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1972-08-08 第69回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月八日(火曜日)     午後一時二分開議  出席委員    委員長 正示啓次郎君    理事 國場 幸昌君 理事 田中 龍夫君    理事 湊  徹郎君 理事 中川 嘉美君       有馬 元治君    大野  明君       奥田 敬和君    小山 省二君       佐藤 文生君    斉藤滋与史君       關谷 勝利君    野呂 恭一君       服部 安司君    別川悠紀夫君       松山千惠子君    粟山 ひで君       山下 徳夫君    渡部 恒三君       大原  亨君    佐野 憲治君       安井 吉典君    二見 伸明君       門司  亮君    東中 光雄君       安里積千代君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      本名  武君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増原 恵吉君  委員外出席者         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁装備局長 黒部  穰君         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁労務         部長      平井 啓一君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         外務政務次官  青木 正久君         外務省アメリカ         局長事務代理  橘  正忠君         外務省欧亜局長 大和田 渉君         外務省条約局長 高島 益郎君         厚生省薬務局薬         事課長     松田  正君         水産庁長官   太田 康二君         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 七月十七日  辞任         補欠選任   宇田 國榮君     大野 市郎君   小渕 恵三君     宇野 宗佑君   大村 襄治君     小山 省二君   木野 晴夫君     渡辺美智雄君   谷垣 專一君     村山 達雄君   谷川 和穗君     坂本三十次君   藤波 孝生君     野呂 恭一君  三ツ林弥太郎君     渡辺  肇君 八月八日  辞任         補欠選任   石井  一君     奥田 敬和君   宇野 宗佑君     有馬 元治君   大石 八治君     斉藤滋与史君   大野 市郎君     別川悠紀夫君   加藤 陽三君     松山千惠子君   笠岡  喬君     粟山 ひで君   佐藤 守良君     渡部 恒三君   坂本三十次君     服部 安司君 同日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     宇野 宗佑君   奥田 敬和君     石井  一君   斉藤滋与史君     大石 八治君   服部 安司君     坂本三十次君   別川悠紀夫君     大野 市郎君   松山千惠子君     加藤 陽三君   粟山 ひで君     笠岡  喬君   渡部 恒三君     佐藤 守良君 同日  理事本名武君七月七日委員辞任につき、その補  欠として田中龍夫君が理事に当選した。 同日  理事大村襄治君七月十七日委員辞任につき、そ  の補欠として湊徹郎君が理事に当選した。     ————————————— 七月十二日  一、沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の   一部を改正する法律案上原康助君外十四名   提出、第六十八回国会衆法第一五号)  二、沖繩住民等が受けた損害の補償に関する   特別措置法案安井吉典君外八名提出、第六   十八回国会衆法第三二号)  三、沖繩及び北方問題に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  沖繩及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任の件についておはかりいたします。  委員辞任に伴い、現在理事二名が欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 正示啓次郎

    ○正示委員長 御異議なしと認めます。よって、理事田中龍夫君、湊徹郎君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 正示啓次郎

    ○正示委員長 この際、国務大臣本名武君から発言を求められておりますので、これを許します。本名国務大臣
  5. 本名武

    本名国務大臣 私、先月の田中内閣発足にあたりまして、はからずも総務長官を拝命いたしました本名武でございます。  申し上げるまでもなく、まことに不敏ではございますが、皆さま方の力強い御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。  実は、私も短い期間ではありますが、沖特委の末席を汚し、委員長をはじめ委員先生方にたいへん御鞭撻、御指導を賜わりましたことをこの機会に厚くお礼を申し上げると同時に、この立場になりましたことは非常に光栄である反面、責任の重大なることを痛感いたしております。  この後は何とぞ御指導、御鞭撻を賜わりまして、この職責を全ういたしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  6. 正示啓次郎

    ○正示委員長 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。國場幸昌君。
  7. 國場幸昌

    國場委員 開発庁長官お尋ねをいたします。  まず最初に、本名長官においては、去る七月二十二日から二十五日まで、台風の中にもかかわらず強行着陸という危険をおかし沖繩を視察され、私もお供をしたのでございますが、県民長官意欲行動力に大いに感謝しているのであります。  屋良県政に対する長官発言も、地元を奮起させる意味での長官の真摯な情熱の発露であると本委員は信じております。  沖繩視察中いろいろな問題に触れられたと思いますが、各団体との話し合いの中でも、沖繩経済の本質を改善するための対策社会資本整備、第一次、第二次産業振興、立ちおくれた医療施設整備拡充等、多くの要望や意見が出されました。これらの問題はいずれも重要な問題ばかりであり、ぜひ解決をはかってもらいたいのであります。  当面する重要なる問題だけでも、復帰記念植樹祭振興開発計画特別国体海洋博への取り組み、その他にも困難で固有な問題が山積されておるのも御承知のとおりであります。それらを解決し、成功させ、名実ともに豊かな沖繩県をつくるには、何といっても地元意欲持ち、寛容ではあるが、中央政府としても指導すべきものがあればびしびし指導すべきだと思うのであります。  さて、開発庁長官お尋ねをいたしますのは、沖繩振興開発十カ年計画の策定に対しまして、沖繩県のほうからいかような計画が出されておるものであるか、また、開発庁長官としましては、それに対する取り組みはどうなっておりますか、まず最初にその点をお伺いしたいわけでございます。
  8. 本名武

    本名国務大臣 先般、私長官に就任いたしましてから初めて沖繩を訪問いたしました。その節は、國場先生をはじめ、安里先生等より御懇篤なる御案内、御指導のおことばをいただきまして、非常に感激して帰ってまいりました。同時にまた、非常に連日、暴風雨の中ではございますが、現地におきましては、知事をはじめといたしまして、市町村長あるいは各界の代表の方々から懇切に御案内をいただき、またいろいろと御鞭撻を賜わりましたことを、この機会に厚く感謝を申し上げる次第でございます。  そこで、沖繩県計画についてどういう要請があったかということでございますが、私が一番心配しておりましたのは、やはり二十七年の長きにわたってアメリカ施政権下にあったということ、この事実がまず大前提でなければならない。そしてそれを踏まえて、一体沖繩開発は今後どうすべきか、あるいは民生の安定をはかって、沖繩県民ほんとう沖繩に住むことに誇りを感ずる、豊かな沖繩をつくるためにはどうかということは、やはりこの歴史的な事実を無視するわけにはまいらない。  それで、今度それらのことを気にしながら参ったのでありますが、御要請の中にはかなり前向きのものもございました。  しかしながら、一方においては、やはり復帰に伴うところ事後処理、これこそが私は復帰後における沖繩ほんとう開発使命意義であるというふうに痛感いたしたこともたくさんございました。  さらには、一次産業に対する御見解、御要望あるいは二次産業に対するそのあり方、あるいは雇用関係状況というもの、さらには沖繩一つ誇りであるところの三次産業、特に観光開発を中心にしたいろいろな御要望があったわけであります。  さらにまた、当面の問題といたしましては、いま御指摘のありましたように、植樹祭あるいは国体、さらには海洋博等々について、とにかくこれらのものを成功させなければならないということであります。  同時にまた、何といっても社会資本の充実その他経済の基本になります公共事業について、道路、港湾、空港、交通機関等々について、それぞれ具体的な御要請がございました。私どもはそれを体しまして、積極的に御要望にこたえられるように、今後努力しなければならかいという思いを新たにして帰ってまいったわけでございます。帰りましてからも、連日のようにいろいろとそれらの問題について検討を重ねているというような実情でございます。
  9. 國場幸昌

    國場委員 海洋博の問題でございますが、御案内のとおり、日本におきましては今日まで、国際オリンピック大阪万博北海道冬季オリンピックと、相次ぐ国際的な事業人類称賛の上に大成功裏に終わったのであります。このたびの沖繩においての海洋万博というのは、承りますと、国際的に海洋においての博覧会というのはこれが初めてだということを承っております。御案内のとおり、それを開催する準備としましては、大阪あるいは東京、北海道、かようなる地域とは違ってずいぶん僻地でございまして、あらゆる面においての政府援助、御指導を仰がにゃいかないと思うのであります。  そこで、三カ年後に控える海洋万博、いま私は、現地海洋博に対しての取り組み、あるいは今日までのこれに対するところ進行、これを見ました場合に、不安を持つのであります。これを、前に行なわれたところの三つの世界的な大事業、かようなるものとひとしくして、これでもしつまずいたとした場合には、今日までのせっかくの三大事業に対しての、世界的なこの日本の国力に対するところの期待、かようなる結果が水泡に帰するというおそれもあるわけでございます。  そこで、いま現地におきましては、県知事努力しておるといえども、しかし、いずれにしましてもしろうとでございまして、たとえばそれに対するところ準備公務員としましてはわずか三名や四、五名の人員しか配置しておりません。としますと、それに対する土地の収用、その買収にさえもまだ目鼻もついてないというような現状でございます。かようなる状況におきまして、予算、これに対するいわゆる費用として、承るところによりますと、五千億以上の沖繩県からの要請もあるということを聞いております。五千億以上のこれに対する設備費として、これを消化するにはおのずから日程というものとそれから規模というものが考えられるわけでございます。もうすでに九百日と迫っておるようなこの日時において、土地買収問題——土地買収されてあとに測量が始まり、それで図面ができて、それに対する設備が着工されるわけでございます。  私はそこで、国としまして、また担当大臣としまして、それに対する取り組みがどうなっておるか、この問題に対して成功を来たすためには、やはり現地は何々をやるんだ、国は何々をやるんだ、その分担に対しておのずから責任を持たし、計画どおり海洋万博実現に対しての進路というものにはっきりと目鼻がつかなければいかないではないかと、こう思うわけでございます。私は沖繩地元国会議員としまして、その責任からも、いまのような取り組みではたしてこれが計画どおりのことができるかどうかということに不安を持つわけでございます。大臣の御所見を承りたいわけでございます。
  10. 本名武

    本名国務大臣 当面する重大な課題である海洋博に関連いたしまして、沖繩の今後の問題にも触れられたわけでありますが、私は沖繩海洋博は、これは県民皆さま方が重大な関心をお持ちいただくと同時に、この海洋博機会といたしまして、やはり沖繩振興開発の上に一つの礎石になってもらいたいということが念願でございます。同時にまた、海洋博使命からいたしまして、県民方々はもちろんのこと、やはり全国民が、そして世界の人々が、海洋に対する新しい認識と、そして公害のない世界をつくろうと努力するところ海洋使命考えるというようなことから、確かに意義は重大であろうと思います。  御指摘のように、冬季、夏季のオリンピックやあるいは大阪万博のようなことは、大体関係国が過去においていろいろ体験をいたしておられたことで、その体験に立って、日本もこうやる、ああやるという一つのものさしのようなものがあった。しかし、私の知る範囲では、海洋博についてはそういうことがないので、日本としてもたいへんな努力が必要であろうというわけであります。  そう考えてまいりますと、私どもも非常に重大な関心持ちまして、実は先般私が沖繩へ参ります前に数度海洋博関係閣僚会議を開きまして、積極的にこれと取り組むと同時に、つとめて困難を排してもりっぱに成功させるんだという意気込みで参ったわけであります。しかし、現地におきましては、こういう大仕事に取り組むのでありますから、また、あの海洋博のための前提となるいろいろな準備も必要でありますから、なかなかたいへんなことだと拝察しつつ参ったのでありますが、やはりいろいろな点で、私ども考えていたとおりにはいかないのではないかという心配を持ちましたことは、率直に申し上げて私もそういう考えを抱いたわけであります。  そこで、知事さんをはじめ県庁の幹部の方々、あるいは県会方々とお会いするたびに申し上げていたことは、国はあらゆる御要望仕事をやりたいと思っている、ただ、具体的には道路のようなものは、高速道路路線をどうするかということは、現に国においてもいろいろ調査をしなければならぬ、また地元におかれても、路線等については御希望のようにぜひりっぱにつくり上げていただきたい、その根幹になるもの、御指摘のような土地買収問題等についてもぜひ積極的な責任を持っていただきたい、ともに手を携えてこれらの問題を解決していこうということでお話し合いをしてまいったわけでありますが、時たまたま、沖繩県におきましては振興開発計画を御策定いただき、しかも私どもはこれはでき得ることなら、新しい計画の中に盛られた一部を、四十八年度においてはぜひ取りかかりたいということもこれあり、ぜひ大急ぎやっていただきたい、こういうことをお願いしたのであります。  先ほども申し上げましたように、率直に申し上げまして、二十七年の長い間アメリカ施政権下にあり、また国民として、やはり中央政府日本政府援助、支持によって、沖繩を建てていかなければならないという、むしろ宿命的な状態に置かれておることも考えてみますと、行政そのものにもいろいろと御苦心の点があろう、そういう御苦心の点に対しては、どうかひとつ元気を出してやっていただきたいということをお願いしてまいったわけであります。  そういうことをあれやこれや考えてみますと、当面する海洋博はもちろんのこと、取り急ぐ一連の仕事について、今後とも県の意向を十分に拝聴しながら、中央政府責任を全うしてりっぱな沖繩づくりのために、あるいは当面する仕事目的達成のために努力をしてまいりたいと考えております。
  11. 國場幸昌

    國場委員 質問事項があまりたくさんございまして掘り下げてお尋ねすることはできませんが、その点に対しましてはなかなかなれないようなことであるし、初めてのこの大事業、これがうまくいくようにこいねがい、また、私ども最善を尽くしていきたいと思いますが、大臣におきましても、全面的なお力添えをして大成功裏にこれがスムーズに開催されるのを期待するわけでございます。  次に円の切り上げに伴う差損補てん、昨年の十月九日の通貨確認で一応補償されたのでありますが、昨年十月九日以降、沖繩復帰の五月十五日までの経済成長に見合う分が、新聞報道によりますと約三十二億円はつかみ金として補償するというような方向で、前総理府長官山中大臣新聞報道をしたわけでございますが、これに対するその後においてのいわゆる取り組みがどうなっておるか。これは個人個人のやはり権利に基づくところ補償でございますので、承りますと、これが何か福祉施設のほうに一括して、経済成長度によるいわゆる差に対しての補償をしようと、こういうようなことがいわれておるわけでございますが、県民としましてはやはり個人財産に対しての補償である、社会福祉設備面であればこれは国家がなすべきものであるので、個人財産権に対しては何らかの方法でこれを支払いするという、事務的においていろいろの困難さもあるといえども、しかし最善を尽くして個人個人に対しての補償をしていただきたい、こういうのが県民の声でございます。それに対して大臣のほうではいかなるお考えをお持ちでありますか。いま一回念を押してお聞きしたいのでございます。
  12. 本名武

    本名国務大臣 円切り上げによります差損につきましては、御案内のとおり、昨年十月八日、九日におきまして通貨及び通貨性資産について処置をいたしたのでございますが、その後ドルの換算率等の変化によりまして、差損を生じられたということは十分承知いたしております。しかしながら一方においてはなぜ差損を生じたか、通貨の切りかえに対応することではなくして経済成長があったということ、これは当然私は見直すべきであるというふうに考えております。ただ、いま御指摘のように、これを個人資産に対してそれぞれ対応しろということになりますと、何とかそうしたいと思ってやってみましたけれども、これを処理いたしますのにはたいへんむずかしい問題、困難な問題がたくさん横たわっております。これは私が申し上げるまでもなく御了解いただけると思うのでございます。しかし、それだからといって何にもしないということは私は考えるべきじゃない、何とかしなければならないというふうに考えております。そういう考え前提にいたしまして、いろいろ経済成長率等を調べましたその数字が大体三十二、三億ではないかという推計になりまして、そのことを前長官が発表されたことと思います。私は前長官考えも受けまして、さらにはまた、新しい何か方法がないかということも含めまして、いま引き続き鋭意検討いたしまして、私としては何らかの処置をいたしたいというふうに考えておりますが、御指摘のように、個人資産に対して個々に支給するということは、差損を埋めるということは、技術的にもあるいは手続上その他調査、いろいろな問題において非常に困難があるということをお含みおきいただきたいと思います。
  13. 國場幸昌

    國場委員 困難なことといえども、それに対しては最善の英知をもってひとつ解決していただきたいことを希望するわけでございます。昨年の十月八日以前に決定されたところ差損補てん、すなわち三百五億、これは御承知のとおり復帰しまして円交換をいたしましてからすでに三カ月になんなんとしておるわけでございます。この三百五億というものは、日歩二銭とした場合においても御案内のとおり相当な金額になるわけでございます。沖繩県民としては、それに対しての支払いを一日も早くというような要望に対し、いまだこれをいつから払うんだというようなめどもついておりません。これをいかように支払うものであるか。それだけの三百五億というような沖繩住民のその個人的な資産に対し、現在のところこれが凍結されておるというようなかっこうでございます。それはいつごろになるか、それに対してまた利子をつけてやるのかどうか、こういうようなところもお伺いしたいのでありますから、それに対する御答弁は大蔵省でも担当局長でも、おいでになったらどちらでもかまいません、それに対しての即答をお願いします。
  14. 渥美謙二

    渥美説明員 昨年十月八日に確認いたしました金額に対します差額の交付というものは、すでに現在進行中でございます。現金につきましてはもう済んでいると思いますし、預金のほうは十一月末までに完了する、こういう運びになっております。凍結されているというようなことはないと思います。
  15. 國場幸昌

    國場委員 その点は、それを本人が要求してもいつ払うかというようなことに対しては、全然受け取った人もまだ一人もおらないし、これを待ちわびておるのが現状なんです。また預金にあるもの、これは円に切りかえる額面にしましても三百五円の通帳においての転記をされておるわけでございますが、しかしその差損に対して、それじゃこれが預金に増額されておるかといったらそんなこともない、三百五円そのままの額面をもって転記されておるのが現状なんです。それから金が必要だからその分に対して早くと言いましても、それがいつ払えるかということも確答されておりません。局長さんは何か勘違いではないでしょうか。
  16. 渥美謙二

    渥美説明員 ちょっとおっしゃることがよくわからないのでございますが、もうすでに現金につきましては、ちょっと資料は古いのですが、一カ月ほど前に七〇%以上のものが支払い済みであるということになっております。
  17. 國場幸昌

    國場委員 私はきのう沖繩から来たんですよ、私のほうは現にその通帳もあるし、また現にやっておる人たち要望を代弁しておるわけでございますので、その点はっきりとしてください。お願いします。  それから復帰対策としまして、沖繩中小企業対策問題に対しては特別なる融資としまして、三百六十円読みかえに対する労働賃金中小企業に対しての融資八十億、まことに県民は感謝しております。その他の企業に対しましてもいろいろ特別なる配慮をしていただいて感謝しておるわけではございますが、問題はそれに対する金利あるいはまた年期においての長期、かようなるものに対して、御承知のとおり本土におきましてはやはり輸出不振、いろいろの問題がからみまして、公定歩合の引き下げもやられておるわけでございます。開発庁金融に対しましての金利というのは、前にきめたあの金利をもってする、何ら特別なる措置を講じてないというのが沖繩の声でございます。それに対しまして、貸し付け条件あるいはまた返済年期あるいはまた一番重要なる問題は、金利引き下げあるいはまた資金的におきましても基金そのものが二十億という限定された、あるいはまた従業員一人に対して八万円、こういうような問題もございまして、それに対する基金の増資あるいはまた一人当たりに対する融資八万円というワクを二十万円、三十万円に引き上げてもらいたい。金利に対しましては、たとえばガス企業に対しての問題でございますが、沖繩開発金融公庫時代には七%で借りられておったのが実情でございます。ところが今度は、特別措置を講ずるというような、企業育成だというのに七・五%という、かえって〇・五%高くなっておるというようないわゆる矛盾した問題もあるわけでございます。それに対していかような計画をお持ちであるか、また沖繩住民そのもの希望によって、これを改正せんとすることにお考えがあるかどうか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  18. 本名武

    本名国務大臣 公庫の金利の問題を初めとして、条件については少なくとも本土よりも有利である体制に出発しているわけでございますが、いま御指摘の、たとえばガス企業が逆に高くなったとかいうようなことについては、局長のほうから答弁いたさせますが、中小企業の八十億につきましても、これは本土とは——本土と申しますか、在来の金利体系からまいりますと、たしか三分五厘だと思いますが、相当優遇しているのではないかと考えておりますが、そのほか、いまお話のありましたような公庫の融資条件全般につきましては、たまたま基準金利の検討をいたしている最中でもあり、さらに進んで沖繩金利がいかにあるべきかということを検討いたさねばならない段階にありますので鋭意検討いたしておりますが、先ほど御指摘の詳細については局長からお答えいたさせます。
  19. 岡田純夫

    ○岡田説明員 ガス事業の点についてお答え申し上げます。  原則といたしましては、沖繩公庫、本土、現地を通じまして最も低いほうを、電気でありますとかそういうふうな特別なものにつきましては、さらに特別な低い金利を定めていることは御承知のとおりでございます。ガスにつきましては、本土の場合八・二%の融資率になっております。公庫についてなお高いという御指摘でございますけれども、七・五%ということでございますので、本土の系統事業に対する融資率よりは低いということでございます。  なお公庫の全般の運営については、ただいま申し上げたようななるべく低い、長期というふうな考え方で今後とも進めてまいる性質のものと考えております。  なお、八十億の中小企業融資の問題につきましては、大体現在までのところ、五十億程度の希望が出ておりまして、それに応じまして、資金の交付も着々と進めており、大体要望におこたえできておる、かように考えておる状況でございます。
  20. 國場幸昌

    國場委員 もう一点、これは関連しますので……。  五名以上の職場、すなわち中小企業の定義によるということになっておりますが、沖繩側としましては、五月十五日現在の人員をもって査定していただきたいとか、あるいはまた、それに対する八万円というものを二十万円もしくは三十万円ぐらいにしていただきたいとか、あるいは特別融資に対しての金融公庫の問題に対しましても、たとえば工業連合会のほうの申し入れによりますと、現在においても八十一億の借り入れ申し入れがある、それに対して二十億というようなワク内においての融資ということに設定されると、これはとてもとても焼け石に水でございますので、そのほうに対しての基金もふやしていただきたいとか、いろいろな要望があるわけです。またガス企業で申しましても、本土と対照するということよりも、沖繩においての同一するような性格を持つ電気企業に対しては五%でございます。開発金融公庫時代、復帰前において、その企業に対してのウエートというのはやはり物価問題、料金問題というのが影響するのでありますので、七%であった。本土においては八・五%、八・二%といいましても——私が言いたいのは、未開発なる沖繩においてのガス事業、これに対して、現在開発公社そのものが復帰したがゆえに高くなるということでは、ガス普及に対して、しかもそれはやはり保安上からでも危険をもたらす。プロパンガスは税金は一銭もなし、それに対してのいわゆるガス電気消費税にも適用されない。こういうようなことでありますので、特別に五%ぐらいにしていただきたい。そうすると、いまの普及率大体二五%が、せめて五〇%ぐらいの安全なガス施設ができるようにと、こういうようなことを希望しておったわけでございます。時間もございません。これに対して御返事はもうよろしゅうございますので、希望があり、ぜひそのようにしていただきたいということをお告げ申しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  21. 正示啓次郎

  22. 安井吉典

    安井委員 本名長官が、沖繩開発の問題にさらに一そう前進的なかまえで取り組んでいただきますことをまずお願いを申し上げ、若干の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  復帰後の沖繩に対する中央政府の対応は、新長官から本式に始まるということになるのでございますが、私どもは、二十七年異民族支配の中に、捨て子同然に放置されてきた沖繩に対するものである以上、それらの現状を踏まえた対応でなければならぬと思います。ただ、七月二十八日の閣議で、本名長官が、沖繩視察をされての印象をお話しになり、記者会見でさらにそれをなぞっての御発言があったようでありますが、新聞でごく簡単な報道を見た限りにおいては、何か、沖繩の屋良新知事のもとでの県政はたよりなくて、そういうようなものでは困るというふうな御発言で、ちょうど知事選挙が終わって間もなくでもありますために、何か自民党が推薦をした候補が敗れて、革新共闘の推薦の候補が当選をしたことに対しての一種の感情を込めての話ではないかというふうなとられ方もしていたようであります。しかしそうはとらない向きにあっても、これからの沖繩をどうするかというお立場の長官の御意見としては、もう少し何か言い方があったのではないか、こういうふうな批判もあるのでありますが、私はこの際、復帰後の沖繩への中央政府の対応の基本姿勢といいますか、そういう点から、ひとつこの点に対してのお答えを求めたいと思います。
  23. 本名武

    本名国務大臣 先般の沖繩視察に関連いたしまして、私が閣議で報告いたしましたそのことは、簡単に申し上げますと、詳細についてはそれぞれ所管省の大臣に報告するけれども、私は、沖繩の置かれている特殊な歴史と実態というものを踏まえて、政府は、たとえば本州の各道府県と同じ態度であってはいけない。懇切丁寧にやはり復帰後における国の方針もお示しする必要があろう。同時にまた、大事なことは、私は就任当初のごあいさつにも申し上げたように、何といっても、沖繩県みずからの発意と創意というものを尊重し、また創意、発意に対して情熱を持って立ち直る決意をひとつしていただきたい。そういうことを考えてみると、沖繩では二十七年の施政権下にあり、また復帰後間もない状況下にあって、県の行政あるいは市町村の行政に至るまで、何か十分な準備のできていないようなことがあるとするならば、せっかくわれわれが力を入れようとする、また県民があるいは県の行政がせっかくやろうとすることもむだになったり、あるいは時間がかかってはいけないから、やはりこれからはひとつ大いに連携をとりながらやっていく必要があるということを痛感しておるという意味の発言をしたのであります。  これに対して、記者会見におきまして、記者の諸君からいろいろと根掘り葉掘りお話がありました。限られた紙面でございますから、私の発言を十分にお伝えいただけなかったことは無理もないと思いますが、前段及びその経過、後段について十分な発表がなかったことは、私として非常に遺憾であります。  ただ私は、元気を出して望むところは望み、また中央政府要請すると同時に、いままでとやり方が違い、また同時に、考え方も変えなければならぬということがあったならば、これはひとつ忌憚なくやってもらわなければ困るのだ、そういう御意欲がなければ、われわれとしても実に張り合いがないというとおかしなことばですが、非常に時間がかかったり、あるいはむだになるようなことがあっては困るから、どうかひとつ元気を出してください。自主的にどんどんと考え、また計画を立て、それを要求するようにしていただきたい、こうい奇ことを申し上げたのでありますが、たまたまその中の一部分をおとりいただいて、県政を批判したのではないか、あるいは屋良知事のもとにおいて非常にやり方が誤っておるのではないかというふうにとられたことは、はなはだ遺憾でございます。もちろん申し上げるまでもなく、先般の選挙等については私は一言も触れるどころか、沖繩県の将来のためには、そういうことには私の立場としてはむしろ触れるべきではないという信念のもとに終始お話を伺い、また、私の所見を申し上げてきたようなわけでございます。
  24. 安井吉典

    安井委員 私は、いまの長官のことばどおりに受け取りたいと思いますが、当時の御発言に対してさまざまな、誤解かもしれませんけれども、批判等があったのは事実であります。したがって、これからの中央政府沖繩への対応は、せっかちであってはいかぬと私は思います。今日まで琉球政府、名前は政府でありますけれども、完全なアメリカの従属のもとにあって、しかし五月十五日からは一人前の県であり、それぞれの市町村であります。名前のとおり自治体です。みずから治める団体です。ですから、そういう本質を大事にして沖繩県づくり、沖繩の市町村づくりに中央政府は協力をしていく、こういうかまえでなければならぬと思います。ですから二十七年間の投資不足を補う意味で、思い切って中央政府はお金を出し、しかしその運用に当たっては、県なり市町村なりの自主性にまかせていく、こういうことを一応基本的なかまえとしていくべきではないかと思います。いまそういうふうな御答弁がありましたから、私が申し上げるような意味なら、ぜひともそういうことで進んでいただきたいわけであります。  この前の山中長官がこの委員会でいろいろ約束をされた問題、これもやはり新長官によって当然そのまま守られていかなければならぬと思いますが、そのうち一つは、先ほども國場さんからお話しになった円ドル交換の問題であります。昨年の十月九日に実施されたドルチェックからことしの五月十五日までの八カ月分の交換損といいますか、一ドル当たり五十五円の損、これが物価値上がりの原因にもなったし、復帰不安を巻き起こしてきた要因にもなってきたと思います。これについて、当時私どもは、やはり個人について補償をすべきではないかという強い要求をこの委員会でもしたわけであります。山中長官は、個人にはなかなかめんどうだというふうな御答弁だったし、先ほどの國場委員に対する長官の御答弁も、大体そういうふうな意味のように受けとめられるわけでありますが、やはり損を生じたと考えておりますものは、一人一人違うわけですよ。全くその状況が違うわけです。全く損をしない人もあるし、むしろ去年段階よりも、ことし所得が減った人などは、こういう制度ができても恩恵がないということにあるいはなるのかもしれません。そういうようなことも含めて、やはりもう、一応個人補償という道はないのかということについての御検討はできないのか、その点いかがですか。特にあのときの交換の際には、それぞれの一人一人の名前も住所もチェックされているのではないかと思うわけです。どうでしょうか。
  25. 本名武

    本名国務大臣 いまお話のありましたとおり、前山中長官から引き継ぎを受けました中の一つの大きな問題点でございます。先ほどもちょっと申し上げましたが、やはりこういう性格の差損は、十月九日以降といえども個人に対してそれぞれ補償していくというのが私は理想であるということよりも、むしろできるなら当然であるとさえ考えております。したがいまして、私は、実は就任早々この引き継ぎを受けまして、山中長官の構想も承った上に立って、もう一度個人補償ができないものかということをそれぞれ担当官と話し合いをしてみました。私は、直接個人補償はできないにしても、何かそれにかわる方法はないか、個人に渡したとほとんど変わらない方法は何かとれないものかというようなことまでもいろいろチェックしてみたのでありますが、どうも調査及び手続等々考えますとなかなかむずかしいということがわかって、初めて、おくればせながら、山中長官がその代案として、何かの形で県民全体に潤うような、あるいは県民の将来の生活その他に潤うような処置をしたいということを発言されたということがよくわかったわけであります。ただ、その後これを実行するにあたりまして、財政当局が非常に難色を示した問題であることも承知しておりますが、とにかく何らかの形でこれを補償すべきであるという前提に立って、むしろ前提というか決意のもとに、いま一生懸命その方途について検討しているわけでございます。したがいまして、御指摘のように一人一人に事情の違うことも、差損の違いのあることも十分承知はしながらも、非常にむずかしい、しかしそれにかわることをやりたいということで、せっかく一生懸命検討をいたしている最中でございます。
  26. 安井吉典

    安井委員 この新聞の報道なんですけれども、八カ月分の沖繩における経済成長に見合う額として、約三十二億円の補償考え、奨学金だとか医療機関の設置だとか卸売りセンターだとか、生活困窮者に対する措置だとか、こういうようなことを検討しているという記事があったのでありますが、具体的にそういうふうなところまでいっているのですか。それからまた、もしこういうふうな措置をされるのだとすれば、それはことしの補正予算でなさるのか、来年の当初予算でなさるのか。
  27. 本名武

    本名国務大臣 三十二億円という数字が前長官時代から出ておりますのは、まさに御指摘のような考え方に立ってはじき出した数字だと思います。問題は、その三十二億円をどういう方法に使うかということで、前長官は、個人に支払うに次いで一番均等的に県民を潤すのは奨学資金制度ではないかという案もお出しになり、また、私もその意思をはっきりと引き継いで承ったわけであります。同時にまた、医療施設であるとかあるいは価格安定のための中央卸売市場あるいは流通センター等々の施策についても、一応の案として考えてきたことは事実であります。しかし、私の考えを率直に申し上げて、まだ私はそうであると断定を下しておりませんけれども、これらの諸施策、施設につきましては、私は、ドルの差損があってもなくても、沖繩の実態からいたしますれば当然やるべきことではないかというふうにも考えられる点もあります。したがって、ドルの差損補償するとするならばもう一つ別な道はないかといって、いまそれぞれ担当のほうに命じまして検討させ、また私自身も、至らない頭ではありますけれども、何かないか一生懸命考えつつ作業を進めているわけでございます。  さて、その目的を達しまして、一応実行に移すという場合には、補正予算でやるのか四十八年度予算でやるのかというお尋ねでありますが、私は結論さえ出るならば、当然補正予算でやるべきものであろうと考えておりますが、財政当局とこの点については何ら打ち合わせはいたしておりませんので、今後財政当局とも打ち合わせいたし、また財政上のいろいろな措置等も関連してまいりますので、それらを検討してきまれば、やはり早期に解決するような努力はいたさねばならないと考えております。
  28. 安井吉典

    安井委員 私が考えておるのと同じようなことを長官言われたのですね。つまり、新聞で奨学金制度とか医療機関の設置とか、いろいろ項目が出ていましたけれども、これは差損があろうとなかろうと、中央政府がレベルの低い沖繩を、普通以上のレベルまで上げるために必要な施策ではないか、私はこういうふうな気がするわけです。それを差損という名前でやることによって、差損要求の表面の頭をなでて、本来の支出を減らすような算段に通じやしないかということです。そうなりますと、あれもだめだ、これもだめだということになると、個人補償に最後はどうも戻らざるを得ないような気がするわけであります。きょうの段階ですぐに結論を出せといってもたいへんな問題だと思いますが、これは前からのお約束でありますから、ぜひ慎重に検討していただきたい。そのことをひとつ申し上げておきます。  それから那覇市のモノレールの問題を、当時計画ができた当初にこの委員会で取り上げて、これはまだ計画がきちっと固まっていなかった段階でありますけれども、私は、山中長官へ質問したら、これについてもぜひ大事な仕事だから、前向きに取り組もうというふうにお話がありました。先日も那覇市長から説明を聞きましたが、人口の密度それから車の密度も非常に高い那覇市の現状では、路面交通が行き詰まっているわけで、現状にきわめて適した公共輸送機関ではないかというふうにしろうとなりに感じているわけでありますが、これも前長官のお約束でありますから、当然引き継いでのお取り組みを期待できると思いますがどうですか。
  29. 本名武

    本名国務大臣 前長官の引き継ぎでもございますし、やはり沖繩の中心都市である那覇市が、交通渋滞その他いろいろな支障を解消することが一つ沖繩全体の開発のお手本にもなるということで、実は私もこのモノレールには非常な関心を持つと同時に、出発いたします前には、これはどんなことがあっても実現しようという意気込みでおりました。ただ、出発前にいろいろ事務的に聞いてみますと、煮詰まってない点があるということですから、それじゃ私はいろいろ現地責任者の方々話し合いをして、煮詰まらぬ点はどういう点か、またその煮詰まらぬ点について現地だけで解決できない問題もあろうから、それはひとつ現地で話をしようということで出かけました。このモノレールの必要性については十分御調査もなさっておられて非常に進んでいたのでございますが、五つ六つの点について私もお尋ねをしたのでありますが、まだ計画中であるということ、あるいは、いま想定されるのはこういうことであるが、たとえば事業の主体はどこにするのか、あるいはそのもとに立って収支はどうなるのか。さらには道路、河川がございますから、公共事業との関連において、今後モノレールの施設ができるように、道路や河川の改修整備があと回しになるというようなちぐはぐがあるかないかというようなことを三、四承ってきましたが、いずれ具体的に計画、方針をきめて相談をするというお話がございました。当時伺ったことから最近になりましてから多少内容が変わったという御意見も伺っておりますが、これは海洋博に間に合えば一番いいのでありますから何とか間に合わせたい。そのためには、ひとつ現地も御苦労でもお骨折りをいただきたいということで半ば御激励も申し上げて帰ってきて、早くその計画が煮詰まることを私は御期待申し上げている段階でございます。
  30. 安井吉典

    安井委員 この間、いつごろでしたか、那覇市長からの説明会がありましたとき、各省から担当者が集まっていました。しかしそれぞれなわ張りもあることだし、運輸省は運輸省、建設省は建設省、自治省は自治省とそれぞれの立場からの主張が多くて、なかなか全体的に軌道に乗るという、それこそモノレールがレールに乗るのにはちょっと時間がかかるような印象を受けたわけです、ほかのそれぞれの担当省からの意見が多過ぎて。ですから私は、これは所管はどこになるのかわかりませんが、いずれにしてもやはり沖繩開発庁が窓口になり総体的なまとめ役になって、また推進力になって、そういかなければ、これは黙って放しておけばなかなかうまくいかないような気がするのです。まとめ役、窓口、推進役ということばを私は使いましたけれども、そういうことでやはりやるべきだと思うのですが、どうですか。
  31. 本名武

    本名国務大臣 御指摘のとおり、かなり広範な各省に関連してまいりますけれども、やはり窓口あるいはまとめということは、微力でありますが、そのつもりで取り組む覚悟でございます。  なお、これを海洋博に結びつけますと通産大臣がまとめ役でございますが、そのまとめるもとになるまとめは、私のほうでぜひやりたいと考えていろいろ検討を進めております。
  32. 安井吉典

    安井委員 あとは外務大臣見えましてからにします。
  33. 正示啓次郎

  34. 安里積千代

    ○安里委員 開発庁長官がおいでになりまして、いろいろな経済その他の団体の方々との懇談会にも出席させていただきまして、その際におきまする長官の謙虚な気持ち、それから私も希望申し上げたのでありますが、お帰りになりましてからあとの長官の御発言が問題になりまして大きな誤解を与えておる。これはまあ参議院におきましても釈明があられましたし、また先ほど安井委員の質問の中にもありましたので、あえて繰り返して私は申し上げたくはございません。  沖繩開発について、沖繩の自主性を尊重する、あくまでもやはり主体は沖繩である、こういう立場においてハッパをかけられたといったような趣旨において理解をいたすわけでございますが、ただ問題が、時期が時期であり、それに開発庁ができまして最初の御訪問であります。そしてまた、沖繩県政といたしましては、復帰に対するいろいろなむずかしい仕事復帰後におけるいろいろな困難、さらにこれから開発に向かってのいろいろなことを策定しなければならぬ、選挙直後の問題でございまして、その時期的にも、長官からそのような批判を受けるということについては率直に受け入れられるものがない、これは無理もないことであります。屋良知事といたしましては、謙虚な気持ちでこの批判を受け取るということをおっしゃっておられます。  しかし私は、まだ釈然としないものが一つあります。と申しますのは、その後におきまする長官の新聞記者との会見の中にあることばでございますが、この点はもう少しやはり釈明をしておかれる必要があるのじゃないか。このままでは国の投資がむだになるのだといったようなおことばもありまするし、あるいはまた、もし長官発言というものをストレートにとって意欲を盛り立てるならばいいけれども、ストレートに受け取らなければこちらにもまあ考えがあるといったような、開き直ったおことばがあったということが新聞記事に載っておるわけであります。そうしますと、何となくその発言の中におきましては、大臣とされまして少しすてばち的と申しまするか、悪いことばで言いますと、いかにもこのおれの批判を受けてやればいいんだけれどもといったような開き直ったといったような記事もございます。この点に対しまする長官の気持ちと申しますか、御釈明をまず第一に承りたいと思います。
  35. 本名武

    本名国務大臣 前回おたずねいたしましたときには、特に安里先生から非常に貴重な御意見、結論的な御意見等々承りまして感激いたしていたわけでございます。しかしいま御指摘のように、私は、沖繩を見たりあるいは沖繩の皆さんの御意見を聞いたりして率直に感じましたことは、先ほども申し上げましたように、二十七年のあのまことに苦しい施政権下にあった事実は大前提として忘れてはいかぬ。また復帰後において、沖繩の再建、発展、開発はこれからがほんとう仕事であるということを考えるからこそ、ひとつ現地の皆さんしっかりやってくださいということを申し上げ、同時にまた、従来の長い二十七年のしきたりのために、あるいは本土のいろいろなことになじまない、あるいは本土がそういう方針であっても沖繩としてはだめだというような御意見もあろうと思いますから、そういうことについては元気を、出してひとつ主張をしていただきたいということなのでありますが、たまたまいまお話のあった中で、実はさっきも申し上げましたが、私の発言を全部書いていていただくと、前後のことに関連しておわかりいただけると思うのですが、たとえば国の投資が伸びなくなるのではないか、こういうことについては、実は従来も本土においてもあったことでありますが、財政当局の批判というものはいろいろな意味で制約しがちであります。したがって、現地において元気がなかったり、あるいは計画がやむを得なくおくれるものはともかくといたしまして、積極的にお取り組みいただいておくほうが、財政投資について非常にやりやすくなるんだということを申し上げたのであって、決して開き直ったとか、あるいはもうどうにもならぬからというすてばちになって申し上げたのではなく、そういうことを心配しながら、どうかひとつしっかりとおやりいただきたいという意味で申し上げた。そういう意味で、具体的な国の投資が伸びないのではないかというところだけをお取り上げいただきますと、いかにも私が対抗的に、あるいは批判的な態度に出たというふうにとられたことは、限られた紙面とは言いながら、非常に私の遺憾とするところであるということはいまもって感じております。同時にまた、御指摘のような意味において、決して御心配のないような態度でこれから進むことをここにはっきりと申し上げておきたいと思います。
  36. 安里積千代

    ○安里委員 沖繩復帰後におきまする振興開発、この問題はもちろん沖繩だけの責任においてできるものではなくして、むしろ二十何年間の穴を埋めまするためには、本土政府の積極的な施策が必要でございまするし、そのために開発庁も設置されたものだ、こういうふうに理解をいたします。したがいまして、これは現地沖繩とさらに政府の緊密なるところのタイアップ、それは沖繩県だけの意欲だけでもいかないし、政府意欲だけでもいかない。これは二つががっちり組んでやらなければならぬところの大きな課題だと思います。したがいまして、その間にいろいろ感情的に、あるいはまた理解のいかないところのみぞができてしまうということになりますと、開発庁の仕事あるいは沖繩振興開発復帰後の沖繩の処理につきましては非常に災いをなすものではないか。ですから、責任あるところ長官のことばでございますから、そういう中からいささかでも誤解を生ずるということは、これからの仕事をやる上において非常にまずいのではないか、その点ははっきりさせておく必要があるから実は私は申し上げたのです。  なお言いますならば、私はあの御発言を承りましたときに、アメリカの統治にある場合において、アメリカ自身が沖繩に対してどう臨んだかということを痛切に思い起こしたのです。三つの点を思い起こしたのです。これは、もちろん歴史の過程の中からももう抹殺されている問題ではございますけれども、また表にあらわれなかった問題ではございますけれども、一九五二年にアメリカにおいて、当時沖繩のいわゆるアメリカの民政府につとめておった優秀な方でございましたが、アメリカの琉球統治に対しまするやり方に対する批判的なもの、非常にまじめなすぐれた方でございましたが、結局現地アメリカ当局の意に沿わないで職を追いやられたと申しますか、アメリカに帰された方でございますが、その方が私にこういうことを言ったのです。現地沖繩におけるところアメリカ政府の職員たちは、沖繩の人々が自治能力が十分あるということを絶対本国に報告しませんよ、それは能力があるということを報告するならば彼ら自身の職を失う、だから沖繩においては、自分たちがおらなければどうにもできないんだ、こういうところの状態というものをいつでも報告する、それがアメリカ本国の沖繩に対する十分なる理解をしない原因であり、そういうゆがめられたところの報告しかしないんだ、こういうことが一つでございます。  もう一つには、よく知られておりまするキャラウェー高等弁務官時代に、アメリカのもちろん任命主席のもとにおきまする沖繩の統治をしておったときでございますけれども、琉球政府は無能力だ、自治は神話である、責任あるところの高等弁務官がそのようなことを公表された。そして、無能力であり自治は神話であるという、そのことが具体的に、立法院でつくったいろいろな法律に対する拒否権を使い、そしてまた金融機関その他のいろいろな点に直接権力を介入して、いろいろな整理をした。彼は彼なりに言い分があったでございましょう。そういったことが一つ。  もう一つは、同じ弁務官時代に政府から総務長官が、これは名前は申し上げません、おいでになって、そして彼の正式の歓迎パーティーにおきまして、高等弁務官自身が日本政府総務長官を前にして、その歓迎の席上で、私の在任期間の間において日本総務長官の来ることはあなたで三度目である、そしてこの次にはあなたも長官でありませんでしょう、こういうまことにやゆしたことばであります。国民を代表する国会議員であり、しかも政府責任ある大臣が来て、アメリカの一軍人——これはアメリカでいいますればたいへんな問題です。文官に対するところの大きな侮辱であると思いまするし、また日本の国に対する大きな侮辱だと私は感じました。一言半句も長官は弁明をしませんでした。  この三つのできごとを私は長官発言の中から思い起こしたのです。一つにおきましては、地元におけるところのつかわされたところアメリカの行政官たちが、現地沖繩の人々は能力がないんだ、自分たちの援助なしには何もできないんだ、こういう趣旨において沖繩をやっている。もう一つには、琉球政府が無能力だから自分が直接権力を行使してやるんだと言った弁務官。そうしてまた、日本自体の対米姿勢の結果でもございましょうけれども日本自体をなめたところの、国会議員であり、あるいはまた総務長官である人に対する実に失礼なことばさえもあえて言っておる。こういうような一連の動きが、いつでも権力者がその権力を固守して——権力ということばが少し強ければ、少なくともある権限を持っておる人間がその権限を固守いたしまして住民に臨む、あるいはまた現地に派遣されるところの当局というものが、自分たちのその能力と申しますか立場というものを固守いたしまして、そしてこれに対するところの服従をしいる、こういう姿が沖繩におきましてアメリカの統治の中にあったということも思い起こしたのであります。  長官のそのことばは、現地沖繩におきまする開発庁の職員に響いておるということを私は聞いております。事実また、その事務当局の中におきましても、琉球政府時代の、認可を与えた、許可を与えた、こういったことに対して、今度は中央の権限になってくる。そういった問題に対しても非常に批判的なものができてしまっておる。きょうは詳しいことは申しませんですけれども、一個の沖繩県が自治能力がない、あるいは意欲が足りないんだ、こういう長官発言というものは、長官のもとにおきますところ開発庁の事務職員の中においてもやはり響いてくる。あなたのそういったことばというものは部下職員に響いて、やはりそういった思い上がったところの行政というものがなされてくる。開発庁を設置された場合において、やはりこれが中央隷属の、中央のいうことを聞かなければならぬというふうにしむけていく、そういうふうになりはせぬかということがずいぶんと論じられておりました。法的にはそうではないけれども、運営の面において実際はそれがなされてくるのだ、こういう疑惑というのもある。ですから、長官の気持ちはわかります。激励することばであったというふうに理解をいたしまするけれども、そういうことが、ひいてはこれからの開発庁の仕事をする上においても、中央の命令に従えという、先ほどアメリカの例を申し上げたのですけれども、とかくそういう方向にいきやすい。そこによって自主性というものが、地方自治というものが、中央のそういう姿勢によってゆがめられてくるという可能性があると思います。ですから、その点は長官はっきりさせられまして、意欲を燃やしていただきたい、このように思います。  そこで一つだけ私は申し上げたいと思います。沖繩県意欲もさることながら、沖繩のこれからの経済開発に対しまして一番大事なことは、前の議会からしょっちゅうことばは聞いておりますけれども沖繩開発や将来に対するいろいろなことを樹立いたしまするときに、いっでも妨げになってきますのは軍事基地でございます。膨大なる軍事基地がある。この縮小あるいは開放ということを前提にし、あるいはこれに目安を置いての経済振興開発でなければ、現状を是認した立場におけるところ開発ということは、これは十分なるものでないと思います。沖繩県がいつも悩みまするのは、経済開発を樹立する上におきましてもこういったことが大きなガンとなっております。としますならば、ほんとう意欲的に沖繩がしようと思いますならば、この問題の解決というのが大事でございます。しかし、これは沖繩県でどうにもできる問題ではございません。政府の力によってなさなければなりません。  そこで、開発庁長官とされまして、沖繩の真の開発ということを目ざしますならば、この大きな妨げになっておりますところの基地の縮小あるいは開放、こういったものと相またなければならぬと思う。そこで、現地に対しますところの御批判、率直に承っておりますけれども沖繩側から申しますれば、では政府はこの基本的な問題に対してどのような意欲を持って対米折衝なりあるいは事を処理しておるか、これが私は大事な問題だと思います。そこで、長官とされまして、沖繩開発に対する担当大臣とされまして、この基本的問題に対して意欲的に取り組んでいただくような気持ちがあるかどうか、まずそれに対するところの所信を承りたいと思います。
  37. 本名武

    本名国務大臣 前段におきまして、施政権下における時代の貴重な御意見、まことに肝に銘じて、そのような御心配をおかけしない、対処するということをここにはっきりと申し上げたいと思うわけでございます。なお、開発庁の総合事務局で五、六十人の幹部を集めまして申し上げたときにも、私は、特殊な事情いわゆる施政権下二十七年の歴史の上に立って、特に振興開発計画策定に際しても、どうかひとつ皆さんはその事態をよく認識して、県、市町村の御指導をいただきたい、協力をいただきたいということを特に申し上げました。その前提になりますことは、私就任早々、沖繩の自主性を尊重するということがまず第一であるというふうに考え、今日いまもってそれを中心にして処置いたしてまいりたいと考えているわけでございます。  それから、一番の特色は——いろいろな特色がございます。まことにお気の毒な不幸な特色はたくさん持っておる沖繩でありますが、基地の問題についても私はつとめてこれが返還並びに縮小の道を講じたいという考えでおります。しかし私の所管ではございませんので、どうするこうするということは申し上げられませんけれども、私はやはり安保条約の中において、つとめて沖繩の特殊性を打破するという意味で、これが問題解決にやはり関係省に対して、あるいは大臣に対して実態をよく御説明し、またその方向に向かって努力することこそが新しい沖繩県づくりの一つの大きな要因であるということを私も考えております。いろいろな制約がありましてむずかしいことではあろうが、やはりそのことに努力をするということ。一方においては国際的な安保条約を踏まえながら、決して片寄った沖繩のあのような基地の膨大な実態というものを、私はそのままにしておきたくないという気持ちで一ぱいでございます。
  38. 安里積千代

    ○安里委員 外務大臣がおいでになっておるようでございますので、次の委員に譲りたいと思いますが、一点だけ、きょうの新聞にも出ておりますけれども沖繩の久米島における旧日本軍人によるところの虐殺事件に対しまするいろいろな補償、それの措置につきましては、この前の委員会におきましても、政府としてはいろいろな方面から調査中だということでございました。きょうの朝日新聞によりますと、このことは単なる一兵曹長としての問題じゃなくして、実に正式な文書によるところの、久米島部隊指揮官の名によるところの指令に基づいてなされたということも、きょうの新聞に報じられております。そこで、いま久米島の虐殺事件に対しまするその後の措置は一体どうなったか、それを最後にお伺いしたいと思います。
  39. 本名武

    本名国務大臣 久米島の問題につきましては、まことに不幸なできごとであり、これはやはり法務省をはじめとして、それぞれ関係当局に解決のために努力していただくように、今後も推進していきたいと考えております。
  40. 正示啓次郎

  41. 安井吉典

    安井委員 外務大臣、あまり時間が十分おありでないそうでありますので、端的に伺いたいのでありますが、沖繩にB52がまた三度目の飛来をしております。五月の二十日、復帰直後に三機、七月八日、九日、二十九機、八月三日、八機、こうであります。全部これは台風を避難するという理由であり、何か悪天候さえ理由にすれば、いつでも舞いおりてこられるという体制づくりをするのではないか。私も外務大臣にお会いして、定着化やあるいは定型化はしないというふうなお話を伺ったのでありますが、これではまさに、台風が来る、さあ、おりる、日本は黙ってオーケー、これは定型化ではないかと思うのであります。どうでしょうか。
  42. 大平正芳

    ○大平国務大臣 事実をいろいろ究明いたしましたが、私ども定型化の傾向を持っておるというように判断いたしておりません。
  43. 安井吉典

    安井委員 私は、今度の嘉手納基地司令部の発表の中に、悪天候避難基地ということばを使っている点、どうも気にかかるわけであります。どうも定型化とかなんとかいいますけれども、本質はこんなところにあるのではないかという点です。つまり、復帰前には、あそこに定着していた時期を除いて、あとはB52は少なくもいなかったわけでありますから、沖繩県民としてみれば、復帰前よりも基地の機能は強化されたと受けとめざるを得ないわけです。しかし表口から堂々と入ってくるということでは、これは事前協議制に引っかかる。そこでいまの天候を理由として入ってくる。こうすれば安保条約あるいは地位協定すれすれで何とか日本からオーケーがとれる。そういうことでやってきていたというアメリカ側のほんとうのそこの気持ちが、嘉手納を悪天候避難基地ということばでどうも表現されたのではないか。つまり、グアムからのベトナム出撃、それに嘉手納というのが一つあって、それで初めてアメリカのグアムからのベトナム出撃が完成をする。このことこそ、私どもがかつての沖繩国会で、沖繩返還協定はアメリカの恩恵的なものでなしに、たとえ返還しても、アメリカが自由使用できるような道があるのだからということ、その可能性をアメリカがはっきり認めて返したのではないか。私どもはそういうふうな主張をしたのですけれども、全くそれと同じような形になっているような気がするわけでございます。一体何のための事前協議制なのかという疑問がもっともっと強く出るわけでありますが、政府としてはもっときびしい対応が必要だと思いますが、いかがですか。
  44. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いま御指摘の最近のB52の嘉手納基地飛来の件は、悪天候等に基づくやむを得ない事態であるという判断に基づいたものであるというように私は理解いたしております。ただ、私どもベトナムの作戦の状況はつまびらかにいたしていないのでありますが、この春以来、ベトナムの戦闘が激化しておるために、そういうカテゴリーで、嘉手納基地をやむを得ない場合に利用する頻度が多くなったのではないかという心配は持っておりまするけれども、このことが直ちに仰せのように、嘉手納基地利用を定着化する、あるいは定型化するというようなものであるとは考えていないわけでございます。  二十九機飛来いたしました直後、米大使を招きまして、その点、当方から沖繩県民はじめ日本国民の深い憂慮の念を伝えて、かりそめにもこれが定型化するというようなことのないように申し上げたのでありますが、米国側におきましても、これに対して何ら御反対はなく、そのように心得ておるというお答えでございました。
  45. 安井吉典

    安井委員 私は、B52の問題についての外務大臣のいまのお答えでありますけれども、この問題と、いま内閣委員会でおそらく応答をされてきたろうと思いますが、横浜港の村雨橋の問題とよく似ていると思うのです。あの横浜事件でもアメリカ側の発言は、七年間もやってきて千回も二千回もやってきた。それをいまになって何ですかというふうな言い方をする。これこそまさに、米軍は優位な立場を占める安保があるんだから、あるいはむしろかつての占領感覚の延長じゃないか、B52の場合は、明らかに私はアメリカ側の感覚の中にそれがあるのではないかと思います。しかし、いかなることがあっても、アメリカの国内法無視はもってのほかです。しかし、いままで七年間にわたりということばが横浜事件でアメリカ側から出てきたわけでありますけれども、まさに米軍のお通りです、こういうことでアメリカのゴリ押しをこれまで見のがしてきたという政府責任というものは非常に重大ではないかと思います。これについて、やはりはっきりと反省をしていただいておかなければ、これからの対応というのはできないのではないかと思うわけでありますが、いかがですか。
  46. 大平正芳

    ○大平国務大臣 今日までの経過を私も詳しく調べてみないと言えないのでございますけれども、感じといたしまして、いま安井委員が御指摘になりましたように、国内法規の順守につきまして若干甘さがあったと申しますか、中央、地方を通じまして、関係筋に懈怠の傾向がなかったと言い切ることは言えないのじゃないかと思います。なれるということはこわいことでございます。で、たまたまこういう不幸な問題が起こりましたことを契機といたしまして、若干時間はかかりますけれども、仰せのように、国内法規と地位協定との関係を円滑に処理していくために、最善を尽くしてみたいと考えております。
  47. 安井吉典

    安井委員 大臣のいまの率直な反省のことばはけっこうだと思います。ただ、私はいまのB52の問題にしても今度の横浜問題にいたしても、それから考えられることは、安保条約ができたころといまとはだいぶ様子が変わってきているのじゃないか、国民の感情も変わってきているのじゃないかという点です。特に沖繩の問題、これは復帰不安がきびしくて、ついせんだっての新聞の世論調査でも、いまだに沖繩に核があると思う、基地の使用も背と同じだと答える人が県民の中に六割もいるという事実です。まだ核があると思っている人が世論調査の中にはっきり出ているわけですね。だから米軍基地に対する不安というものは、やはり六割以上の強さで残っているという事実であります。だから、これもやはり日米安保条約がある以上、沖繩日本に戻ってきても基地はしょうがないんだな、だから問題は安保条約だ、こういうふうな形に問題はいきがちになる。あるいはベトナム戦争の問題についても、いろいろな昔とは違ったものの考え方というものが私は出てきているのではないかと思う。心情的にもなかなか日本国民に理解できない。天にかわりて不義を討つということばがありましたけれどもアメリカにとって正義のいくさなのかどうか。世界最大の国が、小指でひねりつぶせるような小さな国に全力でつっかかっている。殺戮の繰り返し。そのベトナム戦争のためにB52が飛んで、それが沖繩に避難をする、それにガソリンを給油をする。あるいは硝煙と血のにおいのする戦車が相模原補給廠に持ち込まれて、それが修理されて、この日本土地からごうごうと再び戦場に送り返してやる。そういうようなものを目に見せつけられる中で、これもやはり安保のためだ、こういうふうな考え方が国民の中にすうっと入っていく。日米安保条約の本質論というのがありますが、きょうはここではもう触れません。しかし、いま言ったそういうようなものがオーバーラップされて、安保への疑問というものが非常に高まってきているというのが現状ではないかと思います。この間の横浜事件なんかも、米軍はかわいそうだとかあるいは米軍にもう少し義理立てをしなければというふうな考え方は、少なくもあそこの住民には皆無ではなかったかと私は思う。むしろ、ことによれば違法とでもいわれるような状態でのデモ隊への支援が強まる、そういうような状況があったのではないかと思われます。私は、政府が長い間の安保体制の中で感覚が麻痺してきている、しかし国民のほうはきわめて敏感だというのがいまどんどん起きつつある事件の実態ではないかと思います。  そこで、ここで安保を廃棄するかという大上段のお話をしても、もうお答えはきまっているから、私はきょうはそういう形ではいたしませんが、少なくも現行の地位協定のあり方、あるいは事前協議制の洗い直しをするべきではないかということについて、再検討いたしますという、こういう前内閣における答弁があるわけであります。これについて、新しい外務大臣としてどうされるか。特に安保協議委員会で相談をするとか、とりわけ来月初めのハワイ会談があるということでありますので、そういうような中で、このような問題についてもう少し立ち入った話し合いアメリカとされるお気持ちはないかどうか、その点をひとつお伺いいたします。
  48. 大平正芳

    ○大平国務大臣 日米首脳会談の議題は、いま日米間で相談しているところでありまして、まだ最終的にはきまっていないのであります。ただ時間が、短い時間帯において行なわれる会談でございますから、技術的な領域には入れないのではないかと思っております。  ベトナムの戦いをどう評価するかという問題は、これは、私は私なりの判断を持っておりますけれども、当のアメリカ自体が、これをどのように早く終結するかということに腐心しておる最中であろうかと思うのであります。ただ、私どもの立場は、いま御指摘の安保体制を適切に運用してまいらなければならぬ行政責任を持っておるわけでございますので、これをでき得れば円滑に、日米双方の理解と信頼で運営してまいる道を探求していくことであろうと考えておるわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘の基地使用につきましても、本来アメリカ側の、ただいまの事前協議のワク組みから申しますと、アメリカ側の権利でございまするけれどもアメリカ側に極力自制をしていただきまして、いろいろ国民感情、ないしは基地を提供いたしておる地域住民の理解をどのようにして求めるかという点に心をくだいておるわけでございます。そのあたりの事情は安井委員におきましても御理解をちょうだいいたしたいと思います。
  49. 安井吉典

    安井委員 なかなか理解しがたい点がたくさんあるわけでありますが、ちょっときょうは短い時間ですから、中身について詰めるわけにはまいりませんが、もう一つだけ、いわゆる北方領土問題についてのお考えを最後に伺って終わりたいと思いますが、この委員会で、前福田外務大臣は北方領土返還について、返還領土には、あそこは米軍の基地は置かせない、自衛隊も置かせない、こういうふうなお答えでありましたが、それは新内閣においても同様だと思いますがいかがですか。
  50. 大平正芳

    ○大平国務大臣 これは返還していただいておりませんので、その地域にどうこうするかということを申し上げるのはいささか尚早の感がございますけれども、かりにこの四つの島が、私どもの主張どおり返還をしていただいたという暁におきましては、前大臣が仰せられましたことは当然のことと思います。
  51. 安井吉典

    安井委員 日米安保条約で、アメリカからの要請があれば基地を提供する、こういう筋書きになっているわけでありますが、いまおっしゃったようなお話し合いの中では、日米安保条約そのものをも改定をするとか、そういうようなところまでの御決意での御発言でしょうか。
  52. 大平正芳

    ○大平国務大臣 もしかりにあの四つの島が返還になりました暁には、日米安保条約がカバーする地域になることは論理的な当然の帰結であると思うのでありまして、そういう前提に立ちまして、そこに自衛隊を配置するとか、あるいは米軍の基地をつくるとかいうことにつきましては、消極的な考えを持っております。
  53. 安井吉典

    安井委員 ただ、日米安保条約がある以上、そういうふうな米軍の要求があれば提供しなければならないという、そういう可能性がそのままになったままでは、なかなかいまの日本の決意というものが向こう側に、ソ連側によく通らないような気もするわけですよ。それまでのかたい御決意をお示しになっての御発言なのか、ただ交渉も相手があることだから、一応言うだけは言うのだという程度なのか、それともかたい御決意をもって、安保から除外をしてもその方針を貫くのだ、こういうお気持ちなのでしょうか、その辺がよくわからないのですが。
  54. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いまお答え申し上げましたとおり、返還が認められました暁におきましては、当然日米安保条約の適用範囲に入る、そういう論理的帰結になるというわけで、言いかえれば、そのために安保条約からその地域は除く、そういう考えではございません。
  55. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、向こう側のほうも、除かれるわけじゃないのですから、基地を置く可能性が出てくるということなら、本来のいままでずっと発言されていたものの重みというのは、何かこうずっと後退するような気がするわけですね。もう少しいかがですか。
  56. 大平正芳

    ○大平国務大臣 前外務大臣が言われたとおり私も考えておるということでございまして、返還の暁におきまして、安保条約の適用範囲になりましても、自衛隊の配備とか、あるいは米軍基地をあの地域に設けるというようなことにつきましては、消極的な考えを持っておるということでございます。
  57. 安井吉典

    安井委員 時間が来ましたという紙が来たから、大臣のあとの時間もあるようですから、いまの段階はこれで終わりますけれども、私は、その程度ではまだ十分な問題提起ではないというような気がするわけです。これは論争はもう少しあとにいたします。
  58. 正示啓次郎

    ○正示委員長 中川嘉美君。
  59. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 外務大臣お尋ねいたしますが、最近の新聞報道によると、沖繩の嘉手納基地に韓国の空軍機ですね、ROK、リパブリック・オブ・コリアの飛行機が三機、七月の十一日から十四日までの間に飛来をしておる、着陸をしておる。こういう新聞報道がなされておるわけですが、この辺の事実関係はどうですか、まず伺いたいと思います。
  60. 大平正芳

    ○大平国務大臣 韓国の航空機が嘉手納に飛来した事実は御指摘のようにございます。これは不可抗力による緊急着陸でございまして、七月六日フィリピンより韓国向け韓国空軍機——その機種はC54ということでございますが——が飛行中エンジンに故障を生じまして嘉手納基地に緊急着陸をいたしました。同機の不時着につきましては、米軍側より着陸後直ちに連絡がありましたほか、韓国大使館よりも口上書をもちまして通報がございました。さらに韓国大使館より、右不時着機の代替エンジン及び修理要員の輸送のため、同型のC54輸送機一機を十一日嘉手納に着陸させたく、その旨許可ありたい旨、外交ルートを通じて申請越しがございました。これに対し、わがほうといたしましては、運輸省とも協議いたしまして、右飛来は不時着機の修理という目的のため入国するという事情にかんがみまして、これを許可する旨韓国側に回答いたしました。その結果、修理機は十一日に到着した後十二日に離陸をし、他方不時着機は所要の修理を終え、十五日嘉手納を出発した旨、韓国側より通報を受けております。
  61. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと大臣の御答弁からして、一応日本側としてそういった事態に許可を与えたというふうでございますが、するとこういう事態は今後——今回はそういう故障云々ということで着陸をしたわけなので、まず考えられない。そのような同じような性質の飛行機が飛来し、いわば着陸するというそういう事態はまず起こらない、このように了解してよろしいですか。
  62. 大平正芳

    ○大平国務大臣 わがほうがとりました措置は人道的な見地からとりました措置でございます。今後こういうことが全然起こらないかというお尋ねでございますが、この点につきましては起こらないことを希望いたしますけれども、万が一、起こらないという保障は私から申し上げられないのではないかと思います。
  63. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 質問の内容が少し足りなかったかもしれません。要するに、そういう人道的な立場と言われれば、これは故障した飛行機に対して決して着陸を許さないというわけにもいかない場合もあると思います。したがって、私たちはそういうことを頭から否定するわけではない。こういった故障であるとか人道的な問題で着陸を許可をするという、それ以外の理由です。まあ訓練であるとか等々の、あくまでいま御答弁いただいた理由以外では韓国機の飛来があるということ、これに対してはどのようにお考えになりますか。
  64. 大平正芳

    ○大平国務大臣 そういう相談を全然受けておりませんので……。
  65. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 先ほど安井委員のほうからもB52の飛来の話が出ております。こういった飛来に関連いたしましてお尋ねいたしますが、気象条件が悪いという理由でB52が飛来してきておる。事実B52の発着ができない状態であったのかどうか、政府としてはその事実関係をもう少しはっきりと調査する必要があったのではないかと思うのです。少なくとも入ってくるという連絡のみでは、単に形式を踏むだけであって、事実関係を調査する時間的な余裕すらない。とにかく着陸するぞということでは、それに対して十分な事実関係というものも判明しないうちに、もう着陸を待たざるを得ない。したがって、米側が日本政府に通告をする場合には、政府が事実関係を調査する余裕を持って、そして通告せしめるようでなければ、私は通告の意味がないのじゃないか、このように思います。したがって、気象条件の実態というものですね、これをまず提出させた上で回答を与えるべきではないか、このように思うわけですが、まあそういった台風の問題でもあり、一秒を争うかもしれません。しかしながら、いまこのように通信綱も発達しているおりから、五分や十分争わねばならないということはない。そういうことで、もう少し日本政府としては許可を与える以上は、そのような余裕を持って通告せしめる必要があるのではないか。これに対しては今後のことも——まあこういうことが起こってはなりませんが、あろうかと思いますので、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  66. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いまちょっと御質問の中で、許可を与える、与えないというおことばがございましたけれども、私ども許可する、しないという権限を持っていないわけでございます。事前協議にかかる事案ではないわけでございまして、先方に国民感情から申しまして自制を求めておるわけでございます。しかし、仰せのようにアメリカ側から通告がございます場合に、できるだけ早目にちょうだいしたい、それから気象その他の情報につきましても正確に期してもらいたいということにつきましては、厳重に先方に要望いたしております。
  67. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 B52が嘉手納基地に入ってきたことに対して、政府としては国民感情にそぐわないからひとつ考慮してもらいたいということで米側に申し入れをしたそうですが、日本政府がはたしてどういう形で申し入れを行なったのか、すなわち口頭で行なったのか、あるいは口上書で米国に申し入れたのか、この辺についてもう少し詳細を伺いたいし、またそれに対して米国からどのような反応があったか。先ほど安井委員に御答弁があったようですが、もう少し具体的に、米側からどういう形でそれに対する反応があったか、お聞きしておきたいと思います。
  68. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いままで何回かこういうことがございましたつど、アメリカ側に注意を喚起しておるわけでございます。先般二十九機が飛来いたしました直後におきましては、駐日米大使に来ていただきまして、私から申し上げましたことは、まずこの種のことは不良天候等緊急やむを得ない場合だけに限っていただきたいということ、これが定型化する、あるいは常駐化するというようなことは厳におつつしみをいただかなければならないということ、それから、先ほどお答え申しましたとおり、通報につきましては前広に正確にお願いしたいということを申し入れたわけでございます。これに対して米駐日大使よりは、そのように心得ておりますということでございました。
  69. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 B52がそういった気象条件が悪いということで基地に入ってきたのですが、ベトナムの、これがはたして爆撃の往路であるかあるいはまた帰路であるか、その辺の詳しい事情はやはり政府としても確かめておく必要があるのではないか。現在のところ、はたしてこの間から飛来しているB52がベトナムへ向かうのか、それとも帰ってきたのか、その辺の問題ですね。この点については確かめておく必要があると思いますが、どうでしょうか。
  70. 大平正芳

    ○大平国務大臣 地位協定によりますと、御承知のように、日本国から攻撃に発進する場合は事前協議の事項にかかりますので、先方から事前に日本に協議がなされなければならないことでございます。今度の場合、どこから飛来したものかということにつきましては、作戦上の問題でございまして、公には米国側から私どもは聴取いたしておりません。
  71. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 作戦上ということで空洞化になってしまうわけですけれども、要するに行きがけであれば事前協議の対象。私はその帰路であっても、帰りがけの飛来であったとしても——まあせんだっての福田元外務大臣の答弁によりますと、事前協議の対象とはならないとはっきりと言い切っておられたようですが、帰りがけであっても、それは戦闘作戦行動の継続として見るのが正しいと思います。たとえばこういうことで嘉手納基地を使用するということになると、相手国から追跡もされ、あるいは報復攻撃ということにもなりかねないという危険性が多分に考えられるし、この問題については一つだけ取り上げましても重要な、また時間を要する問題でもありますので、また外務委員会等でさらに掘り下げて質問をしてみたい、このように思いますが、私は単にそのような行きがけだけというふうに限るのはどうか、こういうふうに思うわけです。  次に、沖繩返還の目玉商品として完全返還される予定であった那覇空港において、一部の基地がP3の移転先工事がおくれているために、依然として日米共同使用になっているわけですが、この基地には、P3以外のC5Aギャラクシーとかあるいはファントムの戦闘機が離着陸している事実があるといわれておりますが、そういった事実について大臣は聞いておられるかどうか、この辺いかがでしょうか。
  72. 大平正芳

    ○大平国務大臣 事務当局から御答弁させます。
  73. 橘正忠

    ○橘説明員 那覇の空港に基地を御存じの経過で提供しておるわけですが、そこにはP3ほかの飛行機が復帰前からおりまして、したがいまして、飛行機の具体的な機種については多少の出入りがあり得るかと思います。詳しいことは私ども確認しておりません。
  74. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 何もわかっていらっしゃらないという感じなんですが、現にかなり詳しい調査が行なわれて、さらに報道もされておるという現時点においては、ちょっと御答弁が粗雑なような感じがいたします。というのは、事実ギャラクシーとかあるいはファントムが飛来しているという点で、私たちはP3だけがこの那覇空港を利用できるものと了解をしていたわけですが、それ以外のものが使用するということになると、どうも権力の乱用であるような気がしてならないわけですが、将来P3が移転をして、那覇空港が日本の管理下に置かれたとき、その場合においても米軍用機は地位協定の第五条によって那覇空港を利用することがあり得るとこのように考えますが、この点はどうでしょうか。
  75. 橘正忠

    ○橘説明員 地位協定の規定に即しますれば、そういう事態はございます。
  76. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 関連して伺いますけれども、成田空港ですね、この本土にある成田空港が完成し、営業を開始をした場合に、アメリカの軍用機はそうすると入れますか、どうですか。
  77. 橘正忠

    ○橘説明員 地位協定の関係につきましてはそういう権利はございます。ただ実際にどうであるかということになれば、運輸省は運輸省としてのお考えもあろうかと思います。
  78. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 つまり、地位協定の五条との関係がもう少し明らかになっていかなければならないと思うのですが、そのような事態が起きたとき、地位協定によりますと、「入港料」これは港の場合ですね。それから「又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」はっきりこう書いてあるわけですね。そういうような場合が実際に将来起きたという場合ですね。地位協定そのものからいけばそういうようなこともあり得ますねと、こう聞いているわけです。
  79. 橘正忠

    ○橘説明員 地位協定の関連での理論的な問題としてはあり得ると思います。
  80. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そういうことで、もしもそのような事態が起きるということになりますと、これはまたたいへんな問題になるわけで、きょうはこれで議論を残したいと思いますけれども、成田空港の問題について、別途あらためてこの辺は伺ってみたいと思います。  時間がありません。あと四、五分しかないんですが、防衛庁にちょっと一言聞いておきたいのですが……。
  81. 正示啓次郎

    ○正示委員長 外務大臣に対する残余の質疑は次回の委員会において行なうことといたしますので、御了承をお願いいたします。
  82. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 私は、さきの委員会で、沖繩の基地が返還されてから官報に記載されてないことを質問したわけですが、それに対して、六月十五日の官報に沖繩の基地が記載されたわけです。そこで、沖繩の基地について二、三さらに伺ってみたいわけですが、沖繩の基地で現在共同使用しているものは全部で幾つぐらいありますか。
  83. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 政府委員からお答えをさせたいと思います。
  84. 長坂強

    ○長坂説明員 沖繩にありますところの米軍施設につきまして、自衛隊が共同使用している施設は何カ所あるか、こういうお尋ねだと思いますが、現在四カ所でございます。那覇空軍・海軍補助施設、それから那覇海軍航空施設、那覇港湾施設及びホワイト・ビーチ、以上の四カ所でございます。
  85. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いま御質問した内容、告示された六月十五日の官報がありますね。これで伺っているわけです。
  86. 長坂強

    ○長坂説明員 たいへん恐縮ですが、六月の十五日の官報持っておりません。先ほど申し上げましたのは、米軍と自衛隊との共同使用の関係を申し上げたのでございますが、そのほか一般的なと申しますか、たとえば沖繩電力株式会社、沖繩県等と共同使用関係は五十七件にのぼっております。
  87. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 五十七件と言われましたけれども、それですと、六月十五日の官報には三十二件しか出てないわけですね。どういうわけですか。なぜ五十七件ですか。
  88. 長坂強

    ○長坂説明員 ただいま五十七件と申し上げましたのは、一つの施設につきまして沖繩電力株式会社とかあるいは沖繩県その他二者、三者が共同使用しているというような関係をそれぞれに数えまして五十七件で、施設ごとに言われますというと、先生おっしゃるとおりでございます。
  89. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 わかりました。いま言われた五十七カ所がここに出ている。六月十五日付の防衛施設庁告示第十二号、これによるといま私がお話ししたとおりである。こういうような御答弁でありますけれども、実際は、ここには確かに三十二カ所しか出てないけれども、せんだってわが党で防衛庁のほうから取りつけたところの資料を見ますと、私がチェックしたところでは五十七でも三十二でもない。四十二カ所出ているわけです。どうしてこんなに違うのですか。
  90. 長坂強

    ○長坂説明員 たびたびおそれ入りますが、当時の告示をいたします際に、間違いといいますか、そういうものがございましたようでございまして、お手元に差し上げております四十二件というのが正しい姿でありまして、それを現在改定の告示をするように準備をしておるということでございます。
  91. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これは六月十五日の官報であり、そしてまた防衛庁のほうから提出願った沖繩米軍基地の実態、この資料も六月十五日付なんです。そんなに大きな十カ所もの食い違いがどうして出てくるのか。沖繩の基地については昨年国会において大きな問題になったわけですが、その最終的なものは当然官報じゃないですか。この官報があくまでも最終なものでなければならぬ。そういった官報をこのように間違って書くということは、政府がたるんでいる証拠だと私は思います。十カ所も明らかに違ってきている。そういった意味で、はたしてこの十カ所というものはどうなるかというと、改定する、このままでいって、いまのようになぜそういった意味における沖繩の基地をすべて官報に載せないかと言ったら、この前のときにはあわててつくったわけです。この十カ所についてもし私がだまっておったならば知らぬ顔してしまうつもりですか、どうですか。
  92. 高松敬治

    ○高松説明員 いま御指摘の点につきましては、私どもの事務的な手続が間違っておるようでございまして、至急直します。たいへん不十分な仕事で申しわけなく存じておりますが、至急訂正して、官報も正確なものにいたしたいと思います。
  93. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間もないのでこれで終わります。要するに、字句を間違っているというのであれば、これは人間のすることですからやむを得ない場合もあるでしょう。しかしながら、基地を十カ所落とすということは、これは単なる間違いでは済まされないと思います。そういった意味で、いまも御答弁が最後にありましたので、これ以上言わないつもりですけれども、やはりこれは政府の怠慢といわざるを得ない、こういう感じがいたします。本件に関する政府の見解を今後もはっきりとしていただいて、間違いのないように切望いたしまして質問を終わりたいと思います。
  94. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 ただいまの件、私も初耳で、たいへん申しわけございません。施設庁長官が申しましたように、さような誤りが絶対起こりませんように、十分戒心をいたしまして将来やるつもりでございます。御了承をお願いをいたします。
  95. 正示啓次郎

    ○正示委員長 東中光雄君。
  96. 東中光雄

    ○東中委員 沖繩本島の中部、具志川市の天願の水源地の近く、道路の、住民地区にも近いわけですが、米軍が基地の中へテトラエチル鉛——四エチル鉛を投棄して、その上へ草を植えて擬装しているということで問題になっておるわけですが、厚生省から来ていただいていると思うのですが、どの程度のものが、四エチル鉛は有毒液ですけれども、置かれておるのか、厚生省でわかっている限り明らかにしていただきたい。
  97. 松田正

    ○松田説明員 沖繩県の厚生部からの報告によりますと、那覇市与儀の米軍のガソリンタンクの撤去を行ないました際に、タンクの下部にありました残滓を、油状の混合物でございますけれども、土に付着をさせまして、これを沖繩本島の具志川市の昆布の米軍敷地内に埋めた、こういうことでございます。これはおそらくガソリンタンクの残滓物であろうというふうに推定されるわけでございますが、汚染状況等につきまして、埋没場所の調査等につきまして、沖繩県のほうから防衛施設庁を通じまして申し入れをいたしておったわけでございます。これを七月二十一日にサンプリングを行ないまして、その結果、埋没場所の地下一メートルのところから採取いたしました土とまじった油状のもの、これを公害衛生研究所におきまして分析いたしましたところ、金属鉛といたしまして最高七・一PPMの鉛が検出された、こういう報告がございます。
  98. 東中光雄

    ○東中委員 防衛施設庁を通じて、県の厚生部自体もその実態、どこから持ってきたのか、どれだけの量のものがあるのか、どういう程度のものなのかということを米軍側に問い合わせておるけれども、その実態がどの程度のものなのかということを、防衛施設庁としてはいまつかんでおられるのか、それをお聞きしたいのです。
  99. 高松敬治

    ○高松説明員 米側と県側と両方立ち会いで、そこで資料をとって検査をいたしておるということを聞いておりますが、まだその検査の結果の具体的内容につきましては、県側の、先ほどお話のありました七・一PPMという程度の話しか聞いておりません。米側の結果については、まだ私ども承知いたしておりません。
  100. 東中光雄

    ○東中委員 天願の水源地から、特に飲料水の取水口から二、三百メートルのところだと聞いておるのです。しかもその量がはっきりしない。御承知のようにテトラエチル鉛は揮発性の液体ですし、引火性がありますし、ドラムカンなんかの金属製品を腐食しますし、人体にとっては猛毒であります。四エチル鉛の入っておるガソリンを飲んで狂い死にをした人もあるわけですが、骨を破壊するし、関節炎を起こすし、相当毒性の激しいもので、毒物劇物取締法でもきびしく規制されているわけですが、これを飲料水の取水口からあまり離れていないところにわざわざ持ってきて、基地の中だといえ、置いている。これに対して、撤去の要求が施設庁を通じて米軍に要請が強く出されていると思うのですが、防衛施設庁としてはどうされているのか。その処置はいかがになっておりますか。
  101. 高松敬治

    ○高松説明員 この問題につきましては、立ち入り調査の申し出が沖繩県あるいは具志川からございました。それで防衛施設庁といたしましては、その点について米側に申し入れを行なって、七月十八日に日米共同して現地調査を行なった。それからその出た結果につきましてまた検討して、必要があればさらに継続して調査を行なう、こういう方針で現在やっておるということでございます。
  102. 東中光雄

    ○東中委員 合同調査ではなくて、これは米軍が埋めたのだから米軍側はわかっておるはずですし、先ほどの厚生省の報告では、七・一PPMの四エチル鉛が入っているということでありますし、撤去の要求が出されておると思うのですが、埋めてある分はのけて、被害を県民に及ぼすようなことがないように、当然措置しなければいかぬことだと思うのですが、そういう点について施設庁としては米軍当局にどういう要求をし、どういうふうに話が進んでおるのかということをお聞きしておるわけであります。そんな調査をしたということは、立ち入って調べたということは、これはわかっておるわけですから、どうされるおつもりなのかはっきりしておいていただきたい。
  103. 高松敬治

    ○高松説明員 先ほど申し上げましたように、県の厚生部でそういう検査の結果についての発表がございました。これをさらに厚生省当局でもいろいろ御検討になると思います。それから米軍側の検査の結果もそのうち明らかになると思います。それらをにらみ合わせまして、次の処置考えていきたい、かように思っております。
  104. 東中光雄

    ○東中委員 ジェット燃料の中に入っておる四エチル鉛というふうにいわれておるわけですが、四エチル鉛が猛毒であるということはもう先ほど申し上げたとおりであります。防衛庁長官にお聞きしたいのですが、事は間違えば、たとえば水道の中に入ったとすれば、これはもうたいへんなことであります。こういうものをわざわざ住民の水源地の取水口の近くに埋める。これが指摘をされ、調べられておるわけですが、当然撤去の処置をさせるべきだ、こう思うのですが、そういう点についての防衛庁として米軍側へこの処置をさせるような要求、それから、その結果をすみやかに明らかにしてほしい、こう思うのですが、いかがでございましょう。
  105. 高松敬治

    ○高松説明員 先ほど来申しておりますように、もともとこれは貯油施設の油の残滓が深さ約六フィートの土中に埋められていたということでございますね。それでこの残滓をそういうことで埋めてあるものが、ほかの飲料水その他に影響がないかということで、それらを調査いたしておるわけでございます。調査の結果を待って、たいへんそういう危険があれば、これに対する処置はもちろんとらなければいかぬと思いますし、いま私どもとしてはそういうことで結果を待っているところでございます。
  106. 東中光雄

    ○東中委員 どうもかみ合わぬ返事をされて困るのですけれども、どのくらいあるかもわからないのでしょう。七・一PPMがあった。とってきたどろを七月四日と七月二十六日の二回にわたって採取した分について、八月一日に検査をやった結果がそうなっているということであります。現地では大きな問題になっております。事は県民の健康にかかわる問題であります。さらに四エチル鉛の中毒が、沖繩米軍基地内の従業員の中に起こっておるという問題が報道されておりますが、仕事中にからだがだるくなる、目まいを感じるということで定期検診もやらない、手袋も配給しない、こういうことでは困るということが、いま天願港あるいはホワイトビーチで働いている労働者の中から出てきております。これは日本人の健康というものをあまり意に介しないで、そしてそういうものを埋めたままだ。それに対してどれぐらいあってどうなのかということを、施設庁が厚生省まかせで、あと検討しておるだけじゃこれはどうにもならないわけであります。四エチル鉛であれば、有害物であることは、毒性の強いものであることはもう明らかですから、早急にこれは処置しなければいかぬ問題だ、こう思うのですが、どうもさっきから同じことばかり施設庁長官は言っておられますけれども防衛庁長官いかがでしょう。
  107. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 私がその事態を全然知らぬものですから、ちょっとお答えがしにくいので、施設庁長官からお答えをしたのですが、現在の調査の段階がもう一つ最終的なものがわかっていないというふうな施設庁長官のお答えと思うのです。その調査のもう一段階がわかったところで、適切な除外措置その他講ずるように申し入れをする、そういう趣旨でございます。調査結果の段階がもう一つはっきりしたところ措置をとりたい、こういうことだと思いますので、その点間違いなく調査の結果を早く、さらにもう一段階を聞きまして、そうして仰せられるとおりの除外の措置をとってまいるようにしたい、こう考えます。
  108. 東中光雄

    ○東中委員 いずれにしましても、四エチル鉛そのものは毒物劇物取締法できびしく規制されているものであります。米軍基地だからということで、国民のあるいは県民の健康に、命に直接関係するような、こういう劇物の処置をあいまいにしておくということは許されぬと思いますので、早急な処置責任を持ってやって解決をしてもらいたい、このことを申し上げておきたいと思います。  それでは、もう時間がありませんので、外務省に質問するのは次回にします。時間がほんの少しになってしまいましたから終わります。
  109. 正示啓次郎

    ○正示委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十七分散会