品種の大豆が計画的に輸入できるようにぜひやりたいというふうなことで、現在はまだ、表に出るところまで成果はあがっておるとは申しかねますけれども、各方面にわたってその萌芽はあらわれつつあると私どもは考えておる次第でございます。
  38. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 次に、食肉の問題について少し御質問申し上げたいと思います。  六月四日に水産庁が発表しました魚のPCB汚染の調査結果、それから六月二十四日の例の厚生省の魚の水銀暫定基準の発表後に、牛肉あるいは豚肉の購買が急速にふえた、こういうふうにいわれておるわけでありますが、その数字はつかんでおられますか。
  39. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました魚類のPCBあるいは水銀汚染等の報道によりまして、これら魚類に対します消費が減退をいたしまして、これにかわって牛肉なり豚肉なりの食肉に対する消費が増大をしてまいったというぐあいに見込んでおるわけでございますが、魚類の消費の減退が一体どのくらいの程度にくるのか、あるいは食肉に一体どのくらいの程度代替ということでくるのか、そういった度合いにつきましては、必ずしもいまだに明らかではございません。今後の推移を十分見守る必要があると考えております。  なお、価格の点につきましては、豚肉につきましては五月一ぱいぐらいは下がりまして、四月に比べますればやや安値で推移をしたということでございましたけれども、六月に入りましてからは上昇ぎみに転じております。それから牛肉につきましては、四十八年度の上半期分といたしまして七万トンの輸入割り当てを行ないましたところ、四月をピークといたしまして値下がりに転じております。  以上のようなことでございまして、まだ統計的に数字を把握したというような段階には至っておりません。
  40. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 私は特定して御質問申し上げたわけなんで、たとえば六月四日、六月二十四日という、例の発表を特定して申し上げたわけですが、購買力が著しくそのためにふえたかどうかということについては、数字は明確につかめないというふうないまの段階のお答えでありますけれども、ただ、その価格の問題については、ある程度つかめると思うのです、購買力がどれだけふえたかということについてはさだかでないにしても。  これはすでに新聞にも一部報道されておりますし、私どももそれなりの調査をやっておるわけでありますけれども、この水産庁の発表直後に東京卸売市場の価格では、キロ当たり二十円から三十円という値上がりをしておる。あるいはまた六月二十四日の厚生省の発表後、これは五百七十円台にまではね上がっておる。これは東京だけではなくして、大阪でも名古屋でもそうなっておる、こういうふうにいわれておるわけです。  購買力が著しくふえた、そしてそのためにたいへんな品不足を来たした、そこで必然的に価格が上がった、このような一つの因果関係が、一体豚肉について明確にあるのかどうか、私どもは非常に疑問に思っているわけです。いわば魚がああいうかっこうで汚染をされて、食べることが非常に危険であるというふうなかっこうになると、それに便乗した形で肉を売る側が直ちに値段をつり上げる、こういうふうな状況がもしあるとするならば、これはたいへんな問題です。そういうふうな点についてどのように実態をつかまえて、また、この問題についての考え方を明らかに統一しておられるのか、この点ひとつお聞かせをいただきたい。
  41. 下浦静平

    ○下浦説明員 豚肉の価格につきましては、先ほど先生の御指摘になりました六月四日の価格が五百四円ということになっておりましたが、それから徐々に上がりまして、六月の二十九日でございますが、第二の点の六月の二十九日には五百六十四円という価格になっております。それで、大体六月を平均いたしますと五百三十九円、こういう数字になっております。  なお、御指摘のございました便乗値上げというようなことにつきましては、私どもは、これはないというぐあいに考えておりますけれども、なお今後とも十分戒めてまいりたいと考えております。
  42. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いま、便乗値上げはないというふうに相当明確に言われたわけでありますけれども、、牛肉と豚肉の国内における需給関係、これは時間がありませんので、私非常に抽象的な表現で聞きますが、きわめて安定している、こういうふうにつかまえてよろしいのでしょうか。
  43. 下浦静平

    ○下浦説明員 牛肉につきましては、四十七年度は大体三十五万トン程度需要でございまして、それに対しまして国内生産が二十九万トンないし三十万トン程度であったと思いますが、国内生産がやや停滞ぎみでございまして、したがいまして、その需給のバランスをとるために輸入ワクを逐次ふやしておるという状況でございます。  それから豚肉につきましては、これは全体が七十七万トン程度でございまして、そのうち六、七万トン程度輸入ということになっておるわけでございまして、牛肉に比べますれば需給国内的には安定をしておると言えるのではないかと思います。
  44. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 これは時間があれば少し詳しく数字をあげてお聞かせをいただきたいと思っておるのですが、牛肉と豚肉の輸入国、どこからどの割合で輸入をしておるか、これは何万何千トンと  いうそういうこまかい数字はけっこうですから、国とそれから輸入全体の中に占めるそれぞれの国の割合、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  45. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  牛肉につきましては、四十七年の数字でございますが、オーストラリアが九二%、ニュージーランドが七%、その他が一%となっております。  それから豚肉につきましては、アメリカが三二%、カナダが二八%、オーストラリアが一六%、台湾が二八%、韓国が五%、その他が三%、こういう数字になっております。
  46. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 これは先ほど局長からちょっと答弁ありましたが、貿易相手国を多角化する必要があるのじゃないか、こういうふうな問題に関連しての答弁の中で、食糧のことだからきょうあすすぐ、こういうふうなわけにはいかない、こういう御答弁がありました。それはもちろん、品物によってはそういうふうになろうかというふうに私は考えるのであります。しかし、いま牛肉と豚肉の輸入相手国、これを見てまいりますと、牛肉についてはオーストラリアが九二%を占めておる、ニュージーランドが七%、アメリカがわずかに、きわめて少ない一%弱ですか、こういうふうな状況である。豚肉についても幾つかの国をあげられましたが、これもやはり特定されているというふうに私は考えざるを得ないわけであります。  またさらに、先ほどの御答弁の中で、今年度、四十八年度の上期に七万トンの緊急輸入をするというふうなお話もありました。この七万トンの緊急輸入はどこから主としてするのでしょうか。その相手国あるいは数字、これをひとつ明らかにしてください。
  47. 下浦静平

    ○下浦説明員 七万トンの輸入につきましては、ただいま輸入が現に行なわれつつあるということでございますので、もうしばらく推移をいたしませんとはっきりしたことは申し上げられませんけれども、従来からの傾向にあまり変わりはないのではないか、したがいまして、豪州あるいはニュージーランドのオセアニア州に属する国々からの輸入が多いのではないかと考えております。
  48. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 七月一日の朝日新聞の報道によりますと、今後日中貿易に関連して混合委員会を開きたい、こういう意向を日本政府が持っていることが報道されております。この混合委員会につきましては、ここで詳しくは申し上げようとは思いませんけれども、いままで日本中国との間の貿易というものが長い間閉ざされてきた、あるいはまた、きわめて変形した形でしか行われてこなかった、こういうふうな問題があるわけであります。日本中国との間の貿易関係においては、混合委員会の設置を待つまでもなく、あるいはそういう委員会構想というのがいいのか悪いのかその問題は別といたしまして、すぐにも改善、是正できる点が幾つかあるんではないか、こういうふうに私は思っておるのであります。  農林省にお聞きしたいのですが、これまで中国の食肉輸入をはばんできた原因として日本があげてきたものに、口蹄疫の問題があります。この口蹄疫の問題について、いま農林省としてはどういう見解を持っておられるのか、このことをまず最初にお聞きしたいと思います。
  49. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  日中間の食肉の問題につきましては、御指摘のとおり口蹄疫問題が、技術的な問題といたしまして一つ、大きな問題としてあったわけでございます。  従来は国交未回復でありましたわけでございますが、その間に三回ほど民間の調査団が派遣されまして、中国におきまする家畜衛生事情調査に当たってきたわけでございます。その調査結果によりますと、非常に改善をされたというようなことでございますが、なお実は技術的に不明な点が数点残されておるということでございまして、その点の解明が一つの問題であるというようになっておったわけであります。  幸いに昨年から国交が回復をされたということでございますので、さっそく昨年の十一月に、初めて政府の職員をもって構成されます使節団と申しますかが中国に派遣をされたわけでございます。その際に、技術交流促進につきましても、技術交流を提案したわけでございまして、中国側の同意を得ておるところでございます。  それから、こえましてことしの六月でございますが、農林水産関係の技術交流をやろうということで、その第一団のチームが先般派遣されたわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますとおりの事情でございますので、家畜衛生の専門家、これは動物検疫所長でございますが、これをこの技術交流のチームに加えまして派遣をいたしたところでございます。  このチームが現地で中国側とのいろいろな話し合いをしてまいったわけでございますが、その際にも、技術交流を今後軌道に乗せまして、いろいろ家畜衛生技術等につきましての情報交換等を進めようではないかという提案をしてまいったわけでございまして、今後それらの技術交流を通じまして、先ほど申し上げましたような諸問題の解明をいたしてまいりたい。そのためには、先生からもお話がございました合同委員会等の設置も考えられるのではないか。それらの問題が解明をされました後には、さらに日中両国間におきまして検疫体制の問題等につきましての相談をいたしたらいかがであろうか、こういうぐあいに考えております。
  50. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 時間がほとんど迫っておりますので、この問題は時間をとって詰めることができないのが非常に残念でありますけれども、いまの御答弁の中で、技術的にまだ二、三の問題が残っておる、こういうふうに言われておるわけであります。私はこの問題についてはしろうとでありますが、どういう点が具体的に技術的な問題なのか、こういう点もひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。  それから、時間の関係で続けて申し上げますが、昭和四十一年の五月二十六日の参議院の農林水産委員会での政府側の答弁、これは農林省の畜産局長の檜垣さんの時代でありますけれども、この中で口蹄疫の問題で、「今日までの調査の結果から私の判断いたしますところでは、これ以上調査すべき問題は残っていないというふうに考えておりますので」こういうふうに明確に答弁をなさっている。それから同じ四十一年の七月に、当時は坂田農林大臣でありますけれども、三回にわたる調査報告に基づいて中国の食肉輸入禁止解除の決裁をしておる、こういうふうに私どもは、これまでの時日の経過を認識しておるわけでありますけれども、こういう点についてはどのようにお考えでしょうか。
  51. 下浦静平

    ○下浦説明員 第一の点でございますが、残されております数点について申し上げます。  第一点は、口蹄疫ウイルス撲滅の確認の問題でございます。ウイルス自体がなくなっているのかどうかという問題でございまして、これは血清学的、ウイルス学的検討を要するということでございます。  第二点は、口蹄疫の診断法でございまして、これは臨床診断その他の問題でございます。なお、口蹄疫ワクチンの実施状況等も、あわせてその問題点の第二と言えるのではないかと思います。  それから第三点でございますが、これは香港等中国周辺の口蹄疫常在地域に対する国境検疫の方法を、中国側ではどういう手段でやっておるか、これが第三点。  それから第四点といたしましては、最近の国内防疫あるいは海空港検疫、これの状況でございます。  以上四点が、私ども、ただいまの段階で残されたきわめて技術的な問題じゃないかと存じております。  それから第二点の、昭和四十一年当時のお話でございますが、これは先ほど私がお答え申し上げました民間の調査団の三回目の調査団、田中調査団と申しますが、これが派遣された年でございまして、その田中さんが帰ってこられました報告に基づきましていろいろ検討を取り進めたわけでございます。檜垣畜産局長が申されたのは、五月とたしかおっしゃったように記憶しておりますが、その後専門家の間の会議が、たしか夏と秋と二回にわたりまして開かれまして、その検討の結果、ただいま申し上げましたような数点の問題点というようなものが残ったということでございます。  なお、坂田農林大臣の当時の点につきましてお触れになりましたけれども、ただいま申し上げましたように、相当検討を進めたことは事実でございますけれども、何ら決定に至らなかったということでございます。
  52. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 六二年以降中国には口蹄疫は全く発生をしておらない、こういうふうな状況については、農林省当局も、中国側の資料をそのまま引き続いて入手をしておられると思うのです。その点が一体どうなのか。六二年ということになりましたら、いまからすでに十一年前ですから、そういうふうな長い期間にわたって、そういう実態が中国では明らかにされておる。こういうふうな事情も十分に考慮すべきではないか、こういうふうに思うわけです。  それから、いま四点ばかり技術的な問題としてあげられたわけでありますけれども、他の中国以外の諸地域、こういうものについても、全く同一の、技術的にいま中国でこういう点がもっと解明されなければならぬ、こういうふうに言われた点が、他の地域についても同一基準で、政府としては、農林省としては技術的な検討を加えられたのであるかどうか、その点もお伺いをしたいと思うのです。  それから、民間調査団といえども、過去三回においてすでに相当あらゆる角度から検討されておりますし、その結果も政府はきちんと報告を受けておられるわけです。さらに、ただいまお話がありましたが、農林省の技術調査団向こうに行かれた。これはここに私も名前をお伺いしてきておりますけれども、一流の技術者、そうそうたる方々で編成をして行かれておるわけです。ですから、もし、いまここで言われたような技術的な諸問題があるとするならば、これはもう当然、いま言った点についても綿密な調査をなさるのが任務であろうし、なさったと思うのでありますけれども、そういった結果もあわせてひとつお伺いしたいのです。時間がありませんから、簡潔でけっこうです。
  53. 下浦静平

    ○下浦説明員 第一点の、一九六二年以降発生はないという点でございます。これは、中国側では確かにそう申されております。ただ、国際的な機関でございます国際獣疫会議でございますか、OIEという機関がございますが、この機関から出ております資料によりますと、なお中国には口蹄疫が残っておるというような資料が実は残っておるわけでございまして、それで、先ほど申し上げましたような問題点の数点がいまだに残っておるということでございます。  それから第二点の、中国以外の諸国の問題でございますが、これはやはり同じ基準でものごとを考えておるというぐあいに御理解をいただいていいのではないかと思います。  なお、三点目の、今回の技術交流のチームでございますが、これは六月の半ばから約一週間程度行ってまいったわけでございますが、時間の関係もございまして、ただいま申し上げました残された数点の問題につきまして中国側に説明をしてまいった、それから技術交流をさらに提案してまいったという段階にいまだにとどまっておる次第でございます。
  54. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 時間ですからやめますが、そうしますと、最後の答弁ですね、六月に技術調査団向こうに行かれた際に、いまこの委員会であなたが御答弁なさったような点についてわが国としてはいまだに疑問があります、こういうふうなことで向こうに明示された、ところが時間がないので十分にその実態まで調査をするに至らなかった、こういうお話と確認してよろしいと思いますけれども、これに対して、中国側の口蹄疫に対する態度、これだけを最後に御質問をして、私の質問を終わりたいと思いますから、ぜひひとつその点は明確にしていただきたい。
  55. 下浦静平

    ○下浦説明員 この問題につきましては、中国側といたしましても、たいへん大事な問題でございますので、今後慎重に検討をいたしたい、こういう御発言があったように御報告を受けております。
  56. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 そうしますと、出されました四点については、今後たとえば共同調査をするとか、あるいは中国独自で調査をして正式なわが国に対する見解を明らかにするとか、そういう確認が明確になされておるわけですか。その点だけ……。
  57. 下浦静平

    ○下浦説明員 私どもは、今度の技術交流のチームで先ほど申し上げましたようなお話をしてまいったわけでございますので、中国側からのこの問題に対しましての何らかの回答と申しますか、そういったようなものがあることを期待をいたしておるわけでございますが、今後これらの諸点につきまして、両国間で技術交流等を通じまして相互に検討をいたしてまいりたいと考えております。
  58. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 質問を終わりますけれども、私は最後に少し明確にしたいという立場で確認を求めたわけですが、いまの最後の御答弁は、さっきのニュアンスとちょっと違います。この問題については、中国側はそう甘い考えは持っていないと私は思うのです。口蹄疫の問題については完全に解決済みであるという認識が、中国側の認識です。これをはばんできたのは、あなたがおっしゃるような単に技術的な問題だけではなくして、日本のきわめて政策的な問題があるというふうに中国は認識していると思うのですよ。ですから、四項目なら四項目の技術的問題について申し入れて、そのとおりでございます、この点についてはさらに検討をして御回答申し上げますという態度になるかどうか、私はきわめて疑問です。しかし、この問題は、時間がありませんからここでは詰められません。いずれ機会を改めて再度この問題については質問を続行したいということを申し上げまして、質問を終わります。
  59. 山中吾郎

    山中委員長 次に、神崎敏雄君。
  60. 神崎敏雄

    神崎委員 四国電力をはじめといたしまして、関西電力、大阪亙斯などの料金値上げが相次いで起こって、いま重大な問題になっておりますが、ここでは関西電力の場合を申し上げたいと思うのですが、この値上げの理由に大きな疑問点を持っているわけです。これは先般来商工委員会質疑もいたしましたし、今後も明確にしていくためには質疑を続けたい、こういうふうに思っておるのですが、きょうは物特ですから、通産、経企の両当局の基本的な考え方を明確にしてほしいという立場から質問をいたします。  ここで明らかにしたい点は、企業側の料金値上げの理由の中で大きな比重を占めておる公害防止対策費や設備拡張費など、これは当然企業みずからが責任を持つべき費用だ。これを一般消費者に転嫁、負担させるというやり方を許しておるならば、公共料金値上げは、これは絶えず繰り返されていくということになる。     〔委員長退席、木部委員長代理着席〕 これでは今日の物価上昇にさらに拍車をかけるということにもなります。特に諸物価上昇に非常に大きな影響を与える公共性の高い事業、なかんずく独占企業であるこの電気、ガスなどの事業にこのようなことを認めておるならば、事はきわめて重大だと思うのです。この点にメスを加えた検討が私は必要だと思う。  そこで、通産、経企両当局のこれに対する見解を明確にしていただきたい。
  61. 井上保

    ○井上政府委員 電気、ガス事業のような公共性の強い企業のこういうものが民間私企業として適当であるかどうかという御質問であろうかと思いますが、これにつきましては、現在の電気事業法制定の際にも電気事業審議会等の意見も十分に伺いまして、現在の法律の体制のもとでは私企業であるということになっておるわけでございます。  これは世界各国の例を見てまいりましても、それぞれ各国の歴史的あるいは社会的な背景によりましていろいろ差等がございまして、あるところは公営のところもございますし、あるところは私営のところもございます。ただ、日本の場合におきましては、電気事業のあるいはガス事業の特性から見まして、やはり経済的なあるいは技術的な面から見て、非常に公益的な運営をするということが利益があるという点は一つあるわけでございますけれども、しかしまた、私企業としてのいろいろな特色がございまして、そういう点から考えますと、そういう公益的な面におけるメリットというものを、現在行なわれております広域運営ということで十分にカバーできる、そしてなおかつ、私企業の持ついろいろな意味での企業性、そういうものを十分に生かしていくというほうが全体としてはるかにいいのだということで、実は電気事業法の中にも広域運営の制度というものを取り入れておりまして、そういう広域運営でカバーしながら私企業の特性を維持していく、十分に発揮させていくということで運営をしていきたいというのが、現在の電気事業法の考え方でございます。     〔木部委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 ただいま通産省から申し上げましたように、電気、ガス事業というのは、これは各国とも大体広域的な独占事業として運営をされておることは御承知のとおりでございます。  そこで、一体現在のような体制でいいのか、あるいは国営あるいは公営という形態がいいかということは、これは一長一短でございまして、われわれとしましては、やはり国営にしました場合には、特に国家資金を投入するという点では非常に便利で有利でもございますけれども、その反面に非常に経営の弾力性に欠けるとか機動性が乏しい、あるいはサービスの質が悪くなるという点が多々考えられますので、現在のような私企業体制にしておいて、そして国としての監督は十分ひとつ強化していく、そのほうがいいのではないかと考えております。  いまのような料金の値上げの問題等につきましても、これは非常に重大な課題でございますので、これは通産省とも相談いたしまして、まだ経済企画庁のほうには協議がなされておりませんけれども、十分検討いたしまして、そしてほんとうに公益事業としてそれが運営されていくように厳重な監視を続けたい、こう考えておる次第でございます。
  63. 神崎敏雄

    神崎委員 私企業の問題についても関連がありますけれども、一方では、いわゆる私企業であるために利益を追求する、そして株主には歴年一割配当を確保する。そして、公害が問題になったら、いわゆる公害対策費と公害設備費、いわゆる設備投資、そういうようなものをする。そして、そういうことの名において多額の値上げをする。その理由の中で、こういう設備投資なるものが大きな比重を占める。こういうことと関連して私が申し上げたいのは、いわゆる公益性と企業性の問題、非常に抽象的な答弁でございますけれども、そのことについてはとういうふうな——中身を一般の国民にわかりやすく解明すべきである、私はこういうふうなことを思うのです。  というのは、電気、ガスというような企業は私企業でありますが、いま次官も言っておられたように、これは独占企業ですね。これはどんどん値上げをされても、一般消費者は他に電力を求めるすべがない。関西電力は高い、そんな高いところの電気は買わないでほかの電気を買おうといっても、どこにも売っておりません。だからといって懐中電灯で生活するわけにはいかない。それではモーターは回らない。何ぼ値上げをされてもついていかなければならない、こういう状態なんですね。  そこで、私は、ここは物特ですから基本点だけ言うのですが、これをもし申請どおり認めるようなことがあれば、直ちに私鉄その他の、いわゆる電力に関連のあるすべての事業は、あるいは物資に大きな変動があって、私鉄などは電力料金の値上げを名目に運賃値上げを申請するだろうし、やろうと主張するだろう、こう思うのですね。そのほか、いま申しますようにあらゆるものに波及する。これは国民の生活上きわめて重大な事態だ、私はこう思うのです。  いま物価が非常に上昇しておる。大豆の問題でも、先ほどからるる言われるように豚肉にしてもそうです。魚にしてもそうです。あらゆる問題がいま物価上昇で国民の生活を破壊している。それの根源的な、非常に重大なモメントを占めるこの電気、ガス料の値上げの理由が、公害をやかましく言うたら公害対策費、それの設備費だ。いろいろな形を、私企業である、いわゆる利益追求をするという一面の側面を持って、それをずっと歴年やっている中で、その設備をやるために独占企業の上にあぐらをかいて、そしてそれに対しては他に方法のない一般消費者にそれを転嫁し、負担をかけさす、こういうようなあり方があっていいのかどうか。そのことが物価全体に及ぶ上昇の大きな原因になっているというときに、依然としてそういうような態度を堅持されていくのかという、この基本点を私は両当局に伺っておきたい。もう一度両当局から聞きたい。
  64. 井上保

    ○井上政府委員 公益事業規制考え方でありますが、電気、ガスのような公益事業につきましては、地域的な独占性を有するという形でございますが、これは技術的な面、たとえば非常に昔、電力会社がたくさんございまして、それぞれ競争して、自由競争みたいな時代があったわけでございますが、そういう場合におきましては、非常に経費的な、施設的なロスがございました。そういうことで、国民経済的なそういう不利益を回避する意味におきまして、地域的な独占性を与えているわけでございます。したがいまして、住民にとりましては自由選択性がないということでございますが、相当的確なる自由競争が行なわれた場合にそこに実現するであろうようなそういうもの、それがすなわち、いまの電気事業法の十九条で規定しておりますような原価主義プラス公正な報酬ということで、国がこれを規制してまいりたい。したがって原価主義で押えていく、こういうふうに考えているわけでございます。また、公害経費等につきましては、これは極力節減すべきでありますが、しかし、必要上どうしてもやらなければならないものは経費として、これは当然原価の確保の中に入ってくる、こういう考え方でございます。
  65. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 電力、ガスの料金値上げにつきましては、通産省には一応申請がなされておりますが、経済企画庁へまだその協議がなされていない段階でございます。  これはたびたび申し上げておりますように、また、いまお話もございましたように、公共料金を値上げするということは、特にいまのような物価高騰のおりから、これは厳に抑制をしなければならないというのが政府の基本的な方針でございます。  その点で、経済企画庁は、国民経済全体の運営、国民生活の安定という立場から、通産省から協議がなされましたならば、厳重にこれを審査いたしまして、真にやむを得ないものであるかどうか、そこを十分見きわめて、そして対処してまいりまい、こう思う次第でございます。
  66. 神崎敏雄

    神崎委員 真にやむを得ないものであるかどうかと言うが、いまの関西電力等が出している申請については、これは商工委員会で先般も伺ったし、またこれから続いて明日も伺いたいと思いますが、先ほどから何べんも言うように、ここは物特ですが、この問題が物価全体に及ぼす悪影響、それからいわゆる波及効果といいますか、これはきわめて広いものである、ほんとうに国民生活を根本的に破壊する、そういうような本質と性格を持っているということの認識の上に立って、私は、物価上昇をとめる、こういうような観点に立っての、誘発するのかとめるのか、こういうような観点、そのカテゴリーの中だけでこの委員会で伺っておるのですから、基本点だけはっきりしてもらったら、具体的なことはまた商工でやりますが、続いて私が申し上げたいのは、だれもが認めるように、いま申しましたように、電力はきわめて重要なエネルギーであり、その料金をどう決定するかは社会的、経済的に大きな影響を与える。したがって、その料金の決定に際しては、国民の意思が正しく反映されるような民主的な方法がとられるべきである、こういうように考えるのですが、この考え方についてはどうです。これも両当局から聞きたい。
  67. 井上保

    ○井上政府委員 申請が出てまいりまして、それぞれ法令に基づきまして査定をいたすわけでございますけれども、決定する前には、それぞれの地域におきまして公聴会を開きまして、一般の方々からの意見を伺って、それを最後の料金の決定に反映させていく、こういうような制度になっておりまして、広く一般の方々の意見を聞いて決定を行なう、こういう制度になっております。
  68. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 ただいまお話がありましたように、公聴会というような方式で意見を取り入れることにいたしておりますが、米価の場合には米価審議会にこの委員も入っておりまして、そこでいろいろと審議がなされているようでございます。この委員会の方式に比べまして、電気、ガスの場合は少し弱いのではないかという御意見ではないかと思われます。  公共料金の値上げというのは非常に重大な課題でございますから、やはり民主的な、そういう意見を取り入れるような仕組みというのがあるいは必要ではないか、こう考えられますので、われわれも部内でその点は少し検討してまいりたい、こう考える次第でございます。
  69. 神崎敏雄

    神崎委員 まあ公聴会、広く一般ということが、まことに広く一般的な表現で、広く一般とはどういう階層、どういう代表者、どういう構成の方々の集まった公聴会なんですか。
  70. 井上保

    ○井上政府委員 もし申請書が出てまいりますと、各店頭、通産局等にその申請書を掲示いたしまして、それを読んだ方で意見を申し述べたい方につきましては、日にちをきめまして、いつまでに申し出てくださいということで、その申し込み書をとりまして、それが非常に多い場合は基準をつくりまして、賛成、反対の意見が正しく反映されますように、たとえば今度の例をちょっと申し上げますと、四国の場合は非常に賛成者が多くて反対者が少ないものですから、これではちょっとおかしいということで、まず半分は均等割りで、意見を申し述べる人を半々に分けて、賛成と反対に分ける、あとは比例でやるとか、あるいはいろいろな消費者代表の方あるいは工業界の代表の方等につきましてはある程度そういう方も入れ、学識経験者も入れるとか、非常にこまかい基準をつくりまして、公平に各界の意見の反映されるように、局内に課長クラスの委員会をつくりまして、そこで非常に公正に妥当に意見があらわれるように配慮いたしております。
  71. 神崎敏雄

    神崎委員 非常に私は何というか、驚き入った答弁を聞いたんですが、四国の場合は値上げの賛成者が非常に多いといま言われたんですか。ほんとうですか。
  72. 井上保

    ○井上政府委員 ちょっと発言が不備でございまして、条件つき賛成でございまして、何も条件なしの賛成ではございませんで、こういう、こういう条件つきの賛成と、こういう意味でございます。どうも失礼いたしました。
  73. 神崎敏雄

    神崎委員 失礼いたしましたということばで追い打ちは打ちたくないけれども条件つき賛成者があるということと、賛成者が非常に多いということとは全く違いますよ。冗談言いなさんな。そんなことであなた方は、一般陳情者やら値上げ反対の、してくれるなと頼みに来るような人たちにそういう態度でいつも当たっているから、ついそういうことばが出ると私は思う。けしからぬことばですね。四国の新聞、読んだですか。各一般紙の四国版で、四国電力の値上げに対しての記事が非常にたくさん出ていること、あなた、見たでしょう。そういうような答弁は根本的にやはり改めてもらわぬといけないし、また、いまは時間の制約もあるし、基本点だけ聞くということを前提にしておりますから、そのことはまた後日、商工委員会で話をつけましょう。  そこで私は、いま言われている現行の諸制度、審議会、これは民主的なものであるかどうか、お伺いしたい。
  74. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 現行の審議会についてはいろいろ問題点がございまして、私ども政務次官会議でもこれを取り上げまして、いま検討を加えております。中には、もう役に立たないものもあれば、きわめて非民主的なものもございます。また、非常に有効に活用されている審議会もございまして、これをひとつ全面的に洗い直して、それでこれから有効な運営ができるようにしょう。特に私どもが考えておりますのは、あらゆる審議会に消費者代表が参加できるような方向委員会の組織を改編したほうがいいのではないか。いろいろ審議会を見ますと、消費者が不在の審議会が多い。それでは国民の利益を代表し得ないというようなのが非常に多いので、これは消費者団体からの強い要望もございますし、国会からもそういうような御要望がございましたので、今後審議会にはできるだけ消費者代表も入れていく、そうして審議会が民主的に運営されていくよう、そういうようなことでいま話し合いを進めておる最中でございます。
  75. 神崎敏雄

    神崎委員 やや前向きの答弁をいただいたのですが、そのことは、次官、現在の審議会メンバーを洗いかえるということであるというように理解していいかということが一つと、今後やられる審議会というものは公開をされたらいいかと思うが、この点についての意見を聞きたい。
  76. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 審議会の中には、もう五つも六つも委員を兼ねたり、それから、ただいまも申し上げましたように消費者代表が入っていない、こういうようなことでございますので、今度審議会を全面的に再編をいたしました場合には、そういう委員の入れかえも当然並行して行なうつもりでございます。
  77. 神崎敏雄

    神崎委員 現在のをかえるのですね、このメンバーを。
  78. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 ええ、そうです。中身のメンバーも大体入れかえるようにして運営していこう、まあそういう話し合いをいたします。  公開の問題は、公開していい場合と、まだその段階でない場合と、その審議会の内容によって検討したいと考えております。差しつかえない限りはできるだけ公開したほうがいいのではないか、そう考えている次第でございます。
  79. 神崎敏雄

    神崎委員 できるだけじゃなしに、ほんとうに民主的にやるためにはオープンにすべきである、公開にすべきであるということですから、その立場で検討してください。  それから、いま言ったように、電気、ガス料金は通産大臣の認可制になっておりますが、このような重大な問題ですから、私は、これは認可制という現状から、やはり国会の審議が必要だ、国会の議決が必要だ、こういうふうに改めるべきだと考えるんですが、これは一体どうでしょうか。
  80. 井上保

    ○井上政府委員 現在の公共料金のうちで、国会の審議を要するものと、それから各省大臣の専管と申しますか許認可をしておるものと二つございますが、この考え方は、国の事業もしくはそれに類するようなものですが、政府関連機関の国の事業につきましては、財政法のきめるところに従いまして国会の議決、承認を得るというかっこうになっておると思いますが、電気の場合には私企業の料金でございますので、そういうことで通産大臣の認可ということになっておるのだと思います。
  81. 神崎敏雄

    神崎委員 私は、現在のことはよく知っているのですがね。国鉄運賃の値上げについては国会で慎重な審議がされる。賛否はさておいて、とにかく国民の代表で、いわゆるガラス張りの中で公開で審議がやられる。それとあまり変わらないというか——汽車の場合は、乗る人もあれは乗らない人もありますが、電気の場合は、一億国民あまねく、毎日二十四時間必要とするものであります。しかも、これが上がることによって波及する効果は、国鉄と同じように非常に大きい。こういうような公共独占企業は、料金をきめる場合——私は現在のことを言っているんじゃないのです。将来、これはやはり国会の議決を経るようにしなければならぬ、こう思いますが、当局はそれに賛成ですか。次官、どうです。
  82. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 国鉄につきましては、御承知のように運賃法というのがありまして国会の御審議を経ることになっておるのでございますが、電気事業、ガス事業の場合におきましては、本来が私企業でございます。公益事業ではございますが、その形態は私企業である。そして事業者の数が、御承知のように非常に多いのでございまして、電気事業の場合は六十八社、それからガス事業の場合は二百四十八社あるようでございます。そういう点で、一々国会の御審議にかけるということは非常に機動的な運営に欠ける。そういう意味で、所管省が一応審議して、それを経済企画庁がチェックしていく、まあそういう方式で運営したほうが効率的ではないか、また国会の委員会でも十分御批判を承った上でそれを決定するという方式がいいのではないか、こう思います。
  83. 神崎敏雄

    神崎委員 一方の側面から見ると私企業という形になる、他方の側面から見るとこれは公共性であり、公益性である。非常にうまくすれ違えるような性格を持っている。しかもそれが独占企業であり、一般国民はそれに握られてしまっている、こういうようなことになっておる性格のものです。ですから、これはやはり今後国会の審議の爼上にのせるべきだ、そういう必要があるということを私はいま主張しているのですが、その必要はないですか。
  84. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 非常に貴重な御意見であるとは考えますけれども、いまの日本の自由主義経済の運営のしかたというのは、まあ私企業を中心として運営していって、そしてやむを得ないものについては国営化していく、あるいは公営化していく、いわゆる混合体制を一応とっていると思います。したがいまして、公益性が非常に強いと思われます場合、たとえば国鉄の場合、こういうものは国会の審議を仰ぐ。それからやや中程度あるいはその影響度が非常に低いというようなものにつきましては、それぞれ政府部内で決定をさせていただく。その方式のしかたについても、経済企画庁が非常に強くチェックする場合と各省の大臣にまかせるというような場合と、あるいは必要があれば物価対策の閣僚協議会にかけるというような、いろいろの段階があっていいのではないか、こう考えている次第でございます。
  85. 神崎敏雄

    神崎委員 考えの基本だけを聞かしてもらうということですから、それはまた商工委員会でやりましょう。  そこで次に、私は税制問題について聞きたいのですが、これは、税制問題でも問題がある。関西電力の場合、特別措置法で四十七年度に七十七億七千万円の減免をしているんですね。これは四十七年度だけですから、三年間をトータルいたしますと大体二百億の巨額にのぼる減免をやっている。そうして一般消費者からは現在七%の電気ガス税という間接税をとっている。こういう間接税は撤廃すべきだと私は思うのです。これは大法人は別です。しかしながら、ほんとうにいま、電気ガス税などという税金は生活税だ、こういうふうに思うのですが、これについてどのような見解をお持ちになるのか、それを聞かしておいてほしい。
  86. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 現在、電気ガス税を市町村税として取っておるわけでありますが、現在の電気ガス税は、御承知のとおり消費税という性格の税であります。したがいまして、この消費税はいわば支出面から担税力を捕捉しようというものでございまして、そういう意味におきましては所得課税に対する補完税であるというふうに考えております。  そこで現在、電気ガス税というものは、いわば所得と消費とが大体見合っておるというような現在の家計調査等の実態にかんがみまして課税しておるわけであります。確かに家庭消費というものを見ます場合に、所得とは無関係消費されるものについて消費税を課税するという場合には、逆進的な税制になりまして、これは消費税としての性格は適当ではないというふうに考えるわけでありますけれども、現在の消費生活のもとにおきましては、やはり所得の多い階層におきまして電気ガスの消費が多く見られるというような関係にあるところから、なお電気ガス税は存続する理由があるであろうというふうに考えているわけであります。  ただ、実際に零細な消費にまで消費税を課税するということは問題がございますので、別途電気ガス税には免税点制度によりまして、そうした零細消費面については税負担を排除していく、こういう方式をとっているわけでございます。そういう意味で、現在の段階におきましては、電気ガス税を廃止するということは私ども考えておらないのであります。
  87. 神崎敏雄

    神崎委員 廃止すべきであると思うが現段階では廃止しようとは思わない、こういうことなんですが、電気料金が上がる、それに比例してこの税金も上がる。まさに消費者はダブルパンチを受けるわけなんですが、違いますか。
  88. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 消費税の性格から見まして、そのもとになります消費金額が上がってまいりますと税負担がふえてくるというのは、性格上やむを得ないところであります。ただ、今年の改正におきましても、昨年のガス料金の値上げというものを踏まえまして、従来の免税世帯がガス料金が上がったことによって課税をされることのないように、免税点につきましては相当大幅に引き上げたつもりであります。今後電気料金等について同じような問題が出ました場合におきましては、私どももそういう事態に対処いたして制度は考えていかなきゃならないというふうに思っております。
  89. 神崎敏雄

    神崎委員 間接税の性格というものは、階級的に見て、非階級性の高いものです。と申しますのは、このピースにかかる税金は、億万長者がのんでも私がのんでも同じで、私よりも所得の低い人がのんでも同じなんで、非常に非階級性的なものですが、電気とかこういうものは、たとえば電気料金が一カ月五千円だ、そのときの七%と、今度値上げをされてそれがかりに七、八千円になった、それの七%課税されるということになれば、まさに電気料金の値上げと税金の値上げ、こういうことになるのですね。均等割りじゃないのですね。消費量によって税金も上がる。まことに消費者にとってはたいへんなことなんです。ところが、あなたもおっしゃるようなのは、地方自治体がこれを財源としてやっている限り非常にそこに問題があるという立場から、常にこの問題についてはそういうようなお答えしかいただけないことになって、考えとしては撤廃すべきであると思う、しかし現段階ではというその現段階の中には、地方自治体の財源であるがためにと、そういうふうなことにいつもあいまいな態度をとってこられる。  この際、私は、地方自治体に対してはそれに見合った交付金をふやして、そして育成していけばいいのであって、そういう責任をとらない限りは、ほんとうに物価上昇から国民の生活を守るとか、こういうことを言ったって、私はこれは筋が通らないと思うのです。地方自治体が、電気ガス税がなくなれば財源的に困る。では、それと見合ったものを国から地方交付税をふやせばどうですか。これはあなたに聞いてもだめなら、次官どうです。所管は違うだろうが、やはり次官だから、政府の要人として考え方を聞かしてください。
  90. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 電気ガス税につきましてはいろいろと批判のあることは、われわれも十分承知いたしております。ただ、自治省からいまお話がありましたように、地方の財政上の要求からやむを得ない、そういうような意見もございますが、消費者を保護する立場にあります経済企画庁から申し上げますと、中小所得層に対してはもう少し免税点を引き上げる、あるいは税率を引き下げる、これが必要じゃないかと考えておりまして、いままでもそれを推進しておりまして、四十八年度からは、御承知のようにその緩和措置が多少実現をされることになっております。  そこで今回、今後かりにこういう電気ガス料金、これをどうするかということはまだ未定でございますけれども、かりに上げられるというようなことにでもなれば、消費者の負担はいよいよ増してくるわけでございますから、中小所得者に対するこの電気ガス税についてはやはり検討し直すことが必要ではないか。ただ、高所得者に対しましては資源の節約というような点からも、あるいは産業界に対してはそういう点からも、この措置は残しておいてもいいんじゃないか。ただ、中小所得層に対しては十分考えなくてはならぬ、そういうふうにわれわれ考えておる次第でございます。
  91. 神崎敏雄

    神崎委員 中小消費者に対しては撤廃する考えがある、こういうふうに理解しておきます。それでいいですね。
  92. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 一挙に撤廃するということは非常に無理と思いますが、だんだんと軽減しまして、そして最終的にそういう方向に行ったほうがいいのではないか、こう考えておる次第でございます。
  93. 神崎敏雄

    神崎委員 少しぼやけたけれども、その姿勢を積極的にやっていただいて、あと追いしますから、もうできたか、もうするのか、続いて聞いていきますから、覚えておいていただきたい。  それから次に伺いますのは、経企庁からもらった、今度の関西電力の値上げの消費者物価指数に及ぼす影響は〇・〇五%、こういうような波及効果の数字が出ているのですが、これは電気料金をかりに上げられた場合に、一般物価に対する直接的ないわゆる波及効果であって、先ほどからあげているように、これによるところの波及効果なるものの広範囲というものを見た場合、〇・〇五などというような数字がきわめて信憑性のないことは、まさに図式的といいますか、計数的な出方だと思うのですが、大体政策的、一般的に見てこんなものではないと思うのですが、次官、〇・〇五でとどまると思いますか。
  94. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 私どものほうから差し上げております〇・〇五%という数字は、全国の消費者物価に及ぼす影響でございます。地域の物価指数に及ぼす影響は、関西地域におきましては、関西電力の供給している地域内におきましては〇・二八%と推定をいたしております。四国電力の場合も大体同様でございます。そういう数字でございますから、全国と地域との差があるということを申し上げておきたいと思います。
  95. 神崎敏雄

    神崎委員 時間が参りましたので、最後に伺いますが、いま都会議員選挙がたけなわなんですね。あと二日かで終わりですが、この中で自民党がおっしゃっていることは、減税一兆二千億、物価は下げますと言っている。そして軒並みに政治政策、宣伝物が投入されたり、手渡されたりしているのですね。このことがほんとうなら、私は、それを遂行してもらうためには、電気税などこんな微々たる税金は撤廃すべきだ。一兆二千億、自民党が都議会選挙で躍進すれば一兆二千億減税だ。総選挙のときも一兆二千億減税だというビラを見ましたが、選挙が済んだら二兆二千億増税になっております。また、物価を下げますというなら、物価行政である、しかも根源的な問題点である電気、ガス、このようなものの値上げはするべきでない。おそらく時期的に見て、選挙は終わる、しかも国会は閉会になる、そういう段階にこれらの認可がおりて、それから次の臨時国会あるいは通常国会でわれわれがやかましく言って、言ったときはもうすでにガンもハトも飛んだあとだ。こういうようなことにならないように、いまここで御答弁されたその答弁を基準にして、そして看板に偽りのないようにするために、私は国民を代表して、強くこのことを確約をしておきたい。約束できますか。
  96. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 私も、悪循環的な政治論争が繰り返されることは、非常に好ましくないと考えておりますので、私が申し上げましたような点につきましては、これから全力をあげて推進をしていきたい、こう考えております。
  97. 神崎敏雄

    神崎委員 どうもありがとうございました。
  98. 山中吾郎

    山中委員長 次に、石田幸四郎君。
  99. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まず、物価局長にお伺いをしたいわけでございますが、現在のインフレ状況に対して、いろいろな金融政策また財政の繰り延べ等が行なわれておるわけでございますけれども、物価局としては、どういう対策を主眼としてこれからおやりになるつもりなのか、特に現在のインフレ状況に対して一般庶民の心理的な影響が非常に強い、こういうふうに影響をおそれておるわけでございますけれども、そういう問題に対して物価局としてはどう対応していくのか、これをまずお伺いをしておきたいと思います。
  100. 小島英敏

    ○小島説明員 衆参両院の全会一致の御賛同を得まして経済企画庁の設置法一部改正が通りまして、物価局が発足できましたことをまず御礼申し上げます。  物価局ができまして現在最重点でやっておりますことは、先ごろきまりました当面の物価対策といいますか、総合的な物価対策の七本の柱がございまして、その政府の合意で決定したものが実際に推進されるかどうかということを厳重に監視をし、不十分な点があればプッシュをしてまいるということが一つでございます。それから同時に、先日の閣僚協でもさらに新しい幾つかの点が追加されておりますので、今後やはり毎月の物価の動向を十分監視しながら、さらに総合物価対策に追加すべきものがあれば立案し、これを政府の合意にもってまいりますように、極力政府内部でまず努力をする、そのための各種の仕事に最善の努力を尽くすということが当面の最重点かと思っております。  それから後段のお話の、国民心理の問題をおっしゃいましたが、私どももたいへん同感でございまして、毎月発表されます物価指数が、前年同期に対してますます上げ幅を高くしていくという現状でございますので、国民の皆さんが、ますます事態が悪化しつつあるというふうに受け取って、前途に対して非常に悲観的な見方をされますと、一そう事態が悪くなるわけでございます。  そこで、私どもがこれから特に消費者の方々によくお話し申し上げ、理解を得たいと思っておりますことは、日本の場合のCPIの上昇あるいは卸売物価の上昇は、確かに昨年後半から現在に至るまでやや異常状態でございますけれども、先進諸国に比べますと、まだインフレの症状といいますか、という点から見ると、原因分析してまいりますとそれほど致命的な状態になっているわけではない。つまり今回のインフレ傾向の最大原因は、一昨年のニクソン・ショック以来のいわゆるレートの問題にやや固執をして、不況をいかに克服するか、あるいは再度の引き上げをいかに防止するかということが政策の最大の課題にされて、そのために景気振興がはかられたわけでございますが、ここにやや力が置かれ過ぎて、実際は景気が過熱しつつあるというところに最大のポイントがございます。それからもう一つは、先ほど来お話が出ておりますような海外インフレ、あるいはことしはいろいろな悪い条件が重なり過ぎまして穀物の不作だとかいう問題も重なってくる。さらに、過剰流動性とそういう海外物価高というものから来る一種の投機的な動きが加わる。それから第四番目には、これはやや長期的なんですけれども、公害の問題あるいは環境コストといわれるような面で、やはりコストアップの要因がある。それと最近、賃金の上昇に伴って、特に中小企業等においてはだんだんコストインフレ的な要因も加わっているというようなところだと思います。  これらの原因の中で第一の原因につきましては、現在政府全力をあげて総需要の調整をはかりつつあるわけでございまして、さらに必要があれば今後も追加していくということでございますので、第一の点と、三番目に申しました過剰流動性思惑対策というような点は、今後明らかに事態は改善してまいるというふうに思います。  それから第二の海外要因というのが、これは先ほど大豆のお話が出ておりますように、部分的には一時おさまっていたのがまたややぶり返すような品目もないわけではございませんけれども、一般的には、やはりことしの世界的な穀物のできぐあいというものは、各種の情報を調べますと、少なくも昨年のようなことはない。昨年よりはかなり事態が改善するという見通しでございますので、秋以降は、ことしに比べればそういう事情はかなりよくなってくるというように思います。先ほど農林省局長も言われましたように、非常に長期的な食糧と人口の関係ということは、また別途いろいろ問題がございますけれども、少なくもことしと来年と比べまして、来年のほうがそういう面の事態はかなりよくなるというふうに思います。  そういたしますと、あとに残る問題というのは、非常に長期的に見た公害あるいは環境コストの問題とか、産業構造がシフトしていくことに伴う発熱問題、あるいは賃金アップその他のコスト要因、これらはやや残りますけれども、やはり今回の物価上昇の一番根元になった問題というものは、今後改善していくことが十分可能でございます。現在もそういう方向で動いているわけでございます。  そこで、実際の物価の動きを見ましても、CPIの瞬間風速と申しますか、一月、二月前に比べての上昇率を見ますと、やはりことしの三月、四月が一番のピークでございまして、それからは、また上がってはおりますけれども、上がり方は少しずつ鎮静しているということでございますが、幸か不幸か、去年の七月ごろまでずっと横ばいでございましたから、前年同月で比較いたしますとなおしばらくは上がり続けることになりますけれども、そういう意味で瞬間風速は一時のピークを過ぎておりますので、そういう点を国民の皆さんによく理解していただいて、事態が悪化したというので、また三月、四月ころ見られましたような買い急ぎ傾向が出ますと全く事態が悪くなってしまうので、自分の首を締めることになりますので、政府全力投球いたしますとともに、国民の皆さんにそういう点をよく理解していただきたい、そういうふうに思っているわけであります。
  101. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 現在の政府の物価政策について、私たちは必ずしも賛成の意思をあらわしているわけではありませんで、いろいろ批判をすべき内容が含まれていると思うのでございます。しかし、政府としましては、いま物価局長がおっしゃったようなことを一般大衆に広く周知徹底せしめるといいますか、政府物価抑制のいろいろな対策について大衆に広く知らしていかなければならない、私はそういう努力が必要であると思うわけでございます。  一体、一般大衆とのコミュニケーションを物価局としてはどう考えているのか。確かにそれは新聞等には、いろいろ定例の記者会見あるいは各閣僚の記者会見等においては、そのつど発表されるでありましょうけれども、私は、現在の社会というのは、どちらかというと間接民主主義的なそういう政治が基本にはなっておりますけれども、住民の直接参加というような問題が非常にクローズアップされておるし、住民も、一般大衆も、何とか直接的にそういうような話を聞いてみたいというような要求がかなりあろうかと思います。特に地方自治体なんかの最近の状況を見ますと、そういう要求が非常に強いわけですね。国政においてはなかなかそういうチャンスがないので、新聞等をたよりにする以外ないと思うのでございますけれども、そういう意味におきましてどういうコミュニケーションをつくり、そういうような物価対策というものを周知徹底せしめていくのかということについて、お伺いをしたいわけです。
  102. 小島英敏

    ○小島説明員 やはり一番の主力は新聞、テレビ等を通ずるルートであると思います。いままでもそうでございましたが、今後一そう、先ほど申しましたようなことを、わかりやすいデータ、素材を役所のほうで丁寧につくって、これを新聞にお流しして出していただくということが非常に重要であろうと思います。  それから、これは庁内の組織でございますけれども、七月になりましてから、課長が実質的な専任で当たる広報室というものをつくりまして、どうしても企画庁の場合、物価問題というのが一番のそういう際の中心テーマでございますので、そういう問題を中心にPRにつとめてまいりたいと思います。  それから同時に、総理府の各種の広報予算等もございますので、総理府それから各省、これも実は物価担当官会議の中に消費者情報部会というものを一、二カ月前につくりまして、各省とも共同して、どういう素材をどういうルートでお流ししたら最も効率的であるかということを検討しながら、総理府予算等も活用さしていただいて大いにPRしてまいりたいと思います。  それから、三カ月ほど前から、大臣が直接一緒に出られて消費者懇談会というものをつくっておりまして、先日も第三回の会合が行なわれたわけでございますけれども、おも立った消費者団体の方に、役所の中の各種の情報と申しますか、資料等をつくってお流しいたしております。  それからもう一つは、物価局ができましてから、これは新しい制度になりますけれども、物価モニター制度というものをつくりまして、これは都道府県を通じて大体選考していただきまして、全国で五百人の方にモニターになっていただいて近々発足できると思いますけれども、これは毎月、そう専門的なことはあれでございますけれども調査していただきたいことをテーマをきめて五百人の方に調べていただく。その際には、政府の物価政策というものが現場においてどうワークしているか、うまく働いているのか、あるいはこういう点直したほうがいいのではないかというような点を洗っていただくということでございます。それから同時に、テーマにこだわらずに、現場から見て、消費者の立場から見てどういう意見を持っておられるかという点について、率直に意見を言っていただいて、それを中央でくみ上げて各種の施策に反映さしてまいりたいというふうに思っております。
  103. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一つ、これは提案みたいになるかもしれませんけれども、今度の大豆の問題一つを取り上げてみましても、そのようなアメリカからの輸出禁止というような報道が出ますと、一般庶民はすぐ、とうふが上がる、こういうふうに大豆即とうふというような観念が強いわけですね。そういうような状況でございますから、一般国民と行政とのギャップというものは、当然かなり大きいわけです。一般庶民の方は、一切の経済の仕組みについて熟知するということはほとんど不可能でございますから、そういう経済の仕組みが十分に掌握できない一般庶民の人たちに対するPRが、私は一番必要だと思うわけですよ。  そういう意味からいきますと、テレビがいま一般の茶の間に入っているわけでございますから、経企庁物価局としまして、一週間に一ぺんぐらい、予算をとって、大豆の問題が出てくれば、農林大臣でも出て一般の消費者との懇談をするとか、そういうような即応的な対策を立てる必要があるのじゃないか。これはきわめて速効的な対策かもしれませんけれども、やはり一般庶民の心理的な動向をリードしていくという意味におきましては、私はそういう方向をとらないと、現在の一般国民との対話というものはできないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。また逆に一役所におきましても、一般国民のそういう心理的な状況というもの、あるいは需要一つ方向といいますか、そういうものを知るためにも、そういうものは大いに役立つんじゃないか、こういうようなことを思っておるわけです。地方自治体においても、私はこれは大いにやるべきだと思って、自分のところの市とか県には、各議員を督促してこれを提案させておるわけですけれども、国としてもやはりそういうものが必要じゃないかと思っておるわけです。この点どうでしょうか。
  104. 小島英敏

    ○小島説明員 どうもPR不足で恐縮でございますけれども、一、二カ月前から、十二チャンネルの土曜日の十時から十五分間、これは先ほど申しました総理府の広報室の予算を使いまして、定期的に毎週一ぺん「物価アラカルト」というものを放映をいたしております。私も先日録音をとられまして、物価局長の抱負というようなことをしゃべらされましたが、今週土曜日に放映される予定でございますけれども、あと、近々発足いたします買占め売惜しみ防止法の運営のしかたとか、あるいは大豆の問題などということは当然テーマといたしまして、これは企画庁だけでなく、関係各省がそのときどきの問題に応じて話をして、国民の皆さんに理解していただく、そのルートにいたすということで現在やっておるわけでございます。
  105. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に、そのテレビだけでけっこうでございますけれども、年間予算はどのくらいになりますか。年間経費大体わかりませんか。——では、あとでけっこうです。  それでは次の問題に参りますが、池田さんはまだお見えになっておりませんね。それじゃ先に政務次官にお伺いをするわけですが、これから私は大豆の問題を若干やるわけです。  それについてでございますけれども、農業経済の見通しといいますか、これをこれから正確に把握をしておかなければならないと思うのです。  わが国は御存じのとおり、今日まで高度経済成長を大きな政治課題として推進をしてきたわけでございます。その結果就業率は一〇〇%近い状況になっておりますし、国民生産高の成長あるいは個人所得の増大と、いろいろ経済的には大きな成果が出ております。しかし、その陰には公害の大規模な発生がありますし、所得の片寄りもあると思うのです。また、土地を中心とした異常な物価高騰の時代を迎えているわけです。こういうようなところから、物質を中心としたそういう欲望の拡大となって、精神的な不安定というものも当然、これは現在あちこちに見受けられております。  農業経済全体を見ましても、高度経済成長のあおりを受けて、いまや三ちゃん農業は二ちゃん農業に転落をしておるというような状況がございます。それから、米とか野菜、くだものの一部の農産物を除いて、きわめて自給率が低くなって、農業そのものが壊滅状態寸前といっても過言でないわけでございます。たとえば小麦の状況を見ましても、一時三百万トンの生産量があったものが、いま四十万トンくらいですか、きわめて減っておるわけですね。自給率の高いものを四十六年度で調べますと、米の大体一〇〇%、果実の八一%、肉類の八三%、鶏卵の九八%、乳製品の八八%、そういう状況になっておる。しかし、逆に小麦は四十六年度ですらすでに八%、大豆に至っては四%ですか、こういうような状況になっております。また、価格計算の上からいきまして総合自給率は、三十五年九〇%であったのが四十七年には七四%であるといわれております。これをカロリー計算いたしますと日本は五〇%くらいであろう、こういわれておるわけですが、カロリー計算のほうでいきますと、アメリカ、フランス等においては大体一〇〇%、それから西ドイツにおいては八 〇%、イタリア七〇%、イギリスにおいてすら六 〇%くらいの自給率がある、こういうふうにいわれておるわけです。また、自給率の高い肉なんかを見ましても、この前もこれはちょっと問題になりましたけれども、いわゆる数頭生産というような、そういう小規模な経営が行なわれておりまして、飼料が高騰すれば、そういう牛を飼っている人たちはすぐやめてしまう。きわめて不安定な供給状況というふうに考えざるを得ないわけであります。  一体こういうような農業の実態に対して、今後工業と農業の全体的なバランスをどうとっていくかというようなことは、私は非常に問題だと思うのでございますけれども、最近の傾向を見ますと、新聞論調なんかも、やはり麦であるとか今度起こった大豆であるとか、こういうものの自給率を高めていこう、そうすべきであるというような方向はかなり高いわけです。これは農林省だけの問題では片づかないのであって、日本経済のバランスをどうとるか、特に労働力の問題を含めてどういうふうにしていかなければならないのかというのは、おそらく私は、来年度の政府の経済政策方向として大きな問題になってくるのじゃないかと実は考えているわけなんです。そこら辺はどういうふうにお考えになるのか、政務次官の意見をお伺いしておきたいわけです。
  106. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 ただいまお話にありました農業経済の問題は、非常にいま重大な危機に来ていると思います。生産自給率にしましても非常に衰えて、そして今回のこの大豆輸出規制によってすぐ大騒ぎになる。そういうような状態では、これは今後が思いやられますので、自給度を高めるということはこれからの農政の基本的な方向ではないだろうか、こう、われわれ考えております。  そこで、一挙にそれを高めることはできませんが、どうしても海外と協力をしながら、そして日本の農業生産をできるだけ自給自足できるようにする、これを今後われわれは推進をしていきたいと考えております。  それと同時に、現在日本の農家というのは、いま御指摘がございましたように、都市周辺の農家というのは、地価が高騰したために生産意欲を失っておる。地方の私どもの郷里でもそうございますが、農業政策が、特に価格政策が一貫していないために非常に農家の意欲が衰えて、いまや食糧をつくるよりは花木とか芝、そういうものに切りかえて、むしろ今後は、大きな企業が乗り込んできたらそこへレンタル方式で貸して、そして地代で食っていこうというようなところも非常にふえてきまして、このままにほっておけば日本の農業は荒廃に帰するのではないか、これを私自身も非常に懸念をしておるところでございます。  そこで、御承知のように経済企画庁では経済社会基本計画を策定いたしておりまして、五カ年後における第一次、第二次、第三次産業の構成の一応の予想も立てております。それで、いままでは第二次産業を主体にして、それを主にして経済政策を練ってまいりましたけれども、これからの基本的な考え方といたしましては、第一次産業のあり方というものを一体どうするか、これをまず基本に据えまして、それから第二次産業、第三次産業のあり方について考えていったほうがいいのではないか、そう考えまして、いま部内におきましてもこの基本計画のフォローアップをいたしまして、やがて経済審議会にも相談をいたしまして、日本の産業の構造政策についてひとつ検討を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  107. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点伺いたいわけでございますが、この大豆の問題にいたしましても小麦の問題にいたしましても、アメリカの経済政策影響されて、大豆なんかは早くいえば余剰物資であったわけですね、そういうものが安く入るからというので、だんだん大豆生産が少なくなってしまった。小麦にしてもそういうような状況で来たわけです。一時日本は保護政策をとっておりましたから、それで対抗できたのでございましょうけれども、今日アメリカのほうではそういう経済の自由化というようなことで、貿易自由化ということで、あらゆる製品にわたってそういうことを要求しておる。しかし、今度のニクソンの輸出禁止というようなそういう方向が出てくるとすれば、やはり食糧問題についてはかなり不安定な、いわゆる外国の物資輸入している輸入依存が高ければ高いほど不安定な状況になる。そのほかにいろいろな、今度の西アフリカのああいうようなひでりの状況が続きますれば、当然そういうような人たちも世界的に救済をしていかなければならないということになりますと、やはり世界的な食糧危機というものは、いつも何かの天候異変なりそういうようなことによって、かなり不安定な状況でこれからもいくであろうというふうに見ざるを得ないと思うのですね。そういうような中にあって、やはり日本農業政策というものはもっと強くなければならないと思うのですね。特に外交面においても、アメリカのそういうような経済政策に振り回されていくというような状況をどうしても改めなければならないと思っているわけです。  今度の問題として、あとオレンジの問題が、当然これまた出てくるわけですね。オレンジを買わなければ大豆輸出しないくらいのことは言いかねない。そういう状況を心配しておるわけですけれども、もう少し、アメリカのそういうような貿易政策に対する姿勢を日本政府としても強めていく必要があるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。たいへん抽象的な問題になりましたけれども、これに対してどう対処していかれるのか、御意見を伺いたいわけです。
  108. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 今回のアメリカ大豆輸出規制に見ましても、私は日本としても、これは非常に反省をしなければならないと考えております。アメリカ日本に強く自由化を迫っておる。そして日本はお人よしですから、それに応じて自由化をやってみた。そしてアメリカ大豆に期待をしている。ところが向こうのほうは、こっちの期待を裏切って、今度は半分も大削減をやる。そして一ぺんニクソン大統領は、伝統的にアメリカから輸入している国に対しては特別の配慮をするということを言いながら、現実的にはほかの国と同じように、一律に過酷な制限を課している。こういうことで、私は、アメリカの出方というものは、これは言いなりほうだいになっていてはたいへんだ。だから日本は、ここでひとつアメリカ依存、経済的な依存というものは十分考え直して、そして日本独自の道をやはり考えなくちゃならぬ。それには、国内自給率を高めるほかに、先ほどから話がございましたように、輸入多角化するとか開発輸入をするとかいうような多面的な政策をとることが必要だろうと思います。  特にこれからの、この紀元二千年までの見通しを、経済企画庁でもいまいろいろと策定中でございますが、一般にもいわれておりますように、食糧が非常に不足してきておる、しかも一方では世界的に爆発的な人口がふえていく、そのアンバランスということを考えますと、日本列島の中でわれわれ日本民族が生活するためには、少なくとも食糧については自給自足の体制を充実しておくということは日本にとっての最大の政策課題ではないか、こう考えておりまして、経済企画庁におきましても、農林省やその他各省とも相談をして、食糧の確保という点から十分な検討をひとつ加えてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  109. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この前、食品油脂課長さんにお伺いをしたわけでございますけれども、そのときの御答弁としましては、現在のアメリカ国内では、ああいう自由経済をたてまえとする国であるので、輸出規制をするという国内法規が整備されているものではないというふうに承っておるし、そういった自由主義の経済を前提とした定期取引をやり、しかも売りつなぎをするというようなことが行なわれておる現状からいっても、私どもは、輸出規制が現実に行なわれるというような確定情報としての受け取り方をしているわけではない、こういうような御答弁があったわけでございますけれども、日ならずしてそういうような輸出規制が行なわれたわけなんでございますが、アメリカの農作物を大量に輸入しているわが国として、農林省としては、こういうような情報源というものに対するアタックは非常に弱いように感ずるわけですよ。この点は一体どうなっているんですか。全く見通しが狂っちゃったんですね。
  110. 籾山重廣

    ○籾山説明員 お答え申し上げます。局長が参議院のほうと重なったものですから、かわって御答弁したいと思います。  私どもといたしまして、当時私どもの考えておる範囲では、輸出規制というものは通常アメリカの経済の行き方からはあり得ないんではないかというふうに考えておったわけでございます。七月二日には、八月積み、九月積みにつきましての一律五〇%カットという規制措置が出ましたこと、たいへん私どももびっくりしている次第でございます。見通しは、私ども、かりに制限がありますにせよ、伝統的な輸入国でありますところのわが国につきまして、ぜひひとつそれなりの配慮をしてもらいたいという意識で私ども期待をしておったわけでございますけれども、これもいまの段階では、アメリカなりにどういう配慮をしたかにつきまして正確なところつかんでいるわけではございませんけれども、結果的には一律的な五〇%カットという線が出ておりますので、非常に残念に思っておる次第でございます。
  111. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 見通しが誤ってしまってから残念でございますと言われても、これはおさまらないんでございまして、一体こういうような判断をした情報源、どういうような根拠でいままで——この前お答えをいただいたように、相当量の先物の手当てを終わっているので今年度の需給に不安はない、こういうふうに明言をしていらっしゃるのだし、また経済体制からいってもそういうことは心配はないんじゃないかというこの間の御返事だったわけでしょう。一体どういう根拠に基づいてそういうような御判断をされておったわけですか。もう少し具体的に、項目的にでもひとつ、いままでの情報のキャッチのしかたとしてはこういうものを基準にして考えておったんだというようなことを、明快にお示し願いたいと思うのです。それでなければ、また体制が変わったときに、そういう見通しがついてませんでしたから、見通しを誤りましたでは、これはどうしようもないと思うのですね。この点についてひとつ、もう少し具体的に御答弁をいただきたいと思います。
  112. 籾山重廣

    ○籾山説明員 アメリカは、御承知のように自由主義経済の国家でございますので、通常では輸出規制ということはあり得ないというふうに判断をして、私申し上げた次第でございます。今回の規制の動きを見ておりますと、大統領が新たに輸出の許可を制限をする権限を議会に対して要請をするという形をとっております。そこらの根拠を明確に、詳細なところ私存じておらないのでございますが、輸出入管理法というようなものを根底にしてやられたものというふうに理解をしておる次第でございます。
  113. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 けっこうです。それを追及しても無理かもしれませんから私はやめますが、これは有松審議官にお伺いしてよろしいかと思うのでございますが、農林省では今度方針として、食用大豆を三年間で自給したいというようなことを発表になったように新聞で承っております。この増産に対して、転作奨励とあわせて特別奨励金を出すというようなことを言われておるわけでございますけれども、この前の計画では五十七年度までに五十二万トンという計画でしょう。それがわずか三年で五十二万トンくらいはつくられるようになるのですか。農林大臣がそのように発表されたそうでありますけれども、私たちにはまるで手品のようにしか承れない。  一体、農林大臣が発表されたことに対して、農林省としては完全にこれがフォローできるわけですか、どうですか。
  114. 有松晃

    ○有松説明員 お答えいたします。  けさほどの、いま御指摘の新聞記事につきましては私どもも拝見いたしましたけれども、実はあのように大臣が発表されたというふうには、私ども承知しておりません。
  115. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 お役所ではしばしばそういうことをおっしゃるわけですよ。この間のPCB問題においても、厚生省ではやはり同じようなことをおっしゃっているわけです。しかし、これは明快に、農林大臣農林省事務当局と緊急対策を協議した結果として、このように新聞で取材をされておるわけでございます。ですから、まんざら根拠がないことじゃないでしょう。そういうような答弁じゃ私は納得できない。何にもないところからこういうようなことが発表になるわけはないでしょう。火のないところに煙は立たないわけですから。だったら讀賣新聞は大責任じゃないですか。どうですか。
  116. 有松晃

    ○有松説明員 大豆国内生産の問題につきましては、確かにいまアメリカ輸出規制、こういう問題もございますし、それ以前から、昨年発表になりました御指摘長期見通し生産目標におきましても、五十七年度においては五十二万トン、こういう目標を掲げておりますし、その線に沿って私どもにおきまして、生産対策生産振興をはかるという面で現在も検討はしております。ただ、具体的に三カ年でこの目標に、こういうことは、省内でもまだそういう話にはなっておりませんが、とにかく生産目標の線に従って生産振興対策を進める、こういう線で検討しておりますので、若干、あるいは新聞記事にその辺のそごがあったのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  117. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、新聞記事にいつまでも固執するわけにいきませんけれども、こういうような問題、農林省が従来の方針どおり、五十七年度までに五十二万トン増産計画ということで進んでいるならば、これは全く虚偽の報道ですよ。では一体、この新聞報道はどういうような経路で流れていったのか、そこら辺のところはそちらで報告してもらえますか。
  118. 有松晃

    ○有松説明員 けさの新聞につきましては、私ども、実はどういう経路でそういうような記事になったか承知しておりませんが、もし必要でございましたら、その点は調査いたします。
  119. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、その御報告をあとでいただくとしまして、そうしますと、逆に話を詰めてまいりますと、農林省としてはやはり五十七年度まで五十二万トンの生産目標ということで進んでいくんだ、こういうことで確認をしてよろしいですか。
  120. 有松晃

    ○有松説明員 お答えいたします。  これは先ほど申しました、昨年公表いたしました生産目標の中にそういうことで掲げてございますのでこれを目標といたしまして、私ども生産の振興をはかるための対策をこれから検討してまいるということでございます。
  121. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間もありませんから、そう長くはできないのですが、いずれにしましても大豆生産目標については、輸入価格国内基準価格とは大きな開きがあるわけですね。この前もこれはちょっと問題にしたわけでございますけれども、こういう状況ではとても増産体制は望めないのじゃないか。特に今回、休耕田の補償が廃止になって転作補償だけになるわけでございますから、いま大豆生産は、いわゆる転作補償を中心として増産体制をはかっていこう、こういうことになっておるわけです。この前この問題をお伺いしたときにはきわめてあいまいで、御返事がなかったわけでございますけれども、いわゆる休耕田補償というものがこれでなくなってしまいますと、米をつくったほうがはるかに農家としては得策なわけですよ。大豆なんかつくっているよりは、はるかに収益性がいいわけですね。たとえば四十五年度の農林省調査によりますれば、十アール当たりの粗収入というのは、米が六万七千八百円、大豆は一万五千三百円ですね。四分の一にも満たない。そういうような収益性になっております。これに転作補償を入れたとしても、とても追っつかないわけでしょう。今度休耕田補償をやめて、米の増産体制にまた必然的に、そういう流れとして入っていくと私は思うのですけれども、この点は、見通しとしてだいじょうぶですか。
  122. 有松晃

    ○有松説明員 大豆生産がいままで減ってきております原因といたしましては、実はいろいろございまして、収量が低い、あるいは経営規模が非常に零細である、あるいは病気にかかりやすい、こういういろいろな問題がございます。それと、いま先生おっしゃいましたような収益性の問題がございます。  これから大豆の増産をはかってまいります場合に、特に、いま米からの転換のお話がございましたけれども、来年度以降も米から他の作物への転作につきましては、従来同様に五十年までは続けていくというふうにしておりますので、この際には、転作奨励金として一反当たり約三万五千円、集団の場合は約四万円が支出をされる、こういうことになっておりますので、その面で収益性はカバーされる。なおそのほか、先ほど申しました生産性の低いいろいろな原因につきましても、諸般の生産振興対策を講じてまいる。また、大豆につきましては基準価格をきめて不足払いをいたしておりますが、こういった面でもできるだけの努力をしてまいりたいということであります。
  123. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 努力してもらうのは当然のことですよ。  池田局長さんにお伺いしますが、国内自給力を高めるために転作奨励金をたよりにして大豆生産量をあげていこう、五十七年度までに五十二万トンですか、そういう計画でおるわけですよ。しかし、何といっても、やはり農家の収益性が非常に問題になるわけです。いまも数字をあげたのでございますけれども、お米の場合は十アール当たりの粗収入が六万七千八百円、大豆が一万五千三百円、四十五年度の調査でありますけれども、発表されておるわけですよ。こういうような状況で一体これだけの増産体制が見込めるかどうか。しかも休耕田補償をやめたら、必然的に農家はまた米にたよると思うのですね。そういう状況の中でこれたけの見通しを立てて、はたして——五十七年までというのは私はたいへん不満ですけれども、ないよりはいいわけですから。ほんとうに見通しがつくのかどうかということを明快にお伺いしたいわけなんです。
  124. 池田正範

    池田政府委員 国内産の問題につきましては、いま私の所掌外ではございますけれども、あえてそれをお含みの上でおそらくお聞きになられたものだ、そう解釈をいたしまして申し上げますと、先ほども御質問にお答えして申し上げましたが、いずれにしましても生産性の格差が非常に大きい、しかもその生産性の格差を埋めることはなかなか容易ではない、これはおっしゃるとおりだと思います。  ただ、私も二年ほど北海道におりまして、現場に現実におってつぶさに見てまいっておりますけれども、北海道は、主としていえば十勝を中心とする地帯の畑作地帯が、今後おそらく五十万トンの国産大豆を実現するためにかなりの働きをしなければならぬ地域であるというふうに思うわけでございますが、やはり北海道といえども経営規模がまだ非常に小さい。平均の規模から見ても、十勝あたりは十ヘクタールそこそこでございます。御承知のように、大豆というのは、つくりますと、そのあと相当土地が荒れます。ですから、どうしてもこれは輸作体系の中に組み込んでいかなければいけない。そうしますと、三年、四年のローテーションで他の作物と組み合わせるということになると、どうしてもこれは、少なくとも三十ヘクタール程度の規模で組み合わせていかなければならぬ。これは北海道でもなかなか容易に達成できるものではない。  しかも、内地のほうを見ますと、かつて五十万トン程度国産大豆がありましたときの主力は、いわゆるあぜ豆でございまして、水田のあぜに豆をつくる。ですから、これは労力評価をまともにしないでつくってきた豆でございます。したがって、近代的な労賃評価、特にいま先生の御指摘のように、他の作物の平均の労賃、収入、生産性をあわせて考えるというようなことで国産大豆を定着させようとすることは、私ども、これは容易なことではないというふうに考えます。  しかし、いずれにしましても日本大豆の全体の需給というものが、片方輸入が三百何十万トン、国産が十二万トンということでございますが、最近の大豆は、大体国産が一俵一万七千円ぐらいしております。しかも、足りない足りないといわれながら輸入大豆は、ついこの間までは六千円ベースであります。いま高くなっても八千円前後。ということは、国産の大豆がまだまだ外国産の大豆に対して、相対的に高い地位にあっても対抗できるだけの質を持っている。それはやはり、みそとかしょうゆとかいう伝統的な食品の材料としての適合性があるということだと私は思うのです。  ですから、この優位性というものをうまく経済的な体制と結びつけなければいけない。そうしますと、最近は、現に五千八百円というなたね大豆交付金暫定措置法の基準価格になっておりますけれども、現実には一万円ぐらいで取引される。最近は一万七千円ぐらいになるということになりますと、言い方は悪いですけれども、最近の非常に御批判のあるような体制のもとでも、すでに三千ヘクタール近くのものが全国でも植えつけがふえているらしいということも承知しております。そうしますと、やっぱりやり方いかんによって単純にいまの引き合うというやつを、一反歩つくっても二反歩つくっても引き合うのだという形で引き上げるとまではやらなくても、長期に経営計画をうまく結びつけ、それから価格制度というものをうまく考えつつ組み合わせることによって目標は達成できる見込みはあるのだという感じを、私ども農林省の役人としては悲願として持ちたい、そういう感じでございます。
  125. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間が経過して申しわけないのですが、いま、新聞に発表になりましたこの件について、審議官のほうでは御存じないということでございますけれども池田局長としては農林大臣から、こういう自給体制でいくぞというような話は聞いていらっしゃいませんか。
  126. 池田正範

    池田政府委員 新聞は私も拝見いたしましたけれども、まだ大臣とその点について、言われたかどうか全然お聞きしておりませんので、何ともちょっとお答えいたしかねるところであります。
  127. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは最後に、食糧庁の志村部長さんいらっしゃいますか、麦の問題でちょっとお伺いします。  もう時間がありませんので一括してお伺いをするわけでございますが、三十年代には最高、年間三百万トンぐらいまでいったのが、四十八年度の見込みは四十万トンぐらいまで下がるのじゃないか、こういうふうにいわれてきておるわけですが、一体、このように生産量が急に減ってきたということについての理由、原因ですね、これをひとつ項目的にあげてもらいたいということと、それから、今後この問題については、この前も麦の価格についていろいろな問題が新聞に出ておりましたけれども、今後農林省としては、この小麦の増産体制について考えているのがどうか、あるいはやるとすればどういう方向でいま考えていらっしゃるのか、この点についてお伺いをしたいわけです。
  128. 有松晃

    ○有松説明員 お答えいたします。  国産の麦でございますが、先生指摘のように、最近非常に大幅に減少してきております。  その減ってまいりました原因でございますが、これはまず第一には、麦の作付の規模がきわめて零細である、そのために生産性が低い、あるいはコストが高い、こういうような問題が一つございます。それで、これにつきましては、なお農地の流動性が低いということのために規模の拡大がなかなか困難だというふうな実情がございます。  第二の理由といたしましては、最近兼業の機会が増大いたしまして、労働力が減ってきておる。その場合に、ほかの産業に出ていった場合の賃金の水準のほうが麦作の報酬よりもはるかに高い。これが減ってきておる原因の第二になっております。  それから第三に、麦は畑作と水田の麦と大体半々でございますが、特に水田の麦につきましては、最近の水田稲作の時期が繰り上がってきておるということのために、麦との作期の重複が出てきておる、そのために麦が作付けられない、こういう問題がございます。  そのほかの畑作につきましても、やはり表作との関係で作期の重複、こういう問題が出てきております。これも一つ原因になっております。  これらのほかに、なお収穫期に長雨が多い、こういったようなことも副次的な原因になっております。  以上が、麦の生産が減ってきておる原因でございます。  実は、先般麦の生産価格を御審議いただきました米価審議会におきまして、こういった国内の麦の生産について、委員先生方から非常に御議論がございまして、国内の麦作の振興をはかるべきである、こういう御答申をいただきまして、私ども、いま鋭意省内で検討をいたしておるわけでございます。これにつきましてはいろいろ困難な問題がございますけれども、先ほど申し上げましたような点をひとつ解決していかなければいかぬというような見地に立ちまして、まず水田の裏作の麦につきましては、これは機械設備の導入によって、表作、裏作を通じて機械化の一貫作業を行なうということによって、生産費の低減をはかりたい。それとともに、さっき申しました水稲との作期の重複を避けるために、これは技術的な面で、中苗の機械移植の技術の確立あるいは麦の成熟期の早い品種の育成をはかる、こういうようなことをいま検討しておるわけでございます。  それから、作付規模が零細である、こういう問題につきましては、集団的な生産組織の育成をはかるというようなことで、能率の高い麦の生産組織の育成をはかるというふうなことを考えております。  それから麦の乾燥の問題がございますが、乾燥調製施設の導入ということ、これも米と通じまして乾燥調製の面で合理化をはかってまいりたい。  それからなお、畑作の麦につきましては、これは畑作の輪作体系の一環になっておりますけれども、これにつきましても、麦はその輪作の一環として、地力維持の面から見ても非常に重要な作物でございますので、輪作体系の合理的な確立、さらにあわせて機械化、省力化をはかる。さらに畑作においても、生産組織による高能率な生産をはかっていく。  大体こういったような考え方を踏まえまして、現在省内で検討をしておる次第でございます。
  129. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは最後に、このきょう新聞発表になりましたところの、農林省のほうではどういう方針で今後いかれるのか、この新聞を見ますと増産体制特別奨励金が出るようなことも書いてありますし、そこら辺のところが正確であるかどうかについて御報告願いたい。これだけお願いしまして、終わります。
  130. 山中吾郎

    山中委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十五分散会