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沖本委員 そこで、先ほどのことに戻すわけでございますが、憲法第八十条第一項及び
裁判所法第四十条は、高裁、地裁、家裁、簡裁の
裁判官は最高
裁判所が指名した者の名簿により内閣が任命し、任期は十年で、再任することができることを規定しておって、下級
裁判所の
裁判官の指名権が最高
裁判所に与えられている
趣旨については、それらが
裁判所以外の国家機関の手にあるよりは、
裁判所部内の最高
裁判所の手にあるほうが、それらを通じて間接にでも
裁判官の行動に何らかの支配を及ぼす危険がはるかに少ないと
考えられる。こういうたてまえ、
考え方に立ってそういうふうに解釈すべきであるという、こういう解釈が出ております。ですから、下級審の
裁判官の任期を十年とした規定は、
裁判官の身分の保障が厳格であることの反面として、誤って任命された不適格者を排除する道を開き、身分保障に伴いがちな
裁判官の独善化、化石化を防止するためである、こういうふうにもなっておるということで、いま申し上げていることは、当然いつもお答えになっていらっしゃるようなところを繰り返しておるわけでもあるわけです。ですから結局あなたのほうの参議院の法務
委員会の答弁の中からも、十年の任期終了時に自発的に勇退する
裁判官が毎年七、八人あり、自分の意思でなくて名簿に載らない
裁判官が
平均して年に一名ぐらいあるほか、他はすべて再任されているのが
実情である。自分の意思でなくて名簿に載らない
裁判官も、いままでのところ心身の障害その他の客観的理由があったものと推測される、こういうふうにお答えになっていらっしゃるわけです。
そこでその経過についてさらにあなたのほうのお答えは、
一般的には人事の停滞を防ぐためであり、また再任不適格者を除くためであるというふうになっているけれ
ども、
一般的に人事の停滞を防ぐためだけれ
ども、それが司法特権官僚の間で自由に裁量できるというところに問題があるのだ、こういうふうな
指摘もここにあるわけで、そうなってくると、
裁判所法の規定する
裁判官の身分の保障、転所の保障は、実質的に空文化してしまう、こういう疑いが出てくるわけですね。だから、そういう疑いのもとに、できればその
内容を明らかにし、結局疑いを持たないで納得できるようなものを、
関係者であり、そういうものに興味を持つ人であり、さらには国民の前に明らかにしていただくべきである、こういうふうになってくるわけです。その点がずっといまだに明らかにされない。そこらに問題があるわけで、そのあとにも出ておりますけれ
ども、新聞記者の
質問にあなたのほうはお答えになっていらっしゃるのは、長官を含めて十五人の
最高裁判事が大ぜいの任命資格者をそれほどよく知っているはずがないというけれ
ども、法曹界の経験の長い人ばかりだからよく知っている、こう四十四年の六月にお答えになっていらっしゃるということなんですけれ
ども、十五人の最高
裁判官の中には職業
裁判官出身の
裁判官ばかりでなく、学界出身者、
弁護士出身者の
裁判官も相当いらっしゃる。そういう点から、多数の裁
判事件の処理と同時に、二千五百人にのぼる
裁判官について一々その
実情を知り、毎年相当数にのぼる任命資格者の詳細と、これまた毎年五百人にも達する
裁判官の転任について正確な知識を持つことができると断言できるかと、こういうふうに出ているわけですね。
こういうものを読んでみると、なるほどそうではないかと
一般的に私たちはそのほうに加担したくなってくるわけです。そういう
内容について、もう少し、また最高裁のいままで論議されたところで一番重要な問題になるのじゃないかとも思いますけれ
ども、その間を少し明らかにしていただくなり、何らかの妥協をしてくれとかあるいはそこらでひとつ折れてほしいとか、そういうものではないと思いますけれ
ども、もっと前進的に、いま私がとらえております問題は、志望者が非常に少なくなってきつつある、魅力がなくなってきている、あるいは
裁判官がその仕事を、公平な裁判を行なうについて意欲をなくしてくる、こういうふうなことになったのではたいへんな問題になってくるわけです。そういう観点からお伺いしているわけですから、その辺に何らかの前進的なくふうをお
考えになって、問題解決なり何なり明らかにしていただくというような道を開いていただきたい、こういうふうに
考えるわけですが、その辺についての現在のお
考えはないものでしょうか。