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1973-06-06 第71回国会 衆議院 運輸委員会社会労働委員会農林水産委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月六日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 井原 岸高君    理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君    理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君    理事 細田 吉藏君 理事 兒玉 末男君    理事 斉藤 正男君 理事 梅田  勝君       阿部 喜元君   小此木彦三郎君       大竹 太郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    關谷 勝利君       徳安 實藏君    宮崎 茂一君       綿貫 民輔君    太田 一夫君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       神門至馬夫君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君   社会労働委員会    委員長 田川 誠一君    理事 橋本龍太郎君 理事 川俣健二郎君       加藤 紘一君    斉藤滋与史君       高橋 千寿君    戸井田三郎君       羽生田 進君    枝村 要作君       石母田 達君    和田 耕作君   農林水産委員会    委員長 佐々木義武君    理事 渡辺美智雄君 理事 津川 武一君       正示啓次郎君    井上  泉君       角屋堅次郎君    野坂 浩賢君       諫山  博君    瀬野栄次郎君   物価問題等に関する特別委員会    委員長 山中 吾郎君    理事 木部 佳昭君 理事 小坂徳三郎君    理事 松浦 利尚君 理事 小林 政子君       上田 茂行君    近藤 鉄雄君       高橋 千寿君    羽生田 進君       三塚  博君    山崎  拓君       中村  茂君    渡辺 三郎君       野間 友一君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         総理府人事局長 皆川 迪夫君         総理府統計局長 加藤 泰守君         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         大蔵省主計局次         長       吉瀬 維哉君         農林政務次官  鈴木 省吾君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 住田 正二君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         日本国有鉄道常         務理事     加賀谷徳治君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七号)      ————◇—————   〔井原運輸委員長委員長席に着く〕
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより運輸委員会社会労働委員会農林水産委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 井原岸高

    井原委員長 本案に関する提案理由説明は、お手元に配付してあります資料によって御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  この際、御質疑なされる各委員に申し上げます。  関係委員長と協議の上、質疑時間等申し合わせておりますので、何とぞ御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局におきましても、答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。渡辺美智雄君。
  4. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 鉄道運賃法及び国鉄再建法の二案につきまして、自由民主党を代表いたしまして、ただいまから質問いたします。  今回の日本国有鉄道再建の問題につきましては、かねていろいろと論議をされてこられましたが、二月二日に「日本国有鉄道財政再建対策について」というような閣議了解がつけられまして、その中でいわゆる再建法骨子というものがきまったわけであります。一口に申し上げますと、十年間で一兆五千億円の工事資金の金利の補助をするというようなことや、あるいは十年間で出資を一兆五千七百億円やるというようなことなどが骨子になって、そのほかに人員整理十一万人を引き続きやる、国鉄合理化もはかっていくというようなことなのであります。ところが、この再建案というものは、かつてわれわれ三、四年前に再建案一緒になってこしらえたことがあるのでありますが、その再建案と違っておるところがかなりあるのであります。運賃増収というふうな点等につきまして、ここに一覧表がございますが、前回の案では、四十七年から五十六年までで六兆七千八百四十億円運賃改定増収を得るんだ、今回の案は、同じようなことですが、一年すれておるだけで、四十八年からずっと五十七年までで七兆九千五百十八億円の運賃増収をはかる、こういうことなのであります。  内容的に見ると、各実収の値上げ率というものはそれぞれ一五%、最終年度において一〇%というようなことになっておるのでありますが、一兆円近いものが、はたして一年ずれただけで、輸送量がふえたからというようなことをおっしゃる人があるんですが、同じような値上げ幅でそれだけの増収というものがほんとうにはかれるのかどうか、それはどういう根拠でそれだけ増収が同じ値上げ幅ではかれる——一年あとになってはかったら一兆円近いものが増収になる、その理由運輸大臣にお尋ねしたいのであります。
  5. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 御承知のように現在の再建案、それから昨年提案をいたしまして、これは廃案になりましたがその再建案、今度の提案しております再建案、この三つ最近では長期計画がございます。これはもう言うまでもないことですけれども、その考え方、立て方につきましては、特に根本的に変わった点はございません。しかしながら、その内容におきましては、いまお述べになりましたような点を含めまして、相当にこれは今後の十カ年間において財政再建をし、国鉄機能を回復させるという意図を盛りまして、内容的には相当検討をし、そして政府助成のしかたも変えておるのでございます。  詳細は政府委員から御説明させますが、なぜそんなに増収がはかれるんだ、こういう点に最後にお尋ねがございました。この点は申すまでもありませんが、非常に輸送事情が変わってきております。国鉄が今日まで十分に機能を回復し得なかった、財政がどうしても赤字から脱却し得なかったという一つの大きな原因の中には、輸送事情が変わっておるにかかわらず、それに対応したような輸送姿勢がとれなかった。いろいろそのシステムを変えなければならない。にもかかわらず、それに対応するだけの余裕がなかったというようなことが非常に大きな原因であると思います。一番大きな問題は貨物輸送の問題でございますが、今日まで御承知のように自動車が非常にふえまして、自動車輸送がふえてまいりました。国鉄貨物輸送におけるシェアというものが年々減ってまいりまして、国鉄努力をしているのでしょうが、結果はそういうことでございまして、本来総合交通体系の中で考えますと、当然これは国鉄が運んでしかるべきだ。国鉄輸送を担当したほうが、利用者もより便利であるというようなものがたくさんあるわけでございますが、それでも現実には、自動車輸送のほうに変わってこざるを得なかったという事情がございます。それは一言で申し上げますと、今日までの国鉄輸送体制というものがやはり旅客中心でございまして、ことに貨物につきましては、そういう新しい時代の要請に応じたような輸送体制がとれなかったということが最大の原因であると考えております。でございますから、十年間になるべく早く貨物輸送に対する体制を立て直しまして、そうして本来総合交通体系の中で国鉄が要望せられておるようなシェアは当然国鉄がこれを担当して、その分は国鉄が運ぶのだということが、システムチェンジその他の方法によりまして国鉄貨物輸送体制を立て直すことによって可能であるというようなことを考えたわけでございます。ただ、そういった点がいままでのようなやり方ではできませんけれども、今度の貨物輸送の方針の中には、これは金額にすると小さいかもしれませんが、一兆八千億ぐらいのそういう体制立て直しのための経費も計上いたしまして、国鉄のそういう面におけるやり方を変えまして、自然それが増収につながっていくというような考え方でもって長期収支計算を一応立ててみたということでございます。
  6. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 私はそんなことを聞くのでなくて、この前の改定案と今度の改定案では、値上げ率は大体同じでしたね。にもかかわらず、六兆七千億が七兆九千億の増収になる、同じ十年間で。ただ去年実施するのをことし実施するというだけで、一兆円近いものが増収になるという根拠を聞きたかったのです。私が言いたいことは、ちょっと見込みが甘過ぎるんじゃないのか。これは総裁に聞いたほうがいいのかどうか知りませんが、増収案計画というものは、大蔵省歳入見積もりのようにあとになってたくさん税金が出てくる。(「自然増だ」と呼ぶ者あり)自然増が出てくるというぐらいに組んであるのなら、私はあまり文句を言わないのですよ。ところが、どうも無理して相当ぎりぎり組んでいるんじゃないかというような節があるので、その根拠はどうですかということをお聞きしたわけなんです。国鉄社長さん——社長さんか総裁さんか知りませんが……。
  7. 磯崎叡

    磯崎説明員 今回の収入見積もり、特にその基礎をなします輸送量につきましては、私どもといたしましては安んじてやっていてもできるという輸送量でないことははっきりいたしております。やはり相当企業努力をし、また輸送力をフルに活用し、さらに設備投資予定どおり行なわれるということを前提といたしませんと、いま先生がおっしゃいましたように、ふところ手していてできるような輸送量では絶対ない。相当な努力をぎりぎり一ぱいしての輸送量であるというふうに考えておりまして、税収の見通し等とは全然違っているというふうに私は思っておりますので、非常な努力が要るということを考えております。
  8. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 ここでこれ以上問答していると長くなりますから、いずれその根拠あとでいいから教えてもらいたい、こう思います。  私は、どうも国鉄姿勢というものが、労使ともほんとう会社と違って非常になまぬるいところがまだまだあるんじゃないかというような気がしてならないから、そういうことを言っておるのです。私は、この運賃改定収入というものがぴたっと上がるということなら再建案というものがうまくいくのですけれども、そこで損が生ずればもちろんうまくいかないのだ。これはまた二回同じことを繰り返されては困るのです。だから言うのです。この法案がおくれたということだけで、すでにもう計画に違いが出てきていますね。ストライキをやったことだけで違いが出てきていますね。今回の法案というものは、四月一日に実施されるようにこの計画案はできているわけです。ところがすでに六十日ずれ込んでいます。一日ずれると五億円予定が狂ってくるわけです。六十日だと三百億円予定が狂ってきておるのです。そういうことになりますね。なおさらに五月から六月、七月、七月の何日に通るか知りませんが——私はあしたあたり通してあげたい。なかなかそれに反対する人もありますから、そうとばかりはいかない。かりにうまくいって七月の末に通ったとしても、四カ月近いずれ込みができるわけです。そうしますと、これは少なくとも五百八十億ないし五百七十億くらいは、すでにもう再建計画に違いが出てしまうのです。一体この違いは何でこれから穴埋めをしていくのか。一生懸命働いてやってもらうことになるのでしょうが、国鉄企業努力でやるのか、それともこれはもう不可避的なもので、国会の都合でできたのだから、おれのほうの責任じゃなくて国会さまの責任なんだから、それはひとつ大蔵省のだんなのほうで払ってもらわなければいかぬ、こういうようなことになるのか。大蔵省にこれをお尋ねしますが、きょうは大臣おいでにならないので、吉瀬さんは大臣になったようなつもりでひとつやっていただきたいのですが、すでに五百八十億円くらいこのことだけで食い違うのだけれども大蔵省は、これは不可避的なものだから埋めざるを得ない、こう思うのか、それはおまえたちもっと企業努力で何とか生み出せというのか、その点どうですか。
  9. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 ただいまの御質問で、確かに運賃法成立が当初予期した点よりもずれておるわけでございまして、その点の収入減がある程度見込まれる。しかし、先ほど来渡辺委員御指摘のとおり、国鉄再建計画でございますが、これは十年間にわたる長期計画でございまして、これにつきましては政府助成、それから運賃収入増加、それから国鉄自身企業努力というような総合的な組み合わせで、十年間にわたって何とかしてこれを実現していきたいというのが私どもの趣旨でございます。もちろん十カ月のうちに、いろいろ物価の変動とか経済情勢の変化、いま全部見通すわけにいかないわけでございまして、少なくとも三百億ないし四百億、あるいはそれ以上になるかもしれませんが、運賃法成立によりおくれた国鉄経営の体質のおくれといいますか、そういう点につきましては、単に運賃収入増加をさらにはかるとかあるいは国鉄が無理な企業的な努力をするとかいうようなことでございませんで、財政を含めて総合的に各年次にわたりまして点検していく必要があるんじゃないか、こう考える次第です。
  10. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そういうふうに答えるほかはないでしょうね。ともかくすでに五百億円くらい、おくれたためにずれ込みができておる。その次はストライキですね。ことしの三月と四月の間に二十四日ストライキがあったのです。どういう計算のしかたをしたか私しりませんが、そこで大体二百億円くらいですね。収入減になっておるというのですが、これほんとうですか、国鉄総裁
  11. 磯崎叡

    磯崎説明員 大体計算上そういうことになります。
  12. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そうすると、審議がおくれて五百八十億、さらにここでストライキでお休みあそばして二百億と、七百八十億ですかそれだけずれ込んできておる。私は、ことしは思い切りベースアップもしたから、来年おそらくストライキはやらないんじゃないかと思っておりますが、しかし、どうも何か処分したらまたやるようなことを言っている。これ処分をしたら、また一ちょういこうかというような話が巷間にある。そうすると、ストライキは絶対ない、こう見ればそれは一番いいことなんだが、国鉄のほうからあるとは言えないだろうから私は質問しません。答弁を求めませんが、おそらく十年間に、もっとストライキは私はあり得ると思う。その減収額というものは見積もりにどこにもない。もともとそんなものは見積もるべきものじゃないだろうが、しかし、現実問題がある。そういうことですね。このことでも収入見積もりというものは甘いのじゃないか。よっほど余裕のある見積もりでない限りは、私は口があくんじゃないかという見通しを持っておるわけです。  次はベースアップの問題ですが、これはいまどき、赤字会社でも幾らか上げなければならぬというのは世間の通例ですが、黒字も赤字一緒に上げちゃったのが今度の国鉄の状況だと思うのです。この再建案では一二・三%ですか、くらいの値上げというものを見込んでおるようですが、現実にはもっと賃金が上がっておるように一七・何ぼとか一八とか言っておりますが、一七%上がっている。そうすると、賃金の支払いで当然そこに何百億かの食い違いが出てきておるはずなんです。その点どうですか、食い違いはありませんか。
  13. 磯崎叡

    磯崎説明員 初年度たる本年度におきましては、確かにその食い違いがございます。しかし、私のほうといたしましては、十年間のロング年次でもって全体の見方を見ているわけでございまして、その伸び方は私どもがかってに推算したものではなしに、一応政府経済社会基本計画に基づいて賃金伸びを見る。それ以外にガイドポストはないわけでございます。したがって、十年間にそういう伸びでもっていくだろうということでございまして、今後毎年毎年ことしのような伸びと  いうことでもないと思いますし、十年のロングラ  ンで見れば、やはり経済社会基本計画で定められたような数字に落ちつくだろうというふうに考えざるを得ない、それに基づいての計算でございます。
  14. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 これも役人的答弁でそう言うほ  かないのでしょうが、ことしは一七%くらい上げているのですね。大体このズレが約八百億円、この再建計画に書いた賃金よりもよけい払うようになってきておる。そうすると、総裁は、ことしは上げたけれども十年間に下げてくるときもあるだ  ろうから、そこでバランスがとれて一二・五になるだろうといういまの答弁ですよ、わかりやすく言えば。しかし、私はそう考えられないんだ。かりに来年以降一二・三%だとしても、もと狂いがでかいですから、あとは同じ数字でかりに十年間平均いったとしても賃金は相当大きくなる。おもしろいことに、国鉄労組の全部じゃないと思いますが、ともかく賃金は上げるけれども運賃値上げ反対だなんてデモをやっている人があるそうですね。これは労働組合ばかりじゃなくて経営一体のものですから、もう少し何とかならぬものですかね、これ。  最近新聞値上げというようなことが、どこかが新聞値上げしてまた値上げをするだろうが、新聞はとにかく物価値上げ反対だと、どこの新聞も書きますよ。書くけれどもどうしても上げざるを得ないということになって上げれば、新聞労連が新聞値上げ反対だといってストライキをしたりデモをしたような話は一向聞いたことがない、実際の話。これは民間企業だから、そんなことをやってはつぶれてしまうからできないですよ。ところが国鉄のほうは、国営企業だと思っているから運賃は上げるな、月給は上げろ、合理化反対だ。そういうようなことで一体いいのかどうか。こんなことは世間の常識で、私は常識ある国民ほんとうに憤りを感じていると思う。だから総裁は、ストライキは済んだしするのだから、せめて運賃値上げ問題でこの運賃法案が通らなければどういう結果になるのか、またうちの中で、国鉄一家といわれているのですから、国鉄一家の家族にこれが通らなければどういうことになるのか。去年一年上げないで一兆二千億円、ただ一年値上げがずれただけで十カ年計画に誤算が生じておる。ことしも上げられないということになったら、来年はもちろん参議院選挙だ、また上げられない。これはそんなことはないはずなんだけれども現実はそんなものですよ。来年また上げられない。その次はまた上げられない。三年続けて上げられないということになったら何兆円になりますか。ことし上げそこねたら、おそらくこれは六、七兆円。二年たったら四兆円、大きくなりますね。これは加速度的に大きくなる。そういうことをもっと組合員の皆さんによく知ってもらったらどうですか、そういう努力をしておりますか、総裁
  15. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かに私どものほうが運賃を上げてくれと言う、組合運賃値上げ反対でその部分は税金でとれと言うふうなことは、全く社会の方々から見たらおかしな話だと思います。私ども組合の幹部にも十分その事情説明し、また職員の一人一人に対しまして詳しい事情説明し、いろいろなパンフレットを配ったり新聞を配ったりいたしております。一人一人に話をすれば大体わかることでもって、これがわからないはずは私はないと思います。ベースアップをしてくれ、何十億かかっても税金で出してくれ、こんな話が世の中に通じるかどうか、私ども職員自身も十分わかっているわけでありますが、それがどうしてああいう形になるのか、その辺の事情が私は理解できないのでありますが、全力をあげて私は部内職員に対しまして、ともかくまず税金から政府の御援助もいただくし、また国民の御協力を得なければやれないということもるる説明し、今般の仲裁裁定の実施にあたりましても、十六条を提出しないで実施していただくということになりました。これについてもずいぶん詳しく書いていろいろ説明しておりますけれども、私は良識ある職員はみなわかっているということを信じておりますが、ただどうしてああいう形になってあらわれるのか、どうもそれがなかなか理解に苦しむ。私が理解に苦しむというのはおかしな話でありますが、なかなか私にわからないポイントがあるということでございまして、しかしあらゆる努力を続けて部内職員に対してPRを続けているつもりでございます。   〔発言する者あり〕
  16. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 ちょっと静かにしてください。
  17. 井原岸高

    井原委員長 御静粛に願います。
  18. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 私は、先ほど国鉄というところは国鉄一家だということばを使ったのだが、この間もそういう片りんがあって、あのストライキが終わったら動労か国労か知らぬが、ともかく運転士か車掌さん連中だろうが、大阪へ行って泊まっていたのでしょうが、大阪から東京のほうへお召し列車で来て、新聞でずいぶんたたかれた。何かかってに労働組合がやったのではなくて、まあ管理者という人がオーケーを与えて許可しているというのですね。実にほほえましい、なごやかな光景であって、労使のあり方というものは、国民を無視してでもかくあるべきものかなとつくづく感心もしたわけなんですよ。そういうふうな労使の間であるのですから、運賃値上げの問題ももう少し話し合いができるのじゃないか。労使という形でなくて、職制を通してでも一従業員といいますか、その会社国鉄の中に従事する者として経営の実態というものをよく認識してもらって、どうすればそれじゃ国鉄がよくなるか、あなた方も一緒に考えてくださいということで職場におろして、ほんとうにまじめな議論をすれば、ベースアップは絶対にやるのだ、そのためにストライキまでやると言った人でも、しかしその財源がないということになれば、今度この法案が通らなければ数兆円のことになって、ほんとう国鉄解体論というものは当然出てこなければならない、当然出るべきものだと私は思う。ですから、そういうふうな努力をしてもらいたい。  私は、一体国鉄という、国有鉄道というものが、いまでも日本津々浦々まで必要なのかどうか疑問なんです、非常に疑問なんです。国有鉄道というものを何で国有鉄道にしたのか、私はそのいきさつ、つまびらかでありませんが、一口に言えば、やはり軍事上の目的が一つはあったでしょう。それから日本国民経済に対する影響力という問題もあったでしょう。九州から北海道まで一貫して国家がこれを管理することによって、いざ非常時の場合は軍隊の輸送その他思うようにできるし、それから、まあそういうようなことで国民生活に必要な物資の輸送も確保できる、国の命令一つで、鉄道省に命令すればできる、そういうことで私は国有鉄道というものがつくられたと思う。それから、民間ではなかなか採算ベースに合わなかったから、ひとつ国有でつくってやろうということで創始者としての気持ちもあったろう、そういうのでつくられた。専売制度というような同じようなものがあります。たばこの専売、塩の専売、しょう脳の専売、アルコールの専売というのがあったのです。これらは、やはり国防上の理由やあるいは財源確保というような理由等によってつくられたものだと私は思う。しかし、世の中が進んでくれば、まずしょう脳の専売というものがなくなってしまって、塩も専売でする必要はないのじゃないかということになってきて、専売公社さえも、消費税制度でかちんといければ、何も国有でなくったって財源確保からいけば同じじゃないかという議論が出ておる。したがって、国鉄の問題についても、私は、この動脈線について日本の国が間接的に国有鉄道という形で持っておるということは、それなりに意義があると思うが、ローカル線あるいはその他の線まで全部国有鉄道の名においてこれを所有しなければならぬ、まして民間線と並行線まで走らせてでもつくらなければならぬ、そういう必要性というものは、国家的、国民経済的な見地からはたしてあるのかどうか。こういうところにメスを入れないで、旧態依然たるものを全部抱き込んでおって、それで国鉄再建が安易にはかられる、そう思うこと自体私はおかしい。どうですか、総裁総裁に聞くよりも大臣、どうですか。大臣、指導者としてどうあるべきであるか、ひとつ所見を承りたい。
  19. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この国鉄が、いろいろの沿革で創始以来、これは民営ではとうてい全国の交通ネットワークの中核たり得ないということで始まったことは、おっしゃるとおりであると思いますが、ただいまの公共企業体の中で、ほかの電電公社でありますとか専売でありますとか、これはまだ今日非常な独占性を持っておりますけれども、この鉄道につきましては、おっしゃるようにいろいろの沿革を経まして今日のように、名実ともにと言ってよろしいと思いますが、名実ともに独占性が失われてきた。形の上でも、おっしゃるように、国有鉄道と並んで民営鉄道があちらこちらに出てきているじゃないかということでございますし、内容におきましても、輸送というものがだんだん民鉄だけではなしに、自動車輸送に追われておりまして、同じところで国鉄も運んでおるがトラックも運んでおるというような状態でございまして、その意味においては、名実ともに独占性が失われてきておるということは事実でございます。  しかし、いまおっしゃったように、この国鉄のやはり一番の使命というのは、これはほんとうに民営にまかしていまのような全国の交通ネットワークというのが維持できるかということになりますと、これは私はとうていできないと思うのです。そういう意味におきましては独占性を失われておるけれども、やはり公共的な見地からいたしまして、国鉄のような非常に公共性の強い企業体というものがなければ今日のような形はとれないし、その内容も充実できないということは確かだと思います。そういう意味におきまして、他の公共企業体と違って、国鉄というものは、そういう民営のいろいろの交通機関との競争を一面においてしながら、しかも一方において国全体あるいは国民全体の福祉というような点から考えて、国鉄のいまの形を存続せざるを得ない。  それで、御承知のように公共的な使命を持っておるその部分に対しましては、他の公社にはそういったことがありませんけれども国鉄に対しましては国ができるだけの助成をいたしまして、そういう公共負担というようなものについて国が補っておる、こういう形であるわけでございますが、これはおっしゃるように根本的に民営、国営——国営といいますか国鉄、それから民間鉄道、自動車というようなものを全部合わせまして、白紙に戻って一体どうしたらいいかということになってまいりますと、これはまたいろいろな構想が出てくると思いますが、これはしかし言うべくして実現は容易なことではありません。私どもは、総合交通体系の中でやはりそういったことも考えながら、なるべくそういった各機関が持っております特性がございますから、そういう特性を発揮できるようなそういう体系に持っていくようにということを努力しながら、国鉄経営にあたりましては一面において公共的な半面をどこまでもやはり維持してもらわなければならないし、それに対しては国ができるだけの助成をしてその使命を全うさせる、そういう政策をとらざるを得ないというのが今日の実情でございまして、やはりこれは当面、その政策を推し進めていく以外には方法がないんではないかと思うております。
  20. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 まあ大事な運賃法の審議の最中ですからそういう答弁しかないんでしょうが、私はやはり、いま大臣の話の中からも出ておるように、独占性が失われておるということは競争相手ができておるということだし、競争相手があるということは、何もそれがなければ国家、国民がすぐ困ってしまうということでもない、裏から言えばそういうことになるわけですね。しかしながら、国の重要幹線については、まあ国防上の見地ということは申されませんが、国民生活全体の重大な問題として公共的機関の国鉄があることが望ましいということは、いまにおいてもやはり一つの理屈が私はあると思う。しかしながら、現在、日本国有鉄道が所有しておる路線全部が公共的なものとして、国が助成をしてめんどうを見ていかなければならないというように私は思わない。ことに今回、新幹線というものが計画をされて、でっかいことはいいことだということかどうか知らぬが、去年五千キロの新幹線が七千キロにふくれ上がっちゃって、そうして新しい動脈がまた並行的につくられようとしておる。そのほかに、この間新聞を見ると、もう一つ何か特別速い汽車なんか、東京からどこか、名古屋だか京都のほうまで将来できるというのですな。三本、東海道線できるわけだ。それも欲ばってみんな持っていますか、全部。そうですか。そうして一方においては競争相手ができるのですから、競争相手ができればお客を取られるのですよ。運賃をあなた、あんまり上げればお客を取られる。取られないためには、運賃をあまり上げるわけにはいかない。そのときには、ともかく法律で、国鉄以外に乗せた者は懲役だとか何か罰金でも何でも取れるような法律でもつくるのかどうか知りませんけれども、まさかそうはいかないでしょう。そこで、幾ら力があっても、その企業の努力そのほかに生産性向上というものがはかられなければならぬ。ところが、国鉄は、生産性向上運動をやったら何かごたごたしちゃって、国会に来てあやまっているようなことがあるらしいのだが、どうもこういうふうな経済の大原則に反したようなことを、日本全国に網を広げてやろうとするところに根本的な無理があるのですよ。食管制度と同じなんですよ。生産者米価を高くしろ、消費者米価は下げろ、悪いことをするんじゃないという話と同じことなんです。生産者米価が高かったら、農家で売りに出して、米屋から買い直してまた農協から政府に納めたというのが秋田かどこかにあったようだが、二回売るんだ。仕入れ値が高くて売り値が安いんだから、またその安いのを買って売ればいいのだから、これは幾ら丸紅ばかり取り締まったってだめなんだ。こういうような矛盾を置く限り、浜のまさごは尽きないんだ。そんな監視つきなんて、米屋の一軒一軒に警察官を張りつけておくことはできないんだから、これは経済の大原則に反しておるからこういう問題が起きる。国鉄だって同じですよ。あなた方、にこにこして笑っているけれども、笑いごとじゃない、実際の話が。  こういう大原則に反することはだめなんだ。やはり公共で負担する場合には、ほんとうに国家的見地から必要欠くべからざるものに限る。その他は、民間との競争をやるのですから、大いに生産性向上をやったらいい。ところが、それは役人組織ではできない。仕組みがそうなっている。だから、国営企業というのはろくなものがない——なんと言うと、また暴言だといわれてしかられるかもしらぬが、ろくなものがあるとはなかなか思われない。国有林野事業がそうじゃないですか。国営事業は、幾ら片一方で一生懸命働いたって、働いた人に月給をよけいくれるというわけにいかない。一生懸命働いた人を、係長ぐらいにすることはあるかもしれないけれども、その人にボーナスのときに、そのほかの人が一・五カ月だったら、三カ月分やるなんということはいまはできないでしょう。ですから、創意くふうで、ほんとうに働けば働くだけわれわれの実入りがよけいになるというなら働くのですよ。幾ら働いたって月給も同じだ、総裁までなれる見込みもないということになって、係長にもなれないということになれば、やはり一番働かないところが月給の標準になってしまう。だから、国営事業というものは、やはり公務員組織の中においては、生産性を上げて効率的に事業をやるということがもともと無理なんです。だけれども、国家的必要があってそういう無理を承知で置くというならば、洗いざらい全部ひっくるめて全部持つ、それはそんなに欲ばらなくたっていいのですよ、そんなこと言ったって持ち切れるものじゃない。どうです、大蔵省。第二新幹線、第三新幹線とどんどんできてくる。だから、全部ひっくるめて、国家的必要があるから持って、十カ年計画の中でめんどうを見てください、そういう考え方はどうですか。大蔵省大蔵省としてのあれを持っているんだから、とにかくそんなことでふらふらしちゃだめですよ。正しい、出すべきところにはぱっと出す、出さざるべきところには出さない、あなた方の考えをもう少しはっきり述べたらどうですか。きょうは、またこれで運賃法案がストップしちゃ困るからかんべんしておきますが、いずれにしてもそういうところは拳々服膺してもらわなければならない。いいですか、総裁、拳々服膺してくださいよ。拳々服膺の  一言をひとつ……。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 先生のおっしゃることは、一から十まで全部よくわかります。十分御趣旨を体して今後経営に当たります。
  22. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 その次に、人員整理の問題について申し上げますが、売り上げはなかなか計画どおり、ストライキもあるし、運賃値上げもおくれるし、思うようにいかぬということになれば、どこかで経費を節約する以外につじつまが合わなくなってしまう。ところが、人員整理のほうは、十一万人の人員整理を昭和五十七年までにやります。いままで何万人やりましたから、あとの人をやります、こういうことなんですね。ところが、世の中というものはときどき変わるのですよ。何がか知らぬが、田村労働大臣なんというものができてしまってから、週休二日制は官庁が先に実行したらいいじゃないかというようなことを言い出す人が出てきた。一流企業が週休二日制を言い出した。国鉄赤字だから、普通の民間会社と同じように、とんでもない、法律もきまらないうちから、こっちは人員が過剰で整理しなければならぬというときに、週休二日制なんていわれたってとんでもない話だと言いたいところだろうが、実際言えないでしょう、どうですか。  それからもう一つは、定年制の延長という問題になってくる。仕事の量からいえばバランスがとれる。確かに仕事の量は少なくなってバランスがとれるが、問題は、仕事の量を言っておるのではなくて、収入運賃一人当たりの単価、収入運賃一億なら一億当たりの人件費の単価を私は問題にしているのです。いまたまたまうしろのほうから、それじゃ労働緩和になってちょうどバランスがとれていいじゃないかという声があったが、そういう見方も当然あるでしょう。一つ考え方として、週休二日制をやるというならば、そういう考え方はあります。しかし、そのことはすでにこの十一万人削減計画に頭からぶつかってきますが、そういう点はこの改定案ではいかにお取り扱いになるつもりか。これは全然架空の問題について私は言っておるのではなくて、目先にちらちら見え出した話ですから、これは十カ年計画をやるのですから、当然十カ年の中にはあり得べきことなんですよ。こういうようなことは、それは全然架空の議論であると一笑に付すことはできないのではないであろうか、こう思うが、これに対する国鉄総裁の御所見はいかがでございましょう。
  23. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かに週休二日制の問題と定年制の問題は、この再建計画にとりまして非常に大きな問題でございます。週休二日制のほうは、昨日も御答弁申し上げましたが、とにかく私どものような交代制勤務のところでは、休みがふえればそれだけ人がふえる、どうしてもそういうことになります。休みでない日の労働の密度を高くするということはできないわけでございます。したがって、何時間ふやせば何人という数字が自動的に出てまいります。そういうことで、週休二日制というものは、私どもはそう簡単に実施できないたてまえでございます。公務員その他も徐々におやりになるという話でございますが、私どもといたしましては、週休二日制というものを取り上げる形ではなしに、労働時間の短縮という形で徐々にやってきております。私どものほうは四十五時間制でございまして、週休二日制と申しますと四十時間制でございますから、これは早急にはとてもとれない。ただ、今度の計画の中では、昭和五十四年までに人を減らしまして、五十五年以降は横ばいにしていく、そういう含みを持っております。合理化の進行状況あるいは減耗の進行状況等を見ながら、この週休二日制の問題は徐々に解決してまいりたいと思っておりますが、定年制の延長のほうは絶対にできません。これは、やりましたらそれだけ給与が高くなりますし、老齢化が激しくなりますので、定年制延長は絶対にできません。やはり満五十五でやめるといういままでの原則をくずしません。それをやりますと、今度の給与が全部御破算になります。そういう意味で、この点では、よその企業が定年制を延長されましても、国鉄としましては、いまの高年齢層がなくなるまでは、この問題はできないというように考えております。
  24. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 これは、なかなか人員削減の問題というのは、この十一万人削減が計画どおりいく可能性は少ない。私たちは、いまのようなままではそう見ざるを得ない。これ以上は、時間がなくなりますから、その次へ進みます。  その次は、新幹線。われわれは国鉄総裁から、五千キロはぎりぎりですという話を聞いておったのです。ところが、最初は東海道のほうから山陽、東北、上越、成田というようなことを考えておったようですが、今度はさらにそれを進めて、新日本改造と一緒になったと思いますが、七千キロ、こうなってきたわけです。日本列島改造という問題が各役所でいろいろいわれるのですが、これは別に当の自民党は、内閣も政策としてそういうものをどういうふうにやるというように実際は骨子を打ち立てたわけじゃない、ましてこの予算案をつくったころなんというのはそんなことは考えていない。田中総理は本を書いたというだけで、これをたまたま奇貨として——奇貨ということばはいいか悪いかわかりませんが、取り消しなんといわれたら困るからなんだが、たまたまいいことにしてみんな公共事業は九十兆円、大きいことはよいことだとなってしまいましたね。いまごろになって削減すると騒ぐなんて、きょうあたりの新聞なんか、削減しなければ物価値上げになって困るじゃないかといって騒いでおるのだが、こういうようなことは、私は、言うならば要するに総理大臣のごきげんとりをやったのか、ほんとう国鉄は七千キロがいいと思ってやったのか、五千キロなんだけれども、どうせ再建計画うまくいかないから二千キロぐらいぶっかけておいて、そこで工事費という名前で金をとって人件費に回そうと考えたのか、そういうふうな悪だくみは持ってないと思いますが、しかし、結果的にはそうなる危険性を包蔵しておるということを指摘するために私は言うのです。運輸省、大臣じゃ気の毒だから局長でいいです。局長、どうして五千キロが七千キロに一夜にして変わったか、その理由を……。
  25. 秋富公正

    秋富政府委員 いわゆる大都市におきます過密状況、こういった問題の解消のためにも、過密過疎の同時解消ということはきわめて重要な問題と考えておりまして、そして先ほど先生の御指摘のように、五千キロという問題もございましたが、昨年の国会の御審議、その後のいわゆる過疎過密の同時解消という意味におきまして新幹線を七千キロにいたします。また同時に、複線、電化にいたしましても昨年の案よりも大幅に拡大いたしまして、いわゆる複線につきましては七千キロ、電化につきましては一万キロ、こういうふうにいたしまして、いわゆる国の総合的な開発ということを考えたわけでございます。一番最初に、昨年に比べましてどうして輸送量がふえたかという御指摘がございましたが、われわれは、いわゆること三年につきましては現在の状態を踏まえまして厳密にその伸びを考えましたけれども、将来におきましては、新幹線が五十三年度に完成あるいはさらにその後の建設、複線、電化あるいは貨物輸送など、こういったものにおきまして輸送量の増大をはかり、収入増加をはかったことをあわせて御報告申し上げます。
  26. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 これもこれ以上追及しないことにしましょう。私は、こういうふうなことでおきめになった以上、やはり現在の物価高あるいはインフレ高進等に伴って公共事業費の削減は必至だと思う。ですから、強力的に、こういうものにこだわらないで新線建設の問題は取り組んでいくことが私は必要であろうと思うのであります。ここでこんなことを言ってはなんだが、国鉄ばかりじゃなくて各省ともそうだけれども、どうも部下が上司に仕える態度が私は気に入らないところが多い。何でも上の人が言えばそのとおりにしなければならぬということじゃなくて、それは往々にして間違いを起こさせることがあるのです。忠臣というのは、ここで私は忠義なさむらいの講義をする気はないが、忠臣は三たびいさめて聞かざればみずから身を引くべしという、中国では二千何百年来伝わっている。近ごろは、君がそういうことを言ったならばそれに全部歩調を合わせて、間違ったことを言ったって、殿、かくのとおりうまくいきますというようなことをしてはいけない……(「自民党はやってきた」と呼ぶ者あり)自民党はやってない、自民党は小選挙区制だってちゃんと押えてきておるのです。ですから、役所のほうがそうなりがちなんですよ。閣議にしてもそうですね。こういうことはほんとうの忠義な臣じゃないのですよ。宦官だ、悪くいえば。宦官のようなものになってはいけない。国を憂い、国を思えばそういうことはできないはずなんです。まして国鉄総裁は、今度再選をされた、この次もまたまたというわけにはなかなかいかないでしょう。これはほんとうに最後の御奉公として、国を思って、国家、国民のための御奉公ですよ。そういうつもりでひとつやってもらいたいことを強く要望するのであります。  そこで、新幹線をさらに今度は敷く、いまでさえも定年制は延長しない、こう言ったけれども、週休二日制はやらざるを得ないというところで削減率は鈍ってくる。そこで新幹線をまたつくる。新幹線を全部機械化して、人が一人も要らないというわけにはいかない。なるほど、いまの東海道新幹線は、全国鉄輸送量の二〇%を一人で引き受けているというのですよ。したがって、全国鉄輸送量で二〇%であるが、所要人員は一・七%である、わが日本国有鉄道東海道新幹線は世界に冠たるものである、そこまではいいですよ。そこまではいいんだけれども、第二、第三、第四とつくれば、やはり一〇%とか一二%とかの人が要るんですね。これはどこから連れてくるのですか、国鉄総裁
  27. 磯崎叡

    磯崎説明員 今度の計画に伴う人員の問題でございますが、これは先ほども申しましたとおり、全体の人員を縮小しつつこれだけの計画をやる、非常に手の込んだこまかいことをやらなければいけないわけでございます。したがって、合理化、近代化によりまして相当大幅な人を浮かして、その人をそちらへ回すという考え方でございますが、ことに今度は去年の案と違いまして、相当近代化投資をふやしていただきまして近代化する、そして人を浮かす、たとえば電化をいたしますれば当然人手が浮いてまいります。そういうことのスケールはうんとふえております。合理化、近代化、ことに近代化を進めることによって人を浮かして、その浮いた人を新幹線に回すというような方向でぜひやってまいりたいというふうに思っております。
  28. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 新幹線ができれば駅ができる、駅ができれば汽車がとまるということになるわけですね。汽車がとまれば人がおりるということになる。ところが、新幹線駅というのは必ずしも大きな駅と膚接ばかりしていない。地方に行くと、私のほうだって黒磯駅と西那須野駅の間に新幹線駅をつくってもらった、ありがたいことです。どうもありがとうございました。ありがたいが、そうすると、こっちの駅とこっちの駅は急行がとまっている、この駅は新幹線だけとまって、急行がとまらないというわけにいかない、全部とめたら三つとも急行がとまってしまう、全部各駅停車になったら急行にならなくなってしまう。  ところが、赤字線整理さえもうまくいかないのですよ。赤字線とかローカル線で人がほとんど乗りおりしない、そのために国鉄は閑散線整理案というものを決定しておつくりになりました。たとえば自動車が二車線以上走れる道路が並行して鉄道とあるとか、その鉄道が短い盲腸線であるとか、あるいは積雪寒冷地帯でなくてもう自動車が年じゅう走れるようなところ、こういうところは、ともかくバスのほうに切りかえたほうがだれが見たっていいというところはバスに切りかえましょう、乗りおり客もあまりないし、朝の通勤ラッシュにあまりうんとこむわけではない、そういうところはバスにしたほうがお客さんのほうも助かるし、国鉄のほうも助かる、みんな助かる、いかがですか。それでも困るというなら、五年間はひとつ置きますから、あなた方も三分の一ずつ負担金を出してくれませんかということがこの間まであった。ところがいつの間にかそんな案がなくなってしまった。人の乗りおりの少ないところでさえも、駅を廃止するとかいう場合に騒ぎになる。ところが、現に新幹線駅ができても、その両わきに急行の利用者がたくさん乗りおりする、廃止するわけにいかないですね。これはどうしますか、廃止しますか。そういうような問題で、新幹線ができたから、在来の東北線なり東海道線の駅の機構簡素化を極端にできるというものじゃなかなかないですよ。ですから、新幹線の人は、地方の合理化で、石炭たいたところは電化にしましてといっても、それはほとんど電化になってしまっているのですからね。そこで、そう簡単に、ここで演説ぶつようなわけには合理化はうまくいかないのじゃないかと思います。その点どうしておやりになるのか、私はお聞きしたい。  地方閑散線の整理問題は、みんないやなんですよ。いやだけれども、しかし、そんなことは、それにかわってほんとうに困らないというものができれば、それにやはり私ら協力しなければならない。  国会議員はおせいじ家といって、近ごろ政治家が少なくなったといわれるのですが、どっちにもいいようなことばかり言っているからね。しかし、政治家は——それはみんなおせいじ家はおせいじ家らしく、腹の中はわかっているのですから。政府国鉄のほうも、姿勢さえきちんとすれば——あなた方がぐらぐらするから、みんなぐらぐらしちゃうのですよ。あなた方、みんな選挙ないのだから、国会議員は選挙があるのだから、選挙がないほうがぐらぐらしたら、選挙のあるほうはみんなぐらぐらするにきまっている。それは政府国鉄当局が悪いのだ。  ですから、一年に三十キロずつ整理しますと私のところに来た役人が言った。その辺にいたぞ。地方閑散線の整理、ほとんどやらぬじゃないか、そんなことは絶対にありません、あれはやるのだ、一年に三十キロやる、それではやったかもしれないけれども、やった中に入らないという、私は政治家的発言をしているだけなんです。だから、この辺はほんとうに取りやめになっちゃったのか。ここには極力やるなんと書いてあるのですよ。「地元の同意を得て積極的に行なうものとする、地方閑散線の道路への転換」と書いてあるのだけれども、一番しりのほうに書いてあるから、本気になって——同意同意といったって、なかなか同意しません、表向きは。それぞれ町長さんも選挙もあるし、みんなメンツもあるのですから。しかし、いままでの考えは放てきをなさったのか。それもやはりやらなければにっちもさっちもいかぬという状態だと私は思う。国鉄はどうなのか、所見を承りたい。
  29. 磯崎叡

    磯崎説明員 地方閑散線の整理問題につきましては、確かに昨年と本年と考え方が変わっております。ただ、私どもといたしましては、そこに書いてございますが、地方閑散線の廃止を全部やめたのでなしに、どう見ても、先生おっしゃったように、鉄道の必要でない地方閑散線が相当ございます。これは当然やめるべきだというふうに思っております。  ただ、昨年三千何百キロと申しましたが、それの中には将来、先般の通産省その他の関係から申しましても、産業の再配置だとか過疎、過密の解消という国家的な政策のもとに、そういう過疎地帯をこれから使うのだというふうな計画のあるところにつきましては、これは廃止するわけにはいかないというふうになりまして、その限度におきましては後退いたしました、率直に申しまして。しかし、私といたしましては、あくまでも鉄道としての役に立たない、もうすでにバスに譲っていいところについては、やめるべきだという考え方は変わっておりませんが、その意味では計画全体が相当スローダウンしたことは事実でございます。
  30. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そうすると、先ほどストライキで二百億、ベースアップで千二百億、千五百八十億とこうなって、実施計画、この再建計画に狂いが出てきているのだが、地方閑散線は約八百億円くらいの赤字を見込んであるのだけれども、それはこの再建計画の中で見ているわけですね。——ああそうですか。見ておれば、その点は狂いは出てこない、こういうわけだね。  大臣、これもここで答弁できなかったら、聞くだけにしておいてけっこうですが、県の名前言っては申しわけないが、四国のほうでも山の中でなかなか景勝の地もあるが、いまのところ人もあまり来ない。鉄道がないとかあるいは不便だからというようなところもありましょう。こういうようなのは、やはり観光開発と合わせて、私鉄にやらしたらいいですよ。私鉄は開発利益を受けるから、国鉄より——同じ条件で配当もしてやっているのですから、場所によってはしかたがないのです、それは。ゴルフ場はめったつくられちゃ困るのですよ。栃木県なんか百もつくられちゃ困るけれども、高知県あたりはつくったってかまいませんから。これは場所の問題。ですから、そういうところはやはりそういうものをきちんと組み合わせて、国鉄がどうしてもやらなければならぬところと、そうでなくてもりっぱにやって地域住民が喜ぶところと、やったらいい。国鉄国鉄と言うけれども、鬼怒川というところが何で発展したかといえば、国鉄でなくて私鉄が乗り込んだから発展したのです。栃木県に鬼怒川というところがある。東武鉄道が入っていって鉄道を敷いて、お客が行かなければたいへんだから、東武は東武でじゃんじゃん宣伝をしてお客さんを連れていく。自分で旅館なんかも助成する、何する、それで発展したのです。私鉄だってけっこういいことをやっているのですよ、それは。国鉄は、そんなにお客を運ぶために宣伝なんて私鉄ほどやってませんよ。それはまたそんな自由はきかない。国鉄はいろいろな規則ばかり多くて、大体役人と同じだから、規則どおりやらなければつかまっちゃう、変なことをやったら。私鉄のほうが自由がきく。ですから、そういうふうな自由がきかなければやっていけないようなところは、なるべく自由のきくようなところにお譲りしてやらせるようなことは、私はやはり運賃法案が通ったあとにおいて、真剣に研究をする必要があると思う。いまここでも言ったが、伊豆でもそういういい例があるじゃないか、全くそのとおりだと私は思う。  時間がなくなって来ちゃったから飛ばします。結局国鉄赤字を少なくする点においてはやはり不用財産の処分、これもおやりになる。いま七十億くらいしか売ってないのだが、今度は百億くらい売りたいと言っているようですけれども、こういうこともやはり十分に不用の財産というものを活用するようにやってもらいたい、こう思うのであります。  運賃値上げの問題については、私は、したがって運賃値上げは確かに好ましいことじゃないですよ、好ましいことじゃないけれども、やむを得ない。まあ、はがきが一銭五厘が昭和十一年で、いま十円になって、六百六十七倍だ。国鉄運賃が二百六十九倍だから半分しか上がってないということを、ここのパンフレットに書いてある。私はそのとおりだと思う。だからそういう点からすれば、国鉄が上げなければならぬということもよくわかるし、上げなかったらどうしようもないのですから上げざるを得ないのだが、しかし、上げたからといっていままでのようなものの考え方では、私がいま指摘したように、生まれ変わる国鉄なんてわけにはいかないよ。「運賃改定のお知らせ」のほうはもっともだと思うけれども、「生まれかわる国鉄」のほうはまゆつばかな、これはまゆつばだ。これはもう少し本気にならなければとてもできるものじゃない。私はほんとうにそう思っているから申し上げるのであります。  そこできょうの新聞を見ると、これは「毎日」ですが、きのう参議院の大蔵委員会で、佐々木日銀総裁が公共料金を押えろ、こう言った。公共投資の年度繰り越しも。これは私は当然だと思う。公共料金も押えろ、一般的に言えばそうかもしれませんが、この佐々木発言に対して、これは企画庁長官、来てませんか。今回の国鉄運賃料金の値上げというものが消費者物価にどういう影響を及ぼすのか、この日銀総裁の発言は、公共料金を押えろ、抽象的なことで具体的なことはよく書いてないから、どの程度のことを言ったかわかりませんが、国鉄運賃などの公共料金の抑制などについて、時期を見て政府に進言するということを、物価について責任を持つところの日銀総裁は言った、こう言う。私はこれについて実は違った意見を持っておるのですよ。持っておるのですが、これはどういうように受けとめておられるのか、企画庁長官の御見解を承りたい。
  31. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 今回の運賃値上げにつきましては、経済企画庁としては、これは本来ならば物価上昇のおりからでございますから、抑制したいのはやまやまでございます。しかしながら、国鉄の現在の経理状況、また将来の見通しを考えますと、どうしてもこの際は上げざるを得ない。まず国鉄自身企業努力をする、そして政府財政措置を講ずる、それでもどうしてもやむを得ない点につきましては、利用者が、一般大衆がこれを負担しなければなるまいという、以上の結論に達しておるわけでございまして、今回は真にやむを得ないもの、こう判断をしております。  そこで、日銀の総裁がきのうの大蔵委員会で発言された要旨は私もちょっと拝見をいたしましたけれども、おそらくは原則的には公共料金はぜひとも抑制をしたい。それで国鉄運賃を含めてお話しをされたかどうかは存じませんけれども、今回経済企画庁としては、国鉄運賃についてはやむを得ないけれども、その他の公共料金については今後極力これを押える、そういう方針で臨んでおるわけでございます。
  32. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 生活局長、今度の国鉄の原案でいくと、消費者物価に対して何%くらいの影響を与えますか。
  33. 小島英敏

    ○小島政府委員 CPIの上では旅客しか計上されておりませんので、旅客につきまして計算いたしますと〇・三四%、これは平年度ベースでございます。そのほかに間接的な影響といたしまして貨物の関係がございまして、これは産業連関表を使いまして計算いたしますと、平年度ベースで〇・〇九%ということでございます。
  34. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 いまの学者の計算だと〇・何%、貨物は〇・〇何%、ほとんど影響はない、こういうふうな答弁のようですね。まあ事実そのとおりかどうかよくわかりませんが、私はこれは常識論からいえば、貨物料金がうんと上がればその分はコスト計算で売り値へ転嫁されるというのが常識でしょう。ただインフレ対策という問題が非常にここで大きく出ておるのですが、かつてドゴールは、レジャー作戦というのをフランスでやったことがある。これは間接税を上げたりいろいろなことをして、結局必要最小限度のものについては値上げを押えるけれども、浪費を押えるという意味でそういうことをやった。ドイツなどでもやったことがあるように私は記憶いたしておりますが、電気料金等も、インフレ対策として電気料金の大幅値上げをやったことがある。最低の家庭生活に必要なものは据え置きだけれども、ルームクーラーに必要な分は上げますよという話なんですね。したがって私は、この物価対策上から見て、最近における、たくさんの人が国鉄を使う。その中には実需的な、ほんとうに必要な通勤通学、こういうようなものもありましょう。けれども、レジャーでたくさんの人が動くというものもあるはずなんであって、こういうようなレジャーが一カ所の一地点、特定な地点に集中をすれば、その地域の物価を押し上げていることは間違いない。そういうような物価対策からも、私はある一定のワクを別にこしらえて、旅客料金の引き上げということは物価対策に役立つ。私は逆だ、役立つ、物価対策上よいことである、こう思うのだが、これは学者であるところの国民生活局長に私は承りたいと思います。
  35. 小島英敏

    ○小島政府委員 おっしゃるような考え方は確かにございまして、フランスは非常にそういう考えが強いようでございます。むしろ物価対策として公共料金等を上げるという考え方が取り上げられることがあるわけでございますけれども、どうもやはり、そういう先生のおっしゃるような効果があることは否定いたしませんけれども日本国民感情といたしましてはそこまで割り切ることはなかなかむずかしゅうございまして、やはり旅客が上がるということはCPIが上がる。それはやはり物価指数がそれだけ上がるわけでございますから、物価対策の観点からいえばやはりマイナスであるというふうにどうも現在の段階では考えておるわけでございます。
  36. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 それは私は、ある一定以上の消費を押えるということは、金融引き締めというようなものと同時に、やはり需要を押えるということはよけいな浪費をさせないことであって、物価に間接的に影響することは間違いない。ですから、そういう思想、そういうものの考え方、これから電気料金等の値上げの問題についても、近く議論されるようになるでしょう。なるようなときに、やはりそういうことは一緒に加味して考える必要がある。  そこで、私は国鉄総裁に伺いたいのだが、もしそういう考えに立つとすれば、現行も可動料金制度というのがある。これは特定な日曜祭日等については座席指定料金等を高く上げるというようなことをいまやっておりますが、私は座席指定料金ばかりでなく、やはりある一定の祝祭日等については旅客料金も、これはまあ五%増しがいいのか一割増しがいいのかは別として、差をつけるということがいいんじゃないか。いま特に代替休暇制度というものも発達をしておって、日曜祭日だけがレクリエーションに行かなければならないということじゃない。月曜でも木曜でもいい。受け入れ側のレジャー地帯にしても、一ぺんにどっとお客が来られたんではてんやわんやでサービスもできないけれども、平均的にお客が来てもらえば、女中、番頭さんの過剰労働にもならないし、コンスタントにかせげる。お客さんもいい気持ちだし、向こうも非常によろしい。そういうふうなことをともかくするために国鉄料金を上げろというんじゃないが、上げたからといって、そういうようなメリットがあってもほかに弊害はないんじゃないか。週日にうんと行ってもらう。それでも土、日に行くという人は多少余分に払ってもらうというようなことを取り入れてはどうか、こう思うのでありますが、そう言ったら、いや、それは何か特定な列車を指定しても、その列車は高くしても、ほかの列車に乗れ、そのほかの列車もみんな満員でだめだという話もあるんだが、それこそ企業努力で、いつでもからっぽの車だってあるんだから、からっぽの車の時間帯をそういうところの時間帯に振り向けるとか、方法は幾らでも講じられると思うので、私はやっぱり土、日のほうが週日よりもこむと思っているんだ。土、日と週日と全く一緒だというような時間帯がもしあれば、そういうところは増発をするようなくふうをやったらいいんじゃないか。それこそ国鉄企業努力じゃないか、こう思うのですが、それに対する、変動料金に対する総裁考え方。  それから線区別料金。たとえば熱海までのものは、ともかく熱海に用足しに行って、あそこで重要な仕事を、職場を持っておるという人は少ないので、全体からすればやっぱりレジャーで行くということなら、そういうふうな非常に特定な地域までは多少、均一的なものをかけちゃしかられるから、多少お高うございますよ、そのかわり多少サービスもよろしゅうございますよというようにしてはどうかというふうな線区別料金制度、これをもっと普及させる、徹底させる必要があるんじゃないか。  それから、いま武蔵野線でやっているような磁気テープを利用する、パスを出すことによって要するに改札の無人化ということは非常にいいことで、ああいう制度はどんどん普及してもらいたい、こう思いますが、それらに対する所見を、まだ質問が残っていますから、簡潔にお願いしたい。
  37. 磯崎叡

    磯崎説明員 曜日別料金あるいは線区別料金につきましては、いろいろずいぶん勉強いたしました。いまとりあえずおっしゃったようなところだけやっていますが、非常にやはり実施上になりますとトラブルが多いわけでございます。その意味で、実際いまやっておりますもののほかに、たとえば団体は非常にはっきりしておりますから、これは人員別に運賃が違う。料金が違う。あるいは特にスキーなどにつきましては、ウイークデーのほうを安くするというふうな若干の操作はしておりますけれども、なかなかこれは実際やってみますと実施上にいろいろトラブルがございます。そういう意味で、実施につきましては相当慎重にやらなければいけないというふうに思っております。  また、武蔵野線のような問題につきましては、ずいぶん私鉄もやっておりますので、私のほうもできる範囲内でどんどんああいう自動改札をやってまいりたいというふうに思っております。
  38. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 次に、貨物料金の問題について伺いますけれども、今回の国鉄赤字の一番大きな原因は、貨物料金が非常に安い、貨物のほうが赤字で旅客のほうが黒字なんだ、貨物の穴埋めのために旅客を上げるんじゃないかというようなことが世間でいわれていますね。真相は一体どうなのか、それが一つ。  それからその貨物料金の内容を調べてみますと、貨物料金が今度上げられるんだけれども、いままで一等から四等というような等級表になっておったわけですね。今度は一等から三等にそいつを分けるというようなことに直されたようなんですが、一等から三等に分ける。ところが、いままでは一等と四等の間の指数というものは、一等一五七、四等が一〇〇だ。ところが今度は一等が一二四であって、四等が一〇〇だというように、一等、四等の開きというものは、いままでこんなにあったのです。ところが今度は少なくなった。一等のやつは何だというと、何か高級な品物が多いのですね。私は、品物は別に知らぬが、高級な品物が多い。かさものとか何か、そういうふうなものは三等ないし四等。ところがそういうことで上げ方が今度は非常に幅が狭まったということは、三、四等の値上げがふえたということで、これは農産物等は三、四等に該当するものが多い。えさとか木材とかあるいは野菜とか魚とか、そういうものは三、四等に該当するものが多いので、どうも国鉄は何だ、財界擁護じゃないのかとよくいっているのですね。国鉄は財界擁護で、庶民の生活にかかわるようなものは高く上げて、財界から、工場から出すものは安くしておる、こういう批評が一方にある。もう一つは、貨物を上げて旅客を上げるのは、これは財界、工場で生産するものを上げないで旅客を上げるというか——両方を上げるのだけれども、上げ幅が、貨物のほうがうんと赤字であるのにうんと上げないで、旅客のほうを同じくらい上げるというのはけしからぬということをいっておるのだが、これについては私は、貨物運賃についてはよけい上げれば物価によけい影響するだろう、そういうふうに思ったのだが、いま企画庁の説明だと何か貨物のほうが〇・〇九だというのだが、その点は一体どうなのか。そんなに影響力が少ないなら、赤字貨物のほうをもっと上げたってよさそうなものだが、一体どうなのか、その点の見解を承りたいのであります。
  39. 磯崎叡

    磯崎説明員 四十六年度におきます国鉄の決算から申しますと、新幹線は千八十八億の黒字、これははっきりしております。在来線は三千二百三十一億の赤字であります。赤字の三千二百三十一億を旅客と貨物に分けますと、旅客が千七十八億、貨物が二千百五十三億のいずれも赤字でございます。ただこの分け方につきましては、先生御承知のとおり、同一線路上を走る客貨の原価を分けることは非常に困難でございます。三つ、四つの非常に大きな前提を置いての計算でございまして、これは運賃に直結するものではございません。したがいまして、端的に旅客が黒で貨物が赤というのは、きわめてこの前提を無視した議論だというふうに私は考えます。したがいまして私は、今度は旅客、貨物を同率に上げるという案をお出ししたわけでございます。また貨物の内容については後ほど担当から御説明申し上げますが、私どもといたしましては、客貨別原価というのはさっきも申しましたとおりたくさんの前提を置いての原価でございまして、これは世界各国に客貨別原価というものはございません。また日本でも、私鉄でも、貨物輸送の多かった私鉄でも、ございません。それほど不可能に近いことでございまして、客貨別原価というものを出して、それをもって運賃に直結させることはできません。そういう意味で、旅客、貨物の総合原価というものが私どものほうの運賃の原則になっております。それだけ申し上げておきます。
  40. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 貨物の等級は、いま先生おっしゃったとおりのような変更でございまして、独占時代でない現在の経済の中で輸送をやるという場合に、等級を圧縮していくということは従来やってきた点でございます。今回もそうしたわけでありまして、御指摘のとおり、一〇〇と一二四ということになっておるわけであります。ただ、生活必需物資につきましては、現在三等級であるものを四等級にした、二等級であるものを四等級にしたということもございますが、これは従来どおり最低等級にしておくということで、そういう関係の影響を考えた配慮を案としてやっておるわけでございます。
  41. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そうすると、貨物のほうは値上げをこれ以上すれば競争相手のトラックにとられてしまう、だからそんなに上げられないということですか。それとは違うんですか。
  42. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 運賃を上げると貨物はトラックにとられてしまう、こういう状況につきましては、従来の値上げの際に、どれだけそういう状況が起こるかという指数をもちまして、それから輸送サービスの内容、それから外的な輸送構造、条件、こういうものを勘案しまして、一般的にこれ以上上げると上げただけの効果のある収入増が期待できない、とられてしまうというようなことになるということを勘案して考えておるわけでございます。
  43. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 なるほで東京卸売市場の入荷状況を調べてみると一、水産物についてもトラック輸送が七一%、貨車輸送が一七%、船の輸送が一二%になっています。それから、くだもの類はトラックが五七%、貨車が四三%ですから、これは大体半々まではいかないが、かなりの程度貨車輸送で果実は運ばれている。野菜は、トラックが八四%ですから圧倒的にトラックのシェアで、貨車のシェアは一六%しかない。食肉の場合は、トラックが九三%、貨車が七%ですから、もう肉類は九三%がトラックだ。これを見ると、値段の高いものは大体トラックだというような傾向になっておりますね。   〔井原委員長退席、細田委員長代理着席〕 そこで問題はえさ、木材、肥料というようなものになってくるわけであるけれども、農林省のほうでは、今度の貨物運賃値上げされたら年間百八十数億円余分に負担をしなければならぬ、これは困るといっているんだが、運輸省、国鉄のほうはそれほどじゃないでしょうという。農林省からきょうは食品流通局長が来ているんだが、運賃値上げすると百八十数億円、これはどれくらい農産物に影響するのか、どのくらいの程度で影響するのか、それをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  44. 池田正範

    ○池田政府委員 今回の運賃改定によります貨物運賃の平均値上げ率は二五%程度でございます。先ほど先生が御指摘になりましたように、等級間が、従来の四等級が三等級に圧縮される、しかもバルキーで値段の安いものが農林物資の場合に多いわけでございますから、どうしてもそこで下のほうの値上げ率に該当する物資が多くなります。その意味で、下のほうは約三〇%近くの値上げ率予定されておるようでございますから、どうしてもそれに対応する農林物資が多くなる可能性も多い、こういうことにもなります。したがって、いまの値上げに伴いますところの全農林物資の負担額をざっと概算をいたしますと大体百七十八億円くらい、そのほかに、実は公共政策による割引をいままで受けておりますけれども、これが御承知のように去年、おととしと、十月を契機に半分ずつ減らしまして、現在はすでに廃止いたしております。これらに伴うところの負担増が約四十六億ぐらいございます。したがいまして、合計いたしますと二百数十億程度の負担増になるというふうに私ども計算をいたしておるわけでございます。
  45. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 野菜等は何%くらい影響ありますか。具体的に例示してください。
  46. 池田正範

    ○池田政府委員 ものによりまして多少違いますが、現在計算をいたしておりますところによりますと、たとえばバレイショにつきましては一・七一%、ミカン〇・六四%、リンゴも大体同じくらいで〇・六四%、それから魚では、たとえばサバは〇・三五%、それから一番大きい米は〇・二三%、大体このくらいだろうと思います。
  47. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 絶対額としては大きいけれども、一%をこえるものはバレイショくらいということになるわけですね。しかしながら、いままで農林物資については、家庭に直結するというようなことで公共割引というようなことをやってこられた。これは二年がかりでなくしましょうということになって、なくしたとたんに今度は運賃値上げということになれば、ダブルパンチみたいな話になってしまうわけですから、これについては公共割引は廃止をいたしましたけれども、それにかわるといっては話弊がありますが、それに類似したような激変緩和措置をとってもらいたい。これは営業割引、特別割引とかいろんな形で激変緩和措置——局長、いいですか、それをはっきりしてもらわぬと、農林水産議員が多いんだから、大体賛成しかかっているんだけれども、おかしくなってしまっては困るのだよ。だからそういう点は十分に御検討の上善処してもらいたい。御回答願います。
  48. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま御指摘のように、農林水産物資に四等級の多いことは事実でございます。しかしながら、一等級の農林水産物資もあるわけでございますが、なお私としましては、いわゆる米麦あるいはなま野菜、下級鮮魚、こういったものにつきましてはいわゆる政策割引、これは依然として残すわけでございまして、すなわち二等級あるいは三等級であるべきものを一番下の四等級に置くいわゆる政策等級、こういった割引は今後も存続していくわけでございます。  それから、ただいま御指摘のございました問題でございますが、私たちとしましてはいわゆる流通施設の整備、こういうことにおきまして、いわゆる市場におきます価格の安定性を保つために、安定した供給力というものについての努力というものは今後一そういたしたいと思っております。
  49. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 どうも大事なところで返事がなくて困るんだけれども、これはやってくださいよ。わかったですね。わかったというサインがあったからこれ以上は私は追及はいたしませんが、最後に春闘問題についてお伺いをしたいのであります。  まことにこの間の春闘は違法行為であって、政治闘争であることは間違いない。これに対して政府は、やはり仲裁裁定が出た以上はこれは完全実施をするということを声明をしたし、これは国会にかけないでともかくやりましょうというようなことにもなったようであります。それはそれで私はいいと思う。そのかわり、違法行為を行なった春闘参加者が十二万人おる。何か新聞等によると厳正、公正、慎重に処分をする、処分するにあたってはどうか知らぬが、そういう意味らしい。慎重にというのは、これはいままでの役所用語ではやらないということなんだからね。しかしそれは役所用語でなくて、文字どおり慎重にやってもらわぬと困るのです。厳正ということは慎重ということと同じだと私は思うのです。公正かつ厳正、慎重、これは厳重にこういうことはやらないと、まじめな人がばかを見ますよ。私の知っている駅員なんかほんとうにまじめなんですが、職場へ出たら頭をこつこつはたかれてしまう。まじめな者がはたかれて、違法行為をやっている者が特等列車、お召し列車に乗って歩かれたんでは困るわけです。実際の話、大部分の職員はまじめな職員ですよ。しかたなしにストに参加している人が大部分なんですよ。参加しなかったら職場でつるし上げだというんだから、ほんとうにそれは人権じゅうりんの一歩手前ぐらいな話なんだ。こういうようなものはまことにけしからぬ話であって、法と秩序を守るという上においても、政府も法と秩序を守るけれども、やはりそういうような違法行為者に対しては厳重に、厳正に臨むということを確約してもらいたい。
  50. 磯崎叡

    磯崎説明員 先般来国民に御迷惑をかけました順法闘争あるいはストライキ等につきましては、私の責任におきまして厳正に処分いたします。
  51. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 厳正に処分をするという話を聞いたが、いま言ったように三年も四年もかかってやったんでは何もならないのであって、断固これは早い機会に敢然としてやるべきであって、汽車がとまるようなことをしたらまたやったらいい。そういうふうな不法なことをやって世の中が全部通ると思ったら大間違いであって、国家も何もないんだから、そういうことを支援をする人はおるかしらぬけれども国民から見放されることは間違いない、そういうつもりで断固やってもらうことを要望して、私の質問を終わります。
  52. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 枝村要作君。
  53. 枝村要作

    ○枝村委員 私の質問は、国鉄再建財政に基づく営業近代化をすることによって労使の関係は一体どうなっておるのか、いまから先、どうしようとしておるのかというような問題を中心に進めていきたいと思います。  総裁にお聞きしたいのですが、あなたは常日ごろから、国鉄再建については、国鉄の全職員はその立場のいかんにかかわらず真剣にこれは考えておる、したがって、自分、いわゆる総裁の考えておることは必ず理解してもらえるものだ、こういうように信ずるということをよく言われておるそうでありますが、いまもその気持ちについてお変わりはないのでしょうか。
  54. 磯崎叡

    磯崎説明員 変わりございません。
  55. 枝村要作

    ○枝村委員 ただそれが精神的な自分の気持ちの表明とか訓話ということでなくして、具体的にそれではどういうふうにそれを実現するために努力しようとしておるのか、それをお聞きしたいと思います。あとからいろいろ質問は続けてまいりますけれども、たとえばマル生の問題にも一応の終止符は打たれたようでございますけれども、この後遺症ともいうべき問題が職場ではきわめて強く残っておりまして、そうしてそういう職場ではほんとう労使の関係がうまくいかないために職場自体がいわゆる暗い状態に置かれている、意欲を持って仕事をすることもできないというところもあるようであります。こういう問題に対する具体的な処理の方法などもありましょうし、あるいはその他営業近代化に伴ういわゆる合理化の問題に対する労使の話し合いの進め方のいかんという問題もいろいろ出てまいりましょう。そうしてその他いろいろな労使の問題が今日たくさん派生しておりますけれども、これらについてあなたが最初述べられて今日持っていらっしゃいます信念に基づく具体的なそのあらわれとしてどのような手だてをしていこうとするのか、その点についての説明をお願いいたしたいと思います。
  56. 磯崎叡

    磯崎説明員 一つの企業をお預かりしているわけでございますが、やはり企業がうまくいくかいかないかの根本問題は、企業の持っている財政問題が一つの大きな原因でございます。いかに労使が表面上うまく話し合いをいたしましても、その企業が財政基盤がないということは、これは結局絵にかいたもちになってしまうわけでございます。したがって、私はまずこの難局に直面した国鉄財政基盤をぜひひとつ確立させていただきたい、これが今度のお願いの一つでございます。財政基盤の確立なくして、単に表面上仲よくしたということは、これはナンセンスでございます。あくまでもきちっとした財政基盤を確立した上で労使が話し合っていくということが一番大事なことだというふうに考えますので、私の労使問題を含めての国鉄再建問題の一番のポイントは、この財政再建でございます。これなくして、私は、労使問題の解決全部を含めまして全体の国鉄再建は不可能だというふうに考えます。幸いにこれが今度の国会でいろいろ御審議願ったあげくお認め願いました場合には、私どもとしましては、それを踏まえた上でいろいろな角度から人間問題をこれから処理していかなければいけないというふうに思っております。もちろん財政が先か人間が先かという問題はいろいろ議論がございますが、やはり財政基盤を確立した上で、それを踏まえた上で労働問題職員問題を扱っていくという考え方でございます。もちろん職員問題なくして財政問題はない。お互いに原因となり結果となることでございますが、まず財政的な問題を確立しそして職員問題を取り扱っていくという考え方でいかなければいけないというふうに思っております。  その職員問題の取り扱い方の具体的な方法でございますが、これはしばくら私におまかせ願いたいというふうに思います。いわゆる生産性運動以来のいろいろないままでの状況も、私自身よく知悉いたしております。またたくさんの方々からいろいろな御意見も承り、国会でもいろいろな先生からたくさんの御意見を承っております。したがいまして、それを踏まえてどういうふうな方向で今後いくかということについては、しばらく私におまかせ願いたいというふうに思うわけでございます。
  57. 枝村要作

    ○枝村委員 あなたは、財政基盤を確立して、それから労使の関係については十分やっていくというように、完全に切り離してのものの考え方ですけれども、しかし私たちはそう思わぬのです。国鉄再建をするために財政基盤を確立する、そのためにはいろいろな手だてというものをあなた方は考えている。その場合に、労使の間の紛争が当然起こる要素も、あなた方のやり方によってたくさん生じてくるわけです。ですから、ほんとうにあなたの気持ちを職員の全部に理解してもらおうと思えば、そしていわゆる国鉄再建財政基盤を確立するためには、多くの職員あるいはその団体と十分納得いくような話し合いをしていくべきだと思います。ですから、切り離したものの考え方をするところに、いまの、労使の間の円滑な運営というものが、ややともすれば意見の大きな相違となってあらわれるように考えられるわけです。  そこで、近代化、合理化を行なう場合、労働組合との間に何らかの協定というものがされますね。したがって、その過程にはいろいろな紛争の期間もあるでしょう、あるいはなかなかまとまらない問題も発生すると思いますけれども、しかし最終的には協定するということに落ちつくとするならば、協定によって労使双方が縛られるわけなんですから、協定の持つ意義そのものというものは、国鉄財政再建、近代化あるいは合理化を結局全職員が一丸となって促進するということになっていく、そういう役割りを果たしておるということに客観的にはなるのではないか、こういうふうに見るわけなんです。間違いでしょうか。
  58. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほどの私の御答弁財政問題と職員問題を切り離しているというふうにおとりになったとしたならば、これは私のことばの足りない点だと思います。  私は先ほども申しましたように、財政問題と職員問題というのは、両方が原因となり結果となる問題でございます。しかし、いまの時点におきましては、私は財政問題に全力を注いでいるということを申し上げたものでございまして、金さえできれば職員問題は自然に解決するとか、職員問題が解決すれば金は自然に解決するということではないということでございますから、その点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  また、今度の財政基盤を確立する上におきまして、いろいろな角度から国鉄合理化をしなければならない、国鉄自身企業努力をするという際に、もちろん組合協力を得、職員協力を得た上でなければできない問題が多々ございます。配置転換の問題一つをとりましても、配置転換される職員にとりましては、自分の家から離れる、あるいは場合によったら家族から離れるという問題も起きてまいります。そういう意味で、十分組合との話をいたしました上でこの問題を進めていくのは当然でございますし、いままでやりました合理化につきましても、いろいろな問題は派生的に発生いたしておりますけれども、根本的には、組合と話をした筋によりまして、その原則にのっとっていままでやってきたつもりでございます。
  59. 枝村要作

    ○枝村委員 具体的には、四十四年以降の営業体制近代化実施線区のいわゆる実施状況を、私ども資料がありますから知っておるのです。説明は求めませんが、幹線系の線区では六三・二%、地方交通線区では五九・九%が今日までの実施状況ですね。ですから、今日までの間において完全にその年度の一〇〇%の実施状況でないということがいえるわけなんですけれども、四十八年度の八月以降新たに再協定なんか結ばれていくと思うのですが、一〇〇%完全に行なわれていないというそれの最も障害になったのは一体何か、その点を明らかにしてもらいたい。
  60. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 ただいまの御質問は、線区の近代化、合理化の話だと思うのですが、これは組合との話し合いもございますし、それからうちの合理化の中では外部の国民利用者、そういった人との関係が非常にある問題でございますので、対外的な説明は意を尽くしてやっておるということでございまして、五十三年までの計画の中で私どもこなしていくべきあれでございまして、今後とも組合と、一応の協定は切れておりますが、また新しく結んでやっていくということにいたしております。
  61. 枝村要作

    ○枝村委員 結論的に申し上げますと、労働組合との間の紛争が原因で、一〇〇%完全に実施がされていもないということではないということなんですね。
  62. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 ただいま申し上げましたように、それだけではないという要素があるわけでございます。
  63. 枝村要作

    ○枝村委員 これ以上言いますまい。  少し合理化の実態について触れてみたいと思うのですけれども、この前の運輸委員会の中で神門委員が具体的に示したと思うのですが、私どもから見れば、要員規模を縮小するために少々無理な計画が進められておるような気がしてならないのですよ。その一つとして、特に安全の問題の立場から見た場合に、入れかえ作業、いわゆる列車組成を直接取り扱う部面に対しても、これを下請けさせるというようなところが今日十七カ所もあるというふうに、私どもでは調査の結果知ることができたのですけれども、これなどは、私はきわめて危険な綱渡りのような気がするわけなんです。これなどは、合理化を進めるとは言いながらも、実はたいへんな運転上、輸送上の危険を目に見えて生まさせてくるようなことを、あえて合理化の名によって起こしておるというように見られるわけなんですが、そういう実態があるわけなんですか。
  64. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 構内の入れかえ作業を外部に委託してやっておる、これは特定の場合には昔からやっておることでございまして、現在御指摘のとおり十七カ所やっております。中には、臨海鉄道、地方鉄道業者そのものに委託しておるものもございます。  しかし、この委託につきましては、とにかく原則として側線の中の入れかえであって、本線の列車に関係がない範囲内でやることが一つと、それからやる際にあたりまして、管理局長と委託を受けてやる人との間に非常に厳格な取りきめをしまして、従事員の資格の問題とか試験、考査、それから集中的な訓練というようなことで、管理局長が安全に支障のない十分なる監督のもとにその契約を結んでやらしておるということでございまして、実際にあたりましては現場の駅長がそのとおりやっておるかどうかをレトースするということで、保安上問題がないように十分気をつけてやっておるわけでございます。
  65. 枝村要作

    ○枝村委員 しかし、最近の情報によると、そういうところで運転事故が起きておるというふうに聞いておるのですけれども、知っていらっしゃいますか。
  66. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 御指摘の件は、石橋駅の構内でやった場合の事例でございますが、これは非常にふなれのために未熟者がやったということで、実際問題として御指摘のとおり起こしております。しかし、その後絶対そういうことがないように十分監督いたしておりまして、その後は完全に落ちついております。
  67. 枝村要作

    ○枝村委員 これなどは確かに、そういう下請の作業場が本線とつながっていないというところであるようですから重大な事故には発展はいたしませんけれども、しかし、少なくとも鉄道の輸送の運転の直接の作業をそういう下請にさせるなんというのは、いままで常識でわれわれ考えられないことだったのです。ただ日通あたりがちょこちょこそういう入れかえ作業をするのはいままでありましたけれども、このような大規模な作業を下請させることはなかったわけです。これ一つを見ましても、やはり相当無理して合理化を進めているような気がしてならぬわけです。  もう一つの例は、業務の徹底的な合理化、近代化によって輸送量の増大と時短に伴う増員も吸収すると言っておるわけです。そして現場における実態は、そのために業務作業量がたいへん増大をしていっておる。そしてたとえば便所に行く時間もないほど忙しい作業をさせられておる。ところがその反面、われわれのことばでいえば、非生産的管理者がどんどんふやされておるという実態が各所で生まれておるのです。これについてはいろいろわれわれ側の意見もあるのですけれども、きょうはそれを省きまして、たとえば東鉄管内の機関車区それから客貨車区それから電車区だけを見ましても、四十三年度と四十七年度を比べてみますと六八%もそういう管理者がふえておる。その人たちは一体何をしておるか、こういう点についてはいろいろ見方がありますけれども、必ずしもそれが輸送の作業に直接携わる任務を持っていないような気もする。そういう人たちがたくさん配置されておるような気がしてならぬのです。  それからまた、営業近代化に伴って、たとえば閑散区あたりで運転の取り扱いを中止したために、定員がそれまで十二名おったのが六名に減らされた。その六名の内訳は駅長、助役それから予備助役などを入れて四名管理者がおって、あとの掛職が二名しかおらないというところがある。まるきり赤帽ばかりがその駅に配置されておる。いま言いました大きなヤードや職場ではそれと同じような状態がどんどん出ておる。それは一体何のためにそういう非生産的な管理者をふやしておるのか。これが総裁が言うように国鉄再建のために、そして財政規模を確立するために真に役立っておるのかどうか、こういう点についても、実は小さい問題であるかもしれないけれども、疑わしい問題が出てきておる。  それからまた、財政的な問題にしましても、東鉄が三分割される前とあととでは、われわれ計算したところによると年間に四億七千二百七十六万四千円、これだけ三分割後の人件費の増になっている。そして首都圏本部も、そういうものをつくったために九億二千二十四万円もの人件費増になっておる。総裁財政規模を確立すると言って、いわゆる一般の作業職員合理化には一生懸命取り組んでおるのですけれども、われわれの見るあまり、役に立たないこういう人々はどんどんふやして人件費増をさせておるのというのは一体矛盾しないか、こういうふうに思っておるのですが、その点についてどのようにお考えになっておるか。
  68. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 ただいま具体的な例で御質問があったわけでございますが、出ました機関区などの例で申しますと、これはふえている面はございます。ただ、動力の近代化、車の進歩というようなことでいろいろなものが出てきているという関係で、管理監督上いろいろなそういう面の仕事プラス技術的な面あるいは乗務員の指導訓練、そういったようなものをこなしていくというような意味で、増加の傾向もあるという部面もあると思います。  それから三分割につきましては、管理部門が三つできますので、管理部門の人間がふえる、これはあたりまえのことですが、しかし五万をこえる管理、それがいいのかどうかというようなこととのかね合いでございまして、そういった点は私ども承知の上で、一つの管理能力を越えるといったような面を克服する意味でそういうことをあえてやったということでございまして、ただ管理部門につきましては、その後現場を削減するよりももっと大きなパーセンテージ、テンポで縮減を一般的にはかっておる、そういうことでやっておるということについて申し加えておきたいと思います。
  69. 枝村要作

    ○枝村委員 その問題はおきます。  その次に、近代化、合理化が文字どおり行なわれれば事故なんかも次第に減ってくるのがあたりまえなんですね。ところが最近非常に悪質な事故がどんどん起きておる。これは単に職員の精神的な弛緩によるものだけではないものがたくさんあるように思えます。たとえば最近起きました「ゆうづる」事件なんかについても、もしこれが運転途中でしかも一人乗務であったら、たいへんな重大なる惨事が旅客列車あたりに起こる場合が当然のように想定されるわけなんです。これを見ましても、合理化によっていままでの二人乗務が一人乗務にされるということによって、いわゆる国民の生命と財産、これが大いに脅かされてくるという実態も生まれてきておるわけなんです。ですから私の要求いたしたいのは、こういう輸送の安全、それから命を守る、こういうことについては、これは世界の西東を問わず、あるいは社会主義、資本主義体制を問わず、それこそ思い切った財政措置、要員の配置をどんどん行なうべきだと思います。これに対して国民の世論やどなたからも批判されるということはないと私は思うのです。そういうお考えは総裁としてありませんか。いま国鉄組合も動力車もその問題を中心に皆さん方にいろいろ要求を出して、真剣な話し合いが進められていくと思いますけれども、これこそ総裁も先ほど言いましたように、国鉄再建するためには世論の大きな支持が必要だと思います、そういう立場に立った場合に、国鉄の労働者が要求しておる、国民の多くの人々が要求しておる、安全に輸送でき、国民の生命や財産を守るという措置は、だれにも気がねすることなく思い切って行なうという姿勢の話し合いを進めていって、完全に解決していくようにすることが大切だと私は思うのです。その意味でひとつ御所見をお伺いしたいと思う。
  70. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は国鉄に必要なことを行なう際には、何ら遠慮気がねなくやっているつもりでございます。ただ、人さえふえれば安全度が増すということは非常に違っております。人がふえることは、必ずそれだけ安全度がふえるということではございません。二人乗務、一人乗務の問題、これはすでにケリがついておりますけれども、これにつきましてもはたして一人乗務によって事故がふえているか、ふえておりません。それは機械的なチェック、昨日も御答弁いたしましたが、マン・マシン・システムという人と機械とのコンビネーションがあって事故が減るのであって、人がふえれば事故が減るということは単純過ぎる議論ではないかと思います。したがって、いま組合といろいろ話しておりますけれども組合との問題はこの席で申し上げてもいたし方でございませんが、私ども組合と十分いろいろ話し合いをし、現場の意見も十分聞いてまいるつもりでございますが、ただ人がふえれば安全度が増すということだけではございませんで、たとえば「ゆうづる」の問題にいたしましても、いままでもそういった乗務員は、一カ月に全国で一人くらい途中の疾病がございます。過去その場合には、たとえ特急、急行だって近所の駅にとまるという規則になっております。たまたま運転中でございますけれども、これはいわゆるエマージェンシーブレーキをつけております。ATSのほかにEBをつけて、もし万が一運転中に駅と駅の間に突然不幸に見舞われたというときには、一分間黙っていればそのまま自動的にとまるという、これはヨーロッパの鉄道よりずっと進んだEBがついております。そういった意味で私はマン・マシン・システム、人と機械のコンビネーションによって安全度を高めるということが一番大事であるというふうに考えます。
  71. 枝村要作

    ○枝村委員 単純にものを割り切れない、単純にものを考えてはならぬというところに、基本的に今日の国民世論の国鉄に対する不信感というものがあらわれてきておると私は思うのですよ。すべて機械にたよる、人との関係において安全を守ると言いますけれども、そう言いながら実は事故が起きているために、一体国鉄は何をしているかというこういう問題が出てくるのじゃないんですか。万が一ということを想定しながら措置をするというなら、単純であってもそれは重大な問題として取り組んで、そして万全の措置をすることが大切だと思うのですよ。そういう意味から、私は、いまの一人乗務ということに組合との間で協定を結んでおりますけれども、十分話し合いをして二人乗務にして、国民の世論にこたえるべきだ、それによってすぐ事故が全部なくならないということはデータの上からも私は知っておりますけれども、それほどして国鉄当局として国民のそういう国鉄不信に対してやはりちゃんとこたえてあげることが、国鉄再建をする場合にも国民協力が得られるということにつながるんじゃないか、こういう点をいま指摘しておるわけなんです。返答は要りません。  時間がありませんからその次にまいりますが、総裁は五月の十日に処分の問題について談話を発表されました。それから翌日の十一日には、各新聞が大々的にこれを取り上げて報道しております。その内容は言わなくてもわかっておりますように、四・二七はじめその他の一連の行動に対して処分を発表する、実施する、そういうことです。しかも処分の発表時期を、整理し次第ですから六月、七月ごろにするということになっている。これはきわめて重大な政治的な発言と受け取られていいと思われる問題だと私は思うのです。あなたは先ほどの渡辺委員の質問に対して、厳重にと言いましたか厳正にやりますということをおっしゃいましたけれども、今度の四・二七のストライキの中止にあたっては、御存じのように七項目の合意事項というものが政府と春闘共闘委との間に結ばれてこのストライキというものが収拾されました。いわば各公社公務員の当事者間のいわゆる能力というものが、特に当局側にはなかったということをこれによって示しておると思うのですね。その直接の当事者であるあなたが、合意事項の中の最も重要な部分を含む一点についてどういう判断されたか知りませんけれども、六、七月ごろに調査済み次第処分を実施するなんていうことを言うことは、先ほども言いましたようなたいへんな政治的な重要な問題をはらんでいる。このように私は考えるわけです。一体どういう意図でああいう談話を発表されたのか、それをまず一応聞きたいと思います。
  72. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は手元に四月二十七日の七項目を持っております。第四番目には「処分については公正、慎重に行なう」と書いてあります。私はこのとおり申したわけでございます。しかもそれを私は公開の新聞記者会見で申しました。決して個々の新聞記者との話ではございません。定例の新聞記者会見で申しました。しかもそれを記事にしたのは一社だけでございまして、新聞記者諸君もこれはあたりまえのことを言っているんだととったからだと思います。その意味で、私は先ほど渡辺先生に申し上げましたように厳正にやります。その場合の処分にあたりましては公正であり、慎重であり、厳正である、これは当然でございます。私に与えられた職責を全うするだけでございます。
  73. 枝村要作

    ○枝村委員 新聞も特に重視しているのは、いろいろ巷間伝えられているのは、九月までは凍結するという話があったとかなかったとかいっておりますけれども、その以前に国鉄だけは何をきめようがかってにやるのだ、そういうところに重点を置いてあれだけのものを発表したと思うのです。その点は、六、七月ごろにやるというのは触れたのですか。
  74. 磯崎叡

    磯崎説明員 三月、四月にあれほどの大きな事件を起こし、あれほど多数の国民に迷惑をかける、しかもそれは法律に違反しておることははっきりいたしております。したがって、それに対する処分をするのは当然のことでございまして、調査ができ次第、たぶん六月、七月時点までには何とか処分ができるような調査ができるというふうに思って、そう申したわけでございます。
  75. 枝村要作

    ○枝村委員 あなたはいまの七項目だけは知っていらっしゃるそうですね。では、春闘共闘委と政府との間で長時間かかって合意に達するまでの経緯というものは知っていらっしゃいますか。
  76. 磯崎叡

    磯崎説明員 私がその場に居合わせたわけじゃございません。私は政府からこの話を承っております。
  77. 枝村要作

    ○枝村委員 では、あなたはそれまであらゆる努力をされた経緯は一つも知ってないのですね。政府から聞いたというのはどういうことを聞いたのですか。
  78. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど読み上げましたのを含めまして七項目の合意事項を承っております。
  79. 枝村要作

    ○枝村委員 では、その経緯の詳しいことははっきり知らないということなんですね。
  80. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は七項目の申し合わせ以外は一切存じません。
  81. 枝村要作

    ○枝村委員 では、知らない者が、あの政治的な大きな意義ですよ。先ほど言いましたように、あなた方は国鉄労働組合と当局との間でこれを収拾する能力というものは失ってしまったのでしょう。だから政府が出て春闘共闘委との間にこのストライキの収拾をしたのですよ。そこには政治的ないろいろなかけ引きもあるということ、長時間かかって当然いろいろあるのですよ。これはいま出しませんけれども、それを知らずにおって、その政治的にまとめたものをあなたの一片の発言、談話によってこれを打ち破るということは、それ自体もう政治会談の七項目を否定するということに通ずるのじゃないですか。(「論理の飛躍だ」と呼ぶ者あり)論理の飛躍にはならぬのですよ。あなた自身は七項目の合意事項そのものも否定するという、そういう政治的発言にこれはなっていくのです。あなたの言っていることはそういうふうに思いませんか。そこにはおのずから労使の間でせっかくまとまりかけた正常化の路線も大きくくずれていくことに通じていくということは、賢明な総裁ならわかるはずですよ。しかもあの時期に何を目的にそういう発言をしたかということです。重大なことですよ。もしあなたがその七項目の合意に達するまでの長時間にわたるお互いの内容、まだ発表できない問題もあるでしょうけれども、それを十分知っておって、そしてあの発言をしたとするならまた別の意図があるかもしれません。しかし知らないと言った。知らずに簡単にあなたああいう不用意な発言をするということは、あなたはいまの自民党政府、田中内閣総理大臣を不信任という態度をとったということと同じことになる。どうですか。
  82. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は先生のおっしゃることがよくわかりません。私はその場にいたわけではございませんし、いま手元に持っております七項目以外一切存じません。
  83. 枝村要作

    ○枝村委員 裏取引はありませんよ、公然と議事録に載っておるのですからね。ですから、あなたが知らない一点ばりでいけば別ですよ。しかし、少なくともあなたの発言がその時点で、あるいは今日まで大きく尾を引いておるという事実はやっぱり認めるでしょう。あれは簡単にああ言って、あとはどうなってもいいという考え方で言ったのですか。今日ではやっぱり問題化しておるではありませんか。
  84. 磯崎叡

    磯崎説明員 あの発言後は、調査をすみやかにいたしまして、処分を早くいたします。
  85. 枝村要作

    ○枝村委員 これ以上言いますと時間がないですから、ついでに運輸大臣に聞きます。  あなたはその後の新聞談話で、磯崎総裁の談話を肯定したような、やや否定したような発言をされておりますね、その翌日かいつか。それはどういう意味でしょうか。
  86. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いま国鉄総裁答弁をしたとおりに私も考えております。私は何回か閣僚協議会に出席いたしました。最終的にも春闘の共闘委員会の方々と握手をして別れた、その席にも私は立ち会ったのでありますが、あの七項目の合意以外に何ものもないということはお互いに確認しておる次第でございます。したがいまして、この処分が公正、慎重に行なわれれば、双方が納得するはずでございます。
  87. 枝村要作

    ○枝村委員 それじゃもう一つ聞きますが、磯崎総裁があの時点でああいう発言をしたことに対して、新聞は発表したし、新聞もその責任上あなたに、そういう意味でどう思っているかという意見を聞きに来て、あなたが言ったと思うのです、その翌日かいつか新聞に発表されたということは。ですから、あなた自身は磯崎総裁のああいうはっきりした談話が、春闘共闘委と政府との間で結ばれた七項目の合意事項そのものについて、今後の労使関係を進める路線の上で何かの影響を与えてはならぬという配慮が若干あったために、われわれ新聞紙上で見ると、若干磯崎さんとは違う発言をされたのではないかというふうに思っておるのですが、間違いですか。
  88. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 そのあとでおっしゃった、私がどういう発表をしたということはちょっとはっきりとは覚えていないのですが、いま磯崎総裁が申しましたことは、あれで正しいと私は思っております。したがいまして、あの時点でとおっしゃいますが、調査ができ次第処分をするということは、当然のことであると思っております。
  89. 枝村要作

    ○枝村委員 時間がありませんからその次に進みます。  今度の四・二七のいわゆるストライキが行なわれました。それで、総裁運輸大臣も、その日東京都下の各駅の状態を直接見られましたか、見られておりませんか。たとえば東京駅あたりに行って駅の状況なんかを視察はされましたか。
  90. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 わざわざストの状況を視察に行ったことはございませんけれども、状況は絶えず報告を受けておりましたので、よく了知しております。
  91. 枝村要作

    ○枝村委員 それはたいへん秩序整然として静かで、その前ありました上尾事件やそのあとのいろいろな暴動事件に比べたら、まるっきり夢のような、ああいうことがあったのかなと思うほどの四・二七のスト当日の風景であったというふうに報告を受けたでしょう。どうですか。
  92. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 その問題につきましては、具体的な事情の報告も受けましたが、しかし公労法で禁止せられておる争議行為であるというふうに報告を受けております。
  93. 枝村要作

    ○枝村委員 そんなことを聞いているのじゃないですよ。  総裁に聞きます。四・二七の当日は何か問題が起こりましたか、駅や何かで。
  94. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は前の晩から徹夜いたしておりまして、当日もおもな駅は回っております。ただ、私は無人の駅を見ながら、数十万、数百万のお客さんの怒りを私自身感じました。
  95. 枝村要作

    ○枝村委員 怒りを感じたのはあなたの個人の考え方でしょうが、しかし少なくとも当日は、各駅ともきわめて静かで、お客さんも汽車がとまるということを知っておりますから近寄らなかった。ですから、秩序整然というよりも、むしろ閑散であったというように見受けられるわけですね。これは一体何かということなんです、私の言うのは。これはストライキ権があればこうなるのだという一つのみごとな見本の例ですよ。上尾事件その他は、それがないために、いろいろな抵抗手段を労働者がとっていく、それに対して右翼反動派がそれを巧みに利用して扇動し、ああいう暴動を起こしたのですよ。ですから、ちゃんとスト権を与えれば、四・二七のように国民協力するし、そしてりっぱな統一行動ですか、労働者に与えられた団結権、行動権が明らかにされて、そうしてあのようなみごとな行動がとれるということを示したものだというようにあなた見ませんか、運輸大臣
  96. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄職員に対してスト権を与えるかどうかの問題につきましては、政府といたしまして再三申し上げておりますように、ただいま三者構成で審議をされております公制審の結論を待って考えるべき問題だと考えております。
  97. 枝村要作

    ○枝村委員 もう時間がありませんが、私どもから言わせれば、何とかの一つ覚えのように公制審を待つというような態度でなく、四・二七あたりの実態を見て、ほんとうに労働者にスト権があったら、大衆に迷惑をかけずに、利用者に迷惑をかけずに、これだけみごとな行動がとれる、そして政府も当局も本気になって事態解決のために動くという証拠が実際に出ておるのです。ですから、あなた方は、いま言ったような公制審の結論を待つということでなくして、昨年の暮れごろに前の佐々木運輸大臣が言ったように、こういうイタチごっこをやって国民に迷惑をかけてはいかぬからあ公労法も漸次検討してみようという、そういう積極的な態度になぜならぬかというように私は思うのですよ。そうすることによって、それこそ国鉄再建とかいう問題にも必ずしも無関係じゃないのでありますから、労働者も国民と一体となって、一生懸命その方向で前進をはかるということにつながるのじゃないですか。変なところであなた方ががんばって公制審を隠れみのにしてのらりくらり逃げておるところに、労使の根本的な不信というものがのぞかれるのじゃないかというふうに思います。しかも、世界的にもILOのあの注意やら勧告やらたくさん出ておる。それを全く無視しておる今日の態度は、これは許されぬと思うのですよ。ですから、運輸大臣はおれは管轄権限がないと言うかもしれないけれども、あなたがやっぱり中心になってこの問題はやはり進めていくように努力されるべきだと思うのです。それを最後にお聞きしまして、私二十分までで時間がないから終わりたいと思います。
  98. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど申し上げましたように、公制審の結論が出ました場合には、関係大臣と十分協議をいたします。
  99. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 野坂浩賢君。
  100. 野坂浩賢

    ○野坂委員 運輸大臣にまずお尋ねをいたしますが、最近特に物価の急上昇という事態に逢着をして、国民生活は非常な打撃があるということは御案内のとおりであります。先ほども経済企画庁の国民生活局長からお話がありましたとおりに、公共料金の引き上げはしない、運輸大臣も経済閣僚の一人でありますからそういうことは十分御認識のことだと思っております。ただ、先ほどの発言の中で、国鉄運賃はやむを得ない、その裏には国鉄運賃引き上げ自体も非常に問題であろうという言外の意味があっただろうと私は推測をしております。  そこであなたにお尋ねをしたいのは、あなたの所管をする陸海空、これらの公共料金は先きほどの経企庁と同じように、本年度は上げる意思はない、こういうようにお考えになっておるのか、経済閣僚の一人として物価とも安定等とも考えあわせてそのように確認をしてもいいか、まず冒頭お尋ねをしておきたいと思います。
  101. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄運賃改定の問題についてはいま提案しておるとおりでございまして、提案理由にも申し上げたとおりでありますから申し上げませんが、その他のいわゆる認可料金はたくさんございます。こういったものについてどうするか。もちろんこういった料金を引き上げることが物価に関係がないとはいえません。したがいまして、政府といたしましては関係省庁間で十分の協議を遂げました上でこれを最終的に決定するわけでございますが、民間企業のごとき、場合によりましてコスト高になって採算割れになっておるというような場合に、国鉄のように一々政府がそれに対して助成をするということも困難な場合がございます。そういった問題につきましては個々の企業の状態を十二分に調査いたしまして、なるべくそういった料金の引き上げはしないという前提において処理をしたいと考えております。
  102. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それは言いようによりましては個々の企業の経営実態を見てということでありますが、それ以上に国民生活はそれによって便乗値上げなり思惑値上げ、いろいろなことが予想される現在、公共料金は政府主導型の物価上昇政策でありますから、そういう意味では公共料金と名のつくものについては運輸大臣としては上げない、これが原則だ、こういうふうに確認をしてもいいか、もう一度明確にしていただきたい。
  103. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 私は公共料金という幅がどこまで公共料金かという問題があると思いますけれども、私がさっき申し上げたのは運輸大臣所管の認可料金が相当たくさんございますから、これについて申し上げているわけでございます。その意味でお聞き取り願いたいと思いますが、いま申し上げましたように、こういったものにつきましてはその体制上の収支の不足というものを国鉄と同じように国が全部助成をするということができないと思います。したがいまして、関係省庁間で十分協議をいたしました上で、なるべく上げなくても済むような施策をあらゆる方面から講じました上で最終的な決定をしよう、こういうことを申し上げた次第でございます。
  104. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いろいろお聞きをしたいのですが、まず貨物運賃について伺いたい。今日までは等級は一等から四等になっております。私たちが所属をしております農林水産委員会、特にそれの産物については四等級にほとんど位置しております。今度の運賃の引き上げというのは、一等級と四等級と比べて、その運賃の上昇比率というものはどのようになっておりますか。
  105. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 一等級が約七%、四等級が二九%でございます。
  106. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そういたしますと、先ほど自民党の人からお話がありましたが、たとえばクーラーのような、あるいは時計のような、あるいは冷蔵庫のような、そういうものについては思い切って上げて、国民生活に直接関係のある生鮮魚介類、そういうものについてはできるだけ下げるべきだ、そういうふうな意見さえありました。しかしいまの御答弁では、一等級は七%、下は二九・六%、国民生活に大きな影響のあるものについては一等級と比べてはるかに大幅な上昇だ、こういう御答弁であります。これは今日の状況とは合わないではないか、こういうふうに思います。政府の方針とは違うじゃないか、こう思うのですが、どうです。
  107. 秋富公正

    秋富政府委員 貨物の等級につきましては長い沿革がございますが、以前は三十二等級とかずいぶん分かれておりましたが、これは国鉄独自のいわゆる従価等級制度でございまして、今日のように国鉄がいわゆる独占的な体制でなくなりまして、トラックあるいはフェリー、こういったものがその競争相手として出てまいりまして、そういった他の輸送機関におきましては単一の運賃制度、すなわち従価等級制度をとっていないときに、国鉄だけがそういう従価等級制度をとるということは総合交通体系の面におきましても非常に不合理でございますし、また国鉄のになう使命というものも果たし得ないわけでございまして、これを三十六年以降逐次等級制度を縮小してきたわけでございます。先ほども説明いたしましたように、従来の制度におきましては一等級の差が一〇〇に対しまして一五〇ということでございましたが、今度は一〇〇と一二四、こういうふうにその幅が狭まった関係上、一等級は七%、四等級につきましては二九%、こういったことになりまして、四等級につきましての値上げ率が大きくなったということでございますが、これはいわゆる運賃体系全体の問題でございます。しかし、やはり御指摘のような生鮮食料品あるいは米麦、なま野菜、こういったものにつきましての値上げの影響を極力緩和いたしますために、いわゆる政策等級——二等級あるいは三等級であるべきものを四等級にしておくこの政策等級の制度は、今度の改正におきましても在続していく、こういうことでございまして、これが大体四十四億、それだけの六十一品目につきましてそういう制度は残していくわけでございます。
  108. 野坂浩賢

    ○野坂委員 確かに政策割引として二等級なり三等級のものをそれぞれ一番下に落とす、その額は四十四億だ、こういうことですが、先ほども食品流通局長からお話がありましたように、去年の後半からそういう特別賃率方式というものをやめた、それによって負担増というものは二百億ある、こういう状況であります。そこで私は、農林政務次官ですかおいでになっておりますが、あなたは今度の運賃の引き上げに伴って、運輸省あるいは国鉄からこれらの底上げといいますか、四等級か二九・六%、これを、下級の鮮魚なり野菜なり、先ほど物価指数が一番上昇されるといわれたなまバレイショ、こういうようなものは何らかの措置を農林省のほうでとってもらいたいというような御相談がございましたか。
  109. 鈴木省吾

    ○鈴木(省)政府委員 今回の運賃改定によりまして、農林物資生鮮食料品等の価格がお話しのように引き上げが多いわけでございますので、農林省といたしましては施設の合理化なりあるいはサービスの向上、ただいまお話がございました営業割引、これをひとつ弾力的に運用しまして、そういう影響を最小限にとどめてもらいたいという申し入れを実は国鉄、運輸省にいたしておるような次第でございまして、さようなことが実現することを強く期待をいたしておる次第でございます。
  110. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いま政策割引というか、営業割引を極力そのように措置をしてもらいたい、特に四等級にある商品について、農林水産物について特に指名をしておっしゃっておるわけですから、この農林省の申し入れを受けて、運輸省なり国鉄側ではどのように検討されたのですか。その経緯をお話しいただきたい。
  111. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄貨物運賃制度は非常に沿革を持っておりまして、事実は私のほうの独占時代の遺物でございます。トラックの運賃と比べるとよくおわかりでございまして、同じものを運んでもトラックは同じ運賃だ、私のほうは従価制度だということで、独占時代の遺物でございます。これを徐々に直していきたいという気持ちはございますが、その際にまず今度の措置が、いま鉄監局長が答えられましたけれども、本質的には価格で等級がきまるわけでございますので、本来ならば米のように高いものは当然二級ないし一級になるわけでございますが、それを三級に押えておく、最低等級に置いておくというのが私ども精一ぱいでございまして、これをさらに割り引きしろということは、非常に私どものほうとしてお受けしがたいのでございます。ほんとうに営業割引として筋の通ったものがあれば、これは私ども商売でありますから、それはいたします。しかし、私何べんも国会で申し上げておりますが、やはり国鉄に理屈なしに割引をしろとおっしゃることは無理なんでもって、私のほうは輸送サービスはできるだけいたします。しかし、割引そのものないし金銭的な援助、これは私はなるべく主管の省でやっていただきたいというふうに思うわけでございます。私ども財政状態のよかったときは、これは私どもいたしますが、こうなってまいりまして、とても人さまのことまでおかまいできないという状態でございまして、何とかこれはやはり主管省でめんどう見ていただく。私のほうは筋の通ることはいたします。しかし、ただ頭から引けということはちょっともうお受けいたしかねるような実情でございますので、そういう点は十分営業的に、営業割引として筋の通るものはいたします。しかし、それ以外のものをただ頭から引けということは、これはやはり国家の政策だと存じますので、これはいままでもこの委員会でもずいぶんお話ししまして、そういう公共的なものは国でめんどうを見るべきだという、お説のとおり、ぜひ、すぐできないまでもそういう方向にいっていただきたいということが私の切なる希望でございます。
  112. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農林省の政務次官、そういうお話をあなたお受けになったのですか。一方的に申し入れだけをして、あとは何もしなかった、こういうことじゃないですか。農林省の関係のそういう予算については、私は残念ながら見受けることはできなかったのですが、受けたボールをどのように処理されたのですか。
  113. 池田正範

    ○池田政府委員 御指摘の、各省で具体的に予算を組むことによって対応せよといういまの御希望でございますけれども現実問題として今回の運賃改定を境目にしまして、いろいろ農林物資に対する影響力を農林省としても検討いたしまして、その結果でき得れば物価対策としての予算を組んで、それによって国鉄経営に影響なしに、運賃の負担増を農林業に与えないようにするということができるかどうかについても、実はかなり各方面から時間をかけて検討してまいったわけでございます。しかしながら、ただいまもお話の中に出ておりますが、なかなかこの対象が多うございまして、公割と申しましても、従来受けておりましたものは年間三千万トンをこえるといったような非常に多いことでもございますし、また流通経路も物によりまして非常に特殊なものがあり、複雑な経路をたどっておるのであります。  さらに運賃割引を受ける対象でございますけれども、これもまた生産者だけではございませんで、加工業者あるいは中間の販売業者といったような段階の人が、それぞれ恣意にその交通手段を使って運送しておるという実態もございます。したがって、直接的ないわゆる予算の補助対象といった形でこの問題を処理することは、技術的に見てほとんど不可能であるというふうに私ども考えたわけでございます。  そこで、結局そうなりますと、一つは従来の公共割引的な形のものが、国鉄再建計画の中に無理なく組み込める程度のものとして容認できる限界があるのかどうかということも一つございましょうし、また、たとえばその全体の輸送施設を合理化していくというふうなことで、たとえば無人駅を活用するとか、あるいは国鉄の所有しておられる土地の中に優先的に倉庫をつくってこれを利用させていただくとかいったようなこともございましょうし、また、すでにいろいろやっていただいておりますところの特殊の物資についてのストレートなフレートライナーといったようなものの新設、これはすでにかなりの分野にわたって国鉄でめんどうを見ていただいておりますけれども、そういったようなものもございます。したがって、どれか一つで全部を解決するのはなかなかむずかしかろう。したがって十年間の再建計画に支障のない範囲内で、私どもとしては農林関係の業務に影響のないように、いろいろな手段を組み合わせて講じていただくことによって、影響力を最小限に食いとめるということで、現在農林省と運輸省及び国鉄との間で、事務レベルでずっと計画的に実は詰めておる最中でございます。
  114. 野坂浩賢

    ○野坂委員 流通機構の整備とかあるいはコンテナなりフレートライナー、そういうものがカバーするということですが、それとこれとは別で、今度はコンテナ貨物、手小荷物を含む一般小口貨物扱い、これに分かれていくわけです。そうすると、一般小口の場合は庶民なり中小零細企業、これがやるわけですよ。だから、いまの御答弁では直接運賃に大きな影響をもたらす。あるいは大きく米をワ車に百六十三俵積む、あるいはワムに二百十五俵積む、こういう場合はあるとしても、この一般小口貨物扱いというものに限定をして考える場合は、そういう方策は成り立ちません。成り立ちませんから、去年の四月二十六日の委員会でもこのことが問題になって、今後政策割引を廃止をする場合には農林省なり運輸省と協議をしてこれらに対応する、こういうふうに議事録に載っておるのです。だから運輸大臣はあるいは農林大臣等々と、一般の物価高に影響するものとしてこれらはそういう大臣の間で具体的に議論をされて、それは国が持つ、こういうようなかっこうをとられる経緯になっておるのですよ。時間がありませんから読みませんけれども、そういうことになれば、これらの三〇%も上がる四等級については善処、対処をしていくという経過があります。それについてはどのようにお考えになっておるのか、運輸大臣に伺いたい。
  115. 秋富公正

    秋富政府委員 この問題につきましては、農林省と昨年来いろいろと検討を重ねてきているわけでございます。ただいま国鉄総裁も申しましたように、従来は公共負担といたしまして国鉄が負担してまいりましたけれども、一昨年、昨年と、これは物価閣僚協議会の了承をいただきまして、二年にわたりまして五〇%ずついわゆる公共割引は廃止したということでございますが、私たち運輸省あるいは国鉄といたしましては、極力流通施設あるいは専用の貨車あるいはコンテナというものあるいは直行列車の設定あるいは発駅、着駅におきますターミナル、こういったものにつきましての施設の改善をいたしまして、いわゆる安定した供給によりまして卸売り市場におきます価格の安定、こういうことにつきまして全力を尽くしてまいる、こういうふうにして今日までいろいろと実際にも具体化してきたわけでございます。
  116. 野坂浩賢

    ○野坂委員 すっきりしませんね。たとえばあなたの場合は、フレートライナーなりあるいはコンテナによってそれらをカバーするということですけれども現実に今度区分けをされるわけですから、一般の庶民が送るものは一般小口扱い貨物になってくる、そういうことでございますね。そういうことになってきますとそれは恩恵はない、こういうことになりますよ。だから、大量輸送の場合についてはお示しがありましたように、そういうことがあるかもしれない。それらについての関係のない諸点についてはやむを得ない、いわゆる庶民の要望は切り捨てる、こういうことに通ずるわけですが、そうなんですか。
  117. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いま政府委員から御説明をしたように私も承知しておるのです。昨年までは若干公共割引という制度は残っておりましたが、国鉄でいままで一番困っておりましたのはこういう政策割引の問題でございまして、われわれといたしましても政策割引の制度は漸次——非常に急激に廃止しますとまた問題が起こるものですから、漸次これを廃止する方向で検討しようということは前々からの問題でございました、四十六年、四十七年にわたりまして。これはもちろん物価の関係閣僚協議会でございますから、通産大臣も農林大臣も皆さん入っていますが、そこで相談をして、公共割引のほうはそういう措置をとったということでございます。したがって残りますのは、先ほど国鉄のほうから御説明いたしましたような政策的な等級のランクをどうするかという問題でございまして、それにつきましては農林省と事務的な折衝をさせておるわけでございます。どういうふうな品物をどこにどういうふうに位置づけるかというようなこと、それがやはり運賃に関係いたしますから、なるべく急激な変化のないようにということでわれわれも御協力をしておるわけでございますが、ただ、いまお話しの中に庶民の云々ということがございます。これは運賃でございますから庶民に関係いたしますことはもちろんでありますけれども、他の省にも同じような問題でございますけれども、そういう物価対策についての問題を、すべて運送するのだから国鉄が全部しょえということは私は限度があると思うのですね。総裁が申しましたように、こういった問題につきましては主管の担当省が十分にそういったことを配慮しながら、流通機構というものについての考慮をしてもらわなければならぬ、私もそういうことを考えまして関係大臣には、おりに触れましてそういった要望をしておるわけでございます。
  118. 野坂浩賢

    ○野坂委員 国鉄に負担させるのは無理だ、こういうお話ですが、そうすると、先ほどもこちらのほうで一斉にやじがあったように、一般会計で政府が持ったらどうです。国鉄当局に一般会計から補助を出して、従来どおり政策割引をやる、そのほうがむしろきわめてすっきりして、これらの運賃の審議にあたっても非常にスムーズ感があるんじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  119. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 すべての物資の運送につきまして運輸省が責任を負って大蔵省と交渉いたしまして、そういう一般会計からの繰り入れを交渉するというのは、これはむしろ私は賢道だと思います。物資の所管官庁が物資の価格というものはこうあるべきだということでございましたならば、そういうことを大蔵省とも十分御相談になりまして、一般会計から国鉄にそういったものを繰り入れようということになりますと、われわれはそれに対して十分な御協力をする用意がございます。この点は農林省だけではございません。通産もそうでございますし、問題は違いますが、厚生省との関係においてもそういう問題がございます。
  120. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは農林政務次官にお伺いしましょう。いま食品流通局長から、そういうことの詰めは事務レベルでやっておるということですが、運輸大臣から話がありましたように、農林省から農林水産物についての政策割引、いわゆる二九・六%も引き上げない、こういう意味で一般会計のほうから出して繰り入れを行なう、こういうことが正しいと私も思いますが、これは昨年の四月二十六日に美濃委員からそういう点が指摘されて、運輸大臣から農林大臣に申し入れをしておられる。当時の大臣は丹羽喬四郎という人です。それは引き継ぎがあったと思うのですよ、あなたも政務次官であるわけですから。この間のテレビでは副大臣だ、責任を持つのだ、こういう二階堂官房長官の談話もありましたから、責任を持ってそれは政策割引として繰り入れる、こういうことは約束できますか。約束してください。
  121. 鈴木省吾

    ○鈴木(省)政府委員 検討いたしたいと思います。
  122. 野坂浩賢

    ○野坂委員 検討するということですけれども、あなたは最近なられたばかりで聞いていないということであれば、全くもってけしからぬですよ。国会審議の冒涜ですよ。議事録に載っておるのですからね、運輸大臣から答弁しておるのです。農林省の所管で善処してもらう、措置をしてもらう、こう言っているのです。だからいまのその話を受けて、農林省としては農林水産物を政策割引として上げないように、そして物価を押える。これが政府の役目なんです。ことしの方針は社会保障と物価引き下げというのが方針なんですから、そういう意味であなた方は本格的にやらないと、農林省は笑われますよ。やられますか。
  123. 鈴木省吾

    ○鈴木(省)政府委員 努力をいたします。
  124. 野坂浩賢

    ○野坂委員 検討からいま努力に上昇をしてきたわけですが、いわゆるいままでこれらの、去年を受けて七兆五千億が十兆五千億になった程度で、中身は同じなんですから、運賃の引き上げは。この間に経緯があったはずですね。いわゆる折衝して詰めてどのようにするかという経緯があって、いまあらためてあなたに私が質問して、初めて聞いたような顔をされては困るわけですよ。ずっと去年からことしの経緯があるわけだから、これについてはそれらの経緯を踏まえて、ここで結論を出すような時期に来ておるのではないですか。それほど国民生活に農林省が関心がないといわれてもしかたがないですよ。それならば、はっきりしてもらわなければ困る。あなたの責任においてもう一ぺん明確な答弁をしてもらいます。副大臣として権威がありませんよ。
  125. 鈴木省吾

    ○鈴木(省)政府委員 そういうことを実は、心配いたしておりますので、両省あるいは国鉄と協議をさせておる次第でございますから、影響のないように十分努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  126. 野坂浩賢

    ○野坂委員 対処、善処をするというふうに理解をいたします。  それでは今日までの貨物運賃収入の推移、数量、このことは、裸の王さまといわれておりますし、いろいろと御乱心というお話もありますが、これにいろいろ田中さんが出しておる。昭和六十年になりますと一兆三千二百億トンキロですか、これほど輸送しなければならぬ。この約半分は船でやるのだ、あとの五〇%は陸上輸送だ、自動車で運ぶのもそれぞれ限界がある、だから国鉄だと書いてありますね。国鉄は現在六百三十二億トンキロ程度ですね、お運びになっておりますのは。五十七年度あるいは六十年は、これにあわせてどの程度お運びになるか、そしてその数量は、一等級、二等級、三等級に分けて、上がるとして、どのようなものがふえるのですか。
  127. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 数字政府委員からお答えさせますが、列島改造論をお用いになりましたが、それ以外にもいろいろの経済社会基本計画もございますし、それから新全総というようなものもございますし、いろいろ長期計画におきまして物資の伸び率というものを予想しております。必ずしもそれは一致しておりません。それぞれの前提を置いて考えておりますから、その前提が少し違いますと、物資の輸送量が非常に変わってまいります。しかし一般的にいえますことは、今日の国鉄輸送分野におけるシェアというものは少な過ぎるということでございます。そういうことのために、提案をいたしておりますように、国鉄貨物輸送の体質を変えて、そういった輸送分野を、しわ寄せを受けてもそれに対応できるような姿勢国鉄がとるようにできるようにしようということが今日のわれわれの提案でございまして、その線に沿ってまいりますと、現在のシェアよりももう少し国鉄輸送シェアというものがふえてこなければならないし、ふやすために努力をしなければならぬということでございますから、いままでの実績よりか相当これは上がることは確かでございます。海運との関係、自動車との関係につきましても、十分その点を将来、誘導性というと少し強くなるかもしれませんが、誘導性というようなものも考えながら、これから指導を十分にしていきたいと思っております。  数字につきましては、政府委員からお答えさせます。
  128. 秋富公正

    秋富政府委員 現在の数字は、ただいまお話しのとおりでございますが、再建計画のある五十七年におきましては約千四百二十億トンキロでございます。このうち大体四分の三がコンテナ輸送というふうに考えております。したがって、車扱いというのは現在よりも減ってくる、そしていわゆる定時定型貨物のコンテナ輸送を大幅に伸ばしていく、こういう構想でございます。
  129. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんので深くは追及しませんが、私がいただいております資料では、四十四年が一億九千七百万トン、四十五年が一億九千九百万トン、四十六年は一億九千三百万トン、こういうトン数ですね、推移は。運賃収入もそれに見合って、四十五年よりも四十六年は減っておる、こういうことですね。またトン数もそうふえていない。これが現状なんです、運輸大臣。だから、いまの六百二十三が千四百、またこれから見れば、裸の先生から見れば、一億四千億トンキロというそういうものよりもっと多いんです、国鉄輸送の任務はもっとずっと多いですよ。それの二倍以上なんです。そういうことになってまいりますと、この運賃収入なりトン数というものが低下をしておるというのはどういうわけですか。四十六年と四十五年と……。
  130. 秋富公正

    秋富政府委員 これは一つには、国鉄貨物輸送体制というものが他の輸送機関に比べまして劣っておる、サービスの面において十分果たしてないという面もございますが、同時に、昨年、一昨年と非常に災害が多うございまして、このために影響があったということと、それからもう一つは、やはりストライキでございまして、このために非常に荷動きがおくれたということも事実でございます。
  131. 野坂浩賢

    ○野坂委員 今度は、いまは四分の三、この一番の問題はいまお話があったのですが、いわゆる自動車輸送国鉄貨物輸送との比率は一体どうなっておるのですか、四十五年、四十六年は。
  132. 秋富公正

    秋富政府委員 トラック輸送の占めます割合は、四十一年におきまして三一%でございました。それが四十四年に三八%、四十六年に大体四三%でございます。これに対しまして国鉄は、四十一年が二六%でございましたが、四十三年が二一%、四十六年が一八%、こういうシェアでございます。
  133. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いわゆるトラックの輸送のほうに変わってきたということですね。それではなぜそのように変わってきたのか。それとあわせて自動車輸送のトンキロ当たりの運賃、これはどういう事情になっておりますか。
  134. 秋富公正

    秋富政府委員 いわゆる道路の整備ということが一つの大きな原因でございます。それから、いわゆる運賃の面でまいりますと、大体二百キロまでは自動車のほうが有利でございまして、それから先は鉄道のほうが有利、こういう運賃体系でございます。  どういうわけでシェアがこれだけ減ってきたかということにつきましては、一つには、いわゆる自動車が非常に台数がふえまして輸送量がふえた。これは営業車が大体一割でございまして、あとの九割は自家用車でございます。こういったものにつきまして、自家用車につきましての規制ということはなかなかできないわけでございまして、こういった輸送面、ある意味におきましては過積みの場合もあるわけでございます。  それからもう一つは、運賃体系につきまして、トラックのほうは非常に柔軟な幅のある運賃制度でございますが、鉄道のほうは非常に固定している、こういった面におきましてはできませんが、根本的にはやはり国鉄輸送サービス、いわゆる現在の定時性、到着日時についての明確性がはっきりしていないとか、あるいは輸送日時がかかる、こういった面につきまして、われわれはさらにシステムチェンジをやる、貨物輸送体制を変えていくということに今後の再建計画においては主力を置いているわけでございます。
  135. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんから深く追及することはできません。できませんが、いまお話があったように、自動車のトンキロというものの運賃貨物国鉄よりもはるかに高いのですよ。高いにもかかわらず自動車になっていく、こういうことですよ。だから、それは到着の日時ということが問題になる、こういうふうにおっしゃった、そのとおりかもしれません。そのためにコンテナ方式、フレートライナー方式というものをこれからやる、こういうことですね。それで今度は、それからはみ出たのは手小荷物の中に入っていく、こういうことになりますね。手小荷物の場合は各駅停車ですからおそくなってくる、フレートライナーのほうはもちろん集約しますから早くなっていく。このコンテナと一般小口扱い貨物とは運賃はどらちが高いですか。どのようになっておるのですか。
  136. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 御質問の比較はちょっとはっきりしないのでありますけれども、コンテナと小口といいますけれども、現在小口扱いは非常に数量が少のうございます。コンテナと小口扱いを単純に比較するわけにはまいりませんですけれども、同じ量を想定して一応比較しますと、小口扱いのほうが当然高うございます。
  137. 野坂浩賢

    ○野坂委員 高いですね。私はもらっております資料では百キロメートル、たとえば姫路から吹田までコンテナの扱いは千三十五円、小荷物の運賃は五千二百円、二百キロの場合は千四百四十七円で小荷物運賃はやはり五千二百円。そうすると三倍ないし五倍というところですね。そういうことになるわけです。一般小口扱い貨物を扱うというのは企業でいえば零細、一般でいえば庶民、フレートライナー、コンテナを使用できない人たちがあるわけですから、そういう人たちは高いですね。早く走っていくのは比較的運賃が安い、おそく行くのは高い。旅客とは反対ですね。新幹線で早く行くのは高いし、おそく、ゆっくり行くのは安い。貨物と旅客とは全く逆比例になっておる、これが実態なんですよ。これでは一般の庶民は助からぬと思いますね。三倍から五倍になってくる。政策割引なり営業割引というのは私有貨車にはすでに一五%も、国鉄総裁が管理局長等にその権限を、国鉄運賃法第八条に基づいてそれぞれ営業割引をしておる。たくさん送れば安くしている。コスト割れしておるわけです。私有貨車等は、全貨物国鉄輸送量の六四%も専用線を含めればあるんじゃないですか。そういうところには厚く、一般の諸君たちには異常なほど薄い、そういう政策がまかり通るわけはない。国民は異常なほど、この問題については怒りをもって臨まなければならぬというふうに私は思うわけです。これについて、運輸大臣は行政官の最高責任者としてどのようにお考えになっておるか私は聞きたい。
  138. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 専用車の問題とか引き込み線の問題とかいろいろ運輸委員会でも御論議がございまして、これはよく言われますように、大企業だから特別の割引をしているというふうにお取り立てになるようでございますけれども、決してそうじゃありません。国鉄といたしましては国鉄運賃法の規定に従いまして、ある一定の条件に合致すれば、大きな荷主でありましても小さい荷主でありましてもまんべんなく取り扱うのが当然でございまして、そういうことは考えてもおりませんし、そういう制度ではございません。いまのお話のような専用車のような問題、これは専用車を荷主が自分でつくって提供するわけですから、国鉄から申しますとそれに対する資本費が要らないわけです。資本費が要らない部分につきましては、かえってそういったことをやってもらったほうが国鉄の運輸についての効率が上がるわけですから国鉄のメリットになるということで、資本費に相当する部分としてある程度の割引をしておるということにすぎません。決してそういう専用車を持っておる荷主に対して特別の援助をしあるいは特別の割引をしておるという趣旨ではないのでございます。
  139. 野坂浩賢

    ○野坂委員 もう終わらなければなりません。なりませんが、いま私が言いましたように、また運輸大臣からは、特別な取り扱いではない、向こうが私有貨車をつくるわけだからこれはやむを得ぬということでありますが、これは大体平均一五%、二三・四%というのもありますよ。これはたとえば減価償却十年しか見ておりませんね、耐用年数。ゆっくり使うならもっともつかもしれない。それから銀行の利子を見ていますね。これは会社側から見れば、支払い利息は損益計算書のほうに損費として落ちる、減価償却もそれで十分できる、こういうことですから二重に利益が出てくる、こういうことになるわけですね。あなた方の反論は、それだけ運賃をとれば同じじゃないかということですが、会社経営面として、もうかっておればそのほうがいい。しかし、一五%というよりももっと考えて——これだけでも七十億から百億にわたっての営業割引がされておる。そして一般の庶民の小口扱い貨物になるとするそういう荷物は、早く行く荷物よりも三倍ないし五倍という運賃を支払ってこれから生活しなければならぬ。これは公共料金とする国鉄運賃としては大きな矛盾だと私は思うのです。そういう点については十分御検討をいただくように要求をして、またでき得るならばその機会を設けてもらって、あなたとこれらの問題についてはさらに論議を深めていかねばならぬ、こう私は思っております。そういう意味で、御答弁も納得をするわけにいきません。一般庶民に、一般の国民の生活に影響のない政策というものを、この運賃を通しても御検討いただかなければならぬということを強く訴えて、私の質問を終わります。
  140. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 午後二時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時七分休憩      ————◇—————    午後二時五分開議
  141. 井原岸高

    井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  142. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 まず総理府の加藤統計局長数字のことをお尋ねをいたしますが、今回の旅客運賃二三・二%、貨物運賃二四・一%の値上げがかりに通ったといたしますと、物価に与える影響は〇・四三%というふうに聞いておるわけでありますが、間違いありませんか。
  143. 加藤泰守

    加藤(泰)政府委員 私のほうでやっております指数計算上の問題として考えますと、かりに国鉄運賃値上げが申請どおり二三・二%認められた場合におきまして、指数のウエートが一万分の百五十四でございますので、総合指数に対する影響は〇・三六%アップということでございます。ただ貨物のほうは実は私のほうといたしましては、家計の上における支出が非常に小額になっておりますので、それは別項目として計算されておりません。交通通信費の中のその他の中に入っておるわけでございますが、その交通通信費のその他が合計いたしましても一万分の九という程度でございまして、その中の一部でございます貨物についての指数計算ができない状態でございます。
  144. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 貨物についての指数が計算できないということでありますからさらにお尋ねをいたします。  いま私鉄が二七%の運賃値上げを申請中でありますが、かりに私鉄が二七%値上げした場合の影響率。それから関西電力等が電力料金等を三〇%値上げをすべく準備をいたしております。これがかりに三〇%値上げした場合の影響率。また御承知のように新聞社が、まだわかりませんが、かりに二七%値上げをした場合の影響率。すべて幾らずつの計算になるのか、その点をひとつ簡単にお答えいただきたい。
  145. 加藤泰守

    加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  私鉄の運賃値上げが何%になるかもちろんわからぬわけでございますが、先生御指摘のような形で二七%のアップということになりますと、ウエートは一万分の五十一でございますので、大体〇・一四%程度になろうかと思います。それから関西電力の三〇%アップの申請につきましては、これはほかの電力会社の関係はもちろんわかりませんので、これを全国的にそのまま延ばすというのはいかがかと思いますけれども、かりにというお話でございますから申し上げますが、それのウエートが百九十七になりますので、それを計算いたしますと、〇・五九%になると思います。それから日経が二七%のアップということでございますが、これも各家庭におきます新聞が全部日経ではございませんし、それから各新聞社が二七%アップになるかどうかもわかりませんので、その点も一応全部同じということでウエートが百三十四でございますので、これを計算しますと〇・三五%ということになろうかと思います。
  146. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そこできょうは経済企画庁長官がおりませんから政務次官にお答えをいただきたいと思うのですが、この前の四月期全国消費物価指数によりますと、総合で対前年同月上昇率が九・四%、さらに東京都におきましては一一・六%という異常な値上がりをしておるということは御承知のとおりであります。いま国民は非常に複合的なインフレ問題からさらに物価高というたいへんな苦痛をなめておるわけであります。田中内閣も、物価問題については真剣に取り組んでおると、どうかやって物価を安定しなければならぬということを主張しておられるわけであります。  そこで経済企画庁はすでに御存じでありましょうが、物価安定推進会議が昭和四十三年四月十九日政府に対して答申しておるわけでありますが、その内容を読み上げます。「公共料金の安定化について」という、七項であります。「公共料金の動向いかんは、たんに消費者物価指数の動きに大きな影響を与えるばかりでなく、生活実態に物価指数の変動以上の影響を与える。しかも、その決定には政府が関与するところから、公共料金の引上げは、ともすれば政府物価上昇を主導しているきらいがあり、さらには、便乗値上げを誘発する事例も少なくない。したがって、政府物価の安定を期そうとするならば、まず率先して、みずから規制することのできる公共料金の安定をはかるよう努力しなければならない。」こういう提言をしておるわけであります。まさしくいま国民物価高にあえいでおる、田中内閣自体も物価をどうかしなければならぬといっておるそういう段階で、この答申によると、あるいは進言によると、こういったときにこそ公共料金は抑制すべきである、こういうことを政府の機関が政府に対して提言をしておるわけであります。いまやることは、まさしくこの公共料金の値上げを押えること。現にもうすでに、経済企画庁の皆さんなら御存じでありましょうが、本年度目標の五・五%の、げたが五%あります。残されておる幅はわずかに〇・五しかないわけであります。この〇・五しかないのに国鉄運賃値上げを強行されたら〇・三六%というのは自動的に上がる。残っておるのは〇・一四%でありまして、それに電力料金が上がる、あるいは私鉄運賃が上がってしまえばまさしくこの五・五という政府の目標というのは全く砂上の楼閣になってしまう。しかも先ほど申し上げましたように東京都は一一・六、全国的には九・四というたいへんな物価上昇であります。ほんとう物価を担当する大臣として、メンツにこだわらずに、私はこの際国鉄運賃値上げというものはやめるべきである。あるいは延期すべきである。それが国民の偽らざる心境であり、ほんとう物価政府がやろうとするなら思い切ってやるべきです。私はメンツにこだわる必要は一つもないと思う。その点について担当大臣から明確にお答えいただきたいというふうに申し上げておきます。
  147. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 いま長官がOECDの会議に出席のため海外に出張中でございますので、私がかわって御答弁申し上げます。  ただいまお話がありました物価安定推進会議の結論でございますが、これは五年前の答申でございますけれども、現在でもその精神は生きていると思います。公共料金を厳に抑制するということは、これは物価対策のきめ手でもございます。そういう意味でわれわれも公共料金を極力抑制したいというのは基本方針でございますけれども国鉄というのは国民の一番大事な足でありまして、それがいままでの累積赤字、それから放置していけば今後さらに赤字は累積する、また膨大な債務をかかえておる、また今回の春闘では大幅な賃上げが予想される、そういうようないろいろな情勢を勘案しますと、このままで放置すればこれは国鉄はとてもやっていけないだろう、こういう判断のもとに今回の国鉄運賃値上げだけはやむを得ない、こういうふうに経済企画庁は判定をいたしまして、そして政府の意向としてこの問題を打ち出したわけでございます。これにつきましては、ほかの公共料金を極力抑制をする、それでカバーしていきたい、こう考えておる次第でございます。  また、ただいまお話ございましたが、四十八年度の消費者物価見通しは五・五%、すでにげたが五%とすれば残りは〇・五しかございません。おっしゃるとおりでございます。それに〇・三六も入った場合には、あとはたいへんじゃないか、こういうことでございまして、われわれもその点は非常に頭を痛めております。五・五%というのは政策目標でございますから、できるだけひとつそれに向かってあらゆる政策手段を講じてやってみたいと考えておる次第でございまして、その点御了解をいただきたいと思います。
  148. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、政務次官の御出席でいいということを申し上げたんです。それはなぜかというと、やっぱり政務次官といえども物価担当の、極端にいうと副大臣ですね。現実物価がこれだけもう上がっておるのです。どうかしなければならぬと政府も動いておる。公共料金であるその中心の国鉄運賃を上げて、他のほうが値上げが押えられるというようなことを考えること自体がおかしいでしょう。便乗値上げということが当然出てくるんだから、そういった意味で非常に物価対策に矛盾があるわけですよ。片一方は公共料金を値上げして、片一方では押えますというけれども政府値上げしておって、どのようにやって押えるのですか。貨物が波及的に広がっていく。極端にいうと、便乗値上げをどうやって防ぐのですか、もう物価政策がないというにひとしいじゃないですか。どうやって物価対策をやるというのですか。私は、この際こういった国鉄運賃値上げはやめるべきだと思うのです。やめなければならない。五・五なんという目標は政策目標だなんてあなたは逃げておるけれども、もう五・五どころじゃないですよ。九%ぐらいいきますよ、計算をすると。それで満足しておるんですか。それは国鉄運賃値上げをやりますからしかたがありませんで逃げられますか。国鉄運賃値上げをするということは諸物価値上げ政府が認めるということですよ。現にこうやって提言しておるじゃないですか、公共料金を上げたら波及効果のほうがより大きいのだと。たった〇・三六だけれども、その〇・三六は他の物価に波及効果、便乗値上げが大きいから抑制しなければならぬといっておるんですよ。だがらあなたは、国鉄の収支だけを考えて、それだけを考えてものを考えておるけれども物価というものは広範なものでありますから、考えなければいかぬでしょう。今日、国鉄運賃赤字だけを頭に置いて値上げをするというところに政府物価政策の間違いがあるんですよ。もう一ぺん聞かしてください。
  149. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 ただいまおっしゃいますことは、われわれも非常にわかるところでございます。公共料金が政府の手のうちにある一つの手段でございますから、これは押えるのが一番手短な方法であると思いますけれども、しかし、繰り返すようでございますが、国鉄の現在の情勢、その交通手段としての重要性、そういうものを考えますと、この際どうしても政府部内としてはこれは上げざるを得ないという統一的な見解を打ち出したわけでございまして、私が大臣でもないのにそれほどのことをここではっきり申し上げるのはどうかと思いまして、政府の方針としてこれを申し上げておるわけでございます。
  150. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 あなたは謙遜してものを言いよるけれども、そんなことを言うなら、あなたを呼んだってしようがないじゃないですか。だから政務次官は困ると、こう言うのですよ。わかりますか、政務次官が何で困るかということは、あなたはいみじくもそこで言っておるわけだ。(「大臣と同じだよ」と呼び、その他発言する者あり)われわれはむしろ政務次官に来てもらって質問しているわけだから、それじゃ政務次官が来たって同じじゃないですか。それじゃ田中総理を呼びましょうか。不規則発言で、大臣も同じなら、田中総理を呼ぶ以外にないじゃないですか。そうでしょう。それなら私は、いまのヤジをまともに受けて、田中総理を呼んでもらいましょうか。どうです。
  151. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 おっしゃることは非常によくわかります。しかし、繰り返すようでございますが、これにつきましては政府が統一的な見解として、方針として打ち出したのでございまして、この点はどうか御了承願いたいと思います。
  152. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私には物価問題をまじめに考えておるとは思われないのですよ。形式的にものを見ておるだけなんですよ。いまのような答弁なら田中内閣に物価問題を期待できないですね。見ておってこらんなさい、この十二月ごろになったらたいへんな物価上昇ですからね。いまより以上に国民は苦しむということですよ。そんなことは統計数字を見ればわかるのですよ。ちゃんと総理府に統計局があるんだから、その統計局の結果を見ればわかるし、卸売り物価は日銀の統計を見ればわかるのですよ、そういうものをちゃんとみれば。政策を出さないからとんでもないことになるのですよ。非常に不満だけれど心、あなたが総理じゃないのだからしようがないのですよね。  そこで、私はいままでの国鉄の政策についてお尋ねをしてみたいと思うのですが、まず一つは米軍関係の貨物輸送についてちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。  政府は米軍との間に「公務鉄道輸送支払手続設定のための日本国有鉄道とアメリカ合衆国との間の協定」というのを結んでおられる。これをずっと調べてまいりました。ところがふしぎなことになったんです。実はA、B、Cと三つのランクに分かれている米軍の車扱いの貨物賃率ですね、その賃率表が出ておる。昭和四十三年に、Aというのは火薬類、Bというのはタンク車、Cというのはその他、雑貨品、日用品であります。四十年の火薬類は五キロでトン当たり二百四十三円、二百キロでは一千六百三十七円だったわけであります。それが四十三年六月までに修正をされまして、五キロで二百八十六円、二百キロで千九百一円というふうに改められております。ところがふしぎなことは、四十四年八月にA、B、Cという三つのランクのうちのA、Bは一般国鉄運賃率を使うようになったんですが、Cの「その他」が値下げになっておるわけであります。いま言ったのは火薬類についてです。「その他」についてどういうふうに変わったかということで、実は昭和四十年には百三十四円だったわけであります。四十三年の六月までは百五十八円であります。ところが四十四年八月以降は百五十一円と五キロで七円安くなっておる。さらに二百キロについて言うなら、当初四十年七月九百二円だったものが、四十三年六月までは千四十八円に上がっております。ところが、四十四年八月以降は千一円と値段を下げておるわけであります。  お尋ねをいたしますが、私の言っておる数字が事実でありますか。なぜこういうふうに米軍だけに特別に料金を下げたのか。しかもこの国鉄と米軍との輸送協定の第四条適用運賃、第五条特定運賃料金の改正についての条文では「この協定の別表第一号に示す運賃料金は、乙及び連絡運輸機関の一般運賃料金が改正され、又は実費に変動を生じた場合は、それに応じ再計算のうえ、補足協定をもつて改正される」、こうなっておるにもかかわらず、実費どころか逆に値段を下げておる。下げた分だけ国民が負担をするというまことにばかげた経過が出ておるわけでありますが、こういった事実をなぜ国鉄当局は認められるのか、国鉄総裁にお尋ねをします
  153. 磯崎叡

    磯崎説明員 米軍との輸送協定に基づきます運賃計算方でありますが、いま先生のお読み上げくだすったのはたしか昭和四十四年七月以前の協定だというふうに存じます。四十四年の八月に改正いたしました。そしていわゆるA、B運賃、すなわち火薬と石油類につきましてはそのとき以来全く国内の貨物賃率表によるものと同じものを適用することといたしたわけでございます。ただ、C運賃、これは雑貨でございますが、雑貨の運賃につきましてはその雑貨の品目の表示が当然英語でなされておりまして、現場におきます取り扱いが非常にむずかしいわけでございまして、結果的に所定の賃率によります場合と同じような収入を得るような計算方によりまして運賃を収受いたしております。したがいまして、その内容の変更ないし等級の変更等によりましてそのつど毎年上下があるのは、これはその品目の等級別の数量が違ってくる、こういう関係でございます。
  154. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 総裁、いいですか。先ほど私が申し上げましたように、AとBにつきましては、確かに四十四年八月以降一本にして一般の運賃率によるあれを利用していることはわかっております。だから先ほど言ったのは四十四年八月以前のものを申し上げたのです。ところがその雑貨類その他のC表についてだけは依然として別の賃率が使われておるのですよ。その中で、先ほど言ったように、当初百五十八円だったものが百五十一円に、五キロで七円下がっておる。二百キロについては一千四十八円だったものが一千一円と下がっておるわけです。なぜ下げたかと聞いておるわけです。
  155. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま申し上げましたとおり、キロによって運賃が違うようにできております。そうして米軍の貨物は、先ほど申しましたように非常に品目がわかりにくいので、それを私のほうの運賃は等級によって取っておることは御承知のとおりでございます。等級別の構成が変わってくるわけです。毎年等級別の構成が変わりますので、変わった構成によって運賃を収受する、所定運賃によって計算した額と同じような額の運賃計算のしかたをしておる、こういうことでございます。
  156. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そうじゃないのですよ。四十四年八月の通達を見ますと、Cに入るものは太平洋販売部ということになっておるのです。これは現在は日本地区販売部ということになっておるのですが、日本地区販売部のものについては税金もまけてやるし、しかもCで運賃を徴収するということになっておる。そうすると、いま言った日本地区販売部が出すものは何かといえば、これは日用雑貨品であります。米軍あるいは米軍の家族あるいは在住米人、こういったものに行くかどうかは別でありますが、そういったものであることはもう明らかであります。ところがわれわれ一般雑貨については高いわけですよ。なぜ米軍だけそういう差別扱いをするのかということです。
  157. 磯崎叡

    磯崎説明員 運賃計算のしかたと申しますか適用のしかたでございまして、ちょっとわかりにくいかと存じますけれども、米軍の雑貨は、いま先生お示しのとおりいろいろ種類がございます。そうして等級が違うわけでございます。したがいまして、その等級が毎年変わってくる。すなわちいまおっしゃったようないろいろな品目がございますので、その品目別の構成が一律じゃないわけでございます。一級が多い場合もあれば三級が多い場合もある。でございますので、各等級に応じた、米軍の雑貨類が日本の所定運賃計算した場合と同じであるような一本運賃の賃率で計算ができるような適用方をしている、こういう意味でございますので、このいまごらんのものが動いていれば、それは等級別の構成が変わってきたということでございまして、これは調査によってはっきりいたしておるわけでございます。
  158. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は運賃値上げをして国民に負担をさせるんだから、すべてのものは正直に言ってもらわなければ困ると思う。Aというのは火薬類なんですよ。Bというのはタンク車ですよ。Cというのはその他なんです。このA、Bについては四十四年八月以降は一本になったのです。ところがCという雑貨だけが残されたのです。しかも、残された雑貨の値段が当初よりも安くなっている。前の協定よりも安くなっている、賃率表が。なぜ安くしたのか聞いているのです。前に同じものを送っておって高かったのでしょう。たとえば  一トンの、いまあなたが説明したようなものを送っておったら、昭和四十三年までは百五十八円だった。ところが、四十四年八月以降は、何のことはない、百五十一円、安くなった。常識的に安くなることは考えられないでしょう、同じ表なのだから。C表だけが残されているのだ。火薬とかタンク車は除外したのだから、常識的にそういったことは、だれでもそういうふうに思うでしょう。安くなったこと自体がおかしいのだ。われわれは一つも安くならないのだから。国民のほうは上がりっぱなしなのだから。だから、そのことを、なぜ下げたか聞いているのです、具体的なことを。あなたが言っているのは抽象的ですよ。
  159. 磯崎叡

    磯崎説明員 火薬とそれから油類につきましては、四十四年八月以降、これは火薬も油類も非常にはっきりわかる、現場の末端におきましても適用がきわめて簡単である、間違いがないという意味におきまして、なるべく日本の一般貨物と同じような運賃を取る制度にしたいという意味で、できるものを国鉄の一般の賃率表によるということにしたわけでございますが、雑貨につきましては、いま申しましたとおり、種類がいろいろございまして、等級の適用がいろいろあるわけでございます。したがいまして、適用等級によりまして当然運賃が変わってくる、したがって、それは毎年調整いたします。年によって、一級の多い場合もあれば三級の多い場合もある、したがって、そとで賃率が変わってまいる、そういうことでございます。その変わり方は、始終と申しますか、一年に一ぺんずつこれを検討して変えるわけでございます。確固不動の数字ではございませんで、調査に基づきまして、それは変わるということでございます。
  160. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 基本賃率を下げたわけなんだ。しかし、Cというのは前からあったわけなんだ。いままでの米軍の貨物は、A、B、Cの三段階しかなかったのです。賃率は、四十四年八月以降はAとBを一緒にして、Cだけを残したのです。だから、いままでもあなたが言うようなことはあったわけなんだ。それをなぜ下げたのか聞いておるんだ。(「Cというものはどうしてきめるか、説明しなければだめだよ」と呼ぶ者あり)そういうことじゃない。あなた、質問に答えなければいけない。CはCなんだから、A、B、CのランクでいままでCがあったわけなのだから、そのCについて、なぜ下げたか、こう言っている。安くならないでしょう。
  161. 磯崎叡

    磯崎説明員 いわゆるA、B、Cは、御承知のとおり、貨物の種類でございます。したがって、AとBは、現場の末端でもすぐわかるからということで、四十四年に、なるべく日本と同じような取り扱いをしようということで一般の賃率によったわけでございます。Cにつきましては、いま何回も申しましたとおり、これは不動の数字ではないわけでございます。始終実績によって変わってくるわけでございます。したがって、その実績によりまして、等級別の数量によりまして変わってくるわけでございますので、上がることもあれば下がることもあるということでございます。
  162. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 どうしても私は納得できませんね。  それでは、私はいまここに資料を持っております。私は、やはり疑いがあったらいかぬと思うので、少なくともなぜあなた方は値上げをするのか、値上げをしたときに、かりそめにも米軍の問題が出たときに、その赤字が負担をされたら国民は困るのだから、その点は明確にしておかなければならない。私はここに資料を持っている。この資料の中で、この協定の中にはたくさん問題があるのだ。この協定を資料としてひとつ出してください。公務鉄道輸送支払手続設定のための日本国有鉄道とアメリカ合衆国との間の協定、同時にこれに対する別表、C表、賃率表ですね。さらに総裁通達、手元に私は持っております。駐留軍貨物取扱基準規程、同時に駐留軍旅客取扱基準規程、この書類を直ちに出していただいて、それを見た上で議論をしたいと思いますから、総裁、出してください。
  163. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうは米軍との協定につきましては、米軍が提出することを承知いたしませんので、提出いたしたことはございません。なお今後も提出いたしません。
  164. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私がこの手元に持っておる協定は、全部オープンになっておるやつを持ってきた。これはオープンになっているんだ。しかもアメリカ合衆国との協定であって、現実にちゃんと私の手に入るんだ、オープンで。要求すれば手に入るんだ。そういうものをなぜ出さないというのだ。出してくださいよ。それを出してください。そうじゃないと、私がいま言ったようになぜ米軍の貨物だけいままで値下げしたのかというのが国民にわからない。あなたの説明だけではわからないのだ。出してもらわなければいかぬ。出してください。
  165. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうはそういう米軍との協定を、オープンと申しますか、公表した覚えはございませんし、また国会にも御提出した記憶はございません。先ほど申しましたC運賃につきましては、これは変わるべきものであることは当然のことでございます。
  166. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この協定書の中で、十一条では「特殊条件」というのがあって、「さしず」というのがあるのですからね。国鉄に向かって指図をすることがあるのだよ。そういった問題を現実にほおかむりしておったのでは問題が解決せぬので、出してください。
  167. 磯崎叡

    磯崎説明員 「さしず」ということばはどこにあるか存じませんが、貨物運送規則上の通例用語でございます。一般荷主も国鉄に向かって指図ということばを使って着地の変更その他をなされます。これは運送上の用語でございます。しかし、それはともかくといたしまして、いまの協定は、国鉄としてはお出しするわけにはまいりません。
  168. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 委員長、これは秘密でも何でもないのですよ。全然秘密のようなことを言っておるけれども、秘密じゃないのです。これは、外務省に聞いたら、私が電話した外務省の担当官は、いやそれは国鉄が出せばいいのです、こう言っている。国鉄が隠す理由が全然わからない。委員長、出させてください。審議できないじゃないですか、まじめに。
  169. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 関連して……。国鉄運輸大臣もそうですけれども、何かわれわれの持っておる資料を変なところから持ってきたような、盗み取ってきたような、そんなものを出した覚えがないのに入っているのはおかしいというが、現実にあるのだ。出所を明らかにしてもいいですよ。いいけれども、(「明らかにしてもらおう。」と呼ぶ者あり)しましょうか。それは日本人ならだれでも入手できるところにあるのです。何も私たちのほうで隠すとか隠さないとか、そんな問題じゃない。それから、細部の資料についてだって、何もほかからとってきたんじゃないのです。明らかな出所は言えるのですけれども、ただ、私ども国鉄の今日並びに将来を考えて言わないだけなんだ。言えと言えば言いますよ。そんなものおかしなところから持ってきたわけじゃない。したがって、委員長、もしこの資料が違っておるというなら新しい資料をほしいし、なお協定その他も、変わっているというなら変わったものをほしい。われわれが最大限の努力をして入手した資料がここにあるわけだ。それが出なければ審議できませんよ。
  170. 井原岸高

    井原委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  171. 井原岸高

    井原委員長 速記を始めて。  この際、暫時休憩いたします。    午後二時四十分休憩      ————◇—————    午後三時三十三分開議
  172. 井原岸高

    井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。諫山博君。
  173. 諫山博

    ○諫山委員 午前中に国鉄総裁のことばの中に、私たちも商売ですからという表現が使われました。運輸大臣は、このことばを是認されているのかどうか、御説明願いたい。
  174. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 商売ですからという意味は、企業体として事業を経営していますからという意味に私は聞き取ったのでありますが、その前後のことは国鉄総裁から、御疑問があればもう一度具体的に詳しく説明してもらったほうがいいかと存じます。
  175. 諫山博

    ○諫山委員 私が聞いているのは、総裁のことばとして妥当な表現かどうかを聞いているのです。大臣はどうお考えでしょうか。
  176. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 商売ですということばは、別に法律用語でもございませんし、これは一般的な、通俗的な表現として使ったものだと思います。私が受け取りましたのは、国鉄という仕事は、企業体として事業をやっておりますから、そういったものは、商売と言えば言えないことはないと思いますが、事業経営者としてという意味だろうと私は思っております。
  177. 諫山博

    ○諫山委員 国鉄総裁にお聞きします。私たちは商売ですからというのは、いつも使っている表現ですか。
  178. 磯崎叡

    磯崎説明員 私どもは公共企業体になりましたときに、いわゆる士魄商才ということばをよく教わりました。当然私どもは、鉄道営業法なり、あるいは商法によって仕事をいたしております。往々にして商売ということばを使うことがございます。
  179. 諫山博

    ○諫山委員 運輸大臣答弁を聞きましても、国鉄総裁の話を聞いていましても、国鉄の公共性という問題に対する認識がきわめて薄いと思います。不用意でもあれ、いかにも株式会社であるかのような、私たちも商売ですからというようなことばが出てくるところに、現在の国鉄の最大の問題があると思います。  そこで、質問を続けます。国鉄が一昨年の九月と昨年の九月に、二回にわたって公共政策割引の制度を廃止した、これがすべての国民、とりわけ農民にきわめて深刻な打撃を与えたことは、午前中のやりとりを見ても明らかであります。そこで運輸大臣にお聞きします。食料品など主要な生活必需品に対する運賃割引の制度が登場したのは大正七年と聞いていますが、そのとおりでしょうか。
  180. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 政府委員からお答えいたします。
  181. 磯崎叡

    磯崎説明員 大正七年とかおっしゃいましたが、等級制度のことをおっしゃっておることと思います。先ほどの割引は、たしか昭和二十年代の末期か三十年代の初期から始まったものでございます。
  182. 諫山博

    ○諫山委員 これは名称は変わったにしても、生活必需品の運賃を割引するという制度は、このときから採用されたはずですが、いかがでしょうか。
  183. 磯崎叡

    磯崎説明員 私も、現在貨物等級表が大正何年、明治何年から施行されたか、正確には現在記憶しておりません。しかしながら貨物等級制度があったということは事実でございます。その貨物等級制度の中にいまおっしゃった生活必需品的なものは、その価格によらないので、最低等級あるいは最低等級の一段上の、当時特別等級と言っておりましたが、それを適用するという制度がございました。
  184. 諫山博

    ○諫山委員 大正七年の九月に貨物運賃が二割引き上げられています。そしてそのときに、初めて生活必需物資に対する特別な割引措置が採用されたわけであります。そしてこの制度というのは、大正七年八月の米騒動の直前に行なわれたという点がきわめて重要であります。もともとこれは生活必需物資に対しては、重い運賃をかけてはいけないのだ、社会政策的な立場から割引するのが当然だというたてまえで半世記の間、続けられてきたと思いますが、この点いかがでしょうか。
  185. 秋富公正

    秋富政府委員 大正七年の制度はございますが、これは昭和五年にいわゆる政策等級という形に変わったわけでございます。  それからただいま御質問の、いわゆる公共割引制度、これは昭和二十五年の貨物運賃の改正の際に、いわゆる暫定措置として、暫定割引ができました。さらに昭和四十一年の改定のときに特別割引制度ができ、これが四十六年、七年にわたり廃止したわけでございます。
  186. 諫山博

    ○諫山委員 農林次官にお聞きします。——次官がおくれているそうですが、だれかかわりの人がおりますか。前に来てください。  一昨年と昨年公共政策割引制度が全廃された。そうして再び国鉄貨物運賃が大幅に引き上げられようとしています。そこで一昨年九月から計算して、まだ一年十カ月もたたないわけですが、この間に農産物に対する国鉄運賃が何%ぐらい上がることになったのか。農林省としては、品目別に割合を計算していましょうか。
  187. 池田正範

    ○池田政府委員 全品目にわたってはまだ計算が済んでおりませんけれども、現在手元にございます主要なものだけを申し上げますと、米につきましては価格に与える運賃改定率は二九・三%……(諫山委員「私は政策割引そのものを聞いています。」と呼ぶ)これは政策割引を含めてやっておりましたものに対して、政策割引が廃止され、運賃改定——両方、根っ子のそれも含めてですか。(諫山委員「そうです。」と呼ぶ)運賃改定の影響分についての金額だけを持ってまいりましたので、とりあえずそれをお答えいたしまして、引き続いてあとで申し上げます。
  188. 諫山博

    ○諫山委員 それはわかっております。けっこうです。  この問題については全農物流部が計算しています。当然農林省も計算しておかなければならない数字のはずです。全農物流部の計算によりますと、一年十カ月の間に、自主流通米については四九%上がる結果になる、さらに青果物については一年十カ月足らずの間に五七%上がる、鮮魚の場合は四十五%上がる、こういう計算が発表されていますが、農林省はこの数字は見たことがありませんか。
  189. 池田正範

    ○池田政府委員 全農が出しております農林物資の運賃改定率、それから引き上げ額については文書によってもらっております。
  190. 諫山博

    ○諫山委員 政府は、この十数年来選択的拡大ということばで果樹や畜産などを奨励してきました。そしてこの政策を推し進めていくなら農産物の遠距離輸送がますます多くなるはずであります。そこで、わずか一年十カ月足らずの間に国鉄運賃が五割も六割も上がるという状態の中でいまの農民がやっていけると思いましょうか。農林省、どうですか。
  191. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいま御指摘いただきましたように、運賃の引き上げ額からいたしますというと、農林関係の物資に対しましてはかなりの影響力があるというふうに言わざるを得ないと思います。しかしながら、私どもといたしましては、先ほど来の国鉄運賃値上げの大局的な方向というものについては政府部内といたしましてこれに協力していくという立場から、むしろ農林物資の運賃改定に伴う影響を可及的に減らすという方向で、極力国鉄当局との間に話し合いを進めまして、この運賃改定に伴う影響力をなるべく減らしていくということで、現在種々の問題、たとえば公共割引にかわる営業政策割引の弾力的な運用、あるいは物別にそれぞれフレートライナーを含む諸施設の整備、流通の合理化といったような諸施策を総合的に進めることによりまして、この影響力を極力低く押えるという方向で現在話し合いを進めておるわけでございます。
  192. 諫山博

    ○諫山委員 午前中の答弁を聞いていますと、国鉄も農林省も公共政策割引の廃止あるいは運賃値上げによる農民の犠牲を何らかの形で償わなければならないという立場をとっている点では一致しているのではないかと思います。ただ国鉄としては、それは農林省がやれと言っています。農林省としては農林省だけではやれないから国鉄と相談したい、こう言っているようですが、そのとおり間違いないのかどうか、国鉄と農林省側にお聞きします。
  193. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄といたしましては単に運賃問題だけでございません。輸送という大きな問題をかかえております。したがって、私どもといたしましては、運賃では御協力はできないけれども輸送についてはいろいろ鮮度の落ちない輸送あるいは市場の時間に間に合う輸送というような、なるべくいい輸送をして農林物資の、ことにセリなどにかかるものにつきましては、一日でも早いほうが価格が高いというふうなことから、輸送上の御協力はぜひしなければならないというふうに思っておりますし、いままでも相当してまいったつもりでございます。したがって、今後も輸送上の御協力は絶対これを惜しむものではないということでございます。
  194. 池田正範

    ○池田政府委員 私どもといたしましては、すべての問題を各省の物資別予算を組んでこれを補助するという形で解決することについては、必ずしも予算の性格に技術的になじみがたいという面もございまして、したがって、いわゆる補助金で、一般会計から予算をそれぞれ農林省が組んで埋めるというふうな形というものはなかなか困難であると現段階では考えております。  しかしながら、午前中に国鉄側からもお話がございましたような政策割引という施策も現実にあるわけでございますから、したがってそういう施策の中で等級にどの物資をどうはめていくかというふうな問題、そういう運用の問題を通じてはね返りを減らし得るものは減らしていただくという方向は、これは事務ベースとしてはすでに話し合いを続けております。また、その他の流通面における諸種の予算措置といったようなものも並行的に進めるというふうなことで、全体としての流通コストを減らす方向でいろいろと指導、助成を加えていくことで総合的に解決したいと考えておるわけでございます。
  195. 諫山博

    ○諫山委員 公共政策割引の制度が出発してもう長期間経過しています。そうしてこの制度が始まったころは、労働者や農民がまだ人間らしい取り扱いを受けていなかったころであります。ところが、現在自民党政府のもとでこういう制度が廃止されたというのは、私は歴史に書き残すに値するできごとだと思っております。そしてこのことがすべての国民、とりわけ日本の農民に非常に大きな打撃を与えているということは言うまでもありません。私は国鉄がすみやかにこの制度を復活することを要求します。そうして、それでは国鉄財政がやっていけないというのであれば、政府が国の財政でこれを補償するというような措置をとるべきだと思っています。  そこで、問題を変えまして、いま進められている合理化と安全性の関係についてお聞きします。  国鉄博多保線区に吉塚保線支区というのがあって、その下に博多港検査班があります。この班に白水敏男という検査長がいましたが、ことしの三月三日に首つり自殺をしました。この日、奥さんは午前七時四十分ごろ外出し、奥さんが出かけるときに、白水さんは自宅の二階で鉄道の配線図を広げながら仕事をしていました。午前十一時ごろ長女が買いものに出かけるときも、白水さんは配線図を広げて仕事をしていました。三十分ぐらいして長女が買いものから帰ってくると、そのとき白水さんは仕事をしていた部屋で首をつって死んでいたのであります。人工呼吸を施しましたが、生き返りませんでした。こういうできごとがあったのを国鉄は御存じでしょうか。
  196. 篠原良男

    ○篠原説明員 存じております。
  197. 諫山博

    ○諫山委員 白水さんは国鉄で使っているオフセットブックに遺書を書き残しております。おかあさん、純子さん許しておくれ、自信かない、疲れた、親戚の祝儀があるので、葬式は出さないでください、こういう内容です。このオフセットブックには白水さんが検査長として気づいた担当区域の危険個所がぎっしり書き込まれています。たとえば鮮魚、三番、継ぎ目亀裂、四番、継ぎ目亀裂、鮮魚、一番から二番、ダイヤモンド亀裂(横裂)、博多港、十一番、張り出し、五十六分岐、まくら木不良、こういった調子で連綿と白水さんが検査長として発見し、その修繕を要求していた保安上の問題点が列挙されています。国鉄当局は、白水さんの職場でこういう保安上の問題点があったことを御承知でしょうか。
  198. 篠原良男

    ○篠原説明員 現地の保線のほうから報告を聞いて承知しております。
  199. 諫山博

    ○諫山委員 私の手元には博多保線区長が私の求めに応じてつくってくれた一枚のメモがあります。これには白水検査長が担当区域の故障を指摘し、修繕を要求してきた内容が日付順に列挙されております。白水さんが自殺する直前の一週間のものでありますが、次のような記載があります。  二月二十四日、香椎機関区指導中島から七キロ九百付近に動揺があると軌道長に電話で通知あり。  二月二十四日、香椎機関区指導助役から同上個所の手直しの願いがあった。  二月二十六日、香椎機関区指導助役から同上個所はどうなったかと連絡があった。  二月二十四日、レール損傷(ダイヤモンド亀裂発見)。  二月二十七日、踏切警報機関係、線路不良二件。  三月二日、踏切警報機関係絶縁不良一件。  たいした大きくない職場でございます。毎日平均一件程度の事故が報告され、修繕が要求されています。白水さんの働いていた現場でこういう故障が指摘されていたことを御承知かどうか。
  200. 篠原良男

    ○篠原説明員 保線区長を通して承知しております。先ほどの香椎機関区の指導機関士からの異常動揺につきましては、二十四日、電話で連絡を受けまして、同検査長は現地調査の結果、継ぎ目落ちをしておりましたので、さっそく二十五日、小修繕で補修しました。その後、いま先生御指摘のように二十六日、香椎機関区の助役から電話でその後の回答を求められましたので、修繕をしたというように回答しております。
  201. 諫山博

    ○諫山委員 博多保線区がつくったメモにも、あるいは白水さんのオフセットブックの中にもダイヤモンド亀裂というのが出てまいります。これを発見したのが白水検査長であり、発見の時期は自殺の約一週間前であります。私はこの亀裂の写真を持ってまいりました。国鉄総裁見てください。   〔諫山委員、写真を示す〕  これが白水さんが発見したレールの亀裂であります。写真でもわかりますように、レールがはっきり横に割れています。私は現場を見てきましたが、小指の入りそうな亀裂です。このレールの亀裂、損傷はすでに修繕したかどうか。あるいはこのレールを取りかえたかどうか——運輸大臣、見てください。   〔諫山委員、写真を示す〕
  202. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生御指摘のダイヤモンドクロッシングは側線の奥にございます。これは要するにレールとレールが直角にクロスするところに両方通れるために置くものがダイヤモンドクロッシングであります。したがって両方ともレールは欠線部がございます。片側は機関車が通ります。しかし先生も御承知だと思いますが、片側は手押しの貨車しか通れません。したがいまして片側の列車の通るところ、機関車の通るところのほうがウエブが残っております。力学的に申しますと、このウエブは要らないのであります。あまりウエブが高いと車が通れません。
  203. 諫山博

    ○諫山委員 私の聞いているのは、修繕したかしてないかを聞いているのです。
  204. 篠原良男

    ○篠原説明員 技術的に安全であるので、修繕しておりません。
  205. 諫山博

    ○諫山委員 そこでお聞きします。このレールには何カ所の亀裂が現在あるのか。一カ所や二カ所ではないはずです。説明してください。
  206. 篠原良男

    ○篠原説明員 八カ所ございます。内訳はガードレール部分に二カ所、それからレールのいわゆるストックレールのほうに六カ所、そのように聞いております。
  207. 諫山博

    ○諫山委員 一つのレールに八カ所の亀裂があるそうです。そしてその亀裂はみんな肉眼で発見することのできる亀裂です。そしてこのレールはいつごろどこでつくられたのか、御説明願いたい。
  208. 篠原良男

    ○篠原説明員 一つのレールに八カ所ではございません。ダイヤモンドクロッシングに八カ所でございます。ダイヤモンドクロッシングはレールが八本で組み立っています。したがって八カ所と申しますのは、ダイモンドクロッシング全体のク ラックが八カ所でございます。これは四十七年の五月、鳥栖のレールセンターで製作されまして、四十七年の八月に現地に敷設されたと聞いております。
  209. 諫山博

    ○諫山委員 このレールが敷設されて故障が起こるまでに半年とたっておりません。一組のレールに八カ所もの亀裂が生ずるということを初めから予想していたのか、これは予想しない亀裂だったのか、それとも敷設した当時から亀裂があったのか、御説明願いたい。
  210. 篠原良男

    ○篠原説明員 製作した当時はきずはございません。しかし先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、ダイヤモンドクロッシングのウエブというものは本来不必要なものでございます。しかし機関車の通るほうを少しでも強くしようということでウエブを残しました。したがいまして、機関車の動輪がころがっていくときに大きな衝撃をここに与えます。したがってここで十ミリのクラックが出るのは技術的に起こり得るか、かように考えております。しかし現場ではこのレールベースを床板に溶接しております。したがって安全としてはもっともな処置をとっておる。したがいまして、クラックがその場所には起こり得るということは若干予想されると思います。
  211. 諫山博

    ○諫山委員 敷設して半年もたたないのに一組のレールに八カ所もの亀裂が生ずる、これを国鉄が、当然のことだ、初めから予想していたことだというふうに本気で考えていたとすれば、これはたいへんなことです。総裁、いかがですか。
  212. 磯崎叡

    磯崎説明員 レールと一口に申しましても、東海道や山陽の本線筋のレールと、それから構内の一番末端の、機関車の通らない、貨車を手押しするレールと、その点には保守のしかたにいろいろ相違がございますし、またそういうところは古いレールを使う、こういうやり方でございます。詳しいきずその他については私も詳しく存じませんが、一言でレールと申しますと、何か東海道線にもそういうことがあるように思われるかもしれませんが、ヤードと貨物駅の一番端の貨車の手押しで通るというところでございます。その間におのずからの軽重はあると思います。
  213. 諫山博

    ○諫山委員 国鉄内部の列車の事故というのは、新幹線とかあるいは東海道本線というようなところよりか、むしろヤード、構内で起こっている。数はそちらのほうがはるかに多いというふうに統計ではなっているはずですが、総裁、どうですか。
  214. 磯崎叡

    磯崎説明員 それは当然でございまして、ヤードの中というのは入れかえ中の事故でございます。ヤードの中というのは、いろいろな関係からATSもございませんし、主として注意力によって運転するという区間でございます。また線路の長さその他につきましてもいろいろ問題がございますので、大部分の事故、いわゆる責任事故のうちの大部分はヤードの中で起こっておりまして、これは一般旅客に対する影響が少ない。しかし、もちろん入れかえ中の事故といえども極力絶滅に近いところに持っていくというのは当然でございます。ただ、一般の本線上の事故よりも入れかえ中の事故が多い、入れかえ中の事故だからそれを軽視しておるわけではございませんが、ヤードの中のほうの事故が絶対数多いのは、これはもう当然のことでございます。
  215. 諫山博

    ○諫山委員 もう一つ総裁にお聞きします。  東京鉄道管理局の「運転事故防止の手引」という本の中には、「要注レールの処理」としてこういう記載があります。「監視目標をつけ監視を続けるとともに、努めて早期にレール更換を行うように計画すること。」八カ所もの亀裂のあるレールというのは、ここにいう要注レールに入らないのでしょうか。
  216. 磯崎叡

    磯崎説明員 私はその本を読んでおりませんけれども、たぶんそれは入ってきた連中に対する初任者教育用のレールであって、概念を教えたものと思いますが、念のために施設局長から御答弁申し上げます。
  217. 篠原良男

    ○篠原説明員 いま総裁の申し上げましたように、これは高速で通る本線についての指導でございます。先生のいま御指摘の次の欄、イという欄に書いてございますが、要注レールの更換については応急処置等所要時間の多い個所、損傷レールの監視が不便な隊道あるいは踏切道等から優先に実施するように計画しなさい。隊道内及び踏切等にある損傷レールは、つとめて監視の容易な構内の側線に入れなさい、このように書いてあります。
  218. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると国鉄当局としては、八カ所もの亀裂があるレールを近い将来取りかえるつもりなのか、それとも目印をつけているだけで放置しておくつもりなのか、どちらでしょうか。
  219. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生御指摘のダイヤモンドクロッシングは、博多港の構内の側線の一番奥にございます。しかもディーゼル動車が通るのは片側でございまして、片側は手押しの貨車でございます。しかしこれが監視マークをつけてきずが進行するようであれば取りかえますが、現ダイヤモンドクロッシングにつきましては博多市といま協議しております。ダイヤモンドクロッシングの入れかえというのは非常にあぶないというので、配線変更をしてダイヤモンドクロッシングを取りかえよう、しかもダイヤモンドクロッシングは特殊な分岐器でございまして、各所に数があるものではございません。したがって普通のポイントのような配線に変更するように、いま協議を進めておると聞いております。
  220. 諫山博

    ○諫山委員 このレールを取りかえるためにどのくらいの金がかかるのか、またどのくらいの人数とどのくらいの期間がかかるのか、御説明願いたい。
  221. 篠原良男

    ○篠原説明員 材料、工費を含めまして約三十万でございます。  取りかえる時間は二時間もあれば更換ができます。更換に要する人間は約二十名と想像いたします。
  222. 諫山博

    ○諫山委員 やろうと思えばすぐできることです。それをやらない、放置しているというところに、国鉄が安全を大事にしない最大の問題があると思っております。  そこで、さっきの「運転事故防止の手引」これは東京鉄道管理局の資料でありますが、これを見ると「事故をなくするためにはどうすればよいか」という項目があります。そしてこの中に「個人的な判断を下す事項をつとめてなくする」という記載があります。さらに、責任者や作業員があれこれと判断しなければならないようでは誤りをおかすおそれがある、こういうことが書かれておるのを御存じでしょうか。
  223. 篠原良男

    ○篠原説明員 承知しております。
  224. 諫山博

    ○諫山委員 本件の場合には、現場の検査長は故障を指摘し、その修繕を要求しています。ところがそれの上のほうのどこかで修繕要求がストップされているわけです。どこが修繕なり取りかえを必要ないと判断しているのでしょうか。
  225. 篠原良男

    ○篠原説明員 本検査長がダイヤモンドクロッシングのきずを発見いたしまして保線支区の支区長に報告しております。支区長と保線区の助役が立ち会いましてクラックを見まして、十ミリ、急進性のものでない、最初に荷重がかかってクラックが入って、これから進むものではないという技術的判断で、取りかえる必要がない、暫時監視マークをつけて注意しなさい、こういうように指示した、かように思っております。
  226. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、現場の検査長とその上の支区長の判断が食い違ったということですか。
  227. 篠原良男

    ○篠原説明員 検査長はクラックを発見しまして更換すべきかどうかという判断を支区長及び保線区の助役に仰いだのだと思います。支区長及び助役が現地を見ました。と申し上げますのは、ダイヤモンドクロッシングというのは非常にまれに見る特殊なポイントでございます。全国の数からいっても非常に特殊なクロッシングでございます。したがって、特殊なものであるだけに、しかもこの検査長は転勤してきてわずか二十日でございます。クラックを発見したのは転勤してきてわずか一週間ぐらいのときに発見しておりますので、その辺の判断に苦しんで、経験の深い支区長、助役に判断を仰いだ、そのように解釈しております。
  228. 諫山博

    ○諫山委員 この故障を発見し、そして一週間後に自殺をした検査長は、二十年余り現場で仕事をしてきた労働者です。そして現場の検査長としては問題を感じ修繕を要求する、上のほうではその必要はないという指示をする、こういう場合にはどちらの判断が優先するのですか。
  229. 篠原良男

    ○篠原説明員 普通のレールにきずが入りますと、先生のおっしゃるとおりこういうベテランの検査長はすぐ列車をとめて更換すべきか、あるいは注意をして監視すべきかという判断がつくと思います。たとえば空転きずというのがございます。こういうものは検査長は過去の経験においてよく知っておると思います。しかしこのダイヤモンドクロッシングというのは非常に特殊でございます。私も現場十年やっておりましたが、私のおった十年間の現場にはダイヤモンドクロッシングは一カ所しかございません。国鉄にも一つしかございません。そのような特殊なポイントでございますので、おそらくこの検査長は初めて経験をし、判断に苦しんで上司に相談したもの、かように解しております。
  230. 諫山博

    ○諫山委員 国鉄には「だろう、よかろう、事故のもと」ということばがあります。判断に苦しむような場合には安全性をとれというのが国鉄で一貫して守られてきた格言ではないかと思います。国鉄の中の安全綱領にも、疑わしいときは手落ちなく考えてやれ、最も安全な道をとれということが書かれているはずです。こういう場合には、いささかでも判断に食い違いがあるということになるとやはり安全の高い道を選ぶというのが、安全綱領の立場から見て当然ではないでしょうか。
  231. 篠原良男

    ○篠原説明員 原則としては先生のおっしゃるとおりと思います。しかし技術的に判断してだいじょうぶというものは、これは技術者に与えられた使命だ、かように考えております。
  232. 諫山博

    ○諫山委員 関連して人員の問題について質問します。  何しろ施設をして半年足らずの間に八カ所もの亀裂が生ずる。一本のレールではないと言っていますがこれは一組のレールです。新しくつくって八カ所もの亀裂が生ずる。それをほっておいていいという理屈はどこからも出てこないと思います。取りかえるがいいにきまっております。なぜこれが取りかえられないかというのは、一つは安全のために金を使おうとしない。もう一つは人員が十分でないという関係があるのだと思います。  そこで、私は白水さんの働いていた保線区の人員を調査してみました。昭和四十七年三月二十日現在博多保線区全体の定員は三百八十一名、当時の実際の人員は三百六十六名、定員と実人員の差は十五名という数字が出ています。さらに、昭和四十八年三月二十日現在では博多保線区全体の定員が三百七十三名、実人員が三百五十名、実人員が定員に不足すること二十三名、こういう数字が出ていますが、間違いないですか。
  233. 篠原良男

    ○篠原説明員 ほぼ先生の数字一緒だと思っております。
  234. 諫山博

    ○諫山委員 もう一つ、白水さんが働いていた保線区の人員を見ますと昭和四十七年三月三十日現在、定員が八十三名、実人員が七十九名、定員に不足する人員が四名。四十八年三月二十日現在では定員が八十三名、実人員が七十五名、欠員が八名。さらにそれから四十日たった四月三十日現在では定員が八十三名、実人員が七十三名、欠員が十名。この数字も間違いありませんか。
  235. 篠原良男

    ○篠原説明員 前の二つのデータについては正確でございますが、四十八年四月のデータは定員が四名減になっておると思います。
  236. 諫山博

    ○諫山委員 国鉄当局がみずから定員をきめておきながら実際の人員はそれを下回っているというのはきわめて重大だと思います。この欠員といいますか、定員不足というのは、そのまま放置しておくつもりなのかどうか、御説明願いたい
  237. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 一般的には定員はできるだけすみやかに補充をする。中の過員の配転とかやむを得ざる場合は新規採用を充当するというようなことで補充するという努力はしておるわけでございます。先生いま御指摘の当保線区につきましては、確かにいま申しましたように欠員はございます。しかし、保線区の作業の機械化、この問題が一つ残っておりまして、というのは本社、本部間ですでに協定のできておるもの、これもかなり前にできておるのですが、大部分の保線区がそれを実行しておるのですが、残念ながら特別の理由がないと私は思いますけれども、この保線区ではそれが行なわれていない。機械がちょっと一時遊んでおるというような形になっております。  それからまた、配転その他なんかにつきましても、門司管内のほかの職種に過員がございますので、そういったことに努力しておりますが、そういった点についてもなかなか協力を得られないというような面がございまして、これも時間の問題として解決すると私ども見通しておりますので、そういう意味におきましては、地方の交渉ができますれば、すぐに解決する問題だというふうに考えております。
  238. 諫山博

    ○諫山委員 総裁にお聞きします。  いまの説明ではっきりしましたように、国鉄は定員というのをきめていた。ところが、この職場では、またこの職場だけではなくて、その上の博多保線区では定員さえ満たされていないということが明らかになりました。こういう状態は放置しておいていいんですか。
  239. 磯崎叡

    磯崎説明員 全国的に見ますと、たとえばいま御指摘の保線区あるいは操車場等においては、最近若い人がああいうじみちな縁の下の力持ちの仕事をなかなか喜んでやりませんので、したがって往々にして欠員がございます。ただ、私のほうの職員採用は大体年度初めからずうっとやってまいります。採用予定者は大体きめておりますが一拳に採りませんで、除々に欠員のあるつどとってまいります。したがってときによりましてはそういう事態もございますし、ときによりましては、また場所によりましては過員を持っているところもございます。本来ならば、経常から申しますれば過員のものを欠員のところに持っていくこれが当然の筋でございますが、いわゆる配置転換はなかなかそう簡単にできないということで、やむを得ずそういう過員の地域におきましては——ただ同じ九州でも南九州のほうは人が余っている。北九州のほうは人が足りない。採用できない。しかし、なかなか南九州のほうから人を持っていけないというふうな場合には、最先端職に限って採用いたします。除々に採用して欠員を埋めてまいるという計画でございます。
  240. 諫山博

    ○諫山委員 国鉄の定員というのはこれだけの仕事をするためにはこれだけの人数が要るということを国鉄みずからがきめた数字ではないですか。また、労働組合にもこれだけの人数は確保するということを約束した数字ではありませんか。総裁どうですか。
  241. 磯崎叡

    磯崎説明員 定員と申しますのは、大は国家公務員法できめられ、あるいは各省の設置法できまっている公務員の定員から、私のところのような小さい現場の末端に至るまでの定員、いろいろ意味があると思います。私のほうはやはり仕事の量なり何なりを勘案いたしまして定員をきめますが、いま申しましたとおり、定員と実員とは必ずしも一致しない場合があるわけでございます。これはどの企業でもそうだと私は思います。いつでも定員一ぱい持っている、あるいは定員過剰で持っているというようなことはございません。したがいまして、その間に配置転換をやったり機械化をやったりして定員をできるだけ減らす、あるいは欠員を埋める、こういうふうな操作をやるのはこれは企業経営として当然のことだというふうに考えております。
  242. 諫山博

    ○諫山委員 私が聞いているのは、定員というのはこれだけの仕事をするためにはこれだけの人が要るということを国鉄がみずからきめたのではないか。機械化などによって人が要らなくなったと国鉄が判断すれば、定員のほうが変わるわけでしょう。少なくとも定員は確保するというのが国鉄の最小限の義務ではないですか。
  243. 磯崎叡

    磯崎説明員 定員をきめましたから、その定員を極力充足するのはこれは当然のことでございます。しかし、定員そのものが確固不動のものではない。いま先生もいみじくもおっしゃいましたが、機械化すれば人が減るのだ、定員を減らします。また機械化の過程で、たとえばこの保線区は機械を持っていっても、なかなか組合と話し合いがつかないで、その機械が使えない。機械が蔵の中に入っているというような状況もございます。それにはやはり定員は減らす、しかし何とか組合と話をして機械を使うということをすれば、おのずから定員が充足されるわけでございまして、その間本社と本部の間で保線の機械化の協定をしておっても、なかなか末端ではそういうところが出てまいります。したがって、そういうところで過渡的に定員を充足できないことがあることはやむを得ないことだというように考えます。
  244. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、国鉄総裁としては、現に国鉄が定員をきめている、そうしてこの定員が充足されていないという状態を承知しながら、充足の努力はしないのですか。いかがでしょう。
  245. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほどもるる申し上げましたが、充足をするために新規採用するわけでございます。この長期計画でも御説明いたしております。減耗補充を大体——減耗を何%するということはまさにそのために人を採るわけでございまして、人を採るのはやはり欠員を充足するために採るわけであります。しかも大体私のほうは高校出を採ります。高校出は三月末に卒業いたしましてから、除々に定員を充足するという形でございまして、年間二千なり三千なりの人を新規採用する。この苦しい中で新規採用するということは、まさに先生のおっしゃったことを実行するためにやっておる、こういうことでございます。
  246. 諫山博

    ○諫山委員 門司鉄道管理局の保線区全体で定員と実人員の関係がどうなっているのか。また国鉄全体の保線区において定員と実人員の関係がどうなっているのか、御説明願いたいと思います。
  247. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 門司鉄道管理局の保線区では、二千三百三十一のうち百八十七人の欠員がございます。それから全国的には、はっきりした数字はちょっと持っておりませんが、約千人ちょっとこえる欠員があるわけでございます。
  248. 諫山博

    ○諫山委員 私の調査では、全国で千人をはるかにこすはずですが、どうですか。
  249. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 千四百ぐらいの欠員でございます。
  250. 諫山博

    ○諫山委員 それだけの説明ができるのに、なぜ正確な数字を言いませんか。なぜ低目に説明しょうとしますか。保線区全体で千四百名の欠員があるということがはっきりしました。国鉄の殉職者の中で一番殉職の比率が多いのは、私は保線関係だと聞いております。総裁どうですか。
  251. 磯崎叡

    磯崎説明員 必ずしもそうとは限りません。たしか数年前でございましたか、一拳に鳥取県のほうで三名か四名の職員を失ったことがございます。そういう大きな事故がございましたときは別でございますが、保線と電気、電気の感電でなくなる職員あるいは保線の職員あるいは駅の職員で構内で車に触れる、いわゆる触車でなくなる職員、必ずしも年によって一定いたしておりませんが、残念ながら殉職の多いのは、大体保線、それから電気、駅、それから最近、実は昨年でございましたが、たまたま機関車乗務員が五名でございましたか、災害あるいは事故等に遭遇いたしましてなくなっております。ですから、年によりましてどこが多いということは申せませんが、年間、一時三百人あったのでございますが、おかげさまで最近は、やっと三十人を切りましたが、私どもは何とかそれをゼロにしたいと努力を重ねている次第でございます。
  252. 諫山博

    ○諫山委員 国鉄全体の殉職者の中で、保線区関係が何割を占めているのかわかりますか。
  253. 篠原良男

    ○篠原説明員 私、施設局長ですが、率はちょっとわかりませんが、昨年の殉職は、保線従事員は三名でございます。それからその前は十名でございました。全体の殉職者については私のほうではちょっとわかりかねます。
  254. 諫山博

    ○諫山委員 博多保線区あるいは門司鉄道管理局管内の保線区で定員が充足されていないのに、国鉄当局はその定員を充足しようとするのではなくて、定員そのものを減らすということをこの一、二年ずっと行なってきたようですが、どうですか。
  255. 篠原良男

    ○篠原説明員 先ほども総裁が申しましたように、保線の職場というのはなかなか充足しがたいというような客観情勢もございます。これに対しましては、要するに材料でカバーする。たとえば従来の木のまくら木をコンクリートまくら木にかえる。レールもロングレールにするというようにして保守周期を長くする。そういう方法と能率のいい機械を入れる。たとえばマルチプルタイタンパーあるいはバラストクリーナー、そういうような機械を入れまして能率を向上するというようなことによりまして、要員の合理化をやってきております。
  256. 諫山博

    ○諫山委員 私が質問したのはそういうことではありません。機械を入れるのはけっこうでしょう。しかし定員さえ満たされていないのであれば、国鉄がまずやるべきことは定員を満たすことではないか。その仕事をせずに定員のほうを減らすというのは何事かという質問です。ますます定員と実人数の差がふえてくるじゃありませんか。
  257. 篠原良男

    ○篠原説明員 博多保線区について申し上げますと、ここのタンピングの仕事は博多軌道工事区で一部を所管しております。博多機械軌道区には四十五年十月にマルタイを二台入れまして、四十六、四十七年は博多保線区でやっております。しかも最近中編成の機械を博多保線区に入れましたが、先ほど職員局長が申し上げましたように、本社・本部間の団体交渉では妥結しておりますが、現地ではまだ妥結しておりません。したがって、機械がいま遊んでおります。話がつきましたら、この機械を入れることによって欠員は補充できる、充当できる、かように思っております。
  258. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、いまあなたたちが考えているのは定員を減らすことではなくて、少なくとも博多保線区については欠員を埋めることだと聞いていいですか。
  259. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 先ほども何べんも申したのでございますけれども、そういう意味じゃございませんので、他の管理局はほとんどのところが同じ条件で全部機械を使って仕事をしておるという中で、門司なんかが、少数のところでございますが、残されているということでありまして、その問題が解決すれば解決するはずのものである。  この門司だけではなくて全般のことをちょっと申し上げますと、さらに本社・本部間の話の中で、最近でございますが、新規採用を五百人ふやすという問題と、それから配転に三百ぐらい組合協力するという問題、それからもう一つは、いまおくれておるのが五、六百あるのですが、門司も含んでの話でございますが、そういったものを促進するという話ができておりますので、間もなくそういうものが充足されることになるというふうに御理解願いたいと思います。
  260. 諫山博

    ○諫山委員 一言でいうと、定員は埋めるのですか、埋めないのですか。一言で答えてください。
  261. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 いま申しました全体の計画の中でそれが進められますと、定員と現在員がぴったりになるということになると思います。
  262. 諫山博

    ○諫山委員 この定員不足の問題を労働者は決して見過ごしてきたわけではありません。たとえば、ことし三月十二日付の国労博多支部の機関紙の中には「自殺にまで追いこんだのは誰だ」という見出しで、次のように書かれています。「博多保線区では、ここ数年、欠員つづきである。二十九名の欠員を放置したまま軌道保守区は実施したが、その時の協定は守らず、レールも道床も犬クギも枕木も荒廃する一方。……われわれはもう一度、合理化が何をもたらすかを考えよう。」そういうことを労働者が機関紙に書いています。  定員さえ満たされていないという現状の中で、労働者が定員を埋めろという要求をするのはきはめて当然だと思いますが、この点総裁いかがでしょう。
  263. 磯崎叡

    磯崎説明員 もちろん定員を埋めることは必要だと思いますが、同時に、やはり機械化して、保守、保線作業をもっと能率のいいものにするということについて協力することも必要だというふうに考えます。
  264. 諫山博

    ○諫山委員 総裁は定員を埋めることはもちろん必要だと言われました。これから、保線区全体で千四百名の欠員があるというのをどういう方法で埋めるつもりですか。
  265. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点は、先ほどから申し上げておりますとおり、まず、あの重労働である保線区、保線の仕事を機械化する。そして保線という仕事を近代的なものになるようにするということでございます。と同時に、それでなお欠員があるという場合には、当然これは埋めます。私は何べんもこの席でもって、長期計画の中における新期採用の数を申しております。それはこういうところに使うためでございまして、私は、長期計画の中で人を採らぬということは一回も言っておりません。
  266. 諫山博

    ○諫山委員 いま国鉄は大規模な合理化計画しているといわれています。十一万人合理化ということがいわれているわけです再保線区関係についてはどういう内容の計画になっているのか、御説明願いたいと思います。総裁、いかがですか。
  267. 篠原良男

    ○篠原説明員 いま組合提案をしておる事項は、項目に分けますと二つございます。  現在、中央で妥結して地方で実施中の事案は、軌道材料管理及び作業管理のコンピューター化、レール積みおろし作業の機械化、保線作業の機械化、閑散線区における軌道保守外注。  それから中央において交渉中の事案は、ヤード等における軌道保守の近代化、それから新しい線路保守体制、これだけでございます。
  268. 諫山博

    ○諫山委員 人員についてはどうですか。
  269. 篠原良男

    ○篠原説明員 四十四年から四十七年まで合理化で実施してきまして、三千四百四十二名の人員の減をやっております。
  270. 諫山博

    ○諫山委員 これからどうするのですか。
  271. 篠原良男

    ○篠原説明員 現在組合に事案を提案しまして、要員の数についてはこれから組合と協議してきめることになっております。
  272. 諫山博

    ○諫山委員 私は、人員の問題については保線区を中心に取り上げましたが、国鉄がみずから定員をきめた、ところがこの定員さえ満たされていないというのでありますから、定員を満たす努力を精一ぱいするのが当然です。ところがその努力をせずに、逆に定員のほうを減らそうとする、こういうやり方は全く本末転倒であります。そしてこの犠牲がすべて末端の労働者に押しつけられているということは明らかなことです。いま国鉄がしなければならないのは、こういう労働者の要求にこたえて欠員を埋めていく、このことであることは明らかだと思います。ところがいま国鉄はこういう努力を全くしようとせずに、ただ人だけを減らすということが行なわれようとしているのです。そしてこれが、たとえばレールを敷設して半年もたたないのに八カ所も亀裂が生ずる、ところがその亀裂が発見されて百日間も放置されている、しかもいますぐそれを取りかえる計画さえ立っていないというところと結びついていると思います。私は、そういう点でもっと根本的に、国鉄再建をどうするのか、これを労働者の立場に立って、また国民の立場に立って検討し直すということが必要だと思いますが、このことを強く要求して質問を終わります。
  273. 井原岸高

  274. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、運輸大臣国鉄総裁並びに関係当局に質問いたします。  まず運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、今回の国鉄財政再建方針は、昭和五十七年度までに四回にも及ぶ大幅な値上げをもくろんでおるわけでありますが、国民生活に重大な影響を及ぼすことは言うまでもなく、特に私たちは農林水産を担当しておりますけれども、農林漁業物資については大いなる打撃を受けるわけであります。したがって、大幅値上げを認めることはできないわけでありまするが、今度の国鉄貨物運賃値上げ幅は、国鉄の資料によりますと、米が小牛田−隅田川間で二九・四%、肥料が千葉−群馬間で三〇・三%、タラが釧路−東京間で二九・六%から三〇・二%、これはもっとも冷蔵コンテナであります。木材の場合は、旭川−東京間が二九・一%、飼料が川崎−内原間で二五・三%という大幅なものであり、平均値上げ率が二九%になっております。農家にとってはたいへんな打撃を受けるわけであります。農業は国の基幹産業である、まあこういったことに対して運輸大臣は基本的にはどういうように考えておられるのか、農家の苦しい状態を十分承知しておられるか、その辺の基本的な考えをまずお伺いしたいのであります。
  275. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 農業が国の基本的な産業であることについては、仰せのとおりでございます。国鉄運賃改定にあたりましては、農業といわず商工業といわず、これは全般的に運賃改定をお願いをするわけでございます。  農林関係について、地域的にあるいは物資別に相当の考慮を要する問題もあるかと思いますけれども、これは担当の物資官庁が主としてお考えになる問題でございまして、私どももそれに対応いたしまして、輸送面における御協力はできるだけしなければならぬという考えでございまして、特に具体的に申し上げますと、運賃改定はいたしまして、まあいろいろと農林省と相談の上で配慮をしておることは、先ほど来国鉄及び政府委員から御説明をしたとおりでございますけれども輸送面におきまして、そういった物資の輸送にあたっての設備面の強化でありますとか、あるいはその輸送をする場合の貨物列車あるいは特殊の専用車、そういったものの設備につきましては、農林物資の輸送が円滑に行なわれまするようにあらゆる努力をしなければならぬと考えております。
  276. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林当局にお伺いしますが、日銀総裁も、公共料金を極力押えろ、また政策転換を政府に進言をしておられますし、公共投資の年度繰り越しというようなことについてもいろいろ言っておるようであります。こういったことがいろいろ検討される段階で、いまも申しましたように平均二九%のいわゆる運賃値下げ、こういったことから農林省当局は今回の運賃値上げについては、農林省としてやる守備分野の立場からどういうように考えておられるか、今回の運賃値上げは農家に対してかなりたいへんな打撃を与えるのでありますが、これに対してはどういうふうな見解を持っておられるか、簡潔に御答弁いただきたい。
  277. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいま御指摘のように、今回の値上げが実施されますと、農林物資に対しては各般の影響が出てまいります。したがいまして、私どもといたしましては、これに対応いたしますためには、できる限り値上げされましたこの運賃影響力が緩和されますような方向を考えなければいけないと思います。  その一つといたしましては、全般的な流通の合理化、たとえば物資の集配のためのいろいろな施設、供給、配給あるいはストックといったような一連の施設を、産地と消費地との間で有機的に連絡が保てるようなそういう施設の増強、そのためには場合によっては集配地域に新しく倉庫をつくるとか、あるいはその間を結ぶフレートライナーを新設するとかいったような一連の施設がございます。  それからまた、先ほど来申し上げておりますように、これはなお詰めは済んでおりませんけれども、いわゆる政策割引というものの弾力的運用をしていただきまして、そうしてできる限り等級間の格差が詰まったことによる農林物資へのはね返りの影響力を縮めていこうといったようなことを総合的に実施することによって、先ほど御指摘をいただきましたような三割近い農林物資への影響を何とか食いとめていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  278. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣農林水産委員会に行っておる関係で、大臣に伺うことができません。そこで、いま総合的な問題を検討していろいろ考えるということでございますけれども、時間の制約がございますので、次の問題についてちょっとお伺いしておきます。  最近の国鉄経営というものは、貨物駅の集約化がだんだん進んできまして、荷主の実情を無視した一方的な合理化が強行されつつあります。最近特にはなはだしい貨物の停滞化が起こりまして、農林漁業者の間にもつとに不信感が起きておるわけです。またこれにこたえるところの財政再建方針が納得できないといって、団体等でも強い要請をしておるところでございますが、御承知のように、国鉄貨物駅の集約化の状況を見ますと、四十二年三月に二千八百九十四駅あったものが、四十七年三月、五年間で八百六十六も減って、もちろんこれは小口も合わせてのことでありますが、現在では二千を割っているというように聞いております。さらに今後五十一年まで、あと四年後を目標に千の駅にこれを合理化するということを考えておられるようでありますが、ただでさえも農業は人手が少なく、たいへん困難な中に、こういった合理化が行なわれますと、遠いところから拠点に物資を運んでくるということで、ガソリンも要るし、また距離も時間もかかるということで、たいへん困難性を伴ってくる。こういうふうな問題で、いろいろと農家はたいへんなショックを受けております。こういったことに対して当局も十分検討しておられると思いますが、エネルギーコストからいっても、これは試算のやり方によっても違いますけれども、トラックの場合と比べ貨車の場合は四分の一、試算によっては六分の一という説もありますが、いずれにしても相当の影響を受けることになりますので、この点については、国鉄総裁はどういうように検討されておったのか、また農家に対してはどういうふうにこれを弁明なさろうとするのか、その点明快にお答えいただきたい。
  279. 磯崎叡

    磯崎説明員 こまかい点につきまして、もし御注文がございましたらば、担当の局長から御説明させます。  いわゆる貨物の集約の問題でございます。いまの貨物駅は大体四キロから五キロに一つということで、非常に駅が多い。したがって、貨物列車のスピードも非常におそい。時速二十キロ以下、自転車級のスピードで走っております。これではとても近代交通機関としては役に立たないということで、貨物駅を減らす。そのかわりそのメリットとしては、やはり産地から消費地に早く着くということでございます。このごろはもう運賃の問題よりも、むしろ正確さと速度というところに最近の物流、農林物資を含めての物流の問題のポイントがあると存じます。したがいまして、かりに貨物を集約して、拠点の駅に貨物を集めた場合には、そこから京阪神あるいは京浜等の地区へ早く送る。一日でも早くせりにかけるということによって、私は運賃のふえた分のカバーは必ずできるということを確信いたしております。そういうメリットを必ず裏でもって差し上げて、そして協力していただくというのが私ども考え方でございます。
  280. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 総裁はいまの貨物は自転車級であるとおっしゃるけれども、それは場所によっては、多少昔の馬車なんかで運んだ時代もございますので、かりに距離の短い点もうかがわれると思いますが、相当合理化されて、かなりの距離があるわけです。自家用車で運ぶ農家とはいいながらも、今度の改正によってこういった集約がされますと、農家負担が相当多くなるということは事実であります。こういった点からいっても、この法案に対してはなかなかわれわれは賛成できない問題が多々あるわけであります。  農林省はいまの貨物集約化については、総裁はそんなふうに答弁されておりますが、当該主管農林省としてどういうお考えですか。
  281. 池田正範

    ○池田政府委員 貨物駅を集約化されますと、当然輸送をストップする距離の間が長くなります。したがって、非常に零細な生産地帯が散在しております農産物といたしましては、当然それで影響を受けるというかっこうになろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、たとえば無人駅をつくっていただくとか、あるいは中間地帯における集散地の場所を、国鉄の所有されております土地に優先的に倉庫を建てていただくとかいったような諸種の対応策を講ずることによりまして、駅の間隔が広くなることによる不便と申しますか、コストアップ面をカバーする。同時に、拠点駅の発駅と着駅との間の合理的な結びつきをはかる必要があるというふうなことで、いわばコンテナ等を積極的に活用することによって、全体の輸送量を定期的にかつ大量にすることによってのコストダウンをはかっていくとかいったようなこともあわせて採用すべく、現在検討しております。
  282. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう一点大事な点をこの機会にお伺いしておきますが、公割りの問題ですけれども、暫定措置割引が、昭格二十五年一月から遠距離逓減割引が実施されまして、さらに特別措置割引が、昭和四十一年三月からは、国民生活に影響の大きい品目ごとに割引をするということになっておったわけです。これもついに四十七年十月から廃止となったわけですが、さらに現在もう一つの恩恵措置といわれております政策等級割引が、十五ないし二十四等級が現在一ないし四等級、これも今回は一ないし三等級にさらに縮めよう、こいういうふうに再建計画でなされております。こうしてみますと、いままで農林物資は四等級であったのが三等級に縮まるということになると、また相当高くなる。そこでわれわれは、これは四十五年の時点で一〇・五%の割引だったのが、今回の二九%であるから、総体的には四〇%の値上げになる、こういったことで、いわゆるトリプルパンチを受ける、こういうふうに言っているわけであります。よって政府は、このような問題を十分考慮して、財政再建促進特別措置法並びに国鉄運賃法の改正の両法案の根本的な改定をしていただきたい。それと同時に、私はこの公割りについてぜひ復活してもらいたい。復活ができないとすれば、これにかわる特別措置をやっていただきたい。先ほどから質疑を聞いていますと、農林省も弾力的にいろいろ検討するとか、いろいろおっしゃっておるようでありますが、実際には、われわれいろいろ情報等を聞いておりますと、今回の法案成立する段階で、タイミングを考えていろいろ考えているようなニュアンスも受けるわけですけれども、また食い逃げをされるのではないかということで、たいへん必配をしております。こういったことから、ぜひひとつ公割りの復活または特別割引の点の措置をしていただきたい、こういうふうに考えるわけです。当局の見解を伺いたい。
  283. 秋富公正

    秋富政府委員 公共割引及び暫定割引、特別割引につきましては、ただいまお話のございましたように、物価閣僚議会の御了解をとりまして、昭和四十六年、七年と、五〇%ずつこれは廃止してきたわけでございます。しかし、いわゆる政策等級につきましては、たとえば米とか麦は、元来からいいますと二等級であるべきものを四等級にしておったわけでございます。また、みそとかしょうゆとかいったものは、元来は三等級であるべきものを四等級にしておるわけでございますが、いわゆる政策等級は、今回の改定におきましても、これは存続をしていく。やはりこういった生活必需物資、米麦あるいはなま野菜といったものについての政策等級は、今後も存続していくわけでございます。しかし、いわゆる公共割引の廃止は、一昨年、昨年と廃止してきたわけでございまして、これにつきましての影響の緩和ということにつきましては、いろいろと農林省とも相談はしてきているわけでございますが、私たちといたしましては、いわゆる輸送の面におきまして価格の安定ということに貢献すべく今後もなお一そう努力していきたい、かように考えております。
  284. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に運輸大臣、いろいろ時間の制約があるので、農林物資の重大な点の三、四点についてはしょってお尋ねしたわけでございますが、これは最も重大な関心を持っている問題であります。  今回の改正にあたっては、特にこの打撃を受ける農民はたいへんショックを受けておりまして、この特別割引の措置は、これは何としてもやってもらわなければならぬ、こういうふうに思うのですが、運輸大臣としてはこれはどういうふうに考えておられますか。まだこの法案の今後の推移を見ていろいろ考えておられるのか。ぜひともこれはやってもらいたいわけですが、その点についての見解を承って、質問を終わりたいと思います。
  285. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 ただいま政府委員から御説明をしたとおりでございまして、この法律案では、従来懸案になっておりましたものを漸次改めてまいりまして、今回もその一部分がこの法律案になってあらわれておるのでございまして、その結果ここ数年の間に農林物資に相当の影響が出ていることは事実だと思います。  これにつきましては関係閣僚ともよく話し合っておるわけでございますが、事務的にもさっき政府委員から申しましたように、等級制の運用の問題につきまして、農林省の関係当局と運輸省の関係当局あるいは国鉄との間におきまして鋭意いま具体的な折衝をしておる段階でございまして、私どもは初めに申し上げましたように、この運賃率を物資別に特別の扱いをするということは非常に困難でございますが、しかし輸送方面においてこれが最も各物資に適合するような形でもって輸送をするための設備を整えるということについては協力を惜しむものではございませんで、その点は今後も大いに努力をしたいと思っておるのでございます。
  286. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で終わります。
  287. 井原岸高

    井原委員長 松浦利尚君。
  288. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま私の手元に総裁通達内部基準規程が届きましたが、その前にお尋ねをしておきます。これの本協定である先ほど質問いたしました公務鉄道輸送支払手続設定のための日本国有鉄道とアメリカ合衆国との間の協定、これは現在もほとんど変わっておらないと思うのです。ほとんど原文のままだと思います。ただ私が調べた範囲内で変わっておるところは、協定の四条、五条が変わっておる程度だというふうに思うわけでありますが、そのとおりですか。
  289. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 変わっているおもな内容は、いま先生のおっしゃったとおりでございます。
  290. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでたった四条、五条が少し変わっておる程度で、すでに公表されておる協定が、現在では秘密になって出されない。私は非常に矛盾を感ずるわけです。私が持っておるのはすでにオープンになっておるものです。それからたった四条、五条が違うだけの協定が本委員会に資料として出されない。非常に遺憾に思います。しかし四条、五条だけでありますから、その点についてここで協定を提出せよというようなことは、一応いまの答弁でするつもりはありません。  ただここで総裁にお聞きをしておきたいのは、このいただきました駐留軍貨物取扱基準規程の中で、八十三条「米軍附属機関関係の取扱い」の「太平洋販売部」というのは一体どこなのか、現在現存しておるのかどうか、その点ひとつお聞かせいただきたい。
  291. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 日本地区販売部のことでございます。
  292. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 米軍の付属機関が、太平洋販売部というのもが、日本地区販売部に変更されておるにかかわらず、内部規程といたしましてはそのままになっておる。何か私は米軍関係の扱いは特別扱いされておるような感じがしますね。なぜすでにない機関がここに書かれておって、この機関に書かれておらないところについては扱わないはずなんです。ところが日本地区販売部のものがそのまま現実に扱われておる。(「名称の変更だ」と呼ぶ者あり)名称の変更は、当然総裁通達その他で行なわれるべきでしょう、米軍との間で。どうなんです、その点は。
  293. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 日本地区販売部ということで改めております。
  294. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 日本地区販売部として改めておるなら、この資料は何ですか。これは現行の資料として配付されたんですよ。それじゃこの資料はだめじゃないですか。どうなりますか。この資料については現行ですか非現行ですか。
  295. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 この名称の変更につきましては、関係のところに全部連絡いたしております。規程としてはその名称になっておりますけれども……。
  296. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 国会の場は正確な資料で審議する必要があると思うのです。名称の変更はいま言われたような形で国鉄内部では処理されておるかもしれません。しかし現在行なわれておる規程だといって私たちに渡されたのです。その渡された内容の一部がそういうふうにもうすでに現行でないのです。そのことについては、何らこれに対して釈明せぬでいいのですか。現在ない、国鉄内部でやっておりますで済まされますか。
  297. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 当然規程としてすぐ改めるべきでございます。直ちに改めたい、こう思います。
  298. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 改めたいというが、総裁、米軍の関係は何かタブー視しておるのじゃないかと思うのです、こういう一つを見てみても。こんな協定というのが、運賃を少なくとも値上げをして国民に負担をしてもらおうといっているのだから、そうなってくれば、やっぱり正確な資料を出してもらわなければ困る。国鉄の内部の扱いがそういうずさんさなんです。あなたは一生懸命タブーだタブーだといってこういう協定は出さないでしょう。ところがしり抜けで全部出ておるのだ。オープンになっておる。そういうところに私は国鉄の事務当局の事務能力というか、そういうずさんさを感じますね。  この資料について、あらためて総裁から訂正なら訂正する、そういった一言あってしかるべきだと私は思います。
  299. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま御提出いたしました資料の中で、先生の御指摘の点が改めてなかったことはたいへん申しわけないことだと存じます。即刻きょうでも部内の手続によりましてその規程を改めますので、何とぞ御容赦願いたいと存じます。
  300. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私はあっさりすればいいと思う。あやまるところはあやまる、出すべきものは出す。そのあっさりさがないのですよ。  それでもう一つお尋ねをしますが、この内部規程によりますと、米軍の貨物はみなあと払い制になっておりますね。このあと払い制になっておる根拠は何ですか。
  301. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 国鉄貨物運賃収受の際の後払い規程、一般の後払い規程、それによっておるわけでございます。
  302. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 国鉄一般規程の後払い制度で貨物はすべて扱っておるのですね、米軍関係は。そうするとこの規程によって先ほど私が言ったようにその他の貨物が安くなっておるわけですね。その点は意見が食い違っておりますから、これは私はここで詰めようと思いません。今度の運輸委員会で、もう時間がなくなりますから……(「詰めてもいいんだよ」と呼ぶ者あり)いいですか。それでは少し時間がかかりますけれども、詰めさしてもらいます。  いま手元に来ましたこの第四十八条に伴う別表第二「車扱貨物一トン当り金額表」、先ほど私はこの資料をいただかない前に、従来のA、B、CランクのA、B、は一本になったわけですから、Cは百五十一円である、こういうふうに申し上げましたが、一トン当たり五キロメートルの輸送が百五十一円だ。前は幾らだったですか。私の調査によると百五十八円だったはずです。どうですか。
  303. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 百五十八円でございます。
  304. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 二百キロメートルは一千四十八円でしたね。どうですか。
  305. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 手元に資料がございませんが、間違いないと思います。
  306. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 総裁、先ほど私が指摘したことは間違いなかったわけです。この資料で明らかになりました。この資料をいただければあっさり十分くらいで済むのですが、それをあなたたちが出さないものですから、がたがたして時間を食うのですよ。  それで、なぜ値下がりしたのか。前は火薬類がA、それからB類はガソリン、Cはその他雑貨、こうなっているのです。ところが米軍の場合にはAとBは一つになった。そして一般の運賃率が適用されるようになった。Cの雑貨だけが残ったわけですよ。ところがもともとCの雑貨というものは米軍関係ではその他だったのです。それが当初、この前のときは百五十八円と高かったのに、今度は百五十一円と、トン当たり五キロメートルで七円米軍は安くしたわけです。一体なぜ米軍だけはこういうふうに安くなるのか。そのことを国民にわかりやすく言ってください。
  307. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 御説明申し上げます。  運賃額というものは賃率とトン数をかけて算出するわけでございます。しかして賃率といいますのは、送る品物によって一級、二級、三級、四級、こうございまして、また距離によっても違う、こういうことになっております。それからトン数はまた、実際の運ぶ物の実重量を基準とした運賃計算トン数、こういうことになっておるわけでございます。  まず賃率のほうから御説明申し上げます。  賃率は、米軍のいわゆるCという中で雑貨として運ばれているもの、これは一級、二級、三級、四級とございますが、この内容をサンプリング調査いたしましてどういう内容になっておるか、そしてその内容によって一級、二級、三級、四級がそれぞれ賃率指数といたしまして一三五、一一五、一九〇、こうなっておりますが、この中身が一級が七割、二級が二割、三級が一割とか、その他、まあそのときどきによっていろいろ変わるわけであります。したがってサンプル調査によりましてそのウエートをかけます。つまり賃率指数と、その等級の中身、ウエートをかけまして加重平均しまして米軍のCの雑貨のものの一般の賃率を出すわけでございます。現在百五十一円ということになっておりますそのもとを申し上げますと、いま申し上げました加重平均した賃率指数は、その結果の数字だけ申し上げますけれども、一二七・五、このようになっておるわけでございます。  それからもう一つ運賃を出す場合の計算トン数でございますが、一般のワムという貨車、十五トンでございますけれども、これに実際米軍のその他貨物がどれだけ載っているか、こういうものを出すわけでございます。そうしますと、これも実際の調査によりまして大体十三トン載っておるということになるわけでございます。そうすると、この一般の貨物運賃を出す場合には、それをもとにしまして運賃計算トン数というものを適用しまして運賃額を算出するわけでありますけれども、駐留軍の場合には、この別表に書いてあるとおりでございまして、貨車の標記トン数一トン当たり幾らだ、こういう表現をするわけでございます。そこで、実際に載っている重量と貨車の標記トン数との関係、運賃計算トン数との関係はまた別に計算しなければならないわけでございます。  この間の関係をひとつ実際の数字で申し上げたほうがかえって手っ取り早く御理解願えるのじゃないかと思いまして指数を申し上げますと、そういうふうにいたしますと一級賃率かける——さっき申し上げました一級賃率は一三五という指数でございますので、百三十五分のさっき言いました百二十七・五、これが賃率でございます。それからトン数は十三トンございます。十五分の十三かけるわけでございます。そうすると、一級賃率に〇・八一四、これをかけたものが米軍のその他貨物運賃額を出すもとになるわけでございます。そういたしますと、具体的に五キロメートル、これが一級賃率は百八十五円でございますが、この百八十五円にいま申し上げました〇・八一四をかけますと百五十一円になるわけでございます。  それで、以前百五十八円であったのに、どうしてか。これは一級賃率に〇・八五二をかけて百五十八円になっておったわけでございます。しかしてその〇・八五二あるいは〇・八一四、この数字がどこから出てきたかと申しますと、先ほど申し上げましたように、一つには運ばれる貨物の賃率構成のウエートの変化の問題もう一つには実際に貨車に載る積載重量の問題、この二つの要素がかけ合わさっていま申し上げましたような指数になるわけでございます。しかして、最初に申し上げましたようにサンプリング調査によりまして前年度にどういう輸送の実態であったかということを把握しまして、それにいま申し上げましたような計算をいたしまして米軍の実際の一トン当たりの運賃額を算出しているわけでございます。
  308. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その数字的なことは私らしろうとでちょっとわかりませんが、ただ、前に米軍から取っておったやつが高かったということですな。前は高かったから、取り過ぎておったから、今度安くしたんだ、こういうことですな。
  309. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 取り過ぎておったということじゃなくて、送っておる品物の内容が変わった、こういうことでございます。
  310. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私たちはどうも理解できません。われわれ個人の場合には、内容が変わろうがどうしようが上がりっぱなしですから。  そこでもう一つお尋ねをしておきたいのですが、この貨物が後払いということはわかりましたが、米軍の旅客も後払いというのはどういうわけです。貨物だけではなくて、その旅客もあと払い。しかも場合によっては、その米軍の子供まであと払い。現に私の手元には、この貨物以外に駐留軍旅客取扱基準規程というのがあるのです。これも駐留軍の貨物規程と全く同じように全部後払いです。われわれ一ぺんもあと払いしてもらったことございません。国民は全部前払いであります。ところが米軍だけは特別に後払いという手続をすれば後払いでいいとこの協定に書いてある。そういう事実がありませんか、ありますか、お尋ねいたします。
  311. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 米軍の公務旅行の場合、旅客もやはり後払いになっております。
  312. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 子供のほうはどうですか。
  313. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 子供の公務というのはどういうことか、具体的にそういう事態があるかどうかわかりませんが、公務の場合に後払い、こういうことでございます。
  314. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 後払いだ後払いだということで全部後払いにしておるわけですけれども、この間乗車券の発行の扱い方その他子供の扱い方まで全部載っておるのです、総裁の内部通達規程で。しかも貨物輸送については、米軍関係ならまだわかる。ところがその付属機関関係の太平洋日本地区販売部の物資ですね。極端に言うとわれわれが着る背広あるいは日用雑貨、こういったものまでみんな免税で運ぶのですよ、どんどん。いいですか。全部そういうシステムになっておるのです。第八十三条に米軍付属機関関係の扱い、これは準ずるようになっておる。そういう規程がここに出ておるのです、現在。日本国民の、日本の鉄道をわれわれはいまから料金値上げをさせられる。米軍のほうは逆にあらゆる特典を与えてこういったことが行なわれておる。私たちは非常に矛盾を感じますね。ここで運輸大臣に明確にお尋ねしておきたいのでありますが、こういった規定を運輸大臣は知っておられますか。運輸大臣、どうです。
  315. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いま初めてそういう規定を知ったわけでございます。そういった問題があったということは委員会の質疑応答を通じて知っておりましたが、規程は初めて知りました。
  316. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、少なくとも運賃値上げ国民に要求するわけですからね。本委員会で議論されなければわからぬというようなことは私は問題があると思うのです。しかも大臣がいま出されて初めてこの内容を見るというようなことではなお困る。お尋ねをしますが、駐留軍旅客取扱基準規程というのは、大臣知っておられますか。内部規程です。
  317. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 同様でございまして、まだ見ておりません。
  318. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私の持っておる資料が正確かどうか——これにはそういうふうに後払い制度その他全部書いてあります。この資料を本委員会に出していただきたい。そしてこの旅客運賃についてもやはり議論しなければならぬと思う。その点国鉄当局、資料を出していただけますか。大臣も知らぬのですから。
  319. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 貨物だけでなくて旅客の取扱基準規程、これも同じような趣旨でございますので、国鉄部内規程でございます。お出しすることはお出ししたいと思います。ただ、先ほど子供の場合に後払いになっておるかどうかというお話でございましたが、先ほどお答えいたしましたけれども、公務の場合に後払い、公務の場合あるいは転勤とか何かの場合子供が入っていることはあり得るのではないかと思います。
  320. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 公務の場合に、子供というのはあまり関係ないように私は思いますけれども、あなたのほうでそう言うならそれでいいと思う。しかし問題はそれでは解決しないのですね、われわれ国民は子供を連れていれば料金を取られるのですから。そうでしょう。  そこで大臣にさらにお尋ねをいたします。これは資料が出てからまた次の運輸委員会で議論していただきますけれども、こういうことを米軍に対してはやっておる。米軍に対しては国内の貨物輸送よりも安いんだ。しかもこの協定によって米軍は米軍の指揮下で早く品物を輸送するように規定されておる。米軍のものは特別扱いしてやれ、こうなっておる。先ほど農林水産の方が言われましたが、これに貨物がずっと羅列をしてあるのです。この羅列してある中で冷蔵車というのがありますね。ところが米軍の生鮮食料品を輸送するときには冷凍機つきのものがあるというのです。冷凍機つきのもので国民の生鮮食料品を輸送するようになっておらないのです。冷蔵車でも冷凍機がついておらないのだ。ところが米軍については冷凍機つきのものが走っている。間違いありませんでしょう、そのとおりでしょう。
  321. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 冷蔵車を貸し付けまして、その冷蔵車に米軍の冷凍機を向こうの経費で取りつけて、そして冷凍機つきの冷蔵車ということで輸送しておるわけでございます。
  322. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ちょっと待ってください。いまのあれはおかしいですよ。この七十八条、貸し付け料の中に冷蔵車そして冷凍機つきのものは千三百円の貸し付け料となっておるのです。米軍の冷凍機じゃないですよ。国鉄の冷凍機だからこそ冷凍機がないものよりも高いのです、貸し付け料が。あなたが言っておるように米軍の機械なら何も高くする必要はないじゃないですか。これは国鉄の所有の車両ですよ。どうなんですか、その点は。
  323. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 国鉄の車両でございますけれども、これを貸し付ける場合の貸し付け料の問題でございます。
  324. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 だから私が聞いておるのは、この貸し付け料の、冷蔵車の冷凍機つきのものは米軍専用車になっておるじゃないかと言っておるのですよ。一般の国民は、これは使えないのです。電話で聞いたらそう言ったのだから、貨物局のほうで。
  325. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 米軍の冷凍機をつけておるわけでございます。国内には冷凍機つきの冷蔵車というものは使っておりません。
  326. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 米軍の冷凍機つきのものをわざわざ高くして米軍に貸すのですか。自分の財産を自分が使うのに金が要るのですか。これは国鉄所有の車両でしょう。車両は国鉄の車両でしょう。冷凍機もこれは全部国鉄のでしょう。
  327. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 冷凍機は米軍でつけたものでございます。米軍の負担においてつけたものでございます。
  328. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それじゃ何で高いのですか。冷蔵車で冷凍機つきのものは十三トンで千三百円でしょう。冷凍機のついておらないものは九百円ですよ。何ですか、これが高いのは。
  329. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 冷凍機つきの冷蔵車のほうが保守上経費がかかるということで、ここに書いておりますように、つかないものとついておるものの貸し付け料の差がある、こういうふうに思います。
  330. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これ以上いろいろ言っても時間がかかるだけですから……。運輸大臣——いいですか。日本の生鮮食料品を送るときには長距離輸送その他をしなければならないにかかわらず冷凍機がないのですよ。だから東京なら東京に遠くからどんどん生鮮食料を持ってきたいけれども、冷蔵車ではどうにももたぬ。冷凍機をつけたら長距離もできるのです。そういうサービスをせずに、米軍のものを輸送するときだけは冷凍機をつける。矛盾を感じませんか、担当大臣として、国民に向かって。
  331. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は長距離輸送の生鮮食料品に私どもぜひ冷凍機がほしいということで数年前にいろいろこれは国鉄自身が車を持つということでやりました。ところがそのころまだ冷凍機が十分発達いたしませんで、たとえば宮崎県の野菜あるいは鹿児島県の……(発言するものあり)失礼しました。これは偶然で言ったことでございますから。たとえば南九州の畜産物とか野菜とかやってみましたところが、どうも冷凍機の保守がうまくいかないということで、いま実は思い悩んでおります。しかし私は冷凍機つき冷蔵車あるいは冷凍機つき冷蔵コンテナをぜひやりたいと思っております。たとえば冷蔵貨車でも貸してくれれば自分でやりたいというところには、私は日本の国内でもぜひ早く貸してやりたいと思っておりますが、なかなか冷凍機の保守はむずかしいのです。そういう意味でこれからのコール下チェーン時代を迎えまして、ぜひ私は冷凍機つきのものを国鉄でも自分で準備するし、あるいは冷蔵輸送会社があればそこにやってもらうという前向きな考え方でおりますので、決して米軍だけのつもりはございません。
  332. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いいですか。いまからするとこう言っておられるが、米軍関係はもうすでにやっておるのです。しかも輸送料金は安いのだ。大臣、われわれ国民運賃値上げをかぶらなければいかぬ。これからやってくれる。米軍のほうは安い上にちゃんと設備ができておる。国民が矛盾を感じ反発を感じないと思いますか、あたりまえだと思いますか。大臣の政治的判断で答弁してください。
  333. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 米軍との関係は、古くから国鉄と米軍との間でいろいろと必要があって、そういった施設もしたり、運賃もきめておったと思います。国内の問題でございますが、これは今度の十カ年計画の中でも、そういうふうな計画がございまして、国鉄総裁が言いましたように、物資によりまして、あるいは地域によりまして、そういう必要性があることはもちろんでございますから、それに対応するような設備の改善をしようということは、計画の中にも載っておりまして、これは運輸委員会等におきましても御説明をしたとおりでございます。
  334. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それじゃ米軍関係の問題は意を尽くしませんが、もう時間がないということですから、最後に国内の企業の貨物輸送についてお尋ねをします。  私は、具体的に申し上げますが、これは国鉄のほうの資料ですから、いろいろせんさくする必要がない、国鉄からいただいた資料です。まず、東京−大阪で車運車ですね、これは自動車会社が使う車です。十二トン、八台乗れます。これが東京−大阪間で、八台で運賃が七万一千百円です。それから東京−下関間で、八台で十二万八千円です、これで運ぶと。そうすると、東京−大阪間の一台当たりの運送費は八千八百八十円です、八台ですから。そうすると、下関まで送ると一万六千円です、一台当たり。これが企業、自動車会社輸送したときの一台当たりの輸送料金の現行ですよ。そうすると、たとえば加藤さんなら加藤さんの車を東京から大阪に送ったら幾ら金がかかるか、二万三千八百円、国民一人当たりの負担は。東京−下関間に運ぶと四万一千円です。東京−下関間の企業が送る車と個人が送る車の格差というのは、何と二万五千円ですね、こういう差が出るのです。  なぜ、こういうことをやっているか。ここに昭和四十八年四月二十八日の、ある駅から発送する出荷契約トン数についての貨物運賃割引のサンプルを見ますと、たいへんな割引をしておる。一つの例でありますが、東小金井からたとえば仙台、金沢に品物を送る、三万五千五百トン送ってくれればこの賃率の一割三分引きだ、それ以上送ったら、その翌日から一割八分引きだ、四万三百トンをこえれば、今度は二割引きだ、こういう契約になっておる。そういう契約から計算をすると、こういったたいへんな格差、国民の負担による輸送というものが出てくるのです。なぜこういうことをするのですか。
  335. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 問題は二つに分けて御説明申し上げたいと思います。  まず最初は、企業だからそういう割引をしておる、運賃が安い、こういうお話でございますけれども、決してそういうわけではございません。いわゆる車運車、これをもって運んだ場合には、一定の運賃計算法がございまして、それによって、八台の車を運んだ場合の運賃計算されまして、それは八台ですから、一台当たり、先生のおっしゃったような差ができる、こういうことでございます。ちなみに車運車ができましたころ、四十二年の十月から四十五年の九月まで、東京から京都まで一般の車を、いわゆるオートエクスプレスという名称でもって、国鉄として一般の荷主さんといいますか、利用者の便に供したわけでございます。これは四十五年の九月でおしまいになりましたけれども、あまり利用がなかったということでやめてしまったわけでございます。と申しますのは、八台なかなかまとまらないといいますか、あるいはそれだけの距離、自家用車を運ぶという需要が少ないといいますか、三年ほどやったわけでございますけれども、結局やめたわけでございます。その場合の料金は、いろいろな料金全部合わせまして、一台当たり六千七百円、こういうことで、その中には、発着の手数料とか、積みおろし料とか、いろいろなものが入っておりますけれども、そういうことで、一般の利用者にもお使いを願ったということがあるわけでございます。  それから二番目の割引の問題でございますけれども、割引の問題は、これは国鉄輸送力を活用して、荷物をふやす、あるいは減るのを防ぐ、こういう観点からやっているわけでございまして、自動車につきましては、いまお示しのような事例でもって割引しておる、こういうことがございます。しかしこれも輸送力あるいはまた競争条件、こういうものの観点から常にその割引が低いことが望ましいので、いろいろの時点でその割引率の是正といいますか、これを改定するということもやっているわけでございまして、これは輸送力の関係、運送条件の関係、輸送需給の関係、そういうところからやっているわけでございます。
  336. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 実際にいまあなたが言われたことがそのままだけれども、しかし扱いによって、公告以上に下げておる場合があるでしょう。公告以上に安くしてやっておる場合があるでしょう。
  337. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 公告以上に安くしておることはございません。
  338. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 扱い量に達しなかった場合でもやっているでしょう。その扱い量にならなかった場合で、そういうことをやっている場合もありましょう。ありませんか。
  339. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 割引の条件は公告するわけでございますけれども、その公告の内容、その公告を前提として個々の契約を結ぶわけでございます。その契約の中身の問題でございますけれども、条件に達しなくてもやる、そういうようなことはございません。
  340. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 貨車が不足である、そういった場合には、全部そういった公告どおりじゃなければ、料金を、ちゃんとあとはこの運賃率で取っておりますか。貨車繰りが悪かったときは、ちゃんと契約で公告以下の扱い量でやっているでしょう、国鉄の責めに帰するときは。
  341. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 それは国鉄の責めに帰するような事情でもって輸送ができなかったというような場合には、その改定はいたします。
  342. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 国民の側は、そういうことはないのですよ。企業の側はそうだけれども、われわれが車に乗るでしょう、国民が車に乗るでしょう。ところが国鉄事情で脱線事故その他で動けなくなった場合があるでしょう、払い戻すだけではないですか。百円なら百円を国民に払い戻すだけじゃないですか。何も弁済をしてくれないでしょう。私たちが車に乗るということは契約ですからね。東京から大阪まで乗せてくださいという個人、契約です。ところが個人契約で事故があったときには、払い戻すだけです。要った金額、払った金額を払い戻すだけです。ところが企業の契約については、個々の契約によって、国鉄の責めにかかわるものについては、全部めんどうを見ましょう。矛盾じゃないですか。明らかにおかしいですよ。
  343. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 別に矛盾はないと思いますが……。
  344. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 「サービスに関する消費者保護について」という答申が国民生活審議会から答申されているでしょう。その中にそういう問題についてもやりなさいと書いてあるのだ。なぜやらぬのですか。あたりまえだと思っておるからやらぬのでしょう、どうですか。——何も返事がないようだから私読み上げます。「契約の適正化」という欄で、消費者側からの運送契約について国鉄の責めに帰する場合は当然何らかの補償をしてやるべきだ、当然だとこれに書いてある。これは四十八年二月二十七日に国民生活審議会が総理大臣に答申をした内容であります。経済企画庁は知っておる。しかも運輸大臣は経済閣僚協議会の一メンバーである。にもかかわらず、あなたの言っておることは、当然だ、貨物のほうはこうだけれども、一般消費者のほうはもう当然なんだ。そういう感覚で国民が了解をしますか。  もう時間かないそうですから、この際運輸大臣国鉄総裁にお尋ねをしておきますが、この国有鉄道運賃法の第一条の総則の二項「運賃及び料金は、左の原則によつてこれを定める。」「公正妥当なものであること。」「原価を償うものであること。」「産業の発達に資すること。」「賃金及び物価の安定に寄与すること。」ちゃんと書いてある。ところがあなた方は、三号の「産業の発達に資すること。」についてはたいへんやっておられる。そのことは間違いない。いま言ったとおりだ。それに加えて米軍にもそうやっておる。ところがわれわれ国民に対しては、「賃金及び物価の安定に寄与すること。」という第四号については何ら配慮がない。大きな問題だと思う。そういった国民に対してこの法律で明確に規定されておるものについて実行されておらない。しかも国民生活審議会が答申しておるにかかわらず、国鉄当局は知らない。こういったことで運賃値上げをして国民の了解を得られると思っておりますか。しかもこの国鉄の消費者保護に関する最後には、消費者の啓発ということで、なぜ料金値上げをしなければならないかといったことについては明確に国民に知らしむるべきだということが書いてある。一つもそういうことが守られておらない。そしてただ一方的に時間がくれば早く通せ早く通せ、もう何が何でも通せと、現在の経済情勢物価の情勢ということには全く目をつぶって、ちょうどロバが目隠しをされて走るようなもので、要するにまっすぐに国鉄運賃値上げだけに向かって猛進をする。他の要素は全く目をつぶる。こういったことでは私は国民は納得しないと思う。これは私の意見でありますが、最後に運輸大臣並びに国鉄総裁がこうした国民生活審議会の答申なりあるいは私が議論をした利用する国民側の格差、こういったものについてどういう考え方でおられるのか、その点について御答弁を求め、私の質問を一応終わりたいと思います。
  345. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 運賃のきめ方については、御承知のように大部分の運賃につきましては、法律に規定いたします以外は国鉄において決定することを法律によっても認められておるのでございますが、いま御指摘のような問題か生じるかと思います。私は主管の大臣といたしまして少し勉強さしていただきまして、そういったあなたがお読みになった四原則、これは運賃決定の原則でございますが、精神はここに書いてあるとおりでございますから、その精神に沿わない点がございますれば、国鉄に対しまして私の立場からその是正をするように指導をしたいと思います。
  346. 磯崎叡

    磯崎説明員 運賃法第一条の解釈につきましては四原則ございますが、これのどれが中心で、どれが重い、軽いということはないと思います。ただ、これができましたときの社会的背景その他はいろいろあると思いますが、いま私どもといたしましてはやはり公正妥当である、そして原価を償うあるいは産業の発展、賃金の安定いろいろございますが、その中でもやはり公正妥当で、原価を償うというところにウエートを置くべきではないか。これは昭和三十何年にできました私ども運賃制度調査会の一応の中間的な結論でございまして、これにもいろいろ考え方があると思いますが、私どもといたしましては運賃法の中でも、いま私のほうが運賃を上げてそれが物価の安定に寄与します、これはなかなか言いにくいと思います。だからそういう意味で、私といたしましてはやはり四原則の中で時期、時期によりまして、ウエートの重いものと軽いものが出てくるということはやむを得ないのじゃないか、かように思います。しかし私といたしましても、先生のおっしゃったように、ただ運賃を上げればいい、国民はどうなってもいいという考え方は毛頭ございませんし、また客貨の問題にいたしましても格差の問題にいたしましても、私のほうの輸送サービスその他につきましては相当思い切って旅客中心に重点的に投資をし、またたとえば事故あるいは労働争議等で列車がとまった場合には、必ず旅客輸送をやるということで、徹底的に荷主を痛めつけるということが私のほうのやり方の常になっております、よしあしは別といたしまして。そういうふうに格差の問題はいろいろな方面から考えていただきたいと思いますが、先生のおっしゃったことはよくわかりますので、十分今後は考えてまいります。
  347. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私の質問は終わります。
  348. 井原岸高

    井原委員長 有島重武君。
  349. 有島重武

    ○有島委員 運賃値上げ国民生活に及ぼす影響につきましての概論的なことは、時間がたいへん限られておりますので省略いたしまして、直ちに赤字解消の関連の問題に入りたいと思います。  国鉄赤字問題は、すでに昭和三十七年に当時の国鉄総裁の十河氏が、国鉄赤字の元凶は青函トンネルと地方の赤字線である、そうおっしゃっておりました。昭和四十四年の九月十二日に日本国有鉄道財政再建に関する基本方針が閣議決定されておりますけれども、この中で特に「合理的輸送体系の形成」という項目の中で、地方閑散線についての決定をなさっております。すなわち、地方閑散線について再検討を加えて、道路輸送への転換を推進する、こうあるわけであります。さらにこの基本方針が去る昭和四十七年一月十一日付の「国鉄財政再建対策要綱」、これによって具体化されたわけでありますけれども、これでは「地方閑散線は、五年以内に撤去する。」と明らかに期限を切って確認するという強い姿勢を示されました。この要綱は、当時の大蔵大臣の水田三喜男氏、運輸大臣の丹羽喬四郎氏、また自民党政調会長の小坂善太郎氏、そして現田中内閣の官房長官をしていらっしゃる二階堂進氏が自民党国鉄再建懇談会の座長となって、この四名の方々が名を連ねて御決定になったわけでございます。ところが今年、四十八年二月二日の閣議了解事項の「日本国有鉄道財政再建対策について」、その中では大幅な後退ないしは政策変更が見られるわけであります。地方閑散線の道路輸送への転換は、当該地域の実情、代替交通機関の状況等を考慮の上、地元の同意を得て行なうと、きわめて消極的な、大幅後退の内容に変わったわけでございます。この政策変更は、従来見られました閑散線撤去への確固たる基本方針を全く否定して、国鉄赤字解消対策の柱の一つである閑散線撤去の問題を骨抜きにしてしまった逆行政策だと私は思うわけでありますけれども政府はどうしてこのような政策変更をあえてしなければならなかったのか、この点についての御説明をいただきたい。
  350. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 根本的な考え方については別に大きな変更はなかったと思いますが、ただ地方閑散線の取り扱い方につきまして昨年の提案とは非常に内容の違ったものを今度は提案をしておることは事実でございます。昨年は、いまお述べになりましたように運輸大臣が地方閑散線と思われるものを三千四百キロだと思いましたが、具体的に認定いたしまして、それを五年間の期限の中で漸次撤去をしていくということを計画されたのでございますが、この国会における御審議の過程におきましても、これについては反対の方も賛成の方もあったと思いますけれどもあとで会議録を拝見いたしてみますと、そういうふうに運輸大臣がほとんど独断的に閑散線の認定をして、どんどん廃止をしていくことになると地方の足が奪われて困る地域がたくさん出てくるじゃないか、そういう御議論が相当強く行なわれたということが記録に残っております。昨年の暮れ、四十八年度の予算編成にあたりまして、これをどうするかということはいろいろ議論をいたしました。結局そういうようなことではなしに、やはり地方の過疎地帯、閑散線というのは大体過疎地帯に通ずるものでありますが、過疎地帯、それをどうするかという問題につきましては、やはり何といっても地域開発というものは交通路線がないと地域開発はできませんし、そこから最後に残った鉄道を取りはずしてしまいますことはますます過疎現象を刺激するであろうということも明瞭でございますから、そういった問題につきましては国会の御議論も十分参酌いたしまして、これにつきましてはやり方を変えることにしたわけでございます。  もちろんそういいましても地方閑散線の撤去は全部やめたというわけじゃございません。中にはその路盤を利用して道路にして、自動車輸送に切りかえたほうがよいというようなところもあることは事実でございますから、そういった問題につきましては昨年の提案と同じような趣旨においてこれからも地方の方々と相談をいたしまして、その合意を得た上で、これはバスにしてくださいとおっしゃるところはわれわれもそれに協力をしてバスにするということはいたします。  そうでなくてこれはどうしても国鉄赤字であってもこれを維持してほしいという路線につきましては、国鉄が相当の経済的には負担をいたしましても、それはそういう地方の方々の最後の足を残すという意味で残していこうということを考えたわけでございまして、もちろんこれについては相当の赤字が出ると思います。   〔井原委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕 そういった赤字を含めまして、今度のこの十カ年計画ごらんになりますとわかりますように、そういったものも含めまして政府助成を昨年と比べまして非常に厚くしておるのでございまして、そういった公共的な負担については政府が十分責任をとって援助をしよう、こういう形でもって地方閑散線の問題は昨年と少し違った形でもって処理をすることにしたわけでございます。
  351. 有島重武

    ○有島委員 時間が非常に限られておりますので、簡潔にお答えいただければありがたいと思いますけれども、いまるる述べられましたような事情は、一番最初の四十四年の閣議決定の時点でもすでにそのとおりのことがあったわけであります。それが四十七年には非常に強い姿勢で出ておる。それで、今年は非常に後退した形になっておる。これは識者の見るところによりますと、このような後退というものは、一つには選挙目当てのための大多数の国民的な損失を犠牲にしても顧みない与党の政治姿勢じゃないか、そういうこともささやかれておるわけでありまして、またあるいは悪名高い日本列島改造論、この強引な押しつけじゃないか、これでは国鉄の意図に反して、こうした後退的な措置をせざるを得なくなってしまったのではないか、このようなうわさも飛んでおるわけであります。そのほかいろいろ理由がありとしても、とにかく十年かかって練り上げられた一つの基本方針を一年にしてぱっと変えられた、こうした行き方についてはやはり疑念が残ると思うのですね。国民に対して、この国鉄再建への政府の見識に対して何か疑惑を抱かせるようなこうした行き方、このことについてやっぱり政府としてきちんとした釈明をしなければいけないのではないかと私は思いますけれども、いかがですか。
  352. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 特別に政治的な意図を持って行なったわけではございませんで、国鉄の採算がとれようととれまいと、やはり必要な路線というものは維持していくのが公共企業体としての国鉄の当然の責務であると思います。でありますから、今後日本全国にわたりまして産業再開発が興ってまいりましたり、地方の中核都市が興ってまいりましたり、いろいろの全国土を対象にしての計画が進んでまいります。そういったことも勘案いたしまして、今度のような措置をとったわけでございまして、これは国鉄本来の使命を達成させるのには、赤字であるからやめるというようなことではなしに、前進をしてもらいたい。それに対しては政府として国も応分の助成をいたしまして、そういった赤字のある程度の穴埋めを政府責任においてやろう、こういうたてまえでございますから、いまこういった意見もあるとおっしゃいましたが、そういう特別の政治意図はございませんから、御了承いただきたいと思います。
  353. 有島重武

    ○有島委員 ただいま御釈明ございましたけれども国鉄赤字解消のいろんな努力の中で、地方閑散線は切るか切らないかと、非常に差し迫った課題になっております。このような切実な問題をかかえている日本国有鉄道が、長年にわたって関連事業としてのんきな殿さま商法をしている事実がある。これまた私たち国民の疑惑の集まるところでありますので、ここに取り上げまして若干の質疑をさせていただきます。  出資者が一千億の多額の投資をしておる。ところが配当もない、還元もない、平然と年を重ねるというような事態があれば、この出資している者はよほどの篤志家であるかあるいは慈善事業家であるか、あるいはその他の人に言えない事情があるか、そういうことになろうかと思うのですけれども大臣にも御提出いたしました資料、これは国鉄のほうからいただいた資料ですけれども国鉄関連会社のうち、国鉄の出資率が四〇%以上の二十二社をピックアップいたしました。ただし、この中で日本交通公社それから広島ガスセンターの二社、これが三七・五%、二六・七%になっておりますけれども赤字線を切るかどうか、こういった事態の中で、国鉄の出資総額そこの二十二社だけでも総額約一千億円になっております。この中で黒字会社日本交通公社、それから日本旅行、それから広島バスセンター、このたった三社でございまして、この黒字六社の配当もわずか六%ということであります。いまの物価上昇率と比較いたしますと、これはプラスマイナス・ゼロになってしまうわけでありまして、さらに厳密にいえばゼロではなくてマイナスになるわけであります。一般社会においては、大体株主は最低一〇%とるわけでありまして、これができなければ資本は引き揚げるのが常識ということになるわけでありますけれども、こうした会社が、設立以来五年以上の会社というのがこの表だけで十三社ございます。そのすべてが設立以来配当がゼロ、これは全く論外であろうと思うのですね。これは重大な問題である。これについてどのような責任をおとりになるのか、あるいはとらせるのか、これも簡潔にお答えをいただきたい。
  354. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま国鉄が出資約一千億というお話でございましたが、その中で実は帝都高速度交通営団それから日本鉄道建設公団、これはそれぞれ別個の特別法によりまして国鉄が出資しておりまして、その中で一千億の中の約七割以上の七百二十六億と申しますものは、鉄道建設公団に出資しているものでございます。それから帝都高速度交通営団には百六十億出資いたしまして、それがまた両方合わせまして八百九十億になりまして、これを除きますと、残りのものがいわゆる日本国有鉄道法に基づきます出資でありますことをあらかじめちょっと御説明申し上げます。
  355. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 国鉄の関連事業でございますが、付帯事業もございますし、それからいまお話の投資事業もあるわけでございます。これは法律にも書いてありますように、本来であれば国鉄がもっとお客さんに対するサービスを強化しようというようなことで関連事業を行なっている場合が多いと思います。旅客、貨物を通じましてそういうことが多いだろうと思います。しかし、内容を見ますと、非常に複雑でございまして、数も多いのです。私、先般も運輸委員会でお話をしたのですけれども、こういったことのほかになお関連するいわゆる公益法人の数も非常に多うございます。そういったものにつきまして、いま検討をいたしております。一言で申し上げると、結論はまだ出すわけにいきませんけれども、そういったものを一応再検討いたしまして、どうしても国鉄の運営上必要であるというものは残すのみならず、もっと強化しなければならぬと思いますし、もうすでにその使命を達成したというものもないことはないと思いますから、そういったものにつきましてはむしろ整理する方向で考えなければいかぬというふうに私は考えるのでございます。今後そういった方針をもちまして再検討していくつもりでございます。
  356. 有島重武

    ○有島委員 再検討するというような大体大ざっぱなお話はございますけれども、まだどうやって責任をとるのか、とらせるのか、その辺のことは伺えないように思いますが、先にいきます。  天下り人事について、やはりこれは乱脈をきわめておりまして、差し上げた表の中でも、二百九十九名中の百二十五名、この役員が国鉄、運輸省関係の出身者でございまして、中でも目に余りますものは新宿ターミナルビル株式会社、役員十一名中十名、これが国鉄出身者でございます。岡山ターミナル、十五名中八名、日本飼料ターミナル、十二名中八名、日本フレートライナー、十名中八名、こうした次第でございまして、天下りにつきましては、有識者、経験者を官界から抜てきして会社に迎えるということは、人的資源の活用である、そういうことを政府がしばしば説明になっておりますけれども、事実そのとおりであればまだしも、先ほど指摘いたしましたとおり、それらの会社は黒字三社、六%の配当というのを除きますと、他の十九社というのは配当ゼロというように、全くこれは親方日の丸といいますか、国民税金に依存して、国鉄の出血サービスを当然のようにしておるという状態でありまして、これでは国鉄の高級官僚の方々に、何か何億というか、持参金をつけて、そうして老後の生活を保障して差し上げるという、そのために関連会社をつくったのではないか、国民の側から見ればそのように判断する以外にない、国鉄として今後このような天下りを認めさしていくかどうか、今後の方針について承りたい。
  357. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 これは国鉄総裁からお答えしたほうがいいかもしれませんが、運輸関係の仕事は非常に専門的なものが多いだろうと思います。したがいまして、天下りということばをお使いになると天下りになるかもしれませんが、会社の仕事の内容によりまして、そういう専門的な経験を持っておる人を要望する場合が非常に多いのじゃないかと考えます。したがいまして、この会社の種類によりましては、非常に多くの人が国鉄関係から入っておるのが目立つのじゃないかと思うのでございます。これは高級官僚というか、高級の国鉄職員という表現がございましたけれども、おそらく国鉄の考えておりますことは、高級の人だけではなしに、たとえば五十五歳で定年でやめられた職員の方々、そういった者も包含をして、そうして非常に専門的な仕事につかしておるのが多いのじゃないか、私はそういうふうに想像するわけですが、いずれにいたしましても、そういった問題につきましては先ほど申し上げましたように内容を一々よく検討いたしまして、行き過ぎがないように、また国民の方々からごらんになっていかにもこれは無用の長物だというような印象を与えないように処理をしてもらいたいと思います。  具体的な問題につきましては場合によりまして国鉄総裁からお答えをしたほうが適当かと思います。
  358. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄法の第六条に基づきます出資につきましていろいろ御高見を承りましたが、簡単に数字で申し上げますと、出資いたしておりますのは全体で三十六社でございます。そのうち未開業が十一社でございます。これは間もなく開業いたしますが、いろいろな関係で未開業でございます。開業いたしておりますのが残ります二十五社でございます。二十五社のうち、三年以上たちましたのが十四社でございます。三年以上たちましたのは全部単年度黒字になっております。そのうち十社は累積赤字も全部消しまして黒字になっております。ですから、開業して二年で黒というのは、経営としてはそう劣悪というほどではないというふうに思っております。しかしもっとこれを早く黒にしなければいかぬと思っております。また三年未満十一社、これですでに単年度黒になっているのが二社ございます。大体、普通の企業から申しましても、開業して三年で黒というのはまあまあじゃないかというふうに思っておりますが、私のほうといたしましては、もちろん配当も必要でございます。八十一億の出資をいたしておりますので配当も必要でございますが、それと同時に、出資のメリットといたしまして増収的な要素、これが非常に大きいわけでございます。たとえば、いろいろの計算のしかたがございますが、これによりまして現在約千八百億ぐらいの増収をしている。これは貨物の臨海鉄道だとか、あるいは交通公社による切符の代売だとか、これらを全部合わせますと千八百億ございまして、さらに八十一億の出資によって部外資金を約四百八十一億ほど引き出しております。もしこれをやらなければこの四百八十一億は国鉄自身で出資しなければならない金になるというふうに考えます。もちろん全体といたしまして非常に能率が悪いとおっしゃればもっと考えなければいけないと思います。  ただ、いまおっしゃった役員の問題でありますが、実は常勤は一名ないし二名でございまして、あとは株主として私のほうの関係局長なり何なりを利益代表という形で非常勤で出しております。またたとえば私鉄から参っておりますのも、たまたまそれが、前身が国鉄であって、それから私鉄に行った人で私鉄代表で出ている者がみんな国鉄というふうになっておりますが、それはやはり私鉄の代表で出ております。もちろん苦しい状況でありますので、大体有給職員は一名ないし二名ということで厳格にやっておるつもりでございまして、あとは一切無給でございます。これははっきり申し上げます。一名ないし二名でとにかくやれということでやらしております。  その他、配当は確かにおっしゃったとおり六%でございますが、私ども、配当するよりも国鉄に直接に運賃収入になって還元するということにウエートを置けというふうに言っておりますが、もう少し年限がたちますれば、二十五社ほとんど全部、累積赤を消しまして累積黒になるというふうに考えております。
  359. 有島重武

    ○有島委員 運輸大臣のおっしゃった、天下りだけではないというようなお話がございましたが、私がさっき指摘いたしましたのは経営責任を持っておられる役員の方々について申し上げたわけでありますから、その点は先ほどからちょっとすれ違いがあると思いますね。  それから、黒字になってなお無配当でいられるというのはますます殿さま商法といってたいへんけっこうなことだと思うのですね。私としては、もし国鉄経営財政再建のために、改善のために役に立つのならば、これは大いに応援したいし発展させるべきであると基本的には思いますよ。しかし、現状のままでそういった気配が全くないままに何年もたっておる。かえって国鉄赤字財政に拍車をかけているような、そういった気配さえあるという実態ということになると、これは非常に問題だと思うのですね。  伺っておきますけれども、これからの関連事業会社をこのままでもって大体存続して、今後も拡大するのかどうか。それから二番、継続拡大するならば、十分な配当を出せるというところまでするのかどうか。それからもう一つは、十分な配当を国に還元して赤字財政再建の一助とする自信がないとするならば、これはすべてその資本を引き揚げて手を引くべきだと思いますが、その点はどうか。  それから、運輸大臣には、先ほど検討さしているというお話は前から聞いていたわけでございますけれども、では具体的にこれをどうするかというところまで速急にやるべきであると思うのですね。いまここではあげることはできないかもしれませんけれども、やはりそれもこの法案についての審議の一つの中身になるべきじゃないかと私は思うのです。この審議の期間中に、やはり資料としてお出しになるような御用意があるかどうか、その点を承っておきたい。
  360. 磯崎叡

    磯崎説明員 昨日来いろいろ御質問がございました中に、国鉄の未利用地の活用というお話がずいぶんございました。やはり今後未利用地を活用いたします場合には、国鉄が直接やることもございますれば、いまの出資条項によりまして出資して市なり県なりと一緒にやる場合もあると思います。したがって、そういう部外資金の活用という意味で、今後大いにこの問題は拡大してまいりたいというふうに思っております。しかし先生の御忠告のごとく、確かに武士の商法でもってまともな仕事ができないではいけません。徹底的に経営責任を追及いたしまして、そうしてできれば私はある程度、やはり会社としては会社財政基盤を確立さしたほうがいいと思っております。すぐ配当を取ってしまうことは少し無理だと思いますので、財政基盤を確立さした上で十分配当としてうちにリターンするように、と同時に運賃収入増加ということまでまたリターンするようにという方向で、ぜひ厳重な監督のもとに経営能力を追及しつつ、この問題は大いに拡大してまいりたいという気持ちでございます。
  361. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは非常に数が多うございますし、そんなに短時間にはできるとは思いません。しかしできるだけ早く結論を得るように努力はいたしたいと思います。これは、私申し上げたのは誤解があってはいけませんから申し上げますが、相当古い歴史を持っておるのがありまして、もう大体使命が達成せられたんじゃないかと思われるようなものもないことはないと思いますし、それから新しい輸送事情に応じまして今後新しく考えなければならぬというような問題も出てくるかと思っておるのでありまして、そういう意味を含めましてもう一ぺん検討させていただきたいと言っているのでございます。
  362. 有島重武

    ○有島委員 いまのせっかくの大臣のお答えでありますけれども、そのようなわりあいとばく然としたことはわれわれがしろうと目に感じていることでございまして、それをぜひとも速急に詰めていただきたいと思います。  それから最後にやや角度が変わりますけれども、私鉄運賃値上げについて申請が出されておりますけれども、どの程度の値上げ幅が申請されているのか。大体国鉄がもう実質一・五倍の値上げになりまして、これに誘発されて私鉄が相乗されることになりますと、国民生活に非常な圧迫になるわけでありますが、この点お答えいただきたい。
  363. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 昨年来私鉄のほうが大手十四社だけから見ましても非常に経営が苦しいということで、二六%程度の値上げの申請をいたしておることは事実でございまして、これにつきましては国鉄と関係なく各企業の内容につきましていま詳細なる調査を進めておりまして、まだ結論は出しておりません。しかしこの点につきましては、今後なるべく早く結論を出すように努力をしたいと思っております。
  364. 有島重武

    ○有島委員 先ほど来議論にも出ておりましたけれども、日銀総裁が景気の過熱化を防いで物価高騰を押えるためには、もう金融政策だけでは総需要の抑制はできない、公共投資の年度繰り越し、それから国債発行予定額の削減、またそして特に名ざしでもって国鉄等公共料金値上げの抑制、このように言われているそのさなかであります。この私鉄の問題についてももう時間がなくて議論のあれはございませんけれどもほんとうに極力これを押えなければいけない。あるいは極力押えるどころではなくて、われわれは絶対に据え置くというところまでしなければ、もうこの物価高騰はほんとにどうにもならぬじゃないか、そのような切実なところにいまいるわけであります。  もう時間になりましたので、私の質問は言いっぱなしになりますが、これで終わります。
  365. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 和田耕作君。
  366. 和田耕作

    和田(耕)委員 大臣国鉄総裁——企画庁長官はきょうお見えになっていないですね。ひとつよく私の質問をお聞き願いたいと思っておりますけれども、先ほど同僚の委員からロバが目隠しされてしゃにむに運賃値上げ法案を通そうとしているという発言がありましたが、残念ながら私も同じような感じを受けるのです。いまの日本物価状況というのは非常に危険な状態に入りつつあるわけでございまして、五月と昨年の五月を比べますと一二%という驚くべきアップ、しかもこれも相当長期に続く、こう言われている。消費者物価にしましても一一%強という高い物価の上昇が続いておるという状況の中での国鉄運賃値上げというわけでございます。これも旅客が二二%、貨物が二五%という大幅なものだというわけでございまして、私はきょうはこの国鉄運賃値上げというものが物価にどのような影響を持つものかということについて、これに限って御質問をしたいと思います。  何だか運輸省並びに国鉄側は物価への影響というものをかなり過小に見ておるのではないか、また過小に見たいという気持ちが一ぱいじゃないかという感じがしてならないわけです。  そこで、お伺いしますけれども、今回の旅客二二%、貨物二五%というものが物価に対してどのような影響を持っておるか。これは運輸大臣からひとつ、あるいは国鉄総裁からお伺いしたいのであります。
  367. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど経企庁のほうからも数字をあげてお述べになりましたように、旅客、貨物合わせまして大体〇・四%、これは消費者物価に及ぼす影響である。それから、われわれのほうでいろいろ信頼すべき資料をもとにして考えてみますと、家庭における消費生活、標準世帯をとりまして考えてみますと、〇・二%くらいというふうに数えられるのでございまして、その程度の影響かと思います。
  368. 和田耕作

    和田(耕)委員 内訳として、時間がありませんから私も経済企画庁から聞いた数字を申し上げますけれども、旅客運賃が〇・三四%、そして貨物運賃が〇・〇九%、こういう数字をいただいておるのです。これは間違いないと思うのですけれども、この旅客の〇・三四%の内訳を聞いてみたいんですが、どのような内訳になっておりますか。
  369. 小島英敏

    ○小島政府委員 普通旅客につきましては〇・二七八でございます。それから定期通勤が〇・〇五三でございます。それから定期の通学が〇・〇〇七、合計いたしますと〇・三三八でございまして、これを四捨五入して〇・三四といっておるわけでございます。
  370. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは国鉄自身としてもこのような試算をなさったわけじゃないのですか、総裁
  371. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうは何と申しましても運賃を上げてくださいと申すほうでございますので、資料は御提供いたしておりますけれども、私のほうの数字物価にこれしか影響ないということを申すのは少しはばかりますので、私のほうは物価の影響は資料を提供するだけということにさせていただいておるわけでございます。
  372. 和田耕作

    和田(耕)委員 いまの旅客あるいは定期通学等についての資料がありましたが、定期の値上げは今度はたしか通勤定期二五%でしたね。この二五%の物価に占めるウエートというのは幾らになっていますか。
  373. 小島英敏

    ○小島政府委員 定期のウエートを申し上げますと、通勤が一万分の二十一でございます。それから通学は一万分の三でございます。それに通勤のほうは改定率二五%をかけましたものが先ほど申し上げました〇・〇五三になるわけでございます。それから通学のほうはウエート一万分の三に改定率二二・二%をかけましたものが先ほど申しました〇・〇〇七になるわけでございます。
  374. 和田耕作

    和田(耕)委員 この通勤定期の二五%が一万分の二十一というのはどういう計算根拠になっているわけですか。   〔佐藤(守)委員長代理退席、細田委員長代理着     席〕
  375. 小島英敏

    ○小島政府委員 これは現在のCPIは昭和四十五年基準でございますので、四十五年一年間の家計調査のトータルの中で、いわゆる定期の支出のために費やした金額のウエートがいま申しました数字になる、そういうことでございます。
  376. 和田耕作

    和田(耕)委員 つまり個人の家計調査に対してある一定のウエートをかけてつくった数字だと思うのですけれども、ここで問題なのは、定期というのは大体中小企業ではほとんど会社持ちという状況だと思うのですけれども、定額あるいは全額を持っている場合があるのですが、この調査はできておりますか。
  377. 小島英敏

    ○小島政府委員 これは実は全国調査がございませんで、国鉄が委託調査をされたものがございまして、東京都内の約一千の民営事業所を対象にいたしておりまして、ですから大企業中心ということかと思いますが、その結果が全額会社負担が約六六%、これは会社の数のパーセントでございませんで、頭数のパーセントでございますけれども、全額会社負担が六六%、一部会社負担、これはおそらくある金額までは会社が持つけれども、それ以上は自己負担というものだと思いますが、二八%、それから全額自己負担が約六%、こういうことになっておるわけでございます。
  378. 和田耕作

    和田(耕)委員 いまの数字でもほとんど大部分は会社持ちということになるわけですけれども、この影響は、先ほど申された旅客の〇・三四%という中には入っておりますか。
  379. 小島英敏

    ○小島政府委員 会社が定期券を買って渡すような場合には、これは家計調査には出てまいりませんから計算に入らないということになります。しかし会社が、たとえば公務員の場合のように、通勤費ということをプラスして渡して、それを個人が買うという場合には、これは実質的に企業体あるいは政府負担でありましても、家計調査の内容になって入ってくる。したがって先ほどのウェートの中に入っているということでございまして、したがって結論的には、入っているものもあり、入っていないものもあるということでございます。
  380. 和田耕作

    和田(耕)委員 私は先ほどからの計算の基礎を聞いておりますと、ほとんどいまの〇・四%、旅客運賃物価への影響の数字の中には入ってない、計算してないというふうに思われるのですけれども、このような問題これは一つの例ですけれども、つまり国鉄運賃値上げによって旅客もそのまま上がった、そのものの影響の中にも勘定に入れられなければならないものが入ってないものがあるわけですね。これは一つの例です。  次に、貨物の問題をお伺いしたいのですが、貨物は〇・〇九%です。しかも貨物値上げは二五%というかなり大幅なものです。これが〇・〇九%というのはどうしてもよくわからない。そこでいろいろとこまかく聞いておりますと、たとえば野菜の輸送に対する二五%アップというものがどのような影響になるかということをお聞きしたのですけれども、この野菜の値段は大体市場のせりによってきまるので、この〇・〇九%の中には入っていないという企画庁の方々の話だったのですが、それはそういうように考えていいのですか。
  381. 小島英敏

    ○小島政府委員 もう一回。ちょっと聞き取れませんでしたので。
  382. 和田耕作

    和田(耕)委員 これ時間をちょっとよけいに見てもらいたいと思うのですけれども貨物の〇・〇九%という驚くべき低い影響の数字ですね、貨物が二五%アップするのに、物価への影響は〇・〇九%という数字を出しておられますね。これは私非常に不審に思いまして中のいろいろな問題を聞いておりますけれども、たとえば、常識的に考えると野菜なんというものが非常に影響の多いものだと思われる。で、野菜への影響というものはどうかということを聞きますと、野菜への値段は市場のせりによってきまるものだから、運賃という要素はほとんど入っていないのだ、運賃が高くなろうが低くなろうが、せりできまるから、この値段は無視していいんだというような趣旨の説明をいただいたのですが、それはそのとおりですかと、こう聞いているわけです。
  383. 小島英敏

    ○小島政府委員 〇・〇九%と申します数字は産業連関表を使いましてはね返り計算計算に入れたものでありまして、当然理論的にこの野菜のケースも入っているわけでございます。おっしゃるように意外に野菜などについて影響が少ないではないかというお話なんでございますけれども、ちょっと事例を申し上げますと、今回の等級制の変更、それから運賃値上げに伴って野菜の中で最も影響が高いといわれておりますジャガイモを例に申しますと、北海道から秋葉原まで運びます場合の国鉄運賃が現在は一キログラム当たり四円十五銭でございまして、これが五円三十八銭になる。したがいまして、この運賃の値上がりの倍率といたしますとかなり上がっている計算になるわけでございますけれども、絶対数が非常に少のうございますので、運賃の上昇額といたしますと一円二十三銭にしかならない。したがって、四十六年の小売り価格、これはかなり変動はしておりますけれども、四十六年の小売り価格六十四円に対しましては一・九二%の影響しかない。これは最も影響の高いと思われるジャガイモでこのようでございますから、意外に野菜の小売り価格の中に占める輸送費の割合というものが少ないということだと思います。したがいまして、〇・〇九%というのは一見われわれの常識からいって少な過ぎるという御質問もわかりますけれども計算してみますとこういう数字になるということでございます。
  384. 和田耕作

    和田(耕)委員 〇・〇九%には野菜の値段への影響というものは、昨日私が聞いたところでは、いま申し上げたとおり野菜の価格は市場のせりできまるんだ、だから運賃が高くなろうが安くなろうがこれは無視されるような状態になるんだ、こういう説明をあなたの部下から聞いたんですけれども、これは誤りですか。
  385. 小島英敏

    ○小島政府委員 IO表の計算のもとになります一年間なら一年間の生産額というものは確かに市場価格できまっておるわけでございます。それから、最近の毎日の動きというものも別にコスト計算で一円上がったから売り値を一円上げるというようなことでなくて、需給価格できまっているわけでございます。ですから、その意味では計算からいきますと、IO表自身が市場価格できまっているという意味からはそう申せるかと思いますけれども、〇・〇九という数字は先ほど申しましたように当然これはそのIO表を使って、コストが、輸送費が幾ら上がった場合に全体にどれだけはね返り計算があるかという計算でございますから、これは計算上野菜の場合も入っていると御理解いただいていいと思います。
  386. 和田耕作

    和田(耕)委員 一つの例を申し上げているのですけれども、この〇・〇九%とか旅客の〇・三四%というのは、私は積算の基礎を今後経済企画庁から出してもらいたいと思うのですけれども、何か数字に出る以上に少ないような、たいしたことないなという感じを受けるのですけれども、これは実際と非常にかけ離れた感じがあると思うのです。たとえばいまの、きのう聞いたことですけれども、いまあなた入っているという話ですけれども、市場価格はせりできまるからこういう運賃のアップは入っていないということですけれども、これはそういうものじゃないですね。やはり少し長期に見れば、必ず運賃値上げというものは野菜の価格に影響していくものです。また野菜の半分くらいは市場を通らないで直接に消費者のほうに向いていくものが多いのです。これなんかは直接上がっていくものですね。そういうことですから、そういう物価の問題をもっと重大に考えれば、こういう問題についてもっと実態に近い数字を出していただきたい。これはもう国鉄総裁にも運輸大臣にもお願いしたいことですけせども運賃値上げというのは非常に抵抗が強いからできるだけ影響が少な目にという気持ちはわからないじゃない。おそらくそういう気持ちが働いておると思いますけれども、これじゃいけませんね。いまのインフレ状況というのは非常に重大な局面ですから、この問題ぜひひとつ今後もっと詳細な積算の数字を持って、それらの不十分な点、この問題についての資料をひとつぜひともお願いしたいと私は思うのです。  もう一つの問題は、物価への影響というのは旅客、貨物値上げそのものの影響のほかに、まだ二つあると思うのです。もう一つは、先ほど有馬君が問題にしておりました私鉄、海運、トラック等の直接の関連の企業の物価高を誘発してくるという問題ですね。そこでお聞きしますけれども、私鉄の値上げの申請がある、二六%の申請があるといわれておりますが、この私鉄の二六%というものが上がったと予想した場合に、物価への影響はどういうふうなものになるか、この計算があればお示しいただきたい。
  387. 秋富公正

    秋富政府委員 これはただいま経済企画庁のほうからの御説明と同じ手法でございますが、大体〇・一一五%であります。
  388. 和田耕作

    和田(耕)委員 いまの私鉄の値上げ、しかも二六%の値上げが〇・一一五%、こういうものも、いまの物価への影響というものになると非常に狭い範囲のものだけでなくて、もっと広い広がりを考えて、しかも最小限度どうなるか最大限度どうなるかという形で調べるべきものだと私は思うのです。いかにも低い数字を出しているという感じがしてならないですね。そのことをひとつぜひとも指摘しておきたいと思うのです。  もう一つ大事なことは、もっと間接と申しますか、一般の心理的な影響という問題ですね。この問題をどうごらんになっておられるか。
  389. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 心理的と申しましてもいろいろあると思いますが、結局悪い意味では便乗の値上げというようなものも誘発するおそれがあるということ、それから全体といたしましては〇・四とか〇・〇九とかいうような数字を出しておりますが、そういったものが、これは直接の消費者物価あるいは家計というふうなものに対する影響でございますけれども、波及効果というふうなものを考えてどうかというようなお尋ねかと思います。その点はごもっともだと思うのです。私どももそういう基礎的な料金でございますから、そういった点も十分踏まえながらあらゆる角度から物価対策を講じていかなければならぬということは言うまでもないのでございまして、そういう意味におきまして、今度の国鉄運賃改定につきましてもそういった担当官庁であります経企庁等々と十分連絡をとりまして、そういう波及効果あるいは便乗値上げ等が行なわれないように警戒をしながら実行するのが適当である、そういう努力は大いにしなければならぬというふうに考えておるわけであります。
  390. 和田耕作

    和田(耕)委員 私が御質問申し上げておりますのは、いまの段階で非常に値上げムードの強い状況があるわけですね。この段階で国鉄の旅客二二%、貨物二五%というアップが、つまり間接あるいは心理的な他の物価高を誘発してくる影響をどのように計算されておるのかということなんです。これは企画庁。
  391. 小島英敏

    ○小島政府委員 心理的影響につきましては、どうも先ほどの貨物運賃の場合のようにIO表を使って計算をするというようなことができませんので、遺憾ながら計算不可能といわざるを得ないわけでございます。
  392. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは、私、きのういろいろと聞いてみたのですけれども、波及的な物価高を誘発していくことについては、ほとんど計算をされていないということですね。これは、私、重大なことだと思うのです。非常にむずかしいとは思いますけれども、このように非常なインフレ——この前、企画庁長官から、私の質問に、はっきりインフレの状況だというふうなお答えをいただいたのですけれども、こういう時期にこのような運賃の大幅な値上げが行なわれた、この心理的な影響はどうなるかということについて、政府は、ある程度の見当をつけないで、こういうふうな値上げを出すということは、私は、国民に対しての責任は果たされていないと思うのです。しかも、こういう問題を専門に研究される企画庁でもわからない、見当がつかないというのでは、これは政府としての責任は果たされないと思うのですね。これは運輸大臣あるいは国鉄総裁は、このような問題をどのようにお考えになっておるのか、たいしたことはないとお考えになっておるのか、あるいは相当大きなものだというふうにお考えになっておるのか、こういう点について、現在のインフレ状況が非常に深刻な時期に、このような法案を出す責任者の心がまえとして、何とかしてこういうふうなものを、こういう大きな影響があるからこういう手を打っていきたいというようなことの基礎になる見通しくらいは立てないと、責任は果たされないと思うのですけれども大臣あるいは国鉄総裁、いかがでしょう。
  393. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおりに、また、企画庁から御答弁がありましたように、心理的影響というのは、これはおそらくだれがやりましても数字になっては出てこないだろうと思います。ただ、政策的にそういう波及的——国鉄運賃値上げがあったから、この品物についてはこれだけコストが上がるのだというようなことで、これは便乗ともいえましょうが、そういうような値上げが頻発しないように、政策的に考慮しなければならぬという問題に帰するかと思います。  先ほども申し上げましたように、担当官庁であります経企庁とも十分に連絡をとりながら、そういった便乗値上げのようなことが一般的に行なわれないように、あらゆる方法を講じて、それを防止していくためにお互いに努力をしよう、こう言っているわけでございまして、これは十分注意をしてやらなければならぬと思います。
  394. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かに運賃問題と物価問題は非常にむずかしい問題で、企画庁の専門の方が計算されても、なかなか計算のしかたもいろいろあると思いますが、ただ、私ども先ほども申し上げましたとおり、とにかくいまお願いする立場でございますが、ただ、理論でなしに実績だけはつかまなければいけないというふうに考えております。たとえば、四十年代になりましてから、四十一年の三月ですか、それから四十四年の五月ですか、運賃を上げていただいた年も月もはっきりきまっております。それから日銀の消費者物価指数もずっと月別に出ておりますので、過去の実績をトレースしますと、運賃値上げをした月にそれほど大きな物価変動は実はないわけでございます。これは、過去の実績で、いま先生のおっしゃった現時点の問題と少し違うかとも思いますけれども、私どもといたしましては、理論値の計算は企画庁の専門家にお願いするといたしましても、過去の実態はどうであったかということ、これはいま先生のおっしゃった心理的要素もあれば、便乗値上げも含んでいるということが前提になるかもしれませんが、一応過去の実績を検討いたしますと、実は、過去ずっと三十年代から見ましても、消費者物価指数にはあまり影響してないというのが実績でございます。これは客観情勢が違いますから、一がいに今度もいいとは申せませんが、ただ、過去の実績は一応そうであったということだけ申し上げます。
  395. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 いま仰せになりました心理的影響は、私は非常に大きなものがあるかと思います。数字的には、まだ計算はできないのでございますけれども、この国鉄運賃あるいは公共料金の値上げというのは国民にかなり大きな影響を与えると思いますので、今後はこれに対して慎重に対処していかなくてはならない。また、実際に国鉄が上げました際は、すでに予想されているように、私鉄、海運、電力あるいはその他の公共料金にも影響を及ぼすのではないか、こう思われますが、まだ具体的にはわれわれの手元にはその資料が参っておりません。したがって、私どもの手元に参りましたならば、極力国民経済に与える影響が少なくなるようにひとつ十分検討してまいりたいと思います。また、多少資料がわかりましたならば、その実際的な効果についても測定するつもりでございます。
  396. 和田耕作

    和田(耕)委員 町の声は、国鉄運賃が上がるのだからということで、おれたちのとうふ代にしても何にしても上げなければならないという全面的な一つの感じですね。たとえば、政府はよく世論調査をなすっておるのですけれども、この問題について、つまり心理的な波及の悪い影響というものを見きわめるためにも、私は、世論調査の方向である程度の試算ができると思うのです。これは最大限の悪い数字になるかもしれませんけれども、いろいろな方法があると思うのですよ。そういうことを、このような重要な法案を出すときには政府としては万策を講じて、この物価への波及的影響を検討しなければならない。それをほとんど全然していない。これはわからないということだけで、していないというのが実情ですね。これは私は非常に重大だと思うのです。政府は、田中さんも物価の問題についてはあらゆる努力をいたすということでいろいろな手を打っておられるけれども、具体的なこういう運賃値上げというような重要な法案についてのそのような施策がほとんど見られないという実情があると思うのです。これは私は、ぜひとも、いまの世論調査を通じて——運賃と関係の深い業界の状況もあるわけです。いろいろなデータを含んで、これがどのように国民の生活に影響があるかということを即刻ひとつお調べを開始していただきたい、このように私は思うのですけれども大臣、いかがでしょう。
  397. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 お説の点は、経企庁長官とも十分連絡をいたしまして、できるだけそれに対する対策を考えたいと思います。
  398. 和田耕作

    和田(耕)委員 これで終わりますけれども国鉄運賃値上げというのは、先ほどから質疑をしておりますように、直接の値上げという問題の試算はできております。これは旅客の場合の定期の問題でお伺いしたように、定期の値上げをしたその個人の家計における影響というものは勘定に入れておるけれども、実際は定期の値上げというのは、会社——中小企業は大部分自分たちが持っておるという状況、この影響が考えられていないのじゃないかと私は思うのです。また野菜の問題にしても、かなり影響がある。この間、順法闘争があったときに、野菜の値段が上がるといって困ったじゃないですか。政府は直接トラックで運ぶということをやったじゃないですか。つまり野菜の値段に対する運賃値上げの影響は非常に大きい。大きいけれども、実際の野菜の値段は市場価格できめるので、無視されるようなことになるのだという——これはいま局長さんは否定されたような答弁でしたけれども、実際にやっておる人はそういう感じを持ってこれを試算をしておる。こういうところに運賃値上げの直接の影響というものを非常に過小評価する心理的な要素というものを政府としては持っておる。しかし、それでは、このようなインフレの強いときには、正しいとはいわれない。  第二次の私鉄とかあるいは海運とか、トラックとか、輸送に対する影響という問題についても、これはもっと直接の影響よりは大きいと思うのです。これについても十分な見通しを立てておられない。  第三の最も大きいと思われる国民の心理的な影響については、わからないとおっしゃる。これでは、こういう重要な問題についての物価への影響、国民への責任というものは果たされないと私は思う。  したがって、私は最後に結論的なことを申し上げますと、これは私、この間テレビの討論会でも申し上げたのですけれども政府が、国鉄財政その他から見て運賃値上げをしなければならないという理由はよくわかる。よくわかるけれども、現在の非常に物価問題が深刻な状況のもとにおいて、今後消費者物価政府の試算では五・五という数字を出しておりますけれども、私、数日前に、日本の有力な各調査機関をほとんど回ったのですが、年間の消費者物価のアップを一〇%以下に見ているところはないのです。もし一〇%以上になれば、これは政変ものだと私は思う。一〇%のアップが今後数年も続いていくということになれば、日本の金融政策を全部変えなければいけませんよ。預金も利子も、全部変えていかなくてはいけない。そういうふうな重要な時期にこの問題をお出しになるのだから、これは私は一年間、問題を目をつぶって、政府物価に対する真剣な態度を示すためにも、延ばしたらどうなんだ、こういう主張をあちこちで、街頭でもしているし、テレビでもしている、どこでもやっているのですが、ロバに目隠しさしてまっしぐらに進んでおる運輸大臣国鉄総裁にはおわかりにならないかもしれませんけれども、そのような考慮を——答弁は要りませんが、ぜひともしなければならない。これは物価の状況から見てそうなんです。  こういうように申し上げまして、まあ参考になさるかどうかは御自由でございますけれども、ぜひとも、いまのいろいろ申し上げた物価への影響というものをもっと真剣に検討をするという心がまえをもってこの運賃値上げに対処していただきたい。このことを要望いたしまして私の質問を終わります。
  399. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 以上で、本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後六時四十三分散会