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横路委員 実は
航空路の再編や何かの管制方式について、若干提案を含めて
議論したいと思っておったのですが、その時間がないので、この「
運航の課題」についてもうちょっと
議論していきたいと思うのです。
一つは、この「
運航の課題」の中で、要するにコストダウンするために、たとえばいろいろな資格、機長のための資格とか路線の資格ですね、そのために
飛行機を使ってやるわけでしょう。その燃料代がたいへんだ、こう
指摘をしているわけですね。これを何とか節約をしなければならぬ。これは膨大な時間になって、そこで膨大な燃料費を食っているということが「
運航の課題」の中に出ているわけです。行政当局に対しては、
航空法を変えてもらって、できるだけ実機の時間を少なくして、シミュレーターに変えてもらおう。最近は特に、ビジュアルのフィルムのやつを入れて、それに変えてもらおうということで、どんどん実機訓練時間というのが減ってきているんですね。
たとえば日航の中ではこんなことも言っているんですよ。実機訓練を主として、シミュレーターを補助として使ってきたけれども、今後は、順次シミュレーターを主として、シミュレーターでできないもののみを実機訓練でいく、終局的には全コースをシミュレーターで行ない、ルートチェックで初めて実機飛行をするようにしたい考えであるというようなことの
発言まであるわけですね。そして実際に、これは話がありますけれども、去年ですか、副操縦士になったある人が訓練を終えて免許を得るときに、
航空局の試験官が、君
たちの操縦は決してじょうずではない、しかし三百時間以前の訓練としてはこんなものだろう、
あとは客を乗せてじょうずになってもらいたい、こういう
発言をしておるわけですよ。そして
皆さん方その方向に沿って、どんどん「
運航の課題」に沿って乗員の訓練を節約していくわけでしょう。だから
ニューデリーの
事故にしても、その点がまさにインド政府から
指摘をされているわけでしょう。あそこを全然飛んだこともない、あるいは一回ぐらいしか飛ばないでもって乗っていくからこういう
事故になるわけですよ。ビジュアルといったって、はい、これがモスクワでございます、はい、これが
ニューデリーでございます、これが千歳でございますなんて見て、初めて実機に乗っていく。だから、飛行場におりてみたら、インド
空港でなくて隣の何とかの飛行場だったという、そんなばかな大体常識的に考えられないことがあるのも、こんなことをふやしていけば、これからふえていきますよ。おりて隣の飛行場だったからいいけれども、おりたところが海のまん中だったらどうしようもないでしょう。
そこで私、
皆さん方にお願いしたいのは、私が国会に出て最初の四十五年のときから
飛行機の問題をいろいろ
議論しているわけですが、そのときに、機長昇格についての時間を削減するということが行管の許認可
法案の中にたしか入っていたはずですよ。昇格のために必要な時間を短くするということ、そのときも
議論したはずであります。たしかあれは許認可
法案じゃなかったでしょうかな、
航空法の改正じゃなくて。いいですか、
局長。ですから、
皆さん方に言わせれば、いろいろな緊急操作のものも、危険なものも、シミュレーターならいろいろできる、エンジンをカットオフにして、離陸するときに四発エンジンの一発、二発を切ってしまってやる訓練も、シミュレーターならできるけれども実機ならできない、そういう
お話だった。しかし
ほんとうは、そういう操作というのは、絶対落ちることのないシミュレーターでやったって、はたして身につくものかどうか。だから、ある程度は実機の中で訓練を従来のようにやっていくという
体制のほうがいいんじゃないでしょうかね。
日航のほうで、セカンドオフィサーの制度とか、ともかく乗員、機長になるための訓練時間の節約ということ、試験も民間に委託ということで、いろいろな機長の路線資格なんかいまやっているわけでしょう。そういうような合理化政策に、
皆さん方はこの「
運航の課題」の方向に沿って協力をして、その結果が
ニューデリーの
事故になりモスクワの
事故になっているわけですよ。だから、キャリーオーバーも世界の趨勢でございます、シミュレーターも世界みんなやっていることですということを言う前に、
日本の場合の
体制というのは、まだまだ
航空界の歴史だって浅いわけですから、そうすぐよそでやっていることをまねしないで、ちゃんと身についた
パイロットを養成する。何も急ぐばかりが能じゃないですよ。やはりゆっくりと、もうちょっと安全を一歩一歩確かめながら乗員を養成していくという方向にいかないと、私は、おりたら隣の
空港だったとか、何か間違えておりちゃって
ニューデリーのような
事故になったり、そういうような
事故が続発することになるんじゃないかというように思うんです。
大臣、
皆さんのほうで
指摘をされて、
日本航空や
全日空や
東亜国内から、みんなそれぞれ回答が来ていますよ。回答が来ているけれども、私が
指摘をしているのは基本的な方針ですね。これについてはほとんど触れられていない。訓練時間は
日本航空の場合は若干長くしましたけれども。その辺の基本的なところ、「
運航の課題」というのをぜひ
皆さんのほうで検討されてはどうか。その中から具体的に
提起された問題というのは、実現の方向にどんどん行っているんです。その辺のところをもう一度再検討をしてみてくれませんか。