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政府委員(
岡太直君) まず、工業所有権の数字でございますが、会社が所有しているものが三十四件、
防衛庁と共有のものが三件という
お話でございましたが、これは調査委託をした、あるいは試作を依頼した場合に発生したものでございます。そのほか
防衛庁としましては、
防衛庁の部内の研究によりまして発生いたしました工業所有権を持っております。この数は九十七件ございまして、決して技術面で会社にいっている工業所有権が多いというわけではないというふうに考えております。
それから、会社に開発を依頼しまして発生した工業所有権でございますが、これは直ちに会社に全部いくというわけのものではございません。これはその所有権の対象になります発明なり考案が主として会社側の創意くふうによる場合は会社に属する、それから
防衛庁の技術指導によってできたものは
防衛庁に帰属する、両者もやもやしております場合には
協議してきめる、こういうことになっております。それで、試作なり委託をやります場合は、
防衛庁は生産
施設を持っておりません。したがいまして、
防衛庁は会社に実際のものを製作さしておるわけです。したがって、こういう工業所有権も会社のほうに発生するケースが多い。ただ
防衛庁の場合は、部内の研究において、そのほか技術の成果があがって、九十七件の工業所有権を持っているというふうな現状でございます。
それから通産省の大型プロジェクトの
お話が出ましたが、これは
防衛庁の場合と違いまして、通産省の場合は、
一つの企業ではリスクが非常に多い、しかも社会の要請からいいましてぜひとも技術を進歩しなきゃいかぬ、こういう要請がある場合に、コストも大きいということで、通産省、それから国立の研究所、民間企業が共同のかっこうで
チームとなって開発を進めておられる、そういうふうに
感じております。そうしてこの目的が新しくできた技術を社会のために役立てたいということで、最初からそういう技術を公開するという、こういうことを前提にして出発した。したがって
予算面におきましても、そういう工業所有権を国に帰属させるための対価が織り込んである、こういうのが実情だと思います。これに対しまして
防衛庁の装備品を開発する場合は、これは技術面からいいましても非常に限られた問題である、そう してわれわれのほうの
立場からしますと、装備品の作戦なり運用構想に合ったものが得られればよろしいというわけで、工業所有権を得るということは必ずしも絶対の条件ではないというわけで、
経費を算定いたします場合にも、たとえば材料費だとか、人件費だとか、それから技術者の金だとかというものを積算をいたしておりますけれ
ども、会社が持っておりまして従来から蓄積したポテンシャルと申しましょうか、会社の実力といいましょうか、つまり技術的ポテンシャルのない会社には高度の製品を出すわけにはいかない、そういう
意味で、それだけの
予算を組んでおりません。したがって、工業所有権の場合は先ほど申し上げたような取り扱いになっております。ただ将来の
方向としましては、やはり競争原理というようなことも導入しなければいかぬということもありましょうから、前向きの
方向で
検討する必要があると思っておりますが、何ぶん
予算面だとかその他いろいろ問題があるというのが現状だと、こう思っております。