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1973-04-25 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月二十五日(水曜日)    午前十一時三十四分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    伊能繁次郎君       越智 伊平君    大石 千八君       近藤 鉄雄君    竹中 修一君       丹羽喬四郎君    旗野 進一君       林  大幹君    三塚  博君       吉永 治市君    上原 康助君       山崎 始男君    和田 貞夫君       木下 元二君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      二階堂 進君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁長官         官房長     高橋 英明君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         厚生大臣官房長 曾根田郁夫君         厚生省公衆衛生         局長      加倉井駿一君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省医務局長 滝沢  正君         厚生省援護局長 高木  玄君         社会保険庁年金         保険部長    八木 哲夫君         農林省畜産局         長      大河原太一郎君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省行政局長 林  忠雄君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  相川  孝君         警察庁警備局警         備課長     室城 庸之君         沖縄開発庁総務         局調査金融課長 松岡  宏君         沖縄開発庁振興         局振興第一課長 加瀬 正藏君         外務省アジア局         外務参事官   大森 誠一君         農林省食品流通         局消費経済課長 堤  恒雄君         通商産業省繊維         雑貨局紙業課長 村田 文男君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 四月二十四日  靖国神社法制定に関する請願荒舩清十郎君紹  介)(第三一七七号)  同外十五件(楢橋渡紹介)(第三一七八号)  同(荒舩清十郎紹介)(第三三六一号)  靖国神社国家管理反対に関する請願横路孝  弘君紹介)(第三三六二号) は本委員会に付託された。     ―――――――――――――  本日の会議に付した案件  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号)  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九号)      ――――◇―――――
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 小坂先生、御苦労さまですね。あなたは経済閣僚としては非常にスマートで、他の閣僚諸君を適当に調整してあなたの信念の実践につとめられるお方でありますが、今度のこの法改正案を拝見しますと、現在のあなたに一つ特権が付加されるようになっておるわけですね。この特権である勧告権に対する報告ということと、それから内閣法第六条による意見具申権というものがこれへ新設されたのですが、このあなたに与えられる、長官に与えられる重い任務というものが、いままではなぜよいかげんに放置されておったのか。いままではこういう必要はなかったのか。経済企画庁というのはたいした存在意義がないもので、特に実効を伴う具体性を欠く問題でもあるので、ばく然としたその経済企画問題であるだけに勧告権の行使もできない。しかし実際は勧告してもらわなければ困ったような事件が起こっている。商品投機その他、物価高に与えた影響もたいへんなものであったと思うのです。経済企画庁の怠慢のために。いままではどうしてそれが済んだのでしょう。こういうものをいまあらためて出さなければならないほど、経済企画庁はのんびりと、春日遅々として、春の海のたりのたりかなでやってこられたのかどうか、お答え願いたいのです。
  4. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 受田先生はもう国会の長い御経験に基づきまして、非常にいま適切な私どもにとって頂門の一針ともいうべき御質問をまずいただきました。つつしんでお答えしたいと思います。  実は経済企画庁という役所は、御承知のように、経済安定本部からいろいろな経緯を経て、調査庁から企画庁になってまいったのですが、この経済安定本部が廃止になります経緯は、御承知のように、統制経済というものに対する批判というか、反省というか、そういうものの中から生まれてきたものでございまして、そうしたことで、わりあい役所が指導的にいろいろ指示したり命令をしたりということを避けようというような気分があったと思うのであります。ところが、どうもそれだけでもないというような情勢がこのごろ出てまいりまして、いわゆる混合経済と申しますか、官庁のやることと民間のやることとがしっくり息が合っていかなければならぬという情勢になりました。それぞれ主務官庁がもちろん厳としてあるわけでございますけれども、重要な政策立案とか、計画策定とか、そういうようなものについて各省庁が十分全体からマクロ的に見て間違いなくやっておるかどうかということをレビューする必要が従来より強くなってきたように思うわけでございます。そうした意味で、この法改正現実の必要があるという意味でお願いするようになったわけでございます。  ただ、こうした官庁といたしまして、経済企画庁はわりあい早くできております。その後、科学技術庁ができ、あるいは環境庁ができた。こういうところは指示権勧告権があるわけでございます。先にできたものはこれがなかった。そこで一般的な指示権を得たほうがいいんじゃないかという御意見もございましたけれども経済企画庁というのは非常に広範な政策にわたるものでございますから、あまりこれが全般について指示を持たれては困るというようなこともございまして、特定の問題について物価情勢等を勘案して機動的に、弾力的に勧告権を駆使してまいろうということになりまして、具体的に申しますと、先般十三日に物価安定に関する七項目の決定をしたわけでございますが、あの項目に基づいてそれじゃ財政運営を機動的にやる、金融政策を機動的にやる、そういうことについてこらだと思います。という一つのワクがあって、その中における勧告権意見具申権、そういうふうなものに理解しておるわけでございます。  以上お答えといたします。
  5. 受田新吉

    受田委員 長官も当時御一緒だったことですから私もよくわかるのですが、経済安定本部経済企画庁に切りかえられた、そのときは職員もそのまま辞令を用いずして移行できるようなすべり込みをやったわけでして、そういう行きがかりから、古い官庁として、オールドストアーというようなことで、あとから来たお店が勧告権を確保し、また報告義務を持たされたり意見具申権を持ったりするようなことになって、あとのカラスが先に立ったということだという意味も、ちょっといま長官が言われたことは私はうなずける節があるわけです。  しかし、国の政治行政部門というのは、そうした生きた情勢に即応していかなければならぬことはよくわかるのですが、同時に、一貫したものが行政の筋骨に通っていなければならないのです。したがって科学技術庁がすでに勧告権を行使しております。これは私の質問に対して、当時の池田科学技術庁長官が、理工学部の学生養成に関する文部大臣への勧告を私が質問した翌日、すかっとやったのです。あの人は英断をふるったのですね、これは。それから環境庁騒音防止の問題を取り上げておる等、いろいろやっておるのですが、いささかおくれたりとはいえ経済企画庁は、これらの総理府の外局よりもそのお店の古さにおいて先輩であるという意味において、今後この運用については十分ひとつ生きた成果があがるようにやっていただかなきやならない。  そこで、経済企画庁のお役人さんたち、長期経済計画についてすでに勧告権があったので、ございますが、この物価高を招いて、今日国民批判を受けるに至っている現状に対して、従来なぜ勧告権の施行について長官にその意見を申し上げて勧告に踏み切らせることができなかったのか。物価の上昇ということは長期経済計画の一環に入っておるのじゃないか。これもひとつあわせて、事務当局で御答弁できる方からお答え願います。
  6. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 確かに経済計画についての勧告権問題規定がございまして、いままで戦後六回の計画がつくられ、今回また経済基本計画がつくられたわけでございますが、経済計画は、御承知のように、策定の過程において関係各省の全面的な作業協力を受けてやっていくという形で進められることになっております。そういうことでございますので、この計画策定立案、さらにその実施という段階で、そういった形での相互の情報交換あるいは意思の疎通ということは、相当十分に行なわれておるというのが実態でございます。したがいまして、この勧告権を発動してどうしてもその方向に動かさなければならぬ、こういうような事態が従来なかったというのが正直のところでございます。  この中には当然物価についての見通しも入っております。これは、政策目標としては非常に重要なものとして、特に最近の計画では考えておるわけでございますが、この物価につきましては、またそれぞれの政策といろものが相当こまかく運営されるということもございまして、物価安定政策会議、さらには政府としては物価対策閣僚協議会というようなところを通じまして、常時いろいろ各省との折衝をやっておりますし、また、閣僚間の意見交換、一致をするという仕組みもつくられておりますので、従来、勧告権というような形をとらなかったわけでございます。  しかし、今後の問題として考えてみますと、こういった問題についてのけじめというものは、はっきりしたほうがいいのではないかという反省も一部持っておりまして、今後はこの条項について前向きに考えていきたい、こう考えておる次第でございます。
  7. 受田新吉

    受田委員 経済企画庁は、この経済成長見通し、その経済成長の実質的な成長の度合いというものをどの辺に置いたらいいかというところまで、常に国民指示して協力を求めておるわけですね。ところがそれ自身が終始ずれておる。つまり経済企画庁自身が見立てた診断は、結果においては常にくずれ去っておるという、どこか抜けた要素を発見せざるを得ないほど、経済企画庁見通しは甘いものがあると思うのです。そういうふうなところから、勧告しても他の省が言うことを聞かぬ。経済企画庁が立てた経済成長見通しそのものが、成長率の取り上げ方そのものが間違っておるじゃないかといろ意味においては、命令としての威力がない。威力のないものが勧告しても、結果においては効果があがらないというので、つつましやかに勧告をしなかったということになるんではないかという判断をせざるを得ないのです。つまり、実質的に効果を伴うような勧告ができなかった。しかし、現実経済見通しを誤り、国民生活を圧迫し、大企業中小企業の格差はどんどん広がり、そうして犠牲者がちまたに彷律すると同時に、一部の繁栄する連中が栄華をきわめておるというような経済実態経済企画庁現実につくってしまったのです。  大臣、私、非常に残念なんですけれども経済企画庁といろお役所は、各省にまたがる経済運営について、常に高い立場から指導し、その誤れる面があればこれを正し、足らざる点は補って、国全体の経済を少しでも正常な形に持っていく意味があるお役所だと思うのです。ところが、現実経済実態は、経済企画庁が作成される長期経済見通しが常に大きな狂いを来たして、国民生活全体に経済企画庁の果たした役割りは非常に欠点を生じておるということ、これは長官、御認識になっておられますね。
  8. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 経済企画庁任務役割りについての御認識は、私もそのとおりであると思います。そこで、いまの長期計画についての勧告権の問題、これが発動されていない点はまさにそのとおりでございまするので、私どもが今度長期計画をつくりましたについては、毎年このフォローアップを大いにやろう、こういうことにきめました。これは、長期計画をそのままにしておきますと、いまおっしゃるような現実との乖離が出てくるわけですから、出た年々にひとつよく見直しまして、その計画と実質が合うように、また合わなければどういう点が間違っておるかということを考えまして、そこに勧告権の発動もあろうかと考えておるわけでございます。そういう点は大いに自省いたしまして今後改めてまいりたい、こら思っているわけでございます。
  9. 受田新吉

    受田委員 経済企画庁は、各省にまたがる、経済関係省影響力を持つお役所であります。常に指導的役割りを持って各省ににらみをきかせると同時に、これらを、権力を乱用するという意味ではなくて、むしろ誘掖指導して国の経済を健全に成長させていくということに努力される役所ですから、この点でせっかく経済企画庁があり、また国会の冒頭には、総理大臣に次いで大蔵大臣経済企画庁長官という施政演説があるわけなんです。あまり意味がないなら、経済企画庁長官演説はやめたほうがいいのです。はずしたほうがいい。外務大臣大蔵大臣だけで、別に文部大臣も入れて三人くらいやってもらったらいい。にもかかわらず経済企画庁長官が入っておる。しかも先生のような大物がこの長官になっておいでになるのです。この際ひとつ威力を発揮してもらいたいのです。この際せっかく権限を強化される状態において、いまあなたの部下の高級官僚の皆さんがひとつ十分英知をすぐって、各省との連携を密にして、国民生活のあのアンバランスを是正する大役を果たしてもらいたいのです。  そこで、長期経済計画というのは一体どのくらいまでを長期というのか。経済企画庁がいつも検討してこられるのは、現時点からどの辺までを経済企画庁の担当として長期というのかをお示し願いたいのです。
  10. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 先ほど申し上げましたように、戦後七つもの計画がつくられたわけでございますが、最長のものは所得倍増計画、十カ年。それから六カ年計画もございますが、大体五カ年計画が普通でございます。これはわれわれの持っておる予測技術というものの正確さと申しますか、そういう点もあるかと思いますが、やはり経済社会の動きがわが国の場合特に激しいものでございますから、そういうことも十分考慮して五カ年くらいの計画が最も実効的である、こういう判断のもとにつくられておると思います。今度の経済社会基本計画も五カ年計画にいたしたわけでございますが、ただ、やはり長期見通しというものを一方に持たなければならないということはまた事実でございまして、今度の計画ではその点で、昭和六十年ないし六十五年にわたる長期見通しを一方では作業をいたしまして、計画の中に書いてございますが、そういうことを踏まえて五カ年、こういうやり方をしたわけでございます。  今後これをどの程度期間的に考えていくかということになりますと、まだあまりはっきりした方向性はございませんが、各国の事例等を見ておりましても、大体、経済計画としては五カ年くらいをめどに考えていくことがいいのではないか、こういうふうに私はいま考えおります。  なお、国土計画になりますと、このほうはずっと長くなっておりますが、従来の実績その他から見まして、ただいまのようなことでございます。
  11. 受田新吉

    受田委員 国土総合計画は、今度経済企画庁から国土総合開発庁へ移管するセクション一つできておる。そこではどのくらいの長期展望をなさってきておるのですか。現在まだ企画庁の中にあるのですからお答え願いたい。
  12. 下河辺淳

    下河辺政府委員 現在あります国土総合開発法に基づきます全国総合開発計画は、昭和四十年を起点といたしまして昭和六十年目標でございますので、二十年計画ということで計画を立てております。これから国会で御審議をいただきます新しい国土総合開発法につきましては、現在の予定でございますけれども昭和五十年を起点として六十年までの十年間の比較的実施に近い計画のものと、それから昭和七十五年という二十五年間の長期計画と、両方とをつくり上げたいということで用意を始めておりますが、これはまだ予定でございます。
  13. 受田新吉

    受田委員 長期展望に立つ総合計画の中で、一例をあげましょう。電源開発は現に経済企画庁の御所管。水資源開発、こういうものが今後どういうふうに流れていくのか。エネルギー資源石油というものは今後どのくらい実用に供せられるのか。石油あとには一体いかなるものが燃料として、エネルギー源として考えられるのか。国際的に見てそれらがどう判断されるかということも、今度はもちろん、この国土総合開発からはずされたほかの面で、国際関係のほうでやられるわけですけれども、そういうものも十分念頭に置きながら長期経済計画を樹立されなければならないと思うんです。そうした運輸方面運輸行政の面では、油はどういう形で、車はどういうふうに進んでいくのか。車は電気で走るようになるのか。あるいは海水を脱塩して水をとるにはどうしたらいいのか。そういうものは、常に科学の研究面とあわせながら経済の発展に長期展望を持つという、やはり夢が経済企画庁に要るのです。それは、通産省とか運輸省とかの役所は目先をやる、経済企画庁長期展望を持ってそれを考えるという役所ですから、他省に遠慮なくそういうものをさっとやって、国際協力も考えていくということでやっていく必要があると思うのですが、そういうところにまだ昭和六十年の話が出たり七十年の話が出たりすると、その辺においては、いまのような燃料問題というものは、当然経済問題の根幹として新しい展望に立たなければいかぬ時期が来ておると思うのです。こういうものはどういうふうにお考えになっておられるか。
  14. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 御指摘のとおりでございまして、今度の計画は五カ年計画でございますから、いまお話しの、たとえば資源問題あるいは水問題、土地問題、こういう問題については、一種の制約条件あるいは有限性の問題ということで、計画の中に書いてございますが、しかし、数量的に五十二年までの五カ年間でそれほど大きく変わるかというと、いまだ趨勢が、若干省資源、省エネルギー型に動くということはございますけれども、そう大きくは変わらない、こういうこともありまして、昭和六十年ないし六十五年の展望を一方考えてみる、こういうことをやったわけでございます。  しかし、特にこの石油等につきましては、一応われわれも作業いたしましたけれども、まだいろいろ残された議論がございます。まして水の問題、土地の問題等になりますと、これは地域的に非常に条件も違いますから、いま開発局長のお答えいたしました今度の新しい法律に基づく長期計画というような作業を待って、そういうものによってまたさらに検討し直すということがどうしても必要になるだろう、こう思っております。現段階において一応見通し得ることは展望をやったわけでございますが、その点ではまだまだ不十分な点がある、こう申し上げておきたいと思います。
  15. 受田新吉

    受田委員 経済長期展望というものは、国内だけでは解決できないので、国際的な分野にわたる全世界総合的判断の上に立つ長期展望というのが要るわけですね。そうした国際分野における経済長期展望、これはあなたのほうから出されておる経済社会基本計画のほうも一応私は読ませていただいたのですが、その中で一つ問題として考えられることは、マルサスの人口学説ではないが、世界人口がどう流れていくか、そしてその中に食糧は、どの州ではどういう方向食糧出産が進んでいるか、そして第二次、第三次産業というものはどういう形で進んでいくかというような問題も、やはり経済企画庁は十分検討して、人口問題と、そして食糧問題、そういうものをあわせて、十年後、さらに二十年後、少なくとも三十年後くらいまでの展望だけは持って日本を指導していって、その意味においては人口の移動も考分ていい時期がくる。つまり、日本の狭いところでは限界がくるから、これを国際的視野に立って、国連にもそういう人口問題のセクションもあるわけでありますけれども、そういうものを通じて、世界人口適正配置、そして世界食糧の適正九利用、その中で日本はどういう役を果たしていくか、今後日本食糧はどういう形でいくかという農水産の立場もあわせながら経済見通しも立てていかなければいけないと思うのですが、この人口推移とそれに対する食糧推移、そして日本のその中における役割り、そういうものを非常に高度の視野から経済企画庁はどこかで考えてやっておるのかどうか。いや、そんなものはわれわれの省ではありませんと逃げておるのかどうか、これも伺いたいのです。
  16. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 ただいま御指摘のような点も、特に国際経済との関係でいろいろ議論はございました。しかし今度の計画で、それを断定的にどうだということを申し上げるほどに議論は詰まらなかったというのが実態でございます。一方において、ローマクラブ指摘にございますような、特に、人口についての非常な問題点、あるいは世界食糧についての見通しも、言ってみれば意見が分かれております。相当悲観的な意見も一方にありますと同時に、いや、それほどでもないという意見もございます。こういった問題につきましては、わが国だけがどう作業するというだけで問題がきまるものかどうか、これはいろいろ議論が行なわれると思います。資源問題については、すでに今度のアメリカのエネルギー白書問題等もございまして、これから先進国間でいろいろ議論が行なわれると思いますが、食糧問題、人口問題、そういったものについては、国際的な観点でいろいろの機会を通じて意見交換しながらわれわれとしても政策方向を固めていく、こういうことにすべきであると思います。もちろんそういった意味の勉強は常時やっていますし、計画フォローアップとしても、これからもやっていきたいと思う次第でございます。
  17. 受田新吉

    受田委員 小坂先生、私たち非常に傾聴すべき金言がある。政治家は次の世代を考え、政治屋は次の選挙を考える。次の選挙を考えて小選挙区いじりをなさろうとする自民党は、政治家集団政治屋集団かを疑わざるを得ないという点ももう一つあるわけです。だが、お互い政治家集団でありたいですね。お互いみんな政治家でありたい。次の世代を考える、あとに続く者に希望ある国家をつくってあげる、そのためには経済企画庁というのはたいへんいい役を果たす役所だと思うのです。長期展望に立って国民生活の安定をはかる基本をつくる役所なんです。あなたはその意味で、いま私が指摘した相当長期にわたる人口問題、食糧問題、国際的視野に立つ問題を十分念頭に置きながら日本経済見通しを立てていくという私の提案に賛成されると思うのですが、御意見を承りたいです。
  18. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 受田先生の御所論は私は全く同感でございます。私どもがこうして政治をやっておりまするのは、もう端的に申しまして次の世代のためにやっておるという考え方に徹しねばならないというふうに思っておりまする次第でございます。その意味で、私ども今日の物価高のこの状況を見てまことに心が痛んでおるんでありまするが、これは全力を尽くしまするが、一方また目を転じて次の世代のことを考えてみますと、われわれの努力いかんによってはまた非常に夢多き美しい世代をつくることもできるわけでございますので、そういう意味でせっかく努力いたしたいと考えております。  なお、その上に、先ほど御指摘になりました科学技術の将来の重要性ですが、最近の私ども反省は、科学技術というものの進歩におぼれて、これをただ人間が駆使しようと思ったあまりに、人間生活との調和を忘れておったという面もございます。いま御指摘のように、石油問題等は、全体のエネルギーの観点からいたしまして、今後大きな問題があるわけでございます。そういう科学技術との関連と将来の計画立案ということについても、ただいまの御注意を身にしみて受けとめまして、十分配慮してまいりたいと存じます。
  19. 受田新吉

    受田委員 大体御意見が一致する点が非常に多いのですが、小坂長官非常に熱意をもって取り組もうとしておられる点、敬意を表したいのですが、そのことでもう一つ、人間尊重の面で、経済企画庁、またたいへん大事なお仕事をいま担当しておられるのです。離島振興。離れ島に住む人々の不幸は、これは生活上のたいへんなマイナスを長期にわたってかせいできたのです。長官、私も山口県の瀬戸内海の大島という島の出身です。何回か私、例示したことがあるのですが、その交通機関が発達せざる段階で島から大陸に渡ることができない。あらしの日にちょうどある資格試験を受けに行くことが不幸にしてできなくて残念な思い出を持ったことがあるわけです。  企画庁は離島振興を担当しておる。今度国土総合開発庁に行くからそれは私の所管ではないではなくて、いま現在、国土総合開発庁というものはまだできるかできないかわからぬので、そのほうへ行きますからといって逃げちゃいけませんよ、これは。責任官庁として離島振興をどうしてはかっていくか。  同時に、山村をどうするかもまた重要なんです。山村振興。特殊土壌地帯、不幸な土壌地帯、そういう地域に住む、交通上、経済上恵まれない地域に住む皆さんに、経済企画の中でこの不幸を補う配慮が人間尊重の政治をするのに一番必要なのです。経済企画庁は、ただ経済の高度の成長のみに力点を置くだけではなく、そうした経済の盲点になる人間尊重の大役を一方で持っているという、これはうれしい仕事が残っているのですよ。  離れ島に住む人々の不幸を補い、山村僻地に住む皆さんのしあわせを守るため、特殊土壌地帯で陥没する地域などでがたがたする家屋敷に住む皆さんに積極的にどう取り組もうとしておられるか、経済企画面から御答弁を願いたい。
  20. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 受田先生の非常にヒューマニズムに立脚した御所論、傾聴いたしておりまするが、私ども全く同様な考え方に立ちまして、ただいまお示しの離島の問題、山村振興の問題、そして特殊土壌地帯の問題に取り組みたいと考えております。  御承知のように、受田先生はじめ皆さんの非常な御努力で離島振興法ができましてからちょうど二十年に当たるわけでございまして、私どもはこの機会をとらえまして、従来御苦心をいただきました方々に絶賛のことばを送りたい、表彰もさせていただきたいというような計画を実は進めておるわけでございます。今年度の予算面で見まして、御承知のように、四百二十五億円つきまして、対前年度比三三%増ということにいたしておるのも、われわれがいかに離島の問題を重視しているかということのあらわれと御理解いただきたいと存じます。もちろんこれでいいというわけじゃございません。今後ともさらに、離島の特殊事情にかんがみまして、交通通信体系の整備とか、農業、漁業等の産業基盤の整備とか、国土保全のための諸対策や、立ちおくれ著しい環境施設の整備等に十分力を注ぎたいと考えておるわけでございます。  なお、山村振興につきましても、同じような考え方を持っておるのでございまして、この新全総計画の中で山村振興を要する地帯が取り残されておるということはもう現実でございまして、そうした地帯に対する公共事業、特に保安林、地すべり防止等の施設をいたしましたり、学校や診療所や公民館等のいろいろな施設をいたして、生活改善、労働条件の改善をはかるというようなことをいたしておるのでございまして、この地区に対して、いかにも面積はわずかでありますが、それだけに忘れられてはならないところだという考えをもって、予算等についてもできるだけの配慮をいたしておるわけでございます。  また、特殊土壌地帯に関しましても、ただいま四十七年十月に第五次特殊土壌地帯対策事業計画を立てましたわけでございまして、これに関しまして、公共事業面で特に砂防ダム、農業災害の防除事業並びにかん排、道路整備、草地改良あるいは畑作振興特別事業等の工事を行なうべく大いに努力しておるのでございます。国費の面で見まして、第五次の計画では、第四次に比べまして二三六倍の予算を付加いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  21. 受田新吉

    受田委員 詳しく説明していただいたんですが、それはそれですけれども、三〇%以上の伸びを示しておる。私も離島振興法提案者で二十年の歴史をつくった一人でありますから、そのことはよくわかるのです。事実問題として、これだけ高度の文化国家になってきた以上は、その島に住む皆さんにとって、三〇%以上の予算をふやすこと以上に、文明の恵沢に浴する地域との格差は広がってきつつある。長官選挙の御経験を何回よされておられるでしょうが、山村、僻村で五軒、六軒という山奥の小さな部落へ行ってごあいさつをするときに、その人々が家から出て総がかりで静かに聞いてくれるあの声を、あなたは忘れて七られないでしょう。そういうところはかせぎにならぬから、駅の近くで、あるいは住宅の密集する地区で演説をぶって選挙の票をかせぐというこでなくして、離れた山村、僻村にも行き、離島にも行って立候補のあいさつをしていくというような、そしてその五人でも十人でも血眼で聞いくれる山村、僻村に愛情のある政治をしたいとい一声を、聞いてくれる人に長官もやったことありましょう。ありますか、ないか、ちょっとそれを聞かしてもらいたい。
  22. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私の選挙区の中に陸の孤島といわれる地帯がございまして、これは秋山郷と申しますのですが、冬になりますと全く交通が途絶する地帯でございます。一説には、平家の落人がそこに集まっておるというような説もある場所でございますが、そこに私ども選挙のたびに参りまして、いま先生おっしゃるような実感をひしひしと受けておりまして、そういう恵まれない地帯に政治の光を与えることにこそ政治の意義があるというふうに痛感いたしておる次第でございます。
  23. 受田新吉

    受田委員 そこで、私あまり時間をいただかない約束がしてありますので、締めくくりの質問に入りますが、その原則に立って、経済成長は人間を無視するのではなくして、経済の高成長、高福祉、それが並行する社会をつくっていくのだというところに企画庁目標がある。その観点からいくならば、経済成長のテンポはこの辺で少し歩をゆるめて、人間尊重をぐうっと伸ばしていくという形にいっておるのじゃないかと思うのですが、これは国務大臣として先生の御意見を伺いたい。
  24. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 仰せられるとおりでございまして、私どもは、新しい福祉社会というものを重点的に築いていこうということを、新しい経済社会基本計画目標にいたしておるわけでございます。
  25. 受田新吉

    受田委員 そこで一つ例示したいことがあるのです。この通勤地獄、そしてきょうあたりの国鉄の実力行使の状態等を拝見するときに、通勤する皆さんが国鉄を利用する。しかし通勤輸送には一般会計からは何ら応援がしてない。産業道路として大きな計画をもって貫く縦貫道路等については、一般会計資金が振り向けられておる。そうした公共性を持った事業に対しては、新規の投資その他についても一般会計からこれを補っていって、一般国民の応援でこういうものが実現する。特別会計で片づけない問題としてやるべきではないか。これは公共料金を抑制する意味においても効果があるわけです。物価抑制にも貢献する。経済企画庁各省にまたがる問題を担当している。輸送経済にも関係を持った役所ですから、いまの通勤輸送については一般会計から何ら応援をしていないのに、そういう産業道路については一般会計からどんどん応援をしておるという実情。一般会計から応援、つまりいまの国鉄の赤字を解消するための解決策として、一般会計からこれを処理すればいいし、また赤字で山村を走っているあの赤字路線というものは、さっきから議論しておる五人か十人かのわずかの人のためにその線が一つ生きておるので、その地域に一るの文化の光明がさしている。これが抹殺されるということになるならば、これは人間尊重の面の大きなまた欠陥も出てくるわけなんです。経済と人間尊重とをバランスをとるのははなはだ困難であるが、国家の投資が大きくてそれの対象になる人間が少なくても、国策の点ではいま申し上げたような路線を歩むのが私は筋として通る、こう思いますが、御答弁を願います。
  26. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 御指摘の点は十分わかるわけでございまして、イコールフッティング論というようなことで、最近いろいろ議論もございます。しかし、これは先生承知のとおりでございまして、道路はもともと車のためにというよりも一般交通のためということもございまして、公共の負担でいたしたという経緯がございますし、鉄道は会社経営等がいろいろございまして、独立採算ということでやってきた、そういう経緯がずっとございまして、各国とも大体同じようなことをやっておるわけでございます。最近の事態になりまして、そうも言っておれないということから、一方では道路には有料道路というものが非常に広がってくる。特に高速道路等はほとんど有料道路でやっております。そういう形で変わってまいりますし、大都市交通につきましては、地下鉄について建設費の補助が行なわれるようになり、これもだんだん補助率が上がってまいりました。国鉄等につきましても、いろいろの理由がございましょうが、かなり手厚い財政措置が行なわれるというかっこうになってまいりました。こういうことで、だんだんいま申し上げましたような形での考え方というものも変わってきつつあるというのが実情ではないかと思います。  私どもとしましては、こういった公共財の供給のシステムについて今度の計画でいっておりますが、ここ数年の間に新しいルールをつくろうじゃないかということで検討することにいたしております。政府としては、総合交通体系というので昨年検討した結果も一応出ておりますけれども、さらに、いま申し上げましたようなことで今後とも検討を続けていきたい、こう思っております。その際には、いまお話があったような背景というものが当然考えられてくる、こう考えておる次第でございます。
  27. 受田新吉

    受田委員 いまの御答弁の中で、公共料金に関連する質問になってきたわけなんですが、いまの一般会計と特別会計との負担の関係でございますが、一般的に道路は人間が使うわけです。車が走るけれども、それはわかっておるわけです。しかし通勤というのは、これは人間が重箱のような狭いところへ大ぜいがたかってくるようなかっこうの苦労をなめて通っている。それに対する一般会計からの支援がどういう形でなされているか。通勤輸送に対する一般会計面からの支援、御説明願いたい。
  28. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 いまちょっと申し上げましたが、地下鉄につきましては、これは端的に大都市交通の公共交通機関ということで、建設費の補助をはじめ、その率を上げてきたわけでございます。国鉄につきましては、現在の財政援助の方式が、国鉄の非常な財政のピンチにあたりまして、これを再建するという形でやっております。したがいまして、形は出資あるいは補助金というかっこうになりますが、特に新規に投資する資金につきましては非常に利子を下げるという形でこれを援助いたしておりますし、また過去の投資に対しては、これを利子補給の形で配慮していく、こういう形式をとっておりますが、効果としては、やはり同じような効果が出てくるのではないか、こう思っておる次第でございます。
  29. 受田新吉

    受田委員 私は、一般的に見て国民全体に広く影響するような問題は一般会計のめんどう見の対象にしていくべきである、特別会計というワクを離れた、もっと公共性を広げた施策が政府の中に要るという感じを持っているわけです。だから赤字路線の問題も、赤字を覚悟でいまやっておる国鉄の赤字路線を今度廃止しようということになるようですが、その中には、それをつくった当時の事情からいって当然温存しなければいけぬのも出てきていると思うのです。そういうものがいまの国鉄の累積赤字の原因にもなっている、そんなものはそのほうで切ればいいじゃないかということでなくて、そういうところには一般会計が全部めんどう見よう、それはむしろ社会政策的に見て大事なところなんだ、国鉄運賃の値上げを抑止してでも、赤字覚悟のものは重大な社会政策的へ問題として一般会計がめんどうを見よう、こういうやり方でいいんじゃないですか。これはひとつ大臣
  30. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 この点は受田先生と私とちょと意見が違うのでありますが、国鉄の問題は、御承知のように三方一両損と申しますか、国も負担しよう、それから国鉄自身も努力をして負担してもらう、しかし利用者も負担していただこうということで今度の案ができまして、御審議をわずらわしているわけでございます。  地方線の赤字問題にお触れになったわけでございますが、これは昨年出ました案では、当初案は赤字線は廃止する、そこで廃止の費用を最初から見込んでおったわけでございます。廃止についてこれだけ金を出すから何年にはずすようにということがございましたのですが、その後いろいろ自民党内あるいは国会先生方の御意見を伺っておりますと、どうもそれはやはり一方的じゃないか。その地域住民が非常に必要とする場合が多いので、その地方の町村長さん方をはじめとする公共の代表者が承諾したときにおいてこれをはずすということにしてもらいたいということでございましたので、今度の案にはそういう点の費用は出ていないわけでございます。その点では、いまの受田先生のおっしゃった公共の負担で見るべきだというのは一部入っていると思うのでございます。  それからもう一つ、全般で認めろという問題でございますけれども、たとえば教科書を無償交付するということは、学童の人数がきまっておりますから、これは国の計画として財政支出というのは計画が立りわけでございますが、公共企業体のような、たとえば国鉄のごときものの利用者の費用をみんな国が持つということになりますと、まあ一年の問に二十回鉄道に乗る人もあるし、五十回乗る人もあるし、あるいは一回しか乗らぬという人もある。その利用度に応じて負担が違うべきものを一律に国民の税金から全部見るというところにやはり研究すべき問題があるんではないか、こういう点が私、少し問題としてあるというふうに思っておりますので、これはまた別の機会の御審議の場で御審議いただくことにお願いしたいと思いますが、一応お答えしておきます。
  31. 受田新吉

    受田委員 私、もう質問を終わることにしますが、私の提案は、一般的に見て高度の文化国家になっている日本の国で、その恩恵に浴さざる人々に一般会計から財政的な援助をしていく。その意味では、赤字のいなかの路線の中で少数の乗客しかいない、そういうところに対しては一般会計からその補いをつけてあげるようにすべきだ。一律に上げるべきでなくして、そういうところへはまた何かの恩典的な考え方もあるということも含めた提案です。  今度大都市になるとどうなるかというと、人口が密集したところにがちゃがちゃと企業が集まってくる。そうすると、企業が労働力を吸収するから生産コストが高くなるということですね。そういうことから、大都市の密集地区におけるそうした赤字というものは、結局は大企業がそういう形に追い込んだわけであるから、大企業のほうで税金その他で御協力を願えばいいんだ。いなかの赤字路線は、そういう意味で社会政策的に人間尊重で手を打てばいいんだ。つまり一律措置でなくして、そういう対象別にものを考えていくというやり方を、公共料金をきめるときにも経済企画庁としてはお考えをなさる必要はないか。私の話の中には終始人道的な要素が入っていると思うのです。経済企画庁でそこを十分配慮して措置をしてもらいたい、それだけ申し上げて質問を終わります。答弁はいいことにします。
  32. 三原朝雄

    三原委員長 上原康助君。
  33. 上原康助

    ○上原委員 もうすでに多くの御先輩あるいは同僚議員のほうから質問がなされて、若干重複する面も出てくるかと思うのですが、今度の経企庁設置法の一部改正と関連させて若干お尋ねをしたいのであります。  法案の改正は、趣旨説明によりましても、機構改革をやって、いま国民が最も強い関心を持っておるし、また国民生活を圧迫している物価問題に対応していくために物価局を設けるんだ、そういうお考えで改正案が提示されたと承ったのですが、はたしていまの物価問題が物価局を設置していくという機構改革部門だけで事足りるかということは、もうどなたも否定しない疑問を持っておると思うのです。やはり物価問題というのは、単なる物価だけでなくして、政府全体の財政問題あるいは政治姿勢にかかっている重要課題じゃなかろうか、そういう観点からとらえた場合に、物価の急上昇、投機的な問題は、これまでの長期経済政策なり政府がとってこられた予算編成等含めて、抜本的な解決策というものを政治姿勢として打ち出していかない限り解決できない段階に至っているのじゃないかという気がするのです。もちろん専門でもありませんし、むずかしいことはわかりませんが、政治姿勢そのものを改めて、国民の要求あるいは不満にこたえていく物価政策というものがないといかないのじゃないかと思うのですが、そういう基本的な問題については、これまでたびたび伺ってはきたのですが、あらためて長官の今後の方針なり、どう物価問題に取り組んでいかれようとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  34. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私ども、この法律案の内容、すなわち物価局をつくらしていただくということをもって問題が解決するというふうには思っておらないわけでございまして、現状よりはよくなるであろう。ぜひひとつ物価といろものに対して専門的な局を設けていただきまして、それが他の行政庁に対する総合的な物価の観点から、いろいろ指示をお願いしたり、あるいは勧告をさしていただいたり、資料を出していただいて、それを調整したりということによってよほどよくなるであろう。さらに、その上にまた足りないところがあれば、同時にこれを補強してまいりたいと思っておるわけで、これですっかり解決いたしますよということでお願いを申し上げておるわけではないわけでございます。  それから、今日の日本の現状では、低生産性部門が現実にあるわけでございまして、生鮮食料品の価格を安定したりいたします上にも、これは非常に必要な点でございます。また全体の流通の体系、そういうものもきめこまかく配意していかなければならぬと思います。また海外との輸出入の関係、ことに、安い品物が海外にあれば、これを輸入して国民生活のために資するように考えなければならぬというようなことも考えておるのでございまして、彼此勘案しながら、要は国民のためになる物価政策、消費者の利益のためになる物価政策というものを強力に推進していかなければならない、かように思っておる次第でございます。    〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕
  35. 上原康助

    ○上原委員 理屈を言えば、いま長官お述べになられるようなことかと思うのです。しかし現実的には、絶えずそういうことを政府の責任者の方々が御答弁をしたり、物価政策に取り組むんだということを強調してきたにもかかわらず、最近の異常な値上がりが国民生活に与えている影響ははかりしれない面があるわけですね。したがって、ここで物価局を設けて総合的な施策あるいは調整を推進をしていくんだということをうたっているわけですが、いま長官もお述べになりましたように、局を設置するだけで過熱化している物価問題が片づくとは思っておられない。では、局を設置した場合に具体的にはどういう方針でやっていかれるのか。物価問題というのは、私のようなしろうとが考えても、国の金融財政、そういった面とのかかわりあいというのが密接に結びついていると思うんですね。そういうことなども含めてこの物価局でやっていくことなのか。その場合に、縦割り行政、横割り行政いろいろあると思うんです。長官の権限を強化をする、それが具体的な効果、成果があがるような案というもの、方針というものもお持ちなのかどうか、その点についてもぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  36. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私ども、この法律案物価局をつくらしていただきたいということをお願いすると同時に、経済企画庁長官が総合的な物価に関しての権限を得たいということもあわせてお願いいたしておるわけでございまして、具体的には、通産省、農林省あるいは厚生省という実施官庁があるわけでございますが、それに対しまして、こうこうこういう物価の資料をいただきたいということをお願いして、そして資料を提出していただかないときには、どうしても出してくださいという請求をするというその権利がいただきたいということを内容にいたしております。それをいろいろ追跡調査して、どうもこうしたほうがいいということになりましたら、こうしなさいという勧告をする、こういうことをお願いしておるわけなんでございます。そうなりますと、いまの縦割り行政物価という面から見まして総合調整する機能が得られるわけでございます。これは現状より相当よくなるであろうというふうに思っております。  経済企画庁は、経済諸指標を分析いたしまして、こういう点が問題であります。こういうふうに設備投資がふえてまいりますとまた在来の型に戻る危険がありますとか、あるいは経済成長率がたいへん高いからほうっておくと物価がまた上がりますよということは、従来しばしば言っておるわけです。しかし、これはあくまでそう言うだけで、だからこうしなさいという権利は何もないわけです。その点が改善されると思います。それから、いま御指摘のように、財政や金融の問題についても、たとえばこの十三日に緊急対策七項目というのをつくりまして、その第一項に財政金融の問題がございますから、この項目に掲げてあることについてやってないじゃないですか、こうしたほうがいいですよということを言わしてもらうことがはっきり長官の権利として確保される、こういうことになるわけでございます。
  37. 上原康助

    ○上原委員 確かに、物価局を設けて各省庁との連絡を密にして、資料の収集あるいは政策全般を調整をしながら対策を立てていくというのは、率直に申し上げて、従来の物価行政政策よりも前進をするであろうという期待は持たざるを得ないわけですよ。そうしますと、いまおっしゃるように、たとえば通産省なら通産省、農林省なら農林省、各関係省庁に資料の提示を求める、あるいはそれを物価局で総合調整をして政策を立てていく、その場合に、そういった資料というのは公開をする前提でやっていかれるのか。これまで、物価指数とかそういう面についてはいろいろ発表もされるんだが、行政上誤った物価政策といいますかについては、なかなか公表されない面があるわけです。国民物価の動向というもの、実態というものを明らかにするということまで含めての物価局の設置構想なのか。そこいらはどういうお考えをお持ちですか。
  38. 小島英敏

    ○小島政府委員 各省庁が行政を行ないます上に企業等からデータを求めることがあるわけでございまして、こういうものの中には、やはり公開を原則としないということで、かなり企業としては隠しておきたいようなものも行政当局が資料をとるということもあるわけでございますので、企画庁が請求いたしましてもらった資料を全部公開するということは、なかなかできかねる面があるかと思いますけれども、そうでない場合は、極力、私どもといたしましては、公開をするという方針で考えたいと思います。これを先日の閣僚協議会で御決定をいただきました柱の中にも、消費者に正しい情報を多量に提供するということが重要な柱になっておりますので、そういう趣旨からいたしましても、以上のような考え方を持ってまいりたいと思います。
  39. 上原康助

    ○上原委員 もちろんそれは行政ですから、場合によっては公開できない性質のものもあろうかと思うのです。しかし、この物価問題あるいは商品取引の問題等については、国民により正確な情報を提供する、その収集に基づいて政策を立て物価対策を立てるというのが基本でなければいかないと思うのですね。せっかく長官の権限を強化をしていくということもうたいながら、いまの点についてはどうもまだ手ぬかりといいますか、消極性があるような気がするのですが、そこいらについて、ほんとうに企画庁のこの物価局が中心になってこれからの物価問題に取っ組んでいくということであるならば、そういった面ももっと検討をするに値することだと思うのですが、そういうことはどうお考えでしょうか。
  40. 小島英敏

    ○小島政府委員 企画庁が直接企業のほうからデータをとるということはたてまえ上ないわけでございますけれども、いわゆる産業を所管する各役所立場から申しますと、法律的に強制力を持ってデータを提供させることができるものももちろんございますけれども、情報等がない場合には、一般的にやはり企業協力を得て各地のデータをもらうというたてまえ、これはいかんともしがたいわけでございます。そういたしますと、役所に出したものが全部公開されてしまうということになりますと、やはり法律がない場合には企業協力が非常に得にくくなってしまって、いままでとれていたデータもとれなくなるという点がやはり産業官庁としては非常に心配するところでございまして、その面から、企画庁といたしましても、間接的にそういう影響を受けざるを得ないというふうに考えるわけでございます。
  41. 上原康助

    ○上原委員 長官、御自身はそういう点についてはどうお考えなんですか。
  42. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 局長の申しましたとおりと思いますが、ただ、御質問の趣旨は、物価や何かでいろんなデータが現実に出る、それを公表するかどうかという点にウエートがあるように思うのでございまして、そういうものはむしろこつちから進んで発表いたしたいと考えております。発表するのみならず、五月からやろうということでございますけれども、消費者に情報を提供するという点で、消費者団体との問に月一回ずつ懇談をいたしまして、できるだけ正確な情報を差し上げて消費態度に誤りなきを期するようにお願いしたい、こう考えておる次第でございます。
  43. 上原康助

    ○上原委員 私がなぜそういうことも含めてお尋ねするかは後ほどさらに明らかになっていくと思うのですが、これまでちょっと調べた点でも、たとえば昭和三十八年から経済企画庁長官の諮問機関として物価問題懇談会などが設置されて、現在物価安定政策会議ですか、幾つかの物価懇談会なり対策協議会というのが諮問機関としても設置されてきているわけですね。そういう過程で多くの意見、提言というものが出されておると思うのです。お尋ねするまでもない、それは重々おわかりのことだと思うのです。いろいろおかけになっているようなことを見ても、もし政府物価問題懇談会なり物価安定政策会議で提起をされたこと等について、十分その意向などを尊重して物価問題あるいは政府の金融財政政策等をきめてきておるならば今日の物価上昇は見なかったであろう。過去においてもいろんなやるべきことがあったんだが、やはり実施と実行がおろそかにされたということが今日の物価問題に発展してきているんじゃないかという見方が強いわけですよ。そういうことも、ある面では、ただ聞きっぱなし、拘束する法的な根拠もないというようなことであると、やはり同じ結果を招くことになりかねないんじゃないかという懸念も持たれるわけですよ。  そこでお尋ねしたいことは、もちろん、そういった物価問題懇談会なり物価安定政策会議が出すものがすべて万全だとはわれわれも思いませんが、その提起をされた問題については、今日まで十分尊重し政策の中に生かされてきたと思っておられるのか。そういった点についてはどうお考えですか。
  44. 小島英敏

    ○小島政府委員 先生がおっしゃいますように、過去長年にわたりまして、物価問題懇談会以来現在の物価安定政策会議に至りますまで、非常にりっぱな先生方に委員になっていただいて、有益な御意見をいただいているわけでございまして、世間には何となく、ああいう提言がさっぱり実行されていないという批判があるわけでございますけれども、私どもは、やや長い目で見ていただきますと、決してそうではないというふうに確信いたしております。もちろん一〇〇%実行してきたというふうには遺憾ながら申せないわけでございますけれども、提言が出ました時期には各種の事情からなかなかすぐに実行できなかったものも、ややタイムラグを伴いまして、結局、長い目では提言で一言われたような方向に実際の政策が動いてきておるということは十分申せると思います。  最近出ましたものにつきましても、昨年あたり御提言いただきました魚の問題とか、あるいは年末の国際面から見た物価政策の問題とか、いろいろございますけれども、魚の問題なんかにつきましても、昭和四十八年度の農林省の予算に大幅に実現されておりますし、私どもといたしましては、多少長い目で見ていただきますと、十分そういう方向で実現してきたということが言えると思いますし、今後とも一そうそういう面で努力いたしてまいりたいと思っております。
  45. 上原康助

    ○上原委員 どうもいまの御答弁は納得がいかないのですがね。私がしろうとだからそういうことを御答弁なさるのかもしれませんが、もし長い目で見てそういった懇談会なり政策会議が出したものが生かされておった、尊重されておったとするならば、物価問題というのは解決、というよりもっといい方向に向かっていなければいけないのじゃないでしょうか。  たとえば一例を申し上げましても、物価安定政策会議というのは、昨年暮れ、「物価安定の戦略」という提言までやっているわけですね。その中でも、特に物価問題との関係においては金融財政についてももっと配慮すべきだ、財政規模が適当な限度を越えて増大していかないこと、というようなこと等が的確に指摘をされていると思うのです。そのことは当然新年度予算に対する政策会議の提言であったと思うのです。御承知のように、福祉型予算だとかなんとかいうことを予算委員会なり各委員会で言ってきておると思うのですが、昭和四十八年度の予算の面から見ても、物価対策に適当な措置がとられていたとはわれわれ見ていないわけです。いまのような御答弁の甘さというものが積み重なって、ますます物価問題、インフレというのが増長してきたというふうにしか受け取れないのですよ。そういうことに対しては、やはり長期的に見れば十分提言、意見が取り入れられたという御判断をお持ちなんですか。
  46. 小島英敏

    ○小島政府委員 四十八年度の予算規模等につきましては、おっしゃるように、物価対策の観点からはやや大き過ぎるのじゃないかという意見ももちろんあるわけでございまして、当時はやはりレート問題ということが非常に大きな政策上の大課題としてのしかかっておりましたものですから、現在のような状況に立ち至ったわけでございますけれども、先ごろ御決定いただきました閣僚協の七本の柱の中に、第一として、特に財政の公共事業に関する支出の時期的調整と申しておりますのは、まさにその点でございまして、現在のセメントその他の資材の値上がり等につきましても、やはりやや需要が強過ぎるということが確かにございますので、これを時期的に調整していく。ただ、いまの段階で翌年度に延ばすということを決定するのは、景気の先行きについていろいろまた不安定な要因もございますので、さしあたり上期から下期に極力シフトすることを決定しているわけでございます。
  47. 上原康助

    ○上原委員 政府の今後の物価見通しについては、すでに、消費者物価は五・五%に押える、その政策変更もやらないということを、長官も本会議なりいろいろな面で再三強調されてきたのですが、今日の段階ではもうそれがそのまま通るとはだれも思っていないわけですよね。いろいろなファクターなどを総合して考えました場合に、最初に申し上げたように、政治姿勢そのものに大きな誤り、直すべき面があるんじゃないかという気がするわけです。長官は、参議院の予算委員会においても、消費者物価見通しについて、政府見通しの五・五%以内に押えることはむずかしくなったという御答弁をしたということが明らかになっているのですが、その点の修正といいますか、新しく計画を立て直すというお考えもあるのかどうかお聞かせいただきたいと思います。
  48. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 いまの物価の異常な値上がりというのはまさにたいへんやっかいなことになったということを参議院で申しました。という意味は、これをほっといたらどうにも計画をいじらざるを得なくなるおそれもあるから、何とかこれを押え込むように努力をしなければならぬということを物価の担当大臣として申したわけでございまして、私の気持ちは、相当な努力を要する、こう考えておるということでございます。しかしまだ年度が始まったばかりでございます。いまの見通しというのは年度を通じてのものでございますので、もう少し様子を見ていかなければならぬ点がございますが、私どもとしましては、七項目の冒頭にございますように、財政金融政策物価抑制面に及ぼす効果を十分に重く見まして、誤りなきを期してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  49. 上原康助

    ○上原委員 その計画を年度半ばにして改めるという御意思はないというふうに理解してよろしいのでしょうかね。
  50. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 実は経済見通しは大体九月ごろに見直しておりまして、それによりましてまた新しい見通しを年末につくっておるというのがいままでの実例でございますので、ことしもやはりそうした事情は例外的にはならないであろうというふうに思っております。
  51. 上原康助

    ○上原委員 しばらくの間動向を見てから、政策的な変更といいますか、再検討の必要があればやるということですか。
  52. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほど国民生活局長がお答えいたしましたように、この一月の時点では例の為替相場堅持という命題があったのでございますが、御承知のように為替相場が変動制をとったわけでございます。そこで、財政金融政策をもっと引き締め的にやっていかなければならない。と申しますのは、御承知のように、金融を非常に締めたり財政を締めて不況感を出しますと輸出がふえるわけです。そこで、輸出の黒字が多過ぎるという問題にさらに追い打ちをかけることはどうかということで、全体の基調を考えておったわけですが、その点は一応回避されたわけでございます。そこで引き締め政策に転じたわけでございますね。その様子がどうなるかということを見てみませんと、まだ何とも言えないことが非常に多うございますし、私ども経済見通しというのは、やはり政策努力というものが内容になっております。それから、見直すにいたしましても、前年度の実績が出てくるということが必要で、いわゆるGNPあるいはGNE、そういうものの全体が、物価ばかりではございません、成長なり輸出入なり、いろいろな面で出てくるわけでございますから、それに基づいて見直しというのを毎年その年の後半にやっておるわけであります。そういうことはことしも必要であろうというふうに考えております。そういうことでございまして、全然見直す意思がないとか、そういうふうなことは申しておりません。しかし、変えなければならぬといま思っておるかと言われると、いまはまだそこの段階ではございません、こういうふうにお答えしておる次第でございます。
  53. 上原康助

    ○上原委員 ちょっとくどいようですが、そういたしますと、消費者物価の上昇の見通しとしては、政府が最初にいっておられた五・五%以下に押えることができるという見通しをいまもお持ちになって、政策を再検討する必要はないというお考えなんですか。それとも、見通しはそれ以内にすることはできないんだが、ほかにまたいろいろ理由があって、現段階では再検討できないというお考えなんですか。一体物価の上昇の見通しというのはどういう見通しをお立てになっていらっしゃるわけですか。
  54. 小島英敏

    ○小島政府委員 五・五%と申しますCPIの数字は、純粋の見通しではございませんで、政策努力を加味した一種の政策目標でございます。したがいまして、これがつくられました昨年の年末当時に比べますと、現在のほうが客観情勢が悪くなっていることは、おっしゃるとおりでございます。それだけに、当時考えておりました政策努力よりも、これからとられるべき政策努力というのは一そう強化されなければならない。その一環として先日の閣僚協の決定もなされたわけでございまして、そういう政策努力を加味して五・五%の目標を達成する、そういう性格の数字でございます。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 上原康助

    ○上原委員 いまの点などは、私も十分勉強したわけではありませんし、むずかしいことはわかりませんけれども長期見通しに立っては、これまで物価問題懇談会なり物価安定会議などが出したことを十分尊重したんだということを強調しながらも、結局、消費者物価の上昇率が政府見通しを上回るような状態になったときに、年度半ばにおいてでも、その実態というものをより明らかにして、再検討するなり政策変更するなり、そういうことをやらなかったからますます行き詰まりがきているんじゃないかという気がするわけです。そういうことについて、物価局をつくって総合的に調整していくということをおっしゃりながらも、なかなか実態とはかみ合わない態度をとっておられる。それはやはり企画庁なり政府全体の物価問題に対する姿勢の問題じゃないかという気さえするわけです。その点についてはどうお考えなんですか。
  56. 小島英敏

    ○小島政府委員 現在、政策の第一の課題は物価の安定であるということは、政府内部としても一致しておると思います。しかし、去年末まではレートの問題というものがからんでおりまして、先ほど申しましたように、政府全体として物価安定が第一であるというところまではなかなか達し得なかったというのが実情ではないかと思うのでございますが、現在の段階におきましては各省とも、まさに物価安定、現在のような物価の高騰状況というものを一日も早く収束させて本年度の五・五%目標を達成すべきであるということが至上命令というふうに感じておるわけでございまして、おっしゃるような面で、確かに財政規模あるいは金融政策等やや後手に回ったということは、政府自体といたしまして十分反省をいたしておるわけでございます。したがって、今後の努力はその点が非常に重要なポイントであると思っておるわけでございます。
  57. 上原康助

    ○上原委員 政府はこういった物価問題だけでなく、現在の商品買い占めの問題等を含めて考えて見ましても、われわれしろうとが見ても、何か一たんきまったことについてはなかなか修正をしない、実態と合わなくてもそのとおりで政策を貫こうとしている。そういうことが非常に大きなガンといいますか、マイナス要因となっているんじゃないかという気を強くせざるを得ないわけです。今日の物価問題というのは、もう単に物価ということだけでなくして、政府が進めてきたいわゆる資本第一主義、生産第一主義の経済構造政策そのものを大きく転換をさせていかなければどうにもならない問題だと思うのです。そういった基本的な面まで含めてやっていかないと、私は、物価問題というのは、インフレ傾向、そういう面との関係でますます上昇はしていっても、政府が言うように物価が抑制できるという見通しが立たないのじゃないかという気がいたします。そこで基本的な姿勢として、物価問題に対する政府の再検討といいますか、政策の変更というものが求められているんじゃないか。そのことも含めてやらない限り、物価局を設置してもなかなか国民の期待に沿えない。それに対して具体的に沿えていくんだということまで含めて、ぜひこの問題は法律の改正とあわせてやっていただきたいと思うのです。  そこで、物価問題は、単に本土だけじゃなくして、沖縄全体を含めて大きな問題にいまなっているわけですが、予算の分科会でもちょっとお尋ねしたんですが、復帰後の沖縄の物価問題についてはどういう実態をおつかみになっておるのか。この法律改正との関係では、もちろん沖縄も日本の一県ですから、それに包含をしてという立場でやっていくお考えかと思うのですが、全体的に見て本土よりも高い物価上昇の傾向にある沖縄について、企画庁としてはどういう対策をしていかれようとしているのか。その点について御説明なりお考えをいただきたいと思います。
  58. 小島英敏

    ○小島政府委員 本年二月のCPIの数字を、沖縄が復帰いたしました昨年の六月を一〇〇として比較してみますと、那覇市の場合が一〇六・四でございまして、これはCPIの全国の数字で申しますと一〇四・二でございます。したがって、おっしゃるように、那覇市の場合二ポイントほどCPIの上昇率が高いということがあるわけでございます。  この原因を調べてみますと、やはり食料がおもな原因でございまして、生鮮魚介、野菜等の季節商品が天候事情等によって高騰したということが主要な原因であろうと思います。季節商品を除きました指数について見ますと、特に目立った動きはないわけでございます。  従来とも政府といたしましては、沖縄における物価安定というものが、特に復帰後大きな問題であったわけでございまして、関税減免等の特例措置、あるいは復帰直後の物価安定緊急対策、本土からの緊急輸送等を行なったわけでございますけれども、今後ともやはり消費者物価の動向を慎重に見守りまして、特に現在、海洋博の推進に伴いまして建設資材がかなり値上がりをしているというお話を聞いておりますし、今後また、博覧会が近づくに従いまして沖縄に人が集まるということが当然出てまいりますと、これがまたいわゆるCPIの高騰を生ずるというおそれがございますので、そういうおそれがございませんように、開発庁とも連絡いたしまして万全の措置をとってまいりたいと考えておるわけでございます。
  59. 上原康助

    ○上原委員 本土が本年二月の段階で一〇四・二で沖縄が一〇六・四だ、二ポイントだけ沖縄のほうが高いと数字だけ並べられてみても、なかなか実感としてこないのが物価指数である。また、ある面では数字のごまかしにもなると思うのですが、しかし沖縄の物価高というのは、復帰時点の通貨交換がまず第一の要因だったと思うのです。三百六十円での切りかえがなされずに、物価だけは三百六十円で据え置かれて、ドルは一ドル対三百五円で切りかえられた。その後も加速度的に今日まで物価が上昇してきているわけですね。本土と比較してどうというようなことでなくして、実態的に沖縄の物価高、特に消費者物価というものの実情をつかまないといかないんじゃないかという気がするんです。これまで政府独自で調査をしたり、あるいは異常に値上がりが激しいようなものについての実情等々は、全然おつかみになっておられないわけですか。
  60. 小島英敏

    ○小島政府委員 私どもは、CPIの上では、先ほど申しました食料品関係とか繊維、衣服類の関係が比較的高騰しているということを承知しておりますけれども、また企画庁の委託調査によりまして、ことしの三月に沖縄県によりまして沖縄県緊急物価対策調査というものをしていただきました。これによって現状把握につとめている次第でございます。詳細は開発庁のほうが一そうお詳しいと思いますので、そちらからお聞きをいただきたいと思います。
  61. 松岡宏

    ○松岡説明員 復帰後の沖縄の物価でございますが、上原委員十分御承知のとおり、主として生鮮食料品、これが大幅な値上がりを示しているわけでございます。先ほど国民生活局長からも数字が報告されましたが、昨年六月から本年二月までの上昇率を見てみますと、季節商品を除いたところでは沖縄は一〇四・四、全国のそれに対応する指数は一〇四・七、こういうことになっておりまして、季節商品を除けば、最近の動きとしては沖縄はむしろ安定しているということが相対的には言えるかと存じます。  問題はそういう意味で、季節的な乱高下を示す生鮮食料品でございます。上原委員十分御承知のように、復帰直後には豚肉、それから昨年の七日に台風七号の影響で野菜が高騰いたしました。与れに対する対策といたしまして、豚肉につきましては本土から緊急輸送、また台風七号の影響による生鮮野菜の値上がりに対しましてはキャベツ、ニンジンの緊急輸送ということで、昨年九月所要の措置をとっております。そういうようなこともございまして、ことしの二月の物価の動きの中では、野菜の価格が目立って下落を始めてきております。これは一カ月の動きでございますから、この動きだけで今後を断定することはむずかしいかと思いますけれども、二月の野菜の値段は対前月比二一・六%の低下、こういう動きを示しているわけでございます。今後とも長期的に地元の流通機構の整備、さらには社会資本の抜本的な拡充というようなことにつとめて、物価問題の適切な対処を考えてまいりたい、こういうつもりでおります。
  62. 上原康助

    ○上原委員 どうもいまの御説明を聞くと、沖縄の物価はまるで安いみたいな説明をなさるのですが、実際はそうではないでしょう。野菜類が、いまおっしゃるように、この二月段階で若干低くなりつつあるということは季節的なもので、いま野菜の出回る時期ですから、その一例だけをとらえて沖縄の全体の物価というものを説明するというのは、私はきわめてどうかと思うのですよ。物価というのは、単なる生鮮食料品、野菜だけでなくして、やはり県民生活全体にもたらしておるファクターがどうなっているかということを的確につかまないといかないのじゃないでしょうか。前の分科会でも、その実態調査をやるということを皆さん御答弁なさったと思うのです。企画庁を含めて。  たとえば一例をあげますと、二月の一日から米価の値上げがあったわけですね。一キロ四円の値上がりを来たした。公共料金的なものを政府が上げることによって、米価もそうなんですが、従来二十円でやっておった食堂の御飯というのが即二十五円になる、二十五円であったのが三十円になるという例は、ざらに出てきているわけですね。それだけほかの物価にもはね返ってきている。そういう実態というものを、やはり物価問題ということを考える場合はとらえていかなければいかないと思うのです。たとえば、いまいろいろ説明あったのですが、七二年の一月段階よりも今年の一月の段階になると二〇%以上上がった。物価というものがほとんどそうなんですよ。肉類にしましても、豚肉のロースあるいは牛肉の並み、豚肉のあばら骨、べーコン。魚介類としましても上がっている。野菜も、大根のごときは一八三%も一カ年に上がっているという実態も出ているわけです。  これは一例ですが、時間がありませんからあまりたくさん申し上げませんが、それだけ上がることによって、いかに県民生活にしわ寄せしているかということは、当然政府としてもお考えにならなければいかない問題じゃないですか。ただ物価指数をはじくだけが物価対策だとは私は思いません。それをどう手当てをしていくかというのが、本土における物価問題であり、また沖縄における物価問題だと私たちは理解をするわけですが、何かあなたの説明からすると、沖縄は物価がだんだん安くなるんだと、そういうとらえ方しか実際やっていらっしゃらないわけですか。その点を企画庁にもお伺いをしたいのですが。
  63. 松岡宏

    ○松岡説明員 沖縄の物価問題につきまして、沖縄開発庁といたしましてもきわめて重要視いたしておりまして、物価指数の実質的な説明では、先ほど申したことに間違いはございませんが、しかし、それのみをもちまして安易な気持でいるわけでは決してございません。その点では、上原委員のおっしゃるそのお気持ちを、私ども常日ごろから同様に体しておりまして、今後ともなお一そう努力してまいりたい、こう重大に考えております。
  64. 小島英敏

    ○小島政府委員 野菜の問題は特に現在の沖縄で大きな問題だと思いますけれども、本土におきましても、実は数年前まで野菜の価格というものが非常に暴騰暴落を繰り返しまして、CPIの大変動の一番大きな原因でございました。それがここ二、三年の間、農林省の野菜対策というものが、これは先ほどの安定政策会議の御提言等も影響しているわけでございますけれども、かなり大幅に拡充されまして、指定産地というようなものが全国に数百できるとか、あるいは価格の下落の場合に平年度の所得に対して七割、八割というものを補償するというような制度ができまして、それ以降、天候がよかったということもございますけれども、かなり野菜の価格が本土において暴騰が少なくなっているということがございます。これは沖縄につきましても、今後おそらく農林省といたしましては、鋭意指定産地の指定とか、そのための近代化の促進とか、あるいはその価格補てん事業の整備というようなことが進められると思いますので、先ほどの開発庁の言われました社会資本の整備と相まちまして、むしろ本土以上にこれからそういう面で生鮮食料品中心の価格対策というものが進められる、また進めねばならないというふうに感じている次第でございます。
  65. 上原康助

    ○上原委員 では、あと一例お尋ねしてみたいのですが、本土でいま三・三平米の建築工事の単価は大体幾らくらいするのですか、鉄筋コンクリートで普通の資材を使って。
  66. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 本土で建築の単価が幾らしているかということは私ども承知しておりませんが、沖縄におきましては、たとえば公営住宅の一戸当たりの平均価格が約二百六十万円というようなことで予算上は組まれております。
  67. 上原康助

    ○上原委員 最近、海洋博問題が非常にクローズアップされております。物価問題を考える場合に、当然、沖縄におけるそういった資材の値上がり、あるいはマイホームを夢見る庶民の家屋建築等々ということについても、調査をしたり実態をつかんでおかなければいかないと思うんですよ。物価というと、すぐ生鮮食料品とか野菜というようなことだけを、経企庁にしても、開発庁にしても強調なさる節があるのですが、そのこともこれからやっていかなければいかない問題であるということはわかります。しかし、復帰前三・三平米で大体三百ドル程度。三百ドル程度といいますと、いまの単価に直すと十万円前後、十二、三万円でつくれておった家屋というものが、現在では、那覇市あるいはその周辺近郊においては、三十三万から三十五万、三十万前後だといわれているのですね。普通のあれで。そういうことがどれだけ県民生活あるいは物価問題に関係をしていくのか。労働力の問題、これなども、やはり政府物価政策の一環としてとらえて対策を立てる必要のある問題じゃないとお考えなのですか。  では、ことばをかえて申し上げますと、海洋博構想が出てから物価が沖縄では非常に大きな値上がりを来たしたという面もあるわけですね。さらに、復帰後の観光客が増大をしているということ。狭い地域に多くの人が行くとそれだけ物価がつり上がるということは、これはもう常識だと思うのです。当面している物価問題もさることながら、海洋博との関係においても、沖縄のこれからの消費者物価なりあるいは資材、建材、県民生活に及ぼす諸物価についての対策、計画というものを、当然政府として立てるべきだと私は思うのです。  その点については、むしろ長官のほうからお伺いもしたいのですが、いまのような皆さんの御詳明ですと、何か本土と比較してもそんなに数字的に問題がないのだというようなことでは、沖縄の物価問題なり県民の要求というものがどんどん踏みつぶされていく結果にしかならない。その点について御計画なりお考えを賜わりたいと思います。
  68. 小島英敏

    ○小島政府委員 私どもは、沖縄の消費者物価問題が決してそんなに楽観的なものであるという払うには毛頭考えておりませんので、今後、本土以上にそういう面の対策を強化していかなければいかぬということは、先ほど申し上げたとおりでございます。  それから、海洋博の実施に伴います物価問題というのが二つございまして、一つは、おっしゃるような建設、労務、資材関係の、特に最近値上がりの激しいものの問題でございます。これにつきましては、海洋博覧会推進対策本部の中に関連施設部会というものが設置されまして、これが実は通産省じゃないかと思いますけれども、当然いまの沖縄の物価問題が最大の問題でございますので、おっしゃるようなことがさらに激しくなるということはたいへん遺憾なことでございますので、私どものほうの所管ではございませんので、あまり責任ある回答はできないのでございますけれども、鋭意検討を進めていると聞き及んでおります。  実は私ども企画庁といたしまして分担しておりますのは、この対策本部の中の物価対策部会というものでございまして、これが最近設置されました。ただこの守備範囲は、海洋博の開催が近づくに従って、当然、これは先ほど申しました人口増に伴っていわゆる日常生活物資が値上がりするであろう、これを防ぐということが私どもに与えられました使命でございますので、この点につきましては、先ほど申しましたように、企画庁の事務次官がこの部会のチーフになっておりますので、関係各省庁の協力を得て、今後十分できるだけの努力をしたい考えであります。
  69. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 ただいまの御答弁の中で関連施設部会の話がございましたが、関連施設部会は私どもが実は当番を担当しておりますので、現在四十八年度の所要の労務、資材の需要量を算定中でございます。今週じゅうにも数字がまとまるかと思っております。今後の対策といたしましては、工事が時期的に一時期に偏することがないような工事の計画的な執行とか、あるいは必要とします労務、資材の計画的な供給、手当てということが大切かと考えております。  御承知のように、四十七年度末におきまして、沖縄におきまして、非常に労賃が高騰したり、あるいは資材が上がったというようなことは御指摘のとおりでございますが、この原因といたしましては、沖縄の復帰に伴います本土制度への事務の移行というようなことに非常に手間がかかりまして、たとえば昨年九月現在で、本土では公共事業の契約済み額が大体七四%という時期に、沖縄ではわずかに三%弱というような状況でございまして、年度末に非常に工事の発注が集中したというようなこと。しかも、それが沖縄の農繁期でございますキビの収穫期と重なったというような不幸な事態が重なりまして、労務、資材の高騰という結果が見られましたので、今回の教訓にかんがみまして有効な対策を至急立てる、こういうことによりまして、一般の建築その他に御迷惑がかからないような有効な対策を考えていきたい、かように考えております。
  70. 上原康助

    ○上原委員 海洋博推進本部といいますか、対策本部といいますか、そこではいろいろ関連施設部会をつくったり、あるいは、先ほどの企画庁生活局長の御答弁では、物価対策本部もできたのですか。物価対策本部はどこの省にできているのです。
  71. 小島英敏

    ○小島政府委員 これは部会長が経済企画庁の次官でございます。それで、企画庁が庶務をいたしまして関係各省庁と連絡をしていくということであります。
  72. 上原康助

    ○上原委員 その物価対策本部というのは、海洋博推進本部の一環として関連づけてあるわけですか。企画庁独自の立場での物価対策ということですか。
  73. 小島英敏

    ○小島政府委員 海洋博覧会推進対策本部の一環としての物価対策部会でございます。
  74. 上原康助

    ○上原委員 本部ではなくて部会ですね。この点については、開発庁は、せんだって海洋博問題についていろいろお尋ねした場合も、関連施設部会の設置等を行なって、資材、建材の供給面、労働力問題等をやっていくということでした。そのことも当然やらねばいけない点だと思うのです。しかし、それはややともすると、資材や建材をどう確保するかという、推進をしていくための量の確保に非常に重点を置いている御答弁なんですね、一貫して。それだけでは物価問題というのは下降しないと思うのですよ。もちろん、需要と供給のバランスがとれなければ、不足すれば上がるというのは当然ですが、起きている日常物価の問題については、いまいう物価対策部会でやっていくわけですか。
  75. 小島英敏

    ○小島政府委員 沖縄海洋博の開催に伴う消費者物価、生活物資の値上がりについては、この対策部会で対策を考えるということでございます。
  76. 上原康助

    ○上原委員 海洋博に関係のないほうはどこでやるのですか。何も海洋博だけが目当てでないと思うのです。そういう海洋博推進によって起きてくるデメリットということも当然やらなければいけないわけですが、県民生活に及んでいる日常物価全体はどの部門でやるのですか。
  77. 小島英敏

    ○小島政府委員 それはほかの県と同様でございまして、各品目によって各産業官庁が直接の所管をし、企画庁物価対策の観点から総合調整をいたしておるわけでございまして、先日も地方物価担当官会議というものを開きまして、沖縄からも御参加いただいて、ますます地方における物価行政を推進しようということでいろいろ議論いたしたのでございますけれども、当然各県と同様の立場物価対策を進めるということであります。
  78. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 ちょっと補足的に御説明を申し上げておきますが、沖縄は特に政治的、経済的にも特殊な関係がございますし、特にまた離島でございますから、そういう点からも物価問題は非常に懸念をされるわけでございます。それで、ただいま御説明申し上げましたように、海洋博に関連して土地や物価が上がっておりますので、取り急いで推進対策本部にいまの物価部会をつくりまして、また建築関連の部会をつくりまして、これから押えようということでございますが、これを離れましても、沖縄の物価対策というのは非常に重大でございますから、経済企画庁としましては、この際、特に沖縄だけは地域的にも特別に取り上げましてその抑制策を講じよう。特に物価局が新設されましたならば、その点につきましては格段の努力をいたしたいと思います。
  79. 上原康助

    ○上原委員 いま答弁があったからちょっと理解できたのですが、私は確かに、復帰をした以上沖縄も一県であるという位置づけは、これはいいと思うのです。何も沖縄だけを特別扱いしなさいという気持ちは毛頭ありません。また、政府に甘えようという気持ちも、われわれは毛頭持っておりません。しかし、長い間アメリカの軍事占領支配下にあったという歴史的事実というのは、否定できないわけですね。そういう過程で、物価問題なり本土とのいろいろな格差というものが生じたということは、単なる沖縄に住んでいるわれわれだけの責任じゃないわけですよ。そういう意味で、海洋博の関連の物価問題に対しては物価対策部会で検討していく、あるいはそのほかについては、先ほどの生活局長の御答弁によると、何かはかと同じようなことだという印象を受けたのですが、いま御答弁があったからいいのですが、いまの沖縄の物価問題については、やはり本土とは異なった面がいろいろなファクターとして出ているということ。その一つの大きな要素として海洋博というものもあるのだという位置づけでないと、私はいかないと思うのですよ。  したがって、そろそろ時間も来ましたので大臣にお伺いしたいのですが、この物価局の設置との関連において、私は、開発庁を含めてなんですが、沖縄の物価実態について、どうも数字的にただつじつまを合わせようといううらみがなきにしもあらずなんですね、御答弁を聞いていると、もっと実態を把握して、それに適切な対策を立てていく。もちろんそれは、国のレベルでやらなければいかない点、県の段階でやらなければいかない点、いろいろあるでしょう。そういった行政指導なり方針というもの、計画というものが必要じゃないかという気がするのです。その点についてはどう取り組んでいかれようと思うのですか。あらためて大臣の決意といいますか方針というものを明らかにしていただきたいと思います。
  80. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 上原委員のお話はよく承っておりましたし、お気持ちも十分理解するところでございまして、非常に沖縄の問題というのは私ども重要と考えております。したがいまして、この物価局が新設されました暁におきましては、沖縄においてはどうなっておりますかということを、私どもといたしまして、常に総理府等の所管官庁にその実態報告を特別に求めるような配慮もいたしながら、長きにわたって異民族の統治のもとにあって特殊の苦しみを受けられた同胞が、万一何か物価の問題で特別の苦しみをなめられるようなことのないように特段の配慮をいたしたい、こう思います。ただそれには、物価局ができるということがそういうことをさらに実効あらしめるということにいたしたいと考えておりますので、その点をお含み願いたいと考えておる次第でございます。
  81. 上原康助

    ○上原委員 物価問題というのは県の段階でやるべきだという意見政府部内にかなりあるような気がするわけですが、しかし、復帰後の沖縄の物価問題については、今年の二月定例会で県知事も、物価対策については地方自治の段階でできるのはきわめて限られているのだ、やはり国の分野物価安定対策というものを努力をしていかなければいかないのだ、ということを強く打ち出しておられるわけですよ。復帰後、公共料金にしましても、都市ガスとか、そういう面もやられている。従来、沖縄現地で手当てできたものも、復帰後の特別措置があるといっても、物価の安定対策についてはやはり国がやらなければいかない。したがって、いま大臣物価局設置の暁はと言うのですが、これを設置させるためにそういったリップサービスをしておるとは思いたくありませんが、ぜひひとつ、そういう方向で沖縄の実態について調査をしていただいて早急な対策を立ててほしい。特に私は、海洋博の問題について、沖縄県民だけが生活関係の面において多くの犠牲を受けるということはいかないと思うのですよ。狭い地域にあれだけの公共投資がなされるならば、当然物価の値上がりというのは出てくるわけですが、それに対しても特別に、海洋博との関係においては物価対策というものをやるべきだと思うのです。  あと一点は、先ほども御答弁がありましたように、沖縄は離島ですから、輸送コストの問題についても、運輸省なり政府全体で、農林省を含めて考えていく必要があると思うのですね。そういった部門にまで配慮した物価対策というものが立てられているのかどうか。特に輸送コストの点については、私は考える必要のある問題だと思うのです。これについてはいかがですか。
  82. 小島英敏

    ○小島政府委員 先ほど、ほかの県と同じようにと申しましたのは、企画庁立場としてはそういうことなのでございまして、これは、沖縄開発庁というほかの県にはないような総合的な国の役所もあるわけでございます。ですから、農林省にしろ運輸省にしろ、各種の国の対策を沖縄に関してはそこで取りまとめて総合調整をするということもございましょうし、それから、先ほどおっしゃいました輸送コストの問題等は、確かに一つ問題点であると思いますので、これは今後十分検討いたしてまいりたいと思います。
  83. 上原康助

    ○上原委員 おことばを返すようですが、開発庁というのも確かにありますけれども、しかし物価問題は、担当庁は企画庁ですからね。そういうことで、ただ開発庁にまかせる、あるいは海洋博推進本部にまかせるとはおっしゃっていませんが、もっと企画庁としても積極的な姿勢というものがあってしかるべきだと思うのです。  ぜひ大臣に念を押しておきたいのですが、輸送コストの問題は、これは海洋博との関連においても、どうしてもただ商業ベースでさせるというわけにはいかないと思うのですよ。たとえば前々国鉄運賃の問題もいろいろあるわけですが、沖縄は、国鉄の利用というのも、国鉄の恩恵を受けるというようなことも全然ないわけです。これは省は違っておるかもしれませんが。そういう面でも、輸送コストの問題なり物価問題との関係において、もっと政策的な配慮というものが私は出てきてしかるべきだと思うのです。そういうことを含めてやっていただくことを強く要求をしておきたいと思うのです。もしそうやりますという御答弁がいただければたいへん幸いなんですが……。
  84. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほど、私がリップサービスというお話でもなかったですが、それに近いお話がありまして、非常にこれは心外でございまして、御承知のように、私は十年間非常に沖縄のことに対してやっておるのでありまして、しんから沖縄の県民各位のしあわせを祈っておるものであります。そういう点からいろいろ問題を考えておるということを申し上げておきたいと思うのであります。  また国鉄問題は、これはまさにないのですけれども、道路の開発ということは非常にやっておることは、御承知のとおりでございます。しかし、そういうふうなことを進めるにつけても輸送費がかさむ。あるいは離島でございますから、そこに消費がふえれば物価が上がるという点でいろいろな配慮をし、たとえばセメント等についても特別の配慮、台湾あるいは韓国から送っておるということも御承知だと思いますし、そういう点は今後できるだけ配慮していきたいと思うのであります。
  85. 上原康助

    ○上原委員 私も短いながらも、大臣のお人柄、そういった誠意についてはわかる気がします。ことばの足りない面もあろうかと思うのですが、ぜひひとつ、物価問題だけじゃなくして、これからの沖縄の開発等を含めて考えていく場合に、本土でも、最初に申し上げましたように、物価というのはたいへんな政治課題ですが、同時に、沖縄においてはもっと切実な県民生活の問題になっているということも理解をしていただいて、きょう申し上げた点が早急に解決されるように特段の御配慮を御要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  86. 三原朝雄

    三原委員長 大出俊君。
  87. 大出俊

    ○大出委員 先般の私の質問の中で二点ばかり、後ほど調査をして報告をする、並びに資料の提出をするという御答弁がございました。私、その二つについてあらためて質問をいたしますということで、特に委員長の御了解をいただきました。  そこで、資料をいただいたわけでございますけれども、ここに社団法人日本食肉協議会昭和四十六年度事業報告及び決算報告書というのがございますが、中身に触れますと、私がこの前指摘いたしましたように、まことにどうもこの金の使い方たるや、いかんとも納得いたしがたい問題だらけでありまして、だから、この問題を詰めていきますと、ちょっとこれは決着がなかなかつかぬのではないかという気がいたします。だが、まるきりこれは素通りもできない。そこで、何点かひとつ皆さんに承っておきたいのです。  まず一つは、この報告書の中に、この間、私が申し上げました輸入牛肉にかかる差益金関係事業というのがございます。何に一体使ったかという問題でございますが、食肉流通改善対策というふうなことで、やれ包装食肉の一時保管施設などというところから始まりまして、あるいは消費拡大をはかるためのポスター、パンフレットなどから、たくさんございます。あるいは料理の講習会であるとか、たくさんあるのであります。あるいは、食肉販売業経営技術改善向上に関する講習会、食肉小売り販売業者の従業員の豚枝肉処理技術競技会。競技会などやる限りは、何か出すということになるわけです。これは豚の枝肉ですが、牛肉を二五%の関税を取って輸入をする。なお国内の生産牛肉との間の価格格差が開く。だから調整金をさらに取る。二五%の税金なり二〇%の調整金を合わせた四五%というものは、百グラムなり二百グラムずつお買いになる主婦のふところから出てくるわけでありますから、その金を、たとえばいま一番最後に例をあげました食肉販売業に携わっている方々、つまりその屋の使用人、つまりその屋の労働者でありますが、その方々の技術向上、うまく枝肉から肉を取ってさばいていく技術、そういうふうなことを向上させるという意味の技術講習会、競技会、こうなってくると、賞品も要るんでしょう。これは全くこの方々は、買ってきて、売って、中間でもうけているわけでありますから、税務署が調べて、差益率何%と全部明確になっているわけですから、そうなると、そこで使っている皆さんでありますから、その経営者は、その方々の技術向上には当然みずからの責任においてやらなければならぬ筋合いでありまして、これは経営上の経費であります。そういうものまで、零細な庶民の食生活の中から、二五%の税金なり二〇%の調整金なりというものを払っている。つまり、さいふから払っているわけです。そういう金を使うというような形のものが、決算上明らかになっているというなると、一体でそういうことを農林省は認めるのか。世の中おこりますよ、明らかに。  だから、これを私、取り上げると切りがないのでございますけれども、まずこの点について、これは別の資料がたくさんございますから、あらためて決算委員会か何かでやりますけれども、いまのような使い方について将来に向かってどうするのかという、ここらあたり、方向づけを私ははっきりしておいていただきたい。とれが第一点であります。  それから第二の問題は、紙あるいは板紙の需給安定についての対策がここにあります。こちらに、紙パルプ使用製品及び使用原材料価格の推移について、という数字をいただいているのでありますが、この限りでは、一体どうして紙が神隠しにあったと言われるごとく、私は足元の横浜市しか見ておりませんけれども、至るところの中小の印刷業を営む方々のところに、注文があっても紙がない。実はたいへんな苦しみでございます。こういう問題の理由の説明にはならない、こう思うのでありますが、まず二つ質問をいたしますので、納得のいく御報告をいただきたいのであります。
  88. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  前回、輸入牛肉の差益の使途について諸般の御指摘を受けましたし、いろいろな問題点の啓示をいただいたわけでありますが、輸入牛肉の差益の問題につきましては、実はその差益を取るべきかどうか、あるいはその使途いかんということにりきまして、前国会において物価対策特別委員会で種々御議論を賜わっております。  その論点の結果といたしまして、一つは、現在の輸入割り当て制のもとで、消費者割り当てと事業団に対する割り当てと二本に分かれておるが、国内の需給調整のために輸入する場合においては、やはり畜産振興事業団の割り当てをふやせという御結論を委員会として御指摘を受けたわけでございます。これについては、四十七年度下期からそのような方向をとりまして、本年度上期におきましても、七万トンというような前年の三倍程度のワクをふやしました際も、消費者割り当てワクを固定して事業団ワクをふやすという方法をとったわけでございますが、差益につきましても、これについていろいろな御議論を賜わりまして、特に使途を明確にすることは、先生のただいまの御指摘の中にもございましたような、流通対策その他でございますが、非常にばらまかれておるし、その点が非常に効果が問題だし、本来業界が負担すべき点があるではないかという御指摘がございまして、そのような御論議を得ましたので、私どもといたしましては、四十七年度から輸入牛肉についてのこの調整金の管理委員会を農林省に置きまして、第三者でやってもらって審議していただくということ、これは委員会の御指摘もあったわけでございます。それから生産対策その他に重点的に活用しろという御議論がございましたので、その方向に沿って進んでおるわけでございますが、御指摘もございますので、四十八年度におきましては、まず本来その業界負担的なもの、その点については大幅に削減する、生産対策を七割ないし八割にしたいという点が第一点あります。  それから第二点は、先生も御承知のとおり、団体が非常に多い。この団体の交付先を大幅に整理して、ほぼ御納得のいただける線に正したいという点で、現在検討中であります。
  89. 村田文男

    ○村田説明員 紙の関係をお答え申し上げます。  先生指摘のように、ことしの一、二月の需要の伸びが、紙の関係が一〇%、板紙が二八%、非常に異常な伸びを示しております。三月はまだ統計が整備されておりませんが、ほぼ同様の数字になっておりまして、こういうことを反映いたしまして、一方、設備動向は、一昨年来の不況と公害対策の強化ということを反映いたしまして、ここ二、三年急速に設備の増設が落ちております。こういうことを反映いたしまして、全体の需給がかなり窮屈になっておりまして、これでわかりますように、在庫率が全品目ともほとんど落ちているという状況でございます。  ただ、御指摘のように、これだけを見ますと、やはり一カ月分程度の在庫はあるわけでございますから、決して物がないというようなことにはならないわけでございますけれども、たとえば、この表の中で上質紙というのがまん中にございますが、この中にもいろいろ厚さとかによりまして規格がございます。こういうふうに設備がフル稼働に近づいてまいりますと、採算の悪い薄ものについては、メーカーはどうしてもこれをすかないで、厚もののほうを重点的にすいていくという形になっております。それから、うしろに薄用紙とございますが、これも全体の統計が、たばこの巻き紙等も含めて薄用紙全般になっておりますけれども、この中で複写用の薄用紙をとりますと非常に逼迫しておる。これは、ノーカーボン紙がPCB問題その他でまた昔流の薄用紙に転換していったというような特殊な事情もございますけれども、この薄用紙の中でも一定の品種は逼迫しておる。こういう状況になっております。  こういう状況になっておりますのにかんがみまして、私どもといたしましては、先般来メーカーの代表、流通の代表を集めまして、現在の限られた能力、資源、原料をこういう需給逼迫品種に重点的に振り向けるように要請いたしまして、その協力のもとに具体的に需給緩和策をはかってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  90. 大出俊

    ○大出委員 私も資料なしでものを言っているわけじゃないんで、きょうの時間の関係もございますので、再度これを保留させておいていただきまして、明日、いずれにしても決着をつけなければなりませんので、時間がなければ決算委員会その他でやらしていただきたいと思うのであります。  第一のいまのお答えでございますが、私は皆さんが新宿の伊勢丹の中へ行っていただければわかると思いますが、輸入牛肉の指定店その他も最近いろいろ配慮されておりまして、先ほどワクをいろいろ変えたとおっしゃいますけれども、私は昨年の物特で、四十六年以来の松浦君が質問している中身などもよく知っております。その前から私もよくわかっているわけです。だがこれは、どうしても納得できない仕組みでございますから、できればこの際……。  牛肉というのは高過ぎるのです。ニクソン大統領の言によれば世界一高い。そういうことで放任はできませんので、せめて輸入牛肉については、国内産の肉との価格格差があっても、全体の需給関係の伸び率を考えてみますと、それも資料で持っておりますが、安く売っても一向差しつかうない時期に来ている、私はこう思うわけでありすす。輸入肉がまずいといわれるのも、たしか十六度だったと思いますが、解凍するときに肉汁が出るからまずいということになっておるわけです。これも四十五年から技術改革をされて変わっています。だから、そういう点等を考えると、もう調整金などというものは考え直す必要がある、こういう時期に来ているという気がする。この議論をいたしますと、じゃ関税をどうするんだという問題も出てくる。したがって、これは私の意見として、ただ単にワクの問題でなしに、こういうものを物価対策としてひとつ抜本的に検討する必要があると私は思うのです。  企画庁物価局をつくるというわけでありますけれども、そこらのところは総合調整をして、どうしたら一体、消費者物価がたとえどれだけであっても安くなるかというところに論点がなければいけない。たとえばボランタリーチェーンを一つつくるといったって、ただ単に小売り店の強化助成策だけではなくて、その次の仕入れが安くなる、だから販売が安くなる、つまり消費者物価が安くなるというところに結びついてこそ意味があるわけでありますから、そういう意味でこれは考えておかなければならない問題だと思う。これは大きな課題にしていただいて、たまたま経済企画庁物価局をつくる論議をしているのですから、これは小坂さんのほうで、これは単に肉だけではありませんで、関連をいたしましていろいろな問題があります。だから、この種の中心になる問題をほんとうに抜本的に御検討をいただいて、庶民一般が納得し得るように、そして手に入る物価が安くなるように、これは皆さんのほうで御検討いただきたい問題だと思うのですが、いかがでしょうか。
  91. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は、先般大出委員からいろいろ御質問をいただきまして、非常に同感する点が多かったのでございます。実はさっそく櫻内農林大臣に対しまして、こういう御提起があった、ひとつお互いに研究しようじゃないかということを申し入れておきましたが、農林大臣も、そうだ、量が三倍になるんだから、その問題も拡大されるわけだということを言っておられましたので、いま御指摘のような方向でいろいろ検討させていただきたいと考えます。
  92. 大出俊

    ○大出委員 わかりました。ひとつそういうことでお願いいたします。  私、実はこの三年間いまの問題はずっとこまかく調べてみました。指摘があった。これはたいした長い指摘じゃないですよ。たくさんある問題の中で、四十六年のものは朝日新聞の十二月四日号だと思いますが、記事が出ております。以来どう変わるかなと思って見たんだけれども、多少変えたかなという変え方も四十七年度は見える。それでは困るから、抜本的な問題を考える時期に来ている。以来、今日物価が上がりっぱなしに上がって、昨今の商社問題を含めてたいへんな値上がりなんです。だから、そういう時期だから抜本的な問題に入る時期じゃないか。  たとえば三十七年に特に野菜等がたいへんに上がった時期がございます。そのときに農林省としては生鮮食料品小売市場管理会法案という法案をお出しになった。御存じでしょう。あれはある意味で美濃部都知事が産地直送方式なんということで団地に向かって考えられたのと同じ方式で、皆さんはたとえば東京周辺に二十カ所考えられた。正確に申し上げますと食料品総合小売管理会法案というんです。衆議院は通ったが、継続審議になっておりまして、またその次の国会でつぶれた。自民党の皆さんのほうは仲原善一さんが農林部会長をやっておられるときです。そこで、なぜつぶれたかといいますと、われわれから見てねらいがきわめておかしいわけですよ。二十カ所生鮮食料品総合小売市場管理会をつくる。その管理会のメンバーがいつの間にか想定されている。そうして農林省をおやめになった古手官僚の何とか山になつちゃった。そういうばかげたことなどをおやりになるものだからつぶれてしまった。  あの問題は、物価をどうしたら下げられるかという抜本的な問題をとらえて徹底的に皆さんが努力し合うという形になれば、それは、青果物の小売り商の皆さんの組合だって、東京の大沢会長、あるいは神奈川県の横須賀の石井会長、おなくなりになりましたが、あの方々の反対の論拠だって減っていくわけですよ。だから、私に言わせると、そういう官僚型のものの考え方ではなくて、実は経済企画庁がせっかく物価局をつくるなら、そういうことはほんとうはそちらがきちっと押えてやっていかなければならぬことになる。たまたま肉などの高い時期になっているんだから、野菜が高過ぎたので皆さんがああいう考えになったんだから、抜本的に考える時期に来ているということを申し上げまして、いまの御答弁で当面納得いたしますので、ぜひひとつ前向きな御検討をいただき、せっかく局をつくる機会に、当面どうするかということを含めて、物価を押える、下げる、こういう方向で御努力をいただきたい、こう思うわけであります。
  93. 三原朝雄

    三原委員長 午後三時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十八分休憩     …………………………………    午後三時十二分開議
  94. 三原朝雄

    三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  95. 大出俊

    ○大出委員 官房長官の忙しい日程がございますので、いささか委員数が足らぬようでございますけれども、始めさせていただきます。  そこで、長官、きょうは昨日のこともこれあり、いわゆる春闘末期でございますからお忙しいわけでございますので、ひとつポイントをとらえて申し上げますので、お答えをいただきたいのであります。  いま問題になっております十一柱の中国の方々を日本から中国にお送りをする、そして八百九十九柱の軍民両方にかかわります日本人の遺骨を中国からお受けをして日本に持って帰るという問題をめぐりまして、たまたま廖承志さんの代表団も来ておられますし、陳楚大使も着任をされたわけであります。かつ昨日は日中友好議員連盟の設立も超党派で行なわれておりますし、あわせて旧来から日中友好協会が折衝に当たっている、こういう経緯がございます。  そこで、まずいつごろこれは事が運びそうかという時期的な判断、これをひとつ、長官おわかりであればお答えいただきますし、あるいは外務省の方々のほうで、適当でございましたらそちらからお答えをいただき、あわせてこの間の船便という話が一時ございました。そういう御無礼なことはできぬのではないかという意見等もこれあり、途中から、おそらくこれは二階堂官房長官の御尽力だと思うのでありますが、実は航空便の往復にするというお話を援護局長を通じて私は聞いておりますけれども、これに対してもいささか考え方を異にする面がある。が、しかしその前に、その経緯を、長官のお手元で二番目の問題はおまとめいただいたのだと思いますので、まずひとつお述べをいただきたいと思います。
  96. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 戦争中になくなられた中国の方の十一柱と、それから私どもの仲間であります日本人でなくなられた方の遺骨が中国に残されておるということでございます。私はこれを聞きまして、一日も早く自分の国にお引き取り願うし、またお帰り願ったほうがよろしいということで、この話が三月の二十三日ごろでありますか、後藤田副長官のほうにまいりまして、私に相談がございました。そのときに伺いますと、何か貨物船ですか、船でお迎えにいくのだ、こちらに残されておる中国の方の十一柱をお送りをするのだ、こういうお話でございましたので、私もちょっと考えまして、それは何ぼ何でも、船で何日かかるかわかりませんが、なくなられた方の遺骨を送り迎えをするのは、どうも私の感じにちょっと合わなかったものですから、もっとも、いままでなぜ残されておったかという問題もあるわけですが、それはともかくとして、飛行機の時代だし、何かもっと早くお届けするなりお迎えしたほうがいいのじゃないかということで、飛行機で行ったらいいじゃないかと言ったら、まあ金の問題もありますし予算に組んでないのだ。船のつもりで予算に組んでおるかどうか、私はその点は確かめずにおったのですが、とにかく飛行機で行ったり来たりするんだから、飛行機で送ったらどうか、こう言ったら、まあという話でもございましたが、しかし私は、すぐその日に厚生省と外務省へ、飛行機で送るようにしなさい。金はまあどのくらい要るか、私も全く考えなくて、飛行機でやりなさいと、こう命令してあとから聞いてみると、やはりなかなか金がかかるのですね。当然でしょう。そこで飛行機にしてもらったということでございますが、できるだけ早くということでございますから、連体明けにでもそういうことができるように、厚生省と外務省のほうと相談をいたしてみたいと思っております。早いほうがいいと思いますから、連休明けにでも、こう思っております。
  97. 大出俊

    ○大出委員 これはたいへん長い年月、故人にとってみてはたいへんなことでございましたが、時期は、ただいま長官お答えになりましたように、連休明けにでも早急に、こういうふうに考えている、外務省、厚生省にそういうふうにひとつ進めてもらうようにしたい、こういうお話でございますから、時期は私もよくわかりました。  そこで、いまお話しの、幾ら何でも貨物船では、長官の感じとしてこれぴったり来ない、だからこれは、飛行機で行ったり来たりするんだから飛行機にしなさい、こういうふうに言って、予算上あるかないかは問題があるわけでありますけれども、飛行機にしたのだ、いまこういうお話でございますが、そこで、送っていって、さて向こうで受け取って乗せて帰ってくるという、つまり一往復、こういう趣旨のように承っているのですが、そういう趣旨でございましょうな。
  98. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 私はその時間のことは全く、これは何時間かかって、どのぐらい向こうに滞在できて、そしてどうとかいうこともわきまえずに、とにかく早いほうがいいということで飛行機ということにしたのですが、調べてみますと、朝早く出ていっても向こうに何時間しかおれない、向こうへ行ってすぐ引き取って、すぐ積んで帰ってくるということにはなかなかならない。やはりお坊さんなり一緒に御同行願って、そして向こうでひとつ供養して、そして飛行機に乗っけて帰っていただくということ等としますと、多少時間がかかるということは聞いております。しかし、貨物船の話を私が聞いて、それで飛行機にしたわけでありますから、その飛行機を、時間の関係もあるから一便を二便にしろというようなこともあったそうでございますが、それは先日そういう話を聞きました。それで私は、それは一便だぞ、大きな声で一便にしろ、こう言っておるわけでございます。
  99. 大出俊

    ○大出委員 その、大きな声で一便にしろというのが実は困るので御出席をいただいたわけなんですが、小さい声で一便にしろとおっしゃったなら、まあ大きな声のほうで二便になればいいのでございますから。ところが、大きな声で一便にしろ、こう言われっぱなしでは、実は援護局長さんのほうを通じまして聞いてみたら、長官から指示をいただいて、一便だぞ、こう言われている、そうなるともう、一便以外に貝が口をつぐんだように一言も申し上げられませんという。二階堂さんからそうもきちっと言われると、さすがに関係局長さんも口があけぬというわけです。  そこで、事情を二つだけ申し上げますが、長い時間をかけません。  一つは、中国側の皆さま方と日中議連の方々が相談をなさった、また友好協会の方々が中国側の方々と相談をなさった。昨日その両方の方々から私にも話がございまして、何とかどこかで長官に御出席をいただいて、直接委員会で何とか詰めてみてくれ、こういうふうに実は依頼されまして、ごもっともな実は内容でございましたから、あえて御足労いただいたわけでございますが、それは中国の皆さんは、これは厚生大臣に聞いていただきたいのですけれども、こちらから十一柱をお送りしたときに、たいへんりっぱに祭壇を設けまして、紅十字の方々あるいは各種僧侶団体の方々多数集まりまして盛大な出迎えをする。長い周こちらにおられたわけですから、その十一柱の方々は。だから、りっぱに祭壇を設けて、紅十字会あるいは僧侶の各種団体の方々、あるいは関係の市民の方々は盛大な慰霊の準備をいたしたい。そして十一柱受け取って、日本側にも全部出席をしていただいて、まことに盛大な慰霊をしたい。そしてそれはそれとして受け取らしていただく。それから八百九十九柱につきましては、これまた長い経緯があるので、この遺骨を一堂に集めまして、そしてこれまた紅十字会の方が仲介にお入りになっておるから、あるいは各種僧侶団体その他の方々にも集まっていただいて、これまた十分な慰霊を申し上げて、長い年月中国側にあった遺霊でございますから、その上で受け取っていただきたい、そういう手配を全部中国側が計算をしてみると、どうしてもかれこれ四日かかります。というのは、死者に対する礼を尽くすということで、いろいろ考えてみて、向こう側で最短距離で考えてみて、そのくらいはかかる。だからいろいろな事情が日本政府の側におありだと思うけれども、向こうには向こうのしきたりもある。長い年月の歴史的なこともあって考えているのだから、まげてひとつこれは御折衝いただきたい、こういう中国側の御意向なんですよ。  それともう一つ、実は関係の八百九十九柱に含まれる該当の各種団体が国内にある。実は私の近くにおいでになる方で、こちらのほうの会長をおやりになっている方が、うしろにきようお見えになっているのですが、伊藤康助さんという方でございます。援護局の方は古くから御存じの方でございます。この人は、いま申し上げた団体の一つでありますが、和光会という会をおつくりになっておりまして、この名簿だけで三百余のおなくなりになった方の名簿がある。苦心惨たんをして調べたはっきりしている名簿であります。  そこで、一例だけあげますと、伊藤会長さんという方は横浜の南区にお住まいでございますが、上海の大場鎮の作戦で上陸をされて、そして南京作戦に参加をし、例の柳川兵団のあと、杭州の留守部隊につき、それから一ぺん上海に戻り、徐州作戦をやり、それから漢口作戦をやり、漢口作戦がちょうど昭和十三年末でございます。百四十三名、南昌の作戦に参加をされて、ここから島へ偵察に行かれて、ここで戦闘をして重傷を負われて、そして動けないで偵察の方々が補虜になった、こういう経過なんです。時に軍曹という階級でございます。この方が負傷のままで捕虜ということで、まず桂林の収容所に連れていかれて、桂林の収容所から病気がなおって、あと軍事作戦の都合でだんだんかわるわけでありますが、桂林、常徳の収容所の方々が一緒に鎮遠に移動させられて、そこに収容された。さらに戦争の悪化の中で、鎮遠から全部徒歩で重慶まで移動させられて、重慶で最後までおいでになった、こういう経過でありますが、十九年の秋に重慶に行っている六百六十九名ばかりの方々であります。つまりこの間途中でなくなった方もある。これは年次別に全部ございますが、この移動の途中でなくなった方がたくさんあります。かかえていて死んでいくというようなことで、看病などして、最後に全部で六百六十人ばかりを引率して終戦後帰ってくることになったわけであります。  ところが、この方々は自分でやってきた方々ばかりでありますが、ちょうど一緒に収容所においでになりました仲間の一人にお坊さんがおいでになりまして、この人が滋賀県のお寺さんでございますので、そこに供養塔をつくって、生き残った方々が滋賀県大津の月心寺というお寺で、村上どくだんという西本願寺派の有名なお坊さんでありますけれども、そこへ毎年必ず集まってやっている。したがって、こういう方々がいろ相談して、時の経緯を全部知っているわけです。  この八百九十九柱の中に、この重慶の収容所の関係の方が三十八柱あるわけです。これは自分たちがみとった方々でもございます。たいへん収容所では親切にしていただいたそうでありますから、その中での不満はないそうでありますが、この間に紅十字の方々に中に入っていただいたりしまして、李徳全女史がおいでになったときに、この会の方々が会見を一時間ばかりいたしまして、そのときに八百九十九柱はこういうふうにしてやろう、三十八柱は軍人と民間と分けてあってこうなっているという話があって、そしてできるだけ早く帰すという話であったのですが、政治的に話が進まずに今日に至っている、こういうわけです。  そうだとすると、向こうに行って、紅十字の方々だとか、再三お骨折りをいただいた李徳全女史、なくなっておられますから、墓参だとか何かの礼を尽くさぬことには、行きました、三時間でさあ帰りますでは、幾ら何でも慰霊、遺骨の方々に申しわけないと思う。ずいぶんお世話いただいた紅十字やその他の方々にも申しわけない。たいへんな三十八柱集めることについて努力をされた方々にも申しわけない。だから、やはり行った以上は、欲をいえば、途中でたくさんなくなったので、常徳、桂林から鎮遠の間、そこらの土なども許可を得ていただいて、いま滋賀県にみんなで金を出してつくっているこの部隊の慰霊塔の中に入れたいという話し合いも実はしている。そういう団体は一つだけじゃありません。いま一例をあげたのですが、そういうことでございます。  だから私は、官房長官の気持ちがわからぬわけじゃないけれども、せっかく長い年月一日も早かれということでやってきた方々がたくさんいるのですから、そこらの声を聞く。実はきのう吉田法晴代議士等が、七、八名のそういった団体の方を集めて、官房長官に面会を求めたいというのでここに来られたのですけれども長官がお忙しい日程であったために、お目にかかれずにしまった。そこで、きのうは吉田法晴さんも、何とかこの委員会官房長官にそこらも訴えて、いまの、一往復ということについて声を大きくして言われたというのですが、少し声を小さくしていただいて、関係団体等との話し合いも少ししていただいて、そこらも御尊重いただいて、何とかひとつそういう話し合いを進めた過程で再考願うという御配慮をいただけぬか、こういう話を実は私ども直接いただきまして、それで実はきょう御出席いただいた、こういうわけなんで、そこのところを言い切りにしないで、少し話し合いの余地をおつくりいただけぬか、こう思うわけであります。三時間ではいかんともなしがたいわけであります。
  100. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 神さまになられた遺骨でありますから、荷物みたいに取り扱うわけにはまいりません。基本的にこれは私どもの考えでございますが、また、いま事情を聞きますといろいろの事情があるようでございますが、私も最初のいきさつを申し上げますと、船というので、それは困る、飛行機にしなさい、それじゃ一便だよ、行く人数も、五人ふえ十人ふえ二十人ふえじゃ困りますよ、ちゃんときまったことでありますからと、そういうことで一便と申し上げて、それで飛行機にすればもう一便だ、また何人だということになっても困りますから、ただいまお述べになりました事情もよく私も理解ができますから、しかし、厚生大臣とよく相談をしまして、善処いたします。大きな声で申し上げます。善処いたします。
  101. 大出俊

    ○大出委員 一便だという声が大きな声で善処というふうに変わりましたから、お忙しい官房長官でございますから、ありがとうございました。あとはひとつ関係各省と相談させていただきます。  そこで、続いて承りたいのでございますが、いまのその一便というのは経費にして幾らかかるのでございますか。そしてまた二便にするというのは。つまり十一柱をお届けする、中国側の礼を尽くすという、これは礼儀の国でございますから、そういう意味で盛大な慰霊祭が行なわれる。したがって、その間飛行機を置いておくわけにいかぬから帰ってくる。そして今度は八百九十九柱をいただきにこちらから行く。また盛大な慰霊の儀をやっていただきまして、それをいただいて、たいへん長い間お世話になって、またお世話もしていただいたわけでございますから、こちら側の各種団体の方々もたいへん痛切な気持ちでおいでになるわけでございますから、紅十字会の李徳全女史その他の墓参りくらいはせめてしたい、お礼を言いたい、こういう気持ちは私は当然だと思いますので、そこらのところをやってくださって、受け取らせていただいて帰ってくる。これが二便なんですけれども、その場合に一体どのくらい金がかかるのですか。前後の違いはまたどのくらいなのかという点を少し御説明いただきたい。
  102. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 一便と二便の場合、一便ふえることによって、五百四十万経費が違ってまいります。
  103. 大出俊

    ○大出委員 五百四十万、これは私もうかつなんですが、二階堂さんは私に電話で、一千万違う、こう言ったから、一千万くらい何だとこの前電話で言ったのですが、いま聞いてみるとまだ少ない、五百何十万とおっしゃるから。そうならば、せっかく向こうでお守りをしてくれたわけですから、いままできちっとして。また関係団体の聞くところによると、全部が全部墓から出しているのじゃない。土葬でございますからね。三十八柱のうちの軍関係の方々のほうは一カ所に安置してあるということのようであります。  したがって、そういうふうな点を考えますと、やはりどうも中国側に対する礼を欠くことになりはせぬか、一便で早々の間にあわてて受け取って帰るのでは。したがって、そこらのところは物理的な面。また、いまやまさに国交は回復され、二国間の友好親善という問題が将来大きくあるわけでございますから、そういう面で、これは政府という同じ立場ですれば、齋藤厚生大臣もなかなかものを言いにくいところではございましょうけれども、まずその心情というものはお互いあるわけでございますから、そういう意味で、何とか各関係団体の心情を察する、そういう線でひとつ検討してみたい、こういうお気持ちを私はいただきたいのでございますが、いかがですか。
  104. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 だんだんお話しいただきましたことを私も十分理解いたしておるつもりでございまして、関係団体の御意向等も十分承りまして、先ほど官房長官からお話のありましたように、私も官房長官と十分相談いたしまして、善処いたします。
  105. 大出俊

    ○大出委員 まあ、こういう席の善処というのは前向きで受け取る習慣になっておりますから、私も前向きで受け取らせていただきたいと思います。  そこで、時間の関係もございますので、いま申し上げましたこの件は、もう一言つけ加えさせていただいて終わらせていただきたいと思うのですが、この関係の方々に承ってみますと、いまここに私がお見せしました名簿にいたしましても、これは重慶の関係の方々だけなんです。なお足りないのだそうでございますが、三百余柱おいでになるわけでございますから、これが半分ちょっとの方々は、何年にどこでおなくなりになった、輸送の途中、移動の途中でなくなった方、それはどの辺でというようなことまで入っでいるのもあります。しかしなおわからない方々もある。名前だけようやくわかっている方もある。名前もわからない方もこのほかにある。こういう事情なんでありますが、わからぬところについては、厚生省の援護局の御当局の皆さんは、長らくこの方面を手がけておいでになりますけれども、いまここにございますのは、常徳、桂林、鎮遠、重慶、こういう収容所の方々の関係なんでありますが、どのくらいの数がおいでになって、いまいわれる八百九十九柱を調べて、その中でもわからぬ方もおいでになりますけれども、どういうふうになっておるか、把握なさっておいでになりますか。
  106. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 先生もお話になりました、戦争中とらわれの身になった重慶での元日本軍の捕虜の方につきまして、ただいま援護局で、このうち日本にお帰りになった捕虜の方の名簿として二千百四十七名の名簿を整備してございます。それから、重慶におきまして収容所で収容中になくなられた日本軍の捕虜の方、この方につきましては三百六十四名の名簿を私どもの局で現在持っております。
  107. 大出俊

    ○大出委員 そこで、外務省の皆さんに少し聞いておきたいのですけれども、大使赴任が相互に終わったわけでございますが、前に私が承りましたときには、国交が回復され、大使をおのおの交換をするという段階でいきなり遺骨の問題についての話を出すことは、相互の感情というものも考慮すればはたしていかがなものかという気もありと、こういうふうな話が実はかつて出たことがございます。これは外交ルートという面で今日どういうふうな話し合いになっておりますのかわかりませんので、この時点でちょっと御報告をいただきたいのであります。
  108. 大森誠一

    ○大森説明員 非常に広い地区にわたりまして戦没者の方々がおられるということを私ども承知しておりまして、これら戦没者の方々の遺骨の調査、収拾を行なうということにつきましては、長年懸案となってきた次第でございます。いま御発言ございましたように、私どもとしましては、日中間に国交正常化が実現した今日におきまして本件の促進をはかりたい、そういうふうに考えてる次第でございます。しかしながら、やはり本件につきましては、過去における不幸な戦争との関連で、中国の国民感情というものも十分配慮する必要がございますし、また戦没された地区というものが非常に広い地域にわたっておる。こういう事情もございますので、私どもといたしましては、中国側の意向も尊重しました上で、時期を見まして話し合いに入りたいかように考えております。
  109. 大出俊

    ○大出委員 ということは、まだ具体的な話し合いに入っていないということになると思うのですが、そういうことでございますか。
  110. 大森誠一

    ○大森説明員 そのとおりでございます。
  111. 大出俊

    ○大出委員 それでは、ここでちょっと気がつきましたので、別な質問を警察庁の方々にさせていただきまして、いまの問題に戻らしていただきたいのでございます。というのは、警察庁の方々も、即日の件等これあり、たいへんお忙しいことでもありますので、質問が少し時間がかかりますので、お待ちをいただくのは恐縮でございますから、ほかの方々に申しわけございませんけれども、ちょっとここで二、三点聞かしていただきたいのでございます。  まず第一に警察庁の方に承りますが、これは焦点をしぼって申し上げますから、その点だけについてのお答えをいただきたいのであります。  昨晩、東京電環各駅でいろいろ問題が発生をいたしまして、事の善悪という問題はさておきまして、それなりにまた真剣に私ども考えなければいかぬ問題だと思っておりますが、ただ、ふに落ちぬ点がございますので、けさの私どもの国対でも論議になりまして、これだけは承っておかなければならぬと思いますから、お答えいただきたいのでございます。  幾つかの場所でいろいろなことが起こりました。警察庁のほうの御調査で、大体どのくらいの地点で問題が起こったのかということが一つ。それから、まだ現地に行って調べておる時間がございませんが、新聞によりますと、各問題の起こりました場所場所に「市民の生活と人権を守る会」という団体のビラがどこにも散っていた。中には、このままでは第二の上尾事件が起こるぞ」、こういう趣旨のビラであるというふうに毎日新聞はじめ幾つかの新聞が書いているわけでありますが、これは一体どういう関係でこういうことになっていたのか。きょうもし調査をされておれは「各所にそういうことになっていたのかどうかという点、どのくらいの地域で起こったかという点と、そのおのおのにこういうことがあったというのでありますが、それは一体新聞報道が事実かどうかということ。それから三点目に、「市民の生活と人権を守る会」というのは、皆さんのほうで把握されておる限り、一体どういう会であるとお考えなのかという三点を、概略の御説明をいただきたいわけでございます。
  112. 室城庸之

    室城説明員 最初に何カ所で問題が起きたかというお尋ねでございますが、首都圏の中にしぼりまして、ほかはそう大きな問題があったとは聞いておりませんので、埼玉県の大宮でまず問題が起きまして、その後、赤羽、上野方面、山手線、中央線沿線で問題が起きております。総計、駅の数にいたしまして、大宮を加えて二十九カ所から被害があったという報告を受けております。  第二の「市民の生活と人権を守る会」という名称を使いましたビラの問題でございますが、このビラにつきましては、いまいろいろ調査をいたしておりますが、私ども、いままで調査いたしました結果、御指摘のような名称のビラを発見いたしておりません。
  113. 大出俊

    ○大出委員 調査中ということのようでございますから、それ以上申し上げませんけれども、何かテレビその他を見ておりましても、ビラが配られていたことは事実のようでございますから、また、新聞をお読みになるとわかりますけれども、毎日新聞をはじめ、だいぶそこらは書いてありますから、ちょっと気になりますので、また再度、これはまだきのうのきょうのことでございますから、それ以上ここで時間をかけることは無理だと思いますので、別の場所でまた聞かしていただきます。忙しいところをお呼びいたしまして恐縮でございました。  また、警察庁に厚生省の問題とからんで承りたいことがほかにございまして、こちらもおからだの調子が悪いというお話を聞いておりますので、ひとつ先に問題点だけ聞かしていただきたいのでありますが、日本には動物保護あるいは管理という法律がないのでございますけれども、これまた長い歴史的な懸案になっておりますが、この問題の扱いをめぐりまして、本委員会理事会で、これまた長年いろいろ相談をしてまいったところであります。  そこで、各党各理事の皆さんの御努力、御協力をいただきまして、大体、法案という意味での成案に近いものを得たわけでございますけれども、そこで、日本獣医師会あるいは東京都獣医師会はじめ、国際的な会でございます日本動物愛護協会、あるいは日本動物福祉協会というふうな団体が二十幾つございますが、おおむねの団体の方々に御出席をいただいて、日本野鳥の会とかいろいろございますけれども、御意見をいろいろいただきましたところが、この中に警察庁にかかわる問題が出てまいりました。  たとえば動物園なんというのは、上野動物園、多摩動物園等いろいろあります。全国至るところにありますが、何をもって動物園というのかという点がまず一つある。たとえば船橋のヘルスセンターに行くと動物をたくさん並べて人を集めている。商業的な動物の扱い方をしている。あるいは、そんな規模でない、まさに小公園に動物を置いているというものまである。その間にときたま被害者が出る。そうすると、それは一体法的にどうなるのか、業務上過失だけで済んでしまう筋合いなのかどうかという問題がある。  ところで、動物園の規模によって管理責任というのは一体どうなるのかという問題がある。これは動物園協会の方々からずいぶんいろいろとこまかい意見が出ましたが、ここらは取り締まり当局は、被害者の状況その他をながめてみて、一体どういう意見をお持ちなんだろうか。ぜひこれはひとつ委員会等の席上で聞いておいていただけぬかという意見等が出てまいりました。ごもっともな意見でございます。実は警察庁の方々には、ずいぶん苦心の労作を御調査の結果いただいておりますので、この問題に関する御苦心に感謝を申し上げるわけでございます。  いまのような点がございますのと、なおもう一つ、爬虫類というものについての規制が全くない。どこにもない。ところが町では商業的に毒を持つヘビを扱っている。最近はそれをよく持ち歩く、そういう部類の方々がおいでになる。あるいはまた、これが逃げ出して世間の大きな騒ぎが起こる。騒ぎが起こって、サルの場合なんかもそうだそうでございますけれども、こういう動物が逃げますと、取り扱いを知らない一般の方でありますから、必ず警察から動物園に対して、その方面の専門屋に御出張をいただきたい、こういうことになる。しかたがないからやむを得ず何人かの専門屋を差し向ける。サルが屋根の上にのぼった、木の上にのぼった、専門家が誘導したりいろいろやって元におさめる、こういうことが年じゅうある。ところが、これは一切動物園側の経費負担になってしまっておって、いまだかつて、この種のことについてどこからも援助をいただいたことがない。こういうことになっているのですけれども、まあしかし、動物園という立場からいってやむを得ぬと思ってまいりましたが、こういうことについても、これは将来に向かって何かお考えいただかないと、市民を騒がせるというふうなことで、あわせて納得いたしかねる。したがって、ここらのことも一ぺんぜひ関係当局に確かめておいてもらいたい。こういうたいへん切実な、その方面の専門にやっている方々からずいぶん熱心な御意見が出ましたので、できるだけ早い機会に確かめておきましょうということになりましたので、いまの二点について、時間の関係等がございますから、警察庁の皆さんのほうにとりあえず御回答いただきたいと思うわけであります。
  114. 相川孝

    ○相川説明員 先生ただいまお尋ねの件でございますが、私ども警察の立場としてまだ十分内部で煮詰めた意見ではございませんけれども、私、保安課長として考えております点を一、二申し上げたいと思います。  御指摘のように、動物の保護とかあるいは管理ということにつきましては、現在、いろいろと法律を調べてみましても、必ずしも十分でない、整備されてないというのが現状であるようです。私どもが取り扱いますのは、先般も全国的に調査をしてみましたが、とりあえず飼い犬――まあわが国には犬が飼い犬ないし野犬としてだいぶおります。詳しい数字は申し上げませんが……。
  115. 大出俊

    ○大出委員 日本には狂犬病予防法がありますね。登録の義務がありますね。登録犬がありますね。未登録犬がありますね。野犬がいますね。そこらはどのくらいいるか。私は、たしか六軒か七軒の御家庭に一匹いる勘定になるのだろうと思うのですが、一番新しいデータをおつくりのようでございますから、この際ひとつ、それだけはあわせてお述べいただきたいのであります。
  116. 相川孝

    ○相川説明員 答弁の途中になりましたが、お尋ねでございますので、お答えいたします。  狂犬病予防法に基づく登録頭数、これは厚生省さんとも連絡をとりまして私ども把握しておりますのは、三百六万頭くらいおるといわれております。それから飼い犬として未登録犬、これは推定でございますけれども、大体八十万頭ぐらいおるであろう。それからそれ以外の野犬でございますが、これは五十七、八万頭おるのではないかということです。パーセンテージに直しますと、狂犬病予防法に基づく登録頭数が大体七〇%ぐらい、それから未登録犬の飼い犬が一八%ぐらい、野犬が二二%ぐらい、合わせて何と四百四十四万頭くらいになるといわれております。これも後ほど厚生省のほうからあるいは正確なお答えがあるかと思いますが、まあたいへんな数にのぼっておるわけです。  そこで、前段のお答えを申し上げたいと思いますが、私ども調査してみますと、飼い犬や野放しの野犬によりまして、子供やおとなを含めて、人が被害を受けている咬傷事件、かみつかれた事案がどのくらいあるかを調べてみました。四十七年度で、私どもが検挙した事案でございますけれども、これが全部で二千五百件くらいにのぼっております。これは、検挙します場合に、いま取り締まり関係法律は、先生御存じのようにまず軽犯罪法がございます。それともう一つ、刑法の業務上過失ということで、飼い主が十分管理あるいはつなぎとめ等をしなかった場合にかみついた場合、業務上過失で責任を問うわけです。それから、全国で四ないし五の府県を除いてほとんどの県に飼い犬取り締まり条例がございます。これにも罰則がございますので、これらの法律や条例を適用して取り締まりに当たっておるわけです。  そのようなことから考えてみましても、動物の保護ないし管理は、関係法律ないし条例の整備が必ずしも十分でないように思います。これは動物の愛護の面からいいましても、あるいはそういう家畜といいますか、家犬、これの対人傷害といいますか、被害の面を考えてみましても、もうちょっと整備をする必要があるような感じがいたします。  ただ、私ども、取り締まり面でいまちょっと申し上げたのですけれども、これは、私、決して私たちの責めをのがれるわけで申し上げているわけじゃありませんが、警察で取り締まる面ということで動物の愛護なりあるいは管理というものを規制していく方向がはたして妥当だろうかという点については、若干の疑問を持ちます。まあ、ほかの省庁で担当するようになるのか、あるいは自治体でやるようにするのがいいのか、その点十分詰めておりませんけれども、私、素朴にはそういう考え方を持っております。  それから第二の点でございますが、確かに先生指摘のように、ペットで爬虫類、特にヘビあるいはトカゲなどを愛玩している家庭がないわけではありません、特に外国産の珍しいそういうものにつきまして。確かに小さいうちはペットということで愛玩対象なんでしょうが、そういうヘビとか、場合によれば猛獣のライオンの幼児とかあるいはトラの幼児、そういうようなものも赤ん坊としてはペットの対象になるでしょうが、いっそういう動物は幼児からいわゆる成獣といいますか、一人前の猛獣に転移するかもしれないわけです。飼い主には非常になれてなついておりますから、飼い主そのものに対しては、たとえある程度成長してもペットとして十分従順であろうかと思います。しかし、事、飼い主以外の他人に接する場合には、きのうまでのかわいいペットというものが一瞬にして猛獣と化す、そうしてたいへんな被害を受ける。現に最近、新聞紙上等を見ましても、犬によって子供がかみつかれて死亡したというような事例もございますし、その点を考えてみますと、そういう爬虫類あるいは猛獣、猛禽の小さい幼児をペットとして愛玩しているものについても、何らかの規制なり管理基準というものを定めていくことが必要ではないかと私自身は考えております。  答弁にならないような答弁ですが、以上でございます。
  117. 大出俊

    ○大出委員 たいへんお忙しいところをお呼びいたしまして恐縮でございましたが、たいへんたくさんの資料をおつくりいただきまして、ありがとうございました。後ほどあらためてまたひとつお知恵をおかりしたいと思っておりますけれども、きょうのところ、たいへんどうもありがとうございました。  先ほどの遺骨の収集の問題に戻らしていただきまして、なるべく時間を節約をして承っていきたいのでありますが、基本的な問題をまず承りたいのです。  予算でございますが、どうもあまりといえば、どうも日本の遺骨収集というものに関する予算がこんなことではという、実はまあ話にならぬと言ったほうが早いんですが、予算ではないかと言いたいのでありますけれども、実はそういうことでございまして、これは心ある人の国際的なもの笑いの種ではないかとさえ思われる程度でございまして、その間たくさんの民間団体におぶさっている。しかもそのたくさんの民間団体にろくな補助も出していない。昨年度のように、四千万ばかりのものを組んではみたようなものの、その中の主たる三千万からのものはフィリピンに慰霊塔をつくる金でございましたから、これまたどうも託にも何にもならぬ、こういう中身でございまして、どうしてこういうことになっておるのかという一番根本のところをまず承りたいのであります。
  118. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 この遺骨収集は国の責任において実施すべき事業だと私どもは考えておりますが、これらは、講和発効後二十八年から政府が遺骨収集の派遣団を広く旧戦域に出しまして遺骨の収集を行なってまいったのでございますが、ただいま御指摘のございましたように、過去における遺骨収集の経費というのは千五百万とかあるいは二千万とか、要するにその程度の金額が計上されてまいったわけであります。しかし、そういうことでは、いつまでたちましても遺骨の収集というものがらちがあかないということもございますので、昭和五十年ということになりますと、もう終戦三十年になる、何とかそれまでに遺骨収集というものを大きく促進しなければならない、かように考えまして、この本年度の予算におきまして二億を上回る予算を計上いたしました。初めて億の大台をこす遺骨収集費を計上したわけであります。  これによりまして、先生いま申されましたように、民間の方々に従来遺骨収集について御協力いただいておりましたけれども、すべて手弁当でやっていただいたというのを改めまして、約一億円足らずでございますが、三分の二の補助金を、こういった民間の遺族会、戦友会の方々で政府と一緒に遺骨収集に協力していただく方々に出すようにいたしました。いずれにいたしましても、本年度から予算の面でも姿勢を改めまして、遺骨収集につきましては強力に促進してまいりたい、かように考えております。
  119. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと念のために、どのくらいの予算を今日まで何年から組んでこられたかという点をあげておいていただきたいのでございますが……。
  120. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 昭和四十二年度の予算額が千三百七十八万七千円。四十三年度千五百九十五万二千円。四十四年度千九百七十二万円。四十五年度、遺骨収集だけについていえば千六百五十二万八千円。それから四十六年度二千万円。それから四十七年度千三百三十五万六千円、そういう状況でございます。それから四十八年度は、先ほど申しましたように、遺骨収集につきましては二億二千百三十五万九千円計上いたしております。
  121. 大出俊

    ○大出委員 いまの金額でいきますと、これは戦後二十七年たちましたですね。八年目になりますか。そうすると、戦後二十七年で合計一億四千万の金しか組んでいないということになる。たいへん広範囲に日本軍はかつて戦闘いたしたのでございますから、このたいへん広大な地域に、戦後二十七年間でたった一億四千万円。これで遺骨収集をしようということがどだいナンセンスなんです。  私はこの前この委員会で、ことし一年間のサラブレッドの輸入の話をしたことがある。通関統計で調べてみたら、一年間でサラブレッドを三百三十七頭輸入しているのですね。三百三十七頭のうちで、丸紅飯田が買ったのが百七頭ある。百七頭を幾らで買ったかといえば、五十一億ですよ。そうすると、戦後二十七年間で、馬一頭分の予算しかかけなかったなんてばかなことがあるか。これじゃまるきり、それこそ一銭五厘の召集令状と同じ。私もその一人で、私も出征兵士ですけれどもね。その二の舞いをやってきたことになる。それでは遺骨収集のていをなしていない。  だから、遺族会の方にしても、あるいは遺族に全く関係のない、日本青年遺骨収集団などという方々が百何人かおいでになる。この方のものなど読んでみますと、ずいぶん苦心しておられます。粗食にたえて、しかも街頭で募金をする。そうすると、日本青年遺骨収集団なんといったって、名前は通っていないわけだから、聞いてみると、うさんくさそうな顔をして、何だと聞く人が出てくる。ぼくら毎年こうやって、マーシャル群島等に遺骨の収集に行っているんだという話をする。それでもそう集まらない。したがって、しかたがないから、この青年諸君、ほとんど学生さんでございますが、この方々が一々重労働の土方までやって、金を集めて収集に行かれる。それで、腹が減ったなあといって、さて食うものというと満足にない、現地の方々が非常に同情するというようなことが繰り返されて、しかもこの方々は実は遺骨収集の主力なんですね。あるいは主力の一つと言ってもいいと思う。だから、政府から派遣された方々はホテルに泊まっておって、こういう民間の方々が民宿をして自炊をしてやっている。こういう姿をほうってきた政治責任というのは一体どこにあるんだということになる。これは厚生大臣、一体どこにこの責任があるのか。これは私はなまやさしい問題でないと思う。いかがでございますか。
  122. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 御指摘を受けまするとおり、今日までの遺骨収集予算というのは、合わせてたった一億。私もこれはほんとうに申しわけない次第だと考えております。率直にいって。実は私も、昨年の暮れ大臣に就任いたしまして、何ぼ予算要求しているんだと、こういうわけですよ。三億足らずだ。これはびた一文削らないようにしろということにしたのですが、これだってまだ少ないのですね、ほんとう言いますと。ですから過去のことは、いろいろ御指摘のとおり、私は何とも言いようがありません、これは率直に言うて。けれども私は、こういうことであってはならぬ、もう四十八年度からは思い切った遺骨収集というものをやらなければならぬということで力を尽くそうという、前向きに変わってきたということだけはひとつ御理解をいただいて、私も四十八年度のこの予算で十分かどうかよくわかりません。来年度においてもできる限りの予算を獲得いたしまして、ほんとうに南海の孤島その他に散っておられる日本人の遺骨をできるだけ早く内地にお迎えしなければならぬ、こう思います。  特に、今日まで民間の方々の非常な御協力をいただいておることについては、私どもほんとうに感謝いたしております。役所側のほうの派遣団のほかに、現地において手弁当で、わずかな金を集めて、そして遺骨を集めておられた方々、ほんとうにこういう方々には衷心より感謝を申し上げる次第でございます。今後とも民間の方々の御協力なくしては遺骨収集はできないようでございます。特に南海などにありますと、草もだいぶ繁茂しておりまして、その現地の様子を知っている人でないとわからないそうです。そういうふうな意味で、特に現地に行っておられた方々、そういう方々の御協力もぜひいただいて、そして一柱でも多く内地に帰っていただくように今後努力いたす覚悟でございます。
  123. 大出俊

    ○大出委員 大臣、私のここにある資料によりますと、昭和四十二年に千三百七十八万円、これで集骨地はレイテ、ルソン、サイパン、テニアン、ロタ、ペリリュー。四十三年が千五百九十五万円で、集骨地は西イリアン、硫黄島、カミギン、ルソン、これだけですね。四十四年は千九百七十二万円、一年間に。集骨地は東部ニューギニア、ネグロス、ミンダナオ、セブ、ホロ、硫黄島二回。それから四十五年二千二百三十五万円、このうち五百二十一万円は硫黄島の慰霊碑の建設費。そして集骨地が韓国の徳積諸島、ニューブリテン、ブーゲンビル、メレヨン諸島、北ボルネオ、硫黄島二回、サイパン、テニアン。四十六年が二千一万円。集骨地がギルバート、ソロモン、ガダルカナル、済州島、西イリアン、マーシャル諸島、サイパン、テニアン。四十七年が四千六百八十万円。ところがこの内訳は、三千三百四十四万円というのがフィリピンの慰霊塔建設費ですね。集骨地は、スンゲイパタニ、これはマレーシアの陸軍病院のあと地だそうですが。それからサイパン、テニアン、ロタ、カロリン諸島ということで、これは四十七年までの六年間の合計が約一億四千万円、こういうわけなんですね。  ところが、オーストラリアというのは、人口どのくらいあるか、皆さん御存じですか。――いいです。オーストラリアというのは、人口一千万ちょっとなんですよ。一千万ちょっとで、第二次大戦でなくなった方は、計算をすると日本の五十七分の一なんですよ。ところが、五十七分の一の人しか死んでいないのに、一千万ちょっとの人口のオーストラリアが、何と、四十七年までに三倍円の金を使っているのですね。日本円に直して三億円。日本は、四十七年までに、さっき申し上げましたように一億四千万しか使っていないのですよ。オーストラリアの五十七倍も死んでいて、人口も一億もあって……・。  そうするとこれは、戦争に負けた国とはいいながら、今日まさに経済大国、GNP世界第二位というわけですね。さっきの、中国に遺骨をお届けをする、受け取って帰ってくるということだって、聞いてみれば、まあ二階堂さんをおこらしてもしようがないから言わなかったけれども、わずか五百何万の話。事、一体遺骨というものについて、かつての戦争の傷あとというものについて、戦後は終わっていないということになるのだから、一体いまの政府はどう考えているのか、こういうことになりますね、ほんとうに。私も実はいろいろ目につくものですから調べてみまして、これは何とも腹が立ってしょうがない。  オーストラリアの方々の墓地には、たいへん広大な土地をわざわざ買って、オーストラリア軍の兵士の墓がきれいにグリーンの芝生に包まれて、まさにフランスの墓場に見られるような、りっぱな平たい大理石の墓石をつくったりしまして、そこに全部遺言が刻んであるわけです。ところが遺言のないのがある。ないのは即死なんです。即死だからない。負傷した、重傷を負ったこういう方々に最後のことばをみんな言わせて、戦友が書いたのですね。われ義務を果たせりなんて書いてある。あるいはメリーちゃんさようならなんてあるわけです。そういうのが全部墓石に一つずつある。そこまで刻んで墓をつくっている。  ところが日本というのは、飛行機の残骸とともに、砲弾の破片とともに、南海の孤島に草深く埋もれている。しかも何回かの集骨団が集骨してきた場所はどこかというと、一番海に近くて、一番入りやすくて、一番出てきそうなところで、やぶに入っていったら、ごろごろころがっているところ。だから、日本青年遺骨収集団なんという方々は、わずか三十何人という少数で行く。それでも二千体からの遺骨を収集する、あるいは出かけていったら手ぶらで帰ったことがないという。必ず遺骨があるという。それは何かというと、山のようにあるのだけれども、日程の関係、人数の関係で収集ができないというだけである。そういうことになると、これは人の数をふやして日にちをかけさえすればまさに数多く収集ができるということなんですね。これは間違いのない厳粛な事実、冷厳な事実です。だから、元の戦地に行ってみたいというので行った老夫婦が、収集団が帰る。何で帰るんだ、まだ山のようにあるじゃないかと言う。それでも金がないから帰ってくる。そうすると、帰ってしまえば来年まで一年間また雨ざらしで置いておくのか、こう言って嘆いたという記事が実はものの本にございます。  姿勢は変わったはずだと齋藤さんおっしゃるけれども、ことしの予算要求でも、四億足らずの予算要求をなさったはずでしょう。これが一億八千万も大なたをふるって削られたんじゃ、一体それはどうすればいいんだということになる。ことしだって二億二千万かそこらのはずですよ。そうでしょう。だから、そういうことになるとやはり、私は大臣の姿勢を変えようという御尽力は認めますが、だが、私の一番大きな心配は、いまのこんな二億二千万かそこらのペースで、オーストラリアだって、日本の戦争で戦没された方の五十七分の一の人員にもかかわらず三億かけているというのに、それを五十年で終わると言ってみたって、四十八年度の予算で四億足らず要求したものを二億二千万かそこらに削られてしまう、一億何千万か削られてしまう、こういう状態で、五十年といったら来年、再来年しかない。これでは皆さんの腹の中は一体何だといったら、これは慰霊碑を建てるとかなんとかというところにある。フィリピンだってたいへんな三千万からの金を使っている。このときに遺骨収集の金は、慰霊碑に使ったから九百万か一千万足らずなんです。しかし二千八百体近い遺骨がこの年は収集されている。つまり残った金で収集したのです。  その陰には民間団体が手弁当で収骨をやっている。さっき一例をあげた日本青年遺骨収集団じゃありませんけれども。この方々も、最初から遺骨収集を目的にしたのではない。学生が集まって、南海の孤島で死んだ諸君のところに行ってみようというので、つまり文学的な学問的な研究を含めて行った。行ってみたら、至るところに遺骨があるものだから、収集せざるを得なくなって収集団に切りかえる気持ちになったわけですね。そういう事情の中で、なおかつほうりっぱなしにされている。  それで一体五十年までで収集ができるか。そうじやないはずだ。慰霊塔や慰霊碑をこしらえて、それで打ち切ったんだということにしてしまう。結果的にそうならざるを得ぬと私は思う。そうされたのでは私は非常に困る。五十年までに収集を終わらせるということに私らは大いに疑問がある。そうなるとこれは黙っていられぬ。ことし厚生大臣が一生懸命四億近いものを要求した気持ちがわかるから黙っておったのだけれども、それが削られた。しかも五十年と、こう言い出された。来年、再来年でそんなことができるはずはない。できるはずがないのに打ち切るというなら、あとはどうするのだということになる。  遺骨収集がこれからまだまだ詰まっていくと、どうなるか。いまはどこに行ったってあるのだけれども、これから詰まっていったら、断崖絶壁であったり、それこそまさに人が入れぬところであったりすると危険になる。だから私は、何人人を送っても、幾ら金をかけても、探しても探しても遺骨が見つからぬというところまで政府は続けて努力をして、そこまでいかなければ打ち切るべきではない。打ち切れないはずだと私は思う。そこらの腹の中は、一体、大臣何で五十年というふうにおっしゃるのですか。できないことをおっしゃるのですか。
  124. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 お話を待つまでもなく、私も五十年度末までに絶海の孤島に散っておる方々の遺骨を収容できるなどとは思いません。先ほど援護局長の申しましたのは、五十年度を大体のめどとして最大の努力をしたいということを言っただけでございますから、その点は誤解のないようにお願いいたしますが、私も、いまのような、たとえば三億か四億かけて、これが四十九年度、五十年度二カ年でやったって、五十年度までに全部やることはできないと思います。これはもうおっしゃるまでもなく、戦争でなくなられた方々を一柱でもお迎えをすることが日本国民として私は当然の心情だと思います。なるほどいままでの点は、合わせてたった一億、ほんとうにこれは申しわけない。こんな金額では何とも説明のしょうがございません。ですから今後は厚生省も大いに姿勢を改めて、そして五十年度ということを一応めどにするならめどにしてもいいですけれども、いまのような金額でできるなどという思い上がった気持ちを持ちませんで、ひとつ今後とも一柱でも多く帰りていただくように最善の努力をいたす考えでございます。   〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕
  125. 大出俊

    ○大出委員 あるオーストラリア人が、私も組合運動の時代に何回か豪州も知っておりますけれども、言ったことばの中に、いま南海の孤島に横たわって残っている遺骨というものは日本人のものだけだと言っているのですね。それじゃ君は協力をしてくれないのかと言ったら、幾らでも協力する、現にしているじゃないかと言っている。いま大臣がいみじくも言われたように、まさに日本という国の義務なんだから、まずやるべきことは日本という国がやるべきではないのか、そうすればわれわれはどんな協力もする、こう言ったという、これもものの本に書いてあります。こういう状態にしておくことは、ますますもって日本の国柄というものに対する1経済大国でございます。商社活動は盛んでございます。国際的に、黄禍じゃないけれども、日貨排斥運動がどんどん起こる。援助をするといったってたいへん高い利子ですよ。中国の援助と比べてみれば一ぺんにわかる。そういうことばかりやって、経済的には手持ちドルは持ち過ぎている、だから円切り上げが出てくるという世の中に、自分のところの人間の遺骨はほっぽりっぱなしだ、こういう姿勢というのが、私はいまの日本経済体制を含めての、あるいは政治姿勢という問題につながることだと私は思う。  だからこれは、くどいようだけれども大臣、この点は改めなければいけません。そういう意味では、これは各党ともに、この点はひとつ、私自身も、これは振り返って考え方を変えなければいかぬと思うのですけれども、ほんとうに政党政治なんですから、政治の姿勢を問われるのですから、そういう意味で各党がそろってこの問題に全力をあげる。五十年と政府がおっしゃるなら、政府もその姿勢になって、むしろ各党に呼びかけて、ぼくらも収集ができないような年じゃない、やっぱりそれは出かけていって、そうしてこの運動を前に進める、そういう姿勢がほんとうにあれば、私は五十年ということだって話はわからぬわけじゃない。やっぱりそれは、一つ委員会が真剣になって出かけていって、現地情報というものをどうしたら集められるか。現地人に協力を求めればやってくれるのだから。そういう姿勢に変わらないと、五十年なんて言ってみたって、また五十年めどと言いかえてみたって、同じ結果にしかならぬ。  したがって、くどいようですけれども申し上げておきたいのですが、二百三十万といわれたりいろいろしますけれども、戦争でなくなった、つまり日本人の戦没者といわれる方々は総計何万でございますか。
  126. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 総計二百四十万でございます。
  127. 大出俊

    ○大出委員 そこで、二百四十万の方々の中で、総計でどれだけ収骨ができましたですか。
  128. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 本年一月現在でございますが、海外から遺骨をわが国にお持ち帰りしました数が百四万八千八百三十九体でございます。
  129. 大出俊

    ○大出委員 私の手元の資料によりますと八千八百三十七体になっておりますが、二体ふえておりますが、それはまあいずれにいたしましても……。  そこで、部隊の復員のときに、政府、民間等による送還、中国の場合はそれが大体大多数だと私は思うのでありますが、蒋介石政府の時代でございますが、日本が占領しておりましただけに、比較的逃げていませんから、そういう意味では遺骨を持っていた、納めていた、この現実があってそうなったのだと思うのでありますが、それが一体どのくらいお持ち帰りいただいたのかということとあわせて、しからば、いまのお話の中で、政府派遣代表団等による送還数、これは一体幾らあるのか。つまり、民間の側はどのくらいあって、政府が収骨したのはどのくらいあるのかという点。中国の場合には雲南は手がついていないはずでございますし、東北地方の場合にも残っているはずでございますけれども、そこらのところを含めて、一体政府べースと民間べスでどうなっているのか、いまの内訳は。そこらもあわせて承りたいのであります。
  130. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 中国の場合は、中国本土での戦没者の数が四十五万五千七百名でございまして、部隊が復員の際に戦友の遺骨を奉持して帰還いたしておりますが、その数が四十五万一千七百体でございます。したがいまして、四千体まだ残っておるというのは、これは雲南地区に四千名の戦死者が出ておりまして、その遺骨が未処理になっておりますので、それだろうと思います。それからもとの満州、現在の東北地区でございますが、ここでなくなられた方が、軍人、民間人合わせまして二十四万五千四百名でございますが、そのうち日本にお持ち帰りをした遺骨が三万八千体でございますので、二十万をこえる遺骨が未処理ということになっております。  それから、先ほど申しました、全体でいままで日本にお持ち帰りしました遺骨百四万八千八百三十七体、このいま申し上げた数の内数でございますが、このうち政府派遣団の持ち帰りました遺骨が十二万四千六百七十体でございます。それから民間団体によってお持ち帰りいただいたのが九千百九体でございます。ただしこの政府派遣団による十二万四千六百七十というのは、政府派遣団と民間と協力してやった分も政府派遣団の持ち帰った数に入れておりますので、十二万の中に民間に御協力を得て集めた分も含まれているということでございます。
  131. 大出俊

    ○大出委員 いまのお話のように、たとえばさっき私が申し上げた日本青年遺骨収集団なんかも、なくなった方にたいへんお気の毒な状態になっているということで、若いがゆえに深刻に考えられて、学校の理科系統の学生さんなんというのは、わざわざ家庭教師だとかをやる。理科系統、忙しいですから、私のせがれなんかも理科系統で、年がら年じゅうレポートばかりやっておりますけれども、そういうのをさいて、家庭教師や予備校の先生までやりまして、時間のかからぬようにして、それで金をかせいで収骨に行く費用をつくる。そういう努力までしてやった。それで、ことしは少し方向を変えてというので、そっちのほうに一ぱいあるからということで、三十四人にも人員をふやして行ったら、そこが政情不安定で収骨できない状態であった。たいへん泣きながら残念がって帰ってきたこともあって、それから皆さんのほうと連絡をとるようになり、皆さんのほうの情報をまずキャッチしたのを主体にして、それまでろくな情報しか皆さんはキャッチしておられなかったのだが、この青年遺骨収集団等にいろいろ言われて、皆さんのほうは情報をキャッチして、現地がそのことを許すかどうかというようなことも調べて、そこはだいじょうぶだということで、またこの青年遺骨収集団等は行っているんですね。だから主体はそっちなんです。さっき私が申し上げたように、政府から派遣した人はホテルにいたりしているが、この学生さんたちは、手銭、手弁当で自分の能力を使って金をかせいだり、ずいぶん金を集めているようです。いろんな人のところを歩やて寄付を仰いで、一年に二百何万集めている。自分たちが二百何万持って、寄付を集めてそれで行っている。人数が多いのですから、一人当たりどのくらい持っているかというと、六万円くらいずつ個人で持っている、学生がアルバイトで。それが民家を安く借りて、事情を話して自炊でやっている。ところが政府派遣のほうは旅費をもらって行く。そういう形で実際やっているんですよ。  そういうばかげたことをやっていいものかどうか、ここには問題がある。それにしても、民間のそういう方の協力を得てやっていながら、あるいは日本遺族会の青年部の方々などがやっていながら、十二万四千六百七十しか政府ベースでは収骨をしていないのですよ。さっきのお話のように二百四十万でしょう。そして収骨できたのは百四万八千八百三十七しかないのでしょう。百四万八千八百三十七のうちで、政府ベースで民間の協力を得てやって、そして十二万四千六百七十しか収骨していないのでしょう、戦後二十七年たって。そういうばかげた話はない。だからほんとうに、これは一般の皆さんに呼びかければ、それじゃ私らもアルバイトして行ってやろうなんていう人は一ぱい出てくる。皆さんが実情を知らないだけだ。  そうだとすれば、政府は、五十年をめどとなさるなら、やり方を含めて、抜本的にどうするのかという案を立てなければいけませんよ。全く官僚的に、ことしの予算はかくかく通りましたという中で、事業という形の中で、補助金は実績に応じてということになっているのだけれども、そうすると最近は、いろいろな団体がぽかぽかできている。だから、早い時期のは民間ベースで行くのだから文句は言いませんけれども、団体割引にならぬからといって遺骨収集団と銘打って行かれる。民間のほうだから政府は金を出していないのだけれども、新婚間もない方々が観光を兼ねて団員になって行ったりする。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 だから現地で笑われてみたり、そういうことができ上がるんですよ。それじゃ、遺骨を収集するにしても、なくなった方に完全に相済まぬことにたるのだから、そういう点は大臣きちっとしていただきませんと……。  それで、やはりもっと大きくキャンペーンを張るべきですよ。戦後の長い年月、一般の天下の大新聞がたいへん大きなキャンペーンを張ったことはない。正論新聞なんていう新聞はびょうたる新聞だけれども、一生懸命キャンペーンを張ってややっている。人まで送ってやっている。これは日にしでいるけれども、全体として、そういう遺骨を収集しようじゃないかという運動も起こったことがない。これはぼくらの責任でもある。だから、そこらまで考えて規模をひとつ考えていただいて、援護局も援護局の中に閉じこもらないで考えていただいて、何とかこれは、五十年というならそれでもいいが、しゃにむに五十年で決着をつけるという大運動を起こさなければいけませんよ。これは、政府主導であろうと、何党主導であろうと、そんなことはかまわない。国会委員会だってそれくらいの責任はお互いに負わなければいかぬのです。そこまでお考えを願いたい。そうでなければ大臣の答弁というのはうそになる。いかがでございましょうか。
  132. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 だんだんの御指摘、私まことにごもっともだと思います。従来のようなやり方一については、私どもも厳に反省を加えなければならぬということをしみじみ感じておるわけでございますので、五十年度をめどとしてと申しましても、いまのような状態では五十年度で全部完成するかどうか、率直に言って私も自信はありません。  そこで、私はこの際はっきりお約束申し上げますが、遺骨収集についての計画のやり直し、これをやります。そして政府だけの力でやろうなんということを考えてはいけないと思いますから、民間の方々、ほんとうに今日まで献身的にいろいろやってきてくださっておる方々があるわけですから、そういう方々の御意見、御協力もいただきながら遺骨収集の計画をやり直して、そして新しい計画に基づいて事業をやっていく、こういうふうにいたしたいということを、この機会に、私、先生にもはっきりとお約束を申し上げておく次第でございます。
  133. 大出俊

    ○大出委員 厚生大臣が一ぺん、サイパンンでございましたか、テニアンでございましたか、ぽっと行かれたことがある。だがしかし、問題はほとんど解決をしない。だから、いま大臣から前向きでたいへんありがたい御答弁をいただきましたが、この問題は、そういうことで五十年というふうにおっしゃったならば、ほんとうにぜひそれでしゃにむにそこまでやってみる。そして、どうしてもそれがやり切れなければ計画を延長していただいて、何とか収集し切る計画でやっていただく。収集団が行ったが、どこをさがしても手ぶらで帰ってきたというようなことまでやってみれば、あるいは国民の皆さんは御納得をいただいて、遺族の方々も、それなら初めて慰霊塔を建てるということに賛成すると私は思う。ろくに遺骨一つ収集もしないで慰霊塔だけ建てたって、何の慰霊にもならぬ。そんな金があるのなら、何で南海の孤島に一年間その方々の人骨をほうっておくのですか。慰霊塔をやめて、その金を使って収集したほうがいいですよ。そうでしょう。遺骨収集もろくすっぽやらないでおいて、片一方で慰霊顕彰でございますなんて、麗々しく靖国神社法なんというものを出すのは気が知れぬけれども、やることはやらなければだめですよ。だからそういう意味で、いま少しことばが走り過ぎて恐縮だけれども、心情としてはそういう気にならざるを得ぬので、ぜひお願いしたいのです。  そこで、この際一つずつ承っておきたいのでございますが、これは一月四日の朝日新聞でございます。あわててとっておいたわけなんですけれども、沖縄の糸満の郊外で一挙に三百体のいわゆる野ざらしが発見された。これも、日本政府なるもの、ずいぶん怠慢だと私は思うのですよ。この場所は何と那覇市から九キロしかないのです。糸満市の真栄平の丘陵で、二十メートルの丘の上に南北に約百メートルの幅で伸びている雑木林の中に遺骨が散乱していたというのですね。その間にさびついた不発の手りゅう弾が三、四体ごとに一個ずつころがっていた。そこから伸びる木の幹をちょうどかんだ形になっていて、木が伸びるものだから歯がかけて割れる、そのまま木が伸びているという写真があります。  私も昨年、沖縄に二カ月に一ぺんずつ参りましたけれども、ここまで気がつかなかったのですが、現地の方々で知っている人もいたのです。そうすると、政府の遺骨収集をする熱意が足りなかったことになる。すぐ目の先に三百体もあった。そうでしょう。ここはどういう場所であったかということは、地元の人は知っている。最後に牛島中将が自刃をされたあと、敗残の兵がそこに集中したのです。だから、刀折れ矢尽きているけれども、最後の一戦はやろうとした丘だったというんです。しかもやった丘だったというんです。だから、戦史をお調べになればどういうことになったかぐらいわかっているはずです。南部戦跡を歩いたら説明がみんな出てくるのだけれども、沖縄にはないはずだということになっておった。だとすると、沖縄でさえこれなんですから。  私は、去年の夏でございましたか、硫黄島に視察に行きましたときに、ついこの聞こういう壕が発見されました、死体が寄りかかったままでありました、水筒に水がいっぱい入っておりました、あけてみたら、腐りも何もせずに水がそのままあった、はたして何に使おうとしたのかという話まで実は現地で聞いた。そういう状態なんですから、そういう意味では、これはぜひひとつ御検討いただきたいのです。  さて、その沖縄でございますが、皆さんは沖縄にはあとどのくらい残っておると推定なさっておられますか。
  134. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 沖縄におきます遺骨収集の状況、今日までの経過を御説明申し上げます。  沖縄におきます戦没者の数でありますが、軍民合わせまして約十八万名に及んでおります。これらの戦没者の遺骨の収集につきましては、戦後間もなく地元住民の手によって始められまして、約十三万五千柱が収集されております。沖縄におきます遺骨収集につきましては、平和条約発効後、直ちに政府はアメリカ政府と交渉を重ねました結果、昭和三十一年にアメリカ政府の了解が得られましたので、昭和三十年以降は琉球政府に委託いたしまして遺骨収集を行ないました。その結果、これまでに約三万柱を収集いたしまして、氏名の判明していない遺骨は沖縄の中央納骨所に納骨いたしております。したがいまして、十八万名の戦没者のうち十六万五千柱がすでに収骨されているのでございます。  沖縄における遺骨の現状でございますが、これは、落盤等のために入り口が閉塞されました地下壕、あるいは自然洞窟に残されているものと、それから地表におきましては、山林など人目につきにくいところに残されているものがございます。先生がいま御指摘の真栄平地区などはそれだと思いますが、これらの遺骨の収集につきましては、沖縄復帰後は厚生省が所管することになりましたので、本年度は沖縄の収骨だけで、二千七百万の予算を計上してもらいました。本年度以降強力にやりまして、できるだけ早く沖縄の収骨につきましてはきれいにしていきたい、かように考えております。
  135. 大出俊

    ○大出委員 今度は沖縄出身の議員の皆さんもおいでになるのですから、十分ひとつこの情報網をキャンペーンしていただいて、沖縄のような場合はやってできないわけはないのですから。アメリカなんというものは、いち早く遺骨をほぼ完全に収集しているわけです。第二次大戦の結果というものは、記録がございますけれども、オーストラリアなども完全に収骨しているのですね。そういうことを考えると、沖縄などは万国海洋博どころじゃないのですよ。海洋博でございますと大騒ぎしているときに、遺骨がまだたいへん残っておってそのままになっておったら、努力が足らぬということになります。ぜひこれはお願いをしたいわけでございます。  そこで台湾の場合ですけれども、台湾は戦没者おおむね三万九千百のはずですが、これが部隊復員時に二万二千くらい収骨されて持って帰ったのですね。だが、そうなると、あと一万七千体わからない。これなんかも、どうもいささか台湾政府との関係もこれあり、私にはふに落ちぬのですよ。これはいかがでございますか。
  136. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 台湾におきましては、戦没者が三万九千百名で、復員時に部隊が持ち帰りました遺骨は二万二千名でございますが、そのほかに台湾におきましては、一万五千五百柱、これは海没された遺骨がございます。したがいまして、これを差し引きますとほとんど終わっていると言っていいのじゃなかろうか、かように考えております。
  137. 大出俊

    ○大出委員 しかし、私の手元にある資料からいきますと、二万二千というのはお帰りになるときにお持ちになったのが大多数なんですね。だから、そこらのところは、なお確かめるべきものは確かめなければならぬと私は思う。それで、ここまで来たので、こういう状況だからここはケリがついたということにするならば、そういうけじめはきちっとつける、そういうふうにしていかないと、これは納得しがたいですよ。台湾で死んでいまでも全然わからない人もたくさんいるんだから、これも大臣、ぜひひとつやり方を考えていただきたい。  それから、せっかくの機会ですから、硫黄島、グアム島  グアム島以下は中部太平洋でございますから、島名をあげておきますからお答えいただきます。  グアム島、サイパン島、テニアン島、ロタ、アンガウル、ペリリュー、メレヨン、トラック、マーシャル諸島、ギルバート諸島その他がございます。離島がございますから、その他のほうがおそらく九万三千名くらいなくなった方がおいでになるのでありますが、これはどうなっているかというのを、数字でひとつおあげおきをいただきたい。
  138. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 いま先生のあげましたグアム島以下の中部太平洋でございますが、ここで戦没された方々の総数が二十二万七千名でございますが、そのうち、中部太平洋全体として七万七百三十柱の遺骨を持ち帰ってきております。その中でサイパン島、テニアン島について申し上げますと、サイパン島におきます戦没者が五万三千三百名、テニアン島におきます戦没者が一万三千四百名でございます。いままで、このサィパン島、テニアン島に対しましては、五回にわたって政府の遺骨収集の派遣団を差し向けておりますが、サイパン島におきましては一万七百八十二柱、テニアン島におきましては六千百五十三柱の遺骨を収集いたしております。そしてサイパン、テニアンにつきましては、本年七月か八月にもう一ぺん、約六十名に及ぶ遺骨収集団を派遣することにいたしておりますので、この遺骨収集団の成果によりまして、サイパン、テニアンの遺骨収集というものにははっきりしためどがつけられる、かように考えております。
  139. 大出俊

    ○大出委員 フィリピンなんかも四十九万八千というたいへんな数ですね。部隊復員時、政府、民間等によって送還したのが六万六千五百七十三、そして政府ベースの派遣団その他で送還されておりますのが、民間がたいへん大きく役立っておりますが、二万七千六百二十六名なんですね。それに終戦時の持ち帰りが六万六千五百七十三。だから九万三千くらいしか収骨できていない。そうすると、これは四十九万八千ですから、相当数残っているのじゃないかという気がするので、皆さんのほうは昭和三十三年、四十二年、四十三年、四十四年、四十七年と、こういうふうに人は出しておりますけれども、ここらのところは、なぜこういう大量に残っておるのですか。
  140. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 フィリピンは御承知のとおり、一方面の戦没者の数は最大でございます。約五十万名なくなられております。御案内のように、非常にフィリピンは島が多いところでございまして、主要戦場もルソン、ミンダナオ、レイテ、セブ等、非常に数が多いのでございます。したがいまして、フィリピンには非常に多数の遺骨がまだ残っておるというふうに考えておりますので、本年はルソン、ミンダナオ等につきまして、百名をこえる遺骨収集団を十一月に一カ月間派遣する予定にしておりまして、明年におきましては、レイテなりネグロスなりセブ、そういった方面に遺骨収集団を派遣したい。フィリピンにおきましての遺骨収集は容易ならぬことであるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  141. 大出俊

    ○大出委員 あと大きなところは、ビルマ、インドというところに十六万七千戦没された方がおいでになる。遺骨を持ち帰られたのが四万二千。民間も入ったのでしょうけれども政府ベースの収骨は千三百五十一しかない。ここなんかもずいぶんこれまた残念なことですね。それからインドネシアも六万二千七百がなくなっておられるが、二万八千十二しか持ち帰っていない。おまけにこれは、政府ベースで収骨されたのは百九十一しかないのですからね。それからまた、東部ニューギニア、ソロモン諸島なんというところも二十四万二千人もなくなっておられる。八万七千百二十八持ち帰っておられる。あと政府ベースで二万四千三百二。だからここも大量に残っておることになる。それと、先ほどお話がございました旧満州が、二十四万五千四百なくなりまして三万八千、こういうことですから、ここも相当な数になっている。雲南等もございます。あとベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、マレー、シンガポール、ボルネオ、西イリアン、こういうところがございます。韓国にも何がしかまだ残っている勘定になるだろうと思うのですが、実はこういうことでございます。  私は、ここで大臣にひとつ御見解を承りたいのです。ことしの予算もそうですが、いまのような散発的なことをやっておったって徹底するものではない。現地の方の協力を得るといったって、行き方がまずい。だから、こういう大量に二十万も残っておるようなところには、それぞれに、それなりに、厚生省援護局の所管でいいんだから、そこにほかの予算を使っても何でも、とにかく一つの出先をつくる。そして五十年までとおっしゃるならば五十年まで、人がかわってもいいけれども、そこに定着をして、現地住民等と連絡をとって、その国の政府の力もかりて遺骨収集を本格的に手配をする、絵をかいていく、そういうところに収集団を誘導する、そういう形を考えていかなければ、これは民間の遺骨収集団をかってにやらせてみたって、人命に対する危険を伴いながらやっているのですからね。これは、これから収集が進めば進むほど収集しにくいところに行くのですからね。そうだとすると、もし収集団の方でなくなった方があったらどうするかということにもなる。だからそうなると、やはりきめこまかな対策を立てなければ、これは遺骨の収集にならぬのですよ。  だから、テニアンなんかにしてもそうなんですが、現地の方からいろいろ聞いて記者が書いているのを見ると、われわれは何のことはない、日本人の血と肉を食べているというのですよ。何だというと、死屍累々たるところを収骨しないというのだから、それを片づけてそこに畑をつくらなければならぬというわけだ。そこでできたものを食べているというわけです。そういうふざけたことになっているわけですから、やっぱりそれはちゃんと常駐をして、その方はたいへんだけれども、そういうシステムを考えて、常時連絡をとり合ってやっていくという体制を本格的に考えていかなければ、この問題はとてもじゃないが、五十年収集なんというものはできません。  そういうことまで含めて、大臣、これは全く抜本的に収集計画、予算その他を再検討いただいて、そしてひとつ、先ほど前向きでお答えいただきましたように、政府のみならず、やれるところは全部働きかけても前に進める、こうしていたかきたいのですが、いかがですか。
  142. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 連絡の駐在員を置くことが適当かどうか、また相手国の考えもございますから、そういう点までお約束はできませんが、そういう現地との連絡、それから収集のやり方、全体計画の練り直し、そういう問題について根本的にやり直す計画をやりますから、しばらくお待ちをいただくようにお願いいたします。
  143. 大出俊

    ○大出委員 それじゃこれは、中国との関係における遺骨の送迎という問題を取り上げましたので、あわせて全体的な問題について触れさせていただいたわけでありますが、これは戦後が終わらないということでございますから、ぜひひとつ本格的に御検討いただきますようにお願いをいたしておきたいわけでございます。  それから、あと三点ばかり承りたいのでありますが、一つは、前に一ぺんこの問題で厚生省の事務当局といろいろやりとりをしたことがございますけれども、ポリ容器をつくりますときに、これはだいぶいろいろ世間的な議論があった。一〇〇%回収しますという念書を入れた業者があったわけであります。私はそういう説明をいただきました。ところが、どうもこれがから証文でございまして、私は横浜におりますが、実はいろいろな問題がございます。ところが、たまたま厚生省の側は、これに対して、どのぐらいのポリ容器の回収が行なわれ、どう処理をされているかということをお調べになったようであります。  そこで、使用承認をした四十二社四十五工場、そのうちに乳酸菌飲料が二十一社二十一工場、こうあるわけでありますが、これは昭和四十六年五月以降、完全回収の念書と引きかえに製造、使用承認したはずであります。違いますか。そのはずだと思うのでありますが、そこをまずお答えをいただいて、これらの回収は、結果的に今日どうなっておるかという点をお述べいただきたいのであります。
  144. 浦田純一

    ○浦田政府委員 乳酸菌飲料あるいは牛乳容器等のポリ容器化に関連いたしまして、昭和四十六年の五月に条件づきで認可を与えたといういきさつは、御案内のとおりでございます。そのときの考え方といたしましては、実はこれは、食品衛生法上規制するということについては若干の疑義がございましたが、牛乳容器につきまして、あるいは乳酸菌飲料につきまして、ガラスぴんと透明な容器以外は厚生大臣の認可を要するという規定を最大限に活用いたしまして、条件を付しての許可をしたわけでございます。  それは、ただいま大出先生指摘のように、都市清掃当局と十分に話し合いをしていただいて、清掃当局の承諾を得る、その旨を当該市町村長ははっきりと文書でもって厚生省のほうに都道府県を通じまして出していただく、私どもはそれを十分に確認いたした上で承認する、こういうことでございます。その条件一つに、業者が責任をもって回収する、できれば一〇〇%を目ざしてやるということでございました。  ここで現在、そのときに許可を与えました各会社の回収力でございますが、これはちょっといま手元に資料がございませんのでこまかい数字は申し上げかねますが、最近の調査で約六十数%というところでございます。中には非常にまじめに一〇〇%やっておるところもございますが、全体平均いたしまして六十数%ということでございます。
  145. 大出俊

    ○大出委員 私も実は、厚生省の皆さんに関する質問、これ昨日、大臣の御都合でたまたまさようなら審議ができる、こういうことでございましたので、前もってお話も聞いておりまして、これは審議をしなければ、この機会をのがすとまたなかなか進まないというふうに思いましたから、あえて私がしからば質問をさせていただきます。こういうことにしたために、私も実は準備不十分でございまして、したがって普通ならば、どこどこがどうであるというようなことは、私でございますから、資料はちゃんと持っていてものを言う習慣なんでございますが、実はそこまで手が回りませんで、皆さんのほうに言っていただこうと思ったわけでございますが、この席上、時間もかかりましょう。  したがって、いまの浦田局長おっしゃる、私がさっき指摘いたしました、四十六年五月、完全回収の念書と引きかえにこの製造使用を承認をした形になっている。拡大解釈であっても、時の世論がそうであったから、新聞もいろいろ書きましたから。このときに私も、いろいろ条件めいたことを事務当局には申しました。  ヤクルトなんというものは、横浜でながめてみまして、ヤクルトのこんな小さいものが一日二十五万本あるのです。これはごみの焼却炉に入れたら、千度の熱を出すのですから、焼却炉がこわれてしまうのですから、入れようがない。巻き取りの清掃車に入れても、からからからからどうにもならぬ。処理のしようがない。うず高く積んである。一日二十五万本あるのですからね。そうでしょう。そうなると、川崎だ、相模原ですか、三カ所ありますけれども、どうにもならぬ。清掃の現場は何とかしてくれといってもどうにもならない。清掃局長がヤクルトを呼んで文句を言った。約束したがほごになった。しまいには横浜の責任者おかわりになったようだけれども、そういうことなんですね。  私は非常に心配したのです。扱い上、町の方々が迷惑するのだから。そこでこれは、破砕機その他をつくって、あるいは工場をつくってつぶす。だから、このヤクルトの入荷センターといいますか、からのやつをはいと持ってくるのと、入れておくところ、そしてからの袋に入れておいて、こんな機械の中に、からからからからあける。くるくる回って破砕していく。こっちへ粉が出る、小さくなったのが。かなり大きい袋のやつが小さくなります。それをアスファルトかなんか、道路の工事用の中に入れるということになったはずなんですね。  にもかかわらず、乳酸菌のほうは非常に成績が悪いようですから、そうすると、またこの問題再燃しかねないような状況にきている。東京なんかの場合だってたいへんな社会問題になります。これは地中に埋めても分解しないのですから。燃せば千度の熱が出て、毒を含むガスが発生するのですから。これはわかっておることですから。だから、この承認を与えた、つまり完全収集という念書と引きかえたもの、これについて、四十二社四十五工場のうち、乳酸菌飲料二十一社二十一工場あるわけでありますから、これについて、社名とどういう回収状況であったのかという点を資料でお出しいただきたい。そこで、東京都の実情や横浜あるいは川崎の実情等々、私は資料を持っておりますが、いまここで申し上げてみても、おたくに資料がないということになれば、これは早々の質問でございましたから、皆さんのほうの準備不足も無理はない。私のほうもいささか手が回りかねておりましたから、それはぜひお出しをいただきたい。それで後ほど時間の都合を見まして、この点については私の意見を言わせていただきたい。委員長、よろしゅうございますか。
  146. 浦田純一

    ○浦田政府委員 資料は提出させていただきたいと思います。  それから、いきさつを若干補足して申し上げますが、ヤクルトにつきましては、数年前からすでにポリ容器を使っておったわけであります。それがいわば一種の既得権ということで、四十六年の五月に私ども条件をつけて許可したときには、直接の対象とは実はなっていなかったわけでございます。しかしながら、私どもは、これを強い行政指導でもって、既得権といえどもひとつ回収に全力を尽すようにということで、ヤクルト本社を通じまして強く要請したわけでございます。  御指摘の横浜、これは実は、そういったことで新しく認可したという形にはなっていないはずでございますが、私どもはさっそく、横浜の状況、あるいは東京都の状況につきましても、当事者を呼びましてよく事情を聴取しました。そして厳重に注意を与えたわけでございます。したがいまして、あるいは横浜の会社につきましては、この結果かどうか知りませんけれども、責任者の方がかわられた、その後改編しておる、こういったようなことだと思います。また私どもは、条件つきの許可でございますから、いま警告を発しまして、さらに誠意が見られないというところについては、もう許可を取り消すぞということも、いますでに警告を発しておる段階でございます。資料は後刻に……。
  147. 大出俊

    ○大出委員 やはりポリ容器問題が社会的に大きな問題になった。その結果として、認めないと言っておられたのに認めたわけなんですけれども、またこれはちょっとまずいというので念書と、こう発展をしたわけですね。認めるべきではない、認めない、こういうことになってきて、これがどうも認めざるを得ないということになって、それじゃ困るじゃないか、また新聞もいろいろキャンペーンをした、結果的に念書と、こうなった。だから前に既得権があったからといって、処理のしようのない容器を使っているというのを放任はできない。しかもヤクルトの場合には非常に数が多いのです。けた違いに多い。だから多いところは、これは既得権だからしかたがないといえば、おれのところは少ないからいいじゃないか、こういうことになるのはあたりまえのことです。  だから、その企業それ自体にはいろいろ計画もございましょうし、その間の投資もございましょうから、御都合がわからぬわけではないが、しからば厚生省という役所はないのかということになるので、ですからそこで、世間一般に対して、こうこういうことにしたということになった以上は、多少の時間的な問題は別として、その方向で御指導いただかなければならぬ。そういう筋合いだろうと思いまして、東京都の最近の事情なども耳にいたしましたので、あらためてひとつその点は申し上げて、資料等をいただいて意見めいたことを申し上げたいわけであります。  それからもう一つ、このいまの提案をされておりまず設置法の中で、いまの清掃に関する問題あるいは水道に関する問題がございます。  ここで若干承っておきたいのですが、私は横浜市におりますから横浜市の水道をよく知っておりチけれども、横浜市の人口昭和三十八年に百六十万でございましたが、いま二百四十万をこえている。昭和三十八年、この時点で百六十万。いま三百四十万をこえている。そうなると、足かけ十年でふえた人たちが八十万をこえた。そうなると、これはふえた人は水を飲まないわけじゃないのですから。しかもこの方々は、東京の方が横浜に越していく。東京に都民税をお払いになっておって、横浜にはまだ市民税もお払いになってない方が、いや水道を、やれ学校を、道路が悪い、こうおっしゃるわけだが、そうすると、必死にならて限られた予算で苦労してきましても、もう限界に来ているのですね。今回、料金改定をやりましたけれども、これも残念ながらたいへんな無理なんです。だからそうなると、一体広域水道という言い方をなさっておりますけれども、ダムの建設も、ここで時間がありませんから申し上げてもしかたがありません、皆さんのほうが御存じだから。  そうすると、この設置法でいう広域水道というのほどうなのか。よく国のやり方というのは、口は出すけれども金は出さぬというくせがある。例の清掃法を産業廃棄物等規制法の新しい法律にかえるときに、一生懸命大蔵大臣なんかものを言ったのです。福田さんのときに。百万べん、ああでもない、こうでもないとおっしゃるのだけれども、金はというと出さぬのです。政令補助でございますから。そういうことじゃ困るので、だから機構改正をなさるとおっしゃるのだが、具体的にいってどういう構想をお持ちであるから改正をなさろうというのか。私は実はいただいているのはこれだけですから。  ここにはこう書いてあるのですね。「環境衛生局に水道環境部を設置することであります」、これが第一だ。「いうまでもなく、水道は国民生活に欠くことのできない基幹施設でありますが、近年における生活水準の向上、都市化の進展に伴い、水道用水の需要は著しく増大し、このため新たな水道水源の確保及び水道事業の広域化が大きな課題となっております」、だから「環境衛生局に水道環境部を設置する」、こうおっしゃる。そうでしょう、この設置法を読む限りは。そこから先説明がない。じゃ一体ここでいっている「新たな水道水源の確保及び水道事業の広域化」が大きな課題とおっしゃるのならば、そこのところをどういうふうになさろうとするのか、承っておきたいのであります。
  148. 浦田純一

    ○浦田政府委員 現在のわが国の水道は、普及状況からいきますと人口の約八〇%で、その限りにおきましては、欧米の先進国に比べて何とか遜色がないところまでいっておるわけでございます。しかしながら将来の水不足、いままで水というものは、豊葦原の瑞穂の国といった名前からも推測されますように、日本は水が非常に豊富であったといったような一般的な観念でとらえておりましたけれども、実は私どものほうで、各都市、関東、それから中部、あるいは近畿圏というふうにして、将来の需要量、並びにそれにかり出される可能性のある水源といったようなことのバランスで考えますと、いまのまま推移しますと相当な水不足がくるのではないかということが憂慮されます。したがいまして、私どもといたしましては、なるほど普及率は八〇%かもしれませんけれども、これから将来に向けて大いにこれは先行投資をして、どんどん水源の開発、あるいはお互いの水道事業の間の広域化をはかることによりまして、将来の水不足、将来の水需要に見合う計画を立てていかなくちゃならないという立場でございます。  現在まで、それらにつきましては、先ほど先生のほうから御指摘ございましたが、まずやはり水源の開発、それから水道の広域化といったようなことを中心にいたしまして、これらはいずれも、非常に多額の投資をかなり早い時期からやっていくということや、あるいは、だんだんに建設費が高騰してまいりますので、水道料金の将来の高騰ということも見られるということから、ここに私どもといたしましては国庫補助制度を導入いたしまして、金額で申しますと恐縮でございますけれども、過去四、五年の間にかなりの伸びを見せていただいたわけでございますが、もともと絶対額が少なかったので、現在では、昭和四十八年の予算といたしましては、当初分として水道水源開発分が百五十六億円、そのほかに沖縄の分などを入れまして二百三十九億円余りでございますが、昨年に比べて約六〇%の伸びといったようなことでございます。  このようにして、私どもといたしましては、従来の計画を各都道府県あるいは市町村を指導しまして十分に立てさせる必要がある。このような大きな事業を考えているわけでございます。  なお、現在広域水道として約九十事業が全国で行なわれているという段階でございます。  それから、関連いたしまして、これは水道環境部ということに相なっておるわけでございますが、先ほど御指摘の廃棄物の処理の問題でございますが、これらにつきまして御参考までに申し上げますが、先生方の非常な応援、御努力によりまして、その後予算も法文上制度化されまして、過去五年間の伸びで見ますと、四十四年には三十二億九千万円余りでございました。ごみと屎尿と一緒にしてでございますが。それが逐次伸びまして、四十七年では、これは法改正も伴いまして百十八億余円、それから四十八年度では百五十八億余円というようなことでございますが、これに伴いましても、やはりいまから先の都市環境の整備、それから最も生活の根源をなしております水の問題ということを考えますと、私どもは、現在の機構、現在の陣容ではとても都道府県に対する指導力を十分に発揮することができない。中身としてはそのようなことを考えているわけでございます。
  149. 大出俊

    ○大出委員 これは私は、横浜市でお働きになっている市会に議席のおありになる方ぐらい、あるいはそれ以上に水道問題はよく知っているわけでございますが、ここでそのことをこれから申し上げてもあまり意味がない。なぜならば、横浜市は取水の限界が来ているということですよ。人がふえますので、水を取り込む限界が来ている。そうなると、どこかに水源を考えなければならぬことになる。ここから先やろうとすると、これはえらい金がかかることになる。そうすると、そのために、横浜市財政というものは何ともまかない切れないところに来ている。  たとえばこれは、昭和四十七年から昭和五十年までの四年間、ここをとりましても、これはつくられる水ですからね。いま瑞穂の国の話をしましたが、まさに天からもらい水じゃないのですね。これは公害日本列島の中でつくらなければいかぬのだから。そうなりますと、一立方メートルにつき生産原価が約六十四円。そして、これは、一体幾らで売れるか。販売単価は逆に約三十七円です。そんなにやみくもに料金を上げられやしませんから。そうすると、四十七年から五十年までの四年間で水が足りない。つくらなければならない。いまはもう相模川だ何だといっても取水の限界が来ているわけですから。そうすると、あと、それこそまさに広域水道じゃありませんけれども、奥のほうにダムをつくることになると、神奈川県その他といろいろ話はやっていますけれども、そこで四十七年から五十年までの四年間を考えると、これは一立方メートルにつき水の生産原価が六十四円。そこでこれを平均販売単価ということで計算をすると三十七円、これで売らなければならぬ。六十四円で水をつくって三十七円で水を売ったのじゃ、自治体たまったものじゃないです。一立方メートル供給するごとに差し引き約二十七円の出血サービスということにこれはなるのです。  時あたかも、これは皆さんのほうで、「新たな水道水源の確保」、こうお書きになっている。それからまた「水道事業の広域化」という問題をお取り上げになっている。だから、そこで私の一番聞きたいのは、こういう自治体と水の問題は、特に六大市のような場合に、あるいは横浜市のように日本一比率的に人口増の激しいところをとらえた場合に、そういうところの水を一体どうするつもりなのか。せめて水源の開発は国の責任においてやるべきであるという見解を私は持っております。私はそう思っております。  たとえば、今回の国鉄なんかもそうでございますけれども、私は国鉄の場合に、単年度で赤字がやれ二千六百四十四億円ある。累積赤字が一兆一千六百四十億ある。そこへ借り入れ金が三兆七千四百七十四億円ある。だけれども、いままでの数字をずっと当たっていくと、利息と赤字とほぼとんとんに来ている。そうすると、東京都の美濃部さんが委嘱して、例の武蔵大学の芹沢彪衛さんに頼んで、間接的社会資本と言われる公営企業というものを調べてもらっている。その中で、国鉄なんかも、線路であるとか駅舎であるとかというものは国が持つべきではないのか。これは地方公営企業、地方公営交通もそうです。そうして運営というものを独立採算でやるべきではないか。これは確かに一つの提言だと私は思う。そうでなければもう解決しませんですよ。これは皆さん御存じのように、私も自治省相手に長年論議をしてきましたが、公営交通なんというものの累積赤字、これをどんなに企業内合理化を、つまり経済主義と言ったらいいと思いますけれども、独立採算で押っつけてみても、そうしてワンマンバスなりワンマン電車なりを走らせてみても、しょせん環境の変化というものには追いつけない。走れないのですから。自転車並みの走り方しかできないのですから。だから、そうなると、やはり芹沢さんが言っているように、間接的な社会資本というものの大半は国が責任を負うべきである、そして運営を独立採算でやれというなら話はわかる。つまり、そういうふうにするというたてまえからすれば。  しかし、なおかつ水道の場合には資産がある。長い歴史、人間は水飲んで育ってきたのですから、だから相当な資産を持っているから、まだそれでも小口径管等の末端を売ったにしてもやれる。だから横浜なんか、十六号国道の場合には、いまから八十年前のベルギー製の鋳鉄管というものが本管にある。これは八十年間使っておる。青山の例の貯水場があったときに、青山にあったやつを持っていかした。そういう歴史がある。それを使ってやっておるわけなんですよ。内径六十センチの鋳鉄管。八十年というと、私の年齢ではまだ何十年先かにいかないとならぬのです。そういうものをなおかつ使ってやっている。しかし、さっき申し上げたように、一立方メートル六十何円というものを三十七円で売らなければならぬ。だとすれば、せめて水源というようなものは国が責任を負うべきである。私は当然だと思うのですよ。  そういうところに触れないなら、これは、環境衛生局に水道環境部をつくることにして、うるさいことをやるだけのことで何にもやることをやらない、口は出すけれども金は出さないという方式の典型的なものができてしまう。それでは困る。だから、そこのところを浦田さんにひとつ突っ込んで承りたかったんだが、いまのお答えはその意味のお答えになっていない。いかがでございます。
  150. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先生の御意見、まことに私ども、もっともだと思います。これから先、ますます水源開発につきましては、これは奥地に求めなくちゃならないことで、膨大な先行投資を必要とする。また各市の運営そのものもいろいろと問題が起こってきておるということで、現在、これらの料金のあり方、ことにそれに対して投資をどういつだような割合で、どういったような区分でもって考えていくかということにつきまして、生活環境審議会の中でもって水道部会を設けまして、将来計画並びにその財政のあり方についてずっと御検討を願っております。  それで、私どもは、現在、それらを踏まえまして、さらに制度的に検討すべきもの、たとえば水道法の改正といったようなことも含めまして、私どもはいままでの姿勢を強く大きく改めまして、この問題の解決に真剣に当たりたい、こういう考えでおるわけでございます。  ちなみに、数字で申しますと、現在の水道経営の現状でございますが、収益的収入と支出のバランスは何とかとれております。しかし、資本的収入と支出の関係は大きくアンバランスでございますので、御指摘の点は非常に懸念されるわけでございます。私どもは、先生のそういった御意見を十分に検討さしていただき、審議会の御意見も踏まえながら努力してまいりたいと考えます。
  151. 大出俊

    ○大出委員 たとえば、国庫補助をふやすとか、適用範囲を広げるとか、あるいは企業体の借り入れ条件を少し考えてよくするとか、あるいは利子の安い政府資金をふやしていくとか、そういう点、何とか一つ国民に対する政府ベースでのものの考え方というものを取り入れていただきたいのですよ。そうしませんと、これはその集中する住民をかかえた自治体というのは、それこそ腹の切りようがないのですよ。そこへ持ってきて、それをてっぺんの政治ベースでやろうとする。そういう気はあるけれどもできませんと言っていると、それはどこへしわが寄るかというと国民なんですね。だから、古くからいるところの住民に対しては加入金は要らないけれども、新しく来るところの住民については加入金を取りますなんて、これもほんとう言えばばかな話。どこへ行ったって水ももらえない、水がなくては生きていけない。人がどっかの水道でかってに飲んだって、めったにこれは罪にならぬですよ。倒れそうになったから飲んだのだと言えば、それではどうぞということになるのだから。そういう水を加入金を取りますなんてばかげたことをさしておく政治姿勢というものは、これは考えなければいかぬ。  だからそういう意味で、これはいま前向きのお答えをいただきましたから、時間もありませんし、他の方に御迷惑をかけるので深く突っ込みませんが、私自身もこれは知り過ぎているつもりでございます。どうか、せっかくおつくりになるわけでございますから、あえて反対と申し上げませんので、この活用をしていただきまして、審議会もさることながら、行政というものは、ものをつくったら、行政機構をふやせば、私も十年ここをやっていますけれども、その行政が前に出るということでなければならぬわけであります。出ないなら意味がないんですから、そういう意味で、ひとつ国民のためにということで御検討いただきたいと思います。  清掃問題についてもいろいろございますが、一つだけ承っておきたいんですが、この動物愛護あるいは管理の法律をここ三年ばかり、私、手がけて勉強してきておりますので、そのからみでひとつ承っておきたいのですが、死んだ動物、つまり何らかの理由でなくなった動物についての引き取り、これは清掃法との関係で、たとえば犬という場合にどの程度これは皆さんのほうの側としてお考えになっておるかという点ですね。いま大阪の数字を私、持っておりますが、相当な数の焼却、こういうかつこうになっているのですが、そこらのところ、皆さんのほうは将来に向かって、こういう点はどういうふうにしたらいいとお考えでございましょうか。これはあとの保護管理法との関係がありますので、承っておきたい。
  152. 浦田純一

    ○浦田政府委員 現在の法律で申し上げますので、また、このような現状についてどのようにしなくちゃならぬかということは、それで答えさせていただきます。  現状で申しますと、犬とかネコとか小動物の死体でございますが、これは一般の廃棄物ということで、市町村の清掃事業の体系の中で衛生的に燃却処分するということがたてまえになっております。  それから、少し大きなものになりまして、牛とか馬、豚、綿羊及びヤギ、この轢死体につきましては、へい獣処理場等に関する法律というものがございまして、所有者が不明な場合には、これは市町村の手によりまして轢獣処理場へ運搬された上、衛生的に処理されておるというのが実情でございます。  しかしながら、現実の問題としてなかなかうまくいってなくて、いろいろと住民の方の御迷惑をかけておるということでございます。これらにつきましては、私らは、もっと動物愛護というものの精神を御理解いただいて、清掃当局にも、あるいは轢獣処理のそういった方のほうにも協力願うということが根本的な問題ではなかろうか、解決の方法じゃなかろうかと考えております。
  153. 大出俊

    ○大出委員 たとえば犬なんというのは、紀元前八千年のいにしえから飼われていた動物なんですね、歴史的には。それだけに人間になじんでいる。だから、かわいい犬がそこで死んでいるとなると、それを十ぱ一からげに、落っこってたら廃棄物だというんで、持っていっちゃって焼いてしまうんで済むのかという意見がとかくあるんですよ。そうすれば小学校の子供の情操教育によくないのじゃないかという意見もある。そうすると、これは外国からすれば、日本という国はずいぶん野蛮な国で、日本に犬の子供を輸出するなということができあがる。ですから、そこらのところは私は、現行法がございますから、いま局長がお読みになったことなんだけれども、幸いにしてこれは皆さんの御協力を得られて、何か各党の皆さん方のたいへんな御尽力で法律がひとつできるとすれば、そこに審議会くらい設けておいて、その中でどういうふうに現行法律とあわせて考えるべきなのか。文部省の御意見等によると、教育というものを中心に動物の保護管理法というものは考えてくれという意見が出ている。これは情操教育をさしている。そうすると、いまの点はそこにからまるわけですね。飼い犬が自動車にぶつかって、人間だってそうですが、死んでしまった。人間の場合なら大騒ぎで、死体遺棄はできない。引き逃げなどというものは必ずつかまってしまう。ところが、犬でもネコでも、飼い犬でも引き逃げをやる、いまはこうなっているのです。はたしてそれでいいのかという問題が一面出てきたりする。そういう点でいまちょっと承ったのですが、浦田さんの答弁が、はたしてそれだけでいいのかという問題があるということでありますから、そこだけ伺わしていただきまして、あとの問題として検討させていただきたいと思います。  そこで、行政管理庁の皆さんに承っておきたいのでございますが、コンピューターが官庁事務の中に導入されてまいりまして、相当な数にふえてまいりました。電電公社などもDIPSなどをおつくりになって、大型コンピューターも入ってまいりました。そこで、これは簡単に申し上げますが、昭和四十二年ごろから行政管理庁の内部で、情報化社会に処して官庁の事務の能率化というものを含めて、コンピューターの導入が勧告の中等でいわれるようになってまいりました。たとえば運輸省の車検なんかにいたしましても、あるいは登録にいたしましても、この時点でいわゆる国民背番号制度といわれるよろなところまで発展をし始めたわけであります。四十五年のこの時点ではさらに問題は複雑になってまいりました。そこでこの間、閣議決定等も行なわれるようになったわけであります。  この前段を一つ申し上げまして、これに触れておりますと長くなりますから、四十二年十二月十五日の閣議決定、四十三年八月三十日の閣議決定、この二つがある、こう申し上げて、さてその後の状況として、社会保険庁等がやっております厚生年金などの社会保険等の部門で個人コードというものなどをそろえていく。個人コード一つとらえましても、番号が違いまして、何けたにするかという問題もございます。そういうことで、個人コードというものがほとんど一億の国民についてでき上がっていると思います。市町村コードを含めまして。でき上がっているんだけれども、合わない。けた数が違ったりいろいろなことになる。それもいろいろ皆さん打ち合わせられて、各省間の横断的な打ち合わせの中で進められているように思う。だから、見方いかんですから、どう見るかによるのですけれども、すでにできてしまっているのかもしれない。この委員会におられる自民党の中山さんのおにいさんの中山太郎さんという方は、この方面の専門家でございますが、あの方の専門の中身は、その焦点が議論されている、こういうわけです。そこで、保険という部門ということになりますと、これは厚生大臣の所管でございます。だからそれに触れたいのですが、一番出発になる、原則に触れるそういう問題をここで聞きたい。  そのために、行政管理庁の皆さんにお出しをいただきたい資料が実はあるのです。これは昭和四十五年の四月ごろに、いろいろ皆さんは基本的な論議をなさっておいでになる、大体どんなふうな論議をなさったのかという点をまずひとつ承りたい、それが一つの基本でございます。
  154. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 四十五年四月という御限定でございますが、各省庁のいわゆる統一個人コードについて連絡研究会議というものが、四十五年三月から以降六回にわたって開かれておりますが、その中での第二回が四十五年の四月十四日、第三回が四月二十八日になっておりますが、当時私どもおりませんでしたので、どういうことになっておりますか、こまかな資料等については存じておりませんが、どういう点の御要求でございましょうか。
  155. 大出俊

    ○大出委員 おられなかったと平井さんおっしゃいますが、責任継承の原則というのがございまして、おられなかったで済むことじゃない。いかがでございますか。責任ございませんか。
  156. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 当時の議事録ということでございましょうか。
  157. 大出俊

    ○大出委員 議事録はございませんですか。
  158. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 私が伺っている範囲におきましては、内部的なメモ程度のものはございますが、正式の議事録はないと伺っております。
  159. 大出俊

    ○大出委員 そんなでたらめ言っては困りますよ。それでは責任継承の原則はないんじゃないですか。ここで申し上げましょう。  OM情報というのは管理庁御存じでございましょう。このOM情報というのがあなた方が御存じなものであるとすれば、OM情報に書いてあるのです。  時間を節約してずばり聞きますが、「行政管理局情報システム担当管理官室は、各省庁のセントラルOMとして活動しておりますが、その一環として次の表のような資料を作成しております。御所望の向きは当室まで御照会ください」と書いてある。「御所望の向きは当室まで御照会ください」というから、いま私はあなたに照会しているのに、メモ程度はございますでは、あなたずいぶん責任がなさ過ぎる。別な役所なら別だが、これはおたくでしょう。そして次のような表があるのですよ。いまあなたがおっしゃった四月十五日のは、情報一、二、三、四というのもありますし、昭和四十五年度管理改善基本方針というのもございますし、ORDM、EDPS、こういうのがある。一覧表でしょう。こういうふうに公にしたものを簡単にメモにされては困りますよ。ぐあいが悪いものだから、あなたはメモと言うのでしょう。
  160. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 議事録ではなくて、内部的なメモ程度のものはあるようでございます。
  161. 大出俊

    ○大出委員 内部的なということになると、内部になるのですよ。内部的なメモ的なものだというのだが、行政管理局情報システム担当官室は、各省庁のセントラルOMなんでしょう、あなたのところは。セントラルOMとして活動しておりますが、その一環として次表のような資料を用意しておるというのです。だから御所望の向きはどうぞいらっしゃいませ、差し上げますから、こう言う。そういう内部的なほんのメモ程度なら――あとで気がついた人間がいて、どうもぐあいが悪いからという程度では迷惑なんですよ。そこで私は、あるところから入手をいたしておりますから、ある程度、百も承知なんですが、議論がかみ合わないからお出しをいただきたいのですよ。これはメモじゃないのです。  この中身を幾つか申し上げましょう。まずIDカードという問題がある。これは言うならば身分証明書ですよ。アイデンティフィケーションカードだから、これは同一であることの証明書という英語になりますね。つまり身分証明書です。だから個人コードというものを幾ら整備してみても、IDカードというものがなければ、つまり個人に身分証明書を持たしておかなければ背番号システムは使えないということを、厚生大臣がおいでになる社会保険庁の担当の方がこの議事録の中で言っておられる。  二、三読み上げますが、これはたいへん大きな問題です。こんなことを言われたんじゃまことに迷惑です。だから申し上げるのですが、ここで関係十二省で集まっておられるのですね。そして、これはあるところでゼロックスにしておりますから薄いのだけれども、写したのだからほんとうなんだ。  これは統一個人コード連絡研究会議の議事録です。四十五年の四月ですね、日にちが入っておりますが、そのやりとりで、外務省の委員の方が、将来、査証免除で旅券そのものがなくなるため、IDカードは必要であるということから――あとのほうはあなたのほうに意見を聞いてからにします。みんな言ってしまっては身もふたもないから言いませんが、そうしたら行政管理庁は答えているのです。個人コードを推進する上でIDカード実行の方針を打ち出さないのは戦略的な考え方だ、こういうのです。国民背番号というので、皆さんだけでコードを知らないうちにつくるならいいですけれども、それを個人に身分証明で渡すといったらえらい騒ぎになってしまう。だから、それを外務省はなぜつくらぬかと言うけれども、それを言わないでいるのは戦略的な考え方だ。さらに自治省は、IDカードの取り扱いを最高濃密戦略――最も濃くて密なんですな。こう言っている。だからIDカードをやらなければ意味がない。効果もあがらない。しかしこれを公式に打ち出せば、たいへんな反論を呼ぶだろうというわけです。だから極秘に検討を進めるよう提案しているのです。だからあなたは、いまになってメモだなんて言う。そうして当面伏せておいて、将来時期が来れば行なう、こういって公表する。つまりそれまでは最高濃密戦略で伏せておけ、極秘に検討する。あと、ここに各省のが幾つもございます。社会保険庁というところで言っておるのですよ。ちゃんとここでIDカードが必要だと、おたくは力説しています。保険関係を先にやれというならIDカードを何とかしなければならぬ、全く困ってしまうというのです。実際にお困りになると思いますよ。だから社会保険庁のほうがそういうことを言うのはあたりまえ。ちっともふしぎだと思わない。これは中山太郎さん、こちらのほうのおにいさんが書いている本を読んでみてもそうなりますね。だから、私がこれを出してくれという意味は他意あって言っているのではない。資料の提出を私は要求いたします。  そこで、この中には資料の一覧がございまして、OM情報なるものをこの分だけゼロックスでとった一覧表。あなた方はちゃんと、どうぞ御照会くださいといっている。どうぞといったから御照会しているのだけれども、あなたは内部的なメモだけで、ないなんて言われては困る。だから、ここにありますから。いまあなたは四十五年の三月に話し合って、四月に第一回をおやりになって三回になったというが、四回やっておられる。だからずっとその後やっておられる。それをこの一覧表で皆さんとっておられる。それを一ぺんお見せいただいてもいいですよ、私はお返しいたしますから。そのくらいの親切心は持ってくださいよ。せっかく御照会くださいと書いてあるのですから、公式に私は聞いているんだから、まずこの資料をお出し願えるのかどうか。  私の意図するところは、検討してそういうことになったものは、妙な隠しだてをすると騒ぎが大きくなる。だから出すべきもの。議事録をお出しになって、その上で、平井さんになってから方針をお変えになったらお変えになったでいい。過去においてそういうことがあったけれども、かくかくしかじかのことがあったけれども、それはこういうことだからとりやめているというならいるでいいです。そのことを私は認めますよ。そう不用意に言ってもらっては困る。だから、やるならやるでやはり基本法みたいなものをおつくりいただいて、国民の皆さんは、プライバシーの侵害まで当然心配するんだから、心配しないように。やっておるスウェーデンだってアメリカだって大きな問題が起こっておるんだから、そこらのところをはっきりさせた上で、こういう検討経過なんだが、こういう理由でこれはいま遺憾ながらやめています。だから将来に向かって社会保険庁の要求あり、外務省の要求ありというなら、それはこういう方法でと、そういう整理をここでしておかぬと、妙な混乱を起こすと私は思います。それで資料を要求するのですが、お出しいただけますか。
  162. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 私自身が資料を見たことございませんでしたので、検討いたしまして、ありますればお出しいたします。  なお、基本的な考え方といたしまして、ただいま先生の御指摘がありましたように、プライバシーの問題その他についていろいろ問題がございますので、全国民についてのいわゆる統一個人コードというものは現在のところ考えておりません。この点につきましては、先般の参議院予算委員会第一分科会で行管長官も御答弁申し上げているとおりでございます。
  163. 大出俊

    ○大出委員 つまり、考えていないとおっしゃっても、前の話じゃないのですね。一九七一年の三月号のOMなんです。そうすると去年は七二年ですから、おととしの三月です。そうでしょう。そうするとやはり、中山さんのおにいさんだって、そこのところは知って本を書いておられるのですから。たいへんな学者でいらっしゃいます。ぼくは本を読んでいるからわかりますが、あの種の本はないのです。貴重な本です。これはしかも二回ばかり参議院で専門的な質問をされております。私は読んでおります。そういう上に立ってものを言っているのですから。中山さんのおにいさんだって、専門家であるだけに、ちゃんとそこの心配を持っておられる。だから、そういう意味でお出しになるものは出していただかぬと、国民背番号という名がついているものを、外国に例のあるように、個人個人に身分証明書を持たせる、背番号をつけさせるというところまで考えて極秘にやっているのだという大きな疑心暗鬼のままでは、いま社会保険庁その他を中心に、つまり保険関係だけ先に統一個人コードを進めていくということ自体に賛成いたしかねるということになるのだから。そうすると、さてこの設置法にからむ、これは賛成いたしかねるということになってしまう。  なぜかというと、この提案理由の説明の中にある「統計調査部を統計情報部に改組する」云々というところから、「従来の統計調査等に関する業務だけでなく、電子計算機を利用して各種の情報の整理、分析を迅速に行ない、その結果を行政に反映させる必要があります。このため、統計調査部を統計情報部に改組するものであります」、こうなると実はひっかかるのです。この種のことを方々の省がやる。たとえば通産省。通産省も、情報センター、情報ということばを使っている。皆さんも同じように使っている。これは郵政省はたいへんきらいなんです。オーガニゼーションの意味の、機関的な意味の情報ということばは、実は郵政省だけにしてほしいのです。だから通産省が情報ということばを使ったときに反対したはずだ。それは福田行管長官が、まあまあといって一生懸命なだめたはずだ。  つまり、なぜこれが出てくるかというと、私がいま言ったところに問題があるからなんです。皆さん専門家なんですからちゃんと知っているはずだ。わからぬことを言っているのではない。したがって、この種のものはちゃんと出していただかぬと、整理されていただかぬと。ある。書いてあるからあるに違いない。間違いない。ここに写しがあるのだから。ただ私の持っているのとそれを、外務省の機密保護じゃないが、突き合わせるなんというばかなことをしたくないから、それをお出しになったほうがいい。そうすれば、問題はおたくのみならず通産にもございますよ。そこらのところは整理する。  そこで、もう一ぺん念のために聞きます。おかわりになりましたから。責任継承の原則を私はいま強調いたしましたけれども、それはそれとして、この処理をするためにひとつ前向きで御検討いただきたいのです。いかがでございますか。
  164. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましては、現在の段階で統一個人コードの問題は考えておりません。
  165. 大出俊

    ○大出委員 資料のほうはどうですか。先ほどちょっとわかったようなわからぬようなお話なんだけれども
  166. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 私ども実は考えておりませんので、調べましてそういうのがございまして、適当でございますれば出したいと思います。
  167. 大出俊

    ○大出委員 適当でございますればなんて、よけいなことをおっしゃらなくていいですよ。  それじゃ、大臣もお見えになっていますから、ひとつそういうことにしていただいて、そこで、心配は私の党内にもございますので、ここに表現しておられるものとからんでいますから、その点はそういう意味で保留さしていただきたいのです。後ほど相談して決着をつけます。委員長、御記憶いただきたいと思います。  そこで、時間がないので、あとかけ足で二、三点でおしまいにさせていただきます。  ところで、最後でございますが、動物愛護法という法律を、どうも少し執念めいて申しわけないのですけれども、いろいろ勉強さしていただいておりますが、何点か農林省、自治省に対してここで承っておきたいことがあります。   〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕  齋藤大臣には、先般、予算の分科会でたいへん前向きな、かつ積極的な御意見をいただきましたが、その点、実は先般二十一団体ばかりの方々にお集まりをいただきました席上で、三原内閣委員長さんもおいでになるところで、厚生大臣からこういう御答弁をいただいて感謝をしているところだという報告をいたしました。したがって、厚生省のお考え方には何の異存もありません。  そこで、ひとつからんで承っておきたいのでありますが、農林省からかつていただきました回答。この回答がどうも、私は電話で、つい、こなまいきなことをなどと申し上げて恐縮だったのですけれども、それは取り消しますが、ここに、日本には動物に対する法律が何もない。英国の「ピープル」という雑誌なども、野蛮な国日本に小犬を輸出するなんていうことはやめろという大キャンペーンが昭和四十四年にあった。その時期に、時の外務大臣は愛知揆一さんでございましたが、四十四廣に英国においでになった。それで新聞記者会見をやったら新聞記者の方に食いつかれまして、日本には世界各国、文明国にあるはずの三つの体系がない。一つは犬やネコあるいはその他のドメスティックな動物を飼っている方々に対する管理者の管理責任、所有者、占有者の責任、こういうことが明確になっている法律、あるいは虐待防止という意味法律、あるいは自然保護という意味での法律日本には全く何もない。だから至るところ日本の保護動物は虐待をされておる、あるいは生命の尊重がされていない。それは一体どういうわけなんだと突っ込まれて、愛知さんはそれに答えて、うまいことを言ったのです。かつて日本の徳川時代には将軍さまというのがいて、人間より犬をかわいがった。そういう将軍さまのいた日本という国だから、これだけ犬をかわいがる国民世界じゅうどこにもないなんていうことを言って逃げてきたんですね。だがしかし、逃げてきたあと何もやらない。この間、予算の分科会で愛知さんに、あなたは今度大蔵大臣だから、あなたに責任があるはずだから、金が多少かかってもおやりくださいませんですかと言ったら、そこまで御記憶なら申しますが、私にも重大な責任がございますので、多少の予算がかかりましても前向きで積極的に決着をつけるために努力をいたしますと、実はこういうお話でございました。  それから、そういうふうに変わりましたので、ひとつ農林省のほうにお願いをしたいのですが、食肉動物を扱っておられるわけでございますから、そういう意味方向への影響を非常におそれておられた過去の経緯がございますが、実はこの内閣の理事会その他でいろいろ御検討いただきながら、そういうものは積極的な理由がある屠殺でございますから、はずしておりますので、一般的な動物の生命尊重というふうなものについては大きくかかってはおりますけれども、正当な理由があるものは除いておるわけでございます。   〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕 そういう点等を御勘案いただきまして、この動物を愛護する趣旨には大いに賛成するところであるが、当面においては、まず国民一人一人の動物愛護の機運を盛り上げることがより重要であると考えるなんていって、法律をつくらぬでいいじゃないか、当面は動物愛護の機運を盛り上げろなんていうことから始まって、ろくなことは書いてないのですから。端的に率直に、ごく短くてけっこうでございますが、こういう出し方をなさると、どうも私は引っかかるので、これが十年も前ならともかく、ですから当面のお考えをぜひ聞かしていただいて、でき得れば皆さんの御心配の点は十分考えておるつもりでございますから、前向きな御見解をいただけないものか、御協力をいただけないものか、こう思うのでございますが、いかがでございますか。中身は詳しくは申し上げません。
  168. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  お話しのとおり、動物の保護及び管理に対する社会的な要請というものが格段と進んでまいったことは、われわれは承知しておるわけでございます。従来われわれといたしましては、やはり先生のお話しにもございましたが、畜産業の基礎はやはり家畜の飼養、管理というものが中心でございまして、経済動物と申しますか、産業動物の飼養、管理という点が重点でございまして、そのために一方における人道的な観点その他からくる動物の保護なり管理というもののほうが一方的に出てまいりまして、そのために産業との調整というものが十分に行なわれないことを多年懸念しておったわけでございます。その点についての法的調整とか取り扱いの調整という点について十分な用意ができますれば、われわれといたしましては、今日の段階についての認識は十分あるつもりでございます。
  169. 大出俊

    ○大出委員 もう一点だけ、たいへんお待たせして恐縮だったのですが、承りたいのでございますけれども、いま全国に屠場、屠殺場がございます。私の地元の横浜でいえば、大黒町の屠場がございます。いまお話しのそちらのほうは、わかっているわけでありますから、はずして考えておりますけれども、ただ一般的にいって、それにしても、苦痛を与えないように、あるいは少なくするようにということが諸外国のこの種法律の原則でございます。それにはやはりそっちのほうを向いていただきたいという気がするわけであります。私が現地に行って、屠場で屠殺その他に立ち会ってみたこともございます。電殺というのをやりますが、豚なんか、水をばあっとまきまして、セメントを塗るこてみたいなのを持ってきまして、それを豚にこう当てるのですよ。そうすると、水をまいているから、電気がすぐ伝わるわけですから、ころっといっちゃうのです。こんな大きな豚が。まさにころっと、トンといっちゃう。ですから、これはひとつ、そういう形の、昔のようなことでなくて。牛の場合、馬の場合がございます。そこらがどうなっているかということを含めて、なるべくそっちの方向に全部をもっていくようにお骨折りをいただきたいのですが、いかがですか。
  170. 浦田純一

    ○浦田政府委員 実は屠畜場のそのようなやり方に関しましては、私どものほう、もちろん農林省のほうも十分指導しているわけでございます。それで、いま屠場の改善の整備計画を進めております。その中でできるだけ、いまおっしゃったような電殺の装置とかいったようなことも含めまして指導してきておりますし、私どももできるだけ早く全般の屠場のやり方について、できるだけ動物に苦痛を与えないような方法にかえるように今後も強力に指導してまいりたいと考えております。
  171. 大出俊

    ○大出委員 せっかく長年かかっていろんな方が、源田実さんが会長以来、動物愛護協会なんかもずいぶんお乗りのようでございますし、最近はどうやら中曽根さんが会長におなりになったようでございまして、与党の皆さんのほうにも御関係の深い方がたくさんあるのでありますから、ぜひひとつこれは前向きでお考え願いたいと思います。  それからもう一つ、自治省の皆さんにお願いしておきたいのでございますが、実は自治省の御意見も、これは半ば公式、半ば非公式と言っていいことでございますが、この席で御披露申し上げる気はありませんが、自治省の方々の立場は地方自治体をおかかえでございます。それで狂犬予防法という法律がございます。それに関連をして、各都道府県、市町村にそれなりの条例がございます。非常に詳細なものもあり、簡単なものもございますが。だから犬の収容所というようなものを持っている。そうすると、法律でものごとを義務づけた場合に金がかかるだろう。そうすると、自治省、金くれなければできないじゃないかと言われたのじゃ困るということが先行するものだから、金は困る、金は困るが、こんな法律をつくられると困っちゃう、こうなつちゃうわけですね、中身を読んでみますと。それが御意見なんです。それがやはり、きわめて現状維持的であり、かつ国際環境から見てそぐわないお考えになる。  そこで、いま保健所と申しますものは全国に八百二十八カ所ばかりあります。都道府県並びに十万以上の市でございます。ところが、八百二十八カ所ばかりの保健所で狂犬病予防法上の犬の引き取りをやる。ところが一億の国民に対して八百二十八カ所で引き取りが満足に行なわれるはずがないから、さっき警察庁でお話になったように、野犬が五十七万頭もできちゃう、こういうことになる。これはネコのほうになったらきりがない。勘定できないですから。警察庁といえどもネコはわからない。ニャンとも言えないです。これは。これはどうしてもわからぬです。わからないのだけれども、ほうってはおけない。ほうっておけないものはどうするかといえば、ふやさないことを考える以外に手がない。だから、そこまで差し迫った問題なんですから。ネコも、最近はごみ処理が的確に行なわれておりますから、比較的凶暴でございまして、他の家畜をやたら侵害をするネコが最近ふえている、統計上。  だから、そうなると対策がまさに必要でございまして、そういう意味でぜひこれは自治省の皆さんも。私どもは、八百二十八カ所では困るので、保健所の義務づけを一応取っ払いまして、かといって保健所で引き取ることはできる。ただ、行政の所管を一本にしませんと、あっち行け、こっち行けになりますので、市町村というところに引き取りの義務を負ってもらう。そのかわり引き取り手数料というものを取るということにする。いま狂犬予防法のほうでいけば三百円です。ただ、三百円というのは飼い主が出てきたり何かする意味での食費でございますから、高過ぎればまた一般の方が困る。その辺の中庸を審議会等でお考えをいだだいて手数料をきめるということで、そこで国が収容する施設についての補助金を出すという形を大蔵省にお認めいただいて、そうすればきわめて身近に行政の末端がいきますので、この問題は大きく前進をする、こういう考え方を持っておるのです。したがって、そこらに対して反対、こうおっしゃらないで、金を出すのは自治省自身でないのでございますから、ぜひひとつ、そこのところは予算当局との話も進んでおりますので、あらためてこの席で御意見を承っておきたいのであります。
  172. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 お答えいたします。  実は先ほど先生が責任継承の原則というのを言われましたので、私まさにそれを伺ってやや恥ずかしいのでございますが、私、行政局に昨年の暮れに参りまして、その後こういうことが前に問題になったということを、古い書類を見ませんでしたので、全く存じませんでした。それで、きょうこの御質問があるということで急遽書類を拝見いたしましたところが、いまここに出ておるような意見が出ておったのでございます。  それで、まさに先生の御指摘のように、自治省というものは常に、市町村の事務がどれだけふえるか、それから金がどれだけかかるかということを考えるわけでございまして、財政だけでございませんで、人間も最近たいへん不足でございますので、住民に緊要な事務からなるべくたくさんやりたいということで、事務を新しくふやすについては伝統的に消極的な気持ちはございます。現在もございます。  それで、前に私のほうの局から出した意見によりますと、まずこういうことを法律で定めるかどうかについて一応疑問を投げかけておりまして、さらに、かりにやるにしましてもということで、いま御指摘のようなことが二、三出ております。  実はこれも、私きょう初めて拝見したような次第でございます。いますぐここで意見というのは、ちょっとつらいわけでございます。従来の市町村の事務に関する私どものほうのいろいろな考え方もございますから、せっかくの御指摘でございますので――何か先ほど聞きますと、一部また法案を手直ししたものができておるそうでございます。それも実は全然見ておりませんでしたので、それを拝見しながらさらに省内でもう一ぺん検討してみたい。もちろん、財政的な見通しとか事務量、人員の見通し、その他少し当たりませんと最終的結論を出しにくいわけでございまして、この法案全体の趣旨としてはたいへんけっこうなことと思います。ただ、どこまで法律に規定するか。規定する場合にはどういうふうな人間、財政の手当をするかということについて少しここで検討させていただく時間をかしていただく、そういうことでございます。
  173. 大出俊

    ○大出委員 それはずいぶん長い間、いろいろな意見を消化しながらやってきましてね。いまの保健所の引き取りなんかはそのままにしておきましても、犬を連れた市民の方がおいでになる。これ、こんなに病気になつちゃってと、ぶすぶすいって引き取った。ところが一カ月もすると、また別の犬を持ってきた。この間は病気になつちゃってと言われたから、元気のうちに連れてきましたなんて、その人は、いいかげん飼うといやになつちゃって、犬を引き取ってもらってはまた連れてくる。そうすると保健所の方もたいへんなんですよ。そういうところまで実は手の届くようにしなければならぬ。だから、審議会をということになっているんで、したがって、そういうこまかい事件までいろいろ検討をしながら進めてきておりますから、もし御疑問の点はできるだけひとつ私にでも、あるいは関係の専門調査室の方にでも、また担当なさいましたのは衆議院の法制局の第一部の部長、副部長でございますから、御検討いただきまして、責任継承云々を問いませんから、前向きにひとつ、総論賛成、各論反対になると困るので、総論はいま賛成だとおっしゃいましたから、いま各論に入っておりますから、ひとつ各論賛成という形に取りつけていただけますようにお願いいたしまして、たいへん長くて恐縮でございますが……。
  174. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御趣旨のような方向で検討したいと思います。ただ、やはり非常に心配なのは、これは相当たくさんの事務量になるのではないか。それから狂犬病予防法との調整がもちろん要ると思いますが、どうもたいへんな事務量になりそうだということで、そこの解決をどうするかがやはり一番問題だと思います。どこまで法に規定していくかどうかという問題と、その解決をどうするかについてあらためて検討していきたいと思います。
  175. 大出俊

    ○大出委員 たいへん長くなりまして恐縮でございました。
  176. 三原朝雄

    三原委員長 木下元二君。
  177. 木下元二

    ○木下委員 今回の千葉ニッコーの事件についてでありますが、ビフェニールの有毒物質が食用油の製造工程において混入をしました。しかも汚染を知りながら社長が出荷を命じた今回の千葉ニッコーの件は、全国に非常に大きな不安と混乱を巻き起こしております。今回の直接の原因は脱臭塔の安全管理の不備からだと思いますが、この事件には非常に重要な多くの問題点があると思います。  千葉ニッコーの有害食用油事件、これにつきましてはカネミ油症事件という先例があるわけであります。カネミの場合はパイプの腐食、ニッコーの場合はパイプの振動による摩滅であるといわれておりますが、この違いを除けば非常によく似た原因であります。  そこで、大臣に伺いたいのでありますが、厚生省としましては、カネミ油症事件の教訓をどう生かされてきたのか。具体的な被害はまだ発見されていないのでありますが、厚生行政の責任をどうお考えになっていられるかを伺いたいと思います。
  178. 浦田純一

    ○浦田政府委員 確かに三年前にカネミ油症という非常に似た事故が起こっております。それでたまたま、まあ今回、企業側のそういったモラルという点は問題があるにいたしましても、繰り返されて同じような事故が起きたということにつきましては、はなはだ遺憾に感じております。  前回、カネミ油症が起こりましたのは四十三年のことでございましたが、私どもは、この事件を契機といたしまして、従来、油関係の製造業の業種は、食品衛生法に指定しております許可を要する業種になっておりませんでしたが、これを許可業種に新たに取り入れまして、十分な業者としての注意並びに行政指導上の把握が十分にできるように措置いたしたのでございます。その裏づけといたしまして、食品衛生管理者というものを設置する義務をこの業種に負わせることにいたしまして、非常に複雑な食油の工程でございますが、内部的にも十分に自主的に衛生上の管理ができるように改めたのでございます。  このほか、農林省のほうにお願いいたしまして、このようなカネミの油症は、原因は御案内のように熱媒体として使っておりましたPCBということでございますが、このPCBは非常に分解性も悪く、また人体の健康への影響も毒性もあるということでございましたので、より安全な熱媒体への切りかえということで、塩素が入っていない熱媒体に切りかえる、PCBは禁止するという方向行政指導をお願いしておるところでございます。  それから、さらに法律上の手当てといたしまして、昨年食品衛生法の一部改正をお願いいたしたのでございますが、その改正の中に新しく一条を起こしまして、これは法律第十九条の十八でございますが、食品の中に有害または有毒な物質が混入するおそれがある場合の措置の基準を厚生大臣がつくることができるというふうな改定をいたしたところでございます。  以上がカネミ油症事件を契機といたしまして、行政監督上の強化措置を行なってきたところのおもな点でございます。
  179. 木下元二

    ○木下委員 いま最後に言われた、厚生大臣が有毒、有害物質が食品の中に入らないための措置基準をつくるということですけれども、そういうふうに食品衛生法を変えられた。ところがこれはその基準がつくられていたのでしょうか。
  180. 浦田純一

    ○浦田政府委員 昨年施行されましてから私どもはさっそく準備にかかったのでございますが、熱媒体の実際の使用の状況等々について県を通じて調査しておりまして、まだ基準案の作成というところまではかかってなかったのでございます。
  181. 木下元二

    ○木下委員 そういうふうに法律を変えられながら基準がつくられていなかったことも原因の一端だと私は思いますが、それはともかくといたしまして、その問題になっているビフェニールというのは、結局PCBの代替品としてきょうまで使用されてきたわけでありますけれども、ビフェニールの安全性といったことについては確認をされておるのでしょうか。安全なものでしょうか。
  182. 浦田純一

    ○浦田政府委員 今回千葉ニッコーでもって問題になりました熱媒体は、ダウサムA及びKSK260という商品名のものでございまして、その成分はいろいろなものが混合したものでございます。御指摘のジフェニールはダウサムAの成分として含まれているものでございます。ジフェニールにつきましては、これはアメリカとか西ドイツ、オランダなどにおきまして慢性毒性試験などが十分に行なわれておりまして、WBOにおいてもその安全性は評価されております。現在、アメリカ、イギリス、西ドイツ等世界各国でレモン類等に対する使用が認められているのでございますが、その他の、たとえばジフェニール・エーテルというのがダウサムのもう一つの成分でございますが、これに対する慢性毒性等についてはあまり詳細な報告はございません。またKSKにつきましては、これはちょうどPCBの代替品としていまノンカーボン紙に使われておる化学物質、これの毒性について東京歯科大学で研究中のものがございまして、これがどうも唯一のものでございます。  KSK260の毒性は、そのPCBの代替品の研究の中で、KSKの成分に含まれているもの、たとえばジフェロフィールナフタリンといった化学名のものが含まれておりまして、その毒性を私ども承知しているだけでございますが、私どもは専門の学者の方にもお集まり願いまして、いろいろと現在これらすべての毒性についての考え方について御検討願って、御意見もお聞きしておるということでございますが、結論から申しますと、PCBに比べまして毒性はかなり弱いであろう。また慢性毒性につきましても、同様PCBに比べてまあ弱いであろう。しかし、二、三日のうちにKSK関係のほうの病理検査の結果が出ますので、その際また病理学、組織学的な所見についてはあらためてお伺いするというのが現在のわれわれの持っておる治験段階でございます。
  183. 木下元二

    ○木下委員 毒性は弱いであろうということですが、毒性がないということではありません。また、学者に検討をしてもらっているというお話でしたが、実はこのカネミ油症の原因究明を行ないました九州大学の油症治療研究班は、すでに三年前の四十五年四月に、ビフェニールを含む熱媒体は、急性毒性はそれほど強くないが亜急性毒性として神経障害をもたらす、安全な熱媒体とは決していえない、こういうふうに指摘をしておるわけであります。安全性が科学的に立証されて初めて使用を許可するということでなければならないと思うのですけれども、PCBよりもまだ安全だということで、PCBの代替品として使用を広げてきたと思うのです。この点は一体どうでしょうか。
  184. 浦田純一

    ○浦田政府委員 稲神先生の御研究も私ども検計させていただきました。また専門の方の御意見も伺ったところでございます。確かにジフェニールの神経に対する作用というものがあるようでございます。これは坐骨神経に対する作用ということで、一般的にこのような化学物質を与えた場合に起こる現象のようでございますが、稲神先生のおっしゃった趣旨は、予測できないような事故による混入ということを考えまして、危険な物質は第一食品工場へ搬入してはならないということを警告し希望しておられるわけでございます。  確かに御指摘のように、PCBがだめならジフェニールにしようといったような安易な考え方というものにつきまして警告しておられる。私どもは、いまいろいろと今国会にも、PCB代替品等の毒性を事前にチェックするといったような目的から、通産省のほう、あるいは私どものほうからも法案を提案中でございますが、それらの法律の成立をまつ前にニッコーの事件が起こったということはまことに残念なことであると考えております。
  185. 木下元二

    ○木下委員 私は、特に食品に関するものにつきましては、もう安全に安全を重ねた慎重な態度をとるべきだと思います。熱媒体についていえば、一度ならず二度も熱媒体が食用油に混入したのでありますから、装置そのものの二重三重の安全装置を設けるとともに、安全性の高い熱媒体を使用することが必要だと思います。この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  186. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 この事件はほんとうに私も遺憾な事件であったと思います。カネミ油症事件がありましたあと、多少毒性がPCBよりも弱いにいたしましても、ビフェニールが漏れて食品の中に混入されたということは、ほんとうに食品業界としても、私、相当反省をしてもらわなければならない問題だと考えております。  そこで問題は、私どもこういうことを考えるにつきまして、熱媒体として使うものに、毒性の強いもの、毒性のあるものを使うということ自体に、やはり相当問題があると思います。そこで、やはりこういうものについては、こういう毒性のあるものを熱媒体として使う、そういう設備構造のあり方、こういうことを直す方法はないだろうかということが一つ問題だと私は思うのです。そういうことにつきましては、毒性のあるものを熱媒体として使うような設備構造、こういうものを改めるように何とかできないだろうかということを研究してもらうように、実はいま通産省のほうに申し入れをいたしておるわけでございます。  それと同時に、かりにそういうことはできない、やはりある程度の毒性のあるものを使わざるを得ないというふうな場合になれば、そういうふうなものが漏れないとは限らないわけでありますから、この際、食品に関するあらゆるものを洗いざらい毒性の検査をひとつやってもらおうということをいま事務当局指示しておるわけなのです。  たとえば問題になっておりますのは食品添加物、これが一つの問題でございましょう。それから中性洗剤、これも、使い方によっては問題はないのですけれども、多少いろいろ議論の存するところでありましょう。それからまた、今度も問題になりましたようなダウサムA、こういうものを熱媒体として使う、それが漏れないとは限らぬ。ですから、漏れた場合に食品に混入され有害な食品になるおそれのあるもの、そういうふうな物質を五十でも百でもこの際思い切って拾い上げて、そういうものについての思い切った毒性の検査をひとつやろうではないかということにいたしまして、必要な予算をいま大蔵省と折衝中でございます。そのほうの予算が済みますれば、問題が起こってから、毒性があるのないのということを調べ直すのはおそいですから、やはり先取りして、こういう物質については毒性があるのかないのか、あるならあるとはっきりさせておくことが必要だと思いますので、そういう検査体制を強化してまいる考えでございます。
  187. 木下元二

    ○木下委員 大臣自身、深い反省の上に立って前向きの積極的な姿勢で臨まれる、こういうふうに伺ったのですけれども、そこで少し具体的にお尋ねいたします。  食品衛生法の第十九条で食品衛生監視員というのが定められてあります。食品衛生に関する指導の職務を行なわせる、あるいは営業を行なう者に対する検査等をさせる、そういうための監視員であります。その食品衛生監視員は全国で何人おるでしょうか。質問だけお答えいただきたい。
  188. 浦田純一

    ○浦田政府委員 全国で約五千九百人というふうになっております。
  189. 木下元二

    ○木下委員 いま言われた人数は専任だけですか。つまり私が聞いておりますのは、非専任の人たちも相当いるように聞いておるのですが、どうでしょう。
  190. 浦田純一

    ○浦田政府委員 全部が専任ではございませんで、環境衛生監視員等を兼務している方が入っております。
  191. 木下元二

    ○木下委員 環境衛生監視員、これは環境のことを取り扱うのでしょうけれども、食品衛生法のこの食品衛生監視員の仕事とは全く別のものでありましょう。そういたしますと、兼業と申しますか、兼職しておる人たちの人数はどのくらいでございますか。
  192. 浦田純一

    ○浦田政府委員 こまかい数字はちょっと資料がございませんが、約三割ぐらいが専任でございます。
  193. 木下元二

    ○木下委員 食品衛生監視員の専任が三割という意味ですね。
  194. 浦田純一

    ○浦田政府委員 食品衛生監視の専任が約三割ということで、こまかい数字はちょっと覚えておりません。
  195. 木下元二

    ○木下委員 これらの食品衛生監視員が監視をするいわゆる対象事業は全国で何カ所ぐらいあるんでしょうか。
  196. 浦田純一

    ○浦田政府委員 食品衛生全般の数で申しますと、監視する施設の数は三百七万余でございます。それから該当の食用油脂製造業は三百八十五。これは四十七年三月の数字でございます。
  197. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、三百七万余あるその対象事業所を、食品衛生法施行令で定めてある監視または指導の回数の基準どおりに一体やれるのでしょうか。この施行令では監視または指導の回数というものを一応基準としてきめております。それによりますと、これは営業等の種類によって違っておりますけれども、監視または指導回数は、少ないもので年間一回、多いもので年間十二回ということになっております。この基準そのものにも非常に問題があると私は思いますけれども、少なくともこの基準どおり五千九百名の監視員でもって三百七万余の対象事業所に対し監視または指導ができるのかどうか。監視体制に大きな問題があるように思うのですけれども、いかがでしょう。
  198. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先ほど申しました三百万以上の施設に対しまして年間約三百六十万回ばかりの監視をしているわけでございます。ということは、単純に平均いたしますと、一施設について年間に一・二回ということに相なっておるわけでございます。それで、率直に申しまして、施設全部を基準の回数だけ回るということは、監視員の方の非常な負担になっておりまして、なかなか守られていない。私どもは、重点的にあるいは施設的に業種を選んだりなどいたしまして、また。パトロールカーなど使いましてできるだけ機動的にやるとか、いろいろ苦心してやっておりますが、基準回数をこなすということにはなかなか遠いものがございます。
  199. 木下元二

    ○木下委員 私はこう聞いておるのです。全体として平均して申しますと、いまあなたは、一施設について一年に一・二回、そう言われましたけれども、全体として言うと、大体二〇%ぐらいしか監視または指導が行なわれていないというふうに伺っているのですが、そうでしょうか。
  200. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先生非常にお詳しいので率直に申しますが、基準に比べますと半分にも満たない。ことに食用油脂製造業につきましては、年間六回というのが基準回数でございますが、実際には二回程度、二〇%か三〇%ぐらいのところしかこなし切れないでおるという状態でございます。
  201. 木下元二

    ○木下委員 先ほど大臣も、今度の事件を契機として監視体制などを積極的に進めていかれるような答弁をされたんですけれども、現状の監視体制に非常に大きな問題がある。このたび起こりました事件も、実は、この施行令によりますと年間六回監視または指導をしなければならないという基準であるのに、二回しかやられていない、こういうふうに私は聞いております。これは、食品衛生法、そしてそれに基づく施行令で定められた監視の制度が死文化しておることではないかと思うのです。その点はどうでしょうか。
  202. 浦田純一

    ○浦田政府委員 御指摘の点、まことにごもっともだと思います。はなはだ弁解めくかもしれませんが、私どもは、いわゆる政令で定める基準ということで、こればいわば努力目標という意味で監励して、できるだけ基準回数を回るようにというふうに指導しておるところでございますが、現実は、おっしゃったように、なかなかこなし切れないでおるということでございます。
  203. 木下元二

    ○木下委員 私は努力目標では困ると思うのです。単なる努力目標だから、それに到達しようがすまいがいいんだというような態度では困ると私は思います。この基準というのは当然守られるということが前提できめられておるんではないかと私は思います。まあ基準ですから守られない場合もあると思うんですよ。そういう守られない場合も中にときどきあった、こういうのならわかりますが、そうではなくて、さっきも認められましたように、全体としてわずか二〇%しか達成していない。これでは基準が全く無視されておるということではないですか。法の定めておる基準が踏みにじられておるといっても過言ではないと思います。こういうふうに、政府がつくった法律あるいは施行令を政府みずからその実態においてくずしておる、こういうことでは私は非常に問題があると思うんです。いかがでしょう、大臣、答弁願いたい。
  204. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 局長の言うたのは、まあちょっと舌がすべったような感じがいたします。基準というのですから一つのスタンダード、こういうふうな意味で気持ち楽なつもりで舌がすべり過ぎて言ったのでしょうが、つくった以上守らせる、これはあたりまえのことです。そのくらいのことをやらなければ基準なんかつくったって意味がない、私はそう思います。ただ局長は舌がすべったのでしょうから、その点は誤解なさらないようにお願いをいたします。  そこで問題は、この食品衛生法という法律を実際実施する責任者は府県知事なんですね。地方庁にまかしてあるところに相当むずかしい問題があるんです。それから、それを実際にやりますのは、御承知のように国の役人ではないんです。府県の普通交付税によってまかなわれる職員なんです。そういうところもありまして、本省が言うても実際上は、うちの県は心配ないよというふうなことになりますと検査はお留守になる、こういう問題があるんです。  そこで私は、この事件を契機として局長に厳命を下したのです。特に一番やかましい食用油をつくっておる製造工場について、年六回やるなんていいながらさっぱりやっていないじゃないか、何やっていたんだと、こういうわけですわ。そこで実はこの事件を契機として、先週四月十八日から一週間以内に全国の食用油製造工場を一斉点検しろという命令をしまして、これは厳重に行なったようでございます。そう言っちゃ失礼ですが、ああいう事件がありましたので、やっぱりどこの県でも本気になったようでございます。県によっては、うちの県はだいじょうぶだ、あまり騒がぬでいいんだという県があるんです。だからといって投げていていいものではない。やはり地方自治体というものは自治の責任を負わなきゃならぬ。私は当然だと思います。したがって今後は、局長にも安易な気持ちで努力目標だなんてことを言わせぬように必ずいたしますから、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
  205. 木下元二

    ○木下委員 これは先ほど大臣指摘をされたのですが、ただ単に、PCBとかあるいはビフェニールのように社会的に大きな問題になったものだけではなくて、加工食品、インスタント食品、保存食品、こうしたものの普及に従いまして、これらの食品の人体に対する安全性が大きな問題になっておるわけです。  たとえば、アメリカで人工甘味料のチクロの製造禁止がきまったのでありますが、厚生省はあわててこれを有害であると認められて、製造、使用の禁止に踏み切られました。もともとこのチクロの有害性につきましては、日本でも以前から化学者によりまして指摘をされてきたところであります。しかるに厚生省はこの製造を奨励をしてまいりました。アメリカで禁止をされまして初めて調査をし禁止をするという政府の態度は、全く無責任であったと私は思います。これは過去のことですけれども。  私たちが日常口にしておりますもので、その安全性が問題になっておるもので、厚生省が公然と許可をしている食品添加物があるわけであります。現在三百数十に及ぶ種類のものが許可をされておりますが、そのほとんどは化学薬品であります。人体に対しては、言うならば異物であります。これらの中にはかなり毒性の強いもの、人体に蓄積されやすく慢性毒性が心配されているもの。それから毒性があるのかないのか十分調査されていないもの。さらに、有害ではないとしても、食品にとって何の役にも立たないで、ただ食品メーカーの利益のためにだけ使われているというもの、こういつたものがあるわけです。これらの食品添加物の安易な許可をやめるとともに、この食品の製造あるいは流通過程における監視体制、試験研究体制を強化する必要があると思うわけであります。  特に、たとえば国立衛生試験所といったようなものがありますけれども、そこに毒性部というのがあります。食品添加物の有害、無害の試験をやるようなところだと思いますが、そこにはわずか十二人の研究員しかいない。担当者はそれを含めて全部で二十人である。これは一九六九年当時でありますけれども、こういう状態であります。したがって監視体制と研究体制を飛躍的に強化をする必要があると思うのであります。この点はいかがでしょう。
  206. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたが、食品添加物その他ビフェニールのような問題やはりいろいろ問題がありますので、こういう問題について洗いざらい、この際思い切って毒性並びに安全性の検査をやろうということにいたしたいと考えております。添加物については、現在三百三十七許されておるようでございますが、数年計画で実はいま総点検をしておりまして、すでにその検査によってやめたものもあるわけでございます。  こういうふうな食品添加物、中性洗剤、それから今度の国会に、厚生省から家庭用品について規制をしようという法律をいま実は出しております。たとえばテーブルに使う塗料のような問題。それから、衣服類についていろいろな化学物質を使って、からだがちくちくするというようなものもあるわけでございます。そういうふうな、食品ではないけれども人の健康に有害な影響を及ぼす物質。これは、貿易の自由化になりまして、外国からどんどん入ってくるので、実はなかなかたいへんなことだと思っておるのですが、そういうふうなものも含めて、ひとつこの際、人の健康を守ることが一番大事なことでございますから、思い切って総点検をやろうと考えております。  そとで、総点検をやるにあたって、一番問題なのは検査機構なのです。いまお述べになりました衛生試験所、これは職員も足りないという問題もございますので、私の考え方は、全国の衛生研究所がありまして、千葉には千葉の衛生研究所、横浜には横浜にありますが、そういうふうな研究所に向き向きの検査項目を預けまして、あなたのところは中性洗剤が専門家のようだから横浜の衛生研究所に頼もうといったふうな、五十あるいは百の検査項目について、全国の衛生試験所、研究所を総動員したようなネットワークをつくってみようということで、いま計画を練っております。しかし、それだけでは私は十分じゃないと思いますから、権威のある国立衛生試験所につきましては、来年度の予算で機構の改革並びに人員の増加等に努力をいたしてまいりたい、そして、いやしくも食品に関することで国民には心配させない、こういうことでなければ、厚生省の環境衛生行政というものは十分だといえない、こういうふうに私、考えておる次第でございます。
  207. 木下元二

    ○木下委員 いま言われた構想はたいへんけっこうでありますが、現実に、そういう食品をはじめとして、健康に害を及ぼすようなすべての物質について洗いざらい総点検をする、これは一体どういう方法でやられるというお考えでしょうか。具体的にまだ構想などがなければけっこうですけれども、どのようにお考えでしょうか。
  208. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 ですから、先ほどもちょつと申し上げましたように、ビフェニールについてならばビフェニールについての専門のお医者さんなり科学者がおるわけです。そういう方々で研究班をつくるわけです。それからまた、先ほどもちょっと申し上げましたが、中性洗剤なら中性洗剤について賛成という先生もおります。反対という先生もあります。そういう方々も入っていただいた専門の研究班をそういう項目に応じて、これは一朝一夕に百も二百もつくるというのはたいへんだと思いますから、緊急なものからやっていきますが、それぞれの項目についての専門家に集まっていただいた研究班をつくって、その研究班に必要な予算を流して十分な検査をしていただく、こういう形になろうと思います。
  209. 木下元二

    ○木下委員 いま言われた研究体制は非常にけっこうなんですが、研究とともに現実に監視する体制というのが非常に大事だと思うのです。これは先ほども指摘をしましたように、監視員が非常に少ないという現状であります。私は、この監視員を大幅に増員することが必要ではないかと思うのです。そのために、これはやはり監視員の待遇も改善しなければ、監視員が集まらないという問題もあると思います。監視員というのは、法律によりまして一定の資格が要求されておりますから、そういった関係もありまして、待遇も改善し大幅に増員をする、こういう体制をおとりになるというお考えはあるでしょうか。
  210. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 増員の問題については、これは地方の役所のことでございますから、こちらから、右から左に増員してくださいと言っても、そううまくいくかどうか、それも問題でしょう。それから交付税でめんどうを見るという問題もありますので、そうはまいりません。年々三百人ぐらいずつはふやしておるわけでございますが、一挙にたくさんふやすということは困難だと思いますが、そういう方々に機動的に、効率的に働いていただくようなやり方を考えなければなるまいと思います。それと同時に、いまお述べになりましたような処遇の改善、これも大事なことでございますから、そういう方面に努力をいたしてまいる考えでございます。
  211. 木下元二

    ○木下委員 具体的に兵庫県の場合で申しますと、兵庫県二十六保健所管内でありますが、専任監視員は九十六人です。そして対象事業所は三万四千三百四十一カ所、こういう状態です。しかも専任監視員というのは、監視をするだけではなくて、相当な事務量をほかに持っておるというのです。これではとても監視ができない。これは私は抜本的に改善をする要があると思います。特に大臣、これはまさに国民の命と健康が日一日とむしばまれておる問題であります。重大事であるということを十分にくんでいただいて、ひとつ大臣のほうで、こうした問題についての責任を十分に自覚されて、抜本的な対策を進めていかれるように要望いたしたいと思います。  それから次は農林省に伺いたいのでありますが、この千葉ニッコー事件に関連しまして、日本農林規格の商品というものがあります。これは一体どういつだ性格を持っておるのかということです。国民の間には、このJASマークのついている商品は国が品質について保証をしておるのだ、こういうふうに思っております。企業のほうもこのJASマークを宣伝の材料に使っておるわけですけれども、この点は一体どうでしょうか。このJASマークの性格なり機能なり……。
  212. 堤恒雄

    ○堤説明員 お答えいたします。  日本農林規格は、御承知のように、農林物資規格法という法律に基づいて実施しているものでございまして、農林物資について、品質の改善、向上とか、あるいは取引の単純公正化、さらには品質の表示をやることによりまして消費者に購入の場合の選択の基準を与える、そういうふうな目的で実施している制度でございます。現在、農産物、林産物、さらには加工食品というふうなものを対象に進めておるわけでございまして、数十品目についてこの規格をつくって実施している、こういうことでございます。  それで、やり方といたしましては、たとえば加工食品について申し上げますと、一定の品質基準というものを農林省のほうで定めまして、これに基づいて格付機関というものが検査をいたしまして、この品質基準以上あるもの、合格するものについてJASマークを付するというかっこうで、加工食品等について品質の改善、向上をはかっていくというふうなことで進めているわけでございます。
  213. 木下元二

    ○木下委員 だから結局、政府のほうが一定の品質管理を行なっていると思うのです。この農林規格を与えられた農林物資というのは、消費者の側から見れば、これはもう一定の信用をするわけですね。そういうふうな一定の信用を生み出す機能を果たしておる、こういうふうに思われるのですけれども、結局そういうことでしょう。どうでしょうか。そういう点の機能、それから品質管理をやっておる、こういったことはお認めになりますか。
  214. 堤恒雄

    ○堤説明員 おっしゃるように、たとえば油なら油につきまして、品質管理なり製造基準が非常に優良にやられている、そういうふうな工場の製品について、第三者である格付機関というふうなものが、これはサンプル検査でございますけれども、製品検査をいたしまして、合格したものがJASマークというふうなことなので、同じ品目についていえば一般の出回り品よりはやはり品質が優良である、そういうふうに考えて差しつかえないというふうに考えております。
  215. 木下元二

    ○木下委員 だから結局、そういう役割りを果たしているわけですね。それで、そういうふうにこの品質管理が行なわれている、農林省が保証しておる千葉ニッコーで毒入りの食用油がつくられた。しかも社長がこれを知りながら出荷したというわけです。食べさせられる国民のほうはたまったものではないわけです。  そこで伺いたいのは、先ほども少し言われました農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律というのがあります。これによって、登録格付機関というのが省令による格づけの方法に従って格づけをしておるわけであります。この千葉ニッコーの食用油の場合、登録格付機関はどこなんでしょうか。
  216. 堤恒雄

    ○堤説明員 社団法人の日本油脂協会というところが登録格付機関になっております。
  217. 木下元二

    ○木下委員 この日本油脂協会では、月間何件の食用油とかあるいは設備の格づけ業務を行なっていたのでしょうか。
  218. 堤恒雄

    ○堤説明員 現在、油脂工場は、先ほど厚生省のほうから御答弁がございましたように、四百数十あるようでございますが、このうちJASの認定工場ということで、一定の施設基準なり品質管理基準に合致する、そういうことで農林省のほうで認めておるのが五十六ほどございます。それで、個々の製品につきまして、こまかい数字はよくわかりませんが、一定の原料あるいは一定の製造単位ごとにサンプルをとりまして、そして検査して、その結果が合格のものについてこれをJASとして出す、そういうふうな形をとっているわけでございます。
  219. 木下元二

    ○木下委員 いまの五十六というのは種類のことですか。  それからまた、私、品物ばかりでなくて設備についても格づけを行なっておるというふうに聞いているのですけれども、その点はどうでしょう。
  220. 堤恒雄

    ○堤説明員 五十六と申しますのは、JASの制定工場というふうなことで、工場の数でございます。そこでかなりの製品ができているわけでございます。それについて格づけを行なっていると、うふうなことでございます。
  221. 木下元二

    ○木下委員 設備のほうはどうですか。
  222. 堤恒雄

    ○堤説明員 設備につきましては、先ほど先生の御質問にもございましたように、一定の製造設備基準と品質管理基準というものをじゃSの品目とに農林大臣が定める、そういうことになっているわけでございます。  それで、格付機関が、認定工場の申請があったところにつきまして、その施設基準に合致しているかどうか、あるいは品質管理基準が適正かどうか、そういうことをチェックいたしまして、それで農林大臣に申請をする。それが相当と認めた場合農林大臣がこれを認定するというふうな仕組みになりておるわけでございます。
  223. 木下元二

    ○木下委員 ですから、私が聞いているのはその数ですね。まあ月間でも年間でもけっこうですけれども、設備のほうと品物のほうについて。いまあなたのほうが工場単位で言われたのですけれども、工場で五十六と言われてもさっぱりわからぬわけですよ。月間どのぐらいの食用油の格づけを行なってきたのかというふうに聞いているのです。
  224. 堤恒雄

    ○堤説明員 手元の資料によりますと、昭和四十六年で国内の植物油脂は九十二万トンの生産がございまして、これの約五五%がJAS品というふうなかっこうで出回っているというふうになっております。  それから工場については、先ほどから繰り返して申し上げますとおり、一番最初にその格付機関を経由して農林大臣にその認定というふうな申請をいたしまして、その段階でチェックが行なわれる、そういうふうな形になっております。
  225. 木下元二

    ○木下委員 そこで伺いますが、その実際の検査を行なう日本油脂協会の職員数、これは何人いるのでしょうか。
  226. 堤恒雄

    ○堤説明員 職員が現在十五人おりまして、このうち九人が格づけ検査の業務に当たっている、こういう実態になっております。
  227. 木下元二

    ○木下委員 それではたして責任のある格づけが行なわれるのかどうかですね。いま言われた九十二万トンの五五%、約五十万トン近いと思いますが、そんな多量のものを九人でさばいておる、そういう体制では非常に無理があるように思います。  そこで、日本油脂協会の役員には、一体どういった会社の社長がなっておるんでしょう。
  228. 堤恒雄

    ○堤説明員 現在、社団法人日本油脂協会の会長は、豊年製油の社長の吉井さんが会長でございまして、これは社団法人で、主要な油脂会社をメンバーとしている団体でございますので、たとえば日清製油その他の会社の社長が役員になっているというふうなことでございます。
  229. 木下元二

    ○木下委員 いま社団法人と言われましたけれども、結局公益性のある社団法人とされたのは、この格づけの判定などを含む業務が公益にかかわる、つまり公正さを担保するという意味で社団法人にされたというように理解しますけれども、そうでしょうね。念のために確認しておきます。
  230. 堤恒雄

    ○堤説明員 日本油脂協会は、いまお話しの油脂の検査あるいは生産技術の向上というような点でも公益法人ということになったわけでございますが、油脂関係の団体として、油脂製造業のもろもろの流通なり生産の改善というものを推進するというふうなことで、社団法人として認可があったというふうに考えております。
  231. 木下元二

    ○木下委員 大体、社団法人というのは、民法に規定があるように、公益を目的としているんですね。結局、いまずっとお話があったその格づけの業務なんというのは、やはり公正にやる必要がある、それを担保する意味で社団法人にしているのでしょう。当然そうだと思うのですけれども、農林省としては別に何か理由があると言われるなら、言ってもらいたいと思います。
  232. 堤恒雄

    ○堤説明員 油脂協会の定款上の事業に、植物油脂の日本農林規格に基づく検査及び格づけに関する事業というふうなものがございますし、他方、JASの法律に、登録格付機関の要件として、公益法人であってかつ検査なりそういうふうな能力のある者というふうなことになっておりまして、そこは整合しているというふうに考えております。
  233. 木下元二

    ○木下委員 いまの農林物資の規格化等に関する法律の十六条に、登録格付機関の登録を申請しようとする者の要件を定めておりますね。これには、営利を目的としない法人であるということが要件になっているわけですね。つまりこの法律のたてまえというのは、営利性を持たない機関が格づけを行なうんだ、こういうことでしょう。そういうふうに理解していいかどうか。
  234. 堤恒雄

    ○堤説明員 おっしゃるとおりでございます。
  235. 木下元二

    ○木下委員 そこでさらに伺いますが、いま日本油脂協会の会長を言われましたけれどもあとの役員はどういう人たちが占めておるでしょうか。
  236. 堤恒雄

    ○堤説明員 会長は、先ほど申し上げました豊年製油の社長吉井泰次でございます。それから副会長が日清製油の社長の坂口幸雄、味の素の専務取締役鈴木重明、吉原製油社長の中村哲、昭和産業社長の武藤博、それから専務理事は高井祥平、これは専任でございます。その他、常任理事には日本興油社長の原田茂、リノール油脂の勝正信、不二製油の西村政太郎、日華油脂の松岡啓一、四日市油脂の村木三雄、そういう構成になっております。
  237. 木下元二

    ○木下委員 まだ幾らかありますが、結局、会長一人、副会長四人、常任理事五人、理事八人、監事二人、これはすべて現職の油脂会社の役員が協会の役員になっていますね。こういう人たちがこの格づけをしている。中に、たとえば常任理事日本興油、日興の社長、つまり千葉ニッコーの親会社の社長が入っておるということですね。  そこで、さっきも私指摘しましたように、この法律のたてまえというのは、登録格付機関の登録を受けようとする者は営利を目的としない法人でなければならないということになっておるわけです。ところが、その法人の構成メンバーというのはみんな営利会社の代表者がなっておる。しかもそれは結局格づけをされる者ですね。される者の代表者が格づけをする法人の役員になっておる。一体こういうことで格づけの公正さが担保されるのでしょうか。どのようにお考えでしょう。
  238. 堤恒雄

    ○堤説明員 日本油脂協会の役員につきましては、先ほど申し上げましたような構成でございますけれども、それとは独立した団体でございますし、それからこの機構の中に、格付検査所というふうないわば半ば独立した部門を持っておりまして、そこが公正な立場で格づけを行なっているというふうに考えておるわけでございます。
  239. 木下元二

    ○木下委員 私はこれは非常に法律的に問題があると思うのですよ。たとえば民事で申しましても、民事の取引というのは民法百八条というのがありまして、自己取引が禁止されております。たとえば私とあなたが取引をする場合に、私はあなたの代理人になってはならない。これは当然のことなんです。商法でも、これは幾らか特則がありますけれども、同じ趣旨で規定があるわけなんです。これは一般の民事の取引の場合なんです。いわんやこの農林物資の格づけということは公益性の強い分野なんですね。公正さが要求されておる、これは取引ではなくて、格づけという一方的なチェックをする行為なんです。それをするのに、格づけをされる側の代表者が格づけをする側の団体のメンバーになっておる。これはひどいと思いませんか。これはちょうど試験を受けようとする者、受験者が同時に試験官をやっておる。そして公正さをカバーするために何とか試験委員会というものをつくって、その試験官でありながら同時に受験者であるこれと全く理屈は同じなんですよ。もう乱脈きわまると思います。これはもう公序良俗に反します。法律的に言うならば。違法ですよ、これは。この点、農林省としてどうお考えですか。
  240. 堤恒雄

    ○堤説明員 このJASの問題は、先生も御承知のように、JAS規格に合格したものを一般に普及させるというふうなことによって、農林物資全般の品質を自主的に改善向上させるというふうなことをねらっているわけでございます。したがいまして、先生がおっしゃるように、直ちに、その構成メンバーが格づけを受ける立場にあるというふうなことだけで、公正さが確保されないというふうなことには考えなくてもよろしいんではないだろうかと考えるわけでございます。  それと同時に、この品質基準その他の基準はきわめて客観的に定められておりまして、分析その他によって、この検査に技術的に合格するかどうかというふうなことを中心にして検査を行なっておりますので、日本油脂協会につきましても、公正な形で検査、格づけが行なわれておるというふうに考えておるわけでございます。
  241. 木下元二

    ○木下委員 何か別に検査機関があるから公正さが担保されておるかのように言われますけれども、それは私はもう見当違いもはなはだしいと思いますよ。これは、そもそもこの法律の構成から言うと、日本農林規格に適合するかどうかの判定、あるいはそのほかの省令で定める業務、これが格付機関の業務にされているわけですね。そして実際にその判定が行なわれて、判定の結果に基づいてその格づけの表示をつけるような仕事、判定に基づく実際の事実上の仕事、これはもう機械的な仕事ですから、どこがやろうが、だれがやろうがいいと思うのですね。だから、規格に関する法律によると、これはその十四条によりまして、その品物をつくったところがやってもよいということになっているわけでしょう。つまり、品物をつくったところはその格づけを受けるほうですね。それは、この法律のたてまえというのは、判定に加わってはならない、裏から言うと。判定があって、その判定に基づいてその表示なんかをつける、そういう機械的な仕事はもう自分のところがやるんだ、しかしその判定は別の法人格がやるんだ、こういうたてまえになっておるわけなんです。ところがその法人のメンバーがみな格づけを受けるほうの側がやっておる。こういうものを農林省が認可されたということになると、たいへんな問題だと思うのです。この法人の設立の認可をされたのは農林省でしょう。どうですか。
  242. 堤恒雄

    ○堤説明員 社団法人日本油脂協会の認可は、昭和三十七年の二月に、油脂関係事業の品質の改善なり流通の改善なり、そういうことを目的とした仕事をやるということで認可されておるわけでございます。
  243. 木下元二

    ○木下委員 農林省が……。
  244. 堤恒雄

    ○堤説明員 はい。それと同時に、今度は農林物資規格法に基づく登録格付機関の認可は、四十四年の七月に、先ほど先生も御指摘ありましたJAS法、農林物資規格法の第十六条に適合するというふうなことで格付機関として登録をしたというふうな経過になっておるわけでございます。
  245. 木下元二

    ○木下委員 この問題について、きょうは農林大臣がいられませんけれども、これはもう法律的にも非常に重大な問題が私はあると思います。一ぺん再検討されて、この油脂協会の問題についてお考えになるということにされますか。どうでしょうか。
  246. 堤恒雄

    ○堤説明員 今般の事件の問題もありましたので、やはり検査、格付機関のほうは、社団法人油脂協会のほうから独立させた機関にすることが望ましいというような判断から、検査部門を独立させまして、いわば油脂の検査機関というもの、格付機関でございますね。そういうふうなかっこうに持っていくことを指導したいというふうに現在考えておるところでございます。
  247. 木下元二

    ○木下委員 その独立というのは、別の法人をつくって、そういうふうな格づけをされるものがその中に入っておるような、そういうことがないようにひとつ考えていくということですね。
  248. 堤恒雄

    ○堤説明員 油脂協会とは独立したかっこうでつくらせていきたいというふうに考えております。
  249. 木下元二

    ○木下委員 そこで伺いますが、この日本油脂協会で格づけしたものの書類のチェックは、農林省のほうでやっていられるのですか。何課でやっていますか。
  250. 堤恒雄

    ○堤説明員 JASの運営についての技術面からの指導、チェックにつきましては、農林規格検査所というふうなものが全国十カ所にございます。ここに三百名余りの人員がおりまして、ここでもって、先ほど申し上げましたJAJASの格付けの事業所の指導、それから認定工場の技術的な指導、それからJAS品として出回っている市販品でございますが、これを試買検査を行ないまして監視をする、こういうふうな仕事を担当させております。
  251. 木下元二

    ○木下委員 この油脂協会以外にも多くの業界依存の格づけ機関があると思いますけれども、これらの書類は月間何件くらいあるのか。それから、農林省の担当の課でこれらの多くの書類の厳密な調査ができるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  252. 堤恒雄

    ○堤説明員 現在、格づけ機関は全体で二十五ございまして、これらがそれぞれの品目について格づけを進めているというふうなことで、私のほうでは、格づけの状況について報告を受けておりまして、実際のチェックの件につきましては、いま申し上げましたように、農林規格検査所というものにやらしているというふうな形にしております。
  253. 木下元二

    ○木下委員 この問題についてはもうこのくらいにいたしますが、明らかに私は業界と癒着した農林行政が行なわれておると考えざるを得ないと思います。農林省として国民に責任のとれる体制を私は早急につくっていただきたい、このことを、きょうは農林大臣おりませんけれども、強く要望いたしておきます。  それから、このJAS規格そのものの問題でありますが、たとえば食用なたね油の規格には、これも政令がありますけれども、一般状態とか、色とか、水分とかあるいは比重とか、全部で十一項目のチェック項目があるわけなんです。有害成分の混入についての項目はありません。当然これは、食品衛生法に書かれておるわけでありますから、そちらのほうでチェックをされるべきことでありますけれども、特にこの食品の場合には、二重、三重のチェックがあってしかるべきだと思います。このような日本農林規格を改正するおつもりはあるでしょうか。
  254. 堤恒雄

    ○堤説明員 いま先生が御指摘のように、安全性の問題につきましては、食品衛生法に基づきまして、厚生省のほうが責任を持ってやっていただくというふうなたてまえでJAS規格をつくっておりますので、安全性の問題については規格に組み込んでないというふうなのが現状でございます。今後も基本的にはそういうたてまえでいかざるを得ないと思いますが、先ほど先生冒頭に御指摘のように、JASマークの食品については、優良食品というふうなかっこうで品質を保証されるというふうなことでありまして、それが安全性の面でJASのサイドからはもちろんチェックされないわけですが、そういうふうな形は必ずしも望ましくないというふうなことに思いますので、この製品チェックのチャンスを利用しまして、食品衛生法上に適合しているのかどうかというふうなことも、安全性に問題のある食品については、チェックすることを自主的に上乗せするというふうなことで指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  255. 木下元二

    ○木下委員 その点は、実はきょうの朝日新聞の朝刊に出ておりますが、日本油脂協会の「消費者の皆さまへ」という、これはPR文のようなものでありますけれども、「品質および安全については格段に厳重な管理体制を確立することに致し、また製品のJAS検査に当っては、品質の検査に加え安全の点についても点検することと致しました」と、こういうふうにあるわけなんです。これは、先ほども私が指摘しましたように、このような、格づけをされる側の人たちが役員に入ってい油脂協会でもってこういう業務をやっていくということについて大きな問題があるわけであり、これは当然分離すべきだと思いますが、この十一項目のチェックのほかに、安全性についての、有害成分の混入についてのチェック項目、これを法体制上も早急につくる必要があると思うわけです。これはそういう方向で考えられるというふうに伺っていいわけですか。
  256. 堤恒雄

    ○堤説明員 その点につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、食品衛生法上との関連もあろうかと思いますので、厚生省のほうと十分御相談しながら検討させていただきたいというふうに考えております。で、当面せっかく製品検査のチャンスがあるわけでございますので、その際、自主的に上乗せチェックをさせるというふうなことで指導してまいりたい、こういうことでございます。
  257. 木下元二

    ○木下委員 もう時間がありませんので、最後に申しておきますけれども、厚生省あるいは農林省に対しまして、あくまでも食品衛生の行政は食品を口にする国民立場に立ってやられる必要があるということであります。  今回のこの事件の発端は、ある大手商社が千葉ニッコーの人事をさわりまして、その内部の人事問題のあつれきから千葉県衛生局に通報したことから始まったというふうに聞いております。このことでかえってこの事件を早く知ることができたわけでありますが、この通報がもしなければ、今日このビフェニールに汚染されました油を国民は食べさせられることになるわけです。ひとつ各省間で責任のなすり合いをするというふうなことではなくて、従来の企業本位の体制を改めまして、各省で責任ある行政をすることが大切だと思います。この点についての所見を農林省、厚生省から伺いたいと思います。
  258. 浦田純一

    ○浦田政府委員 まさに先生の御指摘のとおり、御意見のとおり、私どもは、国民の皆さんの口に入る前に、絶対に毒物が混入することは防止しなければならないと思います。今回の事件につきましても、厚生省としては、国民の健康を守る、また消費者の皆さま方の不安をできるだけ早く解消するという立場から、いわゆる疑わしきは禁止するという立場でもってきびしくやってきたつもりでおります。しかしながら、このような事故が起こったということに対する反省、これも含めまして、今後再びこのような問題が起こらないようにするということが一番肝心なことでございますので、農林省とも十分に協議いたしまして、必要な措置は今後もどしどしとる、改善するところは改善していくというふうに努力してまいりたいと思います。
  259. 堤恒雄

    ○堤説明員 農林省は、食品については、その生産、流通あるいは品質の改善、向上をはかるというふうな任務を持っておるわけでございますめで、食品につきましては、ただいま厚生省のほうから御答弁がありましたように、国民の健康にきわめて重要なものでございますので、厚生省と十分連絡をとりまして、安全性の問題について格段の増進が進められるように努力してまいりたい、こういうふうに考えます。
  260. 木下元二

    ○木下委員 けっこうですが、最後にこの千葉ニッコー事件の問題につきまして木原議員が関連した問題がありますので、簡単に終わるそうですから、ひとつお願いします。
  261. 木原実

    ○木原委員 ちょっとおそくなりましたけれども、一問だけ厚生省に聞きたいのですが、ダウサムA、KSK260について、試験の結果はそういう物質は入ってなかったといういままでの中間の結果が出ているのですが、これはどういう検査方法をやられたのか。検査の過程の中でサンプルにした、標準にした物質はどこから入手されたのか、ひとつお示しをいただきたい。
  262. 浦田純一

    ○浦田政府委員 まず熱媒体の分析の試料をどこからとったかということでございますが、これは国立衛生試験所で検査を行ないました検体並びに標準となりましたサンプル、これは現場、千葉ニッコー株式会社から収去いたしております。それからなお、関連の流通過程に入りましたものにつきましては、それぞれの段階、また回収された段階でもって収去いたしておるわけでございます。熱媒体の分析の方法でございますが……。
  263. 木原実

    ○木原委員 それはいいです。聞いてもわからぬから。しろうとだから。  一番大事だと思うのは、標準にした物質ですね。これは少なくとも当時のものはなかったわけですね。現場から収去されたといいますけれども、どうですか。
  264. 浦田純一

    ○浦田政府委員 熱媒体そのものは残っておったわけでございますから、収去した日にちは、確かに事件発生いたしましてから経過しておりますけれども、使われておりました、あるいは混入した疑いのある熱媒体そのものでございます。
  265. 木原実

    ○木原委員 あそこの会社は信用できないのですよ。私も地元でございますからよく知っているのです。それから、公害対策特別委員会の人たちが先般十数名現場へおいでになって、あきれ返っちゃったのです。その後本社のほうでは、御案内のように、九PPM、これはKSKですか、ビフェニールですか、どちらかわからないのですが、物質が出た、こう言うんですね。本社の検査には疑問があると言っているんですね。おかしいじゃないか、こう言って聞きまして、その後私のところに入りましたあれでは、個人的な証言ですからあれなんですが、ビフェニールは使っていませんでした、そういうまことにあやふやなこと。出荷の問題についても、御案内のとおりずいぶんごまかしをやった。だから、一番検査の基準になるようなものについても、ことばは悪いですが、すりかえられるというか、いろいろな工作が行なわれる可能性というのは十分あるわけなんです。まだ最終結果は出てないわけですけれども。しかし、現実にあの物質が消えたことは御承知のとおりでしょう。しかも専門家によりますと、あの物質はなかなかちょっとしたことくらいでは蒸発するというような性格はあまりないというのですね。会社のほうでは、二百七十度でやっているのだから蒸発してしまったんでしょうなんと言ってうそぶいている始末。こういう相手ですから、あまりきれいごとではいかない。しかも不安が残っているわけですから。だから標準の物質についても、ちゃんとした収去をした状態、いろいろなきびしいあれを――これはそれ以上になりますと、警察も入っておりますから、警察の段階になるかと思いますが、しかし、警察だってしろうとの集まりですから、一番大事な試験所がもっときびしくきちんとしたことをやってもらいたいと思うのです。どうでしょう。
  266. 浦田純一

    ○浦田政府委員 その辺の収去した検体あるいは警察側で押収した検体、これはいろいろと私どものほうも私どものほうなりでその確実性について調べております。  いま先生が御指摘のように、事件は警察当局にゆだねられておりますが、それはそれといたしまして、私どもはこの入手経路について非常に神経を使いまして、確実にその疑いを持たれたそのものであるということについても十分に神経を使って、またその辺についての確認をいたしております。しかし、さらに念を入れまして、その辺の状況をいまもう一度慎重に調査をいたしております。  それから、千葉ニッコーの問題の品を水島工場の分析室で調べたその結果についてでございますが、私どもは、国立衛生試験所のほうの専門官をただいま水島のほうに派遣いたしまして、この辺の事情も十分に確認するように手を打ってございます。これから先の検査につきましても、たとえば同一検体について少なくとも二回以上、あるいは必要によっては三回以上繰り返し検査をいたしまして、その成績が一致しておるというものについてのみ私どもとしては採用しておるといったような非常に慎重な態度をとらせております。なお、全部の検査が終わったわけではございませんが、このような方針でもって、いやしくも皆さん方に疑いが持たれないような検査なり確認なりをいたしていきたいと思っております。
  267. 木原実

    ○木原委員 終わります。
  268. 三原朝雄

    三原委員長 次回は、明二十六日木曜日、午後十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十三分散会